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特表2024-525537化学機械研磨のための音響センサの結合
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】化学機械研磨のための音響センサの結合
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/013 20120101AFI20240705BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240705BHJP
   B24B 37/22 20120101ALI20240705BHJP
   B24B 37/10 20120101ALI20240705BHJP
   B24B 37/30 20120101ALI20240705BHJP
   B24B 37/005 20120101ALI20240705BHJP
   B24B 37/12 20120101ALI20240705BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
B24B37/013
H01L21/304 621D
H01L21/304 622R
B24B37/22
B24B37/10
B24B37/30 E
B24B37/005 Z
B24B37/12 D
B24B49/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500112
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-02-27
(86)【国際出願番号】 US2022073324
(87)【国際公開番号】W WO2023283525
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】63/218,893
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウィズウェル, ニコラス エー.
(72)【発明者】
【氏名】ロンダム, エリック エス.
(72)【発明者】
【氏名】シェリアン, ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】パーマンド, ソフラブ
(72)【発明者】
【氏名】オスターヘルド, トーマス エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】グルサミー, ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ショウ-サン
【テーマコード(参考)】
3C034
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA07
3C034BB92
3C034CA02
3C034CA24
3C034CB03
3C034CB14
3C034DD10
3C158AA07
3C158AB04
3C158AC02
3C158AC04
3C158BA01
3C158BA07
3C158BB02
3C158BC01
3C158BC02
3C158CB01
3C158CB10
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EA14
3C158EB01
3C158EB10
3C158EB14
3C158EB17
3C158EB22
5F057AA20
5F057BA15
5F057BB14
5F057CA12
5F057DA03
5F057EB06
5F057EB11
5F057GA12
5F057GB03
5F057GB34
(57)【要約】
化学機械研磨装置が、研磨パッドを支持するプラテンと、研磨パッドに対して基板の表面を保持するキャリアヘッドと、基板の上にある層を研磨するように、プラテンとキャリアヘッドとの間の相対運動を発生させるモータと、基板に接触する上面を有する音響窓を含む現場音響モニタリングシステムと、現場音響モニタリングシステムから受信された音響信号に基づき、研磨終点を検出するように構成されたコントローラとを含む。
【選択図】図2C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学機械研磨装置であって、
プラテンと、
前記プラテンの上に支持された研磨パッドであって、研磨層を有する研磨パッドと、
前記研磨パッドに対して基板の表面を保持するキャリアヘッドと、
前記基板の上にある層を研磨するように、前記プラテンと前記キャリアヘッドとの間の相対運動を発生させるモータと、
前記研磨パッド内の音響窓、及び前記音響窓に音響的に結合した音響センサを含む現場音響モニタリングシステムであって、前記音響窓が前記研磨層よりも低い音響減衰を有し、前記音響窓が、前記基板に接触する研磨面と同一平面上にある上面を有する、現場音響モニタリングシステムと、
前記現場音響モニタリングシステムから受信された音響信号に基づき、研磨終点を検出するように構成されたコントローラと
を備える、化学機械研磨装置。
【請求項2】
前記音響窓の底面が、前記研磨層のより低い表面と同一平面上にある、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記研磨パッドが、前記研磨パッドの下方にバッキング層を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記音響窓の底面が、前記バッキング層の上面と同一平面上にある、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
