(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】低電力デバイスのための低電力クロック発生器
(51)【国際特許分類】
G06F 1/324 20190101AFI20240719BHJP
G06F 12/00 20060101ALI20240719BHJP
G11C 5/14 20060101ALI20240719BHJP
G06F 1/3218 20190101ALI20240719BHJP
G06F 1/3287 20190101ALI20240719BHJP
【FI】
G06F1/324
G06F12/00 550E
G11C5/14 370
G06F1/3218
G06F1/3287
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503532
(86)(22)【出願日】2022-07-18
(85)【翻訳文提出日】2024-02-27
(86)【国際出願番号】 US2022037503
(87)【国際公開番号】W WO2023009348
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591016172
【氏名又は名称】アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED MICRO DEVICES INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100111615
【氏名又は名称】佐野 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ジェイ. ギブニー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ジェイ. ブラノーバー
(72)【発明者】
【氏名】シャイルシュバイ ミヒル ドクター
(72)【発明者】
【氏名】シャオジェ ホー
(72)【発明者】
【氏名】インドラニ ポール
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン チェン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ピー. ペトリー
(72)【発明者】
【氏名】ピチャイア カタリ
【テーマコード(参考)】
5B011
5B160
【Fターム(参考)】
5B011DA06
5B011EA04
5B011EB01
5B011EB09
5B011LL13
5B160AA14
(57)【要約】
開示される技術は、クロックバイパスモードへのエントリをトリガすることであって、バイパスクロック発生器がクロック信号を機能要素に提供し、1次クロック発生器がクロック信号を機能要素に提供しない、ことと、クロックバイパスモードからのエグジットをトリガすることであって、バイパスクロック発生器がクロック信号を機能要素に提供せず、1次クロック発生器がクロック信号を機能要素に提供する、ことと、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロックバイパスモードへのエントリをトリガすることであって、バイパスクロック発生器がクロック信号を機能要素に提供し、1次クロック発生器がクロック信号を機能要素に提供しない、ことと、
前記クロックバイパスモードからのエグジットをトリガすることであって、前記バイパスクロック発生器がクロック信号を前記機能要素に提供せず、前記1次クロック発生器がクロック信号を前記機能要素に提供する、ことと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記バイパスクロック発生器は、前記1次クロック発生器よりも小さい範囲の周波数を生成するか、又は、前記1次クロック発生器よりも少ない数の周波数を生成する、
請求項1の方法。
【請求項3】
前記バイパスクロック発生器は、前記1次クロック発生器よりも少ない機能要素にクロック信号を送信する、
請求項1の方法。
【請求項4】
前記バイパスクロック発生器は、前記1次クロック発生器よりも悪化したジッタを有するクロック信号を生成する、
請求項1の方法。
【請求項5】
前記バイパスクロック発生器は、前記1次クロック発生器よりも、前記バイパスクロック発生器から前記クロック信号を受信する前記機能要素に物理的に近い位置にある、
請求項1の方法。
【請求項6】
前記クロックバイパスモードへのエントリをトリガすることは、ディスプレイスタッタモードへのエントリに応じて行われる、
請求項1の方法。
【請求項7】
前記ディスプレイスタッタモードで動作することは、ディスプレイコントローラのバッファに残っているデータのレベルが変動することに応じて、メモリの電源をオン/オフすることを含む、
請求項6の方法。
【請求項8】
