(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】膜弾性率を所定の弾性率範囲内に維持するための方法、装置、およびシステム
(51)【国際特許分類】
C23C 16/27 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
C23C16/27
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502685
(86)(22)【出願日】2022-07-11
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 US2022036687
(87)【国際公開番号】W WO2023003716
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シュ, ジュイ-ユエン
(72)【発明者】
【氏名】マンナ, プラミット
(72)【発明者】
【氏名】ジャナキラマン, カーティック
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030AA09
4K030AA17
4K030AA18
4K030BA28
4K030FA03
4K030KA02
4K030KA41
(57)【要約】
本開示の実施形態は、一般に、膜弾性率を所定の弾性率範囲内に維持するための方法、装置、およびシステムに関する。一実施形態では、基板を処理する方法が、処理チャンバの処理ボリュームに1種または複数種の処理ガスを導入することと、処理ボリューム中に配設された基板支持体上に支持された基板上に膜を堆積することとを含む。本方法は、基板支持体の1つまたは複数のバイアス電極に第1の無線周波数(RF)電力と第2のRF電力とを同時に供給することを含む。第1のRF電力は第1のRF周波数を含み、第2のRF電力は、第1のRF周波数よりも低い第2のRF周波数を含む。膜の弾性率は所定の弾性率範囲内に維持される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する方法であって
処理チャンバの処理ボリュームに1種または複数種の処理ガスを導入することと、
前記処理ボリューム中に配設された基板支持体上に支持された基板上にアモルファス炭素ハードマスク膜を堆積することであって、前記アモルファス炭素ハードマスク膜を堆積することが、
前記基板を1つまたは複数のプラズマのイオンで衝撃することと、
前記基板を前記1つまたは複数のプラズマと化学的に反応させることと
を含む、アモルファス炭素ハードマスク膜を堆積することと、
前記基板支持体の1つまたは複数のバイアス電極に第1の無線周波数(RF)電力と第2のRF電力とを同時に供給することであって、前記第1のRF電力が11MHzから15MHzの範囲内の第1のRF周波数を含み、前記第2のRF電力が1.8MHzから2.2MHzの範囲内の第2のRF周波数を含み、前記アモルファス炭素ハードマスク膜の弾性率が195GPa以上の所定の弾性率範囲内に維持される、第1のRF電力と第2のRF電力とを同時に供給することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1のRF電力が1.5kWから1.7kWの第1の電力範囲内であり、前記第2のRF電力が400Wから600Wの第2の電力範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1種または複数種の処理ガスがアセチレン(C
2H
2)およびヘリウム(He)を含み、
前記アセチレン(C
2H
2)および前記ヘリウム(He)の各々が145sccmから155sccmの範囲内の流量で前記処理ボリュームに導入され、
前記第1のRF電力が第1の電圧を含み、前記第2のRF電力が、前記第1の電圧よりも小さい第2の電圧を含み、
前記アモルファス炭素ハードマスク膜が、セ氏8度からセ氏12度の範囲内の堆積温度、および3mトールから5mトールの範囲内の堆積圧で堆積され、
前記基板支持体が、前記アモルファス炭素ハードマスク膜を前記堆積する間、および前記第1のRF電力と前記第2のRF電力とを同時に前記供給する間に、前記処理ボリュームのシーリングに対してある距離に配置され、前記距離が3.5インチから4.5インチの範囲内である、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アセチレン(C
2H
2)および前記ヘリウム(He)の各々の前記流量が150sccmである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記アモルファス炭素ハードマスク膜が3,000オングストローム以上の厚さまで堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のRF周波数が、前記第2のRF周波数を前記第1のRF周波数で除算したある周波数比範囲内であり、前記周波数比範囲が0.1から0.2である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記弾性率がある弾性率比に維持され、前記弾性率比が前記弾性率を前記アモルファス炭素ハードマスク膜の圧縮応力で除算した比であり、前記弾性率比が200以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アモルファス炭素ハードマスク膜の圧縮応力が500MPaから1500MPaの範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令が、実行されたときに、
処理チャンバの処理ボリュームに1種または複数種の処理ガスを導入することと、
前記処理ボリューム中に配設された基板支持体上に支持された基板上に膜を堆積することと、
前記基板支持体の1つまたは複数のバイアス電極に第1の無線周波数(RF)電力と第2のRF電力とを同時に供給することであって、前記第1のRF電力が第1のRF周波数を含み、前記第2のRF電力が、前記第1のRF周波数よりも低い第2のRF周波数を含み、前記膜の弾性率が所定の弾性率範囲内に維持される、第1の無線周波数(RF)電力と第2のRF電力とを同時に供給することと
をシステムに行わせる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項10】
前記膜の圧縮応力が500MPaから1500MPaの範囲内である、請求項9に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項11】
