(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】偏光板の製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20240719BHJP
G02B 27/01 20060101ALN20240719BHJP
【FI】
G02B5/30
G02B27/01
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503973
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-01-22
(86)【国際出願番号】 KR2022014425
(87)【国際公開番号】W WO2023055021
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0127985
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ジン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ド・ヒュン・キム
(72)【発明者】
【氏名】スン・ユン・イ
(72)【発明者】
【氏名】デ・ヒ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ユン・キム
【テーマコード(参考)】
2H149
2H199
【Fターム(参考)】
2H149AA02
2H149AA18
2H149AB26
2H149BA02
2H149BA13
2H149DA02
2H149DA12
2H149DA35
2H149DB06
2H149DB28
2H149EA02
2H149EA06
2H149FA03W
2H149FA24Y
2H149FA68
2H149FD34
2H199DA20
(57)【要約】
本出願は、偏光板の製造方法に関する。本出願の製造工程が簡単であり、製造コストを減少させることができる偏光板の製造方法を提供することができる。このような偏光板は、多様な表示装置において光学補償偏光板に用いられ得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアフィルムおよび垂直配向液晶層を含む第1積層体と、負の二軸性位相差フィルムおよび偏光子を含む第2積層体とを接着剤層を介して積層し、第3積層体を製造する段階を含む偏光板の製造方法。
【請求項2】
第1積層体は、キャリアフィルムと垂直配向液晶層との間に垂直配向膜をさらに含む、請求項1に記載の偏光板の製造方法。
【請求項3】
垂直配向膜とキャリアフィルム間の180°の剥離角度と300mm/minの剥離速度における剥離力は、15N/20mm以下である、請求項2に記載の偏光板の製造方法。
【請求項4】
垂直配向膜は、光配向性化合物および3官能以上のアクリレートを含む、請求項2に記載の偏光板の製造方法。
【請求項5】
第1積層体は、垂直配向液晶層を保護するための保護フィルムを含まない、請求項1に記載の偏光板の製造方法。
【請求項6】
負の二軸性位相差フィルムは、高分子延伸フィルムである、請求項1に記載の偏光板の製造方法。
【請求項7】
接着剤層は、紫外線硬化型接着剤層である、請求項1に記載の偏光板の製造方法。
【請求項8】
第2積層体は、液晶配向膜および液晶層を含まない、請求項1に記載の偏光板の製造方法。
【請求項9】
第3積層体からキャリアフィルムを剥離する段階をさらに含む、請求項1に記載の偏光板の製造方法。
【請求項10】
第3積層体のキャリアフィルムが剥離した面に粘着剤層を介して離型フィルムを付着する段階をさらに含む、請求項9に記載の偏光板の製造方法。
【請求項11】
垂直配向液晶層、負の二軸性位相差フィルムおよび偏光子を含み、
前記垂直配向液晶層と負の二軸性位相差フィルムを付着する接着剤層をさらに含む偏光板。
【請求項12】
負の二軸性位相差フィルムに直接接する液晶配向膜および液晶層を含まない、請求項11に記載の偏光板。
【請求項13】
負の二軸性位相差フィルムは、高分子延伸フィルムである、請求項11に記載の偏光板。
【請求項14】
垂直配向液晶層の負の二軸性位相差フィルムが存在する面の反対面に存在する垂直配向膜をさらに含む、請求項11に記載の偏光板。
【請求項15】
垂直配向膜は、光配向性化合物および3官能以上のアクリレートを含む、請求項14に記載の偏光板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、偏光板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学補償フィルムを含む偏光板として、-Bプレートおよび+Cプレートを含む偏光板がある。-Bプレートとしては、高分子延伸フィルム、例えば、COPフィルム(シクロオレフィンポリマーフィルム)を使用することができ、+Cプレートとしては、例えば、液晶層を使用することができる。前記光学補償フィルムは、例えば、-Bプレート上に液晶組成物を直接コートする方式で製造することができ、製造した光学補償フィルムを偏光子と積層することで、前記偏光板を製造することができる(特許文献1:韓国特許登録第10-0767210号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国特許登録第10-0767210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように偏光板を製造する場合、いくつかの問題点がある。
光学補償フィルムの製造工程で-Bプレート上に垂直配向液晶をコートする場合、液晶配向の不良および液晶むらに起因して高価のCOPフィルムも一緒に廃棄しなければならない状況が発生する。
【0005】
また、-Bプレート上に垂直配向液晶をコートする場合、光学補償フィルムを保護するために垂直配向液晶層にPET(polyethylene terephthalate)フィルムのような保護フィルムを積層することができる。偏光板の品質を確認するために偏光板の製造工程中にクロスポール(Cross pol.)検査を行うことが必要であり、偏光板の製造工程中に品質を確認することによって、不良の発生時に適切な措置が可能である。しかしながら、PETフィルムが存在する場合、PETフィルムの異方性に起因してクロスポール検査が不可能であるという短所がある。そのため、偏光子の延伸後の工程でPETフィルムが剥離した後に、クロスポール検査が行われるようになり、製造した偏光板の品質が良好でない場合には、ロール(Roll)工程に使用が不可能なので、製造コストが上昇し得る。
