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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】遷移金属窒化物材料の選択的除去
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501107
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 US2022035272
(87)【国際公開番号】W WO2023287572
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】17/373,161
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ワン, パイウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チェン, シアオリン シー.
(72)【発明者】
【氏名】レッディ, ロハン プリゴル
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, オリバー
(72)【発明者】
【氏名】ツイ, ジェンジアン
(72)【発明者】
【氏名】ワン, アンチョアン
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA02
5F004BA03
5F004BA04
5F004BB13
5F004BB25
5F004BB26
5F004BB29
5F004BC06
5F004CA02
5F004CA03
5F004CA04
5F004DA00
5F004DA04
5F004DA11
5F004DA17
5F004DA18
5F004DA19
5F004DA20
5F004DA22
5F004DA23
5F004DA24
5F004DA25
5F004DA26
5F004DA27
5F004DB01
5F004DB02
5F004DB03
5F004DB07
5F004DB12
5F004EB01
(57)【要約】
例示的なエッチング方法が、酸素含有前駆体を半導体処理チャンバの処理領域内に流すことを含み得る。本方法は、処理領域に収納された基板を酸素含有前駆体と接触させることを含み得る。基板は、遷移金属窒化物の露出した領域と金属の露出した領域とを含み得る。接触させることは、遷移金属窒化物の酸化部分と金属の酸化部分とを形成し得る。本方法は、フッ素含有プラズマ放出物を作り出すために、フッ素含有前駆体および水素含有前駆体のプラズマを形成することを含み得る。本方法は、遷移金属窒化物の非酸化部分を露出させるために、遷移金属窒化物の酸化部分を除去することを含み得る。本方法は、塩素含有プラズマ放出物を作り出すために、塩素含有前駆体のプラズマを形成することを含み得る。本方法は、遷移金属窒化物の非酸化部分を除去することを含み得る。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素含有前駆体を半導体処理チャンバの処理領域内に流すことと、
前記処理領域に収納された基板を前記酸素含有前駆体と接触させることであって、前記基板が、遷移金属窒化物の露出した領域と金属の露出した領域とを含み、前記接触させることが、前記遷移金属窒化物の酸化部分と前記金属の酸化部分とを形成する、基板を接触させることと、
フッ素含有プラズマ放出物を作り出すために、フッ素含有前駆体および水素含有前駆体のプラズマを形成することと、
前記遷移金属窒化物の非酸化部分を露出させるために、前記遷移金属窒化物の前記酸化部分を除去することと、
塩素含有プラズマ放出物を作り出すために、塩素含有前駆体のプラズマを形成することと、
前記遷移金属窒化物の前記非酸化部分を除去することと
を含む、エッチング方法。
【請求項2】
前記酸素含有前駆体のプラズマを形成することであって、前記遷移金属窒化物の前記酸化部分と前記金属の前記酸化部分とを形成するために、プラズマ放出物が前記処理領域内に流される、前記酸素含有前駆体のプラズマを形成すること
をさらに含む、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項3】
前記フッ素含有前駆体および前記水素含有前駆体の前記プラズマを形成することより前に、処理の温度が低下させられる、請求項2に記載のエッチング方法。
【請求項4】
前記処理領域内の温度が、各除去動作中に300℃未満または約300℃に維持される、請求項3に記載のエッチング方法。
【請求項5】
前記遷移金属窒化物が、チタン、タンタル、またはハフニウムを含む、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項6】
前記金属が、タングステンまたはモリブデンを含む、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項7】
前記フッ素含有前駆体および前記水素含有前駆体の前記プラズマを形成することが、前記半導体処理チャンバの遠隔プラズマ領域において実行される、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項8】
前記塩素含有前駆体の前記プラズマを形成することが、前記半導体処理チャンバの前記処理領域において実行される、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項9】
前記フッ素含有前駆体および前記水素含有前駆体の前記プラズマが、第1のプラズマ出力において形成され、前記塩素含有前駆体の前記プラズマが、前記第1のプラズマ出力未満の第2のプラズマ出力において形成される、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項10】
前記基板を前記酸素含有前駆体と接触させることが、第1の半導体処理チャンバにおいて実行され、各除去動作が、第2の半導体処理チャンバにおいて実行される、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項11】
酸素含有ガスを半導体処理チャンバの処理領域内に流すことと、
前記処理領域に収納された基板を前記酸素含有ガスと接触させることであって、前記基板が、遷移金属窒化物の露出した領域と金属の露出した領域とを含み、前記接触させることが、前記遷移金属窒化物の酸化部分と前記金属の酸化部分とを形成する、基板を接触させることと、
第1のハロゲンプラズマ放出物を作り出すために、前記半導体処理チャンバの遠隔プラズマ領域において第1のハロゲン含有前駆体および水素含有前駆体のプラズマを形成することと、
前記遷移金属窒化物の非酸化部分を露出させるために、前記遷移金属窒化物の前記酸化部分を除去することと、
第2のハロゲンプラズマ放出物を作り出すために、前記半導体処理チャンバの前記処理領域において第2のハロゲン含有前駆体のプラズマを形成することと、
前記遷移金属窒化物の前記非酸化部分を除去することと
を含む、エッチング方法。
【請求項12】
前記半導体処理チャンバの前記処理領域においてまたは前記遠隔プラズマ領域において、前記酸素含有ガスのプラズマを形成すること
をさらに含む、請求項11に記載のエッチング方法。
【請求項13】
前記遷移金属窒化物が、チタン、タンタル、またはハフニウムを含み、前記金属が、タングステンまたはモリブデンを含む、請求項11に記載のエッチング方法。
【請求項14】
前記第1のハロゲン含有前駆体および前記水素含有前駆体の前記プラズマが、第1のプラズマ出力において形成され、前記第2のハロゲン含有前駆体の前記プラズマが、前記第1のプラズマ出力未満の第2のプラズマ出力において形成される、請求項11に記載のエッチング方法。
【請求項15】
前記第2のプラズマ出力が、100W未満または約100Wである、請求項14に記載のエッチング方法。
【請求項16】
前記処理領域内の温度が、各除去動作中に250℃未満または約250℃に維持される、請求項11に記載のエッチング方法。
