(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-19
(54)【発明の名称】アミノシリコーン、およびプレートレットタイプのメタリック顔料を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/898 20060101AFI20240711BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20240711BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20240711BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
A61K8/898
A61Q5/06
A61K8/86
A61K8/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506805
(86)(22)【出願日】2022-06-20
(85)【翻訳文提出日】2024-02-02
(86)【国際出願番号】 EP2022066692
(87)【国際公開番号】W WO2023011792
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】102021208460.5
(32)【優先日】2021-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】クルック,コンスタンツェ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーザー,ガブリエレ
(72)【発明者】
【氏名】ヒルビヒ,ザンドラ
(72)【発明者】
【氏名】モッホ,メラニー
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB172
4C083AB212
4C083AB231
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB431
4C083AB432
4C083AC182
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD392
4C083BB23
4C083CC36
4C083DD23
4C083DD28
4C083EE26
(57)【要約】
本発明は、(a1)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー、および(a2)少なくとも1つのプレートレットタイプのメタリック顔料を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための剤に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a1)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー、および
(a2)少なくとも1つのプレートレットタイプのメタリック顔料
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための剤。
【請求項2】
(a1)少なくとも1つの第二級アミノ基を有する少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の剤。
【請求項3】
式(Si-amino):
【化1】
[式中、
ALK1およびALK2は、互いに独立して、直鎖または分枝鎖の二価C
1-C
20アルキレン基を表す]
の少なくとも1つの構造単位を含む少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a1)を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の剤。
【請求項4】
式(Si-I)および式(Si-II):
【化2】
の構造単位を含む少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a1)を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の剤。
【請求項5】
剤の総重量に基づいて、総量で0.1~8.0重量%、好ましくは0.2~5.0重量%、より好ましくは0.3~3.0重量%、非常に特に好ましくは0.4~2.5重量%の1つまたは複数のアミノ官能化シリコーンポリマー(a1)を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の剤。
【請求項6】
(a2)アルミニウム、銅、銀、金、白金、亜鉛、クロム、モリブデンおよび鉄からなる群からの少なくとも1つの金属、特に好ましくはアルミニウムを含む少なくとも1つのプレートレットタイプのメタリック顔料
を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の剤。
【請求項7】
(a2)0.5μm~1mm、好ましくは3μm~500μm、より好ましくは5μm~100μm、非常に特に好ましくは8μm~50μmの平均顔料直径(D50)を有する少なくとも1つのプレートレットタイプのメタリック顔料
を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の剤。
【請求項8】
(a2)プレートレットタイプのメタリック顔料として、好ましくは少なくとも部分的にアルミニウムで構成される少なくとも1つの真空蒸着顔料
を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の剤。
【請求項9】
(a2)少なくとも1つの未コーティングのプレートレットタイプのメタリック顔料、好ましくは少なくとも1つの未コーティングのプレートレットタイプのアルミニウム顔料
を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の剤。
【請求項10】
剤の総重量に基づいて、総量で0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、非常に特に好ましくは0.25~5.5重量%の1つまたは複数のプレートレットタイプのメタリック顔料(a2)を含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の剤。
【請求項11】
前記プレートレットタイプのメタリック顔料(a2)とは異なり、好ましくは有色金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、および/または少なくとも1つの金属酸化物および/または金属酸塩化物でコーティングされた雲母系着色顔料からなる群から選択される少なくとも1つの無機顔料(a3)をさらに含有することを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の剤。
【請求項12】
カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックス番号CI 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックス番号CI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックス番号CI 61565、CI 61570またはCI 74260の緑色顔料、カラーインデックス番号CI 11725、CI 15510、CI 45370またはCI 71105のオレンジ顔料、およびカラーインデックス番号CI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915および/またはCI 75470の赤色顔料からなる群から好ましくは選択される少なくとも1つの有機顔料(a3)を含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれかに記載の剤。
【請求項13】
(a2)少なくとも1つのプレートレットタイプのメタリック顔料、および
(a3)前記プレートレットタイプのメタリック顔料(a2)とは異なる少なくとも1つの無機および/または有機顔料
を含み、
前記剤に含まれる前記プレートレットタイプのメタリック顔料(a2)の総量と、前記剤に含まれる追加の顔料(a3)の総量との重量比、すなわち重量比(a)/(a3)は 5.0~0.1、好ましくは2.5~0.2、より好ましくは1.5~0.4、非常に特に好ましくは1.0~0.5であることを特徴とする、請求項1~12のいずれかに記載の剤。
【請求項14】
剤の総重量に基づいて、0~70.0重量%、好ましくは0.1~35.0重量%、より好ましくは0.2~20.0重量%、特に好ましくは0.3~7.5重量%の水を含むことを特徴とする、請求項1~13のいずれかに記載の剤。
【請求項15】
ポリ-C
1-C
6アルキレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、フェノキシエタノールおよびベンジルアルコール、非常に特に好ましくはポリエチレングリコールからなる群から選択される、少なくとも1つの溶媒を含むことを特徴とする、請求項1~14のいずれかに記載の剤。
【請求項16】
式(AG):
【化3】
[式中、
xは、1~10000の整数、好ましくは2~800の整数、より好ましくは3~600の整数、さらにより好ましくは3~400の整数、非常に特に好ましくは4~20の整数を表す]
の1つまたは複数のポリアルキレングリコールを含み、
式(AG)のポリアルキレングリコールを、剤の総重量に基づいて、総量で好ましくは10.0~99.0重量%、好ましくは30.0~99.0重量%、より好ましくは50.0~99.0重量%、非常に特に好ましくは70.0~99.0重量%含むことを特徴とする、請求項1~15のいずれかに記載の剤。
【請求項17】
ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色する方法であって、請求項1~16に記載の剤をケラチン繊維に適用し、30秒~45分の曝露時間の後に、該当する場合、すすぎ流す方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー、および少なくとも1つのプレートレットタイプのメタリック顔料を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための剤に関する。
【0002】
本出願の別の主題は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色する方法であり、上述の剤をケラチン物質に適用し、該当する場合30秒~45分の暴露時間の後に洗い流す。
【背景技術】
【0003】
ケラチン物質、特にヒトの毛髪の形状および色を変えることは、現代化粧品の重要な分野である。毛髪の色を変えるために、当業者は染色の要求に応じて様々な染色システムに精通している。酸化染料は一般的に、堅牢度が高く、灰色をうまくカバーする、永久的で強い染色に使用される。このような染色剤には、酸化染料前駆体(デベロッパー成分およびカプラー成分として知られている)が含まれ、これらは、例えば過酸化水素などの酸化剤の影響下で実際の染料を形成する。酸化染料は、色の仕上がりが非常に長持ちする点を特徴とする。
【0004】
直接染料を使用すると、すでに形成された染料が染色剤から毛髪繊維の中に拡散する。酸化毛髪染色と比較すると、直接染料で得られる色は耐久性が低く、より早く洗い流される。直接染料での色は、通常5回~20回の洗髪の間、毛髪に残る。
【0005】
毛髪および/または皮膚の色を短時間変化させるためのカラー顔料の使用は知られている。カラー顔料は一般に不溶性の染色物質を意味すると理解される。これらは染色調製物中に小粒子の形態で未溶解のまま存在し、外部から毛髪繊維および/または皮膚表面にのみ沈着する。そのため、界面活性剤含有洗浄剤で数回洗浄すれば、一般的に残留物を残すことなく再び除去できる。この種の様々な製品はヘアマスカラという名称で市販されている。
【0006】
ユーザーが特に長持ちする染色を望む場合、これまでは酸化染色剤の使用が唯一の選択肢であった。しかしながら、何度も最適化を試みたにも関わらず、酸化染毛では不快なアンモニア臭またはアミン臭を完全に避けることはできない。酸化染色剤の使用に伴う毛髪のダメージが残ることも、ユーザーの毛髪に不利な影響を与える。したがって、代替となる高性能の染料および染色工程を探すことが、継続的な課題となっている。最近では、顔料に基づく染色システムが特に注目されている。
【0007】
顔料に基づく染色剤において、主要な課題は、顔料をケラチン物質に均一にかつできるだけ長く結合させることである。顔料はケラチン物質内部に拡散できないため、通常、様々な接着物質を介してケラチン物質表面に固定される。適切な固定物質は、例えば、ケラチン物質上に層またはフィルムを形成し、その中に顔料が埋め込まれるアミノシリコーンなどのポリマー化合物である。染色層の強度または疎水性に応じて、数回洗髪してもケラチン物質上にそれが残り、これにより洗浄堅牢性が向上した染色が形成される。
