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特表2024-526990付着増進層がコーティングされた正極集電体の製造方法及びそれによって製造された付着増進層がコーティングされた正極集電体、リチウム二次電池用正極の製造方法及びそれによって製造されたリチウム二次電池用正極並びに当該リチウム二次電池用正極を含むリチウム二次電池
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  • 特表-付着増進層がコーティングされた正極集電体の製造方法及びそれによって製造された付着増進層がコーティングされた正極集電体、リチウム二次電池用正極の製造方法及びそれによって製造されたリチウム二次電池用正極並びに当該リチウム二次電池用正極を含むリチウム二次電池 図1
  • 特表-付着増進層がコーティングされた正極集電体の製造方法及びそれによって製造された付着増進層がコーティングされた正極集電体、リチウム二次電池用正極の製造方法及びそれによって製造されたリチウム二次電池用正極並びに当該リチウム二次電池用正極を含むリチウム二次電池 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】付着増進層がコーティングされた正極集電体の製造方法及びそれによって製造された付着増進層がコーティングされた正極集電体、リチウム二次電池用正極の製造方法及びそれによって製造されたリチウム二次電池用正極並びに当該リチウム二次電池用正極を含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/66 20060101AFI20240711BHJP
   H01M 4/1397 20100101ALI20240711BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20240711BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
H01M4/66 A
H01M4/1397
H01M4/58
H01M4/62 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504235
(86)(22)【出願日】2022-10-24
(85)【翻訳文提出日】2024-01-23
(86)【国際出願番号】 KR2022016295
(87)【国際公開番号】W WO2023080514
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】10-2021-0150118
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0150119
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ミン-ス・キム
(72)【発明者】
【氏名】ス-ジン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュン-ヒョン・ソ
(72)【発明者】
【氏名】スン-ファ・ジュン
【テーマコード(参考)】
5H017
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017AS10
5H017BB08
5H017BB12
5H017BB14
5H017DD06
5H017EE01
5H017EE05
5H017EE07
5H017EE10
5H017HH00
5H017HH01
5H017HH03
5H017HH08
5H050AA07
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA01
5H050CB02
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB11
5H050CB12
5H050DA04
5H050DA08
5H050DA11
5H050EA10
5H050EA24
5H050GA02
5H050GA10
5H050GA22
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA04
5H050HA11
5H050HA14
(57)【要約】
本発明は、融点が50~150℃であるポリビニリデンフルオライド系高分子粒子を含む第1バインダー高分子と第1導電材を、0.5:1~8:1の重量比で含む水系スラリーを準備する段階と、前記水系スラリーを金属集電体の少なくとも一面にコーティングし、前記ポリビニリデンフルオライド系高分子粒子の融点よりも高い温度で熱処理して乾燥することで付着増進層を形成する段階と、を含む、付着増進層がコーティングされた正極集電体の製造方法を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
融点が50~150℃であるポリビニリデンフルオライド系高分子粒子を含む第1バインダー高分子と第1導電材を、0.5:1~8:1の重量比で含む水系スラリーを準備する段階と、
前記水系スラリーを金属集電体の少なくとも一面にコーティングし、前記ポリビニリデンフルオライド系高分子粒子の融点よりも高い温度で熱処理して乾燥することで付着増進層を形成する段階と、を含む、付着増進層がコーティングされた正極集電体の製造方法。
【請求項2】
前記ポリビニリデンフルオライド系高分子の融点が、70~150℃であることを特徴とする、請求項1に記載の付着増進層がコーティングされた正極集電体の製造方法。
【請求項3】
前記ポリビニリデンフルオライド系高分子が、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンの共重合体であることを特徴とする、請求項1に記載の付着増進層がコーティングされた正極集電体の製造方法。
【請求項4】
前記ポリビニリデンフルオライド系高分子の重量平均分子量が、700,000~1,300,000であることを特徴とする、請求項1に記載の付着増進層がコーティングされた正極集電体の製造方法。
【請求項5】
前記ポリビニリデンフルオライド系高分子粒子の平均粒径が、10nm~3μmであることを特徴とする、請求項1に記載の付着増進層がコーティングされた正極集電体の製造方法。
【請求項6】
前記ポリビニリデンフルオライド系高分子粒子の平均粒径が100nm~1,000nmであり、前記第1導電材の平均粒径が10nm~1,000nmであることを特徴とする、請求項1に記載の付着増進層がコーティングされた正極集電体の製造方法。
【請求項7】
前記ポリビニリデンフルオライド系高分子粒子の平均粒径が、前記第1導電材の平均粒径の3~20倍であることを特徴とする、請求項6に記載の付着増進層がコーティングされた正極集電体の製造方法。
【請求項8】
前記乾燥は、ポリビニリデンフルオライド系高分子粒子の融点よりも10~80℃高い温度で行われることを特徴とする、請求項1に記載の付着増進層がコーティングされた正極集電体の製造方法。
【請求項9】
金属集電体と、
前記金属集電体の少なくとも一面に形成され、第1バインダー高分子及び第1導電材を0.5:1~8:1の重量比で含む付着増進層を含み、
前記第1バインダー高分子は、ポリビニリデンフルオライド系高分子を含み、
前記第1バインダー高分子は、前記金属集電体の表面に島状で分散して位置し、
前記ポリビニリデンフルオライド系高分子の融点が50~150℃であることを特徴とする、付着増進層がコーティングされた正極集電体。
【請求項10】
前記ポリビニリデンフルオライド系高分子の融点が、70~150℃であることを特徴とする、請求項9に記載の付着増進層がコーティングされた正極集電体。
【請求項11】
