(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】遷移金属の研磨
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240705BHJP
C09C 3/06 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
C09C3/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579677
(86)(22)【出願日】2022-06-22
(85)【翻訳文提出日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 US2022034563
(87)【国際公開番号】W WO2023278215
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シン, ラジブ ケー.
(72)【発明者】
【氏名】デー, サニー
(72)【発明者】
【氏名】ラジョパディ, アクシャイ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルマ, アーディティヤ ディー.
【テーマコード(参考)】
4J037
5F057
【Fターム(参考)】
4J037CA12
4J037CA24
4J037EE03
5F057AA28
5F057BB22
5F057DA03
5F057EA06
5F057EA11
5F057EA15
5F057EA21
5F057EA22
5F057EA33
(57)【要約】
本発明は、マイクロエレクトロニクスデバイスに典型的に見られる遷移金属含有表面の研磨に有用な組成物を提供する。一態様では、本発明は、液体キャリア;コーティングされたチタニア研磨粒子を提供するために、粒子がアルミナまたは非晶質シリカで少なくとも部分的にコーティングされ、コーティングされたチタニア研磨粒子が、約50nm~約250nmの平均直径を有する、チタニア研磨粒子;および腐食防止剤、を含む組成物を提供する。本発明、組成物は、その上に遷移金属含有表面を有するマイクロエレクトロニクスデバイス基材を研磨するために有利に利用される。特定の実施形態では、表面は、モリブデンおよびルテニウム含有膜から選択され、熱酸化物と比較して著しく改善された選択性を示す。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体キャリア;
コーティングされたチタニア研磨粒子を提供するために、粒子がアルミナまたは非晶質シリカで少なくとも部分的にコーティングされ、コーティングされたチタニア研磨粒子が、約50nm~約250nmの平均直径を有する、チタニア研磨粒子;および
腐食防止剤
を含む組成物。
【請求項2】
コーティングされたチタニア研磨粒子がアルミナでコーティングされている、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
コーティングされたチタニア研磨粒子が非晶質シリカでコーティングされている、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
腐食防止剤がカチオン性界面活性剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
腐食防止剤がベンザルコニウムクロライドおよびベンザルコニウムブロミドから選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
pHが約2~約5である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも1つの酸化剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
酸化剤が過酸化水素および過ヨウ素酸から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも1つの遷移金属を含む表面を含む基材を化学機械研磨する方法であって、
基材を
液体キャリア;
コーティングされたチタニア研磨粒子を提供するために、粒子がアルミナまたは非晶質シリカで少なくとも部分的にコーティングされ、コーティングされたチタニア研磨粒子が、約50nm~約250nmの平均直径を有する、チタニア研磨粒子;および
腐食防止剤
を含む組成物と接触させること;
組成物を基材に対して移動させること;および
基材を研削して、少なくとも1つの遷移金属を含む表面の一部を除去すること
を含む方法。
【請求項10】
表面がモリブデンを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
表面がルテニウムを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
pHが約2~約5である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
コーティングされたチタニア研磨粒子がアルミナでコーティングされている、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
コーティングされたチタニア研磨粒子が非晶質シリカでコーティングされている、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
腐食防止剤がベンザルコニウムクロライドおよびベンザルコニウムブロミドから選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
