(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】ロール・ツー・ロール微細サーマルワイヤマイクロフォン
(51)【国際特許分類】
H01L 29/84 20060101AFI20240705BHJP
B81B 3/00 20060101ALI20240705BHJP
H04R 31/00 20060101ALI20240705BHJP
B81C 1/00 20060101ALI20240705BHJP
H04R 21/02 20060101ALN20240705BHJP
【FI】
H01L29/84 A
B81B3/00
H04R31/00 Z
B81C1/00
H04R21/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500148
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 US2022036224
(87)【国際公開番号】W WO2023283243
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ハシェミ・ファダード・アリ
【テーマコード(参考)】
3C081
4M112
【Fターム(参考)】
3C081AA01
3C081BA22
3C081BA32
3C081BA41
3C081BA72
3C081BA74
3C081CA03
3C081CA14
3C081CA15
3C081CA26
3C081CA28
3C081CA30
3C081CA31
3C081DA06
3C081DA10
3C081DA27
3C081EA01
3C081EA21
4M112AA06
4M112CA03
4M112CA04
4M112CA07
4M112DA03
4M112DA04
4M112DA09
4M112EA11
4M112FA01
(57)【要約】
マイクロワイヤセンサは、基板の上方に配置された導電性検知素子を備える。検知素子は、1つまたは複数の端部で基板に固定することができ、可撓性または他の基板上に形成された導電層をパターニングすることによって形成することができる。導電性接続パッドおよびバイアス抵抗器は、共通の導電層内の検知素子とともに形成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板から離間されるように少なくとも1つの端部が前記基板に固定された、検知素子と、
前記検知素子に結合され、前記検知素子を加熱し、前記検知素子の振動に関連付けられた出力信号を生成するように動作可能であるセンサ回路と、
を備える、センサ。
【請求項2】
前記検知素子の前記振動に関連付けられた前記出力信号は、前記検知素子の温度の変化に対応する、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記検知素子は、第1の端部および第2の端部で前記基板に固定され、その結果、前記検知素子は、前記第1の端部から前記第2の端部まで延在し、前記基板から懸架される、請求項1に記載のセンサ。
【請求項4】
前記検知素子と前記基板との間にギャップを画定するために、前記検知素子の前記少なくとも1つの端部に配置されたスペーサをさらに備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項5】
前記基板は可撓性基板である、請求項1に記載のセンサ。
【請求項6】
前記基板はポリエチレンテレフタレートである、請求項1に記載のセンサ。
【請求項7】
前記検知素子は金属である、請求項1に記載のセンサ。
【請求項8】
前記検知素子に結合された抵抗導体をさらに備え、前記センサ回路は、前記抵抗導体によって前記検知素子に伝導される電流で前記検知素子を加熱するように動作可能である、請求項1に記載のセンサ。
【請求項9】
前記基板上に画定された少なくとも1つの導電性パッドをさらに備え、前記導電性パッドおよび前記検知素子は共通の導電層内に画定される、請求項1に記載のセンサ。
【請求項10】
前記基板上に画定された少なくとも1つの導電性パッドをさらに備え、前記少なくとも1つの導電性パッドおよび前記検知素子は異なる材料によって画定される、請求項1に記載のセンサ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの導電性パッドは、第1、第2、および中間の導電性パッドを備え、抵抗器が前記共通の導電層内に画定され、前記検知素子は、前記抵抗器によって前記第1の導電性パッドに結合され、前記第2の導電性パッドで前記基板に固定される、請求項9に記載のセンサ。
【請求項12】
前記第1、第2、および中間の導電性パッド、ならびに前記抵抗器の間に配置されたスペーサをさらに備え、前記検知素子は、スペーサ厚さに関連付けられたギャップによって前記基板から離間される、請求項11に記載のセンサ。
【請求項13】
前記抵抗器は、同じ導電層内に画定された蛇行ストリップを備える、請求項12に記載のセンサ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの端部は、第1の端部および第2の端部を含み、前記検知素子は、前記第1の端部および前記第2の端部で前記基板に固定され、前記基板から離間される、請求項1に記載のセンサ。
【請求項15】
少なくとも前記検知素子の周りに配置されたエンクロージャをさらに備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項16】
前記エンクロージャは不活性ガスで満たされる、請求項15に記載のセンサ。
【請求項17】
前記エンクロージャは、前記基板から延在するエンクロージャ壁と、前記エンクロージャ壁にシールされエンクロージャ容積を画定するキャップ層とを含む、請求項16に記載のセンサ。
【請求項18】
基板に結合された導電層を形成することと、
前記基板から離間した導電性検知素子を画定するために前記導電層をパターニングすることであって、前記導電性検知素子の第1の固定端および第2の固定端が前記基板に固定される、パターニングすることと
を含む、方法。
【請求項19】
前記導電層はスペーサ層上に形成され、前記導電性検知素子は、前記スペーサ層の一部を除去することによって前記基板から離間される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記導電性検知素子に関連付けられた位置で前記基板上にスペーサ層を形成することであって、前記導電層は、前記基板の露出部分および前記スペーサ層上に形成される、形成することと、
前記導電性検知素子が前記基板から離間されるように前記スペーサ層を除去することと
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記導電層内に抵抗器を画定することをさらに含み、前記抵抗器は、前記導電性検知素子を加熱するように動作可能である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記抵抗器は蛇行導電性ストリップとして画定される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記導電性検知素子は、軸に関して対称である複数のセグメントを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
基板と、
前記基板上に画定された複数のセンサであって、前記複数のセンサの各々は検知素子を含む、複数のセンサと、
前記検知素子と前記基板との間にギャップを画定するように前記複数のセンサの各々の前記検知素子および前記基板に結合された少なくとも1つのスペーサと
を含む、センサアレイ。
【請求項25】
前記検知素子および前記検知素子の各々の前記少なくとも1つのスペーサは、それぞれ同じ導電層および同じスペーサ内に画定される、請求項24に記載のセンサアレイ。
【請求項26】
前記複数のセンサの各センサは、
同じ導電層内に画定され前記検知素子に結合された第1、第2、および中間の導電性パッドと、
前記同じ導電層内に画定され前記検知素子ならびに前記第1、第2、および中間の導電性パッドのうちの選択された1つに結合された抵抗器と
をさらに含む、請求項24に記載のセンサアレイ。
【請求項27】
前記基板は可撓性基板である、請求項24に記載のセンサアレイ。
【請求項28】
