IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

特表2024-526905基板上に酸化ガリウム層を生成する方法
<>
  • 特表-基板上に酸化ガリウム層を生成する方法 図1a
  • 特表-基板上に酸化ガリウム層を生成する方法 図1b
  • 特表-基板上に酸化ガリウム層を生成する方法 図2
  • 特表-基板上に酸化ガリウム層を生成する方法 図3
  • 特表-基板上に酸化ガリウム層を生成する方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】基板上に酸化ガリウム層を生成する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/365 20060101AFI20240711BHJP
   C23C 16/40 20060101ALI20240711BHJP
   C23C 16/52 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
H01L21/365
C23C16/40
C23C16/52
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503643
(86)(22)【出願日】2022-07-12
(85)【翻訳文提出日】2024-02-02
(86)【国際出願番号】 EP2022069433
(87)【国際公開番号】W WO2023001630
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】21187231.2
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599119503
【氏名又は名称】ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Siltronic AG
【住所又は居所原語表記】Einsteinstrasse 172,81677 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハックル,バルター
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,タ-シュン
(72)【発明者】
【氏名】ポップ,アンドレアス
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA11
4K030AA14
4K030AA16
4K030BA42
4K030CA12
4K030EA04
4K030FA10
4K030GA02
4K030GA05
4K030JA06
4K030JA09
4K030JA10
4K030JA12
4K030KA36
4K030KA39
4K030KA41
4K030LA12
5F045AA04
5F045AB40
5F045AC07
5F045AC09
5F045AC11
5F045AC16
5F045AD11
5F045AD12
5F045AE21
5F045AE23
5F045AF09
5F045AF13
5F045CA18
5F045EF05
5F045EM10
5F045GB04
5F045GB09
5F045GB10
5F045GB15
(57)【要約】
基板上にβ-GaO層を成長させる方法であって、(1)基板を提供することと、(2)酸素およびGaを含む前駆体を使用して第1の成長速度で第1の堆積サイクルを実施することであって、前記第1の堆積サイクルが、β-GaOの少なくとも3原子層および最大でβ-GaOの20原子層の厚さを有し、層表面反射率の回帰曲線が、測定された第1の層表面反射率と対応する第1の層厚との複数のタプルを使用して決定されることと、(3)第2の層厚および第2の層表面反射率の測定を含む第2の堆積サイクルであって、前記第1の成長速度に補正係数Fを乗じて決定される所定の第2の成長速度を有し、前記補正係数Fが、Ll=0.995-Ref×0.475として計算される下限値Llよりも大きく、Lu=1-Ref×0.25として計算される上限Luよりも小さく、式中、Refが、前記測定された第2の層表面反射率と、前記第2の層厚で評価された前記回帰曲線から推定された層表面反射率との商から計算される無次元層表面反射率指数を表す、第2の堆積サイクルと、を含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にβ-GaO層を成長させる方法であって、