開孔が、前記バッキング層を貫通して形成されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記センサが、前記音響窓の前記底面に接触するように、前記開孔内に少なくとも部分的に配置される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記音響センサと前記音響窓との間の前記バッキング層を貫通して開孔内に配置された音響的に伝達可能な層を更に含み、前記音響的に伝達可能な層が、前記バッキング層よりも低い音響減衰を有する、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記音響的に伝達可能な層の底面が、前記研磨パッドの底面と同一平面上にある、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記研磨層の下側に窪みが形成されて、前記研磨層の薄い部分を形成し、前記音響窓が前記研磨層の前記薄い部分内に配置され、前記センサが少なくとも部分的に前記窪みに配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記音響窓が、非多孔性材料である、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記研磨層が多孔性で、前記音響窓が中実である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記音響窓の圧縮率が、前記研磨層の圧縮率の20%以内である、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記音響センサが、前記音響窓に接着剤で付着されて、前記基板からの音響信号を受信する、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記音響センサと前記音響窓との間に配置された音響的に伝達可能な層を更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記音響的に伝達可能な層が、前記音響窓に接着剤で付着されている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記音響センサが、前記音響的に伝達可能な層に接着剤で付着されている、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記現場音響モニタリングシステムが、前記音響センサを支持するハウジングと、前記ハウジング及び前記音響センサを前記研磨層の一部分に押し付けるように構成されたばねとを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記ばねが、強いばね又はロングトラベルスプリングを含む、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記コントローラが、周波数ドメイン解析を実行して、スペクトル周波数の相対パワーにおける変化を決定するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
化学機械研磨装置であって、
プラテンと、
前記プラテンの上に支持された研磨パッドと、
前記研磨パッドに対して基板の表面を保持するキャリアヘッドと、
前記基板の上にある層を研磨するように、前記プラテンと前記キャリアヘッドとの間の相対運動を発生させるモータと、
前記基板の前記表面から音響信号を受信する音響センサを含む現場音響モニタリングシステムであって、前記音響センサが前記研磨パッドの底面に接着剤で付着される、現場音響モニタリングシステムと、
前記現場音響モニタリングシステムから受信された音響信号に基づき、研磨終点を検出するように構成されたコントローラと
を備える、化学機械研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、化学機械研磨の現場(in-situ)モニタリングに関し、具体的には、音響モニタリングに関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、典型的には、シリコンウエハ上に導電層、半導電層、又は絶縁層を順次堆積させることによって、基板上に形成される。1つの製造ステップは、非平坦面の上に充填層を堆積させること、及び、この充填層を平坦化することを伴う。特定の用途のために、充填層は、パターニングされた層の上面が露出するまで平坦化される。例えば、導電性充填層をパターニングされた絶縁層上に堆積させて、絶縁層内のトレンチ又は孔を充填することができる。平坦化した後、高くなった絶縁層のパターン間に残っている金属層の一部が、基板上の薄膜回路間の導電経路を提供するビア、プラグ、及びラインを形成する。酸化物研磨などの他の用途では、充填層が平坦化されて(例えば所定時間研磨することによって)、非平坦面上に充填の一部分を残す。加えて、基板表面の平坦化は、フォトリソグラフィのために通常必要とされる。
【0003】
化学機械研磨(CMP)は、認められた1つの平坦化方法である。この平坦化方法では、通常、基板をキャリア又は研磨ヘッドに取り付ける必要がある。基板の露出面は、通常、回転研磨パッドに当接するように置かれる。キャリアヘッドが、制御可能な荷重を基板にかけて、基板を研磨パッドに押し付ける。典型的に、研磨用研磨スラリが研磨パッドの表面に供給される。
【0004】
CMPにおける1つの問題は、研磨プロセスが完了したかどうか(すなわち基板層が所望の平坦度若しくは厚さにまで平坦化されたかどうか)、又は所望の量の材料がいつ除去されたかを判定することである。スラリ分布、研磨パッド状態、研磨パッドと基板との間の相対速度、及び基板への荷重のばらつきが、材料除去速度のばらつきを生じさせる可能性がある。これらのばらつき、並びに基板層の初期厚さのばらつきが、研磨終点に到達するのに必要な時間のばらつきを生じさせる。したがって、研磨終点は通常、単なる研磨時間の関数として決定することができない。
【0005】
幾つかのシステムでは、基板は、例えばプラテン又はキャリアヘッドを回転させるのにモータが必要とするトルクをモニタリングすることによって、研磨中にその場でモニタされる。音響による研磨のモニタリングも、提案されてきた。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、化学機械研磨装置が、研磨パッドを支持するプラテンと、研磨パッドに対して基板の表面を保持するキャリアヘッドと、基板の上にある層を研磨するように、プラテンとキャリアヘッドとの間の相対運動を発生させるモータと、基板に接触する上面を有する音響窓を含む現場音響モニタリングシステムと、現場音響モニタリングシステムから受信された音響信号に基づき、研磨終点を検出するように構成されたコントローラとを含む。
【0007】
別の態様では、化学機械研磨装置は、プラテンと、プラテンの上に支持された研磨パッドと、研磨パッドに対して基板の表面を保持するキャリアヘッドと、基板の上にある層を研磨するように、プラテンとキャリアヘッドとの間の相対運動を発生させるモータと、基板の表面から音響信号を受信する音響センサを含む現場音響モニタリングシステムと、現場音響モニタリングシステムから受信された音響信号に基づき、研磨終点を検出するように構成されたコントローラとを含む。音響センサは、研磨パッドの底面に接着剤で付着される。
