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  • 特表-圧電基板に原子種を注入する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】圧電基板に原子種を注入する方法
(51)【国際特許分類】
   H10N 30/07 20230101AFI20240711BHJP
   H10N 30/853 20230101ALI20240711BHJP
   H10N 30/88 20230101ALI20240711BHJP
【FI】
H10N30/07
H10N30/853
H10N30/88
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579495
(86)(22)【出願日】2022-07-19
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 EP2022070204
(87)【国際公開番号】W WO2023001827
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】2107785
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598054968
【氏名又は名称】ソイテック
【氏名又は名称原語表記】Soitec
【住所又は居所原語表記】Parc Technologique des fontaines chemin Des Franques 38190 Bernin, France
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ‐アルフレッド, セドリック
(57)【要約】
本発明は、圧電部(112、210、310)と電気伝導部(122、320)とを備える基板(100、200、300)を用意するステップI)と、チャック(140)上に電気伝導部(122、320)を含む基板(100、200、300)を搭載するステップIII)と、圧電部(112、210、310)に原子種(170)を注入するステップIV)とを含む、圧電基板に原子種を注入する方法に関する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電部(112、210、310)と電気伝導部(122、320)とを備える基板(100、200、300)を用意するステップa)と、
前記電気伝導部(122、320)を含む前記基板(100、200、300)をチャック(140)に搭載するステップb)と、
前記圧電部(112、210、310)に原子種(170)を注入するステップc)と、
を含む、圧電基板に原子種を注入する方法。
【請求項2】
前記ステップb)が、前記チャック(140)と前記基板(100、200、300)の前記電気伝導部(122、320)との間にエラストマー層(150)を提供することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップa)が、前記基板(100、200)の前記電気伝導部(122)を形成する電気伝導基板(120)に、前記圧電部(112、210)を形成する圧電基板(110)を装着することを含む、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップa)が、前記圧電基板(110)を薄化して、特に1μm~100μmの間の厚さをもつ圧電層(210)を取得することを更に含む、
請求項33に記載の方法。
【請求項5】
熱膨張係数の差が50*10-6-1未満、好ましくは20*10-6-1未満であるように、前記圧電基板(110、310)及び前記電気伝導基板(120)が選択される、
請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記圧電基板(110)と前記電気伝導基板(120)を装着する前記ステップが、前記圧電基板(110)と前記電気伝導基板(120)との間の接合層(130)を使用して実現される、
請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記接合層(130)が、伝導接合層、特に金属層である、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記電気伝導部(320)を用意する前記ステップが、前記基板(300)の前記チャック(140)に面した側(314)に1つ又は複数の空洞(312)を提供することと、伝導材料(316)、特に金属で前記1つ又は複数の空洞(312)を充填することとを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記圧電基板(110、310)が、好ましくは20μmを上回る厚さをもつ、更に特に100μmを上回る厚さをもつバルク圧電基板、特にバルク圧電ウエハである、
