(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】凹部およびキャップを有する研磨ヘッドアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240705BHJP
B24B 37/32 20120101ALI20240705BHJP
B24B 37/30 20120101ALI20240705BHJP
【FI】
H01L21/304 622K
B24B37/32 Z
B24B37/30 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579390
(86)(22)【出願日】2022-06-20
(85)【翻訳文提出日】2024-02-21
(86)【国際出願番号】 US2022034175
(87)【国際公開番号】W WO2022271596
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518112516
【氏名又は名称】グローバルウェーハズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GlobalWafers Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【氏名又は名称】中野 晴夫
(74)【代理人】
【識別番号】100224627
【氏名又は名称】井上 稔
(72)【発明者】
【氏名】アルブレヒト,ピーター ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】シュー,チー ユエン
(72)【発明者】
【氏名】リン,ジェン チエー
(72)【発明者】
【氏名】ホアン,ウェイ チャン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ヤウ-チン
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158CB03
3C158CB04
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5F057AA03
5F057AA21
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(57)【要約】
半導体ウェハの研磨のための研磨ヘッドアセンブリは、研磨ヘッドと、キャップとを含む。研磨ヘッドは、頂部と、底部に沿った凹部とを有する。凹部は、凹面を有する。穴が、頂部から凹面を通って延びている。キャップは、凹部内に配置されており、キャップは、環状壁と、環状壁を横切って延びたフロアとを有する。環状壁は、穴に対応する開口をする。フロアは、凹面とフロアとの間にチャンバを形成するように、凹面から間隔を開けて配置されている。研磨ヘッドアセンブリは、環状壁の一部を取り囲むバンドを含む。穴と、対応する開口は、環状壁を凹面に取り外し可能に固定するための締結部材を受け入れる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェハの研磨のための研磨ヘッドアセンブリであって、
前記研磨ヘッドアセンブリは、
頂部と、底部に沿った凹部とを有し、前記凹部は、凹面を有し、穴が、前記頂部から前記凹面を通って延びている、研磨ヘッドと、
前記凹部内に配置されたキャップであって、前記キャップは、環状壁と、前記環状壁を横切って延びたフロアとを有し、前記フロアは、底面と頂面とを有し、前記凹面と前記頂面との間にチャンバを形成するように、前記凹面から間隔を開けて配置されており、前記環状壁は、前記穴に対応する開口を有し、前記キャップは、構造材料から作られている、前記キャップと、
前記環状壁の第1部分を取り囲むバンドと、
を備え、
前記穴と、対応する前記開口は、前記キャップの前記環状壁を前記研磨ヘッドの前記凹面に取り外し可能に固定するための締結部材を受け入れる、研磨ヘッドアセンブリ。
【請求項2】
前記研磨ヘッドは、前記凹部を画定し、前記環状壁の第2部分を取り囲む、下方に延びた環状部材を有する、請求項1に記載の研磨ヘッドアセンブリ。
【請求項3】
前記バンドは、前記環状部材の一部を取り囲む、請求項2に記載の研磨ヘッドアセンブリ。
【請求項4】
前記バンドは、少なくとも2つのセグメントを有する非単一的である、請求項1に記載の研磨ヘッドアセンブリ。
【請求項5】
前記バンドは、前記バンドを前記環状壁に固定する連結部材を有する、請求項4に記載の研磨ヘッドアセンブリ。
【請求項6】
前記バンドは、単一的な一体バンドである、請求項1に記載の研磨ヘッドアセンブリ。
【請求項7】
前記バンドは、ポリエーテルイミド、ポリエーテル・エーテル・ケトン、ポリフェニレン・スルファイド、ポリエチレン・テレフタレートからなる群から選択される非金属材料から作られている、請求項1に記載の研磨ヘッドアセンブリ。
【請求項8】
前記環状壁は、前記環状壁と前記凹面とが固定されたときに、前記凹面と接触する頂縁を有する、請求項1に記載の研磨ヘッドアセンブリ。
【請求項9】
前記頂縁は、前記環状壁と前記凹面とが固定されたときにシールを形成するOリングを備える、請求項8に記載の研磨ヘッドアセンブリ。
【請求項10】
前記フロアの前記底面に取り付けられたテンプレートを更に備え、前記テンプレートは、バッキングフィルムを備える、請求項1に記載の研磨ヘッドアセンブリ。
【請求項11】
前記テンプレートは、感圧接着剤を用いて前記底面に取り付けられている、請求項10に記載の研磨ヘッドアセンブリ。
【請求項12】
前記テンプレートは、前記バンドが前記テンプレートの一部に重複するように、前記環状壁の外周面を通過して外側に延びている、請求項10に記載の研磨ヘッドアセンブリ。
【請求項13】
感圧接着剤は、前記バンドが重なった前記テンプレートの一部にシールを形成している、請求項12に記載の研磨ヘッドアセンブリ。
【請求項14】
前記テンプレートは、前記バッキングフィルムから下方に延びた保持リングを更に備える、請求項10に記載の研磨ヘッドアセンブリ。
【請求項15】
前記保持リングは、半導体ウェハを受け入れる開口を形成しており、前記ウェハの高さは、前記保持リングの高さよりも高い、請求項14に記載の研磨ヘッドアセンブリ。
【請求項16】
前記テンプレートは、液体とともに使用されて、前記ウェハを前記研磨ヘッドアセンブリ上に表面張力により保持する、請求項15に記載の研磨ヘッドアセンブリ。
【請求項17】
前記キャップは、金属材料で作られている、請求項1に記載の研磨ヘッドアセンブリ。
【請求項18】
半導体ウェハの研磨のための研磨ヘッドアセンブリであって、
前記研磨ヘッドアセンブリは、
頂部と、底部に沿った凹部を画定する下方に延びた環状部材とを有し、前記凹部は、凹面を有し、穴が前記頂部から前記凹面を通って延びている、研磨ヘッドと、
