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特表2024-527507均一系銅触媒の存在下でホルムアルデヒドをアセチレンと反応させることによってプロパルギルアルコールを合成するためのプロセス
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  • 特表-均一系銅触媒の存在下でホルムアルデヒドをアセチレンと反応させることによってプロパルギルアルコールを合成するためのプロセス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】均一系銅触媒の存在下でホルムアルデヒドをアセチレンと反応させることによってプロパルギルアルコールを合成するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C07C 29/42 20060101AFI20240718BHJP
   C07C 33/042 20060101ALI20240718BHJP
   C07F 19/00 20060101ALI20240718BHJP
   C07F 9/50 20060101ALI20240718BHJP
   C07F 1/08 20060101ALI20240718BHJP
   C07C 33/46 20060101ALI20240718BHJP
   B01J 31/24 20060101ALI20240718BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240718BHJP
【FI】
C07C29/42
C07C33/042
C07F19/00
C07F9/50
C07F1/08 Z
C07C33/46
B01J31/24 Z
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578070
(86)(22)【出願日】2022-06-10
(85)【翻訳文提出日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2022065792
(87)【国際公開番号】W WO2022268526
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】21180528.8
(32)【優先日】2021-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.TEFLON
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャウブ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シェブチェンコ,グリゴリー アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ハシュミ,エー.シュテフェン ケー.
(72)【発明者】
【氏名】シッテ,ニコライ アマデウス
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
4H048
4H050
【Fターム(参考)】
4G169AA06
4G169BA27A
4G169BA27B
4G169BC31A
4G169BC31B
4G169BD07A
4G169BE01A
4G169BE02B
4G169BE18B
4G169BE25B
4G169BE26A
4G169BE26B
4G169BE27B
4G169BE34B
4G169BE37B
4G169CB25
4G169CB64
4G169DA02
4G169ED01
4G169FA01
4G169FB77
4G169GA10
4H006AA02
4H006AC21
4H006AC41
4H006AD16
4H006BA05
4H006BA48
4H006BA81
4H006BA84
4H006BB11
4H006BB12
4H006BC10
4H006BC11
4H006BC32
4H006BC34
4H006BD36
4H006BD52
4H006FE11
4H039CA31
4H039CA60
4H039CF30
4H048AA02
4H048AA03
4H048AB40
4H048VA45
4H048VB10
4H050AA02
4H050AA03
4H050AB40
(57)【要約】
プロパルギルアルコールを製造するためのプロセスであって、液相中、銅触媒及び少なくとも1種のホスフィンの存在下に、アセチレンをホルムアルデヒドと反応させる、プロセス。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロパルギルアルコールを製造するためのプロセスであって、液相中、銅触媒及び少なくとも1種のホスフィンの存在下に、アセチレンをホルムアルデヒドと反応させる、プロセス。
【請求項2】
前記銅触媒は、配位子として少なくとも1種のホスフィンを含む均一系触媒である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記ホスフィンは、式I又はII:
【化1】
(式中、
nは、0又は1であり、
~Rは、互いに独立に、無置換又は少なくとも一置換の、C~C10-アルキル、C~C10-シクロアルキル、N、O及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC~C10-ヘテロシクリル、C~C14-アリール又はN、O及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC~C10-ヘテロアリール
(ここで、置換基は:F、Cl、Br、OH、CN、NH及びC~C10-アルキルからなる群から選択される)であり;
Aは、
i)無置換若しくは少なくとも一置換の、N、O、P、C~C-アルカン、C~C10-シクロアルカン、N、O及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC~C10-ヘテロシクロアルカン、C~C14-芳香族並びにN、O及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC~C-複素芳香族の群から選択される
(ここで、置換基は:
~C-アルキル、フェニル、F、Cl、Br、OH、OR15、NH、NHR15又はN(R15からなる群から選択され、
15は、C~C10-アルキル及びC~C10-アリールから選択される)、架橋基であるか;
又は
ii)式(III)若しくは(IV):
【化2】
(m、qは、互いに独立に、0、1、2、3又は4であり;
10、R11は、互いに独立に、C~C10-アルキル、F、Cl、Br、OH、OR18、NH、NHR18及びN(R18の群から選択され
(ここで、R18は、C~C10-アルキル及びC~C10-アリールから選択される);
、Xは、互いに独立に、NH、O又はSであり;
は、結合、NH、NR17、O、S又はCR1819であり;
17は、無置換又は少なくとも一置換の、C~C10-アルキル、C~C10-シクロアルキル、N、O及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC~C10-ヘテロシクリル、C~C14-アリール又はN、O及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC~C10-ヘテロアリールであり
(ここで、置換基は:F、Cl、Br、OH、CN、NH及びC~C10-アルキルからなる群から選択される);
18、R19は、互いに独立に、無置換又は少なくとも一置換の、C~C10-アルキル、C~C10-アルコキシ、C~C10-シクロアルキル、C~C10-シクロアルコキシ、N、O及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC~C10-ヘテロシクリル、C~C14-アリール、C~C14-アリールオキシ又はN、O及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC~C10-ヘテロアリールである
(ここで、置換基は:F、Cl、Br、OH、CN、NH及びC~C10-アルキルからなる群から選択される))の架橋基であり;
、Y、Yは、互いに独立に、結合、無置換又は少なくとも一置換のメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン又はヘキサメチレンである
(ここで、置換基は:F、Cl、Br、OH、OR15、CN、NH、NHR16、N(R16及びC~C10-アルキルからなる群から選択され、
16は、C~C10-アルキル及びC~C10-アリールから選択される))のホスフィンである、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記ホスフィンは、式V:
【化3】
(式中、
~Rは、互いに独立に、無置換又は少なくとも一置換の、C~C10-アルキル、C~C10-シクロアルキル、N、O及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC~C10-ヘテロシクリル、C~C14-アリール又はN、O及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC~C10-ヘテロアリールであり
(ここで、置換基は:F、Cl、Br、OH、CN、NH及びC~C10-アルキルからなる群から選択される);
Aは、
i)無置換又は少なくとも一置換の、N、O、P、C~C-アルカン、C~C10-シクロアルカン、N、O及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC~C10-ヘテロシクロアルカン、C~C14-芳香族並びにN、O及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC~C-複素芳香族の群から選択される
(ここで、置換基は:
~C-アルキル、フェニル、F、Cl、Br、OH、OR16、NH、NHR16又はN(R16からなる群から選択され、