【0008】
実施形態は、以下の特徴のうちの一又は複数を含み得る。センサは、例えば接着剤によって研磨パッドに固定することができる。音響窓は、音響センサよりも小さい直径を有し得る。音響センサは、圧電音響センサであってもよい。研磨終点は、基板の研磨による下層の露出であってもよい。コントローラは、検出に応答して、キャリアヘッドの圧力を調整するか、又は新たな基板の後続の研磨の基準圧を調整するように構成され得る。
【0009】
以下の可能な利点のうちの一又は複数が実現され得る。音響センサの信号強度を上げることができる。研磨層とセンサとの間の音響結合をより確実に確立することができる。下層の露出がより確実に検出され得る。研磨をより確実に停止することができ、ウエハ間の均一性が向上し得る。平坦化、すなわち基板表面の平滑化が検出されると、研磨パラメータを変化させることができ、均一性を向上させたり、研磨速度を上げたりすることができる。研磨は、平坦化の検出時、又は平坦化の検出に続く予め設定された時間が経過した後に停止することができる。これは、代替的な終点技法を提供し得る。
【0010】
一又は複数の実施形態の詳細を、添付図面及び以下の記載において明記する。その他の態様、特徴、及び利点は、記載、図面、及び特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】研磨装置の一例の概略断面図である。
図2A】研磨パッドの一部分と係合する音響モニタリングセンサの概略断面図である。
図2B】音響的に伝達可能な層を含む音響モニタリングセンサの別の実施形態の概略断面図である。
図2C】音響モニタリングセンサの別の実施形態の概略断面図である。
図2D】研磨層に音響窓が形成され、研磨パッドのバッキング層に音響的に伝達可能な層が形成される、音響モニタリングセンサの別の実施形態の概略断面図である。
図3】複数の音響モニタリングセンサ窓を有するプラテンの概略上面図である。
図4】音響モニタリングセンサ窓を取り囲む平面部分を有するプラテンの概略上面図である。
図5A-5C】基板の表面の平坦化である。
図6】時間の関数として周波数範囲にわたるスペクトルパワー密度の合計のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
様々な図面の類似の参照符号は、類似の要素を示す。
【0013】
幾つかの半導体チップ製造プロセスでは、上にある層(例えば、金属、酸化ケイ素、又はポリシリコン)は、下層(例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、又は高誘電率誘電体などの誘電体)が露出するまで研磨される。幾つかの用途では、下層が露出したとき、基板からの音響放出が変化する。研磨終点は、この音響信号の変化を検出することによって決定することができる。しかし、既存のモニタリング技法は、増大しつつある半導体デバイス製造業者の要求を満たさない恐れがある。
【0014】
モニタすべき音響放出は、基板材料が変形するとき放出されるエネルギーによって生じ得、結果として生じる音響スペクトルは、基板の材料特性と関連がある。特定の理論に限定されることなく、「応力エネルギー」とも称されるこのエネルギーとその特徴的な周波数の発生源としては、化学結合の切断、特徴的なフォノン周波数、スリップスティック機構等が考えられる。この応力エネルギー音響効果は、研磨パッドに対する基板の摩擦によって誘発される振動によって発生するノイズ(これは音響信号とも呼ばれることがある)、又は基板上のクラック、チッピング、切断又は同様の欠陥の発生によって発生するノイズと同じではないと留意されてもよい。応力エネルギーは、適切なフィルタリングによって、他の音響信号、例えば研磨パッドに対する基板の摩擦又は基板上の欠陥の発生によって生じるノイズから区別することができる。例えば、音響センサからの信号は、応力エネルギーを表すことが知られているテスト基板から測定された信号と比較することができる。
【0015】
しかし、音響モニタリングに関する潜在的な問題は、音響信号のセンサへの伝達である。幾つかの研磨パッドは、音響エネルギーの伝達が乏しい。加えて、研磨パッドとセンサとの間の結合が悪いと、音響信号を減衰させる傾向がある。更に、センサ間の一貫した結合を確立することは困難であり得る。
【0016】
したがって、音響信号の減衰が少ない音響「窓」と接触する音響センサを有することが有利であろう。幾つかの実施形態では、伝達可能な材料の第2の層が現場音響モニタリングシステムに追加されて、音響センサへの音響信号結合を更に増加させる。
【0017】
音響センサを例えば接着剤で結合窓に接着することにより、ハウジング内での音響センサの移動に関連する音響信号のノイズを低減することができる。接着剤は、センサと研磨パッドとの優れた結合を提供し、センサ間においてより信頼性の高い音響減衰を提供し得る。
【0018】
これらの特徴のいずれも、他の特徴から独立して使用することができる。
【0019】
図1は、研磨装置100の一例を示す。研磨装置100は、研磨パッド110が位置する回転可能な円盤状のプラテン120を含む。研磨パッド110は、外側研磨層112及びより軟性のバッキング層114を有する、二層研磨パッドであり得る。プラテンは、軸125を中心に回転するように動作可能である。例えば、モータ121(例えばDC誘導モータ)が、駆動シャフト124を回して、プラテン120を回転させ得る。
【0020】
研磨装置100は、研磨液132(例えば研磨用スラリ)を研磨パッド110上にパッドに分注するためのポート130を含み得る。研磨装置はまた、研磨パッド110を磨いて研磨パッド110を一貫した研磨状態に維持する、研磨パッドコンディショナも含み得る。
【0021】
研磨装置100は、少なくとも1つのキャリアヘッド140を含む。キャリアヘッド140は、研磨パッド110に対して基板10を保持するように動作可能である。各キャリアヘッド140は、それぞれの基板に関連する研磨パラメータ(例えば圧力)の個別制御を有し得る。
【0022】
キャリアヘッド140は、基板10を可撓性膜144の下に保持する保持リング142を含み得る。キャリアヘッド140は、膜によって画定された、個別に制御可能な一又は複数の加圧可能チャンバ(例えば3つのチャンバ146a~146c)も含む。これらのチャンバは、可撓性膜144の(したがって基板10上の)関連ゾーンに、個別に制御可能な圧力を印加し得る(図1参照)。説明を簡略化するために、図1には3つのチャンバのみを示したが、1つ若しくは2つのチャンバ、又は4つ以上のチャンバ(例えば、5つのチャンバ)があってもよい。
