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特表2024-527727改良された低温接着性を有する音響減衰材料
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  • 特表-改良された低温接着性を有する音響減衰材料 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】改良された低温接着性を有する音響減衰材料
(51)【国際特許分類】
   C08L 9/00 20060101AFI20240719BHJP
   C08L 47/00 20060101ALI20240719BHJP
   C08L 23/20 20060101ALI20240719BHJP
   C08L 57/02 20060101ALI20240719BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20240719BHJP
   C08L 7/00 20060101ALI20240719BHJP
   G10K 11/162 20060101ALI20240719BHJP
   F16F 15/02 20060101ALI20240719BHJP
   B32B 25/02 20060101ALI20240719BHJP
   B32B 25/04 20060101ALI20240719BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240719BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
C08L9/00
C08L47/00
C08L23/20
C08L57/02
C08K3/013
C08L7/00
G10K11/162
F16F15/02 Q
B32B25/02
B32B25/04
B32B27/00 104
B32B27/20 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500307
(86)(22)【出願日】2022-07-05
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 EP2022068506
(87)【国際公開番号】W WO2023280804
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】21184352.9
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506416400
【氏名又は名称】シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100227352
【弁理士】
【氏名又は名称】白倉 加苗
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト ビット
(72)【発明者】
【氏名】マルコ ビドビック
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック シュバブ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ハルト
(72)【発明者】
【氏名】ヤン スペングラー
【テーマコード(参考)】
3J048
4F100
4J002
5D061
【Fターム(参考)】
3J048AC03
3J048BD04
3J048BD05
3J048EA07
3J048EA36
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4F100AA37B
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4F100AK29B
4F100AN01A
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4F100BA10A
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4F100CA23B
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4F100GB48
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4F100YY00B
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4J002AC04Z
4J002AC05Z
4J002AC06Y
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4J002BB17W
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4J002BB18X
4J002DA026
4J002DE086
4J002DE096
4J002DE116
4J002DE236
4J002DG046
4J002DJ006
4J002DJ016
4J002DJ036
4J002DJ046
4J002DJ056
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4J002FD016
4J002GF00
4J002GJ01
4J002GN00
4J002GQ00
5D061AA04
5D061AA06
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1種のポリブタジエンPB、少なくとも1種の25℃で液状のゴムLR、少なくとも1種のブチルゴムBR、少なくとも1種の天然若しくは合成のポリイソプレンPI、少なくとも1種の炭化水素樹脂HR、及び、少なくとも1種の固体粒子充填剤FMを含む、音響減衰材料を目的としている。その音響減衰材料は、機械的構造物及び製品の構成要素における、望ましくない振動及び騒音を減衰させるために使用するのに好適である。本発明はまた、輸送車両及び白物家電における振動及び騒音を減衰させるための、その音響減衰材料の使用;その音響減衰材料で構成される接着層を含む振動及び騒音の減衰要素;基材の騒音を発生する表面に対して、振動及び騒音の減衰要素を適用する方法;並びに、基材及びその基材の騒音を発生する表面に対して接着された振動及び騒音の減衰要素を含む振動減衰されたシステム、も目的としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響減衰材料であって、
a)前記音響減衰材料の合計重量を基準にして、0.75重量%以上の、1,3-ブタジエンから誘導されるモノマー単位を含む少なくとも1種のポリブタジエンPB
【化1】
[ここで、前記ポリブタジエンの中に存在する、1,3-ブタジエンから誘導されるモノマー単位の全体の中の式(I)のモノマー単位の比率が25~75モルパーセントであり、前記ポリブタジエンの中に存在する、1,3-ブタジエンから誘導されるモノマー単位の全体の中の式(II)の単位の比率が0~10モルパーセントであり、並びに前記ポリブタジエンの中に存在する、1,3-ブタジエンから誘導されるモノマー単位の全体の中の式(III)のモノマー単位の比率が25~75モルパーセントであり、ここで、モノマー単位の(I)、(II)、及び(III)の全体を合計して100モルパーセントであり、並びに前記ポリブタジエンが、好ましくは、1000~4000g/molの平均分子量を有している];
b)前記音響減衰材料の合計重量を基準にして、10重量%以上の、25℃で液状のポリブテン及び25℃で液状のポリイソブチレン、好ましくは25℃で液状のポリイソブチレンからなる群から選択される、少なくとも1種の25℃で液状のゴムLR;
c)前記音響減衰材料の合計重量を基準にして、3重量%以上の、少なくとも1種のブチルゴムBR;
d)前記音響減衰材料の合計重量を基準にして、3重量%以上の、少なくとも1種の天然若しくは合成のポリイソプレンPI、好ましくは天然のポリイソプレン、最も好ましくは天然ゴム;
e)前記音響減衰材料の合計重量を基準にして、4~15重量%の、少なくとも1種の炭化水素樹脂HR;
f)少なくとも1種の固体粒子充填剤FM;
を含む、音響減衰材料。
【請求項2】
前記少なくとも1種のポリブタジエンPBで、前記ポリブタジエンの中に存在する、1,3-ブタジエンから誘導されるモノマー単位の全体の中の前記式(I)の単位の比率が、50~65モルパーセント、好ましくは59~62モルパーセントであり、前記ポリブタジエンの中に存在する、1,3-ブタジエンから誘導されるモノマー単位の全体の中の前記式(II)の単位の比率が、1~8モルパーセント、好ましくは2~6モルパーセントであり、並びに前記ポリブタジエンの中に存在する、1,3-ブタジエンから誘導されるモノマー単位の全体の中の前記式(III)の単位の比率が、25~40モルパーセント、好ましくは35~39モルパーセントであるが、ただし、モノマー単位(I)、(II)、及び(III)の全部を合計して100モルパーセントであり、並びに前記ポリブタジエンが、1200~3500g/mol、好ましくは1500~3000g/molの平均分子量を有する、請求項1に記載の音響減衰材料。
【請求項3】
前記少なくとも1種のポリブタジエンPBの量が、前記音響減衰材料の合計重量を基準にして、1~15重量%、好ましくは1.2~10重量%、好ましくは1.3~8重量%、好ましくは1.5~7重量%、好ましくは1.5~5重量%、最も好ましくは1.5~3重量%である、請求項1又は2に記載の音響減衰材料。
【請求項4】
前記25℃で液状のゴムLRの量が、前記音響減衰材料の合計重量を基準にして、12.5~35重量%、好ましくは14~30重量%、好ましくは15~25重量%、最も好ましくは15~20重量%である、請求項1~3のいずれか1項に記載の音響減衰材料。
【請求項5】
