(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】がんを治療するための方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20240711BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20240711BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240711BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240711BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240711BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20240711BHJP
A61K 31/282 20060101ALI20240711BHJP
A61K 41/00 20200101ALI20240711BHJP
A61K 31/513 20060101ALI20240711BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20240711BHJP
C07K 19/00 20060101ALN20240711BHJP
C07K 16/46 20060101ALN20240711BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P1/00
A61P35/00
A61P43/00 111
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K31/7068
A61K31/282
A61K41/00
A61K31/513
A61K39/395 U
C07K16/28 ZNA
C07K19/00
C07K16/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504961
(86)(22)【出願日】2022-07-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 US2022074278
(87)【国際公開番号】W WO2023010094
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/109058
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】514099673
【氏名又は名称】エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リウ, チンユアン
(72)【発明者】
【氏名】タヒリ, アニラ
(72)【発明者】
【氏名】チャン, チャオ
(72)【発明者】
【氏名】チャー, エドワード ナムセルク
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA11
4C084AA22
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA661
4C084ZA662
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC412
4C084ZC75
4C085AA14
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4C085BB36
4C085BB41
4C085BB42
4C085BB43
4C085CC01
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4C085EE03
4C085GG02
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC43
4C086EA17
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA14
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4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206JB16
4C206MA03
4C206MA04
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4C206NA14
4C206ZA66
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4C206ZC75
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
(57)【要約】
本発明は、対象のがん、例えば、胃がん(例えば、胃癌(GC)又は胃食道接合部癌(GEJC)(例えば、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJC))又は直腸がん(例えば、局所進行直腸がん(LARC))を、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)とPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)との組み合わせを含む治療レジメンを対象に適用することにより治療することにおける使用のための方法及び組成物を提供する。治療レジメンは、化学療法とともに又はネオアジュバント化学療法レジメンに続いて投与されうる。また、対象のがん、例えば、胃がん(例えば、GC又はGEJC(例えば、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJC))又は直腸がん(例えば、LARC)を治療することにおける使用のための、組成物(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び/又は抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を含む組成物で、その薬学的組成物、そのキット、及びその製造品を含む)が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胃癌(GC)又は胃食道接合部癌(GEJC)を有する対象を治療するための方法であって、1回又は複数回の投薬サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、カペシタビン、及びオキサリプラチンを対象に投与することを含む方法。
【請求項2】
GC又はGEJCが、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJCである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
GC又はGEJCが、HER2陰性である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
GC又はGEJCが、腺癌である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
対象が、以前にGC又はGEJCのための全身療法を受けたことがない、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
(a)3週毎に約600mgの固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体;
(b)3週毎に約1200mgの固定用量のPD-1軸結合アンタゴニスト;
(c)1日2回2週間にわたり1000mg/m
2の用量のカペシタビン;及び
(d)3週毎に130mg/m
2の用量のオキサリプラチン
を対象に投与することを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
1回又は複数回の投薬サイクルの各々の長さが21日間である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
1回又は複数回の投薬サイクルの各々の約1日目に、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、及びオキサリプラチンを対象に投与することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
1回又は複数回の投薬サイクルの各々の1~14日目に、カペシタビンを対象に投与することを含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
抗TIGITアンタゴニスト抗体の前にPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、及びオキサリプラチンを、対象に静脈内投与することを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
カペシタビンを、対象に経口投与することを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
治療が、客観的奏効率(ORR)に、参照ORRと比較した場合の増加をもたらす、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
参照ORRが、
(a)カペシタビン及びオキサリプラチンを含み、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を含まない治療;並びに/又は
(b)カペシタビン、オキサリプラチン、及びPD-1軸結合アンタゴニストを含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体を含まない治療
を受けたことのある対象集団のORRである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
治療が、無増悪生存(PFS)に、参照PFSと比較した場合の増加をもたらす、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
参照PFSが、
(a)カペシタビン及びオキサリプラチンを含み、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を含まない治療;並びに/又は
(b)カペシタビン、オキサリプラチン、及びPD-1軸結合アンタゴニストを含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体を含まない治療
を受けたことのある対象集団のPFSの中央値である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
治療が、全生存(OS)に、参照OSと比較した場合の増加をもたらす、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
参照OSが、
(a)カペシタビン及びオキサリプラチンを含み、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を含まない治療;並びに/又は
(b)カペシタビン、オキサリプラチン、及びPD-1軸結合アンタゴニストを含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体を含まない治療
を受けたことのある対象集団のOSの中央値である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
治療が、奏功期間(DOR)に、参照DORと比較した場合の増加をもたらす、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
参照DORが、
(a)カペシタビン及びオキサリプラチンを含み、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を含まない治療;並びに/又は
(b)カペシタビン、オキサリプラチン、及びPD-1軸結合アンタゴニストを含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体を含まない治療
を受けたことのある対象集団のDORの中央値である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
直腸がんを有する対象を治療するための方法であって、1回又は複数回の投薬サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含み、1回又は複数回の投薬サイクルが、ネオアジュバント化学療法(nCRT)レジメンに続いて実施される、方法。
【請求項22】
直腸がんが、局所進行直腸がん(LARC)である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
直腸がんが、ステージcT
3N+M
0又はステージcT
4N
anyM
0の直腸がんである、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
直腸がんが、腺癌である、請求項21から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
対象が、同時性結腸がんを有さない、請求項21から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
対象が、以前に直腸がんの治療法を受けたことがない、請求項21から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
3週毎に約600mgの固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び3週毎に約1200mgの固定用量のPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む、請求項21から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
1回又は複数回の投薬サイクルの各々の長さが21日間である、請求項21から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
1回又は複数回の投薬サイクルの各々の約1日目に、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む、請求項21から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
抗TIGITアンタゴニスト抗体の前にPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む、請求項21から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象に静脈内投与することを含む、請求項21から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
1回又は複数回の投薬サイクルが、nCRTの最後のサイクルの約2週間後に開始される、請求項21から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
1回又は複数回の投薬サイクルが、nCRTの最後のサイクルから4週間以内に開始される、請求項21から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
nCRTレジメンが、治療当たり約1.8Gyの割合で骨盤に送達される放射線治療を含む、請求項21から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
放射線治療が、毎週1~5日目に投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
nCRTレジメンが、合計で約45と約50.4Gyとの間の放射線治療を対象に適用することを含む、請求項21から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
放射線治療が、25から28回に分けて適用される、請求項21から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
nCRTレジメンが、フルオロピリミジンに基づく化学療法を含む、請求項21から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
フルオロピリミジンに基づく化学療法が、カペシタビン又は5-フルオロウラシル(5-FU)である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
カペシタビンが、約825mg/m
2の用量で経口投与される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
カペシタビンが、毎週5日間連続して1日2回経口投与される、請求項39又は40に記載の方法。
【請求項42】
カペシタビンが、毎週7日間連続して1日2回経口投与される、請求項39又は40に記載の方法。
【請求項43】
5-FUが、約225mg/m
2の用量で静脈内投与される、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
5-FUが、毎週5日間連続して投与される、請求項39又は42に記載の方法。
【請求項45】
5-FUが、毎週7日間連続して投与される、請求項39又は42に記載の方法。
【請求項46】
nCRTが、5サイクルにわたって実施される、請求項21から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストの第1の投薬サイクルが、外科手術に先立って開始される、請求項21から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
3回の投薬サイクルが、外科手術に先立って完了する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
外科手術が、最後の投薬サイクルから約4週間以内に実施される、請求項47又は48に記載の方法。
【請求項50】
外科手術が、直腸間膜全切除(TME)及びリンパ節郭清を使用した外科的全摘手術である、請求項47から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
治療が、病理学的完全奏功(pCR)及び/又は参照pCR率と比較した場合のpCR率の増加をもたらす、請求項21から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
参照pCR率が、
(a)その後にPD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体による治療を伴わないnCRT;及び/又は
(b)その後にPD-1軸結合アンタゴニストによる治療を伴うnCRT
を含む治療を受けたことのある対象集団のpCR率である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
治療が、R0切除率に、参照R0切除率と比較した場合の増加をもたらす、請求項21から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
参照R0切除率が、
(a)その後にPD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体による治療を伴わないnCRT;及び/又は
(b)その後にPD-1軸結合アンタゴニストによる治療を伴うnCRT
を含む治療を受けたことのある対象集団のR0切除率である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
治療が、客観的奏効率(ORR)に、参照ORRと比較した場合の増加をもたらす、請求項21から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
参照ORRが、
(a)その後にPD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体による治療を伴わないnCRT;及び/又は
(b)その後にPD-1軸結合アンタゴニストによる治療を伴うnCRT
を含む治療を受けたことのある対象集団のORRである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
治療が、無再発生存(RFS)率に、参照RFS率と比較した場合の増加をもたらす、請求項21から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
参照RFS率が、
(a)その後にPD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体による治療を伴わないnCRT;及び/又は
(b)その後にPD-1軸結合アンタゴニストによる治療を伴うnCRT
を含む治療を受けたことのある対象集団のRFS率である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
RFS率が、1年RFS率、2年RFS率、又は3年RFS率である、請求項57又は58に記載の方法。
【請求項60】
治療が、無イベント生存(EFS)率に、参照EFS率と比較した場合の増加をもたらす、請求項21から59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
参照EFS率が、
(a)その後にPD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体による治療を伴わないnCRT;及び/又は
(b)その後にPD-1軸結合アンタゴニストによる治療を伴うnCRT
を含む治療を受けたことのある対象集団のEFS率である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
EFS率が、1年RFS率、2年EFS率、又は3年EFS率である、請求項60又は61に記載の方法。
【請求項63】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の超可変領域(HVR):
SNSAAWN(配列番号11)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;
KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;
ESTTYDLLAGPFDY(配列番号13)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;
KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号14)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;
WASTRES(配列番号15)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及び
QQYYSTPFT(配列番号16)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列
を含む、請求項1から62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR):
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号17)のアミノ酸配列を含むFR-L1;
WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号18)のアミノ酸配列を含むFR-L2;
GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号19)のアミノ酸配列を含むFR-L3;及び
FGPGTKVEIK(配列番号20)のアミノ酸配列を含むFR-L4
をさらに含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の重鎖可変領域FR:
X
1VQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号21)のアミノ酸配列を含むFR-H1(式中、X
1はE又はQである);
WIRQSPSRGLEWLG(配列番号22)のアミノ酸配列を含むFR-H2;
RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号23)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及び
WGQGTLVTVSS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むFR-H4
をさらに含む、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
X
1がEである、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
X
1がQである、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、
(a)配列番号27又は28のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)配列番号29のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメイン
を含む、請求項1から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、
(a)配列番号27のアミノ酸配列を含むVHドメインと、配列番号29のアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は
(b)配列番号28のアミノ酸配列を含むVHドメインと、配列番号29のアミノ酸配列を含むVLドメイン
を含む、請求項1から68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、モノクローナル抗体である、請求項1から69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、ヒト抗体である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、完全長抗体である、請求項1から71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、チラゴルマブである、請求項1から66及び68から72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、単鎖可変断片(scFv)、及び(Fab’)
2断片からなる群から選択されるTIGITに結合する抗体断片である、請求項1から71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、IgGクラスの抗体である、請求項1から74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
IgGクラスの抗体が、IgG1サブクラスの抗体である、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、チラゴルマブ、ビボストリマブ、エチギリマブ、EOS084448、SGN-TGT、TJ-T6、BGB-A1217、AB308、ドムバナリマブ、BMS-986207、ASP8374、又はCOM902である、請求項1から62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
3週毎に約1200mgの固定用量でPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む、請求項1から77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
PD-1軸結合アンタゴニストが、PD-L1結合アンタゴニスト、PD-1結合アンタゴニスト、及びPD-L2結合アンタゴニストからなる群から選択される、請求項1から78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
PD-1軸結合アンタゴニストが、PD-L1結合アンタゴニストである、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
PD-L1結合アンタゴニストが、PD-L1の、そのリガンド結合パートナーのうちの1つ又は複数への結合を阻害する、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
PD-L1結合アンタゴニストが、PD-L1の、PD-1、B7-1、又はPD-1及びB7-1の両方への結合を阻害する、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
PD-L1結合アンタゴニストが、抗PD-L1アンタゴニスト抗体である、請求項79から82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、アテゾリズマブ、MDX-1105、デュルバルマブ、アベルマブ、SHR-1316、CS1001、エンバフォリマブ、TQB2450、ZKAB001、LP-002、CX-072、IMC-001、KL-A167、APL-502、コシベリマブ、ロダポリマブ、FAZ053、TG-1501、BGB-A333、BCD-135、AK-106、LDP、GR1405、HLX20、MSB2311、RC98、PDL-GEX、KD036、KY1003、YBL-007又はHS-636である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、アテゾリズマブである、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、以下のHVR:
GFTFSDSWIH(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;
AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;
RHWPGGFDY(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;
RASQDVSTAVA(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;
SASFLYS(配列番号7)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及び
QQYLYHPAT(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列
を含む、請求項1から85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、
(a)配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメイン
を含む、請求項1から86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、
(a)配列番号9のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
(b)配列番号10のアミノ酸配列を含むVLドメイン
を含む、請求項1から87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、モノクローナル抗体である、請求項86から88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、ヒト化抗体である、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、完全長抗体である、請求項89又は90に記載の方法。
【請求項92】
抗PD-L1アンタゴニストが、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、単鎖可変断片(scFv)、及び(Fab’)
2断片からなる群から選択されるPD-L1に結合する抗体断片である、請求項89から91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、IgGクラスの抗体である、請求項89から92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
IgGクラスの抗体が、IgG1サブクラスの抗体である、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
PD-1軸結合アンタゴニストが、PD-1結合アンタゴニストである、請求項79に記載の方法。
【請求項96】
PD-1結合アンタゴニストが、PD-1の、そのリガンド結合パートナーのうちの1つ又は複数への結合を阻害する、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
PD-1結合アンタゴニストが、PD-1の、PD-L1、PD-L2、又はPD-L1及びPD-L2の両方への結合を阻害する、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
PD-1結合アンタゴニストが、抗PD-1アンタゴニスト抗体である、請求項79及び95から97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
抗PD-1アンタゴニスト抗体が、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、MEDI-0680、スパルタリズマブ、セミプリマブ、BGB-108、プロルゴリマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、ドスタルリマブ、レチファンリマブ、ササンリマブ、ペンプリマブ、CS1003、HLX10、SCT-I10A、ジンベレリマブ、バルスチリマブ、ゲノリムズマブ、BI754091、セトレリマブ、YBL-006、BAT1306、HX008、ブディガリマブ、AMG404、CX-188、JTX-4014、609A、Sym021、LZM009、F520、SG001、AM0001、ENUM 244C8、ENUM 388D4、STI-1110、AK-103又はhAb21である、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
PD-1結合アンタゴニストが、Fc融合タンパク質である、請求項79及び95から97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
Fc融合タンパク質が、AMP-224である、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
対象がヒトである、請求項1から101のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、XML形式で電子的に提出された配列表を含み、参照によりその全体が本明細書に援用される。2022年07月11日に作成された前記XMLコピーの名称は50474-260WO2_Sequence_Listing_7_11_22_ST26であり、サイズは33,382バイトである。
【0002】
本発明は、例えば、抗T-細胞免疫受容体をIg及びITIMドメイン(TIGIT)アンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)とともに含む治療レジメンを対象に投与することにより、対象のがん、例えば、胃がん(例えば、胃癌(GC)又は胃食道接合部癌(GEJC)(例えば、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJC))又は直腸がん(例えば、局所進行直腸がん(LARC))を治療することにおける使用のための方法及び組成物に関する。治療レジメンは、化学療法とともに又はネオアジュバント化学療法レジメンに続いて投与されうる。
【背景技術】
【0003】
がんは、細胞部分母集団の制御不能な増殖を特徴とする。がんは、先進国における主な死因であり、発展途上国における2番目に多い死因であり、1400万を超える新たながん症例が診断され、毎年800万を超えるがん死が発生している。したがって、がんのケアは、重大で増え続ける社会的負担である。
【0004】
胃癌(GC)は、世界的に、5番目に多いがんであり、4番目に多いがん関連死亡原因である。中国では、GCは、依然として、すべての悪性腫瘍の中で2番目に発生率が高く、がんの中で3番目に死亡率が高い。中国では、GC患者の80%超が、診断の時点で既に疾患の進行ステージにある。生存期間及び応答、並びにGC及び胃食道接合部癌(GEJC)の第1選択治療環境における毒性の低下を改善する新しい治療オプションが必要である。
【0005】
結腸直腸がん(CRC)は、依然として、世界的に主ながん死亡原因であり、3番目に発生率が高く、死亡率が2番目に高い。中国では、男性及び女性の療法において5番目に多いがん死亡原因である。直腸がんは、直腸を原発とする悪性腫瘍であり、すべてのCRC症例のうちのおよそ40%を説明する。転移性CRC患者の予後は依然として不良であり、5年生存率の中央値はわずかに12.5%である。局所的に進行した疾患、特に直腸がんを呈する患者の増加が懸念される。局所進行直腸がんの場合、カペシタビン又は5-FUに基づく化学療法の病理学的完全奏功率は、およそ14%である。
【0006】
したがって、胃がん及び直腸がんの治療のための有効な免疫療法の開発に対する当分野でのニーズは満たされていない。
【発明の概要】
【0007】
一態様において、本発明は、胃癌(GC)又は胃食道接合部癌(GEJC)を有する対象を治療するための方法を提供し、この方法は、1回又は複数回の投薬サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、カペシタビン、及びオキサリプラチンを対象に投与することを含む。
【0008】
いくつかの態様では、GC又はGEJCは、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJCである。
【0009】
いくつかの態様では、GC又はGEJCは、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)-陰性である。
【0010】
いくつかの態様では、GC又はGEJCは、腺癌である。
【0011】
いくつかの態様では、対象は、以前にGC又はGEJCの全身療法を受けたことがない。
【0012】
いくつかの態様では、この方法は、対象に:(a)3週毎に約600mgの固定用量で抗TIGITアンタゴニスト抗体を;(b)3週毎に約1200mgの固定用量でPD-1軸結合アンタゴニストを;(c)1日2回2週間にわたり1000mg/m2の用量でカペシタビンを;及び(d)3週毎に130mg/m2の用量でオキサリプラチンを投与することを含む。
【0013】
いくつかの態様では、1回又は複数回の投薬サイクルの各々の長さは21日間である。
【0014】
いくつかの態様では、この方法は、1回又は複数回の投薬サイクルの各々の約1日目に、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、及びオキサリプラチンを対象に投与することを含む。
【0015】
いくつかの態様では、この方法は、カペシタビン1回又は複数回の投薬サイクルの各々の1~14日目に対象に投与することを含む。
【0016】
いくつかの態様では、この方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体の前に、PD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む。
【0017】
いくつかの態様では、この方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、及びオキサリプラチンを対象に静脈内投与することを含む。
【0018】
いくつかの態様では、この方法は、カペシタビンを対象に経口投与することを含む。
【0019】
いくつかの態様では、治療は、客観的奏効率(ORR)に、参照ORRと比較した場合の増加をもたらす。いくつかの態様では、参照ORRは、(a)カペシタビン及びオキサリプラチンを含み、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を含まない治療;及び/又は(b)カペシタビン、オキサリプラチン、及びPD-1軸結合アンタゴニストを含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体を含まない治療を受けた対象集団のORRである。
【0020】
いくつかの態様では、治療は、無増悪生存(PFS)に、参照PFSと比較した場合の増加をもたらす。いくつかの態様では、参照PFSは、(a)カペシタビン及びオキサリプラチンを含み、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を含まない治療;及び/又は(b)カペシタビン、オキサリプラチン、及びPD-1軸結合アンタゴニストを含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体を含まない治療を受けた対象の集団のDORの中央値である。
【0021】
いくつかの態様では、治療は、全生存(OS)に、参照OSと比較した場合の増加をもたらす。いくつかの態様では、参照OSは、(a)カペシタビン及びオキサリプラチンを含み、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を含まない治療;及び/又は(b)カペシタビン、オキサリプラチン、及びPD-1軸結合アンタゴニストを含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体を含まない治療を受けた対象の集団のDORの中央値である。
【0022】
いくつかの態様では、治療は、奏功期間(DOR)に、参照DORと比較した場合の増加をもたらす。いくつかの態様では、参照DORは、(a)カペシタビン及びオキサリプラチンを含み、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を含まない治療;及び/又は(b)カペシタビン、オキサリプラチン、及びPD-1軸結合アンタゴニストを含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体を含まない治療を受けた対象の集団のDORの中央値である。
【0023】
別の態様では、本発明は、直腸がんを有する対象を治療するための方法を提供し、この方法は、1回又は複数回の投薬サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含み、1回又は複数回の投薬サイクルは、ネオアジュバント化学療法(nCRT)レジメンに続いて実施される。
【0024】
いくつかの態様では、直腸がんは、ステージcT3N+M0又はステージcT4NanyM0の直腸がんである。
【0025】
いくつかの態様では、直腸がんは、腺癌である。
【0026】
いくつかの態様では、対象は、同時性結腸がんを有さない。
【0027】
いくつかの態様では、対象は、以前に直腸がんの治療を受けたことがない。
【0028】
いくつかの態様では、この方法は、3週毎に約600mgの固定用量で抗TIGITアンタゴニスト抗体を、及び3週毎に約1200mgの固定用量のPD-1軸結合アンタゴニストを、対象に投与することを含む。
【0029】
いくつかの態様では、1回又は複数回の投薬サイクルの各々の長さは21日間である。
【0030】
いくつかの態様では、方法は、1回又は複数回の投薬サイクルの各々の約1日目に、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む。
【0031】
いくつかの態様では、この方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体の前に、PD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む。
【0032】
いくつかの態様では、方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象に静脈内投与することを含む。
【0033】
いくつかの態様では、1回又は複数回の投薬サイクルは、nCRTの最後のサイクルの約2週間後に開始される。
【0034】
いくつかの態様では、1回又は複数回の投薬サイクルは、nCRTの最後のサイクルから4週間以内に開始される。
【0035】
いくつかの態様では、nCRTレジメンは、治療当たり約1.8Gyの分率で骨盤に送達される放射線治療を含む。いくつかの態様では、放射線治療は、毎週1~5日目に投与される。
【0036】
いくつかの態様では、nCRTレジメンは、合計で約45と約50.4Gyとの間の放射線治療を対象に投与することを含む。
【0037】
いくつかの態様では、放射線治療は、25から28の分率で投与される。
【0038】
いくつかの態様では、nCRTレジメンは、フルオロピリミジンに基づく化学療法を含む。
【0039】
いくつかの態様では、フルオロピリミジンに基づく化学療法は、カペシタビン又は5-フルオロウラシル(5-FU)である。
【0040】
いくつかの態様では、カペシタビンは、約825mg/m2の用量で経口投与される。
【0041】
いくつかの態様では、カペシタビンは、毎週5日間連続して1日2回経口投与される。
【0042】
いくつかの態様では、カペシタビンは、毎週7日間連続して1日2回経口投与される。
【0043】
いくつかの態様では、5-FUは、約225mg/m2の用量で静脈内投与される。
【0044】
いくつかの態様では、5-FUは、毎週5日間連続して投与される。
【0045】
いくつかの態様では、5-FUは、毎週7日間連続して投与される。
【0046】
いくつかの態様では、nCRTは、5サイクルにわたって実施される。
【0047】
いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストの第1の投薬サイクルは、外科手術に先立って開始される。
【0048】
いくつかの態様では、外科手術に先立って3回の投薬サイクルが完了する。
【0049】
いくつかの態様では、外科手術は、最後の投薬サイクルから約4週間以内に実施される。
【0050】
いくつかの態様では、外科手術は、直腸間膜全切除(TME)及びリンパ節郭清を使用した外科的全摘手術である。
【0051】
いくつかの態様では、治療は、病理学的完全奏功率(pCR)及び/又は参照pCR率と比較した場合のpCR率の増加をもたらす。いくつかの態様では、参照pCR率は、(a)後にPD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体による治療を伴わないnCRT;及び/又は(b)続いてPD-1軸結合アンタゴニストによる治療を伴うnCRTを含む治療を受けた対象集団のpCR率である。
【0052】
いくつかの態様では、治療は、R0切除率に、参照R0切除率と比較した場合の増加をもたらす。いくつかの態様では、参照R0切除率は、(a)後にPD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体による治療を伴わないnCRT;及び/又は(b)続いてPD-1軸結合アンタゴニストによる治療を伴うnCRTを含む治療を受けた対象集団のpCR率である。
【0053】
いくつかの態様では、治療は、客観的奏効率(ORR)に、参照ORRと比較した場合の増加をもたらす。いくつかの態様では、参照ORRは、(a)後にPD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体による治療を伴わないnCRT;及び/又は(b)続いてPD-1軸結合アンタゴニストによる治療を伴うnCRTを含む治療を受けた対象集団のpCR率である。
【0054】
いくつかの態様では、治療は、無再発生存(RFS)率に、参照RFS率と比較した場合の増加をもたらす。いくつかの態様では、参照RFS率は、(a)後にPD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体による治療を伴わないnCRT;及び/又は(b)続いてPD-1軸結合アンタゴニストによる治療を伴うnCRTを含む治療を受けた対象の集団のRFS率である。いくつかの態様では、RFS率は、1年RFS率、2年RFS率、又は3年RFS率である。
【0055】
いくつかの態様では、治療は、無イベント生存(EFS)率に、参照EFS率と比較した場合の増加をもたらす。いくつかの態様では、参照EFS率は、(a)後にPD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体による治療を伴わないnCRT;及び/又は(b)続いてPD-1軸結合アンタゴニストによる治療を伴うnCRTを含む治療を受けた対象集団のpCR率である。いくつかの態様では、EFS率は、1年RFS率、2年EFS率、又は3年EFS率である。
【0056】
いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の超可変領域(HVR):SNSAAWN(配列番号11)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;ESTTYDLLAGPFDY(配列番号13)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号14)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;WASTRES(配列番号15)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及びQQYYSTPFT(配列番号16)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む。
【0057】
いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR):DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号17)のアミノ酸配列を含むFR-L1;WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号18)のアミノ酸配列を含むFR-L2;GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号19)のアミノ酸配列を含むFR-L3;及びFGPGTKVEIK(配列番号20)のアミノ酸配列を含むFR-L4をさらに含む。
【0058】
いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の重鎖可変領域FR:X1VQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号21)のアミノ酸配列を含むFR-H1を含み(ここで、X1は、E又はQである);WIRQSPSRGLEWLG(配列番号22)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号23)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及びWGQGTLVTVSS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むFR-H4をさらに含む。いくつかの態様では、X1はEである。いくつかの態様では、X1はQである。