16は、C~C10-アルキル及びC~C10-アリールから選択される)、架橋基である)による二座ホスフィンである、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記銅錯体は、前記ホルムアルデヒドとアセチレンとの前記反応中にその場で調製される、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記銅錯体の前記調製において、銅1モル当たり0.1~10モルのホスフィンが使用される、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記銅錯体は、ホルムアルデヒドの量を基準として、0.01~5モル%の量で使用される、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記反応混合物は、有機溶媒を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
アセチレンは、前記反応に1~20barの圧力で供給される、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記反応は、50~200℃の温度で実施される、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記反応は、2つの液相を含む系で実施され、一方の相は水に富む相であり、他方は有機溶媒に富む、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記反応の後は、前記有機相は前記銅触媒に富み、前記水相は、前記プロパルギルアルコールに富む、請求項10に記載のプロセス。
【請求項13】
前記反応の後は、前記有機相は前記銅触媒に富み、アルキニル化反応における触媒として再利用される、請求項10又は11に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、均一触媒反応によってプロパルギルアルコールを製造するためのプロセスであって、配位子としての少なくとも1種のホスフィンを含む銅錯体の存在下にアセチレンをホルムアルデヒドと反応させる、プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
プロパルギルアルコールは、現在、不均一系銅アセチリド触媒を使用してアセチレン及びホルムアルデヒドから製造されているが、これは通常、選択性が比較的低く、副生成物としてかなりの量の1,4-ブチンジオールが生成する。そのため、プロパルギルアルコールに対する市場の需要に応えるために、アセチレン及びホルムアルデヒドからプロパルギルアルコールを経済的に合成するためのより選択性の高い合成方法が必要とされている。
【0003】
Justus Liebigs Annalen der Chemie,1955,596,25-38には、不均一系銅アセチリド触媒及び溶媒としてのテトラヒドロフランを100℃で使用して、水性ホルムアルデヒドを圧力20barのアセチレンと反応させることが記載されている。生成物を単離した後、62%のプロパルギルアルコール及び30%の1,4-ブチンジオール(使用したホルムアルデヒドによる)を得ることができる(プロパルギルアルコール:1,4-ブチンジオールの比=2.1:1)。この手法の欠点は、不要な1,4-ブチンジオールが30%になることと、20barという高いアセチレン圧力が必要であり、高い安全対策が求められることとにある。
【0004】
米国特許第2996552A号明細書には、プロパルギルアルコールを合成するために、大気圧のアセチレン、触媒としての10%KOH、溶媒としてのジメチルスルホキシド及びホルムアルデヒド源としての固体パラホルムアルデヒドを使用することが開示されている。パラホルムアルデヒドのプロパルギルアルコールへの転化率は40%であり、1,4-ブチンジオールへの転化率は9%である(プロパルギルアルコール:1,4-ブチエンジオール(butyendiol)の比=4.4:1)。この手法の欠点は、パラホルムアルデヒドの転化率の低さと、不要な1,4-ブチンジオールの生成量と、反応終了時に触媒を中和する必要があり、したがってこれを再利用することができず、塩の廃棄物となることとにある。
【0005】
独国特許第4415380号明細書には、不均一系銅アセチリド触媒及び溶媒としてのジメチルホルムアミドを使用し、アセチレンを最大1.4barの圧力で水性ホルムアルデヒドと反応させることが開示されている。パラホルムアルデヒドのプロパルギルアルコール及び1,4-ブチンジオールへの転化率は最大75%であり、プロパルギルアルコール対1,4-ブチエンジオール(butyendiol)の比の最大値は3:1であると開示されている。この手法の欠点は、不要な1,4-ブチンジオールが依然として比較的多量に生成することである。
【0006】
欧州特許第1658256号明細書には、不均一系銅アセチリド触媒を移動床で使用し、溶媒としてテトラヒドロフランを使用して、アセチレンを3.3barの圧力で水性ホルムアルデヒドと反応させることが開示されている。達成されるプロパルギルアルコール対1,4-ブチエンジオール(butyendiol)の比の最大値は0.17:1である。この手法の欠点は、不要な1,4-ブチンジオールが多量に生成することであり、このプロセスにおいては主生成物である。
【0007】
末端アルキンをベースとして他のアルキノールを合成するための、特定の遷移金属を触媒とする系が知られている。
【0008】
Organic Letters,2005,7,4395-4398においては、均質に溶解させたホスフィン配位子を有する銀触媒及び添加剤としてのトリアルキルアミンを、溶媒としての水中で使用して、フェニルアセチレンのような末端アルキン及び様々なアルデヒドから一連のアルキノールが合成されている。この系の欠点は、この系がアセチレン及びホルムアルデヒドを用いた場合も選択的に機能してプロパルギルアルコールが得られることを示すことができていないことと、この場合、アセチレンの反応にこの系を使用することを試みると、銀が非常に爆発性の高い銀アセチリドを形成する可能性があることとにある。
【0009】
Journal of Organic Chemistry,2007,72,9560-9596においては、均質に溶解したホスフィン配位子を有するロジウム触媒を、溶媒としてのジオキサン中で使用することにより、末端アルキン及び様々なケトン及びアルデヒドから一連のアルキノールが合成されている。この系の欠点は、この系がアセチレン及びホルムアルデヒドを用いた場合も選択的に機能してプロパルギルアルコールが得られることを示すことができていないことと、非常に高価な貴金属ロジウムを触媒に使用することとにある。
【0010】
RSC Advances,2015,5,13220-13223においては、1当量の無機塩基及び1当量のトリアルキルアミン塩基の存在下に、溶媒としてのジメチルスルホキシド中、ヨウ化銅(I)を使用することにより、末端アルキン及びパラホルムアルデヒドから一連のアルキノールが合成されている。この研究では、配位子としてのホスフィン(PPh)の存在下において、所与の条件下ではプロパルギルアルコールは生成せず、その替わり、アルキンの二量化が起こるだけであると述べられている。この系の欠点は、この系がアセチレン及びホルムアルデヒドを用いた場合も選択的に機能してプロパルギルアルコールが得られることを示すことができていないことと、更に、添加剤として化学量論量の塩基が必要であり、それにより製造コストが高くなり、廃棄物も生じることとにある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、ホルムアルデヒド及びアセチレンからプロパルギルアルコールを合成するためのプロセスであって、低いアセチレン圧力及び高いプロパルギルアルコールへの選択性で、他に化学量論量の共試剤(co-reagent)を使用することなく実施することができるプロセスを提供することにあった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これに従い、液相中で、銅触媒及び少なくとも1種のホスフィンの存在下に、アセチレンをホルムアルデヒドと反応させる、プロパルギルアルコールを製造するためのプロセスが見出された。
【0013】
好ましくは、このプロセスは、配位子として少なくとも1種のホスフィンを有する均一系銅触媒を用いて実施される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】GCの結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ホルムアルデヒド
ホルムアルデヒドは、本開示プロセスに様々な形態で使用することができる。これは、本プロセスにおいては、ホルムアルデヒド含有量が最大50重量%である工業用(technical)水溶液として、メタノール(ホルムアルデヒド最大55重量%)、ブタノール(ホルムアルデヒド最大40重量%)などの様々なアルコールの溶液として、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセタール(例えば、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン)として又は純粋な気体状ホルムアルデヒドとして使用することができる。
【0016】
銅触媒
均一系銅触媒Cu(I)は、銅、所要のホスフィン配位子及び1種又は複数種の他の配位子を含む、予め形成された銅錯体の形態で使用することができる。或いは、触媒系は、反応混合物中で、本明細書において触媒前駆体とも称する銅化合物を1種又は複数種の好適なホスフィン配位子と組み合わせて、触媒活性を示す銅錯体を反応混合物中で形成することによって、その場で形成される。
【0017】
好適な触媒前駆体は、中性銅錯体、銅の酸化物及び塩から選択される。触媒前駆体として有用な銅化合物は、例えば、[CuBr(MeS)]、[Cu(CFSO]、[CuBr]、[CuCl]、[CuI]、[CuF]、[Cu(OAc)]、[Cu(OAc)]・HO、[Cu(OAc)]、[(PPhCu][NO]、[Cu(AcAc)]、[Cu((CHCHCOO)]、[CuCl]、[CuCl]・2HO、[Cu(CN)]、[Cu(HCOO)]・(HO)、[Cu(OCH]、[Cu(CO]・3HO、[Cu(OCCO)]・0.5HO、[Cu(ClO]・6HO、[Cu(CCPh)]、[Cu]・HO[Cu(SO)]、[Cu(SO)]・5HO、[Cu(NO]、[Cu(BF]・H、[Cu(SCN)]、[Cu(CFSO]、[Cu(CHCN)][PF]、[Cu(CHCN)][BF]、[Cu(CHCN)][NO]及び[Cu(CHCN)][ClO]である。
【0018】
本発明によるプロセスのアルキニル化を行うためには、銅と組み合わせて好適なホスフィン配位子を使用しなければならない。
【0019】