前記センサの少なくともいくつかの抵抗器は異なる形状を有し、前記センサの少なくともいくつかの検知素子は異なる形状を有する、請求項26に記載のセンサアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月7日に出願された米国仮出願第63/219,317号の利益を主張し、これは参照により本明細書に組み込まれる。
本開示は、サーマルマイクロフォンに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる「熱線」マイクロフォンは、ヘルムホルツ共鳴器の出力に配置することができる加熱されたワイヤを使用し、共鳴器で音によって生成された空気流が加熱されたワイヤを冷却する。冷却は、検出および増幅することができる熱線の抵抗の変化をもたらす。このようなマイクロフォンは、Tucker,et al.,「A selective hot-wire microphone」、Phil.Trans.Royal Society A、1921年1月、389~430ページ、に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。このマイクロフォンは、ヘルムホルツ共鳴器の共振周波数が通常低いため、単一の低周波数で有用である。また、加熱されたワイヤが大きく、冷却時定数が長いため、熱線マイクロフォンは高周波用途には有用ではない。このような加熱されたワイヤは、風速計および他の用途にも使用することができるが、低周波用途に限定される。高周波応答を提供し、剛性または可撓性基板上に複数のデバイスを製造することを可能にするアプローチが必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Tucker,et al.,「A selective hot-wire microphone」、Phil.Trans.Royal Society A、1921年1月、389~430ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板から離間した導電層の一部などの検知素子を含むセンサに関する。検知素子は、通常、周囲温度とは異なる所定の温度に加熱または設定され、その結果、検知素子の振動が検知素子を冷却または加熱し、センサ素子の電気伝導率を変化させる。このようなセンサにより、音響波または外乱を検出および定量化することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
検知素子は、ロールとして設けられた基板を含む、剛性または可撓性基板上に形成された導電層の一部とすることができる。基板/検知素子のギャップは、適切な応答を提供するように選択することができ、ギャップは、100nm~10μmの範囲または他の範囲とすることができる。典型的には、検知素子は、音響信号などの振動入力に応答してより大きな振動振幅を有する部分を有し、検知素子抵抗は、一般に、これらの部分において比較的大きくなるように選択される。そのようなセンサの製造方法も開示される。
【0006】
いくつかの例では、センサは、基板と、検知素子であって、検知素子が基板から離間されるように少なくとも1つの端部が基板に固定された、検知素子とを備える。センサ回路は、検知素子に結合され、検知素子を加熱し、検知素子の振動に関連付けられた出力信号を生成するように動作可能である。典型的には、検知素子の振動に関連付けられた出力信号は、検知素子の温度の変化に対応する。いくつかの例では、検知素子は、第1の端部および第2の端部で基板に固定され、その結果、検知素子は、第1の端部から第2の端部まで延在し、基板から懸架される。代表的な例では、検知素子と基板との間にギャップを画定するために、スペーサが検知素子の少なくとも1つの端部に配置される。場合によっては、基板は、ポリエチレンテレフタレートなどの可撓性基板である。典型的には、検知素子は金属である。さらなる例では、抵抗導体が検知素子に結合され、センサ回路は、抵抗導体によって検知素子に伝導される電流で検知素子を加熱するように動作可能である。少なくとも1つの導電性パッドが基板上に画定されることができ、導電性パッドおよび検知素子は共通の導電層内に画定される。場合によっては、少なくとも1つの導電性パッドは、第1、第2、および中間の導電性パッドを含み、抵抗器が共通の導電層内に画定され、検知素子は、抵抗器によって第1の導電性パッドに結合され、第2の導電性パッドで基板に固定される。スペーサが、第1の導電性パッド、第2の導電性パッド、中間の導電性パッド、および抵抗器の間に配置されることができ、検知素子は、スペーサによって基板から離間され、典型的には、スペーサ周囲の一部がスペーサと接触する。一例によれば、抵抗器は、共通の導電層内に画定された蛇行ストリップを備える。いくつかの例では、エンクロージャが少なくとも検知素子の周りに配置され、エンクロージャは不活性ガスで満たされる。
【0007】
代表的な方法は、基板に結合された導電層を形成することと、基板から離間した導電性検知素子を画定するために導電層をパターニングすることであって、導電性検知素子の第1の固定端および第2の固定端が基板に固定される、パターニングすることとを含む。導電層はスペーサ層上に形成することができ、導電性検知素子は、スペーサ層の一部を除去することによって基板から離間される。スペーサ層は、導電性検知素子に関連付けられた位置で基板上に形成することができ、導電層は、基板の露出部分およびスペーサ層上に形成され、その後、導電性検知素子が基板から離間されるようにスペーサ層を除去する。抵抗器が、導電層内に画定されることができ、抵抗器は、導電性検知素子を加熱するように動作可能である。場合によっては、抵抗器は蛇行導電性ストリップとして画定される。導電性検知素子は、軸に関して対称である複数のセグメントを含むことができる。
【0008】
他の例では、センサアレイは、基板と、基板上に画定された複数のセンサとを備える。複数のセンサの各々は、検知素子と、検知素子と基板との間にギャップを画定するように検知素子および基板に結合された少なくとも1つのスペーサとを含むことができる。検知素子および検知素子の各々の少なくとも1つのスペーサは、後にそれぞれ共通の導電層および共通のスペーサ内に画定することができる。各センサは、共通の導電層内に画定され検知素子に結合された第1、第2、および中間の導電性パッドと、共通の導電層内に画定され検知素子ならびに第1、第2、および中間の導電性パッドのうちの選択された1つに結合された抵抗器とをさらに含むことができる。いくつかの例では、基板は可撓性基板である。抵抗器の少なくともいくつかおよび少なくともいくつかの検知素子は、異なる形状を有することができる。
【0009】
開示された技術の上記および他の特徴ならびに利点は、添付の図面を参照して進められる以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】可撓性基板上に画定され線形抵抗器を有するセンサを示す図である。
【
図1B】可撓性基板上に画定され線形抵抗器を有するセンサを示す図である。
【
図1B1】1.7kHz対称モードを示す、
図1A~
図1Bのセンサに含まれる検知素子の振動モードを示す図である。
【
図1B2】1.8kHz非対称モードを示す、
図1A~
図1Bのセンサに含まれる検知素子の振動モードを示す図である。
【
図1C】
図1A~
図2Bの検知素子を使用するが異なる抵抗導体を有する追加的なセンサを示す図である。
【
図1D】
図1A~
図2Bの検知素子を使用するが異なる抵抗導体を有する追加的なセンサを示す図である。
【
図1E】懸架検知素子を含む代表的なシステムを示す図である。
【
図2D】
図2Cの検知素子の代表的な振動モードを示す図である。
【
図2E】
図2Cの検知素子の代表的な振動モードを示す図である。
【
図2F】
図2Cの検知素子の代表的な振動モードを示す図である。
【
図3】片持ちセンサ素子を有するセンサ構成を示す図である。
【
図6B】1つの手法によるセンサ製造を示す図である。
【
図6C】1つの手法によるセンサ製造を示す図である。
【
図6D】1つの手法によるセンサ製造を示す図である。
【
図6E】1つの手法によるセンサ製造を示す図である。
【
図7A】単一の基板上の異なるセンサの配置を示す図である。
【
図7B】センサアレイを含むセンサシステムを示す図である。
【
図8A】蛇行抵抗器を有するセンサを示す図である。
【
図8B】異なる材料の検知素子および接触パッドを有するセンサを示す図である。
【
図9B】バイアス電圧(検知素子温度)の関数としてのセンサ感度を示す図である。
