IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-525565化学機械研磨中の音響信号による平坦化の検出
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】化学機械研磨中の音響信号による平坦化の検出
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/013 20120101AFI20240705BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240705BHJP
   B24B 37/10 20120101ALI20240705BHJP
   B24B 37/30 20120101ALI20240705BHJP
   B24B 37/005 20120101ALI20240705BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20240705BHJP
   B24B 37/12 20120101ALI20240705BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
B24B37/013
H01L21/304 621D
B24B37/10
B24B37/30 E
B24B37/005 A
B24B37/00 K
B24B37/12 D
B24B49/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500246
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-02-29
(86)【国際出願番号】 US2022073326
(87)【国際公開番号】W WO2023283526
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】63/218,902
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】オスターヘルド, トーマス エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】チエン, チュン
(72)【発明者】
【氏名】シェリアン, ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ウィズウェル, ニコラス エー.
【テーマコード(参考)】
3C034
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA07
3C034BB92
3C034CA02
3C034CA24
3C034CB03
3C034DD10
3C158AA07
3C158AB04
3C158AC02
3C158AC04
3C158BA01
3C158BA05
3C158BA07
3C158BB02
3C158BC01
3C158BC02
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EA14
3C158EB01
5F057AA03
5F057AA20
5F057CA11
5F057DA03
5F057EB08
5F057EB11
5F057GA12
5F057GB34
(57)【要約】
化学機械研磨装置は、プラテンと、プラテン上で支持される研磨パッドと、研磨パッドに接して基板の表面を保持するキャリアヘッドと、基板上の上層を研磨するように、プラテンとキャリアヘッドとの間の相対運動を発生させるモータと、基板の表面から音響信号を受信する音響信号センサを備える、現場音響モニタリングシステムと、現場音響モニタリングシステムからの信号に基づいて、基板上のトポロジーの平坦化を検出するように構成された、コントローラと、を含む。
【選択図】図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラテンと、
前記プラテン上で支持される研磨パッドと、
前記研磨パッドに接して基板の表面を保持するキャリアヘッドと、
前記基板上の上層を研磨するように、前記プラテンと前記キャリアヘッドとの間の相対運動を発生させるモータと、
前記基板の前記表面から音響信号を受信する音響センサを備える現場音響モニタリングシステムと、
前記現場音響モニタリングシステムからの信号に基づいて、前記基板上のトポロジーの平坦化を検出するように構成されたコントローラと
を備える、化学機械研磨装置。
【請求項2】
前記コントローラが、前記平坦化を検出すると、ディスペンサを第1の研磨液の分配から第2の研磨液の分配へと切り替えさせるように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コントローラが、前記平坦化を検出すると、キャリアヘッドを前記基板に対する第1の圧力の適用から第2の圧力の適用へと切り替えさせるように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記コントローラが、前記信号に対してフーリエ変換を実施し、周波数範囲にわたってスペクトルパワー密度を合計してパワー信号を生成するように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記コントローラが、前記トポロジーの平坦化を検出するため、前記パワー信号の傾きの変化を検出するように構成された、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記コントローラが、前記トポロジーの平坦化を検出するため、前記パワー信号の前記傾きの大きさの減少を検出するように構成された、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
基板を研磨パッドと接触させ、前記基板上の上層を研磨するように前記基板と前記研磨パッドとの間の相対運動を発生させることと、
現場音響モニタリングシステムのセンサを用いて、研磨中の前記基板を音響モニタリングすることと、
前記センサからの信号に基づいて、前記基板上のトポロジーの平坦化を検出することと
を含む、化学機械研磨システムの方法。
【請求項8】
