(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】ホット充填用途におけるフィルムラミネートのための2成分ポリウレタン接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
C09J 175/06 20060101AFI20240711BHJP
C09J 167/00 20060101ALI20240711BHJP
C09J 7/35 20180101ALI20240711BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
C09J175/06
C09J167/00
C09J7/35
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502184
(86)(22)【出願日】2021-07-16
(85)【翻訳文提出日】2024-02-27
(86)【国際出願番号】 EP2021069921
(87)【国際公開番号】W WO2023284975
(87)【国際公開日】2023-01-19
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100162710
【氏名又は名称】梶田 真理奈
(72)【発明者】
【氏名】ブロダウ,マルセル
(72)【発明者】
【氏名】フランケン,マルセル
(72)【発明者】
【氏名】トムケ,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】フロレス ペナルバ,ソニア
(72)【発明者】
【氏名】ユングホルト,ニーナ
【テーマコード(参考)】
3E086
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
3E086AA23
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4J040PA13
4J040PA30
4J040PB05
4J040PB19
(57)【要約】
本発明は、ホット充填用途におけるフィルムラミネート用の2成分ポリウレタン接着剤組成物に関する。さらに、本発明は、前記2成分ポリウレタン接着剤組成物を用いたラミネートの製造方法、および該方法により得られるラミネートに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール成分およびイソシアネート成分を含む2成分ポリウレタン接着剤組成物であって、
ポリオール成分は、反応混合物の総重量に基づいて、
1~25重量%の、少なくとも1つの脂環式ポリオール、
1~40重量%の、少なくとも1つの複素環式ポリオール、
1~40重量%の、少なくとも1つの直鎖状または分岐状脂肪族ポリオール、および
30~70重量%の、少なくとも1つの多官能性カルボン酸、
を含む反応混合物から得られる少なくとも1つのポリエステルポリオールを含み、且つ
イソシアネート成分は、エポキシド基を有さない少なくとも1つのアルコキシシラン官能化イソシアネート化合物、少なくとも1つの芳香族イソシアネート官能化化合物、および少なくとも1つの脂肪族または脂環式イソシアネート官能化化合物を含む、
接着剤組成物。
【請求項2】
脂環式ポリオールは、1以上の環を有し、好ましくは、1,4-シクロヘキサンジメタノール、シクロブタンジオール、シクロペンタンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロ[5.2.1.0.2.6]デカンジメタノール、ビシクロ[4.3.0]-ノナンジオール、ジシクロヘキサンジオール、トリシクロ[5.3.1.1]ドデカンジオール、ビシクロ[4.3.0]ノナンジメタノール、トリシクロ[5.3.1.1]ドデカンジエタノール、スピロ[3.4]オクタンジオール、ブチルシクロヘキサンジオール、1,1’-ビシクロヘキシリデンジオール、シクロヘキサントリオール、水素化ビスフェノールA、1,3-アダマンタンジオール、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
複素環式ポリオールは、1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール、スピログリコール、2,4:3,5-ジ-O-メチレンマンニトール、2,3:4,5-ジ-O-メチレンガラクトース、およびそれらの組合せから選択される、請求項1または2に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
アルコキシシラン官能化イソシアネート化合物は、少なくとも1つの脂肪族または脂環式イソシアネート官能化化合物と、イソシアネート基に対して反応性である官能基、好ましくはヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、第1級および第2級アミノ基、並びにそれらの混合物、より好ましくは、カルボキシル基、第1級および第2級アミノ基、並びにそれらの混合物、特に第1級および第2級アミノ基を好ましくは含み、エポキシド基を有さない少なくとも1つの加水分解性アルコキシシラン化合物との反応生成物である、請求項1~3のいずれかに記載の接着剤組成物。
【請求項5】
脂肪族または脂環式イソシアネート官能化化合物は、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリルジイソシアネート(XDI)、それらの付加物、それらのオリゴマー、および上記混合物から選択される、請求項4に記載の接着剤組成物。
【請求項6】
芳香族イソシアネート官能化化合物は、トルエンジイソシアネート(TDI)、それらの付加物、それらのオリゴマー、および上記混合物から選択される、請求項4または5に記載の接着剤組成物。
【請求項7】
エポキシド基を有さない加水分解性アルコキシシラン化合物は、α-アミノメチルトリメトキシシラン、α-アミノメチルメチルジメトキシシラン、α-アミノメチルジメチルメトキシシラン、α-アミノメチルトリエトキシシラン、α-アミノメチルメチルジエトキシシラン、α-アミノメチルジメチルエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルジメチルメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アミノプロピルジメチルエトキシシラン、N-2(アミノエチル)α-アミノメチルトリメトキシシラン、N-2(アミノエチル)α-アミノメチルメチルジメトキシシラン、N-2(アミノエチル)α-アミノメチルジメチルメトキシシラン、N-2(アミノエチル)α-アミノメチルトリエトキシシラン、N-2(アミノエチル)α-アミノメチルメチルジエトキシシラン、N-2(アミノエチル)α-アミノメチルジメチルエトキシシラン、ビス-(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス-(メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、ビス-(ジメチルメトキシシリルプロピル)アミン、ビス-(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス-(メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、ビス-(ジメチルエトキシシリルプロピル)アミン、およびそれらの混合物から選択される、好ましくはビス-(トリメトキシシリルプロピル)アミンおよび/またはビス-(メチルジメトキシシリルプロピル)アミンから選択される、請求項4に記載の接着剤組成物。
【請求項8】
ポリオール成分とイソシアネート成分の重量比は15:1~1:5である、請求項1~7のいずれかに記載の接着剤組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の接着剤組成物を硬化することによって得られる、硬化した接着剤。
【請求項10】
40℃で7日間硬化させた後、DIN 55529に従い23℃で試験して、40N/15mm以上、好ましくは55N/15mm以上のヒートシール強度を有する、請求項10に記載の硬化した接着剤。
【請求項11】
40℃で14日間硬化させた後、DIN 55529に従い23℃で試験して、40N/15mm以上、好ましくは55N/15mm以上のヒートシール強度を有する、請求項10に記載の硬化した接着剤。
【請求項12】
40℃で14日間硬化させた後、DIN 55529に従い90℃で試験して、15N/15mm以上、好ましくは20N/15mm以上のヒートシール強度を有する、請求項10に記載の硬化した接着剤。
【請求項13】
第1ポリオレフィンまたは第1ポリエステルを含む第1層;第1ポリオレフィンと同じでも異なっていてもよい第2ポリオレフィン、第1ポリエステルと同じでも異なっていてもよい第2ポリエステル、または金属箔を含む第2層;および第1層と第2層を接着する請求項9~12のいずれかに記載の硬化した接着剤を含む、フレキシブル包装材料。
【請求項14】
フレキシブルフィルムラミネートを製造する方法であって、以下:
請求項1に記載の2成分ポリウレタン接着剤組成物の成分を所定の重量比で組み合わせて接着剤混合物を形成すること;
