(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】高吸水性樹脂の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 3/24 20060101AFI20240717BHJP
B01J 20/26 20060101ALI20240717BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20240717BHJP
C08F 20/06 20060101ALI20240717BHJP
C08F 8/00 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
C08J3/24 Z CEY
B01J20/26 D
B01J20/30
C08F20/06
C08F8/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579602
(86)(22)【出願日】2022-07-18
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 KR2022010412
(87)【国際公開番号】W WO2023287262
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】10-2021-0093471
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0087601
(32)【優先日】2022-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ウンチャン・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ヨンス・キム
(72)【発明者】
【氏名】チャン・フン・ハン
(72)【発明者】
【氏名】ジュンミン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ミュンハン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヘミン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジヘ・リュ
【テーマコード(参考)】
4F070
4G066
4J100
【Fターム(参考)】
4F070AA29
4F070AA32
4F070AB13
4F070AC16
4F070AE03
4F070AE12
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4G066FA34
4G066FA37
4J100AJ02P
4J100AK08P
4J100AL66Q
4J100BA08Q
4J100CA03
4J100CA23
4J100CA31
4J100DA37
4J100FA03
4J100FA19
4J100HA53
4J100HC38
4J100JA60
(57)【要約】
本発明は、高吸水性樹脂の製造方法に関する。より具体的に、気泡安定化剤を使用した多段階発泡工程を行うことによって、製造される高吸水性樹脂内に階層的気泡分布を形成し、これにより、吸水速度および吸水性能に優れた高吸水性樹脂を製造することができる高吸水性樹脂の製造方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性基を有し、前記酸性基の少なくとも一部が中和された水溶性アクリル酸系単量体、重合開始剤および第1架橋剤を含む単量体組成物を準備する段階;
前記単量体組成物に、第1発泡剤および気泡安定化剤を混合した混合物を1次発泡する段階;
前記1次発泡された混合物に、第2発泡剤を混合した混合物を2次発泡する段階;
前記2次発泡混合物を架橋重合して含水ゲル重合体を形成する段階;
前記含水ゲル重合体を乾燥、粉砕および分級してベース樹脂粉末を形成する段階;および
表面架橋剤存在下で、前記ベース樹脂粉末の表面の少なくとも一部を架橋する段階を含む、
高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項2】
前記1次発泡段階で、混合物総重量に対する気泡安定化剤の濃度は、前記2次発泡段階で、混合物総重量に対する気泡安定化剤の濃度より大きい、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記1次発泡段階で、気泡安定化剤は混合物総重量に対して0.02~1.0重量%で含まれ、
前記2次発泡段階で、気泡安定化剤の濃度は1次発泡段階より小さい、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項4】
前記気泡安定化剤は親水性表面改質された化合物である、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項5】
前記気泡安定化剤は、疎水性化合物がポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリジン、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリジン、ポリアクリル酸、ポリアクリールアミド、ポリドーパミン、ポリ(4-スチレンスルホネート)、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールからなる群より選択される1種以上の重合体またはこれらの共重合体で親水性表面改質された化合物である、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項6】
前記第1発泡剤および第2発泡剤は、それぞれ独立して50℃以下で発泡される、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項7】
前記第1発泡剤および第2発泡剤は、それぞれ独立してナトリウムカーボネート、ナトリウムバイカーボネート、カリウムバイカーボネート、アゾジカルボンアミド、p,p’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p-トルエンスルホニルヒドラジドおよびベンゼンスルホニルヒドラジドからなる群より選択される1種以上である、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項8】
前記2次発泡段階で、
酸性基を有し、前記酸性基の少なくとも一部が中和された水溶性アクリル酸系単量体、重合開始剤および第1架橋剤を含む単量体組成物をさらに混合する、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項9】
前記1次発泡段階および2次発泡段階は、それぞれ独立して35℃~50℃で行われる、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項10】
前記1次発泡段階で、直径が100nm以下の微細気泡が形成され、
前記2次発泡段階で、直径が100nm~300nmの気泡が形成される、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項11】
前記架橋重合段階は、50℃~100℃で行われる、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項12】
前記高吸水性樹脂は、複数の気孔を含み、
前記複数の気孔の平均直径は20μm~150μmであり、
前記複数の気孔のうち、直径が2μm~180μmである微細気孔が70%以上である、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願(ら)との相互引用
本出願は、2021年7月16日付韓国特許出願第10-2021-0093471号および2022年7月15日付韓国特許出願第10-2022-0087601号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、高吸水性樹脂の製造方法に関する。より具体的に、気泡安定化剤を使用した多段階発泡工程を行うことによって、製造される高吸水性樹脂内に階層的気泡分布を形成し、これにより、吸水速度および吸水性能に優れた高吸水性樹脂を製造することができる高吸水性樹脂の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer、SAP)とは、自重の5百~1千倍程度の水分を吸収できる機能を有する合成高分子物質であり、開発会社ごとにSAM(Super Absorbency Material)、AGM(Absorbent Gel Material)などそれぞれ異なるように命名している。このような高吸水性樹脂は、生理用品として実用化し始め、現在は園芸用土壌保水材、土木・建築用止水材、育苗用シート、食品流通分野における新鮮度保持剤、および湿布用などの材料として幅広く使用されている。
【0004】
このような高吸水性樹脂は、主におむつや生理用ナプキンなど衛生材分野で幅広く使用されている。前記衛生材内で、前記高吸水性樹脂は、パルプ内に広がった状態で含まれることが一般的である。しかし、最近は、より薄い厚さのおむつなど衛生材を提供するための努力が続いており、その一環としてパルプの含有量が減少したり、ひいてはパルプが全く使用されない所謂パルプレス(pulpless)おむつなどの開発が積極的に進められている。
【0005】