前記少なくとも1種の天然若しくは合成のポリイソプレンPIの量が、前記音響減衰材料の合計重量を基準にして、4.5~15重量%、好ましくは5~12重量%、好ましくは5.5~10重量%、最も好ましくは6~8重量%である、請求項1~4のいずれか1項に記載の音響減衰材料。
【請求項6】
前記少なくとも1種のブチルゴムBRの量が、前記音響減衰材料の合計重量を基準にして、4.5~15重量%、好ましくは5~12重量%、好ましくは5.5~10重量%、最も好ましくは6~8重量%である、請求項1~5のいずれか1項に記載の音響減衰材料。
【請求項7】
前記少なくとも1種の炭化水素樹脂HRの量が、前記音響減衰材料の合計重量を基準にして、5~12重量%、好ましくは5.5~10重量%、最も好ましくは6.5~9.5重量%である、請求項1~6のいずれか1項に記載の音響減衰材料。
【請求項8】
前記少なくとも1種の25℃で液状のゴムLRが、5,000g/mol以下、好ましくは3,000g/mol以下、より好ましくは2,500g/mol以下、さらにより好ましくは2,000g/mol以下、なおもより好ましくは1,500g/mol以下の平均分子量を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の音響減衰材料。
【請求項9】
前記少なくとも1種のブチルゴムBRが、10~60MU(ムーニー単位)、好ましくは20~50MU、好ましくは25~40MUの、好ましくはASTM D1646に従ったムーニー粘度(ML1+8@125℃)を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の音響減衰材料。
【請求項10】
前記少なくとも1種の天然若しくは合成のポリイソプレンPIが、30~120、より好ましくは40~65の、好ましくはASTM D1646に従った100℃でのムーニー粘度(ML1+4)を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の音響減衰材料。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の音響減衰材料の使用であって、輸送車両又は白物家電における振動及び/又は騒音を減衰させるための、使用。
【請求項12】
振動及び騒音の減衰要素(1)であって、
i)第一の表面(3)及び第二の表面(3’)を有する減衰層(2)、並びに
ii)前記減衰層(2)の前記第一の表面(3)の少なくとも一部を被覆する接着層(4)であって、請求項1~10のいずれか1項に記載の音響減衰材料を含むか、又は請求項1~10のいずれか1項に記載の音響減衰材料からなっている接着層(4)、
を含む、振動及び騒音の減衰要素(1)。
【請求項13】
前記接着層(4)が、0.5~5mm、好ましくは0.5~3mm、より好ましくは0.5~2mm、さらにより好ましくは0.5~1mmの厚み、及び/又は0.5~5kg/m、好ましくは0.6~4kg/m、より好ましくは0.7~3kg/mの単位面積あたりの質量を有する、請求項12に記載の振動及び騒音の減衰要素(1)。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の振動及び騒音の減衰要素(1)を、基材(6)の騒音を発生する表面(7)に適用するための方法であって、前記方法が、
I)請求項12又は13に記載の振動及び騒音の減衰要素(1)を備えるステップ、
II)前記振動及び騒音の減衰要素(1)の接着層(4)の前記外側主表面を、前記騒音を発生する表面(7)と接触させ、十分な圧力を加えて、接着接合を形成させるステップ、又は
II’)前記接着層(4)及び/又は前記基材(6)を加熱し、前記接着層(4)の前記外側主表面を、前記騒音を発生する表面(7)と接触させ、前記接着層(4)を冷却することによって接着接合を形成させるステップ、
を含む、方法。
【請求項15】
騒音を発生する表面(7)を有する基材(6)及び請求項12又は13に記載の振動及び騒音の減衰要素(1)を含む、振動減衰されたシステムであって、少なくとも、前記減衰層(2)の第一の表面(3)の一部が、前記接着層(4)を介して、前記騒音を発生する表面(7)に接着結合されており、前記騒音を発生する表面(7)を有する前記基材(6)が、好ましくは、自動車車両又は白物家電の構造物の一部である、振動減衰されたシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品の機械的構造物における振動及び騒音を減衰させるために使用される組成物に関する。詳しくは、本発明は、自動車産業、家電製品、及び一般産業の物品の中に含まれる構成要素及び構造物の振動を減衰させるのに好適な組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
音響減衰材料は、望ましくない振動、構造に起因する騒音(structure borne noise)、及び空気に起因する騒音(air borne noise)を低減させるために、自動車産業、家電製品、及び一般産業において広く使用されている。例えば、自動車においては、モーター、ポンプ、ギア、及びその他の動的力の発生源によって発生する振動が、車体を介して車室の中に移行するのを防ぐのが望ましい。動的力の発生源から発生する振動が、支持構造体、典型的にはフレーム又はその他の中空構造物を介して、騒音を発生する表面、例えば金属又はプラスチック製のパネルへ移行し、それらが、その機械的な振動を音波に変換することによって、構造に起因する騒音が発生する。構造に起因する騒音及び振動は、一般的には、振動的騒乱がもたらされる構造物及び構成要素の表面、例えば、車両のパネル、フロアの表面、並びに、機械、洗濯機、及び乾燥機の外殻に、振動減衰材料を直接適用することによって、効果的に低減させることができる。
【0003】
パネル及びプレートの振動を減衰させるために使用される音響減衰材料は、一般的には、予備成形された単一層及び多層の減衰要素の形態、又は基材の表面に直接適用される液状組成物として、提供される。中空構造物、例えばキャビティの中での振動及び騒音を減衰させるように設計された減衰材料は、通常、発泡性組成物を含むキャビティ充填剤インサート及び、そのキャビティ充填剤インサートをその中空構造物の内部の所望の位置に保持させることを可能とする1種又は複数の取付け要素の形態で提供される。
【0004】
予備成形された単一層及び多層の減衰要素には、減衰層(damping layer)が含まれ、それが、振動的騒乱に対して減衰される基材の表面と直接的な接触状態にある。減衰層は、その減衰層の物質の伸縮を介して、振動している表面の運動エネルギーを熱エネルギーに消散させることができる。減衰層のために広く使用されている材料としては、比較的に高い含量での粒子充填剤、並びに各種の量での添加剤、特には可塑剤、レオロジー調節剤、及び乾燥剤を含む、ビチューメンベース及びゴムベースの組成物が挙げられる。予備成形された単一層及び多層の減衰要素には、多くの場合、接着剤組成物、例えば感圧接着剤(PSA)又はホットメルト接着剤の層が含まれていて、基材、例えば自動車のパネル又はフロアの表面にその減衰層を接合させることを可能としている。液状で適用される減衰システムは、典型的には、加熱乾燥性、ゲル化性、又は反応性の組成物であって、それらは、液の状態で、例えばスプレー法によって、基材の表面に適用される。
【0005】
パネル及びプレートの振動を減衰させるために使用される音響減衰材料はさらに、拘束層(constrained layer)減衰要素の形態で提供することも可能であるが、その層には、減衰層と、減衰層を堅い外側層と減衰対象の基材の表面との間に挟み込んで、それを「拘束(constraint)」する、堅い外側層とが含まれる。その外側層の剛性は、一般的には、減衰材料の層の剛性よりも、10倍高い。外側のトップ層に一般的に使用される材料としては、例えば、アルミニウム及びガラス繊維布が挙げられる。拘束層のダンパーは、典型的には、望ましくない振動を減衰させるには、単一層の減衰要素よりも効果が高いが、それらの製造コストが高い。
【0006】
キャビティ充填剤インサートは、中空構造構成要素のキャビティの内部での空気に起因する騒音を減衰させるため、及びキャビティの壁面を介して振動が伝わることを防止するために使用される。キャビティ充填剤インサートは、典型的には、減衰材料と、そのキャビティ充填剤インサートをその中空構造物の内部の所望の位置に保持することを可能とする、少なくとも1種の取付け部材とからなっている。そのキャビティ充填剤インサートの減衰材料は、典型的には、発泡性組成物として配合され、それが、例えば昇温で活性化されると、膨張して、そのキャビティの壁の内部表面にシールを形成する。キャビティの内部で空気に起因する騒音を減衰させるのに適した発泡性減衰材料は、一般的には、「音響バッフル(acoustic baffle)」と呼ばれている。
【0007】
自動車産業及び家電製品産業における音響減衰材料として、ビチューメンベースの組成物が広く使用されてきたが、その理由は、それらが、低コストの原料でありながら、高い振動減衰性能、さらには信頼性が高くそして容易に制御することが可能な物理的性質を備えているからである。家電製品市場においては、現在のところ、ビチューメンベースの減衰システムが、ほとんど100%の市場占有率を有している。高充填のビチューメン組成物は特に、防音被覆及び減音コーティングを与えるために使用されてきたが、それらは、自動車及び家電製品の組立プロセスにおいて、金属及びプラスチック構成要素に適用される。慣用されている手順においては、ビチューメンと充填剤との混合物を、最初に、押出し加工及び/又はカレンダー加工して、フィルムを形成させ、それから、減衰要素として使用するのに適した好適な成形部品を、パンチング又はダイカッティングによって調製する。次いでその減衰要素を、減衰対象の金属又はプラスチックシートに接着させる。その成形部品を、加熱によりさらに加工して、金属の形状又はプラスチックのシートに適合させることもまた可能である。
