IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-526522誘導ガス混合を有する機器前端モジュールおよびその使用方法
<>
  • 特表-誘導ガス混合を有する機器前端モジュールおよびその使用方法 図1
  • 特表-誘導ガス混合を有する機器前端モジュールおよびその使用方法 図2A
  • 特表-誘導ガス混合を有する機器前端モジュールおよびその使用方法 図2B
  • 特表-誘導ガス混合を有する機器前端モジュールおよびその使用方法 図2C
  • 特表-誘導ガス混合を有する機器前端モジュールおよびその使用方法 図2D
  • 特表-誘導ガス混合を有する機器前端モジュールおよびその使用方法 図3A
  • 特表-誘導ガス混合を有する機器前端モジュールおよびその使用方法 図3B
  • 特表-誘導ガス混合を有する機器前端モジュールおよびその使用方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】誘導ガス混合を有する機器前端モジュールおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571604
(86)(22)【出願日】2022-10-05
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 US2022045804
(87)【国際公開番号】W WO2023059736
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】63/252,884
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/959,294
(32)【優先日】2022-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ロイター, ポール ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ティンデル, スティーヴン トレイ
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131AA03
5F131BA03
5F131BA04
5F131BA19
5F131BA24
5F131BA37
5F131CA32
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA36
5F131DA42
5F131GA14
5F131GA92
5F131JA04
5F131JA08
5F131JA15
5F131JA16
5F131JA20
5F131JA27
5F131JA28
5F131JA32
(57)【要約】
機器前端モジュール(EFEM)は複数の壁を有し、第1の壁は1つまたは複数のロードポートを含み、EFEMチャンバは壁同士の間に形成されている。EFEMは、EFEMの頂部にある上部プレナムであって、EFEMチャンバ中への開口を含む上部プレナムをさらに含む。ダクトはEFEMチャンバから上部プレナムまでのガスの再循環を可能にする戻りガス流路を提供し、ダクトは1つまたは複数のロードポートに近接している。1つまたは複数のダクトは、1つまたは複数のロードポートの場所で低圧状態を引き起こすように構成された流れ要素を含む。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器前端モジュール(EFEM)であって、
複数の壁であって、前記複数の壁のうちの第1の壁が1つまたは複数のロードポートを含む、複数の壁と、
前記複数の壁の間に形成されたEFEMチャンバと、
前記EFEMの頂部にある上部プレナムであって、前記EFEMチャンバ中への開口を含む上部プレナムと、
前記EFEMチャンバから前記上部プレナムまでのガスの再循環を可能にする戻りガス流路を提供する複数のダクトであって、前記複数のダクトが前記1つまたは複数のロードポートの近傍にあり、前記複数のダクトのうちの1つまたは複数のダクトが、前記1つまたは複数のロードポートの場所で低圧状態を引き起こすように構成された複数の流れ要素を備える、複数のダクトと
を備える、機器前端モジュール(EFEM)。
【請求項2】
前記1つまたは複数のダクトが前記第1の壁に沿って延在する、請求項1に記載の機器前端モジュール。
【請求項3】
前記複数のダクトのうちの少なくとも1つが2つの隣接するロードポートの間に延在するように構成されている、請求項2に記載の機器前端モジュール。
【請求項4】
前記1つまたは複数のロードポートが1つまたは複数の基板キャリアを受け取るように構成され、前記複数の流れ要素が、前記1つまたは複数の基板キャリアの第1の環境と前記EFEMの第2の環境との混合を容易にするために前記低圧状態を引き起こすように構成されている、請求項1に記載の機器前端モジュール。
【請求項5】
前記1つまたは複数の基板キャリアが前記1つまたは複数のロードポートに結合されている間、前記1つまたは複数の基板キャリアの内部チャンバが前記EFEMチャンバに対して開く、請求項4に記載の機器前端モジュール。
【請求項6】
前記複数の流れ要素が、開口、オリフィス、孔、またはそれらの任意の2つ以上の組み合わせのうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の機器前端モジュール。
【請求項7】
前記複数の流れ要素の各々が約1mmから約1cmの直径を有する、請求項1に記載の機器前端モジュール。
【請求項8】
前記複数の流れ要素が前記1つまたは複数のダクトの中または上に行および列で配置され、また、前記1つまたは複数のロードポートの近傍に配置される、請求項1に記載の機器前端モジュール。
【請求項9】
前記複数の流れ要素が前記1つまたは複数のダクトを通って流れる前記ガスの少なくとも一部に乱流を誘導するように構成されている、請求項1に記載の機器前端モジュール。
【請求項10】
前記1つまたは複数のダクトのうちの少なくとも1つのダクトが、第1のセットの流れ要素を第1のロードポートの近傍に有する第1の側、および第2のセットの流れ要素を第2のロードポートの近傍に有する反対側の第2の側を備える、請求項1に記載の機器前端モジュール。
【請求項11】
電子デバイス製造アセンブリであって、
機器前端モジュール(EFEM)
を備え、前記機器前端モジュール(EFEM)が、
複数の壁であって、前記複数の壁のうちの第1の壁が1つまたは複数のロードポートを含む、複数の壁と、
前記複数の壁の間に形成されたEFEMチャンバと、
前記EFEMの頂部にある上部プレナムであって、前記EFEMチャンバ中への開口を含む上部プレナムと、
前記EFEMチャンバから前記上部プレナムまでのガスの再循環を可能にする戻りガス流路を提供する複数のダクトであって、前記複数のダクトが前記1つまたは複数のロードポートの近傍にあり、前記複数のダクトのうちの1つまたは複数のダクトが、前記1つまたは複数のロードポートの場所で低圧状態を引き起こすように構成された複数の流れ要素を備える、複数のダクトと、
前記1つまたは複数のロードポートに結合された1つまたは複数の基板キャリアと
を備える、電子デバイス製造アセンブリ。
【請求項12】
前記1つまたは複数のダクトが前記第1の壁に沿って延在する、請求項11に記載の電子デバイス製造アセンブリ。
