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特表2024-5254774-アミノ-N-(1-((3-クロロ-2-フルオロフェニル)アミノ)-6-メチルイソキノリン-5-イル)チエノ[3,2-D]ピリミジン-7-カルボキサミドのビス-メシレート塩及びその中間体の合成
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】4-アミノ-N-(1-((3-クロロ-2-フルオロフェニル)アミノ)-6-メチルイソキノリン-5-イル)チエノ[3,2-D]ピリミジン-7-カルボキサミドのビス-メシレート塩及びその中間体の合成
(51)【国際特許分類】
   C07D 495/04 20060101AFI20240705BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20240705BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240705BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240705BHJP
【FI】
C07D495/04 105Z
A61K31/519
A61P35/00
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580705
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2024-01-29
(86)【国際出願番号】 US2022073195
(87)【国際公開番号】W WO2023278981
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/103873
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】514099673
【氏名又は名称】エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ゴスラン, フランシス
(72)【発明者】
【氏名】ケーニッヒ, ステファン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】メルカード-マリン, エドゥアルド ヴィー.
(72)【発明者】
【氏名】シュトゥンフ, アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ゼル, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ハイミン
(72)【発明者】
【氏名】バッハマン, シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】カレラ, ダイアン エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】ダルジール, マイケル ユアン
(72)【発明者】
【氏名】グー, ヨンホイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ジエ
(72)【発明者】
【氏名】ビッグラー, ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】フィネ, ロール エリザベス シモーネ
(72)【発明者】
【氏名】モンディエール, レジス ジャン ジョルジュ
(72)【発明者】
【氏名】ナカガワ ユキ
【テーマコード(参考)】
4C086
4H039
【Fターム(参考)】
4C086AA04
4C086CB26
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA20
4C086ZB26
4H039CA71
4H039CB40
4H039CD20
(57)【要約】
pan-RAF阻害剤である4-アミノ-n-(1-((3-クロロ-2-フルオロフェニル)アミノ)-6-メチルイソキノリン-5-イル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-カルボキサミドのビス-メシレート塩1bの製造プロセス。このプロセスは、チエノピリミジン2を生成するための堅牢でスケーラブルなPd触媒カルボニル化反応及び最後から2番目の中間体7にアクセスするための高度に化学選択的なPt/V/C触媒ニトロ基還元を含む、いくつかの効率的で重要な反応を特徴とする。7と2の最終アミドカップリングは、カップリング試薬としてN,N,N’,N’-テトラメチルクロロホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート(TCFH)を用いて穏やかで安全なプロトコルによって達成され、遊離塩基とTHFの1:1付加物を生成した。付加物は、MsOHとの反応及び再結晶後に、数キログラムの製造規模で優れた収率、純度及び形態安定性を有した化合物1bを生じた。本方法は、95%を超える純度を有する化合物を製造することができる。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1b
の化合物を合成する方法であって、
化合物4を化合物5aと反応させて、化合物6a
を生成することと、
溶媒としての2-メチルテトラヒドロフラン中、アンモニア水を用いて、白金-バナジウム触媒上で水素により化合物6aを還元して、化合物7
を形成することと、
THF中、N,N,N’,N’-テトラメチルクロロホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート及び2,6-ルチジンを使用して化合物7を化合物2とカップリングさせて、THF及び1の付加物
を生成することと、
1(THF)をイソプロピルアルコール中のメタンスルホン酸(MsOH)の水性混合物と溶解させて、純粋な形態の1bを提供することと
を含む、方法。
【請求項2】
1bの純度が、99 A%HPLC超である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
化合物2が、
22を位置選択的に臭素化して23
を生成することと、
23を塩素化して24
を形成することと、
24を保護化合物25
に変換することと、
25をカルボニル化して26
を形成することと、
酸、次いで塩基で26を脱保護し、続いて酢酸で中和して化合物2を提供することと
を含むプロセスによって調製される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
化合物4が、
5-ニトロイソキノリンを選択的にメチル化して42
を生成することと、
42を酸化して43
を生成することと、
43を塩素化して4を生成することと
を含むプロセスによって調製される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
化合物5aが、
50を位置選択的にフッ素化して51
を生成することと、
ラネーニッケル上でHにより51を触媒的に還元して5aを生成することと
を含むプロセスによって調製され、
前記フッ素化及び前記還元が、各工程の間に化合物51を分離することなく同じ反応容器内で起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記化合物4を化合物5aと反応させて化合物6aを生成することが、メチルエチルケトン中で、又はNEtを含むMIBK中で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記化合物6aを還元して7を形成することが、中間体6
を介して行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
式2
の化合物を合成する方法であって、
メトキシエタノール中で20を21と反応させて22
を生成することと、
22を酢酸ナトリウム緩衝液中でジ臭素で臭素化して23
を得ることと、
POCl及びEtNとの反応により、23を24
に変換することと、
24をt-BuNHでアミノ化して25
を生成することと、
EtN中のPd(OAc)の存在下で、(R)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフタレンとの反応によって25を26
に変換することと、
26を硫酸、続いて水酸化カリウムで脱保護して2を形成することと
を含む、方法。
【請求項9】
式1(THF)
の化合物を生成する方法であって、
2,6-ルチジン、THF中のTCFHを利用して、式7の化合物を式2の化合物
とカップリングし、続いてアセトンで洗浄すること
を含む、方法。
【請求項10】
式:
の化合物。
【請求項11】
式4-アミノ-N-(1-((3-クロロ-2-フルオロフェニル)アミノ)-6-メチルイソキノリン-5-イル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-カルボキサミドの化合物とテトラヒドロフランとの1:1付加物、及びその結晶形態を含む、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の技術は、一般に、4-アミノ-N-(1-((3-クロロ-2-フルオロフェニル)アミノ)-6-メチルイソキノリン-5-イル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-カルボキサミドのビス-メシレート塩の合成、結晶化、及び精製に関する。本技術は、より具体的には、特定の中間体を含む商業規模での合成及び調製に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
4-アミノ-N-(1-((3-クロロ-2-フルオロフェニル)アミノ)-6-メチルイソキノリン-5-イル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-カルボキサミド(1)は、強力なマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路阻害剤であり、種々のRAS及びRAF変異を有する進行性固形腫瘍に対する選択的活性を示し(例えば、米国特許第9,156,852号を参照)、種々の塩形態であり、現在、いくつかの治療適応症について臨床試験が行われている。
【0003】
MAPK経路は、細胞の成長及び増殖を制御するのに重要な役割を果たし、このシグナルカスケードにおけるいくつかの異なる欠陥は、現在、多くのヒト癌の最も重要な起源であると理解されている。(例えば、Solit,D.B.et al.,BRAF mutation predicts sensitivity to MEK inhibition,Nature 439,358-362(2006)を参照)RAFセリン/トレオニン-タンパク質キナーゼファミリーは、MAPK経路の重要な構成要素であり、そのA、B又はC-RAFメンバーにおける特定の突然変異は、ヒト癌の一般的な原因として同定されているシグナル伝達の調節不全をもたらす。(例えば、Yen,I.,Shanahan,F.,Lee,J.et al.,Nature 594,418-423(2021))近年、変異RAFキナーゼの選択的阻害における著しい進歩が達成されているが(例えば、Huestis,M.P.,et al.,J.Med.Chem.2021,64,3940-3955;and Huestis,M.P.,et al.,ACS Med.Chem.Lett.(2021),DOI:10.1021/acsmedchemlett.1c00063)、3つ全てのRAFメンバーの阻害剤として作用する分子(いわゆる「pan-RAF」阻害剤)、例えば1も重要になってきている。
【0004】
これまで、1は、図1のスキームに従って大規模に製造されたビス-HCl(ビス-塩酸塩)塩1aとして臨床試験中の患者に提供されている。しかしながら、ビス-HCl塩及びその従来の製造方法の両方には、重大な欠点がある。
【0005】
図1に示すプロセスは、1-クロロ-6-メチル-5-ニトロイソキノリン4と3-クロロ-2-フルオロアニリン5との間の求核芳香族置換(SAr)反応から開始して、中間体HCl塩6aを得た。次いで、イソキノリン中間体7(図1)を生成するために、6aの有機部分のニトロ基を還元した。次いで、後者をチエノピリミドン3とのアミドカップリングに係合させて、最後から2番目の中間体8を生成した。このプロセスでは、酸活性化剤及び塩素化試薬の両方としてPOClを使用して、ワンポット手順で3のピリミドン部分を8のクロロ-ピリミジン部分に変換した。最後の工程では、8をアミノ化して粗ビス塩酸塩1aを生成し、これには多段階リスラリープロトコルを用いた広範な精製が必要であった。
【0006】
図1のスキームは、以下を含むいくつかの重要な制限を有する:a)プロセスのいくつかの工程における不純物の潜在的な形成、そのいずれもが医薬最終生成物中に微量で存在する場合に問題となる;b)6aのニトロ基の還元のための超化学量論量の亜鉛の使用、これは高価であり、過剰な金属を除去するための追加の精製を必要とする;c)中間体8を生成したアミドカップリングの生成物から不純物を除去するための複数の再スラリー精製の必要性、その結果は溶媒の浪費並びに全体的な効率の欠如である;d)クロロピリミジン中間体8の、その後の工程でクロロ基をヒドロキシルで置換する加水分解に対する感受性;e)6aの減少から生じる過剰な亜鉛等の著しい廃棄物生成;f)ビス塩酸塩1aの十分な形態及び不純物制御を提供するための信頼性の高い結晶化プロセスの欠如、これは精製に非常に時間がかかったことを意味する。