前記第1のRF周波数が11MHzから15MHzの範囲内であり、前記第2のRF周波数が1.8MHzから2.2MHzの範囲内である、請求項9に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記第1のRF電力が1.5kWから1.7kWの第1の電力範囲内であり、前記第2のRF電力が400Wから600Wの第2の電力範囲内である、請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記膜が3,000オングストローム以上の厚さまで堆積される、請求項12に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記膜がアモルファス炭素膜である、請求項13に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記第2のRF周波数が、前記第2のRF周波数を前記第1のRF周波数で除算した周波数比範囲内であり、前記周波数比範囲が0.1から0.2である、請求項9に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記弾性率がある弾性率比に維持され、前記弾性率比が、前記弾性率を前記膜の圧縮応力で除算した比であり、前記弾性率比が200以上である、請求項9に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
基板処理システムであって、
処理ボリュームを備える処理チャンバと、
1つまたは複数のガス源と、
前記処理ボリューム中に配設された基板支持体と、
前記基板支持体中に少なくとも部分的に配設された1つまたは複数のバイアス電極と、
前記1つまたは複数のバイアス電極に電気的に結合されたデュアル周波数無線周波数(RF)源と、
命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令が、実行されたときに、
前記処理チャンバの前記処理ボリュームに1種または複数種の処理ガスを導入することと、
前記処理ボリューム中に配設された前記基板支持体上に支持された基板上に膜を堆積することと、
前記1つまたは複数のバイアス電極に第1の無線周波数(RF)電力と第2のRF電力とを同時に供給することであって、前記第1のRF電力が第1のRF周波数を含み、前記第2のRF電力が、前記第1のRF周波数よりも低い第2のRF周波数を含み、前記膜の弾性率が所定の弾性率範囲内に維持される、第1の無線周波数(RF)電力と第2のRF電力とを同時に供給することと
を前記基板処理システムに行わせる、非一時的コンピュータ可読媒体と
を備える、基板処理システム。
【請求項18】
前記所定の弾性率範囲が195GPa以上である、請求項17に記載の基板処理システム。
【請求項19】
前記第1のRF周波数が11MHzから15MHzの範囲内である、請求項18に記載の基板処理システム。
【請求項20】
前記第2のRF周波数が1.8MHzから2.2MHzの範囲内である、請求項19に記載の基板処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、膜弾性率(film modulus)を所定の弾性率範囲内に維持するための方法、装置、およびシステムに関する。他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、膜の弾性率が所定の範囲内に維持されつつ、膜の圧縮応力の低減が達成される。
【背景技術】
【0002】
圧縮応力の低減により、集積回路の半導体デバイスなど、半導体デバイスの膜についてデバイス性能を向上させることができる。しかしながら、圧縮応力を低減する従来の試みは膜の弾性率を意図せずに低減し、それにより、うねり(wiggling)が生じ得、膜が機械的に変形し得、デバイス性能が劣化し得る。うねりは、膜が波状に動くことを指す。そのような欠点は、チップ設計が常により速い回路とより高い回路密度とを伴う場合に、より一層顕著になり得る。
【0003】
したがって、うねりの低減、変形の低減、およびデバイス性能の向上を容易にするために、膜の圧縮応力を低減しながら膜弾性率を維持することを容易にする改善された方法、システム、および装置が必要である。
【発明の概要】
【0004】
本開示の実施形態は、一般に、膜弾性率を所定の弾性率範囲内に維持するための方法、装置、およびシステムに関する。他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、膜の弾性率が所定の範囲内に維持されつつ、膜の圧縮応力の低減が達成される。
【0005】
一実施形態では、基板を処理する方法は、処理チャンバの処理ボリュームに1種または複数種の処理ガスを導入することと、処理ボリューム中に配設された基板支持体上に支持された基板上にアモルファス炭素ハードマスク膜を堆積することとを含む。本方法は、基板支持体の1つまたは複数のバイアス電極に第1の無線周波数(RF)電力と第2のRF電力とを同時に供給することを含む。第1のRF電力は11MHz~15MHzの範囲内の第1のRF周波数を含み、第2のRF電力は1.8MHz~2.2MHzの範囲内の第2のRF周波数を含む。アモルファス炭素ハードマスク膜の弾性率は195GPa以上の所定の弾性率範囲内に維持される。
【0006】
一実施形態では、非一時的コンピュータ可読媒体は命令を含み、命令は、実行されたときに、処理チャンバの処理ボリュームに1種または複数種の処理ガスを導入することと、処理ボリューム中に配設された基板支持体上に支持された基板上に膜を堆積することとをシステムに行わせる。命令は、実行されたときに、基板支持体の1つまたは複数のバイアス電極に第1の無線周波数(RF)電力と第2のRF電力とを同時に供給することをシステムに行わせる。第1のRF電力は第1のRF周波数を含み、第2のRF電力は、第1のRF周波数よりも低い第2のRF周波数を含む。膜の弾性率は所定の弾性率範囲内に維持される。
【0007】
一実施形態では、基板処理システムは、処理ボリュームを有する処理チャンバと、1つまたは複数のガス源と、処理ボリューム中に配設された基板支持体と、基板支持体中に少なくとも部分的に配設された1つまたは複数のバイアス電極とを含む。基板処理システムは、1つまたは複数のバイアス電極に電気的に結合されたデュアル周波数無線周波数(RF)源と、命令を有する非一時的コンピュータ可読媒体とを含む。命令は、実行されたときに、処理チャンバの処理ボリュームに1種または複数種の処理ガスを導入することと、処理ボリューム中に配設された基板支持体上に支持された基板上に膜を堆積することとを基板処理システムに行わせる。命令は、実行されたときに、1つまたは複数のバイアス電極に第1の無線周波数(RF)電力と第2のRF電力とを同時に供給することを基板処理システムに行わせる。第1のRF電力は第1のRF周波数を含み、第2のRF電力は、第1のRF周波数よりも低い第2のRF周波数を含む。膜の弾性率は所定の弾性率範囲内に維持される。