このようにパルプの含有量が減少したり、またはパルプが使用されないパルプレスおむつなどの衛生材において、高吸水性樹脂は小便などの液体を吸収する吸水体の役割だけでなく、パルプの役割も果たさなければならないため、高い吸水性能だけでなく、速い吸水速度を有することが要求される。
【0006】
このような吸水速度が向上した高吸水性樹脂の製造のためには、高吸水性樹脂に気孔構造を導入して比表面積を向上させる方法が主に使用される。具体的に、高吸水性樹脂の比表面積を向上させるために、重合段階で発泡剤を使用して気泡を発生させたり、または二酸化炭素ガス、空気、または窒素ガスなどの気体を注入することができる。
【0007】
しかし、発泡剤で形成された気泡は中和溶液内で不安定であるため、気泡が中和溶液外に抜け出しやすく、特に気泡のサイズを制御しにくいため、目的とする気孔構造を有する高吸水性樹脂の製造が不可能である。
【0008】
そのために、高吸水性樹脂の基本的な吸水性能を維持しながらも、速い吸水速度を示す高吸水性樹脂の開発が継続して要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の目的は、気泡安定化剤を使用した多段階発泡工程を行うことによって、製造される高吸水性樹脂内に階層的気孔分布を形成し、これにより、向上した吸水物性および吸水速度を示す高吸水性樹脂の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明は、
酸性基を有し、前記酸性基の少なくとも一部が中和された水溶性アクリル酸系単量体、重合開始剤および第1架橋剤を含む単量体組成物を準備する段階;
前記単量体組成物に、第1発泡剤および気泡安定化剤を混合した混合物を1次発泡する段階;
前記1次発泡された混合物に、第2発泡剤を混合した混合物を2次発泡する段階;
前記2次発泡混合物を架橋重合して含水ゲル重合体を形成する段階;
前記含水ゲル重合体を乾燥、粉砕および分級してベース樹脂粉末を形成する段階;および
表面架橋剤存在下で、前記ベース樹脂粉末の表面の少なくとも一部を架橋する段階を含む、
高吸水性樹脂の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の高吸水性樹脂の製造方法によれば、発泡剤および気泡安定化剤を使用した多段階発泡工程を行うことによって、各段階で異なるサイズの気泡を容易に形成することができ、これにより、乾燥、粉砕などの工程を経て最終製造される高吸水性樹脂内に階層的気孔構造を形成することによって、比表面積を増加させて高吸水性樹脂の吸水物性と吸水速度を顕著に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】発明の一実施形態による高吸水性樹脂の製造方法において、多段階発泡工程を概略的に示したものである。
【
図2】実施例1の1次発泡工程および2次発泡工程の条件下で発生した気泡のOMイメージに関するものである。
【
図3】実施例1の多段階発泡工程で気泡安定化剤の濃度変化により発生した気泡のサイズおよび硬化後の気孔のサイズの変化を示すグラフである。
【
図4】実施例1および比較例1により製造された高吸水性樹脂内の気孔の粒径分布を示すグラフである。
【
図5】実施例1、比較例1および比較例4により製造された高吸水性樹脂の断面イメージを概略的に示したものである。
【
図6】実施例1、比較例1および比較例4により製造された高吸水性樹脂の断面SEMイメージに関するものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で使用される用語は、単に例示的な実施例を説明するために使用されるものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書で、「含む」、「備える」または「有する」などの用語は、実施された特徴、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や段階、構成要素、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。
【0014】
本発明の明細書に使用される用語「重合体」、または「高分子」は、水溶性エチレン系不飽和単量体であるアクリル酸系単量体が重合された状態であることを意味し、全ての水分含有量範囲または粒径範囲を包括することができる。前記重合体のうち、重合後乾燥前状態のものであって、含水率(水分含有量)が約40重量%以上の重合体を含水ゲル重合体と称することができ、このような含水ゲル重合体が粉砕および乾燥された粒子を架橋重合体と称することができる。
【0015】
また、用語「高吸水性樹脂粒子」は、酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和されたアクリル酸系単量体が重合され、内部架橋剤により架橋された架橋重合体を含む、粒子状の物質を称する。
【0016】
また、用語「高吸水性樹脂」は、文脈により、酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和されたアクリル酸系単量体が重合された架橋重合体、または前記架橋重合体が粉砕された高吸水性樹脂粒子からなる粉末(powder)形態のベース樹脂を意味したり、または前記架橋重合体や前記ベース樹脂に対して追加の工程、例えば表面架橋、微粉再造粒、乾燥、粉砕、分級などを経て製品化に適した状態にしたものを全て包括するもので使用される。したがって、用語「高吸水性樹脂」は、つまり、複数個の高吸水性樹脂粒子を含むものと解釈され得る。
【0017】
また、用語「気泡(bubble)」は、発泡過程中に混合物内に形成された発泡気体が形成する球形の空間を意味し、「気孔(pore)」は、前記気泡などが硬化して含水ゲル重合体、ベース樹脂、または高吸水性樹脂内に形成された球形の空間を意味する。
【0018】
また、用語気孔または気泡の「平均直径」とは、測定対象気孔または気泡のそれぞれの最長直径値に対する中央値(median)を意味する。これは、単純平均値(average)に比べて外れ値(outlier)の影響をより少なく受けるようにするためである。
【0019】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるところ、特定の実施例を例示して下記で詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物または代替物を含むものと理解されなければならない。
【0020】
また、本明細書に使用される専門用語は、単に特定の実施形態を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。そして、ここで使用される単数の形態は、文句がこれと明確に反対の意味を示さない限り、複数の形態も含む。
【0021】
速い吸水速度を有する高吸水性樹脂を製造するためには、高吸水性樹脂粒子内の比表面積が増加しなければならない。これにより、比表面積が高い高吸水性樹脂の実現のために製造工程中に発泡工程を誘導して高吸水性樹脂内に多数の気孔を形成させる方法または機械的に高吸水性樹脂を変形させる方法が使用されてきた。特に、発泡メカニズムを如何に調節するかによって形成される発泡サイズが変わり、これにより、粉砕後最終粒子の形状が変わり、比表面積の増加のためには粉砕の粒子内にも微細気孔を多数含むことが好ましい。しかし、通常の発泡工程で形成された気泡は、中和溶液内で不安定であるため、気泡が中和溶液外に抜け出しやすく、特に気泡のサイズを制御しにくいため、目的とする気孔構造を有する高吸水性樹脂の製造が不可能である。
【0022】
そこで、本発明者らは、高吸水性樹脂の製造時、発泡剤および気泡安定化剤を使用した多段階発泡工程を行うことによって、各段階で異なるサイズの気泡を安定的に形成することができ、これにより、乾燥、粉砕などの工程を経て最終製造される高吸水性樹脂内に階層的気孔構造を形成することができることを確認して、本発明を完成した。
【0023】
特に、多段階発泡工程で、発泡剤と共に使用される気泡安定化剤の濃度を調節することによって、各発泡段階別に形成される気泡のサイズを制御することが容易であることを確認した。これにより、より安定した気孔構造を形成するために、発泡工程に使用される気泡安定化剤の成分および発泡段階別の気泡安定化剤の最適の濃度を導き出した。
【0024】
高吸水性樹脂の製造方法
以下、一実施形態による高吸水性樹脂粒子の製造方法を各段階別に説明する。
【0025】
(単量体組成物の準備段階)
まず、発明の一実施形態によれば、酸性基を有し、前記酸性基の少なくとも一部が中和された水溶性アクリル酸系単量体、重合開始剤および第1架橋剤を含む単量体組成物を準備する段階を含む。
【0026】
前記アクリル酸系単量体は、下記の化学式1で表される化合物である。
【0027】
[化学式1]
R1-COOM1
【0028】
前記化学式1で、
R1は、不飽和結合を含む炭素数2~5のアルキル基であり、
M1は、水素原子、1価または2価金属、アンモニウム基または有機アミン塩である。
【0029】
好ましくは、前記アクリル酸系単量体は、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩および有機アミン塩からなる群より選択される1種以上を含む。
【0030】
ここで、前記アクリル酸系単量体は、酸性基を有し、前記酸性基の少なくとも一部が中和されたものであり得る。好ましくは、前記単量体を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどのアルカリ物質で部分的に中和させたものを使用することができる。この時、前記アクリル酸系単量体の中和度は、40~95モル%であり得、好ましくは、40モル%以上、60モル%以上、70モル%以上であり、95モル%以下、90モル%以下、85モル%以下であり、または40~90モル%、60~85モル%、70~85モル%であり得る。しかし、前記中和度が過度に高ければ中和された単量体が析出されて重合が円滑に行われないことがあり、反対に中和度が過度に低ければ高分子の吸水力が大きく落ちるだけでなく、取り扱いが困難な弾性ゴムのような性質を示すことがある。