【0059】
いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、(a)配列番号27又は28のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;(b)配列番号29のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は(c)(a)のVHドメイン及び(b)のVLドメインを含む。
【0060】
いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、(a)配列番号27のアミノ酸配列を含むVHドメインと配列番号29のアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は(b)配列番号28のアミノ酸配列を含むVHドメインと配列番号29のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0061】
いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、モノクローナル抗体である。
【0062】
いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、ヒト抗体である。
【0063】
いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、完全長抗体である。
【0064】
いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、チラゴルマブである。
【0065】
いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、単鎖可変断片(scFv)、及び(Fab’)2断片からなる群から選択されるTIGITに結合する抗体断片である。
【0066】
いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、IgGクラス抗体である。
【0067】
いくつかの態様では、抗IgG抗体は、IgG1サブクラス抗体である。
【0068】
いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、チラゴルマブ、ビボストリマブ、エチギリマブ(etigilimab)、EOS084448、SGN-TGT、TJ-T6、BGB-A1217、AB308、ドムバナリマブ、BMS-986207、ASP8374、又はCOM902である。
【0069】
いくつかの態様では、この方法は、3週毎に約1200mgの固定用量でPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む。
【0070】
いくつかの態様では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L1結合アンタゴニスト、PD-1結合アンタゴニスト、及びPD-L2結合アンタゴニストからなる群から選択される。
【0071】
いくつかの態様では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L1結合アンタゴニストである。
【0072】
いくつかの態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1の、そのリガンド結合パートナーのうちの1つ又は複数への結合を阻害する。
【0073】
いくつかの態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1の、PD-1、B7-1、又は、PD-1及びB7-1の両方への結合を阻害する。
【0074】
いくつかの態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1アンタゴニスト抗体である。
【0075】
いくつかの態様では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、アテゾリズマブ、MDX-1105、デュバルマブ、アベルマブ、SHR-1316、CS1001、エンバフォリマブ、TQB2450、ZKAB001、LP-002、CX-072、IMC-001、KL-A167、APL-502、コシベリマブ、ロダポリマブ、FAZ053、TG-1501、BGB-A333、BCD-135、AK-106、LDP、GR1405、HLX20、MSB2311、RC98、PDL-GEX、KD036、KY1003、YBL-007、又はHS-636である。
【0076】
いくつかの態様では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、アテゾリズマブである。
【0077】
いくつかの態様では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、以下のHVR:GFTFSDSWIH(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;RHWPGGFDY(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;RASQDVSTAVA(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;SASFLYS(配列番号7)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及びQQYLYHPAT(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む。
【0078】
いくつかの態様では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、(a)配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;(b)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は(c)(a)のVHドメインと(b)のVLドメインを含む。
【0079】
いくつかの態様では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、(a)配列番号9のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号10のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0080】
いくつかの態様では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、モノクローナル抗体である。
【0081】
いくつかの態様では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、ヒト化抗体である。
【0082】
いくつかの態様では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、完全長抗体である。
【0083】
いくつかの態様では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、単鎖可変断片(scFv)、及び(Fab’)2断片からなる群から選択されるPD-L1に結合する抗体断片である。
【0084】
いくつかの態様では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、IgGクラス抗体である。
【0085】
いくつかの態様では、抗IgGクラス抗体は、IgG1サブクラス抗体である。
【0086】
いくつかの態様では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-1結合アンタゴニストである。
【0087】
いくつかの態様では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1の、そのリガンド結合パートナーのうちの1つ又は複数への結合を阻害する。
【0088】
いくつかの態様では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1の、PD-L1、PD-L2、又はPD-L1及びPD-L2の両方への結合を阻害する。
【0089】
いくつかの態様では、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1アンタゴニスト抗体である。
【0090】
いくつかの態様では、抗PD-1アンタゴニスト抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、MEDI-0680、スパルタリズマブ、セミプリマブ、BGB-108、プロルゴリマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ(sintilimab)、チスレリズマブ(tislelizumab)、トリパリマブ、ドスタルリマブ、レチファンリマブ(retifanlimab)、ササンリマブ(sasanlimab)、ペンプリマブ(penpulimab)、CS1003、HLX10、SCT-I10A、ジンベレリマブ(zimberelimab)、バルスチリマブ(balstilimab)、ゲノリムズマブ(genolimzumab)、BI 754091、セトレリマブ(cetrelimab)、YBL-006、BAT1306、HX008、ブディガリマブ(budigalimab)、AMG 404、CX-188、JTX-4014、609A、Sym021、LZM009、F520、SG001、AM0001、ENUM 244C8、ENUM 388D4、STI-1110、AK-103、又はhAb21である。
【0091】
いくつかの態様では、PD-1結合アンタゴニストは、Fc融合タンパク質である。
【0092】
いくつかの態様では、Fc融合タンパク質は、AMP-224である。
【0093】
いくつかの態様では、対象はヒトである。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【
図1】胃癌又は胃食道接合部癌を有する患者が登録されるYO43408の第Ib/II相臨床治験の試験設計を示すフロー図である。Atezo=アテゾリズマブ;CAPOX=カペシタビン+オキサリプラチン;GC=胃癌;GEJC=胃食道接合部癌;R=無作為化;Tira=チラゴルマブ。
【
図2】試験スケジュール及び局所進行直腸がんを有する患者が登録されるML43050の第II相臨床治験の安全性ランインフェーズと無作為化フェーズ(A群及びB群)における活動の概略を示す概要図である。腫瘍及び血液試料(「必要とされる試料」の行)の収集のタイミングが示されている。種々の時点での、放射線化学療法(ダークグレーのブロック)、チラゴルマブ(黒三角)、及びアテゾリズマブ(ライトグレーの三角)の投与、並びに外科手術(白三角)のタイミングと、病理学的応答の評価(ダークグレーの三角)が示されている。RC=直腸がん;LARC=局所進行直腸がん。
【発明を実施するための形態】
【0095】
本発明は、がん、例えば、胃がん(例えば、胃癌(GC)又は胃食道接合部癌(GEJC)、例えば、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJC)又は直腸がん(例えば、局所進行直腸がん(LARC))の治療のための治療的方法及び組成物を提供する。本発明は、少なくとも部分的に、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗プログラム死リガンド-1(PD-L1)抗体(例えば、アテゾリズマブ)又は抗プログラム死-1(PD-1)抗体)と組み合わせて抗TIGIT抗体(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えばチラゴルマブ)を含む免疫療法ががんの治療において有用でありうるという発見に基づいている。一部の態様では、本発明は、抗TIGIT抗体(例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)、及び1つ又は複数の化学療法剤(例えば、白金製剤(例えば、オキサリプラチン)及び/又は1つ又は複数のフルオロピリミジンに基づく化学療法剤(例えば、カペシタビン又は5-フルオロウラシル(5-FU)))の組み合わせを特徴とする。一部の態様では、本発明は、ネオアジュバント放射線化学療法(nCRT)レジメンに続いて投与される抗TIGIT抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を特徴とする。そのような組み合わせ及び/又は投薬レジメンを含む組成物、使用及びキットも本明細書に提供される。
【0096】
【0097】
本明細書で使用される「約」という用語は、この技術分野の当業者であれば容易に理解する、それぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書中の値又はパラメーターに対する「約」の言及は、その値又はパラメーターそれ自体に向けられる態様を含む(及び記述する)。例えば、「約X」という記載には「X」の記載が含まれる。
【0098】
本明細書で使用される「臨床応答を達成する」とは、対象又は対象集団の疾患(例えば、がん、例えば、胃がん、例えば、胃癌(GC)又は胃食道接合部癌(GEJC)(例えば、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJC)、又は直腸がん(例えば、局所進行直腸がん(LARC)))に対する治療的有効性の1つ又は複数の指標を、疾患を治療することを意図した1つ又は複数の薬剤による治療中又は治療後に(例えば、1つ又は複数の薬剤を含む投薬レジメン中又は後に、例えば、1回又は複数回の投薬サイクルのチラゴルマブ及びアテゾリズマブを含む投薬レジメン中又は後に)達成することを指し、改善は治療によるものである。治療的有効性の指標は、例えば、無増悪生存(PFS)(例えば、参照PFSと比較した場合のPFSの増加);全生存(OS)(例えば、参照OSと比較した場合のOSの増加);部分寛解(PR);完全寛解(CR);病理学的完全奏功率(pCR);参照R0切除率と比較した場合のR0切除率の増加;参照無イベント生存(EFS)率と比較した場合のEFS率の増加;参照無再発生存(RFS)率と比較した場合のRFS率の増加;1つ又は複数の標的病変の最長径和(SLD)の減少;参照客観的奏効率(ORR)と比較した場合のORRの増加;又は対象集団の奏功期間(DOR)の中央値である参照DORと比較した場合のDORの増加でありうる。
【0099】
本明細書で使用される「TIGIT」又は「Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体」は、別途指示がない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源由来の任意の天然のTIGITを指す。TIGITはまた、当技術分野において、DKFZp667A205、FLJ39873、Vセット及び免疫グロブリンドメイン含有タンパク質9、Vセット及び膜貫通ドメイン含有タンパク質3、VSIG9、VSTM3、及びWUCAMとしても知られている。この用語は、「完全長」の非プロセス型TIGIT(例えば、配列番号30のアミノ酸配列を有する完全長ヒトTIGIT)、並びに細胞内のプロセシングから生じる任意の形態のTIGIT(例えば、配列番号31のアミノ酸配列を有するシグナル配列を有さないプロセス型ヒトTIGIT)を包含する。この用語は、TIGITの天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトTIGITのアミノ酸配列は、UniProt受託番号Q495A1に見出すことができる。
【0100】
本明細書で使用される「チラゴルマブ」は、TIGITに結合し、配列番号33の重鎖配列及び配列番号34の軽鎖配列を含む、Open Monoclonal Technology(OMT)のラット由来の完全ヒトIgG1/カッパMAbである。チラゴルマブは、Fcドメインに2つのN結合型グリコシル化部位(N306)を含む。チラゴルマブは、WHO Drug Information(薬学的物質に対する国際一般名)のProposed INN:List 117,Vol.31、No.2、published July 7,2017(343頁参照)にも記載されている。
【0101】
「抗TIGITアンタゴニスト抗体」という用語は、TIGITの生物学的活性を実質的に又は完全に阻害するように十分な親和性でTIGITに結合することのできる抗体又はその抗原結合断片若しくはバリアントを指す。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、抗原刺激に対する機能不全状態からT細胞による機能的応答(例えば、増殖、サイトカイン生成、標的細胞殺傷)を回復させるために、PVR、PVRL2、及び/又はPVRL3を介したシグナル伝達を遮断しうる。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、PVR-CD226相互作用に影響を与えることなく、PVRを介したシグナル伝達を遮断しうる。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、別のTIGIT活性に影響を及ぼすことなく1つのTIGIT活性に拮抗しうることが当業者によって理解されるであろう。例えば、本明細書に記載される方法又は使用の一部における使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体は、例えば、他のTIGIT相互作用のいずれかに影響を及ぼすこと又は最小限の影響すら及ぼすことなく、PVR相互作用、PVRL3相互作用、又はPVRL2相互作用のうちの1つに応答してTIGIT活性に拮抗する抗TIGITアンタゴニスト抗体である。一態様では、非関連非TIGITタンパク質への抗TIGITアンタゴニスト抗体の結合の程度は、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定した場合に、TIGITへの抗体の結合の約10%未満である。一部の態様では、TIGITに結合する抗TIGITアンタゴニスト抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、又は≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば10-8Mから10-13M、例えば10-9Mから10-13M)の解離定数(KD)を有する。一部の態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、異なる種からのTIGIT間で保存されているTIGITのエピトープ、又は交差種反応性を可能にするTIGIT上のエピトープに結合する。いくつかの態様では、抗TIGIT結合抗体は、インタクトなFc媒介エフェクター機能を有する(例えば、チラゴルマブ、ビボストリマブ、エチギリマブ、EOS084448、又はTJ-T6)。いくつかの態様では、抗TIGIT結合抗体は、Fc媒介エフェクター機能を増強した(例えば、SGN-TGT)。他の態様では、抗TIGIT結合抗体は、Fc媒介エフェクター機能を欠く(例えば、ドムバナリマブ、BMS-986207、ASP 8374、又はCOM902)。いくつかの態様では、抗TIGIT結合抗体はIgG 1クラス抗体(例えば、チラゴルマブ、ビボストリマブ、ドムバナリマブ、BMS-986207、エチギリマブ、BGB-A1217、SGN-TGT、EOS084448(EOS-448)、TJ-T6、又はAB308)である。いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、IgG4クラス抗体(例えば、ASP8374又はCOM902)である。一態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、チラゴルマブである。
【0102】
「PD-1軸結合アンタゴニスト」という用語は、PD-1シグナル伝達軸上のシグナル伝達に起因するT細胞機能不全を除去するようにPD-1軸結合パートナーとその結合パートナーのうちのいずれか1つ又は複数との相互作用を阻害し、結果として、T細胞機能(例えば、増殖、サイトカイン生成、及び/又は標的細胞死滅)を復元又は増強する分子を指す。本明細書で使用される場合、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L1結合アンタゴニスト、PD-1結合アンタゴニスト及びPD-L2結合アンタゴニストを含む。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L1結合アンタゴニスト又はPD-1結合アンタゴニストを含む。好ましい態様では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L1結合アンタゴニストである。
【0103】
「PD-L1結合アンタゴニスト」という用語は、PD-L1と、PD-1及び/又はB7-1といったその結合パートナーのうちのいずれか1つ又は複数との相互作用に起因するシグナル伝達を、減少させる、遮断する、阻害する、抑止する、又は妨害する分子を指す。いくつかの事例では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1の、その結合パートナーへの結合を阻害する分子である。具体的な態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1の、PD-1及び/又はB7-1への結合を阻害する。いくつかの事例では、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、並びにPD-L1と、PD-1及び/又はB7-1といったその結合パートナーのうちの1つ又は複数との相互作用に起因するシグナル伝達を、減少させる、遮断する、阻害する、抑止する、又は妨害する他の分子を含む。1つの事例では、PD-L1結合アンタゴニストは、機能不全のT細胞の機能不全を軽減する(例えば、抗原認識に対するエフェクター応答を増強する)ように、PD-L1を通したTリンパ球媒介シグナル伝達に発現される細胞表面タンパク質によって又は同細胞表面タンパク質を通して媒介される負の共刺激性シグナルを低減する。いくつかの事例では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1に結合する。いくつかの事例では、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)である。例示的な抗PD-L1アンタゴニスト抗体には、アテゾリズマブ、MDX-1105、MEDI4736(デュルバルマブ)、MSB0010718C(アベルマブ)、SHR-1316、CS1001、エンバフォリマブ、TQB2450、ZKAB001、LP-002、CX-072、IMC-001、KL-A167、APL-502、コシベリマブ、ロダポリマブ、FAZ053、TG-1501、BGB-A333、BCD-135、AK-106、LDP、GR1405、HLX20、MSB2311、RC98、PDL-GEX、KD036、KY1003、YBL-007及びHS-636が含まれる。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、MDX-1105、MEDI4736(デュルバルマブ)、又はMSB0010718C(アベルマブ)である。特定の一態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、MDX-1105である。別の特定の態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、MEDI4736(デュルバルマブ)である。別の特定の態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、MSB0010718C(アベルマブ)である。他の態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、小分子、例えばGS-4224、INCB086550、MAX-10181、INCB090244,CA-170又はABSK041であってよく、いくつかの事例では経口投与されうる。他の例示的なPD-L1結合アンタゴニストには、AVA-004、MT-6035、VXM10、LYN192、GB7003及びJS-003が含まれる。好ましい態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、アテゾリズマブである。
【0104】
「PD-1結合アンタゴニスト」という用語は、PD-1と、PD-L1及び/又はPD-L2といったその結合パートナーのうちの1つ又は複数との相互作用に起因するシグナル伝達を減少させる、遮断する、阻害する、抑止する、又は妨害する分子を指す。PD-1(プログラム死1)は、当技術分野で「プログラム細胞死1」、「PDCD1」、「CD279」、及び「SLEB2」とも呼ばれる。例示的なヒトPD-1は、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号Q15116に示される。いくつかの事例では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1の、その結合パートナーのうちの1つ又は複数に対する結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD-1結合拮アンタゴニストは、PD-1の、PD-L1及び/又はPD-L2への結合を阻害する。例えば、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、並びにPD-1とPD-L1及び/又はPD-L2との相互作用に起因するシグナル伝達を低減、遮断、阻害、抑止、又は妨害する他の分子を含む。1つの事例では、PD-1結合アンタゴニストは、機能不全のT細胞の機能不全を軽減する(例えば、抗原認識に対するエフェクター応答を増強する)ように、PD-1を通したTリンパ球媒介シグナル伝達に発現される細胞表面タンパク質によって又は同細胞表面タンパク質を通して媒介される負の共刺激シグナルを低減する。いくつかの事例では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1に結合する。いくつかの事例では、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体(例えば、抗PD-1アンタゴニスト抗体)である。例示的な抗PD-1アンタゴニスト抗体には、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、MEDI-0680、PDR001(スパルタリズマブ)、REGN2810(セミプリマブ)、BGB-108、プロルゴリマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、ドスタルリマブ、レチファンリマブ、ササンリマブ、ペンプリマブ、CS1003、HLX10、SCT-I10A、ジンベレリマブ、バルスチリマブ、ゲノリムズマブ、BI 754091、セトレリマブ、YBL-006、BAT1306、HX008、ブディガリマブ、AMG404、CX-188、JTX-4014、609A、Sym021、LZM009、F520、SG001、AM0001、ENUM 244C8、ENUM 388D4、STI-1110、AK-103及びhAb21が含まれる。特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストは、MDX-1106(ニボルマブ)である。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストは、MK-3475(ペンブロリズマブ)である。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-L2 Fc融合タンパク質、例えばAMP-224である。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストは、MED1-0680である。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストは、PDR001(スパルタリズマブ)である。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストは、REGN2810(セミプリマブ)である。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストは、BGB-108である。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストは、プロルゴリマブである。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストは、カムレリズマブである。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストは、シンチリマブである。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストは、チスレリズマブである。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストは、トリパリマブである。他のさらなる例示的なPD-1結合アンタゴニストには、BION-004、CB201、AUNP-012、ADG104及びLBL-006が含まれる。
【0105】
「PD-L2結合アンタゴニスト」という用語は、PD-L2と、PD-1といったその結合パートナーのうちのいずれか1つ又は複数との相互作用に起因するシグナル伝達を、減少させる、遮断する、阻害する、又は妨害する分子を指す。PD-L2(プログラム死リガンド2)は、当技術分野で「プログラム細胞死1リガンド2」、「PDCD1LG2」、「CD273」、「B7-DC」、「Btdc」、及び「PDL2」とも呼ばれる。例示的なヒトPD-L2は、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号Q9BQ51に示される。いくつかの事例では、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-L2の、その結合パートナーのうちの1つ又は複数への結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-L2のPD-1への結合を阻害する。例示的なPD-L2アンタゴニストには、抗PD-L2抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、及びPD-L2と、PD-1といったその結合パートナーのうちのいずれか1つ又は複数との相互作用に起因するシグナル伝達を、減少させる、遮断する、阻害する、抑止する、又は妨害する他の分子が含まれる。一態様において、PD-L2結合拮抗剤は、機能不全のT細胞の機能不全を軽減する(例えば、抗原認識に対するエフェクター応答を増強する)ように、PD-L2を通したTリンパ球媒介シグナル伝達に発現された細胞表面タンパク質によって又は同細胞表面タンパク質を通して媒介される負の共刺激シグナルを低減する。いくつかの態様では、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-L2に結合する。いくつかの態様では、PD-L2結合アンタゴニストは、イムノアドヘシンである。他の態様では、PD-L2結合アンタゴニストは、抗PD-L2アンタゴニスト抗体である。
「プログラム死リガンド1」及び「PD-L1」という用語は、本明細書では、天然配列ヒトPD-L1ポリペプチドを指す。天然配列PD-L1ポリペプチドは、Uniprot受託番号Q9NZQ7で提供される。例えば、天然配列PD-L1は、Uniprot受託番号Q9NZQ7-1(アイソフォーム1)(配列番号32)に記載のアミノ酸配列を有しうる。別の例では、天然配列PD-L1は、Uniprot受託番号Q9NZQ7-2(アイソフォーム2)に記載のアミノ酸配列を有しうる。また別の例では、天然配列PD-L1は、Uniprot受託番号Q9NZQ7-3(アイソフォーム3)に記載のアミノ酸配列を有しうる。PD-L1は、当技術分野において「プログラム細胞死1リガンド1」、「PDCD1LG1」、「CD274」、「B7-H」、及び「PDL1」とも称される。
【0106】
カバット番号付けシステムは一般に、可変ドメイン(概ね軽鎖の残基1~107及び重鎖の残基1~113)内の残基に言及するときに使用される(例えば、Kabat et al.,Sequences of Immunological Interest.5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))。「EU番号付けシステム」又は「EUインデックス」は、一般に、免疫グロブリン重鎖定常領域内の残基に言及するときに使用される(例えば、Kabat et al.(上掲)に報告されるEUインデックス)。「カバットにおけるようなEUインデックス」は、ヒトIgG1 EU抗体の残基番号付けを指す。
【0107】
本明細書の目的のために、「アテゾリズマブ」は、PD-L1に結合し、配列番号1の重鎖配列及び配列番号2の軽鎖配列を含むFc操作されたヒト化非グリコシル化IgG1カッパ免疫グロブリンである。アテゾリズマブは、Fc領域アミノ酸残基のEU番号付けを使用して、重鎖上の297位に単一のアミノ酸置換(アスパラギンをアラニンへ)(N297A)を含み、Fc受容体への最小限の結合を有する非グリコシル化抗体をもたらす。アテゾリズマブは、WHO Drug Information(薬学的物質に対する国際一般名)のProposed INN:List 112,Vol.28,No.4,published January 16,2015(485頁参照)にも記載されている。
【0108】
「がん」という用語は、身体の一部における異常細胞の制御不能な分裂によって引き起こされる疾患を指す。1つの事例では、がんは、胃がんである。別の事例では、がんは、直腸がんである。がんは、局所進行性又は転移性でありうる。いくつかの事例では、がんは局所進行性である。他の事例では、がんは、転移性である。いくつかの事例では、がんは、切除不能でありうる(例えば、切除不能な局所進行性又は転移性がん)。がんの例には、限定されないが、カルシノーマ、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病又はリンパ系悪性腫瘍が含まれる。がんのさらに特定の例には、限定されないが、胃腸がん(例えば、胃癌(GC)又は胃食道接合部癌(GEJC)(例えば、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJC;胃腺癌又は胃食道接合部腺癌(例えば、食道胃接合部の腺癌))を含む胃(gastric or stomach)がん、又は直腸がん(例えば、局所進行直腸がん(LARC);直腸の腺癌)が含まれる。
【0109】
「腫瘍」という用語は、悪性又は良性にかかわらず、すべての腫瘍性細胞の成長及び増殖、並びにすべての前がん性及びがん性の細胞及び組織を指す。「がん」、「がん性」、「細胞増殖性疾患」、「増殖性疾患」、及び「腫瘍」という用語は、本明細書で言及される場合、相互排他的ではない。
【0110】
本明細書で使用される「腫瘍細胞」は、腫瘍又はその試料中に存在する任意の腫瘍細胞を指す。腫瘍細胞は、当技術分野において既知である、及び/又は本明細書に記載されている方法を使用して、腫瘍試料中に存在しうる他の細胞、例えば、間質細胞及び腫瘍浸潤免疫細胞と区別されうる。
【0111】
「腫瘍免疫」は、腫瘍が免疫認識及び除去を回避する過程を指す。したがって、治療的概念として、このような回避が減弱し、腫瘍が免疫系によって認識されて攻撃されるとき、腫瘍免疫は「治療される」。腫瘍認識の例には、腫瘍結合、腫瘍退縮、及び腫瘍除去が含まれる。
【0112】
本明細書で使用される場合、「転移」は、その原発部位から体内の他の場所へのがんの広がりを意味する。がん細胞は、原発腫瘍から離脱し、リンパ管及び血管に浸透し、血流を通じて循環し、体内の他の場所の正常組織内の遠位焦点で成長する(転移する)ことができる。転移は、局所的又は遠位でありうる。転移は、腫瘍細胞が原発腫瘍から離脱し、血流を通じて移動し、遠位部位で停止することを条件とする逐次プロセスである。新たな部位で、細胞は、血液供給を確立し、成長して、生命を脅かす塊を形成しうる。腫瘍細胞内の刺激性及び阻害性両方の分子経路がこの挙動を制御し、遠隔部位における腫瘍細胞と宿主細胞との間の相互作用も重要である。
【0113】
本明細書で使用される「治療する」は、有効量の治療剤(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)又は治療剤の組み合わせ(例えば、PD-1軸結合アンタゴニストと1つ又は複数の追加の治療剤、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ及び/又は化学療法剤(例えば、白金系化学療法剤(例えば、オキサリプラチン)及び/又はフルオロピリミジンに基づく化学療法薬剤(例えば、カペシタビン又は5-フルオロウラシル(5-FU))))による有効ながん治療を含む。本明細書における治療には、とりわけ、アジュバント療法、ネオアジュバント療法、非転移性がん療法(例えば、局所進行性がん治療)及び転移性がん療法が含まれる。いくつかの態様では、治療は、ネオアジュバント療法(例えば、ネオアジュバント放射線化学療法(nCRT))とそれに続くPD-1軸結合アンタゴニストによる治療(例えば、アテゾリズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブを含む。いくつかの実施形態では、治療は、外科手術をさらに含む。治療は、第一選択治療(例えば、対象は以前に治療されていない可能性があるか、又は事前の全身療法を受けたことがない)又は第二選択治療若しくはそれ以降の治療でありうる。
【0114】
本明細書では、「有効量」は、治療結果を達成する、治療剤(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)又は治療剤の組み合わせ(例えば、PD-1軸結合アンタゴニストと抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、アテゾリズマブとチラゴルマブ)及び/又は化学療法剤(例えば、白金系化学療法剤(例えば、オキサリプラチン)及び/又はフルオロピリミジンに基づく化学療法薬剤(例えば、カペシタビン又は5-フルオロウラシル(5-FU))))の量を指す。いくつかの例では、治療剤又は治療剤の組み合わせの有効量は、改善された全奏効率(ORR)、完全寛解(CR)、病理学的完全奏功率(pCR)、部分寛解(PR)、改善された生存(例えば、無病生存(DFS)、及び/又は無増悪生存(PFS)及び/又は全生存(OS))、及び/又は改善された奏功期間(DOR)の臨床評価項目を達成する薬剤又は薬剤の組み合わせの量である。改善(例えば、奏効率(例えば、ORR、CR、及び/又はPR)、生存(例えば、PFS及び/又はOS)、又はDORの観点からの)は、適切な参照治療、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を含まない治療と比べたものでありうる。
【0115】
本明細書で使用される「完全寛解」及び「CR」は、すべての標的病変の消滅を指す。例えば、<10mmのいずれかの病的なリンパ節の短軸の低減が、CRに必要とされうる。
【0116】
本明細書で使用される「病理学的完全奏功率」及び「pCR」は、抗がん療法(例えば、照射、化学療法、免疫療法、又はネオアジュバント療法)による治療後に原発腫瘍及びリンパ節から除去された組織試料(例えば、外科手術で切除された試料)のヘマトキシリン及びエオシン評価で残留浸潤がんが存在しないことを指す。例えば、pCRは、完全切除標本及びネオアジュバント療法の完了後にサンプリングされたすべての所属リンパ節のヘマトキシリン及びエオシン評価により、致命的な残留腫瘍細胞の証拠がないことと定義されうる(現行AJCC 病気分類システム第8版のypT0N0)。
【0117】
本明細書で使用される「病理学的完全奏功率」及び「pCR率」は、病理学的完全奏功率を達成する対象の割合を指す。例えば、pCR率は、各試験施設での、現場の病理学者によって評価された、外科手術で切除された試料においてpCRを達成した対象の割合と定義されうる。
【0118】
本明細書で使用される「径和」は、非リンパ節病変(例えば、標的病変)の最長径及びリンパ節病変の短軸を指す。例えば、径和は、ベースライン及び各腫瘍評価で計算されうる、すべての標的病変のすべての径の和と定義されうる。
【0119】
本明細書で使用される「部分寛解」及び「PR」は、CRの非存在下における、ベースライン径和を参照とした、すべての標的病変の径和の少なくとも30%の減少を指す。
【0120】
本明細書で使用される「進行性疾患」及び「PD」は、ベースラインを含む以前の時点における最小径和を参照とした、標的病変の径和の少なくとも20%の増加を指す。1つ又は複数の新規病変の出現も、PDと考慮することができる。例えば、≧5mmの径和の絶対的な増加はまた、PDを示すことが必要とされる。
【0121】
本明細書で使用される「安定疾患」及び「SD」は、CR又はPRを満たす標的病変の十分な縮小及びPDを満たす十分な増大のいずれも指さない。
【0122】
本明細書で使用される「疾患制御率」及び「DCR」は、CR、PR、及び安定疾患(SD)を達成した対象のパーセンテージを指す。例えば、DCRは、RECIST v1.1に従って治験責任医師が決定した、≧12週にわたる安定疾患、PR、又はCRを有する患者の割合を指す。
【0123】
本明細書で使用される「全奏効率」、「客観的奏効率」及び「ORR」は、CR率とPR率の和を互換的に指す。例えば、ORRは、RECIST v1.1に従って治験責任医師が決定した、CR又はPRを有する対象の割合と定義されうる。別の例では、ORRは、RECIST v1.1に従って治験責任医師が決定した、≧4週の間隔を空けて2回連続してCR又はPRを有する対象の割合と定義されうる。
【0124】
本明細書で使用される「完全臨床応答率」又は「cCR率」は、内視鏡MRI及び身体検査によって評価したネオアジュバント放射線化学療法後に残留腫瘍(臨床収率T0N0、ycT0N0)の局所的証拠のない患者の割合を指す。
【0125】
本明細書で使用される「無増悪生存期間」及び「PFS」は、がんが悪化しない治療中及び治療後の時間の長さを指す。PFSは、対象がCR又はPRを経験した時間の量、及び対象が安定疾患を経験した時間の量を含みうる。例えば、PFSは、RECIST v1.1に従って治験責任医師が決定した、無作為化から疾患の最初の発生又は何らかの原因による死亡のうち最初に起こる方までの時間と定義される。
【0126】
本明細書で使用される「全生存期間」及び「OS」は、対象がまだ生存している、診断の日又は疾患(例えばがん)の治療の開始日からの時間の長さを指す。例えば、OSは、無作為化から何らかの原因による死亡までの時間と定義されうる。OSは、特定の時点(例えば、6又は12カ月)において定義されうる。
【0127】
本明細書で使用される「奏効の持続期間」及び「DOR」という用語は、腫瘍応答の記録から疾患の進行又は何らかの原因による死亡のうちいずれか最初に起こる方までの時間の長さを指す。例えば、DORは、RECIST v1.1に従って治験責任医師が決定した、記録された客観的応答の最初の発生から疾患進行又は何らかの原因による死亡のうち最初に起こる方までの時間と定義される。DORは、CR又はPRを有する対象について得られる。
【0128】
本明細書で使用される「R0切除率」は、病理学者による評価に基づいて、原発腫瘍床及び/又はサンプリングされた所属リンパ節に残った大きな腫瘍又は微小腫瘍のない、顕微鏡による断端陰性切除を有する対象の割合を指す。
【0129】
本明細書で使用される「無再発生存率」及び「RFS率」は、特定の時点で疾患の再発又は何らかの原因による死亡を経験していない対象の割合を指す。例えば、RFS率は、治験責任が決定した、1、2、又は3年の時点で疾患の再発又は何らかの原因による死亡を経験していない対象の割合と定義されうる。
【0130】
本明細書で使用される「無イベント生存率」及び「EFS率」は、特定の時点で無作為化後に特定の事象を経験していない対象の割合を指す。例えば、EFS率は、無作為化後1、2又は3年の時点で特定の事象(例えば、外科手術が不可能な疾患の進行、局所若しくは遠隔再発、又は何らかの原因による死亡)を経験していない対象の割合と定義されうる。
【0131】
本明細書で使用される用語「化学療法剤は、がん、例えば胃癌(GC)、胃食道接合部癌(GEJC)、又は直腸がんの治療において有用な化合物を指す。化学療法剤の例には、EGFR阻害剤(小分子阻害剤(例えば、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標)、Genentech/OSI Pharm.);PD 183805(CI 1033、2-プロペンアミド、N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-7-[3-(4-モルホリニル)プロピル]-6-キナゾリニル]-、ジヒドロクロリド,Pfizer Inc.);ZD1839、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))4-(3’-クロロ-4’-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-(3-モルホリノプロピル)キナゾリン,AstraZeneca);ZM 105180((6-アミノ-4-(3-メチルフェニル-アミノ)-キナゾリン,Zeneca);BIBX-1382(N8-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-N2-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ピリミド[5,4-d]ピリミジン-2,8-ジアミン,Boehringer Ingelheim);PKI-166((R)-4-[4-[(1-フェニルエチル)アミノ]-1H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-イル]-フェノール);(R)-6-(4-ヒドロキシフェニル)-4-[(1-フェニルエチル)アミノ]-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン);CL-387785(N-[4-[(3-ブロモフェニル)アミノ]-6-キナゾリニル]-2-ブチンアミド);EKB-569(N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-3-シアノ-7-エトキシ-6-キノリニル]-4-(ジメチルアミノ)-2-ブテンアミド)(Wyeth);AG1478(Pfizer);AG1571(SU 5271;Pfizer);及びラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016又はN-[3-クロロ-4-[(3 フルオロフェニル)メトキシ]フェニル]-6[5[[[2メチルスルホニル)エチル]アミノ]メチル]-2-フラニル]-4-キナリゾンアミン)といった二重EGFR/HER2チロシンキナーゼ阻害剤を含む);チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、EGFR阻害剤;TAK165(Takeda)などの小分子HER2チロシンキナーゼ阻害剤;ErbB2受容体チロシンキナーゼの口腔選択的阻害剤であるCP-724,714(Pfizer and OSI);EGFRに優先的に結合するがHER2及びEGFRの両方を過剰発現する細胞を阻害するEKB-569(Wyethから入手可能)などの二重-HER阻害剤;PKI-166(Novartis);カネルチネブ(CI-1033;Pharmacia)などのpan-HER阻害剤;Raf-1シグナル伝達を阻害するアンチセンス薬剤ISIS-5132(ISIS Pharmaceuticals)などのRaf-1阻害剤;メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標),Glaxo SmithKline)などの非HER標的化チロシンキナーゼ阻害剤;スニチニブ(SUTENT(登録商標),Pfizer)などの多標的化チロシンキナーゼ阻害剤;バタラニブ(PTK787/ZK222584,Novartis/Schering AG)などのVEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤;MAPK細胞外制御キナーゼI阻害剤CI-1040(Pharmacia);PD 153035,4-(3-クロロアニリノ)キナゾリンなどのキナゾリン;ピリドピリミジン;ピリミドピリミジン;CGP 59326、CGP 60261及びCGP 62706といったピロロピリミジン;ピラゾロピリミジン、4-(フェニルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン;クルクミン(ジフェルロイルメタン、4,5-ビス(4-フルオロアニリノ)フタルイミド);ニトロチオフェン部分を含有するトリホスチン;PD-0183805(Warner-Lamber);アンチセンス分子(例えば、HER-コード化核酸に結合するもの);キノキサリン(米国特許第5,804,396号);トリホスチン(米国特許第5,804,396号);ZD6474(Astra Zeneca);PTK-787(Novartis/Schering AG);CI-1033(Pfizer)などのpan-HER阻害剤;Affinitac(ISIS 3521;Isis/Lilly);PKI 166(Novartis);GW2016(Glaxo SmithKline);CI-1033(Pfizer);EKB-569(Wyeth);Semaxinib(Pfizer);ZD6474(AstraZeneca);PTK-787(Novartis/Schering AG);INC-1C11(Imclone);及びラパマイシン(sirolimus、RAPAMUNE(登録商標)));ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標)、Millennium Pharm.)などのプロテアソーム阻害剤;ジスルフィラム;没食子酸エピガロカテキン;サリノスポラミドA;カーフィルゾミブ;17-AAG(ゲルダナマイシン);ラディシコール;乳酸デヒドロゲナーゼA(LDH-A);フルベストラント(FASLODEX(登録商標),AstraZeneca);レトロゾール(FEMARA(登録商標),Novartis)、フィナスネート(finasunate)(バタラニブ(登録商標),Novartis);オキサリプラチン(ELOXATIN(登録商標),Sanofi);5-FU(5-フルオロウラシル);ロイコボリン;ロナファルニブ(SCH 66336);ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標),Bayer Labs);チオテパ及びCYTOXAN(登録商標)シクロホスファミドといったアルキル化剤であるAG1478;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファンといったアルキルスルホネート;ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ(uredopa)といったアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド及びトリメチロメラミンを含むエチレンイミン及びメチルアメラミン;アセトゲニン(特にブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(トポテカン及びイリノテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼルシン及びビセレシン合成アナログを含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);副腎皮質ステロイド(プレドニゾン及びプレドニゾロンを含む);酢酸シプロテロン;フィナステリド及びデュタステリドを含む5-レダクターゼ);ボリノスタット、ロミデプシン、パノビノスタット、バルプロ酸、モセチノスタットドラスタチン;アルデスロイキン、タルクデュオカルマイシン(合成アナログ、KW-2189及びCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラスタチン;サルコジクチイン;スポンギスタチン;クロラムブシル、クロマファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードといったナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチンといったニトロソウレア;エンジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特にカリケアマイシンγ1及びカリケアマイシンω1)などの抗生物質;ジネミシンAを含むジネミシン;クロドロネートなどのビスホスホネート;エスペラミシン;並びにネオカルジノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン(aclacinomysins)、アクチノマイシン、アウスラマイシン(authramycin)、アザセリン、カクチノマイシン、カラビシン(carabicin)、カミノマイシン(caminomycin)、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えばマイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ドロルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツルベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキセート及び5-フルオロウラシル(5-FU)といった代謝拮抗剤;デノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセートといった葉酸アナログ;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンといったプリンアナログ;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンといったピリミジンアナログ;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンといったアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンといった抗副腎;フォリン酸などの葉酸補液;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビスアントレン;エダトレキサート(edatraxate);デホファミン(defofamine);デメコルチン;ジアジクオン;エルフォミチン(elfomithine);エリプチニウムアセテート;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダイニン(lonidainine);メイタンシン及びアンサミトシンといったメイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダムノール(mopidamnol);ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖類複合体(JHS Natural Products);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT-2トキシン、ベラキュリンA(verracurin A)、ロリジンA及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;クロラムブシル;GEMZAR(登録商標)(ゲムシタビン);6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;カペシタビン(XELODA(登録商標);イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;並びに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、プロドラッグ、及び誘導体が含まれる。