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記基板(100、200、300)が、10-4S/cm以上の伝導率をもつ、
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記チャック(140)に前記基板(100、200、300)を搭載する前記ステップb)が、前記電気伝導部(122、320)及び/又は前記接合層(130)が、前記チャック(140)に電気的に接続された少なくとも1つの金属性拘束具(160)に電気的に接触(162)するように実現される、
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ステップc)中、予め定められた分割エリア(172)が前記圧電部(112、210、310)に提供され、
前記方法が、ハンドル基板に前記圧電基板(110、210、310)の前記圧電部(112、210、310)を装着するステップd)と、前記予め定められた分割エリア(172)にて前記圧電基板(110、210、310)の残りの部分を除去して、前記ハンドル基板に前記圧電基板(110、210、310)の層を転写するステップe)とを更に含む、
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧電基板に原子種を注入する方法に関し、特に、バルク圧電基板への高密度注入に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁体ウエハ上の圧電体(POI)の製造は、注入工程、特に高密度注入工程の使用を必要とする。
【発明の概要】
【0003】
イオンの注入は、多くの基板がイオンビームを受ける注入デバイスにおいて行われる。全面にわたって注入するために、基板の全面がイオンビームの下を通るように、回転する、及び/又は並進移動する注入ホイールに基板が搭載される。回転力に抗して注入ホイールに基板を固定するために、クリップといった保持手段が使用される。通常、保持手段はイオン注入中に生成された電荷を流出させるように更に構成された固定された金属性拘束具である。
【0004】
高密度注入工程は、注入される圧電基板における電荷の蓄積をもたらす。同時に、注入中に基板において高い温度勾配が観測され、圧電基板のたわみ及びゆがみの形態の変形をもたらす。結果として、電荷及び熱は、注入チャンバにおいて使用される金属性チャックに十分に放散されることができない。この問題を解決するために、金属性チャック上に提供されたエラストマー層上に圧電基板が配置される。このエラストマー層は、圧電基板とチャックとの間の熱的接触をもたらす。固定された金属性拘束具は、圧電基板とチャックとの間の電気的接触をもたらすために使用される。しかし、実現される電気的接触は、圧電基板とチャックとの間の局所的な接触のみである。
【0005】
しかし、電荷の依然として不十分な排出に起因した圧電基板の破損が依然として観測される。
【0006】
したがって、圧電基板の外への電荷の放散が更に改善されることが必要である。
【0007】
本発明の目的は、a)圧電部と電気伝導部とを備える基板を用意するステップと、b)電気伝導部を含む基板をチャックに搭載するステップと、c)圧電部に原子種を注入するステップとを含む、圧電基板に原子種を注入する方法により達成される。
【0008】
上述のように、注入は圧電部に実施され、圧電部に電荷の蓄積をもたらす。しかし、電荷が圧電部の外部により簡単に蓄積することにより、応力を減らして破損の危険性を減らすことができるので、注入される基板における電気伝導部の使用が圧電部からの電荷の改善された排出をもたらす。
【0009】
変形例によると、ステップb)は、チャックと基板の電気伝導部との間にエラストマー層を提供することを含み得る。したがって、基板の電気伝導部はチャックから絶縁される。
【0010】
本発明の変形例によると、ステップa)は、圧電部を形成する圧電基板を基板の電気伝導部を形成する電気伝導基板に装着することを含み得る。例えば分子接着を介して2つの基板を一緒に装着することが、信頼性の高い装着工程である。
【0011】
本発明の変形例によると、ステップa)は、特に1μm~100μmの間の厚さをもつ圧電層を取得するために圧電基板を薄化するステップを更に含み得る。圧電基板の薄化は、電荷が電気伝導部に到達し得るまでの電荷のための経路の長さを短くする。したがって、電荷の蓄積がより一層低減され得る。
【0012】