【請求項13】
前記複数のダクトのうちの少なくとも1つが2つの隣接するロードポートの間に延在するように構成されている、請求項11に記載の電子デバイス製造アセンブリ。
【請求項14】
前記複数の流れ要素が、開口、オリフィス、孔、貫通孔、またはそれらの任意の2つ以上の組み合わせのうちの1つまたは複数を含む、請求項11に記載の電子デバイス製造アセンブリ。
【請求項15】
前記複数の流れ要素が個々のダクトの中または上に行および列で配置される、請求項11に記載の機器前端モジュール。
【請求項16】
前記複数の流れ要素の各々が前記1つまたは複数のロードポートの近傍に配置される、請求項11に記載の機器前端モジュール。
【請求項17】
前記1つまたは複数のダクトのうちの少なくとも1つのダクトが、第1のセットの流れ要素を第1のロードポートの近傍に有する第1の側、および第2のセットの流れ要素を第2のロードポートの近傍に有する反対側の第2の側を備える、請求項11に記載の機器前端モジュール。
【請求項18】
機器前端モジュール(EFEM)を動作させる方法であって、
EFEMチャンバと流体連結している上部プレナムを備える前記EFEMを提供することであって、前記EFEMチャンバが1つまたは複数のロードポートとインターフェースしている、前記EFEMを提供することと、
前記上部プレナムから前記EFEMチャンバまでガスを流すことと、
前記EFEMチャンバから前記上部プレナムまで、前記1つまたは複数のロードポートの近傍に位置決めされた複数のダクトを介して前記ガスの少なくとも一部を再循環させることであって、前記複数のダクトのうちの1つまたは複数のダクトが、前記1つまたは複数のロードポートの場所で低圧状態を引き起こす複数の流れ要素を備える、前記ガスの少なくとも一部を再循環させることと
を含む、方法。
【請求項19】
前記ダクトから、前記1つまたは複数のロードポートにドッキングした1つまたは複数の基板キャリアの中へ前記ガスの少なくとも一部を流すことをさらに含み、前記流れ要素が流れる前記ガスに乱流を誘導し、前記流れるガスを前記1つまたは複数の基板キャリアの中のガスと混合させる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ダクトから、前記1つまたは複数のロードポートにドッキングした1つまたは複数の基板キャリアの中へ前記ガスの少なくとも一部を流すことをさらに含み、前記1つまたは複数の基板キャリア内の相対湿度および酸素含有量が前記EFEMの中を再循環する前記ガス中の相対湿度および酸素含有量とほぼ同じレベルに低減する、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電子デバイス製造に関し、より詳細には、誘導ガス混合を有する機器前端モジュール(EFEM)およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体電子デバイス製造における基板の処理は、通常、複数の処理ツールの中で実施され、基板は、例えば前方開口型統一ポッド(FOUP)などの基板キャリア中の処理ツール同士の間を移動する。FOUPは、ファクトリインターフェース(FI)と呼ばれることもある機器前端モジュール(EFEM)のロードポートにドッキングさせることができ、1つまたは複数の基板をロードロック、移送チャンバおよび/または処理チャンバへ移送することができる。湿気および酸素へのプリおよびポスト基板露出は、基板腐食(例えばエッチング)、層間欠陥(例えば膜応力および抵抗、物理的気相堆積)およびデバイス非均一性(例えば化学気相堆積パッシべーション)の原因になり得る。湿気および酸素をEFEM環境から除去することにより、このようなデバイス性能および歩留まりの課題が低減および/または除去される。
【0003】
EFEMは、FOUPとロードロックおよび/またはチャンバの間で基板を移送するための非反応性環境を提供する。これは、EFEMの内部体積を実際的である範囲で密閉し、かつ、一般的に基板材料と非反応性である窒素などのガスで内部体積をあふれさせることによって達成される。非反応性ガスは、酸素などのあらゆる反応性ガスをEFEMから強制的に追い出し、また、同じくEFEMの湿気を低減し/EFEMから湿気を除去する。1つまたは複数の基板キャリアにドッキングさせるための1つまたは複数のロードポートをEFEMの前面に沿って配置することができる。従来のEFEMのロードポートは、FOUPおよびEFEM内の相対湿度(RH)および酸素レベルを低くするために、基板を処理し、また、輸送している間、窒素ガスで(N)底部パージされている。底部パージを実現し、また、加圧されたNの使用を実現するために使用されるハードウェアは、コストがかかり、また、EFEMをさらに複雑にする。EFEMおよびFOUP内を非反応性環境に維持するための、より安価で、かつ、それほど複雑ではない改善されたシステム、装置および方法が必要である。
【発明の概要】
【0004】
少なくとも1つの実施形態によれば、本明細書においては機器前端モジュール(EFEM)が開示され、機器前端モジュール(EFEM)は、複数の壁であって、それらの複数の壁のうちの第1の壁は1つまたは複数のロードポートを含む、複数の壁と、複数の壁の間に形成されたEFEMチャンバと、EFEMの頂部にある上部プレナムであって、EFEMチャンバ中への開口を含む上部プレナムと、EFEMチャンバから上部プレナムまでのガスの再循環を可能にする戻りガス流路を提供する複数のダクトであって、複数のダクトが1つまたは複数のロードポートの近傍にあり、複数のダクトのうちの1つまたは複数のダクトが、1つまたは複数のロードポートの場所で低圧状態を引き起こすように構成された複数の流れ要素を備える、複数のダクトとを備える。いくつかの実施形態では、複数の流れ要素は、追加または別法として、FOUPから隣接する流れ要素の中へガス流を誘導するように構成され、今度はその隣接する流れ要素がEFEMからFOUP中への流れを誘導する。
【0005】
さらに、少なくとも1つの実施形態によれば、本明細書においては電子デバイス製造アセンブリが開示され、電子デバイス製造アセンブリは機器前端モジュール(EFEM)を備え、機器前端モジュール(EFEM)は、複数の壁であって、それらの複数の壁のうちの第1の壁は1つまたは複数のロードポートを含む、複数の壁と、複数の壁の間に形成されたEFEMチャンバと、EFEMの頂部にある上部プレナムであって、EFEMチャンバ中への開口を含む上部プレナムと、EFEMチャンバから上部プレナムまでのガスの再循環を可能にする戻りガス流路を提供する複数のダクトであって、複数のダクトが1つまたは複数のロードポートの近傍にあり、複数のダクトのうちの1つまたは複数のダクトが、1つまたは複数のロードポートの場所で低圧状態を引き起こすように構成された複数の流れ要素を備える、複数のダクトと、1つまたは複数のロードポートに結合された1つまたは複数の基板キャリアとを備える。
【0006】
少なくとも1つの他の実施形態では、本明細書においては機器前端モジュール(EFEM)を動作させる方法が開示され、方法は、EFEMチャンバと流体連結している上部プレナムを備えるEFEMを提供することであって、EFEMチャンバは1つまたは複数のロードポートとインターフェースしている、EFEMを提供することと、上部プレナムからEFEMチャンバまでガスを流すことと、EFEMチャンバから上部プレナムまで、1つまたは複数のロードポートの近傍に位置決めされた複数のダクトを介してガスの少なくとも一部を再循環させることであって、複数のダクトのうちの1つまたは複数のダクトが、1つまたは複数のロードポートの場所で低圧状態を引き起こすように構成された複数の流れ要素を備える、再循環させることとを含む。