【0132】
化学療法剤には、(i)腫瘍に対するホルモン作用を制御又は阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標);クエン酸タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、ヨードキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びFARESTON(登録商標)(クエン酸トレミフィン)を含む抗エストロゲン薬及び選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)など;(ii)副腎におけるエストロゲン生成を制御する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)(酢酸メゲストロール)、AROMASIN(登録商標)(エキセメスタン;Pfizer)、フォルメスタニー(formestanie)、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)(ボロゾール)、FEMARA(登録商標)(レトロゾール;Novartis)及びARIMIDEX(登録商標)(アナストロゾール;AstraZeneca)など;(iii)抗アンドロゲン、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド及びゴセレリン;ブセレリン、トリプテレリン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ジエチルスチルベストロール、プレマリン、フルオキシメステロン、全トランスレチノイン酸、フェンレチニド及びトロキサシタビン(a1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシンアナログ);(iv)プロテインキナーゼ阻害剤;(v)脂質キナーゼ阻害剤;(vi)アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、異常な細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えば、PKC-アルファ、Ralf及びH-Rasなど;(vii)リボザイム、例えばVEGF発現阻害剤(例えば、ANGIOZYME(登録商標))及びHER2発現阻害剤;(viii)遺伝子療法ワクチンなどのワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)、LEUVECTIN(登録商標)、及びVAXID(登録商標);(ix)ビンカ(例えば、ビンクリスチン及びビンブラスチン)、NAVELBINE(登録商標)(ビノレルビン)、タキサン(例えば、パクリタキセル、nab-パクリタキセル、及びドセタキセル)、トポイソメラーゼII阻害剤(例えば、ドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド及びブレオマイシン)及びDNAアルキル化剤(例えば、タモキシゲン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキサート、5-フルオロウラシル及びara-C)を含む増殖阻害剤;並びに(x)上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、プロドラッグ、及び誘導体も含まれる。
【0133】
「細胞傷害性剤」という用語は、本明細書で使用される場合、細胞に有害である(例えば、細胞死を引き起こすか、増殖を阻害するか、又はさもなければ細胞機能を妨害する)任意の薬剤を指す。細胞傷害性剤には、限定されないが、放射性同位体(例えばAt211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位体);化学療法剤;核酸分解酵素などの酵素及びその断片;並びにその断片及び/又はバリアントを含む、細菌、真菌、植物又は動物由来の低分子毒素又は酵素的に活性な毒素などの毒素が含まれる。例示的な細胞傷害性剤は、抗微小管剤、白金配位錯体、アルキル化剤、抗生物質剤、トポイソメラーゼII阻害剤、代謝拮抗薬、トポイソメラーゼI阻害剤、ホルモン及びホルモンアナログ、シグナル伝達経路阻害剤、非受容体チロシンキナーゼ血管新生阻害剤、免疫療法剤、アポトーシス促進剤、LDH-Aの阻害剤、脂肪酸生合成の阻害剤、細胞周期シグナル伝達阻害剤、HDAC阻害剤、プロテアソーム阻害剤、及びがん代謝の阻害剤から選択することができる。一事例では、細胞傷害性剤は、白金系化学療法剤(例えば、カルボプラチン又はシスプラチン)である。一事例では、細胞傷害性剤は、EGFRのアンタゴニスト、例えば、N-(3-エチニルフェニル)-6,7-ビス(2-メトキシエトキシ)キナゾリン-4-アミン(例えば、エルロチニブ)である。一事例では、細胞傷害性剤は、RAF阻害剤、例えば、BRAF及び/又はCRAF阻害剤である。一事例では、RAF阻害剤は、ベムラフェニブである。一事例では、細胞傷害性剤は、PI3K阻害剤である。
【0134】
「患者」という用語は、ヒト患者又は対象を指す。例えば、患者は、成人でありうる。
【0135】
本明細書の「抗体」という用語は、具体的には、それらが所望の生物学的活性を示す限り、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を包含する。一事例では、抗体は、完全長モノクローナル抗体である。
【0136】
本明細書で使用されるIgG「アイソタイプ」又は「サブクラス」という用語は、その定常領域の化学特性及び抗原特性によって決まる免疫グロブリンのサブクラスのいずれかを意味する。
【0137】
それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、抗体(免疫グロブリン)は、異なるクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンには5つの主なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMが存在し、これらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2にさらに分けられうる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、γ、ε、γ、及びμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造及び三次元立体配置は周知であり、その概要は、例えば、Abbas et al.Cellular and Mol.Immunology,4th ed.(W.B.Saunders,Co.,2000)に記載されている。抗体は、抗体と1つ又は複数の他のタンパク質又はペプチドとの共有結合又は非共有会合によって形成されるより大きい融合分子の一部でありうる。
【0138】
「完全長抗体」、「インタクトな抗体」、及び「全抗体」という用語は、本明細書では交換可能に使用され、以下に記載の抗体断片ではない、その実質的にインタクトな形態の抗体を指す。この用語は、Fc領域を含む抗体を指す。
【0139】
本明細書の用語「Fc領域」は、定常領域の少なくとも一部分を含む免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。この用語には、天然配列Fc領域及び変異Fc領域が含まれる。一態様において、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226から、又はPro230から、重鎖のカルボキシル末端までに及ぶ。しかしながら、宿主細胞によって生成される抗体は、重鎖のC末端から1つ又は複数、特に1つ又は2つのアミノ酸の翻訳後切断を受けることがある。したがって、完全長重鎖をコードする特定の核酸分子の発現により宿主細胞によって生成される抗体は、完全長重鎖を含みうるか、又は完全長重鎖の切断されたバリアントを含みうる。これは、重鎖の最後の2つのC末端アミノ酸がグリシン(G446)及びリジン(K447)である場合にありうる。したがって、Fc領域のC末端リジン(Lys447)、又はC末端グリシン(Gly446)及びリジン(Lys447)は、存在してもよいし、存在しなくてもよい。Fc領域を含む重鎖のアミノ酸配列は、別途指示がない限り、本明細書ではC末端リジン(Lys447)なしで示される。一態様では、本明細書に開示される抗体に含まれる、本明細書に明記されるFc領域を含む重鎖は、さらなるC末端グリシン-リジンジペプチド(G446及びK447)を含む。一態様では、本明細書に開示される抗体に含まれる、本明細書に明記されるFc領域を含む重鎖は、さらなるC末端グリシン残基(G446)を含む。一態様では、本明細書に開示される抗体に含まれる、本明細書に明記されるFc領域を含む重鎖は、さらなるC末端リジン残基(K447)を含む。一実施形態において、Fc領域は、重鎖の単一アミノ酸置換N297Aを含む。本明細書で別途特定されない限り、Fc領域又は定常領域におけるアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載されている、EUインデックスとも呼ばれるEU番号付けシステムに従う。
【0140】
「ネイキッド抗体」は、異種部分(例えば、細胞傷害性部分)又は放射標識にコンジュゲートしていない抗体を指す。ネイキッド抗体は、薬学的組成物中に存在してもよい。
【0141】
「抗体断片」は、好ましくはその抗原-結合領域を含む、インタクトな抗体の一部分を含む。いくつかの事例では、本明細書に記載される抗体断片は、抗原結合断片である。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片;ダイアボディ、直鎖状抗体;単鎖抗体分子(例えば、scFv);並びに抗体断片から形成される多重特異性抗体が含まれる。
【0142】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち集団を構成する個々の抗体が、可能性のあるバリアント抗体を除き、同一である及び/又は同じエピトープに結合し、例えば天然に存在する変異を含むか又はモノクローナル抗体調製物の生成中に生じ、このようなバリアントは通常少量で存在する。典型的には異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体製剤とは対照的に、モノクローナル抗体製剤の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基を指向している。したがって、修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均一な集合から得られている抗体の特徴を示し、いずれか特定の方法による抗体の生成が必要であると解釈すべきではない。例えば、本発明によるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組み換えDNA法、ファージディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含むトランスジェニック動物を利用する方法を含むがこれらに限定されない様々な技術によって作製されうる。
【0143】
本明細書で使用される「超可変領域」又は「HVR」という用語は、配列内で超可変であり、抗原結合特異性を決定する抗体可変ドメインの領域、例えば「相補性決定領域」(CDR)の各々を指す。
【0144】
一般に、抗体は、6つのCDR:VH中の3つ(CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)と、VL中の3つ(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3)を含む。本明細書における例示的なCDRは、
(a)アミノ酸残基26-32(L1)、50-52(L2)、91-96(L3)、26-32(H1)、53-55(H2)、及び96-101(H3)に生じる超可変ループ(Chothia and Lesk、J.Mol.Biol.196:901-917(1987));
(b)アミノ酸残基24-34(L1)、50-56(L2)、89-97(L3)、31-35b(H1)、50-65(H2)、及び95-102(H3)に生じるCDR(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991));並びに
(c)アミノ酸残基27c-36(L1)、46-55(L2)、89-96(L3)、30-35b(H1)、47-58(H2)、及び93-101(H3)に生じる抗原接触(MacCallum et al.J.Mol.Biol.262:732-745(1996))
を含む。
【0145】
別途指示がない限り、CDRは、上掲のKabat et al.に従って決定される。当業者であれば、CDRの呼称は、上掲のChothia、上掲のMcCallum、又は任意の他の科学的に認められた命名法に従って決定することもできることを理解するであろう。
【0146】
「フレームワーク」又は「FR」は、相補性決定領域(CDR)以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、一般に、4つのFRドメイン:FR1、FR2、FR3及びFR4からなる。したがって、CDR配列及びFR配列は一般に、VH(又はVL)の次の配列:FR1-CDR-H1(CDR-L1)-FR2-CDR-H2(CDR-L2)-FR3-CDR-H3(CDR-L3)-FR4に現れる。
【0147】
用語「Kabatの可変ドメイン残基番号付け」又は「Kabatのアミノ酸位の番号付け」及びそれらの変形は、上掲のKabatらの抗体の編集の軽鎖可変ドメイン又は重鎖可変ドメインに用いられる番号付けシステムを指す。この番号付けシステムを使用して、実際の直鎖状アミノ酸配列は、可変ドメインのFR若しくはHVRの短縮、又はFR若しくはHVRへの挿入に対応するより少ないアミノ酸又は追加のアミノ酸を含有しうる。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後に単一のアミノ酸挿入(Kabatによれば残基52a)を含み、重鎖FR残基82の後に挿入された残基(例えば、Kabatによれば残基82a、82b、及び82c等)を含みうる。残基のKabat番号付けは、所与の抗体に対して、抗体の配列と「標準の」Kabatによって番号付けされた配列との相同領域での整列によって決定されうる。
【0148】
本明細書で使用される「PD-L1陽性腫瘍細胞分率」は、免疫組織化学(IHC)アッセイ、例えば抗体SP142、SP263、22C3、又は28-8を使用してPD-L1を染色するIHCアッセイにおける試料の染色後に、試料中に存在するすべての生存腫瘍細胞に対して任意の強度で部分的な又は完全な膜染色(細胞質染色を除く)を示す生存腫瘍細胞のパーセンテージである。したがって、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、PD-L1 IHC SP142(Ventana)アッセイを使用して、例えば、式:PD-L1陽性腫瘍細胞分率=(PD-L1陽性腫瘍細胞の数)/(PD-L1陽性及びPD-L1陰性腫瘍細胞の総数)によって計算することができ、腫瘍細胞及びすべての非腫瘍細胞(例えば、腫瘍浸潤免疫細胞、正常細胞、壊死細胞及び残屑)のPD-L1細胞質染色は、評価及びスコアリングから除外される。任意の所与の診断PD-L1抗体は、PD-L1陽性腫瘍細胞分率を得るために使用することのできる特定のIHCアッセイプロトコール及び/又はスコアリング用語に対応しうることが理解されるであろう。例えば、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、それぞれBenchmark ULTRAでのOPTIVIEW(登録商標)検出、AutostainerLink 48でのEnVision Flex,Benchmark ULTRAでのOPTIVIEW(登録商標)検出及び増幅、又はAutostainerLink 48でのEnVision Flexを使用して、SP263、22C3、SP142、又は28-8で染色した腫瘍細胞試料から得ることができる。
【0149】
本明細書で使用される「Ventana SP142 IHCアッセイ」は、Ventana PD-L1(SP142)アッセイ添付文書(Tucson,AZ:Ventana Medical Systems,Inc.)に従って行われ、これは参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0150】
本明細書で使用される「Ventana SP263 IHCアッセイ」は、Ventana PD-L1(SP263)アッセイ添付文書(Tucson,AZ:Ventana Medical Systems,Inc.)に従って行われ、これは参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0151】
本明細書で使用される「pharmDx 22C3 IHCアッセイ」は、PD-L1 IHC 22C3 pharmDx添付文書(Carpinteria,CA:Dako,Agilent Pathology Solutions)に従って行われ、これは参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0152】
本明細書で使用される「pharmDx 28-8 IHCアッセイ」は、PD-L1 IHC 28-8 pharmDx添付文書(Carpinteria,CA:Dako、Agilent Pathology Solutions)に従って行われ、これは参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0153】
「添付文書」という用語は、治療用製品の市販パッケージに通例含まれる説明書であって、そのような治療用製品の使用に関する適応症、用法、用量、投与、併用療法、禁忌及び/又は警告についての情報を含む説明書を指すために使用される。
【0154】
本明細書で使用される「と組み合わせて」は、別の治療様式、例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)の投与を含む治療レジメン、又はPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、及び1つ又は複数の化学療法剤(例えば、白金系化学療法剤(例えば、オキサリプラチン)及び/又はフルオロピリミジンに基づく化学療法薬剤(例えば、カペシタビン又は5-フルオロウラシル(5-FU)))の投与を含む治療レジメンに加えた1つの治療様式の投与を指す。いくつかの例では、治療レジメンは、ネオアジュバント放射線化学療法も含む。したがって、「と組み合わせて」は、対象への他の治療様式の投与前、投与中、又は投与後の1つの治療様式の投与を指す。
【0155】
1つ又は複数の他の薬物と「同時に」投与される薬物は、1つ又は複数の他の薬物と同じ治療サイクル中に、同じ治療日に、また任意選択的に1つ又は複数の他の薬物と同じ時間に投与される。例えば、3週毎に与えられるがん療法の場合、同時に投与される薬物は各々が、3週サイクルの1日目に投与される。
【0156】
本明細書で使用される「有害事象」又は「AE」という用語は、医学的治療又は手順に関連すると考えられても考えられなくてもよい医学的治療又は手順の使用に時間的に関連付けられる、好ましくない、かつ意図されないあらゆる徴候(異常な検査所見を含む)、症状又は疾患を指す。有害事象は、National Cancer Institute Common Terminology Cancer for Adverse Events v4.0 or v5.0(NIH CTCAE)によって定義される「グレード」により分類されうる。いくつかの態様では、AEは、低悪性度のAE、例えば、グレード1又はグレード2のAEである。グレード1には、無症候性又は軽度の症状を有するAEが含まれる。グレード2には、中等度であり、年齢に応じた手段的日常生活動作(例えば、食事の準備、食料品又は衣類の買い物)を制限し、局所的又は非侵襲的介入の必要を示すAEが含まれる。他の事例では、AEは、高悪性度のAE、例えば、グレード3、グレード4、又はグレード5のAEである。いくつかの事例では、AEは、グレード3又はグレード4のAEである。グレード3には、重度又は医学的に重大であるが、直ちに生命を脅かすものではなく、入院又は長期の入院の必要を示すAEが含まれる。グレード4には、生命を脅かす結果を有し、緊急の介入治療の必要を示すAEが含まれる。グレード5には、死をもたらすか、又は死に関連するAEが含まれる。
【0157】
本明細書で使用される用語「治療関連AE」は、治験責任医師が、治療、例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト療法(例えば、アテゾリズマブ療法)及び/又は抗TIGITアンタゴニスト抗体療法(例えば、チラゴルマブ療法)の結果として起こったものと判断するAEを指す。
【0158】
II.がんのための治療的方法及び組成物
本明細書に提供されるのは、対象又は対象集団におけるがん(例えば、胃癌(GC)又は胃食道接合部癌(GEJC)(例えば、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJC)、又は直腸がん(例えば、局所進行直腸がん(LARC)))を治療するための方法及び使用であり、この方法及び使用は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及び抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ)両方の有効量の組み合わせを、1回又は複数回の投薬サイクルで対象又は対象集団に投与することを含む。
【0159】
A.胃癌及び胃食道癌に関連する治療的方法及び使用
i.治療胃癌及び胃食道癌を治療するための方法
一態様において、本明細書に提供されるのは、胃癌(GC)又は胃食道接合部癌(GEJC)(例えば、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJC)を有する対象又は対象集団を治療するための方法であり、この方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)、カペシタビン、及びオキサリプラチンを含む投薬レジメンを、1回又は複数回の投薬サイクルで対象又は対象集団に投与することを含む。例示的な抗TIGITアンタゴニスト抗体は、セクションVに提供される。例示的なPD-1軸結合アンタゴニストは、セクションVIに提供される。
【0160】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体、例えばアテゾリズマブ)、及び化学療法(例えば、白金製剤(例えば、オキサリプラチン)及び/又は1つ又は複数のフルオロピリミジンに基づく化学療法剤(例えば、カペシタビン又は5-フルオロウラシル(5-FU)))を投与される対象又は対象集団は、GC又はGEJC(例えば、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJC)について治療されている。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体、はチラゴルマブである。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、抗PD-L1アンタゴニスト抗体である。いくつかの事例では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、アテゾリズマブである。いくつかの事例では、白金製剤は、オキサリプラチンである。いくつかの事例では、フルオロピリミジンに基づく化学療法薬剤は、カペシタビンである。いくつかの事例では、フルオロピリミジンに基づく化学療法薬剤は、5-FUである。いくつかの事例では、化学療法は、カペシタビン及びオキサリプラチン(CAPOX)である。いくつかの事例では、GCは、胃腺癌である。いくつかの事例では、GEJCは、胃食道接合部腺癌(例えば、食道胃接合部の腺癌)である。
【0161】
いくつかの態様では、GC又はGEJCは、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)-陰性である。
【0162】
いくつかの態様では、GC又はGEJCは、腺癌である。
【0163】
いくつかの態様では、対象又は対象集団は、以前にGC又はGEJCのための全身療法を受けたことがない。いくつかの実施形態では、対象又は対象集団は、以前に、放射線化学療法又は化学療法(例えば、治癒目的で又はアジュバント若しくはネオアジュバントの環境で投与される放射線化学療法又は化学療法)を含む非進行性GC又はGEJCのための治療を受けたことがない。
【0164】
いくつかの態様では、方法は、(a)3週毎に約600mgの固定用量で抗TIGITアンタゴニスト抗体を;(b)3週毎に約1200mgの固定用量でPD-1軸結合アンタゴニストを;(c)1日2回2週間にわたり1000mg/m2の用量でカペシタビンを;及び(d)3週毎に130mg/m2の用量でオキサリプラチンを投与することを含む。
【0165】
いくつかの態様では、1回又は複数回の投薬サイクルの各々の長さは21日間である。
【0166】
いくつかの態様では、この方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)、及びオキサリプラチンを、1回又は複数回の投薬サイクルの各々の約1日目に対象又は対象集団に投与することを含む。
【0167】
抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストのための他の例示的投薬レジメンは、セクションIICに提供される。いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニストは、セクションIICに提供される投薬レジメンで投与される。
【0168】
いくつかの実施形態では、オキサリプラチンは、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、3週間に2回、4週間に1回、4週間に2回、又は4週間に3回投与される。
【0169】
いくつかの実施形態では、カペシタビン及びオキサリプラチンは、1~14日目に1日2回投与されるカペシタビンと、各サイクルの1日目に投与されるオキサリプラチンとの21日サイクルで投与される。
【0170】
いくつかの態様では、この方法は、カペシタビンを1回又は複数回の投薬サイクルの各々の1~14日目に、対象又は対象集団に投与することを含む。いくつかの態様では、この方法は、カペシタビンを対象又は対象集団に経口投与することを含む。
【0171】
いくつかの実施形態では、カペシタビンは、1日1回1週間にわたり、1日2回1週間にわたり、又は1日3回1週間にわたり投与される。いくつかの実施形態では、カペシタビンは、1日1回2週間にわたり、1日2回2週間にわたり、又は1日3回2週間にわたり投与される。いくつかの実施形態では、カペシタビンは、21日サイクルで投与される。例えば、21日サイクルでは、カペシタビンは、1日2回2週間にわたり、続いて1週間休薬する。
【0172】
いくつかの態様では、この方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)の前にPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を、対象又は対象集団に投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、PD-1軸結合アンタゴニストの前に、抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象又は対象集の団に投与することを含む。いくつかの実施形態では、カペシタビンは、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の後で投与される。いくつかの実施形態では、オキサリプラチンは、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の後で投与される。いくつかの実施形態では、カペシタビン及びオキサリプラチンは、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の後で投与される。
【0173】
いくつかの態様では、この方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)、及びオキサリプラチンを、対象又は対象集団に静脈内投与することを含む。
【0174】
いくつかの態様では、治療は、客観的奏効率(ORR)に、参照ORRと比較した場合の増加をもたらす。いくつかの態様では、参照ORRは、(a)カペシタビン及びオキサリプラチンを含み、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を含まない治療;及び/又は(b)カペシタビン、オキサリプラチン、及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を含まない治療を受けた対象集団のDORの中央値である。
【0175】
いくつかの態様では、治療は、無増悪生存(PFS)に、参照PFSと比較した場合の増加をもたらす。いくつかの態様では、参照PFSは、(a)カペシタビン及びオキサリプラチンを含み、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を含まない治療;及び/又は(b)カペシタビン、オキサリプラチン、及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を含まない治療を受けた対象の集団のDORの中央値である。
【0176】
いくつかの態様では、治療は、全生存(OS)に、参照OSと比較した場合の増加をもたらす。いくつかの態様では、参照OSは、(a)カペシタビン及びオキサリプラチンを含み、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を含まない治療;及び/又は(b)カペシタビン、オキサリプラチン、及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を含まない治療を受けた対象の集団のDORの中央値である。
【0177】
いくつかの態様では、治療は、奏功期間(DOR)に、参照DORと比較した場合の増加をもたらす。いくつかの態様では、参照DORは、(a)カペシタビン及びオキサリプラチンを含み、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を含まない治療;及び/又は(b)カペシタビン、オキサリプラチン、及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を含まない治療を受けた対象の集団のDORの中央値である。
【0178】
いくつかの実施形態では、外科手術は対象又は対象集団に適していない。
【0179】
ii.先行治療
いくつかの実施形態では、対象は、以前に、がん(例えば、GC又はGEJC、例えば、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJC)のための抗がん療法(例えば、がん免疫療法及び/又は化学療法剤)により治療されたことがない。いくつかの実施形態では、対象は、以前に、がん(例えば、GC又はGEJC、例えば、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJC)のための抗がん療法(例えば、がん免疫療法及び/又は化学療法剤)により治療されたことがある。いくつかの事例では、対象は、以前に少なくとも一種類の療法を受けたことがある。いくつかの事例では、対象は、以前に2つ以上のがん(例えば、GC又はGEJC)のための抗がん療法を受けたことがある。いくつかの事例では、対象は、以前に3つ以上のがん(例えば、GC又はGEJC)のための抗がん療法を受けたことがある。いくつかの事例では、対象は、以前に二種類の療法を受けたことがある。いくつかの事例では、対象は、以前に三種類の療法を受けたことがある。いくつかの事例では、対象は、以前に四種類の療法を受けたことがある。いくつかの事例では、対象は、以前に五種類以上の療法を受けたことがある。いくつかの事例では、対象は、先行する抗がん療法による治療中又は治療後に、疾患の進行を経験した。いくつかの事例では、先行する治療法は、化学療法、外科手術、及び/又は放射線治療である。
【0180】
いくつかの事例では、対象は、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与に先行する少なくとも1ヶ月以内に(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与に先行する2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、1年、2年、3年、4年、5年、又は10年以内に)、先行する全身治療(例えば、治癒目的の先行する全身治療、例えば化学療法)を受けたことがない。いくつかの事例では、対象は、化学療法未経験である。いくつかの事例では、対象は、以前に免疫療法を受けたことがない。
【0181】
iii.治療関連有害事象の消失
いくつかの実施形態では、対象は、チラゴルマブ及びアテゾリズマブの1回又は複数回の投薬サイクル中又は投薬サイクル後に、治療に関連する有害事象(AE)(例えば、グレード1、グレード2、グレード3、又はグレード4の治療関連有害事象)を経験しない。いくつかの実施形態では、対象は、チラゴルマブ及びアテゾリズマブの1回又は複数回の投薬サイクル中又は投薬サイクル後に、治療に関連するグレード1又はグレード2の有害事象を経験する。くつかの実施形態では、対象は、チラゴルマブ及びアテゾリズマブの1回又は複数回の投薬サイクル中又は投薬サイクル後に、治療に関連するグレード3又はグレード4の有害事象を経験しない。治療関連有害事象には、例えば、チラゴルマブに関連する有害事象及び/又はアテゾリズマブに関連する有害事象が含まれる。有害事象は、National Cancer Institute Common Terminology Cancer for Adverse Events(NCI CTCAE),Version 4.0に従ってグレード付けされる。
【0182】
有害事象の因果関係(例えば、有害事象が治療に関連するものであるかるかどうかの決定)は、以下の以下のガイダンスに基づいていてよい:
・事象の開始と試験薬の開始との時間的関係
・用量低減、試験薬の中断、又は試験薬の再導入(適用可能な場合)の効果を特に考慮した事象の経過
・事象と試験薬又は同様の治療との既知の関連
・試験下での、事象と疾患との既知の関連
・患者におけるリスク因子の存在又は事象の発生を増加させることが知られている併用薬の使用
・事象の発生に関連することが知られている非治療関連因子の存在
【0183】
一般に、有害事象は、有害事象の発生と試験薬の投与との間の蓋然性の高い時間的関係が存在し、有害事象が、対象の臨床状態、併発する病気、又は併用療法によって容易に説明できない場合;及び/又は有害事象が、試験薬に対する応答の既知のパターンを辿る場合;及び/又は有害事象が、試験薬の中断又は用量低減時に弱まるか解消し、当てはまる場合は再投与の際に再度出現する場合、試験薬(例えば、チラゴルマブ及び/又はアテゾリズマブ)に起因している可能性がある。
【0184】
有害事象は、有害事象が、試験薬以外の病因(例えば、既存の医学的状態、基礎疾患、併発する病気、又は併用薬)を有するという証拠が存在する場合;及び/又は有害事象が、試験薬の投与と蓋然性の高い時間的関係(例えば、試験薬の初回用量の2日後に診断されたがん)を有さない場合、非治療関連と同定されうる。
【0185】
作用機序、類似のチェックポイント阻害剤の既知の効果、及び非臨床データ基づいて、チラゴルマブの複数の潜在的リスクが存在する。TIGITのアンタゴニストとして、チラゴルマブは、T-細胞及びNK細胞の増殖、生存、及び機能を増強すると予想される。したがって、チラゴルマブは、自己免疫性炎症(免疫媒介性有害事象としても記載される)のリスクを高める可能性がある。さらに、チラゴルマブのインタクトなFcエフェクター機能に起因して、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を介したリンパ球減少症は理論上のリスクである。イタゴルマブ(itagolumab)に関連付けられる特定の有害事象には、注入関連反応(IRR)、免疫媒介性有害事象、及びリンパ球減少症が含まれる。
【0186】
アテゾリズマブは、以下のようなリスクと関連していた:IRR及び免疫媒介性肝炎、肺炎、大腸炎、膵炎、糖尿病、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、副腎機能低下、下垂体炎、ギラン・バレー症候群、筋無力症症候群又は重症筋無力症、髄膜脳炎、心筋炎、筋炎及び腎炎。免疫媒介性有害反応は、いずれの器官系も伴う可能背があり、血球貪食性リンパ組織球症(HLH)及びマクロファージ活性化症候群(MAS)をもたらしうる。
【0187】
先述の例のいずれにおいても、各投薬サイクルは、任意の適切な長さ、例えば、約7日、約14日、約21日、約28日又はそれより長い期間を有しうる。いくつかの事例では、各投薬サイクルは、約21日である。いくつかの事例では、チラゴルマブは、3週毎に(例えば、各21日投薬サイクルの1日目)投与され、アテゾリズマブは、3週毎に(例えば、各21日投薬サイクルの1日目)投与される。
【0188】
対象は、好ましくはヒトである。
【0189】
iv.治療への応答
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、GC又はGEJC(例えば、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJC)を有する対象又は対象集団の治療(例えば、アテゾリズマブ及びチラゴルマブ)への応答は、1つ又は複数の尺度によって特徴づけることができる。いくつかの実施形態では、治療は、対象にPFS、OS、又はDORの増加をもたらす。いくつかの実施形態では、治療は、対象集団にORRの増加をもたらす。いくつかの実施形態では、治療は、対象に病害抑制、SD、CR、又はPRをもたらす。
【0190】
例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)がPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)、カペシタビン、オキサリプラチンと組み合わせて投与される実施形態では、治療は、対象のPFSに、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体なしでPD-1軸結合アンタゴニスト、カペシタビン、及びオキサリプラチンにより治療された対象集団のPFSの中央値と比較した場合の増加をもたらしうる。
【0191】
例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)がPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)、カペシタビン、オキサリプラチンと組み合わせて投与される実施形態では、治療は、対象のOSに、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体なしでPD-1軸結合アンタゴニスト、カペシタビン、及びオキサリプラチンにより治療された対象集団のOSの中央値と比較した場合の増加をもたらしうる。
【0192】
対象の無増悪生存期間は、Eisenhauer et al.,Eur.J.Cancer.2009,45:228-47に記載されるRECIST v1.1基準に従って測定することができる。PFSは、対象のがん(例えば、GC又はGEJCがん)が悪化しない治療中及び治療後の時間の長さを指す。PFSは、対象がCR、PR、又はSDを経験した時間の量を含みうる。
【0193】
いくつかの実施形態では、PFSは、無作為化から、RECIST v1.1基準によって決定される疾患進行又は何らかの原因による死亡の最初の発生までの期間として測定される。いくつかの実施形態では、PFSは、無作為化から死亡時までの時間として測定される。いくつかの実施形態では、PFSは、試験のステージの開始から、RECIST v1.1基準によって決定される、疾患進行又は何らかの原因による死亡の最初の発生のうち最初に起こる方までの時間として測定される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される治療は、少なくとも約1カ月(例えば、1カ月、2カ月、3.0カ月、4.0カ月、5.0カ月、6.0カ月、7.0カ月、8.0カ月、9.0カ月、10カ月、11カ月、12カ月、13カ月、14カ月、15カ月、16カ月、17カ月、18カ月、19カ月、20カ月、21カ月、22カ月、23カ月、24カ月、25カ月、26カ月、27カ月、28カ月、29カ月、30カ月、31カ月、32カ月、33カ月、34カ月、35カ月、又は36カ月)までに、参照PFSと比較した場合のPFSの増加をもたらす。いくつかの実施形態では、参照PFSは、カペシタビン及びオキサリプラチンを含み、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を含まない治療;及び/又はカペシタビン、オキサリプラチン、及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を含まない治療を受けた対象集団のPFSである。
【0194】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される治療は、少なくとも約1カ月(例えば、1カ月、2カ月、3.0カ月、4.0カ月、5.0カ月、6.0カ月、7.0カ月、8.0カ月、9.0カ月、10カ月、11カ月、12カ月、13カ月、14カ月、15カ月、16カ月、17カ月、18カ月、19カ月、20カ月、21カ月、22カ月、23カ月、24カ月、25カ月、26カ月、27カ月、28カ月、29カ月、30カ月、31カ月、32カ月、33カ月、34カ月、35カ月、又は36カ月)までに、参照OSと比較した場合のOSの増加をもたらす。いくつかの実施形態では、参照OSは、カペシタビン及びオキサリプラチンを含み、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を含まない治療;及び/又はカペシタビン、オキサリプラチン、及びPD-1軸結合アンタゴニストを含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体を含まない治療を受けた対象集団のOSである。
【0195】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、治療(例えば、アテゾリズマブ、チラゴルマブ、カペシタビン、及びオキサリプラチン)への対象集団の応答は、1つ又は複数の尺度によって特徴づけることができる。
【0196】
いくつかの事例では、治療は、ORRに、例えば、カペシタビン及びオキサリプラチンを含み、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を含まない治療と比較して、及び/又はカペシタビン、オキサリプラチン、及びPD-1軸結合アンタゴニストを含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体を含まない治療と比較して、対象集団における参照ORRと比較した場合の増加をもたらす。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)がPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)、カペシタビン、オキサリプラチンと組み合わせて投与される実施形態では、治療は、対象集団のORRに、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体なしでPD-1軸結合アンタゴニスト、カペシタビン、及びオキサリプラチンにより治療された対象集団の参照ORRと比較した場合の増加をもたらしうる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される治療は、ORRに、少なくとも約1%(例えば、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%)の、参照ORRと比較した場合の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、参照ORRは、カペシタビン及びオキサリプラチンを含み、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を含まない治療;及び/又はカペシタビン、オキサリプラチン、及びPD-1軸結合アンタゴニストを含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体を含まない治療を受けた対象集団のORRである。
【0197】
いくつかの態様では、治療への臨床応答は、1つ又は複数の標的病変(例えば、GC又はGEJC腫瘍)の径和の低減である。いくつかの態様では、径和は、1回又は複数回の投薬サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)の投与中又は投与後に、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%減少するか、又は径和は、100%減少し(例えば、標的病変は消失し)、例えば、1回又は複数回の投薬サイクルのチラゴルマブ及びアテゾリズマブの前に取られた測定値と比べて減少する。
【0198】