前記凹部内に配置されたキャップであって、前記キャップは、環状壁と、前記環状壁を横切って延びたフロアとを有し、前記フロアは、前記凹面と前記フロアとの間にチャンバを形成するように、前記凹面から間隔を開けて配置されており、前記環状壁は、第1部分と第2部分とを有し、前記第1部分は、前記穴に対応する開口を有し、前記第2部分は、前記第1部分から下方に延びており、前記キャップは、構造材料から作られている、前記キャップと、
前記環状壁の前記第2部分を取り囲む単一的な一体バンドと
を備え、
前記穴と、対応する前記開口とは、前記キャップの前記環状壁の前記第1部分を前記研磨ヘッドの前記凹面に取り外し可能に固定する締結部材を受け入れ、
前記環状壁の前記第1部分は、前記第1部分と前記凹面とが固定されたときにシールを形成する第1Oリングを有する、研磨ヘッドアセンブリ。
【請求項19】
前記キャップは、
前記環状壁の前記第2部分から外側に延びたタブと、
前記タブと前記バンドとの間にシールを形成する第2Oリングと
を有する、請求項18に記載の研磨ヘッドアセンブリ。
【請求項20】
前記キャップは、金属材料から作られており、
前記バンドは、ポリエーテルイミド、ポリエーテル・エーテル・ケトン、ポリフェニレン・スルファイド、ポリエチレン・テレフタレートからなる群から選択される非金属材料から作られる、請求項18に記載の研磨ヘッドアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年6月25日に出願された米国仮特許出願63/202827号に基づく優先権を主張する。なお、優先権の基礎とした出願の開示は、全体として参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して半導体ウェハの研磨、特に凹部およびキャップを有する研磨ヘッドアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体ウェハは、通常、回路が印刷される集積回路(IC)チップの製造に使用される。まず、ウェハの表面に回路が小型化された形態で印刷される。その後、ウェハが分割されて回路チップになる。この小型化された回路には、ウェハの全面に回路を適切に印刷することを保証するために、各ウェハの前面および後面が極めて平坦で平行であることが要求される。
【0004】
これを達成するため、ウェハがインゴットから切り分けられた後、ウェハの前面および後面の平坦度および平行度を向上させるために研削および研磨プロセスが通常用いられる。電子線リソグラフィプロセスまたはフォトリソグラフィプロセス(以下、「リソグラフィ」)によりウェハ上に小型化された回路を印刷するための準備として、ウェハが研磨される場合、特に良好な仕上げが要求される。小型化された回路が印刷されるウェハの表面は、平坦である必要がある。
【0005】
研磨機は、通常、パッドの中心を通過する垂直軸を中心とする回転駆動のためのターンテーブルまたはプラテン上に取り付けられた円形または環状の研磨パッドと、ウェハを保持し、ウェハを研磨パッドに押し込むための機構とを含む。ウェハは、典型的には、例えば、液体の表面張力または真空/吸引を使用して、研磨ヘッドに取り付けられる。化学研磨剤と研磨粒子とを通常含む研磨スラリーが、研磨パッドとウェハの表面との間の研磨相互作用を大きくするために、パッドに塗布される。このタイプの研磨操作は、通常、化学的機械研磨(CMP)と呼ばれる。
【0006】
操作中、パッドが回転し、ウェハは、研磨ヘッドによりパッドに接触させられ、パッドに押し付けられる。研磨ヘッドは、通常、エポキシ接着剤を使用して組み立てられる。しかし、研磨ヘッドの耐用期間中にエポキシ接着剤接合部が故障すると、部品の緩み、空気の漏れ、ウェハの損傷、歩留まりの低下などの望ましくない影響を引き起こすことがある。ヘッドを完全に分解することができるように、ヘッドを加熱して、残存するエポキシ樹脂を除去しなければならないため、これらの研磨ヘッドの修理は困難である。加熱除去後、ヘッドアセンブリの既存の部品をほとんど救い出すことができない。したがって、改良された研磨ヘッドアセンブリが必要とされている。
【0007】
この背景技術のセクションは、以下に説明および/またはクレームされる本開示の様々な態様に関連し得る技術の様々な態様を読者に紹介することを意図している。この議論は、本開示の様々な態様をより理解するための背景情報を読者に提供する上で有用であると考えられる。したがって、これらの記述は、この観点で読まれるべきであり、先行技術を認めるものではないことを理解されたい。
【発明の概要】
【0008】
一態様では、半導体ウェハの研磨のための研磨ヘッドアセンブリは、研磨ヘッドと、キャップとを含む。前記研磨ヘッドは、頂部と、底部に沿った凹部とを有する。前記凹部は、凹面を有する。穴が、前記頂部から前記凹面を通って延びている。前記キャップは、前記凹部内に配置されており、前記キャップは、環状壁と、前記環状壁を横切って延びたフロアとを有する。前記キャップは、構造材料から作られている。前記フロアは、底面と頂面とを有し、前記凹面と前記頂面との間にチャンバを形成するように、前記凹面から間隔を開けて配置されている。前記環状壁は、前記穴に対応する開口をする。前記研磨ヘッドアセンブリは、前記環状壁の一部を取り囲むバンドを含む。前記穴と、対応する前記開口は、前記環状壁を前記凹面に取り外し可能に固定するための締結部材を受け入れる。
【0009】
他の態様では、半導体ウェハの研磨のための研磨ヘッドアセンブリは、研磨ヘッドと、キャップとを含む。前記研磨ヘッドは、頂部と、底部に沿った凹部を画定する下方に延びた環状部材とを有する。前記凹部は、凹面を有する。穴が前記頂部から前記凹面を通って延びている。前記キャップは、前記凹部内に配置されており、前記キャップは、環状壁と、前記環状壁を横切って延びたフロアとを有する。前記キャップは、構造材料から作られている。前記フロアは、前記凹面と前記フロアとの間にチャンバを形成するように、前記凹面から間隔を開けて配置されている。前記環状壁は、第1部分と第2部分とを有する。前記環状壁の前記第1部分は、前記穴に対応する開口を有する。前記環状壁の前記第2部分は、前記第1部分から下方に延びている。研磨ヘッドアセンブリは、前記環状壁の前記第2部分を取り囲む単一的な一体バンドを含む。前記穴と、対応する前記開口とは、前記キャップの前記環状壁の前記第1部分を前記研磨ヘッドの前記凹面に取り外し可能に固定する締結部材を受け入れる。前記環状壁の前記第1部分は、前記第1部分と前記凹面とが固定されたときにシールを形成する第1Oリングを有する。
【0010】
