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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】デジタル粒子解析
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/0227 20240101AFI20240718BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20240718BHJP
   G06T 7/62 20170101ALI20240718BHJP
   C04B 20/00 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
G01N15/0227 110
G06T7/60 150S
G06T7/62
C04B20/00 A
C04B20/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575441
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2023-12-06
(86)【国際出願番号】 EP2022065601
(87)【国際公開番号】W WO2022258715
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2021/065367
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】22153044.7
(32)【優先日】2022-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ANDROID
3.Linux
4.iOS
(71)【出願人】
【識別番号】506416400
【氏名又は名称】シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100227352
【弁理士】
【氏名又は名称】白倉 加苗
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ フェルテン
(72)【発明者】
【氏名】イェルク フォゲルサング
(72)【発明者】
【氏名】アンネッテ バインカウフ
(72)【発明者】
【氏名】イェルク ツィンマーマン
(72)【発明者】
【氏名】カルステン リーガー
(72)【発明者】
【氏名】ベネディクト リントラル
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー アペ
(72)【発明者】
【氏名】オスカー マラッツィーニ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン オブスト
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル フォルベルク
(72)【発明者】
【氏名】マーティン リスカ
(72)【発明者】
【氏名】ミラン カンドラ
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096CA02
5L096DA02
5L096FA06
5L096FA64
(57)【要約】
固体粒子、特に砂粒子を特徴付けるコンピュータ実装方法は、a)解析対象の固体粒子のサンプルを所定のサンプル領域内に提供するステップと、b)固体粒子のサンプルの少なくとも1つのデジタル画像をモバイルコンピュータデバイスのカメラで撮影するステップと、c)少なくとも1つのデジタル画像の画像粒子解析を行って、少なくとも1つのデジタル画像中で識別された粒子集団の少なくとも1つの粒子径パラメータ及び/又は少なくとも1つの粒形パラメータを抽出するステップと、d)少なくとも1つの粒子径パラメータ及び/又は少なくとも1つの粒形パラメータを、ユーザーインタフェースを介して、マシンインタフェースを介して、及び/又はデータ記憶媒体上で提供するステップと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体粒子、特に砂粒子を特徴付けるコンピュータ実装方法であって、
a)解析対象の固体粒子のサンプルを所定のサンプル領域内に提供するステップと、
b)前記固体粒子のサンプルの少なくとも1つのデジタル画像をモバイルコンピュータデバイスのカメラ又はモバイルデバイスに接続されたカメラで撮影するステップと、
c)前記少なくとも1つのデジタル画像の画像粒子解析を行って、前記少なくとも1つのデジタル画像中で識別された粒子集団の少なくとも1つの粒子径パラメータ及び/又は少なくとも1つの粒形パラメータを抽出するステップと、
d)前記少なくとも1つの粒子径パラメータ及び/又は前記少なくとも1つの粒形パラメータを、ユーザーインタフェースを介して、マシンインタフェースを介して、及び/又はデータ記憶媒体上で提供するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記モバイルコンピュータデバイスは、特に入力装置及びディスプレイ、並びに好ましくは無線通信インタフェースを含むヒューマンインタフェースデバイスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記モバイルコンピュータデバイスは、携帯電話、モバイルコンピュータ若しくはポータブルコンピュータ、及び/又はカメラ付きのヘッドマウントディスプレイから選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記カメラは、可視スペクトルの画像、特にカラー画像を撮影するカメラである、請求項1~3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記カメラは少なくとも200万画素、特に少なくとも500万画素、好ましくは少なくとも800万画素、特に少なくとも1,200万画素、特に好ましくは少なくとも2,000万画素、さらにより好ましくは少なくとも5,000万画素、又は少なくとも10,000万画素超の解像度を有する、請求項1~4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記サンプル領域は参照スケールを含み、及び/又は既知の大きさを有する、請求項1~5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記所定のサンプル領域は2次元サンプル領域、好ましくは薄いシート材料である、特に所定の大きさの薄いシート材料である、請求項1~6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記サンプルの前記粒子は砂、骨材、繊維、及び/又はガラス球から選択される、請求項1~7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記画像を撮影する際、前記カメラは、前記画像中の前記サンプル領域の割当が、特にユーザーに配列の指示を提供することによって、及び/又は前記カメラの少なくとも1つの設定、例えば前記カメラの焦点距離を自動的に調整することによって最大化されるように配列される、請求項1~8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
最小の検出可能粒子径は、前記カメラの前記解像度、前記画像の総面積中の前記サンプル領域の長さの割当、及び前記サンプル領域の実際の長さを考慮することにより計算される、請求項1~9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
最小の検出可能粒子径が所定の閾値より小さい場合、ユーザーに警告が提供され、配列の指示がユーザーに提供され、及び/又は前記カメラの設定、例えば焦点距離が自動的に調整される、請求項1~10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
抽出された前記少なくとも1つの粒子径パラメータは、前記少なくとも1つのデジタル画像中で識別された前記粒子集団の前記粒子径分布を含む、請求項1~11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのデジタル画像の各々について、外形画像が生成され、好ましくは、前記外形画像はステップd)でユーザーインタフェースを介して、マシンインタフェースを介して、及び/又はデータ記憶媒体上で提供される、請求項1~12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
ステップb)で、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、特に少なくとも5つ、又は少なくとも10のデジタル画像が撮影され、各画像について、ステップc)で画像粒子解析が行われ、前記少なくとも2つの画像から個々に抽出された前記少なくとも1つの粒子径パラメータ及び/又は前記少なくとも1つの粒形パラメータの各々を考慮することにより、前記少なくとも1つの粒子径パラメータ及び/又は前記少なくとも1つの粒形パラメータの偏差、特に標準偏差が特定される、請求項1~13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記偏差が所定の閾値より大きい場合、警告がユーザーに提供され、及び/又はそれにより、パラメータの相違が生じているデジタル画像及び/又は外形画像が識別され、及び/又は指示される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの粒子径パラメータは、平均粒子径、平均直径、x=1-100とするD値、及び/又は粗粒率の群から選択される少なくとも1つの統計的パラメータを含む、請求項1~15の何れか1項に記載の方法。
【請求項17】
抽出される前記少なくとも1つの粒子径パラメータは、所定の公称値及び/又は公称分布からの偏差を含む、請求項1~16の何れか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記最小の検出可能粒子径より小さい粒子径について、前記粒子径分布は前記抽出された粒子径分布に基づいて推定される、請求項1~17の何れか1項に記載の方法。
【請求項19】
抽出された前記少なくとも1つの粒形パラメータは、真円度、球形度、アスペクト比、粗度、面積包絡度、フレーク指数、形状指数、破砕及び破壊された表面のパーセンテージ、及び/又は傾斜度を含む、請求項1~18の何れか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの粒形パラメータは、所定の大きさの粒子、特にある閾値の大きさより大きい粒子のみについて抽出され、又は、前記粒子の少なくとも2つ以上の所定の粒子群の各々について、少なくとも1つの個々の粒形パラメータが抽出され、特に前記粒形パラメータの少なくとも1つの個々の平均値が抽出される、請求項1~19の何れか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記固体粒子のサンプルに少なくとも1つの属性を割り当てるステップを含む、請求項1~20の何れか1項に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも部分的に、特に完全に前記モバイルコンピュータデバイス上で実行される、請求項1~21の何れか1項に記載の方法。