前記ポリビニリデンフルオライド系高分子が、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンの共重合体であることを特徴とする、請求項9に記載の付着増進層がコーティングされた正極集電体。
【請求項12】
前記ポリビニリデンフルオライド系高分子の重量平均分子量が、700,000~1,300,000であることを特徴とする、請求項9に記載の付着増進層がコーティングされた正極集電体。
【請求項13】
請求項1から8のいずれか一項に記載の製造方法により、付着増進層がコーティングされた正極集電体を製造する段階と、
前記付着増進層の上に、正極活物質、第2導電材及び第2バインダー高分子を含む正極活物質層を積層して前記付着増進層と付着する段階と、を含む、リチウム二次電池用正極の製造方法。
【請求項14】
前記金属集電体がアルミニウムからなり、前記正極活物質が下記の化学式1で表される正極活物質であることを特徴とする、請求項13に記載のリチウム二次電池用正極の製造方法。
[化学式1]
Li1+aFe1-x(PO4-b)X
(Mは、Al、Mg、Ni、Co、Mn、Ti、Ga、Cu、V、Nb、Zr、Ce、In、Zn及びYからなる群より選択される一つ以上の元素であり、Xは、F、S及びNからなる群より選択される一つ以上の元素であり、-0.5≦a≦+0.5、0≦x≦0.5、0≦b≦0.1である。)
【請求項15】
前記第2バインダー高分子が、ポリビニリデンフルオライド、ポリ(ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン)及びポリ(ビニリデンフルオライド-クロロトリフルオロエチレン)からなる群より選択された一種以上であることを特徴とする、請求項13に記載のリチウム二次電池用正極の製造方法。
【請求項16】
前記付着増進層の厚さが、前記金属集電体の一面上の付着増進層を基準にして50~5,000nmであり、前記正極活物質層の厚さが、前記付着増進層の一面上の正極活物質層を基準にして40~200μmであることを特徴とする、請求項13に記載のリチウム二次電池用正極の製造方法。
【請求項17】
請求項9から12のいずれか一項に記載の付着増進層がコーティングされた正極集電体と、
前記付着増進層に付着され、正極活物質、第2導電材及び第2バインダー高分子を含む正極活物質層と、を含む、リチウム二次電池用正極。
【請求項18】
前記金属集電体がアルミニウムからなり、前記正極活物質が下記の化学式1で表される正極活物質であることを特徴とする、請求項17に記載のリチウム二次電池用正極。
[化学式1]
Li1+aFe1-x(PO4-b)X
(Mは、Al、Mg、Ni、Co、Mn、Ti、Ga、Cu、V、Nb、Zr、Ce、In、Zn及びYからなる群より選択される一つ以上の元素であり、Xは、F、S及びNからなる群より選択される一つ以上の元素であり、-0.5≦a≦+0.5、0≦x≦0.5、0≦b≦0.1である。)
【請求項19】
前記第2バインダー高分子は、ポリビニリデンフルオライド、ポリ(ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン)及びポリ(ビニリデンフルオライド-クロロトリフルオロエチレン)からなる群より選択された一種以上であることを特徴とする、請求項17に記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項20】
前記付着増進層の厚さが、前記金属集電体の一面上の付着増進層を基準にして50~5,000nmであり、前記正極活物質の厚さが、前記付着増進層の一面上の正極活物質層を基準にして40~200μmであることを特徴とする、請求項17に記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項21】
請求項17に記載の正極を含む、リチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付着増進層がコーティングされた正極集電体の製造方法及びそれによって製造された付着増進層がコーティングされた正極集電体、リチウム二次電池用正極の製造方法及びそれによって製造されたリチウム二次電池用正極並びに当該リチウム二次電池用正極を含むリチウム二次電池に関する。
【0002】
本出願は、2021年11月03日出願の韓国特許出願第10-2021-0150118号及び2021年11月03日出願の韓国特許出願第10-2021-0150119号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
最近、携帯電話、ノートブックPC、電気自動車など、電池を使用する電子機器の急速な普及に伴い、小型かつ軽量でありながらも相対的に高容量の二次電池の需要が急増しつつある。特に、リチウム二次電池は、軽量であり、かつ高エネルギー密度を有していることから、携帯機器の駆動電源として脚光を浴びている。これによって、リチウム二次電池の性能向上のための研究開発が盛んに進んでいる。
【0004】
リチウム二次電池は、リチウムイオンの挿入(intercalations)及び脱離(deintercalation)が可能な活物質からなる正極と負極との間に有機電解液またはポリマー電解液を充填した状態でリチウムイオンが正極及び負極で挿入/脱離するときの酸化と還元反応によって電気エネルギーが生成される。
【0005】
リチウム二次電池の正極は、通常、正極活物質、導電材、バインダー高分子及び溶媒を含む正極活物質スラリーをアルミニウムのような金属からなる正極集電体に塗布及び乾燥して正極活物質層を形成することで製造される。具体的には、正極は、正極活物質スラリーを構成する各材料を計量(wheighing)及び混合(mixing)し、正極集電体に塗布(coating)及び乾燥(drying)した後、圧延(pressing)することで製造される。
【0006】
製造された正極は、後工程によってリチウム二次電池として組み立てられるが、正極活物質層と集電体との接着力が弱くて正極活物質が脱離する現象が発生する恐れがある。このような問題点は、正極活物質としてリチウムリン酸鉄系の正極活物質を使用するか、または活物質のサイズが小さいほど深刻になる。
【0007】
このような問題点を解決するために、正極活物質層を集電体に形成する前、集電体の上にバインダー高分子を含む付着増進層を形成する方法が提案されたが、より堅固に正極活物質層を集電体の上に接着させ、かつ低い界面抵抗を有する付着増進層の開発が求められる。
【0008】
また、コーティングされた付着増進層形成用スラリーの乾燥時に使用されるエネルギーを低減し、かつ電解液を含むリチウム二次電池に適用するに際し、電極との接着力が維持可能なリチウム二次電池の製造も求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一態様によって解決しようとする課題は、正極活物質層と集電体との接着力を改善し、かつ低い界面抵抗を有する付着増進層がコーティングされた正極集電体の製造方法及びそれによって製造された付着増進層がコーティングされた正極集電体、リチウム二次電池用正極の製造方法及びそれによって製造されたリチウム二次電池用正極並びに当該リチウム二次電池用正極を含むリチウム二次電池を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の態様によって解決しようとする課題は、コーティングされた付着増進層形成用の水系スラリーの乾燥時に使用されるエネルギーを低減し、かつ電解液を含むリチウム二次電池への適用時、電極との接着力が維持可能な付着増進層がコーティングされた正極集電体の製造方法及びそれによって製造された付着増進層がコーティングされた正極集電体、リチウム二次電池用正極の製造方法及びそれによって製造されたリチウム二次電池用正極並びに当該リチウム二次電池用正極を含むリチウム二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一面では、下記の具現例による付着増進層がコーティングされた正極集電体の製造方法を提供する。