【0007】
チエノピリミドン3の代わりに4-アミノチエノ[3,2-d]ピリミジン-7-カルボン酸を利用する図1のスキームとは異なるスキームが提示されており(国際公開第2013/100632号を参照)、これもビスHCl塩の生成に関連する欠点を有する。
【0008】
具体的には、ビス塩酸塩形態1aの使用及び製造は、いくつかの実用上の困難を伴った。第1に、蒸発のために高温で塩酸の化学量論を制御することは非常に困難であり、これは、最終生成物がしばしば加水分解不純物(1のアミノ基の加水分解から生じる)を含有していたことを意味する。この問題は、加水分解のために過剰なHClを使用することによって簡単に対処することができず、生成物1a自体は依然として取り扱い時に不均化する(遊離塩基1、並びにそのモノ-HCl及びジ-HCl塩の混合物に)ことができたためである。第2に、反応での使用後に過剰量の酸を適切にクエンチする必要があり、それ自体が後処理手順で望ましくない発熱中和工程を引き起こす可能性があることを考えると、大規模での鉱酸の使用に関連する安全性の懸念があり、これらの懸念はHClに関して特に深刻である。第3に、ビス塩酸塩1aの吸湿性は、生成物中の含水量の制御を複雑にした。第4に、ビスHCl塩の粒径分布(PSD)は、制御が困難であり、フィルタの目詰まりを日常的に引き起こし、それによって精製中の濾過時間が非常に長くなった。その結果、均一なサイズの粒子を生成するために塩を粉砕する必要がある。
【0009】
したがって、治療薬1を使用する進行中の臨床研究を提供するための、並びに市販製品を供給するのに適したプロセスを提供するための効率的な数キログラム製造プロセスが必要とされている。
【0010】
本明細書における背景の説明は、本技術の文脈を説明するために含まれる。これは、言及された資料のいずれかが、本明細書に添付された特許請求の範囲のいずれかの優先日に公開された、知られている、又は共通の一般知識の一部であることを認めるものと解釈されるべきではない。
【0011】
本出願の説明及び特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」という語及び「含む(comprising)」及び「含む(comprises)」等のその変形は、他の添加剤、成分、整数又は工程を排除することを意図しない。
【発明の概要】
【0012】
概要
本開示は、4-アミノ-N-(1-((3-クロロ-2-フルオロフェニル)アミノ)-6-メチルイソキノリン-5-イル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-カルボキサミド(1)、特にそのビス-メシレート(「2MsA」、「2MSA」、又は「2MsOH」と様々に表記される)塩形態(1b)の合成を、医薬組成物の錠剤化及び送達に適した高純度及び商業規模で扱う。
【0013】
図2に概略を示される、式1b
の化合物を合成する方法であって、
本方法は、メチルエチルケトン(MEK、2-ブタノン)又はメチルイソブチルケト(MIBK)等の溶媒の存在下で化合物4を化合物5aとNEt等の有機塩基と反応させて、化合物6a
を生成することと、
アンモニア水の存在下で、溶媒としての2-メチルテトラヒドロフランを使用して、白金-バナジウム触媒上で水素により化合物6aを還元して、化合物7
を形成することと、
N-メチル-ピロリジン中で、N,N,N’,N’-テトラメチルクロロホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート(TCFH)、2,6-ルチジンを使用して化合物7を化合物2
とカップリングさせ、続いてN-メチルピロリジン中のメタンスルホン酸(MsOH)の水性混合物と溶解させて、1bの粗製形態を提供することと、
DMSO及び水中のMsOHで再結晶することによって1bの粗製形態を精製することと
を含む、方法。
【0014】
本明細書における1bを作製する方法は、99 A%超のHPLCの純度で生成物を提供することができる。
【0015】
1bを作製する方法は、図3に示す方法であって、化合物2が、22を位置選択的に臭素化して23
を生成することと、
23を塩素化して24
を形成することと、
24を保護化合物25
に変換することと、
25をカルボニル化して26
を形成することと、
酸、次いで塩基で26を脱保護し、続いて酢酸等の酸で中和して化合物2を提供することと、を含むプロセスによって調製される、方法を更に含む。
【0016】
1bを作製する方法は、図4に示す方法であって、化合物4が、5-ニトロイソキノリンを選択的にメチル化して42
を生成することと、
42を酸化して43
を生成することと、
43を塩素化して4を生成することと
を含むプロセスによって調製される、方法を更に含む。
【0017】
化合物1bを作製する方法は、図5に示す方法であって、化合物5aが、50を位置選択的にフッ素化して51
を生成することと、
ラネーニッケル上でHにより51を触媒的に還元して5aを生成することと
を含むプロセスによって調製され、フッ素化及び還元は、各工程の間に化合物51を分離することなく同じ反応容器内で起こる、方法を更に含む。
【0018】
本開示は、本明細書に更に記載される化合物2を作製する方法を更に含む。
【0019】
本開示は、式1bの化合物を生成する方法であって、N-メチルピロリジン中の2,6-ルチジン及びTCFHを利用して、式7の化合物を式2
の化合物とカップリングし、続いてN-メチルピロリジン中のメタンスルホン酸中で洗浄して、粗1b(これを更に精製及び再結晶する必要がある)を生成することを含む、方法を更に含む。
【0020】
本開示は、式1bの化合物を生成する方法であって、アンモニア水溶液中の2,6-ルチジン及びTCFHを利用して式7の化合物を式2の化合物とカップリングし、続いてアセトン中で洗浄してTHF及び1の1:1付加物を生成することを含む方法を更に含む。化合物1bは、イソプロパノール中のメタンスルホン酸で付加物を洗浄することによって純粋な形態で生成することができる。
【0021】
本開示は、式26
の化合物及びそれを作製する方法を更に含む。
【0022】
本開示は、THFと4-アミノ-N-(1-((3-クロロ-2-フルオロフェニル)アミノ)-6-メチルイソキノリン-5-イル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-カルボキサミドとの(1:1)付加物、テトラヒドロフラン、及びその結晶形態を更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、従来技術に開示され、本明細書で更に区別されるプロセスのフローチャートを示す。
【0024】
図2図2は、本明細書に記載のプロセスの第2のフローチャートを示す。
【0025】
図3図3は、チエノピリミジン出発物質2の製造プロセスを示す。
【0026】
図4図4は、イソキノリン出発物質4へのプロセスを示す。
【0027】
図5図5は、アニリン出発物質5aへのプロセスを示す。
【0028】
図6図6は、中間体6aの製造プロセスを示す。
【0029】
図7図7は、遊離塩基6の化学選択的ニトロ還元のHTEスクリーニングを示す。
【0030】
図8図8は、一段階ニトロ還元プロセスである。
【0031】
図9図9は、6aのニトロ基還元のための最終2段階製造プロセスである。
【0032】
図10A図10は、チエノピリミジン2との第1世代アミドカップリングである。
【0033】
図10B図10Bは、アミドカップリング工程の最適化である。
【0034】
図10C図10Cは、数キログラム規模でのアミドカップリング及び単離プロセスである。
【0035】
図10D図10Dは、1のTHF付加物を生成するためのアミドカップリングである。
【0036】
図10E図10Eは、1のTHF付加物のジ-MSA塩1bへの変換。
【0037】
図11図11は、1bの再結晶である。
【0038】
様々な図面における同様の参照符号は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
詳細な説明
これより、プロセスの特定の実施形態を詳細に参照するが、それらの例は、添付の構造及び式に例示されている。本プロセスは、列挙される実施形態と併せて説明されるが、それらは、本発明をこれらの実施形態に限定することを意図するものではないことを理解されたい。逆に、本プロセスは、全ての代替形、修正形及び同等物を網羅することが意図されており、それらは、特許請求の範囲によって定義されるプロセスの範囲内に含まれ得る。当業者であれば、本発明のプロセスの実施に使用することができる、本明細書に記載されるものに類似又は同等である多数の方法及び材料を理解するであろう。したがって、本プロセスは、記載された方法及び材料に決して限定されない。組み込まれる文献、特許、及び同様の資料のうちの1つ以上が、定義される用語、用語の用法、記載される技術等を非限定的に含む、本出願と異なるか、又は矛盾する場合は、本出願が優先される。
【0040】
定義
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。本出願で使用される命名法は、特に明記しない限り、ACSスタイルガイド及びThe Journal of Organic Chemistryリスト「Standard Abbreviations and Acronyms」(両方ともAmerican Chemical Society,Washington,D.C.によって公開されたものである)、並びにIUPAC系統命名法に基づいている。
【0041】
化学元素は、Periodic Table of the Elements,CASバージョン,Handbook of Chemistry and Physics,第75版以降に従って同定される。
【0042】
本明細書の化合物は、問題の構造が限定されることを意図する場合を除いて、所与の構造のそれぞれの幾何(又は配座)異性体を含む。例えば、Z及びE二重結合異性体、並びに異性体の幾何(又は配座)混合物が含まれる。
【0043】
本明細書の化合物又は実施例が特定の塩として示される場合、特定の塩又は遊離塩基自体が言及されていることが明らかな場合を除いて、対応する遊離塩基、並びに対応する遊離塩基の他の塩(対応する遊離塩基の薬学的に許容され得る塩を含む)が企図されることを理解されたい。
【0044】
特に明記しない限り、本明細書に示される構造の全ての互変異性形態も含まれる。「互変異性体」又は「互変異性形態」という用語は、低エネルギーバリアにより相互転換可能な、異なるエネルギーを持つ構造異性体を指す例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピック互変異性体としても知られる)は、ケト-エノール及びイミン-エナミン異性化等、プロトンの転位を介した相互転換を含む。原子価互変異性体は、いくつかの結合電子の再編成による相互変換を含む。
【0045】
特に明記しない限り、本明細書に示される構造は、明示的に同定された任意の同位体濃縮原子に加えて、1つ以上の同位体濃縮原子の存在においてのみ異なる化合物を含むことも意味する。例えば、重水素又はトリチウムによる1つ以上の水素原子、13C若しくは14Cによる炭素、15Nによる窒素、33S、34S若しくは36Sによる硫黄、17O若しくは18Oによる酸素、又は18Fによるフッ素の独立した置換又は濃縮が含まれる化合物。そのような同位体濃縮化合物は、例えば、分析ツールとして、生物学的アッセイにおけるプローブとして、又は治療薬として有用である。
【0046】
列挙された化学名と本明細書に示された構造との間に矛盾がある場合、構造が優先される。
【0047】
アッセイ値は、最終材料が実際に所望の生成物をどの程度重量で含有するかを示す。例えば、98%アッセイ又は98%重量アッセイは、単離された材料において、その重量に基づいて98%の所望の生成物が得られたことを意味する。いくつかの不純物はUV不活性であり、したがってHPLC分析では現れないことから、この測定値は不純物の存在を正確に決定する点でHPLC A%より優れている可能性がある。対照的に、重量アッセイは、無機材料及び残留量の溶媒を含む全ての不純物の影響を捕捉する。
【0048】
本明細書で使用される場合、「a」又は「an」は、特に明記しない限り、1つ以上を意味する。
【0049】
概要
上記の1のビス-HCl塩への経路の多くの制限のために、臨床段階の供給の要求を完全に満たす1のビス-メシレート塩への新しい経路が開発された。全体的に効率が向上した合成であるこの新しい手法の概要を図2に示す。図2のプロセスの重要な利益、利益、及び改善には、以下が含まれるが、これらに限定されない。
【0050】
出発物質3-クロロ-2-フルオロアニリン5がその塩酸塩5aとして使用され、これは、塩中に既に存在する塩酸が工程の触媒として作用する能力を活用することによって、4とのSAr反応の収率を改善する。さらに、HCl塩5aは固体であり、したがって、その遊離塩基対応物(油である)よりも取り扱い及び精製が容易である。
