(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】ポリエステルポリオールおよびその調製方法
(51)【国際特許分類】
C08G 63/42 20060101AFI20240705BHJP
C08G 18/42 20060101ALI20240705BHJP
C09J 175/06 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
C08G63/42
C08G18/42
C09J175/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500290
(86)(22)【出願日】2022-05-31
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 EP2022064795
(87)【国際公開番号】W WO2023280478
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】ブラント,アドリアン
(72)【発明者】
【氏名】クックス,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ベック,ホルスト
(72)【発明者】
【氏名】ブレンガー,アンドレアス
【テーマコード(参考)】
4J029
4J034
4J040
【Fターム(参考)】
4J029AA03
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(57)【要約】
本発明は、少なくとも1種のアンヒドロヘキシトール、少なくとも1種の多官能性カルボン酸、および酸化状態が+1のリン原子を有する非金属無機酸性化合物、酸化状態が+3のリン原子を有する非金属無機酸性化合物、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1種の非金属無機酸性触媒を含む反応混合物から誘導されるポリエステルポリオールに関する。さらに、本発明は、ポリエステルポリオールの製造方法およびポリウレタン接着剤組成物におけるその使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のアンヒドロヘキシトール、
少なくとも1種の多官能性カルボン酸、および
酸化状態が+1のリン原子を有する非金属無機酸性化合物、酸化状態が+3のリン原子を有する非金属無機酸性化合物、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1種の非金属無機酸性触媒
を含む反応混合物から誘導されるポリエステルポリオール。
【請求項2】
前記アンヒドロヘキシトールがイソソルビドである、請求項1に記載のポリエステルポリオール。
【請求項3】
前記多官能性カルボン酸がバイオベースであり、好ましくは、アジピン酸、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、イタコン酸、フランジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、オルトフタル酸、二量体化脂肪酸、三量体化脂肪酸、およびそれらの混合物から選択される、請求項1または2に記載のポリエステルポリオール。
【請求項4】
前記少なくとも1種の非金属無機酸性触媒が、ホスフィン酸、ホスホン酸およびそれらの混合物から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリエステルポリオール。
【請求項5】
前記少なくとも1種のアンヒドロヘキシトールの量が、前記反応物の総モル数に基づいて20モル%~60モル%である、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリエステルポリオール。
【請求項6】
前記少なくとも1種の多官能性カルボン酸の量が、前記反応物の総モル数に基づいて、60モル%以下、好ましくは20モル%~50モル%である、請求項1~5のいずれかに一項に記載のポリエステルポリオール。
【請求項7】
前記反応混合物が、好ましくはバイオベースの、より好ましくはグリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、およびそれらの混合物から選択される、アンヒドロヘキシトール以外の少なくとも1種のポリオールをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリエステルポリオール。
【請求項8】
アンヒドロヘキシトール以外の前記少なくとも1種のポリオールの量が、前記反応物の総モル数に基づいて1モル%~50モル%、好ましくは10モル%~40モル%である、請求項7に記載のポリエステルポリオール。
【請求項9】
前記ポリエステルポリオールが液体非晶質、固体結晶質または固体非晶質である、請求項1~8のいずれか一項に記載のポリエステルポリオール。
【請求項10】
前記反応混合物が本質的に金属触媒を含まず、好ましくは前記反応混合物の全重量に基づいて0.02重量%未満の金属触媒を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のポリエステルポリオール。
【請求項11】
金属元素をポリエステルポリオールの0.002重量%未満、好ましくは0.001重量%未満の量で含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のポリエステルポリオール。
【請求項12】
