(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】コンポーネントを準備及びクリーニングするための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20240719BHJP
G03F 1/82 20120101ALI20240719BHJP
【FI】
G03F7/20 503
G03F7/20 521
G03F1/82
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503364
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 EP2022069063
(87)【国際公開番号】W WO2023011849
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ハイマンス,ルーカス,クリスティアーン,ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】デナー,イムレ,ルドルフ,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ラファーレ,レイモンド,ウィルヘルムス,ルイス
(72)【発明者】
【氏名】オッテンス,コーネリス,クリスティアーン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デ ケルクホフ,マーカス,アドリアヌス
(72)【発明者】
【氏名】ニキペロフ,アンドレイ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンオッターダイク,デニス
(72)【発明者】
【氏名】スマルダーズ,エドウィン,ヨハネス,テオドルス
(72)【発明者】
【氏名】ヤクニン,アンドレイ,ミクハイロヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】サルマーゾ,グイド
(72)【発明者】
【氏名】フォアデッカーズ,リュック
(72)【発明者】
【氏名】アンデ,チャイタニヤ クリシュナ
(72)【発明者】
【氏名】コーネン,マルティヌス,ヤコブス,ヨハネス
【テーマコード(参考)】
2H195
2H197
【Fターム(参考)】
2H195BA10
2H195BB20
2H195BC31
2H197BA30
2H197CA10
2H197FA02
2H197GA01
2H197GA20
2H197GA23
2H197HA03
2H197HA04
2H197HA05
2H197HA10
(57)【要約】
リソグラフィ装置で使用されるコンポーネントをクリーニングするための装置。この装置は、少なくとも1つのクリーニングモジュール又は複数のクリーニングモジュールを備える。少なくとも1つのクリーニングモジュール又は複数のクリーニングモジュールは、複数のクリーニング機構を含む。複数のクリーニング機構は、コンポーネントへの粒子の付着を低減するための少なくとも1つの準備機構及びコンポーネントから粒子を除去するための少なくとも1つの除去機構、又は、コンポーネントから粒子を除去するための複数の除去機構を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置で使用されるコンポーネントをクリーニングするための装置であって、前記装置は少なくとも1つのクリーニングモジュール又は複数のクリーニングモジュールを備え、
前記少なくとも1つのクリーニングモジュール又は前記複数のクリーニングモジュールは複数のクリーニング機構を含み、
前記複数のクリーニング機構は、
前記コンポーネントへの前記粒子の付着を低減するための少なくとも1つの準備機構及び前記コンポーネントから粒子を除去するための少なくとも1つの除去機構、又は、前記コンポーネントから粒子を除去するための複数の除去機構を含む、装置。
【請求項2】
前記装置は前記複数のクリーニングモジュールを備え、前記装置は、クリーニングのために前記コンポーネントが前記複数のクリーニングモジュールを順次通過できるように構成されている、請求項1の装置。
【請求項3】
前記クリーニングモジュール又は複数のクリーニングモジュールは、前記コンポーネントから粒子を除去するための少なくとも1つの分離モジュールを含む、請求項1又は2のいずれかの装置。
【請求項4】
前記分離モジュールは、前記コンポーネントから粒子を除去している間又は除去する前のいずれかにおいて前記コンポーネントへの前記粒子の付着を低減するためのものである、請求項3の装置。
【請求項5】
前記クリーニングモジュールは、
複数の分離モジュール、及び/又は、
少なくとも1つの分離モジュール及び前記コンポーネントへの粒子の付着を低減するための少なくとも1つの準備モジュールを含む、請求項3又は4のいずれかの装置。
【請求項6】
前記クリーニングモジュール又は複数のクリーニングモジュールは真空下又は制御されたガス環境下に維持されている、請求項1から5のいずれかの装置。
【請求項7】
前記除去機構及び/又は前記準備機構は真空発生機構を含む、請求項1から6のいずれかの装置。
【請求項8】
前記準備機構は、真空環境で前記コンポーネント及び/又は前記粒子を乾燥させる熱を発生するように構成された熱発生機構を含む、請求項1から7のいずれかの装置。
【請求項9】
前記真空環境における水蒸気又は他の酸素含有ガス圧は、(1E-4Pa)未満、(1E-5Pa)未満、(1E-6Pa)未満、又は(1E-7Pa)未満のうち少なくとも1つの圧力を有する、請求項8の装置。
【請求項10】
前記熱発生機構は放射加熱器を含み、好ましくはレーザ又はIRランプを含む、請求項8又は9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記熱発生機構は、前記コンポーネントの境界への前記放射熱が1W/cm
2未満である、前記コンポーネントの境界がヒートシンクと接触して前記境界の温度が400C未満を維持する、及び/又は、前記コンポーネントにおける放射熱電力密度が10W/cm
2未満である、好ましくは1~5W/cm
2又は2~5W/cm
2の範囲である、のうち少なくとも1つであるように構成されている、請求項8から10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記準備機構は、前記コンポーネントに隣接して又は前記コンポーネントの周囲でプラズマを発生させるためのプラズマ発生機構を含む、請求項1から11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記プラズマ発生機構は、還元剤、水素、希ガス、還元剤と酸化剤、及び/又は水素と水のうち少なくとも1つによってプラズマを発生させるように構成されている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
還元剤と酸化剤との前記比は100より大きく、好ましくは1000より大きい、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
プラズマ発生のための圧力は、0.01Pa~100Pa、好ましくは0.1Pa~10Paの前記範囲内である、請求項12から14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
前記準備機構は、除去対象の前記粒子を有する前記コンポーネントの前記側に入射する電子ビームを発生させるための電子ビーム発生機構を含む、請求項1から15のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
前記電子ビーム発生機構は、還元剤、水素、還元剤と酸化剤、及び/又は水素と水のうち少なくとも1つを含む環境において前記電子ビームを発生させるように構成されている、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
還元剤と酸化剤との前記比は100より大きく、好ましくは1000より大きい、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記環境は0.01Pa~10Paの範囲内の圧力を有する、請求項17又は18のいずれかに記載の装置。
【請求項20】
前記準備機構は、前記コンポーネントに入射するVUV又はEUV光子を発生させるためのVUV又はEUV光子発生機構を含む、請求項1から19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
前記VUV又はEUV光子発生機構は、還元剤、水素、還元剤と酸化剤、及び/又は水素と水のうち少なくとも1つを含む環境において前記VUV又はEUV光子を発生させるように構成されている、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記準備機構は、前記コンポーネントに隣接して又は前記コンポーネントの周囲で水素ラジカルを発生させるためのラジカル発生機構を含む、請求項1から21のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
前記ラジカル発生機構は、プラズマ発生機構及び/又はホットフィラメントのうち少なくとも1つを含む、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記除去機構は、前記コンポーネントの機械的振動を発生させるための振動発生機構を含む、請求項1から23のいずれかに記載の装置。
【請求項25】
前記振動発生機構は、少なくとも1つの励起電極と、前記少なくとも1つの励起電極及び前記コンポーネントを通して時変電圧を印加するための機構と、を含む、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記除去機構は、前記コンポーネントに入射するVUV光子を発生させるためのVUV光子発生機構を含む、請求項1から25のいずれかに記載の装置。
【請求項27】
前記VUV光子発生機構は、前記コンポーネントの実質的に前記全ての表面を一度に照明するか又は前記表面の一部を照明するためのVUV光子ビームを発生するように構成され、前記VUV光子ビームは、前記コンポーネントの前記全ての表面を照明するようにスキャン可能である、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記除去機構は、前記コンポーネントに隣接して又は前記コンポーネントの周囲でプラズマを発生させるためのプラズマ発生機構を含む、請求項1から27のいずれかに記載の装置。
【請求項29】
前記除去機構は、前記コンポーネントから離れる方への粒子移動を誘発するための熱発生機構を含む、請求項1から28のいずれかに記載の装置。
【請求項30】
前記除去機構は、前記コンポーネントから離れる方へ粒子を輸送するための電界発生機構を含む、請求項1から29のいずれかに記載の装置。
【請求項31】
前記電界発生機構は、コレクタ電極と、前記コンポーネント及び前記コレクタ電極を通して電圧を印加するための機構と、を含む、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記コレクタ電極は、前記コンポーネントの実質的に全てを覆うプレート又は電極のグリッドを含む、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記装置は、前記コレクタ電極に対する電力供給をオフにした場合に粒子が前記コンポーネントに戻るのを防ぐように構成された1つ以上のシールドを含む、請求項31又は32のいずれかに記載の装置。
【請求項34】
前記除去機構は、除去対象の前記粒子を有する前記コンポーネントの前記側に入射する電子ビームを発生させるための電子ビーム発生機構を含む、請求項1から33のいずれかに記載の装置。
【請求項35】
前記電子ビーム発生機構は、30~3000eVの範囲内のエネルギを有する前記電子ビームを生成するように構成され、前記コンポーネントにおける前記電流密度は10uA/cm2~10mA/cm2の範囲内であり、及び/又は、前記コンポーネントにおける前記電力損失は1W/cm2未満である、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記電子ビーム発生機構は、前記電子ビームがパルス状であるように構成されている、請求項34又は35のいずれかに記載の装置。
【請求項37】
前記電子ビームはプラズマと組み合わされる、請求項34から36のいずれかに記載の装置。
【請求項38】
前記電子ビーム発生機構は、80eVを超えるエネルギを有する前記電子ビームを生成するように構成されている、請求項34から37のいずれかに記載の装置。
【請求項39】
前記装置は、静止時の前記コンポーネントに対する前記コンポーネントの変位を測定するための少なくとも1つの変位センサと、前記コンポーネントの前記測定された変位が所定範囲外であるか否かを判定すると共に、前記コンポーネントの前記測定された変位が前記所定範囲外である場合に前記時変電界の少なくとも1つの特徴を変更するように前記時変電界を印加するための前記機構を制御するよう動作可能なコントローラと、を含む、請求項25に記載の装置。
【請求項40】
前記装置は、1つ以上の追加のクリーニングモジュールを前記装置に追加できるように構成されている、請求項1から39のいずれかに記載の装置。
【請求項41】
前記コンポーネントは、ペリクル、EUV透明フィルム、動的ガスロック膜、又はEUVスペクトル純度フィルタのうち少なくとも1つである、請求項1から40のいずれかに記載の装置。
【請求項42】
膜から粒子を除去するための膜クリーニング装置であって、
前記膜を支持するための膜サポートと、
前記膜から粒子を除去するため、前記膜サポートによって支持された場合の前記膜の機械的振動を誘発するための時変電界発生器と、
前記膜サポートによって支持された場合の静止時の前記膜に対する前記膜の変位を測定するための少なくとも1つの変位センサと、
前記膜の前記測定された変位が所定範囲外であるか否かを判定すると共に、前記膜の前記測定された変位が前記所定範囲外である場合に前記時変電界の少なくとも1つの特徴を変更するように前記時変電界発生器を制御するよう動作可能なコントローラと、
を備える、装置。
【請求項43】
前記少なくとも1つの変位センサは、静止時の前記膜の少なくとも局所部分に対する前記膜の前記局所部分の変位を測定するように構成されている、請求項42の装置。
【請求項44】
第1の変位センサは、静止時の前記膜の局所部分に対する前記膜の前記局所部分の第1の励起電極に近接した変位を測定するように構成され、第2の変位センサは、静止時の前記膜の局所部分に対する前記膜の前記局所部分の第2の励起電極に近接した変位を測定するように構成されている、請求項42の装置。
【請求項45】
前記コントローラは、前記膜の測定された最大変位に基づいて、前記膜の前記測定された変位が前記所定範囲外であるか否かを判定するように動作可能である、請求項42から44の装置。
【請求項46】
前記コントローラは、前記時変電界の以下の特徴、すなわち、
振幅、
周波数、
位相、
のうち少なくとも1つを変更することによって、前記膜の最大変位を小さくするように前記時変電界発生器を制御するよう動作可能である、請求項42から45の装置。
【請求項47】
前記コントローラは、
前記時変電界の前記振幅を小さくすること、
前記時変電界の前記周波数と前記膜の機械的振動周波数との間の重複を低減又は除去するように前記時変電界の前記周波数を変更すること、
前記膜の機械的振動位相と逆位相になるように前記時変電界の前記位相を変更すること、
のうち少なくとも1つによって、前記膜の最大変位を小さくするように前記時変電界発生器を制御するよう動作可能である、請求項46の装置。
【請求項48】
前記時変電界発生器は、
前記膜サポートによって支持された場合の前記膜の表面に近接して位置決めされた少なくとも1つの励起電極と、
前記少なくとも1つの励起電極を通して時変電圧を印加して、前記膜サポートによって支持された場合の前記膜の機械的振動を誘発するための前記時変電界を発生させるための機構と、
を含む、請求項42から47の装置。
【請求項49】
前記少なくとも1つの時変電界発生器は、
第1の励起電極及び第2の励起電極であって、各電極は前記膜サポートによって支持された場合の前記膜の2つの反対側の面のうち異なるものに近接して位置決め可能である、第1の励起電極及び第2の励起電極と、
前記第1の励起電極及び前記第2の励起電極を通して時変電圧を印加して、前記膜サポートによって支持された場合の前記膜の機械的振動を誘発するための前記時変電界を発生させるための機構と、
を含む、請求項42から48の装置。
【請求項50】
前記時変電界発生器は、前記第1の電極に印加された前記時変電圧と前記第2の電極に印加された前記時変電圧との間に非ゼロの位相差が存在するように構成されている、請求項49の装置。
【請求項51】
リソグラフィ装置で使用されるコンポーネントをクリーニングする方法であって、
装置の1つのクリーニングモジュール又は複数のクリーニングモジュールにおいて前記コンポーネントをクリーニングすることを含み、このクリーニングは、
前記コンポーネントから粒子を除去するための少なくとも1つの除去機構及び前記コンポーネントへの前記粒子の付着を低減するための少なくとも1つの準備機構、又は、
前記コンポーネントから粒子を除去するための複数の除去機構を用いる、方法。
【請求項52】
前記装置は前記複数のクリーニングモジュールを備え、前記方法は更に、クリーニングのため前記コンポーネントを前記クリーニングモジュールに順次通過させることを含む、請求項51の方法。
【請求項53】
前記コンポーネントから前記粒子を除去するための複数の分離モジュールに前記コンポーネントを通過させること、及び/又は、
前記コンポーネントへの前記粒子の付着を低減するための少なくとも1つの準備モジュールに前記コンポーネントを通過させ、次いで少なくとも1つの分離モジュールに前記コンポーネントを通過させること、
を更に含む、請求項51又は52のいずれかの方法。
【請求項54】
前記除去機構は、時変電界を用いて前記コンポーネントの機械的振動を発生させるための振動発生機構を含み、前記方法は更に、
静止時の前記コンポーネントに対する前記コンポーネントの変位を測定することと、前記コンポーネントの前記測定された変位が所定範囲外であるか否かを判定することと、前記コンポーネントの前記測定された変位が前記所定範囲外である場合に前記時変電界の少なくとも1つの特徴を制御することと、を含む、請求項51から53のいずれかの方法。
【請求項55】
リソグラフィ装置で使用される、膜から粒子を除去する方法であって、
前記膜から粒子を除去するため、時変電界を用いて前記膜の機械的振動を誘発することと、
静止時の前記膜に対する前記膜の変位を測定することと、
前記膜の前記測定された変位が所定範囲外であるか否かを判定することと、
前記膜の前記測定された変位が前記所定範囲外である場合に前記時変電界の少なくとも1つの特徴を制御することと、
を含む方法。
【請求項56】
1Hz、10Hz、100Hz、1000Hz、10,000Hzのうち少なくとも1つよりも高い頻度で前記膜の前記変位を測定することを更に含む、請求項55の方法。
【請求項57】
静止時の前記膜に対する前記膜の前記変位を測定することは、静止時の前記膜の少なくとも局所部分に対する前記膜の前記局所部分の変位を測定することを含む、請求項55から56のいずれかの方法。
【請求項58】
前記所定範囲は、静止時の前記膜に対する前記膜の少なくとも局所部分の変位であって、大きさが10μm、100μm、1000μmのうち少なくとも1つよりも小さい変位を含む、請求項55から57のいずれかの方法。
【請求項59】
前記膜の測定された最大変位に基づいて、前記膜の前記測定された変位が前記所定範囲外であるか否かを判定することを含む、請求項55から58のいずれかの方法。
【請求項60】
前記時変電界の前記特徴は、
振幅、
周波数、
位相、
のうち少なくとも1つを含む、請求項55から59のいずれかの方法。
【請求項61】
前記時変電界の前記振幅を小さくすること、
前記時変電界の前記周波数と前記膜の機械的振動周波数との間の重複を低減又は除去するように前記時変電界の前記周波数を変更すること、
前記膜の機械的振動位相と逆位相になるように前記時変電界の前記位相を変更すること、
のうち少なくとも1つによって、前記膜の最大変位を小さくするように前記時変電界の前記少なくとも1つの特徴を制御することを含む、請求項60の方法。
【請求項62】
前記膜の機械的振動を誘発することは、前記膜の表面に近接して位置決めされた少なくとも1つの励起電極を通して時変電圧を印加することを含む、請求項55から61のいずれかの方法。
【請求項63】
前記膜の機械的振動を誘発することは、前記膜の両側の面に近接して位置決めされた第1の励起電極及び第2の励起電極の各々に時変電圧を印加することを含む、請求項55から62のいずれかの方法。
【請求項64】
前記第1の電極に印加された前記時変電圧と前記第2の電極に印加された前記時変電圧との間に非ゼロの位相差が存在する、請求項63の方法。
【請求項65】
1Hz、10Hz、100Hz、1000Hz、10,000Hzのうち少なくとも1つよりも高い頻度で前記膜の前記変位を測定することを更に含む、請求項55から64のいずれかの方法。
【請求項66】
命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令は、処理回路によって実行された場合、請求項51から65のいずれか一項の方法を前記処理回路に実行させる、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
[0001] 本出願は、2021年8月6日に出願された欧州特許出願第21190107.9号、及び、2021年8月18日に出願された欧州特許出願第21191923.8号の優先権を主張する。これらの出願は援用により全体が本願に含まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、リソグラフィ装置のコンポーネントを準備及び/又はクリーニングするための装置及び方法に関する。更に特定すれば、コンポーネントはペリクルである。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に適用するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造に使用可能である。リソグラフィ装置は、例えばパターニングデバイス(例えばマスク)でのパターンを、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)の層に投影することができる。
【0004】
[0004] 基板上にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を使用することができる。この放射の波長は、基板上に形成可能なフィーチャの最小サイズを決定する。4~20nmの範囲内、例えば6.7nm又は13.5nmの波長を有する極端紫外線(EUV)放射を使用するリソグラフィ装置は、例えば193nmの波長を有する放射を使用するリソグラフィ装置よりも小さいフィーチャを基板上に形成するのに使用することができる。
【0005】
[0005] リソグラフィにおけるペリクルの使用は、周知であり、定着している。使用時、ペリクルは、パターニングデバイス(レチクル)の前に配置される。これにより、リソグラフィ装置の汚染からレチクルを保護するが、ペリクル自体から汚染が加わる可能性がある。ペリクルはレチクルに極めて近く(約2mm)、ペリクルの汚染はレチクル欠陥の大きなリスクになる。従って、ペリクルの実現可能性にとってペリクルのきれいな表面は非常に重要である。
【0006】
[0006] DUV又はEUVリソグラフィ装置における典型的なペリクルは、パターニングデバイスから離して位置付けられて使用時はリソグラフィ装置の焦点面外にある膜である。ペリクルはリソグラフィ装置の焦点面外にあるので、ペリクル上に載っている汚染粒子はリソグラフィ装置の焦点外にある。従って、汚染粒子の像は基板に投影されない。もしもペリクルが存在しなければ、パターニングデバイス上に載っている汚染粒子は基板に投影され、投影されたパターンに欠陥を生じる。
【0007】
[0007] EUVリソグラフィ装置でペリクルを使用することが望ましい場合がある。EUVリソグラフィは、典型的に真空内で実行され、パターニングデバイスが典型的に透過型でなく反射型である点が、DUVリソグラフィとは異なる。ペリクルは膜と呼ばれることがある。
【0008】
[0008] ペリクルは、極めて清潔な条件下で生成される。しかしながら、ペリクルはそれでもなお汚染粒子を含む可能性がある。これらの粒子の各々はリスクであり、もしもリソグラフィ装置内でペリクルから解放され、ペリクル裏側からパターニングデバイス(レチクル)前側へ移動したら、欠陥問題となり得る。これらの汚染粒子によって欠陥が印刷され、結果として生産性の損失を招く恐れがある。
【0009】
[0009] 従来技術に関連した1つ以上の問題を克服又は軽減する、ペリクルをクリーニングする(すなわち、ペリクルがリソグラフィ装置内に入る前に粒子を除去する)ための装置及び方法を提供することが望ましい。本明細書において記載される本発明の例は、EUVリソグラフィ装置に使用され得る。また、本発明の例は、DUVリソグラフィ装置及び/又は別の形態のリソグラフィツールにも使用され得る。
【発明の概要】
【0010】
[00010] 本発明の第1の態様によれば、リソグラフィ装置で使用されるコンポーネントをクリーニングするための装置が提供される。装置は、少なくとも1つのクリーニングモジュール又は複数のクリーニングモジュールを備え、少なくとも1つのクリーニングモジュール又は複数のクリーニングモジュールは複数のクリーニング機構を含み、複数のクリーニング機構は、コンポーネントへの粒子の付着を低減するための少なくとも1つの準備機構及びコンポーネントから粒子を除去するための少なくとも1つの除去機構、又は、コンポーネントから粒子を除去するための複数の除去機構を含む。
【0011】
[00011] これは、リソグラフィ装置LA内で解放される可能性のある粒子のかなりの量、ほとんどの量、又は全てを除去する利点を有し得る。装置は、他の以前の方法よりも効果的にコンポーネントをクリーニングする(すなわち、より多くの粒子を除去する及び/又はより迅速に粒子を除去する)ことができる。複数のクリーニング機構を使用することは、単一のクリーニング機構(又はストレッサ(stressor))を使用して可能となり得るよりも多くの粒子又は様々な粒子をクリーニングできるという利点を有する。
【0012】
[00012] コンポーネントのクリーニングは、粒子の除去を準備する(例えばコンポーネントへの粒子の付着を低減する)こと、及び(コンポーネントから)粒子を除去することの双方を含み得る。
【0013】
[00013] 準備機構は除去機構の前に使用され得る。すなわち、それらは順次使用され得る。準備機構及び除去機構は同時に使用され得る。すなわち、コンポーネントへの粒子の付着の低減とコンポーネントからの粒子の除去は同時に行われ得る。
【0014】
[00014] 少なくとも1つのクリーニングモジュールは、複数のクリーニング機構を含み得る。複数のクリーニングモジュールは、全体で複数のクリーニング機構を含み得る。すなわち、1つのクリーニングモジュールは1つのクリーニング機構を含み、別のクリーニングモジュールは別のクリーニング機構を含み得る。クリーニングモジュールのうち1つ以上は、それぞれ複数のクリーニング機構を含み得る。
【0015】
[00015] 装置は複数のクリーニングモジュールを含み得る。装置は、クリーニングのためにコンポーネントが複数のクリーニングモジュールを順次通過できるように構成され得る。
【0016】
[00016] 1又は複数のクリーニングモジュールは、コンポーネントから粒子を除去するための少なくとも1つの分離モジュールを含み得る。
【0017】
[00017] 装置は、モジュール間でコンポーネントを移動させるためのロボットモジュールを含み得る。
【0018】
[00018] 装置は、複数の部品を含む部品(例えばペリクル)ライブラリモジュールを含み得る。
【0019】
[00019] 装置は、装置の外側から装置の内側の真空を分離するための真空チャンバモジュールを含み得る。
【0020】
[00020] 分離モジュールは、コンポーネントから粒子を除去している間又は除去する前のいずれかにおいてコンポーネントへの粒子の付着を低減するためのものであり得る。これは、粒子除去の効率が増大し得ることを意味する。
【0021】
[00021] クリーニングモジュールは、複数の分離モジュール、及び/又は、少なくとも1つの分離モジュール及びコンポーネントへの粒子の付着を低減するための少なくとも1つの準備モジュールを含み得る。
【0022】
[00022] 1又は複数のクリーニングモジュールは、真空下又は制御されたガス環境下に維持することができる。
【0023】
[00023] 真空又は制御されたガス環境は、クリーニングモジュール間で維持することができる(例えば、付着低減を維持し、より多くの粒子がコンポーネントに載らないようにするため、準備モジュールから分離モジュールまで)。制御されたガス環境は、所定のガス/圧力/温度を有し得る。真空下又は制御されたガス環境下において、クリーニングモジュール間でコンポーネントを移動させることができる。
【0024】
[00024] 除去機構及び/又は準備機構は真空発生機構を含み得る。
【0025】
[00025] 真空発生機構によって発生した真空は、コンポーネントへの粒子の付着の低減又はコンポーネントからの粒子の除去を少なくとも支援することができる。
【0026】
[00026] 準備機構は、真空環境でコンポーネント及び/又は粒子を乾燥させる熱を発生するように構成された熱発生機構を含み得る。
【0027】
[00027] 真空環境における水蒸気又は他の酸素含有ガス圧は、1E-4Pa未満、1E-5Pa未満、1E-6Pa未満、又は1E-7Pa未満のうち少なくとも1つの圧力を有し得る。
【0028】
[00028] 熱発生機構は放射加熱器を含み得る。
【0029】
[00029] 熱発生機構は、コンポーネントの境界への放射熱が1W/cm2未満であるように、及び/又は境界がヒートシンクと接触して境界温度が400C未満を維持するように構成され得る。
【0030】
[00030] 放射加熱器はレーザ又はIRランプとすればよい。レーザは、0.5~5μmの範囲内の波長を有し得る。コンポーネントは、全体が同時に、又はセグメントごとに加熱され得る。
【0031】
[00031] コンポーネントにおける放射熱電力密度は、10W/cm2、好ましくは1~5W/cm2又は2~5W/cm2の範囲であり得る。放射加熱器は、0.1~1000秒又は10~1000秒の範囲でコンポーネントにおいて1~5W/cm2の範囲内の電力密度を与えるように構成され得る。
【0032】
[00032] 準備機構は、コンポーネントに隣接して又はコンポーネントの周囲でプラズマを発生させるためのプラズマ発生機構を含み得る。これは、粒子の内部及び周囲にトラップされた水を含む水のガス放出(outgassing)を促進することができる。これは、粒子の組成及び/又はラフネスを変化させ得る。
【0033】
[00033] プラズマ発生機構は、還元剤、水素、希ガス、還元剤と酸化剤、及び/又は水素と水のうち少なくとも1つによってプラズマを発生させるように構成され得る。
【0034】
[00034] 還元剤と酸化剤との比は100より大きく、好ましくは1000より大きくすることができる。還元剤の濃度は、酸化剤の濃度に比べてはるかに高くすることができる。これは、コンポーネント(例えばペリクル)の機械的特性(強度と張力)及び光学特性(透過と反射)を維持することを保証するためであり得る。還元剤の濃度は、酸化剤の濃度よりも1000倍高くすることができる。
【0035】
[00035] プラズマ発生機構は、1mW/cm2~1W/cm2の範囲内のコンポーネントに対する電力損失によってプラズマを発生させるように構成され得る。
【0036】
[00036] 準備機構は、除去対象の粒子を有するコンポーネントの側に入射する電子ビームを発生させるための電子ビーム発生機構を含み得る。
【0037】
[00037] 電子ビーム発生機構は、還元剤、水素、還元剤と酸化剤、及び/又は水素と水のうち少なくとも1つを含む環境において電子ビームを発生させるように構成され得る。
【0038】
[00038] 還元剤と酸化剤との比は100より大きく、好ましくは1000より大きくすることができる。
【0039】
[00039] プラズマ発生のための圧力は0.01Pa~100Paの範囲内であり、好ましくは0.1Pa~10Paの範囲内とすればよい。
【0040】
[00040] 環境は、0.01Pa~10Paの範囲内の圧力を有し得る。
【0041】
[00041] 電子ビーム発生機構は30~3000eVの範囲内のエネルギを有するように構成することができ、コンポーネントにおける電流密度は10uA/cm2~10mA/cm2の範囲内であり、及び/又はコンポーネントにおける電力損失は1W/cm2未満であり得る。
【0042】
[00042] 準備機構は、コンポーネントに入射するVUV又はEUV光子を発生させるためのVUV又はEUV光子発生機構を含み得る。
【0043】
[00043] VUV又はEUV光子発生機構は、還元剤、水素、還元剤と酸化剤、及び/又は水素と水のうち少なくとも1つを含む環境においてVUV又はEUV光子を発生させるように構成され得る。
【0044】
[00044] VUV又はEUV光子発生機構は、1W/cm2未満のコンポーネントに対する電力損失でVUV又はEUV光子を発生させるように構成され得る。
【0045】
[00045] 準備機構は、コンポーネントに隣接して又はコンポーネントの周囲で水素ラジカルを発生させるためのラジカル発生機構を含み得る。
【0046】
[00046] ラジカル発生機構は、プラズマ発生機構及び/又はホットフィラメントのうち少なくとも1つを含み得る。
【0047】
[00047] 除去機構は、コンポーネントの機械的振動を発生させるための振動発生機構を含み得る。
【0048】
[00048] 振動発生機構は、少なくとも1つの励起電極と、少なくとも1つの励起電極及びコンポーネントを通して時変電圧を印加するための機構と、を含み得る。
【0049】
[00049] 除去機構は、コンポーネントに入射するVUV光子を発生させるためのVUV光子発生機構を含み得る。
【0050】
[00050] VUV光は、20~200nm(62eV~6.2eV)の範囲内の波長を有し得る。
【0051】
[00051] VUV光子は粒子とコンポーネントを帯電させ得る。
【0052】
[00052] VUV光子は、クリーニングされるコンポーネントの表面(例えばペリクルのレチクルを向いている側)、又はコンポーネントの反対側の表面に入射し得る(例えばVUV光はペリクルを通過し得る)。クリーニングされるコンポーネントの表面とは反対側の表面に入射する光は、粒子とコンポーネントとの間で電離を増大させ、これにより反発及びクリーニング効果を最大化することができる。
【0053】
[00053] VUV光子発生機構は、コンポーネントの実質的に全ての表面を一度に照明するか又は表面の一部を照明するためのVUV光子ビームを発生するように構成され、VUV光子ビームは、コンポーネントの全ての表面を照明するようにスキャン可能であり得る。
【0054】
[00054] 除去機構は、コンポーネントに隣接して又はコンポーネントの周囲でプラズマを発生させるためのプラズマ発生機構を含み得る。
【0055】
[00055] プラズマは粒子を帯電させ得る。プラズマ/ガス流は粒子をキックする(kick)ことができる。
【0056】
[00056] 除去機構は、コンポーネントから離れる方への粒子移動を誘発するための熱発生機構を含み得る。
【0057】
[00057] 熱発生機構はレーザとすることができる。
【0058】
[00058] 除去機構は、コンポーネントから離れる方へ粒子を輸送するための電界発生機構を含み得る。
【0059】
[00059] 電界発生機構は、コレクタ電極と、コンポーネント及びコレクタ電極を通して電圧を印加するための機構と、を含み得る。
【0060】
[00060] 2つのコレクタ電極が存在し得る。
【0061】
[00061] コレクタ電極に粒子が張り付いた状態でコンポーネントを除去することができる。これは、コレクタ電極に対する電力をオフにした場合に粒子がコンポーネントに戻れないようにするためであり得る。
【0062】
[00062] コレクタ電極は、コンポーネントの実質的に全てを覆うプレート又は電極のグリッドを含み得る。
【0063】
[00063] 装置は、コレクタ電極に対する電力供給をオフにした場合に粒子がコンポーネントに戻るのを防ぐように構成された1つ以上のシールドを含み得る。
【0064】
[00064] シールドは格納式であり得る。
【0065】
[00065] 除去機構は、除去対象の粒子を有するコンポーネントの側に入射する電子ビームを発生させるための電子ビーム発生機構を含み得る。
【0066】
[00066] 電子ビーム発生機構は、80eVを超えるエネルギを有する電子ビームを生成するように構成され得る。
【0067】
[00067] 電子ビーム発生機構は、電子ビームがパルス状であるように構成され得る。
【0068】
[00068] 電子ビームはプラズマと組み合わされる。電子ビーム(パルス状又は連続的)は、プラズマ源(プラズマ発生機構)がプラズマ(パルス状又は連続的であり得る)を提供するのと同時にコンポーネントに入射し得る。プラズマ及び電子ビームからの電子は、コンポーネントにおいて同時に又は交互に存在し得る。
【0069】
[00069] 電子ビーム発生機構は、粒子及び/又はコンポーネントを結像するための走査電子顕微鏡を含み得る。
【0070】
[00070] 装置は、静止時のコンポーネントに対するコンポーネントの変位を測定するための少なくとも1つの変位センサと、コンポーネントの測定された変位が所定範囲外であるか否かを判定すると共に、コンポーネントの測定された変位が所定範囲外である場合に時変電界の少なくとも1つの特徴を変更するように時変電界を印加するための機構を制御するよう動作可能なコントローラと、を含み得る。
【0071】
[00071] 変位は動的であり、コンポーネント内の張力がかかっている膜の低固有モードに対応し得る。
【0072】
[00072] 装置は、1つ以上の追加のクリーニングモジュールを装置に追加できるように構成され得る。
【0073】
[00073] コンポーネントは、ペリクル、EUV透明膜、動的ガスロック膜、又はEUVスペクトル純度フィルタのうち少なくとも1つであり得る。
【0074】
[00074] 膜(例えばペリクル)は、膜クリーニング中に損傷を受ける可能性がある。具体的には、時変電界発生器(例えば少なくとも1つの電極)を用いて膜の機械的振動を誘発する場合、暴走障害(run-away failure)が発生し、膜の剛性は電極によって発生した静電力に抵抗できなくなる可能性がある。この場合、膜は変形し、ついには電極に接触して損傷を受ける。
【0075】
[00075] 2つの電極が膜の両側にほぼ等しい圧力を加える場合であっても、暴走障害はリスクである。膜は、以下の式に従って、剛性係数(k)[N/mm]で瞬間変形(h)[mm]に抵抗する力(Fspring)[N]を与える。
【0076】
【0077】
[00076] 剛性係数(k)は、110~100N30N/mmの範囲内とすることができ、典型的には10N/mmである。変形(h)が、膜と電極の一方との間のギャップに相当するまでになった場合、2つの電極によって発生した静電力は不安定となる。2つの電極によって発生した静電力が不均衡(不安定)になった場合、暴走障害が発生する。
【0078】
[00077] 膜と電極との間のギャップが小さくなればなるほど、2つの電極によって発生した静電力が不均衡になるリスクが大きくなる。また、電極が大きくなればなるほど、2つの電極によって発生した静電力が不均衡になるリスクが大きくなる。2つの電極によって発生した静電力が不均衡になる感度がこのように高くなることは、電界の2乗による、従って膜と電極との間のギャップの逆2乗による圧力スケーリングの結果として生じる。この関係は以下の式に記載される。
