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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】用量判定のためのデータ収集装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
A61M5/315 550P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500170
(86)(22)【出願日】2021-07-09
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 EP2021069124
(87)【国際公開番号】W WO2023280419
(87)【国際公開日】2023-01-12
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・シャバッハ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクター・ジトミルスキ
(72)【発明者】
【氏名】ホルスト・ミッショ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD07
4C066FF05
4C066QQ48
4C066QQ79
4C066QQ82
4C066QQ84
(57)【要約】
薬剤の用量を測定するためのデータ収集装置は、用量ダイヤル設定動作および用量投薬動作の少なくとも一方の間の薬物送達デバイスの用量ダイヤル設定構成要素の回転を検出し、回転量に対応する信号を出力するように構成されたジャイロスコープと;薬物送達デバイスに対して用量ダイヤル設定動作または用量投薬動作が行われているかどうかを示す信号を出力するように構成されたモード感知装置とを含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤の用量を測定するためのデータ収集装置であって:
用量ダイヤル設定動作および用量投薬動作の少なくとも一方の間の薬物送達デバイスの用量ダイヤル設定構成要素の回転を検出し、回転量に対応する信号を出力するように構成されたジャイロスコープと;
薬物送達デバイスに対して用量ダイヤル設定動作または用量投薬動作が行われているかどうかを示す信号を出力するように構成されたモード感知装置と
を含む、前記データ収集装置。
【請求項2】
ジャイロスコープによって出力された信号およびモード感知装置によって出力された信号に少なくとも部分的に基づいて用量を判定するように構成されている、請求項1に記載のデータ収集装置。
【請求項3】
モード感知装置は加速度計を含み、データ収集装置は、ジャイロスコープを使用して判定された用量および加速度計を使用して判定された用量に基づいて、用量を判定するように構成されている、請求項2に記載のデータ収集装置。
【請求項4】
モード感知装置は、用量ダイヤル設定動作中または用量投薬動作中の振動を検出するように構成された加速度計を含む、請求項1または2に記載のデータ収集装置。
【請求項5】
加速度計は、用量ダイヤル設定構成要素の振動を検出するように構成されている、請求項3に記載のデータ収集装置。
【請求項6】
加速度計によって出力された信号を処理して、第1のタイプの振動と第2のタイプの振動とを区別するように構成され、ここで、第1のタイプの振動は用量ダイヤル設定動作に対応し、第2のタイプの振動は用量投薬動作に対応する、請求項4または5に記載のデータ収集装置。
【請求項7】
ジャイロスコープおよび加速度計の少なくとも一方は、微小電子機械システム(MEMS)である、請求項3~6のいずれか1項に記載のデータ収集装置。
【請求項8】
通信インターフェースをさらに含み、該装置は、該通信インターフェースを使用して、ジャイロスコープによって出力された信号に対応するデータを、用量を判定するためにコンピューティングデバイスに送信するように構成されている、請求項1~7のいずれか1項に記載のデータ収集装置。
【請求項9】
加速度計は、用量投薬動作中の用量ダイヤル設定構成要素の線形並進運動を検出するように構成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載のデータ収集装置。
【請求項10】
モード感知装置は、用量投薬動作が行われていることを検出するように構成された作動センサを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載のデータ収集装置。
【請求項11】
作動センサは、用量投薬動作中のユーザの指を検出するように構成された静電容量式タッチセンサを含む、請求項10に記載のデータ収集装置。
【請求項12】
薬物送達デバイスは注射ペンである、請求項1~11のいずれか1項に記載のデータ収集装置。
【請求項13】
薬物送達デバイス内に収容されている、請求項1~12のいずれか1項に記載のデータ収集装置。
【請求項14】
薬物送達デバイスに取り付け可能な補助デバイスである、請求項1~12のいずれか1項に記載のデータ収集装置。
【請求項15】
システムであって:
請求項1~14のいずれか1項に記載のデータ収集装置と;
ジャイロスコープによって出力された信号およびモード感知装置によって出力された信号に基づいて用量を判定するように構成されたコンピューティングデバイスと
を含む、前記システム。
【請求項16】
薬剤の用量を測定するためのコンピュータ実装方法であって:
ジャイロスコープを使用して、薬物送達デバイスの用量ダイヤル設定構成要素の回転を検出することと;
モード感知装置を使用して、薬物送達デバイスに対して用量ダイヤル設定動作または用量投薬動作が行われていると判定することと;
薬物送達デバイスに対して用量ダイヤル設定動作または用量投薬動作が行われていると判定したことに応答して、ジャイロスコープの回転に基づいて用量を判定することと
を含む、前記コンピュータ実装方法。
【請求項17】
薬物送達デバイスに対して用量ダイヤル設定動作または用量投薬動作が行われていると判定することは:
モード感知装置の加速度計を使用して、用量ダイヤル設定構成要素の振動を検出することと;
検出された振動が薬物送達デバイスに対して用量ダイヤル設定動作または用量投薬動作が行われていることを示すと判定することと
を含む、請求項16に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項18】
薬物送達デバイスに対して用量投薬動作が行われていると判定することは:
モード感知装置の作動センサを使用して用量ダイヤル設定構成要素の作動を検出すること
を含む、請求項16または17に記載のコンピュータ実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物送達デバイスにダイヤル設定された用量または薬物送達デバイスから投薬された用量など、薬剤の用量を判定するためのデータ収集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤の注射による定期的な治療を必要とする様々な病気が存在する。そのような注射は、医療従事者または患者自身によって利用される注射デバイスを用いて行うことができる。一例として、1型糖尿病および2型糖尿病は、たとえば1日に1回または数回のインスリン用量の注射によって、患者自身によって治療できる。たとえば、充填済みの使い捨てインスリンペンを注射デバイスとして使用できる。代替として、再使用可能なペンを使用できる。再使用可能なペンによって、空の薬剤カートリッジを新たなものに交換することが可能になる。いずれのペンも、使用前に毎回交換される1組の単方向針が付属していてよい。次いで、注射予定のインスリン用量は、投与量ノブを回し、インスリンペンの用量窓またはディスプレイから実際の用量を視認することによって、たとえばインスリンペンにおいて手動で選択することができる。次いで、用量は、適切な皮膚部分に針を挿入し、インスリンペンの投与量ノブまたは注射ボタンを押圧することによって注射される。インスリン注射を監視できるようにするために、たとえば、インスリンペンの誤った取扱いを防ぎ、または既に利用した用量のトラックを維持するために、たとえば注射されたインスリン用量の情報など、注射デバイスの状況および/または使用に関する情報を測定することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電子監視手段を有するいくつかの先行する注射デバイスにおいて、電子監視手段を含むことは、標準的な注射デバイスの設計から注射デバイスを実質的に修正することを必要とする。このような実質的な修正によって、修正された注射デバイスが扱いにくく、高価であり、製造が難しくなる恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様によれば、薬剤の用量を測定するためのデータ収集装置が提供され、本装置は:用量ダイヤル設定動作および用量投薬動作の少なくとも一方の間の薬物送達デバイスの用量ダイヤル設定構成要素の回転を検出し、回転量に対応する信号を出力するように構成され、ジャイロスコープと;薬物送達デバイスに用量ダイヤル設定動作または用量投薬動作が行われているかどうかを示す信号を出力するように構成されたモード感知装置とを含む。このような装置は、薬物送達手段と関連する薬剤の用量を判定するための単純かつコンパクトな手段を提供することができる。モード感知装置によって、装置は、実際の用量ダイヤル設定動作および/または投薬動作によるデバイスの回転と、用量ダイヤル設定動作および/または投薬動作と関連しないデバイスの単なる取扱いまたは輸送によるデバイスの回転とを区別することが可能になる。
【0005】
データ収集装置は、ジャイロスコープによって出力された信号およびモード感知装置によって出力された信号に少なくとも部分的に基づいて用量を判定するように構成できる。
【0006】
用量は、投薬済みの用量でよく、装置は、用量投薬動作が行われていることを示す信号をモード感知装置が出力していた間に、ジャイロスコープから出力された信号に基づいて、投薬済みの用量を判定するように構成できる。そのことは、ジャイロスコープの出力が意図的な用量投薬動作によるものであるということを保証することによって、判定された投薬済みの用量の正確性を改善することができる。
【0007】
モード感知装置は加速度計を含むことができ、データ収集装置は、ジャイロスコープを使用して判定された用量および加速度計を使用して判定された用量に基づいて、用量を判定するように構成されている。そのことは、加速度計またはジャイロスコープを単独で使用して判定された用量に起こり得るエラーの影響を軽減することによって、ダイヤル設定済みの用量または投薬済みの用量のより正確な判定をもたらすことができる。
【0008】
モード感知装置は、用量ダイヤル設定動作中または用量投薬動作中の振動を検出するように構成された加速度計を含むことができる。
【0009】
加速度計は、用量ダイヤル設定構成要素の振動を検出するように構成できる。
【0010】
データ収集装置は、加速度計によって出力された信号を処理して、第1のタイプの振動と第2のタイプの振動とを区別するように構成でき、ここで、第1のタイプの振動は用量ダイヤル設定動作に対応し、第2のタイプの振動は用量投薬動作に対応する。そのことは、薬物送達デバイスに対して用量ダイヤル設定動作または用量投薬動作が行われているかどうかを判定する効果的な手法を提供することができる。
【0011】
モード感知装置は、用量ダイヤル設定動作中または用量投薬動作中の用量ダイヤル設定構成要素の振動を検出するように構成された加速度計を含むことができる。そのことは、薬物送達デバイスへの用量ダイヤル設定動作および/または用量投薬動作を検出する単純な手段を提供し、その手段は、標準的な薬物送達デバイスの修正をほとんどまたは全く必要としない。
【0012】
ジャイロスコープおよび加速度計の少なくとも一方は、微小電子機械システム(MEMS)でよい。これは、用量測定のために単純であり、コンパクトであり、費用対効果の高い手段を提供する。そのことは、特に、ジャイロスコープおよび加速度計の両方が同じチップパッケージのMEMSである場合に当てはまる(たとえば、6軸または9軸のモーションセンサ)。
【0013】