【0008】
毛髪に使用した場合、染色フィルムの形成に関連し得る主な欠点は、毛髪の感触が損なわれることである。特に、顔料またはアミノシリコーンを大量の範囲で使用すると、髪が重く、油っぽく、不快で、べたつき、さらにはごわごわした感じになり得る。したがって、持続性があり、カバー性があり、さらに毛髪の感触に悪影響を及ぼさない、顔料に基づく染色剤を見出すことに関して、改善の必要性が非常に高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、極めて耐久性のある方法で毛髪に顔料を定着させることを可能にする染色剤を提供することである。この剤を染色法に使用する場合、良好な洗浄堅牢性を備え、優れたカバー力を備えた、特に強力な染色結果が達成される必要がある。同時に、染色後の毛髪は、心地よく滑らかで重くない毛髪の感触を有する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、この前述の目的は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪が、少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマーおよび少なくとも1つのプレートレットタイプのメタリック顔料を含む剤で染色されるとき、顕著な方法で達成できることが見出された。
【0011】
本発明の第一の主題は、
(a1)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー、および
(a2)少なくとも1つのプレートレットタイプのメタリック顔料
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための剤に関する。
【0012】
本発明に至る研究の文脈内で、少なくとも1つのアミノシリコーンと混合したプレートレットタイプのメタリック顔料をケラチン物質、特にヒトの毛髪に適用したときに、特に良好な色結果が得られることを発見することができた。このようにして得られた染色は、特に高いカバー力と均一な色結果によって区別される。プレートレットタイプのメタリック顔料が対応する明るい金属から選択されている場合、光学的に輝き効果も生じさせることができ、顔料で染めた毛髪は元の毛髪の色に比べてより明るく見える。これに関連して、より高濃度のアミノシリコーン(a1)およびプレートレットタイプのメタリック顔料(a2)を使用した後でも、毛髪が依然として自然で滑らかで重くないと感じられることは、非常に特に驚くべきことであることが判明した。これにより、自然な毛髪の感触を得ながら、高いカバー力で特に均一な染色を実現することが可能であった。
【0013】
ケラチン物質
ケラチン物質は、毛髪、皮膚、および爪(例えば、指の爪および/または足の爪など)を意味すると理解される。さらに、ウール、毛皮、および羽毛もケラチン物質の定義に該当する。
【0014】
ケラチン物質は、好ましくはヒトの毛髪、ヒトの皮膚、およびヒトの爪、特に指の爪と足の爪であると理解される。ケラチン物質は、非常に特に好ましくはヒトの毛髪を意味すると理解される。
【0015】
染色剤
本発明の範囲内で、「染色剤」という用語は、顔料の使用によってもたらされるケラチン物質、特に毛髪の着色のために使用される。この着色により、着色化合物としての顔料は、ケラチン物質の表面に特に均質でむらのないフィルムで堆積する。
【0016】
本発明によれば、染色剤は即時使用可能な剤を表す。この即時使用可能な剤は、例えば、容器に充填され、希釈、混合、または他の方法工程をさらに行うことなく、この形態でケラチン物質に適用できる。しかしながら、保存安定性の理由から、即時使用可能な化粧品は、美容師またはユーザーによって使用直前にのみ調製することが非常に特に好ましいことが見出されている。即時使用可能な剤を調製するために、例えば、アミノ官能化シリコーンポリマー(a1)とプレートレットタイプのメタリック顔料(a2)とを混合することが可能であり、成分(a1)および/または(a2)は、濃縮物の形態で提供されるか、または乳濁液/分散液として適切な別個の化粧品担体中に別々に存在することも可能である。剤は、例えば撹拌または振盪することによって混合することができる。
【0017】
言い換えると、本発明の第1の主題は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための剤であり、前記剤は、好ましくは即時使用可能であり、化粧品担体中に:
(a1)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー、および
(a2)少なくとも1つのプレートレットタイプのメタリック顔料
を含む。
【0018】
アミノ官能化シリコーンポリマー(a1)
本発明に必須の第1成分として、本発明による剤は、少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a1)を含む。アミノ官能化シリコーンポリマーは、アミノシリコーンまたはアモジメチコンとも呼ばれる。
【0019】
シリコーンポリマーは一般に、繰り返し有機単位を含む、分子量が少なくとも500g/mol、好ましくは少なくとも1000g/mol、より好ましくは少なくとも2500g/mol、さらに好ましくは少なくとも5000g/molの高分子である。
【0020】
シリコーンポリマーの最大分子量は、重合度(重合モノマーの数)およびバッチサイズに依存し、重合方法によっても決まる。本発明の文脈において、シリコーンポリマーの最大分子量は、107g/mol以下、好ましくは106g/mol以下、特に好ましくは105g/mol以下であることが好ましい。
【0021】
シリコーンポリマーは多数のSi-O繰り返し単位を含み、Si原子は例えばアルキル基または置換アルキル基などの有機残基を有することができる。したがって、シリコーンポリマーは代替的にポリジメチルシロキサンとも呼ばれる。
【0022】
シリコーンポリマーの高分子量に対応して、これらは10超のSi-O繰り返し単位、好ましくは50超のSi-O繰り返し単位、特に好ましくは100超のSi-O繰り返し単位、非常に特に好ましくは500超のSi-O繰り返し単位に基づく。
【0023】
アミノ官能化シリコーンポリマーとは、アミノ基を有する少なくとも1つの構造単位を有する官能化シリコーンを意味すると理解される。アミノ官能化シリコーンポリマーは、好ましくは、各場合に少なくとも1つのアミノ基を有する複数の構造単位を有する。アミノ基とは、第一級アミノ基、第二級アミノ基、および第三級アミノ基を意味すると理解される。これらのアミノ基はすべて酸性環境でプロトン化され、カチオンの形で存在する。
【0024】
原則として、アミノ官能化シリコーンポリマー(a1)は、少なくとも1つの第一級アミノ基、少なくとも1つの第二級アミノ基、および/または少なくとも1つの第三級アミノ基を有する場合に、ポジティブな効果を達成することが可能であった。しかし、少なくとも1つの第二級アミノ基を含むアミノ官能化シリコーンポリマー(a1)が剤に使用された場合に、最も高い色強度を持つ染色が観察された。
【0025】
非常に特に好ましい実施態様において、本発明による剤は、
(a1)少なくとも1つの第二級アミノ基を有する少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー
を特徴とする。
【0026】
第二級アミノ基は、アミノ官能化シリコーンポリマーの異なる位置にあることができる。式(Si-amino):
【化1】
の構造単位を少なくとも1つ、好ましくは複数有するアミノ官能化シリコーンポリマー(a1)を使用した場合に、特に良好な効果が見出された。
【0027】
式(Si-amino)の構造単位において、略号ALKおよびALK2は、それぞれ独立して、直鎖状または分枝状の2価C1-C20アルキレン基である。
【0028】
追加の非常に特に好ましい実施態様において、本発明による剤は、式(Si-amino):
【化2】
[式中、
ALK1およびALK2は、それぞれ独立して、直鎖状または分枝状の2価C
1-C
20アルキレン基を表す]
の少なくとも1つの構造単位を含む少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a1)を含むことを特徴とする。
【0029】
アスタリスク(*)でマークした部位は、常にシリコーンポリマーの他の構造単位との結合を示す。例えば、アスタリスクに隣接するケイ素原子は、追加の酸素原子に結合でき、アスタリスクに隣接する酸素原子は、追加のケイ素原子に結合するか、またはC1-C6アルキル基に結合できる。
【0030】
二価C1-C20アルキレン基は、代替的に、二重結合C1-C20アルキレン基とも呼ばれ、これは、各部分ALK1またはALK2が2つの結合を有し得ることを意味する。
【0031】
ALK1の場合、ケイ素原子はALK1の部分に結合し、第二の結合はALK1と第二級アミノ基の間にある。
【0032】
ALK2の場合、第二級アミノ基はALK2の部分と結合し、第二の結合はALK2と第一級アミノ基の間に形成される。
【0033】
直鎖2価C1-C20アルキレン基の例としては、例えば、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)およびブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)が挙げられる。プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)が特に好ましい。C原子3個の鎖長から始まる2価のアルキレン基は、分岐していてもよい。分岐した2価C3-C20アルキレン基の例としては、(-CH2-CH(CH3)-)および(-CH2-CH(CH3)-CH2-)が挙げられる。
【0034】
追加の特に好ましい実施態様において、式(Si-amino)の構造単位は、シリコーンポリマーが複数の式(Si-amino)の構造単位を含むように、アミノ官能化シリコーンポリマー(a1)中の繰り返し単位を表す。
【0035】
以下に、少なくとも1つの第二級アミノ基を有する、特に好適なアミノ官能化シリコーンポリマー(a1)を挙げる。
【0036】
式(Si-I)および式(Si-II):
【化3】
の構造単位を含む少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a1)を含む剤をケラチン物質に適用した場合、最高の色強度を有する染色が得られた。
【0037】
追加の明示的に非常に特に好ましい実施態様において、本発明による剤は、式(Si-I)および式(Si-II):
【化4】
の構造単位を含む少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a1)を含むことを特徴とする。
【0038】
構造単位(Si-I)および(Si-II)を有する対応するアミノ官能化シリコーンポリマーは、例えば、Dow Chemical Companyから市販されている製品DC 2-8566またはDowsil 2-8566 Amino Fluidであり、これらは「シロキサンおよびシリコーン、3-[(2-アミノエチル)アミノ]-2-メチルプロピルMe、ジ-Me-シロキサン」という名称およびCAS番号106842-44-8を有する。構造単位(Si-I)および(Si-II)を有する別のアミノ官能化シリコーンポリマーは、例えば、同様にDow Chemical Companyから市販されているDOWSIL(商標)AP-8568 Amino Fluidである。
【0039】
別の好ましい実施態様において、本発明による剤は、式(Si-III):
【化5】
[式中、
・mおよびnは、合計(n+m)が1~1000の範囲になるように選択された数を示し、
・nは、0~999の範囲の数、およびmは1~1000の範囲の数であり、
・R1、R2およびR3は、同一または異なっており、ヒドロキシル基またはC1-4アルコキシ基を示し、
・R1~R3基の少なくとも1つはヒドロキシル基を示す]
の少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a1)を含むことを特徴とする。
【0040】
本発明による好ましい追加の剤は、式(Si-IV):
【化6】
[式中、
・pおよびqは、合計(p+q)が1~1000の範囲になるように選択された数を示し、
・pは、0~999の範囲の数、およびqは1~1000の範囲の数であり、
・R1およびR2は異なっており、ヒドロキシ基またはC1-4アルコキシ基を示し、基R1~R2の少なくとも1つはヒドロキシ基を示す]
の少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a1)の含有を特徴とする。
【0041】
式(Si-III)および(Si-IV)のシリコーンは、窒素含有基を有するSi原子の部分によって異なる。式(Si-III)中、R2はヒドロキシル基またはC1-4アルコキシ基を示す一方、式(Si-IV)中の残基はメチル基である。添字mおよびnまたはpおよびqで示される個々のSi部分は、ブロックとして存在する必要はない;その代わりに、個々の単位はランダムに分布もできる、すなわち、式(Si-III)および(Si-IV)において、各R1-Si(CH3)2基は、必ずしも-[O-Si(CH3)2]部分に結合している必要はない。