上述した態様に関連して記載された特徴には、様々な改良が存在する。同様に、更なる特徴が、上述した態様に組み込まれてもよい。これらの改良および追加の特徴は、個別に存在してもよく、任意の組み合わせで存在してもよい。例えば、図示された実施形態のいずれかに関連して後述される様々な特徴は、上述した態様のいずれかに、単独または任意の組み合わせで、組み込まれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、研磨装置の部分的かつ模式的な正面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の研磨ヘッドアセンブリの例の断面図である。
【
図3】
図3は、第2実施形態の研磨ヘッドアセンブリの例の断面図である。
【
図4】
図4は、第3実施形態の研磨ヘッドアセンブリの例の断面図である。
【
図5】
図5は、テンプレートと、テンプレートにより保持されたウェハを含む
図2に図示された研磨ヘッドアセンブリの斜視図である。
【
図6】
図6は、ウェハが省略された
図5に図示された研磨ヘッドアセンブリの部分断面図である。
【0012】
様々な図面における同様の参照符号は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
一般的に、および本開示の実施形態において、適切な基板「ウェハ」(「半導体ウェハ」または「シリコンウェハ」としても参照される)には、例えば、チョクラルスキー法またはフロートゾーン法により形成された単結晶シリコンインゴットからウェハを切り分けることにより得られるシリコンウェハなどの単結晶シリコンウェハが含まれる。各ウェハは、中心軸と、前面と、前面と平行な後面とを含む。前面および後面は、中心軸に対して概ね垂直である。前面と後面とは、周縁により接合されている。ウェハは、当業者による使用に適した任意の直径であってもよく、例えば、200ミリメートル(mm)、300mm、300mm以上、または450mmの直径のウェハを含む。
【0014】
一実施形態では、ウェハは、予め粗研磨され、粗い前面および後面を有するウェハは、最初に、平坦パラメータを改善するため、または前面を滑らかにして取り扱い傷を除去するために、ウェハの前面が研磨されるが後面が研磨されない中間研磨操作を受ける。この操作を実行するために、ウェハは、研磨ヘッドアセンブリに対して配置される。本実施形態では、ウェハは、表面張力により研磨ヘッドアセンブリに対して所定の位置に保持される。ウェハは、ウェハの前面が研磨パッドの研磨面に接触する状態で、研磨機のターンテーブル上に配置される。
【0015】
研磨機に取り付けられた研磨ヘッドアセンブリは、ウェハを通って延びる軸に沿って垂直方向に移動することができる。ターンテーブルが回転している間、研磨ヘッドアセンブリは、ウェハに対して移動し、ウェハをターンテーブルに向かって付勢することより、ウェハの前面を研磨パッドの研磨面と研磨係合するように押し付ける。
【0016】
研磨粒子および化学的エッチング液を含む従来の研磨スラリーが研磨パッドに塗布される。研磨パッドは、ウェハの表面に対してスラリーを作用させ、ウェハの前面から材料を除去し、その結果、滑らかさが改善した表面が得られる。一例として、中間研磨操作は、好ましくは、ウェハの表側から約1ミクロン未満の材料を除去する。
【0017】
ウェハは、次に、仕上げ研磨操作を受ける。仕上げ研磨操作では、ウェハの前面が仕上げ研磨され、中間ステップでDuPont Air Products Nanomaterials社のSyton(登録商標)などの大きなサイズのコロイダルシリカによって生じた微細なまたは「マイクロ」傷が除去されて、高反射性で損傷のないウェハの前面が生産される。中間研磨操作では、一般に、仕上げ研磨操作よりも多くのウェハを除去する。ウェハは、上述したようにウェハを中間研磨するために使用される研磨機と同じ研磨機で仕上げ研磨されてもよい。しかし、仕上げ研磨操作のために別の研磨機が使用されてもよい。仕上げ研磨スラリーは、通常、アンモニアベースを有し、低濃度のコロイダルシリカが研磨パッドとウェハとの間に注入される。研磨パッドは、ウェハの前面に対して仕上げ研磨スラリーを作用させ、残存する傷およびくもりを除去し、ウェハの前面が概ね高反射性で損傷がない状態になる。
【0018】
図1を参照すると、研磨装置の一部が模式的に示されており、全体として100で示されている。研磨装置100は、半導体ウェハWの前面を研磨するために使用されてもよい。他のタイプの研磨装置が使用されてもよいことが考えられる。
【0019】
研磨装置100は、ウェハ保持機構、例えば、バッキングフィルム110および保持リング120を有するテンプレートと、研磨ヘッドアセンブリ130と、研磨パッド150を有するターンテーブル140とを含む。バッキングフィルム110は、研磨ヘッドアセンブリ130と、ウェハWを受け入れる保持リング120との間に配置されている。保持リング120は、研磨されるウェハWを受け入れる少なくとも1つの円形の開口を有する。
【0020】
本実施形態のウェハWは、表面張力により、研磨ヘッドアセンブリ130に対して取り付けられ、保持される。表面張力を形成するために、湿潤飽和バッキングフィルム110は、感圧接着剤で研磨ヘッドアセンブリ130に取り付けられる。バッキングフィルム110および保持リング120は、テンプレートまたは「ウェハ保持テンプレート」を形成する。バッキングフィルム110は、一般に、軟質ポリマーパッドまたは他の適切な材料である。
【0021】
次に、ウェハWが湿潤飽和バッキングフィルム110に押し付けられることで、水または他の適切な液体の大部分が除去または絞り出される。水を絞り出すことで、ウェハは、表面張力と、ウェハの露出した表面に作用する大気圧とにより、バッキングフィルム110上に保持される。水を絞り出すことで、ウェハが研磨ヘッドアセンブリ130に取り付けられる。
【0022】
研磨ヘッドアセンブリ130の一部は、研磨ヘッドアセンブリ130に作用する圧力の変化に応じて変形するのに十分な柔軟性を有しており、ウェハが湿潤飽和テンプレート内に押し込まれたときに変形しないのに十分な剛性を有している。表面張力は、ウェハの表面上に一定の保持力を提供する。この一定の保持力により、ウェハに隣接する研磨ヘッドアセンブリ130の任意の変形が、ウェハの比例変形に直接変換される。
【0023】
表面張力によるウェハWの保持は、柔軟膜または真空を使用して研磨ヘッドアセンブリに対してウェハを保持する他の既知の機構とは異なる機能を有する。柔軟膜は、当該技術分野で知られているように、ウェハが柔軟膜上で押されたときに、ウェハと柔軟膜との間に空間または真空ポケットを形成するように変形する。これらの真空ポケットにより、膜がウェハをピックアップすることができる。他の膜は、ウェハをピックアップするための低圧領域を作るために、真空に接続された真空穴を有する。
【0024】
研磨装置100は、研磨ヘッドアセンブリ130に力を加えて、研磨ヘッドアセンブリ130を垂直方向に移動させ、ウェハWおよびターンテーブル140に対して研磨ヘッドアセンブリ130を上昇または下降させる。上方向の力は、研磨ヘッドアセンブリ130を上昇させ、下方向の力は、研磨ヘッドアセンブリ130を下降させる。上述したように、ウェハWに対する研磨ヘッドアセンブリ130の下方向への垂直移動は、ウェハをターンテーブル140の研磨パッド150に付勢するための研磨圧力をウェハに与える。研磨装置100が下方向の力を増加させると、研磨ヘッドアセンブリ130は、下方向に垂直移動して、研磨圧力を増加させる。