モリブデンまたはルテニウムの少なくとも1つを含む表面を含む基材を化学機械研磨する方法であって、
基材を
液体キャリア;
コーティングされたチタニア研磨粒子を提供するために、粒子がアルミナまたは非晶質シリカで少なくとも部分的にコーティングされ、コーティングされたチタニア研磨粒子が、約50nm~約250nmの平均直径を有する、チタニア研磨粒子;および
腐食防止剤
を含む組成物と接触させること;
組成物を基材に対して移動させること;および
基材を研削して、モリブデンまたはルテニウムの少なくとも1つを含む表面の一部を除去すること
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にマイクロエレクトロニクスデバイス製造分野に関する。より詳細には、本発明は、モリブデン、タングステン、コバルト、銅、ルテニウム表面などの遷移金属を化学機械研磨するための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロエレクトロニクスデバイスウェハは、集積回路を形成するために使用される。マイクロエレクトロニクスデバイスウェハは、絶縁性、導電性または半導電性の特性を有する異なる材料の堆積のために領域がパターニングされたシリコンなどの基材を含む。正しいパターニングを得るためには、基材上に層を形成する際に使用された余分な材料を除去する必要がある。さらに、機能的で信頼性の高い回路を作製するためには、その後の処理に先立ち、マイクロエレクトロニクスウェハの表面を平坦または平面にすることが重要な場合が多い。したがって、マイクロエレクトロニクスデバイスウェハの特定の表面を平坦化および/または研磨する必要がある。さらに、光学デバイスの場合、光伝送のために表面を平滑化したり、表面下の損傷を除去したりする必要がある場合がある。
【0003】
化学機械研磨または平坦化(「CMP」)は、マイクロエレクトロニクスデバイスウェハの表面から材料が除去されるプロセスであり、研削などの物理的プロセスと酸化やキレート化などの化学的プロセスとを組み合わせることによって、表面が平坦化および研磨される。最も初歩的な形態では、CMPは、除去、平坦化、および研磨プロセスを達成するために、マイクロエレクトロニクスデバイスウェハの表面をバフ研磨する研磨パッドに、スラリー、例えば、研削材と活性化学物質の溶液を塗布することを含む。典型的に、除去または研磨プロセスは、純粋に物理的な作用または純粋に化学的な作用で構成されることは望ましくなく、むしろ、高速で均一な除去を達成するために、両方の相乗的な組合せが必要である。集積回路の製造では、CMPスラリーは、その後のフォトリソグラフィー、パターニング、エッチング、薄膜処理のために、平坦性の高い表面を製造することができるように、金属や他の材料の複雑な層を含む膜を優先的に除去できなければならない。従来のCMP作業では、基材キャリアまたは研磨ヘッドがキャリアアセンブリに取り付けられ、CMP装置の研磨パッドと接触するように配置される。キャリアアセンブリは、制御可能な圧力を基材に与え、基材を研磨パッドに押し付ける。その後、パッドは基材に対して相対的に移動される。
【0004】
モリブデン金属は、マイクロエレクトロニクスデバイスの相互接続、フォトマスクなどに使用されている。一般に、モリブデンはデバイス上に過剰に存在するため、研磨またはラッピングによって過剰分を除去する必要がある。モリブデン研磨は、シリカ研削材組成物を用いる場合、一般に除去速度が低い。過酸化水素などの酸化剤が使用される場合、高い腐食速度に遭遇することが多い。
【0005】
ルテニウムは、銅相互接続のバリア材料として、金属-絶縁体-金属キャパシタの下部電極材料として、ならびに次世代のライナーおよび導電性金属として、Ta/TaNの代替が検討されている。ルテニウムは、酸化剤と併用した研削材を用いて研磨することができるが、残念なことに、これらの組成物の中には、このような研磨プロセスで生じる反応生成物によって安全性や毒性に懸念をもたらすものがある。さらに、ルテニウム研磨では、従来の(コロイダル)シリカとアイオデート(すなわち、酸化剤)の化学作用を用いた場合、低い除去速度と高いエッチング速度を伴うことが多い。さらに、このような方法論では、特に中性からアルカリ性のpH条件下で、再現性の悪さとともに、重度のパッドの汚れを生じる。この点に関して、パッドの汚れは、ルテニウムの酸化の結果として形成される副生成物によるものと考えられ、最終的にはルテニウム表面の望ましくない傷を引き起こす可能性のある不溶性種を生成する可能性がある。
【0006】
したがって、このような困難に悩まされることのない、モリブデンおよびルテニウムの研磨のための新規かつ改良された組成物および方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
要約すると、本発明は、マイクロエレクトロニクスデバイス上で典型的に見られる遷移金属含有表面の研磨に有用な組成物を提供する。一態様では、本発明は、
液体キャリア;
コーティングされたチタニア研磨粒子を提供するために、粒子がアルミナまたは非晶質シリカで少なくとも部分的にコーティングされ;
コーティングされたチタニア研磨粒子が、約50nm~約250nmの平均直径を有する、チタニア研磨粒子;および
腐食防止剤
を含む組成物を提供する。
【0008】
本発明の方法では、組成物は、その上に遷移金属含有表面を有するマイクロエレクトロニクスデバイス基材を研磨するために有利に利用される。特定の実施形態では、表面は、モリブデンおよびルテニウム含有膜から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】モリブデン基材の毎分オングストローム単位のエッチング速度と腐食防止剤の濃度の関係を斜線の柱で表したグラフである。「SER」という名称は、静的エッチング速度(点模様の柱)を指す。このデータは実施例4に対応する。