【0008】
米国特許出願公開第2017267842号明細書には、固形のゴム、オレフィン性二重結合含有ポリマー、炭化水素、液状のポリジエン、及び加硫系を含む加熱硬化可能な組成物、並びに車両における騒音抑制材料としてのそれらの使用が開示されている。さらに開示されているのは、それをポンプによって15~60℃の範囲の温度で適用ポイントに注入し、基材の上に、液状又はペースト状で析出させる、その組成物を適用するためのプロセスである。
【0009】
米国特許第6361643号明細書には、反応性オレフィン性二重結合を含む液状ゴム、及び場合によっては、固形のゴム及び硫黄をベースとする加硫系をベースとする、一成分系の、加熱硬化反応性組成物が開示されており、それらは、それらの加硫された形態で、ほぼ+10℃~+40℃の広い使用温度範囲で、高い音響損失係数(acoustic loss factor)極大値を有している。それらの組成物は、場合によっては、追加の構成要素として、微粒子の熱可塑性ポリマーを含んでいる。それらの組成物は、騒音減衰用の、接着剤、シーリング化合物、又はコーティング組成物として使用するのに適している。
【0010】
音響減衰要素の主たる応用領域の一つとしては、自動車の内装及び家電製品の洗濯機が挙げられる。これらの用途において、特に自動車の場合においては、その音響減衰材料が、低温暴露にさらされる。自動車産業においては、自動車で使用される構成要素の、ほぼ-20~-40℃の低温での品質及び性能が、自動車メーカーによって管理されている。例えば、-30℃での落球試験を使用して、寒冷時の音響減衰要素の接着性が評価される。自動車及び白物家電(white good)用途で使用するための、従来からの材料は、低温、特に-30℃での落球試験における性能での欠陥を有している。
【0011】
したがって、低温、特に-30℃での落球試験で良好な性能を示し、好ましくは、それが適用された基材に対する良好な接着性を有し、そして最新技術のゴムベースの減衰材料に比較して、同等又は改良された振動及び騒音減衰性能を与える、新規なタイプの音響減衰材料が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、機械的構造物及び製品の構成要素における望ましくない振動及び騒音を減衰させるのに使用するための材料を提供することであり、その材料はさらに、低温、特に-30℃での落球試験において、最新技術のゴムベースの音響減衰材料に比較して、改良された性能を有している。
【0013】
本発明の主題は、請求項1において定義されている音響減衰材料である。
【0014】
驚くべきことには、本発明による音響減衰材料が、市販されているゴムベースの音響減衰材料に比較して、同等、又はさらには改良された振動及び騒音減衰性能を示すことが見出された。具体的には、本発明の音響減衰材料が、高い振動減衰性能(ほぼ10~20℃の範囲の温度での損失係数によって定義される)を示し、それによって、自動車の構造物及び構成要素の振動及び騒音の減衰における使用に特に好適となることが見出された。
【0015】
本発明の他の主題は、他の独立請求項に提示されている。本発明の好ましい態様は、従属請求項に提示されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第一の表面(3)及び第二の表面(3’)を有する減衰層(2)、並びにその減衰層(2)の第一の表面(3)を被覆する接着層(4)を含む、振動及び騒音の減衰要素(1)を示す断面図である。
図2】第一の表面(3)及び第二の表面(3’)を有する減衰層(2)、その減衰層(2)の第一の表面(3)を被覆する接着層(4)、及びその減衰層(2)の第二の表面(3’)を被覆する拘束層(5)を含む、振動及び騒音の減衰要素(1)を示す断面図である。
図3】騒音を発生する表面(7)を有する基材(6)並びに減衰層(2)及び接着層(4)を含む振動及び騒音の減衰要素(1)を含む、振動減衰されたシステムを示す断面図であり、ここで、その減衰層(2)の第一の表面(3)は、接着層(4)を介して、騒音を発生する表面(7)に接着結合されている。
図4】騒音を発生する表面(7)を有する基材(6)並びに、減衰層(2)、接着層(4)、及び拘束層(5)を含む振動及び騒音の減衰要素(1)を含む振動減衰されたシステムを示す断面図であり、ここで、その減衰層(2)の第一の表面(3)は、接着層(4)を介して、騒音を発生する表面(7)に接着結合されており、そしてここで、その減衰層(2)は、接着層(4)と拘束層(5)との間に挟み込まれている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の主題は、以下のものを含む音響減衰材料である:
a)その音響減衰材料の合計重量を基準にして、0.75重量%以上の、1,3-ブタジエンから誘導されるモノマー単位を含む少なくとも1種のポリブタジエンPB
【化1】
[ここで、そのポリブタジエンの中に存在する、1,3-ブタジエンから誘導されるモノマー単位の全体の中の式(I)のモノマー単位の比率が25~75モルパーセントであり、そのポリブタジエンの中に存在する、1,3-ブタジエンから誘導されるモノマー単位の全体の中の式(II)の単位の比率が0~10モルパーセントであり、並びにそのポリブタジエンの中に存在する、1,3-ブタジエンから誘導されるモノマー単位の全体の中の式(III)のモノマー単位の比率が25~75モルパーセントであり、ここで、モノマー単位の(I)、(II)、及び(III)の全体を合計して100モルパーセントであり、並びにそのポリブタジエンが、好ましくは、1000~4000g/molの平均分子量を有している];
b)その音響減衰材料の合計重量を基準にして、10重量%以上の、25℃で液状のポリブテン及び25℃で液状のポリイソブチレン、好ましくは25℃で液状のポリイソブチレンからなる群から選択される、少なくとも1種の25℃で液状のゴムLR;
c)その音響減衰材料の合計重量を基準にして、3重量%以上の、少なくとも1種のブチルゴムBR;
d)その音響減衰材料の合計重量を基準にして、3重量%以上の、少なくとも1種の天然若しくは合成のポリイソプレンPI、好ましくは天然のポリイソプレン、最も好ましくは天然ゴム;
e)その音響減衰材料の合計重量を基準にして、4~15重量%の、少なくとも1種の炭化水素樹脂HR;
f)少なくとも1種の固体粒子充填剤FM。
【0018】
「ポリ(poly)」で始まる物質名は、形式上、1分子あたり、それらの名称にある官能基を2個以上含む物質を指している。例えば、ポリオールは、少なくとも2個のヒドロキシル基を有する化合物を指している。ポリエーテルは、少なくとも2個のエーテル基を有する化合物を指している。
【0019】
「ポリマー」という用語は、重合反応(重合、重付加、重縮合)によって製造される、化学的に均質な、一団のマクロモレキュールを指しているが、ここでそのマクロモレキュールは、重合度、分子量、及び鎖長の点で異なっている。この用語には、重合反応の結果から得られる前記総称的マクロモレキュールの誘導体、すなわち、例えば、あらかじめ決められているマクロモレキュールの中の官能基の付加反応又は置換反応によって得られる化合物も含まれ、そしてそれらは、化学的に均質であっても、或いは化学的に不均質であってもよい。
【0020】
「分子量」という用語は、分子又は分子の一部(「残基(moiety)」とも呼ばれる)のモル質量(g/mol)を指している。「平均分子量」という用語は、分子又は残基のオリゴマー性又はポリマー性混合物の数平均分子量(M)を指している。その分子量は、慣用されている方法、好ましくは、標準としてのポリスチレン、カラムとしての、分子に応じて100オングストローム、1000オングストローム、及び10000オングストロームの多孔度を有するスチレン-ジビニルベンゼンゲル、温度35℃での溶媒としてのテトラヒドロフラン又は160℃での溶媒としての1,2,4-トリクロロベンゼンを使用する、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって求めることができる。
【0021】
「ガラス転移温度」(T)という用語は、それより高いと、ポリマー構成要素が柔らかく、曲りやすくなり、そしてそれより低いと、それが硬く、ガラス質となるような温度を指している。ガラス転移温度(T)は、動的機械的分析(DMA)により、1Hzの振動数、0.1%の歪みを加えて測定した損失弾性率(G”)曲線のピークとして測定するのが好ましい。
【0022】
「軟化点」という用語は、化合物が軟化してゴム様の状態となる温度、又は化合物の中の結晶部分が溶融する温度を指している。軟化点は、DIN EN 1238標準に従って実施される環球測定法(Ring and Ball measurement)によって求めることができる。
【0023】
「室温」という用語は、23℃の温度を指している。
【0024】
本発明の音響減衰材料は、製品、例えば自動車又は家電製品又は一般的産業の製品の機械的構造要素における、望ましくない振動及び騒音を減衰させる使用に特に好適である。これらの用途においては、典型的には成形物品、例えば層又はパッドの形態で提供されるその音響減衰材料は、振動的騒乱に直面する、機械的構造物又は構成要素の表面に直接適用される。その音響減衰材料は、慣用されている、押出加工法及び/又はカレンダー加工法若しくはホットプレス法を使用することにより、好適な成形物品の形態とすることができる。その音響減衰材料の構成要素a)~f)のタイプ及び量を最適化して、その減衰材料の伸縮を介して、振動している表面の運動エネルギーを消散させて熱エネルギーとする材料の効率を、その用途に関連する温度範囲で最大化させることができる。
【0025】