【
図9C】
図9Bに対応するがバイアス電圧に基づいて正規化された図である。
【
図9D】基板ギャップに対する検知素子の範囲に対するセンサ周波数応答を示す図である。
【
図10E】追加的な代表的な検知素子を示す図である。
【
図10F】追加的な代表的な検知素子を示す図である。
【
図15A】センサのシートに形成されたセンサを示し、各センサは密閉容器内に配置される図である。
【
図15B】センサのシートに形成されたセンサを示し、各センサは密閉容器内に配置される図である。
【
図16】センサの最小曲率半径を推定するための幾何学的配置を示す図である。
【
図17A】そのような検知素子の代表的な検知素子幾何形状を示す図である。
【
図17B】そのような検知素子の非線形応答を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
序論および用語
本明細書では、複数の共振モードおよび共振周波数ならびに低い熱質量を有することができる検知素子に基づくマイクロワイヤセンサならびに関連する方法およびシステムが開示される。開示される手法はまた、デバイスの大きなアレイを形成することができるように可撓性または剛性基板を用いた製造を可能にし、そのようなセンサのシートは、複数の位置または広いエリアにわたる検知を必要とする用途に提供することができる。共振モードは、広帯域の共振が重なり合うことができるように低いQを示し、従来の手法が適していない周波数および周波数範囲での音響測定を可能にする。本明細書で使用される場合、「Q」は、デバイス帯域幅に対するデバイス共振周波数の比(半値全幅)を指す。開示されるセンサの例は、一般に、比較的狭くて薄いセンサ材料のストリップ、一般に、剛性または可撓性基板の上に懸架され、1つまたは複数の場所で基板に対して固定された、金、銅、アルミニウム、インジウムスズ酸化物、または他の導体もしくは半導体材料などの導体に基づいている。本明細書で使用される場合、導電性ストリップなどの懸架導体(または他のセンサ材料)は、検知素子または検知導体と呼ばれる。そのような検知素子は、細長いストリップ、蛇行経路または螺旋状経路をたどるストリップの形態であってもよく、またはプレート内に溝またはスロットを有するかまたは有さないU字形もしくはプレート形状であってもよく、または線形もしくは非線形経路をたどることができる。検知素子は、電気接続用の導電性パッドを形成するために使用される共通の導電層、および検知素子に接続する抵抗器を画定するために使用される導電性ストリップから形成することができるが、他の構成を使用することもできる。検知素子は、1つまたは複数の固定点で懸架または片持ち支持することができる。1つの手法では、下にある犠牲層を除去することによって懸架が達成される。いくつかの開示される例では、薄い金属層による非常に小さな熱質量と、検知素子と基板との間の小さな伝導ギャップによる高い熱伝導との組合せにより、高速応答時間が可能になる。
【0012】
本出願および特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数形を含む。さらに、「含む(includes)」という用語は「含む(comprises)」を意味する。さらに、「結合された」という用語は、結合された項目間の中間要素の存在を排除するものではない。
【0013】
本明細書に記載されたシステム、装置、および方法は、決して限定するものとして解釈されるべきではない。代わりに、本開示は、単独で、ならびに互いに様々な組合せおよび部分的組合せで、様々な開示された実施形態のすべての新規かつ非自明の特徴および態様を対象とする。開示されたシステム、方法、および装置は、任意の特定の態様または特徴またはそれらの組合せに限定されず、開示されたシステム、方法、および装置は、任意の1つまたは複数の特定の利点が存在すること、または問題が解決されることを必要としない。動作の理論は、説明を容易にするためのものであるが、開示されたシステム、方法、および装置は、そのような動作の理論に限定されない。
【0014】
開示された方法のいくつかの動作は、便利な提示のために特定の連続した順序で説明されているが、以下に記載された特定の言語によって特定の順序が必要とされない限り、この説明の方法は並べ替えを包含することを理解されたい。例えば、順次に記載された動作は、場合によっては並べ替えられ、または同時に実行されてもよい。さらに、簡単にするために、添付の図は、開示されたシステム、方法、および装置を他のシステム、方法、および装置と組み合わせて使用することができる様々な方法を示さない場合がある。さらに、説明は、開示された方法を説明するために「生成する」および「提供する」などの用語を使用することがある。これらの用語は、実行される実際の動作の高レベルの抽象化である。これらの用語に対応する実際の動作は、特定の実施態様に応じて異なり、当業者によって容易に識別可能である。
【0015】
いくつかの例では、値、手順、または装置は、「最低」、「最良」、「最小」などと呼ばれる。そのような説明は、多くの使用される機能的代替物の中から選択を行うことができることを示すことを意図しており、そのような選択は、他の選択よりも良好、より小さい、または他の方法で好ましい必要はないことが理解されよう。
【0016】
例は、「上方」、「下方」、「上」、「下」などとして示される方向を参照して説明される。これらの用語は、説明を簡便にするために使用されるが、特定の空間的配向を意味するものではない。
【0017】
例1
図1A~
図1Bを参照すると、センサ100は、基板112上に配置された導電性パッド102、104、106を含む。
図1Aでは、パッドは、センサ100とともに使用するための代表的な回路構成の説明を簡便にするために、それぞれ供給電圧パッド、測定電圧パッド、および接地パッドと呼ばれるが、他の電気接続を使用することもできる。抵抗素子110は、導電性接続111においてパッド104に電気的に接続するようにパッド102から延在する。検知素子116は、導電性接続111に電気的に結合された第1の端部118と、第3のパッド106の結合領域114に電気的に結合された第2の端部120とを含む。検知素子116は、(製造時に犠牲層を使用して確立することができる)領域108において基板112から離間され、第1の端部118および第2の端部120は基板112に固定される。検知素子116と基板112との間のギャップを変化させる基板112に対する検知素子116の振動または他の動きは、検知素子116と基板112との間の熱伝導率も変化させる。検知素子116が加熱(または冷却)されると、そのような熱伝導率の変化は、検知素子の冷却(または加熱)速度および検知素子温度を変化させる。電気抵抗の関連する変動は、検知素子の振動または動きに関連付けられる。これについては、以下で詳細に説明する(
図17A~
図17Bを参照)。
【0018】
この例では、検知素子116は、第1の端部118および第2の端部120に沿って延在する軸122に対して対称であるセグメント116A、116Bの第1および第2の交互嵌合セットを含む。抵抗素子110(すなわち、抵抗)は、必要に応じて検知素子116の温度を確立できるように選択される。場合によっては、検知素子116は、領域108内の犠牲層(フォトレジストなど)上に導電層を形成し、次いで犠牲層を除去することによって画定される。
図1A~
図1Bでは、犠牲層は領域108にのみ示されているが、パッド102、104、106、抵抗素子110、および導電性接続111の下に設けることができる。この部分は、典型的には、検知素子を懸架するために除去され、例示の目的のためにのみ示されている。検知素子116は、基板112の上方に離間され、広い周波数範囲にわたって音響信号に応答する。検知素子116は、抵抗素子110を介して供給される電流によって加熱することができる。検知素子116からの熱伝達は、犠牲層によって確立される基板112からの間隔に依存するため、検知素子116(またはセグメント116A、116Bのいずれか)の振動または他の動きは、検知素子116からの熱伝達および検知素子の温度を変調する傾向がある。これらの温度変化は、検出することができる検知素子116の電気抵抗率の変化をもたらす。
【0019】
典型的な例では、検知素子116と基板112との間のギャップは、0.2~20μm、0.2μm~10μm、0.5~10μm、1~5μm、1~3.5μm、または他の範囲であり、検知素子116と基板112との間の熱抵抗は冷却を可能にする。検知素子116は質量が低く、検知素子116を形成するために使用される導電層は薄くすることができ(例えば、0.1μm~25μm)、検知素子116の総面積は小さくすることができる(例えば、1mm