【0031】
前記アクリル酸系単量体の濃度は、前記高吸水性樹脂の原料物質および溶媒を含む単量体混合物に対して20~60重量%で含まれ得、好ましくは20重量%以上、40重量%以上であり、60重量%以下、50重量%以下であり、または40~50重量%で含まれ得、これは重合時間および反応条件などを考慮して適切な濃度で選択され得る。ただし、前記単量体の濃度が過度に低くなれば、高吸水性樹脂の収率が低く、経済性に問題が生じることがあり、反対に濃度が過度に高くなれば、単量体の一部が析出されたり重合された含水ゲル重合体の粉砕時に粉砕効率が低く示されるなど、工程上の問題が生じることがあり、高吸水性樹脂の物性が低下することがある。
【0032】
また、本明細書で使用する用語「第1架橋剤」は、後述する高吸水性樹脂粒子の表面を主に架橋させるための第2架橋剤と区別するために使用する用語であって、前述した水溶性エチレン系不飽和単量体の不飽和結合を架橋させて重合させる役割を果たす。前記段階での架橋は、表面または内部の区別なしに行われるが、後述する高吸水性樹脂粒子の表面架橋工程が行われる場合、最終製造された高吸水性樹脂の粒子表面は第2架橋剤により架橋された構造からなり、内部は前記第1架橋剤により架橋された構造からなるようになる。
【0033】
前記第1架橋剤としては、前記アクリル酸系不飽和単量体の重合時に架橋結合の導入を可能にするものであれば如何なる化合物も使用可能である。具体的に、前記第1架橋剤としては、前記アクリル酸系不飽和単量体の水溶性置換基と反応できる官能基を1個以上有すると共に、エチレン性不飽和基を1個以上有する架橋剤;あるいは前記単量体の水溶性置換基および/または単量体の加水分解により形成された水溶性置換基と反応できる官能基を2個以上有する架橋剤を使用することができる。
【0034】
非制限的な例として、前記第1架橋剤は、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、トリメチルプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリアリールアミン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコール、グリセリン、またはエチレンカーボネートなどの多官能性架橋剤を単独使用または2以上併用することができ、これらに制限されるのではない。
【0035】
前記第1架橋剤は、前記水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して0.01~5重量部で使用することができる。例えば、前記第1架橋剤は、水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して0.01重量部以上、0.05重量部以上、0.1重量部以上、0.45重量部以上であり、5重量部以下、3重量部以下、2重量部以下、1重量部以下であり、0.1~3重量部または0.45~1重量部で使用することができる。 前記第1架橋剤の含有量が過度に低い場合、架橋が十分に起こらず、適正水準以上の強度実現が難しいことがあり、前記第1架橋剤の含有量が過度に高い場合、内部架橋密度が高くなって所望の保水能の実現が難しいことがある。
【0036】
前記単量体組成物は、前記単量体の重合反応を開始するための重合開始剤をさらに含むことができる。重合開始剤としては、高吸水性樹脂の製造に一般的に使用されるものであれば特に限定されない。
【0037】
具体的に、前記重合開始剤は、重合方法により熱重合開始剤またはUV照射による光重合開始剤を使用することができる。ただし、光重合方法によるとしても、紫外線照射などの照射により一定量の熱が発生し、また、発熱反応である重合反応の進行によりある程度の熱が発生するため、追加的に熱重合開始剤を含むこともできる。
【0038】
前記光重合開始剤は、紫外線などの光によりラジカルを形成することができる化合物であればその構成の限定なしに使用することができる。
【0039】
前記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル(benzoin ether)、ジアルキルアセトフェノン(dialkyl acetophenone)、ヒドロキシルアルキルケトン(hydroxyl alkylketone)、フェニルグリオキシレート(phenyl glyoxylate)、ベンジルジメチルケタール(Benzyl Dimethyl Ketal)、アシルホスフィン(acyl phosphine)およびα-アミノケトン(α-aminoketone)からなる群より選択される一つ以上を使用することができる。一方、アシルホスフィンの具体的な例として、商用のlucirin TPO、つまり、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド(diphenyl(2,4,6-trimethyl benzoyl)phosphine oxide)を使用することができる。より多様な光開始剤については、Reinhold Schwalmの著書である「UV Coatings:Basics, Recent Developments and New Application(Elsevier、2007年)」の115頁に開示されており、前述した例に限定されない。
【0040】
前記光重合開始剤は、前記単量体組成物に対して約0.01~約1.0重量%の濃度で含まれ得る。このような光重合開始剤の濃度が過度に低い場合、重合速度が遅くなることがあり、光重合開始剤の濃度が過度に高ければ、高吸水性樹脂の分子量が小さく、物性が不均一になることがある。
【0041】
また、前記熱重合開始剤としては、過硫酸塩系開始剤、アゾ系開始剤、過酸化水素およびアスコルビン酸からなる開始剤群より選択される一つ以上を使用することができる。具体的に、過硫酸塩系開始剤の例としては、過硫酸ナトリウム(Sodium persulfate;Na2S2O8)、過硫酸カリウム(Potassium persulfate;K2S2O8)、過硫酸アンモニウム(Ammonium persulfate;(NH4)2S2O8)などがあり、アゾ(Azo)系開始剤の例としては2,2-アゾビス-(2-アミジノプロパン)二塩酸塩(2,2-azobis(2-amidinopropane) dihydrochloride)、2,2-アゾビス-(N,N-ジメチレン)イソブチラミジンジヒドロクロライド(2,2-azobis-(N,N-dimethylene)isobutyramidine dihydrochloride)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル(2-(carbamoylazo)isobutylonitrile)、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド(2,2-azobis[2-(2-imidazolin-2-yl)propane] dihydrochloride)、4,4-アゾビス-(4-シアノ吉草酸)(4,4-azobis-(4-cyanovaleric acid))などがある。より多様な熱重合開始剤については、Odianの著書である「Principle of Polymerization(Wiley, 1981)」の203頁に開示されており、前述した例に限定されない。
【0042】
前記熱重合開始剤は、前記単量体組成物に対して約0.001~約0.5重量%の濃度で含まれ得る。このような熱重合開始剤の濃度が過度に低い場合、追加的な熱重合がほとんど起こらず、熱重合開始剤の追加による効果が微々になることがあり、熱重合開始剤の濃度が過度に高ければ、高吸水性樹脂の分子量が小さく、物性が不均一になることがある。
【0043】
このような重合開始剤の総含有量は、前記水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して2重量部以下で使用することができる。つまり、前記重合開始剤の濃度が過度に低い場合、重合速度が遅くなることがあり、最終製品に残存単量体が多量抽出され得るため好ましくない。反対に、前記重合開始剤の濃度が前記範囲より高い場合、ネットワークを形成する高分子チェーンが短くなって水可溶成分の含有量が高くなり、加圧吸水能が低くなるなど樹脂の物性が低下することがあるため好ましくない。
【0044】
前記単量体組成物は、必要に応じて増粘剤(thickener)、可塑剤、保存安定剤、酸化防止剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0045】
そして、前記単量体を含む単量体組成物は、例えば、水などの溶媒に溶解された溶液状態であり得、このような溶液状態の単量体組成物中の固形分含有量、つまり、単量体、第1架橋剤および重合開始剤の濃度は、重合時間および反応条件などを考慮して適切に調節することができる。例えば、前記単量体混合物内の固形分含有量は、10~80重量%であり得、好ましくは、10重量%以上、15重量%以上、30重量%以上であり、80重量%以下、60重量%以下、50重量%以下、15~60重量%、または30~50重量%であり得る。
【0046】