【0006】
本出願は、製造工程が簡単であり、製造コストを減少させることができる、光学補償フィルムを含む偏光板の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願は、偏光板の製造方法に関する。本出願の偏光板の製造方法は、キャリアフィルムおよび垂直配向液晶層を含む第1積層体と、負の二軸性位相差フィルムおよび偏光子を含む第2積層体とを接着剤層を介して積層し、第3積層体を製造する段階を含んでもよい。
【0008】
キャリアフィルムとしては、光学的等方性フィルムまたは高位相差フィルム(Super retardation film)を使用することができる。光学的等方性フィルムは、例えば、面内位相差Rin値の絶対値が10nm以下であり、厚さ方向位相差Rth値の絶対値が40nm以下であるフィルムを意味する。前記光学的等方性フィルムとしては、例えば、TAC(triacetyl cellulose)などが例示できる。高位相差フィルム(Super retardation film)としては、面内位相差Rin値の絶対値が4,000nm以上であり、厚さ方向位相値Rth値の絶対値が40nm以下であるフィルムを使用することができる。高位相差フィルム(Super retardation film)としては、面内位相差Rin値の絶対値の上限は、例えば、10,000nm以下であってもよい。高位相差フィルムとしては、当該業界において一般的に知られている高分子フィルムを使用することができる。
【0009】
本明細書において面内位相差Rin値は、下記数式1によって計算される値であってもよく、厚さ方向位相差Rth値は、下記数式2によって計算される値であってもよい。本出願において別段の定めがない限り、前記面内位相差Rin値と厚さ方向位相差Rth値は、波長550nmの光に対して測定された値であってもよい。
【0010】
[数式1]
Rin=(nx-ny)×d
【0011】
[数式2]
Rth={(nx+ny)/2-nz}×d
【0012】
数式1および2中、nx、nyおよびnzは、それぞれ、キャリアフィルム、垂直配向液晶層や負の二軸性位相差フィルムのx軸、y軸およびz軸方向の波長550nmの光に対する屈折率を意味する。前記x軸は、キャリアフィルム、垂直配向液晶層や負の二軸性位相差フィルムの遅相軸方向に平行な軸を意味し、y軸は、キャリアフィルム、垂直配向液晶層や負の二軸性位相差フィルムの進相軸方向に平行な軸を意味し、z軸は、キャリアフィルム、垂直配向液晶層や負の二軸性位相差フィルムの厚さ方向に平行な軸を意味する。
【0013】
キャリアフィルムの厚さは、本出願の目的を損傷させない範囲内で適切に選択することができる。キャリアフィルムの厚さは、例えば、60μm~100μmの範囲内であってもよい。
【0014】
垂直配向液晶層は、液晶化合物を垂直配向された状態で含んでもよい。本明細書において垂直配向状態は、液晶層内の液晶化合物の配向子が液晶層の平面に対して略垂直に配列された状態を意味する。液晶層の平面に対して前記配向子が成す角度は、例えば、80度~100度、85度~95度、87度~93度または89度~91度の範囲内であってもよく、または略90度であってもよい。本明細書において液晶化合物の配向子は、液晶層の光軸(Optical axis)または遅相軸(Slow axis)を意味する。または、液晶化合物の配向子は、液晶化合物がロッド(rod)形状である場合、ロッドの長軸方向を意味し、液晶化合物が円板(discotic)形状である場合、円板平面の法線方向に平行な軸を意味する。
【0015】
垂直配向液晶層は、重合性液晶化合物を重合された状態で含んでもよい。本明細書において重合性液晶化合物は、液晶性を示すことができる部位、例えば、メソゲン(mesogen)骨格などを含み、重合性官能基を1つ以上含む分子を意味する。また、重合性液晶化合物を重合された形態で含むというのは、前記液晶化合物が重合され、垂直配向液晶層内で液晶高分子の主鎖または側鎖のような骨格を形成している状態を意味する。重合性官能基としては、例えば、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイル基、メタクリロイルオキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、ビニル基またはエポキシ基などが例示できるが、これらに限らず、重合性官能基として知られた公知の官能基が含まれ得る。
【0016】
垂直配向液晶層の位相差値は、所望の光学補償によって適切に制御されてもよい。垂直配向液晶層の面内位相差Rin値の絶対値は、例えば、10nm以下、5nm以下、3nm以下または1nm以下または0nmであってもよい。垂直配向液晶層の厚さ方向位相差Rth値は、例えば、-80nm以上であってもよく、-150nm以下であってもよい。
【0017】
垂直配向液晶層は、垂直配向膜上に垂直配向液晶組成物をコート後、紫外線を照射することによって形成することができる。前記紫外線は、非偏光紫外線であってもよい。前記紫外線の波長範囲は、例えば、320nm~400nmの範囲、または340nm~380nmの範囲内であってもよい。前記紫外線の照射量は、例えば、500mJ/m2~1000mJ/m2の範囲内であってもよい。
【0018】
垂直配向液晶層の厚さは、本出願の目的を損傷させない範囲内で適切に選択することができる。垂直配向液晶層の厚さは、例えば、0.9μm~1.2μmの範囲内であってもよい。
【0019】
第1積層体は、キャリアフィルムと垂直配向液晶層との間に垂直配向膜をさらに含んでもよい。前記垂直配向膜は、一面のキャリアフィルムと直接接してもよい。前記垂直配向膜の他の一面は、垂直配向液晶層と直接接してもよい。
【0020】
垂直配向膜は、隣接する液晶層に存在する液晶化合物に対して垂直配向力を付与することができる。垂直配向膜に対する隣接する液晶化合物のプレチルト角度は、80度~100度、85度~95度、87度~93度または89度~91度の範囲内であってもよく、または略90度であってもよい。
【0021】
