(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】積極的な蒸気生成を伴う急速熱処理(RTP)チャンバでの選択的酸化
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20240705BHJP
H01L 21/26 20060101ALI20240705BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
H01L21/31 E
H01L21/26 G
H01L21/316 S
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579502
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 US2022035364
(87)【国際公開番号】W WO2023278481
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】プラサード, チャイタニヤ アンジャネユル
(72)【発明者】
【氏名】オルセン, クリストファー ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ハウリルチャック, ララ
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン, エリカ ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】グラバー, ダニエル シー.
(72)【発明者】
【氏名】アプルヴァ, ナマン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ツォン-ハン
【テーマコード(参考)】
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
5F045AA20
5F045AB31
5F045AB32
5F045AC15
5F045AC16
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5F045EK12
5F058BA09
5F058BA10
5F058BC02
5F058BC03
5F058BF55
5F058BF56
5F058BF80
(57)【要約】
本明細書では、急速熱処理(RTP)システムと共に使用するためのガス分配モジュール、及びその使用方法の実施形態が提供される。幾つかの実施形態において、RTPチャンバと共に使用するためのガス分配モジュールが、ミキサに流体的に結合された第1のキャリアガス線及び第1の液体線であって、ミキサが、第1のキャリアガス線からのキャリアガスと、第1の液体線からの液体とを所望の比率で混合して第1の混合物を形成するよう構成された1つ以上の制御バルブを有する、第1のキャリアガス線及び第1の液体線と、ミキサに結合されており、中空の内部空間内で第1の混合物を受け取るよう構成された気化器であって、第1の混合物を気化させるよう構成されたヒータを有する気化器と、気化した第1の混合物をRTPチャンバに供給するために、気化器とRTPチャンバの間に配置された第1のガス供給線と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
急速熱処理(RTP)チャンバと共に使用するためのガス分配モジュールであって、
ミキサに流体的に結合された第1のキャリアガス線及び第1の液体線であって、前記ミキサが、前記第1のキャリアガス線からのキャリアガスと、前記第1の液体線からの液体とを所望の比率で混合して第1の混合物を形成するよう構成された1つ以上の制御バルブを有する、第1のキャリアガス線及び第1の液体線と、
前記ミキサに結合されており、中空の内部空間内で前記第1の混合物を受け取るよう構成された気化器であって、前記第1の混合物を気化させるよう構成されたヒータを有する気化器と、
気化した前記第1の混合物を前記RTPチャンバに供給するために、前記気化器と前記RTPチャンバの間に配置された第1のガス供給線と、
を備えたガス分配モジュール。
【請求項2】
