(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】ウエハ容器微環境内の汚染を低減する吸着剤および方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/673 20060101AFI20240719BHJP
B65D 85/30 20060101ALI20240719BHJP
B01D 53/04 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H01L21/68 T
B65D85/30 500
B01D53/04 110
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503648
(86)(22)【出願日】2022-07-22
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 US2022038038
(87)【国際公開番号】W WO2023004128
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ミラー, チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ワイルド, アリッサ
【テーマコード(参考)】
3E096
4D012
5F131
【Fターム(参考)】
3E096AA06
3E096BA16
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4D012BA01
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5F131JA40
(57)【要約】
吸着剤は、ウエハ容器微環境内で使用するように構造化することができる。これらの吸着剤の充填量は、ウエハ容器微環境から除去すべき特定の汚染物質に合わせて調整することができる。充填量は、1つまたは複数の汚染物質の吸着剤を含むことができ、汚染物質は、酸、塩基、凝縮性有機化合物、および/または揮発性有機化合物を含む。吸着剤は、分子ふるいなどの水分除去材料をさらに含むことができる。除去すべき汚染物質は、ウエハ容器の清浄化またはステージ化条件、およびプロセスで使用された以前の吸着剤を試験することによって決定することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ容器微環境内の汚染を低減する方法であって、
ウエハ容器微環境から除去する1つまたは複数の汚染物質を決定することと、
前記1つまたは複数の汚染物質に基づいて、吸着媒体の1つまたは複数の構成成分を選択することと、
前記1つまたは複数の汚染物質に基づいて、前記1つまたは複数の構成成分それぞれの充填量を決定することと、
前記1つまたは複数の構成成分それぞれの決定された前記充填量を含む吸着剤材料であって、ウエハが前記ウエハ容器微環境内に存在するときに、前記ウエハ容器微環境内に配置されるように構成された、吸着剤材料を準備することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記吸着媒体の前記1つまたは複数の構成成分が、炭素材料、分子ふるい、イオン交換樹脂、およびゼオライトからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つまたは複数の汚染物質を決定することが、潜在的な汚染物質を吸収するように試験ウエハ容器微環境内に配置されたサンプル吸着剤を試験することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つまたは複数の構成成分それぞれの前記充填量を決定することが、潜在的な汚染物質を吸収するように試験ウエハ容器微環境内に配置されたサンプル吸着剤を試験することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つまたは複数の汚染物質を決定することが、前記ウエハ容器微環境を規定するウエハ容器のステージ化中の周囲条件に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記1つまたは複数の構成成分それぞれの前記充填量を決定することが、前記ウエハ容器微環境を規定するウエハ容器のステージ化中の周囲条件に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