1つの例示において、垂直配向膜とキャリアフィルム間の180°の剥離角度と300 mm/minの剥離速度における剥離力は、15N/20mm以下であってもよい。前記剥離力は、14N/20mm以下、13N/20mm以下、12N/20mm以下または11N/20mm以下であってもよい。剥離力が前記範囲内の場合、第3積層体からキャリアフィルムを良好に剥離することができる。前記剥離力は、第3積層体の状態でキャリアフィルムを剥離しつつ測定された値であってもよい。前記剥離力の下限は、例えば、3N/20mm以上または4N/20mm以上であってもよい。前記剥離力は、工程安定性の観点から、さらに調節してもよい。前記剥離力は、より具体的には、10N/20mm以下、9N/20mm以下、8N/20mm以下または7N/20mm以下であってもよい。剥離力が前記範囲内の場合、キャリアフィルムの剥離時に静電気の発生による異物投入の可能性を抑制するという観点から有利になり得る。前記剥離力は、より具体的には、4.5N/20mmまたは5N/20mm以上であってもよい。剥離力が前記範囲内の場合、トンネリング(垂直配向膜とキャリアフィルム間の剥離力が低いため、フィルム工程中にガイドロールを通過するときに剥離が発生する現象)の発生可能性を抑制するという観点から有利になり得る。
【0022】
垂直配向膜と垂直配向液晶層間の剥離力は、垂直配向膜とキャリアフィルム間の剥離力に比べて高くてもよい。これを通じて、第1積層体と第2積層体を積層した後にキャリアフィルムを剥離するとき、垂直配向膜と垂直配向液晶層間の剥離を起こさず、キャリアフィルムのみを良好に除去することができる。
【0023】
垂直配向膜は、光配向性化合物および3官能以上のアクリレートを含んでもよい。本明細書において3官能以上のアクリレートは、(メタ)アクリレート基を3個以上有する化合物を意味する。垂直配向膜は、1官能アクリレートおよび2官能アクリレートを含まなくてもよい。これを通じて、偏光板の製造工程中にトンネリングを発生させることなく、第3積層体の垂直配向膜からキャリアフィルムを良好に剥離することができる。
【0024】
3官能以上のアクリレートは、3官能アクリレートまたは4官能アクリレートであってもよい。3官能アクリレート(メタ)アクリレート基を3個有する化合物を意味する。4官能アクリレート(メタ)アクリレート基を4個有する化合物を意味する。1つの例示において、垂直配向膜は、3官能以上のアクリレートとして4官能アクリレートを単独で含んでもよい。他の1つの例示において、垂直配向膜は、3官能以上のアクリレートとして3官能アクリレートと4官能アクリレートを含んでもよい。
【0025】
3官能アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2-ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートまたはジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどが例示できる。本出願の一実施例によれば、3官能アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートを使用することができる。
【0026】
4官能アクリレートとしては、例えばペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートまたはジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどが例示できる。本出願の一実施例によれば、4官能アクリレートとしては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートを使用することができる。
【0027】
1つの例示において、3官能以上のアクリレートは、光配向性化合物100重量部に対して10~30重量部の範囲内に含まれ得る。
【0028】
1つの例示において、垂直配向膜が3官能アクリレートおよび4官能アクリレートを全部含む場合、4官能アクリレートは、3官能アクリレート100重量部に対して100~500重量部、100~400重量部または100~300重量部の範囲内に含まれ得る。
【0029】
垂直配向膜は、光配向性化合物を含む光配向膜であってもよい。光配向膜は、直線偏光の照射などのような非接触式方式によって配向特性を示すことができる。
【0030】
光配向性化合物は、光の照射を通じて所定方向に整列(orientationally ordered)され、前記整列状態で隣接する液晶化合物などを所定方向に配向させることができる化合物を意味する。配向性化合物は、単分子化合物、単量体性化合物、オリゴマー性化合物または高分子性化合物であるか、前記光配向性化合物と高分子のブレンド(blend)形態であってもよい。前記でオリゴマー性または高分子性化合物は、前述した光配向性化合物から誘導された残基または前述した光感応性残基を主鎖内または側鎖に有していてもよい。
【0031】
光配向性化合物は、光感応性残基(photosensitive moiety)を含む化合物であってもよい。液晶化合物の配向に使用できる光配向性化合物は、多様に公知されている。光配向性化合物としては、例えば、トランス-シス光異性化(trans-cis photoisomerization)により整列される化合物;鎖切断(chain scission)または光酸化(photo-oxidation)などのような光分解(photo-destruction)により整列される化合物;[2+2]添加環化([2+2]cycloaddition)、[4+4]添加環化または光二量化(photodimerization)などのような光架橋または光重合により整列される化合物;光フリース転位(photo-Fries rearrangement)により整列される化合物または開環/閉環(ring opening/closure)反応により整列される化合物などを使用することができる。トランス-シス光異性化により整列される化合物としては、例えば、スルホン化ジアゾ染料(sulfonated diazo dye)またはアゾ高分子(azo polymer)などのアゾ化合物やスチルベン化合物(stilbenes)などが例示でき、光分解により整列される化合物としては、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(cyclobutane-1,2,3,4-tetracarboxylic dianhydride)、芳香族ポリシランまたはポリエステル、ポリスチレンまたはポリイミドなどが例示できる。