本発明によるプロセスにおけるホルムアルデヒドのアルキニル化に用いられる触媒系の好適なホスフィン配位子は、例えば、以下に示す式I及びII:
【化1】
(式中、
nは、0又は1であり、
~Rは、互いに独立に、無置換又は少なくとも一置換の、C~C10-アルキル、C~C10-シクロアルキル、N、O及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC~C10-ヘテロシクリル、C~C14-アリール又はN、O及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC~C10-ヘテロアリール
(ここで、置換基は:F、Cl、Br、OH、CN、NH及びC~C10-アルキルからなる群から選択される)であり;
Aは、
i)無置換若しくは少なくとも一置換の、N、O、P、C~C-アルカン、C~C10-シクロアルカン、N、O及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC~C10-ヘテロシクロアルカン、C~C14-芳香族並びにN、O及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC~C-複素芳香族の群から選択される
(ここで、置換基は:
~C-アルキル、フェニル、F、Cl、Br、OH、OR15、NH、NHR15又はN(R15からなる群から選択され、
15は、C~C10-アルキル及びC~C10-アリールから選択される)、架橋基であるか;
又は
ii)式(III)若しくは(IV):
【化2】
(m、qは、互いに独立に、0、1、2、3又は4であり;
10、R11は、互いに独立に、C~C10-アルキル、F、Cl、Br、OH、OR18、NH、NHR18及びN(R18の群から選択され
(ここで、R18は、C~C10-アルキル及びC~C10-アリールから選択される);
、Xは、互いに独立に、NH、O又はSであり;
は、結合、NH、NR17、O、S又はCR1819であり;
17は、無置換又は少なくとも一置換の、C~C10-アルキル、C~C10-シクロアルキル、N、O及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC~C10-ヘテロシクリル、C~C14-アリール又はN、O及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC~C10-ヘテロアリールであり
(ここで、置換基は:F、Cl、Br、OH、CN、NH及びC~C10-アルキルからなる群から選択される);
18、R19は、互いに独立に、無置換又は少なくとも一置換の、C~C10-アルキル、C~C10-アルコキシ、C~C10-シクロアルキル、C~C10-シクロアルコキシ、N、O及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC~C10-ヘテロシクリル、C~C14-アリール、C~C14-アリールオキシ又はN、O及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC~C10-ヘテロアリールである
(ここで、置換基は:F、Cl、Br、OH、CN、NH及びC~C10-アルキルからなる群から選択される))の架橋基であり;
、Y、Yは、互いに独立に、結合、無置換又は少なくとも一置換のメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン又はヘキサメチレンである
(ここで、置換基は:F、Cl、Br、OH、OR15、CN、NH、NHR16、N(R16及びC~C10-アルキルからなる群から選択され、
16は、C~C10-アルキル及びC~C10-アリールから選択される))の単座-、二座-、三座-及び四座ホスフィンである。
【0020】
Aは、架橋基である。Aが、無置換又は少なくとも一置換のC~C-アルカン、C~C10-シクロアルカン、C~C10-ヘテロシクロアルカン、C~C14-芳香族及びC~C-複素芳香族の群から選択され、(n=0)である場合は、架橋基の2個の水素原子が、隣接する置換基であるY及びYへの結合に置き換わる。(n=1)である場合は、架橋基の3個の水素原子が、隣接する置換基であるY、Y及びYへの3本の結合に置き換わる。
【0021】
AがP(リン)である場合、リンは、(n=0)の場合、隣接する置換基Y及びYへの2本の結合並びにC~C-アルキル及びフェニルからなる群から選択される置換基への1本の結合を形成する。(n=1)の場合、リンは、隣接する置換基Y、Y及びYへの3本の結合を形成する。
【0022】
AがN(窒素)である場合、窒素は、(n=0)の場合、隣接する置換基Y及びYへの2本の結合並びにC~C-アルキル及びフェニルからなる群から選択される置換基への1本の結合を形成する。(n=1)の場合、窒素は、隣接する置換基Y、Y及びYへの3本の結合を形成する。
【0023】
AがO(酸素)である場合、n=0である。酸素は、隣接する置換基Y及びYへの2本の結合を形成する。
【0024】
好ましい実施形態において、本発明によるプロセスは、銅錯体触媒に加えて、一般式(II)の少なくとも1種の供与性リン配位子の存在下に実施される。
【0025】
好ましい実施形態において、本発明によるプロセスは、少なくとも1種の銅錯体触媒及び一般式(V):
【化3】
(式中、
~Rは、互いに独立に、無置換又は少なくとも一置換の、C~C10-アルキル、C~C10-シクロアルキル、N、O及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC~C10-ヘテロシクリル、C~C14-アリール又はN、O及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC~C10-ヘテロアリールであり
(ここで、置換基は:F、Cl、Br、OH、CN、NH及びC~C10-アルキルからなる群から選択される);
Aは、
i)無置換又は少なくとも一置換の、N、O、P、C~C-アルカン、C~C10-シクロアルカン、N、O及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC~C10-ヘテロシクロアルカン、C~C14-芳香族並びにN、O及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC~C-複素芳香族の群から選択される
(ここで、置換基は:
~C-アルキル、フェニル、F、Cl、Br、OH、OR16、NH、NHR16若しくはN(R16からなる群から選択され、
16は、C~C10-アルキル及びC~C10-アリールから選択される)、架橋基である)の少なくとも1種の供与性リン配位子の存在下に実施される。
【0026】
一実施形態において、本発明によるプロセスは、銅錯体触媒及び式Iの単座配位子の存在下に実施され、本明細書においては、R、R及びRが、それぞれ、任意選択的に1つ又は2つのC~C-アルキル置換基を有するフェニル又はアルキルであるもの並びにR、R及びRが、それぞれ、C~C-シクロアルキル又はC~C10-アルキルであるものが好ましい。R~R基は、異なっていても同一であってもよい。好ましくは、R5a基~R基は同一であり、本明細書に述べた置換基、特に好ましいものとして示したものから選択される。好ましい単座配位子Iの例は、トリフェニルホスフィン(TPP)、トリエチルホスフィン、トリ-n-ブチルホスフィン、トリ-n-オクチルホスフィン、トリtertブチルホスフィン及びトリシクロヘキシルホスフィン、トリアダマンチルホスフィン、ジアダマンチル-n-ブチル-ホスフィンである。
【0027】
他の実施形態において、本発明によるプロセスは、銅錯体触媒と、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(dppb)、1,2-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)エタン(dcpe)、1,3-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロパン(dcpp)、1,4-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン(dcpb)、1,2-ビス(ジtertブチルホスフィノ)エタン(dtpe)、1,3-ビス(ジtertブチルホスフィノ)プロパン(dtpp)、1,4-ビス(ジtertブチルホスフィノ)ブタン(dtpb)、1,2-ビス(ジイソプロピルホスフィノ)エタン(dcpe)、1,3-ビス(ジイソプロピルホスフィノ)プロパン(dcpp)、1,4-ビス(ジイソプロピルホスフィノ)ブタン(dcpb)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、1,2-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ベンゼン、1,2-ビス(ジイソプロピルホスフィノ)ベンゼン、1,2-ビス(dtertブチルホスフィノ)ベンゼン、1,2-ビス-(ジフェニルホスフィノメチレン)ベンゼン、1,2-ビス-(ジイソプロピルホスフィノメチレン)ベンゼン、1,2-ビス-(ジtertブチルホスフィノメチレン)ベンゼン、1,2-ビス-(ジシクロヘキシル)イルホスフィノメチレン)ベンゼン、特に、1,4-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン(dcpb)及び1,2-ビス-(ジtertブチルホスフィノメチレン)ベンゼンからなる群から選択される式Vの配位子である、少なくとも二座配位子との存在下に実施される。
【0028】
本発明に関連するC~C10-アルキルは、分岐、非分岐、飽和及び不飽和基を意味すると理解される。1~6個の炭素原子を有するアルキル基(C~C-アルキル)が好ましい。1~4個の炭素原子を有するアルキル基(C~C-アルキル)がより好ましい。
【0029】
飽和アルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、アミル及びヘキシルである。
【0030】
不飽和アルキル基(アルケニル、アルキニル)の例は、ビニル、アリル、ブテニル、エチニル及びプロピニルである。
【0031】