記1つまたは複数の汚染物質を決定することが、前記ウエハ容器微環境を規定する前記ウエハ容器の材料組成に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1つまたは複数の構成成分それぞれの前記充填量を決定することが、前記ウエハ容器微環境を規定する前記ウエハ容器の材料組成に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記1つまたは複数の構成成分を決定することが、前記ウエハ容器微環境内で行われるプロセスで使用される1つまたは複数の材料に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記1つまたは複数の構成成分それぞれの前記充填量を決定することが、前記ウエハ容器微環境内で行われるプロセスで使用される1つまたは複数の材料に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ウエハ容器微環境を規定するウエハ容器が前開き一体型ポッド(FOUP)である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記1つまたは複数の汚染物質が、無機酸、塩基、揮発性有機化合物、および凝縮性有機化合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記吸着剤材料が、前記ウエハ容器微環境のウエハスロットに適合することができるように形作られる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記吸着剤材料が、前記ウエハ容器微環境内に配置されるように構成されたウエハと同じ形状および寸法を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記吸着剤材料を前記ウエハ容器微環境内に配置することをさらに含み、前記吸着剤材料が、前記汚染物質が前記微環境内に存在するとき、前記1つまたは複数の汚染物質を吸着する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記吸着剤材料が、ウエハ処理動作中に前記1つまたは複数の汚染物質を吸着する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記吸着剤材料が、ウエハ格納動作中に前記1つまたは複数の汚染物質を吸着する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記吸着剤材料が、前記ウエハ容器微環境内に位置する吸着剤ホルダに配置される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ウエハ容器で使用するように構成された吸着剤、およびかかる吸着剤を使用してウエハ容器から汚染物質に標的を定めて除去する方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハの処理には、非常に清浄な条件が必要である。しかしながら、ウエハ容器の清浄化および/またはステージ化、一部のプロセス化学物質、ならびにウエハ容器自体からの脱ガスは、汚染物質をウエハ容器内の微環境に導入するおそれがある。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、ウエハ容器で使用するように構成された吸着剤、およびかかる吸着剤を使用してウエハ容器から汚染物質に標的を定めて除去する方法を対象とする。
【0004】
吸着剤をウエハ容器に組み入れることによって、例えば、ウエハスロットまたはウエハ容器内の専用の収容部に適合することができる吸着剤を提供することによって、汚染物質をウエハ容器微環境から除去することができる。これにより、ウエハ容器微環境の清浄性および純度を改善し、またしたがって、ウエハ容器微環境内で実施されるプロセスの精度および収率を改善することができる。
【0005】
ウエハ容器内の潜在的な汚染物質は、使用されているプロセス化学物質、清浄化および/またはステージ化条件、ならびに異なる汚染物質に対する特定のプロセスの感度の違いに基づいて、適用ごとに著しく変動する場合がある。特定の適用に基づいて吸着剤の充填量を調整することによって、吸着剤の充填量が、関心の汚染物質除去の有効性を増加させることができる。
【0006】