データ収集装置はさらに、通信インターフェースを含むことができ、本装置は、通信インターフェースを使用して、ジャイロスコープによって出力された信号に対応するデータを、用量を判定するためにコンピューティングデバイスに送信するように構成されている。そのことによって、出力データの処理の一部または全部を、装置から離れてコンピューティングデバイス上で行うことを可能にすることができる。そのことは、装置の処理要件を軽減でき、そのため、装置をより廉価にし、製造をより単純にし、電力要件を軽減することが可能になる。
【0014】
加速度計は、用量投薬動作中の用量ダイヤル設定構成要素の線形並進運動を検出するように構成できる。これは、用量投薬動作を検出する単純な手法とすることができ、その手法は、標準的な薬物送達デバイスの修正をほとんどまたは全く必要としない。
【0015】
モード感知装置は、用量投薬動作が行われていることを検出するように構成された作動センサを含むことができる。これは、用量投薬動作を検出する単純な手法とすることができ、その手法は、標準的な薬物送達デバイスの修正をほとんどまたは全く必要としない。
【0016】
作動センサは、用量投薬動作中のユーザの指を検出するように構成された静電容量式タッチセンサを含むことができる。これは、用量投薬動作を検出する単純な手法とすることができ、その手法は、標準的な薬物送達デバイスの修正をほとんどまたは全く必要としない。さらに、容量センサの使用によって、装置がユーザによる薬物送達デバイスの一部分の作動(すなわち、ヒトの指による作動)と、物体による作動(たとえば、薬物送達デバイスの運搬ケース内での偶発的な作動)とを区別することを可能にすることができる。
【0017】
薬物送達デバイスは注射ペンでよい。
【0018】
装置は、薬物送達デバイス内に収容できる。
【0019】
装置は、薬物送達デバイスに取り付け可能な補助デバイスとすることができる。そのことによって、高性能のおよび/または高価な構成要素を補助デバイスに収容可能にすることができ、それを比較的低コストの薬物送達デバイスに取り付けることができる。これは、補助デバイスを2つ以上の薬物送達デバイスと共に使用しなければならない場合に有用なことがある。
【0020】
本発明の別の態様によれば、先行する開示のいずれか1つに記載のデータ収集装置と;ジャイロスコープによって出力された信号およびモード感知装置によって出力された信号に基づいて用量を判定するように構成されたコンピューティングデバイスとを含む、システムが提供される。
【0021】
本発明の別の態様によれば、薬剤の用量を測定するためのコンピュータ実装方法であって:ジャイロスコープを使用して、薬物送達デバイスの用量ダイヤル設定構成要素の回転を検出することと;モード感知装置を使用して、薬物送達デバイスに対して用量ダイヤル設定動作または用量投薬動作が行われていると判定することと;薬物送達デバイスに対して用量ダイヤル設定動作または用量投薬動作が行われていると判定したことに応答して、ジャイロスコープの回転に基づいて用量を判定することとを含む、方法が提供される。これは、薬物送達デバイスと関連する薬剤の用量を判定するための単純な手法を提供することができる。
【0022】
薬物送達デバイスに対して用量ダイヤル設定動作または用量投薬動作が行われていると判定することは:モード感知装置の加速度計を使用して、用量ダイヤル設定構成要素の振動を検出することと;
検出された振動が薬物送達デバイスに対して用量ダイヤル設定動作または用量投薬動作が行われていることを示すと判定することとを含むことができる。
【0023】
薬物送達デバイスに対して用量投薬動作が行われていると判定することは:モード感知装置の作動センサを使用して用量ダイヤル設定構成要素の作動を検出することを含むことができる。
【0024】
本発明の別の態様によれば、薬剤の投薬済みの用量を測定するためのデータ収集装置であって:
用量投薬動作中の薬物送達デバイスの構成要素の回転を検出し、回転量に対応する信号を出力するように構成されたジャイロスコープと;
薬物送達デバイスに対して用量投薬動作が行われているかどうかを示す信号を出力するように構成されたモード感知装置と
を含み、
本装置は、用量投薬動作が行われていることを示す信号をモード感知装置が出力していた間に、ジャイロスコープから出力された信号に基づいて投薬済みの用量を判定するように構成されている、装置が提供される。
【0025】
ここで、添付の図面を参照しながら例示的な実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態による装置の構成要素を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態による、図1の装置を収容する薬物送達デバイスの側面図である。
図3】本発明の実施形態による、薬物送達デバイスの一部分に取り付けられた補助デバイスに収容されている図1の装置を示す図である。
図4】用量ダイヤル設定動作中の、薬物送達デバイスおよび図2の装置ならびにコンピューティングデバイスを含む、本発明の実施形態によるシステムを示す図である。
図5】本発明の実施形態による、用量投薬動作中の図4のシステムを示す図である。
図6】本発明の実施形態による、図1の装置を使用して、ダイヤル設定済みの用量を判定するための方法を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態による、図1の装置を使用して、投薬済みの用量を判定するための方法を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施形態による、図1の装置を使用して、投薬済みの用量を判定するための方法を示すフローチャートである。
図9】本発明の実施形態による、図1の装置を使用して、投薬済みの用量を判定するための方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下において、インスリン注射デバイスの形態の薬物送達デバイスを参照しながら、本発明の実施形態を説明する。ただし、本発明は、そのような用途に限定されるものではなく、他の薬剤を放出する注射デバイスまたは他の形態の薬物送達デバイスにも同じく良好に展開できる。同様の参照番号は全体を通して同様の要素を指す。
【0028】
本開示の態様は、ジャイロスコープ102およびモード感知装置104を使用して薬剤の用量を判定することに関する。
【0029】
図1は、本コンセプトの主要な構成要素を示すブロック図である。図1は本発明によるデータ収集装置100を示す。データ収集装置100は、薬物送達デバイス200と関連する薬剤の用量を判定するために使用される。薬物送達デバイス200と関連する薬剤の用量は、たとえば、薬物送達デバイス200にダイヤル設定された(プログラムされた)用量(「ダイヤル設定済みの用量」)または薬物送達デバイス200から投薬された用量(「投薬済みの用量」)とすることができる。
【0030】
装置100はジャイロスコープ102を含む。ジャイロスコープ102は、ジャイロスコープ102の角速度に対応する、したがって、軸を中心にしたジャイロスコープ102の回転量に対応する電気信号を出力するように構成された電子ジャイロスコープ102である。ジャイロスコープ102によって出力される角速度に対応する信号を処理して、たとえば時間に対して角速度を積分することによって、ジャイロスコープ102の回転角度を判定することができる。これは、後述するように、装置100のプロセッサ106によってまたは別のデバイスのプロセッサによって処理できる。
【0031】
ジャイロスコープ102は3軸ジャイロスコープ102でよく、3軸ジャイロスコープ102は、x軸、y軸、およびz軸などの3つの軸を中心にしたジャイロスコープ102の角速度を測定し、各軸を中心にした角速度に対応する信号を出力することができる。したがって、3次元空間におけるジャイロスコープ102の回転角度は、ジャイロスコープによって出力された信号から計算でき、それを用いて、3次元空間におけるジャイロスコープ102の向きを判定することができる。ただし、ジャイロスコープ102は、3軸ジャイロスコープ102に限定されず、その代わりに、1軸ジャイロスコープ102、2軸ジャイロスコープ102、またはより多くの軸を中心にした回転を検出できるジャイロスコープ102でよい。
【0032】
ジャイロスコープ102は、微小電子機械システム(MEMS)ジャイロスコープ102でよく、集積回路パッケージとしても公知のチップパッケージに含むことができる。そのことは、ジャイロスコープ102の特にコンパクトな具体化をもたらす。
【0033】
装置100はモード感知装置104も有する。モード感知装置104は、ユーザによって薬物送達デバイス200に特定の動作が行われているかどうかを判定するために使用される。
【0034】
特定の動作は用量ダイヤル設定動作とすることができる。用量ダイヤル設定動作とは、投薬に備えてユーザによって薬物送達デバイス200に薬剤の用量がその間にダイヤル設定される(プログラムされる)動作である。用量ダイヤル設定動作中に薬物送達デバイス200にダイヤル設定された用量は、ダイヤル設定済みの用量として認識されていてよい。
【0035】
追加的にまたは代替として、特定の動作は用量投薬動作とすることができる。用量投薬動作とは、薬物送達デバイス200から薬剤の用量がその間に投薬される動作である。用量投薬動作中に薬物送達デバイス200から投薬された用量は、投薬済みの用量として認識されていてよい。投薬済みの用量は、ダイヤル設定済みの用量とサイズが等しいことがあり、またはダイヤル設定済みの全用量よりも小さい容量が投薬される場合はダイヤル設定済みの用量よりも小さいことがある。用量ダイヤル設定動作および用量投薬動作は、より詳細に後述する。
【0036】
モード感知装置104は、特定の瞬間に、特定の動作がその時点で実行されているかどうかを判定するために使用できる。たとえば、モード感知装置104は、特定の瞬間に、ユーザによって用量ダイヤル設定動作がその時点で行われているか、または、特定の瞬間に、ユーザによって用量投薬動作がその時点で行われているかどうかを判定するために使用できる。
【0037】
モード感知装置104は、特定の動作がその時点で行われているかどうかに対応する信号を出力することができる。出力信号は、特定の動作が行われているときは行われていないときと比べて異なる。言い換えれば、特定の動作が行われているときには第1の信号を出力することができ、特定の動作が行われていないときには第2の信号が出力される。モード感知装置104によって出力された信号を処理して、所与の瞬間に特定の動作が行われているか否か、およびいくつかの事例においては動作が行われている長さを判定することができる。信号は、後述するように、装置100のプロセッサ106または別のデバイスのプロセッサによって処理できる。
【0038】
モード感知装置104は、加速度計120および作動センサ130の少なくとも一方を含むことができる。
【0039】
加速度計120は、MEMS加速度計120でよく、チップパッケージに含むことができる。加速度計120は、ジャイロスコープ102と同じチップパッケージに含むことができる。3軸ジャイロスコープ102および3軸加速度計120を収容するこのようなチップパッケージは、6軸モーションセンサとして一般に知られている。6軸モーションセンサにジャイロスコープ102および加速度計120を一緒に設けると、装置100全体の特にコンパクトな配置を可能にできる。代替的なチップパッケージは、3軸ジャイロスコープ102および3軸加速度計120に加えて3軸磁気計を含む9軸モーションセンサである。
【0040】
加速度計120は3軸加速度計120でよい。ただし、加速度計120は、3軸加速度計120に限定されず、その代わりに、1軸加速度計120、2軸加速度計120、または4以上の軸に沿って加速度を検出できる加速度計120でよい。
【0041】
加速度計120は、1つまたはそれ以上の軸に沿った加速度計120の加速度に対応する信号を出力する。加速度計120が3軸加速度計120である場合は、加速度計120は、x軸、y軸、およびz軸のそれぞれに沿った加速度計120の加速度に対応する信号を出力することができる。加速度計120によって出力された信号を処理して、加速度計120の加速度および/もしくは速度、または加速度計120によって移動された線形の距離を判定することができる。信号は、後述するように、装置100のプロセッサ106によってまたは別のデバイスのプロセッサによって処理できる。
【0042】
