(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】前駆体を閉じ込めるための改良されたシャワーヘッドポンピング形状寸法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20240717BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
H01L21/31 C
C23C16/455
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501109
(86)(22)【出願日】2022-07-11
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 US2022036668
(87)【国際公開番号】W WO2023287699
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アイアンガー, プラハラード
(72)【発明者】
【氏名】バルジャ, サンジーヴ
(72)【発明者】
【氏名】シャー, カルティーク
(72)【発明者】
【氏名】ワン, チャオウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ゴルチャ, ヤニシュト
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン, エリック ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】オーブション, ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】アガルワル, アシュトシュ
(72)【発明者】
【氏名】スン, リン
(72)【発明者】
【氏名】トリン, コン
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030EA03
5F045AA08
5F045AA15
5F045AD01
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5F045AF07
5F045AF10
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5F045EF05
5F045EF20
5F045EK07
5F045EM05
5F045GH03
(57)【要約】
インジェクタの前面に入口開口を有し、裏面に出口開口を有する真空チャネルを備えるガスインジェクタが説明される。真空チャネルは、前面に対して第1の角度で、前面の入口開口から第1の長さにわたって延びる第1の脚、および前面に対して第2の角度で、第1の脚から裏面の出口開口まで第2の長さにわたって延びる第2の脚を備える。処理チャンバおよび使用方法は、1つまたは複数の真空チャネルによって外部周囲エッジの周りに範囲が定められた複数の処理領域を備える。第1の処理領域は、第1の外径を有する第1の真空チャネルを有し、第2の処理領域は、第2の外径を有する第2の真空チャネルを有し、第1の外径は、第2の外径より小さい。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体であって、前記本体の厚さを画定する前面および裏面ならびに外部周囲エッジを有する本体と、
前記前面の入口開口および前記裏面の出口開口を有する真空チャネルであって、前記前面に対して第1の角度で、前記前面の前記入口開口から第1の長さにわたって延びる第1の脚、および前記前面に対して第2の角度で、前記第1の脚から前記裏面の前記出口開口まで第2の長さにわたって延びる第2の脚を備える真空チャネルと
を備える、ガス分配プレート。
【請求項2】
前記第1の脚が、1mmから7.5mmの範囲の第1の長さを有する、請求項1に記載のガス分配プレート。
【請求項3】
前記第1の角度が、前記前面に対して80°から100°の範囲である、請求項1に記載のガス分配プレート。
【請求項4】
前記第1の脚が、1mmから3mmの範囲の第1の幅を有する、請求項1に記載のガス分配プレート。
【請求項5】
前記真空チャネルが、300mmから302mmの範囲の内径を有する、請求項1に記載のガス分配プレート。
【請求項6】
前記真空チャネルが、301mmから305mmの範囲の外径を有する、請求項5に記載のガス分配プレート。
【請求項7】
前記入口開口が、前記前面にフィレットを有し、前記フィレットが、0.15mmから0.4mmの範囲の半径を有する、請求項1に記載のガス分配プレート。
【請求項8】
前記入口開口が、前記前面に面取りを有し、前記面取りが、0.1mmから0.4mmの範囲の長さの面取り面を有する、請求項1に記載のガス分配プレート。
【請求項9】
前記第2の脚が、2mmから5mmの範囲の第2の幅を有する、請求項1に記載のガス分配プレート。
【請求項10】
前記第2の脚が、前記前面に対して35°から60°の範囲の第2の角度を有する、請求項1に記載のガス分配プレート。
【請求項11】
処理中、ウエハを支持し、かつ、複数の処理領域の間で前記ウエハを移動させるように構成された頂面を有する基板支持体であって、前記基板支持体は、内側に向かって突出している内部突起を有するエッジリングを備え、前記内部突起は、前記基板支持体の前記頂面と、前記内側に向かって突出している内部突起の頂面との間に間隙を提供するようなサイズにされる、基板支持体と、
前記基板支持体の前記頂面の反対側に第1の前面を有する第1のガス分配プレートを備える第1の処理領域であって、前記第1のガス分配プレートは、前記第1の前面に第1の真空チャネルを有し、前記第1の真空チャネルは、第1の外径を有する、第1の処理領域と、
前記基板支持体の前記頂面の反対側に第2の前面を有する第2のガス分配プレートを備える第2の処理領域であって、前記第2のガス分配プレートは、前記第2の前面に第2の真空チャネルを有し、前記第2の真空チャネルは、前記前面に入口開口を有し、前記第2のガス分配プレートの第2の裏面に出口開口を有し、前記第2の真空チャネルは、前記第2の前面に対して第1の角度で、前記第2の前面の前記入口開口から第1の長さにわたって延びる第1の脚、および前記第2の前面に対して第2の角度で、前記第1の脚から前記第2の裏面の前記出口開口まで第2の長さにわたって延びる第2の脚を備え、前記第2の真空チャネルの前記入口開口は、前記第1の外径より大きい第2の内径を有する、第2の処理領域と
