(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】ガス処理システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/04 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
B01D53/04 230
B01D53/04 220
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579211
(86)(22)【出願日】2022-06-10
(85)【翻訳文提出日】2024-02-19
(86)【国際出願番号】 US2022033035
(87)【国際公開番号】W WO2022271464
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アップルガース, チャールズ エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】リー, ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】ダントニオ, ルーク
(72)【発明者】
【氏名】シュロッターベック, マシュー
【テーマコード(参考)】
4D012
【Fターム(参考)】
4D012BA01
4D012BA02
4D012BA03
4D012CA15
4D012CA20
4D012CB11
4D012CD01
4D012CE03
4D012CF02
4D012CF03
4D012CF04
4D012CG01
4D012CJ10
(57)【要約】
ガスを流して媒体(例えば、精製媒体、触媒、吸着剤)と接触させるガスの流れを処理するのに有用な、予熱器を備えるガス処理システム、および関連方法が記載されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体容器入口を含む媒体容器入口端、
媒体容器出口を含む媒体容器出口端、
入口端と出口端との間の長さにわたって延在している媒体容器側壁、および
入口端と出口端との間に延在している媒体容器内部
を含む、媒体容器と、
媒体容器側壁の長さに沿って位置しているガス予熱器と
を含む、ガス処理装置。
【請求項2】
ガス予熱器が、媒体容器側壁と熱的に接触している、請求項1に記載のガス処理装置。
【請求項3】
ガス予熱器が、媒体容器側壁の円周で延在している、請求項1または2に記載のガス処理装置。
【請求項4】
ガス予熱器が、出口端から媒体容器側壁の長さの一部に沿って延在している、請求項1から3のいずれか一項に記載のガス処理装置。
【請求項5】
ガス予熱器の少なくとも一部と熱的に接触している加熱要素をさらに備え、ガス予熱器が、媒体容器側壁と加熱要素との間に配設されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のガス処理装置。
【請求項6】
ガス予熱器の少なくとも一部を覆う断熱材をさらに備え、ガス予熱器が、媒体容器と断熱材との間に配設されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のガス処理装置。
【請求項7】
媒体容器出口に有孔端壁をさらに備え、有孔端壁が、媒体容器内部をガス予熱器の内部から分離している、請求項1から6のいずれか一項に記載のガス処理装置。
【請求項8】
ガス予熱器が、媒体容器内部の体積の30パーセント未満の予熱器内部容積部を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のガス処理装置。
【請求項9】
装置が、ガスを外部位置と予熱器内部との間に通すことを可能にする予熱器入口を含み、予熱器入口が、媒体容器入口端と媒体容器出口端との間に位置している、請求項1から8のいずれか一項に記載のガス処理装置。
【請求項10】
ガスを外部位置と予熱器内部との間に通すことを可能にする予熱器出口と、
ガスを予熱器内部と媒体容器内部との間に通すことを可能にする媒体容器の出口端の開口部と
をさらに含む、請求項9に記載のガス処理装置。
【請求項11】
ガス予熱器が、
媒体容器側壁の長さの一部に沿って、かつ側壁の周囲に延在している内部側壁と、
媒体容器側壁の長さの一部に沿って、かつ側壁の周囲に延在している外部側壁と、
媒体容器出口から離間した予熱器端壁と、
内部側壁および外部側壁によって区切られた環状容積部、ならびに
媒体容器出口の端部および予熱器端壁によって区切られた端部容積部
を含む、予熱器内部容積部と
を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のガス処理装置。
【請求項12】
環状容積部が、ガスを環状容積部の円周で螺旋形状の経路で環状容積部に通して流す螺旋チャネルを含む、請求項11に記載のガス処理装置。
【請求項13】
媒体容器が、吸着媒体および触媒から選択される媒体を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のガス処理装置。
【請求項14】
ガス処理装置を使用する方法であって、装置が、
媒体容器入口を含む媒体容器入口端、
媒体容器出口を含む媒体容器出口端、
入口端と出口端との間の長さにわたって延在している媒体容器側壁、
入口端と出口端との間に延在している媒体容器内部、および
内部に含まれている媒体
を含む、媒体容器と、
媒体容器側壁の長さに沿って位置しているガス予熱器と、
予熱器の少なくとも一部を覆う加熱要素と
を含み、
方法が、
ガスをガス予熱器に通して流してガスを予熱することと、
予熱されたガスを媒体容器内部に通して媒体と接触させることと
を含む、方法。
【請求項15】
媒体が、吸着媒体であり、ガスが、再生ガスであり、方法が、
原料ガスを媒体容器内部に通して流して吸着媒体と接触させて、原料ガスを媒体容器内部に通して流した後に、原料ガスに含有されている不純物を、吸着媒体によって吸着して、プロセスガスから除去することを可能にすることと、
再生ガスをガス予熱器に通して流して再生ガスを予熱することと、
予熱された再生ガスを媒体容器内部に通して流して吸着媒体と接触させることと
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
装置が、
ガスを外部位置と予熱器内部との間に通すことを可能にする予熱器入口であって、予熱器入口が、媒体容器入口端と媒体容器出口端との間に位置している、予熱器入口と、
ガスを外部位置と予熱器内部との間に通すことを可能にする予熱器出口と、
ガスを予熱器内部と媒体容器内部との間に通すことを可能にする媒体容器の出口端の開口部と
を含み、
方法が、
プロセスガスが、媒体容器入口を通して媒体容器内部に入ることと、
プロセスガスが、媒体容器出口を通して媒体容器内部から出て、予熱器内部に入ることと、
プロセスガスが、予熱器出口を通して予熱器内部から流れ出ることと
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
再生ガスが、予熱器入口を通して予熱器内部に入り、
再生ガスが、媒体容器出口を通して予熱器内部から出て、媒体容器内部に入り、かつ
再生ガスが、媒体容器入口を通して媒体容器内部から流れ出る、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
原料ガスをある一定の原料ガス流量で媒体容器内部に通して流すことと、再生ガスを原料ガス流量未満のある一定の再生ガス流量でガス予熱器に通して流すこととをさらに含む、請求項15から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
再生ガス流量が、プロセスガス流量の50パーセント未満である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
原料ガスをある一定の原料ガス圧力で内部に通して流すことと、再生ガスを原料ガス圧力未満のある一定の再生ガス圧力でガス予熱器に通して流すこととをさらに含む、請求項15から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
再生ガス圧力が、原料ガス圧力の50パーセント未満である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
