(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】がんを治療するための方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 39/00 20060101AFI20240705BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240705BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240705BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20240705BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240705BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20240705BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20240705BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240705BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20240705BHJP
C07K 16/46 20060101ALN20240705BHJP
【FI】
A61K39/00 G
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P35/04
A61K45/00
A61K39/395 U
A61K31/573
A61P1/00
A61P43/00 121
C07K16/28 ZNA
C07K16/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578879
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2024-02-21
(86)【国際出願番号】 US2022073365
(87)【国際公開番号】W WO2023279092
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】514099673
【氏名又は名称】エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マーケルト, クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】メン, レイモンド ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ミュッケ, メルリンド
(72)【発明者】
【氏名】セン, シラージ
(72)【発明者】
【氏名】タイヒグレーバー, フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーブキング, フォルカー アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】チャー, エドワード ナムセルク
(72)【発明者】
【氏名】コッター, クリストファー ローランド
(72)【発明者】
【氏名】ドーラル, ミシェル ユーリ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZC082
4C084ZC412
4C085AA06
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB36
4C085BB41
4C085BB43
4C085CC23
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG04
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA10
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC08
4C086ZC75
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
(57)【要約】
本発明は、対象のがんの治療における使用のための方法及び組成物に関する。例えば、本発明は、Igドメイン及びITIMドメインを有する抗T細胞免疫受容体(TIGIT)アンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)並びにPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を対象に投与することによる、対象における食道がん又は結腸直腸がん(CRC)(例えば、転移性CRC(例えば、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI)(MSI-H)転移性CRC))の治療における使用のための方法及び組成物、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び抗VEGF抗体(例えば、ベバシズマブ)を対象に投与することによる、対象における転移性CRC(例えば、MSI-H転移性CRC)の治療における使用のための方法及び組成物、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)及びリンパ球活性化遺伝子3(LAG3)を標的とする二重特異性抗体を、任意に抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)と共に対象に投与することによる、対象における黒色腫の治療における使用のための方法及び組成物、CD20及びCD3を標的とする二重特異性抗体(モスネツズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を、任意にPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)と共に対象に投与することによる、対象におけるCD20陽性細胞増殖性疾患(例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL);例えば、再発性又は難治性NHL)の治療における使用のための方法及び組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒色腫を有する対象を治療する方法であって、方法が、対象に、抗TIGITアンタゴニスト抗体、並びにプログラム細胞死タンパク質1(PD-1)に特異的に結合する第1の抗原結合ドメイン及びリンパ球活性化遺伝子3(LAG3)に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを含む、PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体の投与サイクルを1回又は複数回投与することを含む、方法。
【請求項2】
方法が、対象に、
(a)3週間ごとに600mgの固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体;及び
(b)3週間ごとに2100mgの固定用量の二重特異性抗体
を投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
方法が、対象に、
(a)3週間ごとに600mgの固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体;及び
(b)3週間ごとに600mgの固定用量の二重特異性抗体
を投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
1回又は複数回の投与サイクルの各々の長さが21日間であり、任意で、方法が、1回又は複数回の投与サイクルの各々の1日目に抗TIGITアンタゴニスト抗体及び二重特異性抗体を対象に投与することを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
方法が、二重特異性抗体を抗TIGITアンタゴニスト抗体の前に対象に投与することを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
二重特異性抗体及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象に静脈内投与することを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
1回又は複数回の投与サイクルがネオアジュバント療法として投与される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
黒色腫を有する対象を治療するための方法であって、PD-1に特異的に結合する第1の抗原結合ドメイン及びLAG3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを含む、PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体の投与サイクルを1回又は複数回対象に投与することを含み、1回又は複数回の投与サイクルがネオアジュバント療法として投与される、方法。
【請求項9】
二重特異性抗体を2100mgの固定用量で3週間ごとに対象に投与することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
二重特異性抗体を600mgの固定用量で3週間ごとに対象に投与することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
1回又は複数回の投与サイクルの各々の長さが21日間であり、任意で、方法が、1回又は複数回の投与サイクルの各々の1日目に二重特異性抗体を対象に投与することを含む、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
二重特異性抗体を対象に静脈内投与することを含む、請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
黒色腫を有する対象を治療するための方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストの投与サイクルを1回又は複数回対象に投与することを含み、1回又は複数回の投与サイクルがネオアジュバント療法として投与される、方法。
【請求項14】
方法が、対象に、
(a)3週間ごとに600mgの固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体;及び
(b)3週間ごとに1200mgの固定用量のPD-1軸結合アンタゴニスト
を投与することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
1回又は複数回の投与サイクルの各々の長さが21日間であり、任意に、方法が、1回又は複数回の投与サイクルの各々の1日目に抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
抗TIGITアンタゴニスト抗体の前にPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む、請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
方法が、対象にPD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を静脈内投与することを含む、請求項13から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
黒色腫が、
(a)測定可能なリンパ節転移を伴うステージIII黒色腫;又は
(b)ステージIV黒色腫
であり、
任意に、黒色腫が、粘膜黒色腫又はブドウ膜黒色腫ではない、
請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
対象が、治療開始前6ヶ月以内にin-transit転移を有していない、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
対象が以前にがん免疫療法で治療されたことがない、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
(a)対象が、2つ以下の先行する全身治療ラインを受けているか、又は(b)黒色腫が、BRAF変異型黒色腫であり、対象が、3つ以下の先行する全身治療ラインを受けている、請求項1から7及び18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
第1の投与サイクルが手術の前に開始される、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
手術の前に2回の投与サイクルが完了する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
手術が、最後の投与サイクル後約一週間以内に行われる、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
手術が完全リンパ節郭清(CLND)である、請求項22から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
治療が、参照pRRと比較して病理学的奏効率(pRR)の増加をもたらし、任意で、参照pRRが、対照療法を受けたことがある対象の集団のpRRである、請求項1から20及び22から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
治療が、参照ORRと比較して全奏効率(ORR)の増加をもたらし、任意で、参照ORRが、
(a)PD-1及びLAG3を標的とし、抗TIGITアンタゴニスト抗体を含まない二重特異性抗体を含む治療;並びに/又は
(b)抗TIGITアンタゴニスト抗体を含み、PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体を含まない治療
を受けた対象の集団のORRである、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体が、
(i)配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列、
(ii)アミノ酸配列GGRを含むHVR-H2配列、及び
(iii)配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列
を含むVHドメイン、並びに
(i)配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列、
(ii)アミノ酸配列RSSを含むHVR-L2配列、及び
(iii)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列
を含むVLドメイン
を含む第1の抗原結合ドメインを含む、請求項1から12及び18から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体が、IgGであるFcドメインを含み、任意でIgG FcドメインがIgG1 Fcドメイン又はIgG4 Fcドメインである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
Fcドメインが、Fc受容体への結合を減少させる1つ以上のアミノ酸置換を含み、任意に、Fc受容体がFcγ受容体である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体が、
(i)配列番号43のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列、
(ii)配列番号44のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列、及び
(iii)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列
を含むVHドメイン、並びに
(i)配列番号46のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列、
(ii)配列番号47のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列、及び
(iii)配列番号48のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列
を含むVLドメイン
を含む第2の抗原結合ドメインを含む、請求項28から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
第1の抗原結合ドメインが、配列番号41のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号42のアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、第2の抗原結合ドメインが、配列番号49のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号50のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、請求項28から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体が、
(a)アミノ酸変異L234A、L235A及びP329Gを有するヒトIgG1サブクラスのFcドメイン(Kabat EUインデックスによる番号付け);並びに/又は
(b)Fcドメインの第1のサブユニットと第2のサブユニットの会合を促進する改変を含むFcドメイン
を含む、請求項28から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
Fcドメインの第1のサブユニットが、アミノ酸置換S354C及びT366W(Kabat EUインデックスによる番号付け)を含み、Fcドメインの第2のサブユニットが、アミノ酸置換Y349C、T366S及びY407V(Kabat EUインデックスによる番号付け)を含む、請求項29から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体が、Fcドメインと、第1の抗原結合ドメインを含む第1のFab断片と、第2の抗原結合ドメインを含む第2のFab断片とを含む、請求項29から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体のFab断片の一方において、可変ドメインVL及びVHが、VHドメインが軽鎖の一部であり、VLドメインが重鎖の一部であるように互いに置き換えられ、任意に、第1のFab断片において、可変ドメインVL及びVHが互いに置き換えられる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
Fab断片のうちの1つの定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸がリジン(K)、アルギニン(R)又はヒスチジン(H)(Kabat EUインデックスによる番号付け)によって独立して置換され、定常ドメインCH1において、位置147及び213のアミノ酸がグルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D)(Kabat EUインデックスによる番号付け)によって独立して置換され、任意に、第2のFab断片の定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸がリジン(K)、アルギニン(R)又はヒスチジン(H)(番号付けはKabat EUインデックスによる番号付け)によって独立して置換され、定常ドメインCH1において、位置147及び213のアミノ酸がグルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D)(Kabat EUインデックスによる番号付け)によって独立して置換される、請求項35又は36に記載の方法。
【請求項38】
二重特異性抗体が、配列番号51の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第1の重鎖と、配列番号52の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第1の軽鎖と、配列番号53の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第2の重鎖と、配列番号54の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第2の軽鎖とを含む、請求項28から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の超可変領域(HVR):
SNSAAWN(配列番号11)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;
KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;
ESTTYDLLAGPFDY(配列番号13)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;
KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号14)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;
WASTRES(配列番号15)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及び
QQYYSTPFT(配列番号16)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列
を含む、請求項1から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、
(a)配列番号27若しくは28のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)配列番号29のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)のようなVHドメイン及び(b)のようなVLドメイン
を含む、請求項1から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、モノクローナル抗体、ヒト抗体、又は完全長抗体である、請求項1から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、チラゴルマブである、請求項1から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変断片(scFv)、及び(Fab’)
2断片からなる群から選択されるTIGITに結合する抗体断片である、請求項1から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
抗TIGITアンタゴニスト抗体がIgGクラス抗体であり、任意でIgGクラス抗体がIgG1サブクラス抗体である、請求項1から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
PD-1軸結合アンタゴニストが、PD-L1結合アンタゴニスト、PD-1結合アンタゴニスト、及びPD-L2結合アンタゴニストからなる群から選択される、請求項13から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
PD-L1結合アンタゴニストが、抗PD-L1アンタゴニスト抗体である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
抗PD-L1アンタゴニスト抗体がアテゾリズマブである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、以下のHVR:
GFTFSDSWIH(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;
AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;
RHWPGGFDY(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;
RASQDVSTAVA(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;
SASFLYS(配列番号7)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及び
QQYLYHPAT(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列
を含む、請求項13から17、46、及び47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、
(a)配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)のようなVHドメイン及び(b)のようなVLドメイン
を含む、請求項13から17及び46から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、モノクローナル抗体、ヒト化抗体又は完全長抗体である、請求項46から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変断片(scFv)、及び(Fab’)
2断片からなる群から選択される、PD-L1に結合する抗体断片である、請求項46及び48から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
抗PD-L1アンタゴニスト抗体がIgGクラス抗体であり、任意でIgGクラス抗体がIgG1サブクラス抗体である、請求項46及び48から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
転移性食道がんを有する対象において臨床応答を達成する方法であって、臨床応答を達成するのに有効な量のチラゴルマブ及びアテゾリズマブの投与サイクルを1回又は複数回含む投与レジメンを対象に投与することを含む、方法。
【請求項54】
臨床応答が少なくとも1年間維持され、任意で、臨床応答が少なくとも2年間維持される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
臨床応答が、
(a)無増悪生存期間(PFS);
(b)1つ以上の標的病変の最長径の和(SLD)の減少;
(c)部分寛解(PR);又は
(d)完全寛解(CR)
である、請求項53又は54に記載の方法。
【請求項56】
(a)対象に、約600mgの用量のチラゴルマブを3週間ごとに投与し、約1200mgの用量のアテゾリズマブを3週間ごとに投与すること;
(b)対象に、約420mgの用量のチラゴルマブを2週間ごとに投与し、約840mgの用量のアテゾリズマブを2週間ごとに投与すること;又は
(c)対象に、約840mgの用量のチラゴルマブを4週間ごとに投与し、約1680mgの用量のアテゾリズマブを4週間ごとに投与すること
を含む、請求項53から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
チラゴルマブ及びアテゾリズマブが静脈内投与される、請求項53から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
食道がんが、扁平上皮癌又は腺癌である、請求項53から57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
食道がんが、5%未満のPD-L1陽性腫瘍細胞(TC)画分又は腫瘍浸潤免疫細胞(IC)画分を有し、任意で、食道がんが、1%未満のPD-L1陽性TC画分を有する、請求項53から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
PD-L1が、Ventana SP142 IHCアッセイ、Ventana SP263 IHCアッセイ、pharmDx 22C3 IHCアッセイ又はpharmDx 28-8 IHCアッセイを使用して検出される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
対象が、食道がんに対する2つ以上の事前の抗がん療法を受けており、任意で、対象が、食道がんに対する3つ以上の事前の抗がん療法を受けており、更に任意で、対象が、事前の抗がん療法による治療中に疾患進行を経験した、請求項53から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
対象が、チラゴルマブ及びアテゾリズマブの1つ以上の投与サイクル中又はその後に治療関連のグレード3又はグレード4の有害事象を経験しない、請求項53から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
対象にチラゴルマブ及びモスネツズマブを投与することを含む、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する対象を治療する方法。
【請求項64】
R/R NHLが、R/R濾胞性リンパ腫(FL)、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)であり、任意に、R/R FLが、R/R形質転換FL(trFL)又はR/Rグレード3b FLである、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
(a)対象が、少なくとも2つの事前治療の後に再発したか若しくはそれらに対して難治性である、
(b)対象が、抗CD20モノクローナル抗体を含む少なくとも1つの事前治療の後で再発したか若しくはそれに対して難治性である、
(c)対象が、アントラサイクリンを含む少なくとも1つの事前治療の後に再発したか若しくはそれに対して難治性である、且つ/又は
(d)対象が、アルキル化剤を含む少なくとも1つの事前治療の後に再発したか若しくはそれに対して難治性である、
請求項63又は64に記載の方法。
【請求項66】
抗CD20モノクローナル抗体がリツキシマブ若しくはオビヌツズマブであり、アントラサイクリンがダウノマイシン若しくはドキソルビシンであり、且つ/又はアルキル化剤が、ベンダムスチン、カルボプラチン、シスプラチン若しくはシクロホスファミドである、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
対象が、自己幹細胞療法(ASCT)又はキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法に不適格である、請求項63から66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
チラゴルマブ及びモスネツズマブが、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与レジメンで対象に投与され、ここで、
(a)第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ、第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、ここで、モスネツズマブのC1D1は約5mgであり、モスネツズマブのC1D2は約45mgであり、モスネツズマブのC1D3は約45mgであり、且つ
(b)第2の投与サイクルが、単回用量(C2D1)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC2D1が約45mgである、
請求項63から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルが各々21日間の投与サイクルであり、任意で、モスネツズマブのC1D1、C1D2、及びC1D3が、それぞれ第1の投与サイクルの1日目、8日目、及び15日目に投与される、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
モスネツズマブのC2D1が、第2の投与サイクルの1日目に投与される、請求項68又は69に記載の方法。
【請求項71】
第1の投与サイクルが、単回用量(C1D1)のチラゴルマブを含み、任意に、チラゴルマブのC1D1が、第1の投与サイクルの1日目に投与される、請求項68から70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
チラゴルマブのC1D1が約600mgである、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
チラゴルマブのC1D1が、モスネツズマブのC1D1の投与後に投与される、請求項71又は72に記載の方法。
【請求項74】
第1の投与サイクル中、チラゴルマブを対象に投与しない、請求項68から70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
第2の投与サイクルが、単回用量(C2D1)のチラゴルマブを含み、任意に、チラゴルマブのC2D1が、第2の投与サイクルの1日目に投与される、請求項68から74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
チラゴルマブのC2D1が約600mgである、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
チラゴルマブのC2D1が、モスネツズマブのC2D1の投与後に投与される、請求項75又は76に記載の方法。
【請求項78】
投与レジメンが、対象にアテゾリズマブを投与することを更に含む、請求項68から77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
第2の投与サイクルが単回用量(C2D1)のアテゾリズマブを含み、任意に、アテゾリズマブのC2D1が、第2の投与サイクルの1日目に投与される、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
アテゾリズマブのC2D1が約1200mgである、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
アテゾリズマブのC2D1が、チラゴルマブのC2D1の投与後に投与される、請求項79又は80に記載の方法。
【請求項82】
アテゾリズマブが第1の投与サイクル中に対象に投与されない、請求項78から81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
投与レジメンが、1回又は複数回の追加の投与サイクルを更に含み、任意に、投与レジメンが、6から15回の追加の投与サイクルを含み、更に、任意に、各追加の投与サイクルが、21日間の投与サイクルである、請求項68から82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
投与レジメンが、6回の追加の投与サイクル又は15回の追加の投与サイクルを更に含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
各追加の投与サイクルが追加用量のモスネツズマブの投与を含み、任意で、各追加用量のモスネツズマブが各対応する追加の投与サイクルの1日目に投与される、請求項83又は84に記載の方法。
【請求項86】
モスネツズマブの各追加用量が約45mgである、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
各追加の投与サイクルが、追加用量のチラゴルマブの投与を含み、任意で、各追加用量のチラゴルマブが、各対応する追加の投与サイクルの1日目に投与される、請求項83から86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
チラゴルマブの各追加用量が約600mgである、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
各追加用量のチラゴルマブが、各追加用量のモスネツズマブの投与後に投与される、請求項87又は88に記載の方法。
【請求項90】
各追加の投与サイクルが、追加用量のアテゾリズマブの投与を含み、任意で、各追加用量のアテゾリズマブが、各対応する追加の投与サイクルの1日目に投与される、請求項87から89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
アテゾリズマブの各追加用量が約1200mgである、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
アテゾリズマブの各追加用量が、チラゴルマブの各追加用量の投与後に投与される、請求項90又は91に記載の方法。
【請求項93】
チラゴルマブが対象に静脈内投与される、請求項63から92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
モスネツズマブが対象の皮下に投与される、請求項63から93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
アテゾリズマブが対象に静脈内投与される、請求項78から81及び90から92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
1つ以上の追加の治療剤を対象に投与することを更に含む、請求項63から95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
1つ以上の追加の治療剤がIL-6Rアンタゴニスト又はコルチコステロイドであり、任意で、IL-6Rアンタゴニストがトシリズマブであるか、又はコルチコステロイドがメチルプレドニゾロン、デキサメタゾン若しくはプレドニゾンである、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する対象の集団を治療する方法であって、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与し且つ対象の集団にモスネツズマブを皮下投与することを含み、
(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブと、第1の投与サイクルの8日目に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブと、第1の投与サイクルの15日目に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブとを含み、モスネツズマブのC1D1が約5mgであり、モスネツズマブのC1D2が約45mgであり、モスネツズマブのC1D3が約45mgであり、任意に、第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される約600mgのチラゴルマブの単回用量(C1D1)を更に含み、且つ
(b)第2の投与サイクルが、第2の投与サイクルの1日目に投与される単回用量(C2D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C2D1)のチラゴルマブを含み、モスネツズマブのC2D1が約45mgであり、チラゴルマブのC2D1が約600mgであり、任意に、第2の投与サイクルが、第2の投与サイクルの1日目に投与される約1200mgのアテゾリズマブの単回用量(C2D1)を更に含む、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する対象の集団を治療する方法。
【請求項99】
再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する対象の集団を治療する方法であって、8回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与し且つ対象の集団にモスネツズマブを皮下投与することを含み、
(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブと、第1の投与サイクルの8日目に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブと、第1の投与サイクルの15日目に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブとを含み、モスネツズマブのC1D1が約5mgであり、モスネツズマブのC1D2が約45mgであり、モスネツズマブのC1D3が約45mgであり、任意に、第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される約600mgのチラゴルマブの単回用量(C1D1)を更に含み、且つ
(b)第2~第8の投与サイクルがそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される単回用量(C2D1-C8D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C2D1-C8D1)のチラゴルマブを含み、ここで、モスネツズマブの各単回用量C2D1-C8D1が約45mgであり、チラゴルマブの各単回用量C2D1-C8D1が約600mgであり、任意で、第2~第8の投与サイクルがそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される約1200mgのアテゾリズマブの単回用量(C2D1-C8D1)を更に含む、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する対象の集団を治療する方法。
【請求項100】
再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する対象の集団を治療する方法であって、17回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与し且つ対象の集団にモスネツズマブを皮下投与することを含み、
(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブと、第1の投与サイクルの8日目に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブと、第1の投与サイクルの15日目に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブとを含み、モスネツズマブのC1D1が約5mgであり、モスネツズマブのC1D2が約45mgであり、モスネツズマブのC1D3が約45mgであり、任意に、第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される約600mgのチラゴルマブの単回用量(C1D1)を更に含み、且つ
(b)第2~第17の投与サイクルがそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される単回用量(C2D1-C17D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C2D1-C17D1)のチラゴルマブを含み、ここで、モスネツズマブの各単回用量C2D1-C17D1は約45mgであり、チラゴルマブの各単回用量C2D1-C17D1は約600mgであり、任意で、第2~第17の投与サイクルがそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される約1200mgのアテゾリズマブの単回用量(C2D1-C17D1)を更に含む、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する対象の集団を治療する方法。
【請求項101】
(a)対象の集団における完全寛解率が、モスネツズマブを含む単剤療法で治療された対象の参照集団における参照完全寛解率よりも高く、且つ/又は
(b)対象の集団における客観的奏効率が、モスネツズマブを含む単剤療法で治療された対象の参照集団における参照客観的奏効率よりも高い、
請求項98から100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
(a)対象の集団における有害事象の割合が、モスネツズマブを含む単剤療法で治療された対象の参照集団における有害事象の参照割合と実質的に同じであり、且つ/又は
(b)対象の集団におけるサイトカイン放出症候群(CRS)事象の割合が、モスネツズマブを含む単剤療法で治療された対象の参照集団におけるCRS事象の参照割合と実質的に同じである、
請求項98から100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
対象の集団における、米国移植細胞療法学会(ASTCT)サイトカイン放出症候群に関するコンセンサスグレーディング(「ASTCT CRSグレーディング」によって定義されるグレード3以上を有するCRS事象の割合が、モスネツズマブを含む単剤療法で治療された対象の参照集団における、ASCT CRSグレーディングによって定義されるグレード3以上を有するCRS事象の参照割合と実質的に同じである、請求項98から100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
(a)対象の集団における完全寛解率が、モスネツズマブの皮下投与を含む単剤療法で治療された対象の参照集団における参照完全寛解率よりも高く、且つ/又は
(b)対象の集団における客観的奏効率が、モスネツズマブの皮下投与を含む単剤療法で治療された対象の参照集団における参照客観的奏効率よりも高い、
請求項98から100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
(a)対象の集団における有害事象の割合が、モスネツズマブの皮下投与を含む単剤療法で治療された対象の参照集団における有害事象の参照割合と実質的に同じであり、且つ/又は
(b)対象の集団におけるCRS事象の割合が、モスネツズマブの皮下投与を含む単剤療法で治療された対象の参照集団におけるCRS事象の参照割合と実質的に同じである、
請求項98から100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
対象の集団におけるASTCT CRSグレーディングによって定義される3以上のグレードを有するCRS事象の割合が、モスネツズマブの皮下投与を含む単剤療法で治療された対象の参照集団におけるASCT CRSグレーディングによって定義される3以上のグレードを有するCRS事象の参照割合と実質的に同じである、請求項98から100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
転移性結腸直腸がん(CRC)を有する対象を治療する方法であって、対象にチラゴルマブ及びアテゾリズマブを投与することを含み、転移性CRCが高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)CRCである、方法。
【請求項108】
転移性CRCを有する対象を治療する方法であって、対象に、チラゴルマブ、アテゾリズマブ、及びベバシズマブを投与することを含み、転移性CRCがMSI-H CRCである、方法。
【請求項109】
転移性CRCが腺癌である、請求項107又は108に記載の方法。
【請求項110】
対象が、以前のチェックポイント阻害剤に基づく治療で疾患進行を経験している、請求項107から109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
(a)チラゴルマブ及びアテゾリズマブが、1回又は複数回の投与サイクルを含む投与レジメンで対象に投与され、且つ/又は
(b)ベバシズマブが、1回又は複数回の投与サイクルを含む投与レジメンで対象に投与される、
請求項107から110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
チラゴルマブが、3週間ごとに約600mgの用量で投与され、アテゾリズマブが、3週間ごとに約1200mgの用量で投与される、請求項107から111のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
ベバシズマブが3週間ごとに約15mg/kgの用量で投与される、請求項108から112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さが21日間であり、任意で、チラゴルマブ及びアテゾリズマブが1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの1日目に投与され、且つ/又はベバシズマブが1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの1日目に投与される、請求項111から113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
アテゾリズマブがチラゴルマブの前に投与される、請求項107から114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
アテゾリズマブがベバシズマブの前に投与され、ベバシズマブがチラゴルマブの前に投与される、請求項108から115のいずれか一項に記載の方法。
【請求項117】
投与レジメンが少なくとも16回の投与サイクルを含む、請求項111から116のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
転移性CRCを有する対象を治療する方法であって、方法が、各投与サイクルの1日目に約600mgの用量のチラゴルマブ及び各投与サイクルの1日目に約1200mgの用量のアテゾリズマブの21日間投与サイクルを1回又は複数回含む投与レジメンを対象に投与することを含み、転移性CRCがMSI-H CRCである、方法。
【請求項119】
転移性CRCを有する対象を治療する方法であって、各投与サイクルの1日目に約600mgの用量のチラゴルマブ、各投与サイクルの1日目に約1200mgの用量のアテゾリズマブ、及び各投与サイクルの1日目に約15mg/kgの用量のベバシズマブの21日間投与サイクルを1回又は複数回含む投与レジメンを対象に投与することを含み、転移性CRCがMSI-H CRCである、方法。
【請求項120】
(a)チラゴルマブが静脈内投与され、
(b)アテゾリズマブが静脈内投与され、且つ/又は
(c)ベバシズマブが静脈内投与される、
請求項107から119のいずれか一項に記載の方法。
【請求項121】
MSI-Hステータスが、次世代シーケンシング、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、免疫組織化学(IHC)若しくはFOUNDATIONONE(登録商標)Liquid CDx試験又はこれらの組み合わせによって決定される、請求項107から120のいずれか一項に記載の方法。
【請求項122】
1又は複数の対象がヒトである、請求項1から121のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、参照によりその全体が本明細書に援用される。2022年6月24日に作成された当該ASCIIコピーの名称は50474-257WO4_Sequence_Listing_6_24_22_xmlであり、サイズは102,270バイトである。
【0002】
本発明は、対象のがんを治療するのに使用するための方法及び組成物に関する。例えば、本発明は、Igドメイン及びITIMドメインを有する抗T細胞免疫受容体(TIGIT)アンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)並びにPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を対象に投与することによる、対象における食道がん又は結腸直腸がん(CRC)(例えば、転移性CRC(例えば、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI)(MSI-H)転移性CRC))の治療における使用のための方法及び組成物、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び抗VEGF抗体(例えば、ベバシズマブ)を対象に投与することによる、対象における転移性CRC(例えば、MSI-H転移性CRC)の治療における使用のための方法及び組成物、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)及びリンパ球活性化遺伝子3(LAG3)を標的とする二重特異性抗体を、任意に抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)と共に対象に投与することによる、対象における黒色腫の治療における使用のための方法及び組成物、CD20及びCD3を標的とする二重特異性抗体(モスネツズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を、任意にPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)と共に対象に投与することによる、対象のCD20陽性細胞増殖性疾患(例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL);例えば、再発性又は難治性NHL)の治療における使用のための方法及び組成物を提供する。
【背景技術】
【0003】
がんは、細胞亜集団の制御されない増殖を特徴とする。がんは、先進国における主な死因であり、発展途上国における2番目に多い死因であり、1400万を超える新たな癌症例が診断され、毎年800万を超える癌死が発生している。したがって、がんのケアは、重大で増え続ける社会的負担となる。
【0004】
一般的で治療が困難ながんの治療のための治療手法に対する特に差し迫った必要性がある。
【0005】
食道がんは、世界中で7番目に最も一般的に診断されるがんであり、がん関連死の6番目に一般的な原因である。食道がんを有するほとんどの患者は進行疾患と診断され、疾患は頻繁に再発する。進行性又は転移性食道がんを有する患者の治療選択肢は限られており、患者は予後不良であり、現在の治療からの全生存利益は最小限である。したがって、この集団において新規な治療手法が依然として必要とされている。
【0006】
黒色腫は、メラノサイトの悪性腫瘍である。この潜在的に致命的な形態の皮膚がんは、最も急速に成長している悪性腫瘍の1つである。世界中で30万人を超える人々が現在、毎年黒色腫と診断されており、57,000人がこの疾患で死亡している。進行した黒色腫を有するほとんどの人々は予後不良である。リンパ節浸潤(ステージIII)を有する患者は、術後の局所再発及び遠隔再発のリスクが高く、この患者群では5年生存率が32%~93%である。提示時に転移性疾患(ステージIV)を有する患者はほとんどいないが、一部の患者は最初の根治的治療後に転移を発症する。免疫療法及び標的療法はそれらの患者の転帰を改善しており、5年生存率は約50%である。黒色腫は、深刻な健康問題であり続けており、高い医学的必要性及び過去30年間にわたる着実に増加する発生率を伴う。したがって、この集団において新規な治療手法が依然として必要とされている。
【0007】
B細胞増殖性障害は、がん関連死の主な原因となっている。例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL)は急速に進行し、処置しない場合は致命的である。米国では、B細胞リンパ腫は、NHLの全症例のおよそ80%~85%を構成する。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、NHLの最も一般的なタイプであり、全NHL診断のおよそ30%~40%を占め、濾胞性リンパ腫(FL;全NHL診断の20%~25%)及びマントル細胞リンパ腫(MCL;全NHL診断の6%~10%)がこれに続く。B細胞慢性リンパ性白血病(CLL)は成人において最も一般的な白血病であり、米国では毎年およそ15,000人が新たに発症する(American Cancer Society 2015)。したがって、この集団では新規治療法が依然としてかなり必要とされている。
【0008】
結腸直腸がん(CRC)は、結腸又は直腸から発症するがんである。ミスマッチ修復(MMR)欠損を有するCRC腫瘍細胞は、DNA複製中にマイクロサテライトの長さを調節する能力が損なわれており、これはマイクロサテライト不安定性(MSI)として知られている。CRC腫瘍は、MSI-high(MSI-H)として更に特徴付けることができる。MSI-H転移性CRCを有する患者の大部分は、現在承認されている免疫療法から利益を得ておらず、治療に最初に応答する一部の患者は、後に治療に対する二次耐性を発症する。したがって、MSI-H転移性CRCを有する患者のための新規で有効な治療法が大いに必要とされている。
【0009】
したがって、食道がん、黒色腫、B細胞増殖性疾患、及びCRCを含むがんの治療のための有効な免疫療法及びそれを投与する方法の開発について、当分野で満たされていない必要性がある。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、がん(例えば、転移性食道がん、再発性及び/又は難治性非ホジキンリンパ腫(NHL)、又は黒色腫)を有する対象において臨床応答を達成する方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメン;PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体を含む治療レジメン;モスネツズマブと抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)とを含む治療レジメン、又はPD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体と抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)とを含む治療レジメンの1つ以上の投与サイクルを含む投与レジメンを、臨床応答を達成するのに有効な量で対象に投与することを含む方法に関与する。
【0011】
一態様では、黒色腫を有する対象を治療する方法であって、方法が、対象に、抗TIGITアンタゴニスト抗体、並びにプログラム細胞死タンパク質1(PD-1)に特異的に結合する第1の抗原結合ドメイン及びリンパ球活性化遺伝子3(LAG3)に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを含む、PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体の1つ以上の投与サイクルを投与することを含む、方法を提供する。
【0012】
別の態様では、本開示は、黒色腫を有する対象を治療する際に、PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体と組み合わせて使用するための抗TIGITアンタゴニスト抗体であって、二重特異性抗体は、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含み、PD-1及びLAG3を標的とする抗TIGITアンタゴニスト抗体並びに二重特異性抗体が、1つ以上の投与サイクルを含む投与レジメンでの対象への投与のために製剤化される、抗TIGITアンタゴニスト抗体を提供する。
【0013】
別の態様では、本開示は、黒色腫を有する対象を治療する際に、抗TIGITアンタゴニスト抗体と組み合わせて使用するための、PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体であって、PD-1に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、LAG3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含み、PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体並びに抗TIGITアンタゴニスト抗体が、1つ以上の投与サイクルを含む投与レジメンでの対象への投与のために製剤化される、二重特異性抗体を提供する。
【0014】
別の態様では、本開示は、黒色腫を有する対象を治療するための方法であって、PD-1に特異的に結合する第1の抗原結合ドメイン及びLAG3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを含む、PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体の1つ以上の投与サイクルを対象に投与することを含み、1つ以上の投与サイクルがネオアジュバント療法として投与される、方法を特徴とする。
【0015】
別の態様では、本開示は、黒色腫を有する対象を治療する際に使用するための、PD-1に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、LAG3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含む、PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体であって、PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体は、1つ以上の投与サイクルを含む投与レジメンにおけるネオアジュバント療法としての対象への投与のために製剤化される、二重特異性抗体を提供する。
【0016】
別の態様では、本開示は、黒色腫を有する対象を治療するための方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストの1つ以上の投与サイクルを対象に投与することを含み、1つ以上の投与サイクルがネオアジュバント療法として投与される、方法を特徴とする。
【0017】
別の態様では、本開示は、黒色腫を有する対象を治療する際にPD-1軸結合アンタゴニストと組み合わせて使用するための抗TIGITアンタゴニスト抗体を提供し、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストは、1つ以上の投与サイクルを含む投与レジメンにおけるネオアジュバント療法として対象に投与するために製剤化される。
【0018】
別の態様では、本開示は、黒色腫を有する対象を治療する際に抗TIGITアンタゴニスト抗体と組み合わせて使用するためのPD-1軸結合アンタゴニストを提供し、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体は、1つ以上の投与サイクルを含む投与レジメンにおけるネオアジュバント療法として対象に投与するために製剤化される。
【0019】
別の態様では、本開示は、転移性食道がんを有する対象において臨床応答を達成する方法であって、臨床応答を達成するのに有効な量のチラゴルマブ及びアテゾリズマブの1つ以上の投与サイクルを含む投与レジメンを対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0020】
別の態様では、本開示は、転移性食道がんを有する対象において臨床応答を達成する際にアテゾリズマブと組み合わせて使用するためのチラゴルマブを提供し、ここで、チラゴルマブ及びアテゾリズマブは、1つ以上の投与サイクルを含む投与レジメンで対象に投与するために製剤化される。
【0021】
別の態様では、本開示は、転移性食道がんを有する対象において臨床応答を達成する際にチラゴルマブと組み合わせて使用するためのアテゾリズマブを提供し、ここで、チラゴルマブ及びアテゾリズマブは、1つ以上の投与サイクルを含む投与レジメンで対象に投与するために製剤化される。
【0022】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する対象を治療する方法であって、対象にチラゴルマブ及びモスネツズマブを投与することを含む方法を特徴とする。
【0023】
別の態様では、本発明は、R/R NHLを有する対象の治療においてモスネツズマブと組み合わせて使用するためのチラゴルマブを特徴とし、ここで、チラゴルマブ及びモスネツズマブは、対象への投与のために製剤化される。
【0024】
別の態様では、本発明は、R/R NHLを有する対象を治療する際にチラゴルマブと組み合わせて使用するためのモスネツズマブを特徴とし、ここで、チラゴルマブ及びモスネツズマブは、対象への投与のために製剤化される。
【0025】
別の態様では、本開示は、転移性結腸直腸がん(CRC)を有する対象を治療する方法であって、対象にチラゴルマブ及びアテゾリズマブを投与することを含み、転移性CRCが高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)CRCである方法を特徴とする。
【0026】
別の態様では、本開示は、転移性CRCを有する対象の治療においてアテゾリズマブと組み合わせて使用するためのチラゴルマブを特徴とし、ここで、チラゴルマブ及びアテゾリズマブは、対象への投与のために製剤化され、転移性CRCはMSI-H CRCである。
【0027】
別の態様では、本開示は、転移性CRCを有する対象を治療する際にチラゴルマブと組み合わせて使用するためのアテゾリズマブを特徴とし、チラゴルマブ及びアテゾリズマブは、対象への投与のために製剤化され、転移性CRCはMSI-H CRCである。
【0028】
別の態様では、本開示は、転移性CRCを有する対象を治療する方法を特徴とし、対象にチラゴルマブ、アテゾリズマブ、及びベバシズマブを投与することを含み、転移性CRCはMSI-H CRCである。
【0029】
別の態様では、本開示は、転移性CRCを有する対象を治療する際にアテゾリズマブ及びベバシズマブと組み合わせて使用するためのチラゴルマブを特徴とし、ここで、チラゴルマブ、アテゾリズマブ、及びベバシズマブは、対象への投与のために製剤化され、転移性CRCはMSI-H CRCである。
【0030】
別の態様では、本開示は、転移性CRCを有する対象を治療する際にチラゴルマブ及びベバシズマブと組み合わせて使用するためのアテゾリズマブを特徴とし、ここで、チラゴルマブ、アテゾリズマブ、及びベバシズマブは、対象への投与のために製剤化され、転移性CRCはMSI-H CRCである。
【0031】
別の態様では、本開示は、転移性CRCを有する対象の治療においてアテゾリズマブ及びチラゴルマブと組み合わせて使用するためのベバシズマブを特徴とし、ここで、チラゴルマブ、アテゾリズマブ、及びベバシズマブは、対象への投与のために製剤化され、転移性CRCはMSI-H CRCである。
【0032】
別の態様では、本開示は、転移性CRCを有する対象を治療する方法であって、方法が、各投与サイクルの1日目に約600mgの用量のチラゴルマブ及び各投与サイクルの1日目に約1200mgの用量のアテゾリズマブの21日間投与サイクルを1回又は複数回含む投与レジメンを対象に投与することを含み、転移性CRCがMSI-H CRCである、方法を特徴とする。
【0033】
別の態様では、本開示は、転移性CRCを有する対象を治療する方法であって、各投与サイクルの1日目に約600mgの用量のチラゴルマブ、各投与サイクルの1日目に約1200mgの用量のアテゾリズマブ、及び各投与サイクルの1日目に約15mg/kgの用量のベバシズマブの21日間投与サイクルを1回又は複数回含む投与レジメンを対象に投与することを含み、転移性CRCがMSI-H CRCである、方法を特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】チラゴルマブ及びアテゾリズマブで治療された転移性食道がん患者の最長径の和(SLD)の最良の変化パーセントを示す棒グラフである。各患者はバーで表されている。腺癌(明るい灰色)又は扁平上皮癌(暗い灰色)食道組織病理学的サブタイプを各患者について示す。先行する全身治療ラインの数及び腫瘍細胞(TC)又は免疫細胞(IC)のPD-L1発現状態(5%未満又は5%以上)を各患者についてx軸の下に示す。SLDの最良の変化の20%の増加及びSLDの最良の変化の30%の減少を示す基準線が示されている。PD-L1発現を、SP142 IHCアッセイを使用して測定した。NTL=非標的病変;PD=疾患の進行。
【
図2】チラゴルマブ及びアテゾリズマブで治療された転移性食道がんを有する患者の経時的な(研究日)SLDの変化率を示すグラフである。腺癌(明るい灰色)又は扁平上皮癌(暗い灰色)食道組織病理学的サブタイプを各患者について示す。SLDの20%の増加及びSLDの30%の減少を示す基準線が示されている。
【
図3】複数の先行する治療ラインを受けた患者において永続的な部分寛解を示す転移性食道腺癌の横切片を示す一連のコンピュータ化/コンピュータ断層撮影(CT)スキャン画像である。画像は、示された日付に撮影された。
【
図4】黒色腫患者における第Ib/II相臨床治験の研究デザインを示すフローチャートである。Atezo=アテゾリズマブ;CIT=がん免疫療法;CLND=完全リンパ節郭清;Ipi=イピリムマブ;Nivo=ニボルマブ;R=ランダム化;Tira=チラゴルマブ。
【
図5】黒色腫患者における第Ib/II相臨床治験のコホート1における研究スケジュール及び活動の概要を示す研究概要の概略図である。CLND=完全リンパ節郭清;Comp.=完了;CT=コンピュータ断層撮影;Discon.=中止;M=月;R=ランダム化;Q3M=3ヶ月毎;SFU=生存追跡;Tx=処理;W=週。
【
図6】再発性又は難治性B細胞非ホジキンリンパ腫の患者における第Ib/II相臨床治験のコホートA~Fにおける試験スケジュール及び活動の概要を示す試験スキーマの概略図である。DLBCL=びまん性大細胞型B細胞リンパ腫;FL=濾胞性リンパ腫;Gr=グレード;HGBL=高悪性度B細胞リンパ腫;IV=静脈内投与;R/R=再発性又は難治性;SC=皮下投与;trFL=形質転換濾胞性リンパ腫。
aコホートAについては、詳細な投与スケジュール及び投与情報については
図7Aを参照されたい。
bコホートBについては、詳細な投与スケジュール及び投与情報については
図7Bを参照されたい。
c/dコホートE及びFについては、詳細な投与スケジュール及び投与情報については
図7Cを参照されたい。コホートC、D、E及びFのためのモスネツズマブ及びチラゴルマブの投与は、コホートA及びBの安全性結果に基づいて、コホートA又はコホートBのいずれかのモスネツズマブ及びチラゴルマブの投与に従う。
【
図7A】再発性又は難治性B細胞非ホジキンリンパ腫の患者における第Ib/II相臨床治験のコホートAの投与スケジュール及び投与レベルの概略図である。D=日;DLT=用量制限毒性;IV=静脈内投与;SC=皮下投与。
a参加者は、最後の試験薬の投与終了後72時間入院した。
【
図7B】再発性又は難治性B細胞非ホジキンリンパ腫の患者における第Ib/II相臨床治験のコホートBの投与スケジュール及び投与レベルの概略図である。D=日;DLT=用量制限毒性;IV=静脈内投与;SC=皮下投与。
a参加者は、最後の試験薬の投与終了後72時間入院した。
【
図7C】再発性又は難治性B細胞非ホジキンリンパ腫の患者における第Ib/II相臨床治験のコホートE及びFの投与スケジュール及び投与レベルの概略図である。D=日;DLT=用量制限毒性;IV=静脈内投与;SC=皮下投与。
a参加者は、最後の試験薬の投与終了後72時間入院した。
【
図8A】INTRINSIC(CRCにおける部分母集団の同定及び標的化)フェーズIb/II研究における高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)転移性結腸直腸がん(CRC)コホートの患者に対するアテゾリズマブ+チラゴルマブ+ベバシズマブ治療群の研究デザインの概略図である。Atezo=アテゾリズマブ;Bev=ベバシズマブ;C=サイクル;IHC=免疫組織化学;MSI-H=高頻度マイクロサテライト不安定性;NGS=次世代シーケンシング;Q3W=3週間ごと;Q6W=6週間ごと;Q12W=12週間ごと;Tira=チラゴルマブ。
【
図8B】INTRINSIC(CRCの部分母集団の同定及び標的化)フェーズIb/II研究におけるMSI-H転移性CRCコホートの患者に対するアテゾリズマブ+チラゴルマブ治療群の研究デザインの概略図である。Atezo=アテゾリズマブ;Bev=ベバシズマブ;C=サイクル;IHC=免疫組織化学;MSI-H=高頻度マイクロサテライト不安定性;NGS=次世代シーケンシング;Q3W=3週間ごと;Q6W=6週間ごと;Q12W=12週間ごと;Tira=チラゴルマブ。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、がん、例えば食道がん、黒色腫、CD20陽性細胞増殖性疾患及び結腸直腸がんを治療するための治療方法及び組成物を提供する。本発明は、少なくとも部分的には、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗プログラム死リガンド-1(PD-L1)抗体(例えば、アテゾリズマブ)又は抗プログラム死-1(PD-1)抗体)と組み合わせた抗TIGIT抗体(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を含む免疫療法ががんの治療に有用であり得るという発見に基づく。そのような組み合わせ及び/又は投与レジメンを含む組成物、使用及びキットも本明細書で提供される。
【0036】
【0037】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、この技術分野の当業者であれば容易に理解する、それぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書中の値又はパラメータに対する「約」の言及は、その値又はパラメータそれ自体に向けられる態様を含む(及び記述する)。例えば、「約X」との記載には「X」の記載が含まれる。
【0038】
本明細書で使用される場合、「臨床応答を達成する」とは、疾患(例えば、がん、例えば食道がん)を治療することを意図した1つ以上の薬剤による治療中又は治療後に(例えば、1つ以上の薬剤を含む投与レジメン中又は投与レジメン後に、例えば、チラゴルマブ及びアテゾリズマブの1つ以上の投与サイクルを含む投与レジメン中又は投与レジメン後に)、患者又は患者集団において疾患に対する治療有効性の1つ以上の指標を達成することを指し、改善は治療に起因する。治療有効性の指標は、例えば、無増悪生存期間(PFS)(例えば、PFSの目標持続時間以上であるPFSの持続時間);全生存期間(OS)(例えば、OSの目標持続時間以上であるOSの持続時間);部分寛解(PR);完全寛解(CR);1つ以上の標的病変の最長径の和(SLD)の減少;目標pRR以上である患者集団における病理学的奏効率(pRR);目標ORR以上である患者集団における全奏効率(ORR);目標DOR以上である患者における応答持続時間(DOR);目標DOR以上である患者集団における中央値DOR;又は標的DCR以上である患者集団における疾患制御率(DCR)であり得る。場合によっては、治療有効性の指標は、コンパレータ集団(例えば、研究のコンパレータアーム)と比較した改善、例えば、コンパレータアームにおけるPFSの持続期間以上であるPFSの持続期間;コンパレータアームにおけるOSの持続時間以上であるOSの持続時間;コンパレータアームと比較してより高い割合の患者がPR又はCRを達成する;コンパレータアームにおける腫瘍のSLDの減少と比較して、1つ以上の標的病変のSLDのより大きな減少;コンパレータアームのpRR以上である患者集団のpRR;コンパレータアームのORR以上である患者集団のORR;比較DOR以上である患者のDOR;コンパレータアームにおいてDOR以上である患者の集団における中央値DOR;又はコンパレータアームにおいてDCR以上である患者集団におけるDCRである。
【0039】
本明細書で使用される「コンパレータ」又は「コンパレータアーム」という用語は、研究、例えば臨床治験における治療又は治療群の比較の基礎として使用される参照(例えば、患者の参照集団)を指す。例えば、コンパレータアームは、臨床治験における対照アームであり得る。コンパレータアームは、1つ以上の以前に承認された治療又は市販の製品などの対照治療を受けた患者の集団を含み得る。
【0040】
本明細書に使用される「TIGIT」又は「Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(T-cell immunoreceptor with Ig and ITIM domains)」は、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源由来の任意の天然のTIGITを指す。TIGITはまた、当該技術分野において、DKFZp667A205、FLJ39873、Vセット及び免疫グロブリンドメイン含有タンパク質9、Vセット及び膜貫通ドメイン含有タンパク質3、VSIG9、VSTM3、及びWUCAMとしても知られている。この用語は、「完全長」の未処理のTIGIT(例えば、配列番号30のアミノ酸配列を有する完全長ヒトTIGIT)、並びに細胞内での処理から生じる任意の形態のTIGIT(例えば、配列番号31のアミノ酸配列を有する、シグナル配列を有しないプロセシングされたヒトTIGIT)を包含する。この用語は、TIGITの天然に存在する変異体、例えば、スプライス変異体又は対立遺伝子変異体も包含する。例示的なヒトTIGITのアミノ酸配列は、例えば、UniProt受託番号Q495A1に見出すことができる。
【0041】
本明細書で使用される場合、「チラゴルマブ」は、TIGITに結合し、配列番号33の重鎖配列及び配列番号34の軽鎖配列を含む、Open Monoclonal Technology(OMT)ラットに由来する完全ヒトIgG1/カッパMAbである。チラゴルマブは、Fcドメインに2つのN結合型グリコシル化部位(N306)を含む。チラゴルマブはまた、WHO Drug Information(医薬物質の国際一般名),Proposed INN:List 117,Vol.31,No.2,published July 7,2017に記載されている(343頁参照)。
【0042】
「抗TIGITアンタゴニスト抗体」という用語は、TIGITの生物学的活性を実質的に又は完全に阻害するように十分な親和性でTIGITに結合することができる抗体又はその抗原結合断片若しくはバリアントを指す。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、T細胞による機能不全状態(例えば、増殖、サイトカイン産生、標的細胞殺傷)から抗原刺激への機能的応答を回復させるために、PVR、PVRL2、及び/又はPVRL3を介したシグナル伝達を遮断し得る。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、PVR-CD226相互作用に影響を与えることなく、PVRを介したシグナル伝達を遮断し得る。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、別のTIGIT活性に影響を及ぼすことなく、1つのTIGIT活性に拮抗し得ることが当業者によって理解されるであろう。例えば、本明細書中に記載される特定の方法又は使用における使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体は、例えば、他のTIGIT相互作用のいずれかに影響を及ぼすことなく、又は最小限に影響を及ぼす、PVR相互作用、PVRL3相互作用又はPVRL2相互作用の1つに応答してTIGIT活性に拮抗する抗TIGITアンタゴニスト抗体である。一態様では、非関連非TIGITタンパク質への抗TIGITアンタゴニスト抗体の結合の程度は、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定した場合に、TIGITへの抗体の結合の約10%未満である。特定の態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体に結合するTIGITは、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM又は≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば10-9M~10-13M)の解離定数(KD)を有する。特定の態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、異なる種からのTIGITの間で保存されているTIGITのエピトープ、又は交差種反応性を可能にするTIGIT上のエピトープに結合する。いくつかの態様では、抗TIGIT結合抗体は、インタクトなFc媒介エフェクター機能を有する(例えば、チラゴルマブ、ビボストリマブ、エチギリマブ、EOS084448又はTJ-T6)。いくつかの態様では、抗TIGIT結合抗体は、Fc媒介エフェクター機能を増強している(例えば、SGN-TGT)。他の態様では、抗TIGIT結合抗体は、Fc媒介エフェクター機能を欠く(例えば、ドムバナリマブ(domvanalimab)、BMS-986207、ASP 8374、又はCOM902)。いくつかの態様では、抗TIGIT結合抗体はIgG 1クラスの抗体(例えば、チラゴルマブ、ビボストリマブ、ドムバナリマブ、BMS-986207、エチギリマブ、BGB-A1217、SGN-TGT、EOS084448(EOS-448)、TJ-T6、又はAB308)である。いくつかの態様では、抗TIGIT結合抗体は、IgG4クラス抗体(例えば、ASP8374又はCOM902)である。一態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、チラゴルマブである。
【0043】
「PD-1軸結合アンタゴニスト」という用語は、PD-1シグナル伝達軸上のシグナル伝達に起因するT細胞機能障害を除去するようにPD-1軸結合パートナーとその結合パートナーのうちのいずれか1つ以上との相互作用を阻害し、結果として、T細胞機能(例えば、増殖、サイトカイン産生、及び/又は標的細胞死滅)を復元又は増強する分子を指す。本明細書で使用される場合、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L1結合アンタゴニスト、PD-1結合アンタゴニスト及びPD-L2結合アンタゴニストを含む。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L1結合アンタゴニスト又はPD-1結合アンタゴニストを含む 好ましい態様において、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L1結合アンタゴニストである。
【0044】
「PD-L1結合アンタゴニスト」という用語は、PD-L1と、PD-1及び/又はB7-1などの1つ又は複数のその結合パートナーとの相互作用に起因するシグナル伝達を減少させる、遮断する、阻害する、抑止する、又は妨害する分子を指す。いくつかの例では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1のその結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1のPD-1及び/又はB7-1への結合を阻害する。いくつかの例では、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、並びにPD-L1とその結合パートナーのうちの1つ以上、例えば、PD-1及び/又はB7-1との相互作用に起因するシグナル伝達を減少させる、遮断する、阻害する、抑止する、又は干渉する他の分子を含む。一例では、PD-L1結合アンタゴニストは、機能不全のT細胞を機能不全にしないようにする(例えば、抗原認識に対するエフェクター応答を増強する)ように、PD-L1を介するシグナル伝達を介してTリンパ球上で発現される細胞表面タンパク質によって又はそれを介して媒介される負の共刺激性シグナルを低減する。いくつかの例では、PD-L1結合アンタゴニストはPD-L1に結合する。いくつかの例では、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)である。例示的な抗PD-L1アンタゴニスト抗体としては、アテゾリズマブ、MDX-1105、MEDI4736(デュルバルマブ)、MSB0010718C(アベルマブ)、SHR-1316、CS1001、エンバホリマブ、TQB2450、ZKAB001、LP-002、CX-072、IMC-001、KL-A167、APL-502、コシベリマブ、ロダポリマブ、FAZ053、TG-1501、BGB-A333、BCD-135、AK-106、LDP、GR1405、HLX20、MSB2311、RC98、PDL-GEX、KD036、KY1003、YBL-007及びHS-636が挙げられる。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、MDX-1105、MEDI4736(デュルバルマブ)、又はMSB0010718C(アベルマブ)である。特定の一態様では、PD-L1結合アンタゴニストはMDX-1105である。別の特定の態様では、PD-L1結合アンタゴニストはMEDI4736(デュルバルマブ)である。別の特定の態様では、PD-L1結合アンタゴニストはMSB0010718C(アベルマブ)である。他の態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、小分子、例えばGS-4224、INCB086550、MAX-10181、INCB090244、CA-170又はABSK041であり得、いくつかの例では経口投与され得る。他の例示的なPD-L1結合アンタゴニストとしては、AVA-004、MT-6035、VXM10、LYN192、GB7003及びJS-003が挙げられる。好ましい態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、アテゾリズマブである。
【0045】
「PD-1結合アンタゴニスト」という用語は、PD-1と、PD-L1及び/又はPD-L2などの1つ又は複数のその結合パートナーとの相互作用に起因するシグナル伝達を低減、遮断、阻害、抑止、又は妨害する分子を指す。PD-1(プログラム死1)は、当技術分野で「プログラム細胞死1」、「PDCD1」、「CD279」、及び「SLEB2」とも呼ばれる。例示的なヒトPD-1は、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号Q15116に示される。いくつかの例では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1の、その結合パートナー農地の1つ以上に対する結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD-1結合拮アンタゴニストは、PD-1のPD-L1及び/又はPD-L2への結合を阻害する。例えば、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、並びにPD-1とPD-L1及び/又はPD-L2との相互作用に起因するシグナル伝達を低減、遮断、阻害、抑止、又は妨害する他の分子を含む。一例では、PD-1結合アンタゴニストは、機能不全のT細胞を機能不全にしないようにする(例えば、抗原認識に対するエフェクター応答を増強する)ように、PD-1を介するシグナル伝達を介してTリンパ球上で発現される細胞表面タンパク質によって又はそれを介して媒介される負の共刺激シグナルを低減する。いくつかの例では、PD-1結合アンタゴニストはPD-1に結合する。いくつかの例では、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体(例えば、抗PD-1アンタゴニスト抗体)である。例示的な抗PD-1アンタゴニスト抗体としては、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、MEDI-0680、PDR001(スパルタリズマブ)、REGN2810(セミプリマブ)、BGB-108、プロルゴリマブ、カンレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、ドスタリマブ、レチファンリマブ、ササンリマブ、ペンプリマブ、CS1003、HLX10、SCT-I10A、ジンベレリマブ、バルスチリマブ、ゲノリムズマブ、BI 754091、セトレリマブ、YBL-006、BAT1306、HX008、ブジカリマブ、AMG404、CX-188、JTX-4014、609A、Sym021、LZM009、F520、SG001、AM0001、ENUM 244C8、ENUM 388D4、STI-1110、AK-103及びhAb21が挙げられる。特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストはMDX-1106(ニボルマブ)である。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストは、MK-3475(ペンブロリズマブ)である。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-L2 Fc融合タンパク質、例えばAMP-224である。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストはMED1-0680である。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストはPDR001(スパルタリズマブ)である。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストはREGN2810(セミプリマブ)である。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストはBGB-108である。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストはプロルゴリマブである。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストはカンレリズマブである。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストはシンチリマブである。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストはチスレリズマブである。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストはトリパリマブである。他のさらなる例示的なPD-1結合アンタゴニストとしては、BION-004、CB201、AUNP-012、ADG104及びLBL-006が挙げられる。
【0046】
「PD-L2結合アンタゴニスト」という用語は、PD-L2とPD-1等の1つ以上の結合パートナーのいずれかとの相互作用の結果として生じるシグナル伝達を減少させたり、遮断したり、阻害したり、妨害したりする分子を指す。PD-L2(プログラム死リガンド2)は、当技術分野で「プログラム細胞死1リガンド2」、「PDCD1LG2」、「CD273」、「B7-DC」、「Btdc」及び「PDL2」とも呼ばれる。例示的なヒトPD-L2は、UniProtKB/Swiss-Prot受入番号Q9BQ51に示される。いくつかの例では、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-L2のその結合パートナーの1つ以上への結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-L2のPD-1への結合を阻害する。例示的なPD-L2アンタゴニストとしては、抗PD-L2抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、及びPD-L2と、PD-1といったその結合パートナーのいずれか1つ以上との相互作用に起因するシグナル伝達を低減、遮断、阻害、抑止、又は妨害する他の分子が挙げられる。一つの態様では、PD-L2結合アンタゴニストは、機能不全T細胞をより機能不全に陥らせないように(例えば、抗原認識に対するエフェクター応答を増強するように)、PD-L2を介してシグナル伝達を媒介するTリンパ球上に発現された細胞表面タンパク質によって媒介される、又はそれを介して媒介される負の共刺激シグナルを減少させる。いくつかの態様では、PD-L2結合アンタゴニストはPD-L2に結合する。いくつかの態様では、PD-L2結合アンタゴニストはイムノアドヘシンである。他の態様では、PD-L2結合アンタゴニストは、抗PD-L2アンタゴニスト抗体である。
【0047】
「プログラム死リガンド1」及び「PD-L1」という用語は、本明細書では、天然配列のヒトPD-L1ポリペプチドを指す。天然配列PD-L1ポリペプチドは、Uniprot受託番号Q9NZQ7で提供される。例えば、天然配列PD-L1は、Uniprot受託番号Q9NZQ7-1(アイソフォーム1)(配列番号32)に記載のアミノ酸配列を有し得る。別の例において、天然配列PD-L1は、Uniprot受託番号Q9NZQ7-2(アイソフォーム2)に記載のアミノ酸配列を有し得る。更に別の例において、天然配列PD-L1は、Uniprot受託番号Q9NZQ7-3(アイソフォーム3)に記載のアミノ酸配列を有し得る。PD-L1はまた、当技術分野において「プログラム細胞死1リガンド1」、「PDCD1LG1」、「CD274」、「B7-H」、及び「PDL1」とも称される。
【0048】
カバット番号付けシステムは、一般に、可変ドメイン中の残基(およそ軽鎖の残基1~107及び重鎖の残基1~113)を指す場合に使用される(例えば、Kabat et al.,Sequences of Immunological Interest.5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))。「EU番号付けシステム」又は「EUインデックス」は、一般に、免疫グロブリン重鎖定常領域中の残基について言及する際に使用される(例えば、Kabat et al.,上記で報告されるEUインデックス、)。「KabatにおけるようなEUインデックス」は、ヒトIgG1 EU抗体の残基ナンバリングを指す。
【0049】
本明細書において、「アテゾリズマブ」は、PD-L1を結合し、配列番号1の重鎖配列及び配列番号2の軽鎖配列を含むFc操作され、ヒト化された非グリコシル化IgG1カッパ免疫グロブリンである。アテゾリズマブは、Fc領域アミノ酸残基のEUナンバリングを使用して重鎖上の297位に単一のアミノ酸置換(アスパラギンをアラニンへ)(N297A)を含み、Fc受容体への最小限の結合を有する非グリコシル化抗体をもたらす。アテゾリズマブは、WHO Drug Information(医薬物質の国際一般名),Proposed INN:List 112,Vol.28,No.4,published January 16,2015にも記載されている(485頁参照)。
【0050】
「がん」という用語は、身体の一部における異常細胞の制御されない分裂によって引き起こされる疾患を指す。一例では、がんは食道がんである。がんは、局所進行性又は転移性であり得る。いくつかの例では、がんは局所進行性である。他の例では、がんは転移性である。いくつかの例では、がんは切除不能であり得る(例えば、切除不能な局所進行がん又は転移性がん)。がんの例としては、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病又はリンパ系悪性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。がんのより具体的な例には、食道がん(例えば、扁平上皮癌(例えば、食道扁平上皮癌(ESCC))、腺癌(例えば、食道腺癌(EAC))、又は神経内分泌組織病理学を有する食道がん(例えば、食道神経内分泌がん(ENEC))が含まれるが、これらに限定されない。更なる例としては、転移性食道がん(例えば、転移性ESCC、転移性EAC又は転移性ENEC)が挙げられる。一例では、がんは結腸直腸がん(CRC)である。本明細書で使用される場合、「結腸直腸がん」、「CRC」、「結腸がん」又は「腸がん」という用語は、大腸、例えば結腸又は直腸から発生するがん(例えば、結腸直腸腺腫様がん腫)を指す。場合によっては、CRCは転移性である。場合によっては、CRCは高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI)(MSI-H)(例えば、MSI-H転移性CRC)である。がんの他の例としては、限定されないが、成熟B細胞がん等の血液がん、例えばホジキンリンパ腫を除くが、非ホジキンリンパ腫(NHL)、例えばびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)が挙げられ、これらは再発性若しくは難治性DLBCL又はリヒターの形質転換であり得る。また、がんの他の具体例としては、胚中心B細胞様(GCB)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、活性型B細胞様(ABC)DLBCL、濾胞性リンパ腫(FL)、形質転換FL、マントル細胞リンパ腫(MCL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、辺縁層リンパ腫(MZL)、形質転換MZL、高悪性度B細胞リンパ腫、縦隔原発(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫(PMLBCL)、小リンパ球性白血病(SLL)、リンパ形質細胞性リンパ腫(LL)、形質転換LL、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症(WM)、中枢神経系リンパ腫(CNSL)、バーキットリンパ腫(BL)、B細胞性前リンパ球性白血病、脾性辺縁層リンパ腫、毛様細胞性白血病、脾臓リンパ腫/白血病、分類不能、脾臓びまん性赤脾髄小型B細胞リンパ腫、毛様細胞性白血病バリアント、H鎖病、αH鎖病、γH鎖病、μH鎖病、形質細胞骨髄腫、骨の孤立性形質細胞腫、骨外性形質細胞腫、粘膜関連リンパ組織の辺縁層リンパ腫(MALTリンパ腫)、結節性辺縁層リンパ腫、小児結節性辺縁層リンパ腫、小児濾胞性リンパ腫、原発性皮膚濾胞中心リンパ腫、T細胞/組織球に富む大細胞型B細胞リンパ腫、CNSの原発性DLBCL、原発性皮膚DLBCL、脚型、高齢者のEBV陽性DLBCL、慢性炎症に関連するDLBCL、リンパ腫様肉芽腫症、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫、形質芽球型リンパ腫、HHV8関連多中心性キャッスルマン病に起因する大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫:分類不能であり、DLBCLとキットリンパ腫との中間の特徴を有するB細胞リンパ腫、分類不能であり、DLBCLと古典的ホジキンリンパ腫との中間の特徴を有するB細胞リンパ腫。更に、がんの例は、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病又はB細胞リンパ腫を含むリンパ性悪性腫瘍を含むが、これらに限定されない。これらのようながんの更に特定の例は、多発性骨髄腫(MM);低グレード/濾胞性NHL;小リンパ球性(SL)NHL;中間グレード/濾胞性NHL;中間グレードびまん性NHL;高グレード免疫芽球性NHL;高グレードリンパ性NHL;高グレード小型非分割細胞NHL;巨大腫瘤病変NHL;AIDS関連リンパ腫;及び急性リンパ性白血病(ALL);慢性骨髄芽球性白血病;及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)を含むが、これらに限定されない。
【0051】