【0042】
式(Si-V):
【化7】
[式中、
Aは、-OH、-O-Si(CH
3)
3、-O-Si(CH
3)
2OH、または-O-Si(CH
3)
2OCH
3基を表し、
Dは、-H、-Si(CH
3)
3、-Si(CH
3)
2OH、または-Si(CH
3)
2OCH
3基を表し、
b、nおよびcは、0~1000の間の整数を表す
(ただし、
・n>0およびb+c>0
・A=-OHまたはD=-Hの少なくとも一方の条件を満たす
ことを条件とする)]
の少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a1)を含む本発明による剤も、所望の効果に関して特に有効であることが証明されている。
【0043】
上記式(Si-V)において、添字b、cおよびnを有する個々のシロキサン単位はランダムに分布しており、すなわち、それらは必ずしもブロック共重合体ではない。
【0044】
剤(a)は、式(Si-VI):
M(RaQbSiO(4-a-b)/2)x(RcSiO(4-c)/2)yM (Si-VI)
[上記式中、Rは、炭化水素または1~約6個の炭素原子を有する炭化水素基であり、Qは、一般式-R1HZ(式中、R1は、水素原子と基Zに結合した二価の連結基であり、炭素原子および水素原子、炭素原子、水素原子および酸素原子、または炭素原子、水素原子および窒素原子から構成され、Zは、少なくとも1つのアミノ官能基を含む有機の、アミノ官能基である)の極性基であり;「a」は約0~約2の範囲の値をとり、「b」は約1~約3の範囲の値をとり、「a」+「b」は3以下であり、「c」は約1~約3の範囲の数であり、xは1~約2,000、好ましくは約3~約50、最も好ましくは約3~約25の範囲の数であり、yは約20~約10,000、好ましくは約125~約10,000、最も好ましくは約150~約1,000の範囲の数であり、Mは従来技術で知られているような適切なシリコーン末端基、好ましくはトリメチルシロキシである。Rで表される基の非限定的な例としては、アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、ヘキシル、イソヘキシル等;アルケニル基、例えばビニル、ハロビニル、アルキルビニル、アリル、ハロアリルおよびアルキルアリル;シクロアルキル基、例えばシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等;フェニル基;ベンジル基;ハロ炭化水素基、例えば3-クロロプロピル、4-ブロモブチル、3,3,3-トリフルオロプロピル、クロロシクロヘキシル、ブロモフェニル、クロロフェニル等;および硫黄含有基、例えばメルカプトエチル、メルカプトプロピル、メルカプトヘキシル、メルカプトフェニル等;Rは、好ましくは1~約6個の炭素原子を含むアルキル基であり、最も好ましくはRはメチルである。R1の例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ヘキサメチレン、デカメチレン、-CH2CH(CH3)CH2-、フェニレン、ナフチレン、-CH2CH2SCH2CH2-、-CH2CH2OCH2-、-OCH2CH2-、-OCH2CH2CH2-、-CH2CH(CH3)C(O)OCH2-、-(CH2)3C(O)OCH2CH2-、-C6H4C6H4-、-C6H4CH2C6H4-;および-(CH2)3C(O)SCH2CH2-が挙げられる]
で表される1つまたは複数の異なるアミノ官能化シリコーンポリマーを含むこともできる。
【0045】
Zは、少なくとも1つの官能性アミノ基を含む有機アミノ官能基である。Zの可能な式はNH(CH2)zNH2であり、ここでzは1以上である。Zの別の可能な式は、-NH(CH2)z(CH2)zzNHであり、式中、zおよびzzの両方は独立して1以上であり、この構造は、ピペラジニルのようなジアミノ環構造を含む。Zは、最も好ましくは、-NHCH2CH2NH2基である。Zの別の可能な式は、N(CH2)z(CH2)zzNX2または-NX2であり、ここで、X2の各Xは、水素および1~12個の炭素原子を有するアルキル基からなる群から独立して選択され、zzは0である。
【0046】
Qは、最も好ましくは、式-CH2CH2CH2NHCH2CH2NH2の極性、アミノ官能基である。式中、「a」は約0~約2の範囲の値をとり、「b」は約2~約3の範囲の値をとり、「a」+「b」は3以下であり、「c」は約1~約3の範囲の数である。RaQbSiO(4-a-b)/2単位とRcSiO(4-c)/2単位のモル比は、約1:2~約1:65、好ましくは約1:5~約1:65、最も好ましくは約1:15~約1:20の範囲内にある。上記式のシリコーンを1つまたは複数使用する場合、上記式中の様々な可変置換基は、シリコーン混合物中に存在する様々なシリコーン成分で異なることができる。
【0047】
別の好ましい実施態様の範囲内において、本発明による剤は、式(Si-VII):
R’aG3-a-Si(OSiG2)n-(OSiGbR’2-b)m-O-SiG3-a-R’a (Si-VII)
[式中、
・Gは、-H、フェニル基、-OH、-O-CH3、-CH3、-O-CH2CH3、-CH2CH3、-O-CH2CH2CH3、-CH2CH2CH3、-O-CH(CH3)2、-CH(CH3)2、-O-CH2CH2CH2CH3、-CH2CH2CH2CH3、-O-CH2CH(CH3)2、-CH2CH(CH3)2、-O-CH(CH3)CH2CH3、-CH(CH3)CH2CH3、-O-C(CH3)3、または-C(CH3)3であり;
・aは、0~3の間の数、特に0を表し;
・bは、0~1の間の数、特に1を表し;
・mおよびnは、合計(m+n)が1~2000の間、好ましくは50~150の数であり、nは好ましくは0~1999、特に49~149の値をとり、mは好ましくは1~2000、特に1~10の値をとり;
・R’は、以下から選択される1価の基である
・-Q-N(R”)-CH2-CH2-N(R”)2
・-Q-N(R”)2
・-Q-N+(R”)3A-
・-Q-N+H(R”)2A-
・-Q-N+H2(R”)A-
・-Q-N(R”)-CH2-CH2-N+R”H2A-
(ここで、各Qは化学結合、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH2CH2CH2-、-C(CH3)2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2C(CH3)2-、または-CH(CH3)CH2CH2-を表し、
R”は、-H、-フェニル、-ベンジル、-CH2-CH(CH3)Phの群から、C1-20アルキル基から、好ましくは、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH(CH3)2、-CH2CH2CH2H3、-CH2CH(CH3)2、-CH(CH3)CH2CH3、-C(CH3)3である、同一または異なる官能基を表し、Aは好ましくはクロリド、ブロミド、ヨージドまたはメトサルフェートから選択されるアニオンを表す)]
の少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマーを含むことを特徴とする。
【0048】
別の好ましい実施態様において、本発明による剤は、式(Si-VIIa):
【化8】
[式中、mおよびnは、合計(m+n)が1~2,000、好ましくは50~150の間の数であり、nは好ましくは0~1,999、特に49~149の値をとり、mは好ましくは1~2,000、特に1~10の値をとる]
の少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a1)を含むことを特徴とする。
【0049】
これらのシリコーンはINCI名に従い、トリメチルシリルアモジメチコンとして命名されている。
【0050】
別の好ましい実施態様において、本発明による剤は、式(Si-VIIb):
【化9】
[式中、Rは、-OH、-O-CH
3、または-CH
3基を表し、m、n1およびn2は、合計(m+n1+n2)が1~2,000の間、好ましくは50~150の間になる数であり、合計(n1+n2)は、好ましくは0~1,999、特に49~149の値をとり、mは、好ましくは1~2,000、特に1~10の値をとる]
の少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマーを含むことを特徴とする。
【0051】
INCI名によれば、これらのアミノ官能化シリコーンポリマーはアモジメチコンと呼ばれる。
【0052】
どのアミノ官能化シリコーンが使用されるかにかかわらず、本発明による剤は、アミン価が0.25meq/g超、好ましくは0.3meq/g超、特に0.4meq/g超であるアミノ官能化シリコーンポリマー(a1)を含むことが好ましい。ここでのアミン価は、アミノ官能化シリコーン1gあたりのアミンのミリ当量を表す。前記値は滴定によって求めることができ、mgKOH/gの単位で表示してもよい。
【0053】
さらに、特定の4-モルホリノメチル置換シリコーンポリマー(a1)を含む剤も適している。このアミノ官能化シリコーンポリマーは、式(Si-VIII)および式(Si-IX):
【化10】
の構造単位を含む。
【0054】
対応する4-モルホリノメチル置換シリコーンポリマーを以下に示す。
【0055】
好ましいアミノ官能化シリコーンポリマーは、アモジメチコン/モルホリノメチルシルセスキオキサン共重合体の名称で知られており、Wackerの原料Belsil ADM 8301 Eの形態で市販されている。
【0056】
例えば、4-モルホリノメチル置換シリコーンとして、式(Si-VIII)、(Si-IX)および(Si-X):
【化11】
[式中、
R1は、-CH
3、-OH、-OCH
3、-O-CH
2CH
3、-O-CH
2CH
2CH
3、または-O-CH(CH
3)
2を表し;
R2は、-CH
3、-OH、または-OCH
3を表す]
の構造単位を有するシリコーンを使用できる。
【0057】
本発明による特に好ましい剤は、式(Si-XI):
【化12】
[式中、
R1は、-CH
3、-OH、-OCH
3、-O-CH
2CH
3、-O-CH
2CH
2CH
3または-O-CH(CH
3)
2を表し;
R2は、-CH
3、-OH、または-OCH
3を表し、
Bは、-OH、-O-Si(CH
3)
3、-O-Si(CH
3)
2OH、または-O-Si(CH
3)
2OCH
3基を表し、
Dは、-H、-Si(CH
3)
3、-Si(CH
3)
2OH、または-Si(CH
3)
2OCH
3基を表し、
a、bおよびcは、それぞれ独立に、0~1,000の間の整数を表し(ただしa+b+c>0であることを条件とする)
mおよびnは、互いに独立に、1~1,000の間の整数を表す(ただし、
・B=-OHまたはD=-Hの少なくとも一方の条件を満たし、
・ユニットa、b、c、mおよびnは分子内でランダムに、またはブロック状に分布していることを条件とする)]
の少なくとも1つの4-モルホリノメチル置換シリコーンを含む。
【0058】
構造式(Si-XI)は、シロキサン基nおよびmが必ずしも末端基BまたはDに直接結合している必要はないことを示すことを意図している。代わりに、好ましい式(Si-VI)において、a>0またはb>0であり、特に好ましい式(Si-VI)において、a>0およびc>0である;すなわち、末端基BまたはDは、好ましくはジメチルシロキシ基に結合している。式(Si-VI)においても、シロキサン単位a、b、c、mおよびnは、好ましくはランダムに分布している。
【0059】
式(Si-VI)で表され、本発明に従って使用されるシリコーンは、トリメチルシリル末端(DまたはB=-Si(CH3)3)だが、両末端がジメチルシリルヒドロキシ末端であるか、または一方の末端がジメチルシリルヒドロキシ-およびジメチルシリルメトキシ末端であってもよい。本発明の文脈において、特に好ましく使用されるシリコーンは、以下のシリコーンから選択される。
B=-O-Si(CH3)2OH および D=-Si(CH3)3
B=-O-Si(CH3)2OH および D=-Si(CH3)2OH
B=-O-Si(CH3)2OH および D=-Si(CH3)2OCH3
B=-O-Si(CH3)3 および D=-Si(CH3)2OH
B=-O-Si(CH3)2OCH3 および D=-Si(CH3)2OH
これらのシリコーンは、本発明による剤で処理された毛髪の特性を飛躍的に向上させ、酸化処理時の保護を大幅に改善する。
【0060】
本発明による剤がアミノ官能化シリコーンポリマー(a1)を特定の量範囲で含むと、特に有利であることが見出されている。剤が、剤の総重量に基づいて、1つまたは複数のアミノ官能化シリコーンポリマー(a1)を総量で0.1~8.0重量%、好ましくは0.2~5.0重量%、より好ましくは0.3~3.0重量%、非常に特に好ましくは0.4~2.5重量%含む場合、特に良好な結果が得られた。
【0061】