【0008】
本開示の上述の特徴が詳細に理解され得るように、それの一部が添付の図面に示されている実施形態を参照することによって、上記で手短に要約した、本開示のより詳細な説明が得られ得る。ただし、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示し、したがって、本開示は他の等しく有効な実施形態を認め得るので、本開示の範囲を限定するものと見なされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態による、基板処理システムの概略図である。
【
図2】一実施形態による、
図1に示された基板支持体の概略断面図である。
【
図3】一実施形態による、基板処理システムの概略図である。
【
図4】一実施形態による、基板を処理する方法の概略流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするために、各図に共通である同等の要素を指定するために、可能な場合、同等の参照番号が使用されている。一実施形態の要素および特徴が、さらなる詳述なしに他の実施形態に有利に組み込まれ得ることが企図される。
【0011】
本開示の実施形態は、一般に、膜弾性率を所定の弾性率範囲内に維持するための方法、装置、およびシステムに関する。他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、膜の弾性率が所定の範囲内に維持されつつ、膜の圧縮応力の低減が達成される。本開示の態様は、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)システムなど、基板処理システムとともに使用され得る。
【0012】
図1は、一実施形態による、基板処理システム101の概略図である。基板処理システム101は処理チャンバ100を含む。処理チャンバ100の側断面図が
図1の実施形態に示されている。
【0013】
処理チャンバ100は、基板145上で堆積工程を行うように構成される。他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、処理チャンバ100は、基板145上に、ハードマスク膜、たとえば、アモルファス炭素ハードマスク膜など、パターニング膜を堆積するように構成される。
【0014】
処理チャンバ100は、ふたアセンブリ105と、チャンバ本体192上に配設されたスペーサ110と、処理ボリューム160中に配設された基板支持体115と、可変圧力システム120とを含む。ふたアセンブリ105はふたプレート125と熱交換器130とを含む。本明細書で説明する他の実施形態と組み合わせることができる図示の実施形態では、ふたアセンブリ105はシャワーヘッド135をも含む。ふたアセンブリ105は、シャワーヘッド135の代わりに凹形またはドーム形のガス導入プレートを含むことができる。シャワーヘッド135は処理ボリューム160のシーリング173を画定する。
【0015】
(1つが
図1に示されている)1つまたは複数の第1のガス源140が、ふたプレート125と、ふたアセンブリ105中に配設されたプレナム190とを通して処理ボリューム160に流体結合される。1つまたは複数の第1のガス源140は、基板支持体115上に支持された基板145上に膜を形成するための処理ガスを導入する。処理ガスは、プレナム190中に流れ、シャワーヘッド135を通って処理ボリューム160中に入る。1つまたは複数の第1のガス源140は、(炭化水素ガスなどの)炭素含有ガス、水素含有ガス、および/またはヘリウムなど、処理ガスを導入するように構成される。本開示は、他のガスが使用され得ることを企図する。他の例と組み合わせることができる一例では、処理ガスは、(エチンと呼ばれることがある)アセチレン(C
2H
2)、プロペン(C
3H
6)、メタン(CH
4)、ブテン(C
4H
8)、1、3-ジメチルアダマンタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2、5-ジエン(2、5-ノルボナジエン)、アダマンティン(C
10H
16)、ノルボルネン(C
7H
10)、それらの誘導体、および/またはそれらの異性体のうちの1つまたは複数を含む。処理ガスは、1つまたは複数の希釈ガス、1つまたは複数のキャリアガス、エッチャントガス、および/あるいは1つまたは複数のパージガスを含むことができる。他の例と組み合わせることができる一例では、処理ガスは、ヘリウム、アルゴン、キセノン、ネオン、窒素(N
2)、水素(H
2)、塩素(Cl
2)、四フッ化炭素(CF
4)、および/または三フッ化窒素(NF
3)のうちの1つまたは複数を含む。
【0016】
他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、1つまたは複数の第1のガス源140は、処理ボリューム160中にアセチレン(C2H2)およびヘリウム(He)を導入するように構成される。
【0017】
1つまたは複数の第1のガス源140は、(ふたプレート125中に形成されたチャネル181、および熱交換器130中に形成されたチャネル187など)ふたアセンブリ105中に形成された1つまたは複数のチャネルを通して、プレナム190中に処理ガスを導入する。ふたアセンブリ105中に形成された1つまたは複数のチャネル181、187は、1つまたは複数の第1のガス源140からの処理ガスを、シャワーヘッド135中に形成されたチャネル183を通して処理ボリューム160中に導く。他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、(1つが
図1に示されている)1つまたは複数の第2のガス源142が、スペーサ110に取り付けられたノズルをもつガスリングを通して配設された入口144を通して、またはチャンバ側壁を通して、処理ボリューム160に流体結合される。
【0018】
