IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェンの特許一覧

<>
  • 特表-二成分硬化性組成物 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】二成分硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/42 20060101AFI20240705BHJP
   C08K 5/00 20060101ALI20240705BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
C08G59/42
C08K5/00
C08L63/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501764
(86)(22)【出願日】2022-05-19
(85)【翻訳文提出日】2024-03-11
(86)【国際出願番号】 US2022072422
(87)【国際公開番号】W WO2023288149
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】63/222,144
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】コン、 スタンリー シェンチェン
【テーマコード(参考)】
4J002
4J036
【Fターム(参考)】
4J002CD011
4J002CD031
4J002CD101
4J002CD161
4J002CD171
4J002CD181
4J002CD201
4J002FD026
4J002FD146
4J002FD206
4J002GG00
4J002GH00
4J002GJ00
4J002GL00
4J002GN00
4J002GQ00
4J002HA03
4J036AA01
4J036AJ07
4J036AK02
4J036AK03
4J036AK08
4J036AK17
4J036AK19
4J036DB18
4J036DB20
4J036DB21
4J036DB22
4J036DB23
4J036DB30
4J036HA12
4J036JA01
4J036JA06
4J036JA07
4J036KA01
(57)【要約】
【解決手段】
室温で硬化可能な二成分硬化性組成物とその用途について記載する。硬化性組成物はイソシアネート系に代わるものであり、数秒から数か月以内に硬化するように速度論的に調整可能である。硬化性組成物は、食品包装を包含する消費者包装用のコーティング、接着剤、シーラント、及びエラストマーとして特に有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)オキシラン又はオキセタン官能化成分、及び
b)構造(i)を有する多官能酸誘導体
を含む、二成分硬化性組成物であって、
【化1】
(式中、R’及びR”が独立してHであるか、又はR’-=-R”が芳香環であり、芳香環上にさらに置換基を含有してもよく、mは0又は1であり、nは2~100の正の整数であり、Xは多官能基ラジカル骨格である)
前記多官能酸誘導体が、(1)3未満のpKa1を有する、構造(ii)を有する二酸前駆体、又は(2)前記二酸(ii)の対応する無水物から調製される、二成分硬化性組成物。
【化2】
【請求項2】
前記オキシラン又はオキセタン官能化成分が、脂肪族又はグリシジルエポキシ樹脂から選択される、請求項1に記載の二成分硬化性組成物。
【請求項3】
前記オキシラン又はオキセタン官能化成分が、シリコーン、ポリブタジエン、1,4-ポリイソプレン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、及びそれらの混合物から成る群から選択されるポリマー骨格に結合したエポキシ官能基を有する、請求項1に記載の二成分硬化性組成物。
【請求項4】
前記多官能酸誘導体が、シュウ酸誘導体、マレイン酸誘導体、フマル酸誘導体、フタル酸又はトリメリット酸誘導体から成る群から選択される、請求項1に記載の二成分硬化性組成物。
【請求項5】
粘着付与剤、可塑剤、触媒、硬化剤、溶媒、又は添加剤をさらに含む、請求項1に記載の二成分硬化性組成物。
【請求項6】
a)再生可能なトリグリセリド化合物から調製されるエポキシ化油、及び
b)構造(i)を有する多官能酸誘導体
を含む二成分硬化性組成物であって、
【化3】
(式中、R’及びR”が独立してHであるか、又はR’-=-R”が芳香環であり、芳香環上にさらに置換基を含有してもよく、mは0又は1であり、nは2~100の正の整数であり、Xは多官能基ラジカル骨格である)
前記多官能酸誘導体が、(1)3未満のpKa1を有する、構造(ii)を有する二酸前駆体、又は(2)前記二酸(ii)の対応する無水物から調製される、二成分硬化性組成物。
【化4】
【請求項7】
前記再生可能なトリグリセリド化合物が、大豆、高オレイン酸大豆、パーム、アブラナ、トウモロコシ、綿実、亜麻仁、リノーラ、オリーブ、米、ベニバナ、ゴマ、ヒマワリからの油及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項6に記載の二成分硬化性組成物。
【請求項8】
前記再生可能なトリグリセリド化合物が、大豆油、高オレイン酸大豆油、菜種油又はパーム油である、請求項7に記載の二成分硬化性組成物。
【請求項9】
前記多官能成分が、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、トリメリット酸、及び対応する誘導体から成る群から選択される、請求項6に記載の二成分硬化性組成物。
【請求項10】
粘着付与剤、可塑剤、触媒、硬化剤、溶媒、又は添加剤をさらに含む、請求項6に記載の二成分硬化性組成物。