前記単量体組成物が前記のような範囲の固形分含有量を有する場合、高濃度水溶液の重合反応に現れるゲル効果現象を利用して重合後に未反応単量体を除去する必要がないようにしながらも、後述する重合体の粉砕時に粉砕効率を調節するに有利になり得る。
【0047】
この時に使用することができる溶媒は、前述した成分を溶解することができればその構成の限定なしに使用することができ、例えば水、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トルエン、キシレン、ブチロラクトン、カルビトール、メチルセロソルブアセテートおよびN,N-ジメチルアセトアミドなどから選択された1種以上を組み合わせて使用することができる。
【0048】
一方、前述した単量体組成物内の各成分の含有量は、後述する1次発泡段階の単量体組成物と2次発泡段階で追加投入される単量体組成物との総混合含有量を意味する。
【0049】
(1次発泡段階)
次に、発明の一実施形態による高吸水性樹脂の製造方法は、前記単量体組成物に第1発泡剤および気泡安定化剤を混合した混合物を1次発泡する段階を含む。
【0050】
前記1次発泡段階で、単量体組成物と第1発泡剤および気泡安定化剤の混合物内に含まれている第1発泡剤により気泡が発生し、共に使用される気泡安定化剤により形成された気泡が安定的に混合物内に捕獲され得るようになる。前記1次発泡段階で形成された気泡は、後述する架橋重合段階で含水ゲル重合体内に複数個の気孔を形成し、乾燥、粉砕などの工程を経て最終製造される高吸水性樹脂内に多孔性構造を形成して、比表面積を増加させる。
【0051】
一方、前記発泡段階は、後述するように約50℃以下の低温で行われ、これにより、重合段階前に気泡が形成され、気泡安定化剤により混合物内に安定的に捕獲された気泡は重合段階で形成された含水ゲル重合体内に気孔を形成することができるようにする。前記第1発泡剤は、50℃以下で発泡される低温発泡剤を使用することができ、これにより、重合段階前に発泡工程が先に行われ得るようになる。
【0052】
前記第1発泡剤の具体的な例としては、ナトリウムカーボネート、ナトリウムバイカーボネート、カリウムバイカーボネート、アゾジカルボンアミド、p,p’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p-トルエンスルホニルヒドラジドおよびベンゼンスルホニルヒドラジドからなる群より選択される1種以上を使用することができ、好ましくはナトリウムカーボネート、カリウムバイカーボネートなどを使用することができる。
【0053】
前記1次発泡段階で、第1発泡剤は、混合物内の水溶性エチレン系不飽和単量体に対して200ppmw~8,000ppmwで使用することができ、好ましくは200ppmw以上、500ppmw以上、800ppmw以上であり、または8,000ppmw以下、6,000ppmw以下、4,000ppmw以下であり、500~6,000ppmwまたは800ppmw~4,000ppmwで使用することができる。前記含有量範囲で含まれる場合、発生される微細気泡が安定的に形成され得る。前記第1発泡剤の含有量が微量である場合、発泡効果が微々であり、過量で含まれる場合、最終製造される高吸水性樹脂のゲル強度が低下することがある。
【0054】
前記気泡安定化剤は、発泡剤から形成された気泡が混合物外に抜け出さずに、混合物内で安定的に捕獲され得るようにする成分であり、発泡剤により形成された気泡と混合物との間の界面に分散されて気泡を捕獲して安定化する。また、前記気泡安定化剤は、1次発泡段階と後述する2次発泡段階で濃度が変わり、そのために発生される気泡のサイズを制御できるようになる。
【0055】
具体的に、混合物内の気泡安定化剤の濃度が大きくなるほど微細気泡を安定的に形成することが容易である。本発明では、1次発泡段階に気泡安定化剤が相対的に高濃度に投入された後、2次発泡段階で発泡剤、単量体、溶媒などが追加的に投入されて気泡安定化剤の濃度が低くなる。これにより、1次発泡段階で相対的に平均直径が小さい微細気泡が形成されるようになり、2次発泡段階では相対的に大きい平均直径を有する気泡が形成されるようになる。
【0056】
前記気泡安定化剤は、親水性表面改質化合物であり得、そのために発泡剤により形成された気泡と混合物との間の界面に位置して、気泡が安定的に捕獲され得るようにする。
【0057】
具体的に、前記気泡安定化剤は、親水性表面改質されて混合物内で、平均直径が約0.05μm~5μmに分散可能な粒子型の物質である。
【0058】
前記気泡安定化剤は、疎水性化合物が特定の表面改質剤で親水性表面改質された化合物であり、具体的に、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリジン、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリジン、ポリアクリル酸、ポリアクリールアミド、ポリドーパミン、ポリ(4-スチレンスルホネート)、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールからなる群より選択される1種以上の重合体またはこれらの共重合体を表面改質剤として使用して、前記疎水性化合物を親水性表面改質した化合物であり得る。
【0059】
前記表面改質剤として使用される重合体は、単一重合体またはブロック共重合体であり得る。
【0060】
前記疎水性化合物としては、融点(Melting point)が100℃以上である疎水性合成高分子化合物、例えば、ポリ(L-ラクチド)、ポリ(D,L-乳酸-cо-グリコール酸)、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン-ポリブタジエン共重合体、ポリスチレン-ポリイミド共重合体、ナイロン、ポリエステル;融点が100℃以上である疎水性天然高分子化合物、例えば、リグニン、ポリ乳酸-リグニンブレンド、セルロースアセテート(例として、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート);融点が100℃以上である固体炭化水素類、例えば、脂肪酸(例として、ステアリン酸、パルミチン酸)、脂肪酸金属塩、グリセリドエステル、シュガーエステル;以外に消泡剤(defoamer)、潤滑剤(lubricant)として使用する疎水性化合物のうち、親水性表面改質が可能な粒子(例として、滑石など)などが挙げられるが、これらに特に限定されるのではない。
【0061】
一方、前記親水性表面改質された気泡安定化剤は、表面改質対象が不溶性疎水性化合物である場合、疎水性粒子と表面改質剤を水と助溶媒(アセトン、エタノールなど)の混合溶液に分散させて攪拌する方法を通じて表面改質され得る。また、表面改質対象が有機溶媒に溶解される場合は、疎水性化合物が溶解された有機溶媒を水に落として沈殿させたり(Dropping method)、エマルジョンを形成した後に揮発性有機溶媒を蒸発(emulsion evaporation method)させる方法を通じて表面改質され得る。
【0062】
前記親水性表面改質された気泡安定化剤は、混合物内で分散時、平均直径が約0.05μm~5μmに分散され得る。
【0063】
前記1次発泡段階で、混合物総重量に対する気泡安定化剤の濃度は、前記2次発泡段階で、混合物総重量に対する気泡安定化剤の濃度より大きい。これは、2次発泡段階で、去る1次発泡混合物に追加的に第2発泡剤などが含まれるため、気泡安定化剤の相対的な濃度(含有量)は小さくなる。
【0064】
具体的に、前記1次発泡段階で、気泡安定化剤は、混合物総重量に対して0.02重量%~1.0重量%で含まれ得、この時、前記2次発泡段階で、気泡安定化剤の濃度は1次発泡段階より小さくなる。前記1次発泡段階で、気泡安定化剤の含有量は、好ましくは、0.02重量%以上、0.05重量%以上、0.1重量%以上、0.3重量%以上であり、1.0重量%以下、0.8重量%以下、0.5重量%以下であり、0.05重量%~0.8重量%または0.3重量%~0.5重量%で含まれ得る。前記含有量範囲で含まれる場合、発生される気泡が安定的に形成され得るようにし、特に、発生される気泡の直径を100nm以下に制御できるようになる。したがって、前記1次発泡段階では、直径が100nm以下である微細気泡が形成され得るようになる。
【0065】
前記第1発泡剤および気泡安定化剤は、これらが溶解または分散された第1発泡剤組成物として使用され得る。
【0066】
前記第1発泡剤組成物は、前記第1発泡剤および気泡安定化剤を溶解または分散させるために追加溶媒をさらに含むことができる。前記溶媒としては、例えば、水、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トルエン、キシレン、ブチロラクトン、カルビトール、メチルセロソルブアセテート、N,N-ジメチルアセトアミド、またはこれらの混合物など使用することができ、好ましくは水を使用することができる。
【0067】
前記1次発泡段階は、35℃~50℃で行うことができ、好ましくは、35℃以上、40℃以上、50℃以下で行うことができ、当該温度範囲で第1発泡剤が発泡されて混合物内に微細気泡が容易に捕獲され得る。
【0068】
前記1次発泡段階で、直径が100nm以下である微細気泡が形成されるようになる。前記微細気泡の直径は、好ましくは、20nm以上であり、100nm以下、または20~100nmであり得る。前記微細気泡は、高濃度の気泡安定化剤により混合物内で安定的に捕獲され、追加発泡工程、架橋重合工程、表面架橋工程、粉砕工程などを経て最終製造される高吸水性樹脂内に直径が2μm~180μmである微細気孔を形成するのに寄与する。
【0069】
(2次発泡段階)