【0025】
研磨ヘッドアセンブリ130の一部と、研磨パッド150と、ターンテーブル140とは、当該技術分野で知られているような適切な駆動機構(図示せず)により選択された回転速度で回転する。研磨パッドおよびターンテーブルの回転速度は、同じであってもよく、異なってもよい。いくつかの実施形態では、研磨装置は、オペレータが研磨ヘッドアセンブリ130およびターンテーブル140の両方の回転速度と、研磨ヘッドアセンブリに加えられる下方向の力を選択できるようにするコントローラ(図示せず)を含む。
【0026】
図2を参照すると、研磨装置100において使用される研磨ヘッドアセンブリ200の例が示されている。研磨ヘッドアセンブリ200は、研磨ヘッド210と、キャップ240と、バンド270とを含む。研磨ヘッドアセンブリ200は、バッキングフィルムおよび保持リング、例えばバッキングフィルム110および保持リング120(
図1に示す)を備えるテンプレートを含んでもよい。研磨ヘッド210は、実質的に互いに平行な頂部212および底部214を有する。研磨ヘッド210は、頂部212に設けられたプラットフォーム216と、プラットフォーム216から底部214を通って延びた穴218とを有する。
【0027】
研磨ヘッド210は、プラットフォーム216から底部214へ下方に延びた環状部材220を有する。環状部材220は、内面222と、外面224とを有する。外面224は、研磨ヘッド210の周縁を形成する。環状部材220は、底部214に沿って凹部を画定し、凹部は、環状部材220の間で延びた凹面226を有する。この実施形態では、穴218は、プラットフォーム216から凹面226を通って延びている。以下でより詳細に説明するように、環状部材220の一部は、底部214において、外面224と内面222とにそれぞれ形成され、バンド270の形状に嵌まるインレット272,278を有してもよい。
【0028】
キャップ240は、環状部材220により画定された凹部内に配置されている。キャップ240は、環状壁250により取り囲まれたフロア242を含み、環状壁250は、フロア242から上方に延びている。フロア242は、頂面244と底面246とを有する。この実施形態では、底面246は、環状壁250を越えてタブ248へ外側に延びている。以下により詳細に説明するように、タブ248は、バンド270と嵌まり合う形状を有してもよい。他の実施形態では、底面246は、環状壁250がキャップ240の最外周縁を画定するように、環状壁250を越えて延びなくてもよい。
【0029】
環状壁250は、内側面252と、外側面254と、頂部256と、底部258とを有する。頂部256は、頂縁260と頂縁260に形成された開口259とを有する。開口259は、頂部256内に延び、穴218に対応している。穴218と、対応する開口259とは、環状壁250を凹面226に取り外し可能に固定し、それによりキャップ240を研磨ヘッド210に取り外し可能に固定するための締結部材290(例えばネジ)を受け入れる。環状壁250の頂縁260は、環状壁250が凹面226に固定されたときに凹面226に接触する。頂部256は、環状壁250が凹面226に固定されたときにシールを形成するOリング262を頂縁260に有してもよい。
【0030】
図2に示すように、環状壁250の厚みは、底部258よりも頂部256において厚い。底部258で壁が薄くなっていることで、底部258は、フロア242が研磨ヘッド210に対して永久的に変形することなく、一時的に撓むことができるヒンジとして機能することができる。例えば、フロア242は、キャップ240をウェハ(
図1に示すウェハWなど)に接触させる研磨ヘッドアセンブリ200の下方への垂直移動に応答して、研磨ヘッド210に向かって一時的に上方に撓んでもよい。環状壁250の内側面252は、頂部256において、頂部256の厚みが頂縁260において最も厚く、底部258に向かって下方にテーパするように、外側面254に対して角度が付いていてもよい。
【0031】
外側面254の少なくとも一部は、キャップ240が研磨ヘッド210に固定されたときに、環状部材220の内面222に当接する。好適には、外側面254は、実質的に内面222に平行である。この実施形態では、環状壁250の高さは、環状部材220の下方への延びよりも大きく、環状部材220の内面222は、環状壁250の頂部256を取り囲んでいる。他の実施形態では、環状部材220は、環状壁250のより多くの部分またはより少ない部分を取り囲んでもよい。
【0032】
フロア242は、キャップ240が研磨ヘッド210に固定されたときに、凹面226から間隔を開けて配置されている。したがって、環状壁250と、フロア242の頂面244と、凹面226とは、キャップ240が研磨ヘッド210に固定されたときに、チャンバ205を画定する。環状壁250が凹面226に固定されたときに頂縁260が凹面226に接触するため、チャンバ205の高さは、環状壁250の高さによって決定される。いくつかの実施形態では、チャンバ205は、加圧媒体または加圧流体により加圧されている。チャンバ205は、加圧媒体または加圧流体をチャンバ205に供給するための加圧源(図示せず)に接続されてもよい。上述したように、フロア242は、永久的に変形することなく、研磨ヘッド210に対して一時的に撓むことができてもよい。例えば、チャンバ205内の圧力を調整することで、フロア242の撓みを増加または減少させてもよい。Oリング262が使用される実施形態では、頂縁260と凹面226との間にOリング262により形成されたシールは、チャンバ205からの加圧媒体または加圧流体の漏洩を防止することができ、これによりチャンバ205内の所定の圧力を維持する。
【0033】
研磨ヘッド210とキャップ240は、スチール、アルミニウム、セラミック、または他の好適な材料などの構造材料から作られてもよい。いくつかの実施形態では、研磨ヘッド210およびキャップ240は、鋳造アルミニウム(例えば、Alcoa社から入手可能なMIC6(登録商標)アルミニウム鋳造板)から作られている。他の実施形態では、キャップ240は、アルミナなどのセラミックまたはプラスチック材料から作られてもよい。プラスチック材料を使用する他の実施形態では、ポリエーテルイミド(例えば、Saudi Basic Industries Corporation(SABIC)社から入手可能なULTEM樹脂1000)が使用されてもよい。プラスチックキャップ240は、金属またはセラミックのいずれかで作られたものよりも実質的に厚い。セラミックで作られたキャップは、金属またはプラスチックのいずれかで作られたフロアよりも実施的に薄いフロアを有する。