接着剤混合物を第1フレキシブルフィルムの一方の表面の少なくとも一部に配置すること、
第1フレキシブルフィルムと第2フレキシブルフィルムとを接合すること、ここで接着剤混合物は第1フレキシブルフィルムと第2フレキシブルフィルムとの間に介在する;および
接着剤混合物を硬化すること
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホット充填用途におけるフィルムラミネートのための2成分ポリウレタン接着剤組成物に関する。さらに、本発明は、該2成分ポリウレタン接着剤組成物を用いたラミネートの製造方法、および該方法により得られるラミネートに関する。
【背景技術】
【0002】
製品包装は、密封された金属缶ガラス瓶から、パウチのような密封されたフレキシブル包装へと変化している。一例として、動物または人間の食べ物は、現在、従来の金属缶およびフレキシブルなパウチの両方で販売されている。フレキシブル包装は、食品または他の製品を充填して閉じたりまたは密封したりする際、容易に形状を変えることができる。フレキシブル包装は通常、2層のフレキシブル包装材料から調製され、それらは重ね合わされ、その外周の大部分を密封して内部に空洞を形成する。通常、2層のフレキシブル包装材料は、熱および圧力を加えてパッケージ外周の薄い部分の周囲で層同士を融着させることによりヒートシールされる。食品または他の製品が開口部から空洞内へ入れられ、層同士をヒートシールすることによって開口部が閉じられる。密封された包装および封入された製品は、保存の目的のために加熱され得る。高温充填のような要求の厳しい用途では、密封包装は最大90℃の高温に耐える必要がある。
【0003】
フレキシブル包装材料は、2層以上のフィルムをラミネート(積層)することにより調製される。各フィルムは特定の特性に合わせて選択される。例えば、フレキシブル包装材料は3層のラミネートであり得る。内層は包装された製品に接触する。ポリプロピレンは、ヒートシール性だけでなく、望ましい製品接触特性も有し、内層として使用され得る。中間層は、水分、酸素および/または光に対するバリアを提供する。金属フィルムまたは金属箔は望ましいバリア特性を有し、アルミニウム箔のような金属フィルムは中間層として使用され得る。外層は包装を保護するとともに、内容物、包装日、警告などの情報を印刷するための表面も提供する。ポリエステルフィルムは強靭で、印刷インクを受けることができ、外層として使用され得る。フレキシブル包装材料は、約1μm~約75μmの厚みの範囲であり得る。
【0004】
フレキシブル包装材料の各層は、接着剤によって隣接する層に接着される。接着剤は、グラビア印刷または平滑ロールコーティングシリンダーを用いて適当な溶媒中の溶液から塗布されるか、または、特殊な塗布機械を用いて無溶媒状態から層に塗布され得り、その層は別の層にラミネートされる。ラミネートされた包装材料は必要に応じて乾燥され、ロールに集積される。ロールは、用途によっては使用前に接着剤を硬化させるため、所定の時間保管される。
【0005】
接着剤には多くの種類が考えられるが、ポリウレタンに基づく接着剤は、各層における材料に対する良好な接着性、高い接着強度、ヒートシールまたはレトルトなどの熱に対する耐性、および化学的侵食性の高い製品に対する耐性などを含む、多くの望ましい特性のため、フレキシブル包装材料に使用するのが好ましい。典型的には、過剰のジイソシアネートと、1分子当たり2個以上の活性水素基を含むポリエーテルおよび/またはポリエステルとの反応によって得られる、イソシアネート含有ポリウレタンプレポリマーを、第2成分と組み合わせて使用する。第2成分は通常、ポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールである。この2つの成分は、使用直前に所定の比率で組み合わされ、フィルム表面の一方の表面へ塗布され、塗布されたフィルムは別の基材にラミネートされる。
【0006】
食品包装としての使用のために製造されるフレキシブル包装材料に対して取られてきた懸念事項のひとつは政府の規制である。政府の規制は、食品包装が食品と接触した際に安全であることを要求している。EUプラスチック規制に対する第11次改正(EU 10/2011)に従い、フレキシブル包装材料を接着するための現行の接着剤製品において接着促進剤として一般的に使用さる3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GLYMO)は、遺伝毒性の可能性があると評価されている。食品用途への安全な使用を確保するため、0.15μg/kgの制限値が定められている。この物質は明確に使用が許可されている。しかしながら、これは包装製造者が、使用条件下でその濃度並びにその誘導体の濃度が特定の移行限界値より低いことを確認しなければならないことを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、ホット充填用途のポリウレタン接着剤は、接着強度および塗布のしやすさを低下させることなく、高い熱的および化学的要件に耐えなければならない。したがって、特に高温の食品接触用途および医療用レトルト用途における包装用のフレキシブルフィルムの接着のために、GLYMOまたは他のエポキシ化シランを含まないポリウレタン接着剤組成物を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の対象は、ポリオール成分とイソシアネート成分とを含み、ポリオール成分が、少なくとも1つの脂環式ポリオール、少なくとも1つの複素環式ポリオール、少なくとも1つの直鎖状または分岐状脂肪族ポリオールと、少なくとも1つの多官能性カルボン酸との反応生成物である少なくとも1つのポリエステルポリオールを含み、イソシアネート成分が、エポキシド基を有さない少なくとも1つのアルコキシシラン官能化イソシアネート化合物、少なくとも1つの芳香族イソシアネート官能化化合物、および少なくとも1つの脂肪族または脂環式イソシアネート官能化化合物を含む、2成分ポリウレタン接着剤組成物、その硬化した接着剤、並びにその製造方法を提供することである。
【0009】
本発明の別の対象は、硬化した接着剤およびその製造方法を含むフレキシブル包装のラミネートを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明による食品包装フィルムの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の段落において、本発明をより詳細に説明する。このように記載された各態様は、反対のことが明確に示されない限り、他の任意の態様または態様らと組み合わされてよい。特に、好ましいまたは有利であると示されたいかなる特徴は、好ましいまたは有利であると示された他のいかなる特徴または特徴らと組み合わされてよい。
【0012】
別段の定義がない限り、技術用語および科学用語を含め、本発明の開示において使用される全ての用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解される意味を有する。さらなる指針として、本発明の教示をよりよく理解するために用語の定義が含まれる。
【0013】
本明細書において、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかにそうでないことが指示されない限り、単数形および複数形の両方の参照語を含む。
【0014】
本明細書で使用される用語「含んでいる(comprising)」、「含む(comprises)」、および「含まれる(comprised of)」は、「含んでいる(including)」、「含む(includes)」、または「含んでいる(containing)」、「含む(contains)」と同義であり、包括的またはオープンエンドであり、追加の非記載の部材、要素、または方法工程を除外しない。
【0015】
数値終点の列挙は、列挙される終点と同様に、それぞれの範囲内に含まれる全ての数値および端数を含む。
【0016】
本明細書において引用される全ての参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0017】
本明細書においてポリマーの分子量に言及する場合、特に断らない限り、この言及は数平均分子量Mnを指す。ポリマーの数平均分子量Mnは、例えば、溶離液としてTHFを用いたDIN 55674に従うゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定され得る。特に断りのない限り、与えられた分子量はすべて、ポリスチレン標準物質で校正されたGPCによって決定されたものである。平均分子量Mwは、Mnについて記載したように、GPCによって決定され得る。
【0018】
開示される2成分ポリウレタン接着剤組成物は、ポリオール成分およびイソシアネート成分を含み、またはからなり、ポリオール成分が、少なくとも1つの脂環式ポリオール、少なくとも1つの複素環式ポリオール、少なくとも1つの直鎖状または分岐状脂肪族ポリオールと、少なくとも1つの多官能性カルボン酸との反応生成物である少なくとも1つのポリエステルポリオールを含み、イソシアネート成分は、エポキシド基を有さない少なくとも1つのアルコキシシラン官能化イソシアネート化合物、少なくとも1つの芳香族イソシアネート官能化化合物、および少なくとも1つの脂肪族または脂環式イソシアネート官能化化合物を含む。2成分ポリウレタン接着剤組成物は、GLYMOのようなエポキシド基を有するアルコキシシランを本質的に含まず、好ましくは含まない。ポリオール成分およびイソシアネート成分は別々に貯蔵され、使用直前に所定の比率で混合される。