本発明の音響減衰材料が、ビチューメンを実質的に含まないのが好ましい。「実質的に含まない(essentially free)」という表現は、音響減衰が、ビチューメンを、痕跡量、例えばその音響減衰材料の合計重量を基準にして0.5重量%未満、好ましくは0.25重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満、なおもより好ましくは0.01重量%未満しか含まないことを意味していると理解されたい。「ビチューメン」という用語は、本開示においては、室温で固体のコンシステンシーを有する重質の炭化水素ブレンド物を指している。それらは通常、適切な原油の、蒸留(トッピング又は真空蒸留)及び/又は2次加工プロセス、例えば、熱分解及びビスブレーキングであってよい、精製プロセスからの真空蒸留残渣として得られる。さらには、「ビチューメン」という用語はさらに、天然及び合成のビチューメン、さらにはタール及び瀝青砂の抽出から得られるビチューメン系物質も指している。
【0026】
さらには、その音響減衰材料が、遊離ラジカル架橋剤、例えばペルオキシドのような架橋/硬化剤を実質的に含まないのが好ましいであろう。「実質的に含まない(substantially free)」という文言は、その音響減衰材料に架橋剤が見出されたとしても、前記量が、その架橋剤の効果が得られない程に無視できる量であることを意味することを意図している。別の言い方をすれば、その音響減衰材料の中に見出された架橋剤の量では、ポリマー性の構成要素の硬化を開始されることができないか、又は実質的に無視することが可能な程度の架橋しか開始させることができない。1つ又は複数の実施形態においては、その音響減衰材料には、その音響減衰材料の合計重量を基準にして、0.15重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、より好ましくは0.01重量%未満、さらにより好ましくは0重量%の、架橋/硬化剤しか含まれない。
【0027】
その音響減衰材料には、その音響減衰材料の合計重量を基準にして、0.75重量%以上の、1,3-ブタジエンから誘導されるモノマー単位を含む少なくとも1種のポリブタジエンPBが含まれる;
【化2】
ここで、そのポリブタジエンの中に存在する、1,3-ブタジエンから誘導されるモノマー単位の全体の中の式(I)の単位の比率が、25~75モルパーセント、好ましくは50~65モルパーセント、好ましくは59~62モルパーセントであり、そのポリブタジエンの中に存在する、1,3-ブタジエンから誘導されるモノマー単位の全体の中の式(II)の単位の比率が、0~10モルパーセント、好ましくは1~8モルパーセント、好ましくは2~6モルパーセントであり、並びにそのポリブタジエンの中に存在する、1,3-ブタジエンから誘導されるモノマー単位の全体の中の式(III)の単位の比率が、25~75モルパーセント、好ましくは25~40モルパーセント、好ましくは35~39モルパーセントであるが、ただし、モノマー単位(I)、(II)、及び(III)の全部を合計して100モルパーセントであり、並びにポリブタジエンが、1000~4000g/mol、好ましくは1200~3500g/mol、好ましくは1500~3000g/molの平均分子量を有しているのが好ましい。
【0028】
本発明の文脈においては、「ポリブタジエン」という用語は、それぞれ少なくとも2個の共役二重結合を有するモノマー単位を重合させることによって得ることが可能な反応生成物を意味していると理解されたいが、ここで、好適度を増大させるためには、そのモノマー単位の、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは少なくとも99.9%、好ましくは全部が、1,3-ブタジエンである。可能性のあるさらなる化合物(不純物)は、例えば、3~5個の炭素原子を有するアルカン又はアルケン、具体的には、プロペン、1-ブテン、又は1,2-ブタジエンであってよい。
【0029】
驚くべきことには、0.75重量%より少ない量では、不十分な、低温での落球試験性能をもたらすことが見出された。このことは、Ref.1~3を、E1~E5と比較すれば理解できる。
【0030】
好ましくは、少なくとも1種のポリブタジエンPBの量は、その音響減衰材料の合計重量を基準にして、1~15重量%、好ましくは1.2~10重量%、好ましくは1.3~8重量%、好ましくは1.5~7重量%、好ましくは1.5~5重量%、最も好ましくは1.5~3重量%である。このことは、良好な低温での落球試験性能、高い接着強度、及び凝集破壊パターンの点で有利である。このことは、Ref.3を、E1~E5と比較すれば理解できる。
【0031】
式(I)、(II)、及び(III)で示されるモノマー単位において、本明細書で選択された式表示の中の角括弧は、そのポリブタジエンの中に存在する1,3-ブタジエンから誘導される、モノマー単位(I)、(II)、及び(III)を示しており、それぞれの角括弧でマーキングした結合は、例えば、メチル基で終わることはなく、その代わりに、関連するモノマー単位が、この結合を介して、他のモノマー単位に結合されている。この場合において、それらのモノマー単位(I)、(II)、及び(III)は、ポリマーの中で、各種所望の並びで配列されていてよい。ランダムな配列が好ましい。
【0032】
ポリブタジエンPBの中の、式(I)、(II)、又は(III)のいずれにも適合しないモノマー単位の比率は、そのモノマー単位の全体を基準にして、好ましくは20モルパーセント未満、好ましくは5モルパーセント未満、特に好ましくは1モルパーセント未満、特別に好ましくは0.1モルパーセント未満であるのが好ましい。ポリブタジエンPBの中の、式(I)、(II)、又は(III)のいずれにも適合しないモノマー単位の比率は、製造プロセスにおいて、不純物、特には1,3-ブタジエンではないジエンを、相応に、好ましくは20モルパーセント未満、好ましくは5モルパーセント未満、特に好ましくは1モルパーセント未満、特別に好ましくは0.1モルパーセント未満しか含まない1,3-ブタジエンを使用することによって、制御することができる。
【0033】
式(I)、(II)、及び(III)で表されるモノマー単位のモル比は、ポリブタジエンを標準としたIR分光法によって求めるのが好ましい。この目的のためには、サンプル(約80~250mg)を、10mLの二硫化炭素(CS)の中に溶解させる。ビニル含量が高い場合には、低い濃度を使用し、cis含量が高い場合には、より高い濃度を使用する。その測定は、NaCl窓で、0.5mmの経路長を有するIRセルの中で実施する。溶媒を差し引いて、スペクトルは、1100~600cm-1の評価範囲での吸光度として表す。吸光度が1よりも高い場合には、もっと低い濃度で、測定をくり返す。下記の波数での、ベースラインより上の吸光度を求める:
trans-1,4-ポリブタジエン:968cm-1
1,2-ポリブタジエン:911cm-1
cis-1,4-ポリブタジエン:730cm-1
【0034】
それらのモノマー構成要素のモル比は、次式に従って求めるのが好ましい:
%comp(i) = Ext(i)*100%/(E(i)*c*d*)
[式中、
Ext(i)=ベースラインより上の吸光度
E(i)=吸光係数(物質特有、較正によって求める)
[E]=L/(g*cm)
d=セルの経路長(単位:cm)
c=サンプルの濃度(単位;g/L)
である]。
【0035】
そのポリブタジエンPBは、2000~8000mPa・s、好ましくは3000~7000mPa・sの、20℃での粘度を有しているのが好ましい。この粘度(コーンプレート法粘度)は、DIN 53018に従い、Rheometer Physica MCR301(ANTON PAAR Germany GmbH製)を用いて測定するのが好ましい。
【0036】
そのポリブタジエンPBが、2.1~3.0の分散度を有していれば有利であろう。分散度は、数平均モル質量(Mn)を重量平均モル質量(Mw)で除することにより定義される。
【0037】
特に好ましいポリブタジエンPBは、以下のものである:そのポリブタジエンの中に存在する、1,3-ブタジエンから誘導されるモノマー単位の全体の中の式(I)の単位の比率が、50~65モルパーセント、好ましくは59~62モルパーセントであり、そのポリブタジエンの中に存在する、1,3-ブタジエンから誘導されるモノマー単位の全体の中の式(II)の単位の比率が、1~8モルパーセント、好ましくは2~6モルパーセントであり、並びにそのポリブタジエンの中に存在する、1,3-ブタジエンから誘導されるモノマー単位の全体の中の式(III)の単位の比率が、25~40モルパーセント、好ましくは35~39モルパーセントであるが、ただし、モノマー単位の(I)、(II)、及び(III)の全体を合計して100モルパーセントであり、並びにそのポリブタジエンが、1000~4000g/mol、好ましくは1200~3500g/mol、好ましくは1500~3000g/molの平均分子量、並びに、好ましくは2000~8000mPa・s、より好ましくは3000~7000mPa・sの20℃での粘度を有している。
【0038】
その音響減衰材料には、その音響減衰材料の合計重量を基準にして、10重量%以上の、25℃で液状のポリブテン及び25℃で液状のポリイソブチレン、好ましくは25℃で液状のポリイソブチレンからなる群から選択される、少なくとも1種の、25℃で液状のゴムLRが含まれる。
【0039】
10重量%未満の量では、低温での落球試験性能が不十分となる。このことは、Ref.7を、E2及びE8と比較すれば理解できる。
【0040】
その25℃で液状のゴムLRの量は、その音響減衰材料の合計重量を基準にして、12.5~35重量%、好ましくは14~30重量%、好ましくは15~25重量%、最も好ましくは15~20重量%であるのが好ましい。このことは、良好な低温での落球試験性能、高い接着強度、及び凝集破壊パターンの点で有利である。このことは、Ref.7を、E2及びE8と比較すれば理解できる。
【0041】
「25℃で液状のポリブテン」という用語は、好ましくは、本開示においては、イソブチレン及び/又は1-ブテン及び/又は2-ブテンを含む、オレフィンオリゴマーを指している。それらのC-オレフィン異性体の比率は、製造業者やグレードによって、変化する可能性がある。
【0042】