【0007】
以下で説明される図面は例証を目的としたものであり、必ずしもスケール通りには描かれていない。図面には、本開示の範囲を制限することは全く意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の1つまたは複数の実施形態による電子デバイス製造アセンブリの略上面図である。
図2A】本開示の1つまたは複数の実施形態による前方戻りダクトを含む機器前端モジュール(EFEM)を概略的に示す正面横断面図である。
図2B】本開示の1つまたは複数の実施形態による、図2AのEFEMの左側面図である。
図2C】EFEMの正面図および本開示の1つまたは複数の実施形態によるEFEMに結合されたサイドストレージポッドを示す図である。
図2D】EFEMの一対のロードポートに隣接して位置決めされた一対の流れ変換ダクトの拡大斜視図である。
図3A】FOUP中へのEFEM流れ変換ダクトを介した理論的ガス流を示すチャートである。
図3B】FOUP中へのEFEM流れ変換ダクトを介した理論的ガス流を示すチャートである。
図4】本開示の1つまたは複数の実施形態によるEFEMを動作させる方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面に示されている本開示の例示的実施形態を詳細に参照する。可能である場合、すべての図面を通して常に同じ参照番号を使用して、いくつかの図面を通して同じ部品または同様の部品が参照されている。本明細書において説明されている様々な実施形態の特徴は、そうではないことが明確に言及されていない限り、互いに組み合わせることができる。
【0010】
本開示の1つまたは複数の実施形態によれば、本明細書において説明されている電子デバイス製造システムおよび関連する方法は改善された基板処理を提供する。例えば、説明されているシステムおよび方法は、基板の環境露出を制御することによって、詳細には機器前端モジュール(EFEM)に結合された1つまたは複数の前方開口型統一ポッド(FOUP)内の条件を制御することによって、基板の製造における効率および処理の改善を提供する。少なくとも1つのストレージコンテナをFOUP内に包含することができ、また、基板を処理する前、および/または基板を処理した後のアイドル期間の間などに、基板を受け取り、かつ、支持するように構成された複数の基板ホルダ(例えば棚)を含むことができる。本明細書において説明されているシステムおよび方法は、さらに、i)運転コスト、ii)製造コストおよびiii)複雑性が低減されたEFEMを提供することができる。1つまたは複数の実施形態では、EFEMにはロードポートをNおよび清浄なドライ空気(CDA)でパージするためのガスパージ機器がなく、また、EFEMは、ロードポートをパージしない非反応性環境を提供することができる。
【0011】
少なくとも1つの実施形態によれば、EFEMは、ロードポートに隣接して位置決めされた1つまたは複数のダクト(本明細書においては流れ変換ダクトとも呼ばれる)を含む。ダクトは、ロードポートの場所(例えばFOUPの前方)を低圧環境にし、かつ、FOUPの環境(例えばガスイン)とEFEMの環境(例えばガスイン)の間の空気流およびガス混合を誘導する複数の流れ要素(例えば孔)を含む。ダクトは、サクションを付与して、ダクトを介してガス/空気をEFEMから引っ張ることができる。複数の流れ要素は、FOUPからのガス/空気をダクトを介して同じく流し、EFEMからのガス/空気をFOUPからのガス/空気に置き換え、および/またはFOUPからのガス/空気と混合させることも可能である。一実施形態では、複数の流れ要素は、EFEMのダクトを通って流れるガスに乱流(例えばBernoulli効果)をもたらし、EFEM中のガス/空気とFOUP中のガス/空気との混合をさらに多くする。
【0012】
FOUPのドッキングおよび/またはロードポートの開きに先だって、不活性の低湿度ガスがEFEMおよびその流れ変換ダクトを通って再循環する。不活性ガスはダクトを通って再循環し、ダクトの底部から頂部まで、ロードポートを横切って流れることができる。ロードポートドアを横切り、また、ダクトを通って流れるガスは戻り空気と見なすことができる。不活性ガスは、Nまたは極端に清浄なドライ空気(xCDA)(例えば約0.33重量ppm未満の湿気含有量を有するCDA)であってもよい。ロードポートが開き、かつ、EFEMの内部がFOUPの内部と接続すると、FOUPに存在しているガスが再循環ダクトの中へ引っ張られ、EFEMの中を循環していた低湿度ガスに置き換えられる。このガス混合はイン-FOUP湿気レベルを速やかに低くするように働く。適切な流れ要素(本明細書においては流れ変換要素とも呼ばれる)は、それには限定されないが1つまたは複数の開口(例えばオリフィス、孔または貫通孔)を含む。ディボット、突起、フィン、ルーバ、粗さ要素、粗さが増した表面などの流れ要素、および/または乱流を誘導することができる任意の他の要素、および上記の任意の2つ以上の組み合わせを、1つまたは複数の開口に加えて、あるいはそれらの代わりに使用することも可能である。
【0013】
実施形態では、流れ要素は、1つまたは複数の開口をダクト中に備えている。これらの開口は、孔、貫通孔、格子、等々であってもよい。これらの開口は、円形、長方形、正方形、多角形、等々を含む様々な形を有することができる。いくつかの実施形態では、流れ要素は直径が約1mm~約1cmであり、行および列で配置され、例えば約2個~約5個の開口の行が約1個~約5個の列で配置されている。複数のダクトのうちの少なくとも1つは、一方の側に、第1のセットの開口を第1のロードポートの近傍に含むことができ、また、反対側に、第2のセットの開口を第2のロードポートの近傍に含むことができる。流れ要素によってもたらされる乱流は、FOUPおよびEFEM内における、FOUP中およびEFEM中のガス同士の間の混合を誘導する。この誘導されたガス混合は、EFEM内の低湿度環境と相俟って、FOUP内の相対湿度(RH)および酸素含有量の速やかな低減を容易にする。いくつかの実施形態では、不規則なパターンの流れ要素(例えば不規則なパターンの孔)が存在している。例えば孔同士の間には可変間隔が存在してもよく、孔は可変サイズ、等々を有することができる。一実施形態では、ダクトは、FOUPの底部の近くにより多くの、および/またはより大きい孔が存在し、また、FOUPの頂部の近くにより少ない孔、および/またはより小さい孔が存在する孔パターンを有する孔を含む。一実施形態では、ダクトは、FOUPの底部の近くにより少ない、および/またはより小さい孔が存在し、また、FOUPの頂部の近くにより多くの孔、および/またはより大きい孔が存在する孔パターンを有する孔を含む。一実施形態では、孔は、FOUPの底部からFOUPの頂部まで、サイズおよび/または数が徐々に変化する。これは、ダクトの高さに伴う孔サイズおよび/または孔の数の勾配をもたらし得る。いくつかの実施形態では、第1のダクトは第1の孔パターンを有することができ、また、第2のダクトは、第1の孔パターンとは異なる第2の孔パターンを有することができる。