【0034】
研磨ヘッドアセンブリ200で使用される金属は、研磨薬品またはスラリーを介して金属イオンの供給源となることで、ウェハを汚染する可能性がある。研磨ヘッド210からの金属がスラリーおよびウェハを汚染することを防止するために、研磨ヘッド210は、金属イオン保護を提供するバリアを形成するためにエポキシ樹脂、フッ化炭素、または他の適切な非金属材料でコーティングされている。
【0035】
研磨ヘッドアセンブリ200で使用される金属が、スラリーおよびウェハを汚染することを防止するため、および/または研磨薬品またはスラリーからの金属が化学物質に曝されることを防止するため、研磨ヘッド210および/またはキャップ240の一部は、バンド270により取り囲まれている。バンド270は、スラリーと、研磨ヘッド210および/またはキャップ240との間にバリアを形成する。バンド270は、非金属材料であってもよい。いくつかの実施形態では、バンド270は、ポリエーテルイミド(例えば、Saudi Basic Industries Corporation(SABIC)社から入手可能なULTEM(登録商標)樹脂1000)、ポリエーテル・エーテル・ケトン、ポリフェニレン・スルファイド、ポリエチレン・テレフタレートなどのプラスチックから作られている。
【0036】
この実施形態では、バンド270は、底部214における研磨ヘッド210の一部、研磨ヘッド210に取り囲まれていない環状壁250の外側面254の一部、およびタブ248を取り囲んでおり、これらにシールされていてもよい。環状部材220は、研磨ヘッド210の底部214における外面224から内側に延びた側面インレット272を有している。側面凹部274は、タブ248と環状部材220の底部との間に形成されており、環状部材220に取り囲まれていない環状壁250の外側面254の一部に沿って延びている。バンド270は、側面インレット272、側面凹部274、およびタブ248を取り囲む大きさおよび形状を有しており、これらの間でシールを形成する。
【0037】
いくつかの実施形態では、バンド270は、非単一的であり、2つ以上のセグメントで作られている。例えば、バンド270は、3個、4個、5個、または6個のセグメントから作られてもよい。これらの実施形態では、バンド270は、セグメント接合部(例えば、
図5に示すセグメント接合部275)で共にシールされてもよく、エポキシ接着剤などの接着剤を用いて研磨ヘッド210および/またはキャップ240にシールされてもよい。バンド270と、研磨ヘッド210および/またはキャップ240との間のシールが接着不良に起因して緩むことを防止するために、バンド270は、バンド270を研磨ヘッドアセンブリ200に固定するための連結部材276を含んでもよい。例えば、バンド270は、環状部材220の内面222に形成された内側インレット278との接合、およびタブ248の上側に延びた部材に形成された内側凹部280との接合を形成する蟻溝276を含んでもよい。蟻溝276は、接着剤に加えて、または接着剤の代わりに、バンド270を研磨ヘッド210および/またはキャップ240に固定するために使用されてもよい。
【0038】
研磨ヘッドアセンブリ200が、
図1に示されるバッキングフィルム110および保持リング120などのバッキングフィルムおよび保持リングを備えるテンプレートを含む実施形態では、バンド270は、研磨ヘッド210および/またはキャップ240からのスラリーまたはウェハの金属汚染を防止し、および/または研磨薬品またはスラリーからの金属が化学物質に曝されることを防止するために、テンプレートの少なくとも一部と重複してもよい。
【0039】
図3を参照すると、研磨装置100で使用される他の例の研磨ヘッドアセンブリ300が示されている。研磨ヘッドアセンブリ300は、研磨ヘッド310と、キャップ340と、バンド370とを含む。研磨ヘッドアセンブリ300は、バッキングフィルムおよび保持リング、例えばバッキングフィルム110および保持リング120(
図1に示す)を備えるテンプレートを含んでもよい。研磨ヘッド310は、実質的に互いに平行な頂部312および底部314を有する。研磨ヘッド310は、頂部312に設けられたプラットフォーム316と、プラットフォーム316から底部314を通って延びた穴318とを有する。
【0040】
研磨ヘッド310は、プラットフォーム316から底部314へ下方に延びた環状部材320を有する。環状部材320は、内面322と、外面324とを有する。外面324は、研磨ヘッド310の周縁を形成する。環状部材320は、底部314に沿って凹部を画定し、凹部は、環状部材320の間で延びた凹面326を有する。この実施形態では、穴318は、プラットフォーム316から凹面326を通って延びている。環状部材320は、底部314において底縁372を有しており、底縁372は、バンド370に重なっており、バンド370にシールされてもよい。
【0041】
キャップ340は、環状部材320により画定された凹部内に配置されている。キャップ340は、環状壁350により取り囲まれたフロア342を含み、環状壁350は、フロア342から上方に延びている。フロア342は、頂面344と底面346とを有する。この実施形態では、底面346は、環状壁350を越えてタブ348へ外側に延びている。他の実施形態では、底面346は、環状壁350がキャップ340の最外周縁を画定するように、環状壁350を越えて延びなくてもよい。
【0042】
環状壁350は、内側面352と、外側面354と、頂部356と、底部358とを有する。頂部356は、頂縁360と頂縁360に形成された開口359とを有する。開口359は、頂部356内に延び、穴318に対応している。穴318と、対応する開口359とは、環状壁350を凹面326に取り外し可能に固定し、それによりキャップ340を研磨ヘッド310に取り外し可能に固定するための締結部材390(例えばネジ)を受け入れる。環状壁350の頂縁360は、環状壁350が凹面326に固定されたときに凹面326に接触する。頂部356は、環状壁350が凹面326に固定されたときにシールを形成するOリング362を頂縁360に有してもよい。
【0043】
図3に示すように、環状壁350の厚みは、底部358よりも頂部356において厚い。底部358で壁が薄くなっていることで、底部358は、フロア342が研磨ヘッド310に対して永久的に変形することなく、一時的に撓むことができるヒンジとして機能することができる。例えば、フロア342は、キャップ340をウェハ(
図1に示すウェハWなど)に接触させる研磨ヘッドアセンブリ300の下方への垂直移動に応答して、研磨ヘッド310に向かって一時的に上方に撓んでもよい。環状壁350の内側面352は、頂部356において、頂部356の厚みが頂縁360において最も厚く、底部358に向かって下方にテーパするように、外側面354に対して角度が付いていてもよい。