また、光架橋または光重合により整列される化合物としては、シンナメート(cinnamate)化合物、クマリン(coumarin)化合物、シンナムアミド(cinnamamide)化合物、テトラヒドロフタルイミド(tetrahydrophthalimide)化合物、マレイミド(maleimide)化合物、ベンゾフェノン化合物またはジフェニルアセチレン(diphenylacetylene)化合物や光感応性残基としてカルコニル(chalconyl)残基を有する化合物(以下、カルコン化合物という)またはアントラセニル(anthracenyl)残基を有する化合物(以下、アントラセニル化合物という)などが例示でき、光フリース転位によって整列される化合物としては、ベンゾアート(benzoate)化合物、ベンゾアミド(benzoamide)化合物、メタクリルアミドアリール(メタ)アクリレート(methacrylamidoaryl methacrylate)化合物などの芳香族化合物が例示でき、開環/閉環反応により整列される化合物としては、スピロピラン化合物などのように[4+2]π電子システム([4+2]πelectronic system)の開環/閉環反応により整列される化合物などが例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
光配向性化合物から誘導された残基または光感応性残基を有したり、前記光配向性化合物と混合され得る高分子としては、ポリノルボルネン、ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリアクリレート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリイミド、ポリアミド酸(poly(amic acid))、ポリマレインイミド、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリスチレン、ポリシロキサン、ポリアクリルニトリルまたはポリメタクリルニトリルなどが例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
光配向性化合物に使用できる高分子性化合物としては、代表的には、ポリノルボルネンシンナメート、ポリノルボルネンアルコキシシンナメート、ポリノルボルネンアリロイルオキシシンナメート、ポリノルボルネンフッ素化シンナメート、ポリノルボルネン塩素化シンナメートまたはポリノルボルネンジシンナメートなどが例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
光配向性化合物が高分子性化合物である場合に、前記化合物は、例えば、約10,000g/mol~500,000g/mol程度の数平均分子量を有していてもよいが、これに限定されるものではない。
【0035】
垂直配向膜は、光配向性化合物および3官能以上のアクリレートを含む垂直配向膜組成物から形成することができる。前記垂直配向膜組成物は、光開始剤および残部の溶媒をさらに含んでもよい。光開始剤としては、例えば、光の照射により自由ラジカル反応を誘導できるものであれば、特に限定されずに使用することができる。このような光開始剤としては、アルファヒドロキシケトン化合物、アルファアミノケトン化合物、フェニルグリオキシレート化合物またはオキシムエステル化合物などが例示でき、例えば、オキシムエステル化合物が使用できる。溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2-ジメトキシベンゼンなどの芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどのアルコール;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ;またはジエチレングリコールジメチルエーテル(DEGDME)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(DPGDME)などのエーテルなどが例示できるが、これらに限定されるものではない。溶媒は、単一溶媒または混合溶媒の形態で含まれてもよい。
【0036】
垂直配向膜組成物内の成分の含有量は、本出願の目的を損傷させない範囲内で適切に選択することができる。1つの例示において、垂直配向膜組成物は、光配向性化合物を1wt%~10wt%範囲内に含んでもよい。1つの例示において、垂直配向膜組成物は、3官能以上のアクリレート0.2wt%~0.4wt%の範囲内に含んでもよい。1つの例示において、垂直配向膜組成物は、光開始剤を0.01wt%~0.1wt%の範囲内に含んでもよい。
【0037】
垂直配向膜は、垂直配向膜組成物をキャリアフィルム上にコートした後に、偏光紫外線を照射することによって形成することができる。前記紫外線の波長範囲は、例えば、320nm~400nmの範囲、または340nm~380nmの範囲内であってもよい。前記紫外線の照射量は、例えば、500mJ/cm2~1000mJ/cm2の範囲内であってもよい。
【0038】
垂直配向膜組成物のコート方法は、例えば、ロールコート、印刷法、インクジェットコート、スリットノズル法、バーコート、コンマコート、スピンコートまたはグラビアコートなどのような公知のコート方式を通したコートによって行われ得る。また、前記垂直配向膜を形成するに際して、垂直配向膜の組成物をコートした後に、紫外線を照射する前に、溶媒を乾燥する工程をさらに含んでもよい。前記コート方法と乾燥工程は、垂直配向液晶層を形成する工程でも適用することができる。
【0039】
垂直配向膜の厚さは、本出願の目的を損傷させない範囲内で適切に選択することができる。垂直配向膜の厚さは、例えば、0.1μm~0.5μmの範囲内であってもよい。
【0040】
1つの例示において、第1積層体は、キャリアフィルム上に垂直配向膜組成物をコートし、垂直配向膜を形成する段階、および前記垂直配向膜上に垂直配向液晶組成物をコートし、垂直配向液晶層を形成する段階によって製造することができる。
【0041】