加速度計120は、加速度計120およびそれが取り付けられた構成要素の振動など、振動を検出するように構成できる。加速度計120は、振動に対応する信号を出力するように構成できる。この信号は、加速度計120の加速度に対応する信号と同じ信号とすることができる。加速度計120によって出力される、振動に対応する信号は、後述するように、たとえば、装置100のプロセッサ106によってまたは別のデバイスのプロセッサによって処理できる。振動に対応する信号は、異なるタイプの振動を区別するように処理できる。第1のタイプ振動は、用量ダイヤル設定動作に対応することができ、第2のタイプの振動は、用量投薬動作に対応することができる。
【0043】
後で論じるように、加速度計120によって出力された信号は、薬物送達デバイス200に用量ダイヤル設定動作が行われているかどうか、および/または薬物送達デバイス200に用量投薬動作が行われているかどうかを判定するために使用できる。たとえば、加速度計120によって出力された信号から判定された加速度計120の加速度に基づいて、薬物送達デバイス200に用量ダイヤル設定動作または用量投薬動作がその時点で行われているかどうかを判定できる。いくつかの例において、加速度計120から出力された信号によって表される加速度計120の振動に基づいて、薬物送達デバイス200に用量ダイヤル設定動作または用量投薬動作がその時点で行われているかどうかを判定できる。
【0044】
作動センサ130は、ユーザによって用量投薬動作が行われているかどうかを示す出力信号を提供するように構成されている。作動センサ130は、用量投薬動作のためのユーザによる薬物送達デバイス200の一部分の作動を検出することができる。作動は、薬物送達デバイス200に用量投薬動作が行われていることを示す。薬物送達デバイス200の一部分とは、後述するように、たとえば注射ボタン11、投与量ノブ12、またはダイヤル設定スリーブ70でよい。
【0045】
作動センサ130は、スイッチ、静電容量式タッチセンサ、または任意の他の適切なタイプのセンサを含むことができる。作動センサ130の構成については、様々な実施形態に関して後で論じる。作動センサ130は、ユーザによる一部分の作動に応答して第1の出力信号を提供し、ユーザによる作動が行われていないときに第2の異なる出力信号を提供するように構成できる。
【0046】
装置100はさらに、プロセッサ106および電源110を含む。プロセッサ106は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)など、任意の適切なタイプのものでよい。プロセッサ106は、本明細書に記載されている方法の工程のうちの1つまたはそれ以上を行うように構成できる。装置100は、ソフトウェアおよび/またはデータを格納するための1つまたはそれ以上のメモリ108を含むこともできる。たとえば、1つまたはそれ以上のメモリ108は、プロセッサ106によって実行されるオペレーティングソフトウェアを格納するプログラムメモリ、ジャイロスコープ102および/もしくはモード感知装置104によって出力されるセンサデータを格納するセンサデータメモリ、または過去の用量の量およびタイミングについてのデータを格納する用量履歴メモリのうちの1つまたはそれ以上を含むことができる。
【0047】
電源110は、ジャイロスコープ102、モード感知装置104、およびプロセッサ106など、装置100の他の電子構成要素に電力を供給するように構成されている。電源110は、いくつかの形態を取ることができる。電源110は、コイン電池またはリチウムイオンバッテリなどのバッテリを含むことができる。代替的または追加的に、電源110は、エネルギーハーベスタおよびストレージシステムを含むことができる。エネルギーハーベスタは、薬物送達デバイス200の動作から、具体的には、薬物送達デバイス200に用量をダイヤル設定する動作からエネルギーを回収することができる。次いで、そのエネルギーは、適切な手法で、たとえば、ばねを圧縮もしくは伸張することによって、またはジェネレータによって直接的に電気エネルギーに変換し、その後、コンデンサに格納することによって格納できる。次いで、格納されたエネルギーは、装置100の様々な電子構成要素に電源供給するために使用される。いくつかの例において、電源110は、ワイヤレスで、たとえば近距離場通信(NFC)を通して電力を受信することができる。
【0048】
装置100はさらに、マイクロスイッチなどのスイッチ114を含むことができる。いくつかの例において、スイッチ114は、スイッチ114の位置に応じて、電力を電源110から装置100の他の構成要素に選択的に供給するように構成された電源スイッチである。たとえば、スイッチ114は、装置100の構成要素が電源110から絶縁された「オフ」位置と、装置100の構成要素が電源110に電気接続された「オン」位置との間で可動とすることができる。スイッチ114は、薬物送達デバイス200のユーザによって操作できる。
【0049】
いくつかの例において、スイッチ114は、スイッチ114のユーザの操作に応答してプロセッサ106に入力を供給するように構成されている。したがって、スイッチ114は、ユーザが動作を選択または承認できるようにする装置100へのユーザ入力として働くことができる。
【0050】
いくつかの例において、電子構成要素のいくつかまたはすべては、ユーザがスイッチ114を作動させることによって引き起こされるウェークアップ信号をプロセッサ106がスイッチ114から受信するまで、非常に低い電力のモードまたは「オフ」モードで動作することができる。ウェークアップ信号の受信に応答して、プロセッサ106、ジャイロスコープ102、および加速度計120のうちの1つまたはそれ以上がウェークアップし、そのため、ダイヤル設定済みまたは送達済みの薬剤の用量を監視できる。プロセッサ106は、電源110から電力を引き出し、ジャイロスコープ102およびモード感知装置104への電力の投入を制御するように構成されている。次いで、ジャイロスコープ102および加速度計120は、後で論じるように、薬物送達デバイス200にダイヤル設定された用量および/または薬物送達デバイス200から送達された用量を監視し、ダイヤル設定されたおよび/または送達された薬剤の量に対応する信号をプロセッサ106に出力するように使用できる。
【0051】
いくつかの例において、スイッチ114は、作動センサ130としても働くことができる。
【0052】
装置100はさらに、通信インターフェース112を含むことができる。装置100は、処理または格納のために、通信インターフェース112を使用して、スマートフォン、タブレット、またはPCなどの別のコンピューティングデバイス410にデータを送信するように構成されている。いくつかの事例において、装置100はまた、通信インターフェース112を使用してコンピューティングデバイス410からデータを受信するように構成されている。通信インターフェース112は、ワイヤードまたはワイヤレスの通信インターフェース112でよい。ワイヤレス通信インターフェース112の一例は、Bluetoothプロトコルを用いてデータを送信するように構成されたBluetooth通信インターフェースでよい。ワイヤレス通信インターフェース112の別の例は、NFCプロトコルを用いてデータを送信するように構成された近距離場通信(NFC)インターフェースでよい。他の適切なタイプのワイヤレス通信インターフェース112および/またはプロトコルを使用できる。通信インターフェース112を介したデータの送信は、プロセッサ106によって制御できる。通信インターフェース112を介して送信されるデータは、ジャイロスコープ102、加速度計120、および作動センサ130による出力信号のうちの1つまたはそれ以上に対応するデータを含むことができる。通信インターフェース112を介して送信されるデータは、用量値に対応するデータを含むことができる。
【0053】
図1の装置100は、薬物送達デバイス200と関連する薬剤の用量を判定するために使用できる。詳細に後述するように、図1の装置100は、いくつかの異なる手法で実施できる。たとえば、装置100は、図2に関して論じるように、薬物送達デバイス200自体の一部分でよい。装置100の構成要素は、図2に関して後で論じるように、薬物送達デバイスのハウジング10、投与量ノブ12、注射ボタン11、またはダイヤル設定スリーブ70内など、薬物送達デバイス200内に収容できる。
【0054】
いくつかの他の実施形態において、装置100は、図3に関して後で論じるように、薬物送達デバイス200に定着されるように構成された補助デバイス300の一部分として含むことができる。たとえば、補助デバイス300は、薬物送達デバイス200のハウジング10、投与量ノブ12、または注射ボタン11に解放可能に定着されるように構成できる。
【0055】
いくつかのさらなる実施形態において、装置100の構成要素のいくつかは、薬物送達デバイス200の一部分であり、他の構成要素は、補助デバイス300の一部分である。たとえば、ジャイロスコープ102および/または加速度計120は、補助デバイス300の一部分でよく、プロセッサ106および電源110は、薬物送達デバイス200の一部分でよい。
【0056】
図2は、実施形態による図1の装置100を収容する薬物送達デバイス200の分解図である。本例において、薬物送達デバイス200は、SanofiのSoloSTAR(登録商標)インスリン注射ペンなどの注射デバイスであるが、各態様は、他のタイプの注射ペンまたは注射デバイスに適用できる。図2の薬物送達デバイス200は、充填済みの使い捨て注射ペンであるが、他の例において、薬物送達デバイス200は再使用可能とすることができる。
【0057】
図2の薬物送達デバイス200は、筒状のハウジング10を含み、針15を付加できるインスリン容器14を収容する。針は、ハウジング10の遠位端に付加される。「遠位」という用語は、全体を通して用いられるように、注射部位に相対的に近い方の位置を指し、「近位」という用語は、注射部位から相対的に遠い方の位置を指す。針15は、内側ニードルキャップ16、および外側ニードルキャップ17または他のキャップ18によって保護されている。
【0058】
用量ダイヤル設定動作中は、投与量ノブ12を回すことによって、薬物送達デバイス200から放出予定のインスリン用量をダイヤル設定または「プログラム」でき、次いで、その時点でダイヤル設定済みの用量が、たとえば単位の倍数で投与量窓13を介して表示される。たとえば、薬物送達デバイス200がヒトインスリンを投与するように構成されている場合は、投与量はいわゆる国際単位(IU)で表示でき、ここで、1IUは、純粋な結晶性インスリン約45.5マイクログラム(1/22mg)の生物学的な等価物である。アナログインスリンまたは他の薬剤を送達するための薬物送達デバイス200には他の単位を採用できる。選択された用量は、図2の投与量窓13に示されているものとは異なる形で、同じく良好に表示できることに留意されたい。
【0059】
投与量窓13は、ハウジング10においてアパーチャの形態にあってよく、アパーチャによって、ユーザがダイヤル設定スリーブ70の限られた部分を視認できるようになる。ダイヤル設定スリーブ70は、投与量ノブ12が回されるときに動くように、その時点でダイヤル設定済みの用量の視覚インジケーションを提供するように構成されている。ダイヤル設定スリーブ70は、数字スリーブとしても知られていることがある。投与量ノブ12は、用量ダイヤル設定動作中に回されるときに、ハウジング10に対して螺旋の経路で回転される。
【0060】
本例において、投与量ノブ12は、ダイヤル設定の間にユーザが投与量ノブ12を把持するのを助けるように、1つまたはそれ以上の構造71a、71b、71cを含む。構造71a、71b、71cは溝、リッジなどでよい。
【0061】
薬物送達デバイス200は、用量ダイヤル設定動作中に投与量ノブ12を回すと、機械的なクリック音または振動音を発生させて、音響フィードバックおよび/またはハプティックフィードバックをユーザに提供するように構成できる。ダイヤル設定スリーブ70は、インスリン容器14のピストンと機械的に相互作用する。針15が患者の皮膚部分に刺され、次いで、用量投薬動作中に注射ボタン11が押されると、ディスプレイ窓13に表示されたインスリン用量が薬物送達デバイス200から放出されることになる。注射ボタン11が押された後に薬物送達デバイス200の針15が一定の時間皮膚部分に留まっているときに、用量の大部分が患者の身体に実際に注射される。インスリン用量の放出も、機械的なクリック音または振動音を発生できる。ただし、その音は、投与量ノブ12を使用するときに生じる音とは異なる。
【0062】
薬物送達デバイス200は、インスリン容器14が空になるかまたは薬物送達デバイス200の薬剤に使用期限(たとえば、初回の使用後28日)に達するまで、数回の注射プロセスのために使用できる。