【0079】
【0080】
[00078] ここで、Felectrodeは、電極の一方によって膜に加えられる力[N]であり、Pnomは、第1の電極と第2の電極との間で膜が等距離にある(かつ、膜が平坦である)場合の膜にかかる圧力[N/mm2]であり、Sは電極の断面[mm2]であり、Hは静止時の膜の位置[mm]であり、hは、(電極の突出部(projection)における)静止時の膜の位置からの膜位置のずれ[mm]である。
【0081】
[00079] Felectrode>Fspringである場合、膜の剛性は、電極のうち最も近い部分への引力に抵抗することができず、膜は電極の一方に接触するまで変形して機能しなくなる。
【0082】
[00080] 従って本開示は、膜から粒子を除去し、膜の暴走障害のリスクを少なくとも軽減するための方法及び装置を提供することを目的とする。
【0083】
[00081] 本発明の第2の態様によれば、膜から粒子を除去するための膜クリーニング装置が提供される。装置は、膜を支持するための膜サポートと、膜から粒子を除去するため、膜サポートによって支持された場合の膜の機械的振動を誘発するための時変電界発生器と、膜サポートによって支持された場合の静止時の膜に対する膜の変位を測定するための少なくとも1つの変位センサと、膜の測定された変位が所定範囲外であるか否かを判定すると共に、膜の測定された変位が所定範囲外である場合に時変電界の少なくとも1つの特徴を変更するように時変電界発生器を制御するよう動作可能なコントローラと、を備える。
【0084】
[00082] 有利には、膜から粒子を除去するための膜クリーニング装置は、膜の暴走障害のリスクを軽減する。有利には、膜から粒子を除去するための膜クリーニング装置は、膜の暴走障害のリスクなしに、(例えば粒子除去を改善するため)少なくとも1つの電極によって発生した時変電界の電界強度を増大することができる。有利には、膜から粒子を除去するための膜クリーニング装置は、膜の暴走障害のリスクなしに、(例えば粒子除去を改善するため)少なくとも1つの電極を膜に近付けて位置決めすることができる。
【0085】
[00083] 膜はペリクルを含み得る。
【0086】
[00084] 少なくとも1つの変位センサは、膜の低機械的振動固有モード、すなわち、モード1(例えば最低モード、単極)、モード2(例えば双極、長い側)、モード3(例えば双極、短い側)、モード4(例えば四極)、及び他の低周波数固有モード、のうち少なくとも1つの周波数と実質的に同じ頻度で(frequently)膜の変位を測定することができる。
【0087】
[00085] 有利には、低周波数固有モードのうち少なくとも1つの周波数と実質的に同じ頻度で膜の変位を測定することにより、使用する変位センサ(例えば近接センサ)の数を減らすことができる。
【0088】
[00086] 少なくとも1つの変位センサは、100Hz、1000Hz、10,000Hzのうち少なくとも1つよりも高い頻度で膜の変位を測定し得る。
【0089】
[00087] 少なくとも1つの変位センサは、1000Hz、10,000Hz、100,000Hzのうち少なくとも1つ未満の頻度で膜の変位を測定し得る。
【0090】
[00088] 少なくとも1つの変位センサは、膜の低機械的振動固有モード、すなわち、モード1(例えば最低モード、単極)、モード2(例えば双極、長い側)、モード3(例えば双極、短い側)、モード4(例えば四極)のうち少なくとも1つの周波数よりも高い頻度で膜の変位を測定することができる。
【0091】
[00089] 有利には、低周波数固有モードよりも高い頻度で膜の変位を測定することにより、膜の機械的振動の振幅、周波数、位相のうち少なくとも1つをより良好に決定できる。
【0092】
[00090] 所定の変位範囲は、静止時の膜に対する膜の少なくとも局所部分の変位であって、大きさが10μm、100μm、1000μmのうち少なくとも1つよりも小さい変位を含み得る。
【0093】
[00091] 少なくとも1つの変位センサは、静止時の膜の少なくとも局所部分に対する膜の局所部分の変位を測定するように構成され得る。
【0094】
[00092] 第1の変位センサは、静止時の膜の局所部分に対する膜の局所部分の第1の励起電極に近接した変位を測定するように構成され得る。第2の変位センサは、静止時の膜の局所部分に対する膜の局所部分の第2の励起電極に近接した変位を測定するように構成され得る。
【0095】
[00093] 使用時、電極は膜から等距離に位置決めされ得る。電極を膜から等距離にすることで、膜の励起のバランスを取ることができる。例えば、電極はアクティブである間は膜に対して反対方向の力を加え、組み合わせた電極からの膜に対する時間平均力は、電極のいずれか1つからの時間平均力の10%未満(例えば、好ましくは1%未満)である。
【0096】
[00094] コントローラは、膜の測定された最大変位に基づいて、膜の測定された変位が所定範囲外であるか否かを判定するように動作可能であり得る。
【0097】
[00095] コントローラは、時変電界の以下の特徴、すなわち、振幅、周波数、位相のうち少なくとも1つを変更することによって、膜の最大変位を小さくするように時変電界発生器を制御するよう動作可能であり得る。
【0098】
[00096] コントローラは、少なくとも2つのモードに対して、時変電界の振幅を小さくすること、時変電界の周波数と膜の機械的振動周波数との間の重複を低減又は除去するように時変電界の周波数を変更すること、膜の機械的振動位相と逆位相になるように時変電界の位相を変更すること、のうち少なくとも1つによって膜の最大変位を小さくするように時変電界発生器を制御するよう動作可能であり得る。
【0099】
[00097] 有利には、膜の機械的振動位相と逆位相になるように時変電界の位相を変更することで、他の方法よりも迅速に膜の機械的振動を抑えることができる。
【0100】
[00098] コントローラは、測定された変位及び各変位測定の測定時間を時変変位データとして記録するように動作可能であり得る。
【0101】
[00099] コントローラは、時変変位データを周波数ドメインに変換するように動作可能であり、膜の少なくとも1つの機械的振動周波数を抽出し得る。時変変位データの周波数ドメインへの変換は、高速フーリエ変換の使用を含む。
【0102】
[000100] コントローラは、膜の最大変位が所定の変位範囲内に戻るホールドタイムで時変電界の少なくとも1つの特徴を制御し、次いで時変電界の少なくとも1つの特徴をホールドタイム前の値に戻すことによって、膜の最大変位を小さくするため時変電界の特徴のうち少なくとも1つを変更するように時変電界発生器を制御するよう動作可能であり得る。
【0103】
[000101] コントローラは、膜から粒子を除去するための装置が膜からの粒子除去を終了するまで、膜の最大変位を小さくするように時変電界の少なくとも1つの特徴を制御することによって、膜の最大変位を小さくするため時変電界の特徴のうち少なくとも1つを変更するように時変電界発生器を制御するよう動作可能であり得る。
【0104】
[000102] 時変電界発生器は、膜サポートによって支持された場合の膜の表面に近接して位置決めされた少なくとも1つの励起電極と、少なくとも1つの励起電極を通して時変電圧を印加して、膜サポートによって支持された場合の膜の機械的振動を誘発するための時変電界を発生させるための機構と、を含み得る。
【0105】
[000103] 少なくとも1つの時変電界発生器は、第1の励起電極及び第2の励起電極であって、各電極は膜サポートによって支持された場合の膜の2つの反対側の面のうち異なるものに近接して位置決め可能である、第1の励起電極及び第2の励起電極と、第1の励起電極及び第2の励起電極を通して時変電圧を印加して、膜サポートによって支持された場合の膜の機械的振動を誘発するための時変電界を発生させるための機構と、を含み得る。
【0106】
[000104] 時変電界発生器は、第1の電極に印加された時変電圧と第2の電極に印加された時変電圧との間に非ゼロの位相差が存在するように構成され得る。
【0107】
[000105] 本発明の第3の態様によれば、リソグラフィ装置で使用されるコンポーネントをクリーニングする方法が提供される。この方法は、装置の1つのクリーニングモジュール又は複数のクリーニングモジュールにおいてコンポーネントをクリーニングすることを含み、このクリーニングは、コンポーネントから粒子を除去するための少なくとも1つの除去機構及びコンポーネントへの粒子の付着を低減するための少なくとも1つの準備機構、又は、コンポーネントから粒子を除去するための複数の除去機構を用いる。
【0108】
[000106] 装置は複数のクリーニングモジュールを含み得る。方法は更に、クリーニングのためコンポーネントをクリーニングモジュールに順次通過させることを含み得る。
【0109】
[000107] 方法は更に、コンポーネントから粒子を除去するための複数の分離モジュールにコンポーネントを通過させること、及び/又は、コンポーネントへの粒子の付着を低減するための少なくとも1つの準備モジュールにコンポーネントを通過させ、次いで少なくとも1つの分離モジュールにコンポーネントを通過させることを含み得る。コンポーネントを最初に準備モジュールに通過させることは、分離モジュールでコンポーネントからの粒子除去を実行した場合に、可能であったよりも多くの粒子を除去できることを意味する(すなわち、準備モジュールでコンポーネントを処理した後、分離モジュールの粒子除去の効率は著しく増大する)。
【0110】
[000108] 除去機構は、時変電界を用いてコンポーネントの機械的振動を発生させるための振動発生機構を含み得る。方法は更に、静止時のコンポーネントに対するコンポーネントの変位を測定することと、コンポーネントの測定された変位が所定範囲外であるか否かを判定することと、コンポーネントの測定された変位が所定範囲外である場合に時変電界の少なくとも1つの特徴を制御することと、を含み得る。
【0111】
[000109] 本発明の第4の態様によれば、リソグラフィ装置で使用される、膜から粒子を除去する方法が提供される。この方法は、膜から粒子を除去するため、時変電界を用いて膜の機械的振動を誘発することと、静止時の膜に対する膜の変位を測定することと、膜の測定された変位が所定範囲外であるか否かを判定することと、膜の測定された変位が所定範囲外である場合に時変電界の少なくとも1つの特徴を制御することと、を含み得る。
【0112】
[000110] 有利には、膜から粒子を除去する方法は、膜の暴走障害のリスクを軽減する。有利には、膜から粒子を除去する方法は、膜の暴走障害のリスクなしに、(例えば粒子除去を改善するため)少なくとも1つの電極によって発生した時変電界の電界強度を増大することができる。有利には、膜から粒子を除去する方法は、膜の暴走障害のリスクなしに、(例えば粒子除去を改善するため)少なくとも1つの電極を膜に近付けて位置決めすることができる。
【0113】
[000111] 膜はペリクルを含み得る。
【0114】
[000112] 方法は、膜の低機械的振動固有モード、すなわち、モード1(例えば最低モード、単極)、モード2(例えば双極、長い側)、モード3(例えば双極、短い側)、モード4(例えば四極)のうち少なくとも1つの周波数と実質的に同じ頻度で膜の変位を測定することを含み得る。
【0115】
[000113] 有利には、低周波数固有モードのうち少なくとも1つの周波数と実質的に同じ頻度で膜の変位を測定することにより、使用する変位センサ(例えば近接センサ)の数を減らすことができる。
【0116】
[000114] 方法は、1Hz、10Hz、100Hz、1000Hz、10,000Hzのうち少なくとも1つよりも高い頻度で膜の変位を測定することを含み得る。
【0117】
[000115] 方法は、10Hz、100Hz、1000Hz、10,000Hzのうち少なくとも1つ未満の頻度で膜の変位を測定することを含み得る。
【0118】
[000116] 方法は、膜の低機械的振動固有モード、すなわち、モード1(例えば最低モード、単極)、モード2(例えば双極、長い側)、モード3(例えば双極、短い側)、モード4(例えば四極)のうち少なくとも1つの周波数よりも高い頻度で膜の変位を測定することを含み得る。
【0119】
[000117] 有利には、低周波数固有モードよりも高い頻度で膜の変位を測定することにより、膜の機械的振動の振幅、周波数、位相のうち少なくとも1つをより良好に決定できる。
【0120】
[000118] 静止時の膜に対する膜の変位を測定することは、静止時の膜の少なくとも局所部分に対する膜の局所部分の変位を測定することを含み得る。
【0121】
[000119] 所定の変位範囲は、静止時の膜に対する膜の少なくとも局所部分の変位であって、大きさが10μm、100μm、1000μmのうち少なくとも1つよりも小さい変位を含み得る。
【0122】
[000120] 膜の測定された変位が所定範囲外であるか否かの判定は、膜の測定された最大変位に基づくことができる。
【0123】
[000121] 時変電界の特徴は、振幅、周波数、位相のうち少なくとも1つを含み得る。
【0124】
[000122] 膜の最大変位を小さくするように時変電界の少なくとも1つの特徴を制御することは、時変電界の振幅を小さくすること、時変電界の周波数と膜の機械的振動周波数との間の重複を低減又は除去するように時変電界の周波数を変更すること、膜の機械的振動位相と逆位相になるように時変電界の位相を変更すること、のうち少なくとも1つを含み得る。
【0125】
[000123] 有利には、膜の機械的振動位相と逆位相になるように時変電界の位相を変更することで、他の方法よりも迅速に膜の機械的振動を抑えることができる。
【0126】
[000124] 方法は、測定された変位及び各変位測定の測定時間を時変変位データとして記録することを含み得る。
【0127】
[000125] 方法は、時変変位データを周波数ドメインに変換することと、膜の少なくとも1つの機械的振動周波数を抽出することと、を含み得る。時変変位データの周波数ドメインへの変換は、高速フーリエ変換の使用を含む。
【0128】
[000126] 膜の最大変位を小さくするように時変電界の少なくとも1つの特徴を制御することは、膜の最大変位が所定の変位範囲内に戻るホールドタイムで時変電界の少なくとも1つの特徴を制御し、次いで時変電界の少なくとも1つの特徴をホールドタイム前の値に戻すことを含み得る。
【0129】
[000127] 膜の最大変位を小さくするように時変電界の少なくとも1つの特徴を制御することは、膜から粒子を除去する方法が完了するまで、時変電界の少なくとも1つの特徴を制御することを含み得る。
【0130】
[000128] 膜の機械的振動を誘発することは、膜の表面に近接して位置決めされた少なくとも1つの励起電極を通して時変電圧を印加することを含み得る。
【0131】
[000129] 時変電圧は、10~1000Pa、例えば100Paの圧力を有する圧力パルスを印加し得る。時変電圧は、10~100ns、例えば100nsの持続時間を有する圧力パルスを印加し得る。時変電圧は、10~1000kHz、例えば100kHzの平均繰り返し率を有し得る。有利には、時変電圧は、1~10MHzの可変ピークパルス繰り返し率を有し、最適な励起のため関連粒子の共振に第1/第2/第3の高調波周波数を重ねることができる。
【0132】
[000130] 時変電圧によって印加される圧力パルスは、約1~10MHzの固有周波数で膜(例えばばねとして作用する)上で粒子(すなわち質量)の共振振動を誘発し得る。この固有周波数範囲は、機械的振動の振幅Aが約0.1~1μmである場合、最大瞬間加速度
【0133】
【0134】
に対応し、最大瞬間速度
【0135】
【0136】
に対応する。
【0137】
[000131] 圧力パルス及び時変電圧は同一の持続時間を有し得る。時変電圧(例えば電圧パルス)は、断面
【0138】
【0139】
を有する電極に印加される。電極は、膜から離れて
【0140】
【0141】
に位置決めされ得る。有利には、必要な静電圧
【0142】
【0143】
を与えるため、1又は複数の電極は膜から0.5mm~2.5mm内に位置決めされ得る。
【0144】
[000132] 膜の機械的振動を誘発することは、膜の両側の面に近接して位置決めされた第1の励起電極及び第2の励起電極の各々に時変電圧を印加することを含み得る。
【0145】
[000133] 膜の機械的振動を誘発することは、第1の励起電極に印加された時変電圧と第2の励起電極に印加された時変電圧との間に非ゼロの位相差が存在することを含み得る。
【0146】
[000134] 本発明の第5の態様によれば、処理回路によって実行された場合に処理回路に膜クリーニング方法を実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0147】
[000135] 本開示のいずれかの態様に従った上述の特徴、又は本開示のいずれかの特定の実施形態に関連して後述される特徴は、単独で又は他の規定される特徴と組み合わせて、他の任意の態様もしくは実施形態において、又は本開示の別の態様もしくは実施形態を形成するために、使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0148】
[000136] 本発明の実施形態を、添付の概略図を参照して、単なる例示として以下に説明する。
【0149】
【
図1】ペリクルアセンブリを含むリソグラフィ装置と放射源とを備えるリソグラフィシステムを示す。
【
図2】本発明の一実施形態に従った、汚染を有するペリクルをクリーニングするための装置を示す。
【
図3】本発明の一実施形態に従った、ペリクルをクリーニングするための装置を示す。
【
図4a】本発明の一実施形態に従った、ペリクルをクリーニングするステップの間のペリクル及びVUV光子発生機構を示す。
【
図4b】本発明の一実施形態に従った、ペリクルをクリーニングするステップの間のペリクル及びVUV光子発生機構を示す。
【
図4c】本発明の一実施形態に従った、ペリクルをクリーニングするステップの間のペリクル及びVUV光子発生機構を示す。
【
図4d】本発明の一実施形態に従った、ペリクルをクリーニングするステップの間のペリクル及びVUV光子発生機構を示す。
【
図5a】本発明の一実施形態に従ったペリクル及びVUV光子発生機構を示す。
【
図5b】本発明の一実施形態に従ったペリクル及びVUV光子発生機構を示す。
【
図6】本発明の一実施形態に従った、ペリクル、プラズマ発生機構、熱発生機構、及び電界発生機構を示す。
【
図7】本発明の一実施形態に従ったペリクル及び電子ビーム発生機構を示す。
【
図8】本発明の一実施形態に従ったペリクル及びペリクルから除去される粒子を示す。
【
図9】本発明に従った膜クリーニング装置の一実施形態及び膜を示す。
【
図10】
図9に示されている膜の一部の概略図であり、
図9に示されている膜クリーニング装置を用いて(1つのクリーニング部で)膜から粒子を除去することができる機構を示す。
【
図11a】
図9に示されている膜クリーニング装置を用いて(1つのクリーニング部で)、時間の関数として膜及び電極を通して印加され得る例示的な電圧のプロットを示す。
【
図11b】
図11aに示されている形態の印加電圧に対応する励起スペクトルの第1の概略図であり、励起力の周波数の関数として膜に印加される励起力を示し、パルス電圧の周波数成分を概略的に示し、これがパルス繰り返し周波数の変調によってどのように変動し得るかを示す。
【
図11c】励起スペクトルの第2の概略図であり、
図11aに示されているパルス電圧の周波数成分を概略的に示し、これがパルス繰り返し周波数の変調とパルス形状の変調によってどのように変動し得るかを示す。
【
図12】使用時の
図9の膜クリーニング装置の実施形態を示す。
【
図13】本発明の別の実施形態に従った、膜から粒子を除去する方法を記述するフローチャートを示す。
【
図14】本発明の別の実施形態に従った、膜から粒子を除去する方法を記述するフローチャートを示す。
【
図15】本発明の別の実施形態に従った、膜から粒子を除去する方法を記述するフローチャートを示す。
【
図16】本発明の別の実施形態に従った、膜から粒子を除去する方法を記述するフローチャートを示す。
【
図17】本発明の一実施形態に従った膜クリーニング装置の代替的な実施形態及び膜を示す。
【発明を実施するための形態】
【0150】
[000137]
図1は、放射源SO及びリソグラフィ装置LAを備えたリソグラフィシステムを示している。放射源SOは、EUV放射ビームBを生成し、EUV放射ビームBをリソグラフィ装置LAに供給するように構成される。リソグラフィ装置LAは、照明システムILと、パターニングデバイスMA(例えばマスク)を支持するように構成された支持構造MTと、投影システムPSと、基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTとを備える。
【0151】
[000138] 照明システムILは、EUV放射ビームBがパターニングデバイスMAに入射する前にEUV放射ビームBを調節するように構成される。そのため、照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11を備えることができる。ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11は共に、EUV放射ビームBに所望の断面形状と所望の強度分布とを与える。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11に加えて又はこれらの代わりに、他のミラー又はデバイスを備えることができる。放射ビームBは、照明システムILから出て、支持構造MTによって保持されたパターニングデバイスMAに入射する。パターニングデバイスMAは、ペリクルフレーム17によって所定位置に保持されたペリクル19により保護されている。ペリクル19及びペリクルフレーム17は、共にペリクルアセンブリ15を形成する。
【0152】
[000139] このように調節された後、EUV放射ビームBはパターニングデバイスMAと相互作用する。この相互作用の結果、パターン付きEUV放射ビームB’が生成される。投影システムPSは、パターン付きEUV放射ビームB’を基板Wに投影するように構成される。この目的のため、投影システムPSは、基板テーブルWTにより保持された基板Wにパターン付きEUV放射ビームB’を投影するように構成された複数のミラー13、14を備えることができる。投影システムPSは、パターン付きEUV放射ビームB’に縮小係数を適用し、これによってパターニングデバイスMAにおける対応するフィーチャよりも小さいフィーチャの像を形成することができる。例えば、4又は8の縮小係数を適用することができる。投影システムPSは、
図1では2つのミラー13、14のみを有するものとして示されているが、投影システムPSは様々な数のミラー(例えば6個又は8個のミラー)を備えることができる。
【0153】
[000140] 基板Wは、前もって形成されたパターンを含むことができる。このような場合、リソグラフィ装置LAは、パターン付きEUV放射ビームB’により形成された像を、基板W上に前もって形成されたパターンと位置合わせする。
【0154】
[000141] 相対真空、すなわち大気圧を大きく下回る圧力の少量のガス(例えば水素)を、放射源SO、照明システムIL、及び/又は投影システムPS内に供給することができる。
【0155】
[000142]
図1に示されている放射源SOは例えば、レーザ生成プラズマ(LPP:laser produced plasma)放射源と呼ぶことがあるタイプである。例えばCO
2レーザを含み得るレーザシステム1は、レーザビーム2を介して、例えば燃料放出器3から与えられるスズ(Sn)のような燃料にエネルギを堆積するよう配置されている。以下の記載ではスズに言及するが、任意の適切な燃料を使用すればよい。燃料は、例えば液体の形態とすることや、例えば金属又は合金とすることが可能である。燃料放出器3は、例えば小滴の形態のスズを、プラズマ形成領域4へ向かう軌道に沿って誘導するよう構成されたノズルを備えることができる。レーザビーム2は、プラズマ形成領域4においてスズに入射する。レーザエネルギのスズへの堆積は、プラズマ形成領域4においてスズプラズマ7を生成する。プラズマイオンによる電子の脱励起及び再結合の間に、プラズマ7からEUV放射を含む放射が放出される。
【0156】
[000143] プラズマからのEUV放射は、コレクタ5によって収集され集束される。コレクタ5は、例えば近法線入射放射コレクタ5を含む(より一般的に法線入射放射コレクタと呼ばれることもある)。コレクタ5は、EUV放射(例えば、13.5nm等の所望の波長を有するEUV放射)を反射するように配置された多層ミラー構造を有し得る。コレクタ5は、2つの焦点を有する楕円構成を有し得る。焦点のうち第1のものはプラズマ形成領域4にあり、焦点のうち第2のものは中間焦点6にあり得る。これについては以下で検討する。
【0157】
[000144] レーザシステム1は、放射源SOから空間的に分離してもよい。これが当てはまる場合、レーザビーム2は、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダ及び/又は他の光学系を含むビームデリバリシステム(図示せず)によって、レーザシステム1から放射源SOへ渡すことができる。レーザシステム1、放射源SO、及びビームデリバリシステムは、共に放射システムと見なすことができる。
【0158】
[000145] コレクタ5によって反射された放射は、EUV放射ビームBを形成する。EUV放射ビームBは、中間焦点6で集束されて、プラズマ形成領域4に存在するプラズマの中間焦点6での像を形成する。中間焦点6の像は、照明システムILの仮想放射源として作用する。放射源SOは、中間焦点6が放射源SOの閉鎖構造9の開口8に又は開口8の近くに位置付けられるように配置されている。
【0159】
[000146]
図1は放射源SOをレーザ生成プラズマ(LPP)放射源として図示しているが、放電生成プラズマ(DPP:discharge produced plasma)放射源又は自由電子レーザ(FEL:free electron laser)等のいずれかの適切な放射源を用いてEUV放射を発生させればよい。
【0160】
[000147] 上記で簡潔に述べたように、ペリクルアセンブリ15は、パターニングデバイスMAに隣接して提供されたペリクル19を含む。ペリクル19は放射ビームBの経路内に提供されているので、放射ビームBは、照明システムILからパターニングデバイスMAに近付く時と、パターニングデバイスMAで反射されて投影システムPSの方へ向かう時の双方で、ペリクル19を通過する。リソグラフィ装置LA内のペリクル19のこの位置は、EUV放射露光位置である。ペリクル19は、EUV放射に対して実質的に透明である(が、少量のEUV放射を吸収する)薄膜又は膜を含む。本明細書において、EUV透明ペリクル又はEUV放射に対して実質的に透明な膜とは、ペリクル19がEUV放射の少なくとも65%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくはEUV放射の少なくとも90%に対して透過性であることを意味する。ペリクル19は、パターニングデバイスMAを粒子汚染から保護するように機能する。本明細書では、ペリクル19をEUV透明ペリクルと呼ぶことがある。ペリクル19は、モリブデンシリサイド(MoSi)等、EUV放射に対して充分に透明である任意の材料から作製され得る。MoSiは、シリコンよりも迅速に冷却するので、高温ではシリコンよりも強い。他の例では、ペリクルは、シリコン、窒化ケイ素、グラフェンもしくはグラフェン誘導体、カーボンナノチューブ、又は別のEUV透明材料で形成された多層膜等、他の材料から作製され得る。
【0161】
[000148] リソグラフィ装置LA内部で清潔な環境を維持するよう努力しても、リソグラフィ装置LA内部には粒子が残っている可能性がある。ペリクル19がなければ、粒子はパターニングデバイスMA上に堆積し得る。パターニングデバイスMA上の粒子は、放射ビームBに付与されるパターンに、従って基板Wに転写されるパターンに悪影響を及ぼす恐れがある。ペリクル19は、パターニングデバイスMA上に粒子が堆積するのを防止するため、パターニングデバイスMAとリソグラフィ装置LA内の環境との間のバリアを与える。
【0162】
[000149] 使用時、ペリクル19は、ペリクル19の表面に入射する粒子が放射ビームBの焦点面内に存在しないように充分な距離だけパターニングデバイスMAから離して位置決めされる。ペリクル19とパターニングデバイスMAとの間のこの分離は、ペリクル19の表面上の粒子が放射ビームBにパターンを付与するのを抑えるように機能する。放射ビームB内に粒子が存在する場合であっても、放射ビームBの焦点面内でない(すなわちパターニングデバイスMAの表面でない)位置では、この粒子の像は基板Wの表面において焦点が合わないことは認められよう。いくつかの例では、ペリクル19とパターニングデバイスMAとの間の分離は、例えば約2mm~3mm(例えば約2.5mm)とすればよい。いくつかの例では、ペリクル19とパターニングデバイスとの間の分離は調整可能とすればよい。
【0163】
[000150]
図2は、ペリクルアセンブリ15の断面の概略図であり、ペリクル19をクリーニングするための装置20を示す。装置20は波線で概略的に示されており、この装置20の特徴について以下で説明する。汚染粒子26Aが概略的に示されている。汚染粒子26Aは、ペリクル19の前側(すなわち、使用時にパターニングデバイスMAとは反対を向く側)に図示されている。使用時、ペリクル19は、パターニングデバイスMAのパターン付き表面から充分に遠くに汚染粒子26Aを保持することで、これがリソグラフィ装置LAによって基板上に結像されないようにする。
【0164】
[000151] 更に、ペリクル19の裏側(すなわち、使用時にパターニングデバイスMAと向かい合う側)に汚染粒子26Bが概略的に図示されている。汚染粒子26Bは欠陥を引き起こし、結果として生産性の損失を招く可能性があるので、第1の関心事は汚染粒子26B(及びペリクルの裏側にある他の任意の汚染粒子)である。すなわち、汚染粒子26Bがペリクル19から解放され、リソグラフィ装置LA内でペリクル19の裏側からパターニングデバイス(レチクル)MAの前側へ移動した場合である。しかしながら、装置20は、ペリクル19の前側から汚染粒子26Aをクリーニングするためにも使用され得る。
【0165】
[000152] 装置によってペリクルをクリーニングするものとして記載されるが、他の実施形態では、装置によって他のコンポーネントをクリーニングしてもよいことは認められよう。例えば、他のコンポーネントは、EUV透明膜、動的ガスロック膜、又はEUVスペクトル純度フィルタを含み得る。
【0166】
[000153]
図3に、装置20が更に詳しく(概略的に)示されている。装置20は複数のモジュールを含む。これらのモジュールは、クリーニングモジュールと、様々な目的のための他のモジュールと、を含む。装置は、ペリクルクリーニングクラスタと呼ぶことができる(すなわち、モジュールのクラスタを有する)。クリーニングモジュールは、準備モジュール30及び分離モジュール32を含む。分離モジュール32は、ペリクル19から粒子26A、26Bを除去するためのものである。ペリクル19からの粒子26A、26Bの除去は、除去機構であると考えることができる。準備モジュール30は、(例えばペリクル19を分離モジュール32へ移動させる前に)ペリクル19への粒子26A、26Bの付着を低減するためものものである。準備モジュール30は、粒子26A、26Bを除去する(すなわち分離モジュール32で)前に、粒子の付着を低減するようにペリクル19を前処理するものと考えることができる。ペリクル19への粒子26A、26Bの付着の低減は、準備機構であると考えることができる。除去機構と準備機構は、クリーニング機構であると考えることができる。ペリクル19のクリーニングは、粒子26A、26Bを除去するための準備(すなわちペリクル19への粒子の付着の低減)、及び(ペリクル19からの)粒子26A、26Bの除去の双方を含むと考えることができる。
【0167】
[000154] また、装置20に追加される1つ以上の追加クリーニングモジュール用とすることができる予備モジュール34も存在する。これらは、必要に応じて、他のモジュール用としても使用され得る。他の実施形態では、1つ又は3つ以上の予備モジュールが存在し得る。装置20は、1つ以上の追加のクリーニングモジュール(又は他のモジュール)を装置20に追加できるように構成されている。モジュールは概略的に六角形で示されているが、これは、モジュールを相互に接続できることを示すための単なる例である。必要に応じてモジュールが他の形状及びサイズであってもよいことは認められよう。更に、6つのモジュールが図示されているが、必要に応じて装置20にはこれよりも多いか又は少ない数があってもよいことは認められよう。制御された環境において、例えば真空又はユーザ定義のガス/圧力/温度の雰囲気下で、モジュール間でペリクルを移動させることができることは認められよう。
【0168】
[000155] 装置20内の他のモジュールは、(例えばクリーニングモジュール間で)ペリクル19を移動させるためのロボットモジュール36、クリーニング対象に選択されること及びリソグラフィ装置LA内で使用されることが可能である複数のペリクルを含むペリクルライブラリモジュール38(より一般的には部品ライブラリ)、並びに、レチクルMA及びペリクル19をリソグラフィ装置LAにロードするための真空チャンバモジュール40を含み得る。真空チャンバ40に隣接した矢印は、装置20の内外への移動方向を示す。これらは、外部世界(例えばクリーンルーム)に通じることができる、すなわち、直接リソグラフィ装置LAに通じないことがある。真空チャンバモジュール40は、外部世界から装置内(すなわちモジュール30、32、34、36、38内)の真空を分離するために用いられる。ロボットモジュール36は、真空内ロボット(IVR:in vacuum robot)と呼ぶことができる。レチクルライブラリモジュールは、真空内ライブラリ(IVL:in vacuum library)と呼ぶことができる。真空チャンバモジュール40は、(真空)ロードロック(LDLK:load lock)と呼ぶことができる。装置20のモジュールを真空又はクリーンガス下降流のもとに維持して、(追加の)粒子26A、26Bがペリクル19上に堆積できないようにすることができる。他のモジュール(すなわち、ロボットモジュール36、ペリクルライブラリモジュール38、真空チャンバモジュール40)は補助的/任意選択的であり、ペリクル(又はレチクル)の操作に役立ち得るものであり、装置20とは別個にしてもよいことは認められよう。
【0169】
[000156] 使用時、ペリクル19は装置20に挿入され、まず準備モジュール30に位置付けられて、粒子26A、26Bの付着を低減することができる。これは、後述するように様々な方法で実行され得る。ペリクル19への粒子26A、26Bの付着低減の後、ロボットモジュール36によってペリクル19を準備モジュール30から分離モジュール32へ移動させることができる。
【0170】
[000157] 準備モジュール30から分離モジュール32まで真空を維持することで、付着低減を維持すると共に、追加の粒子26A、26Bがペリクル19上に堆積しないようにすることができる。実施形態において、装置全体は真空下に維持されている(例えば真空チャンバモジュール40を用いて)。実施形態において、準備モジュール30及び/又は分離モジュール32は、特定レベルの真空を生成する真空発生機構を含み得る。真空発生機構によって生成された真空は、コンポーネントへの粒子の付着の低減又はコンポーネントからの粒子の除去を少なくとも支援することができる。
【0171】
[000158] この実施形態では、単一の準備モジュール30及び単一の分離モジュールが存在する。しかしながら、他の実施形態では、複数の分離モジュール及び/又は複数の準備モジュールが存在し得る。実施形態において、準備モジュールは存在しない場合がある。すなわち、1つ以上の分離モジュールのみが存在し得る。更に、いくつかの実施形態では、準備モジュール及び分離モジュールを単一のモジュールに組み合わせてもよい。これは、ペリクルから粒子が除去されるので依然として分離モジュールであると考えられるが、粒子は除去中に又は除去前に付着低減方法も実行され得る。すなわち、分離モジュール32は、コンポーネントからの粒子の除去中に又は除去前にコンポーネントへの粒子の付着を低減するためのものであり得る。この場合、分離モジュール32は準備機構及び除去機構を含む。
【0172】
[000159] 実施形態において、クリーニングモジュールのうち少なくとも1つ(例えば分離モジュール32)は、複数のクリーニング機構を含み得る。実施形態において、このクリーニングモジュール(すなわち分離モジュール32)は、準備機構と分離機構を含み得る。実施形態において、準備機構と除去機構は同一の機構であり得る。すなわち、単一の機構が双方の機能を実行することができる。実施形態において、クリーニングモジュール(すなわち分離モジュール32)は複数の除去機構を含み得る。2つ以上のクリーニングモジュールが存在する場合、クリーニングモジュールは全体で複数のクリーニング機構を含み得る。すなわち、1つのクリーニングモジュールは1つのクリーニング機構を含み、別のクリーニングモジュールは別のクリーニング機構を含み得る。クリーニングモジュールのうち1つ以上は、それぞれ複数のクリーニング機構を含み得る。
【0173】
[000160] これより、ペリクル19への粒子の付着を低減する方法(すなわち準備機構)について説明する。準備モジュール30は、真空環境においてペリクル19及び/又は粒子26A、26Bを乾燥させる熱を発生するように構成された熱発生機構を含み得る。準備モジュール30及び分離モジュール32における水蒸気圧は、1E-6mBar(1E-4Pa)未満、好ましくは1E-7mBar(1E-5Pa)未満、より好ましくは1E-8又は1E-9mBar(1E-6Pa又は(1E-7Pa)未満、更に好ましくは1E-10mBar(1E-8Pa)未満の圧力を有し得る。
【0174】
[000161] 熱発生機構は、例えばレーザ又はIRランプのような放射加熱器とすればよい。放射加熱器は、0.1~1000秒又は10~1000秒の範囲でペリクル19の膜において1~5W/cm2の範囲内の平均電力密度を与えるように構成され得る。好ましくは、ペリクル境界への放射熱は1W/cm2未満に限定され、及び/又は境界がヒートシンクと接触してペリクル境界温度が400C未満を維持する、好ましくは200C未満を維持するようになっている。これにより、ペリクル膜とペリクル境界との間のCTE(thermal expansion coefficient:熱膨張係数)の差に起因するペリクル破断が回避され得る。
【0175】
[000162] 真空と熱によって、粒子26A、26Bとペリクル19との接触領域に存在する毛管水層(又はナノ小滴)が除去される。ペリクル19は親水性表面(例えばSiO2)を有し得る。また。生成時にペリクル19上に残った粒子26A、26Bは、親水性又は超親水性であり得る。これによって、粒子上及び接触点の粒子/ペリクルに集まった水を除去するために必要となり得る200~500Cの温度の要件(specification)が課される。毛細管力による付着寄与を抑えるため、ペリクルをベークアウトすることが重要である。ペリクル19は、動作時のEUVリソグラフィ装置LAにおけるペリクルの設計温度である500℃まで加熱され得る。このため、ペリクル19では放射ベークアウトは許容可能である。また、「乾燥」の直後に新しい水膜が形成されないことを保証するため、分圧は極めて低いレベル(例えば<<1E-9mbar)に維持され得る。
【0176】
[000163] 放射加熱器を用いた加熱の代替案として、プラズマを使用することができる。すなわち、準備モジュール30は、ペリクル19に隣接して又はペリクル19の周囲でプラズマを発生させるためのプラズマ発生機構を含み得る。この場合、プラズマのイオン、ラジカル種、及び励起種は、粒子26A、26Bの内部及び周囲にトラップされた水を含む水のガス放出を促進することができる。(例えば酸化によって予想される)処理中のペリクル19の光学又は機械的特性の損失を防ぐため、プラズマは好ましくは、希ガス及び/又は水素(H2)を含む。