【請求項17】
遷移金属窒化物の酸化部分を作り出すために、半導体処理チャンバの処理領域中に配置された基板上の前記遷移金属窒化物の部分を酸化させることと、
フッ素含有プラズマ放出物を作り出すために、半導体処理チャンバの遠隔プラズマ領域においてフッ素含有前駆体および水素含有前駆体のプラズマを形成することと、
前記遷移金属窒化物の前記酸化部分を除去することと、
塩素含有プラズマ放出物を作り出すために、前記半導体処理チャンバの前記処理領域において塩素含有前駆体のプラズマを形成することと、
前記遷移金属窒化物の非酸化部分を除去することと
を含む、エッチング方法。
【請求項18】
前記処理領域内の温度が250℃未満または約250℃に維持される、請求項17に記載のエッチング方法。
【請求項19】
前記遷移金属窒化物の部分を酸化させるために、前記半導体処理チャンバ内で酸素含有前駆体のプラズマを形成すること
をさらに含む、請求項17に記載のエッチング方法。
【請求項20】
少なくとも1つの追加のサイクルのために前記方法を繰り返すこと
をさらに含む、請求項17に記載のエッチング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容全体がすべての目的のために参照により本明細書に援用される、2021年7月12日に出願され、「SELECTIVE REMOVAL OF TRANSITION METAL NITRIDE MATERIALS」と題する米国非仮出願第17/373,161号の利益および優先権を主張する。
【0002】
本技術は、半導体プロセスおよび半導体機器に関する。より詳細には、本技術は、遷移金属窒化物材料を選択的にエッチングすることに関する。
【背景技術】
【0003】
集積回路は、基板表面上に入り組んでパターニングされた材料層を作り出すプロセスによって可能になる。基板上にパターニングされた材料を作り出すには、露出した材料を除去するための制御された方法が必要である。化学エッチングは、フォトレジスト中のパターンを下層の中に転写すること、層を薄くすること、または表面上にすでに存在する特徴の横方向の寸法を薄くすることを含む、様々な目的に使用される。多くの場合、ある材料を別の材料よりも迅速にエッチングして、たとえば、パターン転写プロセスを容易にするエッチングプロセスを有することが望ましい。そのようなエッチングプロセスは、第1の材料に対して選択的であると言われる。材料、回路、およびプロセスの多様性の結果として、エッチングプロセスは、様々な材料に対して選択性を有するように開発されてきた。
【0004】
エッチングプロセスは、プロセスで使用される材料に基づいて、ウェット(wet)またはドライと呼ばれ得る。たとえば、ウェットエッチングは、いくつかの酸化物誘電体を他の誘電体および材料よりも優先的に除去し得る。しかしながら、ウェットプロセスは、一部の制約のあるトレンチに浸透するのが困難であることがあり、時には、残存する材料を変形させることもある。基板処理領域内に形成された局所プラズマにおいて行われるドライエッチングは、より制約のあるトレンチに浸透することができ、壊れやすい残存する構造の変形がより少なくなる。しかしながら、局所プラズマは、局所プラズマが放電する際の電気アークの生成により、基板に損傷を与え得る。
【0005】
したがって、高品質デバイスおよび構造を作り出すために使用され得る改善されたシステムおよび方法が必要である。これらおよび他の必要は、本技術によって対処される。
【発明の概要】
【0006】
例示的なエッチング方法が、酸素含有前駆体を半導体処理チャンバの処理領域内に流すことを含み得る。本方法は、処理領域に収納された基板を酸素含有前駆体と接触させることを含み得る。基板は、遷移金属窒化物の露出した領域と金属の露出した領域とを含み得る。接触させることは、遷移金属窒化物の酸化部分と金属の酸化部分とを形成し得る。本方法は、フッ素含有プラズマ放出物を作り出すために、フッ素含有前駆体および水素含有前駆体のプラズマを形成することを含み得る。本方法は、遷移金属窒化物の非酸化部分を露出させるために、遷移金属窒化物の酸化部分を除去することを含み得る。本方法は、塩素含有プラズマ放出物を作り出すために、塩素含有前駆体のプラズマを形成することを含み得る。本方法は、遷移金属窒化物の非酸化部分を除去することを含み得る。
【0007】
本方法は、酸素含有前駆体のプラズマを形成することを含み得る。遷移金属窒化物の酸化部分と金属の酸化部分とを形成するために、プラズマ放出物が処理領域内に流され得る。フッ素含有前駆体および水素含有前駆体のプラズマを形成することより前に、処理の温度が低下させられ得る。処理領域内の温度が、各除去動作中に300℃未満または約300℃に維持され得る。遷移金属窒化物は、チタン、タンタル、またはハフニウムを含み得る。金属は、タングステンまたはモリブデンを含み得る。フッ素含有前駆体および水素含有前駆体のプラズマを形成することは、半導体処理チャンバの遠隔プラズマ領域において実行され得る。塩素含有前駆体のプラズマを形成することは、半導体処理チャンバの処理領域において実行され得る。フッ素含有前駆体および水素含有前駆体のプラズマは、第1のプラズマ出力において形成され得る。塩素含有前駆体のプラズマは、第1のプラズマ出力未満の第2のプラズマ出力において形成され得る。基板を酸素含有前駆体と接触させることは、第1の半導体処理チャンバにおいて実行され得る。各除去動作は、第2の半導体処理チャンバにおいて実行され得る。
【0008】
本技術のいくつかの実施形態は、エッチング方法を包含し得る。本方法は、酸素含有ガスを半導体処理チャンバの処理領域内に流すことを含み得る。本方法は、処理領域に収納された基板を酸素含有ガスと接触させることを含み得る。基板は、遷移金属窒化物の露出した領域と金属の露出した領域とを含み得る。接触させることは、遷移金属窒化物の酸化部分と金属の酸化部分とを形成し得る。本方法は、第1のハロゲンプラズマ放出物を作り出すために、半導体処理チャンバの遠隔プラズマ領域において第1のハロゲン含有前駆体および水素含有前駆体のプラズマを形成すること含み得る。本方法は、遷移金属窒化物の非酸化部分を露出させるために、遷移金属窒化物の酸化部分を除去することを含み得る。本方法は、第2のハロゲンプラズマ放出物を作り出すために、半導体処理チャンバの処理領域において第2のハロゲン含有前駆体のプラズマを形成することを含み得る。本方法は、遷移金属窒化物の非酸化部分を除去することを含み得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、本方法は、半導体処理チャンバの処理領域においてまたは遠隔プラズマ領域において、酸素含有ガスのプラズマを形成することを含み得る。遷移金属窒化物は、チタン、タンタル、またはハフニウムを含み得、金属は、タングステンまたはモリブデンを含み得る。第1のハロゲン含有前駆体および水素含有前駆体のプラズマは、第1のプラズマ出力において形成され得る。第2のハロゲン含有前駆体のプラズマは、第1のプラズマ出力未満の第2のプラズマ出力において形成され得る。第2のプラズマ出力は、100W未満または約100Wであり得る。処理領域内の温度が、各除去動作中に250℃未満または約250℃に維持され得る。
【0010】
本技術のいくつかの実施形態は、エッチング方法を包含し得る。本方法は、半導体処理チャンバの処理領域中に配置された基板上の遷移金属窒化物の一部分を、遷移金属窒化物の酸化部分を作り出すために、酸化させることを含み得る。本方法は、フッ素含有プラズマ放出物を作り出すために、半導体処理チャンバの遠隔プラズマ領域においてフッ素含有前駆体および水素含有前駆体のプラズマを形成することを含み得る。本方法は、遷移金属窒化物の酸化部分を除去することを含み得る。本方法は、塩素含有プラズマ放出物を作り出すために、半導体処理チャンバの処理領域において塩素含有前駆体のプラズマを形成することを含み得る。本方法は、遷移金属窒化物の非酸化部分を除去することを含み得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、処理領域内の温度が、250℃未満または約250℃に維持され得る。本方法は、遷移金属窒化物の一部分を酸化させるために、半導体処理チャンバ内で酸素含有前駆体のプラズマを形成することを含み得る。本方法は、少なくとも1つの追加のサイクルのために本方法を繰り返すことを含み得る。