【請求項23】
ステップc)の前記画像解析及び/又はステップd)の前記提供は、別のコンピュータデバイス上、例えばサーバ上で実行される、請求項1~22の何れか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記画像は、好ましくは前記少なくとも1つの属性及び任意選択的に前記外形画像と共に、外部コンピュータデバイス上、例えばサーバに、特に共有し、呼び出し、及び/又はさらに評価するために保存される、請求項1~23の何れか1項に記載の方法。
【請求項25】
モバイルコンピュータデバイスと、任意選択的に追加の別のコンピュータデバイスを含むシステムであって、
(i)請求項1に記載の前記方法の前記ステップa)~d)を実行する手段、及び/又は
(ii)請求項1に記載の前記方法の少なくとも前記ステップa)及びb)、特にステップa)及びb)及びd)を実行する手段と、固体粒子のサンプルの少なくとも1つのデジタル画像を、任意選択的に少なくとも1つの属性と共に前記別のコンピュータデバイスに転送する手段と、
を含むシステム。
【請求項26】
コンピュータデバイスを含むシステムであって、固体粒子のサンプルの少なくとも1つのデジタル画像を受信する手段と、請求項1に記載の前記方法のステップc)及び/又はd)を実行する手段と、を含むシステム。
【請求項27】
モバイルコンピュータデバイスにより実行されると、前記モバイルコンピュータデバイスに請求項1に記載の前記方法の少なくとも前記ステップa)~b)、特にa)及びb)及びd)、特にステップa)~d)を実行させる指示を含むコンピュータ可読媒体。
【請求項28】
コンピュータデバイスにより実行されると、前記外部コンピュータデバイスに少なくとも1つのデジタル画像を受信し、請求項1に記載の前記方法のステップc)及び/又はd)を実行させる指示を含むコンピュータ可読媒体。
【請求項29】
少なくとも結合材と固体粒子を含む硬化性組成物の調合を提供する方法であって、前記固体粒子は前記結合材とは異なり、特に前記固体粒子は何れの結合材も含まず、又は結合材からならない方法であって、(i)前記固体粒子の少なくとも1つの粒子径パラメータ及び/又は少なくとも1つの粒形パラメータを取得するステップと、(ii)前記調合の少なくとも1つの成分、特に前記固体粒子及び/又は添加剤の性質及び/又は前記調合中の割合を、前記少なくとも1つの粒子径パラメータ及び前記少なくとも1つの粒形パラメータを考慮することによって特定するステップと、を含む方法。
【請求項30】
前記調合は、コンピュータデバイスを用いて、ユーザーインタフェースを介して、マシンインタフェースを介して、及び/又はデータ記憶媒体上で提供される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
コンピュータデバイスを含むシステムであって、請求項29に記載の前記方法の少なくともステップ(ii)、特に請求項29に記載の前記方法のステップ(i)及び(ii)を実行する手段を含むシステム。
【請求項32】
コンピュータデバイスにより実行されると、前記コンピュータデバイスに、請求項29に記載の前記方法の少なくともステップ(ii)、特に請求項29に記載の前記方法のステップ(i)及び(ii)を実行させる指示を含むコンピュータ可読媒体。
【請求項33】
少なくとも結合材と固体粒子を含む硬化性組成物の製造方法であって、前記固体粒子は前記結合材とは異なり、特に前記固体粒子は何れの結合材も含まず、又は結合材からならない方法であって、(i)前記固体粒子の少なくとも1つの粒子径パラメータ及び/又は少なくとも1つの粒形パラメータを取得するステップと、(ii)前記固体粒子を前記結合材及び何れかの任意選択的な別の成分を混合するステップと、を含み、前記少なくとも1つの粒子径パラメータ及び前記少なくとも1つの粒形パラメータは、前記成分の少なくとも1つ、特に前記固体粒子及び/又は添加剤の性質及び/又は前記組成物中の割合を特定するために考慮される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体粒子、特に砂粒子の特徴付けのためのコンピュータ実装方法のほか、この方法を実行する手段を備えるシステムと、この方法を実行するための指示を含むコンピュータ可読媒体に関する。本発明の他の態様は、硬化性組成物の調合を提供する方法及び硬化性組成物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建設業界において、硬化性組成物は様々な用途に広く使用されている。このような組成物の例は、モルタル、コンクリート、グラウト、又はスクリード組成物である。これらの組成物は典型的に、固体骨材と共に結合材を含む。
【0003】
結合材は、例えば水硬性結合材等の鉱物結合材のほか、硬化性ポリマー組成物等の有機結合材から選択され得る。骨材は、硬化性組成物の所望の特性に応じて選択される。典型的に、骨材としては砂、砂利、岩紛、及び/又はポリマー粒子が含まれる。
【0004】
例えば、砂に関して、これまで通常は高品質の川砂が使用されてきた。しかしながら、将来的に高品質の砂は希少となり、取得しにくくなるであろう。それゆえ、低等級の川砂等の天然資源からでも、破砕等の特殊な製造プロセスからでも、品質の低い砂をますます使用せざるを得ない。これは、硬化性組成物、特にコンクリート及びモルタル組成物の調製に大きな影響を与えることになり、それは砂の特定の性質が硬化性組成物の特性に重要な影響を与えるからである。この点を適正に考慮に入れなければならないが、その理由は、砂の品質が低下しても、養生組成物、例えば硬化コンクリート又はモルタルに対する技術的要求は高いままであるか、さらに高くなるからである。
【0005】
一般に、所望の特性を有する硬化性組成物を標的の方法で製造するためには、骨材の特定の性質を考慮に入れることが重要である。例えば、低品質の砂に関しては、その低品質の砂について、(i)微粉の性質が重要であるか否か、(ii)粒形が重要であるか、及び/又は(iii)微粉含有量が十分であるか否かをチェックすることが特に重要である。
【0006】
具体的には、硬化性組成物、特にコンクリート及びモルタル組成物中の砂の挙動は、とりわけ破砕方式、粒形、表面組織、微粉含有量、鉱物汚染、及び粒度に依存する。
【0007】
砂と骨材の粒度は、砂と骨材の最密充填を確実に行うためのコンクリート配合設計の粒度を計算するうえでのキーとなる要素である。それによって、特に粒形(それ自体は製造方法又は砂及び/若しくは骨材の供給元に依存する)は典型的に、コンクリート配合設計の必要な粒度に影響を与える。
【0008】
人工砂の場合、特に項目(ii)及び(iii)が関係する。微粉含有量はふるい分けにより特定できる。これは標準的な手順であるが、非常に時間を要する。ふるい分けでは、粒度が希望通りであるか否か、又は他の砂分と混合することによって調整しなければならないか否かがわかる。
【0009】
それに対して、粒形、すなわち上述の項目(ii)は、硬化性組成物の粒度を最適化するための日常業務においてはほとんど解析されない。通常、これは骨材が特定の規格を満たすかどうかを制御するために必要な場合のみ行われる。それは、特定の砂の粒形の解析には非常に時間がかかり、例えば規格EN 933-1:2012~7:2012において定義されているような特殊な器具が必要であることによる。
【0010】
それゆえ、骨材を包括的に特徴付けることのできる改良された解決策を提供する必要が依然としてある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、骨材を特徴付けるための改良された解決策を提供することである。骨材は特に砂を含む。それによって、好ましくは、この解決策により、できるだけ少ない器具で高速且つ信頼できる特徴付けプロセスを提供できるべきである。特に好ましくは、この解決策により、骨材の、特に粒度とそれらの粒形パラメータに関する完全な特徴付けを日常業務の中で実行できるべきである。好ましくは、特徴付けが行われた骨材を用いて、所望の特性を有する硬化性組成物の調合を標的の方法で製造できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
驚くべきことに、特許請求項1の特徴はこの目的を達成できることが分かった。それゆえ、本発明の中核は、固体粒子、特に砂粒子を特徴付けるコンピュータ実装方法に関し、これは、
a)解析対象の固体粒子のサンプルを所定のサンプル領域、特に2次元サンプル領域内に提供するステップと、
b)固体粒子のサンプルの少なくとも1つのデジタル画像をモバイルコンピュータデバイスのカメラ又はモバイルデバイスに接続されたカメラで撮影するステップと、
c)少なくとも1つのデジタル画像の画像粒子解析を行って、少なくとも1つのデジタル画像中の粒子集団の少なくとも1つの粒子径パラメータ及び/又は少なくとも1つの粒形パラメータ、好ましくは少なくとも1つの粒子径パラメータ及び少なくとも1つの粒形パラメータを抽出するステップと、
d)少なくとも1つの粒子径パラメータ及び/又は少なくとも1つの粒形パラメータ、好ましくは少なくとも1つの粒子径パラメータ及び少なくとも1つの粒形パラメータを、ユーザーインタフェースを介して、マシンインタフェースを介して、及び/又はデータ記憶媒体上で提供するステップと、
を含む。
【0013】
本発明の方法は、例えばスマートフォン等の従来のモバイル機器上で実施できる独自のアプローチである。それゆえ、複雑で高額な解析器具が不要である。この方法によればさらに、大きさと形状の両方の点での、固体粒子のきわめて高速で柔軟で正確なデジタル特徴付けが可能となる。それによって、異なる性質及び大きさの固体粒子を、1つの同じハードウェアデバイスで容易に特徴付けることができる。
【0014】
固体粒子の特徴付けを行う高速且つ容易な方法により、硬化性組成物のため、例えばコンクリート組成物のための配合設計の日常的な最適化を実現でき、それに伴う追加の労力は無視できる程度である。
【0015】
具体的には、この方法は様々な方法で実行でき、例えばモバイルデバイス上で実行されるスタンドアロンアプリケーションの形態であり、それ以上の、例えばサーバシステム等のリソースを必要としない。これは、通信ネットワークへのアクセスが限定されている場合、例えば都市の中心部から離れた場所や地下において特に有益である。しかしながら、この方法は、例えばクライアントとしてのモバイルデバイスとストレージユニットとしての専用サーバ及び専用処理ユニットの組合せを含む分散型コンピューティング環境でも実行できる。
【0016】