【0177】
[000164] このように、準備モジュール30は、粒子26A、26B及びペリクル19間から水を除去するための機構(例えば熱発生機構及び/又はプラズマ発生機構)を含み得る。この水除去は、ペリクル19への粒子26A、26Bの付着を低減することができる。これは、(例えば分離モジュール32で)ペリクル19からの粒子26A、26Bの除去が実行される場合、より多くの粒子26A、26Bが除去され得る(すなわち、準備モジュール30でペリクルを処理した後、分離モジュール32の粒子除去の効率が著しく上昇する)ことを意味する。
【0178】
[000165] これに加えて又はこの代わりに、プラズマ発生機構は、別の手段によってペリクル19への粒子26A、26Bの付着を低減できる。いくつかの実施形態では、粒子26A、26B及び/又はペリクル自体の組成又はラフネスに対するプラズマ発生機構の効果が、粒子26A、26B及びペリクル19間の効果的な分離を増大することによって又はハマカー定数(Hamaker constant)を変えることによって、著しい付着低減を引き起こすことができる。
【0179】
[000166] リソグラフィ装置LAにおいて、EUV光子、EUVプラズマ、及び/又は光電子は、表面の酸化及び/又は還元を促進し(材料に特有のものであり得る)、化学結合を切断し、例えば揮発性水素化物又は酸化物の形成によってエッチングを生じる。これらのプロセスは、粒子とペリクルとの間の化学的相互作用を変化させ得るが、粒子の形状(ラフネス)も局所的に変化させる可能性があるので、これにより接触面が縮小し、従って付着が低減する。同様の効果は、ペリクル又は粒子に作用する反応性ガスと組み合わせてプラズマ又は電子ビームを用いる場合に予想できる。
【0180】
[000167] EUV光子は更に、ペリクルからの電子の解放を生じる。これは、光子自体と同様の効果を有する。
【0181】
[000168] ペリクルの周囲のプラズマ中に存在する反応性水素種は、有機材料及び他の材料をエッチングし、他の化学反応を誘発し、結晶性水素化物の形成を生じ得る。この形態変化は、粗面化に起因して接触面積が縮小することによって付着を低減できる。分離ツール処理の前にペリクルと粒子に同様の応力を加えると、クリーニング効率が向上し得ると考えられる。
【0182】
[000169] 前述のように、装置20においてペリクル19への粒子26A、26Bの付着低減効果をエミュレートする(emulate)1つの手法は、プラズマ発生機構を用いることであり得る。プラズマ発生機構は、水素又は水素と水のいずれかによってプラズマを発生させるように構成され得る。水を用いる場合、ペリクル19の特性を維持するため(すなわちペリクル19に損傷を与えないため)、水含有量は水素含有量の少なくとも1000分の1とすることができる。ペリクル19に対する電力損失は、好ましくは1mW/cm2~1W/cm2の範囲内である。
【0183】
[000170] 装置20において付着低減効果をエミュレートする別の手法は、電子ビーム発生機構を用いることであり得る。すなわち、実施形態において、準備モジュール30は、ペリクル19に入射する電子ビームを発生させるための電子ビーム発生機構を含む。電子ビーム発生機構は、0.001Pa~100Pa、好ましくは0.1Pa~10Paの範囲内の圧力で、水素又は水素と水、及び/又は希ガスを含む環境において電子ビームを発生させるように構成され得る。好ましくは、電子ビームによる処理の後、粒子を取り囲む(と共に、電子から遮蔽する)水層が除去された場合、ペリクルベークアウト及び/又はプラズマ処理を行う。
【0184】
[000171] 環境は、1E-4mBar(0.01Pa)~1E-1mBar(10Pa)の範囲内の圧力を有し得る。電子ビーム発生機構は30~3000eVの範囲内のエネルギを有するように構成することができ、及び/又は、ペリクル19における電流密度は10uA/cm2~10mA/cm2の範囲内であり得るが、電力損失(ビームエネルギにビーム電流密度を乗算したもの)は1W/cm2未満を保つ。これは、ペリクルが損傷を受けないようにするためである。電子ビームは、少なくともペリクル19の裏側(粒子26Bを含む)を照射しなければならず、任意選択的に前側も(追加のソースを用いて同時に)照射するか、又は、連続的に単一のソースを使用し、ソースとペリクルの相互の向きを変化させる。ビームによってペリクル上に堆積した電流を流し出すため、ペリクルは、少なくとも電子ビーム処理中は接地しなければならない。
【0185】
[000172] 装置20において付着低減効果をエミュレートする別の手法は、VUV光子発生機構(すなわちVUV光子への露光)を用いることであり得る。すなわち、実施形態において準備モジュール30は、ペリクル19に入射する、好ましくは少なくともクリティカル粒子(critical particle)26Bを含む裏側に入射するVUV光子を提供するためのVUV光子発生機構(すなわちVUV光子源)を含む。VUV光子発生機構は、例えば水素又は水素と水蒸気のような反応性環境でペリクルに放射を提供することができる。VUV光子吸収によるペリクルに対する電力損失は1W/cm2未満である。
【0186】
[000173] あるいは、装置20における付着低減効果は、EUV光子を用いてエミュレートすることができる。すなわち、実施形態において準備モジュール30は、ペリクル19に入射する、好ましくは少なくともクリティカル粒子26Bを含む裏側に入射するEUV光子を提供するためのEUV光子発生機構(すなわちEUV光子源)を含む。EUV光子発生機構は、例えば水素又は水素と水蒸気のような反応性環境でペリクルに放射を提供することができる。EUV光子吸収によるペリクル19に対する電力損失は1W/cm2未満である。しかしながら、VUV光子を使用する方がEUV光子よりも費用が安い可能性がある。
【0187】
[000174] プラズマで、又は電子ビーム、VUV、もしくはEUV光子向けの環境で用いられるものとして、水素又は水素と水蒸気に言及したが。他の実施形態では、H2又はH2O以外の還元剤/酸化剤が使用され得ることは認められよう。しかしながら、還元剤/酸化剤の比は、付着除去ステップ中にペリクルの機械的特性(強度、張力)及び/又は光学特性(透過/反射)が確実に維持されるように制御しなければならない。すなわち、還元剤の濃度は酸化剤の濃度に比べて著しく高くすることができる。これは、ペリクル19の機械的特性(強度及び張力)並びに光学特性(透過及び/又は反射)が維持されることを保証するためであり得る。一例として、還元剤の濃度は酸化剤嚢濃度よりも1000倍以上の高さとすればよい。
【0188】
[000175] 実施形態において、準備モジュール30は、ペリクル19に隣接して又はペリクル19の周囲でH*(原子状水素)を発生させるためのラジカル発生機構を含み得る。ラジカル発生機構は、水素流中に懸濁したプラズマ発生機構及び/又はホットフィラメントを含み得る。
【0189】
[000176] ペリクル19への粒子26A、26Bの付着を低減するための様々な方法の各々は、装置20の複数のクリーニングモジュールに含めることができる別個の準備モジュール30で実行され得ることは認められよう。例えば、1つの準備モジュールが熱発生機構を含み、他の別個の準備モジュールが電子ビーム発生機構を含み得る。また、いくつかの実施形態において、粒子の付着を低減するための様々な方法のうち2つ以上が同一の準備モジュール内に存在し得ることは認められよう。
【0190】
[000177] これより、ペリクル19から粒子26A、26Bを除去するいくつかの方法(すなわち除去機構)について説明する。公開特許出願WO2021073799及びWO2020109152(これらは援用により全体が本願に含まれる)のいずれかに示されている方法及び装置を、分離モジュール30におけるオプションとして又は分離モジュール30のために使用することができる。分離モジュール30は、コンポーネントに入射するVUV光子を発生させるためのVUV光子発生機構を含み得る。
【0191】
[000178]
図4a)は、ペリクル19がペリクルフレーム17によって支持された状態におけるペリクル19の裏側(すなわちペリクル19のレチクル側)の粒子26Bを示す。
図4b)は、ペリクル19上にVUV光(VUV光子ビーム44)を発生させるVUV光子発生機構42を示す。VUV光は、粒子26Bが位置しているペリクル19のエリアを照明する。VUV光は、20~200nmの範囲内の波長を有し得る(62eV~6.2eV)。真空紫外線(VUV:Vacuum Ultra Violet)光源は、複数の供給業者からEUV放射源よりも容易に利用可能であり、費用が安い場合がある。一般に、EUV光は、ペリクルクリーニングに充分なドーズでは容易に得られない。
【0192】
[000179]
図4c)で示されているように、VUV光子は、光電効果を用いて粒子26B及びペリクル19を帯電させる。ペリクル19及び粒子26Bは双方とも、電子(e-)が放出されるのでプラスに帯電する。ペリクル19及び粒子26Bの双方が同じ電荷を有するので、粒子26Bとペリクル19との間には静電反発力が存在する。
【0193】
[000180]
図4d)で示されているように、粒子26Bとペリクル19(例えば誘電体表面)との間の静電反発は、ペリクル19から粒子26Bを放出させる。これは、粒子26Bとペリクル19との間の静電反発力が、粒子26Bをペリクル19上に保持する付着力よりも大きいことを仮定している。ペリクル19への粒子26Bの付着は、あらかじめ準備モジュール30で低減されている可能性がある。
【0194】
[000181] この実施形態において、VUV光子ビーム44(すなわちVUV光子)は、ペリクル19のクリーニングされる側とは反対側の表面に入射する(この実施形態では、光が入射するのはペリクル19の前側である)。すなわち、VUV光はペリクル19を通過するように照射される)。クリーニングされる表面とは反対側のペリクル19の表面に入射するVUV光は、粒子26Bとペリクル19との間の電離を増大させ、これにより反発及びクリーニング効果を最大化することができる。他の実施形態では、VUV光は、クリーニングされるペリクル19の表面(例えばペリクル19の裏側)に入射してもよい。VUV光が入射するペリクルの側は、選択された光源波長とペリクル19の材料に依存し得る。レチクルの裏側は典型的に、クリーニングされるペリクル19の側であり得る(又は、少なくともクリーニングにとって重要度が高い)が、レチクルの前側もクリーニングすることができる。
【0195】
[000182] この方法は、粒子26Bの位置に関係なく、ペリクル19表面の全体にわたって実行することができる。従ってこの技法は、正確な計測によってガイドする必要がなく、また、計測ツールの検出限界によって制限されないので、極めて小さいサイズの粒子26Bを除去することができる。
【0196】
[000183] ペリクルをクリーニングするための以前のシステムは、小さい領域しかクリーニングしない(すなわち、ペリクルを極めて局所的にクリーニングする)ので、スループットが低い可能性がある。これらのシステムは、除去する粒子の位置に関する情報を必要とし、その後これらの個々の粒子を除去する。そのため、これらの技法は低速になり、潜在的なレチクル汚染リスクである全ての粒子の位置を与えるための正確な計測に依存する。
【0197】
[000184]
図5a)は、ペリクル19の表面の(実質的に)全てのエリアを同時に照明するVUV光子ビーム44を発生させるVUV光子発生機構42の一実施形態を示す。これにより、ペリクル19上の全ての粒子26BはVUV光子で一度に(同時に)帯電されるので、比較的迅速な時間スケールで(すなわち、最初に計測を用いて粒子の位置を特定し、次いでこの見つけた粒子を除去するよりも、はるかに迅速に)ペリクル19から除去され得る。
【0198】
[000185]
図5b)は、ペリクル19の表面の一部を照明するVUV光子ビーム44を発生させ、次いでペリクル19の表面をVUV光子ビーム44でスキャンして、(同時ではないが)ペリクル19の全表面を照明する、VUV光子発生機構42の一実施形態を示す。VUV光子発生機構42は、VUV光子ビーム44をスキャンするように構成され得る(すなわち、VUV光子ビーム44はスキャン可能である)。このため、ペリクル19上の全ての粒子26Bは、VUV光子によって比較的短い時間スケールで帯電され(この時間は全表面をビームでスキャンするために要する)、従って、比較的迅速な時間スケールでペリクル19から除去され得る(すなわちこれは、最初に計測を用いて粒子の位置を特定し、次いでこの見つけた粒子を除去するよりも、はるかに迅速である)。
【0199】
[000186] いくつかの実施形態において、分離モジュール32はプラズマ発生機構を含み得る。
【0200】
[000187]
図6は、ペリクル19に隣接して又はペリクル19の周囲でプラズマ52を発生機構ためのプラズマ発生機構(プラズマ源)50を示す。この実施形態では2つのプラズマ源50が存在するが、他の実施形態では1つだけのプラズマ源が存在してもよい。プラズマ52は粒子26A、26Bを帯電する(図示せず)。(プラズマと共に)ガス流が粒子26A、26Bを「キック」することができる。このキックは、それ自体で粒子26A、26Bのいくつかを追い出す(knock out)ことができる。
【0201】
[000188] 更に、分離モジュール30は、ペリクル19から粒子26A、26Bを輸送するための電界発生機構を含む。電界発生機構は、ペリクル19の各側に1つずつ配置された、2つのコレクタ電極54を含む。2つのコレクタ電極54に電圧を供給するため、AC/DC電圧供給56が設けられている。これにより、ペリクル19を通して電界を与える。このため、帯電した電極54は荷電粒子26A、26Bを引き付ける。粒子26A、26Bは全てプラスに帯電させることができる。より一般的には、ペリクル19及びコレクタ電極54を通して電圧を印加するための機構を提供することができる。
【0202】
[000189] 従って、粒子26A、26Bはプラズマ52によって帯電し、次いでコレクタ電極54に引き付けられる。このようにして、粒子26A、26Bはペリクル19から除去される。
【0203】
[000190] コレクタ電極54は、ペリクル19の実質的に全てを覆うプレートの形態とすることができる。これにより、エリアクリーニング方法が得られる(すなわち、この方法を用いてペリクル19の表面の全てのエリアを同時にクリーニングできる)。プレートは金属プレートとすればよい。プレートは平坦とすればよい。別の実施形態では、コレクタ電極54は電極のグリッドを含み得る。
【0204】
[000191] 電圧供給56に対する電力がオンである場合、粒子26A、26Bはコレクタ電極54に張り付いた状態を保つことができる。このため、粒子26A、26Bがコレクタ電極54に張り付いた状態でペリクル19を除去すればよい。これは、コレクタ電極54に対する電力をオフにした場合に粒子26A、26Bがペリクル19に戻れないようにするためであり得る。
【0205】
[000192] また、コレクタ電極54に対する電力供給をオフにした場合に粒子26A、26Bがペリクル19に戻るのを防止するよう構成された2つの格納式シールド58も提供され得る。電圧供給56をオフにすることが望まれる場合、シールド58を電極54とペリクル19との間の位置へ移動させればよい。一度電力がオフになったら、粒子19は自由に電極54から離れることができるが、シールド58が邪魔になるのでペリクル19へ戻ることはできない。クリーニングプロセスを再び始めるため電力をオンに戻すことが望まれる場合、シールド58を引っ込めて粒子26A、26Bがコレクタ電極54に到達できるようにすればよい。更に、例えば一定間隔でシールド58を引っ込めてシールド58から粒子を取り除くようにしてもよい。いくつかの実施形態では、シールド58は1つだけ存在し得る(例えば、1つだけのコレクタ電極54が存在する場合)。
【0206】
[000193] いくつかの実施形態では、必要に応じて、ペリクル19からコレクタ電極54への粒子移動を誘発するために熱発生機構(熱源)60も使用できる。熱発生機構60は、ペリクル19を加熱すると共に粒子移動を誘発することができる。熱発生機構60はレーザとすればよい。
【0207】
[000194] 実施形態では、周波数掃引を用いて粒子に結合することができる。他の実施形態では、インパルス/ホワイトノイズ電気信号を用いて粒子に結合することができる。
【0208】
[000195] この方法は、ペリクル19の全表面を同時にクリーニングする利点を有する。これは、より効果的にペリクル19をクリーニングする(すなわち、より多くの粒子を除去する及び/又はより迅速に粒子を除去する)ことができる。局所的なクリーニングのみを使用したか又は事前の欠陥位置情報を必要とした他の方法に比べ、ペリクル19全体を迅速にクリーニングできる。他の以前のシステムでは、クリーニング中、ペリクルに、膜の強度損失と破損を招く穴が開いた。
【0209】
[000196] 分離モジュール32は、ペリクル19の機械的振動を発生させるための振動発生機構を含み得る。更なる詳細は、WO2020109152(これは援用により全体が本願に含まれる)で見ることができる。
【0210】
[000197] 振動発生機構は、励起電極と、励起電極及びペリクル19を通して時変電圧を印加するための機構と、を含み得る。他の実施形態では、複数の(例えば2つの)励起電極が存在し得る。また、ペリクル19の機械的振動を誘発するための振動発生機構は、ペリクル19上に位置する粒子26A、26Bの機械的振動も誘発し得る。ペリクル19上に位置するこのような粒子26A、26Bの振動は、ペリクル19から粒子を除去するのに充分な大きさであり得る。
【0211】
[000198] 分離モジュール32は、ペリクル19から粒子を輸送するための電界発生機構を含み得る。電界発生機構は、コレクタ電極と、ペリクル19及びコレクタ電極を通して電圧を印加するための機構と、を含み得る。実施形態において、励起電極とコレクタ電極は同一の部品としてもよい。
【0212】
[000199] 機械的振動を誘発するための振動発生機構によって除去された粒子26A、26Bは、主に慣性によってペリクル19から離れて輸送される。これは、振動するペリクルから放出された粒子が運動量を保つ(0.1~10m/sの速度に対応する)からである。
【0213】
[000200] ペリクルをリソグラフィ装置内へ挿入する前にペリクルから粒子を除去するための以前のシステムは、ペリクルからの粒子の解放においてリソグラフィ装置LAよりも効果的でないと示すことができる。リソグラフィ装置LAは、粒子解放に作用する複数のストレッサ(すなわちクリーニング機構)を有する。振動は特に重要である。更にこれは、光子、電子、プラズマ、ラジカル、及び熱等、付着の低減によって粒子解放に寄与し得る多くの態様を有する。リソグラフィ装置LAでは、多くの異なる物理的効果が付着力の低減に寄与し得る。これは、限定ではないが、EUV光子、電子、真空、プラズマ、ラジカル、及び熱を含む。
【0214】
[000201] 粒子を除去するための以前のシステムは、(リソグラフィ装置LAとは異なるように誘発されるが)振動によって粒子を除去することができる。しかしながら、これらの以前のシステムは他の付着低減要素(actor)のほとんどを含まない。これは、解放の低減と不充分なクリーニング性能を招く。
【0215】
[000202] 複数のモジュールを含む装置20を用いて、EUVリソグラフィ装置LA内での粒子の解放を模倣し(mimic)、これを超越することができる。装置20は、リソグラフィ装置LA内で解放された粒子のほとんど又は全てを除去し得る。別個の装置20を用いて必要な基準に合わせてペリクルクリーニングを実行できるので、これはコスト低下と生産性向上という利点を有する。
【0216】
[000203] 装置20は、リソグラフィ装置LAに存在する複数のストレッサ(例えば各クリーニングモジュールに1つのストレッサ)を包含するので、他の単一段クリーナ概念よりも優れた利点を有する。従って、リソグラフィ装置LAで問題を引き起こす可能性のある任意の粒子をクリーニング(すなわち除去)することができる。ストレッサは、クリーニング機構又は付着低減機構に相当すると考えられる。
【0217】
[000204] 単一アクチュエータクリーナは、リソグラフィ装置LAにおける効果を最大で1つだけ模倣する。これは一部の粒子では効果であり得るが、全ての粒子に効果的ではない場合がある。ペリクル上の粒子の組成を最初から知ることはできない。ペリクルは様々な材料の粒子を含み得る。また、これらは、プロセスフロー又は工場の状態の望ましい変化や望ましくない変化に起因して今後変化する可能性がある。従って、ペリクルクリーナは現在の粒子に有効であるだけでなく、今後の粒子に対してもロバストであることが望ましい。これを達成するため、装置20は、リソグラフィ装置LAで行われるプロセスの一部又は全てを模倣することができる。
【0218】
[000205] 装置20は、リソグラフィ装置LAと同じストレッサを提供するが、コストは著しく低い。その理由は、リソグラフィ装置LAの結像等の全ての特徴が含まれるわけではないからである。更に、装置20は、リソグラフィ装置LA内のストレッサに比べてブーストファクタを含む(例えば、粒子を除去するための分離モジュール32の振動はリソグラフィ装置LAに比べて約100~1000倍の強度であり得る)。また、装置20の他のストレッサにおいても、リソグラフィ装置LAと比較して、例えば、熱、反応性イオンもしくはラジカルドーズ、又はエネルギ電子ドーズのようなブーストが存在し得る。
【0219】
[000206] いくつかの以前のクリーニングツールは、(例えば振動による)慣性力に基づくが、これは、比較的重く大きい粒子には効果的であるが、比較的軽く小さい粒子では効果が低い。一部のペリクルは、リソグラフィ装置LAにおいて同じ慣性力に起因して粒子を落とす。しかしながら、他のペリクルでは、慣性力に基づくクリーニングツールは効果が低いことがある。これらのペリクルからの粒子放出は、例えばリソグラフィ装置LA内の電気力によって生じ得るからである。従って、慣性力に基づくクリーニングツールは、リソグラフィ装置LAで欠陥問題を生じ得るものとは異なる粒子をペリクルからクリーニングする場合がある。
【0220】
[000207]
図7は、ペリクル19の裏側(すなわち、この実施形態では除去される粒子26Bを有する側)に入射する電子ビーム72を発生させるための電子ビーム発生機構70を示す。他の実施形態では、ペリクル19の前側の粒子26Aをクリーニングするため、電子ビーム72はペリクル19の前側に入射し得ることは認められよう。この実施形態において、電子ビーム発生機構70は、前述した準備機構(すなわちペリクルへの粒子の付着を低減するための)でなく、除去機構(すなわちペリクルから粒子を除去するための)である。いくつかの実施形態では、電子ビーム発生機構は準備機構と除去機構の双方であり得ることは認められよう。
【0221】
[000208] 電子ビーム72は、粒子26Bが位置しているペリクル19のエリアを照明する。電子ビーム72は、ペリクル19及びその上の粒子26Bを(マイナスに)帯電する。ペリクル19及び粒子26Bが双方ともマイナスに帯電する(すなわち同じ電荷を有する)とは、これによって粒子26Bとペリクル19との間に静電反発力が存在することを意味する。粒子26Bとペリクル19との間のこの反発力によって、ペリクル19から粒子26Bが除去され、従ってペリクル19をクリーニングすることができる。
【0222】
[000209]
図8は、粒子26B及びペリクル19上の負電荷の分布を更に詳細に示す。電気力の方向は矢印で示されている(すなわち、ペリクル19から垂直に離れる方向)。ペリクル19は、ペリクル19の裏側に誘電体上層を有し得る(すなわち、粒子26Bはこの誘電体層と接触し得る)。この状況では、誘電体層が高電荷を蓄積して大きい電気解放力を生じ得るので、電気力は特に効率的である。また、ペリクル19は、ペリクル19の前側にも誘電体上層を有し得る。すなわち、ペリクル19の裏側と前側の双方に誘電体表面を有し得る。
【0223】
[000210] 最大のクリーニング効率のため、電子ビーム72は高エネルギでなければならず、80eVよりも大きいことが好ましい。エネルギが大きくなればなるほど、クリーニングは良好に行われる。電子ビーム72はパルス状とすることができる。パルス状露光モードは、高い過渡力(transient force)を生じるので有利であり得る。電子ビームは、プラズマと同時に印加され得る。これは、浮遊電位の蓄積及び電子ビームからの電子の最終的な反発を防止するので、少なくとも浮遊ペリクルでは有利である。プラズマは、プラズマ発生機構から発生させることができる。
【0224】
[000211] クリーニング(例えば粒子26Bの除去)は、検査で識別された粒子26Bをターゲットにすることによって実行され得る。あるいは、クリーニングをペリクル19全体に実行してもよい。後者の選択肢は、計測に依存しないという利点を有する。ペリクル19全体のクリーニングは、実質的にペリクル19全部をカバーする比較的大きい電子ビームスポットによって、又は、より小さい電子ビームスポットでペリクル19をスキャンすることによって実行され得る。このスキャンは、例えばSEM(Scanning electron microscope:走査電子顕微鏡)又はCRT(cathode-ray tube:陰極線管)モニタで行われるのと同様、偏向コイルにより実行され得る。
【0225】
[000212] 実施形態において、電子ビーム発生機構は走査電子顕微鏡(SEM)を含み得る。これは、粒子26B及び/又はペリクル19をインシチュ(in-situ)結像し、クリーニングを評価するという利点を与える。これにより、時間効率の高いクリーニングが可能となる。しかしながら、ペリクル19から粒子26Bを除去するために結像は必要なく、電子ビームのみが必要であることは認められよう。これは電子銃を用いて実行され得る。
【0226】
[000213] ペリクル19から反発した粒子26Bは、概してペリクル19には戻らず、例えば、ペリクル19の周囲の真空チャンバの壁に到達するか、又は流れによって洗い流される可能性がある。しかしながら実施形態では、除去された粒子26Bを、任意選択的な電極74(例えば任意の金属物体)によって収集できる。電極74はコレクタ電極と考えられる。放出された粒子26Bはマイナスに帯電しているので、電極74は粒子26Bを引き付けることができる。電極74に正の電圧が存在する場合だけでなく、これが接地されている場合も、引き付けは機能する。後者の場合、(マイナスに)帯電した粒子26Bを引き付けるミラー力(mirror force)が存在する。電極74は、粒子26Bが電荷を失うのを防ぐため(薄い)誘電体で覆うことができる。粒子26Bを収集することは、粒子がペリクル19上に再び堆積しないという利点を有する。更に、電極74は電気クリーニング力を強化することができる。粒子26Bをペリクル19から輸送するための電界発生機構に関する上記の説明を参照のこと。
【0227】
[000214] 本発明の実施形態は、電界を用いて膜から粒子を除去するための装置及び関連する方法に関する。特に、本発明のいくつかの実施形態は、壊れやすい比較的薄い膜(例えばペリクル膜等)のクリーニングに特に適し、これに適合されている。
【0228】
[000215] 本発明のいくつかの実施形態は、比較的薄い膜(例えばペリクル膜等)が比較的可撓性であることを利用し、膜の機械的振動を誘発する。これは次いで、膜上に位置する粒子の機械的振動も誘発する。膜上に位置するこのような粒子のこの振動は、粒子を膜から除去するのに充分な大きさであり得る。次いで、機械的振動を誘発するための機構によって除去されたそのような粒子は、それら自体の運動量を用いて膜から輸送され得る。これより
図9から
図16を参照してそのような実施形態の例を記載する。実施形態では、これらの機械的振動を用いて(ペリクル)膜以外のコンポーネントをクリーニングしてもよいことは認められよう。
【0229】
[000216] これより、
図9から
図12を参照して、本発明の第1の実施形態に従った膜クリーニング装置100を説明する。
【0230】
[000217]
図9は、可動ステージ106、第1のクリーニング部110、第2のクリーニング部210、真空チャンバ130、及びコントローラ190を備える膜クリーニング装置100の断面を示す。
【0231】
[000218] また、
図9には膜アセンブリ104も示されている。膜アセンブリ104は、膜211と、導電性フレーム108の形態の膜サポートと、を備える。導電性フレーム108は概ね矩形のフレームである。導電性フレーム108と膜211の1つ以上の表面とは、導電性(例えば金属製)コーティング209でコーティングされて(
図10を参照のこと)、この導電性コーティング209が導電性フレーム108と電気的に接触するようになっている。あるいは、ペリクル膜自体が導電性材料を含むことができ、ペリクルフレームまで延出する。
【0232】
[000219] 第1のクリーニング部110は、第1の電圧源111と、第1のアクチュエータ112と、第1のコネクタ114と、第1のアイソレータ115と、第1の近接センサ116の形態の変位センサと、第1の電極118の形態の時変電界発生器と、を備える。
【0233】
[000220] 第2のクリーニング部210は、第2の電圧源211と、第2のアクチュエータ212と、第2のコネクタ214と、第2のアイソレータ215と、第2の近接センサ216の形態の変位センサと、第2の電極218の形態の時変電界発生器と、を備える。
【0234】
[000221] 可動ステージ106、膜アセンブリ104、第1のクリーニング部110、及び第2のクリーニング部210は、真空チャンバ130内に配置されている。
【0235】
[000222] 導電性フレーム108は、中央の矩形開口を含む。膜211の外側部分の下面は、導電性フレーム108の上面に固定されている。膜211の内側部分は、導電性フレーム108の中央の矩形開口内で可動ステージ106よりも上方に吊るされている。膜アセンブリ104の導電性フレーム108は、可動ステージ106の上面によって支持された下面を有する。第1の電極118は、励起/コレクタ組み合わせ電極の形態である。第2の電極218は、励起/コレクタ組み合わせ電極の形態である。
【0236】
[000223] 膜アセンブリ104は、第1のクリーニング部110と第2のクリーニング部210との間に位置決めされている。第1のクリーニング部110は膜211よりも上方に位置決めされ、第2のクリーニング部210は膜211よりも下方に位置決めされている。第1のクリーニング部110は第2のクリーニング部210と対向するように構成されている。
【0237】
[000224] 第1のアクチュエータ112の下面は、第1のコネクタ114の上面に接続されている。第1のコネクタ114の下面は、第1の近接センサ116の上面に接続されている。第1のコネクタ114の下面は、第1の電極118の上面に接続されている。第1のアイソレータ115は、第1の近接センサ116と第1の電極118との間に位置決めされている。第1の電圧源111は、一方の端部で第1の電極118に、他方の端部(明確さのため図示されていない)で接地に(例えば真空チャンバ130に)電気的に接続されている。第1の近接センサ116の下面及び第1の電極118の下面は、膜211の上面と向かい合っている。
【0238】
[000225] 第2のアクチュエータ212の上面は、第2のコネクタ214の下面に接続されている。第2のコネクタ214の上面は、第2の近接センサ216の下面に接続されている。第2のコネクタ214の上面は、第2の電極218の下面に接続されている。第2のアイソレータ215は、第2の近接センサ216と第2の電極218との間に位置決めされている。第2の電圧源211は、一方の端部で第2の電極218に、他方の端部(明確さのため図示されていない)で接地に(例えば真空チャンバ130に)電気的に接続されている。第2の近接センサ216の上面及び第2の電極218の上面は、膜211の下面と向かい合っている。
【0239】
[000226] 導電性膜211は、真空チャンバ130又は支持ステージ106のうち1つに対する容量結合によって実質的に接地されている。
【0240】
[000227] 膜211にはプレストレスがかかっている(例えば300~500MPa等、100~1000MPaの張力)。膜211の厚さは5~50nmであり、典型的には10~30nmである。膜211の内側部分は、可動ステージ106の上方で自由に機械的に振動する。
【0241】
[000228] 使用時、可動ステージ106は、導電性フレーム108の面内で2次元に移動するよう構成されている。可動ステージ106の移動は、導電性フレーム108及び膜211も移動させて、クリーニング装置100内で膜211の移動を可能とするように構成されている。
【0242】
[000229] 使用時、第1のリニアアクチュエータ112及び第2のリニアアクチュエータ212は、導電性フレーム108の面に対して垂直な1次元で相互に独立して移動するよう動作可能である。
【0243】
[000230] 使用時、第1のリニアアクチュエータ112は、第1のコネクタ114を移動させるように動作可能である。第1のコネクタ114は、第1の電極118及び第1の近接センサ116に機械的基準を与えるように配置されている。従って、第1のリニアアクチュエータ112は、膜211に対して第1の電極118及び第1の近接センサ116を移動させるように動作可能である。第1のコネクタ114は、第1の電極118及び第1の近接センサ116を第1のリニアアクチュエータ112から電気的に絶縁するよう構成された絶縁体を含む。
【0244】
[000231] 使用時、第2のリニアアクチュエータ212は、第2のコネクタ214を移動させるように動作可能である。第2のコネクタ214は、第2の電極218及び第2の近接センサ216に機械的基準を与えるように配置されている。従って、第2のリニアアクチュエータ212は、膜211に対して第2の電極218及び第2の近接センサ216を移動させるように動作可能である。第2のコネクタ214は、第2の電極218及び第2の近接センサ216を第2のリニアアクチュエータ212から電気的に絶縁するよう構成された絶縁体を含む。
【0245】
[000232] 使用時、第1のリニアアクチュエータ112及び第2のリニアアクチュエータ212はそれぞれ、第1の近接センサ116及び第2の近接センサ216を膜211から等距離に移動させるよう構成されている。使用時、第1のリニアアクチュエータ112及び第2のリニアアクチュエータ212はそれぞれ、第1の電極118及び第2の電極218を膜211から等距離に移動させるよう構成されている。
【0246】
[000233] 第1の電極118及び第2の電極218を膜211から等距離にすることで、膜211の励起のバランスを取ることができる。例えば、電極118、218はアクティブである間は膜211に対して反対方向の力を加え、組み合わせた電極118、218からの膜211に対する時間平均力は、電極118、218のいずれか1つからの時間平均力の10%未満(例えば、好ましくは1%未満)である。
【0247】
[000234] 使用時、可動ステージ、第1のリニアアクチュエータ112、及び第2のリニアアクチュエータ212は、膜211に対して第1のクリーニング部110及び第2のクリーニング部210を3次元で位置決めするように動作可能である。
【0248】
[000235] 使用時、第1の電圧源111は第1の電極118に第1の電圧を印加するように配置され、第2の電圧源211は第2の電極218に第2の電圧を印加するように配置されている。第1の電圧及び第2の電圧は、接地(図示せず)に対するものである。第1の電極118及び第2の電極218は、膜211に近接した時変電界を発生させるように構成されている。
【0249】
[000236] 第1のアイソレータ115は、第1の近接センサ116から第1の電極118を電気的に絶縁するよう構成された絶縁体を含む。第2のアイソレータ215は、第2の近接センサ216から第2の電極218を電気的に絶縁するよう構成された絶縁体を含む。
【0250】
[000237] 使用時、第1の近接センサ116は、第1の近接センサ116と、第1の近接センサ116に最も近い膜211の表面との間の距離を測定するよう構成されている。第1の近接センサ116は、第1の測定ビーム117で膜211を照明し、膜211が反射した第1の測定ビーム117の一部の少なくとも1つの特性を測定することで、第1の近接センサ116と第1の近接センサ116に最も近い膜211の表面との間の距離を測定するように構成されている。第1の近接センサ116は、第1の近接センサ116と第1の近接センサ116に最も近い膜211の表面との間の距離に対応するデータをコントローラ190に提供するよう構成されている。
【0251】
[000238] 使用時、第2の近接センサ216は、第2の近接センサ216と、第2の近接センサ216に最も近い膜211の表面との間の距離を測定するよう構成されている。第2の近接センサ216は、第2の測定ビーム217で膜211を照明し、膜211が反射した第2の測定ビーム217の一部の少なくとも1つの特性を測定することで、第2の近接センサ216と第2の近接センサ216に最も近い膜211の表面との間の距離を測定するように構成されている。第2の近接センサ216は、第2の近接センサ216と第2の近接センサ216に最も近い膜211の表面との間の距離に対応するデータをコントローラ190に提供するように構成されている。
【0252】
[000239] 近接センサ116、216を(例えばコントローラ190と共に)用いることで、膜211に対して電極118、218を10μmの精度で位置決めする。これは、最も小さい合理的なギャップ(すなわち膜211と電極118、218との間の)において要求される最高の精度であると共に、膜の平面全体からずれている膜211の局所部分及び可動ステージ106の傾き及び導電性フレーム108の傾きに関連した不正確さのための安全マージンを含む)。
【0253】
[000240] 使用時、近接センサ116、216は、膜211の機械的振動の低固有モードの周波数よりも高い頻度で膜の変位を検知するように動作可能である。膜211の低固有モードは、モード1(すなわち基本/単極モード)、モード2(例えば双極、ペリクルの長いエッジ)、モード3(例えば双極、ペリクルの短いエッジ)、モード4(例えば四極)のような膜の機械的振動固有モードのうち少なくとも1つを指す。一例として、このような低固有モードは1~3kHzの範囲内である。
【0254】
[000241] 近接センサ116、216が低固有モードよりも高い頻度で膜211の変位を検知するように動作可能であると、コントローラ190が制御するフィードバックループを使用できる。フィードバックループでは、膜211の機械的振動が監視され、測定された膜211の変位が所定範囲外である場合(
図12を参照のこと)、コントローラは、時変電界(すなわち電極118、218で発生される)の少なくとも1つの特徴を制御する。このようなフィードバックループは、
図14から
図16に関連付けて説明する。
【0255】
[000242] 使用時、近接センサ116、216は、0.1kHz、1kHz、10kHzのうち少なくとも1つよりも高い頻度で膜211の変位を測定するように動作可能である。
【0256】
[000243] 使用時、近接センサ116、216は、1kHz、10kHz、100kHz、1000kHzのうち少なくとも1つよりも低い頻度で膜211の変位を測定するように動作可能である。
【0257】
[000244] 第1の電極118(例えば励起/コレクタ組み合わせ電極の形態)及び膜211は、閉回路の一部ではない。従って、使用時、第1の電圧源111によって電圧が印加されると、第1の電極118及び膜211上に電荷が蓄積し得る。第2の電極218(例えば励起/コレクタ組み合わせ電極の形態)及び膜211は、閉回路の一部ではない。従って、使用時、第2の電圧源211によって電圧が印加されると、第2の電極218及び膜211上に電荷が蓄積し得る。この効果は、キャパシタにおいて対向するプレートが帯電することと同様である。
【0258】
[000245] 使用時、第1の電圧源111及び第2の電圧源211はそれぞれ、第1の電極118及び第2の電極218に交互に電圧を印加するよう構成されている(例えば、どの瞬間にも膜211に正味の静電力が加えられるようになっている)。あるいは、第1の電圧源111及び第2の電圧源211はそれぞれ、第1の電極118及び第2の電極218に反対の電圧を印加するよう構成されている(例えば、膜211に正味の静電力を加えるため)。