前記クロックバイパスモードからのエグジットをトリガすることは、前記ディスプレイスタッタモードからのエグジットに応じて行われる、
請求項6の方法。
【請求項9】
前記1次クロック発生器は、1つ以上の2次クロック発生器のセットを介して前記クロック信号を前記機能要素に提供する、
請求項1の方法。
【請求項10】
システムであって、
複数の機能要素と、
電力状態コントローラと、を備え、
前記電力状態コントローラは、
クロックバイパスモードへのエントリをトリガすることであって、バイパスクロック発生器がクロック信号を前記複数の機能要素に提供し、1次クロック発生器がクロック信号を前記複数の機能要素に提供しない、ことと、
前記クロックバイパスモードからのエグジットをトリガすることであって、前記バイパスクロック発生器がクロック信号を前記複数の機能要素に提供せず、前記1次クロック発生器がクロック信号を前記複数の機能要素に提供する、ことと、
を行うように構成されている、
システム。
【請求項11】
前記バイパスクロック発生器は、前記1次クロック発生器よりも小さい範囲の周波数を生成するか、又は、前記1次クロック発生器よりも少ない数の周波数を生成する、
請求項10のシステム。
【請求項12】
前記バイパスクロック発生器は、前記1次クロック発生器よりも少ない機能要素にクロック信号を送信する、
請求項10のシステム。
【請求項13】
前記バイパスクロック発生器は、前記1次クロック発生器よりも悪化したジッタを有するクロック信号を生成する、
請求項10のシステム。
【請求項14】
前記バイパスクロック発生器は、前記1次クロック発生器よりも、前記バイパスクロック発生器から前記クロック信号を受信する前記複数の機能要素に物理的に近い位置にある、
請求項10のシステム。
【請求項15】
前記クロックバイパスモードへのエントリをトリガすることは、ディスプレイスタッタモードへのエントリに応じて行われる、
請求項10のシステム。
【請求項16】
前記ディスプレイスタッタモードで動作することは、ディスプレイコントローラのバッファに残っているデータのレベルが変動することに応じて、メモリの電源をオン/オフすることを含む、
請求項15のシステム。
【請求項17】
前記クロックバイパスモードからのエグジットをトリガすることは、前記ディスプレイスタッタモードからのエグジットに応じて行われる、
請求項15のシステム。
【請求項18】
前記1次クロック発生器は、1つ以上の2次クロック発生器のセットを介して前記クロック信号を前記複数の機能要素に提供する、
請求項10のシステム。
【請求項19】
システムであって、
バイパスクロック発生器と、
1次クロック発生器と、
複数の機能要素と、
電力状態コントローラと、を備え、
前記電力状態コントローラは、
クロックバイパスモードへのエントリをトリガすることであって、前記バイパスクロック発生器がクロック信号を前記複数の機能要素に提供し、前記1次クロック発生器がクロック信号を前記機能要素に提供しない、ことと、
前記クロックバイパスモードからのエグジットをトリガすることであって、前記バイパスクロック発生器がクロック信号を前記複数の機能要素に提供せず、前記1次クロック発生器がクロック信号を前記複数の機能要素に提供する、ことと、
を行うように構成されている、
システム。
【請求項20】
前記バイパスクロック発生器は、前記1次クロック発生器よりも小さい範囲の周波数を生成するか、又は、前記1次クロック発生器よりも少ない数の周波数を生成する、
請求項19のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年7月30日に出願された米国特許出願第17/390,475号の利益を主張し、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
コンピューティングハードウェアは、大量の電力を消費する。この電力を供給するためのバッテリに依存するモバイルデバイスは、動作持続時間の増加に関して電力低減から利益を得る。したがって、電力消費の問題は、コンピューティングハードウェアの改善のための永続的な領域である。
【0003】
添付の図面と共に例として与えられる以下の説明から、より詳細な理解を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本開示の1つ以上の特徴を実装することができる例示的なデバイスのブロック図である。
【
図2】
図1のデバイスの例示的な実施形態であるデバイスを示す図である。
【
図3】一例による、バイパスクロックモードに従ってデバイスを動作させるための方法のフロー図である。
【
図4】別の例による、デバイスを動作させるための方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