原料ガスが、窒素、アルゴン、水素、アンモニア、二酸化炭素、清浄乾燥空気、および酸素から選択される、請求項15から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
媒体が、触媒を含み、ガスが、窒素、アルゴン、水素、二酸化炭素、清浄乾燥空気、および酸素から選択される原料ガスである、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
不純物が、窒素酸化物、一酸化炭素、または炭化水素である、請求項14または15に記載の方法。
【請求項25】
不純物がメタンである、請求項14または15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスを流して媒体と接触させることによってガスを処理するために使用される、予熱器を備えるガス処理システム、および関連方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスは、半導体およびマイクロ電子デバイスの製造を含む、多くの異なる市販および産業目的の原料または処理材料(まとめて「原料ガス」と称される)として使用される。
【0003】
プロセスにおける使用のためのガスを調製するために、ガスの流れは、様々な異なる影響のいずれかをガスに与えるように、様々な異なる方法で取り扱いまたは処理され得る。製造プロセスにおいて原料ガスを使用する前に、原料ガスは、加熱、冷却、精製、または濾過され得る。
【0004】
ガス精製システムは、高度に精製された原料ガスの一貫した流れを半導体またはマイクロ電子処理ツールなどの製造設備の一部に供給するように適合されている。例示的なガスは、それぞれ非常に高度に精製された形態で、窒素、アルゴン、ヘリウム、水素、アンモニア、二酸化炭素、清浄乾燥空気(「CDA」)、および酸素を含む。
【0005】
ガスの流れを精製するための技術は、ある一定量の不純物をガスから除去することができる媒体材料とガスを接触させることを伴い得る。一部の技術によれば、不純物は、不純物を隔離することで、例えば、不純物を吸着剤(すなわち、「吸着媒体」)の表面上に吸着させることで、ガスの流れから除去される。他の技術によれば、不純物は、触媒を使用して化学的に変換されて、元々の不純物と比較してより望ましい(またはそれほど望ましくない)と考えられる誘導体化合物になり得る。
【0006】
製造業者は、ガス精製プロセスを実施するための高度に専門化された設備を設計してきた。ガスを精製するためのシステムは、吸着剤または触媒などのある種類の媒体(例えば、精製媒体)を保持する入れ物(容器)と、原料ガスの流れを容器に通して媒体と接触させるように導く付属の流れ制御設備とを備える。温度、圧力、および流量などのプロセスの条件を制御するための制御部が備えられている。
【0007】
多くのガス精製システムは、媒体を含む容器にガスを流す前にガスを予熱するために使用される予熱器を備える。例えば、触媒精製プロセスの効率を改善するために、ガスは、触媒に接触する前に予熱され得る。これらのタイプの触媒プロセスの設備は、触媒を含む容器と、触媒を通るガスの流れをもたらす流れ制御部と、ガスが流れて触媒に接触する前にガスを高温に加熱する予熱器とを備える。
【0008】
ガス予熱器はまた、吸着型ガス精製システムにおいても有用であり得る。これらのシステムでは、吸着による精製は、ガスを流して吸着媒体と接触させることによって実施される。ガスを吸着媒体に流すことによって、不純物が吸着媒体上に吸着される。使用期間にわたって、不純物は、吸着媒体上に蓄積する。十分な蓄積の後に、吸着媒体は、効果が低下し、蓄積された不純物を媒体から除去することによって「再生」され得る。
【0009】
再生プロセスは、加熱されたガス(「再生ガス」)を元々の容器内の吸着媒体に通すことによって、精製工程の最中に媒体を含んでいたのと同じ容器内に残っている吸着媒体を用いて実施され得る。再生ガスは、吸着媒体の表面に接触し、媒体表面に蓄積された吸着された不純物は、表面から脱着し、再生ガスによって吸着媒体から運び去られる。
【0010】
再生ガスによる吸着媒体の効率的な再生のために、再生ガスは、通常、吸着媒体と接触する前に予熱される。再生プロセスに必要な設備は、吸着媒体を含む容器と、再生工程の最中に吸着媒体を通る再生ガスの流れをもたらす流れ制御部と、再生ガスが吸着媒体を通して流れる前に再生ガスを加熱するための予熱器とを備える。
【発明の概要】
【0011】
ガス精製システムのための従来の予熱器は、媒体を含む容器(「媒体容器」)から分離されている。一部の予熱器設計(「スタンドアローン型」設計)は、予熱器を媒体容器から離間した位置に配置しており、延長されたガス流導管を通して予熱器を媒体容器に接続している。他の設計は、おそらく共通の構造の一部としての媒体容器の近くに予熱器を配置している(「一体型」設計)が、これらの設計では、サイズ面での利点がもたらされず、すなわち、「一体型」設計を有する予熱器は、「スタンドアローン型」予熱器と同じサイズである。追加的に、「一体型」設計の予熱器は、予熱器から媒体容器への加熱されたガスの流れ以外に、予熱器と媒体容器との間で熱エネルギーを共有することを可能にしない。
【0012】
以下の記載は、新規の発明的な設計の媒体容器および予熱器を備えるガス処理設備に関する。新規の設計は、予熱器が、予熱器から媒体容器に流れる予熱されたガスによって交換される熱に加えて、予熱器および媒体容器の構造を通して、例えば、構造の側壁を通して、熱エネルギーを媒体容器と共有することを可能にする。追加的または代替的に、新規の設計は、予熱組合せ器のサイズの縮小、または予熱器と媒体容器とを組み合わせた全体サイズの縮小を可能にする。
【0013】
記載されているガス処理設備は、一般に、ガスの流れを媒体と接触させてガスを媒体と接触させる操作などの後続の処理操作にガスが流れる前にガスの流れを予熱するための予熱器を備える。媒体は、例えば、触媒または吸着媒体であり得る。
【0014】
様々な異なる種類のガス処理操作は、ガスを別の材料と接触させることを伴い、これは、本明細書では総称して「媒体」と称される。媒体は、様々な材料のいずれであってもよく、特定の例は、様々な形態(例えば、多孔質形態を有し、かつ様々なサイズである、粒子、顆粒、固体(非液体、非気体))であり得る固体材料(すなわち、液体または気体材料とは対照的)であり、これは、ガスと接触すると、触媒、吸着剤、または別の目的で機能し得る。
【0015】
ガスを媒体と接触させて媒体をガスと相互作用させることによってガスを処理する場合、プロセスは、プロセスを高温で操作すること、ガス、媒体を加熱することもしくはその両方を必要とし得るか、またはそれらによって改善され得る。例えば、触媒技術によって原料ガスを精製するプロセスは、典型的には、高温で実施される。同様に、吸着型精製技術に使用される吸着媒体を再生するプロセスは、典型的には、高温で実施される。これらの方法の場合、関連ガス(原料ガスまたは再生ガス)は、ガスが関連媒体(触媒または吸着媒体)と接触させられる前に予熱される。
【0016】
高温でガスを媒体と接触させて媒体をガスと相互作用させるプロセスの最中に、好ましい条件は、プロセス全体にわたる、すなわち、媒体床全体にわたる均一な温度分布を含む。好ましくは、媒体を流れるガスを有する媒体を含む容器は、所望のプロセス温度に制御され、容器全体、ならびに容器、ガスおよび媒体のすべての位置が、同じ所望のプロセス温度に保たれる。容器全体の熱勾配は、好ましくは、高いプロセス効率を生み出すために最小限に抑えられる。
【0017】
ガス精製システムの典型的な設計では、ガス予熱器は、媒体(例えば、触媒または吸着剤などの精製媒体)を含む容器とは完全に別個の構造である。別個の(スタンドアローン型)予熱器は、別個の流れ制御部と、別個の温度および圧力制御部およびセンサと、別個の加熱および絶縁設備と、完全に別個の物理的格納構造とを必要とする、プロセス設備の独立した部品である。別個の予熱器は、媒体容器の圧力と同じ圧力でガスの流れを制御するように構築される必要があり、媒体容器の加熱要素および断熱材とは完全に別個の加熱要素および断熱材を備える必要がある。
【0018】