2~10mm
2)ので、検知素子の熱質量も小さくすることができる。場合によっては、検知素子116と基板112との間のギャップは、検知素子のサグによって決定される。ギャップは、検知素子が基板に接触するのを防止するのに十分に大きいが、それ以外では小さくされる。推定サグSの場合、ギャップは、1.1S、1.2S、1.3S、1.4S、1.5S、1.75S、2S、2.5S、3S、またはSより大きい任意の他の値として設定することができ、より小さいギャップは優れたセンサ応答と関連付けられる。
図1A~
図1Bの例では、ギャップは1μmであり、設計供給電圧は1Vであり、目標動作温度は100℃である。
【0020】
典型的には、検知素子は、サグを小さく保つように設計される。ほとんどの用途では、重力に対する向きの検知は一定のままであり、サグ関連の効果は一定である。サグ(固定された向きで予想される一定のサグを含む)は、選択された検知素子ギャップで使用することができるが、多くの実用例では、そのような考慮は不要である。一般に、電気熱応答を改善するために小さい(または最小の)ギャップが選択されるが、ギャップはまた、製造能力、出荷および保管中の巻き上げられた基板の最小半径、ならびに薄膜減衰およびその機械的応答への影響を考慮して選択することができる。
【0021】
代表例の近似寸法を
図1Bに示す。懸架エリアの長さは約253μmである。対称モード(または非対称モード)の最低次モード周波数は、約1.7~1.8kHzである。
図1B1~
図1B2は、それぞれ代表的な対称および非対称モードを示す。満足できる応答は、少なくとも5kHzにまで及ぶべきであり、典型的な周波数範囲は、1.5kHz~5kHzである。いくつかの用途では、抵抗素子110および/または検知素子116を加熱することができる電流を生成するために、パッド102に供給電圧が印加される。移動に関連付けられた電気抵抗の変化は、対応する出力信号を生成するために増幅器または他のアナログもしくはデジタル回路に結合することができるパッド104において対応する電圧変化を生成する。例えば、
図1Eの電気回路図を参照すると、増幅器150は、検知素子116の抵抗R
S(t)の変動によって生成される信号を受信するように結合される。R
S(t)は、センサ素子の動きならびに関連する加熱および冷却によって生じる抵抗変動による時間の関数である。供給電圧Vsは、R
S(t)と抵抗素子110の抵抗R
Bとの和である直列抵抗に印加され、それにより、増幅器150への入力電圧は、
【数1】
である。他の例では、電圧の代わりに電流を検知することができる。電流源が固定電流Iを提供する場合、センサ出力シングルはIR
S(t)に比例することができる。任意の用途において、センサからの信号は、アナログ-デジタル変換器を用いてデジタル化することができる。これにより、音響波によるセンサ素子116の共振運動などの運動による温度変化に応じてR
S(t)が変化することで、R
S(t)、V
d(t)またはV
out(t)を検出して音響波を検出することができる。
【0022】
Vsは、0~20Vの任意の電圧などの任意の好都合な電圧とすることができ、1、2、3、および4Vの電圧を使用することができる。R
Bは、意図されたR
B/R
S比および意図された供給電圧に応じて非常に大きな範囲を有することができる。99:1の抵抗比および2V~15Vの供給電圧について、一例における検知素子の所与の目標温度に対するR
Bの値を以下の表に示す。
【表1】
【0023】
他方の極端な例では、1:1の抵抗比および1V未満の供給電圧について、R
Bの代表的な値を以下の表に示す。
【表2】
【0024】
公称センサ抵抗R
sは、音または機械的励起がない場合の目標公称温度によって決定され、この例では以下の通りである。
【表3】
【0025】
基板112は、プラスチックロール材料(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))などの可撓性ロール材料、またはガラスなどの剛性材料とすることができる。導体は、銅、アルミニウム、インジウムスズ酸化物、または適切な温度依存性の電気抵抗を有する他の導体、半導体、または絶縁体から形成することができる。導体、パッド、抵抗器、およびセンサ素子を共通の層にすることが好都合であるが、各々に異なる材料を使用することができる。例えば、センサ素子は、耐熱性が高く、耐久性があり、温度によって抵抗が変化することが好ましい。導電性パッド102、104、06は、好ましくは低い抵抗率を有する。したがって、センサ素子と導電性パッド102,104、106との材料は異なることができる。
【0026】
単一のスペーサ層を使用することができるが、複数のスペーサおよび/またはスペーサ層を使用して、検知素子を基板から離間させることができる。以下に説明するいくつかの例では、懸架検知素子はブリッジされる。検知素子に結合された導体部分は、基板から離間しているが、検知素子が基板に向かって過度のサグを示さないように、十分に広くするか、そうでなければ剛性にすることができる。検知素子の設計/形状は、所望の検出範囲内の最低周波数で、または意図された用途に基づく単一の超音波または他の音波周波数での検出に所望される1次周波数で、共振の1次モードを提供するように選択することができる。
【0027】
図1C~
図1Dは、検知素子116とともに使用される異なる抵抗素子130、140を有するセンサ129、139を示す。例えば、検知素子116に異なる温度を確立するために、異なる抵抗素子を使用することができる。
図1Cの例では、ギャップは1μmであり、設計供給電圧は3Vであり、目標動作温度は400℃である。
図1Dの例では、ギャップは1μmであり、設計供給電圧は5Vであり、目標動作温度は200℃である。
【0028】
例2
図2A~
図2Cは、代表的な検知素子を示す。
図2A~
図2Cのセンサは、様々な形状およびサイズを有する。センサの形状およびサイズは、検出される目標周波数に基づいて決定される。
図2Aを参照すると、導電性検知素子200は、固定端204、206で導電性パッド(図示せず)に固定され、基板(図示せず)に対して懸架された金属シート202を含む。スロット208は、スロット214~216が形成されるエリア212から延在するタブ210上に形成される。スロット214~216は、スロット208に対して垂直に延在し、それにより、検知素子200は、スロット208に関して対称である。典型的な用途では、固定端204、206は、検知素子200またはその一部の振動に関連付けられた出力信号を提供する増幅器または他の回路、および検知素子200を加熱するための適切なバイアスを提供する電源に結合される。一例では、そのような検知素子は、約0.5nm以下の懸架によるサグを示し、それにより、10nm、50nm、100nm、200nm、500nm、1μmまたはそれを超える検知素子/基板ギャップを、センサが基板に接触することなく使用することができる。検知素子のサグよりも大きい任意のギャップを使用することができる。
図2Aの例では、最低次モードの共振周波数は26.4kHzである。この例では、目標ギャップは1μmであり、検知素子のサイズは116μm×116μmである。有用な周波数範囲は、26kHz(第1のモード)から227kHz(冷却に関連付けられたタイプの第5のモード)に及ぶ。この例は、典型的には、探知されるべき物体に取り付けられたトランスデューサが、26kHz、80kHz、163kHz、または227kHzの、最初の5つのモード周波数のうちの4つのうちの1つで音を発している状況での使用を意図している。最初の5つのモード周波数の第3のモードは、冷却のための十分な面外運動(すなわち、基板に対して)に関連付けられないため、検知にはあまり適しておらず、他のモードが好ましい。
【0029】
図2Bは、それぞれ固定端223、225を有する交互配置された正方形の螺旋状導体222、224を含む代表的な導電性検知素子220を示す。正方形螺旋状導体222、224は、中央導電性エリア226で終端する。固定端223、225は、典型的には、導電性パッドに固定され、基板に対して懸架される。任意の曲線または多角形ベースの螺旋形状を含む他の螺旋を使用することができる。一例では、そのような検知素子は、約4.2nm以下の懸架によるサグを示し、最低次モードの共振周波数は8.9kHzである。この例では、目標ギャップは1μmであり、検知素子は114μm×114μmである。有用な周波数範囲は、8kHz(第1のモード)から55kHz(冷却に関連付けられたタイプの第5のモード)に及ぶ。