第2のミキサに流体的に結合された第2のキャリアガス線及び第2の液体線であって、前記第2のミキサが、前記第2のキャリアガス線からの第2のキャリアガスと、前記第2の液体線からの液体とを所望の比率で混合して第2の混合物を形成するよう構成される、第2のキャリアガス線及び第2の液体線と、
中空の内部空間、及び前記第2の混合物を気化させるよう構成された気化器ヒータを有する第2の気化器と、
気化した前記第2の混合物を前記RTPチャンバに供給するための、前記気化器及び前記RTPチャンバに流体的に結合された第2のガス供給線と、
をさらに含む、請求項1に記載のガス分配モジュール。
【請求項3】
前記ミキサが混合ブロックを含み、前記混合ブロックが、混合線まで延びる前記第1の液体線のための第1の入口と、前記混合線まで延びる前記第1のキャリアガス線のための第2の入口と、前記混合線から延びる前記第1の混合物のための出口と、を有する、請求項1に記載のガス分配モジュール。
【請求項4】
前記ミキサが、前記混合ブロック内に配置されたヒータを含む、請求項3に記載のガス分配モジュール。
【請求項5】
前記第1のキャリアガス線に結合された第1のキャリアガス源をさらに含み、前記第1のキャリアガス源が、実質的に水素、窒素、アルゴン、又は重水素から成る、請求項1から4のいずれか一項に記載のガス分配モジュール。
【請求項6】
前記気化器が、前記中空の内部空間へと延びる入口と、前記中空の内部空間から延びる出口と、を含み、前記中空の内部空間は、断面積が前記入口から前記出口に向かって増大する、請求項1から4のいずれか一項に記載のガス分配モジュール。
【請求項7】
前記第1のガス供給線が、当該第1のガス供給線を約60℃~約120℃の温度に維持するよう構成されたヒータジャケットを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のガス分配モジュール。
【請求項8】
急速熱処理(RTP)システムであって、
基板を支持するための基板支持体、及び前記基板を加熱するための放射熱源を有するRTPチャンバと、
請求項1から4のいずれか一項に記載の前記ガス分配モジュールであって、前記ガス分配モジュールの前記第1のガス供給線が、気化した前記第1の混合物を前記RTPチャンバに供給するために、前記気化器と前記RTPチャンバとの間に配置される、前記ガス分配モジュールと、
を備えた急速熱処理(RTP)システム。
【請求項9】
前記ミキサに水を供給するための、前記ミキサに結合された給水源と、
前記ミキサに前記キャリアガスを供給するための、前記ミキサに結合されたキャリアガス供給源と、
をさらに含む、請求項8に記載のRTPシステム。
【請求項10】
前記RTPチャンバが、前記RTPチャンバの側壁に、前記第1のガス供給線と連通するガス供給ポートを含む、請求項8に記載のRTPシステム。
【請求項11】
前記RTPシステムが、遠隔プラズマ源を含まない、請求項8に記載のRTPシステム。
【請求項12】
前記第1のガス供給線が、ヒータジャケットを含む、請求項8に記載のRTPシステム。
【請求項13】
前記気化器が、前記中空の内部空間の周囲に配置された気化器ブロックを含み、前記気化器の前記ヒータが、前記気化器ブロック内に配置されている、請求項8に記載のRTPシステム。
【請求項14】
前記RTPチャンバが、前記基板を前記RTPチャンバの内部空間に出し入れするためのスリットバルブと、前記スリットバルブとは反対側の前記RTPチャンバの側面に配置された排気ポートと、をさらに含む、請求項8に記載のRTPシステム。
【請求項15】
非金属表面に対して選択的酸化プロセスを実行する方法であって、
ミキサ内でキャリアガスと液体とを所望の比率で混合して、第1の混合物を形成することと、
前記第1の混合物を気化器へと流して、前記第1の混合物を気化させることと、
気化した前記第1の混合物をガス供給線を介してRTPチャンバへと供給し、前記RTPチャンバ内に配置された基板を前記気化した第1の混合物に曝露して、前記基板に対して約500℃~約1100℃の温度で選択的酸化プロセスを実行することと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記キャリアガスが、水素、窒素、アルゴン、又は重水素のうちの1つ以上である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ガス供給線を約60℃~約120℃に加熱することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記選択的酸化プロセスが、前記RTPチャンバ内で約100torr~約550torrの圧力で実行される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