スタンドアローン型設計の修正版によると、ガス予熱器は、予熱器の出力が媒体容器の入力端の近くにあるように位置決めされ得る。予熱器は、媒体容器と物理的に「一列に」配置されている。ガスは、予熱器に入り、媒体容器の完全に上流かつ媒体容器と一列である位置で予熱器を流れる。予熱器および媒体容器は、実質的に別個の物理的構造のままである。2つの物理的構造は、実質的に共通の構造を共有しておらず、2つの別個の構造は、かなりの(有用な)量の熱エネルギー交換を可能にせず、すなわち、予熱器から媒体容器への予熱されたガスの流れによる以外の、かなりの(有用な)量の熱エネルギー交換を可能にしない。
【0019】
本特許出願は、予熱器が、媒体容器と空間を共有すること、伝導性熱伝達によって媒体容器と熱エネルギーを共有すること、またはその両方を可能にするように媒体容器の物理的構造に一体化された予熱器を備えるガス処理装置について記載している。記載されている設計は、かなりの量の熱エネルギーが、予熱器および媒体容器の二次元物理表面を通した、特に予熱器および媒体容器の二次元側壁を通した熱伝導によって予熱器から媒体容器に伝わることを可能にする。
【0020】
記載されているようなガス精製装置の例は、一方の端部の入口と、反対側の端部の出口と、2つの端部間に延在している長さおよび容積とを有する媒体容器を備える。例示的な装置によると、予熱器は、媒体容器の長さの少なくとも一部に沿って位置している。また、例えば、予熱器は、媒体容器の長さに沿って媒体容器と接触していてもよく、この接触は、熱エネルギーが予熱器と媒体容器との間の熱伝導によって伝わることを可能にする。例示的な装置は、媒体容器の端部と、媒体容器の端部から媒体容器の長さに沿って反対側の端部に向かって延在している部分とを含む媒体容器の長さに沿って位置している予熱器を備える。
【0021】
例示的な設計では、予熱器の長さに沿った予熱器の表面は、媒体容器の長さに沿った媒体容器の表面と接触しているか、またはこれと共有されている。2つの表面が、共有されているか、または熱的に接触しているため、組み合わされた構造は、物理的成分の全体的な縮小に伴って潜在的に設計され得る。物理的成分の量の低減は、コストの節約を可能にすることができるか、2つの組み合わされた成分の全体サイズ(特に、長さ)の縮小を可能にすることができるか、またはその両方を可能にすることができる。
【0022】
例示的な予熱器設計は、形状が環状である少なくとも一部を含む内部容積を含む。環状予熱器容積部は、環状予熱器容積部を流れるガスと予熱器の外部表面に接触している加熱要素との間の密接な接触をもたらすことができる。予熱器の環状容積部を流れるガスを加熱要素と密接に接触させることによって、加熱要素がガスを加熱する効率を改善することができ、それによって、縮小されたサイズのものであり、例えば、他の予熱器設計と比較してより小さな内部容積またはより小さな全体空間要件を有する予熱器の使用を潜在的に可能にすることができる。
【0023】
予熱器の環状内部容積部の例は、環状容積部を通るガスの流れを導く1つまたは複数の内部表面を含み得る。1つの例は、環状容積部の長さに沿って延在している螺旋経路に沿ってガスの流れを案内する環状容積部の内部表面にあるチャネルである。予熱器の環状容積部の一部としての螺旋チャネルは、予熱器を流れるガスを、予熱器の円周で流れ、かつ予熱器の長さに沿って徐々に(螺旋経路で)流れるように強制することができる。環状経路は、予熱器を通して、熱エネルギーをガス内に均一に分配し、すなわち、熱エネルギーは、予熱器と接触している加熱要素から予熱器の内部容積部内のガスの流れに効率的かつ均一に伝わる。ガスへの熱エネルギーの効率的な伝達は、予熱器からのガスの流れを生成し、この流れは、ガスが予熱器から出るとき、温度が非常に均一であり、ガス内の温度変動がほとんどまたはまったくなく、ガス内の熱勾配が縮小または大幅に解消されている。
【0024】
一態様では、本開示は、媒体容器入口を含む媒体容器入口端、媒体容器出口を含む媒体容器出口端、入口端と出口端との間の長さにわたって延在している媒体容器側壁、および入口端と出口端との間に延在している媒体容器内部を含む、媒体容器と、媒体容器側壁の長さに沿って位置しているガス予熱器とを備える、ガス処理装置に関する。
【0025】
別の態様では、本開示は、ガス精製装置を使用する方法に関する。この装置は、媒体容器入口を含む媒体容器入口端、媒体容器出口を含む媒体容器出口端、入口端と出口端との間の長さにわたって延在している媒体容器側壁、入口端と出口端との間の長さにわたって延在している媒体容器内部、および内部に含まれている媒体を含む、媒体容器と、媒体容器側壁の長さに沿って位置しているガス予熱器と、予熱器の少なくとも一部を覆う加熱要素とを備える。この方法は、ガスを予熱器に通して流してガスを予熱することと、予熱されたガスを媒体と接触している媒体容器内部に通すこととを含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】予熱器および媒体容器の先行技術の配置を示す図である。
【
図2】予熱器および媒体容器の先行技術の配置を示す図である。
【
図3】本明細書のガス処理システムを示す図である。
【
図4】本明細書のガス処理システムを示す図である。
【
図5A】内部流れ制御表面を含む予熱器の例を示す図である。
【
図5B】内部流れ制御表面を含む予熱器の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
すべての図は、概略的であり、例示的であり、必ずしも縮尺通りではない。
【0028】
以下で、ガスの流れを処理するのに有用であり、かつ予熱器を備える、ガス処理設備について記載する。また、ガスの流れに対して実施される後続の処理操作の前にガスを加熱(「予熱」)することによってガスを処理するための設備を使用する方法も記載されている。
【0029】
ガスの流れを処理するための設備および技術は、ガスの流れを媒体と接触させることを伴い得る。ガスを精製する場合、ガスは、不純物を含有しており、媒体は、媒体とガスとの間の接触の最中に、ガス中の不純物の量を低減することができる。
【0030】
一部のガス精製技術によって、不純物は、不純物を隔離することで、例えば、不純物を吸着材料の表面上に吸着させることで、ガスの流れから除去される。ガスは、固体吸着材料と接触するように流され、ガス中に存在する不純物は、吸着剤の表面に引き寄せられて、この上に吸着され、ガスから不純物が除去される。様々な吸着材料が知られている。吸着剤は、体積当たりの所望の量の表面積を有する、小さな微粒子、顆粒、ペレット、シェル、キューブ、モノリスなどの様々なサイズおよび形状のいずれかであり得る。
【0031】
ガス精製プロセスの吸着材料の組成はまた、変化してもよく、処理されるガスの種類、不純物の種類、所望の除去効率、または他の要因に基づいて選択され得る。ガスの流れから不純物を吸着するのに有用であることが知られている吸着剤の例は、なかでも、活性炭、ゼオライト材料、「有機金属フレームワーク」(MOF)吸着剤、亜鉛-バナジウムゲッターおよび亜鉛-アルミニウムゲッターなどのゲッターなど)を含む。
【0032】
不純物を含有するガスおよび吸着剤を使用して不純物を除去するために処理され得るガスの種類は、なかでも、窒素、アルゴン、ヘリウム、水素、アンモニア、二酸化炭素、清浄乾燥空気(「CDA」)、および酸素を含む。
【0033】
吸着剤型ガス精製システムの使用の最中に、ある一定量の不純物が吸着剤上に蓄積するであろう。蓄積された不純物は、「再生」工程によって吸着剤から除去され得、次いで、吸着剤は、ガスを精製するために再び使用され得る。再生工程では、ガスの流れ(「再生ガス」)は、高温で吸着剤上を通される。高温は、本明細書に記載されているように、予熱器によって生成される。
【0034】
再生ガスは、吸着媒体からの蓄積された不純物を除去するための再生工程において有効な任意のガスであり得る。吸着媒体から不純物を除去するための再生ガスの組成は、吸着媒体を使用して処理された原料ガスの種類を含む要因に応じる。例示的なシステムの場合、特定の種類の原料ガス(丸括弧内に示されている)から不純物を除去するために使用された吸着媒体からの蓄積された不純物を除去するのに有用であり得る再生ガスは、以下の再生ガスを含む:窒素/水素混合物(窒素)、アルゴン/水素混合物(アルゴン)、ヘリウム/水素混合物(ヘリウム)、水素(水素)、窒素/水素混合物(アンモニア)、窒素/水素混合物(二酸化炭素)、清浄乾燥空気(清浄乾燥空気)、酸素(酸素)。
【0035】