開示される技術は、バイパスクロック発生器が、クロック信号を機能要素に提供し、1次クロック発生器(primary clock generator)が、クロック信号を機能要素に提供しないクロックバイパスモードへのエントリをトリガすることと、バイパスクロック発生器が、クロック信号を機能要素に提供せず、1次クロック発生器が、クロック信号を機能要素に提供するクロックバイパスモードからのエグジットをトリガすることと、を含む。
【0006】
図1は、本開示の1つ以上の特徴を実装することができる例示的なデバイス100のブロック図である。デバイス100は、例えば、コンピュータ、ゲームデバイス、ハンドヘルドデバイス、セットトップボックス、テレビ、携帯電話、サーバ、タブレットコンピュータ、又は、他のタイプのコンピューティングデバイスを含み得る。デバイス100は、プロセッサ102、メモリ104、記憶装置106、1つ以上の入力デバイス108、及び、1つ以上の出力デバイス110を含む。また、デバイス100は、オプションで、入力ドライバ112及び出力ドライバ114を含み得る。デバイス100は、
図1に示されていない追加の構成要素を含むことができることを理解されたい。
【0007】
様々な代替例では、プロセッサ102は、中央処理ユニット(central processing unit、CPU)、グラフィックス処理ユニット(graphics processing unit、GPU)、同じダイ上に位置するCPU及びGPU、又は、1つ以上のプロセッサコアを含み、各プロセッサコアは、CPU又はGPUとすることができる。様々な代替例では、メモリ104は、プロセッサ102と同じダイ上に位置するか、又は、プロセッサ102とは別に位置する。メモリ104は、揮発性又は不揮発性メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、ダイナミックRAM、キャッシュ)を含む。
【0008】
記憶装置106は、固定又はリムーバブル記憶装置(例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、光ディスク、フラッシュドライブ)を含む。入力デバイス108は、キーボード、キーパッド、タッチスクリーン、タッチパッド、検出器、マイクロフォン、加速度計、ジャイロスコープ、生体認証スキャナ、又は、ネットワーク接続(例えば、無線IEEE802シグナルの送信及び/又は受信のための無線ローカルエリアネットワークカード)を含むが、これらに限定されない。出力デバイス110は、ディスプレイ、スピーカ、プリンタ、触覚フィードバックデバイス、1つ以上の光、アンテナ、又は、ネットワーク接続(例えば、無線IEEE802シグナルの送信及び/又は受信のための無線ローカルエリアネットワークカード)を含むが、これらに限定されない。
【0009】
入力ドライバ112は、プロセッサ102及び入力デバイス108と通信し、プロセッサ102が入力デバイス108から入力を受信できるようにする。出力ドライバ114は、プロセッサ102及び出力デバイス110と通信し、プロセッサ102が出力デバイス110に出力を送信できるようにする。入力ドライバ112及び出力ドライバ114は、オプションの構成要素であること、並びに、デバイス100は、入力ドライバ112及び出力ドライバ114が存在しない場合に、同じ方式で動作することに留意されたい。
【0010】
図2は、
図1のデバイス100の例示的な実施形態であるデバイス200を示している。デバイス200は、限定はしないが、1次クロック発生器202、バイパスクロック発生器204、2次クロック発生器(secondary clock generators)206のセット、機能要素208のセット、及び、電力状態コントローラ216を含む。
【0011】
機能要素208は、デバイスの主要な機能を実行する要素である。いくつかの例では、機能要素208は、入力ドライバ112、プロセッサ102、出力ドライバ114、又は、他の要素等のように、
図1の様々な要素を表す。機能要素208の一例は、表示のためにピクセルデータをディスプレイに送信するディスプレイコントローラを含む。機能要素208の別の例は、デバイス200の要素(機能要素208等)間のデータ伝送のためのネットワークであるデータファブリックである。機能要素208の別の例は、メモリにアクセス(読み取り又は書き込み)する要求を受け入れ、そのような要求をサービスするためにメモリを制御するメモリコントローラを含む。機能要素208の別の例は、ユニバーサルシリアルバス(USB)等の周辺バスを、デバイス200内のそのようなバスのためのインフラストラクチャとともに含む。これは、機能要素208の網羅的なリストではなく、多くの他のタイプの機能要素208が可能であることに留意されたい。
【0012】