前記平坦化を検出すると、第1の研磨液の分配から第2の研磨液の分配へと切り替えることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記平坦化を検出すると、前記基板に対する第1の圧力の適用から第2の圧力の適用へと切り替えることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記信号に対してフーリエ変換を実施し、周波数範囲にわたってスペクトルパワー密度を合計してパワー信号を生成することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記トポロジーの平坦化を検出するため、前記パワー信号の傾きの変化を検出することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記トポロジーの平坦化を検出するため、前記パワー信号の傾きの大きさの減少を検出することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
1つまたは複数のコンピュータに、
基板の研磨中に現場音響モニタリングシステムのセンサから信号を受信させ、
前記センサからの前記信号に基づいて、前記基板上のトポロジーの平坦化を検出させる
命令を含むコンピュータプログラムが記録された、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記平坦化を検出すると、第1の研磨液の分配から第2の研磨液の分配へと切り替える命令を含む、請求項13に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記平坦化を検出すると、前記基板に対する第1の圧力の適用から第2の圧力の適用へと切り替える命令を含む、請求項13に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記信号に対してフーリエ変換を実施し、周波数範囲にわたってスペクトルパワー密度を合計してパワー信号を生成する命令を含む、請求項13に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記トポロジーの平坦化を検出するため、前記パワー信号の傾きの変化を検出する命令を含む、請求項16に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記トポロジーの平坦化を検出するため、前記パワー信号の傾きの大きさの減少を検出する命令を含む、請求項16に記載のコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、化学機械研磨の現場(in-situ)モニタリング、特に音響モニタリングに関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、一般的に、導電層、半導電層、または絶縁層をシリコンウェハ上に逐次堆積させることによって、基板上に形成される。ある製造ステップは、充填層を非平坦面の上に堆積させ、充填層を平坦化することを伴う。特定の用途の場合、充填層は、パターニングされた層の上面が露出するまで平坦化される。例えば、導電性充填層をパターニングされた絶縁層上に堆積させて、絶縁層のトレンチまたは孔を埋めることができる。平坦化後、金属層のうち絶縁層の隆起したパターンの間に残っている部分は、基板上の薄膜回路間に導電路を提供するビア、プラグ、およびラインを形成する。酸化物研磨など、他の用途の場合、充填層は、例えば、非平坦面の上に充填層の一部分を残して、所定の時間の間研磨することによって、平坦化される。加えて、基板表面の平坦化は通常、フォトリソグラフィのために必要とされる。
【0003】
化学機械研磨(CMP)は、1つの許容された平坦化方法である。この平坦化方法は、一般的に、基板をキャリアヘッドまたは研磨ヘッド上に載置する必要がある。基板の露出面は、一般的に、回転する研磨パッドに接して配置される。キャリアヘッドは、制御可能な荷重を基板に与えて基板を研磨パッドに押し付ける。一般的に、砥粒研磨スラリーが研磨パッドの表面に供給される。
【0004】
CMPの1つの問題は、研磨プロセスが完了したか否か、即ち、基板層が所望の平面度もしくは厚さまで平坦化されているか否か、または所望の材料量が除去されていると判定することである。スラリー分布、研磨パッド状態、研磨パッドと基板との間の相対速度、および基板に対する荷重のばらつきは、材料除去率のばらつきを引き起こす可能性がある。これらのばらつき、ならびに基板層の初期厚さのばらつきは、研磨のエンドポイントに達するのに必要な時間のばらつきをもたらす可能性がある。したがって、研磨エンドポイントは通常、単に研磨時間の関数として決定することはできない。
【0005】
いくつかのシステムでは、基板は、例えば、モータがプラテンまたはキャリアヘッドを回転させるのに必要なトルクをモニタリングすることによって、研磨中にその場でモニタリングされる。研磨の音響モニタリングも提案されてきた。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、化学機械研磨装置は、プラテンと、プラテン上で支持される研磨パッドと、研磨パッドに接して基板の表面を保持するキャリアヘッドと、基板上の上層を研磨するように、プラテンとキャリアヘッドとの間の相対運動を発生させるモータと、基板の表面から音響信号を受信する音響センサを備える、現場音響モニタリングシステムと、現場音響モニタリングシステムからの信号に基づいて、基板上のトポロジーの平坦化を検出するように構成された、コントローラと、を含む。
【0007】
以下の可能な利点の1つまたは複数が実現されてもよい。音響センサの信号強度を増加させることができる。研磨層とセンサとの間の音響結合は、より高い信頼性で確立することができる。下層の露出をより高い信頼性で検出することができる。研磨をより高い信頼性で停止することができ、ウェハ間の均一性を改善することができる。研磨パラメータは、平坦化の検出、即ち基板表面の平滑化に応じて、変化させることができ、それによって均一性を改善させたり、または研磨速度を増加させることができる。研磨は、平坦化の検出時、または平坦化の検出後プリセット時間が経過した後に停止させることができる。これは、代替のエンドポイント技術を提供することができる。
【0008】
1つまたは複数の実施形態の詳細を、添付図面および以下の記載で説明する。他の態様、特徴、および利点は、説明および図面から、また特許請求の範囲から明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】研磨装置の一例を示す概略断面図である。
図2A】研磨パッドの一部分を係合する音響モニタリングセンサを示す概略断面図である。
図2B】音響透過層を含む音響モニタリングセンサの別の実施形態を示す概略断面図である。
図2C】音響モニタリングセンサの別の実施形態を示す概略断面図である。