【
図2】本発明の組成物を利用して研磨したモリブデン表面の表面仕上げである。このデータは実施例5に対応する。
【
図3】様々な研削材および研削材/酸化剤の組合せに対する毎分オングストローム単位の除去速度のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、内容が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「または」という用語は、内容が明確に別段の指示をしない限り、一般に「および/または」を含む意味で使用される。
【0011】
「約」という用語は、一般に、列挙された値と同等とみなされる(例えば、同じ機能または結果を有する)数値の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に四捨五入された数値を含むことがある。
【0012】
端点を用いて表現される数値範囲は、その範囲内に包含されるすべての数値を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4および5を含む)。
【0013】
本発明の組成物は、遷移金属含有材料用のCMP研磨組成物(すなわち、スラリー)として有用である。一実施形態では、これらの金属は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、銀、銅、およびレニウムを含む。別の実施形態では、金属は、タングステン、コバルト、銅、およびこれらの金属の酸化物および窒化物をともに含む。別の実施形態では、金属はルテニウムおよびモリブデンを含む。したがって、本発明は、第一の態様では、
液体キャリア;
コーティングされたチタニア研磨粒子を提供するために、粒子がアルミナまたは非晶質シリカで少なくとも部分的にコーティングされ;
コーティングされたチタニア研磨粒子が、約50nm~約250nmの平均直径を有する、チタニア研磨粒子;および
腐食防止剤
を含む組成物を提供する。
【0014】
本発明では、コーティングされたチタニア(TiO2)粒子は広く市販されている。このようなコーティングされたチタニアは、一般に、約50~約250nm、約100~約250nm、約50nm~約150nm、または約20nm~約50nmの平均直径を有する。これらのチタニア粒子を非晶質シリカまたはアルミナでコーティングすることは、公知の方法論によって達成することができる。例えば、「Dense silica coating of titania nanoparticles by seeded polymerization technique」、Ahmed Mohamed El-Toni、Shu Yin、およびTsugio Sato、Colloids and Surfaces A:Physicochemical and Engineering Aspects、274巻、1~3号、2006年2月15日、229~233ページを参照。アルミナ(Al2O3)によるチタニアのコーティングは、揮発性物質の加水分解または分解;酸化物、水酸化物、または顔料表面の部分的なコーティングを生じる、顔料粉砕中に表面に吸収され得る物質の添加;または水溶液からの懸濁TiO2粒子上へのコーティングの析出、による気相中での堆積により達成することができる。
【0015】
一実施形態では、チタニア研磨粒子はルチル型である。一般に、上記成分b、すなわちコーティングされたチタニア粒子は、(アルミナまたは非晶質シリカコーティングとともに)主に二酸化チタンで構成されるが、二酸化チタン以外のドーパントまたは材料が、約5重量%以下、約2重量%以下、または約1%以下など、チタニア研磨粒子内に少量存在してもよい。
【0016】
上記のように、本発明の組成物は、少なくとも1つの有機腐食防止剤を含む。本質的に、これらの有機腐食防止剤は、界面活性剤の一般的なクラスに分類される。本明細書で使用される場合、「界面活性剤」という用語は、2つの液体間または液体と固体との間の表面張力(または界面張力)を低下させる有機化合物を指し、典型的には、疎水性基(例えば、炭化水素(例えば、アルキル)「テール」)および親水性基を含む有機両親媒性化合物である。一実施形態では、これらの界面活性剤または金属腐食防止剤は、カチオン性界面活性剤である。カチオン性界面活性剤は、本質的に、少なくとも1つの正に帯電した部分を有する表面活性分子である。一実施形態では、カチオン性界面活性剤は、C6~C18ハロゲン化アンモニウムから選択される。「C6~C18」修飾子は、界面活性剤中の炭素原子の数を意味し、脂肪族部分および芳香族部分を含み得る。別の実施形態では、カチオン性界面活性剤は、C12~C18ハロゲン化アンモニウムから選択される。
【0017】