【0044】
外側面354の少なくとも一部は、キャップ340が研磨ヘッド310に固定されたときに、環状部材320の内面322に当接する。好適には、外側面354は、実質的に内面322に平行である。この実施形態では、環状壁350の高さは、環状部材320の下方への延びよりも大きく、環状部材320の内面322は、環状壁350の頂部356を取り囲んでいる。他の実施形態では、環状部材320は、環状壁350のより多くの部分またはより少ない部分を取り囲んでもよい。
【0045】
フロア342は、キャップ340が研磨ヘッド310に固定されたときに、凹面326から間隔を開けて配置されている。したがって、環状壁350と、フロア342の頂面344と、凹面326とは、キャップ340が研磨ヘッド310に固定されたときに、チャンバ305を画定する。環状壁350が凹面326に固定されたときに頂縁360が凹面326に接触するため、チャンバ305の高さは、環状壁350の高さによって決定される。いくつかの実施形態では、チャンバ305は、加圧媒体または加圧流体により加圧されている。チャンバ305は、加圧媒体または加圧流体をチャンバ305に供給するための加圧源(図示せず)に接続されてもよい。上述したように、フロア342は、永久的に変形することなく、研磨ヘッド310に対して一時的に撓むことができてもよい。例えば、チャンバ305内の圧力を調整することで、フロア342の撓みを増加または減少させてもよい。Oリング362が使用される実施形態では、頂縁360と凹面326との間に形成されたシールは、チャンバ305からの加圧媒体または加圧流体の漏洩を防止することができ、これによりチャンバ305内の所定の圧力を維持する。
【0046】
研磨ヘッド310とキャップ340は、スチール、アルミニウム、セラミック、または他の好適な材料などの構造材料から作られてもよい。いくつかの実施形態では、研磨ヘッド310およびキャップ340は、鋳造アルミニウム(例えば、Alcoa社から入手可能なMIC6(登録商標)アルミニウム鋳造板)から作られている。他の実施形態では、キャップ340は、アルミナなどのセラミックまたはプラスチック材料から作られてもよい。プラスチック材料を使用する他の実施形態では、ポリエーテルイミド(例えば、Saudi Basic Industries Corporation(SABIC)社から入手可能なULTEM樹脂1000)が使用されてもよい。プラスチックキャップ340は、金属またはセラミックのいずれかで作られたものよりも実質的に厚い。セラミックで作られたキャップは、金属またはプラスチックのいずれかで作られたフロアよりも実施的に薄いフロアを有する。
【0047】
研磨ヘッドアセンブリ300で使用される金属は、研磨薬品またはスラリーを介して金属イオンの供給源となることで、ウェハを汚染する可能性がある。研磨ヘッド310からの金属がスラリーおよびウェハを汚染することを防止するために、研磨ヘッド310は、金属イオン保護を提供するバリアを形成するためにエポキシ樹脂、フッ化炭素、または他の適切な非金属材料でコーティングされている。
【0048】
研磨ヘッドアセンブリ300で使用される金属が、スラリーおよびウェハを汚染することを防止するため、および/または研磨薬品またはスラリーからの金属が化学物質に曝されることを防止するため、研磨ヘッド310および/またはキャップ340の一部は、スラリーと研磨ヘッド310および/またはキャップ340との間にバリアを形成するバンド370により取り囲まれている。バンド370は、非金属材料であってもよい。いくつかの実施形態では、バンド370は、ポリエーテルイミド(例えば、Saudi Basic Industries Corporation(SABIC)社から入手可能なULTEM(登録商標)樹脂1000)、ポリエーテル・エーテル・ケトン、ポリフェニレン・スルファイド、ポリエチレン・テレフタレートなどのプラスチックから作られている。
【0049】
この実施形態では、バンド370は、研磨ヘッド310に取り囲まれていない環状壁350の外側面354の一部、およびタブ348を取り囲んでおり、これらにシールされていてもよい。バンド370は、底縁372において環状部材320にシールされてもよい。バンド370は、エポキシ接着剤などの接着剤を用いて研磨ヘッド310および/またはキャップ340にシールされてもよい。バンド370と、研磨ヘッド310および/またはキャップ340との間のシールが接着不良に起因して緩むことを防止するために、バンド370は、単一的な一体バンドであってもよい。単一的な一体バンドは370、キャップ340が研磨ヘッド310に固定されたときに、バンド370とタブ348との間、およびバンド370と底縁372との間の締まり嵌めにより所定の位置に保持されてもよい。
【0050】
研磨ヘッドアセンブリ300が、
図1に示されるバッキングフィルム110および保持リング120などのバッキングフィルムおよび保持リングを備えるテンプレートを含む実施形態では、バンド370は、研磨ヘッド310および/またはキャップ340からのスラリーまたはウェハの金属汚染を防止し、および/または研磨薬品またはスラリーからの金属が化学物質に曝されることを防止するために、テンプレートの少なくとも一部と重複してもよい。
【0051】
図4を参照すると、研磨装置100において使用される研磨ヘッドアセンブリ400の例が示されている。研磨ヘッドアセンブリ400は、研磨ヘッド410と、キャップ440と、バンド470とを含む。研磨ヘッドアセンブリ400は、バッキングフィルムおよび保持リング、例えばバッキングフィルム110および保持リング120(
図1に示す)を備えるテンプレートを含んでもよい。研磨ヘッド410は、実質的に互いに平行な頂部412および底部414を有する。研磨ヘッド410は、頂部412に設けられたプラットフォーム416と、プラットフォーム416から底部414を通って延びた穴418とを有する。
【0052】
研磨ヘッド410は、プラットフォーム416から底部414へ下方に延びた環状部材420を有する。環状部材420は、内面422と、外面424とを有する。外面424は、研磨ヘッド410の周縁を形成する。環状部材420は、底部414に沿って凹部を画定し、凹部は、環状部材420の間で延びた凹面426を有する。この実施形態では、穴418は、プラットフォーム416から凹面426を通って延びている。環状部材420は、底部414において底縁472を有しており、底縁472は、バンド470に重なっており、バンド470にシールされてもよい。
【0053】
キャップ440は、環状部材420により画定された凹部内に配置されている。キャップ440は、環状壁450により取り囲まれたフロア442を含み、環状壁450は、フロア442から上方に延びている。フロア442は、頂面444と底面446とを有する。この実施形態では、底面446は、環状壁450を越えてタブ448へ外側に延びている。他の実施形態では、底面446は、環状壁450がキャップ440の最外周縁を画定するように、環状壁450を越えて延びなくてもよい。