【0051】
6中のニトロ基の還元を達成するための試薬は、高度に化学選択的なPt/V/C触媒水素化プロトコルであり、図1のように還元剤として亜鉛を使用するよりも効率的にイソキノリン7を与えた。
【0052】
穏やかな反応条件に基づく新しいアミドカップリング工程が使用され、これは図1の前のプロセスとは2つの主要な点で異なる。第1に、高反応性で腐食性のPOClの使用を回避した。第2に、クロロピリミジン中間体8の不安定性及び前のプロセスの1つ(図1)の低いステップエコノミーに関連する問題に具体的に対処するために、既にアミノ化された出発物質チエノピリミジン2をチエノピリミジン3の代わりに使用する。出発物質としての2の使用は、2つの利点を有する:それは既に所望のアミノ基を含有し、それにより、代替の出発物質であるピリミドン3を使用したときに行われたように、この段階でその基を導入する必要性を排除し、中間体7と2とのカップリングから1の粗ビス-メシレート形態を直接得ることを可能にし、それによってプロセスのステップエコノミーを改善し、望ましくない不純物の生成を回避する。
【0053】
活性部分をビス-メシレート塩(1b)として単離することは、以前のプロセスと比較して更に有意な変化を表す。1のビス-メシレート形態は、2HCl塩と比較していくつかの優れた物理的特性を提供する。
【0054】
第1に、そのより低い吸湿性は、その重量アッセイ値がより確実に測定及び制御され、単離及び再結晶工程中のメタンスルホン酸の化学量論の制御も容易にすることを意味する。
【0055】
第2に、ビス-メシレートは、より安定した形態制御(形態は、空間群及び単位セルパラメータによって定義されるような結晶格子である)を提供し、それにより、選択された形態のより良好な信頼性を提供する。
【0056】
第3に、ビス-メシレート塩はまた、濾過時間を短縮し、固体粒子の湿式粉砕の必要性を更になくすように、最終生成物の粒径分布に対する制御を提供する。(塩は、材料の単離及び乾燥後に、インパクトミル又はジェットミル等によって乾式粉砕することができる。)
【0057】
出発物質の合成
4-アミノチエノ[3,2-d]ピリミジン-7-カルボン酸(2)
チエノピリミジン出発物質2(実用的な公開されている合成がない)に対する効率的でスケーラブルなプロセスを得るために、プロセスの後期に不必要な操作を回避するステップエコノミーな経路を達成することに主に焦点を当てた。広範な最適化は、図3に示す6段階プロセスで終了し、これにより、数キログラム規模で47%の全収率及び99.5 A%超のHPLC純度でチエノピリミジン2を提供することができる。
【0058】
2へのプロセスは、市販のメチル3-アミノチオフェン-2-カルボキシレート(20)を酢酸ホルムアミジン(21)と反応させてチエノピリミドン22を提供することによるチエノピリミドンコアの構築から始まる。この反応は、数キログラムの生産規模で85%の収率で22をもたらすことができる。
【0059】
チエノピリミジン2の7位に現れるカルボン酸部分を選択的に導入するために、位置選択的臭素化及びPd触媒カルボニル化(例えば、Barnard,C.F.J.,Palladium-Catalyzed Carbonylation-A Reaction Come of Age,Organometallics,(2008),27,5402-5422、及びBrennfuehrer,A.;Neumann,H.;Beller,M.,Palladium-catalyzed carbonylation reactions of aryl halides and related compounds,Angew.Chem.Int.Ed.,2009,48,4114-4133を参照)を含む反応シーケンスが利用される。
【0060】
チエノピリミドン22の臭素化に関して、最適化されていない条件は、望ましくないジ臭素化生成物をもたらした。これを克服するために、酢酸ナトリウムを緩衝液として使用して臭化水素酸副生成物を防ぎ、23から75%の収率を改善し、二臭素化不純物を2A%未満のHPLCまで減少させることができる。当業者であれば、酢酸ナトリウム以外の塩基を使用することにより、臭化水素酸副生成物の影響を低減できることを理解するであろう。
【0061】
その後、POClと塩素化反応して24を生成し、続いてアミノ化反応により、各工程について96%の収率で重要な中間体25を生成することができる。代替の塩素化剤は、許容可能な収率で24から25を提供することができることが当業者には理解されよう。
【0062】
2のこの合成の重要な工程は、窒素に富んだ、したがって困難な中間体25のカルボニル化のための強力でスケーラブルな触媒系の開発である。Pd触媒カルボニル化工程についてのハイスループット実験(HTE)スクリーニングにより、(S)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフタレン((S)-BINAP)が、一連の選択された一座及び二座ホスフィンの中で他の配位子よりも多く競合したことが明らかになった。(例えば、Albaneze-Walker,J.;Bazaral,C.;Leavey,T.;Dormer,P.G.;Murry,J.A.,Improved carbonylation of heterocyclic chlorides and electronically challenging aryl bromides,Org.Lett.,(2004),6,2097-2100.を参照)実際には、BINAPの(R)又は(S)形態のいずれかで十分である。他の反応条件の最適化により、1.50mol%Pd(OAc)と2.25mol%(R)-BINAPの組み合わせが、好ましい触媒系であると確立された。付随する塩基としてトリエチルアミンを用い、溶媒としてメタノールを用いることにより、中間体26を収率83%で生成することができる。触媒及び配位子の他の組み合わせ、並びにPd及びBINAPの他の比、並びに/又は他の溶媒及び付随する塩基は、26の許容可能な収率及び生産効率を達成することができることが当業者には理解されよう。
【0063】
脱保護の最終工程26において、チエノピリミジン生成物2の低い溶解度及び双性イオン性は、効率的な精製方法を開発するために依然として問題であった。不純物が効率的にパージされることを確実にするために、後処理手順においてpH=5等の弱酸性pHへの調整を行った。これらの変更を実施した後、中間体2は32kg規模で96%の収率で生成される。この脱保護工程を行うために、一連の条件並びにアルカリ試薬の選択を展開することができることが当業者には理解されよう。
【0064】
1-クロロ-6-メチル-5-ニトロイソキノリン(4)
官能化イソキノリン出発物質4(市販されていない1-クロロ-6-メチル-5-ニトロイソキノリン)に対する例示的なプロセスを図4に示す。4を作製する他の方法は、当業者に公知であるか、又は当業者によって考案され得る。
【0065】
図4のプロセスは、5-ニトロイソキノリン40を、アニオンが求核剤であるエチル-2-クロロアセテート(41)上の塩化物が、同時脱離基として作用してメチル化中間体42を生成する、身代わり求核置換反応(例えば、Makosza,M.;Winiarski,J.,Vicarious nucleophilic substitution of hydrogen,Acc.Chem.Res.,1987,20,282-289)に供することによって開始された。有利には、この反応は、3つの工程を含むワンポット順序で行うことができる。
【0066】
実際の求核置換から開始して、その後の脱カルボキシル化及びアセトン/水溶媒混合物からの最終結晶化により、中間体42を全収率74%で送達することができる。この反応は、ニトロ基に対してパラに生じる求核置換によって得られる望ましくない異性体に対して99:1超の位置選択性を提供することができる。
【0067】
次の工程では、環境的に安全で安価でスケーラブルな酸化剤としてOXONE(登録商標)(三重塩、2KHSO・KHSO・KSO))を使用することにより、N-オキシド43を数キログラム規模で収率76%で得る。(例えば、Hussain,H.;Green,I.R.;Ahmed,I.,Journey describing applications of oxone in synthetic chemistry,Chem.Rev.,(2013),113,3329-3371.を参照)他の酸化剤が利用可能であり、N-オキシド43への酸化を達成するのに有効であることが当業者には理解されよう。
【0068】
最後に(図4)、中間体43の高度に位置選択的な塩素化により、4が生成される。好ましい条件は、DMF/ジクロロメタン溶媒系中でPOCl及び塩化リチウムを使用するが、当業者は、代替の塩素化剤及び/又は溶媒が同じ変換を達成することができることを理解するであろう。生成物4は、溶媒抽出及び再結晶によって反応混合物から単離することができる。図4の好ましい条件を展開する一例では、THF/水からの単離及びn-ヘプタン/メチル-エチルケトン(MEK)からの再結晶後に29kgの4を53%の収率で生成した。
【0069】
3-クロロ-2-フルオロアニリン塩酸塩(5)
出発物質5は市販されているが、試料は典型的には望ましくない量の位置異性体不純物を含有する。HCl塩5a(3-クロロ-2-フルオロアニリン塩酸塩)に対する例示的なプロセスを図5に示す。当業者は、医薬組成物を製造するためのスケールアップされたプロセスで使用するために許容可能に純粋な5の形態への他の合成経路を考案することができることが更に理解されよう。
【0070】
第1の工程(求核置換、図5)では、市販の1,2-ジクロロ-3-ニトロベンゼン(50)を、溶媒としてのジメチルアセトアミド/トルエン混合物中、好ましくは2モル当量の18-クラウン-6配位子と共に、フッ素化試薬としてKFを使用して中間体フッ化物51に変換して過剰のカリウムを除去するが、当業者に公知の代替のフッ素化剤及びキレート剤も使用することができる。この工程は、高濃度の遊離フッ化物アニオンのために効率的である。
【0071】
テレスコーププロセス(後続の還元工程の前に51が分離されない)では、ラネーニッケルを触媒として利用する水素化は、51中のニトロ基を5a中の対応するアミノ基に還元することができる。触媒の他の適切な選択肢をこの工程のために選択することができるという事実にもかかわらず、触媒としてのPt/Cがラネーニッケルよりもはるかに化学選択性が低く、かなりのレベルの望ましくない水素化脱塩素副生成物をもたらしたことは注目に値する。
【0072】
対応する生成物3-クロロ-2-フルオロアニリン塩酸塩(5a)は、適切な溶媒中の酸によって触媒系から遊離させることができる。例えば、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)及びメタノール中塩酸で処理した後、生成物5aは、100kg規模で、図5に示す3つの工程(フッ素化、続いて還元及び塩形成)にわたって全体の収率35%で生成された。
【0073】
4-アミノ-N-(1-((3-クロロ-2-フルオロフェニル)アミノ)-6-メチルイソキノリン-5-イル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-カルボキサミドのビス-メシレート塩の合成
以下の実施例において具体的な合成スキームによって記載されるように、本開示は、化合物1及びそのビス-メシレート塩1b、並びにそれらの中間体を合成する方法を含む。
【0074】
Ar反応
図6に示す塩酸塩6aを生成するための1-クロロ-6-メチル-5-ニトロイソキノリン4及び3-クロロ-2-フルオロアニリン塩酸塩5aのSAr反応を大規模に効率化するには、いくつかの最適化が必要であった。最適化は、図1において、先行技術の同等の工程の以下のいくつかの主要な欠点、並びに同様の相互変換の他の公開された記載(mith,et al.,Selective Inhibitors of the Mutant B-Raf Pathway:Discovery of a Potent and Orally Bioavailable Aminoisoquinoline,J.Med.Chem.,(2009),52:6189-6192を参照)を改善した。厳しい還流条件は、図1の反応で使用される条件の間に揮発性塩酸の損失をもたらし、バッチ間で再現不可能となった。さらに、高温での4の加水分解によって、残留不純物である6-メチル-5-ニトロイソキノリン-1(2H)-オン9が形成された。最後に、図1に示すプロセス工程の反応条件、具体的には溶媒としてのイソプロパノールの使用は、望ましくないGTIイソプロピルクロリドの生成を促進した。塩化イソプロピルは典型的には反応期間の後期に形成されたため、生成物からそれを除去することは容易ではなく、そのため、反応の経過全体を通してその生成を最小限に抑えることが望ましい。更に0.5重量%生成物中の塩化イソプロピルの割合は、医薬品グレードのプロセスにとって望ましくない画分である。
【0075】