1次クロック発生器202は、一連の2次クロック発生器206に提供される1つ以上のクロック信号を生成する。クロック信号は、記憶素子(例えば、フリップフロップ)等の回路の基本素子を制御する周期的な高周波信号であることを理解されたい。通常、クロック信号は、特定の周波数で動作し、ほぼ方形波である。クロック信号は、クロック発生器に応じて異なる程度に理想的な方形波から逸脱する可能性がある。2次クロック発生器206は、1次クロック発生器202からのクロック信号を、機能要素208が使用するためのクロック信号に変換する。異なる機能要素208は、異なるクロック信号要件を有する。例えば、いくつかの機能要素208は、他の機能要素208とは異なるクロック周波数を必要とする。他の例では、いくつかの機能要素208は、他の機能要素208の要件ではない、ジッタ等のクロック信号品質に対する特定の要件を有する。2次クロック発生器206は、1次クロック発生器202によって出力されたクロック信号を修正して、機能要素208によって必要とされるクロック信号を生成する。一例では、2次クロック発生器206は、例えば、逓倍率(multiplication factor)によって周波数を増加させることによって、又は、周波数を低減することによって、入力クロック信号の周波数を修正することができる。
【0013】
電力状態コントローラ216は、デバイス200の1つ以上の機能要素208又は他の部分(本明細書では「電力ドメイン」と呼ばれることもある)の電力状態を制御することができる。デバイス200の異なる部分は、個別に異なる電力状態に設定され得る。電力状態は、デバイス200の一部が電源オン又は電源オフされる程度の定義を含む。いくつかの例では、デバイス200の一部は、デバイス200が何れの電力状態にあるかに応じて異なる能力を有する。一例では、機能要素208の何れも、より低い又はより高い電力状態に設定され得る。概して、異なる電力状態における異なる能力は、電力消費に対する能力をトレードする。具体的には、デバイス200の一部の1つ以上の構成要素の動作を修正することによって、その構成要素に関連付けられた能力が修正されるが、そのコンポーネントによって通常使用される電力が消費されない。概して、電力状態コントローラ216は、デバイス200内のハードウェアユニット又はオペレーティングシステム等のプロセッサ上で実行されるソフトウェアモジュールからの入力等の様々な入力に従ってこれらの電力状態を制御する。
【0014】
機能要素208の多くが電力状態コントローラ216によって電源オフされる場合に、1次クロック発生器202が電源オンのままである場合には、1次クロック発生器202だけでなくクロック信号を2次クロック発生器206に、機能要素208を通して伝達する分配ネットワークによって消費される電力は、比較的高い。言い換えれば、1次クロック発生器202、2次クロック発生器206、及び、クロック信号を機能要素208に搬送する分配ワイヤを含む1次クロック分配ネットワークは、機能要素208のうちいくつかが電源オフされ、したがってクロック信号を必要としない場合であっても、電源オン時に比較的大量の電力を消費する。
【0015】
上記の理由のために、デバイス200は、バイパスクロック発生器204を含む。バイパスクロック発生器204は、デバイスが、機能要素208のうちいくつかが電源オフされ、したがってクロック信号を必要としない電源オフ状態にある間、動作可能である。バイパスクロック発生器204は、いくつかの機能要素208(全ての機能要素208ではない)が電源オンされている間、及び、バイパスクロック発生器204が動作可能であり、1次クロック発生器202が電源オフされている間、より低い電力消費をもたらすいくつかの特性を有する。そのような特性のいくつかの例がここで提供される。
【0016】
バイパスクロック発生器204が1次クロック発生器202よりも少ない電力を消費するようにする1つの例示的な特性では、バイパスクロック発生器204は、1次クロック発生器202よりも制限されたクロック周波数のセットを生成する。この制限は、バイパスクロック発生器204が回路構成要素のより小さいセットで動作することができるので、より低い量の電力消費を引き起こす。
【0017】
バイパスクロック発生器204が1次クロック発生器202よりも少ない電力を消費するようにする別の例示的な特性では、バイパスクロック発生器204は、1次クロック発生器202よりもクロック信号生成のための特性のより寛容なセットを満たす。一例では、バイパスクロック発生器204は、1次クロック発生器202よりも悪化したジッタを有する。いくつかの例では、ジッタは、クロック信号のハイからロー又はローからハイへの遷移の精度を説明する。最も正確な遷移は、正確に周期的に発生する。例えば、「完全な」ジッタ特性を有する1ギガヘルツクロックは、正確に1/2ナノ秒毎に生じる遷移を有する。より悪化したジッタは、遷移がこれらの理想的な時間に正確に生じないことを意味する。ジッタが悪化するほど、これらの理想的な時間からの遷移の偏差が大きくなる。
【0018】