【0012】
第1具現例は、
融点が50~150℃であるポリビニリデンフルオライド系高分子粒子を含む第1バインダー高分子と第1導電材を、0.5:1~8:1の重量比で含む水系スラリーを準備する段階と、
前記水系スラリーを金属集電体の少なくとも一面にコーティングし、前記ポリビニリデンフルオライド系高分子粒子の融点よりも高い温度で熱処理して乾燥することで付着増進層を形成する段階と、を含む、付着増進層がコーティングされた正極集電体の製造方法に関する。
【0013】
第2具現例は、第1具現例において、
前記ポリビニリデンフルオライド系高分子の融点が70~150℃、より具体的には90~150℃であることを特徴とする付着増進層がコーティングされた正極集電体の製造方法に関する。
【0014】
第3具現例は、第1具現例または第2具現例において、
前記ポリビニリデンフルオライド系高分子は、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンの共重合体であることを特徴とする、付着増進層がコーティングされた正極集電体の製造方法に関する。
【0015】
第4具現例は、第1具現例から第3具現例のいずれか一具現例において、
前記ポリビニリデンフルオライド系高分子の重量平均分子量は700,000~1,300,000であり、より具体的には800,000~1,100,000であることを特徴とする付着増進層がコーティングされた正極集電体の製造方法に関する。
【0016】
第5具現例は、第1具現例から第4具現例のいずれか一具現例において、
前記ポリビニリデンフルオライド系高分子粒子の平均粒径が10nm~3μmであることを特徴とする付着増進層がコーティングされた正極集電体の製造方法に関する。
【0017】
第6具現例は、第1具現例から第5具現例のいずれか一具現例において、
前記ポリビニリデンフルオライド系高分子粒子の平均粒径が100nm~1,000nmであり、前記第1導電材の平均粒径が10nm~1,000nmであることを特徴とする付着増進層がコーティングされた正極集電体の製造方法に関する。
【0018】
第7具現例は、第6具現例において、前記ポリビニリデンフルオライド系高分子粒子の平均粒径は、前記第1導電材の平均粒径の3~20倍であることを特徴とする付着増進層がコーティングされた正極集電体の製造方法に関する。
【0019】
第8具現例は、第1具現例から第7具現例のいずれか一具現例において、
前記乾燥は、ポリビニリデンフルオライド系高分子粒子の融点よりも10~80℃高い温度で行われることを特徴とする付着増進層がコーティングされた正極集電体の製造方法に関する。
【0020】
本発明の他面によれば、下記具現例による付着増進層がコーティングされた正極集電体を提供する。
【0021】
第9具現例は、
金属集電体と、
前記金属集電体の少なくとも一面に形成され、第1バインダー高分子及び第1導電材を0.5:1~8:1の重量比で含む付着増進層を含み、
前記第1バインダー高分子は、ポリビニリデンフルオライド系高分子を含み、
前記第1バインダー高分子は、前記金属集電体の表面に島状で分散して位置し、
前記ポリビニリデンフルオライド系高分子の融点が50~150℃であることを特徴とする付着増進層がコーティングされた正極集電体に関する。
【0022】
第10具現例は、第9具現例において、
前記ポリビニリデンフルオライド系高分子の融点が70~150℃、より具体的には、90~150℃であることを特徴とする付着増進層がコーティングされた正極集電体に関する。
【0023】
第11具現例は、第9具現例または第10具現例において、
前記ポリビニリデンフルオライド系高分子は、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンの共重合体であることを特徴とする付着増進層がコーティングされた正極集電体に関する。
【0024】
第12具現例は、第9具現例から第11具現例のいずれか一具現例において、
前記ポリビニリデンフルオライド系高分子の重量平均分子量は700,000~1,300,000であり、より具体的には、800,000~1,100,000ことを特徴とする付着増進層がコーティングされた正極集電体に関する。
【0025】
本発明の他面では、下記具現例によるリチウム二次電池用正極の製造方法を提供する。
【0026】
第13具現例は、
第1具現例から第8具現例のいずれか一具現例に記載の製造方法により、付着増進層がコーティングされた正極集電体を製造する段階と、
前記付着増進層の上に、正極活物質、第2導電材及び第2バインダー高分子を含む正極活物質層を積層して前記付着増進層と付着する段階と、を含むリチウム二次電池用正極の製造方法に関する。
【0027】
第14具現例は、第13具現例において、
前記金属集電体はアルミニウムからなり、前記正極活物質は下記の化学式1で表される正極活物質であることを特徴とするリチウム二次電池用正極の製造方法に関する。
[化学式1]
Li1+aFe1-x(PO4-b)X
(Mは、Al、Mg、Ni、Co、Mn、Ti、Ga、Cu、V、Nb、Zr、Ce、In、Zn及びYからなる群より選択される一つ以上の元素であり、Xは、F、S及びNからなる群より選択される一つ以上の元素であり、-0.5≦a≦+0.5、0≦x≦0.5、0≦b≦0.1である。)
【0028】
第15具現例は、第13具現例または第14具現例において、
前記第2バインダー高分子は、ポリビニリデンフルオライド、ポリ(ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン)及びポリ(ビニリデンフルオライド-クロロトリフルオロエチレン)からなる群より選択された一種以上であることを特徴とするリチウム二次電池用正極の製造方法に関する。
【0029】
第16具現例は、第13具現例から第15具現例のいずれか一具現例において、
前記付着増進層の厚さは、前記金属集電体の一面上の付着増進層を基準にして50~5,000nmであり、前記正極活物質層の厚さが、前記付着増進層の一面上の正極活物質層を基準にして40~200μmであることを特徴とするリチウム二次電池用正極の製造方法に関する。
【0030】
本発明の他面によれば、下記具現例によるリチウム二次電池用正極を提供する。
【0031】
第17具現例は、
第9具現例から第12具現例のうちいずれか一具現例に記載の付着増進層がコーティングされた正極集電体と、
前記付着増進層に付着され、正極活物質、第2導電材及び第2バインダー高分子を含む正極活物質層と、を含むリチウム二次電池用正極に関する。
【0032】
第18具現例は、第17具現例において、
前記金属集電体はアルミニウムからなり、前記正極活物質は下記の化学式1で表される正極活物質であることを特徴とするリチウム二次電池用正極に関する。
[化学式1]
Li1+aFe1-x(PO4-b)X
(Mは、Al、Mg、Ni、Co、Mn、Ti、Ga、Cu、V、Nb、Zr、Ce、In、Zn及びYからなる群より選択される一つ以上の元素であり、Xは、F、S及びNからなる群より選択される一つ以上の元素であり、-0.5≦a≦+0.5、0≦x≦0.5、0≦b≦0.1である。)
【0033】
第19具現例は、第17具現例または第18具現例において、
前記第2バインダー高分子は、ポリビニリデンフルオライド、ポリ(ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン)及びポリ(ビニリデンフルオライド-クロロトリフルオロエチレン)からなる群より選択された一種以上であることを特徴とするリチウム二次電池用正極に関する。
【0034】
第20具現例は、第17具現例から第19具現例のいずれか一具現例において、