1)少なくとも1種のアンヒドロヘキシトール、少なくとも1種の多官能性カルボン酸、少なくとも1種の非金属無機酸性触媒、および任意選択で少なくとも1種の直鎖または分岐脂肪族ポリオールを含む反応混合物を提供する工程、
2)前記反応混合物を段階的に200℃~220℃に加熱し、窒素フロー下で20時間~40時間維持する工程、
3)段階的に1~300mbarに減圧して反応を完了させ、反応生成物を得る工程、および
4)前記反応生成物の酸価が5以下になった時点で該反応生成物を冷却し、ポリエステルポリオールを得る工程
を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のポリエステルポリオールの調製方法。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも1種のポリエステルポリオールを含むポリオール成分と、少なくとも1種の多官能性イソシアネートを含むイソシアネート成分とを含む、ポリウレタン接着剤組成物。
【請求項14】
本発明の少なくとも1種のポリエステルポリオールを含むポリオール成分と、少なくとも1種の多官能性イソシアネートを含むイソシアネート成分とを含む反応混合物によって得られる反応生成物であるプレポリマーを含む、ポリウレタン接着剤組成物。
【請求項15】
請求項13または14に記載のポリウレタン接着剤組成物の硬化物を含む物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステルポリオール、特にバイオベースポリエステルポリオールおよびその調製方法に関する。さらに、本発明は、ポリエステルポリオールを含むポリウレタン接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルポリオールはポリウレタンを製造するための原料のひとつで、通常、多官能性カルボン酸とポリオールの縮合重合から得られる線状ポリマーである。縮合重合は可逆的な反応であるが、反応後期に反応混合物の粘度が高くなるにつれて、反応生成物である水を反応混合物から容易に分離できなくなる。そのため、加熱や攪拌速度を上げるなどの方法で、正反応方向を維持する必要がある。しかしながら、反応時間が長くなりすぎると、コストが高くなり、ポリエステルポリオールの特性が劣化する可能性がある。反応時間を短縮するために、ポリエステルポリオールの縮合重合に適した触媒が広く使用されてきた。
【0003】
一方、再生可能なバイオベース由来の資源も首尾よく開発されており、ココナツ油、天然ゴム、ゴム種子油、カシューナッツ/殻油、大豆油、およびイソソルビドなど、さまざまなバイオベース由来のポリオールがポリエステルポリオールに採用されている。
【0004】
中でもイソソルビドは、広く生物再生可能なグルコースの水素化物であるソルビトールの接触脱水反応によって製造できる。典型的なバイオベース化学物質であるイソソルビドは、V字型のジオール分子の硬質構造、高い熱安定性、生分解性、再生可能性、水への溶解性、無毒性など、多くの固有の特性を有しており、イソソルビドをモノマーとするポリマー材料に多くの特徴をもたらす可能性がある。最近では、ポリウレタン接着剤用のポリエステルポリオールの調製にイソソルビドが使用されている。
【0005】
例えば、米国特許出願公開第2013/0109804号明細書には、イソソルビド、イソマンニドおよびイソイディッドから選択される少なくとも1種のジオールと、ヘテロ原子を含むことができる炭素数1~15のジオールと、(iii)ジエステルカーボネートとを、トランスエステル化触媒として金属触媒を使用して反応させることによって得られるポリカーボネートジオールが開示されている
【0006】
米国特許第9309438号明細書には、少なくとも1種の(メタ)アクリル化化合物(A);およびアルキル-および/またはアリールスルホン酸のような強酸または有機金属化合物を触媒として使用して、少なくとも1種の環状エーテルポリオールを含むポリオール成分とポリ酸成分とから調製される少なくとも1種の不活性OH末端ポリエステル(B)を含む輻射線硬化性組成物が開示されている。
【0007】
米国特許出願公開第2009/0253888号明細書には、有機ホスフィン酸化合物を触媒として金属触媒と組み合わせて使用してポリエステルを調製する方法が開示されている。
【0008】
しかしながら、イソソルビドの反応性のため、イソソルビドの構成成分を多く含むポリエステルポリオールを従来の方法で重合すると、反応生成物が濃色で現れることが判明しており、これはイソソルビドが重合中に従来の触媒の存在下で副次的影響を受けることを示している。従って、イソソルビドを高含有量含むポリエステルポリオールを、コスト効率の高い触媒を使用して高転化率で製造することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0109804号明細書
【特許文献2】米国特許第9309438号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2009/0253888号明細書
【発明の概要】
【0010】
本発明の第一の目的は、
少なくとも1種のアンヒドロヘキシトール、
少なくとも1種の多官能性カルボン酸、および
酸化状態が+1のリン原子を有する非金属無機酸性化合物、酸化状態が+3のリン原子を有する非金属無機酸性化合物、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1種の非金属無機酸性触媒
