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特表2024-527173ヘルスケア相互運用性のためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-22
(54)【発明の名称】ヘルスケア相互運用性のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/20 20180101AFI20240712BHJP
【FI】
G16H10/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542751
(86)(22)【出願日】2022-01-11
(85)【翻訳文提出日】2023-08-25
(86)【国際出願番号】 EP2022050437
(87)【国際公開番号】W WO2022152693
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】17/149,707
(32)【優先日】2021-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.イーサネット
(71)【出願人】
【識別番号】397060175
【氏名又は名称】ヤンセン ファーマシューティカ エヌ.ベー.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141025
【弁理士】
【氏名又は名称】阿久津 勝久
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】森村 純
(72)【発明者】
【氏名】モスケッティ, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ヴィグ,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ケサダ, マーヴィン
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA21
(57)【要約】
実施形態が、治験及び薬物/デバイス展開のための相互運用性及び確実な患者選択を容易にする。エンティティが、健康パラメータの第1のセットと、1つ以上の母集団セグメントに関連付けられた集合的人口統計情報とを取得し、患者の患者プロファイル情報及び対応する患者病歴を有する電子健康レコード(EHR)サブブロックを受信してもよい。エンティティは、EHRサブブロック内の情報と、健康パラメータの第1のセット及び/又は集合的人口統計情報に基づき得る、治療についての適格基準とに基づいて、治療についての適格な候補患者のサブセットを決定してもよい。エンティティは、適格な候補患者プロファイルと、少なくとも1つの治療に関連付けられた医療情報とを含む、サブブロックを送信してもよく、エンティティは、トランザクション確認を有するトランザクションブロックを受信したことに応答して、トランザクションブロックを薬物デバイス情報ブロック及びEHRブロックとリンクさせることにより、多次元ブロックチェーンを拡張してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のエンティティにおけるプロセッサにより実行される方法であって、
健康パラメータの第1のセットと、1つ以上の母集団セグメントに関連付けられた集合的人口統計情報と、を取得することと、
前記第1のエンティティによって復号可能な1つ以上の暗号化された第1の電子健康レコード(EHR)サブブロックを受信することであって、前記1つ以上の第1のEHRサブブロックは、(a)1人以上の患者に対応する患者プロファイル情報と、(b)前記1人以上の患者についての対応する患者病歴と、を含む、受信することと、
前記1人以上の患者から、少なくとも1つの治療に適格な候補患者のサブセットを、前記1つ以上のEHRサブブロック内の情報と、前記少なくとも1つの治療についての対応する適格基準との比較に基づいて決定することであって、前記対応する適格基準は、前記健康パラメータの第1のセット又は前記集合的人口統計情報のうちの1つ以上に基づいている、決定することと、
1つ以上の対応する第2のエンティティによって復号可能な1つ以上の暗号化された第1のサブブロックを送信することであって、送信される前記第1のサブブロックの各々は、少なくとも1つの候補患者プロファイルと、前記少なくとも1つの治療に関連付けられた医療情報と、を含む、送信することと、
トランザクション確認を有するトランザクションブロックを受信したことに応答して、多次元ブロックチェーンを拡張することであって、前記多次元ブロックチェーンは、(i)前記少なくとも1つの治療に関連付けられた治療展開関連情報を含む前記トランザクションブロックと、(ii)前記少なくとも1つの治療に関連付けられた前記医療情報を含む薬物デバイス情報(DIR)ブロックと、(iii)前記少なくとも1つの候補患者プロファイルの情報、前記少なくとも1人の候補患者についての対応する候補患者病歴、及び前記少なくとも1つの治療についての処方情報を含むEHRブロックと、をリンクすることにより形成される多次元ブロックで拡張される、拡張することと、を含む、プロセッサにより実行される方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの治療は、少なくとも1つの治験の一部を形成し、前記少なくとも1つの治験は、前記対応する適格基準を含む対応する治験プロトコルに関連付けられる、請求項1に記載のプロセッサにより実行される方法。
【請求項3】
前記多次元ブロックは、前記少なくとも1つの候補患者プロファイルと、前記少なくとも1つの治療に関連付けられた前記医療情報と、前記対応する治験プロトコルと、を含む治験レコード(CTR)ブロックで更に拡張され、前記治験プロトコルは、前記健康パラメータの第1のセットを更に含む、請求項2に記載のプロセッサにより実行される方法。
【請求項4】
前記対応する適格基準は、前記候補患者のサブセットに含めることが不適格な前記1人以上の患者を決定するための1つ以上の対応する除外基準と、前記候補患者のサブセットに含めることが適格な可能性のある前記1人以上の患者を決定するための1つ以上の対応する包含基準と、を含む、請求項2に記載のプロセッサにより実行される方法。
【請求項5】
前記方法は、前記少なくとも1つの治験に関連付けられた前記対応する治験プロトコルの承認に応答して開始される、請求項2に記載のプロセッサにより実行される方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの治験は、
1種以上の薬物、又は
1種以上の生物製剤、又は
1つ以上の医療デバイス、又は
これらの組み合わせ、に関連付けられる、請求項2に記載のプロセッサにより実行される方法。
【請求項7】
各患者についての前記対応する患者プロファイル情報は、対応する個々の患者の人口統計情報を含む、請求項2に記載のプロセッサにより実行される方法。
【請求項8】
前記1人以上の患者の各々について、前記対応する患者病歴は、対応する現在及び過去の患者の病状、又は対応する現在及び過去の患者の診断、又は対応する現在及び過去の患者の治療、又は対応する現在及び過去の患者の病状のうちの1つ以上を含む、請求項2に記載のプロセッサにより実行される方法。
【請求項9】
前記1つ以上の暗号化された第1のサブブロックの前記送信に応答して、かつ前記トランザクションブロックの前記受信の前に、前記第1のエンティティによって復号可能な暗号化された少なくとも1つの第2のEHRサブブロックを受信することを更に含み、前記少なくとも1つの第2のEHRサブブロックは、前記少なくとも1つの候補患者プロファイルと、前記少なくとも1つの治験への参加に対する前記少なくとも1人の候補患者による対応する患者同意と、を含む、請求項2に記載のプロセッサにより実行される方法。
【請求項10】
第1のEHRブロック内の前記患者プロファイル情報は、非個人識別可能(PII)情報を含み、第2のEHRブロック内の前記少なくとも1つの候補患者プロファイルの情報は、PII情報を含む、請求項10に記載のプロセッサにより実行される方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの治療は、少なくとも1つの薬物展開に関連付けられる、請求項1に記載のプロセッサにより実行される方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの薬物展開は、公衆衛生緊急事態に応答して開始され、前記適格基準は、更に、前記公衆衛生緊急事態に関連付けられたリスクパラメータに基づき、前記健康パラメータは、前記リスクパラメータを含む、請求項12に記載のプロセッサにより実行される方法。
【請求項13】
前記リスクパラメータは、リスクのある場所を含み、前記母集団セグメントは、前記公衆衛生緊急事態からのリスクのある母集団を示す、請求項13に記載の方法。
【請求項14】
第1のエンティティのためのコンピューティングデバイスであって、
メモリと、
通信インターフェースと、
前記メモリ及び前記通信インターフェースに結合されたプロセッサとを含み、前記プロセッサは、
健康パラメータの第1のセットと、1つ以上の母集団セグメントに関連付けられた集合的人口統計情報と、を取得することと、
前記第1のエンティティによって復号可能な暗号化された1つ以上の第1の電子健康レコード(EHR)サブブロックを受信することであって、前記1つ以上の第1の電子健康レコード(EHR)サブブロックは、(a)1人以上の患者に対応する患者プロファイル情報と、(b)前記1人以上の患者についての対応する患者病歴と、を含む、受信することと、
前記1人以上の患者から、少なくとも1つの治療に適格な候補患者のサブセットを、前記1つ以上のEHRサブブロック内の情報と、少なくとも1つの治療についての対応する適格基準との比較に基づいて決定することであって、前記対応する適格基準は、前記健康パラメータの第1のセット又は前記集合的人口統計情報のうちの1つ以上に基づく、決定することと、
1つ以上の対応する第2のエンティティによって復号可能な1つ以上の暗号化された第1のサブブロックを送信することであって、前記第1のサブブロックの各々は、少なくとも1つの候補患者プロファイルと、前記少なくとも1つの治療に関連付けられた医療情報と、を含む、送信することと、
トランザクション確認を有するトランザクションブロックを受信したことに応答して、多次元ブロックチェーンを拡張することであって、前記多次元ブロックチェーンは、(i)前記少なくとも1つの治療に関連付けられた治療展開関連情報を含む前記トランザクションブロックと、(ii)前記少なくとも1つの治療に関連付けられた前記医療情報を含む薬物デバイス情報(DIR)ブロックと、(iii)前記少なくとも1つの候補患者プロファイルの情報、前記少なくとも1人の候補患者についての対応する候補患者病歴、及び前記少なくとも1つの治療についての処方情報を含むEHRブロックと、をリンクすることにより形成される多次元ブロックで拡張される、拡張することと、
を行うように構成されている、コンピューティングデバイス。
【請求項15】
前記少なくとも1つの治療は、少なくとも1つの治験の一部を形成し、前記少なくとも1つの治験は、前記対応する適格基準を含む対応する治験プロトコルに関連付けられる、請求項14に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項16】
前記少なくとも1つの治療は、少なくとも1つの薬物展開に関連付けられる、請求項14に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項17】
前記少なくとも1つの薬物展開は、公衆衛生緊急事態に応答して開始され、前記適格基準は、更に、前記公衆衛生緊急事態に関連付けられたリスクパラメータに基づき、前記健康パラメータは、前記リスクパラメータを含む、請求項16に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項18】
実行可能命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記実行可能命令は、プロセッサに、
健康パラメータの第1のセットと、1つ以上の母集団セグメントに関連付けられた集合的人口統計情報と、を取得することと、
第1のエンティティによって復号可能な暗号化された1つ以上の第1の電子健康レコード(EHR)サブブロックを受信することであって、前記1つ以上の第1の電子健康レコード(EHR)サブブロックは、(a)1人以上の患者に対応する患者プロファイル情報と、(b)前記1人以上の患者についての対応する患者病歴と、を含む、受信することと、
前記1人以上の患者から、少なくとも1つの治療に適格な候補患者のサブセットを、前記1つ以上のEHRサブブロック内の情報と、前記少なくとも1つの治療についての対応する適格基準、との比較に基づいて決定することであって、前記対応する適格基準は、前記健康パラメータの第1のセット又は前記集合的人口統計情報のうちの1つ以上に基づく、決定することと、
1つ以上の対応する第2のエンティティによって復号可能な1つ以上の暗号化された第1のサブブロックを送信することであって、前記第1のサブブロックの各々は、少なくとも1つの候補患者プロファイルと、前記少なくとも1つの治療に関連付けられた医療情報と、を含む、送信することと、
トランザクション確認を有するトランザクションブロックを受信したことに応答して、多次元ブロックチェーンを拡張することであって、前記多次元ブロックチェーンは、(i)前記少なくとも1つの治療に関連付けられた治療展開関連情報を含む前記トランザクションブロックと、(ii)前記少なくとも1つの治療に関連付けられた前記医療情報を含む薬物デバイス情報(DIR)ブロックと、(iii)前記少なくとも1つの候補患者プロファイルの情報、前記少なくとも1人の候補患者についての対応する候補患者病歴、及び前記少なくとも1つの治療についての処方情報を含むEHRブロックと、をリンクすることにより形成される多次元ブロックで拡張される、拡張することと、
を行わせるように構成されている、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記少なくとも1つの治療は、少なくとも1つの治験の一部を形成し、前記少なくとも1つの治験は、前記対応する適格基準を含む対応する治験プロトコルに関連付けられる、請求項18に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記少なくとも1つの治療は、少なくとも1つの薬物展開に関連付けられる、請求項18に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年1月18日に出願された「SYSTEM AND METHOD FOR HEALTHCARE SECURITY AND INTEROPERABILITY」と題する米国特許出願第16/251980号(現在の米国特許第10541807号)の継続出願である、2019年12月4日に出願された「SYSTEM AND METHOD FOR HEALTHCARE SECURITY AND INTEROPERABILITY」と題する米国特許出願第16/703848号(現在の米国特許第10931437号)の一部継続出願である、2021年1月14日に出願された「SYSTEM AND METHOD FOR HEALTHCARE SECURITY AND INTEROPERABILITY」と題する米国特許出願第17/149707号の利益及び優先権を主張する。上記で特定した出願は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
(発明の分野)
本明細書で開示される主題は、ヘルスケアシステムのセキュリティ及び相互運用性に関し、特に、患者の治験の選択及び医療製品の展開をサポートすることに関する。
【背景技術】
【0003】
ヘルスケア情報システムは、相互運用性を制限するコンプライアンス問題に直面している。例えば、保存された情報は、医療保険の携行性と責任に関する法律(Health Insurance Portability and Accountability Act、HIPAA)等の様々なプライバシー規制の対象となる場合がある。HIPAA下のプライバシールールは、ヘルスケアトランザクションが電子的に行われるときの、個人の医療レコード及び他の個人的健康情報を保護するための国内標準規格を定める。これらの規制は、プライバシー(例えば、どのエンティティが情報へのアクセスを有するか)、コンテンツ(認可されたエンティティがどんな情報にアクセスしてもよいか)、セキュリティ(情報が、保存されるとき、及び電子通信の最中に、認可されていないアクセスからどのように保護されるのか)、情報共有(エンティティが共有してもよい情報のタイプ)、並びに完全性(情報の正確さ及び信頼性)に及び得る。更に、商業上の貴重な情報は、その情報の、第三者との共有を制限することができる組織的な政策の下で保護され得る(例えば、企業秘密として、かつ/又はビジネス若しくは商業上の理由のために)。欧州連合(European Union、EU)一般データ保護規制(General Data Protection Regulation、GDPR)、及び州の規制等の規制はまた、情報収集、保存、共有、及び通信にも大きな影響を及ぼし得る。これらの規制は、ヘルスケア市場参加者間の情報共有慣行に影響を及ぼし、エンティティにとって利用可能な情報が、それが全体的に(例えば、別の非競争的なエンティティにとって)有用である場合であっても、切り離されている組織的な「データ貯蔵庫」の作成につながっている。このような情報の区画化は、治験に参加する適切な患者を選択する際の困難を増加させ、治験を行う際の効率を低下させている。例えば、患者の事前スクリーニングは、ヘルスケア提供者による人手でのスクリーニング、承認のために個々に患者に人手で連絡すること、治験審査委員会による更なるスクリーニング、患者の選択、患者の同意等を、全て実際の治験の前に行うことを伴い得る。治験が健康緊急事態の最中に行われる場合、かつ/又は承認された医療製品が迅速かつ効果的に展開される必要がある場合、これらの非効率性はマイナスの結果をもたらす可能性がある。加えて、これらのデータ貯蔵庫はまた、システムコストを増大させ(例えば、治療の別の選択肢、治療場所等のコストを考慮する場合に、患者又は医療提供者にとって利用可能な情報を制限することにより)、かつ/又は患者リスクを上昇させ(例えば、薬物相互作用、処方薬の乱用等からの)、かつ/又は成果ベースのアプローチの有効性を医療処置若しくは修復に限定する(例えば、所望の成果がいつ達成されたかを決定すること、又は同様の成果を達成するアプローチにおける測定基準と比較することを、より困難かつ高価にする)。したがって、市場参加者間の相互運用性を促進させながら、ヘルスケア情報セキュリティを容易にすることに役立ち得る、上記の問題のうちの1つ以上に対処するシステム及び手法が所望されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの実施形態では、プロセッサにより実行される方法は、健康パラメータの第1のセットと、1つ以上の母集団セグメントに関連付けられた集合的人口統計情報と、を取得することと、第1のエンティティによって復号可能な1つ以上の暗号化された第1の電子健康レコード(Electronic Health Record、EHR)サブブロックを受信することであって、1つ以上の第1の電子健康レコード(EHR)サブブロックは、(a)1人以上の患者に対応する患者プロファイル情報と、(b)1人以上の患者についての対応する患者病歴と、を含む、受信することと、1人以上の患者から、少なくとも1つの治療に適格な候補患者のサブセットを、1つ以上のEHRサブブロック内の情報と、少なくとも1つの治療についての対応する適格基準との比較に基づいて決定することであって、対応する適格基準は、健康パラメータの第1のセット又は集合的人口統計情報のうちの1つ以上に基づく、決定することと、1つ以上の対応する第2のエンティティによって復号可能な1つ以上の暗号化された第1のサブブロックを送信することであって、第1のサブブロックの各々は、少なくとも1つの候補患者プロファイルと、少なくとも1つの治療に関連付けられた医療情報と、を含む、送信することと、トランザクション確認を有するトランザクションブロックを受信したことに応答して、多次元ブロックチェーンを拡張することであって、多次元ブロックチェーンは、(i)少なくとも1つの治療に関連付けられた治療展開関連情報を含むトランザクションブロックと、(ii)少なくとも1つの治療に関連付けられた医療情報を含む薬物デバイス情報(Drug-Device Information、DIR)ブロックと、(iii)少なくとも1つの候補患者プロファイルの情報、少なくとも1人の候補患者についての対応する候補患者病歴、及び少なくとも1つの治療についての処方情報を含むEHRブロックと、をリンクすることにより形成される多次元ブロックで拡張される、拡張することと、を含んでもよい。
【0005】
別の態様では、第1のエンティティのためのコンピューティングデバイスは、メモリと、通信インターフェースと、メモリ及び通信インターフェースに結合されたプロセッサと、を備えることができる。いくつかの実施形態では、プロセッサは、健康パラメータの第1のセットと、1つ以上の母集団セグメントに関連付けられた集合的人口統計情報と、を取得することと、第1のエンティティによって復号可能な暗号化された1つ以上の第1の電子健康レコード(EHR)サブブロックを受信することであって、1つ以上の第1の電子健康レコード(EHR)サブブロックは、(a)1人以上の患者に対応する患者プロファイル情報と、(b)1人以上の患者についての対応する患者病歴と、を含む、受信することと、1人以上の患者から、少なくとも1つの治療に適格な候補患者のサブセットを、1つ以上のEHRサブブロック内の情報と、少なくとも1つの治療についての対応する適格基準との比較に基づいて決定することであって、対応する適格基準は、健康パラメータの第1のセット又は集合的人口統計情報のうちの1つ以上に基づく、決定することと、1つ以上の対応する第2のエンティティによって復号可能な1つ以上の暗号化された第1のサブブロックを送信することであって、第1のサブブロックの各々は、少なくとも1つの候補患者プロファイルと、少なくとも1つの治療に関連付けられた医療情報と、を含む、送信することと、トランザクション確認を有するトランザクションブロックを受信したことに応答して、多次元ブロックチェーンを拡張することであって、多次元ブロックチェーンは、(i)少なくとも1つの治療に関連付けられた治療展開関連情報を含むトランザクションブロックと、(ii)少なくとも1つの治療に関連付けられた医療情報を含む薬物デバイス情報(DIR)ブロックと、(iii)少なくとも1つの候補患者プロファイルの情報、少なくとも1人の候補患者についての対応する候補患者病歴、及び少なくとも1つの治療についての処方情報を含むEHRブロックと、をリンクすることにより形成される多次元ブロックで拡張される、拡張することと、を行うように構成されていてもよい。
【0006】
更なる態様では、装置は、健康パラメータの第1のセットと、1つ以上の母集団セグメントに関連付けられた集合的人口統計情報と、を取得する手段と、第1のエンティティによって復号可能な1つ以上の暗号化された第1の電子健康レコード(EHR)サブブロックを受信する手段であって、1つ以上の第1のEHRサブブロックは、(a)1人以上の患者に対応する患者プロファイル情報と、(b)1人以上の患者についての対応する患者病歴と、を含む、受信する手段と、1人以上の患者から、少なくとも1つの治療に適格な候補患者のサブセットを、1つ以上のEHRサブブロック内の情報と、少なくとも1つの治療についての対応する適格基準との比較に基づいて決定する手段であって、対応する適格基準は、健康パラメータの第1のセット又は集合的人口統計情報のうちの1つ以上に基づく、決定する手段と、1つ以上の対応する第2のエンティティによって復号可能な1つ以上の暗号化された第1のサブブロックを送信する手段であって、送信された第1のサブブロックの各々が、少なくとも1つの候補患者プロファイルと、少なくとも1つの治療に関連付けられた医療情報とを含む、送信する手段と、トランザクション確認を有するトランザクションブロックを受信したことに応答して、多次元ブロックを拡張する手段であって、多次元ブロックは、(i)少なくとも1つの治療に関連付けられた治療展開関連情報を含むトランザクションブロックと、(ii)少なくとも1つの治療に関連付けられた医療情報を含む薬物デバイス情報(DIR)ブロックと、(iii)少なくとも1つの候補患者プロファイルの情報、少なくとも1人の候補患者についての対応する候補患者病歴、及び少なくとも1つの治療についての処方情報を含むEHRブロックと、をリンクすることにより形成される多次元ブロックで拡張される、拡張する手段と、を備えてもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読媒体は実行可能命令を備えてもよく、実行可能命令は、プロセッサに、健康パラメータの第1のセットと、1つ以上の母集団セグメントに関連付けられた集合的人口統計情報と、を取得することと、第1のエンティティによって復号可能な暗号化された1つ以上の第1の電子健康レコード(EHR)サブブロックを受信することであって、1つ以上の第1の電子健康レコード(EHR)サブブロックは、(a)1人以上の患者に対応する患者プロファイル情報と、(b)1人以上の患者についての対応する患者病歴と、を含む、受信することと、1人以上の患者から、少なくとも1つの治療に適格な候補患者のサブセットを、1つ以上のEHRサブブロック内の情報と、少なくとも1つの治療についての対応する適格基準、との比較に基づいて決定することであって、対応する適格基準は、健康パラメータの第1のセット又は集合的人口統計情報のうちの1つ以上に基づく、決定することと、1つ以上の対応する第2のエンティティによって復号可能な1つ以上の暗号化された第1のサブブロックを送信することであって、第1のサブブロックの各々は、少なくとも1つの候補患者プロファイルと、少なくとも1つの治療に関連付けられた医療情報と、を含む、送信することと、トランザクション確認を有するトランザクションブロックを受信したことに応答して、多次元ブロックチェーンを拡張することであって、多次元ブロックチェーンは、(i)少なくとも1つの治療に関連付けられた治療展開関連情報を含むトランザクションブロックと、(ii)少なくとも1つの治療に関連付けられた医療情報を含む薬物デバイス情報(DIR)ブロックと、(iii)少なくとも1つの候補患者プロファイルの情報、少なくとも1人の候補患者についての対応する候補患者病歴、及び少なくとも1つの治療についての処方情報を含むEHRブロックと、をリンクすることにより形成される多次元ブロックで拡張される、拡張することと、を行わせるように構成されている。