【0014】
本明細書における1つまたは複数の実施形態によるダクトを有するEFEMは、FOUPにおける相対湿度をより速く低くすることができ、また、窒素パージロードポートを有する従来のEFEMよりもより低い定常状態レベルのRHおよび酸素を達成することができる。穴があいた再循環ダクトと相俟ってxCDAを再循環させる、本明細書において説明されているEFEMは、FOUPをEFEMに接続すると、窒素供給および排気ノズルならびに対応するアクチュエータ、質量流量コントローラ、配管、等々を含む窒素パージロードポートを使用することなく、FOUPに速やかに不活性環境を生成することができる。したがって実施形態によるEFEMは、従来のEFEMと比較すると、改善された性能およびより低いコストならびに高い信頼性を提供する。本明細書において説明されているダクトを包含したEFEMは、従来の窒素パージシステムと比較すると、FOUP中の大気が適切なレベルの湿度、酸素および/または他のパラメータを達成する速度を約20%~約80%改善する。
【0015】
EFEM、基板キャリア、EFEMおよび基板キャリアを含んだ電子デバイス製造アセンブリ、およびEFEMを動作させる方法の例示的実施形態についてのさらなる詳細は、本明細書において、本明細書における図1図4を参照して説明される。
【0016】
図1は、本開示の1つまたは複数の実施形態による電子デバイス製造アセンブリ100の例示的実施形態の略図を示したものである。電子デバイス製造アセンブリ100は、移送チャンバ102を画定しているハウジング壁を有するメインフレームハウジング101を含むことができる。移送ロボット103(点が施された円で示されている)は、少なくとも部分的に移送チャンバ102内に収納することができる。移送ロボット103は、移送ロボット103のアーム(図示せず)の動作を介して基板を様々な行先に置き、かつ、様々な行先から除去するように構成することができる。本明細書において使用されている「基板」は、電子デバイスすなわち回路構成要素を構築するために使用される、半導体ウエハ、シリコン含有ウエハ、パターン化されたウエハ、ガラスプレート、等々などの物品を意味することができる。
【0017】
移送ロボット103の様々なアーム構成要素の動きは、コントローラ106から指令される、移送ロボット103の複数のドライバ電動機を包含しているドライバアセンブリ(図示せず)への適切なコマンドによって制御することができる。コントローラ106からの信号によって、移送ロボット103の様々な構成要素を動かすことができる。位置エンコーダ、等々などの様々なセンサによって、複数の構成要素のうちの1つまたは複数に対して適切なフィードバック機構を提供することができる。
【0018】
示されているように移送チャンバ102は正方形であるが、長方形、六角形、八角形または別の多角形であってもよく、また、第1の壁102A、第2の壁102B、第3の壁102Cおよび第4の壁102Dを含むことができる。示されている実施形態では、移送ロボット103は、同時に2つの基板を移送し、および/または引っ込めることができる。第1の壁102A、第2の壁102B、第3の壁102Cおよび第4の壁102Dは平面であってもよく、また、処理チャンバのセットの中への通路は、それぞれの壁に沿って延在していてもよい。しかしながら他の適切な形のメインフレームハウジング101、他の適切な数の壁および処理チャンバ、ならびに他の適切なタイプのロボットも可能である。
【0019】
移送ロボット103の行先は、引き渡された基板に対するプロセスを実施するように構成することができ、また、引き渡された基板に対するプロセスを実施するように動作することができる処理チャンバ108A~108Fのうちの任意の1つまたは複数であってもよい。プロセスは、プラズマ気相堆積(PVD)または化学気相堆積(CVD)、エッチング、アニーリング、前洗浄、金属または金属酸化物除去、等々などの任意の適切なプロセスであってもよい。処理チャンバの中で他のプロセスを基板に対して実施することも可能である。
【0020】
基板は、EFEM114から移送チャンバ102の中に受け取ることができ、また、移送チャンバ102から出て、EFEM114の後部壁114Rに結合されているロードロック装置112を通ってEFEM114へ向かうことができる。ロードロック装置112は、その中に1つまたは複数のロードロックチャンバ(例えばロードロックチャンバ112Aおよび112B)を含むことができる。ロードロックチャンバ112Aおよび112Bは、単一ウエハロードロック(SWLL)チャンバ、多重ウエハチャンバ、またはそれらの組み合わせであってもよい。他の数のロードロックを含めることも可能である。
【0021】
EFEM114は、例えばEFEMチャンバ114Cを形成している前方壁114F、後部壁114R、2つの側壁114S1、114S2、頂部114T(図2A)および底部114Bなどの様々なエンクロージャ壁を有するエンクロージャであってもよい。前方壁114F、後部壁114Rおよび2つの側壁114S1、114S2の各々は、基板の交換および/または他の構成要素への結合を容易にするための1つまたは複数のインターフェース開口を有することができる。図1に示されているように、EFEM114の前方壁115Fに1つまたは複数のロードポート115を提供することができる。1つまたは複数のロードポート115は、それぞれ、それぞれの1つまたは複数の基板キャリア116(例えばFOUP)を受け取り、かつ、ドッキングするように構成することができる。4つのロードポート115および4つの基板キャリア116が示されているが、他の実施形態は、EFEM114におけるそれぞれの数の基板キャリア116のドッキングに適したもっと多くの、あるいはもっと少ないロードポート115を有することができる。
【0022】
EFEM114は、従来の構造の適切なロード/アンロードロボット117(点で示されている)をそのEFEMチャンバ114C内に含むことができる。ロード/アンロードロボット117は、基板キャリア116のキャリアドアがロードポート115の各々毎のキャリアドアオープナー119を介して開くと、基板キャリア116から基板を抽出し、かつ、EFEMチャンバ114Cを介して基板をロードロック装置112の1つまたは複数のロードロックチャンバ112Aおよび112Bに給装するように構成することができ、また、そのように動作することができる。
【0023】
サイドストレージポッド120はEFEM114の側壁114S1に結合することができる。詳細には、ロード/アンロードロボット117は、複数の処理チャンバ108A~108Fのうちの1つまたは複数における処理に先だって、および/または処理後に、サイドストレージポッド120から基板を抽出し、かつ、サイドストレージポッド120に基板をロードするようにさらに構成することができる。いくつかの実施形態では、ロード/アンロードロボット117は、サイドストレージポッド120中に26段積み重ねられた基板にアクセスし、さらには52段またはそれ以上積み重ねられた基板にアクセスするように構成されたハイ-Zロボットである。
【0024】