【0054】
環状壁450は、内側面452と、外側面454と、頂部456と、底部458とを有する。頂部456は、頂縁460と頂縁460に形成された開口459とを有する。開口459は、頂縁460において頂部456内に延び、穴418に対応している。穴418と、対応する開口とは、環状壁450を凹面426に取り外し可能に固定し、それによりキャップ440を研磨ヘッド410に取り外し可能に固定するための締結部材490(例えばネジ)を受け入れる。環状壁450の頂縁460は、環状壁450が凹面426に固定されたときに凹面426に接触する。頂部456は、環状壁450が凹面426に固定されたときにシールを形成するOリング462を頂縁460に有してもよい。
【0055】
図4に示すように、環状壁450の厚みは、底部458よりも頂部456において厚い。底部458で壁が薄くなっていることで、底部458は、フロア442が研磨ヘッド410に対して永久的に変形することなく、一時的に撓むことができるヒンジとして機能することができる。例えば、フロア442は、キャップ440をウェハ(
図1に示すウェハWなど)に接触させる研磨ヘッドアセンブリ400の下方への垂直移動に応答して、研磨ヘッド410に向かって一時的に上方に撓んでもよい。環状壁450の内側面452は、頂部456において、頂部456の厚みが頂縁460において最も厚く、底部458に向かって下方にテーパするように、外側面454に対して角度が付いていてもよい。
【0056】
外側面454の少なくとも一部は、キャップ440が研磨ヘッド410に固定されたときに、環状部材420の内面442に当接する。好適には、外側面454は、実質的に内面422に平行である。この実施形態では、環状壁450の高さは、環状部材420の下方への延びよりも大きく、環状部材420の内面422は、環状壁450の頂部456を取り囲んでいる。他の実施形態では、環状部材420は、環状壁450のより多くの部分またはより少ない部分を取り囲んでもよい。
【0057】
フロア442は、キャップ440が研磨ヘッド410に固定されたときに、凹面426から間隔を開けて配置されている。したがって、環状壁450と、フロア442の頂面444と、凹面426とは、キャップ440が研磨ヘッド410に固定されたときに、チャンバ405を画定する。環状壁450が凹面426に固定されたときに頂縁460が凹面426に接触するため、チャン4305の高さは、環状壁450の高さによって決定される。いくつかの実施形態では、チャンバ405は、加圧媒体または加圧流体により加圧されている。チャンバ405は、加圧媒体または加圧流体をチャンバ405に供給するための加圧源(図示せず)に接続されてもよい。上述したように、フロア442は、永久的に変形することなく、研磨ヘッド410に対して一時的に撓むことができてもよい。例えば、チャンバ405内の圧力を調整することで、フロア442の撓みを増加または減少させてもよい。Oリング462が使用される実施形態では、頂縁460と凹面426との間に形成されたシールは、チャンバ405からの加圧媒体または加圧流体の漏洩を防止することができ、これによりチャンバ405内の所定の圧力を維持する。
【0058】
研磨ヘッド410とキャップ440は、スチール、アルミニウム、セラミック、または他の好適な材料などの構造材料から作られてもよい。いくつかの実施形態では、研磨ヘッド410およびキャップ440は、鋳造アルミニウム(例えば、Alcoa社から入手可能なMIC6(登録商標)アルミニウム鋳造板)から作られている。他の実施形態では、キャップ440は、アルミナなどのセラミックまたはプラスチック材料から作られてもよい。プラスチック材料を使用する他の実施形態では、ポリエーテルイミド(例えば、Saudi Basic Industries Corporation(SABIC)社から入手可能なULTEM樹脂1000)が使用されてもよい。プラスチックキャップ440は、金属またはセラミックのいずれかで作られたものよりも実質的に厚い。セラミックで作られたキャップは、金属またはプラスチックのいずれかで作られたフロアよりも実施的に薄いフロアを有する。
【0059】
研磨ヘッドアセンブリ400で使用される金属は、研磨薬品またはスラリーを介して金属イオンの供給源となることで、ウェハを汚染する可能性がある。研磨ヘッド410からの金属がスラリーおよびウェハを汚染することを防止するために、研磨ヘッド410は、金属イオン保護を提供するバリアを形成するためにエポキシ樹脂、フッ化炭素、または他の適切な非金属材料でコーティングされている。
【0060】
研磨ヘッドアセンブリ400で使用される金属が、スラリーおよびウェハを汚染することを防止するため、および/または研磨薬品またはスラリーからの金属が化学物質に曝されることを防止するため、研磨ヘッド410および/またはキャップ440の一部は、スラリーと研磨ヘッド410および/またはキャップ440との間にバリアを形成するバンド470により取り囲まれている。バンド470は、非金属材料であってもよい。いくつかの実施形態では、バンド340は、ポリエーテルイミド(例えば、Saudi Basic Industries Corporation(SABIC)社から入手可能なULTEM(登録商標)樹脂1000)、ポリエーテル・エーテル・ケトン、ポリフェニレン・スルファイド、ポリエチレン・テレフタレートなどのプラスチックから作られている。
【0061】
この実施形態では、バンド470は、研磨ヘッド410に取り囲まれていない環状壁450の外側面454の一部、およびタブ448を取り囲んでおり、これらにシールされていてもよい。バンド470は、底縁472において環状部材420にシールされてもよい。バンド470は、エポキシ接着剤などの接着剤を用いて研磨ヘッド410および/またはキャップ440に固定されてもよい。バンド470と研磨ヘッドアセンブリ400との間のシールが接着不良に起因して緩むことを防止するために、バンド470は、単一的な一体バンドであってもよい。単一的な一体バンド470は、キャップ440が研磨ヘッド410に固定されたときに、バンド470とタブ448との間、およびバンド470と底縁472との間の締まり嵌めにより所定の位置に保持されてもよい。この実施形態では、タブ448は、タブ448とバンド470との間にシールを形成するOリング474を有する。Oリング474は、バンド470と研磨ヘッドアセンブリ400との間の接合部の内側での化学曝露を防止するための追加のシールを加えることができる。Oリング474は、公差の積み重ねに起因する起こり得る望ましくないクリアランスを補うことができる。
【0062】
研磨ヘッドアセンブリ400が、
