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特表2024-527989低レベルの界面活性剤による低エネルギーナノエマルション重合
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】低レベルの界面活性剤による低エネルギーナノエマルション重合
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/16 20060101AFI20240719BHJP
   C08F 120/10 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
C08F2/16
C08F120/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505037
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2022071301
(87)【国際公開番号】W WO2023006932
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/227,488
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】21208980.9
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リオン,マシュー ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ,ショーン レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】シックメラー,クリストファー アントニー
【テーマコード(参考)】
4J011
4J100
【Fターム(参考)】
4J011AA01
4J011AA08
4J011JA12
4J011JA13
4J011JB14
4J011JB27
4J011JB29
4J011KA04
4J011KB14
4J011KB30
4J100AB07P
4J100AG04P
4J100AJ01P
4J100AJ02P
4J100AJ08P
4J100AJ09P
4J100AL03P
4J100AL04P
4J100AL05P
4J100AL08P
4J100AL09P
4J100AL10P
4J100AL34P
4J100AL44P
4J100AL62P
4J100AL75P
4J100AM02P
4J100AM15P
4J100AM21P
4J100AP01P
4J100AS02P
4J100BA02P
4J100BA03P
4J100BA04P
4J100BA05P
4J100BA06P
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4J100BC04P
4J100BC07P
4J100BC43P
4J100BC53P
4J100BC54P
4J100CA01
4J100EA07
4J100FA02
4J100FA20
4J100FA35
4J100FA37
(57)【要約】
本発明は、ナノエマルションを調製する低エネルギー方法、及びこのナノエマルションからポリマーを調製する方法に関する。本発明はまた、特許請求されている本発明の方法により調製された水性ナノエマルションも対象とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノエマルションを調製する方法であって、
(i)0℃~100℃の温度で0~-1の範囲の親水性-親油性偏差(HLD)値を有するエマルション系を形成する工程であって、前記エマルション系は、少なくとも1種の単量体、少なくとも1種の界面活性剤、塩、及び水を含む、形成する工程、
(ii)工程(i)で使用される前記少なくとも1種の単量体、又は工程(i)で使用されるものとは異なる少なくとも1種の単量体の追加の量を、前記エマルション系に添加することにより、前記エマルション系の内相を前記エマルション系の最大80体積%まで増加させる工程、並びに
(iii)0℃~100℃の温度で工程(ii)の内容物を混合して、動的光散乱技術に従って決定された50nm~1000nmの範囲の体積平均粒径を有するナノエマルションを得る工程
を含む方法。
【請求項2】
(iii)混合する工程は、電力密度が0.1W/kg~100W/kgである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(iii)混合する工程は、電力密度が0.1W/kg~10W/kgである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1種の単量体は、疎水性単量体である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記疎水性単量体は、α,β-エチレン性不飽和単量体である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1種の単量体は、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、2-メチルヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アルキルクロトネート、ジ-n-ブチルマレエート、ジ-オクチルマレエート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシ(メタ)アクリレート、2(2エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メチルポリグリコール(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、スチレン、ブタジエン、ビニルエステル、2-エチルヘキシルチオグリコレート、3,5,5-トリメチル-1-ヘキシルアクリレート、3-ブチルメルカプトプロピオネート、アセトアセトキシエチルメタクリレート、アルファメチルスチレン、C17-アクリレート、ジアセトンアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソプレノールアクリレート、プレノールアクリレート、tert-ブチルアクリレート、tert-ブチルメタクリレート、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ジメタクリル酸、エチルアクリル酸、アリル酢酸、ビニル酢酸、ビニル乳酸、メサコン酸、メチレンマロン酸、シトラコン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート、(メタ)アクリルリン酸エステル、酢酸ビニル、又はこれらの組み合わせから選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記単量体の体積%は、前記エマルション系の20体積%~80体積%である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程(i)~(iii)を、20℃~80℃の温度で実行する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1種の界面活性剤の量は、前記単量体の総重量を基準として1~10重量%の範囲である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1種の界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はこれらの組み合わせから選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記エマルション系中の塩の量は、前記単量体の総重量を基準として0.1~15重量%の範囲である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法により調製された水性ナノエマルション。
【請求項13】
ナノエマルションからポリマーを調製する方法であって、
(I)請求項1~12のいずれか一項に記載の方法により得られたナノエマルションを反応器に充填する工程、
(II)工程(I)に少なくとも1種の開始剤を添加する工程、及び
(III)工程(II)の内容物を混合して、動的光散乱技術に従って決定された50nm~1000nmの範囲の体積平均粒径を有するポリマーを得る工程
を含む方法。
【請求項14】
前記開始剤は、過酸化物、過硫酸塩、アゾ化合物、又はこれらの混合物から選択される、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノエマルションを調製する低エネルギー方法に関する。本発明は、さらに、前記ナノエマルションからポリマーを調製する方法に関する。本発明はまた、特許請求されている本発明の方法により調製された水性エマルションも対象とする。
【背景技術】
【0002】
ミニエマルション重合は、単量体エマルションを50~1000nmの範囲のサイズまで縮小させ、続いて重合させるエマルション重合法である。これにより、従来のエマルション重合システムでは重合しない疎水性単量体の使用が可能となる。加えて、ナノ粒子及び非反応性ワックス/オイルの様な添加剤を、最終ラテックスに組み込み得る。しかしながら、先行技術で開示されているプロセスは、大量の界面活性剤(単量体の総重量の20重量%超)の使用、又は均質化若しくは超音波処理等の高エネルギーの使用を必要とする。
【0003】
このナノエマルションを生成するのに必要な高エネルギーに起因して、このプロセスは、スケールアップ時での高エネルギー乳化、又は既存のインフラを使用し得ないことの問題に起因して、商業的には成功していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、低エネルギー方法だけでなく、使用される界面活性剤も少量であり、既存の従来のエマルション重合装置内にも適合し、且つ特別な装置も必要としない、ナノエマルションを調製する方法を有することである。本発明の別の目的は、疎水性単量体にも適用可能な、ナノエマルションからポリマーを調製する方法を有することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
驚くべきことに、親水性-親油性偏差(HLD)の原理を利用することにより、標準的な撹拌(即ち、低エネルギー、及び低界面活性剤負荷(単量体の重量を基準として1~10wt%))下でナノ乳化プロセスを達成し得ることを発見した。
【0006】
従って、一態様では、本発明は、ナノエマルションを調製する方法であって、
(i)0℃~100℃の温度で0~-1の範囲の親水性-親油性偏差(HLD)値を有するエマルション系を形成する工程であって、前記エマルション系は、少なくとも1種の単量体、少なくとも1種の界面活性剤、塩、及び水を含む、形成する工程、
(ii)工程(i)で使用される少なくとも1種の単量体、又は工程(i)で使用されるものとは異なる少なくとも1種の単量体の追加の量を、前記エマルション系に添加することにより、前記エマルション系の内相をこのエマルション系の最大80体積%まで増加させる工程、並びに
(iii)0℃~100℃の温度で工程(ii)の内容物を混合して、動的光散乱技術に従って決定された50nm~1000nmの範囲の体積平均粒径を有するナノエマルションを得る工程
を含む方法を対象とする。
【0007】
特許請求されている本発明の別の態様は、上述した方法により調製された水性ナノエマルションを対象とする。
【0008】
ある態様では、特許請求されている本発明は、本明細書中で上述された方法により調製されたナノエマルションからポリマーを調製する方法を対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の組成物、濃縮液、及び製剤を説明する前に、そのような組成物、濃縮液、及び製剤は当然変化し得ることから、説明される特定の組成物、濃縮液、及び製剤に本発明が限定されないことが理解されるべきである。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることから、本明細書で使用される用語法は、限定を意図していないことも理解されるべきである。