前記付着増進層の厚さは、前記金属集電体の一面上の付着増進層を基準にして50~5,000nmであり、前記正極活物質の厚さは、前記付着増進層の一面上の正極活物質層を基準にして40~200μmであることを特徴とするリチウム二次電池用正極に関する。
【0035】
第21具現例は、第17具現例から第20具現例のいずれか一具現例による正極を含むリチウム二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0036】
本発明の一実施例によれば、所定の融点範囲を有するポリビニリデンフルオライド系高分子粒子及び第1導電材を所定の含量の割合範囲で含む付着増進層形成用の水系スラリーを金属集電体にコーティングし、融点よりも高い温度で乾燥することで溶融後に固化した付着増進層のポリビニリデンフルオライド系高分子が集電体の表面に島状で分散して位置するようになる。即ち、島状で分散したポリビニリデンフルオライド系高分子は、集電体の表面を全てカバーしない。これによって、付着増進層は、正極活物質層と集電体との接着力を改善し、低い界面抵抗を有するようになる。
【0037】
また、所定の融点範囲を有するポリビニリデンフルオライド系高分子を使用することで、エネルギーを低減できるように水系スラリーを比較的低い温度で乾燥してもポリビニリデンフルオライド系高分子粒子が溶融及び固化して付着増進層としての接着性能を良好に発現でき、電解液を含むリチウム二次電池への適用時にも電解液に対して耐溶解性を有することで正極との接着力が維持可能である。
【0038】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。なお、本明細書に添付の図面における要素の形状、大きさ、縮尺または比率などは、より明確な説明を強調するために誇張され得る。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】実施例1によって形成した付着増進層のSEM写真である。
図2】実施例1に使用された高分子Aに対するDSCチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応じた意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0041】
本発明の一面による付着増進層がコーティングされた正極集電体の製造方法によれば、
融点が50~150℃であるポリビニリデンフルオライド系高分子粒子を含む第1バインダー高分子と第1導電材を0.5:1~8:1の重量比で含む水系スラリーを準備する。
【0042】
付着増進層を形成するためのスラリーは、水を分散媒として使用した水系スラリーである。
【0043】
水系スラリーには、表面エネルギーを低めてコーティング性を向上させるために、選択的に、イソプロフィルアルコール、アセトン、エタノール、ブチルアルコールなどの溶媒をさらに加え得る。
【0044】
水系スラリーには、金属集電体と正極活物質層との接着力を改善するために第1バインダー高分子が使用され、本発明においては、融点が50~150℃であるポリビニリデンフルオライド系高分子の粒子が第1バインダー高分子として含まれる。粒子状のポリビニリデンフルオライド系高分子を使用することで付着増進層の抵抗増加現象が改善される。
【0045】
ポリビニリデンフルオライド系高分子粒子の平均粒径は、分散性及び保管安全性の面で、例えば10nm~3μmであり得る。特に、ポリビニリデンフルオライド系高分子粒子の平均粒径は、正極活物質層に対する結着力の改善とスラリー中における相安全性及び電解液に対する耐溶剤性を考慮すると、100nm~1,000nmであり得る。また、前記ポリビニリデンフルオライド系高分子粒子の平均粒径は、第1導電材の平均粒径の3~20倍であり得る。
【0046】
ポリビニリデンフルオライド系高分子の融点が50℃未満であれば、電池の組立時に使用される電解液に溶解される可能性が増加し、電極との接着力が低下する。また、その融点が150℃を超過すると、後述する水系スラリーの乾燥温度が過度に高くなり、エネルギー消費が増加して接着力改善の効果も低下する。このような面から、ポリビニリデンフルオライド系高分子のより具体的な融点は70~150℃、より具体的には90~150℃、最も具体的には100~140℃であり得る。ポリビニリデンフルオライド系高分子としては、例えば、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンの共重合体であり得るが、これに限定されない。
【0047】
ポリビニリデンフルオライド系高分子の重量平均分子量は700,000~1,300,000であり、より具体的には800,000~1,100,000であり得る。このような範囲の重量平均分子量を有するとき、正極活物質層との接着力がさらに増大する。
【0048】
水系スラリーには、前述したポリビニリデンフルオライド系高分子の粒子以外に他のバインダー高分子を粒子の形態で、または水に溶解された形態で本発明の目的を阻害しない限度内でさらに含み得ることは勿論である。
【0049】
一方、水系スラリーは、正極の抵抗上昇を抑制するために第1導電材を含む。第1導電材の含量は、例えば、第1バインダー高分子100重量部を基準にして10~200重量部であり得るが、これに限定されない。第1導電材の平均粒径は、スラリー中の分散性と導電性を考慮すると、10nm~1,000nmであり得るが、これに限定されない。
【0050】
第1導電材としては、当該電池のその他の要素と副反応を誘発することなく導電性を有するものであれば、特に制限されない。例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック(super-p)、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;MW-CNT、SW-CNTなどのカーボンナノチューブ;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが使用可能であり、界面抵抗を低めるためにこれらを各々単独でまたは二種以上を混合して使用し得る。
【0051】
水系スラリー中のポリビニリデンフルオライド系高分子粒子を含む第1バインダー高分子と第1導電材との重量比は、0.5:1~8:1である。その重量比が0.5:1未満であると、接着力が劣り、その重量比が8:1を超過すると、界面抵抗が過度に大きくなる。このような面を考慮すると、ポリビニリデンフルオライド系高分子粒子と第1導電材との重量比は1:1~5:1であり得る。
【0052】
水系スラリーには、粘度を調節するために一種またはそれ以上の増粘剤が加えられ得る。特に制限はないが、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、カゼイン、メチルセルロースなどを使用し得る。
【0053】
水系スラリーは、前述した成分の他に分散剤など、本発明の目的を阻害しない限度内でその他の添加剤をさらに含み得ることは勿論である。
【0054】
続いて、準備した水系スラリーを金属集電体の少なくとも一面にコーティングし、前記ポリビニリデンフルオライド系高分子粒子の融点よりも高い温度で熱処理して乾燥することで付着増進層を形成する。
【0055】
正極集電体としてアルミニウムのような金属集電体が使用される。特に、アルミニウムはホイル形態で使用可能であり、アルミニウムホイルは、空気中で酸化しやすいことから、アルミニウム酸化物からなった表層が形成される。そこで、アルミニウムからなった集電体は、表面のアルミニウムが酸化して形成されたアルミニウム酸化物の表層を備える集電体を含むと解釈する。金属集電体の厚さは、通常3~500μmであり得るが、これに制限されない。
【0056】