第2のミキサ内で第2のキャリアガスと第2の液体とを所望の比率で混合して、第2の混合物を形成することと、
前記第1の混合物を第2の気化器へと流して、前記第2の混合物を気化させることと、
気化した前記第2の混合物を、第2のガス供給線を介して前記RTPチャンバに供給して、前記基板に対して前記選択的酸化プロセスを実行することと、
をさらに含む、請求項15から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記選択的酸化プロセスは、ケイ素を選択的に酸化させ又は酸化アルミニウムを高密度化する、請求項15から18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、半導体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ケイ素の酸化は、集積回路(IC)製造における基本的な技術である。最先端の集積回路製造では、ケイ素又はポリシリコンの構造上に酸化ケイ素の薄膜を成長させる幾つかのプロセスが必要である。幾つかの用途では、金属を含む他の材料が酸化されないように、酸化プロセスが選択的である必要がある。ケイ素を酸化させるための最も一般的な方法は、O2、H2O/H2、H2O/O2、O2/H2、又はこれらの組み合わせの雰囲気中での熱プロセスに依拠している。IC製造においてケイ素酸化プロセスを提供するために使用されるハードウェアは、通常熱処理チャンバで構成される。蒸気酸化プロセスは通常、ウェット酸化プロセス及びドライ酸化プロセスよりも迅速に酸化物の成長を促進する。しかしながら、従来の蒸気酸化プロセスでは、酸化物の成長速度、均一性、選択性、共形性(conformality)に対する良好な制御が提供されない。
【0003】
従って、発明者らは、基板上に金属が存在する状態で非金属を選択的に酸化させるための改良された装置及び方法を提供してきた。
【0004】
本明細書では、急速熱処理(RTP:rapid thermal processing)システムと共に使用するためのガス分配モジュール、及びその使用方法の実施形態が提供される。幾つかの実施形態において、急速熱処理(RTP)チャンバと共に使用するためのガス分配モジュールが、ミキサに流体的に結合された第1のキャリアガス線及び第1の液体線であって、ミキサが、第1のキャリアガス線からのキャリアガスと、第1の液体線からの液体とを所望の比率で混合して第1の混合物を形成するよう構成された1つ以上の制御バルブを有する、第1のキャリアガス線及び第1の液体線と、ミキサに結合されており、中空の内部空間内で第1の混合物を受け取るよう構成された気化器であって、第1の混合物を気化させるよう構成されたヒータを有する気化器と、気化した第1の混合物をRTPチャンバに供給するために、気化器とRTPチャンバの間に配置された第1のガス供給線と、を備える。
【0005】
幾つかの実施形態において、急速熱処理(RTP)システムが、基板を支持するための基板支持体、及び基板を加熱するための放射熱源を有するRTPチャンバと、ガス分配モジュールと、を備え、ガス分配モジュールが、水とキャリアガスとを所望の比率で混合して第1の混合物を形成するよう構成された1つ以上の制御バルブを有するミキサと、ミキサに結合されており、中空の内部空間内で第1の混合物を受け取るよう構成された気化器であって、第1の混合物を蒸気に気化させるよう構成されたヒータを有する気化器と、気化した第1の混合物をRTPチャンバに供給するために、気化器とRTPチャンバの間に配置された第1のガス供給線と、ミキサに水を供給するための、ミキサに結合された給水源と、ミキサにキャリアガスを供給するための、ミキサに結合されたキャリアガス供給源と、を含む。
【0006】
幾つかの実施形態において、非金属表面に対して選択的酸化プロセスを実行する方法が、ミキサ内でキャリアガスと液体とを所望の比率で混合して、第1の混合物を形成することと、第1の混合物を気化器へと流して、第1の混合物を気化させることと、気化した第1の混合物をガス供給線を介してRTPチャンバへと供給し、RTPチャンバ内に配置された基板を気化した第1の混合物に曝露して、基板に対して約500℃~約1100℃の温度で選択的酸化処理を実行することと、を含む。