1つまたは複数の第2のガス源142は、炭素含有ガス、水素含有ガス、および/またはヘリウムなど、1種または複数種の処理ガスを導入するように構成される。本開示は、他のガスが使用され得ることを企図する。他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、1つまたは複数の第2のガス源142は、処理ボリューム160中にアセチレン(C2H2)およびヘリウム(He)を導入するように構成される。他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、1つまたは複数の第1のガス源140からの流量と、(使用される場合)1つまたは複数の第2のガス源142からの流量とを含む、処理ボリューム160中への処理ガスの総流量は約100sccm~約2slmである。1つまたは複数の第2のガス源142を使用した処理ボリューム160中への処理ガスの流れは処理ボリューム160中に均一に分配される。他の例と組み合わせることができる一例では、複数の入口144がスペーサ110の周りにまたはチャンバ側壁の周りに放射状に分配され得る。そのような例では、処理ボリューム160内のガスの均一性をさらに容易にするために、入口144の各々へのガス流が別々に制御され得る。
【0019】
デュアル周波数無線周波数(RF)電源161が、施設ケーブル178を使用して基板支持体115中に少なくとも部分的に配設された(1つが
図2に示されている)1つまたは複数のバイアス電極205Bに電気的に結合される。デュアル周波数RF電源161は、それぞれ1つまたは複数のバイアス電極205Bに電気的に結合された第1のRF電源170と第2のRF電源171とを含む。第1のRF電源170は、1つまたは複数のバイアス電極205Bに第1のRF電力を供給するように構成され、第2のRF電源171は、第1のRF電力と同時に第2のRF電力を供給するように構成される。第2のRF電力は第1のRF電力よりも小さい。
【0020】
(ふたプレート125などの)ふたアセンブリ105は第3のRF電源165に結合される。第3のRF電源165は、保守、または、清浄化ガスから生成されるプラズマなど、プラズマの生成を容易にする。第3のRF電源165は、清浄化工程中の原位置でのプラズマ中への清浄化ガスのイオン化を容易にし得る。第3のRF電源165は、ふたアセンブリ105に第3のRF電力を供給するように構成され、第3のRF電力は40MHz以上である。第3のRF電源165は、シャワーヘッド135など、処理ボリューム160の上側部分を清浄化するために使用される。理論に縛られることなしに、シャワーヘッド135に近い処理ボリューム160の上側部分におけるプラズマは密度が低くなり得、したがって、上側部分における堆積ガス(たとえば、イオン)の品質が乏しくなり得ると考えられる。本明細書で説明するデュアル周波数RF電源161と動作パラメータとを使用することにより、堆積の向上、膜圧縮応力の低減、および膜弾性率の維持が容易になる。例として、第1のRF電力は、反応種を生成することと、膜堆積のためのイオン密度を与えることとを容易にするために使用され、第2のRF電力は、応力低減のためのイオン衝撃の向上を容易にするために使用される。
【0021】
第1のRF電源170によって供給される第1のRF電力は、11MHz~15MHzの範囲内の第1の周波数を有する。他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、第1の周波数は13MHzまたは15MHzである。第2のRF電源171によって供給される第2のRF電力は、1.8MHz~2.2MHzの範囲内の第2の周波数を有する。他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、第2の周波数は2MHzである。本開示は、第1のRF電源170および第2のRF電源171を、第1のRF電力と第2のRF電力とを同時に供給するように構成されたデュアル周波数RF電源161として混合周波数RF電源に一体化することができることを企図する。(ふたプレート125などの)ふたアセンブリ105は、
図1に示された実施形態では接地される。本開示は、シャワーヘッド135を接地することができることを企図する。本開示は、(スペーサ110など)処理ボリューム160を囲む他の構成要素も接地することができることを企図する。本開示は、チャンバ本体192も接地することができることを企図する。
【0022】
デュアル周波数RF電源161は、他の膜に対する堆積された膜の圧縮応力を低減しながら、(基板145上に堆積された)堆積された膜についての弾性率を維持することを容易にする。デュアル周波数RF電源161は、堆積された膜中への種の注入の向上、イオン化の増加、および膜についての堆積速度の増加を容易にしながら、弾性率の維持を容易にする。
【0023】
図1に示された実施形態では、基板145上の膜は、5,000オングストローム以上など、3,000オングストローム以上の厚さまで堆積される。本開示は、膜が3,000オングストローム未満の厚さまで堆積される実施形態において本開示の態様を使用することができることを企図する。基板145上の堆積された膜は、後でエッチング工程中にハードマスクとして使用され得るアモルファス炭素ハードマスク膜である。
【0024】
デュアル周波数RF電源161および/または第3のRF電源165のうちの1つまたは複数は、1つまたは複数の第1のガス源140および/あるいは1つまたは複数の第2のガス源142を使用して1種または複数種の処理ガスが処理ボリューム160に供給される間に、処理ボリューム160中にプラズマを生成および/または維持するために使用される。他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、デュアル周波数RF電源161は、基板145上に膜を堆積するために堆積工程中に使用され、第3のRF電源165は、処理チャンバ100の内面から汚染物質または膜を除去するために清浄化工程中に使用される。
【0025】
堆積工程では、デュアル周波数RF電源161は、基板支持体115の1つまたは複数のバイアス電極205Bに第1のRF電力と第2のRF電力とを同時に供給する。第1のRF電力は1.5kW~1.7kWの第1の電力範囲内であり、第2のRF電力は400W~600Wの第2の電力範囲内である。他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、第1のRF電力は1.6kWであり、第2のRF電力は500Wである。第1のRF電力は第1のRF周波数を含み、第2のRF電力は、第1のRF周波数よりも低い第2のRF周波数を含む。第1のRF周波数は13MHz~14MHzなど、11MHz~15MHzの範囲内であり、第2のRF周波数は1.95MHz~2.05MHzなど、1.8MHz~2.2MHzの範囲内である。他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、第1のRF周波数は13MHzまたは14MHzであり、第2のRF周波数は2.0MHzである。