別の特に好ましい実施態様の範囲内で、本発明による剤は、剤の総重量に基づいて、総量で0.1~8.0重量%、好ましくは0.2~5.0重量%、より好ましくは0.3~3.0重量%、非常に特に好ましくは0.4~2.5重量%の1つまたは複数のアミノ官能化シリコーンポリマー(a1)を含むことを特徴とする。
【0062】
プレートレットタイプのメタリック顔料(a2)
第2の必須成分として、本発明による剤は、少なくとも1つのプレートレットタイプのメタリック顔料(a2)を含む。
【0063】
本発明の意味での顔料は、水中25℃で0.5g/L未満、好ましくは0.1g/L未満、さらにより好ましくは0.05g/L未満の溶解度を有する染色化合物を意味すると理解される。例えば、以下に説明する方法を使用して、水への溶解度を決定することができる。0.5gの顔料をビーカーに量り取る。撹拌棒を加える。次に、1リットルの蒸留水を加える。この混合物をマグネチックスターラーで1時間撹拌しながら25℃に加熱する。この期間を過ぎても、顔料の未溶解成分が混合物中に見られる場合、顔料の溶解度は0.5g/L未満である。顔料-水混合物が細かく分散し、顔料の強度が高いために視覚的に評価できない場合、混合物を濾過する。未溶解の顔料の一部が濾紙上に残っている場合、顔料の溶解度は0.5g/L未満である。
【0064】
メタリック顔料は、少なくとも1つの金属および/または少なくとも1つの金属合金を含む顔料を意味すると理解される。金属としては、金属光沢顔料に適したものであればいずれの金属も適している。このような金属は、とりわけ、鉄および鋼であり、例えば、白金、亜鉛、クロムおよびモリブデンである。好ましい金属は、アルミニウム、銅、銀および金である。アルミニウムが非常に特に好ましい。本発明によるメタリック顔料は、例えば顔料中に対応する合金の形態で含まれ得る金属の混合物を含むこともできる。適切な合金は、例えば、アルミニウムブロンズおよび真鍮である。
【0065】
本発明の意味における金属は、酸化状態0を有するこの場合に言及される対応する元素であり、すなわち、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化亜鉛または酸化銅などの金属酸化物は、明らかに金属として理解されるべきではない。
【0066】
さらに非常に特に好ましい実施態様において、本発明による剤は、
(a2)アルミニウム、銅、銀、金、白金、亜鉛、クロム、モリブデンおよび鉄からなる群、特に好ましくはアルミニウムからの少なくとも1つの金属を含む少なくとも1つのプレートレットタイプのメタリック顔料
を含むことを特徴とする。
【0067】
さらに非常に特に好ましい実施態様において、本発明による剤は
(a2)アルミニウムを含む少なくとも1つのプレートレットタイプのメタリック顔料
を含むことを特徴とする。
【0068】
さらに明確に非常に特に好ましい実施態様において、本発明による剤は、
(a2)少なくとも部分的に、アルミニウム、銅、銀、金、白金、亜鉛、クロム、モリブデンおよび鉄からなる群からの金属、特に好ましくはアルミニウムから構成される少なくとも1つのプレートレットタイプのメタリック顔料
を含むことを特徴とする。
【0069】
さらに明確に非常に特に好ましい実施態様において、本発明による剤は、
(a2)少なくとも部分的に、アルミニウム、銅、銀、金、白金、亜鉛、クロム、モリブデンおよび鉄からなる群からの元素金属、特に非常に好ましくはアルミニウムから構成される少なくとも1つのプレートレットタイプのメタリック顔料
を含むことを特徴とする。
【0070】
本発明によるメタリック顔料はプレートレットタイプである。プレートレットは、規則的または不規則な形状であり、その幅および深さがその厚さよりも大きな寸法を有する三次元物体を意味すると理解される。平均寸法を、それぞれの場合、幅、深さ、および厚さを測定するための測定点として適用する。あるいは、メタリック顔料のプレートレットタイプの成分は、基材プレートとも呼ばれる。
【0071】
入射光は、鏡からこれらのメタリック顔料のプレートレット形状の表面に向けて反射される。その光学効果は、周囲のシステムの表面に平行なプレートレットの配向に基づいており、観察者に金属的な効果をもたらす。
【0072】
本発明の染色剤に使用されるプレートレットタイプのメタリック顔料は、多数の基材プレートの形態で存在する。例えば、プレートレットタイプのアルミニウム顔料は、アルミニウムを含むか、または少なくとも部分的に元素アルミニウムで構成される多数の基材プレートからなる顔料である。
【0073】
本発明によるプレートレットタイプのメタリック顔料は、それぞれの場合においてメタリック顔料の重量に対して、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、さらにより好ましくは少なくとも80重量%、さらにより好ましくは少なくとも90重量%の金属元素含有量を好ましくは有する。プレートレットタイプのメタリック顔料がコーティングされている場合、上記の重量データは、コーティングされていないメタリック顔料の重量を指す。本発明の意味の範囲内で、元素金属の前述の含有量は、合金中に存在するそれぞれの金属の部を意味すると理解される。
【0074】
基材プレートは、好ましくはモノリシック構造を有する。この文脈におけるモノリシックとは、基材プレート内で構造変化が生じ得るものの、割れ目、層状化、または介在物のない単一の内蔵ユニットからなることを意味する。基材プレートは均一に構成されることが好ましく、すなわち、プレート内に濃度勾配がない。特に、基材プレートは層から構成されておらず、その中に粒子が分散されていないことが特に好ましい。
【0075】
基材プレートのサイズは、それぞれの用途、特にケラチン物質に対する所望の効果に適合させることができる。本発明に従って使用されるプレートレットタイプのメタリック
顔料は、特に好ましくは、0.5μm(0.5ミクロン)~約1mm(1ミリメートル)、好ましくは3μm(3ミクロン)~約500μm(500ミクロン)、さらにより好ましくは5μm(5ミクロン)~100μm(100ミクロン)、非常に特に好ましくは8μm(8ミクロン)~50μm(50ミクロン)の範囲の平均顔料直径(D50)を有する。
【0076】
別の特に好ましい実施態様において、本発明による剤は、
(a2)0.5μm~1mm、好ましくは3μm~500μm、より好ましくは5μm~100μm、非常に特に好ましくは8μm~50μmの平均顔料直径(D50)を有する少なくとも1つのプレートレットタイプのメタリック顔料
を含むことを特徴とする。
【0077】
粒子のサイズ分布は、例えばレーザー粒度測定法によって決定することができる。この方法では、粒子を粉末の形態で測定することができる。照射されたレーザー光の散乱はさまざまな空間方向で検出され、フラウンホーファー回折理論に従って評価される。この場合、粒子は計算上球として扱われる。したがって、決定された直径は、粒子の実際の形状に関係なく、常にすべての空間方向にわたって決定された等価球直径を指す。回折データの評価は、等価球の直径を対象としたモデルに基づく。したがって、絶対値は得られないが、測定された直径は、プレートレットタイプのメタリック顔料のサイズ特性を説明する上で信頼できる相対値であることが証明されている。サイズ分布は、等価球直径に関する体積平均の形で計算されて決定される。この体積平均サイズ分布は、累積度数分布として表すことができる。簡単にするために、累積度数分布は、例えばD50値などのさまざまな特性値によって特徴付けられる。本発明の意味における「平均顔料直径」または「D50」という用語は、レーザー粒度測定法によって体積平均した前述の粒子サイズ分布の50%が記載の値未満であり、レーザー粒度測定法によって体積平均した前述の粒子サイズ分布の50%が記載の値を超えている。測定は、例えば、ドイツ、Clausthal-ZellerfeldのSympatec GmbH製HELOS粒度分析装置を使用して行うことができる。特に明記しない限り、D50値は、Quixel湿式分散液を備えたSympatec Helosタイプのデバイスを使用して測定された。サンプルを準備するために、調査対象のサンプルをイソプロパノールに3分間事前に分散させた。
【0078】
本発明によるメタリック顔料の平均厚さ(h50)は、好ましくは1nm(1ナノメートル)~約500nm(ナノメートル)、好ましくは約1nm(1ナノメートル)~約300mm(1.5mm)、さらにより好ましくは約1nm~100nm、非常に特に好ましくは5nm~70nmの範囲である。本発明の意味における「平均厚さ」または「h50」という用語は、走査型電子顕微鏡(SEM)による少なくとも100個のメタリック顔料の厚さの算術平均に関する。ここでは、塗布媒体中でのプレートの可能な限り最良の配向が確保される必要がある。この目的のために、メタリック顔料は適切な添加剤を使用して事前に前処理することができる。その後、硬化したラッカーが研磨され、従来のサンプル準備の後、横断面がSEMで観察される。良好な配向を有する粒子のみが計数のために選択される。ここで、平均厚さまたはh50値は、コーティングされていないメタリック顔料に関する。
【0079】
アスペクト比とも呼ばれ、平均サイズと平均厚さとの比で表されるサイズ厚さ比は、好ましくは少なくとも80、好ましくは少なくとも200、より好ましくは少なくとも500、特に好ましくは750超である。
【0080】
本発明に至る研究の過程で、本発明による染色剤において真空蒸着顔料(VMP)からなる群からのメタリック顔料を使用すると、ケラチン物質またはケラチン繊維上に特に良好な色結果に繋がることが判明した。したがって、VMP顔料(a2)およびアミノシリコーン(a1)の組み合わせは、特に長時間持続する方法でケラチン物質を染色するだけでなく、これらの染料は、特に高いカバー力を有し、特に均一な色結果をもたらすことが示された。驚くべきことに、プレートレットタイプの顔料(a2)、特にVMP顔料およびアミノシリコーン(a1)を使用すると、特に柔らかい感触および心地よい毛髪感触を有する染色材料も得られた。
【0081】
真空蒸着顔料(VMP)は、いわゆる物理蒸着(PVD)という特定の方法で製造される極めて薄い金属プレートである。これらの顔料は均一で滑らかな表面を有しており、はがれず、光学的なマイクロミラー効果をもたらす。
【0082】
真空蒸着顔料は、極めて高い光沢、並外れたカバー力、および独特の光学特性を特徴とする。厚さが薄く(約5~70nm)、表面が非常に滑らかであるため、適用後は基質に非常にしっかりと貼り付く傾向がある。非常に滑らかな基質の場合、これによりほぼ鏡のような外観が得られる。真空蒸着顔料(VMP)は、例えば、対応するコーティングされたフィルムの金属または金属合金を剥離することによって得ることができる。真空中で金属化された顔料を含む基材プレートは、本出願の文脈ではVMP基材プレートとも呼ばれる。アルミニウムのVMP基材プレートは、例えば金属化フィルムからアルミニウムを剥離することによって得ることができる。
【0083】
真空蒸着基材プレートは、好ましくは最大70nm、好ましくは50nm(ナノメートル)未満、特に好ましくは最大35nm(ナノメートル)、特に好ましくは最大20nm(ナノメートル)の平均厚さ(h50)を有する。基材プレートの平均厚さは少なくとも1nm(ナノメートル)、好ましくは少なくとも2.5nm(ナノメートル)、特に好ましくは少なくとも5nm(ナノメートル)、例えば少なくとも10nm(ナノメートル)である。基材プレートの厚さの好ましい範囲は、2.5~70nm、5~50nm、10~35nm、2.5~30nm、および5~25nmである。好ましくは、各基材プレートは、可能な限り均一な厚さを有する。基材プレートの厚さが薄いため、顔料は特に高いカバー力を有する。
【0084】
PVD法(物理蒸着法)によって製造される金属層に基づく顔料は、例えば、米国特許第2839378号「Method of making metal flakes」にさらに詳細に記載されている。ここでは、「剥離層」を備えた基材上に蒸着される、層厚が非常に薄い鏡面顔料の製造が記載されている。金属層を適用してフィルムを剥がした後、顔料は機械的応力によって所望の粒径に粉砕される。蒸着法により厚さ35~45nmのメタリック顔料を製造するプロセスが、米国特許第4321087号にさらに詳細に記載されており、これには剥離コートの塗布、金属化プロセス、溶媒浴中での剥離プロセス、粒子の濃縮、および所望の顔料サイズへの超音波粉砕が含まれる。
【0085】
別の特に好ましい実施態様において、本発明による剤は、
(a2)プレートレットタイプのメタリック顔料として、少なくとも1つの真空蒸着顔料
を含むことを特徴とする。
【0086】
別の特に好ましい実施態様において、本発明による剤は、
(a2)プレートレットタイプのメタリック顔料として、少なくとも部分的にアルミニウムから構成される少なくとも1つの真空蒸着顔料
を含むことを特徴とする。
【0087】
メタリック顔料(a2)としてコーティングされていないメタリック顔料を使用した場合、特に良好なカバー力および良好な毛髪感触を有する染色が得られた。
【0088】
さらに非常に特に好ましい実施態様において、本発明による剤は、
(a2)少なくとも1つのコーティングされていないプレートレットタイプのメタリック顔料
を含むことを特徴とする。
【0089】