【0007】
本開示の他の実施形態及び更なる実施形態については、以下で説明する。
【0008】
先に簡潔に要約し、以下により詳細に述べる本開示の実施形態は、添付の図面に示す本開示の例示的な実施形態を参照することによって理解することができる。しかしながら、本開示は他の等しく有効な実施形態を許容しうることから、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態を示すにすぎず、従って、範囲を限定していると見なすべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の少なくとも幾つかの実施形態に係る急速熱処理システムの概略図を示す。
【
図2】本開示の少なくとも幾つかの実施形態に係る急速熱処理システムの概略図を示す。
【
図3】本開示の少なくとも幾つかの実施形態に係る急速熱処理チャンバの概略的な側面図を示す。
【
図4】本開示の少なくとも幾つかの実施形態に係る急速熱処理チャンバの概略的な水平断面図である。
【
図5】本開示の少なくとも幾つかの実施形態に係る、非金属表面に対して選択的酸化プロセスを実行する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするために、可能な場合には、複数の図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。図は縮尺どおりには描かれておらず、分かり易くするために簡略化されることがある。一実施形態の要素及び特徴は、更なる記載がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれうる。
【0011】
本明細書で提供される装置及び方法は、1つ以上の気化混合物を使用してRTPチャンバ内での非金属表面の選択的酸化を促進する急速熱処理(RTP)システムに関する。RTPシステムは、1つ以上の気化混合物を形成するよう構成されたガス分配モジュールを含む。ガス分配モジュールはおおまかに、1つ以上の気化混合物を形成するためのそれぞれのミキサ及び気化器を含む。幾つかの実施形態において、1つ以上の気化混合物が、蒸気と混合した水素といったキャリアガスを含みうる。このように、本明細書で提供されるRTPシステムは有利に、RTPチャンバへの直接的な蒸気注入を可能にする。1つ以上の気化混合物は、ケイ素の選択的酸化又は金属酸化物の高密度化のために使用可能な活性ガスを含む。1つ以上の気化混合物は、RTPチャンバ内での処理中に高温(>500℃)に加熱されうる。RTPチャンバは、処理中に高圧(>100Torr)に加圧されうる。ガス分配モジュールは、RTPチャンバに供給される1つ以上の気化混合物の組成(例えば、キャリアガスと蒸気の比率)及び流量を制御して、酸化物の成長速度、均一性、選択性、及び共形性のチューニングノブを提供する。
【0012】
図1は、本開示の少なくとも幾つかの実施形態に係る急速熱処理(RTP:rapid thermal processing)システム100の概略図を示す。RTPシステム100はおおまかに、RTPチャンバ104であって、当該RTPチャンバ104に1つ以上の気化混合物を供給するためのガス分配モジュール102に結合されたRTPチャンバ104を含む。液体源112及びキャリアガス源122が、ガス分配モジュール102に結合されている。幾つかの実施形態において、液体源112が、脱イオン水といった水、又は任意の他の適切な液体を含む。幾つかの実施形態において、キャリアガス源122が、実質的に水素、アルゴン、窒素、又は重水素から成る。
【0013】
液体源112は、第1の液体線114を介してガス分配モジュール102に流体的に結合されている。キャリアガス源122は、第1のキャリアガス線124を介してガス分配モジュール102に流体的に結合されている。第1のマスフローコントローラ142(MFC)が、ガス分配モジュール102への液体の流れを制御するために、第1の液体線114に沿って配置されうる。第2のMFC144が、ガス分配モジュール102へのキャリアガスの流れを制御するために、第1のキャリアガス線124に沿って配置されうる。幾つかの実施形態において、液体が毎分約1~約5ガロン供給されうる。幾つかの実施形態において、キャリアガスが毎分約10~約30リットル供給されうる。