次に、発明の一実施形態による高吸水性樹脂の製造方法は、前記1次発泡混合物に、第2発泡剤を混合した混合物を2次発泡する段階を含む。
【0070】
ここで前記1次発泡混合物は、1次発泡されて微細気泡を含む混合物を意味する。
【0071】
前記1次発泡以降、2次発泡段階を通じて追加気泡が生成されるようになるが、混合物内で発泡剤(残存した第1発泡剤および追加された第2発泡剤)により気泡が発生する。2次発泡段階で発生した気泡は前記1次発泡混合物内に存在する気泡安定化剤により混合物内に安定的に捕獲され得るようになる。
【0072】
ただし、2次発泡段階で、追加気泡安定化剤が投入されず、相対的に2次発泡段階で混合物内の気泡安定化剤の濃度は低くなる。これにより、2次発泡段階で形成された気泡は1次発泡段階で形成された気泡より平均直径が大きくなる。また、1次発泡段階で形成された気泡と2次発泡段階で形成された気泡の粒径サイズにより、最終製造される高吸水性樹脂で階層的多孔性構造を実現できるようになる。
【0073】
前記第2発泡剤は、前述した第1発泡剤と同一の成分を使用することができる。
【0074】
また、前記第2発泡剤の含有量は、前述した第1発泡剤と同一の基準に使用し、後述するように2次発泡段階で単量体が追加される場合、単量体含有量により追加的に投入され得る。具体的に、前記第2発泡剤の含有量は、発泡対象混合物内の水溶性エチレン系不飽和単量体に対して200ppmw~8,000ppmwで使用することができ、好ましくは200ppmw以上、500ppmw以上、800ppmw以上であり、または8,000ppmw以下、6,000ppmw以下、4,000ppmw以下であり、500~6,000ppmwまたは800ppmw~4,000ppmwで使用することができる。前記含有量範囲で含まれる場合、発生される気泡が安定的に形成され得る。
【0075】
前記第2発泡剤は、追加溶媒を含む第2発泡剤組成物として使用することができる。ここで溶媒は、前述した第1発泡剤組成物に使用される溶媒と同一の溶媒を使用することができる。
【0076】
一方、前記2次発泡段階で、混合物内に含まれる気泡安定化剤の濃度は1次発泡段階より小さくなり、1次発泡段階より最大0.1~0.5倍に濃度が小さくなる(これは、発泡対象混合物が2倍~10倍希釈されることを意味する)。
【0077】
具体的に、追加される第2発泡剤組成物の含有量により相対的に気泡安定化剤の濃度が小さくなり、前記2次発泡段階で追加的に単量体組成物をさらに投入することによって、気泡安定化剤濃度が小さくなり得る。
【0078】
前記2次発泡段階で、追加的に投入される単量体組成物は、酸性基を有し、前記酸性基の少なくとも一部が中和された水溶性アクリル酸系単量体、重合開始剤および第1架橋剤を含むことができる。前記水溶性アクリル酸系単量体、重合開始剤および第1架橋剤の成分および含有量は前述したとおりである。
【0079】
前記2次発泡段階は、35℃~50℃で行うことができ、当該温度範囲で発泡剤が発泡されて混合物内に気泡が容易に捕獲され得る。
【0080】
前記2次発泡段階で、1次発泡工程で形成された気泡の2倍~10倍の粒径を有する気泡が形成され得る。
【0081】
具体的に、前記1次発泡段階で、直径が100nm以下である微細気泡が形成される場合、前記2次発泡段階で、直径が100nm~1,000nmである気泡が形成され得る。好ましくは、前記気泡の直径は、100nm以上、150nm以上、1,000nm以下、500nm以下、400nm以下、250nm以下であり、100nm~500nm、100nm~400nmまたは150nm~250nmであり得る。前記気泡は、架橋重合工程、表面架橋工程、粉砕工程などを経て最終製造される高吸水性樹脂内に平均直径が180μm以上の気孔を形成するのに寄与する。
【0082】
一方、必要に応じて、前述した発泡段階を追加的に複数回行うことができ、追加発泡段階でも気泡安定剤の濃度を調節することによって、平均直径のサイズが異なる気泡を形成できるようになる。
【0083】
(架橋重合段階)
次に、発明の一実施形態による高吸水性樹脂の製造方法は、前記2次発泡混合物を架橋重合して含水ゲル重合体を形成する段階を含む。
【0084】
ここで前記2次発泡混合物は、1次および2次発泡段階で形成された階層的気泡が含まれる。前記2次発泡混合物に含まれる気泡は、気泡安定化剤より発泡混合物内に安定的に捕獲され、前記気泡は架橋重合段階で形成される含水ゲル重合体内部に気孔を形成する。具体的に、前記含水ゲル重合体内には互いに異なる平均直径を有する階層的多孔性気孔構造が形成されるようになる。
【0085】
前記架橋重合段階は、50℃~100℃で行うことができ、これは前述した発泡段階の温度より高い温度である。前記温度範囲で重合される場合、発泡段階で形成された気泡により含水ゲル重合体内で適正気孔構造を形成することができる。
【0086】
前記架橋重合方法は、重合エネルギー源により大きく熱重合および光重合に区別され、通常、熱重合を行う場合、ニーダー(kneader)などの攪拌軸を有する反応器で行われ得、光重合を行う場合、移動可能なコンベヤーベルトを備えた反応器で行われ得るが、前述した重合方法は一例であり、本発明は前述した重合方法に限定されない。
【0087】
一例として、前述のように攪拌軸を備えたニーダー(kneader)などの反応器に、熱風を供給したり反応器を加熱して熱重合して得られた含水ゲル重合体は、反応器に備えられた攪拌軸の形態により、反応器排出口に排出される含水ゲル重合体は、数センチメートル~数ミリメートルの形態であり得る。具体的に、得られる含水ゲル重合体のサイズは、注入される単量体組成物の濃度および注入速度などにより多様に現れ得るが、通常、重量平均直径が2~50mmである含水ゲル重合体が得られる。
【0088】
また、前述のように移動可能なコンベヤーベルトを備えた反応器で光重合を行う場合、通常、得られる含水ゲル重合体の形態はベルトの幅を有するシート状の含水ゲル重合体であり得る。この時、重合体シートの厚さは、注入される単量体組成物の濃度および注入速度により変わるが、通常、約0.5~約5cmの厚さを有するシート状の重合体が得られるように単量体組成物を供給することが好ましい。シート状の重合体の厚さが過度に薄い程度に単量体組成物を供給する場合、生産効率が低いため好ましくなく、シート状の重合体の厚さが5cmを超える場合には、過度に厚い厚さにより、重合反応が全体厚さにかけて均一に起こらないことがある。
【0089】
この時、このような方法で得られた含水ゲル重合体の通常含水率は、約40~約80重量%であり得る。一方、本明細書全体で「含水率」は、全体重合体重量に対して占める水分の含有量であり、重合体の重量から乾燥状態の重合体の重量を引いた値を意味する。具体的には、赤外線加熱を通じて重合体の温度を上げて乾燥する過程で重合体中の水分蒸発による重量減少分を測定して計算された値と定義する。この時、乾燥条件は、常温から約180℃まで温度を上昇させた後、180℃で維持する方式であり、総乾燥時間は温度上昇段階5分を含んで20分と設定して、含水率を測定する。
【0090】
(乾燥、粉砕および分級段階)
次に、発明の一実施形態によれば、前記含水ゲル重合体を乾燥、粉砕および分級してベース樹脂粉末を形成する段階を含む。
【0091】
具体的に、前記得られた含水ゲル重合体を乾燥する段階を行う。必要に応じて前記乾燥段階の効率を上げるために乾燥前に前記含水ゲル重合体を粗粉砕する段階をさらに経ることができる。
【0092】
この時、使用される粉砕機は、構成の限定はないが、具体的に、垂直型切断機(Vertical pulverizer)、ターボカッター(Turbo cutter)、ターボグラインダー(Turbo grinder)、回転切断式粉砕機(Rotary cutter mill)、切断式粉砕機(Cutter mill)、円板粉砕機(Disc mill)、切れ破砕機(Shred crusher)、破砕機(Crusher)、チョッパー(chopper)および円板式切断機(Disc cutter)からなる粉砕機器群より選択されるいずれか一つを含むことができるが、前述した例に限定されない。
【0093】
この時、粗粉砕段階は、含水ゲル重合体の粒径が2~10mmになるように粉砕することができる。粒径が2mm未満に粉砕することは含水ゲル重合体の高い含水率により技術的に容易でなく、また粉砕された粒子間に互いに凝集する現象が現れることもある。一方、粒径が10mm超過に粉砕する場合、後続する乾燥段階の効率増大効果が微々になることがある。
【0094】
前記のように粗粉砕されたり、あるいは粗粉砕段階を経ない重合直後の含水ゲル重合体に対して乾燥を行う。この時、前記乾燥段階は、150℃以上の温度で30分以上行う。好ましくは、150℃~250℃または170℃~200℃であり得る。乾燥温度が150℃未満である場合、乾燥時間が過度に長くなり、最終形成される高吸水性樹脂の物性が低下する虞があり、乾燥温度が250℃を超える場合、過度に重合体表面だけ乾燥されて、後続する粉砕工程で微粉が発生することがあり、最終形成される高吸水性樹脂の物性が低下する虞がある。
【0095】
一方、乾燥段階は、30分以上行う。30分以下行う場合、十分な乾燥が行われない。好ましくは、30分~90分間行われ得るが、これに限定されない。
【0096】
前記乾燥段階の乾燥方法も含水ゲル重合体の乾燥工程として通常使用されるものであれば、その構成の限定なしに選択して使用することができる。具体的に、熱風供給、赤外線照射、極超短波照射、または紫外線照射などの方法で乾燥段階を行うことができる。このような乾燥段階進行後の重合体の含水率は、約0.1~約10重量%であり得る。
【0097】
次に、このような乾燥段階を経て得られた乾燥された重合体を粉砕する段階を行う。
【0098】