を備える、処理チャンバ。
【請求項12】
前記第1の脚が、1mmから7.5mmの範囲の第1の長さを有する、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項13】
前記第1の角度が、前記前面に対して80°から100°の範囲である、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項14】
前記第1の脚が、1mmから3mmの範囲の第1の幅を有する、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項15】
前記真空チャネルが、300mmから302mmの範囲の内径を有する、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項16】
前記真空チャネルが、301mmから305mmの範囲の外径を有する、請求項5に記載の処理チャンバ。
【請求項17】
前記入口開口が、前記前面にフィレットを有し、前記フィレットが、0.15mmから0.4mmの範囲の半径を有する、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項18】
前記入口開口が、前記前面に面取りを有し、前記面取りが、0.1mmから0.4mmの範囲の長さの面取り面を有する、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項19】
前記第2の脚が、2mmから5mmの範囲の第2の幅を有する、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項20】
基板を処理する方法であって、
請求項11に記載の前記基板支持体上に支持されたウエハを、請求項11に記載の前記第1の前記処理領域内で第1の反応物に曝露させることと、
前記ウエハを、請求項11に記載の前記第2の処理領域へ移動させることと、
前記ウエハを、請求項11に記載の前記第2の前記処理領域内で第2の反応物に曝露させることと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、移行堆積ゾーンを狭くする装置および方法に関する。特に、本開示のいくつかの実施形態は、改良されたポンピング形状寸法を有するバッチ処理チャンバに関する。
【背景技術】
【0002】
原子層堆積(ALD)チャンバでは、堆積は、処理されるウエハ以外のチャンバ部分で生じ得る。この事例では、チャンバは、通常、堆積が生じる部品をインサイチュ洗浄することができるように、またはエックスサイチュ洗浄するために除去することができるように構築される。周期的に交換される部品のセットは処理キットと呼ぶことができる。
【0003】
いくつかの事例では、処理キット上の堆積は、堆積が剥がれ、処理されるウエハに対する欠陥問題の原因になる点まで蓄積し得る。また、この望ましくない堆積は、膜の厚さ、膜の均一性または膜の特性の変化などのプロセス変動をもたらし得る。いくつかの堆積した膜は、インサイチュ洗浄のための良好なオプションを有していないため、処理キットは、それらを除去し、潜在的に交換しなければならなくなるまで堆積を蓄積する。これは、機械ダウンタイムおよび運転コストの増加をもたらし得る。
【0004】
基板が同じ静電チャック上の異なる処理ステーション(処理領域とも呼ばれる)間で移動するいくつかのバッチ処理チャンバでは、異なる処理ステーション間における反応物の分離のため、ほとんどのチャンバ部品上の堆積を防止することが可能である。しかしながら、ウエハを支持する静電チャックは、異なるステーションの間をウエハと共に移動する。静電チャックの部分は、処理ステーションの中でプロセス条件に曝露され、望ましくない膜堆積も蓄積することになる。
【0005】
これらの事例では、チャンバ中の裏側パージフローによってポンピングチャネルを超えて延びないよう、静電チャックのエッジにおける堆積を制限することができる。ウエハ/静電チャックのエッジは移行領域であり、ウエハ上の堆積に匹敵する領域から堆積しない領域へ、堆積が減少する。
【0006】
したがって、処理チャンバ表面の堆積が少ない装置および方法が必要である。
【発明の概要】
【0007】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、本体を備えるガス分配プレートを対象としており、本体は、本体の厚さを画定する前面および裏面ならびに外部周囲エッジを有する。真空チャネルは、前面の入口開口および裏面の出口開口を有する。真空チャネルは、前面に対して第1の角度で、前面の入口開口から第1の長さにわたって延びる第1の脚、および前面に対して第2の角度で、第1の脚から裏面の出口開口まで第2の長さにわたって延びる第2の脚を備える。
【0008】
本開示のさらなる実施形態は、基板支持体、第1の処理領域および第2の処理領域を備える処理チャンバを対象としている。基板支持体は、処理中、ウエハを支持し、かつ、複数の処理領域の間でウエハを移動させるように構成された頂面を有する。基板支持体は、内側に向かって突出している内部突起を有するエッジリングを備え、内部突起は、基板支持体の頂面と、内側に向かって突出している内部突起の頂面との間に間隙を提供するようなサイズにされる。第1の処理領域は、基板支持体の頂面の反対側に第1の前面を有する第1のガス分配プレートを備える。第1のガス分配プレートは第1の前面に第1の真空チャネルを有し、第1の真空チャネルは第1の外径を有する。第2の処理領域は、基板支持体の頂面の反対側に第2の前面を有する第2のガス分配プレートを備える。第2のガス分配プレートは第2の前面に第2の真空チャネルを有する。第2の真空チャネルは、前面に入口開口を有し、また、第2のガス分配プレートの第2の裏面に出口開口を有する。第2の真空チャネルは、第2の前面に対して第1の角度で、第2の前面の入口開口から第1の長さにわたって延びる第1の脚、および第2の前面に対して第2の角度で、第1の脚から第2の裏面の出口開口まで第2の長さにわたって延びる第2の脚を備える。第2の真空チャネルの入口開口は、第1の外径より大きい第2の内径を有する。
【0009】
本開示の上で示した特徴を詳細に理解することができる方法において、上で簡単に要約した本開示のより詳細な説明は、実施形態を参照することによって得ることができ、それらの実施形態のうちのいくつかは、添付の図面に示されている。しかしながら、添付の図面は、単に本開示の典型的な実施形態を示したものにすぎず、したがって、本開示は他の等しく有効な実施形態を許容することができるので、添付の図面を本開示の範囲を限定するものと見なすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の1つまたは複数の実施形態による処理チャンバの断面等角図である。