【請求項11】
a)オキシラン又はオキセタン官能化成分、並びに
b)3.0未満のpKa1を有し、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、トリメリット酸、及びそれらの誘導体から成る群から選択されるジカルボン酸又はトリカルボン酸
を含む、二成分硬化性組成物。
【請求項12】
前記オキシラン又はオキセタン官能化成分が、大豆、ヤシ、アブラナ、トウモロコシ、綿実、亜麻仁、リノーラ、オリーブ、米、ベニバナ、ゴマ、ヒマワリ、及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項11に記載の二成分硬化性組成物。
【請求項13】
前記オキシラン又はオキセタン官能化成分が、脂肪族エポキシ樹脂又はグリシジルエポキシ樹脂から選択される、請求項11に記載の二成分硬化性組成物。
【請求項14】
粘着付与剤、可塑剤、触媒、硬化剤、溶媒、又は添加剤をさらに含む、請求項11に記載の二成分硬化性組成物。
【請求項15】
接着剤、シーラント、エラストマー、又はコーティングである、請求項1、6又は11に記載の二成分硬化性組成物。
【請求項16】
請求項1、6又は11に記載の二成分硬化性組成物を含む物品。
【請求項17】
基材をさらに含む、請求項16に記載の物品。
【請求項18】
柔軟な包装、ラミネート、又はフィルムである、請求項17に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室温で硬化可能な二成分硬化性組成物及びその使用に関する。この硬化性組成物は、イソシアネート系に代わるものであり、約48時間以内に硬化するように速度論的に調整可能である。硬化性組成物は、食品包装を包含する消費者包装用のコーティング、接着剤、シーラント、及びエラストマーとして特に有用である。
【背景技術】
【0002】
室温で硬化可能な二成分硬化性組成物は、電気・電子機器、建築物、車両、医療機器、電化製品、食品包装等を包含する幅広い用途で、コーティング、接着剤、シーラント、及びエラストマーとして有用である。典型的に、硬化性組成物は、対象用途に適した硬化プロファイルを必要とする。コストも懸念されるが、消費者にとっての安全性と持続可能性への重要視が、新規の硬化性組成物を開発するための主要な要因となっている。
【0003】
イソシアネートは典型的に、二成分室温硬化性ポリウレタン組成物として使用されるが、この系には安全性と環境問題に関連する問題があるため、代替の解決策が必要である。例えば、ポリウレタンは、柔軟な包装用の接着剤、インク、及びコーティングの一般的な成分である。現在、柔軟な包装内の全ての接着剤の約90%はポリウレタンベースである。食品を詰める前にポリウレタンベースの接着剤が完全に硬化していない場合、第一級芳香族アミン(PAA)が発生し得る。このような場合、接着剤中の未反応の残留イソシアネートモノマーが、食品及びPAAフォーム内の水分と反応する。それらは移動して食品中に残留し、人間、ペット、又は家畜の食物摂取につながり得る。特定のPAAは発がん性があることが確認されているため、毒性学的懸念事項がある。
【0004】
典型的に、ポリウレタンと共に使用されるイソシアネートは、ヒトに対する潜在的な発がん物質と、動物に対する既知の発がん物質として分類される。さらにイソシアネートは、職場における安全上の懸念を引き起こす。OSHA(労働安全衛生局)によると、イソシアネートへの曝露による健康への影響としては、皮膚及び粘膜の刺激、胸の圧迫感、並びに呼吸困難等が挙げられる。危険な暴露の主な影響は、職業上の喘息及び他の肺の問題、並びに目、鼻、喉、及び皮膚の炎症である。
【0005】
イソシアネート系の代替の1つは、ビニルシリル化合物によるヒドリドシリル化合物のヒドロシリル化、又は様々な骨格(例えば、シリコーン、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、炭化水素)上でのアルコキシシラン又はアセトキシシランの湿気硬化を伴うシリコンベースの系である。しかしながら、これらは金銭的コストが高い。ヒドロシリル化硬化系には重金属触媒が必要であるが、その反応性が系内の他の不純物による影響を受けやすいため、反応速度が遅くなる。湿気硬化系の場合、硬化速度は水分の移動に依存する。また、メタノール又は酢酸が副生する場合が多く、安全性が懸念される。
【0006】
イソシアネート系の代替のもう1つは、求核試薬(例えば、チオール又はアミン)による電子不足化合物(例えば、アクリレート、マレイミド)とのマイケル付加を利用することである。チオール及びアミンは、典型的に、強く不快な臭気を有するため、食品包装には望ましくない。
【0007】
高速二成分硬化系のさらに別の代替は、嫌気性アクリレート/メタクリレート系である。しかしながら、これらの嫌気系に適合する触媒のほとんどは有毒であると考えられている。繰り返しになるが、このような系は食品包装には望ましくない。
【0008】
チオール及びアミン硬化剤を含むエポキシベースの系もまた、室温硬化可能な接着剤である可能性がある。しなしながら、室温では硬化速度が遅くなり得る。さらに、チオール及びアミンの硬化臭は、食品包装にとって課題である。
【0009】
したがって、当技術分野では、イソシアネート系以外の速度論的に調整可能な代替の室温硬化性系が必要とされている。本発明は、この必要性を満たすものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、室温硬化性組成物、並びにコーティング、接着剤、シーラント、及びエラストマー(CASE)のためのその使用を提供する。特に、産業用及び消費者用包装の接着及び組み立てに使用される。使用においては、これらは、モバイル機器、コンピュータ、テレビ/モニター、シーラント及びコーキング材、ギャップフィラーサーマルインターフェース材、食品包装を包含する包装、感圧接着剤等を包含する。これらの組成物を他の硬化系(例えば、UV、嫌気性、湿気硬化)と組み合わせて二重硬化系を作成することもできる。