【0019】
<ポリオール成分>
2成分ポリウレタン接着剤組成物中のポリオール成分は、少なくとも1つの脂環式ポリオール、少なくとも1つの複素環式ポリオール、少なくとも1つの直鎖状または分岐状脂肪族ポリオールと、少なくとも1つの多官能性カルボン酸とを含む反応混合物から得られるポリエステルポリオールを含む、またはからなる。
【0020】
一般に、接着剤組成物に使用されるポリエステルポリオールの分子量は、接着剤組成物および硬化した接着剤の特性に悪影響を及ぼさない限り、特に限定されない。好ましくは、ポリエステルポリオールは、200~20,000g/mol、特に1,000~10,000g/molの分子量Mnを有する。
【0021】
本発明において、ポリエステルポリオールは、好ましくは0.1~2mgKOH/gの酸価を有してよい。ポリエステルポリオールの酸価が上記範囲内であると、本発明の食品包装用フィルムのための接着剤組成物は、より塗布に適した粘度を有し、フィルムとの接着性に優れる。本発明によるポリエステルポリオールの「酸価」は、1gの樹脂に含まれる全ての酸基が遊離酸であることを前提として、酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数を計算した値で表される。したがって、実際の系では酸基が塩基として存在していても、それらは遊離酸として仮定される。本発明による「酸価」は、ポリエステルポリオールを溶媒に溶解し、フェノールフタレインを指示薬として加え、DIN 53240に従って0.1mol/l水酸化カリウム-エタノール溶液で滴定することによって決定される。
【0022】
本発明において、ポリエステルポリオールは、5~350mgKOH/gの水酸基価を有してよい。ポリエステルポリオールの水酸基価が上記範囲内であると、本発明の食品包装用フィルムのための接着剤組成物は、より塗布に適した粘度を有し、フィルムとの接着性により優れる。なお、本明細書において、「水酸基価」とは、1gの樹脂をアセチル化したときに、水酸基に結合している酢酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数を意味する。
【0023】
本発明による「水酸基価」は、ポリエステルポリオールにアセチル化試薬を加え、グリセリン溶液で加熱し、冷却し、その後指示薬としてフェノールフタレインを加え、水酸化カリウム-エタノール溶液で滴定することにより、DIN51558に従って決定される。
【0024】
本発明において、ポリエステルポリオールは、-20℃~100℃のガラス転移温度を有してよい。ポリエステルポリオールのガラス転移温度は、示差走査熱量計を用いて測定される。適量の試料について、10℃/分の昇温速度でDSC曲線を測定し、得られたDSC曲線の変曲点の温度をガラス転移温度とみなした。
【0025】
本発明において、ポリエステルポリオールは室温で液状である。このようなポリエステルポリオールは、接着剤組成物を配合する際のさらなる加工の容易性を提供できる。
【0026】
脂環式ポリオールは、1個、2個またはそれ以上の環および2個またはそれ以上のヒドロキシル基を有してよい。好ましくは、脂環式ポリオールは、1,4-シクロヘキサンジメタノール、シクロブタンジオール、シクロペンタンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロ[5.2.1.0.2.6]デカンジメタノール、ビシクロ[4.3.0]ノナンジオール、ジシクロヘキサンジオール、トリシクロ[5.3.1.1]ドデカンジオール、ビシクロ[4.3.0]ノナンジメタノール、トリシクロ[5.3.1.1]ドデカンジエタノール、スピロ[3.4]オクタンジオール、ブチルシクロヘキサンジオール、1,1’-ビシクロヘキシリデンジオール、シクロヘキサントリオール、水素化ビスフェノールA、1,3-アダマンタンジオール、およびこれらの混合物から選択される。より好ましくは、脂環式ポリオールは、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジオール、およびそれらの混合物から選択される。特に、脂環式ポリオールは、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)である。
【0027】
脂環式ポリオールは、ポリエステルポリオールの反応混合物中に、反応混合物の重量に基づいて1~25重量%、好ましくは2~20重量%の量で存在する。この量より少ないと、接着性能が低下することがある。この量より多いと、得られたポリエステルポリオールは反応温度でも固形状であることがあり、それ以上の加工ができない。
【0028】
複素環式ポリオールは、1個、2個またはそれ以上の環を有してよく、好ましくは、2個またはそれ以上の環および2個またはそれ以上のヒドロキシル基を有する。それは、1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトール(イソソルビド、イソマンニド、またはイソイジドなど)、スピログリコール、2,4:3,5-ジ-O-メチレンマンニトール、および2,3:4,5-ジ-O-メチレンガラクトースから選択されてよく、好ましくは、以下に示すような、イソソルビド、スピログリコール、2,4:3,5-ジ-O-メチレンマンニトール、および2,3:4,5-ジ-O-メチレンガラクトースから選択され、特にイソソルビドである。
【化1】
【0029】
複素環式ポリオールは、ポリエステルポリオールの反応混合物中に、反応混合物の重量に基づいて1~40重量%、好ましくは2~30重量%の量で存在する。
【0030】
直鎖状または分岐状脂肪族ポリオールは、低分子量を有してよく、かつ2個以上のヒドロキシル基を有してよい。直鎖状または分岐状脂肪族ポリオールの例は、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2-プロピレングリコールおよび1,3-プロピレングリコールなど)、グリセロール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、1,4,6-オクタントリオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ドデカンジオール、オクタンジオール、クロロペンタンジオール、グリセロールモノアリルエーテル、グリセロールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール、2-エチルヘキサンジオール-1,4,1,2,6-ヘキサントリオール、1,3,5-ヘキサントリオール、1,3-ビス-(2-ヒドロキシエトキシ)プロパンである。一実施形態では、ネオペンチルグリコールおよびヘキサンジオールは、移行の可能性が懸念されるため、接着剤組成物に使用されない。別の実施形態では、ジエチレングリコールおよび/またはプロピレングリコールのような直鎖状または分岐状脂肪族ポリオールを使用することがより好ましい。
【0031】
直鎖状または分岐状脂肪族ポリオールは、ポリエステルポリオールの反応混合物中に、反応混合物の重量に基づいて1~40重量%、好ましくは2~25重量%の量で存在する。
【0032】
ポリエステルポリオールは、当技術分野で公知の調製法に従って、上記のポリオールと、準化学量論的な量の多官能性カルボン酸とを重縮合してポリエステルポリオールを形成することにより調製可能である。好ましくは、多官能性カルボン酸は、ジカルボン酸および/またはトリカルボン酸、またはそれらの反応性誘導体のように2~14個の炭素原子を有する。ジカルボン酸の例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジオ酸、2-メチルコハク酸、2-メチルアジピン酸、3-メチルアジピン酸、3-メチルペンタン二酸、2-メチルオクタン二酸、3,8-ジメチルデカン二酸、3,7-ジメチルデカン二酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、トリメシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。これらのジカルボン酸は、単独または組み合わせて用いられる。カルボン酸無水物の例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、および無水トリメリット酸が挙げられる。これらのジカルボン酸無水物は、単独でまたは組み合わせて使用される。一実施形態において、多官能性カルボン酸は、アジピン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸およびそれらの混合物から選択される。
【0033】
多官能性カルボン酸は、ポリエステルポリオールの反応混合物中に、反応混合物の重量に基づいて30~70重量%、好ましくは35~60重量%の量で存在する。
【0034】
反応混合物は、ポリオールと多官能性カルボン酸との反応を促進するために、任意に少なくとも1つの触媒を含んでよい。
【0035】
適当な触媒は、例えば、一般式I:
【化2】
[式中、