「B細胞増殖性障害」又は「B細胞悪性腫瘍」という用語は、ある程度異常なB細胞増殖性に関連し、例えば、リンパ腫、白血病、骨髄腫、及び骨髄異形成症候群を含む疾患を指す。いくつかの例では、B細胞増殖性疾患は、例えば、濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、再発性及び/又は難治性FL又は形質転換FL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)(例えば、再発性若しくは難治性DLBCL又はリヒター形質転換)、MCL、高悪性度B細胞リンパ腫、又はPMLBCLを含む、非ホジキンリンパ腫(NHL)などのリンパ腫である。別の実施形態では、B細胞増殖性障害は、慢性リンパ性白血病(CLL)等の白血病である。1つの実施形態では、B細胞増殖性疾患は、再発性及び/又は難治性FLである。
【0052】
「腫瘍」という用語は、悪性又は良性にかかわらず、全ての腫瘍性細胞の成長及び増殖、並びに全ての前がん性及びがん性の細胞及び組織を指す。「がん」、「がん性」、「細胞増殖性障害」、「増殖性障害」、及び「腫瘍」という用語は、本明細書で言及される場合、相互排他的ではない。
【0053】
本明細書で使用される場合、「腫瘍細胞」は、腫瘍又はその試料中に存在する任意の腫瘍細胞を指す。腫瘍細胞は、当技術分野において公知である、及び/又は本明細書に記載されている方法を使用して、腫瘍試料中に存在し得る他の細胞、例えば、間質細胞及び腫瘍浸潤免疫細胞と区別され得る。
【0054】
本明細書で使用されるように、「マイクロサテライト不安定性状態」又は「MSI状態」は、患者の腫瘍組織におけるマイクロサテライトの安定性の特徴付けを意味する。患者の腫瘍組織は、「高頻度マイクロサテライト不安定性」(「MSI-H」)又は「マイクロサテライト安定性」(「MSS」)として特徴付けられ得る。MSI状態は、例えば、MSI分析システム(Promega、Madison、WI)のようなPCRベースの手法を使用して評価することができ、これは、MSIを検出するための5つの擬単形性モノヌクレオチドリピート(BAT-25、BAT-26、NR-21、NR-24、及びMONO-27)、及び正常試料と腫瘍試料間の同一性を確認するための2つのペンタヌクレオチド座(PentaC及びPendaD)を含む。各マイクロサテライト座の塩基の大きさは、例えば、ゲル電気泳動によって決定することができ、2つ以上のモノヌクレオチド座が生殖細胞DNAと比較して長さが異なる場合、腫瘍はMSI-Hと指定されることがある。例えば、Le et al.NEJM 372:2509-2520,2015を参照されたい。MSIの状態はまた、例えば、次世代シーケンシング(例えば、血液ベースのFOUNDATIONONE(登録商標)Liquid CDx NGSアッセイ)、免疫組織化学(IHC)、又はそれらの組み合わせを使用することによって評価され得る。他の実施形態では、患者は、低レベルのマイクロサテライト不安定性(例えば、MSS)を有し得る。
【0055】
「腫瘍免疫」とは、腫瘍が免疫認識及び排除を回避する過程を指す。したがって、治療的概念として、腫瘍免疫は、そのような回避が減弱し、腫瘍が免疫系によって認識かつ攻撃されるときに「治療される」。腫瘍認識の例としては、腫瘍結合、腫瘍退縮、及び腫瘍クリアランスが挙げられる。
【0056】
本明細書で使用される場合、「転移」は、その原発部位から体内の他の場所へのがんの拡がりを意味する。がん細胞は、原発腫瘍から離脱し、リンパ管及び血管に浸透し、血流を通じて循環し、体内の他の場所の正常組織内の遠位焦点で成長する(転移する)場合がある。転移は、局所的又は遠位であり得る。転移は、腫瘍細胞が原発腫瘍から離脱し、血流を通じて移動し、遠位部位で停止することを条件とする逐次プロセスである。新たな部位で、細胞は、血液供給を確立し、成長して、生命を脅かす塊を形成し得る。腫瘍細胞内の刺激性と阻害性との両方の分子経路がこの挙動を制御し、遠隔部位における腫瘍細胞と宿主細胞との間の相互作用もまた重要である。
【0057】
「難治性疾患」は、少なくとも一次治療に対して完全寛解が起こらない疾患、特にCD20陽性細胞増殖性疾患(例えば、B細胞増殖性疾患、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL)、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)、濾胞性リンパ腫(FL)、例えば、形質転換FL(trFL)及びFLグレード1、2、3a又は3b)として定義される。1つの実施形態では、難治性CD20陽性細胞増殖性疾患(例えば、難治性NHL)は、事前治療に対する応答がないこと、又は事前治療の6ヶ月以内に再発することと定義される。一実施形態では、難治性NHLは、以下のうちの1つ以上によって特徴付けられる:一次療法に対する最良効果としての進行性疾患(PD);少なくとも1つの第1選択療法(例えば、抗CD20抗体、例えば抗CD20モノクローナル抗体、例えばリツキシマブ又はオビヌツズマブを含む抗CD20指向性治療を含む少なくとも1つ)後の最良効果としての安定疾患(SD);最良効果としての部分寛解(PR);及び部分寛解後の生検で証明された残存疾患又は疾患の進行。「再発した疾患」は、一次治療に対して完全寛解が起こり、続いて疾患(例えば、CD20陽性細胞増殖性疾患、例えば、NHL)が再発する疾患、特にCD20陽性細胞増殖性疾患(例えば、B細胞増殖性疾患、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL)、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)、濾胞性リンパ腫(FL)、例えば、形質転換FL(trFL)及びFLグレード1、2、3a又は3b)として定義される。1つの実施形態では、NHL再発は生検によって証明される。一実施形態では、患者は、少なくとも1つの事前の全身治療レジメン(例えば、抗CD20抗体、例えば抗CD20モノクローナル抗体、例えばリツキシマブ又はオビヌツズマブを含む抗CD20指向性治療を含む少なくとも1つ)後に再発したか、又はそれに応答しなかった。一実施形態では、患者は、少なくとも2つの事前の全身治療レジメン(例えば、抗CD20抗体、例えば抗CD20モノクローナル抗体、例えばリツキシマブ又はオビヌツズマブを含む抗CD20指向性治療を含む少なくとも1つ)後に再発したか、又はそれに応答しなかった。
【0058】
本明細書で使用される場合、「治療すること」は、有効量の治療剤(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)又は治療剤の組み合わせ(例えば、PD-1軸アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、アテゾリズマブ及びチラゴルマブ)による有効ながん治療を含む。本明細書における治療には、特に、アジュバント療法、ネオアジュバント療法、非転移性がん療法(例えば、局所進行性がん治療)及び転移性がん療法が含まれる。治療は、第一選択治療(例えば、患者は以前に治療されていない可能性がある、又は事前の全身療法を受けたことがない)又は第二選択治療若しくはそれ以降の治療であり得る。
【0059】
本明細書において、「有効量」とは、治療結果を達成する治療剤(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)又は治療剤の組み合わせ(例えば、PD-1軸アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、アテゾリズマブ及びチラゴルマブ))の量を指す。いくつかの例において、治療剤又は治療剤の組み合わせの有効量は、改善された病理学的奏効率(PRR)、改善された全奏効率(ORR)、改善された疾患制御率(DCR)、完全寛解(CR)、病理学的完全奏効率(pCR)、部分寛解(PR)、改善された生存(例えば、無病生存率(DFS)及び/又は無増悪生存率(PFS)及び/又は全生存率(OS))及び/又は改善された奏効期間(DOR)という臨床評価項目を達成する剤の量又は剤の組み合わせである。
【0060】
本明細書で使用される場合、「完全奏効」及び「CR」は、全ての標的病巣の消滅を指す。
【0061】
本明細書で使用される場合、「部分奏効」又は「PR」は、治療前のベースラインSLDを基準として、標的病巣の最長径の合計(SLD)の少なくとも30%の減少を指す。
【0062】
本明細書で使用される場合、「進行性疾患」及び「PD」は、ベースラインを含む研究の最小合計(最下点)を参照として、標的病変のSLDの少なくとも20%の増加を指す。1つ以上の新しい病変の出現もまた、PDとみなされ得る。
【0063】
本明細書で使用される場合、「安定疾患」及び「SD」は、最小和を参照として採用して、PRに適格となるのに十分な収縮も、PDに適格となるのに十分な増加も意味しない。
【0064】
本明細書で使用される場合、「疾患制御率」及び「DCR」は、CR、PR、及び安定疾患(SD)を達成した進行がん又は転移がんを有する患者の割合を指す。例えば、DCRは、RECIST v1.1に従って治験責任医師が決定した、12週間以上にわたるSD又はCR若しくはPRを有する患者の割合として定義され得る。
【0065】
本明細書で使用される場合、「全奏効率」、「客観的奏効率」及び「ORR」は、CR率とPR率の和を互換的に指す。例えば、客観的奏効は、治験責任医師の評価によって決定され、最初の文書化の4週間後以上の反復評価によって確認される、固形腫瘍の奏効評価基準(RECIST)v.1.1によるCR又はPRとして定義され得る。別の例では、ORRは、RECIST v1.1に従って治験責任医師が決定した、4週間以上離れた2回の連続した機会におけるCR又はPRを有する患者の割合として定義され得る。
【0066】
本明細書で使用される場合、「病理学的奏効率」及び「pRR」は、例えば手術時に、病理学的完全寛解(pCR、例えば、治療された腫瘍床に生存腫瘍が完全に存在しないこと)、病理学的ほぼ完全寛解(pnCR、例えば、治療された腫瘍床の10%未満が生存腫瘍細胞によって占められる)、及び病理学的部分寛解(pPR、例えば、治療された腫瘍床の50%未満が生存腫瘍細胞によって占められる)を有する患者の割合を互換的に指す。
【0067】
本明細書で使用される場合、「無増悪生存期間」及び「PFS」は、その間にがんが悪化しない治療中及び治療後の時間の長さを指す。PFSは、患者がCR又はPRを経験した時間の量、及び患者が安定な疾患を経験した時間の量を含み得る。例えば、PFSは、治験責任医師によって決定されたRECIST v.1.1に従って、最初の研究治療から任意の原因からの進行又は死の最初の発生までの時間(どちらが最初に発生するかにかかわらず)として定義され得る。別の例では、PFSは、治験責任医師によって決定されたRECIST v.1.1に従って、研究登録から任意の原因からの進行又は死亡の最初の発生までの時間(いずれが最初に発生するかにかかわらず)として定義され得る。
【0068】
本明細書で使用される場合、「全生存期間」及び「OS」は、患者がまだ生存している、診断の日又は疾患(例えばがん)の治療の開始日のいずれかからの時間の長さを指す。例えば、OSは、最初の試験治療から任意の原因による死亡までの時間として定義され得る。
【0069】
本明細書で使用される場合、「奏効の期間」及びDORという用語は、腫瘍応答の記録から疾患の進行又は任意の原因による死亡のうちいずれか早い方までの時間の長さを指す。例えば、DORは、治験責任医師によって判定されたRECIST v1.1による、文書化された客観的奏効の最初の発生から、最初に文書化された疾患進行又は任意の原因による死亡(いずれか早く発生する方)までの時間として定義され得る。
【0070】
本明細書で使用される場合、「化学療法剤」という用語は、食道がんなどのがんの治療に有用な化合物を指す。化学療法剤の例としては、EGFR阻害剤(小分子阻害剤(例えば、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標)、Genentech/OSI Pharm);PD183805(CI 1033、2-プロペンアミド、N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-7-[3-(4-モルホリニル)プロポキシ]-6-キナゾリニル]-、ジヒドロクロリド、Pfizer Inc.);ZD1839、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))4-(3’-クロロ-4’-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン、AstraZeneca);ZM105180((6-アミノ-4-(3-メチルフェニル-アミノ)-キナゾリン、Zeneca);BIBX-1382(N8-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-N2-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ピリミド[5,4-d]ピリミジン-2,8-ジアミン、Boehringer Ingelheim);PKI-166((R)-4-[4-[(1-フェニルエチル)アミノ]-1H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-イル]-フェノール);(R)-6-(4-ヒドロキシフェニル)-4-[(1-フェニルエチル)アミノ]-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン);CL-387785(N-[4-[(3-ブロモフェニル)アミノ]-6-キナゾリニル]-2-ブチラミド);EKB-569(N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-3-シアノ-7-エトキシ-6-キノリニル]-4-(ジメチルアミノ)-2-ブテンアミド)(Wyeth);AG1478(Pfizer);AG1571(SU5271;Pfizer);及びラパチニブ(タイケルブ(登録商標)、GSK572016又はN-[3-クロロ-4-[(3-フルオロフェニル)メトキシ]フェニル]-6[5[[[2メチルスルホニル)エチル]アミノ]メチル]-2-フラニル]-4-キナゾリンアミンなどの二重EGFR/HER2チロシンキナーゼ阻害剤));チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、EGFR阻害剤;TAK165(Takeda)等の小分子HER2チロシンキナーゼ阻害剤;ErbB2受容体チロシンキナーゼの経口選択的阻害剤であるCP-724、714(Pfizer及びOSI);EGFRに優先的に結合するが、HER2及びEGFR過剰発現細胞の両方を阻害するEKB-569(Wyethから入手可能)などの二重HER阻害剤;PKI-166(Novartis);カネルチニブ(CI-1033;Pharmacia)などのpan-HER阻害剤;Raf-1シグナル伝達を阻害するアンチセンス剤IS-5132(ISIS Pharmaceuticals)などのRaf-1阻害剤;メシル酸イマチニブ(グリベック(登録商標)、Glaxo SmithKline)などの非HER標的チロシンキナーゼ阻害剤;スニチニブ(スーテント(登録商標)、Pfizer)などの多標的チロシンキナーゼ阻害剤;Vatalanib(PTK787/ZK222584、Novartis/Schering AG)などのVEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤;MAPK細胞外調節キナーゼI阻害剤CI-1040(Pharmacia);キナゾリン、例えば、PD153035、4-(3-クロロアニリノ)キナゾリン;ピリドピリミジン;ピリミドピリミジン;CGP59326、CGP60261及びCGP62706などのピロロピリミジン;ピラゾロピリミジン、4-(フェニルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン;クルクミン(ジフェルロイルメタン、4,5-ビス(4-フルオロアニリノ)フタルイミド);ニトロチオフェン部分を含有するチロホスフィン;PD-0183805(Warner-Lamber);アンチセンス分子(例えば、HERコード核酸に結合するもの);キノキサリン(米国特許第5,804,396号明細書);トリフォスチン(米国特許第5,804,396号明細書);ZD6474(Astra Zeneca);PTK-787(Novartis/Schering AG);CI-1033(Pfizer)などのpan-HER阻害剤;Affinitac(IS3521;Isis/Lilly);PKI166(Novartis);GW2016(Glaxo SmithKline);CI-1033(Pfizer);EKB-569(Wyeth);セマキシニブ(Pfizer);ZD6474(AstraZeneca);PTK-787(Novartis/Schering AG);INC-1C11(Imclone);及びラパマイシン(sirolimus,RAPAMUNE(登録商標)));プロテアソーム阻害剤、例えばボルテゾミブ(VELCADE(登録商標)、Millennium Pharm.);ジスルフィラム;没食子酸エピガロカテキン;サリノスポラミドA;カルフィルゾミブ;17-AAG(ゲルダナマイシン);ラジシコール;乳酸デヒドロゲナーゼA(LDH-A);フルベストラント(FASLODEX(登録商標)AstraZeneca);レトロゾール(FEMARA(登録商標)Novartis)、フィナスネート(VATALANIB(登録商標)、Novartis);オキサリプラチン(ELOXATIN(登録商標)、Sanofi);5-FU(5-フルオロウラシル);ロイコボリン;ロナファミブ(SCH66336);ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標)、Bayer Labs);AG1478、チオテパ及びシトキサン(登録商標)シクロホスファミドなどのアルキル化剤;アルキルスルホネート、例えば、ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン;ベンゾドパ、カルボコン、メトレドパ、ウレドパ等のアジリジン類;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド、及びトリメチロメラミンを含むエチレンイミン及びメチルアメラミン;アセトゲニン(特にブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(トポテカン及びイリノテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシン合成アナログを含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);副腎皮質ステロイド(プレドニゾン及びプレドニゾロンを含む);酢酸シプロテロン;5α-レダクターゼ(フィナステリド及びデュタステリドを含む);ボリノスタット、ロミデプシン、パノビノスタット、バルプロ酸、モセチノスタットドラスタチン;アルデスロイキン、タルクデュオカルマイシン(合成アナログ、KW-2189及びCB1-TM1を含む);エレウテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンジスタチン;クロラムブシル、クロマファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタード等のナイトロジェンマスタード類;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチン等のニトロソウレア;エンジイン抗生物質等の抗生物質(例えば、カリケアマイシンγ1及びカリケアミシンω1);ダイネマイシン(ダイネマイシンAを含む);ビスホスホネート、例えばクロドロネート;エスペラミシン;同様にまた、ネオカルジノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、アクチノマイシン、カラビシン、カミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、デトレビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノドキソルビシン及びデオキシドキソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ドキソルビシン;メトトレキサート、5-フルオロウラシル(5-FU)等の代謝拮抗剤;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキセートなどの葉酸アナログ;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリンアナログ;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフル、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなどのピリミジンアナログ;アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗アドレナリン、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;フロリン酸等の葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルホミチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン;メイタンシン及びアンサミトシンなどのメイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダムノール;ニトレリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖類複合体(JHS Natural Products);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(例えば、T-2トキシン、ヴェラキュリンA、ロリジンA及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;クロランムブシル;ジェムザール(登録商標)(ゲムシタビン);6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;カペシタビン(ゼローダ(登録商標));イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;及び上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、プロドラッグ、及び誘導体が挙げられる。
【0071】
また、化学療法剤としては、(i)腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標);クエン酸タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、ヨードキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びFARESTON(登録商標)(クエン酸トレミフィン)を含む抗エストロゲン薬及び選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)など;(ii)副腎におけるエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)(酢酸メゲストロール)、AROMASIN(登録商標)(エキセメスタン;Pfizer)、フォルメスタニー(formestanie)、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)(ボロゾール)、FEMARA(登録商標)(レトロゾール;Novartis)及びARIMIDEX(登録商標)(アナストロゾール;AstraZeneca)など;(iii)抗アンドロゲン、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド及びゴセレリン;ブセレリン、トリプテレリン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ジエチルスチルベストロール、プレマリン、フルオキシメステロン、全トランスレチノイン酸、フェンレチニド及びトロキサシタビン(a1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);(iv)プロテインキナーゼ阻害剤;(v)脂質キナーゼ阻害剤;(vi)アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、異常な細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えば、PKC-アルファ、Ralf及びH-Rasなど;(vii)リボザイム、例えばVEGF発現阻害剤(例えば、ANGIOZYME(登録商標))及びHER2発現阻害剤;(viii)遺伝子治療ワクチンなどのワクチン、例えばALLOVECTIN(登録商標)、LEUVECTIN(登録商標)及びVAXID(登録商標);(ix)ビンカ(例えば、ビンクリスチン及びビンブラスチン)、NAVELBINE(登録商標)(ビノレルビン)、タキサン(例えば、パクリタキセル、nab-パクリタキセル、及びドセタキセル)、トポイソメラーゼII阻害剤(例えば、ドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド及びブレオマイシン)及びDNAアルキル化剤(例えば、タモキシゲン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキサート、5-フルオロウラシル及びara-C)を含む増殖阻害剤;並びに(x)上記のいずれかの薬学的に許容され得る塩、酸、プロドラッグ、及び誘導体が挙げられる。
【0072】
「細胞傷害剤」という用語は、本明細書で使用される場合、細胞に有害である(例えば、細胞死を引き起こすか、増殖を阻害するか、又はさもなければ細胞機能を妨害する)任意の作用物質を指す。細胞傷害性剤としては、放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位体);化学療法剤;核酸分解酵素などの酵素及びその断片;並びにその断片及び/又はバリアントを含む、細菌、真菌、植物又は動物由来の低分子毒素又は酵素的に活性な毒素などの毒素が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な細胞傷害剤は、抗微小管剤、白金配位錯体、アルキル化剤、抗生物質剤、トポイソメラーゼII阻害剤、代謝拮抗薬、トポイソメラーゼI阻害剤、ホルモン及びホルモン類似体、シグナル伝達経路阻害剤、非受容体チロシンキナーゼ血管新生阻害剤、免疫療法薬、アポトーシス促進剤、LDH-Aの阻害剤、脂肪酸生合成の阻害剤、細胞周期シグナル伝達阻害剤、HDAC阻害剤、プロテアソーム阻害剤、並びにがん代謝の阻害剤から選択され得る。一例では、細胞傷害剤は白金系化学療法剤(例えば、カルボプラチン又はシスプラチン)である。一例では、細胞傷害性剤は、EGFRのアンタゴニスト、例えば、N-(3-エチニルフェニル)-6,7-ビス(2-メトキシエトキシ)キナゾリン-4-アミン(例えば、エルロチニブ)である。一例では、細胞傷害性剤は、RAF阻害剤、例えばBRAF及び/又はCRAF阻害剤である。一例では、RAF阻害剤はベムラフェニブである。一例では、細胞傷害性剤はPI3K阻害剤である。
【0073】
「患者」又は「対象」という用語は、ヒトの患者又は対象を指す。例えば、患者又は対象は成人であってもよい。
【0074】
「抗体」という用語は、具体的には、それらが所望の生物学的活性を示す限り、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体等)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を包含する。一例では、抗体は完全長モノクローナル抗体である。
【0075】
本明細書において使用されるIgG「アイソタイプ」又は「サブクラス」という用語は、その定常領域の化学特性及び抗原特性によって決まる免疫グロブリンのサブクラスのいずれかを意味する。
【0076】
それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、抗体(免疫グロブリン)は、異なるクラスに割り当てられ得る。免疫グロブリンには5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがあり、これらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2に更に分割され得る。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、γ、ε、γ、及びμと呼ばれる。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造及び三次元構成は周知であり、例えば、Abbas et al.Cellular and Mol.Immunology,4th ed.(W.B.Saunders,Co.,2000)に一般的に記載される。抗体は、抗体と1つ以上の他のタンパク質又はペプチドとの共有又は非共有会合によって形成されるより大きい融合分子の一部であり得る。
【0077】
「完全長抗体」、「インタクトな抗体」、及び「全抗体」という用語は、以下に記載の抗体断片ではない、その実質的にインタクトな形態の抗体を指すために本明細書で同義に使用される。この用語は、Fc領域を含む抗体を指す。
【0078】
本明細書中の用語「Fc領域」は、定常領域の少なくとも一部分を含む免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。この用語には、天然配列Fc領域及び変異Fc領域が含まれる。一態様において、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226から、又はPro230から、重鎖のカルボキシル末端までに及ぶ。しかしながら、宿主細胞によって生成される抗体は、重鎖のC末端から1つ又は複数の、特に1つ又は2つの、アミノ酸の翻訳後切断を受けることがある。したがって、全長重鎖をコードする特定の核酸分子の発現によって、宿主細胞によって産生する抗体は、全長重鎖を含んでいてもよく、又は全長重鎖の開裂した変異体を含んでいてもよい。これは、重鎖の最後の2つのC末端アミノ酸がグリシン(G446)及びリジン(K447)である場合にあり得る。したがって、Fc領域のC末端リジン(Lys447)又はC末端グリシン(Gly446)及びリジン(Lys447)は、存在してもよいし、存在しなくてもよい。Fc領域を含む重鎖のアミノ酸配列は、別途示されない限り、本明細書ではC末端リジン(Lys447)なしで示される。一態様では、本明細書に開示される抗体に含まれる、本明細書で明記したFc領域を含む重鎖は、更なるC末端グリシン-リジンジペプチド(G446及びK447)を含む。一態様では、本明細書に開示される抗体に含まれる、本明細書で明記したFc領域を含む重鎖は、更なるC末端グリシン残基(G446)を含む。一態様では、本明細書に開示される抗体に含まれる、本明細書で明記したFc領域を含む重鎖は、更なるC末端リジン残基(K447)を含む。一実施形態において、Fc領域は、重鎖の単一アミノ酸置換N297Aを含む。本明細書において別段の指定がない限り、Fc領域又は定常領域におけるアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載されているような、EUインデックスとも呼ばれるEU番号付けシステムに従う。
【0079】
「ネイキッド抗体」は、異種の部分(例えば、細胞傷害性部分)又は放射標識にコンジュゲートしていない抗体を指す。ネイキッド抗体は、薬学的組成物中に存在してもよい。
【0080】
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を意味し、すなわち該集団を構成する個々の抗体が、可能性のある変異体抗体(これらは例えば天然に存在する変異を含むか又はモノクローナル抗体調製物の製造中に生じ、このような変異体は通常少量存在する)を除き、同一であり及び/又は同じエピトープに結合する。様々な決定基(エピトープ)に対する様々な抗体を通常含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。したがって、修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均一な集合から得られる抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするように解釈すべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含むトランスジェニック動物を利用する方法を含むがこれらに限定されない種々の技術によって作製されてもよい。
【0081】
本明細書で使用される「超可変領域」又は「HVR」という用語は、配列内で超可変であり、抗原結合特異性を決定する、抗体可変ドメインの領域、例えば「相補性決定領域」(CDR)のそれぞれを意味する。
【0082】
一般に、抗体は、6つのCDR:VHに3つ(CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)、VLに3つ(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3)を含む。本明細書における例示的なCDRには、以下が含まれる。
(a)アミノ酸残基26~32(L1)、50~52(L2)、91~96(L3)、26~32(H1)、53~55(H2)及び96~101(H3)で生じる超可変ループ(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987));
(b)アミノ酸残基24~34(L1)、50~56(L2)、89~97(L3)、31~35b(H1)、50~65(H2)及び95~102(H3)に存在するCDR(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991));及び
(c)アミノ酸残基27c-36(L1)、46-55(L2)、89-96(L3)、30-35b(H1)、47-58(H2)及び93-101(H3)で生じる抗原接触(MacCallum et al.J.Mol.Biol.262:732-745(1996))。
【0083】
別途指示がない限り、CDRは、上記Kabat et al.に従い決定される。当業者であれば、CDRの呼称はまた、上掲のChothia、上掲のMcCallum、又は任意の他の科学的に認められた命名法に従って決定され得ることを理解するであろう。
【0084】
「フレームワーク」又は「FR」は、相補性決定領域(CDR)以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、一般に、4つのFRドメイン:FR1、FR2、FR3、及びFR4からなる。したがって、CDR及びFR配列は、一般に、VH(又はVL)において以下の配列で現れる:FR1-CDR-H1(CDR-L1)-FR2-CDR-H2(CDR-L2)-FR3-CDR-H3(CDR-L3)-FR4。
【0085】
「Kabatにおけるような可変ドメイン残基番号付け」又は「Kabatにおけるようなアミノ酸位置番号付け」という用語、及びそれらの変形は、Kabat et al.,上記における抗体の編集物の重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインに使用される番号付けシステムを指す。この番号付けシステムを用いると、実際の直鎖状のアミノ酸配列は、可変ドメインのFR若しくはHVRの短縮形に対応するより少ないアミノ酸又は可変ドメインのFR若しくはHVRへの挿入物に対応する追加のアミノ酸を含み得る。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後に単一のアミノ酸挿入(Kabatに従う残基52a)を含み、重鎖FR残基82の後に挿入された残基(例えば、Kabatに従う残基82a、82b、及び82c等)を含み得る。残基のKabat番号付けは、抗体の配列の相同領域における「標準的な」Kabat番号付け配列とのアライメントによって、所与の抗体について決定することができる。
【0086】
本明細書で使用される場合、「単一特異性」抗体という用語は、同じ抗原の同じエピトープにそれぞれ結合する1つ以上の結合部位を有する抗体を示す。本明細書で使用される「二重特異性」抗体という用語は、抗体が少なくとも2つの異なる抗原、例えば異なる抗原又は同じ抗原上の異なるエピトープに結合する抗体重鎖可変ドメイン(VH)及び抗体軽鎖可変ドメイン(VL)の対によってそれぞれ形成される2つの結合部位に特異的に結合することができることを意味する。このような二重特異性抗体は、1+1フォーマットである。他の二重特異性抗体フォーマットは、2+1フォーマット(第1の抗原又はエピトープに対する2つの結合部位と、第2の抗原又はエピトープに対する1つの結合部位とを含む)、又は2+2フォーマット(第1の抗原又はエピトープに対する2つの結合部位と、第2の抗原又はエピトープに対する2つの結合部位とを含む)である。典型的には、二重特異性抗体は2つの抗原結合部位を含み、これらの各々は異なる抗原に対して特異的である。
【0087】
本明細書で使用される場合、「PD-L1陽性腫瘍細胞分率」は、免疫組織化学(IHC)アッセイ、例えば抗体SP263、SP142、22C3、又は28-8を使用してPD-L1を染色するためのIHCアッセイに関して試料の染色後に、試料中に存在する全ての生存腫瘍細胞に対して任意の強度で部分的又は完全な膜染色(細胞質染色を除く)を示す生存腫瘍細胞のパーセンテージである。したがって、PD-L1陽性腫瘍細胞画分は、PD-L1 IHC SP142(Ventana)アッセイを使用して、例えば、式:PD-L1陽性腫瘍細胞分率=(PD-L1陽性腫瘍細胞の数)/(PD-L1陽性及びPD-L1陰性腫瘍細胞の総数)によって計算することができ、腫瘍細胞及び全ての非腫瘍細胞(例えば、腫瘍浸潤免疫細胞、正常細胞、壊死細胞及びデブリ)のPD-L1細胞質染色は、評価及びスコアリングから除外される。任意の所与の診断PD-L1抗体は、PD-L1陽性腫瘍細胞分率を得るために使用することのできる特定のIHCアッセイプロトコール及び/又はスコアリング用語に対応し得ることが理解されるであろう。例えば、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、それぞれBenchmark ULTRAでのOPTIVIEW(登録商標)検出、AutostainerLink 48でのEnVision Flex、Benchmark ULTRAでのOPTIVIEW(登録商標)検出及び増幅、又はAutostainerLink 48でのEnVision Flexを使用して、SP263、22C3、SP142、又は28-8で染色した腫瘍細胞試料から得ることができる。
【0088】
本明細書で使用される場合、「Ventana SP142 IHCアッセイ」は、参照によりその全体が本明細書に援用されるVentana PD-L1(SP142)アッセイ添付文書(Tucson,AZ:Ventana Medical Systems,Inc.)に従って行われる。
【0089】
本明細書で使用される場合、「Ventana SP 263 IHCアッセイ」は、参照によりその全体が本明細書に援用されるVentana PD-L1(SP263)アッセイ添付文書(Tucson,AZ:Ventana Medical Systems,Inc.)に従って行われる。
【0090】
本明細書で使用される場合、「pharmDx 22C3 IHCアッセイ」は、その全体が参照により本明細書に援用されるPD-L1 IHC 22C3 pharmDx添付文書(Carpinteria,CA:Dako,Agilent Pathology Solutions)に従って行われる。
【0091】
本明細書で使用される場合、「pharmDx 28-8 IHCアッセイ」は、その全体が参照により本明細書に援用されるPD-L1 IHC 28-8 pharmDx添付文書(Carpinteria,CA:Dako,Agilent Pathology Solutions)に従って行われる。
【0092】
「添付文書」という用語は、治療用製品の市販パッケージに通例含まれる説明書であって、そのような治療用製品の使用に関する適応症、用法、用量、投与、併用療法、禁忌及び/又は警告についての情報を含む説明書を指すために使用される。
【0093】
本明細書で使用される場合、「と組み合わせて」とは、別の治療様式に加えて1つの治療様式、例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)の投与を含む治療レジメンの投与を指す。したがって、「と組み合わせて」とは、患者への他の治療様式の投与前、投与中、又は投与後の1つの治療様式の投与を指す。
【0094】
1つ以上の他の薬物と「同時に」投与される薬物は、同一治療サイクル中、1つ以上の他の薬物と同じ治療日に、また必要に応じて1つ以上の他の薬物と同じ時間に投与される。例えば、3週間ごとに付与されるがん療法の場合、同時に投与される薬物はそれぞれ、3週間のサイクルの1日目に投与される。
【0095】
本明細書で使用される場合、「有害事象」又は「AE」という用語は、医学的処置又は手順に関連すると考えられても考えられなくてもよい医学的処置又は手順の使用に時間的に関連する任意の好ましくない意図しない徴候(異常な検査所見を含む)、症状又は疾患を指す。有害事象は、National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events v4.0又はv5.0(NIH CTCAE)によって定義される「グレード」によって分類することができる。いくつかの態様では、AEは低悪性度AE、例えばグレード1又はグレード2AEである。グレード1には、無症候性又は軽度の症状を有するAEが含まれる。グレード2には、中等度であり、年齢に応じた手段的日常生活動作(例えば、食事の準備、食料品又は衣類の買い物)を制限し、局所的又は非侵襲的介入の必要を示すAEが含まれる。他の例では、AEは高グレードAE、例えばグレード3、グレード4、又はグレード5のAEである。場合によっては、AEはグレード3又はグレード4 AEである。グレード3には、重篤又は医学的に重大であるが、直ちに生命を脅かすものではなく、入院又は長期の入院の必要を示すAEが含まれる。グレード4には、生命を脅かす結果を有し、緊急の介入治療の必要を示すAEが含まれる。グレード5には、死をもたらし、又は死に関連するAEが含まれる。
【0096】
本明細書で使用される場合、「治療関連AE」という用語は、治療、例えばPD-1軸結合アンタゴニスト療法(例えば、アテゾリズマブ療法)及び/又は抗TIGITアンタゴニスト抗体療法(例えば、チラゴルマブ治療)の結果として発生したと治験責任医師によって判断されるAEを指す。
【0097】
「価数」との用語は、本出願で使用される場合、抗原結合分子内の特定数の結合ドメインの存在を示す。この場合、「二価」、「四価」及び「六価」という用語は、抗原結合分子中のそれぞれ2個の結合ドメイン、4個の結合ドメイン及び6個の結合ドメインの存在を示す。本発明の二重特異性抗体は、少なくとも「二価」であり、「三価」又は「多価」(例えば、「四価」又は「六価」)であってもよい。特定の態様において、本発明の抗体は、2つ以上の結合部位を有し、二重特異性である。すなわち、2個より多い結合部位が存在する場合であっても(すなわち、抗体は三価又は多価である)、抗体は、二重特異性であってもよい。
【0098】
「抗体断片」は、インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の一部分を含む、インタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例としては、限定されないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、交差Fab断片、直鎖抗体、一本鎖抗体分子(例えば、scFv)、抗体断片から作られる多重特異性抗体、及び単一ドメイン抗体が挙げられる。一部の抗体断片の総説として、Hudson et al.,Nat Med 9,129-134(2003)を参照されたい。scFv断片の総説としては、例えば、Pluckthun,in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp.269-315(1994);更には国際公開第93/16185号;及び米国特許第5,571,894号及び同第5,587,4585号を参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、in vivoでの半減期が長くなったFab及びF(ab’)2断片の説明については、米国特許第5,869,046号を参照されたい。ダイアボディは、二価又は二重特異性であってもよい2つの抗原結合ドメインを含む抗体断片であり、例えば、欧州特許第404,097号;国際公開1993/01161号;Hudson et al.,Nat Med 9,129-134(2003)、及びHollinger et al.,Proc Natl Acad Sci USA 90,6444-6448(1993)を参照されたい。トリアボディ及びテトラボディも、Hudson et al.,Nat Med 9,129-134(2003)に記載されている。単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全部又は一部分又は軽鎖可変ドメインの全部又は一部分を含む抗体断片である。一部の実施形態では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体(Domantis,Inc.,Waltham,MA;例えば米国特許第6248516号参照)である。これに加え、抗体断片は、VHドメインに特徴的な(すなわち、VLドメインと共に集合させることが可能な)、又はVLドメインに特徴的な(すなわち、機能的抗原結合部位にVHドメインと共に集合させることが可能な)一本鎖ポリペプチドを含み、それによって、完全長抗体の抗原結合特性を与える。抗体断片は、本明細書に記載される、組換え宿主細胞(例えば、大腸菌又はファージ)による生成、並びにインタクトな抗体のタンパク質分解性消化を含むがこれらに限定されない種々の技術により作製することができる。
【0099】
インタクト抗体のパパイン消化により、2つの同一の抗原結合断片を生じ、これは、それぞれ重鎖及び軽鎖可変ドメインと、更に、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)を含む「Fab」断片と呼ばれる。従って、本明細書で使用される場合、「Fab断片」との用語は、軽鎖(CL)のVLドメイン及び定常ドメインを含む軽鎖断片と、重鎖のVHドメイン及び第1の定常ドメイン(CH1)を含む抗体断片を指す。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域由来の1つ以上のシステインを含め、重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端での数個の残基の付加によって、Fab断片とは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインの1又は複数のシステイン残基が遊離チオール基を担持するFab’断片である。ペプシン処理により、2つの抗原結合部位(2つのFab断片)と、Fc領域の一部とを有するF(ab’)2断片が得られる。
【0100】
「cross-Fab断片」又は「xFab断片」又は「クロスオーバーFab断片」という用語は、重鎖及び軽鎖の可変領域又は定常領域のいずれかが交換されたFab断片を指す。クロスオーバーFab分子の2つの異なる鎖組成物が可能であり、本発明の二重特異性抗体に含まれる。一方で、Fab重鎖及び軽鎖の可変領域は、置き換わっており、すなわち、クロスオーバーFab分子は、軽鎖可変領域(VL)及び重鎖定常領域(CH1)で構成されるペプチド鎖と、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖定常領域(CL)で構成されるペプチド鎖と、を含む。このクロスオーバーFab分子は、CrossFab(VLVH)とも呼ばれる。一方、Fab重鎖及び軽鎖の定常領域が置き換わっている場合、クロスオーバーFab分子は、重鎖可変領域(VH)と軽鎖定常領域(CL)とで構成されるペプチド鎖と、軽鎖可変領域(VL)と重鎖定常領域(CH1)とで構成されるペプチド鎖とを含む。このクロスオーバーFab分子は、CrossFab(CLCH1)とも呼ばれる。
【0101】
「一本鎖Fab断片」又は「scFab」は、抗体重鎖可変ドメイン(VH)、抗体定常ドメイン1(CH1)、抗体軽鎖可変ドメイン(VL)、抗体軽鎖定常ドメイン(CL)及びリンカーからなるポリペプチドであり、当該抗体ドメイン及び当該リンカーは、N末端からC末端への方向で、以下の順序の1つを有する。(a)VH-CH1-リンカー-VL-CL、(b)VL-CL-リンカー-VH-CH1、(c)VH-CL-リンカー-VL-CH1、又は(d)VL-CH1-リンカー-VH-CL。ここで、当該リンカーは、少なくとも30アミノ酸、好ましくは32~50アミノ酸のポリペプチドである。前記一本鎖Fab断片は、CLドメインとCH1ドメインとの間の天然のジスルフィド結合を介して安定化されている。これに加え、これらの一本鎖Fab分子は、システイン残基の挿入(例えば、Kabatナンバリングによれば、可変重鎖の位置44及び可変軽鎖の位置100)による鎖間ジスルフィド結合の生成によって、更に安定化されるであろう。
【0102】
「クロスオーバー一本鎖Fab断片」又は「x-scFab」は、抗体重鎖可変ドメイン(VH)、抗体定常ドメイン1(CH1)、抗体軽鎖可変ドメイン(VL)、抗体軽鎖定常ドメイン(CL)及びリンカーからなるポリペプチドであり、当該抗体ドメイン及び当該リンカーは、N末端からC末端への方向で、以下の順序:(a)VH-CL-リンカー-VL-CH1及び(b)VL-CH1-リンカー-VH-CLの1つを有する。ここで、VHとVLは、一緒に、ある抗原に特異的に結合する抗原結合ドメインを形成し、当該リンカーは、少なくとも30アミノ酸のポリペプチドである。これに加え、これらのx-scFab分子は、システイン残基の挿入(例えば、Kabatナンバリングによれば、可変重鎖の位置44及び可変軽鎖の位置100)による鎖間ジスルフィド結合の生成によって、更に安定化されるであろう。
【0103】
「一本鎖可変断片(scFv)」は、10~約25アミノ酸の短いリンカーペプチドを用いて連結された、抗体の重鎖(VH)及び軽鎖(VL)の可変領域の融合タンパク質である。リンカーは、通常、可撓性のためにグリシンが豊富であり、溶解度のためにセリン又はスレオニンが豊富であり、VHのN末端とVLのC末端とを、又はその逆で連結することができる。このタンパク質は、定常領域が除去され、リンカーが導入されているが、元々の抗体の特異性を保持している。scFv抗体は、例えば、Houston,J.S.,Methods in Enzymol.203(1991)46-96)に記載されている。これに加え、抗体断片は、VHドメインに特徴的な(すなわち、VLドメインと共に集合させることが可能な)、又はVLドメインに特徴的な(すなわち、機能的抗原結合部位にVHドメインと共に集合させることが可能な)一本鎖ポリペプチドを含み、それによって、完全長抗体の抗原結合特性を与える。
【0104】
「足場抗原結合タンパク質」は、当該技術分野で既知であり、例えば、フィブロネクチン及び設計されたアンキリンリピートタンパク質(DARPin)は、抗原結合ドメインの代替的な足場として使用されてきた。例えば、Gebauer and Skerra,Engineered protein scaffolds as next-generation antibody therapeutics.Curr Opin Chem Biol 13:245-255(2009)and Stumpp et al.,Darpins:A new generation of protein therapeutics.Drug Discovery Today 13:695-701(2008)本発明の一態様では、足場抗原結合タンパク質は、CTLA-4(エビボディ)、リポカリン(アンチカリン)、プロテインA由来分子、例えば、プロテインAのZ-ドメイン(アフィボディ)、A-ドメイン(アビマー/マキシボディ)、血清トランスフェリン(トランスボディ);設計されたアンキリンリピートタンパク質(DARPin)、抗体軽鎖又は重鎖の可変ドメイン(単一ドメイン抗体、sdAb)、抗体重鎖の可変ドメイン(ナノボディ、aVH)、VNAR断片、フィブロネクチン(アドネクチン)、C型レクチンドメイン(テトラネクチン);新規抗原受容体ベータ-ラクタマーゼの可変ドメイン(VNAR断片)、ヒトγ-クリスタリン又はユビキチン(アフィリン分子);ヒトプロテアーゼ阻害剤のクニッツ型ドメイン、ミクロボディ、例えば、ノッチンファミリー由来のタンパク質、ペプチドアプタマー及びフィブロネクチン(アドネクチン)からなる群から選択される。CTLA-4(細胞毒性Tリンパ球関連抗原4)は、主にCD4+T細胞で発現するCD28ファミリー受容体である。その細胞外ドメインは、可変ドメイン様のIg折りたたみを有する。抗体のCDRに対応するループは、異なる結合特性を与えるために、異種配列と置換されてもよい。異なる結合特異性を有するように操作されたCTLA-4分子も、エビボディとして知られている(例えば、米国特許第7166697号B1)。エビボディは、抗体(例えば、ドメイン抗体)の単離された可変領域とほぼ同じ大きさである。更なる詳細については、Journal of Immunological Methods 248(1-2)、31-45(2001)を参照されたい。リポカリンは、ステロイド、ビリン、レチノイド及び脂質等の小さな疎水性分子を運ぶ細胞外タンパク質のファミリーである。リポカリンは、剛性ベータ-シート二次構造を有し、円錐構造の開放端に多くのループがあり、このループは、異なる標的抗原に結合するように操作することができる。アンチカリンは、160~180アミノ酸のサイズであり、リポカリンに由来する。更なる詳細については、Biochim Biophys Acta 1482:337-350(2000)、米国特許第7250297号及び米国特許第20070224633号を参照されたい。アフィボディは、抗原に結合するように操作することが可能な、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)のプロテインAに由来する足場である。ドメインは、約58アミノ酸の3つの螺旋形の束からなる。ライブラリーは、表面残基のランダム化によって作られている。更なる詳細については、Protein Eng.Des.Sel.2004,17,455-462及び欧州特許出願公開第1641818号明細書を参照されたい。アビマーは、Aドメイン足場ファミリーに由来する複数ドメインタンパク質である。約35アミノ酸の天然ドメインは、規定のジスルフィド結合した構造に適合する。多様性は、A-ドメインのファミリーによって示される天然の変動のシャッフリングによって作られる。更なる詳細については、Nature Biotechnology 23(12)、1556-1561(2005)及びExpert Opinion on Investigational Drugs 16(6)、909-917(2007年6月)を参照されたい。トランスフェリンは、モノマー血清輸送糖タンパク質である。トランスフェリンは、許容状態の表面ループへのペプチド配列の挿入によって異なる標的抗原に結合するように操作可能である。操作されたトランスフェリン足場の例としては、トランスボディが挙げられる。更なる詳細については、J.Biol.Chem 274,24066-24073(1999)を参照されたい。設計されたアンキリンリピートタンパク質(DARPin)は、細胞骨格の内在性膜タンパク質の付着に介在するタンパク質のファミリーであるアンキリンに由来する。単一のアンキリンリピートは、2つのアルファらせんとベータ-ターンとからなる33残基のモチーフである。単一のアンキリンリピートは、各反復の第1のアルファらせん及びベータ-ターンの中の残基をランダム化することによって異なる標的抗原に結合するように操作することができる。その結合界面は、モジュールの数を増やすことによって、増加させることができる(親和性成熟方法)。更なる詳細については、J.Mol.Biol.332,489-503(2003),PNAS 100(4),1700-1705(2003)及びJ.Mol.Biol.369,1015-1028(2007)及び米国特許第20040132028号を参照されたい。
【0105】
単一ドメイン抗体は、一本の単量体可変抗体ドメインからなる抗体断片である。第1の単一ドメインは、ラクダ由来の抗体重鎖の可変ドメインに由来した(ナノボディ又はVHH断片)。更に、単一ドメイン抗体という用語は、自律的なヒト重鎖可変ドメイン(aVH)又はサメ由来VNAR断片を含む。フィブロネクチンは、抗原に結合するように操作可能な足場である。アドネクチンは、ヒトフィブロネクチンIII型(FN3)の15反復単位の10番目のドメインの天然アミノ酸配列を有する骨格からなる。β-サンドイッチの片方の端にある3つのループを、アドネクチンが目的の治療標的を特異的に認識することができるように操作することができる。更なる詳細については、Protein Eng.Des.Sel.18,435-444(2005)、米国特許出願公開第20080139791号、国際公開第2005056764号及び米国特許第6818418号を参照されたい。ペプチドアプタマーは、定常足場タンパク質、典型的には、活性部位に挿入される拘束された可変ペプチドループを含むチオレドキシン(TrxA)からなるコンビナトリアル認識分子である。更なる詳細については、Expert Opin.Biol.Ther.5,783-797(2005)を参照されたい。ミクロボディは、3~4のシステイン架橋を含む、25~50アミノ酸長の天然に存在する微小タンパク質に由来し、微小タンパク質の例としては、KalataBI、コノトキシン及びノッチンが挙げられる。ミクロタンパク質は、ミクロタンパク質の全体的な折りたたみに影響を与えることなく、25アミノ酸までを含むように操作することができるループを有する。操作されたノッチンドメインの更なる詳細については、国際公開第2008098796号を参照されたい。
【0106】
「PD1に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、LAG3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含む二重特異性抗体」、「PD1及びLAG3に特異的に結合する二重特異性抗体」、「PD1及びLAG3に特異的な二重特異性抗原結合分子」又は「抗PD1/抗LAG3抗体」は、本明細書で相互に置き換え可能に使用され、PD1及びLAG3に、抗体がPD1及びLAG3を標的とする際に診断及び/又は治療剤として有用であるように、十分な親和性で結合することが可能な二重特異性抗体を指す。
【0107】
「PD-1」という用語は、プログラム細胞死タンパク質1としても知られ、1992年に最初に記述された288アミノ酸のI型膜タンパク質である(Ishida et al.,EMBO J.,11(1992),3887-3895)。PD-1は、T細胞制御因子の伸長したCD28/CTLA-4ファミリーのメンバーであり、2つのリガンドPD-L1(B7-H1、CD274)及びPD-L2(B7-DC、CD273)を有する。このタンパク質の構造は、細胞外IgVドメインと、その後に膜貫通領域と、細胞内尾部とを含む。細胞内尾部は、免疫受容体チロシン系阻害モチーフ及び免疫受容体チロシン系スイッチモチーフ中に位置する2つのリン酸化部位を含み、PD-1がTCRシグナルを負の方向に制御することを示唆している。このことは、リガンド結合の際の、PD-1の細胞質尾部に対するSHP-1及びSHP-2ホスファターゼの結合に一致している。PD-1は、ナイーブT細胞では発現しないが、T細胞受容体(TCR)が介在する活性化に従ってアップレギュレーションされ、活性化したT細胞及び疲弊したT細胞の両方で観察される(Agata et al.,Int.Immunology 8(1996)、765-772)。これらの疲弊したT細胞は、機能不全の表現型を有し、適切に応答することができない。PD-1は、比較的広い発現パターンを有するが、その最も重要な役割は、T細胞に対する共阻害受容体としての役割であろう(Chinai et al、Trends in Pharmacological Sciences 36(2015)、587-595)。したがって、現在の治療手法は、T細胞応答を向上させるために、PD-1とそのリガンドとの相互作用をブロックすることに集中している。「プログラム死1」、「プログラム細胞死1」、「タンパク質PD-1」、「PD-1」、「PD1」、「PDCD1」、「hPD-1」及び「hPD-1」という用語は、相互に置き換え可能に使用することができ、ヒトPD-1のバリアント、アイソフォーム、種ホモログ、PD-1と共通の少なくとも1つのエピトープを有するアナログを含む。ヒトPD1のアミノ酸配列は、UniProt(www.uniprot.org)寄託番号Q15116(配列番号55)に示される。
【0108】
「LAG3」又は「Lag-3」又は「リンパ球活性化遺伝子-3」又は「CD223」という用語は、本明細書で使用される場合、別途指示がない限り、哺乳動物、例えば、霊長類(例えばヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)を含め、任意の脊椎動物源由来の任意の天然LAG3を指す。この用語は、「全長」の未処理のLAG3と、細胞の処理から生じるLAG3の任意の形態を包含する。この用語は、LAG3の天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。好ましい一実施形態において、「LAG3」という用語は、ヒトLAG3を指す。例示的に処理された(シグナル配列を含まない)LAG3のアミノ酸配列を配列番号56に示す。例示的な細胞外ドメイン(ECD)LAG3のアミノ酸配列を配列番号57に示す。
【0109】
「抗LAG3抗体」及び「LAG3に結合する抗体」という用語は、抗体がLAG3を標的化する際の診断及び/又は治療剤として有用であるように、十分な親和性でLAG3に結合することができる抗体を指す。一態様において、無関係な非LAG3タンパク質に対する抗LAG3抗体の結合度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定されるLAG3に対する抗体の結合の約10%未満である。特定の実施形態では、LAG3に結合する抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM又は≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば10-9M~10-13M)の解離定数(KD)を有する。特定の態様では、抗LAG3抗体は、異なる種由来のLAG3間で保存されているLAG3のエピトープに結合する。好ましい一実施形態では、「抗LAG3抗体」、「ヒトLAG3に特異的に結合する抗体」及び「ヒトLAG3に結合する抗体」は、結合アフィニティKD値が1.0×10-8mol/L以下、一実施形態では、KD値が1.0×10-9mol/L以下、一実施形態では、KD値が1.0×10-9mol/L~1.0×10-13mol/Lである、ヒトLAG3抗原又はその細胞外ドメイン(ECD)に特異的に結合する抗体を指す。この観点で、結合親和性は、標準的な結合アッセイ、例えば、表面プラズモン共鳴法(BIAcore(登録商標)、GE-Healthcare Uppsala、スウェーデン)を用いて、例えば、LAG3細胞外ドメインを用いて決定される。「抗LAG3抗体」という用語は、LAG3及び第2の抗原に結合することが可能な二重特異性抗体も包含する。
【0110】
ノブ・イントゥ・ホール技術は、例えば、米国特許第5,731,168号;米国特許第7,695,936号;Ridgway et al.,Prot Eng 9,617-621(1996)及びCarter,J Immunol Meth 248,7-15(2001)に記載されている。一般に、この方法は、突起部(「ノブ」)を第1のポリペプチドの界面に導入し、対応する空洞部)「ホール」)を第2のポリペプチドの界面に導入し、これによって、突起部が空洞部内に位置付けられ、それによりヘテロ二量体形成を促進し、ホモ二量体形成を妨げることを伴う。突起は、第1のポリペプチドの接触面からの小さなアミノ酸側鎖を、より大きな側鎖(例えばチロシン又はトリプトファン)で置き換えることによって構築される。大きなアミノ酸側鎖をより小さなアミノ酸側鎖(例えばアラニン又はスレオニン)で置き換えることにより、突起と同じ又は同様の大きさの相補的な空洞が第2のポリペプチドの接触面に作られる。突起及び空洞は、例えば部位特異的変異導入又はペプチド合成によって、ポリペプチドをコードする核酸を変化させることにより作製することができる。具体的な実施形態では、ノブ修飾は、Fcドメインの2つのサブユニットのうちの1つにアミノ酸置換T366Wを含み、ホール修飾は、Fcドメインの2つのサブユニットのうちの他の1つにアミノ酸置換T366S、L368A及びY407Vを含む。更に具体的な実施形態では、ノブ修飾を含むFcドメインのサブユニットは、アミノ酸置換S354Cを更に含み、ホール修飾を含むFcドメインのサブユニットは、アミノ酸置換Y349Cを更に含む。これら2つのシステイン残基の導入によってFc領域の2つのサブユニット間にジスルフィド架橋が形成され、それにより二量体を更に安定化させる(Carter,J Immunol Methods 248,7-15(2001))。
【0111】
「エフェクター機能」という用語は、抗体のアイソタイプによって異なる、抗体のFc領域に起因する生物活性を指す。抗体エフェクター機能の例には、C1q結合及び補体依存性細胞傷害(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)、サイトカイン分泌、抗原提示細胞によるイムノコンジュゲート媒介性抗原取り込み、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方制御、及びB細胞活性化が含まれる。
【0112】
「活性化Fc受容体」は、抗体のFc領域による関与に続いて、受容体保有細胞を刺激してエフェクター機能を実行するシグナル伝達事象を誘発するFc受容体である。活性化Fc受容体には、FcγRIIIa(CD16a)、FcγRI(CD64)、FcγRIIa(CD32)、及びFcαRI(CD89)が含まれる。特定の活性化Fc受容体は、ヒトFcγRIIIaである(UniProtアクセッション番号P08637、バージョン141参照)。
【0113】
「ペプチドリンカー」という用語は、1つ以上のアミノ酸、典型的には、約2~20のアミノ酸を含むペプチドを指す。ペプチドリンカーは当技術分野において既知のものであっても、本願明細書に記載されているものであってもよい。適切な非免疫原性リンカーペプチドは、例えば、(G4S)n、(SG4)n又はG4(SG4)nペプチドリンカーであり、式中、「n」は一般に1~10、典型的には2~4、特に2の数、すなわち、GGGGS(配列番号58)、GGGGSGGGGS(配列番号59)、SGGGGSGGGG(配列番号60)及びGGGGSGGGGSGGGG(配列番号61)からなる群から選択されるペプチドであるが、配列GSPGSSSSGS(配列番号62)、(G4S)3(配列番号63)、(G4S)4(配列番号64)、GSGSGSGS(配列番号65)、GSGSGNGS(配列番号66)、GGSGSGSG(配列番号67)、GGSGSG(配列番号68)、GGSG(配列番号69)、GGSGNGSG(配列番号70)、GGNGSGSG(配列番号71)及びGGNGSG(配列番号72)も含む。特に興味深いペプチドリンカーは、(G4S)(配列番号58)、(G4S)2又はGGGGSGGGGS(配列番号59)、(G4S)3(配列番号63)及び(G4S)4(配列番号65)、より具体的には(G4S)2又はGGGGSGGGGS(配列番号59)である。
【0114】
「~に融合している」又は「~に連結されている」とは、成分(例えば、抗原結合ドメイン及びFcドメイン)が、ペプチド結合によって直接的に、又は1つ以上のペプチドリンカーを介して連結されていることを意味する。
【0115】
「表面抗原分類3」又は「CD3」という用語は、本明細書で使用される場合、別途指示されない限り、霊長動物(例えばヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)等の哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源由来の任意の天然CD3を指し、例えば、CD3ε、CD3γ、CD3α、及びCD3β鎖を含む。この用語は、「全長」のプロセシングされていないCD3(例えば、プロセシングされていない、若しくは修飾されていないCD3ε又はCD3γ)、並びに細胞内のプロセシングから得られるCD3の任意の形態を包含する。この用語はまた、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントを含む、CD3の天然に存在するバリアントを包含する。CD3は、例えば、207のアミノ酸長であるヒトCD3εタンパク質(NCBI参照配列番号NP_000724)、及び182のアミノ酸長であるヒトCD3γタンパク質(NCBI参照配列番号NP_000064)を含む。
【0116】
「抗CD20抗体」及び「CD20に結合する抗体」という用語は、CD20の標的化において該抗体が診断剤及び/又は治療剤として有用であるような十分な親和性で、CD20に結合可能である抗体を指す。一実施形態では、無関係な非CD20タンパク質に対する抗CD20抗体の結合度は、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定される、CD20に対する抗体の結合の約10%未満である。特定の実施形態では、CD20に結合する抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM又は≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば10-9M~10-13M)の解離定数(KD)を有する。特定の実施形態では、抗CD20抗体は、異なる種に由来するCD20間で保存されているCD20のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗CD20抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗CD20抗体又は抗CD20モノクローナル抗体はリツキシマブである。いくつかの実施形態では、抗CD20抗体又は抗CD20モノクローナル抗体はオビヌツズマブである。
【0117】
本明細書で使用される場合、「リツキシマブ」又は「RITUXAN(登録商標)」という用語は、Proposed International Nonproprietary Names for Pharmaceutical Substances(Proposed INN)List 77(WHO Drug Information,Vol.11,No.2,1997,p.99)又はCAS登録番号174722-31-7を有する抗CD20抗体(例えば、抗CD20モノクローナル抗体)を指す。
【0118】
本明細書で使用される場合、「オビヌツズマブ」又は「GAZYVA(登録商標)」という用語は、Proposed International Nonproprietary Name for Pharmaceutical Substances(Proposed INN)List 99(WHO Drug Information,Vol.22,No.2,2008,p.396)、Proposed International Nonproprietary Name for Pharmaceutical Substances(Proposed INN)List 108(WHO Drug Information,Vol.26,No.4,2012,p.453)、又はCAS登録番号949142-50-1を有する抗CD20抗体(例えば、抗CD20モノクローナル抗体)を指す。
【0119】
本明細書で使用される場合、「表面抗原分類20」又は「CD20」という用語は、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯動物(例えば、マウス及びラット)等の哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然CD20を指す。この用語は、「全長」の、未処理CD20、及び、細胞内での処理によりもたらされる任意の形態のCD20を包含する。この用語はまた、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントを含む、CD20の天然に存在するバリアントを包含する。CD20は、例えば、ヒトCD20タンパク質(例えば、NCBI参照配列番号NP_068769.2及びNP_690605.1、参照)を含み、これは、例えば、297アミノ酸長であり、例えば、5’ UTRの一部を欠くバリアントmRNA転写物(例えば、NCBI参照配列番号NM_021950.3、参照)、又はより長い変異型mRNA転写物(例えば、NCBI参照配列番号NM_152866.2、参照)から産生され得る。
【0120】
「抗CD20/抗CD3二重特異性抗体」、「二重特異性抗CD20/抗CD3抗体」及び「CD20及びCD3に結合する抗体」という用語は、モスネツズマブを指す。
【0121】
本明細書で使用される場合、「モスネツズマブ」という用語は、国際医薬品一般名称(INN)リスト117(WHO Drug Information,Vol.31,No.2,2017,p.303)又はCAS登録番号1905409-39-3を有する抗CD20/抗CD3二重特異性抗体を指す。
【0122】
「VEGFアンタゴニスト」又は「VEGF特異的アンタゴニスト」という用語は、VEGFに結合するか、VEGF発現レベルを低減させるか、又はVEGFの生物学的活性(1つ以上のVEGF受容体へのVEGF結合、VEGFシグナル伝達、及びVEGF媒介性血管新生、並びに内皮細胞生存又は増殖を含むが、これらに限定されない)を中和、遮断、阻害、抑止、低減、又は妨害することができる分子を指す。例えば、VEGFの生物学的活性を中和、遮断、阻害、抑止、低減、又は妨害することができる分子は、1つ以上のVEGF受容体(VEGFR)(例えば、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、膜結合型VEGF受容体(mbVEGFR)、又は可溶性VEGF受容体(sVEGFR))に結合することによって、その効果を発揮し得る。このようなアンタゴニストは、本明細書では「VEGFR阻害剤」とも称される。本発明の方法に有用なVEGF特異的アンタゴニストとしては、VEGFに特異的に結合するポリペプチド、抗VEGF抗体及びその抗原結合断片、VEGFに特異的に結合し、それによって1つ以上の受容体への結合を封じる、受容体分子及び誘導体、融合タンパク質(例えば、VEGF-Trap(Regeneron))、及びVEGF121-ゲロニン(Peregrine)が挙げられる。VEGF特異的アンタゴニストとしてはまた、VEGFポリペプチドのアンタゴニストバリアント、VEGFポリペプチドをコードする核酸分子の少なくとも断片に相補的なアンチセンス核酸塩基オリゴマー、VEGFポリペプチドをコードする核酸分子の少なくとも断片に相補的な低分子RNA、VEGFを標的とするリボザイム、VEGFに対するペプチボディ、及びVEGFアプタマーが挙げられる。VEGFアンタゴニストとしてはまた、VEGFRに結合するポリペプチド、抗VEGFR抗体、及びその抗原結合断片、並びにVEGFRに結合し、それによってVEGFの生物学的活性(例えば、VEGFのシグナル伝達)を遮断、阻害、抑止、低減、若しくは妨害する誘導体、又は融合タンパク質が挙げられる。VEGF特異的アンタゴニストとしてはまた、VEGF又はVEGFRに結合し、VEGF生物学的活性を、遮断、阻害、抑止、低減、又は妨害することができる非ペプチド低分子が挙げられる。したがって、「VEGF生物学的活性」という用語は、具体的にはVEGFのVEGF媒介生物学的活性を含む。特定の実施形態では、VEGFアンタゴニストは、VEGFの発現レベル又は生物学的活性を、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%以上低減させる、又は阻害する。いくつかの実施形態では、VEGF特異的アンタゴニストによって阻害されるVEGFは、VEGF(8-109)、VEGF(1-109)、又はVEGF165である。
【0123】
本明細書で使用される場合、VEGFアンタゴニストとしては、抗VEGFR2抗体及び関連する分子(例えば、ラムシルマブ、タニビルマブ、アフリベルセプト)、抗VEGFR1抗体及び関連する分子(例えば、イクルクマブ、アフリベルセプト(VEGF Trap-Eye、EYLEA(登録商標))、及びジブ-アフリベルセプト(VEGF Trap、ZALTRAP(登録商標))、二重特異性VEGF抗体(例えば、MP-0250、バヌシズマブ(VEGF-ANG2)、及びUS2001/0236388に開示されている二重特異性抗体)、抗VEGFアーム、抗VEGFR1アーム、及び抗VEGFR2アームのうちの2つの組み合わせを含む二重特異性抗体、抗VEGFA抗体(例えば、ベバシズマブ、セバシズマブ)、抗VEGFB抗体、抗VEGFC抗体(例えば、VGX-100)、抗VEGFD抗体、並びに非ペプチド低分子VEGFアンタゴニスト(例えば、パゾパニブ、アキシチニブ、バンデタニブ、スチバーガ、カボザンチニブ、レンバチニブ、ニンテダニブ、オランチニブ、テラチニブ、ドビチニブ、セジラニブ、モテサニブ、スルファチニブ、アパチニブ、フォレチニブ、ファミチニブ、及びチボザニブ)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの例では、VEGFアンタゴニストは、受容体チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、スニチニブ又はアキシチニブなどのマルチ標的受容体チロシンキナーゼ阻害剤)を含むチロシンキナーゼ阻害剤であり得る。
【0124】
「抗VEGF抗体」とは、十分な親和性及び特異性でVEGFに結合する抗体である。特定の実施形態では、抗体は、VEGFに対して十分に高い結合親和性を有し、例えば、抗体は、100nM及び1pMのKD値でhVEGFに結合し得る。抗体親和性は、例えば、表面プラズモン共鳴系アッセイ(PCT出願公開の国際公開第2005/012359号に記載されているようなBIAcore(登録商標)アッセイなど)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、及び競合アッセイ(例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA))によって決定され得る。
【0125】
特定の実施形態では、抗VEGF抗体は、VEGF活性が関与する疾患又は症状を標的とし、かつそれを妨害する際に治療剤として使用され得る。また、抗体は、例えば治療薬としてのその有効性を評価するために、他の生物学的活性アッセイに供され得る。そのようなアッセイは、当技術分野で既知であり、抗体に対する標的抗原及び意図される使用に依存する。例としては、HUVEC阻害アッセイ、腫瘍細胞成長阻害アッセイ(例えば、国際公開第89/06692号に記載のもの)、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)及び補体媒介性細胞傷害性(CDC)アッセイ(米国特許第5,500,362号)、並びにアゴニスト活性又は造血アッセイ(国際公開第95/27062号を参照)が挙げられる。抗VEGF抗体は、通常、VEGF-B又はVEGF-C等の他のVEGFホモログにも、PIGF、PDGF、又はbFGF等の他の成長因子にも結合しない。一実施形態では、抗VEGF抗体は、ハイブリドーマATCC HB 10709によって産生される、モノクローナル抗VEGF抗体A4.6.1と同じエピトープに結合するモノクローナル抗体である。別の実施形態では、抗VEGF抗体は、限定されないが、ベバシズマブ(BV;アバスチン(登録商標))として公知の抗体を含む、Presta et al.(Cancer Res.57:4593-4599,1997)に従って作製された組換えヒト化抗VEGFモノクローナル抗体である。
【0126】
「rhuMAb VEGF」又は「アバスチン(登録商標)」としても公知の抗VEGF抗体「ベバシズマブ(BV)」は、Presta et al.(Cancer Res.57:4593-4599,1997)に従って生成される組換えヒト化抗VEGFモノクローナル抗体である。これは、変異型ヒトIgG1フレームワーク領域と、ヒトVEGFの、その受容体への結合をブロックするマウス抗hVEGFモノクローナル抗体A.4.6.1由来の抗原結合相補性決定領域とを含む。フレームワーク領域の大部分を含む、ベバシズマブのアミノ酸配列の約93%は、ヒトIgG1に由来し、配列の約7%は、マウス抗体A4.6.1に由来する。ベバシズマブは、分子量が約149,000ダルトンであり、グリコシル化されている。ベバシズマブ及び他のヒト化抗VEGF抗体は、その開示全体が参照により本明細書に明示的に援用される、2005年2月26日に発行された米国特許第6,884,879号明細書に更に記載される。
【0127】
II.食道がんの治療方法及び組成物
A.臨床応答を達成する方法
一態様では、転移性食道がんを有する対象において臨床応答を達成する方法であって、臨床応答を達成するのに有効な量のチラゴルマブ及びアテゾリズマブを対象に投与する工程を含む方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、チラゴルマブ及びアテゾリズマブは、1つ以上の投与サイクルを含む投与レジメンで対象に投与される。いくつかの実施形態では、転移性食道がんは、扁平上皮癌、腺癌、又は神経内分泌組織病理学を有する食道がんである。
【0128】
いくつかの態様では、臨床応答が少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも5ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも7ヶ月間、少なくとも8ヶ月間、少なくとも9ヶ月間、少なくとも10ヶ月間、少なくとも11ヶ月間、少なくとも1年間、少なくとも1年間及び1ヶ月間、少なくとも1年間及び2ヶ月間、少なくとも1年間及び3ヶ月間、少なくとも1年間及び4ヶ月間、少なくとも1年間及び5ヶ月間、少なくとも1年間及び6ヶ月間、少なくとも1年間及び7ヶ月間、少なくとも1年間及び8ヶ月間、少なくとも1年間及び9ヶ月間、少なくとも1年間及び10ヶ月間、少なくとも1年間及び11ヶ月間、少なくとも2年間、少なくとも2年間及び1ヶ月間、少なくとも2年間及び2ヶ月間、少なくとも2年間及び3ヶ月間、少なくとも2年間及び4ヶ月間、少なくとも2年間及び5ヶ月間、少なくとも2年間及び6ヶ月間、少なくとも2年間及び7ヶ月間、少なくとも2年間及び8ヶ月間、少なくとも2年間及び9ヶ月間、少なくとも2年間及び10ヶ月間、少なくとも2年間及び11ヶ月間、少なくとも3年間、少なくとも3.5年間、少なくとも4年間、少なくとも4.5年間、少なくとも5年間、少なくとも5.5年間、少なくとも6年間、少なくとも6.5年間、少なくとも7年間、少なくとも7.5年間、少なくとも8年間、少なくとも8.5年間、少なくとも9年間、少なくとも9.5年間、少なくとも10年間、又は10年超維持される(例えば、臨床応答が1~2ヶ月間、2~4ヶ月間、4~6ヶ月間、6~8ヶ月間、8~10ヶ月間、10~12ヶ月間、1年~1.5年間、1.5年~2年間、2年~2.5年間、2.5年~3年間、3年~3.5年間、3.5年~4年間、4年~4.5年間、4.5年~5年間、5年~6年間、6年~7年間、7年~8年間、8年~9年間又は9年~10年間維持される)。例えば、いくつかの態様では、臨床応答が、1ヶ月~10年、6ヶ月~5年、1年~4年、1年~3年又は1年~2年にわたって維持される。
【0129】
いくつかの態様では、臨床応答は少なくとも1年間維持される。いくつかの態様では、臨床応答は少なくとも2年間維持される。
【0130】
i.臨床応答
いくつかの態様では、臨床応答は無増悪生存期間(PFS)である。PFSは、対象のがん(例えば、転移性食道がん)が悪化しない治療中及び治療後の時間の長さを指す。PFSは、対象が完全寛解(CR)、部分寛解(PR)、又は安定疾患を経験した時間量を含み得る。
【0131】
いくつかの態様では、臨床応答は部分寛解(PR)である。PRは、治療前のベースラインSLDを参照として、標的病変の最長径(SLD)の合計の少なくとも30%の減少を指す。
【0132】
いくつかの態様では、臨床応答は完全寛解(CR)である。CRは、全ての標的病変の消失を指す。
【0133】
いくつかの態様では、臨床応答は、1つ以上の標的病変(例えば、転移性食道がん腫瘍)の最長径の和(SLD)における低下である。いくつかの態様では、SLDは、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%減少するか、又は、SLDが、チラゴルマブ及びアテゾリズマブの1つ以上の投与サイクルの投与中又は投与後に100%(例えば、標的病変が消失する)減少する(例えば、チラゴルマブ及びアテゾリズマブの1つ以上の投与サイクルの投与前に行われた測定と比較して減少する)。いくつかの態様では、SLDは、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%減少するか、又はSLDが、チラゴルマブ及びアテゾリズマブの1つ以上の投与サイクルの投与中又は投与後に約100%低下する(例えば、標的病変が消失する)。いくつかの態様では、SLDは、チラゴルマブ及びアテゾリズマブの1つ以上の投与サイクルの投与中又は投与後に、1%~5%、5%~10%、10%~15%、15%~20%、20%~25%、25%~30%、30%~35%、35%~40%、40%~45%、45%~50%、50%~55%、55%~60%、60%~65%、65%~70%、70%~75%、75%~80%、80%~85%、85%~90%、90%~95%、又は95%~100%減少する。場合によっては、SLDは、チラゴルマブ及びアテゾリズマブの投与前に行われた測定と比較して減少する。場合によっては、臨床応答は、コンパレータアームのSLDと比較した1つ以上の標的病変のSLDの減少であり得る。
【0134】
ii.事前治療
いくつかの実施形態では、対象は、がん(例えば、食道がん、例えば、転移性食道がん)に対する抗がん療法(例えば、がん免疫療法及び/又は化学療法剤)で以前に治療されていない。いくつかの実施形態では、対象は、がん(例えば、食道がん、例えば、転移性食道がん)に対する抗がん療法(例えば、がん免疫療法及び/又は化学療法剤)による事前の治療を受けている。場合によっては、対象は、少なくとも1ラインの事前治療を受けている。いくつかの例では、対象は、がん(例えば、食道がん)に対する2つ以上の事前の抗がん療法を受けている。いくつかの例では、対象は、がん(例えば、食道がん)に対する3つ以上の事前の抗がん療法を受けている。場合によっては、対象は、2ラインの事前治療を受けている。いくつかの例では、対象は3ラインの事前治療を受けている。場合によっては、対象は、4ラインの事前治療を受けている。いくつかの例において、対象は、4ラインを超える事前治療を受けている。いくつかの例では、対象は、事前の抗がん療法による治療中又は治療後に疾患進行を経験した。いくつかの例では、事前治療は、化学療法、外科手術、及び/又は放射線療法である。
【0135】
いくつかの例では、対象は、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を投与する少なくとも1ヶ月以内(例えば、PD-1軸結合アンタゴニストと抗TIGITアンタゴニスト抗体との投与の2ヶ月前以内、3ヶ月前以内、4ヶ月前以内、6ヶ月前以内、1年前、2年前、3年前、4年前、5年前、又は10年前)に事前全身治療(例えば、治癒目的の事前全身治療、例えば化学療法)を受けたことがない。いくつかの例では、対象は化学療法未経験である。いくつかの例では、対象は事前の免疫療法を受けていない。
【0136】
iii.治療関連有害事象の欠如
いくつかの実施形態では、対象は、チラゴルマブ及びアテゾリズマブの1つ以上の投与サイクル中又はその後に治療関連有害事象(AE)(例えば、グレード1、グレード2、グレード3又はグレード4の治療関連有害事象)を経験しない。いくつかの実施形態では、対象は、チラゴルマブ及びアテゾリズマブの1つ以上の投与サイクルの期間中又はその後に、治療関連のグレード1又はグレード2の有害事象を経験する。いくつかの実施形態では、対象は、チラゴルマブ及びアテゾリズマブの1つ以上の投与サイクルの期間中又はその後において、治療に関連するグレード3又はグレード4の有害事象を経験しない。治療関連有害事象としては、例えば、チラゴルマブ関連有害事象及び/又はアテゾリズマブ関連有害事象が挙げられる。有害事象は、National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events(NCI CTCAE),Version 4.0に従い格付けされる。
【0137】
有害事象(例えば、有害事象が治療関連であるかどうかの判定)の因果関係は、以下の指針に基づき得る。
・事象の開始と研究薬の開始との時間的関係
・特に用量減少、試験薬の中止、又は試験薬の再導入(適用可能な場合)の効果を考慮した事象の経過。
・事象と研究薬又は同様の治療との既知の関連
・研究中の疾患との事象の既知の関連
・対象における危険因子の存在又は事象の発生を増加させることが知られている併用薬の使用。
・事象の発生に関連することが知られている非治療関連因子の存在
【0138】
一般に、有害事象の発症と試験薬の投与との間に妥当な時間的関係があり、有害事象が対象の臨床状態、併発疾患又は併用療法によって容易に説明できない場合、有害事象は試験薬(例えば、チラゴルマブ及び/又はアテゾリズマブ)に起因し得、及び/又は有害事象が試験薬に対する既知の応答パターンに従う;及び/又は有害事象は、試験薬物の中止又は用量減少時に減弱又は消失し、適用可能であれば、再チャレンジ時に再出現する。
【0139】
有害事象が試験薬以外の病因(例えば、既存の病状、基礎疾患、併発疾患、又は併用薬)を有する、及び/又は有害事象が、試験薬の投与との妥当と思われる時間的な関係を有さない(例えば、試験薬の初回投与の2日後に診断されたがん)という証拠が存在する場合、有害事象は治療に関連しないと特定され得る。
【0140】
作用機序、類似のチェックポイント阻害剤の既知の効果、及び非臨床データに基づいて、チラゴルマブにはいくつかの潜在的なリスクが存在する。TIGITのアンタゴニストとして、チラゴルマブは、T細胞及びNK細胞の増殖、生存、及び機能を増強すると予想される。したがって、チラゴルマブは、自己免疫性炎症(免疫媒介性有害事象としても記載される)のリスクを高める可能性がある。更に、チラゴルマブのインタクトなFcエフェクター機能のために、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を介したリンパ球減少症は理論上のリスクである。チラゴルマブ(itagolumab)に関連する特定の有害事象には、点滴関連反応(IRR)、免疫媒介性有害事象、及びリンパ球減少症が含まれる。
【0141】
アテゾリズマブは、以下のようなリスクと関連している:IRR及び免疫介在性肝炎、肺臓炎、大腸炎、膵炎、真性糖尿病、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、副腎機能不全、下垂体炎、ギラン・バレー症候群、筋無力症症候群又は重症筋無力症、髄膜脳炎、心筋炎、筋炎及び腎炎。免疫介在性有害反応は、任意の器官系を伴い得、血球貪食性リンパ組織球症(HLH)及びマクロファージ活性化症候群(MAS)をもたらし得る。
【0142】
先述の例のいずれかにおいて、各投与サイクルは、任意の適切な長さ、例えば、約7日、約14日、約21日、約28日又はそれより長い長さを有し得る。いくつかの例では、各投与サイクルは約21日である。場合によっては、チラゴルマブは3週間ごとに投与され(例えば、各21日間の投与サイクルの1日目に)、アテゾリズマブは3週間ごとに投与される(例えば、各21日間の投与サイクルの1日目に)。
【0143】
対象は、好ましくはヒトである。
【0144】
本発明は、有効量の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を、それを必要とする対象に3週間ごとに(例えば、各21日間投与サイクルの1日目に)投与することを含む方法及び使用を含む。いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を3週間(例えば、各21日間投与サイクルの1日目に)ごとに投与し、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体、例えば、アテゾリズマブ、又は抗PD-1アンタゴニスト抗体、例えば、ペンブロリズマブ)を2週間(例えば、各28日間投与サイクルの1及び15日目に)ごと、3週間(例えば、各21日間投与サイクルの1日目に)ごと、又は4週間(例えば、各28日間投与サイクルの1日目に)ごとに投与する。特定の例では、本発明は、有効量の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を、それを必要とする対象に3週間ごとに(例えば、各21日間投与サイクルの1日目に)投与することを含む方法及び使用を含む。いくつかの例では、有効量の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の投与は、CR又はPRをもたらす。いくつかの例では、有効量の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の投与は、参照と比較した対象のPFSの増加をもたらす。いくつかの例では、有効量の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の投与は、対象のOSを延長する。いくつかの例では、本発明は、がんを有する対象を処置する方法であって、対象に、3週間ごとの約500mg~約700mgの用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体、3週間ごとの約900mg~約1500mgの用量のPD-1軸結合アンタゴニスト、3週間ごとの白金系化学療法剤、及び3週間ごとの非白金系化学療法剤の1回又は複数回の投与サイクルを含む投与レジメンを投与することを含む、方法を含む。いくつかの例では、方法は、対象に、3週間ごとの500mg~700mgの用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体、3週間ごとの900mg~1500mgの用量のPD-1軸結合アンタゴニスト、3週間ごとの白金系化学療法剤、及び3週間ごとの非白金系化学療法剤の1回又は複数回の投与サイクルを含む投与レジメンを投与することを含む。
【0145】
特定の例では、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体は、化学療法剤なしで投与される(例えば、化学療法剤なしでは、例えば、投与レジメン全体が対象への化学療法剤の投与を欠いている)。
【0146】
iv.治療に対する応答
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、がん(例えば、食道がん(例えば、転移性食道がん))を有する対象又は対象集団の治療(例えば、アテゾリズマブ及びチラゴルマブ)に対する応答は、1つ又は複数の尺度によって特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、治療は、対象のPFS又はDORの増加をもたらす。いくつかの実施形態では、治療は、対象の集団におけるORR又はDCRの増加をもたらす。いくつかの実施形態では、治療は対象においてCR又はPRをもたらす。
【0147】
場合によっては、治療は、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体なしでPD-1軸結合アンタゴニストで治療した、又はPD-1軸結合アンタゴニストなしで抗TIGITアンタゴニスト抗体で治療した集団(例えば、コンパレータアーム)のPFSと比較して、対象のPFSの増加をもたらす。例えば、化学療法剤が投与されない(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)と組み合わせた抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)のみを投与する)実施形態では、治療は、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体なしでPD-1軸結合アンタゴニストで治療された、又はPD-1軸結合アンタゴニストなしで抗TIGITアンタゴニスト抗体で治療された集団(例えば、コンパレータアーム)のPFSと比較して、対象のPFSの増加をもたらし得る。
【0148】
いくつかの例では、治療は、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体なしでPD-1軸結合アンタゴニストで治療した、又はPD-1軸結合アンタゴニストなしで抗TIGITアンタゴニスト抗体で治療した集団(例えば、コンパレータアーム)のOSと比較して、対象のOSを延長する。例えば、化学療法剤が投与されない(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)と組み合わせた抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)のみを投与する)実施形態では、治療は、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体なしでPD-1軸結合アンタゴニストで治療された、又はPD-1軸結合アンタゴニストなしで抗TIGITアンタゴニスト抗体で治療された集団(例えば、コンパレータアーム)のOSと比較して、対象のOSの増加をもたらし得る。
【0149】
対象の無増悪生存期間は、Eisenhauer et al.,Eur.J.Cancer.2009,45:228-47.において記載されるようなRECIST v1.1基準に従って測定され得る。いくつかの実施形態では、PFSは、治療の開始から、RECIST第1.1版の基準によって決定される疾患進行の初回発生までの期間として測定される。いくつかの実施形態では、PFSは、治療の開始から死亡時までの期間として測定される。
【0150】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療は、少なくとも約1ヶ月(例えば、1ヶ月、1.5ヶ月、2ヶ月、2.5ヶ月、3.0ヶ月、3.5ヶ月、4.0ヶ月、4.5ヶ月、5.0ヶ月、5.5ヶ月、6.0ヶ月、6.5ヶ月、7.0ヶ月、7.5ヶ月、8.0ヶ月、8.5ヶ月、9.0ヶ月、9.5ヶ月、10ヶ月、10.5ヶ月、11ヶ月、11.5ヶ月、12ヶ月、13ヶ月、14ヶ月、15ヶ月、16ヶ月、17ヶ月、18ヶ月、19ヶ月、20ヶ月、21ヶ月、22ヶ月、23ヶ月、24ヶ月、25ヶ月、26ヶ月、27ヶ月、28ヶ月、29ヶ月、30ヶ月、31ヶ月、32ヶ月、33ヶ月、34ヶ月、35ヶ月又は36ヶ月)の対象のPFSをもたらす。
【0151】
いくつかの実施形態では、治療は、約1.2ヶ月~約5.6ヶ月(例えば、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、又は5.6ヶ月、例えば、1.2~1.4、1.4~1.6、1.6~1.8、1.8~2.0、2.0~2.2、2.2~2.4、2.4~2.6、2.6~2.8、2.8~3.0、3.0~3.2、3.2~3.4、3.4~3.6、3.6~3.8、3.8~4.0、4.0~4.2、4.2~4.4、4.4~4.6、4.6~4.8、4.8~5.0、5.0~5.2、5.2~5.4、又は5.4~5.6ヶ月)の対象の集団のPFS中央値をもたらす。