(1)基板を提供することと、
(2)酸素およびGaを含む前駆体を使用して第1の成長速度で第1の堆積サイクルを実施することであって、前記第1の堆積サイクルが、β-GaOの少なくとも3原子層および最大でβ-GaOの20原子層の厚さを有し、
層表面反射率の回帰曲線が、測定された第1の層表面反射率と対応する第1の層厚との複数のタプルを使用して決定されることと、
(3)第2の層厚および第2の層表面反射率の測定を含む第2の堆積サイクルであって、前記第1の成長速度に補正係数Fを乗じて決定される所定の第2の成長速度を有し、
前記補正係数Fが、
Ll=0.995-Ref×0.475として計算される下限値Llよりも大きく、
Lu=1-Ref×0.25として計算される上限Luよりも小さく、
式中、Refが、前記測定された第2の層表面反射率と、前記第2の層厚で評価された前記回帰曲線から推定された層表面反射率との商から計算される無次元層表面反射率指数を表す、第2の堆積サイクルと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記反射率測定が、波長500nm未満を有する光源を使用したリフレクタンス計を用いて行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記回帰曲線が直線であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
Gaを含む前記前駆体がトリエチルガリウムであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記所定の第2の成長速度が、ガリウムと酸素のモル比によって調整されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記所定の第2の成長速度が、ガリウムと酸素のモル比と、高温計を使用して測定される前記基板の堆積温度とによって調整されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明は、改善された電気的特性を有する、基板上にβ-GaOの層を成長させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
高品質のβ-GaO薄膜の成長は、4.9eVまでの大きなバンドギャップ、8MV/cmまでの高い破壊電界、ならびにその広範囲の電子デバイスおよび電気光学デバイス用途を含むその優れた特性のために、最近多くの注目を集めている。
【0003】
SiCおよびGaNなどの他のワイドバンドギャップ材料とは異なり、高品質のβ-GaO単結晶を溶融物から直接成長させることができ、基板製造コストをより経済的にする。パルスレーザ堆積(PLD)、原子層堆積(ALD)、分子線エピタキシー(MBE)および有機金属気相エピタキシー(MOVPE)を含む、デバイス製造要件を満たすためのβ-GaO層の堆積のための多くの技術が研究されてきた。これらの技術の中でも、MOVPEによるβ-GaO層の堆積は、デバイストポグラフィにわたる均一な堆積および大規模生産の能力を含む、デバイス製造のための多くの利点を提供する。
【0004】
N.M.Sbrockeyら(N.M.Sbrockey、T.Salagaj、E.Coleman、G.S.Tompa、Y.Moon、およびM.S.I.K.Kim、「Large-Area MOCVD Growth of Ga2O3 in a Rotating Disc Reactor」、J.Electron.Mater.、vol.44、no.5、pp.1357~1360、2015、doi:10.1007/s11664-014-3566-7.)およびA.Bhattacharyyaら(A.Bhattacharyya、P.Ranga、S.Roy、J.Ogle、L.Whittaker-Brooks、およびS.Krishnamoorthy、「Low temperature homoepitaxy of(010)β-Ga2O3 by metalorganic vapor phase epitaxy:Expanding the growth window」、Appl.Phys.Lett.、vol.117、no.September、2020、doi:10.1016/j.jcrysgro.2019.01.018.)は、MOVPEについての現況技術プロセスを記載している。
【0005】