【0011】
本発明の一態様は、
a)オキシラン又はオキセタン官能化成分、及び
b)構造(i)を有する多官能酸誘導体
を含む二成分硬化性組成物であって、
【0012】
【化1】
(式中、R’及びR”が独立してHであるか、又はR’-=-R”が芳香環であり、芳香環上にさらに置換基を含有してもよく、mは0又は1であり、nは2~100の正の整数であり、Xは多官能基ラジカル骨格である)
前記多官能酸誘導体が、3未満のpKa1を有する、構造(ii)を有する二酸前駆体から調製されるか、又は前記二酸(ii)の対応する無水物から調製される、二成分硬化性組成物に関する。
【0013】
【化2】
【0014】
本発明の別の態様は、
a)再生可能なトリグリセリド化合物から調製されるエポキシ化油、及び
b)構造(i)を有する多官能酸誘導体
を含む二成分硬化性組成物であって、
【0015】
【化3】
(式中、R’及びR”が独立してHであるか、又はR’-=-R”が芳香環であり、芳香環上にさらに置換基を含有してもよく、mは0又は1であり、nは2~100の正の整数であり、Xは多官能基ラジカル骨格である)
前記多官能酸誘導体が、3未満のpKa1を有する、構造(ii)を有する二酸前駆体から調製されるか、又は前記二酸(ii)の対応する無水物から調製される、二成分硬化性組成物に関する。
【0016】
【化4】
【0017】
本発明のさらに別の態様は、
a)オキシラン又はオキセタン官能化成分、並びに
b)3.0未満のpKa1を有し、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、トリメリット酸、及びそれらの誘導体から成る群から選択されるジカルボン酸又はトリカルボン酸
を含む二成分硬化性組成物に関する。
【0018】
本発明の別の態様は、コーティング、接着剤、シーラント、又はエラストマーである二成分硬化性組成物を含む製品に関する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、(1)ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びシュウ酸(B-OA、実線、実施例10)、並びに(2)脂環式エポキシ及びシュウ酸(S-OA、点線、実施例9)の反応付加物のサイズ排除クロマトグラフィープロットである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾が生じた場合には、定義を包含する本文書が優先される。好ましい方法及び材料を以下に説明するが、本明細書に記載のものと類似又は同等の方法及び材料を本開示の実践又は試験に使用することができる。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。本明細書に開示される材料、方法、及び実施例は、例示のみを目的とするものであり、限定することを意図したものではない。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「含む(comprising)」は、実施形態「~から成る(consisting of)」及び「本質的に~から成る(consisting essentially of)」を包含してもよい。本明細書で使用される場合、用語「含む(comprise(s))」、「包含する(include(s))」、「有する(having)」、「有する(has)」、「できる(can)」、「含有する(contain(s))」及びそれらの変形は、指定された成分/工程の存在を必要とし、他の成分/工程の存在を許容する、制限のない移行句、用語、又は単語であることを意図している。しかしながら、こうした説明は、組成物又は方法を、列挙された成分/工程から「成る」及び「本質的にそれらから成る」ものとして記載するものとも解釈されるべきであり、これにより、列挙された成分/工程のみと、それらから生じる可能性のある不純物の存在が許容され、他の成分/工程は除外される。
【0022】
本明細書における数値は、特にポリマー又はポリマー組成物に関する場合、異なる特性の個々のポリマーを含有してよい組成物の平均値を反映する。さらに、特に断りのない限り、数値は、同じ有効数字に換算した場合に同じ数値と、値を決定するための本出願に記載されるタイプの従来の測定技術の実験誤差未満だけ記載の値と異なる数値とを包含すると理解されるべきである。
【0023】
本明細書に開示される全ての範囲は、列挙された終点を包含し、独立して組み合わせることができる(例えば、「2~10」の範囲には、終点2及び10、並びに全ての中間値が包含される)。本明細書に開示される範囲の終点及び任意の値は、正確な範囲又は値に限定されない;これらは、これらの範囲及び/又は値に近似する値を含めるには十分に不正確である。本明細書で使用される場合、近似言語は、関連する基本機能の変更をもたらすことなく、変化する可能性のある任意の定量的表現を修正するために適用されてよい。したがって、「約」等の用語によって修飾された値は、場合によっては、指定された正確な値に限定されない場合がある。少なくともいくつかの例では、近似言語は、値を測定するための機器の精度に対応してよい。修飾語「約」も、2つの終点の絶対値によって定義される範囲を開示するとみなされる必要がある。例えば、「約2~約4」という表現は、「2~4」の範囲も開示する。「約」という用語は、示された数値のプラス又はマイナス10%を指す場合がある。例えば、「約10%」は9%~11%の範囲を示す場合があり、「約1」は0.9~1.1を意味する場合がある。「約」の他の意味(四捨五入等)は文脈から明らかであり、例えば「約1」は0.5~1.4を意味する場合もある。