図2D】音響窓が研磨層に形成され、音響透過層が研磨パッドのバッキング層に形成される、音響モニタリングセンサの別の実施形態を示す概略断面図である。
図3】複数の音響モニタリングセンサ窓を有するプラテンを示す概略上面図である。
図4】音響モニタリングセンサ窓を取り囲むプラテン部分を有するプラテンを示す概略上面図である。
図5A-C】基板の表面の平坦化を示す図である。
図6】周波数範囲にわたるスペクトルパワー密度の合計を時間の関数として示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
様々な図面における同様の参照記号は同様の要素を示す。
【0011】
一部の半導体チップ製造プロセスでは、上層、例えば金属、酸化シリコン、またはポリシリコンは、下層、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、または高誘電率ゲート絶縁膜などの誘電体が露出するまで研磨される。一部の用途の場合、下層が露出すると、基板からのアコースティックエミッションが変化する。この音響信号の変化を検出することによって、研磨エンドポイントを決定することができる。しかしながら、既存のモニタリング技法は、半導体デバイスメーカーの増大する要求を満たしていないことがある。
【0012】
モニタリングされるアコースティックエミッションは、基板材料が変形する際の放出されるエネルギーによって引き起こされる場合があり、結果として生じる音響スペクトルは基板の材料特性に関連する。いかなる特定の理論によっても束縛されないが、「応力エネルギー」とも呼ばれるこのエネルギーの考えられる発生源、およびその特性周波数としては、化学結合の切断、特有のフォノン周波数、スリップスティックメカニズムなどが挙げられる。この応力エネルギーの音響効果は、研磨パッドに対する基板の摩擦によって誘発される振動によって生じるノイズ(音響信号と呼ばれる場合もある)と同じではなく、あるいは基板上におけるクラッキング、チッピング、破損、または同様の欠陥の発生によって生じるノイズと同じではない。応力エネルギーは、適切なフィルタリングによって、他の音響信号、例えば研磨パッドに対する基板の摩擦、または基板上の欠陥の発生によって生じるノイズと区別することができる。例えば、音響センサからの信号は、応力エネルギーを表すことが分かっている、テスト基板から測定された信号と比較することができる。
【0013】
しかしながら、音響モニタリングの潜在的な問題は、音響信号がセンサに伝達されることである。いくつかの研磨パッドは、音響エネルギーの伝達性に乏しい。加えて、研磨パッドとセンサとの間の結合が弱いことで、音響信号を減衰する傾向がある。さらに、センサ間の一貫した結合を確立するのが困難な場合がある。
【0014】
したがって、音響センサを音響信号の減衰が少ない音響「窓」と接触させることが有利であろう。いくつかの実施形態では、音響センサに対する音響信号結合をさらに増加するため、透過材料の第2の層が現場音響モニタリングシステムに追加される。
【0015】
例えば接着剤を用いて、音響センサを結合窓に接着することで、ハウジング内での音響センサの移動と関連付けられた音響信号のノイズを低減することができる。接着剤は、研磨パッドに対するセンサの優れた結合を提供し、センサ間基準でより信頼性の高い音響減衰を提供することができる。
【0016】
これらの特徴はいずれも、他の特徴とは独立して使用することができる。
【0017】
図1は、研磨装置100の一例を示している。研磨装置100は、研磨パッド110が上に載置される、回転可能なディスク形状のプラテン120を含む。研磨パッド110は、外側の研磨層112とより柔らかいバッキング層114とを有する、二層の研磨パッドであることができる。プラテンは、軸線125を中心にして回転するように動作可能である。例えば、モータ121、例えばDC誘導モータが駆動軸124を旋回させて、プラテン120を回転させることができる。
【0018】
研磨装置100は、砥粒スラリーなどの研磨液132を研磨パッド110上に分配するポート130を含むことができる。研磨装置はまた、研磨パッド110を研削して研磨パッド110を一貫した研削状態で維持する、研磨パッドコンディショナを含むことができる。
【0019】
研磨装置100は少なくとも1つのキャリアヘッド140を含む。キャリアヘッド140は、研磨パッド110に接して基板10を保持するように動作可能である。各キャリアヘッド140は、それぞれの基板と関連付けられた研磨パラメータ、例えば圧力の、独立制御を有することができる。
【0020】
キャリアヘッド140は、基板10を可撓性メンブレン144の下方で保定する保定リング142を含むことができる。キャリアヘッド140はまた、可撓性メンブレン144上の、したがって基板10上の関連するゾーンに独立制御可能な圧力を加えることができる、メンブレンによって画成された1つまたは複数の独立制御可能である加圧可能なチャンバを、例えば3つのチャンバ146a~146cを含む(図1を参照)。例示を簡単にするため、図1には3つのチャンバのみが示されるが、1つもしくは2つのチャンバ、または4つ以上のチャンバ、例えば5つのチャンバが存在し得る。
【0021】
キャリアヘッド140は、支持構造150、例えばカルーセルまたはトラックから懸架され、キャリアヘッドが軸線155を中心にして回転できるように、駆動軸152によってキャリアヘッド回転モータ154に、例えばDC誘導モータに接続される。任意に、各キャリアヘッド140は、例えば、カルーセル150のスライダ上で、またはカルーセル自体の回転振動によって、またはトラックに沿って摺動することによって、横方向に振動することができる。一般的な動作の際、プラテンはその中心軸125を中心にして回転させられ、各キャリアヘッドは、その中心軸155を中心にして回転させられ、研磨パッドの上面を横切って横方向に並進させられる。
【0022】
プログラマブルコンピュータなどのコントローラ190は、モータ121、154に接続されて、プラテン120およびキャリアヘッド140の回転速度を制御する。例えば、各モータは、関連する駆動軸の回転速度を測定するエンコーダを含むことができる。フィードバック制御回路は、モータ自体の中にあるか、コントローラの一部であるか、または別個の回路であることができ、測定された回転速度をエンコーダから受信し、モータに供給される電流を調節して、駆動軸の回転速度がコントローラから受信される回転速度と一致するようにする。
【0023】