「25℃で液状のポリイソブチレン」という用語は、好ましくは、本開示においては、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも85%の、イソブチレンから誘導される繰り返し単位を含む、イソブチレンのポリオレフィン及びオレフィンオリゴマーを指している。
【0043】
特に好適な、25℃で液状のポリブテン及びポリイソブチレンは、5,000g/mol以下、好ましくは3,000g/mol以下、より好ましくは2,500g/mol以下、さらにより好ましくは2,000g/mol以下、なおもより好ましくは1,500g/mol以下の平均分子量を有している。
【0044】
特に好適な、25℃で液状のポリブテン及びポリイソブチレンは、7.5以下、より好ましくは5.0以下、例えば0.5~5.0、好ましくは1.0~4.5、より好ましくは1.0~3.5、さらにより好ましくは1.25~2.5の範囲のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で求めた多分散性指数(Mw/Mn)を有している。
【0045】
液状のポリブテンとしては、例えば以下のものが市販されている:商品名Indopol(登録商標)H-及びL-シリーズ(Ineos Oligomers製)、商品名Infineum(登録商標)C-シリーズ及びParapol(登録商標)シリーズ(Infineum製)、及び商品名PB-シリーズ(Daelim製)。液状のポリイソブチレン(PIB)としては、例えば以下のものが市販されている:商品名Glissopal(登録商標)V-シリーズ(BASF製)、及び商品名Dynapak(登録商標)-シリーズ(Univar GmbH(Germany)製)。
【0046】
その音響減衰材料は、その音響減衰材料の合計重量を基準にして、3重量%以上の少なくとも1種のブチルゴムBRを含む。
【0047】
3重量%未満の量では、低温での落球試験性能が不十分となる。このことは、Ref.4及びRef.6を、E2、E6、及びE7と比較すれば理解できる。
【0048】
好ましくは、少なくとも1種のブチルゴムBRの量は、その音響減衰材料の合計重量を基準にして4.5~15重量%、好ましくは5~12重量%、好ましくは5.5~10重量%、最も好ましくは6~8重量%である。このことは、良好な低温での落球試験性能、高い接着強度、及び凝集破壊パターンの点で有利である。このことは、Ref.4~6を、E2及びE6~7と比較すれば理解できる。
【0049】
「ブチルゴム」という用語は、本明細書においては、メジャー部分のC~Cモノオレフィンモノマー、好ましくはイソオレフィンモノマー、及びマイナー部分の、例えば30重量%以下の、C~C14マルチオレフィンモノマー、好ましくは共役ジオレフィンを含む、モノマー混合物から誘導されるポリマーを指している。好ましいC~Cモノオレフィンモノマーは、イソブチレン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、及びそれらの混合物、好ましくはイソブチレンからなる群から選択することができる。
【0050】
好ましいC~C14マルチオレフィンとしては、C~C10共役ジオレフィンが挙げられる。好ましいC~C10共役ジオレフィンは、以下のものを含む群から選択することができる:イソプレン、ブタジエン、2,4-ジメチルブタジエン、ピペリリン、3-メチル-1,3-ペンタジエン、2,4-ヘキサジエン、2-ネオペンチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、2,5-ジメチル-2,4-ヘキサジエン、2-メチル-1,4-ペンタジエン、2-メチル-1,6-ヘプタジエン、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、1-ビニル-シクロヘキサジエン、及びそれらの混合物、好ましくはイソプレン。
【0051】
そのブチルゴムBRが、イソブチレン及びイソプレンから誘導されるポリマーであるのが、最も好ましい。
【0052】
その少なくとも1種のブチルゴムBRが、ブチルゴム及びハロゲン化ブチルゴム、好ましくはブチルゴム、クロロブチルゴム及びブロモブチルゴム、より好ましくはブチルゴム及びブロモブチルゴム、最も好ましくはブロモブチルゴム、からなる群から選択されるのが好ましい。
【0053】
好ましいブチルゴムBRは、10~60MU(ムーニー単位)、好ましくは20~50MU、好ましくは25~40MUのムーニー粘度(ML1+8@125℃)を有している。好ましくは、ムーニー粘度が、ゴムの粘度の目安を与えている。それは、円筒状のキャビティの中で、ゴムの中に埋め込まれた円筒状の金属ディスク(すなわちローター)の回転に抵抗する、剪断トルクであると定義される。ムーニー粘度を測定するための、剪断ディスク粘度計の寸法、試験温度、及び手順は、ASTM D1646に規定されている。
【0054】
その音響減衰材料は、その音響減衰材料の合計重量を基準にして、3重量%以上の、少なくとも1種の天然若しくは合成のポリイソプレンPI、好ましくは天然のポリイソプレン、最も好ましくは天然ゴムを含んでいる。
【0055】
3重量%未満の量では、低温での落球試験性能が不十分となる。このことは、Ref.4及びRef.6を、E2、E6、及びE7と比較すれば理解できる。
【0056】
好ましくは、少なくとも1種の天然若しくは合成のポリイソプレンPIの量は、その音響減衰材料の合計重量を基準にして4.5~15重量%、好ましくは5~12重量%、好ましくは5.5~10重量%、最も好ましくは6~8重量%である。このことは、良好な低温での落球試験性能、高い接着強度、及び凝集破壊パターンの点で有利である。このことは、Ref.4~6を、E2及びE6~7と比較すれば理解できる。
【0057】
その少なくとも1種の天然若しくは合成のポリイソプレンPIが、100,000g/mol以上、好ましくは100,000~2,000,000g/mol、より好ましくは100,000~1,000,000g/molの平均分子量を有しているのが好ましい。
【0058】
天然ゴムは、イソプレン(メチルブタ-1,3-ジエン)のポリマーではあるが、合成のポリイソプレン(これは、金属触媒反応の反応生成物である)とは、区別される。
【0059】
その天然若しくは合成のポリイソプレンPIが、30~120、より好ましくは40~65の、100℃でのムーニー粘度(ML1+4)を有しているのが好ましい。本明細書においてムーニー粘度試験と呼んでいるのは、ASTM D-1646に従ったものである。
【0060】
その音響減衰材料は、その音響減衰材料の合計重量を基準にして、4~15重量%の、少なくとも1種の炭化水素樹脂HRを含む。
【0061】
その少なくとも1種の炭化水素樹脂HRの量が、その音響減衰材料の合計重量を基準にして、5~12重量%、好ましくは5.5~10重量%、最も好ましくは6.5~9.5重量%であるのが好ましい。このことは、良好な低温での落球試験性能、高い接着強度、及び凝集破壊パターンの点で有利である。このことは、Ref.8~9を、E2及びE9と比較すれば理解できる。
【0062】
「炭化水素樹脂」という用語は、好ましくは、本明細書においては、石油ベースの原料、例えば天然液化ガス、ガスオイル、又は石油ナフサのクラッキングの副生物から得られる不飽和モノマーの混合物を重合させることによって製造される、合成樹脂を表す。これらのタイプの炭化水素樹脂は、「石油樹脂」又は「石油炭化水素樹脂」としても知られている。それらの炭化水素樹脂にはさらに、純粋なモノマーの芳香族樹脂も含まれるが、それらは、着色の原因となる夾雑物を除去し、製品の組成を正確に調節するために予め精製しておいた、芳香族モノマー原料を重合させることによって調製される。
【0063】
少なくとも1種の炭化水素樹脂HRとして使用される好適な炭化水素樹脂の例としては、以下のものが挙げられる;C5脂肪族樹脂、混合C5/C9脂肪族/芳香族樹脂、芳香族変性C5脂肪族樹脂、脂環族樹脂、混合C5脂肪族/脂環族樹脂、混合C9芳香族/脂環族樹脂、混合C5脂肪族/脂環族/C9芳香族樹脂、芳香族変性脂環族樹脂、C9芳香族樹脂、さらには、上述の樹脂の水素化物。「C5」及び「C9」の表記は、それらの樹脂の原料となったモノマーが、主として、それぞれ4~6個及び8~10個の炭素原子を有する炭化水素であることを示している。「水素化(hydrogenated)」という用語には、完全水素化、実質的に水素化、及び少なくとも部分的に水素化された樹脂が含まれる。部分的に水素化された樹脂は、好ましくは、例えば、50%、70%、又は90%の水素化レベルを有している。
【0064】
その少なくとも1種の炭化水素樹脂HRのタイプには、本発明においては、特段の制限はない。その少なくとも1種の炭化水素樹脂HRの選択は、少なくとも部分的には、その音響減衰材料のバインダーマトリックスに含まれる他の構成要素のタイプ、特にそのポリマー構成要素Pのタイプに依存する。
【0065】
その少なくとも1種の炭化水素樹脂HRが、以下の性質を有しているのが好ましい:
- 少なくとも70℃、好ましくは少なくとも80℃、より好ましくは70~180℃、好ましくは80~150℃、より好ましくは90~120℃の範囲の、DIN EN 1238標準の定義に従い、環球法を使用して測定した軟化点、及び/又は、好ましくは及び;
- 250~7500g/mol、好ましくは300~5000g/molの範囲の平均分子量(M)。
【0066】
好適な炭化水素樹脂は、例えば、以下のようなものとして、市販されている:商品名Wingtack(登録商標)シリーズ、Wingtack(登録商標)Plus、Wingtack(登録商標)Extra、及びWingtack(登録商標)STS(すべて、Cray Valley製);商品名Escorez(登録商標)1000シリーズ、Escorez(登録商標)2000シリーズ、及びEscorez(登録商標)5000シリーズ(すべて、Exxon Mobil Chemical製);商品名Novares(登録商標)Tシリーズ、Novares(登録商標)TTシリーズ、Novares(登録商標)TDシリーズ、Novares(登録商標)TLシリーズ、Novares(登録商標)TNシリーズ、Novares(登録商標)TKシリーズ、及びNovares(登録商標)TVシリーズ(すべて、RUETGERS Novares GmbH製);並びに商品名Kristalex(登録商標)、Plastolyn(登録商標)、Piccotex(登録商標)、Piccolastic(登録商標)及びEndex(登録商標)(すべて、Eastman Chemicals製)。