【0024】
本明細書で使用される場合、ポリマー又はオリゴマーは、約1つのモノマー単位以上のモノマー単位から成る巨大分子である。ポリマーとオリゴマー、又はポリマーとオリゴマーは、本発明において互換的に使用される。
【0025】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、C1~C24の炭素とその部分の炭素原子間の単結合のみを含有する一価の直鎖、環状、又は分枝鎖部分を指し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、ヘプチル、2,4,4-トリメチルペンチル、2-エチルヘキシル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-ヘキサデシル、及びn-オクタデシルが挙げられる。さらに、アルキル基は、主鎖又は側鎖に不飽和原子及び/又はヘテロ原子をさらに含有してもよい。
【0026】
本明細書で使用される場合、「アリール」という用語は、単環(例えば、フェニル)又は複数の縮合環を有する炭素原子数6~24の一価不飽和芳香族炭素環基を指し、ここで、少なくとも1つの環は芳香族(例えば、ナフチル、ジヒドロフェナントレニル、フルオレニル、又はアントリル)である。好ましい例としては、フェニル、メチルフェニル、エチルフェニル、メチルナフチル、エチルナフチル等が挙げられる。
【0027】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」という用語は、-O-R基を指し、ここでRは上で定義したアルキルである。
【0028】
本明細書で使用される場合、上記の基はさらに置換されていても、非置換であってもよい。置換される場合、基上の水素原子は、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、(ヘテロアリシクリル)アルキル、ヒドロキシ、保護ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、エステル、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロゲン、カルボニル、チオカルボニル、O-カルバミル、n-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、保護されたC-カルボキシ、O-カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミド、モノ-及びジ-置換アミノ基を包含するアミノ、並びにそれらの保護された誘導体から選択される1つ以上の基である置換基に置き換えられる。アリールが置換されている場合、アリール基上の置換基は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、及びヘテロシクリルを包含する、アリール基に縮合した非芳香環を形成してもよい。
【0029】
本明細書における「室温硬化」という用語は、約20℃~約30℃の範囲の周囲温度での系の架橋を指す。
【0030】
二成分硬化性組成物は、化学反応によって硬化する。周囲温度で適切に硬化するには、2つの成分の各成分を適切な量で添加し、混合する必要がある。混合すると、様々な物品で基材を接着して結合するために使用できる。二成分硬化性組成物は、48時間以内に硬化するように動力学的に調整することができる。
【0031】
二成分硬化性組成物の1つ、すなわち第1の成分は、オキシラン又はオキセタン官能化成分である。オキシラン官能化成分は、グリシジルエポキシ樹脂であってもよく又は非グリシジルエポキシ樹脂であってもよい。非グリシジルエポキシ樹脂としては、脂肪族エポキシ樹脂であることが好ましい。グリシジルエポキシ樹脂としては、エポキシがグリシジルエーテル(z)、グリシジルエステル(y)、グリシジルカーボネート(x)又はグリシジルウレタン(w)官能基を有することが好ましい。
【0032】
【化5】
【0033】
「オキセタン化合物」という用語は、一般に、オキセタン官能基を有する任意の小分子、オリゴマー、又はポリマーを指す。オキスタン化合物は、一般に構造(v)を有する。
【0034】
【化6】
【0035】
式中、R、R、R、R、R、及びRは、水素、並びにアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アリール、エステル、チオエステル、及びスルフィド基からなる群から選択される。オキセタン化合物は、単官能性又は多官能性であり得、同じ分子内に他の反応性官能基(例えば、オキシラン)を含有することもできる。
【0036】
別の実施形態では、オキセタンの出発成分は、ウレタンオキセタン及びその異性体である。
【0037】
【化7】
【0038】
さらに別の実施形態では、ポリマーメチレンジフェニルジイソシアネートをトリメチロールプロパンオキセタンと反応させて、多官能性オキセタンを生成する。
【0039】
ビスフェノールAジグリシジルエーテルよりも毒性が低いことが必要な用途には、次の出発成分が好ましく使用される。さらに、これらのエポキシに由来するオリゴマーも毒性を軽減するために使用される可能性がある。
【0040】
【化8】
【0041】
式中、R、R、R、及びRは、前述のアルキル基である。R、R、R、及びRがメチルである場合の有用なモノマーの例を以下に示す。
【0042】
【化9】
【0043】
別の実施形態では、オキシラン又はオキセタン官能化成分のエポキシ官能基は、ポリマー主鎖に結合している。ポリマー主鎖は非限定的であり、好ましくはシリコーン、ポリブタジエン、1,4-ポリイソプレン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、又はそれらの混合物である。