(100)β-GaOのホモエピタキシャルに成長した薄層の成長モードは、以下の3つのカテゴリに分類することができる。(1)ステップフロー、(2)ステップバンチング、および(3)二次元島成長。ステップフロー成長モードは、改善された電気的特性を有する層の成長を可能にするため、最も望ましい。
【0006】
Bin Anoozら(Bin Anoz,S.ら「Step flow growth of β-Ga2O3 thin films on vicinal(100)β-Ga2O3substrates grown by MOVPE」Appl.Phys.Lett.116、182106、doi 10.1063/5.0005403(2020))は、滑らかな層表面および高い結晶品質をもたらすステップフロー成長モードは、層表面上の拡散長がテラスの幅にほぼ対応する場合にのみ達成することができることを報告した。そうでない場合、二次元島またはステップバンチングが得られ、その結果、結晶品質が低下し、電子のホール移動度が低下する。O/Ga比、Arプッシュガスフロー、およびチャンバ圧力などの成長パラメータを変化させることにより、ステップフロー成長モードが様々なミスカット角度を達成できるように拡散長を調整することができた。
【0007】
層の表面の得られた品質は、ウエハのさらなる処理に不可欠である。現況技術は、層が設けられたウエハの品質を測定するため、したがって、それらの品質を評価するための多くの可能性を提供する。Bin Anoozらは、例えば、原子間力顕微鏡(AFM)を利用して、成長中に生じ得る異なる成長モード(すなわち、ステップフロー成長、二次元島成長またはステップバンチング)を区別することができることを示している。残念ながら、AFMを使用するための前提条件は、ウエハ上の層の成長が既に終了していることである。
【0008】
さらに、従来技術は、堆積中の表面の品質の指標を得るための適切な測定技術に対するいかなる参照も提供していない。
【0009】
堆積ステップが終了した後にのみ、半導体ウエハの品質を決定することができ、これは、より多くの半導体ウエハを廃棄しなければならないことを意味し、これは、堆積プロセス中の早期に何らかの偏差が検出された場合には当てはまらなかったであろう。堆積プロセス中に偏差が検出された場合、介入することが可能であり、それが失敗したように見える場合に堆積プロセスを早期に停止するか、または必要とされる品質を達成するために修正を行うことが可能である。プロセスを早期段階に停止するだけでも、時間が節約され、したがって経済効率が向上するという利点がもたらされる。
【0010】
堆積プロセス、特に工業環境では、理論的に理想的なプロセス制御からの偏差が必然的に生じる。これらの偏差は、系統的または統計的な性質のものであり得る。堆積プロセスにかかる時間が長いほど、統計的偏差が品質の損失を引き起こす可能性が高くなる。これは本質的に、品質を無視する必要なく大きな膜厚を達成することは事実上不可能であることを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、品質問題のために、生産された材料の高い割合の損失を回避することが非常に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
概要
本発明によれば、独立請求項の特徴を有する、基板上に酸化ガリウム層(β-GaO)を生成する方法が提案される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1a】4点の接点、すなわちA、B、C、Dを有する正方形の形状の試料についてのvan der Pauw法の概略図である。電圧(V)は、2点の電流(I)接点に対向する2点の隣接する接点間で測定される。これらの構成は、正電流および負電流でそれぞれ両方向で測定された。
図1b】正方形の形状の試料についてのホール測定方法の概略図:電圧(VCA)は、2点の隣接しない接点間で測定される。電圧と直交して、電流(IBD)が他の2点の接点間に印加される。また、電流と直交し、電圧と直交する磁場(B)が印加される。
図2】実証のために、堆積プロセス中に同時に測定した反射率を示す。3つの異なるレーザ波長を使用した(A:405nm、B:633nmおよびC:950nm)。
図3】堆積プロセス中に同時に測定した反射率曲線を、図2に示すように異なるスケールで示す。2つの隣接する最大値または最小値の間の時間差をそれぞれ得るために、洞関数がデータに適合される。