【0010】
以降では、ある群が少なくともある決まった数の実施形態を含むと定義される場合、これは、好ましくは、これらの実施形態のみからなる群も包含することを意味する。さらに、本明細書及び特許請求の範囲における「第1の」、「第2の」、「第3の」、又は「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」等の用語は、類似の構成要素を区別するために使用されるものであり、必ずしも連続した順番又は時系列順に記載するものではない。従って、このように使用される用語は、適切な状況下において交換可能であることと、本明細書で説明されている本発明の実施形態は、本明細書で説明するか又は図示する順序以外の順序で実施することが可能であることとが理解されるべきである。「第1の」、「第2の」、「第3の」、又は「(A)」、「(B)」、及び「(C)」、又は「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」、「i」、「ii」等の用語が方法又は使用又はアッセイの工程に関する場合、本願で別段の指定がない限り、本明細書において前述又は後述するように、この工程間に時間を置かないか、又は時間間隔の一貫性がなく、即ち、この工程は、同時に実行され得るか、又はこのような工程間に数秒間、数分間、数時間、数日間、数週間、数ヶ月間、若しくはさらに数年間の時間間隔が存在し得る。
【0011】
下記の文では、本発明の様々な態様がより詳しく規定される。そのように規定されたそれぞれの態様を、そうでないと明確に示されていない限り、任意の他の態様又は複数の態様と組み合わせ得る。特に、好ましい又は有利であると示された任意の特徴を、好ましいか又は有利であると示された任意の他の特徴又は複数の特徴と組み合わせ得る。
【0012】
本明細書全体を通じての「一実施形態」又は「ある実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書全体の様々な場所での「一実施形態」又は「ある実施形態」という語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態について言及しているわけではないが、そうである可能性もある。
【0013】
さらに、特定の特徴、構造、又は特性を、1つ又は複数の実施形態において、本開示から当業者に明らかであるように、任意の適切な様式で組み合わせ得る。さらに、当業者によって理解されるように、本明細書で説明されているいくつかの実施形態が、他の実施形態に含まれるいくつかの特徴を含むが他の特徴を含まないことは、異なる実施形態の特徴の組合せが本発明の範囲内にあり、異なる実施形態を形成することを意味している。例えば、添付の特許請求の範囲において、請求された実施形態のいずれかを、任意の組合せで使用し得る。
【0014】
さらに、「少なくとも1つ」、「1つ又は複数」という用語、又は特徴若しくは要素が1回又は複数回存在し得ることを示す同様の表現は、典型的には、それぞれの特徴又は要素を紹介する際に1回のみ使用されることに留意すべきである。以降では、ほとんどの場合、それぞれの特徴又は要素に言及する際に、それぞれの特徴又は要素が1回又は複数回存在する可能性があるという事実にもかかわらず、「少なくとも1つ」又は「1つ又は複数」という表現は繰り返されない。
【0015】
さらに、本明細書全体を通じて定義される範囲は、終値も含む。即ち、1~10の範囲、1~10は、1及び10の両方がその範囲に含まれることを意味する。疑義を回避するために言及しておくと、出願人は、適用される法律に従ってあらゆる均等物の権利を有するものとする。
【0016】
本発明のある態様は、ナノエマルションを調製する方法であって、
(i)0℃~100℃の温度で0~-1の範囲の親水性-親油性偏差(HLD)値を有するエマルション系を形成する工程であって、前記エマルション系は、少なくとも1種の単量体、少なくとも1種の界面活性剤、塩、及び水を含む、形成する工程、
(ii)工程(i)で使用される少なくとも1種の単量体、又は工程(i)で使用されるものとは異なる少なくとも1種の単量体の追加の量を、前記エマルション系に添加することにより、前記エマルション系の内相をこのエマルション系の最大80体積%まで増加させる工程、並びに
(iii)0℃~100℃の温度で工程(ii)の内容物を混合して、動的光散乱技術に従って決定された50nm~1000nmの範囲の体積平均粒径を有するナノエマルションを得る工程
を含む方法を対象とする。
【0017】
特許請求されている本発明の別の態様は、上述された方法により調製された水性ナノエマルションを対象とする。
【0018】
ある態様では、特許請求されている本発明は、本明細書で上述されている方法により調製されたエマルションからポリマーを調製する方法を対象とする。
【0019】
ナノエマルションは、平均粒径が1000nm未満である、動力学的に安定であるエマルションである。このナノエマルションは、熱力学的に不安定である。
【0020】
ミニエマルションは、重合前に高エネルギー処理(例えば、超音波処理又は均質化)により調製されたナノエマルションである。
【0021】
ナノエマルション及びミニエマルションという用語は、互換的に使用され得、且つ本発明全体を通して同じ意味を意味する。
【0022】
単量体
ある実施形態では、少なくとも1種の単量体は、疎水性単量体である。疎水性単量体とは、水又は他の極性溶媒に溶解しない物質のことである。
【0023】
ある実施形態では、疎水性単量体は、α,β-エチレン性不飽和単量体である。
【0024】