異なるガス精製技術によって、ガス精製工程では、触媒を使用してガスからある一定量の不純物を低減または除去することができる。これらの技術によって、ガス中に含有されている不純物は、触媒を使用して化学的に変換、例えば、化学的に還元または化学的に酸化されて、元々の不純物と比較してより望ましい(またはそれほど望ましくない)化学化合物になり得る。例示的な触媒は、窒素酸化物(NOx)を化学的に還元するか、一酸化炭素を酸化するか、またはメタンなどの炭化水素を酸化して、水および二酸化炭素を形成するのに有効である。これらの技術によって、ガスは、触媒材料と接触するように流され、不純物(例えば、窒素酸化物、一酸化炭素、またはメタンなどの炭化水素)は、化学的に変換(例えば、化学的に還元または化学的に酸化)されて、元々の不純物に比べて好ましい化学化合物になる。
【0036】
ガス精製プロセスの触媒の組成はまた、変化してもよく、処理されるガスの種類、処理されるガスに含有されている不純物の種類、不純物の所望の除去効率、および他の要因に基づいて選択され得る。ガスの流れに含有されている不純物を変換するのに有用であることが知られている触媒の例は、なかでも、ロジウム、白金、パラジウムを含む。
【0037】
ガスを媒体の床に通して流すことによってガスを処理するガス処理装置は、媒体を含む容器(「媒体容器」)と、媒体を通るガスの流れを案内するように適合された流れ制御部とを備える。この設備はまた、ガスが媒体容器に入る前にガスを加熱(「予熱」)するために使用される予熱器を備える。
【0038】
記載されているガス処理装置の例によると、有用な装置は、入口端と、出口端と、端部間に延在している長さと、長さに沿って延在しており、かつ媒体容器の内部容積部を画定している側壁とを有する媒体容器を備える。側壁は、金属などの硬質熱伝導性材料で作製され得る。
【0039】
また、例示的な装置によると、予熱器の一部は、媒体容器の長さの少なくとも一部に沿って媒体容器の外側表面に隣接して位置している。有用なまたは好ましい予熱器は、媒体容器の外部二次元表面と熱的に接触している二次元表面を備え得る。
【0040】
媒体容器と「熱的に接触している」予熱器は、有用な量の熱エネルギーが予熱器の表面から媒体容器の表面に伝わることができるように媒体容器の(側壁などの)二次元表面に十分に近接して位置している(側壁などの)二次元表面を有する予熱器を指す;有用な量の熱エネルギーは、予熱されたガスを媒体容器に供給するための予熱器の使用の最中に予熱器から媒体容器に伝わる無視可能な量の熱エネルギーを上回り得る。2つの表面間を伝わり得る熱エネルギーの量は、2つの表面構造間の距離または接触量、2つの表面構造の組成および熱伝導率、ならびに2つの表面間に配設されている任意の(固体、液体、ガス)材料の組成および形態に応じるであろう。
【0041】
予熱器と媒体容器との間に有用な量の熱的接触をもたらすために、例示的なガス処理装置は、媒体容器の側壁の二次元熱伝導性表面と直接的に接触している予熱器の側壁の二次元熱伝導性表面を用いて構築され得る。予熱器の側壁構造は、媒体容器の必須成分ではない別個の物理的構造として識別可能であり、2つの異なる側壁構造は、互いに直接的に物理的に接触しており、熱伝導によって、予熱器側壁の表面から媒体容器側壁の表面に熱エネルギーの効率的な伝達を可能する。
【0042】
代替的には、別個に識別可能であり、かつ媒体容器または予熱器のうちの一方のみに結合している、媒体容器および予熱器それぞれの別個の側壁は、小さな距離または空間だけ分離されていてもよく、熱的に接触しているとなおも考えられ得る。2つの側壁間の空間は、空であっても(すなわち、空気で満たされていても)、または熱伝導性材料で満たされていてもよい。2つの側壁構造は、構造間の熱の所望の伝達を可能にするのに十分小さな距離で互いに向かい合った対向表面を有し得る。例示的な距離は、比較的小さくてもよく、例えば、10ミリメートル未満、または5、2もしくは1ミリメートル未満であり得る。2つの側壁表面間に存在するガスまたは固体材料(例えば、空気または熱伝導性固体)は、2つの側壁間の熱の効率的な伝達を可能にする。
【0043】
代替的には、記載されているようなガス処理装置は、媒体容器の側壁および予熱器の側壁が単一の物理的構造から作製されるように構築され得る。単一の側壁構造は、側壁の片側において媒体容器の内部(単一の側壁の「内側」)を画定するように機能し、また、側壁の反対側において予熱器の内部(単一の側壁の「外側」)を画定するように機能する。
【0044】
対照的に、媒体容器および予熱器の側壁構造は、本明細書に記載されているようなガス処理工程の最中に予熱器から媒体容器への有用な量の熱エネルギー伝達を可能にしないように2つの構造が配置されている場合、互いに熱的に接触していないと考えられる。これまでのガス処理システムの様々な設計では、予熱器および媒体容器は、これら2つが熱的に接触しないように配置されていた。
【0045】
例えば、
図1を参照すると、「スタンドアローン型」予熱器10は、別個のデバイスであり、媒体容器20から離れた距離に位置している。2つのユニットは、予熱されたガスを予熱器10の出口から媒体容器20の入口に伝えるガス流導管のみによって接続されている。予熱器10は、加熱器12(具体的には図示せず)を使用して加熱され、かつ予熱器構造の外周面に全体的にそれぞれ位置している絶縁材料18によって絶縁された、内部容積部を含む。
【0046】
ガスは、入口14に入り、加熱器12の近くの、周囲の環状容積部を含む、予熱器10の内部容積部を通る。予熱器10の内部容積部は、ガスの温度の所望の上昇をもたらすために、加熱器12を使用して高温に保たれる。予熱されたガス22は、出口16から流れ出て、次いで、媒体容器20の入力30に接続する導管(図示せず)に通して流される。媒体容器20は、媒体26を含む内部を含み、媒体容器20を取り囲むように媒体容器20の周囲にそれぞれ位置している加熱器24(具体的には図示せず)および絶縁材料28によって加熱および絶縁される。予熱器10から媒体容器20への熱エネルギーの交換は、予熱器10から媒体容器20への予熱されたガス22の流れに伴って生じる交換に限定される。媒体容器20の物理的構造は、予熱器10の物理的構造と熱的に接触していない。
【0047】
図2を参照すると、媒体容器40と媒体容器40の入口46から「上流」位置に位置している予熱器42とを備えるガス処理システム32が概略的に図示されている。「上流」は、流れが最初に予熱器を通して、次いで媒体容器40を通して導かれるときの、システムを指す。示されているように、予熱器42は、媒体容器40から距離を空けて、媒体容器40と一列に位置している、デバイスであり、予熱器は、空隙50によって媒体容器から分離されている。予熱器42は、空隙50(熱電対52を含む)を通して媒体容器44の入口46に接続されており、予熱されたガスは、予熱器42の出口48を通してこの入口46に入る。予熱器および媒体容器システムのこの設計では、予熱器42は、媒体容器と「一体化」されていると称される。
【0048】
予熱器42は、予熱器42の外側表面に位置し得る加熱器(図示せず)を使用して加熱され、かつ予熱器42の周囲に全体的にそれぞれ位置している絶縁材料38によって絶縁された、内部容積部34およびフィルタ36を備える。予熱器42の使用の最中に、ガスの流れは、入口44に入り、加熱器の近くの、周囲の環状容積部を含む、予熱器42の内部容積部34を通る。加熱器は、内部容積部34を高温に加熱して、容積部34を通るガスの温度を上昇させる。予熱されたガス60は、出口48から流れ出て、空隙50を通り、次いで、入口46を通して媒体容器40に入る。媒体容器40は、媒体66を含む内部を含み、媒体容器40の外側表面をそれぞれ取り囲む加熱器(図示せず)および絶縁材料38によって加熱および絶縁される。
【0049】
媒体容器40と予熱器42との間の熱エネルギーの交換は、予熱器42から媒体容器40への予熱されたガス60の流れに伴って生じる。媒体容器40は、予熱器42と熱的に接触していない。媒体容器40および「一体型」予熱器42は、予熱器42の出口端が媒体容器40の入口46と一列に位置するように構築されている。予熱器42のどの部分も、媒体容器40の長さのいずれの部分にも沿って延在しておらず、予熱器の側壁(68)の二次元表面は、媒体容器の側壁(70)の二次元表面と熱的に接触していない。
【0050】