また、本発明の方法は、既知のソフトウェアアーキテクチャでも柔軟に実行でき、これは例えばネイティブアプリケーション、プログレシブウェブアプリケーション(PWA)、又はハイブリッドアプリケーション(ネイティブとPWAの組合せ)である。それによって、チュートリアル又はサポートサイトとの有益なインタネットリンクのほか、共有機能(例えば、電子メール、Bluetooth、Airdrop、又はその他の通信手段)もこのようなアプリケーションに含めることができる。また、本発明の方法は、1つの単独のアプリケーションソフトウェアで実装でき、又はそれは2つ以上の別々のアプリケーションに分割して、アプリケーション間のデータ交換のための適切なソフトウェアインタフェースを用いてもよい。さらに、アプリケーション(複数の場合もある)は、追加の機能を有するように柔軟に拡張できる。
【0017】
アプリケーションは、iOS、Android、Microsoft Windows及び/又はLinuxを含む何れの種類のオペレーティングシステム用にも実装できる。
【0018】
アプリケーションは、例えば公共ダウンロードセンター(例えば、Apple(登録商標)StoreやGoogle Play(登録商標))、民間企業が運営するウェブサイト、及び/又は専用ダウンロードサイト等、様々な配信チャネルを介して何れの人物からも容易に利用可能とすることができる。
【0019】
本発明のその他の態様は、他の独立請求項の主題である。特に好ましい実施形態は、説明及び従属クレームの中にその概要が記されている。
【0020】
発明を実行する方法
本発明の第一の態様は、固体粒子、特に砂粒子を特徴付けるコンピュータ実装方法に関し、これは、
a)解析対象の固体粒子のサンプルを所定のサンプル領域内に提供するステップと、
b)固体粒子のサンプルの少なくとも1つのデジタル画像をモバイルコンピュータデバイスのカメラ又はモバイルデバイスに接続されたカメラで撮影するステップと、
c)少なくとも1つのデジタル画像の画像粒子解析を行って、少なくとも1つのデジタル画像中の粒子集団の少なくとも1つの粒子径パラメータ及び/又は少なくとも1つの粒形パラメータ、好ましくは少なくとも1つの粒子径パラメータ及び少なくとも1つの粒形パラメータを抽出するステップと、
d)少なくとも1つの粒子径パラメータ及び/又は少なくとも1つの粒形パラメータ、好ましくは少なくとも1つの粒子径パラメータ及び少なくとも1つの粒形パラメータを、ユーザーインタフェースを介して、マシンインタフェースを介して、及び/又はデータ記憶媒体上で提供するステップと、
を含む。
【0021】
これに関して、モバイルコンピュータデバイスは特にハンドヘルドコンピュータ、すなわち人が手で持ち、操作するのに十分に小さいコンピュータであるものとする。
【0022】
特に、モバイルコンピュータデバイスは、特に入力装置とディスプレイを含むヒューマンインタフェースデバイスと、好ましくは通信インタフェース、最も好ましくは無線通信インタフェースを含む。
【0023】
特にモバイルコンピュータデバイスは、携帯電話、モバイルコンピュータ、又はポータブルコンピュータから選択される。特に、モバイルコンピュータデバイスは、スマートフォン、ファブレット、タブレットコンピュータ、ポータブルコンピュータ、スマートウォッチ、及び/又はカメラ付きのヘッドマウントディスプレイから選択される。携帯電話及び/又はスマートフォンが非常に好ましい。
【0024】
携帯電話とスマートフォンは典型的に、高解像度カメラ、入力デバイス、及びディスプレイを備える。それによって、入力装置とディスプレイは典型的に、タッチセンサ式ディスプレイに組み込まれている。したがって、携帯電話とスマートフォンは、本発明の方法を実行するのに必要なハードウェアコンポーネントの全てを提供する。さらに、このような種類のデバイスは手で安定に保持でき、それによってこれらは画像撮影に非常に好適である。それと同時に、携帯電話とスマートフォンは典型的に、複雑なデータを十分に読める方法で表示できるような大きさのディスプレイを有する。
【0025】
「モバイルコンピュータデバイスのカメラ」という表現は、モバイルコンピュータデバイスに組み込まれた内蔵カメラを意味するものとする。それに対して、「モバイルコンピュータデバイスに接続されたカメラ」は、モバイルコンピュータデバイスに接続された別の機器である外部カメラを意味する。例えば、外部カメラはモバイルコンピュータデバイスに取り付けられたカメラ又は独立したカメラである。外部カメラとモバイルコンピュータデバイスとの間の接続は、有線及び/又は無線接続とすることができる。
【0026】
好ましくは、カメラは可視スペクトルの画像、特にカラー画像を撮影するためのカメラである。カラー画像により、本発明の方法のステップc)で固体粒子及び/又は所定のサンプル領域の色特性を考慮することができる。それゆえ、好ましくは、ステップb)で撮影された少なくとも1つのデジタル画像はカラー画像である。しかしながら、色情報が必要ではない場合、モノクロカメラ等のその他のカメラも使用できる。この場合、画像はモノクロ画像、例えば白黒画像である。
【0027】
また、可視スペクトル外の、例えば電磁スペクトルの赤外及び/又は紫外範囲の画像を撮影するためにカメラを使用することも可能である。このようなカメラは、他のカメラの代わりに、又はそれに加えて使用できる。この場合、ステップc)では、可視スペクトル外のスペクトル範囲の固体粒子の特性を考慮できる。
【0028】
好ましくは、カメラの解像度は少なくとも200万画素、特に少なくとも500万画素、好ましくは少なくとも800万画素、特に少なくとも1,200万画素、特に好ましくは少なくとも2,000万画素、さらにより好ましくは少なくとも5,000万画素、又は少なくとも10,000万画素超である。特に、カメラの解像度は少なくとも3,800画素×少なくとも2,100画素、すなわちいわゆる4K、好ましくは8K、より好ましくは12K、特に16Kの解像度である。解像度が高いほど、サンプル領域内のより小さい固体粒子を同定できる。しかしながら、特別な実施形態では、より低い解像度のカメラもまた好適であるかもしれない。
【0029】
特に、モバイルコンピュータデバイスは、カメラの解像度を自動的に認識するように構成される。
【0030】
特に、カメラの光学センサの大きさは少なくとも1/3’’、特に少なくとも1/2.5’’、好ましくは少なくとも1/1.7’’、好ましくは少なくとも2/3’’、特に少なくとも1/1.33’’、又は少なくとも1/1.2’’である。特に、カメラの光学センサの大きさは1/3’’~1’’である。
【0031】
言い換えれば、カメラの光学センサの幅×高さによる大きさは、好ましくは少なくとも4.8mm×3.6mm、特に少なくとも5.7mm×4.2mm、好ましくは少なくとも7.6mm×5.7mm、好ましくは少なくとも8.8mm×6.6mm、特に少なくとも9.6mm×7.2mm、又は少なくとも10.6mm×8.0mmである。特に、カメラの光学センサの幅×高さによる大きさは4.8mm×3.6mm~13.2mm×8.8mmである。
【0032】
一般に、センサの大きさが大きいほど、センサによってより多くの光を捕捉でき、それによって画像品質が向上する。しかしながら、その他のセンサの大きさのカメラも適当であるかもしれない。
【0033】
それに加えて、カメラには、例えばカメラの焦点距離を延長又は短縮するために、補足的なレンズが追加されてもよい。
【0034】
また、利用可能であれば、少なくとも1つのデジタル画像を撮影するために、モバイルコンピュータデバイスの、どちらも光学及び/又はデジタルの追加の広角及び/又は拡大レンズに必要に応じてアクセスできる。
【0035】
所定のサンプル領域は、2次元サンプル領域又は3次元サンプル領域とすることができる。
【0036】
2次元サンプル領域は好ましくは、平坦領域、特に平坦な長方形領域である。特に、2次元サンプル領域は水平に配置され、及び/又はそれは水平のサンプル領域である。
【0037】
所定のサンプル領域、特に2次元サンプル領域において、固体サンプルは好ましくは単層に、及び/又はサンプル領域内に基本的に粒子の重なりがないように配置される。
【0038】
しかしながら、他の好ましい実施例によれば、所定のサンプル領域内、特に3次元サンプル領域内の固体サンプルは多層に、及び/又は3次元サンプルに配置される。
【0039】
この場合、方法は例えば、少なくとも1つのデジタル画像中で一番上の表面層の粒子及び/又は重なっていない粒子のみが考慮され、その後の処理において他の残りの粒子は全て無視されるように実施できる。これは例えば、ステップc)において適切な画像処理アルゴリズムにより実現できる。
【0040】
代替的に、又は追加的に、ステップc)では粒子凝集体中の個々の固体粒子を同定するために設計された画像処理アルゴリズムを使用できる。これらの特殊な手法は、固体粒子の重なりが解析を偏らせるのを防止することになる。
【0041】
好ましくは、所定サンプル領域、特に2次元サンプル領域は参考スケールを含み、及び/又は既知の大きさを有する。参照スケールは、例えばサンプル領域内の文字、幾何形状、ルーラー、及び/又は既知の大きさの参照物体であり得る。これによって、所定のサンプル領域の大きさの正確な特定とステップc)における粒子径パラメータの正確な抽出が可能となる。
【0042】
好ましくは、モバイルコンピュータデバイスは、所定のサンプル領域、特に2次元サンプル領域の大きさを参照スケールに基づいて自動的に特定するように構成される。
【0043】
追加的又は代替的に、所定のサンプル領域、特に2次元サンプル領域は所定の既知の大きさを有する。この場合、好ましくは、モバイルコンピュータデバイスは所定の大きさを例えば所定の大きさのリストから設定するように構成される。この場合、参照スケールは不要である。
【0044】
特に、薄いシート材料、好ましくは所定の大きさの薄いシート材料が所定のサンプル領域、特に2次元サンプル領域として使用される。例えば紙、例えばDIN A5、A4、又はA3用紙が薄いシート材料として使用される。また、他のフォーマット、例えばタブロイド、レター、又はステートメントフォーマットの紙も使用できる。それに加えて、参照スケールを薄いシート材料上に存在させることができる。好ましくは、モバイルコンピュータデバイスは、所定のサンプル領域、特に2次元サンプル領域の大きさを自動的に特定するように構成される。
【0045】
所定のサンプル領域としての紙は、容易に入手でき、かなり安価である。
【0046】
一般に、所定のサンプル領域、特に2次元サンプル領域の大きさは、同定可能な最小の粒子径に影響を与える。サンプル領域の大きさが小さいほど、所定のサンプル領域、特に2次元サンプル領域内でより小さい固体粒子を同定できる。それゆえ、小さい粒子を特徴付けるためには、小さい所定のサンプル領域、特に小さい2次元サンプル領域が有利である。小さい粒子とは特に、粒子径D90が0.5mmを超えない、好ましくは0.1mmを超えない、特に0.063mmを超えない粒子である。
【0047】
特に、所定のサンプル領域、特に薄いシート材料は固体粒子の色とは異なる特定の色を有する。これはステップc)で個々の固体粒子を同定するのに役立つが、それは、カメラ解像度の限界に近い粒子の粒度及び同定をよりよく識別できるからである。それゆえ、好ましくは、画像粒子解析は、特定の背景色を差し引くステップを含む。
【0048】
特に、所定のサンプル領域、特に2次元サンプル領域の特定の色は白である。その結果、硬化性組成物で典型的に使用される固体粒子、例えば砂粒子を特徴付ける際に高いコントラストが得られる。しかしながら、他の粒子の場合は、所定のサンプル領域の別の特定の色が好ましい場合もある。
【0049】