研磨装置100は、少なくとも1つの現場音響モニタリングシステム160を含む。現場音響モニタリングシステム160は、1つまたは複数の音響信号センサ162を含む。各音響信号センサは、上側プラテン120上の1つまたは複数の位置に設置することができる。特に、現場音響モニタリングシステムは、基板10の材料が変形したときに応力エネルギーによって生じるアコースティックエミッションを検出するように構成することができる。
【0024】
位置センサ、例えば、プラテンのリムまたはロータリーエンコーダに接続された光遮断器を使用して、プラテン120の角度位置を感知することができる。これにより、センサ162が基板の近傍にあるとき、例えば、センサ162がキャリアヘッドまたは基板の下方にあるときに測定された信号部分のみを、エンドポイント検出に使用できるようになる。
【0025】
図1に示される実施形態では、音響モニタリングシステム160は、研磨パッド110を通して基板10から音響信号を受信する、プラテン120によって支持されて位置付けられる音響センサ162を含む。音響センサ162は、部分的または全体的に、プラテン120の上面にある凹部164内にあることができる。いくつかの実施形態では、音響センサ162の上面はプラテン120の上面と共面である。
【0026】
音響センサ162の直上にある研磨パッドの部分は音響窓119を含むことができる。例えば図2Aに示されるように、音響窓119は音響センサ162よりも狭い幅であることができ、または図2Cに示されるように、2つは実質的に等しい幅(例えば、10%以内)であることができる。音響窓119が音響センサ162よりも狭い幅である場合、センサは研磨層112の底部にも当接することができる。
【0027】
音響センサ162は、研磨層112および/または音響窓119の一部分に接続される(例えば、直接接触するか、または単に接着層を有する)表面を有する、接触音響センサである。例えば、音響センサ162は、電磁音響変換器または圧電音響変換器であることができる。圧電センサは、モニタリングすべき本体と接触して位置する、例えばステンレス鋼などの剛性接点プレートと、圧電アセンブリ、例えば、接点プレートの裏側で2つの電極の間に挟まれた圧電層とを含むことができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、音響センサ162は、ハウジング163の凹部169内に位置付けられる。任意のばね165を、ハウジング163と支持体167との間に配置して、ハウジング163に対して圧力を提供することができる。ハウジング163に対する圧力は音響センサ162を押圧して、研磨パッド110の一部分と接触させる。あるいは、例えば、ハウジングが使用されない場合、ばね165が音響センサ162を直接押圧することができる。いくつかの実施形態では、ばね165は、より広い圧縮範囲にわたって強力ばね165と同様の圧力を供給する、移動量の長い(long travel)ばね165である。
【0029】
音響信号センサ162は、回路168によって、回転接手、例えば水銀スリップリングを通して、電源および/または他の信号処理エレクトロニクス166に接続することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、現場音響モニタリングシステム160は受動音響モニタリングシステムである。この場合、信号は、音響信号発生器から信号を生成することなく、音響センサ162によってモニタリングされる(または音響信号発生器を完全にシステムから省略することができる)。音響センサ162によってモニタリングされる受動音響信号は、50kHz~1MHzの範囲内、例えば200~400kHz、または200kHz~1MHzであることができる。例えば、シャロートレンチアイソレーション(STI)において層間絶縁膜(ILD)の研磨をモニタリングする場合、225kHz~350kHzの周波数範囲をモニタリングすることができる。
【0031】
センサ162からの信号を、40~60dBの利得を有する内蔵内部増幅器によって増幅させることができる。いくつかの実施形態では、増幅利得は40~60dB(例えば、50dB)である。音響センサ162からの信号を次に、必要に応じてさらに増幅させフィルタリングし、例えばエレクトロニクス166内の、高速データ収集ボードへのA/Dポートを通してデジタル化することができる。音響センサ162からのデータは、発生器163と同様の周波数範囲で、または異なる、例えばより高周波数の範囲、例えば1~10MHz、例えば1~3MHzもしくは6~8MHzで記録することができる。音響センサ162が受動音響センサである実施形態では、500kHz~1MHz(例えば、750kHz)など、100kHz~2MHzの周波数範囲をモニタリングすることができる。
【0032】
プラテン120内に位置付けた場合、音響センサ162は、プラテン120の中央に、例えば回転軸125に、プラテン120の縁部に、または中点(例えば、直径20インチ(50.8cm)のプラテンの場合、回転軸から5インチ(12.7cm))に配置することができる。
【0033】
次に図2Aを参照すると、音響モニタリングシステム160のさらなる詳細が示されている。音響センサ162は、ハウジング163の上面にある凹部169内で保持することができる。ハウジング163はセンサ162の適切な位置付けを支援することができる。ハウジング163は、音響センサ162を損傷から保護するのに十分な、剛性で耐久性の高い材料で構成される。しかしながら、いくつかの実施形態では、例えば図2Cおよび図2Dに示されるように、ハウジングは必須ではなく、例えば、センサ162は単純に、凹部169の側壁の間に適合させ、側壁によって固定することができる。ハウジングを使用するものとして記載される様々な実施形態は、ハウジングを省略することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、例えば図2Bに示されるように、ハウジング163はバッキング層114を通って延在し、またいくつかの実施形態では、例えば図2Aに示されるように、ハウジング163は研磨層112の一部分を通って延在する。しかしながら、いくつかの実施形態では、例えば、センサ162の上面がプラテン120の上面と共面であり、研磨パッド110の底面に接触する場合、ハウジング163はプラテン120の凹部164内に完全に適合する。
【0035】
いくつかの実施形態では、ハウジング163の材料は音響減衰性であって、ハウジング163がそこを通って延在するバッキング層114または研磨層112など、ハウジング163と接触している表面から、音響センサ162が受信するノイズを低減する。ハウジング163は、金属、例えばアルミニウムもしくはステンレス鋼、またはポリマー材料、例えばポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、もしくはポリメチルメタクリレート(PMMA)で構成することができる。