Mは、アルミニウム、チタン、マグネシウムまたはジルコニウムからなる群から選択される金属であり、R
1は、同一または異なる、1~8個の炭素原子を含む直鎖状または分岐状炭化水素基を表し、xは、2、3または4の値を有する]
に対応する化合物である。適当な触媒は、例えばアルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド、マグネシウムアルコキシドおよびジルコニウムアルコキシドである。特に適当な触媒は、例えば、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリセック.ブトキシド、アルミニウムトリタート.ブトキシド、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)エトキシド、チタン(IV)イソプロポキシド、チタン(IV)ブトキシド、チタン(IV)2-エチルヘキソキシド、ジルコニウム(IV)エトキシド、ジルコニウム(IV)プロポキシド、ジルコニウム(IV)ブトキシド、ジルコニウム(IV)イソプロポキシド、ジルコニウム(IV)tert.ブトキシド、マグネシウムメトキシド、マグネシウムエトキシド、マグネシウムブトキシド、マグネシウムプロポキシドまたはマグネシウムフェノキシドである。
【0036】
本発明による方法のための他の適当な触媒は、スズ化合物、より特には有機スズカルボキシレート、例えばジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズビス-(2-エチルヘキサノエート)または他の有機スズ化合物、例えばジブチルスズオキシド、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルスズジブロミド、ジブチルスズジクロリド、ジtert.ブチルスズジクロリド、ジメチルスズジブロミド、ジメチルスズジクロリド、ジフェニルスズジクロリド、またはスズオクトアートである。挙げられた触媒の中では、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキシド、およびジブチルスズジアセテートが好ましい。
【0037】
他の適当な触媒は、アンチモン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、クロム、マンガン、モリブデン、タングステンまたは鉛からなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む化合物である。挙げられた金属の、酸化物、ハロゲン化物、カルボン酸塩、リン酸塩または有機金属化合物が特に適当である。特に適当な触媒の例としては、酢酸鉄、安息香酸鉄、ナフテン酸鉄;アセチルアセトナート鉄、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、およびアセチルアセトナートマンガンが挙げられる。
【0038】
触媒は、ポリエステルポリオールの反応混合物中に、反応混合物の重量に基づいて0~0.1重量%、好ましくは0.0001~0.05重量%の量で存在する。
【0039】
本発明によるポリエステルポリオールを調製することは当業者に公知である。典型的な調製方法は、(1)少なくとも1つの脂環式ポリオール、少なくとも1つの複素環式ポリオール、少なくとも1つの直鎖状または分岐状脂肪族ポリオール、および少なくとも1つの多官能性カルボン酸を提供して混合物を形成する工程、(2)前記混合物を段階的に200~220℃に加熱し、窒素気流下で20~40時間維持する工程、(3)段階的に10~300mbarに減圧して反応を完了させる工程、および(4)反応混合物の酸価が2以下となった時点で反応混合物を冷却し、ポリエステルポリオールを得る工程を含み、ここで、工程(1)および/または(2)の混合物中に少なくとも1つの触媒を任意で添加される。
【0040】
ポリエステルポリオールに加えて、ポリオール成分中にポリアセタールおよびポリエーテルポリオールを添加してもよい。ポリアセタールとは、グリコールをアルデヒドと反応させて得られる化合物、例えばジエチレングリコール、ヘキサンジオールまたはこれらの混合物をホルムアルデヒドと縮合させたものを意味する。本開示の文脈において使用され得るポリアセタールも同様に、環状アセタールの重合によって得られてよい。
【0041】
ポリエーテルポリオール、好ましくは、第1級ヒドロキシル基、または第1級ヒドロキシル基および第2級ヒドロキシル基との混合物を含むポリエーテルジオールは、ポリオール成分に含まれてもよい。適当なポリエーテルポリオールの例は、ポリオキシアルキレンポリオール、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールおよびポリブチレングリコールである。また、列挙されたポリオキシアルキレンポリオールのホモポリマーまたはコポリマー、並びにそれらの混合物も本発明の目的に適している。特に適当なコポリマーは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、2-エチルヘキサンジオール-1,3-グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリス(ヒドロキシフェニル)プロパン、トリエタノールアミン、およびトリイソプロピルアミンからなる群から選択される化合物と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、およびブチレンオキシドからなる群から選択される少なくとも1つの化合物との付加物を含むものである。
【0042】
さらに適当なポリオールとしては、ポリカーボネートが挙げられる。ポリカーボネートは、例えば、ジオール、例えばプロピレングリコール、ブタン-1,4-ジオールもしくはヘキサン-1,6-ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールもしくはテトラエチレングリコール、またはそれらの2つ以上の混合物などを、ジアリールカーボネート、例えばジフェニルカーボネート、またはホスゲンなどと反応させることによって得られ得る。
【0043】
同様に、ポリオール成分に適当に使用されるのは、ヒドロキシル基を有するポリアクリレートである。これらのポリアクリレートは、例えば、OH基を有するエチレン性不飽和モノマーを重合することによって得られる。この種のモノマーは、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸と二官能性アルコールとをエステル化することによって得られ、アルコールは一般的にわずかな過剰量で存在する。この目的に適したエチレン性不飽和カルボン酸の例は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸またはマレイン酸である。OH基を有する対応するエステルに相当するものは、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、もしくは3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、またはそれらの2つ以上の混合物である。
【0044】
好ましい一実施形態において、本発明によるポリエステルポリオールが得られる反応混合物は、反応混合物の総重量に基づいて、以下:
i)30~70重量%、好ましくは35~60重量%の少なくとも1つの多官能性カルボン酸;
ii)1~40重量%、好ましくは2~30重量%の少なくとも1つの複素環式ポリオール;
iii)1~25重量%、好ましくは2~20重量%の少なくとも1つの脂環式ポリオール;
iv)1~40重量%、好ましくは2~25重量%の少なくとも1つの直鎖状または分岐状脂肪族ポリオール;および
v)0~0.1重量%、好ましくは0.0001~0.05重量%の少なくとも1つの触媒、を含む。
【0045】
<イソシアネート成分>
ポリオールの鎖長を延長するために、イソシアネート成分をポリオール成分と反応させてポリウレタン接着剤を得る。本発明によると、イソシアネート成分は、エポキシド基を有さない少なくとも1つのアルコキシシラン官能化イソシアネート化合物、少なくとも1つの芳香族イソシアネート官能化化合物、および少なくとも1つの脂肪族または脂環式イソシアネート官能化化合物を含む、またはからなる。
【0046】
エポキシド基を有さないアルコキシシラン官能化イソシアネート化合物は、当該技術分野において公知であり、少なくとも1つの脂肪族または脂環式イソシアネート官能基化化合物と、エポキシド基を有さない少なくとも1つの加水分解性アルコキシシラン化合物との反応生成物であり得る。このようなアルコキシシラン官能化イソシアネート化合物は、EP 0158893 A1に従い、例えば、エポキシド基を有さない少なくとも1つの加水分解性アルコキシシラン化合物を、過剰の少なくとも1つの脂肪族または脂環式イソシアネート官能化化合物と反応させることにより調製できる。
【0047】
脂肪族または脂環式イソシアネート官能化化合物は、本発明の所望の接着剤が得られ得る限り、脂肪族イソシアネートおよび脂環式イソシアネートのモノマーおよび/または二量体、三量体等のオリゴマーのいずれであってよい。本接着剤が食品包装用途に使用されることを考慮すると、脂肪族イソシアネートまたは脂環式イソシアネートのモノマーまたはオリゴマーを含むことが好ましい。