さらに明確に非常に特に好ましい実施態様において、本発明による剤は、
(a2)少なくとも1つのコーティングされていないプレートレットタイプのアルミニウム顔料
を含むことを特徴とする。
【0090】
真空蒸着顔料は、様々なサプライヤーから市販されている。例えば、Schlenk vakuum社は、Decometal(登録商標)およびAlegrace(登録商標)というブランド名で金属化顔料を提供している。
【0091】
さらなる例は、Metalure(登録商標)(Avery Dennisonによって製造され、ECKARTによって販売される)、またはMetasheen(登録商標)(Ciba)である。
【0092】
しかし、さらなる実施態様の文脈において、基材プレートは、例えば陽極酸化(酸化物層)またはクロメート処理によって、金属または金属合金から不動態化されてもよい。
【0093】
コーティングされていないVMP基材プレート、特に金属または金属合金で作られた基材プレートは、入射光を高度に反射し、明暗のフロップを生み出すが、色の印象はない。
【0094】
色の印象は、例えば光干渉効果から生み出すことができる。このような顔料は、少なくとも単一コーティングされた基材プレートに基づくことができる。これらは、異なる屈折と反射光線を重ね合わせることで干渉効果を示す。
【0095】
したがって、コーティングされたVMP基材プレートに基づく顔料も適切であり得る。基材プレートは、好ましくは、少なくとも50nmのコーティング厚さを有する高屈折率金属酸化物の少なくとも1つのコーティングBを有する。コーティングAは、コーティングBと基材プレートの表面との間に依然として存在することが好ましい。任意で、下層Bとは異なる別のコーティングCが層B上にある。
【0096】
コーティングA、BおよびCに適した材料は、フィルム状かつ永久的に基材プレートに塗布できるすべての物質であり、コーティングAおよびBの場合、必要な光学特性を有する。一般に、光沢効果を有する顔料を得るには、基材プレートの表面の一部をコーティングするだけで十分である。したがって、例えば、基材プレートの上面および/または下面のみをコーティングし、側面は省略することができる。好ましくは、側面を含む、任意に不動態化された基材プレートの表面全体がコーティングBによって覆われる。したがって、基材プレートはコーティングBによって完全に包まれる。これにより、顔料の光学特性が改善され、顔料の機械的および化学的弾性が増大する。上記は層Aにも適用され、層Cが存在する場合には層Cにも適用されることが好ましい。
【0097】
複数のコーティングA、Bおよび/またはCが常に存在し得るが、コーティングされた基材プレートはそれぞれ、コーティングA、B、および存在する場合にはCを1つだけ有することが好ましい。
【0098】
コーティングBは、少なくとも1つの高屈折率金属酸化物から構成される。高屈折率材料は、少なくとも1.9、好ましくは少なくとも2.0、特に好ましくは少なくとも2.4の屈折率を有する。コーティングBは、好ましくは少なくとも95重量%、特に好ましくは少なくとも99重量%の高屈折金属酸化物を含む。
【0099】
コーティングBは、少なくとも50nmの厚さを有する。コーティングBの厚さは、400nm以下が好ましく、多くとも300nmが特に好ましい。
【0100】
コーティングBに適した高屈折金属酸化物は、好ましくは、酸化鉄(III)(α-およびγ-Fe2O3、赤色)、酸化コバルト(II)(青色)、酸化クロム(III)(緑色)、酸化チタン(III)(青色、通常酸窒化チタンおよび窒化チタンとの混合物)、酸化バナジウム(V)(オレンジ)、およびそれらの混合物などの選択的に光を吸収する(すなわち、着色された)金属酸化物である。二酸化チタンおよび/または酸化ジルコニウムなどの無色の高屈折率酸化物も適している。
【0101】
コーティングBは、選択的に吸収する染料を、それぞれコーティングBの総量に基づいて、好ましくは0.001~5重量%、特に好ましくは0.01~1重量%含むことができる。金属酸化物コーティングに安定して組み込むことができる有機染料または無機染料が適している。
【0102】
コーティングAは、少なくとも1つの低屈折率の金属酸化物および/または金属酸化物水和物を有することが好ましい。好ましくは、コーティングAは、少なくとも95重量%、特に好ましくは少なくとも99重量%の低屈折率金属酸化物(水和物)を含む。低屈折率材料は、屈折率が最大1.8、好ましくは最大1.6である。
【0103】
コーティングAに適した低屈折率金属酸化物としては、例えば、(二)酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化ホウ素、酸化ゲルマニウム、酸化マンガン、酸化マグネシウムおよびそれらの混合物が挙げられ、二酸化ケイ素が好ましい。コーティングAは、好ましくは1~100nm、特に好ましくは5~50nm、特に好ましくは5~20nmの厚さを有する。
【0104】
基材プレートの表面とコーティングBの内面との間の距離は、好ましくは最大100nm、特に好ましくは最大50nm、特に好ましくは最大20nmである。コーティングAの厚さ、したがって基材プレートの表面とコーティングBとの間の距離が上記の範囲内にあるため、顔料が高い被覆力を有することが保証される。
【0105】
顔料がVMP基材プレートに基づく層Aを1層のみ有する場合、顔料はアルミニウムからなるVMP基材プレートと二酸化ケイ素の層Aとを有することが好ましい。顔料がVMP基材プレートに基づく層Aおよび層Bを有する場合、顔料はアルミニウムからなるVMP基材プレート、二酸化ケイ素の層A、および酸化鉄の層Bを有することが好ましい。
【0106】
さらなる実施態様によれば、顔料は、下にあるコーティングBとは異なる金属酸化物(水和物)からなる別のコーティングCを有する。適切な金属酸化物は、例えば、(二)酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化亜鉛、酸化スズ、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄(III)、酸化クロム(III)である。二酸化ケイ素が好ましい。
【0107】
コーティングCの厚みは、好ましくは10~500nm、特に好ましくは50~300nmである。例えばTiO2に基づくコーティングCを設けることにより、高いカバー力を維持しながら、より良好な干渉を達成することができる。
【0108】
層AおよびCは、特に腐食防止ならびに化学的および物理的安定化のためのものである。層AおよびCは、ゾルゲル法によって塗布される二酸化ケイ素または酸化アルミニウムを含むことが特に好ましい。この方法は、コーティングされていないVMP基材プレート、または層Aおよび/または層BですでにコーティングされたVMP基材プレートを、テトラエチルオルトシリケートまたはアルミニウムトリイソプロパノレートなどの金属アルコキシドの溶液(通常は有機溶媒、または有機溶媒と炭素数1~4のアルコールなどの有機溶媒を50重量%以上含む水との混合物)中に分散させること、弱塩基または酸を加えて金属アルコキシドを加水分解し、(コーティングされた)基材プレート表面に金属酸化物のフィルムを形成することを含む。
【0109】
層Bは、例えば、1つ以上の有機金属化合物の加水分解によって、および/または1つ以上の溶解金属塩の沈殿および任意の後続の後処理(例えば、形成された水酸化物含有層を焼戻しにより酸化物層に移動させる)によって形成することができる。
【0110】
コーティングA、Bおよび/またはCのそれぞれは、2つ以上の金属酸化物(水和物)の混合物から構成され得るが、コーティングのそれぞれは、好ましくは1つの金属酸化物(水和物)から構成される。
【0111】
コーティングされたVMP基材プレートに基づく顔料は、好ましくは70~500nm、特に好ましくは100~400nm、特に好ましくは150~320nm、例えば180~290nmの厚さを有する。基材プレートの厚さが薄いため、顔料は特に高いカバー力を有する。コーティングされた基材プレートの薄い厚さは、特に、コーティングされていない基材プレートの厚さが薄いためだけでなく、コーティングAおよび存在する場合にはCの厚さが可能な限り小さい値に設定されているために達成される。コーティングBの厚さは顔料の色の印象を決定する。
【0112】
ケラチン物質におけるコーティングされたVMP基材プレートに基づく顔料の接着性および耐摩耗性は、層A、BまたはCの構造に応じて、シラン、リン酸エステル、チタネート、ボレート、またはカルボン酸などの有機化合物を使用して最外層をさらに修飾することによって、大幅に増加させることができる。前記有機化合物は、最外層、好ましくは金属酸化物含有層A、BまたはCの表面に結合する。最外層とは、VMP基材プレートから空間的に最も遠く離れた層を指す。有機化合物は、金属酸化物含有層A、BまたはCに結合できる官能性シラン化合物であることが好ましい。これらは、単官能性化合物であっても二官能性化合物であってもよい。二官能性有機化合物の例としては、メタクリロキシプロペニルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2-アクリロキシエチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2-メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、2-アクリロキシエチルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、3-メタクリロキシプロピルトリス(ブトキシエトキシ)シラン、3-メタクリロキシプロピルトリス(プロポキシ)シラン、3-メタクリロキシプロピルトリス(ブトキシ)シラン、3-アクリロキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、3-アクリロキシプロピルトリス(ブトキシエトキシ)シラン、3-アクリロキシプロピルトリス(ブトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルエチルジクロロシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、フェニルビニルジエトキシシラン、またはフェニルアリルジクロロシランが挙げられる。さらに、単官能性シラン、特にアルキルシランまたはアリールシランによる修飾を行うことができる。これは、コーティングされたVMP基材プレートに基づく顔料の表面(つまり、最外層の金属酸化物含有層)、または被覆が完全でない場合は金属表面に共有結合できる官能基を1つだけ有している。シランの炭化水素官能基は顔料とは反対側を向いている。シランの炭化水素官能基の種類と性質とに応じて、顔料の程度の異なる疎水性が達成される。このようなシランの例は、ヘキサデシルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシランなどである。特に好ましくは、シリカコーティングされたアルミニウム基材プレートに基づく顔料は、単官能性シランで表面改質される。オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、およびヘキサデシルトリエトキシシランが特に好ましい。表面特性/疎水性の変化の結果として、適用時の接着性、耐摩耗性、および配向性の向上が達成できる。
【0113】
プレートレットタイプのメタリック顔料(a2)の使用量は、所望の色効果に応じて選択できる。剤が、剤の総重量に基づいて、総量で0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、特に好ましくは0.4~5.5重量%の1つまたは複数のメタリック顔料(a2)を含む場合に、特に良好な結果が得られた。
【0114】
別の非常に特に好ましい実施態様において、本発明による剤は、剤の総重量に基づいて、総量で0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、非常に特に好ましくは0.4~5.5重量%の1つまたは複数のプレートレットタイプのメタリック顔料(a2)を含むことを特徴とする。
【0115】
(a2)とは異なるさらなる顔料(a3)
本発明による染色剤は、プレートレットタイプのメタリック顔料(a2)とは異なる1つまたは複数のさらなる顔料(a3)をさらに含むこともできる。適切な追加のカラー顔料(a3)は、無機起源および/または有機起源のものであってよい。
【0116】
好ましいカラー顔料は、合成または天然の無機顔料から選択される。天然由来の無機カラー顔料は、例えば、チョーク、黄土、アンブラ、緑土、バーントシェンナ、または黒鉛などから製造できる。さらに、例えば酸化鉄ブラックなどの黒色顔料、例えばウルトラマリンや酸化鉄レッドのような有彩色顔料、さらには蛍光顔料や燐光顔料も無機カラー顔料として使用できる。
【0117】