【0259】
[000246] 第1の電極118及び膜211上の電荷蓄積は、第1の電極118と膜211との間に静電引力を生成する。第2の電極218及び膜211上の電荷蓄積は、第2の電極218と膜211との間に静電引力を生成する。膜211は比較的薄く、従って可撓性であるので、膜211はこの引力によって歪む。
【0260】
[000247] 膜アセンブリ104の近くに静電力を発生させる電荷の蓄積は、本発明のいくつかの実施形態で利用される。具体的には、この静電力の時間的特徴を設定することにより、膜211で機械的振動を誘発する。これは、本発明のこの実施形態に従って、第1の電極118、第2の電極218、及び膜211に時変電圧を印加することによって達成される。この目的に利用される時変電圧は、複数の時間的に離れたパルスを含む。この機構については、以下で
図11aから
図11bに関連付けて詳述する。
【0261】
[000248] 時変電圧は、10~1000Pa、例えば100Paの静電圧を有する圧力パルスを印加する。時変電圧は、10~1000ns、例えば100nsの持続時間を有する圧力パルスを印加する。時変電圧は、10~1000kHz、例えば100kHzの平均繰り返し率を有する。時変電圧は、0.1~10MHzの範囲内で変動するピークパルス繰り返し率を有し、最適な共鳴励起のために、簡略化のため無質量ばね上の質量として扱うことができる粒子の共振に第1/第2/第3の高調波周波数を重ねる。
【0262】
[000249] 圧力パルスと時変電圧は同一の持続時間を有する。時変電圧(例えば電圧パルス)は、断面
【0263】
【0264】
を有する電極に印加される。必要な静電圧
【0265】
【数9】
を与えるため、1又は複数の電極は膜から0.5mm~2.5mm内に位置決めされる(h)。
【0266】
[000250] 真空チャンバ130内の圧力を制御するため、1つ以上の真空ポンプ(図示せず)を提供してもよい。具体的には、真空ポンプ装置(図示せず)を用いて、真空チャンバ130の圧力を近真空条件に低下させることができる。例えば、1つ以上の真空ポンプは、真空チャンバ130内の圧力を<10-3mBarに、好ましくは<10-6mBarに低下させるよう動作可能である。真空チャンバ130の圧力は、膜211の面(例えば導電性フレーム108の面に平行である)の両側で等しいように構成されている。
【0267】
[000251] コントローラ190は、第1の近接センサ116、第2の近接センサ216、第1の電圧源111、及び第2の電圧源211に電気的に接続されている。使用時、コントローラ190は、第1の近接センサ116及び第2の近接センサ216で測定された膜211の測定された変位に少なくとも部分的に基づいて、第1の電極118及び第2の電極218が膜211の近くで発生する時変電界の少なくとも1つの特徴(例えば振幅、周波数、位相)を変えるように第1の電極118及び第2の電極218を制御するよう動作可能である。
【0268】
[000252] 抑制される低固有モードは大きく(すなわち振幅が)、これは、各近接センサ116、216と各電極118、218との間の距離が、抑制される機械的振動モードの波長よりもはるかに小さいので、各電極118、218から各近接センサ116、216を除去することは重要でないことを意味する。
【0269】
[000253] 膜クリーニング装置100は、膜211をクリーニングするため使用することができる。これについて以下で検討する。使用時、膜クリーニング装置100は、膜211の第1の局所部分をクリーニングし、次いで可動ステージ106を用いて第2の局所部分をクリーニングのために位置決めするよう構成されている。膜211の第2の局所部分をクリーニングした後、可動ステージ106を用いて第3の局所部分をクリーニングのために位置決めする。このサイクルは、膜211全体がクリーニングされるまで繰り返す。局所部分は典型的に電極118、218よりも大きい。典型的に、膜211の各局所部分は、膜の少なくとも1つの隣接する局所部分と重複する。
【0270】
[000254] 膜211はペリクル膜16とすることができ、電気伝導率が高いか又は中程度の材料から形成され得る。この材料は例えば、ドープされた多結晶シリコン、又は金属シリサイド、又はドープされた金属シリサイド、又はドープされた金属炭化物、又はドープされた金属窒化物、又は上記の材料のいずれかの組み合わせである。
【0271】
[000255] 特に、装置100は、膜211の機械的振動の振幅が所定範囲を超えたことで生じる膜211の損傷を防止するのに適している。膜211の損傷は、膜211の裂け又は破損を含む。暴走障害は膜211の損傷を引き起こす。例えば、静止時の膜211に対する膜211の変位が所定範囲を超えた場合、膜211の剛性は、第1の電極118又は第2の電極218のうち近い方からの静電力に抵抗することができない。この場合、膜211は更に変形し、ついには電極118、218のうち1つに接触して、機械的に又はスパークによって破損する。
【0272】
[000256] 装置100は、そのような暴走障害を防止して膜211の損傷を防ぐように動作可能である。
【0273】
[000257]
図10は、電圧源211によって与えられた電圧が励起/コレクタ組み合わせ電極218及び導電性フレーム108を通して印加された場合、膜クリーニング装置100によってクリーニングされる膜211の断面を示す。明確さのため、
図10及び
図11aから
図11cは、2つのクリーニング部110、210の使用ではなく、単一のクリーニング部210の使用に関連付けて記載する。また、膜211上に位置する粒子240も図示されている。膜211は概ね可撓性であり、励起/コレクタ組み合わせ電極218は概ね剛性であるので、励起/コレクタ組み合わせ電極218と膜211との間の静電引力は、膜211の機械的変形301を生じる。
【0274】
[000258] 本発明の一実施形態において、励起/コレクタ組み合わせ電極218及び導電性フレーム108を通して印加された電圧は、
図11aに示されている波形400に従う。
図11aは、時間tの関数として電圧Vのプロットを示す。電圧は時変である。具体的には、電圧の波形400は、電圧がパルス電圧401として記述され得るような周期的なものである。パルス電圧401は、交互のオン部分402とオフ部分403を含む。
図11aに示されている電圧波形400は、電圧源211によって発生され得るパルス電圧401の一例に過ぎないことは認められよう。他の実施形態では、代替的なパルス形状及びパルス繰り返し周波数及び/又はパルスパターン、例えばバーストやパルス列を用いることができる。
【0275】
[000259]
図11aに示されているパルス電圧401は、DC成分を含む(オフ部分403は、励起/コレクタ組み合わせ電極218と導電性フレーム108との間の非ゼロ電位差に対応する)。代替的な実施形態では、同様であるがDC成分を含まない波形400を使用できる(オフ部分403は、励起/コレクタ組み合わせ電極218と導電性フレーム108との間のゼロ電位差に対応する)。DC成分を含むパルス電圧401を用いると、励起/コレクタ組み合わせ電極218と膜アセンブリ208との間でより強い時間平均電界が発生し、後述するように、励起/コレクタ組み合わせ電極218へ向かう粒子240の輸送を改善することができる。
【0276】
[000260] パルス電圧401は、励起/コレクタ組み合わせ電極218と膜211との間にパルス静電引力を生成する。パルス電圧401のオン部分402の間、励起/コレクタ組み合わせ電極218と膜211との間に静電引力が存在し、結果として、上述のように膜211の機械的変位301が生じる。このような電気力(電荷)を生じるパルス圧力は、典型的に0.01Pa~100Paであり得る。圧力を加えた後、膜の全体又は少なくともいくつかの部分は電極218の方へ加速される。
【0277】
[000261] DC成分を含むパルス電圧401のオフ部分403の間、励起/コレクタ組み合わせ電極218と膜211との間には、オン部分402の間に比べて小さい静電引力が存在する。パルス電圧401がDC成分を含まない実施形態では、パルス電圧401のオフ部分403の間、励起/コレクタ組み合わせ電極218と膜211との間に静電引力は存在しない。従って、パルス電圧401(DC成分を含む場合も含まない場合も)のオフ部分403の間、膜211の張力によって、パルス電圧401のオン部分402の間に発生した機械的変位301とは反対方向に膜211が加速し得る。パルス電圧401のオン部分402及びオフ部分403は繰り返すので、膜211で機械的振動が誘発される。
【0278】
[000262] 本発明の一実施形態において、励起/コレクタ組み合わせ電極218と導電性フレーム108を通して印加された電圧は、10%未満のデューティサイクルを有する。有利には、これは、膜211及び励起/コレクタ組み合わせ電極218が形成するキャパシタの電流充放電による膜211の加熱量を制限する。
【0279】
[000263] 励起/コレクタ組み合わせ電極218に向かい合う膜211の表面上に粒子210が存在する可能性がある。
【0280】
[000264] 時間で平均すると、パルス電圧400に起因して、励起/コレクタ組み合わせ電極218と膜アセンブリ208との間には正味の電界が存在する。
【0281】
[000265] 励起/コレクタ組み合わせ電極218に向かい合う膜211の表面上に位置する非ゼロ表面導電率の粒子240は、パルス電圧401によって膜211から電荷を獲得している可能性がある。この粒子240の電荷のため、粒子240を励起/コレクタ組み合わせ電極218の方へ引き付ける静電力が存在する。
【0282】
[000266] これに加えて又はこの代わりに、粒子240は、励起/コレクタ組み合わせ電極218に向かい合う膜211の表面との摩擦電気相互作用によって電荷を獲得している可能性がある。この粒子240の電荷は正又は負のいずれかであり得る。使用時、電圧パルス400の極性は、摩擦電気で帯電された粒子と電極218との間に引力を与えるように選択され得る。様々な材料の状況(摩擦電気の帯電の異なる符号)に対応するため、電圧パルス(DC成分及び/又はパルス成分)の極性を変動させることができる。
【0283】
[000267] 膜211の表面上に存在する各粒子240は、粒子240と粒子240が位置する膜211の表面との間のファンデルワールス力に起因して、膜が振動すると概ね膜211の表面と共に動く。
【0284】
[000268] プレテンションがかかっている膜211上の各粒子240は、独立した振動子として扱うことができる。このような振動子の共振周波数は、粒子240及び膜211の特性によって変動し得る。
【0285】
[000269] 例えば、このような粒子210の共振周波数は、粒子240の質量Mによって変動し得る。共振周波数は、膜211で誘発される振動の半径303(振動振幅と励起周波数によって規定される)と、膜211上の粒子240の接触点304のサイズ(典型的な短距離ファンデルワールス相互作用によって規定される)との比であるdによって変動し得る。典型的に、膜クリーニング装置100を用いてクリーニングされる膜211では、dは100~1000,000であり得る。また、このような粒子の共振周波数は、膜211の厚さ305すなわちhによって変動し得る。典型的に、膜クリーニング装置100を用いてクリーニングされる膜211では、hは10nm~100nmであり得る。また、共振周波数は、膜211のプレテンションσによって変動し得る。典型的に、膜クリーニング装置100を用いてクリーニングされる膜211では、σは50MPa~500MPaであり得る。
【0286】
[000270] 振動子の基本周波数v0は以下の数式によって記述できる。
【0287】
【0288】
典型的な粒子密度及び0.5μm~5μmの粒子半径では、v0は約10MHz~0.3MHzであり得る。膜211に印加される励起周波数が粒子240の共振周波数に近付いた場合、粒子240の振動の振幅301は増大し得る。粒子240の振動の振幅が増大すると、粒子加速に起因した慣性がファンデルワールス力を超え得るので、膜-粒子間分離302も同様に増大する。
【0289】
[000271] ファンデルワールス力の大きさは、この力が作用する原子又は分子間の分離302の2乗に反比例する。何らかの閾値の膜-粒子間分離302では、粒子240と膜211の表面との間のファンデルワールス力は、粒子240を励起/コレクタ組み合わせ電極218の方へ(すなわち膜211から離れる方へ)引き付ける静電力が粒子240と膜211との間のファンデルワールス力を克服する程度まで減衰する。従って、この閾値の膜-粒子間分離302を超えると、膜211から粒子240を除去することができる。粒子240はその後、膜211と励起/コレクタ組み合わせ電極218との間の空間内に位置し、励起/コレクタ組み合わせ電極218の方へ加速する。
【0290】
[000272] 粒子240の共振周波数は、質量依存性のため粒子240のサイズによって変動する。様々なサイズを有する粒子210を除去するため、パルス電圧401は、様々な周波数の膜211の振動を誘発するように構成され得る。膜211に誘発される振動の周波数範囲を「励起スペクトル」と呼ぶことができる。励起スペクトルは、電圧源211が印加するパルス電圧401の波形400のフーリエ変換によって与えられる。励起スペクトルの成分は、パルス電圧401の時間的特徴部から生じる。比較的長い時間期間で繰り返す特徴部は、比較的低い周波数の励起成分を発生させ、逆もまた同様である。
【0291】
[000273]
図11b及び
図11cは、
図11aに示されている形態のパルス電圧401に対応する励起スペクトル404の概略的なプロットを示す。励起スペクトル404は、膜に加えられる相対的静電引力Fを、この力が加えられる振動周波数fの関数として概略的に示す。励起スペクトル404は、第1の部分405及び第2の部分406を含む。
【0292】
[000274] 励起スペクトル404の第1の部分405は、最長持続時間を有するパルス電圧401の時間的特徴部、すなわちパルス電圧401のパルスの時間期間407から生じる。第1の部分405の中心周波数408は、時間期間407の逆数によって規定される(この中心周波数408をパルス周波数又は繰り返し率と呼ぶことができる)。いくつかの実施形態では、パルス電圧401の繰り返し率は30kHz~30MHzの範囲内であり得る。
図11cの影付き領域409は、時間期間407の変調による第1の部分405の中心周波数408のシフトに対応する。時間期間407が大きくなると、第1の部分405の中心周波数408は低下する(逆もまた同様である)。
【0293】
[000275] 励起スペクトル404の第2の部分406は、時間期間407よりも短い持続時間を有するパルス電圧401の時間的特徴部から生じる。第2の部分406は、パルス電圧401のパルスのオン部分402の半値全幅(FWHM:full width at half maximum)410、並びに、パルス電圧401のパルスの立ち上がり時間411及び立ち下がり時間412によって規定される。第2の部分406の低周波数413は、FWHM410の逆数によって規定される。第2の部分406の高周波数414は、立ち上がり時間411及び立ち下がり時間412のうち最短である持続時間の逆数によって規定される。
図11cの影付き領域415は、FWHM410及び立ち上がり時間411及び立ち下がり時間412の変調による第2の部分406の低周波数413及び高周波数414のシフトに対応する。FWHM410が大きくなると、第2の部分406の低周波数413は低下する(逆もまた同様である)。立ち上がり時間411及び立ち下がり時間412のうち最短である持続時間が大きくなると、第2の部分406の高周波数414は低下する(逆もまた同様である)。
【0294】
[000276]
図11aに示されている形態のパルス電圧401は比較的単純である。従って、これは当業者によって容易に実施され得る。有利には、パルス電圧401の波形400は単純であるにもかかわらず、所望の励起スペクトルを達成するように選択(及び変動)され得るいくつかの構成可能パラメータ(時間期間407、FWHM410、立ち上がり時間411、立ち下がり時間412を含む)を与える。
【0295】
[000277]
図11aに示されている形態のパルス電圧401を用いる代わりに、電圧増幅器に接続された任意の関数発生器を用いて、所望の励起スペクトルを誘発するように構成可能な任意の所望のパルス形状を発生させてもよい。
【0296】
[000278] この実施形態では、
図11aに示されている電圧波形400は、一般的な形状であると共に、所望の励起スペクトルを達成するよう選択(及び変動)され得る1つ以上のパラメータ(例えば、時間期間407、FWHM410、立ち上がり時間411、立ち下がり時間412のうち任意のもの)を有すると考えることができる。他の実施形態では異なる電圧波形を使用してもよいが、これらの波形も、一般的な形状を有すると共に、所望の励起スペクトルを達成するよう選択(及び変動)され得る1つ以上のパラメータを有すると考えられることは認められよう。
【0297】
[000279] 本実施形態の構成では、励起/コレクタ組み合わせ電極218及び膜アセンブリ208は、励起/コレクタ組み合わせ電極218と膜211との間の分離が0.5mm~2.5mmであるように配置されている。
【0298】
[000280] 本実施形態の構成では、励起/コレクタ組み合わせ電極218及び導電性フレーム108を通して印加されるパルス電圧401は、100V~10000Vの最大電位差を有する。
【0299】
[000281] 本実施形態の構成では、(パルス電圧401による)励起/コレクタ組み合わせ電極218と膜アセンブリ208との間の正味(時間平均)電界は、10Vm-1よりも大きいか又は-10Vm-1未満の電界強度を有する。
【0300】
[000282] 本実施形態の構成において、パルス電圧401は、30kHz~30MHzの周波数範囲で膜211の振動を(これにより、膜211上に位置する粒子210の振動も)励起するように構成されている。例えばパルス電圧401は、100kHz~10MHzの周波数範囲で膜211の振動を励起するように構成され得る。
【0301】
[000283] 本実施形態の構成において、パルス電圧401は正弦波的に変動する電圧ではない。適切なオフ部分403を確実にパルス形状に組み込むことにより、膜アセンブリ208上の導電性コーティング209内へ消散する電力を低く抑えることができる。これは、放射冷却によって膜211の温度を安全限度内に維持することを可能とするために有用である。
【0302】
[000284] 上述の構成を用いると、膜クリーニング装置100を用いて、0.5~5μmの寸法を有する粒子210を膜211から除去することができる。
【0303】
[000285] パルス電圧401は、別々のパルス列として印加され得る。1つのパルス列は別のパルス列に直後に続くことができる。連続するパルス列でパルス電圧の極性を逆にして、別々のパルス列を印加することができる。これは、マイナスに帯電した電荷とプラスに摩擦電気で帯電した電荷の双方を解放し、それらを収集電極へ引き付けるために有用であり得る。各パルス列の持続時間は、次のパルス列(逆の電圧極性を有する)の印加前に粒子210が励起/コレクタ組み合わせ電極218へ輸送される充分な時間があるように構成され得る。荷電粒子は一般に、励起/コレクタ電極218に接触すると放電し得ることは認められよう。従って、電圧の極性が逆になった場合、これらの粒子が再び膜211へ輸送されることはない。
【0304】
[000286]
図12は、
図9の膜クリーニング装置100と同じ断面を示すが、
図12の膜211は固定状態でなく機械的に振動している。従って、
図12の膜211は膜211の静止面からずれている。
【0305】
[000287] また、
図12には、上臨界ずれ面(critical deviation plane)660と下臨界ずれ面662との間に規定された膜211の許容可能振動ゾーンの形態の所定範囲も示されている。上臨界ずれ面660と下臨界ずれ面662は、導電性フレーム108の面に対して平行に位置している。上臨界ずれ面660は第1のクリーニング部110の近くに配置され、下臨界ずれ面662は第2のクリーニング部210の近くに配置されている。上臨界ずれ面660と下臨界ずれ面662は、暴走障害の結果として膜211を損傷する危険がある大きさの膜211の変位に対応する。
【0306】
[000288] 所定の変位範囲は、10μm、100μm、1000μmのうち少なくとも1つよりも小さい大きさを有する、静止時の膜211に対する膜211の少なくとも局所部分の変位を含む。
【0307】
[000289] 使用時、第1の変位センサ116は、第1の変位センサ116に最も近い膜211の局所部分の変位を測定している。機械的に振動している膜211の最大振幅が大きくなったために、第1の変位センサ116により測定される静止時の膜211に対する膜211の局所部分の変位が、上臨界ずれ面660よりも第1の変位センサ116に近くなった場合、コントローラ190は、第1の電極118及び第2の電極218によって発生する時変電界の少なくとも1つの特徴を制御する。
【0308】
[000290] 使用時、第2の変位センサ216は、第2の変位センサ216に最も近い膜211の局所部分の変位を測定している。機械的に振動している膜211の最大振幅が大きくなったために、第2の変位センサ216により測定される静止時の膜211に対する膜211の局所部分の変位が、下臨界ずれ面662よりも第2の変位センサ216に近くなった場合、コントローラ190は、第1の電極118及び第2の電極218によって発生する時変電界の少なくとも1つの特徴を制御する。
【0309】
[000291] コントローラ190は、第1の電圧源111及び第2の電圧源211を制御することによって、第1の電極118及び第2の電極218により発生する時変電界の少なくとも1つの特徴を制御する。第1の電極118及び第2の電極218により発生する時変電界の特徴は、振幅、周波数、位相のうち少なくとも1つである。
【0310】
[000292] 第1の電極118及び第2の電極218によって発生する時変電界の少なくとも1つの特徴は、
図13から
図16に関連付けて説明される実施形態のうち少なくとも1つに従って制御される。
【0311】
[000293]
図13は、別の実施形態に従った、膜211から粒子を除去する方法700を記述するフローチャートを示す。方法700は、膜211の損傷を防ぐため、
図9に関連付けて記載されているような暴走障害を防止するのに適している。
【0312】
[000294] 方法700は、ステップ710、712、714、716を含む。これらは、膜から粒子を除去するため、時変電界を用いて膜の機械的振動を誘発すること(710)、静止時の膜に対する膜の変位を測定すること(712)、測定された膜の変位が所定範囲外であるか否かを判定すること(714)、及び、測定された膜の変位が所定範囲外である場合、時変電界の少なくとも1つの特徴を制御すること(716)である。
【0313】
[000295] ステップ710、712、714、及び716は、連続して実行される。ステップ716の後にステップ710を実行して、方法700がステップ710、712、714、及び716のループを形成するようになっている。
【0314】
[000296]
図14は、別の実施形態に従った、膜211から粒子を除去する方法800を記述するフローチャートを示す。方法800は、膜211の損傷を防ぐため、
図9に関連付けて記載されているような暴走障害を防止するのに適している。
【0315】
[000297] 方法800は、ステップ810、812、814、816、818、820、及び822を含む。これらは、膜から粒子を除去するため、時変電界を用いて膜の機械的振動を誘発すること(810)、静止時の膜に対する膜の変位を測定すること(812)、測定された膜の変位が所定範囲外であるか否かを判定すること(814)、時変電界の振幅を低減させること(816)、ホールドタイムの間、待機すること(818)、静止時の膜に対する膜の変位を測定すること(820)、及び、測定された膜の変位が所定範囲外であるか否かを判定すること(822)である。
【0316】
[000298] ステップ810が最初に実行された後にステップ812が、次いでステップ814が実行される。ステップ814において、測定された膜211の変位が所定範囲外でないと判定された場合、方法800はステップ810に戻る。ステップ814において、測定された膜211の変位が所定範囲外であると判定された場合、ステップ816が実行される。ステップ816の後にステップ818が、次いでステップ820が、次いでステップ822が実行される。ステップ822において、測定された膜211の変位が所定範囲外でないと判定された場合、方法800はステップ810に戻る。ステップ822において、測定された膜211の変位が所定範囲外であると判定された場合、方法800はステップ818に戻る。
【0317】
[000299] ステップ816(すなわち時変電界の振幅を低減させること)は、コントローラ190を用いて、第1の電圧源111及び第2の減圧源211によって第1の電極118及び第2の電極218にそれぞれ印加される電圧を低減させること、又は、第1の電圧源111及び第2の減圧源211によって第1の電極118及び第2の電極218にそれぞれ印加される電圧を停止することのうち少なくとも1つによって実行される。
【0318】
[000300] ステップ818(すなわちホールドタイムの間待機すること)は、膜211の機械的振動振幅の低減を可能とするために実行される。ホールドタイムは、所定の時間量であるか、又は、静止時の膜211に対する膜211の変位の測定に基づいて決定される、のうち少なくとも1つである。例えば、ホールドタイムは10~100秒である。
【0319】
[000301]
図15は、別の実施形態に従った、膜211から粒子を除去する方法900を記述するフローチャートを示す。方法900は、膜211の損傷を防ぐため、
図9に関連付けて記載されているような暴走障害を防止するのに適している。
【0320】
[000302] 方法900は、ステップ910、912、914、916、918、920、及び922を含む。これらは、膜から粒子を除去するため、時変電界を用いて膜の機械的振動を誘発すること(910)、静止時の膜に対する膜の時変変位データを測定及び記録すること(912)、測定された膜の変位が所定範囲外であるか否かを判定すること(914)、時変電界の周波数と膜の機械的振動周波数との重複を低減又は除去するように時変電界の周波数を変更すること(916)、ホールドタイムの間、待機すること(918)、静止時の膜に対する膜の時変変位データを測定及び記録すること(920)、及び、測定された膜の変位が所定範囲外であるか否かを判定すること(922)である。
【0321】
[000303] ステップ910、914、918、及び922は、それぞれステップ810、814、818、及び822と同一である。
【0322】
[000304] ステップ912及び920は、静止時の膜211に対する膜211の時変変位データを記録することを含む。この時変変位データの記録は、膜211の変位データ及び対応するタイムスタンプを測定及び記憶することを含む。各タイムスタンプは、膜211の各変位データが測定された時に対応する。この時変変位データの記録は、ステップ916で時変変位データが検索可能であるように時変変位データを記憶することを含む。
【0323】
[000305] ステップ916(すなわち、時変電界の周波数と膜211の機械的振動周波数との重複を低減又は除去するように時変電界の周波数を変更すること)は、記録した時変変位データを検索すること、フーリエ変換を用いて時変変位データを周波数ドメインに変換し、膜の少なくとも1つの機械的振動周波数を抽出すること、膜211の低機械的振動固有モードの所定値を決定又は検索すること、及び、時変電界の周波数と膜211の低固有モードとの重複を低減又は除去するように時変電界の周波数を変更すること、によって実行される。
【0324】
[000306] 時変電界の周波数と膜211の低固有モードとの重複を低減又は除去することは、コントローラ190を用いて、第1の電圧源111及び第2の減圧源211によって第1の電極118及び第2の電極218にそれぞれ印加される電圧の周波数を変更することを含む。
【0325】
[000307]
図16は、別の実施形態に従った、膜211から粒子を除去する方法1000を記述するフローチャートを示す。方法1000は、膜211の損傷を防ぐため、
図9に関連付けて記載されているような暴走障害を防止するのに適している。
【0326】
[000308] 方法1000は、ステップ1010、1012、1014、1016、1018、1020、及び1022を含む。これらは、膜から粒子を除去するため、時変電界を用いて膜の機械的振動を誘発すること(1010)、静止時の膜に対する膜の時変変位データを測定及び記録すること(1012)、測定された膜の変位が所定範囲外であるか否かを判定すること(1014)、膜の機械的振動位相と逆位相になるように時変電界の位相を変更すること(1016)、ホールドタイムの間、待機すること(1018)、静止時の膜に対する膜の時変変位データを測定及び記録すること(1020)、及び、測定された膜の変位が所定範囲外であるか否かを判定すること(1022)である。
【0327】
[000309] ステップ1010、1014、1018、及び1022は、ステップ810、814、818、及び822とそれぞれ同一である。ステップ1012及び1020は、ステップ912及び920とそれぞれ同一である。
【0328】
[000310] ステップ1016(すなわち、膜211の機械的振動位相と逆位相になるように時変電界の位相を変更すること)は、記録した時変変位データを検索すること、記録した時変変位データから膜211の機械的振動位相を決定すること、並びに、コントローラ190を用いて、第1の電圧源111及び第2の減圧源211によって第1の電極118及び第2の電極218にそれぞれ印加される電圧の位相を変更して、結果として生じる時変電界の位相と膜211の機械的振動位相が逆相になるようにすること、によって実行される。
【0329】
[000311] 方法1000は、方法800、900に比べて、ホールドタイム(例えば、測定された膜211の変位が所定範囲内になるまで膜211の機械的振動が弱くなる回復時間)を短縮することができる。これにより、膜クリーニング装置100のスループットを向上させることができる。
【0330】
[000312] 膜211の固有の制振は小さいので、ホールドタイムは例えば10~100秒である。方法1000では、膜211上に誘発された圧力がリアルタイムで膜211の測定された変位に対抗することができ、膜211の固有の制振に頼る場合に比べてホールドタイムを10~100分の1に短縮できる。このため、方法1000は、機械的振動を誘発した時間よりも速く機械的振動を抑えることができる。
【0331】
[000313] 方法1000は、膜211と電極118、218との間のギャップを小さくすることによって膜クリーニング装置100の効率を上げることができる。例えば、クリーニング圧力シーケンスは、本質的に不安定な構成で実行され得る。ただし、これは、膜211の機械的振動位相と逆相の時変電界を迅速に提供することで、不安定性が現れるのを防止できること、及び、膜211の機械的振動の振幅がクリティカルになる前に(すなわち、膜211の測定された変位が所定範囲を超える前に)機械的振動を抑制できることが条件である。
【0332】
[000314]
図17は、本発明に従った膜クリーニング装置1100の代替的な実施形態及び膜211を示す。
図17の装置1100は、第1のクリーニング部110を含まないこと以外は
図9の装置100と同一である。
【0333】
[000315] 上述した様々な装置及び方法は単なる例示であり、特許請求の範囲は上述した装置及び方法に限定されないことは理解されよう。添付の特許請求の範囲から逸脱することなく上述した装置及び方法に様々な変更を実施できることは、当業者には理解されよう。
【0334】
[000316] 例えば
図9に関して、膜211は、導電性コーティング209から接地へのギャップ(例えば1~10cm)を介した直接的な容量結合によって接地されるのではなく、膜211は、導電性フレーム108及び/又は可動ステージ106を介した容量結合によって接地してもよい。
【0335】
[000317]
図9に関して、膜211は、導電性コーティング209から接地へのギャップ(例えば1~10cm)を介した直接的な容量結合によって接地されるのではなく、膜211は、導電性コーティング209の外側部分を接地に接続する電線によって接地してもよい。
【0336】
[000318]
図9に関して、膜211を接地するのではなく、膜211を接地に対してDCバイアスしてもよい。
【0337】
[000319]
図9に関して、近接センサ116、216は、膜211の低機械的振動固有モードの周波数よりも高い頻度で膜211の変位を検知するよう動作可能であるのでなく、比較的低速の近接センサを用いてもよい。比較的低速の近接センサは、膜211の機械的振動の低固有モードの周波数と実質的に同じ頻度で膜211の変位を検知するよう動作可能であり得る。
【0338】
[000320] リニアアクチュエータ112、212は膜211のクリーニング中は使用されず、可動ステージ106は膜211の機械的振動周波数に対して低速で(例えば100μm/s未満で)移動するので、近接センサ116、216が測定する変化は、膜211の機械的振動に起因する。
【0339】
[000321] 近接センサ116、216は、100Hz、1000Hz、10,000Hzのうち少なくとも1つよりも高い頻度で膜211の変位を測定するように動作し得る。
【0340】
[000322] 近接センサ116、216は、1000Hz、10,000、100,000Hzのうち少なくとも1つよりも低い頻度で膜211の変位を測定するように動作し得る。
【0341】
[000323]
図9に関して、膜211の機械的振動を検知するため、及び電極118、218と膜211との間のギャップを設定するために近接センサ116、216を用いるのではなく、近接センサ116、216に対して追加の近接センサを提供してもよい。
【0342】
[000324] 膜211の機械的振動を検知するために追加の近接センサを使用し、電極118、218と膜211との間のギャップを設定するために近接センサ116、216を使用してもよい。膜211の機械的振動、及び電極118、218と膜211との間のギャップの測定は、交互に行えばよい。これにより、個々の変位測定の絶対精度を犠牲にして、より頻度の高い変位測定を実行することができる。これは、機械的振動の振幅が大きい(例えば>200μm)場合に好ましい。
【0343】
[000325] 方法800に関して、測定された膜211の変位が所定範囲外であると判定された場合にステップ822からステップ818に戻るのでなく、方法800はステップ816に戻ってもよい。
【0344】
[000326] 方法900に関して、測定された膜211の変位が所定範囲外であると判定された場合にステップ922からステップ918に戻るのでなく、方法900はステップ916に戻ってもよい。
【0345】
[000327] 方法1000に関して、測定された膜211の変位が所定範囲外であると判定された場合にステップ1022からステップ1018に戻るのでなく、方法1000はステップ1016に戻ってもよい。
【0346】
[000328] 方法1000に関して、膜211の機械的振動位相と逆位相になるように時変電界の位相を変更することを含むステップ1060に加えて、時変電界の振幅を増大させることで、より大きい静電力を加えて、時変電界の振幅を増大させない場合よりも迅速に膜211の機械的振動を抑えるようにしてもよい。
【0347】
[000329] 方法800、900、及び1000に関して、ステップ816、916、及び1060で時変電界の少なくとも1つの特徴を制御し、ホールドタイムの間、待機し(818)(この間に膜211の最大変位は所定の変位範囲内に戻る)、その後、ステップ810、910、1010で、時変電界の少なくとも1つの特徴をホールドタイム前の値に戻すのではなく、膜から粒子を除去する方法が完了するまで時変電界の少なくとも1つの特徴を制御してもよい。異なる表現をすると、膜211の所与の局所部分がクリーニングされるか又は膜211全体がクリーニングされるまで、時変電界の少なくとも1つの特徴を制御してもよい。
【0348】
[000330] 本明細書で開示又は説明されている各特徴は、単独で、又は本明細書で開示もしくは説明されている他のいずれかの特徴と組み合わせて、上述した様々な装置及び方法のいずれかに組み込むことができる。添付図面を参照して上述した装置又は方法のいずれかの特徴のうち1つ以上は、同じ装置又は方法の他の特徴のうち1つ以上とは別個に用いられた場合に効果を生成するか又は利点を提供することができる。上述した装置及び方法の特徴の特定の組み合わせ以外に、様々な特徴の組み合わせが可能である。
【0349】
[000331] 前述の記載及び添付の特許請求の範囲において、「~よりも上方(above)」、「~に沿って(along)」、「側(side)」等の位置に関する用語は、添付図面に示されているもの等の概念図を基準にしていることは、当業者には理解されよう。これらの用語は参照を容易にするため用いられるが、限定的な性質は意図していない。従って、これらの用語は、添付図面に示されているような向きの物体を表すものと理解される。
【0350】
[000332] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。考えられる他の用途は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。
【0351】
[000333] 本明細書ではリソグラフィ装置に関連して本発明の実施形態について具体的な言及がなされているが、本発明の実施形態は他の装置に使用することもできる。本発明の実施形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置、又はウェーハ(あるいはその他の基板)もしくはマスク(あるいはその他のパターニングデバイス)などのオブジェクトを測定又は処理する任意の装置の一部を形成してよい。これらの装置は一般にリソグラフィツールと呼ばれることがある。このようなリソグラフィツールは、真空条件又は周囲(非真空)条件を使用することができる。
【0352】
[000334] 以上では光学リソグラフィと関連して本発明の実施形態の使用に特に言及しているが、本発明は、例えばインプリントリソグラフィなど、その他の適用例において使用されてもよく、文脈が許す限り、光学リソグラフィに限定されないことが理解されるであろう。
【0353】
[000335] 文脈上許される場合、本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組み合わせにおいて実装することができる。本発明の実施形態は、1つ以上のプロセッサにより読み取られて実行され得る、機械可読媒体に記憶された命令として実装することも可能である。機械可読媒体は、機械(例えばコンピューティングデバイス)により読み取り可能な形態で情報を記憶又は伝送するための任意の機構を含むことができる。例えば機械可読媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音響又は他の形態の伝搬信号(例えば搬送波、赤外信号、デジタル信号など)、及び他のものを含むことができる。更に、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令は、特定のアクションを実行するものとして本明細書で説明されることがある。しかしながら、そのような説明は単に便宜上のものであり、そのようなアクションは実際には、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行するコンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、又は他のデバイスから生じ、実行する際、アクチュエータ又は他のデバイスが物質世界と相互作用し得ることを理解すべきである。