第1積層体は、垂直配向液晶層を保護するための保護フィルムを含まない。すなわち、第1積層体は、垂直配向液晶層に直接付着した保護フィルムを含まない。前記保護フィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムであってもよい。本出願によれば、垂直配向膜が垂直配向液晶層を保護する役割をするので、垂直配向液晶層を保護するための別途の保護フィルムを必要としない。したがって、本出願によれば、PETフィルムのような保護フィルムの光学異方性を考慮しなくても良いので、偏光板の製造工程中にクロスポール検査を行うことができる。
【0042】
本明細書において負の二軸性位相差フィルムは、数式3を満たす特性を有する位相差フィルムを意味する。
【0043】
[数式3]
nx>ny>nz
【0044】
数式3中、nx、nyおよびnzは、それぞれ、負の二軸性位相差フィルムのx軸、y軸およびz軸方向の波長550nmの光に対する屈折率を意味する。x軸、y軸およびz軸の定義は、前述したのと同一である。
【0045】
負の二軸性位相差フィルムは、高分子延伸フィルムであってもよい。高分子延伸フィルムとしては、COP(cyclo olefin polymer)フィルムを使用することができる。
【0046】
負の二軸性位相差フィルムの位相差値は、所望の光学補償によって適切に制御することができる。負の二軸性位相差フィルムの面内位相差Rin値は、例えば、110nm~140nmの範囲内であってもよい。負の二軸性位相差フィルムの厚さ方向位相差Rth値は、例えば70nm~100nmの範囲内であってもよい。
【0047】
偏光子は、二色性物質を含有する高分子延伸フィルムであってもよい。本明細書において用語偏光子は、偏光機能を有するフィルム、シートまたは素子を意味する。偏光子は、様々な方向に振動する入射光から一方の方向に振動する光を抽出できる機能性素子である。
【0048】
前記偏光子は、吸収型偏光子であってもよい。本明細書において吸収型偏光子は、入射光に対して選択的透過および吸収特性を示す素子を意味する。吸収型偏光子は、例えば、様々な方向に振動する入射光からいずれか一方の方向に振動する光を透過し、残りの方向に振動する光を吸収することができる。
【0049】
前記偏光子は、線偏光子であってもよい。本明細書において線偏光子は、選択的に透過する光がいずれか1つの方向に振動する線偏光であり、選択的に吸収する光が前記線偏光の振動方向と直交する方向に振動する線偏光である場合を意味する。
【0050】
1つの例示において、前記二色性物質は、ヨウ素または二色性染料であってもよい。前記二色性物質は、配向された状態で高分子延伸フィルムに含まれ得る。1つの例示において、前記二色性物質は、高分子延伸フィルムの延伸方向で配向された状態で存在していてもよい。
【0051】
前記二色性物質を含有する高分子延伸フィルムは、高分子フィルムに二色性物質を染着した後、前記高分子フィルムを延伸することによって形成することができる。前記高分子延伸フィルムとしては、ポリビニルアルコール系延伸フィルムを使用することができる。前記偏光子の透過率や偏光度は、本出願の目的を考慮して適切に調節することができる。例えば、前記偏光子の単体透過率は、42.5%~55%であってもよく、偏光度は、65%~99.9997%であってもよい。前記単体透過率や偏光度は、例えば、前記単体透過率および偏光度は、それぞれ、波長550nmの光に対して測定された値であってもよい。
【0052】
第1積層体と第2積層体は、接着剤層を介して積層することができる。この際、第1積層体の垂直配向液晶層と第2積層体の負の二軸性位相差フィルムが互いに対向するように積層することができる。すなわち、前記接着剤層の一面は、垂直配向液晶層と直接接し、前記接着剤層の他の一面は、負の二軸性位相差フィルムと直接接してもよい。第1積層体と第2積層体の積層は、第2積層体の負の二軸性位相差フィルムの一面に接着剤層をコートした後、第1積層体の垂直配向液晶層を前記接着剤層に接するように積層することで行われ得る。
【0053】
第2積層体において負の二軸性位相差フィルムと偏光子も、接着剤層を介して積層していてもよい。前記接着剤層の一面は、負の二軸性位相差フィルムと直接接し、他の一面は、偏光子と直接接してもよい。
【0054】
本明細書において言及される接着剤層は、例えば、紫外線硬化型接着剤層であってもよい。紫外線硬化型接着剤としては、エポキシ系接着剤またはアクリル系接着剤を使用することができる。前記アクリル系接着剤としては、例えば、ポリエステルアクリル系接着剤、ポリスチレンアクリル系接着剤、エポキシアクリル系接着剤、ポリウレタンアクリル系接着剤またはポリブタジエンアクリル系接着剤、シリコンアクリル系接着剤またはアルキルアクリル系接着剤などを使用することができるが、これらに限定されるものではない。接着剤層の厚さは、例えば、1μm~10μm、1μm~5μmまたは1μm~3μmの範囲内であってもよい。
【0055】
第2積層体は、液晶配向膜および液晶層を含まなくてもよい。前記液晶配向膜は、垂直配向膜であってもよく、前記液晶層は、垂直配向液晶層であってもよい。すなわち、本出願の偏光板の製造方法によれば、負の二軸性位相差フィルムに垂直配向液晶層を直接形成しない。したがって、液晶配向の不良および液晶むらに起因して負の二軸性位相差フィルムを一緒に廃棄する短所を解消することができる。また、垂直配向液晶層を保護するための別の保護フィルムを必要としないので、偏光板の製造工程中にもクロスポール検査を行うことができる。
【0056】
第2積層体は、表面処理フィルムをさらに含んでもよい。前記表面処理フィルムは、接着剤層を介して偏光子に積層していてもよい。前記表面処理フィルムは、基材フィルムおよび前記基材フィルム上に形成された表面処理層を含んでもよい。基材フィルムは、表面処理層より偏光子に近く配置されてもよい。したがって、前記接着剤層の一面は、基材フィルムに直接接し、前記接着剤層の他の一面は、偏光子に直接接してもよい。前記基材フィルムとしては、TAC(triacetyl cellulose)フィルム、COP(cyclo olefin copolymer)フィルム、AcrylフィルムまたはPET(polyethyleneterephtalate)フィルムなどが例示できる。前記表面処理層としては、反射防止層、ハードコート層などが例示できる。反射防止層またはハードコート層としては、偏光板に適用できるものと一般的に知られているものを使用することができる。
【0057】