~C10-アルキル基は、無置換であってもよく、又はF、Cl、Br、ヒドロキシ(OH)、C~C10-アルコキシ、C~C10-アリールオキシ、C~C10-アルキルアリールオキシ、N、O、Sから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC~C10-ヘテロアリールオキシ、オキソ、C~C10-シクロアルキル、フェニル、N、O、Sから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC~C10-ヘテロアリール、N、O、Sから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC~C10-ヘテロシクリル、ナフチル、アミノ、C~C10-アルキルアミノ、C~C10-アリールアミノ、N、O、Sから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC~C10-ヘテロアリールアミノ、C~C10-ジアルキルアミノ、C10~C12-ジアリールアミノ、C10~C20-アルキルアリールアミノ、C~C10-アシル、C~C10-アシルオキシ、NO、C~C10-カルボキシ、カルバモイル、カルボキサミド、シアノ、スルホニル、スルホニルアミノ、スルフィニル、スルフィニルアミノ、チオール、C~C10-アルキルチオール、C~C10-アリールチオール若しくはC~C10-アルキルスルホニルの群から選択される1つ若しくは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0032】
~C10-アルキルに関する上の定義はC~C30-アルキル及びC~C-アルカンにも適用される。
【0033】
~C10-シクロアルキルは、この場合、飽和、不飽和の単環式及び多環式基を意味するものとして理解される。C~C10-シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルである。シクロアルキル基は、無置換であってもよいし、又はC~C10-アルキル基に関連して上に定義した1つ若しくは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0034】
活性な銅触媒は、上に述べた前駆体に配位子を添加することによって、反応混合物中でその場で生成させることができる。金属銅及び配位子のモル比は、2:1~1:50の範囲、好ましくは1:1~1:10の範囲、最も好ましくは1:2~1:5の範囲にある。
【0035】
活性な銅触媒はまた、アルキニル化反応を行う前のステップにおいて、水との間で混合間隙(mixing gap)を生じる、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン又はクロロホルムのような適切な有機溶媒中、25℃~120℃の間の温度で配位子を上に述べた前駆体に添加し、10分間~10時間かけて生成させることもできる。一実施形態においては、この触媒活性化ステップにおいて、アセチレンが存在する。アセチレンは、有機溶媒中に溶解させて添加されるか、又は活性化時に混合物中に1bar~20barの間の圧力に加圧して添加されるかのいずれかである。一実施形態において、触媒を生成させた後に不溶な物質が形成されていた場合は、これを濾去する。次いで、得られた活性触媒を含む溶液をアルキニル化反応に使用する。
【0036】
上に記載した配位子の群から選択される1種又は複数種の配位子に加えて、本発明のプロセスの触媒系は、ハライド、アルキン、アミド、カルボキシラート、アセチルアセトナート、アリール-又はアルキルスルホナート、ヒドリド、CO、オレフィン、ジエン、シクロオレフィン、ニトリル、芳香族及び複素芳香族、エーテル、PF、ホスホール、ホスファベンゼン並びに単座-、二座-及び多座のホスフィナイト、ホスホナイト、ホスホロアミダイト及びホスファイト配位子から選択される少なくとも1種の更なる配位子も含むことができる。
【0037】
活性触媒は、専用の(dedicated)合成ステップにおいて予め形成しておくこともできる。適切な予め形成された触媒は、[Cu(dcpb)][PF、[Cu(dcpb)][NO、[Cu(dcpb)][BF、[Cu(dcpb)][ClO[Cu(dppe)][PF、[Cu(dppe)][NO[Cu(dcpb)Cl]、[Cu(dcpb)Cl]、[Cu(PPh][NO]及び[Cu(PCy][NO]、[CuCCPh]及び[Cu]・HOであり得る。
【0038】
予め形成された活性触媒が使用される場合、反応混合物に式I又はVの追加の配位子を加えても有利となり得る。
【0039】
本発明のプロセスにおいて、使用される銅触媒の、使用されるホルムアルデヒドを基準とする量は、広い範囲で変化し得る。通常、銅触媒は、ホルムアルデヒドの量に対し、化学量論量を下回る量で使用される。通常、銅触媒の量は、ホルムアルデヒドの量を基準として50モル%以下、多くの場合20モル%以下、特に10モル%以下又は5モル%以下である。本発明のプロセスにおいて、銅触媒の量は、ホルムアルデヒドの量を基準として、0.001~50モル%、多くの場合、0.001モル%~20モル%、特に0.005~5モル%で使用することが好ましい。銅触媒を0.01~5モル%の量で使用することが好ましい。ここに示した銅触媒の量は全て、金属銅として、ホルムアルデヒドの量を基準として計算したものである。
【0040】
ホルムアルデヒドとアセチレンとの反応は、主として、ホルムアルデヒドとアセチレンとの反応に適した技術分野の当業者に知られているあらゆるプロセスに従い実施することができる。
【0041】
還元反応に使用されるアセチレンは、純粋な形態で使用することもできるし、又は所望により、他の不活性ガス、好ましくは窒素、メタン、エタン、プロパン、ブタン又はアルゴンなどとの混合物の形態で使用することもできる。アセチレンは、無希釈形態で使用することが好ましい。
【0042】
アセチレンは、不連続的に又は連続的に、例えば、アセチレンガスを反応混合物中にバブリングすることによって適用することができる。
【0043】
アセチレンはまた、有機溶媒に溶解して反応に適用することもできる。反応前にこの溶媒をアセチレンで飽和させた後、有機溶媒に溶解した状態でアルキニル化反応に導入することもできる。
【0044】
本明細書に記載するプロセスはまた、置換プロパルギルアルコール、例えば、フェニルプロパルギルアルコール又はトリメチルシリルプロパルギルアルコールの製造にも使用することができる。したがって、この種のプロセスの場合は、アセチレンに替えて置換アセチレン、例えば、フェニルアセチレン又はトリメチルシリルアセチレンが、ホルムアルデヒドとの反応に使用される(実施例1~7及び実施例8参照)。
【0045】
この反応は、典型的には、アセチレン圧力を、0.1~20barの範囲、好ましくは0.5~20barの範囲、より好ましくは0.5~10barの範囲の常温圧力(cold pressure)として実施される。
【0046】
本発明の方法において、反応は、有機溶媒の存在下に実施される。「溶媒」とは、溶質(化学的に異なる液体、固体又は気体)を溶解し、結果として溶液を生成する物質である。溶液とは、気体状、液体又は固体の溶質が溶媒に溶解している均質な混合物である。そして今度は、均質な混合物とは、2種以上の物質から構成されており、溶質の粒子を肉眼で見ることができず、光を散乱しないものである。この文脈において、溶媒は20℃で液体である。
【0047】
有機溶媒は、好ましくは、アルカン、シクロアルカン、芳香族、ハロゲン化アルカン、ハロゲン化芳香族からなる群から選択される。
【0048】
好適な有機溶媒の例は、ベンゼン、トルエン、キシレン(異性体の混合物及び純粋な異性体)、クロロホルム、(シクロ)ヘキサン、ヘプタン又はクロロベンゼンである。
【0049】
ホルムアルデヒドは、好ましくは、アルキニル化反応に使用される全ての溶媒の総重量に対し、0.1~25重量%、より好ましくは0.5~20重量%、特に1~20重量%、例えば、1~15重量%の量で存在する。
【0050】
本発明のプロセスの反応混合物のワークアップ及びプロパルギルアルコールの単離は、言うまでもなく、他の慣用されている手法で、例えば、濾過若しくは水性抽出によるワークアップ又は蒸留により実施することができる。プロパルギルアルコールは、一般に、この種の手段又はその組合せを適用することによって十分な純度で得られ、追加の精製ステップは不要である。残留している銅触媒、例えば、蒸留塔の塔底(sump)に、又は水性抽出後の有機相に残留している銅触媒は、アルキニル化反応で再利用することができる。
【0051】
一実施形態において、反応は水の存在下に実施され、反応中及び反応後も第2の液相が形成される。この実施形態においては、上に述べた有機溶媒のうちの1種が使用され、それにより水との混合間隙が生じる。水は純水として添加することもできるし、又はホルムアルデヒド源として水性ホルムアルデヒドが使用される場合は、ホルムアルデヒド水溶液を介して添加することもできる。この実施形態において、銅触媒は、好ましくは有機溶媒に溶解され、プロパルギルアルコールは、好ましくは反応後に水相に溶解されている。
【0052】
有機溶媒及び水の理想的な混合比は、使用される具体的な有機溶媒、ホルムアルデヒド源、触媒、それらのそれぞれの濃度及び相分離方法に応じて変化し、当業者が決定することができる。
【0053】
アルキニル化反応に加えられる有機溶媒及び水は、好適には、全体の重量比が、好ましくは95:5~5:95、より好ましくは80:20~20:80となる量で存在する。
【0054】
2つの液相は、一般に、比重による相分離によって分離される。これは、例えば、E.Mueller et al.,“Liquid-Liquid Extraction” in Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,2005,Wiley-VCH Verlag GmbH&Co KGaA,DOI:10.1002/14356007.b03_06,chapter 3 “Apparatus”に記載されている標準的な装置及び標準的な方法を用いて実施することができる。
【0055】
実験室規模では、相分離は、例えば、分液漏斗で実施することができ;工業規模では、ミキサセトラ装置などの向流抽出装置、抽出塔、撹拌型抽出塔、連続式充填床液液抽出装置などが適している。
【0056】
有機溶媒相が銅触媒に富むとは、銅触媒の分配係数
P=[有機相中の銅触媒濃度]/[水相中の銅触媒濃度]
が>1であることを意味する。分配係数は、好ましくは>2であり、特に好ましくは>5である。
【0057】
水相がプロパルギルアルコールに富むとは、プロパルギルアルコールの分配係数
P=[水相中のプロパルギルアルコールの濃度]/[有機相中のプロパルギルアルコールの濃度]
が>1であることを意味する。分配係数は、好ましくは>2であり、特に好ましくは>5である。
【0058】