示されている実施形態では、EFEMチャンバ114Cは、環境制御された大気をEFEMチャンバ114Cの中に提供する環境制御を備えることができる。詳細には、環境制御装置118をEFEM114に結合することができ、また、EFEMチャンバ114C内の環境条件をモニタし、および/または制御するように動作させることができる。いくつかの実施形態では、また、特定の時間に、EFEMチャンバ114Cは、例えばパージガス供給118Aからアルゴン(Ar)、窒素(N)、ヘリウム(He)または清浄なドライ空気などのパージガス(例えば不活性ガスおよび/または非反応性ガス)をその中に受け取ることができる。パージガス供給118Aは、適切な導管および1つまたは複数のバルブによってEFEMチャンバ114Cに結合することができる。EFEMチャンバ114C内の環境条件は、サイドストレージポッド120内に、サイドストレージポッド120の一部として配置されたサイドストレージコンテナ124の内部内であってもよい。サイドストレージコンテナ124は、垂直方向に積み重ねられた基板をその中に受け取る。いくつかの実施形態では、サイドストレージポッド120は、その中に配置された、基板を受け取り、かつ、支持するための基板ホルダを有することができる。
【0025】
より詳細には、環境制御システム118は、EFEMチャンバ114C内の1)相対湿度(RH)、2)温度(T)、3)酸素(O)の量、および/または4)パージガスの量のうちの少なくとも1つを制御することができる。EFEMチャンバ114C中へのガス流量、またはEFEMチャンバ114C内の圧力、あるいはその両方などのEFEM114の他の環境条件をモニタし、および/または制御することも可能である。
【0026】
いくつかの実施形態では、環境制御システム118はコントローラ106を含む。コントローラ106は、適切なプロセッサと、メモリと、様々なセンサから入力を受け取るための、また、EFEMチャンバ114C内の環境条件を制御するための1つまたは複数のバルブを制御するための電子構成要素とを含むことができる。環境制御システム118は、1つまたは複数の実施形態では、センサ130を使用してEFEM114におけるRHを感知することによって相対湿度(RH)をモニタすることができる。容量性タイプのセンサなどの、相対湿度を測定する任意の適切なタイプのセンサを使用することができる。RHは、適切な量のパージガスを環境制御システム118のパージガス供給118AからEFEMチャンバ114Cの中へ流すことによって低くすることができる。いくつかの実施形態では、例えば低HOレベル(例えば純度≧99.9995%、HO≦5ppm)を有する圧縮バルク不活性ガスをパージガス供給118Aとして環境制御システム118に使用することができる。他の適宜に低いHOレベルを使用することも可能である。
【0027】
別の態様では、センサ130は複数の環境条件を測定することができる。例えばいくつかの実施形態では、センサ130は、上で考察したように相対湿度値を測定することができる。1つまたは複数の実施形態では、定義済み基準相対湿度値は、電子デバイス製造アセンブリ100の中で実施される特定のプロセスに対して許容可能な湿気のレベルに応じて、またはEFEM114の環境に露出される特定の基板に応じて、湿気1000ppm未満、湿気500ppm未満さらには湿気100ppm未満であってもよい。
【0028】
環境モニタ130は、EFEM114内の酸素(O)のレベルを測定することも可能である。いくつかの実施形態では、パージガス供給118AからEFEMチャンバ114Cの中への適切な量のパージガスの流れを開始する制御信号をコントローラ106から環境制御装置118に出力して、酸素(O)のレベルを閾値O値未満に制御することができる。1つまたは複数の実施形態では、閾値O値は、電子デバイス製造アセンブリ100の中で実施される特定のプロセスに対して許容可能な(品質に影響を及ぼさない)Oのレベルに応じて、またはEFEM114の環境に露出される特定の基板に応じて、50ppm未満、10ppm未満さらには5ppm未満であってもよい。いくつかの実施形態では、センサ130は、EFEMチャンバ114Cの中の酸素のレベルを感知して、酸素のレベルがEFEMチャンバ114Cへの入室を許容する安全閾値レベルより高いことを保証することができる。
【0029】
センサ130は、さらに、EFEM114内の絶対または相対圧力を測定することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ106は、パージガス供給118AからEFEMチャンバ114Cの中へのパージガスの流れの量を制御して、EFEMチャンバ114Cの中の圧力を制御することができる。
【0030】
本明細書において示されている実施形態では、コントローラ106は、プロセッサ、メモリ、およびセンサ130から制御入力(例えば相対湿度および/または酸素)を受け取り、かつ、閉ループまたは他の適切な制御スキームを実行するように構成された周辺構成要素を含むことができる。一実施形態では、制御スキームは、EFEM114の中に導入されるパージガスの流量を変更して、EFEM114の所定の環境条件を達成することができる。別の実施形態では、制御スキームは、基板をEFEM114の中へ移送する時期、または基板キャリア116のドアを開ける時期を決定することができる。
【0031】
EFEM114に取り付けられたサイドストレージポッド120は、特定の環境条件の下で基板を貯蔵することができる。例えばサイドストレージポッド120は、サイドストレージポッド120の中のガス流量は異なっていてもよく、例えば著しく多くすることができることを除き、EFEMチャンバ114Cの中に存在している環境条件と同じ環境条件の下で基板を貯蔵することができる。サイドストレージポッド120はEFEMチャンバ114Cに流体結合することができ、また、EFEMチャンバ114Cからガス(例えばパージガス)を受け取ることができる。サイドストレージポッド120は、サイドストレージポッド120からガスを排気する排気導管132を含むことができ、この排気導管132により、さらに、サイドストレージポッド120に貯蔵されている基板を常に所望の環境条件およびパージガス流量に露出することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、サイドストレージポッド120は、垂直方向に整列した1つまたは複数のサイドストレージコンテナ124を受け取ることができる。例えばサイドストレージポッド120の中に第1のサイドストレージコンテナ124を受け取ることができる。第1のサイドストレージコンテナ124は、EFEMチャンバ114Cに面している開口126を含むことができる。第1のサイドストレージコンテナ124は、開口126の反対側に配置された排気プレナム128を同じく含むことができる。排気プレナム128は、排気プレナム128とサイドストレージポッド120の外部との間を結合することができる排気導管132に結合することができる。
【0033】
第1の排気導管132は内部部分および第1の外部部分132Aで構築することができる。第2の導管は第2のサイドストレージコンテナの間に結合することができ、また、第2の外部部分134Bを含むことができる。第1の外部部分134Aおよび第2の外部部分134Bは、いずれもカバー136内に配置することができる。いくつかの実施形態では、排気されたガスをサイドストレージコンテナ124および224から排気する導管として機能することができるのは、第1の外部部分134Aおよび第2の外部部分134Bではなく、カバー136である。他の実施形態では、第1の外部部分134Aおよび第2の外部部分134Bは、サイドストレージポッド120の内部を貫通することができる。