例示的なカチオン性界面活性剤(腐食防止剤)としては、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)(臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムとしても知られる)、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(CTAC)、ヘプタデカンフルオロオクタンスルホン酸、ハロゲン化テトラエチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化4-(4-ジエチルアミノフェニルアゾ)-1-(4-ニトロベンジル)ピリジウム、セチルピリジニウムクロライドモノハイドレート、ベンザルコニウムクロライド、ベンザルコニウムブロミド、ベンゼトニウムクロライド、塩化ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、塩化ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化ジメチルジオクタデシルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、臭化ジドデシルジメチルアンモニウム、塩化ジ(水素化獣脂)ジメチルアンモニウム、臭化テトラヘプチルアンモニウム、臭化テトラキス(デシル)アンモニウム、および臭化オキシフェノニウム、塩化ジメチルジオクタデシルアンモニウム、臭化ジメチルジヘキサデシルアンモニウム、および塩化ジ(水素化獣脂)ジメチルアンモニウムが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、腐食防止剤/界面活性剤は、ベンザルコニウムクロライドおよびベンザルコニウムブロミドから選択される。
【0018】
これらの腐食防止剤/界面活性剤は、典型的には、組成物の総重量に基づいて、約0.0001~約5重量%の量で、経験的観察により必要と見出されるように存在する。
【0019】
本発明の組成物では、コーティングされたチタニア粒子の相対量は、組成物の総重量に基づいて、特定の遷移金属表面の研磨のために、所望のように調整することができる。いくつかの実施形態では、コーティングされたチタニア粒子は、組成物の総重量に基づいて、約0.001~約5重量%、または約0.1~約1重量%の量で存在する。研磨される表面および利用される他の条件の両方に応じて、任意の適切な量の研削材が研磨組成物中に存在することができる。いくつかの実施形態では、研削材は、約0.0005重量%以上、例えば、約0.001重量%以上、約0.0025重量%以上、約0.005重量%以上、約0.01重量%以上、約0.025重量%以上、または約0.05重量%以上の濃度で研磨組成物中に存在する。より典型的には、研削材は、研磨組成物中に約0.001重量%以上、例えば、約0.0025重量%以上、約0.005重量%以上、約0.01重量%以上、約0.025重量%以上、または約0.05重量%以上の濃度で存在する。あるいは、またはさらに、研削材は研磨組成物中に約30重量%以下、例えば、約20重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、約0.1重量%以下、または約0.05重量%以下の濃度で存在する。より典型的には、研削材は、研磨組成物中に約1重量%以下、例えば、約0.5重量%以下、約0.1重量%以下、または約0.05重量%以下の濃度で存在する。したがって、研削材は、前述の端点のうちの任意の2つによって囲まれる範囲内で研磨組成物中に存在することができる。例えば、研削材は、研磨組成物中に約0.0005重量%~約10重量%、例えば、約0.001重量%~約10重量%、約0.001重量%~約1重量%、約0.001重量%~約0.5重量%、約0.001重量%~約0.1重量%、約0.001重量%~約0.05重量%、約0.005重量%~約10重量%、約0.005重量%~約1重量%、約0.005重量%~約0.5重量%、約0.005重量%~約0.1重量%、約0.005重量%~約0.05重量%、約0.01重量%~約10重量%、約0.01重量%~約1重量%、約0.01重量%~約0.5重量%、約0.01重量%~約0.1重量%、約0.01重量%~約0.05重量%、約0.05重量%~約10重量%、約0.05重量%~約1重量%、約0.05重量%~約0.5重量%、約0.05重量%~約0.1重量%、または約0.05重量%~約0.05重量%の濃度で存在することができる。特定の実施形態では、研削材は、約0.001重量%~約1重量%の濃度で存在する。
【0020】
別の実施形態では、本発明の組成物は、少なくとも1つの酸化剤をさらに含む。本明細書で使用される場合、「酸化剤」という用語は、ルテニウムを+4の酸化状態を超えて酸化することができる、周囲空気以外の任意の化学物質を指す。このような酸化剤の例示的なリストには、過酸化物(例えば、H2O2)、過ヨウ素酸、オキソン、ブロメート、亜臭素酸塩、次亜臭素酸塩、クロレート、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、パークロレート、アイオデート、ハイポアイオデート、パーアイオデート、セリウム(IV)塩、パーマンガネート、銀(III)塩、ペルオキシ酢酸、有機ハロオキシ化合物、モノペルオキシ硫酸塩、モノペルオキシ亜硫酸塩、モノペルオキシチオ硫酸塩、モノペルオキシホスフェート、モノペルオキシピロホスフェート、およびモノペルオキシハイポホスフェートが挙げられるが、これらに限定されない。さらなる酸化剤としては、過酸化水素;ペルオキソモノ硫酸塩、パーボレート、パークロレート、パーアイオデート、過硫酸塩、パーマンガネート、および過酢酸塩アニオンを含む塩や酸などの過化合物;ならびにおよびアミン-N-オキシドが挙げられる。