【
図2】本開示の1つまたは複数の実施形態による処理チャンバの断面図である。
【
図3】本開示の1つまたは複数の実施形態による処理領域の部分断面概略図である。
【
図3B】本開示の1つまたは複数の実施形態によるガス分配プレートの断面概略図である。
【
図4】本開示の1つまたは複数の実施形態による処理領域の部分断面概略図である。
【
図4B】本開示の1つまたは複数の実施形態によるガス分配プレートの断面概略図である。
【
図5】本開示の1つまたは複数の実施形態による堆積移行領域の概略図である。
【
図6】本開示の1つまたは複数の実施形態による堆積移行領域の概略図である。
【
図7】本開示の1つまたは複数の実施形態によるガス分配プレートの一部の概略断面図である。
【
図8】本開示の1つまたは複数の実施形態によるガス分配プレートの部分概略断面図である。
【
図9】本開示の1つまたは複数の実施形態による交換可能パージリングを有するガス分配プレートの断面概略図である。
【
図10】本開示の1つまたは複数の実施形態によるガス分配プレートの部分概略断面図である。
【
図11A】本開示の1つまたは複数の実施形態による真空チャネルの部分概略断面図である。
【
図11B】本開示の1つまたは複数の実施形態による真空チャネルの部分概略断面図である。
【
図11C】本開示の1つまたは複数の実施形態による真空チャネルの部分概略断面図である。
【
図11D】本開示の1つまたは複数の実施形態による真空チャネルの部分概略断面図である。
【
図11E】本開示の1つまたは複数の実施形態による真空チャネルの部分概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示のいくつかの例示的実施形態についての説明に先立って、本開示は、以下の説明の中で示される構造またはプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本開示には他の実施形態が可能であり、様々な方法で実践または実施することができる。
【0012】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されているように、「基板」という用語は、プロセスが作用する表面または表面の一部を意味している。基板に対する参照は、文脈が他に明確に示していない限り、基板の一部のみを同じく意味することができることは当業者には同じく理解されよう。さらに、基板の上に堆積させる、に対する参照は、裸の基板および1つまたは複数の膜または特徴がその上に堆積され、または形成された基板の両方を意味し得る。
【0013】
本明細書において使用されている「基板」は、任意の基板、または製造プロセスの間に膜処理が実施される基板の上に形成された材料表面を意味している。例えば処理を実施することができる基板表面は、用途に応じて、ケイ素、酸化ケイ素、ストレインドシリコン、絶縁体上シリコン(SOI)、炭素ドープド酸化ケイ素、アモルファスシリコン、ドープドシリコン、ゲルマニウム、砒化ガリウム、ガラス、サファイアなどの材料、および金属、金属窒化物、金属合金などの任意の他の材料、ならびに他の導電性材料を含む。基板は、それには限定されないが半導体ウエハを含む。基板は、基板表面を研磨し、エッチングし、還元し、酸化し、ヒドロキシル化し、アニールし、UV硬化し、電子ビーム硬化し、および/または焼成するために前処理プロセスを施すことができる。基板自体の表面に直接膜処理を施すことに加えて、本開示では、以下でより詳細に開示されるように、開示される膜処理ステップのうちの任意のステップを基板の上に形成された下側の層の上に同じく実施することができ、また、「基板表面」という用語には、文脈が示しているようにこのような下側の層を含むことが意図されている。したがって、例えば膜/層または部分膜/層が基板表面に堆積された場合、新たに堆積された膜/層の曝露した表面が基板表面になる。
【0014】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されているように、「前駆体」、「反応物」、「反応性ガス」、等々という用語は、基板表面または基板表面に形成された膜と反応することができる任意のガス種を意味するべく交換可能に使用されている。
【0015】
ほとんどの堆積チャンバは個別の化学薬品を有しておらず、様々な化学薬品を同じポンプポート場所を介してポンプ供給している。いくつかの最近のバッチ処理チャンバでは、前駆体は異なる処理ステーションの間で分離されている。ポンピングハードウェアを使用して、ウエハに対して同じ場所を介してガスをポンプ供給することができる。堆積蓄積の問題はこの構造でも依然として存在している。したがって、本開示の1つまたは複数の実施形態は、空間的に分離された処理ステーションの間でポンピング場所を互い違いにしている。いくつかの実施形態は、反応性ガスの各々に対して異なる感度を使用して、支持表面堆積を最少にしている。
【0016】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、ウエハ上の一様な堆積と、隣接する支持表面の非堆積との間の移行領域の幅を狭くするための方法および装置を対象としている。いくつかの実施形態は、有利には、ウエハに対するポンピング場所を互い違いにすることによってウエハ外堆積を最少にし、あるいは除去するための装置および方法を提供する。
【0017】
本開示のいくつかの実施形態は、有利には、高度に反応性の前駆体を空間的に隔離することにより、熱プロセスによって生じる堆積を最少にするための改良されたシステムアーキテクチャを提供する。いくつかの実施形態は、ウエハエッジの近傍の局所化されたポンピングと共に、ウエハの周りのパージガスを戦略的に対象としている。本開示の1つまたは複数の実施形態は、有利には、膜厚さの小さい非均一性を維持しつつ、前駆体の閉じ込めを改善するための装置および方法を提供する。
【0018】