粉砕段階後に得られる重合体粉末は、粒径が300μm~800μmであり得る。このような粒径に粉砕するために使用される粉砕機は具体的に、ピンミル(pin mill)、ハンマーミル(hammer mill)、スクリューミル(screw mill)、ロールミル(roll mill)、ディスクミル(disc mill)またはジョグミル(jog mill)などを使用することができるが、前述した例に限定されるのではない。
【0099】
そして、このような粉砕段階以降、最終製品化される高吸水性樹脂粉末の物性を管理するために、粉砕後に得られる重合体粉末を粒径により分級する別途の過程を経ることができる。好ましくは、粒径が300μm~800μmである重合体を分級して、このような粒径を有する重合体粉末についてだけ表面架橋反応段階を経て製品化することができる。より具体的に、前記分級が行われたベース樹脂粉末は、300μm~800μmの粒径を有し、300~600μmの粒径を有する粒子を50重量%以上含むことができる。
【0100】
(表面架橋工程)
一方、発明の一実施形態によれば、前述した分級工程まで経てベース樹脂粉末を製造した後は、表面架橋剤存在下で、前記ベース樹脂粉末の表面の少なくとも一部を架橋する段階を含む。
【0101】
第2架橋剤の存在下で、前記ベース樹脂粉末を熱処理してベース樹脂粉末の表面の少なくとも一部を熱架橋して高吸水性樹脂粒子を形成する。前記表面架橋段階は、第2架橋剤の存在下で前記ベース樹脂粉末の表面に架橋反応を誘導するものであり、このような表面架橋を通じて前記ベース樹脂粉末の表面の少なくとも一部に表面架橋層が形成され得る。これは高吸水性樹脂の表面架橋密度を高めるためのものであり、前記のように高吸水性樹脂が表面架橋層をさらに含む場合、内部より外部の架橋密度が高い構造を有するようになる。
【0102】
前記表面架橋段階は、約180℃以上の温度で約30分以上行うことができる。
【0103】
前記第2架橋剤としては、既存の高吸水性樹脂の製造に使用されていた第2架橋剤を特別な制限なしに全て使用することができる。例えば、前記第2架橋剤は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、トリプロピレングリコールおよびグリセロールからなる群より選択された1種以上のポリオール;エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートからなる群より選択された1種以上のカーボネート系化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ化合物;オキサゾリジノンなどのオキサゾリン化合物;ポリアミン化合物;モノ-、ジ-またはポリオキサゾリジノン化合物;または環状ウレア化合物;などを含むことができる。好ましくは、前述した第1架橋剤と同一のものを使用することができ、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのアルキレングリコールのジグリシジルエーテル系化合物を使用することができる。
【0104】
前記第2架橋剤は、ベース樹脂粉末100重量部に対して0.001~2重量部で使用することができる。好ましくは、0.005重量部以上、0.01重量部以上、または0.02重量部以上であり、0.5重量部以下、0.3重量部以下の含有量で使用することができる。第2架橋剤の含有量範囲を前述した範囲に調節して優れた吸水性能および通液性など諸般物性を示す高吸水性樹脂を製造することができる。
【0105】
一方、一実施形態による高吸水性樹脂は、通液性などの追加的な向上のために、表面架橋時に硫酸アルミニウム塩などのアルミニウム塩、その他多様な多価金属塩をさらに使用することができる。このような多価金属塩は、最終製造された高吸水性樹脂の表面架橋層上に含まれ得る。
【0106】
一方、発明の一実施形態による高吸水性樹脂は、300~800μmの粒径を有することができる。より具体的に、前記ベース樹脂粉末およびこれを含む高吸水性樹脂の少なくとも95重量%以上が300~800μmの粒径を有し、300~600μmの粒径を有する粒子を50重量%以上含むことができる。
【0107】
(高吸水性樹脂)
発明の一実施形態による高吸水性樹脂の製造方法により製造された高吸水性樹脂は、複数の気孔を含み、前述した本発明の多段階発泡工程を通じて前記複数の気孔の平均直径は20μm~150μmであり得る。
【0108】
また、前記気孔のうち、直径が2μm~180μmである微細気孔を70%以上含み、これにより、前記高吸水性樹脂は階層的気孔構造を含むようになる。前記微細気孔の比率は、好ましくは、70%以上、73%以上、78%以上、81%以上、84%以上であり、99%以下、95%以下、92%以下であり、または70~99%、73~92%である。
【0109】
通常、発泡工程を行っても、形成された微細気泡は重合、粉砕などの工程を経ながら簡単に無くなるようになるが、本発明は前述のように、気泡安定化剤を使用して多段階発泡工程を行うことによって、最終製造される高吸水性樹脂内に直径が2μm~180μmである微細気孔が多数存在して、吸水速度を顕著に改善することができる。
【0110】
一方、前記高吸水性樹脂の製造時に、多段階発泡工程を行わないか、または多段階工程を行っても本発明の気泡安定化剤を使用しない場合、本発明が目的とする階層的気孔構造を導入しにくい。
【0111】
この時、前記高吸水性樹脂内の気孔の平均直径は、測定しようとする高吸水性樹脂粒子の内部構造を光学顕微鏡(OM;倍率:X50またはX500)および電子顕微鏡(SEM;倍率:X200またはX5000)で観察して確認することができる。より具体的に、高吸水性樹脂粒子内に含まれている気孔のそれぞれの最長直径を測定した後、測定された最長直径に対する中央値(median)を平均直径として求めることができる。この時、一つの高吸水性樹脂サンプルに対して、800個以上の気孔に対して直径測定後、平均直径を求めることが好ましい。
【0112】
また、直径が2μm~180μmである微細気孔の含有量は、一つの高吸水性樹脂サンプルに対して、800個以上の気孔に対してそれぞれの最長直径を測定し、これらのうち当該直径が2μm~180μmである微細気孔の個数比率を意味する。
【0113】
一方、このような前記高吸水性樹脂は、約300μm~約800μmの粒径を有する粒子を総重量を基準に、90重量%以上含むことができ、このような高吸水性樹脂粒子の粒径は、欧州不織布産業協会(European Disposables and Nonwovens Association、EDANA)規格EDANA WSP 220.3方法により測定され得る。
【0114】
また、前記高吸水性樹脂は、EDANA法WSP 241.3の方法により測定した遠心分離保水能(CRC)が28g/g以上であり、好ましくは、28.8g/g以上、29.5g/g以上であり、35g/g以下、33g/g以下、31.7g/g以下、28~35g/g、または28.8~31.7g/gであり得る。前記遠心分離保水能(CRC)の測定方法は後述する実験例の部分でより具体的に説明する。
【0115】
また、前記高吸水性樹脂は、ボルテックス法による吸水速度(vortex time)が40秒以下である。前記吸水速度は、その値が小さいほど優れており、前記吸水速度の下限は理論上0秒であるが、例えば、5秒以上、10秒以上、20秒以上であり、40秒以下であり、38秒以下、37秒以下、35秒以下、33秒以下、32秒以下、31秒以下であり、または10秒~40秒である。前記ボルテックス法による吸水速度は、生理食塩水に高吸水性樹脂を加えて攪拌した時、速い吸水により液体の渦流(vortex)が無くなる時間(time、単位:秒)を意味するものであり、前記時間が短いほど高吸水性樹脂が速い初期吸水速度を有するとみることができる。ここで、生理食塩水は、0.9重量%塩化ナトリウム(NaCl)水溶液を意味する。前記吸水速度の測定方法は、後述する実験例の部分でより具体的に説明する。一方、前記ボルテックス法による吸水速度は、表面架橋前のベース樹脂粉末に対しても同様な方法により測定され得る。
【0116】
本発明を下記の実施例でより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の詳細な説明が下記の実施例により限定されるのではない。
【0117】
<製造例>
以下、実施例で使用される気泡安定化剤を含む第1発泡剤組成物は下記のように製造された。
【0118】
製造例1-1:第1発泡剤組成物の製造(A-1)
まず、高せん断ミキサー(high shear mixer)にPEO共重合体(Pluronic(登録商標)F-127、Sigma-Aldrich社)0.25%w/v濃度で含む水500gを入れ、常温(24±1℃)および常圧(1気圧)下で、20,000rpmで攪拌しながら、ポリ乳酸(Poly(L-lactide)、average Mn 20,000、Sigma-Aldrich社)を15%w/vで含むジクロロメタン(Dichloromethane)を20%v/vで投入した。ジクロロメタン(Dichloromethane)投入後、20,000rpmで15分間追加攪拌して水中油型エマルション(Oil in water emulsion)を形成した。
【0119】
以降、20時間徐々に攪拌しながらジクロロメタン(Dichloromethan)を蒸発させてPEO共重合体で表面改質されたPLA気泡安定化剤を形成した。気泡安定化剤は、遠心分離で回収後、水に再分散し、この時、水分散液内で前記気泡安定化剤の平均直径は0.3μmであった。
【0120】