いくつかの態様では、治療は、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月、少なくとも5カ月、少なくとも6カ月、少なくとも7カ月、少なくとも8カ月、少なくとも9カ月、少なくとも10カ月、少なくとも11カ月、少なくとも1年、少なくとも1年と1カ月、少なくとも1年と2カ月、少なくとも1年と3カ月、少なくとも1年と4カ月、少なくとも1年と5カ月、少なくとも1年と6カ月、少なくとも1年と7カ月、少なくとも1年と8カ月、少なくとも1年と9カ月、少なくとも1年と10カ月、少なくとも1年と11カ月、少なくとも2年、少なくとも2年と1カ月、少なくとも2年と2カ月、少なくとも2年と3カ月、少なくとも2年と4カ月、少なくとも2年と5カ月、少なくとも2年と6カ月、少なくとも2年と7カ月、少なくとも2年と8カ月、少なくとも2年と9カ月、少なくとも2年と10カ月、少なくとも2年と11カ月、少なくとも3年、少なくとも3.5年、少なくとも4年、少なくとも4.5年、少なくとも5年、少なくとも5.5年、少なくとも6年、少なくとも6.5年、少なくとも7年、少なくとも7.5年、少なくとも8年、少なくとも8.5年、少なくとも9年、少なくとも9.5年、少なくとも10年、又は10年より長い間維持される臨床応答をもたらす(例えば、臨床応答は、1-2カ月、2-4カ月、4-6カ月、6-8カ月、8-10カ月、10-12カ月、1年から1.5年、1.5年から2年、2年から2.5年、2.5年から3年、3年から3.5年、3.5年から4年、4年から4.5年、4.5年-5年、5年から6年、6年から7年、7年から8年、8年から9年、又は9年から10年の間維持される)。例えば、いくつかの態様では、臨床応答は、1カ月から10年、6カ月から5年、1年から4年、1年から3年、又は1年から2年の間維持される。
【0199】
いくつかの態様では、治療は、少なくとも1年間維持される臨床応答をもたらす。いくつかの態様では、臨床応答は、少なくとも2年間維持される。
【0200】
B.直腸がんに関する治療的方法及び使用
i.直腸がんを治療するための方法
一態様において、本明細書に提供されるのは、直腸がん(例えば、局所進行直腸がん(LARC))を有する対象又は対象集団を治療するための方法であり、この方法は、1回又は複数回の投薬サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体、例えば、アテゾリズマブ)を含む投薬レジメンを対象又は対象集団に投与することを含み、1回又は複数回の投薬サイクルは、ネオアジュバント化学療法(nCRT)レジメンに続いて実施される。いくつかの実施形態では、直腸がんは、切除可能なLARCである。例示的な抗TIGITアンタゴニスト抗体は、セクションVに提供される。例示的なPD-1軸結合アンタゴニストは、セクションVIに提供される。
【0201】
いくつかの態様では、直腸がんは、ステージcT3N+M0又はステージcT4NanyM0の直腸がんである。いくつかの実施形態では、直腸がんは、cT3N+M0又はcT4NanyM0の臨床病期を有する切除可能なLARCである。
【0202】
いくつかの態様では、直腸がんは、腺癌である。
【0203】
いくつかの態様では、対象又は対象集団は、同時性結腸がんを有さない。
【0204】
いくつかの態様では、対象又は対象集団は、以前に直腸がんの治療を受けたことがない。
【0205】
いくつかの態様では、方法は、3週毎に約600mgの固定用量で抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を、及び3週毎に約1200mgの固定用量でPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を、対象又は対象集団に投与することを含む。
【0206】
いくつかの態様では、1回又は複数回の投薬サイクルの各々の長さは21日間である。
【0207】
いくつかの態様では、方法は、1回又は複数回の投薬サイクルの各々の約1日目に、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を対象又は対象集団に投与することを含む。
【0208】
抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストのための他の例示的投薬レジメンは、セクションIICに提供される。いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニストは、セクションIICに提供される投薬レジメンで投与される。
【0209】
いくつかの態様では、この方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)の前にPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を、対象又は対象集団に投与することを含む。
【0210】
いくつかの態様では、方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を、対象又は対象集団に静脈内投与することを含む。
【0211】
いくつかの態様では、1回又は複数回の投薬サイクルは、nCRTの最後のサイクルの約2週間後に開始される。
【0212】
いくつかの態様では、1回又は複数回の投薬サイクルは、nCRTの最後のサイクルから4週間以内に開始される。
【0213】
いくつかの態様では、nCRTレジメンは、治療当たり約1.8Gyの割合で骨盤に送達される放射線治療を含む。いくつかの態様では、放射線治療は、毎週1~5日目に投与される。
【0214】
いくつかの態様では、nCRTレジメンは、合計で約45と約50.4Gyとの間の放射線治療を、対象又は対象集団に投与することを含む。
【0215】
いくつかの態様では、放射線治療は、25から28の割合で投与される。
【0216】
いくつかの態様では、nCRTレジメンは、フルオロピリミジンに基づく化学療法を含む。
【0217】
いくつかの態様では、フルオロピリミジンに基づく化学療法は、カペシタビン又は5-フルオロウラシル(5-FU)である。
【0218】
いくつかの態様では、カペシタビンは、約825mg/m2の用量で経口投与される。
【0219】
いくつかの態様では、カペシタビンは、毎週5日間連続して1日2回経口投与される。
【0220】
いくつかの態様では、カペシタビンは、毎週7日間連続して1日2回経口投与される。
【0221】
いくつかの態様では、5-FUは、約225mg/m2の用量で静脈内投与される。
【0222】
いくつかの態様では、5-FUは、毎週5日間連続して投与される。
【0223】
いくつかの態様では、5-FUは、毎週7日間連続して投与される。
【0224】
いくつかの態様では、nCRTは、5サイクルにわたって実施される。
【0225】
いくつかの態様では、第1の投薬サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)は、外科手術に先立って開始される。
【0226】
いくつかの態様では、外科手術に先立って3回の投薬サイクルが完了する。
【0227】
いくつかの態様では、外科手術は、最後の投薬サイクルから約4週間以内に実施される。
【0228】
いくつかの態様では、外科手術は、直腸間膜全切除(TME)及びリンパ節郭清を使用した外科的全摘手術である。
【0229】
いくつかの態様では、治療は、病理学的完全奏功率(pCR)及び/又は参照pCR率と比較した場合のpCR率の増加をもたらす。いくつかの態様では、参照pCR率は、(a)後にPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)による治療を伴わないnCRT;及び/又は(b)続いてPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)による治療を伴うnCRTを含む治療を受けた対象集団のpCR率である。
【0230】
いくつかの態様では、治療は、R0切除率に、参照R0切除率と比較した場合の増加をもたらす。いくつかの態様では、参照R0切除率は、(a)後にPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)による治療を伴わないnCRT;及び/又は(b)続いてPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)による治療を伴うnCRTを含む治療を受けた対象集団のR0切除率である。
【0231】
いくつかの態様では、治療は、客観的奏効率(ORR)に、参照ORRと比較した場合の増加をもたらす。いくつかの態様では、参照ORRは、(a)後にPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)による治療を伴わないnCRT;及び/又は(b)続いてPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)による治療を伴うnCRTを含む治療を受けた対象集団のORRである。
【0232】
いくつかの態様では、治療は、無再発生存(RFS)率に、参照RFS率と比較した場合の増加をもたらす。いくつかの態様では、参照RFS率は、(a)後にPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)による治療を伴わないnCRT;及び/又は(b)続いてPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)による治療を伴うnCRTを含む治療を受けた対象集団のRFSである。いくつかの態様では、RFS率は、1年RFS率、2年RFS率、又は3年RFS率である。
【0233】
いくつかの態様では、治療は、無イベント生存(EFS)率に、参照EFS率と比較した場合の増加をもたらす。いくつかの態様では、参照EFS率は、(a)後にPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)による治療を伴わないnCRT;及び/又は(b)続いてPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)による治療を伴うnCRTを含む治療を受けた対象集団のEFS率である。いくつかの態様では、EFS率は、1年RFS率、2年EFS率、又は3年EFS率である。
【0234】
一態様において、本発明は、直腸がん(例えば、LARC)を有する対象又は対象集団を治療するための方法を提供し、この方法は、1回又は複数回の投薬サイクルの、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、3週毎に約30mgから約1200mgの固定用量で(例えば、3週毎に約30mgから約800mgの固定用量で、例えば、3週毎に約600mgの固定用量で))と、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、3週毎に約80mgから約1600mgの固定用量で(例えば、約800mgから約1400mgの固定用量で、例えば、約1200mgの固定用量で))とを、対象又は対象集団に投与することを含む。
【0235】
いくつかの実施形態では、対象又は対象集団は、以前に直腸がん(例えば、LARC)のための治療法を受けたことがない。いくつかの実施形態では、対象又は対象集団は、以前に直腸がん(例えば、LARC)のための全身治療を受けたことがない。いくつかの実施形態では、対象又は対象集団は、以前に直腸がん(例えば、LARC)のための極限-領域治療を受けたことがない。いくつかの実施形態では、対象又は対象集団は、以前に直腸がん(例えば、LARC)のための極限-領域及び全身治療を受けたことがない。
【0236】
いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、3週毎に約600mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストは、3週毎に約1200mgの固定用量で投与される。いくつかの実施形態では、投薬サイクルは、21日を含む。いくつかの実施形態では、1回又は複数回の投薬サイクルは、nCRTの最後のサイクルの約2週間後に開始される。いくつかの実施形態では、1回又は複数回の投薬サイクルは、nCRTの最後のサイクルから4週間以内に開始される。
【0237】
いくつかの実施形態では、nCRTレジメンは、治療当たり約1.8Gyの分率で骨盤に送達される放射線治療を含む。いくつかの実施形態では、放射線治療は、毎週1~5日目に投与される。いくつかの実施形態では、nCRTレジメンは、合計で約45と約50.4Gyとの間の放射線治療を、対象又は対象集団に投与することを含む。
【0238】
いくつかの実施形態では、放射線治療は、約25から28の分率で(例えば、15から35の分率、15から33の分率、15から31の分率、15から29の分率、15から27の分率、15から25の分率、15から23の分率、15から21の分率、15から19の分率、15から17の分率、17から35の分率、19から35の分率、21から35の分率、23から35の分率、25から35の分率、27から35の分率、29から35の分率、31から35の分率、33から35の分率、17から33の分率、19から31の分率、21から29の分率、23から27の分率、又は25から27の分率で)投与される。いくつかの実施形態では、放射線治療は、25から28の分率で投与される。
【0239】
いくつかの実施形態では、nCRTレジメンは、フルオロピリミジンに基づく化学療法を含む。いくつかの実施形態では、フルオロピリミジンに基づく化学療法は、カペシタビン又は5-フルオロウラシル(5-FU)である。いくつかの実施形態では、カペシタビンは、約825mg/m2の用7両で経口投与される。いくつかの実施形態では、カペシタビンは、毎週5日間連続して1日2回経口投与される。いくつかの実施形態では、カペシタビンは、毎週7日間連続して1日2回経口投与される。いくつかの実施形態では、5-FUは、約225mg/m2の用量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、5-FUは、毎週5日間連続して投与される。いくつかの実施形態では、5-FUは、毎週7日間連続して投与される。いくつかの実施形態では、nCRTは、5サイクルにわたって実施される。
【0240】
いくつかの実施形態では、第1の投薬サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストは、外科手術に先立って開始される。いくつかの実施形態では、3回の投薬サイクルが、外科手術に先立って完了する。いくつかの実施形態では、外科手術は、最後の投薬サイクルから約4週間以内に実施される。いくつかの実施形態では、外科手術は、直腸間膜全切除(TME)及びリンパ節郭清を使用した外科的全摘手術である。
【0241】
いくつかの実施形態では、方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象又は対象集団に静脈内投与することを含む。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、約600mgの固定用量で各21日サイクルの1日目に(すなわち、約600mgの固定用量で3週毎に)静脈内投与され、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、約1200mgの固定用量で各21日サイクルの1日目に(すなわち、約1200mgの固定用量で3週毎に)静脈内投与される。
【0242】
いくつかの実施形態では、方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体の前に、PD-1軸結合アンタゴニストを対象又は対象集団に投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、PD-1軸結合アンタゴニストの前に、抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象又は対象集団に投与することを含む。
【0243】
いくつかの態様では、対象はヒトである。
【0244】
ii.先行する治療法
いくつかの実施形態では、対象は、以前にがん(例えば、直腸がん、例えば、局所進行直腸がん(LARC))のための抗がん療法(例えば、がん免疫療法及び/又は化学療法剤)により治療されたことがない。いくつかの実施形態では、対象は、以前にがん(例えば、直腸がん、例えば、LARC)のための抗がん療法(例えば、がん免疫療法及び/又は化学療法剤)による治療を受けたことがない。いくつかの事例では、対象は、以前に少なくとも一種類の療法を受けたことがある。いくつかの事例では、対象は、以前に2つ以上のがん(例えば、直腸がん、例えば、LARC)のための抗がん療法を受けたことがある。いくつかの事例では、対象は、以前に3つ以上のがん(例えば、直腸がん、例えば、LARC)のための抗がん療法を受けたことがある。いくつかの事例では、対象は、以前に二種類の療法を受けたことがある。いくつかの事例では、対象は、以前に三種類の療法を受けたことがある。いくつかの事例では、対象は、以前に四種類の療法を受けたことがある。いくつかの事例では、対象は、以前に五種類以上の療法を受けたことがある。いくつかの事例では、対象は、先行する抗がん療法による治療中又は治療後に、疾患の進行を経験した。いくつかの事例では、先行する治療法は、化学療法、外科手術、及び/又は放射線治療である。
【0245】
いくつかの事例では、対象は、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与に先行する少なくとも1ヶ月以内に(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与に先行する2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、1年、2年、3年、4年、5年、又は10年以内に)、先行する全身治療(例えば、治癒目的の先行する全身治療、例えば化学療法)を受けたことがない。いくつかの事例では、対象は、化学療法未経験である。いくつかの事例では、対象は、以前に免疫療法を受けたことがない。
【0246】
iii.治療関連有害事象の消失
いくつかの実施形態では、対象は、チラゴルマブ及びアテゾリズマブの1回又は複数回の投薬サイクル中又は投薬サイクル後に、治療に関連する有害事象(AE)(例えば、グレード1、グレード2、グレード3、又はグレード4の治療関連有害事象)を経験しない。いくつかの実施形態では、対象は、チラゴルマブ及びアテゾリズマブの1回又は複数回の投薬サイクル中又は投薬サイクル後に、治療に関連するグレード1又はグレード2の有害事象を経験する。いくつかの実施形態では、対象は、チラゴルマブ及びアテゾリズマブの1回又は複数回の投薬サイクル中又は投薬サイクル後に、治療に関連するグレード3又はグレード4の有害事象を経験しない。治療関連有害事象には、例えば、チラゴルマブに関連する有害事象及び/又はアテゾリズマブに関連する有害事象が含まれる。有害事象は、National Cancer Institute Common Terminology Cancer for Adverse Events(NCI CTCAE),Version4.0に従ってグレード付けされる。
【0247】
有害事象の因果関係(例えば、有害事象が治療に関連するものであるかるかどうかの決定)は、以下の以下のガイダンスに基づいていてよい:
・事象の開始と試験薬の開始との時間的関係
・用量低減、試験薬の中止、又は試験薬の再導入(適用可能な場合)の効果を特に考慮した事象の経過
・事象と試験薬又は同様の治療との既知の関連
・試験下での、事象と疾患との既知の関連
・患者におけるリスク因子の存在又は事象の発生を増加させることが知られている併用薬の使用
・事象の発生に関連することが知られている非治療関連因子の存在
【0248】
一般に、有害事象は、有害事象の発生と試験薬の投与との間の蓋然性の高い時間的関係が存在し、有害事象が、対象の臨床状態、併発する病気、又は併用療法によって容易に説明できない場合;及び/又は有害事象が、試験薬に対する応答の既知のパターンを辿る場合;及び/又は有害事象が、試験薬の中断又は用量低減時に弱まるか解消し、当てはまる場合は再投与の際に再度出現する場合、試験薬(例えば、チラゴルマブ及び/又はアテゾリズマブ)に起因している可能性がある。
【0249】
有害事象は、有害事象が、試験薬以外の病因(例えば、既存の医学的状態、基礎疾患、併発する病気、又は併用薬)を有するという証拠が存在する場合;及び/又は有害事象が、試験薬の投与と蓋然性の高い時間的関係(例えば、試験薬の初回用量の2日後に診断されたがん)を有さない場合、非治療関連と同定されうる。
【0250】
作用機序、類似のチェックポイント阻害剤の既知の効果、及び非臨床データ基づいて、チラゴルマブの複数の潜在的リスクが存在する。TIGITのアンタゴニストとして、チラゴルマブは、T-細胞及びNK細胞の増殖、生存、及び機能を増強すると予想される。したがって、チラゴルマブは、自己免疫性炎症(免疫媒介性有害事象としても記載される)のリスクを高める可能性がある。さらに、チラゴルマブのインタクトなFcエフェクター機能に起因して、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を介したリンパ球減少症は理論上のリスクである。イタゴルマブ(itagolumab)に関連付けられる特定の有害事象には、注入関連反応(IRR)、免疫媒介性有害事象、及びリンパ球減少症が含まれる。
【0251】
アテゾリズマブは、以下のようなリスクと関連している:IRR及び免疫媒介性肝炎、肺炎、大腸炎、膵炎、糖尿病、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、副腎機能不全、下垂体炎、ギラン・バレー症候群、筋無力症症候群又は重症筋無力症、髄膜脳炎、心筋炎、筋炎及び腎炎。免疫媒介性有害反応は、いずれの器官系も伴う可能背があり、血球貪食性リンパ組織球症(HLH)及びマクロファージ活性化症候群(MAS)をもたらしうる。
【0252】
iv.治療への応答
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、直腸がん(例えば、局所進行直腸がん(LARC))を有する対象又は対象集団の治療(例えば、nCRTレジメンに続くアテゾリズマブ及びチラゴルマブ)への応答は、1つ又は複数の尺度によって特徴づけることができる。いくつかの実施形態では、治療は、対象のpCR、RFS、又はEFSに増加をもたらす。いくつかの実施形態では、治療は、対象集団のORR、pCR率、RFS率、EFS率、又はR0切除率に増加をもたらす。いくつかの実施形態では、治療は、対象にSD、CR、又はPRをもたらす。
【0253】
例えば、nCRTレジメンに続いて抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)がPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)と組み合わせて対象又は対象集団に投与される実施形態では、治療は、対象又は対象集団にpCRをもたらしうる。別の例では、nCRTレジメンに続いて抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)がPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)と組み合わせて対象集団に投与される実施形態では、治療は、例えば、後にPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)による治療を伴わないnCRTと比較して、及び/又は続いてPD-1軸結合アンタゴニストによる治療を伴うnCRTと比較して、参照pCR率と比較した場合の増加をもたらしうる。
【0254】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される治療は、pCR率に、少なくとも約1%(例えば、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%)の、参照pCR率と比較した場合の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、参照pCR率は、その後にPD-1軸結合アンタゴニストによる治療を伴わないnCRT(例えば、アテゾリズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を含む治療、及び/又は続いてPD-1軸結合アンタゴニストによる治療を伴うnCRTを含む治療を受けたことのある対象集団のR0切除率である。
【0255】
例えば、nCRTレジメンに続いて抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)がPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)と組み合わせて対象集団に投与される実施形態では、治療は、R0切除率に、参照R0切除率と比較した場合の増加をもたらしうる。
【0256】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される治療は、R0切除率に、少なくとも約1%(例えば、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%)の、参照R0切除率と比較した場合の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、参照R0切除率は、その後にPD-1軸結合アンタゴニストによる治療を伴わないnCRT及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を含む治療、及び/又は続いてPD-1軸結合アンタゴニストによる治療を伴うnCRTを含む治療を受けたことのある対象集団のR0切除率である。
【0257】
例えば、nCRTレジメンに続いて抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)がPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)と組み合わせて対象集団に投与される実施形態では、治療は、RFS率に、参照RFS率と比較した場合の増加をもたらしうる。
【0258】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される治療は、少なくとも約1カ月(例えば、1カ月、2カ月、3.0カ月、4.0カ月、5.0カ月、6.0カ月、7.0カ月、8.0カ月、9.0カ月、10カ月、11カ月、12カ月、13カ月、14カ月、15カ月、16カ月、17カ月、18カ月、19カ月、20カ月、21カ月、22カ月、23カ月、24カ月、25カ月、26カ月、27カ月、28カ月、29カ月、30カ月、31カ月、32カ月、33カ月、34カ月、35カ月、又は36カ月)までに、参照PFSと比較した場合のPFSの増加をもたらす。いくつかの実施形態では、参照PFSは、カペシタビン及びオキサリプラチンを含み、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を含まない治療;及び/又はカペシタビン、オキサリプラチン、及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を含まない治療を受けた対象集団のPFSである。
【0259】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される治療は、少なくとも約1カ月(例えば、1カ月、2カ月、3.0カ月、4.0カ月、5.0カ月、6.0カ月、7.0カ月、8.0カ月、9.0カ月、10カ月、11カ月、12カ月、13カ月、14カ月、15カ月、16カ月、17カ月、18カ月、19カ月、20カ月、21カ月、22カ月、23カ月、24カ月、25カ月、26カ月、27カ月、28カ月、29カ月、30カ月、31カ月、32カ月、33カ月、34カ月、35カ月、又は36カ月)までに、参照OSと比較した場合のOSの増加をもたらす。いくつかの実施形態では、参照OSは、カペシタビン及びオキサリプラチンを含み、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を含まない治療;及び/又はカペシタビン、オキサリプラチン、及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を含まない治療を受けた対象集団のOSである。
【0260】
例えば、nCRTレジメンに続いて抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)がPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)と組み合わせて対象集団に投与される実施形態では、治療は、対象集団のORRに、例えば、その後にPD-1軸結合アンタゴニストによる治療を伴わないnCRT(例えば、アテゾリズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を投与された対象集団の参照ORRと比較した場合の、及び/又は続いてPD-1軸結合アンタゴニストによる治療を伴うnCRT(例えば、アテゾリズマブ)を投与された対象集団の参照ORRと比較した場合の、増加をもたらしうる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される治療は、ORRに、少なくとも約1%(例えば、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%)の、参照ORRと比較した場合の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、参照ORRは、その後にPD-1軸結合アンタゴニストによる治療を伴わないnCRT(例えば、アテゾリズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を含む治療、及び/又は続いてPD-1軸結合アンタゴニストによる治療を伴うnCRTを含む治療を受けたことのある対象集団のORRである。
【0261】
いくつかの態様では、臨床応答は、部分寛解(PR)である。
【0262】
いくつかの態様では、臨床応答は、完全寛解(CR)である。
【0263】
いくつかの態様では、臨床応答は、1つ又は複数の標的病変(例えば、直腸がん腫瘍)の径和の低減である。いくつかの態様では、径和は、1回又は複数回の投薬サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)の投与中又は投与後に、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%減少するか、又は径和は、100%減少し(例えば、標的病変は消失し)、例えば、1回又は複数回の投薬サイクルのチラゴルマブ及びアテゾリズマブの前に取られた測定値と比べて減少する。
【0264】
いくつかの態様では、臨床応答は、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月、少なくとも5カ月、少なくとも6カ月、少なくとも7カ月、少なくとも8カ月、少なくとも9カ月、少なくとも10カ月、少なくとも11カ月、少なくとも1年、少なくとも1年と1カ月、少なくとも1年と2カ月、少なくとも1年と3カ月、少なくとも1年と4カ月、少なくとも1年と5カ月、少なくとも1年と6カ月、少なくとも1年と7カ月、少なくとも1年と8カ月、少なくとも1年と9カ月、少なくとも1年と10カ月、少なくとも1年と11カ月、少なくとも2年、少なくとも2年と1カ月、少なくとも2年と2カ月、少なくとも2年と3カ月、少なくとも2年と4カ月、少なくとも2年と5カ月、少なくとも2年と6カ月、少なくとも2年と7カ月、少なくとも2年と8カ月、少なくとも2年と9カ月、少なくとも2年と10カ月、少なくとも2年と11カ月、少なくとも3年、少なくとも3.5年、少なくとも4年、少なくとも4.5年、少なくとも5年、少なくとも5.5年、少なくとも6年、少なくとも6.5年、少なくとも7年、少なくとも7.5年、少なくとも8年、少なくとも8.5年、少なくとも9年、少なくとも9.5年、少なくとも10年、又は10年より長い間維持される(例えば、臨床応答は、1-2カ月、2-4カ月、4-6カ月、6-8カ月、8-10カ月、10-12カ月、1年から1.5年、1.5年から2年、2年から2.5年、2.5年から3年、3年から3.5年、3.5年から4年、4年から4.5年、4.5年-5年、5年から6年、6年から7年、7年から8年、8年から9年、又は9年から10年の間維持される)。例えば、いくつかの態様では、臨床応答は、1カ月から10年、6カ月から5年、1年から4年、1年から3年、又は1年から2年の間維持される。
【0265】
いくつかの態様では、臨床応答は、少なくとも1年間維持される。いくつかの態様では、臨床応答は、少なくとも2年間維持される。
【0266】
C.抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストの併用投与
いくつかの事例では、有効量の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の一用量が、併用療法(例えば、がん(例えば、GC又はGEJC(例えば、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJC)又は直腸がん(例えば、LARC))を有する対象の治療のための抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)とPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))との併用治療において、有効量のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の一用量とともに投与される。
【0267】
本発明は、有効量の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を、それを必要とする対象又は対象集団に3週毎に(例えば、各21日投薬サイクルの1日目に)投与することを含む方法及び使用を含む。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を、3週毎に(例えば、各21日投薬サイクルの1日目に)投与し、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体、例えば、アテゾリズマブ、又は抗PD-1アンタゴニスト抗体、例えば、ペンブロリズマブ)を、2週毎に(例えば、各28日投薬サイクルの1及び15日目に)、3週毎に(例えば、各21日投薬サイクルの1日目に)、又は4週毎に(例えば、各28日投薬サイクルの1日目に)投与する。一部の事例では、本発明は、有効量の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を、それを必要とする対象又は対象集団に、3週毎に(例えば、各21日投薬サイクルの1日目に)投与することを含む方法及び使用を含む。いくつかの事例では、本発明は、がんを有する対象又は対象集団を治療する方法を含み、この方法は、1回又は複数回の投薬サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体を、約500mgから約700mgの用量で3週毎に、PD-1軸結合アンタゴニストを、約900mgから約1500mgの用量で3週毎に、白金系化学療法剤を3週毎に、及び非白金系化学療法剤を1日2回2週間にわたり、投与することを含む投薬レジメンを、対象又は対象集団に投与することを含む。いくつかの事例では、方法は、3週毎に500mg~700mgの用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体、3週毎に900mg~1500mgの用量のPD-1軸結合アンタゴニスト、3週毎の白金系化学療法剤、及び3週毎の非白金系化学療法剤の1回又は複数回の投薬サイクルを含む投薬レジメンを、対象に投与することを含む。
【0268】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、段階的投薬レジメン(例えば、対象の体重(BW)又は体表面積(BSA)に基づく投薬)で(例えば、3週毎に)投与され、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、約0.01mg/kgから約50mg/kg(例えば、約15mg/kg)、最大1200mgの用量で、例えば3週毎に投与される。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、段階的投薬レジメン(例えば、対象の体重(BW)又は体表面積(BSA)に基づく投薬)で(例えば、3週毎に)投与され、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ等の抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、0.01mg/kgから50mg/kg(例えば、15mg/kg)、最大1200mgの用量で、例えば3週毎に投与される。そのような投薬レジメンは、比較的低体重(例えば、40kg以下(例えば、5kgから40kg、15kgから40kg、又は5kgから15kg))を有する対象の治療に利用することができ、これは、成人データから推定された薬物動態パラメーターの外挿に基づくバイオシミュレーション研究を通じて開発された。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の用量(例えば、約600mg)を、対象の体重に基づいて(例えば、15mg/kg)、3週毎に、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の用量と組み合わせて投与する。いくつかの事例では、段階的用量(例えば、体重(BW)>40kg:600mg、BW>15kgかつ≦40kg:400mg、及びBW≦15kg:300mg)の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)が、対象の体重(例えば、15mg/kg)に基づいて3週毎に、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の用量と組み合わせて投与される。いくつかの事例では、段階的用量(例えば、体重(BW)> 40kg:600mg、BW>15kgかつ≦40kg:400mg、及びBW≦5kg:300mg)の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)が、対象の体表面積(例えば、BSA>1.25m2:600mg、BSA>0.75m2かつ≦1.25m2:450mg、BSA>0.5m2かつ≦0.75m2:350mg、及びBSA≦0.5m2:300mg)に基づいて3週毎に、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の用量と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、3週毎に1200mgの最大用量で投与される。
【0269】
i.抗TIGITアンタゴニスト抗体の投薬
一般的な提案として、がん(例えば、GC又はGEJC(例えば、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJC)又は直腸がん(例えば、LARC))を有する対象に投与される治療的有効量の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、投与が1回であるか又は複数回であるかに関わらず、対象の体重1kg当たり約0.01から約50mgの範囲内であろう。いくつかの実施形態では、対象に投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の治療有効量は、投与が1回であるか又は複数回であるかに関わらず、対象の体重1kg当たり0.01から50mgの範囲内である。
【0270】
いくつかの例示的実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、例えば、毎日、毎週、2週毎、3週毎、又は4週毎に投与される、約0.01から約45mg/kg、約0.01から約40mg/kg、約0.01から約35mg/kg、約0.01から約30mg/kg、約0.01から約25mg/kg、約0.01から約20mg/kg、約0.01から約15mg/kg、約0.01から約10mg/kg、約0.01から約5mg/kg、又は約0.01から約1mg/kgの用量で投与される。いくつかの例示的実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、例えば、毎日、毎週、2週毎、3週毎、又は4週毎に投与される、0.01から45mg/kg、0.01から40mg/kg、0.01から35mg/kg、0.01から30mg/kg、0.01から25mg/kg、0.01から20mg/kg、0.01から15mg/kg、0.01から10mg/kg、0.01から5mg/kg、又は0.01から1mg/kgの用量で投与される。
【0271】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、投薬サイクルの約1日目(例えば、-3日目、-2日目、-1日目、1日目、2日目、又は3日目)に投与される。
【0272】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、3週毎(Q3W)に、約30mgから約1200mg(例えば、約30mgから約1100mg、例えば、約60mgから約1000mg、例えば、約100mgから約900mg、例えば、約200mgから約800mg、例えば、約300mgから約800mg、例えば、約400mgから約800mg、例えば、約400mgから約750mg、例えば、約450mgから約750mg、例えば、約500mgから約700mg、例えば、約550mgから約650mg、例えば、600mg±10mg、例えば、600±6mg、例えば、600±5mg、例えば、600±3mg、例えば、600±1mg、例えば、600±0.5mg、例えば、600mg)の固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、3週毎に、約30mgから約600mg(例えば、約50mgから600mg、例えば、約60mgから約600mg、例えば、約100mgから約600mg、例えば、約200mgから約600mg、例えば、約200mgから約550mg、例えば、約250mgから約500mg、例えば、約300mgから約450mg、例えば、約350mgから約400mg、例えば、約375mg)の固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、3週毎に約600mgの固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、3週毎に600mgの固定用量である。いくつかの事例では、併用療法(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体、例えば、アテゾリズマブ)との併用治療)で投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の固定用量は、単剤療法として投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体の標準用量と比較して低減されうる。
【0273】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、2週毎(Q2W)に、約10mgから約1000mg(例えば、約20mgから約1000mg、例えば、約50mgから約900mg、例えば、約100mgから約850mg、例えば、約200mgから約800mg、例えば、約300mgから約600mg、例えば、約400mgから約500mg、例えば、約405mgから約450mg、例えば、約410mgから約430mg、例えば、約420mg)の固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、2週毎に約420mg(例えば、2週毎に、420mg±10mg、例えば、420±6mg、例えば、420±5mg、例えば、420±3mg、例えば、420±1mg、例えば、420±0.5mg、例えば、420mg)の固定用量である。
【0274】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、4週毎(Q4W)に、約200mgから約2000mg(例えば、約200mgから約1600mg、例えば、約250mgから約1600mg、例えば、約300mgから約1600mg、例えば、約400mgから約1500mg、例えば、約500mgから約1400mg、例えば、約600mgから約1200mg、例えば、約700mgから約1100mg、例えば、約800mgから約1000mg、例えば、約800mgから約900mg、例えば、約800、約810、約820、約830、約840、約850、約860、約870、約880、約890、又は約900mg)の固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、4週毎に約840mg(例えば、4週毎に、840mg±10mg、例えば、840±6mg、例えば、840±5mg、例えば、840±3mg、例えば、840±1mg、例えば、840±0.5mg、例えば、840mg)の固定用量である。
【0275】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の用量は、対象の体重(例えば、体重(BW)>40kg:600mg、BW>15kgかつ≦40kg:400mg、及びBW≦15kg:300mg)に基づく段階的用量である。
【0276】
いくつかの事例では、併用療法(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体、例えば、アテゾリズマブ)との併用治療)で投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の用量は、単剤療法として投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体の標準用量と比較して低減されうる。
【0277】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、静脈内投与される。代替的に、いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、皮下投与される。いくつかの事例では、チラゴルマブは、2週毎に約420mg、3週毎に約600mg、又は4週毎に約840mgの用量で、対象に静脈内投与される。いくつかの事例では、チラゴルマブは、2週毎に420mg、3週毎に600mg、又は4週毎に840mgの用量で、対象に静脈内投与される。
【0278】
いくつかの事例では、併用療法(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ)又は抗PD-1アンタゴニスト抗体(例えば、MDX-1106(ニボルマブ)又はMK-3475(以前はランブロリズマブとして知られていたペンブロリズマブ))との併用治療)で投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の用量は、単剤療法として投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体の標準用量と比較して低減されうる。いくつかの事例では、併用療法(例えば、1つ又は複数の化学療法剤(例えば、白金系化学療法剤(例えば、カルボプラチン又はシスプラチン)及び/又は非白金系化学療法剤(例えば、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド)、タキサン(例えば、パクリタキセル又はnab-パクリタキセル)及び/又はトポイソメラーゼII阻害剤(例えば、ドキソルビシン))あり又はなしでの、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))との併用治療)で投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及び/又はG-CSF若しくはGM-CSFの用量は、単独療法として投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体の標準用量と比較して低減されうる。
【0279】
いくつかの事例では、対象には、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の合計で1から60用量、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、又は60用量が投与される。いくつかの事例では、対象には、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の合計で1から60用量、例えば、1から60用量、1から55用量、1から50用量、1から45用量、1から40用量、1から35用量、1から30用量、1から25用量、1から20用量、1から15用量、1から10用量、1から5用量、2から60用量、2から55用量、2から50用量、2から45用量、2から40用量、2から35用量、2から30用量、2から25用量、2から20用量、2から15用量、2から10用量、2から5用量、3から60用量、3から55用量、3から50用量、3から45用量、3から40用量、3から35用量、3から30用量、3から25用量、3から20用量、3から15用量、3から10用量、3から5用量、4から60用量、4から55用量、4から50用量、4から45用量、4から40用量、4から35用量、4から30用量、4から25用量、4から20用量、4から15用量、4から10用量、4から5用量、5から60用量、5から55用量、5から50用量、5から45用量、5から40用量、5から35用量、5から30用量、5から25用量、5から20用量、5から15用量、5から10用量、10から60用量、10から55用量、10から50用量、10から45用量、10から40用量、10から35用量、10から30用量、10から25用量、10から20用量、10から15用量、15から60用量、15から55用量、15から50用量、15から45用量、15から40用量、15から35用量、15から30用量、15から25用量、15から20用量、20から60用量、20から55用量、20から50用量、20から45用量、20から40用量、20から35用量、20から30用量、20から25用量、25から60用量、25から55用量、25から50用量、25から45用量、25から40用量、25から35用量、25から30用量、30から60用量、30から55用量、30から50用量、30から45用量、30から40用量、30から35用量、35から60用量、35から55用量、35から50用量、35から45用量、35から40用量、40から60用量、40から55用量、40から50用量、40から45用量、45から50用量、50から60用量、又は55から60用量が投与される。特定の事例では、用量は、静脈内投与されうる。
【0280】
いくつかの事例では、アテゾリズマブは、2週毎に約840mg、3週毎に約1200mg、又は4週毎に約1680mgの用量で、対象に静脈内投与される。
【0281】
PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体は、問う技術で既知の任意の適切な方式で投与されうる。例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体は、連続して(異なる日に)又は同時に(同日に又は同じ治療サイクル中に)投与されうる。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニストは、投薬サイクルの約1日目(例えば、-3日目、-2日目、-1日目、1日目、2日目、又は3日目)に投与される。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体は、同日に投与されうる。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、抗TIGITアンタゴニスト抗体の前に投与される。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、抗TIGITアンタゴニスト抗体の後に投与される。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、抗TIGITアンタゴニスト抗体と同時に投与される。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、同日に投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体に先立って投与されうる。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、同日に投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体の後に投与されうる。さらに他の事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、抗TIGITアンタゴニスト抗体と同時に投与される。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、抗TIGITアンタゴニスト抗体とは別個の組成物中にある。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、抗TIGITアンタゴニスト抗体と同じ組成物中にある。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、同日に対象に投与される任意の他の治療剤とは別個の静脈内ラインを通して投与される。PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体は、同じ投与経路又は異なる投与経路によって投与されうる。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、静脈内、筋肉内、皮下、局所、経口、経皮、腹腔内、眼窩内、移植により、吸入により、髄腔内に、脳室内に、又は鼻腔内に投与される。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、静脈内投与される。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、静脈内、筋肉内、皮下、局所、経口、経皮、腹腔内、眼窩内、移植により、吸入により、髄腔内に、脳室内に、又は鼻腔内に投与される。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、静脈内投与される。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストの投与に続いて第1の観察期間がある。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストの投与に続いて第2の観察期間がある。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与に続いて第1の観察期間がある。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与に続いて第2の観察期間がある。いくつかの事例では、観察期間は、約30分から約60分の長さである。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニストは、静脈内又は皮下投与される。
【0282】
いくつかの事例では、静脈内注入には、30±10分及び/又は60±10分をかける。一例では、アテゾリズマブは、60分かけて静脈内投与されることがあり、最初の注入が許容される場合、その後の注入はすべて30分かけて送達されうる。一例では、チラゴルマブは、60分にわたって静脈内投与されうる;最初の注入が許容される場合、その後の注入はすべて30分かけて送達されうる。
【0283】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、静脈内プッシュ又はボーラスとして投与されない。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、静脈内プッシュ又はボーラスとして投与されない。
【0284】
先述の例のいずれかにおいて、各投薬サイクルは、任意の適切な長さ、例えば、約7日間(約5、6、7、8、又は9日間)、約14日間(例えば、約12、13、14、15、又は16日間)、約21日間(例えば、約18、19、20、21、22、23、又は24日間)、約28日間(約25、26、27、28、29、30、又は31日間)又はそれを超える長さでもよい。いくつかの事例では、各投薬サイクルは、約21日である。
【0285】
ii.PD-1軸結合アンタゴニストの投薬
一般的な提案として、がん(例えば、GC又はGEJC(例えば、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJC)又は直腸がん(例えば、LARC))を有する対象に投与される治療的有効量のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)は、投与が1回であるか又は複数回であるかに関わらず、対象の体重1kg当たり約0.01から約50mgの範囲であろう。
【0286】
いくつかの例示的実施形態において、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)は、例えば、毎日、毎週、2週毎、3週毎、又は4週毎に、約0.01から約45mg/kg、約0.01から約40mg/kg、約0.01から約35mg/kg、約0.01から約30mg/kg、約0.01から約25mg/kg、約0.01から約20mg/kg、約0.01から約15mg/kg、約0.01から約10mg/kg、約0.01から約5mg/kg又は約0.01から約1mg/kgの用量で投与される。
【0287】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の用量は、対象の体重に基づく用量(例えば、15mg/kg)である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の用量は、対象の体表面積(例えば、体表面積(BSA)>1.25m2:600mg、BSA>0.75m2かつ≦1.25m2:450mg、BSA>0.5m2かつ≦0.75m2:350mg、及びBSA≦0.5m2:300mg)に基づく用量である。
【0288】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週毎に、約80mgから約1600mg(例えば、約100mgから約1600mg、例えば、約200mgから約1600mg、例えば、約300mgから約1600mg、例えば、約400mgから約1600mg、例えば、約500mgから約1600mg、例えば、約600mgから約1600mg、例えば、約700mgから約1600mg、例えば、約800mgから約1600mg、例えば、約900mgから約1500mg、例えば、約1000mgから約1400mg、例えば、約1050mgから約1350mg、例えば、約1100mgから約1300mg、例えば、約1150mgから約1250mg、例えば、約1175mgから約1225mg、例えば、約1190mgから約1210mg、例えば、1200mg±5mg、例えば、1200±2.5mg、例えば、1200±1.0mg、例えば、1200±0.5mg、例えば、1200mg)の固定用量である。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、3週毎に約1200mgの固定用量のアテゾリズマブである。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、3週毎に約200mgの固定用量のペムブロリズマブであるか、又は、代替的に、6週毎に約400mgの固定用量のペムブロリズマブである。
【0289】
いくつかの事例では、併用療法(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブとの併用治療)で投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の固定用量は、単剤療法として投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えばアテゾリズマブ))の標準用量と比較して低減されうる。
【0290】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに、対象の体重1kg当たり約0.01mgから約50mg(例えば、約0.01mgから約45mg、例えば、約0.1mgから40mg、例えば、約1mgから約35mg、例えば、約2.5mgから約30mg、例えば、約5mgから約25mgの間、例えば、約10mgから約20mg、例えば、約12.5mgから約15mg、例えば、約15±2mg、約15±1mg、約15±0.5mg、約15±0.2mg、又は約15±0.1mg、例えば、約15mg)の用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えばアテゾリズマブ))の有効量は、3週毎に、対象の体重1kg当たり約0.01mgから約15mg(例えば約0.1mgから約15mg、例えば約0.5mgから約15mg、例えば約1mgから約15mg、例えば約2.5mgから約15mg、例えば約5mgから約15mg、例えば約7.5mgから約15mg、例えば約10mgから約15mg、例えば約12.5mgから約15mg、例えば約14mgから約15mg、例えば約15±1mg、例えば約15±0.5mg、例えば約15±0.2mg、例えば約15±0.1mg、例えば約15mg)の用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週毎に投与される約15mg/kgの用量である。いくつかの事例では、併用療法(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブとの併用治療)で投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の用量は、単剤療法として投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えばアテゾリズマブ))の標準用量と比較して低減されうる。
【0291】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、2週毎に(Q2W)、約20mgから約1600mg(例えば、約40mgから約1500mg、例えば、約200mgから約1400mg、例えば、約300mgから約1400mg、例えば、約400mgから約1400mg、例えば、約500mgから約1300mg、例えば、約600mgから約1200mg、例えば、約700mgから約1100mg、例えば、約800mgから約1000mg、例えば、約800mgから約900mg、例えば、約800、約810、約820、約830、約840、約850、約860、約870、約880、約890又は約900mg)の固定用量である。いくつかの事例は、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、2週毎に約840mg/(例えば、2週毎に、840mg±10mg、例えば、840±6mg、例えば、840±5mg、例えば、840±3mg、例えば、840±1mg、例えば、840±0.5mg、例えば、840mg)の固定用量のアテゾリズマブである。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、2週毎に約800mgの固定用量のアベルマブである。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、2週毎に約240mgの固定用量のニボルマブである。
【0292】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、4週毎に(Q4W)、約500mgから約3000mg(例えば、約500mgから約2800mg、例えば、約600mgから約2700mg、例えば、約650mgから約2600mg、例えば、約700mgから約2500mg、例えば、約1000mgから約2400mg、例えば、約1100mgから約2300mg、例えば、約1200mgから約2200mg、例えば、約1300mgから約2100mg、例えば、約1400mgから約2000mg、例えば、約1500mgから約1900mg、例えば、約1600mgから約1800mg、例えば、約1620mgから約1700mg、例えば、約1640mgから約1690mg、例えば、約1660mgから約1680mg、約1680mg、例えば、約1600mg、約1610mg、約1620mg、約1630mg、約1640mg、約1650mg、約1660mg、約1670mg、約1680mg、約1690mg、又は約1700mg)の固定用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、4週毎に1680mg(例えば、4週毎に、1680mg±10mg、例えば、1680±6mg、例えば、1680±5mg、例えば、1680±3mg、例えば、1680±1mg、例えば、1680±0.5mg、例えば、1680mg)の固定用量である。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、4週毎に約480mgの固定用量のニボルマブである。
【0293】
いくつかの事例では、併用療法(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)との併用治療)で投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の用量は、単剤療法として投与される抗PD-L1アンタゴニスト抗体の標準用量と比較して低減されうる。いくつかの事例では、1つ又は複数の化学療法剤(例えば、白金系化学療法剤(例えば、カルボプラチン又はシスプラチン)及び/又は非白金系化学療法剤(例えば、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド)、タキサン(例えばパクリタキセル、例えばnab-パクリタキセル)、及び/又はトポイソメラーゼII阻害剤(例えば、ドキソルビシン)))及び/又はG-CSF若しくはGM-CSFあり又はなしで、併用療法(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブとの併用治療)で投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の用量は、単剤療法として投与されるPD-1軸結合アンタゴニストの標準用量と比較して低減されうる。
【0294】
いくつかの事例では、対象には、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)の合計で1から60用量、例えば、1から60用量、1から55用量、1から50用量、1から45用量、1から40用量、1から35用量、1から30用量、1から25用量、1から20用量、1から15用量、1から10用量、1から5用量、2から60用量、2から55用量、2から50用量、2から45用量、2から40用量、2から35用量、2から30用量、2から25用量、2から20用量、2から15用量、2から10用量、2から5用量、3から60用量、3から55用量、3から50用量、3から45用量、3から40用量、3から35用量、3から30用量、3から25用量、3から20用量、3から15用量、3から10用量、3から5用量、4から60用量、4から55用量、4から50用量、4から45用量、4から40用量、4から35用量、4から30用量、4から25用量、4から20用量、4から15用量、4から10用量、4から5用量、5から60用量、5から55用量、5から50用量、5から45用量、5から40用量、5から35用量、5から30用量、5から25用量、5から20用量、5から15用量、5から10用量、10から60用量、10から55用量、10から50用量、10から45用量、10から40用量、10から35用量、10から30用量、10から25用量、10から20用量、10から15用量、15から60用量、15から55用量、15から50用量、15から45用量、15から40用量、15から35用量、15から30用量、15から25用量、15から20用量、20から60用量、20から55用量、20から50用量、20から45用量、20から40用量、20から35用量、20から30用量、20から25用量、25から50用量、25から45用量、25から40用量、25から35用量、25から30用量、30から60用量、30から55用量、30から50用量、30から45用量、30から40用量、30から35用量、35から60用量、35から55用量、35から50用量、35から45用量、35から40用量、40から60用量、40から55用量、40から50用量、40から45用量、45から50用量、50から60用量、又は55から60用量が投与される。特定の事例では、用量は、静脈内投与されうる。
【0295】
いくつかの事例では、アテゾリズマブは、2週毎に約840mg、3週毎に約1200mg、又は4週毎に約1680mgの用量で、対象に静脈内投与される。例えば、いくつかの態様では、アテゾリズマブは、3週毎に1200mgの用量で対象に静脈内投与される。いくつかの態様では、アテゾリズマブは、2週毎に840mgの用量で対象に静脈内投与される。いくつかの態様では、アテゾリズマブは、4週毎に1680mgの用量で対象に静脈内投与される。
【0296】
PD-1軸結合アンタゴニスト及び/又は1つ以上の任意の追加の治療剤は、当技術分野で既知の任意の適切な方式で投与されうる。例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト及び/又は1つ以上の任意の追加の治療剤は、逐次的に(異なる日に)又は同時に(同じ日に又は同じ治療サイクル中に)投与されうる。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、追加の治療剤に先立って投与される。他の事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、追加の治療剤の後に投与される。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト及び/又は1つ以上の任意の追加の治療剤は、同じ日に投与されうる。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、同じ日に投与される追加の治療剤に先立って投与されうる。例えば、PD-1軸結合アンタゴニストは、同じ日に、化学療法に先立って投与されうる。別の例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、同じ日に、化学療法及び別の薬物(例えば、ベバシズマブ)の両方に先立って投与されうる。他の事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、同じ日に投与される追加の治療剤の後に投与されうる。さらに他の事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、追加の治療剤と同時に投与される。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、追加の治療剤として別個の組成物中に存在する。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、追加の治療剤として同じ組成物中に存在する。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、同日に対象に投与される任意の他の治療剤とは別個の静脈内ラインを通して投与される。
【0297】
PD-1軸結合アンタゴニスト及び1つ以上の任意の追加の治療剤は、同じ投与経路によって又は異なる投与経路によって投与されうる。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、静脈内、筋肉内、皮下、局所、経口、経皮、腹腔内、眼窩内、移植により、吸入により、髄腔内に、脳室内に、又は鼻腔内に投与される。いくつかの事例では、追加の治療剤は、静脈内に、筋肉内に、皮下に、局所的に、経口的に、経皮的に、腹腔内に、眼窩内に、移植により、吸入により、髄腔内に、脳室内に、又は鼻腔内に投与される。
【0298】
好ましい実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、静脈内投与される。一例では、アテゾリズマブは60分かけて静脈内投与されうるか;最初の注入が許容される場合、その後のすべての注入は30分かけて送達されうる。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、静脈内プッシュ又はボーラスとして投与されない。
【0299】
本明細書では、対象のがん(例えば、GC又はGEJC(例えば、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJC)又は直腸がん(例えば、LARC))を治療するための方法も提供され、この方法は、別の抗がん剤又はがん療法(例えば、カペシタビン及びオキサリプラチン)と組み合わせて有効量のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び/又は抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を含む治療レジメンを、対象に投与することを含む。例えば、PD-1軸結合アンタゴニストは、追加の化学療法若しくは化学療法剤(上記定義を参照);標的化療法若しくは標的化治療剤;免疫療法若しくは免疫療法剤、例えばモノクローナル抗体;1つ若しくは複数の細胞傷害性剤(上記定義を参照);又はこれらの組み合わせと組み合わせて投与されうる。例えば、PD-1軸結合アンタゴニストは、カペシタビン、オキサリプラチン、ベバシズマブ、パクリタキセル、タンパク質結合パクリタキセル(例えば、nab-パクリタキセル)、カルボプラチン、シスプラチン、ペメトレキセド、ゲムシタビン、エトポシド、コビメチニブ、ベムラフェニブ、又はこれらの組み合わせと組み合わせて投与されうる。PD-1軸結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)又は抗PD-1抗体でありうる。
【0300】
いくつかの事例では、治療は、追加の治療法をさらに含みうる。当技術分野で既知であるか又は本明細書に記載される任意の適切な追加の治療法が使用されうる。追加の治療法は、放射線療法、外科手術、遺伝子療法、DNA療法、ウイルス療法、RNA療法、免疫療法、骨髄移植、ナノ療法、モノクローナル抗体療法、ガンマ線照射、又はこれらの組み合わせでありうる。
【0301】
いくつかの事例では、追加の治療法は、副作用制限剤(例えば、治療の副作用の発生及び/又は重症度を軽減することを意図した薬剤、例えば、抗悪心剤、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン又は同等物、例えば1~2mg/kg/日の用量の)、1つ以上のホルモン補充薬等)の投与である。
【0302】
iii.抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストの投薬サイクル
本発明の方法及び使用のいずれにおいても、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、がん(例えば、GC又はGEJC(例えば、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJC)又は直腸がん(例えば、LARC))を有する対象に、1回又は複数回の投薬サイクルで(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、若しくは60回又はそれより多い投薬サイクル)で投与されうる。いくつかの態様では、1回又は複数回の投薬サイクルは、セクションB(i)及びB(ii)にそれぞれ記載される抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の1つ又は複数の用量の、がん(例えば、GC又はGEJC(例えば、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJC)又は直腸がん(例えば、LARC))を有する対象への投与を含む。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の投薬サイクルは、臨床的有用性(例えば、確認された疾患進行、薬物耐性、死亡、又は許容できない毒性)が失われるまで継続される。いくつかの事例では、各投薬サイクルの長さは、約7から42日間(例えば、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、31日間、32日間、33日間、34日間、35日間、36日間、37日間、38日間、39日間、41日間、42日間)である。いくつかの事例では、各投薬サイクルの長さは、約14日間である。いくつかの事例では、各投薬サイクルの長さは、約21日間である。いくつかの事例では、各投薬サイクルの長さは、約28日間である。いくつかの事例では、各投薬サイクルの長さは、約42日間である。いくつかの事例では、各投薬サイクルの長さは、約7日間である。
【0303】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ)又は抗PD-1アンタゴニスト抗体(例えば、MDX-1106(ニボルマブ)又はMK-3475(以前はランブロリズマブとして知られていたペンブロリズマブ)))は、各投薬サイクルの約1日目(例えば、1日目±3日)に投与される。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ)又は抗PD-1アンタゴニスト抗体(例えば、MDX-1106(ニボルマブ)又はMK-3475(以前はランブロリズマブとして知られていたペンブロリズマブ)))は、各投薬サイクルの約15日目(例えば、15日目±3日)に投与される。
【0304】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、各投薬サイクルの約1日目(例えば、1日目±3日)に投与される。
【0305】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、各21日サイクルの1日目に約600mgの用量で(すなわち、3週毎に約600mgの用量で)静脈内投与され、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、各21日サイクルの1日目に約1200mgの用量で(すなわち、3週毎に約1200mgの用量で)静脈内投与される。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、各21日サイクルの1日目に600mgの用量で(すなわち、3週毎に600mgの用量で)静脈内投与され、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、各21日サイクルの1日目に1200mgの用量で(すなわち、3週毎に1200mgの用量で)静脈内投与される。
【0306】
他の事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、各14日サイクルの1日目に約420mgの用量で(すなわち、2週毎に約420mgの用量で)静脈内投与され、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、各14日サイクルの1日目に約840mgの用量で(すなわち、2週毎に約840mgの用量で)静脈内投与される。
【0307】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、各28日サイクルの1日目に840mgの用量で(すなわち、4週毎に840mgの用量で)静脈内投与され、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、各28日サイクルの1日目に1680mgの用量で(すなわち、4週毎に1680mgの用量で)静脈内投与される。
【0308】
iv.抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストの静脈内注入及び皮下投与
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、がん(例えば、GC又はGEJC(例えば、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJC)又は直腸がん(例えば、LARC))を有する対象に静脈内投与される。代替的に、いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、皮下投与される。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、静脈内投与される。代替的に、いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、皮下投与される。
【0309】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、対象又は対象集団に、約60±15分(例えば、約45分、約46分、約47分、約48分、約49分、約50分、約51分、約52分、約53分、約54分、約55分、約56分、約57分、約58分、約59分、約60分、約61分、約62分、約63分、約64分、約65分、約66分、約67分、約68分、約69分、約70分、約71分、約72分、約73分、約74分又は約75分)かけて静脈内注入により投与される。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、対象又は対象集団に、約60±10分(例えば約50分、約51分、約52分、約53分、約54分、約55分、約56分、約57分、約58分、約59分、約60分、約61分、約62分、約63分、約64分、約65分、約66分、約67分、約68分、約69分、又は約70分)かけて静脈内注入により投与される。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ)は、対象に、約60±15分(例えば、約45分、約46分、約47分、約48分、約49分、約50分、約51分、約52分、約53分、約54分、約55分、約56分、約57分、約58分、約59分、約60分、約61分、約62分、約63分、約64分、約65分、約66分、約67分、約68分、約69分、約70分、約71分、約72分、約73分、約74分又は約75分)かけて静脈内注入により投与される。
【0310】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、対象に、約30±10分(例えば、約20分、約21分、約22分、約23分、約24分、約25分、約26分、約27分、約28分、約29分、約30分、約31分、約32分、約33分、約34分、約35分、約36分、約37分、約38分、約39分、又は約40分)かけて静脈内注入により投与される。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、対象に、約30±10分(例えば、約20分、約21分、約22分、約23分、約24分、約25分、約26分、約27分、約28分、約29分、約30分、約31分、約32分、約33分、約34分、約35分、約36分、約37分、約38分、約39分、又は約40分)かけて静脈内注入により投与される。
【0311】
v.投与順序及び観察期間
抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストの療法が、がん(例えば、GC又はGEJC(例えば、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJC)又は直腸がん(例えば、LARC))を有する対象又は対象集団に投与されるいくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の前に対象に投与される。
【0312】
いくつかの事例では、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与に続いて、PD-1軸結合アンタゴニストの投与の前に、方法は、介在する第1の観察期間を含む。いくつかの事例では、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与に続いて、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))が対象に投与される。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)が最初に対象に投与され、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の投与に続いてPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))が対象に投与される。
【0313】
いくつかの事例では、方法は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の投与に続いて第2の観察期間をさらに含む。
【0314】
いくつかの事例では、方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与に続く第1の観察期間、及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の投与に続く第2の観察期間の両方を含む。いくつかの事例では、第1及び第2の観察期間は各々が、約30分から約60分の長さである。第1及び第2の観察期間が各々約60分の長さである事例では、方法は、第1又は第2の観察期間中の抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の投与の約30±10分後の対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)を記録することを含みうる。第1及び第2の観察期間が各々約30分の長さである事例では、方法は、第1又は第2の間の抗TIGITアンタゴニスト抗体又はPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の投与の約15±10分後の対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)を記録することを含みうる。
【0315】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の前に、対象又は対象集団に投与される。いくつかの事例では、例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の投与に続いて、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の投与前に、方法は、介在する第1の観察期間を含む。
【0316】
いくつかの事例では、方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の投与に続いて第2の観察期間をさらに含む。
【0317】
いくつかの事例では、方法は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の投与に続く第1の観察期間、及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の投与に続く第2の観察期間の両方を含む。いくつかの事例では、第1及び第2の観察期間は各々が、約30分から約60分の長さである。第1及び第2の観察期間が各々約60分の長さである事例では、方法は、第1又は第2の観察期間中、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))又は抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の投与の約30±10分後の対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)を記録することを含みうる。第1及び第2の観察期間が各々約30分の長さである事例では、方法は、第1又は第2の観察期間中、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の投与の約15±10分後の対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)を記録することを含みうる。
【0318】
III.PD-L1発現の評価
PD-L1の発現は、本明細書に記載される使用のための方法及び組成物のいずれかに従って治療された対象において評価されうる。使用のための方法及び組成物は、がん(例えば、GC又はGEJC(例えば、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJC)又は直腸がん(例えば、LARC))を有する対象から得られた生物学的試料(例えば、腫瘍試料)におけるPD-L1の発現レベルを決定することを含みうる。他の例では、対象から得られた生物学的試料(例えば、腫瘍試料)中のPD-L1の発現レベルは、治療の開始に先立って又は治療の開始後に決定された。PD-L1の発現は、任意の適切な手法を使用して決定されうる。例えば、PD-L1発現は、米国特許出願公開第15/787,988号及び同第15/790,680号に記載されているように決定されうる。任意の適切な腫瘍試料、例えばホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍試料、保管腫瘍試料、新鮮腫瘍試料又は凍結腫瘍試料が使用されうる。
【0319】
例えば、PD-L1の発現は、検出可能な発現レベルのPD-L1を発現する腫瘍浸潤免疫細胞が占める腫瘍試料のパーセンテージに関して、検出可能な発現レベルのPD-L1を発現する腫瘍試料中の腫瘍浸潤免疫細胞のパーセンテージとして、及び/又は検出可能な発現レベルのPD-L1を発現する腫瘍試料中の腫瘍細胞のパーセンテージとして決定されうる。先述の例のいずれにおいても、腫瘍浸潤免疫細胞が占める腫瘍試料のパーセンテージは、対象から得られた腫瘍試料の切片において、腫瘍浸潤免疫細胞によって覆われる腫瘍領域のパーセンテージ(例えば、抗PD-L1抗体(例えば、SP142抗体)を使用してIHCによって評価されるように)に関してでありうると理解されるべきである。例えば、SP142(Ventana)、SP263(Ventana)、22C3(Dako)、28-8(Dako)、E1L3N(Cell Signaling Technology)、4059(ProSci,Inc.)、h5H1(Advanced Cell Diagnostics)及び9A11を含む任意の適切な抗PD-L1抗体を使用することができる。いくつかの例では、抗PD-L1抗体は、SP142である。他の例では、抗PD-L1抗体は、SP263である。
【0320】
いくつかの例では、対象から得られる腫瘍試料は、腫瘍試料中の1%未満の腫瘍細胞、腫瘍試料中の1%以上の腫瘍細胞、腫瘍試料中の1%から5%未満の腫瘍細胞、腫瘍試料中の5%以上の腫瘍細胞、腫瘍試料中の5%から50%未満の腫瘍細胞、又は腫瘍試料中の50%以上の腫瘍細胞において、検出可能なPD-L1発現レベルを有する。
【0321】
いくつかの例では、対象から得られた腫瘍試料は、腫瘍試料の1%未満、腫瘍試料の1%超、腫瘍試料の1%から5%未満、腫瘍試料の5%超、腫瘍試料の5%から10%未満、又は腫瘍試料の10%超を含む腫瘍浸潤免疫細胞中の検出可能なPD-L1発現レベルを有する。
【0322】
いくつかの態様では、本明細書に提供される方法のいずれかに従って治療される対象のGC又はGEJC(例えば、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJC)又は直腸がん(例えば、LARC)は、<5%のPD-L1陽性腫瘍細胞(TC)画分又は腫瘍浸潤免疫細胞(IC)分率を有する。いくつかの態様では、GC、GEJC、又は直腸がんは、<1%のPD-L1陽性TC分率を有する。他の態様では、本明細書に提供される方法のいずれかに従って治療される対象のGC、GEJC、又は直腸がんは、≧5%のPD-L1陽性TC分率又はIC分率を有する。いくつかの態様では、PD-L1は、Ventana SP142 IHCアッセイ、Ventana SP263 IHCアッセイ、pharmDx 22C3 IHCアッセイ、又はpharmDx 28-8 IHCアッセイを使用して検出される。
【0323】
いくつかの例では、腫瘍試料は、表A及び/又は表Bにそれぞれ示される診断評価のための基準に従って、腫瘍浸潤免疫細胞における及び/又は腫瘍細胞におけるPD-L1陽性についてスコア化されうる。
【0324】
【0325】
【0326】
IV.TIGIT発現の評価
TIGITの発現レベルは、本明細書に記載される方法、使用、及び使用のための組成物のいずれかに従って治療された、がん(例えば、GC又はGEJC(例えば、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJC)又は直腸がん(例えば、LARC))を有する対象において評価されうる。方法、使用及び使用のための組成物は、対象から得られた生物学的試料(例えば、腫瘍試料)中のTIGITの発現レベルを決定することを含みうる。他の例では、対象から得られた生物学的試料(例えば、腫瘍試料)中のTIGITの発現レベルは、治療の開始に先立って又は治療の開始後に決定された。TIGIT発現は、任意の適切な手法を使用して決定されうる。任意の適切な腫瘍試料、例えばホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍試料、保管腫瘍試料、新鮮腫瘍試料又は凍結腫瘍試料が使用されうる。
【0327】
例えば、TIGITの発現は、検出可能な発現レベルのTIGITを発現する腫瘍浸潤免疫細胞が占める腫瘍試料のパーセンテージに関して、検出可能な発現レベルのTIGITを発現する腫瘍試料中の腫瘍浸潤免疫細胞のパーセンテージとして、及び/又は検出可能な発現レベルのTIGITを発現する腫瘍試料中の腫瘍細胞のパーセンテージとして決定されうる。先述の例のいずれにおいても、腫瘍浸潤免疫細胞が占める腫瘍試料のパーセンテージは、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体を使用してIHCによって評価される場合、対象から得られた腫瘍試料の切片中の腫瘍浸潤免疫細胞によって覆われる腫瘍面積のパーセンテージに関してでありうると理解されるべきである。任意の適切な抗TIGITアンタゴニスト抗体を使用することができる。いくつかの例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、10A7(国際公開第2009/126688号;米国特許第9,499,596号)である。
【0328】
V.抗TIGITアンタゴニスト抗体
本発明は、がん(例えば、GC又はGEJC(例えば、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJC)又は直腸がん(例えば、LARC))を有する対象(例えば、ヒト)のがんを治療するために有用な抗TIGITアンタゴニスト抗体を提供する。
【0329】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、チラゴルマブ(CAS登録番号:1918185-84-8)である。チラゴルマブ(Genentech)は、MTIG7192Aとしても既知である。
【0330】
特定の事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、(a)SNSAAWN(配列番号11)のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)ESTTYDLLAGPFDY(配列番号13)のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号14)のアミノ酸配列を含むHVR-L1,(e)WASTRES(配列番号15)のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び/又は(f)QQYYSTPFT(配列番号16)のアミノ酸配列を含むHVR-L3、又は上記HVRのうちの1つ又は複数と配列番号11-16のいずれかと少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性)を有するその1つ又は複数のバリアントとの組み合わせから選択される少なくとも1、2、3、4、5、又は6つのHVRを含む。
【0331】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、(a)SNSAAWNのアミノ酸配列(配列番号11)を含むHVR-H1;(b)KTYYRFKWYSDYAVSVKGのアミノ酸配列(配列番号12)を含むHVR-H2;(c)ESTTYDLLAGPFDY(配列番号13)のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号14)のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)WASTRES(配列番号15)のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び(f)QQYYSTPFT(配列番号16)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含みうる。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、EVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVSSNSAAWNWIRQSPSRGLEWLGKTYYRFKWYSDYAVSVKGRITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTRESTTYDLLAGPFDYWGQGTLVTVSS(配列番号27)の配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、又はQVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVSSNSAAWNWIRQSPSRGLEWLGKTYYRFKWYSDYAVSVKGRITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTRESTTYDLLAGPFDYWGQGTLVTVSS(配列番号28)の配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び/又はDIVMTQSPDSLAVSLGERATINCKSSQTVLYSSNNKKYLAWYQQKPGQPPNLLIYWASTRESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQQYYSTPFTFGPGTKVEIK(配列番号29)の配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを有する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号27の配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び/又は配列番号29の配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを有する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号27のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号29のアミノ酸配列を含むVLドメインを有する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号28の配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び/又は配列番号29の配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを有する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号28のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号29のアミノ酸配列を含むVLドメインを有する。
【0332】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、重鎖及び軽鎖配列を含み、(a)重鎖は、アミノ酸配列:EVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVSSNSAAWNWIRQSPSRGLEWLGKTYYRFKWYSDYAVSVKGRITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTRESTTYDLLAGPFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号33)を含み;(b)軽鎖は、アミノ酸配列:DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCKSSQTVLYSSNNKKYLAWYQQKPGQPPNLLIYWASTRESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQQYYSTPFTFGPGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号34)を含む。
【0333】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR):DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号17)のアミノ酸配列を含むFR-L1;WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号18)のアミノ酸配列を含むFR-L2;GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号19)のアミノ酸配列を含むFR-L3;及び/又はFGPGTKVEIK(配列番号20)のアミノ酸配列を含むFR-L4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ又は4つ、又は上記FRのうちの1つ又は複数と、配列番号17-20のいずれかと少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性)を有するその1つ又は複数のバリアントとの組み合わせをさらに含む。いくつかの事例では、例えば、抗体は、DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号17)のアミノ酸配列を含むFR-L1;WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号18)のアミノ酸配列を含むFR-L2;GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号19)のアミノ酸配列を含むFR-L3;及びFGPGTKVEIK(配列番号20)のアミノ酸配列を含むFR-L4をさらに含む。