プロパルギルアルコールは、水相から単離することができる。例えば、蒸留又は抽出により生成物を得ることができる。
【0059】
銅触媒を含む有機相は、触媒相としてアルキニル化反応に再利用することができ、1回目の再生(turnover)後の転化率も満足できるものである。数回の再生の後でさえも、触媒活性は依然として満足できるものである。
【0060】
この反応は、主として、連続的に、半連続的に又は不連続的に実施することができる。連続プロセスが好ましい。
【0061】
反応は、主としてこの様式の反応の技術分野の当業者に知られているあらゆる反応器で実施することができ、したがって、当業者はこれに従い反応器を選択するであろう。好適な反応器は、該当する先行技術において、例えば、K.Henkel,“Reactor Types and Their Industrial Applications”,Ullmann‘s Encyclopedia of Industrial Chemistry,2005,Wiley-VCH Verlag GmbH & Co.KGaA,chapter 3.3:“Reactors for gas-liquid reactions”に記載及び概説されている。
【0062】
本発明のプロセスは幅広い温度範囲で実施することができる。好ましくは、反応は、20℃~200℃の範囲、より好ましくは50℃~180℃の範囲、特に60℃~120℃の範囲の温度で実施される。
【化4】
【0063】
【表1】
【実施例
【0064】
配位子をスクリーニングするための実験手順(実施例1~6):
アルゴンを充填したグローブボックス内で、クリンプバイアル(容量10mL、巻口(beaded rim)を有する使い捨てガラスバイアル、テフロン(Teflon)/ブチルゴムセプタムシール付きのクリンプ式アルミニウムキャップで密閉)に、ヘキサフルオロリン酸テトラキス(アセトニトリル)銅(I)(18.6mg、50.0μmol、5.00モル%)及び配位子(単座:150μmol、15.0モル%;二座:75.0μmol、7.50モル%;例えば:トリブチルホスフィン、30.3mg、150μmol、15.0モル%)を装入した。次いでこの触媒系を脱水トルエン(5.00mL、47.2mmol、47.2当量)に溶解し、フェニルアセチレン(102mg、1.00mmol、1.00当量)に加えた。テフロンコートされたマグネチックスターラーバーを入れ、バイアルを密閉し、溶液を室温で数分間撹拌した。次いで反応混合物をグローブボックスから取り出し、シリンジを用いてホルムアルデヒド溶液(HO中約30wt、微量のメタノール、0.200mL、2.00mmol、2.00当量)を、セプタムを介して反応容器に注入した。次いで反応混合物を撹拌し、金属製ヒーティングブロックを用いて70℃で16時間加熱した。次いでバイアルを室温に冷却し、反応混合物を酢酸エチル(約10mL)で希釈し、水酸化アンモニウム溶液(約10mL)で2回及び飽和食塩水(約10mL)で1回洗浄した。次いで有機相をMgSOで乾燥させ、濾過して、メシチレン(30.0μL)をGC内部標準物質として加えた。次いで反応混合物を較正済みのGCで分析した(t(フェニルアセチレン)=5.70min;t(フェニルプロパルギルアルコール)=10.83min)。
【0065】
分析はスプリット/スプリットレスインジェクター及びFID検出器を備えたAgilent Technologies 6890Nガスクロマトグラフで実施した。カラムとしてAgilent Technologies DB-1キャピラリーカラム(30m×0.25mm、1μm)を使用し、キャリアガスとしてヘリウムを用いた。
【0066】
GC法:スプリット比:50/1、1.1mL/分、圧力一定、80℃(1分)~15℃/分~250℃(5分)。
【0067】
ホスフィン配位子を含まない比較例1は微量の生成物しか生成しなかったことが分かる。実施例2~6は、ホスフィン配位子を加えることにより、主生成物としてプロパルギルアルコールが生成することを示している。
【化5】
【0068】
実施例7:GC面積:出発物質/生成物:4/96
【化6】
【0069】
実施例8:GC面積:出発物質/生成物:22/78
ホルムアルデヒドをアセチレン誘導体でエチニル化するための実験手順(実施例7及び8):
アルゴンを充填したグローブボックス内で、クリンプバイアル(容量10mL、巻口を有する使い捨てガラスバイアル、テフロン/ブチルゴムセプタムシール付きのクリンプ式アルミニウムキャップで密閉)に、ヘキサフルオロリン酸テトラキス(アセトニトリル)銅(I)(3.7mg、10.0μmol、2.00モル%)及びホスフィン配位子(トリブチルホスフィン:6.1mg、30.0μmol、6.00モル%又は1,2-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)キシレン:5.9mg、15.0μmol、3.00モル%)を装入した。次いでこの触媒系を脱水トルエン(5.00mL、47.2mmol、94.4当量)又はm-キシレン(5.00mL、41.0mmol、82.0当量)に溶解し、フェニルアセチレン(51.1mg、500μmol、1.00当量)又はトリメチルシリルアセチレン(49.1mg、500μmol、1.00当量)を加えた。テフロンコートされたマグネチックスターラーバーを入れ、バイアルを密閉し、溶液を撹拌し、90℃で数分間加熱した。次いで反応混合物を室温に冷却し、グローブボックスから取り出し、シリンジを用いてホルムアルデヒド溶液(HO中約30wt、微量のメタノール、0.100mL、1.00mmol、2.00当量)をセプタムを介して反応容器に加えた。次いで反応混合物を撹拌し、金属製ヒーティングブロックを用いて90℃又は110℃で16時間加熱した。次いでバイアルを室温に冷却し、反応混合物をGCで分析した(t(フェニルアセチレン)=3.52min;t(フェニルプロパルギルアルコール)=9.50min;t(TMS-アセチレン)=1.39min;t(TMS-プロパルギルアルコール)=4.83min)。
【0070】
分析はスプリット/スプリットレスインジェクター及びFID検出器を備えたAgilent Technologies 6890Nガスクロマトグラフで実施した。カラムとしてAgilent Technologies DB-FFAPキャピラリーカラム(30m×0.32mm、0.25μm)を使用し、キャリアガスとしてヘリウムを用いた。
【0071】
GC法:スプリット比:50/1、2.3mL/分、圧力一定、80℃(1分)~20℃/分~250℃(5分)。
【化7】
【0072】
【表2】
【0073】
アセチレンを用いて配位子をスクリーニングするための実験手順(実施例9~12):
グローブボックス(Ar)内で、クリンプバイアル(容量10mL、巻口を有する使い捨てガラスバイアル、テフロン/ブチルゴムセプタムシール付きのクリンプ式アルミニウムキャップで密閉)に、ヘキサフルオロリン酸テトラキス(アセトニトリル)銅(I)(6.5mg、17.5μmol、3.50モル%)及び配位子(単座:52.5μmol、10.5モル%;二座:35.0μmol、7.00モル%;例えば:トリブチルホスフィン、10.6mg、52.5μmol、10.5モル%)を装入した。次いでこの触媒系を脱水溶媒(5.00mL)に溶解し、テフロンコートされたマグネチックスターラーバーを入れた。バイアルを密閉し、溶液を室温で数分間撹拌した。次いで反応混合物をグローブボックスから取り出し、3Åのモレキュラーシーブで乾燥させたアセチレンの流れを無溶媒でカニューレを介して2分間溶液中にバブリングすることによりアセチレンを注入した(アセチレンは大気圧下で飽和濃度に達する、飽和濃度は較正済みのGCによって事前に測定しておく、トルエン中のアセチレン濃度は約0.100M、0.500mmol、1.00当量)。次いで反応混合物を室温で更に10分間撹拌し、シリンジを用いてホルムアルデヒド溶液(HO中約30wt、微量のメタノール、70.1μL、0.700mmol、1.40当量)をセプタムを介して反応容器に加えた。次いで反応混合物を撹拌し、金属製ヒーティングブロックを用いて70℃で16時間加熱した。次いでバイアルを室温に冷却し、反応混合物を水(約2mL)で希釈し、更に10分間撹拌した。次いで水相を分離し、濾過し、DMSO(30.0μL)をGC内部標準物質として加えた。次いで水相を較正済みのGCで分析した(t(プロパルギルアルコール)=2.59min;t(ブチンジオール)=6.75min)。
【0074】
分析はスプリット/スプリットレスインジェクター及びFID検出器を備えたAgilent Technologies 6890Nガスクロマトグラフで実施した。カラムとしてAgilent Technologies DB-1キャピラリーカラム(30m×0.25mm、1μm)を使用し、キャリアガスとしてヘリウムを用いた。
【0075】
GC法:スプリット比:50/1、1.1mL/分、圧力一定、80℃(1分)~15℃/分~250℃(5分)。
【化8】
【0076】
【表3】
【0077】
溶媒をスクリーニングするための実験手順(実施例13~18):
アルゴンを充填したグローブボックス内で、クリンプバイアル(容量10mL、巻口を有する使い捨てガラスバイアル、テフロン/ブチルゴムセプタムシール付きのクリンプ式アルミニウムキャップで密閉)に、ヘキサフルオロリン酸テトラキス(アセトニトリル)銅(I)(溶媒中のアセチレン濃度に応じて決定した量、トルエンの実施例の場合(C 0.100M、C 0.500mmol、1.00当量):9.3mg、25.0μmol、5.00モル%)及び1,4-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン(溶媒中のアセチレン濃度に応じて決定した量、トルエンの実施例の場合(C 0.100M、C 0.500mmol、1.00当量):22.5mg、50.0μmol、10.0モル%)を装入した。次いでこの触媒系を脱水溶媒(5.00mL)に溶解し、テフロンコートされたマグネチックスターラーバーを入れた。バイアルを密閉し、溶液を室温で数分間撹拌した。次いで反応混合物をグローブボックスから取り出し、3Åのモレキュラーシーブで乾燥させたアセチレンの流れを無溶媒でカニューレを介して2分間溶液中にバブリングすることによりアセチレンを注入した(アセチレンは大気圧下で飽和濃度に達する、飽和濃度は較正済みのGCによって事前に測定しておく)。次いで反応混合物を室温で更に10分間撹拌し、シリンジを用いてホルムアルデヒド溶液(HO中約30wt、微量のメタノール、0.100mL、1.00mmol、2.00当量)をセプタムを介して反応容器に加えた。次いで反応混合物を撹拌し、金属製ヒーティングブロックを用いて70℃で16時間加熱した。次いでバイアルを室温に冷却し、反応混合物を水(約1mL)で希釈し、更に10分間撹拌した。次いで水相を分離し、濾過し、DMSO(30.0μL)をGC内部標準物質として加えた。次いで水相を較正済みのGCで分析した(t(プロパルギルアルコール)=2.59min;t(ブチンジオール)=6.75min)。