【0036】
ばねが使用されると仮定して、ばね165の一端は、音響センサ162とは反対側の表面でハウジング163に接触する。いくつかの実施形態では、ばね165の他端は、プラテン120上に位置する支持体167と接触している。かかる支持体は、ばね165の圧縮によって発生する力に対して安定した基部を提供することができる。いくつかの実施形態では、ばね165の他端は陥凹部164の底面と接触し、即ち、プラテンと直接接触している。ばね165は、ハウジング163を研磨層112の研磨面112aに向かって押圧し、それによって音響センサ162が付勢されて研磨層112の底面と接触する。これにより、研磨層とセンサとの間の音響結合を改善することができる。しかしながら、ばねを使用するものとして記載される様々な実施形態は、例えば、センサが音響窓119および/または研磨パッド110の底部に接着によって取り付けられるものと仮定して、ばねを省略することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、支持体167はばね165の下方に配置され、それが、ばね165がハウジング163を反対側に押圧することができる固定ブロックとなる。支持体167は、移動または圧縮座屈を伴わずにばね165およびハウジング163をしっかりと支持するのに十分な、任意の材料であることができる。
【0038】
ばねに加えて、またはその代わりに、音響センサ162は、接着層170によって、研磨層112の一部分に(ならびに/または後述する音響窓119に)固定することができる。接着層170は、音響センサ162と研磨層112および/または音響窓119との間の接触面積を増加させ、研磨動作中の音響センサ162内での望ましくない動きを低減し、また、音響センサ162と研磨層112および/または音響窓119との間のガスポケットの存在を低減することによって、センサに対する結合を改善して、音響センサ162が受信する音響信号のノイズを低減することができる。接着層170は、音響センサ162と研磨層112および/または音響窓119との間に適用される接着剤、あるいは接着ストリップ(例えば、テープ)であることができる。例えば、接着層170は、シアノアクリレート、感圧性接着剤、ホットメルト接着剤などであることができる。
【0039】
図2Aに戻ると、研磨層112は、接着層170および音響センサ162の上方に配置される音響窓119を含む。しかしながら、いくつかの実施形態では、音響センサ162は音響窓119に直接接触する。
【0040】
音響窓を有する実施形態では、音響窓119は、研磨層112とは異なる材料で形成される。音響窓の材料は、音響モニタリングには十分な信号を提供する、十分な音響伝達特性、例えば、1~4MRaylの音響インピーダンス、および2未満(例えば、1未満、0.5未満)の音響減衰係数を有する。
【0041】
材料の音響インピーダンスは、材料に適用される音響圧力によってもたらされる音響流に対して材料が提示する反発の基準である。音響減衰係数は、特定の材料に対する周波数の関数として、伝達された音響増幅がどのように減少するかを定量化する。理論によって束縛されることを望まないが、音響窓119の特定の音響インピーダンス(AIwindow)は液体132および研磨面112aを音響信号センサ162に結合し、音響窓119に特有の音響インピーダンスは、有益には、


の範囲内であることができる。
【0042】
特に、窓119は、周囲の研磨層112よりも低い音響減衰を有することができる。これにより、CMP動作の必要性を満たすため、研磨層112をより広範囲の材料で構成することができるようになる。窓は、非多孔質材料、例えば固体で構成することができる。対照的に、研磨層112は多孔質であることができ、例えば、中空のプラスチックマイクロスフィアが埋め込まれたポリマーマトリックスなど、微多孔質であることができる。
【0043】
音響窓119は、1つの表面、例えば上面が、研磨層112の研磨面112aと共面であるように、研磨層112を通って延在する。反対側の表面、例えば底面は、研磨層112の下面112bと共面であることができる。いくつかの実施形態では、研磨面112aとは反対側の下面112bにくぼみ118が形成される。くぼみ118を含む研磨層112の部分は、残りの研磨層112よりも薄い厚さを有する研磨層112の薄い部分を形成し、音響窓119は薄い部分に位置する。
【0044】
音響窓119は非多孔質材料で構成することができる。一般に、非多孔質材料は、多孔質材料と比較してノイズおよび分散が低減された音響信号を伝達する。音響窓119の材料は、周囲の研磨層112の材料の圧縮率範囲内の圧縮率を有することができ、それによって、基板上の研磨面の研磨特性に対する音響窓119の影響が低減される。いくつかの実施形態では、音響窓119の圧縮率は、研磨層112の圧縮率の10%以内(例えば、8%以内、5%以内、3%以内)である。いくつかの実施形態では、音響窓119は、光、例えば可視光に対して不透明である。音響窓119は、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリエチレン、または低音響インピーダンスおよび低音響減衰の他のポリマーのうち1つまたは複数で構成することができる。
【0045】
図2Cを参照すると、下面112bが平面であるように、研磨層112の全厚さを通って延在する音響窓119が示されている。センサ162は、バッキング層114のアパーチャ114aを通って延在して、窓119の下側に接触する。
【0046】
いくつかの実施形態では、音響モニタリングシステム160は、接着層170と接触している音響透過層172を含む。透過層172は、透過層172と接触している要素間の音響信号結合を増加させる、屈折率整合材料である。透過層172は、音響窓119と接着層170との間に、または図2Bに示されるように、接着層170と音響センサ162との間に配置することができる。いくつかの実施形態では、音響モニタリングシステム160は、接着層170、透過層172、または両方を含む。例えば、透過層172は、Aqualink(商標)、Rexolite、またはAqualene(商標)の層であることができる。いくつかの実施形態では、透過層172は、音響窓119の音響減衰の20%以内、例えば10%の音響減衰を有する。音響透過層172は、周囲のバッキング層114の音響減衰よりも低い音響減衰を有することができる。
【0047】