【0067】
その音響減衰材料には、e)少なくとも1種の固体粒子充填剤FM、好ましくは少なくとも1種の固体で微粒子状の鉱物質充填剤FMが含まれる。
【0068】
その音響減衰材料が、その音響減衰材料の合計重量を基準にして、5~75重量%、好ましくは15~70重量%、より好ましくは25~65重量%、さらにより好ましくは35~65重量%、なおもより好ましくは40~65重量%の少なくとも1種の固体粒子充填剤FMを含んでいるのが好ましい。
【0069】
その少なくとも1種の固体粒子充填剤FMが、好ましくは2.5mm以下、より好ましくは1.5mm以下のd90粒子直径を有する固体の粒子状物質の形態で、その音響減衰材料の中に存在しているのが好ましい。「粒子直径d90」という用語は、本開示においては、全部の粒子状物質の体積での90%が、そのd90値よりも小さい直径を有している粒子直径を指している。「粒子直径(particle diameter)」という用語は、本開示においては、粒子と面積が等価な球の直径(Xarea)を指している。粒子直径分布は、ISO 13322-2:2006標準に従って実施される、動的画像解析法を使用して測定するのが好ましい。その粒子直径分布を測定するためには、その粒子状物質を、好ましくは空気圧分散法を使用して、分散させるのが好ましい。その測定は、各種のタイプの動的画像解析装置、例えばCamsizer XT装置(Retsch Technology GmbHの商標)を使用して実施することができる。
【0070】
その少なくとも1種の固体粒子充填剤FMが、不活性な鉱物質充填剤であって、20℃の温度で、0.1g/(100gの水)未満、より好ましくは0.05g/(100gの水)未満、さらにより好ましくは0.01g/(100gの水)未満の水-溶解度を有しているのもまた好ましい。化合物の水中への溶解度は、より多くの化合物を添加してもその溶液の濃度を上げることができない、すなわち過剰の物質が沈殿しはじめる、飽和濃度として測定することができる。「不活性な鉱物質充填剤」という用語は、本開示においては、鉱物質バインダーとは異なって、反応性がない、すなわち、水の存在下でも水和反応をしない鉱物質充填剤を指している。
【0071】
1つ又は複数の実施形態においては、その少なくとも1種の固体粒子充填剤FMが、以下のものからなる群から選択される:炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、タルク、カオリン、珪藻土、ウォラストナイト、長石、モンモリロナイト、ドロマイト、シリカ、好ましくはヒュームドシリカ、クリストバライト、酸化鉄、鉄ニッケル酸化物、ストロンチウムフェライト、バリウム-ストロンチウムフェライト、中空セラミック球、中空ガラス球、中空有機球、ガラス球、マイカ、硫酸バリウム、及びグラファイト。
【0072】
その音響減衰材料には、場合によっては、音響減衰材料で慣用される添加剤が含まれていてもよい。好適な添加剤の例としては、例えば、顔料、チクソトロープ剤、熱安定剤、乾燥剤、及び難燃剤が挙げられる。仮に添加剤を使用するのであれば、それらの添加剤は、その音響減衰材料の合計重量の、好ましくは25重量%以下、より好ましくは15重量%以下、さらにより好ましくは10重量%以下の量で含まれる。
【0073】
好ましい音響減衰材料には、以下のものが含まれる:
- その音響減衰材料の合計重量を基準にして、1~15重量%、好ましくは1.5~3重量%の、少なくとも1種のポリブタジエンPB;
- その音響減衰材料の合計重量を基準にして、12.5~35重量%、好ましくは15~20重量%の、25℃で液状のゴムLR;
- その音響減衰材料の合計重量を基準にして、4.5~15重量%、好ましくは6~8重量%の、少なくとも1種の天然若しくは合成のポリイソプレンPI;
- その音響減衰材料の合計重量を基準にして、4.5~15重量%、好ましくは6~8重量%の、少なくとも1種のブチルゴムBR;
- その音響減衰材料の合計重量を基準にして、5~12重量%、好ましくは5.5~10重量%、最も好ましくは6.5~9.5重量%の、少なくとも1種の炭化水素樹脂HR;及び
- その音響減衰材料の合計重量を基準にして、5~75重量%、好ましくは40~65重量%の、少なくとも1種の固体粒子充填剤FM。
【0074】
本発明の別の主題は、本発明による音響減衰材料を製造するための方法であって、その方法には、構成要素a)~f)を互いに、高温、好ましくは120~200℃、より好ましくは130~180℃の範囲の温度で、均一に混合された混合物が得られるまで混合することが含まれる。
【0075】
「均一に混合された混合物」という用語は、本明細書においては、その個々の構成要素が、その組成物の中で、実質的に均一に分散されている組成物を指している。さらには、均一に混合された混合物が、好ましくは、多相混合物である。当業者には明らかであるが、そのような混合組成物の内部では、それらの構成要素の一つの濃度が、他の領域よりもわずかに高いような領域が形成される可能性があるが、構成要素の全部が100%均一に分布するようなことは、一般的には、達成不能である。しかしながら、本発明においては、構成要素の「不完全な」分布を有するそのような混合組成物も、「均一に混合された混合物」という用語に包含されるものとする。
【0076】
構成要素a)~f)を互いに混合するのに、慣用されている各種のタイプの混合装置を使用することができる。その混合ステップは、バッチタイプのミキサー例えば、ブラベンダーミキサー、バンバリーミキサー、ロールミキサーを使用するバッチ法としても実施できるし、或いは、連続タイプのミキサー例えば、エクストルーダー、特には単軸スクリュー若しくは二軸スクリューのエクストルーダーを使用する連続法としても実施できる。
【0077】
混合ステップで得られた均一に混合されたその混合物を、次いで、冷却して、100℃未満、より好ましくは80℃未満の温度とする。混合ステップにおいてエクストルーダー装置を使用する場合には、冷却ステップよりも前に、その均一に混合された混合物をエクストルーダーダイに通して、押出し加工するのが好ましい。その冷却した均一に混合された混合物は、通常の貯蔵法でも、貯蔵安定性がある。「貯蔵安定性がある(storage stable)」という用語は、本開示においては、長期間、例えば少なくとも1ヶ月、特には少なくとも3ヶ月の間、特定の貯蔵条件下で、その物質の用途性能にいかなる顕著な変化を与えることなく、貯蔵することが可能な物質を指している。「典型的な貯蔵条件」という用語は、60℃以下、特には50℃以下の温度を指している。
【0078】
その均一に混合された混合物を、慣用されている技術、例えば押出加工法、カレンダー加工法、ホットプレス法技術を使用することによりさらに加工して、成形物品の形態、例えばシート又はフィルムとすることも可能である。その成形ステップを、冷却ステップより前に実施するのが好ましい。1つ又は複数の実施形態においては、その均一に混合された混合物を、フラットダイを通して押出し加工してフィルムのシートを形成させるが、それを、一対のカレンダー加工冷却ロールの間で冷却するのが好ましい。押出加工したフィルムのシートから、例えばパンチング又はダイカッティングによって、特定の寸法を有する成形物品を作成することができる。
【0079】
本発明の別の主題は、輸送車両又は白物家電における振動及び/又は騒音を減衰させるための、本発明による音響減衰材料の使用である。
【0080】
本発明の別の主題は、以下のものを含む、振動及び騒音の減衰要素(1)である:
i)第一及び第二の表面(3、3’)を有する減衰層(2)、並びに
ii)その減衰層(2)の第一の表面(3)の少なくとも一部を被覆する接着層(4)(ここで、その接着層(4)は、本発明の音響減衰材料を含むか、又は本発明の音響減衰材料からなっている)。
【0081】
本発明による振動及び騒音の減衰要素の断面図を図1に示す。
【0082】
1つ又は複数の実施形態においては、その減衰層が、それらの間の厚みを規定する第一及び第二の主表面を有し、そしてそのシート状の要素の厚みの少なくとも5倍、好ましくは少なくとも15倍、より好ましくは少なくとも25倍の長さ及び幅を有する、シート状の要素である。「厚み」という用語は、好ましくは、その要素の長さ及び幅の寸法に対して垂直な状態にある平面で測定される、シート状の要素の寸法を指している。その減衰層がシート状の要素である実施形態においては、その減衰層の第一及び第二の表面は、シート状の要素の第一及び第二の主表面に相当する。
【0083】
減衰層と接着層とは、それらの相向いの表面で、互いに直接接合されているのが好ましい。「直接接合されている(directly connected)」という表現は、本発明の文脈においては、それら二つの層の間には、さらなる層又は物質が存在せず、そしてそれらの層の相向いの表面が、互いに直接接着されているということを意味していると理解されたい。1つ又は複数の実施形態においては、その接着層が、その減衰層の第一の表面の、少なくとも50%、好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも75%を被覆している。1種又は複数のさらなる実施形態においては、その接着層が、その減衰層の第一の表面の、実質的に全面積を被覆している。「実質的に全面積」という表現は、その合計面積の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98.5%を意味していると理解されたい。
【0084】