【0012】
そのような技術は、従来のシステムおよび技法に勝る多数の利益を提供し得る。たとえば、プロセスは、遷移金属窒化物材料の目立たない層を除去し得る、正確に制御されたドライエッチングが実行されることを可能にし得る。さらに、プロセスは、基板上の他の金属および酸化物材料に対して遷移金属窒化物材料を選択的に除去し得る。これらおよび他の実施形態は、それらの利点および特徴の多くとともに、以下の説明および添付の図と併せて、より詳細に説明される。
【0013】
開示される技術の性質および利点のさらなる理解は、本明細書の残りの部分および図面を参照することによって実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本技術のいくつかの実施形態による例示的な処理システムの一実施形態の上面図である。
図2A】本技術のいくつかの実施形態による例示的な処理チャンバの概略断面図である。
図2B】本技術のいくつかの実施形態による図2Aに示されている処理チャンバの一部分の詳細図である。
図3】本技術のいくつかの実施形態による例示的なシャワーヘッドの底面図である。
図4】本技術のいくつかの実施形態による方法における例示的な動作を示す図である。
図5A-5D】本技術のいくつかの実施形態によるエッチングされた材料の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図のうちのいくつかは、概略図として含まれる。図は例示のためのものであり、縮尺通りであると明確に述べられていない限り、縮尺通りであると見なされるべきでないことを理解されたい。さらに、概略図として、図は、理解を助けるために提供され、現実的な表現と比較してすべての態様または情報を含むとは限らないことがあり、説明のために追加のまたは誇張された材料を含み得る。
【0016】
添付の図において、同様の構成要素および/または特徴は、同じ参照ラベルを有し得る。さらに、同じタイプの様々な構成要素は、参照ラベルの後に、同様の構成要素同士を区別する文字を続けることによって区別され得る。第1の参照ラベルのみが本明細書において使用される場合、その説明は、その文字にかかわらず、同じ第1の参照ラベルを有する同様の構成要素のいずれにも適用可能である。
【0017】
遷移金属窒化物を選択的にエッチングすることは、ダイナミックランダムアクセスメモリ、FinFET、多くの他のデバイスの形成におけるものを含む、様々なデバイスプロセスフローにおいて有益である。遷移金属窒化物は、ラインまたはビアの形態で導体と組み合わせられたとき、顕著な導電率を維持しながら拡散を抑えるためのバリア層として採用され得る。遷移金属窒化物をエッチングするためにハロゲン前駆体またはプラズマ生成物を利用する従来のプロセスは、一般に、これらの材料を用いた遷移金属窒化物の低エッチング速度によって制限されており、これは、相対的により長い時間期間にわたるオングストロームレベルエッチングに制限され得る。これは、プラズマ放出物を含む、ハロゲン材料の滞留時間の増加を引き起こし得、滞留時間の増加は、維持されることが求められる基板上の露出した材料との接触(contact)を増加し得る。さらに、半導体構造が、露出した材料の増加する数とともにより複雑になるので、これらの材料の選択的除去が課題であり得る。たとえば、チタン、タンタル、ハフニウム、および他の材料などの遷移金属の窒化物は、金属のような特性を呈し得、金属のような特性は、タングステン、モリブデン、および他の材料など、他の露出した金属に対して選択的除去の有効性を低減し得る。従来の技術は、しばしば、これらの他の材料を過大にエッチングするか、または、これらの他の露出した材料をエッチングから保護するために複数の追加のパターニング動作を必要とする。
【0018】
本技術は、酸化材料をより急速に除去し得るエッチングプロセスを実行するより前に、窒化物の部分を最初に酸化させる選択的エッチングプロセスを実行することによって、これらの制限を克服する。酸化プロセスは、露出された他の金属材料をさらに酸化させ得る。酸化タングステンまたはモリブデン酸化物など、金属酸化物は、いくつかの他の遷移金属酸化物に対して相対的に、維持され得るので、金属酸化物材料を維持しながら、遷移金属酸化物と下にある遷移金属窒化物とを除去するために、後続の除去動作が実行され得る。エッチングは酸化材料を優先的に除去し得、これは、サイクルごとに、酸化された遷移金属窒化物の量に実質的に制限され得る、正確に制御されたエッチングプロセスを容易にし得る。エッチングプロセスは、誘電体材料ならびに基板上の金属および他の材料に対して選択的であり得る。さらに、本技術は、従来の技法よりも低い温度における除去を容易にし得、これにより、プロセスが、低誘電率または他の制限された熱収支材料の露出を用いて実行されることが可能になり得る。
【0019】
残りの開示は、開示される技術を利用する特定の材料および半導体構造をルーチン的に識別するが、システム、方法、および材料は、本技術の態様から恩恵を受け得るいくつかの他の構造に等しく適用可能であることが容易に理解されよう。したがって、本技術は、特定のプロセスまたは材料のみとともに使用するためのもののように限定されると見なされるべきでない。さらに、本技術の基礎を提供するために例示的なチャンバが説明されているが、本技術が、説明された動作を可能にし得る事実上任意の半導体処理チャンバに適用され得ることを理解されたい。
【0020】
図1は、実施形態による、堆積、エッチング、ベーキング、および硬化チャンバの処理システム100の一実施形態の上面図を示す。図では、前方開口型統一ポッド102の1つのペアが様々なサイズの基板を供給し、基板は、ロボットアーム104によって受け取られ、タンデムセクション109a~109cに位置する基板処理チャンバ108a~108fのうちの1つの中に置かれる前に、低圧保持エリア106中に置かれる。保持エリア106から基板処理チャンバ108a~108fに基板ウエハを輸送し、またその逆に基板ウエハを輸送するために、第2のロボットアーム110が使用され得る。各基板処理チャンバ108a~108fは、周期的層堆積、原子層堆積、化学気相堆積、物理的気相堆積、エッチング、前洗浄、ガス抜き、配向、および他の基板プロセスに加えて、本明細書で説明されるドライエッチングプロセスを含むいくつかの基板処理動作を実行するように装備され得る。
【0021】
基板処理チャンバ108a~108fは、基板ウエハ上に誘電体膜を堆積、アニーリング、硬化および/またはエッチングするための1つまたは複数のシステム構成要素を含み得る。一構成では、処理チャンバの2つのペア、たとえば108c~108dおよび108e~108fは、基板上に誘電体材料を堆積するために使用され得、処理チャンバの第3のペア、たとえば108a~108bは、堆積された誘電体をエッチングするために使用され得る。別の構成では、チャンバの3つのペアすべて、たとえば108a~108fは、基板上の誘電体膜をエッチングするように構成され得る。説明されたプロセスのうちの任意の1つまたは複数は、異なる実施形態では、示された製造システムから分離された1つまたは複数のチャンバにおいて実行され得る。誘電体膜のための堆積、エッチング、アニーリング、および硬化チャンバの追加の構成がシステム100によって企図されることが諒解されよう。
【0022】
図2Aは、処理チャンバ内の区画されたプラズマ発生領域をもつ例示的なプロセスチャンバシステム200の断面図を示す。たとえば、チタン窒化物、タンタル窒化物、タングステン、シリコン、ポリシリコン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸炭化ケイ素の膜エッチング中に、たとえば、プロセスガスが、ガス入口アセンブリ205を通って第1のプラズマ領域215内に流され得る。遠隔プラズマシステム201が、随意にシステム中に含まれ、第1のガスを処理し得、第1のガスはその後、ガス入口アセンブリ205を通って移動する。入口アセンブリ205は、2つまたはそれ以上の別個のガス供給チャネルを含み得、第2のチャネルが含まれる場合、第2のチャネルが、遠隔プラズマシステム201をバイパスし得る。