【0023】
キャリアヘッド140は、支持構造物150(例えばカルーセル又はトラック)から懸架され、かつ、駆動シャフト152によってキャリアヘッド回転モータ154(例えばDC誘導モータ)に接続される。これにより、キャリアヘッドは軸155を中心に回転し得る。任意選択的に、各キャリアヘッド140は、例えば、カルーセル150のスライダ上で、カルーセル自体の回転振動(oscillation)によって、又はトラックに沿って摺動することによって、横方向に往復し得る。典型的な処理においては、プラテンはその中心軸125を中心に回転し、各キャリアヘッドは、その中心軸155を中心に回転し、かつ研磨パッドの上面で端から端まで、横方向に並進運動する。
【0024】
コントローラ190(プログラマブルコンピュータなど)が、モータ121、154に接続されて、プラテン120及びキャリアヘッド140の回転速度を制御する。例えば、各モータは、関連する駆動シャフトの回転速度を測定するエンコーダを含み得る。モータ自体の中にあり得る、コントローラの一部又は別個の回路の中にあり得るフィードバック制御回路が、測定された回転速度をエンコーダから受け取り、かつ、駆動シャフトのこの回転速度がコントローラから受け取られた回転速度に一致することを確実にするために、モータに供給される電流を調整する。
【0025】
研磨装置100は、少なくとも1つの現場音響モニタリングシステム160を含む。現場音響モニタリングシステム160は、一又は複数の音響信号センサ162を含む。各音響信号センサは、上側プラテン120上の一又は複数の場所に設置され得る。具体的には、現場音響モニタリングシステムは、基板10の材料が変形するときに応力エネルギーによって生じた音響放出を検出するように構成され得る。
【0026】
プラテン120の角度位置を感知するために、位置センサ(例えば、プラテンのリムに接続された光遮断器又はロータリエンコーダ)が使用され得る。これにより、センサ162が基板に近接しているとき(例えば、センサ162がキャリアヘッド又は基板の下方にあるとき)に測定された信号の一部だけが、終点検出に使用されることが可能になる。
【0027】
図1に示される実施形態では、音響モニタリングシステム160は、基板10から研磨パッド110を通じて音響信号を受信するために、プラテン120によって支持されて配置された音響センサ162を含む。音響センサ162は、プラテン120の上面の凹部164内に部分的又は全体的に取り付けることができる。幾つかの実施形態では、音響センサ162の上面は、プラテン120の上面と同一平面上にある。
【0028】
音響センサ162の真上にある研磨パッドの部分は、音響窓119を含み得る。音響窓119は、例えば、図2Aに示されるように、音響センサ162よりも狭い可能性があり、又は、例えば、図2Cに示されるように、この2つは実質的に等しい幅(例えば、10%以内)の可能性がある。音響窓119が音響センサ162よりも狭い場合、センサは研磨層112の底部にも当接することもできる。
【0029】
音響センサ162は、研磨層112及び/又は音響窓119の一部分に接続された(例えば、直接接触しているか、又は接着層のみを有する)表面を有する接触型音響センサである。例えば、音響センサ162は、電磁音響トランスデューサ又は圧電音響トランスデューサであり得る。圧電センサは、例えばステンレス鋼などの硬質接触板を含み得、この接触板はモニタされる本体と接触するように置かれ、圧電アセンブリ(例えば、2つの電極の間に挟まれた圧電層)は接触板の裏側にある。
【0030】
幾つかの実施形態では、音響センサ162はハウジング163の凹部169内に配置される。オプションのばね165をハウジング163と支持体167との間に配置し、ハウジング163に対して圧力を提供することができる。ハウジング163への圧力は、音響センサ162を研磨パッド110の一部分と接触するように押圧する。あるいは、ばね165は、例えばハウジングが使用されない場合、音響センサ162に直接押し付けることができる。幾つかの実施形態では、ばね165は、より大きな圧縮範囲にわたって強いばね165と同様の圧力を供給するロングトラベルスプリング165である。
【0031】
音響センサ162は、回路168によって、回転結合(例えば水銀スリップリング)を通じて、電源及び/又はその他の信号処理電子機器166に接続され得る。
【0032】
幾つかの実施形態では、現場音響モニタリングシステム160は受動音響モニタリングシステムである。この場合、音響信号発生器から信号を発生させることなく、音響センサ162によって信号がモニタされる(又は、音響信号発生器をシステムから完全に省略することができる)。音響センサ162によってモニタされる受動音響信号は、50kHz~1MHzの範囲、例えば200~400kHz、又は200Khz~1MHzであり得る。例えば、シャロートレンチアイソレーション(STI)における層間誘電膜(ILD)の研磨のモニタリングに関しては、225kHz~350kHzの周波数範囲をモニタすることができる。
【0033】
センサ162からの信号は、内蔵された内部増幅器によって増幅され得る。幾つかの実施形態では、増幅利得は40~60dB(例えば50dB)である。次いで、音響センサ162からの信号は、(例えば電子機器166内の)高速データ取得ボードに至るまでに、必要であれば更に増幅され、フィルタリングされ、かつA/Dポートを通じてデジタル化され得る。音響センサ162からのデータは、発生器163のものと同様の範囲で記録することができ、又は、異なる、例えばより高い範囲(例えば、1~10Mhz(例:1~3MHz若しくは6~8Mz)で記録することができる。音響センサ162が受動音響センサである実施形態では、100kHz~2MHzの周波数範囲(例えば、500kHz~1MHz(例:750kHz))をモニタすることができる。
【0034】
プラテン120に配置された場合、音響センサ162は、プラテン120の中心(例えば回転軸125)にも、プラテン120の縁部にも、又は中間点(例えば、直径20インチのプラテンの回転軸から5インチのところ)にも、配置され得る。
【0035】