金属酸化物ALD膜は、堆積ハードウェアから洗浄不可能であり、また、前駆体および酸化剤ガスが同じプロセス環境で混合するため、堆積中にチャンバ内壁に蓄積する。静電チャックおよびシャワーヘッドのような構成要素の交換は高くつき、かつ、時間を消費し得る。したがって、本開示のいくつかの実施形態は、ウエハエッジの近傍に局所ポンピングを有し、また、ウエハに対して改善されたポンピング入口形状寸法を有するシステムを提供する。ウエハ膜厚さに対する衝撃を平衡させることにより、ウエハ境界の外側のチャンバ部品上の堆積が減少する。いくつかの実施形態では、ウエハの周りの静電チャック(ESC)領域を清潔に維持するために、交換可能エッジリングは、最大3mmまでウエハエッジ内で張り出すようにESC上に取り付けられ、裏側エッジパージが、ESC表面に対する前駆体ガスの拡散を防止する。いくつかの実施形態では、パージガスは、エッジリング全体にわたって空気力学境界をもたらし、リング上の膜堆積を少なくする。
【0019】
以下の説明は、主として
図1に示されているようなバッチ処理チャンバに関して示されているが、当業者は、本開示の範囲はバッチチャンバに限定されないことを認識することになる。いくつかの実施形態では、ガス分配プレートおよび/またはポンピング構成要素は、ウエハに対する異なる場所のために、互い違いポンピングを提供するように構成される。
【0020】
図1および
図2は、本開示の1つまたは複数の実施形態によるバッチ処理チャンバ100を示したものである。
図1は、本開示の1つまたは複数の実施形態による横断面等角図として示されている処理チャンバ100を示している。
図2は、本開示の1つまたは複数の実施形態による処理チャンバ100を横断面で示したものである。したがって、本開示のいくつかの実施形態は、基板支持体200および頂部プレート300を組み込んだ処理チャンバ100を対象としている。
【0021】
処理チャンバ100は、壁104および底部106を有するハウジング102を有している。ハウジング102は、頂部プレート300と共に、処理体積とも呼ばれる内部体積109を画定している。
【0022】
示されている処理ステーション110は、3つの主構成要素、すなわち頂部プレート300(蓋とも呼ばれる)、ポンプ/パージインサート330、およびガス分配プレート112を備えている。処理チャンバ100は複数の処理ステーション110をさらに含む。処理ステーション110は、ハウジング102の内部体積109の中に配置され、基板支持体200の回転軸211の周りに円形構造で位置決めされている。個々の処理ステーション110は、前方表面114を有するガス分配プレート112(ガスインジェクタとも呼ばれる)を備えている。いくつかの実施形態では、ガス分配プレート112の各々の前方表面114は実質的に共平面である。処理ステーション110は、処理が生じ得る領域として画定されている。例えばいくつかの実施形態では、処理ステーション110は、以下で説明されるように、基板支持体200の支持表面231、およびガス分配プレート112の前方表面114によって範囲が定められた領域として画定されている。示されている実施形態では、ヒータ230は基板支持表面として作用し、基板支持体200の部品を形成している。ヒータ230の各々は支持表面231および底表面232を備えており、ヒータ230の厚さを画定している。いくつかの実施形態では、支持表面231は、支持表面231を貫通して延びる少なくとも3つのリフトピンのための供給をさらに含む。支持プレート245は、示されている実施形態ではヒータ230の周りに存在している。支持プレート245は基板支持体200に接続されており、ヒータ230が貫通して延びる複数の開口を有している。いくつかの実施形態では、支持プレート245は、裏側パージガスのための流路を提供している。
【0023】
処理ステーション110は、任意の適切なプロセスを実施し、かつ、任意の適切なプロセス条件を提供するように構成することができる。使用されるガス分配プレート112のタイプは、例えば実施されるプロセスのタイプ、およびシャワーヘッドすなわちガスインジェクタのタイプで決まる。例えば原子層堆積装置として動作するように構成された処理ステーション110は、シャワーヘッドすなわち渦タイプのガスインジェクタを有することができる。一方、プラズマステーションとして動作するように構成された処理ステーション110は、プラズマを生成し、その一方でウエハに向かうプラズマガスの流れを許容するための1つまたは複数の電極および/または接地プレート構成を有することができる。
図2に示されている実施形態は、図の左側(処理ステーション110a)に、図の右側(処理ステーション110b)とは異なるタイプの処理ステーション110を有している。適切な処理ステーション110は、それらに限定されないが、熱処理ステーション、マイクロ波プラズマ、3電極CCP、ICP、平行プレートCCP、UV露光、レーザ処理、ポンピングチャンバ、アニーリングステーションおよび計測ステーションを含む。
図1および
図2に示されている実施形態は、処理ステーションの四重対称構造を示しているが、本開示の範囲は4ステーション処理チャンバに限定されない。
【0024】
いくつかの実施形態では、堆積厚さの割合は、使用される堆積化学薬品に応じて、また、前駆体の濃度に対する堆積プロセスの感度に応じて、この移行領域で減少する。いくつかの実施形態では、移行領域が狭いほど、処理されるウエハのより広い面積にわたって一様に堆積させることができ、その一方で、ウエハ以外の表面の堆積が減少する。
【0025】
図3、
図3A、
図3B、
図4、
図4Aおよび
図4Bを参照すると、本開示の1つまたは複数の実施形態は、複数の処理領域を備える処理チャンバを対象としている。
図3は、第1の処理領域311の一部を示したものである。例えば第1の処理領域311は、
図2に示されている左側の処理ステーション110aの部品であってもよい。
図3Aは、
図3の領域3Aの拡大図を示したものである。
図3Bは、
図3Aのガス分配プレート320の図を示したものである。
図4は、第2の処理領域312の一部を示したものであり、また、
図4Aは、
図4の領域4Aの拡大図を示したものである。
図4Bは、
図4Aのガス分配プレート320の図を示したものである。例えば第2の処理領域312は、
図2に示されている右側の処理ステーション110bの部品であってもよい。「第1の」、「第2の」、等々などの順序の使用は、異なる構成要素を参照するための単なる説明目的のためにすぎず、操作または優先順位の何らかの特定の順序として解釈するべきではない。
【0026】
個々の処理領域311、312は、それぞれ、ガス分配プレート320の前面321および基板支持体333の頂面331によって画定される高さHを有している。処理領域311、312の高さHは、示されているように、ウエハ60が基板支持体333の頂面331に位置決めされると低くなる。処理領域311、312の各々は、1つまたは複数の真空チャネル341a、341bによって外部周囲エッジの周りに範囲が定められている。