【0048】
本明細書において、「脂肪族イソシアネート」とは、イソシアネート基が直接結合している鎖状の炭化水素鎖を有し、また環状炭化水素鎖を有さない、モノマーまたはオリゴマーを意味する。「脂肪族イソシアネート」は芳香環を有していてもよいが、イソシアネート基は芳香環に直接結合していない。さらに、本明細書で使用する場合、環状炭化水素鎖は芳香環を含まない。
【0049】
「脂環式イソシアネート」とは、環状炭化水素鎖を有するモノマーまたはオリゴマーを意味し、鎖状炭化水素鎖を有していてよい。イソシアネート基は、環状炭化水素鎖に直接結合してもよく、または存在してもよい鎖状炭化水素鎖に直接結合してもよい。「脂環式イソシアネート」は芳香環を有してもよいが、イソシアネート基は芳香環に直接結合していない。
【0050】
したがって、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートは、イソシアネート基が芳香環に直接結合しているため、芳香族イソシアネートに相当する。一方、例えば、キシリレンジイソシアネートは、芳香環を有するが、イソシアネート基が芳香環に直接結合しておらず、メチレン基に結合しているため、脂肪族イソシアネートに相当する。芳香環は、2つ以上のベンゼン環が縮合した環縮合構造を有してよい。
【0051】
脂肪族イソシアネートの例としては、1,2-エチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4(2,4,4)-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1、9-ジイソシアナト-5-メチルノナン、1,8-ジイソシアナト-2,4-ジメチルオクタン、1,12-ドデカンジイソシアネート、ω,ω’-ジイソシアナトジプロピルエーテル、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-ジイソシアナトメチル-2,3,5,6-テトラメチルシクロヘキサン、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン(MPDI)、2-エチル-1,4-ジイソシアナトブタン、1,10-ジイソシアナトデカン、1,5-ジイソシアナトヘキサン、1,3-ジイソシアナトメチルシクロヘキサン、1,4-ジイソシアナトメチルシクロヘキサン、キシリルジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリルジイソシアネート(TMXDI)、メチル2,6-ジイソシアナトヘキサノエート(リジンジイソシアネート)、およびそれらの二量体または三量体、例えばIPDI三量体およびHDI三量体などが挙げられる。
【0052】
脂環式イソシアネートの例としては、5-イソシアナト-1-イソシアナトメチル-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(水素化キシリレンジイソシアネート)、ビス(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタン(水素化ジフェニルメタンジイソシアネート)、1,4-ジイソシアナトシクロヘキサンおよびそれらのオリゴマーが挙げられる。
【0053】
また、脂肪族または脂環式イソシアネート官能化化合物は、好ましくは3個以上のイソシアネート基を有する化合物でもある。このようなイソシアネート官能化化合物は、好ましくは様々なポリイソシアネートと、例えば2-メチルペンタン-2,4-ジオールおよびトリメチロールプロパン等のポリオールとの付加物、例えばHDI、XDIおよびIPDI等のジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、およびイソシアヌレート環を有する3量体である。ポリイソシアネート変性生成物としては、カルボジイミド基、ウレトジオン基、ウレトンイミン基、水と反応させたビュレット基、イソシアヌレート基、またはこれらの基を2つ以上有する変性生成物が用いられ得る。
【0054】
好ましい一実施形態において、脂肪族または脂環式イソシアネート官能化化合物は、IPDI、HDI、XDI、それらの付加物、それらのオリゴマー、および上記の混合物から選択される。
【0055】
アルコキシシラン官能化イソシアネート化合物を形成するために、エポキシド基を有さない加水分解性シラン化合物が使用される。イソシアネート基に対して反応性である少なくとも1つの官能基を有するこのような加水分解性シラン化合物は、当業者に公知である。イソシアネート基に対して反応性である官能基は、特に、OH基、チオール基、カルボキシル基、第1級および第2級アミノ基、およびそれらの混合物であり、好ましくはカルボキシル基、第1級および第2級アミノ基、およびそれらの混合物であり、より好ましくは第1級および第2級アミノ基である。
【0056】
少なくとも1つの第1級および/または第2級アミノ基を含むこのような加水分解性シラン化合物の例は、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APS)、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、2-アミノエチルトリメトキシシラン、2-アミノエチルトリエトキシシラン、2-アミノエチルトリイソプロポキシシラン、アミノメチルトリメトキシシラン、アミノメチルトリエトキシシラン、アミノメチルトリイソプロポキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、2-(2-アミノエチル)アミノエチルトリメトキシシラン、2-(2-アミノエチル)アミノエチルトリエトキシシラン、2-(2-アミノエチル)アミノエチルトリイソプロポキシシラン、3-(3-アミノプロピル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(3-アミノプロピル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(3-アミノプロピル)アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、ジエチレントリアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチレントリアミノプロピルトリエトキシシラン、N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、N-シクロヘキシルアミノメチルトリメトキシシラン、N-エチル-γ-アミノイソブチルトリメトキシシラン、N-エチル-γ-ミノイソブチルトリエトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランヒドロクロリド、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N-メチル[3-(トリメトキシシリル)プロピル]カルバメート、および/またはN-トリメトキシシリルメチル-O-メチルカルバメート、およびさらにビス[γ-(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、およびビス[γ-(トリメトキシシリル)プロピル]アミンである。
【0057】
少なくとも1つのチオール基を含む加水分解性シラン化合物の例は、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシランおよび/または2-メルカプトエチルトリイソプロポキシシランである。
【0058】
好ましい一実施形態では、ビス[γ-(トリエトキシシリル)プロピル]アミンおよびビス[γ-(トリメトキシシリル)プロピル]アミンが加水分解性シラン化合物として特に好ましい。
【0059】
少なくとも1つのアルコキシシラン官能化イソシアネート化合物は、イソシアネート成分中に、イソシアネート成分の重量に基づいて1~40重量%、好ましくは5~20重量%の量で存在する。
【0060】
本発明によれば、イソシアネート成分は、少なくとも1つの芳香族イソシアネート官能化化合物をさらに含む。芳香族イソシアネート官能化化合物の例としては、限定されるものではないが、2,4-または4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)の異性体、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(NDI)、その付加物、そのオリゴマー、および上記混合物が挙げられる。しかし、潜在的な毒性の懸念の観点から、MDIは好ましくない。好ましい一実施形態では、芳香族イソシアネート官能化化合物は、2,4-TDIまたは2,6-TDIなどのトルエンジイソシアネート(TDI)の異性体およびそのオリゴマー、例えばHenkel社から市販されているLoctite LA 5000から選択される。
【0061】
少なくとも1つの芳香族イソシアネート官能化化合物は、イソシアネート成分中に、イソシアネート成分の重量に基づいて30~90重量%、好ましくは40~70重量%の量で存在する。
【0062】
さらに、イソシアネート成分は、少なくとも1つの脂肪族または脂環式イソシアネート官能化化合物をさらに含む。
【0063】