遺伝毒性不純物イソプロピルクロリドを生成する可能性を回避するために、イソプロパノールの代替培地について溶媒をスクリーニングしたところ、変換効率を損なうことなくメチルエチルケトン(MEK)を利用できることが示された。しかしながら、同様の有利な効果のために更に他の溶媒を展開することができることは当業者には理解されよう。そのような他の溶媒には、イソプロパノール、アセトニトリル、プロピオニトリル、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、Me-THF、1,4-ジオキサン、トルエン、ジメチルカーボネート、トリフルオロエタノール及びDMSOが含まれるが、これらに限定されない。好ましい溶媒としては、MEK、メチルイソプロピルケトン、MIBK、トリフルオロエタノール、アセトニトリル及びプロピオニトリルが挙げられる。最も好ましい溶媒には、MEK、MIBK及びトリフルオロエタノールが含まれる。
【0076】
アニリン出発物質5は、水性又はプロトン性溶媒中で試薬としてのHClと共に遊離塩基の代わりに、取り扱いが容易な無水固体である塩酸塩5aとして展開することができる。
【0077】
(出発物質及び溶媒に対する)これらの2つの変化は、この工程の全体的な再現性を有意に高め、また、反応中に規定量の塩酸(1モル当量)が存在することを確実にすること、及びアニリン中の含水量を減少させることの両方によって、イソキノリノン不純物9の制御されない形成も回避した。さらに、出発物質5a中の塩酸の存在は、反応性に有利であることが実際に判明しており、この事実は、このSAr反応におけるその可能性の高い触媒活性に起因し得る。(例えば、De Rosa,M.;Arnold,D.;Hartline,D.,Four Mechanisms in the Reactions of 3-Aminopyrrole with 1,3,5-Triazines:Inverse Electron Demand Diels-Alder Cycloadditions vs.SAr Reactions via Uncatalyzed and Acid-Catalyzed Pathways,J.Org.Chem.,(2013),78,8614-8623.を参照)
【0078】
さらに、反応効率を改善するためにいくつかの塩基をスクリーニングした:1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、NEt,1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)、NBu、N-メチルモルホリン、ヒューニッヒ塩基、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、N-メチルイミダゾール、及び1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)。これらの中でも、好ましい塩基としては、NEt及びNBuが挙げられ、このうちNEtが最も好ましい。塩基の典型的な化学量論は2.0当量未満であり、好ましい範囲は0.5~1.0当量、最も好ましいのは0.8~1.0当量である。(反応混合物中の濃酸が反応速度論に重要である。しかし、HClは非常に揮発性であり、したがって反応の過程で失われる可能性がある。このような損失は、HClを捕捉することができる有機塩基を使用することによって軽減することができるが、過剰量の塩基は反応をクエンチすることができるため、塩基は保存的な量で展開されなければならない。さらに、塩基の存在は、化合物6aのウェットケーキの乾燥中の腐食問題を回避するのに役立つ。)
【0079】
反応の有効温度範囲は70~110℃であり、溶媒としてのMIBKの場合、好ましい温度は105℃である。他の溶媒の場合、好ましい温度は、典型的には、それぞれの沸点より5~10℃低い。
【0080】
6aの精製プロセス中、生成物6aを反応混合物から直接結晶化させると、最大10%の残留アニリン塩酸塩5aが最初に検出された。幸いにも、この不純物は、適用可能な場合、水を添加してMEK又はMIBKへの溶解度を高めることによって効率的にパージすることができる(図6には示されていない)。
【0081】
このようなプロセス改善により、本明細書の実施例11aに更に記載されるように、中間体6aは、MEKが使用される56kgの規模で、収率88%及びHPLC純度99.9 A%(図6)で生成することができる。
【0082】
実際問題として、本明細書に記載の1bの合成の後続の工程に必要な化合物6は、溶液からより容易に結晶化するという事実のために、遊離塩基としてよりもそのHCl塩6aとして単離及び精製が容易である。
【0083】
6のニトロ基還元
次の工程で使用される6aの遊離塩基は、6aから複数の方法で得ることができる。
【0084】
例えば、図8に示すように、6aから遊離塩基6を得ることは、その後の水素化を伴うワンポットプロセスで塩基としてNHOHを使用して達成された。対応する工程は、6(図9を参照)の単離後の水素化を用いて、2工程プロセスで達成することもできる。前のプロセスにおける遊離塩基6の亜鉛媒介移動還元に関連する欠点(図1)に照らして、6aから7への還元(図2中)は、有利には、超化学量論量の亜鉛の使用を回避するだけでなく、主にクロロメタンだけでなく、生成物中に残留未反応微量として存続し得る量のニトロソ、ジアゾ、又はアゾ-オキシド官能基を含有する化合物も遺伝毒性不純物を形成するリスクを低減するスケーラブルかつロバストな接触水素化である。亜鉛の使用はまた、還元生成物のデス-クロロ及びデス-フルオロ形態を含む望ましくない不純物をもたらす。
【0085】
6の還元において触媒と溶媒の様々な組み合わせを用いて実験して3を提供した(図7の一般化スキームに示される)後、白金系触媒は化学選択性及び反応性に関して優れた結果をもたらしたが、全ての試験したパラジウム系触媒は、かなりの量の水素化脱塩素(デス-クロロ)副生成物10を生成し、場合によってはデス-フルオロ不純物を生成することが発見された(図示せず)。これらの副生成物のいずれか又は両方は、中間体3中に不純物として存続することができる。
【0086】
白金系触媒が遊離塩基6の代わりに対応する塩酸塩6aを用いてどのように機能するかを具体的に試験するために、より低い触媒負荷での更なる研究により、最適な触媒として1% Pt-2%V/C(湿潤負荷)が特定された。バナジウムドーピングは、Pt触媒水素化の安全性、選択性、及び性能を大幅に改善することが示されている。(例えば、Loos,P.;Alex,H.;Hassfeld,J.;Lovis,K.;Platzek,J.;Steinfeldt,N.;Huebner,S.,Selective Hydrogenation of Halogenated Nitroaromatics to Haloanilines in Batch and Flow,Org.Process.Res.Dev.,(2015),20,452-464;D.Formetti,F.Ferretti,F.K.Scharnagl,M.Beller,Chem.Rev.(2019),119,2611-2680;及びBaumeister,P.;Blaser,H.-U.;Studer,M.,Strong reduction of hydroxylamine accumulation in the catalytic hydrogenation of nitroarenes by vanadium promoters,Catal.Lett.,(1997),49,219-222.を参照)塩基の添加は、des-Cl副生成物10の形成をクエンチするのに有効であり、塩基を含まない場合、10は1~2重量%程度で存在し得るのに対して、塩基を用いると、この量を0.1 A%未満に減少させることができる。バナジウムでドープされた白金は、このニトロ還元工程のための好ましい有効な触媒として存在するが、当業者は、任意の適用可能な最適化の対象となる他の触媒系が同等の有効性を有し得ることを理解するであろう。
【0087】
したがって、一実施形態において、条件は、6のニトロ基還元を達成するための1工程プロトコルを容易にした。これは、0.1~5mol当量、好ましくは1.5~3当量、より好ましくは2.5当量のアンモニア水溶液等の塩基、並びに0.1~100バール、好ましくは1~10バール、最も好ましくは2.8~3.0バールの水素圧力での遊離塩基の水素化による、6aの同時in-situ遊離塩基化によって進行した。この工程では、0.2~5重量%、好ましくは0.4~1重量%、更により好ましくは0.5重量%の触媒負荷(乾燥触媒)を展開することができ(図8)。この工程に適した有機溶媒にはTHF及び2-MeTHFが含まれ、反応温度は30~80℃、好ましくは50℃の範囲である。この一段階遊離塩基化/水素化プロトコルは、2-MeTHF/n-ヘプタンからの結晶化後に88~93%の単離収率で99.5 A%超の所望の生成物3を送達した。
【0088】
スケールアップされた条件に最適化された別の実施形態では、出発試料6a中の少量の残留アニリン塩酸塩出発物質5でさえ、7の水素化反応の停止及び再現不可能な収率をもたらすことが確立された。その結果、水酸化アンモニウムでの遊離塩基化とそれに続く接触水素化を含む2工程プロトコルは、遊離塩基化工程中に微量の出発物質5をパージしたことから、大規模生産のためにより信頼性が高く再現可能であることが分かった(図9)。本明細書の実施例12に更に記載されるように、そのような二段階プロセスは、2-MeTHF/n-ヘプタンからの結晶化後に99.9 A%超のHPLC純度で21kgスケールで94%の収率の最後から2番目の中間体7を与えた。2-MeTHF溶媒は、遺伝毒性不純物である塩化メチルの形成を回避するので、更に有用である。
【0089】
アミドカップリング
製造経路の最後から2番目の合成工程(図2)は、イソキノリン中間体7とチエノピリミジン2とのアミドカップリングであり、1bの粗量を生成する。以前のスキーム(図1)は、7をピリミジン3とカップリングさせてクロロピリミジン中間体8を生成することを伴い、これはその後の加水分解に感受性であり、1bを生成するための更なる工程を必要とする。図1のアミドカップリングはまた、いくつかの不純物の形成をもたらした。出発物質として3(図2と同様に)の代わりにチエノピリミジン2を使用することによって、8の不安定性が対処され、1bが直接形成される。
【0090】
別の従来のプロセスは、2と7とのカップリングを利用して1のビスHCl塩を生成したが、少なくとも以下の欠点:アミンカップリングパートナー2の求核性が低いこと、及びビスHCl塩の溶解度が低いことを有していた。実行可能に精製することができる塩としてのビス-塩酸塩1aの既知の欠点を考慮すると、生成物は代わりにそのビス-メシレート塩2MSA(1b)として単離される。異なる試薬(TCFH等)及び反応条件(溶媒としてN-メチルピロリジン等)を使用し、カップリング後にメタンスルホン酸を導入することによって、得られるプロセス工程は非常にロバストでスケーラブルであり、以前に開示されたものよりも少ない不純物を生成する。本明細書に更に記載されるように、この工程のための単離プロトコルも好ましく、それに基づいて後続の再結晶を行うことができる。
【0091】
アミドカップリングに対する反応条件の影響を理解するために、イソキノリン7及びチエノピリミジン2を前のプロセス(図10A)のアミドカップリング条件に供した。この反応により、それぞれMeCN及びTHF中、85及び91%の収率で1のビスHCl塩が得られた。それにもかかわらず、溶媒にかかわらず、DMF(Vilsmeier試薬をin situで生成する触媒)との反応によって有意な量のアミジン副生成物11が形成された。DMF負荷量を低下させる試みは、7の反応性の顕著な低下をもたらす。この有害な副反応及びPOCl(その安全性、及び、クエンチが困難であるという事実、及び、EtNによる複数回の基本的な洗浄が必要であるという事実等の実用上の困難さ)の欠点のために、他のアミドカップリング試薬を調査した。この特定のカップリング反応は、カップリング試薬に対して非常に敏感である。例えば、周知の1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)をメディエータとして使用すると、所望の生成物は得られなかったが、プロパンホスホン酸無水物(T3P)を使用すると、収率が低く、望ましくないウォールケーキが形成された。全体として、N,N,N’,N’-テトラメチルクロロホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート(TCFH)が、このプロセス工程に最も最適なアミドカップリング試薬であることが分かった(表1)。(例えば、Beutner,G.L.;Young,I.S.;Davies,M.L.;Hickey,M.R.;Park,H.;Stevens,J.M.;Ye,Q.,TCFH-NMI:Direct Access to N-Acyl Imidazoliums for Challenging Amide Bond Formations,Org.Lett.,(2018),20,4218-4222.を参照)
【0092】