【0014】
ガス分配モジュール102はおおまかに、第1の液体線114及び第1のキャリアガス線124に結合されたミキサ110と、ミキサ110に結合された気化器120と、を含む。ミキサ110は、液体源112からの液体とキャリアガス源122からのキャリアガスとを所望の比率で混合して、第1の混合物を形成するよう構成されている。ミキサ110に結合された気化器120は、中空の内部空間108内で第1の混合物を受け取るよう構成されている。気化器120は、第1の混合物を、例えば、キャリアガス源122からのキャリアガス及び蒸気を含むガス状混合物に気化させるよう構成されている。
【0015】
幾つかの実施形態において、ミキサ110が、第1のキャリアガス線124からのキャリアガスと第1の液体線114からの液体とを所望の比率で混合して、第1の混合物を形成するよう構成された1つ以上の制御バルブ116を含む。幾つかの実施形態において、ミキサ110が混合ブロック126を含み、混合ブロック126は、第1の液体線114に流体的に結合された第1の入口128と、第1のキャリアガス線124に結合された第2の入口130と、を有する。幾つかの実施形態において、第1の入口128及び第2の入口130が、ミキサ110の混合線132まで延在する。ミキサ110が、出口134を含む。幾つかの実施形態において、混合ブロック126が出口134を含み、出口134が、混合線132から混合ブロック126の外側の側壁まで延在する。幾つかの実施形態において、出口134がそこまで延在する混合ブロック126の外側の側壁が、気化器120に面して配置されている。幾つかの実施形態において、1つ以上の制御バルブ116が、混合線132に結合されており、出口134を通る第1の混合物の流れを制御するよう構成されている。
【0016】
幾つかの実施形態において、ミキサ110が、1つ以上の加熱要素136を含む。幾つかの実施形態において、1つ以上の加熱要素136が、混合ブロック126内に配置されている。幾つかの実施形態において、1つ以上の加熱要素136が、混合線132の下の混合ブロック126内に配置されている。幾つかの実施形態において、1つ以上の加熱要素136が、第1の混合物を約100℃~約150℃の温度に加熱するよう構成されている。
【0017】
気化器120が、第1の混合物を、例えば蒸気に気化させるよう構成された気化器ヒータ106を含む。幾つかの実施形態において、気化器120が、ミキサ110の出口134に流体的に結合された入口138を含む。幾つかの実施形態において、入口138を出口134に直接的に結合して、第1の混合物がミキサ110から気化器120へと流れる間の第1の混合物からの熱損失を低減又は防止することができる。幾つかの実施形態において、導管が、ミキサ110の出口134と気化器120の入口138との間に配置されうる。幾つかの実施形態において、出口134と入口138との間の導管が、約100℃~約150℃に加熱されうる。
【0018】
幾つかの実施形態において、入口138が気化器120の中空の内部空間108まで延在する。幾つかの実施形態において、気化器120が、入口138とは反対側の中空の内部空間108の側面から延びる出口140を含む。幾つかの実施形態において、気化器120は、中空の内部空間108の周囲に配置された気化器ブロック115を含む。幾つかの実施形態において、中空の内部空間108、入口138、及び出口140が、気化器ブロック115内に形成される。幾つかの実施形態において、気化器ヒータ106が、気化器ブロック115内に配置されている。気化器ヒータ106は、第1の混合物を約120℃~約200℃の温度に加熱するよう構成されうる。幾つかの実施形態において、第1の混合物が気化した際の第1の混合物の膨張に対応するために、中空の内部空間108は、断面積が入口138から出口140に向かって増大する。
【0019】
気化器120の出口140は、気化した第1の混合物をRTPチャンバ104に供給するための、気化器120とRTPチャンバ104の間に配置された第1のガス供給線150に流体的に結合されている。幾つかの実施形態において、第1のガス供給線150が、気化した第1の混合物を約60℃~約120℃の温度に維持するためのヒータジャケットを含む。