脂肪族または脂環式イソシアネート官能化化合物は、本発明の所望の接着剤が得られる限り、脂肪族イソシアネートおよび脂環式イソシアネートのモノマーおよび/またはオリゴマー、例えば二量体または三量体等のいずれであってもよい。本接着剤が食品包装用途に使用されることを考慮すると、脂肪族イソシアネートまたは脂環式イソシアネートモノマーまたはオリゴマーを含むことが好ましい。
【0064】
脂肪族イソシアネートとしては、1,2-エチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4(2,4,4)-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,9-ジイソシアナト-5-メチルノナン、1,8-ジイソシアナト-2,4-ジメチルオクタン、1,12-ドデカンジイソシアネート、ω,ω’-ジイソシアナトジプロピルエーテル、3-イソシアナトメチル-3,5、5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-ジイソシアナトメチル-2,3,5,6-テトラメチルシクロヘキサン、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン(MPDI)、2-エチル-1,4-ジイソシアナトブタン、1,10-ジイソシアナトデカン、1,5-ジイソシアナトヘキサン、1,3-ジイソシアナトメチルシクロヘキサン、1,4-ジイソシアナトメチルシクロヘキサン、キシリルジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリルジイソシアネート(TMXDI)、メチル2,6-ジイソシアナトヘキサノエート(リジンジイソシアネート)、および二量体またはその三量体、例えばIPDI三量体およびHDI三量体などが挙げられる。
【0065】
脂環式イソシアネートの例としては、5-イソシアナト-1-イソシアナトメチル-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(水素化キシリレンジイソシアネート)、ビス(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタン(水素化ジフェニルメタンジイソシアネート)、1,4-ジイソシアナトシクロヘキサンおよびそれらのオリゴマーなどが挙げられる。
【0066】
脂肪族または脂環式イソシアネート官能化化合物は、好ましくは3個以上のイソシアネート基を有する化合物でもある。このようなイソシアネート官能化化合物は、好ましくは、様々なポリイソシアネートと、例えば2-メチルペンタン-2,4-ジオールおよびトリメチロールプロパンなどのポリオールとの付加物、例えばHDI、XDI、およびIPDIなどのジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、およびイソシアヌレート環を有する三量体である。ポリイソシアネート変性体としては、カルボジイミド基、ウレトジオン基、ウレトンイミン基、水と反応したビュレット基、イソシアヌレート基の群、または2つ以上のこれらの基を有する変性体が用いられ得る。
【0067】
好ましい実施形態では、脂肪族または脂環式イソシアネート官能化化合物は、IPDI、HDI、XDI、それらの付加物、それらのオリゴマー、および上記の混合物から選択される。
【0068】
エポキシド基を有さないアルコキシシラン官能化イソシアネート化合物の反応物として使用される脂肪族または脂環式イソシアネート官能化化合物と、イソシアネート成分中での単独成分として使用される脂肪族または脂環式イソシアネート官能化化合物とは、同じであっても異なっていてもよい。一実施形態では、エポキシド基を有さないアルコキシシラン官能化イソシアネート化合物の反応物として使用される脂肪族または脂環式イソシアネート官能化化合物、および、イソシアネート成分中での単独成分として使用される脂肪族または脂環式イソシアネート官能化化合物は、HDIおよびそのオリゴマー、例えばHDI三量体から選択される。
【0069】
単独成分として使用される少なくとも1つの脂肪族または脂環式イソシアネート官能化化合物は、イソシアネート成分の重量に基づいて1~50重量%、好ましくは10~40重量%の量でイソシアネート成分中に存在する。
【0070】
イソシアネート成分は、通常、10~25重量%、好ましくは15~20重量%のNCO含有量(Spielberger、DIN EN ISO 11909:2007-05に従って測定)を有し、1~3の平均NCO官能価を有する。
【0071】
本発明によれば、ポリオール成分とイソシアネート成分の重量比は15:1~1:5、好ましくは12:1~1:3、より好ましくは10:1~2:1である。
【0072】
驚くべきことに、本発明者らは、接着促進剤としてGLYMOを使用しなくても、接着剤組成物が接着強度およびヒートシール強度などの優れた特性ポートフォリオを維持し、したがってホット充填用途におけるフィルムラミネートでの使用に適していることを見出した。
【0073】
本発明による組成物は、添加剤をさらに含んでよい。これらの添加剤は、組成物の特性、例えば機械的特性および熱伝導率に影響を与えるために使用されてよい。好ましくは、1以上の添加剤は、追加の充填剤、顔料、レオロジー調整剤、乾燥剤、難燃剤、硬化剤、界面活性剤および消泡剤からなる群から選択される。添加剤は、他の成分に対して不活性である限り、ポリオール成分および/またはイソシアネート成分に含まれてよい。
【0074】
脂肪族または脂環式イソシアネート官能化化合物と触媒を併用することもできる。触媒を使用すると、ポリオール成分のヒドロキシル基とイソシアネート成分のイソシアネート基との架橋反応が促進される。触媒の例としては、第3級アミン化合物および有機金属化合物などが挙げられる。
【0075】
第3級アミン化合物の例としては、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N-メチルモルホリン、ジアザビシクロウンデセン(DBUとしても知られる)等が挙げられる。
【0076】
有機金属化合物の例としては、スズ化合物および非スズ化合物が挙げられる。
【0077】
スズ化合物の例として
は、ジブチルスズジクロリド、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジブロミド、ジブチルスズジマレート、ジブチルスズジラウレート(DBTDLとしても知られる)、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズスルフィド、トリブチルスズスルフィド、トリブチルスズオキシド、トリブチルスズアセテート、トリエチルスズエトキシド、トリブチルスズエトキシド、ジオクチルスズオキシド、トリブチルスズクロリド、トリブチルスズトリクロロアセテート、およびスズ2-エチルヘキサノエートトが挙げられる。
【0078】
非スズ化合物の例としては、チタン化合物、例えばジブチルチタンジクロリド、テトラブチルチタネート、およびブトキシチタントリクロリド等、鉛化合物、例えばオレイン酸鉛、2-エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、およびナフテン酸鉛等、鉄化合物、例えばエチルヘキサン酸鉄、2,4-ペンタジオン酸鉄等、コバルト化合物、例えば安息香酸コバルトおよび2-エチルヘキサン酸コバルト等、亜鉛化合物、例えばナフテン酸亜鉛および2-エチルヘキサン酸亜鉛等、並びにナフテン酸ジルコニウムが挙げられる。これらの中でも、反応性および衛生性の点から、ジアザビシクロウンデセン(別名:DBU)、ジブチルスズジラウレート(別名:DBTDL)、2-エチルヘキサン酸亜鉛等が好ましい。
【0079】
触媒は、単独でまたは2つ以上を組み合わせて使用できる。
【0080】
本発明による接着剤組成物は、少なくとも1つの溶媒を含有してもよいし、溶媒を含有しなくてもよい。有機溶媒が存在する場合、有機溶媒の例としては、複素環式、脂肪族、または芳香族炭化水素、例えばトルエン、イソホロン、キシレンなど、一価または多価アルコール、例えばエチルヘキサノール、ブトキシプロパノール、イソプロパノール、ブチルジグリコール、メタノール、エタノール、プロパノール、およびブタノールなど、エーテル、例えばジエチレングリコールジメチルエーテルおよびジプロピレングリコールメチルエーテル、エチルグリコールおよびブチルグリコールなど、エステル、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、またはエトキシプロピオン酸エチルなど、ケトン、例えばシクロヘキサノン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)など、およびアセトン、並びに、アミド、例えばN-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、およびジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
【0081】
本発明の実施形態において、ポリオール成分は好ましくは、全成分の総重量の100重量部に基づいて、(固形分換算で)50~95重量部、より好ましくは60~90重量部、最も好ましくは70~90重量部の総量で混合される。ポリオール成分が上記範囲内の総量で配合されると、本発明の食品包装フィルム用接着剤の接着強度およびヒートシール強度がより向上する。