一実施形態では、ウエハ容器微環境内の汚染を低減する方法は、ウエハ容器微環境から除去する1つまたは複数の汚染物質を決定することを含む。方法は、1つまたは複数の汚染物質に基づいて、吸着媒体のための1つまたは複数の構成成分を選択することをさらに含む。方法はまた、1つまたは複数の汚染物質に基づいて、1つまたは複数の構成成分それぞれの充填量を決定することを含む。方法は、1つまたは複数の構成成分それぞれの決定された充填量を含む、吸着剤材料を準備することをさらに含む。吸着剤材料は、ウエハがウエハ容器微環境に存在するとき、ウエハ容器微環境内に配置されるように構成される。
【0007】
一実施形態では、吸着媒体の1つまたは複数の構成成分は、炭素材料、分子ふるい、イオン交換樹脂、およびゼオライトからなる群から選択される。
【0008】
一実施形態では、1つまたは複数の汚染物質を決定することは、潜在的な汚染物質を吸収するように試験ウエハ容器微環境内に配置されたサンプル吸着剤を試験することを含む。
【0009】
一実施形態では、1つまたは複数の構成成分それぞれの充填量を決定することは、潜在的な汚染物質を吸収するように試験ウエハ容器微環境内に配置されたサンプル吸着剤を試験することを含む。
【0010】
一実施形態では、1つまたは複数の汚染物質を決定することは、ウエハ容器微環境を規定するウエハ容器のステージ化中の周囲条件に基づく。
【0011】
一実施形態では、1つまたは複数の構成成分それぞれの充填量を決定することは、ウエハ容器微環境を規定するウエハ容器のステージ化中の周囲条件に基づく。
【0012】
一実施形態では、1つまたは複数の汚染物質を決定することは、ウエハ容器微環境を規定するウエハ容器の材料組成に基づく。
【0013】
一実施形態では、1つまたは複数の構成成分それぞれの充填量を決定することは、ウエハ容器微環境を規定するウエハ容器の材料組成に基づく。
【0014】
一実施形態では、1つまたは複数の構成成分を決定することは、ウエハ容器微環境内で行われるプロセスで使用される1つまたは複数の材料に基づく。
【0015】
一実施形態では、1つまたは複数の構成成分それぞれの充填量を決定することは、ウエハ容器微環境内で行われるプロセスで使用される1つまたは複数の材料に基づく。
【0016】
一実施形態では、ウエハ容器微環境を規定するウエハ容器は前開き一体型ポッド(FOUP)である。
【0017】
一実施形態では、1つまたは複数の汚染物質は、無機酸、塩基、揮発性有機化合物、および凝縮性有機化合物からなる群から選択される。
【0018】
一実施形態では、吸着剤材料は、ウエハ容器微環境のウエハスロットに適合することができるように形作られる。一実施形態では、吸着剤材料は、ウエハ容器微環境内に配置されるように構成されたウエハと同じ形状および寸法を有する。
【0019】
一実施形態では、方法は、吸着剤材料をウエハ容器微環境内に配置することをさらに含み、吸着剤材料は、汚染物質が微環境内に存在するとき、1つまたは複数の汚染物質を吸着する。
【0020】
一実施形態では、吸着剤材料は、ウエハ処理動作中に1つまたは複数の汚染物質を吸着する。一実施形態では、吸着剤材料は、ウエハ格納動作中に1つまたは複数の汚染物質を吸着する。
【0021】
一実施形態では、吸着剤材料は、ウエハ容器微環境内に位置する吸着剤ホルダに配置される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】一実施形態による、ウエハ容器で使用される吸着剤を示す図である。
【
図2】一実施形態による、吸着剤を収容するように構成されたウエハ容器を示す図である。
【
図3】一実施形態による、ウエハ容器内の特定の汚染物質を低減する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示は、ウエハ容器で使用するように構成された吸着剤、およびかかる吸着剤を使用してウエハ容器から汚染物質に標的を定めて除去する方法を対象とする。
【0024】
図1は、一実施形態による、ウエハ容器で使用される吸着剤の分解組立図を示している。吸着剤100は、吸着媒体104を包含する吸着剤本体102と、吸着媒体を取り囲む被覆材106とを含む。被覆材106は周囲108で封止することができる。
【0025】