音響透過層172は、バッキング層114の圧縮率と同様の圧縮率、例えば、周囲のバッキング層114の圧縮率の20%以内、例えば10%以内の圧縮率を有するように選択することができる。
【0048】
図2Dは、音響窓119が研磨層112の厚さを通って延在し、透過層172がバッキング層114の厚さを通って延在する、実施形態である。しかしながら、透過層172はバッキング層114よりも薄い場合がある。この場合、センサ162は、プラテン120の上面の上に突出して透過層172を係合する場合がある。
【0049】
加えて、透過層172と陥凹部164の反対面との両方に接触するのに十分な寸法を有する音響信号センサ162が示される。かかる実施形態では、凹部164は音響信号センサ162の支持を提供し、研磨動作の圧力によって、音響信号センサ162が透過層172と接触する。透過層172と音響窓119との間には、本明細書に記載するように、接着層170が配置される。いくつかの実施形態では、さらなる接着剤によって、接触面は音響信号センサ162と透過層172との間に固着される。
【0050】
いくつかの実施形態では、音響モニタリングシステム160は能動音響モニタリングシステムを含む。かかる実施形態は、音響信号発生器と、音響センサ162などの音響センサとを含む。
【0051】
音響信号発生器は、基板の研磨パッド110に近いほうの側から音響信号を生成する(即ち、放射する)。音響信号発生器は、回路168によって、回転接手、例えば水銀スリップリングを通して、電源および/または他の信号処理エレクトロニクス166に接続することができる。信号処理エレクトロニクス166は次いで、コントローラ190に接続することができ、加えて、コントローラは、例えば、発生器に対する電流供給を可変的に増加または減少させることにより、発生器によって伝達される音響エネルギーの大きさまたは周波数を制御するように構成することができる。音響信号発生器および音響センサ162は互いに結合することができるが、これは必須ではない。センサ162および発生器は、互いに分割し、物理的に分離させることができる。発生器については、市販の音響信号発生器を使用することができる。発生器は、例えば、クランプを用いて、またはプラテン120にねじ込み接続することによって、プラテン120に取り付け、適所で保持することができる。
【0052】
図3に示されるように、いくつかの実施形態では、複数の音響信号センサ162をプラテン120に接地することができ、各音響センサ162は音響窓119と関連付けられる。各センサ162は、図1および図2A図2Bのいずれかに関して記載したように構成することができる。センサ162からの信号をコントローラ190が使用して、研磨中に基板10上で起こるアコースティックエミッションイベントの位置分布を計算することができる。いくつかの実施形態では、複数のセンサ162を、プラテン120の回転軸を中心にして異なる角度位置に、ただし回転軸から同じ径方向距離に位置付けることができる。図3の実施形態など、いくつかの実施形態では、複数のセンサ162は、プラテン120の回転軸から異なる径方向距離に、ただし同じ角度位置に位置付けられる。いくつかの実施形態では、複数のセンサ162は、プラテン120の回転軸を中心にして異なる角度位置で、回転軸から異なる径方向距離に位置付けられる。
【0053】
いくつかの実施形態では、音響窓119は研磨層112の平滑部分174によって取り囲まれる。平滑部分174は、溝116を有さず、音響窓119の上面と共面である。音響窓119を取り囲む平滑部分174を含む実施形態は、研磨動作中に研磨層112の溝116と相互作用する基板10と関連付けられたノイズを低減することができる。
【0054】
基板10は、導電層、半導電層、または絶縁層をシリコンウェハ上に逐次堆積させることによって形成される。充填層は非平坦面の上に堆積され、充填、およびパターニングされた層などの非平坦面が、共通の共面を有するように、ならびに/または非平坦面が露出するように、平坦化される。いくつかの実施形態では、現場音響モニタリングシステム160は、層の間の遷移、または基板10の1つもしくは複数の層に関連するトポグラフィ情報を検出する。これは、プロセスステップの間で使用される情報を提供する。例えば、充填層を含む基板10は、堆積プロセスによる不均一な表面粗さ、例えばトポグラフィを有する場合がある。トポグラフィが平坦化されていることを検出すると、遷移に基づいてシステムが1つまたは複数のプロセスを修正することが可能になる。例えば、装置100は、充填層表面が平坦化されると、高いキャリアヘッド140の圧力ステップを停止することができる。
【0055】
図5A図5Cは、基板500の平坦化プロセスに存在する中間層の遷移を示している。図6は、秒(s)単位の時間に対するy軸上の周波数範囲にわたる合計パワースペクトル密度(PSD)を比較する、例示的な音響信号600を示している。音響信号600は、第1の領域602、第2の領域604、および第3の領域606などの別個の領域を有する。いくつかの実施形態では、領域602、604、および606は、図5A図5Cに示されるものなど、基板500における層遷移に対応する。
【0056】
図5Aは、研磨前の例示的な基板10を示している。基板10は、ウェハ502、例えばシリコンウェハ、パターニングされた層504、および充填層508を含む。平坦化ステップ前は、充填層508は非平面であり、トポグラフィ509を含む。トポグラフィ509は、パターニングされた層504の上に充填層508を堆積することによって得られ、フィーチャーサイズ程度の、例えば金属ライン幅の寸法を有する。
【0057】
処理中、キャリアヘッドは基板10を保持し、研磨層112と基板10との間に相対運動が発生する。音響信号センサは、研磨面112a、および基板10の最外層の接触に基づいて、音響信号600などの音響信号を受信する。図5Aでは、研磨の開始時、トポグラフィ509および研磨層112は接触している。
【0058】
理論によって束縛されることを望まないが、音響信号600は、充填層508材料および研磨層112材料の変化する接触面に基づいて変化する。特に、最初は不均一なトポグラフィは著しい音響信号を作り出すことがある。しかしながら、研磨が進行し、充填層508のトポグラフィ509が平坦化されるにつれて、研磨面112aと基板10との境界面は平滑になっていき、音響信号が減少することができる。トポグラフィ509の研磨は、図6の信号600の第1の領域602に対応してもよい。
【0059】
やはり理論によって束縛されることを望まないが、層遷移は、トポグラフィ509が装置100によって除去されると起こる。図5Bに示されるように、残りの充填層508の表面は実質的に平坦である。平坦面の研磨は、音響信号600の第2の領域604に対応してもよい。信号600の第2の領域604では、音響信号600は(ノイズの影響を受けるのにかかわらず)実質的に一定である。