図示されているように、媒体容器40の側壁70、および予熱器42の側壁68は、媒体容器40および予熱器42の両方の長さに沿って延在している単一部分の材料で構築され得る。媒体容器および予熱器の両方の側壁構造としてのこの単一部分の材料の使用によって、材料に沿って、材料の厚さにわたって、かつ材料の長さに沿って伝えられ得る熱エネルギーの量が無視可能であることを少なくとも理由にして、媒体容器と予熱器との間に熱的接触が生じない。
【0051】
そのようなこれまでの設計とは対照的に、本明細書の例示的な予熱器は、例えば構造の二次元表面にわたって、媒体容器と熱的に接触している物理的構造を含む。媒体容器と予熱器との間の熱的接触は、有用な著しい量の熱エネルギーが熱伝導によって予熱器から媒体容器に伝わることを可能にする。
【0052】
熱エネルギーのこの伝達を達成するために、予熱器の二次元表面部分は、媒体容器の長さに沿って媒体容器の外側二次元表面に隣接して物理的に位置しており、好ましくは、媒体容器の外側表面と直接的に物理的に接触し得る。好ましくは、予熱器側壁および媒体容器側壁は、良好な熱伝導率を有する材料、例えば金属でそれぞれ作製されている。
【0053】
例示的なガス処理装置の設計によると、予熱器は、媒体容器の長さに沿って延在している内部容積部を含む。より具体的には、予熱器は、環状の部分(「環状容積部」)を含む、使用の最中にガスが流れる全体内部容積部を含む。環状容積部は、媒体容器入口と媒体容器出口との間の媒体容器の長さの少なくとも一部にわたって媒体容器の外側表面に沿って位置している予熱器の一部に沿って延在している。
【0054】
例示的な予熱器では、予熱器内部の全体容積部はまた、媒体容器の出口端に隣接して一列に位置している非環状(例えば、円筒形)部分を含む。予熱器の全体内部容積部のこの部分は、本明細書では、予熱器の「端部容積部」と称される。例示的な端部容積部は、媒体容器の断面形状およびサイズとほぼ等しい断面形状およびサイズ(例えば、直径)を有し得、媒体容器の長さに平行な方向に延在している長さを有し得る。
【0055】
予熱器の使用に応じて、予熱器は、ガスの流れを外部位置と、端部容積部または環状容積部のいずれかであり得る予熱器内部容積部との間に通すことを可能にする1つまたは複数の通路を含み得る。これらの通路は、予熱器の外部側壁または端壁にわたって延在しており、「通路」、「入口」、または「出口」と称され得る。しかしながら、通路は、典型的には、通路が「入口」または「出口」と呼ばれるかどうかに関係なく、予熱器への方向または予熱器からの方向のいずれかの2つの方向のガスの流れを可能にすることができ、予熱器を使用したガス処理装置によって実施される異なるプロセス工程の最中に入口または出口のいずれかとして機能し得る。
【0056】
ある特定の種類の例示的な予熱器では、予熱器は、2つの通路を含み得る。1つの通路が、予熱器の環状容積部と外部位置との間のガスの流れを可能にするように位置し得る。異なる通路が、予熱器の端部容積部と外部位置との間のガスの流れを可能にするように位置し得る。
【0057】
代替的な例では、予熱器は、予熱器の環状部分と外部位置との間のガスの流れを可能にするように位置している通路を1つだけ含み得る。この例は、予熱器の端部容積部と外部位置との間を直接的に通る第2の通路を必要としない。
【0058】
例示的な装置では、媒体容器の長さの一部に沿って媒体容器の外側に予熱器を配置することによって、装置の有用または有利な特徴が可能になる。これらは、以下のうちの1つまたは複数を含み得る:ガス流容積、ならびにガスの加熱の効率および均一性の観点などでの、予熱器の効率的な性能;予熱器および媒体容器の組合せのための複数の別個の加熱デバイスおよび絶縁材料などの補助設備の要件の軽減;本明細書の設計のサイズおよび空間要件の軽減に基づく構造上の利点;または予熱器を流れる必要がある再生ガスの減圧または流量などの予熱器を流れるガスのより穏やかな操作条件。
【0059】
一般に、記載されているような予熱器は、媒体容器に送られるガスを予熱するために使用される場合、改善された効率を伴って機能し得る。媒体容器の外部表面における、媒体容器の長さに沿った、好ましくは媒体容器と熱的に接触している予熱器の位置は、媒体容器の少なくとも一部と媒体容器の少なくとも一部に含まれている媒体とを同時に加熱しながら予熱器を流れるガスを加熱する非常に効率的な方法を提供する。
【0060】
1つの利益として、媒体容器の長さに沿って予熱器が位置しており、予熱器および媒体容器がガス処理装置の共有長さに沿って位置していることによって、予熱器または装置の全体サイズの縮小を可能にすることができる。予熱器と媒体容器とを組み合わせた全体容積は、同等の媒体容器と「スタンドアローン型」予熱器とを組み合わせた全体容積、または同等の媒体容器と「一体型」予熱器とを組み合わせた全体容積に比べてかなり低減され得る。
【0061】
追加的に、媒体容器の長さに沿って媒体容器の外側表面に予熱器が位置していることによって、予熱器および媒体容器を加熱および絶縁することが求められる全加熱要素および断熱材料のサイズおよび量を低減することが可能になる。「スタンドアローン型」予熱器設計および「一体型」予熱器設計(
図1および2を参照)はどちらも、予熱器と媒体容器との間の加熱されたガスの流れ以外では、媒体容器と予熱器との間で有意な量の熱伝達を達成しない。対照的に、記載されているような予熱器は、予熱器および媒体容器の側壁を通した熱伝導によって、熱エネルギーを予熱器から媒体容器に流す。予熱器を加熱および絶縁するために使用される加熱要素および絶縁材料は、媒体容器と熱的に接触するように位置しており、予熱器および媒体容器(媒体容器の少なくとも一部)の両方を同時に加熱および絶縁するように機能する。
【0062】
さらに追加的に、媒体容器の長さに沿った媒体容器の外側表面における予熱器の位置は、これまでの設計と比較して、予熱器および媒体容器の2つを組み合わせた構造の全長の縮小を含む、コンパクトな(効率的な)全体サイズの単一構造を提供する。本明細書の予熱器と媒体容器とを組み合わせた全長は、同じ処理能力を有する、例えば、同じサイズの媒体容器を含む同等の媒体容器および「一体型」予熱器を組み合わせた全長に比べて大幅に縮小され得る。
【0063】
一部のガス処理装置では、媒体容器に対する予熱器の容積は、異なる設計、例えば、
図1および2に示されている「スタンドアローン型」設計または「一体型」設計の媒体容器に対する予熱器の相対容積の容積より小さくてもよい。例示的な設計では、(例えば、
図3または4に図示されているような)本明細書のガス処理システムの予熱器の容積は、媒体容器の容積の50、40、30、20、または10パーセント未満であり得る。
【0064】
同様に、ガス処理装置の用途に応じて、ガス処理装置の媒体容器を通るガスの流量(容積)に対する予熱器を通るガスの流れの流量(容積)は、「スタンドアローン型」予熱器または「一体型」予熱器などの異なる設計の予熱器を通ることが求められ得るガスの流れと比較して、低減され得るか、より低い圧力であり得るか、またはその両方であり得る。例えば、再生ガスを予熱するために使用される本明細書の予熱器は、再生ガスを予熱するために使用される「スタンドアローン型」設計の予熱器または「一体型」予熱器の予熱器に求められ得るガスの流量と比較して、予熱器を通る再生ガスの容積での大幅により少ない流量の使用を伴う再生工程の最中に、効果的に機能し得る。
【0065】
記載されているようなガス処理装置の1つの具体的な例は、媒体容器内に含まれている吸着剤を含むガス精製システムである。
図3を参照されたい。商業的な製造プロセスで使用される原料ガスの高いレベルの純度を提供するために、このプロセスは、典型的には貯蔵容器に含まれており、この貯蔵容器から供給される非常に高度に精製された原料ガス(「原料ガス」)の供給源で開始し得る。製造プロセスにおける使用のために貯蔵容器から原料ガスを送る前に、原料ガスは、製造プロセスの位置で追加的な(最終)精製工程によって処理される。一般的な技術によって、この工程は、原料ガスを、貯蔵容器から、粒子の形態の吸着媒体、すなわち、吸着媒体粒子の「床」を含むガス精製システムに流し、これに通すことで実施される。ガス流は、吸着媒体粒子の床を通り、ガスを吸着媒体の表面と接触させる。原料ガスが吸着媒体の表面と接触すると、原料ガス中に非常に低いレベルで存在する不純物が、吸着媒体によって吸着され、原料ガス中から除去される。
【0066】