【0008】
開示される方法は、コンピュータ可読媒体又はコンピュータ可読メモリを使用して、モバイルコンピューティングデバイス、サーバを含むコンピュータ、クラウドベースシステム等のうちの1つ以上により実施されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の実施形態は、図面を参照して、例を介してのみ説明されるであろう。
図1】従来のヘルスケア情報システムに関連付けられたいくつかのエンティティ間のインタラクションを表す概略ブロック図である。
図2】例示的な電子健康レコードを示し、レコード内のいくつかの例示的なデータフィールドが表されている。
図3】DIRデータベースに保存され得る、薬物/デバイスのための例示的な薬物/デバイス情報レコード(DIR)の一部分を示す。
図4】治験を実施するエンティティによって維持され得る例示的な治験レコード(Clinical Trial Record、CTR)の一部分を示す。
図5】例示的な健康トランザクションレコードを示す。
図6】公衆衛生エンティティによって維持され得る例示的な公衆衛生エンティティレコード(Public Health Entity Record、PHER)600の一部分を示す。
図7A】確実な治験候補者選択を容易にし、複数のエンティティ間の相互運用性を促進するための、例示的なプロセスフローを表すフロー図である。
図7B】確実な治験候補者選択を容易にし、ヘルスケアシステム相互運用性を促進するための、例示的なプラットフォームに関連付けられたエンティティ及びレイヤを示す。
図7C】確実な治験候補者選択を容易にし、複数のエンティティ間の相互運用性を促進するための、例示的な方法を表すフローチャートである。
図8】確実な薬物/デバイス展開を容易にし、複数のエンティティ間の相互運用性を促進するための、例示的なプロセスフローを表すフロー図である。
図9】確実な薬物/デバイス展開を促進させ、複数のエンティティ間の相互運用性を推進させながら、ヘルスケア情報セキュリティ及び相互運用性を促進させる、例示的な方法のフローチャートである。
図10】治験参加及び/又は薬物/デバイス展開のための患者選択を促進するための例示的な方法1000のフローチャートである。
図11】ヘルスケアシステムセキュリティ及び相互運用性をサポートしながら、治験参加及び/又は薬物/デバイス展開のための患者選択を容易にすることが可能な、例示的なコンピュータ又はコンピューティングデバイスの概略図である。
【0010】
図において、特定の例示的な実施形態を示す様々な図における同様の参照番号及び記号は、同様の要素を示す。例えば、同様の情報を有するサブブロックは、同じ参照番号で参照される。加えて、ある要素の複数のインスタンスが、要素のための第1の数に、文字が、又はハイフンと第2の数が続くことによって示され得る。例えば、要素280の複数のインスタンスが、280-1、280-2等として示され得る。そのような要素を、第1の数のみを使用して参照する場合、その要素の任意のインスタンスが理解されるべきである(例えば、前述した例における要素280は、要素280-1、280-2、...及び/又は280-Nを指すことになる)。更に、以下の図では、参照番号に関連付けられたアスタリスク記号(「*」)は、要素(又はその一部)が、(例えば、要素の各インスタンスについて)繰り返される場合があることを示す。例えば、処方は、いくつかの薬物インスタンスを含んでもよく、用量フィールドは、各薬物インスタンスに対して繰り返されてもよい。
【0011】
以下の図はまた、フィールド及びサブフィールドを含み得るレコードの階層を示す。レコードは、レコードの一部である任意のフィールド(及びサブブロックの一部又は全部)を含む。同様に、フィールドは任意のサブフィールドを含む。サブフィールドは、追加のサブフィールドを含み得る。情報共有を管理する法律/規制に加えて、エンティティ間で共有されるサブブロック内のフィールドは、エンティティ間の情報インターフェース、トランザクションタイプ、データが共有されているコンテキスト、及びサブブロックが交換されているときのトランザクションの状態、のうちの1つ以上に依存し得る。
【発明を実施するための形態】
【0012】
開示される実施形態は、ヘルスケアシステムの完全性、相互運用性、治療選択、及びコスト透明性を推進しながら、ヘルスケアシステムのセキュリティを促進する。
【0013】
図1は、従来のヘルスケア情報システム100に関連付けられたいくつかのエンティティ間のインタラクションを表す概略ブロック図を示す。図1は、図示されるエンティティに関連付けられ、論じられたトランザクションについての、情報フローを示すに過ぎない。一般に、様々な他のエンティティ(図1には図示せず)、及び/又は他のタイプのトランザクションが想定される。
【0014】
ヘルスケアトランザクションには、いくつかのエンティティが関与してもよく、各エンティティは、そのトランザクションに関連するいくつかの情報を有してもよく、それらの情報を使用して、そのトランザクションを完了させてもよい。したがって、従来のシステムでは、トランザクションを完了するために、いくつかの限定された情報(例えば、規制、契約、プライバシー考慮事項、機密性、及び/又は競合的理由で限定される)が、トランザクションエンティティ間で交換される場合がある。本明細書で使用される場合、「エンティティ」という用語は、個人(患者若しくは患者群等)、又は組織、又はヘルスケア市場に参加するもの、及び/又は個人/群/組織を代表してヘルスケア市場に参加し得る、個人/群/組織に関連付けられたコンピューティングシステム及び情報システム(例えばハードウェア及び/又はソフトウェア)を指し得る。例えば、1つのエンティティに関連付けられたコンピューティングシステムは、他のエンティティに関連付けられたコンピューティングシステムを用いて、情報を処理及び/又は交換することができる。エンティティ間の情報の交換は、安全な通信ネットワークを介して、かつ/又はインターネットを介して安全な方法で(例えば、暗号化を使用して)、かつ/又は電子プラットフォーム上で(例えば、情報交換及び/又はトランザクション交換等を)行うことができる。
【0015】
スポンサーエンティティ(Sponsoring Entity、SE)150は、科学的仮説を試験し科学的根拠を得るために、治験及び観察研究を含み得る臨床研究を行うことを目指し得る。臨床研究は、(管轄区域によって異なり得る)適用可能な法律及び規制、並びに受け入れられている優良臨床試験及び/又は普及している優良臨床試験に従って行われ得る。臨床研究は、1種以上の薬物及び/又はデバイスに対して行われ得る。スポンサーエンティティ(SE)150という用語は、臨床研究を行い得る任意の組織及び/又は組織の部門を指すために広く使用される。したがって、SE150は、大学、研究財団等の組織、並びに/又は医薬品提供者及び/若しくは医療デバイス提供者(PMDP)130等のエンティティの一部門、並びに/又は組織に代わって臨床研究を行う組織によって雇われた若しくはその組織と契約しているエンティティ等であり得る。一例として、SE150は、PMDP130-iの一部門であってもよく、臨床研究は、競合するPMDP130-j(i≠j)からの(例えば、有効性、性能等を評価するための)薬物/デバイスに関与し得るか、又は薬物/デバイスを含み得る。
【0016】
別の例として、SE150(例えば、PMDP130-kの一部門)が、治験新薬申請(investigational new drug application、IND)を、米国の食品医薬品局(Food and Drug Administration、FDA)等の適切な認可機関に提出する場合がある。IND申請は、提案された治験用のプロトコル、及び提案された治験をサポートするあらゆる関連する過去のデータを含み得る。IND申請及びプロトコルが承認された時点で、SE150は、治験プロセスを開始することができる。場合によっては、(承認の前に)、認可機関(例えば、FDA)は、プロトコル変更を要求する場合があり、SE150は、承認を受ける前に、(例えば、プロトコルを適切に改訂し、再提出することにより)プロトコル修正の繰り返しを経る場合がある。
【0017】
認可機関(例えば、FDA)から承認を受けた時点で、SE150は、1つ以上の資格のあるヘルスケア提供者(HCP)/治験主任者(PI)120(以下では、併せてHCP120及び/又はHCP/PI120と称する)を選択し、それらに、提案された治験手順及び承認されたプロトコル129を提供し、以前に承認されたプロトコルに従って臨床研究を行い、調査の適切な監視を確実にすることができる。HCP120が、所与の治験サイトにおける治験に対して責任を負う治験主任者(Principal Investigator、PI)、又は(例えば、治験全体を主導する)主導PIである場合、HCP120は、明確にするために、本明細書ではPI120とも称され得る。HCP/PI120は、提案された治験手順129に対して修正を要求することができ、HCP120とSI 150との間のインタラクションは、治験のために使用される治験手順に対して同意が得られるまで継続し得る。
【0018】
SE150という用語はまた、本明細書では、SE150がその責任の一部又は全部を(例えば、契約を介して)移転し得る任意の機関を指すために使用される。典型的には、SE150は、臨床研究に関連する特定の責任を有し得る、プロトコル検証者(Protocol Validator、PV)、治験審査委員会(Clinical Trial Review Board、CTRB)、施設内審査委員会(Institutional Review Board、IRB)、データ及び安全監視委員会(Data and Safety Monitoring Board、DSMB)等の1つ以上の他のエンティティを含んでもよく、それらにより監視されてもよく、及び/又はそれらとインタラクションしてもよい。例えば、DSMBは、蓄積された治験の安全性、実施、進捗、及び有効性を評価及びレビューすることができる。IRBは、人間被験者が関与する場合、臨床研究及び手順を検討、修正、及び監視することができる。IRBは、研究用の人間被験者の権利及び福祉の保護を確実にするために、研究を承認する、(例えば、IRB承認を確保するために)研究の修正を要求する、又は研究を承認しない権限を有し得る。SE150は、(法律上及び手続き上の制約を受ける)治験に関連付けられた、上記エンティティによって取得された情報の一部又は全部を提供すること、及びその情報の一部又は全部にアクセスすることができる。
【0019】
SE150及びPMDP130は、図1では別個のエンティティとして示され、本明細書ではそのように説明される。SE150及びPMDP130が単一組織の部門を形成するかどうかにかかわらず、データプライバシー、データ匿名化、並びに様々な他の手続き上及び法律上の考慮事項が、部門間のデータ共有を制限する場合がある。したがって、SE150及びPMDP130が関連している場合であっても、それらは、データ共有、データプライバシー、及び/又は他の考慮事項に基づいて、別個のエンティティと見なすことができる。
【0020】
PMDP130は、既知の薬物/デバイスプロファイル及び安全情報132(例えば、薬理学情報、用量、薬物相互作用、安全性更新等)をSE150に提供することにより、提案される(例えば、人間被験者が関与する)治験/調査研究に関連してSE150とインタラクションしてもよく、SE150は、その情報をHCP120に中継してもよい。場合によっては、HCP120は、(例えば、複数の薬物/デバイスが臨床的に評価されているときに)1つ以上のPMDP130から薬物/デバイスプロファイル及び安全情報132を直接要求し受信することができる。
【0021】
SE150はまた、承認されたプロトコル129を、治験レコード(CTR)データベース185の一部として保存してもよい。加えて、SE150はまた、治験中の治験情報123を取得してもよく、この治験情報は、有効性等を判定するために使用されてもよい。SE150はまた、(開始時点で)治験を監視して、臨床手順及び承認されたプロトコル129の遵守を確実にしてもよい。治験に関連付けられたIRBはまた、患者の包含/除外に関する定期的な患者データを受信してもよく、患者プールに関する入力を提供してもよく、かつ/又は募集ターゲットに対する実際の患者募集に基づいて実現可能性を判定してもよい。治験関連情報はまた、SE150によってCTRデータベース185に保存されてもよい。
【0022】
SE150は、ある人口統計プロファイル134に合致する候補患者から更に選択してもよい。例えば、SE150は、(a)1つ以上の第1の病状(例えば、高血圧)を有する、かつ/又は(b)1つ以上の第2の病状を有しない(例えば、心疾患を有しない)、かつ/又は(c)ある年齢群(例えば、40~55歳)内にある、かつ/又は(d)特定の性別である、(e)ある人種若しくは民族である、かつ/又は(f)ある指定された地域(例えば、郵便番号)に住んでいる、かつ/又は(g)特定の職業で雇用されている、かつ/又は(h)特定のライフスタイルを有する(例えば、非喫煙者)等の人口統計プロファイル134を有する患者を探すことができる。上記の人口統計プロファイル及びカテゴリーは単なる例であり、プロファイルは治験ごとに大幅に変化し得る(例えば、異なる薬物/デバイスの治験に対して、又は同じ薬物/デバイスについての治験の異なるフェーズ対して)。
【0023】
したがって、SE150は、人口統計プロファイル情報134を、1つ以上のヘルスケア提供者(HCP)120等の別のエンティティに送信してもよく、これは、治験についての人口統計プロファイル134に合致するように見える候補患者124の初期選択又は事前スクリーニングを手助けすることができる。HCP120は、任意のヘルスケア提供者又は多数のヘルスケア提供者を有する機関を指し得る。例えば、PI120は、何らかの候補患者情報124をPMDP130に提供する前に、潜在的な候補患者を手作業で選択し、それらに連絡して、初期承認を得る必要があり得る。承認を受信した時点で、1つ以上のPI120からの、候補患者124に関する情報が、SE150に送信されてもよく、SE150は、いくつかの適格患者127を決定し、適格患者127の指示を含む情報をPI120に提供してもよい。次いで、PI120は、適格患者127に接触して、治験への参加に対する患者の承認を得てもよい。次いで、治験に参加することに同意し、SE150によって受け入れられた候補患者が、選択された患者127を形成することができる。
【0024】
したがって、(治験への参加に同意する)適格患者127の各々に関する情報が、HCP120によりSE150に送信され得る。SE150は、参加に同意した適格患者127を更にスクリーニングし、選択された患者127を伴ってHCP120に応答してもよい。HCP120とSE150との間の情報交換は、選択された患者127の数が、治験に適切であるとSE150が判定するまで継続してもよい。治験のための患者の数は、HCP120とSE150との間の、提案された治験手順情報129の交換中に決定されてもよい。場合によっては、治験中に得られたデータが統計的に関連することを確実にするために、SE150は、入力をPI120及び/又は統計学専門職から受信してもよい。更に、治験に関連付けられたIRBはまた、患者の包含/除外に関する定期的な患者データを受信してもよく、患者プールに関する入力を提供してもよく、かつ/又は募集ターゲットに対する実際の患者募集に基づいて実現可能性を判定してもよい。
【0025】
治験の開始時点で、特定の責任を有するSE150(及び/又は他のエンティティ/サブエンティティ)が治験を監視して、治験が承認された治験手順及びプロトコルに準拠していることを確実にしてもよい。治験中、HCP/PI120は、患者を監視し、療法を施し、患者治験情報123を記録してもよい。例えば、HCP/PI120(及び/又は、治験に関連付けられたDSMB等の別のエンティティ)が、正確な用量の投与、正しい温度での薬物の保管等の治験関連手順を監視してもよく、患者関連治験情報129(例えば、患者健康パラメータ及び他の関連情報)を監視してPMDP130にレポートしてもよい。患者の健康情報、処方薬物/デバイスについての治験手順情報等が、健康情報(HI)データベース125に保存されてもよい。
【0026】
場合によっては、SE150(例えば、PMDP130と契約しているエンティティ、及び/又はPMDP130の部門)が、HCP120及び登録された患者(薬物治験参加者)に支払ってもよく、また、治験に関連して発生したコストを患者及びHCP120に払い戻してもよい。状況によっては、(例えば、薬物/デバイスがコンパッショネートに基づいて投与されている場合)、一部の選択された患者127について、HCP120はまた、HCP120によって維持され得るHIデータベース125に基づいて患者保険及び治療情報123を取得及び/又は決定してもよい。例えば、保険提供者は、特定の状況において、一部の患者に対して治療を認可することができる。
【0027】
HCP120はまた、治療情報123を医薬品提供者及び/又は医療デバイス提供者(PMDP)130に送信してもよく、医薬品提供者及び/又は医療デバイス提供者は、投与されている薬物/デバイスに関する薬物/デバイスプロファイル及び安全情報132で応答してもよい。薬物/デバイスプロファイル及び安全情報132は、HIデータベース125内に保存されてもよい。PMDP130に送信される治療情報を含み得る治験情報123はまた、いかなる患者個人識別可能情報(personally identifiable information、PII)をも除去するために、HCP120により編集されてもよい。
【0028】
個人識別可能情報(PII)は、特定の個人を識別するために場合によっては使用され得る任意のデータである。「非PII」という用語は、本明細書では、PIIを含まない情報を称するために使用される。例えば、(PIIを有する)患者データレコードが、患者の名前、完全な住所、他の識別子(例えば、被保険者番号、運転免許証番号、社会保障番号、及び/又は他の識別情報)を、健康関連情報と共に含んでもよい。患者のデータレコード内のPIIを除去して、(名前、完全な住所、及び他の識別情報を含まない)非PII患者データレコードを得ることができる。例えば、非PII患者データレコードは、年齢、性別、病歴(例えば、患者が罹患している病状、患者が使用している他の医薬品等)、治療、並びに任意選択で(例えば、適切な場合に)、都市、州、及び/又は郵便番号を含んでもよく、ケアが送達されたHCP120の完全な住所を含んでもよい。
【0029】
PMDP130は、治験における薬物/デバイスに関する薬物/デバイス情報レコード(DIR)データベース135内の情報に基づいて、既知の薬物/デバイスプロファイル及び安全情報132をHCP120に送信してもよい。DIRデータベース135は、薬物/デバイスプロファイル及び安全情報132を含んでもよい。更に、薬物/デバイスプロファイル及び安全情報132としては、用量、投与方法、吸収、代謝、作用持続時間、毒性、及び食品又は他の医薬品との相互作用等の薬物特性についての情報が含まれ得る。薬物/デバイスプロファイル及び安全情報132を受信した時点で、HCPは、(例えば、PMDP130から受信されたように、かつ/又は治験手順情報129の一部として指定された治療に基づいて)治験における1つ以上の薬物及び/又は医療デバイスを適切な用量で処方してもよい。例えば、複数の薬物を比較する治験評価において、薬物-lについての用量及び他の情報が、治験手順情報129において指定されてもよいのに対して、薬物-m(l≠m)についての用量及び他の情報は、1つ以上のPMDP130から薬物/デバイスプロファイル及び安全情報132として取得されてもよい。
【0030】
図1に示すように、場合によっては(例えば、薬物/デバイスが緊急/コンパッショネートに基づいて投与されている場合)、HCP120はまた、患者の保険及び治療(例えば、医療処置関連)情報126を、支払人/保険会社(以下、「支払人」)140に安全に送信してもよい。支払人140は、保険会社であってもよい(例えば、薬物/デバイスが緊急/コンパッショネートに基づいて投与されている場合)。他の状況では(例えば、患者が治験への参加に対して支払われている場合)、指定された間隔で及び/又は特定のタスク/マイルストーンの完了時に患者への支払いを行うために、支払人140は、SE150の一部門又はSE150によって契約された機関であってもよい。SE150及び支払人140は、図1では別個のエンティティとして示され、本明細書ではそのように説明される。先に概説したように、SE150、PMDP130、及び/又は支払人140が単一組織の部門を形成するかどうかにかかわらず、データプライバシー、データ匿名化、並びに様々な他の手続き上及び法律上の考慮事項が、部門間のデータ共有を制限する場合がある。したがって、SE150、PMDP130、及び/又は支払人140が関連している場合であっても、それらは、データ共有、データプライバシー、及び/又は他の考慮事項に基づいて、別個のエンティティと見なすことができる。
【0031】
したがって、患者保険情報126は、薬物が完全に承認される前に、薬物が治療のために使用されている状況において(例えば、コンパッショネート又は緊急での使用に基づき)、支払人140に送信されてもよい。患者保険情報126は、患者ID及び提案された治療(例えば、処方されている薬物及び/又はデバイス)を含んでもよい。患者の保険及び治療情報126は、患者識別(ID)情報、保険プラン情報、グループID情報、提案された治療情報(例えば、医療処置関連の情報、薬物関連情報、医療デバイス関連情報等のうちの1つ以上)を含んでもよい。保険関連及び治療情報126は、いくつかの個人識別可能情報(PII)を含んでもよいが、共有されるPII情報は限定されてもよい。例えば、規制は、患者の保険及び治療情報126が、患者の家族歴、及び/又は、本発明による保険適用範囲の決定に関連しない及び/又は支払人140と共有される場合はコスト決定に関連しない他の患者情報(HIデータベース125の一部であってもよい)、を含まなくてもよいことを示し得る。
【0032】
承認が必要とされる状況では(例えば、薬物/デバイスが緊急/コンパッショネートに基づいて投与されている場合)、支払人140は、受信した患者保険適用範囲関連情報126を、プラン/保険適用範囲データベース145内の情報と比較して、患者についての保険適用範囲を決定してもよい。その保険適用範囲情報に基づいて、支払人140は、プラン/保険適用範囲情報データベース145を更新し、確認、及び/又は追加の/更新された患者の保険適用範囲関連情報142を伴って、HCP120に応答してもよい。保険適用範囲関連情報は、提案された治療に関連する保険適用範囲情報、並びに患者の自己負担額、請求コード等のコスト及び支払い関連の情報を含んでもよい。提案された治験治療を支払人140が承認する場合、HCP120は、治療を開始し、HIデータベース125内の情報を更新してもよい。これに対して、支払人140が、承認を保留する場合、及び/又は提案された治療に対する適用範囲が不十分である場合、及び/又は患者のコスト基準を満たさない場合、治験への患者の登録が、SE150によって検討されてもよく、これが、エンティティ(例えば、患者、HCP120、SE150、及び/又は患者)間の更なる情報交換につながる場合がある。例えば、SE150は、(a)(緊急/コンパッショネート使用に関連付けられた)コストを支払うこと、及び/又は(例えば、登録がオープンであり、患者が登録基準を満たす場合に)患者を治験に登録すること、を選んでもよい。
【0033】
治験への患者の登録に対して支払われる場合等の他の状況では、臨床参加者に支払うため、かつ/又はコストを患者に払い戻すために、SE150及び支払人140は、契約及び参加者支払い情報145を共有してもよい。加えて、一部のPII情報が、(例えば、SE150の一部門であってもよい)支払人140に送信されてもよく、PII情報が、税金、経理、及び/又は会計目的で使用されてもよい。しかしながら、上記の状況(治験に登録された患者が支払われる場合)では、プライバシー、法律上、及び他の理由のために、支払人140は、医療処置又は他の患者健康関連情報を受信することができない。
【0034】
したがって、従来のヘルスケア情報システムは、いくつかの欠点を抱えている。各エンティティは、そのビジネスを運用するのに関連し得る情報を取得及び維持するが、その情報のうちの極めてわずかしか共有され得ず(例えば、法律上、プライバシー、手続き上、及び/又はビジネス上の考慮事項に起因して)、情報が共有される場合は、その情報は、断片的であり、脈絡が欠落し、時期を逸し、意思決定/計画の目的には有用ではない場合がある。例えば、HCP120及び/又は患者は、患者登録時に、治験治療に関連するコスト情報を有し得ない。別の例として、薬物副作用121が、エンティティ(例えば、HCP120又は患者)によってSE150及び/又はPMDP130に報告される場合、副作用が治験中の薬物/デバイスに起因し得るかどうかを判定するために、薬物副作用の検証は、しばしば、別のエンティティによって実施され得る。追加のエンティティが関与するかも知れない検証は、追加の複雑さをもたらす可能性があり、それが、報告を更に遅らせ、かつ/又は追加の貯蔵庫を作成する可能性があり、それにより、その情報の適時性及び/若しくは有用性が(例えば、SE150及び/又はPMDP130にとって)影響を受ける可能性がある。
【0035】
加えて、情報は区画化されていて、その場限りの基準に基づいて提供され得るため、その受信した情報を、受信するエンティティによって保存される情報と共に集約することは、煩雑であり得る。更に、各エンティティがその情報を異なって索引付けする場合があるため、受信するエンティティ(又は、送信するエンティティ)が、受信した(又は、送信した)情報を、送信するエンティティにより保存された(又は、受信するエンティティによって保存された)情報レコードに結び付けることが困難になり得る。例えば、HCP120が、ある時点で薬物副作用情報121をPMDP130に提供する場合、その情報が合法的に共有され得る場合であっても、HCP120及び/又はPMDP130が、薬物副作用に関連し得る追加の患者情報又は患者病状情報を取得することは困難であり得る。
【0036】