さらなる例としては、FeCl3、FeF3、Fe(NO3)3、Sr(NO3)2、COF3、MnF3、オゾン、2KHSO5・KHSO4・K7SO4、ヨウ素酸、バナジウム(V)酸化物、バナジウム(IV、V)酸化物、バナジン酸アンモニウム、アンモニウム多原子塩(例えば、ペルオキソモノ硫酸アンモニウム、亜塩素酸アンモニウム(NH4ClO2)、アンモニウムクロレート(NH4ClO3)、アンモニウムアイオデート(NH4IO3)、アンモニウムニトレート(NH4NO3)、アンモニウムパーボレート(NH4BO3)、アンモニウムパークロレート(NH4ClO4)、アンモニウムパーアイオデート(NH4IO4)、過硫酸アンモニウム((NH4)2S2O8)、次亜塩素酸アンモニウム(NH4ClO))、タングステン酸アンモニウム((NH4)10H2(W2O7))、ナトリウムポリアトニック塩(sodium polyatotnic salts)(例えば、過硫酸ナトリウム(Na2S2O8)、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)、ナトリウムパーボレート)、カリウム多原子塩(例えば、カリウムアイオデート(KIO3)、カリウムパーマンガネート(KMnO4)、過硫酸カリウム、硝酸(HNO3)、過硫酸カリウム(K2S2O8)、次亜塩素酸カリウム(KClO)、テトラメチルアンモニウム多原子塩(例えば、亜塩素酸テトラメチルアンモニウム((N(CH3)4)ClO2)、テトラメチルアンモニウムクロレート(N(CH3)4ClO3)、テトラメチルアンモニウムアイオデート((N(CH3)4)IO3)、テトラメチルアンモニウムパーボレート((N(CH3)4)BO3)、テトラメチルアンモニウムパークロレート((N(CH3)4)ClO4)、テトラメチルアンモニウムパーアイオデート((N(CH3)4)IO4)、過硫酸テトラメチルアンモニウム(N(CH3)4)S2O8))、テトラブチルアンモニウム多原子塩(例えば、ペルオキソ一硫酸テトラブチルアンモニウム)、ペルオキソノノ硫酸(peroxotnonosulfuric acid)、硝酸第二鉄(Fe(NO3)3)、尿素過酸化水素((CO(NH2)2)H2O2)、過酢酸(CH3(CO)OOH)、1,4-ベンゾキノン、トルキノン、ジメチル-1,4-ベンゾキノン、クロラニル、アロキサン、N-メチルモルホリンN-オキシド、トリメチルアミンN-オキシド、およびそれらの組合せが挙げられる。酸化剤の他の例としては、過臭素酸、テルル酸トリフルオロ過酢酸、m-クロロ過安息香酸、t-ブチルヒドロペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ペルオキシ硫酸カリウム(例えば、Oxone(登録商標)DuPont)、メチルエチルケトンペルオキシド、アセトンペルオキシド、エチルヒドロペルオキシド、およびクメンヒドロペルオキシドが挙げられる。
【0021】
一実施形態では、酸化剤の量は、組成物の総重量に基づいて、約0.001重量%~約5重量%の範囲であり、別の実施形態では、約0.001重量%~約2重量%の範囲である。
【0022】
特定の実施形態では、過酸化物酸化剤は、酸化剤として、in situヒドロキシルラジカルを生成するフェントン反応におけるFe(NO3)3などのFe(II)源またはFe(III)源と併用される。
【0023】
本発明の組成物はまた、pH安定剤をさらに含んでもよい。有機および無機の両方のpH安定剤を使用することができる。無機pH安定剤の例としては、ホスフェート、フタレート、重炭酸塩、シリケートが挙げられる。有機pH安定剤の例としては、アミン、グリシン、N-シクロヘキシル-2-アミノエタンスルホン酸が挙げられる。特定の実施形態では、本発明の組成物は、約2~約5のpHを有するであろう。所与の組成物に必要であれば、酢酸、硝酸、硫酸、塩酸、およびリン酸などのpH調整剤を利用してもよく、所与の組成物をよりアルカリ性にする場合には、KOH、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)などのpH調整剤を利用してもよい。
【0024】
組成物はまた、殺菌剤などの殺生物剤をさらに含むことができる。殺菌剤の例としては、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、塩化アルキルベンジルジメチルアンモニウム、およびアルキルベンジルジメチルアンモニウムヒドロキシド、3,5-ジ-メチルテトラヒドロ1,3,5,2H-チアジアジン-2チオン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンおよび5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、亜塩素酸ナトリウムおよび次亜塩素酸ナトリウムが挙げられる。
【0025】
上記のように、組成物は液体キャリアを含む。液体キャリアは、水(例えば、脱イオン水)で構成され、任意選択で、1つまたは複数の水混和性有機溶媒をさらに含む。使用可能な有機溶媒の例としては、イソプロピルアルコール、エタノール、1-プロパノール、メタノール、1-ヘキサノールなどのアルコール類;アセチルアルデヒドなどのアルデヒド類;アセトン、ジアセトンアルコール、メチルエチルケトンなどのケトン類;ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸エチル、酢酸メチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、乳酸エチルなどのエステル類;ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライムなどのスルホキシド類を含むエーテル類;N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、N-メチルピロリドンなどのアミド類;エチレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどの多価アルコールおよびその誘導体;ならびにアセトニトリル、アミルアミン、イソプロピルアミン、イミダゾール、ジメチルアミンなどの窒素含有有機化合物が挙げられる。一実施形態では、液体キャリアは水単独、すなわち有機溶媒の存在しないものである。
【0026】