その減衰層が、ビチューメン構成要素B、熱可塑性ポリマー構成要素P、及びゴム構成要素Ru、好ましくはゴム構成要素Ruのリストから選択される構成要素を含んでいるのが好ましい。
【0085】
好ましいゴム構成要素Ruは、25℃で液状のポリブテン及び25℃で液状のポリイソブチレン、ブチルゴムBR、天然若しくは合成のポリイソプレンPI、ニトリルゴムNBR、エチレン-プロピレンターポリマーEPDM、エチレン-プロピレンコポリマーEPM、及びクロロプレンゴムCRからなる群から選択される25℃で液状のゴムLRのリストから選択され、好ましくは、25℃で液状のポリブテン及び25℃で液状のポリイソブチレン、ブチルゴムBR、及び天然若しくは合成のポリイソプレンPIからなる群から選択される25℃で液状のゴムLRから選択される。
【0086】
そのビチューメン構成要素Bは、例えば、ペネトレーショングレード(蒸留)ビチューメン、エア・レクティファイド(セミブローン)ビチューメン、及びハードグレードビチューメンのような、1種又は複数の異なったタイプのビチューメン材料を含んでいてよい。
【0087】
「ビチューメン」という用語は、本開示においては、室温で固体のコンシステンシーを有する重質の炭化水素ブレンド物を指している。それらは通常、適切な原油の、蒸留(トッピング又は真空蒸留)及び/又は2次加工プロセス例えば、熱分解及びビスブレーキングであってよい、精製プロセスからの真空蒸留残渣として得られる。さらには、「ビチューメン」という用語はさらに、天然及び合成のビチューメン、さらにはタール及び瀝青砂の抽出から得られるビチューメン系物質を指している。
【0088】
「ペネトレーショングレード(penetration grade)ビチューメン」という用語は、本明細書においては、原油の「分別蒸留」から得られるビチューメンを指している。ガソリン、灯油、及び軽油留分を除去した後で得られる、高分子量の炭化水素からなる重質留分(ロングレジデュー(long residue)とも呼ばれる)を真空蒸留カラムの中で最初に蒸留して、さらなる軽油、留出物、及びショートレジデュー(short residue)が得られる。次いでそのショートレジデューを供給原料として使用して、典型的には標準試験方法下で、針がそのビチューメンに貫入する距離(0.1ミリメートル(dmm)刻み)である、PEN値で定義される、それらの貫入指数(penetration index)によって分類される、各種のグレードのビチューメンを製造する。ペネトレーショングレードのビチューメンは、貫入度と軟化点によって特徴づけられる。「エア・レクティファイド(air-rectified)ビチューメン」又は「エア・リファインド(air-refined)ビチューメン」という用語は、本開示においては、舗装-グレードのビチューメンの規格に適合するビチューメンを製造することを目標として穏やかな酸化を受けたビチューメンを指している。「ハードグレード(hard grade)ビチューメン」という用語は、本開示においては、プロパンで沈殿させたビチューメンから、幾分かの空気精留を用いる拡張真空蒸留を使用して製造されたビチューメンを指している。ハードビチューメンは、典型的には、低い貫入値と高い軟化点を有している。
【0089】
1つ又は複数の実施形態においては、そのビチューメン構成要素Bには、少なくとも75重量%、好ましくは少なくとも85重量%、より好ましくは少なくとも90重量%の、少なくとも1種のペネトレーショングレードのビチューメンが含まれるが、それらは、好ましくは15~50dmm、より好ましくは20~45dmmの範囲の貫入値、及び/又はDIN EN 1238標準に従って実施される環球測定法によって測定して、40~125℃、好ましくは50~100℃の範囲の軟化点を有している。
【0090】
好適な熱可塑性ポリマー構成要素Pは、その音響減衰材料の最大の振動減衰効果が起きる温度範囲が、振動に対して減衰される基材の表面がその使用の際に受ける温度範囲と一致するように選択される。振動を消散させて熱エネルギーとするポリマーの性能は、そのポリマーが、硬質/ガラス質と、軟質/ゴム状態との間の遷移状態にあるときに最大となるので、その音響減衰材料において使用される好適な熱可塑性ポリマーPは、適用温度で意図される範囲の中に入るガラス転移温度(T)を有している。例えば、その音響減衰材料が、自動車の構造物の中で振動及び騒音を減衰させるために使用される場合においては、その適用温度は、典型的には-40℃~60℃、特には-35℃~50℃の範囲である。その一方で、音響減衰材料の中で使用される好ましい熱可塑性ポリマーPは、その音響減衰材料の最高適用温度よりも高い、軟化点(T)及び/又は溶融温度(T)を有している。
【0091】
1つ又は複数の実施形態においては、その熱可塑性ポリマーPが、以下の性質を有している:
- 25℃未満、好ましくは5℃未満、より好ましくは0℃未満の、動的機械的分析(DMA)により、適用振動数1Hz、歪みレベル0.1%を使用して求めた損失弾性率(G”)曲線のピークとして測定したガラス転移温度(T)、及び/又は
- 35℃より高く、好ましくは45℃より高く、より好ましくは55℃より高く、例えば35~250℃、好ましくは45~200℃、より好ましくは55~180℃の範囲の、DIN EN 1238標準に従って実施される環球測定法に従って求めた軟化点(T)。
【0092】
熱可塑性ポリマーPのタイプには、特段の制限はない。結晶質、半晶質、及び非晶質ポリマー並びに熱可塑性エラストマーも含めて、各種のタイプの熱可塑性ポリマーが、その少なくとも1種の熱可塑性ポリマーPとして使用するのに適している。好適な熱可塑性ポリマーPとしては、具体的には、ポリオレフィンのホモポリマー及びコポリマー、エチレンと酢酸ビニルとのコポリマー、並びに熱可塑性オレフィンエラストマー(TPE-O)が挙げられる。
【0093】
より好ましくは、その減衰層が、以下のものを含んでいるのが好ましい:
その減衰層の合計重量を基準にして、10~18重量%の、25℃で液状のポリブテン及び25℃で液状のポリイソブチレン、好ましくは25℃で液状のポリイソブチレンからなる群から選択される、少なくとも1種の25℃で液状のゴムLR;
その減衰層の合計重量を基準にして、2~5重量%の、少なくとも1種のブチルゴムBR;
その減衰層の合計重量を基準にして、0.5~3重量%の、少なくとも1種の天然若しくは合成のポリイソプレンPI、好ましくは天然のポリイソプレン、最も好ましくは天然ゴム;
その減衰層の合計重量を基準にして、5~10重量%の、少なくとも1種の炭化水素樹脂HR;
その減衰層の合計重量を基準にして、50~80重量%の、少なくとも1種の固体粒子充填剤FM。
【0094】
好ましい、25℃で液状のポリブテン及び25℃で液状のポリイソブチレンからなる群から選択される25℃で液状のゴムLR、ブチルゴムBR、天然若しくは合成のポリイソプレンPI、炭化水素樹脂HR、及び固体粒子充填剤FMは、先に、音響減衰材料の組成物として好ましいとされてきたものである。
【0095】
1つ又は複数の実施形態においては、その減衰層が、0.5~10mm、好ましくは0.5~7mm、より好ましくは0.5~5mm、さらにより好ましくは0.5~3mmの範囲の最大厚み;及び/又は1~4g/cm、好ましくは1~3g/cm、より好ましくは1~2g/cmの範囲の密度;及び/又は1~5kg/m、好ましくは1~4.5kg/m、より好ましくは1.5~4.5kg/m、なおもより好ましくは1.5~3.5kg/mの単位面積あたりの質量を有している。
【0096】
接着層4は、本発明の音響減衰材料を含むか、又は好ましくはそれからなっている。先に記載した音響減衰材料のために好ましい実施形態は、接着層4における音響減衰材料にもあてはまる。
【0097】
1つ又は複数の実施形態においては、その接着層が、0.5~5mm、好ましくは0.5~3mm、より好ましくは0.5~2mm、さらにより好ましくは0.5~1mmの範囲の最大厚み;及び/又は1~4g/cm、好ましくは1~3g/cm、より好ましくは1~2g/cmの範囲の密度;及び/又は0.5~5kg/m、好ましくは0.6~4kg/m、より好ましくは0.7~3kg/mの単位面積あたりの質量を有している。
【0098】
振動及び騒音の減衰要素のための好ましいサイズは、長さ及び幅が20~1000mm、より好ましくは50~500mm、最も好ましくは100~400mmである要素である。
【0099】
その振動及び騒音の減衰要素が、以下の性質を有しているのが好ましい:
- 最大損失係数が測定される温度(T@LFmax)が、5℃~25℃の間、好ましくは15℃~25℃の間である。
- 最大損失係数(LFmax)の値が、0.3以上、好ましくは0.35以上、好ましくは0.39以上、好ましくは0.40以上、最も好ましくは0.41以上である。
【0100】
その損失係数は、好ましくはISO 6721標準に規定された測定方法、より好ましくは実験の項で記載した測定方法を使用して求める。
【0101】
1つ又は複数の実施形態においては、その振動及び騒音の減衰要素にさらに、減衰層及び接着層に加えて、その減衰層の第二の表面の少なくとも一部を被覆する拘束層が含まれる。これらの実施形態における振動及び騒音の減衰要素は、一般的に、「拘束層ダンパー」と呼ばれている。その減衰層と拘束層とは、好ましくは、それらの相向いの表面で互いに直接的に接合されており、その減衰層が、接着層と拘束層との間に挟み込まれているのが好ましい。1つ又は複数の実施形態においては、その拘束層が、その減衰層の第二の表面の全面積を、実質的に、好ましくは完全に被覆している。これらの実施形態による振動及び騒音の減衰要素の断面図を、図2に示す。
【0102】