通常、健康関連情報を保存するためのブロックチェーンの使用は、保存された情報の完全性及び真正性を保証することを容易にするが、従来の技術は、データプライバシーを維持する等の、トランザクション及び規制上の複雑さが増加する一方で、情報の区画化が減少する環境において、エンティティ間のデータ共有又はデータ移動によって引き起こされる課題に対処していない。更には、従来の手法はまた、トランザクションの完了を容易にするための、(例えば、法律上及び規制上の義務に準拠した形で1つ以上のエンティティに対する)タイムリーな情報の利用可能性を保証していない。更に、従来の手法は、完了したトランザクションの整合性のある一貫した閲覧を、エンティティが有することを保証していない。完了したトランザクションの整合性のある一貫した閲覧がエンティティ全体にわたって欠如していることは、相互運用性、データ利用率、及び稼働効率の向上の追求を制約する可能性がある。加えて、顧客(例えば、患者)が(例えば、独立して、又はHCPと連携して)意思決定を支援又は強化するために情報を要求することに対処することは困難であり得るため、相互運用性に対する制約は、多くの場合、顧客中心に重点を置く組織の能力を制限する。
【0037】
開示される実施形態は、ヘルスケアシステムの完全性、相互運用性を推進しながら、ヘルスケアシステムのセキュリティを促進し、ヘルスケアのコストの透明性を促進する。いくつかの開示された手法は、適切なエンティティ(例えば、トランザクションに関連付けられた認可されたエンティティ)への(例えば、法律上、プライバシー、及びビジネスガイドラインに準拠する)適切なデータの(例えば、トランザクションの時点での)タイムリーな交換を促進して、治験患者の登録及び/又は薬物/デバイスの展開を促進し、同時に、ヘルスケア市場エンティティ全体にわたる、一貫した整合性のある情報閲覧を促進する。
【0038】
トランザクションに関連付けられた複数のエンティティが、合意された基準を使用して、トランザクション中に共有された適切な関連情報を、完了したトランザクションに結び付けることが可能であり得ることに部分的に起因して、相互運用性が促進される。ローカルに(例えば、エンティティにおいてローカルに)記録されたデータが、(例えば、共有プラットフォーム上で維持される)基準データに対応することができ、基準データ(又はエンティティにより閲覧可能な基準データの一部分)の各エンティティの閲覧が、データの別の認可されたエンティティの閲覧と(及び/又は、他の認可されたエンティティのローカルに記録されたデータと)一貫しているため、一貫性及び整合性が促進される。いくつかの実施形態では、基準データは、分散台帳に基づくことができ、かつ/又は分散台帳の形式を取ることができる。いくつかの実施形態では、分散台帳は、認可されたエンティティにアクセス可能であり得、分散台帳の各エンティティの閲覧は、法的、プライバシー、ビジネス、及び/又は契約義務に準拠し得る。更に、代替案の早期検討を容易するために、意思決定に関連する情報が、トランザクションサイクルの早期にエンティティに利用可能になり、それによりトランザクションの完了に関連付けられた非効率の可能性が減少し、意思決定のやり直しが減少するため、効率が向上する。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1のエンティティ(例えば、SE150及び/又はPMDP130)は、第1のエンティティによって復号可能な少なくとも1つの暗号化された第1の電子健康レコード(EHR)サブブロック(例えば、患者用の)を受信してもよい。第1のEHRサブブロック(複数可)は、患者及び1つ以上の第1の治療(例えば、F_p(1≦p≦P)で示される提案された薬物及び/又はデバイス)についての患者医療保険適用範囲情報を含んでもよい。暗号化された第1のEHRサブブロックは、現在のトランザクションについてのトランザクションIDと共に(例えば、SE150及び/又はPMDP130によって)受信されてもよく、場合によっては、患者についてのPII情報を含まなくてもよい。
【0040】
いくつかの他の場合では、(例えば、治験プログラムについての患者及び/又はHCP120への支払いを決定するために、認可されたとき、及び/又はSE150及び/又はPMDP130が患者適格性を決定若しくは使用するとき)、暗号化された第1のEHRサブブロックは、現在のトランザクションについてのトランザクションIDと共に、(例えば、SE150及び/又はPMDP130によって)受信されてもよく、患者についてのPII情報を更に含んでもよい。患者PII情報が(例えば、SE150及び/又はPMDP130によって)受信される状況では、SE150及び/又はPMDP130が支払いを実施してもよく、患者PII情報へのアクセスがプログラム管理者及び/又は認可された人員に制限されるように、開示される実施形態と一貫する、ローカルに維持されるブロックチェーンを使用して、SE150及び/又はPMDPの代わりに患者のプライバシーを維持してもよい。PII情報を提供する認可は、患者データの共有を伴うトランザクションの前に取得されてもよく、又は患者によって事前認可されてもよい(例えば、HCP120又はSE150又はPMDP130又は別のエンティティへの登録時に)。いくつかの実施形態では、第1のEHRサブブロックは、治験参加適格性を決定するための、第1のEHRサブブロック内の情報の使用への同意を、患者が提供したことを更に示してもよい。
【0041】
第1のエンティティ(例えば、SE150及び/又はPMDP130)は、(a)受信した第1のEHRサブブロックと、(b)1つ以上の承認されたプロトコルであって、その各々が、対応する医療製品についての対応する治験に関連付けられている、1つ以上の承認されたプロトコルを含む治験レコード(CTR)と、に基づいて、少なくとも1つの医療製品(例えば、薬物及び/又はデバイス)に関連付けられた少なくとも1つの治験における、患者についての患者参加適格性を判定してもよい。例えば、SE150及び/又はPMDP130は、患者の病歴、受信された第1のEHRサブブロック内の人口統計情報(例えば、年齢、性別等)、及び治験を受けており新しい患者を登録中である医療製品に関する治験レコード(CTR)内の承認されたプロトコル情報を比較することによって、患者参加適格性を判定してもよい。
【0042】
第1のエンティティ(例えば、SE150及び/又はPMDP130)は、(例えば、患者が、少なくとも1つの治験に参加するのに適格であると判定された場合)患者参加適格性の判定に基づいて、少なくとも1つの治験に関連付けられた少なくとも1つの承認されたプロトコルを含む少なくとも1つの暗号化されたCTRサブブロックと、少なくとも1つの治験に関連付けられた少なくとも1つの医療製品に対応する少なくとも1つの暗号化されたデバイス/薬物情報レコード(DIR)サブブロックと、を送信してもよい。例えば、SE150及び/又はPMDP130は、(a)1つ以上の承認されたプロトコルについてのCTRサブブロックであって、その各々が、患者が適格であると判定された対応する治験に関連付けられている、CTRサブブロックと、(b)送信されたCTRサブブロックの各々についての、1つ以上の治験に関連付けられた1つ以上の対応する医療製品についての対応する暗号化されたデバイス/薬物情報レコード(DIR)サブブロックと、を送信してもよい。
【0043】
第1のエンティティは、送信に応答して、第1のエンティティによって復号可能な暗号化された第2のEHRサブブロックを受信してもよく、第2のEHRサブブロックは、患者プロファイル情報、少なくとも1つの治験への参加に対する患者同意、少なくとも1つの第2の診断コード、及び少なくとも1つの第2の治療コード、を含む。例えば、患者からの同意は、HCP120(例えば、治験コーディネーター又はPI120)が治験について患者に助言した後に得られてもよい。治験に関心のある患者が、同意を提供してもよい。したがって、患者は(HCP120と相談して)、1つ以上の治験に参加する明示的同意を提供してもよい。第2のEHRブロックはまた、治療されている状態に関連付けられた1つ以上の第2の診断コード、治療のために使用されている薬物/デバイスに関連付けられた1つ以上の治療コードを含んでもよい。受信されたEHRサブブロック内の薬物/デバイスの一部が、少なくとも1つの治験の一部であってもよい。
【0044】
第1のエンティティは、トランザクション確認を有するトランザクションブロックを受信した時点で、多次元ブロックチェーンを多次元ブロックで拡張してもよい。多次元ブロックは、(i)患者プロファイル情報、患者同意、並びに少なくとも1つの治験及び対応する少なくとも1つの承認されたプロトコル、を含むトランザクションブロックと、(ii)少なくとも1つの医療製品に関連付けられた医療情報を含むDIRブロックと、(iii)第2のEHRサブブロックに関連付けられた情報を含むEHRブロックと、をリンクすることにより形成されてもよい。いくつかの実施形態では、第1のエンティティはまた、ローカルに維持されているブロックチェーンを、治験に関する適切な情報で拡張してもよい。ローカルに維持されているブロックチェーンに、第1のエンティティによって追加されるブロック内の情報は、多次元ブロックに関連付けられた情報に対応してもよい。
【0045】
いくつかの開示される実施形態はまた、医療製品を効果的に展開するために使用されてもよい。例えば、(エピデミック、パンデミック、又は集団の一部に影響を及ぼす局所的な緊急医療状況等の)緊急事態が存在する状況では、より高いリスクがあると判定された集団の一部(例えば、医療専門家、現場従事者、年齢層、職業、特定の病状を有する人々、特定の地域で生活又は働いている人々、罹患した人々等のうちの1つ以上)に医療製品(例えば、利用可能性が制限されている場合、及び/又は十分に利用可能になる前に生産拡大中である場合に、ワクチン/薬物)を展開することが有用かつ効果的であり得る。例えば、政府機関又は公衆衛生エンティティ(以下、「PHE」と称する)は、療法の展開のための基準を決定してもよく、開示される実施形態が、展開基準に基づいて展開を促進することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、緊急事態における薬物展開のためのプロトコルは、政府/公衆衛生機関によって指定及び/又は命令されて、効果的に、緊急事態に対処し、リソース(例えば、ワクチン/薬物)を展開して、好ましい結果を得る(例えば、アウトブレイクの拡散を制御する)ことができる。したがって、いくつかの実施形態では、健康パラメータの第1のセットと、1つ以上の母集団セグメントに関連付けられた集合的人口統計情報とが、(例えば、PMDP130及び/又は公衆衛生機関からの薬局等の第1のエンティティにおいて)取得されてもよい。例えば、健康パラメータの第1のセットは、リスクのある又は罹患/感染した集団に関連付けられてもよい。
【0047】
更に、第1のエンティティは、第1のエンティティによって復号可能な1つ以上の暗号化された電子健康レコード(EHR)サブブロックを受信してもよく、1つ以上の第1のEHRサブブロックは、1人以上の患者についての患者プロファイル情報、及び1人以上の患者についての対応する患者病歴を含む。例えば、PMDP130は、特定の製品(例えば、一部の感染を治療又は防御するためのワクチン又は薬物)を患者に処方することを意図するHCP120から、1つ以上の暗号化されたEHRサブブロックを受信して、薬物/デバイスを受け取る患者の適格性を判定してもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、第1のエンティティは、1人以上の患者から、少なくとも1つの治療に適格な適格候補患者のサブセットを、1つ以上のEHRサブブロック内の情報と、対応する適格基準との比較に基づいて決定してもよく、対応する適格基準は、健康パラメータの第1のセット又は集合的人口統計情報のうちの1つ以上に基づく。例えば、第1のエンティティは、公衆衛生機関から受信された人口統計情報又は健康パラメータに基づいて、薬物/ワクチンを受けるのに適格な、(候補患者のセットのサブセットであり得る)適格候補患者のセットを決定してもよい。
【0049】
第1のエンティティは、1つ以上の対応する第2のエンティティによって復号可能な1つ以上の暗号化された第1のサブブロックを更に送信してもよく、送信される第1のブロックの各々が、少なくとも1つの適格候補患者プロファイルと、少なくとも1つの治療に関連付けられた対応する医療情報とを含む。例えば、第1のエンティティは、(治療を受ける患者の)対応する適格候補プロファイルに基づいて、適格候補患者のサブセットについての適格候補患者プロファイルと、少なくとも1つの治療(例えば、薬物/ワクチン)に関連付けられた医療情報(例えば、用量、薬物相互作用、禁忌等)と、を送信してもよい。
【0050】
第1のエンティティは、トランザクション確認を有するトランザクションブロックを受信したこと応答して、多次元ブロックチェーンを多次元ブロックで拡張してもよい。多次元ブロックは、(i)治療展開関連情報を含むトランザクションブロックと、(ii)少なくとも1つの治療に関連付けられた医療情報を含む薬物デバイス情報(DIR)ブロックと、(iii)患者プロファイル情報、病歴、及び少なくとも1つの治療についての処方情報、を含むEHRブロックと、をリンクすることにより形成されてもよい。いくつかの実施形態では、第1のエンティティはまた、ローカルに維持されているブロックチェーンを、治療展開に関する適切な情報で拡張してもよい。ローカルに維持されているブロックチェーンに、第1のエンティティによって追加されるブロック内の情報は、多次元ブロックに関連付けられた情報に対応してもよい。
【0051】
サブブロックという用語は、(暗号化されている場合に)、ある特定のエンティティ(単数又は複数)によって(しかし他のエンティティによってではなく)復号可能なデータレコード又はブロックの一部分を指す。図において、サブブロックは破線のボックスで示される。特定のエンティティ(単数又は複数)によって復号されたサブブロック(複数可)内の情報は、トランザクションが完了したときに、その特定のエンティティ(単数又は複数)によって維持されているデータレコード(又はブロックチェーン内のデータブロック)内に組み込まれてもよい。例えば、トランザクションID Uを有するトランザクションは、エンティティA、B、C、及びDに関与してもよく、これらのエンティティは、それぞれ、多次元ブロックチェーン内のデータレコードW、X、Y、及びZの所有者であってもよい。上記の例では、(Aによって所有され)トランザクションUに関連するデータレコードWは、(他のエンティティによってではなく)所有エンティティAによって暗号化されてもよく、かつ読み取り可能であってもよい。しかしながら、データレコードWは、(トランザクションID Uに加えて)、他のデータレコード内の情報の一部分(例えば、エンティティAによって読み取り可能ではないデータレコードX、Y、及び/又はZ)を含んでもよい。例えば、W内に存在する、1つ以上の他のデータレコード(例えば、データレコードX、Y、及び/又はZ)からのデータが、トランザクション完了前に、復号可能なサブブロックとして、(例えば、エンティティAによって)受信されてもよい。同様に、他のエンティティB~Dもまた、(トランザクションID Uに加えて)、非所有データレコード内に存在するトランザクション関連情報を含んでもよい。例えば、エンティティBについて、データレコードW、Y及び/又はZのうちの1つ以上に存在する情報が、トランザクション完了前に、エンティティBによって復号可能なサブブロックの形で受信されてもよい。したがって、各エンティティA、B、C、及びDは、それぞれのブロックチェーン内のブロックとして、(トランザクションUについて)データレコードW、X、Y、及びZをそれぞれ含む別個の独立したブロックチェーンを維持してもよい。トランザクションUに関連付けられたデータレコード(又はブロック)W、X、Y、及びZは、多次元ブロックチェーン内の多次元ブロックを集合的に形成することもできる。したがって、トランザクションの整合性のある一貫した閲覧が、法律上、プライバシー、及び/又は他の規制/ビジネス上の考慮事項の遵守を維持し、かつデータ完全性を促進しながら、トランザクションに関連付けられ得る市場エンティティの全てにとって利用可能である。
【0052】
本明細書で使用されるときの「ブロックチェーン」という用語は、ブロックが暗号技術を使用してリンクされるレコード又は「情報ブロック」又は「ブロック」の成長可能なリストを指す。各ブロックは、先行のブロックの暗号ハッシュ、タイムスタンプ、及びトランザクションデータを含む。ブロックチェーンに追加されている現在のブロックはまた、ブロックチェーンのヘッドとも呼ばれる。暗号ハッシュ関数が、任意のサイズのデータを、「ハッシュ」と呼ばれる、固定サイズのビット列にマッピングする。ハッシュ関数は、決定論的であってもよく(同じ入力は、同じ出力を生成することになる)、反転する(すなわち、ハッシュ値から入力された元のデータを判定する)ことが不可能である一方向関数であってもよい。ブロックのトランザクションデータは、マークル木ルートハッシュとして表すことができる。「マークル木」又は「ハッシュ木」という用語は、木を指すために使用され、全ての葉ノードが、トランザクションデータのハッシュを用いてラベル付けされ、各非葉ノードが、その子ノードに関連付けられたラベルの暗号ハッシュを用いてラベル付けされる。ブロックチェーンに追加されるブロックのブロックヘッダは、先行するブロックヘッダに対するハッシュ基準と、トランザクションデータを包含するマークル木のルートに対するハッシュ基準とを含んでもよい。ブロックチェーンは、ブロックチェーン内のデータへの変更がハッシュ基準のうちの1つ以上に不一致をもたらすため、データ完全性を促進する。レコード又はデータレコードという用語はまた、ブロックチェーンに追加される予定である非最終データを示すためにも使用される。データレコードが検証されて最終承認されると、そのデータレコードは、ブロックチェーンに追加され得、ブロックチェーン内のブロックを形成することができる。
【0053】
「多次元ブロックチェーン」という用語は、一連の多次元レコード(また、多次元ブロックとも呼ばれる)を指すために使用され、その場合、各多次元レコードは、2つ以上のデータレコードを含む。場合によっては、多次元ブロックチェーンの次元を形成するとしてみなされ得るデータレコードの各々がまた、あるエンティティに関連付けられた別個のブロックチェーン内にブロックを形成することができる。したがって、いくつかの実施形態では、多次元ブロックが、各次元内にデータレコードを含むことができ、その場合、次元に対応するデータレコードは、対応するエンティティに関連付けられた別個の従来のブロックチェーン内にブロックを形成することができる。例えば、多次元ブロックは、EHRデータレコードを一次元として、DIRデータレコードを別の次元として、またトランザクションデータレコードを第三の次元として含むことができる。更に、場合によっては、多次元ブロック(多次元ブロックチェーン内の)に関連付けられたEHRデータレコードは、別個のEHRブロックチェーン(すなわち、多次元ブロックチェーンとは別個の)内にブロックを別個に形成することができる。同様に、場合によっては、多次元ブロックに関連付けられたDIRデータレコード及びトランザクションデータレコードは、それぞれ、別個のDIRブロックチェーン(例えば、PMDP130に関連付けられた)、及びトランザクションレコードブロックチェーン(例えば、支払人140に関連付けられた)内にそれぞれブロックを形成することができる。したがって、場合によっては、多次元ブロックチェーンの文脈におけるデータレコードは、別個の従来のブロックチェーン内のブロックに対応することができる。場合によっては、多次元ブロック内の(例えば、次元に関連付けられた)各データレコードは、別個の従来のブロックチェーン内の対応するブロックに対応し、それらの一部を形成し、かつ/又はそれらに由来し得る。多次元ブロックは、先行の多次元ブロック、タイムスタンプ、及びデータの暗号ハッシュを含むことができる。多次元ブロックのデータは、多次元ブロックを作り上げる個々のデータレコードのハッシュを含むことができる。いくつかの実施形態では、エンティティ間の合意メカニズムを使用して、提案された多次元ブロック内のデータの正当性を、その多次元ブロックが拘束及びロックされる前に確認することができる。
【0054】
したがって、多次元ブロックは、2つ以上の暗号化されたデータレコードを含むことができ、その場合、各暗号化されたデータレコードは、別個のエンティティ(例えば、ヘルスケア市場内の)に関連付けられ得る。上で概説したように、多次元ブロック内のデータレコードは、別個のブロックチェーン内にブロックを別個に形成することができ、その場合、ブロックチェーンの各々は、別個のエンティティに関連付けられ得る。各暗号化されたデータレコードは、対応する関連したエンティティ(例えば、データレコード所有者)によって復号することができる。更に、暗号化されたデータレコードが、暗号化されたデータレコード所有者に加えて、少なくとも1つの他の特定のエンティティによって復号されていた可能性があるデータを有する一部分(「サブブロック」と呼ばれる)を含むことができる。例えば、このサブブロックは、対応する多次元ブロックが形成された時点で、(データレコード所有者に加えて)少なくとも1つの他の別個のエンティティによって復号された可能性がある。いくつかの実施形態では、多次元ブロック形成の時点で又はその前に、サブブロックは、別個に暗号化された可能性があり、サブブロックを復号するための情報と共に、別のエンティティに利用可能にされた可能性がある。したがって、多次元ブロックは、認可された市場エンティティに対して、データの、整合性のある一貫した閲覧を提供し、プライバシー及び/又はデータ共有規制、ビジネスガイドライン、及び/又は契約義務に準拠し、データ完全性を促進しながら、ヘルスケア市場に関連付けられた複数のエンティティに対するトランザクションデータの利用可能性を促進してもよい。エンティティはまた、ローカルに維持されたブロックチェーン内の対応するブロックとの(例えば、多次元ブロックチェーン内の多次元ブロックの次元に関連付けられたレコードの)データ相関性を保証することもできる。実施形態では、情報が、サブブロックを使用して2つのエンティティ間で交換されるときに、復号可能なサブブロックを介して交換される情報は、2つのエンティティ間の情報インターフェースに基づくことができる。いくつかの実施形態では、情報を交換するときに(例えば、多次元ブロック形成の時点で)、各エンティティは、他のエンティティによって復号可能であるサブブロックを生成しながら、エンティティによって維持されるローカルなブロックチェーンに関連付けられたブロックを暗号化することができる。情報インターフェースは、ブロックチェーンに関連付けられたスマートコントラクトに基づくことができる。
【0055】
「スマートコントラクト」という用語は、場合によっては、ブロックチェーン又はブロックチェーンプラットフォームに関連付けられ得るプログラムコード又はロジックを指すために使用される。この「スマートコントラクト」は、データ共有、トランザクション、アクセス、コントラクト履行等に関連して、2つ以上のエンティティ間のルール又は合意を符号化することができる。スマートコントラクトは、多次元ブロックチェーンプラットフォームに関連する2つ以上のエンティティ及び/又は合意との間のコントラクトに基づくことができる。例えば、多次元ブロックチェーンに関連付けられた「スマートコントラクト」プログラムコードが、トランザクションリクエストを処理し、プログラムロジックに基づいてトランザクションの妥当性を判定することができる。
【0056】
図2は、例示的な電子健康レコード(EHR)200を示し、レコード内のいくつかの例示的なデータフィールドが表されている。いくつかの実施形態では、EHR200は、患者に関する情報を含んでもよく、(例えば、HIデータベース125内の)HCP120によって所有及び維持されてもよい。いくつかの実施形態では、EHR200におけるデータフィールドは、部分的に、患者から受信された情報に基づいて、HCP120によって格納及び/又は更新されてもよい。EHR200はまた、PMDP130及び/又はSE150及び/又は支払人140等の他のエンティティから(例えば、サブブロック380、480、580等のサブブロックとして)受信されたデータを含んでもよい。いくつかの実施形態では、EHR200は、データ安全監視委員会(DSMB)サブブロック及び食品医薬品局(FDA)サブブロック(図2には図示せず)等の他のエンティティからのサブブロックを含んでもよい。DSMBサブブロックは、例えば、DSMBに関連付けられた情報を含んでもよい。DSMBは、研究対象の安全性、並びにデータの妥当性及び完全性を確実にするために、定期的に治験データをレビューしてもよい。DSMBは、蓄積された治験データを、参加者の安全性、治験の実施及び進捗、並びに/又は有効性について、レビュー及び評価してもよい。DSMBはまた、スケジュールされていないレビューを要求することになるイベントトリガーを指定して、承認されたプロトコルと矛盾するプロシージャを停止させてもよい。同様に、FDAサブブロックは、FDA、及び/又は治験を監督する別の規制機関、及び/又は治験のためのプロトコルを承認した機関のための情報を含んでもよい。EHR200に示すフィールドは、単なる例示であり、EHR200は、法律、標準規格、HCP慣習、及び/又は業界慣習等に基づいて、様々な他の追加のフィールドを含むことができる。EHRは、例示的なEHR200に関連して示されるフィールドとは異なる(より少ない又はより多くの)フィールドを含むことができる。サブブロック380、480、及び580は、ブロックから受信された情報がEHR200に統合されている可能性があることを示すために、破線のブロックで示されている。
【0057】
EHR200は、HCP120に関する情報(例えば、HCP識別、登録及び/又はライセンス情報、アドレス、関連付けられた医療専門家、医療専門家識別/登録情報等)を保存し得るHCPプロファイルフィールド295に関連付けられてもよい。いくつかの実施形態では、HCPプロファイル295内の情報の一部又は全部が、トランザクションに関連する他のエンティティと共有されてもよい。例えば、HCPプロファイル295の一部分が、(例えば、指定された受信エンティティによって復号可能であり得る暗号化されたサブブロック280の一部として)PMDP130、支払人140、及び/又はSE150等の1つ以上のエンティティに送信されてもよい。
【0058】