水系スラリーを金属集電体上に塗布する方法としては、通常的にスラリーを塗布する方法と装置を使用し得る。例えば、メイヤーバー(Meyer bar)などのバーコーティング法、グラビアコーティング法、2本ロールリバースコーティング法、真空スロットダイコーティング法、2本ロールコーティング法などを用い得る。付着増進層は、前記金属集電体の少なくとも一面、即ち、金属集電体の一面または両面に形成され、金属集電体と後述する正極活物質層との接着力を改善するために形成される層である。付着増進層の厚さ(金属集電体の両面ではなく一面に形成された付着増進層の厚さ基準)は、接着力改善の効果と正極の抵抗上昇の程度を考慮すると、例えば、50~5,000nmであってもよく、より具体的には100~1,000nmであり得るが、これに限定されない。
【0057】
水系スラリーがコーティングされた金属集電体は、ポリビニリデンフルオライド系高分子粒子の融点よりも高い温度で熱処理して乾燥することで付着増進層を形成する。乾燥工程は、具体的には、ポリビニリデンフルオライド系高分子粒子の融点よりも10~80℃高い温度で行い得るが、これに限定されない。
【0058】
ポリビニリデンフルオライド系高分子粒子の融点よりも高い温度で熱処理して乾燥すると、ポリビニリデンフルオライド系高分子粒子は、溶融した後に乾燥工程を経た後、温度が下がることによって固化して、金属集電体上に結着した付着増進層として形成される。この際、付着増進層のポリビニリデンフルオライド系高分子は、集電体の表面に島状で分散して位置するようになる。即ち、島状で分散したポリビニリデンフルオライド系高分子は、集電体の表面全部をカバーしない。これによって、付着増進層は、正極活物質層と集電体との接着力を改善し、低い界面抵抗を有するようになる。
【0059】
また、前述したように、所定の融点範囲を有するポリビニリデンフルオライド系高分子を使用することでエネルギーを低減できるように水系スラリーを比較的低い温度で乾燥可能であり、形成された付着増進層が良好な接着性能を発現する。このような付着増進層は、電解液を含むリチウム二次電池への適用時にも電解液に対する耐溶解性を有することで、正極との接着力を維持できる。
【0060】
前述した製造方法によって製造された一態様による付着増進層がコーティングされた正極集電体は、
金属集電体と、
前記金属集電体の少なくとも一面に形成され、第1バインダー高分子と第1導電材を0.5:1~8:1の重量比で含む付着増進層を含み、
前記第1バインダー高分子は、ポリビニリデンフルオライド系高分子を含み、
前記第1バインダー高分子は、前記金属集電体の表面に島状で分散して位置し、
前記ポリビニリデンフルオライド系高分子の融点は、50~150℃である。
【0061】
このように付着増進層がコーティングされた正極集電体を構成する金属集電体、第1バインダー高分子、第1導電材及び付着増進層の形態については、前述したので、説明を省略する。
【0062】
前述した製造方法によって付着増進層がコーティングされた正極集電体を製造した後、付着増進層の上に、正極活物質、第2導電材及び第2バインダー高分子を含む正極活物質層を積層し、前記付着増進層と付着して、リチウム二次電池用正極を製造する。
【0063】
正極活物質層は、通常のリチウム二次電池用の正極活物質層のように、正極活物質、第2導電材及び第2バインダー高分子を含む。
【0064】
正極活物質としては、リチウム二次電池に用いられる通常の正極活物質、例えば、リチウム遷移金属酸化物などを用い得る。特に、正極活物質としては、下記の化学式1で表される正極活物質を使用し得る。
[化学式1]Li1+aFe1-x(PO4-b)X
(Mは、Al、Mg、Ni、Co、Mn、Ti、Ga、Cu、V、Nb、Zr、Ce、In、Zn及びYからなる群より選択される一つ以上の元素であり、Xは、F、S及びNからなる群より選択される一つ以上の元素であり、-0.5≦a≦+0.5、0≦x≦0.5、0≦b≦0.1である。)
【0065】
前述した化学式1の正極活物質はリチウムリン酸鉄系化合物であって、特に、アルミニウム集電体との接着力が低いという問題点がある。そのため、本発明による前述した付着増進層を適用するに際し、集電体との接着力改善の効果による産業上の必要性がさらに高くなる。
【0066】
正極活物質を相互に結着させる第2バインダー高分子としては、通常、正極合剤に適用されるバインダー高分子が用いられ得る。例えば、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-co-HFP)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、でん粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化-EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴムまたはこれらの多様な共重合体などが挙げられ、これらのうち一種を単独でまたは二種以上の混合物が使用され得る。より望ましくは、第2バインダー高分子としては、ポリビニリデンフルオライド系高分子を使用でき、付着増進層のポリビニリデンフルオライド系高分子との相互作用によって層間接着力の改善効果がさらに確実になる。このような面で、より望ましくは、第2バインダー高分子は、ポリビニリデンフルオライド、ポリ(ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン)及びポリ(ビニリデンフルオライド-クロロトリフルオロエチレン)からなる群より選択された一種以上を使用し得る。前記バインダーは、正極活物質層の総重量に対して1~30重量%で含まれ得る。
【0067】
正極活物質に用いられる第2導電材としては、付着増進層の第1導電材を独立的に使用し得る。前記第2導電材は、通常、正極活物質層の総重量に対して1~30重量%で含まれ得る。
【0068】
正極活物質層を積層し、付着増進層と付着する方法としては、当業界における公知の方法を用い得る。
【0069】
例えば、付着増進層の上に、正極活物質、第2導電材及び第2バインダー高分子を含む正極活物質層形成用の組成物を塗布した後、乾燥及び圧延する方法が用いられ得る。
【0070】
この際、正極活物質層形成用の組成物に使用される溶媒は、当該技術分野で通常使用される溶媒であり得る。例えば、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide;DMSO)、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)、N-メチルピロリドン(NMP)、アセトン(acetone)または水などが挙げられ、これらのうち一種を単独でまたは二種以上の混合物が使用され得る。前記溶媒の使用量は、塗布液の塗布厚さ、製造収率を考慮してバインダー高分子を溶解させながら導電材、正極活物質などを分散させ、以後の正極製造のための塗布時に優秀な厚さ均一度を示す粘度を有するようにする程度であれば、十分である。
【0071】
付着増進層に含まれたポリビニリデンフルオライド系高分子は、加熱及び加圧時に流動性を有する。例えば、ポリビニリデンフルオライド系高分子のガラス転移温度よりも高く、前記高分子の融点Tm-60℃の温度から前記バインダー高分子の融点Tm+60℃の温度範囲、より具体的には、前記バインダー高分子の融点Tm-50℃の温度から前記バインダー高分子の融点Tm+50℃の温度範囲、さらに具体的には、前記バインダー高分子の融点Tm-40℃の温度から前記バインダー高分子の融点Tm+30℃の温度範囲で加熱及び加圧を行うと、付着増進層のバインダー高分子が熱によって流動して付着増進層と接する正極活物質層の表層と接着される。
【0072】
前述した製造方法によって製造された一態様によるリチウム二次電池用正極において、正極活物質層の厚さ(圧延後、付着増進層の両面ではない付着増進層の一面に形成された正極活物質層の厚さ基準)は、40~200μmであり得るが、これに限定されない。
【0073】