を含む反応混合物から誘導されるポリエステルポリオールを提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、本発明の少なくとも1種のポリエステルポリオールを含むポリオール成分と、少なくとも1種の多官能性イソシアネートを含むイソシアネート成分とを含む、ポリウレタン接着剤組成物を提供することである。
【0012】
本発明のさらに別の目的は、本発明の少なくとも1種のポリエステルポリオールを含むポリオール成分と、少なくとも1種の多官能性イソシアネートを含むイソシアネート成分との反応生成物であるプレポリマーを含む、ポリウレタン接着剤組成物を提供することである。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、本発明の反応性接着剤組成物を含む、一液型、二液型または多液型の接着剤システムを提供することである。
【0014】
本発明のさらに別の目的は、本発明の一液型、二液型または多液型の接着剤システムを適用することを含む、材料の接着方法を提供することである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の文章で、本発明をより詳細に説明する。そのように説明された各態様は、明確に反対のことが示されていない限り、他の任意の態様または複数の態様と組み合わせることができる。特に、好ましいまたは有利であると示された特徴は、好ましいまたは有利であると示された他の任意の特徴または複数の特徴と組み合わせることができる。
【0016】
別段の定義がない限り、技術用語および科学用語を含む、本発明の開示において使用されるすべての用語は、本発明が属する技術分野における通常の当業者によって一般的に理解される意味を有する。本発明の教示をよりよく理解するためにさらなる指針を用いて用語の定義が記載される。
【0017】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない場合、単数形と複数形の両方の指示対象を含む。
【0018】
用語「comprising」、「comprises」および「comprised of」は、本明細書で使用される場合「including」、「includes」、または「containing」、「contains」と同義であり、包括的またはオープンエンドであり、追加の記載されていない部材、要素、またはプロセス工程を排除しない。
【0019】
用語「バイオベース」は、植物、樹木、動物などのバイオマスに少なくとも部分的に由来し、物理的、化学的、生物学的処理を受けた可能性のある材料または製品を指す。用語「完全バイオベース」は、植物、樹木、動物などのバイオマスに完全に由来し、物理的、化学的、生物学的処理を受けた可能性のある材料または製品を指す。
【0020】
数値の終点の記載は、記載された終点だけでなく、それぞれの範囲に含まれるすべての数値および分数を含む。
【0021】
本明細書中で引用されている文献はすべて参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0022】
本明細書でポリマーの分子量に言及する場合、別段の定めのない限り、この言及は平均分子量Mnを指す。ポリマーの数平均分子量Mnは、例えば、THFを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって決定できる。特に断りのない限り、分子量はポリスチレン標準物質で較正されたGPCによって決定された値である。平均分子量Mwもまた、Mnについて述べたように、GPCによって決定することができる。
【0023】
開示されるポリエステルポリオールは、少なくとも1種のアンヒドロヘキシトール、少なくとも1種の多官能性カルボン酸、および酸化状態が+1のリン原子を有する非金属無機酸性化合物、酸化状態が+3のリン原子を有する非金属無機酸性化合物、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1種の非金属無機酸性触媒を含む反応混合物から誘導される/得られる。
【0024】
アンヒドロヘキシトールは、ソルビトール(グルシトール)、マンニトール、イジトールのようなヘキシトールの脱水によって得られ、ヘキシトールは、通常は小麦、トウモロコシ、セルロースのような数種の生物学的原料に由来するグルコース、マンノース、イドースのようなヘキソースのカルボニル基を還元することによって生成される。
【0025】
二重脱水によりジアンヒドロヘキシトールが生じる。通常、アンヒドロヘキシトールは、ジアンヒドロマンニトール、ジアンヒドロソルビトール、ジアンヒドロイジトールおよびそれらの混合物のようなジアンヒドロヘキシトールである。ジアンヒドロヘキシトールは、好ましくはイソソルビド、イソマンニド、イソイジドなどのジアンヒドロソルビトールであり、より具体的にはイソソルビドである。数社がイソソルビド、イソマンニド、イソイジドの製造を専門にしている。
【0026】
好ましくは、少なくとも1種のアンヒドロヘキシトールの量は、ポリエステルポリオールの反応物の総モル数に基づいて20モル%~60モル%である。
【0027】
アンヒドロキシヘキシトールに加えて、ポリエステルポリオールの反応物は、多官能性カルボン酸と反応するために、任意選択でアンヒドロヘキシトール以外の少なくとも1種のポリオールを含んでいてもよい。
【0028】