【0027】
図3、
図3B、
図4および
図4Bに示されているガス分配プレート320は、反応性ガスが流入するプレナム322領域を含む。反応性ガスは、開孔324を通ってプレナム322から処理領域311、312へ流れる。図は、単なる説明用として3つの開孔324を示しており、本開示の範囲を限定するものとして解釈するべきではない。恐らく当業者は、開孔324の配置を熟知しており、また、開口324の構成はシャワーヘッドガス分配プレートである。いくつかの実施形態では、ガス分配プレート320はプレナム322領域を有しておらず、また、ガスは、開孔を通過することなく、処理領域に直接流入する。
【0028】
第1の処理領域311は、第1の内径ID
1、第1の外径OD
1および第1の真空チャネル幅W
1を有する第1の真空チャネル341aを有している。第1の真空チャネル341aは第1の処理領域311の部品として説明されているが、第1の真空チャネル341aは、第1の処理領域311の範囲を定めているガス分配プレート320または他の構成要素の部品であることは当業者には理解されよう。言い換えると、第1の処理領域311の範囲を定めているガス分配プレート320は、
図3Bに示されているように、第1の内径ID
1、第1の外径OD
1および第1の真空チャネル幅W
1有する第1の真空チャネル341aを有している。
【0029】
第2の処理領域312は、第2の内径ID
2、第2の外径OD
2および第2の真空チャネル幅W
2を有する第2の真空チャネル341bを有している。第2の真空チャネル341bは第2の処理領域312の部品として説明されているが、第2の真空チャネル341bは、第2の処理領域312の範囲を定めているガス分配プレート320または他の構成要素の部品であることは当業者には理解されよう。言い換えると、第2の処理領域312の範囲を定めているガス分配プレート320は、
図3Bに示されているように、第2の内径OD
1、第2の外径OD
2および第2の真空チャネル幅W
2有する第2の真空チャネル341bを有している。
【0030】
図7は、本開示の1つまたは複数の実施形態による真空チャネルの横断面図を示したものである。いくつかの実施形態の第1の真空チャネル341aおよび/または第2の真空チャネル341bは、シャワーヘッドの底表面に形成されたトレンチ343である。トレンチ343は、複数の導管344を介して真空プレナム345に接続されている。導管の各々は、プレナム345中に開口344aを有し、また、トレンチ343に開口344bを有しており、トレンチ343とプレナム345の間の流体連結を提供している。
【0031】
いくつかの実施形態では、第1の外径OD1は第2の外径OD2より小さい。言い換えると、いくつかの実施形態では、第2の外径OD2は第1の外径OD1より大きい。いくつかの実施形態では、第1の外径OD1は第2の外径OD2より大きい。言い換えると、いくつかの実施形態では、第2の外径OD2は第1の外径OD1より小さい。
【0032】
いくつかの実施形態のバイナリ反応-前駆体ドーズおよび反応物ドーズを使用した反応-では、2つの異なるプロセス処理領域、すなわち第1の処理領域311および第2の処理領域312が存在する。第1の処理領域311および第2の処理領域312の各々は真空チャネル341a、341bを有している。真空チャネル341a、341bの外径OD1、OD2は、例えば特定の処理領域で引き渡される反応性種の反応性に応じて異なる。例えばバイナリ反応のいくつかの実施形態では、第1の反応性ガスまたは第2の反応性ガスのうちの一方はより遅い反応速度を有している。反応速度がより遅い反応物は律速反応物と呼ばれ、それは、律速反応物が基板表面と反応することができる速度より速い速度で堆積プロセスを進行させることができないことによる。いくつかの実施形態では、外径がより大きい真空チャネルは、律速反応物である反応物と関連付けられる。
【0033】
いくつかの実施形態では、真空チャネルの外径は、ウエハ上の全堆積と、ウエハのエッジ除外ゾーン上の非堆積の間の移行ゾーンのサイズを変えるために異なっている。堆積移行ゾーンは、第1の反応物と第2の反応物の間の原子層堆積(ALD)反応によって形成される。いくつかの実施形態では、第1の処理領域311および第2の処理領域312は同心である。
【0034】
ウエハの外部部分は、処理中における接触点である領域であり、通常、最終デバイスでは省略される領域である。ウエハのこの領域はエッジ除外ゾーンと呼ばれる。典型的には、エッジ除外ゾーンは約2mmの幅を有している。例えばエッジ除外ゾーンが2mmである直径300mmのウエハは、直径296mmの使用可能面積を提供する(300mmから両側の2mmを控除する)。
【0035】
図5は、基板支持体333の一部を有するウエハ60の外部周囲エッジ62の略図を示したものである。示されているウエハ60は、エッジ除外ゾーン355の始まりを示す太い線64、およびウエハ60の外部周囲エッジ62を示すもっと太い線を有している。いくつかの実施形態では、基板支持体333は、全堆積がウエハの直径の外側まで続く領域を有している。移行ゾーン360は全堆積の領域350の外側である。移行ゾーン360は、領域350における全堆積が移行ゾーン355の外側の領域365における非堆積まで減少する堆積厚さの勾配を有している。
【0036】
典型的なALDプロセスでは、全堆積と非堆積の間の移行ゾーンは約6mmの幅を有している。示されている実施形態では、移行ゾーン360はエッジ除外ゾーン355内で始まり、ウエハ60の外部周囲エッジ62を超えて延びて、基板支持体333の部分への堆積をもたらしている。移行ゾーンがエッジ除外ゾーンの始まりで開始すると、少なくとも4mmの堆積が基板支持体上に存在することになる。
【0037】
したがって、本開示のいくつかの実施形態は、有利には、移行ゾーンの幅を狭くし、それにより基板支持体上の堆積の幅を狭くするための装置および方法を提供する。いくつかの実施形態では、移行ゾーン全体がウエハのエッジ除外ゾーン内になるように移行ゾーンの幅が低減され、かつ、位置決めされる。
【0038】
図6は、本開示の1つまたは複数の実施形態による装置を使用している別の実施形態を
図5と同様の図を使用して示したものである。