図4】補正係数が換算反射率に応じて好ましくは存在すべき場所である好ましい領域を示す。下の線は関数Ll=0,995-Rs×0.475に対応し、上の線は関数Lu=1,0-Rs×0.25に対応し、式中、Rsはx軸上に示された換算反射率である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
堆積層の抵抗率は、van der Pauw法で測定した。van der Pauw法は、均一な薄い試料の面内シート抵抗を決定する4点法である。この方法は、試料の形状とは無関係である。試料の厚さが分かれば、面内抵抗率を容易に決定することができる。さらに、ホール測定を行うことも可能である。
【0015】
van der Pauw法に対する要件は以下の通りである。
(i)接点は試料の端になければならない。
【0016】
(ii)試料が均一な厚さを有する場合に非常に有利である
(iii)試料にトポロジカルな穴があったり、試料の表面上に粒子があったりしてはならず、膜は自己完結型でなければならない。
【0017】
調査された試料について、要件(1)および(3)が満たされ、要件(2)は、5%の層厚の最大偏差で十分に満たされる。
【0018】
抵抗は、得られたV(I)曲線の傾きを評価することによって計算され、これはオーム接点の保証のための直線性についてチェックされる。水平および垂直構成(図1aを参照されたい)で抵抗を測定する必要がある。抵抗は、
【0019】
【数1】
【0020】
であり、指数は、1つのI(V)スイープの構成を表す。両方の構成は正電流および負電流で測定され、これは完全なオーム挙動で同じ結果をもたらすはずである。
【0021】
次いで、抵抗率は、van der Pauw式
【0022】
【数2】
【0023】
によって計算され、
式中、dは試料の厚さであり、fは超越方程式:
【0024】
【数3】
【0025】
からの形状因子である。
ホール係数は、同じvan der Pauw試料を使用して決定される。電流IBDは、2点の隣接しない接点間に印加され、電圧VCAは、他の2点の接点間で直交して測定される(図1bを参照されたい)。磁場Bは、膜に対して垂直に印加される。
【0026】
したがって、電荷キャリアは、力F
【0027】
【数4】
【0028】
を受け、
式中、Eは電界、vDはドリフト速度およびBは磁場である。
【0029】
ホール係数RHは、以下の式:
【0030】
【数5】
【0031】
に従って、ローレンツ力から発生した電圧によって決定される。
単一キャリア型を有する材料では、ホール係数の符号が電荷キャリアの型をもたらす。正のホール係数は、多数電荷キャリア型が正孔であることを示す。この材料はp型と呼ばれる。ホール係数が負の場合、材料はn型と呼ばれる。β-GaOでは、多数電荷キャリアは電子である。
【0032】
van der Pauw法によって決定された抵抗率を考慮して、電荷キャリア移動度は、以下:
【0033】
【数6】
【0034】
を使用して決定される。
ホール係数を決定するために、印加電流IBDを一定に保ち、磁場Bを-300mTから300mTまで変化させた。測定プロセス中の温度を20℃に保った。
【0035】
本発明者らは、回転サセプタを装備した垂直シャワーヘッドを備えた低圧反応器MOVPEシステム(Structured Materials Industries,Inc.、米国)を使用した。この反応器をn型β-GaO薄膜の堆積に利用した。米国特許第6,289,842号明細書は、この型の反応器について記載している。
【0036】
ガリウム(Ga)トリエチルガリウム(TEGa)について有機金属前駆体として、および任意にSiテトラエチルオルソシリケート(TEOS)によるn型ドーピングについて有機金属前駆体として使用し、一方、O(5N)を酸化剤として使用し、高純度Ar(5N)をキャリアガスとして作用させた。
【0037】
1-0-0の配向を有する高品質の半絶縁性(1×1017AT/cm、Mgドープ)β-GaO基板をチョクラルスキー法によって成長させた。欧州特許第3242965号明細書は、このプロセスに使用される方法について記載している。
【0038】
第2のクラスの試料として、サファイア基板を堆積プロセス中に処理チャンバ内に置いた(寸法5×5×0.5mmのc面AlO)。
【0039】
本発明者らは、薄膜堆積中にin-situリフレクタンスモニタリングを行うことが好ましいことを認識した。これは、Laytec EpiNetシステム(EpiNet 2017、Laytec.ドイツ)を使用して、MOVPEチャンバの上部に埋め込まれた基板に対して直角な窓を通して、405nm、633nm、および950nmでリフレクタンス信号を取得することによって行った。