【0063】
さらに、薬物送達デバイス200を初めて使用する前に、インスリン容器14および針15から空気を除去するために、たとえば、2単位のインスリンを選択し、針15を上向きにして薬物送達デバイス200を保持しながら注射ボタン11を押圧することによって、いわゆる「プライムショット」を行う必要がある場合がある。提示を簡単にするために、以下において、放出される量が注射される用量に実質的に対応し、そのため、たとえば薬物送達デバイス200から放出される薬剤の量がユーザによって受けられる用量に等しいと仮定する。それでもやはり、放出される量と注射される用量との差(たとえば、ロス)を考慮する必要がある場合がある。
【0064】
装置100は、図2に示されているように、薬物送達デバイス200内に収容できる。たとえば、装置100は、薬物送達デバイス200の投与量ノブ12、注射ボタン11、またはダイヤル設定スリーブ70内に収容できる。
【0065】
装置100のジャイロスコープ102は、薬物送達デバイス200の回転可能な用量ダイヤル設定構成要素に連結されている。回転可能な用量ダイヤル設定構成要素は、ユーザによって薬物送達デバイス200に薬剤の用量がダイヤル設定される用量ダイヤル設定動作中に、ハウジング10に対して回転する薬物送達デバイス200の構成要素である。用量ダイヤル設定動作中には、用量ダイヤル設定構成要素は、薬物送達デバイス200に薬剤の用量がダイヤル設定されるにつれて、薬物送達デバイス200のハウジング10に対して線形に並進運動することもできる。この並進運動は、用量ダイヤル設定構成要素の回転と同時であってよい。
【0066】
いくつかの例において、回転可能な用量ダイヤル設定構成要素は、薬物送達デバイス200の投与量ノブ12を含み、その場合、ジャイロスコープ102は投与量ノブ12に連結できる。いくつかの例において、回転可能な用量ダイヤル設定構成要素はダイヤル設定スリーブ70を含み、その場合、ジャイロスコープ102はダイヤル設定スリーブ70に連結できる。いくつかの例において、回転可能な用量ダイヤル設定構成要素は注射ボタン11を含み、その場合、ジャイロスコープ102は注射ボタン11に連結できる。ただし、ジャイロスコープ102は、それらの特定の回転可能な用量ダイヤル設定構成要素に連結されることに限定されず、他のタイプの回転可能な用量ダイヤル設定構成要素に連結できる。いくつかの例において、ジャイロスコープ102を含む装置100全体が、用量ダイヤル設定構成要素に連結される。
【0067】
用量投薬動作中には、用量ダイヤル設定構成要素は、やはりハウジング10に対して線形に並進運動できるが、用量ダイヤル設定動作中の用量ダイヤル設定構成要素の並進運動の反対方向に並進運動する。
【0068】
用量ダイヤル設定構成要素は、いくつかの例において、用量ダイヤル設定動作中の回転方向の反対の方向に、用量投薬動作中にハウジング10に対してやはり回転できる。このような回転は、並進運動と同時である。ただし、他の例において、用量ダイヤル設定構成要素は、用量投薬動作中にハウジング10に対して回転せず、専ら並進運動する。
【0069】
回転可能な用量ダイヤル設定構成要素など、薬物送達デバイス200の一部分は、薬物送達デバイス200に用量がダイヤル設定されるときに、振動するように構成されている。振動は、用量ダイヤル設定動作が行われていることを示すことができる。振動は、いくつかの「クリック」を含むことができる。各クリックは、薬物送達デバイス200に所定の数の用量単位がダイヤル設定されることに対応してよい。たとえば、各クリックは、薬物送達デバイス200に1用量単位がダイヤル設定されることに対応してよい。したがって、その例において、10クリックは、10用量単位がダイヤル設定されることに対応することになる。加速度計120を使用してクリック数を計数することによって、ダイヤル設定済みの用量を判定できる。各クリックは、用量ダイヤル設定動作中の用量ダイヤル設定構成要素の一定の回転角度にも対応する。たとえば、各クリックは、用量ダイヤル設定構成要素が18度回転されることに対応することができる。
【0070】
回転可能な用量ダイヤル設定構成要素など、薬物送達デバイス200の一部分は、薬物送達デバイス200から用量が投薬されるときに、振動するように構成できる。振動は、用量投薬動作が行われていることを示すことができる。振動は、いくつかの「クリック」を含むことができ、各クリックは、薬物送達デバイス200から所定の数の用量単位が投薬されていることに対応してよい。たとえば、各クリックは、薬物送達デバイス200から1用量単位が投薬されることに対応してよい。したがって、その例において、10クリックは、10用量単位が投薬されることに対応することになる。加速度計120を使用してクリック数を計数することによって、ダイヤル設定済みの用量を判定できる。用量投薬動作中に用量ダイヤル設定構成要素が回転する場合は、各クリックは、用量投薬動作中の用量ダイヤル設定構成要素の一定の回転角度にも対応してよい。たとえば、各クリックは、用量ダイヤル設定構成要素が18度回転されることに対応することができる。
【0071】
用量ダイヤル設定動作中に生じる振動またはクリックは、用量投薬動作中に生じる振動またはクリックとは異なっていてよい。このように、振動またはクリックを分析することによって、薬物送達デバイス200に用量ダイヤル設定動作が行われているかまたは薬物送達デバイス200に用量投薬動作が行われているかを判定できる。たとえば、用量ダイヤル設定動作中に生じる振動(またはクリック)の周波数および/または振幅は、用量投薬動作中に生じる振動(またはクリック)の周波数および/または振幅とは異なっていてよい。いくつかの例において、クリックは、用量投薬動作中ではなく、用量ダイヤル設定動作中にのみ生じる。
【0072】
ジャイロスコープ102を用量ダイヤル設定構成要素に連結することは、ジャイロスコープ102が用量ダイヤル設定動作中の用量ダイヤル設定構成要素の回転を検出できることを意味する。そのような動作中に用量ダイヤル設定構成要素が回転する場合には、ジャイロスコープ102は、用量投薬動作中の用量ダイヤル設定構成要素の回転を検出することも可能にできる。
【0073】
用量ダイヤル設定動作中には、ハウジング10に対する用量ダイヤル設定構成要素の回転量は、薬物送達デバイス200にダイヤル設定される用量のサイズに対応してよい。したがって、1単位の用量は、ハウジング10に対する用量ダイヤル設定構成要素の所定の回転角度に対応してよい。一例として、薬物送達デバイス200は、ハウジング10に対する用量ダイヤル設定構成要素の360度の回転が、薬物送達デバイス200に20単位の用量がダイヤル設定されることに対応するように構成できる。したがって、ハウジング10に対して用量ダイヤル設定構成要素が18度回転することは、薬物送達デバイス200に1用量単位がダイヤル設定されることに対応してよい。
【0074】
したがって、薬物送達デバイス200にダイヤル設定される用量は、用量ダイヤル設定動作中にジャイロスコープ102によって検出される用量ダイヤル設定構成要素の回転量に基づいて判定できる。先に論じたように、ジャイロスコープ102は、回転可能な用量ダイヤル設定構成要素の回転量を示す出力信号を提供するように構成されている。出力信号は、回転可能な用量ダイヤル設定構成要素の角速度に対応してよい。装置100のプロセッサ106またはコンピューティングデバイス410の異なるプロセッサなどは、ジャイロスコープ102によって出力された信号から角速度を判定し、角速度を積分して、回転可能な用量ダイヤル設定構成要素の回転角度を判定することができる。装置100のプロセッサ106または異なるプロセッサは、判定された回転角度に基づいて、たとえば、判定された角度を単位角度回転当たりの所定の値の用量単位で除算することによって、ダイヤル設定済みの用量を判定することができる。
【0075】
同様に、用量投薬動作中にも用量ダイヤル設定構成要素がハウジング10に対して回転する場合は、用量ダイヤル設定構成要素の回転量は、薬物送達デバイス200によって投薬される用量のサイズに対応してよい。したがって、薬物送達デバイス200によって投薬される用量は、ダイヤル設定済みの用量を判定するのと同様にして用量投薬動作中にジャイロスコープ102によって検出される用量ダイヤル設定構成要素の回転量に基づいて判定できる。
【0076】
装置100にはモード感知装置104も設けられている。装置100が薬物送達デバイス200にダイヤル設定された用量を判定するために使用されるように構成されている場合は、モード感知装置104は、先に説明したように、加速度計120を含む。加速度計120は、用量ダイヤル設定動作中の薬物送達デバイス200の振動を検出するように構成されている。加速度計120は、振動を検出できるように薬物送達デバイス200に配置される。加速度計120は、用量ダイヤル設定動作中に生じる振動に、たとえば用量ダイヤル設定動作中に生じるクリックに対応する信号を出力するように構成されている。信号は、装置100のプロセッサ106によってまたは異なるコンピューティングデバイス410のプロセッサによって処理できる。
【0077】
装置100が薬物送達デバイス200から投薬された用量を判定するために使用されるように構成されている場合は、モード感知装置104は、加速度計120および作動センサ130の少なくとも一方を含む。装置のモード感知装置104が加速度計120を含む場合は、加速度計は、用量投薬動作中の薬物送達デバイス200の振動を検出するように構成できる。加速度計120は、振動を検出できるように薬物送達デバイス200に配置される。加速度計120は、用量投薬動作中に生じる振動に対応する、たとえば用量投薬動作中に生じるクリックに対応する信号を出力するように構成されている。信号は、装置100のプロセッサ106によってまたは異なるコンピューティングデバイス410のプロセッサによって処理できる。
【0078】
加速度計120は、追加的にまたは代替として、用量投薬動作中のハウジング10に対する用量ダイヤル設定構成要素の線形並進運動に対応する信号を出力するように配置することができる。
【0079】
装置100が図1に関して論じるように作動センサ130を含む場合は、作動センサ130は、用量投薬動作中にユーザによる薬物送達デバイス200の一部分の作動を検出できるように、薬物送達デバイス200に配置される。作動センサ130は、注射ボタン11、投与量ノブ12、またはダイヤル設定スリーブ70のうちの少なくとも1つの作動を検出できるように、たとえば、薬物送達デバイス200に位置してよい。作動センサ130は、静電容量式タッチセンサを含む場合は、注射ボタン11の外面に配置することができる。
【0080】
他の例において、図3に示されているように、薬物送達デバイス200に取り付け可能な補助デバイス300に装置100を含むことができる。
【0081】
図3は、別の実施形態による補助デバイス300を示し、補助デバイス300は装置100を含む。補助デバイス300は、図2に示されている薬物送達デバイス200などの薬物送達デバイス200に解放可能に取り付けられるように構成されている。補助デバイス300は、装置100の構成要素のいくつかまたはすべてを維持する本体302を有する。補助デバイス300は、投与量ノブ12または注射ボタン11など、薬物送達デバイス200の回転可能な用量ダイヤル設定構成要素に補助デバイス300を連結する連結機構(図示せず)を有する。補助デバイス300は、摩擦嵌め、磁石、接着剤、隆起部および溝、ねじ連結、バヨネット連結、ラッチ、または突出部および凹部など、任意の適切な連結手段を使用して、薬物送達デバイス200に連結できる。
【0082】
補助デバイス300の本体302は、薬物送達デバイスの投与量ノブ12に解放可能に定着可能にするような形状にできる。たとえば、本体302は、投与量ノブ12を受けるための開放端および閉鎖端を有する、筒形状または切頭円錐形状を有することができる。したがって、補助デバイス300は、図3に示されているように取り付けられているときには、事実上、薬物送達デバイスの投与量ノブ12の代わりに使用することができる。
【0083】
いくつかの他の実施形態において、補助デバイス300は、異なる形態を有し、薬物送達デバイスの異なる部材に、たとえば注射ボタン11に連結するように構成できる。
【0084】
ユーザは、補助デバイス300を薬物送達デバイス200に取り付けることも、そこから着脱することも可能にできる。補助デバイス300は、いくつかの異なるモデルの薬物送達デバイス200と互換性があってよい。