こうしたポリオールの例としては、モノエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール(R体、S体およびラセミ体を含む)、1,4-ブタンジオール、1,4-ペンタンジオール、3-メチルペンタン-1,5-ジオール、ネオペンチルグリコール(2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール)、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オタングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2-メチルプロパン-1,3-ジオール、ジエチレングリコール(dithyleneglycol)、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコールおよびポリブチレングリコールが挙げられる。
【0029】
好ましくは、アンヒドロヘキシトール以外のポリオールは完全バイオベースである。こうしたポリオールの例としては、グリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール(R体、S体およびラセミ体を含む)、1,4-ブタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびトリエチレングリコールが挙げられるがこれらに限定されない。これらのポリオールは単独または組み合わせて使用される。
【0030】
一実施形態では、ポリエステルポリオールの反応物は、アンヒドロヘキシトール以外の少なくとも1種のポリオールを含む。存在する場合、アンヒドロヘキシトール以外のポリオールの量は、ポリエステルポリオールの反応物の総モル数に基づいて1モル%~35モル%である。
【0031】
別の実施形態では、本発明のポリエステルポリオールを調製するためのポリオール源として、ポリエステルポリオールの反応物はアンヒドロヘキシトールのみを含む。
【0032】
ポリエステルポリオールは、本発明の触媒の存在下、アンヒドロヘキシトールと、任意選択でアンヒドロヘキシトール以外の少なくとも1種のポリオールと、不足当量の多官能性カルボン酸との重縮合によって調製可能である。好ましくは、多官能性カルボン酸(例えばジカルボン酸および/またはトリカルボン酸)またはそれらの反応性誘導体(例えばカルボン酸無水物、塩化物、エステル)は、2~36個の炭素原子を有する。
【0033】
ジカルボン酸の例としては、アジピン酸、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、イタコン酸、フランジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、オルトフタル酸、二量化脂肪酸、三量化脂肪酸などが挙げられる。これらのジカルボン酸は単独で、あるいは組み合わせて使用される。カルボン酸無水物の例としては、無水アジピン酸、無水コハク酸などが挙げられる。これらのジカルボン酸無水物は単独または組み合わせて使用される。一実施形態では、多官能性カルボン酸は、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、二量化脂肪酸、三量化脂肪酸、およびそれらの混合物から選択される。
【0034】
二量化脂肪酸は、一価または多価不飽和酸および/またはそのエステルの二量化生成物である。好ましい二量化脂肪酸は、C10-~C36-、より好ましくはC12-~C24-、特にC14-~C22-アルキル鎖の二量体である。適当な二量化脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミトレイン酸、エライジン酸の二量化生成物が挙げられる。天然油脂、例えばヒマワリ油、大豆油、オリーブ油、菜種油、綿実油およびトール油の加水分解で得られる不飽和脂肪酸混合物の二量化生成物も使用できる。二量化(二量体)脂肪酸の例は、Crodaから市販されているPripol 1019、1013、1017、1006である。
【0035】
本発明によれば、少なくとも1種の多官能性カルボン酸の量は、ポリエステルポリオールの反応物の総モル数に基づいて、50モル%以下、好ましくは40~50モル%である。
【0036】
アンヒドロヘキシトールと任意のポリオールと多官能性カルボン酸との重縮合は、少なくとも1種の触媒の存在下で行われる。触媒は非金属無機酸性触媒であり、酸化状態が+1のリン原子を有する非金属無機酸性化合物、酸化状態が+3のリン原子を有する非金属無機酸性化合物、およびそれらの混合物から選択される。好ましい一実施形態では、少なくとも1種の非金属無機酸性触媒は、ホスフィン酸、ホスホン酸、およびそれらの混合物から選択される。さらに好ましい一実施形態では、非金属無機酸性触媒はホスフィン酸である。
【0037】
ポリエステルポリオールを調製するための反応混合物は、水などの少なくとも1種の溶媒をさらに含むことができる。存在する場合、溶媒は反応物の総重量の0.01~1重量%、より具体的には0.1~0.5重量%の量で含まれる。非金属無機酸性触媒は、まず水に5:1~1:5、好ましくは1:1の重量比で溶解し、他の反応物と混合して反応混合物を形成できる。
【0038】
本発明者らは、驚くべきことに、本発明の非金属無機酸性触媒が、例えば重合反応器の局所的な領域において、高温下での重縮合反応中のアンヒドロヘキシトールの分解を防止し、従来使用されているかなり高価な金属触媒や有機リン酸のような触媒と比べて、こうしたポリエステルポリオールの大規模製造のコストを低減できることを見出した。さらに、本発明の非金属無機酸性触媒を使用することで、アンヒドロヘキシトールをベースとするポリエステルポリオールの製造において、化学物質の登録や規制に適合しない有害な副生物を生成しない。従って、有機リン化合物を用いてイソソルビドを高含有量含むポリエステルポリオールを製造する際、所望の製品仕様、明るい製品色、反応時間の短縮、副反応の低減などのコストや技術的課題を克服できる。