別の例として、図2に示すように、EHR200は、比較的希に変化し得る、患者についての基本プロファイル情報230を含んでもよい。基本プロファイル情報230には、患者名204、患者ID202、家族歴205、出生日(Date of Birth、DOB)220、血液型225等が含まれ得る。家族歴205には、母方の既往歴210、及び父方の既往歴215が含まれ得る。基本プロファイル情報230はまた、患者に関連付けられた他の以前又は現在の病状についての情報を含み得る病歴232であってもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、基本プロファイル情報230の一部は、PII情報(例えば、患者名204、患者ID202等)と考えることができる。患者が治験への参加のための事前スクリーニングに同意した場合、及び/又は患者が薬物/デバイス展開のための患者関連情報の使用に同意した場合等の、いくつかの場合では、基本プロファイル情報(例えば、患者年齢、患者病歴232、血液型225、家族歴205、患者郵便番号等)の一部分が、(例えば、PII情報のない280-1に限定される)第1のサブブロック280内の非PII情報として(すなわち、患者名204、生年月日220、患者ID202等の患者を一意に特定できる情報なしで)、別のエンティティと共有されてもよい。患者が、(例えば、治験及び/又は薬物/デバイス展開のための)候補者として選択されると、場合によっては、追加の患者同意が(まだ付与されていない場合)、(例えば、280-2を含む)後続のサブブロック280内で患者PII情報を送出する前に、適用可能な法律/規制に従って取得されてもよく、これを使用して、治験中に患者を監視してもよく、かつ/又は展開中に処方薬物/デバイスを受けるように患者をスケジュールしてもよい。
【0060】
EHR200は、(例えば、現在の疾患についての)診断235、診断用の標準化された診断コードであり得る診断コード240(例えば、国際疾病分類(International Classification of Diseases、ICD)コード)、治療を記載するための標準化された診断コード(例えば、最新専門用語集(Current Procedural Terminology、CPT)コード等)であり得る治療コード245、各処方を一意に特定するように機能し得る各処方についての処方コード250等の他のデータフィールドを更に含んでもよい。処方コード250は、本明細書では処方250とも称される。ICDは、診断及び医療処置のためのフィールドを含む。例えば、FDAは、固有の薬物用の「辞書」を維持しており、各薬物には別個の番号が割り当てられている。更に、同じ薬物の各用量に、別個の識別番号が割り当てられていてもよい。したがって、薬物、用量、及び処置は、ICDコードから一意に特定され得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、(処方用の)処方コード250が、(例えば、処方箋において処方されている各薬物/デバイスに対して)、処方薬物フィールド255-p、1≦p≦P(例えば、医療デバイス用の薬物ID及び/又は分類製品コード(classification Product Code、CPC))、用量260-p(強度及び頻度)、及び持続時間265-p(薬物が服用される時間の長さ)等の1つ以上のサブフィールドを更に含んでもよい。場合によっては、EHR200はまた、処方が新たな処方であるか又は補充であるかどうかの指示等の他のフィールド及び/又はサブフィールドを含むこともできる。EHR200はまた、医療デバイスレポート(Medical Device Report、MDR)有害事象コード、又は薬物副作用を文書化するための他の(例えば、ICD-10)コード等の有害反応フィールド262-pを含んでもよい。いくつかの実施形態では、有害反応フィールド262-pは、サブブロック280の一部として、SE150及び/又はPMDP130に(例えば、患者が治験に参加している場合)、かつ/又はPMDP130に(例えば、薬物/デバイス展開の一部として処方される場合)、送信されてもよい。EHR200はまた、薬物/デバイス選択のための1つ以上の判定基準、及び/又は患者によって提供され得るコスト項目若しくはコスト判定基準を指定することができる、患者基準297を含んでもよい。例えば、患者基準297は、利用可能な場合の投与の好ましい方法(例えば、局所、摂取、吸入等)、処方薬物/デバイスが得られるエリア又は場所、患者コスト考慮事項等を指定することができる。例えば、患者基準297は、治験のための事前スクリーニングプロセス中に使用されてもよく、あるいは処方薬物255-pの投与方法(例えば、摂取、局所等)を決定するために使用されてもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、患者用のEHR200は、例えばHCP120により、ブロックチェーンとして保存されてもよい。いくつかの実施形態では、HCP120と患者及び/又は別のエンティティとの間のトランザクションに関連する情報が、EHRブロックチェーン内のEHR情報ブロックの一部を形成してもよい。トランザクションに関連付けられたEHRブロックがブロックチェーンに保存される場合、保存された情報は、場合によっては、トランザクションを一意に識別するように機能し得るトランザクションID695に関連付けられてもよい。いくつかの実施形態では、トランザクションID695は、トランザクションに関連付けられたエンティティに共通であってもよい(例えば、トランザクションに関連付けられた全てのエンティティが同じトランザクションIDを使用してもよい)。いくつかの実施形態では、トランザクションイニシエータ及び/又は許可型ブロックチェーンプラットフォームのコンポーネントが、トランザクションID695等のトランザクション情報を、トランザクションに関連付けられた1つ以上のエンティティに提供してもよい。したがって、エンティティによって送信又は受信されたサブブロックが、トランザクションに関連付けられているものとして識別され、適切に処理され得る。いくつかの実施形態では、トランザクションID695のフォーマット及び内容は、トランザクションプラットフォームに関連付けられたエンティティによって事前に決定及び/若しくは合意されてもよく、かつ/又はトランザクションプラットフォームによって提供されてもよい。他のトランザクション情報関連フィールド(図2には図示せず)が、トランザクションタイプを含んでもよく、そのトランザクションタイプがエンティティにより使用されて、送信及び/又は受信されたサブブロック内の情報が決定及び処理され、適切な応答が決定される。例えば、トランザクションタイプは、治験における薬物/デバイスの処方に関連付けられたパラメータ(例えば、処方薬物/デバイス、用量、持続時間等)を指定するために、サブブロック480-1が(例えば、SE150によって)提供されていることを示し得る。次いで、これらのパラメータが(例えば、HCP120により)使用されて、EHR 200内の対応するパラメータ(例えば、処方薬物/デバイス255-p、用量260-p、持続時間265-p等)が追加及び/又は更新されてもよい。上記のパラメータ(例えば、処方薬物/デバイス255-p、用量260-p、持続時間265-p等)は、治験への登録のために、(SE150により)選択され、SE150及び患者により承認された時点で、例えばSE150(図2には図示せず)により提供されてもよい。
【0063】
以下の説明では、EHRが(例えば、HCP120により)ブロックチェーンとして維持される場合、EHR情報レコード200は、EHRブロック200と称される場合もある。したがって、EHRブロック200は、EHRブロックチェーン内にブロックを形成することができる。EHRブロック200がEHRブロックチェーンに追加され得る場合、EHRブロックチェーンに追加されるEHRブロック200内のいくつかのデータは、他のエンティティに依存する可能性がある。例えば、上記で概説したように、処方薬物/デバイス255-p、用量260-p、持続時間265-pは、治験のための患者の選択及び承認の時点で、SE150によってサブブロック480-1に提供されてもよい。別の例として、治療(例えば、診断コード240によって記述される診断のための治療コード245で指定される)は、支払人140(図2には図示せず)による承認を経てもよく、承認時にEHRの一部として含まれてもよい。更なる例として、EHRブロック200がEHRブロックチェーンに追加される前に、EHRブロック200の部分を形成し得る薬物警告ラベル(図2には表示せず)が、PMDP130からの入力(例えば、受信されてサブブロック380内にある)を使用して、警告ラベルにおける情報を完成、検証、及び/又は更新してもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、患者基準297、診断235、診断コード240、治療コード245、処方コード250が、データフィールドの処方薬物/デバイス255-p、用量260-p、及び持続期間265-p(1≦p≦P)と共に、サブブロック280の部分を形成してもよい。いくつかの実施形態では、(SE150及び患者による)承認の時点で、サブブロック280は、基本プロファイル情報230、患者保険適用範囲関連情報272、及び/又はプランID270、のうちの1つ以上等のPII情報(280-2)を更に含んでもよく、PII情報は、患者が加入している保険プラン(例えば、健康保険プラン、薬剤給付プラン、処方箋適用範囲等)を特定する機能を有し得る。いくつかの実施形態では、(状況、適用される法律、及び/又は患者認可に応じて)サブブロック280はまた、本明細書に記載されるサブブロック280(280-1及び280-2)及び/又は282内の情報の一部又は全部を(例えば、トランザクションプロセス中の適切な時間に)含んでもよい。サブブロック280及び/又は282内の情報の一部又は全部は、1つ以上の他のエンティティ(例えば、支払人140及び/又はSE150等)と共有されてもよく、トランザクションに関連付けられた他の記録/ブロックの一部を形成してもよい。
【0065】
処方250は、1つ以上の処方薬物/デバイス255-p,1≦p≦Pを含んでもよく、式中、Pは、処方250に関連付けられた薬物の数を表す。したがって、いくつかの実施形態では、サブブロック280は、処方250内に処方薬物/デバイス255-pの各々についてのレコードを含んでもよい。サブブロック280は、別の特定のエンティティと共有され得るいくつかの情報を例示する単なる例である。例えば、サブブロック280、又はその一部分(例えば、280-1)はまた、HCP120によって暗号化され、(例えば、安全情報及び他の情報を取得するために、280-2内に患者PII情報なしで)PMDP130に送信されてもよく、PMDP130によって復号可能であってもよい。
【0066】
一般に、データレコード又はブロック内のいかなる適切なフィールド又はフィールドの組み合わせ内の情報も、サブブロックに集約されてもよく、サブブロックは、何らかの他の特定のエンティティ(単数又は複数)(例えば、1つ以上の第2のエンティティ)によって復号可能なように、(例えば、第1のエンティティによって)暗号化されてもよい。暗号化されたサブブロックは、(例えば、第1のエンティティによって)、他の指定された1つ以上のエンティティ(例えば、1つ以上の第2のエンティティ)に送信されてもよく、他の指定された1つ以上のエンティティは、受信された情報を復号し、(例えば、トランザクションタイプに基づいて)適切に機能してもよい。ローカルに維持されたブロックチェーン(例えば、EHRブロックチェーン)内のデータレコード又はブロックからサブブロックを形成するために、第1のエンティティにより使用され、別の(第2の)エンティティと共有される情報は、規制(例えば、ヘルスケア及び/又はプライバシー)、情報共有を規定する(例えば、特定のエンティティ間で共有できる又は共有できない情報を決定し得る)法律、(例えば、企業秘密若しくは機密情報の共有/保護を既定し得る)ビジネスガイドライン、及び/又は(例えば、情報を共有しているエンティティ間の、又はそれらエンティティに関する)契約義務及び/又は合意(例えば、電子トランザクションプラットフォームへのサブスクリプションの一部として)に依存し得る。
【0067】
別の例として、サブブロック282内の情報が、保険適用範囲関連情報272、プランID270、共同支払い情報275等を含んでもよい。保険適用範囲関連情報は、薬物展開中に、治療に対して支払人140等の保険会社によって支払われる場合に、かつ/又は薬物/療法の緊急/コンパッショネートの使用が、患者のために支払人140によって承認され得る場合に使用され得る。薬物治験が行われ、(例えば、HCP120及び治験参加者への)支払いがPMDP130によって行われる場合、いくつかのサブブロック(例えば、サブブロック282)は省略されてもよい。先に概説したように、サブブロックの数は、トランザクションタイプ及び関与するエンティティに依存し得る。サブブロック282内のいくつかの情報は、存在する場合、患者から直接取得された可能性がある一方で、他の保険適用範囲関連情報は、トランザクションID695によって指定されたトランザクションに関連して、(例えば、コンパッショネート使用に関連付けられた、又は薬物/デバイス展開中に投与された、カバーされるコストを決定するために)、支払人140から取得され、かつ/又は支払人140により確認され、(例えば、適切なエンティティから受信され、図2には示されないHCP120により復号された1つ以上の暗号化されたサブブロックに基づいて)HCP120により復号された可能性がある。例えば、トランザクションタイプは、サブブロック282が、コンパッショネート使用に関連して保険適用範囲関連情報272を取得、確認、若しくは完了するために提供されていること、又は処方薬物/デバイス255-pのための薬物/デバイス展開中に投与されていることを示し得る。
【0068】
更に、状況によっては、基本プロファイル情報230、DOB220、血液型225、及び病歴232のいくつかの(例えば、非PIIの)部分等のEHR情報200の一部(例えば、280-1)が、サブブロック280としてHCP120によって暗号化され、1つ以上の薬物/デバイスに関連する治験参加適格性について患者を事前スクリーニングした後に、SE150及び/又はPMDP130に送信されてもよい。次いで、SE150及び/又はPMDP130は、トランザクションID695によって指定されたトランザクションに関連するサブブロック280を復号してもよく(例えば、患者が治験への登録のための基準を満たすかどうかを判定するために)、及び/又は患者が治験のために選択された場合に(患者承認後に)患者/HCP支払いを決定するために。更なる例として、サブブロック280に含まれる基本プロファイル情報230の一部分(例えば、280-1)は、患者に関連する(例えば、名前、識別番号等を除いた)非PIIであってもよい。したがって、患者のプライバシーを損なうことなく、(例えば、有害反応、医療デバイス誤動作等を決定するために)医療情報が、別の特定のエンティティと安全に共有することができる。PII情報の開示が(例えば患者によって)許可及び認可される別の例では、サブブロックはPII情報(例えば280-2及び/又は280-1)を含むことができ、その結果、SE150及び/又はPMDP130は、支払い支援のために患者適格性を判定することができ、あるいは有害反応262-p、他の健康パラメータ、及び/又は他の結果を含む事象を、治験中に、又は薬物/デバイス展開中に(患者識別を確立するための)処方履行に関連して報告することができる。例えば、(コンテキスト、トランザクションタイプ、適用可能な法律、及び/又は患者認可に応じて)、280-1、280-2、及び/又は284に存在する情報の一部又は全部が、サブブロック280に組み込まれてもよい。
【0069】
更なる例として、サブブロック280内のデータを、HCP120等のエンティティによって支払人140等の別のヘルスケア市場エンティティと共有して、トランザクションを完了させてもよい。しかしながら、基本プロファイル情報230に関連付けられた患者プロファイル情報(例えば、家族歴205、母方の既往歴210、及び/又は父方の既往歴215)は、(例えば、患者の指示/プライバシー、法律上、及び/又はビジネスガイドラインに基づいて)プライベートであると見なすことができ、第1のエンティティ(例えば、HCP120)は、家族歴205を共有しなくてもよく、又は共有される基本プロファイル情報230の一部分を制限してもよい。別の例では、サブブロック280の非PII部分は、治験への参加に対する患者の適格性を判定するための事前スクリーニング中に、最初は、HCP120等のエンティティによって、SE150等の別のヘルスケア市場エンティティと共有されてもよく、その後(例えば、治験のための患者がSE150により選択された時点で、かつ治験への参加に対する患者の承認を確保した後に)、SE150と共有されたサブブロック280は、患者PII情報を含んでもよい。
【0070】
したがって、いくつかの実施形態では、エンティティによって送信される又は別のエンティティから受信されるサブブロックを形成するために使用されるデータは両方とも、トランザクションに関連付けられたエンティティ(例えば、HCP120及び支払人140、又はHCP120及びSE150のいずれか)、現在のトランザクション状態(例えば、患者が事前スクリーニングされているか、又は既に治験への参加に選択されているか、かつ/又は承認を示しているか)、及びデータが共有されているコンテキスト(例えば、トランザクションのタイプ又は性質、例えば、有害事象の報告、支払支援の取得等)、に依存し得る。いくつかの実施形態では、任意の2つのエンティティ間の情報インターフェースは、トランザクションタイプ、トランザクション状態、及び/又はコンテキストに依存し得る。いくつかの実施形態では、(例えば、エンティティによって合意/事前配置された、かつ/又は許可型ブロックチェーンプラットフォームによって設定された、かつ/又は規格に基づいて設定された)1つ以上のプロトコルが、トランザクションタイプと、各トランザクションタイプについてエンティティによって送信/受信されるサブブロック内に存在する情報とを指定してもよい。いくつかの実施形態では、トランザクションタイプに関連するエンティティ間で共有されるサブブロックに含まれるデータフィールドは、(例えば、プロトコル及び/又は合意された規格により)、必須、条件付き、任意選択、要求に応じて等として示されてもよい。この指示(必須、条件付き、任意選択、要求に応じて等)は、現在のトランザクション状態に依存し得る。
【0071】
サブブロック(例えば、サブブロック280)内のデータは、別個に暗号化されてもよく、認可されたエンティティによってのみ復号可能であってもよい。いくつかの実施形態では、サブブロック(例えば、サブブロック280)を形成するデータの暗号化は、任意の適切な暗号方式に基づいてもよく、その暗号方式は、対称鍵暗号化技術(その場合、HCP120及びPMDP130等のエンティティが秘密鍵を共有する)、例えば、次世代標準暗号化方式(Advanced Encryption Standard、AES)ベース技術又はそのバリエーションを含む。サブブロック280は、他のエンティティ(例えば、支払人140)と共有される前に、(例えば、HCP120によって)暗号化することができる。他のエンティティ(例えば、支払人140)は、例えば、共有鍵を使用して、サブブロック280を復号することが可能であり得る。
【0072】
更に、EHR200内のデータは、(例えば、HCP120によって維持される、かつ/又は電子トランザクションプラットフォームによって維持される)ブロックチェーンに追加される前に、任意のセキュア暗号化技術を使用してHCP120によって別個に暗号化されて、EHRブロック200が形成してもよい。例えば、EHRブロック200内のデータは、(例えば、HCP120にとってプライベートである)秘密鍵を使用して別個に暗号化されてもよく、その結果、データは、HCP120によって復号可能であり、HCP120にとって利用可能であるが、いかなる他のエンティティにとっても利用不可能であり、かつ/又は閲覧可能ではない。
【0073】
図3は、薬物デバイス情報レコード(DIR)データベース135に保存され得る、薬物のための例示的なDIR300の一部分を示す。いくつかの実施形態では、DIR300は、薬物、デバイス、及び/又は処置等の治療(例えば、薬物及び/又は医療デバイス)に関する情報を含んでもよい。DIR300に示したフィールドは、単に例示的なものであり、DIR300は、法律、標準規格、業界慣習等に基づいて、様々な他のフィールドを含むことができる。加えて、DIRは、例示的なDIR300に関連して示されたフィールドとは(多かれ少なかれ)異なるフィールドを含むことができる。SE150がPMDP130の一部門である場合等のいくつかの場合では、治験中に、DIRレコード300内の情報は、SE150によって維持及び/又は提供されてもよい。
【0074】
DIR300は、PMDP120に関する情報(例えば、PMDP識別、コンタクト情報、アドレス等)を保存し得るPMDPプロファイルフィールド395に関連付けられてもよい。SE150がPMDP130の一部門である場合、PMDPプロファイルフィールド395は、SEプロファイルフィールド440内の情報に対応し得る。いくつかの実施形態では、PMDPプロファイル395内の情報の一部又は全部が、任意選択で、トランザクションに関連する他のエンティティと共有されてもよい。例えば、PMDPプロファイル395の一部分が、(例えば、指定された受信エンティティによって復号可能であり得る、暗号化されたサブブロックの一部、例えばサブブロック380として)支払人140、及び/又はSE150等の1つ以上のエンティティに送信されてもよい。
【0075】
図3を参照すると、PMDP130は、(例えば、HCP120からサブブロック280の一部として受信される)処方薬物/デバイスフィールド255-p内の情報を使用して、(例えば、処方コード250に関連付けられた各薬物/デバイス255-pについて)、薬物デバイスが治療する器官又は生体系、及び/又は治療領域フィールド360ーpによって指定され得る治療領域であって、反復する指示サブフィールド362-p1、362ーp2...と、対応する指示に対する反復する用量サブフィールド364-p1、364-p2...とを含む、治療領域と、MOAフィールド340-pによって指定され得るアクション機構及び/又はアクションモードと、薬物の一般的な化学的性質特性であって、化学データフィールド350-pによって指定することができ、化学データフィールド350-pは、薬物の化学成分を記述するサブフィールド分子式フィールド353-p及び化学構造サブフィールド355-pを更に含み得る、化学的性質と、のうちの1つ以上を決定してもよい。
【0076】
図3を参照すると、DIR300は、薬物/デバイスID302-pのついての薬物名304-pと、(病状に対する治療的効果の尺度であり得る)有効性327-pと、投与経路335-p(例えば、局所、経口、静脈内等)と、副作用サブフィールド345(例えば、二次的影響)を含み得る安全性330-p(例えば、薬物相互作用、毒性、禁忌等)と、有害事象サブフィールド333-p(例えば、HCP120によってサブブロック280の一部として報告される有害反応262-pを取り込み得る、薬物について報告される有害事象)と、を含む様々な他のデータフィールドを含んでもよい。DIR300はまた、薬物/デバイスに関連する様々な他のフィールドを含んでもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、薬物/デバイスID302-p、薬物/デバイス名304-p、安全性330-p(及びサブフィールド)、及び有効性327-p、薬物/デバイスクラス337-p、治療領域360-p、指示362-ph(例えば、指示362-p1、指示362-p2等)、及び対応する用量364-ph(例えば、用量364-p1、用量364-p2等)が、サブブロック380の一部を形成してもよい。例えば、治験を受けている薬物/デバイスについての指示362-ph(例えば、指示362-p1、指示362-p2等)、及び対応する用量364-ph(例えば、用量364-p1、用量364-p2等)に関する情報は、治験のためのプロトコルの一部として、PMDP130及びSE150によって合意されてもよい。
【0078】
したがって、サブブロック380(及び任意の他のサブブロック)内の情報は、エンティティ間で事前配置されてもよく、プロトコルによって決定されてもよく、かつ/又は(例えば、法律、規制、認可、及び/又は契約上の義務に基づいて)プラットフォームによって指定されてもよい。したがって、サブブロック380(及び任意の他のサブブロック)内の情報は、例示的なサブブロック(例えば、例示的なサブブロック380)に対して示されたものよりも多くても少なくてもよく、更に、トランザクションタイプ、トランザクションコンテキスト、及びインタラクションするエンティティに依存してもよい。サブブロック380は、任意選択で、投与経路335-p、MOA340-p、化学データ350-p、及び他の関連するフィールド/サブフィールドを更に含んでもよい。図3では、例示的なサブブロック380に関連付けられたフィールドが、破線の外周内に囲まれて示されている。
【0079】
DIRサブブロック380は、(例えば、トランザクションID695によって特定される)トランザクションに関連して、PMDP130によって別のエンティティ(例えば、HCP120)に提供され得る。いくつかの実施形態では、サブブロック380内の情報は、(例えば、トランザクションID695及びトランザクションタイプによって特定される)トランザクションに関連付けられてもよく、トランザクション中に、かつ/又はトランザクション完了前に、PMDP120によって暗号化され、別のエンティティ(例えば、HCP120)に送信されてもよい。
【0080】
いくつかの実施形態では、DIRレコード300は、(例えば、トランザクションID695によって指定される)トランザクションに関連付けられてもよく、トランザクションの完了時点で、PMDP130等のエンティティによって、DIRブロック、DIRブロックチェーンとして保存されてもよい。以下の説明では、DIRレコード300がDIRブロックチェーンの部分を形成する場合、DIR情報レコード300は、DIRブロック300と称される場合もある。したがって、DIRブロック300は、DIRブロックチェーン内にブロックを形成することができる。
【0081】
2つ以上のエンティティ(例えば、患者、HCP120、PMDP130、支払人140、及び/又はSE150)間の(例えば、トランザクションID695によって指定される)トランザクションが、別のエンティティによって維持される(又は所有される)(例えば、薬物/デバイスに関連する)情報に関与してもよい。例えば、HCP120は、治験を受けている又は展開されている薬物/デバイスに関する、PMDP130からの情報を要求してもよい。トランザクション確認の前に、他のエンティティ(すなわち、PMDP120以外)によって維持されるレコードに統合されている(例えば、DIR情報ブロック300内のPMDP130によって維持されている)データの一部が、PMDP130からの入力、PMDP130による検証、及び/又はPMDP130による確認に依存してもよい。逆に、PMDP130が、入力を、別のエンティティ(例えば、HCP120)からサブブロックの形態で受信してもよい。受信された情報の一部又は全部が、DIRレコード300に組み込まれてもよく、かつ/又はDIRレコード300内の情報を決定するために使用されてもよい。