【0085】
図3に示されている補助デバイス300の装置100は、図1および図2に関して説明した装置100と同様にして動作し、同様の構成要素を有することができる。補助デバイス300が薬物送達デバイス200の用量ダイヤル設定構成要素に連結されているときには、ジャイロスコープ102は、薬物送達デバイス200の用量ダイヤル設定構成要素に連結することもでき、したがって、先に論じたようにダイヤル設定済みの用量を判定するために用量ダイヤル設定構成要素の回転を検出することができる。
【0086】
同様に、補助デバイス300が薬物送達デバイス200の用量ダイヤル設定構成要素に連結されているときには、モード感知装置104は、図1および図2に関して論じたのと同様に働くことができる。たとえば、補助デバイス300が加速度計120を含む場合、加速度計120は、先に論じたように、用量ダイヤル設定動作および/または用量投薬動作によって引き起こされる加速度/振動を検出することができる。
【0087】
補助デバイス300のモード感知装置104は、先に論じたように、作動センサ130を含むことができる。図3は、補助デバイス300の外面304に配置された作動センサ130を示す。作動センサ130は、用量投薬動作を行うときにユーザによって作動されるように位置する。図3は、薬物送達デバイス200の投与量ノブ12または注射ボタン11に連結された補助デバイス300を示す。ユーザは、用量投薬動作を行おうとするときに、補助デバイス300を介して注射ボタン11または投与量ノブ12に力を加える。その力は作動センサ130によって検出される。
【0088】
作動センサ130は、補助デバイス300の外面304に配置された静電容量式タッチセンサの形態を取ることができ、そのセンサは、ユーザの指が補助デバイス300を押圧することを検出できる。作動センサ140として静電容量式タッチセンサを使用することによって、装置100、または装置100に接続された別のデバイスが、ユーザの指による注射ボタン11の意図した「本物の」作動と、薬物送達デバイス200を収容するために使用されるストレージなど、別の何かによる「誤った」作動とを見分けることを可能にすることができる。
【0089】
本発明の各態様は、図4に示されているようなシステム400にも関する。図4は、コンピューティングデバイス410と共に、先に論じたような薬物送達デバイス200および装置100を含むシステム400を示す。薬物送達デバイス200および装置100は、先に図2に示した薬物送達デバイス200および装置100と同様である。装置100は、薬物送達デバイス200の投与量ノブ12内に収容されており、したがって、図4では見えない。しかし、システム400は、代替として、先に説明したような装置100の他の構成を含むことができる。たとえば、その代わりに、装置100を薬物送達デバイス200の注射ボタン11またはダイヤル設定スリーブ70に収容することができる。代替として、装置100を、図3に示されている補助デバイスなど、補助デバイス300に含むことができ、投与量ノブ12、注射ボタン11、またはダイヤル設定スリーブ70など、薬物送達デバイス200の用量ダイヤル設定構成要素に連結できる。
【0090】
図4は、放出に備えてユーザが薬物送達デバイス200に用量をダイヤル設定する、用量ダイヤル設定動作が行われているところを示す。用量ダイヤル設定動作中に、ユーザは、一方の手で薬物送達デバイス200のハウジング10を保持し、他方の手で、ハウジング10に対して薬物送達デバイス200の投与量ノブ12を回転させる。ハウジング10に対する投与量ノブ12の回転は、投与量ノブ12の周りの曲線の矢印で示されている。薬物送達デバイス200に用量がダイヤル設定されるときに、ダイヤル設定スリーブ70および注射ボタン11も、投与量ノブ12と一緒に回転する。投与量窓13を通して表示される単位の数は、薬物送達デバイス200にダイヤル設定される用量が増えるにつれて大きくなる。投与量ノブ12の回転は、装置100のジャイロスコープ102によって検出され、ジャイロスコープ102は、先に論じたように、対応する信号を出力する。
【0091】
用量ダイヤル設定動作中に投与量ノブ12、ダイヤル設定スリーブ70、および注射ボタン11が回転されると、それらはまた、点線の矢印で示されているようにハウジング10から離れる方に線形に並進運動する。薬物送達デバイス200は、先に論じたように、用量ダイヤル設定動作中に振動するように構成されている。振動(またはクリック)は、加速度計120によって検出され、加速度計120は、対応する信号を出力する。
【0092】
いくつかの事例において、ユーザは、投与量ノブ12を反対方向に回転させて投与量ノブ12をハウジング10に向かって戻すことによって、薬物送達デバイス200にダイヤル設定された用量を減らすこともできる。投与量ノブ12の反対方向の回転もやはりジャイロスコープ102によって検出できる。加速度計120は、投与量ノブ12が戻る方に回転されるときに、薬物送達デバイス200の振動を検出することもできる。
【0093】
図4はまた、スマートフォン、タブレット、またはPCなどのコンピューティングデバイス410を含むシステム400を示す。コンピューティングデバイス410は、装置100および薬物送達デバイス200の外部にある。装置100と同様に、コンピューティングデバイス410は、1つまたはそれ以上のメモリおよび電源(図示せず)に加えて、処理/判定動作を行うためのプロセッサを有することができる。コンピューティングデバイス410は、装置100の通信インターフェース112とワイヤレスまたはワイヤードで通信するための通信インターフェース(図示せず)も有する。たとえば、コンピューティングデバイス410と装置100とは、BluetoothまたはNFCを使用して通信することができる。
【0094】
装置100は、その通信インターフェース112を介してコンピューティングデバイス410にデータを送信するように構成できる。データは、ジャイロスコープ102、加速度計120、または作動センサ130などの装置100の他の構成要素によって出力された信号に対応するデータでよい。たとえば、装置100は、ジャイロスコープ102によって検出されるような、用量ダイヤル設定構成要素の回転量に対応するデータを送信するように構成できる。装置100は、加速度計120によって検出されるような振動またはクリック数に対応するデータを送信するように構成できる。
【0095】
図4は、ディスプレイ420を有するコンピューティングデバイス410を示す。ディスプレイ420は、LCDディスプレイまたはLEDディスプレイなど、任意のタイプの適切なディスプレイでよい。ディスプレイ420は、ユーザからタッチ入力を受信することもできるタッチディスプレイでよい。ディスプレイ420は、ユーザに情報を出力するようにコンピューティングデバイス410によって制御できる。情報は、装置100を使用して判定されるような薬物送達デバイス200にダイヤル設定される用量の表現を含むことができる。たとえば、ディスプレイ420は、図4に示されているように、薬物送達デバイス200にその時点でダイヤル設定されている単位の数を示すことができる。ディスプレイ420上の情報は、装置100を使用して判定されるダイヤル設定済みの用量が変わるときに更新できる。たとえば、ディスプレイ420上に示された用量は、薬物送達デバイス200にダイヤル設定された用量が増えるにつれて大きくすることができる。
【0096】
ダイヤル設定済みの用量は、ジャイロスコープ102のデータおよび加速度計120のデータなど、装置100によってコンピューティングデバイス410に送られるデータに基づいてコンピューティングデバイス410によって判定できるか、または装置100自体によって判定し、その後、表示/格納のためにコンピューティングデバイス410に送信できる。
【0097】
薬物送達デバイス200にユーザが薬剤の所望の用量をダイヤル設定すると、ここで用量を放出するために用量投薬動作を行う用意ができた状態になる。
【0098】
図5は、図4のシステム400を示すが、ここでは、用量投薬動作中のシステム400を示す。図5によって示される用量投薬動作は、通常、図4によって示される用量ダイヤル設定動作の後に行われる。ただし、いくつかの事例において、用量ダイヤル設定動作は、ユーザによって行われる必要がない。これは、薬物送達デバイス200から投薬予定の用量のサイズがそのときに既に設定されている場合、たとえば、薬物送達デバイス200が所定の用量の薬剤が投薬されるように構成された自己注射器の場合に当てはまることがある。
【0099】
キャップ18は、薬物送達デバイス200のハウジング10から取り外されて針15を露出しており、次いで、針15は患者に挿入することができる。用量投薬動作中に、ユーザは、用量を投薬するために、注射ボタン11を薬物送達デバイス200のハウジング10に向かって押圧することによってそれを作動させる。装置100が、注射ボタン11または投与量ノブ12に連結された補助デバイス300の一部分を形成する場合は、ユーザは、注射ボタン11または投与量ノブ12に直接的に接触するのではなく、ハウジング10に向かって補助デバイス300を押すことができ、そのことによって、注射ボタン11または投与量ノブ12がハウジング10に向かって作動される。注射ボタン11がハウジング10に向かって線形に並進運動すると、点線の矢印で示されているように、投与量ノブ12およびダイヤル設定スリーブ70も、注射ボタン11と共に線形に並進運動する。いくつかの例において、曲線の矢印で示されているように、注射ボタン11、投与量ノブ12、ダイヤル設定スリーブ70がハウジング10に向かって線形に並進運動すると、投与量ノブ12はハウジング10に対して回転する。その場合、投与量ノブ12は、用量ダイヤル設定の間に回転されたのとは反対の方向に回転することができる。ただし、他の例において、投与量ノブ12は、用量投薬動作中にハウジング10に対して回転せず、その代わりに、専ら線形に並進運動する。
【0100】
投与量窓13に表示される単位の数は、注射ボタン11が作動されて薬物送達デバイス200から薬剤が排出されるにつれて小さくなってよい。薬剤は、ユーザが注射ボタン11を作動させる限り、薬物送達デバイス200から放出できる。ユーザが注射ボタン11を解放するとき、または図2に示されているように、投与量ノブ12、注射ボタン11、およびダイヤル設定スリーブ70が、ハウジング11に対してそれらの元の位置に戻るときに、薬剤は放出を停止することができる。他の例において、ユーザは、注射ボタン11を一度押圧および解放するだけでよい場合があり、薬物送達デバイス200は、所定の量の用量を自動的に放出し続ける。これは、薬物送達デバイス200が自己注射器である場合に当てはまることがある。
【0101】
投与量ノブ12が用量投薬動作中にハウジング10に対して回転するように構成されている場合は、その回転は、ジャイロスコープ102によって検出され、ジャイロスコープ102は、先に論じたように対応する信号を出力する。その信号を処理して投薬済みの用量を判定することができる。
【0102】
装置が加速度計120を含む場合は、加速度計120は、用量投薬動作中にハウジング10に向かう投与量ノブ12の加速度を検出し、対応する信号を出力することができる。その信号は、用量投薬動作が行われていることを示すことができる。
【0103】
装置が加速度計120を含む場合は、加速度計120は、用量投薬動作中に、投与量ノブ12または薬物送達デバイス200の別の部材の振動またはクリックを検出し、先に論じたように対応する信号を出力することができる。その信号は、用量投薬動作が行われていることを示すことができる。その信号を処理して投薬済みの用量を判定することができる。
【0104】
装置100が作動センサ130を含む場合は、用量投薬動作中のセンサ130の作動を検出し、処理のために信号として出力することができる。
【0105】
ジャイロスコープ102、加速度計120、または作動センサ130によって出力された信号に対応するデータは、処理のために装置100からコンピューティングデバイス410に送信されて、投薬済みの用量を判定することができる。ただし、いくつかの例において、投薬済みの用量を判定することは、装置100によって行われ、次いで、その結果がコンピューティングデバイス410に送信される。
【0106】
図6は、本発明の態様による、装置100を使用して薬物送達デバイス200にダイヤル設定された用量を判定する方法を示すフローチャートである。装置100は、たとえば図2に示されているように、薬物送達デバイス200内に収容できるか、または図3に示されているように、薬物送達デバイス200に連結される補助的なデバイス300の一部分でよい。装置100および薬物送達デバイス200は、図4のシステムなどのシステム400の一部分でよい。