【0039】
好ましくは、重縮合反応に使用される非金属無機酸性触媒の量は、反応物の全重量の0.001~5重量%、より具体的には0.02~1重量%の範囲である。
【0040】
さらに、ポリエステルポリオールの反応混合物は、有機リン酸、金属触媒、アミン触媒またはリン原子の酸化状態が+5の無機リン酸などの他の触媒を本質的に含まない。好ましくは、それは反応混合物の全重量に基づいて0.05重量%未満、特に0.02重量%未満のこうした触媒を含む。好ましい一実施形態では、ポリエステルポリオールの反応混合物は他の触媒を含まない。
【0041】
金属触媒の例はアルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド、マグネシウムアルコキシドおよびジルコニウムアルコキシド、スズ化合物、より具体的にはジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズビス-(2-エチルヘキサノエート)などの有機スズカルボン酸塩またはジブチルスズオキシド、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルスズジブロミド、ジブチルスズジクロリド、ジ-tert-ブチルスズジクロリド、ジメチルスズジブロミド、ジメチルスズジクロリド、ジフェニルスズジクロリド、またはオクトエートスズなどのその他の有機スズ化合物、酢酸鉄、安息香酸鉄、ナフテン酸鉄;鉄アセチルアセトナート、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、マンガンアセチルアセトナートなどが挙げられる。
【0042】
本発明によれば、より多量のアンヒドロヘキシトール構成ブロックを含むポリエステルポリオールは、好ましくは、(1)少なくとも1種のアンヒドロヘキシトール、少なくとも1種の多官能性カルボン酸、少なくとも1種の非金属無機酸性触媒、および任意選択で少なくとも1種の直鎖または分岐脂肪族ポリオールを含む反応混合物を供給して混合物を形成する工程、(2)該混合物を段階的に200℃~220℃に加熱し、窒素フロー下で20~40時間維持する工程、(3)段階的に1~300mbarに減圧して反応を完了させる工程、および(4)該反応混合物の酸価が5以下になった時点で該反応混合物を冷却し、ポリエステルポリオールを得る工程を含む方法により調製される。
【0043】
本発明において、上記のような方法で調製したポリエステルポリオールの物性に特に制限はない。好ましくは、ポリエステルポリオールは完全バイオベースであり、室温で非晶質液体、結晶性固体または非晶質固体の形態である。
【0044】
一般に、接着剤組成物および硬化接着剤の特性に悪影響を及ぼさない限り、接着剤組成物に使用されるポリエステルポリオールの分子量に特に制限はない。好ましくは、ポリエステルポリオールは500~20,000g/mol、特に1,000~10,000g/molの分子量Mnを有する。
【0045】
本発明において、ポリエステルポリオールは、好ましくは0.1~5、より好ましくは1~3mgKOH/gの酸価を有する。樹脂1gに含まれる酸基がすべて遊離酸であると仮定すると、本発明のポリエステルポリオールの「酸価」は、酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数の計算値で表される。従って、実際のシステムでは酸基が塩基として存在していても、遊離酸として見なされる。本発明の「酸価」は、ポリエステルポリオールを溶媒に溶解し、フェノールフタレインを指示薬として加え、DIN 51558に準拠して0.1mol/L水酸化カリウム-エタノール溶液で滴定することにより決定される。
【0046】
本発明において、ポリエステルポリオールは、5~150mgKOH/g、好ましくは10~120mgKOH/g、特に15~100mgKOH/gのヒドロキシル価を有し得る。本明細書で使用するヒドロキシル価とは、樹脂1gをアセチル化する際に、ヒドロキシル基に結合する酢酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数を意味する。
【0047】
本発明の「ヒドロキシル価」は、DIN 51558に準拠してポリエステルポリオールにアセチル化試薬を加え、グリセリン溶液で加熱し、冷却した後、指示薬としてフェノールフタレインを加え、水酸化カリウム-エタノール溶液で滴定することにより決定される。
【0048】
本発明において、ポリエステルポリオールは、-100℃~100℃のガラス転移温度を有し得る。ポリエステルポリオールのガラス転移温度は、示差走査熱量計を用いて測定される。適量の試料に対して、示差走査熱量法により昇温速度10℃/分でDSC曲線を測定し、得られたDSC曲線の変曲点の温度がガラス転移温度として見なされた。
【0049】
一実施形態では、ポリエステルポリオール、好ましくは完全バイオベース由来のポリエステルポリオールは非晶質液体である。好ましくは、こうしたポリエステルポリオールは、0.1~3mgKOH/gの酸価を有する。好ましくは、こうしたポリエステルポリオールは、30~120mgKOH/g、より好ましくは50~100mgKOH/gのヒドロキシ価を有する。好ましくは、こうしたポリエステルポリオールは-70~-20℃、より好ましくは-30~-60℃のTgを有する。
【0050】