図6に示されている実施形態では、線361における全堆積の領域350から点線362における非堆積まで延びている移行ゾーン360は、エッジ除外ゾーン355の幅より狭い幅を有している。示されている実施形態では、移行ゾーン360全体がエッジ除外ゾーン355内に存在し、したがって、全堆積の領域350はウエハ60をエッジ除外ゾーン355中に覆っており、基板表面333の堆積は生じない。
【0039】
いくつかの実施形態では、堆積移行ゾーン360は、第1の外径および第2の外径が同じである同様の処理チャンバの中で基板の上に形成される堆積移行ゾーンより小さい。いくつかの実施形態では、堆積移行ゾーン360は、1つの真空チャネルを有する処理チャンバの中で形成される堆積移行ゾーンより小さい。例えば単一ウエハ処理チャンバでは時間ドメインALDプロセスが実施される。
【0040】
本発明者らは、第1の外径OD1および第2の外径OD2の相違は移行ゾーン355の幅WZに影響を及ぼし得ることを見出した。いくつかの実施形態では、第1の外径OD1と第2の外径OD2の間の差は、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mmまたは10mm以上である。いくつかの実施形態では、第1の外径OD1と第2の外径OD2の間の差は、1mmから8mmの範囲、または2mmから5mmの範囲である。
【0041】
いくつかの実施形態では、第1の外径OD1と第2の内径ID2の間の差は移行ゾーン355の幅WZに影響を及ぼす。いくつかの実施形態では、第1の外径OD1と第2の内径ID2の間の差は、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mmまたは10mm以上である。いくつかの実施形態では、第1の外径OD1と第2の外径OD2の間の差は、1mmから8mmの範囲、または2mmから5mmの範囲である。いくつかの実施形態では、第1の外径O1と第2の内径ID2の間の差は、5mm、4mm、3mm、2mmまたは1mm以下の負数である。この方法で使用されているように、負の幅は第2の内径ID2が第1の外径OD1より小さいことを意味している。いくつかの実施形態では、第2の内径ID2は第1の外径OD1の±0.5mmまたは±0.25mm以内である。
【0042】
いくつかの実施形態では、第1の内径ID1は、処理されるウエハの外径の±5mm、±10mm、±15mmまたは±20mm以内である。例えば300mmのウエハが処理されるいくつかの実施形態では、第1の内径ID1は、280mmから320mmの範囲、または285mmから315mmの範囲、あるいは290mmから310mmの範囲、もしくは295mmから305mmの範囲である。
【0043】
いくつかの実施形態では、第1の外径OD1は、板支持体上で支持されるウエハの直径より小さい。いくつかの実施形態では、第1の外径OD1は、処理されるウエハの直径より5mm、4mm、3mm、2mmまたは1mm以上小さい。言い換えると、いくつかの実施形態では、第1の外径OD1は、処理される基板の直径より5mm、4mm、3mm、2mmまたは1mm以上の長さだけ小さい。
【0044】
いくつかの実施形態では、第1の外径OD1は、処理されるウエハの外径の±5mm、±10mm、±15mmまたは±19mm以内である。第1の外径OD1は第1の内径ID1より大きい。例えば300mmのウエハが処理されるいくつかの実施形態では、第1の外径OD1は、281mmから319mmの範囲、または285mmから315mmの範囲、あるいは290mmから310mmの範囲、もしくは295mmから305mmの範囲である。
【0045】
いくつかの実施形態では、第2の内径ID2は、処理されるウエハの外径の-5mm、0mm、5mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、35mmまたは40mm以内である。この方法で使用されているように、負数は、言及されている直径が処理されるウエハより小さいことを意味している。例えば300mmのウエハが処理されるいくつかの実施形態では、第2の内径ID2は、295mmから340mmの範囲、または300mmから335mmの範囲、あるいは305mmから330mmの範囲、もしくは310mmから325mmの範囲、もしくは315mmから320mmの範囲である。
【0046】
いくつかの実施形態では、第2の外径OD2は、処理されるウエハの外径の-4mm、0mm、5mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mmまたは41mm以内である。第2の外径OD2は第2の内径ID2より大きい。例えば300mmのウエハが処理されるいくつかの実施形態では、第2の外径ID2は、296mmから341mmの範囲、または300mmから340mmの範囲、あるいは305mmから335mmの範囲、もしくは310mmから330mm、もしくは315mmから325mmの範囲である。
【0047】
いくつかの実施形態の第1の真空チャネル幅W1は、10mm、9mm、8mm、7mm、6mm、5mm、4mm、3mmまたは2mm以下である。いくつかの実施形態では、第2の真空チャネル幅W2は、10mm、9mm、8mm、7mm、6mm、5mm、4mm、3mmまたは2mm以下である。いくつかの実施形態では、第1の真空チャネル(第1の真空チャネル幅W1)および第2の真空チャネル(第2の真空チャネル幅W2)の開口は、それぞれ、10mm、9mm、8mm、7mm、6mm、5mm、4mm、3mmまたは2mm以下である。
【0048】
もう一度
図3および
図4を参照すると、いくつかの実施形態は、それぞれ第1の処理領域311および/または第2の処理領域312の外側に第1のパージ領域380aおよび/または第2のパージ領域380bをさらに備えている。いくつかの実施形態では、第1のパージ領域380および/または第2のパージ領域380bは、パージガスの流れを提供して、処理領域311、312からのプロセスガスの拡散を防止するパージガスポート382a、382bを含む。いくつかの実施形態では、パージ領域は、処理ステーション110(
図1に示されている)同士の間の処理領域311、312の外側である。いくつかの実施形態では、第1の処理領域311および第2の処理領域312は、パージ領域によって空間的に分離されている。
【0049】