1つ又は複数の実施形態においては、その拘束層が、金属シート、好ましくはアルミニウム若しくは鋼のシート、又はポリマーシート、好ましくはガラス繊維強化ポリマーシートである。その拘束層の厚みには特段の制限はないが、減衰層よりは薄い拘束層を使用するのが、一般的には好ましい。好ましい厚みは、その拘束層の材料にも依存する。1つ又は複数の実施形態においては、その拘束層が、0.05~1.5mm、好ましくは0.1~1.25mm、より好ましくは0.1~1.0mmの厚みを有している。1つ又は複数の実施形態においては、その拘束層が、0.05~0.5mm、好ましくは0.05~0.4mmの厚みを有する金属シートである。1種又は複数のさらなる実施形態においては、その拘束層が、0.1~1.2mm、好ましくは0.25~1.0mmの厚みを有するポリマーシートである。
【0103】
その拘束層が、減衰層の弾性率よりも高い、例えば、少なくとも3倍、好ましくは少なくとも5倍、より好ましくは少なくとも10倍の弾性率を有しているのが好ましいが、ここでその弾性率は、ISO 6892-1:2016標準(金属シートの場合)又はISO 527-2標準(ポリマーシートの場合)に規定された方法を使用して測定したものである。
【0104】
好ましい実施形態においては、その振動及び騒音の減衰要素が、減衰層、接着層、及び拘束層からなっている。
【0105】
本発明の別の主題は、本発明の振動及び騒音の減衰要素を製造するための方法であるが、その方法には、以下のステップが含まれる:
i)第一及び第二の表面を有する減衰層を備えるステップ、
ii)その減衰層の第一の表面の上に、本発明の音響減衰材料を含むか又は本発明の音響減衰材料からなる接着剤組成物を適用するステップ。
【0106】
ステップi)は、当業者には公知の各種の慣用されている技法により実施することができる。例えば、その音響減衰材料を、最初にエクストルーダー装置の中で溶融加工し、次いでエクストルーダーダイ、好ましくはフラットダイを通過させて押出加工して、減衰層の形状にすることができる。別な方法として、カレンダー加工法又はホットプレス法を使用して、本発明の音響減衰材料を減衰層に加工することも可能である。
【0107】
ステップii)は、当業者には公知の各種の慣用されている技法により実施することができる。各種の慣用されている技法を用いて、減衰層の表面の上に接着剤組成物を適用することができる。例えば、ノズル押出法、粉体分散法、カレンダー加工法、又は噴霧積層法、好ましくはカレンダー加工法によって、接着剤組成物をシートの表面の上に適用することができる。
【0108】
本発明の別の主題は、本発明による振動及び騒音の減衰要素を基材の騒音を発生する表面に適用するための方法であるが、その方法には、以下のステップが含まれる:
I)本発明による振動及び騒音の減衰要素を備えるステップ、
II)その振動及び騒音の減衰要素の接着層の外側主表面を、騒音を発生する表面と接触させ、十分な圧力を加えて、接着接合(adhesive bond)を形成させるステップ、又は
II’)その接着層及び/又は基材を加熱し、その接着層の外側主表面を、騒音を発生する表面と接触させ、その接着層を冷却することによって接着接合を形成させるステップ。
【0109】
接着層の「外側主表面」という用語は、減衰層の側とは反対側の上の接着層の主表面を指している。騒音を発生する表面を有する基材は、例えば、金属、プラスチック、又は繊維強化プラスチックで構成された、例えば、パネル、シート、又はフィルムのような、各種のタイプの成形物品であってよい。ステップII’)における接着層及び/又は基材の加熱は、各種の慣用されている方法、例えば、オーブン中での加熱、空気流による加熱、又は赤外(IR)線照射を用いた加熱などで実施することができる。
【0110】
本発明のさらに別の主題は、騒音を発生する表面(7)を有する基材(6)と本発明による振動及び騒音の減衰要素(1)とを含む振動減衰されたシステムであり、ここで、少なくともその減衰層(2)の第一の表面(3)の一部が、接着層(4)を介して、騒音を発生する表面(7)に接着結合されている。振動減衰されたシステムの断面図を、図3に示す。
【0111】
1つ又は複数の実施形態においては、その振動及び騒音の減衰要素(1)が、拘束層(5)を含む拘束された減衰要素であり、ここで、その減衰層(2)は、接着層(4)と拘束層(5)との間に挟み込まれている。この実施形態による振動減衰されたシステムの断面図を、図4に示す。
【0112】
1つ又は複数の実施形態においては、騒音を発生する表面を有するその基材が、自動車車両又は白物家電の構造物の一部である。
【実施例
【0113】
表1に示した原料を、表3及び4それぞれに示した接着層のため、及び表2に示した減衰層のための組成物において使用した。
【0114】
【表1】
【0115】
組成物の調製
接着層の中で使用し、表3及び表4に示した、実施例Ex-1~Ex-6の本発明の音響減衰材料、さらには参照例Ref.1~Ref.9は、以下の手順に従って調製した。
【0116】
第一のステップにおいて、構成要素BR、PI、HR、及び方解石の半分を、バッチタイプのミキサーの中で混合した。その後で、残りの原料を、1時間以上の時間をかけて、一定速度で添加し、20分間混合した。次いでその混合した組成物を、シールされていないドラムの中に貯蔵し、混合した直後に使用した。
【0117】
第二のステップにおいて、減衰層組成物のための構成要素を、表2に示した下記の構成要素と混合した:
【0118】
【表2】
【0119】
BR、PI、HR、及び方解石の半分を、バッチタイプのミキサーの中で混合した。その後で、残りの原料を、1時間以上の時間をかけて、一定速度で添加し、20分間混合した。次いで、その混合した減衰層組成物を、シールされていないドラムの中に貯蔵し、混合した直後に使用した。
【0120】
以下の試験のために、試験サンプル(振動及び騒音の減衰要素)を、それぞれ組成物Ex-1~Ex-6、参照例Ref.1~Ref.9からなる、厚み0.6mmの接着層を用いて調製した。この接着層の上に、上述の減衰層組成物の、厚み1.1mmの減衰層を加えた。その減衰層の上に、厚み0.3mmのアルミニウム層(拘束層)を加えた。それらの試験結果を、表3及び表4に示す。
【0121】
高温抵抗性の測定(「ht抵抗性」)
210℃での耐熱性試験は、BMWグループの標準に従って実施した:車体工場で使用される接着剤及びシーリング材料(Adhesives and sealing materials used in the body shop)
防振パッド、要求性能及び試験(Damping pad,Requirements and testings),GS 97028-16:2012-02,4頁,表1:高温に対する耐性(Resistance to high temperature)(“Waermetest”),AA-0415,2018-10版。それらの試験サンプルの、長さ×幅は、16cm×7cmであった。
【0122】
評価方式(grading system):
評価=OKを得るためには、膨れが無く、溶解せず、スリップが無く、そして、収縮が無いことが必要である。
【0123】
-30℃での落球試験による低温での接着性の測定/定量(「Bdt-30℃」)
-30℃での落球試験は、Volkswagenグループの標準に従って実施した:品質要求性能、自己接着性硬化パッド及び消音パッド(quality requirements,self-adhesive stiffening pads and sound deadenig pads),QP M052,12頁,ポイント3.7.5,冷時接着物の落球試験/測定(Ball drop test/determination of cold adhesion)(“Kugelfall/Bestimmung der Kaerltehaftung”)、PV 3971,2020-03版。それらの試験サンプルの、長さ×幅は、7cm×7cmであった。
【0124】
評価方式:
評価1:試験片のクラッキング(cracking)又はスプリンタリング(splintering)無し、試験シートのチッピング(chipping)無し
評価2:試験片のクラッキング又はスプリンタリングは有るが、試験シートのチッピング無し
評価3:試験シートからのチッピングは無いが、わずかな曲げ荷重をかけるだけで、その試験シートから試験片が離層する可能性がある
評価4:試験片のクラッキング又はスプリンタリング有り、試験シートから部分的にチッピング
評価5:試験片のクラッキング又はスプリンタリング有り、試験シートから大規模なチッピング
評価6:試験シートから完全に層間剥離。
【0125】
接着性/剥離強度の測定(「剥離強度」)
剥離強度の試験は、BMWグループの標準に従って実施した:車体工場で使用される接着剤及びシーリング材料(Adhesives and sealing materials used in the body shop)
防振パッド、要求性能及び試験(Damping pad,Requirements and testing),GS 97028-16:2012-02,4頁,表1:接着性(「車体工場における、消音及び硬化材料の剥離強度」)(Adhesion(“Peel-resistance of sound deadening and stiffening matgerials in the body shop”)),AA-0007,2018-10版。それらの試験サンプルの、長さ×幅は、20cm×3cmであった。それに加えて、破損パターンを目視で確認した。
【0126】
評価方式:
- 油引き鋼板上、30分後、室温:>1.5N/cm
- 油引き鋼板上、30分後、195℃:>4N/cm
【0127】
損失係数の測定(「損失係数」)
ISO 6721標準に規定された測定方法を使用して、試験片についての損失係数を測定した。その測定は、市販の損失係数試験機を使用し、200Hzの反共振点、20~60℃の温度範囲で実施した。それらの試験サンプルの、長さ×幅は、20cm×1cmであった。
【0128】
表1及び表2における損失係数の最大値が、10℃又は20℃、好ましくは20℃で測定されているのならば有利であるが、その理由は、この温度が、車両における最も普通の操作温度であるからである。
【0129】
【表3】
【0130】
【表4】
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】