好ましくは、所定のサンプル領域、特に2次元サンプル領域、特に薄いシート材料は、空間内の全ての方向において所定のサンプル領域、特に2次元サンプル領域より大きく、所定のサンプル領域の色とは異なる色の表面上に設置される。特に、表面の色は、所定のサンプル領域、特に2次元サンプル領域に関して高いコントラストを示すように選択される。例えば、所定のサンプル領域の色が白である場合、表面の色は黒である。
【0050】
これらの場合、所定のサンプル領域、特に2次元サンプル領域は異なる色のフレームで全体が取り囲まれる。これは、デジタル画像内の所定のサンプル領域、特に2次元サンプル領域を識別するのに役立つ。
【0051】
他の好ましい実施形態によれば、光を発する発光表面が所定のサンプル領域、特に2次元サンプル領域として使用される。それによって、発光表面は特に光源によって照明され、発光表面が表面全体にわたり均一な光分布で発光する。
【0052】
特に、ライトテーブルパッド、特にライトパッドが所定のサンプル領域として使用される。これは、おそらく光を発する発光表面を提供するのに有利な可能性がある。ライトテーブルは、水平に向けられ、裏面から光源で照明される平坦な発光表面を含む。特に、発光表面は裏面から光源で照明される半透明層からなる。
【0053】
ライトパッドは特に、厚さが発光表面の幅の20%未満又は10%未満且つその長さの20%未満又は10%未満の薄いライトテーブルである。ライトテーブルとライトパッドは例えばグラフィクスの分野で知られており、市販されている。
【0054】
光を発する発光表面、特にライトテーブルをサンプル領域として使用する場合、固体粒子のサンプルは発光表面の上、特に発光表面の前面上に配置される。
【0055】
他の所定のサンプル領域、例えば紙と比較して、発光表面、特にライトテーブル又はライトパッドは特に有利であり、それは、サンプル粒子の影を除くことができ、コントラストを増大させることができ、アーチファクトの発生がより少なく、特に明るい粒子及び/又は小さい粒子のよりよい粒子認識が可能であり、計算された外形のフィッティングを改善でき、ひいては粒形パラメータ及び粒子径の特定がより正確となるからである。全体として、結果の正確さを向上させることができる。
【0056】
特に、発光表面は、それが固体粒子の色とは異なる色を発するように照明され、好ましくは、発光表面はそれが白い光を発するように照明される。
【0057】
特に、光源は白色光の光源を含む。任意選択により、光源はそれに加えて、白以外の色の光の光源を含む。特に、光源の色は異なる色に切り替えることができる。白以外の色は白っぽい明るい色の砂の検出を向上させる。
【0058】
特に、光源はLED光源である。それによって、他の光源と比較してそれぞれ半透明表面上の、又はサンプル領域内の発熱が最小となる。このことにより、熱に起因するサンプルの変化のリスクが軽減される。
【0059】
LEDは時間的光変調の外乱の原因となり得る。時間的光変調とは、光の発光量又はスペクトル分布の経時的変化である。このような変調は、フリッカ、ストロボ効果、及びファントムアレイ効果等の望ましくない視覚認知につながり得る。このような効果は、時間的光アーチファクトとしても知られる。このような効果については、例えばJ.A.Veitchらによる“On the state of knowledge concerning the effects of temporal light modulation”20 Lighting Res.Technol 2021,53,89-92において説明している。本願に関しては、このような時間的光変調及びそれにより引き起こされる効果を回避することが好ましい。それゆえ、幾つかの実施形態によれば、光源は時間的光変調から生じる効果を回避するように構成される。
【0060】
好ましくは、光を発する発光表面、特にライトテーブル又はライトパッドは、発光表面の光強度を、特に連続的又は段階的に調整できるように構成される。例えば、光を発する発光表面、特にライトテーブル又はライトパッドは、光強度が2~5、特に3~4の異なる光強度を切り替えることができるように構成される。
【0061】
別の好ましい実施形態において、光を発する発光表面、特にライトテーブル又はライトパッドは、それが偏光を発するように構成される。これは例えば、偏光を生成する光源及び/又は、発後面の背後、上及び/若しくは中に配置された偏光フィルタを使用することによって実現できる。偏光フィルタは例えばフォイルから選択できる。偏光は、粒子パラメータ及び形状の特定をさらに向上させるために使用できる。フォイルはカラーフォイルとすることもできる。
【0062】
別の好ましい実施形態において、発せられた光はそれが干渉を生じさせないようなものである。
【0063】
さらに、特にライトテーブル又はライトパッドの発光表面は、例えば耐引っかき性を高めるために保護フォイルで被覆することができ、その際、好ましくは、保護フォイルは発光表面から発せられた光に関して透明である。特に、保護フォイルは合成材料で製作される。特に、保護ファイルは交換可能なフォイルである。
【0064】
特に、光を発する発光表面、特にライトテーブル又はライトパッドは光を発する発光表面を取り囲むフレームを含み、フレームは光を発する表面とは異なる色、特に光を発する発光表面より暗い色、特に黒色を有する。これは、デジタル画像の中の所定のサンプル領域、特に2次元サンプル領域を識別するのに役立つ。
【0065】
例えば、光を発する発光表面の、特にライトテーブル又はライトパッドの大きさはDIN A5、A4又はA3用紙の大きさと等しいか、タブロイド、レター、又はステートメントフォーマットの大きさを有する。典型的に、ライトパッドは、あるフォーマットの紙がこのようなフォーマットのライトパッドに確実に完璧に適合するのを確実にするために、上述のフォーマットの何れよりも大きさが若干大きい。それゆえ、光を発する発光表面の、特にライトテーブル又はライトパッドの実際の大きさもまた、上述のフォーマットの何れよりも若干大きくてよい。好ましくは、モバイルコンピュータデバイスは、光を発する波高表面の大きさをマニュアルで、及び/又は自動的に特定するように構成される。
【0066】
固体粒子のサンプルの少なくとも1つのデジタル画像をカメラで撮影することは、好ましくは昼光条件下で、及び/又は例えば固体粒子を照明するための光源、例えばフラッシュライトを用いて行われる。それによって、固体粒子を照明するために使用される光は、好ましくは影及び光の不均一性を回避するために十分に拡散される。モバイルコンピュータデバイスは、好ましくはバランスのとれた露光を実現するために光の条件を自動的に調整するように構成される。
【0067】
別の好ましい実施形態において、カメラは所定のサンプル領域、特に2次元サンプル領域に対して平行平面に、特に水平に配列される。好ましくは、モバイルコンピュータデバイスは、平行平面でない配列となったときにユーザーに自動的に警告するように、及び/又は少なくとも1つの画像を撮影しないように構成される。この場合、モバイルコンピュータデバイスは、好ましくは本発明の方法を実行する際に評価できる少なくとも1つの位置センサを含む。
【0068】
特に、ステップb)で固体粒子のサンプルの少なくとも1つのデジタル画像を撮影するとき、カメラは水平に、特に所定のサンプル領域に対して水平且つ平行平面に配列される。その際、好ましくは、所定のサンプル領域は水平領域であり、及び/又はそれは水平に配列される。水平配列は、手作業で、又は当業者の間で知られている支援機能を使って行うことができる。
【0069】
特に、カメラは光軸が垂直に延びる場合に水平に配列される。光軸とは光がカメラシステムの中を伝播する際に通る経路を画定する想像線である。
【0070】
ステップb)で固体粒子のサンプルの少なくとも1つのデジタル画像を、水平配列の、特に所定のサンプル領域に対して水平且つ平行平面にあるカメラで撮影することにより、画像撮影プロセスが大きく簡素化される。特に、所定のサンプル領域上方のカメラの高さを調整することによって、水平の配列で画像内のサンプル領域の割当を容易に最大にすることができる。
【0071】
また、所定のサンプル領域の水平配列又は水平サンプル領域は、固体粒子が画像撮影プロセス中、その位置で自動的に安定状態のままとなり、動かないため、有利である。その際、所定のサンプル領域は例えば、テーブル又は基本的に水平な他の何れの表面上にも置くことができる。
【0072】
垂直配列のカメラ及びサンプル領域の非水平配列の場合、これは利便性がより低く、サンプルの固体粒子を所定の位置に保持するための特殊な手段が必要となる。
【0073】
しかしながら、方法はカメラの非平行平面配列でも実行できる。
【0074】
特に、ステップb)で固体粒子のサンプルの少なくとも1つのデジタル画像をモバイルコンピュータデバイスのカメラ又はモバイルデバイスに接続されたカメラで撮影するとき、サンプルの固体粒子は動かないままである。これによって、画像品質とステップc)での画像粒子解析が大幅に改善される。
【0075】
別の好ましい実施形態において、サンプル領域の連続する少なくとも2つのデジタル画像が撮影される。この場合、好ましくは、ステップc)は少なくとも2つのデジタル画像で実行される。これは、統計的カウント数を増大させるうえで、及び少なくとも1つの粒子径パラメータ及び少なくとも1つの粒形パラメータをより正確に特定するうえで有益であり得る。特に、ステップc)では、少なくとも2つのデジタル画像は重ね合わされる。
【0076】
特に、少なくとも1つの画像を撮影するとき、カメラは、画像内のサンプル領域の割当が最大となるように配列される。これは例えば、ユーザーに配列の指示を与えることによって、及び/又はカメラの少なくとも1つの設定、例えばカメラの焦点距離を自動的に調整することによって実現できる。それゆえ、好ましくは、モバイルコンピュータデバイスは相応に構成される。
【0077】
非常に好ましくは、最小の検出可能粒子径は、好ましくはカメラの解像度、画像の総面積中のサンプル領域の割当面積、及びサンプル領域の実際の大きさを考慮して計算される。好ましくは、モバイルコンピュータデバイスは相応に構成される。
【0078】
特に、最小の検出可能粒子径は所定が所定の閾値より小さい場合、警告がユーザーに提供され、配列の指示がユーザーに提供され、及び/又はカメラの設定、例えば焦点距離が調整される。所定の閾値は、例えばマニュアルで設定できる。これは、不適当な条件下での画像の撮影を回避するのに役立つ。
【0079】
ステップc)での少なくとも1つのデジタル画像の画像粒子解析は、既知の、容易に入手可能な画像解析アルゴリズムを用いて、例えばMatlab(MathWorks(登録商標)による)、OpenCV(https://opencv.org参照)、ImageJ(Wayne Rasbandによる:https://imagej.net参照)において提供されるソフトウェアパッケージ及び/若しくはライブラリ並びに/又は人工知能アルゴリズムを使用することによって実行できる。
【0080】
抽出される少なくとも1つの粒子径パラメータは、好ましくは、以下のパラメータのうちの少なくとも1つを含む:
-少なくとも1つのデジタル画像中で識別される粒子集団の粒子径分布、
-平均粒子径、平均直径、及び/又はx=1-100とするD-値、例えばD10、D50、D85、及びD100値、及び/又は