【0152】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される治療は、少なくとも約7ヶ月(例えば、7ヶ月、7.5ヶ月、8.0ヶ月、8.5ヶ月、9.0ヶ月、9.5ヶ月、10ヶ月、10.5ヶ月、11ヶ月、11.5ヶ月、12ヶ月、12.5ヶ月、13ヶ月、13.5ヶ月、14ヶ月、14.5ヶ月、15ヶ月、15.5ヶ月、16ヶ月、16.5ヶ月、17ヶ月、17.5ヶ月、18ヶ月、18.5ヶ月、19ヶ月、19.5ヶ月、20ヶ月、20.5ヶ月、21ヶ月、21.5ヶ月、22ヶ月、23ヶ月、24ヶ月、25ヶ月、26ヶ月、27ヶ月、28ヶ月、29ヶ月、30ヶ月、31ヶ月、32ヶ月、33ヶ月、34ヶ月、35ヶ月、又は36ヶ月)の対象のDORをもたらす。
【0153】
いくつかの実施形態では、治療は、約7ヶ月~約25ヶ月(例えば、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、15.5、16.0、16.5、17.0、17.5、18.0、18.5、19.0、19.5、20.0、20.5、21.0、21.5、22.0、23.0、24.0又は25.0ヶ月、例えば、7.0~7.5、7.5~8.0、8.0~8.5、8.5~9.0、9.0~9.5、9.5~10.0、10.0~10.5、10.5~11.0、11.0~11.5、11.5~12.0、12.0~12.5、12.5~13.0、13.0~13.5、13.5~14.0、14.0~14.5、14.5~15.0、15.0~15.5、15.5~16.0、16.0~16.5、16.5~17.0、17.0~17.5、17.5~18.0、18.0~18.5、18.5~19.0、19.0~19.5、19.5~20.0、20.0~20.5、20.5~21.0、21.0~21.5、21.5~22.0、22.0~22.5、22.5~23.0、23.0~23.5、23.5~24.0、24.0~24.5又は24.5~25.0ヶ月)の対象の集団の中央値DORをもたらす。
【0154】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、治療に対する対象の応答(例えば、アテゾリズマブ及びチラゴルマブ)の集団は、1つ又は複数の尺度によって特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、対象の集団の治療は、ORR又はDCRの増加をもたらす。
【0155】
場合によっては、治療は、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体なしでPD-1軸結合アンタゴニストで治療した、又はPD-1軸結合アンタゴニストなしで抗TIGITアンタゴニスト抗体で治療した集団(例えば、コンパレータアーム)のORRと比較して、対象の集団においてORRの増加をもたらす。例えば、治療は、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体なしでPD-1軸結合アンタゴニストで治療したか、又はPD-1軸結合アンタゴニストなしで抗TIGITアンタゴニスト抗体で治療した集団(例えば、コンパレータアーム)のORRと比較して、対象の集団のORRの増加をもたらし得る。
【0156】
場合によっては、治療は、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体なしでPD-1軸結合アンタゴニストで治療した、又はPD-1軸結合アンタゴニストなしで抗TIGITアンタゴニスト抗体で治療した集団(例えば、コンパレータアーム)のDCRと比較して、対象の集団においてDCRの増加をもたらす。例えば、治療は、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体なしでPD-1軸結合アンタゴニストで治療したか、又はPD-1軸結合アンタゴニストなしで抗TIGITアンタゴニスト抗体で治療した集団(例えば、コンパレータアーム)のDCRと比較して、対象の集団のDCRの増加をもたらし得る。
【0157】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるように治療される対象の集団は、少なくとも約28%(例えば、28.0%、28.1%、28.2%、28.3%、28.4%、28.5%、28.6%、28.7%、28.8%、28.9%、29.0%、29.1%、29.2%、29.3%、29.4%、29.5%、29.6%、29.7%、29.8%、29.9%、30.0%、30.1%、30.2%、30.3%、30.4%、30.5%、30.6%、30.7%、30.8%、30.9%、31.0%、31.1%、31.2%、31.3%、31.4%、31.5%、31.6%、31.7%、31.8%、31.9%、32.0%、32.1%、32.2%、32.3%、32.4%、32.5%、32.6%、32.7%、32.8%、32.9%、33.0%、33.1%、33.2%、33.3%、33.4%、33.5%、33.6%、33.7%、33.8%、33.9%、34.0%、34.1%、34.2%、34.3%、34.4%、34.5%、34.6%、34.7%、34.8%、34.9%、35%、35.5%、40.0%、40.5%、41.0%、41.5%、42.0%、42.5%、43.0%、43.5%、44.0%、45.0%、46.0%、47.0%、48.0%、49.0%、50.0%、又は55.0%)のORRを有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるように治療される対象の集団は、約25%~約55%(例えば、25.0%~25.5%、25.5%~26.0%、26.0%~26.5%、26.5%~27.0%、27.0%~27.5%、27.5%~28.0%、28.0%~28.5%、28.5%~29.0%、29.0%~29.5%、29.5%~30.0%、30.0%~30.5%、30.5%~31.0%、31.0%~31.5%、31.5%~32.0%、32.0%~32.5%、32.5%~33.0%、33.0%~33.5%、33.5%~34.0%、34.0%~34.5%、34.5%~35.0%、35.0%~36.0%、36.0%~37.0%、37.0%~38.0%、38.0%~39.0%、39.0%~40.0%、40.0%~41.0%、41.0%~42.0%、42.0%~43.0%、43.0%~44.0%、44.0%~45.0%、45.0%~46.0%、46.0%~47.0%、47.0%~48.0%、48.0%~49.0%、49.0%~50.0%、50.0%~51.0%、51.0%~52.0%、52.0%~53.0%、53.0%~54.0%又は54.0%~55.0%)のORRを有する。
【0158】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるように治療される対象の集団は、少なくとも約50%(例えば、50.0%、50.1%、50.2%、50.3%、50.4%、50.5%、50.6%、50.7%、50.8%、50.9%、51.0%、51.1%、51.2%、51.3%、51.4%、51.5%、51.6%、51.7%、51.8%、51.9%、52.0%、52.1%、52.2%、52.3%、52.4%、52.5%、52.6%、52.7%、52.8%、52.9%、53.0%、53.1%、53.2%、53.3%、53.4%、53.5%、53.6%、53.7%、53.8%、53.9%、54.0%、54.1%、54.2%、54.3%、54.4%、54.5%、54.6%、54.7%、54.8%、54.9%、55.0%、55.1%、55.2%、55.3%、55.4%、55.5%、55.6%、55.7%、55.8%、55.9%、56.0%、56.1%、56.2%、56.3%、56.4%、56.5%、56.6%、56.7%、56.8%、56.9%、57%、57.5%、58.0%、58.5%、59.0%、59.5%、60.0%、60.5%、61.0%、61.5%、62.0%、63.0%、64.0%、65.0%、66.0%、67.0%、68.0%、又は73.0%)のDCRを有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるように治療される対象の集団は、約45%~約55%(例えば、45.0%~45.2%、45.2%~45.4%、45.4%~45.6%、45.6%~45.8%、45.8%~46.0%、46.0%~46.2%、46.2%~46.4%、46.4%~46.6%、46.6%~46.8%、46.8%~47.0%、47.0%~47.2%、47.2%~47.4%、47.4%~47.6%、47.6%~47.8%、47.8%~48.0%、48.0%~48.2%、48.2%~48.4%、48.4%~48.6%、48.6%~48.8%、48.8%~49.0%、49.0%~49.2%、49.2%~49.4%、49.4%~49.6%、49.6%~49.8%、49.8%~50.0%、50.0%~50.2%、50.2%~50.4%、50.4%~50.6%、50.6%~50.8%、50.8%~51.0%、51.0%~51.2%、51.2%~51.4%、51.4%~51.6%、51.6%~51.8%、51.8%~52.0%、52.0%~52.2%、52.2%~52.4%、52.4%~52.6%、52.6%~52.8%、52.8%~53.0%、53.0%~53.2%、53.2%~53.4%、53.4%~53.6%、53.6%~53.8%、53.8%~54.0%、54.0%~54.2%、54.2%~54.4%、54.4%~54.6%、54.6%~54.8%、又は54.8%~55.0%)のDCRを有する。
【0159】
III.黒色腫のための治療方法及び組成物
A.抗TIGITアンタゴニスト抗体並びにPD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体を含む方法
一態様では、黒色腫を有する対象を治療する方法であって、方法が、対象に、抗TIGITアンタゴニスト抗体、並びにプログラム細胞死タンパク質1(PD-1)に特異的に結合する第1の抗原結合ドメイン及びリンパ球活性化遺伝子3(LAG3)に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを含む、PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及び二重特異性抗体は、1つ又は複数の投与サイクルを含む投与レジメンで対象に投与される。
【0160】
いくつかの態様では、方法は、(a)抗TIGITアンタゴニスト抗体を約600mg(例えば、600mgの固定用量)の固定用量で3週間ごとに対象に投与することと、(b)二重特異性抗体を約2100mg(例えば、2100mgの固定用量)の固定用量で3週間ごとに投与することと、を含む。
【0161】
いくつかの態様では、方法は、(a)抗TIGITアンタゴニスト抗体を約600mg(例えば、600mgの固定用量)の固定用量で3週間ごとに対象に投与することと、(b)二重特異性抗体を約600mg(例えば、600mgの固定用量)の固定用量で3週間ごとに投与することと、を含む。
【0162】
いくつかの態様では、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さは、21日間である。いくつかの態様では、方法は、1つ又は複数の投与サイクルのそれぞれの約1日目(例えば、1日目に)に抗TIGITアンタゴニスト抗体及び二重特異性抗体を対象に投与することを含む。
【0163】
いくつかの態様では、方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体の前に二重特異性抗体を対象に投与することを含む。他の態様では、方法は、二重特異性抗体の前に抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象に投与することを含む。
【0164】
いくつかの態様では、方法は、二重特異性抗体及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象に静脈内投与することを含む。
【0165】
i.ネオアジュバント療法
いくつかの態様では、1つ以上の投与サイクルは、ネオアジュバント療法として投与される。
【0166】
いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体並びにPD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体は、ネオアジュバント療法として投与される。
【0167】
いくつかの態様では、黒色腫は、測定可能なリンパ節転移を伴うステージIII黒色腫である。
【0168】
いくつかの態様では、対象は、治療開始前6ヶ月以内にin-transit転移を有していなかった。
【0169】
いくつかの態様では、対象は以前にがん免疫療法で治療されたことがない。
【0170】
いくつかの態様では、黒色腫は、粘膜黒色腫又はブドウ膜黒色腫ではない。
【0171】
いくつかの態様では、第1の投与サイクルは手術の前に開始される。
【0172】
いくつかの態様では、少なくとも1つの投与サイクル又は(例えば、1、2、3、4、又は4回を超える投与サイクル)又は少なくとも2つの投与サイクル(例えば、2回、3回、4回、又は4回を超える投与サイクル)が手術前に完了する。いくつかの態様では、手術の前に2回の投与サイクルが完了する。
【0173】
いくつかの態様では、手術は、最後の投与サイクル後約1週間以内に行われる。
【0174】
いくつかの態様では、手術は完全リンパ節郭清(CLND)である。
【0175】
いくつかの態様では、治療は、参照pRRと比較した病理学的奏効率(pRR)の増加をもたらす。いくつかの態様では、参照pRRは、対照療法を受けたことがある対象の集団のpRRである。いくつかの態様では、コントロール療法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を含み、PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体を含まない療法;PD-1及びLAG3を標的とし、抗TIGITアンタゴニスト抗体を含まない二重特異性抗体を含む療法;又はイピリムマブ及びニボルマブを含む治療法である。
【0176】
いくつかの態様では、治療は、参照EFSと比較した無事象生存期間(EFS)の増加;参照RFSと比較した無再発生存率(RFS)の増加;参照OSと比較した全生存期間(OS)の増加;及び/又は参照ORRと比較した全奏効率(ORR)の増加をもたらす。いくつかの態様では、参照EFS、RFS、OS又はORRは、コントロール療法を受けたことがある対象の集団のうちの1つである。いくつかの態様では、コントロール療法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を含み、PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体を含まない療法;PD-1及びLAG3を標的とし、抗TIGITアンタゴニスト抗体を含まない二重特異性抗体を含む療法;又はイピリムマブ及びニボルマブを含む治療法である。
【0177】
ii.ステージIV黒色腫の治療
いくつかの態様では、黒色腫は、ステージIV黒色腫である。
【0178】
いくつかの態様では、(a)対象は、2つ以下の先行する全身治療ラインを受けているか、又は(b)黒色腫は、BRAF変異型黒色腫であり、対象は、3つ以下の先行する全身治療ラインを受けている。
【0179】
いくつかの態様では、治療は、参照ORRと比較した全奏効率(ORR)の上昇をもたらす。いくつかの態様では、参照ORRは、(a)PD-1及びLAG3を標的とし、抗TIGITアンタゴニスト抗体を含まない二重特異性抗体を含む治療;及び/又は(b)抗TIGITアンタゴニスト抗体を含み、PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体を含まない治療を受けた対象の集団のORRである。
【0180】
いくつかの態様では、治療は、参照PFSと比較した無増悪生存期間(PFS)の増加;参照DORと比較した応答持続時間(DOR)の増加;参照OSと比較したOSの増加;参照DCRと比較した疾患制御率(DCR、例えば12週間以上の安定疾患、完全寛解(CR)、又は部分寛解(PR))の増加をもたらす。いくつかの態様では、参照PFS、OS、DOR、又はDCRは、対照療法を受けたことがある対象の集団の1つである。いくつかの態様では、コントロール療法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を含み、PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体を含まない療法;PD-1及びLAG3を標的とし、抗TIGITアンタゴニスト抗体を含まない二重特異性抗体を含む療法;又はイピリムマブ及びニボルマブを含む治療法である。
【0181】
いくつかの態様では、対象はヒトである。
【0182】
B.PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体を含む方法
別の態様では、本開示は、黒色腫を有する対象を治療するための方法であって、PD-1に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、LAG3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含む、PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体を対象に投与することを含む方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、1つ以上の投与サイクルを含む投与レジメンで対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つ以上の投与サイクルは、ネオアジュバント療法として投与される。
【0183】
いくつかの態様では、方法は、二重特異性抗体を3週間ごとに約2100mgの固定用量(例えば、2100mgの固定用量)で対象に投与することを含む。
【0184】
いくつかの態様では、方法は、二重特異性抗体を3週間ごとに約600mgの固定用量(例えば、600mgの固定用量)で対象に投与することを含む。
【0185】
いくつかの態様では、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さは、21日間である。いくつかの態様では、方法は、1つ以上の投与サイクルのそれぞれの約1日目(例えば、1日目に)に二重特異性抗体を対象に投与することを含む。
【0186】
いくつかの態様では、方法は、二重特異性抗体を対象に静脈内投与することを含む。
【0187】
いくつかの態様では、黒色腫は、測定可能なリンパ節転移を伴うステージIII黒色腫である。
【0188】
いくつかの態様では、対象は、治療開始前6ヶ月以内にin-transit転移を有していなかった。
【0189】
いくつかの態様では、対象は以前にがん免疫療法で治療されたことがない。
【0190】
いくつかの態様では、黒色腫は、粘膜黒色腫又はブドウ膜黒色腫ではない。
【0191】
いくつかの態様では、第1の投与サイクルは手術の前に開始される。
【0192】
いくつかの態様では、少なくとも1つの投与サイクル又は(例えば、1、2、3、4、又は4回を超える投与サイクル)又は少なくとも2つの投与サイクル(例えば、2回、3回、4回、又は4回を超える投与サイクル)が手術前に完了する。いくつかの態様では、手術の前に2回の投与サイクルが完了する。
【0193】
いくつかの態様では、手術は、最後の投与サイクル後約1週間以内に行われる。
【0194】
いくつかの態様では、手術は完全リンパ節郭清(CLND)である。
【0195】
いくつかの態様では、治療は、参照pRRと比較した病理学的奏効率(pRR)の増加をもたらす。いくつかの態様では、参照pRRは、対照療法を受けたことがある対象の集団のpRRである。いくつかの態様では、対照療法は、イピリムマブ及びニボルマブを含む療法である。
【0196】
いくつかの態様では、治療は、参照EFSと比較した無事象生存期間(EFS)の増加;参照RFSと比較した無再発生存率(RFS)の増加;参照OSと比較した全生存期間(OS)の増加;及び/又は参照ORRと比較した全奏効率(ORR)の増加をもたらす。いくつかの態様では、参照EFS、RFS、OS又はORRは、コントロール療法を受けたことがある対象の集団のうちの1つである。いくつかの態様では、対照療法は、イピリムマブ及びニボルマブを含む療法である。
【0197】
いくつかの態様では、対象はヒトである。
【0198】
C.抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを含む方法
別の態様では、本開示は、黒色腫を有する対象を治療するための方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストの1つ以上の投与サイクルを対象に投与することを含み、1つ以上の投与サイクルがネオアジュバント療法として投与される、方法を特徴とする。別の態様では、本開示は、黒色腫を有する対象を治療する方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストがネオアジュバント療法として投与される方法を特徴とする。
【0199】
いくつかの態様では、方法は、(a)抗TIGITアンタゴニスト抗体を約600mgの固定用量(例えば、600mgの固定用量)で3週間ごと及び(b)PD-1軸結合アンタゴニストを約1200mgの固定用量(例えば、1200mgの固定用量)で3週間ごとに、対象に投与することを含む。
【0200】
いくつかの態様では、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さは、21日間である。
【0201】
いくつかの態様では、方法は、1つ又は複数の投与サイクルのそれぞれの約1日目(例えば、1日目に)に抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む。
【0202】
いくつかの態様では、該方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体の前にPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む。別の態様では、該方法は、PD-1軸結合アンタゴニストの前に抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象に投与することを含む。
【0203】
いくつかの態様では、方法は、対象にPD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を静脈内投与することを含む。
【0204】
いくつかの態様では、黒色腫は、測定可能なリンパ節転移を伴うステージIII黒色腫である。
【0205】
いくつかの態様では、対象は、治療開始前6ヶ月以内にin-transit転移を有していなかった。
【0206】
いくつかの態様では、対象は以前にがん免疫療法で治療されたことがない。
【0207】
いくつかの態様では、黒色腫は、粘膜黒色腫又はブドウ膜黒色腫ではない。
【0208】
いくつかの態様では、第1の投与サイクルは手術の前に開始される。
【0209】
いくつかの態様では、少なくとも1つの投与サイクル又は(例えば、1、2、3、4、又は4回を超える投与サイクル)又は少なくとも2つの投与サイクル(例えば、2回、3回、4回、又は4回を超える投与サイクル)が手術前に完了する。いくつかの態様では、手術の前に2回の投与サイクルが完了する。
【0210】
いくつかの態様では、手術は、最後の投与サイクル後約1週間以内に行われる。
【0211】
いくつかの態様では、手術は完全リンパ節郭清(CLND)である。
【0212】
いくつかの態様では、治療は、参照pRRと比較した病理学的奏効率(pRR)の増加をもたらす。いくつかの態様では、参照pRRは、対照療法を受けたことがある対象の集団のpRRである。いくつかの態様では、対照療法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を含み、PD-1軸結合アンタゴニストを含まない療法;PD-1軸結合アンタゴニストを含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体を含まない治療;又はイピリムマブ及びニボルマブを含む治療法である。
【0213】
いくつかの態様では、治療は、参照EFSと比較した無事象生存期間(EFS)の増加;参照RFSと比較した無再発生存率(RFS)の増加;参照OSと比較した全生存期間(OS)の増加;及び/又は参照ORRと比較した全奏効率(ORR)の増加をもたらす。いくつかの態様では、参照EFS、RFS、OS又はORRは、コントロール療法を受けたことがある対象の集団のうちの1つである。いくつかの態様では、対照療法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を含み、PD-1軸結合アンタゴニストを含まない療法;PD-1軸結合アンタゴニストを含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体を含まない治療;又はイピリムマブ及びニボルマブを含む治療法である。
【0214】
いくつかの態様では、対象はヒトである。
【0215】
D.黒色腫を治療する方法において使用するための薬剤
i.PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体
PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体の更なる例、並びにそのための投与レジメンが下記のXIセクションに提供される。
【0216】
ii.抗TIGITアンタゴニスト抗体
例示的な抗TIGITアンタゴニスト抗体及びその投与レジメンは、以下のセクションVI及びIXに提供される。
【0217】
iii.PD-1軸結合アンタゴニスト
例示的なPD-1軸結合アンタゴニスト及びそのための投与レジメンを以下のVIセクション及びXセクションに提供する。
【0218】
IV.CD20陽性細胞増殖性疾患のための治療方法及び組成物
CD20陽性細胞増殖性疾患(例えば、B細胞増殖性疾患、例えば、NHL(例えば、攻撃的NHL又は再発性若しくは難治性(R/R)NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象を治療する方法であって、対象にチラゴルマブ及びモスネツズマブを投与することを含む方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも2つの事前治療後に再発したか、又は事前治療に対して難治性である。
【0219】
A.チラゴルマブ及びモスネツズマブの投与のための治療方法
本発明は、再発性又は難治性の非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、B細胞増殖性疾患、例えば、NHL(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/R DLBCL、R/R FL(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)、又はR/R形質転換FL(trFL)))を有する対象を治療する方法であって、対象にチラゴルマブ及びモスネツズマブを投与する工程を含む方法を提供する。
【0220】
いくつかの態様では、R/R NHLは、R/R濾胞性リンパ腫(FL)、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)である。
【0221】
いくつかの態様では、R/R FLは、R/R変換FL(trFL)又はR/Rグレード3b FLである。
【0222】
いくつかの態様では、対象は、少なくとも2つ(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、又は少なくとも10;例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)の事前治療(例えば、事前の全身性治療)の後で再発しているか、又はそれに対して難治性である。
【0223】
いくつかの態様では、対象は、抗CD20モノクローナル抗体を含む少なくとも1つの(例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、又は少なくとも10;例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)事前治療の後で再発しているか、又はその治療に対して難治性である。
【0224】
いくつかの態様では、抗CD20モノクローナル抗体はリツキシマブ又はオビヌツズマブである。いくつかの態様では、抗CD20モノクローナル抗体はリツキシマブである。いくつかの態様では、抗CD20モノクローナル抗体はオビヌツズマブである。
【0225】
いくつかの態様では、対象は、アントラサイクリンを含む少なくとも1つの(例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、又は少なくとも10;例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)事前治療の後で再発しているか、又はその治療に対して難治性である。
【0226】
いくつかの態様では、アントラサイクリンはダウノマイシン又はドキソルビシンである。いくつかの態様では、アントラサイクリンはダウノマイシンである。一部の態様では、アントラサイクリンはドキソルビシンである。
【0227】
いくつかの態様では、対象は、アルキル化剤を含む少なくとも1つ(例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、又は少なくとも10;例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)の事前治療の後で再発したか、又はそれに対して難治性である。
【0228】
いくつかの態様では、アルキル化剤は、ベンダムスチン、カルボプラチン、シスプラチン又はシクロホスファミドである。いくつかの態様では、アルキル化剤は、ベンダムスチン、カルボプラチン、シスプラチン又はシクロホスファミドである。いくつかの態様では、アルキル化剤はベンダムスチンである。いくつかの態様では、アルキル化剤はカルボプラチンである。いくつかの態様では、アルキル化剤はシスプラチンである。いくつかの態様では、アルキル化剤はシクロホスファミドである。
【0229】
いくつかの態様では、対象は、自己幹細胞療法(ASCT)又はキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法に不適格である。いくつかの態様では、対象は自己幹細胞療法(ASCT)に不適格である。いくつかの態様では、対象は、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法に不適格である。
【0230】
いくつかの態様では、チラゴルマブ及びモスネツズマブは、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与レジメンで対象に投与され、(a)第1の投与サイクルは、第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ、第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1は1~10mg(例えば、1~9mg、1~8mg、1~7mg、1~6mg、2~9mg、3~9mg、4~9mg、3~7mg、4~6mg、4.5~5.5mg、1~5mg、5~10mg、2.5~5mg、又は5~7.5mg;例えば、約1mg、約2mg、約3mg、約3.5約4mg、約4.5mg、約4.8mg、約4.9mg、約5mg、約5.1mg、約5.2mg、約5.3mg、約5.5mg、約6mg、約6.5mg、約7mg、約8mg、約9mg、又は約10mg)であり、モスネツズマブのC1D2は40~50mg(例えば、41~49mg、41~48mg、41~47mg、41~46mg、42~49mg、43~49mg、44~49mg、43~47mg、44~46mg、44.5~45.5mg、41~45mg、45~50mg、42.5~45mg、又は45~47.5mg;例えば、約41mg、約42mg、約43mg、約43.5、約44mg、約44.5mg、約44.8mg、約44.9mg、約45mg、約45.1mg、約45.2mg、約45.3mg、約45.5mg、約46mg、約46.5mg、約47mg、約48mg、約49mg、又は約50mg)であり、モスネツズマブのC1D3は40~50mg(例えば、41~49mg、41~48mg、41~47mg、41~46mg、42~49mg、43~49mg、44~49mg、43~47mg、44~46mg、44.5~45.5mg、41~45mg、45~50mg、42.5~45mg、又は45~47.5mg;例えば、約41mg、約42mg、約43mg、約43.5約44mg、約44.5mg、約44.8mg、約44.9mg、約45mg、約45.1mg、約45.2mg、約45.3mg、約45.5mg、約46mg、約46.5mg、約47mg、約48mg、約49mg、又は約50mg)であり、(b)第2の投与サイクルは、単回用量(C2D1)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC2D1は、40~50mg(例えば、41~49mg、41~48mg、41~47mg、41~46mg、42~49mg、43~49mg、44~49mg、43~47mg、44~46mg、44.5~45.5mg、41~45mg、45~50mg、42.5~45mg、又は45~47.5mg;例えば、約41mg、約42mg、約43mg、約43.5約44mg、約44.5mg、約44.8mg、約44.9mg、約45mg、約45.1mg、約45.2mg、約45.3mg、約45.5mg、約46mg、約46.5mg、約47mg、約48mg、約49mg、又は約50mg)である。
【0231】
いくつかの態様では、チラゴルマブ及びモスネツズマブは、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与レジメンで対象に投与され、ここで、(a)第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ、第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、ここで、モスネツズマブのC1D1は約5mgであり、モスネツズマブのC1D2は約45mgであり、モスネツズマブのC1D3は約45mgであり、及び(b)第2の投与サイクルが、単回用量(C2D1)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC2D1が約45mgである。いくつかの態様では、C1D1はモスネツズマブ5mgのものであり、モスネツズマブのC1D2は45mgであり、モスネツズマブのC1D3は45mgであり、モスネツズマブのC2D1は45mgである。
【0232】
いくつかの態様では、チラゴルマブ及びモスネツズマブは、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与レジメンで対象に投与され、(a)第1の投与サイクルは、第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ、第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1は1~10mg(例えば、1~9mg、1~8mg、1~7mg、1~6mg、2~9mg、3~9mg、4~9mg、3~7mg、4~6mg、4.5~5.5mg、1~5mg、5~10mg、2.5~5mg、又は5~7.5mg;例えば、約1mg、約2mg、約3mg、約3.5約4mg、約4.5mg、約4.8mg、約4.9mg、約5mg、約5.1mg、約5.2mg、約5.3mg、約5.5mg、約6mg、約6.5mg、約7mg、約8mg、約9mg、又は約10mg)であり、モスネツズマブのC1D2は10~20mg(例えば、11~19mg、11~18mg、11~17mg、11~16mg、12~19mg、13~19mg、14~19mg、13~17mg、14~16mg、14.5~15.5mg、11~15mg、15~20mg、12.5~15mg、又は15~17.5mg;例えば、約11mg、約12mg、約13mg、約13.5約14mg、約14.5mg、約14.8mg、約14.9mg、約15mg、約15.1mg、約15.2mg、約15.3mg、約15.5mg、約16mg、約16.5mg、約17mg、約18mg、約19mg、又は約20mg)であり、モスネツズマブのC1D3は40~50mg(例えば、41~49mg、41~48mg、41~47mg、41~46mg、42~49mg、43~49mg、44~49mg、43~47mg、44~46mg、44.5~45.5mg、41~45mg、45~50mg、42.5~45mg、又は45~47.5mg;例えば、約41mg、約42mg、約43mg、約43.5約44mg、約44.5mg、約44.8mg、約44.9mg、約45mg、約45.1mg、約45.2mg、約45.3mg、約45.5mg、約46mg、約46.5mg、約47mg、約48mg、約49mg、又は約50mg)であり、(b)第2の投与サイクルが、単回用量(C2D1)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC2D1が、40~50mg(例えば、41~49mg、41~48mg、41~47mg、41~46mg、42~49mg、43~49mg、44~49mg、43~47mg、44~46mg、44.5~45.5mg、41~45mg、45~50mg、42.5~45mg、又は45~47.5mg;例えば、約41mg、約42mg、約43mg、約43.5約44mg、約44.5mg、約44.8mg、約44.9mg、約45mg、約45.1mg、約45.2mg、約45.3mg、約45.5mg、約46mg、約46.5mg、約47mg、約48mg、約49mg、又は約50mg)である。
【0233】
いくつかの態様では、チラゴルマブ及びモスネツズマブは、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与レジメンで対象に投与され、ここで、(a)第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ、第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、ここで、モスネツズマブのC1D1は約5mgであり、モスネツズマブのC1D2は約15mgであり、モスネツズマブのC1D3は約45mgであり、及び(b)第2の投与サイクルが、単回用量(C2D1)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC2D1が約45mgである。いくつかの態様では、C1D1はモスネツズマブ5mgのものであり、モスネツズマブのC1D2は15mgであり、モスネツズマブのC1D3は45mgであり、モスネツズマブのC2D1は45mgである。
【0234】
いくつかの態様では、チラゴルマブ及びモスネツズマブは、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与レジメンで対象に投与され、(a)第1の投与サイクルは、第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ、第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、ここで、モスネツズマブのC1D1は0.5mg~2mg(例えば、0.5mg~1mg、1mg~2mg、1mg~1.5mg、0.75mg~1.25mg、0.8mg~1.2mg、又は0.9mg~2.1mg;例えば、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約1.1mg、約1.2mg、約1.3mg、約1.4mg、約1.5mg、約1.6mg、約1.7mg、約1.8mg、約1.9mg、又は約2.0mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約2mgであり、モスネツズマブのC1D3は25mg~35mg(例えば、26mg~35mg、27mg~35mg、28mg~35mg、29mg~35mg、26mg~34mg、26mg~33mg、26mg~32mg、26mg~31mg、27.5mg~32.5mg、28mg~32mg、29mg~31mg、25mg~30mg、又は30mg~35mg;例えば、約25mg、約26mg、約27mg、約28mg、約28.5mg、約29mg、約29.5mg、約29.8mg、約29.9mg、約30mg、約30.1mg、約30.2mg、約30.5mg、約31mg、約31.5mg、約32mg、約33mg、約34mg、又は約35mg)であり、(b)第2の投与サイクルが、単回用量(C2D1)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC2D1が、25mg~35mg(例えば、26mg~35mg、27mg~35mg、28mg~35mg、29mg~35mg、26mg~34mg、26mg~33mg、26mg~32mg、26mg~31mg、27.5mg~32.5mg、28mg~32mg、29mg~31mg、25mg~30mg、又は30mg~35mg;例えば、約25mg、約26mg、約27mg、約28mg、約28.5mg、約29mg、約29.5mg、約29.8mg、約29.9mg、約30mg、約30.1mg、約30.2mg、約30.5mg、約31mg、約31.5mg、約32mg、約33mg、約34mg、又は約35mg)である。
【0235】
いくつかの態様では、チラゴルマブ及びモスネツズマブは、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与レジメンで対象に投与され、ここで、(a)第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ、第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、ここで、モスネツズマブのC1D1は約1mgであり、モスネツズマブのC1D2は約2mgであり、モスネツズマブのC1D3は約30mgであり、及び(b)第2の投与サイクルが、単回用量(C2D1)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC2D1が約30mgである。いくつかの態様では、C1D1はモスネツズマブ1mgであり、モスネツズマブのC1D2は2mgであり、モスネツズマブのC1D3は30mgであり、モスネツズマブのC2D1は30mgである。
【0236】
いくつかの態様では、チラゴルマブ及びモスネツズマブは、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与レジメンで対象に投与され、(a)第1の投与サイクルは、第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ、第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、ここで、モスネツズマブのC1D1は0.5mg~2mg(例えば、0.5mg~1mg、1mg~2mg、1mg~1.5mg、0.75mg~1.25mg、0.8mg~1.2mg、又は0.9mg~2.1mg;例えば、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約1.1mg、約1.2mg、約1.3mg、約1.4mg、約1.5mg、約1.6mg、約1.7mg、約1.8mg、約1.9mg、又は約2.0mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約2mgであり、モスネツズマブのC1D3は55mg~65mg(例えば、56mg~65mg、57mg~65mg、58mg~65mg、59mg~65mg、56mg~64mg、56mg~63mg、56mg~62mg、56mg~61mg、57.5mg~62.5mg、58mg~62mg、59mg~61mg、55mg~60mg、又は60mg~65mg;例えば、約55mg、約56mg、約57mg、約58mg、約58.5mg、約59mg、約59.5mg、約59.8mg、約59.9mg、約60mg、約60.1mg、約60.2mg、約60.5mg、約61mg、約61.5mg、約62mg、約63mg、約64mg、又は約65mg)であり、(b)第2の投与サイクルが、単回用量(C2D1)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC2D1が、約60mg(例えば、56mg~65mg、57mg~65mg、58mg~65mg、59mg~65mg、56mg~64mg、56mg~63mg、56mg~62mg、56mg~61mg、57.5mg~62.5mg、58mg~62mg、59mg~61mg、55mg~60mg、又は60mg~65mg;例えば、約55mg、約56mg、約57mg、約58mg、約58.5mg、約59mg、約59.5mg、約59.8mg、約59.9mg、約60mg、約60.1mg、約60.2mg、約60.5mg、約61mg、約61.5mg、約62mg、約63mg、約64mg、又は約65mg)である。
【0237】
いくつかの態様では、チラゴルマブ及びモスネツズマブは、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与レジメンで対象に投与され、ここで、(a)第1の投与サイクルが、第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ、第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、ここで、モスネツズマブのC1D1は約1mgであり、モスネツズマブのC1D2は約2mgであり、モスネツズマブのC1D3は約60mgであり、及び(b)第2の投与サイクルが、単回用量(C2D1)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC2D1が約60mgである。いくつかの態様では、C1D1はモスネツズマブ1mgであり、モスネツズマブのC1D2は2mgであり、モスネツズマブのC1D3は60mgであり、モスネツズマブのC2D1は60mgである。
【0238】
いくつかの態様では、第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルは各々21日間の投与サイクル(±1日)である。いくつかの態様では、第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルは各々28日間の投与サイクル(±1日)である。いくつかの態様では、第1の投与サイクルは21日間の投与サイクル(±1日)であり、第2の投与サイクルは28日間の投与サイクル(±1日)である。
【0239】
いくつかの態様では、モスネツズマブのC1D1、C1D2、及びC1D3は、それぞれ第1の投与サイクルの1日目、8日目(±1日)、及び15日目(±1日)又はその前後に投与される。いくつかの態様では、モスネツズマブのC1D1、C1D2、及びC1D3は、それぞれ第1の投与サイクルの1日目、8日目、及び15日目に投与される。
【0240】
いくつかの態様では、モスネツズマブのC2D1は、第2の投与サイクルの1日目に投与される。
【0241】
いくつかの態様では、第1の投与サイクルは、単回用量(C1D1)のチラゴルマブを含む。
【0242】
いくつかの態様では、チラゴルマブのC1D1は、最初の投与サイクルの1日目に投与される。
【0243】
いくつかの態様では、チラゴルマブのC1D1は、約30mg~約1200mg(例えば、約30mg~約1100mg、例えば、約60mg~約1000mg、例えば、約100mg~約900mg、例えば、約200mg~約800mg、例えば、約300mg~約800mg、例えば、約400mg~約800mg、例えば、約400mg~約750mg、例えば、約450mg~約750mg、例えば、約500mg~約700mg、例えば、約550mg~約650mg、例えば、600mg±10mg、例えば、600±6mg、例えば、600±5mg、例えば、600±3mg、例えば、600±1mg、例えば、600±0.5mg、例えば、600mg)である。いくつかの態様では、チラゴルマブのC1D1は約600mgである。いくつかの態様では、チラゴルマブのC1D1は600mgである。
【0244】
いくつかの態様では、チラゴルマブのC1D1は、モスネツズマブのC1D1の投与後に投与される。いくつかの態様では、チラゴルマブのC1D1は、モスネツズマブのC1D1の投与と同時に投与される。
【0245】
いくつかの態様では、チラゴルマブは、最初の投与サイクル中に対象に投与されない
【0246】
いくつかの態様では、第2の投与サイクルは、単回用量(C2D1)のチラゴルマブを含む。
【0247】
いくつかの態様では、チラゴルマブのC2D1は、第2の投与サイクルの1日目に投与される。
【0248】
いくつかの態様では、チラゴルマブのC2D1は、約30mg~約1200mg(例えば、約30mg~約1100mg、例えば、約60mg~約1000mg、例えば、約100mg~約900mg、例えば、約200mg~約800mg、例えば、約300mg~約800mg、例えば、約400mg~約800mg、例えば、約400mg~約750mg、例えば、約450mg~約750mg、例えば、約500mg~約700mg、例えば、約550mg~約650mg、例えば、600mg±10mg、例えば、600±6mg、例えば、600±5mg、例えば、600±3mg、例えば、600±1mg、例えば、600±0.5mg、例えば、600mg)である。いくつかの態様では、チラゴルマブのC2D1は約600mgである。いくつかの態様では、チラゴルマブのC2D1は600mgである。
【0249】
いくつかの態様では、チラゴルマブのC2D1は、モスネツズマブのC2D1の投与後に投与される。いくつかの態様では、チラゴルマブのC2D1は、モスネツズマブのC2D1の投与と同時に投与される。
【0250】
いくつかの態様では、投与レジメンは、対象にアテゾリズマブを投与することを更に含む。
【0251】
いくつかの態様では、第2の投与サイクルは、アテゾリズマブの単回用量(C2D1)を含む。
【0252】
いくつかの態様では、アテゾリズマブのC2D1は、第2の投与サイクルの1日目に投与される。
【0253】
一部の態様では、アテゾリズマブのC2D1は約80mg~約1600mg(例えば、約100mg~約1600mg、例えば、約200mg~約1600mg、例えば、約300mg~約1600mg、例えば、約400mg~約1600mg、例えば、約500mg~約1600mg、例えば、約600mg~約1600mg、例えば、約700mg~約1600mg、例えば、約800mg~約1600mg、例えば、約900mg~約1500mg、例えば、約1000mg~約1400mg、例えば、約1050mg~約1350mg、例えば、約1100mg~約1300mg、例えば、約1150mg~約1250mg、例えば、約1175mg~約1225mg、例えば、約1190mg~約1210mg、例えば、1200mg±5mg、例えば、1200±2.5mg、例えば、1200±1.0mg、例えば、1200±0.5mg、例えば、1200)である。一部の態様では、アテゾリズマブのC2D1は約1200mgである。一部の態様では、アテゾリズマブのC2D1は1200mgである。
【0254】
いくつかの態様では、アテゾリズマブのC2D1は、チラゴルマブのC2D1の投与後に投与される。
【0255】
いくつかの態様では、アテゾリズマブは、最初の投与サイクル中に対象に投与されない。
【0256】
いくつかの態様では、投与レジメンは、1回又は複数回(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15以上)の追加の投与サイクルを更に含む。
【0257】
いくつかの態様では、投与レジメンは、6回~15回(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15)の追加の投与サイクルを更に含む。
【0258】
いくつかの態様では、投与レジメンは、6回の追加の投与サイクルを更に含む。
【0259】
いくつかの態様では、投与レジメンは、15回の追加の投与サイクルを更に含む。
【0260】
いくつかの態様では、それぞれの追加の投与サイクルは、21日間の投与サイクル(±1日)である。いくつかの態様では、それぞれの追加の投与サイクルは、28日間の投与サイクル(±1日)である。
【0261】
いくつかの態様では、各追加の投与サイクルは、追加用量のモスネツズマブの投与を含む。
【0262】
いくつかの態様では、モスネツズマブの各追加用量は、40~50mg(例えば、41~49mg、41~48mg、41~47mg、41~46mg、42~49mg、43~49mg、44~49mg、43~47mg、44~46mg、44.5~45.5mg、41~45mg、45~50mg、42.5~45mg、又は45~47.5mg;例えば、約41mg、約42mg、約43mg、約43.5約44mg、約44.5mg、約44.8mg、約44.9mg、約45mg、約45.1mg、約45.2mg、約45.3mg、約45.5mg、約46mg、約46.5mg、約47mg、約48mg、約49mg、又は約50mg)である。いくつかの態様では、モスネツズマブの各追加用量は約45mgである。いくつかの態様では、モスネツズマブの各追加用量は45mgである。
【0263】
いくつかの態様では、モスネツズマブの各追加用量は、25mg~35mg(例えば、26mg~35mg、27mg~35mg、28mg~35mg、29mg~35mg、26mg~34mg、26mg~33mg、26mg~32mg、26mg~31mg、27.5mg~32.5mg、28mg~32mg、29mg~31mg、25mg~30mg、又は30mg~35mg;例えば、約25mg、約26mg、約27mg、約28mg、約28.5mg、約29mg、約29.5mg、約29.8mg、約29.9mg、約30mg、約30.1mg、約30.2mg、約30.5mg、約31mg、約31.5mg、約32mg、約33mg、約34mg、又は約35mg)である。いくつかの態様では、モスネツズマブの各追加用量は約30mgである。いくつかの態様では、モスネツズマブの各追加用量は30mgである。
【0264】
いくつかの態様では、各追加用量のモスネツズマブは、各対応する追加の投与サイクルの1日目に投与される。
【0265】
いくつかの態様では、各追加の投与サイクルは、追加用量のチラゴルマブの投与を含む。
【0266】
いくつかの態様では、各追加用量のチラゴルマブは、約30mg~約1200mg(例えば、約30mg~約1100mg、例えば、約60mg~約1000mg、例えば、約100mg~約900mg、例えば、約200mg~約800mg、例えば、約300mg~約800mg、例えば、約400mg~約800mg、例えば、約400mg~約750mg、例えば、約450mg~約750mg、例えば、約500mg~約700mg、例えば、約550mg~約650mg、例えば、600mg±10mg、例えば、600±6mg、例えば、600±5mg、例えば、600±3mg、例えば、600±1mg、例えば、600±0.5mg、例えば、600mg)である。いくつかの態様では、チラゴルマブの各追加用量は約600mgである。いくつかの態様では、チラゴルマブの各追加用量は600mgである。
【0267】
いくつかの態様では、チラゴルマブの各追加用量は、各対応する追加の投与サイクルの1日目に投与される。
【0268】
いくつかの態様では、各追加用量のチラゴルマブは、各追加用量のモスネツズマブの投与後に投与される。いくつかの態様では、各追加用量のチラゴルマブは、各追加用量のモスネツズマブの投与と同時に投与される。
【0269】
いくつかの態様では、各追加の投与サイクルは、追加用量のアテゾリズマブの投与を含む。
【0270】
一部の態様では、各追加用量のアテゾリズマブは約80mg~約1600mg(例えば、約100mg~約1600mg、例えば、約200mg~約1600mg、例えば、約300mg~約1600mg、例えば、約400mg~約1600mg、例えば、約500mg~約1600mg、例えば、約600mg~約1600mg、例えば、約700mg~約1600mg、例えば、約800mg~約1600mg、例えば、約900mg~約1500mg、例えば、約1000mg~約1400mg、例えば、約1050mg~約1350mg、例えば、約1100mg~約1300mg、例えば、約1150mg~約1250mg、例えば、約1175mg~約1225mg、例えば、約1190mg~約1210mg、例えば、1200mg±5mg、例えば、1200±2.5mg、例えば、1200±1.0mg、例えば、1200±0.5mg、例えば、1200)である。いくつかの態様では、アテゾリズマブの各追加用量は約1200mgである。いくつかの態様では、アテゾリズマブの各追加用量は1200mgである。
【0271】
いくつかの態様では、アテゾリズマブの各追加用量は、各対応する追加の投与サイクルの1日目に投与される。
【0272】
いくつかの態様では、アテゾリズマブの各追加用量は、チラゴルマブの各追加用量の投与後に投与される。
【0273】
いくつかの態様では、チラゴルマブは、対象に静脈内投与される。
【0274】
いくつかの態様では、モスネツズマブは、対象に皮下投与される。いくつかの態様では、モスネツズマブは、対象に静脈内投与される。いくつかの態様では、各用量のモスネツズマブは対象に皮下投与される。いくつかの態様では、各用量のモスネツズマブは対象に静脈内投与される。
【0275】
いくつかの態様では、アテゾリズマブは対象に静脈内投与される。
【0276】
いくつかの態様では、方法は、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)の追加の治療剤を対象に投与することを更に含む。
【0277】
いくつかの態様では、1つ以上の追加の治療剤は、IL-6Rアンタゴニスト又はコルチコステロイドである。いくつかの態様では、1つ以上の追加の治療剤はIL-6Rアンタゴニストである。いくつかの態様では、1つ以上の追加の治療剤はコルチコステロイドである。
【0278】
いくつかの態様では、IL-6Rアンタゴニストはトシリズマブである。
【0279】
いくつかの態様では、コルチコステロイドは、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン又はプレドニゾンである。いくつかの態様では、コルチコステロイドは、メチルプレドニゾロンである。いくつかの態様では、コルチコステロイドは、デキサメタゾンである。いくつかの態様では、コルチコステロイドはプレドニゾンである。
【0280】
いくつかの態様では、対象はヒトである。
【0281】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを皮下投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与されるモスネツズマブの第1の用量(C1D1)、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第2の用量(C1D2)、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第3の用量(C1D3)を含み、モスネツズマブのC1D1が約5mg(例えば、5mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約45mg(例えば、45mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約45mg(例えば、45mg)であり、(b)第2の投与サイクルが、第2の投与サイクルの1日目に投与される、単回用量(C2D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C2D1)のチラゴルマブを含み、ここで、モスネツズマブのC2D1は、約45mg(例えば、45mg)であり、チラゴルマブのC2D1は、約600mg(例えば、600mg)である。
【0282】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを皮下投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与されるモスネツズマブの第1の用量(C1D1)及び単回用量(C1D1)のチラゴルマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第2の用量(C1D2)、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第3の用量(C1D3)を含み、モスネツズマブのC1D1が約5mg(例えば、5mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約45mg(例えば、45mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約45mg(例えば、45mg)であり、(b)第2の投与サイクルが、第2の投与サイクルの1日目に投与される、単回用量(C2D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C2D1)のチラゴルマブを含み、ここで、モスネツズマブのC2D1は、約45mg(例えば、45mg)であり、各単回用量のチラゴルマブのC1D1及びC2D1は、約600mg(例えば、600mg)である。
【0283】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、対象の集団にアテゾリズマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを皮下投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与されるモスネツズマブの第1の用量(C1D1)、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第2の用量(C1D2)、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第3の用量(C1D3)を含み、モスネツズマブのC1D1が約5mg(例えば、5mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約45mg(例えば、45mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約45mg(例えば、45mg)であり、(b)第2の投与サイクルが、第2の投与サイクルの1日目に投与される、単回用量(C2D1)のモスネツズマブ、単回用量(C2D1)のチラゴルマブ、及び単回用量(C2D1)のアテゾリズマブを含み、ここで、モスネツズマブのC2D1は約45mg(例えば、45mg)であり、チラゴルマブのC2D1は約600mg(例えば、600mg)であり、アテゾリズマブのC2D1は約1200mg(例えば、1200mg)である。
【0284】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、対象の集団にアテゾリズマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを皮下投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与されるモスネツズマブの第1の用量(C1D1)、及び単回用量(C1D1)のチラゴルマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第2の用量(C1D2)、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第3の用量(C1D3)を含み、モスネツズマブのC1D1が約5mg(例えば、5mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約45mg(例えば、45mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約45mg(例えば、45mg)であり、(b)第2の投与サイクルが、第2の投与サイクルの1日目に投与される、単回用量(C2D1)のモスネツズマブ、単回用量(C2D1)のチラゴルマブ、及び単回用量(C2D1)のアテゾリズマブを含み、ここで、モスネツズマブのC2D1は、約45mg(例えば、45mg)であり、アテゾリズマブのC2D1は、約1200mg(例えば、1200mg)であり、及び、ここで、チラゴルマブの各単回用量C1D1及びC2D1は、約600mg(例えば、600mg)である。
【0285】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、8回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを皮下投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約5mg(例えば、5mg)であり、モスネツズマブのC1D2が約45mg(例えば、45mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約45mg(例えば、45mg)であり、(b)第2~第8の投与サイクルがそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される単回用量(C2D1-C8D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C2D1-C8D1)のチラゴルマブを含み、ここで、モスネツズマブの各単回用量C2D1-C8D1は約45mg(例えば、45mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C2D1-C8D1は約600mg(例えば、600mg)である。
【0286】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、8回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを皮下投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C1D1)のチラゴルマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約5mg(例えば、5mg)であり、モスネツズマブのC1D2が約45mg(例えば、45mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約45mg(例えば、45mg)であり、(b)第2~第8の投与サイクルがそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される単回用量(C2D1-C8D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C2D1-C8D1)のチラゴルマブを含み、ここで、モスネツズマブの各単回用量C2D1-C8D1は約45mg(例えば、45mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C1D1-C8D1は約600mg(例えば、600mg)である。
【0287】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、8回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、対象の集団にアテゾリズマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを皮下投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約5mg(例えば、5mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約45mg(例えば、45mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約45mg(例えば、45mg)であり、(b)第2~第8の投与サイクルはそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される、モスネツズマブの単回用量(C2D1-C8D1)、チラゴルマブの単回用量(C2D1-C8D1)、及びアテゾリズマブの単回用量(C2D1-C8D1)を含み、ここで、モスネツズマブの各単回用量C2D1-C8D1は約45mg(例えば、45mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C2D1-C8D1は約600mg(例えば、600mg)であり、アテゾリズマブの各単回用量C2D1-C8D1は約1200mg(例えば、1200mg)である。
【0288】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、8回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、対象の集団にアテゾリズマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを皮下投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C1D1)のチラゴルマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約5mg(例えば、5mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約45mg(例えば、45mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約45mg(例えば、45mg)であり、(b)第2~第8の投与サイクルはそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される、モスネツズマブの単回用量(C2D1-C8D1)、チラゴルマブの単回用量(C2D1-C8D1)、及びアテゾリズマブの単回用量(C2D1-C8D1)を含み、ここで、モスネツズマブの各単回用量C2D1-C8D1は約45mg(例えば、45mg)であり、アテゾリズマブの各単回用量C2D1-C8D1は約1200mg(例えば、1200mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C1D1-C8D1は約600mg(例えば、600mg)である。
【0289】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、17回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを皮下投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約5mg(例えば、5mg)であり、モスネツズマブのC1D2が約45mg(例えば、45mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約45mg(例えば、45mg)であり、(b)第2~第17の投与サイクルがそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される単回用量(C2D1-C17D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C2D1-C17D1)のチラゴルマブを含み、ここで、モスネツズマブの各単回用量C2D1-C17D1は約45mg(例えば、45mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C2D1-C17D1は約600mg(例えば、600mg)である。
【0290】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、17回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを皮下投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C1D1)のチラゴルマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約5mg(例えば、5mg)であり、モスネツズマブのC1D2が約45mg(例えば、45mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約45mg(例えば、45mg)であり、(b)第2~第17の投与サイクルがそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される単回用量(C2D1-C17D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C2D1-C17D1)のチラゴルマブを含み、ここで、モスネツズマブの各単回用量C2D1-C17D1は約45mg(例えば、45mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C1D1-C17D1は約600mg(例えば、600mg)である。
【0291】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、17回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、対象の集団にアテゾリズマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを皮下投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約5mg(例えば、5mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約45mg(例えば、45mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約45mg(例えば、45mg)であり、(b)第2~第17の投与サイクルはそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される、モスネツズマブの単回用量(C2D1-C17D1)、チラゴルマブの単回用量(C2D1-C17D1)、及びアテゾリズマブの単回用量(C2D1-C17D1)を含み、ここで、モスネツズマブの各単回用量C2D1-C17D1は約45mg(例えば、45mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C2D1-C17D1は約600mg(例えば、600mg)であり、アテゾリズマブの各単回用量C2D1-C17D1は約1200mg(例えば、1200mg)である。
【0292】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、17回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、対象の集団にアテゾリズマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを皮下投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C1D1)のチラゴルマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約5mg(例えば、5mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約45mg(例えば、45mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約45mg(例えば、45mg)であり、(b)第2~第17の投与サイクルはそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される、モスネツズマブの単回用量(C2D1-C17D1)、チラゴルマブの単回用量(C2D1-C17D1)、及びアテゾリズマブの単回用量(C2D1-C17D1)を含み、ここで、モスネツズマブの各単回用量C2D1-C17D1は約45mg(例えば、45mg)であり、アテゾリズマブの各単回用量C2D1-C17D1は約1200mg(例えば、1200mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C1D1-C17D1は約600mg(例えば、600mg)である。
【0293】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを皮下投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与されるモスネツズマブの第1の用量(C1D1)、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第2の用量(C1D2)、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第3の用量(C1D3)を含み、モスネツズマブのC1D1が約5mg(例えば、5mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約15mg(例えば、15mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約45mg(例えば、45mg)であり、(b)第2の投与サイクルが、第2の投与サイクルの1日目に投与される、単回用量(C2D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C2D1)のチラゴルマブを含み、ここで、モスネツズマブのC2D1は、約45mg(例えば、45mg)であり、チラゴルマブのC2D1は、約600mg(例えば、600mg)である。
【0294】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを皮下投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与されるモスネツズマブの第1の用量(C1D1)及び単回用量(C1D1)のチラゴルマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第2の用量(C1D2)、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第3の用量(C1D3)を含み、モスネツズマブのC1D1が約5mg(例えば、5mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約15mg(例えば、15mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約45mg(例えば、45mg)であり、(b)第2の投与サイクルが、第2の投与サイクルの1日目に投与される、単回用量(C2D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C2D1)のチラゴルマブを含み、ここで、モスネツズマブのC2D1は、約45mg(例えば、45mg)であり、各単回用量のチラゴルマブのC1D1及びC2D1は、約600mg(例えば、600mg)である。
【0295】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、対象の集団にアテゾリズマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを皮下投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与されるモスネツズマブの第1の用量(C1D1)、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第2の用量(C1D2)、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第3の用量(C1D3)を含み、モスネツズマブのC1D1が約5mg(例えば、5mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約15mg(例えば、15mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約45mg(例えば、45mg)であり、(b)第2の投与サイクルが、第2の投与サイクルの1日目に投与される、単回用量(C2D1)のモスネツズマブ、単回用量(C2D1)のチラゴルマブ、及び単回用量(C2D1)のアテゾリズマブを含み、ここで、モスネツズマブのC2D1は約45mg(例えば、45mg)であり、チラゴルマブのC2D1は約600mg(例えば、600mg)であり、アテゾリズマブのC2D1は約1200mg(例えば、1200mg)である。
【0296】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、対象の集団にアテゾリズマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを皮下投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与されるモスネツズマブの第1の用量(C1D1)、及び単回用量(C1D1)のチラゴルマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第2の用量(C1D2)、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第3の用量(C1D3)を含み、モスネツズマブのC1D1が約5mg(例えば、5mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約15mg(例えば、15mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約45mg(例えば、45mg)であり、(b)第2の投与サイクルが、第2の投与サイクルの1日目に投与される、単回用量(C2D1)のモスネツズマブ、単回用量(C2D1)のチラゴルマブ、及び単回用量(C2D1)のアテゾリズマブを含み、ここで、モスネツズマブのC2D1は、約45mg(例えば、45mg)であり、アテゾリズマブのC2D1は、約1200mg(例えば、1200mg)であり、及び、ここで、チラゴルマブの各単回用量C1D1及びC2D1は、約600mg(例えば、600mg)である。
【0297】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、8回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを皮下投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約5mg(例えば、5mg)であり、モスネツズマブのC1D2が約15mg(例えば、15mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約45mg(例えば、45mg)であり、(b)第2~第8の投与サイクルがそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される単回用量(C2D1-C8D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C2D1-C8D1)のチラゴルマブを含み、ここで、モスネツズマブの各単回用量C2D1-C8D1は約45mg(例えば、45mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C2D1-C8D1は約600mg(例えば、600mg)である。
【0298】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、8回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを皮下投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C1D1)のチラゴルマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約5mg(例えば、5mg)であり、モスネツズマブのC1D2が約15mg(例えば、15mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約45mg(例えば、45mg)であり、(b)第2~第8の投与サイクルがそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される単回用量(C2D1-C8D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C2D1-C8D1)のチラゴルマブを含み、ここで、モスネツズマブの各単回用量C2D1-C8D1は約45mg(例えば、45mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C1D1-C8D1は約600mg(例えば、600mg)である。
【0299】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、8回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、対象の集団にアテゾリズマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを皮下投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約5mg(例えば、5mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約15mg(例えば、15mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約45mg(例えば、45mg)であり、(b)第2~第8の投与サイクルはそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される、モスネツズマブの単回用量(C2D1-C8D1)、チラゴルマブの単回用量(C2D1-C8D1)、及びアテゾリズマブの単回用量(C2D1-C8D1)を含み、ここで、モスネツズマブの各単回用量C2D1-C8D1は約45mg(例えば、45mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C2D1-C8D1は約600mg(例えば、600mg)であり、アテゾリズマブの各単回用量C2D1-C8D1は約1200mg(例えば、1200mg)である。
【0300】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、8回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、対象の集団にアテゾリズマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを皮下投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C1D1)のチラゴルマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約5mg(例えば、5mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約15mg(例えば、15mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約45mg(例えば、45mg)であり、(b)第2~第8の投与サイクルはそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される、モスネツズマブの単回用量(C2D1-C8D1)、チラゴルマブの単回用量(C2D1-C8D1)、及びアテゾリズマブの単回用量(C2D1-C8D1)を含み、ここで、モスネツズマブの各単回用量C2D1-C8D1は約45mg(例えば、45mg)であり、アテゾリズマブの各単回用量C2D1-C8D1は約1200mg(例えば、1200mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C1D1-C8D1は約600mg(例えば、600mg)である。
【0301】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、17回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを皮下投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約5mg(例えば、5mg)であり、モスネツズマブのC1D2が約15mg(例えば、15mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約45mg(例えば、45mg)であり、(b)第2~第17の投与サイクルがそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される単回用量(C2D1-C17D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C2D1-C17D1)のチラゴルマブ(C2D1-C17D1)を含み、ここで、モスネツズマブの各単回用量C2D1-C17D1は約45mg(例えば、45mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C2D1-C17D1は約600mg(例えば、600mg)である。
【0302】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、17回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを皮下投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C1D1)のチラゴルマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約5mg(例えば、5mg)であり、モスネツズマブのC1D2が約15mg(例えば、15mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約45mg(例えば、45mg)であり、(b)第2~第17の投与サイクルがそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される単回用量(C2D1-C17D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C2D1-C17D1)のチラゴルマブを含み、ここで、モスネツズマブの各単回用量C2D1-C17D1は約45mg(例えば、45mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C1D1-C17D1は約600mg(例えば、600mg)である。
【0303】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、17回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、対象の集団にアテゾリズマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを皮下投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約5mg(例えば、5mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約15mg(例えば、15mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約45mg(例えば、45mg)であり、(b)第2~第17の投与サイクルはそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される、モスネツズマブの単回用量(C2D1-C17D1)、チラゴルマブの単回用量(C2D1-C17D1)、及びアテゾリズマブの単回用量(C2D1-C17D1)を含み、ここで、モスネツズマブの各単回用量C2D1-C17D1は約45mg(例えば、45mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C2D1-C17D1は約600mg(例えば、600mg)であり、アテゾリズマブの各単回用量C2D1-C17D1は約1200mg(例えば、1200mg)である。
【0304】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、17回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、対象の集団にアテゾリズマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを皮下投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C1D1)のチラゴルマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約5mg(例えば、5mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約15mg(例えば、15mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約45mg(例えば、45mg)であり、(b)第2~第17の投与サイクルはそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される、モスネツズマブの単回用量(C2D1-C17D1)、チラゴルマブの単回用量(C2D1-C17D1)、及びアテゾリズマブの単回用量(C2D1-C17D1)を含み、ここで、モスネツズマブの各単回用量C2D1-C17D1は約45mg(例えば、45mg)であり、アテゾリズマブの各単回用量C2D1-C17D1は約1200mg(例えば、1200mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C1D1-C17D1は約600mg(例えば、600mg)である。
【0305】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを静脈内投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与されるモスネツズマブの第1の用量(C1D1)、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第2の用量(C1D2)、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第3の用量(C1D3)を含み、モスネツズマブのC1D1が約1mg(例えば、1mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約2mg(例えば、2mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約30mg(例えば、30mg)であり、(b)第2の投与サイクルが、第2の投与サイクルの1日目に投与される、単回用量(C2D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C2D1)のチラゴルマブを含み、ここで、モスネツズマブのC2D1は、約30mg(例えば、30mg)であり、チラゴルマブのC2D1は、約600mg(例えば、600mg)である。
【0306】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを静脈内投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与されるモスネツズマブの第1の用量(C1D1)及び単回用量(C1D1)のチラゴルマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第2の用量(C1D2)、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第3の用量(C1D3)を含み、モスネツズマブのC1D1が約1mg(例えば、1mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約2mg(例えば、2mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約30mg(例えば、30mg)であり、(b)第2の投与サイクルが、第2の投与サイクルの1日目に投与される、単回用量(C2D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C2D1)のチラゴルマブを含み、ここで、モスネツズマブのC2D1は、約30mg(例えば、30mg)であり、各単回用量のチラゴルマブのC1D1及びC2D1は、約600mg(例えば、600mg)である。
【0307】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、対象の集団にアテゾリズマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを静脈内投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与されるモスネツズマブの第1の用量(C1D1)、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第2の用量(C1D2)、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第3の用量(C1D3)を含み、モスネツズマブのC1D1が約1mg(例えば、1mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約2mg(例えば、2mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約30mg(例えば、30mg)であり、(b)第2の投与サイクルが、第2の投与サイクルの1日目に投与される、単回用量(C2D1)のモスネツズマブ、単回用量(C2D1)のチラゴルマブ、及び単回用量(C2D1)のアテゾリズマブを含み、ここで、モスネツズマブのC2D1は約30mg(例えば、30mg)であり、チラゴルマブのC2D1は約600mg(例えば、600mg)であり、アテゾリズマブのC2D1は約1200mg(例えば、1200mg)である。
【0308】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、対象の集団にアテゾリズマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを静脈内投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与されるモスネツズマブの第1の用量(C1D1)、及び単回用量(C1D1)のチラゴルマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第2の用量(C1D2)、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第3の用量(C1D3)を含み、モスネツズマブのC1D1が約1mg(例えば、1mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約2mg(例えば、2mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約30mg(例えば、30mg)であり、(b)第2の投与サイクルが、第2の投与サイクルの1日目に投与される、単回用量(C2D1)のモスネツズマブ、単回用量(C2D1)のチラゴルマブ、及び単回用量(C2D1)のアテゾリズマブを含み、ここで、モスネツズマブのC2D1は、約30mg(例えば、30mg)であり、アテゾリズマブのC2D1は、約1200mg(例えば、1200mg)であり、及び、ここで、チラゴルマブの各単回用量C1D1及びC2D1は、約600mg(例えば、600mg)である。