TCFHを用いた予備実験は、前のプロセス(図1参照)で使用した溶媒MeCNが濃厚なスラリーの形成をもたらし、1aを単離するために必要なその後の濾過を著しく延長したことを示した。DMSOほど反応性ではない強極性非プロトン性溶媒の予備溶媒スクリーニングにより、反応混合物の最適な反応性及び均一性の両方を達成するためのN-エチルピロリドン(NEP)及びN-メチルピロリドン(NMP)の両方の優れた性能が明らかになった。しかし、ここでは、イソキノリン7を制限試薬として使用した場合(図10B)、二量体不純物12が最小のパージ成功で検出された(最大1.6 A%)。代わりにチエノピリミジン2を制限試薬として用い、N-メチルイミダゾール(NMI)を塩基として用いた場合、不純物11の形成は完全に抑制されたが、より低い転化率が観察された(表1、1行目)。異なる塩基の中で、ピリジンよりも求核性が低い2,6-ルチジンは、図10Cに示すように、不純物形成及び良好な変換なしにNEP及びNMPにおいて最適であることが証明された(表1、エントリ3及び4)。TCFHと2,6-ルチジンとの組み合わせは両方とも最適であり、典型的には当業者によって選択されないであろう。
【0093】
NEPやNMP等の溶媒の使用も重要であり、この工程の化合物は、最も広く使用されている溶媒に難溶性であり、それによって利用可能な選択肢を制限する。いくつかの許容され得る溶媒には、NMP、アセトニトリル、THF及びMeTHFが含まれ、これらの好ましい溶媒はNMP及びTHFである。
【0094】
粗製形態の結晶性1b生成物を生成する目的で、HTE溶解度スクリーニングにより、結晶化のための有効な溶媒系としてNMP/水の組み合わせが明らかになった。25~80℃の可変NMP/水混合物中の1bのより詳細な溶解度研究は、NMP中の一定体積の5v%水を用いた冷却結晶化が、高い回収率及び良好な不純物パージを達成するのに理想的であることを明らかにした。反応の完了後、濾過工程を実施して、結晶化の前にルチジン塩等の不溶性残渣を除去した。
【0095】
これらの最適化された条件により、アミドカップリング/単離工程が大規模で首尾よく実証され、6.2 kgの粗1bが収率77%及びHPLC純度99.6 A%で得られた。特に、アミドカップリング工程の残渣及び副生成物、例えば塩化物、ヘキサフルオロホスフェート及び1,1,3,3-テトラメチル尿素を効率的にパージした。
【表1】
条件:2(0.5mmol、1.0当量)、3(1.2当量)、TCFH(1.3当量)、塩基(4.0当量。)、溶媒(14.0mL/g)、20℃、16~20時間。
HPLC分析による出発物質3に対する1の面積パーセント。
HPLC分析による生成物1に対する12又は2の面積パーセント。
【0096】
アミドカップリング工程の更なる最適化は、ビス-メシレート形成の前に、1(THF)で示される1のTHF溶媒和物を単離することを含んだ。THF溶媒和物は、遊離塩基の濾過性と比較してはるかに改善された濾過性を有する。このように進行する場合、図10Dでは、水、i-PrOH中の水、5%重量/重量NHOH、25%重量/重量NHOH水溶液のいずれか1つで反応をクエンチすることができ、これらのうちの最後の2つが好ましい。純粋な1bは、溶媒和物をMsOHで洗浄する図10Eに示すプロセスによって、1のTHF溶媒和物(付加物とも呼ばれる)から得ることができる。
【0097】
再結晶
図10Cのプロセスから得られた1bの粗製形態で作業する場合、再結晶を開発する主な目的は、APIを優れた純度、良好な回収率及びその所望の物理的特性に対する良好な制御で生成することであった。特に、前のアミドカップリング工程から不純物を除去するために図1の方法で必要とされた複数のスラリー精製を回避するために、結晶化工程を制御できることが有益であった。それにもかかわらず、1bの実行可能な再結晶プロトコルを得るには、いくつかの障害を克服する必要がある。
【0098】
1のビス-メシレート塩は、多くの溶媒にほとんど不溶性であり、ゲル又はペーストを形成する傾向があるため、操作が困難である。しかしながら、材料、例えば前のアミドカップリング工程からの粗材料を連続オストワルド熟成サイクルに供することによって、材料の結晶シードを得ることができることが当業者には理解されよう。
【0099】
初期溶解度スクリーニングにより、ほとんどの有機溶媒中で1bの溶解度が非常に低いことが明らかになった。特に、DMSOは、1bが実験的最適化のために十分な溶解度を有する唯一の実行可能な溶媒であることが証明された。これは、NMP中の1bの以前に確立された溶解度にもかかわらずである。この溶媒は、その毒性及び最終医薬品中の約500ppmの許容限界のために使用すべきではない。NMPの限界は、DMSOに許容される5,000ppmよりかなり低い。再結晶工程に依存する理由の1つは、最終生成物から過剰のNMPを除去することである。
【0100】
さらに、過飽和及び自発的核形成を最小限に抑えるように再結晶を最適化することが重要であり、これらは両方とも高濃度の溶質で起こる制御されない結晶化の形態である。これらのプロセスは、制御が難しいだけでなく、非常に小さな粒子をもたらす傾向があり、それ自体がビス-HCl塩1aについて見出されるものと同様の濾過の課題を呈するため、望ましくない。このような考察は、貧溶媒駆動結晶化(anti-solvent driven crystallization)の使用を示唆する。
【0101】
適切な貧溶媒の選択は、使用される他の溶媒との良好な混和性、(所望の形態を与えるための)固体形態の低い溶解度、及び不純物を効果的に除去する能力に少なくとも部分的に基づく。粗生成物中の無機不純物の最良の制御及びパージを確実にするために、水を貧溶媒として選択した。この目的のために、10、70、75及び80℃でのDMSO/水混合物中の粗材料のより詳細な溶解度研究は、1bの溶解度の含水量に対する急峻な依存性を示し、温度は回収収率に対する影響がより小さい。
【0102】
粗1bの例示的な貧溶媒再結晶を以下のように試験した。粗材料を最初に75℃でDMSO(5.78g/g API)に完全に溶解するまで加熱した。これに続いて、水(22重量%)を添加して系を準安定ゾーンにし、同じ温度でシーディングし、2時間エージングさせ、0.2K/分の速度で20℃に冷却した。しかしながら、このプロトコルは、最大35%の高い母液損失を伴う61%の中程度の収率でモノメシレート形態の予想外の形成をもたらした。モノメシレートは、不利なことに、この溶媒系において高い溶解度を有し(結晶化しにくくなることを意味する)、他の研究から、結晶性が低いことが示されている。粗物質のビスメシレートへの完全又は部分的な変換を確実に回避するように製造することも困難であり、これは、その形成が制御困難であり、不安定であり、したがって医薬品グレードの製剤には適さない最終生成物であることを意味する。
【0103】
メタンスルホン酸の望ましくない損失を回避し、1bの所望の結晶形態を送達するために、2.0当量のメタンスルホン酸を遊離塩基に添加することを含む修正再結晶化アプローチを実施した。しかし、これでさえ簡単ではなかった。これに対応して、いくつかの効果的な改善が適用された:1)シードの添加前に制御されない自発的な二次核生成の傾向を最小限に抑えるために、シードの温度を80℃に上げた;2)シーディング時の過飽和を減少させるため、初期含水量を22から5重量%に下げ、30分間のエージング後に、別の部分の水(42重量%)を添加して、系を不飽和化した;3)終了温度を10℃に下げて回収率を高めた。
【0104】
さらに、これらのパラメータがスケールアップ時にAPIの粒径分布(PSD)及び濾過性に影響を及ぼすと予想されたため、水の添加速度及び撹拌速度の両方を最適化した。50g規模でこれらのパラメータを調査するための例示的な装置、材料、及び条件は、以下を含む:PTFEカバー及びオーバーヘッドピッチブレードインペラ(合金C22、直径38mm、下方)を備えた1000mLツーピースガラス反応器を使用して、OptiMax Advanced Synthesis Workstation(Mettler Toledo)を、撹拌速度200~600rpm及び4~30mL/分の水添加速度で使用した。濾過速度は、中程度のガラス焼結漏斗(8.5cm)に対して10℃で固体を濾過することによって決定した。結晶化プロセスは、シーディング後に長い針状結晶を最初にもたらし、これは経時的に磨滅する傾向があり、濾過時間の延長に寄与した。
【0105】
続いて、計算流体力学を適用して、より大きな反応器で同様の品質結果を提供する結晶化条件を特定するために、キログラム規模で製造するための等価メソミキシングをモデル化した。(例えば、Dynochemは、Optimax実験と比較して、6時間を超える水添加時間及び80rpm未満の撹拌速度で、8kg規模での等価メソミキシングを計算した。)これらの最適化された反応条件を用いて、DMSOを使用して5.3kg規模で再結晶工程を実施し、最終生成物1bを収率88%及びHPLC純度99.8 A%で送達した(図11)。
【0106】
様々な溶媒への1bの低い溶解度によってもたらされる課題にもかかわらず、材料は、2-PrOH/水を含む他の溶媒から再結晶することができることが知られている。特に、イソプロピルアルコール、水、及びメタンスルホン酸の三元混合物は、1bのより大きな粒子の形成をもたらす相乗的条件を提供し、それにより、より迅速な濾過による改善された単離プロセスをもたらす。
【0107】
多形
ビス-メシレート塩は、ビスHCl塩よりも管理しやすい範囲の多形形態を有する。多くのラウンドの多形スクリーニングを実施した後、現在、3つの既知のメシレート多形のみが存在すると評価されており、そのうちのジメシレートの形態Aは、容易に最も安定であり、明確で制御可能な粒径分布を提供する。異なる溶媒の使用から生じるモノ-メシレートの少なくとも2つの他の結晶形態が存在する。一方は乳酸エチル及び水から得られ、他方はベンジルアルコールから得られた。
【0108】
ビスメシレートは、主に(HClと比較して)メチルスルホン酸の揮発性が低いために、対応するビスHCl塩よりもその化学量論を良好に制御する。さらに、ビス-メシレートは、ビスHCl塩よりも吸湿性が低く、その粒径分布(PSD)に対するより良好な制御を有するため、微粒子化を必要としない。ビスメシレートが湿式粉砕を必要としないという事実、及びその粒子が良好な濾過性を有するという事実は、それを製造するプロセスに更なる利益をもたらす。
【0109】
対照的に、ビスHCl塩は、容易に相互変換し、したがって制御が困難な15を超える多形体を有する。特に、2HCl「形態A」は可変水和物であり、所望の水位を維持するために平衡化が必要となる。この形態はまた、ジェットミル粉砕を必要とする。
【0110】
中間体化合物
本発明は、以下:
の中間体化合物を更に含む。
【0111】
本明細書の他の箇所に記載されるように、本発明は、そのような化合物の合成方法を更に含む。
【実施例
【0112】
様々な例は、1bの代表的な合成における工程を記載している。図2は、合成経路の概要を示す。様々な出発物質を調製するための他の工程は、本明細書の他の箇所に記載されている。
【0113】
特に明記しない限り、全ての反応は窒素雰囲気下で行った。市販の試薬及び溶媒は、特に明記しない限り、受け取ったまま使用した。以下の触媒を化合物6aのニトロ基還元に使用した:Pt/C Evonik F 1015 RE、Pt(S)/C Evonik F 1082 QHA、Pt/V/C Evonik CF 1082 BV。
【0114】
分析HPLC分析は、Agilent 1260 Infinity Series HPLC装置を用いて行った。
【0115】
H NMRスペクトルをBruker 400(400MHz)で記録し、残留溶媒ピーク(CDClについてδ=7.26ppm)に対して報告する。HNMRスペクトルのデータを以下のように報告する:化学シフト(δppm)、多重度、カップリング定数(Hz)、及び積分。
【0116】
13C NMRスペクトルを、Bruker 400(101MHz)で記録し、残留溶媒ピーク(CDClについてδ77.0ppm)に対して報告する。13C NMRスペクトルのデータを、化学シフト(δppm)に関して報告する。
【0117】
19F NMRスペクトルを、Bruker 400(376 MHz)で記録し、化学シフト(δppm)に関して報告する。
【0118】
正イオン化モードでESI源を備えたAgilent 6530C qTOFでHRMSデータを収集した。
【0119】
融点は、Buechi Melting Point B-540装置又は示差走査熱量測定によって測定した。
【0120】
実施例1チエノ[3,2-d]ピリミジン-4(3H)-オン(22)
反応器に、20(76.4kg、486mol、1.00当量)、酢酸ホルムアミジン21(111kg、1070mol、2.2当量)、2-メトキシエタノール(608kg)を投入し、内容物を10時間110~125℃に加熱した。反応の完了後(20=0.03A%(仕様0.5A%以下))、混合物を20~25℃に冷却し、溶媒を真空中で90℃以下のバッチ温度で3~7Vに還元した。15~30℃に冷却した後、水(252 kg)をゆっくり添加し、内容物を7時間撹拌した。内容物を遠心分離し、ウェットケーキを水(20.0kg)で洗浄し、次いで、ケークを減圧下45℃で21時間乾燥させて、22(63.2kg,85%)を灰白色の固体として得た。
【0121】
HPLC:>99.9 A%;100重量%アッセイ%。M.p.:220~222℃(DSC).H NMR(400 MHz,DMSO-d)δ 12.45(s,1H),8.19(d,J=5.3 Hz,1H),8.16(s,1H),7.41(d,J=5.3 Hz,1H).13C NMR(101 MHz,DMSO-d)δ 158.2,157.9,147.0,135.4,125.7,123.5.COSについて計算されたHRMS(ESI)[M+H]m/z 153.0117、実測値153.0117。
【0122】