-所定の公称値及び/又は公称分布からの、例えば特定の種類のフラ曲線、標準的なふるい分け曲線からの偏差、及び/又は
-粗粒率。
【0081】
特に好ましい実施形態によれば、抽出される少なくとも1つの粒子径パラメータは、少なくとも1つのデジタル画像中で識別される粒子集団の粒子径分布を含むか、それである。
【0082】
これらは固体粒子を含む硬化性組成物の配合物を提供する際に非常に関連性の高いパラメータである。しかしながら、他のパラメータもまた提供され得る。
【0083】
それによって、抽出される粒子径分布は特に、規格EN933-1:2012において定義される粒子径分布に対応するものとする。
【0084】
粒子径分布を特定するための他の考え得る方法は、ISO13320:2009に記載されているレーザ光回折である。それゆえ、抽出される粒子径分布は特に、規格ISO13320:2009において定義される粒子径分布に対応するものとする。
【0085】
値には、ある粒子アセンブリのx%の割合がある数値より小さい粒子径を有するという意味がある。それゆえ、例えばD90の値は、粒子アセンブリの90%が所与のD90値より小さい粒子径を有することを意味する。したがって、平均粒子径は特に、D50値(粒子の50%がある数値より小さく、50%はそれに対応して、より大きい)に対応する。
【0086】
一般に、抽出される少なくとも1つの粒子径パラメータは好ましくは、少なくとも、少なくとも1つのデジタル画像中で識別される粒子集団の粒子径分布を含む。
【0087】
特に、最小の検出可能粒子径より小さい粒子径の場合、粒子径分布は抽出された粒子径分布に基づいて推定され得る。例えば、多項式外挿法が、特にラグランジュ補間に基づいて、又は抽出された粒子径分布のフィッティングを行うニュートン級数を生成するためのニュートンの差分法を用いて使用される。
【0088】
特に、抽出される少なくとも1つの粒形パラメータは以下のパラメータのうちの少なくとも1つを含む:
-真円度、
-球形度、
-アスペクト比、
-粗度、
-面積包絡度、
-フレーク指数、
-形状指数、
-破砕及び破壊された表面のパーセンテージ、及び/又は
-傾斜度。
【0089】
これらは、これまでは日常作業では解析しにくかったパラメータである。しかしながら、これらは硬化性組成物の粒度を最適化するうえで大きな影響を有する。
【0090】
特に、粒形パラメータは、規格EN 933-1:2012~-7:2012において定義される形状パラメータに対応するものとする。
【0091】
特に、粒形パラメータには、最大フェレ径対最小フェレ径として表現されるアスペクト比が含まれる。
【0092】
抽出可能な別の形状パラメータは、Blott and Pye,Sedimentology(2008),55.31-63に記載されている。
【0093】
特に、少なくとも1つの粒形パラメータは、所定の大きさの粒子、特にある閾値の大きさより大きい粒子のみに関して抽出される。比較的小さい粒子の場合、固体粒子の粒形は、硬化性組成物の特性に与える影響がより小さい。例えば、少なくとも1つの粒形パラメータは>0.5mmの、特に>1mmの粒子に関して抽出される。
【0094】
しかしながら、希望に応じて全ての固体粒子の形状パラメータを解析することも可能である。
【0095】
さらに、ある下限閾値大きさより大きい粒子及びある上限閾値大きさより小さい粒子に関して少なくとも1つの粒形パラメータを抽出することが可能である。それによって、特に、少なくとも2つ、少なくとも3つ、又はそれより多い様々な粒形パラメータを下限閾値と上限閾値との間の範囲内で同時に抽出できる。
【0096】
これによって、例えば硬化性組成物のレオロジー等、例えば硬化性組成物の関心対象の特定の特性に影響を与えることが知られている特定の大きさの粒子の形状パラメータを識別することができる。
【0097】
他の好ましい実施形態によれば、粒子の少なくとも2つ又はそれ以上の所定の粒子群、例えばふるい分け粒子群の各々について、少なくとも1つの個々の粒形パラメータが抽出される。その際、特に、少なくとも1つの粒形パラメータの少なくとも1つの個々の平均値が各粒子群について抽出される。これによって、粒形パラメータの大きさ依存分布に関する詳細な情報を提供できる。
【0098】
例えば、少なくとも1つの粒形パラメータの平均値が、少なくとも2つ又はそれ以上の所定の粒子群、例えばふるい分け粒子群の各々について別々に提供される。任意選択的に、粒子群ごとの粒子カウントを検討対象の粒子の体積により正規化することによって、例えば粒子径分布に匹敵するデータを取得できる。それに加えて、この場合、少なくとも2つ、少なくとも3つ、又はそれ以上の様々な粒形パラメータを同時に提供できる。
【0099】
このようなデータは例えば、カテゴリとしての所定の粒子径の粒子群と、少なくとも1つの粒形パラメータの対応する平均値が示され、その高さ又は長さがそれによって表される数値に比例するバーの形態のバープロットで表現できる。
【0100】
さらに、幾つかの選択された粒子群の粒子に関する少なくとも1つの粒形パラメータの平均値を提供することができ、例えば粒子は、ある粒子群閾値より大きい、及び/又は小さい粒子群の中にある。前述の場合と同様に、これによって、例えば硬化性組成物の関心対象の特定の特性に影響を与えることが知られている粒子群の中の粒子の形状パラメータを識別することができる。
【0101】
別の好ましい実施形態において、少なくとも1つのデジタル画像の各々について、外形画像が生成される。外形画像は輪郭画像とも呼ばれ、デジタル画像の中で識別された粒子全ての外形を含む。外形画像は、ステップd)でユーザーインタフェースを介して、マシンインタフェースを介して、及び/又はデータ記憶媒体上で提供できる。例えば、外形画像はアプリケーション内で表示し、及び/又は外部サーバ上に保存できる。外形画像は、デジタル画像及び/又は行われる解析の品質を評価するためのツールとしての役割を果たすことができる。
【0102】
特に、ステップb)で、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、特に少なくとも5つ、又は少なくとも10のデジタル画像が撮影され、ステップc)で各画像についての粒子解析が行われ、少なくとも2つの画像から個別に抽出された少なくとも1つの粒子径パラメータ及び/又は少なくとも1つの粒形パラメータの各々を考慮することによって、少なくとも1つの粒子径パラメータ及び/又は少なくとも1つの粒形パラメータの偏差、特に標準偏差が特定される。偏差は、デジタル画像及び/又は実行される解析の品質を評価するためのツールとしての役割を果たすことができる。
【0103】
特に、偏差が所定の閾値より大きい場合、警告をユーザーに提供され、及び/又は偏差が所定の閾値より大きい場合、パラメータの相違が生じているデジタル画像及び/又は外形画像が識別され、及び/又は指示される。
【0104】
好ましくは、本発明の方法は、固体粒子のサンプルの少なくとも1つの属性を割り当てるステップをさらに含む。特に、属性は:
-固体粒子のサンプルの固有の識別子、
-固体粒子のサンプルの化学的及び/又は物理的特性、特に、
・固体粒子、例えば砂、石灰岩、及び/又はポリマー粒子の性質、
・固体粒子の種類、例えば天然、破砕、人工、再生、及び/又は再使用、
・固体粒子の最大粒径
・固体粒子の最小粒径
・固体粒子の状態、例えば湿潤又は乾燥、及び/又は
・施された前処理、例えば無処理又は洗浄
-固体粒子のサンプルの説明情報、特に、
・固体粒子の供給元の場所、例えばマニュアルによるか、位置センサにより自動的、
・所期の用途、例えばプロジェクト名及び/又は顧客名、及び/又は
・一般的コメント
から選択される。
【0105】
特に、「人工」粒子は、例えばEuropean Aggregates Associationの年次報告2018-2019の5ページにおいて定義されている骨材であるものとする。
【0106】
好ましくは、モバイルコンピュータデバイスは、特にステップa)~b)の前、その最中、及び/又はその後に固体粒子のサンプルの属性のうちの少なくとも1つの属性を問い合わせるように構成される。
【0107】
特に、固体粒子のサンプルの固有の識別子は自動的に生成される。
【0108】
特に、方法は少なくとも部分的に、特に完全にモバイルコンピュータデバイス上で行われる。
【0109】
方法が完全化にモバイルコンピュータデバイス上で実行される場合、モバイルコンピュータデバイス上で完全な特徴付けを行うことができ、いかなる通信ネットワークも必要としない。また、少なくとも1つのデジタル画像は、好ましくは少なくとも1つの属性と共に、モバイルコンピュータデバイス上に、例えば共有、読み出し、及び/又は将来の評価のために記憶できる。
【0110】
好ましくは、モバイルコンピュータデバイスは、少なくとも1つのデジタル画像が、好ましくは少なくとも1つの属性と共に、通信手段、例えばモバイルデバイスの通信インタフェースを介して保存のために外部デバイスに転送できるように構成される。同様に、モバイルコンピュータデバイスは好ましくは、外部デバイスから保存されたデータを読み出すように構成される。他の好ましい実施形態によれば、ステップc)の画像解析及び/又はステップd)の提供は、別のコンピュータデバイス上、例えばサーバ上で実行される。
【0111】
この場合、好ましくは、少なくとも1つのデジタル画像は、好ましくは少なくとも1つの属性と共に、通信手段、例えばモバイルデバイスの通信インタフェースを介して外部デバイスに転送される。このような分散型の解決策は、計算集約的ステップc)を他のデバイス上で実行でき、それがモバイルコンピュータデバイスのランタイムを増大させるのに役立つため、有利である。さらに、ステップc)及び/又はd)は、外部デバイス側のソフトウェア部を更新することによって最適化でき、ユーザーがモバイルコンピュータデバイス上のソフトウェア部を更新する必要はない。
【0112】
その際、利用できる通信ネットワークがない場合、少なくとも1つのデジタル画像は、好ましくは少なくとも1つの属性と共に、一時的にモバイルコンピュータデバイス上に保存して、後に、通信ネットワークが利用できるときに外部デバイスに転送することができる。
【0113】
この場合、画像は、好ましくは少なくとも1つの属性と共に、外部コンピュータデバイス、例えばサーバ上に、特に保存、読み出し、及び/又は将来の評価のために保存される。
【0114】
ステップd)で、少なくとも1つの粒子径パラメータ及び少なくとも1つの粒形パラメータは、ユーザーインタフェースを介して、マシンインタフェースを介して、及び/又はデータ記憶媒体上で提供される。希望に応じて、それに加えて少なくとも1つのデジタル画像を、任意選択により少なくとも1つの属性と共に提供できる。しかしながら、日常業務ではこのような画像はユーザーにとってほとんど重要ではないため、これは要求事項ではない。
【0115】
データがユーザーインタフェースを介して提供される場合、これはモバイルコンピュータデバイス上で直接、及び/又は外部コンピュータデバイス上で実行できる。それにより、例えば少なくとも1つの粒子径パラメータ及び少なくとも1つの粒形パラメータはグラフでプロットされ、例えば粒子径分布であり、及び/又はアニメーションプロットで、例えば真円度対球形度プロット又は、平均粒子径パラメータ対ふるい目開きのバープロットで提示される。