【0044】
別の実施形態では、第1の成分は、再生可能なトリグリセリド化合物から調製されるエポキシ化油である。現在、再生可能なトリグリセリド化合物は、大豆、高オレイン酸大豆、パーム、アブラナ/キャノーラ、トウモロコシ、綿実、亜麻仁、リノーラ、オリーブ、米、ベニバナ、ゴマ、ヒマワリ、及びそれらの混合物から抽出された油であってよい。新しい発見があれば、この再生可能な油と植物のリストは拡大し、代替品として利用できる。再生可能なトリグリセリド化合物を形成するには、大豆油、高オレイン酸大豆油、ナタネ/キャノーラ油又はパーム油が特に好ましい。
【0045】
第二の二成分硬化性組成物は、多官能性酸誘導体である。この多官能性酸誘導体は、構造(i)を有する。
【0046】
【化10】
【0047】
(式中、R’及びR”が独立してHであるか、又はR’-=-R”が芳香環であり、芳香環上にさらに置換基を含有してもよく、mは0又は1であり、nは2~100の正の整数であり、Xは多官能基ラジカル骨格である)。多官能性酸誘導体は、構造(ii)を有し、3未満のpKa1を有する二酸前駆体から調製される。
【0048】
【化11】
【0049】
多官能性酸誘導体は、対応する二酸の無水物から調製することもできる。
【0050】
多官能性酸誘導体は、好ましくは、シュウ酸、マレイン酸誘導体、フマル酸誘導体、又はフタル酸、又はトリメリット酸誘導体の誘導体である。
【0051】
別の実施形態では、多官能性酸誘導体は、3.0未満のpKa1を有するジカルボン酸又はトリカルボン酸である。ジカルボン酸又はトリカルボン酸は、シュウ酸(pKa1=1.3)、マレイン酸(pKa1=1.9)、フマル酸(pKa1=3.0)、フタル酸(pKa1=2.9)、トリメリット酸(pKa1=2.52)、及びそれらの誘導体から成る群から選択されることが好ましい。
【0052】
第1の成分の反応性官能基と第2の成分の反応性官能基との比は、1:10,000~10,000:1、好ましくは約2:1~1:2の範囲である。
【0053】
第1の成分がオキシラン化合物の場合、第1の成分と第2の成分の反応は、以下のスキームに従うと予想されるが、エポキシ官能基のある程度の単独重合が予想される。
【0054】
【化12】
【0055】
第1の成分がオキセタン化合物の場合も同様の反応が予想される。この反応を促進するために熱を加えてもよい。
【0056】
【化13】
【0057】
あるいは、アルコール無水物開環、酸エポキシ開環、又はエステル交換は、多官能性酸硬化剤を合成するための異なるアプローチである。
【0058】
二成分硬化性組成物は、任意で、粘着付与剤、可塑剤、触媒、硬化剤、溶媒又は添加剤を含んでもよい。これらの任意成分のそれぞれは、第1の成分又は第2の成分のいずれかに添加されてよい。
【0059】
粘着付与剤は、任意の典型的な樹脂、例えば、ロジン及びその誘導体、テルペン及び変性テルペン、脂肪族、脂環式及び芳香族樹脂(C5脂肪族樹脂、C9芳香族樹脂、及びC5/C9脂肪族/芳香族樹脂)、水素化炭化水素樹脂、及びそれらの混合物、テルペン-フェノール樹脂(TPR、エチレン-酢酸ビニル接着剤でよく使用される)、ノボラック等であってよい。
【0060】
可塑剤は、オルトフタル酸塩、トリメリット酸塩、アジピン酸塩、セバシン酸塩、又はグリセロールトリアセテート、クエン酸アルキル、植物油ベースの可塑剤等の生物ベースの可塑剤であってもよい。他の可塑剤としては、アゼレート、ジベンゾエート、テレフタレート、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル、アルキルスルホン酸フェニルエステル、有機リン酸塩、グリコール及びポリエーテル、並びにポリマー可塑剤が挙げられる。
【0061】
触媒は、アミン系及びその誘導体、リン化合物、酸、金属錯体等であってもよい。
【0062】
溶媒としては、酢酸エチル、酢酸メチル、アセトン、メチルイソブチルケトン、エーテル、エタノール、ヘキサン、ヘプタン、トルエン等が挙げられる。
【0063】
他の任意の成分としては、充填剤、顔料、接着促進剤、消泡剤、レオロジー調整剤、硬化促進剤等が挙げられる。
【0064】
第1の成分(オキシラン又はオキセタン官能化又はエポキシ化油)又は第2の成分(pKa1が3.0未満の多官能性酸誘導体又はジカルボン酸若しくはトリカルボン酸)と任意の成分とを、高速ミキサー、プラネタリーミキサー、ブラベンダーミキサー等で均一になるまで混合及び分散して調製する。いずれの場合も、早期硬化を防ぐために、第1の成分と第2の成分が互いに接触しないように注意する。
【0065】
2つの別々の成分が組み合わされて、コーティング、接着剤、シーラント、エラストマーとして形成される。2つの別々の成分を室温で一緒に組み合わせて、基材上に塗布してよい。これをさらにコーティングし、必要に応じて乾燥させて溶媒を除去してよい。別の実施形態では、混合後、2つの成分を基材上に分配して、チャネル若しくは隙間を埋める等のさらなる操作を行ったり、又は2つの基材の間に押し込んで接着結合を形成したりすることができる。
【0066】
さらに別の実施形態では、別個の成分は、分配直前に混合する2つの別個のチャンバを有するスタティックミキサーを通して基材上に分配することができる。
【0067】
基材としては、紙、ポリプロピレン、PET、ポリエチレン、ナイロン、金属化フィルム、アルミニウム箔、ステンレス鋼、銅等の金属箔等を包含する柔軟なフィルムが挙げられる。基材には、板紙、木材、エンジニアリングプラスチック、金属、セメント、タイル等の硬質材料も包含され得る。
【0068】