【0082】
例えば、HCP120は、(例えば、非PII情報を有する)サブブロック280をPMDP130に送信してもよい。PMDP130は、サブブロック280内の情報(例えば、処方薬物255-p)を使用して、対応する薬物/デバイス302-p、薬物/デバイスクラス337-pを決定し、情報を取得してサブブロック380に提供してもよく、この情報はHCP120に送信されてもよい。HCP120は、(DIR300内の薬物/デバイス302-pに対応する)薬物/デバイス-255pを投与して、処方を完了させる前に、サブブロック380内の情報を(例えば、薬物相互作用、有害事象333-p等について)レビューしてもよい。
【0083】
加えて、PMDP130は、トランザクション完了前に、現在の(例えば、直近に受信された)サブブロック280内の情報のいくつかを、DIRレコード300の一部として保存してもよい。例えば、診断(例えば、診断コード240)、用量(例えば、用量260)、有害事象(例えば、HCP120によって報告された有害反応262-p)等に関する情報が、部分DIRレコード300として保存されてもよく、薬物/デバイスIDフィールド内の薬物が処方されていることが(例えば、トランザクション確認時に、サブブロック280内の処方薬物フィールド255の値によって示され得るように)(例えば、HCP120から)確認された時点で、対応する薬物/デバイスID302-pに関連付けられてもよい。
【0084】
したがって、トランザクションに関連する(例えば、薬物/デバイスに関係する)情報が要求された場合、所有者(例えば、PMDP130)は、(例えば、サブブロック380内の)情報を、要求エンティティ(例えば、HCP120)に送信することにより応答してもよい。(例えば、サブブロック380内の)情報は、送信前に(例えば、PMDP130によって)暗号化されてもよく、サブブロック380内の情報が、要求エンティティ(HCP120)と送信エンティティ(PMDP130)との間でプライベートとなるように、要求エンティティ(例えば、HCP120)によって復号可能であってもよい。加えて、エンティティ間で交換されるサブブロック内の情報は、共有される情報が既存の規制、プライバシー法、契約上の義務、及び/又は情報の指定された所有者(例えば、患者)から受け取った認可に準拠するように制限されてもよい。
【0085】
したがって、いくつかの実施形態では、PMDP130に送信されるサブブロック内のデータは、対応する送信エンティティ(例えば、支払人-i 140-i)によって別個に暗号化されてもよく、PMDP130によって復号可能であってもよく、無認可エンティティにとって利用不可能であってもよい。いくつかの実施形態では、(例えば、PMDP130によって受信された)サブブロック内のデータの暗号化は、対称鍵暗号法を含む、いかなる適切な暗号化技術に基づいてもよい。暗号化は、例えば、エンティティ間(例えば、支払人1 140-1フィールドにおいて特定される支払人140-iとPMDP130)で共有される秘密鍵に基づいてもよい。受信エンティティ(例えば、PMDP130)は、例えば秘密共有鍵に基づいて、受信されたサブブロックを復号することが可能であってもよい。
【0086】
更に、ブロックチェーンに追加される前に、DIRブロック300内のデータはまた、任意の安全な暗号化技術を使用して、第1のエンティティ(例えば、PMDP130)によって別個に暗号化されてもよく、その結果、そのデータは、第1のエンティティ(例えば、PMDP130)にとって復号可能かつ利用可能であるが、他のエンティティ(例えば、HCP120及び/又は支払人140)によって利用不可能であり、閲覧することができない。
【0087】
図4は、SE150によって維持され得る、例示的な治験レコード400の一部分を示す。SEという用語は、治験を実施する役割を担う任意のエンティティを指すために使用される。SE150は、PMDP130と通信すること、治験プロトコルを検証すること、候補患者をスクリーニングするためのパラメータを設定すること、適切な患者を登録すること、治験の進行を監視すること、治験をいつ終了するかを決定すること、結果を分析すること等に対する全体的な責任を有し得る。薬物/デバイス255-pについての治験に関する情報は、CTR400に保存されてもよい。CTR400は、治験における薬物/デバイス255-pについてのプロトコル404に関する情報を含んでもよい。
【0088】
CTRは、患者についての適格基準410に関する情報を含んでもよいプロトコルフィールド404を含んでもよい。患者の適格基準は、年齢412(年齢範囲であってもよい)、性別414(例えば、男性)、以前の診断416(例えば、あらゆる以前の病状)、現在の診断418等を指定してもよい。適格基準404のうちの1つ以上が、治験のために患者を事前スクリーニングするために使用されてもよい。例えば、登録のための候補患者を選択するために、(例えば、HCP120から)受信された、サブブロック280内の情報が、対応する適格基準410と比較され得る。いくつかの実施形態では、適格基準480-1は、HCP120による事前スクリーニングを促進にするために、かつ/又は治験のための候補患者を選択する(又は拒否する)決定の一部として、HCP120と共有されてもよい。
【0089】
プロトコル404はまた、治療のための手順422を指定し得る治療420、(病状を判定/確認するための)診断424、及び(複数種の)薬物/デバイス426を含んでもよい。薬物/デバイス426に関連付けられた治験は、制御変数428及び試験変数430を使用することができ、これらは、投与されるべき用量436、試験期間438、治験フェーズ(例えば、フェーズ1、フェーズ2等)を指定することができ、治療期間及び他のパラメータも含むことができる。(例えば、480-2における)上記の情報のうちの一部又は全てが、サブブロック480の一部を形成してもよく、これは、治験のための患者の選択時点で、HCP120と共有されてもよい。
【0090】
例えば、HCP120は、サブブロック480内の上記の情報(例えば、480-2)の一部若しくは全部を使用して、患者に助言し、かつ/又は支払人140から保険適用範囲情報を取得し、治験への患者の参加に関連付けられたコストを決定し(例えば、実験ベース又はコンパッショネートベースで投与される場合)、又は(例えば、患者が参加に対して支払われる場合、)患者への支払いを認可することができる。一例として、SE150は、(治験を受けている)薬物デバイス426をHCP120に推奨してもよく、HCP120は、以前の処方箋250を、薬物/デバイス255を含むように(例えば、薬物/デバイス462-qとして)改訂してもよく、次いで、サブブロック280を、(a)PMDP130に送信して、サブブロック380内の、薬物/デバイス462(255-q)に関連する情報を取得して患者に助言してもよく、かつ(b)支払人140に送信して保険適用範囲関連情報を取得してもよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、SE150はまた、サブブロック480を情報480-1及び/又は480-2と共にPMDP130に送信し、プロトコル404を決定し、それに合意してもよい。PMDP130は、サブブロック380内の情報の一部又は全部に対して応答してもよい。SE150とPMDP130との間の情報の交換は、治験の開始前に、かつ/又は1つ以上のパラメータが治験中に修正される必要がある場合に生じ得る。
【0092】
SE150によって送信された、かつ/又は別のエンティティからSE150によって受信されたサブブロック480は、サブブロックに関連付けられたトランザクションを特定するために使用され得るトランザクションID695を含み得る。加えて、適格候補患者が、(事前スクリーニングに続いて)治験への潜在的な登録のために決定される場合、HCP120は、(例えば、なんらかの法律/規制等に準拠して患者承認を得た後に)サブブロック280内において、患者プロファイル230をPII情報及び薬物/デバイス255-qと共に、SE150に送信してもよい。いくつかの実施形態では、CTR400はまた、HCP120に関する情報を有するHCPプロファイル295を含んでもよく、HCPプロファイルは、サブブロック280の一部としてSE150に送信されてもよい。
【0093】
いくつかの実施形態では、CTR400はまた、研究機関(RI)440等のSE150に関する情報を含んでもよく、この情報は、RI名442、RI連絡先情報444、RI詳細448、及び治験主任者等の他の情報等を含む。いくつかの場合では、PIは、集めると単一の研究機関になる複数の物理的場所に関連付けられてもよい。例えば、医師は、1つの都市内であっても多くの場所を有し得る大学病院に権利を有することができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、研究機関(例えば、480-3におけるような)に関する上記のRI情報440は、CTRサブブロック480の一部を形成してもよい。更に、場合によっては、CTRサブブロック480は、情報480-1及び/又は480-2及び/又は480-3の何らかの組み合わせを含んでもよい。サブブロック480内の情報(例えば、480-3)が、治験に関連付けられたRI 440の特定を促進し得る。
【0095】
図5は、例示的な健康トランザクションレコード(HTR)500を示す。図5に示すように、HTR500は、患者に関連付けられたトランザクションについての、治療及び支払い及び/又はコスト関連情報を含んでもよい。HTR500に示すフィールドは、単に例示的なものに過ぎず、HTR500は、法律、標準規格、業界慣習等に基づいて、様々な他のフィールドを含むことができる。加えて、HTRは、例示的なHTR500に関連して示されるものとは異なる(より少ない又はより多くの)フィールドを含むことができる。いくつかの実施形態では、HTR500は、支払人140(例えば、SE150又は健康保険会社)等のエンティティによって所有及び維持されてもよく、トランザクションに関連付けられた1つ以上のエンティティに対するトランザクション承認及び/又は支払いの役割を担い得るトランザクション情報データベース157の一部を形成してもよい。
【0096】
HTR500は、支払人140に関連付けられ、かつ/又は支払人140とトランザクションすることを認可されたエンティティに関する情報を含む様々なデータフィールドを含んでもよく、この情報は、患者プロファイル195、HCPプロファイル295、PMDPプロファイル395、SEプロファイル495等を含む。保存されたプロファイルは、エンティティ間のトランザクション(例えば、支払い、レベート、保険適用範囲の検証、治療/処方についての認可等)を有効化するための情報を含んでもよい。HTR500はまた、HTRプロファイル595を含んでもよく、HTRプロファイル595は、支払人名、支払人連絡先情報等を含んでもよく、支払人140を特定し、かつ/又は支払人140と通信するために使用されてもよい。
【0097】
支払人140が薬物/デバイスの実験的/コンパッショネート使用のコストをカバーする状況では、HTR500はコスト情報505を含んでもよく、これはトランザクションに関連付けられたコストに対する支払人の見解を含んでもよい。例えば、コスト情報505は、トランザクションについての支払人140への純コストを記録することができる支払人コスト510を含んでもよい。支払人コスト510は、薬局コスト515(例えば、薬局160によって支払人140に請求される価格)、PMDPコスト520(例えば、支払人140とPMDP120との間で交渉された価格)、HCP治療コスト525(例えば、診断に関連してHCP120によって提供される治療のコスト)、及び患者コスト530(例えば、このプランにおいて支払人140から見たときの患者個人負担コスト535であって、例えば、治療及び処方のための患者自己負担額532、控除額537、及び共同負担割合539を含み得る)、のうちの1つ以上の関数であり得る。コスト情報605に関連付けられた情報の一部は、(例えば、契約等に基づいて)支払人140に利用可能であってもよい一方で、一部のコスト情報605は、トランザクション完了前に、(例えば、支払人140によって復号可能な、暗号化されたサブブロックを介して)、他のエンティティによって提供されてもよい。
【0098】
(支払人140が薬物/デバイスの実験的/コンパッショネート使用のコストをカバーする)上記の状況では、HCP120は、暗号化されたサブブロック280を、(例えば、図2の280-1及び/又は282のように)、保険適用範囲関連情報272、プランID270、及び/又はHCPプロファイル295と共に、支払人140に送信してもよい。支払人140は、(280-1及び/又は282を含む)サブブロック280内の情報を復号し、追加の患者保険適用範囲情報698を使用して、患者保険適用範囲を検証してもよい。患者保険適用範囲の検証は、HCP120によって復号可能な暗号化されたHTRサブブロック580(例えば、580-3及び580-4内の情報を有する)を、検証情報と共に、HCP120に送信することによって、HCP120に提供されてもよい。いくつかの例では、HCP治療コスト525は、支払人140とHCP120との間の契約上の合意に基づいてもよい一方で、他の例では、HCP治療コスト525は、暗号化されたサブブロック280内で、治療を提供するHCP120によって支払人140に送信されてもよい。更なる例として、(いくつかの事例では、282内に情報を含み得る)暗号化されたサブブロック280は、(例えば、治験を受けている薬物の処方が決定されると)、検証及びトランザクション承認のために、HCP120によって支払人140に送信されてもよい。いくつかの実施形態では、暗号化されたサブブロック280は支払人140によって復号されてもよく、支払人140は、1つ以上の確認メッセージを、支払人承認(HCP)527を有するHTRサブブロック580の形態で、(例えば、HCP120に)送信することにより、トランザクションを承認してもよい。同様に、PMDP130からの(例えば、治験に参加している患者への支払い支援に関する)クエリに応答して、PMDP130によって復号可能な暗号化されたHTRサブブロック580(例えば、580-2における情報PMDPコスト520及び支払人承認(PMDP)523、並びに580-4における関連情報を伴う)が、支払人140によってPMDP130に送信されてもよい。別の例として、薬局からの(例えば、治験に参加している患者に関連付けられた処方250に関する)クエリに応答して、薬局によって復号可能な暗号化されたHTRサブブロック580(例えば、580-2における薬局コスト515及び支払人承認(薬局)521、並びに580-4における関連情報を伴う)が、支払人140によって薬局に送信されてもよい。
【0099】
SE150が治験の参加者に支払う状況では、コスト/支払い情報505は、トランザクションに関連付けられたエンティティに対してSE150が行った支払いを反映してもよい。
【0100】
いくつかの実施形態では、トランザクションの完了時点で、HTR500は、支払人140によって維持され、支払人140にとってアクセス可能な、ローカルブロックチェーンの一部として保存されてもよい。暗号化された形式の(及び支払人140によって復号可能な)HTR500は、多次元ブロック内の多次元ブロックの一部を形成してもよい。多次元ブロックチェーンのHTRブロック500内にない情報は、他のエンティティによって暗号化されてもよく、支払人140によって復号可能でなくてもよい。逆に、多次元ブロック内のHTRブロック500は、支払人140及び/又はプラットフォームに関連付けられた他のエンティティによって復号可能でなくてもよい。したがって、各エンティティは、多次元ブロックチェーン内の多次元ブロックとして記録されるトランザクションの一貫した閲覧を有するが、エンティティは、他のエンティティによって所有される(多次元ブロックの一部として保存される)ブロック内の情報を閲覧することができない。したがって、第1のエンティティにより所有される(多次元ブロックの一部として保存された)ブロック内の情報は、他の第2のエンティティによる閲覧から確実に遮蔽されている。
【0101】
図6は、(図8のPHE180等の)PHEによって維持され得る例示的な公衆衛生エンティティレコード(PHER)600の一部分を示す。PHEという用語は、公衆衛生上の利益を保護及び/又は向上させるように機能する任務が課せられている任意のエンティティを指すために使用される。PHEは、都市、カウンティ、州、国、又は国際レベルで稼働し、政府及び規制組織を含むことができる。PHEは、公衆衛生緊急事態に続く薬物及び/又はデバイス展開を含む、公衆衛生対策を実現する全体的責任を有し得る。いくつかの実施形態では、PHE180は、試験及び監視ステーション、HCP120等によって報告された情報に基づいて、PHEレコード600を維持することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の母集団セグメント(例えば、健康緊急事態に関連してリスクが高い母集団)に関連付けられた、(例えば、年齢、性別、職業、健康状態等のリスク因子を含む)人口統計基準610等のPHER600の一部分は、(例えば、インターネットを介して)、一般に、及び/又は認可されたエンティティ(例えば、HCP120、PMDP130等)に、公開され、利用可能であり、及びアクセス可能であり得る。
【0102】
Covid-19パンデミック等の多くの公衆衛生緊急事態では、ワクチン、薬物等の治験は、多くの場合、(ワクチン、薬物等が承認されると)展開又はロールアウトに極めて接近して行われる。薬物、ワクチン、デバイス(例えば、人工呼吸器等)の展開は、(a)初期的には利用可能性が制限され得る(例えば、生産拡大中の場合)、又は(b)薬物及び/又はデバイスを受ける際に、一部の母集団セグメントが優先され得る(例えば、医療関係者、第1対応者、エッセンシャルワーカー、人口統計学ゆえに脆弱であると見なされる母集団、又はより大規模なアウトブレイクが生じている地域に居住する人々等、リスクが高い母集団)、ことに起因して、多くの場合、段階的である。上記の状況では、治験承認から、優先付けされた及び/又は目標を定めた薬物展開への、迅速な移行を促進するための合理化されたプロセスが、健康転帰を改善し、疾病蔓延の制御及び防止を手助けし、罹患地域/集団における利用可能性を確実にし、重大地域における薬物/デバイス不足を減少させ、アウトブレイクの全体的な長さを短縮させることによる正常状態への復帰を速めることができる。ヘルスケアエンティティ間の相互運用性を強化するいくつかの開示される実施形態が、優先順位付けされた薬物及び/又はデバイスの展開を促進する。いくつかの実施形態では、PHER600は、優先順位付けされた薬物及び/若しくはデバイス並びに/又は目標を定めた薬物及び/若しくはデバイスの展開を促進するために使用され得る。一般に、PHERは、例示的なPHER600に関連して示されるものとは異なる(より少ない又は多い)フィールドを含んでもよい。いくつかの実施形態では、PHER600内のデータフィールドは、HCP120、治験センター、及び/又は他のエンティティ/ソースから受信した情報に基づいて格納及び/又は更新されてもよい。
【0103】
PHER600は、展開基準604を含んでもよく、展開基準604は、年齢(又は年齢範囲)、612、性別614等の集合的人口統計基準610と、疾患628に関連して上昇したリスク因子を特定し得る以前の診断616(例えば、以前の患者の病状)、現在の診断618(例えば、現在の患者の病状)等の健康パラメータと、を含んでもよい。人口統計基準610はまた、人種、旅行履歴等のいくつかの他のフィールド(図6には図示せず)を含んでもよい。人口統計学基準610はまた、リスクのある職業606(例えば、罹病のリスクがより高い職業)、アウトブレイク場所(例えば、アウトブレイク又は感染率増加を被っている郵便番号又は地域)を含んでもよく、これらは、リスクのある母集団セグメントを特定し得る。したがって、PHER600は、リスクのある母集団を特定するリスク因子及び/又は健康パラメータを有する集合的人口統計情報を(例えば、人口統計基準610に)含んでもよい。
【0104】
いくつかの実施形態では、各リスク要因は、その要因に関連付けられたリスクの程度を反映し得るリスクウェイトに関連付けることができる。いくつかの実施形態では、リスクウェイトは、関連付けられたフィールドの値に基づいて変化してもよい。例えば、リスクウェイトは、年齢範囲、血圧範囲等に伴って変化してもよい。リスクウェイトを使用して、(例えば、HCP120及び/若しくはPMDP130及び/若しくは薬局等の別のエンティティによって、並びに/又は薬物/デバイスを管理する別のエンティティによって)各候補患者についてのスコアを計算することができる。(例えば、サブブロック680-1を介してPHE180によって提供される)コミュニティについての個々のスコア及び/又は既知の集合的人口統計情報に基づいて、PMDP130等のエンティティが、コミュニティについての集合的スコアを決定し、生産された薬物のバッチがどこに出荷されるかの観点で優先度を決定してもよい。スコアはまた、優先度を決定し、展開されている薬物/デバイスを患者が受けるようにスケジュールするために、(例えば、HCP120、又はある場所で薬物/デバイスを投与するエンティティによって)使用されてもよい。いくつかの実施形態では、人口統計基準610は、PHERサブブロック680-1の一部を形成してもよい。
【0105】
展開基準604はまた、現在のアウトブレイクに関連付けられた疾病622、(例えば、患者が疾病622に対して陽性と判定されるかどうかを判定するために使用される)診断624、予防及び/又は治療のために使用される薬物/デバイス626(例えば、ワクチン、薬物、健康保護機器、人工呼吸器等)、並びに薬物/デバイス626の投与中に従うべき手順628等の展開情報620を含んでもよい。薬物/デバイスフィールド626は、投与される用量636、投与の持続時間636等を含んでもよい。いくつかの実施形態では、展開情報620は、PHERサブブロック680-2の一部を形成してもよい。
【0106】
いくつかの実施形態では、PHER600は、現在のトランザクションを特定するための695へのトランザクションID、PMDP130に関する情報を有するPMDPプロファイル395、HCP120に関する情報を有するHCPプロファイル295等を更に含んでもよい。PHER600はまた、他のエンティティプロファイル、例えば、薬局、試験投与エンティティ、報告エンティティ等を含んでもよい。PHER600はまた、PHE180に関する情報を有するPHEプロファイル645、例えば、PHE名642、PHE連絡先情報644、PHE詳細648を含んでもよく、PHEプロファイルは、PHE180を特定し、PHE180と通信するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、PHEプロファイル645は、PHERサブブロック680-3の一部を形成し得る。
【0107】
いくつかの実施形態では、サブブロック680-1、及び/又は680-2、及び/又は680-3内の情報が単一のサブブロック680内に組み合わされてもよく、又は他の方法で組み合わされてもよい。他の例では、サブブロック680-1及び/又は680-2及び/又は680-3は、別のエンティティと情報を通信するために、トランザクション中の様々な時点で使用されてもよい。サブブロック680-1、及び/又は680-2、及び/又は680-3内の情報は、暗号化されてもよく、指定されたエンティティによって復号可能であってもよい。
【0108】
図7Aは、ヘルスケア情報セキュリティを推進させ、複数のエンティティ間の相互運用性を増加させながら、治験患者選択及び登録を促進させるためのプロセスフロー700を表すフロー図を示す。いくつかの実施形態では、プロセスフロー700の一部分は、加入しているエンティティ及び/又は認可されたエンティティにとって利用可能にされ得る許可型ブロックチェーンプラットフォーム上で生じてもよい。いくつかの実施形態では、フロー700の一部又は全部が、エンティティに関連付けられたコンピューティングデバイス上で稼働するアプリケーションを使用して実行され得る。先に概説したように、いくつかの状況では、SE150は、(図7Aにおいて破線で示すように)、PMDP130の一部門であってもよく又はPMDP130と提携していてもよい。
【0109】
フロー図700において、説明を容易にするために、いくつかのルーチンメッセージは示されていない。更に、プロセスフロー700の開始に先立って、SE150は、治験プロトコル承認を取得済みであってもよく、治験に関連する他の規制要件を満足させていてもよい。プロトコル承認に関する情報交換は、図7Aには示されていない。プロトコル承認は、プロトコル承認の前に、SE150/PMDP130と規制機関との間の複数のメッセージ交換を伴い得る。薬物/デバイス255の治験についての承認されたプロトコルが、CTR400に保存されてもよく、(サブブロック480-1の一部であってもよい)適格基準410、及び(サブブロック480-2の一部であってもよい)治療420を含んでもよい。承認されたプロトコルはまた、サブブロック380-1の一部としてDIR300に保存されてもよい。治験における薬物/デバイスについてのプロトコルを決定及び承認するための、PMDP130/SE150と規制機関との間のメッセージ交換は、703における患者同意とは独立に行われてもよい。
【0110】
703において、患者170は、臨床薬物/デバイス治験への参加の承認を示してもよい。いくつかの実施形態では、承認は、HCP120及び/又は別のエンティティに伝達されてもよい。いくつかの実施形態では、HCP120は、EHR200から、いかなる患者情報を公開する前にも、いかなる時点においても、(いかなる法律、規制、プライバシー考慮事項等にも従って)、臨床薬物/デバイス治験への参加についての患者事前承認を取得することができる。いくつかの実施形態では、703において、患者の同意は、患者のEHR200に関連付けられた一部の限定された(例えば、非PII)情報が、事前スクリーニング目的のために(例えば、HCP120によって、PMDP130に)公開されてもよいことを示し得る。したがって、患者がPII情報の公開に同意している状況であっても、HCP120は、事前スクリーニング中に、SE150と交換され得る患者PII情報を編集することを選択することができる。