正極活物質層の接着力は、30gf/2cm以上であることが望ましく、40gf/2cm以上であることがより望ましい。また、正極活物質層の界面抵抗は3Ωcm以下であることが望ましく、2Ωcm以下であることがより望ましい。
【0074】
前述した製造方法によって製造された一態様によるリチウム二次電池用正極は、
前述した付着増進層がコーティングされた正極集電体と、
前記付着増進層の上に付着され、正極活物質、第2導電材及び第2バインダー高分子を含む正極活物質層を含む。
【0075】
このようなリチウム二次電池用正極を構成する金属集電体、バインダー高分子と導電材、正極活物質などについては前述したので、説明を省略する。
【0076】
本発明のさらに他の一実施例によれば、リチウム二次電池用正極及び前記正極を含むリチウム二次電池を提供する。
【0077】
前記リチウム二次電池は、具体的には、正極、前記正極と対向して位置する負極、前記正極と負極との間に介在されるセパレーター及び電解質を含み、前記正極は、前述したことと同一である。また、前記リチウム二次電池は、前記正極、負極、セパレーターの電極組立体を収納する電池容器、及び前記電池容器を密封する密封部材を選択的にさらに含み得る。
【0078】
前記リチウム二次電池において、前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体の上に位置する負極活物質層と、を含む。
【0079】
前記負極集電体は、電池に化学的変化を誘発することなく、かつ高い導電性を有するものであれば、特に制限されない。例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが使用され得る。また、前記負極集電体は、通常3~500μmの厚さを有し、正極集電体と同様に、前記集電体の表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化することも可能である。例えば、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態で使用され得る。
【0080】
前記負極活物質層は、負極活物質と共に選択的にバインダー及び導電材を含む。前記負極活物質の一例として、負極集電体上に、負極活物質、及び選択的にバインダー及び導電材を含む負極形成用の組成物を塗布して乾燥するか、または前記負極形成用の組成物を別の支持体上にキャスティングした後、当該支持体から剥離して得たフィルムを負極集電体上にラミネートすることで製造され得る。
【0081】
前記負極活物質としては、リチウムの可逆的なインターカレーション及びデインターカレーションの可能な化合物が使われ得る。具体的な例には、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛化炭素繊維、非晶質炭素などの炭素質材料;Si、Al、Sn、Pb、Zn、Bi、In、Mg、Ga、Cd、Si合金、Sn合金またはAl合金など、リチウムとの合金化が可能な金属質化合物;SiOβ(0<β<2)、SnO、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物のようにリチウムをドープ及び脱ドープ可能な金属酸化物;またはSi-C複合体またはSn-C複合体のように前記金属質化合物と炭素質材料を含む複合物などが挙げられ、これらのうちいずれか一つまたは二つ以上の混合物が使用され得る。また、前記負極活物質として金属リチウム薄膜が使われ得る。また、炭素材料は、低結晶性炭素及び高結晶性炭素などが全て使用され得る。低結晶性炭素としては、軟質炭素(soft carbon)及び硬質炭素(hard carbon)が代表的であり、高結晶性炭素としては、無定形、板状、鱗片状、球状または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛、キッシュ黒鉛(Kish graphite)、熱分解炭素(pyrolytic carbon)、メソフェーズピッチ系炭素繊維(mesophase pitch based carbon fiber)、メソカーボンマイクロビーズ(meso-carbon microbeads)、メソフェーズピッチ(mesophase pitches)及び石油又は石炭系コークス(petroleum or coal tar pitch derived cokes)などの高温焼成炭素が代表的である。
【0082】
なお、前記バインダー及び導電材は、正極において前述したものと同じものであり得る。
【0083】
一方、前記リチウム二次電池において、セパレーターは、負極と正極を分離し、リチウムイオンの移動通路を提供するものであって、通常、リチウム二次電池においてセパレーターとして使用されるものであれば、特に制限なく使用可能であり、特に、電解質のイオン移動に対して低抵抗でありながら電解液含浸能力が優秀なものであることが望ましい。具体的には、多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体及びエチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子から製造した多孔性高分子フィルムまたはこれらの二層以上の積層構造体が使われ得る。また、通常の多孔性不織布、例えば、高融点のガラスファイバー、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布が使用され得る。また、耐熱性または機械的強度の確保のためにセラミック成分または高分子物質が含まれたコーティングされたセパレーターを使用してもよく、選択的に、単層または多層構造として使用され得る。
【0084】
また、本発明において使用される電解質としては、リチウム二次電池の製造時に使用可能な有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル状高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質などが挙げられるが、これらに限定されることではない。
【0085】
具体的には、前記電解質は、有機溶媒及びリチウム塩を含む電解液であり得る。
【0086】
前記有機溶媒としては、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動可能な媒質の役割を果たすものであれば、特に制限なく使用可能である。具体的には、前記有機溶媒としては、メチルアセテート(methyl acetate)、エチルアセテート(ethyl acetate)、γ-ブチロラクトン(γ-butyrolactone)、ε-カプロラクトン(ε-caprolactone)などのエステル系溶媒;ジブチルエーテル(dibutyl ether)またはテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)などのエーテル系溶媒;シクロヘキサノン(cyclohexanone)などのケトン系溶媒;ベンゼン(benzene)、フルオロベンゼン(fluorobenzene)などの芳香族炭化水素系溶媒;ジメチルカーボネート(dimethylcarbonate;DMC)、ジエチルカーボネート(diethylcarbonate;DEC)、メチルエチルカーボネート(methylethylcarbonate;MEC)、エチルメチルカーボネート(ethylmethylcarbonate;EMC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate;EC)、プロピレンカーボネート(propylene carbonate;PC)などのカーボネート系溶媒;エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;R-CN(Rは、C2~C20の直鎖状、分枝状または環状構造の炭化水素基であり、二重結合の芳香環またはエーテル結合を含み得る。)などのニトリル類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;1,3-ジオキソランなどのジオキソラン類;またはスルホラン(sulfolane)類などが使用され得る。これらの中でもカーボネート系溶媒が望ましく、電池の充放電性能を高めることが可能な高イオン伝導度及び高誘電率を有する環状カーボネート(例えば、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートなど)と、低粘度の線状カーボネート系化合物(例えば、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはジエチルカーボネートなど)の混合物がより望ましい。この場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートは、約1:1~約1:9の体積比で混合して使用することが電解液の性能が優秀に現われ得る。