吸着剤100は、ウエハ容器微環境内に配置されるように構成される。一実施形態では、吸着剤100は、ウエハを収容するのに使用される容器のスロットのうち1つに適合できるようにサイズおよび形状が決められる。一実施形態では、吸着剤100は、350mmウエハ、またはウエハ容器微環境内に入れられるウエハのその他の任意のサイズおよび形状など、ウエハ容器内に収容されるようなウエハと類似または同一に形状およびサイズが決められる。一実施形態では、吸着剤100は、ウエハ容器のウエハスロットのうち1つに挿入し中で保持することができるまま、ウエハ容器内に収容されるようなウエハとは異なるように形状およびサイズが決められる。例えば、円形ウエハを収容するように構成されたウエハ容器は、形状は正方形であるが、該ウエハ容器のウエハスロット内に適合するようにサイズ決めされた、吸着剤100を有する場合がある。
図1に示される吸着剤100は、ウエハスロット内に配置されるようにサイズおよび形状が決められているが、例えば、後述し
図2に示すように、ウエハ容器内に設けられた吸着剤ホルダに配置するように適合されたサイズおよび形状を有して、類似の組成および/または構成の吸着剤を作ることができることが理解される。
【0026】
吸着剤本体102は吸着剤100の主本体である。吸着剤本体は吸着媒体104を包含する。一実施形態では、吸着剤本体は、吸着媒体104の充填量を包含する積層体である。吸着剤本体102は、例えば、吸着媒体104を含む形成された積層体を切断して所定の形状にすることによって、結果として得られる吸着剤100がウエハ容器内の吸着剤ホルダ内に適合できるように、形状およびサイズを決めることができる。
【0027】
吸着媒体104は、1つまたは複数の選択された汚染物質をウエハ容器微環境から除去する、任意の1つまたは複数の好適な吸着剤を含むことができる。汚染物質の非限定例としては、揮発性有機化合物(VOC)、半凝縮性有機化合物、凝縮性有機化合物、酸、塩基、イオン性汚染物質などが挙げられる。吸着剤は、非限定例として、炭素材料、分子ふるい、イオン交換樹脂、ゼオライト、またはその他の任意の好適な吸着剤、もしくは汚染物質を環境から除去する上記のものの組合せを挙げることができる。吸着媒体104の充填量は、包含するように選択された媒体、および1つまたは複数の指定された標的汚染物質を吸着するように選択された、かかる選択された媒体の量を考慮した、充填量であることができる。標的汚染物質の決定は、本明細書に記載し
図3に図示するものなど、任意の好適な方法にしたがって作成することができる。不要または有効性が低い構成成分を吸着媒体から省略することができるので、吸着媒体104の充填量の調整によって、吸着媒体104の効率を改善することができる。吸着剤本体102は、例えば、1つまたは複数の分子ふるい、乾燥剤など、ウエハ容器微環境から水分を除去する、任意の好適な材料をさらに包含することができる。
【0028】
吸着剤主本体102は被覆材106によって取り囲まれてもよい。被覆材106は、吸着剤主本体102をパッケージングする一方で、汚染物質を吸着媒体104によって捕捉してウエハ容器微環境から除去できるようにガスの通過を可能にする、任意の好適な多孔質材料であることができる。一実施形態では、被覆材106は織布材料および/または不織布材料を含むことができる。一実施形態では、被覆材106はポリマー材料を含む。一実施形態では、被覆材106はポリエステル不織布材料を含むことができる。被覆材106は、吸着剤主本体を取り囲むように互いに接合された、2つ以上の部分を含むことができる。例えば、被覆材106は、吸着剤主本体102と同様に形作られ、主本体よりもわずかに大きくサイズ決めされた材料の2つの部分を含むことができる。材料の2つの部分は、吸着剤主本体の片側に配置し、材料の部分の周囲108で互いに接合することができる。材料の2つ以上の部分は、材料の部分を接合する任意の好適な方法によって、例えば溶接を用いて接合することができる。一実施形態では、溶接は超音波溶接である。
【0029】
図2は、一実施形態による、吸着剤を収容するように構成されたウエハ容器を示している。ウエハ容器200は、開放端204およびドア206を含む容器本体202を含む。容器本体202によって規定される内部空間はウエハスロット208を含む。任意に、ウエハ容器200は吸着剤ホルダ210を含むことができる。
【0030】
ウエハ容器200は、半導体ウエハなどのウエハの処理、搬送、および/または格納に使用される容器である。ウエハ容器200は、例えば、前開き一体型ポッド(FOUP)であることができる。容器本体202は、ウエハ容器200内に内部空間を規定し、開放端204が容器本体202の片側に設けられる。開放端204は、容器本体202によって規定された内部空間にウエハを配置し、ならびに/または内部空間からウエハを除去するのを可能にすることができる。ドア206は開放端204を閉止するのに使用することができる。開放端204がドア206によって閉止されると、ウエハ容器200内の内部空間が微環境を提供するように、シールを形成することができる。