ガス精製システムの使用期間の最中に、原料ガスから除去された不純物は、吸着媒体上に吸着し、徐々に蓄積する。十分な蓄積の後に、吸着媒体は、不純物で負荷され、効果が低下する。媒体は、交換または「再生」のいずれかが行われ得る。媒体の再生は、媒体からの蓄積されたある一定量の不純物を除去して、原料ガスからの不純物を除去するために媒体を再度使用することを可能にするプロセスを指す。
【0067】
再生プロセスは、加熱されたガス(「再生ガス」)を容器内の吸着媒体に通すことによって、精製工程の最中に媒体を含めるために使用された吸着容器内に残っている吸着媒体を用いて実施され得る。再生ガスは、吸着媒体の表面に接触し、媒体表面上に吸着および蓄積された不純物は、表面から脱着し、再生ガスの流れにおいて媒体から運び去られる。十分な量の吸着された不純物を吸着剤から除去することによって、再生された吸着剤を、原料ガスからの不純物の除去に再び利用することができる。
【0068】
再生ガスは、吸着媒体と接触させる前に、加熱、すなわち予熱され得る。加熱された再生ガスは、加熱されていない再生ガスと比較して、吸着媒体からより多くの量の不純物を除去することができる。
【0069】
図3を参照すると、吸着媒体粒子の床の表面上にガス中の不純物を吸着させることによるガスの精製における使用のための、本明細書に記載されているようなガス処理装置の例が図示されており、これは、加熱された再生ガスを吸着媒体の床に通して不純物を吸着媒体から除去することによって吸着媒体を再生する工程が追加的に可能である。
【0070】
ガス処理装置100は、単一のガス処理装置の一部として媒体容器および予熱器を備える。予熱器は、予熱器を流れる再生ガスの効果的な予熱をもたらすように媒体容器と構造的に組み合わされている。
【0071】
装置100は、(図示されているような)媒体粒子の床の形態の媒体122を含む、媒体容器内部120(図示されているように、円筒形)を画定する媒体容器110を備える。媒体122は、吸着材料の粒子であってもよく、ガス処理装置100は、原料ガスを媒体122の床に通して流すときに不純物を媒体122上に吸着させることによって不純物を原料ガスから除去するためのガス精製装置として使用され得る。
【0072】
媒体容器110は、入口140、出口142、および入口と出口との間の内部容積部120を含む。より具体的には、媒体容器110は、媒体容器入口(開口部)140を含む端壁134を含む入口端130を(図示されているように、上側または「上部」位置に)含む。媒体容器110はまた、媒体容器出口(1つまたは複数の通路)142を有する、端壁136を含む出口端132を(下側または「底部」位置に)含む。媒体容器内部120は、入口端壁134、出口端壁136、および側壁(円筒形として図示されている)138によって画定されている。媒体容器出口142は、媒体122の粒子のサイズより小さくサイズ決めされた複数の開口部を含むスクリーンまたは有孔プレートもしくはディスクなどの支持構造であり得る。それによって、媒体容器出口142は、ガスの流れを容器110の内部と予熱器150の内部との間に通すことを可能にしながら、媒体122の粒子を支持することができる。
【0073】
予熱器150は、媒体容器110の底部部分と接触している出口端に、かつ媒体容器110の外側の長さの少なくとも一部に沿って位置している。媒体容器110の長さは、入口端壁134と出口端壁136との間の距離である。
【0074】
予熱器150は、内部側壁152で作製されており、これは、任意選択的に、かつ図示されているように、媒体容器110の側壁138と同じ構造である。予熱器150はまた、内部側壁152に対向した位置に外部側壁154を含む。予熱器150はまた、予熱器出口158および予熱器入口162を含む。
【0075】
予熱器150は、環状容積部160aおよび端部容積部160bの2つの部分を含む予熱器内部容積部160を含む。環状容積部160aは、内側の内部側壁152および外側の外部側壁154によって区切られて画定されており、かつ媒体容器110の長さの一部に沿って延在している、実質的に環状の形状を有する容積部である。端部容積部160bは、端部容積部160bの一方の側(上部側)の媒体容器端壁136によって、かつ端部容積部160bの反対側(底部側)の予熱器端壁156によって画定されて区切られた、実質的に平坦な円筒形状(実質的に直径未満の高さ(媒体容器110の長さ方向に)を有する)を有する容積部である。
【0076】
絶縁または加熱層170は、加熱器、絶縁(低熱伝導率)材料、またはその両方を含み得、予熱器150および容器110の両方を囲むように予熱器150および容器110の上方に位置している。装置100の長さの下側部分に沿った予熱器150の位置、容器110の出口端では、加熱層170の加熱器からの熱が、予熱器150に流れて、予熱器150の内部容積部を流れるガスを加熱する。熱はまた、側壁152(側壁138でもある)を通した熱伝導によって予熱器150から容器110に伝わり得る。
【0077】
使用において、装置100は、半導体またはマイクロ電子デバイスなどを製造するための製造プロセス(図示せず)における使用のために提供される原料ガスを処理(精製)するためのガス精製装置として使用され得る。この使用の場合、比較的高いレベルの純度の原料ガスを媒体容器入口140に通して媒体容器110に流すことができる。原料ガスは、容器110を通り、吸着媒体122の表面と接触し、媒体容器出口142を通り、次いで、予熱器150の端部容積部160bを通り、予熱器出口158を通して予熱器150から出る。このプロセスの最中に、予熱器入口162のバルブは、閉じられており、ガスの流れは、入口162を通ることができない。
【0078】
予熱器出口158は、予熱器出口158から出る処理された原料ガスを受け取ることになる半導体またはマイクロ電子デバイス製造システムなどの製造デバイスに直接的または間接的に接続している。
【0079】
予熱器出口158から出る原料ガスは、入口140で容器110に入る原料ガスと比較して、低減されたレベルの不純物を有する。原料ガスが、容器110を通り、媒体122に接触すると、原料ガスの不純物が、吸着媒体122の表面上に吸着および蓄積される。使用の最中に蓄積されるようなある一定量の不純物の後に、媒体122は、それほど有用ではなくなり、再生ガスがある一定量の蓄積された不純物を媒体122から除去(脱離)するように媒体122を再生ガスと接触させることによって再生され得る。
【0080】
例示的なシステムでは、再生ガスは、容器110を通る原料ガスの流れの方向と反対の方向に容器110を流れることができ、すなわち、精製工程の最中に、原料ガスは、(図示されているように)上部から底部に、入口140から出口142に流れ、再生工程の最中に、再生ガスは、底部から上部に、出口142(ここでは入口として機能する)から入口140(ここでは出口として機能する)に流れる。
【0081】
図3に示されているようなシステムでは、再生ガスは、予熱器150を使用して予熱され得、予熱された再生ガスは、予熱器内部空間から容器出口142を通して媒体容器110の内部120に流れる。再生ガスは、加熱で予熱器を加熱しながら、再生ガスを、入口162に通して、予熱器150の内部容積部160に通して、次いで、媒体容器出口142(入口として機能する)に通して、媒体容器110の内部120に流し、これに通すことによって予熱され得る。
【0082】
入口162を通して予熱器の内部容積部160に入るとき、再生ガスの温度は、常温(例えば、摂氏23度)またはほぼ常温、例えば、華氏20~25度の範囲の温度などの任意の有用な温度であり得る。予熱器および予熱されたガスの温度は、任意の有用な温度、例えば、少なくとも摂氏200度の温度、例えば、210~350℃の範囲の温度であり得る。
【0083】
予熱された再生ガスは、媒体容器110を通って、媒体122と接触し、媒体122の表面上に存在する蓄積された不純物を、再生ガスによって脱着し、吸着媒体表面から除去する。再生ガスは、吸着媒体122から脱着および除去された不純物を運びながら、容器「入口」140(出口として機能する)を流れることによって容器110から出る。
【0084】
ある特定の例示的なガス精製装置では、再生工程の最中に予熱器および媒体容器を通る再生ガスの流量は、原料ガスを精製する工程の最中に媒体容器および予熱器を通る原料ガスの流量より低くてもよい。
【0085】