本開示のいくつかの実施形態は基板を処理する方法を対象としている。基板は、第1の処理領域311で第1の反応物に曝露され、また、第2の処理領域312で第2の反応物に曝露される。第1の処理領域311は、第1の幅W1を画定している第1の内径ID1および第1の外径OD1を有する第1の真空チャネル341aによって外部周囲の周りに範囲が定められている。第2の処理領域312は、第2の幅W2を画定している第2の内径ID2および第2の外径OD2を有する第2の真空チャネル341bによって外部周囲の周りに範囲が定められている。第1の真空チャネル341aの第1の外径OD1または第2の真空チャネル341bの第2の外径OD2のうちの一方は、第1の真空チャネル341aまたは第2の真空チャネル341bの他方より大きい。
【0050】
いくつかの実施形態では、方法は、基板を第1の処理領域311から第2の処理領域312へ移動させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、基板支持体が回転軸211の周りを一定の距離だけ移動し、それによりウエハが第1の処理領域311を有する第1の処理ステーションから第2の処理領域312を有する第2の処理ステーションへ移動するよう、基板支持体200(例えば
図1の基板支持体200)を回転させることができる。
【0051】
本開示のいくつかの実施形態は、二重排気チャネルを有するシャワーヘッドすなわちガス分配プレート320を対象としている。
図8は、第1の処理領域311および第2の処理領域312が重畳しているガス分配プレート320の実施形態を示したものである。処理領域は、第1の真空チャネル341aおよび第2の真空チャネル341bによって範囲が定められている。第1の真空チャネル341aまたは第2の真空チャネル341bのうちの一方は、第1の処理領域311または第2の処理領域312のうちのいずれかと共に使用される。例えば第1の反応では、第1のプロセスガスが第1の処理領域311に流入し、ウエハ60を横切って流れて、第1の真空チャネル341aから流出する。第2の反応では、第2のプロセスガスが第2の処理領域312に流入し、ウエハ60を横切って第2の真空チャネル341bから流出する。第1のプロセスガスが流れている間、第2の真空チャネル341bは、第1の処理領域311と同じ圧力で真空下にあってもよく、あるいは反応性ガスが第2の真空チャネル341bに流入するのを防止するためのパージガス流を有することも可能である。第2のプロセスガスが流れている間、第1の真空チャネル341aは、第2の処理領域312と同じ圧力で真空下にあってもよく、あるいは反応性ガスが第1の真空チャネル341aに流入するのを防止するためのパージガス流を有することも可能である。
【0052】
いくつかの実施形態では、ガス分配プレート320は二重プレナム排気を含む。
図8に示されているように、いくつかの実施形態では、第1の真空チャネル341aは第1のプレナム345aに接続され、また、第2の真空チャネル341bは第2のプレナム345bに接続されている。処理中における任意の所与の時間における第1のプレナム345aおよび第2のプレナム345bは真空状態下にあってもよく、あるいは処理領域に向かって流れるガスを有することができる。いくつかの実施形態では、パージガスチャネル382は、反応性ガスが処理チャンバの残りの部分へ移動するのを防止するためのパージガス流を提供するために、真空チャネルの処理領域とは反対側に存在している。
【0053】
いくつかの実施形態では、ガス分配プレート320は、分離可能シャワーヘッド327およびポンプリング401、402を備えている。いくつかの実施形態におけるパージリング381は、ガス分配プレート320が組み立てられると、ポンプリング401、402を取り囲む。分離可能ガス分配プレート320により、真空チャネルの外径を容易に変更することができる。例えば第1の外径OD1を有する第1の真空チャネル341aを有する第1のポンプリング401は、第2の外径OD2を有する第2の真空チャネル341bを有する第2のポンプリング402と交換することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、
図1に示されているように複数の処理ステーションが存在している。いくつかの実施形態では、基板支持体は、複数の基板を複数のヒータ上、静電チャック上、より一般的には支持表面で支持するように構成されている。ガス分配プレート320のポンプリングは、ポンプリングを異なる外径と交換することによって堆積移行ゾーンを調整するために容易に変更することができる。
【0055】
図10、
図11Aおよび
図11Bを参照すると、本開示の1つまたは複数の実施形態は、多重脚真空チャネル440を有するガス分配プレート320を対象としている。ガス分配プレート320は、前面321および裏面323を有する本体を有している。
図9に示されているように、ガス分配プレート320の本体を貫通して複数の開孔が延びており、プレナム322から処理領域312へのガスの通過を許容している。
図3に示されている実施形態では、プレナム322はガス分配プレート320に統合されている。
図10に示されている実施形態では、プレナム322は、ガス分配プレート320の裏面323とバッキング板325の間に形成されている。ガス分配プレート320の本体は、外部周囲エッジ328によって範囲が定められている。
【0056】
真空チャネル440は、ガス分配プレート320の前面321から裏面323まで延びている。真空チャネルは、前面321に入口開口446を有し、また、裏面323に出口開口448を有している。真空チャネル440は、前面321に対して第1の角度Θ1で、前面321の入口開口446から第1の長さL1にわたって延びている第1の脚441、および前面321に対して第2の角度Θ2で、第1の脚441から裏面323の出口開口448まで第2の長さL2にわたって延びている第2の脚442を備えている。
【0057】
図11Aを参照すると、第1の脚441は、ガス分配プレート320の前面321から測定した長さL
1を有している。第1の脚441および第2の脚442の幅は異なり得るため、第1の脚441および第2の脚442の長さは、第1の線451および第2の線452の交点453に対して測定されている。第1の線451は、第1の脚441の内径IDおよび外径ODに対して、第1の脚441の中心で測定した仮想線である。第2の線452は、ガス分配プレートの中心における第2の脚442の表面、およびガス分配プレートの中心から遠く離れた第2の脚442の表面に対して、第2の脚442の中心で測定した仮想線である。
【0058】