【0031】
容器本体202の内表面は、ウエハスロット208を規定する特徴を含むことができる。ウエハスロット208はそれぞれ、フランジ、タブ、ビーム、またはその他の任意の好適な支持構造など、ウエハを保持する1つまたは複数の支持構造を含むことができる。各ウエハスロット208は、1つのウエハを収容し、該ウエハをウエハ容器200内で、処理、搬送、および/または格納に好適な形で位置付けるように構成される。一実施形態では、上述し
図1に示した吸着剤100などの吸着剤は、ウエハ容器200内の微環境内にある標的汚染物質を吸着するように、ウエハスロット208の少なくとも1つに入れることができる。
【0032】
任意に、ウエハ容器200は吸着剤ホルダ210を含むことができる。吸着剤ホルダ210は、吸着剤を収容するように構成された、ウエハスロット208とは別個の1つまたは複数の構造であることができる。吸着剤ホルダ210としては、例えば、ウエハ容器200内に提供された微環境内で吸着剤を保持するように構成された、1つまたは複数のクリップ、ケージ、ポケットなどを挙げることができる。吸着剤ホルダ210は、ウエハ容器本体202およびドア206のうち少なくとも一方に統合するか、または取り付けることができる。一実施形態では、吸着剤ホルダ210は、容器のライセンスプレートホルダ、パージ構成要素など、ウエハ容器本体202もしくはドア206に統合されるかまたは取り付けられた、他の任意の好適な構成要素に統合することができる。各吸着剤ホルダ210は、ガスが吸着剤ホルダを通過して中に収納された吸着剤と相互作用することによって、吸着剤が、ウエハ容器200内に規定された微環境の内容物から汚染物質を除去できるように構成することができる。
【0033】
図3は、一実施形態による、ウエハ容器内の特定の汚染物質を低減する方法を示すフローチャートを示している。方法300は、ウエハ容器微環境から除去する1つまたは複数の汚染物質を決定すること302を含む。方法300は、汚染物質に基づいて吸着媒体の1つまたは複数の構成成分を選択すること304と、汚染物質に基づいて構成成分それぞれの充填量を決定すること306とをさらに含む。方法300は、構成成分の決定された充填量を含む吸着剤を準備すること308をさらに含む。方法300は、任意に、吸着剤をウエハ容器に入れること310と、ウエハ貯蔵動作312またはウエハ処理動作314を行うこととを含むことができる。一実施形態では、方法300は、310でウエハ容器に吸着剤を入れた後、吸着剤を試験すること316をさらに含む。
【0034】
ウエハ容器微環境から除去する1つまたは複数の汚染物質は、302で決定することができる。除去する汚染物質は、ウエハ容器微環境または該微環境内の特定のプロセスもしくは活動に特有の汚染物質であることができる。汚染物質の選択は、ウエハ容器の組成、ウエハ容器のステージ化条件、ウエハ容器が使用されるプロセス、汚染物質の存在および/または影響に関する影響またはその他の任意の好適な基準に基づくことができる。除去する汚染物質は、例えば、酸、塩基、イオン性汚染物質、および/または揮発性有機化合物もしくは凝縮性有機化合物などの有機化合物であることができる。除去する汚染物質としては、非限定例として、ステージ化条件もしくはハンドリング条件などの周囲環境からの汚染物質、プロセス化学物質、ウエハ容器もしくはウエハ容器の内容物からの脱ガス成分、水分、またはウエハ容器微環境内に存在し得るその他の任意の考えられる汚染物質を挙げることができる。
【0035】
一実施形態では、302で1つまたは複数の汚染物質を決定することは、代表的なウエハ容器微環境で使用されてきた吸着剤を試験することを含むことができる。例えば、サンプル吸着剤を試験ウエハ容器内に配置し、続いて試験して、捕捉された汚染物質を決定することができる。一実施形態では、方法300は、方法300にしたがって準備された吸着剤を試験し、吸着剤を微環境に入れること310、続いて該吸着剤を試験すること316によって反復することができる。除去する汚染物質は、かかる試験の結果に基づいて決定することができる。試験は、非限定例として、熱重量分析、発生ガス分析、ガスクロマトグラフィ質量分析、プロトン移動反応質量分析、上記の組合せなど、汚染物質の存在または濃度を特定することができる、任意の好適な試験であることができる。一実施形態では、除去する汚染物質は、例えば、最も関心が高い汚染物質を特定し、その汚染物質を微環境から除去する汚染物質と決定する、リストからの選択に基づいて決定することができる。関心の汚染物質は、特定のプロセスに対する汚染物質の影響、特定の汚染物質と関連付けられる任意のリスク、汚染物質の相対もしくは絶対濃度、またはその他の任意の好適な基準に基づいて決定されてもよい。