別の実施形態では、ポリエステルポリオール、好ましくは完全バイオベース由来のポリエステルポリオールは結晶性固体である。好ましくは、こうしたポリエステルポリオールは、0.1~3mgKOH/gの酸価を有する。好ましくは、こうしたポリエステルポリオールは、20~100mgKOH/g、より好ましくは30~60mgKOH/gのヒドロキシ価を有する。好ましくは、こうしたポリエステルポリオールは、30~100℃、好ましくは40~70℃の融点を有する。
【0051】
さらに別の実施形態では、ポリエステルポリオール、好ましくは完全に生物学的由来のポリエステルポリオールは非晶質固体である。好ましくは、こうしたポリエステルポリオールは、0.1~3mgKOH/gの酸価を有する。好ましくは、こうしたポリエステルポリオールは、20~100mgKOH/g、より好ましくは30~80mgKOH/gのヒドロキシ価を有する。好ましくは、こうしたポリエステルポリオールは-15~80℃、より好ましくは-10~60℃のTgを有する。
【0052】
本発明の別の目的は、本発明の少なくとも1種のポリエステルポリオールを含むポリオール成分と、少なくとも1種の多官能性イソシアネートを含むイソシアネート成分とを含む、反応性接着剤組成物を提供することである。
【0053】
本発明によれば、反応性接着剤組成物は、反応性接着剤組成物の総重量に基づいて、5重量%~80重量%、好ましくは10重量%~50重量%の量のポリエステルポリオールを含む。
【0054】
本発明のさらに別の目的は、本発明の少なくとも1種のポリエステルポリオールを含むポリオール成分と、少なくとも1種の多官能性イソシアネートを含むイソシアネート成分とを含む反応混合物から得られる反応生成物であるプレポリマーを含む、ポリウレタン接着剤組成物を提供することである。
【0055】
本発明によれば、プレポリマーの反応物は、反応物の総重量に基づいて、5重量%~80重量%、好ましくは10重量%~50重量%の量のポリエステルポリオールを含む。
【0056】
本発明の実施に使用できる多官能性イソシアネートとしては、アルキレンジイソシアネート、シクロアルキレンジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、脂肪族-芳香族ジイソシアネートが挙げられる。適当なイソシアネート含有化合物の具体例としては、エチレンジイソシアネート、エチリデンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、シクロペンチレン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキシレン-1,4-ジイソシアネート、シクロヘキシレン-1,2-ジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2-ジフェニルプロパン-4,4'-ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,4-ナフチレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ジフェニル4,4'-ジイソシアネート、アゾベンゼン4,4'-ジイソシアネート、ジフェニルスルホン-4,4'-ジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、ジクロロヘキサメチレンジイソシアネート、フルフリリデンジイソシアネート、1-クロロベンゼン-2,4-ジイソシアネート、4,4',4”-トリイソシアナトトリフェニルメタン、1,3,5-トリイソシアナトベンゼン、2,4,6-トリイソシアナトトルエン、4,4'-ジメチルジフェニルメタン-2,2',5,5-テトラテトライソシアネートなどが挙げられるがこれらに限定されない。こうした化合物は市販されているが、こうした化合物を合成する方法は当技術分野でよく知られている。上記の単量体イソシアネートの二量体や三量体などのオリゴマーも本発明で利用できる。好ましくは、多官能性イソシアネートは4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)である。
【0057】
多官能性イソシアネートとしては、モノオールまたはモノヒドロキシフェノール化合物と有機ポリイソシアネートとの反応生成物などのブロック化ポリイソシアネートも挙げられる。これには、少なくとも2つのイソシアナト基を含む有機化合物が挙げられ、炭化水素ジイソシアネート(例えば、アルキレンジイソシアネートおよびアリーレンジイソシアネート)、並びに公知のトリイソシアネートおよびポリメチレンポリ(フェニレンイソシアネート)が含まれる。
【0058】
ブロック化イソシアネートの製造に使用するポリイソシアネートの実例としては、以下のものである:2,4'-ジイソシアナトトルエン、2,6-ジイソシアナトトルエン、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、1,2-ジイソシアナトエタン、1,3-ジイソシアナトプロパン、1,2-ジイソシアナトプロパン、1,4-ジイソシアナトブタン、1,5-ジイソシアナトペンタン、1,6-ジイソシアナトヘキサン、ビス(3-イソシアナトプロピル)エーテル、ビス(3-イソシアナトプロピル)スルフィド、1,7-ジイソシアナトヘプタン、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、1,6-ジイソシアナト-3-メトキシヘキサン、1,8-ジイソシアナトオクタン、1,5-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルペンタン、1,9-ジイソシアナトノナン、1,4-ブチレングリコールの1,10-ジイソシアナトプロピル)エーテル、1,11-ジイソシアナトウンデカン、1,12-ジイソシアナトドデカン、ビス(イソシアナトヘキシル)スルフィド、1,4-ジイソシアナトベンゼン、2,4-ジイソシアナトトリレン、2,6-ジイソシアナトトリレン、1,3-ジイソシアナト-o-キシレン、1,3-ジイソシアナト-m-キシレン、1,3-ジイソシアナト-p-キシレン、2,4-ジイソシアナト-l-クロロベンゼン、2,4-ジイソシアナト-l-ニトロベンゼン、2,5-ジイソシアナト-l-ニトロベンゼン、4,4-ジフェニルメチレンジイソシアネート、3,3-ジフェニルメチレンジイソシアネート、ポリメチレンポリ(フェニレンイソシアネート)、イソホロンジイソシアネートおよびそれらの混合物。