図1に示されるバッキングフィルム110および保持リング120などのバッキングフィルムおよび保持リングを備えるテンプレートを含む実施形態では、バンド470は、研磨ヘッド410および/またはキャップ440からのスラリーまたはウェハの金属汚染を防止し、および/または研磨薬品またはスラリーからの金属が化学物質に曝されることを防止するために、テンプレートの少なくとも一部と重複してもよい。
【0063】
上述の実施形態の特徴は、いくつかの利点を有する。例えば、エポキシ樹脂の代わりに締結部材を用いて研磨ヘッドアセンブリを取り付けることにより、研磨ヘッドアセンブリの耐用期間中の故障の主な原因であるエポキシ接合部の故障に関連する問題を低減または排除することができる。研磨ヘッドアセンブリの修理が必要となったとき、締結部材は、熱または他の破壊的な作用を用いることなく、研磨ヘッドアセンブリを分解することを可能にし、部品の救済に役立つメンテナンス時間を短縮することができる。研磨ヘッドアセンブリの再組み立ては、コーティングが使用されている場合には、研磨ヘッドアセンブリに新たな材料コーティングを塗布することなく行うことができる。部品が元の向きで組み合わされることを保証し、これにより部品を繰り返しラッピングする必要をなくすことができるように、インデックスピンを使用してもよい。インデックスピンは、したがって、締結部材(例えば、ネジ)を使用する従来の研磨ヘッドアセンブリの再組み立てに関連する平坦性の問題を防止することができる。また、キャップの環状壁の頂縁を研磨ヘッドの凹面に固定することで、研磨ヘッドアセンブリのチャンバからの加圧媒体または加圧流体の漏洩を防止することができる。この接続部にOリングを使用することにより、このシールを更に改善することができる。また、非金属バンドは、研磨薬品またはスラリーと、研磨ヘッドアセンブリとの間の接触を防止し、研磨ヘッドアセンブリおよびキャップの耐用期間を維持する。
【0064】
図5および
図6を参照すると、
図2の研磨ヘッドアセンブリ200の斜視図と部分断面図とがそれぞれ示されている。上述したように、研磨ヘッドアセンブリ200は、研磨ヘッド210と、キャップ240と、バンド270とを有する。キャップ240は、フロア242を有しており、フロア242は、タブ248へ外側に伸びた底面246を有する。
図5および
図6に示すように、研磨ヘッドアセンブリ200は、テンプレート295を含む。テンプレート295は、バッキングフィルム296と保持リング298とを含む。保持リング298は、バッキングフィルム296の外周に沿って下方に延びており、ウェハW(
図5に示す)を受け入れる円形開口を形成する。いくつかの実施形態では、保持リング298の高さは、ウェハWの高さより低く、これにより、動作中に研磨パッド150(
図1に示す)などの研磨パッドと保持リング298とが接触することを低減または排除することが容易になる。この実施形態のウェハWは、表面張力によりバッキングフィルム296に対して保持される。
【0065】
キャップ240に使用されている金属がスラリーおよびウェハWを汚染することを防止するために、テンプレート295のバッキングフィルム296は、感圧接着剤を使用してキャップ240の底面246にシールされている。バッキングフィルム296は、一般的に、薄い軟質ポリマーパッドまたは他の好適な材料である。バッキングフィルム296は、好適には、2以上の材料層(図示せず)を含む。例えば、バッキングフィルム296は、接着層、薄いプラスチックフィルム層、および薄いポリウレタンフォームまたは他の不織材料(例えば、フェルト)の層を有してもよい。接着層は、バッキングフィルム296をキャップ240の底面246にシールする。薄いプラスチックフィルム層は、キャップ240と、スラリーおよび/またはウェハWとの間の保護バリアを提供する。ポリウレタンフォームまたは不織材料(例えば、フェルト)を有する層は、ウェハに接触し、(
図1に示された研磨パッド150などの)研磨パッドと類似の表面を提供する。保持リング298は、バッキングフィルム296から下方に延びており、一般的にプラスチック材料である。ウェハは、保持リング298に受け入れられ、表面張力によりバッキングフィルム296に対して保持される。したがって、ウェハは、キャップ240に直接接触しない。
【0066】
この実施形態では、テンプレート295は、キャップ240の周縁より大きい周縁を有しており、タブ248から外側に延びている。キャップ240は、オーバーラップ面299でテンプレート295の外側部分と重なるバンド270により取り囲まれている。テンプレート295のバッキングフィルム296は、感圧接着剤を使用して、底面246にシールされてるとともに、オーバーラップ面299でバンド270にシールされている。バンド270とテンプレート295は共に、スラリーおよびウェハWと、研磨ヘッド210およびキャップ240との間に保護シールを提供し、スラリーおよびウェハWが研磨ヘッド210およびキャップ240と直接接触することを防止する。
【0067】
本明細書に記載された実施形態は、熱または他の破壊的な作用を用いることなく、研磨ヘッドアセンブリを分解する能力を提供し、研磨ヘッドアセンブリの効率的かつ経済的な修理を可能にする。本願明細書に記載された実施形態は、研磨されたウェハの望ましい平坦度および他の使用を維持しつつ、締結部材を用いて研磨ヘッドアセンブリを取り付ける能力を提供する。
【0068】
本明細書に記載された実施形態を使用することの他の利点は、研磨ヘッドアセンブリの耐用期間中のエポキシ接合部の故障に関連する問題を低減または排除することができることである。また、キャップと凹面との間に形成されたシールにより、加圧チャンバからの空気の漏れが防止される。バンドおよびテンプレートは、ウェハと研磨ヘッドアセンブリの金属との更なる保護を提供し、研磨ヘッドアセンブリを取り付けるために必要なエポキシ樹脂の量および/または化学曝露に起因するエポキシ接合部の故障の可能性を低減することができる。
【0069】
本開示または本開示の実施形態の要素を紹介するとき、冠詞「a」、「an」、「前記(the)」、および「前記(said)」は、要素が1以上存在することを意味することを意図している。用語「備える(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」は、包括的であることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在してもよいことを意味している。特定の向きを示す用語(例えば「頂(top)」、「底(bottom)」、「側方(side)」、「下方(down)」、「上方(up)」など)の使用は、説明の便宜上のものであり、説明された物品の特定の向きを必要とするものではない。
【0070】
本開示の範囲から逸脱することなく、上述の構造および方法において、様々な変更が可能であるため、上述の説明に含まれ、添付の図面に示される全ての事項は、限定的な意味ではなく例示として解釈されることが意図される。
【国際調査報告】