バイパスクロック発生器204が1次クロック発生器202よりも少ない電力を消費するようにする別の例示的な特性では、バイパスクロック発生器204は、1次クロック発生器202よりも少ないデバイスの要素に結合され、したがって、それにクロック信号を提供する。物理接続の数が少ないので、バイパスクロック発生器204は、1次クロック発生器202よりも少ない電力を消費する。
【0019】
バイパスクロック発生器204が1次クロック発生器202よりも少ない電力を消費するようにする別の例示的な特性では、バイパスクロック発生器204は、バイパスクロック発生器204が有効にされる電力状態でデバイスが動作している間にバイパスクロック発生器204からクロック信号を受信することが予想されるデバイス202の部分に物理的により近い。一例では、バイパスクロック発生器204は、「ディスプレイスタッタモード」と呼ばれる電力状態で使用される。ディスプレイスタッタモードでは、ディスプレイコントローラ以外の要素が電源オフされ、ディスプレイコントローラは、ディスプレイ動作のためにピクセルデータをディスプレイに提供する。電力状態コントローラ216は、メモリ及びデータファブリック(ディスプレイコントローラからメモリへの接続)を周期的にウェイクアップして、ディスプレイコントローラのバッファを、表示されるより多くのデータで再充填し、次いで、それらの要素を電源オフする。ディスプレイスタッタモードの動作を実行するデバイス200のいくつかの実施形態では、バイパスクロック発生器204は、1次クロック発生器202よりもディスプレイコントローラに物理的に著しく近い。この物理的な近さは、バイパスクロック発生器204からディスプレイコントローラまでのワイヤの長さを低減させ、これは、消費される電力を低減させる。
【0020】
バイパスクロック発生器204は、特定の機能要素208に適した1つ以上のクロック信号を生成することができる。バイパスクロック発生器204によって生成されないクロック信号が機能要素208のうち何れかによって必要とされるシナリオでは、バイパスクロック発生器204は、生成されたクロック信号を1つ以上の2次クロック発生器206に出力することができる。1つ以上の2次クロック発生器206は、例えば、信号の周波数を増加又は低減させることによって、クロック信号を修正する。
【0021】
一例では、ディスプレイコントローラは、バイパスクロック発生器204によって生成され得る任意のクロック周波数よりも高いクロック周波数を必要とする超高精細モードで動作する。このモードでは、バイパスクロック発生器204は、クロック信号を2次クロック発生器206に提供し、2次クロック発生器206は、このクロック信号の周波数を増加させ、増加したクロック信号をディスプレイコントローラに提供する。
【0022】
動作中、電力状態コントローラ216は、いくつかの電力モードに従って動作するようにデバイス200を制御する。少なくとも1つのそのような電力モードでは、1次クロック発生器202が電源オンされ、バイパスクロック発生器204が電源オフされる。そのような1つ以上の電力モードでは、1次クロック発生器202は、クロック信号を機能要素208に提供する。その後、電力状態コントローラ216は、デバイス200が低電力モードに入るべきであると判定する。電力状態コントローラ216は、プロセッサ102上で実行されているソフトウェアがアクティブであるか否か、ユーザ入力が最近受信されたか否か等について、デバイス200の動作態様に基づいて判定を行う。電力状態コントローラ216は、1つ以上の機能要素を電源オフし、1次クロック発生器202を電源オフさせ、バイパスクロック発生器204を電源オンさせる。1つ以上の機能要素208は、電源オンされたままである。バイパスクロック発生器204は、電源オンされたままである機能要素208(単数又は複数)にクロック信号を提供する。
【0023】
後続の時間において、電力状態コントローラ216は、デバイス200がより高い電力レベルに置かれるべきであると判定し、電力レベルにおいて、電源オフにされ、したがってクロック信号を受信していない1つ以上の機能要素208は、電源オンにされ、クロック信号を受信すべきである。それに応じて、電力状態コントローラ216は、デバイス200をそのようなより高い電力レベルに置く。電力状態コントローラ216は、バイパスクロック発生器204をトリガして電源オフし、1次クロック発生器202をトリガして電源オンし、1つ以上の機能要素208をトリガして電源オンする。
【0024】