【0060】
同じく理論によって束縛されることを望まないが、第2の領域604は、パターニングされた層504の上に延在する充填層508が除去されるまで時間的に継続する。図5Cに示されるように、パターニングされた層504は、充填層508とは異なる材料で構成され、研磨層112の表面および材料と異なるように相互作用し、それによって音響信号600の第3の領域606が作り出される。加えて、研磨の継続によってディッシングが作られる場合があり、このトポロジーもやはり音響信号を増加させることがある。第3の領域606は一貫せず、例えば増加または減少する場合がある。
【0061】
いくつかの実施形態では、領域602、604、および606の間の差別化、例えば層遷移の検出は、装置100の音響モニタリングシステム160および/またはコントローラ190によって遂行することができる。検出は、傾斜変化の検出の分野で知られている、様々な計算を通して遂行することができるが、1つもしくは複数の差異、移動平均、ウィンドウ処理、またはボックスロジックアルゴリズム(box logic algorithms)の計算を含むことができる。
【0062】
追加の実施形態では、音響信号600は、傾斜変化検出アルゴリズムを適用する前に、追加ステップを使用して処理することができる。例えば、音響信号600に対して、1つもしくは複数フィルタ、例えばバンドパスフィルタ、および/または1つもしくは複数の変換、例えば高速フーリエ変換を用いることができる。例えば、バンドパスフィルタは、50~500kHzの範囲、または200~700kHzの範囲の周波数など、処理前に音響信号600の好ましい周波数を隔離するのに使用することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、装置100は、領域602、604、および606の差別化に応答して、1つまたは複数の研磨パラメータを修正する。例えば、トポグラフィ509が除去されている第1の領域602の間、装置100は、トポグラフィ509の迅速な除去のために第1の砥粒研磨液132を分配することができる。第1の領域602から第2の領域604への遷移が検出されると、より低い研磨速度またはより低い選択制を有する異なる研磨液132をパッド110に分配することができる。
【0064】
別の方法としてまたは加えて、第2の領域604から第3の領域606への遷移が検出されると、キャリアヘッド140によって適用される圧力を低減することができる。これにより、充填層508のディッシングまたは浸食の危険性を低減することができる。
【0065】
次に、上述の実施形態のいずれかにおけるセンサ162からの信号に移ると、例えば、増幅、予備フィルタリング、およびデジタル化後の信号は、エンドポイント検出またはフィードバックもしくはフィードフォワード制御どちらかのため、例えばコントローラ190で、データ処理することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、コントローラ190は音響損失をモニタリングするように構成される。例えば、受信信号強度を放射信号強度と比較して、正規化された信号が生成され、正規化されたものを長時間にわたってモニタリングして、変化を検出することができる。かかる変化は、例えば信号が閾値と交差する場合、研磨エンドポイントを示すことができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、信号の周波数解析が実施される。例えば、周波数ドメイン解析を使用して、スペクトル周波数の相対出力を決定し、特定の半径において膜遷移がいつ起こったかを決定することができる。半径による遷移に関する情報を使用して、エンドポイントをトリガすることができる。別の例として、信号に対して高速フーリエ変換(FFT)を実施して、周波数スペクトルを生成することができる。特定の周波数帯をモニタリングすることができ、周波数帯の強度が閾値と交差する場合、これは下層の露出を示すことができ、エンドポイントをトリガするのに使用することができる。あるいは、選択された周波数における極大または極小の位置(例えば、波長)または帯域幅が閾値と交差する場合、これは下層の露出を示すことができ、エンドポイントをトリガすることができる。例えば、シャロートレンチアイソレーション(STI)において層間絶縁膜(ILD)の研磨をモニタリングする場合、225kHz~350kHzの周波数範囲をモニタリングすることができる。
【0068】
別の例として、ウェーブレットパケット変換(WPT)を信号に対して実施して、信号を低周波数成分と高周波数成分に分解することができる。分解は、信号をより小さい成分に分割するため、必要に応じて繰り返すことができる。周波数成分のうち1つの強度をモニタリングすることができ、成分の強度が閾値と交差する場合、これは下層の露出を示すことができ、エンドポイントをトリガするのに使用することができる。
【0069】
基板10に対するセンサ162の位置が分かっているものと仮定して、例えば、モータエンコーダ信号またはプラテン120に取り付けられた光遮断器を使用して、基板上における音響イベントの位置を計算することができ、例えば、基板の中心からのイベントの径方向距離を計算することができる。基板に対するセンサの位置の決定は、参照により組み込まれる、米国特許第6,159,073号および米国特許第6,296,548号において考察されている。
【0070】
様々なプロセスに意味のある音響イベントは、マイクロスクラッチ、膜遷移の破断、および膜清浄を含む。導波路からのアコースティックエミッション信号を解析するのに、様々な方法を使用することができる。研磨中に生じるピーク周波数を決定するのに、フーリエ変換および他の周波数解析方法を使用することができる。研磨中の予期される変化および予期されない変化を特定するのに、実験で決定された閾値、および規定の周波数範囲内のモニタリングを使用することができる。予期される変化の例としては、フィルム硬度の遷移中におけるピーク周波数の急激な出現が挙げられる。予期されない変化の例としては、消耗品セットに関する問題(パッドのグレージング、または他のプロセスドリフトに起因する機械の健全性の問題)が挙げられる。
【0071】
動作の際、デバイス基板10が研磨ステーション100で研磨されている間、音響信号が現場音響モニタリングシステム160から収集される。信号がモニタリングされて、基板10の下層の露出が検出される。例えば、特定の周波数範囲をモニタリングすることができ、強度をモニタリングし、実験で決定された閾値と比較することができる。