本発明の変形例によると、熱膨張係数の差が50*10-6-1未満、好ましくは20*10-6-1未満であるように、圧電基板と電気伝導基板とが選択される。熱膨張係数を一致させることにより、圧電基板の熱膨張パラメータに適合した熱膨張パラメータをもつ電気伝導基板の使用が、圧電基板と電気伝導基板との間の界面において破壊を起こすことも損傷を示すこともなく熱勾配に耐える基板を提供する。
【0013】
本発明の変形例によると、圧電基板と電気伝導基板を装着するステップは、2つの基板間における接合層を使用して実現される。接合層の使用は、電気伝導基板及び圧電基板に対する適切な材料のより幅広い選択肢を提供する。
【0014】
本発明の変形例によると、接合層は伝導接合層、特に金属層であり得る。同様に、これは、電気伝導基板を選択するために、より高い自由度をもつより多様な工程をもたらす。実際、低電気伝導基板が電気伝導基板として使用されるときでも、接合層は圧電基板から電気伝導基板に向かう電荷の排出を更に改善し得る。
【0015】
本発明の変形例によると、電気伝導部を用意するステップは、基板のチャックに面した側に1つ又は複数の空洞を用意すること、及び、伝導材料、特に金属で1つ又は複数の空洞を充填することを含み得る。
【0016】
充填された金属性の空洞を圧電基板の底部に提供することは、圧電基板のこの部分に改善された伝導率をもたらす。したがって、より高い伝導率をもつ部分に向かう経路が減らされるので、圧電基板からの電荷の排出が改善される。
【0017】
変形例によると、圧電基板はバルク圧電基板、特にバルク圧電ウエハである。電気伝導部を使用することは、20μmを上回る、特に100μmを上回る圧電材料の厚さに対しても圧電材料を注入することを可能にする。
【0018】
本発明の変形例によると、基板は、10-4S/cm以上の伝導率をもち得る。この文脈において、電気伝導部は、金属材料又は半導体材料を使用して実現され得る。好ましい材料は例えばSi基板、又は金属基板、例えばモリブデン、アルミニウム、又はタングステンである。
【0019】
変形例によると、電気伝導部及び/又は接合層が、チャックに電気的に接続された少なくとも1つの金属性拘束具に電気的に接触するように、ステップb)が実現され得る。基板の電気伝導部及び/又は接合層の間の電気接続に起因して、圧電部内に蓄積された電荷が圧電部の外に移動し得、及び、金属性拘束具により排出され得る。電荷のこの排出は、基板変形及び大きい応力の発生の危険性を減らすことにより、破損の危険性を減らす。
【0020】
変形例によると、ステップc)では、予め定められた分割エリアが圧電部に提供され得、及び、本方法は、ハンドル基板に圧電基板の圧電部を装着するステップd)、及び、予め定められた分割エリアにて圧電基板の残りの部分を除去して、ハンドル基板に圧電基板の層を転写するステップe)を更に含み得る。この方法によると、注入ステップ中の応力に起因して発生し得るより少ない数の欠陥を含む絶縁体基板上の圧電体(POI)が実現され得る。
【0021】
本発明は、参照符号が本発明の特徴を識別する添付図面と併せて考慮される以下の説明を参照することにより理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1の実施形態による、バルク圧電基板に原子種を注入する方法を概略的に示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態の変形例による、バルク圧電基板に原子種を注入する方法を概略的に示す図である。
図3】本発明の第2の実施形態による、バルク圧電基板に原子種を注入する方法を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の第1の実施形態による、圧電基板100に原子種を注入する方法を概略的に示す図である。
【0024】
方法は、圧電基板110と電気伝導基板120とを用意する、本発明の方法のステップa)に対応した第1のステップI)を含む。
【0025】
この実施形態の圧電基板110は、例えば200μm~700μmの間の厚さのバルク圧電ウエハといったバルク圧電基板である。本発明は、圧電材料、例えばLiTaO、LiNbO、石英、BaTiO、Pb(ZrTi1-x)O、GaPO、GaAsO、AlPO、FePO、PbTiO、KNbO、BiFeO、Pb(Zn1/3Nb2/31-xTi、Pb(Mg1/3Nb2/31-xTi、Pb(Sc1/2Nb1/21-xTiに関する。概して、圧電基板110の導電率は低く、10-11S/cm以下のオーダーである。
【0026】
電気伝導基板120は、半導体基板、例えばSi基板、又は金属基板、例えばモリブデン、アルミニウム、又はタングステン基板であり得る。半導体基板は金属汚染の観点から製造ライン仕様に沿っているので、半導体基板は興味深い。金属はより高い伝導率をもつが、金属が製造ラインの金属汚染仕様を満たすように選択される必要がある。