特定の実施形態では、本発明の組成物は、本明細書中に記載の任意成分を有する、上記の成分a.およびb.からなる、または本質的にそれらからなる。特定の実施形態では、組成物は酸化剤を実質的に含まない。本明細書で使用される場合、「酸化剤を実質的に含まない」という語句は、約1ppm未満の酸化剤、例えば、約100ppb未満、約10ppb未満、約1ppb未満、約100ppt未満、約10ppt未満、または約1ppt未満を含む組成物を指す。特定の実施形態では、研磨組成物は酸化剤を含まない(すなわち、検出レベル未満)。
【0027】
研磨プロセスは、約15℃~約100℃の温度で行うことができる。温度が高くなると、モリブデンまたはルテニウムの研磨速度が増加すると予想される。一実施形態では、温度範囲は約25℃~約65℃である。より高い温度に到達させる1つの方法は、CMP装置に供給する前にスラリーを予熱することである。
【0028】
研磨パッドに関しては、一般に、任意のタイプのポリマーベースの研磨パッドを使用することができる。研磨パッドの例としては、ポリウレタンパッドやスエードパッドが挙げられる。パッドの厚さは0.1mmから25mmまで変化することができる。スエードパッドの硬度は、アスカーC硬度5からアスカー硬度95まで変化することができる。スエードパッドの圧縮率は、0.1%から40%までである。スエードのポロメリックパッドの孔径は、2ミクロンから100ミクロンまで変化することができ、一実施形態では20から60ミクロンの範囲の大きさである。ポロメリックパッド層は、30ミクロンから25ミリメートルの間の厚さのポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、または発泡体もしくは不織布材料のバッキングパッド層を有することができる。
【0029】
ポロメリックパッド以外に、ポリウレタンパッドも使用できる。ポリウレタンベースのパッドの例としては、Cabot MicroelectronicsのD-100パッド、Dow Electronics MaterialsのICおよびSubaシリーズが挙げられる。このようなパッドの硬度はショアD値で5から99の範囲である。このようなパッドの気孔率は0.1%から40%まで変化することができる。一般に、他の任意のタイプのポリマー材料をスラリーとともに使用できることに留意されたい。ポロメリックパッドの使用以外に、金属パッド(鋳鉄、銅、錫など)、花崗岩、または樹脂表面もパッドとして使用できる。
【0030】
化学機械研磨に適した装置は市販されている。本発明の方法は、一般に、上記の成分を含むスラリー組成物を混合すること、研磨すべき誘電体基材を回転パッドを有するCMP装置に配置すること、次いで本発明のスラリー組成物を用いて化学機械研磨を行うことを含む。この研磨方法では、誘電体基材表面の少なくとも一部が除去または研削され、それによって適切に研磨された誘電体基材が得られる。
【0031】
したがって、別の態様では、本発明は、少なくとも1つの遷移金属を含む表面を含む基材を化学機械研磨する方法であって、
基材を
液体キャリア;
コーティングされたチタニア研磨粒子を提供するために、粒子がアルミナまたは非晶質シリカで少なくとも部分的にコーティングされ;
コーティングされたチタニア研磨粒子が、約50nm~約250nmの平均直径を有する、チタニア研磨粒子;および
腐食防止剤
を含む組成物と接触させること。
組成物を基材に対して移動させること;および
基材を研削して、少なくとも1つの遷移金属を含む表面の一部を除去すること
を含む、方法を提供する。
【0032】
有利に、本発明の組成物および方法は、従来のスラリーと比較した場合、顕著に改善された除去速度を示し、いくつかの実施形態では、約200%以上である。さらに、本発明の組成物および方法は、特定の実施形態では、モリブデン含有膜の研磨については約100:1、ルテニウム含有膜については約12:1の、熱酸化物に対するモリブデンの選択性を示す。
【0033】
本発明の組成物は、それぞれの成分を単純に添加し、均一な状態に混合することによって容易に配合される。組成物は、一包化製剤として、または使用時または使用前に混合される複数部分製剤として容易に配合することができる。それぞれの成分の濃度は、組成物の特定の倍数で、すなわち、より希釈したり、またはより濃縮したりして広く変えることができ、本明細書に記載の組成物は、様々にかつ代替的に、本開示と一致する成分の任意の組合せを含み得るか、からなり得るか、または本質的になり得ることが理解されるであろう。
【0034】
したがって、別の態様では、本発明は、a.、b.およびc.から選択される成分を、上記のように、任意の成分と一緒に1つまたは複数の容器に含み、使用時点で組み合わせるキットを提供する。
【実施例】
【0035】
略号
DL=検出下限
CMP=化学機械平坦化または研磨
DIW=脱イオン水
SER=静的エッチング速度
CI=腐食防止剤(量として記載される)
【0036】
パートA-モリブデン研磨
このパートAでは、別途指示がない限り、すべての濃度は重量%で表される。水を加えて組成物を100重量%にする。さらに、以下に示す手順および実験条件を用いてCMP実験を行った。以下の実施例に示すデータは、ブランケットモリブデンウェハから切り出した1.75インチ×1.75インチのクーポンを研磨して作成した。プロフィロメータを用いて測定したモリブデン膜の厚さは5000Åであった。この厚さは、受け取り後に4点抵抗率プローブを用いて確認した。
【0037】