【0030】
図2Cは、それぞれ固定端245、247を有する側部244、246と、底部248とを含むU字形の導電性検知素子240を示す。検知素子240は、一般に、スペーサで懸架されるか、または検知素子240と基板との間にギャップを画定するようにブリッジされる。一例では、そのような検知素子は、約0.006nm以下の懸架によるサグを示す。
図2Cの例では、共振周波数は、241kHz、497kHz、1.2MHzを含む。この例では、目標ギャップは1μmであり、検知素子は約150μm×150μmである。このセンサは、探知されるべき物体に取り付けられたトランスデューサが、241kHz、497kHz、または1.2MHzの、最初の3つのモード周波数のうちの1つで音を発している状況での使用を意図している。
【0031】
上記のような検知素子は、例えば、10kHz、250kHz、500kHz、または1MHzを超える周波数などの高周波用途に適し得る。
図2D~
図2Fは、241kHz、1.2MHz、および497kHzの周波数における
図2Cの検知素子の代表的な低次振動モードを示す。そのような検知素子は、これらの高周波数で音響放射を有するロボット、例えばロボット掃除機などの物体を検出するために使用することができる。これらのセンサの多くは、床の下に配置され、ロボット掃除機を検出案内するために使用することができる。他の例では、複数のそのようなセンサは、表面または体積全体に分散され、ロボットを検出および/または案内するために使用される。高周波設計は、一般に、より高い剛性対慣性比を有し、したがって重力サグが少ない。設計は、重力サグと低周波動作との間の妥協点に基づいて選択することができる。
【0032】
図2Gは、端部252、254で支持され、蛇行形状を有する別の検知素子250を示す。
図2Gの例では、最低次モードの共振周波数は約19.8kHzであり得る。この例では、目標ギャップは1μmであり、検知素子は約124μm×157μmである。この例の用途の1つは、探知されるべき物体に取り付けられたトランスデューサが19.8kHzまたは25kHzの範囲のどこかで音を発している状況である。その指状構造のために、この検知素子は、その範囲内の周波数において互いに近い複数のモードを有する。
【0033】
例3
図3は、基板302上に画定された導電性パッド304、313、316などのコネクタを含むセンサ300を概略的に示す。導電性パッド304は、導電性パッド304、313、316の一部または全部を画定するために使用される層などの導電層内に画定することができる抵抗器306に結合されるか、または個別の抵抗器を使用することができる。導電性ストリップ308、318(またはワイヤなどの他の導体)は、導電性パッド304、313、316を上述のような検知素子310に結合する。抵抗器306は、検知素子310の加熱を制御するとともに、センサ310の振動に基づく電圧または電流変化が増幅器、アナログ-デジタル変換器(ADC)、または他の処理回路への出力のために導電性パッド316に結合されるように、センサとの抵抗分割回路網を確立するために使用することができる。DCレベルは、検出されるべき音響信号ではなく固定センサに関連付けられるので、振動誘導電流または電圧は、出力のために容量結合することができる。部分304A、306A、308A、313A、316A、318Aは、検知素子310が基板302から懸架されている間、それぞれの導体部分と基板302との間に残る。
【0034】
例4
図4は、基板401上に画定された導電性パッド402~404などのコネクタを含むセンサ400を概略的に示す。検知素子420は、抵抗器として機能することができる導電性パッド404および導電性ストリップ405に結合される。導電性パッド402は、検知素子420に近接して導電性ストリップ405に結合される。導電性ストリップ405および検知素子420は、検知素子420の振動に応答して導電性パッド402でセンサ出力信号を生成することができる分圧器を形成する。追加の導電性パッド402を設けることもできる。
【0035】
図4A~
図4Bは、
図4の断面図である。
図4Aにおいて、導電性ストリップ405は、フォトレジストまたは他の材料のスペーサ層内に画定することができるスペーサ415上に配置される。導電性パッド404は、フォトレジストまたは他の材料のスペーサ層内に画定することができるスペーサ414上に配置される。スペーサ414、415は、導電性パッド404および導電性ストリップ405を基板401から分離し、スペーサ414、415をフォトレジストの共通層などの共通層内に画定することが好都合であり得る。
図4Bに示すように、検知素子420の第1の端部406および第2の端部407は、基板401の上方に配置される。スペーサ414、415は、検知素子420の下になるようには延在していないが、スペーサ414、415は、それらが基板401の上に検知素子420を離間させるのに役立つことを示す輪郭で示されている。
【0036】
例5
図5を参照すると、センサ500、520、540、560、580は、剛性または可撓性基板などの共通基板501上に画定される。これらのセンサは、共通の層および共通の処理ステップを使用して製造することができ、同じまたは異なるようにパターニングすることができる。図示のように、センサ500は、導電性パッド502、504、506と、抵抗器として機能することができる蛇行導電性ストリップ508と、検知素子510とを含む。センサ520は、導電性パッド522、524、526と、抵抗器として機能することができる線形導電性ストリップ528と、検知素子530とを含む。センサ540は、導電性パッド542、544、546と、抵抗器として機能することができる蛇行導電性ストリップ548と、検知素子550とを含む。センサ560は、導電性パッド562、564、566と、抵抗器として機能することができる蛇行導電性ストリップ568と、検知素子570とを含む。センサ580は、導電性パッド582、584、586と、抵抗器として機能することができる蛇行導電性ストリップ588と、検知素子590とを含む。
図5の例では、抵抗器として機能するように設けられた導電性ストリップはすべて、異なる形状および/またはサイズを有する。いくつかの用途では、センサ動作温度は、導電性ストリップの抵抗に基づいて確立され、導電性ストリップの特定の形状およびサイズの選択は、抵抗の選択を可能にする。容易に入手可能な電圧源または電流源を使用して加熱を提供することが好都合であることができ、導電性ストリップの選択を使用して、任意の好都合な電源に対応し、複数の異なるセンサが同じ電流または電圧で熱的にバイアスされることを可能にすることができる。他の例では、これらの導電性ストリップの一部または全部は、同じ構成を有することができる。関連する抵抗は、同じであっても異なっていてもよい。検知素子の一部または全部は、同じであっても異なっていてもよい。上述したように、検知素子は、固定された部分と、基板501から離間した部分とを含む。
【0037】
例6
図6A~
図6Eを参照すると、代表的な方法600は、602で、基板620上にスペーサ層622を形成することを含む。基板620は、剛性または可撓性であることができ、シート、ウェハ、プレート、ロールとして提供されることができ、または他の方法で提供されることができる。代表的な基板材料は、ガラスおよびプラスチックを含み、これはロールに入れられたプラスチックを含む。スペーサ層622は、絶縁体、導体、または半導体とすることができ、典型的には、後述するように選択的除去を可能にするように選択される。場合によっては、スペーサ層622はフォトレジストまたは他の絶縁層であり、スピンコーティング、スプレー、スロットダイコーティング、積層、または他の手法によって基板に塗布される。604で、導体層624が、例えば、積層、スパッタリング、めっき、電子ビーム蒸着、または他のプロセスによってスペーサ層622上に形成される。いくつかの例では、光選択めっきを使用して、導電性パッド、抵抗器として機能する導電性ストリップ、または基板の周りに懸架される検知素子などの選択されたセンサ位置にのみ導体層624を形成する。導体層の光選択的めっきは、導体層の追加のパターニングの必要性を排除または低減する傾向がある。
【0038】