【0026】
堆積工程中に、第3のRF電源165は、100ワット(W)~約20kWの第3の電力範囲内の第3のRF電力を与えることができる。第1のRF電力、第2のRF電力、および(第3のRF電力が使用される場合)第3のRF電力は1種または複数種の処理ガスのイオン化を容易にし、1種または複数種の処理ガスのイオンは、基板145上に膜を堆積するために基板145に衝突する。他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、1種または複数種の処理ガスはアセチレン(C2H2)およびヘリウム(He)を含む。他の例と組み合わせることができる一例では、アセチレン(C2H2)は、100sccm~200sccmなど、10sccm~1,000sccmの範囲内の流量で処理ボリューム160に与えられ、ヘリウム(He)は、100sccm~200sccmなど、50sccm~5,000sccmの範囲内の流量で与えられる。他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、アセチレン(C2H2)は、145sccm~155sccmなど、140sccm~160sccmの範囲内の流量で処理ボリューム160に与えられ、ヘリウム(He)は、145sccm~155sccmなど、140sccm~160sccmの範囲内の流量で与えられる。他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、アセチレン(C2H2)は150sccmの流量で処理ボリューム160に与えられ、ヘリウム(He)は150sccmの流量で与えられる。
【0027】
基板支持体115は、Z方向に沿って基板支持体115を移動させるアクチュエータ175(たとえば、リフトアクチュエータ)に結合される。基板支持体115は、フレキシブルである施設ケーブル178に結合され、それにより、デュアル周波数電源161との結合ならびに他の電力結合および流体結合を維持しながら、基板支持体115の垂直方向の動きが可能になる。スペーサ110はチャンバ本体192上に配設される。スペーサ110の高さにより、処理ボリューム160内で基板支持体115が垂直方向に動くことが可能になる。スペーサ110の高さは約0.5インチ~約20インチである。他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、基板支持体115は、シャワーヘッド135によって画定されたシーリング173に対する第1の距離180Aから第2の距離180Bまで移動可能である。他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、第2の距離180Bは第1の距離180Aの約2/3である。第1の距離180Aと第2の距離180Bとの間の差は約5インチ~約6インチである。
図1に示されている位置から、基板支持体115は、シャワーヘッド135の下面に対して約5インチ~約6インチだけ移動可能である。他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、基板支持体115は、第1の距離180Aおよび第2の距離180Bの一方に固定される。
【0028】
堆積工程中、処理ボリューム160および/または基板145は堆積温度および堆積圧に維持される。堆積温度はセ氏-50度~セ氏600度の範囲内である。他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、堆積温度はセ氏10度など、セ氏8度~セ氏12度の範囲内である。堆積圧は大気圧未満である。堆積圧は0.1mトール~500mトールの範囲内である。堆積圧は、4mトールなど、3mトール~5mトールの範囲内である。堆積工程中、基板支持体115は第2の距離180Bに配設され、第2の距離は、4.0インチなど、3.5インチ~4.5インチの範囲内である。
【0029】
可変圧力システム120は第1のポンプ182と第2のポンプ184とを含む。第1のポンプ182は、清浄化工程中および/または基板移送工程中に使用され得る粗引きポンプ(roughing pump)である。粗引きポンプは、一般に、より多い体積流量を移動し、および/または(依然として大気圧未満であるが)比較的高い圧力を作用させるために構成される。他の例と組み合わせることができる一例では、第1のポンプ182は、清浄化工程中に処理チャンバ内の圧力を50mトール未満に維持する。他の例と組み合わせることができる一例では、第1のポンプ182は、処理チャンバ内の圧力を約0.5mトール~約10トールに維持する。清浄化工程中の粗引きポンプの利用は、(堆積工程と比較して)清浄化ガスの比較的高い圧力および/または体積流を促進する。清浄化工程中の比較的高い圧力および/または体積流量は内側チャンバ表面の清浄化の改善を促進する。
【0030】
第2のポンプ184はターボポンプおよび/または低温ポンプ(cryogenic pump)であり得る。第2のポンプ184は堆積工程中に利用される。第2のポンプ184は、一般に、比較的低い体積流量および/または圧力を作用させるように構成される。第2のポンプ184は、処理チャンバの処理ボリューム160を、約0.5mトール~約10トールなど、約50mトール未満の圧力に維持するように構成される。堆積中に維持される処理ボリューム160の圧力の低減は、炭素ベースハードマスクを堆積するときに、圧縮応力が低減した膜および/またはsp2からsp3への変換が向上した膜の堆積を促進する。したがって、処理チャンバ100は、堆積の改善を促進するための比較的低い圧力と、清浄化の改善を促進するための比較的高い圧力の両方を利用するように構成される。
【0031】
第1のポンプ182および第2のポンプ184の一方または両方への伝導経路を制御するために弁186が使用される。弁186はまた、処理ボリューム160からの対称的なポンピングを与える。
【0032】
処理チャンバ100はまた、基板移送ポート185を含む。基板移送ポート185は内側ドア186Aと外側ドア186Bとによって選択的に密封される。ドア186Aおよびドア186Bの各々はアクチュエータ188(たとえば、ドアアクチュエータ)に結合される。ドア186Aおよびドア186Bは処理ボリューム160の真空密封を容易にする。ドア186Aおよびドア186Bはまた、対称的なRF適用および/または処理ボリューム160内でのプラズマ対称性を与える。一例では、少なくとも内側ドア186Aは、ステンレス鋼、アルミニウム、またはそれの合金など、RF電力の伝導性を促進する材料から形成される。スペーサ110とチャンバ本体192との界面に配設される、Oリングなど、シール116は処理ボリューム160をさらに密封し得る。