【0111】
一例として、患者170は、モバイルコンピューティングデバイス(例えば、スマートフォン、タブレット、ラップトップ等)上で稼働するアプリケーションを使用して、トランザクションを開始させてもよい。いくつかの実施形態では、アプリケーションは、許可型ブロックチェーンプラットフォームに関連付けられたエンティティによって提供及び/又は認可されてもよい。例えば、(例えば、患者170に関連付けられたモバイルコンピューティングデバイス上で稼働する)アプリケーションは、第1のエンティティ(例えば、HCP120、PMDP130、及び/又は患者アクセスプログラム(図7に図示せず))によって提供されたものであってもよく、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)及び/又は他のネットワーク及び通信プロトコルを使用して、第1のエンティティと通信してもよい。
【0112】
705において、SE150(及び/又はPMDP130)は、薬物/デバイス255の治験を開始する情報と共に、CTRサブブロック480の送信を開始してもよい。CTRサブブロック480は、提案されたプロトコル(例えば、治療337、用量、持続時間等)、既知の安全情報330等を含んでもよい。いくつかの実施形態では、CTRサブブロック480は、DIRサブブロック380-1内の薬物/デバイス情報の一部又は全部を含んでもよい。CTRサブブロック480は、HCP120によって暗号化されてもよく、復号可能であってもよい。いくつかの実施形態では、HCP120は、DIRサブブロック380-1内の薬物/デバイス情報を、PMDP130から直接取得してもよい。
【0113】
710において、SE150(及び/又はPMDP130)は、診断コード240、治療コード245、指示242、及び場所等の他の患者情報を有するEHRサブブロック280を受信してもよい。いくつかの実施形態では、710においてSE150(及び/又はPMDP130)によって受信されたサブブロック280は、患者170に関連付けられたPII情報を含まなくてもよい。EHRサブブロック280は、HCP120によって暗号化されてもよく、1つ以上の指定されたエンティティ(例えば、PMDP130又はSE150)によって復号可能であってもよい。いくつかの実施形態では、EHRサブブロック280は、治験への参加のための事前スクリーニングへの同意を示した複数の候補患者についての情報を含んでもよい。
【0114】
ステップ712では、SE150(及び/又はPMDP130)は、事前スクリーニングステップ中に、(例えば、サブブロック480-1の一部としてPMDPによって受信された)適格基準410を、(710において受信された)EHRサブブロック280-1内の情報と比較して、薬物/デバイス255についての治験に参加する患者170(複数可)の適格性を判定してもよい。例えば、患者170(複数可)が、許容可能な年齢範囲内にあるかどうかを判定するために、(サブブロック480-1において)、(例えば、DOB220から決定される)患者170(複数可)の年齢が年齢範囲412と比較されてもよい。(例えば、EHRサブブロック280において提供されるような)、患者170(複数可)の健康レコードに関連付けられた人口統計情報を含む他のパラメータもまた、患者適格性を判定するために、(サブブロック480-1の一部として受信された)適格基準410における対応するパラメータと比較されてもよい。ステップ712において、薬物/デバイス255の治験に参加するのに適格な患者のサブセットが決定されてもよい。
【0115】
714において、PMDP130、ステップ712における適格性判定に基づいて、適格であると判定された候補患者のサブセットの指示が、PMDP130(及び/又はSE150)により、(DIRサブブロック380の関連部分を含み得る)CTRサブブロック480と共に、HCP120に送信されてもよい。ステップ712において一部の患者が不適格であると判定され得るので、適格であると判定される候補患者のサブセットは、(710における)候補患者の数以下であり得る。
【0116】
716において、HCP120は、患者適格性の指示に基づいて、(714において受信された)患者適格性の指示を、プロトコル情報及び患者同意/承認のためのインフォームドコンセントフォームと共に、適格患者170(複数可)に提供してもよい。
【0117】
いくつかの実施形態では、HCP120は、保険適用範囲関連情報272、薬物/デバイス情報255、並びに治験関連情報及びプランID270を、対応する受信エンティティによって復号可能であり得る暗号化されたサブブロック282(図7Aには図示せず)にて、支払人140に提供してもよい。支払人140は、患者保険適用範囲を検証し、治験が患者のプランでカバーされるかどうかを示し、患者コストを示す、HCP120によって復号可能な追加の暗号化されたサブブロック(図7Aには図示せず)で応答してもよい。いくつかの実施形態では、(コストを含む)保険適用範囲関連情報は、716において(又は718において患者同意を得る前に)、患者170に送信されてもよい。
【0118】
718において、(例えば、716において受信された情報をレビューし、かつ/又はHCP120と相談した後に)、1人以上の適格患者170が、薬物/デバイス255についての治験に参加する同意を示してもよく、また、対応するEHR200に関連付けられた情報をSE150(及び/又はPMDP130)と共有することに同意してもよい。いくつかの実施形態では、患者170はまた、法律上の、規制上の、又は治験特有の要件に従う同意を、電子的に(例えば、携帯電話又はコンピューティングデバイス上のアプリケーションを介して)示してもよい。
【0119】
720において、SE150(及び/又はPMDP130)は、HCP120から、薬物/デバイス255の治験への参加に同意した適格な事前スクリーニング済み患者のリストを、患者170のPII情報を含み得る患者170のEHR情報と共に、受信してもよい。一部の患者は参加に同意しない場合があるので、720における患者のリストは、714における適格患者のサブセットとは異なる場合がある。
【0120】
いくつかの実施形態では、ステップ710、712、716、718、及び720は、SE150(及び/又はPMDP130)が、薬物/デバイス255に関連付けられた現在の治験の患者の数が適切であること、及び/又は現在の治験の登録が終了したことを示すまで、複数のHCP及び患者170に対して繰り返されてもよい。いくつかの実施形態では、治験プロトコルが、地理(場所)及びHCPによって参加者を多様化させ得るので、終了はHCP固有又は場所固有であり得る。したがって、登録は、他の場所における他のHCP又は患者/HCPに対してオープンのままであり得る。
【0121】
725において、PMDP130及び/又はSE150及び/又は支払人140による承認の時点で、(例えば、参加者への支払いが行われる場合、及び/又は、患者170に対する薬物/デバイスのコンパッショネート/実験的使用に対して、保険会社が、SE150及び/又はPMDP130に補償することに同意している場合)、プラットフォーム(例えば、プライベート許可型ブロックチェーンプラットフォーム)は、トランザクションID695と、トランザクション確認を示すトランザクションタイプとを、トランザクションに関連付けられたエンティティに送信してもよい。各エンティティは、確認を受信した時点で、その対応する暗号化されたレコード(例えば、HCP120についてはEHR200、PMDP120についてはDIRレコード300、SE150についてはCTR400、及び支払人140についてはHTR)を、ローカルブロックチェーンに追加してもよい。加えて、上記の暗号化されたレコードのうちの2つ以上が、多次元ブロックチェーン(図7Aには図示せず)内の多次元ブロック750の一部を形成してもよい。多次元ブロック内の暗号化されたブロック(例えば、HCP120についてはEHR200、PMDP130についてはDIR300、SE150についてはCTR400、及びSE150及び/又は支払人140についてはHTR500)は、ブロックを暗号化するエンティティによって復号されてもよく、他のいかなるエンティティによっても復号されなくてもよい。したがって、各ブロックは、トランザクションのエンティティの閲覧を表すが、各ブロックは、トランザクション完了時に、(受信されたサブブロックを介する)他の関連エンティティからの承認された情報を含むので、その閲覧は、同じトランザクションに関する他のエンティティの閲覧と一貫している。加えて、多次元ブロックチェーン内の各多次元ブロックは、トランザクションの当事者であるエンティティによって見られるような完了されたトランザクションのスナップショットを表すが、特定のエンティティ(例えば、それぞれ、図7Aにおける、HCP120、PMDP120、SE150、SE150/支払人140のうちの1つ)によって所有及び暗号化される、いかなる単一の暗号化ブロック(例えば、図7AにおけるEHR200、DIR300、CTR400、又はHTR500のうちの1つ)内の情報も、非所有エンティティから遮蔽される。図7Aに示すように、多次元ブロック750は、立方体(多次元ボリューム)として視覚化され、立方体の各面が、トランザクションの当事者であるエンティティに関連付けられたブロックを表す。トランザクションがSE150及び/又は別のエンティティによって承認されない場合、ステップ710~725のうちの1つ以上が繰り返されてもよい。
【0122】
730において、SE150(及び/又はPMDP130)、及び/又はHCP120若しくはプラットフォームが、登録確認を登録患者170に送信してもよい。PMDP130(及び/又はSE150)が、更なるスクリーニングに基づいて一部の患者を登録しないかも知れないため、かつ/又はプロトコル若しくは他の考慮事項のため、730において登録された患者のセットが、(720において)治験への参加の承認を示した適格な患者のセットとは異なる場合がある。
【0123】
図7Bは、ヘルスケアシステムのセキュリティ及び相互運用性を促進するための例示的なプラットフォームに関連付けられたエンティティ及びレイヤを示す。いくつかの実施形態では、様々なエンティティHCP120、PMDP130、SE150、支払人140等が、許可型ブロックチェーンプラットフォームの部分を形成することができる。許可型ブロックチェーンプラットフォームでは、信頼されたエンティティが、プラットフォームを形成し、他の信頼されたエンティティを誘って、ネットワークに参加することができる。いくつかの実施形態では、許可型ブロックチェーンプラットフォームは、(例えば、招待されたエンティティ及び/又は認可されたエンティティに対して)プライベートとすることもできる。いくつかの実施形態では、許可型ブロックチェーンプラットフォームは、多次元ブロックチェーンをサポートすることができる。多次元ブロックチェーンへのアクセス及びブロックの追加に関連するルール、エンティティ間のコントラクト(例えば、スマートコントラクト)を判定するためのプログラムコード、(例えば、患者170の代わりに)プラットフォーム機能性に影響を及ぼすアプリケーション、更新の検証等が、許可型ブロックチェーンプラットフォームに関連付けられたエンティティによって決定及び/又は認可されてもよい。先に概説したように、いくつかの状況では、PMDP130及び支払人140は、SE150の部門であってもよく、かつ/又はSE150と提携していてもよい。
【0124】
いくつかの実施形態では、許可型ブロックチェーンプラットフォームは、クラウドベースシステムの形態を取ってもよい。クラウドベースシステムは、ネットワーク(例えば、インターネット)上で利用可能にすることができるインフラストラクチャ、アプリケーション、サービス、及び/又は他のリソース(ハードウェアリソースを含む)を指す。クラウドベースシステムは、基盤となるハードウェア及びソフトウェアリソースに基づくことができ、パブリック型(例えば、料金方式であらゆる場所に対して利用可能である)、プライベート型(例えば、組織に限定される)、又はハイブリッド型(パブリック型及びプライベート型クラウドのいくつかの組み合わせを使用する)とすることができる。いくつかの実施形態では、プラットフォームに関連付けられたエンティティは、サーバ(ハードウェア及び/又はソフトウェア)によって表すことができ、それらのサーバは、場合によっては、クラウドベースであってもよい。例えば、HCP120、PMDP130、支払人140、及び様々な他のエンティティ(例えば、FDA、IRB、CTRB、DSMB等(図7Bに図示せず))は、プライベート許可型ブロックチェーンプラットフォームに関連付けられてもよく、サーバ上で稼働するエージェント、及び/又は仮想マシン(VM)を含むクラウドベースのプラットフォーム上で稼働するエージェントを含んでもよい。
【0125】
いくつかの実施形態では、許可型ブロックチェーンプラットフォームによりもたらされる機能へのアクセスは、プラットフォームに関連付けられたレイヤ又はAPIを介して促進され得る。例えば、患者170及び/又は患者の代わりに行動する別の認可されたエンティティ(例えば、PMDP130によって提供される支払い支援プログラムへのアクセスを促進するエンティティ)は、クラウドベースの許可型ブロックチェーンプラットフォームと対話する(例えば、スマートフォン又は他のモバイルコンピューティングデバイス上で稼働する)モバイルアプリケーションを提供して、患者選択、並びに(a)患者基準297に基づく、患者170についての(例えば、図7Aのサブブロック280-1のデータによって示されるような)初期処方と、患者170への支払い支援の送達に関連する(例えば、図7Aのサブブロック280-2のデータによって示されるような)処方完了と、に関連付けられた、関連するコストメトリックの決定を促進してもよい。
【0126】
図7Bに示すように、多次元ブロック750は、EHR情報ブロック200、DIR情報ブロック300、CTR情報ブロック400、及びHTR情報ブロック500を含む。いくつかの実施形態では、多次元ブロック750が、多次元ブロックチェーンの一部を形成してもよい。多次元ブロック750において、EHR情報ブロック200、DIR情報ブロック300、CTR情報ブロック400、及びHTR情報ブロック500は、それぞれ、HCP120、PMDP130、SE150、及び支払人140によって暗号化されてもよく及び復号可能であってもよい。
【0127】
更に、EHR情報ブロック200、DIR情報ブロック300、CTR情報ブロック400、及びHTR情報ブロック600はまた、それぞれ、EHRブロックチェーン772、DIRブロックチェーン773、CTRブロックチェーン774、及びHTRブロックチェーン766内のブロックを形成してもよい。図7Bに示すように、EHRブロックチェーン772、DIRブロックチェーン773、CTRブロックチェーン774、及びHTRブロックチェーン766は、それぞれ、HCP120、PMDP130、SE150、及び支払人140によって所有され、ローカルに維持されてもよい。図7Bはまた、(EHRブロック200の一部を形成する)サブブロック280、(DIRブロック300の一部を形成する)サブブロック380、及び(CTRブロック400の一部を形成する)サブブロック480を示す。上記で概説したように、サブブロック内の情報は、トランザクション終了前に、トランザクションに関連付けられたエンティティのうちのいくつかの間で共有されていた場合があり、(トランザクション終了時に)多次元ブロック750の一部を形成する複数のブロックにわたって一貫している場合がある。いくつかの実施形態では、情報ブロック200、300、400、500及び/又は600に関連付けられた各フィールドは、固有のグローバルフィールドidを有することができ、そのidは、フィールドに関連する情報がエンティティ間で共有されている場合、そのフィールドを、多次元ブロックチェーンシステム内で、及び/又は関連するエンティティに対して、一意的に特定することができる。多次元ブロックは、データ及びタイムスタンプを含むことができる。タイムスタンプは、多次元ブロックが(完了されたときに)リンクされる順番を決定し得る。
【0128】
図7Bに示すように、HCP120、PMDP130、SE150、及び支払人140は、認証レイヤ770とインタラクションすることができる。認証レイヤ770は、許可型ブロックチェーンプラットフォームによって提供される機能を使用する(又は、その機能の使用を要求する)システムエンティティ及び/又はアプリケーション(例えば、モバイルアプリケーション)の識別及び管理(追加、登録、認可、及び削除)のための機能を含んでもよい。加えて、認証レイヤは、(a)多次元ブロックチェーン(新たなブロックを追加すること、リンクを作成すること等)、(b)トランザクションタイプ(例えば、エンティティが特定のトランザクションタイプを開始し得るか又はそれに参加し得るか)が関与する操作に関連する許可を検証する機能を含み得る。認証レイヤ770は、合意レイヤ780とインタラクションしてもよく、合意レイヤは、トランザクションの順序を決定し、多次元ブロック750に関連するトランザクションのセットの正当性を検証する機能を含み得る。
【0129】
いくつかの実施形態では、合意レイヤ780が、多次元ブロックを構成するトランザクションの正当性を確認してもよい。トランザクション終了の時点で、合意レイヤ780によって適用される合意技術が、多次元ブロックを構成するトランザクション(エンティティ間の共有データを含む)の正当性を確認してもよい。いくつかの実施形態では、合意技術、例えば、ビザンチン障害耐性(Byzantine Fault Tolerance、BFT)、又はそのバリエーション、例えば冗長BFT、高速ビザンチン合意、動的クォーラム、又はいくつかの他の投票ベース合意技術を使用して、多次元ブロック750がコンポーネントブロック(例えば、EHR情報ブロック200、DIR情報ブロック300、CTR情報ブロック400、及びHTR情報ブロック500)を使用して形成され得るかを決定してもよい。認可されたエンティティ(例えば、支払人140、又はトランザクション/トランザクションタイプについての指定された信頼できるエンティティ)、又はいくつかの特定の数(例えば、過半数)のエンティティが、トランザクション又はブロックを検証したときに、合意が実現される。合意又はトランザクション検証の決定は、トランザクションタイプに応じて変動し得る。
【0130】
そのトランザクションが合意技術によって正当であると確認されると、ロック解除された多次元ブロック750の第1のインスタンスが形成され得る。図7Bに示すように、ロック解除された多次元ブロック750は、トランザクションが終了したときに、ロックされ、多次元ブロックに追加されてもよい。いくつかの実施形態では、多次元ブロック750の一部を形成するブロック(例えば、EHR情報ブロック200、DIR情報ブロック300、PBR情報ブロック400、PPR情報ブロック500、及びHTR情報ブロック600)が、トランザクションの終了時に、かつ多次元ブロック750のロック時点で、それぞれのローカルブロックチェーン(例えば、それぞれ、EHRブロックチェーン772、DIRブロックチェーン773、PBRブロックチェーン764、PPRブロックチェーン775、及びHTRブロックチェーン766)に、ブロックとして追加されてもよい。したがって、ローカルに保存されたブロック(例えば、EHR情報ブロック200、DIR情報ブロック300、PBR情報ブロック400、PPR情報ブロック500、及びHTR情報ブロック600)内の情報は、多次元ブロック750内の情報とも一貫している。
【0131】
これに反して、例えば、サブブロック480内で患者ID425と識別された患者が患者ID(例えば、サブブロック280内で)と一致しない場合、そのトランザクションは、正しくないと見なされ、ブロック追加リクエストは、拒否され得る。いくつかの実施形態では、プラットフォーム、又は各エンティティは、トレーサビリティー及びデバッギングのために拒否されたトランザクションのログを維持することができる。このログは、トランザクション拒否に関連付けられた理由及びコードを示すことができる。
【0132】
いくつかの実施形態では、合意レイヤ780が合意技術を適用してもよく、スマートコントラクトレイヤ790とインタラクションして、トランザクションの正当性及び/又は妥当性を確立し、更なるアクションを開始してもよい。スマートコントラクトレイヤ790は、ブロックチェーンに関連するロジックを実現するプログラムコードを含んでもよい。例えば、多次元ブロックチェーンに関連付けられた「スマートコントラクト」プログラムコードが、トランザクションリクエストを処理し、プログラムロジックに基づいてトランザクションの妥当性を判定することができる。このロジックは、ブロックチェーンに関連するトランザクションについてのエンティティによって合意されたルールに左右され得る。例えば、スマートコントラクトレイヤ790は、患者に処方された2つ以上の薬物間の不適合性により、トランザクションを(例えば、HCP120から)拒否することができる。スマートコントラクトは、検証時間に、かつブロックがロック及び/又はコミットされる前のコミット時間に動作してもよい。いくつかの実施形態では、スマートコントラクトレイヤ790が、データ共有、トランザクション等に関係する2つ以上のエンティティ間のルール又は合意を符号化することができ、これらルール又は合意は、エンティティ間の実地契約に基づいていてもよい。いくつかの実施形態では、従来のブロックチェーン(例えば、EHRブロックチェーン772、DIRブロックチェーン773、PBRブロックチェーン774、又はHTRブロックチェーン766のうちの1つ)に対するそれぞれの更新は、プラットフォームに関連付けられたスマートコントラクトプログラムコードにより検証されてもよい。このスマートコントラクトプログラムコードは、データ共有、認証、決済等に関連するエンティティ間の合意を反映させることができる。スマートコントラクトレイヤは、手動での関与を行うことなく、エンティティ間のインタラクションを容易にする自動ツールと見なすことができる。いくつかの実施形態では、スマートコントラクトレイヤは、1つ以上のコントラクトに関連付けられたルールに基づいて、それらのルールが満たされたときに、動作を開始することができる。多次元ブロックチェーンに対する各更新、及び/又は時間の経過、及び/又は他のイベント、及び/又は(コントラクトIDにより特定される)コントラクトに関連する特定のリクエストが、スマートコントラクトレイヤによる動作を起動させてもよい。
【0133】
更新されたレコードのリンク付けは、エンティティ(例えば、HCP120及び支払人140)によって合意された事前定義されたルールに基づいて実施されてもよい。いくつかの実施形態では、ブロックのリンク付けは、多次元ブロックチェーンに関連付けられたスマートコントラクトに基づいて実施されてもよい。更新されたブロックは、リンク付け後に再ハッシュされてもよい。上で概説したように、このリンクにより、エンティティが、別のエンティティにより維持されたブロックチェーン内の情報と、そのブロックチェーン内の情報との相関を取ることを可能にすることができる。加えて、それらのエンティティは、そのエンティティによって維持された特定のブロック内の情報に関連付けられたトランザクション又は複数のトランザクションを判定することが可能であり得る。したがって、2つ以上のエンティティが、別個のブロックチェーン内のブロックに関連付けられたトランザクションの整合性のある一貫した閲覧を有することができる。形成プロセス中、多次元ブロック750は、(少なくとも初期的には)完全に形成されていない(又は多次元ブロックが進行中である)場合があり、したがって、他のエンティティから受信されたブロックは、別の次元を追加することによって、現在進行中の(完全には形成されていない)多次元ブロックを変換することができる。例えば、(HCP120からの処方を有する)完了したHTR200が、1つの次元として、現在進行中の多次元ブロックに追加されてもよい。次いで、別の次元、例えば、(薬物/デバイス情報を有する)DIR300を有する次元が、進行中の多次元ブロックに追加されてもよい。プロセスは、多次元ブロックが完全に形成されるまで(例えば、トランザクションへの全ての関連当事者からの次元を含むまで)継続してもよい。
【0134】
多次元ブロック(及びそのコンポーネントレコード)は、更なる修正を防止し、一貫性のある閲覧を保証するために、トランザクションの完了時にロックされてもよい。その後のいかなる修正も、多次元ブロックチェーンに新しい多次元ブロックが追加される結果をもたらし得る。例えば、新たな多次元ブロックが、単一次元のデータレコードに対する更新で形成されてもよい一方で、他の次元に関連付けられた実質的な情報が変化しないままであってもよい。例えば、患者に処方される薬物に関連付けられた薬物関連情報(例えば、新しい禁忌)が、他のレコードを更新することなく、新しい多次元ブロック内で(例えば、PMDP130によって)更新されてもよい。
【0135】
多次元ブロックは、コンポーネントデータレコード(例えば、EHR200、DIRレコード300、CTR400、及びHTR500)を含む多次元ブロックチェーンに関連付けられたマークル木の形態を取り得る。先に概説したように、データレコードはまた、別個の個々のブロックチェーンに関連付けられてもよい。
【0136】
したがって、別個の個々のブロックチェーン(それぞれ、772、773、774、及び766)における個々のレコードの暗号ハッシュ(例えば、EHR200、DIRレコード300、PBR400、PPR500、及びHTR500の別個の暗号ハッシュ(又は「ハッシュ」))は、エンティティによって所有されるレコードが他のエンティティにとって復号可能又は閲覧可能とならないように、別個の暗号ハッシュ関数を使用して取得されてもよい。(例えば、許可型ブロックチェーンプラットフォームに関連付けられたエンティティに知られてもよい)別個の暗号関数を使用して、トップハッシュが多次元ブロック全体に関連付けられるように、レコードの組み合わせの暗号ハッシュを取得してもよい。いくつかの実施形態では、各多次元ブロックは、タイムスタンプ、トップハッシュ、先行ブロックに関連する情報、マークル木のルートへのポインタ、及び他の適切な情報を有するブロックヘッダを含んでもよい。ハッシュ基準は、プライベート許可型ブロックチェーンプラットフォーム及び/又はローカル(エンティティ固有)アドレス上の、ユニホームリソースロケータ(uniform resource locator、URL)の形態を取ることができる。
【0137】