605で決定されるように、パターニングプロセスが導体層624を形成するために使用されない場合(または追加のパターニングが意図される場合)、導体層624は、606でパターニングされて、検知素子632ならびに/または導電性パッドおよび抵抗器、例えば導電性パッド625、626、628および抵抗器630を形成する。一例では、パターニングは、フォトレジストの層を形成することと、フォトレジストが検知素子および/または導電性パッドおよび抵抗器に関連する導体層624の部分を保護するようにフォトレジストをパターニングおよび現像することとを含む。次いで、プラズマエッチングまたは酸エッチングなどのウェットまたはドライエッチングプロセスを使用して、導体層の保護されていないエリアを除去する。エッチング後、検知素子および/または導電性パッドおよび抵抗器に関連する導体層の部分は、フォトレジストによって覆われたままである。導体層の他の部分は除去される。場合によっては、検知素子が基板の上に懸架されるように、検知素子を基板から分離するスペーサ層を除去する前に保護フォトレジストが除去される。
【0039】
608で、検知素子と基板との間に位置するスペーサ層の少なくとも一部を除去して、基板620の上方に検知素子632を懸架してセンサ640を生成する。典型的には、ウェットエッチングなどの無方向性エッチングが、検知素子632の下のスペーサ層部分を除去するために使用され、スペーサ層622は、導体層624の残りの部分によって保護されることを除いて、基板620の他のエリアから除去される。ウェットエッチングは、一般に、残りの導体層624の下および縁部でいくらかのスペーサ層を除去する。検知素子632は、一般に、このアンダーカットが検知素子を懸架する一方で、スペーサ層622が他の特徴(パッドなど)の下に残るように、十分に狭い(または複数の狭い特徴を含む)。
【0040】
動作中、検知素子は、典型的には、適切な抵抗を有する導電性ストリップによって提供される抵抗加熱を使用して加熱される。より高い温度は優れたセンサ性能に関連する可能性があるが、これらのより高い温度はまた、導体層に画定されたパッドまたは他の特徴だけでなく検知素子の劣化を引き起こす可能性がある。610で、少なくとも検知素子はエンクロージャ内に配置され、次いで、612で、検知素子の酸化または他の劣化を低減する傾向がある貴ガス、窒素、または他のガスなどの非反応性ガスで満たされ封止される。エンクロージャは、キャビティ壁650を形成し、次いでキャップ層で覆われる可撓性層などの追加の層内のセンサの周りに画定されたキャビティとして形成することができる。
【0041】
例7
図7Aを参照すると、センサ702などのセンサの代表的なアレイ700が、基板ロールのセクション701上に画定される。アレイの各センサは、異なる抵抗導体および検知素子を有することができる。位置合わせマーク708は、パターニング動作で使用するために設けられる。センサは、個別に使用するために分離することができ、またはアレイ700のセンサの一部またはすべてのセンサを一緒に使用して、同じまたは異なる感度および/または同じまたは異なる帯域幅を提供することができる。2つ以上のセンサが、冗長性のために共通の構成で設けられ得る。
【0042】
図7Bは、センサ752~757を有するセンサアレイ751を含むセンサシステム750を示す。センサアレイ751は、同じ基板上の複数のセンサ、または関心エリア全体に分散させることができる複数のセンサを含む矩形アレイとして示されている。図示されるように、センサ752~757の各々は、バイアス源760から同じバイアス電圧V
BIASを受信するが、センサ752~757のいくつかまたはすべてに異なるバイアス電圧を供給することができる。センサ出力は、選択されたセンサからの出力を増幅器764またはフィルタ、アナログ-デジタル変換器(ADC)、追加の増幅器、または他のデジタルもしくはアナログ回路などの他の電子機器に選択的に送達することができるマルチプレクサ(mux)762に結合される。マイクロプロセッサまたは他のプログラマブル論理デバイスなどの制御回路を、センサの選択を可能にするためにmux762に結合することができる。他の例では、各センサ(またはいくつかのセンサ)は、専用増幅器または他の電子機器に結合される。いくつかの代替形態では、センサ752~757の各々は、異なる周波数で動作するように構成され、センサ752~757の各々からの出力信号は、単一の出力に結合され、信号周波数に基づいて区別され得る。さらに、センサ752~757の各々は、音響信号が存在する位置を信号が識別するように、特定の位置に関連付けることができる。
【0043】
例8
図8Aを参照すると、センサ800は、基板801上に配置された導電性パッド802、804、806を含む。
図8Aでは、パッドは、センサ800とともに使用するための代表的な回路構成の説明を簡便にするために、それぞれ供給電圧パッド、測定電圧パッド、および接地パッドと呼ばれる。抵抗素子810は、導電性接続811においてパッド804に電気的に接続するようにパッド802から延在する。検知素子808は、導電性接続811に電気的に結合された第1の端部と、パッド806に電気的に結合された第2の端部とを含む。検知素子808は、領域820において基板801から離間しており、検知素子808の第1の端部および第2の端部は基板801に固定されている。この例では、抵抗素子810は、導電層内に画定された蛇行ストリップとして形成される。
【0044】
図8Bに示すように、センサ850は、基板851の上方の接触パッド852、854の間に懸架された検知素子856を有することができる。接触パッド852、854および検知素子856は、異なる材料からなることができ、集積レジスタが設けられた場合、同じまたは異なる材料を使用することができる。例えば、検知素子856は、温度による大きな抵抗率変化を有するか、または加熱されたときに劣化しない材料で作ることができるが、パッドおよび抵抗器の材料は、製造、接合、パターニングを容易にするために、または選択された抵抗を提供するために選択することができる。
【0045】
例9
図9Aを参照すると、代表的なセンサシステム900は、基板904の上に懸架された検知素子902を含む。電源は、別個の構成要素であり得るか、または基板904上に位置する1つまたは複数の層に画定され得る抵抗器906を介して検知素子902に印加される電圧V
Sを提供する。増幅器908は、検知素子902に結合され、検知素子902の移動に応答する電圧V
dを受け取る。この電圧に基づいて、増幅器は出力電圧V
outを生成する。抵抗器906はまた、検知素子902を加熱する電流を検知素子902内に確立することができるが、他の方法でも加熱を提供することができる。
【0046】
図9Bは、1μmのギャップにおける約100nmの公称検知素子振動に関連付けられたセンサ電圧V
dを示す。曲線921は最低印加電圧V(および検知素子902の最低加熱)に関連付けられ、曲線929は最大印加電圧V(および検知素子902の最大加熱)に関連付けられる。曲線921と曲線929との間に位置する曲線は、印加電圧V
Sが高くなる(したがって、センサ素子温度が高くなる)順に並んでいる。
図9Bの曲線は、時間の関数としてのセンサ応答を示す。0msにおいて、電圧V
Sが印加され、約2msにおいて、検知素子902の振動が開始される。2ms前の初期電圧上昇は、選択された印加電圧での検知素子902の安定化に関連付けられる。曲線929における検知素子電圧振動は、より大きい印加電圧V
Sおよび結果として生じる検知素子902のより高い温度に起因して、曲線921におけるものよりも大きい。より高い温度はより大きな出力信号を生成するが、溶融を回避しなければならず、より高い温度の長期使用は検知素子の酸化をもたらす可能性があるため、検知素子の温度は制限される。このため、いくつかの例では、検知素子は、不活性ガスで満たされた容器、例えばアルゴンで満たされた容器に配置される。
図9Cは、
図9Bに対応する、様々な検知素子温度に対する正規化されたセンサ応答V
dを示す。振動のより大きな正規化された振幅は、より高い温度に関連し、より高い温度の利点を示す。
【0047】
図9Dは、約500nm~約5μmの範囲のギャップに対する公称100nm振動に対するセンサ応答を示す。振動の振幅が大きいほど、より小さいギャップに関連付けられる。この例では印加電圧Vsが変化するが、抵抗器906の値の値も同様に変化して、温度およびセンサ応答V
dの変化を引き起こすことができる。
【0048】
例10
図10A~