組み合わせた2成分を基材に塗布すると、約1分から約72時間で硬化することができ、又は硬化中の応力蓄積を最小限に抑えるためにゆっくりとした硬化が好ましい場合には数週間かかる場合もある。硬化速度は、硬化剤、促進剤、及び/又は温度に応じて、所望の時間を満たすように当業者によって設計することができる。二成分硬化性組成物は、モバイル機器、コンピュータ、テレビ/モニター、シーラント及びコーキング材、ギャップフィラーサーマルインターフェース材、包装、柔軟な包、食品包装、ラミネート、感圧接着剤等の消費財の包装に使用できる。
【実施例
【0069】
当業者には明らかなように、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の多くの修正及び変形を行うことができる。本明細書に記載される特定の実施形態は、例としてのみ提供され、本発明は、添付の特許請求の範囲の用語及びそのような特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲によってのみ限定されるべきである。
【0070】
実施例1:ジエチレングリコール-無水フタル酸付加物の合成及びESBOとの硬化
100mlの丸底フラスコに、無水フタル酸(融点131~134℃、対応するフタル酸のpKa1値2.9)29.6gとジエチレングリコール10.6gを入れた。撹拌しながら約135℃に加熱して無水物を溶解し、さらに60分間撹拌した。透明で粘性の高い物質が得られた。この生成物をDEG-2Paと名付けた。
H NMR(CDCl):8.10-7.45ppm(8H),4.56-4.36ppm(4H),3.98-3.60ppm(4H)
【0071】
【化14】
【0072】
【表1】
【0073】
フタル酸ハーフエステル誘導体はESBOを硬化し、平均硬化速度は約2週間から3ヶ月であった。
【0074】
実施例2:無水マレイン酸-DEG付加物の合成及びESBOとの硬化
小さなジャーに、無水マレイン酸1.96g(対応するマレイン酸のpKa1値1.9)とジエチレングリコール(DEG)1.06gを混合し、120℃で30分間加熱した。わずかに黄色の溶液が得られた。H NMR(CDCl):10.72-10.44ppm(2H),7.06ppm(0.39H,残留無水マレイン酸),6.45-6.25ppm(3.61H),4.28-4.44ppm(3.55H),3.86-3.59ppm(4.46H)により、無水マレイン酸の転化率が90%以上であることが示された。この生成物をDEG-2MAと名付けた。6.90-6.80ppm領域のH NMRピークは、マレイン酸エステルの熱異性化により形成された微量のフマル酸エステルに由来すると考えられる。
【0075】
【化15】
【0076】
冷却し、9.5gのヴィコフレックス7170を添加した。混合後、濁った溶液が得られた。ゲル化は何時間も観察されなかった。試料は2~3日で濃化し、4日でゲル化し始めた。約5日で完全にゲル化した。最終的には約2~3ヶ月でショアOO硬度85までゲル化した。
【0077】
実施例3:無水マレイン酸-HD付加物の合成
DEGをヘキサンジオール(HD)に置き換えて上記の合成を繰り返すと、固体の二酸が得られ、これは120℃のオーブンで融解した。この生成物をHD-2MAと名付けた。H NMR(CDCl):11.17-10.41ppm(2.06H),7.06ppm(0.24H,残留無水マレイン酸),6.98-6.76ppm(0.05H,フマル酸エステル),6.50-6.16ppm(3.70H),4.36-4.11ppm(3.71H),3.78-3.60ppm(0.17H),1.87-1.17ppm(8.00H)。
【0078】
【化16】
【0079】
実施例4:無水マレイン酸-MPD付加物の合成及びESBOとの硬化
3-メチル1,5-ペンタンジオール(MPD)を使用して上記の手順を繰り返したところ、得られた生成物は透明な液体であり、MPD-2MAと名付けた。H NMRは、無水マレイン酸の95%の変換を示した。H NMR(CDCl):11.40-11.00ppm(2.06H),7.06ppm(0.21H,残留無水マレイン酸),6.90-6.80ppm(0.03H,フマル酸エステル),6.51-6.20ppm(3.74H),4.47-4.13ppm(3.79H),3.84-3.65ppm(0.18H),1.91-1.35ppm(4.99H),1.07-0.86ppm(3.00H)
【0080】
【化17】
【0081】
4.75gのヴィコフレックス7170を1.58gのMPD-2MAと混合すると、透明な溶液が得られた。溶液は3日でゲル化し始め、4日で完全にゲル化した。2ヶ月後、硬化した試料はほとんど粘着性がなかった。
【0082】
実施例5:無水マレイン酸-ダイマージオール付加物の合成とESBOとの硬化
5.40gのダイマージオール(プリポール2033)及び1.96gの無水マレイン酸を使用して、上記の合成手順を135℃で1時間繰り返した。得られた生成物は透明な液体であり、DD-2MAと名付けた。H NMR(CDCl):7.06ppm(0.42H,残留無水マレイン酸),6.52-6.34ppm(3.58H),4.35-4.14ppm(3.62H),3.72-3.63ppm(0.37H),2.06-0.58ppm(66.64H)。これは、無水マレイン酸の約90%の変換を示した。
【0083】
【化18】
【0084】
4.75gのヴィコフレックス7170を3.68gのDD-2MAと混合し、透明な溶液を得た。この溶液は5日でゲル化し始め、6日で完全に硬化した。2ヶ月後、硬化した試料はほとんど粘着性がなかった。
【0085】
実施例6:無水マレイン酸-トリメチロールプロパン付加物の合成及びESBOとの硬化
【0086】
【化19】
【0087】