【0036】
一実施形態では、1つまたは複数の汚染物質は、ウエハ容器微環境の周囲または微環境の特定の条件の知識に基づいて、302で決定することができる。一実施形態では、1つまたは複数の汚染物質を決定することは、ウエハ容器微環境を規定するウエハ容器のステージ化中の周囲条件に基づく。一実施形態では、1つまたは複数の汚染物質を決定することは、ウエハ容器微環境内で行われるプロセスで使用される1つまたは複数の材料に基づく。一実施形態では、1つまたは複数の汚染物質は、ウエハ容器微環境内の潜在的な脱ガスの知識に基づいて、例えば、ウエハ容器微環境を規定するウエハ容器の材料組成に基づくことによって決定することができる。
【0037】
方法300は、汚染物質に基づいて、吸着媒体のための1つまたは複数の構成成分を選択すること304をさらに含む。構成成分は、1つまたは複数の決定された汚染物質に関する構成成分の性質の知識に基づいて選択することができる。吸着媒体の構成成分の非限定例としては、炭素材料、分子ふるい、イオン交換樹脂、ゼオライト、および上記の組合せが挙げられる。方法300は、構成成分それぞれの充填量を決定すること306をさらに含む。充填量は、吸着剤の面積または体積当たりの各構成成分の質量など、構成成分それぞれの量を含む。充填量は、構成成分と1つまたは複数の決定された汚染物質との間の関係に基づいて決定することができる。一実施形態では、充填量は、構成成分同士の相互作用、例えば、構成成分の吸着の有効性に影響を及ぼす任意の相互作用を考慮することができる。一実施形態では、充填量は、吸収すべき汚染物質それぞれの相対量に基づく。一実施形態では、充填量は、例えば、ウエハ容器微環境内で実施されるプロセスに対する汚染物質の影響による、汚染物質除去の相対的重要性に基づく。構成成分および充填量の決定によって、ウエハ容器微環境の特定の必要性、またはウエハ容器およびウエハ容器が規定する微環境の特定の使用に合わせて調整された、吸着剤を準備することが可能になる。
【0038】
方法300はまた、構成成分の決定された充填量を含む吸着剤を準備すること308を含む。吸着剤は、吸着剤を準備するための任意の好適な方法によって準備することができる。吸着剤は、例えば、上述し
図1に示した吸着剤100であることができる。一実施形態では、308で吸着剤を準備することは、304で決定された構成成分に対して、306で決定された充填量を含む積層体を提供することを含むことができる。308で吸着剤を準備することは、織布または不織布材料などの多孔質被覆材など、被覆材で吸着剤本体を取り囲むことをさらに含むことができる。被覆材は、ポリマーなどのポリマー材料であることができる。一実施形態では、被覆材はポリエステル不織布材料である。被覆材は、例えば、超音波溶接などの溶接によって接合された、複数の被覆材セグメントを設けることによって、吸着剤本体を取り囲むように作ることができる。溶接外の余分な材料は、任意に除去して、吸着剤をもたらすことができる。
【0039】
方法300は、任意に、吸着剤をウエハ容器に入れること310を含むことができる。吸着剤をウエハ容器内に配置することは、吸着剤のサイズおよび形状と、ウエハ容器の構造とにしたがって実施することができる。一実施形態では、吸着剤は、ウエハ容器のウエハスロットに入れることができる。一実施形態では、吸着剤は、ウエハ容器によって規定される内部空間内に位置するホルダに入れることができる。吸着剤がウエハ容器内に配置されると、ウエハ容器を閉止して微環境を規定することができる。吸着剤は、吸着剤に含まれる構成成分を組み込むことによって汚染物質を吸着することで、汚染物質を微環境から除去することができる。ウエハ容器が閉止されると、例えば、ウエハ格納動作312またはウエハ処理動作314を行うことによって、ウエハ容器を使用することができる。
【0040】