【0107】
任意選択の工程602で、ユーザ入力が装置100で受信される。その入力は、スイッチ114または静電容量式タッチセンサなどの作動センサ130から受信できる。
【0108】
任意選択の工程604で、装置100は、ユーザ入力の受信に応答してウェークアップされる。たとえば、プロセッサ106は、スイッチ114または作動センサ130から入力信号を受信することができ、その入力信号に応答して、ジャイロスコープ102および/または加速度計120に測定を開始させることができる。
【0109】
工程606で、ジャイロスコープ102を使用して、用量ダイヤル設定動作中の投与量ダイヤル設定構成要素の回転が検出される。ジャイロスコープ102は、先に論じたように、用量ダイヤル設定構成要素の回転に対応する電気信号を出力する。ジャイロスコープ102による回転の検出と同時に、工程608で、モード感知装置104は、薬物送達デバイスに対してユーザによって用量ダイヤル設定動作が行われているかどうかを検出する。工程608は加速度計120を使用して行われ、加速度計120は、先に論じたように、薬物送達デバイスに用量がダイヤル設定されるときの用量ダイヤル設定構成要素または薬物送達デバイス200の別の部材の振動を検出する。加速度計120は、先に論じたように、用量ダイヤル設定構成要素の振動に対応する電気信号を出力する。信号は、先に論じたように、薬物送達デバイス200によって生じる振動クリックの数に対応してよい。
【0110】
任意選択の工程610で、ジャイロスコープ102によって出力された信号に対応するデータおよび加速度計120によって出力された信号に対応するデータは、装置100から通信インターフェース112を介してコンピューティングデバイス410に送信される。ジャイロスコープ102および加速度計120によって出力された信号は、コンピューティングデバイス410に送信されるデータを生成するために、装置100のプロセッサ106によって少なくとも部分的に処理された可能性がある。
【0111】
工程612で、薬物送達デバイス200にダイヤル設定された薬剤の用量が、ジャイロスコープ102によって出力された信号および加速度計120によって出力された信号に基づいて判定される。工程610が行われた場合には、コンピューティングデバイス410によって工程612を行うことができ、コンピューティングデバイス410は、装置100から送信されたジャイロスコープ102によって出力された信号に対応するデータおよび加速度計120によって出力された信号に対応するデータに基づいて、薬物送達デバイス200にダイヤル設定された薬剤の用量を判定する。しかし、工程610が行われなかった場合には、工程612は、装置100自体によって行うことができ、装置100のプロセッサ106が、ジャイロスコープ102によって出力された信号および加速度計120によって出力された信号に基づいて、薬物送達デバイス200にダイヤル設定された薬剤の用量を判定する。
【0112】
薬物送達デバイス200にダイヤル設定された薬剤の用量を判定することは、先に論じたようにジャイロスコープ102によって出力された信号に基づいて、たとえば、ジャイロスコープ102によって出力された信号によって表される角速度を時間に対して積分することによって、ダイヤル設定済みの用量を判定することを含むことができる。薬物送達デバイス200にダイヤル設定された薬剤の用量を判定することはさらに、先に論じたように加速度計120によって出力された信号に基づいて、たとえば、信号によって表される「クリック」の数を計数し、クリック数を用量に変換することによってダイヤル設定済みの用量を判定することを含むことができる。次いで、薬物送達デバイス200にダイヤル設定された薬剤の用量を判定することは、ジャイロスコープ102を使用して判定された用量および加速度計120を使用して判定された用量に基づいて、最終的なダイヤル設定済みの用量を判定することを含むことができる。最終的なダイヤル設定済みの用量は、ジャイロスコープ102を使用して判定された用量および加速度計120を使用して判定された用量の平均でよい。最終的なダイヤル設定済みの用量は、ジャイロスコープ102を使用して判定された用量および加速度計120を使用して判定された用量よりも大きい場合があるか、またはジャイロスコープ102を使用して判定された用量および加速度計120を使用して判定された用量よりも小さい場合がある。
【0113】
工程612でダイヤル設定済みの用量が判定された後に、判定されたダイヤル設定済みの用量を表す情報は、ユーザに表示するためにおよび/または格納するために出力できる。これは、装置100および/またはコンピューティングデバイス410によって行うことができる。工程612がコンピューティングデバイス410によって行われた場合は、コンピューティングデバイス410は、判定されたダイヤル設定済みの用量を示す情報をコンピューティングデバイス410のディスプレイ420に出力することができ、そのため、ユーザがその時点で薬物送達デバイス200にダイヤル設定されている用量を視認することができる。工程612が装置100によって行われた場合は、装置100は、判定されたダイヤル設定済みの用量を示すデータをコンピューティングデバイス410に送信でき、そのため、コンピューティングデバイス410は、ディスプレイ420に情報を表示することができる。ダイヤル設定済みの用量を表す情報は、追加的にまたは代替として、装置100のディスプレイに表示できる。
【0114】
工程606~612は連続して実行することができる。すなわち、薬物送達デバイス200にダイヤル設定される用量をユーザが大きくし続けると、ジャイロスコープ102および加速度計120は、それぞれの信号を出力し続けて、信号に対応するデータがコンピューティングデバイス410に送られる。用量ダイヤル設定構成要素が回転され続け、データが受信されると、ダイヤル設定済みの用量を計算できる。次いで、更新された用量をディスプレイ420に示すことができる。ディスプレイ420に示される用量は、連続して更新でき、そのため、用量のダイヤル設定と共にほぼリアルタイムに変化する。
【0115】
いくつかの例において、用量ダイヤル設定動作が終了したことを判定することができる。これは、ユーザ入力に応答して、たとえば、スイッチ114を作動させるユーザ、作動センサ130、またはコンピューティングデバイス410に入力を提供することによって判定することができる。いくつかの例において、加速度計120によって、具体的には、加速度計120が用量ダイヤル設定動作を示す振動を検出していないことによって判定することができる。他の例において、用量ダイヤル設定動作の終了は、ダイヤル設定済みの用量が、5秒などの所定量の時間の間に閾値を超えて変化しなかったことを検出することによって判定することができる。他の例において、用量投薬動作が始まったことをモード感知装置104が検出することに応答して判定できる。
【0116】
用量ダイヤル設定動作が終了したと判定したことに応答して、判定されたダイヤル設定済みの用量を表す値を格納できる。これは、コンピューティングデバイス410のメモリまたは装置100のメモリにローカルに格納できる。いくつかの例において、格納するために別のコンピューティングデバイス、サーバ、またはクラウドに送信できる。コンピューティングデバイス410は、たとえば、音声信号、ハプティック信号、またはディスプレイ420を使用する視覚信号によって、用量ダイヤル設定動作が終了したこと示す信号をユーザに出力することができる。
【0117】
図7は、本発明の態様による、装置100を使用して薬物送達デバイス200によって投薬された用量を判定する方法を示すフローチャートである。
【0118】
いくつかの事例において、図7の工程は図6の工程612に続くことができる。他の事例において、装置100は、図6の方法または図7の方法だけを行い、両方は行わないように構成できる。
【0119】
任意選択の工程710で、装置100はユーザ入力を受信する。入力は、工程602で論じたスイッチ114と同じでよいスイッチ114をユーザが押圧することによって受信することができる。いくつかの事例において、ユーザ入力は、静電容量式タッチセンサなどの作動センサ130をユーザが作動させることによって受信できる。入力が受信されたことを示す信号は、装置100からコンピューティングデバイス410に送信される。
【0120】
任意選択の工程720で、入力の受信に応答して、装置をウェークアップさせることができる。たとえば、プロセッサ106は、スイッチ114または作動センサ130から入力信号を受信することができ、それに応答して、ジャイロスコープ102および加速度計120に測定を開始させることができる。
【0121】
工程730で、ジャイロスコープ102は、薬物送達デバイス200からの用量の投薬を検出する。具体的には、ジャイロスコープ102は、先に論じたように、薬物送達デバイス200によって用量が投薬されるときの用量ダイヤル設定構成要素の回転を検出し、用量ダイヤル設定構成要素の回転に対応する信号を出力する。
【0122】
工程730とほぼ同じ時間に、工程740で、ハウジング10に対する用量ダイヤル設定構成要素の線形並進運動が加速度計120によって検出され、用量ダイヤル設定構成要素の線形並進運動に対応する信号が出力される。線形並進運動は、用量投薬動作が実行されていることを示す。
【0123】
任意選択の工程750で、ジャイロスコープ102によって出力された信号および加速度計120によって出力された信号に対応するデータが、装置100から通信インターフェース112を介してコンピューティングデバイス410に送信される。ジャイロスコープ102および加速度計120によって出力された信号は、コンピューティングデバイス410に送信されるデータを生成するために、装置100のプロセッサ106によって少なくとも部分的に処理された可能性がある。
【0124】
工程760で、先に論じたのと同様にして、薬物送達デバイス200によって投薬された用量が、少なくともジャイロスコープ120によって出力された信号に基づいて判定される。投薬済みの用量は、コンピューティングデバイス410によってまたは装置100によって判定できる。加速度計120によって出力された信号は、用量投薬動作が行われていることを確認するために使用できる。投薬済みの用量は、用量投薬動作が行われているという信号インジケーションを加速度計120が出力していた間に、ジャイロスコープ102から出力された信号に基づいて判定できる。
【0125】
図8は、図7と同様の方法を示すが、それとは異なり、加速度計120は、用量投薬動作中に検出された振動に対応する信号を出力するために使用される。
【0126】
任意選択の工程810および820は、図7のそれぞれの工程710および720と同じである。工程830は図7の工程730と同じである。
【0127】
工程830とほぼ同じ時間に、工程840で、薬物送達デバイス200の振動が、対応する信号を出力する加速度計120によって検出される。
【0128】
任意選択の工程850で、ジャイロスコープ102によって出力された信号および加速度計120によって出力された信号に対応するデータは、装置100から通信インターフェース112を介してコンピューティングデバイス410に送信される。ジャイロスコープ102および加速度計120によって出力された信号は、コンピューティングデバイス410に送信されるデータを生成するために、装置100のプロセッサ106によって少なくとも部分的に処理された可能性がある。
【0129】
工程860で、先に論じたのと同様にして、薬物送達デバイス200によって投薬された用量が、少なくともジャイロスコープ120によって出力された信号に基づいて判定される。投薬済みの用量は、コンピューティングデバイス410によってまたは装置100によって判定できる。
【0130】
投薬済みの用量は、加速度計120によって出力された信号に基づいて判定することもできる。たとえば、装置100またはコンピューティングデバイス410は、加速度計120によって出力された信号を分析して、加速度計120によって検出される振動またはクリックが、用量投薬動作が行われていることを示すかどうかを判定することができる。その場合は、投薬済みの用量を計算できる。そうでない場合は、投薬済みの用量は計算できず、その代わりに、コンピューティングデバイス410は、装置100に信号を送信して装置を低電力モードにすること(たとえば、ジャイロスコープ102および加速度計120がさらなる測定を行うことを停止する)ができる。