【0033】
ふたアセンブリ105は、任意選択の遠隔プラズマ源150に結合される。遠隔プラズマ源150は、ふたアセンブリ105と基板145との間のスペーサ110の内側に形成された処理ボリューム160に清浄化ガスを与えるための清浄化ガス源155に流体結合される。他の例と組み合わせることができる一例では、清浄化ガスは、ふたアセンブリ105を通して軸方向に形成された中央コンジット191を通して与えられる。他の例と組み合わせることができる一例では、清浄化ガスは、処理ガスを1つまたは複数の第1のガス源140から処理ボリューム160に導くふたアセンブリ105の同じチャネルを通して与えられる。清浄化ガスの例としては、酸素および/またはオゾンなど酸素含有ガス、NF3などフッ素含有ガス、ならびに/あるいは二水素など水素含有ガスのうちの1つまたは複数がある。他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、遠隔プラズマ源150は、処理ボリューム160中に、水素ラジカルおよび/または酸素ラジカルなど、ラジカルを導入するために使用される。
【0034】
チャネル181、187、中央コンジット191、およびチャネル183は、垂直方向に(たとえば、Z軸に平行に)配向させることができ、および/またはX-Y平面に対して(斜角など)ある角度に配向させることができる。
【0035】
遠隔プラズマ源150は、清浄化工程中に第3のRF電源165の代わりにまたは第3のRF電源165に加えて使用することができる。本開示は、遠隔プラズマ源150を省略することができ、第3のRF電源165を使用して清浄化ガスを原位置でプラズマ中にイオン化することができることを企図する。
【0036】
基板処理システム101は、基板処理システム101の工程を制御するためのコントローラ194を含む。コントローラ194は、1つまたは複数の第1のガス源140、1つまたは複数の第2のガス源142、1つまたは複数の清浄化ガス源155、アクチュエータ175、第1のポンプ182、デュアル周波数RF電源161、第3のRF電源165、および/またはアクチュエータ188に、それらの工程を制御するために結合される。コントローラ194は、中央処理ユニット(CPU)195(プロセッサ)と、命令を含んでいるメモリ196と、CPU195のためのサポート回路197とを含む。コントローラ194は、直接、または他のコンピュータ、および/もしくは処理チャンバ100に結合されたコントローラ(図示せず)を介して基板処理システム101を制御する。コントローラ194は、様々なチャンバと機器とを制御するために工業環境において使用される任意の形態の汎用コンピュータプロセッサ、およびそれの上またはそれの中のサブプロセッサである。
【0037】
メモリ196(非一時的コンピュータ可読媒体)は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、フラッシュドライブ、またはローカルもしくは遠隔の任意の他の形態のデジタルストレージなど、容易に入手可能なメモリのうちの1つまたは複数である。サポート回路197は、CPU195(プロセッサ)をサポートするためにCPU195に結合される。サポート回路197は、キャッシュ、電源、クロック回路、入出力回路およびサブシステムなどを含む。
【0038】
基板処理パラメータおよび工程は、基板処理システム101の工程を制御するためにコントローラ194を特殊目的コントローラに変えるために実行されるまたは呼び出されるソフトウェアルーチンとして、メモリ196に記憶される。メモリ196に記憶されるパラメータは、たとえば、第1のRF周波数、第2のRF周波数、第1の電力範囲、第2の電力範囲、周波数比範囲、第2の距離180B、堆積温度、および/または堆積圧を含むことができる。コントローラ194は、本明細書で説明する方法および工程のいずれかを行うように構成される。メモリ196に記憶された命令は、プロセッサ195によって実行されると、方法400の工程402-410のうちの1つまたは複数が行われる。
【0039】
コントローラ194のメモリ196中の命令は、本明細書で説明する工程に加えて実行することができる1つまたは複数の機械学習アルゴリズムおよび/あるいは1つまたは複数の人工知能アルゴリズムを含むことができる。例として、コントローラ194によって実行される機械学習アルゴリズムまたは人工知能アルゴリズムは、堆積工程および/または清浄化工程など、工程中または工程後に取られる測定値に基づいて、メモリ196に記憶されたパラメータを最適化し、変更することができる。最適化されたパラメータは、たとえば、第1のRF周波数、第2のRF周波数、第1の電力範囲、第2の電力範囲、周波数比範囲、第2の距離180B、堆積温度、および/または堆積圧を含むことができる。例として、メモリ196に記憶され、プロセッサ195によって実行される機械学習アルゴリズムまたは人工知能アルゴリズムは、膜弾性率と膜圧縮応力との測定値を使用して、デュアル周波数RF電源161の第1のRF周波数と第2のRF周波数とを最適化することができる。
【0040】
スペーサ110は、約0.5インチ~約3インチ、約10インチ~約20インチ、約14インチ~約16インチなど、約0.5インチ~約20インチである高さを含む。スペーサ110は処理ボリューム160の容積の一部を構成する。処理ボリューム160の高さは多くの利益を与える。1つの利益は、処理ボリューム160中で処理されている基板145中の応力誘導たわみを減少させる、膜応力の低減を含む。処理ボリューム160の高さは、処理ボリューム160の上部から底部へのプラズマ密度分布に影響を及ぼす。本明細書で提供される方法は、デュアル周波数RF電源161を使用することによって、基板支持体115上に配設された基板145上の膜堆積に適した処理ボリューム160の下側部分におけるプラズマ密度を維持することを容易にする。
【0041】
図2は、一実施形態による、
図1に示された基板支持体115の概略断面図である。基板支持体115は静電チャック230を含む。静電チャック230はパック(puck)200を含む。パック200は、第1の電極205Aおよび第2の電極205Bなど、それの中に埋め込まれた1つまたは複数の電極を含む。第1の電極205Aは、直流(DC)電源に電気的に結合されたチャッキング電極であり、第2の電極205Bは、デュアル周波数RF電源161に電気的に結合されたRFバイアス付与電極である。第2の電極205Bに与えられる周波数はパルス化され得る。パック200は、セラミック材料、たとえば窒化アルミニウム(AlN)など、誘電体材料から形成される。