【0309】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、8回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを静脈内投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約1mg(例えば、1mg)であり、モスネツズマブのC1D2が約2mg(例えば、2mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約30mg(例えば、30mg)であり、(b)第2~第8の投与サイクルがそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される単回用量(C2D1-C8D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C2D1-C8D1)のチラゴルマブを含み、ここで、モスネツズマブの各単回用量C2D1-C8D1は約30mg(例えば、30mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C2D1-C8D1は約600mg(例えば、600mg)である。
【0310】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、8回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを静脈内投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C1D1)のチラゴルマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約1mg(例えば、1mg)であり、モスネツズマブのC1D2が約2mg(例えば、2mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約30mg(例えば、30mg)であり、(b)第2~第8の投与サイクルがそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される単回用量(C2D1-C8D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C2D1-C8D1)のチラゴルマブを含み、ここで、モスネツズマブの各単回用量C2D1-C8D1は約30mg(例えば、30mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C1D1-C8D1は約600mg(例えば、600mg)である。
【0311】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、8回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、対象の集団にアテゾリズマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを静脈内投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約1mg(例えば、1mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約2mg(例えば、2mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約30mg(例えば、30mg)であり、(b)第2~第8の投与サイクルはそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される、モスネツズマブの単回用量(C2D1-C8D1)、チラゴルマブの単回用量(C2D1-C8D1)、及びアテゾリズマブの単回用量(C2D1-C8D1)を含み、ここで、モスネツズマブの各単回用量C2D1-C8D1は約30mg(例えば、30mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C2D1-C8D1は約600mg(例えば、600mg)であり、アテゾリズマブの各単回用量C2D1-C8D1は約1200mg(例えば、1200mg)である。
【0312】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、8回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、対象の集団にアテゾリズマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを皮下投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C1D1)のチラゴルマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約1mg(例えば、1mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約2mg(例えば、2mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約30mg(例えば、30mg)であり、(b)第2~第8の投与サイクルはそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される、モスネツズマブの単回用量(C2D1-C8D1)、チラゴルマブの単回用量(C2D1-C8D1)、及びアテゾリズマブの単回用量(C2D1-C8D1)を含み、ここで、モスネツズマブの各単回用量C2D1-C8D1は約30mg(例えば、30mg)であり、アテゾリズマブの各単回用量C2D1-C8D1は約1200mg(例えば、1200mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C1D1-C8D1は約600mg(例えば、600mg)である。
【0313】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、17回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを静脈内投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約1mg(例えば、1mg)であり、モスネツズマブのC1D2が約2mg(例えば、2mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約30mg(例えば、30mg)であり、(b)第2~第17の投与サイクルがそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される単回用量(C2D1-C17D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C2D1-C17D1)のチラゴルマブを含み、ここで、モスネツズマブの各単回用量C2D1-C17D1は約30mg(例えば、30mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C2D1-C17D1は約600mg(例えば、600mg)である。
【0314】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、17回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを静脈内投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C1D1)のチラゴルマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約1mg(例えば、1mg)であり、モスネツズマブのC1D2が約2mg(例えば、2mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約30mg(例えば、30mg)であり、(b)第2~第17の投与サイクルがそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される単回用量(C2D1-C17D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C2D1-C17D1)のチラゴルマブを含み、ここで、モスネツズマブの各単回用量C2D1-C17D1は約30mg(例えば30mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C1D1-C17D1は約600mg(例えば、600mg)である。
【0315】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、17回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、対象の集団にアテゾリズマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを静脈内投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約1mg(例えば、1mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約2mg(例えば、2mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約30mg(例えば、30mg)であり、(b)第2~第17の投与サイクルはそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される、モスネツズマブの単回用量(C2D1-C17D1)、チラゴルマブの単回用量(C2D1-C17D1)、及びアテゾリズマブの単回用量(C2D1-C17D1)を含み、ここで、モスネツズマブの各単回用量C2D1-C17D1は約30mg(例えば、30mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C2D1-C17D1は約600mg(例えば、600mg)であり、アテゾリズマブの各単回用量C2D1-C17D1は約1200mg(例えば、1200mg)である。
【0316】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、17回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、対象の集団にアテゾリズマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを静脈内投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C1D1)のチラゴルマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約1mg(例えば、1mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約2mg(例えば、2mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約30mg(例えば、30mg)であり、(b)第2~第17の投与サイクルはそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される、モスネツズマブの単回用量(C2D1-C17D1)、チラゴルマブの単回用量(C2D1-C17D1)、及びアテゾリズマブの単回用量(C2D1-C17D1)を含み、ここで、モスネツズマブの各単回用量C2D1-C17D1は約30mg(例えば、30mg)であり、アテゾリズマブの各単回用量C2D1-C17D1は約1200mg(例えば、1200mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C1D1-C17D1は約600mg(例えば、600mg)である。
【0317】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを静脈内投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与されるモスネツズマブの第1の用量(C1D1)、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第2の用量(C1D2)、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第3の用量(C1D3)を含み、モスネツズマブのC1D1が約1mg(例えば、1mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約2mg(例えば、2mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約60mg(例えば、60mg)であり、(b)第2の投与サイクルが、第2の投与サイクルの1日目に投与される、単回用量(C2D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C2D1)のチラゴルマブを含み、ここで、モスネツズマブのC2D1は、約60mg(例えば、60mg)であり、チラゴルマブのC2D1は、約600mg(例えば、600mg)である。
【0318】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを静脈内投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与されるモスネツズマブの第1の用量(C1D1)及び単回用量(C1D1)のチラゴルマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第2の用量(C1D2)、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第3の用量(C1D3)を含み、モスネツズマブのC1D1が約1mg(例えば、1mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約2mg(例えば、2mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約60mg(例えば、60mg)であり、(b)第2の投与サイクルが、第2の投与サイクルの1日目に投与される、単回用量(C2D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C2D1)のチラゴルマブ(C2D1)を含み、ここで、モスネツズマブのC2D1は、約60mg(例えば、60mg)であり、各単回用量のチラゴルマブのC1D1及びC2D1は、約600mg(例えば、600mg)である。
【0319】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、対象の集団にアテゾリズマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを静脈内投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与されるモスネツズマブの第1の用量(C1D1)、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第2の用量(C1D2)、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第3の用量(C1D3)を含み、モスネツズマブのC1D1が約1mg(例えば、1mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約2mg(例えば、2mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約60mg(例えば、60mg)であり、(b)第2の投与サイクルが、第2の投与サイクルの1日目に投与される、単回用量(C2D1)のモスネツズマブ、単回用量(C2D1)のチラゴルマブ、及び単回用量(C2D1)のアテゾリズマブを含み、ここで、モスネツズマブのC2D1は約60mg(例えば、60mg)であり、チラゴルマブのC2D1は約600mg(例えば、600mg)であり、アテゾリズマブのC2D1は約1200mg(例えば、1200mg)である。
【0320】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、少なくとも第1の投与サイクル及び第2の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、対象の集団にアテゾリズマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを静脈内投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与されるモスネツズマブの第1の用量(C1D1)、及び単回用量(C1D1)のチラゴルマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第2の用量(C1D2)、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与されるモスネツズマブの第3の用量(C1D3)を含み、モスネツズマブのC1D1が約1mg(例えば、1mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約2mg(例えば、2mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約60mg(例えば、60mg)であり、(b)第2の投与サイクルが、第2の投与サイクルの1日目に投与される、単回用量(C2D1)のモスネツズマブ、単回用量(C2D1)のチラゴルマブ、及び単回用量(C2D1)のアテゾリズマブを含み、ここで、モスネツズマブのC2D1は、約60mg(例えば、60mg)であり、アテゾリズマブのC2D1は、約1200mg(例えば、1200mg)であり、及び、ここで、チラゴルマブの各単回用量C1D1及びC2D1は、約600mg(例えば、600mg)である。
【0321】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、8回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを静脈内投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約1mg(例えば、1mg)であり、モスネツズマブのC1D2が約2mg(例えば、2mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約60mg(例えば、60mg)であり、(b)第2~第8の投与サイクルがそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される単回用量(C2D1-C8D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C2D1-C8D1)のチラゴルマブを含み、C2D1は、約60mg(例えば、60mg)であり、ここで、モスネツズマブの各単回用量C3D1-C8D1は約30mg(例えば、30mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C2D1-C8D1は約600mg(例えば、600mg)である。
【0322】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、8回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを静脈内投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C1D1)のチラゴルマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約1mg(例えば、1mg)であり、モスネツズマブのC1D2が約2mg(例えば、2mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約60mg(例えば、60mg)であり、(b)第2~第8の投与サイクルがそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される単回用量(C2D1-C8D1のモスネツズマブ)及び単回用量(C2D1-C8D1のチラゴルマブ)を含み、C2D1は、約60mg(例えば、60mg)であり、ここで、モスネツズマブの各単回用量C3D1-C8D1は約30mg(例えば、30mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C1D1-C8D1は約600mg(例えば、600mg)である。
【0323】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、8回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、対象の集団にアテゾリズマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを静脈内投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約1mg(例えば、1mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約2mg(例えば、2mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約60mg(例えば、60mg)であり、(b)第2~第8の投与サイクルはそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される、モスネツズマブの単回用量(C2D1-C8D1)、チラゴルマブの単回用量(C2D1-C8D1)、及びアテゾリズマブの単回用量(C2D1-C8D1)を含み、C2D1は、約60mg(例えば、60mg)であり、ここで、モスネツズマブの各単回用量C3D1-C8D1は約30mg(例えば、30mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C2D1-C8D1は約600mg(例えば、600mg)であり、アテゾリズマブの各単回用量C2D1-C8D1は約1200mg(例えば、1200mg)である。
【0324】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、8回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、対象の集団にアテゾリズマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを皮下投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C1D1)のチラゴルマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約1mg(例えば、1mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約2mg(例えば、2mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約60mg(例えば、60mg)であり、(b)第2~第8の投与サイクルはそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される、モスネツズマブの単回用量(C2D1-C8D1)、チラゴルマブの単回用量(C2D1-C8D1)、及びアテゾリズマブの単回用量(C2D1-C8D1)を含み、C2D1は、約60mg(例えば、60mg)であり、ここで、モスネツズマブの各単回用量C3D1-C8D1は約30mg(例えば、30mg)であり、アテゾリズマブの各単回用量C2D1-C8D1は約1200mg(例えば、1200mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C1D1-C8D1は約600mg(例えば、600mg)である。
【0325】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、17回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを静脈内投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約1mg(例えば、1mg)であり、モスネツズマブのC1D2が約2mg(例えば、2mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約60mg(例えば、60mg)であり、(b)第2~第17の投与サイクルがそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される単回用量(C2D1-C17D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C2D1-C17D1)のチラゴルマブを含み、C2D1は、約60mg(例えば、60mg)であり、ここで、モスネツズマブの各単回用量C3D1-C17D1は約30mg(例えば、30mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C2D1-C17D1は約600mg(例えば、600mg)である。
【0326】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、17回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを静脈内投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C1D1)のチラゴルマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約1mg(例えば、1mg)であり、モスネツズマブのC1D2が約2mg(例えば、2mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約60mg(例えば、60mg)であり、(b)第2~第17の投与サイクルがそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される単回用量(C2D1-C17D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C2D1-C17D1)のチラゴルマブを含み、C2D1は、約60mg(例えば、60mg)であり、ここで、モスネツズマブの各単回用量C3D1-C17D1は約30mg(例えば30mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C1D1-C17D1は約600mg(例えば、600mg)である。
【0327】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、17回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、対象の集団にアテゾリズマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを静脈内投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約1mg(例えば、1mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約2mg(例えば、2mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約60mg(例えば、60mg)であり、(b)第2~第17の投与サイクルはそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される、モスネツズマブの単回用量(C2D1-C17D1)、チラゴルマブの単回用量(C2D1-C17D1)、及びアテゾリズマブの単回用量(C2D1-C17D1)を含み、C2D1は、約60mg(例えば、60mg)であり、ここで、モスネツズマブの各単回用量C3D1-C17D1は約30mg(例えば、30mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C2D1-C17D1は約600mg(例えば、600mg)であり、アテゾリズマブの各単回用量C2D1-C17D1は約1200mg(例えば、1200mg)である。
【0328】
別の態様では、本発明は、再発性又は難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の集団を治療する方法を特徴とし、方法は、17回の投与サイクルを含む投与レジメンで、対象の集団にチラゴルマブを静脈内投与すること、対象の集団にアテゾリズマブを静脈内投与すること、及び対象の集団にモスネツズマブを静脈内投与することを含み、(a)第1の投与サイクルが、第1の投与サイクルの1日目に投与される第1の用量(C1D1)のモスネツズマブ及び単回用量(C1D1)のチラゴルマブ、第1の投与サイクルの8日目(±1日)に投与される第2の用量(C1D2)のモスネツズマブ、及び第1の投与サイクルの15日目(±1日)に投与される第3の用量(C1D3)のモスネツズマブを含み、モスネツズマブのC1D1が約1mg(例えば、1mg)であり、モスネツズマブのC1D2は約2mg(例えば、2mg)であり、モスネツズマブのC1D3は約60mg(例えば、60mg)であり、(b)第2~第17の投与サイクルはそれぞれ、各対応する投与サイクルの1日目に投与される、モスネツズマブの単回用量(C2D1-C17D1)、チラゴルマブの単回用量(C2D1-C17D1)、及びアテゾリズマブの単回用量(C2D1-C17D1)を含み、C2D1は、約60mg(例えば、60mg)であり、ここで、モスネツズマブの各単回用量C3D1-C17D1は約30mg(例えば、30mg)であり、アテゾリズマブの各単回用量C2D1-C17D1は約1200mg(例えば、1200mg)であり、チラゴルマブの各単回用量C1D1-C17D1は約600mg(例えば、600mg)である。
【0329】
いくつかの態様では、対象の集団における完全寛解率は、モスネツズマブを含む単剤療法で治療された対象の参照集団における参照完全寛解率よりも高い。
【0330】
いくつかの態様では、対象の集団における客観的奏効率は、モスネツズマブを含む単剤療法により治療される対象の参照集団における参照客観的奏効率よりも高い。
【0331】
いくつかの態様では、対象の集団における有害事象の割合は、モスネツズマブを含む単剤療法で治療された対象の参照集団における有害事象の参照割合と実質的に同じである。
【0332】
いくつかの態様では、対象の集団におけるサイトカイン放出症候群(CRS)事象の速度は、モスネツズマブを含む単剤療法で治療された対象の参照集団におけるCRS事象の参照速度と実質的に同じである。
【0333】
いくつかの態様では、対象の集団における、米国移植細胞療法学会(ASTCT)サイトカイン放出症候群に関するコンセンサスグレーディング(「ASTCT CRSグレーディング」によって定義されるグレード3以上を有するCRS事象の割合が、モスネツズマブを含む単剤療法で治療された対象の参照集団における、ASCT CRSグレーディングによって定義されるグレード3以上を有するCRS事象の参照割合と実質的に同じである。
【0334】
いくつかの態様では、対象の集団における完全寛解率が、モスネツズマブの皮下投与を含む単剤療法により治療される対象の参照集団における参照完全寛解率よりも高い。
【0335】
いくつかの態様では、対象の集団における客観的奏効率は、モスネツズマブの皮下投与を含む単剤療法により治療される対象の参照集団における参照客観的奏効率よりも高い。
【0336】
いくつかの態様では、対象の集団における有害事象の割合は、モスネツズマブの皮下投与を含む単剤療法により治療される対象の参照集団における有害事象の参照割合と実質的に同じである。
【0337】
いくつかの態様では、対象の集団におけるCRS事象の速度は、モスネツズマブの皮下投与を含む単剤療法で治療された対象の参照集団におけるCRS事象の参照速度と実質的に同じである。
【0338】
いくつかの態様では、対象の集団におけるASTCT CRSグレーディングによって定義される3以上のグレードを有するCRS事象の割合が、モスネツズマブの皮下投与を含む単剤療法で治療された対象の参照集団におけるASCT CRSグレーディングによって定義される3以上のグレードを有するCRS事象の参照割合と実質的に同じである。
【0339】
いくつかの態様では、対象はヒトである。
【0340】
本明細書に記載される方法のいずれかは、サイトカイン放出症候群(CRS)(例えば、上記の方法のいずれかの開始後のCRS事象)について対象をモニターすることを含んでもよい。現在の臨床的対応は、個々の徴候及び症候を処置すること、支持療法を提供すること、及び高い投与量のコルチコステロイドを使用して炎症反応を弱めることを試みることに焦点が置かれている。しかしながら、この手法は、特に遅い介入の症例では、必ずしも成功するとは限らない。CRSイベントを管理するためのCRSグレーディング及び戦略は、以下のセクションXIIIで詳細に説明される。
【0341】
B.モスネツズマブ
本発明は、再発性及び/又は難治性(R/R)濾胞性リンパ腫(FL)の治療に有用な、CD20及びCD3に結合する二重特異性抗体であるモスネツズマブを提供する。FLはグレード1、2又は3aであってもよいが、グレード3bではない。
【0342】
場合によっては、本発明は、(1)(a)GYTFTSYNMH(配列番号74)のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)AIYPGNGDTSYNQKFKG(配列番号75)のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)VVYYSNSYWYFDV(配列番号76)のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)RASSSVSYMH(配列番号77)のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)APSNLAS(配列番号78)のアミノ酸配列を含むHVR-L2;(f)QQWSFNPPT(配列番号79)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1、2、3、4、5、又は6つのHVRを含む第1の結合ドメインを有する抗CD20アームと、(2)(a)NYYIH(配列番号90)のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)WIYPGDGNTKYNEKFKG(配列番号91)のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)DSYSNYYFDY(配列番号92)のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)KSSQSLLNSRTRKNYLA(配列番号93)のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)WASTRES(配列番号94)のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び(f)TQSFILRT(配列番号95)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つのHVRを含む第2の結合ドメインを有する抗CD3アームと、を含むモスネツズマブを提供する。いくつかの場合において、モスネツズマブは、(1)それぞれ配列番号82~85の配列を含む重鎖フレームワーク領域FR-H1、FR-H2、FR-H3及びFR-H4のうちの少なくとも1つ(例えば、1、2、3、又は4)、並びに/あるいはそれぞれ配列番号86~89の配列を含む軽鎖フレームワーク領域FR-L1、FR-L2、FR-L3及びFR-L4のうちの少なくとも1つ(例えば、1、2、3、又は4)、並びに(2)それぞれ配列番号98~101の配列を含む重鎖フレームワーク領域FR-H1、FR-H2、FR-H3及びFR-H4のうちの少なくとも1つ(例えば、1、2、3、又は4)、並びに/あるいはそれぞれ配列番号102~105の配列を含む軽鎖フレームワーク領域FR-L1、FR-L2、FR-L3及びFR-L4のうちの少なくとも1つ(例えば、1、2、3、又は4)を含む。
【0343】
一部の例において、モスネツズマブは、(1)(a)配列番号80と、又はその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;(b)配列番号81、又はその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は(c)(a)のようなVHドメイン及び(b)のようなVLドメインを含む第1の結合ドメインを含む抗CD20アームと、(2)(a)配列番号96若しくはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;(b)配列番号97、又はその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は(c)(a)のようなVHドメイン及び(b)のようなVLドメインを含む第2の結合ドメインを含む抗CD3アームと、を含む。いくつかの例において、モスネツズマブは、(1)配列番号80のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号81のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む第1の結合ドメインと、(2)配列番号96のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号97のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む第2の結合ドメインとを含む。
【0344】
いくつかの例では、モスネツズマブは、医薬物質の国際一般名(INN)リスト117(WHO Drug Information,Vol.31,No.2,2017,p.303)、又はCAS登録番号1905409-39-3を有し、(1)それぞれ配列番号106及び107の重鎖配列及び軽鎖配列を含む抗CD20アームと、(2)それぞれ配列番号108及び109の重鎖及び軽鎖配列を含む抗CD3アームと、を有する。一部の例において、モスネツズマブは、(1)(a)配列番号106と、又はその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む重鎖;(b)配列番号107、又はその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む軽鎖;(c)(a)のような重鎖及び(b)のような軽鎖を含む第1の結合ドメインを含む抗CD20アームと、(2)(a)配列番号108、若しくはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む重鎖;(b)配列番号109、又はその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む軽鎖;又は(c)(a)のような重鎖及び(b)のような軽鎖を含む第2の結合ドメインを含む抗CD3アームと、を含む。いくつかの例では、モスネツズマブは、(1)配列番号106のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号107のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む第1の結合ドメインを含む抗CD20アーム、及び(2)配列番号108のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号109のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む第2の結合ドメインを含む抗CD3アームを含む。
【0345】
モスネツズマブのアミノ酸配列を以下の表1に要約する。
表1.モスネツズマブの配列ID
【0346】
モスネツズマブは、例えば、米国特許第4,816,567号に記載されているように、組換え方法及び組成物を使用して産生され得る。
【0347】
C.追加の治療剤
いくつかの例において、本明細書中に記載される方法は、二重特異性抗CD20/抗CD3抗体(例えば、モスネツズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて投与することを含む。
【0348】
いくつかの例において、更なる治療剤は、本明細書中に記載されるPD-1軸結合アンタゴニストである。場合によっては、追加の治療剤はアテゾリズマブである。いくつかの例において、アテゾリズマブは、本明細書中に記載される投与レジメンに従って、モスネツズマブ及びチラゴルマブと組み合わせて対象に投与される。
【0349】
いくつかの例では、1つ以上の追加の治療剤は、サイトカイン放出症候群(CRS)の速度又は重症度を低下させ得る。いくつかの例では、1つ以上の追加の治療剤は、CRSに関連する症状を予防し得る。特定の例では、CRSの速度若しくは重症度を低下させるため、又はCRSに関連する症状を予防するために使用される更なる治療剤は、コルチコステロイド(例えば、デキサメタゾン(CAS番号:50-02-2)、プレドニゾン(CAS番号:53-03-2)、プレドニゾロン(CAS番号50-42-8)又はメチルプレドニゾロン(CAS番号:83-43-2))又はIL-6Rアンタゴニスト(例えば、トシリズマブ、サリルマブ、ボバリリズマブ(ALX-0061)、サトラリズマブ(SA-237)、及びそれらのバリアント)である。いくつかの例では、追加の治療薬はトシリズマブである。いくつかの例では、追加の治療薬はコルチコステロイドである。場合によっては、コルチコステロイドは、モスネツズマブの投与前に投与される。一部の例において、コルチコステロイドは、モスネツズマブの投与の5分前、10分前、15分前、20分前、30分前、40分前、50分前、1時間前、1.5時間前、2時間前、2.5時間前、3時間前、3.5時間前、4時間前、4.5時間前、5時間前、6時間前、7時間前、8時間前、9時間前、10時間前、11時間前又は12時間前に投与される。一部の例において、コルチコステロイドは静脈内投与される。いくつかの例では、コルチコステロイドは、デキサメタゾンである。一部の例において、10mgのデキサメタゾンが、対象へのモスネツズマブの投与の5分前、10分前、15分前、20分前、30分前、40分前、50分前、1時間前、1.5時間前、2時間前、2.5時間前、3時間前、3.5時間前、4時間前、4.5時間前、5時間前、6時間前、7時間前、8時間前、9時間前、10時間前、11時間前又は12時間前に対象に投与される。いくつかの例では、コルチコステロイドは、メチルプレドニゾロンである。いくつかの例では、コルチコステロイドはプレドニゾンである。
【0350】
本明細書中に記載の方法は、再発性又は難治性の非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、B細胞増殖性疾患、例えば、NHL(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/R DLBCL、R/R FL(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)、又はR/R形質転換FL(trFL))を有する対象がモスネツズマブで治療される場合、改善されたベネフィット-リスクプロフィールをもたらし得る。場合によっては、分画用量漸増投与レジメンの状況でモスネツズマブ及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を皮下投与することになる本明細書に記載の方法を使用した治療は、非分割投与レジメンを使用するモスネツズマブによる治療と比較して、本発明の分割用量漸増投与レジメンを使用するモスネツズマブによる治療の後に、サイトカイン駆動毒性(例えば、サイトカイン放出症候群(CRS))、点滴関連反応(IRR)、マクロファージ活性化症候群(MAS)、神経毒性、重度の腫瘍溶解症候群(TLS)、好中球減少症、血小板減少症、肝臓酵素の上昇及び/又は肝毒性等の望ましくない事象の減少(例えば、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上;例えば、20%~100%の間、20%~90%の間、20%~80%の間、20%~70%の間、20%~60%の間、20%~50%の間、20%~40%の間、20%~30%の間、40%~100%の間、60%~100%の間、80%~100%の間、30%~70%の間、40%~60%の間、30%~50%の間、50%~80%の間、又は90%~100%の間;例えば、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、約99%、又は約100%))又は完全な阻害(100%の減少)をもたらす。
【0351】
本明細書中に記載される全ての方法のために、モスネツズマブは、医学行動規範と一致した様式で製剤化され、投与され、投与される。この観点において考慮すべき因子は、治療される特定の疾患、治療される特定の哺乳動物、個々の対象の臨床状態、疾患の原因、薬剤送達部位、投与方法、投与日程及び医療従事者に既知の他の因子を含む。モスネツズマブは、必ずしもそうである必要はないが、任意的に、問題の障害を予防又は治療するために現在使用されている1つ以上の薬剤と共に処方される。そのような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在するモスネツズマブの量、障害又は治療の種類、及び上記の他の要因に依存する。モスネツズマブは、一連の治療にわたって対象に適切に投与され得る。いくつかの態様では、モスネツズマブは皮下投与される。いくつかの態様では、モスネツズマブは静脈内投与される。
【0352】
いくつかの例では、本発明において有用な追加の治療剤としては、アレムツズマブ(CAMPATH(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、Genentech)、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標)、Imclone)、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標)、Amgen)、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標)、Genentech/Biogen Idec)、ペルツズマブ(OMNITARG(登録商標)、2C4、Genentech)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)、Genentech)、トシツモマブ(BEXXAR(登録商標)、Corixia)、及び抗体薬物コンジュゲートであるゲムツズマブ・オゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標)、Wyeth)等の治療用抗体が挙げられる。本発明の化合物と組み合わせた薬剤としての治療可能性を有する追加のヒト化モノクローナル抗体としては、アポリズマブ、アセリズマブ、アトリズマブ、バピヌズマブ、ビバツズマブメルタンシン、カンツズマブメルタンシン、セデリズマブ、セルトリズマブペゴル、シドフシツズマブ、シドツズマブ、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、エプラツズマブ、エルリズマブ、フェルビズマブ、フォントリズマブ、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ、ラベツズマブ、リンツズマブ、マッツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、モトビズマブ、ナタリズマブ、ニモツズマブ、ノロビズマブ、ヌマビズマブ、オクレリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パスコリズマブ、ペクフシツズマブ、ペクセリズマブ、ペクセリズマブ、ラリビズマブ、ラニビズマブ、レスリビズマブ、レスリズマブ、レシビズマブ、ロベリズマブ、ルピズマブ、シブロツズマブ、シプリズマブ、ソンツズマブ、タカタツズマブテトラキセタン、タドキシズマブ、タファシタマブ、タリズマブ、テフィバズマブ、トシリズマブ、トラリズマブ、ツコツズマブセルモレウキン、ツクシツズマブ、ウマビズマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、ビジリズマブ、及びブリアキヌマブが挙げられる。
【0353】
V.結腸直腸がんの治療方法及び組成物
A.チラゴルマブ及びアテゾリズマブの投与のための治療方法
一態様では、本開示は、結腸直腸がん(CRC)(例えば、転移性CRC(例えば、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)転移性CRC))を有する対象を治療する方法であって、対象にチラゴルマブ及びアテゾリズマブを投与することを含む方法を提供する。
【0354】
いくつかの態様では、転移性CRC(例えば、MSI-H転移性CRC)は腺癌である。
【0355】
いくつかの態様では、対象は、以前のチェックポイント阻害剤に基づく治療(例えば、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、又は少なくとも10の以前の治療;例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は10を超える以前の治療)において疾患進行を経験している。
【0356】
いくつかの態様では、チラゴルマブ及びアテゾリズマブは、1つ以上の投与サイクル(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30又はそれを超える投与サイクル)を含む投与レジメンで対象に投与される。いくつかの態様では、投与レジメンは、少なくとも16回の投与サイクル(例えば、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50以上の投与サイクル)を含む。
【0357】
いくつかの態様では、各投与サイクルの長さは、約18日~24日(例えば、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間又は24日間)である。いくつかの態様では、投与サイクルの長さは、約21日間である。いくつかの態様では、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さは、21日間である。いくつかの態様では、チラゴルマブ及びアテゾリズマブは、1つ以上の投与サイクルのそれぞれの約1日目(例えば、1日目に)に対象に投与される。
【0358】
いくつかの態様では、チラゴルマブは、3週間ごとに、約30mg~約1200mg(例えば、約30mg~約1100mg、例えば、約60mg~約1000mg、例えば、約100mg~約900mg、例えば、約200mg~約800mg、例えば、約300mg~約800mg、例えば、約400mg~約800mg、例えば、約400mg~約750mg、例えば、約450mg~約750mg、例えば、約500mg~約700mg、例えば、約550mg~約650mg、例えば、600mg±10mg、例えば、600±6mg、例えば、600±5mg、例えば、600±3mg、例えば、600±1mg、例えば、600±0.5mg、例えば、600mg)の用量(例えば、固定用量)で対象に投与される。いくつかの態様では、チラゴルマブは、3週間ごとに約30mg~約600mg(例えば、約50mg~約600mg、例えば、約60mg~約600mg、例えば、約100mg~約600mg、例えば、約200mg~約600mg、例えば、約200mg~約550mg、例えば、約250mg~約500mg、例えば、約300mg~約450mg、例えば、約350mg~約400mg、例えば、約375mg)の用量(例えば、固定用量)で対象に投与される。いくつかの態様では、チラゴルマブは、3週間ごとに約600mgの用量(例えば、固定用量)で対象に投与される。
【0359】
いくつかの態様では、チラゴルマブは、3週間ごとに、30mg~1200mg(例えば、30mg~1100mg、例えば、60mg~1000mg、例えば、100mg~900mg、例えば、200mg~800mg、例えば、300mg~800mg、例えば、400mg~800mg、例えば、400mg~750mg、例えば、450mg~750mg、例えば、500mg~700mg、例えば、550mg~650mg、例えば、600mg±10mg、例えば、600±6mg、例えば、600±5mg、例えば、600±3mg、例えば、600±1mg、例えば、600±0.5mg、例えば、600mg)の用量(例えば、固定用量)で対象に投与される。いくつかの態様では、チラゴルマブは、3週間ごとに30mg~600mg(例えば、50mg~600mg、例えば、60mg~600mg、例えば、100mg~600mg、例えば、200mg~600mg、例えば、200mg~550mg、例えば、250mg~500mg、例えば、300mg~450mg、例えば、350mg~400mg、例えば、375mg)の用量(例えば、固定用量)で対象に投与される。いくつかの態様では、チラゴルマブは、3週間ごとに600mgの用量(例えば、固定用量)で対象に投与される。
【0360】
いくつかの態様では、アテゾリズマブは、3週間ごとに約80mg~約2000mg(例えば、約100mg~約1600mg、例えば、約200mg~約1600mg、例えば、約300mg~約1600mg、例えば、約400mg~約1600mg、例えば、約500mg~約1600mg、例えば、約600mg~約1600mg、例えば、約700mg~約1600mg、例えば、約800mg~約1600mg、例えば、約900mg~約1500mg、例えば、約1000mg~約1400mg、例えば、約1050mg~約1350mg、例えば、約1100mg~約1300mg、例えば、約1150mg~約1250mg、例えば、約1175mg~約1225mg、例えば、約1190mg~約1210mg、例えば、1200mg±5mg、例えば、1200±2.5mg、例えば、1200±1.0mg、例えば、1200±0.5mg、例えば、1200mg)の用量(例えば、固定用量)で対象に投与される。いくつかの態様では、アテゾリズマブは、3週間ごとに約1200mgの用量(例えば、固定用量)で対象に投与される。いくつかの態様では、アテゾリズマブは、3週間ごとに80mg~2000mg(例えば100mg~1600mg、例えば200mg~1600mg、例えば300mg~1600mg、例えば400mg~1600mg、例えば500mg~1600mg、例えば600mg~1600mg、例えば700mg~1600mg、例えば800mg~1600mg、例えば900mg~1500mg、例えば1000mg~1400mg、例えば1050mg~1350mg、例えば1100mg~1300mg、例えば1150mg~1250mg、例えば1175mg~1225mg、例えば1190mg~1210mg、例えば1200mg±5mg、例えば1200±2.5mg、例えば1200±1.0mg、例えば1200±0.5mg、例えば1200mg)の用量(例えば、固定用量)で対象に投与される。
【0361】
いくつかの態様では、チラゴルマブは、3週間ごとに約600mg(例えば、600mgの固定用量)の用量で対象に投与され、アテゾリズマブは、3週間ごとに約1200mg(例えば、1200mgの固定用量)の用量で対象に投与される。
【0362】
いくつかの態様では、アテゾリズマブは、チラゴルマブの前に対象に投与される。いくつかの態様では、チラゴルマブは、アテゾリズマブの前に対象に投与される。
【0363】
別の態様では、本発明は、転移性CRC(例えば、MSI-H転移性CRC)を有する対象を治療する方法であって、各投与サイクルの1日目に約600mgの用量(例えば、600mgの固定用量)のチラゴルマブ及び各投与サイクルの1日目に約1200mgの用量(例えば、1200mgの固定用量)のアテゾリズマブの1つ以上の21日間投与サイクルを含む投与レジメンを対象に投与することを含む方法を特徴とする。
【0364】
いくつかの態様では、チラゴルマブは静脈内投与される。いくつかの態様では、アテゾリズマブは静脈内投与される。
【0365】
いくつかの態様では、MSI-Hの状態が、次世代シーケンシング、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、免疫組織化学(IHC)、FOUNDATIONONE(登録商標)Liquid CDx試験又はそれらの組み合わせによって決定される。
【0366】
いくつかの態様では、対象はヒトである。
【0367】
B.チラゴルマブ、アテゾリズマブ、及びベバシズマブの投与のための治療方法
一態様では、本開示は、結腸直腸がん(CRC)(例えば、転移性CRC(例えば、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)転移性CRC))を有する対象を治療する方法であって、対象にチラゴルマブ、アテゾリズマブ、及びベバシズマブを投与することを含む方法を提供する。
【0368】
いくつかの態様では、転移性CRC(例えば、MSI-H転移性CRC)は腺癌である。
【0369】
いくつかの態様では、対象は、以前のチェックポイント阻害剤に基づく治療(例えば、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、又は少なくとも10の以前の治療;例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は10を超える以前の治療)において疾患進行を経験している。
【0370】
いくつかの態様では、チラゴルマブ、アテゾリズマブ、及びベバシズマブは、1つ以上の投与サイクル(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30又はそれを超える投与サイクル)を含む投与レジメンで対象に投与される。いくつかの態様では、投与レジメンは、少なくとも16回の投与サイクル(例えば、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50以上の投与サイクル)を含む。
【0371】
いくつかの態様では、各投与サイクルの長さは、約18日~24日(例えば、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間又は24日間)である。いくつかの態様では、投与サイクルの長さは、約21日間である。いくつかの態様では、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さは、21日間である。いくつかの態様では、チラゴルマブ、アテゾリズマブ、及びベバシズマブは、1つ以上の投与サイクルのそれぞれの約1日目(例えば、1日目に)に対象に投与される。
【0372】
いくつかの態様では、チラゴルマブは、3週間ごとに、約30mg~約1200mg(例えば、約30mg~約1100mg、例えば、約60mg~約1000mg、例えば、約100mg~約900mg、例えば、約200mg~約800mg、例えば、約300mg~約800mg、例えば、約400mg~約800mg、例えば、約400mg~約750mg、例えば、約450mg~約750mg、例えば、約500mg~約700mg、例えば、約550mg~約650mg、例えば、600mg±10mg、例えば、600±6mg、例えば、600±5mg、例えば、600±3mg、例えば、600±1mg、例えば、600±0.5mg、例えば、600mg)の用量(例えば、固定用量)で対象に投与される。いくつかの態様では、チラゴルマブは、3週間ごとに約30mg~約600mg(例えば、約50mg~約600mg、例えば、約60mg~約600mg、例えば、約100mg~約600mg、例えば、約200mg~約600mg、例えば、約200mg~約550mg、例えば、約250mg~約500mg、例えば、約300mg~約450mg、例えば、約350mg~約400mg、例えば、約375mg)の用量(例えば、固定用量)で対象に投与される。いくつかの態様では、チラゴルマブは、3週間ごとに約600mgの用量(例えば、固定用量)で対象に投与される。
【0373】
いくつかの態様では、チラゴルマブは、3週間ごとに、30mg~1200mg(例えば、30mg~1100mg、例えば、60mg~1000mg、例えば、100mg~900mg、例えば、200mg~800mg、例えば、300mg~800mg、例えば、400mg~800mg、例えば、400mg~750mg、例えば、450mg~750mg、例えば、500mg~700mg、例えば、550mg~650mg、例えば、600mg±10mg、例えば、600±6mg、例えば、600±5mg、例えば、600±3mg、例えば、600±1mg、例えば、600±0.5mg、例えば、600mg)の用量(例えば、固定用量)で対象に投与される。いくつかの態様では、チラゴルマブは、3週間ごとに30mg~600mg(例えば、50mg~600mg、例えば、60mg~600mg、例えば、100mg~600mg、例えば、200mg~600mg、例えば、200mg~550mg、例えば、250mg~500mg、例えば、300mg~450mg、例えば、350mg~400mg、例えば、375mg)の用量(例えば、固定用量)で対象に投与される。いくつかの態様では、チラゴルマブは、3週間ごとに600mgの用量(例えば、固定用量)で対象に投与される。
【0374】
いくつかの態様では、アテゾリズマブは、3週間ごとに約80mg~約2000mg(例えば、約100mg~約1600mg、例えば、約200mg~約1600mg、例えば、約300mg~約1600mg、例えば、約400mg~約1600mg、例えば、約500mg~約1600mg、例えば、約600mg~約1600mg、例えば、約700mg~約1600mg、例えば、約800mg~約1600mg、例えば、約900mg~約1500mg、例えば、約1000mg~約1400mg、例えば、約1050mg~約1350mg、例えば、約1100mg~約1300mg、例えば、約1150mg~約1250mg、例えば、約1175mg~約1225mg、例えば、約1190mg~約1210mg、例えば、1200mg±5mg、例えば、1200±2.5mg、例えば、1200±1.0mg、例えば、1200±0.5mg、例えば、1200mg)の用量(例えば、固定用量)で対象に投与される。いくつかの態様では、アテゾリズマブは、3週間ごとに約1200mgの用量(例えば、固定用量)で対象に投与される。いくつかの態様では、アテゾリズマブは、3週間ごとに80mg~2000mg(例えば100mg~1600mg、例えば200mg~1600mg、例えば300mg~1600mg、例えば400mg~1600mg、例えば500mg~1600mg、例えば600mg~1600mg、例えば700mg~1600mg、例えば800mg~1600mg、例えば900mg~1500mg、例えば1000mg~1400mg、例えば1050mg~1350mg、例えば1100mg~1300mg、例えば1150mg~1250mg、例えば1175mg~1225mg、例えば1190mg~1210mg、例えば1200mg±5mg、例えば1200±2.5mg、例えば1200±1.0mg、例えば1200±0.5mg、例えば1200mg)の用量(例えば、固定用量)で対象に投与される。
【0375】
いくつかの態様では、ベバシズマブは、3週間毎に約0.01mg/kg~約50mg/kg対象体重(例えば、約0.01mg/kg~約45mg/kg、例えば、約0.1mg/kg~約40mg/kg、例えば、約1mg/kg~約35mg/kg、例えば、約2.5mg/kg~約30mg/kg、例えば、約5mg/kg~約25mg/kg、例えば、約10mg/kg~約20mg/kg、例えば、約12.5mg/kg~約15mg/kg、例えば、約15±2mg/kg、約15±1mg/kg、約15±0.5mg/kg、約15±0.2mg/kg、又は約15±0.1mg/kg、例えば、約15mg/kg)の用量で対象に投与される。いくつかの態様では、ベバシズマブは、3週間毎に約0.01mg/kg~約15mg/kg対象体重(例えば、約0.1mg/kg~約15mg/kg、例えば、約0.5mg/kg~約15mg/kg、例えば、約1mg/kg~約15mg/kg、例えば、約2.5mg/kg~約15mg/kg、例えば、約5mg/kg~約15mg/kg、例えば、約7.5mg/kg~約15mg/kg、例えば、約10mg/kg~約15mg/kg、例えば、約12.5mg/kg~約15mg/kg、例えば、約14mg/kg~約15mg/kg、例えば、約15±1mg/kg、例えば、約15±0.5mg/kg、例えば、約15±0.2mg/kg、例えば、約15±0.1mg/kg、例えば、約15mg/kg)の用量で対象に投与される。いくつかの態様では、ベバシズマブは、3週間ごとに投与される約15mg/kgの用量で対象に投与される。
【0376】
いくつかの態様では、ベバシズマブは、3週間ごとに0.01mg/kg~50mg/kg対象体重(例えば、0.01mg/kg~45mg/kg、例えば0.1mg/kg~40mg/kg、例えば1mg/kg~35mg/kg、例えば2.5mg/kg~30mg/kg、例えば5mg/kg~25mg/kg、例えば10mg/kg~20mg/kg、例えば12.5mg/kg~15mg/kg、例えば15±2mg/kg、15±1mg/kg、15±0.5mg/kg、15±0.2mg/kg又は15±0.1mg/kg、例えば15mg/kg)の用量で対象に投与される。いくつかの態様では、ベバシズマブは、3週間ごとに0.01mg/kg~15mg/kg対象体重(例えば、0.1mg/kg~15mg/kg、例えば0.5mg/kg~15mg/kg、例えば1mg/kg~15mg/kg、例えば2.5mg/kg~15mg/kg、例えば5mg/kg~15mg/kg、例えば7.5mg/kg~15mg/kg、例えば10mg/kg~15mg/kg、例えば12.5mg/kg~15mg/kg、例えば14mg/kg~15mg/kg、例えば15±1mg/kg、例えば15±0.5mg/kg、例えば15±0.2mg/kg、例えば15±0.1mg/kg、例えば15mg/kg)の用量で対象に投与される。いくつかの態様では、ベバシズマブは、3週間ごとに投与される15mg/kgの用量で対象に投与される。
【0377】
いくつかの態様では、チラゴルマブは、3週間ごとに約600mgの用量(例えば、600mgの固定用量)で対象に投与され、アテゾリズマブは、3週間ごとに約1200mgの用量(例えば、1200mgの固定用量)で投与され、ベバシズマブは、3週間ごとに約15mg/kgの用量(例えば、15mg/kg)で投与される。
【0378】
いくつかの態様では、アテゾリズマブは、チラゴルマブの前に対象に投与される。いくつかの態様では、チラゴルマブは、アテゾリズマブの前に対象に投与される。いくつかの態様では、アテゾリズマブはベバシズマブの前に投与され、ベバシズマブはチラゴルマブの前に投与される。チラゴルマブ、アテゾリズマブ、及びベバシズマブが同日に投与されるいくつかの態様では、いくつかの態様では、チラゴルマブが最初に投与され、ベバシズマブが2番目に投与され、アテゾリズマブが3番目に投与される。いくつかの態様では、チラゴルマブが最初に投与され、アテゾリズマブが2番目に投与され、ベバシズマブが3番目に投与される。いくつかの態様では、アテゾリズマブが最初に投与され、チラゴルマブが2番目に投与され、ベバシズマブが3番目に投与される。いくつかの態様では、ベバシズマブが最初に投与され、アテゾリズマブが2番目に投与され、チラゴルマブが3番目に投与される。いくつかの態様では、ベバシズマブが最初に投与され、チラゴルマブが2番目に投与され、アテゾリズマブが3番目に投与される。いくつかの態様では、チラゴルマブ及びアテゾリズマブは同時に投与される。いくつかの態様では、チラゴルマブ及びアテゾリズマブは、投与前にIVバッグにおいて組み合わされる。
【0379】
別の態様では、本発明は、転移性CRC(例えば、MSI-H転移性CRC)を有する対象を治療する方法であって、各投与サイクルの1日目に約600mgの用量(例えば、600mgの固定用量)のチラゴルマブ、各投与サイクルの1日目に約1200mgの用量(例えば、1200mgの固定用量)のアテゾリズマブ、及び各投与サイクルの1日目に約15mg/kgの用量(例えば、15mg/kg)のベバシズマブの1つ以上の21日間投与サイクルを含む投与レジメンを対象に投与することを含む方法を特徴とする。
【0380】
いくつかの態様では、チラゴルマブは静脈内投与される。いくつかの態様では、アテゾリズマブは静脈内投与される。いくつかの態様では、ベバシズマブは静脈内投与される。
【0381】
いくつかの態様では、MSI-Hの状態が、次世代シーケンシング、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、免疫組織化学(IHC)、FOUNDATIONONE(登録商標)Liquid CDx試験又はそれらの組み合わせによって決定される。
【0382】
いくつかの態様では、対象はヒトである。
【0383】
VI.抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストの併用投与
いくつかの例では、がん(例えば、食道がん(例えば、転移性食道がん))を有する対象の治療のための併用療法(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)とPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ)との併用治療)では、有効量の用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書開中に示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を、有効量の用量のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))と共に投与する。
【0384】
いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、段階的投与レジメン(例えば、対象の体重(BW)又は体表面積(BSA)に基づく投薬)で(例えば、3週間ごとに)投与され、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、約0.01mg/kg~約50mg/kg(例えば、約15mg/kg)、最大1200mgの用量で、例えば3週間ごとに投与される。いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、段階的投与レジメン(例えば、対象の体重(BW)又は体表面積(BSA)に基づく投薬)で(例えば、3週間ごとに)投与され、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、0.01mg/kg~50mg/kg(例えば、15mg/kg)、最大1200mgの用量で、例えば3週間ごとに投与される。そのような投与レジメンは、比較的低体重(例えば、40 kg以下(例えば、5 kg~40 kg、15 kg~40 kg、又は5 kg~15 kg))の対象の処置に利用することができ、成人データから推定された薬物動態パラメータの外挿に基づくバイオシミュレーション研究を通じて開発されている。いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の用量(例えば、約600mg)を、対象の体重(例えば、15mg/kg)に基づいて3週間ごとにPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の用量と組み合わせて投与する。いくつかの例では、3週間ごとに、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の段階的用量(例えば、体重(BW)>40kg:600mg、BW>15kgかつ≦40kg:400mg、BW≦15kg:300mg)を、対象の体重に基づくPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の用量(例えば、15mg/kg)と組み合わせて投与する。いくつかの例では、3週間ごとに、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の段階的用量(例えば、体重(BW)>40kg:600mg、BW>15kgかつ≦40kg:400mg、BW≦15kg:300mg)を、対象の体表面積(例えば、BSA>1.25m2:600mg、BSA>0.75m2かつ≦1.25m2:450mg、BSA>0.5m2かつ≦0.75m2:350mg、BSA≦0.5m2:300mg)に基づくPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ)と組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、3週間ごとに1200mgの最大用量で投与される。
【0385】
i.抗TIGITアンタゴニスト抗体の投薬
一般的な提案として、がん(例えば、食道がん(例えば、転移性食道がん))を有する対象に投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の治療的有効量は、1回又は複数回の投与によるかどうかにかかわらず、対象の体重1kgあたり約0.01~約50mgの範囲である。いくつかの実施形態では、対象に投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の治療的有効量は、1回又は複数回の投与によるかどうかにかかわらず、対象の体重1kgあたり0.01~50mgの範囲である。
【0386】
いくつかの例示的実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、約0.01~約45mg/kg、約0.01~約40mg/kg、約0.01~約35mg/kg、約0.01~約30mg/kg、約0.01~約25mg/kg、約0.01~約20mg/kg、約0.01~約15mg/kg、約0.01~約10mg/kg、約0.01~約5mg/kg、又は約0.01~約1mg/kgの用量で投与され、例えば、毎日、毎週、2週間ごと、3週間ごと、又は4週間ごとに投与される。いくつかの例示的実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、0.01~45mg/kg、0.01~40mg/kg、0.01~35mg/kg、0.01~30mg/kg、0.01~25mg/kg、0.01~20mg/kg、0.01~15mg/kg、0.01~10mg/kg、0.01~5mg/kg、又は0.01~1mg/kgの用量で投与され、例えば、毎日、毎週、2週間ごと、3週間ごと、又は4週間ごとに投与される。
【0387】
いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を、投与サイクルの約1日目(例えば、-3日目、-2日目、-1日目、1日目、2日目、又は3日目)に投与する。
【0388】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、3週間ごと(Q3W)に約30mg~約1200mg(例えば、約30mg~約1100mg、例えば、約60mg~約1000mg、例えば、約100mg~約900mg、例えば、約200mg~約800mg、例えば、約300mg~約800mg、例えば、約400mg~約800mg、例えば、約400mg~約750mg、例えば、約450mg~約750mg、例えば、約500mg~約700mg、例えば、約550mg~約650mg、例えば、600mg±10mg、例えば、600±6mg、例えば、600±5mg、例えば、600±3mg、例えば、600±1mg、例えば、600±0.5mg、例えば、600mg)の固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、3週間ごとに約30mg~約600mg(例えば、約50mg~600mg、例えば、約60mg~約600mg、例えば、約100mg~約600mg、例えば、約200mg~約600mg、例えば、約200mg~約550mg、例えば、約250mg~約500mg、例えば、約300mg~約450mg、例えば、約350mg~約400mg、例えば、約375mg)の固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、3週間ごとに約600mgの固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、3週間ごとに600mgの固定用量である。いくつかの事例では、併用療法(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体、例えば、アテゾリズマブ)との併用治療)で投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の固定用量は、単剤療法として投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体の標準用量と比較して減少し得る。
【0389】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、2週間ごとに(Q2W)約10mg~約1000mg(例えば、約20mg~約1000mg、例えば、約50mg~約900mg、例えば、約100mg~約850mg、例えば、約200mg~約800mg、例えば、約300mg~約600mg、例えば、約400mg~約500mg、例えば、約405mg~約450mg、例えば、約410mg~約430mg、例えば、約420mg)の固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、2週間ごとに約420mg(例えば、420mg±10mg、例えば、420±6mg、例えば、420±5mg、例えば、420±3mg、例えば、420±1mg、例えば、420±0.5mg、例えば、2週間ごとに420mg)の固定用量である。
【0390】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、4週間ごとに(Q4W)約200mg~約2000mg(例えば、約200mg~約1600mg、例えば、約250mg~約1600mg、例えば、約300mg~約1600mg、例えば、約400mg~約1500mg、例えば、約500mg~約1400mg、例えば、約600mg~約1200mg、例えば、約700mg~約1100mg、例えば、約800mg~約1000mg、例えば、約800mg~約900mg、例えば、約800、約810、約820、約830、約840、約850、約860、約870、約880、約890又は約900mg)の固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、4週間ごとに約840mg(例えば、840mg±10mg、例えば、840±6mg、例えば、840±5mg、例えば、840±3mg、例えば、840±1mg、例えば、840±0.5mg、例えば、4週間ごとに840mg)の固定用量である。
【0391】
いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の用量は、対象の体重(例えば、体重(BW)>40kg:600mg、BW>15kg及び≦40kg:400mg、BW≦15kg:300mg)に基づく段階的用量である。
【0392】
いくつかの事例では、併用療法(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体、例えば、アテゾリズマブ)との併用治療)で投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の固定用量は、単剤療法として投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体の標準用量と比較して減少し得る。
【0393】
いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を静脈内投与する。あるいは、いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を皮下投与する。場合によっては、チラゴルマブは、2週間毎に約420mg、3週間毎に約600mg、又は4週間毎に約840mgの用量で対象に静脈内投与される。場合によっては、チラゴルマブは、2週間ごとに420mg、3週間ごとに600mg、又は4週間ごとに840mgの用量で対象に静脈内投与される。
【0394】
いくつかの例では、併用療法(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ)又は抗PD-1アンタゴニスト抗体(例えば、MDX-1106(ニボルマブ)又はMK-3475(以前はラムブロリズマブとして知られていたペンブロリズマブ))による併用処置)で投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の用量は、単剤療法として投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体の標準用量と比較して減少し得る。いくつかの例では、併用療法(例えば、1つ以上の白金系化学療法剤(例えば、カルボプラチン又はシスプラチン)及び/又は非白金系化学療法剤(例えば、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド)、タキサン(例えば、パクリタキセル又はnab-パクリタキセル)及び/又はトポイソメラーゼII阻害剤(例えば、ドキソルビシン))を用いて又は用いずに、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))との併用処置)で投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及び/又はG-CSF若しくはGM-CSFの用量は、単独療法として投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体の標準用量と比較して減少し得る。
【0395】
いくつかの例では、対象に、合計1~60用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、又は60用量を投与する。いくつかの例では、対象に、合計1~60用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)、例えば、1~60用量、1~55用量、1~50用量、1~45用量、1~40用量、1~35用量、1~30用量、1~25用量、1~20用量、1~15用量、1~10用量、1~5用量、2~60用量、2~55用量、2~50用量、2~45用量、2~40用量、2~35用量、2~30用量、2~25用量、2~20用量、2~15用量、2~10用量、2~5用量、3~60用量、3~55用量、3~50用量、3~45用量、3~40用量、3~35用量、3~30用量、3~25用量、3~20用量、3~15用量、3~10用量、3~5用量、4~60用量、4~55用量、4~50用量、4~45用量、4~40用量、4~35用量、4~30用量、4~25用量、4~20用量、4~15用量、4~10用量、4~5用量、5~60用量、5~55用量、5~50用量、5~45用量、5~40用量、5~35用量、5~30用量、5~25用量、5~20用量、5~15用量、5~10用量、10~60用量、10~55用量、10~50用量、10~45用量、10~40用量、10~35用量、10~30用量、10~25用量、10~20用量、10~15用量、15~60用量、15~55用量、15~50用量、15~45用量、15~40用量、15~35用量、15~30用量、15~25用量、15~20用量、20~60用量、20~55用量、20~50用量、20~45用量、20~40用量、20~35用量、20~30用量、20~25用量、25~60用量、25~55用量、25~50用量、25~45用量、25~40用量、25~35用量、25~30用量、30~60用量、30~55用量、30~50用量、30~45用量、30~40用量、30~35用量、35~60用量、35~55用量、35~50用量、35~45用量、35~40用量、40~60用量、40~55用量、40~50用量、40~45用量、45~50用量、50~60用量、又は55~60用量を投与する。特定の例では、用量は静脈内投与され得る。
【0396】
PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体は、当該技術分野で公知の任意の適切な様式で投与され得る。例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体は、連続的に(異なる日に)又は同時に(同日又は同じ処置サイクル中に)投与され得る。いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニストは、投与サイクルの約1日目(例えば、-3日目、-2日目、-1日目、1日目、2日目、又は3日目)に投与される。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体は、同日に投与され得る。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、抗TIGITアンタゴニスト抗体の前に投与される。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、抗TIGITアンタゴニスト抗体の後に投与される。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、抗TIGITアンタゴニスト抗体と同時に投与される。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、同日に投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体の前に投与され得る。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、同日に投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体の後に投与され得る。更に他の例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、抗TIGITアンタゴニスト抗体と同時に投与される。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、抗TIGITアンタゴニスト抗体とは別の組成物中にある。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、抗TIGITアンタゴニスト抗体と同じ組成物中にある。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、同じ日に対象に投与される任意の他の治療剤とは別個の静脈内ラインを介して投与される。PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体は、同じ投与経路又は異なる投与経路によって投与され得る。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、静脈内に、筋肉内に、皮下に、局所的に、経口的に、経皮的に、腹腔内に、眼窩内に、移植により、吸入により、髄腔内に、脳室内に、又は鼻腔内に投与される。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは静脈内投与される。いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、静脈内に、筋肉内に、皮下に、局所的に、経口的に、経皮的に、腹腔内に、眼窩内に、移植により、吸入により、髄腔内に、脳室内に、又は鼻腔内に投与される。いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は静脈内投与される。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストの投与後に第1の観察期間がある。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストの投与後に第2の観察期間がある。いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後に第1の観察期間がある。いくつかの例では、方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第2の観察期間を含む。いくつかの事例では、観察期間は、約30分~約60分の長さである。いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニストは、静脈内又は皮下に投与される。
【0397】
いくつかの例では、静脈内注入は、30±10分超及び/又は60±10分超である。一例では、アテゾリズマブは60分かけて静脈内投与され得、最初の注入が耐容されれば、その後の注入は全て30分かけて送達され得る。一例では、チラゴルマブは、60分間にわたって静脈内投与され得る。最初の注入が許容される場合、その後の注入は全て30分かけて送達され得る。
【0398】
いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、静脈内プッシュ又はボーラスとして投与されない。いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、静脈内プッシュ又はボーラスとして投与されない。
【0399】
先の例のいずれかにおいて、各投与サイクルは、任意の適切な長さ、例えば、約7日間(約5、6、7、8、又は9日)、約14日間(例えば、約12、13、14、15、又は16日間)、約21日間(例えば、約18、19、20、21、22、23、又は24日間)、約28日間(約25、26、27、28、29、30、又は31日間)又はそれを超えてもよい。いくつかの例では、各投与サイクルは約21日である。
【0400】
ii.PD-1軸結合アンタゴニストの投薬
一般的な提案として、がん(例えば、食道がん(例えば、転移性食道がん))を有する対象に投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)の治療的有効量は、1回又は複数回の投与によるかどうかにかかわらず、対象体重1kgあたり約0.01~約50mgの範囲であろう。
【0401】
いくつかの例示的実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)は、約0.01~約45mg/kg、約0.01~約40mg/kg、約0.01~約35mg/kg、約0.01~約30mg/kg、約0.01~約25mg/kg、約0.01~約20mg/kg、約0.01~約15mg/kg、約0.01~約10mg/kg、約0.01~約5mg/kg又は約0.01~約1mg/kgの用量で投与され、例えば、毎日、毎週、2週間ごと、3週間ごと、又は4週間ごとに投与される。
【0402】
いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の用量は、対象の体重に基づく用量(例えば、15mg/kg)である。場合によっては、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の用量は、対象の体表面積(例えば、体表面積(BSA)>1.25m2:600mg、BSA>0.75m2かつ≦1.25m2:450mg、BSA>0.5m2かつ≦0.75m2:350mg、及びBSA≦0.5m2:300mg)に基づく用量である。
【0403】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに約80mg~約1600mg(例えば、約100mg~約1600mg、例えば、約200mg~約1600mg、例えば、約300mg~約1600mg、例えば、約400mg~約1600mg、例えば、約500mg~約1600mg、例えば、約600mg~約1600mg、例えば、約700mg~約1600mg、例えば、約800mg~約1600mg、例えば、約900mg~約1500mg、例えば、約1000mg~約1400mg、例えば、約1050mg~約1350mg、例えば、約1100mg~約1300mg、例えば、約1150mg~約1250mg、例えば、約1175mg~約1225mg、例えば、約1190mg~約1210mg、例えば、1200mg±5mg、例えば、1200±2.5mg、例えば、1200±1.0mg、例えば、1200±0.5mg、例えば、1200)の固定用量である。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、3週間ごとに約1200mgの固定用量のアテゾリズマブである。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、3週間ごとに約200mgの固定用量のペンブロリズマブであるか、あるいは、6週間ごとに約400mgの固定用量のペンブロリズマブである。
【0404】
いくつかの事例では、併用療法(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブとの併用治療)で投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の固定用量は、単剤療法として投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えばアテゾリズマブ))の標準用量と比較して減少し得る。
【0405】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに、対象の体重の約0.01mg/kgと約50mg/kgの間(例えば、約0.01mg/kgと約45mg/kgの間、例えば、約0.1mg/kgと約40mg/kgの間、例えば、約1mg/kgと約35mg/kgの間、例えば、約2.5mg/kgと約30mg/kgの間、例えば、約5mg/kgと約25mg/kgの間、例えば、約10mg/kgと約20mg/kgの間、例えば、約12.5mg/kgと約15mg/kgの間、例えば、約15±2mg/kg、約15±1mg/kg、約15±0.5mg/kg、約15±0.2mg/kg、又は約15±0.1mg/kg、例えば、約15mg/kg)の用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えばアテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに、対象の体重の約0.01mg/kgと約15mg/kgの間(例えば約0.1mg/kgと約15mg/kgの間、例えば約0.5mg/kgと約15mg/kgの間、例えば約1mg/kgと約15mg/kgの間、例えば約2.5mg/kgと約15mg/kgの間、例えば約5mg/kgと約15mg/kgの間、例えば約7.5mg/kgと約15mg/kgの間、例えば約10mg/kgと約15mg/kgの間、例えば約12.5mg/kgと約15mg/kgの間、例えば約14mg/kgと約15mg/kgの間、例えば約15±1mg/kg、例えば約15±0.5mg/kg、例えば約15±0.2mg/kg、例えば約15±0.1mg/kg、例えば約15mg/kg)の用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに投与される約15mg/kgの用量である。いくつかの事例では、併用療法(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブとの併用治療)で投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の用量は、単剤療法として投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えばアテゾリズマブ))の標準用量と比較して減少し得る。
【0406】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、2週間ごとに(Q2W)約20mg~約1600mg(例えば、約40mg~約1500mg、例えば、約200mg~約1400mg、例えば、約300mg~約1400mg、例えば、約400mg~約1400mg、例えば、約500mg~約1300mg、例えば、約600mg~約1200mg、例えば、約700mg~約1100mg、例えば、約800mg~約1000mg、例えば、約800mg~約900mg、例えば、約800、約810、約820、約830、約840、約850、約860、約870、約880、約890又は約900mg)の固定用量である。いくつかの事例は、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、約840mg/2週間(例えば、2週間ごとに、840mg±10mg、例えば、840±6mg、例えば、840±5mg、例えば、840±3mg、例えば、840±1mg、例えば、840±0.5mg、例えば、840mg)の固定用量のアテゾリズマブである。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、2週間ごとに約800mgの固定用量のアベルマブである。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、2週間ごとに約240mgの固定用量のニボルマブである。
【0407】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、4週間ごとに(Q4W)約500mg~約3000mg(例えば、約500mg~約2800mg、例えば、約600mg~約2700mg、例えば、約650mg~約2600mg、例えば、約700mg~約2500mg、例えば、約1000mg~約2400mg、例えば、約1100mg~約2300mg、例えば、約1200mg~約2200mg、例えば、約1300mg~約2100mg、例えば、約1400mg~約2000mg、例えば、約1500mg~約1900mg、例えば、約1600mg~約1800mg、例えば、約1620mg~約1700mg、例えば、約1640mg~約1690mg、例えば、約1660mg~約1680mg、約1680mg、例えば、約1600mg、約1610mg、約1620mg、約1630mg、約1640mg、約1650mg、約1660mg、約1670mg、約1680mg、約1690mg、又は約1700mg)の固定用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、4週間ごとに1680mg(例えば、4週間ごとに、1680mg±10mg、例えば、1680±6mg、例えば、1680±5mg、例えば、1680±3mg、例えば、1680±1mg、例えば、1680±0.5mg、例えば、1680mg)の固定用量である。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、4週間ごとに約480mgの固定用量のニボルマブである。
【0408】