図7Bは、拘束及びロックされた多次元ブロック750を示し、そこでは、サブブロック480、280、及び380からの情報が、それぞれの認可された関連するエンティティ間で共有されている。加えて、多次元ブロック750は、個々のコンポーネントブロック間のリンケージを含む。多次元ブロック750は、ある時点におけるトランザクションの全体論的な眺望を表すことができる。それは、部分的には、その多次元ブロックが薬物(用量、効果等)、患者(病状、治療、効果等)、及びその時点でのコストに関連付けられた実世界の物理的状態を含み得るからである。多次元ブロック750は、ブロックチェーン内で先行ブロックへのリンクを含んでもよい。検証され、完了された多次元ブロック750は、完了したデータレコード200、300、400、及び500を含んでもよく、そのデータレコードは、別個のローカルブロックチェーン772、773、774、及び766のそれぞれにおける、完了した情報ブロック200、300、400、及び500のそれぞれに対応してもよい。
【0138】
図7Cは、治験についての患者選択を促進させながら、ヘルスケア情報セキュリティ及び相互運用性を促進させるための、例示的な方法791のフローチャートを示す。いくつかの実施形態では、方法791は、システム内の個々のエンティティによって維持される別個のブロックチェーンに基づいてもよい、多次元ブロックチェーンを使用してもよい。いくつかの実施形態では、方法800は、場合によっては、クラウドベースシステムの形態を取ってもよいプライベート許可型ブロックチェーンプラットフォーム上で(少なくとも部分的に)実施されてもよい。方法791はまた、プロセッサ、コンピュータ、又はコンピュータのネットワーク、例えば、分散コンピューティングシステム、アプリケーションサーバを含むサーバ(ハードウェア及びソフトウェア)、モバイルコンピューティングデバイス(例えば、スマートフォン、スマートウェアラブルデバイス、ハンドヘルドコンピュータ、タブレット、ラップトップ等)、並びにクラウドベースシステムにより実施されてもよい。
【0139】
いくつかの実施形態では、方法791は、第1のエンティティ(例えば、PMDP130、SE150等)において実施されてもよい。例えば、第1のエンティティは、医薬品提供者、又はSE150等の医療デバイス提供者(及び/又は、PMDP130)のうちの少なくとも1つに関連付けられた、少なくとも1つのサーバ又はコンピュータシステムを備えてもよい。いくつかの実施形態では、第1のエンティティは、1つ以上の第2のエンティティとインタラクションすることができる。第2のエンティティは、HCP120等のヘルスケア提供者、又は支払人140等の支払/保険提供者、又は患者170等に関連付けられた1つ以上のサーバ若しくはコンピュータシステムを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のエンティティ及び1つ以上の第2のエンティティは、分散コンピューティングシステムにおけるコンピューティングノードを形成してもよく、多次元ブロックチェーンは、許可型プライベートブロックチェーンプラットフォーム等の許可型プライベートブロックチェーンプラットフォームの一部を形成してもよい。
【0140】
いくつかの実施形態では、方法791は、第1のエンティティ等のエンティティが、ローカルに維持されているブロックチェーンにブロックを追加するための(例えば、トランザクションID及び/又はトランザクションタイプを有する)トランザクションを開始したときに、呼び出されてもよい。ローカルブロックチェーンにブロックを追加することが、1つ以上の他のエンティティからの入力を伴ってもよく、許可型プライベートブロックチェーンプラットフォームが、方法791を呼び出してもよい。いくつかの実施形態では、方法791は、少なくとも1つの医療製品についての、少なくとも1つの治験に関連付けられた少なくとも1つのプロトコルの承認に応答して、開始されてもよい。医療製品は、1種以上の薬物、及び/又は1種以上の生物製剤、及び/又は1つ以上の医療デバイス、及び/又はそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0141】
いくつかの実施形態では、ステップ792において、第1のエンティティ(例えば、PMDP130又はSE150)は、第1のエンティティによって復号可能な暗号化された第1の電子健康レコード(EHR)サブブロック(例えば、サブブロック280)を受信してもよく、EHRサブブロックは、患者についての患者プロファイル情報(例えば、基本プロファイル情報230)、少なくとも1つの第1の診断コード(例えば、診断コード240)、及び少なくとも1つの第1の治療コード(例えば、治療コード245)、を含む。いくつかの実施形態では、第1のEHRサブブロック内の患者プロファイル情報は、非個人識別可能(非PII)情報を含んでもよい。患者PII情報の公開が患者によって事前認可されている場合、患者プロファイル情報は、患者個人識別情報(PII)を含んでもよい。更に、いくつかの実施形態では、患者プロファイル情報は、患者場所情報及びヘルスケア提供者情報を含んでもよい。
【0142】
いくつかの実施形態では、第1のエンティティは、少なくとも1つの治験に関連付けられた少なくとも1つのプロトコルの承認を受信した時点で、(例えば、ステップ792において)第1のEHRサブブロックを受信してもよい。例えば、第1のエンティティは、少なくとも1つの第2のエンティティから1つ以上のEHRサブブロックを要求してもよく、要求に応答して、少なくとも1つの第2のエンティティから暗号化された第1のEHRサブブロックが受信されてもよい。
【0143】
ステップ793において、第1のエンティティは、(a)受信されたEHRサブブロック(例えば、サブブロック280)と、(b)1つ以上の承認されたプロトコルを含む治験サブブロック(例えば、CTR400又はDIR300におけるサブブロック480)とに基づいて、少なくとも1つの医療製品に関連付けられた少なくとも1つの治験における患者についての患者参加適格性を決定してもよく、承認されたプロトコルの各々が、対応する医療製品についての対応する治験に関連付けられている。
【0144】
例えば、少なくとも1つの治験への患者参加の適格性は、患者が少なくとも1つの治験に対して指定された対応する適格基準を満たすことを判定することによって、第1のEHRサブブロック内の情報に基づくことができ、対応する適格基準は、少なくとも1つの承認されたプロトコルに含まれる。いくつかの実施形態では、対応する適格基準は、包含基準及び除外基準を含む。
【0145】
ステップ795において、第1のエンティティは、患者参加適格性の判定に基づいて、少なくとも1つの治験に関連付けられた少なくとも1つの承認されたプロトコル(例えば、サブブロック480に基づく)を含む少なくとも1つの暗号化されたCTRサブブロック(例えば、CTRサブブロック480)と、少なくとも1つの治験に関連付けられた少なくとも1つの医療製品に対応する少なくとも1つの暗号化されたデバイス/薬物情報レコード(DIR)サブブロック(例えば、DIRサブブロック380)と、を送信してもよい。
【0146】
ステップ797において、第1のエンティティは、送信に応答して、第1のエンティティによって復号可能な暗号化された第2のEHRサブブロックを受信してもよく、第2のEHRサブブロックは、患者プロファイル情報(例えば、PIIを含む基本プロファイル情報230)、少なくとも1つの治験への参加に対する患者同意、少なくとも1つの第2の診断コード、及び(例えば、治験における薬物/デバイスに基づく)少なくとも1つの第2の治療コードを含む。したがって、いくつかの実施形態では、患者PIIは、(例えば、治験のための患者の選択の時点で)第2のEHRサブブロックに含まれる場合があるが、(事前スクリーニング中の)第1のEHRサブブロックには含まれない場合がある。
【0147】
ステップ799において、第1のエンティティは、トランザクション確認を有するトランザクションブロックを受信したことに応答して、多次元ブロックチェーンを拡張してもよく、多次元ブロックチェーンは、(i)患者プロファイル情報、患者同意、並びに少なくとも1つの治験及び対応する少なくとも1つの承認されたプロトコル、を含むトランザクションブロックと、(ii)少なくとも1つの医療製品に関連付けられた医療情報を含むDIRブロックと、(iii)第2のEHRサブブロックに関連付けられた情報を含むEHRブロックと、をリンクすることにより形成される多次元ブロックで拡張される。いくつかの実施形態では、多次元ブロックは、CTRブロックを更に含んでもよく、CTRブロックは、少なくとも1つの承認されたプロトコルに関する情報を含む。
【0148】
いくつかの実施形態では、第1のエンティティは、次いで、(例えば、患者PII情報に基づいて)少なくとも1つの治験への患者の登録の確認を患者に送信してもよい。
【0149】
図8は、ヘルスケア情報セキュリティを推進させ、複数のエンティティ間の相互運用性を増加させながら、薬物/デバイス展開を促進させるためのプロセスフロー800を表すフロー図を示す。いくつかの実施形態では、プロセスフロー800の一部分は、加入しているエンティティ及び/又は認可されたエンティティにとって利用可能にされ得る許可型ブロックチェーンプラットフォーム上で生じてもよい。いくつかの実施形態では、フロー800の一部又は全部が、エンティティに関連付けられたコンピューティングデバイス上で稼働するアプリケーションを使用して実行され得る。フロー図800において、説明を容易にするために、いくつかのルーチンメッセージは示されていない。
【0150】
805において、PMDP130は、展開基準を有するPHERサブブロック(例えば、PMDP130によって復号可能な暗号化されたPHERサブブロック680)を、PHE180からを取得してもよい。いくつかの実施形態では、PHERサブブロック680に関連付けられた情報は、公的に利用可能であってもよく、及び/又は認可されたエンティティにとって利用可能であってもよく、PMDP130によって取り出されてもよい。PHERサブブロック680は、1つ以上の母集団セグメントに関連付けられたリスク因子を有する集合的人口統計情報を含んでもよい。例えば、集合的人口統計情報は、薬物/デバイス展開に関連付けられた人口統計基準610を含んでもよく、人口統計基準は、(例えば、疾患のアウトブレイクに関連付けられた)リスク因子、及び(例えば、疾患のアウトブレイクが蔓延、出現、又は加速している)場所情報を含んでもよい。
【0151】
807において、HCP120は、薬物/デバイス展開に関連して患者170に関連付けられたEHR200の使用に対する患者認可を取得してもよい。いくつかの実施形態では、患者認可は、薬物/デバイス分配のために使用されてもよい、PII情報を使用するための認可を含んでもよい。その他の場合、(例えば、以下のステップ815において適格性を判定するために)非PII情報が最初に使用されてもよく、患者の適格性が判定されたときに、PII情報が使用されてもよい。
【0152】
810において、PMDPは、患者プロファイル及び病歴情報を有する1つ以上のEHRサブブロック(例えば、PMDP130によって復号可能な暗号化されたEHRサブブロック280)を受信してもよい。810において送信されたEHRサブブロック280は、807において取得された認可に基づいてもよい。患者認可は、810より前の任意の時間に取得されてもよく、いくつかの場合では、一般的な法律及び規制に従ってHCP120により取得された事前認可に基づいてもよい。
【0153】
ステップ815において、PMDP130は、(例えば、サブブロック680に基づく)展開基準を、(例えば、サブブロック280に基づく)EHR及び人口統計情報と比較して、適格患者のセットを決定してもよい。例えば、EHRサブブロック(例えば、サブブロック280)内の情報が、薬物/デバイス展開のための適格基準(例えば、高いリスクを有し得る集合的人口統計情報、例えば、年齢層、職業、場所等を含む展開基準604)と比較されて、薬物/デバイスを優先的に受け取るのに適格な、及び/又は薬物/デバイスを受け取るのに現在適格な候補患者が決定されてもよい。薬物/デバイスを受け取るのに適格な患者170のセットは、810においてPMDP130に送信される、EHRサブブロック280に関連付けられた患者170のいくつかのサブセットであってもよい。
【0154】
820において、PMDP130は、1つ以上の対応する第2のエンティティ(例えば、処方薬物/デバイスを入手するために患者170によって使用され得るHCP120及び/又は薬局160)によって復号可能な1つ以上の暗号化されたDIRサブブロック380を、(815における決定に基づく)薬物/デバイスを受け取るための患者の適格性の指示と共に送信してもよく、送信される第1のサブブロックの各々が、少なくとも1つの候補患者プロファイルと、少なくとも1つの治療に関連付けられた医療情報とを含む。例えば、PMDP130は、薬物/デバイスを優先順位に基づいて受け取るのに適格な候補患者に対応する候補患者プロファイルを、HCP120に(及び任意選択で、PHE180により指定される薬局160及び/又は患者プロファイル内の情報に基づく薬局160に)送信してもよい。
【0155】
825において、HCP120は、薬物/デバイスを受ける患者適格性の確認を患者170に伝えてもよい。830において、HCP120は、適格な患者170についての保険適用範囲情報を確認するために、EHRサブブロック(例えば、支払人140によって復号可能な暗号化されたサブブロック280)を支払人140に送信してもよい。835において、支払人140は、HTRサブブロック(例えば、患者保険適用範囲を確認する暗号化されたHTRサブブロック580-1)をHCP120に送信してもよい。
【0156】
840において、HCP120は、薬物/デバイスが患者170に処方されたことを確認するために、EHRサブブロック(例えば、PMDP130によって復号可能な暗号化されたEHRサブブロック280)内の処方情報を薬局160に、そして任意選択で、PMDP130及び/又はPHE180に送信してもよい。EHRサブブロック280に含まれ、HCP120によって支払人140、PMDP130、PHE180、及び薬局160に送信される情報は、一貫している場合があるが、それぞれのサブブロックに含まれるデータフィールドは異なり、エンティティ間の情報インターフェースに依存する場合がある(これは、患者の健康関連情報を管理する法律/規制、並びにエンティティ間の情報交換を管理する法律/規制に依存し得る)。
【0157】
845において、PMDP130及び/又はHCP120が承認された時点で、プラットフォーム(例えば、プライベート許可型ブロックチェーンプラットフォーム)は、トランザクション確認を示すトランザクションID695及びトランザクションタイプを、トランザクションに関連付けられたエンティティに送信してもよい。各エンティティは、確認を受信した時点で、その対応する暗号化されたレコード(例えば、HCP120についてはEHR200、PMDP120についてはDIRレコード300、支払人140についてはHTR、及びPHE180についてはPHER600)を、ローカルブロックチェーンに追加してもよい。加えて、上記の暗号化されたレコードのうちの2つ以上が、多次元ブロックチェーン(図8には図示せず)内の多次元ブロックの一部を形成してもよい。多次元ブロック内の暗号化されたブロック(例えば、HCP120についてはEHR200、PMDP130についてはDIR300、PHE180についてはPHER600、及び支払人140についてはHTR500)は、ブロックを暗号化するエンティティによって復号されてもよく、他のいかなるエンティティによっても復号されなくてもよい。したがって、各ブロックは、トランザクションのエンティティの閲覧を表すが、各ブロックは、トランザクション完了時に、(受信されたサブブロックを介する)他の関連エンティティからの承認された情報を含むので、その閲覧は、同じトランザクションに関する他のエンティティの閲覧と一貫している。加えて、多次元ブロックチェーン内の各多次元ブロックは、トランザクションの当事者であるエンティティによって見られるような完了されたトランザクションのスナップショットを表すが、特定のエンティティ(例えば、それぞれ、図8におけるHCP120、PMDP120、PHE180、薬局160、又は支払人140のうちの1つ)によって所有及び暗号化される、いかなる単一の暗号化ブロック(例えば、図7AにおけるEHR200、DIR300、CTR400、又はHTR500のうちの1つ)内の情報も、非所有エンティティから遮蔽される。トランザクションがエンティティ(例えば、HCP120及び/又はPMDP130及び/又は別のエンティティ)によって承認されない場合、ステップ805~840のうちの1つ以上が繰り返されてもよい。
【0158】
850において、薬局160は、患者170に処方確認を送信してもよい。処方箋が調剤される(例えば、患者170に送達又は出荷される)と、855において、薬局160が、薬物/デバイスの調剤に関する情報をPMDP130、HCP120、及び/又はPHE180のうちの1つ以上に送信してもよい。情報は、例えば、薬物/デバイスの調剤に関連するPHE集約情報を更新するためにPHE180によって使用されてもよい。例えば、(例えば、患者170に関連付けられたスマートフォン又は他のモバイルコンピューティングデバイス上の)アプリケーションが、少なくとも1つの選択されたプランへの登録の確認を、(例えば、セキュアメッセージを介して、又はプライベート許可型ブロックチェーンプラットフォームに通信可能に結合されたセキュアAPIを介して)受信してもよい。
【0159】
PMDP130(及び/又はHCP120、及び/又はSE150)、又はプラットフォームが、登録確認を登録患者170に送信してもよい。PMDP130(及び/又はSE150)が、更なるスクリーニングに基づいて一部の患者を登録しないかも知れないため、かつ/又はプロトコル若しくは他の考慮事項のため、730において登録された患者のセットが、(720において)治験への参加の承認を示した適格な患者のセットとは異なる場合がある。
【0160】
図9は、薬物/デバイス展開を促進させながら、ヘルスケア情報セキュリティ及び相互運用性を促進させる、例示的な方法900のフローチャートを示す。いくつかの実施形態では、方法900は、システム内の個々のエンティティによって維持される別個のブロックチェーンに基づいてもよい、多次元ブロックチェーンを使用してもよい。いくつかの実施形態では、方法900は、場合によっては、クラウドベースシステムの形態を取ってもよいプライベート許可型ブロックチェーンプラットフォーム上で(少なくとも部分的に)実施されてもよい。方法900はまた、プロセッサ、コンピュータ、又はコンピュータのネットワーク、例えば、分散コンピューティングシステム、アプリケーションサーバを含むサーバ(ハードウェア及びソフトウェア)、モバイルコンピューティングデバイス(例えば、スマートフォン、スマートウェアラブルデバイス、ハンドヘルドコンピュータ、タブレット、ラップトップ等)、並びにクラウドベースシステムにより実施されてもよい。
【0161】
いくつかの実施形態では、方法900は、第1のエンティティ(例えば、PMDP130)において実施されてもよい。例えば、第1のエンティティは、少なくとも1つのサーバ、又はPMDP130等の医薬品提供者若しくは医療デバイス提供者のうちの少なくとも1つに関連付けられたコンピュータシステムを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1のエンティティは、1つ以上の第2のエンティティとインタラクションすることができる。第2のエンティティは、HCP120等のヘルスケア提供者、PHE180等の保険提供者、支払人140、又は患者170等に関連付けられた1つ以上のサーバ若しくはコンピュータシステムを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のエンティティ及び1つ以上の第2のエンティティは、分散コンピューティングシステムにおけるコンピューティングノードを形成してもよく、多次元ブロックチェーンは、許可型プライベートブロックチェーンプラットフォーム等の許可型プライベートブロックチェーンプラットフォームの一部を形成してもよい。
【0162】
いくつかの実施形態では、方法900は、第1のエンティティ等のエンティティが、ローカルに維持されているブロックチェーンにブロックを追加するための(例えば、トランザクションID及び/又はトランザクションタイプを有する)トランザクションを開始したときに、呼び出されてもよい。ローカルブロックチェーンにブロックを追加することが、1つ以上の他のエンティティからの入力を伴ってもよく、許可型プライベートブロックチェーンプラットフォームが、方法900を呼び出してもよい。いくつかの実施形態では、方法900は、医療製品の承認に応答して(例えば、治験の成功後に)開始されてもよい。医療製品は、1種以上の薬物、及び/又は1種以上の生物製剤、及び/又は1つ以上の医療デバイス、及び/又はそれらの組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施形態では、医療製品が公衆衛生ガイドラインに従って提供されることを確実にするために、かつ/又は全体的な健康転帰を改善するために、医療製品の展開は、緊急の健康状況中に、又は(例えば、フル生産が開始されていないため、又は生産拡大中であるため)医療製品の利用可能性が制限されている状況において行われてもよい。
【0163】
したがって、展開基準は、公衆衛生緊急事態感染からの高いリスクに関連付けられた人口統計基準に基づいてもよく、リスクのある場所、及び高いリスクのある母集団セグメントに対応する集合的人口統計情報を含んでもよい。例えば、公衆衛生緊急事態は、疾患のアウトブレイク、例えば、局所的な疾患のアウトブレイク、エピデミック、又はパンデミックであり得る。上記で特定された緊急事態において、人口統計及び/又はリスクに基づいて集団内に、予防的処置(例えば、ワクチン)、他の予防的デバイス(例えば、保護具)、(例えば、症状を軽減するための)治療、治療剤(例えば、治癒剤)、及び/又は他の薬物、及び/又はデバイスを展開することが有利であり得る。例えば、治療を、第1の応答者、医療関係者、緊急/必須職員、及び/又は特に脆弱であり得る他の母集団セグメントに展開することが有利であり得る。更に、場合によっては(例えば、Covid-19パンデミック等)、治験が成功裏に完了した後に、大量の薬物/デバイスの展開が行われ得る。したがって、本明細書に提示される技術は、より効果的な患者の事前スクリーニング及び選択、治験のより迅速な立ち上げ、並びに治験完了時の効果的な薬物/デバイス展開を促進し、それにより、公衆衛生緊急事態に対処する努力を支援することができる。
【0164】
ステップ910において、第1のエンティティ(例えば、PMDP130)は、第1のエンティティによって復号可能な暗号化されたPHERサブブロック(例えば、PHERサブブロック680)を取得してもよく、PHERサブブロックは、1つ以上の母集団セグメントに関連付けられた人口統計情報を含む展開情報(例えば、展開基準604)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、PHERサブブロック680に関連付けられた情報は、公的に利用可能であってもよく、及び/又は認可されたエンティティにとって利用可能であってもよく、PMDP130によって取り出されてもよい。PHERサブブロック680は、1つ以上の母集団セグメントに関連付けられたリスク因子を有する集合的人口統計情報を含んでもよい。例えば、集合的人口統計情報は、薬物/デバイス展開に関連付けられた人口統計基準610を含んでもよく、人口統計基準は、(例えば、疾患のアウトブレイクに関連付けられた)リスク因子、及び(例えば、疾患のアウトブレイクが蔓延、出現、又は加速している)場所情報を含んでもよい。
【0165】
ステップ920において、第1のエンティティは、第1のエンティティによって復号可能な1つ以上の暗号化された電子健康レコード(EHR)サブブロック(例えば、EHRサブブロック280)を受信してもよく、1つ以上のEHRサブブロックの各々は、対応する候補患者に関連付けられており、EHRサブブロックは、(a)患者の病歴と、(b)複数の候補患者についての患者プロファイル情報(例えば、病歴232と、適用可能な場合には、任意選択で診断235とを有する基本プロファイル情報230)とを含む。いくつかの実施形態では、受信されたEHRサブブロック280は、HCP120によって取得することができ、かつ/又は任意の一般的な法律及び規制に従ってPMDP130により要求され得る、患者認可又は事前認可に基づいてもよい。
【0166】
いくつかの実施形態では、ステップ930において、第1のエンティティは、人口統計情報、患者病歴、又は患者プロファイル情報のうちの1つ以上に基づいて、1つ以上の治療を受けるのに適格な適格候補患者のセットを決定することができ、各適格候補患者は、(ステップ920において受信されたEHRブロックに関連付けられた)複数の候補患者から選択される。
【0167】
例えば、PMDP130等の第1のエンティティが、(例えば、サブブロック680に基づく)展開基準を、(例えば、サブブロック280に基づく)EHR及び人口統計情報と比較して、適格患者のセットを決定してもよい。例えば、EHRサブブロック(例えば、サブブロック280)内の情報が、薬物/デバイス展開のための適格基準(例えば、高いリスクを有し得る集合的人口統計情報、例えば、年齢層、職業、場所等を含む展開基準604)と比較されて、薬物/デバイスを優先的に受け取るのに適格な、かつ/又は薬物/デバイスを受け取るのに現在適格な候補患者が決定されてもよい。(ステップ930において決定される)薬物/デバイスを受け取るのに適格な候補患者のセットは、(ステップ920においてPMDP130に送信されたEHRサブブロック280に関連付けられた)複数の候補患者の何らかのサブセットであってもよい。
【0168】
ステップ930において、第1のエンティティは、1つ以上の対応する第2のエンティティによって復号可能な1つ以上の暗号化されたDIRサブブロック(例えば、DIRサブブロック380)を送信してもよく、各DIRサブブロックは、1人以上の適格な候補患者と、(例えば、薬物/デバイスが処方される)1つ以上の治療に関連付けられた医療情報とを含む。例えば、PMDP130は、薬物/デバイスを優先順位に基づいて受け取るのに適格な候補患者に対応する候補患者プロファイルを、HCP120に、(及び任意選択で、例えば、薬物/デバイスを送達するようにPHE180により指定されて、かつ/又はEHRサブブロック280内の患者プロファイル内の情報に基づいて、薬局160に)送信してもよい。
【0169】