【0354】
[000336] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることは理解されよう。上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置で使用されるコンポーネントをクリーニングするための装置であって、前記装置は少なくとも1つのクリーニングモジュール又は複数のクリーニングモジュールを備え、
前記少なくとも1つのクリーニングモジュール又は前記複数のクリーニングモジュールは複数のクリーニング機構を含み、
前記複数のクリーニング機構は、
前記コンポーネントへの前記粒子の付着を低減するための少なくとも1つの準備機構及び前記コンポーネントから粒子を除去するための少なくとも1つの除去機構、又は、前記コンポーネントから粒子を除去するための複数の除去機構を含む、装置。
【請求項2】
前記装置は前記複数のクリーニングモジュールを備え、前記装置は、クリーニングのために前記コンポーネントが前記複数のクリーニングモジュールを順次通過できるように構成されている、請求項1の装置。
【請求項3】
前記クリーニングモジュール又は複数のクリーニングモジュールは、前記コンポーネントから粒子を除去するための少なくとも1つの分離モジュールを含む、請求項1又は2の装置。
【請求項4】
前記分離モジュールは、前記コンポーネントから粒子を除去している間又は除去する前のいずれかにおいて前記コンポーネントへの前記粒子の付着を低減するためのものである、請求項3の装置。
【請求項5】
前記クリーニングモジュールは、
複数の分離モジュール、及び/又は、
少なくとも1つの分離モジュール及び前記コンポーネントへの粒子の付着を低減するための少なくとも1つの準備モジュールを含む、請求項4の装置。
【請求項6】
前記クリーニングモジュール又は複数のクリーニングモジュールは真空下又は制御されたガス環境下に維持されている、請求項1又は2の装置。
【請求項7】
前記除去機構及び/又は前記準備機構は真空発生機構を含む、請求項1又は2の装置。
【請求項8】
前記準備機構は、真空環境で前記コンポーネント及び/又は前記粒子を乾燥させる熱を発生するように構成された熱発生機構を含む、請求項1又は2の装置。
【請求項9】
前記熱発生機構は放射加熱器を含み、好ましくはレーザ又はIRランプを含む、請求項8の装置。
【請求項10】
前記熱発生機構は、前記コンポーネントの境界への前記放射熱が1W/cm
2未満である、前記コンポーネントの境界がヒートシンクと接触して前記境界の温度が400C未満を維持する、及び/又は、前記コンポーネントにおける放射熱電力密度が10W/cm
2未満である、好ましくは1~5W/cm
2又は2~5W/cm
2の範囲である、のうち少なくとも1つであるように構成されている、請求項8の装置。
【請求項11】
前記準備機構は、前記コンポーネントに隣接して又は前記コンポーネントの周囲でプラズマを発生させるためのプラズマ発生機構を含む、請求項1又は2の装置。
【請求項12】
前記プラズマ発生機構は、還元剤、水素、希ガス、還元剤と酸化剤、及び/又は水素と水のうち少なくとも1つによってプラズマを発生させるように構成されている、請求項11の装置。
【請求項13】
前記コンポーネントは、ペリクル、EUV透明フィルム、動的ガスロック膜、又はEUVスペクトル純度フィルタのうち少なくとも1つである、請求項1又は2の装置。
【請求項14】
膜から粒子を除去するための膜クリーニング装置であって、
前記膜を支持するための膜サポートと、
前記膜から粒子を除去するため、前記膜サポートによって支持された場合の前記膜の機械的振動を誘発するための時変電界発生器と、
前記膜サポートによって支持された場合の静止時の前記膜に対する前記膜の変位を測定するための少なくとも1つの変位センサと、
前記膜の前記測定された変位が所定範囲外であるか否かを判定すると共に、前記膜の前記測定された変位が前記所定範囲外である場合に前記時変電界の少なくとも1つの特徴を変更するように前記時変電界発生器を制御するよう動作可能なコントローラと、
を備える、装置。
【請求項15】
リソグラフィ装置で使用されるコンポーネントをクリーニングする方法であって、
装置の1つのクリーニングモジュール又は複数のクリーニングモジュールにおいて前記コンポーネントをクリーニングすることを含み、このクリーニングは、
前記コンポーネントから粒子を除去するための少なくとも1つの除去機構及び前記コンポーネントへの前記粒子の付着を低減するための少なくとも1つの準備機構、又は、
前記コンポーネントから粒子を除去するための複数の除去機構を用いる、方法。
【請求項16】
リソグラフィ装置で使用される、膜から粒子を除去する方法であって、
前記膜から粒子を除去するため、時変電界を用いて前記膜の機械的振動を誘発することと、
静止時の前記膜に対する前記膜の変位を測定することと、
前記膜の前記測定された変位が所定範囲外であるか否かを判定することと、
前記膜の前記測定された変位が前記所定範囲外である場合に前記時変電界の少なくとも1つの特徴を制御することと、
を含む方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、リソグラフィ装置のコンポーネントを準備及び/又はクリーニングするための装置及び方法に関する。更に特定すれば、コンポーネントはペリクルである。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に適用するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造に使用可能である。リソグラフィ装置は、例えばパターニングデバイス(例えばマスク)でのパターンを、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)の層に投影することができる。
【0003】
[0003] 基板上にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を使用することができる。この放射の波長は、基板上に形成可能なフィーチャの最小サイズを決定する。4~20nmの範囲内、例えば6.7nm又は13.5nmの波長を有する極端紫外線(EUV)放射を使用するリソグラフィ装置は、例えば193nmの波長を有する放射を使用するリソグラフィ装置よりも小さいフィーチャを基板上に形成するのに使用することができる。
【0004】
[0004] リソグラフィにおけるペリクルの使用は、周知であり、定着している。使用時、ペリクルは、パターニングデバイス(レチクル)の前に配置される。これにより、リソグラフィ装置の汚染からレチクルを保護するが、ペリクル自体から汚染が加わる可能性がある。ペリクルはレチクルに極めて近く(約2mm)、ペリクルの汚染はレチクル欠陥の大きなリスクになる。従って、ペリクルの実現可能性にとってペリクルのきれいな表面は非常に重要である。
【0005】
[0005] DUV又はEUVリソグラフィ装置における典型的なペリクルは、パターニングデバイスから離して位置付けられて使用時はリソグラフィ装置の焦点面外にある膜である。ペリクルはリソグラフィ装置の焦点面外にあるので、ペリクル上に載っている汚染粒子はリソグラフィ装置の焦点外にある。従って、汚染粒子の像は基板に投影されない。もしもペリクルが存在しなければ、パターニングデバイス上に載っている汚染粒子は基板に投影され、投影されたパターンに欠陥を生じる。
【0006】
[0006] EUVリソグラフィ装置でペリクルを使用することが望ましい場合がある。EUVリソグラフィは、典型的に真空内で実行され、パターニングデバイスが典型的に透過型でなく反射型である点が、DUVリソグラフィとは異なる。ペリクルは膜と呼ばれることがある。
【0007】
[0007] ペリクルは、極めて清潔な条件下で生成される。しかしながら、ペリクルはそれでもなお汚染粒子を含む可能性がある。これらの粒子の各々はリスクであり、もしもリソグラフィ装置内でペリクルから解放され、ペリクル裏側からパターニングデバイス(レチクル)前側へ移動したら、欠陥問題となり得る。これらの汚染粒子によって欠陥が印刷され、結果として生産性の損失を招く恐れがある。
【0008】
[0008] 従来技術に関連した1つ以上の問題を克服又は軽減する、ペリクルをクリーニングする(すなわち、ペリクルがリソグラフィ装置内に入る前に粒子を除去する)ための装置及び方法を提供することが望ましい。本明細書において記載される本発明の例は、EUVリソグラフィ装置に使用され得る。また、本発明の例は、DUVリソグラフィ装置及び/又は別の形態のリソグラフィツールにも使用され得る。
【発明の概要】
【0009】
[0009] 本発明の第1の態様によれば、リソグラフィ装置で使用されるコンポーネントをクリーニングするための装置が提供される。装置は、少なくとも1つのクリーニングモジュール又は複数のクリーニングモジュールを備え、少なくとも1つのクリーニングモジュール又は複数のクリーニングモジュールは複数のクリーニング機構を含み、複数のクリーニング機構は、コンポーネントへの粒子の付着を低減するための少なくとも1つの準備機構及びコンポーネントから粒子を除去するための少なくとも1つの除去機構、又は、コンポーネントから粒子を除去するための複数の除去機構を含む。
【0010】
[00010] これは、リソグラフィ装置LA内で解放される可能性のある粒子のかなりの量、ほとんどの量、又は全てを除去する利点を有し得る。装置は、他の以前の方法よりも効果的にコンポーネントをクリーニングする(すなわち、より多くの粒子を除去する及び/又はより迅速に粒子を除去する)ことができる。複数のクリーニング機構を使用することは、単一のクリーニング機構(又はストレッサ(stressor))を使用して可能となり得るよりも多くの粒子又は様々な粒子をクリーニングできるという利点を有する。
【0011】
[00011] コンポーネントのクリーニングは、粒子の除去を準備する(例えばコンポーネントへの粒子の付着を低減する)こと、及び(コンポーネントから)粒子を除去することの双方を含み得る。
【0012】
[00012] 準備機構は除去機構の前に使用され得る。すなわち、それらは順次使用され得る。準備機構及び除去機構は同時に使用され得る。すなわち、コンポーネントへの粒子の付着の低減とコンポーネントからの粒子の除去は同時に行われ得る。
【0013】
[00013] 少なくとも1つのクリーニングモジュールは、複数のクリーニング機構を含み得る。複数のクリーニングモジュールは、全体で複数のクリーニング機構を含み得る。すなわち、1つのクリーニングモジュールは1つのクリーニング機構を含み、別のクリーニングモジュールは別のクリーニング機構を含み得る。クリーニングモジュールのうち1つ以上は、それぞれ複数のクリーニング機構を含み得る。
【0014】
[00014] 装置は複数のクリーニングモジュールを含み得る。装置は、クリーニングのためにコンポーネントが複数のクリーニングモジュールを順次通過できるように構成され得る。
【0015】
[00015] 1又は複数のクリーニングモジュールは、コンポーネントから粒子を除去するための少なくとも1つの分離モジュールを含み得る。
【0016】
[00016] 装置は、モジュール間でコンポーネントを移動させるためのロボットモジュールを含み得る。
【0017】
[00017] 装置は、複数の部品を含む部品(例えばペリクル)ライブラリモジュールを含み得る。
【0018】
[00018] 装置は、装置の外側から装置の内側の真空を分離するための真空チャンバモジュールを含み得る。
【0019】
[00019] 分離モジュールは、コンポーネントから粒子を除去している間又は除去する前のいずれかにおいてコンポーネントへの粒子の付着を低減するためのものであり得る。これは、粒子除去の効率が増大し得ることを意味する。
【0020】
[00020] クリーニングモジュールは、複数の分離モジュール、及び/又は、少なくとも1つの分離モジュール及びコンポーネントへの粒子の付着を低減するための少なくとも1つの準備モジュールを含み得る。
【0021】
[00021] 1又は複数のクリーニングモジュールは、真空下又は制御されたガス環境下に維持することができる。
【0022】
[00022] 真空又は制御されたガス環境は、クリーニングモジュール間で維持することができる(例えば、付着低減を維持し、より多くの粒子がコンポーネントに載らないようにするため、準備モジュールから分離モジュールまで)。制御されたガス環境は、所定のガス/圧力/温度を有し得る。真空下又は制御されたガス環境下において、クリーニングモジュール間でコンポーネントを移動させることができる。
【0023】
[00023] 除去機構及び/又は準備機構は真空発生機構を含み得る。
【0024】
[00024] 真空発生機構によって発生した真空は、コンポーネントへの粒子の付着の低減又はコンポーネントからの粒子の除去を少なくとも支援することができる。
【0025】
[00025] 準備機構は、真空環境でコンポーネント及び/又は粒子を乾燥させる熱を発生するように構成された熱発生機構を含み得る。
【0026】
[00026] 真空環境における水蒸気又は他の酸素含有ガス圧は、1E-4Pa未満、1E-5Pa未満、1E-6Pa未満、又は1E-7Pa未満のうち少なくとも1つの圧力を有し得る。
【0027】
[00027] 熱発生機構は放射加熱器を含み得る。
【0028】
[00028] 熱発生機構は、コンポーネントの境界への放射熱が1W/cm2未満であるように、及び/又は境界がヒートシンクと接触して境界温度が400C未満を維持するように構成され得る。
【0029】
[00029] 放射加熱器はレーザ又はIRランプとすればよい。レーザは、0.5~5μmの範囲内の波長を有し得る。コンポーネントは、全体が同時に、又はセグメントごとに加熱され得る。
【0030】
[00030] コンポーネントにおける放射熱電力密度は、10W/cm2、好ましくは1~5W/cm2又は2~5W/cm2の範囲であり得る。放射加熱器は、0.1~1000秒又は10~1000秒の範囲でコンポーネントにおいて1~5W/cm2の範囲内の電力密度を与えるように構成され得る。
【0031】
[00031] 準備機構は、コンポーネントに隣接して又はコンポーネントの周囲でプラズマを発生させるためのプラズマ発生機構を含み得る。これは、粒子の内部及び周囲にトラップされた水を含む水のガス放出(outgassing)を促進することができる。これは、粒子の組成及び/又はラフネスを変化させ得る。
【0032】
[00032] プラズマ発生機構は、還元剤、水素、希ガス、還元剤と酸化剤、及び/又は水素と水のうち少なくとも1つによってプラズマを発生させるように構成され得る。
【0033】
[00033] 還元剤と酸化剤との比は100より大きく、好ましくは1000より大きくすることができる。還元剤の濃度は、酸化剤の濃度に比べてはるかに高くすることができる。これは、コンポーネント(例えばペリクル)の機械的特性(強度と張力)及び光学特性(透過と反射)を維持することを保証するためであり得る。還元剤の濃度は、酸化剤の濃度よりも1000倍高くすることができる。
【0034】
[00034] プラズマ発生機構は、1mW/cm2~1W/cm2の範囲内のコンポーネントに対する電力損失によってプラズマを発生させるように構成され得る。
【0035】
[00035] 準備機構は、除去対象の粒子を有するコンポーネントの側に入射する電子ビームを発生させるための電子ビーム発生機構を含み得る。
【0036】
[00036] 電子ビーム発生機構は、還元剤、水素、還元剤と酸化剤、及び/又は水素と水のうち少なくとも1つを含む環境において電子ビームを発生させるように構成され得る。
【0037】
[00037] 還元剤と酸化剤との比は100より大きく、好ましくは1000より大きくすることができる。
【0038】
[00038] プラズマ発生のための圧力は0.01Pa~100Paの範囲内であり、好ましくは0.1Pa~10Paの範囲内とすればよい。
【0039】
[00039] 環境は、0.01Pa~10Paの範囲内の圧力を有し得る。
【0040】
[00040] 電子ビーム発生機構は30~3000eVの範囲内のエネルギを有するように構成することができ、コンポーネントにおける電流密度は10uA/cm2~10mA/cm2の範囲内であり、及び/又はコンポーネントにおける電力損失は1W/cm2未満であり得る。
【0041】
[00041] 準備機構は、コンポーネントに入射するVUV又はEUV光子を発生させるためのVUV又はEUV光子発生機構を含み得る。
【0042】
[00042] VUV又はEUV光子発生機構は、還元剤、水素、還元剤と酸化剤、及び/又は水素と水のうち少なくとも1つを含む環境においてVUV又はEUV光子を発生させるように構成され得る。
【0043】
[00043] VUV又はEUV光子発生機構は、1W/cm2未満のコンポーネントに対する電力損失でVUV又はEUV光子を発生させるように構成され得る。
【0044】
[00044] 準備機構は、コンポーネントに隣接して又はコンポーネントの周囲で水素ラジカルを発生させるためのラジカル発生機構を含み得る。
【0045】
[00045] ラジカル発生機構は、プラズマ発生機構及び/又はホットフィラメントのうち少なくとも1つを含み得る。
【0046】
[00046] 除去機構は、コンポーネントの機械的振動を発生させるための振動発生機構を含み得る。
【0047】
[00047] 振動発生機構は、少なくとも1つの励起電極と、少なくとも1つの励起電極及びコンポーネントを通して時変電圧を印加するための機構と、を含み得る。
【0048】
[00048] 除去機構は、コンポーネントに入射するVUV光子を発生させるためのVUV光子発生機構を含み得る。
【0049】
[00049] VUV光は、20~200nm(62eV~6.2eV)の範囲内の波長を有し得る。
【0050】
[00050] VUV光子は粒子とコンポーネントを帯電させ得る。
【0051】
[00051] VUV光子は、クリーニングされるコンポーネントの表面(例えばペリクルのレチクルを向いている側)、又はコンポーネントの反対側の表面に入射し得る(例えばVUV光はペリクルを通過し得る)。クリーニングされるコンポーネントの表面とは反対側の表面に入射する光は、粒子とコンポーネントとの間で電離を増大させ、これにより反発及びクリーニング効果を最大化することができる。
【0052】
[00052] VUV光子発生機構は、コンポーネントの実質的に全ての表面を一度に照明するか又は表面の一部を照明するためのVUV光子ビームを発生するように構成され、VUV光子ビームは、コンポーネントの全ての表面を照明するようにスキャン可能であり得る。
【0053】
[00053] 除去機構は、コンポーネントに隣接して又はコンポーネントの周囲でプラズマを発生させるためのプラズマ発生機構を含み得る。
【0054】
[00054] プラズマは粒子を帯電させ得る。プラズマ/ガス流は粒子をキックする(kick)ことができる。
【0055】
[00055] 除去機構は、コンポーネントから離れる方への粒子移動を誘発するための熱発生機構を含み得る。
【0056】
[00056] 熱発生機構はレーザとすることができる。
【0057】
[00057] 除去機構は、コンポーネントから離れる方へ粒子を輸送するための電界発生機構を含み得る。
【0058】
[00058] 電界発生機構は、コレクタ電極と、コンポーネント及びコレクタ電極を通して電圧を印加するための機構と、を含み得る。
【0059】
[00059] 2つのコレクタ電極が存在し得る。
【0060】
[00060] コレクタ電極に粒子が張り付いた状態でコンポーネントを除去することができる。これは、コレクタ電極に対する電力をオフにした場合に粒子がコンポーネントに戻れないようにするためであり得る。
【0061】
[00061] コレクタ電極は、コンポーネントの実質的に全てを覆うプレート又は電極のグリッドを含み得る。
【0062】
[00062] 装置は、コレクタ電極に対する電力供給をオフにした場合に粒子がコンポーネントに戻るのを防ぐように構成された1つ以上のシールドを含み得る。
【0063】
[00063] シールドは格納式であり得る。
【0064】
[00064] 除去機構は、除去対象の粒子を有するコンポーネントの側に入射する電子ビームを発生させるための電子ビーム発生機構を含み得る。
【0065】
[00065] 電子ビーム発生機構は、80eVを超えるエネルギを有する電子ビームを生成するように構成され得る。
【0066】
[00066] 電子ビーム発生機構は、電子ビームがパルス状であるように構成され得る。
【0067】
[00067] 電子ビームはプラズマと組み合わされる。電子ビーム(パルス状又は連続的)は、プラズマ源(プラズマ発生機構)がプラズマ(パルス状又は連続的であり得る)を提供するのと同時にコンポーネントに入射し得る。プラズマ及び電子ビームからの電子は、コンポーネントにおいて同時に又は交互に存在し得る。
【0068】
[00068] 電子ビーム発生機構は、粒子及び/又はコンポーネントを結像するための走査電子顕微鏡を含み得る。
【0069】
[00069] 装置は、静止時のコンポーネントに対するコンポーネントの変位を測定するための少なくとも1つの変位センサと、コンポーネントの測定された変位が所定範囲外であるか否かを判定すると共に、コンポーネントの測定された変位が所定範囲外である場合に時変電界の少なくとも1つの特徴を変更するように時変電界を印加するための機構を制御するよう動作可能なコントローラと、を含み得る。
【0070】
[00070] 変位は動的であり、コンポーネント内の張力がかかっている膜の低固有モードに対応し得る。
【0071】
[00071] 装置は、1つ以上の追加のクリーニングモジュールを装置に追加できるように構成され得る。
【0072】
[00072] コンポーネントは、ペリクル、EUV透明膜、動的ガスロック膜、又はEUVスペクトル純度フィルタのうち少なくとも1つであり得る。
【0073】
[00073] 膜(例えばペリクル)は、膜クリーニング中に損傷を受ける可能性がある。具体的には、時変電界発生器(例えば少なくとも1つの電極)を用いて膜の機械的振動を誘発する場合、暴走障害(run-away failure)が発生し、膜の剛性は電極によって発生した静電力に抵抗できなくなる可能性がある。この場合、膜は変形し、ついには電極に接触して損傷を受ける。
【0074】
[00074] 2つの電極が膜の両側にほぼ等しい圧力を加える場合であっても、暴走障害はリスクである。膜は、以下の式に従って、剛性係数(k)[N/mm]で瞬間変形(h)[mm]に抵抗する力(Fspring)[N]を与える。
【0075】
【0076】
[00075] 剛性係数(k)は、110~100N30N/mmの範囲内とすることができ、典型的には10N/mmである。変形(h)が、膜と電極の一方との間のギャップに相当するまでになった場合、2つの電極によって発生した静電力は不安定となる。2つの電極によって発生した静電力が不均衡(不安定)になった場合、暴走障害が発生する。
【0077】
[00076] 膜と電極との間のギャップが小さくなればなるほど、2つの電極によって発生した静電力が不均衡になるリスクが大きくなる。また、電極が大きくなればなるほど、2つの電極によって発生した静電力が不均衡になるリスクが大きくなる。2つの電極によって発生した静電力が不均衡になる感度がこのように高くなることは、電界の2乗による、従って膜と電極との間のギャップの逆2乗による圧力スケーリングの結果として生じる。この関係は以下の式に記載される。
【0078】
【0079】
[00077] ここで、Felectrodeは、電極の一方によって膜に加えられる力[N]であり、Pnomは、第1の電極と第2の電極との間で膜が等距離にある(かつ、膜が平坦である)場合の膜にかかる圧力[N/mm2]であり、Sは電極の断面[mm2]であり、Hは静止時の膜の位置[mm]であり、hは、(電極の突出部(projection)における)静止時の膜の位置からの膜位置のずれ[mm]である。
【0080】
[00078] Felectrode>Fspringである場合、膜の剛性は、電極のうち最も近い部分への引力に抵抗することができず、膜は電極の一方に接触するまで変形して機能しなくなる。
【0081】
[00079] 従って本開示は、膜から粒子を除去し、膜の暴走障害のリスクを少なくとも軽減するための方法及び装置を提供することを目的とする。
【0082】
[00080] 本発明の第2の態様によれば、膜から粒子を除去するための膜クリーニング装置が提供される。装置は、膜を支持するための膜サポートと、膜から粒子を除去するため、膜サポートによって支持された場合の膜の機械的振動を誘発するための時変電界発生器と、膜サポートによって支持された場合の静止時の膜に対する膜の変位を測定するための少なくとも1つの変位センサと、膜の測定された変位が所定範囲外であるか否かを判定すると共に、膜の測定された変位が所定範囲外である場合に時変電界の少なくとも1つの特徴を変更するように時変電界発生器を制御するよう動作可能なコントローラと、を備える。
【0083】
[00081] 有利には、膜から粒子を除去するための膜クリーニング装置は、膜の暴走障害のリスクを軽減する。有利には、膜から粒子を除去するための膜クリーニング装置は、膜の暴走障害のリスクなしに、(例えば粒子除去を改善するため)少なくとも1つの電極によって発生した時変電界の電界強度を増大することができる。有利には、膜から粒子を除去するための膜クリーニング装置は、膜の暴走障害のリスクなしに、(例えば粒子除去を改善するため)少なくとも1つの電極を膜に近付けて位置決めすることができる。
【0084】
[00082] 膜はペリクルを含み得る。
【0085】
[00083] 少なくとも1つの変位センサは、膜の低機械的振動固有モード、すなわち、モード1(例えば最低モード、単極)、モード2(例えば双極、長い側)、モード3(例えば双極、短い側)、モード4(例えば四極)、及び他の低周波数固有モード、のうち少なくとも1つの周波数と実質的に同じ頻度で(frequently)膜の変位を測定することができる。
【0086】
[00084] 有利には、低周波数固有モードのうち少なくとも1つの周波数と実質的に同じ頻度で膜の変位を測定することにより、使用する変位センサ(例えば近接センサ)の数を減らすことができる。
【0087】
[00085] 少なくとも1つの変位センサは、100Hz、1000Hz、10,000Hzのうち少なくとも1つよりも高い頻度で膜の変位を測定し得る。
【0088】
[00086] 少なくとも1つの変位センサは、1000Hz、10,000Hz、100,000Hzのうち少なくとも1つ未満の頻度で膜の変位を測定し得る。
【0089】
[00087] 少なくとも1つの変位センサは、膜の低機械的振動固有モード、すなわち、モード1(例えば最低モード、単極)、モード2(例えば双極、長い側)、モード3(例えば双極、短い側)、モード4(例えば四極)のうち少なくとも1つの周波数よりも高い頻度で膜の変位を測定することができる。
【0090】
[00088] 有利には、低周波数固有モードよりも高い頻度で膜の変位を測定することにより、膜の機械的振動の振幅、周波数、位相のうち少なくとも1つをより良好に決定できる。
【0091】
[00089] 所定の変位範囲は、静止時の膜に対する膜の少なくとも局所部分の変位であって、大きさが10μm、100μm、1000μmのうち少なくとも1つよりも小さい変位を含み得る。
【0092】
[00090] 少なくとも1つの変位センサは、静止時の膜の少なくとも局所部分に対する膜の局所部分の変位を測定するように構成され得る。
【0093】
[00091] 第1の変位センサは、静止時の膜の局所部分に対する膜の局所部分の第1の励起電極に近接した変位を測定するように構成され得る。第2の変位センサは、静止時の膜の局所部分に対する膜の局所部分の第2の励起電極に近接した変位を測定するように構成され得る。
【0094】
[00092] 使用時、電極は膜から等距離に位置決めされ得る。電極を膜から等距離にすることで、膜の励起のバランスを取ることができる。例えば、電極はアクティブである間は膜に対して反対方向の力を加え、組み合わせた電極からの膜に対する時間平均力は、電極のいずれか1つからの時間平均力の10%未満(例えば、好ましくは1%未満)である。
【0095】
[00093] コントローラは、膜の測定された最大変位に基づいて、膜の測定された変位が所定範囲外であるか否かを判定するように動作可能であり得る。
【0096】
[00094] コントローラは、時変電界の以下の特徴、すなわち、振幅、周波数、位相のうち少なくとも1つを変更することによって、膜の最大変位を小さくするように時変電界発生器を制御するよう動作可能であり得る。
【0097】
[00095] コントローラは、少なくとも2つのモードに対して、時変電界の振幅を小さくすること、時変電界の周波数と膜の機械的振動周波数との間の重複を低減又は除去するように時変電界の周波数を変更すること、膜の機械的振動位相と逆位相になるように時変電界の位相を変更すること、のうち少なくとも1つによって膜の最大変位を小さくするように時変電界発生器を制御するよう動作可能であり得る。
【0098】
[00096] 有利には、膜の機械的振動位相と逆位相になるように時変電界の位相を変更することで、他の方法よりも迅速に膜の機械的振動を抑えることができる。
【0099】
[00097] コントローラは、測定された変位及び各変位測定の測定時間を時変変位データとして記録するように動作可能であり得る。
【0100】
[00098] コントローラは、時変変位データを周波数ドメインに変換するように動作可能であり、膜の少なくとも1つの機械的振動周波数を抽出し得る。時変変位データの周波数ドメインへの変換は、高速フーリエ変換の使用を含む。
【0101】
[00099] コントローラは、膜の最大変位が所定の変位範囲内に戻るホールドタイムで時変電界の少なくとも1つの特徴を制御し、次いで時変電界の少なくとも1つの特徴をホールドタイム前の値に戻すことによって、膜の最大変位を小さくするため時変電界の特徴のうち少なくとも1つを変更するように時変電界発生器を制御するよう動作可能であり得る。
【0102】
[000100] コントローラは、膜から粒子を除去するための装置が膜からの粒子除去を終了するまで、膜の最大変位を小さくするように時変電界の少なくとも1つの特徴を制御することによって、膜の最大変位を小さくするため時変電界の特徴のうち少なくとも1つを変更するように時変電界発生器を制御するよう動作可能であり得る。
【0103】
[000101] 時変電界発生器は、膜サポートによって支持された場合の膜の表面に近接して位置決めされた少なくとも1つの励起電極と、少なくとも1つの励起電極を通して時変電圧を印加して、膜サポートによって支持された場合の膜の機械的振動を誘発するための時変電界を発生させるための機構と、を含み得る。
【0104】
[000102] 少なくとも1つの時変電界発生器は、第1の励起電極及び第2の励起電極であって、各電極は膜サポートによって支持された場合の膜の2つの反対側の面のうち異なるものに近接して位置決め可能である、第1の励起電極及び第2の励起電極と、第1の励起電極及び第2の励起電極を通して時変電圧を印加して、膜サポートによって支持された場合の膜の機械的振動を誘発するための時変電界を発生させるための機構と、を含み得る。
【0105】
[000103] 時変電界発生器は、第1の電極に印加された時変電圧と第2の電極に印加された時変電圧との間に非ゼロの位相差が存在するように構成され得る。
【0106】
[000104] 本発明の第3の態様によれば、リソグラフィ装置で使用されるコンポーネントをクリーニングする方法が提供される。この方法は、装置の1つのクリーニングモジュール又は複数のクリーニングモジュールにおいてコンポーネントをクリーニングすることを含み、このクリーニングは、コンポーネントから粒子を除去するための少なくとも1つの除去機構及びコンポーネントへの粒子の付着を低減するための少なくとも1つの準備機構、又は、コンポーネントから粒子を除去するための複数の除去機構を用いる。
【0107】
[000105] 装置は複数のクリーニングモジュールを含み得る。方法は更に、クリーニングのためコンポーネントをクリーニングモジュールに順次通過させることを含み得る。
【0108】
[000106] 方法は更に、コンポーネントから粒子を除去するための複数の分離モジュールにコンポーネントを通過させること、及び/又は、コンポーネントへの粒子の付着を低減するための少なくとも1つの準備モジュールにコンポーネントを通過させ、次いで少なくとも1つの分離モジュールにコンポーネントを通過させることを含み得る。コンポーネントを最初に準備モジュールに通過させることは、分離モジュールでコンポーネントからの粒子除去を実行した場合に、可能であったよりも多くの粒子を除去できることを意味する(すなわち、準備モジュールでコンポーネントを処理した後、分離モジュールの粒子除去の効率は著しく増大する)。
【0109】
[000107] 除去機構は、時変電界を用いてコンポーネントの機械的振動を発生させるための振動発生機構を含み得る。方法は更に、静止時のコンポーネントに対するコンポーネントの変位を測定することと、コンポーネントの測定された変位が所定範囲外であるか否かを判定することと、コンポーネントの測定された変位が所定範囲外である場合に時変電界の少なくとも1つの特徴を制御することと、を含み得る。
【0110】
[000108] 本発明の第4の態様によれば、リソグラフィ装置で使用される、膜から粒子を除去する方法が提供される。この方法は、膜から粒子を除去するため、時変電界を用いて膜の機械的振動を誘発することと、静止時の膜に対する膜の変位を測定することと、膜の測定された変位が所定範囲外であるか否かを判定することと、膜の測定された変位が所定範囲外である場合に時変電界の少なくとも1つの特徴を制御することと、を含み得る。
【0111】
[000109] 有利には、膜から粒子を除去する方法は、膜の暴走障害のリスクを軽減する。有利には、膜から粒子を除去する方法は、膜の暴走障害のリスクなしに、(例えば粒子除去を改善するため)少なくとも1つの電極によって発生した時変電界の電界強度を増大することができる。有利には、膜から粒子を除去する方法は、膜の暴走障害のリスクなしに、(例えば粒子除去を改善するため)少なくとも1つの電極を膜に近付けて位置決めすることができる。
【0112】
[000110] 膜はペリクルを含み得る。
【0113】
[000111] 方法は、膜の低機械的振動固有モード、すなわち、モード1(例えば最低モード、単極)、モード2(例えば双極、長い側)、モード3(例えば双極、短い側)、モード4(例えば四極)のうち少なくとも1つの周波数と実質的に同じ頻度で膜の変位を測定することを含み得る。
【0114】
[000112] 有利には、低周波数固有モードのうち少なくとも1つの周波数と実質的に同じ頻度で膜の変位を測定することにより、使用する変位センサ(例えば近接センサ)の数を減らすことができる。
【0115】
[000113] 方法は、1Hz、10Hz、100Hz、1000Hz、10,000Hzのうち少なくとも1つよりも高い頻度で膜の変位を測定することを含み得る。
【0116】
[000114] 方法は、10Hz、100Hz、1000Hz、10,000Hzのうち少なくとも1つ未満の頻度で膜の変位を測定することを含み得る。
【0117】
[000115] 方法は、膜の低機械的振動固有モード、すなわち、モード1(例えば最低モード、単極)、モード2(例えば双極、長い側)、モード3(例えば双極、短い側)、モード4(例えば四極)のうち少なくとも1つの周波数よりも高い頻度で膜の変位を測定することを含み得る。
【0118】
[000116] 有利には、低周波数固有モードよりも高い頻度で膜の変位を測定することにより、膜の機械的振動の振幅、周波数、位相のうち少なくとも1つをより良好に決定できる。
【0119】
[000117] 静止時の膜に対する膜の変位を測定することは、静止時の膜の少なくとも局所部分に対する膜の局所部分の変位を測定することを含み得る。
【0120】
[000118] 所定の変位範囲は、静止時の膜に対する膜の少なくとも局所部分の変位であって、大きさが10μm、100μm、1000μmのうち少なくとも1つよりも小さい変位を含み得る。
【0121】
[000119] 膜の測定された変位が所定範囲外であるか否かの判定は、膜の測定された最大変位に基づくことができる。
【0122】
[000120] 時変電界の特徴は、振幅、周波数、位相のうち少なくとも1つを含み得る。
【0123】
[000121] 膜の最大変位を小さくするように時変電界の少なくとも1つの特徴を制御することは、時変電界の振幅を小さくすること、時変電界の周波数と膜の機械的振動周波数との間の重複を低減又は除去するように時変電界の周波数を変更すること、膜の機械的振動位相と逆位相になるように時変電界の位相を変更すること、のうち少なくとも1つを含み得る。
【0124】
[000122] 有利には、膜の機械的振動位相と逆位相になるように時変電界の位相を変更することで、他の方法よりも迅速に膜の機械的振動を抑えることができる。
【0125】
[000123] 方法は、測定された変位及び各変位測定の測定時間を時変変位データとして記録することを含み得る。
【0126】
[000124] 方法は、時変変位データを周波数ドメインに変換することと、膜の少なくとも1つの機械的振動周波数を抽出することと、を含み得る。時変変位データの周波数ドメインへの変換は、高速フーリエ変換の使用を含む。
【0127】
[000125] 膜の最大変位を小さくするように時変電界の少なくとも1つの特徴を制御することは、膜の最大変位が所定の変位範囲内に戻るホールドタイムで時変電界の少なくとも1つの特徴を制御し、次いで時変電界の少なくとも1つの特徴をホールドタイム前の値に戻すことを含み得る。
【0128】
[000126] 膜の最大変位を小さくするように時変電界の少なくとも1つの特徴を制御することは、膜から粒子を除去する方法が完了するまで、時変電界の少なくとも1つの特徴を制御することを含み得る。
【0129】
[000127] 膜の機械的振動を誘発することは、膜の表面に近接して位置決めされた少なくとも1つの励起電極を通して時変電圧を印加することを含み得る。
【0130】
[000128] 時変電圧は、10~1000Pa、例えば100Paの圧力を有する圧力パルスを印加し得る。時変電圧は、10~100ns、例えば100nsの持続時間を有する圧力パルスを印加し得る。時変電圧は、10~1000kHz、例えば100kHzの平均繰り返し率を有し得る。有利には、時変電圧は、1~10MHzの可変ピークパルス繰り返し率を有し、最適な励起のため関連粒子の共振に第1/第2/第3の高調波周波数を重ねることができる。
【0131】
[000129] 時変電圧によって印加される圧力パルスは、約1~10MHzの固有周波数で膜(例えばばねとして作用する)上で粒子(すなわち質量)の共振振動を誘発し得る。この固有周波数範囲は、機械的振動の振幅Aが約0.1~1μmである場合、最大瞬間加速度
【0132】
【0133】
に対応し、最大瞬間速度
【0134】
【0135】
に対応する。
【0136】
[000130] 圧力パルス及び時変電圧は同一の持続時間を有し得る。時変電圧(例えば電圧パルス)は、断面
【0137】
【0138】
を有する電極に印加される。電極は、膜から離れて
【0139】
【0140】
に位置決めされ得る。有利には、必要な静電圧
【0141】
【0142】
を与えるため、1又は複数の電極は膜から0.5mm~2.5mm内に位置決めされ得る。
【0143】
[000131] 膜の機械的振動を誘発することは、膜の両側の面に近接して位置決めされた第1の励起電極及び第2の励起電極の各々に時変電圧を印加することを含み得る。
【0144】
[000132] 膜の機械的振動を誘発することは、第1の励起電極に印加された時変電圧と第2の励起電極に印加された時変電圧との間に非ゼロの位相差が存在することを含み得る。
【0145】
[000133] 本発明の第5の態様によれば、処理回路によって実行された場合に処理回路に膜クリーニング方法を実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0146】