着色金属酸化物、水酸化物および酸化物水和物、混合相顔料、硫黄含有ケイ酸塩、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、クロム酸塩および/またはモリブデン酸塩が特に適している。特に好ましいカラー顔料は、黒色酸化鉄(CI 77499)、黄色酸化鉄(CI 77492)、赤色および褐色酸化鉄(CI 77491)、マンガンバイオレット(CI 77742)、ウルトラマリン(ナトリウムアルミニウムスルホシリケート、Cl 77007、ピグメントブルー29)、酸化クロム水和物(CI 77289)、アイアンブルー(フェロシアン化第二鉄、Cl 77510)および/またはカーマイン(コチニール)である。
【0118】
本発明による同様に特に好ましいカラー顔料は、着色真珠光沢顔料である。これらは通常雲母をベースとしており、1つまたは複数の金属酸化物でコーティングされていてよい。雲母はフィロケイ酸塩である。これらのケイ酸塩の最も重要な代表は、白雲母、金雲母、パラゴナイト、黒雲母、レピドライト、およびマーガライトである。金属酸化物と組み合わせて真珠光沢顔料を製造するために、雲母、主に白雲母または金雲母を金属酸化物でコーティングする。
【0119】
天然雲母の代替として、1つまたは複数の金属酸化物でコーティングした合成雲母も真珠光沢顔料として使用できる。特に好ましい真珠光沢顔料は、天然雲母または合成雲母に基づき、前述の金属酸化物の1つまたは複数でコーティングされている。それぞれの顔料の色は、金属酸化物の層厚を変えることで変化させることができる。
【0120】
別の好ましい実施態様において、本発明による剤は、プレートレットタイプのメタリック顔料(a2)とは異なり、着色金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、および/または少なくとも1つの金属酸化物および/または金属酸塩化物でコーティングされた雲母に基づく着色顔料からなる群から好ましくは選択される、少なくとも1つの無機顔料(a3)をさらに含むことを特徴とする。
【0121】
したがって、特に好ましくは、以下を含むケラチン物質、特にヒトの毛髪の染色剤が好ましい:
(a1)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー、および
(a2)少なくとも1つのプレートレットタイプのメタリック顔料、および
(a3)前記プレートレットタイプのメタリック顔料(a2)とは異なる少なくとも1種の無機顔料。
【0122】
別の好ましい実施態様において、本発明による剤は、二酸化チタン(CI 77891)、黒色酸化鉄(CI 77499)、黄色酸化鉄(CI 77492)、赤色および/または褐色酸化鉄(CI 77491、CI 77499)、マンガンバイオレット(CI 77742)、ウルトラマリン(スルホケイ酸ナトリウムアルミニウム、CI 77007、ピグメントブルー29)、酸化クロム水和物(CI 77289)、酸化クロム(CI 77288)、および/またはアイアンブルー(フェロシアン化第二鉄、CI 77510)からなる群からの1つまたは複数の金属酸化物でコーティングされた雲母に基づく顔料から選択される顔料からなる群からの少なくとも1つの染色化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0123】
特に好適なカラー顔料の例は、例えば、Merck社からRona(登録商標)、Colorona(登録商標)、Xirona(登録商標)、Dichrona(登録商標)およびTimiron(登録商標)、Sensient社からAriabel(登録商標)およびUnipure(登録商標)、Eckart Cosmetic Colors社からPrestige(登録商標)、およびSunstar社からSunshine(登録商標)の商品名で市販されている。
【0124】
商品名Colorona(登録商標)の非常に特に好ましいカラー顔料は、例えば以下の通りである。
Colorona Copper, Merck, 雲母、CI 77491(酸化鉄)
Colorona Passion Orange, Merck, 雲母、CI 77491(酸化鉄)、アルミナ
Colorona Patina Silver, Merck, 雲母、CI 77499(酸化鉄)、CI 77891(二酸化チタン)
Colorona RY, Merck, CI 77891(二酸化チタン)、雲母、CI 75470(カーマイン)
Colorona Oriental Beige, Merck, 雲母、CI 77891(二酸化チタン)、CI 77491(酸化鉄)
Colorona Dark Blue, Merck, 雲母、二酸化チタン、フェロシアン化鉄
Colorona Chameleon, Merck, CI 77491(酸化鉄)、雲母
Colorona Aborigine Amber, Merck, 雲母、CI 77499(酸化鉄)、CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Blackstar Blue, Merck, CI 77499(酸化鉄)、雲母
Colorona Patagonian Purple, Merck, 雲母、CI 77491(酸化鉄)、CI 77891(二酸化チタン)、CI 77510(フェロシアン化鉄)
Colorona Red Brown, Merck, 雲母、CI 77491(酸化鉄)、CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Russet, Merck, CI 77491(二酸化チタン)、雲母、CI 77891(酸化鉄)
Colorona Imperial Red, Merck, 雲母、二酸化チタン(CI 77891)、D&C RED NO. 30(CI 73360)
Colorona Majestic Green, Merck, CI 77891(二酸化チタン)、雲母、CI 77288(酸化クロムグリーン)
Colorona Light Blue, Merck, 雲母、二酸化チタン(CI 77891)、フェロシアン化鉄(CI 77510)
Colorona Red Gold, Merck, 雲母、CI 77891(二酸化チタン)、CI 77491(酸化鉄)
Colorona Gold Plus MP 25, Merck, 雲母、二酸化チタン(CI 77891)、酸化鉄(CI 77491)
Colorona Carmine Red, Merck, 雲母、二酸化チタン、カーマイン
Colorona Blackstar Green, Merck, 雲母、CI 77499(酸化鉄)
Colorona Bordeaux, Merck, 雲母、CI 77491(酸化鉄)
Colorona Bronze, Merck, 雲母、CI 77491(酸化鉄)
Colorona Bronze Fine, Merck, 雲母、CI 77491(酸化鉄)
Colorona Fine Gold MP 20, Merck, 雲母、CI 77891(二酸化チタン)、CI 77491(酸化鉄)
Colorona Sienna Fine, Merck, CI 77491(酸化鉄)、雲母
Colorona Sienna, Merck, 雲母、CI 77491(酸化鉄)
Colorona Precious Gold, Merck, 雲母、CI 77891(二酸化チタン)、シリカ、CI 77491(酸化鉄)、酸化スズ
Colorona Sun Gold Sparkle MP 29, Merck, 雲母、二酸化チタン、酸化鉄、雲母、CI 77891、CI 77491 (EU)
Colorona Mica Black, Merck, CI 77499(酸化鉄)、雲母, CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Bright Gold, Merck,雲母、CI 77891(二酸化チタン)、CI 77491(酸化鉄)
Colorona Blackstar Gold, Merck, 雲母、CI 77499(酸化鉄)
【0125】
Xirona(登録商標)の商品名を有するさらなる特に好ましいカラー顔料は、例えば以下の通りである。
Xirona Golden Sky, Merck, シリカ、CI 77891(二酸化チタン)、酸化スズ
Xirona Caribbean Blue, Merck, 雲母、CI 77891(二酸化チタン)、シリカ、酸化スズ
Xirona Kiwi Rose, Merck, シリカ、CI 77891(二酸化チタン)、酸化スズ
Xirona Magic Mauve, Merck, シリカ、CI 77891(二酸化チタン)、酸化スズ
【0126】
さらに、Unipure(登録商標)の商品名を有する特に好ましいカラー顔料は、例えば以下の通りである。
Unipure Red LC 381 EM, Sensient, CI 77491(酸化鉄)、シリカ
Unipure Black LC 989 EM, Sensient, CI 77499(酸化鉄)、シリカ
Unipure Yellow LC 182 EM, Sensient, CI 77492(酸化鉄)、シリカ
【0127】
別の実施態様において、本発明による剤は、有機顔料からなる群からの1つまたは複数の染色化合物(a3)もさらに含有できる。
【0128】
本発明による有機顔料は、例えば、ニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、アントラキノン、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、インディゴ、チオインジド、ジオキサジン、および/またはトリアリールメタン化合物の群から選択され得る、対応する不溶性有機染料またはカラーレーキである。
【0129】
特に好適な有機顔料としては、例えば、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックス番号CI 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100またはCI 74160の青色顔料、カラーインデックス番号CI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000またはCI 47005の黄色顔料、カラーインデックス番号CI 61565、CI 61570またはCI 74260の緑色顔料、カラーインデックス番号CI 11725、CI 15510、CI 45370またはCI 71105のオレンジ顔料、およびカラーインデックス番号CI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915および/またはCI 75470を有する赤色顔料を挙げることができる。
【0130】
別の特に好ましい実施態様において、本発明による剤は、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックス番号CI 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100またはCI 74160の青色顔料、カラーインデックス番号CI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000またはCI 47005の黄色顔料、カラーインデックス番号CI 61565、CI 61570またはCI 74260の緑色顔料、カラーインデックス番号CI 11725、CI 15510、CI 45370またはCI 71105のオレンジ顔料、およびカラーインデックス番号CI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915および/またはCI 75470を有する赤色顔料からなる群から好ましくは選択される、少なくとも1つの有機顔料(a3)をさらに含むことを特徴とする。
【0131】
したがって、特に好ましくは、以下を含むケラチン物質、特にヒトの毛髪の染色剤が好ましい:
(a1)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー、および
(a2)少なくとも1つのプレートレットタイプのメタリック顔料、および
(a3)少なくとも1つの有機顔料。
【0132】
有機顔料はカラーレーキであってもよい。本発明の意味におけるカラーレーキという用語は、吸収された染料の層を含む粒子を意味すると理解され、粒子と染料とからなるユニットは上記の条件下で不溶性である。粒子は、例えば、アルミニウム、シリカ、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸アルミニウムカルシウムまたはアルミニウムなどの無機基質であってもよい。
【0133】
例えば、アリザリンカラーレーキをカラーレーキとして使用できる。
【0134】
その優れた耐光性および耐熱性のために、本発明による方法における前述の顔料の使用は、非常に特に好ましい。使用される顔料が一定の粒径を有する場合、さらに好ましい。したがって、本発明によれば、少なくとも1つの顔料が1.0~50μm、好ましくは5.0~45μm、好ましくは10~40μm、特に14~30μmの平均粒径D50を有すると有利である。平均粒径D50は、例えば動的光散乱(DLS)を用いて決定できる。
【0135】
顔料(a3)は、剤中である量範囲で好ましくは使用される。
【0136】