【0116】
マシンインタフェースを介してデータを提供することにより、データを外部コンピュータデバイス、例えばサーバ及び/又はデスクトップコンピュータに転送できる。
【0117】
また、データをデータ記憶媒体上に、例えばモバイルコンピュータデバイスの内蔵データ記憶媒体、モバイルコンピュータデバイスに取り付けられた記憶装置、及び/又は外部コンピュータの記憶装置上にデータを提供することも可能である。
【0118】
特に、少なくとも1つの粒子径パラメータ及び少なくとも1つの粒形パラメータは、任意選択的に少なくとも1つの属性及び任意選択的に少なくとも1つの画像と共に、所定のファイルフォーマットのデータファイルに書き込まれる。例えば、ファイルフォーマットは、json、csv、txt、及び/又はpdfから選択される。しかしながら、他のファイルフォーマットも使用できる。典型的に、テータファイルは少なくとも1つの画像を含まない。これは、ファイルサイズを小さくするのに役立つ。
【0119】
特に、データファイルは他のアプリケーション、別のモバイルコンピュータデバイス、及び/又は外部コンピュータデバイスに転送される。転送は、何れの種類の通信手段によっても実行でき、これは例えば無線通信及び/又は有線通信である。これによって、ユーザーは固体粒子の特徴を他のユーザーと共有し、それをさらに評価するための他のアプリケーションへ、及び/又はデータ記憶サーバに転送することができる。それゆえ、好ましくは、モバイルコンピュータデバイスは、データファイルを他のアプリケーション、別のモバイルコンピュータデバイス、及び/又は外部コンピュータデバイスに転送するように構成される。
【0120】
固体粒子の大きさは、例えば>0~125mm、好ましくは10μm~32mm、より好ましくは0.063mm~16mm、特に0.1mm~2mmの範囲である。このような種類の粒子は典型的に硬化性組成物で使用される。しかしながら、方法は、他の粒子の特徴付けにも使用できる。
【0121】
特に、サンプルの固体粒子は砂、骨材、繊維、及び/又はガラス球から選択される。しかしながら、他の固体粒子、特に砂代替材、人工砂、破砕及び/又は再生建材、バイオ骨材、天然又は合成繊維、及び/又はポリマー粒子も使用できる。
【0122】
本発明の他の態様は、少なくとも結合材と固体粒子を含む硬化性組成物の調合を提供する方法であり、この方法は、(i)固体粒子のサンプルを前述の方法で特徴付けるステップと、(ii)調合の、特に固体粒子及び/又は添加物の少なくとも1つの成分の性質及び/又は調合中の割合を、少なくとも1つの粒子径パラメータ及び/又は少なくとも1つの粒形パラメータを考慮することによって特定するステップと、を含む。その際、固体粒子は結合材とは異なり、特に固体粒子は何れの結合材も含まず、又は結合材からならない。
【0123】
特に、調合は、ユーザーインタフェースを介して、マシンインタフェースを介して、及び/又はデータ記憶媒体上で提供される。
【0124】
硬化性組成物の調合を提供するためのこの方法は、例えば独立したソフトウェアアプリケーションで実装でき、又はこれは前述のように固体粒子のサンプルを特徴付けるように構成された同じソフトウェアアプリケーションの中に含められ得る。
【0125】
硬化性組成物の調合を計算できるアプリケーションは、当業者の間で知られている。例えば、コンクリートの調合の計算に適した“Sika Mix Design App”と呼ばれるアプリケーションはスイスのSika Services AGから入手可能である。アプリケーションは、既知の原材料のデータベースを含み、このデータベースに新たな原材料、例えば本発明を用いて特徴付けられる固体粒子を追加することができる。
【0126】
また、本発明は、少なくとも結合材と固体粒子を含む硬化性組成物の製造方法に関し、この方法は、前述の方法で固体粒子のサンプルを特徴付けるステップと、固体粒子を結合材及び何れかの任意選択的な別の成分を混合するステップと、を含み、好ましくは少なくとも1つの粒子径パラメータ及び/又は少なくとも1つの粒形パラメータが、成分の少なくとも1つ、特に固体粒子及び/又は添加物の性質及び/又は組成物中の割合を特定するために考慮される。
【0127】
これらの場合に、硬化性組成物は好ましくは、鉱物結合材を用いた組成物、例えばモルタル又はコンクリート組成物である。
【0128】
「鉱物結合材」という表現は特に、水が存在すると水和反応で反応して固体水和物又は水和物相を生成する結合材を意味する。これは、例えば水硬性結合材(例えば、セメント又は水硬性漆喰)、潜在水硬性結合材(例えば、スラグ)、ポゾラン結合材(例えば、フライアッシュ)、又は非水硬性結合材(例えば、石膏又は白色石灰)とすることができる。
【0129】
鉱物結合材全体は、水硬性結合材を少なくとも5重量%、特に少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも50重量%、特に少なくとも75%重量%の割合で含む。他の有利な実施形態において、鉱物結合材は少なくとも95重量%の水硬性結合材、特にセメントを含む。
【0130】
鉱物結合材は特に、水硬性結合材、好ましくはセメントを含む。特に好ましいのは、特にCEM I、II、III、又はIV(規格EN 197-1による)のタイプのポートランドセメントである。しかしながら、結合材の組成物が、水硬性結合材に加えて、又はその代わりに他の結合材を含むことも有利であり得る。これらは特に、潜在水硬性結合材及び/又はポゾラン結合材である。適当な潜在水硬性結合材及び/又はポゾラン結合材の例は、スラグ、フライアッシュ、及び/又はシリカダストである。1つの有利な実施形態において、鉱物結合材は5~95重量%、特に20~50重量%の潜在水硬性結合材及び/又はポゾラン結合材を含む。
【0131】
特別な実施形態において、鉱物結合材は焼成クレイ、石灰岩、及びポートランドセメントの混合物を含む。
【0132】
「クレイ」という用語は、粘土鉱物を、各々その乾燥重量に関して少なくとも30wt%まで、好ましくは少なくとも35wt%まで、特に少なくとも75wt%まで含む固体材料を指す。焼成クレイは、好ましくは500~900℃の温度で熱処理されている、又は800~1100℃の温度のフラッシュ焼成プロセスが施された粘土材料である。本発明の特に好ましい実施形態によれば、焼成クレイはメタカオリンである。
【0133】
本発明の好ましい実施形態において、石灰岩及びポートランドセメントの化学組成は規格EN197-1:2011の中で定義されている。代替案において、石灰岩はまた、炭酸マグネシウム、ドロマイト、並びに又は炭酸マグネシウム、ドロマイト、及び/若しくは炭酸カルシウムの混合物も表し得る。本願に関する石灰岩は、主として炭酸カルシウム(典型的に、方解石及び/又は霰石)からなるが、典型的にある程度の炭酸マグネシウム及び/又はドロマイトも含む天然の石灰岩であることが特に好ましい。石灰岩はまた、天然の泥炭土でもあり得る。
【0134】
好ましい実施形態によれば、ポートランドセメントはCEM Iタイプのものである。実施形態によれば、本発明のポートランドセメント中のポートランドクリンカの含有量は、各々セメントの乾燥総重量に基づいて少なくとも35w%、好ましくは少なくとも65wt%、特に少なくとも95wt%である。
【0135】
実施形態によれば、鉱物結合材は焼成クレイ、石灰岩、及びポートランドセメントを以下の重量比で含む:
P:CCは33:1~1:1、好ましくは8:1~1:1であり、
CC:Lは10:1~1:50、好ましくは10:1~1:33、より好ましくは5:1~1:10であり、
P:Lは20:1~1:4、好ましくは5:1~1:1である。
【0136】
実施形態によれば、鉱物結合材は、各々について鉱物結合材の乾燥総重量に関して少なくとも65wt%、好ましくは少なくとも80wt%、より好ましくは少なくとも92wt%の焼成クレイ、石灰岩、及びポートランドセメントからなる。
【0137】
本発明の実施形態によれば、鉱物結合材は、
a)ポートランドセメント(P)25~100重量部、
b)焼成クレイ(CC)、特にマテカオリン3~50質量部、
c)石灰岩(L)5~100質量部
の混合物を含む。
【0138】
これらの場合の固体粒子は好ましくは、砂、砂利、石、粉末石英、及び/又は石灰岩等の骨材から選択される。
【0139】
添加剤は従来使用されている材料、例えばリグノスルホン酸塩、スルホン化ナフタレンホルムアルデヒド縮合物、スルホン化メラミンホルムアルデヒド縮合物等のコンクリート可塑剤、又はポリカルボキシレートエーテル(PCE)、促進剤、腐食抑制剤、リターダ、収縮低減剤、消泡剤、及び/若しくは発泡剤から選択できる。
【0140】
また別の態様は、モバイルコンピュータデバイスと、任意選択的に追加の別のコンピュータデバイスを含むシステムに関し、このシステムは:
(i)前述の方法のステップa)~d)を実行する手段と、
(ii)請求項1に記載の方法の少なくともステップa)及びb)、特にステップa)及びb)及びd)を実行する手段と、固体粒子のサンプルの少なくとも1つのデジタル画像を、任意選択的に少なくとも1つの属性と共に別のコンピュータデバイスに転送する手段と、
を含む。
【0141】
本発明の他の態様は、コンピュータデバイスを含むシステムに関し、このシステムは、固体粒子のサンプルの少なくとも1つのデジタル画像を受信する手段と、前述の方法の少なくともステップc)及び/又はd)を実行する手段と、を含む。
【0142】
さらに、本発明は、モバイルコンピュータデバイスにより実行されると、モバイルコンピュータデバイスに前述の方法の少なくともステップa)及びb)、特にa)及びb)及びd)、特にステップa)~d)を実行させる指示を含むコンピュータ可読媒体に関する。
【0143】
また、本発明は、コンピュータデバイスにより実行されると、コンピュータデバイスに、少なくとも1つのデジタル画像を任意選択的に少なくとも1つの属性と共に受信し、前述の方法の少なくともステップc)及び/又はd)を実行させる指示を含むコンピュータ可読媒体に関する。
【0144】
前述の第一の解決策とは無関係に実装できる本発明の他の解決策は、以下に記載されている。
【0145】
第二の解決策の第一の態様は、少なくとも結合材と固体粒子を含む硬化性組成物の調合を提供する方法に関し、方法は、(i)固体粒子の少なくとも1つの粒子径パラメータ及び/又は少なくとも1つの粒形パラメータを取得するステップと、(ii)調合の少なくとも1つの成分の、特に固体粒子及び/又は添加剤の性質及び/又は調合中の割合を、少なくとも1つの粒子径パラメータ及び少なくとも1つの粒形パラメータを考慮することによって特定するステップと、を含む。
【0146】
同様に、第二の解決策の別の態様は、少なくとも結合材と固体粒子を含む硬化性組成物の製造方法に関し、この方法は、(i)固体粒子の少なくとも1つの粒子径パラメータ及び/又は少なくとも1つの粒形パラメータを取得するステップと、(ii)固体粒子を結合材及び何れかの任意選択的な別の成分と混合するステップと、を含み、好ましくは少なくとも1つの粒子径パラメータ及び少なくとも1つの粒形パラメータは、成分の少なくとも1つ、特に固体粒子及び/又は添加剤の性質及び/又は組成物中の割合を特定するために考慮される。