水800gに前記製造された気泡安定化剤9gを添加した(ここで、気泡安定化剤を含む水分散液内の水の含有量を考慮して総水の含有量が800gになるようにした。)次に、第1発泡剤もナトリウムバイカーボネート(SBC)1.35gを添加して常温(24±1℃)で攪拌して、第1発泡剤組成物を製造した。
【0121】
製造例1-2:第1発泡剤組成物の製造(A-2)
製造例1-1で、気泡安定化剤水分散液の製造時、PLAの代わりにPLA/lignin(9:1の重量比率で有機溶媒に投入)を同一の含有量で使用し、この時、水分散液内で前記気泡安定化剤の平均直径は0.3μmであった。
【0122】
それ以外は、製造例1-1と同様な方法で第1発泡剤組成物(A-2)を製造した。
【0123】
製造例1-3:第1発泡剤組成物の製造(A-3)
製造例1-1で、PLAの代わりにPE/PP wax(LG chem社)を同一の含有量で使用し、この時、水分散液内で前記気泡安定化剤の平均直径は0.2μmであった。
【0124】
それ以外は、製造例1-1と同様な方法で第1発泡剤組成物(A-3)を製造した。
【0125】
製造例1-4:第1発泡剤組成物の製造(A-4)
製造例1-1で、PLAの代わりにセルロースエステル(cellulose ester)(180955、Sigma-Aldrich社)を同一の含有量で使用し、この時、水分散液内で前記気泡安定化剤の平均直径は0.6μmであった。
【0126】
それ以外は、製造例1-1と同様な方法で第1発泡剤組成物(A-4)を製造した。
【0127】
製造例1-5:第1発泡剤組成物の製造(A-5)
製造例1-1で、PLAの代わりにマグネシウムステアレート(Mg stearate)(415057、Sigma-Aldrich社)を同一の含有量で使用し、この時、水分散液内で前記気泡安定化剤の平均直径は2μmであった。
【0128】
それ以外は、製造例1-1と同様な方法で第1発泡剤組成物(A-5)を製造した。
【0129】
製造例1-6:第1発泡剤組成物の製造(A-6)
製造例1-1で、表面改質剤PEO共重合体の代わりにポリビニルアルコール(Polyvinyl alcohol)(360627、Mw 9,000-10,000、Sigma-Aldrich社)を同一の含有量で使用し、この時、水分散液内で前記気泡安定化剤の平均直径は0.3μmであった。
【0130】
それ以外は、製造例1-1と同様な方法で第1発泡剤組成物(A-6)を製造した。
【0131】
製造例1-7:第1発泡剤組成物の製造(A-7)
製造例1-1で、発泡剤SBCの代わりにカリウムバイカーボネート(DUKSAN社)を同一の含有量で使用したことを除き、製造例1-1と同様な方法で第1発泡剤組成物(A-7)を製造した。
【0132】
<実施例および比較例>
実施例1
(段階1)攪拌機、温度計を装着したガラス容器にアクリル酸5,000g、NaOH 1,750g、水2,300gを徐々に滴加した混合物を製造した。ここに水615g、光開始剤としてIRGACURE 819 4.5g、熱開始剤として過硫酸ナトリウム(Sodium persulfate)9g、第1架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA、分子量400g/mol)22.5gを溶かした溶液を徐々に滴加して単量体組成物を製造した。得られた組成物内のアクリル酸中和度は70モル%であった。
【0133】
(段階2)前記製造された単量体組成物を移送管に投入し、追加的に製造例1の第1発泡剤組成物を投入した。ここで、第1発泡剤であるSBCの含有量がアクリル酸の1,500ppmwになるように投入し(製造例1の発泡安定化剤を5.5倍に含有量を増加して投入する)、この時、気泡安定化剤は混合物総重量に対して0.36wt%で含まれる。
【0134】
前記混合物を50℃に昇温して1次発泡を進行した。移送管内部で単量体組成物と第1発泡剤組成物が容易に混合されるようにレイノルズ数(Reynolds Number)は5,000以上になるように流量を調節した。
【0135】
(段階3)前記1次発泡混合物に製造した単量体組成物を追加的に投入し、混合物内の総単量体に対して、SBCが1,500ppmwになるようにSBCが水分散された第2発泡剤組成物を順次に投入し、前記第2発泡混合物を50℃に昇温して2次発泡を進行した。
【0136】
この時、追加単量体組成物の含有量は、混合物総含有量に対して気泡安定化剤の濃度が0.036wt%になるように調節された(気泡安定化剤が10倍希釈されるように調節)。ただし、1次発泡工程後、一部の気泡安定化剤が界面に吸着して消耗されるため、混合物内の気泡安定化剤の濃度は若干小さくなる。
【0137】
移送管内部で各成分が容易に混合されるようにレイノルズ数(Reynolds Number)は5,000以上になるように流量を調節した。
【0138】
一方、
図1に前記実施例1による多段階発泡工程のフローチャートを概略的に示した。
【0139】
(段階4)移送管を抜け出した2次発泡混合物に対して幅10cm、長さ2mのベルトが50cm/minの速度で回転するコンベヤーベルト上に500~2000mL/minの速度で供給した。そして、前記2次発泡混合物の供給と同時に10mW/cm2の強さを有する紫外線を照射して60秒間重合反応を進行して、含水率が55重量%であるシート形態の含水ゲル重合体を得た。
【0140】
(段階5)次に、シート形態の含水ゲル重合体を約5cm×5cmのサイズで切断した後、ミートチョッパー(meat chopper)に投入して重合体を粉砕して1mm~10mmサイズを有する含水ゲル粒子粉(crumb)を得た。以降、前記粉(crumb)を上下に風量転移が可能なオーブンで乾燥させた。180℃以上のホットエアー(hot air)を15分間下方から上方へ、再び15分間上方から下方へ流れるようにして均一に乾燥させ、乾燥後の乾燥体の含水量は2%以下になるようにした。乾燥後、粉砕機で粉砕した後、分級して300~800μmサイズを選別してベース樹脂粉末を準備した。
【0141】
(段階6)製造されたベース樹脂粉末100重量部に、エチレンカーボネート3重量部を含む第2架橋剤水溶液6重量部を噴射して常温で攪拌してベース樹脂粉末上に表面架橋液が均一に分布するように混合した。次に、表面架橋液と混合されたベース樹脂粉末を表面架橋反応器に入れて表面架橋反応を進行した。
【0142】
このような表面架橋反応器内で、ベース樹脂粉末は80℃付近の初期温度から漸進的に昇温されることが確認され、30分経過後に190℃の反応最高温度に到達するように操作した。このような反応最高温度に到達した以降、15分間追加反応させた後、最終製造された高吸水性樹脂サンプルを取った。前記表面架橋工程後、ASTM規格の標準網ふるいで分級して300μm~800μmの粒径を有する実施例1の高吸水性樹脂を製造した。
【0143】
実施例2~7
実施例1で製造例2~7で製造した第1発泡剤組成物(A-2~A-7)を使用したことを除き、実施例1と同様な方法で高吸水性樹脂を製造した。
【0144】
比較例1
実施例1で同一の気泡安定化剤および発泡剤を使用するが、1次の高濃度(気泡安定化剤:0.36wt%)発泡工程を行わず、2次の低濃度(気泡安定化剤:0.036wt%)と同一の条件で発泡工程を行ったことを除き、実施例1と同様な方法で高吸水性樹脂を製造した。
【0145】
比較例2
実施例4で同一の気泡安定化剤および発泡剤を使用するが、1次の高濃度(気泡安定化剤:0.36wt%)発泡工程を行わず、2次の低濃度(気泡安定化剤:0.036wt%)と同一の条件で発泡工程を行ったことを除き、実施例4と同様な方法で高吸水性樹脂を製造した。
【0146】
比較例3
実施例1で製造例1の第1発泡剤組成物の製造時、気泡安定化剤としてポリスチレン(Polystyrene)(LG chem社、latex beads 0.3μm)を同一の含有量で使用するが、1次の高濃度(気泡安定化剤:0.36wt%)発泡工程を行わず、2次の低濃度(気泡安定化剤:0.036wt%)と同一の条件で発泡工程を行ったことを除き、実施例1と同様な方法で高吸水性樹脂を製造した。
【0147】
比較例4
実施例1で、気泡安定化剤を使用しないことを除き、実施例1と同様な方法で高吸水性樹脂を製造した。
【0148】
比較例5
アクリル酸に0.5重量%に希釈されたIRGACURE 819開始剤8.6g(単量体に対して80ppmw)とアクリル酸に20重量%に希釈されたポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA、Mw=400)12.3gとを混合した溶液(A溶液)を製造した。25℃に予め冷却された熱媒体が循環するジャケットで囲まれた2L容量のガラス反応器に、アクリル酸540gと前記A溶液を注入した。そして、前記ガラス反応器に、25重量%苛性ソーダ溶液832g(C溶液)を徐々に滴加して混合した。中和熱により混合液の温度が約72℃以上まで上昇することを確認した後、混合溶液が冷却されることを待った。このように得られた混合溶液でアクリル酸の中和度は約70モル%であった。別途に、水を1時間当たり500kg/hの流速で循環するマイクロバブル器(O2 bubble社、OB-750S)に投入してバブルを発生させたD溶液を製造した。ここにシリカを投入して超音波装置(O2 bubble社、OB-750S)内に入れてF溶液を製造した。そして、前記中和された混合溶液の温度が約45℃に冷却されると、前記混合溶液に予め準備したF溶液を注入して混合した。この時、シリカは前記混合溶液100重量部に対して0.05重量部になるようにした。
【0149】