【0023】
冷却板203、面板217、イオンサプレッサ223、シャワーヘッド225、および上に基板255が配置されたペデスタル265または基板支持体が示されており、それぞれ、実施形態に従って含まれ得る。ペデスタル265は、中で熱交換流体が流れて基板の温度を制御する熱交換チャネルを有し得、熱交換チャネルは、処理動作中に基板またはウエハを加熱および/または冷却するように動作させられ得る。アルミニウム、セラミック、またはそれらの組合せを含み得る、ペデスタル265のウエハ支持体プラッタはまた、最高100℃または約100℃から1100℃超または約1100℃までなどの比較的高い温度を達成するために、埋込み抵抗加熱器要素を使用して抵抗加熱され得る。
【0024】
面板217は、角錐形、円錐形、または狭い上部が幅広の底部へ広がる別の同様の構造のものであり得る。面板217はさらに、図示のように平坦であり得、プロセスガスを分配するために使用される複数の貫通チャネルを含み得る。第1のプラズマ領域215内へのより均一な送出のために、遠隔プラズマシステム201の使用に応じてプラズマ発生ガスおよび/またはプラズマ励起種が、面板217内の図2Bに示されている複数の孔を通過し得る。
【0025】
例示的な構成は、ガス/種が面板217内の孔を通って第1のプラズマ領域215内に流れるように、面板217によって第1のプラズマ領域215から区画されたガス供給領域258内に開口するガス入口アセンブリ205を有することを含み得る。構造上および動作上の特徴は、第1のプラズマ領域215から供給領域258、ガス入口アセンブリ205、および流体供給システム210内へのプラズマの大幅な逆流を防止するように選択され得る。面板217、すなわちチャンバの導電性上部、およびシャワーヘッド225は、それら特徴間に位置を特定された絶縁リング220とともに示されており、絶縁リング220は、シャワーヘッド225および/またはイオンサプレッサ223に対して相対的に、面板217にAC電位が印加されることを可能にする。絶縁リング220は、面板217とシャワーヘッド225および/またはイオンサプレッサ223との間に位置し得、それにより容量結合プラズマが第1のプラズマ領域に形成されることを可能にする。バッフルが、追加として、第1のプラズマ領域215内に位置を特定されるか、またはさもなければガス入口アセンブリ205に結合されて、ガス入口アセンブリ205を通って領域内に入る流体の流れに影響を与え得る。
【0026】
イオンサプレッサ223は、構造全体にわたって複数の開孔を画定する板または他の形状寸法を備え得、開孔は、非荷電の中性種またはラジカル種がイオンサプレッサ223を通過してサプレッサとシャワーヘッドとの間の活性化ガス送出領域内に入ることを可能にしながら、第1のプラズマ領域215から出るイオン荷電種の移動を抑制するように構成される。実施形態では、イオンサプレッサ223は、様々な開孔構成をもつ多孔板を備え得る。これらの非荷電種は、反応性の低いキャリアガスとともに開孔を通って輸送される反応性の高い種を含み得る。上述のように、孔を通るイオン種の移動は低減され得、いくつかの事例では完全に抑制され得る。イオンサプレッサ223を通過するイオン種の量を制御することにより、下にあるウエハ基板と接触する混合ガスに対する制御を有利に向上させ得、ひいては混合ガスの堆積および/またはエッチング特性の制御を向上させ得る。たとえば、混合ガスのイオン濃度の調節は、そのエッチング選択性、たとえばSiNx:SiOxエッチング比、Si:SiOxエッチング比などを大幅に変化させることができる。堆積が実行される代替実施形態では、誘電体材料の共形型堆積と流動型堆積とのバランスをシフトさせることもできる。
【0027】
イオンサプレッサ223内の複数の開孔は、イオンサプレッサ223を通る活性化ガス、すなわちイオン種、ラジカル種、および/または中性種の通路を制御するように構成され得る。たとえば、孔のアスペクト比、すなわち孔の長さに対する直径、および/または孔の形状寸法は、イオンサプレッサ223を通過する活性化ガス中のイオン荷電種の流れが低減されるように制御され得る。イオンサプレッサ223内の孔は、プラズマ励起領域215に面するテーパ部分と、シャワーヘッド225に面する円筒部分とを含み得る。円筒部分は、シャワーヘッド225へと通過するイオン種の流れを制御するような形状および寸法であり得る。サプレッサを通るイオン種の流れを制御するための追加手段として、調節可能な電気バイアスがイオンサプレッサ223に印加され得る。
【0028】
イオンサプレッサ223は、プラズマ発生領域から基板へ移動するイオン荷電種の量を低減または除去するように機能し得る。非荷電の中性種およびラジカル種は、基板と反応するように、さらにイオンサプレッサ内の開口を通過し得る。実施形態では、基板周囲の反応領域内のイオン荷電種の完全な除去が実行されないことがあることに留意されたい。いくつかの事例では、イオン種は、エッチングおよび/または堆積プロセスを実行するために基板に到達することが意図されている。これらの事例では、イオンサプレッサは、反応領域内のイオン種の濃度を、プロセスを支援するレベルで制御するのに役立ち得る。
【0029】
シャワーヘッド225をイオンサプレッサ223と組み合わせることで、第1のプラズマ領域215内に存在するプラズマが基板処理領域233内のガスを直接励起することを回避することが可能になると同時に、依然として、励起種がチャンバプラズマ領域215から基板処理領域233内へ移動することが可能になり得る。このようにして、チャンバは、エッチングされている基板255にプラズマが接触することを防止するように構成され得る。これは、有利には、発生したプラズマによって直接接触された場合に損傷、位置ずれ、またはさもなければ歪みが生じ得る、基板上にパターン化された様々な複雑な構造および膜を保護し得る。さらに、プラズマが基板に接触するか基板レベルに接近することが許容される場合、酸化物種がエッチングする際の速度が上昇し得る。したがって、材料の露出した領域が酸化物である場合、プラズマを基板から遠隔に維持することによって、この材料はさらに保護され得る。
【0030】
処理システムはさらに、第1のプラズマ領域215または処理領域233にプラズマを発生させるために面板217、イオンサプレッサ223、シャワーヘッド225、および/またはペデスタル265に電力を供給するための、処理チャンバに電気的に結合された電源240を含み得る。電源は、実行されるプロセスに応じて、調節可能な量の電力をチャンバに送出するように構成され得る。そのような構成により、実行されるプロセスにおいて調整可能なプラズマを使用することが可能になり得る。しばしばオンまたはオフ機能が提示される遠隔プラズマユニットとは異なり、調整可能なプラズマは、プラズマ領域215に特定の量の電力を送出するように構成され得る。これにより、前駆体が特定のやり方で解離されて、これらの前駆体によって作り出されるエッチングプロファイルを強化するような、特定のプラズマ特性の開発が可能になり得る。
【0031】
プラズマは、シャワーヘッド225の上方のチャンバプラズマ領域215、またはシャワーヘッド225の下方の基板処理領域233のいずれかにおいて点火され得る。たとえば、フッ素含有前駆体または他の前駆体の流入からラジカル前駆体を作り出すために、プラズマがチャンバプラズマ領域215内に存在し得る。堆積中にチャンバプラズマ領域215においてプラズマを点火するために、面板217などの処理チャンバの導電性上部とシャワーヘッド225および/またはイオンサプレッサ223との間に、典型的には高周波(「RF」)範囲内のAC電圧が印加され得る。RF電源は、13.56MHzの高RF周波数を生成し得るが、単独でまたは13.56MHzの周波数との組合せで他の周波数を生成し得る。