次に図2Aを参照すると、音響モニタリングシステム160の更なる詳細が示されている。音響センサ162は、ハウジング163の上面の凹部169内に保持され得る。ハウジング163は、センサ162の適切な配置を支援し得る。ハウジング163は、音響センサ162を損傷から保護するのに十分な硬質で耐久性のある材料で構成される。しかし、幾つかの実施形態では、例えば、図2C及び2Dに示されるように、ハウジングは必要ではなく、例えば、センサ162は、単に、凹部169の側壁の間にフィットし、凹部169の側壁によって固定され得る。ハウジングを使用するものとして記載した様々な実施形態は、ハウジングを省略することができる。
【0036】
幾つかの実施形態、例えば図2Bに示されるように、ハウジング163はバッキング層114を貫通し、幾つかの実施形態、例えば図2Aに示されるように、ハウジング163は研磨層112の一部分を貫通する。しかし、幾つかの実施形態では、ハウジング163は、プラテン120の凹部164内に完全にフィットする、例えば、センサ163の上面がプラテン120の上面と同一平面上にあり、研磨パッド110の底面に接触する場合である。
【0037】
幾つかの実施形態では、ハウジング163の材料は、ハウジング163が貫通するバッキング層114又は研磨層112などの、ハウジング163と接触する表面から音響センサ162によって受け取られるノイズを低減するために、音響減衰する。ハウジング163は、金属(例えば、アルミニウム若しくはステンレス鋼、又はポリマー材料(例えば、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)若しくはポリメチルメタクリレート(PMMA))で構成され得る。
【0038】
ばねが使用される前提とすると、ばね165の一端は音響センサ162に対向する表面上でハウジング163に接触する。幾つかの実施形態では、ばね165の他端は、プラテン120にある支持体167に接触している。かかる支持体は、ばね165の圧縮によって発生する力に対して安定した基盤を提供し得る。幾つかの実施形態では、ばね165の他端は凹部164の底面と接触しており、すなわちプラテンと直接接触している。ばね165は、ハウジング163を研磨層112の研磨面112aの方へ押圧し、これにより音響センサ162を研磨層112の底面に接触するように促す。このことが、研磨層とセンサとの間の音響結合を向上させ得る。しかし、ばねを使用するものとして記載された様々な実施形態は、例えば、センサが音響窓119及び/又は研磨パッド110の底部に接着剤で付着される前提とすると、ばねを省略することができる。
【0039】
幾つかの実施形態では、支持体167がばね165の下に配置され、ばね165がハウジング163に対向して押し付けられ得る静止ブロックを提供する。支持体167は、ばね165及びハウジング163を移動又は圧縮座屈なしに堅く支持するのに十分な任意の材料であり得る。
【0040】
ばねに加えて、又はばねの代わりに、音響センサ162は接着層170によって研磨層112の一部分(及び/又は後述する音響窓119)に固定され得る。接着層170は、音響センサ162と研磨層112及び/又は音響窓119との間の接触面積を増大させ、研磨処理中の音響センサ162の望ましくない動きを低減し、音響センサ162と研磨層112及び/又は音響窓119との間のガスポケットの存在を低減し得、それによりセンサへの結合を向上させ、したがって音響センサ162によって受信される音響信号のノイズを低減する。接着層170は、音響センサ162と研磨層112及び/又は音響窓119との間に塗布される接着剤、又は接着ストリップ(例えばテープ)であり得る。例えば、接着層170は、シアノクリレート、感圧接着剤、ホットメルト接着剤等であり得る。
【0041】
図2Aに戻ると、研磨層112は、接着層170及び音響センサ162の上方に配置された音響窓119を含む。しかし、幾つかの実施形態では、音響センサ162は音響窓119に直接接触する。
【0042】
音響窓を有する実施形態では、音響窓119は研磨層112とは異なる材料で形成される。音響窓の材料は、十分な音響伝達特性、例えば、1~4MRaylの音響インピーダンス及び2未満の音響減衰係数(例えば、1未満、0.5未満)を有し、音響モニタリングに十分な信号を提供する。
【0043】
材料の音響インピーダンスは、材料に印加される音圧からもたらされる音響の流れに対して、材料が提示する抵抗の大きさである。音響減衰係数は、特定の材料について、伝達された音響振幅が周波数の関数としてどのように減少するかを数値化したものである。理論に束縛されることを望むことなく、液体132及び研磨面112aを音響信号センサ162に結合する音響窓119(AIwindow)の特定の音響インピーダンスは、有益に、範囲
内であり得る。
【0044】
特に、窓119は周囲の研磨層112よりも低い音響減衰を有し得る。これにより、研磨層112は、CMP処理のニーズを満たすために、より幅広い範囲の材料で構成されることを可能にする。窓は非多孔性材料、例えば固体で構成され得る。対照的に、研磨層112は多孔性であり得、例えば、中空のプラスチック微粒子が埋め込まれたポリマーマトリックスなどの微多孔性であり得る。
【0045】
音響窓119は、一方の表面(例えば上面)が研磨層112の研磨面112aと同一平面上にあるように、研磨層112を貫通する。反対側の表面(例えば底面)は、研磨層112の下面112bと同一平面上にあり得る。幾つかの実施形態では、窪み118が、研磨面112aの反対側の下面112bに形成される。窪み118を含む研磨層112の部分は、残りの研磨層112よりも小さい厚さを有する研磨層112の薄い部分を形成し、音響窓119は薄い部分に位置する。
【0046】
音響窓119は非多孔性材料で構成され得る。一般に、非多孔性材料は多孔性材料と比較してノイズ及び分散を低減して音響信号を送信する。音響窓119材料は、基板上の研磨面の研磨特性に対する音響窓119の効果を低減する周囲の研磨層112材料の圧縮率の範囲内の圧縮率を有し得る。幾つかの実施形態では、音響窓119の圧縮率は研磨層112の圧縮率の10%以内(例えば、8%以内、5%以内、3%以内)である。幾つかの実施形態では、音響窓119は光(例えば可視光)に対して不透明である。音響窓119は、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリエチレン、又は低音響インピーダンス及び低音響減衰を有する他のポリマーのうちの一又は複数で構成され得る。
【0047】
図2Cを参照すると、音響窓119は、下面112bが平面であるように研磨層112の全厚さを貫通して示されている。センサ162は、バッキング層114の開孔114aを貫通して、窓119の下側に接触する。
【0048】