媒体容器を通る原料ガスの流量は、なかでも、ガスの種類、媒体の種類(触媒、吸着剤)、ならびに除去すべき不純物の種類および量に応じて変わり得る。「ノルマル立方メートル/時」(NM3/時)に関して、媒体容器を通る原料ガスの流量の例は、10~200NM3/時、例えば、20~160NM3/時の範囲であり得る。
【0086】
記載されているようなガス処理装置を使用する例示的な方法によると、再生工程の最中に、再生ガスの流量は、精製工程の最中に媒体容器を流れる原料ガスの流量の画分(fraction)であり得る。再生ガスの流量は、例えば、精製工程の最中に媒体容器を通る原料ガスの流量の50、40、30、20、15、または10パーセント未満であり得る。精製工程の最中の原料ガスの流量と比較して著しくより低い流量の再生ガスを使用して再生工程を実施する能力は、予熱器をより小さなサイズ、例えば容積で構築することができるため、有利であり得る。
【0087】
同様に、予熱器を流れ、かつ精製工程の最中に媒体容器を通る原料ガスの圧力の画分(fraction)であり得る、再生ガスの圧力。精製工程の最中の媒体容器内の原料ガスの圧力は、1~300ポンド/平方インチ、ゲージ(psig)の範囲であり得る。再生工程の最中の記載されているような予熱器内の再生ガスの圧力は、1~60ポンド/平方インチ、ゲージ(psig)の範囲であり得る。別の言い方をすると、再生工程の最中に予熱器を流れる再生ガスの圧力(psig)は、精製工程の最中に媒体容器を流れる原料ガスの圧力(psig)の50、40、または30パーセント未満であり得る。
【0088】
表1は、記載されているような吸着剤型ガス精製システムに原料ガスを通すことによって精製工程において様々な種類の原料ガス(上段に列挙されている)を処理するために使用され得る材料および操作条件の例を示す。
【0089】
表1はまた、本明細書に記載されているようなガス処理装置で有用な材料(再生ガス(「リジェネガス(regen gas)」))およびプロセスパラメータの例を示す。この表には、精製工程を経る原料ガス(上段)、精製工程の最中の原料ガスの例示的な流量、吸着媒体を再生するために使用される再生ガスの化学的構成、再生ガスの例示的な流量、および再生の最中の例示的な最高温度が記載されている。
【0090】
本明細書のガス処理装置は、異なる種類の媒体と一緒に使用され得る。
図4を参照すると、触媒粒子の床にガスを通すことによるガスの精製における使用のための本明細書に記載されているようなガス処理装置の例が図示されている。
【0091】
ガス処理装置200は、単一の(組み合わされた)ガス処理装置の一部として媒体容器および予熱器を備える。予熱器は、予熱器、次いで媒体容器を流れる原材料ガスの効果的な予熱をもたらすように媒体容器と構造的に組み合わされている。
【0092】
装置200は、(図示されているような)触媒粒子の床の形態の媒体222を含む、媒体容器内部220(図示されているように、円筒形)を画定する媒体容器210を備える。媒体222は、触媒粒子の粒子であり得る。ガス処理装置200は、原料ガスを床に通して流して触媒粒子222と接触させるときに不純物と触媒表面との反応によって原料ガスから不純物を除去する(例えば、化学的に変化させる)ためのガス精製装置として使用され得る。
【0093】
媒体容器210は、入口240、出口242、および入口と出口との間の内部容積部220を含む。より具体的には、媒体容器210は、1つまたは複数の媒体容器入口(開口部)240を含む端壁234を含む入口端230を(図示されているように、上側または「上部」位置に)含む。媒体容器210はまた、端壁236を含む出口端232を(下側または「底部」位置に)含む。媒体容器内部220は、入口端壁234、出口端壁236、および側壁(円筒形として図示されている)238によって画定されている。媒体容器出口端232は、媒体222の粒子のサイズより小さくサイズ決めされた複数の開口部を含むスクリーンまたは有孔プレートもしくはディスクなどの支持構造を含み得る。それによって、媒体容器出口端232は、ガスの流れを容器210の内部と出口242との間に通すことを可能にしながら、媒体222の粒子を支持することができる。
【0094】
装置200はまた、媒体容器210の上側部分と接触している入口端に、かつ媒体容器210の外側の長さの少なくとも一部に沿って位置している予熱器250を含む。媒体容器210の長さは、入口端壁234と出口端壁236との間の距離である。
【0095】
予熱器250は、内部側壁252で作製されており、これは、任意選択的に、かつ図示されているように、媒体容器210の側壁238と同じ構造である。予熱器250はまた、内部側壁252に対向した位置に外部側壁254を含む。予熱器250はまた、予熱器入口262を含む。
【0096】
予熱器250は、環状容積部260aおよび端部容積部260bの2つの部分を含む予熱器内部容積部260を含む。環状容積部260aは、内側の内部側壁252および外側の外部側壁254によって区切られて画定されており、かつ媒体容器210の長さの一部に沿って延在している、実質的に環状の形状を有する容積部である。端部容積部260bは、260bの一方の側(図示されているように、底部側)の媒体容器端壁234によって、かつ端部容積部260bの反対側(図示されているように、上部側)の予熱器端壁256によって画定されて区切られた、実質的に平坦な円筒形状(大幅に直径未満の高さ(媒体容器210の長さ方向)を有する)を有する容積部である。
【0097】
絶縁または加熱層270は、加熱器、絶縁(低熱伝導率)材料、またはその両方を含み得、予熱器250および媒体容器210の両方を囲むように予熱器250および媒体容器210の上方に位置している。装置200の長さの上側部分に沿った予熱器250の位置、容器210の入口端では、加熱層270の加熱器からの熱が、予熱器250に流れて、予熱器250の内部容積部を流れるガスを加熱する。熱はまた、予熱器250から側壁252(側壁238でもある)を通して容器210に伝わり得る。
【0098】
使用において、装置200は、半導体またはマイクロ電子デバイスなどを製造するための製造プロセス(図示せず)における使用のための精製された原料ガスとして提供される原料ガスを処理(精製)するためのガス精製装置として使用され得る。この使用の場合、予熱器250を使用して予熱した後に、比較的高いレベルの純度の原料ガスを媒体容器入口240に通して媒体容器210に流すことができる。原料ガスは、予熱器入口262を通り、予熱器250の容積部160を通り、入口240を通り、媒体容器210に入る。
【0099】
入口262を通して予熱器の内部容積部260に入るとき、原料ガスの温度は、常温(例えば、摂氏23度)またはほぼ常温、例えば、摂氏20~25度の範囲の温度などの任意の有用な温度であり得る。予熱器および予熱されたガスの温度は、任意の有用な温度、例えば、少なくとも摂氏200度の温度、例えば、210~350℃の範囲の温度であり得る。
【0100】
予熱されたガスは、触媒粒子222の床を通り、次いで、媒体容器出口242を通る。出口242は、予熱器出口242から出る処理された原料ガスを受け取ることになる半導体またはマイクロ電子デバイス製造システムなどの製造デバイスに直接的または間接的に接続している。予熱器出口242から出る原料ガスは、入口262で予熱器250に入る原料ガスと比較して、低減されたレベルの不純物を有する。
【0101】
記載されているような予熱器のある特定の例では、環状容積部と端部容積部とを含む内部容積部は、より具体的には、予熱器の効率を増加させるために、環状容積部に通して流動ガスを案内するためのチャネルを含む側壁によって画定された環状容積部を含み得る。環状容積部のための有用な流路の1つの例は、予熱器入口から予熱器の端部容積部に進む間に媒体容器の周囲に複数回巻き付いている螺旋経路を通るガスの流れをもたらす螺旋流路である。
【0102】
図5Aおよび5Bを参照すると、予熱器の環状空間を通るガスの螺旋流路を生じさせる予熱器側壁構造の1つの例が図示されている。予熱器350と媒体容器310とを備えるガス処理装置300の一部が図示されている。
【0103】
図5Aは、予熱器の側壁表面および内部を示す断面図である。
図5Bは、媒体容器の内部と予熱器の側壁および内部の断面とを示す断面図である。
【0104】
予熱器350は、環状容積部360aおよび端部容積部360bの2つの部分を含む予熱器内部容積部360を含む。環状容積部360aは、内側の内部側壁352の溝付き表面および外側の溝なし外部側壁354によって区切られて画定されている、実質的に環状の形状を有する容積部である。環状容積部360aは、媒体302(