【0027】
電気伝導基板120は、圧電基板110の伝導率より高い伝導率をもち、10-4S/cm以上のオーダーである。
【0028】
更に、電気伝導基板120の材料は、後述のようにその熱膨張係数が圧電基板110の熱膨張係数と一致するように選択される。熱膨張係数の差は20*10-6-1未満であることが好ましい。
【0029】
次に、ステップII)に示されるように、基板100を形成するために、圧電基板110が電気伝導基板120に装着される。基板100は、圧電基板110により実現される圧電部112と、電気伝導基板120により実現される電気伝導部122とを備える。
【0030】
この実施形態では、圧電基板110が接合層130を使用して電気伝導基板120に装着される。
【0031】
接合層130は、電気伝導層又は非伝導層であり得る。例えば、接合層130は、電気伝導基板120を選択したとき、より高い自由度を提供する金属層であり得る。
【0032】
2つの基板を装着する前、接合層130は、当技術分野において知られた工程により圧電基板110上に、又は電気伝導基板120上に提供され得る。変形例において、接合層は、基板110及び120の各々に提供され得る。圧電基板110と電気伝導基板120との間に1つ又は複数の更なる層が存在してもよい。例えば、電気特性及び熱特性を更に改善するための薄いSiO層又はトラップリッチ層である。
【0033】
代替例において、装着するステップII)は更に、圧電基板110が例えば分子接着接合を介して電気伝導基板120に直接装着される直接接合ステップであり得る。
【0034】
2つの基板間の接合を強めるために、圧電基板110と電気伝導基板120との間の装着ステップの後に温度処理が実施され得る。
【0035】
次に、基板100は、本発明の方法によるステップb)に対応したステップIII)に示されるように原子種注入器のチャック140に搭載される。
【0036】
基板100は、電気伝導基板120の自由表面であるその主表面124を介してチャック140に搭載される。表面124は、装着を実施した面の反対側にある電気伝導基板の自由主表面である。
【0037】
図示されているように、基板100はチャック140に直接搭載されるのではなく、チャック140の表面142に予め提供されたエラストマー層150に搭載される。エラストマー層150は例えばシリコーンマトリックス、例えばPDMS(ポリジメチルシロキサン)であり、50μm~500μmの厚さをもつ。エラストマー層150は、例えば後続の注入ステップ中におけるたわみ及びゆがみといった基板100の変形を補償するために使用される。上述のように、エラストマー層150は、熱放散を可能にするために基板100と金属性チャック140との間の熱的接触を更に提供する。
【0038】
チャック140は、チャック140が注入ホイール(図示されていない)とともに回転するとき適所に基板100を保持するために、1つ又は複数の金属性拘束具160を更に備える。
【0039】
エラストマー層150上への基板100の配置の後に、本発明の方法のステップc)に対応したステップIV)に示されているようにイオン170が基板100に注入される。典型的な原子種は水素、又は希ガス、例えばヘリウムである。イオン注入は、圧電部112の内部に機械的に弱化された層172を実現するために使用される。この機械的に弱化された層172は、いわゆる絶縁体上の圧電体又はPOI基板を得るために、後続の層転写工程において予め定められた分割エリアとして機能し得る。
【0040】
イオン170は、1mA~25mAのオーダーのイオンビーム電流を使用した高密度注入工程を使用して注入される。
【0041】
イオン170が基板100の圧電部112に注入されるので、及び、圧電部112が低伝導率をもつので、基板100の圧電部112は、従来技術に関連してここまでに説明されているようなイオン注入工程中の電荷の蓄積の影響を受けている。本発明による基板100の電気伝導部122及び/又は接合層130の存在に起因して、それらの電荷が圧電部112の外に移動し得、このことが、基板変形及び大きい応力の発生の危険性を減らし、したがって破損の危険性を減らす。
【0042】
加えて、電気伝導部122に関連した圧電部112の熱膨張係数の一致は、基板の内部における応力を減らし、及び、特に電気伝導部122と圧電部112との間の界面において、基板100の内部における亀裂又は欠陥の発生を減らし、又は防止までもする。
【0043】
電気伝導部122及び/又は接合層130は、1つ又は複数の金属性拘束具162と電気的接触162している。したがって、電荷180が電気伝導部122及び/又は接合層130に入った後、電荷180は1つ又は複数の金属性拘束具160及び接地されたチャック140を介して排出される。