【0078】
分析はスプリット/スプリットレスインジェクター及びFID検出器を備えたAgilent Technologies 6890Nガスクロマトグラフで実施した。カラムとしてAgilent Technologies DB-1キャピラリーカラム(30m×0.25mm、1μm)を使用し、キャリアガスとしてヘリウムを用いた。
【0079】
GC法:スプリット比:50/1、1.1mL/分、圧力一定、80℃(1分)~15℃/分~250℃(5分)。
【化9】
【0080】
【表4】
【0081】
【化10】
【0082】
【表5】
【0083】
【化11】
【0084】
【表6】
【0085】
【化12】
【0086】
実施例29:OHのGC収率:46%/2OHのGC収率:10%
アセチレンを用いたスクリーニング実験のための実験手順(実施例19~29):
アルゴンを充填したグローブボックス内で、クリンプバイアル(容量10mL、巻口を有する使い捨てガラスバイアル、テフロン/ブチルゴムセプタムシール付きのクリンプ式アルミニウムキャップで密閉)に、ヘキサフルオロリン酸テトラキス(アセトニトリル)銅(I)(0.2mg~9.3mg、0.500~25.0μmol、0.100~5.00モル%)及び1,4-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン(0.5mg~22.5mg、1.00~50.0μmol、0.200~10.0モル%)を装入した。次いでこの触媒系を脱水トルエン(5.00mL、47.2mmol、94.4当量)に溶解し、テフロンコートされたマグネチックスターラーバーを入れた。バイアルを密閉し、溶液を室温で数分間撹拌した。次いで反応混合物を濾過し、新品のテフロンコートされたマグネチックスターラーバーと一緒に新品のクリンプバイアルに装入した。必要に応じて、パラホルムアルデヒド(30.0mg、1.00mmol、2.00当量)を加えた。バイアルを密閉し、グローブボックスから取り出した。次いで反応混合物に、3Åのモレキュラーシーブで乾燥させたアセチレンの流れを無溶媒でカニューレを介して2分間溶液中にバブリングすることによりアセチレンを注入した(アセチレンは大気圧下で飽和濃度に達する、飽和濃度は較正済みのGCによって事前に測定しておく、トルエン中のアセチレン濃度は約0.100M、0.500mmol、1.00当量)。次いで反応混合物を室温で更に10分間撹拌し、必要に応じてホルムアルデヒド溶液(HO中約30wt、微量のメタノール、25~500μL、0.250~5.00mmol、0.500~10.0当量)を、シリンジを用いてセプタムを介して反応容器に加えた。次いで反応混合物を撹拌し、金属製ヒーティングブロックを用いて70℃で16時間加熱した。次いでバイアルを室温に冷却し、反応混合物を水(約1mL)で希釈し、更に10分間撹拌した。次いで水相を分離し、濾過し、DMSO(30.0μL)をGC内部標準物質として加えた。次いで水相を較正済みのGCで分析した(通常、t(プロパルギルアルコール)=3.90min;t(ブチンジオール)=8.60min)。
【0087】
分析はスプリット/スプリットレスインジェクター及びFID検出器を備えたAgilent Technologies 6890Nガスクロマトグラフで実施した。カラムとしてAgilent Technologies DB-1キャピラリーカラム(30m×0.25mm、1μm)を使用し、キャリアガスとしてヘリウムを用いた。
【0088】
GC法:スプリット比:50/1、1.1mL/min、圧力一定、80℃(1min)~15℃/min~250℃(5min)。結果を図1に示す。
【化13】
【0089】
速度論的調査のための実験手順(実施例30):
グローブボックス(Ar)内で、丸底フラスコ(容量50mL)に、ヘキサフルオロリン酸テトラキス(アセトニトリル)銅(I)(18.6mg、50.0μmol、4.00モル%)及び1,4-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン(45.1mg、100μmol、8.00モル%)を装入した。次いでこの触媒系を脱水トルエン(25.0mL、236mmol、189当量)に溶解し、テフロンコートされたマグネチックスターラーバーを入れた。溶液を室温で数分間撹拌した。次いで、反応混合物を濾過し、テフロンコートされたマグネチックスターラーバーと一緒に4つのクリンプバイアル(容量10mL、巻口を有する使い捨てガラスバイアル、テフロン/ブチルゴムセプタムシール付きのクリンプ式アルミニウムキャップで密閉)に装入した(各5mL)。バイアルを密閉し、グローブボックスから取り出した。次いで反応混合物に、3Åのモレキュラーシーブで乾燥させたアセチレンの流れを無溶媒でカニューレを介して2分間溶液中にバブリングすることによりアセチレンを注入した(アセチレンは大気圧下で飽和濃度に達する、飽和濃度は較正済みのGCによって事前に測定しておく、トルエン中のアセチレン濃度は約0.100M、0.500mmol、2.00当量)。次いで反応混合物を室温で更に10分間撹拌し、シリンジを用いてホルムアルデヒド溶液(HO中約30wt、微量のメタノール、4×25.0mg、4×0.250mmol、4×1.00当量)をセプタムを介して各反応容器に加えた。次いで反応混合物を撹拌し、金属製ヒーティングブロックを用いて70℃で1~4時間加熱した。次いでバイアルを室温に冷却し、反応混合物を水(各約2mL)で希釈した後、分液漏斗に移し替えた。反応容器を水で洗浄した(2×1mL)。次いで水相を分離し、有機相を水(2mL)で2回洗浄した。水相を回収し、DMSO(30.0μL)をGC内部標準物質として加えた。次いで、合一した水相を較正済みのGCで分析した(t(プロパルギルアルコール)=3.40min;t(ブチンジオール)=9.15min)。
【0090】
分析はスプリット/スプリットレスインジェクター及びFID検出器を備えたAgilent Technologies 6890Nガスクロマトグラフで実施した。カラムとしてAgilent Technologies DB-FFAPキャピラリーカラム(30m×0.32mm、0.25μm)を使用し、キャリアガスとしてヘリウムを用いた。
【0091】
GC法:スプリット比:50/1、2.3mL/分、圧力一定、80℃(1分)~20℃/分~250℃(5分)。
【化14】
【0092】
実施例31:1回目の運転:OHのGC収率/2OHのGC収率:60%/5%
2回目の運転:OHのGC収率/2OHのGC収率:59%/8%
触媒再利用のための実験手順(実施例31):
速度論的実験(上記参照)を4時間行った後に得られた有機相を、テフロンコートされたマグネチックスターラーバーと一緒にクリンプバイアル(容量10mL、巻口を有する使い捨てガラスバイアル、テフロン/ブチルゴムセプタムシール付きのクリンプ式アルミニウムキャップで密閉)に装入した。バイアルを密閉し、次いで反応混合物に、3Åのモレキュラーシーブで乾燥させたアセチレンの流れを無溶媒でカニューレを介して2分間溶液中にバブリングすることによりアセチレンを注入した(アセチレンは大気圧下で飽和濃度に達する、飽和濃度は較正済みのGCによって事前に測定しておく、トルエン中のアセチレン濃度は約0.100M、0.500mmol、2.00当量)。次いでシリンジを用いてホルムアルデヒド溶液(HO中約30wt、微量のメタノール、25.0mg、0.250mmol、1.00当量)をセプタムを介して反応容器に加えた。次いで反応混合物を撹拌し、金属加熱ブロックを用いて70℃で4時間加熱した。次いでバイアルを室温に冷却し、反応混合物を水(約2mL)で希釈した後、分液漏斗に移し替えた。反応容器を水で洗浄した(2×1mL)。次いで水相を分離し、有機相を水(2mL)で2回洗浄した。水相を回収し、DMSO(30.0μL)をGC内部標準物質として加えた。次いで、合一した水相を較正済みのGCで分析した(t(プロパルギルアルコール)=3.40min;t(ブチンジオール)=9.15min)。更に、水相及び有機相の両方を誘導結合プラズマ質量分析(ICP MS)に付した。これは、独国ルートヴィヒスハーフェン(Ludwigshafen、Germany)BASF SEにある認定を受けた中央分析部(certified central analytical department)で実施した。
【0093】
分析はスプリット/スプリットレスインジェクター及びFID検出器を備えたAgilent Technologies 6890Nガスクロマトグラフで実施した。カラムとしてAgilent Technologies DB-FFAPキャピラリーカラム(30m×0.32mm、0.25μm)を使用し、キャリアガスとしてヘリウムを用いた。
【0094】
GC法:スプリット比:50/1、2.3mL/分、圧力一定、80℃(1分)~20℃/分~250℃(5分)。
ICP-MS結果:トルエン中[Cu]:15mg/kg;HO中[Cu]:<1mg/kg。
【化15】
【0095】
実施例32:周囲条件下での実験の準備、GCによるOH収率/2OH収率:62%/2%
周囲条件下でホルムアルデヒドをエチニル化するための実験手順(実施例32):
クリンプバイアル(容量10mL、巻口を有する使い捨てガラスバイアル、テフロン/ブチルゴムセプタムシール付きのクリンプ式アルミニウムキャップで密閉)にヘキサフルオロリン酸テトラキス(アセトニトリル)銅(I)(3.7mg、10.0μmol、4.00モル%)及び1,4-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン(9.0mg、20.0μmol、8.00モル%)を装入した。次いでこの触媒系をトルエン(5.00mL、47.2mmol、189当量)に溶解し、テフロンコートされたマグネチックスターラーバーを入れた。溶液を室温で数分間撹拌した。次いで反応混合物を濾過し、新品のテフロンコートされたマグネチックスターラーバーと一緒に新品のクリンプバイアルに装入した。次いでバイアルを密閉し、反応混合物に、3Åのモレキュラーシーブで乾燥させたアセチレンの流れを無溶媒でカニューレを介して2分間溶液中にバブリングすることによりアセチレンを注入した(アセチレンは大気圧下で飽和濃度に達する、飽和濃度は較正済みのGCによって事前に測定しておく、トルエン中のアセチレン濃度は約0.100M、0.500mmol、2.00当量)。シリンジを用いてホルムアルデヒド溶液(HO中約30wt、微量のメタノール、25.0mg、0.250mmol、1.00当量)をセプタムを介して反応容器に加えた。次いで反応混合物を撹拌し、金属加熱ブロックを用いて70℃で4時間加熱した。次いでバイアルを室温に冷却し、反応混合物を水(約2mL)で希釈した後、分液漏斗に移し替えた。反応容器を水で洗浄した(2×1mL)。次いで水相を分離し、有機相を水(2mL)で2回洗浄した。水相を回収し、DMSO(30.0μL)をGC内部標準物質として加えた。次いで、合一した水相を較正済みのGCで分析した(t(プロパルギルアルコール)=3.40min;t(ブチンジオール)=9.15min)。