[000134] 本開示のいずれかの態様に従った上述の特徴、又は本開示のいずれかの特定の実施形態に関連して後述される特徴は、単独で又は他の規定される特徴と組み合わせて、他の任意の態様もしくは実施形態において、又は本開示の別の態様もしくは実施形態を形成するために、使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0147】
[000135] 本発明の実施形態を、添付の概略図を参照して、単なる例示として以下に説明する。
【0148】
【
図1】ペリクルアセンブリを含むリソグラフィ装置と放射源とを備えるリソグラフィシステムを示す。
【
図2】本発明の一実施形態に従った、汚染を有するペリクルをクリーニングするための装置を示す。
【
図3】本発明の一実施形態に従った、ペリクルをクリーニングするための装置を示す。
【
図4a】本発明の一実施形態に従った、ペリクルをクリーニングするステップの間のペリクル及びVUV光子発生機構を示す。
【
図4b】本発明の一実施形態に従った、ペリクルをクリーニングするステップの間のペリクル及びVUV光子発生機構を示す。
【
図4c】本発明の一実施形態に従った、ペリクルをクリーニングするステップの間のペリクル及びVUV光子発生機構を示す。
【
図4d】本発明の一実施形態に従った、ペリクルをクリーニングするステップの間のペリクル及びVUV光子発生機構を示す。
【
図5a】本発明の一実施形態に従ったペリクル及びVUV光子発生機構を示す。
【
図5b】本発明の一実施形態に従ったペリクル及びVUV光子発生機構を示す。
【
図6】本発明の一実施形態に従った、ペリクル、プラズマ発生機構、熱発生機構、及び電界発生機構を示す。
【
図7】本発明の一実施形態に従ったペリクル及び電子ビーム発生機構を示す。
【
図8】本発明の一実施形態に従ったペリクル及びペリクルから除去される粒子を示す。
【
図9】本発明に従った膜クリーニング装置の一実施形態及び膜を示す。
【
図10】
図9に示されている膜の一部の概略図であり、
図9に示されている膜クリーニング装置を用いて(1つのクリーニング部で)膜から粒子を除去することができる機構を示す。
【
図11a】
図9に示されている膜クリーニング装置を用いて(1つのクリーニング部で)、時間の関数として膜及び電極を通して印加され得る例示的な電圧のプロットを示す。
【
図11b】
図11aに示されている形態の印加電圧に対応する励起スペクトルの第1の概略図であり、励起力の周波数の関数として膜に印加される励起力を示し、パルス電圧の周波数成分を概略的に示し、これがパルス繰り返し周波数の変調によってどのように変動し得るかを示す。
【
図11c】励起スペクトルの第2の概略図であり、
図11aに示されているパルス電圧の周波数成分を概略的に示し、これがパルス繰り返し周波数の変調とパルス形状の変調によってどのように変動し得るかを示す。
【
図12】使用時の
図9の膜クリーニング装置の実施形態を示す。
【
図13】本発明の別の実施形態に従った、膜から粒子を除去する方法を記述するフローチャートを示す。
【
図14】本発明の別の実施形態に従った、膜から粒子を除去する方法を記述するフローチャートを示す。
【
図15】本発明の別の実施形態に従った、膜から粒子を除去する方法を記述するフローチャートを示す。
【
図16】本発明の別の実施形態に従った、膜から粒子を除去する方法を記述するフローチャートを示す。
【
図17】本発明の一実施形態に従った膜クリーニング装置の代替的な実施形態及び膜を示す。
【発明を実施するための形態】
【0149】
[000136] 図1は、放射源SO及びリソグラフィ装置LAを備えたリソグラフィシステムを示している。放射源SOは、EUV放射ビームBを生成し、EUV放射ビームBをリソグラフィ装置LAに供給するように構成される。リソグラフィ装置LAは、照明システムILと、パターニングデバイスMA(例えばマスク)を支持するように構成された支持構造MTと、投影システムPSと、基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTとを備える。
【0150】
[000137] 照明システムILは、EUV放射ビームBがパターニングデバイスMAに入射する前にEUV放射ビームBを調節するように構成される。そのため、照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11を備えることができる。ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11は共に、EUV放射ビームBに所望の断面形状と所望の強度分布とを与える。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11に加えて又はこれらの代わりに、他のミラー又はデバイスを備えることができる。放射ビームBは、照明システムILから出て、支持構造MTによって保持されたパターニングデバイスMAに入射する。パターニングデバイスMAは、ペリクルフレーム17によって所定位置に保持されたペリクル19により保護されている。ペリクル19及びペリクルフレーム17は、共にペリクルアセンブリ15を形成する。
【0151】
[000138] このように調節された後、EUV放射ビームBはパターニングデバイスMAと相互作用する。この相互作用の結果、パターン付きEUV放射ビームB’が生成される。投影システムPSは、パターン付きEUV放射ビームB’を基板Wに投影するように構成される。この目的のため、投影システムPSは、基板テーブルWTにより保持された基板Wにパターン付きEUV放射ビームB’を投影するように構成された複数のミラー13、14を備えることができる。投影システムPSは、パターン付きEUV放射ビームB’に縮小係数を適用し、これによってパターニングデバイスMAにおける対応するフィーチャよりも小さいフィーチャの像を形成することができる。例えば、4又は8の縮小係数を適用することができる。投影システムPSは、
図1では2つのミラー13、14のみを有するものとして示されているが、投影システムPSは様々な数のミラー(例えば6個又は8個のミラー)を備えることができる。
【0152】
[000139] 基板Wは、前もって形成されたパターンを含むことができる。このような場合、リソグラフィ装置LAは、パターン付きEUV放射ビームB’により形成された像を、基板W上に前もって形成されたパターンと位置合わせする。
【0153】
[000140] 相対真空、すなわち大気圧を大きく下回る圧力の少量のガス(例えば水素)を、放射源SO、照明システムIL、及び/又は投影システムPS内に供給することができる。
【0154】
[000141] 図1に示されている放射源SOは例えば、レーザ生成プラズマ(LPP:laser produced plasma)放射源と呼ぶことがあるタイプである。例えばCO
2レーザを含み得るレーザシステム1は、レーザビーム2を介して、例えば燃料放出器3から与えられるスズ(Sn)のような燃料にエネルギを堆積するよう配置されている。以下の記載ではスズに言及するが、任意の適切な燃料を使用すればよい。燃料は、例えば液体の形態とすることや、例えば金属又は合金とすることが可能である。燃料放出器3は、例えば小滴の形態のスズを、プラズマ形成領域4へ向かう軌道に沿って誘導するよう構成されたノズルを備えることができる。レーザビーム2は、プラズマ形成領域4においてスズに入射する。レーザエネルギのスズへの堆積は、プラズマ形成領域4においてスズプラズマ7を生成する。プラズマイオンによる電子の脱励起及び再結合の間に、プラズマ7からEUV放射を含む放射が放出される。
【0155】
[000142] プラズマからのEUV放射は、コレクタ5によって収集され集束される。コレクタ5は、例えば近法線入射放射コレクタ5を含む(より一般的に法線入射放射コレクタと呼ばれることもある)。コレクタ5は、EUV放射(例えば、13.5nm等の所望の波長を有するEUV放射)を反射するように配置された多層ミラー構造を有し得る。コレクタ5は、2つの焦点を有する楕円構成を有し得る。焦点のうち第1のものはプラズマ形成領域4にあり、焦点のうち第2のものは中間焦点6にあり得る。これについては以下で検討する。
【0156】
[000143] レーザシステム1は、放射源SOから空間的に分離してもよい。これが当てはまる場合、レーザビーム2は、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダ及び/又は他の光学系を含むビームデリバリシステム(図示せず)によって、レーザシステム1から放射源SOへ渡すことができる。レーザシステム1、放射源SO、及びビームデリバリシステムは、共に放射システムと見なすことができる。
【0157】
[000144] コレクタ5によって反射された放射は、EUV放射ビームBを形成する。EUV放射ビームBは、中間焦点6で集束されて、プラズマ形成領域4に存在するプラズマの中間焦点6での像を形成する。中間焦点6の像は、照明システムILの仮想放射源として作用する。放射源SOは、中間焦点6が放射源SOの閉鎖構造9の開口8に又は開口8の近くに位置付けられるように配置されている。
【0158】
[000145] 図1は放射源SOをレーザ生成プラズマ(LPP)放射源として図示しているが、放電生成プラズマ(DPP:discharge produced plasma)放射源又は自由電子レーザ(FEL:free electron laser)等のいずれかの適切な放射源を用いてEUV放射を発生させればよい。
【0159】
[000146] 上記で簡潔に述べたように、ペリクルアセンブリ15は、パターニングデバイスMAに隣接して提供されたペリクル19を含む。ペリクル19は放射ビームBの経路内に提供されているので、放射ビームBは、照明システムILからパターニングデバイスMAに近付く時と、パターニングデバイスMAで反射されて投影システムPSの方へ向かう時の双方で、ペリクル19を通過する。リソグラフィ装置LA内のペリクル19のこの位置は、EUV放射露光位置である。ペリクル19は、EUV放射に対して実質的に透明である(が、少量のEUV放射を吸収する)薄膜又は膜を含む。本明細書において、EUV透明ペリクル又はEUV放射に対して実質的に透明な膜とは、ペリクル19がEUV放射の少なくとも65%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくはEUV放射の少なくとも90%に対して透過性であることを意味する。ペリクル19は、パターニングデバイスMAを粒子汚染から保護するように機能する。本明細書では、ペリクル19をEUV透明ペリクルと呼ぶことがある。ペリクル19は、モリブデンシリサイド(MoSi)等、EUV放射に対して充分に透明である任意の材料から作製され得る。MoSiは、シリコンよりも迅速に冷却するので、高温ではシリコンよりも強い。他の例では、ペリクルは、シリコン、窒化ケイ素、グラフェンもしくはグラフェン誘導体、カーボンナノチューブ、又は別のEUV透明材料で形成された多層膜等、他の材料から作製され得る。
【0160】
[000147] リソグラフィ装置LA内部で清潔な環境を維持するよう努力しても、リソグラフィ装置LA内部には粒子が残っている可能性がある。ペリクル19がなければ、粒子はパターニングデバイスMA上に堆積し得る。パターニングデバイスMA上の粒子は、放射ビームBに付与されるパターンに、従って基板Wに転写されるパターンに悪影響を及ぼす恐れがある。ペリクル19は、パターニングデバイスMA上に粒子が堆積するのを防止するため、パターニングデバイスMAとリソグラフィ装置LA内の環境との間のバリアを与える。
【0161】
[000148] 使用時、ペリクル19は、ペリクル19の表面に入射する粒子が放射ビームBの焦点面内に存在しないように充分な距離だけパターニングデバイスMAから離して位置決めされる。ペリクル19とパターニングデバイスMAとの間のこの分離は、ペリクル19の表面上の粒子が放射ビームBにパターンを付与するのを抑えるように機能する。放射ビームB内に粒子が存在する場合であっても、放射ビームBの焦点面内でない(すなわちパターニングデバイスMAの表面でない)位置では、この粒子の像は基板Wの表面において焦点が合わないことは認められよう。いくつかの例では、ペリクル19とパターニングデバイスMAとの間の分離は、例えば約2mm~3mm(例えば約2.5mm)とすればよい。いくつかの例では、ペリクル19とパターニングデバイスとの間の分離は調整可能とすればよい。
【0162】
[000149] 図2は、ペリクルアセンブリ15の断面の概略図であり、ペリクル19をクリーニングするための装置20を示す。装置20は波線で概略的に示されており、この装置20の特徴について以下で説明する。汚染粒子26Aが概略的に示されている。汚染粒子26Aは、ペリクル19の前側(すなわち、使用時にパターニングデバイスMAとは反対を向く側)に図示されている。使用時、ペリクル19は、パターニングデバイスMAのパターン付き表面から充分に遠くに汚染粒子26Aを保持することで、これがリソグラフィ装置LAによって基板上に結像されないようにする。
【0163】
[000150] 更に、ペリクル19の裏側(すなわち、使用時にパターニングデバイスMAと向かい合う側)に汚染粒子26Bが概略的に図示されている。汚染粒子26Bは欠陥を引き起こし、結果として生産性の損失を招く可能性があるので、第1の関心事は汚染粒子26B(及びペリクルの裏側にある他の任意の汚染粒子)である。すなわち、汚染粒子26Bがペリクル19から解放され、リソグラフィ装置LA内でペリクル19の裏側からパターニングデバイス(レチクル)MAの前側へ移動した場合である。しかしながら、装置20は、ペリクル19の前側から汚染粒子26Aをクリーニングするためにも使用され得る。
【0164】
[000151] 装置によってペリクルをクリーニングするものとして記載されるが、他の実施形態では、装置によって他のコンポーネントをクリーニングしてもよいことは認められよう。例えば、他のコンポーネントは、EUV透明膜、動的ガスロック膜、又はEUVスペクトル純度フィルタを含み得る。
【0165】
[000152] 図3に、装置20が更に詳しく(概略的に)示されている。装置20は複数のモジュールを含む。これらのモジュールは、クリーニングモジュールと、様々な目的のための他のモジュールと、を含む。装置は、ペリクルクリーニングクラスタと呼ぶことができる(すなわち、モジュールのクラスタを有する)。クリーニングモジュールは、準備モジュール30及び分離モジュール32を含む。分離モジュール32は、ペリクル19から粒子26A、26Bを除去するためのものである。ペリクル19からの粒子26A、26Bの除去は、除去機構であると考えることができる。準備モジュール30は、(例えばペリクル19を分離モジュール32へ移動させる前に)ペリクル19への粒子26A、26Bの付着を低減するためものものである。準備モジュール30は、粒子26A、26Bを除去する(すなわち分離モジュール32で)前に、粒子の付着を低減するようにペリクル19を前処理するものと考えることができる。ペリクル19への粒子26A、26Bの付着の低減は、準備機構であると考えることができる。除去機構と準備機構は、クリーニング機構であると考えることができる。ペリクル19のクリーニングは、粒子26A、26Bを除去するための準備(すなわちペリクル19への粒子の付着の低減)、及び(ペリクル19からの)粒子26A、26Bの除去の双方を含むと考えることができる。
【0166】
[000153] また、装置20に追加される1つ以上の追加クリーニングモジュール用とすることができる予備モジュール34も存在する。これらは、必要に応じて、他のモジュール用としても使用され得る。他の実施形態では、1つ又は3つ以上の予備モジュールが存在し得る。装置20は、1つ以上の追加のクリーニングモジュール(又は他のモジュール)を装置20に追加できるように構成されている。モジュールは概略的に六角形で示されているが、これは、モジュールを相互に接続できることを示すための単なる例である。必要に応じてモジュールが他の形状及びサイズであってもよいことは認められよう。更に、6つのモジュールが図示されているが、必要に応じて装置20にはこれよりも多いか又は少ない数があってもよいことは認められよう。制御された環境において、例えば真空又はユーザ定義のガス/圧力/温度の雰囲気下で、モジュール間でペリクルを移動させることができることは認められよう。
【0167】
[000154] 装置20内の他のモジュールは、(例えばクリーニングモジュール間で)ペリクル19を移動させるためのロボットモジュール36、クリーニング対象に選択されること及びリソグラフィ装置LA内で使用されることが可能である複数のペリクルを含むペリクルライブラリモジュール38(より一般的には部品ライブラリ)、並びに、レチクルMA及びペリクル19をリソグラフィ装置LAにロードするための真空チャンバモジュール40を含み得る。真空チャンバ40に隣接した矢印は、装置20の内外への移動方向を示す。これらは、外部世界(例えばクリーンルーム)に通じることができる、すなわち、直接リソグラフィ装置LAに通じないことがある。真空チャンバモジュール40は、外部世界から装置内(すなわちモジュール30、32、34、36、38内)の真空を分離するために用いられる。ロボットモジュール36は、真空内ロボット(IVR:in vacuum robot)と呼ぶことができる。レチクルライブラリモジュールは、真空内ライブラリ(IVL:in vacuum library)と呼ぶことができる。真空チャンバモジュール40は、(真空)ロードロック(LDLK:load lock)と呼ぶことができる。装置20のモジュールを真空又はクリーンガス下降流のもとに維持して、(追加の)粒子26A、26Bがペリクル19上に堆積できないようにすることができる。他のモジュール(すなわち、ロボットモジュール36、ペリクルライブラリモジュール38、真空チャンバモジュール40)は補助的/任意選択的であり、ペリクル(又はレチクル)の操作に役立ち得るものであり、装置20とは別個にしてもよいことは認められよう。
【0168】
[000155] 使用時、ペリクル19は装置20に挿入され、まず準備モジュール30に位置付けられて、粒子26A、26Bの付着を低減することができる。これは、後述するように様々な方法で実行され得る。ペリクル19への粒子26A、26Bの付着低減の後、ロボットモジュール36によってペリクル19を準備モジュール30から分離モジュール32へ移動させることができる。
【0169】
[000156] 準備モジュール30から分離モジュール32まで真空を維持することで、付着低減を維持すると共に、追加の粒子26A、26Bがペリクル19上に堆積しないようにすることができる。実施形態において、装置全体は真空下に維持されている(例えば真空チャンバモジュール40を用いて)。実施形態において、準備モジュール30及び/又は分離モジュール32は、特定レベルの真空を生成する真空発生機構を含み得る。真空発生機構によって生成された真空は、コンポーネントへの粒子の付着の低減又はコンポーネントからの粒子の除去を少なくとも支援することができる。
【0170】
[000157] この実施形態では、単一の準備モジュール30及び単一の分離モジュールが存在する。しかしながら、他の実施形態では、複数の分離モジュール及び/又は複数の準備モジュールが存在し得る。実施形態において、準備モジュールは存在しない場合がある。すなわち、1つ以上の分離モジュールのみが存在し得る。更に、いくつかの実施形態では、準備モジュール及び分離モジュールを単一のモジュールに組み合わせてもよい。これは、ペリクルから粒子が除去されるので依然として分離モジュールであると考えられるが、粒子は除去中に又は除去前に付着低減方法も実行され得る。すなわち、分離モジュール32は、コンポーネントからの粒子の除去中に又は除去前にコンポーネントへの粒子の付着を低減するためのものであり得る。この場合、分離モジュール32は準備機構及び除去機構を含む。
【0171】
[000158] 実施形態において、クリーニングモジュールのうち少なくとも1つ(例えば分離モジュール32)は、複数のクリーニング機構を含み得る。実施形態において、このクリーニングモジュール(すなわち分離モジュール32)は、準備機構と分離機構を含み得る。実施形態において、準備機構と除去機構は同一の機構であり得る。すなわち、単一の機構が双方の機能を実行することができる。実施形態において、クリーニングモジュール(すなわち分離モジュール32)は複数の除去機構を含み得る。2つ以上のクリーニングモジュールが存在する場合、クリーニングモジュールは全体で複数のクリーニング機構を含み得る。すなわち、1つのクリーニングモジュールは1つのクリーニング機構を含み、別のクリーニングモジュールは別のクリーニング機構を含み得る。クリーニングモジュールのうち1つ以上は、それぞれ複数のクリーニング機構を含み得る。
【0172】
[000159] これより、ペリクル19への粒子の付着を低減する方法(すなわち準備機構)について説明する。準備モジュール30は、真空環境においてペリクル19及び/又は粒子26A、26Bを乾燥させる熱を発生するように構成された熱発生機構を含み得る。準備モジュール30及び分離モジュール32における水蒸気圧は、1E-6mBar(1E-4Pa)未満、好ましくは1E-7mBar(1E-5Pa)未満、より好ましくは1E-8又は1E-9mBar(1E-6Pa又は(1E-7Pa)未満、更に好ましくは1E-10mBar(1E-8Pa)未満の圧力を有し得る。
【0173】
[000160] 熱発生機構は、例えばレーザ又はIRランプのような放射加熱器とすればよい。放射加熱器は、0.1~1000秒又は10~1000秒の範囲でペリクル19の膜において1~5W/cm2の範囲内の平均電力密度を与えるように構成され得る。好ましくは、ペリクル境界への放射熱は1W/cm2未満に限定され、及び/又は境界がヒートシンクと接触してペリクル境界温度が400C未満を維持する、好ましくは200C未満を維持するようになっている。これにより、ペリクル膜とペリクル境界との間のCTE(thermal expansion coefficient:熱膨張係数)の差に起因するペリクル破断が回避され得る。
【0174】
[000161] 真空と熱によって、粒子26A、26Bとペリクル19との接触領域に存在する毛管水層(又はナノ小滴)が除去される。ペリクル19は親水性表面(例えばSiO2)を有し得る。また。生成時にペリクル19上に残った粒子26A、26Bは、親水性又は超親水性であり得る。これによって、粒子上及び接触点の粒子/ペリクルに集まった水を除去するために必要となり得る200~500Cの温度の要件(specification)が課される。毛細管力による付着寄与を抑えるため、ペリクルをベークアウトすることが重要である。ペリクル19は、動作時のEUVリソグラフィ装置LAにおけるペリクルの設計温度である500℃まで加熱され得る。このため、ペリクル19では放射ベークアウトは許容可能である。また、「乾燥」の直後に新しい水膜が形成されないことを保証するため、分圧は極めて低いレベル(例えば<<1E-9mbar)に維持され得る。
【0175】
[000162] 放射加熱器を用いた加熱の代替案として、プラズマを使用することができる。すなわち、準備モジュール30は、ペリクル19に隣接して又はペリクル19の周囲でプラズマを発生させるためのプラズマ発生機構を含み得る。この場合、プラズマのイオン、ラジカル種、及び励起種は、粒子26A、26Bの内部及び周囲にトラップされた水を含む水のガス放出を促進することができる。(例えば酸化によって予想される)処理中のペリクル19の光学又は機械的特性の損失を防ぐため、プラズマは好ましくは、希ガス及び/又は水素(H2)を含む。
【0176】
[000163] このように、準備モジュール30は、粒子26A、26B及びペリクル19間から水を除去するための機構(例えば熱発生機構及び/又はプラズマ発生機構)を含み得る。この水除去は、ペリクル19への粒子26A、26Bの付着を低減することができる。これは、(例えば分離モジュール32で)ペリクル19からの粒子26A、26Bの除去が実行される場合、より多くの粒子26A、26Bが除去され得る(すなわち、準備モジュール30でペリクルを処理した後、分離モジュール32の粒子除去の効率が著しく上昇する)ことを意味する。
【0177】
[000164] これに加えて又はこの代わりに、プラズマ発生機構は、別の手段によってペリクル19への粒子26A、26Bの付着を低減できる。いくつかの実施形態では、粒子26A、26B及び/又はペリクル自体の組成又はラフネスに対するプラズマ発生機構の効果が、粒子26A、26B及びペリクル19間の効果的な分離を増大することによって又はハマカー定数(Hamaker constant)を変えることによって、著しい付着低減を引き起こすことができる。
【0178】
[000165] リソグラフィ装置LAにおいて、EUV光子、EUVプラズマ、及び/又は光電子は、表面の酸化及び/又は還元を促進し(材料に特有のものであり得る)、化学結合を切断し、例えば揮発性水素化物又は酸化物の形成によってエッチングを生じる。これらのプロセスは、粒子とペリクルとの間の化学的相互作用を変化させ得るが、粒子の形状(ラフネス)も局所的に変化させる可能性があるので、これにより接触面が縮小し、従って付着が低減する。同様の効果は、ペリクル又は粒子に作用する反応性ガスと組み合わせてプラズマ又は電子ビームを用いる場合に予想できる。
【0179】
[000166] EUV光子は更に、ペリクルからの電子の解放を生じる。これは、光子自体と同様の効果を有する。
【0180】
[000167] ペリクルの周囲のプラズマ中に存在する反応性水素種は、有機材料及び他の材料をエッチングし、他の化学反応を誘発し、結晶性水素化物の形成を生じ得る。この形態変化は、粗面化に起因して接触面積が縮小することによって付着を低減できる。分離ツール処理の前にペリクルと粒子に同様の応力を加えると、クリーニング効率が向上し得ると考えられる。
【0181】
[000168] 前述のように、装置20においてペリクル19への粒子26A、26Bの付着低減効果をエミュレートする(emulate)1つの手法は、プラズマ発生機構を用いることであり得る。プラズマ発生機構は、水素又は水素と水のいずれかによってプラズマを発生させるように構成され得る。水を用いる場合、ペリクル19の特性を維持するため(すなわちペリクル19に損傷を与えないため)、水含有量は水素含有量の少なくとも1000分の1とすることができる。ペリクル19に対する電力損失は、好ましくは1mW/cm2~1W/cm2の範囲内である。
【0182】
[000169] 装置20において付着低減効果をエミュレートする別の手法は、電子ビーム発生機構を用いることであり得る。すなわち、実施形態において、準備モジュール30は、ペリクル19に入射する電子ビームを発生させるための電子ビーム発生機構を含む。電子ビーム発生機構は、0.001Pa~100Pa、好ましくは0.1Pa~10Paの範囲内の圧力で、水素又は水素と水、及び/又は希ガスを含む環境において電子ビームを発生させるように構成され得る。好ましくは、電子ビームによる処理の後、粒子を取り囲む(と共に、電子から遮蔽する)水層が除去された場合、ペリクルベークアウト及び/又はプラズマ処理を行う。
【0183】
[000170] 環境は、1E-4mBar(0.01Pa)~1E-1mBar(10Pa)の範囲内の圧力を有し得る。電子ビーム発生機構は30~3000eVの範囲内のエネルギを有するように構成することができ、及び/又は、ペリクル19における電流密度は10uA/cm2~10mA/cm2の範囲内であり得るが、電力損失(ビームエネルギにビーム電流密度を乗算したもの)は1W/cm2未満を保つ。これは、ペリクルが損傷を受けないようにするためである。電子ビームは、少なくともペリクル19の裏側(粒子26Bを含む)を照射しなければならず、任意選択的に前側も(追加のソースを用いて同時に)照射するか、又は、連続的に単一のソースを使用し、ソースとペリクルの相互の向きを変化させる。ビームによってペリクル上に堆積した電流を流し出すため、ペリクルは、少なくとも電子ビーム処理中は接地しなければならない。
【0184】
[000171] 装置20において付着低減効果をエミュレートする別の手法は、VUV光子発生機構(すなわちVUV光子への露光)を用いることであり得る。すなわち、実施形態において準備モジュール30は、ペリクル19に入射する、好ましくは少なくともクリティカル粒子(critical particle)26Bを含む裏側に入射するVUV光子を提供するためのVUV光子発生機構(すなわちVUV光子源)を含む。VUV光子発生機構は、例えば水素又は水素と水蒸気のような反応性環境でペリクルに放射を提供することができる。VUV光子吸収によるペリクルに対する電力損失は1W/cm2未満である。
【0185】
[000172] あるいは、装置20における付着低減効果は、EUV光子を用いてエミュレートすることができる。すなわち、実施形態において準備モジュール30は、ペリクル19に入射する、好ましくは少なくともクリティカル粒子26Bを含む裏側に入射するEUV光子を提供するためのEUV光子発生機構(すなわちEUV光子源)を含む。EUV光子発生機構は、例えば水素又は水素と水蒸気のような反応性環境でペリクルに放射を提供することができる。EUV光子吸収によるペリクル19に対する電力損失は1W/cm2未満である。しかしながら、VUV光子を使用する方がEUV光子よりも費用が安い可能性がある。
【0186】
[000173] プラズマで、又は電子ビーム、VUV、もしくはEUV光子向けの環境で用いられるものとして、水素又は水素と水蒸気に言及したが。他の実施形態では、H2又はH2O以外の還元剤/酸化剤が使用され得ることは認められよう。しかしながら、還元剤/酸化剤の比は、付着除去ステップ中にペリクルの機械的特性(強度、張力)及び/又は光学特性(透過/反射)が確実に維持されるように制御しなければならない。すなわち、還元剤の濃度は酸化剤の濃度に比べて著しく高くすることができる。これは、ペリクル19の機械的特性(強度及び張力)並びに光学特性(透過及び/又は反射)が維持されることを保証するためであり得る。一例として、還元剤の濃度は酸化剤嚢濃度よりも1000倍以上の高さとすればよい。
【0187】
[000174] 実施形態において、準備モジュール30は、ペリクル19に隣接して又はペリクル19の周囲でH*(原子状水素)を発生させるためのラジカル発生機構を含み得る。ラジカル発生機構は、水素流中に懸濁したプラズマ発生機構及び/又はホットフィラメントを含み得る。
【0188】
[000175] ペリクル19への粒子26A、26Bの付着を低減するための様々な方法の各々は、装置20の複数のクリーニングモジュールに含めることができる別個の準備モジュール30で実行され得ることは認められよう。例えば、1つの準備モジュールが熱発生機構を含み、他の別個の準備モジュールが電子ビーム発生機構を含み得る。また、いくつかの実施形態において、粒子の付着を低減するための様々な方法のうち2つ以上が同一の準備モジュール内に存在し得ることは認められよう。
【0189】
[000176] これより、ペリクル19から粒子26A、26Bを除去するいくつかの方法(すなわち除去機構)について説明する。公開特許出願WO2021073799及びWO2020109152(これらは援用により全体が本願に含まれる)のいずれかに示されている方法及び装置を、分離モジュール30におけるオプションとして又は分離モジュール30のために使用することができる。分離モジュール30は、コンポーネントに入射するVUV光子を発生させるためのVUV光子発生機構を含み得る。
【0190】
[000177] 図4a)は、ペリクル19がペリクルフレーム17によって支持された状態におけるペリクル19の裏側(すなわちペリクル19のレチクル側)の粒子26Bを示す。
図4b)は、ペリクル19上にVUV光(VUV光子ビーム44)を発生させるVUV光子発生機構42を示す。VUV光は、粒子26Bが位置しているペリクル19のエリアを照明する。VUV光は、20~200nmの範囲内の波長を有し得る(62eV~6.2eV)。真空紫外線(VUV:Vacuum Ultra Violet)光源は、複数の供給業者からEUV放射源よりも容易に利用可能であり、費用が安い場合がある。一般に、EUV光は、ペリクルクリーニングに充分なドーズでは容易に得られない。
【0191】
[000178] 図4c)で示されているように、VUV光子は、光電効果を用いて粒子26B及びペリクル19を帯電させる。ペリクル19及び粒子26Bは双方とも、電子(e-)が放出されるのでプラスに帯電する。ペリクル19及び粒子26Bの双方が同じ電荷を有するので、粒子26Bとペリクル19との間には静電反発力が存在する。
【0192】
[000179] 図4d)で示されているように、粒子26Bとペリクル19(例えば誘電体表面)との間の静電反発は、ペリクル19から粒子26Bを放出させる。これは、粒子26Bとペリクル19との間の静電反発力が、粒子26Bをペリクル19上に保持する付着力よりも大きいことを仮定している。ペリクル19への粒子26Bの付着は、あらかじめ準備モジュール30で低減されている可能性がある。
【0193】
[000180] この実施形態において、VUV光子ビーム44(すなわちVUV光子)は、ペリクル19のクリーニングされる側とは反対側の表面に入射する(この実施形態では、光が入射するのはペリクル19の前側である)。すなわち、VUV光はペリクル19を通過するように照射される)。クリーニングされる表面とは反対側のペリクル19の表面に入射するVUV光は、粒子26Bとペリクル19との間の電離を増大させ、これにより反発及びクリーニング効果を最大化することができる。他の実施形態では、VUV光は、クリーニングされるペリクル19の表面(例えばペリクル19の裏側)に入射してもよい。VUV光が入射するペリクルの側は、選択された光源波長とペリクル19の材料に依存し得る。レチクルの裏側は典型的に、クリーニングされるペリクル19の側であり得る(又は、少なくともクリーニングにとって重要度が高い)が、レチクルの前側もクリーニングすることができる。
【0194】
[000181] この方法は、粒子26Bの位置に関係なく、ペリクル19表面の全体にわたって実行することができる。従ってこの技法は、正確な計測によってガイドする必要がなく、また、計測ツールの検出限界によって制限されないので、極めて小さいサイズの粒子26Bを除去することができる。
【0195】
[000182] ペリクルをクリーニングするための以前のシステムは、小さい領域しかクリーニングしない(すなわち、ペリクルを極めて局所的にクリーニングする)ので、スループットが低い可能性がある。これらのシステムは、除去する粒子の位置に関する情報を必要とし、その後これらの個々の粒子を除去する。そのため、これらの技法は低速になり、潜在的なレチクル汚染リスクである全ての粒子の位置を与えるための正確な計測に依存する。
【0196】
[000183] 図5a)は、ペリクル19の表面の(実質的に)全てのエリアを同時に照明するVUV光子ビーム44を発生させるVUV光子発生機構42の一実施形態を示す。これにより、ペリクル19上の全ての粒子26BはVUV光子で一度に(同時に)帯電されるので、比較的迅速な時間スケールで(すなわち、最初に計測を用いて粒子の位置を特定し、次いでこの見つけた粒子を除去するよりも、はるかに迅速に)ペリクル19から除去され得る。
【0197】
[000184] 図5b)は、ペリクル19の表面の一部を照明するVUV光子ビーム44を発生させ、次いでペリクル19の表面をVUV光子ビーム44でスキャンして、(同時ではないが)ペリクル19の全表面を照明する、VUV光子発生機構42の一実施形態を示す。VUV光子発生機構42は、VUV光子ビーム44をスキャンするように構成され得る(すなわち、VUV光子ビーム44はスキャン可能である)。このため、ペリクル19上の全ての粒子26Bは、VUV光子によって比較的短い時間スケールで帯電され(この時間は全表面をビームでスキャンするために要する)、従って、比較的迅速な時間スケールでペリクル19から除去され得る(すなわちこれは、最初に計測を用いて粒子の位置を特定し、次いでこの見つけた粒子を除去するよりも、はるかに迅速である)。
【0198】
[000185] いくつかの実施形態において、分離モジュール32はプラズマ発生機構を含み得る。
【0199】
[000186] 図6は、ペリクル19に隣接して又はペリクル19の周囲でプラズマ52を発生機構ためのプラズマ発生機構(プラズマ源)50を示す。この実施形態では2つのプラズマ源50が存在するが、他の実施形態では1つだけのプラズマ源が存在してもよい。プラズマ52は粒子26A、26Bを帯電する(図示せず)。(プラズマと共に)ガス流が粒子26A、26Bを「キック」することができる。このキックは、それ自体で粒子26A、26Bのいくつかを追い出す(knock out)ことができる。
【0200】
[000187] 更に、分離モジュール30は、ペリクル19から粒子26A、26Bを輸送するための電界発生機構を含む。電界発生機構は、ペリクル19の各側に1つずつ配置された、2つのコレクタ電極54を含む。2つのコレクタ電極54に電圧を供給するため、AC/DC電圧供給56が設けられている。これにより、ペリクル19を通して電界を与える。このため、帯電した電極54は荷電粒子26A、26Bを引き付ける。粒子26A、26Bは全てプラスに帯電させることができる。より一般的には、ペリクル19及びコレクタ電極54を通して電圧を印加するための機構を提供することができる。
【0201】
[000188] 従って、粒子26A、26Bはプラズマ52によって帯電し、次いでコレクタ電極54に引き付けられる。このようにして、粒子26A、26Bはペリクル19から除去される。
【0202】
[000189] コレクタ電極54は、ペリクル19の実質的に全てを覆うプレートの形態とすることができる。これにより、エリアクリーニング方法が得られる(すなわち、この方法を用いてペリクル19の表面の全てのエリアを同時にクリーニングできる)。プレートは金属プレートとすればよい。プレートは平坦とすればよい。別の実施形態では、コレクタ電極54は電極のグリッドを含み得る。
【0203】
[000190] 電圧供給56に対する電力がオンである場合、粒子26A、26Bはコレクタ電極54に張り付いた状態を保つことができる。このため、粒子26A、26Bがコレクタ電極54に張り付いた状態でペリクル19を除去すればよい。これは、コレクタ電極54に対する電力をオフにした場合に粒子26A、26Bがペリクル19に戻れないようにするためであり得る。
【0204】
[000191] また、コレクタ電極54に対する電力供給をオフにした場合に粒子26A、26Bがペリクル19に戻るのを防止するよう構成された2つの格納式シールド58も提供され得る。電圧供給56をオフにすることが望まれる場合、シールド58を電極54とペリクル19との間の位置へ移動させればよい。一度電力がオフになったら、粒子19は自由に電極54から離れることができるが、シールド58が邪魔になるのでペリクル19へ戻ることはできない。クリーニングプロセスを再び始めるため電力をオンに戻すことが望まれる場合、シールド58を引っ込めて粒子26A、26Bがコレクタ電極54に到達できるようにすればよい。更に、例えば一定間隔でシールド58を引っ込めてシールド58から粒子を取り除くようにしてもよい。いくつかの実施形態では、シールド58は1つだけ存在し得る(例えば、1つだけのコレクタ電極54が存在する場合)。
【0205】
[000192] いくつかの実施形態では、必要に応じて、ペリクル19からコレクタ電極54への粒子移動を誘発するために熱発生機構(熱源)60も使用できる。熱発生機構60は、ペリクル19を加熱すると共に粒子移動を誘発することができる。熱発生機構60はレーザとすればよい。
【0206】
[000193] 実施形態では、周波数掃引を用いて粒子に結合することができる。他の実施形態では、インパルス/ホワイトノイズ電気信号を用いて粒子に結合することができる。
【0207】
[000194] この方法は、ペリクル19の全表面を同時にクリーニングする利点を有する。これは、より効果的にペリクル19をクリーニングする(すなわち、より多くの粒子を除去する及び/又はより迅速に粒子を除去する)ことができる。局所的なクリーニングのみを使用したか又は事前の欠陥位置情報を必要とした他の方法に比べ、ペリクル19全体を迅速にクリーニングできる。他の以前のシステムでは、クリーニング中、ペリクルに、膜の強度損失と破損を招く穴が開いた。