【0087】
前記リチウム塩は、リチウム二次電池に使用されるリチウムイオンを提供可能な化合物であれば、特に制限なく使用できる。具体的には、前記リチウム塩は、LiPF、LiClO、LiAsF、LiBF、LiSbF、LiAl0、LiAlCl、LiCFSO、LiCSO、LiN(CSO、LiN(CSO、LiN(CFSO、LiCl、LiIまたはLiB(Cなどが使用され得る。前記リチウム塩の濃度は、0.1~2.0M範囲内で使用することがよい。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれると、電解質が適切な伝導度及び粘度を有するため、優秀な電解質性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動可能になる。
【0088】
前記電解質には、前記電解質の構成成分の他にも電池の寿命特性向上、電池容量減少抑制、電池の放電容量向上などをために、例えば、ジフルオロエチレンカーボネートなどのようなハロアルキレンカーボネート系化合物、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グライム(glyme)、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N,N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノールまたは三塩化アルミニウムなどの添加剤が一種以上さらに含まれ得る。この際、前記添加剤は、電解質の総重量に対して0.1~5重量%で含まれ得る。
【0089】
このようなリチウム二次電池は、携帯電話、ノートブックPC、デジタルカメラなどの携帯用機器及びハイブリッド電気自動車(hybrid electric vehicle;HEV)などの電気自動車分野などに有用である。
【0090】
これによって、本発明の他の一具現例によれば、前記リチウム二次電池を単位セルとして含む電池モジュール及びそれを含む電池パックが提供される。
【0091】
前記電池モジュールまたは電池パックは、パワーツール(Power Tool);電気自動車(Electric Vehicle;EV)、ハイブリッド電気自動車及びプラグインハイブリッド電気自動車(Plug-in Hybrid Electric Vehicle;PHEV)を含む電気車;または電力貯蔵用システムのうちいずれか一つ以上の中大型デバイスの電源に用いられ得る。
【0092】
以下、本発明に属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例について詳しく説明する。しかし、本発明は、異なる様々な形態に具現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【実施例
【0093】
実施例1
第1バインダー高分子として高分子A(ソルベイ社、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、VDF:HFP=3:1(重量比)、平均粒径:250nm、融点:100℃、Mw=1,080,000)とデンカカーボンブラック(BET=60m/g、DBP=200ml/100g)を2:1の重量比で水に分散させた後、増粘剤としてDaicel 2200をバインダー高分子に対して1/5の重量で投入して固形分10%の水系スラリーを準備した。その後、水系スラリーを厚さ20μmのアルミニウムホイルの両面にマイクログラビアコーター(Micro gravure coater)を用いて塗布し、120℃で3分間乾燥してアルミニウムホイル上に付着増進層を形成した。形成された付着増進層の上に、LiFe(PO)と、第2バインダー高分子としてポリビニリデンフルオライド(Mw=630,000)と、導電材としてデンカカーボンブラック(BET=60m/g、DBP=200ml/100g)と、を96:2:2で混合した正極活物質スラリーを塗布し、140℃で10分間乾燥した後、圧延して正極を製造した。
【0094】
リチウム金属を負極として使用し、前記負極と正極との間に分離膜(セルガード)を介在して積層して電極組立体を製造した。これをコイン形状に打ち抜き、プロピレンカーボネート(PC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とエチレンカーボネート(EC)との混合溶媒(PC:EMC:EC=3:4:3)に1MのLiPFを溶解した電解液を注入して実験用リチウム二次電池を製作した。
【0095】
実施例2
下記の表1のように変更したことを除いては、実施例1と同一に行った。
【0096】
実施例3
下記の表1のように変更したことを除いては、実施例1と同一に行った。
【0097】
実施例4
第1バインダー高分子として高分子B(ソルベイ社、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、VDF:HFP=97:3(重量比)、平均粒径:250nm、融点:140℃、Mw=800,000)]を使用し、下記の表1に記載したように変更したことを除いては、実施例1と同一に行った。
【0098】
実施例5
下記の表1と同一に変更したことを除いては、実施例1と同一に行った。実施例5の高分子A:デンカカーボンブラック:Mw-CNTの重量比は、2:1:0.1である。
【0099】
比較例1
下記表1のように変更したことを除いては、実施例1と同一に行った。
【0100】
比較例2
第1バインダー高分子として高分子C(ソルベイ社、ポリビニリデンフルオライド、平均粒径:250nm、融点:168℃、Mw=600,000)を使用し、下記の表1のように変更したことを除いては、実施例1と同一に行った。
【0101】
比較例3
下記のように付着増進層を形成したことを除いては、実施例1と同一にしてリチウム二次電池を製造した。
【0102】
第1バインダー高分子として高分子D(ソルベイ社、ポリビニリデンフルオライド、融点:168℃、Mw=630,000]とデンカカーボンブラック(商品名:Li-250)を2:1の重量比で添加して、デンカカーボンブラックが分散しており、かつ高分子DがNMPに溶解された10%の油系スラリーを製造した。続いて、油系スラリーを厚さ20μmのアルミニウムホイルの両面に塗布し、120℃で3分間乾燥してアルミニウムホイルの上に付着増進層を形成した。
【0103】
比較例4
第1バインダー高分子として高分子E(ソルベイ社、ポリビニリデンフルオライド、融点:170℃、Mw=1,000,000)とデンカカーボンブラック(BET=60m/g、DBP=200ml/100g)を2:1の重量比で添加して、デンカカーボンブラックが分散しており、高分子DがNMPに溶解された10%の油系スラリーを用いたことを除いては、比較例3と同一に行った。
【0104】
実施例6