いくつかの実施形態では、第1の脚441は1mmから7.5mmの範囲の第1の長さL1を有している。いくつかの実施形態では、第1の脚441は2mmから6mmの範囲、または3mmから5mmの範囲、あるいは約4mmの第1の長さL1を有している。
【0059】
いくつかの実施形態では、第1の脚441は前面321から第1の角度Θ1で延びている。90°未満の角度は、裏面323により近い第1の脚441の端部はガス分配プレート320の中心から遠く離れており、したがって、第1の脚441は裏面323および外部周囲エッジ328に向かって傾斜していることを意味している。いくつかの実施形態の第1の角度Θ1は、前面321に対して80°から100°の範囲、または前面に対して85°から95°の範囲である。いくつかの実施形態では、第1の角度は、前面321に対して、92°、91°、90°、85°、80°、75°または70°以下であり、また、65°、70°、75°、80°または85°以上である。
【0060】
第1の脚441の幅W1は、1mmから3mmの範囲、または1.5mmから2.5mmの範囲、あるいは1.75mmから2.25mmの範囲である。いくつかの実施形態では、第1の脚441の幅W1は、ガス分配プレート中への深さに沿ってずっと一様である。いくつかの実施形態では、第1の脚の幅は、ガス分配プレート中への深さに沿って変化する。
【0061】
いくつかの実施形態では、第1の脚は、ガス分配プレートの前面に形成された、連続する円の形のチャネルである。
図10は、第1の脚441のための連続するチャネル、および第2の脚442の複数の開口444を示したものであり、それぞれ第2の脚442を第1の脚441であるチャネルに接続している開口を有している。
【0062】
いくつかの実施形態では、真空チャネルの第1の脚は300mmから302mmの範囲の内径を有している。いくつかの実施形態では、真空チャネルの第1の脚は301mmから305mmの範囲の外径を有している。
【0063】
いくつかの実施形態では、
図11Dに示されているように、真空チャネル440の入口開口446は前面321にフィレット447を有している。いくつかの実施形態では、フィレット447は0.15mmから0.4mmの範囲の半径r
fを有している。フィレット447が存在する場合、内径IDおよび外径ODは、フィレット447の外部外延から測定される。
【0064】
いくつかの実施形態では、
図11Eに示されているように、真空チャネル440の入口開口446は前面321に面取り449を有している。いくつかの実施形態では、面取り449は、0.1mmから0.4mmの範囲の長さを有する面取り面を有している。面取り449が存在する場合、内径IDおよび外径ODは、面取り449の外部外延から測定される。
【0065】
図11Aから
図11Cに戻って参照すると、いくつかの実施形態では、第2の脚442は、1.1mmから6mmの範囲、または2mmから5mmの範囲、あるいは3mmから4mmの範囲の第2の幅W
2を有している。いくつかの実施形態では、第2の脚442の幅W
2は第1の脚441の幅W
1と同じか、それより広い。
【0066】
いくつかの実施形態における第2の脚442の第2の角度Θ2は、第1の脚441の第1の角度Θ1より小さい。いくつかの実施形態では、第2の角度Θ2は、25°から70°の範囲、または30°から65°の範囲、あるいは35°から60°の範囲、もしくは40°から55°の範囲である。
【0067】
もう一度
図10を参照すると、いくつかの実施形態では、真空チャネル440の形状により、1mmから5mm、1.5mmから4mm、または2mmから3mmの範囲の長さだけウエハ60をエッジリング245から張り出させることができる。
【0068】
本開示のいくつかの実施形態は、
図10から
図11Eに示されているガス分配プレート320を組み込んだ処理チャンバを対象としている。いくつかの実施形態では、処理チャンバは、基板支持体の頂面の反対側に第1の前面を有する第1のガス分配プレートを備えており、第1のガス分配プレートは第1の前面に第1の真空チャネルを有し、第1の真空チャネルは第1の外径を有している。いくつかの実施形態の処理チャンバは、基板支持体の頂面の反対側に第2の前面を有する第2のガス分配プレートを備えた第2の処理領域を含み、第2のガス分配プレートは第2の前面に第2の真空チャネルを有し、第2の真空チャネルは前面に入口開口を有し、また、第2のガス分配プレートの第2の裏面に出口開口を有し、第2の真空チャネルは、第2の前面に対して第1の角度で、第2の前面の入口開口から第1の長さにわたって延びる第1の脚を備え、また、第2の前面に対して第2の角度で、第1の脚から第2の裏面の出口開口まで第2の長さにわたって延びる第2の脚を備え、第2の真空チャネルの入口開口は、第1の外径より大きい第2の内径を有している。
【0069】
さらなる実施形態は、ウエハが第1の処理領域内で第1の反応物に曝露され、第2の処理領域内で第2の反応物に曝露される処理方法を対象としている。第1の処理領域および第2の処理領域は、異なる内径を有する真空チャネルを有するガス分配プレートを有している。
【0070】
本明細書全体を通した、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」または「実施形態」に対する参照は、実施形態に関連して説明されている特定の特徴、構造、材料または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味している。したがって、本明細書全体を通した様々な場所における「1つまたは複数の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「一実施形態では」または「実施形態では」などの語句の出現は、必ずしも本開示の同じ実施形態を意味しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、材料または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0071】
以上、本明細書において、特定の実施形態を参照して本開示について説明したが、説明されている実施形態は、単に、本開示の原理およびアプリケーションを例証したものにすぎないことは当業者には理解されよう。本開示の精神および範囲を逸脱することなく、様々な修正および変更を本開示の方法および装置に加えることができることは当業者には明らかであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内である修正および変更を含むことができる。
【国際調査報告】