【0147】
第二の解決策のこれらの2つの態様において、固体粒子の少なくとも1つの粒子径パラメータと少なくとも1つの粒形パラメータは、それぞれ前述の方法又は請求項1に記載の方法とは異なる方法により取得できる。例えば、これらのパラメータは、従来の方法で、例えばふるい分け、レーザ回折、及び/又は規格EN 933-1:2012~-7:2012、規格ISO 13320:2009、及び/又はBlott and Pye,Sedimentology(2008)55,31-63に記載されている方法により取得できる。
【0148】
しかしながら、これらのパラメータは、組成物の少なくとも1つの成分、特に固体粒子及び/又は添加剤の性質及び/又は組成物中の割合を特定するために組み合わせて使用される。これは、特に低等級の固体粒子、例えば低等級の骨材を使用する場合に硬化性組成物の特性を改善するのに役立つ。
【0149】
特に、調合の少なくとも1つの成分の性質及び/又は割合を特定するとき、又は前述の方法のステップ(ii)で固体粒子を結合材及び何れかの任意選択的な別の成分を混合するときに、少なくとも1つの粒子径パラメータは2つ以上の所定の粒子群、例えばふるい分け粒子群の各々について特定される。
【0150】
それによって、好ましくは、少なくとも1つの粒子群の各々について、個々の重量パラメータがそれぞれの粒子群に割り当てられる。重量パラメータは、少なくとも1つの粒形パラメータの大きさ依存性を考慮するために使用できる。例えば、小さい骨材の形状は通常、より大きい骨材の形状と比較して、硬化性組成物の所望の特性を実現する上であまり関連性がない。したがって、少なくとも1つの形状パラメータの大きさ依存性を考えることにより、硬化性組成物の配合設計を、所望の特性の点でさらに最適化することができる。
【0151】
例えば、骨材、例えば砂の大きさと形状に基づいて、組成物、例えばモルタル又はコンクリート組成物の個々の成分の性質及び/又は割合を調整して、硬化性組成物の所望の特性、例えば所望の粘性及び/又はフロー特性を実現できる。それによって、粒子径分布、球形度、真円度、及び/アスペクト比を考慮できる。特に、<0.5mmの粒子群の骨材の重量パラメータは、この粒子群の形状パラメータが硬化性組成物の個々の成分の性質及び/又は割合の調整に与える影響は、≧0.5mmの粒子群の骨材の形状パラメータより小さくなるように選択される。
【0152】
結合材、固体粒子、及び添加剤は好ましくは、第一の解決策の鉱物結合材組成物の説明に関して上で定義されたように選択される。また、“Sika Mix Design App”と呼ばれる前述のアプリケーションも使用できる。
【0153】
特に、調合は、コンピュータデバイスを用いてユーザーインタフェースを介して、マシンインタフェースを介して、及び/又はデータ記憶媒体上で提供される。この特徴の実装は、前述のように実行できる。
【0154】
第二の解決策の別の態様は、コンピュータデバイス、特にモバイルコンピュータデバイスを含むシステムであり、このシステムは、前述の方法のステップ(ii)、特に前述の方法のステップ(i)及び(ii)を実行する手段を含む。
【0155】
第二の解決策の他の態様は、コンピュータデバイスにより実行されると、コンピュータデバイスに、前述の方法のステップ(ii)、特に前述の方法のステップ(i)及び(ii)を実行させる指示を含むコンピュータ可読媒体に関する。
【0156】
特に、本発明の方法により処理され、及び/又は生成される何れのデータも暗号化され、特に権限を与えられたユーザーだけが当初のデータにアクセスできるようにされる。同様に、本発明の方法を実行する何れのコンピュータプログラム及び/又はアプリケーションも暗号化される。暗号化の方法は、当業者の間で知られている。
【0157】
本発明の別の有利な構成は、例示的実施形態から明らかである。
【0158】
実施形態を説明するために使用される図面は以下を示す。
【図面の簡単な説明】
【0159】
図1】本発明によるコンピュータ実装方法のフローチャートを示す。
図2図1の方法を実行する手段を含むシステムの概略図を示す。
図3図1の方法の、スマートフォンを持っているユーザー(図示せず)は異なる大きさの固体粒子のサンプルの画像を撮影する第二のステップの概略図を示す。
図4】データファイルの構造の例を示す。
図5】他のコンピュータ実装方法のフローチャートを示す。
図6】粒子ふるい分け粒子群あたりの、選択された粒形パラメータ(真円度、球形度、及びアスペクト比)のバープロットを示す。
図7】デジタル画像に重ねられた外形画像を示す。
図8】ライトパッドの概略図を示す。
図9図8のライトパッドの非照明表面上の粒子サンプル(左側)と図8のライトパッドの照明表面上の同じ粒子サンプル(右側)との比較を示す。
図10】大きさ>0.5mmの粒子の、粒子ふるい分け粒子群あたりの、選択された粒形パラメータ(真円度/R、球形度/SP、及びアスペクト比/AR)と、粒子ふるい分け粒子群あたりの、対応する粒子カウントの、他のバープロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0160】
図1は、本発明のコンピュータ実装方法10のフローチャートを示す。第一のステップ11で、解析対象の固体粒子のサンプル、例えば粒子径が>0~2mmの砂サンプルが既知の大きさの2次元サンプル領域上に提供される。サンプル領域は、例えばA4サイズの紙により形成される。
【0161】
第二のステップ12で、固体粒子のサンプルのデジタル画像がモバイルコンピュータデバイス、例えばスマートフォンのカメラで撮影される。カメラは例えば4K解像度を有する。
【0162】
その後、第三のステップ13で、デジタル画像の画像粒子解析が行われ、少なくとも1つのデジタル画像中で識別された粒子集団の少なくとも1つの粒子径パラメータ、例えば粒子径分布、及び/又は少なくとも1つの粒形パラメータ、例えば真円度若しくは球形度が抽出される。
【0163】
第四のステップ14で、少なくとも1つの粒子径パラメータ及び少なくとも1つの粒形パラメータは、ユーザーインタフェース、例えばモバイルコンピュータデバイスのディスプレイを介して提供される。
【0164】
任意選択的な第五のステップ15aで、少なくとも結合材と固体粒子を含む硬化性組成物の調合が提供され、そこで調合の少なくとも1つの成分、特に添加剤、例えば可塑剤の性質及び/又は調合中の割合が、少なくとも1つの粒子径パラメータ及び少なくとも1つの粒形パラメータを考慮することによって特定される。
【0165】
代替的に、又はそれに加えて、任意選択的ステップ15bで、少なくとも結合材と固体粒子を含む硬化性組成物が提供され、ステップ15bは、固体粒子を結合材及び何れかの任意選択的な別の成分と混合するステップとを含み、少なくとも1つの粒子径パラメータ及び少なくとも1つの粒形パラメータが、成分の少なくとも1つ、特に添加剤の性質及び/又は組成物中の割合を特定するために考慮される。
【0166】
図2は、図1に示される方法を実行するための手段を含むシステム20の概略的概要を示す。
【0167】
具体的には、システム20はスマートフォン21を含み、これはカメラ22、入力装置23とディスプレイ24を含むタッチセンサ式ディスプレイ、ランダムアクセスメモリを備えるデータ処理ユニット25、データ記憶装置29、並びに無線通信インタフェース28を含む。
【0168】
動作時に、アプリケーション26はデータ処理ユニット25内で実行され、このアプリケーションは図1で説明した方法のステップ12及び14を実行するように構成されている。
【0169】
具体的には、アプリケーション26は、ユーザーが2次元サンプル領域30内の固体粒子の画像を内蔵のスマートフォンカメラ22で撮影するのを支援する。ここで、アプリケーションは例えば、平行平面以外の配置となったときにユーザに自動的に警告し、及び/又は画像を撮影しないように構成されている。これは、スマートフォンの位置センサ(図示せず)を評価することによって実現できる。また、アプリケーションは、バランスのとれた露光を得るために、光の条件を自動的に調整するように構成されている。撮影されたデジタル画像はランダムアクセスメモリ及び/又はデータストレージ29の中に保存される。
【0170】
追加的に、アプリケーション26はユーザーに対し、入力装置を介してサンプルの1つ又は複数の属性を入力するように指示し、そのサンプルに固有の識別子を割り当てる。属性は例えば、固体粒子の最大粒度、固体粒子の種類(天然、破砕、人工、再生、再使用固体粒子)、固体粒子の状態(湿潤又は乾燥)、前処理(洗浄又は無処理)、固体粒子の供給元の場所、所期の用途(プロジェクト名、顧客名)、及び/又は一般的コメントである。
【0171】
質問は例えば、ディスプレイ24上のユーザー入力フィールド、選択フィールド、マップ、及び/又はテキスト入力フィールドに提示して、入力装置23を介してユーザーが提供したデータを少なくともデジタル画像と共にランダムアクセスメモリ及び/又はデータストレージ29に保存することによって行うことができる。
【0172】
例えば、粒子の供給元の場所は、入力フィールドに地理座標を入力すること及び/又はディスプレイ24上に示されたマップ上に位置をマークするとによってユーザーがマニュアルで提供できる。しかしながら、固体粒子の供給源の場所は、例えばGPS、Galileo、Beidou、及び/又はGionassセンサ等の全地球測位衛星システムのセンサによって自動的に提供することも可能である。その場合、ユーザーには自動的に特定された位置を確認するように要求し得る。
【0173】
図2に示されるシステム20において、図1に示される方法のステップ13は、外部サーバ21a上で実行される。具体的には、スマートフォンのカメラ22で撮影された画像は、任意選択により属性と共に、無線通信インタフェース28(又は他の何れかの通信インタフェース)とネットワーク(例えば、図示されていないインターネット)を介してサーバ21aに転送される。サーバ21aは、その通信インタフェース28aを介してデータを受信し、それを処理ユニット25a上で実行される画像粒子解析アプリケーション26aに送信する。
【0174】
画像は、任意選択的に属性と共に、後で共有し、呼び出し、及び/又はさらに評価するためにサーバ21aのデータストレージ29aに保存できる。
【0175】
アプリケーション26aは、デジタル画像の画像粒子解析を実行し、それによって、少なくとも1つのデジタル画像中で識別された粒子集団の少なくとも1つの粒子径パラメータ、例えば粒子径分布と、少なくとも1つの粒形パラメータ、例えば真円度又は球形度が抽出される。それにより、解析では1つ又は複数の属性も考慮され得る。
【0176】
アプリケーション26aは、例えばMatlab、OpenCV、及び/又はImageJにおいて提供されるソフトウェアパッケージ及び/若しくはライブラリ等の画像解析アルゴリズムを用いて、並びに/又は人工知能ソフトウェアを用いて実装される。
【0177】
画像解析が終了した後、少なくとも1つの粒子径パラメータ、例えば粒子径分布、及び少なくとも1つの粒形パラメータ、例えば真円度又は球形度は、それぞれ通信インタフェース28a、28を介してスマートフォン21又はそこで実行中のアプリケーション25に送り返される。
【0178】