【0334】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の重鎖可変領域フレームワーク領域FR:X1VQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号21)のアミノ酸配列を含むFR-H1;WIRQSPSRGLEWLG(配列番号22)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号23)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及び/又はWGQGTLVTVSS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ又は4つ、又は上記FRのうちの1つ又は複数と、配列番号21-24のいずれかと少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性)を有するその1つ又は複数のバリアントとの組み合わせをさらに含む。抗TIGITアンタゴニスト抗体は、例えば、以下の重鎖可変領域FR:EVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号25)のアミノ酸配列を含むFR-H1;WIRQSPSRGLEWLG(配列番号22)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号23)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及び/又はWGQGTLVTVSS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つ、又は上記FRのうちの1つ又は複数と、配列番号22-25のいずれかと少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性)を有するその1つ又は複数のバリアントとの組み合わせをさらに含みうる。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、EVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号25)のアミノ酸配列を含むFR-H1;WIRQSPSRGLEWLG(配列番号22)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号23)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及びWGQGTLVTVSS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むFR-H4を含む。別の事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、例えば、以下の重鎖可変領域FR:QVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号26)のアミノ酸配列を含むFR-H1;WIRQSPSRGLEWLG(配列番号22)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号23)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及び/又はWGQGTLVTVSS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つ、又は上記FRのうちの1つ又は複数と、配列番号22-24及び26のいずれかと少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性)を有するその1つ又は複数のバリアントとの組み合わせをさらに含みうる。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、QVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号26)のアミノ酸配列を含むFR-H1;WIRQSPSRGLEWLG(配列番号22)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号23)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及びWGQGTLVTVSS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むFR-H4を含む。
【0335】
別の態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体が提供され、この抗体は、上記に提供される事例のいずれかのVH及び上記に提供される事例のいずれかのVLを含み、可変ドメイン配列の一方又は両方は、翻訳後修飾を含む。
【0336】
いくつかの事例では、上述の抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれか1つは、ヒトTIGITに加えてウサギTIGITに結合することができる。いくつかの事例では、上述の抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれか1つは、ヒトTIGIT及びカニクイザル(cyno)TIGITの両方に結合することができる。いくつかの事例では、上述の抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれか1つは、ヒトTIGIT、カニクイザルTIGIT及びウサギTIGITに結合することができる。いくつかの事例では、上述の抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれか1つは、ヒトTIGIT、カニクイザルTIGIT及びウサギTIGITに結合することができるが、マウスTIGITには結合できない。
【0337】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、ヒトTIGITに約10nM以下のKDで、カニクイザルTIGITに約10nM以下のKDで結合する(例えば、ヒトTIGITに約0.1nMから約1nMのKDで、カニクイザルTIGITに約0.5nMから約1nMのKDで、例えば、ヒトTIGITに約0.1nM以下のKDで、カニクイザルTIGITに約0.5nM以下のKDで結合する)。
【0338】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、TIGITに特異的に結合し、ポリオウイルス受容体(PVR)とのTIGIT相互作用を阻害又は遮断する(例えば、アンタゴニスト抗体は、PVRへのTIGIT結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害する)。いくつかの事例では、アンタゴニスト抗体は、10nM以下(例えば、1nMから約10nM)のIC50値でヒトPVRへのヒトTIGITの結合を阻害又は遮断する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、TIGITに特異的に結合し、PVR-CD226相互作用に影響を与えることなく、PVRとのTIGIT相互作用を阻害又は遮断する。いくつかの事例では、アンタゴニスト抗体は、カニクイザルPVRへのカニクイザルTIGITの結合を50nM以下(例えば、1nMから約50nM、例えば、1nMから約5nM)のIC50値で阻害又は遮断する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、CD226とTIGITとの相互作用を阻害及び/又は遮断する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、TIGITがCD226ホモ二量体化を破壊する能力を阻害及び/又は遮断する。
【0339】
いくつかの事例では、本明細書に記載される方法又は使用は、TIGITへの結合について上述の抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれかと競合する単離された抗TIGITアンタゴニスト抗体を使用又は投与することを含みうる。例えば、方法は、以下の6つのHVR:(a)SNSAAWNのアミノ酸配列(配列番号11)を含むHVR-H1;(b)KTYYRFKWYSDYAVSVKGのアミノ酸配列(配列番号12)を含むHVR-H2;(c)ESTTYDLLAGPFDY(配列番号13)のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号14)のアミノ酸配列を含むHVR-L1,(e)WASTRES(配列番号15)のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び(f)QQYYSTPFT(配列番号16)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を有する抗TIGITアンタゴニスト抗体とTIGITへの結合について競合する単離された抗TIGITアンタゴニスト抗体を投与することを含みうる。本明細書に記載される方法はまた、上述の抗TIGITアンタゴニスト抗体と同じエピトープに結合する単離された抗TIGITアンタゴニスト抗体を投与することを含みうる。
【0340】
いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、インタクトなFc媒介エフェクター機能(例えば、チラゴルマブ、ビボストリマブ、エチギリマブ、EOS084448又はTJ-T6)又は増強されたエフェクター機能(例えば、SGN-TGT)を有する抗体である。
【0341】
他の態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、Fc媒介エフェクター機能を欠く抗体(例えば、ドムバナリマブ、BMS-986207、ASP8374、又はCOM902)である。
【0342】
いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、IgG1クラス抗体、例えば、チラゴルマブ、ビボストリマブ、ドムバナリマブ、BMS-986207、エチギリマブ、BGB-A1217、SGN-TGT、EOS084448(EOS-448)、TJ-T6、又はAB308である。
【0343】
他の態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、IgG4クラス抗体、例えばASP8374又はCOM902である。
【0344】
このような抗体を含有する組成物を含む、本発明において有用な抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体、例えば、アテゾリズマブ)、PD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1アンタゴニスト抗体、例えば、ペムブロリズマブ)、及びPD-L2結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L2アンタゴニスト抗体))と組み合わせて使用されうる。
【0345】
いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、TIGITシグナル伝達を阻害するように機能する。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、その結合パートナーへのTIGITの結合を阻害する。例示的なTIGIT結合パートナーには、CD155(PVR)、CD112(PVRL2又はネクチン-2)、及びCD113(PVRL3又はネクチン-3)が含まれる。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、TIGITとCD155との間の結合を阻害することができる。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、TIGITとCD112との間の結合を阻害しうる。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、TIGITとCD113との間の結合を阻害する。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、免疫細胞中のTIGIT媒介性細胞シグナル伝達を阻害する。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、制御性T細胞を枯渇させる(例えば、FcγRに係合すると)ことによってTIGITを阻害する。
【0346】
いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、Fab、Fab’-SH、Fv、scFv、及び(Fab’)2断片からなる群から選択される抗体断片である。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、ヒト化抗体である。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、ヒト抗体である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗TIGIT抗体は、ヒトTIGITに結合する。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、Fc融合タンパク質である。
【0347】
いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、チラゴルマブ(MTIG7192A、RG6058又はRO7092284)、ビボストリマブ(MK-7684)、ASP8374(PTZ-201)、EOS884448(EOS-448)、SEA-TGT(SGN-TGT)、BGB-A1217、BMS-986207(ONO-4686)、COM902(CGEN-15137)、IBI939、ドムバナリマブ(AB154)、M6223、AB308、AB154、TJ-T6、MG1131、NB6253、HLX301、HLX53、SL-9258(TIGIT-Fc-LIGHT)、STW264、及びYBL-012からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、チラゴルマブ(MTIG7192A、RG6058又はRO7092284)、ビボストリマブ(MK-7684)、ASP8374(PTZ-201)、EOS-448、及びSEA-TGT(SGN-TGT)からなる群から選択される。抗TIGIT抗体は、チラゴルマブ(MTIG7192A、RG6058又はRO7092284)でありうる。
【0348】
本明細書に開示される方法に有用な抗TIGIT抗体の非限定的な例とそれを作成するための方法は、国際公開第2018183889号、国際公開第2019129261号、国際公開第2016106302号、国際公開第2018033798号、国際公開第2020020281号、国際公開第2019023504号、国際公開第2017152088号、国際公開第2016028656号、国際公開第2017030823号、国際公開第2018204405号、国際公開第2019152574号、及び国際公開第2020041541号、米国特許第10,189,902号、米国特許第10,213,505号、米国特許第10,124,061号、米国特許第10,537,633号、及び米国特許第10,618,958号;及び米国特許出願公開第2020/0095324号、第2019/0112375号、第2018/0371083号、及び第2020/0062859号に記載されており、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される。本明細書に開示される方法に有用な抗TIGIT抗体の追加の非限定的な例、及びそれを作製するための方法は、国際公開第2018204363号、国際公開第2018047139号、国際公開第2019175799号、国際公開第2018022946号、国際公開第2015143343号、国際公開第2018218056号、国際公開第2019232484号、国際公開第2019079777号、国際公開第2018128939号、国際公開第2017196867号、国際公開第2019154415号、国際公開第2019062832号、国際公開第2018234793号、国際公開第2018102536号、国際公開第2019137548号、国際公開第2019129221号、国際公開第2018102746号、国際公開第2018160704号、国際公開第2020041541号、国際公開第2019094637号、国際公開第2017037707号、国際公開第2019168382号、国際公開第2006124667号、国際公開第2017021526号、国際公開第2017184619号、国際公開第2017048824号、国際公開第2019032619号、国際公開第2018157162号、国際公開第2020176718号、国際公開第2020047329号、国際公開第2020047329号、国際公開第2018220446A9;米国特許第9,617,338号、米国特許第9,567,399号、米国特許第10,604,576、及び米国特許第9,994,637号;及び米国特許出願公開第2018/0355040号、米国特許第2019/0175654号、米国特許第2019/0040154号、米国特許第2019/0382477号、米国特許第2019/0010246号、米国特許第2020/0164071号、米国特許第2020/0131267号、米国特許第2019/0338032号、米国特許第2019/0330351号、米国特許第2019/0202917号、米国特許第2019/0284269号、米国特許第2018/0155422号、米国特許第2020/0040082号、米国特許第2019/0263909号、米国特許第2018/0185480号、米国特許第2019/0375843号、米国特許第2017/0037133号、米国特許第2019/0077869号、米国特許第2019/0367579号、米国特許第2020/0222503号、米国特許第2020/0283496、CN109734806A、及びCN110818795Aに記載されており、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0349】
本明細書に開示される方法において有用な抗TIGIT抗体には、ASP8374(PTZ-201)、BGB-A1217、BMS-986207(ONO-4686)、COM902(CGEN-15137)、M6223、IBI939、EOS-448、ドムバナリマブ(AB154)、ビボストリマブ(MK-7684)及びSEA-TGT(SGN-TGT)が含まれる。本明細書に開示される方法において有用な追加の抗TIGIT抗体には、AGEN1307;AGEN1777;抗体クローンpab2197及びpab2196(Agenus Inc.);抗体クローンTBB8、TDC8、3TB3、5TB10、及びD1Y1A(Anhui Anke Biotechnology Group Co.Ltd.)、抗体クローンMAB1、MAB2、MAB3、MAB4、MAB5、MAB6、MAB 7、MAB8、MAB9、MAB 10、MAB 11、MAB 12、MAB13、MAB 14、MAB 15、MAB 16、MAB 17、MAB 18、MAB19、MAB20、MAB21(Astellas Pharma/Potenza Therapeutics)、抗体クローンhu1217-1-1及びhu1217-2-2(BeiGene)、抗体クローン4D4及び19G(Brigham & Women’s Hospital)、抗体クローン11G11、10D7、15A6、22G2、TIGIT G2a、及びTIGIT G1D265A(修飾された重鎖定常領域を有するそのような抗体(Bristol-Myers Squibb)を含む);抗体クローン10A7、CPA.9.086、CPA.9.083.H4(S241P)、CPA.9.086.H4(S241P)、CHA.9.547.7.H4(S241P)及びCHA.9.547.13.H4(S241P)(Compugen);抗PVRIG/抗TIGIT二重特異性抗体(Compugen)、抗体クローン315293、328189、350426、326504、及び331672(Fred Hutchinson Cancer Research Center);抗体クローンT-01、T-02、T-03、T-04、T-05、T-06、T-07、T-08、T-09、及びT-10(Gensun BioPharma Inc.);抗体クローン1H6、2B11、3A10、4A5、4A9、4H5、6A2、6B7、7F4、8E1、8G3、9F4、9G6、10C1、10F10、11G4、12B7、12C8、15E9、16C11、16D6、及び16E10(Hefei Ruida Immunological Drugs Research Institute Co.Ltd.);抗体クローンh3C5H1、h3C5H2、h3C5H3、h3C5H4、h3C5H3-1、h3C5H3-2、h3C5H3-3、h3C5L1、及びh3C5L2(IGM Biosciences Inc.);抗体クローン90D9、101E1、116H8、118A12、131A12、143B6、167F7、221F11、222H4、327C9、342A9、344F2、349H6、及び350D10(I-Mab Biopharma);抗体クローンADI-27238、ADI-30263、ADI-30267、ADI-30268、ADI-27243、ADI-30302、ADI-30336、ADI-27278、ADI-30193、ADI-30296、ADI-27291、ADI-30283、ADI-30286、ADI-30288、ADI27297、ADI-30272、ADI-30278、ADI-27301、ADI-30306、及びADI-30311(Innovent Biologics,Inc.);抗体クローン26518、29478、26452、29487、29489、31282、26486、29494、29499、26521、29513、26493、29520、29523、29527、31288、32919、32931、26432、及び32959(iTeos Therapeutics);抗体クローンm1707、m1708、m1709、m1710、m1711、h1707、h1708、h1709、h1710、及びh1711(Jiangsu Hengrui Medicine Co.Ltd.);抗体クローンTIG1、TIG2、及びTIG3(JN Biosciences LLC);抗体クローン(例えば、KY01、KY02、KY03、KY04、KY05、KY06、KY07、KY08、KY09、KY10、K11、K12、K13、K14、K15、K16、K17、K18、K19、K20、K21、K22、K23 Kymab TIGIT(抗体2)、及びTool TIGIT(抗体4)(Kymab Limited);1D05(抗PD-L1)ネイティブ可変ドメイン及びKymab TIGIT抗原結合部位(ABS)ドメインを有する二重特異性抗体1D05/in-house抗TIGIT(二重特異性1)、Kymab TIGITネイティブ可変ドメイン及び1D05 ABSドメインを有するIn-house抗TIGIT/1D05(二重特異性2)、Toon抗TIGITネイティブ可変ドメイン及びTool抗PD-L1 ABSドメインを有するTool抗TIGIT/Tool抗TIGIT/Tool抗PD-L1(二重特異性3)、Tool抗PD-L1ネイティブ可変ドメイン及びTool抗TIGIT ABSドメインを有するTool抗PD-L1/Tool抗TIGIT(二重特異性4)(Kymab Limited);抗体クローン及びクローンバリアント14D7、26B10、Hu14D7、Hu26B10、14A6、Hu14A6、28H5、31C6、Hu31C6、25G10、MBS43、37D10、18G10、11A11、c18G10、及びLB155.14A6.G2.A8(Merck);エチジリマブ(OMP-313M32)(Mereo BioPharma);抗体クローン64G1E9B4、100C4E7D11、83G5H11C12、92E9D4B4、104G12E12G2、121C2F10B5、128E3F10F3F2、70A11A8E6、11D8E124A、16F10H12C11、8F2D8E7、48B5G4E12、139E2C2D2、128E3G7F5、AS19584、AS19852、AS19858、AS19886、AS19887、AS19888、AS20160、AS19584VH26、AS19584VH29、AS19584VH30、AS19584VH31、AS19886VH5、AS19886VH8、AS19886VH9、AS19886VH10、AS19886VH19、AS19886VH20、AS19584VH28-Fc、AS19886VH5-Fc、AS19886VH8-Fc、AS19584-Fc、及びAS19886-Fc(Nanjing Legend Biotechnology Co.Ltd.);抗体クローンAREクローン:Ab58、Ab69、Ab75、Ab133、Ab177、Ab122、Ab86、Ab180、Ab83、Ab26、Ab20、Ab147、Ab12、Ab66、Ab176、Ab96、Ab123、Ab109、Ab149、Ab34、Ab61、Ab64、Ab105、Ab108、Ab178、Ab166、Ab29、Ab135、Ab171、Ab194、Ab184、Ab164、Ab183、Ab158、Ab55、Ab136、Ab39、Ab159、Ab151、Ab139、Ab107、Ab36、Ab193、Ab115、Ab106、Ab13f8、Ab127、Ab165、Ab155、Ab19、Ab6、Ab187、Ab179、Ab65、Ab114、Ab102、Ab94、Ab163、Ab110、Ab80、Ab92、Ab117、Ab162、Ab121、Ab195、Ab84、Ab161、Ab198、Ab24、Ab98、Ab116、Ab174、Ab196、Ab51、Ab91、Ab185、Ab23、Ab7、Ab95、Ab100、Ab140、Ab145、Ab150、Ab168、Ab54、Ab77、Ab43、Ab160、Ab82、Ab189、Ab17、Ab103、Ab18、Ab130、Ab132、Ab134、Ab144;ARGクローン:Ab2、Ab47、Ab49、Ab31、Ab53、Ab40、Ab5、Ab9、Ab48、Ab4、Ab10、Ab37、Ab33、Ab42、Ab45;ARVクローン:Ab44、Ab97、Ab81、Ab188、Ab186、Ab62、Ab57、Ab192、Ab73、Ab60、Ab28、Ab32、Ab78、Ab14、Ab152、Ab72、Ab137、Ab128、Ab169、Ab87、Ab74、Ab172、Ab153、Ab120、Ab13、Ab113、Ab16、Ab56、Ab129、Ab50、Ab90、Ab99、Ab3、Ab148、Ab124、Ab22、Ab41、Ab119、Ab157、Ab27、Ab15、Ab191、Ab190、Ab79、Ab181、Ab146、Ab167、Ab88、Ab199、Ab71、Ab85、Ab59、Ab141、Ab68、Ab143、Ab46、Ab197、Ab175、Ab156、Ab63、Ab11、Ab182、Ab89、Ab8、Ab101、Ab25、Ab154、Ab21、Ab111、Ab118、Ab173、Ab38、Ab76、Ab131、Ab1、Ab67、Ab70、Ab170、Ab30、Ab93、Ab142、Ab104、Ab112、Ab35、Ab126、及びAb125(Rigel Pharmaceuticals,Inc.);CASC-674(Seattle Genetics);抗体クローン2、2C、3、5、13、13A、13B、13C、13D、14、16、16C、16D、16E、18、21、22、25、25A、25B、25C、25D、25E、27、54、13 IgG2aアフコシル化、13 hIgG1野生型、及び13 LALA-PG(Seattle Genetics);JS006(Shanghai Junshi Biosciences Ltd.);抗TIGIT Fc抗体及び二重特異性抗体 PD1 ×TIGIT(Xencor)、抗体クローンVSIG9#1(Vsig9.01)及び258-CS1#4(#4)(Yissum Research Development Company of The Hebrew University Of Jerusalem Ltd.);YH29143(Yuhan Co,Ltd.);抗体クローンS02、S03、S04、S05、S06、S11、S12、S14、S19、S32、S39、S43、S62、S64、F01、F02、F03、F04、32D7、101H3、10A7、及び1F4(Yuhan Co,Ltd.);抗zB7R1クローン318.4.1.1(E9310)、318.28.2.1(E9296)、318.39.1.1(E9311)、318.59.3.1(E9400)、及び318.77.1.10(ZymoGenetics、Inc).が含まれる。
【0350】
いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、チラゴルマブ、ASP8374(PTZ-201)、BGB-A1217、BMS-986207(ONO-4686)、COM902(CGEN-15137)、M6223、IBI939、EOS884448(EOS-448)、ドムバナリマブ(AB154)、ビボストリマブ(MK-7684)、及びSEA-TGT(SGN-TGT)からなる群から選択される。ASP874(PTZ-201)は、国際公開第2018183889号及び米国特許出願公開第2020/0095324号に記載されている抗TIGITモノクローナル抗体である。BGB-A 1217は、国際公開第2019129261号に記載の抗TIGIT抗体である。BMS-986207(ONO-4686)は、国際公開第2016106302号、米国特許第10,189,902号及び米国特許出願公開第2019/0112375号に記載の抗TIGIT抗体である。COM902(CGEN-15137)は、国際公開第2018033798号及び米国特許10,213,505号及び同第10,124,061号に記載の抗TIGIT抗体である。IBI939は、国際公開第2020020281号に記載の抗TIGIT抗体である。EOS884448(EOS-448)は、国際公開第2019023504号に記載される抗TIGIT抗体である。ドムバナリマブ(AB154)は、国際公開第2020020281号及び米国特許第10,537,633号に記載の抗TIGITモノクローナル抗体である。ビボストリマブ(MK-7684)は、抗TIGIT抗体 described in 国際公開第2016028656号、国際公開第2017030823号、国際公開第2018204405号、及び/又は国際公開第2019152574号、米国特許第10,618,958号、及び米国特許出願公開第2018/0371083号に記載される抗TIGIT抗体である。SEA-TGT(SGN-TGT)は、国際公開第2020041541号及び米国特許出願公開第2020/0062859号に記載される抗TIGIT抗体である。
【0351】
いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、チラゴルマブ(CAS登録番号:1918185-84-8)である。チラゴルマブ(Genentech)は、MTIG7192A、RG6058又はRO7092284としても知られている。チラゴルマブは、国際公開第2003072305号、国際公開第2004024068号、国際公開第2004024072号、国際公開第2009126688号、国際公開第2015009856号、国際公開第2016011264号、国際公開第2016109546号、国際公開第2017053748号、国際公開第2019165434号、及び米国特許出願公開第2017/0044256号、2017/0037127、2017/0145093、2017/260594、2017/0088613,2018/0186875,2019/0119376及び米国特許第US9873740号、米国特許第10626174号、米国特許第10611836号、米国特許第9499596号、米国特許第8431350号、米国特許第10047158号、及び米国特許第10017572号に記載される抗TIGITアゴニストモノクローナル抗体である。
【0352】
いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、本明細書に開示される抗TIGIT抗体のいずれかの少なくとも1、2、3、4、5、又は6つの相補性決定領域(CDR)を含む。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、本明細書に開示される抗TIGIT抗体のいずれかの6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、チラゴルマブ、ASP8374(PTZ-201)、BGB-A1217、BMS-986207(ONO-4686)、COM902(CGEN-15137)、M6223、IBI939、EOS884448(EOS-448)、ドムバナリマブ(AB154)、ビボストリマブ(MK-7684)、及びSEA-TGT(SGN-TGT)からなる群から選択される抗体のいずれか1つの6つのCDRを含む。
【0353】
いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、重鎖及び軽鎖を含み、重鎖は、本明細書に開示される抗TIGIT抗体のいずれか1つの重鎖可変領域(VH)配列を含み、軽鎖は、同じ抗体の軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、チラゴルマブ、ASP8374(PTZ-201)、BGB-A1217、BMS-986207(ONO-4686)、COM902(CGEN-15137)、M6223、IBI939、EOS884448(EOS-448)、ドムバナリマブ(AB154)、ビボストリマブ(MK-7684)、及びSEA-TGT(SGN-TGT)からなる群から選択される抗TIGIT抗体のVH及びVLを含む。
【0354】
いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、本明細書に開示される抗TIGIT抗体のいずれかの重鎖及び軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、チラゴルマブ、ASP8374(PTZ-201)、BGB-A1217、BMS-986207(ONO-4686)、COM902(CGEN-15137)、M6223、IBI939、EOS884448(EOS-448)、ドムバナリマブ(AB154)、ビボストリマブ(MK-7684)、及びSEA-TGT(SGN-TGT)からなる群から選択される抗TIGIT抗体の重鎖及び軽鎖を含む。
【0355】
VI.PD-1軸結合アンタゴニスト
PD-1軸結合アンタゴニストには、PD-L1結合アンタゴニスト、PD-1結合アンタゴニスト及びPD-L2結合アンタゴニストが含まれうる。任意の適切なPD-1軸結合アンタゴニストは、がん(例えば、GC又はGEJC(例えば、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJC)又は直腸がん(例えば、LARC))を有する対象を治療するために使用されうる。
【0356】
A.PD-L1結合アンタゴニスト
いくつかの事例では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1の、そのリガンド結合パートナーのうちの1つ又は複数への結合を阻害する。他の事例では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1の、PD-1への結合を阻害する。さらに他の事例では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1の、B7-1への結合を阻害する。いくつかの事例では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1の、PD-1及びB7-1の両方への結合を阻害する。PD-L1結合アンタゴニストは、限定されないが、抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド又は小分子でありうる。いくつかの事例では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1を阻害する小分子(例えば、GS-4224、INCB 086550、MAX-10181、INCB 090244,CA-170又はABSK 041)である。いくつかの事例では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1及びVISTAを阻害する小分子である。いくつかの事例では、PD-L1結合アンタゴニストは,CA-170(AUPM-170としても知られる)である。いくつかの事例では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1及びTIM3を阻害する小分子である。いくつかの事例では、小分子は、国際公開第2015/033301号及び/又は国際公開第2015/033299号に記載されている化合物である。
【0357】
いくつかの事例では、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体である。様々な抗PD-L1抗体が、本明細書に企図及び記載されている。本明細書の事例のいずれにおいても、単離された抗PD-L1抗体は、ヒトPD-L1、例えば、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号Q9NZQ7-1に示されるヒトPD-L1又はそのバリアントに結合することができる。いくつかの事例では、抗PD-L1抗体は、PD-L1とPD-1との間及び/又はPD-L1とB7-1との間の結合を阻害することができる。いくつかの事例では、抗PD-L1抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの事例では、抗PD-L1抗体は、Fab断片、Fab’-SH断片、Fv断片、scFv断片、及び(Fab’)2断片からなる群から選択される抗体断片である。いくつかの事例では、抗PD-L1抗体は、ヒト化抗体である。いくつかの事例では、抗PD-L1抗体は、ヒト抗体である。例示的な抗PD-L1抗体には、アテゾリズマブ、MDX-1105、MEDI4736(デュルバルマブ)、MSB0010718C(アベルマブ)、SHR-1316、CS1001、エンバフォリマブ、TQB2450、ZKAB001、LP-002、CX-072、IMC-001、KL-A167、APL-502、コシベリマブ、ロダポリマブ、FAZ053、TG-1501、BGB-A333、BCD-135、AK-106、LDP、GR1405、HLX20、MSB2311、RC98、PDL-GEX、KD036、KY1003、YBL-007及びHS-636が含まれる。本発明の方法において有用な抗PD-L1抗体及びそれらを作製する方法の例は、国際特許出願公開第2010/077634号及び米国特許第8,217,149号に記載されており、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0358】
いくつかの事例では、抗PD-L1抗体は、
(a)それぞれGFTFSDSWIH(配列番号3)、AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号4)及びRHWPGGFDY(配列番号5)のHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3配列、並びに
(b)それぞれRASQDVSTAVA(配列番号6)、SASFLYS(配列番号7)及びQQYLYHPAT(配列番号8)のHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3配列
を含む。
【0359】
一実施形態において、抗PD-L1抗体は、
(a)以下のアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域(VH):EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSS(配列番号9)、及び
(b)以下のアミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域(VL):DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKR(配列番号10)
を含む。
【0360】
いくつかの事例では、抗PD-L1抗体は、(a)配列番号9の配列と少なくとも95%の配列同一性(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVH;(b)配列番号10の配列と少なくとも95%の配列同一性(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVL;又は(c)(a)のVHと(b)のVLを含む。
【0361】
一実施形態において、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブを含み、これは:
(a)重鎖アミノ酸配列:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号1)、及び
(b)軽鎖アミノ酸配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号2)
を含む。
【0362】
いくつかの例では、抗PD-L1抗体はアベルマブ(CAS登録番号:1537032-82-8)である。MSB0010718Cとしても知られるアベルマブは、ヒトモノクローナルIgG1抗PD-L1抗体(Merck KGaA,Pfizer)である。
【0363】
いくつかの事例では、抗PD-L1抗体は、デュルバルマブ(CAS登録番号:1428935-60-7)である。MEDI4736としても知られるデュルバルマブは、国際公開第2011/066389号及び米国特許出願公開第2013/034559号に記載されている、Fc最適化ヒトモノクローナルIgG1カッパ抗PD-L1抗体(MedImmune,AstraZeneca)である。
【0364】
いくつかの事例では、抗PD-L1抗体は、MDX-1105(Bristol Myers Squibb)である。BMS-936559としても知られているMDX-1105は、国際公開第2007/005874号に記載されている抗PD-L1抗体である。
【0365】
いくつかの事例では、抗PD-L1抗体は、LY3300054(Eli Lilly)である。
【0366】
いくつかの事例では、抗PD-L1抗体は、STI-A1014(Sorrento)である。STI-A1014は、ヒト抗PD-L1抗体である。
【0367】
いくつかの事例では、抗PD-L1抗体は、KN035(Suzhou Alphamab)である。KN035は、ラクダファージディスプレイライブラリーから生成された単一ドメイン抗体(dAB)である。
【0368】
いくつかの事例では、抗PD-L1抗体は、(例えば、腫瘍微小環境内のプロテアーゼによって)切断されると、抗体抗原結合ドメインを活性化し、例えば、非結合性立体部分を除去することによって、その抗原への結合を可能にする切断可能な部分又はリンカーを含む。いくつかの事例では、抗PD-L1抗体は、CX-072(CytomX Therapeutics)である。
【0369】
いくつかの事例では、抗PD-L1抗体は、米国特許出願公開第20160108123号、国際公開第2016/000619号、国際公開第2012/145493号、米国特許第9205148号、国際公開第2013/181634号、又は国際公開第2016/061142号に記載されている抗PD-L1抗体の6つのHVR配列(例えば、3つの重鎖HVR及び3つの軽鎖HVR)並びに/又は重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む。
【0370】
またさらなる特定の態様では、抗PD-L1抗体は、低下した又は最小のエフェクター機能を有する。さらに特定の態様では、最小のエフェクター機能は、「エフェクター機能のないFc変異」又は非グリコシル化変異に起因する。またさらなる事例では、エフェクター機能のないFc変異は、定常領域内のN297A又はD265A/N297A置換である。またさらなる事例では、エフェクター機能のないFc変異は、定常領域内のN297A置換である。いくつかの事例では、単離された抗PD-L1抗体は、非グリコシル化されている。抗体のグリコシル化は、典型的には、N結合型又はO結合型である。N結合型は、炭水化物部分の、アスパラギン残基の側鎖への結合を指す。トリペプチド配列であるアスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-スレオニン(Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸である)は、炭水化物部分のアスパラギン側鎖への酵素的結合の認識配列である。したがって、ポリペプチド内でのこれらトリペプチド配列のいずれかの存在により、潜在的なグリコシル化部位が作製される。O結合型グリコシル化は、糖類N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースのうちの1つの、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリン又はスレオニンへの結合を指すが、5-ヒドロキシプロリン又は5-ヒドロキシリジンも使用されうる。抗体からのグリコシル化部位の除去は、(N結合型グリコシル化部位について)上述のトリペプチド配列のうちの1種が除去されるようにアミノ酸配列を変更することによって簡便に達成される。この変更は、グリコシル化部位内部のアスパラギン、セリン又はスレオニン残基の別のアミノ酸残基(例えば、グリシン、アラニン又は保存的置換)での置換によって行われうる。
【0371】
B.PD-1結合アンタゴニスト
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-1結合アンタゴニストである。例えば、いくつかの事例では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1の、そのリガンド結合パートナーのうちの1つ又は複数への結合を阻害する。いくつかの事例では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1の、PD-L1への結合を阻害する。他の事例では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1の、PD-L2への結合を阻害する。さらに他の事例では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1の、PD-L1及びPD-L2両方への結合を阻害する。PD-1結合アンタゴニストは、限定されないが、抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド又は小分子でありうる。いくつかの事例では、PD-1結合アンタゴニストは、イムノアドヘシン(例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合されたPD-L1若しくはPD-L2の細胞外部分又はPD-1結合部分を含むイムノアドヘシン)である。例えば、いくつかの事例では、PD-1結合アンタゴニストは、Fc融合タンパク質である。いくつかの事例では、PD-1結合アンタゴニストは、AMP-224である。B7-DCIgとしても知られているAMP-224は、国際公開第2010/027827号及び国際公開第2011/066342号に記載されているPD-L2-Fc融合可溶性受容体である。いくつかの事例では、PD-1結合アンタゴニストは、ペプチド又は低分子化合物である。いくつかの事例では、PD-1結合アンタゴニストは、AUNP-12(PierreFabre/Aurigene)である。例えば、国際公開第2012/168944号、国際公開第2015/036927号、国際公開第2015/044900号、国際公開第2015/033303号、国際公開第2013/144704号、国際公開第2013/132317号及び国際公開第2011/161699号を参照されたい。いくつかの事例では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1を阻害する小分子である。
【0372】
いくつかの事例では、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体である。様々な抗PD-1抗体が、本明細書に開示される方法及び使用において利用されうる。本明細書の事例のいずれにおいても、PD-1抗体は、ヒトPD-1又はそのバリアントに結合することができる。いくつかの事例では、抗PD-1抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの事例では、抗PD-1抗体は、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、scFv、及び(Fab’)2断片からなる群から選択される抗体断片である。いくつかの事例では、抗PD-1抗体は、ヒト化抗体である。他の事例では、抗PD-1抗体は、ヒト抗体である。例示的な抗PD-1アンタゴニスト抗体には、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、MEDI-0680、PDR001(スパルタリズマブ)、REGN2810(セミプリマブ)、BGB-108、プロルゴリマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、ドスタルリマブ、レチファンリマブ、ササンリマブ、ペンプリマブ、CS1003、HLX10、SCT-I10A、ジンベレリマブ、バルスチリマブ、ゲノリムズマブ、BI 754091、セトレリマブ、YBL-006、BAT1306、HX008、ブディガリマブ、AMG404、CX-188、JTX-4014、609A、Sym021、LZM009、F520、SG001、AM0001、ENUM 244C8、ENUM 388D4、STI-1110、AK-103及びhAb21が含まれる。
【0373】
いくつかの事例では、抗PD-1抗体は、ニボルマブ(CAS登録番号946414-94-4)である。ニボルマブ(Bristol-Myers Squibb/Ono)は、MDX-1106-04、MDX-1106、ONO-4538、BMS-936558及びOPDIVO(登録商標)としても知られており、国際公開第2006/121168号に記載される抗PD-1抗体である。
【0374】
いくつかの事例では、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブ(CAS登録番号1374853-91-4)である。ペンブロリズマブ(Merck)は、MK-3475、Merck 3475、ランブロリズマブ、SCH-900475及びKEYTRUDA(登録商標)としても知られており、国際公開第2009/114335号に記載される抗PD-1抗体である。
【0375】
いくつかの事例では、抗PD-1抗体は、MEDI-0680(AMP-514;アストラゼネカ)である。MEDI-0680は、ヒト化IgG4抗PD-1抗体である。