図5Aではなく
図5Bに図示)を含む媒体容器310の長さの一部に沿って延在している。熱電対312は、
図5Aに示されている。
【0105】
図示されているように、溝付き内部側壁352は、予熱器入口356と端部容積部360bとの間で媒体容器310の周囲に円周方向に延在している螺旋チャネル380を形成する丸みを帯びた溝370を有する表面を含む。環状容積部360aの上側(図示されている)位置にある入口356の位置において、環状容積部は、入口356の長さ方向の位置で媒体容器310の円周全体に非螺旋円形経路で延在している連続的な円環状空間358を含む。環状容積部360aの特に好ましい例では、螺旋チャネル380は、入口356から円周方向に反対側の位置で円環状空間358と交わり、すなわち、螺旋チャネル380は、環状容積部360aの円周に対して入口356から180度の位置で円環状空間358と交わる。
【0106】
使用において、ガス(例えば、再生ガスまたは原料ガス)は、入口356に入り(流れの方向を示す矢印を参照)、円環状空間358に入り、環状容積部160aの円周を半分(180度)流れ、螺旋チャネル358の上側(図示されている)端部に入る。ガスは、環状容積部160aを通して、端部容積部360bに至る螺旋経路に流れる。螺旋チャネル358を通して流れる最中に、外部側壁354と接触している加熱器(図示せず)は、ガスを加熱し、ガスの温度を所望の温度に上昇させる。予熱されたガスは、端部容積部360bに入り、次いで、媒体容器310の内部304に入り、媒体302の床を通る。
【0107】
第1の態様では、ガス処理装置は、媒体容器入口を含む媒体容器入口端、媒体容器出口を含む媒体容器出口端、入口端と出口端との間の長さにわたって延在している媒体容器側壁、および入口端と出口端との間に延在している媒体容器内部を含む、媒体容器と、媒体容器側壁の長さに沿って位置しているガス予熱器とを含む。
【0108】
また、ガス予熱器が、媒体容器側壁と熱的に接触している、第1の態様に記載の第2の態様が開示されている。
【0109】
また、ガス予熱器が、媒体容器側壁の円周で延在している、第1または第2の態様に記載の第3の態様が開示されている。
【0110】
また、予熱器が、出口端から媒体容器側壁の長さの一部に沿って延在している、態様1から3のいずれか1つに記載の第4の態様が開示されている。
【0111】
また、予熱器の少なくとも一部と熱的に接触している加熱要素をさらに備え、予熱器が、媒体容器側壁と加熱要素との間に配設されている、態様1から4のいずれか1つに記載の第5の態様が開示されている。
【0112】
また、予熱器の少なくとも一部を覆う断熱材をさらに備え、予熱器が、媒体容器と断熱材との間に配設されている、態様1から5のいずれか1つに記載の第6の態様が開示されている。
【0113】
また、媒体容器出口に有孔端壁をさらに備え、有孔端壁が、媒体容器内部を予熱器の内部から分離している、態様1から6のいずれか1つに記載の第7の態様が開示されている。
【0114】
また、予熱器が、媒体容器内部の容積の30パーセント未満の予熱器内部容積部を有する、態様1から7のいずれか1つに記載の第8の態様が開示されている。
【0115】
また、装置が、ガスを外部位置と予熱器内部との間に通すことを可能にする予熱器入口を含み、予熱器入口が、媒体容器入口端と媒体容器出口端との間に位置している、態様1から8のいずれか1つに記載の第9の態様が開示されている。
【0116】
また、ガスを外部位置と予熱器内部との間に通すことを可能にする予熱器出口と、ガスを予熱器内部と媒体容器内部との間に通すことを可能にする媒体容器の出口端の開口部とをさらに含む、第9の態様に記載の第10の態様が開示されている。
【0117】
また、予熱器が、媒体容器側壁の長さの一部に沿って、かつ側壁の周囲に延在している内部側壁と、媒体容器側壁の長さの一部に沿って、かつ側壁の周囲に延在している外部側壁と、媒体容器出口から離間した予熱器端壁と、内部側壁および外部側壁によって区切られた環状容積部、ならびに媒体容器出口の端部および予熱器端壁によって区切られた端部容積部を含む、予熱器内部容積部とを含む、態様1から10のいずれか1つに記載の第11の態様が開示されている。
【0118】
また、環状容積部が、ガスを環状容積部の円周で螺旋形状の経路で環状容積部に通して流す螺旋チャネルを含む、第11の態様に記載の第12の態様が開示されている。
【0119】
また、媒体容器が、吸着媒体および触媒から選択される媒体を含む、態様1から12のいずれか1つに記載の第13の態様が開示されている。
【0120】
第14の態様では、ガス処理装置を使用する方法であって、装置が、媒体容器入口を含む媒体容器入口端、媒体容器出口を含む媒体容器出口端、入口端と出口端との間の長さにわたって延在している媒体容器側壁、入口端と出口端との間の長さにわたって延在している媒体容器内部、および内部に含まれている媒体を含む、媒体容器と、媒体容器側壁の長さに沿って位置しているガス予熱器と、予熱器の少なくとも一部を覆う加熱要素とを備え、方法が、ガスを予熱器に通して流してガスを予熱することと、予熱されたガスを媒体容器内部に通して媒体と接触させることとを含む、方法。
【0121】
また、媒体が、吸着媒体であり、ガスが、再生ガスであり、方法が、原料ガスを媒体容器内部に通して流して吸着媒体と接触させて、原料ガスを媒体容器内部に通して流した後に、原料ガスに含有されている不純物を、吸着媒体によって吸着して、プロセスガスから除去することを可能にすることと、再生ガスを予熱器に通して流して再生ガスを予熱して、予熱された再生ガスを媒体容器内部に通して流して吸着媒体と接触させることとを含む、第14の態様に記載の第15の態様が開示されている。
【0122】
また、装置が、ガスを外部位置と予熱器内部との間に通すことを可能にする予熱器入口であって、予熱器入口が、媒体容器入口端と媒体容器出口端との間に位置している、予熱器入口と、ガスを外部位置と予熱器内部との間に通すことを可能にする予熱器出口と、ガスを予熱器内部と媒体容器内部との間に通すことを可能にする媒体容器の出口端の開口部とを含み、方法が、プロセスガスが、媒体容器入口を通して媒体容器内部に入ることと、プロセスガスが、媒体容器出口を通して媒体容器内部から出て、予熱器内部に入ることと、プロセスガスが、予熱器出口を通して予熱器内部から流れ出ることとを含む、第15の態様に記載の第16の態様が開示されている。
【0123】
また、再生ガスが、予熱器入口を通して予熱器内部に入り、再生ガスが、媒体容器出口を通して予熱器内部から出て、媒体容器内部に入り、かつ再生ガスが、媒体容器入口を通して媒体容器内部から流れ出る、第16の態様に記載の第17の態様が開示されている。
【0124】
また、原料ガスをある一定の原料ガス流量で媒体容器内部に通して流すことと、再生ガスを原料ガス流量未満のある一定の再生ガス流量で予熱器に通して流すこととをさらに含む、第14から第17の態様のいずれか1つに記載の第18の態様が開示されている。
【0125】
また、再生ガス流量が、プロセスガス流量の50パーセント未満である、第18の態様に記載の第19の態様が開示されている。
【0126】
また、原料ガスをある一定の原料ガス圧力で内部に通して流すことと、再生ガスを原料ガス圧力未満のある一定の再生ガス圧力で予熱器に通して流すこととをさらに含む、第14から第19の態様のいずれか1つに記載の第20の態様が開示されている。
【0127】
また、再生ガス圧力が、原料ガス圧力の50パーセント未満である、第20の態様に記載の第21の態様が開示されている。
【0128】
また、原料ガスが、窒素、アルゴン、水素、アンモニア、二酸化炭素、清浄乾燥空気、および酸素から選択される、第15から第21の態様のいずれか1つに記載の第22の態様が開示されている。
【0129】
また、媒体が、触媒を含み、ガスが、窒素、アルゴン、水素、二酸化炭素、清浄乾燥空気、および酸素から選択される原料ガスである、第14の態様に記載の第23の態様が開示されている。
【0130】
また、不純物が、窒素酸化物、一酸化炭素、または炭化水素である、第14および第15の態様に記載の第24の態様が開示されている。
【0131】
また、不純物がメタンである、第14および第15の態様に記載の第25の態様が開示されている。
【国際調査報告】