【0044】
チャック140及び1つ又は複数の金属性拘束具160は、同じ金属材料、特にアルミニウムから作られていることが好ましい。
【0045】
したがって、本発明による基板100を使用して、本発明の注入工程は、従来の注入工程に比べて電荷の改善された排出をもたらす。
【0046】
図2は、第1の実施形態の変形例を示す。この実施形態では、ステップI)及びII)は、第1の実施形態の場合と同じであるので再度説明されず、それらの上述の説明を参照されたい。圧電基板110及び電気伝導部120を装着するステップII)の後、改造された基板200を取得するために、基板100の圧電部110を薄化する更なる工程ステップII_2)が実現される。
【0047】
この薄化するステップは、例えば当技術分野において知られた、及び圧電基板に適応された機械的処理又は化学エッチング工程を使用して実現され得る。薄化ステップには、例えば薄化された圧電部210の表面212の品質を改善するために薄化ステップ後に研磨する更なる工程ステップが付随し得る。
【0048】
薄化された圧電部210は、バルク材料に比べて約100μm~1μmまで薄化される。
【0049】
次に、薄化された圧電部210を含む修正された基板200が基板100の代わりに使用されることを除いて、ステップIII)及びIV)が上述の手法と同じ手法により実現される。したがって、図1に関連した上述のステップIII)及びIV)の説明を参照されたい。
【0050】
注入されたイオン170は予め定められたスリッティングエリア172を実現し、電荷180が接合層130及び/又は電気伝導部122を介して排出される。
【0051】
圧電基板110の薄化は、圧電部210の外への電荷180の排出を更に改善する。
【0052】
第2の実施形態によると、図3に示されているように、基板300は、電気伝導基板に圧電基板を装着することなく実現される。この実施形態では、圧電基板310のみが提供され、図3におけるステップI)を参照されたい。この圧電基板310は、上述の圧電基板110と同じ性質をもつ。
【0053】
続いて、ステップII_1)中に、当技術分野において知られるパターニングステップ及びエッチングステップを使用して、圧電基板310の1つの主表面314において1つ又は複数の空洞312が実現される。一例によると、空洞312は、規則的なパターン又はマトリックスを形成し得、全てが同じサイズであり得る。
【0054】
次に、ステップII_2)により示されているように、電気伝導部320を形成するために、当技術分野において知られた堆積工程を使用して伝導材料316、特に金属により空洞312が充填される。伝導材料316を相互接続するために、表面314に伝導層318が実現されるように、堆積工程が実行され得る/される。空洞316内部の伝導材料316と層318とを備える基板300の一部は、本発明による電気伝導部320を形成する。
【0055】
続いて、注入器ホイール上に配置するステップIII)、及び、イオン170を注入するステップIV)は、エラストマー層150及び金属性拘束具160と共に同じチャック140を使用して第1の実施形態の場合と同様に実現される。したがって、それらの説明は再度繰り返されず、図1及び図2の説明を参照されたい。
【0056】
この実施形態では、充填された空洞312のマトリックスを介して電荷が収集され、圧電部310から電気伝導部320に向けて、金属性拘束具160に接触162した層318を介して電荷380の排出が実現される。
【0057】
伝導材料316により充填され、以て基板300の電気伝導部320を形成する、空洞312を備える基板300の改善された伝導率のおかげで、電荷は、圧電部310から電気伝導部320を通して接地されたチャック340に排出され得る。
【0058】
本発明の圧電基板100、200、又は300は、圧電材料の薄層をハンドル基板に転写することにより絶縁体基板上の圧電体を形成するために、後続の層転写工程においてドナー基板として使用され得る。このような工程では、本発明の圧電基板100、200、又は300は、圧電部110、210、310の表面を使用して、例えば接合により、接合が行われる表面に更なる層を伴って、又は伴わずに、例えばシリコーンウエハといったハンドル基板に装着される。次に、熱的又は機械的負荷を与えることにより、圧電部110、210、310の内部に機械的に弱化された層172において圧電層の転写が実施される。
【0059】
本発明の多くの実施形態が説明されている。それにもかかわらず、後述の特許請求の範囲から逸脱せずに様々な変形及び改善がなされてもよいことが理解される。
図1
図2
図3
【国際調査報告】