【0059】
本発明によれば、反応性接着剤組成物またはプレポリマーの反応物は、反応性接着剤組成物または反応物の総重量に基づいて、5重量%~50重量%、好ましくは10重量%~30重量%の量で多官能性イソシアネートを含む。
【0060】
反応性接着組成物のポリオール成分またはプレポリマーの反応物は、接着剤の特性をさらに向上させるために、他の高分子ポリオールを含むことができる。こうした他の高分子ポリオールは、バイオベース由来でも化石ベースであってもよい。好ましくは、接着剤組成物中のバイオマスの含有量を増加させるために、こうした高分子ポリオールもまたバイオベース由来である。好ましい一実施形態では、ポリオール成分はさらに他のバイオベース高分子ポリオールを含む。別の好ましい実施形態では、完全バイオベース由来のポリエステルポリオールおよび他のバイオベース高分子ポリオール(存在する場合)の量は、反応性接着剤組成物の総重量に基づいて、50重量%~85重量%である。
【0061】
存在する場合、他の高分子ポリオールは、該反応性接着剤組成物の全重量に基づいて1~50重量%の量で該接着剤組成物中に存在する。
【0062】
好ましい実施形態において、少なくとも1種の多官能性イソシアネートと、本発明の少なくとも1種のポリエステルポリオールおよび他の高分子ポリオール(存在する場合)とのモル比は、NCO/OHとして表すと、5:1~1:1、好ましくは2.5:1~1.05:1である。
【0063】
反応性接着剤組成物には触媒が含まれていてもよい。二液型接着剤組成物の場合、それをイソシアネート成分またはポリオール成分に含有させることができる。触媒を使用すると、ヒドロキシル基と多官能イソシアネートのイソシアネート基との架橋反応が促進される。触媒の例としては、第三級アミン化合物および有機金属化合物が挙げられる。
【0064】
第3級アミン化合物の例としては、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N-メチルモルホリン、ジアザビシクロウンデセン(別名DBU)などが挙げられる。
【0065】
有機金属化合物の例としては、スズ化合物および非スズ化合物が挙げられる。
【0066】
スズ化合物の例としては、ジブチルスズジクロリド、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジブロミド、ジブチルスズジマレエート、ジブチルスズジラウレート(別名DBTDL)、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズスルフィド、トリブチルスズスルフィド、トリブチルスズオキシドが挙げられ、例として、トリブチルスズアセテート、トリエチルスズエトキシド、トリブチルスズエトキシド、ジオクチルスズオキシド、トリブチルスズクロリド、トリブチルスズトリクロロアセテート、および2-エチルヘキサン酸スズが挙げられる。
【0067】
非スズ化合物の例としては、ジブチルチタニウムジクロリド、テトラブチルチタネート、およびブトキシチタニウムトリクロリドなどのチタン化合物、オレイン酸鉛、2-エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛などの鉛化合物が挙げられる。エチルヘキサン酸鉄、2,4-ペンタジオン酸鉄などの鉄化合物、安息香酸コバルト、2-エチルヘキサン酸コバルトなどのコバルト化合物、ナフテン酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸亜鉛などの亜鉛化合物、およびナフテン酸ジルコニウム。
【0068】
これらの中でも、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)、2-エチルヘキサン酸亜鉛などが反応性および衛生性の点で好ましい。
【0069】
接着剤組成物の触媒は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0070】
本発明の接着剤組成物は、有機溶媒を含んでも含まなくてもよい。有機溶媒の例としては、トルエン、イソホロン、キシレンなどの複素環式、脂肪族、または芳香族炭化水素、エチルヘキサノール、ブトキシプロパノール、イソプロパノール、ブチルジグリコール、メタノール、エタノール、プロパノール、およびブタノールなどの一価または多価アルコール、ジエチレングリコールジメチルエーテルおよびジプロピレングリコールメチルエーテル、エチルグリコールおよびブチルグリコールなどのエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ペンチルまたはエトキシプロピオン酸エチルなどのエステル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)およびアセトンなどのケトン、およびN-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、酢酸メトキシプロピルおよびジメチルホルムアミドなどのアミドが挙げられる。