ガラス瓶に、1.34gのトリメチロールプロパン及び2.94gの無水マレイン酸を加え、130℃のオーブンで1時間加熱した。この生成物をTMP-3MAと名付けた。H NMR(アセトン-d):7.35ppm(0.07H),6.88-6.77ppm(0.47H),6.55-6.33ppm(5.59H),4.34-4.08ppm(5.65H),3.6-3.5ppm(0.30H),1.68-1.45ppm(2H),1.00-0.80ppm(3H)。冷却したら、9.50gのヴィコフレックス7170を添加した。これにより、わずかに曇った混合物が得られた。この試料は1日で硬化し、少し粘着性のある固体になった。2ヶ月で硬化してショアD60の不透明試料になった。
【0088】
実施例7:無水マレイン酸-CAPA3031付加物の合成及びESBOとの硬化
ガラス瓶に、3.0gのCAPA(登録商標)3031(パーストープ製のMW~300、EW~100のポリエステルトリオール)及び2.94gの無水マレイン酸を加え、135℃のオーブンで1時間加熱し、H NMRによれば、無水マレイン酸の97%の変換が得られた。H NMR(CDCl):10.40-9.82ppm(3.43H),7.05ppm(0.17H),6.94-6.78ppm(0.22H),6.47-6.20ppm(5.47H),4.40-3.94ppm(8.57H),3.62-3.44ppm(0.29H),2.44-2.24ppm(2.89H),1.80-1.30ppm(10.79H),1.00-0.77ppm(3.00H)。この生成物をCAPA3031-3MAと名付けた。
【0089】
【化20】
【0090】
20mLのガラス瓶に、3.0gのCAPA3031-3MAと4.75gのヴィコフレックス7170を加えた。48時間で、62のショアOOを有する曇った物質に硬化した。
【0091】
実施例8:無水マレイン酸-ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタレート付加物の合成及びESBOとの硬化
ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタレートを使用して、合成反応を135℃で3時間実施し、透明で粘稠な液体及びヒドロキシル基の約86%の変換を得た。この生成物をBHETP-2MAと名付けた。
【0092】
【化21】
【0093】
9.5gのヴィコフレックス7170と4.5gのBHETP-2MAを使用して硬化を行った。これにより、濁った混合物が得られ、3日でゲル化して粘着性の接着剤になった。7日後、硬度は59のショアOOまで増加し、最終的には76のショアOOで安定した。
【0094】
実施例9:シュウ酸-脂環式エポキシ付加物の合成及びESBOとの硬化
スピードミキサージャーに、2.52gの脂環式エポキシ(シナ・エポキシS-06E)、1.8gのシュウ酸(pKa1値1.3)、及び溶媒として2.0gのメタノールを加えた。酸:エポキシのモル比は2:1であった。混合すると、試料は温かくなった。それを真空オーブンに4日間放置してメタノールを除去した。これを真空オーブン中にて80℃で30分間さらに加熱して、残留メタノールを除去した。得られた生成物をS-OAと名付けた。サイズ排除クロマトグラフィーにより、この生成物が様々なオリゴマーの混合物であることが示された(図1、点線)。その後、2.16gの得られたS-OAを4.75gのヴィコフレックス7170と混合した。この混合物は24時間では液体のままであったが、48時間で硬化した。
【0095】
実施例10:シュウ酸-ビスフェノールAジグリシジルエーテル付加物の合成及びESBOとの硬化
スピードミキサージャーに、3.40gのビスフェノールAジグリシジルエーテル(アルドリッチ)、1.8gのシュウ酸、及び溶媒として2.0gのメタノールを加えた。混合すると、試料は温かくなった。酸:エポキシのモル比は2:1であった。それを真空オーブンに4日間放置してメタノールを除去した。さらに80℃で30分間加熱してメタノールを除去し、透明な液体(B-OA)を得た。サイズ排除クロマトグラフィーにより、この生成物が様々なオリゴマーの混合物であることが示された(図1、実線)。
【0096】
2.6gの得られたB-OAを4.75gのヴィコフレックス7170と混合した。これは24時間でゲル化し、粘着性のPSA様材料を得た。1週間で硬度は37のショアOOまで上がった。
【0097】
実施例11:ウレタンエポキシの合成とマレイン酸付加物との硬化
スピードミキシングカップに、0.2gのK-KAT XK-672(キング・インダストリーズ)、46.0gのポリプロピレングリコール-トルエンジイソシアネートコポリマー(MW2300、シグマアルドリッチ)、2.96gのグリシドール(MW74、シグマアルドリッチ)を加えて混合した。室温で4日間保管した後、12.3gのこの生成物を2.0gのCAPA3031-3MA付加物とさらに混合すると、透明な混合物が得られ、6日で0のショアOOまで、10日で22のショアOOまで硬化した。
【0098】
【化22】
【0099】
実施例12:脂環式エポキシ-マレイン酸付加物系の硬化
スピードミキシングカップに、6.0gのCAPA3031-3MA、4.0gのシナ-エポキシ06E(ニュージャージー州のシナシア社製の3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)を加えた。シナ-エポキシ06Eのエポキシ当量は130.0~135.0g/Eqであるため、エポキシと酸の比は約1対1である。この組成物は顕著な発熱反応を伴って15分でゲル化し、さらにこれを24時間硬化した。これにより、92のショアA硬度の透明で脆い部品が得られた。
【0100】
実施例13:エポキシ化ポリブタジエン-マレイン酸付加物系の硬化
スピードミキシングカップに、3.14gのMPD-2MA、5.88gのポリbd(登録商標)605E(クレイ・バレー製のヒドロキシル末端エポキシ化ポリブタジエン、EEW294)を加えた。混合後、透明な混合物が得られた。室温で2日間硬化させると、25のショアOO硬度のわずかに粘着性の材料が得られた。