実施例2:7-ブロモチエノ[3,2-d]ピリミジン-4(3H)-オン(23)
第1の反応器(R1)に、22(63.1kg、415mol、1.00当量、100重量%)、無水酢酸ナトリウム(68.0kg、830mol、2.00当量)、酢酸(592kg)を添加し、内容物を55~65℃に加熱した。第2の反応器(R2)に、臭素(267kg、1660mol、4.00当量)及び酢酸(63.1kg)を添加した。R2中の混合物をR1にゆっくり添加し、内容物を55~65℃で12時間加熱した。反応が完了した後(22=1.9A%、HPLC)、反応混合物を20~30℃に冷却し、亜硫酸ナトリウム(782kg、20.0重量%)の水溶液を投入し、混合物を20~30℃で3時間撹拌した。次いで、水(126kg)をR1に少しずつ添加し、内容物を2時間撹拌した。遠心分離後、ウェットケーキを水(3×16.0kg)で3回すすいだ。次いで、ウェットケーキを水(662kg、10.5X)を用いてR1中で20~30℃で3時間スラリー化し、遠心分離し、水(16.0kg,22.0kg,14.0kg,24.0kg,96.0kg)、続いてメタノール(24.0kg)で5回洗浄した。次いで、R1を水(94.0kg)ですすぎ、リンス液をウェットケーキに移した。遠心分離後、ウェットケーキを水(18.0kg)及びメタノール(22.0kg)で順次すすいだ。真空下、45℃で21時間乾燥させると、生成物23(80.7kg、75%)が灰白色固体として得られた。
【0123】
HPLC:97.0 A%;88.3重量%アッセイ。M.p.:336~338℃(DSC).H NMR(400 MHz,DMSO-d)δ 12.76(s,1H),8.39(s,1H),8.27(s,1H).13C NMR(101 MHz,DMSO-d)δ 157.3,154.7,148.1,132.5,123.2,109.1.CBrNについて計算されたHRMS(ESI)[M+H]m/z 230.9222、実測値は230.9225。
【0124】
実施例3:7-ブロモ-4-クロロチエノ[3,2-d]ピリミジン(24)
反応器に、23(74.6kg、311mol、1.00当量、96.4重量%)、トルエン(638kg)、続いて酢酸中臭化水素酸(10.8kg、44.1mol、0.14当量、33.0重量%)を投入した。トルエンの別の部分(6.00kg)を投入し、内容物を30分間撹拌した。次いで、POCl(102kg、665mol、2.14当量。)、トルエン(10.0kg)及びEtN(42.0kg、415mol、1.33当量)を添加した。内容物を80~95℃で3~6時間加熱した。反応の完了後(23=0.10A%HPLC)、反応温度を20~40℃に調整し、溶液を40℃以下のバッチ温度で2~3V(148~222L)に濃縮した。トルエン(324kg)を投入し、2~3V、続いてCHCN(302kg)に濃縮し、40℃以下のバッチ温度で2~3Vに濃縮した。残留トルエンが2重量%未満になるまで、この工程をCH3CN(273kg)で繰り返した。水(1480kg)を0~10℃でゆっくり添加し、続いて重炭酸ナトリウム(111kg)を添加してpH=7~8にした。次いで、内容物を15~25℃で30分間撹拌し、遠心分離し、ウェットケーキを水(2×32.0kg、次いで30.0kg)ですすいだ。真空中45℃で21時間乾燥させると、生成物24(76.1kg、96%)が灰白色固体として得られた。HPLC:99.5 A%;98.0重量%アッセイ。M.p.:179~181℃(DSC).1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ 9.17(s,1H),8.80(s,1H).13C NMR(101 MHz,DMSO-d6)δ 158.5,155.5,154.7,136.8,129.8,109.3.C6H3BrClN2Sについて計算されたHRMS(ESI+)[M+H]+m/z 248.8883、実測値248.8874。
【0125】
実施例4:7-ブロモ-N-(tert-ブチル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン(25)
反応器に、24(85.1kg、336mol、1.00当量、98.3重量%)、イソプロパノール(611kg)、tert-ブチルアミン(99.5kg、1360mol、4.04当量)、続いてイソプロパノール(48.0kg)を添加した。内容物を減圧下(1~4bar)で95~105℃に20時間加熱した。反応の完了後(24=n.d.)、温度を20~30℃に調整し、イソプロパノール(160kg)を添加し、混合物を4bar未満で2時間95~105℃に加熱した。別のイソプロパノール(238kg)を投入し、50℃以下のバッチ温度で内容物を2~3V(170~255L)に減少させた。次いで、混合物を20~30℃に冷却し、水の2つの部分(224kg、645kg)を投入した。遠心分離後、ウェットケーキを水(115kg、112kg、125kg)で3回洗浄し、減圧下40~50℃で24時間乾燥させた。0.2重量%の含水量に達するまで、乾燥プロセスを一度繰り返した。生成物25(92.3kg、96%)を灰白色の固体として得た。HPLC:99.0 A%;100重量%アッセイ。M.p.:199~200℃(DSC).H NMR(400 MHz,DMSO-d)δ 8.53(s,1H),8.28(s,1H),7.36(s,1H),1.52(s,9H).13C NMR(101 MHz,DMSO-d6)δ 157.2,155.6,155.0,130.0,115.3,108.9,52.9,29.1.C10H13BrN3Sについて計算されたHRMS(ESI+)[M+H]+m/z 286.0008、実測値285.9995。
【0126】
実施例5:メチル4-(tert-ブチルアミノ)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-カルボキシレート(26)
第1の反応器R1に25(110kg、386mol、1.00当量、100重量%)及びメタノール(1659kg)を投入し、混合物を20~30℃で12時間フィルタにかけた。フィルタをメタノール(80.0kg)で洗浄し、洗液をR1に添加した。次いで、Pd(OAc)2(1.29kg、5.79mol、1.50mol%)、(R)-BINAP(5.35kg、9.65mol、2.25mol%)、トリエチルアミン(133kg)、及びメタノール(14.0kg)を添加した。内容物をCO雰囲気(8~13bar)下、80~90℃で反応が完了するまで26時間反応させた(25=n.d.)。混合物を、R1のCHCl(198kg)リンス液と共に第2の反応器R2に移した。独立したランの反応混合物25(11.0kg、32.1mol、83.6重量%)をR1の内容物と合わせ、50℃以下で減圧下で2~3V(220~330L)に濃縮した。CHCl(5536kg)を20~30℃で添加し、R2の内容物を2時間撹拌した。イミダゾール水溶液(485kg、10.0重量%)を添加し、混合物を10~30℃で3時間撹拌し、相を分離した。合わせた有機相を、R2のCHCl(240kg)のリンス液が入った反応器R3に移し、35℃以下で減圧下で2~3V(220~330L)に濃縮し、次いで、MeCN(150kg)を添加した。混合物を35℃以下の減圧下で2~3V(220~330L)に濃縮し、CHClの含有量が1.0重量%に減少するまでMeCN(125kg、113kg)を用いて手順を2回繰り返した。次いで、R3にMeCN(223kg)を投入し、混合物を20~30℃で2時間撹拌した。遠心分離後、ウェットケーキをMeCN(75.0kg、70.0kg)で2回すすいだ。次いで、ウェットケーキをR 3に戻し、MeCN(297kg)を添加し、内容物を20~30℃で2時間撹拌した。遠心分離後、ウェットケーキをMeCN(103kg)ですすいだ。40~50℃で15~20時間乾燥させると、26(97.2kg、83%)が灰白色固体として得られた。HPLC:100 A%;94.9重量%アッセイ。Pd=21ppm(仕様:<50ppm)。M.p.:242-244℃(DSC).H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ 8.84(s,1H),8.54(s,1H),7.29(s,1H),3.84(s,3H),1.52(s,9H).13C NMR(101 MHz,DMSO)δ 162.3,157.3,156.4,155.0,141.7,127.4,117.0,52.8,52.2,29.1.C1216Sについて計算されたHRMS(ESI)[M+H]+m/z 266.0958、実測値266.0942。
【0127】
実施例6:4-アミノチエノ[3,2-d]ピリミジン-7-カルボン酸(2)
第1の反応器R1に、26(47.8kg、171mol、1.00当量、94.9重量%)、氷酢酸(250kg)、濃硫酸(34.4kg、351mol、2.05当量)、及び氷酢酸(13.0kg)を連続的に投入した。反応が完了するまで(26=1.2A%HPLC)、内容物を75℃で40時間反応させた。次いで、混合物を40℃以下で減圧下で2~3V(95~143L)に濃縮し、エタノール(150kg)を添加し、内容物を40℃以下(酢酸0.1重量%未満)で減圧下にて再び2~3V(95~143L)に濃縮した。次いで、反応器に水(948kg)を投入、続いてpH=13(pH=12~14)に達するまで30℃以下でKOH(694kg、10.0重量%)の水溶液を投入した。内容物を第2の反応器R2に移し、R1の水(30.0kg)リンス液と合わせた。混合物を50℃で2時間加熱し、次いで、15~35℃に冷却した。氷酢酸(30.4kg)をpH=5.5(pH=4.5~5.5)に達するまでR2に投入し、次いで、内容物を15~35℃で1~2時間撹拌した。反応(2=95.4A%HPLC)及び遠心分離の完了後、ウェットケーキを水(140kg)ですすぎ、R2に戻した。次いで、アセトン(364kg)をR2に投入し、混合物を25~60℃で6時間加熱した。遠心分離後、ウェットケーキを水(90.0kg)ですすぎ、次いで、減圧下25℃で3時間乾燥させた。50~55℃で126時間乾燥させた後(KF=1.2%)、生成物2(32.0kg,96%)を灰白色の固体として得た。HPLC:99.7 A%;100重量%アッセイ。M.p.:279~281℃(DSC).H NMR(400 MHz,DMSO-d)δ 8.92(s,1H),8.51(s,1H),7.94(s,2H).13C NMR(101 MHz,DMSO-d)δ 162.2,159.2,156.3,155.2,142.7,126.8,115.0.CSについて計算されたHRMS(ESI+)[M+H]+m/z 196.0175、実測値196.0163。
【0128】
実施例7:6-メチル-5-ニトロイソキノリン(42)
反応器R1に、5-ニトロイソキノリン(40)(80.1kg、460mmol、1.00当量)、THF(438kg)を投入し、混合物を20~30℃に冷却し、2時間撹拌した。次いで、エチル2-クロロアセテート(41)(85.0kg、694mmol、1.50当量)及びTHF(40.0kg)をR1に添加し、20~30℃で2時間撹拌した。R1中の溶液をドラムに移した。R1にTHF(432kg)及びKOt-Bu(155kg、1382mol、3.00当量)を投入し、内容物を-15~0℃に冷却した。次いで、出発物質のTHF溶液を-15~0℃でR1にゆっくり添加し、ドラムをTHF(36.0kg)ですすぎ、リンス液をR1の内容物と合わせ、次いで、-15~0℃で10.5時間撹拌した。水(810kg)を-15~0℃でR1に投入し、内容物を0℃で2時間撹拌し、続いて濃HCl(254kg、36.0重量%)を、pH=1になるまで30℃未満でR1に添加した。R1の内容物を85~95℃に加熱し、周囲圧力で1250L(13~15×)に濃縮し、85~95℃で24時間撹拌した。水(1132kg)をR1に20~30℃で添加し、続いて、pH=4~5になるまでNaOH水溶液(250kg、30.0重量%)を添加した。濾過後、ウェットケーキ及びアセトン(1,253kg)をR1に戻し、内容物を20~30℃で2時間撹拌した。珪藻土(20.0kg)でフィルタにかけ、アセトン(400kg)で洗浄した後、濾液をR1に戻し、CUNOフィルタで16時間サイクルした。R1中の溶液を50℃未満で減圧下で450Lに濃縮し、水(810kg)を40~50℃でR1にゆっくり添加した。次いで、R1を3時間にわたって20~30℃に冷却し、4時間撹拌した。濾過及び水ですすいだ後(521kg)、湿った42(80.0kg、74%)を褐色固体として得た。HPLC:99.2 A%;79.5重量%アッセイ。M.p.:134~136℃(DSC).H NMR(400 MHz,CDCl)δ 9.30(d,J=1.0 Hz,1H),8.66(d,J=6.1 Hz,1H),8.05(d,J=8.4 Hz,1H),7.60(dd,J=6.1,1.0 Hz,1H),7.54(d,J=8.4 Hz,1H),2.60(s,3H).13C NMR(101 MHz,CDCl)δ 152.2,146.2,145.6,133.4,130.4,129.9,127.9,127.2,114.2,18.6.C10について計算されたHRMS(ESI)[M+H]+m/z 189.0659、実測値189.0654。
【0129】