【0034】
図2A図2Dは、実施形態による、EFEM114の第1の側壁114S1に結合されたサイドストレージポッド120を含むEFEM114の簡易正面断面図、側面図および斜視図を示したものである。サイドストレージポッド120は、第1のサイドストレージコンテナ124を受け取る第1のチャンバ230、および第2のサイドストレージコンテナ224を受け取る第2のチャンバ233を含むことができる。第2のサイドストレージコンテナ224は、EFEMチャンバ114Cに面している開口226を含むことができる。また、第2のサイドストレージコンテナ224は、開口226の反対側に配置された第2の排気プレナム228を同じく含むことができる。第2の排気プレナム228は、排気プレナム228と共通プレナム236の間を結合することができる第2の排気導管234に結合することができる。
【0035】
第1の外部部分134Aおよび第2の外部部分134Bは、いずれも、第1のサイドストレージコンテナ124の第1のプレナム128および第2のサイドストレージコンテナ224の第2のプレナム228から排気ガスを受け取る共通プレナム236に結合することができる。いくつかの実施形態では、サイドストレージポッド120は、EFEM114の第1の側壁114S1に取外し可能に取り付けられている。パージガスは、上部プレナム237の中、または上部プレナム237に隣接して配置された一連のファンによって共通プレナム236から引き出すことができる。ダクト260a(例えば流れ変換ダクト)は、共通プレナム236から延在しているチャネル142に結合され、排気されたガスを上部プレナム237へ導いている。
【0036】
共通プレナム236から出ている排気ガス流路に任意選択のフィルタ248を提供することができる。例えばフィルタ248はチャネル142の中への入口に配置することができ、したがってファン(図示せず)によって引き出されたすべてのガスがフィルタ248を通過する。いくつかの実施形態では、フィルタ248は、製造プロセスが施された後にサイドストレージポッド120に貯蔵されている1つまたは複数の基板235によってガス放出される1つまたは複数のガスをフィルタ除去する化学フィルタであってもよい。いくつかの実施形態では、フィルタ248は、塩素、臭素および/またはフッ素などの望ましくない化学物質をフィルタ除去するように機能することができる。いくつかの実施形態では、フィルタ248は、アンモニア(NH)などのベースガスを5.0ppb以下にフィルタ除去することができる。いくつかの実施形態では、フィルタ248は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、アセテート(OAc)、二酸化窒素(NO)、硝酸塩(NO)、リン酸塩(PO)、フッ化水素(HF)および/または塩酸(HCl)などの酸性ガスを1.0ppb以下にフィルタ除去することができる。いくつかの実施形態では、フィルタ248は活性炭フィルタを備えることができる。他の実施形態では、フィルタ248は微粒子フィルタであってもよく、あるいは微粒子フィルタ/化学フィルタの組み合わせを含むことができる。
【0037】
任意選択で、ファンによって生成される排気ガス流路に沿ってヒータ250を提供することができる。ヒータ250は、排気ガスが上部プレナム237の中に再循環される前に、排気ガスを所定の温度に加熱することができる。いくつかの実施形態では、ヒータ250によって生成される熱を反応物として使用することができ、および/またはEFEM114の中および/またはサイドストレージポッド120の中の相対湿度を変化させるために使用することができる。いくつかの実施形態では、ヒータ250は、EFEMチャンバ114Cの中のパージガスを加熱して、サイドストレージポッド120の中に配置されている基板235からのガス放出の割合を高くすることができる。
【0038】
したがってファンはガス(フィルタ除去されたガス)を流れ変換ダクト260aを介して上部プレナム237の中へ引き出し、フィルタ除去されたガスがそこで再循環されてEFEMチャンバ114Cの中へ戻される。さらに、ファンは、図1および図2A図2Dに示されているように(分かり易くするためにロード/アンロードロボットは示されていない)、ガスを戻り流変換ダクト260b~260eを介してEFEMチャンバ114Cから上部プレナム237へ引き出す。プレナム154は、サイドストレージポッド120が結合されているEFEM114の側壁に隣接して配置された開口を有している。共通プレナム236はチャネル142に結合するように構成されており、チャネル142は流れ変換ダクトに結合されている。
【0039】
アクセスドア156はEFEM114の第2の側壁114S2に結合されている。しかしながらいくつかの実施形態では、第2のサイドストレージポッド120aは、アクセスドア156の代わりに、EFEM114の第2の側壁114S2に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、第2のサイドストレージポッド120aは、共通プレナム236への同様の結合、または全く同じ結合を含む、サイドストレージポッド120がEFEM114の第1の側壁114S1に取り付けられるのと同じ方法でEFEM114の第2の側壁114S2に取り付けることができる。この実施形態では、第2のサイドストレージポッド120aからの排気は、流れ変換ダクト260eによって上部プレナム237へ戻される。サイドストレージポッド120およびコンテナ124、224内の処理済み基板は、その中の高速ガス流の恩恵を受けて、Br、FおよびClなどのエッチングされた副産物のガス放出率を高くすることができる。示されていないが、個々のサイドストレージコンテナ124、224へのガス入口は、流入するガスの速度を速くし、および/または乱れを大きくする流れ変換要素を含むことができる。
【0040】
次に図2A図2Dを参照すると、複数の流れ変換ダクト260b~260e(図2A)および260b~0260d(図2B)の各々は、EFEMチャンバ114Cに結合されたそれぞれの第1の(下部)端部を有している。複数の流れ変換ダクト260b~260e(図2A)および260b~0260d(図2B)のうちの個々の流れ変換ダクトは、EFEM114の前方壁114Fに沿って、EFEMチャンバ114Cの内側の上を上に向かって延在することができ、また、それぞれ互いに平行であってもよいが、そうである必要はない。複数の流れ変換ダクトのうちの個々の流れ変換ダクトは、上部プレナム237に結合されたそれぞれの第2の(上部)端部を同じく有している。上部プレナム237は、EFEM114の頂部全体にわたって水平方向に延在することができる。上部プレナム237は、EFEMチャンバ114Cの中への1つまたは複数の入口240を有することができる。入口は、上方、下方または中に微粒子フィルタ267を含むことができ、また、任意選択で化学フィルタ268を含むことができる。さらに、EFEMチャンバ114Cの中に、およびEFEMチャンバ114Cを通る実質的に層状のガス流をもたらすために、貫通孔を含む均質化プレート141を1つまたは複数の入口240の近傍に提供することができる。他の実施形態は、示されている5つの流れ変換ダクト260a~260eよりももっと多い、あるいはもっと少ない流れ変換ダクトを有することができることに留意されたい。