【0131】
加速度計120によって検出された振動またはクリックが、用量投薬動作が行われていることを示すと判定される場合は、投薬済みの用量は、用量投薬動作が行われているという信号インジケーションを加速度計120が出力していた間に、ジャイロスコープ102から出力された信号に基づいて判定できる。言い換えれば、投薬済みの用量は、加速度計120が投薬動作を示す振動の検出を開始したときから加速度計が投薬動作を示す振動の検出を停止したときまでの、ジャイロスコープ102によって出力された信号に基づいて判定できる。
【0132】
追加的にまたは代替として、いくつかの例において、加速度計120によって出力された信号は、先に論じたように、検出されたクリックの数を判定し、判定されたクリック数に基づいて用量を判定することによって、投薬済みの用量を判定するために使用できる。加速度計120を使用して判定された用量およびジャイロスコープ102を使用して判定された用量の両方を、先に論じたように、最終的な投薬済みの用量を判定するために使用できる。
【0133】
図9は、図7および図8と同様の方法を示すが、加速度計102を使用する代わりに、作動センサ130を使用して、用量投薬動作が実行されていることを検出する。
【0134】
任意選択の工程910および920は、図7のそれぞれの工程710および720と同じである。工程930は、図7の工程730と同じである。
【0135】
工程930とほぼ同じ時間に、工程940で、用量投薬動作を行うユーザによって薬物送達デバイス200の一部分の作動が、対応する信号を出力する作動センサ130によって検出される。信号は、薬物送達デバイス200にユーザによって用量投薬動作が行われていることを示す。信号は、ユーザによる作動と偶発的な作動とを区別するために使用できる。
【0136】
任意選択の工程950で、ジャイロスコープ102によって出力された信号および作動センサ130によって出力された信号に対応するデータは、装置100から通信インターフェース112を介してコンピューティングデバイス410に送信される。ジャイロスコープ102および作動センサ130によって出力された信号は、コンピューティングデバイス410に送信されるデータを生成するために、装置100のプロセッサ106によって少なくとも部分的に処理された可能性がある。
【0137】
工程960で、薬物送達デバイス200によって投薬された用量は、先に論じたのと同様にして、少なくとも、ジャイロスコープ120によって出力された信号に基づいて判定される。投薬済みの用量は、コンピューティングデバイス410によってまたは装置100によって判定できる。作動センサ130によって出力された信号は、用量投薬動作が行われていることを確認するために使用できる。投薬済みの用量は、ジャイロスコープ102から出力された信号に基づいて判定でき、作動センサ130は、用量投薬動作が行われていたという信号インジケーションを出力していた。言い換えれば、投薬済みの用量は、用量投薬動作が行われていることを作動センサ130が検出開始したときから、用量投薬動作が行われていないことを作動センサ130が検出したときまで、ジャイロスコープ102によって出力された信号に基づいて判定できる。
【0138】
いくつかの例において、図8および図9の工程は組み合わせることができる。たとえば、加速度計120は振動を検出するために使用でき、作動センサ130は、ユーザが用量投薬動作を行うことを検出するために使用することもできる。その場合に、作動センサ130は、用量投薬動作が行われているという確認を提供でき、加速度計120を使用して検出された振動は、ダイヤル設定済みの用量を判定するために使用できる。
【0139】
図7から図9に示されている方法のいずれにおいても、コンピューティングデバイス410は、たとえば、ジャイロスコープ102、加速度計120、および作動センサ130のうちの1つまたはそれ以上によって出力された信号に基づいて、用量投薬動作が終了したことを判定することができる。用量投薬動作が終了したと判定したことに応答して、コンピューティングデバイス410は装置100に信号を送信することができる。信号によって、装置100が低電力モードに入ることが可能になる。たとえば、装置100によって信号が受信されると、装置100がコンピューティングデバイス410へのデータの送信を停止でき、かつ/またはジャイロスコープ102および加速度計120が信号の出力を停止できる。そのことによって、装置100の電力供給を節約することができる。
【0140】
さらなる処理のためにジャイロスコープ102および加速度計120の出力に対応するデータをコンピューティングデバイス410に送信することは、装置100のプロセッサ106への計算の要求が小さくなることを意味することができる。しかし、いくつかの事例において、工程のいくつかまたはすべては、装置100のプロセッサ106によって実行でき、別個のコンピューティングデバイス410が存在しない場合がある。
【0141】
図6図9の工程は、それぞれの図に示されている順序とは異なる順序で行うことができる。いくつかの事例において、図6図9の工程のいくつかは、本方法から省略してよく、または追加的な工程を行ってよい。
【0142】
モード感知装置104は、いくつかの機能を果たすことができる。第1に、モード感知装置104は、ジャイロスコープ102によって出力された信号が、薬物送達デバイス200に行われている用量ダイヤル設定動作もしくは用量投薬動作によって実際に引き起こされているかどうか、またはその代わりに、異なる事象、たとえば、薬物送達デバイス200の輸送の間に薬物送達デバイス200が転がることによって引き起こされているかどうかを判定するために使用することができる。モード感知装置104は、用量ダイヤル設定動作と用量ダイヤル設定でない動作との区別を助け、したがって、用量ダイヤル設定動作が実際には行われていないときにダイヤル設定済みの用量が判定されることを防ぐことができる。同様に、モード感知装置104は、用量投薬動作と用量投薬でない動作との区別を助け、したがって、用量投薬動作が実際に行われていないときに投薬済みの用量が判定されることを防ぐことができる。
【0143】
第2に、モード感知装置104が加速度計120を含む場合、加速度計120は、ジャイロスコープ102とは独立に、ダイヤル設定済みの用量を判定するために使用できる。加速度計120を使用して判定されたダイヤル設定済みの用量は、ジャイロスコープ102を使用して判定されたダイヤル設定済みの用量と比較して、最終的なダイヤル設定済みの用量を判定することができる。たとえば、最終的なダイヤル設定済みの用量は、ジャイロスコープ102を使用して判定されたダイヤル設定済みの用量および加速度計120を使用して判定されたダイヤル設定済みの用量の平均でよい。いくつかの事例において、最終的なダイヤル設定済みの用量は、ジャイロスコープ102を使用して判定されたダイヤル設定済みの用量および加速度計120を使用して判定されたダイヤル設定済みの用量よりも大きい場合があるか、またはジャイロスコープ102を使用して判定されたダイヤル設定済みの用量および加速度計120を使用して判定されたダイヤル設定済みの用量よりも小さい場合がある。最終的な判定されたダイヤル設定済みの用量をジャイロスコープ102の出力および加速度計120に出力の両方に基づかせることによって、最終的な用量判定の正確性および/または信頼性を改善することができる。たとえば、適切な用量ダイヤル設定動作が開始される前または動作が終了した後に薬物送達デバイス200が回転される場合には、ジャイロスコープ102単独の出力に基づいてダイヤル設定済みの用量を判定することは、ダイヤル設定済みの用量の正確な判定をもたらすことができない。同様に、加速度計120を使用して検出されたクリックにのみ基づいてダイヤル設定済みの用量を判定することは、用量ダイヤル設定構成要素の迅速な回転の間にクリックのいくつかを検出できないため、ダイヤル設定済みの用量の正確な判定をもたらすことができない。最終的な判定されたダイヤル設定済みの用量をジャイロスコープ102の出力および加速度計120の出力の両方に基づかせることによって、用量判定の両方の方法の限界を克服できる。
【0144】
本開示の各態様は薬物送達デバイス200を注射ペンとして説明しているが、本発明はパッチポンプおよび点滴デバイスなど、他のタイプの薬物送達デバイス200にも当てはまる場合があることに留意すべきである。
【0145】
「薬物」または「薬剤」という用語は、本明細書では同義的に用いられ、1つもしくはそれ以上の活性医薬成分またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物と、場合により薬学的に許容可能な担体と、を含む医薬製剤を記述する。活性医薬成分(「API」)とは、最広義には、ヒトまたは動物に対して生物学的効果を有する化学構造体のことである。薬理学では、薬剤または医薬は、疾患の治療、治癒、予防、または診断に使用されるか、さもなければ身体的または精神的なウェルビーイングを向上させるために使用される。薬物または薬剤は、限定された継続期間で、または慢性障害では定期的に使用可能である。
【0146】
以下に記載されるように、薬物または薬剤は、1つもしくはそれ以上の疾患の治療のために各種タイプの製剤中に少なくとも1つのAPIまたはその組合せを含みうる。APIの例としては、500Da以下の分子量を有する低分子、ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素)、炭水化物および多糖、ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(ネイキッドおよびcDNAを含む)、RNA、アンチセンス核酸たとえばアンチセンスDNAおよびRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドが挙げられうる。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに取り込み可能である。1つまたはそれ以上の薬物の混合物も企図される。
【0147】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスでの使用に適合化された一次パッケージまたは「薬物容器」に包含可能である。薬物容器は、たとえば、1つもしくはそれ以上の薬物の収納(たとえば、短期または長期の収納)に好適なチャンバを提供するように構成されたカートリッジ、シリンジ、リザーバ、または他の硬性もしくは可撓性のベッセルでありうる。たとえば、いくつかの場合には、チャンバは、少なくとも1日間(たとえば、1日間~少なくとも30日間)にわたり薬物を収納するように設計可能である。いくつかの場合には、チャンバは、約1カ月~約2年間にわたり薬物を収納するように設計可能である。収納は、室温(たとえば、約20℃)または冷蔵温度(たとえば、約-4℃~約4℃)で行うことが可能である。いくつかの場合には、薬物容器は、投与される医薬製剤の2つ以上の成分(たとえば、APIと希釈剤、または2つの異なる薬物)を各チャンバに1つずつ個別に収納するように構成されたデュアルチャンバカートリッジでありうるか、またはそれを含みうる。かかる場合には、デュアルチャンバカートリッジの2つのチャンバは、人体もしくは動物体への投薬前および/または投薬中に2つ以上の成分間の混合が可能になるように構成可能である。たとえば、2つのチャンバは、互いに流体連通するように(たとえば、2つのチャンバ間の導管を介して)かつ所望により投薬前にユーザによる2つの成分の混合が可能になるように構成可能である。代替的または追加的に、2つのチャンバは、人体または動物体への成分の投薬時に混合が可能になるように構成可能である。
【0148】
本明細書に記載の薬物送達デバイスに含まれる薬物または薬剤は、多くの異なるタイプの医学的障害の治療および/または予防のために使用可能である。障害の例としては、たとえば、糖尿病または糖尿病に伴う合併症たとえば糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害たとえば深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症が挙げられる。障害のさらなる例は、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リウマチである。APIおよび薬物の例は、ローテリステ2014年(Rote Liste 2014)(たとえば、限定されるものではないがメイングループ12(抗糖尿病薬剤)または86(オンコロジー薬剤))やメルク・インデックス第15版(Merck Index,15th edition)などのハンドブックに記載されているものである。