【0376】
いくつかの事例では、抗PD-1抗体は、PDR001(CAS登録番号1859072-53-9;ノバルティス)である。PDR001は、PD-L1及びPD-L2のPD-1への結合を遮断する、ヒト化IgG4抗PD-1抗体である。
【0377】
いくつかの事例では、抗PD-1抗体は、REGN2810(Regeneron)である。REGN2810は、ヒト抗PD-1抗体である。
【0378】
いくつかの事例では、抗PD-1抗体は、BGB-108(BeiGene)である。
【0379】
いくつかの事例では、抗PD-1抗体は、BGB-A317(BeiGene)である。
【0380】
いくつかの事例では、抗PD-1抗体は、JS-001(Shanghai Junshi)である。JS-001は、ヒト化抗PD-1抗体である。
【0381】
いくつかの例では、抗PD-1抗体は、STI-A1110(Sorrento)である。STI-A1110は、ヒト抗PD-1抗体である。
【0382】
いくつかの事例では、抗PD-1抗体は、INCSHR-1210(Incyte)である。INCSHR-1210は、ヒトIgG4抗PD-1抗体である。
【0383】
いくつかの事例では、抗PD-1抗体は、PF-06801591(ファイザー)である。
【0384】
いくつかの事例では、抗PD-1抗体は、TSR-042(ANB011としても知られている;Tesaro/AnaptysBio)である。
【0385】
いくつかの事例では、抗PD-1抗体は、AM0001(ARMO Biosciences)である。
【0386】
いくつかの事例では、抗PD-1抗体は、ENUM 244C8(エニュメラル・バイオメディカル・ホールディングス)である。ENUM 244C8は、PD-L1のPD-1への結合を遮断することなくPD-1の機能を阻害する抗PD-1抗体である。
【0387】
いくつかの事例では、抗PD-1抗体は、ENUM 388D4(エニュメラル・バイオメディカル・ホールディングス)である。ENUM 388D4は、PD-1へのPD-L1の結合を競合的に阻害する抗PD-1抗体である。
【0388】
いくつかの事例では、抗PD-1抗体は、国際公開第2015/112800号、国際公開第2015/112805号、国際公開第2015/112900号、米国特許出願公開第20150210769号、国際公開第2016/089873号、国際公開第2015/035606号、国際公開第2015/085847号、国際公開第2014/206107号、国際公開第2012/145493号、米国特許第9205148号、国際公開第2015/119930号、国際公開第2015/119923号、国際公開第2016/032927号、国際公開第2014/179664号、国際公開第2016/106160号、及び国際公開第2014/194302に記載されている、抗PD-1抗体の6つのHVR配列(例えば、3つの重鎖HVR及び3つの軽鎖HVR)並びに/又は重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む。
【0389】
またさらなる特定の態様では、抗PD-1抗体は、低下した又は最小のエフェクター機能を有する。さらに特定の態様では、最小のエフェクター機能は、「エフェクター機能のないFc変異」又は非グリコシル化変異に起因する。またさらなる事例では、エフェクター機能のないFc変異は、定常領域内のN297A又はD265A/N297A置換である。いくつかの事例では、単離された抗PD-1抗体は、非グリコシル化されている。
【0390】
C.PD-L2結合アンタゴニスト
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L2結合アンタゴニストである。いくつかの事例では、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-L2のそのリガンド結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特定の態様において、PD-L2結合リガンドパートナーは、PD-1である。PD-L2結合アンタゴニストは、限定されないが、抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド又は小分子でありうる。
【0391】
いくつかの事例では、PD-L2結合アンタゴニストは、抗PD-L2抗体である。本明細書の事例のいずれにおいても、抗PD-L2抗体は、ヒトPD-L2又はそのバリアントに結合することができる。いくつかの事例では、抗PD-L2抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの事例では、抗PD-L2抗体は、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、scFv、及び(Fab’)2断片からなる群から選択される抗体断片である。いくつかの事例では、抗PD-L2抗体は、ヒト化抗体である。他の例では、抗PD-L2抗体はヒト抗体である。なおさらなる特定の局面において、抗PD-L2抗体は、低下したまたは最小のエフェクター機能を有する。さらに特定の態様では、最小のエフェクター機能は、「エフェクター機能のないFc変異」又は非グリコシル化変異に起因する。またさらなる事例では、エフェクター機能のないFc変異は、定常領域内のN297A又はD265A/N297A置換である。いくつかの事例では、単離された抗PD-L2抗体は、非グリコシル化されている。
【0392】
VII.薬学的組成物及び製剤
本明細書にはさらに、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含み、任意選択的に、薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物及び製剤が提供される。本明細書にさらに提供されるのは、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、任意選択的に、薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物及び製剤である。本開示はまた、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体、任意選択的に、薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物及び製剤を提供する。
【0393】
本明細書に記載される薬学的組成物及び製剤は、所望の純度を有する活性成分(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト)を、1つ又は複数の任意選択的n薬学的に許容される担体(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)を参照)と混合することにより、例えば、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で、調製することができる。
【0394】
例示的なチラゴルマブ製剤は、ポリソルベート20、スクロース、L-メチオニン、及びWFIを含有するヒスチジン溶液を含む。チラゴルマブは、60mg/mLのチラゴルマブ抗体のおおよその濃度で10mLのチラゴルマブ薬を含有する15mLバイアルで提供されうる。
【0395】
例示的なアテゾリズマブ製剤は、5.8のpHを有する氷酢酸、L-ヒスチジン、ポリソルベート20及びスクロースを含む。例えば、アテゾリズマブは、氷酢酸(16.5mg)、L-ヒスチジン(62mg)、ポリソルベート20(8mg)、及びスクロース(821.6mg)中で製剤化された1200mgのアテゾリズマブを含有する20mLバイアル中に提供され、pHは5.8である。別の例では、アテゾリズマブは、氷酢酸(11.5mg)、L-ヒスチジン(43.4mg)、ポリソルベート20(5.6mg)、及びスクロース(575.1mg)中で製剤化された840mgのアテゾリズマブを含有する14mLバイアル中に提供され、pHは5.8である。
【0396】
VIII.製造品又はキット
別の態様では、本明細書に提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び/又は抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を含む製造品又はキットである。いくつかの事例では、製造品又はキットは、対象のGC又はGEJC(例えば、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJC)又は直腸がん(例えば、LARC)を治療する又はその進行を遅らせるために、PD-1軸結合アンタゴニストと組み合わせて抗TIGITアンタゴニスト抗体を使用するための説明を含む添付文書をさらに含む。いくつかの事例では、キットは、カペシタビン及びオキサリプラチンをさらに含み;例えば、いくつかの態様では、本明細書に提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、カペシタビン、及びオキサリプラチンを含む製造品又はキットであり、例えば、製造品又はキットは、対象のGC又はGEJC(例えば、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJC)を治療するため又はその信仰を遅らせるために、抗TIGITアンタゴニスト抗体を、PD-1軸結合アンタゴニスト、カペシタビン、及びオキサリプラチンと組み合わせて使用するための説明を含む添付文書をさらに含む。本明細書に記載されるPD-1軸結合アンタゴニスト及び/又は抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれも、製造品又はキットに含まれうる。
【0397】
本発明の別の実施形態では、本明細書に記載の方法のいずれかに従ってがんを有する対象を治療するための、抗TIGITアンタゴニスト抗体との組み合わせでの使用のためのPD-1軸結合アンタゴニストを含むキットが提供される。いくつかの事例では、キットは、抗TIGITアンタゴニスト抗体をさらに含む。いくつかの事例では、製品又はキットは、対象のがんを治療するため又はその進行を遅らせるために、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)と組み合わせてPD-1軸結合アンタゴニストを使用するための説明を含む添付文書をさらに含む。いくつかの事例では、キットは、カペシタビン及びオキサリプラチンをさらに含む。
【0398】
別の実施形態では、キットは、本明細書に記載される方法のいずれかに従ってがんを有する対象を治療するための、アテゾリズマブとの組み合わせでの使用のためのチラゴルマブを含む。いくつかの実施形態では、キットは、アテゾリズマブをさらに含む。いくつかの事例では、製造品又はキットは、チラゴルマブを、対象のがんを治療するため又はその信仰を遅らせるために、アテゾリズマブと組み合わせて使用するための説明を含む添付文書をさらに含む。いくつかの事例では、キットは、カペシタビン及びオキサリプラチンをさらに含む。
【0399】
別の実施形態では、キットは、本明細書に記載される方法のいずれかに従ってがんを有する対象を治療するための、チラゴルマブとの組み合わせでの使用のためのアテゾリズマブを含む。いくつかの実施形態では、キットは、チラゴルマブをさらに含む。いくつかの事例では、製造品又はキットは、アテゾリズマブを、対象のがんを治療するため又はその進行を遅らせるために、チラゴルマブと組み合わせて使用するための説明を含む添付文書をさらに含む。いくつかの事例では、キットは、カペシタビン及びオキサリプラチンをさらに含む。
【0400】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体は、同じ容器又は別個の容器に入っている。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、袋、及びシリンジが含まれる。容器は、ガラス、プラスチック(例えばポリ塩化ビニル又はポリオレフィン)、又は金属合金(例えばステンレス鋼又はハステロイ)等の様々な材料から形成されうる。いくつかの事例では、容器は、製剤を保持し、容器上のラベル又は容器に付属するラベルは、使用のための指示を示しうる。製造品又はキットは、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び使用の説明を含む添付文書を含む、商業的観点及び使用者の観点から望ましい他の材料をさらに含みうる。いくつかの事例では、製造品は、1つ又は複数の別の薬剤(例えば、追加の化学療法剤又は抗新生物剤)をさらに含む。1つ又は複数の薬剤に適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、袋、及びシリンジが含まれる。
【0401】
本明細書に記載されるPD-1軸結合アンタゴニスト及び/又は抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれも、製造品又はキットに含まれうる。製品又はキットのいずれもが、本明細書に記載される方法のいずれか、例えば、上記セクションIIに規定される方法のいずれかに従って、PD-1軸結合アンタゴニスト及び/又は抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象に投与するための説明を含みうる。
【実施例】
【0402】
実施例1:胃又は胃食道接合部癌を有する患者における複数の治療の組み合わせの有効性及び安全性を評価する第Ib/II相非盲検多施設無作為化アンブレラ試験
胃癌(GC)は、世界的に、5番目に多いがんであり、4番目に多いがん関連死亡原因である。中国では、GCは、依然として、すべての悪性腫瘍の中で、肺がんに次いで2番目に発生率が高い(Chen et al.Chin J Cancer Res.30:1-12,2018)。死亡率に関しては、GCは、肺がんと肝臓がんに次ぐ3番目であり、男性と女性はそれぞれ3番目と2番目である。生存期間及び応答、並びにGC及び胃食道接合部癌(GEJC)の第1選択治療環境における毒性の低下を改善する新しい治療オプションが必要である。
【0403】
この実施例は、進行したGC又はGEJCを有する患者の第Ib/II相非盲検多施設無作為化アンブレラ試験(YO43408)について記載する。この試験は、GC又はGEJCを有する患者における初期シグナルを同定し、概念実証臨床データを確立することによって、治療の組み合わせの開発を加速するように設計されている。この試験は、新しい治療が利用可能になるにつれて新しい治療群を開き、最小限の臨床活性又は許容できない毒性を示す既存の治療群を閉じ、患者集団を変更する(例えば、以前の抗がん治療又はバイオマーカーの状態に関して)柔軟性を備えて設計される。
【0404】
A.試験設計の概略
試験は、進行したGC又はGEJCを有する患者における複数の治療の組み合わせの有効性、安全性、及び薬物動態を評価する。試験の特定の目的及び対応評価項目を、ステージ1(表1参照)及びステージ2(表2参照)について以下にまとめる。
【0405】
ADA=抗薬剤抗体;ASTCT=American Society for Transplantation and Cellular Therapy;CRS=サイトカイン放出症候群;DOR=奏功期間;NCI CTCAE v5.0=有害事象の共通用語基準バージョン5.0;ORR=客観的奏効率;OS=全生存;PD-L1=プログラム死-リガンド1;PFS=無増悪生存;PK=薬物動態;RECIST v1.1=Response Evaluation Criteria in Solid Tumors,Version 1.1;TIGIT=Igドメイン及びITIMドメインを有するT-細胞免疫受容体
注:1つの時点での全体応答は、RECIST v1.1を使用して治験責任医師によって評価される。
【0406】
ADA=抗薬剤抗体;ASTCT=American Society for Transplantation and Cellular Therapy;CRS=サイトカイン放出症候群;DOR=奏功期間;NCI CTCAE v5.0=有害事象の共通用語基準バージョン5.0;ORR=客観的奏効率;OS=全生存;PD-L1=プログラム死-リガンド1;PFS=無増悪生存;PK=薬物動態;RECIST v1.1=Response Evaluation Criteria in Solid Tumors,Version 1.1
注:1つの時点での全体応答は、RECIST v1.1を使用して治験責任医師によって評価される。
【0407】
コホート1には、優勢な組織型として腺癌が確認された、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJCを有する、進行した疾患又は転移性疾患のための先行する全身療法を受けたことのない患者が登録された(
図1参照)。適格の患者は、最初に、2つの治療群の一方に無作為に割り当てられる(ステージ1)。ステージ1の間に臨床的有用性の喪失又は許容できない毒性を経験する患者は、異なる治療の組み合わせによる治療を受けるのに適格でありうる(ステージ2)。
【0408】
ステージ1
ステージ1の間、患者は、コントロール群(アテゾリズマブとカペシタビン及びオキサリプラチンとの組み合わせ[CAPOX][Atezo+CAPOX])又はアテゾリズマブ及びCAPOXとチラゴルマブとの組み合わせ(Atezo+CAPOX+Tira)からなる実験群に無作為に割り当てられる。ステージ1の治療レジメンの詳細を表3に示す。
【0409】
ステージ1の間に約40~90人の患者が登録される。実験群への登録は、予備期とそれに続く拡大期の2期で行われる。予備期中に約20人の患者が登録される。予備期中に実験群で臨床活性が観察される場合、拡大期中に約25人の追加の患者がその群に登録されうる。治験依頼者は、所与の治療群への登録を遅らせる又は一時停止することを決定しうる。最小の臨床活性又は許容できない毒性を示す場合、実験群は拡大に供されない。さらなるサブグループ分析を可能にするために、潜在的な予測バイオマーカーを含む人口統計学的特性及びベースライン特性に関して治療群間のバランスを確保するために、さらなる患者を登録することができる。試験中に新しい実験群を追加することができる。
【0410】
ステージ1の患者は、実験群又はコントロール群に無作為に割り当てられ、無作為化率は、コントロール群に割り振られる可能性が50%以下であるという条件で、登録を受け付けている実験群の数に依存し(例えば、予備期の結果の分析を待っている間に群が追加されるか又は群への登録が一時停止される場合)。コントロール群の治療レジメンは、進歩する標準治療を反映する新たなデータに伴い変化しうる。無作為化は、群特異的除外基準を考慮する。患者は、その群について概説された除外基準のいずれかを満たす場合、特定の群に対して不適格である。
【0411】
Atezo=アテゾリズマブ;CAPOX=カペシタビン+オキサリプラチン;Tira=チラゴルマブ
a治験依頼者は、所与の治療群への登録を遅らせる又は一時停止することを決定しうる。したがって、列挙されたすべての実験群が登録のために同時に開放されなくてもよい。
b予備期の間に実験群に臨床活性が観察される場合、拡大期の間におよそ25名の追加の患者がその群に登録されうる。最小の臨床活性又は許容できない毒性を有する実験群は、拡大に供されない。
cコントロール群の治療レジメンは、進歩する標準治療を反映する新たなデータに伴い変化しうる。
d無作為化率は、コントロール群に割り振られる可能性が50%以下であるという条件で、登録を受け付けている実験群の数に依存する(例えば、予備期の結果の分析を待っている間に群が追加されるか又は群への登録が一時停止される場合)。
【0412】
コントロール群及び実験群の患者は、放射線学的及び生化学的データ、局所生検結果(利用可能な場合)、及び臨床状態(例えば、疾患に続発する疼痛等の症状の悪化)の統合評価の後で治験責任医師が決定した許容できない毒性又は臨床的利益の喪失まで、治療を受け続ける。
【0413】
免疫細胞浸潤によって引き起こされる腫瘍負荷の初期増加の可能性のために、アテゾリズマブ及び他のがん免疫療法(CIT)によるT-細胞応答(偽進行と呼ばれる)の状況では、Response Evaluation Criteria in Solid Tumors,Version 1.1(RECIST v1.1)によるX線撮影の進行が真の疾患進行を示さない場合がある。許容できない毒性がない場合、CITに基づく組み合わせによる治療を受けている間にRECIST v1.1による疾患進行の基準を満たす患者は、以下の基準のすべてを満たす場合、治療の継続を許される:
・すべての利用可能なデータの検証後に治験責任医師が決定した臨床的有用性の証拠。
・疾患の明白な進行を示す、症状及び徴候(臨床検査値、例えば新たな又は悪化する高カルシウム血症を含む)がないこと。
・疾患進行に起因しうるEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータスの低下がないこと。
・プロトコールで許可された医学的介入により管理することのできない重要な解剖学的部位(例えば、軟骨膜の疾患)に腫瘍の進行がないこと。
【0414】
ステージ2
ステージ1の間に、治験責任医師が決定した臨床的有用性がなかったコントロール又は実験群の患者(上述の)は、適格性基準(上に列挙)を満たし、ステージ2の群が登録を受け付けていることを条件に、ステージ2の間に、表4に概要を示す異なる治療の組み合わせを受ける選択肢を与えられる。ステージ1の間に許容できない毒性を経験する患者は、ステージ2の間に治療を受けるのに適格でありうる。
【0415】
ステージ2の治療は、患者がステージ1において 臨床的有用性の喪失又は許容できない毒性を経験した後3カ月以内に開始しなければならず、治験責任医師が決定する許容できない毒性又は臨床的有用性の喪失が失われるまで継続する。しかしながら、患者は可能な限り早くステージ2の治療を開始することが推奨される。治験依頼者はまた、必要に応じて、安全性データ、予備有効性データ、及び支援情報(例えば、バイオマーカー研究データ)の検討に基づいて、ステージ2の治療群への登録を中断することを決定しうる。
【0416】
B.試験の終了及び試験期間
この試験の終了は、最後の患者が最後の来院を完了した日(電話又はクリニックで行われる生存フォローアップ来院を含む)と定義される。加えて、治験依頼者は、いつでも試験の終了を決定することができる。
【0417】
最初の患者のスクリーニングから試験の終了までの試験の全期間は、およそ3~5年と予想される。
【0418】
C.試験設計の理論的根拠
患者集団の理論的根拠
この試験には、優勢な組織型として腺癌が確認された、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJCを有する、進行した疾患又は転移性疾患のための先行する全身療法を受けたことのない患者が登録される。
【0419】
細胞傷害性化学療法を用いるHER2陰性GC及びGEJC患者の第1選択治療のための現行の標準治療は、一般的に、緩和目的であって結果は予後不良あり、アジア及びヨーロッパ全体でOS継続期間の中央値は8から14カ月である(Cunningham et al.N Engl J Med.358:36-46,2008;Ohtsu et al.J Clin Oncol.30:3968-3976,2011;Yamada et al.Ann Oncol.26:141-148,2015)。PD-L1のCPSが≧5であるGC及びGEJC患者では、ニボルマブと化学療法の組み合わせは、化学療法のみと比較して、生存期間の延長という利益をもたらした。しかしながら、全無作為化集団における生存の利益はわずかであり、PD-L1 CPS <5 集団における治療効果は依然よく分かっていない(Moehler et al.Ann Oncol.31:S1191,2020)。さらに、治療骨格として与えられる細胞傷害性剤は高い毒性を伴い、グレード3及び4の毒性が、プラチナダブレットレジメンにより治療された患者の最大77%及びトリプレットレジメンにより治療された患者の>80%に報告された(Van Cutsem et al.J Clin Oncol.24:4991-4997,2006;Cunningham et al.N Engl J Med.358:36-46,2008;Ohtsu et al.J Clin Oncol.30:3968-3976,2011;Lordick et al.Lancet Oncol.14:490-499,2013)。したがって、PD-L1 CPS≧5の患者において最近ニボルマブ+化学療法の臨床的有用性が実証されたとはいえ、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC及びGEJCを有する治療未経験の患者のための高い医療ニーズは依然満たされておらず、生存及び応答、並びに第1選択環境における毒性の低下を改善するためにより有効な新規の治療組み合わせのさらなる査定が必要とされている。
【0420】
初期の放射線学的進行を超える免疫療法に基づく治療の理論的根拠
免疫療法剤の研究では、完全寛解、部分寛解、及び安定疾患は各々が、腫瘍負荷の明らかな増加の放射線学的証拠の後に起こることが示された。T細胞応答の状況において免疫細胞浸潤により引き起こされる腫瘍負荷のこのような初期の増加は、偽進行と呼ばれている(Hales et al.,Ann Oncol、21:1944-1951,2010)。PCD4989g試験では、複数の腫瘍型において腫瘍増殖とそれに続く応答の証拠が観察された。加えて、進行の放射線学的証拠を有する一部の応答患者では、新たな病変又は既存の病変における新たな増殖領域の生検により、免疫細胞が明らかになり、生存可能ながん細胞はなかった。偽進行後の応答の可能性があるために、この試験では、治験責任医師がベネフィット-リスク比を良好と判断することを条件に、免疫療法に基づく治療群に無作為に割り振られた患者が、RECIST v1.1による明らかな放射線学的進行後に併用治療を継続することが可能である。放射線学的及び生化学的データ、局所生検結果(利用可能な場合)、及び臨床状態の統合評価の後に治験責任医師によって許容できない毒性又は臨床的利益の喪失があると決定された場合、患者への投薬を中断すべきである。
【0421】
D.組み入れ基準
ステージ1の組み入れ基準
患者は、ステージ1に適格であるために、以下の基準のすべてを満たさなければならない:
・インフォームドコンセントに署名した時の年齢が≧18歳。
・ECOGパフォーマンスステータスが0又は1。
・優勢な組織型として腺癌が確認された、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJC。
・先立って進行した疾患又は転移性疾患の全身治療(全身性治験薬又はHER2阻害剤を含む)を受けたことがない。
-GC及びGEJCのための先行するアジュバント又はネオアジュバント化学療法、放射線治療、又は放射線化学療法は、最終用量の最終投与(いずれか最後に与えられたもの)が無作為化の少なくとも6カ月前に行われたものである場合にのみ許容される。緩和的放射線治療は、無作為化の2週前に許可され、且つ2週間前に完了していなければならない。
-伝統的な漢方薬を含め、ラベルに記載されている抗がん活性を有するハーブ療法による先行治療は、これら薬剤が無作為化前に中断されることを条件として許容される。
・治験責任医師が決定して、平均余命≧3ヶ月。
・中央での検査によるプログラム死-リガンド1(PD-L1)及び/又は追加のバイオマーカーの状態の決定に適した代表的な腫瘍標本の入手可能背。
-ベースライン腫瘍組織試料は、すべての患者から、好ましくは治験登録に実施される生検により、収集される。生検が治験責任医師によって実施可能とみなされない場合、登録に先立つ6カ月以内の以前の外科手術又は生検から取得されたものであり、患者が生検の時点からいずれの抗がん療法も受けていないことを条件に、メディカルモニターの承認が取得された後で保存記録の腫瘍組織が提出されてもよい。最近の生検が臨床的に実施可能でない場合、ベースライン時に入手可能な≧6ヶ月経った保存記録の腫瘍標本を有する患者は、メディカルモニターと協議により適格でありうる。
-ホルマリン固定のパラフィン包埋腫瘍標本の未染色の新たに切断された一連の切片を含有する少なくとも18のスライドが、関連する病理学報告と共に提出されなければならない。<18のスライドが利用可能である患者は、依然本試験に適格でありうる。
・蛍光in situハイブリダイゼーション又はin situハイブリダイゼーションにより記録されたHER2増幅を含まない腫瘍又はローカル臨床検査による疾患の初診の際に以前に収集されて評価された腫瘍組織において免疫組織化学(IHC)0又は+1であったことにより陰性であった腫瘍を有する患者。
【0422】
ステージ1及びステージ2の選択基準
患者は、ステージ1に適格であるため、及びステージ2に適格であるために、以下の基準をすべて満たさなければならない:
・治験責任医師の判断による、治験実施計画書を遵守する能力。
・RECIST v1.1による測定可能な疾患(少なくとも1つの標的病変)。
・試験治療の開始に先立って14日以内に取得された、以下の臨床検査結果によって定義される適切な血液学的機能及び終末器官機能:
-粒球コロニー刺激因子の支持なしで、絶対好中球数(ANC)≧1.5×109/L(1500/μL)。
-リンパ球数≧0.5×109/L(500/μL)。
-輸血なしで血小板数≧100×109/L(100,000/μL)。
-輸血なしでヘモグロビン≧90g/L(9.0g/dL)。
-アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、及びアルカリホスファターゼ(ALP)≦2.5×正常値の上限(ULN)、ただし、以下の例外を除く:
・記録された肝臓転移を有する患者:AST及び/又はALTが≦5×ULN。
・記録された肝臓転移又は骨転移を有する患者:ALPが≦5×ULN。
-ビリルビンが≦1.5×ULN。
-クレアチニンクリアランスが≧30mL/分(Cockcroft-Gault式を使用して計算)。
-血清アルブミンが≧25g/L(2.5g/dL)。
-抗凝血剤を投与されていない患者の場合:国際標準化比(INR)及び活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)が≦1.5×ULN。
-治療的抗凝固剤を投与されている患者の場合:安定な抗凝固剤レジメン。
・スクリーニング時にB型肝炎ウイルス(HBV)感染を有さない患者。
-スクリーニング時にB型肝炎表面抗原(HBsAg)検査陽性及び/又はB型肝炎表面抗体検査陽性の非存在下での全B型肝炎コア抗体検査陽性の患者の場合:HBV DNAが<500IU/mL。
-検出可能なHBV DNAを有する患者は、施設のガイドラインに従って管理されるべきである。抗HBV療法の開始は、試験治療の開始に先立って≧14日前でなければならず、患者は、試験治療の継続期間にわたって及び施設のガイドラインに従ってより長い間、抗HBV療法を継続する意思がなければならない。
・スクリーニング時にC型肝炎ウイルス(HCV)抗体検査陰性であるか、又はスクリーニング時にHCV抗体検査陽性であり、それに続いてHCV RNA検査陰性である。
-HCV RNA検査は、HCV抗体検査陽性の患者に対してのみ実施される。
・スクリーニング時にヒト免疫不全ウイルス(HIV)検査陰性。
・妊娠の可能性のある女性の場合:禁欲(異性間の性交を控える)又は避妊手段使用への合意、及び卵の提供を控えることへの合意。
・男性の場合:禁欲(異性間の性交を控える)の維持又は避妊手段使用への合意、及び精子の提供を控えることへの同意。
【0423】
ステージ2の組み入れ基準
患者は、ステージ2に適格であるために、以下の基準のすべてを満たさなければならない:
・ECOGパフォーマンスステータスが0又は1。
・(ステージ1の治療を受ける間に)治験責任医師により決定されたアテゾリズマブに関連しない許容できない毒性又は臨床的有用性の喪失を経験した後3カ月以内に、ステージ2の治療を開始する能力
・許容できない毒性、RECIST v1.1による疾患進行、又は治験責任医師により決定された臨床的有用性の喪失に起因するステージ1の中断時に実施される生検由来の腫瘍標本の利用可能性(治験責任医師に臨床的に実施可能とみなされた場合)。
【0424】
E.除外基準
患者は、治療群により特定される以下の基準のいずれかを満たす場合、ステージ1の間に特定群の登録又はステージ2の間の登録から除外される:
【0425】
ステージ1の除外基準
以下の基準のいずれかを満たす患者は、ステージ1から除外される:
・抗CTLA-4、抗PD-1、抗PD-L1、及び抗TIGIT治療抗体を含むがこれらに限定されないCD137アゴニスト又は免疫チェックポイント阻害療法による先行治療。
・試験治療の開始に先立って28日以内の治験療法による治療
・化学療法レジメンの試験薬のいずれかに対する何らかの禁忌
-治験責任医師らは、化学療法薬のローカル添付文書を参照すべきである。
・コントロール群にのみ適格。
【0426】
ステージ1及びステージ2の除外基準
以下の基準のいずれかを満たす患者は、ステージ1及びステージ2から除外される:
・印環細胞優勢癌を有する患者(腫瘍の>50%)。
・症候性の、未治療の、又は活発に進行する中枢神経系(中枢神経系)転移。
治療されたCNS病変を有する無症候性患者は、以下の基準のすべてが満たされるならば、適格である:
-RECIST v1.1による測定可能な疾患は、CNS外に存在しなければならない。
-患者は、頭蓋内出血又は脊髄出血の既往歴を有さない。
-患者は、試験治療の開始に先立って7日以内の定位放射線治療、試験治療の開始に先立って14日以内の全脳放射線治療、又は試験治療の開始に先立って28日以内の神経外科的摘出を受けたことがない。
-患者は、CNS疾患の治療法としてのコルチコステロイドに対する継続的な要求を有さない。安定な用量での抗痙攣療法が許容される。
-転移は、小脳又はテント上領域(すなわち、中脳、橋、延髄、又は脊髄への転移がない)に限定される。
-CNSに向けられた治療法の完了と試験治療の開始との間の暫定進行の証拠がない。
スクリーニング時に新たに検出されたCNS転移を有する無症候性患者は、放射線治療又は外科手術を受けた後に試験に適格であり、スクリーニング脳スキャンを繰り返す必要はない。
・軟骨膜疾患の既往歴。
・制御不能な腫瘍関連疼痛。
-鎮痛薬を必要とする患者は、試験登録時に安定したレジメンを受けていなければならない。
-緩和的放射線治療に適した症候性病変(例えば、神経インピンジメントを引き起こす骨転移又は転移)は、登録に先立って治療されなければならない。患者は放射線の副作用から回復していなければならない。必要な最小回復期間はない。
-さらなる成長(例えば、脊髄圧迫に現在関連していない硬膜外転移)を伴う機能障害又は難治性疼痛を引き起こす可能性が高い無症候性転移性病変は、登録に先立って適切であれば、局所領域治療法について検討されるべきである。
・周期的な排液手順(月1回以上の頻度)を必要とする制御不能な胸水貯留、心内膜液滲出、又は腹水。
-留置カテーテル(例えば、PLEURX(登録商標))を有する患者は許容される。
・制御不能な高カルシウム血症又は症候性高カルシウム血症(イオン化カルシウム>1.5mmol/L、カルシウム>12mg/dL、又はULNより大きな補正カルシウム)。
・重症筋無力症、筋炎、自己免疫性肝炎、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、炎症性腸疾患、抗リン脂質抗体症候群、ヴェーゲナー肉芽腫症、シェーグレン症候群、ギラン・バレー症候群、又は多発性硬化症を含むがこれらに限定されない自己免疫疾患又は免疫不全が活動性であるもの、又はその既往歴、ただし、以下を除く:
-甲状腺補充ホルモンを服用している自己免疫関連甲状腺機能低下症の既往歴を有する患者は、試験に適格である。
-インスリンレジメンを受けている制御された1型糖尿病患者は、試験に適格である。
-湿疹、乾癬、慢性単純性苔癬、又は皮膚症状のみを伴う白斑を有する患者は(例えば、乾癬性関節炎を有する患者は除外される)、以下の条件のすべてが満たされるならば、試験に適格である。
・発疹が覆っている体表面積は、<10%でなければならない。
・疾患は、ベースラインで十分に制御されており、低効力の局所コルチコステロイドのみを必要とする
・過去12ヶ月以内にソラレン+紫外線A照射、メトトレキサート、レチノイド、生物学的薬剤、経口カルシニューリン阻害剤、又は高効力若しくは経口コルチコステロイドを必要とする基礎疾患の急性増悪の発生がない。
・特発性肺線維症、器質化肺炎(例えば、閉塞性細気管支炎)、薬剤性肺炎、若しくは特発性肺炎の既往歴、又はスクリーニング胸部コンピュータ断層撮影(CT)スキャンでの活動性肺炎の証拠。
-放射線領域における放射線肺炎(線維症)の既往歴は許容される。
・活動性結核。
・試験治療の開始に先立って3ヶ月以内の有意な心血管疾患(New York Heart Association Class II以上の心疾患、心筋梗塞、脳血管障害等)、不安定な不整脈又は不安定狭心症。
・試験治療の開始に先立って4週以内の大きな外科手技(診断以外)、又は試験中の大きな外科手技の必要性の予想。
・転移又は死亡のリスクが無視できる(例えば、5年全生存率>90%)、適切に治療された子宮頚部上皮内癌、非黒色腫皮膚癌、局所性前立腺がん、上皮内乳管癌、若しくはステージIの子宮がんといった悪性腫瘍を除く、試験治療の開始に先立って2年以内のGC又はGEJC以外の悪性腫瘍の既往歴。
・感染症、菌血症、若しくは重度の肺炎の合併症のための入院を含むがこれらに限定されない、試験治療の開始に先立って4週以内の重度の感染症、又は治験責任医師の見解では患者の安全性に影響を及ぼしうる任意の活動性感染症。
・試験治療の開始に先立って2週以内の治療用経口又はIV抗生物質による治療。
-予防用抗生物質(例えば、尿路感染症又は慢性閉塞性肺疾患の増悪を予防するため)を投与される患者は、試験に適格である。
・先行する同種異系幹細胞又は固形臓器移植。
・治験薬の使用に禁忌を示す任意の他の疾患、代謝機能不全、身体検査所見、又は臨床検査所見は、結果の解釈に影響を及ぼす可能性があるか、又は患者の治療合併症のリスクを高める可能性がある。
・妊娠若しくは授乳中、又は試験中に妊娠することを意図していること。
-妊娠可能な女性は、試験治療の開始に先立って14日以内に血清妊娠検査結果が陰性でなければならない。
・試験治療の開始に先立って4週以内の生弱毒化ワクチンによる治療、又はアテゾリズマブの最終用量後5ヶ月以内又はチラゴルマブの最終用量後90日以内のうちいずれか遅い方の、アテゾリズマブ若しくはチラゴルマブ治療中のそのようなワクチンの必要性の予想。
・キメラ若しくはヒト化抗体又は融合タンパク質に対する重度のアレルギー性アナフィラキシー反応の既往歴。
・チャイニーズハムスター卵巣細胞生成物又は組み換えヒト抗体に対する既知の過敏症。
・試験薬又はその添加物のいずれかに対する既知のアレルギー又は過敏症。
・試験治療の開始に先立って4週以内又は5つの薬物除去半減期以内(いずれか長い方)の全身免疫刺激剤(限定されないが、インターフェロン及びインターロイキン-2を含む)による治療。
・試験治療の開始に先立って2週以内の全身免疫抑制薬(限定されないが、コルチコステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキサート、サリドマイド、及び抗腫瘍壊死因子-α剤を含む)による治療、又は試験治療中の全身免疫抑制薬の必要性の予想、ただし、以下の例外を除く:
-急性低用量全身免疫抑制薬又は1回パルス用量の全身免疫抑制薬(例えば、造影剤アレルギーのための48時間のコルチコステロイド)を受けた患者は、メディカルモニターの確認が得られた後、試験に適格である。
-ミネラルコルチコイド(例えば、フルドロコルチゾン)、慢性閉塞性肺疾患若しくは喘息のためのコルチコステロイド、又は起立性低血圧症若しくは副腎機能低下のための低用量コルチコステロイドを受けた患者は、試験に適格である。
・ステージ2に入った患者の場合:同意の時点でグレード1若しくはそれより良くなるまで又はベースラインまで消散した免疫療法関連有害事象、ただし、以下は例外である:
-補充療法により適切に管理されている持続中の内分泌事象を有する患者は、適格である。
【0427】
チラゴルマブ含有群の除外基準
以下の基準のいずれかを満たす患者は、ステージ1の間にチラゴルマブ含有群から除外される:
・抗TIGIT剤を含む先行治療。
・スクリーニング時の活動性エプスタイン・バーウイルス(EBV)感染症及び既知の慢性活動性EBV感染症若しくはその疑い。
-スクリーニング時にEBVウイルスカプシド抗原IgM検査が陽性であった患者は、この群から除外される。活動性感染症又は慢性活動性感染症の疑いをスクリーニングするために、EBVポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査を臨床的に必要とされるように実施しなければならない。EBV PCR検査が陽性であった患者は、この群から除外される。
【0428】
F.試験治療
試験用の治験医薬品は、アテゾリズマブ及びチラゴルマブである。試験は、無作為化非盲検試験である。
【0429】
ステージ1について、試験は無作為化率が動的に変化する置換ブロック無作為化法を用い、試験中に登録を受け付けている治療群の数の変動が説明される。無作為化率は、コントロール群に割り振られる可能性が50%以下であるという条件で、登録を受け付けている実験群の数に依存する(例えば、予備期の結果の分析を待っている間に群が追加されるか又は群への登録が一時停止される場合)。無作為化率は、有望な臨床活性を実証した特定の実験群への登録を増加させるように変更することができる。
【0430】
無作為化は、一般的な除外基準及び群に特異的な除外基準を考慮する。患者は、コントロール群にのみ適格である場合、試験に登録されない。
【0431】
割り当てられた治療レジメンの各薬物の少なくとも一用量を投与されない患者は、有効性分析に含まれない。分析のために計画された治療対象患者の標的数に到達するように、ステージ1において追加の患者が登録されうる。
【0432】
コントロール群(アテゾリズマブ+CAPOX)
コントロール群(アテゾリズマブ+CAPOX(Atezo+カペシタビン+オキサリプラチン))の患者は、放射線学的及び生化学的データ、局所生検結果(利用可能な場合)、及び臨床状態(例えば、疾患に不随する疼痛等の症候の悪化)の統合評価の後に治験責任医師によって決定される許容できない毒性又は臨床的利益の喪失まで、表5に概説される治療を受ける。無作為化後7日以内に治療を開始することが推奨される。
【0433】
【0434】
CAPOXによる治療は、最大6サイクル継続され、患者は、治験責任医師の意見で臨床的有用性を経験する限り、アテゾリズマブによる継続治療を提案される。CAPOX又はアテゾリズマブ治療は、試験治療に関連すると考えられる毒性を経験する患者では、一時的に停止されうる。組み合わせの一成分(アテゾリズマブ又はCAPOX)が中断されても、患者が臨床的有用性を得る可能性があれば他の成分は継続されうる。オキサリプラチン治療が1回目の6サイクルの間に中断される場合、患者は、治験責任医師及びメディカルモニターの意見で臨床的有用性を経験する限り、カペシタビン及びアテゾリズマブによる化学療法を継続するよう勧められる。カペシタビン治療が1回目の6サイクルの間に中断される場合、患者は、治験責任医師及びメディカルモニターの意見で臨床的有用性を経験することを条件に、オキサリプラチン及びアテゾリズマブによる化学療法を継続するよう勧められる。
【0435】
アテゾリズマブ+CAPOX+Tira
アテゾリズマブ+CAPOX+チラゴルマブ(Atezo+カペシタビン+オキサリプラチン+Tira)群の患者は、放射線学的及び生化学的データ、局所生検結果(利用可能な場合)、及び臨床状態(例えば、疾患に不随する疼痛等の症候の悪化)の統合評価の後に治験責任医師によって決定される許容できない毒性又は臨床的利益の喪失まで、表6に概説される治療を受ける。無作為化後7日以内に治療を開始することが推奨される。
【0436】
【0437】
CAPOXによる治療は、最大6サイクル継続され、患者は、治験責任医師の意見で臨床的有用性を経験する限り、アテゾリズマブによる継続治療を提案される。CAPOX、アテゾリズマブ、及び/又はチラゴルマブ治療は、試験治療に関連すると考えられる毒性を経験している患者において一時的に停止されうる。アテゾリズマブが保留又は中断される場合、チラゴルマブも保留又は中断されるべきであるが,CAPOXは、患者が臨床的有用性を得る可能性があるのであれば継続されうる。CAPOX又はチラゴルマブが中断される場合も、他の薬物は、患者が臨床的有用性を得る可能性があるのであれば継続することができる。オキサリプラチン治療が1回目の6サイクル間に中断される場合、患者は、治験責任医師及びメディカルモニターの意見で臨床的有用性を経験している限り、カペシタビン、アテゾリズマブ、及びチラゴルマブを継続するよう勧められる。カペシタビン治療が1回目の6サイクルの間に中断される場合も、患者は、治験責任医師及びメディカルモニターの意見で臨床的有用性を経験している限り、オキサリプラチン、アテゾリズマブ、及びチラゴルマブを継続するよう勧められる。
【0438】
G.併用療法
併用療法は、試験治療の開始の7日前から治療中断の来院までに、プロトコールで義務付けられた試験治療に加えて、患者によって使用される任意の医薬(例えば、処方薬、市販薬、ワクチン、ハーブ療法又はホメオパシー療法、栄養補助食品)からなる。
【0439】
抗ヒスタミン、解熱剤、及び/又は鎮痛剤による前投薬は、治験責任医師の裁量で、2回目以降のアテゾリズマブ注入のためにのみ投与されうる。
【0440】
一般に、治験責任医師は、臨床上適応がある場合、現場の標準診療に従って、注意療法又は禁止療法と定義されるもの以外の支持療法で患者のケア(既存の症状を含む)を管理すべきである。注入に関連する症状を経験する患者は、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ジフェンヒドラミン、及び/又はH2受容体アンタゴニスト(例えば、ファモチジン、シメチジン)、又は現場の標準慣行による同等の薬物を用いた対症療法で治療することができる。呼吸困難、低血圧症、喘鳴、気管支痙攣、頻脈、酸素飽和度低下、又は呼吸促拍によって現れる重度の注入関連事象は、臨床的に示される支持療法(例えば、酸素補充及びβ2アドレナリン作用性アゴニスト)によって管理されなければならない。
【0441】
許可される治療
患者は、試験中に以下の治療法を使用することが許される。
・失敗率が年間<1%の経口避妊薬。
・ホルモン補充療法。
・予防的又は治療的抗凝血剤療法。
・不活性化ワクチン接種。
・食欲刺激剤として投与される酢酸メゲストロール。
・ミネラルコルチコイド(例えば、フルドロコルチゾン)。
・慢性閉塞性肺疾患又は喘息のために投与される吸入コルチコステロイド。
・起立性低血圧症又は副腎皮質機能不全のために投与される低用量コルチコステロイド。
・以下に概説する緩和的放射線治療(例えば、既知の骨転移の治療又は疼痛の症状軽減):
-緩和的放射線治療は、腫瘍標的病変(例えば、照射される病変は、測定可能な疾患の唯一の部位であってはならない)の評価を妨げない限り許される。アテゾリズマブ及びCAPOXによる治療は、緩和的放射線治療の間継続されうる。
・以下に概説する脳への放射線治療:
-頭蓋外腫瘍負荷が安定しているか又は試験治療に応答しており、その後3つ以下の脳転移を有することが判明した患者は、以下の基準のすべてが満たされるならば、脳への放射線治療(定位的放射線手術又は全脳放射線治療)を受けることができる。
・患者は、中枢神経系(CNS)向けの療法の完了後に進行又は出血の証拠を有さない。
・患者は、CNS疾患の治療法としてのコルチコステロイドを継続的に必要としない。
放射線治療の完了後7日を超えてコルチコステロイド療法を必要とする患者は、試験治療を中断しなければならない。
・抗痙攣療法は、必要に応じて、安定な用量で投与される。
【0442】
H.評価
すべての患者は、試験を通して有害事象について綿密にモニタリングされ、有害事象は、National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events,Version 5.0(NCI CTCAE v5.0)に従ってグレード付けされる。CRSの重症度はまた、American Society for Transplantation and Cellular Therapy(ASTCT)CRS Consensus Grading Scaleに従ってグレード付けされる。
【0443】
腫瘍評価及び応答評価
患者は、最初の48週(サイクル1の1日目から)は6週(±1週)毎に、次いでその後は12週(±2週)毎に、用量遅延に関係なく、放射線学的疾患進行後に治療を継続する患者の場合を除いて、腫瘍評価を受け;そのような患者は、治験責任医師によって決定される臨床的有用性の喪失まで6週(±1週)毎に腫瘍評価を受ける。したがって、腫瘍評価は、臨床的有用性の喪失以外の理由で治療を中断する患者においては、患者が新規のプロトコールに指定されない抗がん療法を開始する場合も、スケジュールに従って継続される。腫瘍評価は、進行性疾患が疑われる場合は、いつでも繰り返すことができる。
【0444】
ステージ2のベースライン腫瘍評価は、ステージ2の治療の開始に先立って28日以内(すなわち、サイクル1の1日目)に実施されなければならない。ステージ1の間の許容できない毒性又は臨床的有用性の喪失に先立って又はその時点で実施される腫瘍評価は、腫瘍評価がステージ2の治療の開始に先立って28日以内に実施されるのであれば、ステージ2のベースライン評価として機能しうる。
【0445】
すべての測定可能及び評価可能な病変は、スクリーニング(ステージ1及びステージ2の両方)で評価及び記録される。放射線治療又は外科手術により治療される脳転移は、測定可能又は評価可能であると考慮されないが、転移性疾患の部位としてスクリーニング時に記録される。インフォームドコンセントの取得に先立って及び試験治療の開始に先立って28日以内に標準治療として実施される腫瘍評価は、スクリーニング時に繰り返す必要はない。
【0446】
ベースラインで同定されるすべての測定可能及び/又は評価可能な病変は、上述のスケジュールに従ってその後の腫瘍評価で再評価されるべきである。放射線治療又は外科手術で治療されたことがあるベースラインで同定された脳転移は、脳内に疾患の進行が疑われない限り(すなわち、患者が症状を示すようになる)、測定可能又は評価可能と考慮されない。したがって、臨床的に示されない限り、その後の頭部スキャンは必要ない。スクリーニングで疾患部位を評価するために使用され同じX放射線手順を、その後の腫瘍評価(例えば、CTスキャンのための同じコントラストプロトコール)に使用すべきである。腫瘍評価は、進行を超えて治療を受ける患者について、RECIST v1.1による疾患進行後に継続されなければならない。これには、標的病変の測定の継続、非標的病変の評価(明確な進行を示した任意の非標的病変のさらなる悪化のモニタリングを含む)、及びその後のすべての評価において新規に同定された病変の評価(病変が測定可能である場合、測定値を含む)が含まれる。
【0447】
1つの時点での全体応答は、RECIST v1.1を使用して治験責任医師によって評価される。
【0448】
バイオマーカーの評価
バイオマーカーの研究には、限定されないが、腫瘍分子のサブタイプ及び腫瘍免疫生物学に関連付けられる遺伝子若しくは遺伝子シグネチャー、PD-L1、各薬物組み合わせに特異的な標的の発現、EBV、腫瘍変異の負荷、MSI状態、リンパ球の部分母集団、T細胞-受容体レパートリー、又はT-細胞活性化に関連付けられるサイトカインの分析が含まれる。研究は、DNA又はRNAの抽出、体細胞突然変異の分析、及び次世代シーケンシング(NGS)(全エクソーム解析(WES)を含む)の使用を含んでもよい。バイオマーカーの分析は、有効性及び安全性評価項目を考慮して、これらバイオマーカーと試験薬に対する応答との関連性を理解しようとして実施される。
【0449】
I.分析