1つの例示において、第2積層体は、偏光子の一面に接着剤層を介して表面処理フィルムを積層し、偏光子の他の一面に接着剤層を介して負の二軸性位相差フィルムを積層することで、製造することができる。1つの例示において、前記第2積層体の状態でクロスポール検査を行うことができる。
【0058】
第3積層体は、第1積層体と第2積層体を含んでもよい。1つの例示において、第3積層体は、キャリアフィルム、垂直配向液晶層、接着剤層、負の二軸性位相差フィルムおよび偏光子を順に含んでもよい。1つの例示において、第3積層体は、キャリアフィルムと垂直配向液晶層との間に垂直配向膜をさらに含んでもよい。1つの例示において、第3積層体は、偏光子の負の二軸性位相差フィルムが存在しない側に表面処理フィルムをさらに含んでもよい。この場合、第3積層体は、キャリアフィルム、垂直配向膜、垂直配向液晶層、接着剤層、負の二軸性位相差フィルム、偏光子および表面処理フィルムを順に含んでもよい。
【0059】
前記偏光板の製造方法は、第3積層体からキャリアフィルムを剥離する段階をさらに含んでもよい。本出願の偏光板の製造方法によれば、偏光子と負の二軸性位相差フィルムを先に積層した後に、転写方式によって垂直配向液晶層を負の二軸性位相差フィルムに積層することができる。したがって、負の二軸性位相差フィルム上に垂直配向液晶層を直接形成(例えば、コート)する方式で発生しうる問題点を解消することができる。
【0060】
前記偏光板の製造方法は、第3積層体からキャリアフィルムを剥離する前に、偏光子の負の二軸性位相差フィルムが存在しない面に保護フィルムを積層する段階をさらに含んでもよい。偏光子の一面に表面処理フィルムが存在する場合、保護フィルムは、前記表面処理フィルムの偏光子が存在しない面に積層されてもよい。前記保護フィルムの積層は、粘着剤層を介して行われ得る。前記粘着剤層の一面は、保護フィルムと直接接し、前記粘着剤層の他の一面は、表面処理層と直接接してもよい。前記保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用することができる。
【0061】
前記偏光板の製造方法は、第3積層体からキャリアフィルムを剥離した後に、第3積層体のキャリアフィルムが剥離された面に粘着剤層を介して離型フィルムを付着する段階をさらに含んでもよい。第1積層体および第3積層体が垂直配向膜をさらに含む場合には、第3積層体からキャリアフィルムを剥離した後に垂直配向膜の一面が露出することができる。この場合、垂直配向膜の一面に粘着剤層を介して離型フィルムを付着することができる。すなわち、前記粘着剤層の一面は、垂直配向膜に直接接し、前記粘着剤層の他の一面は、離型フィルムに直接接してもよい。前記粘着剤層は、偏光板を表示装置に付着する用途に使用できる。離型フィルムは、偏光板を表示装置に付着する前に粘着剤層を保護する役割をすることができる。離型フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用することができる。
【0062】
本明細書において言及される粘着剤としては、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン粘着剤などの公知の粘着剤を特別な制限なく使用することができる。粘着剤層の厚さは、例えば、10μm~40μm、10μm~30μmまたは10μm~20μmの範囲内であってもよい。
【0063】
本出願は、また、偏光板に関する。前記偏光板は、例えば垂直配向液晶層、負の二軸性位相差フィルムおよび偏光子を含み、前記負の二軸性位相差フィルムと垂直配向液晶層を互いに付着する接着剤層をさらに含んでもよい。
【0064】
前記偏光板において負の二軸性位相差フィルムの一面には、垂直配向液晶層が存在していてもよく、負の二軸性位相差フィルムの他の一面には、偏光子が存在していてもよい。
負の二軸性位相差フィルムは、例えば、高分子延伸フィルムであってもよい。
【0065】
1つの例示において、偏光板は、負の二軸性位相差フィルムに直接接する液晶配向膜および/または負の二軸性位相差フィルムに直接接する液晶層を含まない。本出願の偏光板の場合、負の二軸性位相差フィルム上に垂直配向液晶をコートする方式でなく、転写方式によって垂直配向液晶層を形成するためである。
【0066】
前記偏光板は、垂直配向液晶層の負の二軸性位相差フィルムが存在する面の反対面に存在する垂直配向膜をさらに含んでもよい。前記垂直配向膜は、光配向性化合物および3官能以上のアクリレートを含んでもよい。
【0067】
前記偏光板は、前記偏光子の一面に表面処理フィルムをさらに含んでもよい。表面処理フィルムは、偏光子の負の二軸性位相差フィルムが存在する面の反対面に存在していてもよい。
【0068】
前記偏光板は、前記表面処理フィルムの一面に保護フィルムをさらに含んでもよい。前記保護フィルムは、表面処理フィルムの偏光子が存在する面の反対面に存在していてもよい。
【0069】
前記偏光板は、垂直配向膜の一面に粘着剤層を介して付着した離型フィルムをさらに含んでもよい。前記離型フィルムは、垂直配向膜の垂直配向液晶層が存在する面の反対面に存在していてもよい。
【0070】
前記偏光板は、前記偏光板の製造方法によって製造することができる。したがって、前記偏光板に対して別段の定めがない限り、前記偏光板の製造方法で記述した内容を同一に適用することができる。
【0071】
本出願による偏光板は、光学補償偏光板に使用できる。このような偏光板は、多様な表示装置に使用できる。表示装置とは、表示素子を有する装置であり、発光源として発光素子または発光装置を含む。表示装置としては、液晶表示装置、有機エレクトロルミネセンス(EL)表示装置、無機エレクトロルミネセンス(EL)表示装置、タッチパネル表示装置、電子放出表示装置(電場放出表示装置(FEDなど)、表面電界放出表示装置(SED))、電子ペーパー(電子インクや電気泳動素子を用いた表示装置)、プラズマ表示装置、投射型表示装置(グレーティングライトバルブ(GLV)表示装置、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を有する表示装置など)および圧電セラミックディスプレイなどが挙げられる。液晶表示装置は、透過型液晶表示装置、半透過型液晶表示装置、反射型液晶表示装置、直視型液晶表示装置および投射型液晶表示装置などのうちいずれも含む。これら表示装置は、2次元画像を表示する表示装置であってもよく、3次元画像を表示する立体表示装置であってもよい。特に円偏光板は、有機EL表示装置および無機EL表示装置に有効に使用でき、光学補償偏光板は、液晶表示装置およびタッチパネル表示装置に有効に使用できる。