いくつかの例では、併用療法(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブとの併用処置)で投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の用量は、単剤療法として投与される抗PD-L1アンタゴニスト抗体の標準用量と比較して減少し得る。いくつかの例では、1つ以上の化学療法剤(例えば、白金系化学療法剤(例えば、カルボプラチン又はシスプラチン)及び/又は非白金系化学療法剤(例えば、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド)、タキサン(例えばパクリタキセル、例えばnab-パクリタキセル)及び/又はトポイソメラーゼII阻害剤(例えば、ドキソルビシン)))及び/又はG-CSF若しくはGM-CSFを伴う又は伴わない併用療法(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブとの併用処置)で投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の用量は、単剤療法として投与されるPD-1軸結合アンタゴニストの標準用量と比較して低減され得る。
【0409】
いくつかの例において、対象には、合計で1~60用量のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)、例えば、1~60用量、1~55用量、1~50用量、1~45用量、1~40用量、1~35用量、1~30用量、1~25用量、1~20用量、1~15用量、1~10用量、1~5用量、2~60用量、2~55用量、2~50用量、2~45用量、2~40用量、2~35用量、2~30用量、2~25用量、2~20用量、2~15用量、2~10用量、2~5用量、3~60用量、3~55用量、3~50用量、3~45用量、3~40用量、3~35用量、3~30用量、3~25用量、3~20用量、3~15用量、3~10用量、3~5用量、4~60用量、4~55用量、4~50用量、4~45用量、4~40用量、4~35用量、4~30用量、4~25用量、4~20用量、4~15用量、4~10用量、4~5用量、5~60用量、5~55用量、5~50用量、5~45用量、5~40用量、5~35用量、5~30用量、5~25用量、5~20用量、5~15用量、5~10用量、10~60用量、10~55用量、10~50用量、10~45用量、10~40用量、10~35用量、10~30用量、10~25用量、10~20用量、10~15用量、15~60用量、15~55用量、15~50用量、15~45用量、15~40用量、15~35用量、15~30用量、15~25用量、15~20用量、20~60用量、20~55用量、20~50用量、20~45用量、20~40用量、20~35用量、20~30用量、20~25用量、25~50用量、25~45用量、25~40用量、25~35用量、25~30用量、30~60用量、30~55用量、30~50用量、30~45用量、30~40用量、30~35用量、35~60用量、35~55用量、35~50用量、35~45用量、35~40用量、40~60用量、40~55用量、40~50用量、40~45用量、45~50用量、50~60用量、又は55~60用量が投与される。特定の例では、用量は静脈内投与され得る。
【0410】
いくつかの例では、アテゾリズマブは、2週間ごとに約840mg、3週間ごとに約1200mg、又は4週間ごとに約1680mgの用量で対象に静脈内投与される。例えば、いくつかの態様では、アテゾリズマブは、3週間ごとに1200mgの用量で対象に静脈内投与される。いくつかの態様では、アテゾリズマブは、2週間ごとに840mgの用量で対象に静脈内投与される。いくつかの態様では、アテゾリズマブは、4週間ごとに1680mgの用量で対象に静脈内投与される。
【0411】
PD-1軸結合アンタゴニスト及び/又は任意の追加の治療剤は、当技術分野で公知の任意の適切な様式で投与され得る。例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト及び/又は任意の追加の治療剤は、逐次に(異なる日に)又は同時に(同じ日に又は同じ治療サイクル中に)投与され得る。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、追加の治療剤の前に投与される。他の例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、追加の治療剤の後に投与される。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニスト及び/又は任意の追加の治療剤は、同じ日に投与され得る。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、同じ日に投与される追加の治療剤の前に投与され得る。例えば、PD-1軸結合アンタゴニストは、同じ日に、化学療法より前に投与され得る。別の例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、同じ日に、化学療法及び別の薬物(例えば、ベバシズマブ)の両方より前に投与され得る。他の例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、同じ日に投与される追加の治療剤の後に投与され得る。更に他の例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、追加の治療剤と同時に投与される。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、追加の治療剤として別個の組成物中に存在する。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、追加の治療剤として同じ組成物中に存在する。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、同じ日に対象に投与される任意の他の治療剤とは別個の静脈内ラインを介して投与される。
【0412】
PD-1軸結合アンタゴニスト及び任意の追加の治療剤は、同じ投与経路によって又は異なる投与経路によって投与され得る。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、静脈内に、筋肉内に、皮下に、局所的に、経口的に、経皮的に、腹腔内に、眼窩内に、移植により、吸入により、髄腔内に、脳室内に、又は鼻腔内に投与される。いくつかの例では、追加の治療剤は、静脈内に、筋肉内に、皮下に、局所的に、経口的に、経皮的に、腹腔内に、眼窩内に、移植により、吸入により、髄腔内に、脳室内に、又は鼻腔内に投与される。
【0413】
好ましい実施形態において、PD-1軸結合アンタゴニストは静脈内投与される。一例では、アテゾリズマブは60分かけて静脈内投与され得、最初の注入が耐容されれば、その後の注入は全て30分かけて送達され得る。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、静脈内プッシュ又はボーラスとして投与されない。
【0414】
有効量のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を含む治療レジメンを別の抗がん剤又はがん治療と組み合わせて対象に投与することを含む、対象の食道がんを治療する方法も本明細書で提供される。例えば、PD-1軸結合アンタゴニストは、追加の化学療法若しくは化学療法剤(上記の定義を参照);標的化療法若しくは標的化治療剤;免疫療法若しくは免疫療法剤、例えばモノクローナル抗体;1つ若しくは複数の細胞傷害剤(上記の定義を参照);又はこれらの組み合わせと組み合わせて投与され得る。例えば、PD-1軸結合アンタゴニストは、ベバシズマブ、パクリタキセル、タンパク質結合パクリタキセル(例えば、nab-パクリタキセル)、カルボプラチン、シスプラチン、ペメトレキセド、ゲムシタビン、エトポシド、コビメチニブ、ベムラフェニブ、又はこれらの組み合わせと組み合わせて投与され得る。PD-1軸結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)又は抗PD-1抗体であり得る。
【0415】
いくつかの例では、治療は追加の治療を更に含み得る。当技術分野で公知であるか又は本明細書に記載される任意の適切な追加の治療が使用され得る。追加の治療は、放射線療法、外科手術、遺伝子療法、DNA療法、ウイルス療法、RNA療法、免疫療法、骨髄移植、ナノ療法、モノクローナル抗体療法、ガンマ線照射、又はこれらの組み合わせであり得る。
【0416】
いくつかの例では、追加の治療は、副作用制限剤(例えば、治療の副作用の発生及び/又は重症度を軽減することを意図した薬剤、例えば、抗悪心剤、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン又は同等物、例えば1~2mg/kg/日の用量)、ホルモン補充薬など)の投与である。
【0417】
iii.抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストの投与サイクル
本発明の方法及び使用のいずれにおいても、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、1つ以上の投与サイクル(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、又は60又はそれ以上の投与サイクル)で、がん(例えば、食道がん(例えば、転移性食道がん))を有する対象に投与され得る。いくつかの態様では、1つ以上の投与サイクルは、それぞれセクションIX及びXに記載される抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の1つ以上の用量の、がん(例えば、食道がん(例えば、転移性食道がん))を有する対象への投与を含む。いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の投与サイクルは、臨床上の利益(例えば、確認された疾患進行、薬物耐性、死亡、又は許容できない毒性)が失われるまで継続する。いくつかの例では、各投与サイクルの長さは、約7~42日間(例えば、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、31日間、32日間、33日間、34日間、35日間、36日間、37日間、38日間、39日間、41日間、42日間)である。いくつかの事例では、投与サイクルの長さは、約14日間である。いくつかの事例では、投与サイクルの長さは、約21日間である。いくつかの事例では、投与サイクルの長さは、約28日間である。いくつかの事例では、投与サイクルの長さは、約42日間である。いくつかの事例では、投与サイクルの長さは、約7日間である。
【0418】
いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)とPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))又は抗PD-1アンタゴニスト抗体(例えば、MDX-1106(ニボルマブ)又はMK-3475(以前はラムブロリズマブとして知られていたペンブロリズマブ))が、各投与サイクルの約1日目(例えば、1日目±3日目)に投与される。いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)とPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))又は抗PD-1アンタゴニスト抗体(例えば、MDX-1106(ニボルマブ)又はMK-3475(以前はラムブロリズマブとして知られていたペンブロリズマブ))が、各投与サイクルの約15日目(例えば、15日目±3日目)に投与される。
【0419】
いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の両方を、各投与サイクルの約1日目(例えば、1日目±3日目)に投与する。
【0420】
いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、21日間サイクルの1日目に約600mgの用量で(すなわち、3週間ごとに約600mgの用量で)静脈内投与され、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、21日間サイクルの1日目に約1200mgの用量で(すなわち、3週間ごとに約1200mgの用量で)静脈内投与される。いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、21日間サイクルの1日目に600mgの用量で(すなわち、3週間ごとに600mgの用量で)静脈内投与され、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、21日間サイクルの1日目に1200mgの用量で(すなわち、3週間ごとに1200mgの用量で)静脈内投与される。
【0421】
いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、14日間サイクルの1日目に約420mgの用量で(すなわち、2週間ごとに約420mgの用量で)静脈内投与され、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、14日間サイクルの1日目に約840mgの用量で(すなわち、2週間ごとに約840mgの用量で)静脈内投与される。
【0422】
いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、28日間サイクルの1日目に840mgの用量で(すなわち、4週間ごとに840mgの用量で)静脈内投与され、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、28日間サイクルの1日目に1680mgの用量で(すなわち、4週間ごとに1680mgの用量で)静脈内投与される。
【0423】
iv.抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストの静脈内注入及び皮下投与
いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を、がん(例えば、食道がん(例えば、転移性食道がん))を有する対象に静脈内投与する。あるいは、いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を皮下投与する。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を静脈内投与する。あるいはまた、いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を皮下投与する。
【0424】
いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、約60±15分(例えば、約45分、約46分、約47分、約48分、約49分、約50分、約51分、約52分、約53分、約54分、約55分、約56分、約57分、約58分、約59分、約60分、約61分、約62分、約63分、約64分、約65分、約66分、約67分、約68分、約69分、約70分、約71分、約72分、約73分、約74分又は約75分)にわたる静脈内注入によって対象又は対象集団に投与される。いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、約60±10分(例えば約50分、約51分、約52分、約53分、約54分、約55分、約56分、約57分、約58分、約59分、約60分、約61分、約62分、約63分、約64分、約65分、約66分、約67分、約68分、約69分、又は約70分)わたる静脈内注入によって対象又は対象集団に投与される。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ)は、約60±15分(例えば、約45分、約46分、約47分、約48分、約49分、約50分、約51分、約52分、約53分、約54分、約55分、約56分、約57分、約58分、約59分、約60分、約61分、約62分、約63分、約64分、約65分、約66分、約67分、約68分、約69分、約70分、約71分、約72分、約73分、約74分又は約75分)にわたる静脈内注入によって対象に投与される。
【0425】
いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を、約30±10分(例えば、約20分、約21分、約22分、約23分、約24分、約25分、約26分、約27分、約28分、約29分、約30分、約31分、約32分、約33分、約34分、約35分、約36分、約37分、約38分、約39分、又は約40分)にわたる静脈内注入によって対象に投与する。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、約30±10分(例えば、約20分、約21分、約22分、約23分、約24分、約25分、約26分、約27分、約28分、約29分、約30分、約31分、約32分、約33分、約34分、約35分、約36分、約37分、約38分、約39分、又は約40分)にわたる静脈内注入によって対象に投与される。
【0426】
v.投与順序及び観察期間
抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストの両方が、がん(例えば、食道がん(例えば、転移性食道がん))を有する対象又は対象集団に投与されるいくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の前に対象に投与される。
【0427】
いくつかの例では、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後及びPD-1軸結合アンタゴニストの投与前に、方法は、介在する第1の観察期間を含む。いくつかの例では、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を対象に投与する。いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を最初に対象に投与し、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の投与後にPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を対象に投与する。
【0428】
いくつかの例では、方法は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の投与後の第2の観察期間を更に含む。
【0429】
いくつかの例では、方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第1の観察期間、及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の投与後の第2の観察期間の両方を含む。いくつかの事例では、第1及び第2の観察期間はそれぞれ、約30分~約60分の長さである。第1及び第2の観察期間がそれぞれ約60分である場合、方法は、第1又は第2の観察期間中の抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の投与後約30±10分での対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)を記録することを含み得る。第1及び第2の観察期間がそれぞれ約30分である場合、方法は、第1又は第2の間の抗TIGITアンタゴニスト抗体又はPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の投与後約15±10分での対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)を記録することを含み得る。
【0430】
いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の前に対象又は対象集団に投与される。いくつかの例では、例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の投与後及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の投与前に、方法は、介在する第1の観察期間を含む。
【0431】
いくつかの例では、方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の投与後の第2の観察期間を更に含む。
【0432】
いくつかの例では、方法は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の投与後の第1の観察期間、及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の投与後の第2の観察期間の両方を含む。いくつかの事例では、第1及び第2の観察期間はそれぞれ、約30分~約60分の長さである。第1及び第2の観察期間がそれぞれ約60分の長さである場合、方法は、第1又は第2の観察期間中のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))又は抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の投与後約30±10分での対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)を記録することを含み得る。第1及び第2の観察期間がそれぞれ約30分の長さである場合、方法は、第1又は第2の観察期間中のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の投与後約15±10分での対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)を記録することを含み得る。
【0433】
VII.PD-L1発現の評価
PD-L1の発現は、本明細書に記載の使用のための方法及び組成物のいずれかに従って治療された対象において評価され得る。使用のための方法及び組成物は、がん(例えば、食道がん(例えば、転移性食道がん))を有する対象から得られた生物学的試料(例えば、腫瘍試料)中のPD-L1の発現レベルを決定することを含み得る。他の例では、対象から得られた生物学的試料(例えば、腫瘍試料)中のPD-L1の発現レベルは、処置開始前又は処置開始後に決定されている。PD-L1発現は、任意の適切なアプローチを使用して決定され得る。例えば、PD-L1発現は、米国特許出願公開第15/787,988号及び同第15/790,680号に記載されているように決定され得る。任意の適切な腫瘍試料、例えばホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍試料、保管腫瘍試料、新鮮腫瘍試料又は凍結腫瘍試料が使用され得る。
【0434】
例えば、PD-L1の発現は、検出可能な発現レベルのPD-L1を発現する腫瘍浸潤免疫細胞によって構成される腫瘍試料のパーセンテージに関して、検出可能な発現レベルのPD-L1を発現する腫瘍試料中の腫瘍浸潤免疫細胞のパーセンテージとして、及び/又は検出可能な発現レベルのPD-L1を発現する腫瘍試料中の腫瘍細胞のパーセンテージとして決定され得る。前述の例のいずれにおいても、腫瘍浸潤免疫細胞によって構成される腫瘍試料のパーセンテージは、対象から得られた腫瘍試料の切片において、腫瘍浸潤免疫細胞によって覆われる腫瘍領域のパーセンテージ(例えば、抗PD-L1抗体(例えば、SP142抗体)を使用してIHCによって評定されるように)に関してであり得ることが理解されるべきである。例えば、SP142(Ventana)、SP263(Ventana)、22C3(Dako)、28-8(Dako)、E1L3N(Cell Signaling Technology)、4059(ProSci,Inc.)、h5H1(Advanced Cell Diagnostics)及び9A11を含む任意の適切な抗PD-L1抗体が使用され得る。いくつかの例では、抗PD-L1抗体はSP142である。他の例では、抗PD-L1抗体はSP263である。
【0435】
いくつかの例では、対象から得られる腫瘍試料は、腫瘍試料中の1%未満の腫瘍細胞、腫瘍試料中の1%以上の腫瘍細胞、腫瘍試料中の1%~5%未満の腫瘍細胞、腫瘍試料中の5%以上の腫瘍細胞、腫瘍試料中の5%~50%未満の腫瘍細胞又は腫瘍試料中の50%以上の腫瘍細胞において、検出可能なPD-L1発現レベルを有する。
【0436】
いくつかの例では、対象から得られた腫瘍試料は、腫瘍試料の1%未満、腫瘍試料の1%超、腫瘍試料の1%~5%未満、腫瘍試料の5%超、腫瘍試料の5%~10%未満、又は腫瘍試料の10%超を構成する腫瘍浸潤免疫細胞中の検出可能なPD-L1発現レベルを有する。
【0437】
いくつかの態様では、本明細書において提供される方法のいずれかに従って治療された対象の食道がんは、5%未満のPD-L1陽性腫瘍細胞(TC)画分又は腫瘍浸潤免疫細胞(IC)画分を有する。いくつかの態様では、食道がんは1%未満のPD-L1陽性TC画分を有する。他の態様では、本明細書で提供される方法のいずれかに従って治療された対象の食道がんは、5%以上のPD-L1陽性TC画分又はIC画分を有する。いくつかの態様では、PD-L1は、Ventana SP142 IHCアッセイ、Ventana SP263 IHCアッセイ、pharmDx 22C3 IHCアッセイ又はpharmDx 28-8 IHCアッセイを使用して検出される。
【0438】
いくつかの例において、腫瘍試料は、表2及び/又は表3にそれぞれ示される診断評価のための基準に従って、腫瘍浸潤免疫細胞及び/又は腫瘍細胞におけるPD-L1陽性についてスコア化され得る。
表2.腫瘍浸潤免疫細胞(IC)IHC診断基準
表3.腫瘍細胞(TC)IHC診断基準
【0439】
VIII.TIGIT発現の評価
TIGITの発現レベルは、本明細書に記載の使用のための方法、使用及び組成物のいずれかに従って治療されたがん(例えば、食道がん(例えば、転移性食道がん))を有する対象において評価することができる。使用のための方法、使用及び組成物は、対象から得られた生物学的試料(例えば、腫瘍試料)中のTIGITの発現レベルを決定することを含み得る。他の例では、対象から得られた生物学的試料(例えば、腫瘍試料)中のTIGITの発現レベルは、処置開始前又は処置開始後に決定されている。TIGIT発現は、任意の適切な手法を使用して決定され得る。任意の適切な腫瘍試料、例えばホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍試料、保管腫瘍試料、新鮮腫瘍試料又は凍結腫瘍試料が使用され得る。
【0440】
例えば、TIGITの発現は、TIGITの検出可能な発現レベルを発現する腫瘍浸潤免疫細胞に含まれる腫瘍試料の割合に関して、TIGITの検出可能な発現レベルを発現する腫瘍試料中の腫瘍浸潤免疫細胞の割合として、及び/又はTIGITの検出可能な発現レベルを発現する腫瘍試料中の腫瘍細胞の割合として決定され得る。前述の例のいずれかにおいて、腫瘍浸潤免疫細胞によって構成される腫瘍試料の割合は、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体を使用してIHCによって評定される場合、対象から得られた腫瘍試料の切片中の腫瘍浸潤免疫細胞によって覆われた腫瘍面積の割合に関してであり得ることが理解されるべきである。任意の適切な抗TIGITアンタゴニスト抗体を使用することができる。いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は10A7(国際公開第2009/126688号A3;米国特許第9,499,596号)である。
【0441】
IX.抗TIGITアンタゴニスト抗体
本発明は、がん(例えば、食道がん(例えば、転移性食道がん))を有する対象(例えば、ヒト)においてがんを治療するのに有用な抗TIGITアンタゴニスト抗体を提供する。
【0442】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はチラゴルマブ(CAS登録番号:1918185-84-8)である。チラゴルマブ(Genentech)は、MTIG7192Aとしても既知である。
【0443】
ある特定の場合において、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、(a)SNSAAWN(配列番号11)のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)ESTTYDLLAGPFDY(配列番号13)のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号14)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)WASTRES(配列番号15)のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び/又は(f)QQYYSTPFT(配列番号16)のアミノ酸配列を含むHVR-L3、又は上記HVRの1つ若しくは複数から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つのHVRと、配列番号11~16のいずれか1つと少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性)を有するその1つ若しくは複数のバリアントとの組み合わせを含む。
【0444】
いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、(a)SNSAAWN(配列番号11)のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)ESTTYDLLAGPFDY(配列番号13)のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号14)のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)WASTRES(配列番号15)のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び(f)QQYYSTPFT(配列番号16)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含み得る。いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、EVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVSSNSAAWNWIRQSPSRGLEWLGKTYYRFKWYSDYAVSVKGRITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTRESTTYDLLAGPFDYWGQGTLVTVSS(配列番号27)又はその配列に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、又はQVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVSSNSAAWNWIRQSPSRGLEWLGKTYYRFKWYSDYAVSVKGRITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTRESTTYDLLAGPFDYWGQGTLVTVSS(配列番号28)又はその配列に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン、並びに/あるいはDIVMTQSPDSLAVSLGERATINCKSSQTVLYSSNNKKYLAWYQQKPGQPPNLLIYWASTRESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQQYYSTPFTFGPGTKVEIK(配列番号29)又はその配列に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを有する。いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号27若しくはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン及び/又は配列番号29若しくはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを有する。いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号27のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号29のアミノ酸配列を含むVLドメインを有する。いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号28若しくはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン及び/又は配列番号29若しくはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを有する。いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号28のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号29のアミノ酸配列を含むVLドメインを有する。
【0445】
いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、重鎖及び軽鎖配列を含み、(a)重鎖は、アミノ酸配列:EVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVSSNSAAWNWIRQSPSRGLEWLGKTYYRFKWYSDYAVSVKGRITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTRESTTYDLLAGPFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号33)を含み、(b)軽鎖は、アミノ酸配列:DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCKSSQTVLYSSNNKKYLAWYQQKPGQPPNLLIYWASTRESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQQYYSTPFTFGPGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号34)を含む。
【0446】
いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR):DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号17)のアミノ酸配列を含むFR-L1;WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号18)のアミノ酸配列を含むFR-L2、;GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号19)のアミノ酸配列を含むFR-L3;並びに/あるいはFGPGTKVEIK(配列番号20)のアミノ酸配列を含むFR-L4、又は上記FRの1つ若しくは複数と配列番号17~20のいずれか1つと少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性)を有するその1つ若しくは複数のバリアントとの組み合わせの少なくとも1、2、3、又は4つを更に含む。いくつかの例において、例えば、抗体は、DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号17)のアミノ酸配列を含むFR-L1;WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号18)のアミノ酸配列を含むFR-L2、;GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号19)のアミノ酸配列を含むFR-L3;及びFGPGTKVEIK(配列番号20)のアミノ酸配列を含むFR-L4を更に含む。
【0447】
いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の重鎖可変領域FR:X1VQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号21)のアミノ酸配列を含むFR-H1(X1はE又はQである);WIRQSPSRGLEWLG(配列番号22)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号23)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及び/又はWGQGTLVTVSS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むFR-H4、又は上記FRの1つ若しくは複数と配列番号21~24のいずれか1つと少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性)を有するその1つ若しくは複数のバリアントとの組み合わせのうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つを更に含む。抗TIGITアンタゴニスト抗体は、例えば、以下の重鎖可変領域FR:EVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号25)のアミノ酸配列を含むFR-H1;WIRQSPSRGLEWLG(配列番号22)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号23)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及び/又はWGQGTLVTVSS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むFR-H4、又は上記FRの1つ若しくは複数と配列番号22~25のいずれか1つと少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性)を有するその1つ若しくは複数のバリアントとの組み合わせのうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つを更に含み得る。場合によっては、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、EVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号25)のアミノ酸配列を含むFR-H1;WIRQSPSRGLEWLG(配列番号22)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号23)のアミノ酸配列を含むFR-H3;WGQGTLVTVSS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むFR-H4を含む。別の例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の重鎖可変領域FR:QVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号26)のアミノ酸配列を含むFR-H1;WIRQSPSRGLEWLG(配列番号22)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号23)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及び/又はWGQGTLVTVSS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むFR-H4、又は上記FRの1つ若しくは複数と配列番号22~24及び26のいずれか1つと少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性)を有するその1つ若しくは複数のバリアントとの組み合わせのうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つを更に含み得る。場合によっては、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、QVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号26)のアミノ酸配列を含むFR-H1;WIRQSPSRGLEWLG(配列番号22)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号23)のアミノ酸配列を含むFR-H3;WGQGTLVTVSS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むFR-H4を含む。
【0448】
別の態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体が提供され、該抗体は、上記いずれかの事例のようなVH及び上記いずれかの事例のようなVLを含み、可変ドメイン配列の一方又は両方が翻訳後修飾を含む。
【0449】
いくつかの事例では、上記の抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれか1つは、ヒトTIGITに加えてウサギTIGITに結合することができる。いくつかの事例では、上記の抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれか1つは、ヒトTIGIT及びカニクイザル(cyno)TIGITの両方に結合することができる。いくつかの事例では、上記の抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれか1つは、ヒトTIGIT、カニクイザルTIGIT及びウサギTIGITに結合することができる。いくつかの事例では、上記の抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれか1つは、ヒトTIGIT、カニクイザルTIGIT及びウサギTIGITに結合することができるが、マウスTIGITには結合できない。
【0450】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、約10nM以下のKDでヒトTIGITに結合し、約10nM以下のKDでカニクイザルTIGITに結合する(例えば、約0.1nM~約1nMのKDでヒトTIGITに結合し、約0.5nM~約1nMのKDでカニクイザルTIGITに結合し、例えば、約0.1nM以下のKDでヒトTIGITに結合し、約0.5nM以下のKDでカニクイザルTIGITに結合する)。
【0451】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、TIGITに特異的に結合し、ポリオウイルス受容体(PVR)とのTIGIT相互作用を阻害又は遮断する(例えば、アンタゴニスト抗体は、PVRへのTIGIT結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害する)。いくつかの事例では、アンタゴニスト抗体は、10nM以下のIC50値でヒトPVRへのヒトTIGITの結合を阻害又は遮断する(例えば、1nM~約10nM)。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、TIGITに特異的に結合し、PVR-CD226相互作用に影響を与えることなく、PVRとのTIGIT相互作用を阻害又は遮断する。いくつかの事例では、アンタゴニスト抗体は、カニクイザルPVRへのカニクイザルTIGITの結合を50nM以下のIC50値で阻害又は遮断する(例えば、1nM~約50nM、例えば、1nM~約5nM)。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、CD226とTIGITとの相互作用を阻害及び/又は遮断する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、TIGITがCD226ホモ二量体化を破壊する能力を阻害及び/又は遮断する。
【0452】
いくつかの事例では、本明細書に記載の方法又は使用は、TIGITへの結合について上記の抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれかと競合する単離された抗TIGITアンタゴニスト抗体を使用又は投与することを含み得る。例えば、方法は、TIGITに対する結合について、以下の6つのHVRを有する抗TIGITアンタゴニスト抗体と競合する単離された抗TIGITアンタゴニスト抗体を投与することを含み得る:(a)SNSAAWN(配列番号11)のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)ESTTYDLLAGPFDY(配列番号13)のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号14)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)WASTRES(配列番号15)のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び(f)QQYYSTPFT(配列番号16)のアミノ酸配列を含むHVR-L3。本明細書に記載の方法はまた、上記の抗TIGITアンタゴニスト抗体と同じエピトープに結合する単離された抗TIGITアンタゴニスト抗体を投与することを含み得る。
【0453】
いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、Fc媒介エフェクター機能を示し、例えば抗体依存性細胞傷害性(ADCC)に関与する。いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、インタクトなFc媒介エフェクター機能(例えば、チラゴルマブ、ビボストリマブ、エチギリマブ、EOS084448又はTJ-T6)又は増強されたエフェクター機能(例えば、SGN-TGT)を有する抗体である。
【0454】
他の態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、Fc媒介エフェクター機能を欠く抗体(例えば、ドムバナリマブ、BMS-986207、ASP8374、又はCOM902)である。
【0455】
いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はIgGクラス抗体である。いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はIgG1クラスの抗体、例えば、チラゴルマブ、ビボストリマブ、ドムバナリマブ、BMS-986207、エチギリマブ、BGB-A1217、SGN-TGT、EOS084448(EOS-448)、TJ-T6、又はAB308である。いくつかの態様では、抗体は、Fc領域を含むヒトモノクローナル完全長IgG1クラス抗体である。
【0456】
いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、ヒトIgG1 Fc領域、配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、及び配列番号29のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含むヒトのモノクローナルな全長IgG1サブクラス抗体である。
【0457】
他の態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、IgG4クラス抗体、例えばASP8374又はCOM902である。
【0458】
このような抗体を含有する組成物を含む、本発明において有用な抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体、例えば、アテゾリズマブ)、PD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1アンタゴニスト抗体、例えば、ペンブロリズマブ)及びPD-L2結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L2アンタゴニスト抗体))と組み合わせて使用され得る。
【0459】
いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、TIGITシグナル伝達を阻害するように機能する。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、その結合パートナーへのTIGITの結合を阻害する。例示的なTIGIT結合パートナーには、CD155(PVR)、CD112(PVRL2又はネクチン-2)及びCD113(PVRL3又はネクチン-3)が含まれる。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、TIGITとCD155との間の結合を阻害することができる。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、TIGITとCD112との間の結合を阻害し得る。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、TIGITとCD113との間の結合を阻害する。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、免疫細胞のTIGIT媒介性細胞シグナル伝達を阻害する。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、制御性T細胞(例えば、FcγR)を枯渇させることによってTIGITを阻害する。
【0460】
いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、Fab、Fab’-SH、Fv、scFv及び(Fab’)2断片からなる群より選択される抗体断片である。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体はヒト化抗体である。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体はヒト抗体である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗TIGIT抗体は、ヒトTIGITに結合する。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体はFc融合タンパク質である。
【0461】
いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、チラゴルマブ(MTIG7192A、RG6058又はRO7092284)、ビボストリマブ(MK-7684)、ASP8374(PTZ-201)、EOS884448(EOS-448)、SEA-TGT(SGN-TGT)、BGB-A1217、BMS-986207(ONO-4686)、COM902(CGEN-15137)、IBI939、ドムバナリマブ(AB154)、M6223、AB308、AB154、TJ-T6、MG1131、NB6253、HLX301、HLX53、SL-9258(TIGIT-Fc-LIGHT)、STW264、及びYBL-012からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、チラゴルマブ(MTIG7192A、RG6058又はRO7092284)、ビボストリマブ(MK-7684)、ASP8374(PTZ-201)、EOS-448、及びSEA-TGT(SGN-TGT)からなる群から選択される。抗TIGIT抗体は、チラゴルマブ(MTIG7192A、RG6058又はRO7092284)であり得る。
【0462】
いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、本明細書に開示される抗TIGIT抗体のいずれかの少なくとも1、2、3、4、5、又は6つの相補性決定領域(CDR)を含む。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、本明細書に開示される抗TIGIT抗体のいずれかの6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、チラゴルマブ、ASP8374(PTZ-201)、BGB-A1217、BMS-986207(ONO-4686)、COM902(CGEN-15137)、M6223、IBI939、EOS884448(EOS-448)、ドムバナリマブ(AB154)、ビボストリマブ(MK-7684)、及びSEA-TGT(SGN-TGT)からなる群から選択される抗体のいずれか1つの6つのCDRを含む。
【0463】
いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、重鎖及び軽鎖を含み、重鎖は、本明細書に開示される抗TIGIT抗体のいずれか1つの重鎖可変領域(VH)配列を含み、軽鎖は、同じ抗体の軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、チラゴルマブ、ASP8374(PTZ-201)、BGB-A1217、BMS-986207(ONO-4686)、COM902(CGEN-15137)、M6223、IBI939、EOS884448(EOS-448)、ドムバナリマブ(AB154)、ビボストリマブ(MK-7684)、及びSEA-TGT(SGN-TGT)からなる群から選択される抗TIGIT抗体のVH及びVLを含む。
【0464】
いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、本明細書に開示される抗TIGIT抗体のいずれかの重鎖及び軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、チラゴルマブ、ASP8374(PTZ-201)、BGB-A1217、BMS-986207(ONO-4686)、COM902(CGEN-15137)、M6223、IBI939、EOS884448(EOS-448)、ドムバナリマブ(AB154)、ビボストリマブ(MK-7684)、及びSEA-TGT(SGN-TGT)からなる群から選択される抗TIGIT抗体の重鎖及び軽鎖を含む。
【0465】
X.PD-1軸結合アンタゴニスト
PD-1軸結合アンタゴニストには、PD-L1結合アンタゴニスト、PD-1結合アンタゴニスト及びPD-L2結合アンタゴニストが含まれ得る。任意の適切なPD-1軸結合アンタゴニストを、がん(例えば、食道がん(例えば、転移性食道がん))を有する対象を治療するために使用することができる。
【0466】
A.PD-L1結合アンタゴニスト
いくつかの例では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1の、そのリガンド結合パートナーのうちの1つ又は複数への結合を阻害する。他の例では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1の、PD-1への結合を阻害する。更に他の例では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1の、B7-1への結合を阻害する。いくつかの例では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1の、PD-1及びB7-1の両方への結合を阻害する。PD-L1結合アンタゴニストは、限定されないが、抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド又は小分子であり得る。いくつかの例では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1を阻害する小分子(例えば、GS-4224、INCB 086550、MAX-10181、INCB 090244、CA-170又はABSK 041)である。いくつかの例では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1及びVISTAを阻害する小分子である。いくつかの例では、PD-L1結合アンタゴニストはCA-170(AUPM-170としても知られる)である。いくつかの例では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1及びTIM3を阻害する小分子である。いくつかの例では、小分子は、国際公開第2015/033301号及び/又は国際公開第2015/033299号に記載されている化合物である。
【0467】
いくつかの例では、PD-L1結合アンタゴニストは抗PD-L1抗体である。様々な抗PD-L1抗体が本明細書において企図され、記載されている。本明細書の例のいずれにおいても、単離された抗PD-L1抗体は、ヒトPD-L1、例えば、UniProtKB/Swiss-Protアクセッション番号Q9NZQ7-1に示されているようなヒトPD-L1又はそのバリアントに結合することができる。いくつかの例では、抗PD-L1抗体は、PD-L1とPD-1との間及び/又はPD-L1とB7-1との間の結合を阻害することができる。いくつかの事例では、抗PD-L1抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの例では、抗PD-L1抗体は、Fab、Fab’-SH、Fv、scFv、及び(Fab’)2断片からなる群から選択される抗体断片である。いくつかの事例では、抗PD-L1抗体は、ヒト化抗体である。いくつかの例では、抗PD-L1抗体は、ヒト抗体である。例示的な抗PD-L1抗体としては、アテゾリズマブ、MDX-1105、MEDI4736(デュルバルマブ)、MSB0010718C(アベルマブ)、SHR-1316、CS1001、エンバホリマブ、TQB2450、ZKAB001、LP-002、CX-072、IMC-001、KL-A167、APL-502、コシベリマブ、ロダポリマブ、FAZ053、TG-1501、BGB-A333、BCD-135、AK-106、LDP、GR1405、HLX20、MSB2311、RC98、PDL-GEX、KD036、KY1003、YBL-007及びHS-636が挙げられる。本発明の方法において有用な抗PD-L1抗体及びそれらを作製する方法の例は、国際公開第2010/077634号及び米国特許第8217149号に記載されており、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0468】
いくつかの例において、抗PD-L1抗体は、
(a)それぞれGFTFSDSWIH(配列番号3)、AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号4)及びRHWPGGFDY(配列番号5)のHVR-H1、HVR-H2及びHVR-H3配列、並びに
(b)それぞれRASQDVSTAVA(配列番号6)、SASFLYS(配列番号7)及びQQYLYHPAT(配列番号8)のHVR-L1、HVR-L2及びHVR-L3配列
を含む。
【0469】
一実施形態では、抗PD-L1抗体は、
(a)アミノ酸配列:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSS(配列番号9)を含む重鎖可変領域(VH);及び(b)アミノ酸配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKR(配列番号10)を含む軽鎖可変領域(VL)
を含む。
【0470】
いくつかの例では、抗PD-L1抗体は、(a)配列番号9又はその配列と少なくとも95%の配列同一性(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有することを含むアミノ酸配列を含むVH、又は;(b)配列番号10又はその配列と少なくとも95%の配列同一性(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有することを含むアミノ酸配列を含むVL、あるいは(c)(a)のようなVH及び(b)のようなVLを含む。
【0471】
一実施形態では、抗PD-L1抗体は、
(a)重鎖アミノ酸配列:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号1)、及び
(b)軽鎖アミノ酸配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号2)
を含むアテゾリズマブを含む。
【0472】
いくつかの例では、抗PD-L1抗体はアベルマブ(CAS登録番号:1537032-82-8)である。MSB0010718Cとしても知られるアベルマブは、ヒトモノクローナルIgG1抗PD-L1抗体(Merck KGaA、Pfizer)である。
【0473】
いくつかの例では、抗PD-L1抗体は、デュルバルマブ(CAS登録番号:1428935-60-7)である。MEDI4736としても知られるデュルバルマブは、国際公開第2011/066389号及び米国特許出願公開第2013/034559号に記載されている、Fc最適化ヒトモノクローナルIgG1カッパ抗PD-L1抗体(MedImmune、AstraZeneca)である。
【0474】
いくつかの例では、抗PD-L1抗体はMDX-1105(Bristol Myers Squibb)である。BMS-936559としても知られているMDX-1105は、国際公開第2007/005874号に記載されている抗PD-L1抗体である。
【0475】
いくつかの例では、抗PD-L1抗体はLY3300054(Eli Lilly)である。
【0476】
いくつかの例では、抗PD-L1抗体はSTI-A1014(Sorrento)である。STI-A1014はヒト抗PD-L1抗体である。
【0477】
いくつかの例では、抗PD-L1抗体はKN035(Suzhou Alphamab)である。KN035は、ラクダファージディスプレイライブラリーから生成されたシングルドメイン抗体(dAB)である。
【0478】
いくつかの例では、抗PD-L1抗体は、(例えば、腫瘍微小環境中のプロテアーゼによって)切断されると、抗体抗原結合ドメインを活性化して、例えば、非結合性立体部分を除去することによって、その抗原を結合させることができるようにする、切断可能な部分又はリンカーを含む。いくつかの例では、抗PD-L1抗体はCX-072(CytomX Therapeutics)である。
【0479】
いくつかの例では、抗PD-L1抗体は、米国特許出願公開第20160108123号、国際公開第2016/000619号、国際公開第2012/145493号、米国特許第9205148号、国際公開第2013/181634号又は国際公開第2016/061142号に記載されている、抗PD-L1抗体の6つのHVR配列(例えば、3つの重鎖HVR及び3つの軽鎖HVR)並びに/又は重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む。
【0480】
なおさらなる特定の態様において、抗PD-L1抗体は、低下した又は最小のエフェクター機能を有する。更に特定の態様では、最小のエフェクター機能は、「エフェクターレスFc変異(effector-less Fc mutation)」又は非グリコシル化(aglycosylation)変異に起因する。なおさらなる例では、エフェクターレスFc変異は、定常領域内のN297A又はD265A/N297A置換である。なおさらなる例では、エフェクターレスFc変異は、定常領域内のN297A置換である。いくつかの例では、単離された抗PD-L1抗体は、非グリコシル化されている。抗体のグリコシル化は、典型的には、N結合型又はO結合型のいずれかである。N結合型とは、炭水化物部分のアスパラギン残基の側鎖への結合を指す。トリペプチド配列であるアスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-トレオニン(Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸である)は、炭水化物部分のアスパラギン側鎖への酵素結合の認識配列である。したがって、ポリペプチド内でのこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在により、潜在的なグリコシル化部位が作製される。O結合型グリコシル化とは、糖類、N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースのうちの1つのヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリン又はトレオニンへの結合を指すが、5-ヒドロキシプロリン又は5-ヒドロキシリジンも使用され得る。抗体からのグリコシル化部位の除去は、(N結合型グリコシル化部位について)上述のトリペプチド配列のうちの1種が除去されるようにアミノ酸配列を改変することによって好都合に達成される。この改変は、グリコシル化部位内のアスパラギン、セリン又はトレオニン残基の別のアミノ酸残基(例えば、グリシン、アラニン又は保存的置換)との置換によって行われ得る。
【0481】
B.PD-1結合アンタゴニスト
いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-1結合アンタゴニストである。例えば、いくつかの例では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1の、そのリガンド結合パートナーのうちの1つ又は複数への結合を阻害する。いくつかの例では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1の、PD-L1への結合を阻害する。他の例では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1のPD-L2への結合を阻害する。更に他の例では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1の、PD-L1及びPD-L2両方への結合を阻害する。PD-1結合アンタゴニストは、限定されないが、抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド又は小分子であり得る。いくつかの例では、PD-1結合アンタゴニストは、イムノアドヘシン(例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合されたPD-L1若しくはPD-L2の細胞外又はPD-1結合部分を含むイムノアドヘシン)である。例えば、いくつかの例では、PD-1結合アンタゴニストは、Fc融合タンパク質である。いくつかの事例では、PD-1結合アンタゴニストは、AMP-224である。B7-DCIgとしても知られているAMP-224は、国際公開第2010/027827号及び同第2011/066342号に記載されているPD-L2-Fc融合可溶性受容体である。いくつかの例では、PD-1結合アンタゴニストは、ペプチド又は低分子化合物である。いくつかの例では、PD-1結合アンタゴニストは、AUNP-12(PierreFabre/Aurigene)である。例えば、国際公開第2012/168944号、国際公開第2015/036927号、国際公開第2015/044900号、国際公開第2015/033303号、国際公開第2013/144704号、国際公開第2013/132317号及び国際公開第2011/161699号を参照されたい。いくつかの例では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1を阻害する小分子である。
【0482】
いくつかの例では、PD-1結合アンタゴニストは抗PD-1抗体である。様々な抗PD-1抗体が、本明細書に開示の方法及び使用において利用され得る。本明細書のいずれの例においても、PD-1抗体は、ヒトPD-1又はそのバリアントに結合することができる。いくつかの例では、抗PD-1抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの例では、抗PD-1抗体は、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、scFv、及び(Fab’)2断片からなる群から選択される抗体断片である。いくつかの例では、抗PD-1抗体はヒト化抗体である。他の例では、抗PD-1抗体はヒト抗体である。例示的な抗PD-1アンタゴニスト抗体としては、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、MEDI-0680、PDR001(スパルタリズマブ)、REGN2810(セミプリマブ)、BGB-108、プロルゴリマブ、カンレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、ドスタリマブ、レチファンリマブ、ササンリマブ、ペンプリマブ、CS1003、HLX10、SCT-I10A、ジンベレリマブ、バルスチリマブ、ゲノリムズマブ、BI 754091、セトレリマブ、YBL-006、BAT1306、HX008、ブジカリマブ、AMG404、CX-188、JTX-4014、609A、Sym021、LZM009、F520、SG001、AM0001、ENUM 244C8、ENUM 388D4、STI-1110、AK-103及びhAb21が挙げられる。
【0483】
いくつかの例では、抗PD-1抗体はニボルマブ(CAS登録番号:946414-94-4)である。ニボルマブ(Bristol-Myers Squibb/Ono)は、MDX-1106-04、MDX-1106、ONO-4538、BMS-936558及びOPDIVO(登録商標)としても知られており、国際公開第2006/121168号に記載の抗PD-1抗体である。
【0484】
いくつかの例では、抗PD-1抗体は、ペンブロリズマブ(CAS登録番号1374853-91-4)である。ペンブロリズマブ(Merck)は、MK-3475、Merck 3475、ラムブロリズマブ、SCH-90047及びKEYTRUDA(登録商標)としても知られており、国際公開第2009/114335号に記載の抗PD-1抗体である。
【0485】
いくつかの例では、抗PD-1抗体は、MEDI-0680(AMP-514;アストラゼネカ)である。MEDI-0680は、ヒト化IgG4抗PD-1抗体である。
【0486】
いくつかの例では、抗PD-1抗体は、PDR001(CAS登録番号1859072-53-9;ノバルティス)である。PDR001は、PD-1へのPD-L1及びPD-L2の結合を遮断するヒト化IgG4抗PD-1抗体である。
【0487】
いくつかの例では、抗PD-1抗体は、REGN2810(Regeneron)である。REGN2810は、ヒト抗PD-1抗体である。
【0488】
いくつかの例では、抗PD-1抗体はBGB-108(BeiGene)である。
【0489】
いくつかの例では、抗PD-1抗体はBGB-A317(BeiGene)である。
【0490】
いくつかの例では、抗PD-1抗体は、JS-001(Shanghai Junshi)である。JS-001はヒト化抗PD-1抗体である。
【0491】
いくつかの例では、抗PD-1抗体はSTI-A1110(Sorrento)である。STI-A1110は、ヒト抗PD-1抗体である。
【0492】
いくつかの例では、抗PD-1抗体は、INCSHR-1210(Incyte)である。INCSHR-1210は、ヒトIgG4抗PD-1抗体である。
【0493】
いくつかの例では、抗PD-1抗体は、PF-06801591(ファイザー)である。
【0494】
いくつかの例では、抗PD-1抗体は、TSR-042(ANB 011としても知られている;Tesaro/AnaptysBio)。
【0495】
いくつかの例では、抗PD-1抗体はAM0001(ARMO Biosciences)である。
【0496】
いくつかの例では、抗PD-1抗体は、ENUM 244C8(エニュメラル・バイオメディカル・ホールディングス)である。ENUM 244C8は、PD-1へのPD-L1の結合を遮断することなくPD-1機能を阻害する抗PD-1抗体である。
【0497】
いくつかの例では、抗PD-1抗体は、ENUM 388D4(エニュメラル・バイオメディカル・ホールディングス)である。ENUM 388D4は、PD-1へのPD-L1の結合を競合的に阻害する抗PD-1抗体である。
【0498】
いくつかの例では、抗PD-1抗体は、国際公開第2015/112800号、国際公開第2015/112805号、国際公開第2015/112900号、米国特許出願公開第20150210769号、国際公開第2016/089873号、国際公開第2015/035606号、国際公開第2015/085847号、国際公開第2014/206107号、国際公開第2012/145493号、米国特許第9205148号、国際公開第2015/119930号、国際公開第2015/119923号、国際公開第2016/032927号、国際公開第2014/179664号、国際公開第2016/106160号、及び国際公開第2014/194302に記載されている、抗PD-1抗体の6つのHVR配列(例えば、3つの重鎖HVR及び3つの軽鎖HVR)並びに/又は重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む。
【0499】
なお更なる特定の態様では、抗PD-1抗体は、低下した又は最小のエフェクター機能を有する。更に特定の態様では、最小のエフェクター機能は、「エフェクターレスFc変異(effector-less Fc mutation)」又は非グリコシル化(aglycosylation)変異に起因する。なおさらなる例では、エフェクターレスFc変異は、定常領域内のN297A又はD265A/N297A置換である。いくつかの例では、単離された抗PD-1抗体は、非グリコシル化されている。
【0500】
C.PD-L2結合アンタゴニスト
いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストはPD-L2結合アンタゴニストである。いくつかの例では、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-L2のそのリガンド結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特定の態様において、PD-L2結合リガンドパートナーはPD-1である。PD-L2結合アンタゴニストは、限定されないが、抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド又は小分子であり得る。
【0501】
いくつかの例では、PD-L 2結合アンタゴニストは抗PD-L 2抗体である。本明細書の例のいずれかでは、抗PD-L2抗体は、ヒトPD-L2又はそのバリアントに結合することができる。いくつかの例では、抗PD-L2抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの例では、抗PD-L2抗体は、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、scFv、及び(Fab’)2断片からなる群から選択される抗体断片である。いくつかの例では、抗PD-L2抗体はヒト化抗体である。他の例では、抗PD-L2抗体はヒト抗体である。なお更なる特定の態様では、抗PD-L2抗体は、低下した又は最小のエフェクター機能を有する。更に特定の態様では、最小のエフェクター機能は、「エフェクターレスFc変異(effector-less Fc mutation)」又は非グリコシル化(aglycosylation)変異に起因する。なおさらなる例では、エフェクターレスFc変異は、定常領域内のN297A又はD265A/N297A置換である。いくつかの例では、単離された抗PD-L2抗体は、非グリコシル化されている。
【0502】
XI.PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体
A.PD-1及びLAG3に結合する例示的な二重特異性抗体
一態様では、本発明は、PD-1に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、LAG3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含む二重特異性抗体を提供し、PD-1に特異的に結合する当該第1の抗原結合ドメインは、
(i)GFSFSSY(配列番号35)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)アミノ酸配列GGRを含むHVR-H2、及び
(iii)TGRVYFALD(配列番号37)のアミノ酸配列を含むHVR-H3
を含む、VHドメインと、
(i)SESVDTSDNSF(配列番号38)のアミノ酸配列を含むHVR-L1;
(ii)アミノ酸配列RSSを含むHVR-L2、及び
(iii)NYDVPW(配列番号40)のアミノ酸配列を含むHVR-L3
を含む、VLドメインと、
を含む。
【0503】
一態様において、二重特異性抗体は、IgGであるFcドメイン、特に、IgG1 Fcドメイン又はIgG4 Fcドメインを含み、Fcドメインは、エフェクター機能を低下させるか、又は無効にしさえする。特に、Fcドメインは、Fc受容体、特にFcγ受容体に対する結合を低下させる1つ以上のアミノ酸置換を含む。
【0504】
更なる態様では、二重特異性抗体であって、PD-1に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、LAG3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含み、二重特異性抗体が、IgGであるFcドメイン、特に、IgG1 Fcドメイン又はIgG4 Fcドメインを含み、Fcドメインが、Fc受容体、特にFcγ受容体に対する結合を低下させる1つ以上のアミノ酸置換を含む、二重特異性抗体が提供される。
【0505】
別の態様では、PD-1に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、LAG3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含む二重特異性抗体が提供され、LAG3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインは、
(i)DYTMN(配列番号43)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)VISWDGGGTYYTDSVKG(配列番号44)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び
(iii)GLTDTTLYGSDY(配列番号45)のアミノ酸配列を含むHVR-H3
を含む、VHドメインと、
(i)RASQSISSYLN(配列番号46)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(ii)AASTLQS(配列番号47)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(iii)QQTYSSPLT(配列番号48)のアミノ酸配列を含むHVR-L3
を含む、VLドメインと、
を含む。
【0506】
更なる態様では、二重特異性抗体であって、PD-1に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、LAG3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含み、PD-1に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインが、EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFSFSSYTMSWVRQAPGKGLEWVATISGGGRDIYYPDSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCVLLTGRVYFALDSWGQGTLVTVSS(配列番号41)のアミノ酸配列を含むVHドメインと、DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCKASESVDTSDNSFIHWYQQKPGQSPKLLIYRSSTLESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQQNYDVPWTFGQGTKVEIK(配列番号42)のアミノ酸配列を含むVLドメインとを含む、二重特異性抗体が提供される。
【0507】
別の態様では、PD-1に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、LAG3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含む二重特異性抗体が提供され、LAG3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインは、
EVQLLESGGGLVQPGGSLRL SCAASGFIFDDYTMNWVRQAPGKGLEWVAVISWDGGGTYYTDSVKGRFTISRDDFKNTLY LQMNSLRAEDTAVYYCAKGLTDTTLYGSDYWGQGTLVTVSS(配列番号49)のアミノ酸配列を含むVHドメイン及びDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASTLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQ TYSSPLTFGGGTKVEIK(配列番号50)のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0508】
特定の態様では、PD-1に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、LAG3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含む二重特異性抗体が提供され、
PD-1に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインは、配列番号41のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号42のアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、
LAG3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインは、配列番号49のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号50のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0509】
更なる態様では、PD-1に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、LAG3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含む二重特異性抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体又はキメラ抗体である。特に、二重特異性抗体は、ヒト化抗体又はキメラ抗体である。
【0510】
一態様では、PD-1に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、LAG3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含む二重特異性抗体は、二価である。このことは、二重特異性抗体が、PD-1に特異的に結合する1個の抗原結合ドメインと、LAG3に特異的に結合する1個の抗原結合ドメインとを含む(1+1フォーマット)ことを意味する。
【0511】
一態様では、二重特異性抗体であって、PD-1に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、LAG3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含み、二重特異性抗体が、Fcドメインと、PD-1に特異的に結合する抗原結合ドメインを含む第1のFab断片と、LAG3に特異的に結合する抗原結合ドメインを含む第2のFab断片とを含む、二重特異性抗体が提供される。特定の態様では、Fab断片の1つにおいて、可変ドメインVL及びVHは、VHドメインが軽鎖の一部であり、VLドメインが重鎖の一部であるように互いに置き換わっている。特定の態様では、PD-1に特異的に結合する抗原結合ドメインを含む第1のFab断片において、可変ドメインVL及びVHは、互いに置き換えられている。
【0512】
特定の態様では、PD-1に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、LAG3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含む二重特異性抗体が提供され、二重特異性抗体は、
配列番号51の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第1の重鎖、配列番号52の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第1の軽鎖、
配列番号53の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第2の重鎖と、配列番号54の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第2の軽鎖
を含む。
【0513】
より具体的には、二重特異性抗体は、配列番号96のアミノ酸配列を含む第1の重鎖と、配列番号98のアミノ酸配列を含む第1の軽鎖と、配列番号100のアミノ酸配列を含む第2の重鎖と、配列番号101のアミノ酸配列を含む第2の軽鎖(RO7247699)とを含む。
【0514】
更なる態様では、二重特異性抗体であって、PD-1に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、LAG3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含み、二重特異性抗体が、Fcドメインと、PD-1に特異的に結合する抗原結合ドメインを含む第1のFab断片と、FcドメインのC末端に融合されたLAG3に特異的に結合する抗原結合ドメインを含む第2のFab断片とを含む、二重特異性抗体が提供される。特に、LAG3に特異的に結合する抗原結合ドメインを含むFab断片は、そのVHドメインを介し、FcドメインのC末端に融合している(trans 1+1フォーマット)。
【0515】
特定の態様では、二重特異性抗体は、配列番号51の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第1の重鎖と、配列番号52の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第1の軽鎖と、配列番号73の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第2の重鎖と、配列番号54の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第2の軽鎖とを含む。より具体的には、二重特異性抗体は、配列番号51のアミノ酸配列を含む第1の重鎖と、配列番号52のアミノ酸配列を含む第1の軽鎖と、配列番号73のアミノ酸配列を含む第2の重鎖と、配列番号54のアミノ酸配列を含む第2の軽鎖とを含む。
【0516】
i.Fc受容体結合及び/又はエフェクター機能を低下させるFcドメイン改変
特定の態様では、二重特異性抗体であって、PD-1に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、LAG3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含み、二重特異性抗体が、Fc受容体、特にFcγ受容体に対する結合を低下させ、エフェクター機能を低下させるか、又は無効にする1つ以上のアミノ酸置換を含むFcドメインを含む、二重特異性抗体が提供される。
【0517】
ある特定の態様において、1つ以上のアミノ酸の改変は、本明細書中に提供される抗体のFc領域に導入されてもよく、それにより、Fc領域バリアントが作製され得る。Fc領域バリアントは、1つ又は複数のアミノ酸位置にアミノ酸改変(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4 Fc領域)を含み得る。
【0518】
以下のセクションは、Fc受容体結合及び/又はエフェクター機能を低下させるFcドメイン改変を含む、本発明の二重特異性抗原結合分子の好ましい態様を記載する。一態様では、本発明は、PD-1に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、LAG3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含む、二重特異性抗体に関し、Fcドメインは、Fc受容体、特に、Fcγ受容体に対する結合を低下させる1つ以上のアミノ酸置換を含む。特に、Fcドメインは、アミノ酸変異L234A、L235A及びP329G(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)を有する、ヒトIgG1サブクラスのFcドメインである。
【0519】
Fcドメインは、本発明の二重特異性抗体に、標的組織への良好な蓄積に寄与する長い血清半減期、望ましい組織-血液分布比を含め、望ましい薬物動態特性を与える。しかしながら、同時に、好ましい抗原を担持する細胞ではなく、Fc受容体を発現する細胞に対する本発明の二重特異性抗体の望ましくない標的化を引き起こす場合がある。したがって、特定的な実施形態において、本発明の二重特異性抗体のFcドメインは、天然IgG Fcドメイン、特に、IgG1 Fcドメイン又はIgG4 Fcドメインと比較して、Fc受容体に対する結合親和性の低下及び/又はエフェクター機能の低下を示す。より詳しくは、Fcドメインは、IgG1 Fcドメインである。
【0520】
1つのそのような態様において、Fcドメイン(又は上記Fcドメインを含む本発明の二重特異性抗原結合分子)は、天然IgG1 Fcドメイン(又は天然IgG1 Fcドメインを含む本発明の二重特異性抗原結合分子)と比較して、Fc受容体に対する結合親和性の50%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満、最も好ましくは5%未満の結合親和性を示し、及び/又は天然IgG1 Fcドメイン(又は天然IgG1 Fcドメインを含む本発明の二重特異性抗原結合分子)と比較して、50%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満、最も好ましくは5%未満のエフェクター機能を示す。一態様において、Fcドメイン(又は上記Fcドメインを含む本発明の二重特異性抗原結合分子)は、Fc受容体に実質的に結合せず、及び/又はエフェクター機能を誘発しない。特定の態様において、Fc受容体は、Fcγ受容体である。一態様において、Fc受容体は、ヒトFc受容体である。一態様において、Fc受容体は、活性化Fc受容体である。特定の態様において、Fc受容体は、活性化ヒトFcγ受容体、より具体的にはヒトFcγRIIIa、FcγRI又はFcγRIIa、最も具体的にはヒトFcγRIIIaである。一態様において、Fc受容体は、阻害性Fc受容体である。特定の態様では、Fc受容体は、阻害性ヒトFcγ受容体、より具体的には、ヒトFcγRIIBである。一態様において、エフェクター機能は、CDC、ADCC、ADCP及びサイトカイン分泌のうち1つ以上である。特定の態様では、エフェクター機能は、ADCCである。1つの態様では、Fcドメインは、ネイティブIgG1 Fcドメインと比較して、新生児Fc受容体(FcRn)に対して実質的に同様の結合親和性を示す。FcRnに対する実質的に同様の結合は、Fcドメイン(又は該Fcドメインを含む本発明の二重特異性抗原結合分子)が、天然IgG1 Fcドメイン(又は天然IgG1 Fcドメインを含む本発明の二重特異性抗原結合分子)と比較して、FcRnに対して約70%より大きく、特に約80%より大きく、より詳しくは約90%より大きい結合親和性を示す場合に達成される。
【0521】
特定の態様において、Fcドメインは、操作されていないFcドメインと比較して、Fc受容体に対する結合親和性が低下し、及び/又はエフェクター機能が低下するように操作される。特定の態様において、本発明の二重特異性抗原結合分子のFcドメインは、Fc受容体に対するFcドメインの結合親和性及び/又はエフェクター機能を下げる1つ以上のアミノ酸変異を含む。典型的には、同じ1つ以上のアミノ酸突然変異が、Fcドメインの2つのサブユニットの各々に存在する。一態様において、アミノ酸変異は、FcドメインのFc受容体への結合親和性を低下させる。別の態様において、アミノ酸変異は、Fc受容体に対するFcドメインの結合親和性を、少なくとも2分の1、少なくとも5分の1、又は少なくとも10分の1に低下させる。一態様において、操作されたFcドメインを含む本発明の二重特異性抗原結合分子は、操作されていないFcドメインを含む本発明の二重特異性抗体と比較して、Fc受容体に対する結合親和性の20%未満、特に10%未満、より詳しくは5%未満を示す。特定の態様において、Fc受容体は、Fcγ受容体である。別の態様において、Fc受容体は、ヒトFc受容体である。一態様において、Fc受容体は、阻害性Fc受容体である。特定の態様では、Fc受容体は、阻害性ヒトFcγ受容体、より具体的には、ヒトFcγRIIBである。いくつかの態様において、Fc受容体は、活性化Fc受容体である。特定の態様において、Fc受容体は、活性化ヒトFcγ受容体、より具体的にはヒトFcγRIIIa、FcγRI又はFcγRIIa、最も具体的にはヒトFcγRIIIaである。好ましくは、これらの受容体の各々の結合が低減される。いくつかの態様において、補体成分に対する結合親和性(具体的には、C1qに対する結合親和性)も低下する。一態様において、新生児Fc受容体(FcRn)への結合親和性は低下しない。FcRnに対する実質的に同様の結合(すなわち、上記受容体に対するFcドメインの結合親和性の保護)は、Fcドメイン(又は上記Fcドメインを含む本発明の二重特異性抗原結合分子)が、FcRnに対するFcドメインの操作されていない形態(又はFcドメインのこの操作されていない形態を含む本発明の二重特異性抗原結合分子)の結合親和性の約70%を超える結合親和性を示す場合に達成される。Fcドメイン、又は上記Fcドメインを含む本発明の二重特異性抗原結合分子は、そのような親和性の約80%より大きく、更に約90%より大きい親和性を示してもよい。特定の実施形態において、本発明の二重特異性抗原結合分子のFcドメインは、操作されていないFcドメインと比較して、エフェクター機能が低下するように操作される。エフェクター機能の低下としては、限定されないが、以下のうちの1つ以上が挙げられる:補体依存性細胞傷害(CDC)の低下、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)の低下、抗体依存性細胞食作用(ADCP)の低下、サイトカイン分泌の低下、抗原提示細胞による免疫複合体媒介性抗原取り込みの低下、NK細胞への結合の低下、マクロファージへの結合の低下、単球への結合の低下、多形核細胞への結合の低下、アポトーシスを誘導する直接シグナル伝達の低下、樹状細胞の成熟の低下、又は減少したT細胞プライミング。
【0522】
エフェクター機能が低減した抗体には、Fc領域の残基238、265、269、270、297、327及び329のうちの1つ又は複数の置換を含むものが含まれる(米国特許第6,737,056号)。このようなFc変異体としては、残基265及び297のアラニンへの置換を有するいわゆる「DANA」Fc変異体(米国特許第7,332,581号)を含む、アミノ酸265位、269位、270位、297位及び327位のうちの2つ以上に置換を有するFc変異体が挙げられる。FcRへの結合が改善又は減少した一定の抗体バリアントが記載されている(例えば、米国特許第6,737,056号明細書;国際公開第2004/056312号、及びShields,R.L.et al.,J.Biol.Chem.276(2001)6591-6604)。
【0523】
本発明の一つの態様において、Fcドメインは、E233、L234、L235、N297、P331及びP329の位置にアミノ酸置換を含む。いくつかの態様において、Fcドメインは、アミノ酸置換L234A及びL235A(「LALA」)を含む。1つのそのような実施形態において、Fcドメインは、IgG1 Fcドメイン、特にヒトIgG1 Fcドメインである。一態様において、Fcドメインは、P329位にアミノ酸置換を含む。より具体的な態様において、アミノ酸置換は、P329A又はP329G、特にP329Gである。一実施形態において、Fcドメインは、P329位にアミノ酸置換を含み、E233P、L234A、L235A、L235E、N297A、N297D又はP331Sからなる群から選択される更なるアミノ酸置換を含む。更に特定の実施形態において、Fcドメインは、アミノ酸変異L234A、L235A、及びP329G(「P329G LALA」)を含む。アミノ酸置換の「P329G LALA」の組み合わせは、PCT出願国際公開第2012/130831A1号に記載されるように、ヒトIgG1 FcドメインのFcγ受容体の結合をほとんど完全になくす。該文献はまた、このような変異体Fcドメインを調製する方法及びFc受容体の結合又はエフェクター機能などの特性を決定する方法も記載する。かかる抗体は、突然変異L234A及びL235Aを有する、又は突然変異L234A、L235A、及びP329Gを有するIgG1である(KabatらのEUインデックスによる番号付け、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」第5版、Public Health Service、アメリカ国立衛生研究所、メリーランド州ベセスダ、1991年)。
【0524】
一態様では、本発明の二重特異性抗体は、(i)場合により変異P329G、L234A及びL235Aを有する、ヒトIgG1サブクラスのホモダイマーFc領域、又は(ii)場合により変異P329G、S228P及びL235Eを有する、ヒトIgG4サブクラスのホモダイマーFc領域、又は(iii)場合により変異P329G、L234A、L235A、I253A、H310A及びH435Aを有するか、又は場合により変異P329G、L234A、L235A、H310A、H433A及びY436Aを有する、ヒトIgG1サブクラスのホモダイマーFc領域、又は(iv)1つのFc領域ポリペプチドが変異T366Wを含み、他方のFc領域ポリペプチドが、変異T366S、L368A及びY407Vを含むか、又は1つのFc領域ポリペプチドが、変異T366W及びY349Cを含み、他方のFc領域ポリペプチドが、変異T366S、L368A、Y407V及びS354Cを含むか、又は1つのFc領域ポリペプチドが、変異T366W及びS354Cを含み、他方のFc領域ポリペプチドが、変異T366S、L368A、Y407V及びY349Cを含む、ヘテロダイマーFc領域、又は(v)両Fc領域ポリペプチドが、変異P329G、L234A及びL235Aを含み、1つのFc領域ポリペプチドが、変異T366Wを含み、他方のFc領域ポリペプチドが、変異T366S、L368A及びY407Vを含むか、又は1つのFc領域ポリペプチドが、変異T366W及びY349Cを含み、他方のFc領域ポリペプチドが、変異T366S、L368A、Y407V及びS354Cを含むか、又は1つのFc領域ポリペプチドが、変異T366W及びS354Cを含み、他方のFc領域ポリペプチドが、変異T366S、L368A、Y407V及びY349Cを含む、ヒトIgG1サブクラスのヘテロダイマーFc領域を含む(全て、KabatのEUインデックスによる位置)。