【0032】
図2Bは、面板217を通る処理ガスの分配に影響を与える特徴の詳細図253を示す。図2Aおよび図2Bに示されているように、面板217、冷却板203、およびガス入口アセンブリ205が交差してガス供給領域258を画定し、ガス供給領域258内には、ガス入口205からプロセスガスが送出され得る。ガスは、ガス供給領域258を満たし、面板217内の開孔259を通って第1のプラズマ領域215まで流れ得る。プロセスガスが、処理領域233内に流れ得るが、面板217を横断した後にガス供給領域258内に逆流するのを部分的または完全に防止されるように、開孔259は、流れを実質的に一方向に向けるように構成され得る。
【0033】
処理チャンバセクション200で使用されるシャワーヘッド225などのガス分配アセンブリは、デュアルチャネルシャワーヘッドと呼ばれることがあり、図3に記載されている実施形態においてさらに詳述される。デュアルチャネルシャワーヘッドは、処理領域233の外側でエッチャントの分離を可能にして、処理領域内に送出されるより前にチャンバ部品および相互との制限された相互作用を提供する、エッチングプロセスを提供し得る。
【0034】
シャワーヘッド225は、上方プレート214および下方プレート216を備え得る。プレートは、プレート間に容積218を画定するように互いに結合され得る。プレートの結合により、上方プレートおよび下方プレートを通る第1の流体チャネル219と、下方プレート216を通る第2の流体チャネル221とが提供され得る。形成されたチャネルは、第2の流体チャネル221のみを介して、容積218から下方プレート216を通る流体アクセスを提供するように構成され得、第1の流体チャネル219は、プレートと第2の流体チャネル221との間で容積218から流体的に隔離され得る。容積218は、シャワーヘッド225の側面を通して流体的にアクセス可能であり得る。
【0035】
図3は、実施形態による、処理チャンバで使用するシャワーヘッド325の底面図である。シャワーヘッド325は、図2Aに示されているシャワーヘッド225に対応し得る。第1の流体チャネル219の外観を示す貫通孔365は、シャワーヘッド225を通る前駆体の流れを制御してその流れに影響を与えるために、複数の形状および構成を有し得る。第2の流体チャネル221の外観を示す小さな孔375は、貫通孔365の間でさえもシャワーヘッドの表面上に実質的に一様に分配され得、他の構成に比べて、前駆体がシャワーヘッドから出るときに前駆体のより一様な混合を提供するのに役立ち得る。
【0036】
前に説明されたチャンバは、エッチング方法を含む例示的な方法を実行する際に使用され得るが、任意の数のチャンバが、本技術の実施形態で使用される1つまたは複数の態様を実行するように構成され得る。図4を参照すると、本技術の実施形態による方法400における例示的な動作が示されている。方法400は、前端処理、堆積、エッチング、研磨、洗浄、または説明される動作より前に実行され得る任意の他の動作を含む、方法の始動より前の1つまたは複数の動作を含み得る。方法は、本技術による方法のいくつかの実施形態に特に関連することもあれば関連しないこともある、いくつかの随意の動作を含み得る。たとえば、動作の多くは、実行されるプロセスのより広い範囲を提供するために説明されるが、その技術にとって重要でないか、または以下でさらに説明されるように代替方法論によって実行され得る。方法400は、図5A図5Dにおいて概略的に示されている動作について説明し得、図5A図5Dの図は、方法400の動作と併せて説明される。図は部分的な概略図のみを例示しており、基板は、図に示されているような様々な特性および態様を有する任意の数の追加の材料および特徴を含み得ることを理解されたい。
【0037】
方法400は、半導体構造を特定の製造動作に合わせて開発するための随意の動作を伴うこともあれば、伴わないこともある。方法400は、図5Aに示されているように、遷移金属窒化物除去動作が実行され得る例示的な構造を含む任意の数の半導体構造または基板505上で実行され得ることを理解されたい。例示的な遷移金属窒化物は、窒化チタン、窒化タンタル、窒化ハフニウム、または他の遷移金属窒化物のうちの1つまたは複数を含み得る。例示的な半導体構造は、1つまたは複数の露出した材料を含み得る、トレンチ、ビア、または他の凹んだ特徴を含み得る。たとえば、例示的な基板は、シリコンまたは何らかの他の半導体基板材料、ならびに凹部、トレンチ、ビア、または隔離構造が形成され得る層間誘電体材料を含み得る。エッチングプロセス中の任意の時間における露出した材料は、金属材料、1つまたは複数の誘電体材料、接触材料、トランジスタ材料、または半導体プロセスにおいて使用され得る任意の他の材料であるか、またはそれらを含み得る。
【0038】
たとえば、一般的な層として示されているが、図5Aは、基板505または何らかの他の半導体材料の上にある、遷移金属窒化物510の層を示し得る。さらに、露出した金属512も含まれ得る。残りの開示は、窒化チタンを参照するが、本技術の実施形態では、遷移金属窒化物510は、窒化タンタル、窒化ハフニウム、または他の遷移金属窒化物でもあり得、プロセスは、窒化チタンとともにまたはその代わりにこれらの遷移金属窒化物のいずれかの除去を伴い得ることを理解されたい。同様に、金属512は、タングステン、モリブデン、また何らかの他の金属であり得、いくつかの実施形態では、材料は、基板上の金属酸化物、または何らかの他の酸化物含有材料であり得る。したがって、残りの開示は、説明される特定の例に限定されると見なされるべきでない。
【0039】
基板505は、基板上の1つまたは複数の他の構造の上にある誘電体材料を示し得、示されている構造の下に任意の数の材料が形成され得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、誘電体材料は、酸化ケイ素であるかまたはそれを含み、あるいはパターニングが起こり得る任意の他の酸化物または窒化物であるかまたはそれを含み得る。言及される構造は、限定するものではなく、遷移金属含有材料または他の金属含有材料を含む様々な他の半導体構造のいずれかが、同様に包含されることを理解されたい。他の例示的な構造は、半導体製造において一般的な2次元および3次元構造を含み得、その構造内では、本技術が、シリコン含有材料および他の場所で説明される他の材料のいずれかなどの他の露出した材料に対して、遷移金属窒化物を選択的に除去し得るので、1つまたは複数の他の材料に対して相対的に、窒化チタンなどの遷移金属含有材料が除去されることになる。さらに、高アスペクト比構造が、本技術から恩恵を受け得るが、本技術は、より低いアスペクト比および任意の他の構造に等しく適用可能であり得る。
【0040】
たとえば、本技術による材料の層は、構造の任意のアスペクト比または高さ幅比によって特徴づけられ得るが、いくつかの実施形態では、材料は、より大きいアスペクト比によって特徴づけられることがあり、これは、従来の技術または方法を利用した十分なエッチングを可能にしないことがある。たとえば、いくつかの実施形態では、例示的な構造の層のアスペクト比は、10:1超または約10:1、20:1超または約20:1、30:1超または約30:1、40:1超または約40:1、50:1超または約50:1、あるいはそれを超えるアスペクト比であり得る。さらに、各層は、100nm未満または約100nm、80nm未満または約80nm、60nm未満または約60nm、50nm未満または約50nm、40nm未満または約40nm、30nm未満または約30nm、20nm未満または約20nm、10nm未満または約10nm、5nm未満または約5nm、1nm未満または約1nm、あるいはそれ未満の低減された幅または厚さによって特徴づけられ得る。高アスペクト比と最小厚さとのこの組合せは、多くの従来のエッチング動作を阻止するか、あるいは、限られた幅を通る垂直または水平距離に沿って、層を除去するために実質的により長いエッチング期間を必要とし得る。その上、前に説明されたように従来の技術を用いると、他の露出した層への損傷または他の露出した層の除去が起こり得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、方法は、金属512または誘電体材料、たとえば酸化ケイ素など、他の露出した材料、ならびに処理中に基板上で露出され得る他の材料などに対して、遷移金属窒化物のエッチングを制御し得る、複数動作エッチングプロセスを含み得る。方法400は、酸素含有前駆体を、説明された基板を収納する半導体処理チャンバ内に流すことを含み得る。いくつかの実施形態では、酸素含有前駆体は、基板に接触するように直接流され得るが、いくつかの実施形態では、随意の動作405において、プラズマが、酸素含有前駆体から形成され得る。酸素含有前駆体は、上記で説明された遠隔プラズマシステムユニットまたは領域215など、処理チャンバの遠隔プラズマ領域を通って流され得、プラズマ放出物を作り出すためにプラズマが酸素含有前駆体から形成され得る。基板レベルのプラズマが作り出され得るが、いくつかの実施形態では、プラズマは、基板レベルのプラズマにより起こり得るイオン衝撃から、露出した基板材料を保護し得る遠隔プラズマであり得る。