剤が、剤の総重量に基づいて、総量で0.01~10.0重量%、好ましくは0.1~5.0重量%、より好ましくは0.2~2.5重量%、特に好ましくは0.25~1.5重量%の1つまたは複数の顔料(a3)を含む場合に、特にポジティブな結果が得られた。
【0137】
別の非常に特に好ましい実施態様において、本発明による剤は、剤の総重量に基づいて、総量で0.01~10.0重量%、好ましくは0.1~5.0重量%、より好ましくは0.2~2.5重量%、特に好ましくは0.25~1.5重量%の1つまたは複数の顔料(a3)を含むことを特徴とする。
【0138】
別の非常に特に好ましい実施態様において、本発明による剤は、剤の総重量に基づいて、総量で0.01~10.0重量%、好ましくは0.1~5.0重量%、より好ましくは0.2~2.5重量%、特に好ましくは0.25~1.5重量%の1つまたは複数の無機顔料(a3)を含むことを特徴とする。
【0139】
別の非常に特に好ましい実施態様において、本発明による剤は、剤の総重量に基づいて、総量で0.01~10.0重量%、好ましくは0.1~5.0重量%、より好ましくは0.2~2.5重量%、特に好ましくは0.25~1.5重量%の1つまたは複数の有機顔料(a3)を含むことを特徴とする。
【0140】
得られる色結果の色合いの程度は、本発明による染色剤において追加の無機または有機顔料(a3)を任意に使用することによって増加させることができる。驚くべきことに、プレートレットタイプのメタリック顔料(a2)とさらなる無機顔料および/または有機顔料(a3)を互いに特定の重量比で使用すると、色の変化に加えて、十分に高い平滑性または毛髪感触の改善も得られた。剤中に含まれるプレートレットタイプのメタリック顔料(a2)の総量と、剤中に含まれる追加の顔料(a3)の総量との重量比、すなわち重量比(a)/(a3)が、5.0~0.1、好ましくは2.5~0.2、より好ましくは1.5~0.4、非常に特に好ましくは1.0~0.5の場合に特に有利であることが見出された。
【0141】
したがって、さらなる実施態様において、非常に特に好ましいものは、
(a1)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー、および
(a2)少なくとも1つのプレートレットタイプのメタリック顔料、および
(a3)前記プレートレットタイプのメタリック顔料(a2)とは異なる少なくとも1つの無機および/または有機顔料、
含む剤であって、
前記剤に含まれるプレートレットタイプのメタリック顔料(a2)の総量と、前記剤に含まれる追加の顔料(a3)の総量との重量比、すなわち重量比(a)/(a3)が、5.0~0.1、好ましくは2.5~0.2、より好ましくは1.5~0.4、非常に特に好ましくは1.0~0.5である剤である。
【0142】
さらに非常に特に好ましい実施態様において、本発明による剤は、
(a2)少なくとも1つのプレートレットタイプのメタリック顔料、および
(a3)前記プレートレットタイプのメタリック顔料(a2)とは異なる少なくとも1つの無機および/または有機顔料
を含み、
剤に含まれるプレートレットタイプのメタリック顔料(a2)の総量と、剤に含まれる追加の顔料(a3)の総量との重量比、すなわち重量比(a)/(a3)が、5.0~0.1、好ましくは2.5~0.2、より好ましくは1.5~0.4、非常に特に好ましくは1.0~0.5であることを特徴とする。
【0143】
剤中の水分量
上述の剤は、ケラチン物質に適用できる、即時使用可能な剤である。この即時使用可能な剤は、低~中程度の含水量を有することが好ましい。特に、剤の総重量に基づいて、0.1~70.0重量%、好ましくは0.5~35.0重量%、より好ましくは1.0~20.0重量%、特に好ましくは1.5~7.5重量%の水を含む剤が適していることが見出されている。
【0144】
別の明らかに非常に特に好ましい実施態様において、本発明による剤は、剤の総重量に基づいて、0~70.0重量%、好ましくは0.1~35.0重量%、より好ましくは0.1~35.0重量%、さらに好ましくは0.2~20.0重量%、特に好ましくは0.3~7.5重量%の水を含むことを特徴とする。
【0145】
剤中の溶媒
本発明による剤における溶媒の使用は、非常に良好な結果をもたらした。このため、本発明による剤は、任意の成分として少なくとも1つの溶媒をさらに含むことができる。
【0146】
使用できる好適な溶媒は、例えば、ポリ-C1-C6-アルキレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、フェノキシエタノールおよびベンジルアルコールからなる群からの溶媒である。ポリエチレングリコールの使用が非常に特に好ましい。
【0147】
さらに非常に特に好ましい実施態様において、本発明による剤は、ポリ-C1-C6-アルキレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、フェノキシエタノール、およびベンジルアルコールからなる群からの少なくとも1つの溶媒を含むことを特徴とし、非常に特に好ましくはポリエチレングリコールである。
【0148】
代替的に、1,2-プロピレングリコールは、1,2-プロパンジオールとも呼ばれ、CAS番号は、57-55-6[(RS)-1,2-ジヒドロキシプロパン]、4254-14-2[(R)-1,2-ジヒドロキシプロパン]、および4254-153[(S)-1,2-ジヒドロキシプロパン]である。エチレングリコールは、代替的に1,2-エタンジオールとも呼ばれ、CAS番号は107-21-1である。グリセロールは、代替的に1,2,3-プロパントリオールとも呼ばれ、CAS番号は56-81-5である。フェノキシエタノールのCAS番号は122-99-6である。
【0149】
上述した溶媒はすべて、AldrichまたはFluka等の様々な化学品サプライヤーから市販されている。
【0150】
さらに好ましい実施態様の文脈において、本発明による剤は、剤の総重量に基づいて、ポリ-C1-C6-アルキレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、フェノキシエタノール、およびベンジルアルコールからなる群からの1つまたは複数の溶媒を、総量で10.0~99.0重量%、好ましくは30.0~99.0重量%、より好ましくは50.0~99.0重量%、非常に特に好ましくは70.0~99.0重量%含むことを特徴とする。
【0151】
式(AG)のアルキレングリコール
非常に特に適切な溶媒は、式(AG):
【化13】
[式中、
xは、1~10000の整数、好ましくは2~800の整数、より好ましくは3~600の整数、さらにより好ましくは3~400の整数、非常に特に好ましくは4~200の整数を表す]
のアルキレングリコールである。
【0152】
したがって、さらに非常に特に好ましい実施態様において、本発明による剤は、式(AG):
【化14】
[式中、
xは、1~10000の整数、好ましくは2~800の整数、より好ましくは3~600の整数、さらにより好ましくは3~400の整数、非常に特に好ましくは4~200の整数を表す]
の1つまたは複数アルキレングリコールを含むことを特徴とする。
【0153】
式(AG)のアルキレングリコールは、少なくとも1つのヒドロキシ基を有するプロトン性物質であり、その繰り返し-CH2-CH2-O-単位のため、xが少なくとも2の値である限り、ポリアルキレングリコールまたはポリエチレングリコールとも呼ばれる。式(AG)のアルキレングリコールにおいて、xは1~10,000の整数である。本発明に至る研究の文脈において、これらのポリエチレングリコールは、一方では染色剤の堅牢性を改善し、他方では剤の粘度を最適に調整するのに特に好ましい適合性を示すことが見出された。
【0154】
ポリエチレングリコールは鎖の長さにより、液体または固体の水溶性ポリマーである。200g/mol~400g/molの間の分子量のポリエチレングリコールは、室温で不揮発性の液体である。PEG 600の融点は17~22℃であり、ペースト状の粘稠度である。分子量が3,000g/molを超えるPEGは固体物質であり、フレークまたは粉末として市販されている。
【0155】
特に、低分子量アルキレングリコール(または、それぞれポリエチレングリコール)の使用が、本発明による目的を達成するのによく適していることが証明されている。本発明の文脈における低分子量アルキレングリコール(またはポリエチレングリコール)の場合、xは1~100の整数、好ましくは1~80の整数、より好ましくは2~60の整数、さらに好ましくは3~40の整数、さらにより好ましくは4~20の整数、非常に特に好ましくは6~15の整数を表す。
【0156】
別の非常に特に好ましい実施態様の文脈において、本発明による剤は、式(AG-1):
【化15】
[式中、
x1は、1~100の整数、好ましくは1~80の整数、より好ましくは2~60の整数、さらに好ましくは3~40の整数、さらにより好ましくは4~20の整数、非常に特に好ましくは6~15の整数を表す]
の少なくとも1つのアルキレングリコールを含むことを特徴とする。
【0157】
特に好ましい低分子量ポリエチレングリコールは、例えばPEG-8である。PEG-8は平均して8個のエチレングリコール単位を含み(x1=8)、平均分子量は400g/molで、CAS番号は25322-68-3である。PEG-8はPEG400とも呼ばれ、例えばAPSから市販されている。
【0158】
さらに適した低分子量ポリエチレングリコールは、例えばPEG-6、PEG-7、PEG-9およびPEG-10である。
【0159】
別の好適なポリエチレングリコールは、例えばPEG-32である。PEG-32は32個のエチレングリコール単位を含み(x1=32)、平均モル質量は1,500g/molで、CAS番号は25322-68-3である。PEG-32はPEG 1500とも呼ばれ、例えばClariantから市販されている。
【0160】
さらに、本発明による目的を達成するために、高分子量のポリエチレングリコールを使用することも適していることが証明されている。
【0161】
本発明の意味における高分子量ポリエチレングリコールは、式(AG-2):
【化16】
で表すことができ、指数x2は、101~10,000の整数を表す。
【0162】
非常に適した高分子量ポリエチレングリコールの場合、x2は101~1,000の整数、好ましくは105~800の整数、より好ましくは107~600の整数、さらに好ましくは109~400の整数、非常に特に好ましくは110~200の整数を表す。
【0163】
別の非常に特に好ましい実施態様において、本発明による剤は、式(AG-2):
【化17】
[式中、
x2は101~1,000の整数、好ましくは105~800の整数、より好ましくは107~600の整数、さらに好ましくは109~400の整数、非常に特に好ましくは110~200の整数を表す]
の少なくとも1つのアルキレングリコールを含むことを特徴とする。
【0164】
特に好適な高分子量ポリエチレングリコールは、例えばPEG 6000で、National Starch社(中国)から市販されている。PEG 6000の分子量は6000~7500g/molで、x2値は136~171に相当する。
【0165】
別の適切なポリエチレングリコールはPEG 12000であり、例えば、ポリエチレングリコール 12000 S(またはPEG 12000 S)という商品名でCG Chemicalsから市販されている。PEG 12000の分子量は10,500~15,000g/molで、x2値は238~341に相当する。
【0166】
別の適切なポリエチレングリコールはPEG 20000であり、これはポリグリコール20000 Pという商品名またはPEG-350という代替名でClariantから市販されている。PEG20000の平均分子量は20,000g/molで、x2値は454に相当する。
【0167】
驚くべきことに、低分子量ポリエチレングリコールおよび高分子量ポリエチレングリコールの両方を含む染色剤は、これらの剤が両方とも非常に良好な堅牢特性を有し、それらのレオロジープロファイルに関して最適化されているため、特に好ましい適用特性を有することが見出されている。
【0168】
別の明白に非常に特に好ましい実施態様の範囲内で、本発明による剤は、
・式(AG-1):
【化18】
[式中、
x1は、1~100の整数、好ましくは1~80の整数、より好ましくは2~60の整数、さらに好ましくは3~40の整数、さらにより好ましくは4~20の整数、非常に特に好ましくは6~15の整数を表す]
の少なくとも1つの第1のアルキレングリコール、および
・式(AG-2):
【化19】
[式中、
x2は、101~1,000の整数、好ましくは105~800の整数、より好ましくは107~600の整数、さらに好ましくは109~400の整数、非常に特に好ましくは110~200の整数を表す]
の少なくとも1つの第2のアルキレングリコール
を含むことを特徴とする。
【0169】
適用特性をさらに最適化するために、本発明による剤は、好ましくはある量範囲で、例えば剤の総重量に基づいて、10.0~99.0重量%、好ましくは30.0~99.0重量%、より好ましくは50.0~99.0重量%、非常に特に好ましくは70.0~99.0重量%の範囲でアルキレングリコール(AG)を含む。