図10Eは、追加の検知素子を示す。これらの例のいくつかでは、検知素子は、音響信号に応答して変形されるものとして示されている。これらの例では、検知素子は1つまたは複数の軸に関して対称であるが、他の例では、検知素子はそのような対称性を欠いている。
図10Aに示すような検知素子1000は、検知素子の懸架および電気的接続に使用される固定端1002、1004を含む。検知素子1000は、固定端1002、1004の間に延在する軸1006に関して対称である導体セクション1001、1003を含む。この例には、比較的高い減衰および低いQが関連付けられており、検出可能な周波数範囲は、最低次モード周波数よりわずかに下から始まる少なくとも2.2kHz~10kHzとすることができる。
【0049】
図10Bは、検知素子の懸架および電気的接続に使用される固定端1022、1024を含む検知素子1020を示す。検知素子1020は、固定端1022、1024の間に延在する軸1026と、導体象限1021、1023と導体象限1025、1027との間に位置する垂直軸1028とに関して対称である矩形螺旋として成形された導体象限1021、1023、および導体象限1025、1027を含む。この例では、高い減衰および低いQが予想され、検出可能な周波数範囲は少なくとも60~70kHzであり得る。この例は、トランスデューサが人間の聴力範囲を超えて67kHzの第1のモード周波数で音を発する用途を意図している。
【0050】
図10Cは、中央ストリップ1070の固定端1062、1064を含む検知素子1060を示し、これらは、検知素子の懸架ならびに電気的接続を行うために使用される。検知素子1060は、ストリップ1069、1071などの周囲導体ストリップに接続された矩形板として成形された導体象限1061、1063、1065、1067を含む。導体象限1061、1063、1065、1067は、固定端1062、1064間に延在する軸1066と、導体象限1061、1063と導体象限1065、1067との間に位置する垂直軸(
図10Cには図示せず)とに関して対称である。ストリップ1069、1071は抵抗を増加させ、この配置は、大きな振動振幅に関連する検知素子領域に増加した抵抗を配置する。例えば、最低次モード周波数は12.4kHzである。この例が高い減衰および低いQを示すことを考えると、有用な周波数範囲は、少なくとも12kHz~30kHz以上であり得る。いくつかのモードは、モードに関連する運動方向のために冷却にあまり適していない場合があるが、多数のモードが利用可能である。センサ素子の寸法は、500μm×500μmと比較的大きい。
【0051】
図10Dは、検知素子の懸架および電気的接続に使用される固定端1082、1084を含む、
図1A~
図1Bに類似した検知素子1080を示す。センサ1080は、ストリップ1089、1091などの端部導体ストリップに接続された略矩形螺旋として成形された導体セクション1081、1083を含む。導体セクション1081、1083は、固定端1082、1084の間に延在する軸1086に関して対称である。
図10DDは、一例において、以下の表で、経路0-1、1-2、2-3、3-4、および4-5上のそれぞれ0.48Ω、0.35Ω、6.95Ω、0.21Ω、および0.48Ωの、400℃、200℃、および25℃における経路抵抗に関連付けられた位置0~5を示す。最大抵抗(2-3)は、一般に、より大きな振動振幅に関連付けられ、検知素子の応答を改善する。
【表4】
【0052】
図10Eは、検知素子の懸架および電気的接続に使用される固定端1042、1044を含む(
図10Cのものに類似した)検知素子1040を示す。検知素子1040は、ストリップ1045、1046などの端部導体ストリップに接続された矩形に成形された導体セクション1041、1043を含む。導体セクション1041、1043は、固定端1042、1044の間に延在する軸に関して対称である。
図10Fは、検知素子1040の代表的な振動モードを示す。ストリップ1045、1046は抵抗を増加させ、この配置は、大きな振動振幅に関連する検知素子領域に増加した抵抗を配置する。上記の
図10A~
図10Eでは、共振周波数が異なるため、音響波の検出可能範囲が異なる。
【0053】
例11
図11A~
図11Cは、開示されたセンサを作製する別の代表的な方法を示す。
図11Aに示すように、基板1102上に形成された酸化物層1104などの保護層上に、フォトレジストからなるスペーサ1106を塗布する。フォトレジストスペーサ1106は、一般に保護層1104の表面1103に塗布されるフォトレジスト層をパターニングすることによって生成することができる。
図11Bに示すように、導体層1108が、フォトレジストスペーサ1106および表面1103の一部の上に形成される。
図11Cに示すように、フォトレジストスペーサ1106を除去し、導体層1108のブリッジ部分1112とフォトレジストの除去により生じたギャップ1110とにより検知素子を形成する。フォトレジストスペーサ1106は、液体または蒸気としてのアセトンなどの液体または蒸気形態の溶媒で除去することができる。
【0054】
例12
図12A~
図12Cは、開示されたセンサを作製する別の代表的な方法を示す。
図12Aに示すように、基板1202の表面1203に酸化物スペーサ1206を形成し、酸化物スペーサ1206および表面1203に導体層1204を形成する。酸化物スペーサ1206は、パターニングされたフォトレジスト層および適切なエッチングプロセスを使用して酸化物層をパターニングすることによって生成することができる。
図12Bに示すように、酸化物スペーサ1206から離れた導体層1204の部分を除去する。
図12Cに示すように、酸化物スペーサ1206を除去し、導体層1204のブリッジ部分1212と酸化物スペーサ1206の除去により生じたギャップ1210とにより検知素子を形成する。シリコン基板および二酸化シリコンスペーサの場合、酸化物スペーサ1206は、HF蒸気またはHFおよびバッファの緩衝酸化物エッチング(BOE)を用いて除去することができる。これらのエッチングは、二酸化シリコンを除去する傾向があるが、シリコンをエッチングしない。他のエッチング手法を使用することができ、二酸化シリコン以外のスペーサは異なるエッチャントを必要とし得る。
【0055】
例13
図13A~
図13Cは、開示されたセンサを作製する別の代表的な方法を示す。
図13Aに示すように、基板1302上の酸化物層1304の表面1303上のフォトレジストスペーサ1306、1309上に導体層1308を形成する。フォトレジスト層1310が導体層1308上に形成され、ギャップ1320内の導体層1308の一部を除去するようにパターニングされる。
図13Bは、ウェット溶媒エッチングによるフォトレジスト層1310の除去およびフォトレジストスペーサ1306、1309の部分的な除去を示す。フォトレジストスペーサ1306、1309の残りの部分は、導体層1308によって保護され、溶媒蒸気エッチングを使用して
図13Cに示す構造を生成する。電気的に別個の検知素子1321、1322が、基板1302の上に懸架される。検知素子1322は2つの端部で固定され、検知素子1321は1つの端部のみで固定される。
【0056】
例14
図14A~
図14Bは、基板1402と、基板1402に固定された導体1404、1406とを含む代表的なセンサ1400を示す。検知素子1407は、第1および第2の導電性延長部1410、1412と、接続導体1408とを含み、これらはすべて基板1402の上方に懸架される。スペーサ層1414が、導体1404、1406を基板1402から分離するが、スペーサ層1414は、延長部1410、1412、またはコネクタ1408の下にはない。スペーサ層1414は、典型的には、延長部1410、1412およびコネクタ1408の下のスペーサ材料を除去することによってアンダーカットされる。
【0057】
例15
図15A~
図15Bを参照すると、代表的なセンサ1500は、基板1502に固定された部分1503と、基板1502から懸架された導電性検知素子1504とを含むセンサ導体1501を含む。導電性検知素子1504は、基板1502、キャップ層1508、および基板1502から延在するエンクロージャ壁1506によって画定されるエンクロージャのエンクロージャ容積1510内に位置する。複数のセンサは、単一の基板および単一のキャップ層を使用して形成することができ、各センサはそれぞれのエンクロージャ内に位置する。そのような複数のセンサは、検知素子、バイアス抵抗器、エンクロージャ容積、または他の仕様の同じまたは異なる構成を有することができる。