【0208】
[000195] 分離モジュール32は、ペリクル19の機械的振動を発生させるための振動発生機構を含み得る。更なる詳細は、WO2020109152(これは援用により全体が本願に含まれる)で見ることができる。
【0209】
[000196] 振動発生機構は、励起電極と、励起電極及びペリクル19を通して時変電圧を印加するための機構と、を含み得る。他の実施形態では、複数の(例えば2つの)励起電極が存在し得る。また、ペリクル19の機械的振動を誘発するための振動発生機構は、ペリクル19上に位置する粒子26A、26Bの機械的振動も誘発し得る。ペリクル19上に位置するこのような粒子26A、26Bの振動は、ペリクル19から粒子を除去するのに充分な大きさであり得る。
【0210】
[000197] 分離モジュール32は、ペリクル19から粒子を輸送するための電界発生機構を含み得る。電界発生機構は、コレクタ電極と、ペリクル19及びコレクタ電極を通して電圧を印加するための機構と、を含み得る。実施形態において、励起電極とコレクタ電極は同一の部品としてもよい。
【0211】
[000198] 機械的振動を誘発するための振動発生機構によって除去された粒子26A、26Bは、主に慣性によってペリクル19から離れて輸送される。これは、振動するペリクルから放出された粒子が運動量を保つ(0.1~10m/sの速度に対応する)からである。
【0212】
[000199] ペリクルをリソグラフィ装置内へ挿入する前にペリクルから粒子を除去するための以前のシステムは、ペリクルからの粒子の解放においてリソグラフィ装置LAよりも効果的でないと示すことができる。リソグラフィ装置LAは、粒子解放に作用する複数のストレッサ(すなわちクリーニング機構)を有する。振動は特に重要である。更にこれは、光子、電子、プラズマ、ラジカル、及び熱等、付着の低減によって粒子解放に寄与し得る多くの態様を有する。リソグラフィ装置LAでは、多くの異なる物理的効果が付着力の低減に寄与し得る。これは、限定ではないが、EUV光子、電子、真空、プラズマ、ラジカル、及び熱を含む。
【0213】
[000200] 粒子を除去するための以前のシステムは、(リソグラフィ装置LAとは異なるように誘発されるが)振動によって粒子を除去することができる。しかしながら、これらの以前のシステムは他の付着低減要素(actor)のほとんどを含まない。これは、解放の低減と不充分なクリーニング性能を招く。
【0214】
[000201] 複数のモジュールを含む装置20を用いて、EUVリソグラフィ装置LA内での粒子の解放を模倣し(mimic)、これを超越することができる。装置20は、リソグラフィ装置LA内で解放された粒子のほとんど又は全てを除去し得る。別個の装置20を用いて必要な基準に合わせてペリクルクリーニングを実行できるので、これはコスト低下と生産性向上という利点を有する。
【0215】
[000202] 装置20は、リソグラフィ装置LAに存在する複数のストレッサ(例えば各クリーニングモジュールに1つのストレッサ)を包含するので、他の単一段クリーナ概念よりも優れた利点を有する。従って、リソグラフィ装置LAで問題を引き起こす可能性のある任意の粒子をクリーニング(すなわち除去)することができる。ストレッサは、クリーニング機構又は付着低減機構に相当すると考えられる。
【0216】
[000203] 単一アクチュエータクリーナは、リソグラフィ装置LAにおける効果を最大で1つだけ模倣する。これは一部の粒子では効果であり得るが、全ての粒子に効果的ではない場合がある。ペリクル上の粒子の組成を最初から知ることはできない。ペリクルは様々な材料の粒子を含み得る。また、これらは、プロセスフロー又は工場の状態の望ましい変化や望ましくない変化に起因して今後変化する可能性がある。従って、ペリクルクリーナは現在の粒子に有効であるだけでなく、今後の粒子に対してもロバストであることが望ましい。これを達成するため、装置20は、リソグラフィ装置LAで行われるプロセスの一部又は全てを模倣することができる。
【0217】
[000204] 装置20は、リソグラフィ装置LAと同じストレッサを提供するが、コストは著しく低い。その理由は、リソグラフィ装置LAの結像等の全ての特徴が含まれるわけではないからである。更に、装置20は、リソグラフィ装置LA内のストレッサに比べてブーストファクタを含む(例えば、粒子を除去するための分離モジュール32の振動はリソグラフィ装置LAに比べて約100~1000倍の強度であり得る)。また、装置20の他のストレッサにおいても、リソグラフィ装置LAと比較して、例えば、熱、反応性イオンもしくはラジカルドーズ、又はエネルギ電子ドーズのようなブーストが存在し得る。
【0218】
[000205] いくつかの以前のクリーニングツールは、(例えば振動による)慣性力に基づくが、これは、比較的重く大きい粒子には効果的であるが、比較的軽く小さい粒子では効果が低い。一部のペリクルは、リソグラフィ装置LAにおいて同じ慣性力に起因して粒子を落とす。しかしながら、他のペリクルでは、慣性力に基づくクリーニングツールは効果が低いことがある。これらのペリクルからの粒子放出は、例えばリソグラフィ装置LA内の電気力によって生じ得るからである。従って、慣性力に基づくクリーニングツールは、リソグラフィ装置LAで欠陥問題を生じ得るものとは異なる粒子をペリクルからクリーニングする場合がある。
【0219】
[000206] 図7は、ペリクル19の裏側(すなわち、この実施形態では除去される粒子26Bを有する側)に入射する電子ビーム72を発生させるための電子ビーム発生機構70を示す。他の実施形態では、ペリクル19の前側の粒子26Aをクリーニングするため、電子ビーム72はペリクル19の前側に入射し得ることは認められよう。この実施形態において、電子ビーム発生機構70は、前述した準備機構(すなわちペリクルへの粒子の付着を低減するための)でなく、除去機構(すなわちペリクルから粒子を除去するための)である。いくつかの実施形態では、電子ビーム発生機構は準備機構と除去機構の双方であり得ることは認められよう。
【0220】
[000207] 電子ビーム72は、粒子26Bが位置しているペリクル19のエリアを照明する。電子ビーム72は、ペリクル19及びその上の粒子26Bを(マイナスに)帯電する。ペリクル19及び粒子26Bが双方ともマイナスに帯電する(すなわち同じ電荷を有する)とは、これによって粒子26Bとペリクル19との間に静電反発力が存在することを意味する。粒子26Bとペリクル19との間のこの反発力によって、ペリクル19から粒子26Bが除去され、従ってペリクル19をクリーニングすることができる。
【0221】
[000208] 図8は、粒子26B及びペリクル19上の負電荷の分布を更に詳細に示す。電気力の方向は矢印で示されている(すなわち、ペリクル19から垂直に離れる方向)。ペリクル19は、ペリクル19の裏側に誘電体上層を有し得る(すなわち、粒子26Bはこの誘電体層と接触し得る)。この状況では、誘電体層が高電荷を蓄積して大きい電気解放力を生じ得るので、電気力は特に効率的である。また、ペリクル19は、ペリクル19の前側にも誘電体上層を有し得る。すなわち、ペリクル19の裏側と前側の双方に誘電体表面を有し得る。
【0222】
[000209] 最大のクリーニング効率のため、電子ビーム72は高エネルギでなければならず、80eVよりも大きいことが好ましい。エネルギが大きくなればなるほど、クリーニングは良好に行われる。電子ビーム72はパルス状とすることができる。パルス状露光モードは、高い過渡力(transient force)を生じるので有利であり得る。電子ビームは、プラズマと同時に印加され得る。これは、浮遊電位の蓄積及び電子ビームからの電子の最終的な反発を防止するので、少なくとも浮遊ペリクルでは有利である。プラズマは、プラズマ発生機構から発生させることができる。
【0223】
[000210] クリーニング(例えば粒子26Bの除去)は、検査で識別された粒子26Bをターゲットにすることによって実行され得る。あるいは、クリーニングをペリクル19全体に実行してもよい。後者の選択肢は、計測に依存しないという利点を有する。ペリクル19全体のクリーニングは、実質的にペリクル19全部をカバーする比較的大きい電子ビームスポットによって、又は、より小さい電子ビームスポットでペリクル19をスキャンすることによって実行され得る。このスキャンは、例えばSEM(Scanning electron microscope:走査電子顕微鏡)又はCRT(cathode-ray tube:陰極線管)モニタで行われるのと同様、偏向コイルにより実行され得る。
【0224】
[000211] 実施形態において、電子ビーム発生機構は走査電子顕微鏡(SEM)を含み得る。これは、粒子26B及び/又はペリクル19をインシチュ(in-situ)結像し、クリーニングを評価するという利点を与える。これにより、時間効率の高いクリーニングが可能となる。しかしながら、ペリクル19から粒子26Bを除去するために結像は必要なく、電子ビームのみが必要であることは認められよう。これは電子銃を用いて実行され得る。
【0225】
[000212] ペリクル19から反発した粒子26Bは、概してペリクル19には戻らず、例えば、ペリクル19の周囲の真空チャンバの壁に到達するか、又は流れによって洗い流される可能性がある。しかしながら実施形態では、除去された粒子26Bを、任意選択的な電極74(例えば任意の金属物体)によって収集できる。電極74はコレクタ電極と考えられる。放出された粒子26Bはマイナスに帯電しているので、電極74は粒子26Bを引き付けることができる。電極74に正の電圧が存在する場合だけでなく、これが接地されている場合も、引き付けは機能する。後者の場合、(マイナスに)帯電した粒子26Bを引き付けるミラー力(mirror force)が存在する。電極74は、粒子26Bが電荷を失うのを防ぐため(薄い)誘電体で覆うことができる。粒子26Bを収集することは、粒子がペリクル19上に再び堆積しないという利点を有する。更に、電極74は電気クリーニング力を強化することができる。粒子26Bをペリクル19から輸送するための電界発生機構に関する上記の説明を参照のこと。
【0226】
[000213] 本発明の実施形態は、電界を用いて膜から粒子を除去するための装置及び関連する方法に関する。特に、本発明のいくつかの実施形態は、壊れやすい比較的薄い膜(例えばペリクル膜等)のクリーニングに特に適し、これに適合されている。
【0227】
[000214] 本発明のいくつかの実施形態は、比較的薄い膜(例えばペリクル膜等)が比較的可撓性であることを利用し、膜の機械的振動を誘発する。これは次いで、膜上に位置する粒子の機械的振動も誘発する。膜上に位置するこのような粒子のこの振動は、粒子を膜から除去するのに充分な大きさであり得る。次いで、機械的振動を誘発するための機構によって除去されたそのような粒子は、それら自体の運動量を用いて膜から輸送され得る。これより
図9から
図16を参照してそのような実施形態の例を記載する。実施形態では、これらの機械的振動を用いて(ペリクル)膜以外のコンポーネントをクリーニングしてもよいことは認められよう。
【0228】
[000215] これより、
図9から
図12を参照して、本発明の第1の実施形態に従った膜クリーニング装置100を説明する。
【0229】
[000216] 図9は、可動ステージ106、第1のクリーニング部110、第2のクリーニング部210、真空チャンバ130、及びコントローラ190を備える膜クリーニング装置100の断面を示す。
【0230】
[000217] また、
図9には膜アセンブリ104も示されている。膜アセンブリ104は、膜211と、導電性フレーム108の形態の膜サポートと、を備える。導電性フレーム108は概ね矩形のフレームである。導電性フレーム108と膜211の1つ以上の表面とは、導電性(例えば金属製)コーティング209でコーティングされて(
図10を参照のこと)、この導電性コーティング209が導電性フレーム108と電気的に接触するようになっている。あるいは、ペリクル膜自体が導電性材料を含むことができ、ペリクルフレームまで延出する。
【0231】
[000218] 第1のクリーニング部110は、第1の電圧源111と、第1のアクチュエータ112と、第1のコネクタ114と、第1のアイソレータ115と、第1の近接センサ116の形態の変位センサと、第1の電極118の形態の時変電界発生器と、を備える。
【0232】
[000219] 第2のクリーニング部210は、第2の電圧源211と、第2のアクチュエータ212と、第2のコネクタ214と、第2のアイソレータ215と、第2の近接センサ216の形態の変位センサと、第2の電極218の形態の時変電界発生器と、を備える。
【0233】
[000220] 可動ステージ106、膜アセンブリ104、第1のクリーニング部110、及び第2のクリーニング部210は、真空チャンバ130内に配置されている。
【0234】
[000221] 導電性フレーム108は、中央の矩形開口を含む。膜211の外側部分の下面は、導電性フレーム108の上面に固定されている。膜211の内側部分は、導電性フレーム108の中央の矩形開口内で可動ステージ106よりも上方に吊るされている。膜アセンブリ104の導電性フレーム108は、可動ステージ106の上面によって支持された下面を有する。第1の電極118は、励起/コレクタ組み合わせ電極の形態である。第2の電極218は、励起/コレクタ組み合わせ電極の形態である。
【0235】
[000222] 膜アセンブリ104は、第1のクリーニング部110と第2のクリーニング部210との間に位置決めされている。第1のクリーニング部110は膜211よりも上方に位置決めされ、第2のクリーニング部210は膜211よりも下方に位置決めされている。第1のクリーニング部110は第2のクリーニング部210と対向するように構成されている。
【0236】
[000223] 第1のアクチュエータ112の下面は、第1のコネクタ114の上面に接続されている。第1のコネクタ114の下面は、第1の近接センサ116の上面に接続されている。第1のコネクタ114の下面は、第1の電極118の上面に接続されている。第1のアイソレータ115は、第1の近接センサ116と第1の電極118との間に位置決めされている。第1の電圧源111は、一方の端部で第1の電極118に、他方の端部(明確さのため図示されていない)で接地に(例えば真空チャンバ130に)電気的に接続されている。第1の近接センサ116の下面及び第1の電極118の下面は、膜211の上面と向かい合っている。
【0237】
[000224] 第2のアクチュエータ212の上面は、第2のコネクタ214の下面に接続されている。第2のコネクタ214の上面は、第2の近接センサ216の下面に接続されている。第2のコネクタ214の上面は、第2の電極218の下面に接続されている。第2のアイソレータ215は、第2の近接センサ216と第2の電極218との間に位置決めされている。第2の電圧源211は、一方の端部で第2の電極218に、他方の端部(明確さのため図示されていない)で接地に(例えば真空チャンバ130に)電気的に接続されている。第2の近接センサ216の上面及び第2の電極218の上面は、膜211の下面と向かい合っている。
【0238】
[000225] 導電性膜211は、真空チャンバ130又は支持ステージ106のうち1つに対する容量結合によって実質的に接地されている。
【0239】
[000226] 膜211にはプレストレスがかかっている(例えば300~500MPa等、100~1000MPaの張力)。膜211の厚さは5~50nmであり、典型的には10~30nmである。膜211の内側部分は、可動ステージ106の上方で自由に機械的に振動する。
【0240】
[000227] 使用時、可動ステージ106は、導電性フレーム108の面内で2次元に移動するよう構成されている。可動ステージ106の移動は、導電性フレーム108及び膜211も移動させて、クリーニング装置100内で膜211の移動を可能とするように構成されている。
【0241】
[000228] 使用時、第1のリニアアクチュエータ112及び第2のリニアアクチュエータ212は、導電性フレーム108の面に対して垂直な1次元で相互に独立して移動するよう動作可能である。
【0242】
[000229] 使用時、第1のリニアアクチュエータ112は、第1のコネクタ114を移動させるように動作可能である。第1のコネクタ114は、第1の電極118及び第1の近接センサ116に機械的基準を与えるように配置されている。従って、第1のリニアアクチュエータ112は、膜211に対して第1の電極118及び第1の近接センサ116を移動させるように動作可能である。第1のコネクタ114は、第1の電極118及び第1の近接センサ116を第1のリニアアクチュエータ112から電気的に絶縁するよう構成された絶縁体を含む。
【0243】
[000230] 使用時、第2のリニアアクチュエータ212は、第2のコネクタ214を移動させるように動作可能である。第2のコネクタ214は、第2の電極218及び第2の近接センサ216に機械的基準を与えるように配置されている。従って、第2のリニアアクチュエータ212は、膜211に対して第2の電極218及び第2の近接センサ216を移動させるように動作可能である。第2のコネクタ214は、第2の電極218及び第2の近接センサ216を第2のリニアアクチュエータ212から電気的に絶縁するよう構成された絶縁体を含む。
【0244】
[000231] 使用時、第1のリニアアクチュエータ112及び第2のリニアアクチュエータ212はそれぞれ、第1の近接センサ116及び第2の近接センサ216を膜211から等距離に移動させるよう構成されている。使用時、第1のリニアアクチュエータ112及び第2のリニアアクチュエータ212はそれぞれ、第1の電極118及び第2の電極218を膜211から等距離に移動させるよう構成されている。
【0245】
[000232] 第1の電極118及び第2の電極218を膜211から等距離にすることで、膜211の励起のバランスを取ることができる。例えば、電極118、218はアクティブである間は膜211に対して反対方向の力を加え、組み合わせた電極118、218からの膜211に対する時間平均力は、電極118、218のいずれか1つからの時間平均力の10%未満(例えば、好ましくは1%未満)である。
【0246】
[000233] 使用時、可動ステージ、第1のリニアアクチュエータ112、及び第2のリニアアクチュエータ212は、膜211に対して第1のクリーニング部110及び第2のクリーニング部210を3次元で位置決めするように動作可能である。
【0247】
[000234] 使用時、第1の電圧源111は第1の電極118に第1の電圧を印加するように配置され、第2の電圧源211は第2の電極218に第2の電圧を印加するように配置されている。第1の電圧及び第2の電圧は、接地(図示せず)に対するものである。第1の電極118及び第2の電極218は、膜211に近接した時変電界を発生させるように構成されている。
【0248】
[000235] 第1のアイソレータ115は、第1の近接センサ116から第1の電極118を電気的に絶縁するよう構成された絶縁体を含む。第2のアイソレータ215は、第2の近接センサ216から第2の電極218を電気的に絶縁するよう構成された絶縁体を含む。
【0249】
[000236] 使用時、第1の近接センサ116は、第1の近接センサ116と、第1の近接センサ116に最も近い膜211の表面との間の距離を測定するよう構成されている。第1の近接センサ116は、第1の測定ビーム117で膜211を照明し、膜211が反射した第1の測定ビーム117の一部の少なくとも1つの特性を測定することで、第1の近接センサ116と第1の近接センサ116に最も近い膜211の表面との間の距離を測定するように構成されている。第1の近接センサ116は、第1の近接センサ116と第1の近接センサ116に最も近い膜211の表面との間の距離に対応するデータをコントローラ190に提供するよう構成されている。
【0250】
[000237] 使用時、第2の近接センサ216は、第2の近接センサ216と、第2の近接センサ216に最も近い膜211の表面との間の距離を測定するよう構成されている。第2の近接センサ216は、第2の測定ビーム217で膜211を照明し、膜211が反射した第2の測定ビーム217の一部の少なくとも1つの特性を測定することで、第2の近接センサ216と第2の近接センサ216に最も近い膜211の表面との間の距離を測定するように構成されている。第2の近接センサ216は、第2の近接センサ216と第2の近接センサ216に最も近い膜211の表面との間の距離に対応するデータをコントローラ190に提供するように構成されている。
【0251】
[000238] 近接センサ116、216を(例えばコントローラ190と共に)用いることで、膜211に対して電極118、218を10μmの精度で位置決めする。これは、最も小さい合理的なギャップ(すなわち膜211と電極118、218との間の)において要求される最高の精度であると共に、膜の平面全体からずれている膜211の局所部分及び可動ステージ106の傾き及び導電性フレーム108の傾きに関連した不正確さのための安全マージンを含む)。
【0252】
[000239] 使用時、近接センサ116、216は、膜211の機械的振動の低固有モードの周波数よりも高い頻度で膜の変位を検知するように動作可能である。膜211の低固有モードは、モード1(すなわち基本/単極モード)、モード2(例えば双極、ペリクルの長いエッジ)、モード3(例えば双極、ペリクルの短いエッジ)、モード4(例えば四極)のような膜の機械的振動固有モードのうち少なくとも1つを指す。一例として、このような低固有モードは1~3kHzの範囲内である。
【0253】
[000240] 近接センサ116、216が低固有モードよりも高い頻度で膜211の変位を検知するように動作可能であると、コントローラ190が制御するフィードバックループを使用できる。フィードバックループでは、膜211の機械的振動が監視され、測定された膜211の変位が所定範囲外である場合(
図12を参照のこと)、コントローラは、時変電界(すなわち電極118、218で発生される)の少なくとも1つの特徴を制御する。このようなフィードバックループは、
図14から
図16に関連付けて説明する。
【0254】
[000241] 使用時、近接センサ116、216は、0.1kHz、1kHz、10kHzのうち少なくとも1つよりも高い頻度で膜211の変位を測定するように動作可能である。
【0255】
[000242] 使用時、近接センサ116、216は、1kHz、10kHz、100kHz、1000kHzのうち少なくとも1つよりも低い頻度で膜211の変位を測定するように動作可能である。
【0256】
[000243] 第1の電極118(例えば励起/コレクタ組み合わせ電極の形態)及び膜211は、閉回路の一部ではない。従って、使用時、第1の電圧源111によって電圧が印加されると、第1の電極118及び膜211上に電荷が蓄積し得る。第2の電極218(例えば励起/コレクタ組み合わせ電極の形態)及び膜211は、閉回路の一部ではない。従って、使用時、第2の電圧源211によって電圧が印加されると、第2の電極218及び膜211上に電荷が蓄積し得る。この効果は、キャパシタにおいて対向するプレートが帯電することと同様である。
【0257】
[000244] 使用時、第1の電圧源111及び第2の電圧源211はそれぞれ、第1の電極118及び第2の電極218に交互に電圧を印加するよう構成されている(例えば、どの瞬間にも膜211に正味の静電力が加えられるようになっている)。あるいは、第1の電圧源111及び第2の電圧源211はそれぞれ、第1の電極118及び第2の電極218に反対の電圧を印加するよう構成されている(例えば、膜211に正味の静電力を加えるため)。
【0258】
[000245] 第1の電極118及び膜211上の電荷蓄積は、第1の電極118と膜211との間に静電引力を生成する。第2の電極218及び膜211上の電荷蓄積は、第2の電極218と膜211との間に静電引力を生成する。膜211は比較的薄く、従って可撓性であるので、膜211はこの引力によって歪む。
【0259】
[000246] 膜アセンブリ104の近くに静電力を発生させる電荷の蓄積は、本発明のいくつかの実施形態で利用される。具体的には、この静電力の時間的特徴を設定することにより、膜211で機械的振動を誘発する。これは、本発明のこの実施形態に従って、第1の電極118、第2の電極218、及び膜211に時変電圧を印加することによって達成される。この目的に利用される時変電圧は、複数の時間的に離れたパルスを含む。この機構については、以下で
図11aから
図11bに関連付けて詳述する。
【0260】
[000247] 時変電圧は、10~1000Pa、例えば100Paの静電圧を有する圧力パルスを印加する。時変電圧は、10~1000ns、例えば100nsの持続時間を有する圧力パルスを印加する。時変電圧は、10~1000kHz、例えば100kHzの平均繰り返し率を有する。時変電圧は、0.1~10MHzの範囲内で変動するピークパルス繰り返し率を有し、最適な共鳴励起のために、簡略化のため無質量ばね上の質量として扱うことができる粒子の共振に第1/第2/第3の高調波周波数を重ねる。
【0261】
[000248] 圧力パルスと時変電圧は同一の持続時間を有する。時変電圧(例えば電圧パルス)は、断面
【0262】
【0263】
を有する電極に印加される。必要な静電圧
【0264】
【数9】
を与えるため、1又は複数の電極は膜から0.5mm~2.5mm内に位置決めされる(h)。
【0265】
[000249] 真空チャンバ130内の圧力を制御するため、1つ以上の真空ポンプ(図示せず)を提供してもよい。具体的には、真空ポンプ装置(図示せず)を用いて、真空チャンバ130の圧力を近真空条件に低下させることができる。例えば、1つ以上の真空ポンプは、真空チャンバ130内の圧力を<10-3mBarに、好ましくは<10-6mBarに低下させるよう動作可能である。真空チャンバ130の圧力は、膜211の面(例えば導電性フレーム108の面に平行である)の両側で等しいように構成されている。
【0266】
[000250] コントローラ190は、第1の近接センサ116、第2の近接センサ216、第1の電圧源111、及び第2の電圧源211に電気的に接続されている。使用時、コントローラ190は、第1の近接センサ116及び第2の近接センサ216で測定された膜211の測定された変位に少なくとも部分的に基づいて、第1の電極118及び第2の電極218が膜211の近くで発生する時変電界の少なくとも1つの特徴(例えば振幅、周波数、位相)を変えるように第1の電極118及び第2の電極218を制御するよう動作可能である。
【0267】
[000251] 抑制される低固有モードは大きく(すなわち振幅が)、これは、各近接センサ116、216と各電極118、218との間の距離が、抑制される機械的振動モードの波長よりもはるかに小さいので、各電極118、218から各近接センサ116、216を除去することは重要でないことを意味する。
【0268】
[000252] 膜クリーニング装置100は、膜211をクリーニングするため使用することができる。これについて以下で検討する。使用時、膜クリーニング装置100は、膜211の第1の局所部分をクリーニングし、次いで可動ステージ106を用いて第2の局所部分をクリーニングのために位置決めするよう構成されている。膜211の第2の局所部分をクリーニングした後、可動ステージ106を用いて第3の局所部分をクリーニングのために位置決めする。このサイクルは、膜211全体がクリーニングされるまで繰り返す。局所部分は典型的に電極118、218よりも大きい。典型的に、膜211の各局所部分は、膜の少なくとも1つの隣接する局所部分と重複する。
【0269】
[000253] 膜211はペリクル膜16とすることができ、電気伝導率が高いか又は中程度の材料から形成され得る。この材料は例えば、ドープされた多結晶シリコン、又は金属シリサイド、又はドープされた金属シリサイド、又はドープされた金属炭化物、又はドープされた金属窒化物、又は上記の材料のいずれかの組み合わせである。
【0270】
[000254] 特に、装置100は、膜211の機械的振動の振幅が所定範囲を超えたことで生じる膜211の損傷を防止するのに適している。膜211の損傷は、膜211の裂け又は破損を含む。暴走障害は膜211の損傷を引き起こす。例えば、静止時の膜211に対する膜211の変位が所定範囲を超えた場合、膜211の剛性は、第1の電極118又は第2の電極218のうち近い方からの静電力に抵抗することができない。この場合、膜211は更に変形し、ついには電極118、218のうち1つに接触して、機械的に又はスパークによって破損する。
【0271】
[000255] 装置100は、そのような暴走障害を防止して膜211の損傷を防ぐように動作可能である。
【0272】
[000256] 図10は、電圧源211によって与えられた電圧が励起/コレクタ組み合わせ電極218及び導電性フレーム108を通して印加された場合、膜クリーニング装置100によってクリーニングされる膜211の断面を示す。明確さのため、
図10及び
図11aから
図11cは、2つのクリーニング部110、210の使用ではなく、単一のクリーニング部210の使用に関連付けて記載する。また、膜211上に位置する粒子240も図示されている。膜211は概ね可撓性であり、励起/コレクタ組み合わせ電極218は概ね剛性であるので、励起/コレクタ組み合わせ電極218と膜211との間の静電引力は、膜211の機械的変形301を生じる。
【0273】
[000257] 本発明の一実施形態において、励起/コレクタ組み合わせ電極218及び導電性フレーム108を通して印加された電圧は、
図11aに示されている波形400に従う。
図11aは、時間tの関数として電圧Vのプロットを示す。電圧は時変である。具体的には、電圧の波形400は、電圧がパルス電圧401として記述され得るような周期的なものである。パルス電圧401は、交互のオン部分402とオフ部分403を含む。
図11aに示されている電圧波形400は、電圧源211によって発生され得るパルス電圧401の一例に過ぎないことは認められよう。他の実施形態では、代替的なパルス形状及びパルス繰り返し周波数及び/又はパルスパターン、例えばバーストやパルス列を用いることができる。
【0274】
[000258] 図11aに示されているパルス電圧401は、DC成分を含む(オフ部分403は、励起/コレクタ組み合わせ電極218と導電性フレーム108との間の非ゼロ電位差に対応する)。代替的な実施形態では、同様であるがDC成分を含まない波形400を使用できる(オフ部分403は、励起/コレクタ組み合わせ電極218と導電性フレーム108との間のゼロ電位差に対応する)。DC成分を含むパルス電圧401を用いると、励起/コレクタ組み合わせ電極218と膜アセンブリ208との間でより強い時間平均電界が発生し、後述するように、励起/コレクタ組み合わせ電極218へ向かう粒子240の輸送を改善することができる。
【0275】
[000259] パルス電圧401は、励起/コレクタ組み合わせ電極218と膜211との間にパルス静電引力を生成する。パルス電圧401のオン部分402の間、励起/コレクタ組み合わせ電極218と膜211との間に静電引力が存在し、結果として、上述のように膜211の機械的変位301が生じる。このような電気力(電荷)を生じるパルス圧力は、典型的に0.01Pa~100Paであり得る。圧力を加えた後、膜の全体又は少なくともいくつかの部分は電極218の方へ加速される。
【0276】
[000260] DC成分を含むパルス電圧401のオフ部分403の間、励起/コレクタ組み合わせ電極218と膜211との間には、オン部分402の間に比べて小さい静電引力が存在する。パルス電圧401がDC成分を含まない実施形態では、パルス電圧401のオフ部分403の間、励起/コレクタ組み合わせ電極218と膜211との間に静電引力は存在しない。従って、パルス電圧401(DC成分を含む場合も含まない場合も)のオフ部分403の間、膜211の張力によって、パルス電圧401のオン部分402の間に発生した機械的変位301とは反対方向に膜211が加速し得る。パルス電圧401のオン部分402及びオフ部分403は繰り返すので、膜211で機械的振動が誘発される。
【0277】
[000261] 本発明の一実施形態において、励起/コレクタ組み合わせ電極218と導電性フレーム108を通して印加された電圧は、10%未満のデューティサイクルを有する。有利には、これは、膜211及び励起/コレクタ組み合わせ電極218が形成するキャパシタの電流充放電による膜211の加熱量を制限する。
【0278】
[000262] 励起/コレクタ組み合わせ電極218に向かい合う膜211の表面上に粒子210が存在する可能性がある。
【0279】
[000263] 時間で平均すると、パルス電圧400に起因して、励起/コレクタ組み合わせ電極218と膜アセンブリ208との間には正味の電界が存在する。
【0280】
[000264] 励起/コレクタ組み合わせ電極218に向かい合う膜211の表面上に位置する非ゼロ表面導電率の粒子240は、パルス電圧401によって膜211から電荷を獲得している可能性がある。この粒子240の電荷のため、粒子240を励起/コレクタ組み合わせ電極218の方へ引き付ける静電力が存在する。
【0281】
[000265] これに加えて又はこの代わりに、粒子240は、励起/コレクタ組み合わせ電極218に向かい合う膜211の表面との摩擦電気相互作用によって電荷を獲得している可能性がある。この粒子240の電荷は正又は負のいずれかであり得る。使用時、電圧パルス400の極性は、摩擦電気で帯電された粒子と電極218との間に引力を与えるように選択され得る。様々な材料の状況(摩擦電気の帯電の異なる符号)に対応するため、電圧パルス(DC成分及び/又はパルス成分)の極性を変動させることができる。
【0282】
[000266] 膜211の表面上に存在する各粒子240は、粒子240と粒子240が位置する膜211の表面との間のファンデルワールス力に起因して、膜が振動すると概ね膜211の表面と共に動く。
【0283】
[000267] プレテンションがかかっている膜211上の各粒子240は、独立した振動子として扱うことができる。このような振動子の共振周波数は、粒子240及び膜211の特性によって変動し得る。
【0284】
[000268] 例えば、このような粒子210の共振周波数は、粒子240の質量Mによって変動し得る。共振周波数は、膜211で誘発される振動の半径303(振動振幅と励起周波数によって規定される)と、膜211上の粒子240の接触点304のサイズ(典型的な短距離ファンデルワールス相互作用によって規定される)との比であるdによって変動し得る。典型的に、膜クリーニング装置100を用いてクリーニングされる膜211では、dは100~1000,000であり得る。また、このような粒子の共振周波数は、膜211の厚さ305すなわちhによって変動し得る。典型的に、膜クリーニング装置100を用いてクリーニングされる膜211では、hは10nm~100nmであり得る。また、共振周波数は、膜211のプレテンションσによって変動し得る。典型的に、膜クリーニング装置100を用いてクリーニングされる膜211では、σは50MPa~500MPaであり得る。
【0285】
[000269] 振動子の基本周波数v0は以下の数式によって記述できる。
【0286】
【0287】
典型的な粒子密度及び0.5μm~5μmの粒子半径では、v0は約10MHz~0.3MHzであり得る。膜211に印加される励起周波数が粒子240の共振周波数に近付いた場合、粒子240の振動の振幅301は増大し得る。粒子240の振動の振幅が増大すると、粒子加速に起因した慣性がファンデルワールス力を超え得るので、膜-粒子間分離302も同様に増大する。
【0288】
[000270] ファンデルワールス力の大きさは、この力が作用する原子又は分子間の分離302の2乗に反比例する。何らかの閾値の膜-粒子間分離302では、粒子240と膜211の表面との間のファンデルワールス力は、粒子240を励起/コレクタ組み合わせ電極218の方へ(すなわち膜211から離れる方へ)引き付ける静電力が粒子240と膜211との間のファンデルワールス力を克服する程度まで減衰する。従って、この閾値の膜-粒子間分離302を超えると、膜211から粒子240を除去することができる。粒子240はその後、膜211と励起/コレクタ組み合わせ電極218との間の空間内に位置し、励起/コレクタ組み合わせ電極218の方へ加速する。
【0289】
[000271] 粒子240の共振周波数は、質量依存性のため粒子240のサイズによって変動する。様々なサイズを有する粒子210を除去するため、パルス電圧401は、様々な周波数の膜211の振動を誘発するように構成され得る。膜211に誘発される振動の周波数範囲を「励起スペクトル」と呼ぶことができる。励起スペクトルは、電圧源211が印加するパルス電圧401の波形400のフーリエ変換によって与えられる。励起スペクトルの成分は、パルス電圧401の時間的特徴部から生じる。比較的長い時間期間で繰り返す特徴部は、比較的低い周波数の励起成分を発生させ、逆もまた同様である。
【0290】
[000272] 図11b及び
図11cは、
図11aに示されている形態のパルス電圧401に対応する励起スペクトル404の概略的なプロットを示す。励起スペクトル404は、膜に加えられる相対的静電引力Fを、この力が加えられる振動周波数fの関数として概略的に示す。励起スペクトル404は、第1の部分405及び第2の部分406を含む。
【0291】
[000273] 励起スペクトル404の第1の部分405は、最長持続時間を有するパルス電圧401の時間的特徴部、すなわちパルス電圧401のパルスの時間期間407から生じる。第1の部分405の中心周波数408は、時間期間407の逆数によって規定される(この中心周波数408をパルス周波数又は繰り返し率と呼ぶことができる)。いくつかの実施形態では、パルス電圧401の繰り返し率は30kHz~30MHzの範囲内であり得る。
図11cの影付き領域409は、時間期間407の変調による第1の部分405の中心周波数408のシフトに対応する。時間期間407が大きくなると、第1の部分405の中心周波数408は低下する(逆もまた同様である)。
【0292】
[000274] 励起スペクトル404の第2の部分406は、時間期間407よりも短い持続時間を有するパルス電圧401の時間的特徴部から生じる。第2の部分406は、パルス電圧401のパルスのオン部分402の半値全幅(FWHM:full width at half maximum)410、並びに、パルス電圧401のパルスの立ち上がり時間411及び立ち下がり時間412によって規定される。第2の部分406の低周波数413は、FWHM410の逆数によって規定される。第2の部分406の高周波数414は、立ち上がり時間411及び立ち下がり時間412のうち最短である持続時間の逆数によって規定される。
図11cの影付き領域415は、FWHM410及び立ち上がり時間411及び立ち下がり時間412の変調による第2の部分406の低周波数413及び高周波数414のシフトに対応する。FWHM410が大きくなると、第2の部分406の低周波数413は低下する(逆もまた同様である)。立ち上がり時間411及び立ち下がり時間412のうち最短である持続時間が大きくなると、第2の部分406の高周波数414は低下する(逆もまた同様である)。
【0293】
[000275] 図11aに示されている形態のパルス電圧401は比較的単純である。従って、これは当業者によって容易に実施され得る。有利には、パルス電圧401の波形400は単純であるにもかかわらず、所望の励起スペクトルを達成するように選択(及び変動)され得るいくつかの構成可能パラメータ(時間期間407、FWHM410、立ち上がり時間411、立ち下がり時間412を含む)を与える。
【0294】
[000276] 図11aに示されている形態のパルス電圧401を用いる代わりに、電圧増幅器に接続された任意の関数発生器を用いて、所望の励起スペクトルを誘発するように構成可能な任意の所望のパルス形状を発生させてもよい。
【0295】
[000277] この実施形態では、
図11aに示されている電圧波形400は、一般的な形状であると共に、所望の励起スペクトルを達成するよう選択(及び変動)され得る1つ以上のパラメータ(例えば、時間期間407、FWHM410、立ち上がり時間411、立ち下がり時間412のうち任意のもの)を有すると考えることができる。他の実施形態では異なる電圧波形を使用してもよいが、これらの波形も、一般的な形状を有すると共に、所望の励起スペクトルを達成するよう選択(及び変動)され得る1つ以上のパラメータを有すると考えられることは認められよう。