モリブデン表面の研磨用の従来の研削材であると考えられているコロイダルシリカを含む、様々な研削材が調査された。使用時点(PoU)のスラリーは、固形分添加量の高いスラリーを希釈して調製した。元のスラリーの適切な重量を脱イオン水(DIW)と混合し、所望の固形分添加量を達成した。例えば、47重量%の元の固形分添加量を含む10.6gのシリカスラリーを89.4gのDIW中で撹拌し、最終的に5重量%の粒子含有率を達成した。操作pHは、以下の実施例に記載されているように、研究に従って変化した。硝酸および水酸化カリウムの水溶液をpH調整剤として使用した。
【0038】
研磨作業の実施に使用したCMPツールは、Buehlerから供給されたAutomet250で、プラテンサイズは12インチであった。回転速度は、ベースが150RPM、ヘッドが30RPMに設定された。蠕動スラリー投与ポンプは、試験中30ml/分で研磨スラリーを吐出するように設定された。同心円状の溝を有するCabot D100パッドを、パッドの変動が除去速度に及ぼす影響を試験した場合を除き、すべての運転に使用した。研磨時間は60秒に設定した。パッド温度は、言及されている限り、IR温度計を用いて研磨中に測定した。
【0039】
研磨による膜厚の変化は、4点抵抗率プローブを用いて研磨前後の膜厚を測定して求めた。研磨した試料の膜厚の様々な値から観察された研磨の不均一性は、Buehlerポリッシャーからの不均一な圧力分布に起因するものであった。この不均一性を考慮するため、研磨中に失われた膜の重量に基づいて除去速度を決定した。
【0040】
実施例1(試料A~F)
スラリーA~Fを用いて、操作pH1.5、下方圧力4psiでMoクーポンを研磨した。シリカとチタニアという2つの異なる種類の研削材を使用した。研削材はすべて異なるサプライヤーから調達されている。これらは「研削材単独」スラリーであり、これらの配合物には酸化化学物質が導入されていなかったことを意味する。4psiの下方圧力を終始使用した。各スラリーの固形分添加量と対応する除去速度を表1に示す。表の値から明らかなように、チタニアベースのスラリーは、このグループ内のすべての研磨作業の中で最も高い除去速度をもたらした。410nmのAPSのチタニア粒子を含むスラリーEがより高い除去速度を示したのは、その粒径が大きかったためと考えられる。しかし、APS 200nmのチタニア粒子を含むスラリーFおよびGの存在下で研磨することによって観察された同程度の速度は驚きであった。このより高い除去速度は、これらのスラリー中のチタニア粒子の表面改質に起因する。この表面改質の新規性は、表面にドープされた遷移金属酸化物による無機コーティングに由来する。この表面官能基化により、チタニア粒子に触媒活性が付与され、Mo表面と接触すると不均一触媒中心として作用する。この挙動は、これらの粒子を含むスラリーを用いてMo表面を研磨するときのCMP効果を模倣したものである。この効果は、1%という低い固形分添加量でも除去速度を維持するのに十分なほど顕著である。
【0041】
実施例2
Moクーポンを、実施例1に記載した独自のコーティングされたチタニア粒子を含む「研削材単独」スラリーを用いて、今度は操作pHの関数としてさらに研磨した。操作pHを1.5~13の間で変化させ、固形分添加量を5%、下方圧力を4psiに維持した。表2に、各操作pHに対応するMo除去速度を示す。Mo除去速度は明らかに操作pHに強く依存しており、強酸性スラリーが最も高い除去速度をもたらす。pHの影響は、シリカ研削材とは対照的にチタニア研削材の方が顕著であり、比較してチタニア研削材の方が高い除去速度を示した。このpHにおけるMoの静的エッチング速度(SER)は検出下限未満であった。
【0042】
実施例3
硬度値の異なる様々なパッドの存在下でのスラリーの性能を調べるため、今回は様々な研磨パッド上で、Moクーポンを一定の操作pH1.5でスラリーFの存在下で研磨した。様々なパッドに関連する除去速度をそれぞれの硬度値とともに表2に示す。硬度値は、Electromatic Equipment Co.Inc.から購入したデュロメータを用いてショアDスケールで測定した。柔らかいパッド(硬度が低いもの)ほど高い除去速度を示したが、これはパッドが柔らかいほどパッドとMo表面との接触面積が大きくなるため、直感的に理解できる。
【0043】
実施例4
スラリーGは、Moと酸化剤との間の酸化化学作用による除去速度の増加を調べるために、酸化剤を添加することによってさらに改質された。酸化剤として過酸化水素を0.1%の濃度で添加した。酸化剤の添加後、100%の増加が観察された。しかし、SERは「研削材単独」の配合に比べて有意に高かった。各種腐食防止剤(CI1~8、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム(1)、グリシン(2)、ベンゾトリアゾール(3)、オレイン酸イミダゾリン(4)、第二級アルキルスルホネート(5)、ラウリル硫酸アンモニウム(6)、ベンザルコニウムクロライド(7)、ベンゼトニウムクロライド(8))。これらの防止剤の存在下、酸化剤濃度0.1%、操作pHでの室温SERデータを表4に示す。CI-7とCI-8の2つの防止剤が最大の効果を示し、SER値は検出下限未満であった。
【0044】
実施例5
スラリーG7およびG8の存在下でSER値が有意に低下したことを確認した後、スラリーGの配合をさらに変更し、硝酸鉄(III)九水和物などのフェントン触媒を導入してフェントン反応と同様の触媒活性を発現させ、除去速度のさらなる増加を調査した。実施例5の配合物に140ppmの触媒を添加し、Mo除去速度とSERを試験した。触媒添加後、腐食防止効率を損なうことなく、除去速度は約20%増加した。140ppmの触媒を使用した様々な濃度の酸化剤におけるSERを表5に示す。
【0045】
パートB-ルテニウム研磨の例
実験装置:
以下の除去速度実験はすべて、Buehler Automet 250卓上ポリッシャーで、1.25インチ×1.25インチのルテニウムPVDエバポレーションクーポンを用い、プラテン速度100RPM、ヘッド速度60RPMで行った。30mL/分の流速を維持した。データはフェルトタイプのSUBA-1200研磨パッドで作成した。除去速度は、4点プローブ(ResMap)による5点特性評価を用いて測定した。
【0046】
この一連の実験は、アルミニウムでコーティングされたチタニア粒子がルテニウム表面と触媒反応を起こしてRuOx
-の不動態化層を形成し、これが研削材とパッド摩擦によって容易に除去されることを示している。
【0047】
次の一連の実験では、固形分添加量2.5%でサイズ約200nmのアルミニウムでコーティングされたチタニア研削材を利用した。
【0048】
上記のデータは、pH6超での運転を反映したもので、pH6未満では有毒なRuO4(四酸化ルテニウム)が生成する可能性がある。また、pHが高くなると、パッドの汚れは減少し、pH9超では急激に減少し、pH12.5ではほとんど汚れが観察されない。これは、pHが高くなるとRuO2やRuO4の代わりに可溶型RuO4
-/RuO2
-イオンが形成されるためと考えられる。
【0049】
態様
第1の態様では、本発明は、
液体キャリア;
コーティングされたチタニア研磨粒子を提供するために、粒子がアルミナまたは非晶質シリカで少なくとも部分的にコーティングされ;
コーティングされたチタニア研磨粒子が、約50nm~約250nmの平均直径を有する、チタニア研磨粒子;および
腐食防止剤
を含む組成物を提供する。
【0050】
第2の態様では、本発明は、コーティングされたチタニア研磨粒子がアルミナでコーティングされている、第1の態様の組成物を提供する。
【0051】
第3の態様では、本発明は、コーティングされたチタニア研磨粒子が非晶質シリカでコーティングされている、第1または第2の態様の組成物を提供する。
【0052】
第4の態様では、本発明は、腐食防止剤がカチオン性界面活性剤である、第1、第2または第3の態様のいずれかの組成物を提供する。
【0053】
第5の態様では、本発明は、腐食防止剤がベンザルコニウムクロライドおよびベンザルコニウムブロミドから選択される、第1から第4の態様のいずれか1つの組成物を提供する。
【0054】
第6の態様では、本発明は、pHが約2~約5である、第1から第5の態様のいずれか1つの組成物を提供する。
【0055】
第7の態様では、本発明は、少なくとも1つの酸化剤をさらに含む、第1から第6の態様のいずれか1つの組成物を提供する。
【0056】
第8の態様では、本発明は、酸化剤が過酸化水素および過ヨウ素酸から選択される、第7の態様の組成物を提供する。
【0057】
第9の態様では、本発明は、少なくとも1つの遷移金属を含む表面を含む基材を化学機械研磨する方法であって、
基材を
液体キャリア;
コーティングされたチタニア研磨粒子を提供するために、粒子がアルミナまたは非晶質シリカで少なくとも部分的にコーティングされ;
コーティングされたチタニア研磨粒子が、約50nm~約250nmの平均直径を有する、チタニア研磨粒子;および
腐食防止剤
を含む組成物と接触させること;
組成物を基材に対して移動させること;および
基材を研削して、少なくとも1つの遷移金属を含む表面の一部を除去すること
を含む、方法を提供する。
【0058】
第10の態様では、本発明は、表面がモリブデンを含む、第9の態様の方法を提供する。
【0059】
第11の態様では、本発明は、表面がルテニウムを含む、第9の態様の方法を提供する。
【0060】
第12の態様では、本発明は、pHが約2~約5である、第9、第10または第11の態様の方法を提供する。
【0061】
第13の態様では、本発明は、コーティングされたチタニア研磨粒子がアルミナでコーティングされている、第9から第12の態様のいずれか1つの方法を提供する。
【0062】
第14の態様では、本発明は、コーティングされたチタニア研磨粒子が非晶質シリカでコーティングされている、第9から第13の態様のいずれか一つの方法を提供する。
【0063】
第15の態様では、本発明は、腐食防止剤がベンザルコニウムクロライドおよびベンザルコニウムブロミドから選択される、第9から第14の態様のいずれか1つの方法を提供する。
【0064】
第16の態様では、本発明は、モリブデンまたはルテニウムの少なくとも1つを含む表面を含む基材を化学機械研磨する方法であって、
基材を
液体キャリア;
コーティングされたチタニア研磨粒子を提供するために、粒子がアルミナまたは非晶質シリカで少なくとも部分的にコーティングされ;
コーティングされたチタニア研磨粒子が、約50nm~約250nmの平均直径を有する、チタニア研磨粒子;および
腐食防止剤
を含む組成物と接触させること。
組成物を基材に対して移動させること;および
基材を研削して、モリブデンまたはルテニウムの少なくとも1つを含む表面の一部を除去すること
を含む、方法を提供する。
【0065】
第17の態様では、本発明は、第1から第8の態様のいずれか1つで定義される成分a.、b.およびc.から選択される成分を1つまたは複数の容器に含むキットを提供する。
【0066】
このように、本開示のいくつかの例示的な実施形態について説明してきたが、当業者であれば、本明細書に添付した特許請求の範囲内で、さらに他の実施形態が作成および使用され得ることを容易に理解するであろう。本明細書が対象とする本開示の多数の利点は、前述の説明で述べた通りである。しかしながら、本開示は、多くの点で単なる例示に過ぎないことが理解されよう。もちろん、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲が表現される言語で定義される。
【国際調査報告】