【0072】
研磨エンドポイントの検出によって研磨の中断がトリガされるが、エンドポイントトリガ後の所定の時間量の間、研磨を継続することができる。別の方法としてまたは加えて、収集されたデータおよび/またはエンドポイント検出時間は、フィードフォワードして、後続の処理動作における基板の処理、例えば後続のステーションにおける研磨を制御することができ、またはフィードバックして、同じ研磨ステーションにおける後続の基板の処理を制御することができる。例えば、研磨エンドポイントの検出は、研磨ヘッドの現在の圧力の修正をトリガすることができる。別の例として、研磨エンドポイントの検出は、新しい基板の後続の研磨におけるベースライン圧力の修正をトリガすることができる。
【0073】
実施形態、および本明細書に記載する機能的動作のすべては、デジタル電子回路で、あるいは本明細書で開示する構造的手段およびそれらの構造的等価物を含む、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェアで、あるいは上記の組合せで実現することができる。本明細書に記載する実施形態は、1つまたは複数の非一時的コンピュータプログラム製品、即ち、データ処理装置、例えばプログラマブルプロセッサ、コンピュータ、または複数のプロセッサもしくはコンピュータによって実行される、あるいはその動作を制御する、機械可読記憶媒体の形で有形的に具体化された、1つまたは複数のコンピュータプログラムとして実現することができる。
【0074】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、またはコードとしても知られる)は、コンパイル型またはインタプリタ型言語を含む、任意の形態のプログラミング言語で記述することができ、スタンドアロンプログラムとして、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、もしくはコンピューティング環境で使用するのに適した他のユニットとして含む、任意の形態で展開することができる。コンピュータプログラムは必ずしもファイルに対応しない。プログラムは、他のプログラムまたはデータを保持するファイルの一部分に、問題のプログラム専用の単一のファイルに、あるいは複数の複合ファイル(例えば、1つもしくは複数のモジュール、サブプログラム、またはコードの部分を格納するファイル)に格納することができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、または1つのサイトにあるか、もしくは複数のサイトにわたって分散され通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で、実行されるように展開することができる。
【0075】
本明細書に記載するプロセスおよび論理フローは、入力データを操作し、出力を生成することによって、1つまたは複数のコンピュータプログラムを実行して機能を実施する、1つまたは複数のプログラマブルプロセッサによって実施することができる。プロセスおよび論理フローはまた、専用論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)もしくはASIC(特定用途向け集積回路)によって実施することができ、またかかる専用論理回路として装置を実装することができる。
【0076】
「データ処理装置」という用語は、例として、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、または複数のプロセッサもしくはコンピュータを含む、データを処理するすべての装置、デバイス、および機械を包含する。装置は、ハードウェアに加えて、問題のコンピュータプログラムの実行環境を作成するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、またはそれらの1つもしくは複数の組合せを構築する、コードを含むことができる。コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサとしては、例として、汎用および専用両方のマイクロプロセッサ、ならびに任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つもしくは複数のプロセッサが挙げられる。
【0077】
コンピュータプログラム命令およびデータを格納するのに適したコンピュータ可読媒体としては、例として、半導体メモリ素子、例えばEPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイス、磁気ディスク、例えば内蔵ハードディスクまたはリムーバブルディスク、磁気光学ディスク、ならびにCD ROMおよびDVD-ROMディスクを含む、すべての形態の不揮発性メモリ、媒体、およびメモリデバイスが挙げられる。プロセッサおよびメモリは、専用論理回路によって補完することができ、または専用論理回路に組み込むことができる。
【0078】
上述の研磨装置および方法は、様々な研磨システムにおいて適用することができる。研磨パッドもしくはキャリアヘッドのどちらか、または両方は、研磨面とウェハとの相対運動をもたらすように移動することができる。例えば、プラテンは回転するのではなく周回してもよい。研磨パッドは、プラテンに固定された円形(または他の何らかの形状)のパッドであることができる。エンドポイント検出システムのいくつかの態様は、線形研磨システム(例えば、研磨パッドが、線形的に移動する連続ベルトまたはリール間ベルトである)に適用可能であってもよい。研磨層は、標準的な(例えば、充填を有するかもしくは有さないポリウレタン)研磨材料、軟質材料、または固定砥粒材料であることができる。相対位置の用語が使用されるが、研磨面およびウェハは、垂直配向または他の何らかの配向で保持することができるものと理解されるべきである。
【0079】
本明細書は多くの特定の詳細を包含するが、これらは、請求することができる範囲に対する限定としてではなく、特定の発明の特定の実施形態に特異的であってもよい特徴の説明として解釈されるべきである。いくつかの実施形態では、方法は、上層および下層の材料の他の組合せに適用することができ、ならびに他の種類の現場モニタリングシステムからの、例えば、光モニタリングまたは渦電流モニタリングシステムからの信号に適用することができる。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5A-C】
図6
【国際調査報告】