【0042】
プラズマ強化か否かにかかわらず、動作410において、酸素含有前駆体または酸素含有前駆体のプラズマ放出物は、基板処理領域に送出され得、ここで、放出物は、窒化チタンの露出した領域など、露出した遷移金属材料を含む半導体基板に接触し得る。接触することは、窒化チタン上の酸化表面など、酸化材料、または基板上の露出した窒化チタンを変換することなどによる、窒化チタン酸化物材料を作り出し得る。いくつかの実施形態では、酸化の後に、プラズマは消去され得、チャンバはパージされ得る。図5Aに示されているように、酸素材料、または酸素プラズマ放出物515が、露出した窒化チタン材料に接触するように流され得、これは、図5Bに示されているように、遷移金属窒化物510の露出した表面を酸化チタン材料520に変換し得、これは、酸素、遷移金属、および窒素の態様を含み得る。また、窒素の一部分が、亜酸化窒素、一酸化窒素、または二酸化窒素としてガス放出され得る。酸化は、金属512の酸化部分522をも形成し得る。
【0043】
酸化動作の後に、酸素材料の送出は停止され得る。以下の動作は、温度変化が定められ得るいくつかの実施形態では、同じチャンバにおいて実行され得るが、以下でさらに説明されるように、基板は、真空下で基板を維持し得る、同じメインフレームまたはプラットフォーム上のなど、第2の処理チャンバに動かされ得る。酸素プラズマを停止させた後に、または別のチャンバへの基板の移送後に、第1のハロゲン含有前駆体が処理領域内に流され得る。酸素含有前駆体と同様に、ハロゲン含有前駆体は、処理領域に直接送出され得るが、いくつかの実施形態では、動作415において、第1のハロゲン含有前駆体がまずプラズマに形成され得る。プラズマは、本技術のいくつかの実施形態では処理チャンバの遠隔プラズマ領域内でも発生させられ得る。エッチャント前駆体は、フッ化チタンまたはチタンオキシフッ化物を含むなど、アンモニウム、チタン、酸素および/またはハロゲンを含む副産物を作り出すために、窒化チタンの酸化部分と相互作用し得、副産物は、いくつかの処理条件の下で揮発性であり得、基板から発せられ得る。したがって、プラズマ強化か否かにかかわらず、ハロゲン含有前駆体は酸化材料に接触し得、これは、動作420において、下にある金属から遷移金属窒化物材料の酸化領域をエッチングまたは除去し得る。
【0044】
第1のハロゲン含有前駆体にエネルギーを与えるために遠隔プラズマを利用することによって、いくつかの実施形態では、プラズマ放出物は、前に説明されたイオンサプレッサ223など、イオン抑制要素を通過させられ得る。これは、イオン種をフィルタで除去し、中性種およびラジカル種を処理領域に送出し得る。したがって、実行される除去プロセスは、実質的に、事実上化学的なものであり得、基板に対するイオンの影響は、最小限に抑えられるかまたは防止され得る。さらに、バイアスすることが、いくつかの実施形態では利用されないことがあるので、より等方性の除去が実行され得る。金属512の酸化部分522が、酸化遷移金属窒化物よりも密な材料であり得るので、除去プロセスは、より化学的に抵抗性があり得る金属512の酸化部分522を実質的に維持しながら、遷移金属窒化物の酸化部分を除去するために実行され得る。イオンをフィルタで除去することによって、酸化金属は、イオンの影響による物理的除去からも保護され得、これは、選択性をさらに増加させ得る。たとえば、タングステンは、遷移金属窒化物の酸化部分の制御された化学的エッチングプロセスに抵抗し得る、高密度酸化物構造を形成し得、これは、制限された物理的エッチング構成要素を有するか、または物理的エッチング構成要素を有し得ない。図5Cに示されているように、ハロゲン含有前駆体またはプラズマ放出物525が、遷移金属窒化物の酸化部分に接触し、揮発性副産物530を作り出し得、これは、金属512の酸化部分522を実質的に維持しながら、遷移金属窒化物材料から酸化材料を除去し得る。露出した金属および金属窒化物材料を最初に酸化させることによって、酸化遷移金属窒化物の選択的除去が、ほぼ化学的相互作用によって実行され得る。したがって、遷移金属窒化物の酸化部分の除去または部分的除去の後に、遷移金属窒化物の、下にある領域は露出され得るが、金属512の酸化部分522は、遷移金属窒化物の後続の除去中に金属上に保護層を提供し得る。
【0045】
非酸化遷移金属窒化物を露出させるために遷移金属窒化物の酸化部分が除去されたまたは少なくとも部分的に除去された後に、第2の除去プロセスが、遷移金属窒化物をエッチングするために実行され得る。たとえば、第2のハロゲン含有前駆体が半導体処理チャンバに送出され得、動作425において、プラズマが第2のハロゲン含有前駆体から形成され得る。プラズマは、第2のハロゲン含有前駆体のプラズマ放出物を作り出し得、動作430において、プラズマ放出物は、遷移金属窒化物の非酸化領域に接触し、それを除去し得る。第1のハロゲン含有プラズマ放出物は、イオン種のフィルタ処理を可能にするために遠隔で形成され得るが、いくつかの実施形態では、第2のハロゲン含有プラズマ放出物は、処理領域において形成され得る。たとえば、よりアグレッシブな前駆体が、第2のハロゲン含有前駆体を使用する第2の除去動作において利用され得る。低出力条件の下でプラズマを作り出すことによって、遷移金属窒化物との、ある量の物理的相互作用が、除去を容易にし得る。物理構成要素は、金属の酸化部分の衝撃を低減または制限するように制御され得、これは、金属材料の除去を制限し得る。たとえば、バイアスプラズマが、イオン種を基板に向けるために使用され得、これは、化学的除去プロセスとともに、窒化物材料の物理的除去を容易にし得る。図5Dに示されているように、第2のハロゲン含有前駆体のプラズマ放出物535は、基板に向けられ得、露出された遷移金属窒化物510をエッチングし得る。化学的と物理的の両方の、ある量の相互作用が、金属512の酸化部分522で起こり得るが、除去は、除去条件に基づいて最小限に抑えられ得る。
【0046】
ハロゲン含有前駆体またはプラズマ放出物は停止され得、次いで、プロセスは、追加の露出した材料に対して選択的に遷移金属窒化物の追加の層を除去するために、任意の数のサイクルで繰り返され得る。複数のサイクルを実行することによって、金属または酸化物に対する選択性は増加され得る。たとえば、上記で説明されたように、第2の除去動作は、始動または飽和期間の後に、金属の酸化部分のある量の除去を引き起こし得る。短い時間期間の後にプロセスを停止させ、プロセスを繰り返すことによって、後続の酸化動作は、金属の酸化部分の表面を硬化またはリフレッシュし得、酸化物密度を増加させ得る。これは、サイクル中の遷移金属窒化物の実質的な除去を可能にしながら、経時的な金属の除去の低減を容易にし得る。
【0047】