【0296】
[000278] 本実施形態の構成では、励起/コレクタ組み合わせ電極218及び膜アセンブリ208は、励起/コレクタ組み合わせ電極218と膜211との間の分離が0.5mm~2.5mmであるように配置されている。
【0297】
[000279] 本実施形態の構成では、励起/コレクタ組み合わせ電極218及び導電性フレーム108を通して印加されるパルス電圧401は、100V~10000Vの最大電位差を有する。
【0298】
[000280] 本実施形態の構成では、(パルス電圧401による)励起/コレクタ組み合わせ電極218と膜アセンブリ208との間の正味(時間平均)電界は、10Vm-1よりも大きいか又は-10Vm-1未満の電界強度を有する。
【0299】
[000281] 本実施形態の構成において、パルス電圧401は、30kHz~30MHzの周波数範囲で膜211の振動を(これにより、膜211上に位置する粒子210の振動も)励起するように構成されている。例えばパルス電圧401は、100kHz~10MHzの周波数範囲で膜211の振動を励起するように構成され得る。
【0300】
[000282] 本実施形態の構成において、パルス電圧401は正弦波的に変動する電圧ではない。適切なオフ部分403を確実にパルス形状に組み込むことにより、膜アセンブリ208上の導電性コーティング209内へ消散する電力を低く抑えることができる。これは、放射冷却によって膜211の温度を安全限度内に維持することを可能とするために有用である。
【0301】
[000283] 上述の構成を用いると、膜クリーニング装置100を用いて、0.5~5μmの寸法を有する粒子210を膜211から除去することができる。
【0302】
[000284] パルス電圧401は、別々のパルス列として印加され得る。1つのパルス列は別のパルス列に直後に続くことができる。連続するパルス列でパルス電圧の極性を逆にして、別々のパルス列を印加することができる。これは、マイナスに帯電した電荷とプラスに摩擦電気で帯電した電荷の双方を解放し、それらを収集電極へ引き付けるために有用であり得る。各パルス列の持続時間は、次のパルス列(逆の電圧極性を有する)の印加前に粒子210が励起/コレクタ組み合わせ電極218へ輸送される充分な時間があるように構成され得る。荷電粒子は一般に、励起/コレクタ電極218に接触すると放電し得ることは認められよう。従って、電圧の極性が逆になった場合、これらの粒子が再び膜211へ輸送されることはない。
【0303】
[000285] 図12は、
図9の膜クリーニング装置100と同じ断面を示すが、
図12の膜211は固定状態でなく機械的に振動している。従って、
図12の膜211は膜211の静止面からずれている。
【0304】
[000286] また、
図12には、上臨界ずれ面(critical deviation plane)660と下臨界ずれ面662との間に規定された膜211の許容可能振動ゾーンの形態の所定範囲も示されている。上臨界ずれ面660と下臨界ずれ面662は、導電性フレーム108の面に対して平行に位置している。上臨界ずれ面660は第1のクリーニング部110の近くに配置され、下臨界ずれ面662は第2のクリーニング部210の近くに配置されている。上臨界ずれ面660と下臨界ずれ面662は、暴走障害の結果として膜211を損傷する危険がある大きさの膜211の変位に対応する。
【0305】
[000287] 所定の変位範囲は、10μm、100μm、1000μmのうち少なくとも1つよりも小さい大きさを有する、静止時の膜211に対する膜211の少なくとも局所部分の変位を含む。
【0306】
[000288] 使用時、第1の変位センサ116は、第1の変位センサ116に最も近い膜211の局所部分の変位を測定している。機械的に振動している膜211の最大振幅が大きくなったために、第1の変位センサ116により測定される静止時の膜211に対する膜211の局所部分の変位が、上臨界ずれ面660よりも第1の変位センサ116に近くなった場合、コントローラ190は、第1の電極118及び第2の電極218によって発生する時変電界の少なくとも1つの特徴を制御する。
【0307】
[000289] 使用時、第2の変位センサ216は、第2の変位センサ216に最も近い膜211の局所部分の変位を測定している。機械的に振動している膜211の最大振幅が大きくなったために、第2の変位センサ216により測定される静止時の膜211に対する膜211の局所部分の変位が、下臨界ずれ面662よりも第2の変位センサ216に近くなった場合、コントローラ190は、第1の電極118及び第2の電極218によって発生する時変電界の少なくとも1つの特徴を制御する。
【0308】
[000290] コントローラ190は、第1の電圧源111及び第2の電圧源211を制御することによって、第1の電極118及び第2の電極218により発生する時変電界の少なくとも1つの特徴を制御する。第1の電極118及び第2の電極218により発生する時変電界の特徴は、振幅、周波数、位相のうち少なくとも1つである。
【0309】
[000291] 第1の電極118及び第2の電極218によって発生する時変電界の少なくとも1つの特徴は、
図13から
図16に関連付けて説明される実施形態のうち少なくとも1つに従って制御される。
【0310】
[000292] 図13は、別の実施形態に従った、膜211から粒子を除去する方法700を記述するフローチャートを示す。方法700は、膜211の損傷を防ぐため、
図9に関連付けて記載されているような暴走障害を防止するのに適している。
【0311】
[000293] 方法700は、ステップ710、712、714、716を含む。これらは、膜から粒子を除去するため、時変電界を用いて膜の機械的振動を誘発すること(710)、静止時の膜に対する膜の変位を測定すること(712)、測定された膜の変位が所定範囲外であるか否かを判定すること(714)、及び、測定された膜の変位が所定範囲外である場合、時変電界の少なくとも1つの特徴を制御すること(716)である。
【0312】
[000294] ステップ710、712、714、及び716は、連続して実行される。ステップ716の後にステップ710を実行して、方法700がステップ710、712、714、及び716のループを形成するようになっている。
【0313】
[000295] 図14は、別の実施形態に従った、膜211から粒子を除去する方法800を記述するフローチャートを示す。方法800は、膜211の損傷を防ぐため、
図9に関連付けて記載されているような暴走障害を防止するのに適している。
【0314】
[000296] 方法800は、ステップ810、812、814、816、818、820、及び822を含む。これらは、膜から粒子を除去するため、時変電界を用いて膜の機械的振動を誘発すること(810)、静止時の膜に対する膜の変位を測定すること(812)、測定された膜の変位が所定範囲外であるか否かを判定すること(814)、時変電界の振幅を低減させること(816)、ホールドタイムの間、待機すること(818)、静止時の膜に対する膜の変位を測定すること(820)、及び、測定された膜の変位が所定範囲外であるか否かを判定すること(822)である。
【0315】
[000297] ステップ810が最初に実行された後にステップ812が、次いでステップ814が実行される。ステップ814において、測定された膜211の変位が所定範囲外でないと判定された場合、方法800はステップ810に戻る。ステップ814において、測定された膜211の変位が所定範囲外であると判定された場合、ステップ816が実行される。ステップ816の後にステップ818が、次いでステップ820が、次いでステップ822が実行される。ステップ822において、測定された膜211の変位が所定範囲外でないと判定された場合、方法800はステップ810に戻る。ステップ822において、測定された膜211の変位が所定範囲外であると判定された場合、方法800はステップ818に戻る。
【0316】
[000298] ステップ816(すなわち時変電界の振幅を低減させること)は、コントローラ190を用いて、第1の電圧源111及び第2の減圧源211によって第1の電極118及び第2の電極218にそれぞれ印加される電圧を低減させること、又は、第1の電圧源111及び第2の減圧源211によって第1の電極118及び第2の電極218にそれぞれ印加される電圧を停止することのうち少なくとも1つによって実行される。
【0317】
[000299] ステップ818(すなわちホールドタイムの間待機すること)は、膜211の機械的振動振幅の低減を可能とするために実行される。ホールドタイムは、所定の時間量であるか、又は、静止時の膜211に対する膜211の変位の測定に基づいて決定される、のうち少なくとも1つである。例えば、ホールドタイムは10~100秒である。
【0318】
[000300] 図15は、別の実施形態に従った、膜211から粒子を除去する方法900を記述するフローチャートを示す。方法900は、膜211の損傷を防ぐため、
図9に関連付けて記載されているような暴走障害を防止するのに適している。
【0319】
[000301] 方法900は、ステップ910、912、914、916、918、920、及び922を含む。これらは、膜から粒子を除去するため、時変電界を用いて膜の機械的振動を誘発すること(910)、静止時の膜に対する膜の時変変位データを測定及び記録すること(912)、測定された膜の変位が所定範囲外であるか否かを判定すること(914)、時変電界の周波数と膜の機械的振動周波数との重複を低減又は除去するように時変電界の周波数を変更すること(916)、ホールドタイムの間、待機すること(918)、静止時の膜に対する膜の時変変位データを測定及び記録すること(920)、及び、測定された膜の変位が所定範囲外であるか否かを判定すること(922)である。
【0320】
[000302] ステップ910、914、918、及び922は、それぞれステップ810、814、818、及び822と同一である。
【0321】
[000303] ステップ912及び920は、静止時の膜211に対する膜211の時変変位データを記録することを含む。この時変変位データの記録は、膜211の変位データ及び対応するタイムスタンプを測定及び記憶することを含む。各タイムスタンプは、膜211の各変位データが測定された時に対応する。この時変変位データの記録は、ステップ916で時変変位データが検索可能であるように時変変位データを記憶することを含む。
【0322】
[000304] ステップ916(すなわち、時変電界の周波数と膜211の機械的振動周波数との重複を低減又は除去するように時変電界の周波数を変更すること)は、記録した時変変位データを検索すること、フーリエ変換を用いて時変変位データを周波数ドメインに変換し、膜の少なくとも1つの機械的振動周波数を抽出すること、膜211の低機械的振動固有モードの所定値を決定又は検索すること、及び、時変電界の周波数と膜211の低固有モードとの重複を低減又は除去するように時変電界の周波数を変更すること、によって実行される。
【0323】
[000305] 時変電界の周波数と膜211の低固有モードとの重複を低減又は除去することは、コントローラ190を用いて、第1の電圧源111及び第2の減圧源211によって第1の電極118及び第2の電極218にそれぞれ印加される電圧の周波数を変更することを含む。
【0324】
[000306] 図16は、別の実施形態に従った、膜211から粒子を除去する方法1000を記述するフローチャートを示す。方法1000は、膜211の損傷を防ぐため、
図9に関連付けて記載されているような暴走障害を防止するのに適している。
【0325】
[000307] 方法1000は、ステップ1010、1012、1014、1016、1018、1020、及び1022を含む。これらは、膜から粒子を除去するため、時変電界を用いて膜の機械的振動を誘発すること(1010)、静止時の膜に対する膜の時変変位データを測定及び記録すること(1012)、測定された膜の変位が所定範囲外であるか否かを判定すること(1014)、膜の機械的振動位相と逆位相になるように時変電界の位相を変更すること(1016)、ホールドタイムの間、待機すること(1018)、静止時の膜に対する膜の時変変位データを測定及び記録すること(1020)、及び、測定された膜の変位が所定範囲外であるか否かを判定すること(1022)である。
【0326】
[000308] ステップ1010、1014、1018、及び1022は、ステップ810、814、818、及び822とそれぞれ同一である。ステップ1012及び1020は、ステップ912及び920とそれぞれ同一である。
【0327】
[000309] ステップ1016(すなわち、膜211の機械的振動位相と逆位相になるように時変電界の位相を変更すること)は、記録した時変変位データを検索すること、記録した時変変位データから膜211の機械的振動位相を決定すること、並びに、コントローラ190を用いて、第1の電圧源111及び第2の減圧源211によって第1の電極118及び第2の電極218にそれぞれ印加される電圧の位相を変更して、結果として生じる時変電界の位相と膜211の機械的振動位相が逆相になるようにすること、によって実行される。
【0328】
[000310] 方法1000は、方法800、900に比べて、ホールドタイム(例えば、測定された膜211の変位が所定範囲内になるまで膜211の機械的振動が弱くなる回復時間)を短縮することができる。これにより、膜クリーニング装置100のスループットを向上させることができる。
【0329】
[000311] 膜211の固有の制振は小さいので、ホールドタイムは例えば10~100秒である。方法1000では、膜211上に誘発された圧力がリアルタイムで膜211の測定された変位に対抗することができ、膜211の固有の制振に頼る場合に比べてホールドタイムを10~100分の1に短縮できる。このため、方法1000は、機械的振動を誘発した時間よりも速く機械的振動を抑えることができる。
【0330】
[000312] 方法1000は、膜211と電極118、218との間のギャップを小さくすることによって膜クリーニング装置100の効率を上げることができる。例えば、クリーニング圧力シーケンスは、本質的に不安定な構成で実行され得る。ただし、これは、膜211の機械的振動位相と逆相の時変電界を迅速に提供することで、不安定性が現れるのを防止できること、及び、膜211の機械的振動の振幅がクリティカルになる前に(すなわち、膜211の測定された変位が所定範囲を超える前に)機械的振動を抑制できることが条件である。
【0331】
[000313] 図17は、本発明に従った膜クリーニング装置1100の代替的な実施形態及び膜211を示す。
図17の装置1100は、第1のクリーニング部110を含まないこと以外は
図9の装置100と同一である。
【0332】
[000314] 上述した様々な装置及び方法は単なる例示であり、特許請求の範囲は上述した装置及び方法に限定されないことは理解されよう。添付の特許請求の範囲から逸脱することなく上述した装置及び方法に様々な変更を実施できることは、当業者には理解されよう。
【0333】
[000315] 例えば
図9に関して、膜211は、導電性コーティング209から接地へのギャップ(例えば1~10cm)を介した直接的な容量結合によって接地されるのではなく、膜211は、導電性フレーム108及び/又は可動ステージ106を介した容量結合によって接地してもよい。
【0334】
[000316] 図9に関して、膜211は、導電性コーティング209から接地へのギャップ(例えば1~10cm)を介した直接的な容量結合によって接地されるのではなく、膜211は、導電性コーティング209の外側部分を接地に接続する電線によって接地してもよい。
【0335】
[000317] 図9に関して、膜211を接地するのではなく、膜211を接地に対してDCバイアスしてもよい。
【0336】
[000318] 図9に関して、近接センサ116、216は、膜211の低機械的振動固有モードの周波数よりも高い頻度で膜211の変位を検知するよう動作可能であるのでなく、比較的低速の近接センサを用いてもよい。比較的低速の近接センサは、膜211の機械的振動の低固有モードの周波数と実質的に同じ頻度で膜211の変位を検知するよう動作可能であり得る。
【0337】
[000319] リニアアクチュエータ112、212は膜211のクリーニング中は使用されず、可動ステージ106は膜211の機械的振動周波数に対して低速で(例えば100μm/s未満で)移動するので、近接センサ116、216が測定する変化は、膜211の機械的振動に起因する。
【0338】
[000320] 近接センサ116、216は、100Hz、1000Hz、10,000Hzのうち少なくとも1つよりも高い頻度で膜211の変位を測定するように動作し得る。
【0339】
[000321] 近接センサ116、216は、1000Hz、10,000、100,000Hzのうち少なくとも1つよりも低い頻度で膜211の変位を測定するように動作し得る。
【0340】
[000322] 図9に関して、膜211の機械的振動を検知するため、及び電極118、218と膜211との間のギャップを設定するために近接センサ116、216を用いるのではなく、近接センサ116、216に対して追加の近接センサを提供してもよい。
【0341】
[000323] 膜211の機械的振動を検知するために追加の近接センサを使用し、電極118、218と膜211との間のギャップを設定するために近接センサ116、216を使用してもよい。膜211の機械的振動、及び電極118、218と膜211との間のギャップの測定は、交互に行えばよい。これにより、個々の変位測定の絶対精度を犠牲にして、より頻度の高い変位測定を実行することができる。これは、機械的振動の振幅が大きい(例えば>200μm)場合に好ましい。
【0342】
[000324] 方法800に関して、測定された膜211の変位が所定範囲外であると判定された場合にステップ822からステップ818に戻るのでなく、方法800はステップ816に戻ってもよい。
【0343】
[000325] 方法900に関して、測定された膜211の変位が所定範囲外であると判定された場合にステップ922からステップ918に戻るのでなく、方法900はステップ916に戻ってもよい。
【0344】
[000326] 方法1000に関して、測定された膜211の変位が所定範囲外であると判定された場合にステップ1022からステップ1018に戻るのでなく、方法1000はステップ1016に戻ってもよい。
【0345】
[000327] 方法1000に関して、膜211の機械的振動位相と逆位相になるように時変電界の位相を変更することを含むステップ1060に加えて、時変電界の振幅を増大させることで、より大きい静電力を加えて、時変電界の振幅を増大させない場合よりも迅速に膜211の機械的振動を抑えるようにしてもよい。
【0346】
[000328] 方法800、900、及び1000に関して、ステップ816、916、及び1060で時変電界の少なくとも1つの特徴を制御し、ホールドタイムの間、待機し(818)(この間に膜211の最大変位は所定の変位範囲内に戻る)、その後、ステップ810、910、1010で、時変電界の少なくとも1つの特徴をホールドタイム前の値に戻すのではなく、膜から粒子を除去する方法が完了するまで時変電界の少なくとも1つの特徴を制御してもよい。異なる表現をすると、膜211の所与の局所部分がクリーニングされるか又は膜211全体がクリーニングされるまで、時変電界の少なくとも1つの特徴を制御してもよい。
【0347】
[000329] 本明細書で開示又は説明されている各特徴は、単独で、又は本明細書で開示もしくは説明されている他のいずれかの特徴と組み合わせて、上述した様々な装置及び方法のいずれかに組み込むことができる。添付図面を参照して上述した装置又は方法のいずれかの特徴のうち1つ以上は、同じ装置又は方法の他の特徴のうち1つ以上とは別個に用いられた場合に効果を生成するか又は利点を提供することができる。上述した装置及び方法の特徴の特定の組み合わせ以外に、様々な特徴の組み合わせが可能である。
【0348】
[000330] 前述の記載及び添付の特許請求の範囲において、「~よりも上方(above)」、「~に沿って(along)」、「側(side)」等の位置に関する用語は、添付図面に示されているもの等の概念図を基準にしていることは、当業者には理解されよう。これらの用語は参照を容易にするため用いられるが、限定的な性質は意図していない。従って、これらの用語は、添付図面に示されているような向きの物体を表すものと理解される。
【0349】
[000331] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。考えられる他の用途は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。
【0350】
[000332] 本明細書ではリソグラフィ装置に関連して本発明の実施形態について具体的な言及がなされているが、本発明の実施形態は他の装置に使用することもできる。本発明の実施形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置、又はウェーハ(あるいはその他の基板)もしくはマスク(あるいはその他のパターニングデバイス)などのオブジェクトを測定又は処理する任意の装置の一部を形成してよい。これらの装置は一般にリソグラフィツールと呼ばれることがある。このようなリソグラフィツールは、真空条件又は周囲(非真空)条件を使用することができる。
【0351】
[000333] 以上では光学リソグラフィと関連して本発明の実施形態の使用に特に言及しているが、本発明は、例えばインプリントリソグラフィなど、その他の適用例において使用されてもよく、文脈が許す限り、光学リソグラフィに限定されないことが理解されるであろう。
【0352】
[000334] 文脈上許される場合、本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組み合わせにおいて実装することができる。本発明の実施形態は、1つ以上のプロセッサにより読み取られて実行され得る、機械可読媒体に記憶された命令として実装することも可能である。機械可読媒体は、機械(例えばコンピューティングデバイス)により読み取り可能な形態で情報を記憶又は伝送するための任意の機構を含むことができる。例えば機械可読媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音響又は他の形態の伝搬信号(例えば搬送波、赤外信号、デジタル信号など)、及び他のものを含むことができる。更に、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令は、特定のアクションを実行するものとして本明細書で説明されることがある。しかしながら、そのような説明は単に便宜上のものであり、そのようなアクションは実際には、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行するコンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、又は他のデバイスから生じ、実行する際、アクチュエータ又は他のデバイスが物質世界と相互作用し得ることを理解すべきである。
【0353】
[000335] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることは理解されよう。上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、下記に示す請求の範囲及び条項から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。
1. リソグラフィ装置で使用されるコンポーネントをクリーニングするための装置であって、前記装置は少なくとも1つのクリーニングモジュール又は複数のクリーニングモジュールを備え、
前記少なくとも1つのクリーニングモジュール又は前記複数のクリーニングモジュールは複数のクリーニング機構を含み、
前記複数のクリーニング機構は、
前記コンポーネントへの前記粒子の付着を低減するための少なくとも1つの準備機構及び前記コンポーネントから粒子を除去するための少なくとも1つの除去機構、又は、前記コンポーネントから粒子を除去するための複数の除去機構を含む、装置。
2. 前記装置は前記複数のクリーニングモジュールを備え、前記装置は、クリーニングのために前記コンポーネントが前記複数のクリーニングモジュールを順次通過できるように構成されている、条項1の装置。
3. 前記クリーニングモジュール又は複数のクリーニングモジュールは、前記コンポーネントから粒子を除去するための少なくとも1つの分離モジュールを含む、条項1又は2のいずれかの装置。
4. 前記分離モジュールは、前記コンポーネントから粒子を除去している間又は除去する前のいずれかにおいて前記コンポーネントへの前記粒子の付着を低減するためのものである、条項3の装置。
5. 前記クリーニングモジュールは、
複数の分離モジュール、及び/又は、
少なくとも1つの分離モジュール及び前記コンポーネントへの粒子の付着を低減するための少なくとも1つの準備モジュールを含む、条項3又は4のいずれかの装置。
6. 前記クリーニングモジュール又は複数のクリーニングモジュールは真空下又は制御されたガス環境下に維持されている、条項1から5のいずれかの装置。
7. 前記除去機構及び/又は前記準備機構は真空発生機構を含む、条項1から6のいずれかの装置。
8. 前記準備機構は、真空環境で前記コンポーネント及び/又は前記粒子を乾燥させる熱を発生するように構成された熱発生機構を含む、条項1から7のいずれかの装置。
9. 前記真空環境における水蒸気又は他の酸素含有ガス圧は、(1E-4Pa)未満、(1E-5Pa)未満、(1E-6Pa)未満、又は(1E-7Pa)未満のうち少なくとも1つの圧力を有する、条項8の装置。
10. 前記熱発生機構は放射加熱器を含み、好ましくはレーザ又はIRランプを含む、条項8又は9のいずれかに記載の装置。
11. 前記熱発生機構は、前記コンポーネントの境界への前記放射熱が1W/cm
2
未満である、前記コンポーネントの境界がヒートシンクと接触して前記境界の温度が400C未満を維持する、及び/又は、前記コンポーネントにおける放射熱電力密度が10W/cm
2
未満である、好ましくは1~5W/cm
2
又は2~5W/cm
2
の範囲である、のうち少なくとも1つであるように構成されている、条項8から10のいずれかに記載の装置。
12. 前記準備機構は、前記コンポーネントに隣接して又は前記コンポーネントの周囲でプラズマを発生させるためのプラズマ発生機構を含む、条項1から11のいずれかに記載の装置。
13. 前記プラズマ発生機構は、還元剤、水素、希ガス、還元剤と酸化剤、及び/又は水素と水のうち少なくとも1つによってプラズマを発生させるように構成されている、条項12に記載の装置。
14. 還元剤と酸化剤との前記比は100より大きく、好ましくは1000より大きい、条項13に記載の装置。
15. プラズマ発生のための圧力は、0.01Pa~100Pa、好ましくは0.1Pa~10Paの前記範囲内である、条項12から14のいずれかに記載の装置。
16. 前記準備機構は、除去対象の前記粒子を有する前記コンポーネントの前記側に入射する電子ビームを発生させるための電子ビーム発生機構を含む、条項1から15のいずれかに記載の装置。
17. 前記電子ビーム発生機構は、還元剤、水素、還元剤と酸化剤、及び/又は水素と水のうち少なくとも1つを含む環境において前記電子ビームを発生させるように構成されている、条項16に記載の装置。
18. 還元剤と酸化剤との前記比は100より大きく、好ましくは1000より大きい、条項17に記載の装置。
19. 前記環境は0.01Pa~10Paの範囲内の圧力を有する、条項17又は18のいずれかに記載の装置。
20. 前記準備機構は、前記コンポーネントに入射するVUV又はEUV光子を発生させるためのVUV又はEUV光子発生機構を含む、条項1から19のいずれかに記載の装置。
21. 前記VUV又はEUV光子発生機構は、還元剤、水素、還元剤と酸化剤、及び/又は水素と水のうち少なくとも1つを含む環境において前記VUV又はEUV光子を発生させるように構成されている、条項20に記載の装置。
22. 前記準備機構は、前記コンポーネントに隣接して又は前記コンポーネントの周囲で水素ラジカルを発生させるためのラジカル発生機構を含む、条項1から21のいずれかに記載の装置。
23. 前記ラジカル発生機構は、プラズマ発生機構及び/又はホットフィラメントのうち少なくとも1つを含む、条項22に記載の装置。
24. 前記除去機構は、前記コンポーネントの機械的振動を発生させるための振動発生機構を含む、条項1から23のいずれかに記載の装置。
25. 前記振動発生機構は、少なくとも1つの励起電極と、前記少なくとも1つの励起電極及び前記コンポーネントを通して時変電圧を印加するための機構と、を含む、条項24に記載の装置。
26. 前記除去機構は、前記コンポーネントに入射するVUV光子を発生させるためのVUV光子発生機構を含む、条項1から25のいずれかに記載の装置。
27. 前記VUV光子発生機構は、前記コンポーネントの実質的に前記全ての表面を一度に照明するか又は前記表面の一部を照明するためのVUV光子ビームを発生するように構成され、前記VUV光子ビームは、前記コンポーネントの前記全ての表面を照明するようにスキャン可能である、条項26に記載の装置。
28. 前記除去機構は、前記コンポーネントに隣接して又は前記コンポーネントの周囲でプラズマを発生させるためのプラズマ発生機構を含む、条項1から27のいずれかに記載の装置。
29. 前記除去機構は、前記コンポーネントから離れる方への粒子移動を誘発するための熱発生機構を含む、条項1から28のいずれかに記載の装置。
30. 前記除去機構は、前記コンポーネントから離れる方へ粒子を輸送するための電界発生機構を含む、条項1から29のいずれかに記載の装置。
31. 前記電界発生機構は、コレクタ電極と、前記コンポーネント及び前記コレクタ電極を通して電圧を印加するための機構と、を含む、条項30に記載の装置。
32. 前記コレクタ電極は、前記コンポーネントの実質的に全てを覆うプレート又は電極のグリッドを含む、条項31に記載の装置。
33. 前記装置は、前記コレクタ電極に対する電力供給をオフにした場合に粒子が前記コンポーネントに戻るのを防ぐように構成された1つ以上のシールドを含む、条項31又は32のいずれかに記載の装置。
34. 前記除去機構は、除去対象の前記粒子を有する前記コンポーネントの前記側に入射する電子ビームを発生させるための電子ビーム発生機構を含む、条項1から33のいずれかに記載の装置。
35. 前記電子ビーム発生機構は、30~3000eVの範囲内のエネルギを有する前記電子ビームを生成するように構成され、前記コンポーネントにおける前記電流密度は10uA/cm2~10mA/cm2の範囲内であり、及び/又は、前記コンポーネントにおける前記電力損失は1W/cm2未満である、条項34に記載の装置。
36. 前記電子ビーム発生機構は、前記電子ビームがパルス状であるように構成されている、条項34又は35のいずれかに記載の装置。
37. 前記電子ビームはプラズマと組み合わされる、条項34から36のいずれかに記載の装置。
38. 前記電子ビーム発生機構は、80eVを超えるエネルギを有する前記電子ビームを生成するように構成されている、条項34から37のいずれかに記載の装置。
39. 前記装置は、静止時の前記コンポーネントに対する前記コンポーネントの変位を測定するための少なくとも1つの変位センサと、前記コンポーネントの前記測定された変位が所定範囲外であるか否かを判定すると共に、前記コンポーネントの前記測定された変位が前記所定範囲外である場合に前記時変電界の少なくとも1つの特徴を変更するように前記時変電界を印加するための前記機構を制御するよう動作可能なコントローラと、を含む、条項25に記載の装置。
40. 前記装置は、1つ以上の追加のクリーニングモジュールを前記装置に追加できるように構成されている、条項1から39のいずれかに記載の装置。
41. 前記コンポーネントは、ペリクル、EUV透明フィルム、動的ガスロック膜、又はEUVスペクトル純度フィルタのうち少なくとも1つである、条項1から40のいずれかに記載の装置。
42. 膜から粒子を除去するための膜クリーニング装置であって、
前記膜を支持するための膜サポートと、
前記膜から粒子を除去するため、前記膜サポートによって支持された場合の前記膜の機械的振動を誘発するための時変電界発生器と、
前記膜サポートによって支持された場合の静止時の前記膜に対する前記膜の変位を測定するための少なくとも1つの変位センサと、
前記膜の前記測定された変位が所定範囲外であるか否かを判定すると共に、前記膜の前記測定された変位が前記所定範囲外である場合に前記時変電界の少なくとも1つの特徴を変更するように前記時変電界発生器を制御するよう動作可能なコントローラと、
を備える、装置。
43. 前記少なくとも1つの変位センサは、静止時の前記膜の少なくとも局所部分に対する前記膜の前記局所部分の変位を測定するように構成されている、条項42の装置。
44. 第1の変位センサは、静止時の前記膜の局所部分に対する前記膜の前記局所部分の第1の励起電極に近接した変位を測定するように構成され、第2の変位センサは、静止時の前記膜の局所部分に対する前記膜の前記局所部分の第2の励起電極に近接した変位を測定するように構成されている、条項42の装置。
45. 前記コントローラは、前記膜の測定された最大変位に基づいて、前記膜の前記測定された変位が前記所定範囲外であるか否かを判定するように動作可能である、条項42から44の装置。
46. 前記コントローラは、前記時変電界の以下の特徴、すなわち、
振幅、
周波数、
位相、
のうち少なくとも1つを変更することによって、前記膜の最大変位を小さくするように前記時変電界発生器を制御するよう動作可能である、条項42から45の装置。
47. 前記コントローラは、
前記時変電界の前記振幅を小さくすること、
前記時変電界の前記周波数と前記膜の機械的振動周波数との間の重複を低減又は除去するように前記時変電界の前記周波数を変更すること、
前記膜の機械的振動位相と逆位相になるように前記時変電界の前記位相を変更すること、
のうち少なくとも1つによって、前記膜の最大変位を小さくするように前記時変電界発生器を制御するよう動作可能である、条項46の装置。
48. 前記時変電界発生器は、
前記膜サポートによって支持された場合の前記膜の表面に近接して位置決めされた少なくとも1つの励起電極と、
前記少なくとも1つの励起電極を通して時変電圧を印加して、前記膜サポートによって支持された場合の前記膜の機械的振動を誘発するための前記時変電界を発生させるための機構と、
を含む、条項42から47の装置。
49. 前記少なくとも1つの時変電界発生器は、
第1の励起電極及び第2の励起電極であって、各電極は前記膜サポートによって支持された場合の前記膜の2つの反対側の面のうち異なるものに近接して位置決め可能である、第1の励起電極及び第2の励起電極と、
前記第1の励起電極及び前記第2の励起電極を通して時変電圧を印加して、前記膜サポートによって支持された場合の前記膜の機械的振動を誘発するための前記時変電界を発生させるための機構と、
を含む、条項42から48の装置。
50. 前記時変電界発生器は、前記第1の電極に印加された前記時変電圧と前記第2の電極に印加された前記時変電圧との間に非ゼロの位相差が存在するように構成されている、条項49の装置。
51. リソグラフィ装置で使用されるコンポーネントをクリーニングする方法であって、
装置の1つのクリーニングモジュール又は複数のクリーニングモジュールにおいて前記コンポーネントをクリーニングすることを含み、このクリーニングは、
前記コンポーネントから粒子を除去するための少なくとも1つの除去機構及び前記コンポーネントへの前記粒子の付着を低減するための少なくとも1つの準備機構、又は、
前記コンポーネントから粒子を除去するための複数の除去機構を用いる、方法。
52. 前記装置は前記複数のクリーニングモジュールを備え、前記方法は更に、クリーニングのため前記コンポーネントを前記クリーニングモジュールに順次通過させることを含む、条項51の方法。
53. 前記コンポーネントから前記粒子を除去するための複数の分離モジュールに前記コンポーネントを通過させること、及び/又は、
前記コンポーネントへの前記粒子の付着を低減するための少なくとも1つの準備モジュールに前記コンポーネントを通過させ、次いで少なくとも1つの分離モジュールに前記コンポーネントを通過させること、
を更に含む、条項51又は52のいずれかの方法。
54. 前記除去機構は、時変電界を用いて前記コンポーネントの機械的振動を発生させるための振動発生機構を含み、前記方法は更に、
静止時の前記コンポーネントに対する前記コンポーネントの変位を測定することと、前記コンポーネントの前記測定された変位が所定範囲外であるか否かを判定することと、前記コンポーネントの前記測定された変位が前記所定範囲外である場合に前記時変電界の少なくとも1つの特徴を制御することと、を含む、条項51から53のいずれかの方法。
55. リソグラフィ装置で使用される、膜から粒子を除去する方法であって、
前記膜から粒子を除去するため、時変電界を用いて前記膜の機械的振動を誘発することと、
静止時の前記膜に対する前記膜の変位を測定することと、
前記膜の前記測定された変位が所定範囲外であるか否かを判定することと、
前記膜の前記測定された変位が前記所定範囲外である場合に前記時変電界の少なくとも1つの特徴を制御することと、
を含む方法。
56. 1Hz、10Hz、100Hz、1000Hz、10,000Hzのうち少なくとも1つよりも高い頻度で前記膜の前記変位を測定することを更に含む、条項55の方法。
57. 静止時の前記膜に対する前記膜の前記変位を測定することは、静止時の前記膜の少なくとも局所部分に対する前記膜の前記局所部分の変位を測定することを含む、条項55から56のいずれかの方法。
58. 前記所定範囲は、静止時の前記膜に対する前記膜の少なくとも局所部分の変位であって、大きさが10μm、100μm、1000μmのうち少なくとも1つよりも小さい変位を含む、条項55から57のいずれかの方法。
59. 前記膜の測定された最大変位に基づいて、前記膜の前記測定された変位が前記所定範囲外であるか否かを判定することを含む、条項55から58のいずれかの方法。
60. 前記時変電界の前記特徴は、
振幅、
周波数、
位相、
のうち少なくとも1つを含む、条項55から59のいずれかの方法。
61. 前記時変電界の前記振幅を小さくすること、
前記時変電界の前記周波数と前記膜の機械的振動周波数との間の重複を低減又は除去するように前記時変電界の前記周波数を変更すること、
前記膜の機械的振動位相と逆位相になるように前記時変電界の前記位相を変更すること、
のうち少なくとも1つによって、前記膜の最大変位を小さくするように前記時変電界の前記少なくとも1つの特徴を制御することを含む、条項60の方法。
62. 前記膜の機械的振動を誘発することは、前記膜の表面に近接して位置決めされた少なくとも1つの励起電極を通して時変電圧を印加することを含む、条項55から61のいずれかの方法。
63. 前記膜の機械的振動を誘発することは、前記膜の両側の面に近接して位置決めされた第1の励起電極及び第2の励起電極の各々に時変電圧を印加することを含む、条項55から62のいずれかの方法。
64. 前記第1の電極に印加された前記時変電圧と前記第2の電極に印加された前記時変電圧との間に非ゼロの位相差が存在する、条項63の方法。
65. 1Hz、10Hz、100Hz、1000Hz、10,000Hzのうち少なくとも1つよりも高い頻度で前記膜の前記変位を測定することを更に含む、条項55から64のいずれかの方法。
66. 命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令は、処理回路によって実行された場合、条項51から65のいずれか一項の方法を前記処理回路に実行させる、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【国際調査報告】