【0071】
反応性接着剤組成物は、上記のように直接使用できるが、所望により、本発明の接着剤組成物は、該組成物に相溶性のある従来の添加剤を配合することもできる。添加剤は、ポリオールおよび/またはイソシアネートなどの他の成分に対して不活性であれば、ポリオール成分および/またはイソシアネート成分中に含まれていてもよい。こうした添加剤としては、接着促進剤、消泡剤、光学的光沢剤、ディスペンシング剤、顔料、粘度調整剤、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0072】
本発明の接着剤組成物に使用される好適な接着促進剤は、例えば、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス-(γ-トリメトキシシリルプロピル)アミン、N-β-(アミノエチル)-ガンマアミノプロピルメチルジメトキシシラン、トリス-(γ-トリメトキシシリル)イソシアヌレートおよびそれらの混合物などのシラン化合物である。
【0073】
添加剤として使用するのに適した消泡剤は、例えばアクリレートコポリマーである。
【0074】
添加剤として使用するのに適した光学的光沢剤は、例えば2,5-チオフェンジイルビス(5-tert-ブチル-1,3-ベンゾキサゾール)である。
【0075】
使用するのに適したディスペンシング剤は、例えば高分子量アルキロアミノ(alkyloamino)アミド、ヒドロキシ官能性カルボン酸エステルおよび構造化アクリレートコポリマーである。
【0076】
使用するのに適した顔料は、例えば顔料ペーストおよびカラーペーストである。
【0077】
使用するのに適した粘度調整剤は、例えばヒュームドシリカである。
【0078】
本発明の接着剤組成物/システムは、成分/部品/プレポリマーおよび任意選択の添加剤を混合することによって製造できる。本発明の目的とする接着剤が得られる限り混合方法に特に制限はない。また、成分の混合順序にも特に制限はない。本発明の接着剤組成物/システムは、特別な混合方法や特別な混合順序を必要とせずに製造できる。
【0079】
本発明はまた、本発明の接着剤システムを液状で第一の物品に適用し、第二の物品を該第一の物品に適用された該システムと接触させ、該適用されたシステムを、該システムが硬化し基材を結合させることができる条件に供することを含む、物品同士の接着方法を提供する。組成物は通常、液体または固体の形態で分配および貯蔵され、水分の非存在下で保存される。また、本発明の接着剤組成物の硬化物を含む製品も提供される。
【0080】
以下の実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明の概念を限定するものとして理解すべきではない。
【実施例】
【0081】
実施例では以下の材料を使用した。
セバシン酸はSigma Aldrichから入手した。
コハク酸はSigma Aldrichから入手した。
イソソルビドはRoquetteからPolysorb PAという商品名で入手した。
1,3-ブタンジオールはGodavari Biorefineriesから入手した。
1,2-プロパンジオールはSigma Aldrichから入手した。
エチレングリコールはSigma Aldrichから入手した。
二量体脂肪酸はCrodaからPripolという商品名で入手した。
ホスフィン酸はSigma Aldrichから入手した。
オルトリン酸はSigma Aldrichから入手した。
(2-メトキシフェニル)フェニルホスフィン酸はSigma Aldrichから入手した。
チタン(IV)イソプロピレートはSigma Aldrichから入手した。
2,4'-MDIはCovestroから入手した。
【0082】
ポリエステルポリオールの調製
ポリエステルポリオールの本発明例(実施例1~実施例6)を表1の配合に従って調製した。比較例のポリエステルポリオール(比較例1~比較例5)を表2の配合に従って調製した。
【0083】
窒素スパージ管、熱電温度計、オーバーヘッド撹拌機、蒸留アームを備えた1または5リットルの4つ口フラスコに、ポリ酸とポリオールを投入した。混合物を窒素フロー下、最高220℃まで段階的に加熱した。完全な反応には、反応組成物(モノマーと触媒)にもよるが、約20時間~40時間を要した。重量比1:1の触媒水溶液を、重縮合反応の最初から、または途中で直接添加した。続いて、システムの圧力を段階的に10~300mbarに下げ、完全転化を達成した。酸価が5mgKOH/g以下になった時点で、反応生成物を冷却した。このポリエステルポリオールは、酸価(mgKOH/g)、OH価(mgKOH/g)、特定温度での粘度(Pa・s)、およびGPC法に準じたMn(g/mol)により特徴付けられた。最終的なポリエステルポリオールのTgと融点Tm(℃)を決定するために、DSC測定を行った。
【0084】
【0085】
【0086】
表1および表2からわかるように、本発明に従って調製したポリエステルポリオールは、無色から淡黄色または黄色がかった色を示したが、本発明に従わずに調製したポリエステルポリオールは、暗色またはさらに黒色を示したことから、重合プロセスにおいてイソソルビドの分解が起こったことを示している。また、比較例5のポリエステルポリオールの調製には、真空条件下の16時間を含む26時間を要したのに対し、実施例1のポリエステルポリオールの調製には、真空条件下の13.5時間を含む21時間しか必要としなかった。
【国際調査報告】