次に、動作のシーケンスの一例について説明する。この例では、デバイス200は、ディスプレイスタッタモードで動作することができる。プロセッサ102上で実行されるオペレーティングシステム等のデバイス200の要素は、デバイス200がディスプレイスタッタモードで動作すると判定する。一例では、オペレーティングシステムは、プロセッサ102がある程度のアイドル状態を有するという判定に基づいて、この判定を行う。このアイドル状態の間、電力状態コントローラ216は、プロセッサ102をシャットダウンすることができ、メモリ104及びデータファブリック(機能要素208のうち何れか)等の他の要素も同様にシャットダウンされるが、必要に応じて電源オンされる。ディスプレイコントローラ(機能要素のうち何れか)は、ディスプレイ(例えば、出力デバイス110のうち何れか)への出力のためのいくつかのデータを記憶する内部バッファを有する。フレームの追加のデータは(例えば、プロセッサ102及び/又はグラフィックスプロセッサによって生成されるように)メモリ104に記憶される。したがって、ディスプレイコントローラが内部バッファのために追加のデータを必要とする場合に、電力状態コントローラ216は、データファブリック及びメモリ104、並びに、メモリコントローラをウェイクアップする。ディスプレイコントローラは、メモリ104からデータをフェッチし、電力状態コントローラ216は、メモリ104及びデータファブリックを電源オフする。デバイス200がこのディスプレイスタッタモードで動作している間、少なくともプロセッサ102及びオプションで他の要素が電源オフされた状態で、電力状態コントローラ216は、1次クロック発生器202が電源オフされるように制御し、バイパスクロック発生器204が電源オンされるように制御する。バイパスクロック発生器204は、このシーケンス全体を通してクロック信号をディスプレイコントローラに提供している。ディスプレイスタッタモードは、データファブリック及びメモリ104が電源オンされ、データをディスプレイコントローラに送信しているか否かにかかわらず、ディスプレイコントローラがデータをディスプレイに送信している期間を指すことを理解されたい。ディスプレイスタッタモードは、プロセッサ102等の他の要素が電源オフされるという点で低電力モードである。電力状態コントローラ216が(例えば、プロセッサ102を電源オンすることによって)ディスプレイスタッタモードからデバイス200を電源オンする場合に、電力状態コントローラ216は、バイパスクロック発生器204を電源オフし、1次クロック発生器202を電源オンし、1次クロック発生器202にクロック信号を機能要素208(ディスプレイコントローラを含む)に提供させ、バイパスクロック発生器204にそのようなクロック信号を機能要素に提供させない。
【0025】
図3は、一例による、デバイスのためのクロック信号を提供するための方法300のフロー図である。
図1及び
図2のシステムに関して説明したが、当業者は、任意の技術的に実行可能な順序で方法300のステップを実行するように構成された任意のシステムが本開示の範囲に含まれることを理解するであろう。
【0026】
ステップ302において、電力状態コントローラ216は、クロックバイパスモードへのエントリをトリガする。ステップ304において、クロックバイパスモードでは、1次クロック発生器202ではなくバイパスクロック発生器204が、クロック信号をデバイスの機能要素208に提供する。ステップ306において、電力状態コントローラ216は、クロックバイパスモードからのエグジットをトリガする。ステップ308において、電力状態コントローラは、バイパスクロック発生器204に機能要素208への信号の提供を停止させ、1次クロック発生器202に機能要素208へのクロック信号の提供を行わせる。
【0027】
図4は、一例による、デバイスを動作させるための方法400のフロー図である。
図1及び
図2のシステムに関して説明したが、当業者は、任意の技術的に実行可能な順序で方法400のステップを実行するように構成された任意のシステムが本開示の範囲に含まれることを理解するであろう。
【0028】
ステップ402において、デバイス200は、非バイパスモードで動作している。このモードでは、1次クロック発生器202は、クロック信号を生成し、それらのクロック信号を機能要素208に提供している。ステップ404において、電力状態コントローラ216は、1次クロック発生器202がクロック信号を生成しておらず、バイパスクロック発生器204がデバイス200のためのクロック信号を生成しているバイパスモードにデバイス200が入るべきであることを検出する。この検出に応じて、ステップ406において、電力状態コントローラ216は、バイパスモード電力状態を開始する。ステップ408において、デバイス200は、状態保存シーケンスを実行し、様々な機能要素208の状態をメモリに保存して、これらの機能要素208の電源オフすることを可能にする。
【0029】
ステップ410において、バイパスクロック発生器204が電源オンされ、ステップ412において、1次クロック発生器202が電源オフされ、2次クロック発生器206が電源オフされる。ステップ414において、デバイス200は、少なくともディスプレイコントローラに対してメモリアクセスがブロックされた低電力状態で動作する。いくつかの例では、メモリ及び/又はディスプレイコントローラからメモリへのデータファブリックが電源オフされるため、メモリアクセスがブロックされる。