【0042】
パックは誘電体プレート210とベースプレート215とによって支持される。誘電体プレート210は、石英など、電気絶縁性材料から、またはREXOLITE(登録商標)という商品名で販売されている高性能プラスチックなど、熱可塑性材料から形成され得る。ベースプレート215は、アルミニウムなど、金属材料から製造され得る。工程中、ベースプレート215は、パック200がRFホットである間に、接地に結合されるか、電気的に浮いている。少なくともパック200および誘電体プレート210は絶縁体リング220によって囲まれる。絶縁体リング220は、石英、シリコン、またはセラミック材料など、誘電体材料から製造され得る。ベースプレート215、および絶縁体リング220の一部分は、アルミニウムから製造された接地リング225によって囲まれる。絶縁体リング220は、工程中にパック200とベースプレート215との間のアーク放電を低減するか、またはなくす。施設ケーブル178の端部は、パック200と誘電体プレート210とベースプレート215との中に形成された開口中に示されている。パック200の電極205Aおよび205Bのための電力、ならびにガス供給源から基板支持体115への流体は施設ケーブル178によって与えられる。
【0043】
エッジリング235が絶縁体リング220の内周に隣接して配設される。エッジリング235は、とりわけ、石英、シリコン、架橋ポリスチレンおよびジビニルベンゼン(たとえば、REXOLITE(登録商標))、PEEK、Al2O3、AINなど、誘電体材料を含み得る。そのような誘電体材料を含むエッジリング235を利用することにより、プラズマ結合を調整することと、プラズマパワーを変更する必要なしに、基板支持体115上の電圧(Vdc)など、プラズマ特性を調整することとを容易にし、それにより、(基板145など)基板上に堆積されるハードマスク膜についての特性の改善が促進される。エッジリング235の材料を通して基板145へのRF結合を調整することによって、膜の弾性率を膜の応力から分離することができる。
【0044】
図3は、一実施形態による、基板処理システム301の概略図である。基板処理システム301は、
図1に示された基板処理システム101と同様であり、それの態様、特徴、構成要素、および/または特性のうちの1つまたは複数を含む。
図3に示された実施形態では、遠隔プラズマ源150は省略され、1つまたは複数の清浄化ガス源155が処理ボリューム160に清浄化ガスを導入する間に、処理ボリューム160中に清浄化プラズマを励起させるために、清浄化工程中に平面コイル310が(第3のRF電源165ありまたはなしで)使用される。平面コイルは、清浄化工程中に原位置で清浄化プラズマを生成するために使用される。
【0045】
図4は、一実施形態による、基板を処理する方法400の概略流れ図である。工程402は処理チャンバの処理ボリュームに1種または複数種の処理ガスを導入することを含む。1種または複数種の処理ガスはアセチレン(C
2H
2)およびヘリウム(He)を含む。
【0046】
工程404は、処理ボリューム中に配設された基板支持体上に支持された基板上に膜を堆積することを含む。膜を堆積することは、1種または複数種の処理ガスのイオンを生成するためにプラズマを使用して1種または複数種の処理ガスをイオン化することと、基板をイオンで衝撃することとを含み得る。膜はアモルファス炭素膜である。膜は3000オングストローム以上の厚さまで堆積される。膜は1つまたは複数の層上に堆積することができ、1つまたは複数の層は酸化物および/または窒化物を含む。
【0047】
工程406は、基板支持体の1つまたは複数のバイアス電極に第1の無線周波数(RF)電力と第2のRF電力とを同時に供給することを含む。第1のRF電力は第1のRF周波数を含み、第2のRF電力は、第1のRF周波数よりも低い第2のRF周波数を含む。第1のRF周波数は13MHz~14MHzなど、11MHz~15MHzの範囲内であり、第2のRF周波数は1.95MHz~2.05MHzなど、1.8MHz~2.2MHzの範囲内である。他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、第1のRF周波数は13MHz、13.56MHz、または14MHzであり、第2のRF周波数は2.0MHzである。本開示は、第1のRF周波数を26MHz、40MHz、60MHz、または100MHzなど、より高くすることができることを企図する。本開示は、第2のRF周波数を350KHzなど、より低くすることができることを企図する。
【0048】
第1のRF電力および第2のRF電力の各々は500W~10kWの範囲内である。他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、第1のRF電力は1.5kW~1.7kWの第1の電力範囲内であり、第2のRF電力は400W~600Wの第2の電力範囲内である。他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、第1のRF電力は1.6kWであり、第2のRF電力は500Wである。第1のRF電力は、処理ボリューム中で、反応種を有するプラズマと、十分なイオン密度とを生成することを促進し、第2のRF電力は、処理ボリューム中のイオンを、イオン衝撃のために、処理される基板のほうに引きつけることを促進する。第1のRF電力および第2のRF電力の値は処理ガスのイオンの電荷に応じて負または正になり得る。イオンが負に帯電している場合は、第1のRF電力および第2のRF電力の値は正である。イオンが正に帯電している場合は、第1のRF電力および第2のRF電力の値は負である。
【0049】
第2のRF周波数は第1のRF周波数に対する第2のRF周波数の周波数比範囲内であり、周波数比範囲は0.1~0.2である。例として、第1のRF周波数が13MHzである一実施形態では、第2のRF周波数は周波数比範囲により1.3MHz~2.6MHzの範囲内である。(第1のRF周波数と第2のRF周波数とを合計することによって決定される)全体のバイアス周波数は18MHz以下である。他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、第1のRF電力は第1の電圧を含み、第2のRF電力は、第1の電圧よりも低い第2の電圧を含む。第1の電圧および第2の電圧の各々は直流(DC)電圧である。本開示は、第2の電圧が第1の電圧に等しいかまたはそれよりも大きくなり得ることを企図する。他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、工程402、工程404、および工程406は同時に行われる。