【0101】
実施例14:シロキサンエポキシ-マレイン酸付加物系の硬化
シラン/シリコンベースの系に対するこの化学反応の価値を実証するために、2つのブレンドを作成した。
【0102】
1つのブレンドでは、4.0gのCAPA3031-3MA、3.8gのSIB1092.0(ペンシルバニア州、ゲレスト製の1,3-ビス[2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル]テトラメチルジシロキサン)をスピードカップに加え、混合した。SIB1092.0のエポキシ当量は約192g/Eq.であるので、エポキシと酸の比は約1対1である。この組成物は穏やかな発熱を伴い30分でゲル化し、さらに24時間で硬化して、70のショアOO硬度を有する透明で柔らかい部分が得られた。試料にはわずかな粘着性があり、小さな気泡がいくつかあった。
【0103】
別のブレンドでは、3.6gのDD-2MA、4.3gのECMS-924(ペンシルバニア州ゲレスト製の8~10%[(エポキシシクロヘキシル)エチル]メチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー)を20mLバイアルに加えた。この試料をボルテックスミキサーで混合した。この組成物は30分以内にゲル化して、柔らかい乳状の生成物を形成した。
【0104】
実験15:ポリアクリレート-マレイン酸付加物系の硬化
20mLバイアルに、10gのエポキシ官能性ポリアクリレート(エストロン実験サンプル、EEW~1000)と2gのCAPA3031-3MAを合わせて混合した。試料は42日後に52のショアOOまで硬化した。
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-03-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)オキシラン又はオキセタン官能化成分、及び
b)構造(i)を有する多官能酸誘導体
を含む、二成分硬化性組成物であって、
【化1】
(式中、R’及びR”は独立してHであるか、又はR’-=-R”は芳香環であり、芳香環上にさらに置換基を含有してもよく;mは0又は1であり、nは2~100の正の整数であり、Xは多官能基ラジカル骨格である)
前記多官能酸誘導体が、(1)3未満のpKa1を有する、構造(ii)を有する二酸前駆体、又は(2)前記二酸(ii)の対応する無水物から調製される、二成分硬化性組成物。
【化2】
【請求項2】
前記オキシラン又はオキセタン官能化成分が、シリコーン、ポリブタジエン、1,4-ポリイソプレン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、及びそれらの混合物から成る群から選択されるポリマー骨格に結合したエポキシ官能基を有する、請求項1に記載の二成分硬化性組成物。
【請求項3】
前記多官能酸誘導体が、シュウ酸誘導体、マレイン酸誘導体、フマル酸誘導体、フタル酸又はトリメリット酸誘導体から成る群から選択される、請求項1に記載の二成分硬化性組成物。
【請求項4】
粘着付与剤、可塑剤、触媒、硬化剤、溶媒、又は添加剤をさらに含む、請求項1に記載の二成分硬化性組成物。
【請求項5】
a)再生可能なトリグリセリド化合物から調製されたエポキシ化油、及び
b)構造(i)を有する多官能酸誘導体
を含む二成分硬化性組成物であって、
【化3】
(式中、R’及びR”は独立してHであるか、又はR’-=-R”は芳香環であり、芳香環上にさらに置換基を含有してもよく;mは0又は1であり、nは2~100の正の整数であり、Xは多官能基ラジカル骨格である)
前記多官能酸誘導体が、(1)3未満のpKa1を有する、構造(ii)を有する二酸前駆体、又は(2)前記二酸(ii)の対応する無水物から調製される、二成分硬化性組成物。
【化4】
【請求項6】
前記再生可能なトリグリセリド化合物が、大豆油、高オレイン酸大豆油、菜種油又はパーム油である、請求項に記載の二成分硬化性組成物。
【請求項7】
前記多官能成分が、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、トリメリット酸、及び対応する誘導体から成る群から選択される、請求項に記載の二成分硬化性組成物。
【請求項8】
粘着付与剤、可塑剤、触媒、硬化剤、溶媒、又は添加剤をさらに含む、請求項に記載の二成分硬化性組成物。
【請求項9】
a)オキシラン又はオキセタン官能化成分、並びに
b)3.0未満のpKa1を有し、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、トリメリット酸、及びそれらの誘導体から成る群から選択されるジカルボン酸又はトリカルボン酸
を含む、二成分硬化性組成物。
【請求項10】
前記オキシラン又はオキセタン官能化成分が、大豆、ヤシ、アブラナ、トウモロコシ、綿実、亜麻仁、リノーラ、オリーブ、米、ベニバナ、ゴマ、ヒマワリ、及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項に記載の二成分硬化性組成物。
【請求項11】
前記オキシラン又はオキセタン官能化成分が、脂肪族エポキシ樹脂又はグリシジルエポキシ樹脂から選択される、請求項に記載の二成分硬化性組成物。
【請求項12】
粘着付与剤、可塑剤、触媒、硬化剤、溶媒、又は添加剤をさらに含む、請求項に記載の二成分硬化性組成物。
【請求項13】
接着剤、シーラント、エラストマー、又はコーティングである、請求項に記載の二成分硬化性組成物。
【請求項14】
請求項に記載の二成分硬化性組成物を含む物品。
【請求項15】
柔軟な包装、ラミネート、又はフィルムである、請求項14に記載の物品。

【国際調査報告】