実施例8:6-メチル-5-ニトロイソキノリン-N-オキシド(43)
OXONE(登録商標)(390kg、634mol、0.76当。)及び水(1900kg)をR1に投入し、内容物を完全に溶解するまで15℃~25℃で撹拌し、次いで、ドラムに移した。水(786kg)をR1に投入し、0~20℃に冷却し、続いて0~20℃で濃HSO(174kg、1776mol、2.10当量)をゆっくり添加した。次いで、R1の内容物を0~20℃で1時間撹拌し、その後、ドラムに移した。化合物42(158kg(正味量)、840mol、1.00当量)及び水(962kg)をR1に添加し、50~60℃に加熱し、次いで、オキソン/水溶液を50~60℃でR1にゆっくり投入した。内容物を50~60℃で15時間撹拌し、温度を70~80℃に調整し、続いて70~80℃でHSO水溶液を添加した。70~80℃で1時間撹拌した後、混合物を4時間にわたって15~25℃に冷却し、次いで、2時間撹拌した。濾過及び水ですすいだ後(650kg)、湿った生成物43を黄色固体として単離した(193kg、76%)。HPLC:96.0 A%;67.3重量%アッセイ。M.p.:194~196℃(DSC).H NMR(400 MHz,DMSO-d)δ 9.09(d,J=1.8 Hz,1H),8.26(dd,J=7.5,1.8 Hz,1H),8.05(d,J=8.6 Hz,1H),7.73(d,J=8.6 Hz,1H),7.70(d,J=7.5 Hz,1H),2.47(s,3H).13C NMR(101 MHz,DMSO-d6)δ 146.2,139.9,135.7,132.9,131.5,129.2,128.4,119.5,118.8,18.1.C10について計算されたHRMS(ESI)[M+H]+m/z 205.0608、実測値205.0603。
【0130】
実施例9:1-クロロ-6-メチル-5-ニトロイソキノリン(4)
化合物43(50.3kg(正味量)、247mol、1.00当量)及びCHCN(785kg)を反応器R1に投入し、内容物を減圧下、45℃未満で150L(2~3倍)濃縮した。このプロセスを、KF=0.20%になるまでCHCN(791kg)を用いて1回繰り返した。次いで、CHCNをCHCl(2,472kg)と交換し、次いで、混合物を約1,000L(約20V)に濃縮した。LiCl(10.0kg、236mol、0.96当量)及びDMF(2.00kg、27.3mol、11.1mol%)をR1に投入し、続いてPOCl(76.6kg、500mol、2.02当量)を35~45℃で投入し、反応が完了するまで(43=0.2A%HPLC)、R1の混合物を35~45℃で17時間撹拌した。次いで、水(496kg)を30℃未満でR1に添加し、混合物を20~30℃で1時間撹拌した。分離後、有機相をR1に戻し、水(500kg)及びNaHCO(30.0kg)をpH=7~8になるまで30℃未満でR1に添加した。混合物を20~30℃で1時間撹拌し、相を分離した。有機相を反応器R2に添加し、CUNOフィルタ上で16時間サイクルし、200L(3~5V)まで減圧下、45℃未満で濃縮し、続いてCHClをTHF(1200kg)と交換した。THFの別の部分(580kg)をR2に投入し、内容物を40~50℃で3時間加熱し、水(504kg)をR2に40~50℃で3時間にわたって添加し、内容物を40~50℃で1時間撹拌した。R2を2時間かけて20~30℃に冷却し、4時間撹拌し、遠心分離及び水リンス(172kg)後にウェットケーキを単離した。MEK(477kg)をウェットケーキに添加し、溶液を真空下40℃未満で約100L(2V)まで蒸留した。次いで、n-ヘプタン(682kg)を30~40℃で3時間以内にR2に添加し、1.5時間撹拌し、次いで、20~30℃で4時間撹拌した。ウェットケーキを、遠心分離し、n-ヘプタン(102kg)ですすぎ、続いて30~40℃のジャケット温度で3時間、次いで40~50℃で24時間乾燥させた後に単離した。生成物4を灰白色の固体として得た(29.3kg、53%)。HPLC:99.8 A%;99.4重量%アッセイ。M.p.:176~178℃(DSC).1H NMR(400 MHz,CDCl)δ 8.41(d,J=8.7 Hz,1H),8.38(d,J=6.0 Hz,1H),7.60(d,J=8.7 Hz,1H),7.50(d,J=6.0 Hz,1H),2.58(s,3H).13C NMR(101 MHz,CDCl3)δ 151.9,146.6,144.0,134.1,131.0,129.7,129.0,125.5,114.3,18.4.C10ClNについて計算されたHRMS(ESI+)[M+H]+m/z 223.0269、実測値223.0269。
【0131】
実施例10:3-クロロ-2-フルオロアニリン塩酸塩(5a)
反応器に、KF(190kg、3270mol、2.09当量)、18-クラウン-6(830kg、3143mol、2.01当量)、DMA(1650kg)及びトルエン(1000kg)を添加した。混合物溶液を5時間かけて140~145℃に加熱し、2時間撹拌し、KF<0.02%になるまで140~145℃で濃縮した。1,2-ジクロロ-3-ニトロベンゼン50(298kg、1561mol、1.00当量)を140~145℃で混合物に添加し、反応が完了するまで内容物を19.5時間撹拌した(50=0.10A%HPLC)。次いで、反応混合物を5時間にわたって20~40℃に冷却した。ラネーNi(5.30kg、1.8重量%)を添加した後、反応が完了するまで、混合物を70~80℃にて12~15バールの水素圧下で17時間反応させた(遊離塩基5=1.70A%HPLC)。混合物を20~40℃に冷却し、触媒を濾過により除去し、水(580kg)を添加した。次いで、溶液をMTBE(367kg)で抽出し、有機相をNaOHの水溶液(350kg、5.0重量%)で洗浄した。相分離及び濾過後、濾液をMTBE/MeOH中7.0重量%HCl(100:1、1000kg)の溶液にゆっくり添加した。溶液を40~50℃で2時間、次いで20~25℃で5時間撹拌した。ウェットケーキをMTBE(160kg)で洗浄し、次いで、EtOAc(640kg)及び水(26.0kg)の溶液に添加した。懸濁液を最後に25℃で5時間撹拌し、フィルタにかけ、EtOAc(170kg)で洗浄した。真空下、40℃で24時間乾燥させた後、化合物5aを灰白色の固体粉末として得た(99.7kg、3段階で35%)。HPLC:100 A%;99.8重量%アッセイ(遊離塩基5:79.8重量%遊離塩基)。M.p.:173~175℃(DSC).H NMR(400 MHz,CDOD)δ 7.62(ddd,J=8.3,6.8,1.6 Hz,1H),7.50(ddd,J=8.2,6.8,1.6 Hz,1H),7.35(ddd,J=8.3,8.2,1.5 Hz,1H).13C NMR(101 MHz,CDOD)δ 151.8(1JC-F=253 Hz),130.5(3JC-F=5.9 Hz),125.7,123.1,122.0(2JC-F=15.0 Hz),121.2.19F NMR(376 MHz,CDOD)δ-129.2.CClFNについて計算されたHRMS(ESI)[M+H]+m/z 146.0167、実測値146.0167。
【0132】
実施例11a:N-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-6-メチル-5-ニトロイソキノリン-1-アミン塩酸塩(6a)
図6のスキームに従って、反応器に、2-ブタノン(306kg)、1-クロロ-6-メチル-5-ニトロイソキノリン(4)(38.0kg、171mol、1.00当量)及び3-クロロ-2-フルオロアニリン塩酸塩(5a)(34.2kg、188mol、1.10当量)を添加した。得られた懸濁液を78℃に加熱し、反応が完了するまで21時間エージングした(4<1.0 A%HPLC)。スラリーを25℃に冷却し、2-ブタノン(91.8kg)を入れた別の容器に移し、続いて水(12.0kg)を加えた。スラリーを4時間エージングさせ、次いでフィルタにかけた。反応器を2-ブタノン(184kg)ですすぎ、リンス液を使用してフィルタケーキを少しずつ洗浄した後、真空下35℃で21時間乾燥させた。フィルタを排出して、6a(55.5kg、収率88%)を淡黄色固体として得た。HPLC、MS及びNMRは実施例11bと同様である。
【0133】
実施例11b:N-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-6-メチル-5-ニトロイソキノリン-1-アミン塩酸塩(6a)
図6のスキームに従って、三重マントル反応器に、1-クロロ-6-メチル-5-ニトロ-イソキノリン(20.0g)、3-クロロ-2-フルオロ-アニリン、塩酸塩(17.99g、1.1当量)及びMIBK(120g)を25℃で投入した。懸濁液にNEt(6.89mL、0.8当量)を添加した。次いで、懸濁液を、1-クロロ-6-メチル-5-ニトロ-イソキノリンがほぼ完全に消費されるまで(5時間)105℃に加熱した。次いで、反応懸濁液を80℃に冷却し、水(60mL)を添加した。黄色懸濁液を80℃で2時間撹拌し、少なくとも3.5時間で25℃に冷却し、25℃で一晩撹拌した。懸濁液を濾紙でフィルタにかけ、ウェットケーキを水(20g)及びMIBK(20g)で順次すすいだ。湿った固体をロータリーエバポレーター(50℃、p=10mbar)で乾燥させて、30.22gの淡黄色粉末(収率91.4%、HPLC純度=99.58面積%)を得た。HPLC:99.9 A%;99.4%アッセイ。M.p.:221℃(DSC).1H NMR(400 MHz,DMSO-d)δ 8.98(d,J=8.7 Hz,1H),7.90(d,J=6.7 Hz,1H),7.85(d,J=8.7 Hz,1H),7.59(d,J=8.1 Hz,1H),7.57(d,J=8.1 Hz,1H),7.36(ddd,J=8.2,8.1,1.2 Hz,1H),6.98(dd,J=6.7,0.8 Hz,1H),2.53(s,3H).13C NMR(101 MHz,DMSO-d)δ 153.3(1JC-F=251 Hz),152.3,146.7,136.8,135.9,131.0,129.5,129.2,128.8,127.8,126.6(3JC-F=11.4 Hz),126.2(3JC-F=4.6 Hz),121.4(2JC-F=16.2 Hz),117.8,106.1,18.0.19F NMR(376 MHz,DMSO-d)δ-120.8.C1612ClFN について計算されたHRMS(ESI+)[M+H]+m/z 332.0602、実測値332.0597。
【0134】
実施例12a:N-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-6-メチルイソキノリン-1,5-ジアミン(7)
一例では、反応器に、6(27.1kg、73.6mol、1.00当量)及び2-MeTHF(186kg)を投入した。懸濁液に、水酸化アンモニウム水溶液(5.20kg、81.0mol、1.10当量、26.5重量%)を25℃で添加した。得られた黄色懸濁液を25℃で3時間撹拌した。内容物を、2-MeTHF(50.0kg)リンス液が入った水素化反応器に移した。触媒Pt(1%)/V(2%)/C(0.29kg、1.06重量%)を2-MeTHF(30.0kg)に懸濁し、25℃の2-MeTHF(36.5kg)でリンス液と共に移した。温度を50℃に調整し、反応器に水素を2.9barまで充填した。34時間後、温度を25℃に下げ、反応器を窒素通気サイクルで減圧した。反応内容物をフィルタにかけて触媒及び塩化アンモニウム塩を除去し、続いて2-MeTHF(93.0kg)で洗浄した。濾液を40℃未満の真空下で82.5Lの容量まで濃縮した。50℃に温度調整した後、n-ヘプタン(276kg)を1.5時間にわたって投入して生成物を沈殿させ、続いて1時間エージングさせた。温度を8時間かけて5℃に調整し、9時間保持し、続いて0℃に冷却した。次いで、濾過を分割して行い、最終ケーキを冷n-ヘプタン(115kg)で洗浄した。得られた固体を45℃未満の真空下で13時間乾燥させて、3(21.0kg、94%)を白色固体として得た。HPLC:>99.9 A%;99.6%アッセイ。ICP-MS:Pt<5ppm、V<5ppm。融点140℃(DSC)。実施例12bと同様のNMR。
【0135】
実施例12b:N-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-6-メチルイソキノリン-1,5-ジアミン(7)