最終試験分析は、試験の中断を通して収集された患者データに基づく。特に明記しない限り、有効性分析は、割り当てられた治療レジメンに対して各薬物の少なくとも1回の用量を受けたすべての患者と定義される有効性評価可能な集団に基づき、安全性分析は、任意の量の試験治療を受けるすべての患者と定義される安全性評価可能な集団に基づく。
【0450】
分析結果は、患者が実際に受ける治療レジメンによって、並びにステージ(ステージ1又はステージ2)によってまとめられる。データは、試料サイズによって保証されるように記載され、まとめられる。連続変数は、平均、標準偏差、中央値、及び範囲の使用によってまとめられる。カテゴリ変数は、カウント及びパーセンテージの使用によってまとめられる。試料サイズが小さい場合には、表の代わりにリストが使用される。
【0451】
新しいベースライン値が、ステージ2の有効性及び安全性分析のために確立される。腫瘍応答の評価のために、新しいベースライン腫瘍評価が確立される。他の評価項目(例えば、バイタルサイン又は臨床検査結果のベースラインからの変化)については、ステージ2中の患者の最初の投与に先立つ最後の非欠損値が新しいベースラインとして機能する。
【0452】
試料サイズの決定
この試験は、仮説検定のための明確なパワー及びタイプI誤差を考慮するように設計されていない。代わりに、この試験は、GC又はGEJCを有する患者に投与したときの、免疫療法に基づく治療の組み合わせに関する予備的な有効性、安全性、及びPKデータを得るように設計されている。コホート1には、優勢な組織型として腺癌が確認された、手術不能な、局所的に進行した、転移性の、又は進行したGC又はGEJCを有する、進行した疾患又は転移性疾患のための先行する全身療法を受けたことのない、患者が登録される。
【0453】
試験中、約40~90人の患者が、無作為にコントロール群及び実験群に割り付けられる。
【0454】
主要な有効性評価項目
主要な有効性評価項目は、ステージ1の間の全奏効率(ORR)(客観的応答(完全寛解又は部分寛解))を有する患者の割合と定義される(表1参照)。応答評価が欠落しているか又は応答評価がない患者は、非応答者として分類される。
【0455】
ORRは、90%のCI(Clopper-Pearson法)と共に各群について計算される。実験群とコントロール群との間のORRの差も、90%CIと共に計算される。CIは、試料サイズに応じて、厳密法又はWald法によって推定される。
【0456】
副次的有効性評価項目
副次有効性評価項目は、ステージ1の間の、IHC、及び病害抑制によって評価した場合の、PD-L1陽性及び又はTIGIT陽性腫瘍を有する患者におけるPFS、OS、特定の時点(例えば、6カ月及び12カ月)でのOS、奏功期間(DOR)、客観的応答である(表1参照)。PFS、DOR及び病害抑制は、RECIST v1.1に従って治験責任医師によって決定される。
【0457】
DORは、完全寛解又は部分寛解を有する、有効性評価可能な患者について導出される。
【0458】
記録された疾患進行を有さないか又は死亡した患者については、PFS及びDORは、最後の腫瘍評価日に検閲される。
【0459】
OS分析時にまだ生存している患者は、生存していることが知られていた最後の日に検閲される。
【0460】
PFS、OS、及びDORの中央値がカプラン・マイヤー法を使用して推定され、90%CIはBrookmeyer and Crowley法の使用によって構築される。特定の時点でのOS率も、カプラン・マイヤー法を使用して推定され、90% CIは分散についてのGreenwoodの推定値に基づいて計算される。
【0461】
疾患制御率(安定疾患を有する患者の割合≧12週)、部分寛解、又は完全寛解は、各治療群について計算され、90% CIは、Clopper-Pearsonの厳密法を使用して推定される。
【0462】
安全性分析
有害事象用語は逐語的に国際医薬用語集辞典の用語にマッピングされ、有害事象の重症度はNCI CTCAE v5.0に従って(さらにはASTCT CRS Consensus Grading Scale for CRSに従って)グレード付けされる。
【0463】
安全性は、有害事象の要約、臨床検査結果の変化、バイタルサイン及びECGの変化、及び試験薬への曝露を通して評価される。併用治療への曝露及び安全性フォローアップの長さは、各段階内の治療群によってまとめられる。
【0464】
すべての有害事象用語は逐語的に国際医薬用語集辞典の用語にマッピングされ、有害事象の重症度はNCI CTCAE v5.0に従ってグレード付けされ、及びCRSの重症度はASTCT Consensus Grading(Lee et al.Biol Blood Marrow Transplant.25:625-638,2019)に従って治験責任医師によりグレード付けされる。試験治療の初回用量時又はその後に起こるすべての有害事象、重篤な有害事象、死亡につながる有害事象、特に興味深い有害事象、及び試験治療の中断につながる有害事象(すなわち、治療中に発生した有害事象)は、マッピングされた用語、適切な類語レベル、及び重症度によってまとめられる。様々な重症度の事象について、最高グレードがまとめに使用される。死亡及び死亡原因がまとめられる。
【0465】
関連する検査室、バイタルサイン(脈拍数、呼吸数、血圧、パルスオキシメトリ、及び体温)、及びECGデータは、必要に応じて識別されたグレードと共に時間によって表示される。加えて、ベースライン及びベースライン後の最大重症度をまとめるために、選択された臨床検査のシフトテーブルが使用される。バイタルサイン及びECGの変化がまとめられる。
【0466】
薬物動態分析
アテゾリズマブ(少なくとも1用量のアテゾリズマブを投与される患者)及びアテゾリズマブと組み合わせて投与された指定の薬物(少なくとも1用量の薬物を投与される患者)のPK分析のために、まばらな試料が収集される。種種の試験薬物の血清又は血漿濃度を、個々の値として報告され、治療群によって、並びに必要に応じてかつデータが許す際には、サイクル及び日によって、まとめることができる(平均、標準偏差、変動係数、中央値、範囲、幾何平均、及び幾何平均変動係数)。種々種の試験薬の血清又は血漿濃度の個々の値及び中央値を、必要に応じてかつデータが許す際には、治療群によって、並びにサイクル及び日によってプロットすることができる。組み合わせ薬のPKデータを、内部試験及び公開された以前の試験から利用可能な履歴データと比較することができる。アテゾリズマブ又は他の試験薬の濃度データは、クリアランス、分布容積及び濃度-時間曲線下面積等のPKパラメーターを導出するために、確立された集団PKモデルを使用して他の試験からのデータと共にプールされうる。
【0467】
免疫原性分析
免疫原性は、必要に応じて、アテゾリズマブ及び他の試験治療について評価することができる。免疫原性分析には、少なくとも1つの抗薬物抗体(ADA)評価を受けたすべての患者が含まれる。患者は、受けた治療に従って、又は試験中断前に治療を受けていない場合は割り当てられた治療に従って、グループ分けされる。
【0468】
アテゾリズマブについては、ベースライン(ベースライン有病率)及びベースライン後(ベースライン発生後)のADA陽性患者及びADA陰性患者の数及び割合を治療グループによってまとめる。ベースライン後の発生率を決定するとき、患者は、ADA陰性であるか、又はベースラインでデータが欠落しているが、試験薬物曝露後にADA応答を示す場合(治療誘発性ADA応答)、又は患者がベースラインでADA陽性であり、1つ又は複数のベースライン後の試料の力価がベースライン試料の力価よりも少なくとも0.60力価単位大きい場合(治療増強性ADA応答)、ADA陽性であるとみなされる。
【0469】
患者がADA陰性であるか若しくはベースラインでデータが欠落しており、すべてのベースライン後の試料が陰性である場合、又は患者がベースラインでADA陽性であるが、ベースライン試料の力価よりも少なくとも0.60力価単位大きい力価を有するベースライン後の試料を有さない(治療の影響なし)場合、患者はADA陰性であるとみなされる。
【0470】
ADAが検査される他の試験治療については、ADA陽性は、これら薬物の以前の試験のために確立された標準的な方法に従って決定される。
【0471】
ADAの状態と安全性、有効性、PK、及びバイオマーカー評価項目との間の関係は、記述統計学を使用して分析及び報告されうる。
【0472】
中間分析
本試験の探索的性質を考慮すると、中間分析は試験中に行われ、最初の中間分析(ステージ1)は、少なくとも1つの実験群が予備期への登録を完了し、患者を最低6週間追跡したときに行われると予想される。コントロール群と比較した実験群における臨床活性の中間分析に基づいて、治療群へのさらなる登録を導くために、事後確率を使用することができる。中間分析により、実験群の活性がコントロール群の活性より高いことが示唆される場合、実験群に追加の25名の患者をさらに登録することができる。
【0473】
実施例2:局所進行直腸がんを有する患者におけるネオアジュバント放射線化学療法後のチラゴルマブあり又はなしでのアテゾリズマブの第II相無作為化非盲検並行群間試験
結腸直腸がん(CRC)は、世界中で依然としてがんの主な死亡原因である。中国では、CRCは、男性及び女性の両方で5番目に多いがんによる死亡の原因であり,2015年のすべての新規がんのおよそ8%を占めており(Chen et al.,CA Cancer J Clin.66:115-132,2016)、推定376,300例の結腸直腸がんの新規症例及び191,000例の結腸直腸がんによる死亡の原因である。転移性CRC患者の予後は依然として不良であり、5年生存率の中央値はわずかに2.5%である(Siegel et al.,CA Cancer J Clin.64:104-117、2014)。全体的な発生率及び死亡率は、がんの予防、スクリーニングによる早期診断、及びよりよい治療モダリティにより改善されたが、局所的に進行した疾患、特に直腸がんを呈する患者には依然として増加の懸念がある(Wolf A et al.2018)。局所進行直腸がん(LARC)のための現行の標準治療は、ネオアジュバント長期放射線化学療法(LCRT)又はネオアジュバント小分割短期放射線治療(SCRT)と、それに続く直腸間膜全切除(TME)及びアジュバントフルオロピリミジンに基づく化学療法とを組み込んだ多モード手法である(Benson et al.,J Natl Compr Canc Netw.18:806-815、2020;Yuan et al.,Chin J Res.31:423-425,2019)。しかしながら、直腸がん治療の進歩は、局所領域的な制御に改善をもたらしただけで、遠隔再発に対処することはできなかった。これは直腸がんの主な失敗のモードである。LARCの治療における現行の課題は次の2要素である:1)R0切除率を上昇させること及び遠隔転移を減少させることによる生存の延長;2)直腸切除を安全に回避すること又は外科手術の難易度を低下させることによる生存患者の生活の質の維持。
【0474】
この実施例は、LARCにおける標準治療の放射線化学療法後のアテゾリズマブ+チラゴルマブ(Atezo+Tira)又はアテゾリズマブのみ(Atezo)の有効性及び安全性を評価するために設計された第II相無作為化多施設非盲検並行群間試験(ML43050)について記載する。
【0475】
A.試験設計の概略
本試験は、LARC患者におけるネオアジュバント放射線化学療法(nCRT)後のアテゾリズマブ+チラゴルマブ又はアテゾリズマブのみの有効性及び安全性を評価する。本試験の具体的な目的と対応評価項目は表7にまとめる。試験設計の概要は
図2に示される。
【0476】
ここで、「試験治療」とは、nCRTと、続いて行われる患者に割り当てられた免疫療法、すなわちA群の「アテゾリズマブ+チラゴルマブ」又はB群の「アテゾリズマブ」とを指す。
【0477】
Atezo+Tira=アテゾリズマブ+チラゴルマブ;nCRT=ネオアジュバント放射線化学療法;pCR=病理学的完全奏功率;NCI CTCAE v5.0=National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events,Version 5.0;RESICT v1.1=Response Evaluation Criteria in Solid Tumor,Version 1.1。HGRAC=人類遺伝資源管理(中国)
【0478】
本試験は2相で実行され、本試験にはおよそ76名の患者が登録される。
・安全性ランインフェーズ:「3+3」設計の下でおよそ3~6名の患者にアテゾリズマブ+チラゴルマブを投与する。
・無作為化フェーズ:患者をアテゾリズマブ+チラゴルマブ群(A群)又はアテゾリズマブ群(B群)に1:1の比で無作為化する。
【0479】
安全性ランインフェーズの後、この試験には合計70名の患者が登録され、無作為化される(すなわち、各群に35名の患者)。すべての患者は中国で登録される。適格の患者は、以下に概要を示すように(表8)治療の1つを受ける。
【0480】
【0481】
安全性ランインフェーズ
患者はまず、安全性ランインフェーズに入る。安全性ランインフェーズに登録された患者は、nCRTに続いてAtezo+Tiraを投与される。治療レジメンの安全性の決定により、試験は無作為化フェーズに進む。
【0482】
最初の3名の患者が連続して安全性ランインフェーズに登録される。試験スケジュールの概略は、
図2に示される。インフォームドコンセント文書に署名した後、患者は、臨床検査(例えば、血液学検査、化学検査、肝機能検査)を含むスクリーニング手順;胸部、腹部、骨盤及び頭部の造影CTスキャン、又はMRI;評価(腫瘍評価、臨床評価、バイオマーカー評価、及び内視鏡検査を含む);並びに無作為化フェーズと同様の腫瘍生検を受ける。
【0483】
安全性ランインフェーズにおける試験治療は、3サイクルにわたるQ3Wスケジュールでの、5-FU又はカペシタビンに基づく放射線化学療法と、それに続く600mgの用量のチラゴルマブと組み合わせた1200mgの用量のアテゾリズマブとを含む(表8、安全性ランイン)。
【0484】
安全性ランインフェーズは「3+3」手法に従う。個のフェーズに登録された最初の3名の患者は、外科手術の30日後まですべての安全性事象について綿密にモニタリングされる。
・以下の事象が発生した場合、関連するすべての安全性データを即時審査する:
-3名の患者のいずれかが、試験治療の開始から外科手術後30日までに何らかの原因により死亡する。
-3名の患者のいずれかが、何らかの原因による外科手術の遅延又は中止を経験する。
-このフェーズの即時審査の間、他の患者の治療及び登録は計画通りに継続される。
・最初の3名の患者のすべての安全性データは、3名の患者の最後の一人が外科手術を終了してから30日目に審査される。これら安全性データの審査に基づき、以下が判断される:
-追加の3名の患者が登録されるべきかどうか、又は
-追加の3名の患者が安全性ランインフェーズに必要とされるかどうか、及び無作為化フェーズがオープンにされるべきかどうか、又は
-試験が一時停止されるべきかどうか。
・追加の3名の患者が安全性ランインフェーズに登録される場合、同じ審査プロセスを続ける。6名すべての患者の安全性データが、以下に関する最終判断が行われる前に審査される:
-無作為化フェーズがオープンにされるべきかどうか、又は
-試験が一時停止されるべきかどうか。
【0485】
安全性ランインフェーズの間、患者がnCRTにTiraと組み合わせたAtezoの完全なサイクルを1回も受けない場合、この患者を交代させる。
【0486】
無作為化フェーズ
このフェーズにはおよそ70名の患者が登録され、それら患者は1:1の比でAtezo+Tira群又はAtezo群に無作為化される。適格の患者は、表8に記載される治療の1つを受ける。
図2は、試験設計の概要を示している。
【0487】
nCRT治療を受けている患者は、逐次的免疫療法に先立って治療から回復している必要があり、以下の基準を満たさなければならない:
・顆粒球コロニー刺激因子の支持なしでANC≧1.5×109/L(1500/μL)。
・リンパ球数≧0.5×109/L(500/μL)。
・輸血なしで血小板数≧100×109/L(100,000/μL)。
・ヘモグロビン≧90g/L(9g/dL)。
【0488】
Atezo+Tira又はAtezoは、nCRTの完了の少なくとも2週間後に投与される。投与は、すべての基準が満たされる前に、最大4週間の期間にわたり一時停止することができる。投与は、上記基準が満たされた後可能な限りすぐに再開されるべきである。
【0489】
治癒的外科手術適格であるすべての患者はそのような外科手術を受ける。外科手術は最終用量のAtezo+Tira又はAtezoの2週(+ 1週)後に実施されることが推奨され;免疫療法後に有害事象を経験する患者は有害事象から回復したらすぐに外科手術を受けるべきであり、最終用量のAtezo+Tira又はAtezoの後4週以内に外科手術を受けるべきである。直腸間膜全切除(TME)及びリンパ節郭清を使用した外科的全摘手術が、R0切除を達成することを目標に、個々の患者に合わせて調整される。
【0490】
外科手術後のアジュバント療法は、現場の標準治療に従って治験責任医師が判断する。
【0491】
アテゾリズマブが一時的に保留されるか又は恒久的に中断される患者には、単剤として又は変更された用量でチラゴルマブを継続投与してはならない。チラゴルマブが一時的に保留されるか又は購入的に中断される患者には、治験責任医師の意見において患者が臨床的有用性を経験している限り、アテゾリズマブ単剤療法を継続してよい。アテゾリズマブ又はチラゴルマブのいずれについても用量変更は許可されない。作用機序の利用可能な特徴づけに基づいて、チラゴルマブは、アテゾリズマブと類似しているが独立した有害事象を引き起こす可能性がある。チラゴルマブはまた、アテゾリズマブ関連有害事象の頻度又は重症度を悪化させうるか、又はアテゾリズマブと重複しない毒性を有しうる。これらシナリオは臨床現場では互いに区別できない可能性があるため、免疫媒介性有害事象は一般に両方の薬剤に起因するはずであり、免疫媒介性有害事象に応答した投薬中断又は治療中断は、チラゴルマブ及びアテゾリズマブの両方に適用しなければならない。
【0492】
疾患進行の結果としてネオアジュバント療法を恒久的に中断する患者又は外科手術に先立って非プロトコール療法を受ける患者は、すべての試験治療を中断しなければならず、現場の慣行に従って管理される。これら患者は、生存率のフォローアップのために試験に残る。毒性によりネオアジュバント療法を中断する患者及び外手術に適格でなかった患者は、その後は現場での慣行に従って治療される。
【0493】
患者は、試験中に予定された間隔で腫瘍評価を受ける。
【0494】
外科手術から得られた腫瘍標本は、pCR評価のために収集され、経験のある各施設の病理学者により病理学的応答について試験される。適格の患者由来の腫瘍組織(生検及び/又は外科切除を介した)及び血液試料は、中央検査室に提供され、臨床的有用性、腫瘍免疫生物学、抵抗の機序等に関連づけることのできるバイオマーカーについて将来のために試験及び分析される。
【0495】
患者は、試験を通して、有害事象の発生率、性質及び重症度を含め、有害事象について綿密にモニタリングされ、臨床の異常はNational Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events,Version 5.0(NCI CTCAE 5.0)によりグレード付けされる。
【0496】
無作為化から、最初の20名の無作為化された患者の最終用量の試験治療から30日後までの関連するすべての安全性データは、試験の継続、変更又は終了に関する推奨を提供するために、IMCにより審査される。
【0497】
治療完了又は中断に続いて、フォローアップ情報が、外科手術、死亡、追跡不能、インフォームドコンセントの撤回、又は治験依頼者による試験の終了のうちの最初に起こるもの3年後まで6カ月毎に、電話、患者の医療記録、及び/又は来診により収集される。
【0498】
無作為化フェーズの間、試験から除外される患者は補充されない。
【0499】
B.試験終了及び試験期間
この試験の終了は、最終患者の最終来院(LPLV)が起こる日又は最後の患者の安全性フォローアップを得た日のうちいずれか遅い方がと定義される。試験終了は、最後の患者が登録されてから40カ月後と予想される。
【0500】
第1の患者の登録から試験の終了までの試験の全期間は、およそ60カ月と予想される。
【0501】
C.試験設計及び患者集団の理論的根拠
この試験では、チラゴルマブ及びアテゾリズマブは、LARC患者においてnCRTに続いて投与される。チラゴルマブ及びアテゾリズマブがCRC患者に以前に投与されたことがあり、LARCにおける免疫療法の安全性及び忍容性を示す進行中の試験もあるが(放射線化学療法と免疫療法との間に重複する毒性が存在する可能性があるため)、安全性及び忍容性を綿密にモニタリングするため、並びに治療環境の潜在的なリスクの理解をよりよく理解するために、試験は安全性ランインフェーズ「3+3」設計の下で開始される。「3+3」設計は、この新規組み合わせに暴露される患者の数を制限するとともに、nCRT後のチラゴルマブ及びアテゾリズマブに関する包括的な安全性データを収集する。
【0502】
この試験には、腫瘍中のPD-L1発現レベルに関係なく、LARC患者が登録される。この標的集団は、その満足のいかない結果及び改善された治療戦略の必要性に対処するために選択された。LARCの治療の改善にも関わらず、遠隔転移により死亡する患者のほぼ三分の一で長期にわたる予後は依然として見通しが暗い(Cunningham et al.Lancet.375:1030-1047,2010)。さらに、大部分の生存者は、nCRT後に臨床的完全寛解を達成する者ですら、応答の満足のいかない深さのために直腸切除手術を経験しており、これは生活の質を著しく損なう(Pucciarelli et al.Ann Surg.253:71-77,2011)。したがって、LARC患者のためのより効果的でより忍容性の高い治療が引き続き必要とされている。
【0503】
細胞傷害性化学療法による腫瘍細胞の死滅は、免疫系を高レベルの腫瘍抗原に曝露しうる。PD-L1経路を遮断することによりこの環境において腫瘍特異的T-細胞免疫性をブーストすることで、標準の放射線化学療法のみに観察されたものよりも深く忍容性の高い応答を得ることができ(Merritt et al.J Thorac Cardiovasc Surg.126:1609-1617,2003;Apetoh et al.Nat Med.13:1050-1059,2007)、これはPD-L1の発現に関係なく腫瘍において合理的に発生しうる。
【0504】
D.組み入れ基準
この試験には直腸がん疾患を有するおよそ76名の患者が登録される。患者は、以下の試験登録基準を満たさなければならない:
・インフォームドコンセント書類の署名時の年齢が≧18歳。
・直腸の腺癌の組織学的に又は細胞学的に確認された診断。マイクロサテライト不安定性(MSI)又はミスマッチ修復(MMR)状態が記録差なければならず、未知のMSI状態を有する患者は、現場検査室で試験を受ける必要があり、スクリーニングでの結果を提供する。
・臨床病期がAJCC/UICC第8版によるcT3N+M0又はcT4NanyM0である、切除可能な局所進行直腸がん。
・腫瘍の下縁が肛門縁から≦10cm。
・以前に直腸がんのために抗がん治療を受けていないこと(局所領域的及び全身治療の両方を含む)。
・病理学的評価及びバイオマーカーの発現分析に適した代表的な腫瘍標本の利用可能性。
-パラフィンブロック(好ましい)中のホルマリン固定のパラフィン包埋(FFPE)腫瘍標本又は未染色の新たに切断された連続切片を含むおよそ12~15のスライドが、関連する病理報告とともに、無作為化から4週間以内に提出されなければならない。
-保管腫瘍組織が利用できないか又は必要な検査に適さないと決定された場合、腫瘍組織は、スクリーニングで実施された生検から得なければならない。
-得られたスライドは12より少ないが、中央検査室によるバイオマーカー分析のために十分なスライドがある場合、患者は依然として適格である。
・無作為化に先立って7日以内の0又は1のECOGパフォーマンスステータス(PS)。
・RESIST v1.1による少なくとも1つの測定可能病変。
・試験治療の開始に先立って7日以内に取得された、以下の臨床検査結果によって定義される適切な血液学的機能及び終末器官機能:
-顆粒球コロニー刺激因子の支持なしでANC≧1.5×109/L(1500/μL)。
-リンパ球数≧0.5×109/L(500/μL)。
-輸血なしで血小板数≧100×109/L(100,000/μL)。
-ヘモグロビン≧90g/L(9g/dL)。
・患者は、この基準を満たすために輸血されてもよいが、スクリーニングに先立って2週間以内に輸血されていてはならない。
-AST、ALT、及びアルカリホスファターゼ(ALP)≦2.5×正常値の上限(ULN)。
-総ビリルビン≦1.5×ULN、ただし以下を例外とする:
・既知のギルバート病患者:総ビリルビン≦3×ULN。
-血清クレアチニン≦1.5×ULN又はクレアチニンクリアランス≧50mL/分(Cockcroft-Gault式を使用して計算)。
-アルブミン≧25g/L(2.5g/dL)。
-患者が治療的抗凝血剤を投与されていない場合:INR及びaPTT≦1.5×ULN。
・患者が治療的抗凝固薬を投与されている場合:安定な抗凝固薬レジメン。
・スクリーニング時の陰性HIV検査。
・妊娠の可能性のある女性の場合:禁欲(異性間の性交を控える)又は避妊手段使用への合意、及び卵の提供を控えることへの合意。
・男性の場合:禁欲(異性間の性交を控える)又は避妊手段使用への合意、及び精子の提供を控えることへの同意。
【0505】
E.除外基準
以下の基準のいずれかを満たす患者は、試験登録から除外される:
・転移性疾患の証拠。
・小細胞癌、扁平上皮癌、又は混合癌と一致する組織学。
・同時性結腸直腸がんの存在。
・閉塞又は差し迫った閉塞の患者。限定されないが、放屁及び排便を止める症状がある。
-不完全な閉塞があり、nCRT治療に耐性の患者は登録に適格である。
・腸穿孔の臨床症状又は放射線学的疑い。
・長期放射線治療に適格でない患者。
・スクリーニングに先立つ年以内の直腸がん以外の悪性腫瘍、例えば適切に治療された子宮頚部上皮内癌、非黒色腫皮膚癌、局所前立腺がん、上皮内乳管癌、又はステージIの子宮がんの既往歴。ただし、転移又は死亡(例えば、予想される5年全生存>90%)のリスクが無視できる程度で、治療により治癒効果が予想される者は除外される。
・重症筋無力症、筋炎、自己免疫性肝炎、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、炎症性腸疾患、抗リン脂質抗体症候群、ヴェーゲナー肉芽腫症、シェーグレン症候群、ギラン・バレー症候群、多発性硬化症、脈管炎、又は糸球体腎炎を含むがこれらに限定されない自己免疫疾患又は免疫不全が活性であるか、又は既往歴がある。ただし、以下を除く:
甲状腺補充ホルモンを服用している自己免疫関連甲状腺機能低下症の既往歴を有する患者は試験に適格である。
インスリンレジメンを受けている、制御された1型糖尿病患者は試験に適格である。
湿疹、乾癬、慢性単純性苔癬、又は皮膚症状のみを伴う白斑(例えば、乾癬性関節炎を有する患者は除外される)を有する患者は、以下の条件のすべてが満たされるならば、試験に適格である:
-発疹が覆っている体表面積は<10%でなければならない。
-疾患はベースラインで十分に制御されており、低効力の局所コルチコステロイドのみを必要とする
-過去12ヶ月以内にソラレン+紫外線A照射、メトトレキサート、レチノイド、生物学的薬剤、経口カルシニューリン阻害剤、又は高効力若しくは経口コルチコステロイドを必要とする基礎症状の急性増悪の発生がない。
・試験治療の開始に先立つ3ヶ月以内の有意な心血管疾患(New York Heart Association Class II以上の心疾患、心筋梗塞、脳血管障害等)、不安定な不整脈、又は不安定狭心症。
-既知の冠動脈疾患、上記の基準を満たさないうっ血性心不全、又は<50%の左室駆出率を有する患者は、適切な場合には心臓専門医と相談して、治療医師の意見で最適化された安定した医療レジメンを受けていなければならない。
・特発性肺線維症、器質化肺炎(例:閉塞性細気管支炎)、薬剤性肺炎若しくは特発性肺炎の既往歴又はスクリーニングの胸部CTスキャンで活動性肺炎の証拠。
-放射線領域における放射線肺臓炎(線維症)の既往歴は許容される。
・感染症、菌血症、又は重度の肺炎の合併症のための入院が含まれるが、これらに限定されない、試験治療の開始に先立つ4週以内の重度の慢性若しくは活動性感染症、又は治験責任医師の意見で患者の安全性に影響を及ぼし得るいずれかの活動性感染症。
・試験治療開始に先立つ2週以内の治療用経口又はIV抗生物質による治療
-予防用抗生物質(例えば、尿路感染症又は慢性閉塞性肺疾患の増悪を予防するための)を投与される患者は試験に適格である。
・活動性結核。
・スクリーニング時の陽性EBVウイルスカプシド抗原IgM検査。
-臨床的に必要とされるEBVポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査を実施して急性感染又は慢性活動性感染の疑いをスクリーニングしなければならない。EBV PCR検査が陽性の患者は除外される。
・活動性B型肝炎(慢性又は急性;スクリーニング時のB型肝炎表面抗原[HBsAg]検査で陽性である者と定義される)を有する患者。
-過去にB型肝炎ウイルス(HBV)感染(B型肝炎コア抗体[抗HBc]の存在及びHBsAgの非存在と定義される)を有していた患者は、C1D1に先立ってHBV DNAが検出不能である場合、適格である。
・活動性C型肝炎を有する患者。C型肝炎ウイルス(HCV)抗体陽性である患者は、PCRがHCV RNA陰性である場合にのみ適格である。
・制御不能な腫瘍関連疼痛。
-鎮痛薬を必要とする患者は、研究登録時に安定したレジメンでを受けていなければならない。
・制御不能な胸水、心内膜液滲出、又は反復性のドレナージ手順(毎月1回以上の頻度で)を必要とする腹水。
-留置カテーテル(例えば、PLEURX(登録商標))を有する患者は許容される。
・制御不能な又は症候性の高カルシウム血症(イオン化カルシウム>1.5mmol/L、カルシウム>12mg/dL、又は補正カルシウム>ULN)。
・試験治療の開始に先立ち14日以内の標準の医療管理にも関わらず制御されていない糖尿病又はグレード≧2のカリウム、ナトリウム異常。
・軟骨膜疾患の既往歴。
・抗CTLA-4、抗PD-1、抗PD-L1及び抗-TIGIT治療抗体を含むCD137アゴニスト、T細胞共刺激、又は免疫チェックポイント遮断療法による事前治療。
・試験治療の開始に先立つ4週以内又は薬物の5半減期以内(いずれか長い方)の全身性免疫刺激剤(インターフェロン及びIL-2を含むがこれらに限定されない)による治療
・試験治療の開始に先立って2週以内の全身性免疫抑制薬(コルチコステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキセート、サリドマイド、及び抗TNF-α剤を含むがこれらに限定されない)による治療、又は試験治療中の全身性免疫抑制医薬の必要性が予想されること。ただし、以下を例外とする:
-急性低用量全身性免疫抑制薬又は1回パルス用量の全身性免疫抑制薬(例えば、造影剤アレルギーのための48時間のコルチコステロイド)を投与された患者は、メディカルモニターとの議論後、試験に適格でありうる。
-ミネラルコルチコイド(例えば、フルドロコルチゾン)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)若しくは喘息のための吸入若しくは低用量コルチコステロイド、又は起立性低血圧症若しくは副腎機能不全のための低用量コルチコステロイドを投与された患者は試験に適格である。
・事前の同種異系幹細胞又は固形臓器移植。
・試験治療の開始に先立ち4週以内の生弱毒化ワクチンによる治療、又は試験治療中若しくは試験治療の最終用量後5ヶ月以内にそのようなワクチンの必要性が予期されること。
・試験治療の開始に先立ち28日以内の主要な外科手技若しくは重大な外傷性損傷、又は試験治療の開始に先立ち60日以内の腹部手術、腹部介入若しくは重大な腹部外傷性損傷、又は試験の過程における主要な外科手技の必要性が予測されること、又はそのような手技の副作用から回復していないこと。
・治験薬の使用を禁忌にする他のいずれかの疾患、医学的状態若しくは異常、代謝機能不全、アルコール若しくは薬物の乱用若しくは依存、身体検査の所見、臨床検査の所見は、結果の解釈に影響を及ぼす可能性があるか、又は患者を治療合併症の高いリスクに曝しうる。
・試験治療の開始に先立ち28日以内の治療目的での他のいずれかの治験薬による治療。
・キメラ若しくはヒト化抗体又は融合タンパク質に対する重度のアレルギーアナフィラキシー反応の既往歴。
・チャイニーズハムスター卵巣細胞生成物又はアテゾリズマブ若しくはチラゴルマブ製剤のいずれかの成分に対する既知の過敏症。
・化学療法薬(5-FU及びカペシタビン)に対するアレルギー反応の既往歴。
・カペシタビンの投与を選択された患者における既知のジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(DPD)欠損症又はフルオロピリミジン療法に対する重度かつ予想外の反応の既往歴。
・試験中、又はアテゾリズマブの最終用量後5カ月以内若しくはチラゴルマブの最終用量の90日以内若しくはカペシタビン/5-FUの最終用量後6カ月以内の妊娠若しくは授乳、又は妊娠の意図。
-妊娠可能な女性は、試験治療の開始に先立ち14日以内の血清妊娠検査結果が陰性でなければならない。
【0506】
試験治療
本試験のための治験医薬品(IMP)はアテゾリズマブ及びチラゴルマブである。化学療法薬(5-FU又はカペシタビン)は、照射との併用薬として投与され、非治験医薬品(NIMP)と考慮される。患者は、放射線学的及び生化学的データ、現場での生検結果(利用可能な場合)、及び臨床状態の統合評価の後、試験治療サイクルを終了するか、又は治験責任医師が決定した許容できない毒性若しくは利益の喪失を経験するまで試験治療を投与される。
【0507】
患者は、2つの治療群の一方に無作為に割り当てられ:A群(Atezo+Tira)又はB群(Atezo)。無作為化は、各治療群へのバランスのとれた割り当てを確実にするために、順列ブロック無作為化法の使用を通して1:1の比で行われる。
【0508】
アテゾリズマブ
アテゾリズマブは、放射線学的及び生化学的データ、現場での生検結果(利用可能な場合)、並びに臨床状態の統合評価の後、治験責任医師が決定した許容できない毒性まで又は臨床的有用性が失われるまで、各21日サイクルの1日目に1200mgの固定用量でIV注入により投与される。
【0509】
アテゾリズマブの投与は、訓練された人員と、場合によっては重篤でありうる反応を管理するための適切な機器及び薬剤に直ちにアクセスできるモニターされた設定で行われる。アテゾリズマブ注入は、表9に概説される指示に従って投与される。
【0510】
アテゾリズマブの用量変更は許可されない。
【0511】
【0512】
チラゴルマブ
チラゴルマブは、各21日サイクルの1日目に600mgの固定用量でIV注入によって投与される。第1サイクルの1日目に、アテゾリズマブ注入の完了の60分後にチラゴルマブが投与される。チラゴルマブとアテゾリズマブとの間の間隔は、以前のアテゾリズマブ注入がIRRなしで認容された場合は30分、又は患者が以前のアテゾリズマブ注入でIRRを経験した場合は60分である。チラゴルマブ注入は、表10に概説される指示に従って投与される。
【0513】
チラゴルマブの用量変更は許容されない。
【0514】
【0515】
5-FU及びカペシタビン
5-FU及びカペシタビンは、本試験の化学療法剤である。患者は、現場での臨床診療に従って、治験責任医師の判断に基づき、放射線治療と並行して5-FU又はカペシタビンを投与されるように割り当てられる。
【0516】
5-FUは、以下のガイドラインに従って、放射線治療の間、5又は7日連続で静脈内投与される。
・カペシタビンの適切な一日用量は、体表面積(BSA)に応じて決まる。225mg/m2の5-FUは、試験治療の最初の5週間の間、継続的なIV注入により、週に5又は7日投与される。
カペシタビンは、試験治療の最初の5週間の間、放射線治療と並行して、以下に従って5又は7日/週経口投与される:
・カペシタビンの適切な一日用量は、体表面積(BSA)に応じて決まる。825mg/m2のカペシタビンは、試験治療の最初の5週間の間、週に5又は7日にわたり、1日2回経口投与される。
・カペシタビンは、食事(朝食、夕食)の終了後30分以内に経口投与される。錠剤は、およそ200mLの水(ジュースでなく)で飲み込むべきである。
・カペシタビン用量は、500mgの錠剤の組み合わせ用量である。合計の一日用量は2つの量に分割され、概ね12時間間隔を空けて投与される。錠剤全体を服用するために、2用量を分割してもよい。
【0517】
5日又は7日/週でカペシタビンを、5又は7日/週で5-FUを投与するという選択は、治験責任医師の選択及び/又は現場の管理ガイドラインに依存する。化学療法の用量は、患者の体表面積(BSA)に従って計算される。BSA及び投与される薬物の量は、患者の体重がベースラインから>10%変化(増加又は減少)した場合、再計算しなければならない。体重又はBSAのより小さな変化に基づく投与される薬物の量の再計算は、治験責任医師の裁量である。
【0518】
5-FU又はカペシタビンの用量変更は許可される。
【0519】
放射線治療
45-50.4Gyの合計照射線量は、25-28回に分けて送達され、週末を除き最初の5週間にわたり1日当たり1.8Gyの割合で、フルオロピリミジンに基づく化学療法と並行して送達される。
【0520】
放射線療法の照射野には、2-5cmのマージンの腫瘍又は腫瘍床、並びに直腸間膜、仙骨前結節、及び内腸骨リンパ節が含まれることが推奨される。前方構造を含むT4腫瘍については、外腸骨リンパ節も含める必要がある。
【0521】
複数の照射野が使用されるべきである。照射野内における小腸の堆積を最小化するための位置決め及び他の技術が推奨される。
【0522】
F.支持療法
支持療法(制吐薬、抗ヒスタミン剤、及び鎮痛剤)が、現場での実践基準に従って投与される。. コルチコステロイドの免疫調節効果のために、コルチコステロイドによる前投薬は、臨床上実施可能な程度に最小限にしなければならない。
【0523】
サイクル1のアテゾリズマブ及びチラゴルマブの投与のために、前投薬は指示されない。しかしながら、サイクル1のアテゾリズマブ及び/又はチラゴルマブでIRRを経験する患者は、その後の注入のために、抗ヒスタミン剤、解熱剤、及び/又は鎮痛剤(例えば、アセトアミノフェン)の前投薬を受けてもよい。メタミゾール(ジピロン)は、無顆粒球症を引き起こす可能性があるために、IRRの治療において禁止されている。
【0524】
G.併用療法
併用療法は、試験薬の開始の7日前から治療中断の来院までの治験実施計画書に定められた治療に加えて、患者によって使用される任意の医薬(例えば、処方薬、市販薬、ワクチン、ハーブ療法又はホメオパシー療法、栄養補助食品)からなる。
【0525】
許可された治療
患者は、試験中に以下の治療法を使用することが許される。
・失敗率が年間<1%の経口避妊薬。
・ホルモン補充療法。
・予防的又は治療的抗凝血剤療法(例えば、安定した用量のワルファリン又は低分子量のヘパリン);国際標準化比(INR)を抗凝血剤療法の間綿密にモニタリングする必要がある。
・不活化インフルエンザワクチン接種。
・食欲刺激剤として投与される酢酸メゲストロール。
・ミネラルコルチコイド(例えば、フルドロコルチゾン)。
・慢性閉塞性肺疾患又は喘息のために投与されるコルチコステロイド。
・起立性低血圧又は副腎皮質機能不全のために投与される低用量コルチコステロイド。
・抗ヒスタミン剤、解熱剤、及び/又は鎮痛剤による前投薬は、治験責任医師の裁量で、2回目以降のアテゾリズマブ注入のためにのみ投与されうる。
【0526】
一般に、治験責任医師は、臨床上適応がある場合、現場の標準診療に従って、注意療法又は禁止療法と定義されるもの以外の支持療法で患者のケア(既存の症状を含む)を管理すべきである。注入に関連する症状を経験する患者は、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ジフェンヒドラミン、及び/又はH2受容体アンタゴニスト(例えば、ファモチジン、シメチジン)、又は現場の標準慣行による同等の薬物を用いた対症療法で治療することができる。呼吸困難、低血圧症、喘鳴、気管支痙攣、頻脈、酸素飽和度低下、又は呼吸促拍によって現れる重度の注入関連事象は、臨床上適応がある支持療法(例えば、酸素補充及びβ2アドレナリン作用性アゴニスト)によって管理されなければならない。
【0527】
H.評価
患者は、試験を通して安全性及び忍容性について綿密にモニタリングされる。患者は、各投与に先立って毒性について評価され、投薬は、臨床評価及び現場の臨床検査値が許容できる場合にのみ実施されるべきである。
【0528】
腫瘍評価及び応答評価
患者は、RECIST v1.1による放射線学的疾患進行まで、又は疾患再発、インフォームドコンセントの撤回、死亡、若しくは治験依頼者による試験の終了のうちいずれか最初に起こる方まで、外科手術後6カ月毎に、用量遅延の有無に関係なく、ベースライン、nCRT完了後8週目、及び外科手術に先立つ最終用量のAtezo+Tira又はAtezoの後において腫瘍評価を受ける。したがって、腫瘍評価は、疾患進行以外の理由で治療を中断する患者において、患者が新規の抗がん療法を開始した場合も、スケジュールにしたがって継続する。腫瘍評価は、進行性疾患が疑われる場合は、いつでも繰り返すことができる。
【0529】
すべての測定可能かつ評価可能な病変は、スクリーニング時に評価及び録する必要がある。インフォームドコンセントの取得に先立って及び試験治療の開始に先立って28日以内に標準治療として実施される腫瘍評価は、スクリーニング時に繰り返す必要はない。
【0530】
ベースラインで同定されたすべての測定可能かつ評価可能な病変は、その後の各腫瘍評価において再評価する必要がある。スクリーニングで疾患部位を評価するために使用され同じX放射線手順を、その後の腫瘍評価(例えば、CTスキャンのための同じコントラストプロトコール)に使用すべきである。
【0531】
単一の時点での客観的奏効は、RECIST v1.1に従って治験責任医師によって決定される。
【0532】
バイオマーカー評価
・ベースライン試料における腫瘍のMSI又MMR状態。
・有効性の客観的分析及びバイオマーカーに関する探索的研究のためにベースラインで得られた保存記録の腫瘍組織試料又は新規に収集された腫瘍組織試料。
・有効性客観的分析及びバイオマーカーに関する探索的研究のために外科手術に先立って得られた生検腫瘍組織試料。
・有効性の客観的分析及びバイオマーカーに関する探索的研究のために外科手術において得られた腫瘍組織試料。
【0533】
バイオマーカーに関する探索的研究のための血液試料由来のctDNAは、試験治療の前、試験治療中、及び試験治療の中断時に収集する必要があり、治験責任医師臨床的に必要と決定した場合、追跡期間中に追加の収集を実施することができる。
【0534】
探索的バイオマーカー研究には、腫瘍免疫生物学に関連付けられるタンパク質及び/又は遺伝子シグネチャーの分析が含まれる。腫瘍浸潤リンパ球(TIL)シグネチャーは、中央検査室において、治療前腫瘍試料、外科手術前腫瘍試料及び外科手術腫瘍試料上に染色するマルチプレックス免疫組織化学(mIHC)によって評価される。簡潔には、複数の抗体(FoxP3、CD56、CD8、CD4、グランザイムB、CD155、PD-L1、TIGIT)が、異なる種類のリンパ球の部分母集団及び機能を評価するために、4-5μmのFFPE切片に適用される。候補バイオマーカーを同定及び若しくは評価するため、又は病態バイオロジー及び薬物安全性の理解を深めるために、TILの総数、特定の種類の細胞の数及び/又は密度、異なるマーカーの相関、ベースラインと外科手術前試料との間の変化の比較、並びに進行とそれらの関連といったさらなる分析が実行される。血液試料は、複数の時点で収集される。ctDNAは、全血試料から抽出され、中央検査室において汎がんパネルを用いて分析される。臨床的及び非臨床データに基づき、タンパク質及び/又は遺伝子の分析用アッセイを使用して、腫瘍の薬力学的バイオマーカー及び候補となる予測バイオマーカーを評価して薬物及び病態バイオロジーの作用機序を理解するために、追加の探索的研究を実施することができる。
【0535】
I.分析
統計学的考察及び分析の計画について以下にまとめる。この試験で使用される分析セットは以下のように定義される(表11)。
【0536】
【0537】
試料サイズの決定
本試験の目的は、過去のデータによる、術前の放射線化学療法と比べた病理学的完全奏功(pCR)率に対する、nCRT後のAtezo+Tira又はAtezoの効果に関する推定と仮説の生成である。pCR率の点推定及び区間推定が得られる。この試験では、合計で70名の患者が無作為化される。試料サイズの計算は、以下の仮説に基づいている。
・過去データによれば、術前の放射線化学療法のpCR率は15%である。
・nCRT後のAtezo+Tira(又はAtezo)のpCR率は35%である。
・無作為化は1:1である。
・アルファ=0.05(両面)である。
・パワー=80%である。
【0538】
これら考察に基づくと、術前の放射線化学療法(過去データによればpCR率15%)との比較でpCRの有効性を示すために、Atezo+Tira又はAtezoの各群に合計で31名の患者が登録される必要がある。10%のドロップアウト率を考慮に入れると、各群に35名の患者が必要であり、試験のために70名の患者が無作為化される必要がある。追加の3又は6名の患者が安全性ランインフェーズに登録され、合計で本試験には73又は76名の患者が登録される。
【0539】
試料サイズは、PASS version 16.0.4の“Test for one proportion”を使用して計算される。
【0540】
有効性分析
主要な有効性評価項目
主要評価項目に対し、2つの群の間の比較は実施されない。ITT分析セットは、一次有効性分析の分析のための一次分析セットとして機能する。
【0541】
完全寛解(pCR)率
本試験の主な有効性の目的は、病理学的完全奏功(pCR)率に対するnCRT後のAtezo+Tira又はAtezoの有効性を別々に評価することである。
【0542】
pCR率は、各施設で現場の病理学者により評価された、外科手術で切除された1つ以上の試料においてpCRを達成した患者の割合と定義される。
【0543】
各群のpCR(pCR率)を有する患者の数及びパーセンテージが、対応する95%のClopper-Pearson信頼区間と共に提供される。95% CIの下限が、術前の放射線化学療法のpCR率(過去データに基づく)15%より大きい場合、Atezo+Tira(又はAtezo)の有意性が主張される。
【0544】
加えて、pCR率は、mITT分析セットにおいて評価される。これは探索的研究であるため、多重度調節は実施されない。
【0545】
副次的有効性評価項目
副次評価項目分析において、2つの群の間の比較は実施されない。
【0546】
R0切除率
R0切除率は、病理学者による評価に基づき、原発腫瘍床及び/又はサンプリングされた所属リンパ節に残る大きな腫瘍又は微小腫瘍のない、顕微鏡的断端陰性切除を受けた患者の割合と定義される。
【0547】
各群のR0切除率は、提供される対応する95%のClopper-Pearson信頼区間とともにmITT集団に基づいて評価される。
【0548】
外科手術前の客観的奏効率(ORR)
RECIST v1.1に従って治験責任医師が決定した、完全寛解(CR)又は部分寛解(PR)を有する患者の割合と定義される、外科手術前のORR。
【0549】
RECIST v1.1に従って治験責任医師が評価する各群の客観的奏効率(ORR)は、二項分布を使用して推定され、対応する95%のClopper-Pearson信頼区間とともに度数分布表において分析される。
【0550】
無再発生存(RFS)率
1/2/3年RFS率は、治験責任医師が決定した、1/2/3年目に疾患の再発又は何らかの原因による死亡を経験していない患者の割合と定義される。
【0551】
疾患の再発又は死亡を経験しなかった患者は、最後の腫瘍又は疾患再発評価の時点で打ち切られる。ベースライン後の腫瘍又は疾患再発評価のない患者は、無作為化の日付で打ち切られる。
【0552】
RFS分析は、mITT集団に対して実施される。各群の1、2、及び3年目のRFS率は、関連する95%信頼区間と一緒に、カプラン・マイヤー(KM)手法を使用して取得される。
【0553】
無イベント生存(1/2/3-EFS)率
無作為化から1/2/3年目に以下の事象:外科手術を妨げる疾患の進行、局所若しくは遠隔再発、又は何らかの原因による死亡を経験していない患者の割合と定義される、1/2/3年無イベント生存(1/2/3-EFS)率。
【0554】
打ち切りのルール及びEFS率の分析は、RFS率と同じ様式で実行される。
【0555】
サブグループ分析
サブグループ分析は、pCRの主要評価項目及びDFS/EFSの副次評価項目に対して実施される。
【0556】
1つ以上の分析集団は、主要評価項目又は副次評価項目の分析におけるものと同じである。
サブグループ分析は、ベースライン、外科手術前、及び外科手術腫瘍組織におけるPD-L1/PVR/TIGIT陽性発現を有するバイオマーカーに従うことにより、サブグループ集団に実行される。上記バイオマーカーの記述統計が提供される。
【0557】
安全性分析
安全性分析は、安全性分析セットに対して実施され、異なる期間により分離される:
・nCRT期間:試験免疫療法の無作為化後、初回用量前(又は試験免疫療法を受けていない場合は放射線化学療法への最後の曝露の30日後)の期間。
・逐次的免疫療法期間:試験免疫療法の初回用量から外科手術まで(又は外科手術を受けていない場合は試験免疫療法への最後の曝露の30日後)。
・外科手術後の期間:外科手術後の期間。
【0558】
安全性は、試験治療への曝露、有害事象、臨床検査結果の変化、並びにバイタルサイン及びECGの変化の要約を通して評価される。
【0559】
試験治療曝露(例えば、治療期間、受けた総用量、並びにサイクル数及び用量変更)を記述統計学によって要約する。
【0560】
すべての有害事象用語は逐語的に国際医薬用語集(MedDRA)辞典の用語にマッピングされ、有害事象の重症度は、NCI CTCAE v5.0に従ってグレード付けされ、またCRSの重症度は、ASTCTコンセンサスグレード付けスケールに従って治験責任医師によりグレード付けされる。試験治療の初回用量時又はその後に起こるすべての有害事象、重篤な有害事象、死亡につながる有害事象、特別な関心のある有害事象、及び試験治療の中断につながる有害事象(すなわち、治療中に発生した有害事象)を、マッピングされた用語、適切な類義語レベル、及び重症度によって要約する。様々な重症度の事象について、最高グレードが要約に使用される。死亡及び死亡原因を要約する。
【0561】
関連する検査室、バイタルサイン(呼吸数、脈拍、収縮期及び拡張期血圧、及び体温)、及びECGデータは時間により表示され、必要に応じてグレードが特定される。加えて、ベースライン及びベースライン後の最大重症度をまとめるために、選択された臨床検査のシフトテーブルが使用される。バイタルサイン及びECGの変化を要約する。
【0562】
探索的バイオマーカー分析
計画される探索的バイオマーカー評価項目には、ベースライン、外科手術前組織試料、及び外科手術組織試料中のTIL、並びに末梢血試料から抽出されたctDNA中のバイオマーカーが含まれる。
【0563】
記述統計は、各探索的バイオマーカー評価項目に提供される。これら探索的評価項目に基づくサブグループ分析は、必要に応じて実行される。
【0564】
中間分析
IMCレビューは、最初の20名の無作為化された患者が外科手術を完了したか、又は追跡不能となってから30日後までの安全性データを評価する。
pCR率の最終分析は、最後の患者が試験に登録された後6カ月間実施される。同時に、1年RFS率が分析される。2年及び3年RFS率は、最後の患者の登録後、それぞれ18カ月目及び30カ月目に実施される。
【0565】
その他の実施形態
先述の発明は、理解を明瞭にする目的で、説明及び例示によりある程度詳細に記載されたが、それら記載及び例示は本発明の範囲を限定するものではない。
【配列表】
【国際調査報告】