【0040】
前のセクションで説明したマルチチャネルリフレクタンス計のセットアップで、本発明者らは、膜成長中に基板上の通常の入射光と同時に405nm、633nm、および950nmでリフレクタンススペクトルを測定した。
【0041】
堆積終了後、β-GaO薄膜の成長モードを原子間力顕微鏡(AFM)(Bruker Dimension Icon)により調べた。Si濃度は、RTG Mikroanalyse GmbH Berlinによって実施された二次イオン質量分析(SIMS)によって決定した。電気的データは、InGa共晶オーム接点を用いたVan der Pauw法を使用した室温ホール効果測定(Lake Shore HMS 7504、米国)によって得られた。
【0042】
Bin Anoozらに発表されているように、ホモエピタキシャルに成長した(1-0-0)β-GaO:Si薄膜の成長モードは、以下の3つのカテゴリに分類することができる。
【0043】
(1)ステップフロー
(2)ステップバンチング
(3)二次元島成長
これらの3つの成長モードは、様々な異なるプロセスパラメータによって影響を受けることが知られている。有効拡散長がテラス幅よりも短い場合、二次元島成長が起こり、電気的特性に影響を及ぼすインコヒーレントな双晶境界が形成される。有効拡散長がテラス幅よりも長い場合、ステップバンチングが起こり、粗いファセットが成長し、最終的に拡散長がテラスのオーダーである場合、ステップフロー成長が生じる。
【0044】
有効拡散長は、部分的にはまだ知られていない他の要因の中でも、以下の要因によって影響を受ける可能性がある。
【0045】
(1)β-GaOの(1-0-0)表面上の吸着原子の拡散長は温度依存性である。さらに、それは、前駆体または別の材料(汚染物質)の界面活性剤効果に依存し得る。界面活性剤効果の場合、他の材料の表面上の吸着原子の拡散長は、成長プロセスにおいて支配的である。
【0046】
(2)表面に到達する吸着原子の数。高すぎる吸着原子フラックスは、表面上の2つ以上の吸着原子の核生成およびより遅い拡散を有するこれらの種により、有効拡散長を減少させる。
【0047】
(3)成長中の周囲圧力。
ステップフロー成長モードは、改善された電気的特性を有する層の成長を可能にするため、最も望ましい。一方、二次元島成長は、所望の電気的特性に関して最悪のモードである。
【0048】
しかしながら、成長プロセス中に、例えば(他の理由の中でも)成長装置の変動が非常に容易に起こり、したがって成長モードが好ましくないカテゴリに変化する原因となる可能性がある。
【0049】
プロセスにかかる時間が長いほど、および/または堆積層が厚いほど、所望の電気的特性を有する層が存在する可能性は低くなる。
【0050】
したがって、所望の電気的特性を依然として有する高い堆積厚を達成することは非常に要求が厳しく、非常に高い堆積厚では、有利な電気的特性の利益を犠牲にすることなく実質上不可能である。これらのより高い厚さは、縦型トランジスタを構築するために非常に有利である。
【0051】
本発明者らは、測定したリフレクタンス値の変化を観察することにより、成長モードとリフレクタンス信号との間の関係を相互に関連付けることができることを見出した。彼らはさらに、リフレクタンス値の相対的変化が表面形態の遷移を表すことを認識した。
【0052】
本発明者らはさらに、リフレクタンス分光法の感度が2層成長プロセス中の成長モード遷移を反映することができることを見出した。成長モードの変化は、層間の境界面を形成すると考えられ、追加のリフレクタンス寄与は、成長した膜の全リフレクタンスについて考慮されるべきである。観察された振動の変化を説明するために、より複雑な光学モデルが必要である。しかしながら、詳細はまだ知られていないが、その効果を利用することができる。
【0053】
本発明者らは、上述の問題を解決するための好ましい方法が、以下に記載されるステップを含むことを見出した。
【0054】
堆積のための基板を提供することであって、好ましくは基板はβ-GaOまたはサファイアのいずれかから作製される。より好ましくは、基板は、1-0-0の結晶方位および層のドーピング濃度とは異なるドーピング濃度を有するβ-GaOから作製される。最も好ましくは、基板のドーピング濃度は、層のドーピング濃度と2倍を超えて異なる。さらに、1°~6°のミスカット角度を有することが好ましい。したがって、ドーピング濃度はホール測定によって得られる。
【0055】