【0072】
本出願は、また、前記偏光板の用途に関する。本出願は、前記偏光板を含む自動車用ディスプレイに関する。本明細書において自動車用ディスプレイは、自動車に適用されるディスプレイを意味し、例えば、計器盤、車両用情報案内ディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、助手席ディスプレイ、サイドミラーディスプレイ、後座席エンターテインメントディスプレイなどが例示できる。偏光板のサイズは、適用されるディスプレイサイズによって適切に選択することができる。1つの例示において、偏光板を自動車用ディスプレイに適用する場合、横、縦や対角線の長さは、約5インチ~48インチであってもよい。
【発明の効果】
【0073】
本出願は、偏光板の製造方法に関する。本出願の製造工程が簡単であり、製造コストを減少させることができる偏光板の製造方法を提供することができる。このような偏光板は、多様な表示装置において光学補償偏光板に用いられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図1】
図1は、本出願の偏光板の製造方法を例示的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0075】
以下、本出願による実施例および本出願によらない比較例に基づいて本出願を具体的に説明するが、本出願の範囲が下記提示された実施例によって制限されるものではない。
【0076】
実施例1.偏光板Aの製造
図1の製造工程によって偏光板を製造した。
具体的には、キャリアフィルム(TACフィルム、厚さ:80μm)1上に垂直配向膜組成物をコートし、80℃のオーブンで2分間乾燥した後、波長360nmの偏光紫外線を750mJ/cm
2の照射量で照射し、厚さ0.3μmの垂直配向膜2を形成した。前記垂直配向膜組成物は、溶媒(トルエン)に化学式Aの光配向性化合物(分子量Mw=150,000)を固形分の濃度1.5wt%、3官能以上のアクリレートとしてPETA(ペンタエリスリトールテトラアクリレート)を固形分の濃度0.2wt%および光開始剤としてOXE02(Igacure)を固形分の濃度0.016wt%の含有量で含む。前記垂直配向膜組成物において3官能以上のアクリレートは、光配向性化合物100重量部に対して約13重量部の含有量で含まれる。前記垂直配向膜上に垂直配向液晶組成物(製品名:RMM460、製造社:Merck)をコートし、750mJ/cm
2の360nm波長の紫外線を照射し、硬化することによって、厚さ1.1μmの垂直配向液晶層3を形成した。第1積層体は、キャリアフィルム、垂直配向膜および垂直配向液晶層を順に含む(
図1のa)。
【0077】
【0078】
厚さが12μmのPVA系偏光子4の一面に厚さ30μmの負の二軸性位相差フィルム(Zeon社のCOPフィルム)5を接着剤層(不図示)を介して積層し、前記PVA系偏光子の他の一面に、表面処理フィルムとして、総厚さが45μmのHC/TACフィルム(TACフィルムおよび前記TACフィルムの一面に形成されたハードコート層を含む)6を接着剤層(不図示)を介して積層し、第2積層体を製造した(
図1のb)。ここで、ハードコート層に比べてTACフィルムが偏光子に近づくよう積層した。前記偏光子としては、ヨウ素が染着されたPVA系延伸フィルムを使用した。前記接着剤層としては、厚さが2μmのUV硬化型エポキシ系接着剤層を使用した。
【0079】
第2積層体の負の二軸性位相差フィルム5上に厚さ2μmのエポキシ系UV硬化型接着剤層7をコートした後、第1積層体の垂直配向液晶層3を前記接着剤層7に付着し、第1積層体と第2積層体を積層した(
図1のc)。
【0080】
図1のcの積層体のHC/TACフィルム6の上部面に保護フィルム(厚さ120μmのPETフィルム)8を厚さ13μmのアクリレート系UV硬化型粘着剤(不図示)を介して付着した(
図1のd)。
【0081】
図1のdの積層体からキャリア基材1を剥離した後、厚さ15μmのアクリレート系UV硬化型粘着剤層9を介して厚さ35μmの離型フィルム(PETフィルム)10を付着し、偏光板を製造した(
図1のe)。
【0082】
実施例2
垂直配向膜組成物においてPETAの固形分含有量を0.25wt%に変更したことを除いて、実施例1と同じ方法で偏光板を製造した。前記垂直配向膜組成物において3官能以上のアクリレートは、光配向性化合物100重量部に対して約17重量部の含有量で含まれる。
【0083】
実施例3
垂直配向膜組成物においてPETAの固形分含有量を0.3wt%に変更したことを除いて、実施例1と同じ方法で偏光板を製造した。前記垂直配向膜組成物において3官能以上のアクリレートは、光配向性化合物100重量部に対して約20重量部の含有量で含まれる。
【0084】
実施例4
垂直配向膜組成物においてPETAの固形分含有量を0.35wt%に変更したことを除いて、実施例1と同じ方法で偏光板を製造した。前記垂直配向膜組成物において3官能以上のアクリレートは、光配向性化合物100重量部に対して約23重量部の含有量で含まれる。
【0085】
実施例5
垂直配向膜組成物において3官能以上のアクリレートとして、TMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート)を固形分含有量0.1wt%、PETAを固形分含有量0.1wt%に変更し、光開始剤OXE02(Igacure)の固形分含有量を0.0175wt%に変更したことを除いて、実施例1と同じ方法で偏光板を製造した。前記垂直配向膜組成物において3官能以上のアクリレートは、光配向性化合物100重量部に対して約13重量部の含有量で含まれ、4官能アクリレートは、3官能アクリレート100重量部に対して100重量部の含有量で含まれる。
【0086】
実施例6
垂直配向膜組成物において3官能以上のアクリレートとして、TMPTAを固形分含有量0.1wt%、PETAを固形分含有量0.2wt%に変更し、光開始剤OXE02(Igacure)の固形分含有量を0.0175wt%に変更したことを除いて、実施例1と同じ方法で偏光板を製造した。前記垂直配向膜組成物において3官能以上のアクリレートは、光配向性化合物100重量部に対して約20重量部の含有量で含まれ、4官能アクリレートは、3官能アクリレート100重量部に対して200重量部の含有量で含まれる。