【0082】
本発明のホット充填食品包装フィルム用接着剤組成物は、各成分および任意の添加剤を混合することにより製造され得る。本発明の目的とする食品包装フィルム用接着剤が得られる限り混合方法は特に限定されない。また、各成分の混合順序も特に限定されない。本発明の食品包装フィルム用接着剤組成物は、特別な混合方法および混合順序を必要とせずに製造できる。したがって得られた食品包装フィルム用接着剤は、接着強度およびヒートシール強度の両方に優れたものとなる。
【0083】
好ましい一実施形態では、硬化した接着剤は、7日間保存した後、DIN 53357に従って3N/15mm以上、好ましくは4N/15mm以上の接着強度を有する。
【0084】
別の好ましい実施形態では、硬化した接着剤は、14日間保存した後、DIN 53357に従って3N/15mm以上、好ましくは4N/15mm以上の接着強度を有する。
【0085】
さらに別の好ましい実施形態では、硬化した接着剤は、40℃で7日間硬化させた後、DIN 55529従って23℃で試験して、40N/15mm以上、好ましくは55N/15mm以上のヒートシール強度を有する。
【0086】
さらに別の好ましい実施形態では、硬化した接着剤は、40℃で14日間硬化させた後、DIN 55529に従って23℃で試験して、40N/15mm以上、好ましくは55N/15mm以上のヒートシール強度を有する。
【0087】
さらに別の好ましい実施形態では、硬化した接着剤は、40℃で14日間硬化させた後、DIN 55529に従って90℃で試験して、15N/15mm以上、好ましくは20N/15mm以上のヒートシール強度を有する。
【0088】
別の態様では、本発明は、第1ポリオレフィンまたは第1ポリエステルを含む第1層;第1ポリオレフィンと同じでも異なっていてもよい第2ポリオレフィン、第1ポリエステルと同じでも異なっていてもよい第2ポリエステル、または金属箔を含む第2層;および、第1層と第2層とを接着する本発明の硬化した接着剤を含むフレキシブル包装材料を対象とする。
【0089】
さらに別の態様では、本発明は、本発明によるポリウレタン接着剤組成物の成分を、所定の重量比率で組合せ、接着剤混合物を形成すること;該接着剤混合物を、第1フレキシブルフィルムの一方の表面の少なくとも一部に配置し、第1フレキシブルフィルムと第2フレキシブルフィルムとを接合すること、ここで、該接着剤混合物が第1フレキシブルフィルムと第2フレキシブルフィルムとの間に介在する;および該接着剤混合物を硬化させることを含む、フレキシブルフィルムラミネートの製造方法を対象とする。
【0090】
接着剤組成物を使用して互いにコーティングされ接着されるフィルムは、ポリマー材料および金属材料の両方、並びに紙(処理またはコーティングされた紙を含む)を含む、フレキシブル包装における使用に適している当技術分野で知られている任意の材料を含んでよい。熱可塑性プラスチックは、少なくとも1つの層として使用するのに特に好ましい。ラミネートの個々の層に選択される材料は、例えば機械的強度、引裂き抵抗、伸び、耐穿刺性、柔軟性/剛性、ガスおよび水蒸気の透過性、オイルおよびグリースの透過性、ヒートシール性接着性、光学特性(透明、半透明、不透明など)、成形性、商品性、および相対コストなど、特定の望ましい特性の組み合わせを達成するように選択される。個々の層は純粋なポリマーであっても、異なるポリマーのブレンドであってもよい。ポリマー層は、特定の層の特性を高めるために、しばしば着色剤、滑り止め、ブロック防止、および帯電防止加工助剤、可塑剤、潤滑剤、充填剤、安定剤などが配合される。
【0091】
使用に特に好ましいポリマーとしては、限定されないが、ポリエチレン[低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HPDE)、高分子量高密度ポリエチレン(HMW-HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、直鎖状中密度ポリエチレン(LMPE)を含む]、ポリプロピレン(PP)、延伸ポリプロピレン、ポリエステル、例えばポリ(エチレンテレフタレート)(PET)およびポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)など、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン-アクリル酸コポリマー(EAA)、エチレン-メタクリル酸メチルコポリマー(EMA)、エチレン-メタクリル酸塩(アイオノマー)、加水分解エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVOH)、ポリアミド(ナイロン)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ(塩化ビニリデン)コポリマー(PVDC)、ポリブチレン、エチレン-プロピレンコポリマー、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、スチレンコポリマー、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンポリマー(ABS)、アクリロニトリルコポリマー(AN)、ポリアミド(ナイロン)、ポリ乳酸(PLA)、再生セルロースフィルム(セロファン)などが挙げられる。
【0092】
必要に応じて、ポリマー表面を処理またはコーティングしてもよい例えば、ポリマーフィルムは、アルミニウムなどの薄い金属蒸気をフィルムの表面に蒸着することによって金属化されてよい。金属化により、完成したラミネートのバリア特性が強化される場合がある。ポリマーフィルム表面はまた、接着受容性を高めるために、防曇剤などでコーティングされ、または、電気もしくはコロナ放電、またはオゾンもしくは他の化学薬品による前処理を受けてもよい。SiOxまたはAlOxなどの無機酸化物のコーティングがポリマー表面上に存在してもよい(例えば、SiOxまたはAlOxでコーティングされたPETフィルム)。
【0093】
1つ以上のラミネートの層は、アルミニウム箔などの金属フィルムまたは箔を含んでもよい。金属箔は、好ましくは約5~100μmの厚みを有する。
【0094】
ラミネートを含む個々のフィルムは、例えば約5~約200ミクロンの広い様々な厚さで調製され得る。フィルム、箔、およびラミネート用接着剤組成物は、そのような目的のために当技術分野で知られているいくつかの従来の手順のいずれか1以上を使用することによって、ラミネート中に組み立てることができる。例えば、接着剤配合物は、押出成形、ブラシ、ローラー、ブレード、スプレーなどの手段によって2つのフィルム/ホイルの一方または両方の表面に適用されてよく、接着剤組成物を有するそれらフィルム/ホイル表面は一緒にされ、フィルム/ホイル間に接着剤組成物を有するフィルム/ホイルを一緒に押し付ける一組のローラー(しばしばニップローラーと称される)を通過させられる。得られたラミネートは、エージングのためにロール状に巻かれ、またはリールに巻き取られる。接着剤は従来の技術;例えば、無溶媒系の場合は3/4ローラー塗布機構、または溶媒系の場合は2ローラー塗布機構などによって塗布されてよい。
【0095】
フィルム層の表面に塗布され得る接着剤配合物のコーティング重量は、約0.1~約10g/m2、より典型的には約2.0~約6.0g/m2の範囲である。
【0096】
一般的に言えば、接着剤組成物は、イソシアネート基を含む配合成分とヒドロキシル基または他の活性水素基を含む成分との反応によって大部分が化学的に硬化すると考えられる。しかしながら、硬化は、少なくとも部分的に湿気硬化によっても達成され得る。この目的のために十分な水分がフィルムまたは箔の表面に本来存在する可能性があるが、必要に応じて従来の方法によって意図的に水を導入してもよい。
【0097】
本開示に従って調製されたラミネートは、従来のまたは既知のフレキシブルなラミネート包装フィルムと同じ方法で包装目的に使用されてよい。このラミネートは、食品を詰めて密封できるフレキシブルなパウチ状の容器を形成するのに特に適している。例えば、ラミネートの2枚の長方形または正方形のシートを所望の構成または配置で積み重ねてよい;好ましくは、互いに対向する2枚のシートの2つの層は、互いにヒートシールすることができる。次に、積み重ねられたアセンブリの3つの周辺部分をヒートシールしてパウチを形成する。ヒートシールは、ヒーティングバー、ヒーティングナイフ、ヒーティングワイヤー、インパルスシーラー、超音波シーラー、または誘導加熱シーラーなどを用いて容易に行うことができる。
【0098】
その後、食品はそのように形成されたパウチに詰められる。必要に応じて、空気などの食品に有害なガスを、真空脱気、ホットパック、煮沸脱気、または、蒸気噴射もしくは容器の変形などの公知の手段により除去する。次に、パウチの開口部を熱で密封する。包装されたパウチは後で加熱されてよい。
【0099】
本発明による食品包装用フィルムの一実施形態を
図1に例示するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