一実施形態では、方法300は、310でウエハ容器に吸着剤を入れた後、吸着剤を試験すること316をさらに含む。試験は、例えば、吸着媒体の破壊試験であり得る。316における試験は、例えば、吸着剤がウエハ容器内にある310ときに、吸着剤によって捕捉される汚染物質の量を決定するのに使用することができる。316での試験の結果を、方法300の反復において使用して、302での汚染物質の決定、304での構成成分の決定、および/または306での吸着媒体への構成成分の充填量を改良することができる。
【0041】
表1は、既存の前開き一体型ポッド(FOUP)内から得たサンプルのクロマトグラムからの結果を示している。
【0042】
表1に示されるように、FOUP微環境は、凝縮性および揮発性両方の有機物が相当量存在することを含む。これら有機物の一部は、FOUP内で何が格納されるかまたは処理されるかによっては望ましくない場合がある。非限定例では、これらのクロマトグラム結果を使用して、FOUP微環境から除去する1つまたは複数の汚染物質を特定することができる。例えば、表1に基づいて、特に有機物を、特に揮発性有機物を除去する吸着剤材料は、FOUP内で使用されるべき吸着剤の充填量に含めるように選択することができる。
【0043】
表2は、一実施形態による、吸着剤を収納したFOUP内から取ったサンプルのクロマトグラムを用いて得られた、有機物全体および凝縮性有機物全体の濃度を示している。表2に示される結果を有するクロマトグラフによる実施形態では、トルエンを除去するように選択された構成成分を有する吸着剤が、表1の生成において前に使用したFOUP微環境内に配置される。
【0044】
表2で分かるように、吸着剤を含むFOUP微環境内の結果は、FOUP微環境内の揮発性および凝縮性有機物の含量が大幅に低減していることを示している。表1と比較して、吸着剤を追加することで、FOUP微環境内における凝縮性有機物を含む有機化合物の存在が約10倍低減されることを示している。したがって、標的を定めた吸着剤は、FOUP微環境内の標的汚染物質の存在を劇的に低減する能力を示している。任意の好適な汚染物質または汚染物質の組合せに対して、該汚染物質または汚染物質の組合せに適した吸着剤の充填量を使用して、同様の標的化を使用することができる。
【0045】
態様
態様1。ウエハ容器微環境内の汚染を低減する方法であって、
ウエハ容器微環境から除去する1つまたは複数の汚染物質を決定することと、
1つまたは複数の汚染物質に基づいて、吸着媒体の1つまたは複数の構成成分を選択することと、
1つまたは複数の汚染物質に基づいて、1つまたは複数の構成成分それぞれの充填量を決定することと、
1つまたは複数の構成成分それぞれの決定された充填量を含む吸着剤材料であって、ウエハがウエハ容器微環境内に存在するときに、ウエハ容器微環境内に配置されるように構成された、吸着剤材料を準備することと
を含む、方法。
【0046】
態様2。吸着媒体の1つまたは複数の構成成分が、炭素材料、分子ふるい、イオン交換樹脂、およびゼオライトからなる群から選択される、態様1に記載の方法。
【0047】
態様3。1つまたは複数の汚染物質を決定することが、潜在的な汚染物質を吸収するように試験ウエハ容器微環境内に配置されたサンプル吸着剤を試験することを含む、態様1~2のいずれか1つに記載の方法。
【0048】
態様4。1つまたは複数の構成成分それぞれの充填量を決定することが、潜在的な汚染物質を吸収するように試験ウエハ容器微環境内に配置されたサンプル吸着剤を試験することを含む、態様1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0049】
態様5。1つまたは複数の汚染物質を決定することが、ウエハ容器微環境を規定するウエハ容器のステージ化中の周囲条件に基づく、態様1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0050】
態様6。1つまたは複数の構成成分それぞれの充填量を決定することが、ウエハ容器微環境を規定するウエハ容器のステージ化中の周囲条件に基づく、態様1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0051】
態様7。1つまたは複数の汚染物質を決定することが、ウエハ容器微環境を規定するウエハ容器の材料組成に基づく、態様1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0052】
態様8。1つまたは複数の構成成分それぞれの充填量を決定することが、ウエハ容器微環境を規定するウエハ容器の材料組成に基づく、態様1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0053】