【0525】
一態様において、Fcドメインは、IgG4 Fcドメインである。より具体的な実施形態において、Fcドメインは、位置S228(Kabatナンバリング)にアミノ酸置換、特にアミノ酸置換S228Pを含むIgG4 Fcドメインである。より具体的な実施形態において、Fcドメインは、アミノ酸置換L235E及びS228P及びP329Gを含む、IgG4 Fcドメインである。このアミノ酸置換は、in vivoでのIgG4抗体のFabアーム交換を減少させる(Stubenrauch et al.,Drug Metabolism and Disposition 38,84-91(2010)を参照)。したがって、一態様では、二重特異性抗体であって、(全て、KabatのEUインデックスによる位置)両Fc領域ポリペプチドが、変異P329G、S228P及びL235Eを含み、1つのFc領域ポリペプチドが、変異T366Wを含み、他方のFc領域ポリペプチドが、変異T366S、L368A及びY407Vを含むか、又は1つのFc領域ポリペプチドが、変異T366W及びY349Cを含み、他方のFc領域ポリペプチドが、変異T366S、L368A、Y407V及びS354Cを含むか、又は1つのFc領域ポリペプチドが、変異T366W及びS354Cを含み、他方のFc領域ポリペプチドが、変異T366S、L368A、Y407V及びY349Cを含む、ヒトIgG4サブクラスのヘテロダイマーFc領域を含む二重特異性抗体が提供される。
【0526】
半減期が延長され、母体IgGの胎児への移行を担う新生児型Fc受容体(FcRn)への結合が改善された抗体は(Guyer,R.L.et al.,J.Immunol.117(1976)587-593,and Kim,J.K.et al.,J.Immunol.24(1994)2429-2434)、米国特許出願公開第2005/0014934号に記載されている。それらの抗体は、FcRnへのFc領域の結合を改善する1つ以上の置換をFc領域内に有するFc領域を含む。そのようなFcバリアントには、Fc領域残基:238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424又は434のうちの1つ以上に置換、例えばFc領域残基434の置換を有するものが含まれる(米国特許第7,371,826号明細書)。Fc領域バリアントの他の例に関して、Duncan,A.R.及びWinter,G.,「Nature」第322巻(1988年)第738~740頁;米国特許第5,648,260号;米国特許第5,624,821号;及び国際公開第94/29351号も参照されたい。
【0527】
Fc受容体への結合は、例えばELISAによって、又はBIAcore装置(GE ヘルスケア)などの標準的な装置を用いた表面プラズモン共鳴(SPR)によって容易に決定することができ、そのようなFc受容体は組換え発現によって得ることができる。好適なかかる結合アッセイを本明細書に記載する。あるいは、Fc受容体に対するFcドメイン又はFcドメインを含む細胞活性化二重特異性抗原結合分子の結合親和性は、特定のFc受容体を発現することが知られている細胞株(例えば、FcγIIIa受容体を発現するヒトNK細胞)を用いて評価されてもよい。Fcドメイン、又はFcドメインを含む本発明の二重特異性抗体のエフェクター機能は、当該技術分野で既知の方法によって測定することができる。ADCCを測定するための適切なアッセイは、本明細書に記載されている。目的の分子のADCC活性を評価するためのin vitroアッセイの他の例は、米国特許第5,500,362号;Hellstrom et al.Proc Natl Acad Sci USA 83,7059-7063(1986)and Hellstrom et al.,Proc Natl Acad Sci USA 82,1499-1502(1985);米国特許第5,821,337号明細書;Bruggemann et al.,J Exp Med 166,1351-1361(1987)に記載されている。あるいは、非放射性アッセイ方法を用いてもよい(例えば、フローサイトメトリー(CellTechnology,Inc.Mountain View,CA)のためのACTI(商標)非放射性細胞傷害性アッセイ、及びCytoTox 96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega,Madison,WI)を参照されたい)。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞を含む。これに代えて、又は更に、目的の分子のADCC活性は、in vivoで、例えば、Clynes et al.,Proc Natl Acad Sci USA 95,652-656(1998)に開示されるような動物モデルにおいて評価されてもよい。
【0528】
以下のセクションは、Fc受容体結合及び/又はエフェクター機能を低下させるFcドメイン改変を含む、本発明の二重特異性抗体の好ましい態様を記載する。一態様では、本発明は、PD-1に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、LAG3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含む、二重特異性抗体に関し、Fcドメインは、Fc受容体、特に、Fcγ受容体に対する抗体の結合アフィニティを低下させる1つ以上のアミノ酸置換を含む。別の態様では、本発明は、PD-1に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、LAG3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含む、二重特異性抗体に関し、Fcドメインは、エフェクター機能を低下させる1つ以上のアミノ酸置換を含む。特定の態様において、Fcドメインは、アミノ酸変異L234A、L235A及びP329G(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)を有する、ヒトIgG1サブクラスのFcドメインである。
【0529】
ii.ヘテロ二量体化を促進するFcドメイン改変
本発明の二重特異性抗原結合分子は、Fcドメインの2つのサブユニットの片方又はもう一方に融合した異なる抗原結合ドメインを含み、そのため、Fcドメインの2つのサブユニットは、2つの非同一ポリペプチド鎖に含まれていてもよい。これらのポリペプチドの組換え共発現及びその後の二量体化により、2つのポリペプチドのいくつかの可能な組み合わせが生じる。したがって、組換え生産における本発明の二重特異性抗体の収率及び純度を高めるために、本発明の二重特異性抗原結合分子のFcドメインに、所望のポリペプチドの結合を促す改変を導入することが有利であろう。
【0530】
したがって、特定の態様では、本発明は、PD-1に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、LAG3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含む二重特異性抗体に関し、ここで、Fcドメインは、Fcドメインの第1のサブユニットと第2のサブユニットの会合を促進する改変を含む。ヒトIgG Fcドメインの2つのサブユニット間でタンパク質間相互作用が最大である部位は、FcドメインのCH3ドメインである。したがって、一態様において、当該改変は、FcドメインのCH3ドメインの中にある。
【0531】
具体的な態様において、上記改変は、いわゆる「ノブ・イントゥ・ホール」改変であり、Fcドメインの2つのサブユニットの1つに「ノブ」改変と、Fcドメインの2つのサブユニットの他の1つに「ホール」改変と、を含む。したがって、本発明は、PD-1に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、LAG3に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを含む二重特異性抗体に関し、ノブ・イントゥ・ホール法に従って、Fcドメインの第1のサブユニットがノブを含み、Fcドメインの第2のサブユニットがホールを含む。特定の態様において、Fcドメインの第1のサブユニットは、アミノ酸置換S354C及びT366W(EUナンバリング)を含み、Fcドメインの第2のサブユニットは、アミノ酸置換Y349C、T366S及びY407Vを含む(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。
【0532】
このノブ・イントゥ・ホール技術は、例えば、米国特許第5731168号、米国特許第7695936号;Ridgway et al.,Prot Eng 9,617-621(1996)及びCarter,J Immunol Meth 248,7-15(2001)に記載されている。一般に、この方法は、突起部(「ノブ」)を第1のポリペプチドの界面に導入し、対応する空洞部)「ホール」)を第2のポリペプチドの界面に導入し、これによって、突起部が空洞部内に位置付けられ、それによりヘテロ二量体形成を促進し、ホモ二量体形成を妨げることを伴う。突起は、第1のポリペプチドの接触面からの小さなアミノ酸側鎖を、より大きな側鎖(例えばチロシン又はトリプトファン)で置き換えることによって構築される。大きなアミノ酸側鎖をより小さなアミノ酸側鎖(例えばアラニン又はスレオニン)で置き換えることにより、突起と同じ又は同様の大きさの相補的な空洞が第2のポリペプチドの接触面に作られる。
【0533】
したがって、一態様において、本発明の二重特異性抗原結合分子のFcドメインの第1のサブユニットのCH3ドメインにおいて、アミノ酸残基は、より大きな側鎖容積を有するアミノ酸残基と置き換えられ、それによって、第2のサブユニットのCH3ドメイン内の空洞内で位置換え可能な第1のサブユニットのCH3ドメイン内に隆起を生成し、Fcドメインの第2のサブユニットのCH3ドメインにおいて、アミノ酸残基は、より小さな側鎖容積を有するアミノ酸残基と置き換えられ、それによって、第2のサブユニットのCH3ドメイン内に空洞を生成し、その中で、第1のサブユニットのCH3ドメイン内の隆起が位置換え可能である。突起及び空洞は、例えば部位特異的変異導入又はペプチド合成によって、ポリペプチドをコードする核酸を変化させることにより作製することができる。具体的な態様において、Fcドメインの第1のサブユニットのCH3ドメインにおいて、位置366のスレオニン残基がトリプトファン残基と置き換えられており(T366W)、Fcドメインの第2のサブユニット(のCH3ドメイン)において、位置407のチロシン残基がバリン残基と置き換えられている(Y407V)。一態様において、Fcドメインの第2のサブユニットにおいて、更に、位置366のトレオニン残基が、セリン残基と置き換えられており(T366S)、位置368のロイシン残基が、アラニン残基と置き換えられている(L368A)。
【0534】
なお更なる態様において、Fcドメインの第1のサブユニットにおいて、更に、位置354のセリン残基が、システイン残基と置き換えられており(S354C)、Fcドメインの第2のサブユニットにおいて、更に、位置349のチロシン残基が、システイン残基と置き換えられている(Y349C)。これら2つのシステイン残基の導入によって、Fcドメインの2つのサブユニット間にジスルフィド架橋の形成をもたらし、二量体を更に安定化する(Carter(2001),J Immunol Methods 248,7-15)。特定の態様において、Fcドメインの第1のサブユニットは、アミノ酸置換S354C及びT366W(EUナンバリング)を含み、Fcドメインの第2のサブユニットは、アミノ酸置換Y349C、T366S及びY407Vを含む(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。
【0535】
しかしながら、欧州特許第1 870 459号に記載される他のホールにノブを入れる技術も、これに代えて、又はこれに加えて使用することができる。一実施形態において、多重特異性抗体は、「ノブ鎖」のCH3ドメインに変異R409D及びK370Eを含み、「ホール鎖」のCH3ドメインに変異D399K及びE357Kを含む(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。
【0536】
一態様において、二重特異性抗体は、「ノブ鎖」のCH3ドメインにT366W変異を含み、「ホール」鎖のCH3ドメインに変異T366S、L368A及びY407Vを含み、更に、「ノブ鎖」のCH3ドメインに変異R409D及びK370Eを含み、「ホール鎖」のCH3ドメインに変異D399K及びE357Kを含む(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。
【0537】
一態様において、二重特異性抗体は、2つのCH3ドメインの1つにおいて、変異Y349C及びT366Wを含み、2つのCH3ドメインの他方において、変異S354C、T366S、L368A及びY407Vを含むか、又は多重特異性抗体は、2つのCH3ドメインの1つにおいて、変異Y349C及びT366Wを含み、2つのCH3ドメインの他方において、変異S354C、T366S、L368A及びY407Vを含み、更に、「ノブ鎖」のCH3ドメインにおいて、変異R409D及びK370Eを含み、「ホール鎖」のCH3ドメインにおいて、変異D399K及びE357Kを含む(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。
【0538】
別の態様では、Fcドメインの第1のサブユニットと第2のサブユニットの会合を促進する改変は、例えばPCT公開である国際公開2009/089004に記載されているように、静電ステアリング効果を媒介する改変を含む。通常、この方法は、ホモ二量体形成が静電的に望ましくなくなり、ヘテロ二量体化が静電的に望ましくなるような、荷電アミノ酸残基による2つのFcドメインサブユニットの接触面における1つ又は複数のアミノ酸残基の置き換えを伴う。
【0539】
「ノブ・イントゥ・ホール技術」の他に、ヘテロ二量体化を推進するために多重特異性抗体の重鎖のCH3ドメインを改変するための他の技術は、当該技術分野で知られている。これらの技術、特に、国際公開第96/27011号、国際公開第98/050431号、欧州特許第1870459号、国際公開第2007/110205号、国際公開第2007/147901号、国際公開第2009/089004号、国際公開第2010/129304号、国際公開第2011/90754号、国際公開第2011/143545号、国際公開第2012/058768号、国際公開第2013/157954号、及び国際公開第2013/096291号に記載される技術は、二重特異性抗体との組み合わせで「ノブ・イントゥ・ホール」に対する代替として、本明細書で想定される。
【0540】
一態様において、二重特異性抗体において、多重特異性抗体の第1の重鎖と第2の重鎖のヘテロ二量体化を補助するために、欧州特許第1870459号に記載される手法を用いる。この手法は、第1及び第2の重鎖の間のCH3/CH3ドメイン界面における特定のアミノ酸位置への反対の電荷で帯電したアミノ酸の導入に基づく。
【0541】
したがって、この態様において、多重特異性抗体の三次構造において、第1の重鎖のCH3ドメインと第2の重鎖のCH3ドメインは、それぞれの抗体CH3ドメインの間に存在する界面を形成し、第1の重鎖のCH3ドメインのそれぞれのアミノ酸配列及び第2の重鎖のCH3ドメインのアミノ酸配列は、それぞれ、抗体の三次構造中の当該界面内に位置する一連のアミノ酸を含み、界面に位置する一連のアミノ酸から、1つの重鎖のCH3ドメインにおいて、第1のアミノ酸が、正に帯電したアミノ酸によって置換されており、界面に位置する一連のアミノ酸から、他の重鎖のCH3ドメインにおいて、第2のアミノ酸は、負に帯電したアミノ酸によって置換されている。この態様の二重特異性抗体は、本明細書では、「CH3(+/-)操作された二重特異性抗体」とも呼ばれる(ここで、省略語「+/-」は、それぞれのCH3ドメインに導入されたのと反対の電荷に帯電したアミノ酸を表す)。
【0542】
一態様において、CH3(+/-)操作された二重特異性抗体において、正に帯電したアミノ酸は、K、R及びHから選択され、負に帯電したアミノ酸は、E又はDから選択される。
【0543】
一態様において、CH3(+/-)操作された二重特異性抗体において、正に帯電したアミノ酸は、K及びRから選択され、負に帯電したアミノ酸は、E又はDから選択される。
【0544】
一態様において、CH3(+/-)操作された二重特異性抗体において、正に帯電したアミノ酸は、Kであり、負に帯電したアミノ酸は、Eである。
【0545】
一態様において、CH3(+/-)操作された二重特異性抗体において、1つの重鎖のCH3ドメイン中、位置409のアミノ酸RがDによって置換されており、位置のアミノ酸KがEによって置換されており、他の重鎖のCH3ドメインにおいて、位置399のアミノ酸DがKによって置換されており、位置357のアミノ酸EがKによって置換されている(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。
【0546】
一態様では、多重特異性抗体の第1の重鎖と第2の重鎖のヘテロダイマー化を補助するために、WO 2013/157953号に記載される手法を用いる。一実施形態において、1つの重鎖のCH3ドメインにおいて、位置366のアミノ酸TがKによって置換されており、他の重鎖のCH3ドメインにおいて、位置351のアミノ酸LがDによって置換されている(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。別の実施形態において、1つの重鎖のCH3ドメインにおいて、位置366のアミノ酸TがKによって置換されており、位置351のアミノ酸LがKによって置換されており、他の重鎖のCH3ドメインにおいて、位置351のアミノ酸LがDによって置換されている(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。
【0547】
別の態様において、1つの重鎖のCH3ドメインにおいて、位置366のアミノ酸TがKによって置換されており、位置351のアミノ酸LがKによって置換されており、他の重鎖のCH3ドメインにおいて、位置351のアミノ酸LがDによって置換されている(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。更に、以下の置換の少なくとも1つが他の重鎖のCH3ドメインに含まれる。位置349のアミノ酸YがEによって置換されており、位置349のアミノ酸YがDによって置換されており、位置368のアミノ酸LがEによって置換されている(番号付けはKabat EUインデックスに従う)。一実施形態において、位置368のアミノ酸Lは、Eによって置換されている(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。
【0548】
一態様において、多重特異性抗体の第1の重鎖と第2の重鎖のヘテロ二量体化を補助するために、国際公開第2012/058768号に記載される手法を用いる。一態様において、1つの重鎖のCH3ドメインにおいて、位置351のアミノ酸LがYによって置換されており、位置407のアミノ酸YがAによって置換されており、他の重鎖のCH3ドメインにおいて、位置366のアミノ酸TがAによって置換されており、位置409のアミノ酸KがFによって置換されている(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。別の実施形態において、上述の置換に加え、他の重鎖のCH3ドメインにおいて、位置411(元はT)、399(元はD)、400(元はS)、405(元はF)、390(元はN)及び392(元はK)のアミノ酸の少なくとも1つが置換されている(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。好ましい置換は以下の通りである。
-位置411のアミノ酸TをN、R、Q、K、D、E及びWから選択されるアミノ酸で置換(番号付けはKabat EUインデックスに従う)、
-位置399のアミノ酸DをR、W、Y、及びKから選択されるアミノ酸で置換(番号付けはKabat EUインデックスに従う)、
-位置400のアミノ酸SをE、D、R及びKから選択されるアミノ酸で置換(番号付けはKabat EUインデックスに従う)、
-位置405のアミノ酸FをI、M、T、S、V及びWから選択されるアミノ酸で置換(番号付けはKabat EUインデックスに従う);
-位置390のアミノ酸NをR、K及びDから選択されるアミノ酸で置換(番号付けはKabat EUインデックスに従う);及び
-位置392のアミノ酸KをV、M、R、L、F及びEから選択されるアミノ酸で置換(番号付けはKabat EUインデックスに従う)。
【0549】
別の態様において、二重特異性抗体が、国際公開第2012/058768)号に従って操作されており、すなわち、1つの重鎖のCH3ドメインにおいて、位置351のアミノ酸LがYによって置換されており、位置407のアミノ酸YがAによって置換されており、他の重鎖のCH3ドメインにおいて、位置366のアミノ酸TがVによって置換されており、位置409のアミノ酸KがFによって置換されている(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。多重特異性抗体の別の実施形態において、1つの重鎖のCH3ドメインにおいて、位置407のアミノ酸YがAによって置換されており、他の重鎖のCH3ドメインにおいて、位置366のアミノ酸TがAによって置換されており、位置409のアミノ酸KがFによって置換されている(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。後者の上述の実施形態において、他の重鎖のCH3ドメインにおいて、位置392のアミノ酸KがEによって置換されており、位置411のアミノ酸TがEによって置換されており、位置399のアミノ酸DがRによって置換されており、位置400のアミノ酸SがRによって置換されている(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。
【0550】
一態様では、国際公開第2011/143545号パンフレットに記載されている手法を使用して、多重特異性抗体の第1の重鎖及び第2の重鎖のヘテロ二量体化を支援する。一態様において、両重鎖のCH3ドメイン中のアミノ酸改変は、位置368及び/又は409に導入される(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。
【0551】
一態様では、二重特異性抗体の第1の重鎖と第2の重鎖のヘテロダイマー化を補助するために、WO 2011/090762号に記載される手法を用いる。国際公開第2011/090762号は、「ノブ・イントゥ・ホール」(KiH)技術に従ったアミノ酸改変に関する。一実施形態において、1つの重鎖のCH3ドメインにおいて、位置366のアミノ酸TがWによって置換されており、他の重鎖のCH3ドメインにおいて、位置407のアミノ酸YがAによって置換されている(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。別の実施形態において、1つの重鎖のCH3ドメインにおいて、位置366のアミノ酸TがYによって置換されており、他の重鎖のCH3ドメインにおいて、位置407のアミノ酸YがTによって置換されている(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。
【0552】
一態様において、二重特異性抗体の第1の重鎖と第2の重鎖のヘテロ二量体化を補助するために、国際公開第2009/089004号に記載される手法を用いる。一実施形態において、1つの重鎖のCH3ドメインにおいて、位置392のアミノ酸K又はNが、負に帯電したアミノ酸によって(一実施形態において、E又はDによって、好ましい一実施形態において、Dによって)置換されており、他の重鎖のCH3ドメインにおいて、位置399のアミノ酸D、位置356のアミノ酸E又はD、又は位置357のアミノ酸Eが、正に帯電したアミノ酸によって置換されており(一実施形態において、K又はR、好ましい一実施形態において、Kによって置換されており、好ましい一実施形態において、位置399又は356のアミノ酸が、Kによって置換されている)(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。更なる一実施形態において、上述の置換に加え、1つの重鎖のCH3ドメインにおいて、位置409のアミノ酸K又はRが、負に帯電したアミノ酸によって(一実施形態において、E又はDによって、好ましい一実施形態において、Dによって)置換されている(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。1つのなお更なる態様において、上述の置換に加えて、又は上述の置換に代えて、1つの重鎖のCH3ドメインにおいて、位置439のアミノ酸K及び/又は位置370のアミノ酸Kが、互いに独立して、負に帯電したアミノ酸によって(一実施形態において、E又はDによって、好ましい一実施形態において、Dによって)置換されている(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。
【0553】
一態様では、国際公開第2007/147901号パンフレットに記載されている手法を使用して、多重特異性抗体の第1の重鎖及び第2の重鎖のヘテロ二量体化を支援する。一実施形態において、1つの重鎖のCH3ドメインにおいて、位置253のアミノ酸KがEによって置換されており、位置282のアミノ酸DがKによって置換されており、位置322のアミノ酸KがDによって置換されており、他の重鎖のCH3ドメインにおいて、位置239のアミノ酸DがKによって置換されており、位置240のアミノ酸EがKによって置換されており、位置292のアミノ酸KがDによって置換されている(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。
【0554】
本明細書に報告される二重特異性抗体の重鎖のC末端は、アミノ酸残基PGKで終わる完全なC末端であってもよい。重鎖のC末端は、C末端アミノ酸残基のうちの1つ又は2つが除去された、短縮されたC末端であり得る。1つの好ましい態様では、重鎖のC末端は、短縮されたC末端で終わるPGである。
【0555】
一態様において、本明細書に報告される全ての態様のうちの1つの態様において、本明細書に明記されるC末端のCH3ドメインを含む重鎖を含む二重特異性抗体は、C末端グリシン-リシンジペプチドを含む(G446及びK447、ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。本明細書に報告される全ての態様のうちの一実施形態において、本明細書に明記されるC末端のCH3ドメインを含む重鎖を含む二重特異性抗体は、C末端グリシン残基を含む(G446、ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。
【0556】
iii.Fabドメイン内の改変
一態様では、本発明は、PD-1に特異的に結合する第1のFab断片と、LAG3に特異的に結合する第2のFab断片とを含み、Fab断片の1つにおいて、可変ドメインVHとVL又は定常ドメインCH1とCLのいずれかが置き換わっている、二重特異性抗体に関する。二重特異性抗体は、Crossmab技術に従って調製される。
【0557】
1つの結合アームにドメインの置き換え/交換を有する多重特異性抗体(CrossMabVH-VL又はCrossMabCH-CL)は、国際公開2009/080252号、国際公開2009/080253号及びSchaefer,W.et al、PNAS、108(2011)11187-1191に記載される。これらの多重特異性抗体は、明確に、第1の抗原に対する軽鎖と、第2の抗原に対する誤った重鎖のミスマッチにより生じる副産物を減らす(そのようなドメインの置き換えがない手法と比較した場合)。
【0558】
特定の態様では、本発明は、二重特異性抗体であって、PD-1に特異的に結合する第1のFab断片と、LAG3に特異的に結合する第2のFab断片とを含み、Fab断片の1つにおいて、可変ドメインVL及びVHが、VHドメインが軽鎖の一部であり、VLドメインが重鎖の一部であるように互いに置き換わっている、二重特異性抗体に関する。特定の態様では、二重特異性抗体は、PD-1に特異的に結合する抗原結合ドメインを含む第1のFab断片において、可変ドメインVL及びVHは、互いに置き換えられている、二重特異性抗体である。
【0559】
別の態様では、正しいペアリングを更に向上させるために、PD-1に特異的に結合する第1のFab断片と、LAG3に特異的に結合する第2のFab断片とを含む二重特異性抗体は、異なる帯電したアミノ酸置換(いわゆる「荷電残基」)を含んでいてもよい。これらの改変は、クロスしているか、又はクロスしていないCH1ドメイン及びCLドメインに導入される。これらの改変は、例えば、国際公開第2015/150447号、国際公開第2016/020309号及び国際出願PCT/EP2016/073408号に記載される。
【0560】
特定の態様では、本発明は、PD-1に特異的に結合する第1のFab断片と、LAG3に特異的に結合する第2のFab断片とを含む二重特異性抗体に関し、Fab断片の1つにおいて、定常ドメインCLでは、位置124のアミノ酸が、独立して、リジン(K)、アルギニン(R)又はヒスチジン(H)によって置換され(Kabat EUインデックスによる番号付け)、定常ドメインCH1では、位置147及び213のアミノ酸が、独立して、グルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D)によって置換されている(Kabat EUインデックスによる番号付け)。特定の態様では、二重特異性抗体は、TIM3に特異的に結合する抗原結合ドメインを含む第2のFab断片の定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸は、独立して、リジン(K)、アルギニン(R)又はヒスチジン(H)によって置換されており(番号付けはKabat EUインデックスに従う)、定常ドメインCH1において、位置147及び213のアミノ酸は、独立して、グルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D)によって置換されている(番号付けはKabat EUインデックスに従う)、二重特異性抗体である。
【0561】
特定の態様では、本発明は、二重特異性抗体であって、PD-1に特異的に結合する第1のFab断片と、LAG3に特異的に結合する第2のFab断片とを含み、CLドメインの1つにおいて、位置123のアミノ酸(EU番号付け)がアルギニン(R)と置き換わっており、位置124のアミノ酸(EU番号付け)がリジン(K)によって置換されており、CH1ドメインの1つにおいて、位置147(EU番号付け)及び位置213(EU番号付け)のアミノ酸がグルタミン酸(E)によって置換されている、二重特異性抗体に関する。特定の態様では、二重特異性抗体は、LAG3に特異的に結合する抗原結合ドメインを含む第2のFab断片において、位置123のアミノ酸(EU番号付け)が、アルギニン(R)によって置き換わっており、位置124のアミノ酸(EU番号付け)が、リジン(K)によって置換されており、CH1ドメインの1つにおいて、位置147(EU番号付け)及び位置213(EU番号付け)のアミノ酸が、グルタミン酸(E)によって置換されている、二重特異性抗体である。
【0562】
更なる態様では、二重特異性抗体は、
a)第1抗原に特異的に結合する抗体の第1の軽鎖及び第1の重鎖と、
b)第2の抗原に特異的に結合する抗体の第2の軽鎖及び第2の重鎖と、を含み、第2の軽鎖及び第2の重鎖の可変ドメインVL及びVHが互いに置き換えられている。
【0563】
a)の抗体はb)で報告されている改変を含有せず、a)の重鎖及び軽鎖は単離された鎖である。
【0564】
(b)の抗体では、軽鎖内で、可変軽鎖ドメインVLが、当該抗体の可変重鎖ドメインVHによって置き換わっており、重鎖内で、可変重鎖ドメインVHが、当該抗体の可変軽鎖ドメインVLによって置き換えられている。
【0565】
一態様において、(i)(a)の第1の軽鎖の定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸(ナンバリングはKabatに従う)が、正に帯電したアミノ酸によって置換されており、(a)の第1の重鎖の定常ドメインCH1において、位置147のアミノ酸又は位置213のアミノ酸(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)が、負に帯電したアミノ酸によって置換されているか、又は(ii)(b)の第2の軽鎖の定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸(ナンバリングはKabatに従う)が、正に帯電したアミノ酸によって置換されており、(b)の第2の重鎖の定常ドメインCH1において、位置147のアミノ酸又は位置213のアミノ酸(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)が、負に帯電したアミノ酸によって置換されている。
【0566】
別の態様において、(i)(a)の第1の軽鎖の定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸は、独立して、リシン(K)、アルギニン(R)又はヒスチジン(H)によって置換されており(ナンバリングはKabatに従う)(好ましい一実施形態において、独立して、リシン(K)又はアルギニン(R)によって置換されており)、(a)の第1の重鎖の定常ドメインCH1において、位置147のアミノ酸又は位置213のアミノ酸は、独立して、グルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D)によって置換されており(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)、又は(ii)(b)の第2の軽鎖の定常ドメインCLにおいて、位置124のアミノ酸は、独立して、リシン(K)、アルギニン(R)又はヒスチジン(H)によって置換されており(ナンバリングはKabatに従う)(好ましい一実施形態において、独立して、リシン(K)又はアルギニン(R)によって置換されており)、(b)の第2の重鎖の定常ドメインCH1において、位置147のアミノ酸又は位置213のアミノ酸は、独立して、グルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D)によって置換されている(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。
【0567】
一態様において、第2の重鎖の定常ドメインCLにおいて、位置124及び123のアミノ酸は、Kによって置換されている(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。
【0568】
一態様において、第2の重鎖の定常ドメインCLにおいて、位置123のアミノ酸は、Rによって置換されており、位置124のアミノ酸は、Kによって置換されている(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。
【0569】
一態様において、第2の軽鎖の定常ドメインCH1において、位置147及び213のアミノ酸は、Eによって置換されている(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。
【0570】
一態様において、第1の軽鎖の定常ドメインCLにおいて、位置124及び123のアミノ酸がKによって置換されており、第1の重鎖の定常ドメインCH1において、位置147及び213のアミノ酸がEによって置換されている(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。
【0571】
一態様において、第1の軽鎖の定常ドメインCLにおいて、位置123のアミノ酸がRによって置換されており、位置124のアミノ酸がKによって置換されており、第1の重鎖の定常ドメインCH1において、位置147及び213のアミノ酸が両方ともEによって置換されている(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。
【0572】
一態様において、第2の重鎖の定常ドメインCLにおいて、位置124及び123のアミノ酸がKによって置換されており、第2の軽鎖の定常ドメインCH1において、位置147及び213のアミノ酸がEによって置換されており、第1の軽鎖の可変ドメインVLにおいて、位置38のアミノ酸がKによって置換されており、第1の重鎖の可変ドメインVHにおいて、位置39のアミノ酸がEによって置換されており、第2の重鎖の可変ドメインVLにおいて、位置38のアミノ酸がKによって置換されており、第2の軽鎖の可変ドメインVHにおいて、位置39のアミノ酸がEによって置換されている(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う)。
【0573】
一態様では、二重特異性抗体は、
a)第1抗原に特異的に結合する抗体の第1の軽鎖及び第1の重鎖と、
b)第2抗原に特異的に結合する抗体の第2の軽鎖及び第2の重鎖と、を含み、第2の軽鎖及び第2の重鎖の可変ドメインVL及びVHが互いに置換されており、第2の軽鎖及び第2の重鎖の定常ドメインCL及びCH1が互いに置換されている。
【0574】
(a)の抗体は、(b)で報告される改変を含まず、(a)の重鎖及び軽鎖は、単離された鎖である。(b)の抗体において、軽鎖内で、可変軽鎖ドメインVLは、当該抗体の可変重鎖ドメインVHによって置き換わっており、定常軽鎖ドメインCLは、当該抗体の定常重鎖ドメインCH1によって置き換わっており、重鎖内で、可変重鎖ドメインVHは、当該抗体の可変軽鎖ドメインVLによって置き換わっており、定常重鎖ドメインCH1は、当該抗体の定常軽鎖ドメインCLによって置き換え得られている。
【0575】
一態様では、二重特異性抗体は、
a)第1抗原に特異的に結合する抗体の第1の軽鎖及び第1の重鎖と、
b)第2抗原に特異的に結合する抗体の第2の軽鎖及び第2の重鎖と、を含み、第2の軽鎖及び第2の重鎖の定常ドメインCL及びCH1が互いに置換されている。
【0576】
a)の抗体はb)で報告されている改変を含有せず、a)の重鎖及び軽鎖は単離された鎖である。(b)の抗体において、軽鎖内で、定常軽鎖ドメインCLが、当該抗体の定常重鎖ドメインCH1によって置き換わっており、重鎖内で、定常重鎖ドメインCH1が、当該抗体の定常軽鎖ドメインCLによって置き換え得られている。
【0577】
一態様では、二重特異性抗体は、
a)第1の抗原に特異的に結合し、2つの抗体重鎖及び2つの抗体軽鎖からなる完全長抗体と、
b)第2の抗原に特異的に結合する1、2、3又は4つの一本鎖Fab断片と、
を含む、二重特異性抗体であり、
b)の当該一本鎖Fab断片は、当該完全長抗体の重鎖又は軽鎖のC末端又はN末端でペプチドリンカーを介してa)の下での当該完全長抗体に融合している。
【0578】
一態様では、第2の抗原に結合する1つ又は2つの同一の一本鎖Fab断片は、完全長抗体に対し、ペプチドリンカーを介し、当該完全長抗体の重鎖又は軽鎖のC末端で融合している。
【0579】
一態様では、第2の抗原に結合する1つ又は2つの同一の一本鎖Fab(scFab)断片は、完全長抗体に対し、当該完全長抗体の重鎖のC末端で、ペプチドリンカーを介して融合している。
【0580】
一態様では、第2の抗原に結合する1つ又は2つの同一の一本鎖Fab(scFab)断片は、完全長抗体に対し、当該完全長抗体の軽鎖のC末端で、ペプチドリンカーを介して融合している。
【0581】
一態様では、第2の抗原に結合する2つの同一の一本鎖Fab(scFab)断片は、完全長抗体に対し、当該完全長抗体の重鎖又は軽鎖のそれぞれのC末端で、ペプチドリンカーを介して融合している。
【0582】
一態様では、第2の抗原に結合する2つの同一の一本鎖Fab(scFab)断片は、完全長抗体に対し、当該完全長抗体のそれぞれの重鎖のC末端で、ペプチドリンカーを介して融合している。
【0583】
一態様では、第2の抗原に結合する2つの同一の一本鎖Fab(scFab)断片は、完全長抗体に対し、当該完全長抗体のそれぞれの軽鎖のC末端で、ペプチドリンカーを介して融合している。
【0584】
一態様では、二重特異性抗体は、
a)第1の抗原に特異的に結合し、2つの抗体重鎖及び2つの抗体軽鎖からなる完全長抗体、
b)
ba)抗体重鎖可変ドメイン(VH)、又は
bb)抗体重鎖可変ドメイン(VH)及び抗体定常ドメイン1(CH1)
からなる第1のポリペプチドであって、
当該第1のポリペプチドが、そのVHドメインのN末端と、ペプチドリンカーを介して、当該完全長抗体の当該2つの重鎖の一方のC末端に融合している、
第1のポリペプチド
c)
ca)抗体軽鎖可変ドメイン(VL)、又は
cb)抗体軽鎖可変ドメイン(VL)及び抗体軽鎖定常ドメイン(CL)
からなる第2のポリペプチドであって、
当該第2のポリペプチドが、当該完全長抗体の2つの重鎖の他方のC末端にペプチドリンカーを介してVLドメインのN末端と融合している、
第2のポリペプチド
を含む、三価抗体であり、
第1のポリペプチドの抗体重鎖可変ドメイン(VH)及び第2のポリペプチドの抗体軽鎖可変ドメイン(VL)が一緒になって、第2の抗原に特異的に結合する抗原結合ドメインを形成する。
【0585】
一態様では、b)の下のポリペプチドの抗体重鎖可変ドメイン(VH)及びc)の下のポリペプチドの抗体軽鎖可変ドメイン(VL)は、以下の位置の間にジスルフィド結合を導入することにより、鎖間ジスルフィド架橋を介して連結及び安定化される。
(i)重鎖可変ドメイン位置44から軽鎖可変ドメイン位置100、又は
(ii)重鎖可変ドメイン位置105から軽鎖可変ドメイン位置43、又は
(iii)重鎖可変ドメイン位置101から軽鎖可変ドメイン位置100(番号付けは常にKabat EUインデックスに従う)。
【0586】
安定化のために非天然ジスルフィド架橋を導入する技術は、例えば国際公開第94/029350号パンフレット、Rajagopal,V.,et al.,Prot.Eng.(1997)1453-1459;Kobayashi,H.,et al.,Nucl.Med.Biol.25(1998)387-393;and Schmidt,M.,et al.,Oncogene 18(1999)1711-1721。一実施形態において、(b)及び(c)のポリペプチドの可変ドメインの間の任意要素のジスルフィド結合は、重鎖可変ドメインの位置44と軽鎖可変ドメインの位置100との間にある。一実施形態において、(b)及び(c)のポリペプチドの可変ドメインの間の任意要素のジスルフィド結合は、重鎖可変ドメインの位置105と軽鎖可変ドメインの位置43との間にある(ナンバリングは常にKabat EUインデックスに従う)。一実施形態において、一本鎖Fab断片の可変ドメインVHとVLとの間に当該任意のジスルフィド安定化を有しない三価の二重特異性抗体が好ましい。
【0587】
一態様では、二重特異性抗体は三重特異性又は四重特異性抗体であり、
a)第1抗原に特異的に結合する完全長抗体の第1の軽鎖及び第1の重鎖と、
b)第2の抗原に特異的に結合する完全長抗体の第2の(改変された)軽鎖及び第2の(改変された)重鎖であって、可変ドメインVL及びVHが互いに置換されており、及び/又は定常ドメインCL及びCH1が互いに置換されている、第2の(改変された)軽鎖及び第2の(改変された)重鎖と、
を含み、
c)1つ又は2つの更なる抗原(すなわち、第3及び/又は第4の抗原)に特異的に結合する1~4つの抗原結合ドメインが、ペプチドリンカーを介してa)及び/又はb)の軽鎖又は重鎖のC末端又はN末端に融合している。
【0588】
(a)の抗体は、(b)で報告される改変を含まず、(a)の重鎖及び軽鎖は、単離された鎖である。
【0589】
一態様では、三重特異性抗体又は四重特異性抗体は、(c)で、1つ又は2つの更なる抗原に特異的に結合する1つ又は2つの抗原結合ドメインを含む。
【0590】
一態様では、抗原結合ドメインは、scFv断片及びscFab断片からなる群から選択される。
【0591】
一態様では、抗原結合ドメインは、scFv断片である。
【0592】
一態様では、抗原結合ドメインは、scFab断片である。
【0593】
一態様では、抗原結合ドメインは、(a)及び/又は(b)の重鎖のC末端に融合している。
【0594】
一態様では、三重特異性抗体又は四重特異性抗体は、(c)で、1つの更なる抗原に特異的に結合する1つ又は2つの抗原結合ドメインを含む。
【0595】
一態様では、三重特異性抗体又は四重特異性抗体は、(c)で、第3の抗原に特異的に結合する2つの同一の抗原結合ドメインを含む。好ましい一実施形態では、そのような2つの同一の抗原結合ドメインは、(a)及び(b)の重鎖のC末端に対し、同じペプチドリンカーを介して両方とも融合している。好ましい一実施形態では、2つの同一の抗原結合ドメインは、scFv断片又はscFab断片である。
【0596】
一態様では、三重特異性抗体又は四重特異性抗体は、(c)で、第3及び第4の抗原に特異的に結合する2つの抗原結合ドメインを含む。一実施形態では、当該2つの抗原結合ドメインは、(a)及び(b)の重鎖のC末端に対し、同じペプチド連結部を介して両方とも融合している。好ましい一実施形態では、当該2つの抗原結合ドメインは、scFv断片又はscFab断片である。
【0597】
一態様では、二重特異性抗体は、
a)第1抗原に特異的に結合する(2つのFab断片を含む)抗体の2つの軽鎖及び2つの重鎖と、
b)第2の抗原に特異的に結合する抗体の2つの更なるFab断片であって、ペプチド性リンカーを介してa)の重鎖のC末端又はN末端のいずれかに両方とも融合している2つの更なるFab断片と、を含む、二重特異性四価抗体であり、及び
Fab断片において、以下の改変が行われる。
(i)a)の両方のFab断片において、又はb)の両方のFab断片において、可変ドメインVL及びVHが互いに置き換えられており、かつ/又は定常ドメインCL及びCH1が互いに置き換えられており、あるいは
(ii)a)の両方のFab断片において、可変ドメインVL及びVHは互いに置き換えられ、定常ドメインCL及びCH1は互いに置き換えられ、b)の両方のFab断片において、可変ドメインVL及びVHは互いに置き換えられ、又は定常ドメインCL及びCH1は互いに置き換えられ、又は
(iii)a)の両方のFab断片において、可変ドメインVL及びVHは互いに置換されているか、又は定常ドメインCL及びCH1は互いに置換されており、b)の両方のFab断片において、可変ドメインVL及びVHは互いに置換されており、かつ定常ドメインCL及びCH1は互いに置換されているか、又は
(iv)a)の両方のFab断片において、可変ドメインVL及びVHは互いに置換されており、b)の両方のFab断片において、定常ドメインCL及びCH1は互いに置換されており、又は
(v)a)の両方のFab断片において、定常ドメインCL及びCH1が互いに置換され、b)の両方のFab断片において、可変ドメインVL及びVHが互いに置換される。
【0598】
一態様において、当該追加のFab断片は、(a)の重鎖のC末端又は(a)の重鎖のN末端のいずれかにペプチドリンカーを介して、両方とも融合している。
【0599】
一態様において、当該追加のFab断片は、(a)の重鎖のC末端にペプチドリンカーを介して、両方とも融合している。
【0600】
一態様において、当該追加のFab断片は、(a)の重鎖のN末端にペプチドリンカーを介して、両方とも融合している。
【0601】
一態様では、Fab断片において、以下の改変が行われる:(a)の両Fab断片において、又は(b)の両Fab断片において、可変ドメインVLとVHが互いに置き換わっており、及び/又は定常ドメインCLとCH1が互いに置き換えられている。
【0602】
一態様では、二重特異性抗体は、
a)第1の抗原に特異的に結合し、第1のVH-CH1ドメイン対を含む第1の抗体の(改変された)重鎖であって、当該重鎖のC末端に、当該第1の抗体の第2のVH-CH1ドメイン対のN末端がペプチドリンカーを介して融合している、第1の抗体の(改変された)重鎖と、
b)a)の当該第1の抗体の2つの軽鎖、
c)第2の抗原に特異的に結合し、第1のVH-CLドメイン対を含む第2の抗体の(改変された)重鎖であって、当該重鎖のC末端に、当該第2の抗体の第2のVH-CLドメイン対のN末端がペプチドリンカーを介して融合している、第2の抗体の(改変された)重鎖と、
d)それぞれがCL-CH1ドメイン対を含む、c)の当該第2の抗体の2つの(改変された)軽鎖と、
を含む、四価抗体である。
【0603】
一態様では、二重特異性抗体は、
a)第1抗原に特異的に結合する第1完全長抗体の重鎖及び軽鎖、並びに
b)第2抗原に特異的に結合する第2完全長抗体の重鎖及び軽鎖であって、重鎖のN末端がペプチドリンカーを介して軽鎖のC末端に連結されている、重鎖及び軽鎖
を含む。
【0604】
(a)の抗体は、(b)で報告される改変を含まず、重鎖及び軽鎖は、単離された鎖である。
【0605】
一態様では、二重特異性抗体は、
a)第1の抗原に特異的に結合し、2つの抗体重鎖及び2つの抗体軽鎖からなる完全長抗体と、
b)VH2ドメイン及びVL2ドメインを含む第2の抗原に特異的に結合するFv断片であって、両ドメインがジスルフィド架橋を介して互いに連結されている、Fv断片と、
を含み、
VH2ドメイン又はVL2ドメインのいずれか一方のみが、ペプチドリンカーを介して、第1の抗原に特異的に結合する完全長抗体の重鎖又は軽鎖に融合している。
【0606】
二重特異性抗体において、(a)の重鎖及び軽鎖は、単離された鎖である。
【0607】
一態様では、VH2ドメイン又はVL2ドメインのうち他方は、第1の抗原に特異的に結合する完全長抗体の重鎖又は軽鎖にペプチドリンカーを介して融合していない。
【0608】
本明細書で報告される全ての態様において、第1の軽鎖は、VLドメインとCLドメインとを含み、第1の重鎖は、VHドメインと、CH1ドメインと、ヒンジ領域と、CH2ドメインと、CH3ドメインとを含む。
【0609】
一態様では、二重特異性抗体は、
a)第1抗原に特異的に結合する2つのFab断片、
b)CH1ドメインとCLドメインとが互いに交換された第2抗原に特異的に結合する1つのCrossFab断片、
c)第1のFc領域重鎖及び第2のFc領域重鎖を含む1つのFc領域
を含む、三価抗体であり、
ここで、2つのFab断片のCH1ドメインのC末端は、重鎖Fc領域ポリペプチドのN末端に連結されており、CrossFab断片のCLドメインのC末端は、Fab断片の1つのVHドメインのN末端に連結されている。
【0610】
一態様では、二重特異性抗体は、
a)第1抗原に特異的に結合する2つのFab断片、
b)CH1ドメインとCLドメインとが互いに交換された第2抗原に特異的に結合する1つのCrossFab断片、
c)第1のFc領域重鎖及び第2のFc領域重鎖を含む1つのFc領域
を含む、三価抗体であり、
第1のFab断片のCH1ドメインのC末端が、重鎖Fc領域ポリペプチドの一方のN末端に連結され、CrossFab断片のCLドメインのC末端が、他方の重鎖Fc領域ポリペプチドのN末端に連結され、第2のFab断片のCH1ドメインのC末端が、第1のFab断片のVHドメインのN末端又はCrossFab断片のVHドメインのN末端に連結されている。
【0611】
一態様では、二重特異性抗体は、
a)第1の抗原に特異的に結合し、2つの抗体重鎖及び2つの抗体軽鎖からなる完全長抗体と、
b)VH2ドメインと、重鎖断片及び軽鎖断片を含むVL2ドメインとを含む第2抗原に特異的に結合するFab断片と、
を含み、軽鎖断片内で可変軽鎖ドメインVL2が当該抗体の可変重鎖ドメインVH2によって置き換えられ、重鎖断片内で可変重鎖ドメインVH2が当該抗体の可変軽鎖ドメインVL2によって置き換えられ、
重鎖Fab断片が、完全長抗体の重鎖の1つのCH1ドメインと完全長抗体のそれぞれのFc領域との間に挿入され、軽鎖Fab断片のN末端が、重鎖Fab断片が挿入された完全長抗体の重鎖と対になっている完全長抗体の軽鎖のC末端にコンジュゲートされている。
【0612】
一態様では、二重特異性抗体は、
a)第1の抗原に特異的に結合し、2つの抗体重鎖及び2つの抗体軽鎖からなる完全長抗体と、
b)VH2ドメインと、重鎖断片及び軽鎖断片を含むVL2ドメインとを含む第2抗原に特異的に結合するFab断片と、
を含み、軽鎖断片内で、可変軽鎖ドメインVL2が当該抗体の可変重鎖ドメインVH2によって置き換えられ、重鎖断片内で、可変重鎖ドメインVH2が当該抗体の可変軽鎖ドメインVL2によって置き換えられ、Fab断片の重鎖断片のC末端が、完全長抗体の重鎖の1つのN末端にコンジュゲートされ、Fab断片の軽鎖断片のC末端が、Fab断片の重鎖断片がコンジュゲートされる完全長抗体の重鎖と対をなす完全長抗体の軽鎖のN末端にコンジュゲートされる。
【0613】
B.PD-1及びLAG3に結合する二重特異性抗体の投与
疾患の予防又は治療のために、本発明のPD-1に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、LAG3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含む二重特異性抗体の適切な投薬量は、(単独で使用されるとき、又は1つ以上の他の追加の治療剤と組み合わせて使用される場合)、治療される疾患の種類、投与経路、対象の体重、融合タンパク質の種類、疾患の重篤度及び経過、二重特異性抗体が予防目的又は治療目的で投与されるかどうか、以前又は現在の治療介入、対象の病歴及び融合タンパク質に対する応答、及び主治医の判断によって変わる。いずれにせよ、投与を担当する施術者は、組成物中の1つ以上の活性成分の濃度及び個々の対象に対する1つ以上の適切な用量を決定する。本明細書では、単回投与又は様々な時点にわたる複数回投与、ボーラス投与、及びパルス注入を含むがこれらに限定されない種々の投薬スケジュールが企図される。
【0614】
本明細書に定義されるPD-1に特異的に結合する第1の抗原結合ドメインと、LAG3に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインとを含む二重特異性抗体は、一度に、又は一連の治療にわたって、対象に適切に投与される。疾患の種類及び重篤度に応じて、約1μg/kg~15mg/kg(例えば、0.1mg/kg~10mg/kg)の二重特異性抗体が、例えば、1回又は複数回の別個の投与によるか、又は連続的注入によるかによらず、対象に投与するための初期の候補投薬量であってもよい。上記の要因に応じて、典型的な1日あたりの投薬量は、約1μg/kg~100mg/kg又はそれ以上の範囲である可能性がある。数日間又はそれ以上にわたる反復投与の場合、治療は通常、状態に応じて、疾患症状の所望の抑制が生じるまで続けられる。二重特異性抗体の1つの例示的な投薬量は、約0.005mg/kg~約10mg/kgの範囲である。他の例では、投薬量はまた、投与あたり、約1μg/kg体重、約5μg/kg体重、約10μg/kg体重、約50μg/kg体重、約100μg/kg体重、約200μg/kg体重、約350μg/kg体重、約500μg/kg体重、約1mg/kg体重、約5mg/kg体重、約10mg/kg体重、約50mg/kg体重、約100mg/kg体重、約200mg/kg体重、約350mg/kg体重、約500mg/kg体重から約1000mg/kg体重まで、又はもっと多く、又はその間の誘導可能な任意の範囲を含んでいてもよい。本明細書に挙げた数字から導き出せる範囲の例では、上記の数字に基づいて、約5mg/kg体重~約100mg/kg体重、約5μg/kg体重~約500mg/kg体重等の範囲が投与され得る。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、5.0mg/kg又は10mg/kg(又はこれらの任意の組み合わせ)の1回又は複数回の用量が対象に投与され得る。そのような投薬量を、断続的に、例えば、毎週、又は3週間ごとに投与してもよい(例えば、対象は、約2~約20回、又は例えば約6回の融合タンパク質の投薬を受ける)。最初のより高い負荷用量、続いて1回又は複数回のより低い用量を投与することができる。しかしながら、他の投与レジメンが有用であってもよい。この治療法の進行は、従来の技術及びアッセイによって容易にモニターされる。
【0615】
XII.VEGFアンタゴニスト
対象においてCRC(例えば、転移性CRC、例えば、MSI-H転移性CRC)を治療するための方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及びVEGFアンタゴニスト(例えば、ベバシズマブ)を含む治療レジメンを対象に投与することを含む方法が本明細書中に提供される。使用のための関連組成物(例えば、医薬組成物)、キット及び製品も提供される。本明細書中に記載される方法、使用のための組成物、キット又は製造品のいずれかは、下記に記載される薬剤のいずれかを含み得るか、又は包含する。
【0616】
VEGFアンタゴニストとしては、VEGFに結合するか、VEGF発現レベルを低減するか、又はVEGFの生物学的活性を中和、遮断、阻害、抑止、低減、又は妨害し得る任意の分子が挙げられる。例示的なヒトVEGFは、UniProtKB/Swiss-Protアクセッション番号P15692、Gene ID(NCBI):7422として示される。
【0617】
いくつかの例では、VEGFアンタゴニストは抗VEGF抗体である。いくつかの実施形態では、抗VEGF抗体は、「rhuMab VEGF」又は「AVASTIN(登録商標)」としても公知のベバシズマブである。ベバシズマブは、Presta et al.(Cancer Res.57:4593-4599,1997)に従って生成される組換えヒト化抗VEGFモノクローナル抗体である。これは、変異型ヒトIgG1フレームワーク領域と、ヒトVEGFの、その受容体への結合をブロックするマウス抗hVEGFモノクローナル抗体A.4.6.1由来の抗原結合相補性決定領域とを含む。フレームワーク領域の大部分を含む、ベバシズマブのアミノ酸配列の約93%は、ヒトIgG1に由来し、配列の約7%は、マウス抗体A4.6.1に由来する。ベバシズマブは、分子量が約149,000ダルトンであり、グリコシル化されている。ベバシズマブ及び他のヒト化抗VEGF抗体は、その開示全体が参照により本明細書に明示的に援用される、2005年2月26日に発行された米国特許第6,884,879号明細書に更に記載される。
【0618】
追加の好ましい抗体としては、PCT出願公開の国際公開第2005/012359号に記載されているG6又はB20シリーズ抗体(例えば、G6-31、B20-4.1)が挙げられる。追加の好ましい抗体については、米国特許第7,060,269号、同第6,582,959号、同第6,703,020号;同第6,054,297号;WO98/45332;WO96/30046;WO94/10202;EP0666868B1;米国特許出願公開第2006009360号、同第20050186208号、同第20030206899号、同第20030190317号、同第20030203409号、及び同第20050112126;並びにPopkov et al.(Journal of Immunological Methods 288:149-164,2004)を参照されたい。他の好ましい抗体としては、残基F17、M18、D19、Y21、Y25、Q89、191、K101、E103、及びC104を含むか、又はあるいは残基F17、Y21、Q22、Y25、D63、183、及びQ89を含む、ヒトVEGF上の機能的エピトープに結合する抗体が挙げられる。
【0619】
他の事例では、VEGFアンタゴニストは、抗VEGFR2抗体又は関連する分子(例えば、ラムシルマブ、タニビルマブ、アフリベルセプト)、抗VEGFR1抗体又は関連する分子(例えば、イクルクマブ、アフリベルセプト(VEGF Trap-Eye、EYLEA(登録商標))、又はジブ-アフリベルセプト(VEGF Trap、ZALTRAP(登録商標)))、二重特異性VEGF抗体(例えば、MP-0250、バヌシズマブ(VEGF-ANG2)、又はUS2001/0236388に開示されている二重特異性抗体)、抗VEGFアーム、抗VEGFR1アーム、及び抗VEGFR2アームのうちの2つの組み合わせを含む二重特異性抗体、抗VEGFA抗体(例えば、ベバシズマブ、セバシズマブ)、抗VEGFB抗体、抗VEGFC抗体(例えば、VGX-100)、抗VEGFD抗体、又は非ペプチド低分子VEGFアンタゴニスト(例えば、パゾパニブ、アキシチニブ、バンデタニブ、スチバーガ、カボザンチニブ、レンバチニブ、ニンテダニブ、オランチニブ、テラチニブ、ドビチニブ、セジラニブ、モテサニブ、スルファチニブ、アパチニブ、フォレチニブ、ファミチニブ、又はチボザニブ)である。いくつかの例では、VEGFアンタゴニストは、受容体チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、スニチニブ又はアキシチニブなどのマルチ標的受容体チロシンキナーゼ阻害剤)を含むチロシンキナーゼ阻害剤であり得る。
【0620】
XIII.サイトカイン放出症候群(CRS)の治療のためのトシリズマブ
A.背景
T細胞活性化を伴う二重特異性抗体治療は、サイトカイン放出症候群(CRS)と関連付けられてきた。CRSは、過度で持続的な免疫応答中に免疫エフェクター細胞又は標的細胞によるサイトカインの過剰放出によって引き起こされる、潜在的に生命を脅かす症候群である。
【0621】
CRSは高いIL-6レベルに関連し(Panelli et al.,J Transl Med,2:17,2004;Lee et al.,Blood,124:188-195,2014;Doessegger and Banholzer,Clin Transl Immunology,4:e39,2015)、IL-6はCRSの重症度と相関し、重篤な又は生命を脅かすCRSを経験している患者(NCI CTCAEグレード4又は5)は、CRSを経験していないか又はより軽度のCRS反応(NCI CTCAEグレード0~3)しか経験していないカウンターパートと比較して、はるかに高いIL-6レベルを有する(Chen et al.,J Immunol Methods,434:1-8,2016)。
【0622】
トシリズマブ(アクテムラ(登録商標)/ロアクテムラ(登録商標))は、IL-6媒介性シグナル伝達を阻害する、可溶性及び膜結合型IL-6Rに対する組換え、ヒト化、抗ヒトモノクローナル抗体である(例えば、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第1992/019579号参照)。そうだとすれは、トシリズマブ前投薬はまた、二重特異性抗体療法に関連するCRSの頻度を低減するか又は重症度を低下させることができる。トシリズマブと組み合わせて使用することができる他の抗IL-6R抗体としては、サリルマブ、ボバリリズマブ(ALX-0061)、SA-237、及びこれらのバリアントが挙げられる。
【0623】
B.CRSの症状及び悪性度分類
本明細書中に記載される方法によって使用されるCRSグレーディング基準は、軽度、中等度、重度又は生命を脅かすCRSを定義し、臨床治験全体にわたる報告を調和させてCRSの迅速な認識及び治療を可能にするために、米国移植細胞治療学会(ASTCT)によって公表されている(Lee et al.Biology of Blood and Marrow Transplantation.25(4):625-638,2019)。ASTCT基準は、客観的であり、適用が容易であり、CRSの重症度をより正確に分類することを意図している。この改訂されたCRSグレーディングシステムを以下の表4に示す。診断基準に加えて、コルチコステロイド及び/又は抗サイトカイン療法による早期介入を含む、その重症度に基づくCRSの管理に関する推奨事項が表4に提供され、参照される。
表4.CRSグレーディングシステム
ASTCT=米国移植細胞療法学会;BiPAP=バイレベル気道陽圧;CPAP=持続的気道陽圧;CRS=サイトカイン放出症候群;CTCAE=有害事象共通用語規準。グレード5=死亡。
ASTCTコンセンサスグレーディング:Lee et al.,Biol Blood Marrow Transplant,25(4):625-638,2019
【0624】
CRS及び/又は輸液関連反応(IRR)の軽度から中程度の症状は、発熱、頭痛及び筋痛などの症状を含むことがあり、適応に応じて鎮痛剤、解熱剤及び抗ヒスタミン薬で対症療法される。低血圧、頻脈、呼吸困難又は胸部不快感などのCRS及び/又はIRRの重篤な又は生命を脅かす症状は、適応に応じて、高用量コルチコステロイドの使用、静脈内流入、集中治療室への入室及び他の対症手段を含めた対症手段及び蘇生手段で積極的に治療される必要がある。重度のCRSは、播種性血管内凝固、毛細血管漏出症候群又はマクロファージ活性化症候群(MAS)などの他の臨床的後遺症に関連付けることができる。
【0625】
C.前投薬としてのトシリズマブ
いくつかの態様では、トシリズマブの有効量が前投薬として投与され、例えば、二重特異性抗体の投与の前に対象に投与される。前投薬としてのトシリズマブの投与は、CRSの頻度又は重症度を低下させ得る。いくつかの態様では、トシリズマブは、サイクル1における前投薬として投与され、例えば、二重特異性抗体の第1の用量(C1D1)、第2の用量(C1D2)及び/又は第3の用量(C1D3)の前に投与される。いくつかの態様では、トシリズマブは、対象へ約1mg/kg~約15mg/kg、例えば、約4mg/kg~約10mg/kg、例えば、約6mg/kg~約10mg/kg、例えば、約8mg/kgの単回用量で静脈内に投与される。いくつかの態様では、トシリズマブは、対象へ約8mg/kgの単回用量として静脈内に投与される。トシリズマブと組み合わせて使用することができる他の抗IL-6R抗体としては、サリルマブ、ボバリリズマブ(ALX-0061)、SA-237、及びこれらのバリアントが挙げられる。
【0626】
例えば、一態様において、二重特異性抗体はトシリズマブ(ACTEMRA(登録商標)/ROACTEMRA(登録商標))と同時投与され、対象は最初にトシリズマブ(ACTEMRA(登録商標)/ROACTEMRA(登録商標))が投与され、次いで二重特異性抗体が別々に投与される(例えば、対象はトシリズマブ(ACTEMRA(登録商標)/ROACTEMRA(登録商標))で前処置される)。
【0627】
いくつかの態様では、本開示は、再発性又は難治性の非ホジキンリンパ腫(NHL)((例えば、B細胞増殖性疾患、例えば、NHL(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/R DLBCL、R/R FL(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)、又はR/R形質転換FL(trFL))を有する対象の、1つ以上の追加の治療剤(例えば、トシリズマブ)と組み合わせて治療のための医薬の製造における本発明の二重特異性抗体の使用を特徴とする。
【0628】
いくつかの態様では、二重特異性抗体及び1つ以上の追加の治療剤は別々に製剤化される。いくつかの態様では、二重特異性抗体は、1つ以上の追加の治療剤の前に対象に投与されるべきである。他の態様では、二重特異性抗体は、1つ以上の追加の治療剤の投与に続いて対象に投与されるべきであり、例えば、有効量のトシリズマブの投与に続いて対象に投与されるべきである。
【0629】
いくつかの態様では、二重特異性抗体及び1つ以上の追加の治療剤は、一緒に製剤化される。
【0630】
いくつかの態様では、本開示は、再発性又は難治性の非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、B細胞増殖性疾患、例えば、NHL(例えば、攻撃的NHL又はR/R NHL;例えば、R/R DLBCL、R/R FL(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)、又はR/R形質転換FL(trFL))を有する対象を1つ以上の追加の治療剤と併用して治療することにおいて使用されるための本発明の二重特異性抗体を特徴とする。
【0631】
いくつかの態様では、二重特異性抗体及び1つ以上の追加の治療剤は別々に製剤化される。いくつかの態様では、二重特異性抗体は、1つ以上の追加の治療剤の前に対象に投与されるべきである。他の態様では、二重特異性抗体は、1つ以上の追加の治療剤の投与に続いて対象に投与されるべきであり、例えば、有効量のトシリズマブの投与に続いて対象に投与されるべきである。
【0632】
いくつかの態様では、二重特異性抗体及び1つ以上の追加の治療剤は、一緒に製剤化される。
【0633】
D.CRSを治療するためのトシリズマブ
いくつかの態様では、対象は、治療的二重特異性抗体による処置の期間中にCRS事象を経験し、有効量のトシリズマブが、CRS事象を管理するために投与される。
【0634】
いくつかの態様では、対象はCRS事象を有し(例えば、二重特異性抗体での処置後にCRS事象を有する、例えば、二重特異性抗体の第1の用量又はその後の用量後にCRS事象を有する)、本方法は、二重特異性抗体による処置を中断しながらCRS事象の症候を処置することを更に含む。
【0635】
いくつかの態様では、対象はCRS事象を経験し、本方法は、二重特異性抗体による処置を保留にしながらCRS事象を管理するために、有効量のインターロイキン-6受容体(IL-6R)アンタゴニスト(例えば、抗IL-6R抗体、例えば、トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標)/ROACTEMRA(登録商標)))を対象に投与することを更に含む。いくつかの態様では、IL-6Rアンタゴニスト(例えばトシリズマブ)は、対象へ約1mg/kg~約15mg/kg、例えば、約4mg/kg~約10mg/kg、例えば、約6mg/kg~約10mg/kg、例えば、約8mg/kgの単回用量で静脈内に投与される。いくつかの態様では、トシリズマブは、対象へ約8mg/kgの単回用量として静脈内に投与される。トシリズマブと組み合わせて使用することができる他の抗IL-6R抗体としては、サリルマブ、ボバリリズマブ(ALX-0061)、SA-237、及びこれらのバリアントが挙げられる。
【0636】
いくつかの態様では、CRS事象は、CRS事象の症候を処置してから24時間以内に解消しないか、又は悪化し、本方法は、CRS事象を管理するために1つ又は複数の追加の用量のIL-6Rアンタゴニスト(例えば、抗IL-6R抗体、例えば、トシリズマブ)を対象に投与すること、例えば、1回又は複数回の追加の用量のトシリズマブを約1mg/kg~約15mg/kg、例えば、約4mg/kg~約10mg/kg、例えば、約6mg/kg~約10mg/kg、例えば、約8mg/kgの用量で対象に静脈内投与することを更に含む。いくつかの態様では、1回又は複数回の追加の用量のトシリズマブは、約8mg/kgの単回用量として対象に静脈内投与される。
【0637】
いくつかの態様では、本方法は、有効量のコルチコステロイドを対象に投与することを更に含む。コルチコステロイドは、対象に静脈内投与され得る。いくつかの態様では、コルチコステロイドはメチルプレドニゾン(メチルプレドニゾロン)である。いくつかの例において、メチルプレドニゾンは、1日あたり約1mg/kgから1日あたり約5mg/kg、例えば、1日あたり約2mg/kgの1回の用量で投与される。いくつかの例では、コルチコステロイドは、デキサメタゾンである。いくつかの例において、デキサメタゾンは、約10mgの用量(例えば、静脈内に約10mgの単回用量)又は約0.5mg/kg/日の用量で投与される。
【0638】
CRS事象がIL-6Rアンタゴニスト(例えば、トシリズマブ)の投与のみでは管理されない場合、対象にコルチコステロイド、例えばメチルプレドニゾロン又はデキサメタゾンを投与することができる。いくつかの態様では、CRS事象の症状を治療することは、例えば表4~6に記載されるように、高用量昇圧薬(例えば、ノルエピネフリン、ドーパミン、フェニレフリン、エピネフリン、又はバソプレシン及びノルエピネフリン)による治療を更に含む。表6及び7は、重篤又は生命を脅かすCRSのトシリズマブ治療に関する詳細を提供する。
【0639】
いくつかの態様では、本開示は、CRS事象を有する対象を治療するための医薬の製造におけるトシリズマブの使用であって、CRS事象が本発明の二重特異性抗体による対象の治療の期間中に生じる使用を特徴とする。
【0640】
いくつかの態様では、医薬品は、本発明の二重特異性抗体による治療が中止されている間に対象に投与されるべきである。
【0641】
いくつかの態様では、医薬品は、トシリズマブの静脈内投与のために、約1mg/kg~約15mg/kg、例えば、約4mg/kg~約10mg/kg、例えば、約6mg/kg~約10mg/kg、例えば、約8mg/kgの単回用量として製剤化される。
【0642】
いくつかの態様では、CRS事象は、CRS事象の症状を治療してから24時間以内に回復しないか又は悪化し、トシリズマブの1つ以上の追加用量が対象に投与されることになる。トシリズマブの1つ以上の追加の用量は、対象に約1mg/kg~約15mg/kg、例えば約4mg/kg~約10mg/kg、例えば約6mg/kg~約10mg/kg、例えば約8mg/kgの用量で静脈内投与され得る。
【0643】
いくつかの態様では、医薬品は、CRS事象を治療するために有効量のコルチコステロイドと組み合わせて使用するためのものである。トシリズマブ及びコルチコステロイドは、別々に製剤化され得る。
【0644】
いくつかの態様では、コルチコステロイドは対象に静脈内投与されるべきである。いくつかの態様では、コルチコステロイドはメチルプレドニゾロンであり、例えば、メチルプレドニゾロンは対象に約1mg/kg/日~約5mg/kg/日、例えば、約2mg/kg/日の用量で投与されることになる。いくつかの態様では、コルチコステロイドはデキサメタゾンであり、例えば、デキサメタゾンは約10mg/kg/日の用量又は約0.5mg/kg/日の用量で対象に投与されるべきである。
【0645】
いくつかの態様では、本開示は、CRS事象を有する対象の治療における使用のためのトシリズマブを特徴とし、ここで、CRS事象は、本発明の二重特異性抗体による対象の治療の期間中に生じる。
【0646】
いくつかの態様では、トシリズマブは、本発明の二重特異性抗体による治療が中断されている間に対象に投与されるべきである。
【0647】
いくつかの態様では、トシリズマブは、約1mg/kg~約15mg/kg、例えば、約4mg/kg~約10mg/kg、例えば、約6mg/kg~約10mg/kg、例えば、約8mg/kgの単回用量として静脈内投与のために製剤化される。
【0648】
いくつかの態様では、CRS事象は、CRS事象の症状を治療してから24時間以内に回復しないか又は悪化し、トシリズマブの1つ以上の追加用量が対象に投与されることになる。トシリズマブの1つ以上の追加の用量は、対象に約1mg/kg~約15mg/kg、例えば約4mg/kg~約10mg/kg、例えば約6mg/kg~約10mg/kg、例えば約8mg/kgの用量で静脈内投与され得る。
【0649】
いくつかの態様では、トシリズマブは、CRS事象を治療するために有効量のコルチコステロイドと組み合わせて使用するためのものである。トシリズマブ及びコルチコステロイドは、別々に製剤化され得る。
【0650】
いくつかの態様では、コルチコステロイドは対象に静脈内投与されるべきである。いくつかの態様では、コルチコステロイドはメチルプレドニゾロンであり、例えば、メチルプレドニゾロンは対象に約1mg/kg/日~約5mg/kg/日、例えば、約2mg/kg/日の用量で投与されることになる。いくつかの態様では、コルチコステロイドはデキサメタゾンであり、例えば、デキサメタゾンは約10mg/kg/日の用量又は約0.5mg/kg/日の用量で対象に投与されるべきである。
【0651】
XIV.薬学的組成物及び製剤
PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含み、薬学的に許容され得る担体を任意に含む医薬組成物及び製剤も本明細書において提供される。抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及び任意に薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物及び製剤を、本明細書中に更に提供する。PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体と、任意に、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物及び製剤を、本明細書中に更に提供する。本開示はまた、(i)PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体、並びに任意に、薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物及び製剤;(ii)PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及び抗VEGF抗体(例えば、ベバシズマブ)、並びに任意に、薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物及び製剤;並びに(iii)抗TIGITアンタゴニスト抗体並びにPD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体並びに任意に薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物及び製剤を提供する。本開示はまた、モスネツズマブ、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む薬学的組成物及び製剤を提供する。本明細書に記載のモスネツズマブ、チラゴルマブ、及びアテゾリズマブ、及び/又は他の薬剤(例えば、デキサメタゾン)の薬学的組成物及び製剤は、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で、所望の純度を有する1つ、2つ、3つ、又は4つ全ての薬剤を、1つ以上の任意の薬学的に許容される担体と混合することによって調製することができる(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))。いくつかの実施形態では、モスネツズマブは、皮下投与用に製剤化される。いくつかの実施形態では、モスネツズマブは、静脈内投与用に製剤化される。
【0652】
本明細書に記載の薬学的組成物及び製剤は、所望の純度を有する活性成分(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト、抗TIGITアンタゴニスト抗体、並びに/あるいはPD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体;PD-1軸結合アンタゴニスト、抗TIGITアンタゴニスト抗体及び抗VEGF抗体;又はモスネツズマブ、抗TIGITアンタゴニスト抗体、及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト)を、例えば凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で、1つ以上の任意の薬学的に許容される担体と混合することによって調製することができる(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)を参照されたい)。
【0653】
例示的なチラゴルマブ製剤は、ポリソルベート20、スクロース、L-メチオニン及びWFIを含有するヒスチジン溶液を含む。チラゴルマブは、60mg/mLのチラゴルマブ抗体のおおよその濃度で10 mLのチラゴルマブ製剤を含有する15 mLバイアルで提供され得る。
【0654】
例示的なアテゾリズマブ製剤は、5.8のpHを有する氷酢酸、L-ヒスチジン、ポリソルベート20及びスクロースを含む。例えば、アテゾリズマブは、氷酢酸(16.5mg)、L-ヒスチジン(62mg)、ポリソルベート20(8mg)及びスクロース(821.6mg)中に製剤化された1200mgのアテゾリズマブを含有する20mLバイアル中で提供され得、pHは5.8である。別の例では、アテゾリズマブは、氷酢酸(11.5mg)、L-ヒスチジン(43.4mg)、ポリソルベート20(5.6mg)及びスクロース(575.1mg)中に製剤化された840mgのアテゾリズマブを含有する14mLバイアルで提供され得、pHは5.8である。
【0655】
薬学的に許容される担体は、一般に、用いられる投与量及び濃度ではレシピエントに非毒性であり、それらとしては、ホスフェート、シトレート、及び他の有機酸等のバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ヘキサメトニウムクロライド、ベンザルコニウムクロライド、ベンゼトニウムクロライド;フェノール、ブチル、若しくはベンジルアルコール;メチル若しくはプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、若しくはリジン等のアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、若しくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、若しくはソルビトール等の糖類;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);並びに/又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。ここにおける例示的な薬学的に許容され得る担体は、可溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば、rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)などのヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質などの介在性薬物分散剤を更に含む。rHuPH20を含むいくつかの例示的なsHASEGPと使用方法は、米国特許出願公開第2005/0260186号及び同第2006/0104968号に記載されている。一態様では、sHASEGPは、1つ又は複数のさらなるグリコサミノグリカナーゼ(例えば、コンドロイチナーゼ)と組み合わされる。
【0656】
例示的な凍結乾燥抗体製剤は、米国特許第6,267,958号に記載されている。水性抗体製剤としては、米国特許第6,171,586号及び国際公開第2006/044908号に記載されるものが挙げられ、後者の製剤は酢酸ヒスチジンバッファーを含む。
【0657】
本明細書の製剤はまた、治療される特定の適応症に必要な1つより多い活性成分を含んでもよく、好ましくは、互いに悪影響を及ぼさない相補的な活性を有するものを含んでもよい。例えば、追加の治療剤(例えば、化学療法剤、細胞傷害剤、成長阻害剤、及び/又は抗ホルモン剤、例えば、本明細書において上記で言及されたもの)を更に提供することが望ましい場合がある。かかる有効成分は、意図される目的に有効な量で組み合わせて好適に存在する。
【0658】
有効成分は、例えば、コアセルベーション技法によって、又は界面重合、例えば、コロイド状薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、及びナノカプセル)又はマクロエマルジョンにおいて、それぞれヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン-マイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセルによって調製されたマイクロカプセル内に封入することができる。このような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
【0659】
徐放性調製物が調製されてもよい。持続放出調製物の好適な例としては、本抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、これらのマトリックスは、成形物品、例えば、フィルム、又はマイクロカプセルの形態である。
【0660】
in vivo投与のために使用される製剤は、通常滅菌である。無菌状態は、例えば、滅菌濾過膜を通した濾過によって容易に達成され得る。
【0661】
XV.製造品又はキット
A.PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を含むキット
別の態様では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を含む製造品又はキットが本明細書で提供される。いくつかの例において、製造品又はキットは、対象におけるがん(例えば、食道がん(例えば、転移性食道がん)又は結腸直腸がん(CRC)(例えば、転移性CRC(例えば、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)転移性CRC)))又は黒色腫を治療するために、又はその進行を遅延させるために、PD-1軸結合アンタゴニストと組み合わせて抗TIGITアンタゴニスト抗体を使用するための説明書を含む添付文書を更に含む。いくつかの例において、製造品又はキットは、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを使用して、対象におけるがん(例えば、食道がん(例えば、転移性食道がん)又はCRC(例えば、転移性CRC(例えば、MSI-H転移性CRC)))又は黒色腫を治療するために、又はその進行を遅延させるための説明書を含む添付文書を更に含む。本明細書に記載されるPD-1軸結合アンタゴニスト及び/又は抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれも、製造品又はキットに含まれ得る。
【0662】
本発明の別の実施形態では、本明細書に記載の方法のいずれかに従ってがんを有する対象を治療するための抗TIGITアンタゴニスト抗体と組み合わせて使用するためのPD-1軸結合アンタゴニストを含むキットが提供される。いくつかの例では、キットは抗TIGITアンタゴニスト抗体を更に含む。いくつかの例では、製造品又はキットは、対象のがんを治療又は進行を遅延させるために、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)と組み合わせてPD-1軸結合アンタゴニストを使用するための説明書を含む添付文書を更に含む。
【0663】
別の実施形態では、キットは、本明細書に記載の方法のいずれかに従ってがんを有する対象を処置するためにアテゾリズマブと組み合わせて使用するためのチラゴルマブを含む。いくつかの実施形態では、キットはアテゾリズマブを更に含む。いくつかの例では、製造品又はキットは、対象のがんを治療又はその進行を遅延させるために、アテゾリズマブと組み合わせてチラゴルマブを使用するための説明書を含む添付文書を更に含む。
【0664】
別の実施形態では、キットは、本明細書に記載の方法のいずれかに従ってがんを有する対象を処置するための、チラゴルマブと組み合わせて使用するためのアテゾリズマブを含む。いくつかの実施形態では、キットは、チラゴルマブを更に含む。いくつかの例では、製造品又はキットは、対象のがんを治療又はその進行を遅延させるために、チラゴルマブと組み合わせてアテゾリズマブを使用するための説明書を含む添付文書を更に含む。
【0665】
いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体は、同じ容器又は別々の容器に入っている。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、袋、及びシリンジが含まれる。容器は、ガラス、プラスチック(例えばポリ塩化ビニル若しくはポリオレフィン)、又は金属合金(例えばステンレス鋼若しくはハステロイ)等の様々な材料から形成され得る。いくつかの例では、容器は、製剤を保持し、容器上のラベル又は容器に関連するラベルは、使用上の指示を示し得る。製造品又はキットは、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び使用説明書付きの添付文書を含む、商業的観点及び使用者の観点から望ましい他の材料を更に含み得る。いくつかの例では、製造品は、1つ以上の別の薬剤(例えば、更なる化学療法剤又は抗新生物剤)を更に含む。1つ以上の薬剤に好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、袋、及びシリンジが挙げられる。
【0666】
本明細書に記載されるPD-1軸結合アンタゴニスト及び/又は抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれも、製造品又はキットに含まれ得る。任意の製造品又はキットは、本明細書中に記載される方法のいずれかに従って、例えば、上記のセクションII、III又はVに記載される方法のいずれかに従って、対象にPD-1軸結合アンタゴニスト及び/又は抗TIGITアンタゴニスト抗体を投与するための説明書を含み得る。
【0667】
B.PD-1及びLAGを標的とする二重特異性抗体と抗TIGITアンタゴニスト抗体とを含むキット
別の態様では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)並びにPD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体を含む製造品又はキットが本明細書で提供される。いくつかの例において、製造品又はキットは、抗TIGITアンタゴニスト抗体をPD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体と組み合わせて使用して、対象におけるがん(例えば、食道がん(例えば、転移性食道がん))又は黒色腫を治療するための、又はその進行を遅延させるための説明書を含む添付文書を更に含む。いくつかの例において、製造品又はキットは、抗TIGITアンタゴニスト抗体並びにPD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体を使用して、対象におけるがん(例えば、食道がん(例えば、転移性食道がん))又は黒色腫を治療するため又はその進行を遅延させるための説明書を含む添付文書を更に含む。本明細書に記載されるPD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体及び/又は抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれも、製造品又はキットに含まれ得る。
【0668】
本発明の別の実施形態では、本明細書に記載の方法のいずれかに従ってがんを有する対象を治療するための抗TIGITアンタゴニスト抗体と組み合わせて使用するための、PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体を含むキットが提供される。いくつかの例では、キットは抗TIGITアンタゴニスト抗体を更に含む。いくつかの例において、製造品又はキットは、PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体を抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)と組み合わせて使用して、対象におけるがんを治療するため又はその進行を遅延させるための説明書を含む添付文書を更に含む。
【0669】
いくつかの例において、PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体及び抗TIGITアンタゴニスト抗体は、同じ容器又は別々の容器に入っている。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、袋、及びシリンジが含まれる。容器は、ガラス、プラスチック(例えばポリ塩化ビニル若しくはポリオレフィン)、又は金属合金(例えばステンレス鋼若しくはハステロイ)等の様々な材料から形成され得る。いくつかの例では、容器は、製剤を保持し、容器上のラベル又は容器に関連するラベルは、使用上の指示を示し得る。製造品又はキットは、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び使用説明書付きの添付文書を含む、商業的観点及び使用者の観点から望ましい他の材料を更に含み得る。いくつかの例では、製造品は、1つ以上の別の薬剤(例えば、更なる化学療法剤又は抗新生物剤)を更に含む。1つ以上の薬剤に好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、袋、及びシリンジが挙げられる。
【0670】
本明細書に記載されるPD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体及び/又は抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれも、製造品又はキットに含まれ得る。任意の製造品又はキットは、本明細書中に記載される方法のいずれかに従って、例えば、上記のセクションIIIに示される方法のいずれかに従って、PD-1及びLAG3を標的とする二重特異性抗体及び/又は抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象に投与するための説明書を含み得る。
【0671】
C.モスネツズマブ及び抗TIGITアンタゴニスト抗体、及び/又はPD-1軸結合アンタゴニストを含むキット
別の態様では、モスネツズマブ、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、及び任意にPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む製造品又はキットが本明細書で提供される。いくつかの例では、製造品又はキットは、モスネツズマブを抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)と組み合わせて、任意にPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)と組み合わせて使用して、対象におけるがんCD20陽性細胞増殖性疾患(例えば、B細胞増殖性疾患、例えば、NHL(例えば、攻撃的NHL又は再発性若しくは難治性(R/R)NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を治療するか、又はその進行を遅延させるための説明書を含む添付文書を更に含む。いくつかの例では、製造品又はキットは、モスネツズマブ、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、及び任意にPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を使用して、対象におけるがんCD20陽性細胞増殖性疾患(例えば、B細胞増殖性疾患、例えば、NHL(例えば、攻撃的NHL又は再発性若しくは難治性(R/R)NHL;例えば、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、R/R濾胞性リンパ腫(FL)(例えば、R/Rグレード3b FL)、又はR/R高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)若しくはR/R形質転換FL(trFL))を治療するか、又はその進行を遅延させるための説明書を含む添付文書を更に含む。本明細書に記載の任意のモスネツズマブ、抗TIGITアンタゴニスト抗体(チラゴルマブ)、及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト(アテゾリズマブ)は、製造品又はキットに含まれ得る。
【0672】
別の実施形態では、キットは、本明細書に記載の方法のいずれかに従ってがんを有する対象を治療するために、チラゴルマブと組み合わせて、及び任意にアテゾリズマブと組み合わせて使用するためのモスネツズマブを含む。いくつかの実施形態では、キットはモスネツズマブを更に含む。いくつかの例では、製造品又はキットは、対象のがんを治療又は進行を遅延させるために、モスネツズマブをチラゴルマブと組み合わせて、任意にアテゾリズマブと組み合わせて使用するための説明書を含む添付文書を更に含む。
【0673】
別の実施形態では、キットは、本明細書に記載の方法のいずれかに従ってがんを有する対象を治療するために、モスエンツズマブと組み合わせて、及び任意にアテゾリズマブと組み合わせて使用するためのチラゴルマブを含む。いくつかの実施形態では、キットは、チラゴルマブを更に含む。いくつかの例では、製造品又はキットは、対象のがんを治療又は進行を遅延させるために、モスネツズマブと組み合わせて、任意にアテゾリズマブと組み合わせて、チラゴルマブを使用するための説明書を含む添付文書を更に含む。
【0674】
場合によっては、モスネツズマブ、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)は、同じ容器又は別個の容器に入っている。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、袋、及びシリンジが含まれる。容器は、ガラス、プラスチック(例えばポリ塩化ビニル若しくはポリオレフィン)、又は金属合金(例えばステンレス鋼若しくはハステロイ)等の様々な材料から形成され得る。いくつかの例では、容器は、製剤を保持し、容器上のラベル又は容器に関連するラベルは、使用上の指示を示し得る。製造品又はキットは、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び使用説明書付きの添付文書を含む、商業的観点及び使用者の観点から望ましい他の材料を更に含み得る。いくつかの例では、製造品は、1つ以上の別の薬剤(例えば、更なる化学療法剤又は抗新生物剤)を更に含む。1つ以上の薬剤に好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、袋、及びシリンジが挙げられる。
【0675】
本明細書に記載の任意のモスネツズマブ、抗TIGITアンタゴニスト抗体(チラゴルマブ)、及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト(アテゾリズマブ)は、製造品又はキットに含まれ得る。任意の製造品又はキットは、本明細書中に記載される方法のいずれかに従って、例えば、上記のセクションIVに記載される方法のいずれかに従って、モスネツズマブ、抗TIGITアンタゴニスト抗体(チラゴルマブ)及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト(アテゾリズマブ)を対象に投与するための説明書を含み得る。
【0676】
D.PD-1軸結合アンタゴニスト、抗TIGITアンタゴニスト抗体及び抗VEGF抗体を含むキット
別の態様では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及び抗VEGF抗体(例えば、ベバシズマブ)を含む製造品又はキットが本明細書で提供される。いくつかの例では、製造品又はキットは、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗VEGF抗体を使用して、対象のがん(例えば、結腸直腸がん(CRC)(例えば、転移性CRC(例えば、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI)(MSI-H)転移性CRC)))を治療するか又はその進行を遅延させるための説明書を含む添付文書を更に含む。いくつかの例では、製造品又はキットは、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗VEGF抗体を使用して、対象のがん(例えば、転移性CRC(例えば、MSI-H転移性CRC))を治療するか又はその進行を遅延させるための説明書を含む添付文書を更に含む。本明細書に記載されるPD-1軸結合アンタゴニスト、抗TIGITアンタゴニスト抗体、及びVEGFアンタゴニスト(例えば、抗VEGF抗体)のいずれも、製造品又はキットに含まれ得る。