アプリケーション25aは、少なくとも1つの粒子径パラメータ及び/又は少なくとも1つの粒形パラメータを、ディスプレイ24を介して提供するか、これらのパラメータを、後に共有し、呼び出し、及び/又はさらに評価するために、好ましくは属性と共にデータストレージ29に保存する。このデータは、例えばjson、csv、txt、pdf、及び/又は著作権保護されたファイルフォーマットから選択されるファイルフォーマットを有するデータファイルの形態で保存できる。特に、“Sika Mix Design App”と呼ばれるアプリケーション及び/又は他の何れかの追加的なアプリケーションによって読むことのできるファイルフォーマットが選択される。例は図4を参照されたい。
【0179】
追加的に、アプリケーション25は、少なくとも1つの粒子径パラメータ及び少なくとも1つの粒形パラメータ並びに属性を、これらを特にデータファイルとして、通信インタフェース28を介して別のコンピュータデバイス40、例えば他のユーザーのスマートフォンに送信することによって他のユーザーと共有するように構成される。これは例えば、ユーザーが入力装置23を介して、例えばディスプレイ24上に示されるボタンを押すことによって開始できる。
【0180】
さらに、システム20は任意選択的な配合設計アプリケーション27を含んでいてもよく、これは処理ユニット25上で実行できる。配合設計アプリケーションは、少なくとも結合材と固体粒子を含む硬化性組成物の調合を提供するように構成され、そこで調合の少なくとも1つの成分、特に添加剤、例えば可塑剤の性質及び/又は調合における割合が、第一のアプリケーション26で取得した少なくとも1つの粒子径パラメータ及び少なくとも1つの粒形パラメータを考慮に入れることによって特定される。
【0181】
それゆえ、例えば第一のアプリケーションは少なくとも1つの粒子径パラメータと少なくとも1つの粒形パラメータ及び、任意選択的に属性を、適当なアプリケーションインタフェースを介して配合設計アプリケーション27に送信できる。また、配合設計アプリケーション27に送信されるデータは、データファイルの形態で提供し、配合設計アプリケーション27に送信できる。それに加えて、又は代替的に、配合設計アプリケーションは、データストレージ29から、及び/又はデータファイルの形態でこのデータをロードするように構成できる。
【0182】
配合設計アプリケーション27は、提供された調合をディスプレイ24上で提供し、それを、通信インタフェース28を介して他のコンピュータシステム、例えばサーバ21a又は別のスマートフォン40に送信するか、それを後に共有し、呼び出し、及び/又はさらに評価するためにデータストレージ29に保存するように構成される。
【0183】
図3は、図1に示される方法のステップ12の概略図を示す。そこでは、ユーザー(図示せず)は手にスマートフォン21を持ち、2次元サンプル領域30としての役割を果たすA4サイズの白い紙の上に提供された異なるサイズL(大型)、M(中型)、S(小型)の固体粒子、例えば>0~2mmの範囲の粒子径の砂粒子のサンプルの画像を撮影する。紙は、空間の全方向において2次元サンプル領域30より大きい高コントラストの表面、例えば黒い表面30上に載せられる。それゆえ、2次元サンプル領域30は異なる色のフレームにより完全に取り囲まれる。
【0184】
図4は、pdfファイルフォーマットのデータファイル50の構造の例を示す。データファイル50は、ユーザーにより提供された属性、例えば固体粒子の種類(天然、破砕、人工、再生、再使用固体粒子)、固体粒子の状態(湿潤又は乾燥)、前処理(洗浄又は無処理)、固体粒子の供給元の場所、所期の用途(プロジェクト名、顧客名)、及び/又は一般的コメントの表51を含む。
【0185】
また、ファイル50は、粒子径分布を表すグラフ52、固体粒子の計算されたふるいサイズ通過率及び/又は計算された残留固体粒子割合を含む表53、並びにD10、D50、D85、及びD100値のほか、解析された固体粒子の粗粒率等の統計的パラメータの表54を含む。
【0186】
さらに、ファイル50は、平均粒形(例えば、真円度又は球形度)をマーカ55aで示す2次元プロット55を含む。追加的に、ファイル50は、粒子ふるい分け粒子群あたりの、選択された粒形パラメータ(例えば、真円度、球形度、及びアスペクト比)の平均値を表示するバープロット57を含む。バープロット57のより詳細な図は図6に示される。
【0187】
図5は、他のコンピュータ実装方法60のフローチャートを示す。ここで、固体粒子のサンプルの粒子径分布及び少なくとも1つの粒形パラメータが第一のステップ61で提供される。これらのパラメータは、図1に示される方法により、又は他の何れかの方法により、例えばマニュアルで取得できる。
【0188】
その後、次のステップ62aで、少なくとも結合材と固体粒子を含む硬化性組成物の調合が提供され、それにより調合の少なくとも1つの成分、特に添加剤、例えば可塑剤の性質及び/又は調合中の割合が、粒子径分布及び少なくとも1つの粒形パラメータを考慮することにより特定される。
【0189】
これは、前述の配合設計アプリケーション、すなわち配合設計アプリケーション27で実現できる。このアプリケーションは、提供された調合をディスプレイ24上で提供し、それを、通信インタフェース28を介して他のコンピュータシステム、例えばサーバ21a又は別のスマートフォン40に送信し、及び/又はそれを、後に共有し、呼び出し、及び/又はさらに評価するためにデータストレージ29上に保存するように構成される。
【0190】
代替的に、又はそれに加えて、任意選択的ステップ62bで、少なくとも結合材と固体粒子を含む硬化性組成物が提供され、ここでステップ62bは、固体粒子を結合材及び何れかの任意選択的な他の成分と混合するステップを含み、そこで、少なくとも1つの粒子径パラメータ及び/又は少なくとも1つの粒形パラメータが、成分の少なくとも1つ、特に添加剤の性質及び/又は組成物における割合を特定するために考慮される。
【0191】
代表例として、セメント(CEM I)、水、可塑剤(Sika(登録商標)Viscocrete(登録商標)111P)、及び珪砂(D85値=2.36mm)を含む硬化性モルタル組成物を以下のように製作した:
【0192】
1.使用される砂の粒子径分布のほか、球形度、真円度、及びアスペクト比(=粒形パラメータ)を図1に示される方法にしたがって特定した。
【0193】
2.粒子径分布及び粒形パラメータを、所定のスランプフロー370mm)EN 12350-5:2019による)のモルタル組成物の計算のために“Sika Mix Design App”(Sika Services AGから入手可能)に転送した。その際、セメント、水、過疎剤、及び珪砂の割合を調整して、標的のスランプフローとした。
【0194】
3.その後、“Sika Mix Design App”により計算されたモルタル組成物を、セメント、水、可塑剤、及び珪砂をそれぞれの割合で混合することにより製作した。次に、このように製作されたモルタル組成物のスランプフローを(EN 12350-5:2019にしたがって)特定し、製作されたモルタル組成物の実際のスランプフローを標的スランプフロー370mmと比較した。
【0195】
4.比較のために、“Sika Mix Design App”における粒形パラメータ(球形度、真円度、及びアスペクト比)を考慮せず、それ以外は同じ条件下でステップ2及び3を繰り返した。それゆえ、ここでは、モルタル組成物を計算する際に“Sika Mix Design App”では粒子径分布のみが考慮された。
【0196】
結果は以下のとおりであった:
【0197】
【表1】
【0198】
それゆえ、形状パラメータを考えるにあたり、所望の標的値に非常に近いスランプフローを有するモルタル組成物を予想することができる。形状パラメータがなければ、標的スランプフローからの偏差はかなり大きくなる。
【0199】
同様のテストを他の砂(ここでは図示せず)について行った。データの統計的評価は、所望の標的スランプフローを有するモルタル組成物を計算するために粒形パラメータを考慮することは一般に非常に関連性が高く、形状パラメータを考慮しない計算と比較して、格段によりよい予測が得られることを示している。
【0200】
図7は、対応するデジタル画像に重ねられた外形プロットを示す。外形プロットはさらに、デジタル画像及び/又は実施された解析の品質をチェックするために使用できる。
【0201】
図8は、図3の装置で使用された紙の代わりに2次元サンプル領域30として使用できるライトパッド70の概略図を示す。ライトパッドは、白いLED光源73(破線の長方形で示される)で裏面から照明される半透明層で製作された光を発する発光表面71からなる。光を発する発光表面71は、DIN A4用紙の大きさを有し、黒いフレーム72により完全に取り囲まれる。
【0202】
図9は、図8のライトパッド70の照明されない表面上の粒子サンプル(左側)と図8のライトパッド70の照明された表面上の同じ粒子サンプル(右側)を示す。比較から明らかであるように、右側のコントラストのほうが明らかにより、影は見えない。
【0203】
図10は、粒子ふるい分け粒子群あたりの、粒子径>0.5mmの砂粒子のサンプルの粒子カウント(右軸)と、追加的に、粒子ふるい分け粒子群あたりの、3種類の粒形パラメータ(真円度/R、球形度/SP、及びアスペクト比/AR)の対応する平均値(左軸)を示す。
【0204】
図10に示されるデータは、図1及び2において説明された方法とシステムを用いて得られた。この方法で使用されるアプリケーション26はさらに、粒子ふるい分け粒子群の選択された範囲、例えば4mmの下限閾値から8mmの上限閾値、又は代替的に1mmの下限閾値から16mmの最大ふるい分け粒子群までの粒形パラメータの全体の平均値を計算するように構成されてもよい。
【0205】
当業者であれば、本発明は、その主旨又は本質的特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態でも実装できることがわかるであろう。したがって、本明細書で開示される実施例と実施形態はあらゆる点において例示的であり、限定的ではないと考えるものとする。
【0206】
例えば、サーバ21aを使用する代わりに、アプリケーション26は、図1の方法のステップ11、12、13、14、及び任意選択的に15aの全てを実行できるスタンドアロンアプリケーションとして構成できる。
【0207】
同様に、システム20の任意選択的機能、例えば他のコンピュータデバイスとのデータの共有又は、例えば位置特定センサを介した位置データを自動的に読み出すこと等の追加的機能の追加は除外することができる。
【0208】
方法はまた、砂以外の固体粒子を特徴付けるためにも使用できる。
【0209】
また、配合設計アプリケーション27は有するが、アプリケーション26は持たないシステム20を提供することができる。このようなシステムは例えば、図5に示される方法を実行するのに適している。この場合、少なくとも1つの粒子径パラメータ及び少なくとも1つの粒形パラメータをマニュアルで入力すること、及び/又はデータストレージ29及び/又は他の何れかのデータストレージ、例えばサーバ21のデータストレージ29aから読み出すことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】