図1に食品包装フィルム10の断面図を示す。この食品包装フィルム10は、1枚の金属箔14および2枚のプラスチックフィルム12、13を含むラミネートであり、プラスチックフィルム12および13は、接着剤層11をそれぞれ使用することによって金属箔14の両面に貼着される。より具体的には、プラスチックフィルム12は、好ましくは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムであり、フィルム13は、好ましくはポリオレフィンフィルム、より好ましくはPEフィルムである。これらの間には金属箔14が挿入されている。金属箔14は、例えばアルミニウム箔であってよい。フィルム12は金属箔14に、フィルム13は金属箔14に、それぞれ食品包装フィルム用接着剤層11により接着される。ラミネートされるフィルムの例としては、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリ塩化ビニル等から製造されるプラスチックフィルム等;アルミ箔などの金属箔;金属蒸着膜、シリカ蒸着膜等の蒸着膜;ステンレス鋼、鋼、銅、および鉛から製造される金属フィルムが挙げられる。さらに、ラミネートされるフィルム、例えばプラスチックフィルムの厚みは、好ましくは5~200μmの範囲内である。
【0100】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の概念を限定するものとして理解されるべきではない。
【実施例】
【0101】
実施例では以下の材料を使用した。
二酸は、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、およびアゼライン酸の混合物であり、Sigma-Aldrich社から市販されている。
ジオールは、ジエチレングリコール(DEG)(SABIC社製)および1,2-プロパンジオール(BASF社製)の混合物である。
1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)は、Eastman CHDM-Dの商品名で、Eastman社から入手した。
イソソルビドは、POLYSORB PAの商品名でRoquette社から入手した。
チタン(IV)イソプロポキシドは、Sigma-Aldrich社から入手した。
酢酸エチルは、Brenntag社から入手した。
IPDIは、Desmodur Iの商品名でCovestroから入手されるイソホロンジイソシアネートモノマーである。
HDIは、Desmodur N 3300の商品名でCovestro社から入手される1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)三量体である。
Loctite LA 5000は、Henkelから市販されているTDIに基づくポリイソシアネートである。
Bis-AMEOは、Dynasylan 1122の商品名でEvonik社から入手されるビス[γ-(トリエトキシシリル)プロピル]アミンである。
Bis-AMMOは、Dynasylan 1124の商品名でEvonik社から入手されるビス[γ-(トリメトキシシリル)プロピル]アミン(ビス-AMMO)である。
Loctite LA 2775-21は、接着促進剤としてGLYMOを含むポリエステルポリオール成分であり、Henkel社から市販されている。
【0102】
[ポリオール成分の調製]
<ポリエステルポリオール1(実施例)>
66重量部の二酸、23重量部のジオール、10重量部のCHDM、および15重量部のイソソルビドをフラスコに秤量し、窒素を加えた。ヒーターを220℃に設定し、縮合反応の進行に続いて水が生成された。水が生成されなくなったら、0.02重量部のチタン(IV)イソプロポキシドを添加した。反応を酸価によって追跡した。酸価が2mgKOH/g未満と測定されたら、反応を終了し、液状ポリエステルポリオールを得た。ポリエステルポリオールを冷却し適当なガラスに充填した後、最終仕様のためにOH値を測定した。
【0103】
<ポリエステルポリオール2(比較例)>
66重量部の二酸、23重量部のジオール、および25重量部のイソソルビドをフラスコに秤量し、窒素を加えた。ヒーターを220℃に設定し、縮合反応の進行に続いて水が生成された。水が生成されなくなったら、0.02重量部のチタン(IV)イソプロポキシドを添加した。反応を酸価によって追跡した。酸価が2mgKOH/g未満と測定されたら、反応を終了し、液状ポリエステルポリオールを得た。ポリエステルポリオールを冷却し適当なガラスに充填した後、最終仕様のためにOH値を測定した。
【0104】
<ポリエステルポリオール3(比較例)>
66重量部の二酸、13重量部のジオール、30重量部のCHDM、および5重量部のイソソルビドをフラスコに秤量し、窒素を加えた。ヒーターを220℃に設定し、縮合反応の進行に続いて水が生成された。水が生成されなくなったら、0.02重量部のチタン(IV)イソプロポキシドを添加した。反応を酸価によって追跡した。酸価が2mgKOH/g未満と測定されたら、反応を終了した。固形状のポリエステルポリオールが得られて、それ以上加工できなかった。ポリエステルポリオールは接着剤配合物の配合には適していなかった。
【0105】
[イソシアネート成分の調製]
<イソシアネート成分1(実施例)>
最初の工程では、約50重量部のHDI三量体をフラスコに秤量した。イソシアネートを最大40℃に加熱し、撹拌した。1時間以内に約20重量部のBis-AMEOを注意深く加えた。温度を一貫して測定し、必要に応じて水で冷却して80℃を超えないようにした。アミノシランの添加が完了したら、混合物をさらに30分間撹拌した。その後、溶媒として酢酸エチルを加え、NCO値を測定した。次いで、イソシアネートとアミノシランとの反応生成物を、HDI三量体(約20重量部)およびTDI三量体(約40重量部)および溶媒の混合物に添加し、40℃で1時間混合して、イソシアネート成分を得た。
【0106】
<イソシアネート成分2(実施例)>
最初の工程では、約50重量部のIPDIモノマーをフラスコに秤量した。イソシアネートを最大40℃に加熱し、撹拌した。1時間以内に、約20重量部のBis-AMMOを注意深く添加した。温度を一貫して測定し、必要に応じて水で冷却して80℃を超えないようにした。アミノシランの添加が完了したら、混合物をさらに30分間撹拌した。その後、溶媒として酢酸エチルを加え、NCO値を測定した。次いで、イソシアネートとアミノシランとの反応生成物を、HDI三量体(約20重量部)およびTDI三量体(約40重量部)および溶媒の混合物に添加し、40℃で1時間混合して、イソシアネート成分を得た。
【0107】
<イソシアネート成分3(比較例)>
最初の工程では、約50重量部のIPDIモノマーを秤量してフラスコに秤量した。イソシアネートを最大40℃まで加熱し、撹拌した。1時間以内に、約20重量部のBis-AMEOを注意深く添加した。温度を一貫して測定し、必要に応じて水で冷却して80℃を超えないようにした。アミノシランの添加が完了したら、混合物をさらに30分間撹拌した。その後、溶媒として酢酸エチルを加え、NCO値を測定した。次いで、イソシアネートとアミノシランとの反応生成物を、HDI三量体(約20重量部)およびIPDI三量体(約40重量部)および溶媒の混合物に添加し、40℃で1時間混合して、イソシアネート成分を得た。
【0108】
<実施例1~2および比較例1~3>
食品包装フィルム用接着剤組成物の例を、表1に示す配合に従って各成分を酢酸エチル中で混合することにより製造した。
【0109】
【0110】
食品包装フィルム用接着剤組成物および評価試験用サンプルを以下のように作製した。
【0111】
本発明によるポリエステルポリオールはそれぞれ、NCO末端化合物と一緒にラミネート用接着剤に転換された。一定の添加比NCO/OHを選択した。得られた反応性接着剤混合物を酢酸エチルで25%の固形分に希釈した。
【0112】
コーティングされる基材はDIN A4サイズにフォーマットされた。PET/アルミニウムキャリア両面ホイルに、4g/m2の反応性接着剤混合物をコーティングした。こうしてコーティングされたキャリアフィルムを、乾燥オーブン中90℃で1分間乾燥させた。その後、ポリエチレンフィルムをコーティングされた面に押し当てた。このようにして製造した複合材を、乾燥オーブン中40℃で金属プレート間での加圧(加重8kg)の下、硬化させた。
【0113】
得られた食品包装用フィルム用接着剤組成物を以下の試験方法で評価し、試験結果を表2に示す。
【0114】
<40℃で7日および14日保存後の接着強度>
ラミネートを調製し、40℃で7日間および14日間保存した後、接着剤の接着強度値をDIN 53357に従い測定した。
【0115】
<7日および14日後に23℃で試験されたヒートシール強度>
ラミネートを調製し、7日間および14日間保存した後、接着剤のヒートシール強度値をDIN 55529に従い23℃で測定した。
【0116】
<14日後に90℃で試験されたヒートシール強度>
ラミネートを調製し、14日間保存した後、接着剤のヒートシール強度値をDIN 55529に従い90℃で測定した。
【0117】
【0118】
表2からわかるように、本発明の実施例は、厳しい条件下で処理した後でも、優れた接着強度およびヒートシール強度を示した。CHDMを含まず、従来のポリオールまたはイソシアネート成分を含む接着剤組成物を用いた他の比較例は、本発明例に比べて接着強度およびヒートシール強度が低下した。
【国際調査報告】