幾つかの実施形態では、音響モニタリングシステム160は、接着層170と接触する音響的に伝達可能な層172を含む。伝達可能な層172はインデックスマッチング(屈折率整合)材料であり、伝達可能な層172と接触する要素間の音響信号結合を増加させる。伝達可能な層172は、音響窓119と接着層170との間、又は図2Bに示されるように、接着層170と音響センサ162との間に配置され得る。幾つかの実施形態では、音響モニタリングシステム160は、接着層170、伝達可能な層172、又はその両方を含む。例えば、伝達可能な層172は、Aqualink(商標)、Rexolite、又はAqualene(商標)の層であり得る。幾つかの実施形態では、伝達可能な層172は、音響窓119の音響減衰の20%以内(例えば10%以内)の音響減衰を有する。音響的に伝達可能な層172は、周囲のバッキング層114の音響減衰よりも小さい音響減衰を有し得る。
【0049】
音響的に伝達可能な層172は、バッキング層114の圧縮率と同様の圧縮率(例えば、周囲のバッキング層114の圧縮率の20%以内(例:10%以内))の圧縮率を有するように選択され得る。
【0050】
図2Dは、音響窓119が研磨層112の厚さを貫通し、伝達可能な層172がバッキング層114の厚さを貫通する実施形態である。しかし、伝達可能な層172はバッキング層114よりも薄くなる可能性がある。この場合、センサ162はプラテン120の上面の上方に突出して伝達可能な層172と係合し得る。
【0051】
更に、音響信号センサ162は、伝達可能な層172と凹部164の反対側の表面の両方に接触するのに十分な寸法を有して示されている。かかる実施形態では、凹部164が音響信号センサ162を支持し、一方、研磨処理の圧力によって音響信号センサ162が伝達可能な層172に接触する。伝達可能な層172と音響窓119との間に配置されるのは、本明細書に記載するような接着層170である。幾つかの実施形態では、音響信号センサ162と伝達可能な層172との間に、追加の接着剤が接触面を貼り付ける。
【0052】
幾つかの実施形態では、音響モニタリングシステム160は能動音響モニタリングシステムを含む。かかる実施形態には、音響信号発生器、及び音響センサ162などの音響センサが含まれる。
【0053】
音響信号発生器は、研磨パッド110に近い基板の側面から音響信号を発生させる(すなわち、放出する)。音響信号発生器は、回路168によって、回転結合(例えば水銀スリップリング)を通じて、電源及び/又はその他の信号処理電子機器166に接続され得る。信号処理電子機器166は、コントローラ190に接続することができ、コントローラ190は、例えば、発生器への電流供給を可変的に増減することによって、発生器によって伝達される音響エネルギーの大きさ又は周波数を制御するように追加的に構成され得る。音響信号発生器163及び音響センサ162は互いに結合することができるが、これは必須ではない。センサ162及び発生器は、結合解除され、物理的に互いから分離され得る。発生器には、市販の音響信号発生器を使用できる。発生器は、プラテン120に付着され、例えばクランプ止め又はプラテン120へのネジ接続によって、所定の位置に保持され得る。
【0054】
図3に示されているように、幾つかの実施形態では、複数の音響信号センサ162 3をプラテン120に設置することができ、各音響センサ162は音響窓119に関連付けられる。各センサ162は、図1及び図2A~2Bのうちの任意のものを記載する方法で構成され得る。センサ162からの信号は、コントローラ190によって、研磨中、基板10に生じる音響放出事象の位置的分布を計算するために使用され得る。幾つかの実施形態では、複数のセンサ162は、プラテン120の回転軸の周囲に、異なる角度位置であるが、回転軸から同じ径方向距離で、配置され得る。図3の実施形態などの、幾つかの実施形態では、複数のセンサ162は、プラテン120の回転軸から異なる径方向距離であるが、同じ角度位置で、配置される。幾つかの実施形態では、複数のセンサ162は、プラテン120の回転軸の周囲に異なる角度位置で、かつプラテン120の回転軸から異なる径方向距離で配置される。
【0055】
幾つかの実施形態では、音響窓119は研磨層112の平滑部分174によって取り囲まれている。平滑部分174には溝116がなく、音響窓119の上面と同一平面上にある。音響窓119を取り囲む平滑部分174を含む実施形態は、研磨処理中に基板10が研磨層112の溝116と相互作用することに関連するノイズを低減し得る。
【0056】
シリコンウエハ上に導電層、半導電層、又は絶縁層を連続して堆積させることによって、基板10が形成される。充填層は、非平面表面の上に堆積され、充填剤及び非平面表面(例えば、パターニングされた層)が共通の同一平面上の表面を有するように平坦化され、及び/又は非平面表面が露出する。幾つかの実施形態では、現場音響モニタリングシステム160は、層間の遷移、又は基板10の一又は複数の層に関連するトポグラフィ情報を検出する。これは、プロセスステップ間で使用される情報を提供する。例えば、充填層を含む基板10は、堆積プロセスから不均一な表面粗さ(例えばトポグラフィ)を有し得る。トポグラフィがいつ平坦化されたかを検出することで、システムは遷移に基づいて一又は複数のプロセス条件を修正することができる。例えば、装置100は、充填層表面が平坦化されると、高いキャリアヘッド140圧力ステップを停止することができる。
【0057】
図5A~5Cは、基板500の平坦化プロセスに存在する中間層の遷移を示す。図6は、y軸の周波数範囲にわたるパワースペクトル密度(PSD)の合計を秒(s)単位の時間に対して比較する例示的な音響信号600を示す。音響信号600は、第1の領域602、第2の領域604、及び第3の領域606などの明確な領域を有する。幾つかの実施形態では、領域602、604、及び606は、図5A~5Cに示されているような基板500の層遷移に対応する。
【0058】
図5Aは、研磨前の例示的な基板10を示す。基板10は、ウエハ502(例えばシリコンウエハ)、パターニングされた層504、及び充填層508を含む。平坦化ステップの前に、充填層508は非平坦であり、トポグラフィ509を含む。トポグラフィ509は、パターニングされた層504の上に充填層508を堆積させることによって生じ得、フィーチャーサイズ(例えば金属線幅)のオーダーの寸法を有する。
【0059】
処理中、キャリアヘッドは基板10を保持し、研磨層112と基板10との間に相対運動が発生する。音響信号センサは、研磨面112aと基板10の最外層との接触に基づく音響信号(例えば音響信号600)を受信する。図5Aでは、研磨開始時、トポグラフィ509と研磨層112は接触している。