【0020】
以下に詳述するように、RTPチャンバ104は大まかに、基板を支持するための基板支持体118と、基板を加熱するための放射熱源160と、を含む。RTPチャンバ104は、遠隔プラズマ源といったプラズマ源を含むことなく、熱的プロセスを介して選択的酸化プロセスを実行するよう構成されている。RTPチャンバ104は、処理中に基板を約500℃~1100℃の温度範囲で加熱するよう構成されうる。RTPチャンバ104は、処理中に約100Torr~約600Torrの高圧に加圧されうる。
【0021】
図2は、本開示の少なくとも幾つかの実施形態に係る急速熱処理システム100の概略図を示す。幾つかの実施形態において、ガス分配モジュール102が、複数のミキサと、複数の関連する気化器と、を含む。複数のミキサは、有利に、RTPチャンバ104に供給されるガス状混合物の様々な組成、ガス状混合物のキャリアガスと蒸気との様々な比率などを可能にしうる。例えば、
図2に示すように、ガス分配モジュール102は、液体源112からの液体とキャリアガス源122からのキャリアガスとを所望の比率で混合して、第2の混合物を形成するよう構成された第2のミキサ210と、第2の混合物を気化させるよう構成された第2の気化器220と、をさらに備える。第2の気化器220は、気化した第2の混合物をRTPチャンバ104に供給するための第2のガス供給線250を介して、RTPチャンバ104に流体的に結合されている。幾つかの実施形態において、第2のミキサ210及び第2の気化器220は、
図1に関して先に記載したミキサ110及び気化器120と同様でありうる。
【0022】
図2に示すように、液体源112及びキャリアガス源122は、ミキサ110と第2のミキサ210との間で共有されており、ミキサ110と第2のミキサ210とが有利に、酸化物の成長速度、均一性、選択性及び共形性を制御するために、第1の混合物及び第2の混合物について異なったキャリアガス対液体比を提供することが可能となる。そのような実施形態において、第2のキャリアガス線224が、第1のキャリアガス線124から第2のミキサ210まで延在しうる。第2の液体線214が、第1の液体線114から第2のミキサ210へと延在しうる。他の実施形態において、ミキサ110と第2ミキサ210とは、RTPチャンバ104に様々なガス状混合物を供給するために、別個の液体源及びキャリアガス源に流体的に結合されてよく、又は液体源は同じものであるがキャリアガス源は異なるものに流体的に結合されてよい。例えば、複数のキャリアガス源は、2つの異なる反応性ガス、即ち1つの反応性ガスと1つのパージガスなどを供給することが可能である。第3のMFC242が、第2のミキサ210への液体の流れを制御するために、第2の液体線214に沿って配置されうる。第4のMFC244が、第2のミキサ210へのキャリアガスの流れを制御するために、第2のキャリアガス線224に沿って配置されうる。
【0023】
第1の液体線114は、第1のMFC142への流れを制御するために、第1のMFC142の上流に第1の制御バルブ202を含みうる。第1のキャリアガス線124は、第2のMFC144への流れを制御するために、第2のMFC144の上流に第2の制御バルブ204を含みうる。第2の液体線214は、第3のMFC242への流れを制御するために、第3のMFC242の上流に第3の制御バルブ206を含みうる。第2のキャリアガス線224は、第4のMFC244への流れを制御するために、第4のMFC244の上流に第4の制御バルブ208を含みうる。
【0024】
図3は、本開示の少なくとも幾つかの実施形態に係るRTPチャンバ104の概略的な側面図を示す。RTPチャンバ104は大まかに、第1の部分321及び第2の部分323を有するチャンバ本体320と、チャンバ本体320の第1の部分321上に配置された窓322と、を含む。チャンバ本体320と窓322とが処理空間301を画定する。ランプアセンブリ316が、窓322に載置されている。ランプアセンブリ316は、
図1の放射熱源160でありうる。ランプアセンブリ316は、ハウジング354と、ハウジング354内に形成された複数の開口352と、を含む。複数のランプ346がハウジング354内に配置されており、各ランプ346は対応する開口352内に配置されている。ランプ346は、複数の電気ソケット348を介して電力供給コントローラ376に接続されている。稼働中に、複数のランプ346は、窓322を介して、RTPチャンバ104内に配置された基板332に向かって放射線を放出し、基板332を所定の温度まで加熱する。所定の温度は、約20℃~約1,500℃、例えば約500℃~約1000℃でありうる。