【0096】
分析はスプリット/スプリットレスインジェクター及びFID検出器を備えたAgilent Technologies 6890Nガスクロマトグラフで実施した。カラムとしてAgilent Technologies DB-FFAPキャピラリーカラム(30m×0.32mm、0.25μm)を使用し、キャリアガスとしてヘリウムを用いた。
【0097】
GC法:スプリット比:50/1、2.3mL/分、圧力一定、80℃(1分)~20℃/分~250℃(5分)。
【化16】
【0098】
触媒再利用のための実験手順(実施例33):
グローブボックス(Ar)内で、クリンプバイアル(容量10mL、巻口を有する使い捨てガラスバイアル、テフロン/ブチルゴムセプタムシール付きのクリンプ式アルミニウムキャップで密閉)にヘキサフルオロリン酸テトラキス(アセトニトリル)銅(I)(3.7mg、10.0μmol、4.00モル%)及び1,4-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン(9.0mg、20.0μmol、8.00モル%)を装入した。次いでこの触媒系をトルエン(5.00mL、47.2mmol、189当量)に溶解し、テフロンコートされたマグネチックスターラーバーを入れた。溶液を室温で数分間撹拌した。次いで反応混合物を濾過し、新品のテフロンコートされたマグネチックスターラーバーと一緒に新品のクリンプバイアルに装入した。次いでバイアルを密閉し、グローブボックスから取り出した。次いで反応混合物を70℃で15分間加熱し、室温に冷却した後、3Åのモレキュラーシーブで乾燥させたアセチレンの流れを無溶媒でカニューレを介して2分間溶液中にバブリングすることによりアセチレンを注入した(アセチレンは大気圧下で飽和濃度に達する、飽和濃度は較正済みのGCによって事前に測定しておく、トルエン中のアセチレン濃度は約0.100M、0.500mmol、2.00当量)。シリンジを用いてホルムアルデヒド溶液(HO中約30wt、微量のメタノール、25.0mg、0.250mmol、1.00当量)をセプタムを介して反応容器に加えた。次いで反応混合物を撹拌し、金属加熱ブロックを用いて70℃で16時間加熱した。次いでバイアルを室温に冷却し、反応混合物を水(約2mL)で希釈した後、分液漏斗に移し替えた。反応容器を水で洗浄した(2×1mL)。次いで水相を分離し、有機相を水(2mL)で2回洗浄した。水相を回収し、DMSO(30.0μL)をGC内部標準物質として加えた。次いで水相を合一し、較正済みのGCで分析した。
【0099】
有機相を、テフロンコートされたマグネチックスターラーバーと一緒にクリンプバイアル(容量10mL、巻口を有する使い捨てガラスバイアル、テフロン/ブチルゴムセプタムシール付きのクリンプ式アルミニウムキャップで密閉)に装入した。次いでバイアルを密閉し、反応混合物に、3Åのモレキュラーシーブで乾燥させたアセチレンの流れを無溶媒でカニューレを介して2分間溶液中にバブリングすることによりアセチレンを注入した(アセチレンは大気圧下で飽和濃度に達する、飽和濃度は較正済みのGCによって事前に測定しておく、トルエン中のアセチレン濃度は約0.100M、0.500mmol、2.00当量)。次いでシリンジを用いてホルムアルデヒド溶液(HO中約30wt、微量のメタノール、25.0mg、0.250mmol、1.00当量)をセプタムを介して反応容器に加えた。次いで反応混合物を撹拌し、金属製ヒーティングブロックで80℃で16時間加熱した。次いでバイアルを室温に冷却し、標準的なワークアップ手順を実施し(上記参照)、水相を合一し、DMSO(30.0μL)をGC内部標準物質として加えた後、較正済みのGCで分析した。
【0100】
この有機相をもう一度クリンプバイアル(容量10mL、巻口を有する使い捨てガラスバイアル、テフロン/ブチルゴムセプタムシール付きのクリンプ式アルミニウムキャップで密閉)に、テフロンコートされたマグネチックスターラーバーと一緒に装入した。次いでバイアルを密閉し、反応混合物に、3Åのモレキュラーシーブで乾燥させたアセチレンの流れを無溶媒でカニューレを介して2分間溶液中にバブリングすることによりアセチレンを注入した(アセチレンは大気圧下で飽和濃度に達する、飽和濃度は較正済みのGCによって事前に測定しておく、トルエン中のアセチレン濃度は約0.100M、0.500mmol、2.00当量)。次いでシリンジを用いてホルムアルデヒド溶液(HO中約30wt、微量のメタノール、25.0mg、0.250mmol、1.00当量)をセプタムを介して反応容器に加えた。次いで反応混合物を撹拌し、金属製ヒーティングブロックで90℃で16時間加熱した。次いでバイアルを室温に冷却し、標準的なワークアップ手順を実施し(上記参照)、水相を合一し、DMSO(30.0μL)をGC内部標準物質として加えた後、較正済みのGCで分析した。
【0101】
分析はスプリット/スプリットレスインジェクター及びFID検出器を備えたAgilent Technologies 6890Nガスクロマトグラフで実施した。カラムとしてAgilent Technologies DB-FFAPキャピラリーカラム(30m×0.32mm、0.25μm)を使用し、キャリアガスとしてヘリウムを用いた。
【0102】
GC法:スプリット比:50/1、2.3mL/分、圧力一定、80℃(1分)~20℃/分~250℃(5分)。
【化17】
【0103】
硝酸ビス(トリフェニルホスフィン)銅(I)を用いた触媒再利用のための実験手順(実施例34):
グローブボックス(Ar)内で、クリンプバイアル(容量10mL、巻口を有する使い捨てガラスバイアル、テフロン/ブチルゴムセプタムシール付きのクリンプ式アルミニウムキャップで密閉)に硝酸ビス(トリフェニルホスフィン)銅(I)(6.5mg、10.0μmol、4.00モル%)及び1,4-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン(9.0mg、20.0μmol、8.00モル%)を装入した。次いでこの触媒系をトルエン(5.00mL、47.2mmol、189当量)に溶解し、テフロンコートされたマグネチックスターラーバーを入れた。溶液を室温で数分間撹拌した。次いでバイアルを密閉し、グローブボックスから取り出した。次いで反応混合物に、3Åのモレキュラーシーブで乾燥させたアセチレンの流れを無溶媒でカニューレを介して2分間溶液中にバブリングすることによりアセチレンを注入した(アセチレンは大気圧下で飽和濃度に達する、飽和濃度は較正済みのGCによって事前に測定しておく、トルエン中のアセチレン濃度は約0.100M、0.500mmol、2.00当量)。次いで反応混合物を90℃で16時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物にもう一度アセチレンを注入した(上記参照)。次いでシリンジを用いてホルムアルデヒド溶液(HO中約30wt、微量のメタノール、25.0mg、0.250mmol、1.00当量)をセプタムを介して反応容器に加えた。次いで反応混合物を撹拌し、金属加熱ブロックを用いて80℃で3時間加熱した。次いでバイアルを室温に冷却し、反応混合物を水(約2mL)で希釈した後、分液漏斗に移し替えた。反応容器を水で洗浄した(2×1mL)。次いで水相を分離し、有機相を水(2mL)で2回洗浄した。水相を回収し、DMSO(30.0μL)をGC内部標準物質として加えた。次いで水相を合一し、較正済みのGCで分析した。
【0104】
有機相を、テフロンコートされたマグネチックスターラーバーと一緒にクリンプバイアル(容量10mL、巻口を有する使い捨てガラスバイアル、テフロン/ブチルゴムセプタムシール付きのクリンプ式アルミニウムキャップで密閉)に装入した。次いでバイアルを密閉し、反応混合物に、3Åのモレキュラーシーブで乾燥させたアセチレンの流れを無溶媒でカニューレを介して2分間溶液中にバブリングすることによりアセチレンを注入した(アセチレンは大気圧下で飽和濃度に達する、飽和濃度は較正済みのGCによって事前に測定しておく、トルエン中のアセチレン濃度は約0.100M、0.500mmol、2.00当量)。次いでシリンジを用いてホルムアルデヒド溶液(HO中約30wt、微量のメタノール、25.0mg、0.250mmol、1.00当量)をセプタムを介して反応容器に加えた。次いで反応混合物を撹拌し、金属製ヒーティングブロックで80℃で16時間加熱した。次いでバイアルを室温に冷却し、標準的なワークアップ手順を実施し(上記参照)、水相を合一し、DMSO(30.0μL)をGC内部標準物質として加えた後、較正済みのGCで分析した。
【0105】
この有機相をもう一度クリンプバイアル(容量10mL、巻口を有する使い捨てガラスバイアル、テフロン/ブチルゴムセプタムシール付きのクリンプ式アルミニウムキャップで密閉)に、テフロンコートされたマグネチックスターラーバーと一緒に装入した。次いでバイアルを密閉し、反応混合物に、3Åのモレキュラーシーブで乾燥させたアセチレンの流れを無溶媒でカニューレを介して2分間溶液中にバブリングすることによりアセチレンを注入した(アセチレンは大気圧下で飽和濃度に達する、飽和濃度は較正済みのGCによって事前に測定しておく、トルエン中のアセチレン濃度は約0.100M、0.500mmol、2.00当量)。次いでシリンジを用いてホルムアルデヒド溶液(HO中約30wt、微量のメタノール、25.0mg、0.250mmol、1.00当量)をセプタムを介して反応容器に加えた。次いで反応混合物を撹拌し、金属製ヒーティングブロックで90℃で16時間加熱した。次いでバイアルを室温に冷却し、標準的なワークアップ手順を実施し(上記参照)、水相を合一し、DMSO(30.0μL)をGC内部標準物質として加えた後、較正済みのGCで分析した。
【0106】