【0041】
図2A図2Dに示されているように、流れ変換ダクト260a~260eは、EFEMの前方壁114Fの内側に沿って走っており、そのうちのいくつかはロードポート115同士の間を通りすぎることができる(ロードポート115の場所は図2Aに仮想で示されている)。図2Cは、EFEM114の簡易正面図およびサイドストレージポッド120の実施形態の簡易側面図を示したものである。示されているように、複数の流れ変換ダクト260a~260eの各々は、ロードポート115(または基板キャリア116)のためのキャリアドアオープナー119の第1の垂直面に沿って上に向かって延在するように構成されており、また、複数の流れ変換ダクト260a~260eの別の流れ変換ダクトは、キャリアドアオープナー119(または基板キャリア116)の第2の垂直面に沿って上に向かって延在するように構成されている。いくつかの実施形態では、複数の流れ変換ダクト260a~260eのうちの少なくとも1つは、2つの隣接するキャリアドアオープナー119(または基板キャリア116)の垂直面同士の間を上に向かって延在するように構成されている。いくつかの実施形態では、流れ変換ダクト260a~260eは、100mm~300mm以上の横方向の断面積を有することができ、また、ベントシート金属またはプラスチックで構築することができる。
【0042】
図2A図2Dに示されているように、EFEM流れ変換ダクト260a~260eはEFEMのロードポート115に隣接して位置決めされている。個々の流れ変換ダクト260a~260eは複数の流れ変換要素261を含むことができる。適切な流れ要素261には、それらに限定されないが、1つまたは複数の開口(例えばオリフィス、孔または貫通孔)、ディボット、突起、フィン、ルーバ、粗さ要素、粗さが増した表面、乱流を含むことができる任意の他の要素、および上記の任意の2つ以上の組み合わせがある。いくつかの実施形態では、流れ変換要素は1つまたは複数の貫通孔を含む。いくつかの実施形態では、流れ変換要素は直径が約1mm~約1cmであり、行および列で配置され、例えば約2個~約5個の開口の行が約1個~約5個の列で配置されている。図2A図2Dに示されている流れ変換要素261は、流れ変換ダクト260a~260dの側壁内に形成された円形の孔である。流れ変換要素261は、図2Dに示されているように行および列で形成することができる。流れ変換要素261は、ロードポート115の頂部またはその上方で開始し、ロードポートの側面に沿って、ロードポート261の底部まで、またはロードポート261の底部の下方まで継続することができる。流れ変換ダクト260a~260eは、一方の側に、第1のセットの開口261を第1のロードポート115の近傍に含むことができ、また、反対側に、第2のセットの開口261を第2のロードポート115の近傍に含むことができる。いくつかの実施形態では、個々のセットの開口261は対応するロードポート115の高さに沿って位置決めすることができ、別法または追加として、個々のセットの開口261は、対応するロードポート115の上方および/または下方の流れ変換ダクト260a~260eに沿って位置決めすることも可能である。
【0043】
1つまたは複数の基板キャリア116が複数のロードポート115のうちの1つまたは複数にドッキングされ、かつ、少なくとも1つのロードポート115が開くと、1つまたは複数の基板キャリア116内の環境がEFEM114内の環境と接続される。EFEM戻りダクト内の環境(例えばより低い圧力、および約5ppmV~約100ppmVの相対湿度、ならびに約10ppmV~約21体積%の酸素濃度)と、基板キャリア116内の環境(例えばより高い圧力、および約5体積%~約40体積%の相対湿度、ならびに約18体積%~約21体積%の酸素濃度)との間の相違により、EFEMからFOUPの中へガスが流れる。流れ変換要素261により、ガスがEFEMから戻りダクトの中へ吸い込まれ、FOUPおよびその周り(例えばFOUPの前方)に低圧領域を誘導する。また、流れ変換要素は、いくつかの実施形態では、EFEMからFOUPへ流れるガスに乱流を同じく誘導することができる。FOUPにおける低圧条件、および任意選択で乱流は、EFEM内のガスとFOUP内のガスの間の混合をもたらし、FOUP環境内の相対湿度および酸素濃度を速やかに低くする。
【0044】
図3Aおよび図3Bは、FOUP316中へのEFEM流れ変換ダクト360を介した理論的ガス流を示すチャートである。図3Bは側面図である(あるいは図3Aの断面である)。個々の流れ変換ダクト360は、本明細書における実施形態によれば、複数の開口310の1つまたは複数のセットを包含している。ガス流は矢印302によって表されている。動作中、ガスは、流れ変換ダクト360の底部の管からファンシステム(図示せず)まで流れる。ファンシステム内のファンは、ガスを1つまたは複数のフィルタ(図示せず)を介して流れ変換ダクト360の底部の管へ押し付け、ガス再循環ループを生成する。フィルタを通過したガスは、下向きの矢印302によって示されているように、EFEMの内部区画を通って流れる。EFEM314とFOUP316の間のロードポート315が開くと、ガスは、流れ変換ダクト360中の複数の開口310を通って流れて、FOUP316の前方の低圧、および/または乱流、およびFOUP内のガスとの混合をもたらす。
【0045】
図3Aおよび図3Bに示されているように、ガスは、流れ変換ダクト360を通って、任意選択で1.1m/s未満の速度で流れる。複数の開口310を通るガス流は、EFEM流れ変換ダクト360とロードポート315の間のインターフェースに示されている。複数の開口はロードポートおよび/またはFOUPに低圧環境を誘導し、また、任意選択でガスの乱流を誘導し、Bernoulli効果をもたらし得る。ガスは、実施形態では、複数の開口310を通ってEFEM314からFOUP316へ、約3.4m/s~約6.8m/s、または約4.5m/s~約5.7m/s、あるいは約3.8m/s~約6.3m/sの速度で流れる。複数の開口310のいずれの側でも、ガス速度は、約4.5m/s未満、約4.2m/s未満、約4.0m/s未満、約3.8m/s未満、または約3.4m/s未満である。FOUP内では、開口310を通る速いガス速度が、約2.3m/s未満または約1.1m/s未満の速度で混合する。図3Aおよび図3Bに示されているように、流体変換ダクト360は、FOUP内の大気が約1分未満でターゲットレベルの不活性ガスを達成することができるよう、EFEMガスとFOUPガスの混合を誘導する。これは、ロードポートの個別のNまたはxCDAパージを必要とすることなく達成することができる。
【0046】
図4は、1つまたは複数の実施形態による電子デバイス製造アセンブリにおけるEFEMを動作させる方法400を示したものである。プロセスブロック402で、方法400は、上部プレナムが機器前端モジュールチャンバに接続された機器前端モジュールを提供することを含むことができ、機器前端モジュールチャンバは複数のロードポートとインターフェースする。
【0047】