【0677】
本発明の別の実施形態では、本明細書に記載の方法のいずれかに従ってがんを有する対象を治療するための抗TIGITアンタゴニスト抗体及び抗VEGF抗体と組み合わせて使用するためのPD-1軸結合アンタゴニストを含むキットが提供される。いくつかの例では、キットは抗TIGITアンタゴニスト抗体を更に含む。いくつかの例では、キットは抗VEGF抗体を更に含む。いくつかの例では、キットは、抗TIGITアンタゴニスト抗体及び抗VEGF抗体を更に含む。いくつかの例では、製造品又はキットは、対象のがんを治療又は進行を遅延させるために、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及び抗VEGF抗体(例えば、ベバシズマブ)と組み合わせてPD-1軸結合アンタゴニストを使用するための説明書を含む添付文書を更に含む。
【0678】
別の実施形態では、キットは、本明細書に記載の方法のいずれかに従ってがんを有する対象を治療するために、アテゾリズマブ及びベバシズマブと組み合わせて使用するためのチラゴルマブを含む。いくつかの実施形態では、キットはアテゾリズマブを更に含む。いくつかの実施形態では、キットはベバシズマブを更に含む。いくつかの実施形態では、キットはアテゾリズマブ及びベバシズマブを更に含む。いくつかの例では、製造品又はキットは、対象のがんを治療又は進行を遅延させるために、アテゾリズマブ及びベバシズマブと組み合わせてチラゴルマブを使用するための説明書を含む添付文書を更に含む。
【0679】
別の実施形態では、キットは、本明細書に記載の方法のいずれかに従ってがんを有する対象を処置するための、チラゴルマブと組み合わせて使用するためのアテゾリズマブを含む。いくつかの実施形態では、キットは、チラゴルマブを更に含む。いくつかの実施形態では、キットはベバシズマブを更に含む。いくつかの実施形態では、キットは、チラゴルマブ及びベバシズマブを更に含む。いくつかの例では、製造品又はキットは、対象のがんを治療又は進行を遅延させるために、チラゴルマブ及びベバシズマブと組み合わせてアテゾリズマブを使用するための説明書を含む添付文書を更に含む。
【0680】
別の実施形態では、キットは、本明細書に記載の方法のいずれかに従ってがんを有する対象を治療するためにアテゾリズマブと組み合わせて使用するためのベバシズマブを含む。いくつかの実施形態では、キットはアテゾリズマブを更に含む。いくつかの実施形態では、キットは、チラゴルマブを更に含む。いくつかの実施形態では、キットは、アテゾリズマブ及びチラゴルマブを更に含む。いくつかの例では、製造品又はキットは、対象のがんを治療又は進行を遅延させるために、ベバシズマブをアテゾリズマブ及びチラゴルマブと組み合わせて使用するための説明書を含む添付文書を更に含む。
【0681】
いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニスト、抗TIGITアンタゴニスト抗体及び抗VEGF抗体は、同じ容器又は別個の容器内にある。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、袋、及びシリンジが含まれる。容器は、ガラス、プラスチック(例えばポリ塩化ビニル若しくはポリオレフィン)、又は金属合金(例えばステンレス鋼若しくはハステロイ)等の様々な材料から形成され得る。いくつかの例では、容器は、製剤を保持し、容器上のラベル又は容器に関連するラベルは、使用上の指示を示し得る。製造品又はキットは、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び使用説明書付きの添付文書を含む、商業的観点及び使用者の観点から望ましい他の材料を更に含み得る。いくつかの例では、製造品は、1つ以上の別の薬剤(例えば、更なる化学療法剤又は抗新生物剤)を更に含む。1つ以上の薬剤に好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、袋、及びシリンジが挙げられる。
【0682】
本明細書に記載されるPD-1軸結合アンタゴニスト、抗TIGITアンタゴニスト抗体、及びVEGFアンタゴニスト(例えば、抗VEGF抗体)のいずれも、製造品又はキットに含まれ得る。任意の製造品又はキットは、本明細書中に記載される任意の方法に従って、例えば、上記のセクションII、III又はVに記載される任意の方法に従って、PD-1軸結合アンタゴニスト、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びVEGFアンタゴニスト(例えば、抗VEGF抗体)を対象に投与するための説明書を含み得る。
【実施例】
【0683】
実施例1:転移性食道がん患者におけるアテゾリズマブと組み合わせた抗TIGIT抗体チラゴルマブの第Ib相用量拡大試験
転移性食道がん患者においてアテゾリズマブと組み合わせて投与されたチラゴルマブの安全性、薬力学的、及び抗腫瘍活性を、第Ib相拡大コホート研究で評価した。
【0684】
この試験は、GO30103の適応症特異的拡大コホート、局所進行性、再発性又は転移性の不治腫瘍を有する患者におけるアテゾリズマブと組み合わせたチラゴルマブの安全性、忍容性及びPKを評価するように設計された第Ia/Ib相非盲検、多施設、用量漸増及び用量拡大試験であった。GO30103研究は、チラゴルマブが、アテゾリズマブ1200mg IV Q3Wを伴う600mg IV Q3Wの推奨された第II相用量で良好な忍容性を示し、PD-L1陽性非小細胞肺がん患者の第Ib相拡大コホートで活性が見られ、46%の確認された全奏効率(ORR)であった(Bendell et al.,Cancer Res:80(16 Supplement),779,2020)。
【0685】
本研究は、がん免疫療法で以前に治療されていない転移性食道がん患者におけるアテゾリズマブと組み合わせたチラゴルマブの安全性及び抗腫瘍活性の結果を提供する。
【0686】
A.目的及び評価項目
本研究の目的は、転移性食道がん患者におけるアテゾリズマブ(1200mg、IV、Q3W)と組み合わせたチラゴルマブ(600mg、IV、Q3W)の予備的安全性、忍容性及び有効性を決定することであった。本試験の具体的な目的及び対応評価項目を表5に概説する。
表5.目的及び評価項目
【0687】
B.研究デザイン
この試験は、転移性食道がん患者(例えば、事前の免疫療法を受けたことがない転移性食道がんを有する患者)においてアテゾリズマブと組み合わせて投与した場合のチラゴルマブの安全性、忍容性、及び有効性の評価を可能にするように設計された。
【0688】
C.試験治療
投薬及び投与
チラゴルマブ600mgをIV点滴(Q3W)によって3週間ごとに投与した。
【0689】
チラゴルマブと組み合わせて投与されるアテゾリズマブの用量は、3週間ごとに1200mgのIVであった。アテゾリズマブは、チラゴルマブ点滴後及びその後の観察期間後に投与された。
【0690】
チラゴルマブ及びアテゾリズマブの用量調製及び投与指示の詳細については、それぞれの治験責任医師のパンフレット及びGO30103 Pharmacy Manualを参照されたい。
【0691】
D.併用療法
併用療法には、スクリーニングの7日前から治療中止来院までに患者が使用した任意の薬物(例えば、処方薬、市販薬、ハーブ又はホメオパシー薬、及び/又は栄養補助食品)が含まれた。
【0692】
E.選択基準
食道がん特異的選択基準
適格基準を以下に要約する。
・任意の組織型の転移性食道がん(例えば、扁平上皮癌及び腺癌を含む)。
・先行する治療ラインに制限はない。
・免疫療法による事前治療なし。
・任意のPD-L1ステータス。
【0693】
追加のがん特異的選択基準
・少なくとも1つの利用可能な標準治療後に進行した局所進行性、再発性又は転移性の治癒不能な悪性腫瘍の組織学的な文書化を有する患者;又は標準治療が無効若しくは忍容できないことが証明されているか、又は不適切であると考えられている患者;又は治験薬の臨床治験が認められている標準治療である者。
・化学療法用いて又は用いずに抗PD-L1抗体と組み合わせた治験薬の臨床治験が許容される治療選択肢とみなされる局所進行性、再発性又は転移性の治癒不能な悪性腫瘍の組織学的な文書化を有する患者も適格であった。
・RECIST v1.1による測定可能な疾患を有する患者
・以前に照射された病変は、標的病変としてカウントされた。
・生検を意図する病変は、標的病変としてカウントされなかった。
【0694】
拡大コホートの患者の追加の選択基準
・拡大コホートへの登録は、腫瘍がPD-L1及び/又はTIGITが選択された患者に限定された。したがって、腫瘍組織の保管品を提出し、登録前にPD-L1及び/又はTIGIT発現について評価する必要があった。腫瘍組織がPD-L1及び/又はTIGIT発現について評価可能でない患者は、適格ではなかった。PD-L1及び/又はTIGITの発現は、免疫浸潤細胞又は腫瘍細胞のいずれかにおいて評価され得る。複数の腫瘍標本が提出される場合(例えば、再発性疾患からの保管標本及び組織)、少なくとも1つの標本がPD-L1及び/又はTIGIT発現について評価可能である場合、患者は適格であり得る。患者のPD-L1及び/又はTIGITスコアは、それぞれ試料間の最大PD-L1及び/又はTIGITスコアであった。
・登録は、拡大コホートにおける約半数までの発生患者が任意の生検を受けることに同意した患者であるように管理された。
【0695】
一般的な基準
更なる選択基準を以下に記載する。これらの患者基準は試験参加に必要であった。
・年齢18歳以上
・研究のプロトコールを遵守できると治験責任医師が判断すること
・0又は1の、米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス。
・平均余命12週間以上
・最初の試験治療(サイクル1、1日目)の14日間以内に得られた以下の実験室結果によって定義される、十分な血液学的機能及び最終臓器機能:絶対好中球数(ANC)≧1,500細胞/μL;白血球(WBC)数≧2,500/μL;リンパ球数≧500/μL;血小板数≧100,000/μL(サイクル1、1日目の前の14日間以内に輸血なし);ヘモグロビン≧9g/dL(患者は輸血されていてもよく、又は局所標準治療に従って赤血球造血治療を受けていてもよい);総ビリルビン≦1.5×正常値の上限(ULN)(パクリタキセルを投与された患者(コホートB)は総ビリルビン≦1.25×ULNであることが必要とされた);AST及びALT≦3×ULN;アルカリホスファターゼ≦2.5×ULN(実証された肝臓又は骨転移を有する患者は、アルカリホスファターゼ≦5×ULNを有していた可能性がある);血清アルブミン≧2.5g/dL;PT及び活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)≦1.5×ULN(治療的抗凝固療法を受けていない患者にのみ適用)。治療的抗凝固療法を受けている患者は安定した用量であった。
・コッククロフト・ゴールト式糸球体濾過率予測法の基づく測定又は計算されたクレアチニンクリアランスが50mL/分以上:
(140-年齢)×(キログラム単位の重量)×(女性の場合は0.85)
72×(血清クレアチニン(mg/dL))
シスプラチンを投与されている患者(コホートA又はコホートC)は、Cockcroft-Gault GFR推定値に基づいてクレアチニンクリアランスを≧60mL/分で測定又は計算していなければならない。
・血清妊娠検査(卵管結紮術を受けた女性を含む、妊娠の可能性がある女性のため)を行い、第1サイクルの1日目の前の14日以内に陰性として記録される必要があった。
・妊娠の可能性のある女性の場合:禁欲(異性間の性交を控える)又は避妊を使用することの合意、及び卵の提供を控えることの合意
・男性の場合:禁欲を維持する(異性間の性交を控える)こと、又は避妊手段を使用すること、及び精子の提供を控えることの同意。
【0696】
F.除外基準
がん特異的除外基準
・試験治療の開始前3週間以内の、化学療法、ホルモン療法、及び/又は放射線治療を含む任意の抗がん治療(治験中であるか承認されているかを問わない)、ただし、以下の例外がある:
・前立腺がんのためのゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト又はアンタゴニストでのホルモン療法;
・ホルモン補充療法又は経口避妊薬;
・サイクル1、1日目の>7日前に中止されたがんの治療のために地元の規制当局によって承認されたチロシンキナーゼ阻害剤(TKI);以前のTKIの中止後にベースラインスキャンを取得する必要があり、事前のがん治療に起因する有害事象に関する基準を満たさなければならない
・サイクル1、1日目の>1週間前のハーブ療法
・サイクル1、1日目の>2週間の、感受性が高い可能性のある場所(例えば、硬膜外腔)における有痛性の転移又は転移に対する姑息的放射線治療
・以前の抗TIGIT剤は許可されなかった
・少なくとも6週間又は5半減期のいずれか短い方の薬物が、最終用量と提案されたサイクル1、1日目との間で経過していれば、がんワクチン及び/又はサイトカインによる事前の治療は可能であった。
・最小のウォッシュアウトは、任意の事前の全身性がん治療に対して3週間であった。
・NSCLCの肺リンパ上皮腫様癌腫亜型を有する患者
・原発性CNS悪性腫瘍、未治療CNS転移、又は活動性CNS転移(進行しているか、又は症候性制御のためにコルチコステロイドを必要とする)
・治療された中枢神経系転移の病歴を有する患者は、以下の基準の全てを満たすならば、適格であった:中枢神経系外の測定可能な疾患;中枢神経系転移の治療としてのコルチコステロイドに対する継続的な必要性はなく、コルチコステロイドは登録前に2週間以上中止され、中枢神経系転移に起因する進行中の症状はなかった(安定した用量の抗痙攣薬は許容された);中枢神経系指向性治療の完了時の改善のX線写真実証及び中枢神経系指向性治療の完了とスクリーニングX線写真研究との間の暫定的な進行の証拠なし;中枢神経系X線検査のスクリーニングは、放射線治療の完了後4週間以上であった。
・軟髄膜疾患
・制御されない腫瘍関連疼痛
・制御されない胸水、心内膜液滲出、又は反復性の排液治療を必要とする腹水(毎月1回又はより頻繁に)留置カテーテル(例えば、PleurXカテーテル)を有する患者は許容された。
・転移又は死亡の無視できるリスクを有するもの(例えば、適切に治療された非浸潤性子宮頸がん腫、基底細胞若しくは扁平上皮皮膚がん、限局性前立腺癌、又は非浸潤性乳管癌腫)を除く、サイクル1の1日目の前5年以内の試験下にある疾患以外の悪性腫瘍
・制御されない高カルシウム血症(>1.5mmol/Lのイオン化カルシウム若しくはCa>12mg/dL若しくは補正血清カルシウム≧ULN)又はビスホスホネート療法若しくはデノスマブの継続的な使用を必要とする症候性高カルシウム血症。
・患者は、疾患がスクリーニング前の≧2週間にわたって臨床的に安定しているという証拠なしに、手術及び/又は放射線で確定的に治療されていない、又は以前に診断及び治療された脊髄圧迫を有していた。
【0697】
処置特異的除外基準
・全身性紅斑性狼瘡、関節リウマチ、炎症性腸疾患、抗リン脂質抗体症候群に関連付けられる血管血栓症、ヴェーゲナー肉芽腫症、シェーグレン症候群、ベル麻痺(自己免疫病因のみ)、ギラン・バレー症候群、多発性硬化症、脈管炎、又は糸球体腎炎を含むがこれらに限定されない自己免疫疾患の病歴、以下の注意点を伴う:
安定した用量の甲状腺補充ホルモンを受ける、自己免疫甲状腺機能低下症の病歴を有する患者は、適格であり得る。
以下の条件を満たしていれば、皮膚症状のみ(例えば、乾癬性関節炎なし)を有する湿疹、乾癬、慢性単純性苔癬又は白斑を有する患者が適格であった可能性がある:体表面積の10%未満を覆うのに発疹が必要であった。疾患はベースラインで十分に制御されており、低力価の局所ステロイドのみを必要とする;過去12ヶ月以内に基礎疾患の急性増悪はない。
・サイクル1、1日目の前の2週間以内の全身性免疫抑制薬(それだけに限らないが、10mg/日を超えるプレドニゾン、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキサート、サリドマイド及び腫瘍壊死因子-α[TNF-α]アンタゴニストが挙げられる)による治療。急性低用量全身性免疫抑制薬(例えば、悪心のためのデキサメタゾンの1回投与)を受けた患者は試験に登録され得る。吸入コルチコステロイド(例えば、慢性閉塞性肺疾患のためのフルチカゾン)、経口ミネラルコルチコイド(例えば、起立性低血圧患者のためのフルドロコルチゾン)、及び副腎機能不全のためのコルチコステロイドの生理学的用量の使用を許可した。
・特発性肺線維症、肺臓炎(薬物誘導性を含む)、器質化肺炎(すなわち、閉塞性細気管支炎、原因不明の器質化肺炎等)の病歴、又は胸部CTスキャンのスクリーニングでの活動性肺臓炎の病歴。
放射線領域における照射肺臓炎の病歴(線維症)は許容された。
・HIV感染症の陽性検査
・活動性B型肝炎(スクリーニング時にB型肝炎表面抗原[HBsAg]検査陽性と定義);活動性C型肝炎;スクリーニング時の活動性EBV感染及び既知又は疑われる慢性活動性EBV感染;又は活動性結核。感染症、菌血症、又は重度の肺炎の合併症のための入院を含むがこれらに限定されない、サイクル1、1日目の前の4週間以内の重度の感染症
・以下を含む、重度の感染症の上記基準を満たさない最近の感染症:
・サイクル1、1日目の前の2週間以内の感染の症状又は症候
・サイクル1、1日目の前の2週間以内に経口又はIV抗生物質を受けた
・予防的抗生物質(例えば、尿路感染症又は慢性閉塞性肺疾患の予防のため)を受ける患者は適格であった;
・事前の同種異系骨髄移植又は事前の固形臓器移植
・サイクル1、1日目の4週間前以内の生弱毒化ワクチンの投与、又はそのような生弱毒化ワクチンが試験中に必要とされることの予想。
・インフルエンザワクチン接種は、インフルエンザシーズンのみ行った。患者は、サイクル1、1日目の前の4週間以内、又は試験中のいつでも、及び最後の試験治療後5ヶ月間、生弱毒化インフルエンザワクチン(例えば、FluMist(登録商標))を受けてはならない。
・キメラ抗体若しくはヒト化抗体又は融合タンパク質に対する重度のアレルギー反応、アナフィラキシー反応又は他の過敏症反応の病歴
・CHO細胞産物に対する既知の過敏症
・アテゾリズマブ製剤の成分に対するアレルギー又は過敏症
【0698】
G.分析
活性分析
以下に記載される分析は、RECIST v 1.1による客観的奏効の定義に基づく。
【0699】
客観的奏効率
ORRの分析には、任意の量の試験治療を受け、ベースラインで測定可能な疾患を有していた患者が含まれた。客観的奏効は、治験責任医師の評定によって決定され、最初の文書化の≧4週間後の反復評定によって確認されるCR又はPRとして定義された。ベースラインが欠けているか又は応答評定がない患者は、非応答者として分類された。
【0700】
奏効期間
客観的奏効を有する患者の中で、客観的奏効の期間は、最初の完全寛解又は部分寛解から疾患進行又は死亡(いずれか早く発生する方)までの時間として定義された。試験の終了前に死亡していないか、又は疾患進行を経験していないか、又はフォローアップ不能になっている患者については、客観的奏効期間が最後の腫瘍評定の日に打ち消されるものとした。
【0701】
無増悪生存期間
PFSの分析には、任意の量の試験治療を受けた患者が含まれた。PFSは、試験治療の最初の日から、文書化された疾患進行又は死亡まで(いずれか早く発生する方)の時間として定義された。試験の終了前にPD又は死亡が文書化されていない患者、又はフォローアップに失敗した患者については、PFSは最後の腫瘍評定の日に打ち切られた。ベースライン後の腫瘍評定がない患者については、試験治療の1日目にPFSを打ち切られた。
【0702】
安全性解析
安全性は、DLTの要約、有害事象、実験室試験結果の変化、バイタルサイン及びECGの変化、並びに任意の試験治療(チラゴルマブ又はアテゾリズマブ)への曝露を通して評価した。任意量の試験治療を受ける患者は全員、安全性分析に含められた。
【0703】
H.患者の特性
患者のベースライン特性及び動態を表6に示す。転移性食道がんを有する21人の患者を治療した(組織病理学的サブタイプ:扁平上皮(13人の患者)、腺癌(7人の患者)及び神経内分泌(1人の患者))。重度に前治療された集団が含まれ、15人の患者(71.4%)が2回以上の事前治療を受けていた。年齢の中央値は62歳であった。5名の患者(23.8%)はECOG PS 0を有し、16名の患者(76.2%)はECOG PS 1を有していた。
表6.ベースラインの特性及び患者の動態
aネオアジュバント療法及び/又はアジュバント療法を含む
ECOG;Eastern Cooperative Oncology Group;IC、免疫細胞;TC、腫瘍細胞
【0704】
I.有害事象
有害事象の安全性の概要を表7に示す。治験責任医師によって評価された治療関連有害事象(TRAE)は14名の患者(66.7%)で発生し、グレード3のTRAEは1名の患者で見られた。免疫介在性AE(imAE)は12人の患者(57.1%)で発生した。グレード4又は5のTRAE又はimAEは観察されなかった。
表7.有害事象の安全性要約
a1人の患者は、リンパ球数が減少した関連するグレード3のAEを有していた。
b1人の患者は、試験薬に関連しないグレード5の上気道閉塞の治療を中止した。
cグレード3の免疫介在性AEには、アミラーゼ増加(n=2)及びトランスアミナーゼ増加(n=1)が含まれた。
【0705】
最も一般的なAE及び全ての免疫媒介AEを表8に示す。報告された最も一般的なAE(患者の15%以上)は、悪性新生物進行(28.6%)、貧血(23.8%)、食欲不振、咳、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加及びアミラーゼ増加(全て19.0%)であった。免疫介在性AE(主に発疹及び検査異常)を含むTRAEは、主にグレード1~2であった。全体として、チラゴルマブ及びアテゾリズマブは、転移性食道がん患者において良好な耐容性を示し、許容可能な安全性プロファイルを有していた。
表8.最も一般的なAE及び全ての免疫媒介AE
a医学的概念によって報告されるimAE;
b全ての症例は検査異常のみであり、確定診断はされなかった(臨床症状なし)。
【0706】
J.有効性
有効性分析を行った。少なくとも1つの腫瘍評価を受けた評価可能な18人の患者のうち、5人の部分寛解(PR)(27.8%(5/18の患者)の確認された客観的奏効率(ORR))があった(
図1)。疾患制御率(DCR)は50%(患者9/18)であった。無増悪生存期間の中央値は3.5ヶ月(95%信頼区間(CI):1.2~5.6)であった(表9)。1人の患者は、2年を超えてなお研究に参加しており(治療継続中;
図1)、永続的応答を実証した(
図2)。腫瘍のサイズは、5%未満又は5%以上であったPD-L1 TC又はICを有する患者において減少し(奏効者の3/5がPD-L1 TC又はIC<5%を有した)(
図1)、PD-L1の状態にかかわらず抗腫瘍活性を示した。
表9.治療応答
CI、信頼区間;DOR、応答持続時間;NR未到達;PFS、無増悪生存期間。
【0707】
転移性食道腺癌を有する78歳の白色人種男性が2018年11月に試験に登録され、最初の腫瘍評価で部分寛解(PR)を示し、これは2年間維持された(
図3)。この患者のPD-L1状態は、VENTANA SP142アッセイによれば、PD-L1 TC<1%、PD-L1 IC6%であった。患者は、疾患の進行(PD)前のこの治療に対する最良の応答として安定疾患(SD)を有する第1選択の修飾5-フルオロウラシル、ロイコボリン及びオキサリプラチン(mFOLFOX6)(2018年3月~2018年6月)並びに最良の応答として疾患の進行(PD)を有する第2選択のパクリタキセル及びラムシルマブ(2018年6月~2018年9月)を含む複数の先行する治療ラインを受けていた。この事例は、重度に前治療された患者における臨床応答の持続性を実証する。
【0708】
要約すると、アテゾリズマブと組み合わせたチラゴルマブは、事前の免疫療法を受けていなかった重度に前治療された転移性食道がんを有する患者において有望な予備抗腫瘍活性を示した。PD-L1の状態又は組織学とは無関係に腫瘍を有する患者において持続性応答が生じた。
【0709】
実施例2:黒色腫患者における複数の治療の組み合わせの有効性及び安全性を評価する第Ib/II相非盲検多施設無作為化包括的試験
黒色腫は、潜在的に致命的な形態の皮膚がんであり、最も急速に成長している悪性腫瘍の1つである(Algazi et al.Cancer Manag Res.2:197-211,2010;Finn et al.BMC Med.10:23,2012)。世界中で30万人を超える人々が現在、毎年黒色腫と診断されており、57,000人がこの疾患で死亡している。黒色腫患者の臨床転帰は、発現時の病期に大きく依存する。より進行した黒色腫を呈するほとんどの人々は予後不良である(Finn et al.BMC Med.10:23,2012)。リンパ節浸潤(ステージIII)を有する患者は、術後の局所再発及び遠隔再発のリスクが高く、この患者群では5年生存率が32%~93%である(Gershenwald et al.CA Cancer J Clin.67:472-492,2017)。提示時に転移性疾患(ステージIV)を有する患者はほとんどいないが、一部の患者は最初の根治的治療後に転移を発症する。免疫療法及び標的療法はそれらの患者の転帰を改善しており、5年生存率は約50%である(Larkin et al.N Engl J Med.373:23-34,2015;Wolchok et al.N Engl J Med.377:1345-1356,2017;Larkin et al.N Engl J Med.381:1535-1546,2019;Robert et al.Lancet Oncol.20:1239-1251,2019;Long et al.J Clin Oncol.38(Suppl 15):10013,2020)。近年の治療の進歩にもかかわらず、黒色腫は、深刻な健康問題であり続けており、医学的必要性が高く、過去30年間にわたって発生率が着実に増加している(Bataille.Expert Rev Dermatol.4:533-539,2009)。
【0710】
BO43328は、切除可能なステージIII(コホート1)又はステージIV(コホート2)黒色腫の患者における第Ib/II相非盲検多施設無作為化包括的試験である。この研究は、新しい治療が利用可能になるにつれて新しい治療群を開き、最小限の臨床活性又は許容できない毒性を示す既存の治療群を閉じて、患者集団を変更し(例えば、事前の抗がん治療又はバイオマーカーの状態に関して)、又は他のタイプの黒色腫を有する患者の追加コホートを導入する柔軟性を伴って設計される。
【0711】
A.研究デザインの概要
この研究では、切除可能なステージIII黒色腫を有するがん免疫療法(CIT)ナイーブ患者(コホート1)及びステージIV黒色腫を有する患者(コホート2)における治療併用の有効性、安全性及び薬物動態が評価される。コホート1(表10参照)及びコホート2(表11参照)について、研究の具体的な目的及び対応する評価項目を以下に概説する。
表10.コホート1の目的及び対応する評価項目
ADA=抗薬剤抗体;ASTCT=米国移植細胞療法学会;CLND=完全リンパ節郭清;CR=完全寛解;CRS=サイトカイン放出症候群;EFS=無事象生存率;NCI CTCAE v5.0=国立がん研究所有害事象共通用語規準、バージョン5.0;ORR=客観的奏効率;OS=全生存期間;pCR=病理学的完全寛解;PK=薬物動態;pnCR=病理学的なほぼ完全寛解;pPR=病理学的部分寛解;PR=部分寛解;pRR=病理学的応答率;RECIST v1.1=固形腫瘍における応答評価基準、バージョン1.1;RFS=無再発生存。
表11.コホート2の目的及び対応する評価項目
ADA=抗薬剤抗体;ASTCT=米国移植細胞療法学会;CR=完全寛解;CRS=サイトカイン放出症候群;DOR=応答持続時間;iRECIST=免疫ベースの治療のための改変RECIST v1.1;NCI CTCAE v5.0=国立がん研究所有害事象共通用語規準、バージョン5.0;ORR=客観的奏効率;OS=全生存期間;PFS=無増悪生存期間;PK=薬物動態;PR=部分寛解;RECIST v1.1=固形腫瘍における応答評価基準、バージョン1.1。
注:1つの時点での全体応答が、RECIST v1.1を使用して治験責任医師によって評定される。
【0712】
この研究では、2つのコホートを並行して登録する。コホート1は、生検することができ、過去6ヶ月以内にin-transit転移の病歴がなく、疾患のために全身CIT、例えばPD-1/PD-L1及び/又はCTLA-4ブロッキング剤又は他の薬剤を受けたことがない、固形腫瘍の治療効果評価基準、バージョン1.1(RECIST v1.1)による測定可能なリンパ節転移を有する切除可能なステージIII黒色腫患者を登録する。
【0713】
コホート2は、転移性疾患のための少なくとも1つであるが2つ以下の治療ライン中又はその後に疾患進行を経験したステージIV黒色腫を有する患者を登録する。最大2種類のチェックポイント阻害療法(単剤療法又は併用療法)が許容される。BRAF変異型疾患を有する患者は、追加の種類の標的療法(チェックポイント阻害療法の前、断続的、又は後のいずれか)を受けていてもよく、又は1つの併用治療として標的療法とチェックポイント阻害療法を同時に受けていてもよい。
【0714】
治療の割り当て
コホート1では、患者を無作為に対照群(ニボルマブ+イピリムマブ(Nivo+Ipi))又はRO7247669(PD-1及びLAG3に結合する二重特異性抗体)、チラゴルマブと組み合わせたアテゾリズマブ(Atezo+Tira)、又はチラゴルマブと組み合わせたRO7247669(RO7247669+Tira)からなる実験群に割り当てる。患者を地理的地域(オーストラリア対世界のその他)及びベースラインLDH(≦正常値の上限(ULN)対>ULN)によって層別化する。治療レジメンに関する詳細を表12及び
図4に提供する。
【0715】
コホート2では、患者を、チラゴルマブ(RO7247669+Tira)と組み合わせたRO7247669からなる実験群に登録する。登録は、6人の患者の安全性ランイン期から開始する。
【0716】
コホート2の安全性ランイン期に登録されている約6人の患者を含む、約61~191人の患者が試験中に登録される。実験群内への登録は、予備期とそれに続く拡大期の2期で行われる。約15~20人の患者が予備期中に各治療群に登録される。予備期中に実験群で臨床活性(コホート1の病理学的応答)が観察される場合、拡大期中に約20人の追加の患者がその群に登録され得る。
【0717】
試験依頼者は、所与の治処置群内への登録を遅延又は一時停止することを決定し得る。不十分な臨床活性又は許容できない毒性を有する実験群は拡大されない。さらなるサブグループ分析を可能にするために、潜在的な予測バイオマーカーを含む人口統計学的及びベースライン特性に関して処置群間のバランスを確保するために、さらなる患者を登録することができる。
【0718】
ランダム化は、利用可能な実験群の数(例えば、予備期からの結果の分析を待って、群が追加されるか、又は群への登録が一時停止される場合)に依存し、対照群に割り当てられる可能性は35%以下であるという規定がある。ランダム化は、群特異的排除基準を考慮に入れる。患者は、その群について概説された除外基準のいずれかを満たす場合、特定の群に対して不適格である。
【0719】
治療レジメンに関する詳細を表12に提供する。
表12.治療レジメン
aスポンサーは、所与の治療群内への登録を遅延又は一時停止することを決定し得る。したがって、全ての実験群が同時に登録のために開放されていなくてもよい。
b安全性ランイン期の間、患者は利用可能な治療群に割り当てられる。治療割り当て比は、登録のために開いている実験アームの数に依存する。
cランダム化率は、ランダム化のために開いている実験群の数(例えば、予備期からの結果の分析を待って、群が追加されるか、又は群へのランダム化が一時停止される場合)に依存し、対照群に割り当てられる可能性は35%以下であるという規定がある。
d予備期中に実験群で臨床活性が観察される場合、拡大期中に約20人の追加の患者がその群に登録される。最小限の臨床活性又は許容できない毒性を有する実験群は、拡大を受けない。
e最低6人の患者の安全性評価を可能にするために、コホート1のRO7247669、Atezo+Tira、及びRO7247669+Tiraアームで登録を停止する。
fRO7247669+Tiraアームの登録は、コホート2での治療併用の安全性評価後にコホート1で開始する。
【0720】
コホート1では、対照群及び実験群の患者は、6週間の期間中にネオアジュバント療法を受ける。ネオアジュバント療法の完了後、又は毒性による中止の場合及び疾患進行がない場合、患者は第7週に手術(完全リンパ節郭清(CLND))を受ける。治験責任医師の裁量により、この研究以外では、患者はその後、13週目に開始するアジュバント療法又は観察を開始する(
図5)。
【0721】
CITを伴うT細胞応答(偽進行と呼ばれる)の状況における免疫細胞浸潤によって引き起こされる転移性リンパ節のサイズの初期増加の可能性のために、RECIST v1.1による臨床的又は放射線学的進行の疑いは、真の疾患進行を示さない場合がある。許容できない毒性がない場合、CIT薬物による治療を受けている間にRECIST v1.1による疾患進行の基準を満たす患者は、手術まで研究治療を継続することが許可される。試験治療の中止及び/又は手術の中止の前に、生検又は追加の専門家の検討者による反復放射線評価によって進行を確認する。全ての患者は、遠隔転移がなく、外科医が疾患を完全に切除可能であると考えるならば、手術を進めることが期待される。
【0722】
コホート2では、患者は、放射線及び生化学データ、局所生検結果(利用可能な場合)、及び臨床状態(例えば、疾患に続発する疼痛などの症候性の悪化)の統合評価後に治験責任医師によって決定された許容できない毒性又は臨床的利益の喪失まで治療を受け続ける。アテゾリズマブ及び他のCITによるT細胞応答(偽進行と呼ばれる)の状況における免疫細胞浸潤によって引き起こされる腫瘍負荷の初期増加の可能性のために、RECIST v1.1による放射線学的進行は、真の疾患進行を示さない可能性がある。許容できない毒性がない場合、CITの併用による治療を受けている間にRECIST v1.1による疾患進行の基準を満たす患者は、以下の基準の全てを満たす場合、治療を継続することが許可される。
・全ての利用可能なデータの再検討後に治験責任医師によって決定される臨床的利益の証拠。
・疾患の明確な進行を示す症状及び徴候(検査値、例えば、新たな又は悪化する高カルシウム血症を含む)がないこと
・疾患進行に起因し得るEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)のパフォーマンスステータスの低下がないこと。
・プロトコールで許可された医療介入では管理できない重要な解剖学的部位(例えば、軟膜疾患)での腫瘍進行がないこと。
【0723】
進行を超える治療に適格な患者は、研究治療を受け続ける間に臨床的利益を付与することが知られている他の治療選択肢に先行し得ることが治験責任医師によって知らされる。患者は、何らかの理由でいつでも試験から自発的に離脱する権利を有する。更に、治験責任医師は、治験責任医師又はスポンサーが試験を継続すると患者の安全性を危険にさらす可能性があると判断した医学的状態について、患者を試験から引き抜く権利を有する。
【0724】
その後の腫瘍評価で偽進行が除外され、疾患の進行が確認された場合、患者は試験治療を中止する。
【0725】
安全性評価段階(コホート1)
ネオアジュバント環境における実験的治療の毒性を評価するために、安全性評価を可能にするために約6人の患者が登録された後、登録を停止する。安全性評価は、少なくとも1用量の治療(すなわち、所与の組み合わせに対して各薬剤の1回の用量)を受け、手術までの安全性フォローアップ評価を完了した最低6人の患者からの安全性データに基づく。特に、手術(CLND)の適時の実施は、治療の忍容性の指標である。6人の患者の安全性評価の間、又は安全性評価後の任意の時点で、30%以上の患者が、試験治療に少なくとも関連している可能性があると考えられる以下の事象の1つ以上を経験した場合、その組み合わせへの登録は保留され、一方、スポンサーはその治療のベネフィット-リスクプロフィールを評価する。
・2週間以内に(治療の有無にかかわらず)グレード2以上に改善しない治療関連グレード3以上の有害事象。
・手術の2週間超の遅延を引き起こす治療関連有害事象。
・治療関連の重篤な有害事象。
・試験薬の永続的な中止を必要とする治療関連有害事象。
・疾患の進行又は事故などの無関係な原因に関係するものを除いた、死亡。
新しい安全シグナルが検出されない場合、そのアームへの登録が再開される。
【0726】
安全性ランイン期(コホート2)
最初に臨床的に試験された新規な組み合わせの安全性及び忍容性を評価するために、最初の安全性ランイン期がコホート2で実施される。転移性疾患を有する約6人の患者を新規の組み合わせ(すなわち、RO7247669+Tira)で治療し、最小28日間安全性及び忍容性について評価する。
【0727】
コホート2の最低6人の患者は、最初の安全性ランイン期を完了しなければならない。RO7247669+Tiraの組み合わせが許容可能であると判定された場合、予備期の登録を開始することができ、コホート1のRO7247669+Tiraアームを登録のために開始することができる。安全性ランイン期の患者を登録し、連続的に治療し、最初の患者と残りの患者との間に少なくとも1週間を置く。
【0728】
評価は、少なくとも一用量の治療(すなわち、各薬剤の1回の用量)を受け、少なくとも28日間安全性追跡評価を完了した最低6人の患者からの安全性データに基づく。30%以上の患者が、試験治療に少なくとも関連している可能性があると考えられる以下の事象の1つ以上を経験した場合、その組み合わせへの登録は保留され、一方、スポンサーはその治療のベネフィット-リスクプロフィールを評価する。
・2週間以内に(治療の有無にかかわらず)グレード2以上に改善しない治療関連グレード3以上の有害事象。
・治療関連の重篤な有害事象。
・試験薬の永続的な中止を必要とする治療関連有害事象。
・疾患の進行又は事故などの無関係な原因に関係するものを除いた、死亡。
新しい安全シグナルが検出されない場合、組み合わせはコホート1でも開始される。
【0729】
B.試験の終了及び試験の期間
この試験の最後は、最後の患者が最後の来院を完了した日(電話又はクリニックで行われる生存フォローアップ来院を含む)として定義される。最初の患者のスクリーニングから試験終了までの、試験の全期間は、およそ5年と予想される。
【0730】
C.試験計画の理論的根拠
患者集団の論拠
コホート1は、生検することができる測定可能なリンパ節転移(RECIST v1.1に従って)を有し、過去6ヶ月以内にin-transit転移の病歴がない切除可能なステージIII黒色腫患者を登録する。参加した患者は、その疾患のために事前の免疫療法を受けていてはならない。
【0731】
この同じ患者集団は、PRADO延長コホートを含むOpACIN及びOpACIN-neo研究に登録されている。これらの研究では、切除可能な黒色腫患者におけるニボルマブとイピリムマブとのネオアジュバント(及びアジュバント)の組み合わせを評価した。ネオアジュバント療法は、アジュバント療法と比較して、統計的に有意で臨床的に意味のある利益を有することが分かった(Rozeman et al.Lancet Oncol.20:948-960,2019;Blank et al.J Clin Oncol.38:15S,2020;Rozeman et al.Nat Med.27:256-263,2021)。更に、治療の安全性プロファイルは、最適化された治療スケジュールで許容可能であることが分かった。
【0732】
チェックポイント阻害療法の利益が最近実証されたにもかかわらず、切除可能な黒色腫を有する患者にとってより有効であり(すなわち、手術標本におけるより広範でより深い病理学的応答)、より良好に忍容される治療レジメンが依然として必要とされている。この研究における複数の治療選択肢は、様々な機序によって免疫系を刺激すると予想される。目的は、現在のチェックポイント阻害の利益を超えて、切除可能な黒色腫を有するより大きな集団にCITの利益を拡大することである。
【0733】
コホート2は、転移性疾患のための少なくとも1つであるが2つ以下の治療ライン中又はその後に疾患進行を経験したステージIV黒色腫を有する患者を登録する。最大2種類のチェックポイント阻害療法(単剤療法又は併用療法)が許容される。BRAF変異型疾患を有する患者は、追加の種類の標的療法(チェックポイント阻害療法の前、断続的、又は後のいずれか)を受けていてもよく、又は1つの併用治療として標的療法とチェックポイント阻害療法を同時に受けていてもよい。
【0734】
まだ臨床的に試験されていない抗黒色腫活性についての臨床的及び/又は生物学的根拠を有する化合物の新規な組み合わせがコホート2において研究される。重要なことに、新規な組み合わせについて検討されている個々の化合物について、安全性及び忍容性は他の研究で既に確立されており、安全な用量及びスケジュールが利用可能である。コホート2の安全性ランイン期は、潜在的な重複毒性に関して新規組み合わせの安全性を評価する。
【0735】
D.選択基準
コホート1及びコホート2の共有選択基準
患者は、コホート1及びコホート2に適格であるためには、以下の基準の全てを満たさなければならない:
・署名時年齢18歳以上
・中央検査によるPD-L1及び/又は更なるバイオマーカーの状態の決定に適した代表的な腫瘍標本の入手可能性
-ベースライン腫瘍組織試料を、スクリーニング時の転移性リンパ節(コホート1)又は他の転移性病変(コホート2)の生検によって全ての患者(コホート2安全性ランイン期の患者を除く)から収集する。
-更に、保管原発腫瘍組織は、入手可能であれば全ての患者から提出される。一次組織の保管が利用できない場合(例えば、未知の原発腫瘍を有する患者の場合)、登録は許可される。組織の保管のために、好ましくは浸潤縁を含む、十分なサイズ及び腫瘍含有量を表すパラフィンブロック(好ましくは)中のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍標本、又は染色されていない新たに切断された連続切片を含む少なくとも16枚のスライドを、関連する病理学報告と共に提出しなければならない。10~15枚のスライドしか利用できない場合、患者は依然として研究に適格である。
・試験治療の開始前14日以内に得られた以下の臨床検査結果によって定義される十分な血液学的機能及び終末器官機能:絶対好中球数(ANC)≧1.5×109/L(1500/μL);リンパ球数≧0.5×109細胞/L(500/μL)(境界の機械的リンパ球数は手動カウントによって確認することができる);血小板数≧100×109/L(100,000/μL);ヘモグロビン≧90g/L(9g/dL);AST、ALT、ALP≦2.5×ULN(肝転移が実証された参加者はAST及びALTが5×ULN以下であり得る;記録された肝臓又は骨転移を有する参加者は、ALP≦5×ULNであり得る);総ビリルビン≦1.5×ULN(既知のギルバート病患者は、ビリルビン値≦3×ULNを有し得る);クレアチニン≦1.5×ULN又はクレアチニンクリアランス≧30mL/分(Cockcroft-Gault式を使用して計算);血清アルブミン≧25g/L(2.5g/dL)。治療的抗凝固療法を受けていない患者は、INR及びaPTT≦1.5×ULNを有し得る。
・治療的抗凝固療法を受けている患者について:安定抗凝固療法レジメン(すなわち、試験治療開始前3ヶ月以内に新たな血栓症、血栓塞栓性事象、又は出血エピソードがない)。
・スクリーニング時の陰性HIV検査。事前の陽性HIV検査結果がない患者は、地域の規制によって許可されない限り、スクリーニング時にHIV検査を受ける。
・スクリーニング時のB型肝炎表面抗体(HBsAb)陰性、及び全B型肝炎コア抗体(HBcAb)陰性。患者がスクリーニングでB型肝炎表面抗原(HBsAg)試験陰性及び総HBcAb試験陽性を有する場合、活性HBVを排除するためにB型肝炎ウイルス(HBV)DNA試験も実施しなければならない。
・スクリーニング時にC型肝炎ウイルス(HCV)抗体検査陰性、又はスクリーニング時にHCV抗体検査陽性後、HCV RNA検査陰性。HCV RNA検査は、HCV抗体検査陽性の患者に対してのみ行う。
・妊娠可能な女性の場合:禁欲したままである(異性間の性交を控える)か、又は避妊手段を使用することの同意:
・男性の場合:各特定の治療群について概説されるように、禁欲(異性間の性交を控える)又は避妊手段を使用すること、及び精子の提供を控えることに同意する。
【0736】
コホート1の選択基準
患者は、コホート1に適格であるためには以下の基準の全てを満たさなければならない:
・0又は1のECOGパフォーマンスステータス(PS)。
・組織学的に確認された切除可能なステージIII黒色腫(T:T0、Tx又はT1-4;N:cN1-3、pN1b/2b/3b;M:AJCC-8(Gershenwaldら、CA Cancer J Clin.67:472-492,2017)によるM0)であって、過去6ヶ月以内にin-transit転移の病歴がない。
-患者は、同時の限局リンパ節転移を伴う原発性黒色腫、又は臨床的に検出された所属リンパ節再発を伴う原発性黒色腫若しくは未知の原発性黒色腫の病歴を呈することがあり、以下の群のいずれかに属し得る:同時の臨床的/放射線学的に明らかな所属リンパ節転移を伴う原発性皮膚黒色腫;近位限局リンパ節(1又は複数)領域における臨床的/放射線学的に検出された再発性黒色腫;又は未知の原発性から生じる臨床的/放射線学的に検出された結節性黒色腫(単一部位の場合)。
・CLNDの適合及び計画(局所ガイドラインに従って無作為化の前に外科医によって評価される)。
・RECIST v1.1による測定可能な疾患(少なくとも1つの標的病変)生検すべき少なくとも1つの肉眼的リンパ節転移(RECIST v1.1に従って測定可能)。
【0737】
コホート2の選択基準
患者は、コホート2に適格であるためには以下の基準の全てを満たさなければならない:
・0、1、又は2のECOG PS。
・治験責任医師が決定した平均余命≧3ヶ月
・AJCC-8による組織学的に確認されたステージIV(転移性)黒色腫(Gershenwald et al.CA Cancer J Clin.67:472-492,2017)。
・転移性疾患のための少なくとも1つであるが2つ以下の治療ラインの間又はその後の疾患進行。最大2種類のチェックポイント阻害療法(単剤療法又は併用療法)が許容される。BRAF変異型疾患を有する患者は、追加の種類の標的療法(チェックポイント阻害療法の前、断続的、又は後のいずれか)を受けていてもよく、又は1つの併用治療として標的療法とチェックポイント阻害療法を同時に受けていてもよい。
・限局性黒色腫に対するアジュバント療法の完了中又は完了後6ヶ月以内に再発又は全身的に進行する患者が適格であり得る。
・RECIST v1.1による測定可能な疾患(少なくとも1つの標的病変)
少なくとも1つの転移(RECIST v1.1に従って測定可能)。
【0738】
E.除外基準
患者は、以下の治療群によって指定されるように、後のセクションで概説される適用可能な基準のいずれかを満たす場合、特定のアームへの登録から除外される。
【0739】
コホート1及びコホート2の除外基準
以下の基準のいずれかを満たす患者は、試験登録から除外される:
・粘膜及びブドウ膜黒色腫。
-末端部黒子黒色腫は、コホート1から除外される。
-コホート2の場合、末端部黒子黒色腫が許容されるが、患者の割合は、反応評価可能な患者の20%を超えるべきではない。
・試験治療の開始前28日以内の治験療法による治療。
・試験治療の開始前の4週間以内又は5つの薬物除去半減期(いずれか長い方)以内の全身免疫刺激剤(限定されないが、IFN及びIL-2を含む)による治療。
・事前の同種異系幹細胞又は固形臓器移植
・以下の例外を除いて、全身性免疫抑制薬(限定されないが、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキサート、サリドマイド及び抗腫瘍壊死因子-α剤を含む)による治療を必要とする既知の免疫不全又は状態、又は試験治療中の全身性免疫抑制薬の必要性の予測:下垂体機能不全又は副腎機能不全を管理するためのコルチコステロイドの補充用量を受けている患者は、試験に適格である。急性低用量の全身性免疫抑制薬、又は1回パルス用量の全身性免疫抑制薬(例えば、造影剤アレルギーのための48時間のコルチコステロイド)を受けた患者は、医療用モニターとの議論後に試験に適格である;ミネラルコルチコイド(例えば、フルドロコルチゾン)、慢性閉塞性肺疾患若しくは喘息のためのコルチコステロイド、又は起立性低血圧若しくは副腎機能不全のための低用量コルチコステロイドを投与された患者が試験に適格である。
・試験治療の開始前4週間以内の生弱毒化ワクチンによる治療、又は、試験治療中若しくは試験治療の最終投与後5ヶ月以内にそのようなワクチンの必要性の予期
・重症筋無力症、筋炎、自己免疫性肝炎、全身性紅斑性狼瘡、関節リウマチ、炎症性腸疾患、抗リン脂質抗体症候群、ヴェーゲナー肉芽腫症、シェーグレン症候群、ギラン・バレー症候群、又は多発性硬化症を含むがこれらに限定されない自己免疫疾患又は免疫不全が活動性であるもの、又はその病歴、ただし、以下を除く:
甲状腺補充ホルモンを服用している自己免疫関連甲状腺機能低下症の病歴を有する患者が試験に適格である。
安定なインスリンレジメンを受けている制御された1型糖尿病患者は試験に適格である。
-湿疹、乾癬、慢性単純性苔癬、又は皮膚症状のみを伴う白斑(例えば、乾癬性関節炎を有する患者は除外される)を有する患者は、以下の条件の全てが満たされるならば試験に適格である:発疹は体表面積の10%未満を覆わなければならない;疾患はベースラインで十分に制御されており、低力価の局所コルチコステロイドのみを必要とする;過去12ヶ月以内にソラレン+紫外線A照射、メトトレキサート、レチノイド、生物学的薬剤、経口カルシニューリン阻害剤、又は高効力若しくは経口コルチコステロイドを必要とする基礎疾患の急性増悪の発生はない。
・特発性肺線維症、器質化肺炎(例えば、閉塞性細気管支炎)、薬物誘導性間質性肺炎、若しくは特発性間質性肺炎の病歴、又はスクリーニング胸部コンピュータ断層撮影(CT)スキャンでの活動性間質性肺炎の証拠。CIT関連肺臓炎グレード<2の病歴を有する患者は、医療用モニターとの議論後に適格であり得る。
・適切に治療された子宮頸部上皮内がん腫、非黒色腫皮膚がん腫、限局性前立腺癌、上皮内乳管がん腫、又はステージI子宮がん等、転移又は死亡のリスクが無視できる(例えば、5年OS率>90%)悪性腫瘍を除いて、スクリーニング前2年以内の悪性黒色腫以外の悪性腫瘍の病歴。
・活動性結核(TB)
・試験治療の開始前4週間以内の重度の感染症(感染症、菌血症、又は重度の肺炎の合併症のための入院が含まれるが、これらに限定されない)、又は治験責任医師の見解では患者の安全性に影響を及ぼし得る任意の活動性感染症。
・研究治療の開始前2週間以内の治療的又は予防的な経口又はIV抗生物質による治療。
・試験治療の開始前3ヶ月以内のニューヨーク心臓協会心疾患(クラスII以上)、心筋梗塞又は脳血管障害、不安定性不整脈、又は不安定狭心症などの有意な心血管疾患。
・制御されない高血圧症(2回以上の連続測定において、安静時収縮期血圧>150mmHg及び/又は拡張期血圧>100mmHgと定義される)。
・試験治療の開始前4週間以内の診断以外の主要な外科手技、又は試験中のCLND以外の主要な外科手技の必要性の予想。
-中心静脈アクセスカテーテル(例えば、ポート等)の配置は、大きな外科手技とは考えられておらず、したがって許容される。
・治験薬の使用を禁忌にする任意の他の疾患、代謝機能不全、身体検査所見、又は臨床検査所見は、結果の解釈に影響を及ぼし得るか、患者が試験に関与する能力を損ない得るか、又は患者を治療合併症のリスクを高くし得る。
・キメラ若しくはヒト化抗体又は融合タンパク質に対する重度のアレルギー反応の病歴。
・チャイニーズハムスター卵巣細胞生成物又は組換えヒト抗体に対する既知の過敏症。
・試験薬又はその添加物のいずれかに対する既知のアレルギー又は過敏症。
・前投薬に必要な任意の薬物に対する既知の不耐性(アセトアミノフェン、ラニチジン、ジフェンヒドラミン、メチルプレドニゾロン)。
・妊娠若しくは授乳、又は試験中に妊娠する意図。
-妊娠可能な女性は、試験治療の開始前14日以内に血清妊娠検査結果が陰性でなければならない。
・対照アームのみに適格。
【0740】
コホート1の除外基準
以下の基準のいずれかを満たす患者は、コホート1から除外される:
・遠隔転移した黒色腫
・過去6ヶ月以内のin-transit転移の病歴
・事前の放射線治療
・抗CTLA-4、抗PD-1及び抗PD-L1治療抗体を含む事前の免疫療法、並びに黒色腫のための他の全身療法
【0741】
コホート2の除外基準
以下の基準のいずれかを満たす患者は、コホート2から除外される:
・症候性、未治療又は進行する中枢神経系転移
-治療された中枢神経系病変を有する無症候性患者は、以下の基準の全てが満たされるならば適格である:RECIST v1.1による測定可能な疾患は、中枢神経系外に存在しなければならない;患者に頭蓋内出血又は脊髄出血の病歴がない;中枢神経系転移は、試験開始前に4週間以上安定しているか、又は神経外科的切除が試験治療開始の28日以上前に発生した;患者は、研究治療の開始前の少なくとも14日間、中枢神経系疾患の治療としてのコルチコステロイドを必要としない;安定な用量での抗痙攣療法が許容される。
・癌性髄膜炎/軟髄膜疾患の活動性又は病歴。
・制御されない腫瘍関連疼痛。鎮痛剤を必要とする患者は、スクリーニング時に安定したレジメンでなければならない。緩和的放射線療法に適した症候性病変(例えば、神経インピンジメントを引き起こす骨転移又は転移)は、登録前に処置しなければならない。患者は放射線の影響から回復している必要がある。必要な最小回復期間は定められていない。更なる成長(例えば、脊髄圧迫に現在関連していない硬膜外転移)を伴う機能障害又は難治性疼痛を引き起こす可能性が高い無症候性転移性病変は、登録前に適切な場合、局所領域治療について検討されるべきである。
・制御されない胸水、心内膜液滲出、又は反復性の排液治療を必要とする腹水(毎月1回又はより頻繁に)留置カテーテル(例えば、PLEURX(登録商標))を有する患者は許容される。
・制御不能又は症候性の高カルシウム血症(イオン化カルシウム>1.5mmol/L、カルシウム>12mg/dL、又は補正カルシウム>ULN)。
・以前の免疫療法剤の永続的な中止をもたらした以前のCIT(置換療法で管理された内分泌障害又は血清アミラーゼ若しくはリパーゼの無症候性上昇を除く)に起因する免疫媒介性グレード4有害事象の病歴。
・ベースラインまで完全には消散していない事前の免疫調節療法(置換療法又は安定白斑で管理された内分泌障害以外)に関連する全ての免疫媒介有害事象。免疫介在性有害事象のためにコルチコステロイドで治療された患者は、副腎機能不全のためのコルチコステロイド補充療法を除いて(患者が10mg以下のプレドニゾン/日又はそれに相当するものを受けるという条件で)、コルチコステロイドの中止後4週間以上関連する症状又は徴候を有してはならない。
・事前の任意の放射線治療、化学療法、標的療法、CPI療法又は外科手技に関連する有害事象は、脱毛症(任意の悪性度)、悪性度2の末梢神経障害、並びにホルモン補充療法(例えば、チロキシン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、その他)の安定投与量での甲状腺機能低下症及び/又は下垂体機能低下症を除いて、悪性度1つ以上に消散していなければならない。
【0742】
RO7247669含有アームの除外基準(コホート1及びコホート2)
以下の基準のいずれかを満たす患者は、RO7247669含有アームから除外される。
・抗LAG-3剤による前処理。
・心筋炎の病歴(病因にかかわらず)。
・試験治療の開始前6ヶ月以内に経胸壁心エコー図(TTE)又は多ゲート収集(MUGA)スキャン(TTE好ましい試験)のいずれかによって評価した左心室駆出率(LVEF)<50%。
・トロポニンT(TnT)又はトロポニンI(TnI)>施設ULN。1×ULN超~2×ULN未満のTnT又はTnIレベルを有する患者は、24時間以内の反復レベルが1×ULN以下である場合に適格である。24時間以内の反復レベルが1×ULN超から2×ULN未満の間である場合、患者は心臓評価を受ける必要があり、臨床的に有意な所見がない場合、治療を考慮することができる。
【0743】
チラゴルマブ含有アームの除外基準(コホート1及びコホート2)
以下の基準のいずれかを満たす患者は、チラゴルマブ含有アームから除外される。
・抗TIGIT剤による前治療。
・スクリーニング時の活動性エプスタイン・バーウイルス(EBV)感染及び既知又は疑われる慢性活動性EBV感染。スクリーニング時にEBVウイルスカプシド抗原(VCA)IgM検査が陽性であった患者は、チラゴルマブ含有群から除外される。EBV PCR検査は、活動性感染又は疑われる慢性活動性感染をスクリーニングするために臨床的に示されるように実施されるべきである。EBV PCR検査が陽性である患者は、チラゴルマブ含有群から除外される。
【0744】
F.試験治療
この研究のための治験薬は、アテゾリズマブ、チラゴルマブ、RO7247669、ニボルマブ、及びイピリムマブである。
【0745】
対照群(ニボルマブ+イピリムマブ)
ニボルマブ+イピリムマブ(Nivo+Ipi)対照群の患者は、手術まで、又は許容できない毒性若しくは臨床的利益の損失が生じるまで、表13に概説されるように2サイクル(6週間)治療を受ける。ランダム化後7日以内に治療を開始することが推奨される。
表13.ニボルマブ+イピリムマブ群の治療レジメン
ニボルマブは、各21日間サイクル(Q3W)の1日目に3mg/kgの用量でIV点滴によって投与される。イピリムマブは、各21日間サイクル(Q3W)の1日目に1mg/kgの用量でIV点滴によって投与される。
【0746】
RO7247669アーム
RO7247669群の患者は、手術まで、又は許容できない毒性若しくは臨床的利益の損失が生じるまで、表14に概説されるように2サイクル(6週間)治療を受ける。ランダム化後7日以内に治療を開始することが推奨される。
表14.RO7247669アームの治療レジメン
【0747】
RO7247669は、2100mg Q3Wの固定用量(各21日間サイクルの1日目に2100mg)で投与される。RO7247669の投与は、訓練された人員並びに潜在的に重篤な反応を管理するための適切な機器及び薬剤に直ちにアクセスできる監視された設定で行われる。RO7247669点滴は、表15に概説される説明書に従って投与される。
表15.初回及び2回目のRO7247669点滴の投与
IRR=点滴関連反応
【0748】
グレード2の点滴関連反応(IRR)を経験する患者では、その後の点滴の前に、パラセタモール500~1000mgの経口(PO)又はIV及びジフェンヒドラミン25~50mgのPO又はIV(又は適切な用量の代替ヒスタミンH1/2アンタゴニスト)による前投薬が必要である。試験治療に関連するグレード3又は4のIRRの場合、患者は試験治療を恒久的に中止すべきである。
【0749】
RO7247669の用量変更は許容されない。
【0750】
アテゾリズマブ+チラゴルマブ
アテゾリズマブ+チラゴルマブ(Atezo+Tira)群の患者は、手術まで、又は許容できない毒性若しくは臨床的利益の喪失のどれかが最初に起こるまで、表16に概説されるように2サイクル(6週間)治療を受ける。ランダム化後7日以内に治療を開始することが推奨される。
表16.アテゾリズマブ+チラゴルマブ群の治療レジメン
【0751】
アテゾリズマブは、3週間ごとに1200mg(Q3W)の固定用量で投与される(各21日間サイクルの1日目に1200mg)。アテゾリズマブの投与は、訓練された人員並びに潜在的に重篤な反応を管理するための適切な機器及び薬剤に直ちにアクセスできるモニターされた設定で行われる。アテゾリズマブ点滴は、表17に概説される指示に従って投与される。
【0752】
アテゾリズマブの用量変更は許可されない。
表17.初回及び2回目のアテゾリズマブ点滴の投与
IRR=点滴関連反応
【0753】
チラゴルマブは、600mg IV Q3Wの固定用量(21日間の各サイクルの1日目に600mg)で投与される。チラゴルマブの投与は、訓練された人員並びに潜在的に重篤な反応を管理するための適切な機器及び薬剤に直ちにアクセスできる監視された設定で行われる。チラゴルマブ点滴は、表18に概説される指示に従って投与される。
表18.初回及びその後のチラゴルマブ注入の投与
IRR=点滴関連反応
【0754】
試験治療に関連すると考えられる毒性を経験している患者では、アテゾリズマブ及びチラゴルマブ治療を一時的に中断することができる。毒性の治療のためにコルチコステロイドを開始する場合、試験治療を再開することができる前に、必要に応じて、1ヶ月以上かけて10mg/日以下の経口プレドニゾンに相当するまで漸減しなければならない。ネオアジュバント状況では、試験治療は6週間の術前ウィンドウに限定される。この期間中の治療は、患者が毒性を経験しない限り、中断されるべきではない。毒性がアテゾリズマブ及び/又はチラゴルマブの中断/保留の基準を満たす場合、アテゾリズマブ及び/又はチラゴルマブは中断/保留されるべきである。毒性分解能後、その後の治療サイクルは、利益/リスクプロファイルが許容可能であり、計画日から2週間以内に手術を行うことができる場合にのみ考慮されるべきである。そうでなければ、患者が更なる遅延なしに手術に直接進むことを可能にするために、後続の治療サイクルは省略されるべきである。
【0755】
作用機序の利用可能な特性評価に基づいて、チラゴルマブは、アテゾリズマブと類似しているが独立した有害事象を引き起こす可能性がある。チラゴルマブはまた、アテゾリズマブ関連有害事象の頻度又は重症度を悪化させ得るか、又はアテゾリズマブと重複しない毒性を有し得る。これらのシナリオは臨床現場では互いに区別できない可能性があるため、有害事象は一般に両方の薬剤に起因するはずであり、有害事象に応答した投薬中断又は治療中止は、チラゴルマブとアテゾリズマブの両方に適用しなければならない。アテゾリズマブが保留又は中止される場合、チラゴルマブも保留又は中止されるべきである。チラゴルマブを保留又は中止する場合、アテゾリズマブも保留又は中止すべきである。
【0756】
RO7247669+チラゴルマブ(コホート1及び2)
RO7247669+チラゴルマブ(RO7247669+Tira)群の患者は、表19に概説される治療を受ける。
【0757】
コホート1の患者は、手術まで、又は許容できない毒性若しくは臨床的利益の損失が生じるまでのいずれか早い方まで、2サイクル(6週間)治療を受ける。
【0758】
コホート2の患者は、放射線及び生化学データ、局所生検結果(利用可能な場合)、及び臨床状態(例えば、疾患に続発する疼痛などの症候性の悪化)の統合評価後に治験責任医師によって決定された許容できない毒性又は臨床的利益の喪失まで治療を受け続ける。
【0759】
無作為化(コホート1)又は登録(コホート2)後7日以内に治療を開始することが推奨される。
表19.RO7247669+チラゴルマブ群の治療レジメン
a安全性ランインが完了した後、スポンサーは、より低い用量(例えば、1200mg及び600mg)を探索することを決定し得る。
【0760】
RO7247669は、各21日間サイクルの1日目に2100mgの固定用量でIV点滴によって投与される。チラゴルマブは、表18に記載のように、各21日間サイクルの1日目に600mgの固定用量でIV点滴によって投与され、点滴後観察期間を有する。
【0761】
RO7247669の投与は、訓練された人員並びに潜在的に重篤な反応を管理するための適切な機器及び薬剤に直ちにアクセスできる監視された設定で行われる。RO7247669点滴は、表20に概説される説明書に従って投与される。
表20.初回、2回目、及びその後のRO7247669点滴の投与
IRR=点滴関連反応
【0762】
グレード≧2の点滴関連反応(IRR)を経験する患者では、その後の点滴の前に、パラセタモール500~1000mgの経口(PO)又はIV及びジフェンヒドラミン25~50mgのPO又はIV(又は適切な用量の代替ヒスタミンH1/2アンタゴニスト)による前投薬が必要である。試験治療に関連するグレード3又は4のIRRの場合、患者は試験治療を恒久的に中止すべきである。
【0763】
RO7247669の用量変更は許容されない。しかしながら、新たに出てきた安全性及び有効性のデータに基づいて、スポンサーはより低い用量(例えば、1200mg及び600mg)を探索し得る。RO7247669治療は、毒性以外の理由(例えば、外科手技)のために中断され得る。
【0764】
治験責任医師及び医療用モニターは、治療中断の許容可能な長さを決定する。
【0765】
試験治療に関連すると考えられる毒性を経験している患者では、RO7247669及びチラゴルマブによる治療を一時的に中止することができる。毒性の治療のためにコルチコステロイドを開始する場合、試験治療を再開することができる前に、必要に応じて、1ヶ月以上かけて10mg/日以下の経口プレドニゾンに相当するまで漸減しなければならない。
【0766】
コホート1の場合、ネオアジュバント状況では、試験治療は6週間の術前ウィンドウに限定される。この期間中の治療は、患者が毒性を経験しない限り、中断されるべきではない。毒性がRO7247669及びチラゴルマブの中断/保留の基準を満たす場合、RO7247669及びチラゴルマブは中断/保留されるべきである。毒性分解能後、その後の治療サイクルは、利益/リスクプロファイルが許容可能であり、計画日から2週間以内に手術を行うことができる場合にのみ考慮されるべきである。そうでなければ、患者が更なる遅延なしに手術に直接進むことを可能にするために、後続の治療サイクルは省略されるべきである。
【0767】
コホート2では、RO7247669及びチラゴルマブが毒性のために12週間以上保留される場合、患者はRO7247669及びチラゴルマブを中止すべきである。しかしながら、患者が治療を再開する前にコルチコステロイドを漸減させることを可能にするために、RO7247669及びチラゴルマブは12週間を超えて保留され得る。RO7247669及びチラゴルマブは、患者が臨床的利益を得る可能性が高いと医療用モニターが認める場合、12週間を超えて保留された後に再開され得る。RO7247669及びチラゴルマブ治療は、毒性以外の理由(例えば、外科手技)のために中断され得る。延長された期間の許容可能な長さは、治験責任医師及び医療用モニターによって合意されなければならない。
【0768】
作用機序の利用可能な特徴付けに基づいて、チラゴルマブは、RO7247669と類似しているが独立した有害事象を引き起こす可能性がある。チラゴルマブはまた、RO7247669関連有害事象の頻度又は重症度を悪化させ得るか、又はRO7247669と重複しない毒性を有し得る。これらのシナリオは臨床現場では互いに区別できない可能性があるため、有害事象は一般に両方の薬剤に起因するはずであり、有害事象に応答した投薬中断又は治療中止は、チラゴルマブとRO7247669の両方に適用しなければならない。RO7247669が保留又は中止される場合、チラゴルマブも保留又は中止されるべきである。チラゴルマブを保留又は中止する場合、RO7247669も保留又は中止すべきである。
【0769】
G.併用療法
併用療法は、試験治療の開始の7日前から治療中止の来院までのプロトコールに定められた研究治療に加えて、患者によって使用される任意の医薬(例えば、処方薬、市販薬、ワクチン、ハーブ療法又はホメオパシー療法、栄養補助食品)からなる。
【0770】
一般に、治験責任医師は、臨床上適応がある場合、現地の標準診療に従って、注意療法又は禁止療法として定義されるもの以外の支持療法で患者のケア(既存の症状を含む)を管理すべきである。注入に関連する症候を経験する患者は、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ジフェンヒドラミン、及び/又はH2受容体アンタゴニスト(例えば、ファモチジン、シメチジン)、又は現地の標準的慣行による同等の薬物で対症療法で治療することができる。呼吸困難、低血圧症、喘鳴、気管支痙攣、頻脈、酸素飽和度低下、又は呼吸促拍によって現れる重度の注入関連事象は、臨床的に示される支持療法(例えば、酸素補充及びβ2アドレナリン作用性アゴニスト)によって管理されなければならない。
【0771】
RO7247669、Atezo+Tira及びRO7247669+Tiraアームのための許可された治療
患者は、試験中に以下の治療法を使用することが許される。
・失敗率が年間1%未満の経口避妊薬
・ホルモン補充療法
・予防的又は治療的抗凝固療法(安定用量のワルファリン又は低分子量ヘパリン等)
・不活化ワクチン接種(例えば、インフルエンザ)。
・食欲刺激剤として投与される酢酸メゲストロール
・ミネラルコルチコイド(例えば、フルドロコルチゾン)
・慢性閉塞性肺疾患(COPD)又は喘息のために投与されるコルチコステロイド
・起立性低血圧又は副腎皮質不全のために投与される低用量コルチコステロイド
・局所療法(例えば、手術(完全リンパ節郭清(CLND)以外、黒色腫特異的ではない)。
【0772】
RO7247669アームについては、治験責任医師の裁量により、抗ヒスタミン薬、解熱薬、及び/又は鎮痛剤による前投薬を、2回目のRO7247669点滴のためにのみ投与することができる。
【0773】
アテゾリズマブ+チラゴルマブ群の場合、抗ヒスタミン薬、解熱薬、及び/又は鎮痛剤による前投薬は、治験責任医師の裁量で、2回目のアテゾリズマブ及びチラゴルマブ点滴のみのために投与され得る。
【0774】
コホート2のRO7247669+Tiraアームのための追加で許可された治療
患者は、試験中に以下の治療法を使用することが許される。
・緩和的放射線治療(例えば、既知の骨転移の治療又は疼痛の症候性軽減)を概説する:緩和的放射線治療は、腫瘍標的病変の評価を干渉しない限り、許容される(例えば、照射される病変は、測定可能な疾患の唯一の部位であってはならない)。チラゴルマブによる治療は、緩和放射線治療中に継続され得る。RO7247669による治療は、1つの例外を除いて、緩和的放射線治療中に継続され得る:緩和的放射線治療は、RO7247669が投与される日には許可されない。
・概説したように局所療法(例えば、外科手術、定位的放射線手術、放射線治療、高周波アブレーション):3つ以下の病変の制御のために局所療法を必要とする混合応答を経験している患者は、医療用モニターの承認が得られた後も試験治療を継続する資格があり得る。標的病変に向けた局所療法を受けている患者は、もはや放射線応答について評価可能ではなく、進行について評価可能なままである。
【0775】
抗ヒスタミン薬、解熱薬及び/又は鎮痛剤による前投薬は、治験責任医師の裁量により、2回目以降のRO7247669及びチラゴルマブ点滴のみのために投与され得る。
【0776】
H.評価
全ての患者は、試験を通して有害事象について綿密に監視される。有害事象は、米国国立がん研究所の有害事象共通用語規準Version 5.0(NCI CTCAE v5.0)に従ってグレードが付けられる。サイトカイン放出症候群(CRS)の重症度もまた、米国移植細胞療法学会(ASTCT)CRSコンセンサスグレーディングスケールに従ってグレーディングされる。
【0777】
コホート1の患者は、ネオアジュバント療法を2サイクル(6週間)受け、第7週に手術(CLND)を受ける。全ての患者は、遠隔転移がなく、外科医が疾患を完全に切除可能であると考えるならば、手術を進めることが期待される。病理学的応答を局所的に及び独立した病理学的レビューによって評価する。
【0778】
許容できない毒性のために治療を中止し、転移性疾患の証拠がないままである患者は、依然として手術に適格であり、有害事象が消散し、再病期分類によりステージIIIの疾患が確認された後にCLNDを進める。患者が疾患の進行を確認した場合、患者の管理及び治療の選択は、治療する医師の裁量による。これらの患者は、追跡調査のために研究に残っている。
【0779】
患者は、手術(CLND)前の第6週(サイクル1の1日目から)に放射線腫瘍評価を受ける。応答は、RECIST v1.1に従って治験責任医師によって評価及び決定されるが、後の画像検査による確認は必要とされない。
【0780】
コホート2の患者は、最初の54週間は9週間ごとに(サイクル1の1日目から)、その後は12週間ごとに腫瘍評価を受ける。応答は、RECIST v1.1を使用して治験責任医師によって評定される。免疫ベースの治療薬(iRECIST)に対する修正RECIST v1.1あたりの応答は、治験責任医師が評価した個々の病変データに基づいてスポンサーによりプログラムで決定される。
【0781】
コホート1及びコホート2について、臨床活性が実験アームで実証されている場合、スポンサーは、そのアームの腫瘍評価スキャンが独立したレビュー施設による評価に提出されることを要求し得る。
【0782】
腫瘍評価及び効果判定
全ての測定可能及び評価可能な病変は、スクリーニング時に評価及び記録されるべきである。インフォームドコンセントを得る前及びランダム化/登録前14日以内に標準治療として行われる腫瘍評価は、スクリーニング時に繰り返す必要はない。
【0783】
ベースラインで特定された全ての測定可能及び/又は評価可能な病変は、コホート1及び2のその後の腫瘍評価で再評価されるべきである。スクリーニングで疾患部位を評定するために使用されるのと同じX放射線手順を、その後の腫瘍評定(例えば、CTスキャンのための同じコントラストプロトコール)に使用すべきである。
【0784】
コホート1腫瘍及び応答評価
コホート1の患者は、治療に対する病理学的及び放射線学的応答について評価される。患者は、ベースライン時及び手術(CLND)での6週間の治療後に病理学的腫瘍評価を受ける。第7週のステージIIIリンパ節(CLND)の完全切除は、治療的リンパ節郭清のための適切な外科手技の基準に従って行われなければならない。CLNDは、患者が免疫媒介有害事象の管理のためにコルチコステロイド又は他の抗炎症性薬を投与されている場合、これらが安定又は漸減用量で投与されており、有害事象の重症度がグレード2以上であるならば、計画通りに実施されるべきである。研究治療関連有害事象が計画された手術時に十分に改善されなかった場合、CLNDは最大2週間遅延され得る。病理学的応答は、INMCガイドライン(Tetzlaff et al.Ann Oncol.29:1861-1868,2018)に従って局所的及び独立した病理学的レビューによって決定される。
【0785】
手術合併症は、Clavien-Dindo分類に従ってスコア化される。各グレードの合併症率を報告し、CLNDを受けた患者についてスコア化する。
【0786】
患者は、RECIST v1.1に従って、ベースライン時、手術前の6週間の治療後(CLND)、及び13週目の治療完了/中止時に放射線学的腫瘍評価を受ける。
【0787】
1つの時点での全奏効が、RECIST v 1.1を使用して治験責任医師によって評定される。
【0788】
疾患の経過観察及び疾患の進行又は再発の確認
ネオアジュバント療法中、疾患進行の診断は、臨床的、検査室的、放射線学的及び/又は組織学的所見によって確認されるべきである。手術後、アジュバント療法又は観察を開始する前に、13週目に腫瘍評価を実施して、ネオアジュバント療法-手術介入ウィンドウを終了する。
【0789】
その後、アジュバント療法/観察期(すなわち、13週目に開始する)中の試験外では、各アームについて概説したように、疾患再発及び生存を評価するために全ての患者を追跡しなければならない。
【0790】
治療期間を完了した患者は、手術の3ヶ月後に最初の生存フォローアップ訪問を受ける。試験薬を早期に中止する患者は、試験治療の最終用量の3ヶ月後に最初の生存フォローアップ訪問を受ける。局所、領域、又は遠隔にかかわらず、疾患再発の指定は、臨床、検査、放射線学的及び/又は組織学的所見が診断を確認した場合にのみ行うことができる。
【0791】
術後期間中、疾患状態は、施設のガイドライン(例えば、最初の2年間は3ヶ月ごと;3年目は6ヶ月毎;4年目以降は1年に1回)に従って臨床的に評価され、文書化されるべきである。更に、肝機能検査、骨スキャン、胸部X線/診断用CTスキャン、肝臓イメージング、及び/又は他の放射線モダリティが、転移性疾患を除外するために臨床的に示される場合に考慮され得る。
【0792】
進行又は再発の診断は、臨床的に可能な限り組織学的に確認されるべきである。疾患進行又は再発性疾患の診断の最も早い日付を使用し、記録すべきである。この日付は、客観的な臨床的、放射線学的、組織学的又は細胞学的証拠に基づくべきである。再発性疾患には、局所再発、局所再発又は遠隔再発が含まれる。
【0793】
疾患の再発、死亡、及びフォローアップ時の他の注目すべき事象を確認するための定義及び手順を以下に提供する。再発の文書化は、再発のパターンを確立するために関与する全ての部位の指定を必要とする。以下の治療失敗の基準は、疾患再発の唯一の許容可能な証拠を構成する。
・肺:単一の新しい病変又は転移性疾患と一致する複数の病変の出現の存在下での陽性細胞診又は生検
・肝:単一の新しい病変又は転移性疾患と一致する複数の病変の出現の存在下での陽性細胞診又は生検
・中枢神経系:陽性脳のCT又はMRIスキャン又はCSF細胞学
・皮膚、皮下及びリンパ節の再発:単一の新しい病変又は転移性疾患と一致する複数の病変の出現の存在下での陽性細胞診又は生検
・骨及び他の器官:単一の新しい病変の存在下での陽性細胞診又は生検、又は2つの異なる放射線学的試験で同定された転移性疾患と一致する複数の病変の出現(すなわち、陽性核骨スキャン又はPETスキャン及び腹部の造影GIシリーズ又は超音波、X線若しくはCTによる腹部疾患の検査)。
【0794】
コホート2腫瘍及び応答評価
コホート2の患者は、用量遅延にかかわらず、最初の54週間は9(±1)週間毎(サイクル1の1日目から)、その後は12(±2)週間毎に腫瘍評価を受ける。例外は、放射線学的疾患進行後に治療を継続する患者である。そのような患者は、治験責任医師によって決定された臨床的利益が失われるまで、9週間ごとに腫瘍評価を受ける。したがって、臨床的利益の喪失以外の理由で治療を中止する患者では、たとえ患者が新規の非プロトコール規定の抗がん療法を開始したとしても、腫瘍評価はスケジュールに従って継続する。治験責任医師の裁量により、進行性疾患が疑われる場合はいつでも腫瘍評定を繰り返すことができる。
【0795】
放射線治療又は手術で治療された脳転移は、測定可能又は評価可能であるとは考えられないが、スクリーニング時に転移性疾患の部位として記録される。放射線治療又は手術で治療されたことがあるベースラインで同定された脳転移は、脳内に疾患の進行が疑われない限り(すなわち、患者は症候性になる)、測定可能又は評価可能とはみなされない。したがって、臨床的に示されない限り、その後の頭部スキャンは必要ない。
【0796】
コホート2におけるiRECISTによる応答の評価を容易にするために、腫瘍評定を、進行を超えて治療を受けた患者について、RECIST v1.1による疾患進行後に継続しなければならない。これには、標的病変の継続的な測定、非標的病変の評価(明確な進行を示した任意の非標的病変のさらなる悪化の監視を含む)、及びその後の全ての評定での任意の新たに同定された病変(病変が測定可能である場合、測定値を含む)の評価が含まれる。
【0797】
1つの時点での全奏効が、RECIST v 1.1を使用して治験責任医師によって評定される。
【0798】
バイオマーカー評価
ベースライン腫瘍組織試料を、スクリーニング時の転移性リンパ節(コホート1)又は他の転移性病変(コホート2)の生検によって全ての患者(コホート2安全性ランイン期の患者を除く)から収集する。コホート1の患者の場合、治療中の組織試料は、サイクル2の1日目及び手術時(CLND)に生検によって収集される。コホート2に登録された患者については、治療中の組織試料をサイクル2の8日目に生検によって収集する。
【0799】
探索的バイオマーカー分析は、有効性及び安全性評価項目を考慮して、バイオマーカーと試験薬に対する応答との関連性を理解使用として行われる。探索的バイオマーカー研究には、腫瘍免疫生物学、PD-L1、リンパ球部分母集団、T細胞受容体レパートリー、又はT細胞活性化に関連するサイトカインに関連する遺伝子又は遺伝子シグネチャの分析が含まれ得るが、これらに限定されない。研究は、DNA又はRNAの抽出、体細胞変異の分析、及び次世代シーケンシング(NGS)(全エクソームシーケンシング(WES)を含む)の使用を含み得る。研究は、DNA、無細胞DNA又はRNAの抽出;変異、一塩基多型、及び他のゲノムバリアントの分析;並びに包括的な遺伝子パネルのNGSの使用によるゲノムプロファイリングを含み得る。血液から抽出されたDNAを組織から抽出されたDNAと比較して、生殖系列変異体を体細胞バリアントと区別することによって体細胞バリアントを同定することができる。
【0800】
NGS法は、組織及び血液試料の全ゲノムシーケンシング(WGS)又はWESを含み得る。参加施設では、血液試料をDNA抽出のために収集して、WGS又はWESが試験薬に対する応答を予測する、より重篤な病状への進行に関連する、試験薬に対する獲得耐性に関連する、有害事象の発生に対する感受性に関連する、有害事象の監視又は調査の改善をもたらすことができる、又は疾患生物学及び薬物安全性の知識及び理解を高めることができるバリアントを同定することを可能にする。血液から抽出されたDNAを組織から抽出されたDNAと比較して、生殖系列変異体を体細胞バリアントと区別することによって体細胞バリアントを同定することができる。
【0801】
I.分析
最終試験分析は、試験の中止を通して収集された患者データに基づく。特に明記しない限り、有効性分析は、割り当てられた治療レジメンに対して各薬物の少なくとも1回の用量を受けた全ての患者として定義される有効性評価可能な集団に基づき、安全性分析は、任意の量の試験処置を受けた全ての患者として定義される安全性評価可能な集団に基づく。
【0802】
登録は、治療群ごとに地域、国及び治験責任医師によって要約される。患者の動態を治療群によって要約する。選択基準及び除外基準に関する主要な逸脱を含む主要なプロトコールの逸脱は、治療群によって要約される。
【0803】
安全性評価可能な患者については、試験薬物投与データを治療群ごとに集計又は列挙し、任意の用量変更にフラグを立てる。平均及び標準偏差を使用して、各試験薬物の総用量及び用量強度を要約する。試験薬の中止理由を表にする。
【0804】
人口統計学的特性及びベースライン特徴(年齢、性別、人種/民族、体重、悪性腫瘍期間、転移性疾患部位(該当する場合)、及びベースラインECOG PSを含む)を全体的に及び治療群ごとに要約する。
【0805】
試料サイズの決定
この試験は、仮説検定のための明示的なパワー及びタイプI誤差を考慮するように設計されていない。代わりに、この試験は、黒色腫患者に投与した場合の治療又は治療の組み合わせに関する予備的な有効性、安全性、及びPKデータを得るように設計されている。コホート1は、疾患の事前全身療法を受けていない切除可能なステージIII黒色腫を有する患者からなる。コホート2は、転移性疾患のための少なくとも1つであるが2つ以下の治療ライン中又はその後に疾患進行を経験したステージIV黒色腫を有する患者からなる。
【0806】
コホート1では、約55~145人の患者が研究中に対照群及び実験群に無作為に割り当てられる。コホート2では、約6~46人の患者が実験群に割り当てられる。
【0807】
有効性分析
コホート1の主要有効性評価項目
コホート1の主要有効性評価項目は、手術時のpRRである。pRRを、CLNDの時点でのネオアジュバント療法の完了後(7週目)に評価する。pRRは、pCR(治療された腫瘍床に生存腫瘍が完全に存在しない)、病理学的ほぼ完全寛解(pnCR;治療された腫瘍床における生存腫瘍の10%未満)を達成する患者の割合として定義される。及び独立した病理学的レビューによって決定される病理学的部分寛解(pPR;治療された腫瘍床の50%未満が生存腫瘍細胞によって占められる)。pRRは、90%CIと共に各アームについて計算される。実験アームと対照アームとの間のpRRの差もまた、90%CIと共に計算される。信頼区間は、試料サイズに応じて、正確な方法又はWald法によって推定される。
【0808】
コホート1の副次的有効性評価項目
コホート1の副次的有効性評価項目は、局所病理学的評価によって決定される手術時のpRR、無事象生存率(EFS)、RFS、OS、及び手術前のORRである。pRRを表10に定義する。
【0809】
EFSは、ランダム化から、RECIST v1.1に従って治験責任医師によって評定される手術を妨げる疾患進行;局所、限局又は遠隔疾患再発;又は何らかの原因による死亡の事象のいずれか(いずれか早く発生する方)までの時間として定義される。そのような事象を経験していない患者は、最後の腫瘍後腫瘍評定時に打ち切られる。
【0810】
RFSは、手術から疾患の最初に記録された再発又は任意の原因による死亡までの時間として定義される。疾患の再発又は死亡が文書化されていない患者については、RFSは最後の腫瘍評定の日に打ち切られる。
【0811】
OSは、無作為化から死に至るまでの時間として定義される。OS分析時にまだ生存している患者は、生存していることが知られていた最後の日に打ち切る。
【0812】
Kaplan-Meier法を用いてRFS、EFS及びOSの中央値を推定し、Brookmeyer及びCrowley法を用いて90%CIを構築する。特定の時点でのRFS、EFS、及びOS率もKaplan-Meier法を使用して推定され、90%CIは分散についてのGreenwoodの推定値に基づいて計算される。
【0813】
RECIST v1.1によるORRは、ネオアジュバント療法の完了後(第7週)に評価され、RECIST v1.1に従って治験責任医師が決定したCR又はPRを有する患者の割合として定義される。応答評定が欠落しているか又は応答評価がない患者は、非応答者として分類される。ORRは、未確認の術前の放射線学的応答を使用して決定されることに留意されたい。RECIST v1.1は、初期応答の少なくとも4週間後に完了することを確認イメージング評価に要求するが、CLNDのタイミングのために、これらの応答はその後のイメージングで確認することができない。
【0814】
ORRは、Clopper-Pearson法を使用して90%CIと共に各アームについて計算される。実験群と対照群との間のORRの差も、90%CIと共に計算される。CIは、試料サイズに応じて、正確法又はWald法によって推定される。
【0815】
コホート1における探索有効性評価項目
コホート1の探索的有効性評価項目は、特定の時点(1,2,3,5年)におけるランドマークEFS、ランドマークRFS、及びランドマークOSである。
【0816】
ランドマークEFS率、ランドマークRFS率、及びランドマークOS率は、Kaplan-Meier法を使用して各試験群について推定され、90%CIはGreenwoodの式を使用して計算される。
【0817】
コホート2の主要有効性評価項目
コホート2の主要有効性評価項目は、表11に定義されるORRである。ORRは、RECIST v1.1に従って治験責任医師によって決定される。応答評定が欠落しているか又は応答評価がない患者は、非応答者として分類される。
【0818】
ORR(完全寛解又は部分寛解を有する患者の割合)が、90%CIと共に各アームについて計算される(Clopper-Pearson法)。CIは、試料サイズに応じて、正確法又はWald法によって推定される。
【0819】
コホート2の副次的有効性評価項目
コホート2の副次的有効性評価項目は、表11に定義されるように、PFS、OS、特定の時点でのOS(例えば、6ヶ月)、奏効期間(DOR)及び疾患制御である。PFS、DOR及び病勢制御は、RECIST v1.1に従って治験責任医師によって決定される。
【0820】
DORは、CR又はPRを有する有効性評価可能な患者について導出される。
【0821】
疾患の進行又は死亡が実証されていない患者については、PFS及びDORを最後の腫瘍評価の日に打ち切りする。
【0822】
OS分析時にまだ生存している患者は、生存していることが知られていた最後の日に打ち切る。
【0823】
Kaplan-Meier法を使用してPFS、OS、及びDORの中央値を推定し、90%CIをBrookmeyer及びCrowley法の使用によって構築する。特定の時点でのOS率もまた、Kaplan-Meier法を用いて推定され、90%CIは、分散についてのGreenwoodの推定値に基づいて計算される。
【0824】
疾患制御率(12週間以上SDを有する患者の割合)、PR、又はCRを各治療群について計算し、90%CIは、Clopper-Pearsonの正確な方法の使用によって推定される。
【0825】
コホート2における探索有効性評価項目
探索的有効性評価項目は、iRECISTに従って治験責任医師によって決定されたORR、PFS、DOR及び疾患制御である。
【0826】
ORR、PFS、DOR及び疾患制御を、上記のセクション「コホート2の主要有効性評価項目」及び「コホート2の副次的有効性評価項目」に記載されるのと同じ方法を使用して分析する。DORを、完全奏効又は部分奏効を有する有効性評価可能な患者について導出する。
【0827】
安全性解析
言語有害事象用語は、Medical Dictionary for Regulatory Activities thesaurus termsにマッピングされ、有害事象重症度は、NCI CTCAE v5.0に従って、また、ASTCT CRS Consensus Grading Scale for CRSに従ってグレーディングされる。
【0828】
安全性は、有害事象の要約、臨床検査結果の変化、バイタルサイン及びECGの変化、及び試験薬への曝露を通して評定される。併用治療への曝露及び安全性フォローアップの長さを治療群によって要約する。
【0829】
全ての逐語的有害事象用語は、Medical Dictionary for Regulatory Activities thesaurus termsにマッピングされる。有害事象重症度はNCI CTCAE v5.0に従ってグレーディングされ、CRSの重症度もASTCTコンセンサスグレーディングに従って治験責任医師によってグレーディングされる(Lee et al.Biol Blood Marrow Transplant.25:625-638,2019)。試験処置の初回用量(すなわち、処置下で発現した有害事象)のとき又はその後に起こる全ての有害事象、重篤な有害事象、死亡につながる有害事象、特別な関心のある有害事象、及び試験処置の中止につながる有害事象を、マッピングされた用語、適切な類義語レベル、及び重症度によって要約する。様々な重症度の事象について、最高グレードが要約に使用される。死亡及び死因を要約する。
【0830】
関連する検査室、バイタルサイン(脈拍数、呼吸数、血圧、パルスオキシメトリ、及び体温)、及びECGデータは、必要に応じて識別されたグレードと共に時間によって表示される。更に、選択された臨床検査結果のシフトテーブルを使用して、ベースライン及びベースライン後の最大重症度グレードを要約する。バイタルサイン及びECGの変化を要約する。
【0831】
更に、コホート1では、治療関連有害事象による発生率、最初の12週間の免疫関連有害事象の性質、グレード3以上、並びに遅延手術の割合及び期間を治療群によって要約する。研究治療関連有害事象が計画された手術時に十分に改善されなかった場合、CLNDは最大2週間遅延され得る。
【0832】
更に、外科的合併症は、Clavien-Dindo分類に従ってスコア化される。各グレードの合併症率を報告し、CLNDを受けた患者についてスコア化する。
【0833】
免疫原性分析
必要に応じて、アテゾリズマブ及び他の研究治療について免疫原性を評価することができる。免疫原性分析には、少なくとも1つの抗薬物抗体(ADA)評定を受けた全ての患者が含まれる。患者は、受けた処置に従って、又は試験中止前に処置を受けていない場合は割り当てられた処置に従ってグループ分けされる。
【0834】
アテゾリズマブについては、ベースライン(ベースライン有病率)及び薬物投与後(ベースライン発生後)のADA陽性患者及びADA陰性患者の数及び割合を処置グループ別に要約する。ベースライン後の発生率を決定するとき、患者は、ADA陰性であるか、又はベースラインでデータが欠落しているが、試験薬物曝露後にADA応答を発症する場合(処置誘発性ADA応答)、又は患者がベースラインでADA陽性であり、1つ以上のベースライン後の試料の力価がベースライン試料の力価よりも少なくとも0.60力価単位大きい場合(処置増強ADA応答)、ADA陽性であるとみなされる。患者がADA陰性であるか若しくはベースラインでデータが欠落しており、全てのベースライン後の試料が陰性である場合、又は患者がベースラインでADA陽性であるが、ベースライン試料の力価よりも少なくとも0.60力価単位大きい力価を有するベースライン後の試料を有さない(処置は影響を受けない)場合、患者はADA陰性であるとみなされる。
【0835】
ADAを検査する他の試験処置については、陽性は、その薬物の以前の試験で確立された標準的な方法に従って決定される。
【0836】
ADAの状態と安全性、有効性、PK、及びバイオマーカー評価項目との間の関係は、記述統計学によって分析及び報告され得る。
中間分析
【0837】
この試験の探索的性質を考慮すると、試験中に中間解析が行われることが予想され、少なくとも1つの実験アームが予備期への登録を完了し、患者が病理学的応答評価を完了したとき(コホート1)、又は少なくとも1つの実験アームが予備期への登録を完了し、患者が主要評価項目分析(ORR)のために最低9週間追跡されたとき(コホート2)に、最も早い中間解析が行われる。更なる暫定分析は、スポンサーが適切と判断した場合に実施してもよい。・コホート1では。事後確率を使用して、対照群と比較した実験群における臨床活性の暫定分析に基づいて更なる登録を導くことができる。暫定分析が、実験群の活性が対照群の活性よりも高いことを示唆する場合、実験群に更に20人の患者を登録することができる(拡大期)。
【0838】
コホート2では、事後確率を使用して、標準治療に対する改善として定義される所定のORR閾値と比較した実験アームにおける臨床活性の中間解析に基づいて、治療群への更なる登録を導くことができる。例えば、利用可能なデータが10%のケアの標準ORRを示唆し、10%のORR改善が臨床的に意味のある変化であると考えられる場合、これは事後確率の計算において20%のORR閾値をもたらす。
【0839】
標準治療のORRは、分析時に少なくとも2つの事前治療を受けたコホート2の患者集団のクラス内免疫調節試験及び他の化合物についての新たな内部及び外部データに基づく。
【0840】
スポンサーは、観察された応答の持続期間、PFS、及び潜在的に早期のOSデータを含むがこれらに限定されない利用可能なデータ全体に基づいて、アームへの登録を拡大する決定を下すことができる。安全性及びバイオマーカーデータ(この決定時に利用可能)もまた、適切なベネフィット-リスク評価の観点から考慮される。
【0841】
実施例3:再発性又は難治性B細胞非ホジキンリンパ腫の患者におけるアテゾリズマブを伴う又は伴わない、チラゴルマブと組み合わせたモスネツズマブの安全性、有効性及び薬物動態を評価する第Ib/II相非盲検多施設試験
本研究の目的は、再発性又は難治性(R/R)濾胞性リンパ腫(FL)又はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を有する患者における、PD-L1を標的とする抗体であるアテゾリズマブの更なる組み合わせの有無にかかわらず、CD20及びCD3を標的とする二重特異性抗体であるモスネツズマブと、チラゴルマブ、抗TIGIT(Igドメイン及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体)抗体との組み合わせの安全性、有効性及び薬物動態を評価することである。これらの疾患を有する患者の一部は、標準的な第1選択の化学免疫療法に対して難治性であるか、又は最終的に再発し、再発は、難治性の増加及び後続の治療に対する応答期間の減少を特徴とする。これは、より長い無増悪生存期間(PFS)及び全生存期間(OS)をもたらし、改善されたベネフィット-リスクプロフィールを有する、後続の治療ラインにおける新規治療の必要性を強調する。
【0842】
A.目的及び評価項目
この試験は、少なくとも2回の以前の全身療法を受けたR/R DLBCL又はFLを有する参加者において、アテゾリズマブの有無にかかわらず、チラゴルマブと組み合わせたモスネツズマブの安全性、有効性及び薬物動態を評価する。研究の具体的な目的及び評価項目を以下の表21に概説する。
表21.研究の目的及び対応する評価項目
ADA=抗薬剤抗体;ASTCT=米国移植細胞療法学会;AUC=濃度-時間曲線下面積;C
max=観察された最大濃度;C
min=定常状態での最小濃度;CR=完全寛解;CRS=サイトカイン放出症候群;CT=コンピュータ断層撮影;DLT=用量制限毒性;DLBCL=びまん性大細胞型B細胞リンパ腫;DOR=応答持続時間;FL=濾胞性リンパ腫;NALT=新規抗リンパ腫治療;NCI CTCAE=国立がん研究所有害事象共通用語規準;ORR=客観的奏効率;PR=部分寛解;R/R=再発性又は難治性。Lugano 2014 criteria:Cheson BD,et al.J Clin Oncol 2014;32:1-9
【0843】
B.研究デザイン
この試験は、R/R B細胞NHLの参加者、具体的には、少なくとも2回の先行する全身治療ラインを受けたことがあるDLBCL、HGBL、trFL又はFL(グレード1~3b)の参加者における、アテゾリズマブIVを伴う又は伴わない、チラゴルマブIVと組み合わせたモスネツズマブSCの安全性、忍容性、薬物動態及び予備的有効性を評価するように設計されている。本研究デザインの概略図を
図6に示す。
【0844】
参加者は、少なくとも1つの試験薬が投与される全サイクルを含む8サイクルの試験治療を受ける。一次応答評価(PRA)の時点でPR又はSDを達成する参加者は、疾患進行がない状態で合計17サイクルにわたって治療を継続する。
【0845】
・アーム1:チラゴルマブIV:安全性ランインコホートA(初期;
図7A参照)及びコホートB(代替;
図7B参照)と組み合わせたモスネツズマブSCは、各コホートにおいてR/R DLBCL、HGBL、trFL又はR/R FL(グレード1~3b)を有するおよそ6名の参加者を登録する。投与に関するIMCの推奨に従って、拡大コホートCには約40名の参加者がR/R FL(グレード1~3a)に登録され、拡大コホートDには約40名の参加者がR/R DLBCL、HGBL、trFL又はR/R FL(グレード3b)に登録される。
【0846】
・アーム2:チラゴルマブIV及びアテゾリズマブIVと組み合わせたモスネツズマブSC:安全性ランインコホートE(
図7C参照)には、R/R DLBCL、HGBL、trFL又はR/R FL(グレード1~3b)を有する約6名の参加者が登録されている。投与に関するIMCの推奨に従って、拡大コホートFは、R/RFL(グレード1~3a)を有する約20名の参加者を登録する。
【0847】
本試験への参加基準を満たさない(スクリーニング失敗)個体は、治験責任医師の裁量により、2回の再スクリーニング機会(1個体あたり合計3回のスクリーニング)に適格となり得る。再スクリーニングされる参加者については、全ての適格基準を再評価しなければならず、適格基準を満たすために必要に応じてスクリーニング評価を繰り返す。
【0848】
全ての参加者は、試験全体を通して、及び試験治療の最終投与後少なくとも90日間、有害事象について綿密に監視される。有害事象はNCI CTCAE5.0に従ってグレーディングされ、CRSはASTCT 2019 CRSコンセンサスグレーディング(Lee et al.2019,Table 4を参照のこと)に従ってグレーディングされる。参加者は、陽電子放射断層撮影法(PET)/コンピュータ断層撮影法(CT)及びCTによる腫瘍応答について、中間応答評価(IRA;サイクル4、15~21日目)及びPRA(サイクル8、15~21日目)で、試験治療及びフォローアップ期間中に一定の間隔で評価される。腫瘍応答を、2014 Lugano Response Criteria(Cheson BD,et al.J Clin Oncol 2014;32:1-9)を使用して評価する。試験治療に対するPKプロフィール及び免疫応答を特徴付けるために、投与前後の様々な時点で血液試料を採取する。拡大コホートC、D又はFの同意参加者は、ベースライン時及びサイクル1の15日目とサイクル2の1日目又はサイクル2の15日目とサイクル3の1日目との間に任意の対腫瘍生検を受け得る(安全性ランインコホートから選択されるレジメンに依存する)。参加者はまた、治験責任医師の裁量で(治験責任医師が臨床的に実現可能であると考えた場合に)他の任意の時点で追加の治療中の生検を受けることもできる。
【0849】
参加者の数
全体として、約6~118人の参加者が、世界中の約30の治験施設でこの試験に登録されている。
【0850】
試験治療
この研究のための治験薬(IMP)は、モスネツズマブSC、チラゴルマブIV、アテゾリズマブIV、及びトシリズマブIVである。具体的な投薬情報については、表22を参照されたい。