【0149】
1型もしくは2型糖尿病または1型もしくは2型糖尿病に伴う合併症の治療および/または予防のためのAPIの例としては、インスリン、たとえば、ヒトインスリン、もしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1アナログもしくはGLP-1レセプターアゴニスト、はそのアナログもしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、またはそれらのいずれかの混合物が挙げられる。本明細書で用いられる場合、「アナログ」および「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドに存在する少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失および/または交換によりおよび/または少なくとも1つのアミノ酸残基の付加により天然に存在するペプチドの構造たとえばヒトインスリンの構造から形式的に誘導可能な分子構造を有するポリペプチドを指す。付加および/または交換アミノ酸残基は、コード可能アミノ酸残基または他の天然に存在する残基または純合成アミノ酸残基のどれかでありうる。インスリンアナログは、「インスリンレセプターリガンド」とも呼ばれる。特に、「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドの構造から形式的に誘導可能な分子構造、たとえば、1つまたはそれ以上の有機置換基(たとえば脂肪酸)がアミノ酸の1つまたはそれ以上に結合したヒトインスリンの分子構造を有するポリペプチドを指す。場合により、天然に存在するペプチドに存在する1つまたはそれ以上のアミノ酸が、欠失し、および/または非コード可能アミノ酸を含めて他のアミノ酸によって置き換えられ、または天然に存在するペプチドに非コード可能なものを含めてアミノ酸が付加される。
【0150】
インスリンアナログの例は、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリジン);Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28~B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0151】
インスリン誘導体の例は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン、Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、レベミル(Levemir)(登録商標));B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-オメガ-カルボキシペンタデカノイル-ガンマ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、トレシーバ(Tresiba)(登録商標));B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0152】
GLP-1、GLP-1アナログおよびGLP-1レセプターアゴニストの例は、たとえば、リキシセナチド(リキスミア(Lyxumia)(登録商標))、エキセナチド(エキセンジン-4、バイエッタ(Byetta)(登録商標)、ビデュリオン(Bydureon)(登録商標)、ヒラモンスターの唾液腺により産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(ビクトーザ(Victoza)(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(シンクリア(Syncria)(登録商標))、デュラグルチド(トルリシティ(Trulicity)(登録商標))、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C(エフペグレナチド)、HM-15211、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9423、NN-9709、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、ZP-DI-70、TT-401(ペガパモドチド(Pegapamodtide))、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、チルゼパチド(LY3298176)、バマドゥチド(Bamadutide)(SAR425899)、エキセナチド-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0153】
オリゴヌクレオチドの例は、たとえば、家族性高コレステロール血症の治療のためのコレステロール低下アンチセンス治療剤ミポメルセンナトリウム(キナムロ(Kynamro)(登録商標))、またはアルポート症候群の治療のためのRG012である。
【0154】
DPP4阻害剤の例は、リナグリプチン、ビダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンである。
【0155】
ホルモンの例としては、脳下垂体ホルモンもしくは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンが挙げられる。
【0156】
多糖の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化多糖たとえばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。ヒアルロン酸誘導体の例は、ハイランG-F20(シンビスク(Synvisc)(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0157】
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、イムノグロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。イムノグロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化もしくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(たとえばネズミ)抗体、または一本鎖抗体でありうる。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有するとともに補体を固定可能である。いくつかの実施形態では、抗体は、Fcレセプターへの結合能が低減されているか、または結合能がない。たとえば、抗体は、Fcレセプターへの結合を支援しない、たとえば、Fcレセプター結合領域の突然変異もしくは欠失を有するアイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは突然変異体でありうる。抗体という用語は、4価二重特異的タンデムイムノグロブリン(TBTI)および/またはクロスオーバー結合領域配向を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質(CODV)に基づく抗原結合分子も含む。
【0158】
「フラグメント」または「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含みうるが、この用語は、かかる切断フラグメントに限定されるものではない。本発明に有用な抗体フラグメントとしては、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的または多重特異的な抗体フラグメント、たとえば、二重特異的、三重特異的、四重特異的および多重特異的抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、1価または多価抗体フラグメント、たとえば、2価、3価、4価および多価の抗体、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディまたはビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は当技術分野で公知である。
【0159】
「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列でないかつ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、当技術分野で公知のように、ある特定の抗体のフレームワーク領域内のある特定の残基は、抗原結合に直接関与しうるか、またはCDR内の1つもしくはそれ以上のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼしうる。
【0160】
抗体の例は、抗PCSK-9 mAb(たとえば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(たとえば、サリルマブ)、および抗IL-4 mAb(たとえば、デュピルマブ)である。
【0161】
本明細書に記載のいずれのAPIの薬学的に許容可能な塩も、薬物送達デバイスで薬物または薬剤に使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。
【0162】
本明細書に記載されているAPIの各種成分、処方、装置、方法、システム、および実施形態の修正(追加および/または削除)は、このような修正およびそのあらゆる均等物を包含する本発明の全範囲および精神から逸脱することなく行うことができることを、当業者なら理解するであろう。
【0163】
例示的な薬物送達デバイスは、ISO11608-1:2014(E)のセクション5.2の表1に記載されているような針ベースの注射システムを含むことができる。ISO11608-1:2014(E)に記載されているように、針ベースの注射システムは、複数回用量の容器システムおよび単回用量(部分排出または全量排出による)の容器システムに大別できる。容器は、交換可能な容器でもよく、交換不能な一体型容器でもよい。
【0164】
ISO11608-1:2014(E)にさらに記載されているように、複数回用量の容器システムは、交換可能な容器を有する針ベースの注射デバイスを含むことができる。このようなシステムにおいて、各容器は複数回用量を保持し、そのサイズは固定でも可変(ユーザによって予め設定される)でもよい。別の複数回用量の容器システムは、交換不能な一体型容器を有する針ベースの注射デバイスを含むことができる。このようなシステムにおいて、各容器は複数回用量を保持し、そのサイズは固定でも可変(ユーザによって予め設定される)でもよい。
【0165】
ISO11608-1:2014(E)にさらに記載されているように、単回用量の容器システムは、交換可能な容器を有する針ベースの注射デバイスを含むことができる。このようなシステムの一例において、各容器は単回用量を保持し、そうすることで、送達可能な体積全体が排出される(全量排出)。さらなる例において、各容器は単回用量を保持し、そうすることで、送達可能な体積の一部が排出される(部分排出)。やはりISO11608-1:2014(E)に記載されているように、単回用量の容器システムは、交換不能な一体型の容器を有する針ベースの注射デバイスを含むことができる。このようなシステムの一例において、各容器は単回用量を保持し、そうすることで、送達可能な体積全体が排出される(全量排出)。さらなる例において、各容器は単回用量を保持し、そうすることで、送達可能な体積の一部が排出される(部分排出)。
【0166】
本明細書に記載されている物質の各種成分、処方、装置、方法、システム、および実施形態の修正(追加および/または削除)は、このような修正およびそのあらゆる均等物を包含する本発明の全範囲および精神から逸脱することなく行うことができることを、当業者なら理解するであろう。
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【国際調査報告】