ステップ940において、第1のエンティティは、トランザクション確認を有するトランザクションブロックを受信したことに応答して、(i)治療展開関連情報を含むトランザクションブロックと、(ii)患者プロファイル、選択パラメータ、及び少なくとも1つの治療に関連付けられた医療情報を含むDIRブロックと、(iii)患者プロファイル情報、病歴、及び処方情報を含むEHRブロックと、をリンクすることにより形成される多次元ブロックで、多次元ブロックチェーンを拡張させてもよい。
【0170】
いくつかの実施形態では、ステップ950において、第1のエンティティは、トランザクション確認を有するトランザクションブロックを受信してもよく、トランザクションブロックを受信したことに応答して、多次元ブロックチェーンを拡張してもよい。多次元ブロックチェーンは、(i)少なくとも1つの治療に関連付けられた治療展開関連情報を含むトランザクションブロックと、(ii)少なくとも1つの治療に関連付けられた医療情報を含む薬物デバイス情報(DIR)ブロックと、(iii)少なくとも1つの候補患者プロファイル情報、少なくとも1人の候補患者についての対応する候補患者病歴、及び少なくとも1つの治療についての処方情報、を含むEHRブロックと、をリンクすることにより形成される多次元ブロックで拡張されてもよい。例えば、治験設定において、(多次元ブロックチェーンを拡張するための)多次元ブロックは、トランザクションに関する情報を有するトランザクションブロック(例えば、HTR500)と、治験への参加が確認された候補患者についての候補患者プロファイル情報を含むEHRブロック(例えば、EHRレコード200)にリンクされた少なくとも1つの治療に関連付けられた医療情報を有するDIRブロック(例えば、DIRレコード300)と、を含んでもよい。
【0171】
上記で概説したように、ステップ930において、少なくとも1つの治療は、少なくとも1つの治験の一部を形成してもよい。少なくとも1つの治験は、対応する適格基準を含む対応する治験プロトコルに関連付けられてもよい。いくつかの実施形態では、対応する適格基準は、候補患者のサブセットに含めることが不適格な1人以上の患者を決定するための1つ以上の対応する除外基準と、候補患者のサブセットに含めることが適格な可能性のある1人以上の患者を決定するための1つ以上の対応する包含基準と、を含んでもよい。いくつかの実施形態では、方法900は、少なくとも1つの治験に関連付けられた対応する治験プロトコルの承認に応答して開始されてもよい。少なくとも1つの治験は、1種以上の薬物、又は1種以上の生物製剤、又は1つ以上の医療デバイス、又はこれらの組み合わせに関連付けられてもよい。
【0172】
更に、ステップ940において、多次元ブロックは、少なくとも1つの候補患者プロファイルと、少なくとも1つの治療に関連付けられた医療情報と、対応する治験プロトコルと、を含む治験レコード(CTR)ブロック(例えば、CTR400)で更に拡張されてもよく、治験プロトコルは、健康パラメータの第1のセットを更に含む。
【0173】
図10は、(a)治験参加のための患者選択、及び/又は(b)薬物/デバイス展開、を促進させながら、ヘルスケア情報セキュリティ及び相互運用性を促進するための、例示的な方法1000のフローチャートを示す。いくつかの実施形態では、方法1000は、多次元ブロックチェーンを使用することができ、それは、システム内に個々のエンティティによって維持される別個のブロックチェーンに基づくことができる。いくつかの実施形態では、方法1000は、場合によっては、クラウドベースシステムの形態を取ってもよいプライベート許可型ブロックチェーンプラットフォーム上で(少なくとも部分的に)実施されてもよい。方法1000はまた、プロセッサ、コンピュータ、又はコンピュータのネットワーク、例えば、分散コンピューティングシステム、アプリケーションサーバを含むサーバ(ハードウェア及びソフトウェア)、モバイルコンピューティングデバイス(例えば、スマートフォン、スマートウェアラブルデバイス、ハンドヘルドコンピュータ、タブレット、ラップトップ等)、並びにクラウドベースシステムにより実施されてもよい。
【0174】
いくつかの実施形態では、方法1000は、第1のエンティティにおいて実施されてもよい。例えば、第1のエンティティは、医薬品提供者、又はPMDP130及び/又はSE150等の医療デバイス提供者のうちの少なくとも1つに関連付けられた、少なくとも1つのサーバ又はコンピュータシステムを備えてもよい。いくつかの実施形態では、第1のエンティティは、1つ以上の第2のエンティティとインタラクションすることができる。第2のエンティティは、HCP120等のヘルスケア提供者、支払人140等の保険提供者、又は患者170、又は薬局に関連付けられた1つ以上のサーバ又はコンピュータシステムを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のエンティティ、及び1つ以上の第2のエンティティは、分散コンピューティングシステム内にコンピューティングノードを形成することができ、多次元ブロックチェーンは、許可型プライベートブロックチェーンプラットフォーム等の許可型プライベートブロックチェーンプラットフォームの部分を形成することができる。
【0175】
いくつかの実施形態では、方法1000は、第1のエンティティ等のエンティティが、ローカルに維持されているブロックチェーンにブロックを追加するための(例えば、トランザクションID及び/又はトランザクションタイプを有する)トランザクションを開始したときに、呼び出されてもよい。ローカルブロックチェーンにブロックを追加することが、1つ以上の他のエンティティからの入力を伴ってもよく、許可型プライベートブロックチェーンプラットフォーム及び/又は第1のエンティティが、方法1000を呼び出してもよい。
【0176】
いくつかの実施形態では、ステップ1010において、健康パラメータの第1のセット及び/又は1つ以上の母集団セグメントに関連付けられた集合的人口統計情報が、第1のエンティティによって取得されてもよい。治験設定において、集合的人口統計情報は、SE150によって1つ以上のHCP120から取得され得る(例えば、サブブロック480-1におけるような)患者事前クリーニング情報を含み得る。薬物/デバイス展開設定において、集合的人口統計情報は、薬物/デバイス展開に関連付けられた人口統計基準610を含んでもよく、人口統計基準は、(例えば、疾患のアウトブレイクに関連付けられた)リスク因子、及び(例えば、疾患のアウトブレイクが蔓延、出現、又は加速している)場所情報を含んでもよい。薬物/デバイス展開設定における集合的人口統計情報は、PMDP130により、PHE180等の公衆衛生エンティティ(PHE)から取得されてもよい。
【0177】
ステップ1020において、第1のエンティティは、第1のエンティティによって復号可能な1つ以上の暗号化された第1の電子健康レコード(EHR)サブブロックを受信してもよく、1つ以上の第1のEHRサブブロックは、(a)1人以上の患者に対応する患者プロファイル情報と、(b)1人以上の患者についての対応する患者病歴と、を含む。
【0178】
例えば、SE150は、(場合によっては、非PII情報であり得る)対応する患者プロファイル及び病歴情報を有する1つ以上のEHRサブブロック280を受信してもよい。各患者についての患者プロファイル情報は、対応する個々の患者の人口統計情報(例えば、年齢、性別、場所、人種等)を含んでもよく、対応する患者病歴は、対応する現在及び過去の患者の病状、又は対応する現在及び過去の患者の診断、又は対応する現在及び過去の患者の治療、又は対応する現在及び過去の患者の病状のうちの1つ以上を含む。
【0179】
別の例として、PMDP130は、薬物/デバイス展開のための対応する患者プロファイル及び(非PIIであり得る)病歴情報を有する、1つ以上のEHRサブブロック280を受信してもよい。
【0180】
ステップ1030において、第1のエンティティは、1人以上の患者から、少なくとも1つの治療に適格な候補患者のサブセットを、1つ以上のEHRサブブロック内の情報と、少なくとも1つの治療についての対応する適格基準との比較に基づいて決定してもよく、対応する適格基準は、健康パラメータの第1のセット又は集合的人口統計情報のうちの1つ以上に基づく。例えば、治験設定において、EHRサブブロック(例えば、サブブロック280)内の情報が、治験についての適格基準(例えば、サブブロック480-1内の健康パラメータ)と比較されて、治験への参加に適格な候補患者が決定されてもよい。別の例として、薬物/デバイス展開設定において、EHRサブブロック(例えば、サブブロック280)内の情報が、薬物/デバイス展開のための適格基準(例えば、高いリスクを有し得る集合的人口統計情報、例えば、年齢層、職業、場所等)と比較されて、薬物/デバイスを優先的に受け取るのに適格な候補患者が決定されてもよい。
【0181】
ステップ1040において、第1のエンティティは、1つ以上の対応する第2のエンティティによって復号可能な1つ以上の暗号化された第1のサブブロックを送信してもよく、送信される第1のブロックの各々が、少なくとも1つの候補患者プロファイルと、少なくとも1つの治療に関連付けられた医療情報と、を含む。例えば、治験設定において、SE130が、選択された候補患者に対応する候補患者プロファイルをHCP120に送信してもよい。別の例として、薬物/デバイス展開設定において、PMDP130が、薬物/デバイスを優先順位に基づいて受け取るのに適格な候補患者に対応する候補患者プロファイルを、HCP120に送信してもよい。
【0182】
いくつかの実施形態では、ステップ1050において、第1のエンティティは、トランザクション確認を有するトランザクションブロックを受信してもよく、トランザクションブロックを受信したことに応答して、多次元ブロックチェーンを拡張してもよい。多次元ブロックチェーンは、(i)少なくとも1つの治療に関連付けられた治療展開関連情報を含むトランザクションブロックと、(ii)少なくとも1つの治療に関連付けられた医療情報を含む薬物デバイス情報(DIR)ブロックと、(iii)少なくとも1つの候補患者プロファイル情報、少なくとも1人の候補患者についての対応する候補患者病歴、及び少なくとも1つの治療についての処方情報、を含むEHRブロックと、をリンクすることにより形成される多次元ブロックで拡張されてもよい。例えば、治験設定において、(多次元ブロックチェーンを拡張するための)多次元ブロックは、トランザクションに関する情報を有するトランザクションブロック(例えば、HTR500)と、治験への参加が確認された候補患者についての候補患者プロファイル情報を含むEHRブロック(例えば、EHRレコード200)にリンクされた少なくとも1つの治療に関連付けられた医療情報を有するDIRブロック(例えば、DIRレコード300)と、を含んでもよい。
【0183】
上記で概説したように、ステップ1030において、少なくとも1つの治療は、少なくとも1つの治験の一部を形成してもよい。少なくとも1つの治験は、対応する適格基準を含む対応する治験プロトコルに関連付けられてもよい。いくつかの実施形態では、対応する適格基準は、候補患者のサブセットに含めることが不適格な1人以上の患者を決定するための1つ以上の対応する除外基準と、候補患者のサブセットに含めることが適格な可能性のある1人以上の患者を決定するための1つ以上の対応する包含基準と、を含んでもよい。いくつかの実施形態では、方法1000は、少なくとも1つの治験に関連付けられた対応する治験プロトコルの承認に応答して開始されてもよい。少なくとも1つの治験は、1種以上の薬物、又は1種以上の生物製剤、又は1つ以上の医療デバイス、又はこれらの組み合わせ、に関連付けられてもよい。
【0184】
更に、ステップ1040において、多次元ブロックは、少なくとも1つの候補患者プロファイルと、少なくとも1つの治療に関連付けられた医療情報と、対応する治験プロトコルと、を含む治験レコード(CTR)ブロック(例えば、CTR400)で更に拡張されてもよく、治験プロトコルは、健康パラメータの第1のセットを更に含む。
【0185】
いくつかの実施形態では、方法1000において、第1のエンティティは、1つ以上の暗号化された第1のサブブロックの送信に応答して(例えば、ステップ1040において)、かつトランザクションブロックの受信の前に(例えば、ステップ1050において)、第1のエンティティによって復号可能な少なくとも1つの暗号化された第2のEHRサブブロックを更に受信してもよく、少なくとも1つの第2のEHRサブブロックは、少なくとも1つの候補患者プロファイルと、少なくとも1つの治験への参加に対する少なくとも1人の候補患者による対応する患者同意とを含む。例えば、第2のEHRサブブロックは、治験への参加に対する候補患者の同意を、候補患者プロファイルと共に、含んでもよい。いくつかの実施形態では、(例えば、ステップ1020における)第1のEHRブロック内の患者プロファイル情報は、非個人識別可能(非PII)情報を含んでもよく、第2のEHRブロック内の少なくとも1つの候補患者プロファイル情報は、PII情報を含んでもよい。
【0186】
上記で概説したように、ステップ1030において、場合によっては、少なくとも1つの治療は、少なくとも1種の薬物及び/又はデバイスの展開に関連付けられてもよい。例えば、薬物/デバイス展開は、公衆衛生緊急事態に応答して開始されてもよく、適格基準は、更に、公衆衛生緊急事態に関連付けられたリスクパラメータに基づくものであってもよく、健康パラメータはリスクパラメータを含む。リスクパラメータは、リスクのある場所を含んでもよく、母集団セグメントに対応する集合的人口統計情報は、公衆衛生緊急事態からのリスクのある母集団を示してもよい。例えば、公衆衛生緊急事態は、疾患のアウトブレイク、例えば、局所的な疾患のアウトブレイク、エピデミック、又はパンデミックであり得る。上記で特定された緊急事態において、人口統計及び/又はリスクに基づいて集団内に、予防的処置(例えば、ワクチン)、他の予防的デバイス(例えば、保護具)、(例えば、症状を軽減するための)治療、治療剤(例えば、治癒剤)、及び/又は他の薬物、及び/又はデバイスを展開することが有利であり得る。例えば、治療を、第1の応答者、医療関係者、緊急/必須職員、及び/又は特に脆弱であり得る他の母集団セグメントに展開することが有利であり得る。更に、場合によっては(例えば、Covid-19パンデミック等)、治験が成功裏に完了した後に、大量の薬物/デバイスの展開が行われ得る。したがって、本明細書に提示される技術は、より効果的な患者の事前スクリーニング及び選択、治験のより迅速な立ち上げ、並びに治験完了時の効果的な薬物/デバイス展開を促進し、それにより、公衆衛生緊急事態に対処する努力を支援することができる。
【0187】
図11は、ヘルスケアシステムのセキュリティを促進し、相互運用性を推進することが可能な例示的なコンピュータ1100又はコンピューティングデバイスの概略図を示す。いくつかの実施形態では、コンピュータ1100は、ホストとしての役割を果たし、かつ/又は許可型プライベートブロックチェーンプラットフォームとインタラクションすることができる。コンピュータ110は、エンティティ(例えば、HCP120、PMDP130、支払人140、SE150、薬局160、及び/又はPHE180)及び/又は患者170に関連付けられたコンピューティングデバイスであってもよく、及び/又は許可型ブロックチェーンプラットフォームを実行するために使用されてもよい。コンピュータ130は単なる例であり、本明細書に開示される方法及びプロセスフローを実行するために、いくつかのコンピュータがネットワーク化された及び/又は分散された方式で使用されてもよい。
【0188】
いくつかの実施形態では、例示的なコンピュータ1100は、1つ以上のエンティティ(例えば、HCP120、PMDP130、支払人140、SE150、薬局160、及び/又はPHE180)のための(物理的)サーバを含んでもよく、又は(物理的)サーバ(例えば、アプリケーションサーバ)を稼働させてもよい。いくつかの実施形態では、1つのコンピュータ1100が、図7図10のものを含む、本明細書に開示されるプロセスフロー及び/又は方法及び/又は他の技術の一部又は全部を実行してもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータ1100は、分散コンピューティングシステムの部分を形成してもよく、許可型プライベートブロックチェーンプラットフォームを実行してもよい。いくつかの実施形態では、分散コンピューティングシステム及び/又はコンピュータ1100は、クラウドベースであってもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータ1100は、スマートフォン、タブレット、ハンドヘルド、ノートブック、及び/又はラップトップ等のモバイルコンピューティングデバイスであってもよく、他のコンピュータ1100及び/又は他のアプリケーションとインタラクションするためのアプリケーションを稼働させて、本明細書に開示される技術を実行させてもよい。
【0189】
いくつかの実施形態では、コンピュータ1100/プロセッサ1150は、多次元ブロックチェーンを含むブロックチェーンにブロックを追加することに関連するリクエストを含むトランザクションリクエストを処理することが可能であってもよい。更に、コンピュータ1100/プロセッサ1150は、暗号化及び/又は復号アルゴリズムを稼働させ、情報ブロックのハッシュを取得し、ハッシュを検証し、デジタル署名を実行することが可能であってもよく、セキュリティ及び認証を促進するための様々な方法を実行及び/又はサポートすることが可能であってもよい。認証とは、保存された情報の完全性の検証(例えば、任意の認可されていない改変を判定するためのブロックチェーン内のブロック内での)、及び許可型プライベートブロックチェーンプラットフォームにアクセスするエンティティが信頼でき、任意のリクエストされたトランザクションを実行するための許可を有することを保証することの両方を指し得る。いくつかの実施形態では、コンピュータ1100/プロセッサ1150はまた、新たなブロックを用いてブロックチェーンを拡張する(作成する又は追加する)こともできる(多次元ブロックを用いて多次元ブロックチェーンを拡張することを含む)。
【0190】
いくつかの実施形態では、コンピュータ1100/プロセッサ1150はまた、ブロックチェーンに関連付けられたスマートコントラクトを保存及び実行して、エンティティ(例えば、HCP120、PMDP130、支払人140、PHE180、薬局160、及び/又は患者170)間のプライバシー、情報共有、コントラクトの実行等に関連する合意を実現することもできる。
【0191】
いくつかの実施形態では、コンピュータ1100/プロセッサ1150は、治療に関連付けられた治療クラス(例えば、薬物クラス、デバイスクラス、及び/又は手順クラス)を決定することと、母集団セグメントに対して個別に及び総合的にコストメトリック、優先度スコアを決定することと、並びに治験のために患者選択をフィルタリング及び/又は狭めるために患者基準を使用することと、を含む、健康関連データを数学的に分析し統計的にコンパイルすることが可能であってもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータ1100/プロセッサ1150はまた、スマートフォン上の(例えば、ディスプレイ1170上の)情報の表示を、(例えば、グラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface、GUI)を使用して)開始することが可能であってもよい。コンピュータ1100/プロセッサ1150は、機械学習技術を使用して、様々な健康パラメータ間の関係を決定することが可能であってもよい。例えば、コンピュータ1100/プロセッサ1150は、1つ以上のニューラルネットワークプロセッサ、及び/又はニューラルネットワークとして構成することが可能な分散プロセッサを備えてもよく、及び/又は機械学習を実行するために使用され得るニューラルネットワークをモデル化及び/又はシミュレーションするためのソフトウェアを実行することが可能であってもよい。例えば、PMDP130が、多次元ブロックを通じて利用可能な機械学習技術ベースRWE情報(例えば、人口統計情報、副作用、特定の関心薬物を組み合わせて使用される薬物、治療成果等)を使用して、薬物の使用法を調整することができる。例えば、機械学習を使用して、有効用量を決定し、人口統計に基づいて薬物を標的化し、薬物相互作用情報を改善し、安全性を高め、投与の様々なモードの相対的有効性を決定すること等ができる。
【0192】
いくつかの実施形態では、コンピュータ1100は、有線(例えば、ギガビットイーサネットを含むイーサネット)及び無線インターフェースを含んでもよい通信/ネットワークインターフェース1102を使用して、他のコンピュータに結合されてもよい。無線インターフェースは、3G、4G、及び5G標準規格を含むセルラー式標準規格等の無線ワイドエリアネットワーク(Wireless Wide Area Network、WWAN)標準規格、Wi-Fiとして広く知られているIEEE 802.11x規格、及び/又は無線パーソナルエリアネットワーク(例えば、Bluetooth、近距離無線通信(NFC)等)、に基づいてもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータ110は、(例えば、患者の)場所を自動的に決定するために、全地球測位システム及び/又は場所決定ユニットを含んでもよく、これらは、図7~10に開示される技術と併せて使用されてもよい。
【0193】
コンピュータ1100は、読み出し専用メモリ(Read Only Memory、ROM)、プログラマブル読み出し専用メモリ(Programmable Read Only Memory、PROM)、様々なタイプのランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)、不揮発性RAM等のうちの1つ以上を含んでもよいメモリ1104を含んでもよい。メモリ1104は、プロセッサ1150の内部に、又はプロセッサ1150の外部に実現されてもよい。本明細書で使用されるとき、「メモリ」という用語は、長期、短期、揮発性、不揮発性、又は他のメモリの任意のタイプを指し、メモリの任意の特定のタイプ、若しくはメモリ数、又はメモリが格納される媒体の種類には限定され得ない。
【0194】
メモリは、キャッシュメモリ、一次メモリ、及び二次メモリを含み得る。二次メモリは、コンピュータ可読媒体1120を含み得る。コンピュータ可読媒体は、磁気及び/又は光学媒体を含み得、それらは、場合によっては、取り外し可能媒体であってもよい。取り外し可能媒体は、コンパクトディスク(compact-disc、CD)、レーザーディスク、デジタルビデオディスク(digital video disc、DVD)、ブルーレイディスク、及び他の光学媒体等の光ディスクを備えてもよく、USBドライブ、フラッシュドライブ、ソリッドステートドライブ、メモリカード等を更に含んでもよい。コンピュータ1100は、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ(solid state drive、SSD)、フラッシュメモリ、他の不揮発性記憶装置、及びクラウドベース記憶装置を含んでもよい記憶装置1160を含んでもよい。
【0195】
通信/ネットワークインターフェース1102、記憶装置1160、メモリ1104、及びコンピュータ可読媒体1120は、バス、ライン、ファイバ、リンク等の形態を取り得る接続部1106を使用して、プロセッサ1150に結合され得る。
【0196】
本明細書に記載されている方法は、アプリケーションに応じて様々な手段によって実現され得る。例えば、これらの方法は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組み合わせで実装することができる。ハードウェア実装について、プロセッサ1150は、1つ以上の特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、ニューラルネットワークプロセッサ(neural network processor、NNP)、デジタル信号処理デバイス(digital signal processing device、DSPD)、プログラマブルロジックデバイス(programmable logic device、PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書に記載される機能を実行するように設計された他の電子ユニット、又はそれらの組み合わせ、の中に実装され得る。
【0197】
ファームウェア及び/又はソフトウェア実装の場合、その方法は、本明細書に記載されている機能を実行するマイクロコード、プロシージャ、関数等を用いて実行することができる。命令を明確に具現化する任意の機械可読媒体を使用して、本明細書に記載されている方法を実現することができる。例えば、ソフトウェアは、記憶装置1160内に、及び/又は取り外し可能コンピュータ可読媒体上に保存され得る。プログラムコードは、コンピュータ可読媒体1120、記憶装置1160、及び/又はメモリ1104に常駐することができ、プロセッサ1150によって読み出し及び実行することができる。
【0198】
ファームウェア及び/又はソフトウェア内に実現される場合、その機能はまた、1つ以上の命令又はコードとして、コンピュータ可読媒体1120、記憶装置1160、及び/又はメモリ1104に保存され得る。例としては、データ構造及びコンピュータプログラムを用いて符号化されたコンピュータ可読媒体が挙げられる。例えば、コンピュータ可読媒体1120は、そこに保存されたプログラムコードを含んでもよく、多次元ブロックチェーン、スマートコントラクト、合意判定をサポートし、本明細書に記載されるような許可型プライベートブロックチェーンプラットフォームに関連付けられた他の機能を実行することを含む方法により、ヘルスケアシステムセキュリティを促進しシステム相互運用性を推進するための方法をサポートするプログラムコードを含んでもよい。
【0199】
プロセッサ1150は、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアの組み合わせを使用して実現され得る。いくつかの実施形態では、コンピュータ1100は、ディスプレイに結合されて、GUIの閲覧、並びに管理者及び他のユーザとのインタラクションを促進してもよい。
【0200】
本開示は、指導上の目的で特定の実施形態とからめて説明されているが、本開示は、これらに限定されない。本発明の範囲から逸脱することなく、様々な適合及び修正を本開示に行うことができる。したがって、添付の請求項の趣旨及び範囲は、前述の説明に限定されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】