第1バインダー高分子として高分子A(ソルベイ社、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、VDF:HFP=3:1(重量比)、平均粒径:250nm、融点:100℃、Mw=1,080,000)と第1導電材として平均粒径が37nmであるデンカカーボンブラック(商品名:Li-250)を2:1の重量比で水に分散させた後、増粘剤としてDaicel 2200をバインダー高分子に対して1/5の重量を投入して固形分10%の水系スラリーを準備した。続いて、水系スラリーを厚さ20μmのアルミニウムホイルの両面にマイクログラビアコーターを用いて塗布し、120℃で3分間乾燥してアルミニウムホイルの上に付着増進層を形成した。形成された付着増進層の上に、LiFe(PO)と、第2バインダー高分子としてポリビニリデンフルオライド(Mw=630,000)と、第2導電材としてデンカカーボンブラック(商品名:Li-250)と、を96:2:2で混合した正極活物質スラリーを塗布し、140℃で10分間乾燥した後、圧延して正極を製造した。
【0105】
リチウム金属を負極とし、前記負極と正極との間に分離膜(セルガード)を介在して積層して電極組立体を製造した。それをコイン形状に打ち抜き、プロピレンカーボネート(PC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とエチレンカーボネート(EC)との混合溶媒(PC:EMC:EC=3:4:3)に1MのLiPFを溶解した電解液を注入して実験用リチウム二次電池を製作した。
【0106】
実施例7
第1導電材として平均粒径が23nmであるデンカカーボンブラック(商品名:Li-435)を使用し、高分子Aと導電材の割合を1:1に変更したことを除いては、実施例6と同一に行った。
【0107】
実施例8
下記表2のように変更したことを除いては、実施例6と同一に行った。
【0108】
実施例9
第1バインダー高分子として高分子B(ソルベイ社、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、VDF:HFP=97:3(重量比)、平均粒径:250nm、融点:140℃、Mw=800,000)を使用し、下記の表2のように変更したことを除いては、実施例6と同一に行った。
【0109】
実施例10
LiFe(PO)の代わりにLiNi0.50Co0.20Mn0.30を使用し、第2バインダー高分子としてポリビニリデンフルオライド(Mw=630,000)を使用し、第2導電材としてSuper-Pを使用し、これらを97.5:1.5:1の重量比で使用したことを除いては、実施例6と同一に行った。
【0110】
比較例5-6
下記の表2のように変更したことを除いては、実施例6と同一に行った。
【0111】
比較例7
LiFe(PO)の代わりにLiNi0.50Co0.20Mn0.30を使用し、第2バインダー高分子としてポリビニリデンフルオライド(Mw=630,000)を使用し、第2導電材としてSuper-Pを使用し、これらを97.5:1.5:1の重量比で使用したことを除いては、実施例6と同一に行った。
【0112】
比較例8
下記のように付着増進層を形成したことを除いては、実施例6と同一にチウム二次電池を製造した。
【0113】
第1バインダー高分子として高分子C(ソルベイ社、ポリビニリデンフルオライド、融点:168℃、Mw=880,000)とデンカカーボンブラック(商品名:Li-250)を2:1の重量比で添加して、デンカカーボンブラックが分散しており、かつ高分子CがNMPに溶解された10%の油系スラリーを製造した。続いて、油系スラリーを厚さ20μmのアルミニウムホイルの両面に塗布し、120℃で3分間乾燥して、アルミニウムホイルの上に付着増進層を形成した。
【0114】
<バインダー高分子の融点測定>
バインダー高分子の融点はDSCを用いて測定した。
TA社DSC2500装備を用いて5~10mgの試料を投入した後、窒素雰囲気下で50~250℃、10℃/分の加熱速度で昇温してから、10℃/分の冷却速度で降温した後、50~250℃で10℃/分の加熱速度で昇温する順に熱的スキャンを行った。
【0115】
図2は、実施例1の高分子Aに対するDSCチャートである。図2を参照すると、二番目の加熱で得られたピークの吸熱反応によって融点が得られ、融点は山頂の温度から確認した。
【0116】
<高分子の重量平均分子量測定>
高分子0.04gを採取した後、テトラハイドロフラン10gに溶解してサンプル試料を準備し、標準試料(ポリスチレン)とサンプル試料を0.45μmポアのフィルターを用いて濾過した後、GPCインジェクターに注入した。サンプル試料の溶離(elution)時間を標準試料のカリブレーション曲線と比較することでアクリル重合体の数平均分子量、重量平均分子量及び多分散度を測定した。GPC(Infinity II 1260、Agilient社)を用いて流速1.00mL/分、カラム温度35.0℃で測定した。
【0117】
<高分子粒子の平均粒径測定>
SEMで高分子粒子を撮影した後、長軸の長さの平均を平均粒径として測定した。
【0118】
<導電材の平均粒径測定>
導電材の平均粒径D50は、レーザー回折法を用いて測定した。導電材を分散媒に分散させた後、レーザー回折粒度測定装置(Microtac MT 3000)を用いて粒径分布の50%基準における平均粒径D50を算出した。
【0119】
<接着力評価>
パンチング機を用いて実施例及び比較例によって製造した正極を幅2cm×長さ10cm以上に打ち抜いた。ガラスをベースプレート(幅2.5cm×長さ7.5cm×厚さ1T)として使用して両面テープをガラスに付けた後、打ち抜いた電極を平行に付着した。テープに付着された電極は6cmであり、テクスチャーアナライザー装備(LLOYD)を用いてベースプレートと90゜を維持して電極の接着力を測定した。
【0120】
<WET接着力評価>
WET接着力の評価は、真空乾燥炉(Vacuum Drying Oven)によって電極コーティングしたホイルを130℃で24時間保持して水分を除去した後、アルミニウムパウチに電解液と共に電極を密封した後、70℃オーブンに二週間保持した後、接着力を測定した。この際、残留している電解液を除去するために、DMC洗浄液を使用して電極を洗浄して完全乾燥した後に測定した。耐電解液の評価前と比較して付着増進層の耐溶解性が不良であるほどリチウム二次電池に適用する場合において電解液に対する付着増進層の接着力が低下するようになる。
【0121】
<界面抵抗評価>
パンチング機を用いて実施例及び比較例によって製造した正極を横5cm×縦5cmに打ち抜いた。Mp試験機(HIOKI社)を用いて打ち抜かれた電極の厚さとアルミニウムホイルの厚さ及び集電体の比抵抗値(2.82E-06)を各々入力した後、打ち抜かれた電極をプローブが内蔵されたチップの下部に置いてバーを下ろして測定した。
【0122】
【表1】
【0123】
【表2】
【0124】
表1及び表2の結果から、本発明によってバインダー高分子と導電材を含む付着増進層を備えた実施例1~10の正極は、特定のバインダー成分を用いるときに、接着力が改善されると共に界面抵抗が低くなることを確認することができる。
【0125】
一方、導電材を含んでいない比較例1は、界面抵抗が高くなっており、本発明の特定の融点を有するバインダー高分子を使用していない比較例2は、実施例の正極よりも接着力が劣ることを確認することができる。また、バインダー高分子が溶剤に溶解された油系スラリーを用いた比較例3、4及び8は、界面抵抗が高いことを確認することができる。
【0126】
また、第1バインダー高分子に対する第1導電材の重量比が低すぎる比較例5及び7は、界面抵抗が大きすぎ、第1バインダー高分子に対する第1導電材の重量比が高すぎる比較例6は、接着力が大幅に低下したことを確認することができる。
図1
図2
【国際調査報告】