【0025】
窓322は一般に、処理環境に対して耐性があって所望の放射線を透過させる任意の材料で作製される。例えば、石英は赤外線を透過させるため、石英が通常窓322のために使用される。他の適切な材料はサファイアを含みうるが、これに限定されない。さらなる実施例において、窓322には、任意選択的に、窓322の片側又は両側に反射防止コーティング又は任意の他の適切なフィルタがコーティングされる。
【0026】
ガス供給ポート380が、チャンバ本体320の第1の部分321内に形成される。ガス供給ポート380は、第1の混合物を処理空間301に導入するための第1のガス供給線150に流体的に結合している。稼働中には、真空ポンプ384が、チャンバ本体320の第1の部分221内に形成された排気ポート386を介して圧送することで、RTPチャンバ104を排気する。幾つかの実施形態において、排気ポート286と真空ポンプ284の間に配置されたバルブ388が、RTPチャンバ104内の圧力を制御するために利用されうる。幾つかの実施形態において、第2の真空ポンプ390が、ランプアセンブリ216内の圧力を制御するために、ランプアセンブリ216に接続されている。ランプアセンブリ316内の圧力は、バルブ394によって制御される。
【0027】
幾つかの実施形態において、チャンネル324がチャンバ本体320内に形成されており、ロータ326がチャンネル324内に配置されている。チャネル324は環状でありうる。幾つかの実施形態において、チャネル324が、チャンバ本体320の第2の部分323に隣接して位置している。RTPチャンバ104は、回転可能な基板支持体118をさらに含む。幾つかの実行形態において、基板支持体118がチャネル324内に配置されている。幾つかの実施形態において、基板332を支持するためのエッジリング330が基板支持体118に載置される。幾つかの実施形態において、シールド327が、チャンバ本体320の第2の部分323に載置され、かつエッジリング330を取り囲んでロータカバーを提供する。基板支持体118は、黒色石英といった熱抵抗が高い材料から作製される。幾つかの実施形態において、基板支持体118が円筒である。
【0028】
幾つかの実施形態において、ケイ素基板といった基板332が、稼働中にエッジリング330に載置される。幾つかの実施形態において、ステータ391が、チャンバ本体320の外部の、ロータ326と軸方向に位置合わせされた位置に配置されている。幾つかの実施形態において、ステータ391が磁気ステータであり、ロータ326が磁気ロータである。稼働中に、ロータ326が回転し、それによって基板支持体118、エッジリング330、基板332が回転する。
【0029】
エッジリング330を冷却するために、冷却部材343がチャンバ底部325に載置され得、かつエッジリング330に近接している。幾つかの実施形態において、冷却部材343が、チャンバ底部325と直接的に接触している。余剰の熱質量を提供するために、エッジリング330の厚さが余剰に指定されうる(over-specified)。このようなエッジサポートは、ヒートシンクとして機能可能であり、基板332のエッジでの過熱を回避するのを助ける。チャンバ底部325には、冷却剤が流れるためのチャネル337が形成されている。幾つかの実施形態において、冷却剤が水である。冷却部材343は、例えばアルミニウムなどの金属といった、熱伝導率が高い材料から作製されうる。幾つかの実施形態において、冷却部材343は、チャンバ底部325と接触する表面に凹部333が形成されている。パージガスが、パージガス源329からチャンバ底部325を通って、さらに冷却部材343の凹部333を通って流れて、エッジリング330に対流冷却を提供することができる。パージガスは、ヘリウム、窒素、又は他の適切なガスでありうる。
【0030】