表22.試験治療の説明
C=サイクル;D=線量;サイクル1の1日目に投与したC1D1用量;サイクル1の8日目に投与されたC1D2用量;サイクル1の15日目に投与されたC1D3用量;C2+D1用量はそれぞれ、サイクル2+で各対応する用量の1日目に投与された。
【0851】
参加期間
治療は、PRAでCRが達成された場合は合計8治療サイクル、又はLugano分類によって判定してPRAでPR又はSDとして応答が評価された場合は17サイクル継続する(Cheson BD,et al.J Clin Oncol 2014;32:1-9)。確認された疾患進行又は許容できない毒性がある場合、治療を中止する。各個体に対する研究参加の総期間は、1日~36ヶ月超の範囲である。
【0852】
相IB:安全性ランインコホート
第Ib相安全性ランインコホートの目的は、R/R NHL患者においてアテゾリズマブIVを伴う又は伴わないチラゴルマブIVと組み合わせて使用するためのモスネツズマブSC昇圧投与スケジュール及びレジメンを決定することである。
【0853】
重篤で予想外の急性薬物又は注射若しくは点滴関連毒性を評価するために、安全性ランインコホートA、B及びEへの登録をずらして行う。各コホートの最初の3名の参加者の各C1D1用量間に少なくとも72時間がなければならない。同じコホートの後続の参加者について、各C1D1用量の間に少なくとも24時間がなければならない。スポンサーは、次の参加者が試験治療を受ける前に前の参加者の状態に関する確認を受けなければならない。更に、安全性ランインコホートの全参加者は、以前に評価されていない併用用量を初めて受けた後、(投与された最後の薬物の終了に基づいて)72時間入院する。
・C1D1でコホートAの参加者は72時間入院する(最後に投与された薬物に基づく)
・C2D1でコホートB及びコホートEの参加者は72時間入院する(最後に投与された薬物に基づく)
【0854】
参加者が単剤モスネツズマブ又は併用投与後にCRSグレード≧2を経験した場合、その後の投与時に入院が必要となり得る。治験責任医師は、参加者の虚弱などの医学的要因、CRS及び以前のCRS事象のリスク要因、並びに自宅での介護者の利用可能性及び治験施設までの距離を含む社会的要因に基づいて、入院の必要性を積極的に評価する。本明細書で定義される用量制限毒性(DLT)を含む全ての有害事象は、別途指示がない限り、NCI CTCAE v5.0に従って報告され、グレーディングされる。CRS事象は、ASTCT CRSコンセンサスグレーディング基準に従ってグレーディングされる(表4)。
【0855】
チラゴルマブIV(アーム1、コホートA及びB)と組み合わせたモスネツズマブSC
コホートA(
図7A)は、推奨される第II相モスネツズマブSC昇圧用量及びスケジュールであるサイクル1の1日目に5mg(C1D1用量)、サイクル1の8日目に45mg(C1D2用量)及びサイクル1の15日目に45mg(C1D3用量)で開始される。チラゴルマブIVは、C1から開始して、各サイクルのD1に600mg Q3Wで投与される。
【0856】
DLT評価可能な6名の参加者のうち1名以下がDLTを経験する場合、第1群の拡大コホート及び第2群の安全性ランインコホートを登録のためにオープンにすることができる。これらのコホートにおけるチラゴルマブ投与は、コホートAのスケジュールに基づいており、すなわち、C1D1から開始する。
【0857】
しかしながら、コホートA DLT評価期間中に2人以上の参加者がDLTを経験する場合、又はデータ全体が異なる用量レジメンを支持する場合、(代替用量レジメンを用いて)コホートBをIMC推奨に従って開始することができる(
図7B)。コホートBでは、モスネツズマブSCは、コホートAと同じ用量及びスケジュールで投与されるが、初回用量のチラゴルマブは、サイクル2の1日目に投与される(C2D1用量)。
【0858】
DLT評価可能な6名の参加者のうち1名以下がコホートBでDLTを経験する場合、第1群の拡大コホート及び第2群の安全性ランインコホートを登録のためにオープンにすることができる。これらのコホートにおけるチラゴルマブ投与は、コホートBのスケジュール、すなわちC2D1から開始するスケジュールに基づく。
【0859】
しかしながら、2人以上の参加者がコホートBでDLTを経験するか、又はデータ全体がより低い用量を支持する場合、それぞれ約6人の参加者の追加の用量漸増解除コホートをIMC推奨に従って開始して、コホートBと同じ投与スケジュール及び入院要件と組み合わせて、より低い用量レベルのモスネツズマブ又はチラゴルマブを評価することができる(すなわち、サイクル1でのモスネツズマブの段階的投与及びサイクル2でのチラゴルマブ投与の開始)。この低用量群の安全性データは、そのコホートの6名の参加者が21日間の試験治療(サイクル2の1~21日目)を完了した後に評価される。
【0860】
DLT評価可能な6名の参加者のうち1名以下がこの用量漸増コホートにおいてDLTを経験する場合、C2D1でのチラゴルマブ投与の開始及び用量漸増コホートにおいて評価された用量で、第1群の拡大コホート及び第2群の安全性ランインコホートを登録のためにオープンにすることができる。
【0861】
チラゴルマブIV及びアテゾリズマブIVと組み合わせたモスネツズマブSC(コホートE)
コホートEは、群1の安全性ランインコホートからのチラゴルマブIVと組み合わせたモスネツズマブSCの安全性データのレビューに基づいて、IMCの推奨により登録を開始することができる。コホートEは、R/R DLBCL、HGBL、trFL又はR/R FL(グレード1~3b)を有する参加者における、チラゴルマブIV及びアテゾリズマブ1200mg IVと組み合わせたモスネツズマブSCの安全性を評価する(
図7C)。DLT評価可能な6名の参加者のうち1名以下がコホートEにおいてDLTを経験する場合、アーム2の拡大コホートを登録のためにオープンにすることができる。
【0862】
相II:拡大期
第II相拡大コホートC、D及びFの目的は、安全性ランインによって決定された用量及びスケジュールで、アテゾリズマブIVの有無にかかわらず、モスネツズマブSC及びチラゴルマブIVの安全性及び有効性を更に評価することである。拡大コホートで評価される試験治療の用量及びスケジュールは、安全性ランインコホート及びIMCによる累積安全性データのレビューに基づいて選択される。R/R FL又はR/R DLBCLを有する患者を拡大期に登録し、以下に記載されるように治療する。
・コホートC(モスネツズマブSC及びチラゴルマブIV):R/R FL(グレード1~3a);約40人の患者
・コホートD(モスネツズマブSC及びチラゴルマブIV):R/R DLBCL、HGBL、trFL、又はR/R FL(グレード3b);約40人の患者
・コホートF(モスネツズマブSC、チラゴルマブIV、及びアテゾリズマブIV):R/R FLグレード(グレード1-3a);約20人の患者
【0863】
モスネツズマブSC、チラゴルマブIV、及びアテゾリズマブIVの再治療
初期治療中に完全寛解を達成し、研究治療の完了後に疾患再発を経験する参加者は、以下に記載されるように、モスネツズマブ及びチラゴルマブ(コホートA、コホートB、コホートC及びコホートD)又はモスネツズマブ、チラゴルマブ及びアテゾリズマブ(コホートE及びコホートF)による再治療に適格である。試験の再治療の用量及びスケジュールは、以下の基準を満たすならば、安全性ランインコホートにおいて安全であることが以前に実証されたものである。
・適切な適格基準は、以下の例外を除いて、治療が再開始される時点で満たされる。
-モスネツズマブによる以前の治療は可能である
-ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、C型肝炎ウイルス(HCV)及びB型肝炎ウイルス(HBV)の状態を実証するための血清学的試験は、臨床的に示されない限り、繰り返す必要はない。エプスタイン・バーウイルス(EBV)及びサイトメガロウイルス(CMV)の定量的PCRを繰り返さなければならない
-最初の試験治療を伴うグレード1~3の管理可能かつ可逆的な免疫関連有害事象は許容され、自己免疫疾患の排他的な病歴を構成しない
-置換療法で管理される任意のグレードの内分泌不全症又は任意のグレードの血清アミラーゼ若しくはリパーゼの無症候性上昇が許容される。
・患者は、初期試験治療中に別の明確に特定可能な原因に起因すると考えられなかったグレード4の非血液学的有害事象を経験していてはならず、TLS及びCRSは例外である可能性がある。
・初期治療中に別の明確に識別可能な原因に起因すると考えられなかったグレード2又は3の有害事象を経験した患者は、グレード1以下に回復していなければならない。検査値は、それぞれの例外を除いて、選択基準で指定された要件を満たさなければならない。
・最初の研究治療の完了と研究治療の再開始との間に、介在する全身抗がん療法は投与されなかった。
・試験治療の再開に有利に存在し得る標準的な治療選択肢の延期を承認し、臨床的に実行可能であれば再発性又は進行性腫瘍の生検を受けるために、書面によるインフォームドコンセントが提供される。
【0864】
疾患進行後に再治療に進む患者については、腫瘍の状態(例えば、CD20、TIGIT及びPD-1の発現状態)及び免疫微小環境の変化/状態を評価するために、病変が疾患進行時の生検に適している場合、腫瘍生検の繰り返しが強く示唆される。再治療を受けている患者に投与される試験治療の用量及びスケジュールは、医療用モニターによって決定され、それぞれの安全性ランインコホートの全ての患者がDLT観察期間をクリアした以前に試験された用量及びスケジュールである。それぞれの用量及びスケジュールの入院要件は、IMCの推奨に基づいて適用される。患者は、最初の再処置投与後に入院を必要とすることがある。
【0865】
参加期間
治療は、一次応答評価(PRA)でCRが達成された場合は合計8治療サイクル、又はLugano分類によって決定されるPRAで部分寛解(PR)又は安定疾患(SD)として応答が評価された場合は17サイクル継続する(Cheson BD,et al.J Clin Oncol 2014;32:1-9)。疾患の進行又は許容できない毒性が確認された場合、治療を中止する。各個体に対する研究参加の総期間は、1日から36ヶ月超に及ぶと予想される。
【0866】
C.選択基準
参加者は、以下の基準の全てが当てはまる場合にのみ、試験に含まれる資格がある:
・インフォームドコンセントに署名することができる参加者。インフォームドコンセントには、インフォームドコンセント用紙及び本プロトコールに記載の要件及び制限の遵守が含まれる。
・治験責任医師の判断により、インフォームドコンセント用紙の署名時の年齢が18歳以上の参加者は入院が必要であった
・Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)のパフォーマンスステータスが0、1又は2である参加者
・平均余命が少なくとも12週間である参加者
・組織学的に記録されたFL又はDLBCLを有する参加者
-それは、再発したか又は少なくとも2つの以前の全身性治療レジメンに応答しなかったものであり、CD20指向療法を含む少なくとも1つの治療ライン、DLBCL、HGBL、trFL及びFLグレード3bの参加者のためのアントラサイクリンを含む少なくとも1つの以前のレジメン、FLの参加者のためのアルキル化剤を含む少なくとも1つの以前のレジメンを含む、治癒目的又はより高い優先度の適切な治療が存在しない(例えば、標準化学療法、ASCT、CAR T細胞)。骨髄破壊的高用量化学療法とそれに続く自家HSCTとを、以前のサルベージ化学療法とは別の1つの治療ラインとしてカウントすべきである。ブリッジ療法とそれに続くCAR T細胞療法は、1つの治療ラインとしてカウントされる。局所療法(例えば、放射線治療又は髄腔内療法)は、治療ラインとはみなされない。
-それは、地元の研究室によって決定されるようにCD20を発現する
-それは、リンパ系新生物の2016WHO分類による診断の以下のリストに含まれる:FL(in situ濾胞性新形成及び十二指腸型FLを含む)、小児型FL、DLBCL、NOS(胚中心B細胞型及び活性化B細胞型を含む)、T細胞/組織球に富む大細胞型B細胞リンパ腫、MYC及びBCL-2を伴う高悪性度B細胞リンパ腫、BCL-6再編成、高悪性度B細胞リンパ腫、別段特定されない(NOS)、EBV+DLBCL、NOS、HHV8+DLBCL、NOS、及び/又は未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)+大細胞型B細胞リンパ腫。
-形質転換後の疾患組織学がDLBCL又はHGBCLであり、参加者がRichterの形質転換を伴う形質転換FL参加者について標準治療に対するR/Rでなければならない場合、形質転換FLは適格な診断であり、FLグレード3bの形質転換を伴う形質転換FL参加者は研究参加者への登録に適格ではなく、攻撃的NHLに対する標準治療に対するR/Rである場合、安全性ランインコホートA、B及びE並びに拡大コホートDのみへの登録に適格である。
・少なくとも一の二次元的に測定可能な(>1.5cm)結節性病変、又は少なくとも一つの二次元的に測定可能な(>1.0cm)節外性病変を有する参加者
・腫瘍組織の利用可能性を確認した参加者(ベースラインで得られた新たに収集された腫瘍組織試料が好ましい;治験責任医師の評価により新鮮な生検が得られない場合、保管組織は許容可能である)。
・骨髄生検及び吸引物を採取することができるFL(trFLを含む)を有する参加者
・最初の試験治療(C1D1)の14日以内に得られた以下の検査結果によって定義される、十分な血液学的及び臓器機能を有する参加者:AST及びALT≦2.5×ULN;総ビリルビン≦1.5×ULN;ジルベール症候群の記録された病歴を有し、総ビリルビン上昇が間接ビリルビン上昇を伴う参加者を適格とする;治療的抗凝固療法の非存在下でINR≦1.5×ULN;狼瘡抗凝固の非存在下及び治療的抗凝固療法の非存在下でのPTT又はaPTT≦1.5×ULN;施設標準法による測定又は推定クレアチニンクリアランス≧50mL/分;72時間以内に血小板輸血なしで血小板数≧75,000/μL;21日以内に輸血なしで総ヘモグロビン≧9g/dL;絶対好中球数(ANC)≧1000/μL;参加者は、適格性のために使用されるANCの前の前7日以内に成長因子を受けていてはならない。NHLの広範な骨髄浸潤及び/又は疾患関連血球減少症(例えば、免疫性血小板減少症)のために血液機能の基準を満たさない参加者については、以下の基準:14日間以内に輸血なしで血小板数≧50,000/μL、ANC≧500/mm3、及び7日間以内に輸血なしでヘモグロビンを満たす場合、試験に登録することができる。
・妊娠の可能性のある女性の場合:禁欲(異性間の性交を控えること)又は避妊を使用することに同意した参加者。
・男性の場合:禁欲(異性との性交を控えること)又はコンドームを使用することに同意し、精子の提供を控えることに同意する対象。
【0867】
D.除外基準
・妊娠中若しくは授乳中であるか、又は研究中若しくはモスネツズマブの最終投与後3ヶ月以内、チラゴルマブの最終投与後3ヶ月以内、アテゾリズマブの最終投与後5ヶ月(適用可能な場合)及びトシリズマブの最終投与後3ヶ月(適用可能な場合)のいずれか長い方の参加者。
・妊娠可能な女性は、試験治療の開始前14日以内に血清妊娠検査結果が陰性でなければならない。
・試験参加前に以下の治療のいずれかを受けた参加者:モスネツズマブ又は他のCD20/CD3指向性二重特異性抗体による治療;チラゴルマブ又は他の抗TIGIT剤による治療;同種異系SCT;及び/又は固形臓器移植
・試験治療の開始前のそれぞれの期間内に、治験中であるか承認されているかにかかわらず、以下の治療のいずれかを受けた参加者:試験治療の最初の投与前2週間以内の放射線治療参加者が最初の試験治療の投与前4週間以内に放射線治療を受けた場合、参加者は放射線照射野の外側に少なくとも1つの測定可能な病変を有していなければならない。最初の研究治療前の100日以内の自己SCT;最初の試験治療前30日以内のCAR T細胞療法;最初の試験治療前4週間以内のモノクローナル抗体又は抗体-薬物コンジュゲートの使用;最初の試験治療前12週間以内の放射性イムノコンジュゲートの使用;試験治療の初回投与前2週間以内の全身性免疫抑制薬(限定されないが、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキサート、サリドマイド及び抗腫瘍壊死因子剤を含む);10mg/日以下のプレドニゾン又は同等の全身コルチコステロイド治療及び吸入コルチコステロイドが許容される;急性低用量全身性免疫抑制薬(例えば、悪心又はB症状のためのデキサメタゾンの単回用量)の投与が許可される;起立性低血圧の管理のためのミネラルコルチコイド及び副腎機能不全の管理のためのコルチコステロイドの使用が許可される;及び/又は試験中であるか又は承認されているかにかかわらず、試験治療の開始前の薬物の4週間又は5半減期のうちの短い方の期間内に、化学療法を含むがこれに限定されない任意の他の抗がん療法。
・試験治療の最初の投与前4週間以内に生弱毒化ワクチンを受けたか、又はそのような生弱毒化ワクチンが試験期間中又は試験治療の最後の投与後5ヶ月以内に必要となると予想される参加者
・自己SCTに現在適格である攻撃的NHLを有する参加者
・中枢神経系リンパ腫又は軟膜浸潤の現在又は過去の病歴を有する参加者
・ヒト化又はマウスのモノクローナル抗体療法(又は組換え抗体関連融合タンパク質)に対する重度のアレルギー又はアナフィラキシー反応の病歴を有する参加者
・アテゾリズマブ(研究のアーム2に特異的)又はトシリズマブに対する禁忌を有する参加者
・以前の治療からの臨床的に有意な毒性が、以下の例外を除いて、最初の試験薬物投与前にグレード1以下(NCI CTCAE v5.0毎)に回復していない参加者:グレード2末梢感覚又は運動ニューロパシー;任意の悪性度の脱毛症又は白斑;及び/又は置換療法で管理される内分泌障害
・以前の免疫療法剤に関連する治療下で発現した免疫介在性有害事象を以下のように有する参加者:以前の免疫チェックポイント阻害剤(ICI)療法に起因するグレード3以上の免疫介在性有害事象の病歴;補充療法又は血清アミラーゼ若しくはリパーゼの無症候性上昇で管理される内分泌不全症以外);及び/又は事前のがん免疫療法(補充療法で管理される内分泌不全症以外、選択基準を満たす安定白斑及び安定血球減少症)に関連する全ての免疫媒介有害事象がベースラインに消散していなければならない
・免疫介在性有害事象のためにコルチコステロイドで治療された参加者は、コルチコステロイドの中止後4週間以上、関連する症状又は徴候がないことを示さなければならない。
・プロトコールの遵守又は結果の解釈に影響を及ぼし得る任意の有意な随伴疾患の証拠を有する参加者、例えば、限定されないが:
-以下を除いて、プロトコールの遵守又は結果の解釈に影響を及ぼし得る他の悪性腫瘍の病歴:以前に治療的に治療された以下の悪性腫瘍のいずれか:子宮頸部の上皮内がん、乳がん、基底細胞がん、又は扁平上皮皮膚がんの上皮内の予後良好な乳管がん;転移性疾患の証拠がなく、抗アンドロゲン療法を除いて積極的療法を受けていない前立腺癌;及び/又は登録前に治癒目的で適切に治療され、登録前2年以上治療なしで寛解状態にある任意の他の悪性腫瘍を有する参加者は適格である
-有意な心血管疾患(例えば、ニューヨーク心臓病学会クラスIII又はIVの心疾患、過去6ヶ月以内の心筋梗塞、不安定な不整脈、又は不安定な狭心症)
-有意な肺疾患(閉塞性肺疾患又は気管支攣縮の病歴など)
-ウイルス性若しくは他の肝炎又は肝硬変を含む肝疾患の臨床的に有意な病歴
-中枢神経系疾患、例えば脳卒中、てんかん、中枢神経系脈管炎、又は神経変性疾患の現在又は過去の病歴
-過去1年間に脳卒中又は一過性の虚血発作を経験しておらず、治験責任医師によって判断されるような残存神経障害を有さない脳卒中の病歴を有する参加者は、許容される。
-抗てんかん薬の有無にかかわらず過去2年間に発作を有していなかったてんかんの病歴を有する参加者は、拡大コホートC、D及びFでのみ適格となり得る。
-確認された進行性多巣性白質脳症(PML)の病歴
-試験登録時の既知の活性細菌、ウイルス(SARS-CoV-2を含む)、真菌、マイコバクテリア、寄生虫、又は他の感染症(爪床の真菌感染症を除く)、又は最初の試験治療投与前の4週間以内(一連の抗生物質の完了に関連する)にIV抗生物質による治療又は入院を必要とする感染症の任意の主要なエピソード
-スクリーニング時の陽性血清HIV検査
-慢性B型肝炎感染に対する陽性試験結果(B型肝炎表面抗原[HBsAg]血清学陽性として定義される)。
-潜在性又は以前のB型肝炎感染(陽性の全B型肝炎コア抗体及び陰性HBsAgとして定義される)を有する参加者は、HBV DNAがスクリーニング時に検出不能である場合に含まれ得る。これらの参加者は、示されるように、毎月のDNA検査及び適切な抗ウイルス療法を進んで受けなければならない。
-急性又は慢性のHCV感染
-HCV抗体が陽性である参加者は、研究参加に適格であるためにはPCRによりHCV陰性でなければならない。
-既知又は疑われる慢性活動性EBV感染
-HLHの既知の病歴又は疑われる病歴
-重症筋無力症、筋炎、自己免疫性肝炎、全身性紅斑性狼瘡、関節リウマチ、炎症性腸疾患、抗リン脂質症候群に伴う血管血栓症、ヴェーゲナー肉芽腫症、シェーグレン症候群、ギラン・バレー症候群、多発性硬化症、脈管炎、又は糸球体腎炎を含むがこれらに限定されない自己免疫疾患の病歴。
-安定した用量の甲状腺補充ホルモンを受ける、自己免疫関連甲状腺機能低下症の病歴を有する参加者は、適格であり得る。
-インスリンレジメンを受けている、制御されている1型糖尿病参加者は、本試験に適格である。
-疾患関連免疫性血小板減少性紫斑病又は自己免疫性溶血性貧血の病歴を有する参加者は適格であり得る
-湿疹、乾癬、慢性単純性苔癬、又は皮膚症状のみを伴う白斑(例えば、乾癬性関節炎を有する患者は除外される)を有する患者は、以下の条件の全てが満たされるならば試験に適格である:発疹は体表面積の10%を覆わなければならない;疾患はベースラインで十分に制御されており、低力価の局所コルチコステロイドのみを必要とする;過去12ヶ月以内にソラレン+紫外線A照射、メトトレキサート、レチノイド、生物学的薬剤、経口カルシニューリン阻害剤、又は高力価若しくは経口コルチコステロイドを必要とする基礎疾患の急性増悪の発生はない。
・最初の研究の4週間以内に最近大きな手術を受けた参加者
プロトコールに定められた手順を除いた治療投与
(例えば、腫瘍生検及び骨髄生検)
【0868】
E.試験治療及び併用療法
この研究のための治験薬(IMP)は、モスネツズマブ、チラゴルマブ、アテゾリズマブ、及びトシリズマブである。任意の前投薬(例えば、コルチコステロイド)は、非治験医薬品とみなされる。
【0869】
この研究の割り当てられた研究治療は、上記の表22に記載されている。治療レジメンを上記のセクションB及び
図6及び
図7A~
図7Cに要約する。
【0870】
2つ以上のIMPが投与される日に、投与の順序は、モスネツズマブ、観察期間を介在させたチラゴルマブ、及びアテゾリズマブ(適用可能な場合)でなければならない。
【0871】
モスネツズマブ
体重に依存しない一定の投薬が、モスネツズマブに対して使用される。コホートAのモスネツズマブの開始用量は、5mg/45mg/45mg(それぞれサイクル1の1日目、8日目及び15日目に投与されたC1D1/C1D2/C1D3用量)である。サイクル2の1日目及びその後のサイクルの1日目の用量は、C1D3用量(45mg)と同じである。
【0872】
SCを投与する場合、モスネツズマブは、2.0mLを超えない最終容量で標準的な医療用シリンジによって送達される。相溶性試験は、モスネツズマブが拡張セット及びポリプロピレンシリンジにおいて安定であることを示している。
【0873】
モスネツズマブは、十分に水分補給された参加者に投与される。デキサメタゾン20mgによるコルチコステロイド前投薬は、各モスネツズマブ用量の投与前に投与されるべきである。コルチコステロイド前投薬の投与は、治験責任医師の評価に基づいて、サイクル2以降は任意であり得る。代替コルチコステロイド化合物(例えば、デキサメタゾンが利用できないために)の使用は、登録時に医療用モニターと議論した後にのみ許可される。しかし、参加者がモスネツズマブの先行する投与でCRSを経験する場合、更なるCRS事象が観察されなくなるまで、ステロイドによる前投薬をその後の投与のために投与しなければならない。
【0874】
更に、経口アセトアミノフェン又はパラセタモール(例えば、500~1000mg)及び/又は50~100mgのジフェンヒドラミンによる前投薬を、モスネツズマブの投与前に標準的な施設の慣例に従って投与し得る。
【0875】
モスネツズマブ注射前(注射前30分以内)にバイタルサインを評価する。モスネツズマブは、資格のあるスタッフによって30秒~2分間にわたって投与される。全ての参加者は、少なくとも最初の2サイクルの間、モスネツズマブSC投与の前に所定の場所でIVアクセスをしなければならない。モスネツズマブの初回投与後、参加者を、モスネツズマブ投与後の発熱、悪寒、苦しさ、低血圧、悪心又はCRSの他の徴候及び症状について少なくとも30分間観察するであろう。患者はまた、以前の投与でCRS事象が発生した場合、その後の投与のために注射後30分間観察されるべきである。観察時間は、以前の投与でCRSが生じなかった場合、その後の投与のために15分に短縮され得る。この観察期間中、15(±10)分毎にバイタルサインを記録する(最初のモスネツズマブ注射後30分間、及び前の用量でCRSが発生しなかった場合はその後の用量について15分間)。その後、退院まで4時間毎にバイタルサインをモニタリングする。他の試験薬の点滴ガイドラインによって要求される場合、追加のバイタルサイン測定が行われる。
【0876】
チラゴルマブ
チラゴルマブは、表23に従って第1サイクル又は第2サイクルから開始して、各21日間サイクルの1日目に600mgの固定用量でIV点滴によって投与される。チラゴルマブの個々の用量変更は許容されない。
表23.チラゴルマブの初回及びその後の注入の投与
【0877】
アテゾリズマブ
アテゾリズマブは、コホートE及びFの表24に従って第2サイクルから開始して21日間の各サイクルの1日目に1200mgの固定用量でIV点滴によって投与される。アテゾリズマブがモスネツズマブ及びチラゴルマブと組み合わせて投与される日に、アテゾリズマブは、チラゴルマブの観察期間の終了後に投与される。アテゾリズマブの個々の用量変更は許容されない。
表24.アテゾリズマブの初回及びその後の注入の投与
【0878】
トシリズマブ
トシリズマブ(Actemra(登録商標)/RoActemra(登録商標))は、可溶型及び膜結合IL-6受容体に対する組換えヒト化抗ヒトモノクローナル抗体であり、IL-6媒介シグナル伝達を阻害する。トシリズマブは、必要に応じて、CRS事象を経験する参加者にレスキューIMPとして投与される(第XIIIセクション参照)。
【0879】
F.併用療法
試験治療の開始前7日から試験完了/中止来院までのプロトコールに定められた治療に加えて参加者が使用した任意の医薬品又はワクチン(市販薬又は処方薬、ビタミン、及び/又はハーブサプリメントを含む)は、併用薬及び関連するeCRFに以下の情報と共に記録されなければならない:
・使用理由
・開始日及び終了日を含む投与日
・用量及び頻度を含む用量情報
【0880】
許可された治療
一般に、治験責任医師は、本明細書で定義される禁止療法を除いて、及び本明細書で定義される注意療法を考慮して、臨床的に指示されるように、及び地域の標準的な慣例に従って、支持療法の使用によって参加者のケア(既存の状態を含む)を管理することができる。点滴に関連する症状を経験する参加者は、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ジフェンヒドラミン、及び/又はH2受容体アンタゴニスト(例えば、ファモチジン、シメチジン)、又は現地の標準的慣行による同等の薬物で対症療法で治療することができる。呼吸困難、低血圧症、喘鳴、気管支痙攣、頻脈、酸素飽和度低下、又は呼吸促拍によって現れる重度の点滴関連事象は、臨床的に適応がある支持療法(例えば、酸素補充及びβ2アドレナリン作用性アゴニスト)によって管理されなければならない。
【0881】
以下の併用療法の使用が以下に記載されるように許容される。
・抗ヒスタミン薬、解熱薬及び/又は鎮痛剤による前投薬は、治験責任医師の裁量で投与され得る。
・失敗率が年間1%未満の経口避妊薬
・ホルモン補充療法
・セクションXIIIによるCRSの治療
・公表された推奨及び/又は施設内診療によるHLHの治療
・公表された推奨及び/又は施設内診療によるTLS予防/治療
・公表された推奨及び/又は施設内診療による制吐学的予防/治療
・G-CSF(フィルグラスチム、ペグフィルグラスチム)の予防的及び治療的使用は、添付文書、施設内診療、及び/又は公開されたガイドライン(Smith et al.,2015)に提供された説明書に従って許可される。医学的に禁忌でない限り、ANCが500/mm3未満である場合、成長因子の支援を開始すべきである;増殖因子が禁忌である場合、これを医療用モニターと議論すべきである。
・非生ワクチン接種
・エリスロポエチン、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(サルグラモスチム)又はトロンボポエチン(オプレルベキン、エルトロンボパグ)などの他の造血成長因子の併用は、添付文書、施設内診療及び/又は公開されたガイドラインに提供された説明書に従って許容される。
【0882】
ウイルス感染症、真菌感染症、細菌感染症又はニューモシスチス感染症に対する抗感染予防が許可されており、個々の患者の危険因子に基づいて施設の慣例又は治験責任医師の選好に従って開始されるべきである。
【0883】
F.有効性評価
腫瘍評価及び効果判定
参加者は、スクリーニング時に腫瘍評価、第4サイクル終了時のIRA(サイクル4の15から21日目の間、サイクル5を開始する前)、及び第8サイクル終了時のPRA(第8サイクルの15日目から21日目の間)を受ける。応答を2014 Lugano基準(Cheson BD,et al.J Clin Oncol 2014;32:1-9)に従って評価する。PRA後、治療開始後最初の1年間は3ヶ月毎に、次いで参加者が進行性疾患、試験中止、及び/又は新たなリンパ腫治療の開始を発症するまで、又は疾患進行が疑われる任意の時点で6ヶ月毎に、応答を評価し続ける。治験責任医師の裁量により、進行性疾患が疑われる場合はいつでも腫瘍評定を繰り返すことができる。
【0884】
全ての測定可能及び/又は評価可能な疾患は、スクリーニング時に記録され、その後の各腫瘍評価時に再評価される。応答は、理学的検査、CTスキャン、フルオロデオキシグルコース(FDG)PET-CTスキャン及び骨髄検査に基づいて治験責任医師によって評価される。
【0885】
臨床検査に基づく疾患進行の診断は、可能な限り早く(30日以内に)、かつ、プロトコールに定められていない抗がん療法の開始前に、画像検査(例えば、CTスキャン、FDG PET-CTスキャン)によって確認されなければならない。
【0886】
インフォームドコンセントを得る前及び試験治療の開始前28日以内に標準治療として行われる腫瘍評価は、以下に概説する基準を満たし、参加者が評価後に抗がん療法を受けていない限り、スクリーニング時に繰り返す必要はない。
【0887】
X線撮影による評価
フルオロデオキシグルコースPET-CTスキャンは、診断品質のCTスキャンと併せて、スクリーニング、IRA及びPRAで必要とされる。PRAに続いて、PETの有無にかかわらずCTスキャンを実施すべきである。
【0888】
FDG PET-CTスキャンは、頭蓋底から大腿中央まで延在すべきである。全身FDG PET-CTスキャンは、臨床的に適切な場合に実施すべきである。
【0889】
造影剤を用いたCTスキャン(施設の標準的な操作手順による)は、胸部、腹部、及び骨盤を含むべきである。他の疾患部位のCT又は磁気共鳴画像法(MRI)スキャンは、臨床的に示されるように実施されるべきである。造影剤を用いたCTスキャンが禁忌である場合(例えば、造影剤アレルギー又は腎性クリアランス障害を有する参加者において)、試験中に標的病変の一貫した正確な測定を可能にする場合、非造影CTスキャンが許容される。禁忌である患者では、CTスキャンの代わりにMRIスキャンを使用してもよい。スクリーニングで疾患部位を評定するために使用されるのと同じX放射線手順を、その後の腫瘍評定(例えば、CTスキャンのための同じコントラストプロトコール)に使用すべきである。PET-CTスキャンの一部として得られた診断造影CTスキャンを、専用のCTスキャンの代わりに使用することができる。
【0890】
骨髄検査
DLBCLの参加者は、骨髄の関与を評価するためのスクリーニングPET/CTスキャンを使用することができる;臨床的に必要とされない限り、骨髄検査は必要とされない(Cheson BD,et al.J Clin Oncol 2014;32:1-9)。
【0891】
研究開始前の任意の時点で骨髄浸潤を有していたFL又はtrFLを有する参加者は、病期分類目的でスクリーニング時(研究治療の開始前90日以内)に骨髄検査を受ける必要がある。FLを有する参加者は、スクリーニング時に腫瘍浸潤骨髄が存在した場合にCRの放射線学的評価を確認するため、及び骨髄における再発を確認するために、反復骨髄検査を受ける必要がある。
【0892】
骨髄検査には、形態学のための生検及び局所血液学のための吸引物が含まれるべきである(フロー試験は任意である)。骨髄吸引/生検における失敗した試みは、プロトコールの逸脱とはみなされない。
【0893】
応答評価
客観的奏効が、Lugano Response Criteria(Cheson BD,et al.J Clin Oncol 2014;32:1-9)に従って指定された時点で治験責任医師によって決定されるであろう。評価項目(例えば、ORR、CRR、PFS、EFS)を、指定された各時点での応答の治験責任医師の評価に基づいてプログラムで計算することになる。
【0894】
G.安全性評価
特に注目すべき有害事象
この試験にとって特に注目すべき有害事象は以下の通りである:
Hyの法則によって定義される、ビリルビン上昇又は臨床的黄疸のいずれかと組み合わせたALT又はAST上昇を含む潜在的な薬物誘導性肝損傷の症例
・以下に定義するような、試験治療による感染病原体の伝播の疑い:
-病原性、非病原性を問わず、あらゆる生物体、ウイルス又は感染性粒子(例:伝達性海綿状脳症を伝染させるプリオンタンパク質)が感染病原体とみなされる。医薬品に曝露された参加者の感染を示す臨床症状又は検査所見から、感染病原体の伝播が疑われ得る。この条件は、試験治療の汚染が疑われる場合にのみ適用される。
【0895】
モスネツズマブに特異的な特定の有害事象
モスネツズマブに特異的な特に興味深い有害事象には、以下が含まれる:グレード≧2CRS;グレード≧2の神経学的有害事象;グレード≧2注入部位反応;疑われるHLH又はMASのいずれか;TLS(定義による最低グレード3);発熱性好中球減少症(定義による最低グレード3);グレード2以上のAST、ALT、又は総ビリルビン上昇;任意のグレードの播種性血管内凝固症候群(定義による最低グレード2);グレード≧2の腫瘍フレア(例えば、臨床的又は放射線学的評価による既知の結節性又は節外性病変のサイズの増加に関連する徴候/症状の発現、既存の胸水の新たな発症又は悪化);あらゆるグレードの肺臓炎/間質性肺疾患(ILD)(感染性病因の肺炎を除く)
【0896】
アテゾリズマブ及びチラゴルマブに特異的な特別な関心のある有害事象
アテゾリズマブ及び/又はチラゴルマブに特異的な特に興味深い有害事象には、肺臓炎;大腸炎;内分泌不全症:真性糖尿病、膵炎、副腎機能不全、甲状腺機能亢進症、及び下垂体炎;AST又はALT>10×ULNを含む肝炎;全身性紅斑性狼瘡神経障害:ギラン・バレー症候群、筋無力症症候群又は重症筋無力症、及び髄膜脳炎;過敏症、点滴関連反応、CRS、HLH及びMASを示唆する事象;腎炎;眼毒性(例えば、ブドウ膜炎、網膜炎、視神経炎);筋炎;横紋筋融解症を含むミオパシー;グレード≧2の心臓障害(例えば、心房細動、心筋炎、心膜炎);脈管炎自己免疫性溶血性貧血;及び重度の皮膚反応(例えば、スティーブンス・ジョンソン症候群、水疱性皮膚炎、中毒性表皮壊死症)が含まれる。
【0897】
薬物動態
試料を使用して、モスネツズマブ、チラゴルマブ及びアテゾリズマブの薬物動態を評価することになる。モスネツズマブ、チラゴルマブ及びアテゾリズマブの血清濃度の分析のために収集された試料はまた、研究中又は研究後に生じる懸念に関連する安全性又は有効性の側面を評価するために使用され得る。また、これらのデータは、用量に対するPK曝露の関係を理解し、組み合わせ設定における用量/曝露-応答関係の特徴付けを支持するために使用される。更に、これらのデータは、チラゴルマブ、アテゾリズマブ及びモスネツズマブの間の潜在的なPK相互作用を調査し、特徴付けるために使用される。
【0898】
バイオマーカー評価
以下のバイオマーカー試料は、適用可能であれば、全ての施設の参加者から収集されるであろう:
・バイオマーカー及びバイオマーカーアッセイの開発に関する調査研究のための血液、PBMC及び血漿試料
・バイオマーカー及びバイオマーカーアッセイの開発に関する探索的研究のためにベースラインで得られた新たに収集された(又は保管)腫瘍組織試料
【0899】
探索的バイオマーカー研究には、限定するものではないが、RNAベースの発現分析、及びMS4A1(CD20)などの遺伝子のDNAベースのNGS変異プロファイリング、又は腫瘍免疫生物学、リンパ球、免疫細胞の活性化状態及び表現型、T細胞活性化に関連するサイトカイン、CRS及び神経毒性に関連する遺伝子シグネチャが含まれ得る。
【0900】
研究に参加していない個体から採取されたものを含む血漿、血液及び腫瘍組織試料のスクリーニングは、疾患関連試験又はツールの将来の研究及び/又は開発に使用され得る。
【0901】
H.分析
Lugano基準
有効性の主要評価項目は、治験責任医師がLugano 2014基準を使用して決定した、研究に対する最良ORR(CR又はPR)である。
【0902】
奏効は、疾患の放射線学的及び臨床的証拠に基づいて決定されるべきである。陽電子放射断層撮影/コンピュータ断層撮影(PET/CT)スキャンの評価は、以下に示す基準に従うべきである(Cheson BD,et al.J Clin Oncol 2014;32:1-9)。造影増強CTは、結節性腫瘤のより正確な測定、並びに正常な解剖学的構造と縦隔及び腹腔の疾患リンパ節浸潤との間の区別に好ましい。
【0903】
標的病変及び非標的病変
2つの直径で測定可能な最大6つの最大標的リンパ節、結節性塊、又は他のリンパ腫性病変は、参加者の全体的な疾患負荷を表す異なる身体領域から識別されるべきであり、関与する場合、縦隔及び後腹膜疾患を含む。ベースラインでは、測定可能なノードは、最長直径(LDi)が>15mmでなければならない。測定可能な節外疾患は、6つの代表的な測定病変に含まれ得る。ベースラインにおいて、測定可能な節外病変は、10mm LDiより大きくなければならない。他の全ての病変(結節性、節外性及び評価可能な疾患を含む)は、非標的病変(例えば、皮膚、胃腸管、骨、脾臓、肝臓、腎臓、胸水又は心内膜液滲出、腹水、骨、骨髄)として非測定疾患として追跡されるべきである。
【0904】
脾臓の関与
脾臓は、正常な大きさ又は拡大した均一な脾腫又は小さな病変若しくは大きな充実性塊を伴うびまん性浸潤であり得る。容積と良好に相関する単一の測定が好ましく、脾腫のための縦方向長さの13cm超のカットオフが推奨される。
【0905】
肝臓の関与
肝臓の大きさの測定は、CTによって信頼できない。肝臓病変は、限局性病変の有無にかかわらず、PET上のびまん性増加又は限局性取り込みとして脾臓病変と同様である。
【0906】
骨髄の関与
該当する場合、PETにおける骨髄関与取り込みを、結節性部位として5段階スケールを使用してスコア化する。
【0907】
分裂病変及びコンフルエント病変
病変は分裂することがあり、又は経時的にコンフルエントになることがある。分裂病変の場合、結節の垂直直径(PPD)の個々の積は、分裂病変のPPDを表すために共に合計されるべきであり、このPPDを残りの病変のPPDの合計に加えて、応答を測定する。これらの個別の結節のいずれか又は全てのその後の成長が起こる場合、各個別の結節の最下点を使用して進行を判定する。コンフルエントな病変の場合、コンフルエントな腫瘤のPPDを個々の節のPPDの合計と比較すべきであり、進行性疾患を示すのに必要な個々の結節の合計と比較してコンフルエントな腫瘤のPPDが50%を超えて増加する。LDi及び最小直径(SDi)は、進行を決定するためにもはや必要ではない。
【0908】
主要評価項目
主要評価項目は、各試験段階について以下の通りである。
第Ib相
・NCI CTCAE v5.0に従って判定された重症度を有する、DLTを含む有害事象の発生率及び重症度;CRSについては、ASTCT CRSコンセンサスグレディング基準に従って決定された重症度。
第II相
・Lugano 2014基準を使用して治験責任医師によって決定された、試験中の最良全体応答がPR又はCRである参加者の割合として定義される最良ORR
【0909】
副次評価項目
副次評価項目は、各試験段階について以下の通りである。
第Ib相
・Lugano 2014基準を使用して治験責任医師によって決定された研究に対する最良ORR(随時CR又はPR)
・Lugano 2014基準を使用して決定された、試験中に最良全体応答が完全寛解である参加者の割合として定義される最良CR率
・DOR、記録された客観的応答CR又はPR)の最初の発生から、Lugano 2014基準を使用して決定された疾患進行又は再発、又は何らかの原因による死亡のうち、いずれか最初に生じた方までの時間と定義される
第II相
・Lugano 2014基準を使用して治験責任医師によって決定された、研究に対する最良CR率
・DOR、記録された客観的応答CR又はPR)の最初の発生から、Lugano 2014基準を使用して決定された疾患進行又は再発、又は何らかの原因による死亡のうち、いずれか最初に生じた方までの時間と定義される
・Lugano 2014基準を使用して決定された、最初の試験治療から疾患進行又は再発の最初の発生までの時間、又はいずれかの原因による死亡、いずれか最初に発生する時間として定義されるPFS
・Lugano 2014基準、NALTの開始又は任意の原因による死亡のいずれか最初に起こるかを用いて決定した、最初の試験治療から疾患進行又は再発の最初の発生までの時間として定義されるEFS。
・OS、最初の試験治療から任意の原因による死亡までの時間として定義される
・NCI CTCAE v5.0に従って判定された重症度を有する有害事象の発生及び重症度。CRSについては、ASTCT CRSコンセンサスグレーディング基準に従って決定された重症度
Ib相及びII相
・Cmax
・Cmin
・必要に応じて集団PKモデル化によって推定され、データによって裏付けられる総曝露量(AUC)、CL及び分布容積
【0910】
探索評価項目
探索的有効性評価項目は、深層学習アルゴリズムであるLugano 2014基準(aLugano)を使用した自動応答によって決定される研究での最良ORR(CR又はPR)である。aLuganoの分析は、ベースライン及び治療中に利用可能なPET/CTスキャンを有する全ての患者として定義されるPET/CT評価可能集団に対して行われる。
【0911】
探索的イメージングバイオマーカーである自動総代謝腫瘍量(aTMTV)は、ベースライン時に利用可能なPET/CTスキャンを有する患者の評価可能な集団に対して深層学習アルゴリズムを使用して計算される。
【0912】
aLugano、aTMTV、及び他の探索的バイオマーカーの追加の分析を行うことができる。
【0913】
実施例4:転移性結腸直腸がん患者における第Ib/II相、全体、多施設、非盲検、マルチコアートアンブレラ試験-高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)コホート
INTRINSIC(結腸直腸がん(CRC)における部分母集団の同定及び標的化)は、第I/Ib相、世界的、多施設、非盲検、多コホート包括的試験である。この研究は、腫瘍がコホート特異的定義によるバイオマーカー陽性である転移性CRCを有する患者における単剤又は合理的な特定の組み合わせとしての標的療法又は免疫療法の安全性及び有効性を評価するように設計されている。この実施例は、INTRINSIC試験の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)コホートを記載する。
【0914】
A.研究デザインの概要
INTRINSIC研究の包括的構造は包括的介入研究であり、メタスタティックCRCの適格患者がバイオマーカーアッセイ結果に基づいて特定のコホートに登録される。バイオマーカーの適格性試験、スクリーニング中の血液ベースのFOUNDATIONONE(登録商標)Liquid CDx Next-Generation Sequencing(NGS)アッセイによって、又は選択基準に記載されているように検証された試験を使用する事前試験によって同定されたゲノム変化の存在に基づいて、患者をコホートに割り当てる。コホート内のランダム化を使用して、治療効果に関する証拠の定量的評価を可能にすることができる。この研究は、新しい検証されたバイオマーカー試験を導入するため、様々な同定された体細胞変異又は他のバイオマーカーに合わせて調整された治療が利用可能になるにつれて新しい治療群及び/又はコホートを開くため、最小限の臨床活性又は許容できない毒性を示す既存の治療群及び/又はコホートを閉じるため、又は患者集団(例えば、以前の抗がん治療又はバイオマーカーの状態に関して)を変更するための柔軟性を備えて設計される。
【0915】
全ての一般的適格基準及びそれぞれのコホート特異的基準を満たす患者は、それらの遺伝子変化又はそれぞれのバイオマーカーに基づいて適切な治療に割り当てられる。
【0916】
MSI-Hコホートは、患者を無作為化してアテゾリズマブ、チラゴルマブ及びベバシズマブ(Atezo+Tira+Bev)又はアテゾリズマブ及びチラゴルマブ(Atezo+Tira)のいずれかを受ける無作為化非盲検試験デザインを使用する。MSI-Hコホートへの登録は、選択基準に記載されている検証済みのNGS、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR-)、又は免疫組織化学(IHC-)ベースのアッセイの以前の結果によるMSI-Hの確認された存在に基づく。あるいは、バイオマーカー適格性試験又はスクリーニング中に、Foundation Medicine,Inc.(FMI)によって提供される中央FOUNDATIONONE(登録商標)Liquid CDx試験に基づいて患者をコホートに登録することができる。
【0917】
アームの研究設計の概要を
図8A及び
図8Bに示す。MSI-Hコホートの具体的な目的及び対応する評価項目を以下に概説する(表25参照)。
表25.目的及び評価項目:MSI-Hコホートのアテゾリズマブ+チラゴルマブ+ベバシズマブ及びアテゾリズマブ+チラゴルマブ治療群
ADA=抗薬剤抗体;ASTCT=米国移植細胞療法学会;CRC=結腸直腸がん;CRS=サイトカイン放出症候群;DCR=疾患制御率;DOR=応答持続時間;MSI-H=高頻度マイクロサテライト不安定性;NCI CTCAE v5.0=国立がん研究所有害事象共通用語規準、バージョン5.0;ORR=客観的奏効率;OS=全生存期間;PFS=無増悪生存期間;PK=薬物動態;RECIST v1.1=固形腫瘍における応答評価基準、バージョン1.1。
【0918】
この研究は、コホート特異的な選択基準及び除外基準を有する。患者を、関連するがん遺伝子型に基づいてコホートに割り当て、特に明記しない限り、治験責任医師がResponse Evaluation Criteria in Solid Tumors,Version 1.1(RECIST v1.1;Eisenhauer et al.Eur J Cancer.45:228-247,2009)を用いて評価した疾患進行;臨床的利益の損失;許容できない毒性;中止するという患者又は医師の決定;又は死亡のいずれかが最初に起こるまで継続する。
【0919】
試験治療の中止後、最終試験治療後(30日間のフォローアップ訪問を含む30日間の安全性フォローアップ)又は別の抗がん療法の開始までのいずれか早い方の30日間、患者を安全性評価のために追跡する。
【0920】
生存及びその後の抗がん療法を含む追跡データの取得は、死亡、追跡不能、同意の撤回、又は試験若しくは治療群及び/若しくはコホートの閉鎖のいずれかが最初に起こるまで、各患者について継続する。その後の治療の性質及び期間に関する情報を収集する。
【0921】
事前の同意の後、疾患の進行、臨床的利益の喪失又は毒性のために試験治療を中止した患者は、スクリーニングに再参加することができ、INTRINSICの異なるコホートでの治療に適格となり得る。このシナリオでは、新しい抗がん療法を開始する前の治療中止来院中に得られた血液試料に対する血液ベースのFOUNDATIONONE(登録商標)Liquid CDx分析によって決定されるように、コホート特異的定義ごとにバイオマーカー陽性であり、登録のために現在開いている異なるコホートの全ての適格基準を満たし、満たし続けている患者は、事前のコホート特異的インフォームドコンセントの後に再登録することができる。コホート特異的制限が依然として適用される。
【0922】
異なるコホートへの再登録のために、INTRINSIC患者は、以前の治療レジメンの十分なウォッシュアウトを確実にしながら、可能な限り早く新しい試験治療を開始することができる。
【0923】
この研究の包括的な構造は、様々な同定された体細胞変異又は他のバイオマーカーのための新しい個別化された治療が利用可能になるにつれて、将来のプロトコール補正を介して新しい治療群及び/又はコホートの追加を可能にする。任意の追加の治療群及び/又はコホートは、総試料サイズ及びスクリーニングされた患者の数を増加させる。
【0924】
B.試験の終了及び試験の期間
この試験の最後は、最後の患者、最後の来院(LPLV)又は最後の治療群の最後のデータ点の収集のための評価が行われた日付として定義される。治療群及び/又はコホートのいずれも、全ての事前定義された治療、フォローアップ、及びデータ収集がその治療群について完了したときに、試験全体の終了前に終了することができる。更に、スポンサーは、治療群、コホート又は試験をいつでも終了することを決定し得る。
【0925】
この治験の長期的性質に基づいて、生存追跡来院を含む、試験に登録した最初の患者から試験終了までのこの試験の予測期間は、現在の治療群では約36ヶ月であると予想される。しかしながら、このプロトコールの包括的なプラットフォームの性質は、プロトコール補正によって追加された追加の治療群及び/又はコホートの目的を満たすために、この研究の全体的な期間の延長を提供し、したがってLPLVの仮定及び予測を変更することができる。
【0926】
C.試験計画の理論的根拠
MSI-H転移性CRC患者集団の理論的根拠
機能不全又はミスマッチ修復の欠如(MMR)タンパク質は、DNA複製中に一次単一ヌクレオチド挿入又は欠失エラーを適切に修正することができない(Chung and Rustgi.Gastroenterology.109:1685-1699,1995)。DNA複製中のこれらの補正事象は、反復塩基対を含むDNA領域で起こることが多く、そうでなければマイクロサテライトとして知られる。これらのMMR欠損腫瘍が修復できないDNA領域を有する場合、エラーは、腫瘍及び生殖系列配列に存在するマイクロサテライトの長さの変動を引き起こし、これはMSI-Hと呼ばれる。MMR欠損症は、散発的に、又はいくつかのMMR遺伝子のうちの1つにおける生殖系列変異の結果として、すなわち、Lynch症候群として知られる状態として起こり得る。MSI-H CRCは、MLH1のプロモーター領域の高メチル化などの散発的な機序によっても起こり得、これはその遺伝子産物のエピジェネティックなサイレンシングをもたらす。
【0927】
歴史的に、MSI-Hの状態は、高度な設定において主に予後に影響を及ぼしてきた。しかしながら、最近の発見は、PD-L1/PD-1経路などの免疫チェックポイントを標的とすることが、MSI-H CRCにおいて有意かつ永続的な応答を提供し、生存を改善することを示している。ペンブロリズマブは、MSI-H転移性CRCのための最初の米国食品医薬品局(FDA)承認された免疫チェックポイント阻害剤であった。この患者集団におけるペンブロリズマブの有効性を実証するための最初の研究はKEYNOTE-016研究であり、これはMSI-H進行がんを有する患者を治療し、腫瘍型全体で50%を超える奏効率を示し、2016年12月の最初のデータカットオフ日にはPFS及びOSの中央値に到達しなかった(Le et al.Science.357:409-413,2017)。KEYNOTE-028研究などの一連の他のマルチコホート治験からのMSI-H CRCを有する患者のプール分析は、この患者集団において抗腫瘍活性を実証し、化学療法難治性の状況でペンブロリズマブのFDA承認をもたらした(Marcus et al.Clin Cancer Res.25:3753-3758,2019)。
【0928】
MSI-H転移性CRCを有する患者の治療における前述の成功にもかかわらず、患者の大部分は現在承認されている免疫療法から利益を得ておらず、治療に最初に応答する一部の患者は、後に治療に対する二次耐性を発症する。今日まで、標準的なチェックポイント阻害剤に基づく治療に対して難治性であるMSI-H転移性CRCを有する患者のために開発された新規で有効な治療法はまだない。研究のMSI-Hコホートにおける併用療法は、ベバシズマブを伴う又は伴わないアテゾリズマブ及びチラゴルマブが、標準的な免疫チェックポイント阻害剤に対して難治性であるMSI-H転移性CRCを有する患者にとって有益であり得るかどうかを評価する。
【0929】
抗PD-L1、抗TIGIT及び抗VEGFとの併用治療の根拠
抗PD-L1/PD-1療法に対する耐性の機構を標的とする治療は、これらの治療に難治性の患者の転帰を改善するために必要である。強力な科学的根拠及び新たな臨床データは、PD-L1、VEGF及びTIGITの併用阻害がいくつかの腫瘍型において臨床的に有益であり得ることを示唆している。
【0930】
PD-L1/PD-1遮断に対する耐性は、エフェクターT細胞の表面上の複数の共阻害受容体の発現をもたらし得る。非臨床腫瘍モデルは、TIGITが慢性的に刺激されたCD8+T細胞のエフェクター機能を選択的に抑制すること、及びTIGITとPD-L1/PD-1の両方を阻害することが、単一薬剤治療と比較して優れた有効性をもたらすことを示している(Johnston et al.Cancer Cell.26:923-937,2014)。PD-1及びTIGITを含むより高レベルのいくつかの共阻害受容体もまた、進行したCRCを有する患者由来の腫瘍組織において観察されている(Saleh et al.Cancer Immunol Immunother.69:1989-1999,2020)。したがって、TIGIT及びPD-L1をそれぞれチラゴルマブ及びアテゾリズマブで標的化することにより、MSI-H CRCを含む様々ながん型にわたるPD-L1/PD-1遮断の有効性を高めることができる。
【0931】
抗VEGF剤は、腫瘍血管系の正常化を促進し、それによって治療剤のアクセスを増加させる(Jain.Nat Med.7:987-989,2001)。更に、ベバシズマブは、DCの抗原提示能力を回復及び/又は維持することができ、腫瘍におけるT細胞浸潤の増強をもたらす(Oelkrug and Ramage.Clin Exp Immunol.178:1-8,2014;Wallin et al.Nat Commun.7:12624,2016)。抗VEGF-Aの投与は、腫瘍内皮FasL発現を減弱させ、腫瘍拒絶性CD8+T細胞の流入を有意に増加させ、腫瘍増殖抑制をもたらすことが示されている(Motz et al.Nat Med.20:607-615,2014)。抗VEGF療法はまた、骨髄由来サプレッサー細胞の頻度を低下させ、抑制性サイトカインの産生を減少させ、腫瘍におけるCD8+T細胞上の阻害性チェックポイントの発現を低下させることができる(Roland et al.PloS One.4:e7669,2009;Voron et al.J Exp Med.212:139-148,2015)。
【0932】
ベバシズマブの免疫調節効果は、CD8+T細胞動員を増加させ、腫瘍内免疫抑制を軽減し、それによって免疫療法の効果を増強すると予想される。更に、VEGFは、典型的には創傷治癒に関与するM2分極状態を有するマクロファージを腫瘍微小環境に動員する。これらのM2腫瘍関連マクロファージは、最終的に免疫抑制性微小環境の確立及び維持に役立つ(Chen and Mellman.Immunity.39:1-10,2013)。実際、臨床データは、アテゾリズマブ治療の文脈内で抗血管新生及び免疫調節の有益な効果を実証した。アテゾリズマブ及びベバシズマブによる併用治療の活性は、NSCLC、RCC及びHCCを有する患者における複数の大規模無作為化第III相臨床試験で実証されている。
【0933】
上記のデータに基づいて、アテゾリズマブ、ベバシズマブ、及びチラゴルマブとの併用治療は、抗腫瘍免疫応答を増強し、チェックポイント阻害剤難治性MSI-H CRC患者において改善されたより永続的な臨床的利益をもたらし得ると仮定される。
【0934】
D.選択基準
登録に適格とするためには、患者は以下の一般的な選択基準を満たさなければならない。MSI-Hコホートに登録するためには、患者は、以下に概説する治療群特異的基準に加えて、全ての一般的な選択基準を満たし、満たし続けなければならない。
【0935】
一般的な選択基準
バイオマーカー適格性試験の選択基準
患者は、バイオマーカー適格性試験のための以下の基準の全てを満たさなければならない:
・署名付きNGSバイオマーカー適格性インフォームドコンセント用紙。
・署名時年齢18歳以上
・スクリーニング基準を満たさない以前の試験結果(利用可能な場合)の完全な報告(バイオマーカーの適格性試験及びスクリーニングのセクションを参照)。スクリーニング基準を満たす陽性バイオマーカー状態検査結果を有する患者は、直接スクリーニングに入ることができる。
【0936】
スクリーニングのための選択基準
患者は、試験への参加のために以下の基準の全てを満たさなければならない:
・以下に基づく検証された試験を使用して、米国病理学会/臨床検査改善法認定又は同等に認定された診断研究所で決定されたバイオマーカー適格性(MSI-Hコホート定義による):
- 以前の試験結果及び試験結果の全報告書の入手可能性(下記のMSI-Hコホートの追加の選択基準を参照のこと)。
又は
- 血液ベースのFOUNDATIONONE(登録商標)液体CDxバイオマーカー適格性試験結果は、スクリーニングの前若しくはスクリーニング中に、又は治療中止後の再登録の場合、新しい抗がん療法を開始する前に生成された。
・署名時年齢18歳以上
・ECOGパフォーマンスステータス≦1。
・治験責任医師が決定した平均余命≧3ヶ月
・結腸又は直腸に由来する組織学的に確認された腺癌。
・転移性疾患(第IV期米国がん合同委員会、バージョン7)。
・治験責任医師の判断による、治験プロトコールを遵守する能力
RECIST v1.1による測定可能な疾患(少なくとも1つの標的病変)以前に放射線照射された病変は、放射線照射後にその部位で進行性疾患が明確に実証されている場合にのみ、測定可能な疾患とみなすことができる。
・以下によって定義される、試験治療の開始前14日以内の十分な血液学的及び臓器機能:顆粒球コロニー刺激因子なしでの絶対好中球数(ANC)≧1500/μL;白血球(WBC)数≧2.5×109/L(2500/μL);リンパ球数≧0.5×109/L(500個/μL);血小板数≧100,000/μL;ヘモグロビン≧9g/dL(患者は、この基準を満たすためにスクリーニング前2週間以内に輸血されていてはならない);総ビリルビン≦1.5×正常値上限(ULN)(ギルバート症候群の場合は≦3×ULN);血清アルブミン≧2.8g/dL又は28g/L;AST及びALT≦2.5×ULN(肝転移が実証された患者はAST及び/又はALT≦5.0×ULNを有し得る);ALP≦2.5×ULN(実証された肝臓又は骨転移を有する患者は、ALP≦5.0×ULNを有し得る);クレアチニンクリアランス≧50mL/分(Cockcroft-Gault式を使用して計算)又はクレアチニン≦1.5×ULN。
・治療的抗凝固療法を受けていない患者について:INR≦1.5×ULNかつ活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)≦1.5×ULN
・治療的抗凝固薬を投与されている患者:安定抗凝固薬レジメン
・妊娠の可能性のある女性の場合:禁欲(異性間の性交を控える)か、又はそれぞれの付録に概説されている避妊手段を使用することの同意
・男性の場合:それぞれの付録に概説されているように、禁欲(異性間の性交を控えること)又は避妊手段を使用することの同意、及び精子の提供を控えることの同意
【0937】
MSI-Hコホートの追加の選択基準
上記の選択基準に加えて、患者は、MSI-Hコホート(すなわち、Atezo+Tira+Bev及びAtezo+Tira治療群)への参加について以下に列挙する追加の選択基準を満たさなければならない。
・検証された次世代配列決定-(NGS-)、PCR-、又は免疫組織化学-(IHC-)に基づくアッセイの以前の結果によって決定されるバイオマーカーの適格性。
-患者は、バイオマーカー適格性試験又はスクリーニング中にFoundation Medicineによって提供される中央FOUNDATIONONE(登録商標)Liquid CDx試験に基づいて登録することができる。
・治療群固有の定義によるバイオマーカーの適格性(以下の追加の除外基準セクションと併せて読むこと):
-MSI-H又は高MSI指定(マイクロサテライト安定性ではない)
・事前のチェックポイント阻害剤に基づく治療での疾患進行
-以前の治療レジメンの数に制限はない。
・スクリーニング時のB型肝炎表面抗原(HBsAg)陰性;
・スクリーニング時のB型肝炎表面抗体(HBsAb)試験陽性、又は以下のいずれかを伴うスクリーニング時のHBsAb陰性:全B型肝炎コア抗体(HBcAb)陰性、又は全HBcAb試験陽性、引き続いてB型肝炎ウイルス(HBV)定量的DNA<500IU/mL。
・スクリーニング時にC型肝炎ウイルス(HCV)抗体検査陰性、又はスクリーニング時にHCV抗体検査陽性後、HCV RNA検査陰性
・妊娠の可能性のある女性の場合:禁欲(異性間の性交を控える)又は避妊を使用することの合意。
・男性の場合:禁欲(異性との性交を控える)又はコンドームの使用の同意、及び精子の提供を控える旨の同意
【0938】
E.除外基準
一般的な除外基準
以下の基準のいずれかを満たす患者は、任意のコホートにおける研究登録から除外される。
・別の介入的臨床治験への現在の参加又は登録。
・試験治療の開始前2週間以内又は5半減期(いずれか短い方)以内の任意の全身性抗がん治療。
・試験治療の開始前28日以内の治験療法による治療。注:試験治療の中止後に異なるコホートに再登録する場合、新しい試験治療(すなわち、サイクル1の1日目)の開始時点は、前の試験治療の最終用量から28日より早くなり得る。
・妊娠中若しくは授乳中、又は研究中に妊娠することを意図している。
・治験責任医師の判断で、患者の研究への安全な参加及び研究の完了を妨げる、又は研究からのデータを解釈する能力を混乱させる、重篤な医学的状態又は臨床検査の異常の病歴又は同時発生。
・試験治療の開始前4週間以内の重度の感染症(感染症、菌血症、又は重度の肺炎の合併症のための入院が含まれるが、これらに限定されない)、又は治験責任医師の見解では患者の安全性に影響を及ぼし得る任意の活動性感染症。
・研究治療の安全性又は有効性の決定に干渉する研究治療の開始前の任意の手術からの不完全な回復。
・制御されない胸水、心内膜液滲出、又は反復性の排液治療を必要とする腹水(毎月1回又はより頻繁に)留置カテーテル(例えば、PLEURX(登録商標))の使用が許容される。
・制御されない腫瘍関連疼痛
-鎮痛剤を必要とする患者は、試験開始時に安定したレジメンを受けていなければならない。緩和的放射線治療に適した症候性病変(例えば、神経インピンジメントを引き起こす骨転移又は転移)は、登録前に治療しなければならない。患者は放射線の影響から回復している必要がある。必要な最小回復期間は定められていない。更なる成長を伴う機能障害又は難治性疼痛を引き起こす可能性が高い無症候性転移病変(例えば、脊髄の圧迫に現在関連していない硬膜外転移)は、適切な場合、登録前に局所領域療法について評価されるべきである。
・制御されていない又は症候性の高カルシウム血症(イオン化カルシウム>1.5mmol/L、カルシウム>12mg/dL又は補正血清カルシウム>ULN)。
・ウイルス性又は他の肝炎、現在のアルコール乱用、又は肝硬変を含む、臨床的に重要で活動性の肝疾患。
・既知のHIV感染症;
・症候性、未治療又は活発に進行する中枢神経系転移
-治療された中枢神経系転移の病歴を有する患者は、以下の基準の全てが満たされるならば適格である:RECIST v1.1による測定可能な疾患は、中枢神経系外に存在しなければならない;患者に頭蓋内出血又は脊髄出血の病歴がない;転移は小脳又はテント上領域(すなわち、中脳、橋、延髄、又は脊髄への転移がない)に限定される;中枢神経系向け治療の完了とスクリーニング脳スキャンとの間の暫定的な進行の証拠はない;患者は、試験治療の開始前7日以内に定位放射線治療を受けておらず、又は試験治療の開始前14日以内に全脳放射線治療を受けていない;患者は、中枢神経系疾患の治療としてコルチコステロイドを継続的に必要としていない;患者が抗痙攣療法を受けている場合、用量は安定であると考えられる;スクリーニング時に新たに検出された中枢神経系転移を有する無症候性患者は、放射線治療又は手術を受けた後に研究に適格であり、スクリーニング脳スキャンを繰り返す必要はない。
・軟髄膜疾患又は癌性髄膜炎の病歴。
適切に治療された子宮頸部上皮内がん腫、非黒色腫皮膚がん腫、限局性前立腺癌、上皮内乳管がん腫、又はステージI子宮がん等、転移又は死亡のリスクが無視できる(例えば、5年OS率>90%)悪性腫瘍を除いて、スクリーニング前2年以内のCRC以外の悪性腫瘍の病歴。
【0939】
MSI-Hコホートに対する追加の除外基準
以下に列挙する追加の除外基準のいずれかを満たす患者は、Atezo+Tira+Bev及びAtezo+Tira治療群への参加から除外される。
・炎症性腸疾患の病歴又は活動性炎症性腸疾患(例えば、クローン病又は潰瘍性大腸炎)。
・活動性腸炎症(憩室炎を含む)。
・試験治療の開始前6ヶ月以内の腹部瘻、胃腸(GI)穿孔、腹腔内膿瘍、又は活動性GI出血の病歴。
・GI閉塞の臨床徴候又は症状、又は常套的な非経口的水分補給、非経口栄養、又は経管栄養の必要性。
・穿刺又は最近の外科手技によって説明されない腹部遊離空気の証拠
・ディップスティック尿検査で2+以上のタンパク質及び24時間の尿収集で1.0g以上のタンパク質によって実証されるグレード2以上のタンパク質尿。
・以下を含む、臨床的に有意な心血管機能障害の既往歴又は活動性の心血管機能障害:試験治療の初回投与前6ヶ月以内の脳卒中又は一過性の虚血発作の既往歴;試験治療の最初の投与前6ヶ月以内の心筋梗塞の病歴;ニューヨーク心臓病学会クラスIII又はIVの心疾患;制御されない不整脈、投薬を必要とする心室性不整脈の既往歴又は活動性不整脈;症候性又は不安定狭心症である冠動脈心疾患。
・10mg/日以上のプレドニゾン又は慢性疾患のための等価用量の他の抗炎症性コルチコステロイド若しくは免疫抑制薬の慢性コルチコステロイド療法。
・アテゾリズマブ、チラゴルマブ又はベバシズマブ製剤の成分に対するアレルギー又は過敏症。
・研究治療の開始前4週間以内の生弱毒化ワクチンによる治療、又はアテゾリズマブ及びチラゴルマブ治療中の生弱毒化ワクチンの必要性の予測、アテゾリズマブの最終投与後5ヶ月以内、又はチラゴルマブの最終投与後90日以内。
・抗TIGIT剤による前治療。
・スクリーニング時の活動性エプスタイン・バーウイルス(EBV)感染及び既知又は疑われる慢性活動性EBV感染
・サイクル1の1日目の前の28日間以内の主要な外科手技、又は重大な外傷性損傷、又は試験治療の過程での主要な手術の必要性の予想。
・試験治療の最初の投与前7日以内の、血管アクセスデバイスの配置を除く軽微な外科手技。
・試験治療の開始前3日以内の、血管アクセスデバイスの配置を除くコア生検又は他の軽微な外科手技。患者は、適切な創傷治癒を含む任意の従前の手術から十分に回復していなければならない。
・重篤な非治癒性創傷、活動性潰瘍、又は未治療の骨折
・症候性、未治療又は活発に進行する中枢神経系転移
-治療された中枢神経系病変を有する無症候性患者は、以下の基準の全てが満たされるならば適格である:RECIST v1.1による測定可能な疾患は、中枢神経系外に存在しなければならない;患者に頭蓋内出血又は脊髄出血の病歴がない;患者は、試験治療の開始前7日以内に定位放射線治療、試験治療の開始前14日以内に全脳放射線治療、又は試験治療の開始前28日以内に神経外科的切除を受けていない;中枢神経系疾患の治療法としてのコルチコステロイドに対する継続的な必要性がない(安定な用量での抗痙攣療法が許容される);中枢神経系向け治療の完了と試験治療の開始との間の中間進行の証拠はない。スクリーニング時に新たに検出されたCNS転移を有する無症候性患者は、放射線療法又は手術を受けた後に試験に適格であり、スクリーニング脳スキャンを繰り返す必要はない。
・事前の同種異系幹細胞移植又は固形臓器移植。
・制御不十分な高血圧症(収縮期血圧>150mmHg及び/又は拡張期血圧>100mmHgとして定義され、2セッション以上での平均3回以上の血圧測定値に基づく。これらのパラメータを達成するための降圧療法が許容される。
・高血圧性クリーゼ又は高血圧性脳症の病歴
・試験治療開始前6ヶ月以内の有意な血管疾患(例えば、外科的修復を必要とする大動脈瘤又は最近の動脈血栓症)
・グレード4の静脈血栓塞栓症の病歴。
・スクリーニング前1ヶ月以内のグレード2以上の喀血(エピソードあたり2.5mL以上の鮮赤血として定義される)の病歴。
・遺伝性出血素因又は出血のリスクがある有意な凝固障害の病歴又は証拠(すなわち、治療的抗凝固療法の非存在下で)。
・アスピリン(>325mg/日)又はクロピドグレル(>75mg/日)の現在又は最近(試験治療開始前10日未満)の使用。注:治療目的のための全用量経口又は非経口抗凝固薬の使用は、試験治療の開始前7日以内に(施設の基準に従って)INR及びaPTTが治療限界内にあり、患者が試験治療の開始前に2週間以上安定した用量の抗凝固薬を服用している限り許可される。抗凝固剤の予防的使用が許容される。
【0940】
F.バイオマーカーの適格性試験及びスクリーニング
この研究は、以前の既知の陽性バイオマーカー結果を有する患者を登録しようとするものである。患者が直接スクリーニングに入るためには、以下の基準を満たさなければならない:
・同意患者は、登録のために現在開いているコホートのコホート特異的定義に従ってバイオマーカー陽性でなければならない。
・以前の陽性バイオマーカーの結果は、選択基準(スクリーニングのための選択基準のセクションを参照)に記載されているような検証された試験に基づいていなければならず、試験結果の完全な報告が利用可能でなければならない。
・以前のバイオマーカー結果は、アッセイの種類及びアッセイの時点についてのコホート特異的バイオマーカー適格性基準を満たさなければならない(表26参照)。
・同意患者は、FOUNDATIONONE(登録商標)Liquid CDx試験による遡及的バイオマーカー確認のために、サイクル1の1日目に投与前の血液試料を提供することに同意しなければならない。
・不一致の結果の場合、患者の治療は影響を受けない。しかしながら、スポンサーは、有効性評価可能な患者に必要な試料サイズを達成するために患者を置き換えることを決定し得る。関連する(不一致)患者データは、有効性分析から除外されるが、安全性分析に含まれる(以下の分析セクションを参照)。
表26.事前バイオマーカー試験のためのMSI-Hコホートバイオマーカー適格性基準
Atezo=アテゾリズマブ;Bev=ベバシズマブ;IHC=免疫組織化学;MSI-H=高頻度マイクロサテライト不安定性;NGS=次世代シーケンシング;Tira=チラゴルマブ。
注:陽性バイオマーカーの結果は、選択基準(スクリーニングのための選択基準のセクションを参照)に記載されているような検証された試験に基づいていなければならない。
a転移性CRCを有する患者におけるMSI-Hの有病率は4%~12%である(Source:Foundation Medicine,Inc.FOUNDATIONCORE(登録商標)Database,Version November 2020.www.foundationmedicine.com/insights-and-trials/foundation-insightsから入手可能)。
【0941】
上記のスクリーニング基準を満たさない同意患者は、FOUNDATIONONE(登録商標)Liquid CDxを使用して中央バイオマーカー適格性試験を受けることができる。これは、以下の条件下でのみ許容される。
・以前のバイオマーカー検査結果は、表26に概説されている要件を満たさないが、以下のうちの1つ以上のために、患者がバイオマーカー陽性である十分な信頼性がある。
-位置決め又は検証することができない既知の以前の陽性バイオマーカー結果がある。
-既知の以前の陽性バイオマーカー結果があるが、アッセイ時点のバイオマーカー適格性基準は以前の試験によって満たされていない。
-以前の陽性バイオマーカーの結果は、選択基準(バイオマーカー適格性試験のための選択基準のセクションを参照のこと)に記載されているように検証されていないとみなされるか、又はアッセイの種類の基準を満たさない試験に基づく。
-コホート特異的定義を完全に満たさない部分的に陽性のバイオマーカープロファイルがある。
・参加が過度に遅い場合、スポンサーによって同定されたように、バイオマーカーの適格性試験を、バイオマーカーの状態が知られていない同意患者に対して行うこともできる。
・中央バイオマーカー適格性試験を受ける全ての患者は、スクリーニングに入る前に陽性のFOUNDATIONONE(登録商標)液体CDxバイオマーカー結果を必要とする。治験責任医師の裁量により、合理化されたプロセスが必要な場合、患者はスクリーニングに入り、FOUNDATIONONE(登録商標)Liquid CDxバイオマーカー適格性試験結果を待つ間に他のスクリーニング評価を受けることができる。
【0942】
G.試験治療
アテゾリズマブ+チラゴルマブ+ベバシズマブ(Atezo+Tira+Bev)及びアテゾリズマブ+チラゴルマブ(Atezo+Tira)治療群の患者は、明確な疾患進行、許容できない毒性、患者又は医師の決定、又は研究/治療群の終了まで、それぞれ表27及び28に概説される治療を受ける。治療は、アーム登録後7日以内に開始することが推奨される。しかし、試験治療の最初の用量は、コア生検又は他の外科手技後3日以内に行われるべきではない。
【0943】
アテゾリズマブは1200mg Q3Wの固定用量(21日間の各サイクルの1日目に1200mg)で投与され、チラゴルマブは600mg Q3Wの固定用量(21日間の各サイクルの1日目に600mg)で投与される。ベバシズマブを有するトリプレットに無作為化された患者に対して、ベバシズマブは15mg/kg Q3Wの用量で投与される(各21日間サイクルの1日目に15mg/kg)。
表27.Atezo+Tira+Bev治療群の治療レジメン
Atezo=アテゾリズマブ;Bev=ベバシズマブ;Tira=チラゴルマブ。
表28.Atezo+Tira治療群の治療レジメン
Atezo=アテゾリズマブ;Tira=チラゴルマブ。
【0944】
アテゾリズマブ投与
アテゾリズマブは、各21日間サイクルの1日目に1200mgの固定用量でIV注入によって投与される。アテゾリズマブの投与は、訓練された人員並びに潜在的に重篤な反応を管理するための適切な機器及び薬剤に直ちにアクセスできるモニターされた設定で行われる。アテゾリズマブ点滴は、表29に概説される指示に従って投与される。
【0945】
アテゾリズマブの用量変更は許可されない。
表29.1回目及びその後のアテゾリズマブ注入の投与
IRR=点滴関連反応
【0946】
ベバシズマブ投与
ベバシズマブは、Atezo+Tira+Bev治療群の患者に対して21日間の各サイクルの1日目にIV点滴によって15mg/kg体重Q3Wの用量で投与される。各サイクルの1日目に、ベバシズマブはアテゾリズマブ点滴の完了の少なくとも5分後に投与される。ベースライン時の体重を使用して、ベバシズマブの必要用量を計算すべきである。ベースラインから10%を超える重量変化が観察された場合、治療投与量はそれに応じて変更されるべきである(すなわち、これが線量計算の新しい重みになる)。投与の実用的な容易さを可能にするために、用量の切り上げ又は切り捨てが許容される。用量の丸めは任意であり、治療医がベバシズマブの総用量を丸めることを決定した場合、それは最も近い5mgに丸めるべきである。
【0947】
ベバシズマブの投与は、訓練された人員並びに潜在的に重篤な反応を管理するための適切な機器及び薬剤に直ちにアクセスできる監視された設定で行われる。ベバシズマブは、表30に概説される説明書に従って投与される。
【0948】
ベバシズマブの用量変更は許容されない(ベースラインから10%を超える重量変化が認められた場合に用量を再計算することを除く)。
表30.初回及びその後のベバシズマブ点滴の投与
IRR=点滴関連反応
【0949】
チラゴルマブ投与
チラゴルマブは、表31に記載のように、各21日間サイクルの1日目に600mgの固定用量でIV点滴によって投与され、点滴後観察期間を有する。
【0950】
Atezo+Tira+Bev治療群の患者については、サイクル1の1日目に、ベバシズマブ点滴の完了の60分後にチラゴルマブを投与する。その後の点滴間の間隔は、以前のベバシズマブ点滴が前投薬なしで投与され、IRRなしで許容された場合は30分、又は患者が以前のベバシズマブ点滴でIRRを経験した場合は60分である。
【0951】
Atezo+Tira治療群の患者については、サイクル1の1日目に、アテゾリズマブ点滴の完了の60分後にチラゴルマブを投与する。その後の点滴間の間隔は、以前のアテゾリズマブ点滴が前投薬なしで投与され、IRRなしで許容された場合は30分、又は患者が以前のアテゾリズマブ点滴でIRRを経験した場合は60分である。
【0952】
チラゴルマブの投与は、訓練された人員並びに潜在的に重篤な反応を管理するための適切な機器及び薬剤に直ちにアクセスできる監視された設定で行われる。
【0953】
チラゴルマブの用量変更は許容されない。
表31.初回及びその後のチラゴルマブ注入の投与
IRR=点滴関連反応
【0954】
治療の中断
試験治療に関連すると考えられる毒性を経験している患者では、アテゾリズマブ及び/又はチラゴルマブ治療を一時的に中断することができる。コルチコステロイドが毒性の治療のために開始される場合、それらは、アテゾリズマブ及びチラゴルマブが再開され得る前に、1ヶ月以上10mg/日以下の経口プレドニゾン又は同等物まで漸減されなければならない。しかしながら、患者が治療を再開する前にコルチコステロイドを漸減させることを可能にするために、薬物を>12週間にわたって保留してもよい。患者が臨床的利益を得る可能性がある場合、アテゾリズマブ又はチラゴルマブを12週間超にわたって保留した後に再開することができる。患者にアテゾリズマブ及びチラゴルマブを再チャレンジする決定は、治験責任医師によるベネフィット-リスクの評価に基づくべきであり、治験責任医師によって文書化されるべきである。
【0955】
作用機序の利用可能な特性評価に基づいて、チラゴルマブは、アテゾリズマブと類似しているが独立した有害事象を引き起こす可能性がある。チラゴルマブはまた、アテゾリズマブ関連有害事象の頻度又は重症度を悪化させ得るか、又はアテゾリズマブと重複しない毒性を有し得る。これらのシナリオは臨床現場では互いに区別できない可能性があるため、免疫介在性有害事象は一般に両方の薬剤に起因するはずであり、免疫介在性有害事象に応答した投薬中断又は治療中止は、チラゴルマブとアテゾリズマブの両方に適用しなければならない。
【0956】
ベバシズマブ治療は、研究治療に関連すると考えられる毒性を経験している患者において一時的に中断され得る。ベバシズマブが42日超にわたって保留される場合、患者はベバシズマブを中止される。ベバシズマブは、患者が臨床的利益を得る可能性がある場合、42日超にわたって保留した後に再開することができる。患者にベバシズマブを再投与する決定は、治験責任医師によるベネフィット-リスクの評価に基づき、治験責任医師によって文書化されるべきである。
【0957】
アテゾリズマブ、チラゴルマブ及びベバシズマブの治療は、毒性以外の理由(例えば、外科手技)のために中断され得る。治療中断の許容可能な長さは、治験責任医師によるベネフィット-リスクの評価に基づき、治療期間中のプロトコール要件と合致し、治験責任医師によって文書化されなければならない。
【0958】
アテゾリズマブ、ベバシズマブ、又はチラゴルマブが中止され、他の薬物を継続することに対する明確な禁忌がない場合、他の薬物は、医学的判断に従って治験責任医師によって決定されるように、患者が臨床的利益を得る可能性がある場合に継続することができる。
【0959】
疾患進行を超える試験治療の投与
免疫療法を含む治療群の患者は、以下のように定義される許容できない毒性又は臨床的利益の喪失まで治療される。
1.RECIST v1.1による放射線学的進行の発見後の腫瘍評価における確認された疾患進行;又は
2.放射線学的及び生化学的データ、局所生検結果(利用可能な場合)、及び臨床状態(例えば、疾患に続発する疼痛などの症候性の悪化)の統合評価後に治験責任医師が決定した継続的利益の欠如。
【0960】
がん免疫療法(CIT)(アテゾリズマブ等)によるT細胞応答(偽進行と呼ばれる)の状況では、免疫細胞浸潤によって引き起こされる腫瘍負荷の初期増加の可能性のために、RECIST v1.1による放射線学的進行は、真の疾患進行を示さない可能性がある。RECIST v1.1による疾患進行の基準を満たす最初の腫瘍評価の後、CIT薬物による治療を受けている患者は、以下の基準の全てを満たす場合、試験治療を継続することが許可される。
・全ての利用可能なデータの再検討後に治験責任医師によって決定される臨床的利益の証拠。
・疾患の明確な進行を示す症状及び徴候(検査値、例えば、新たな又は悪化する高カルシウム血症を含む)がないこと
・疾患進行に起因し得るEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)のパフォーマンスステータスの低下がないこと。
・プロトコールで許可された医療介入では管理できない重要な解剖学的部位(例えば、軟膜疾患)での腫瘍進行がないこと。
【0961】
H.併用療法
併用療法は、試験治療の開始の7日前から治療中止の来院までのプロトコールに定められた研究治療に加えて、患者によって使用される任意の医薬(例えば、処方薬、市販薬、ワクチン、ハーブ療法又はホメオパシー療法、栄養補助食品)からなる。
【0962】
患者が点滴関連反応を経験する場合、治験責任医師の裁量で、抗ヒスタミン薬、解熱薬、及び/又は鎮痛剤による前投薬をその後の点滴の前に投与することができる。
【0963】
一般に、治験責任医師は、臨床上適応がある場合、現地の標準診療に従って、注意療法又は禁止療法として定義されるもの以外の支持療法で患者のケア(既存の症状を含む)を管理すべきである。点滴に関連する症状を経験する患者は、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ジフェンヒドラミン、及び/又はH2受容体アンタゴニスト(例えば、ファモチジン、シメチジン)、又は現地の標準的慣行による同等の薬物で対症療法で治療することができる。呼吸困難、低血圧症、喘鳴、気管支痙攣、頻脈、酸素飽和度低下、又は呼吸促拍によって現れる重度の注入関連事象は、臨床的に示される支持療法(例えば、酸素補充及びβ2アドレナリン作用性アゴニスト)によって管理されなければならない。
【0964】
許可された治療
患者は、試験中に以下の治療法を使用することが許される。
・失敗率が年間1%未満の経口避妊薬
・ホルモン補充療法
・Atezo+Tira治療群の患者について:予防的又は治療的抗凝固療法(安定用量のワルファリン又は低分子量ヘパリン(LMWH)など)。
・Atezo+Tira+Bev治療群の患者:低用量抗凝固療法、未分画ヘパリン、又はLMWHの予防的使用のみ。抗凝固剤の予防的使用のための標識推奨用量の遵守が必要である。抗凝固治療のための好ましい選択は、米国臨床腫瘍学会(ASCO)ガイドライン(Key et al.J Clin Oncol.38:496-520,2020)によるLMWHであるべきである。
・ワクチン接種(インフルエンザ、COVID-19など)。生弱毒化ワクチンは許容されない。
・Atezo+Tira+Bev治療群の患者:低用量アスピリン(<325mg/日)。プロトンポンプ阻害剤の同時投与は、潜在的なGI損傷を軽減するために強く推奨される。
・食欲刺激剤として投与される酢酸メゲストロール
・ミネラルコルチコイド(例えば、フルドロコルチゾン)
・慢性閉塞性肺疾患又は喘息のために投与されるコルチコステロイド
・起立性低血圧又は副腎皮質不全のために投与される低用量コルチコステロイド
・緩和的放射線治療(例えば、既知の骨転移の治療又は疼痛の症候性軽減)を概説する:緩和的放射線治療は、腫瘍標的病変の評価を干渉しない限り、許容される(例えば、照射される病変は、測定可能な疾患の唯一の部位であってはならない)。アテゾリズマブ及びチラゴルマブによる処置は、緩和放射線療法中に継続され得る。ベバシズマブによる治療は、緩和放射線治療中は中断されるべきである。緩和的放射線治療が完了したら、治験責任医師が安全であると感じたときにベバシズマブ治療の継続を継続してもよい。
・概説したような脳への放射線治療:頭蓋外腫瘍負荷が安定しているか又は試験治療に反応し、その後3つ以下の脳転移を有することが判明した患者は、以下の基準の全てが満たされるならば、脳への放射線治療(定位的放射線手術又は全脳放射線療法のいずれか)を受けることができる:患者は、中枢神経系指向性治療の完了後に進行又は出血の証拠がない;患者は、中枢神経系疾患の治療としてコルチコステロイドを継続的に必要としていない;及び抗痙攣療法は、必要に応じて、安定な用量である。注:アテゾリズマブ、ベバシズマブ、及びチラゴルマブによる治療は、中枢神経系指向性放射線療法中は控えるべきである。
・概説したように局所療法(例えば、外科手術、定位的放射線手術、放射線治療、高周波アブレーション):3つ以下の病変の制御のために局所療法を必要とする混合応答を経験している患者は、治験責任医師の裁量で試験治療を継続する資格が依然としてあり得る。標的病変に向けた局所療法を受けている患者は、放射線学的応答についてはもはや評価可能ではないが、進行については評価可能なままである。
【0965】
I.評価
患者は、試験を通して安全性及び忍容性について綿密に監視される。患者は、各投与の前に毒性について評定され、投薬は、臨床評定及び地域の臨床検査値が許容できる場合にのみ実施されなければならない。
【0966】
バイオマーカー適格性試験
スクリーニングに直接参加する以前の試験結果に基づいて適格なバイオマーカーである患者は、サイクル1の1日目に投与前の血液試料を提供し、以前のバイオマーカー試験結果は、血液ベースのFOUNDATIONONE(登録商標)液体CDx試験によって遡及的に確認される。
【0967】
スクリーニングに直接参加するためにバイオマーカー適格性試験及びスクリーニングセクションに概説されているバイオマーカー適格性基準を満たさない患者は、最初にFOUNDATIONONE(登録商標)Liquid CDxを使用してバイオマーカー適格性試験(又は合理化されたプロセスが必要な場合は、治験責任医師の裁量により、スクリーニング)を受けることができる。
【0968】
腫瘍評価及び効果判定
放射線学的疾患進行後に治療を継続する免疫療法含有コホートの患者の場合を除いて、患者は、ベースライン時、治療開始後最初の48週間は6週間毎(±1週間)、その後12週間毎(±2週間)に、線量遅延にかかわらず、治験責任医師が評価したRECIST v1.1に従って放射線学的疾患進行まで腫瘍評価を受け、そのような患者は、(1)疾患進行が確認されるか、又は(2)治験責任医師によって決定されるような継続的な利益の欠如として定義される臨床的利益の喪失まで、6週間毎(±1週間)に腫瘍評価を受ける(詳細については試験治療の章を参照のこと)。したがって、腫瘍評価は、疾患の進行又は臨床的利益の喪失以外の理由で治療を中止する患者において、たとえ彼らが新規の非プロトコール指定の抗がん療法を開始したとしても、スケジュールに従って継続する。治験責任医師の裁量により、進行性疾患が疑われる場合はいつでも腫瘍評定を繰り返すことができる。
【0969】
スクリーニング評価には、胸部、腹部、骨盤、及び頭部のコンピュータ断層撮影(CT)スキャン(IVコントラストあり;経口コントラストあり又はなし)又は磁気共鳴画像法(MRI)スキャン(IVコントラストあり)が含まれなければならない。胸部のスパイラルCTスキャンを得ることができるが、これは要件ではない。造影剤を用いたCTスキャンが禁忌である場合(すなわち、造影剤アレルギー又は腎性クリアランス障害を有する患者において)、胸部の非造影CTスキャンを実施することができ、腹部、骨盤、及び頭部のMRIスキャン(IVコントラスト、可能であれば)を実施すべきである。
【0970】
全ての患者の中枢神経系転移を評価するために、スクリーニング時に造影剤を用いて頭部のCT又はMRIスキャンを行わなければならず、造影剤が禁忌である場合、この評価はMRIによって行われなければならない。臨床的に必要な場合、骨スキャン及び首のCTスキャンもまた行われるべきである。治験責任医師の裁量で、RECIST v1.1に従う測定可能な疾患の評定の他の方法を使用してもよい。腫瘍評定のためのCTスキャンが陽電子放射断層撮影/CTスキャナーで行われる場合、CT取得は、完全造影診断CTスキャンの標準と一致しなければならない。
【0971】
ベースラインで特定された全ての測定可能及び/又は評価可能な病変は、上記のスケジュールに従って、その後の腫瘍評価で再評価されるべきである。放射線治療又は手術で治療されたことがあるベースラインで同定された脳転移は、脳内に疾患の進行が疑われない限り(すなわち、患者は症候性になる)、測定可能又は評価可能とはみなされない。したがって、臨床的に示されない限り、その後の頭部スキャンは必要ない。スクリーニングで疾患部位を評定するために使用されるのと同じX放射線手順を、その後の腫瘍評定(例えば、CTスキャンのための同じコントラストプロトコール)に使用すべきである。
【0972】
所与の時点での全体応答が、RECIST v1.1を使用して治験責任医師によって評価される。
【0973】
バイオマーカー評価
全ての適格患者からバイオマーカー評価(限定されないが、疾患病理学又は腫瘍免疫生物学に関連するバイオマーカーを含む)のために血液試料を得る。血液試料を、血液ベースのバイオマーカーの変化を決定するために処理し、がん関連、免疫関連、腫瘍型関連、及び他の探索的バイオマーカーについて評価する。
【0974】
バイオマーカーに関する調査研究のための保管腫瘍組織試料は、研究登録の前に提出されなければならない。腫瘍試料を処理してそれらの誘導体(例えば、DNA、RNA)を得て、バイオマーカーの適格性並びにがん関連、免疫関連、腫瘍型関連及び他の探索的バイオマーカー(例えば、遺伝子発現又は一塩基多型における変化)について評価する。
【0975】
探索的バイオマーカー研究には、がん関連ゲノム変化、ctDNA、腫瘍生物学及び腫瘍免疫生物学に関連する遺伝子又は遺伝子シグネチャの分析が含まれ得るが、これらに限定されない。研究は、DNA、無細胞DNA又はRNAのIHC抽出;変異、一塩基多型、及び他のゲノムバリアントの分析;並びに包括的な遺伝子パネルのNGSの使用によるゲノムプロファイリングを含み得る。血液から抽出されたDNAを組織から抽出されたDNAと比較して、生殖系列変異体を体細胞バリアントと区別することによって体細胞バリアントを同定することができる。NGS法は、組織試料の全ゲノムシーケンシング(WGS)又は全エクソームシーケンシング(WES)を含み得る。
【0976】
参加施設において、患者は、全メタゲノムシーケンシング及び微生物叢の包括的分析を含む探索バイオマーカー研究のための便試料を提供する。患者は、ベースライン及びサイクル3、1日目の来院の前に収集装置を受け取る。
【0977】
J.分析
有効性分析は、割り当てられた治療レジメンのために各薬物の少なくとも一用量を投与され、MSI-Hコホート特異的バイオマーカー適格性定義を満たす全ての患者として定義される有効性評価可能な集団に基づく(表26参照)。安全性分析は、任意の量の試験治療を受ける全ての患者として定義される安全性評価可能な集団に基づく。有効性分析のために、スポンサーはまた、目標用量レベルを受けた少なくとも1つの利用可能な腫瘍評価(評価のセクションを参照)を有する有効性評価可能集団として定義されるプロトコールごとの集団に対して分析を行うことができる。
【0978】
試料サイズの決定
この第I相/Ib相調査研究は、仮説検定のための明確なパワー及びI型誤差を考慮するように設計されていない。代わりに、この試験は、バイオマーカー陽性転移性CRC(バイオマーカー適格性試験若しくはスクリーニング中の血液ベースのFOUNDATIONONE(登録商標)Liquid CDx試験によって、又はFOUNDATIONONE(登録商標)Liquid CDx試験によって遡及的に確認される選択基準のセクションに記載されている有効性確認試験を使用した事前試験によって同定される)を有する患者に投与した場合の、単剤療法並びに合理的な薬物併用を含む分子誘導治療レジメンに関する予備的有効性、安全性及びPKデータを得るように設計されている。
【0979】
約15~80人の患者が各コホートに登録される。登録は約41拠点で行われる。登録の予備段階後に予備的有効性が示される治療群は、治療群内の拡大及び継続的な登録を追求し得る。登録が十分な数の評価可能な患者を達成するための以前の試験結果に基づく場合、疾患進行又は治療緊急毒性及び/又は患者の不一致バイオマーカー結果による置き換え以外の理由で試験薬物又は試験を早期に中止する患者の追加の登録のために数が増加し得る。
【0980】
有効性分析
示されている場合を除いて、以下の有効性分析を全ての治療群について行う。有効性評価項目の分析集団は、アーム特異的有効性評価可能集団である。スポンサーはまた、プロトコールごとの集団について分析を行ってもよい。
【0981】
主要有効性分析
各治療群について、主要有効性評価項目は、治験責任医師によって評価されたRECIST v1.1による客観的奏効を有する患者の割合として定義されるORRである。客観的応答は、RECIST v1.1による完全寛解(CR)又は部分寛解(PR)として定義される。この基準を満たさない患者は、非応答者とみなされる。
【0982】
ORRの場合、客観的応答の確認が必要である(2つの別個の腫瘍評価において4週間以上離れて確認される)。未確認応答率も算出する。
【0983】
所与の試験治療/コホートに対して設定された閾値と比較するために、ORR及びその90%信頼区間の推定値を計算する(Clopper-Pearson法を使用して推定)。
【0984】
副次的有効性分析
副次的有効性評価項目には、RECIST v1.1に従って治験責任医師が決定した奏効期間(DOR)及び疾患制御率(DCR)が含まれる。
【0985】
DORは、確認されたCR又はPRが最初に発生した日(いずれかの状態が最初に記録される)から最初に記録された疾患進行又は何らかの原因による死亡の日(いずれか最初に発生した)までの時間として定義される。DORは、RECIST v1.1に従って治験責任医師によって決定されたように、研究中に確認された客観的応答を有した患者において評価される。分析時に進行も死亡もしていない患者は、最後の腫瘍評価日に打ち切りされる。CR又はPRの最初の発生日以降に腫瘍評価が行われない場合、DORはCR又はPRの最初の発生日+1日で打ち切りされる。
【0986】
Kaplan-Meier法を使用して、Brookmeyer及びCrowley法を使用して構築された90%信頼区間でDOR中央値を推定する。
【0987】
DCRは、RECIST v1.1に従って治験責任医師によって決定された、12週間以上にわたって安定した疾患又はCR若しくはPRを有する患者の割合として定義され、Clopper-Pearsonの正確な方法を用いて推定された90%信頼区間で各治療群について計算される。
【0988】
探索的有効性分析
探索的有効性評価項目は、特定の時点でのPFS、OS、PFS、及び特定の時点でのOSである。
【0989】
PFSは、最初の治療日から、最初に記録された疾患進行又は死亡のいずれか早く起こる日までの時間として定義される。疾患の進行は、RECIST v1.1を使用して治験責任医師によって評価される。疾患の進行を経験しておらず、分析時に死亡していない患者は、最後の腫瘍評価日に打ち切りされる。ベースライン後の腫瘍評価がない患者は、最初の治療日+1日目に打ち切りする。
【0990】
OSは、最初の治療日から何らかの原因による死亡日までの時間として定義される。分析時に死亡と報告されていない患者は、最後に生存していることが分かった日に打ち切りされる。ベースライン後の情報が利用可能でない場合、OSは、最初の治療の日付+1日間打ち切りされる。
【0991】
Kaplan-Meier法を使用して、Brookmeyer及びCrowley法を使用して構築された90%信頼区間でPFS及びOSの中央値を推定する。
【0992】
特定の時点におけるランドマークPFS率及びOS率も、Kaplan-Meier法を用いて推定され、90%信頼区間は、分散についてのGreenwoodの推定値に基づいて計算される。
【0993】
安全性解析
安全性評価可能な集団は、少なくとも1用量の試験治療を受けた全ての登録患者からなり、受けた治療に従って患者がグループ分けされる。
【0994】
安全性は、試験治療への曝露、有害事象、及び実験室試験結果の変化の要約によって評価される。
【0995】
試験処置曝露(例えば、処置期間、受けた総用量、並びにサイクル数及び用量変更)を記述統計学によって要約する。
【0996】
全ての逐語的有害事象用語をMedDRAシソーラス用語にマッピングし、有害事象重症度をNCI CTCAE v5.0に従ってグレーディングする。試験治療の最初の用量(すなわち、治療下で発現した有害事象)で又はその後に起こる全ての有害事象、重篤な有害事象、死亡につながる有害事象、特別な関心のある有害事象、用量減少又は中止につながる有害事象、及び試験治療の中止につながる有害事象を、マッピングされた用語、適切な類義語レベル、及び重症度によって要約する。様々な重症度の事象について、最高グレードが要約に使用される。死亡及び死亡原因を要約する。
【0997】
選択された臨床検査のシフトテーブルを使用して、ベースライン及びベースライン後の最大重症度グレードを要約する。
【0998】
免疫原性分析
免疫原性は、必要に応じて研究治療のために評価され得る。免疫原性分析には、少なくとも1つのADA評価を受けた全ての患者が含まれる。患者は、受けた治療に従ってグループ分けされる。
【0999】
バイオマーカー分析
探索的バイオマーカー分析は、有効性及び安全性評価項目を考慮して、これらのバイオマーカーと試験薬に対する応答との関連性を理解使用として行われる。
【1000】
中間分析
予備段階中に約20人の有効性評価可能な患者が各治療群に登録された後、中間解析を行う。ベバシズマブの寄与を実証するために、Atezo+Tira+Bev治療群をAtezo+Tira治療群と比較する。Atezo+Tira+Bev及びAtezo+Tira治療群の両方を、事前に指定された標準治療ベンチマークと比較する。治療群が標準治療に対してプラスの利益-リスクバランスを示す場合、各治療群で合計約40人の患者について、拡張段階中に約20人の追加の患者が登録される。拡張を受けるように選択された治療群は、ベバシズマブの寄与に依存する。
【1001】
MSI-Hコホートに登録された患者は、CITに対して原発性難治性の患者及びCITに対して続発性難治性の患者からなり得る。CIT難治性状態に基づく活動差を除外することができないので、スポンサーは、予備段階中の特定の難治性状態を有する患者の登録を除外せずに、登録を拡大するときにベネフィット-リスク評価において利点を示さない特定の難治性状態を有する患者集団の登録を制限又は停止することを決定し得る。
【1002】
予備段階の各群の約20人の患者の試料サイズは、偽陽性率と偽陰性率の両方を所望の許容範囲内で制御することを可能にし、ベバシズマブを伴う又は伴わない、チラゴルマブと組み合わせたアテゾリズマブの臨床効果の実証の許容可能な確率を保証する。スポンサーは、ORR、観察された奏効期間、PFS、疾患制御率、及び潜在的に早期のOSデータを含むがこれらに限定されない利用可能なデータ全体に基づいて登録を拡大する決定を下すことができる。安全性及びバイオマーカーデータ(この決定時に利用可能)もまた、適切なベネフィット-リスク評価の観点から考慮される。
【1003】
その他の実施形態
先述の発明は、理解を明瞭にする目的で説明及び例示によりある程度詳細に記載されたが、それら記載及び例示は本発明の範囲を限定するものではない。
【配列表】
【国際調査報告】