【0030】
ステップ418において、電力状態コントローラ216は、「スタッタウェイク」ではないウェイクを判定する。スタッタウェイクは、ディスプレイコントローラのバッファを再充填するためのデータファブリック及び/又はメモリのウェイクである。非スタッタウェイクは、スタッタウェイク以外のウェイク(1つ以上の要素の電源オンする要求)である。したがって、例えば、ディスプレイコントローラのバッファを再充填する目的のためだけにメモリ又はデータファブリック以外の要素を電源オンする要求は、非スタッタウェイクである。非スタッタウェイクが検出された場合、方法400はステップ432に進み、非スタッタウェイクが検出されない場合、方法400はステップ420に進む。ステップ420において、スタッタウェイクが実行され、メモリ及びデータファブリックがウェイクアップされ、バイパスクロック発生器204によって電力供給される。ステップ424において、ディスプレイコントローラは、スタッタ動作を実行する。ステップ426において、電力状態コントローラ216は、非スタッタウェイクが実行されるべきか否かを判定する。実行されなければ、方法400はステップ428に進み、実行されれば、方法400はステップ432に進む。ステップ432において、1次クロック発生器202が電源オンになり、2次クロック発生器206が電源オンになり、方法400はステップ402に戻る。ステップ428において、デバイス200はスタッタ状態のままであり、ステップ414に戻る。
【0031】
本明細書の開示に基づいて、多くの変形が可能であることを理解されたい。特徴及び要素が特定の組み合わせで上述されているが、各特徴又は要素は、他の特徴及び要素を用いずに単独で、又は、他の特徴及び要素を用いて若しくは用いずに様々な組み合わせで使用することができる。
【0032】
図に示され、及び/又は本明細書に記載された様々な機能ユニット(これらに限定されるわけではないが、プロセッサ102、入力ドライバ112、入力デバイス108、出力ドライバ114、出力デバイス110、1次クロック発生器202、バイパスクロック発生器204、2次クロック発生器206、機能要素208、及び、電力状態コントローラ216を含む)は、汎用コンピュータ、プロセッサ若しくはプロセッサコアとして、又は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体若しくは汎用コンピュータ、プロセッサ若しくはプロセッサコアによって実行可能な別の媒体に記憶されたプログラム、ソフトウェア若しくはファームウェアとして実装されてもよい。提供される方法は、汎用コンピュータ、プロセッサ、又はプロセッサコアにおいて実装することができる。好適なプロセッサとしては、例として、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、従来型プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(digital signal processor、DSP)、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと関連する1つ以上のマイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)回路、任意の他のタイプの集積回路(integrated circuit、IC)、及び/又は、状態マシンが挙げられる。そのようなプロセッサは、処理されたハードウェア記述言語(hardware description language、HDL)命令及びネットリストを含む他の中間データ(コンピュータ可読媒体に記憶させることが可能な命令)の結果を使用して製造プロセスを構成することによって製造することができる。そのような処理の結果はマスクワークとすることができ、このマスクワークをその後の半導体製造プロセスにおいて使用して、本開示の特徴を実装するプロセッサを製造する。
【0033】
本明細書に提供される方法又はフロー図は、汎用コンピュータ又はプロセッサによる実行のために非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に組み込まれるコンピュータプログラム、ソフトウェア又はファームウェアにおいて実装することができる。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体の例としては、読み取り専用メモリ(read only memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリデバイス、内蔵ハードディスク及びリムーバブルディスク等の磁気媒体、磁気光学媒体、並びに、CD-ROMディスク及びデジタル多用途ディスク(digital versatile disk、DVD)等の光学媒体が挙げられる。
【国際調査報告】