分析はスプリット/スプリットレスインジェクター及びFID検出器を備えたAgilent Technologies 6890Nガスクロマトグラフで実施した。カラムとしてAgilent Technologies DB-FFAPキャピラリーカラム(30m×0.32mm、0.25μm)を使用し、キャリアガスとしてヘリウムを用いた。
【0107】
GC法:スプリット比:50/1、2.3mL/分、圧力一定、80℃(1分)~20℃/分~250℃(5分)。
【化18】
【0108】
硝酸銅(II)を用いてホルムアルデヒドをエチニル化するための実験手順(実施例35):
グローブボックス(Ar)内で、クリンプバイアル(容量10mL、巻口を有する使い捨てガラスバイアル、テフロン/ブチルゴムセプタムシール付きのクリンプ式アルミニウムキャップで密閉)に硝酸銅(II)三水和物(2.4mg、10.0μmol、4.00モル%)及び1,4-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン(9.0mg、20.0μmol、8.00モル%)を装入した。次いでこの触媒系を脱水トルエン(5.00mL、47.2mmol、189当量)に溶解し、テフロンコートされたマグネチックスターラーバーを入れた。溶液を室温で数分間撹拌した。次いでバイアルを密閉し、グローブボックスから取り出した。次いでシリンジを用いてホルムアルデヒド溶液(HO中約30wt、微量のメタノール、25.0mg、0.250mmol、1.00当量)をセプタムを介して反応容器に加えた。次いで反応混合物を撹拌し、金属製ヒーティングブロックにより80℃で1時間加熱した。反応混合物を室温に冷却した後、3Åのモレキュラーシーブで乾燥させたアセチレンの流れを無溶媒でカニューレを介して2分間溶液中にバブリングすることによりアセチレンを注入した(アセチレンは大気圧下で飽和濃度に達する、飽和濃度は較正済みのGCによって事前に測定しておく、トルエン中のアセチレン濃度は約0.100M、0.500mmol、2.00当量)。シリンジを用いてホルムアルデヒド溶液(HO中約30wt、微量のメタノール、25.0mg、0.250mmol、1.00当量)をセプタムを介して反応容器に加えた後、反応混合物を80℃で16時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を水(約2mL)で希釈し、次いで分液漏斗に移し替えた。反応容器を水で洗浄した(2×1mL)。次いで水相を分離し、有機相を水(2mL)で2回洗浄した。有機相を、テフロンコートされたマグネチックスターラーバーと一緒にクリンプバイアル(容量10mL、巻口を有する使い捨てガラスバイアル、テフロン/ブチルゴムセプタムシール付きのクリンプ式アルミニウムキャップで密閉)に装入した。バイアルを密閉した後、反応混合物にアセチレンを注入した(上記参照)。次いでシリンジを用いてホルムアルデヒド溶液(HO中約30wt、微量のメタノール、25.0mg、0.250mmol、1.00当量)をセプタムを介して反応容器に加えた。次いで反応混合物を撹拌し、金属加熱ブロックを用いて80℃で16時間加熱した。次いでバイアルを室温に冷却し、反応混合物を水(約2mL)で希釈した後、分液漏斗に移し替えた。反応容器を水で洗浄した(2×1mL)。次いで水相を分離し、有機相を水(2mL)で2回抽出し、水相を合一し、DMSO(30.0μL)をGC内部標準物質として加えた後、較正済みのGCで分析した。
【0109】
分析はスプリット/スプリットレスインジェクター及びFID検出器を備えたAgilent Technologies 6890Nガスクロマトグラフで実施した。カラムとしてAgilent Technologies DB-FFAPキャピラリーカラム(30m×0.32mm、0.25μm)を使用し、キャリアガスとしてヘリウムを用いた。
【0110】
GC法:スプリット比:50/1、2.3mL/分、圧力一定、80℃(1分)~20℃/分~250℃(5分)。
【化19】
【0111】
高いアセチレン圧力を用いてエチニル化を行うための実験手順(実施例36):
丸底フラスコ(容量500mL)にヘキサフルオロリン酸テトラキス(アセトニトリル)銅(I)(149mg、400μmol、4.00モル%)及び1,4-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン(270mg、600μmol、6.00モル%)を装入した。次いでこの触媒系をトルエン(200mL、1.89mol、189当量)に溶解し、テフロンコートされたマグネチックスターラーバーを入れた。溶液を室温で5分間撹拌した後、テフロンコートされたスターラーバーを入れた新品の丸底フラスコ(容量500mL)にデカンテーションした。次いで触媒混合物を80℃の油浴で撹拌しながら30分間加熱した。次いで反応混合物を室温に冷却し、メカニカルスターラーを備えたステンレス鋼製オートクレーブ(容量300mL)に移し替えた。ホルムアルデヒド溶液(HO中約30wt、微量のメタノール、1.00mL、10.0mmol、1.00当量)を加えた後、オートクレーブを密閉し、90℃でアセチレン(16bar)及び窒素(2bar;全圧18bar)により加圧した。反応混合物を撹拌し、アセチレンの圧力を一定に保ちながら90℃で5時間加熱した。次いでオートクレーブを室温に冷却し、減圧した。反応混合物を水(約40mL)で希釈した後、分液漏斗に移し替えた。反応容器を水で洗浄した(2×40mL)。次いで水相を分離し、有機相を水で2回(各40mL)洗浄した。水相を回収し、較正済みのGCで分析した。
【化20】
【0112】
銅(I)フェニルアセチリドを用いてホルムアルデヒドをエチニル化するための実験手順(実施例37):
グローブボックス(Ar)内で、クリンプバイアル(容量10mL,巻口を有する使い捨てガラスバイアル、テフロン/ブチルゴムセプタムシール付きのクリンプ式アルミニウムキャップで密閉)に銅フェニルアセチリド(1.6mg、10.0μmol、4.00モル%)及び1,4-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン(6.8mg、20.0μmol、6.00モル%)を装入した。次いでこの触媒系をトルエン(5.00mL、47.2mmol、189当量)に溶解し、テフロンコートされたマグネチックスターラーバーを入れた。次いでバイアルを密閉し、グローブボックスから取り出した。次いで反応混合物を固体が溶解するまで70℃で20分間加熱し、室温に冷却した後、3Åのモレキュラーシーブで乾燥させたアセチレンの流れを無溶媒でカニューレを介して2分間溶液中にバブリングすることによりアセチレンを注入した(アセチレンは大気圧下で飽和濃度に達する、飽和濃度は較正済みのGCによって事前に測定しておく、トルエン中のアセチレン濃度は約0.100M、0.500mmol、2.00当量)。シリンジを用いてホルムアルデヒド溶液(HO中約30wt、微量のメタノール、25.0mg、0.250mmol、1.00当量)をセプタムを介して反応容器に加えた。次いで反応混合物を撹拌し、金属加熱ブロックを用いて70℃で3時間加熱した。次いでバイアルを室温に冷却し、反応混合物を水(約2mL)で希釈した後、分液漏斗に移し替えた。反応容器を水で洗浄した(2×1mL)。次いで水相を分離し、有機相を水(2mL)で2回洗浄した。水相を回収し、DMSO(30.0μL)をGC内部標準物質として加えた。次いで、合一した水相を較正済みのGCで分析した(t(プロパルギルアルコール)=3.27min;t(ブチンジオール)=8.97min)。
【0113】
分析はスプリット/スプリットレスインジェクター及びFID検出器を備えたAgilent Technologies 6890Nガスクロマトグラフで実施した。カラムとしてAgilent Technologies DB-FFAPキャピラリーカラム(30m×0.32mm、0.25μm)を使用し、キャリアガスとしてヘリウムを用いた。
【0114】
GC法:スプリット比:50/1、2.3mL/分、圧力一定、80℃(1分)~20℃/分~250℃(5分)。
【化21】
【0115】
銅(I)アセチリド水和物を用いてホルムアルデヒドをエチニル化するための実験手順(実施例38):
グローブボックス(Ar)内で、クリンプバイアル(容量10mL、巻口を有する使い捨てガラスバイアル、テフロン/ブチルゴムセプタムシール付きのクリンプ式アルミニウムキャップで密閉)に銅アセチリド水和物(0.8mg、5.00μmol、2.00モル%)及び1,4-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン(6.8mg、20.0μmol、6.00モル%)を装入した。次いでこの触媒系をトルエン(5.00mL、47.2mmol、189当量)に溶解し、テフロンコートされたマグネチックスターラーバーを入れた。次いでバイアルを密閉し、グローブボックスから取り出した。次いで反応混合物を70℃で30分間加熱した、暗色懸濁液を得た。室温に冷却した後、バイアルに、3Åのモレキュラーシーブで乾燥させたアセチレンの流れを無溶媒でカニューレを介して2分間溶液中にバブリングすることによりアセチレンを注入した(アセチレンは大気圧下で飽和濃度に達する、飽和濃度は較正済みのGCによって事前に測定しておく、トルエン中のアセチレン濃度は約0.100M、0.500mmol、2.00当量)。シリンジを用いてホルムアルデヒド溶液(HO中約30wt、微量のメタノール、25.0mg、0.250mmol、1.00当量)をセプタムを介して反応容器に加えた。次いで反応混合物を撹拌し、金属加熱ブロックを用いて70℃で16時間加熱した。次いでバイアルを室温に冷却し、反応混合物を水(約2mL)で希釈した後、分液漏斗に移し替えた。反応容器を水で洗浄した(2×1mL)。次いで水相を分離し、有機相を水(2mL)で2回洗浄した。水相を回収し、DMSO(30.0μL)をGC内部標準物質として加えた。次いで、合一した水相を較正済みのGCで分析した(t(プロパルギルアルコール)=3.27min;t(ブチンジオール)=8.97min)。
【0116】
分析はスプリット/スプリットレスインジェクター及びFID検出器を備えたAgilent Technologies 6890Nガスクロマトグラフで実施した。カラムとしてAgilent Technologies DB-FFAPキャピラリーカラム(30m×0.32mm、0.25μm)を使用し、キャリアガスとしてヘリウムを用いた。
【0117】
GC法:スプリット比:50/1、2.3mL/分、圧力一定、80℃(1分)~20℃/分~250℃(5分)。
図1
【国際調査報告】