多段階動作のいずれか中の前駆体は、酸素含有前駆体を含み得、酸素含有前駆体は、いくつかの実施形態では任意の酸素含有材料または酸素含有ガスを含み得る。たとえば、非限定的な酸素含有前駆体は、二原子酸素(O)、オゾン(O)、水(HO)、アルコール、過酸化水素(H)、亜酸化窒素(NO)、または任意の他の酸素含有材料を含み得る。例示的なハロゲン含有前駆体は、いくつかの実施形態ではフッ素または塩素のうちの1つまたは複数、ならびに任意の他のハロゲンを含み得る。ハロゲン前駆体として利用され得るいくつかの例示的な前駆体は、フッ化水素(HF)、三フッ化窒素(NF)、または任意の有機フッ化物、二原子フッ素(F)、三フッ化臭素(BrF)、三フッ化塩素(ClF)、六フッ化硫黄(SF)、フッ化キセノン(XeF)、三塩化ホウ素(BCl)、五塩化タングステン(WCl)、六塩化タングステン(WCl)、二原子塩素(Cl)、あるいは任意の他の塩素含有またはフッ素含有前駆体など、ハロゲン化物を含み得る。上記で説明されたように、いくつかの実施形態では、第1の除去動作は第1のハロゲン含有前駆体を含み得、第2の除去動作は、第1のハロゲン含有前駆体とは異なり得る、第2のハロゲン含有前駆体を含み得る。たとえば、第1のハロゲン含有前駆体はフッ素含有前駆体であり得、第2のハロゲン含有前駆体は塩素含有前駆体であり得る。
【0048】
前駆体は、様々な組合せで一緒に流され得、前駆体はまた、任意の数の追加の前駆体またはキャリアガスとともに流され得る。追加の前駆体は、二原子水素、または水素含有前駆体、窒素、アルゴン、ヘリウム、あるいは任意の数の追加の材料を含み得るが、いくつかの実施形態では、前駆体は、選択性に影響を及ぼし得る副反応または他の態様を制御するために制限され得る。フッ素含有材料であり得る第1のハロゲン材料とともになど、第1の除去動作において水素を含めることによって、フッ素からの材料のエッチング速度は、低減されるかまたは抑制され得、これは、除去の程度に対するさらなる制御を提供し得る。さらに、下にある材料が、少なくとも部分的にフッ素ラジカルと接触してエッチングし得るので、希釈を増加させることは、下にある材料との反応をさらに抑え得る。さらに露出した材料を保護するために、ならびに酸化材料の下にある遷移金属窒化物を保護するために、水素が、ハロゲン含有前駆体の流量を超える流量において送出され得る。たとえば、ハロゲン含有前駆体が三フッ化窒素または任意の他のハロゲン含有材料であり得るいくつかの実施形態では、水素とハロゲン材料との流量比は、1.5:1超または約1.5:1であり得、水素とハロゲン材料との流量比は、2.0:1超または約2.0:1、2.5:1超または約2.5:1、3.0:1超または約3.0:1、3.5:1超または約3.5:1、4.0:1超または約4.0:1、4.5:1超または約4.5:1、5.0:1超または約5.0:1、10.0:1超または約10.0:1、あるいはそれより高い流量比であり得る。また、水素ラジカルは、フッ素が酸化材料と相互作用する間に、他の露出した材料を不動態化するのを助け得る。
【0049】
処理条件が、本技術によるエッチングに影響を及ぼし、それを容易にし得る。たとえば、動作が実行される温度は、反応が起こり得る程度に影響を及ぼし得る。露出した表面の酸化中に、上昇した温度が、反応を容易にし得、プラズマフリー反応が実行されることを可能にし得、これはさらに、衝撃または酸素ラジカルとの相互作用から他の露出した材料を保護し得る。したがって、本技術のいくつかの実施形態では、酸素前駆体または酸素プラズマ放出物との接触動作は、200℃超または約200の℃の基板、ペデスタル、および/またはチャンバ温度において実行され得、基板上の材料の熱的収支に応じて、250℃超または約250℃、300℃超または約300℃、350℃超または約350℃、400℃超または約400℃、450℃超または約450℃、あるいはそれより高い温度において実行され得る。温度はまた、これらの範囲内の任意の温度、これらの範囲によって包含されるより小さい範囲内の任意の温度、またはこれらの範囲のいずれかの間の任意の温度に維持され得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、第1および第2のハロゲン前駆体またはハロゲンプラズマ放出物との接触動作は、酸素との接触動作と同じ温度においてまたは異なる温度において実行され得る。ハロゲンとの接触動作はまた、利用されたハロゲン前駆体に応じてなど、実施形態ではプラズマ強化であるかまたはプラズマフリーであり得る。とにかく、相互作用は、いくつかの実施形態では、基板の温度を低下させることによって制御され得るが、温度は、ハロゲン接触動作中に高くもなり得る。基板支持体の熱質量のために、いくつかの実施形態では、異なるチャンバ条件を安定させるための時間を最小限に抑えながら、異なる温度が使用されることを可能にするために、ハロゲン前駆体またはプラズマ放出物との接触動作は、別個の処理チャンバにおいて実行され得る。別個のチャンバは依然として同じプラットフォーム上にあり得、これは、プロセス全体にわたって基板が真空条件に維持されることを可能にし得る。
【0051】
酸化なしにハロゲン含有材料を用いて遷移金属窒化物を除去するための多くのプロセスでは、温度は300℃超で維持され得るか、または、反応は進行をやめ得る。しかしながら、本技術の実施形態による制御された酸化を実行することによって、接触動作および除去は、300℃未満または約300℃の温度において実行され得、290℃未満または約290℃、280℃未満または約280℃、270℃未満または約270℃、260℃未満または約260℃、250℃未満または約250℃、240℃未満または約240℃、230℃未満または約230℃、220℃未満または約220℃、210℃未満または約210℃、200℃未満または約200℃、あるいはそれ未満の温度において実行され得る。さらに、除去動作のためにより低い温度を利用することによって、金属の酸化部分は、実質的にまたは本質的に、フッ素化反応であり得る第1の除去プロセス中に維持され得る。温度が増加すると、フッ素含有プラズマ放出物も、酸化金属材料を除去することを開始することができる。
【0052】
チャンバ内の圧力も、実行される動作に影響を及ぼし、ならびに、どんな温度において副産物が窒化チタン表面から発し得るかに影響を及ぼし得る。プラズマ強化前駆体に基づき得る酸化を容易にするために、処理圧力が、ハロゲン含有前駆体を利用する第2の除去動作におけるものよりも低くなり得る。酸素前駆体または酸素プラズマ放出物の使用中になど、第1の動作においてより低い圧力を維持することによって、基板表面における増加された相互作用が容易になり得る。方法の第1の部分におけるより低い圧力は、原子間の平均自由行程を増加させ得、これは、膜表面におけるエネルギーおよび相互作用を増加させ得る。ハロゲン前駆体またはプラズマ放出物の使用中になど、方法の第2の部分においてより高い圧力を利用することによって、エッチング速度が増加され得、これは、処理領域内の、他の露出した材料と接触しているハロゲン材料の滞留時間を制限することによって選択性を増加させ得る。
【0053】
したがって、いくつかの実施形態では、圧力は、動作405~410中になど、酸化中に約5Torr未満に維持され得、圧力は、4Torr未満または約4Torr、3Torr未満または約3Torr、2Torr未満または約2Torr、1Torr未満または約1Torr、0.5Torr未満または約0.5Torr、あるいはそれ未満に維持され得る。圧力は次いで、動作415~430中になど、方法の第2の部分中に増加され得、圧力は、1Torr超または約1Torrの圧力に維持され得、2Torr超または約2Torr、3Torr超または約3Torr、4Torr超または約4Torr、5Torr超または約5Torr、6Torr超または約6Torr、7Torr超または約7Torr、8Torr超または約8Torr、9Torr超または約9Torr、10Torr超または約10Torr、あるいはそれより高い圧力に維持され得る。圧力はまた、これらの範囲内の任意の圧力、これらの範囲によって包含されるより小さい範囲内の任意の圧力、またはこれらの範囲のいずれかの間の任意の圧力に維持され得る。
【0054】