【0087】
実施例7
垂直配向膜組成物において3官能以上のアクリレートとして、TMPTAを固形分含有量0.1wt%、PETAを固形分含有量0.3wt%に変更し、光開始剤OXE02(Igacure)の固形分含有量を0.0175wt%に変更したことを除いて、実施例1と同じ方法で偏光板を製造した。前記垂直配向膜組成物において3官能以上のアクリレートは、光配向性化合物100重量部に対して約27重量部の含有量で含まれ、4官能アクリレートは、3官能アクリレート100重量部に対して300重量部の含有量で含まれる。
【0088】
比較例1
厚さが38μmのPETフィルム(LGC社製)の一面に厚さ30μmの負の二軸性位相差フィルム(Zeon社のCOPフィルム)を粘着剤層を介して積層した(S1)。前記粘着剤層としては、厚さ10μmのアクリル系粘着剤層を使用した(S1)。
【0089】
次に、前記負の二軸性位相差フィルムのPETフィルムが存在しない面に厚さ0.3μmの垂直配向膜を形成した後、前記垂直配向膜上に厚さ1.1μmの垂直配向液晶層を形成した。垂直配向液晶層の垂直配向膜が存在しない面に粘着剤層を介して厚さが38μmのPETフィルム(LGC社製)を積層した。垂直配向膜は、負の二軸性位相差フィルム上に垂直配向膜組成物をコートし、80℃のオーブンで2分間乾燥した後、波長360nmの偏光紫外線を750mJ/cm2の照射量で照射して形成した。垂直配向膜組成物の組成は、実施例1と同一であった。垂直配向液晶層は、垂直配向膜上に垂直配向液晶組成物(製品名:RMM460、製造社:Merck)をコートし、750mJ/cm2の波長360nmの非偏光紫外線を照射し、硬化することによって形成した。前記粘着剤層としては、厚さが10μmのアクリル系粘着剤層を使用した(S2)。
【0090】
次に、負の二軸性位相差フィルムに積層されたPETフィルムを剥離した(S3)。
【0091】
次に、負の二軸性位相差フィルムの垂直配向液晶層が存在しない面に厚さが12μmのPVA系偏光子を接着剤層を介して積層し、偏光子の負の二軸性位相差フィルムが存在しない面に表面処理フィルムとして、総厚さが45μmのHC/TACフィルム(TACフィルムおよび前記TACフィルムの一面に形成されたハードコート層を含む)を接着剤層を介して積層した。前記偏光子としては、ヨウ素が染着されたPVA系延伸フィルムを使用した。前記接着剤層としては、いずれも、厚さが2μmのUV硬化型エポキシ系接着剤層を使用した(S4)。
【0092】
次に、垂直配向液晶層に積層されたPETフィルムを剥離した後、垂直配向液晶層の剥離した面に厚さ60μmのPE(Polyethylene)フィルム(ILSIN社製)を積層した(S5)。
【0093】
次に、HC/TACフィルムの偏光子が存在しない面に厚さ120μmの保護フィルム(PETフィルム)を厚さ13μmのアクリレート系UV硬化型粘着剤を介して積層した(S6)。
【0094】
次に、垂直配向液晶層からPEフィルムを剥離した後、剥離した面に厚さ15μmのアクリレート系UV硬化型粘着剤層を介して厚さ35μmの離型フィルム(PETフィルム)を積層して偏光板を製造した(S7)。
【0095】
評価例1.クロスポール(Cross pol.)検査
偏光板の品質を評価するために、偏光板の製造工程中にクロスポール検査を行った。クロスポール検査は、検査対象となる偏光板に検査用偏光板を吸収軸が互いに直交するように配置し、黒点またはホワイト光が発生することを確認することによって行われ得る。
【0096】
クロスポール検査は、偏光板の製造工程中に、偏光子の延伸後、フィルム付着工程で行った。実施例1のb段階の第2積層体の場合、HC/TACフィルム、偏光子および負の二軸性位相差フィルムを積層した第2積層体を巻き取られる前のゲート(Gate)でクロスポール検査が可能であった。しかしながら、比較例1のS4段階の積層体の場合、PETフィルムの光学異方性によってブラック状態でなく、レインボー現象が発生し、検査を正確に行うことができなかった。
【0097】
測定例1.剥離力の測定
実施例および比較例の偏光板の製造工程中に、
図1(d)構造の光学積層体(横×縦:5cm×23cm)を厚さ22μmのアクリレート系粘着剤層を介してガラス基板(横×縦:7cm×25cm)に付着した。ここで、
図1(d)の光学積層体の保護フィルムをガラス基板に付着した。偏光板をガラス基板に付着した後、キャリアフィルムを180°の剥離角度および300mm/minの剥離速度で剥離することによって、垂直配向膜とキャリアフィルム間の剥離力を測定した(測定温度:25℃)。剥離力は、サンジテックの高速剥離器を用いて測定し、セット条件をチャネル5kg、ロード(Load)正常値、試験速度300mm/minにセットした。具体的には、高速剥離器のコントロールボックス(control box)のメイン電源をオンとした(on)。コントロールボックスからAUTO MANUを選択した後、S/WをAUTOに選択した。背景画面にHTesterショートカットをダブルクリックした。右上段のテスト設定Tabでテスト条件、Loadおよび試験速度を選択した。試料をテープで実験テーブルに固定した後、Lock handleを垂直にたてた。テスト項目の試料準備を完了した後、プログラム画面の右下段のAuto Zeroをクリックし、ロードセル零点調整を行った。右下段のstartボタンを押して、セット値に合うように機器を作動させた。試験停止になり、手動区間ボタンをクリックし、任意区間の設定をすると、自動で区間平均値3個が算出される。平均値3個のデータをQMS(Quality Management System)に手記で入力し、試験を完了した。
【0098】
実施例1~7に対して、測定例1によって垂直配向膜とキャリアフィルム間の剥離力を測定し、下記の表1にその結果を記載した。実施例1~7の場合、垂直配向膜からキャリアフィルムを良好に剥離することができた。
【0099】
【符号の説明】
【0100】
1 キャリアフィルム
2 垂直配向膜
3 垂直配向液晶層
4 偏光子
5 負の二軸性位相差フィルム
6 表面処理フィルム
7 接着剤層
8 保護フィルム
9 粘着剤層
10 離型フィルム
【国際調査報告】