【0058】
例16
開示されたセンサは、圧延または曲げ可能な基板上に設けることができるが、曲率半径には限界がある。
図16を参照すると、ギャップGを有する長さLのセンサの可能な最小曲率半径Rは、
【数2】
のように表すことができる。この最小曲率半径は、検知導体と基板との接触に関連付けられ、より小さい曲率半径を有すると、検知導体は基板と接触することになり、これは一般に望ましくない。いくつかの基板または検知素子材料は、降伏、疲労、または材料特性のために上記で決定された最小曲率半径を許容しない場合があり、Rはより大きくなければならない。
【0059】
例17
開示されたセンサは、約10Hz~100Hzで典型的なサンプル振動をするが、検知素子構成に応じて最大1MHz以上の入力信号に応答する。検知素子の共振モードは、検知素子の共振周波数に近い周波数範囲をサンプリングすることができるように周波数フィルタとして機能する。例えば、1μmのエアギャップおよび薄い検知素子による振動減衰では、検知素子は、低いQおよび広い帯域幅での検知を有するフィルタとして機能する。検知素子は、典型的には、検知素子の冷却により共振周波数付近の運動の効果を平均化する。検知素子によって生成された検出信号は、冷却と振動振幅との間の関係が非線形であるため、周波数またはフーリエ領域応答のいずれかに正確に対応しない。それにもかかわらず、そのような応答は多くの用途に適している。
【0060】
図17Aを参照すると、スペーサ1706によって画定された基板1702とのギャップGを有する検知素子1704の平均熱伝導率は、1/Gに比例する。一例として、ギャップG=1μmと仮定する。ギャップGが0.5μmと1.5μmとの間で交互になるように検知素子1704が方形波音響信号を受ける場合、平均導電率は(0.5μm)
-1と(1.5μm)
-1の平均または4/3/μmに比例し、これは静止した検知素子1704に関連付けられた導電率よりも大きい。正弦波振動に応答する時間の関数としての導電率が
図17Bに示されており、曲線1752は静止検知素子に対応し、曲線1754は振動しているセンサ素子に対応する。周期的信号に応答する平均導電率は、静止した検知素子の導電率よりも大きいことが明らかである。正弦波入力に応答した平均導電率は
【数3】
に近づく傾向があり、ここで、Aは定数であり、δGは検知素子振動の振幅であることが示され得る。
【0061】
例示的な実施例
実施例1は、基板と、検知素子であって、検知素子が基板から離間されるように少なくとも1つの端部が基板に固定された、検知素子と、検知素子に結合され、検知素子を加熱し、検知素子の振動に関連付けられた出力信号を生成するように動作可能であるセンサ回路とを備えるセンサである。
実施例2は、実施例1の主題を含み、検知素子の振動に関連付けられた出力信号は、検知素子の温度の変化に対応することをさらに特定する。
実施例3は、実施例1~2のいずれかの主題を含み、検知素子は、第1の端部および第2の端部で基板に固定され、その結果、検知素子は、第1の端部から第2の端部まで延在し、基板から懸架されることをさらに特定する。
実施例4は、実施例1~3のいずれかの主題を含み、検知素子と基板との間にギャップを画定するために、検知素子の少なくとも1つの端部に配置されたスペーサをさらに含む。
実施例5は、実施例1~4のいずれかの主題を含み、基板は可撓性基板であることをさらに特定する。
実施例6は、実施例1~5のいずれかの主題を含み、基板はポリエチレンテレフタレートであることをさらに特定する。
実施例7は、実施例1~6のいずれかの主題を含み、検知素子は金属であることをさらに特定する。
実施例8は、実施例1~7のいずれかの主題を含み、検知素子に結合された抵抗導体をさらに含み、センサ回路は、抵抗導体によって検知素子に伝導される電流で検知素子を加熱するように動作可能である。
実施例9は、実施例1~8のいずれかの主題を含み、基板上に画定された少なくとも1つの導電性パッドをさらに含み、導電性パッドおよび検知素子は共通の導電層内に画定される。
実施例10は、実施例1~9のいずれかの主題を含み、基板上に画定された少なくとも1つの導電性パッドをさらに含み、少なくとも1つの導電性パッドおよび検知素子は異なる材料によって画定される。
実施例11は、実施例1~10のいずれかの主題を含み、少なくとも1つの導電性パッドは、第1、第2、および中間の導電性パッドを備え、抵抗器が共通の導電層内に画定され、検知素子は、抵抗器によって第1の導電性パッドに結合され、第2の導電性パッドで基板に固定されることをさらに特定する。
実施例12は、実施例1~11のいずれかの主題を含み、第1、第2、および中間の導電性パッド、ならびに抵抗器の間に配置されたスペーサをさらに含み、検知素子は、スペーサ厚さに関連付けられたギャップによって基板から離間される。
実施例13は、実施例1~12のいずれかの主題を含み、抵抗器は、同じ導電層内に画定された蛇行ストリップを備えることをさらに特定する。
実施例14は、実施例1~13のいずれかの主題を含み、少なくとも1つの端部は、第1の端部および第2の端部を含み、検知素子は、第1の端部および第2の端部で基板に固定され、基板から離間されることをさらに特定する。
実施例15は、実施例1~14のいずれかの主題を含み、少なくとも検知素子の周りに配置されたエンクロージャをさらに含む。
実施例16は、実施例1~15のいずれかの主題を含み、エンクロージャは不活性ガスで満たされることをさらに特定する。
実施例17は、実施例1~16のいずれかの主題を含み、エンクロージャは、基板から延在するエンクロージャ壁と、エンクロージャ壁にシールされエンクロージャ容積を画定するキャップ層とを含むことをさらに特定する。
実施例18は、基板に結合された導電層を形成することと、基板から離間した導電性検知素子を画定するために導電層をパターニングすることであって、導電性検知素子の第1の固定端および第2の固定端が基板に固定される、パターニングすることとを含む方法である。
実施例19は、実施例18の主題を含み、導電層はスペーサ層上に形成され、導電性検知素子は、スペーサ層の一部を除去することによって基板から離間されることをさらに特定する。
実施例20は、実施例18~19のいずれかの主題を含み、導電性検知素子に関連付けられた位置で基板上にスペーサ層を形成することであって、導電層は、基板の露出部分およびスペーサ層上に形成される、形成することと、導電性検知素子が基板から離間されるようにスペーサ層を除去することとをさらに含む。
実施例21は、実施例18~20のいずれかの主題を含み、導電層内に抵抗器を画定することをさらに含み、抵抗器は、導電性検知素子を加熱するように動作可能である。
実施例22は、実施例18~21のいずれかの主題を含み、抵抗器は蛇行導電性ストリップとして画定されることをさらに特定する。
実施例23は、実施例18~22のいずれかの主題を含み、導電性検知素子は、軸に関して対称である複数のセグメントを含むことをさらに特定する。
実施例24は、基板と、基板上に画定された複数のセンサであって、複数のセンサの各々は検知素子を含む、複数のセンサと、検知素子と基板との間にギャップを画定するように複数のセンサの各々の検知素子および基板に結合された少なくとも1つのスペーサとを含むセンサアレイである。
実施例25は、実施例24の主題を含み、検知素子および検知素子の各々の少なくとも1つのスペーサは、それぞれ同じ導電層および同じスペーサ内に画定されることをさらに特定する。
実施例26は、実施例24~25のいずれかの主題を含み、複数のセンサの各センサは、同じ導電層内に画定され検知素子に結合された第1、第2、および中間の導電性パッドと、同じ導電層内に画定され検知素子ならびに第1、第2、および中間の導電性パッドのうちの選択された1つに結合された抵抗器とをさらに含むことをさらに特定する。
実施例27は、実施例24~27のいずれかの主題を含み、基板は可撓性基板であることをさらに特定する。
実施例28は、実施例24~26のいずれかの主題を含み、センサの少なくともいくつかの抵抗器は異なる形状を有し、センサの少なくともいくつかの検知素子は異なる形状を有することをさらに特定する。
開示された技術の原理が適用され得る多くの可能な実施形態を考慮して、例示された実施形態は好ましいにすぎず、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことが認識されるべきである。添付の特許請求の範囲および思想の範囲内にあるすべてのものを、本発明として請求する。
【国際調査報告】