除去動作の一方または両方中にプラズマ放出物が利用されるとき、プラズマ出力は、約500W未満に維持され得る。より低いプラズマ出力を維持することによって、スパッタリングが制御され得、相互作用が表面の化学反応に制限され得、これは、窒化チタンによる酸化および/またはエッチングの程度をより良く制限し得る。その結果、いくつかの実施形態では、プラズマ出力は、450W未満または約450W、400W未満または約400W、350W未満または約350W、300W未満または約300W、250W未満または約250W、200W未満または約200W、150W未満または約150W、100W未満または約100W、またはそれ未満に維持され得る。さらに、異なるプラズマ動作のために、異なるプラズマ出力が使用され得る。
【0055】
たとえば、上記で説明されたように、酸化材料を除去するための第1のプラズマ除去動作は、より高いプラズマ出力において実行され得る。これは、特に、上記で説明されたように水素を用いて希釈されたとき、フッ素含有材料の解離を増加させ得る。たとえば、いくつかの実施形態では、プラズマ出力を500W未満または約500Wに維持しながら、前に説明された容量結合遠隔領域など、遠隔領域中のプラズマ出力は、100W超または約100Wであり得、200W超または約200W、300W超または約300W、あるいはそれを超え得る。しかしながら、第2の除去動作のための塩素含有前駆体のプラズマの場合、より低いプラズマ出力が使用され得る。
【0056】
塩素プラズマ放出物は、酸化タングステンを含む様々な材料、または基板上の他の露出した材料をより容易にエッチングし得る。塩素ラジカルの生成を制限するために、より低いプラズマ出力が使用され得、より低いプラズマ出力は、200W未満または約200W、100W未満または約100W、80W未満または約80W、60W未満または約60W、50W未満または約50W、40W未満または約40W、30W未満または約30W、20W未満または約20W、あるいはそれ未満であり得る。これは、金属の酸化部分の化学的除去を制限し得る。しかしながら、遠隔プラズマの場合、そのような低出力プラズマは、再結合および制限された露出を引き起こし得、これは、遷移金属窒化物の除去を低減または制限し得る。したがって、処理領域においてバイアスプラズマを形成することによって、プラズマ放出物への遷移金属窒化物の露出が改善され得る。さらに、バイアスプラズマが、ある量の方向性をイオン種に提供し得、これは、表面における物理的相互作用を提供し、これは、除去を増加させ得る。露出した金属材料は、本質的により密であり得、より密な酸化物構造を含み得るので、低出力プラズマ物理的相互作用は、遷移金属窒化物の除去を増加させながら、金属の酸化部分に対する影響を制限し得る。したがって、フッ素化動作中の遠隔プラズマ、および塩素化中のより低出力の直接プラズマは、エッチングプロセス中の選択性を大幅に改善し得る。
【0057】
エッチングプロセスにさらなる制御を追加すると、塩素など、第2のハロゲン含有前駆体は、限られた時間の間送出され得、エッチングプロセス全体にわたって、連続的にまたは一連のパルスでのいずれかで送出され得、これは、一貫性があるかまたは経時的に変動していることがある。送出ウインドウを制限することによって、より密な金属酸化物との相互作用が制限され得るが、遷移金属窒化物の除去が起こり得る。上記したように追加のサイクルを続けることによって、金属酸化物は、後続の酸化動作を用いてリフレッシュされ得、これは、プロセス中の除去をさらに制限し得る。第2のハロゲン含有前駆体を用いた除去についての各サイクル中のタイミングは、30秒未満または約30秒であり得、25秒未満または約25秒、20秒未満または約20秒、15秒未満または約15秒、10秒未満または約10秒、5秒未満または約5秒、あるいはそれ未満であり得る。フッ素化反応は、フッ素化エッチングに抵抗する金属酸化物の能力により、これらの言及された期間のいずれかの長さの1、2、5、10、または20倍で進行し得るが、塩素化動作時間期間を制限することによって、金属材料をさらに維持しながら、増加された遷移金属窒化物が除去され得る。
【0058】
本技術の実施形態による動作を実行することによって、遷移金属窒化物が、他の酸化物および金属材料を含む、他の材料に対して選択的にエッチングされ得る。たとえば、本技術は、非限定的な例としてのタングステンまたはモリブデンなどの金属、酸化ケイ素などのシリコン含有材料を含む誘電体、または他の材料の露出した領域に対して遷移金属窒化物を選択的にエッチングし得る。本技術の実施形態は、他の露出した材料に対して少なくとも約10:1の割合で遷移金属窒化物をエッチングし得、50:1超または約50:1、100:1超または約100:1、150:1超または約150:1、200:1超または約200:1、またはそれを超える選択性において遷移金属窒化物をエッチングし得る。本技術の実施形態によるエッチング動作を実行することによって、処理中に基板上で露出もされ得るいくつかの材料を維持しながら、遷移金属窒化物の制御された除去が実行され得る。
【0059】
前述の説明では、説明の目的で、本技術の様々な実施形態の理解を提供するために、多数の詳細が記載された。しかしながら、いくつかの実施形態が、これらの詳細のうちのいくつかなしに、または追加の詳細とともに実践され得ることが、当業者には明らかであろう。
【0060】
いくつかの実施形態を開示したが、それらの実施形態の趣旨から逸脱することなく、様々な修正、代替構成、および等価物が使用され得ることが、当業者によって認識されよう。さらに、本技術を不必要に不明瞭にすることを回避するために、いくつかのよく知られているプロセスおよび要素は説明されていない。したがって、上記の説明は、本技術の範囲を限定するものとしてとられるべきでない。さらに、方法またはプロセスは、逐次的または段階的に説明され得るが、動作は、同時に、または列挙された順序とは異なる順序で実行され得ることを理解されたい。
【0061】
値の範囲が提供される場合、コンテキストが別段に明確に規定しない限り、その範囲の上限と下限との間の各介在値も、下限の単位の最も小さい部分まで、具体的に開示されることが理解される。述べられた範囲における任意の述べられた値または述べられていない介在値と、その述べられた範囲における任意の他の述べられた値または介在値との間の任意のより狭い範囲が包含される。それらのより小さい範囲の上限および下限は、独立して、範囲中に含まれるかまたは除外され得、より小さい範囲中に、いずれかの限界が含まれる、いずれの限界も含まれない、または両方の限界が含まれる、各範囲も、述べられた範囲における任意の明確に除外される限界を条件として、技術内に包含される。述べられた範囲が限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれた限界のいずれかまたは両方を除く範囲も含まれる。
【0062】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」、および「the」は、コンテキストが別段に明確に規定しない限り、複数の参照を含む。したがって、たとえば、「前駆体(a precursor)」への参照は、複数のそのような前駆体を含み、「その前駆体(the precursor)」への参照は、1つまたは複数の前駆体と当業者に知られているそれの等価物とへの参照を含み、以下同様である。
【0063】
また、本明細書および以下の特許請求の範囲で使用される「備える、含む(comprise(s))」、「備える、含む(comprising)」、「含んでいる(contain(s))」、「含んでいる(containing)」、「含む(include(s))」、および「含む(including)」という単語は、述べられた特徴、完全体、構成要素、または動作の存在を指定するものであるが、それらは、1つまたは複数の他の特徴、完全体、構成要素、動作、行為、またはグループの存在または追加を排除しない。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A-5D】
【国際調査報告】