【0060】
理論に束縛されることを望むことなく、音響信号600は、充填層508材料と研磨層112材料との接触面の変化に基づき変化する。特に、最初は不均一なトポグラフィが大きな音響信号を生み出す可能性がある。しかし、研磨が進み、充填層508のトポグラフィ509が平坦化されると、研磨面110と基板10との境界面が平滑化され、音響信号が減少し得る。トポグラフィ509の研磨は、図6の信号600の第1の領域602に対応し得る。
【0061】
ここでも理論に束縛されることを望むことなく、層遷移は、トポグラフィ509が装置100によって除去されたときに生じる。図5Bに示されるように、残りの充填層508の表面は実質的に平面である。平面表面の研磨は、音響信号600の第2の領域604に対応し得る。信号600の第2の領域604では、音響信号600は(たとえノイズの影響を受けても)実質的に一定である。
【0062】
なお、理論に束縛されることを望むことなく、第2の領域604は、パターニングされた層504の上方に延在する充填層508が除去されるまで時間的に継続する。図5Cに示されるように、パターニングされた層504は充填層508とは異なる材料で構成され、研磨層112表面及び材料と異なる相互作用をし、それにより、音響信号600の第3の領域606を生み出す。加えて、研磨を続けるとディッシングを生み出す可能性があり、このトポグラフィが再び音響信号を増加させ得る。第3の領域606は一定ではなく、例えば、増減する可能性がある。
【0063】
幾つかの実施形態では、領域602、604、及び606間の区別(例えば層遷移の検出)は、装置100の音響モニタリングシステム160及び/又はコントローラ190によって達成され得る。この検出は、勾配の変化を検出するために当該分野で既知の様々な計算によって達成され得るが、一又は複数の区別、ローリング平均、ウインドウ、又はボックス論理アルゴリズムの計算を含み得る。
【0064】
更なる実施形態では、勾配変化検出アルゴリズムを適用する前に、更なるステップを使用して音響信号600を処理することができる。例えば、音響信号600は、一又は複数のフィルタ(例えばバンドパスフィルタ)、及び/又は一又は複数の変換(例えば高速フーリエ変換)を受けることができる。例えば、バンドパスフィルタは、処理前に音響信号600の好ましい周波数(例えば50~500kHzの範囲の周波数)、又は200~700kHzの範囲の周波数を分離するために使用され得る。
【0065】
幾つかの実施形態では、装置100は、領域602、604、及び606を区別することに応答して、一又は複数の研磨パラメータを修正する。例えば、トポグラフィ509が除去されている第1の領域602の間、装置100は、トポグラフィ509を迅速に除去するために第1の研磨用研磨液132を分注し得る。第1の領域602から第2の領域604への遷移が検出されると、より低い研磨速度又はより低い選択性を有する別の研磨液132がパッド110に分注され得る。
【0066】
代替的又は追加的に、第2の領域604から第3の領域606への遷移が検出されると、キャリアヘッド140によって印加される圧力が低減され得る。これにより、充填層508のディッシング又は浸食の危険性を低減することができる。
【0067】
ここで、先行する実施形態のうちの任意のものにおけるセンサ162からの信号を見てみると、終点検出又はフィードバック制御若しくはフィードフォワード制御のいずれかのために、例えばコントローラ190において、例えば増幅、予備フィルタリング、及びデジタル化の後の信号は、データ処理を受けることができる。
【0068】
幾つかの実施形態では、コントローラ190は、音響損失をモニタするように構成される。例えば、受信された信号強度を放出された信号強度と比較して正規化信号を発生させ、その正規化信号を経時的にモニタして変化を検出することができる。かかる変化は、例えば信号が閾値を超えた場合など、研磨終点を示し得る。
【0069】
幾つかの実施形態では、信号の周波数解析が実行される。例えば、周波数ドメイン解析を使用して、スペクトル周波数の相対パワーの変化を決定し、特定の半径で膜遷移がいつ生じたかを判定することができる。半径による遷移の時間に関する情報を使用して、終点をトリガすることができる。別の例として、周波数スペクトルを発生させるために、信号に高速フーリエ変換(FFT)が実行され得る。特定の周波数帯をモニタすることができるが、この周波数帯の強度が閾値を超える場合、下層が露出したことを示すことができ、これは、終点をトリガするのに使用することができる。あるいは、選択された周波数範囲の局所的最大又は最小の場所(例えば波長)又は帯域幅が閾値を超える場合も、下層が露出したことを示すことができ、終点をトリガするのに使用することができる。例えば、シャロートレンチアイソレーション(STI)における層間誘電膜(ILD)の研磨のモニタリングに関しては、225kHzから350kHzの周波数範囲をモニタすることができる。
【0070】
別の例としては、信号を低周波数成分と高周波数成分とに分解するために、信号にウェーブレットパケット変換(WPT)が実行され得る。信号をより小さい成分へと分解するために必要であれば、この分解を繰り返すことができる。周波数成分のうちの1つの強度がモニタされてよく、この成分の強度が閾値を超えた場合、これは下層の露出を示すことができ、終点をトリガするのに使用することができる。
【0071】
例えばモータエンコーダ信号又はプラテン120に付着された光遮断器を使用して、基板10に対するセンサ162の位置が既知である前提とすると、基板上の音響事象の位置、例えば、基板の中心からの事象の径方向距離を計算することができる。基板に対するセンサの位置を決定することは、参照によって援用される米国特許第6,159,073号及び米国特許第6,296,548号で検討されている。
【0072】
処理上意味のある様々な音響事象は、マイクロスクラッチ、膜遷移のブレイクスルー、及び膜のクリアリングを含む。導波管からの音響放出信号を解析するのに、様々な方法が使用され得る。研磨中に生じるピーク周波数を決定するために、フーリエ変換及び他の周波数解析方法が使用され得る。実験的に決定された閾値と、所定の周波数範囲内によるモニタリングとを用いて、研磨中の、予期した変化と予期せぬ変化とが識別される。予期した変化の例は、膜硬度の遷移中にピーク周波数が突然出現することを含む。予期せぬ変化の例は、(パッドグレージング、又は他の、処理の変更を誘発する機械の健康状態問題といった)消耗品のセットに関する問題を含む。