【0170】
したがって、別の明白に非常に特に好ましい実施態様の範囲内において、本発明による剤は、剤の総重量に基づいて、総量で10.0~99.0重量%、好ましくは30.0~99.0重量%、より好ましくは50.0~99.0重量%、非常に特に好ましくは70.0~99.0重量%の式(AG)に対応する1つまたは複数のアルキレングリコールを含むことを特徴とする。
【0171】
本発明による剤は、剤の総重量に基づいて、総量で20.0~99.0重量%、好ましくは40.0~95.0重量%、特に好ましくは60.0~90.0重量%の式(AG-1)の1つまたは複数のアルキレングリコールを好ましくは含む。
【0172】
本発明による剤は、剤の総重量に基づいて、総量で1.0~35.0重量%、好ましくは3.0~30.0重量%、特に好ましくは4.0~25.0重量%の式(AG-2)の1つまたは複数のアルキレングリコールを好ましくは含む。
【0173】
別の非常に特に好ましい実施態様の範囲内で、本発明による剤は、剤の総重量に基づいて、総量で20.0~99.0重量%、好ましくは40.0~95.0重量%、より好ましくは60.0~90.0重量%の式(AG-1)の1つまたは複数のアルキレングリコールを含む、および/または、総量で1.0~35.0重量%、好ましくは3.0~30.0重量%、特に好ましくは4.0~25.0重量%の式(AG-2)の1つまたは複数のアルキレングリコールを含むことを特徴とする。
【0174】
別の非常に特に好ましい実施態様の範囲内において、本発明による剤は、剤の総重量に基づいて、
・式(AG-1)の1つまたは複数のアルキレングリコールを総量で20.0~99.0重量%、および
・式(AG-2)の1つまたは複数のアルキレングリコールを総量で1.0~35.0重量%
含むことを特徴とする。
【0175】
これにより、剤に含まれるアルキレングリコール(AG)、顔料(a2)(または場合によりさらに含まれる顔料(a3))およびアミノ官能化シリコーンポリマー(a1)の全ての合計は、100重量%を超えることはない。さらに、任意の成分も剤中に使用される場合、前記成分の合計は、対応する程度に減少し、100重量%未満の値となる。
【0176】
剤中の追加の成分
本発明による剤は、脂肪成分、グルコース、マレイン酸、および乳酸のような構造化剤;例えばレシチンおよびケファリンなどのリン脂質のようなヘアコンディショニング化合物;香油、ジメチルイソソルビドおよびシクロデキストリン;アニオン性、非イオン性およびカチオン性ポリマーなどのポリマー;界面活性剤、例えばアニオン性、非イオン性、カチオン性、双性イオン性および両性界面活性剤;脂肪成分;繊維構造改善活性成分、特に単糖、二糖、およびオリゴ糖、例えばグルコース、ガラクトース、フルクトース、フルクトースおよびラクトース;剤を着色するための染料;抗フケ活性成分、例えばピロクトンオラミン、亜鉛オマジン、およびクリンバゾール;アミノ酸およびオリゴペプチド;動物および/または植物に基づくタンパク質加水分解物、ならびにそれらの脂肪酸縮合生成物または任意にアニオン性またはカチオン性修飾誘導体の形態;植物油;光安定剤および紫外線遮断剤;活性成分、例えばパンテノール、パントテン酸、パントラクトン、アラントイン、ピロリジノンカルボン酸およびそれらの塩、およびビサボロール;ポリフェノール、特にヒドロキシ桂皮酸、6,7-ジヒドロキシクマリン、ヒドロキシ安息香酸、カテキン、タンニン、ロイコアントシアニジン、アントシアニジン、フラバノン、フラボン、およびフラボノール;セラミドまたは擬セラミド;ビタミン、プロビタミン、およびビタミン前駆体;植物抽出物;脂肪およびワックス、例えば脂肪アルコール、ミツロウ、モンタンワックスおよびパラフィン;膨潤剤および浸透剤、例えばグリセロール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、炭酸塩、炭酸水素塩、グアニジン、尿素、ならびに第一、第二および第三リン酸塩;不透明化剤、例えばラテックス、スチレン/PVPおよびスチレン/アクリルアミドコポリマー;真珠光沢剤、例えばエチレングリコールモノ-およびジステアレート、およびPEG-3ジステアレート;発泡剤、例えばプロパン-ブタン混合物、N2O、ジメチルエーテル、CO2および空気、などのさらなる有効成分、補助剤、および添加剤も含んでよい。
【0177】
これらの追加物質の選択は、剤の所望の特性に応じて当業者が行う。他の任意の成分および前記成分の採用量に関しては、当業者に公知の関連マニュアルを明示的に参照されたい。追加の有効成分および補助剤は、本発明による調製物において、特定の剤の総重量に対して、好ましくは常に0.0001~25重量%、特に0.0005~15重量%の量で使用される。
【0178】
ケラチン物質を染色するための方法
上述した剤は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色する方法に際立って使用できる。
【0179】
従って、本発明の第二の目的は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色する方法であって、本発明の第一の目的の説明で詳細に開示した剤をケラチン繊維に適用し、必要に応じて、30秒~45分の曝露時間の後に再度すすぐ方法である。
【0180】
すなわち、本発明の第二の目的は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色する、以下の工程:
(1)ケラチン物質上に染色剤を適用する工程であって、前記染色剤は、本発明の第1の目的の説明において詳細に開示されているような剤である
(2)染色剤をケラチン物質に晒す工程、および
(3)染色剤を水で洗い流す工程
を含む方法である。
【0181】
本発明による方法の工程(1)において、本発明の第1の目的の剤は、非常に特に好ましくはヒトの毛髪であるケラチン物質に適用される。
【0182】
本発明による方法の工程(2)において、剤を適用後、剤をケラチン物質に作用させる。この文脈では、例えば30秒~60分の様々な曝露時間が考えられる。
【0183】
しかしながら、本発明による染色システムの大きな利点は、短い曝露時間の後、非常に短時間でも強い着色結果が得られることである。このため、適用混合物は、適用後、30秒~15分、好ましくは30秒~10分、特に好ましくは1~5分の比較的短い時間だけケラチン物質上に残ることが有利である。
【0184】
別の好ましい実施態様では、本発明による方法は
(2)ケラチン物質を染色剤に30秒~15分間、好ましくは30秒~10分間、より好ましくは1~5分間曝露する
ことを特徴とする。
【0185】
ケラチン物質への適用混合物の作用の後、プロセスの工程(3)において、前記ケラチン物質を水ですすぐ。
【0186】
一実施態様では、適用混合物は水のみで、すなわち後処理剤またはシャンプーの助けを借りずに洗い流すことができる。工程(6)で後処理剤またはコンディショナーを使用することも原理的には可能である。
【0187】
しかしながら、本発明による目的を達成し、適用快適性を高めるために、追加の後処理剤、シャンプーまたはコンディショナーの助けを借りずに、工程(3)において剤を専ら水で洗い流すことが非常に特に好ましいことが見出されている。
【0188】
別の好ましい実施態様では、本発明による方法は
(3)染色剤を水だけで洗い流す
ことを特徴とする。
【0189】
初めに即時使用可能な剤を製造する、ケラチン物質を染色するための方法
前述したように、本発明の第1の目的の剤は、即時使用可能な形態で使用者に直接提供されるか、または使用直前に様々な剤を混合して調製される、即時使用可能な剤である。
【0190】
本発明による顔料の特に微細な分布を確実にするために、適用直前に少なくとも2つの異なる剤を混合することにより、即時使用可能な剤を製造することが非常に特に好ましいことが見出されている。
【0191】
特に好ましい実施態様の範囲内において、即時使用可能な剤は、少なくとも2つの異なる剤を混合することによって適切に調製され、これらの2つの剤のうちの第1の剤は、少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a1)を含み、第2の剤は少なくとも1つのプレートレットタイプのメタリック顔料(a2)を含む。
【0192】
したがって、本出願の別の目的は、以下の工程:
(1)剤(I)を提供する工程であって、前記剤(I)は以下を含む:
(a1)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー
(2)剤(II)を提供する工程であって、前記剤(II)は以下を含む:
(a2)少なくとも1つのプレートレットタイプのメタリック顔料
(3)前記剤(I)および剤(II)を混合して適用混合物を製造する工程
(4)工程(3)で製造した適用混合物をケラチン物質に適用する工程
(5)工程(4)で適用した適用混合物にケラチン物質を曝露する工程、および
(6)適用混合物を水で洗い流す工程
(ここで、成分(a1)および(a2)は、本発明の第1の目的の説明において既に詳細に開示されている)
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法である。
【0193】
剤(I)および/または剤(II)は、それぞれ、場合により、上記の追加的に使用可能な成分の1つまたは複数を含むことができる。
【0194】
多成分パッケージングユニット
使用者の快適性を高めるために、多成分パッケージングユニットの形態の上記の剤を使用者に提供できる。
【0195】
したがって、別の目的は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための多成分パッケージングユニット(キット・オブ・パーツ)であって、別々に調製された以下:
・剤(I)を含む第1の容器であって、前記剤(I)は以下を含む:
(a1)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー
・剤(II)を含む第2の容器であって、前記剤(II)は以下を含む:
(a2)少なくとも1つのプレートレットタイプのメタリック顔料
(ここで、成分(a1)および(a2)は、本発明の第1の目的の説明において既に詳細に開示されている)
を含む。
【0196】
したがって、本発明の別の目的は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための多成分パッケージングユニット(キット・オブ・パーツ)であって、別々に調製された以下:
・剤(I)を含む第1の容器であって、前記剤(I)は以下を含む:
(a1)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー
・剤(II)を含む第2の容器であって、前記剤(II)は以下を含む:
(a2)少なくとも1つのプレートレットタイプのメタリック顔料
・剤(III)を含む第3の容器であって、前記剤(III)は以下を含む:
式(AG):
【化20】
[式中、
xは、1~10000の整数、好ましくは2~800の整数、より好ましくは3~600の整数、さらにより好ましくは3~400の整数、非常に特に好ましくは4~200の整数を表す]
の少なくとも1つのアルキレングリコール
(ここで、成分(a1)および(a2)および(AG)は、本発明の第1の目的の説明において既に詳細に開示されている)
を含む。
【0197】
本発明による方法および本発明による多成分パッケージングユニットの追加の好ましい実施態様に関して、本発明による剤について述べたことが準用される。
【実施例】
【0198】
1.調製物
以下の即時使用可能な染色剤を調製した(特に断りのない限り、全てのデータは重量パーセントである)。
【0199】
【0200】
2.適用
あらかじめ調製した即時使用可能な剤を毛髪ストランド(Kerling、「Euronatur hair white」(ENH)タイプ)に適用(液比:毛髪ストランド1gあたり剤1g)し、3分間作用させた。続いて、毛髪ストランドを水で十分に(1分間)洗浄し、乾燥させた。
【0201】
3.洗浄堅牢性および毛髪の感触の評価
染色されたストランドを、色の強度および毛髪の感触に関して訓練を受けた5人が評価した。次に、各ストランドを手で洗浄した。この目的のために、各ストランドを水で湿らせ、次に市販のシャンプー(Schauma 7-Krauter)をストランドに適用し(毛髪1g当たりシャンプー0.25g)、指で30秒間もみ込んだ。次いで、ストランドをぬるま湯の流水で1分間洗い流し、毛髪ストランドを乾燥させた。上記のプロセスが洗髪に相当する。その後の洗髪のたびに、このプロセスが繰り返された。3回洗髪した後、訓練を受けた5人が色強度と毛髪の感触に関してストランドを再度比較した。それぞれの場合において、個々の値から平均値を作成した。
+++=非常に強い色強度 ++=中程度の色強度 +=弱い色強度
【0202】
【0203】
3.さらなる調製例
以下の即時使用可能な染色剤を調製した(特に明記しない限り、すべてのデータは重量パーセントである)。
【0204】
【0205】
調製物E2、E3およびE4で染色した毛髪ストランドは、強い発色と心地よく柔らかい感触を有していた。
【国際調査報告】