プロセスブロック404で、方法400は、上部プレナムからEFEMチャンバへガスを流すことを含むことができる。例えば図2A図2Dを参照すると、ガスは、上部プレナム237からEFEMチャンバ114Cの内側へ流れることができる。ガス流の一部は、EFEM114の側壁114S1でEFEM114に結合されたサイドストレージポッド120に流入する。1つまたは複数のロードポート115は閉じることができる。
【0048】
プロセスブロック406で、方法400は、ガスの少なくとも一部をEFEMチャンバ114Cから上部プレナム237へ、ロードポート115同士の間に位置決めされた1つまたは複数の流れ変換ダクト260a~260eを介して再循環させることを含むことができる。例えば流れ変換ダクト260a~260eの各々は、EFEM114の前方壁114Fの内側に沿って垂直方向に上に向かって、EFEMの上部プレナム237の中へ延在し、次に、EFEMチャンバ114Cの中へ戻ることができる。例えば図2A図2Dを参照すると、上部プレナム237からのガスは、均質化プレート141および1つまたは複数のフィルタを通ってEFEMチャンバ114Cの中へ流れることができる。フィルタ除去されたガスは、EFEMチャンバ114Cおよび共通プレナム236から、前方壁114Fに沿って、複数の流れ変換ダクト260a~260eを通って上部プレナム237の中へ流れ、次に、EFEMチャンバ114Cの中へ戻ることができる。
【0049】
操作中、パージガス供給118Aから上部プレナム237の中に提供されたガスの一部をベースバルブ172を介して除去することができる。いくつかの実施形態では、ベースバルブ172を通過する排気の流れと同様、比較的遅い一定の割合でEFEM114の中に新しいパージガスの流れを提供することができる。例えばパージガスは、EFEM114に存在しているガスの全体積が例えばほんの数時間未満毎にしか交換されない割合で、EFEM114から交換することができる。他の交換率を使用することも可能である。
【0050】
ブロック408で、1つまたは複数の基板キャリア116を1つまたは複数のロードポート115にドッキングさせることができる。完全にドッキングされ、かつ、密閉されると、1つまたは複数の基板キャリア116に対応する1つまたは複数のロードポート115が開かれて、EFEMチャンバ114C内の大気が対応する基板キャリア116内の大気と接続される。ロードポート115が開かれると、流れ変換ダクト260a~260eを通って再循環するガスが、ロードポート115に隣接する流れ変換ダクト260a~260eの流れ変換要素261を通り、通過し、あるいは覆いかぶさって流れ始める。流れ変換要素261によって基板キャリアからのガス流が流れ変換要素261を通って再循環し、また、基板キャリア116の前方に低圧領域をもたらす。また、流れ変換要素は、任意選択で、ガスが基板キャリア116中に流入する際に、そのガスに乱流をもたらす。この低圧領域および/または乱流は、ロードポート115を個別にパージする必要なく、2つの大気中のガスの間の混合を誘導し、基板キャリア116内の湿度および酸素含有量を速やかに低くする。
【0051】
流れ変換ダクトが取り付けられたEFEM114の利点のいくつかには、FOUPに低圧領域を生成し、任意選択で、EFEMからFOUP116に流れるガスに乱流をもたらすこと、EFEMとFOUP116の間のガス混合を誘導すること、EFEM内に低湿度環境を提供すること(例えばxCDAをEFEM内で再循環させること)、およびFOUP内の相対湿度(RH)および酸素含有量を速やかに低くすることがある。さらに、EFEMとFOUP116の間で誘導されるガス混合は、窒素によるロードポート115のパージを使用することなく達成することができる。1つまたは複数の実施形態では、本明細書において説明されているシステムは、1つまたは複数の流体変換ダクト260a~260eを含み、それらには窒素パージ機器(例えばノズル、加圧された窒素供給、配管、質量流量コントローラ、等々)がない。本明細書における実施形態によれば、流れ変換ダクトが取り付けられたEFEM114は、従来のEFEMシステムより約20%~約80%速くFOUPをパージし、かつ、排気することができる。
【0052】
本明細書全体を通した、例えば「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」または「実施形態」に対する参照は、実施形態に関連して説明されている特定の特徴、構造、材料または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味している。したがって本明細書全体を通した様々な場所における「1つまたは複数の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「一実施形態では」または「実施形態では」などの語句の出現は、必ずしも本発明の同じ実施形態を意味しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、材料または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0053】
本明細書において使用されているように、単数形の表現および先行名詞を示す表現は、文脈がそうではないことを明確に示していない限り、複数形の参照を含む。したがって例えばロボットアームの参照は、単一のロボットアームならびに2つ以上のロボットアームを含む。
【0054】
本明細書において使用されているように、測定された量と関連する「約」という用語は、測定を実施し、また、測定の目的および測定機器の精度に見合った配慮のレベルを行使する当業者によって期待されるその測定量の標準変化を意味している。特定の実施形態では、「約」という用語は、「約10」が9から11までを含むことになるよう、記載されている数±10%を含む。
【0055】
測定された量と関連する「少なくとも約」という用語は、測定を実施し、また、測定の目的および測定機器の精度に見合った配慮のレベルを行使する当業者によって期待されるその測定量の標準変化、およびそれよりも多い任意の量を意味している。特定の実施形態では、「少なくとも約」という用語は、「少なくとも約10」が、9および9より多い何かを含むことになるよう、記載されている数マイナス10%およびもっと多い任意の量を含む。この用語は、「約10またはそれ以上」として表現することも可能である。同様に、「約未満」という用語は、通常、「約10未満」が、11および11未満の何かを含むことになるよう、記載されている数プラス10%およびもっと少ない任意の量を含む。この用語は、「約10またはそれ以下」として表現することも可能である。
【0056】
特に指示されていない限り、すべてのパートおよびパーセンテージは重量によるものである。重量パーセント(wt.%)は、特に指示されていない場合、揮発物がない全組成物に基づいており、すなわちドライ固体内容物に基づいている。
【0057】
以上の説明は本開示の例示的実施形態を開示したものである。本開示の範囲の範疇である、上で開示したアセンブリ、装置および方法の修正は当業者には容易に明らかであろう。したがって本開示は例示的実施形態に関連して開示されているが、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲で定義されている本開示の範囲の範疇であり得ることを理解されたい。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4
【国際調査報告】