【0073】
処理中、デバイス基板10は、研磨ステーション100で研磨され、現場音響モニタリングシステム160から音響信号が収集される。信号がモニタされて、基板10の下層の露出が検出される。例えば、特定の周波数範囲がモニタされてよく、その強度がモニタされ、かつ実験的に決定された閾値と比較され得る。
【0074】
研磨終点が検出されると研磨の停止がトリガされるが、終点のトリガの後も、研磨は所定の時間量にわたって継続し得る。代替的又は追加的には、収集済みデータ及び/又は終点検出時点は、後続のプロセス処理(例えば後続のステーションでの研磨)における基板の処理を制御するためにフィードフォワードされ得るか、又は、同じ研磨ステーションでの後続基板の処理を制御するためにフィードバックされ得る。例えば、研磨終点の検出は、研磨ヘッドの現在の圧力に対する修正をトリガし得る。別の例として、研磨終点の検出は、後続の新たな基板の研磨における基準圧の修正をトリガし得る。
【0075】
本明細書に記載の実施形態、及び機能的処理の全ては、デジタル電子回路として、又は、本明細書に開示の構造的手段及びその構造的等価物を含むコンピュータソフトウェア、ファームウェア若しくはハードウェアとして、又はこれらの組み合わせとして実装され得る。本明細書に記載の実施形態は、一又は複数の非一時的コンピュータプログラム製品として、すなわちデータ処理装置(例えばプログラム可能プロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサ若しくはコンピュータ)によって実行するための、又はデータ処理装置の処理を制御するための、機械可読記憶デバイス内で有形に具現化された一又は複数のコンピュータプログラムとして、実装され得る。
【0076】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション又はコードとしても知られている)は、コンパイル又は翻訳された言語を含む、任意の形のプログラミング言語で書くことができ、また独立型プログラムとして、又はモジュール、構成要素、サブルーチン、若しくは計算環境で使用するのに適している他のユニットとしてのものを含む、任意の形で展開することができる。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルに対応するわけではない。プログラムは、他のプログラム又はデータを保持するファイルの一部分、問題になっているプログラム専用の単一のファイル、又は複数の協調的なファイル(例えば、一又は複数のモジュール、サブプログラム、又はコードの一部を記憶するファイル)に記憶することができる。コンピュータプログラムは、一又は複数のコンピュータ上で実行されるか、又は、1つのサイトにあるか、若しくは複数のサイトにわたって分散されかつ通信ネットワークで相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。
【0077】
本明細書に記載のプロセス及び論理フローは、入力データ上での処理及び出力の生成によって機能を実行する一又は複数のコンピュータプログラムを実行する、一又は複数のプログラム可能なプロセッサによって実行され得る。プロセス及び論理フローは、特殊用途論理回路(例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、又はASIC(特定用途向け集積回路))によって実行されることも可能であり、かつ、装置が、かかる特殊用途論理回路として実装されることも可能である。
【0078】
「データ処理装置」という用語は、1つのプログラム可能プロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサ若しくはコンピュータを例として含む、データを処理するための全ての装置、デバイス及び機械を包含する。装置は、ハードウェアに加えて、問題になっているコンピュータプログラムの実行環境を生み出すコード(例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、又はこれらの一若しくは複数の組み合わせを構成するコード)を含み得る。コンピュータプログラムを実行するのに適しているプロセッサには、例として、汎用と専用の両方のマイクロプロセッサ、及び任意の種類のデジタルコンピュータの任意の一又は複数のプロセッサが含まれる。
【0079】
コンピュータプログラム命令及びデータを記憶するのに適しているコンピュータ可読媒体には、半導体メモリデバイス(例えばEPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイス)、磁気ディスク(例えば、内蔵ハードディスク又は着脱可能なディスク)、光磁気ディスク、並びにCDーROM及びDVD-ROMディスクを例として含む、あらゆる形の不揮発性メモリ、媒体及びメモリデバイスが含まれる。プロセッサ及びメモリは、特殊用途論理回路によって補足すること、又は特殊用途論理回路に組み込むことができる。
【0080】
上述した研磨装置及び研磨方法は、多種多様な研磨システムに適用され得る。研磨パッド若しくはキャリアヘッド、又はこの両方が、研磨面とウエハとの間で相対運動を提供するように動くことができる。例えば、プラテンは、回転するのではなく軌道周回する(orbit)こともある。研磨パッドは、プラテンに固定された円形(又は何か他の形状の)パッドであり得る。終点検出システムの幾つかの態様は、例えば、研磨パッドが、直線的に移動する連続ベルト又はリールツーリールベルトである場合、直線的研磨システムに適用可能であってもよい。研磨層は、標準の(例えば、充填材を伴う若しくは伴わないポリウレタン)研磨材料、軟性材料、又は固定研磨材料であり得る。相対的配置という用語が使用され、研磨面及びウエハは、垂直の向きにも幾つかの別の向きにも保持できることを理解すべきである。
【0081】
本明細書は特定を多数含むが、特許請求の範囲においても限定するものとして解釈すべきでなく、特定の発明の特定の実施形態に特有であり得る特徴の記載として解釈すべきである。幾つかの実施形態では、本方法は、上にある材料と下にある材料の別の組み合わせに適用すること、及び別の種類の現場モニタリングシステム(例えば、光学モニタリングシステム又は渦電流モニタリングシステム)からの信号に適用することができる。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5A-5C】
図6
【国際調査報告】