幾つか実施形態において、反射板345が、チャンバ底部325に載置され、かつ冷却部材343によって取り囲まれている。反射板345は、第1の複数の開口331と、第2の複数の開口334と、を含む。複数のリフトピン336が、第2の複数の開口334を貫通している。チャンバ底部325は、第1の複数の開口部335と、第2の複数の開口部338と、を含む。第1の複数の開口335のそれぞれは、第1の複数の開口331の対応する開口と位置合わせされており、第2の複数の開口338のそれぞれは、第2の複数の開口334の対応する開口と位置合わせされている。
【0031】
RTPチャンバ104は、複数の熱検出器を有する検出アセンブリ368をさらに含みうる。複数の熱検出器は、第1の複数の開口331を介して基板332に亘る温度プロファイルを測定するよう構成されている。温度プロファイルは、電力供給コントローラ376に送信することができ、電力供給コントローラ376は、測定された温度プロファイルに応じてランプ346に供給される電力を制御する。
【0032】
図4は、本開示の少なくとも幾つかの実施形態に係る急速熱処理チャンバ104の概略的な水平断面図である。RTPチャンバ104は、基板をRTPチャンバ104の内部空間に出し入れするためのスリットバルブ310をさらに含む。幾つかの実施形態において、排気ポート386が、スリットバルブ310とは反対側のRTPチャンバ104の側面に配置されている。幾つかの実施形態において、RTPチャンバ104はRTPチャンバ104の側壁に、、第1のガス供給線150に連通するガス供給ポート380を含む。幾つかの実施形態において、RTPチャンバ104は、RTPチャンバ104の側壁に、第2のガス供給線250に連通する第2のガス供給ポート404を含む。幾つかの実施形態において、
図4に示されるように、ガス供給ポート380及び第2のガス供給ポート404が、RTPチャンバ104の同じ側壁に配置されている。幾つかの実施形態において、ガス供給ポート380は、排気ポート386と直交して配置される。
【0033】
図5は、本開示の少なくとも幾つかの実施形態に係る、非金属表面に対して選択的酸化プロセスを実行する方法500を示す。例えば、ケイ素又は酸化物基板に対して選択的酸化プロセスを実行する。502において、本方法は、ミキサ(例えば、ミキサ110)内でキャリアガスと液体とを所望の比率で混合して、第1の混合物を形成することを含む。幾つかの実施形態において、キャリアガスが、水素、窒素、アルゴン、又は重水素のうちの1つ以上である。幾つかの実施形態において、第1の混合物が、ミキサ内で1つ以上の加熱要素(例えば、1つ以上の加熱要素136)を介して加熱される。液体は、例えば水でありうる。
【0034】
504において、本方法は、第1の混合物を気化器(例えば、気化器120)へと流して、第1の混合物を気化させることを含む。気化器は、第1の混合物を気化させるための気化器ヒータ106を含む。506において、本方法は、気化した第1の混合物を、ガス供給線(例えば、第1のガス供給線150)を介してRTPチャンバ(例えば、RTPチャンバ104)に供給し、RTPチャンバ内に配置された基板(例えば、基板332)を気化した第1の混合物に曝露して、基板に対して約500℃~約1100℃の温度で選択的酸化プロセスを実行することを含む。幾つかの実施形態において、選択的酸化プロセスは、ケイ素を選択的に酸化させ又は酸化アルミニウムを高密度化する。幾つかの実施形態において、本方法は、ガス供給線を約60℃~約120℃に加熱することを含む。幾つかの実施形態において、選択的酸化プロセスが、RTPチャンバ内で約100torr~約600torrの圧力で実行される。幾つかの実施形態において、第1の混合物がミキサからRTPチャンバまで連続的に加熱される。
【0035】
幾つかの実施形態において、方法500は、第2のミキサ(例えば、第2のミキサ210)内で第2のキャリアガスと第2の液体とを所望の比率で混合して、第2の混合物を形成することと、第1の混合物を第2の気化器(例えば、第2の気化器)へと流して、第2の混合物を気化させることとを含む。気化した第2の混合物は、第2のガス供給線(例えば、第2のガス供給線250)を介してRTPチャンバに供給され、基板に対して選択的酸化プロセスが実行されうる。
【0036】
幾つかの実施形態において、本明細書で使用する「約」という用語は、特に明記されない限り、記載された値の15%の範囲内でありうる。先の記載は、本開示の実施形態に関するが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されうる。
【国際調査報告】