次に、上部に光照射装置が装着されており、内部が80℃に予熱された正方形重合器内に設けられたバット(Vat)形態のトレイ(tray、横15cm×15cm)に、前記で準備した混合溶液を注いだ。以降、前記混合溶液に光を照射した。光照射時点から約20秒後に表面からゲルが形成されることを確認し、光照射時点から約30秒後に発泡と同時に重合反応が起こることを確認した。次に、追加的に2分間重合反応を進行し、重合されたシートを取り出して3cm×3cmのサイズで裁断した。そして、ミートチョッパー(meat chopper)を利用してチョッピング工程(chopping)を通じて前記裁断されたシートを粉(crump)で製造した。製造された粉(crump)の平均粒子サイズは1.5mmであった。次に、上下に風量調節が可能なオーブンで前記粉(crump)を乾燥させた。乾燥された粉の含水量が約2重量%以下になるように、180℃のホットエアー(hot air)を15分間下方から上方へ流れるようにし、再び15分間上方から下方へ流れるようにして前記粉(crump)を均一に乾燥させた。乾燥された粉を粉砕機で粉砕した後、分級して150~850μmサイズのベース樹脂を得た。
【0150】
以降、前記製造したベース樹脂100gに、水4.5g、エチレンカーボネート1g、エアロシル200(Aerosil 200、Evonik社)0.05g、20重量%水分散シリカ(Snowtex、ST-O)溶液0.25gを混合した架橋剤溶液を混合した後、190℃で30分間表面架橋反応をさせた。そして、得られた生成物を粉砕し、ふるい(sieve)を利用して粒径が150~850μmである表面架橋された高吸水性樹脂を得た。得られた高吸水性樹脂にエアロシル200 0.1gを乾式で追加混合して高吸水性樹脂を製造した。
【0151】
<実験例>
実験例1:多段階発泡工程で気泡サイズの測定
(1-1)前記実施例1の製造工程のうち、多段階発泡工程で発生した気泡の構造を確認するために、光学顕微鏡(製品名:Ti-U、製造会社:Nikon)を利用して各発泡段階の発泡混合物を50~500倍率で撮影した。具体的に、下記の方法で1次発泡混合物および2次発泡混合物内の気泡のOMイメージを
図2に示した。
【0152】
図2の(a)は、1次発泡工程後(高濃度気泡安定化剤条件で発泡)発生した気泡であり、
図2の(b)は、2次発泡工程後(低濃度気泡安定化剤条件で発泡)発生した気泡である。
図2の(a)を参照すれば、1次発泡工程は相対的に高濃度の気泡安定化剤が含まれて小さい粒径の微細気泡が発泡混合物内に捕集されたことを確認することができ、
図2の(b)を参照すれば、2次発泡工程を1次発泡工程に比べて相対的に低濃度の気泡安定化剤が含まれて相対的に粒径のサイズが大きい気泡が発泡混合物内に捕集されたことを確認することができた。
【0153】
(1-2)前記実施例1の製造工程のうち、多段階発泡工程で気泡安定化剤の濃度を異にして発泡工程で発生した気泡のサイズを実験例1の(1-1)のOMイメージを通じて測定し、硬化後の気孔のサイズを後述する実験例2のSEMイメージを通じて測定し、その変化を
図3のグラフに示した。
【0154】
図3を参照すれば、発泡工程のうち、気泡安定化剤の濃度が高濃度であるほど発生される気泡のサイズが顕著に小さいことを確認することができた。
【0155】
実験例2:高吸水性樹脂の気孔サイズの測定
前記実施例および比較例で製造した高吸水性樹脂の気孔構造を確認するために、SEM(Scanning Electron Microscope、製品名:JCM-6000、製造会社:JEOL)機器を利用して高吸水性樹脂粒子の内部イメージを200~5,000倍率で撮影した。具体的に、下記の方法で高吸水性樹脂の気孔の平均直径を測定した。これにより、実施例1および比較例1に対する気孔の粒径分布を
図4に示した。また、実施例1、比較例1および比較例4に対する断面イメージをそれぞれ
図5および
図6に示した。
【0156】
1)まず、実施例および高吸水性樹脂をRetsch社の粒子分級機を利用して1.0 amplitudeで1分間分級して200μm~500μmの粒径を有する個別粒子で粒子の損傷なしに分離した試料2gを準備した。
【0157】
2)以後、準備された試料粒子を任意的に配列してSEMステージ(SEM stage)に入れた。
【0158】
3)次に、SEMステージ(SEM stage)内に任意に配列されている試料粒子をカーボンテープ(carbon tape)で固定させ、200~5,000倍率で高吸水性粒子表面に形成された気孔サイズを測定した。この時、平均1千個以上の高吸水性樹脂粒子を対象とするが、そのうち気孔が明確に見える800個以上の粒子気孔サイズを測定した。ここで、「気孔が明確に見えるもの」の基準は、気泡が球形で形成されることを仮定すると、粉砕過程を経て高吸水性樹脂粒子表面にほぼ半球形を帯びる時に最も明確に見えるものと判断する。
【0159】
4)次に、最終的に測定された800個以上の粒子気孔サイズを得てそれぞれの直径を測定し、これらのうち気孔の直径が2μm~180μmである微細気孔の比率を計算して表1に示した。
【0160】
5)また、前記測定された粒径に対して統計的に中央値で平均直径を求めてその結果を表1に示した。この時、気孔サイズの分布を確認するために四分位数範囲を使用したが、これは測定子および外れ値(outlier)による測定誤差を排除するためである。
【0161】
図5の(a)は、実施例1の多段階発泡工程で製造された高吸水性樹脂の断面イメージを概略的に示したものであり、重合、乾燥、粉砕などを経て最終的に製造された高吸水性樹脂粒子内部に微細気孔が複数存在し、そのために吸水速度が顕著に改善され得ることが分かる。
図5の(b)は、比較例1の単一発泡工程で製造された高吸水性樹脂の断面イメージを概略的に示したものであり、重合、乾燥、粉砕などを経て最終的に製造された高吸水性樹脂粒子内部に相対的に気孔の平均直径が大きく、そのために吸水速度の改善効果が実施例に比べて低下し得ることが分かる。
図5の(c)は、比較例4の単一の発泡工程で製造された高吸水性樹脂の断面イメージを概略的に示したものであり、重合、乾燥、粉砕などを経て最終的に製造された高吸水性樹脂粒子内部に気孔の平均直径が最も大きく、気孔の数も最も小さいことを確認することができた。そのために、吸水速度の改善効果が実施例に比べて低下し得ることが分かる
【0162】
図6の(a)は、実施例1の多段階発泡工程で製造された高吸水性樹脂の断面SEMイメージを示したものであり、
図6の(b)は、比較例1の単一発泡工程で製造された高吸水性樹脂の断面SEMイメージを、
図6の(c)は、比較例4の単一発泡工程で製造された高吸水性樹脂の断面SEMイメージを示したものである。
図6を参照すれば、実施例の場合、高吸水性樹脂内に微細気孔が多数形成され、そのために、吸水速度が顕著に改善され得ることが分かる。
【0163】
実験例3:高吸水性樹脂の物性測定
前記実施例および比較例で製造した高吸水性樹脂に対して、次の方法で物性を評価して、下記表1に示した。
【0164】
異なるように表記しない限り、下記の物性評価は、全て常温(24±1℃)で進行し、生理食塩水または塩水は0.9重量%塩化ナトリウム(NaCl)水溶液を意味する。
【0165】
(1)遠心分離保水能(CRC:Centrifuge Retention Capacity)
各樹脂の無荷重下の吸水倍率による保水能をEDANA WSP 241.3により測定した。
【0166】
具体的に、高吸水性樹脂W0(g)(約0.2g)を不織布製の封筒に均一に入れて密封(seal)した後、常温で生理食塩水(0.9重量%)に浸水させた。30分経過後、遠心分離機を利用して250Gの条件下で前記封筒から3分間水気を抜き、封筒の質量W2(g)を測定した。また、樹脂を利用せずに同一の操作をした後、その時の質量W1(g)を測定した。得られた各質量を利用して次の式によりCRC(g/g)を算出した。
【0167】
[数式1]
CRC(g/g)={[W2(g)-W1(g)]/W0(g)}-1
【0168】
(2)吸水速度(Vortex time)
前記実施例および比較例の高吸水性樹脂の吸水速度(vortex time)を下記の方法で測定した。
【0169】
(i)まず、底が平坦な100mLのビーカーに100mLのマスシリンダ(Mass Cylinder)を利用して50mLの0.9%塩水を入れた。
(ii)次に、前記ビーカーがマグネチック攪拌機の中央に位置するように配置した後、前記ビーカー内に円形マグネチックバー(直径30mm)を入れた。
(iii)以降、前記マグネチックバーが600rpmで攪拌するように攪拌機を作動させ、攪拌によりできた渦流(vortex)の最も下部が前記マグネチックバーの上に接するようにした。
(iv)ビーカー内の塩水の温度が24.0℃になったことを確認した後、2±0.01gの高吸水性樹脂試料を投入すると同時に、ストップウォッチを作動させ、渦流が無くなりながら液表面が完全水平になる時までの時間を秒単位で測定し、これを吸水速度とした。
【0170】
【0171】
前記表1の内容を参照すれば、実施例は、気泡安定化剤を使用した多段階発泡工程を行うことによって、製造される高吸水性樹脂内に階層的気孔分布を形成し、これにより、向上した吸水物性および吸水速度を示すことを確認することができた。
【0172】
気泡安定化剤を使用するが、多段階発泡工程を経ていない比較例1~3の場合、階層的気孔分布の形成が難しく、これにより、吸水速度が実施例に比べて増加することを確認することができた。
【0173】
多段階発泡工程を行うが、気泡安定化剤を使用しない比較例4の場合、微細気泡の形成が難しく、これにより、吸水速度が実施例に比べて顕著に増加することを確認することができた。
【0174】
また、多段階発泡工程を行うが、物理的発泡工程を行った比較例5の場合にも、微細気泡の形成が難しく、これにより、吸水速度が実施例に比べて顕著に増加することを確認することができた。
【国際調査報告】