第2の実施例では、反応器に、2-MeTHF(180kg)及びNH(水溶液、25%、2.5当量、19.8kg)を投入した。二相混合物に、周囲温度で固体として6(50kg)を投入した。追加の2-Me-THF(90kg)を添加し、得られた懸濁液を少なくとも15分間撹拌した。懸濁液をオートクレーブに移し、反応器を2-Me-THF(105kg)及び水(29kg)で洗浄した。次いで、2-Me-THF(9.8kg)中のPt(1%)-V(2%)/C(0.66kg湿重量、1.345%重量/重量は、0.46%重量/重量の乾燥触媒に相当する)の懸濁液を反応混合物に加える。移送ラインを2-Me-THF(29.7kg)で洗浄し、オートクレーブを真空/水素サイクルで不活性にした。反応混合物を50±5℃に加熱し、水素圧力を3.0±0.4バールHに調整した。水素取り込みが停止するまで、反応を少なくとも4時間行った。次いで、水素バルブを閉じ、反応混合物を少なくとも1時間撹拌した。反応混合物を周囲温度に冷却し、水素圧力をオートクレーブから解放した。オートクレーブ内の残りの水素を窒素通気サイクルで置き換え、反応混合物をフィルタにかけて触媒を除去した。オートクレーブをすすぎ、フィルタケーキを2-Me-THF(133kg)及び水(143kg)で順次洗浄し、相を分離させ、水層を排出した。水(79kg)を有機相に添加し、混合物を少なくとも15分間撹拌した。次いで、撹拌機を停止し、層を15分間分離させ、水相を排出した。有機層を真空下で約3.75V(約190L)に濃縮した。次いで、真空を停止し、内部温度を50℃に調整し、n-ヘプタン(86.4kg)を30分間にわたって添加した。反応混合物を少なくとも30分間撹拌し、その時点で懸濁液が形成された。追加のn-ヘプタン(425kg)を少なくとも100分間にわたって添加し、続いて1時間の添加後撹拌時間を加えた。次いで、懸濁液を0±5℃の内部温度まで10℃/時間の冷却速度で冷却した。少なくとも2時間の撹拌後、懸濁液を遠心分離機でフィルタにかけ、フィルタケーキを138.1kgのn-ヘプタンで洗浄し、単離した結晶を真空下(<100mbar、50℃以下)で乾燥させると、標記化合物7が白色結晶(36.7kg、収率90%、HPLC純度99.8A%、99.6%重量/重量アッセイ)として得られた。XRF:Pt<1ppm,V<1ppm.H NMR(400 MHz,DMSO-d)δ 8.82(s,1H),7.79(d,J=6.0 Hz,1H),7.61-7.59(m,2H),7.43(d,J=6.0 Hz,1H),7.34-7.23(m,2H),7.19(dd,J=8.1,8.1 Hz,1H),5.49(s,2H),2.27(s,3H).13C NMR(101 MHz,DMSO-d)δ 153.3(1JC-F=247 Hz),152.2,141.5,138.9,131.5(3JC-F=11.8 Hz),129.9,126.0,125.5,125.3(2JC-F=31.5 Hz),125.0(3JC-F=4.5 Hz),120.4(2JC-F=16.8 Hz),119.1,118.3,110.6,108.5,18.5.19F-NMR(376 MHz,DMSO-d6)δ-121.5.C1614ClFNについて計算されたHRMS(ESI)[M+H]+m/z 302.0860、実測値302.0855。
【0136】
実施例13a:4-アミノ-N-(1-((3-クロロ-2-フルオロフェニル)アミノ)-6-メチルイソキノリン-5-イル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-カルボキサミド、テトラヒドロフラン(1:1)(1(THF))
25℃の4Lの三重マントル反応器に、4-アミノチエノ[3,2-d]ピリミジン-7-カルボン酸(130g)、N1-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-6-メチル-イソキノリン-1,5-ジアミン(221.06g、1.1当量)及び1.3LのTHFを添加した。この白色懸濁液に、2,6-ルチジン(142.72g、2.0当量。)及びTHF(65mL)を添加した。次いで、N,N,N’,N’-テトラメチルクロロホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート(TCFH、224.23g、1.2当量)を加え、滴下ロートをTHF(260mL)ですすいだ。反応混合物を40℃まで加温した。追加のTHF(400mL)を添加して、反応混合物の撹拌性を改善した。4-アミノチエノ[3,2-d]ピリミジン-7-カルボン酸の変換をHPLCによって監視した。6時間後、満足のいく変換が達成された。反応混合物を15℃に冷却した。4%重量/重量 NH4OH水溶液(1.82L)を30分にわたって添加して、反応をクエンチした。クエンチした反応混合物を25℃まで加温し、25℃で少なくとも2時間撹拌した。懸濁液をペーパーフィルタで30分間フィルタにかけた。ウェットケーキを最初に水(650mL)で、次にアセトン(650mL)ですすいだ。ウェットケーキを真空下(p=20mbar)のオーブン(T=50℃)で乾燥させて、淡黄色の結晶(319.97g、収率87.2%、HPLC純度=99.4面積%)を得た。
【0137】
H NMR(DMSO-d)δ:11.56(s,1H),9.24(br s,1H),8.94(s,1H),8.58(s,1H),8.35(d,J=8.7 Hz,1H),7.94(br s,2H),7.89(d,J=6.0 Hz,1H),7.62(d,J=8.7 Hz,1H),7.55(ddd,J=8.2,6.9,1.0 Hz,1H),7.36(ddd,J=8.2,6.9,1.0 Hz,1H),7.23(ddd,J=8.2,0.9 Hz,1H),7.17(d,J=6.0 Hz,1H),3.55-3.64(m,4H),2.43(s,3H),1.72-1.80(m,4H)。
【0138】
1(THF)のX線回折パターンを、STOESTADIP回折計(CuKα線、一次Geモノクロメータ、Mythen1Kシリコンストリップ検出器、角度範囲3°~42°2シータ、0.02°2シータステップサイズ、工程当たり20秒の測定時間)を用いて透過幾何形状において周囲条件で記録した。試料を調製し、物質を更に処理(例えば、粉砕又はふるい分け)することなく分析した。
【0139】
X線回折データの測定及び評価は、WinXPOWソフトウェア(STOE&Cie GmbH(ダルムシュタット、ドイツ))を使用して行った。結晶形態の特有のピークを表2に示す。
【表2】
【0140】
5つの最も有意なピークは、8.94、9.87、19.26、21.94、及び23.41の2シータの値である。
【0141】
実施例13b:4-アミノ-N-(1-((3-クロロ-2-フルオロフェニル)アミノ)-6-メチルイソキノリン-5-イル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-カルボキサミドビス-メシレート(1b)を形成する反応
反応器R1に、2(2.24kg、11.5mol、1.00当量)、3(4.19kg、13.8mol、1.20当量)及びNMP(28.1kg)を添加した。反応混合物を20~25℃で5分間撹拌し、次いで、反応器に20~30℃で2,6-ルチジン(2.54kg、23.0mol、2.00当量)及びTCFH(4.26kg、15.0mol、1.30当量)を連続的に投入した。次いで、NMP(2.58kg)を添加し、反応が完了するまで(2≦1.0A%HPLC)、内容物を20~30℃で6時間撹拌した。
【0142】
実施例13c:4-アミノ-N-(1-((3-クロロ-2-フルオロフェニル)アミノ)-6-メチルイソキノリン-5-イル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-カルボキサミドビス-メシレート(1b)の単離
単離:得られた懸濁液を第2の反応器R2へとフィルタにかけ、第1の反応器R1をNMP(27.2kg)ですすぎ、リンス液をR2の内容物と合わせた。NMPの別の部分(6.42kg)をR1に添加し、R2へとフィルタにかけた。R2の内容物を1時間にわたって90~95℃に加熱し、メタンスルホン酸(6.60kg、69.0mol、6.00当量。)を添加し、続いて水(3.51kg)を10分間にわたって添加した。反応器を85℃に冷却し、シード(1b、39.4g、1.75重量%)を添加した。別の部分のNMP(1.47kg)を使用して、残留シードを洗い流した。内容物を80~85℃で3時間エージングさせ、0.1K/分の勾配で10℃まで冷却し、更に8時間撹拌した。濾過後、反応器をアセトン(46.0kg)ですすぎ、リンス液をケーキの洗浄に使用し、続いてアセトン(14.9kg)で最終的に洗浄した。乾燥終点(KF≦4.0%)を満たしたときに、濾過乾燥機の内容物を真空下、40~50℃で20時間乾燥させた。粗生成物1bを白色固体(6.16kg、77%、99.6A%HPLC)として単離した。
【0143】
実施例13d:大規模な4-アミノ-N-(1-((3-クロロ-2-フルオロフェニル)アミノ)-6-メチルイソキノリン-5-イル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-カルボキサミドビス-メシレート(1b)の再結晶
100Lの反応器に、粗1b(6.08kg、8.75mol、1.00当量)及びジメチルスルホキシド(28.7kg)を投入した。反応器の内容物を55℃に加熱し、次いで、20μmのPTFEメンブレンフィルタ上で別の反応器に移した。転写ラインをジメチルスルホキシド(7.10kg)ですすぎ、メタンスルホン酸(1.70kg、17.5mol、2.00当量)を反応混合物に添加し、撹拌を76rpmに設定し、内容物を85℃に加熱した。水(1.89kg)を添加し、反応器を80℃に冷却し、1bシード(61.2g、1.0重量%)を固体として添加した。次いで、別の部分の水(16.0kg)を蠕動ポンプを介して6時間かけて滴下し、内容物を80℃で2時間撹拌した。反応器を10℃まで0.1K/分の勾配で冷却した。10℃で、内容物を30分間撹拌した。その後、内容物を真空濾過し(濾過時間:6時間)、反応器をアセトン(35.9kg)で洗浄し、リンス液をウェットケーキ上でフィルタにかけた。乾燥終点(KF≦3.0%;アセトン、DMSO≦4000ppm;NMP≦450ppm)に達すると、ウェットケーキをアセトン(23.9kg)で再度すすぎ、ウェットケーキを60℃で20時間真空乾燥した。生成物(1b)を白色固体(5.29kg、88%)として単離した。HPLC:99.8%;97.3重量%アッセイ(遊離塩基:70.0重量%)。M.p.:305~306℃(DSC).H-NMR(400 MHz,DMSO-d)δ 11.24(s,1H),9.33(s,1H),9.07(bs,1H),8.68(d,J=8.7 Hz,1H),8.66(s,1H),7.94(d,J=8.7 Hz,1H),7.79-7.64(m,3H),7.50-7.43(m,1H),7.41(d,J=7.0 Hz,1H),4.72(bs,2H),2.52(s,3H),2.34(s,6H).13C-NMR(101 MHz,DMSO-d)δ 159.5,158.7,152.5(1JC-F=249 Hz),150.8,150.5,142.6,141.5,134.5,131.0,130.6,129.8,129.2,129.2,127.4,125.7(3JC-F=4.7 Hz),124.5,124.1,123.6,120.6(2JC-F=16.0 Hz),116.5,114.8,108.9,39.1,18.3.19F-NMR(376 MHz,DMSO-d)δ-121.9.C2317ClFNOSについて計算されたHRMS(ESI)[M+H]+m/z 479.0857、実測値479.0852。
【0144】
実施例13e:1のTHF溶媒和物からの4-アミノ-N-(1-((3-クロロ-2-フルオロフェニル)アミノ)-6-メチルイソキノリン-5-イル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-カルボキサミドビス-メシレート(1b)の取得
反応器1(THF)内で、溶媒和物(40.0g)を水(320.0g)及び2-プロパノール(332.0g)と25℃で適切に混合した。メタンスルホン酸(水溶液70%、24.58g、2.45mol当量)を迅速に添加した。続いて、懸濁液を75℃に加熱した。透明な溶液をポリッシュ濾過し、フィルタを水(15.7g)と2-プロパノール(18.0g)の混合物で洗い流した。透明な濾液を65℃に冷却し、メタンスルホン酸(水溶液70%、15.55g、1.55モル当量)を添加した。10分後、溶液に2-プロパノール(5.0g)に懸濁した1b(結晶化がプロセス中に自発的に起こるように、シーディングなしでビス-メシレート形成プロセスを実行することによって事前に得られる)(1.47g、0.03当量。)をシーディングし、3時間エージングさせた。その後、混合物を20℃まで冷却した。以下のプロファイルを有する2回の加熱/冷却サイクルを行った:20℃から60℃まで2時間で加熱、60℃で1.0時間保持、60℃から20℃まで12時間で冷却。最後に20℃に冷却した後、混合物を20℃で5時間以上エージングさせた。20℃で懸濁液をフィルタにかけ、結晶を2-プロパノール(2×50.0g、20℃)で2回洗浄した。
【0145】
単離した結晶を、重量定数になるまで真空下(100mbar未満、50℃)で乾燥させた。純粋な1bは、84~94%の収率で、形態Aと呼ばれる白色から灰白色の結晶として得られる。生成物を、大きすぎる凝集物の存在を避けるために砕塊(delumped)してもよい。
【0146】
本明細書で引用されている全ての参照文献は、その全体が参照により援用される。
【0147】
前述の説明は、本技術の様々な態様を例示することを意図している。本明細書に提示される例は、添付の特許請求の範囲を限定するものではない。本発明は完全に説明されたが、添付の特許請求の範囲の主旨又は範囲から逸脱することなく、多くの変更及び修正を行うことができることが当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11
【国際調査報告】