態様9。1つまたは複数の構成成分を決定することが、ウエハ容器微環境内で行われるプロセスで使用される1つまたは複数の材料に基づく、態様1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0054】
態様10。1つまたは複数の構成成分それぞれの充填量を決定することが、ウエハ容器微環境内で行われるプロセスで使用される1つまたは複数の材料に基づく、態様1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0055】
態様11。ウエハ容器微環境を規定するウエハ容器が前開き一体型ポッド(FOUP)である、態様1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0056】
態様12。1つまたは複数の汚染物質が、無機酸、塩基、揮発性有機化合物、および凝縮性有機化合物からなる群から選択される、態様1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0057】
態様13。吸着剤材料が、ウエハ容器微環境のウエハスロットに適合することができるように形作られる、態様1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0058】
態様14。吸着剤材料が、ウエハ容器微環境内に配置されるように構成されたウエハと同じ形状および寸法を有する、態様13に記載の方法。
【0059】
態様15。吸着剤材料をウエハ容器微環境内に配置することをさらに含み、吸着剤材料が、汚染物質が微環境内に存在するとき、1つまたは複数の汚染物質を吸着する、態様1~14のいずれか1つに記載の方法。
【0060】
態様16。吸着剤材料が、ウエハ処理動作中に1つまたは複数の汚染物質を吸着する、態様15に記載の方法。
【0061】
態様17。吸着剤材料が、ウエハ格納動作中に1つまたは複数の汚染物質を吸着する、態様15~16のいずれか1つに記載の方法。
【0062】
態様18。吸着剤材料が、ウエハ容器微環境内に位置する吸着剤ホルダに配置される、態様1~17のいずれか1つに記載の方法。
【0063】
本明細書に開示した実施例は、あらゆる点で例示的であって限定的ではないものとみなされるべきである。本発明の範囲は前述の説明ではなく添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と等価の意味および範囲内にあるすべての変更が包含されるものとする。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ容器微環境内の汚染を低減する方法であって、
ウエハ容器微環境から除去する1つまたは複数の汚染物質を決定することと、
前記1つまたは複数の汚染物質に基づいて、吸着媒体の1つまたは複数の構成成分を選択することと、
前記1つまたは複数の汚染物質に基づいて、前記1つまたは複数の構成成分それぞれの充填量を決定することと、
前記1つまたは複数の構成成分それぞれの決定された前記充填量を含む吸着剤材料であって、ウエハが前記ウエハ容器微環境内に存在するときに、前記ウエハ容器微環境内に配置されるように構成された、吸着剤材料を準備することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記1つまたは複数の汚染物質を決定することが、潜在的な汚染物質を吸収するように試験ウエハ容器微環境内に配置されたサンプル吸着剤を試験することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つまたは複数の構成成分それぞれの前記充填量を決定することが、潜在的な汚染物質を吸収するように試験ウエハ容器微環境内に配置されたサンプル吸着剤を試験することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つまたは複数の汚染物質を決定することが、前記ウエハ容器微環境を規定するウエハ容器のステージ化中の周囲条件に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記吸着剤材料を前記ウエハ容器微環境内に配置することをさらに含み、前記吸着剤材料が、前記汚染物質が前記微環境内に存在するとき、前記1つまたは複数の汚染物質を吸着する、請求項1に記載の方法。
【国際調査報告】