リフレクタンス計の光線は、使用する基板の表面上に集光することが好ましい。好ましくは、それは基板の中心に集光される。
【0056】
堆積温度を安定化させることは、均一な周囲温度および基板温度を有するために重要である。好ましくは、基板の温度は、790℃以上850℃以下の値に設定される。より好ましくは、温度は810℃~820℃である。
【0057】
温度を安定化させた後、金属前駆体および酸化剤をプロセスチャンバ内の周囲に添加することによって堆積を開始する。金属前駆体としては、トリエチルガリウム(TEGa)を使用することが好ましい。
【0058】
チャンバ圧力は、好ましくは、40mbar以下10mbar以上に設定される。
さらに、堆積が行われている間、スペクトル記録が有効であることが好ましい。本発明者らは、500nm未満の光の波長を使用すると最良の効果を得ることができることを認識した。本発明者らは、比較のために3つの異なるレーザ源(405nm、633nmおよび950nm)を使用した。彼らは、レーザの波長が低いほど、反射率の望ましくない偏差の効果を早期に検出できることを認識した。しかしながら、科学的に証明されていないが、レーザはいくらかの表面粗さを検出し、したがって、より低い波長は表面粗さの変化に対してより敏感であると仮定される。したがって、500nm未満の波長を有するレーザを使用することが好ましい。
【0059】
本発明者らはさらに、層の厚さが大きくなると、500nmよりも短い波長を使用して成長速度を測定することは非常に困難であることを認識した。彼らはさらに、より低い波長とより長い波長(900nm超)との組み合わせ測定が、問題を克服するために非常に好ましいことを認識した。
【0060】
スペクトル記録は、好ましくは、in-situリフレクタンスモニタリングを使用して実施される。
【0061】
成長速度は、観察された振動から2つの隣接するピークまたは谷の間の時間差をとることによって決定することができる。これは、例えば図3に示されている。次いで、成長速度grは、以下の式:
【0062】
【数7】
【0063】
を使用して計算され、
式中、nはβ-GaOの公称屈折率(したがって、1.9であると仮定される)であり、λ[nm]は使用波長のスペクトルの波長である。
【0064】
酸素およびGaを含む前駆体を使用して、第1の成長速度で第1の堆積サイクルを実施することが好ましい。本発明者らは、第1の堆積サイクルが完全な堆積プロセスと比較してかなり短いことが有用であることを見出した。この第1の堆積サイクル中の本発明者らの知見によれば、実際の堆積実行の基本的な特徴のいくつかを測定および/または推定することが好ましい。好ましくは、第1の堆積サイクルの持続時間は、β-GaOの少なくとも3つの原子層を堆積するのにかかる時間よりも長い(1つの原子層は、300nm~500nmの波長を有する振動の全周期に相当する)。より好ましくは、第1の堆積サイクルの持続時間は、β-GaOの20の原子層を堆積するのにかかる時間より長くない。または、言い換えれば、第1の堆積サイクルの層の厚さについて、β-GaOの少なくとも3つの原子層およびβ-GaOの最大で20の原子層であることが好ましい。
【0065】
好ましくは、層表面反射率の回帰曲線は、測定された第1の層表面反射率と対応する第1の層厚との複数のタプルを使用して決定される。本発明者らは、200を超えるタプルが使用される場合に最良であることを認識した。より多くのタプルが生成されるほど、適合度が向上し、適合の信頼性が高くなる。最も好ましくは、回帰曲線は直線である。
【0066】
好ましくは、第2の堆積サイクル中に、第2の層厚および第2の層表面反射率が測定される。測定された第2の層反射率を、測定された第2の層厚を回帰曲線に挿入することによって得られた回帰曲線の値で割ることによって、換算反射率Rsが計算される。
【0067】
第2の堆積サイクル中の前駆体フラックスは、第1の堆積サイクル中の前駆体フラックスに補正係数を乗じて決定される値に設定される。
【0068】
図4に示すように、補正係数は、好ましくは、Ll=0,995-Rs×0.475として計算される下限Llよりも大きく、Lu=1,0-Rs×0.25として計算される上限Luよりも小さく、式中、Rsは上記で定義された換算反射率である。
【0069】
本発明者らは、堆積層の所望の品質に有害な成長モードを防止するために、上述の手順に従って成長中に前駆体フラックスを調整することが有益であることを認識した。言い換えれば、この手順は、好ましい動作ウインドウにおける成長を維持する。
図1a
図1b
図2
図3
図4
【国際調査報告】