【0050】
膜の弾性率は、工程404の堆積の間、ならびに工程406の第1のRF電力と第2のRF電力とを同時に供給している間、所定の弾性率範囲内に維持される。弾性率はヤング率である。所定の弾性率範囲は195GPa以上である。膜の圧縮応力は500MPa~1500MPaの範囲内に維持される。圧縮応力の値は、応力が圧縮性であるので負の値と考えられ得るが、本明細書では圧縮応力の値を正の値として説明する。
【0051】
膜の弾性率はある弾性率比に維持される。弾性率比は膜の圧縮応力に対する弾性率の比である。弾性率比は、弾性率を圧縮応力で除算することによって決定される値である。例として、圧縮応力が687MPaであり、弾性率が199GPaである実施形態では、弾性率比は約289である。弾性率比は200以上になるように維持される。他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、弾性率比は185~300の弾性率比範囲内である。堆積された膜はダイヤモンド状炭素膜であり得る。
【0052】
工程406の第1のRF電力と第2のRF電力とを供給することは工程404の堆積と同時に行われる。堆積中、1種または複数種の処理ガスは、1つまたは複数の反応種を有する1つまたは複数のプラズマを生成するために、第1のRF電力を使用して生成された第1のRF場によってイオン化される。1つまたは複数のプラズマは1つまたは複数の容量結合プラズマであり得る。1つまたは複数のプラズマは、1つまたは複数の電子、1つまたは複数のイオン、および/あるいは1つまたは複数のラジカルを含み得る。膜は、1つまたは複数のプラズマからのイオンのエネルギー衝撃と、1つまたは複数のプラズマと基板の表面材料との間の化学反応とを使用して、基板上に堆積される。第1のRF電力は、1つまたは複数のプラズマの1つまたは複数の反応種を生成することと、1つまたは複数のプラズマのために十分なイオン密度を与えることとを促進するために使用される。第2のRF電力は、堆積された膜の応力の低減のためにイオン衝撃の向上を促進する。
【0053】
任意選択の工程410は、処理チャンバを清浄化することを含む。清浄化することは、処理チャンバの内面から汚染物質および/または膜を除去することを含む。清浄化することは、処理チャンバのふたアセンブリに第3のRF電力を供給することを含む。第3のRF電力は、40MHz以上である第3の周波数を含む。
図5は、一実施形態による、グラフ500の概略図である。グラフ500は、堆積試験工程中に、本明細書で開示するパラメータを使用してプロットされる、第1のプロファイル501を含む。第2のプロファイル502は他のパラメータを使用してプロットされる。第2のプロファイル502によれば、堆積された膜の弾性率は、膜の圧縮応力が低減されると低減される。第1のプロファイル501によれば、堆積された膜の弾性率は、堆積された膜の圧縮応力が低減されたときに(第2のプロファイル502に対して)維持される。第1のプロファイル501を生成するために、第1のRF周波数、第2のRF周波数、第1の電力範囲、第2の電力範囲、周波数比範囲、第2の距離180B、堆積温度、および堆積圧など、本明細書で説明するパラメータを使用した。
【0054】
例として、第1のプロファイル501の3つのポイント511-513を作成するために、1.6kWの第1のRF電力、13MHzの第1のRF周波数、2MHzの第2のRF周波数、4.0インチの第2の距離180B、セ氏10度の堆積温度、および4mトールの堆積圧を使用した。第1のポイント511のために0Wの第2のRF電力を使用し、その結果、圧縮応力が1056MPaになり、弾性率が202.5GPaになった。第2のポイント512のために200Wの第2のRF電力を使用し、その結果、圧縮応力が848MPaになり、弾性率が201.6GPaになった。第3のポイント513のために500Wの第2のRF電力を使用し、その結果、圧縮応力が687MPaになり、弾性率が197.3GPaになった。したがって、第2のプロファイル502の弾性率の低減に対して弾性率を維持しながら、第1のプロファイル501に沿って圧縮応力を低減することができる。たとえば、687MPaの同じ圧縮応力において、第2のプロファイル502により、より低い弾性率値の約188GPaになる。
【0055】
(第2のプロファイル502に示されているように)膜の圧縮応力を低減することにより、膜の弾性率が実質的に低減されるであろうと以前は考えられていたので、
図5の第1のプロファイル501に示されているように、本明細書で説明する主題により、予想外の結果が促進される。(第1のRF周波数、第2のRF周波数、第1の電力範囲、第2の電力範囲、周波数比範囲、第2の距離180B、堆積温度、および堆積圧など)本明細書で開示するパラメータにより、予想外の結果が促進される。
【0056】
本開示の利益は、堆積された膜の弾性率と、膜のうねりの低減と、膜および基板の変形の低減と、ハードマスクのためのエッチング性能の向上と、デバイス性能の向上とを維持しながら、堆積された膜の圧縮応力を低減することを含む。
【0057】
例として、(第1のRF電力と第2のRF電力とを使用することによってなど)本開示は、弾性率を(195GPa以上の範囲など)所定の範囲内に維持しながら、膜応力の35%の低減を促進すると考えられる。別の例として、第1のRF周波数よりも低い第2のRF周波数をもつ、第1の電圧よりも低い第2の電圧は、堆積された膜の弾性率(たとえば、ヤング率)を維持しながら、膜の圧縮応力を低減するために、膜堆積およびイオン衝撃の向上を促進すると考えられる。
【0058】
本明細書で開示する1つまたは複数の態様が組み合わせられ得ることが企図される。例として、基板処理システム101、基板処理システム301、方法400、および/またはグラフ500の1つまたは複数の態様、特徴、構成要素、および/あるいは特性が組み合わせられ得る。その上、本明細書で開示する1つまたは複数の態様は上述の利益の一部または全部を含み得ることが企図される。
【0059】
上記は本開示の実施形態を対象とするが、本開示の他のおよびさらなる実施形態が、それの基本範囲から逸脱することなく考案され得る。本開示はまた、本明細書で説明した実施形態の1つまたは複数の態様が、説明した他の態様のうちの1つまたは複数に置き換えられ得ることを企図する。本開示の範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。
【国際調査報告】