ある実施形態では、少なくとも1種の単量体は、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、2-メチルヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アルキルクロトネート、ジ-n-ブチルマレエート、ジ-オクチルマレエート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシ(メタ)アクリレート、2(2エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メチルポリグリコール(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、スチレン、ブタジエン、ビニルエステル、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、2-エチルヘキシルチオグリコレート、3,5,5-トリメチル-1-ヘキシルアクリレート、3-ブチルメルカプトプロピオネート、アセトアセトキシエチルメタクリレート、アルファメチルスチレン、C17-アクリレート、ジアセトンアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソプレノールアクリレート、プレノールアクリレート、tert-ブチルアクリレート、tert-ブチルメタクリレート、ビニルアセテート、又はこれらの組み合わせから選択される。
別の実施形態では、少なくとも1種の酸単量体は、α,β-エチレン性不飽和酸から選択される。好適なエチレン性不飽和酸の例として、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ジメタクリル酸、エチルアクリル酸、アリル酢酸、ビニル酢酸、ビニル乳酸、メサコン酸、メチレンマロン酸、シトラコン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート、(メタ)アクリルリン酸エステル、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。酸基を、中和剤としての好適な塩基(例えば、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムの水溶液、又はアンモニア)により、部分的に又は完全に中和し得る。
【0025】
好ましい実施形態では、単量体は、メチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、2-エチルヘキシルチオグリコレート、2-プロピルヘプチルメタクリレート、3,5,5-トリメチル-1-ヘキシルアクリレート、3-ブチルメルカプトプロピオネート、アセトアセトキシエチルメタクリレート、アクリル酸、アルファメチルスチレン、メタクリル酸、ブチルメタクリレート、C17-アクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジアセトンアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリレート、エチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、イソデシルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソプレノールアクリレート、ラウリルアクリレート、プレノールアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレン、tert-ブチルアクリレート、tert-ブチルメタクリレート、ビニルアセトン、又はこれらの組み合わせである。
【0026】
ある実施形態では、少なくとも1種の単量体の体積%は、20体積%~80体積%である。
【0027】
界面活性剤
本発明に係る方法は、少なくとも1種の界面活性剤を含む。
【0028】
ある実施形態では、少なくとも1種の界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0029】
ある実施形態では、アニオン性界面活性剤は、下記の構造:
R-(O)-(D)-(E)-SO -M
(式中、
Rは、直鎖若しくは分枝鎖の置換若しくは非置換のC~C22アルキル、又は置換若しくは非置換のC~C20アルキルアリールであり、
Dは、CH(CH)-CH-O-を表し、
Eは、CH-CH-O-を表し、
nは、0~1の範囲の整数であり、
pは、0~10の範囲の整数であり、
qは、0~20の範囲の整数であり、
Mは、H、又はアルカリ金属、又はアンモニウムカチオンである)
を有する。
【0030】
好ましい実施形態では、Rは、直鎖又は分枝鎖の非置換C~C20アルキルである。
【0031】
より好ましい実施形態では、Rは、直鎖又は分枝鎖の非置換C~C20アルキルである。
【0032】
最も好ましい実施形態では、Rは、直鎖の非置換C~C18アルキルである。
【0033】
別の実施形態では、Rは、直鎖又は分枝鎖の置換又は非置換のC~C20アルキルアリールである。
【0034】
好ましい実施形態では、Rは、直鎖又は分枝鎖の置換又は非置換のC10~C13アルキルベンゼンである。
【0035】
最も好ましい実施形態では、Rは、直鎖C10~C13アルキルベンゼンである。
【0036】
好ましい実施形態では、カチオンMは、H、ナトリウム、カリウム、及びアンモニウムカチオンから選択される。
【0037】
実施形態のアニオン性界面活性剤(p=0、q=0、Rは、直鎖又は分枝鎖の非置換C~C12アルキルであり、M=ナトリウム)は、獣脂、ヤシ油、好適な植物油のグリセリドから製造されたアルコール(C~C12の炭素原子)、又は合成アルコールを硫酸化し、続いて水酸化アルカリにより中和することにより得られる。そのため、得られる化合物はまた、反応副生成物も含み、例えば、遊離塩(例えば、中和剤が水酸化ナトリウムである場合には、塩化ナトリウムが、生成物による遊離塩である)、遊離脂肪アルコール、脂肪アルコールの塩も含む。従って、アニオン性界面活性剤の固形分は、有効成分と異なり得る。有効成分は、組成物中に存在する「アニオン性界面活性剤の量」を表すが、固形分は、組成物中の「アニオン性界面活性剤、脂肪アルコール、脂肪アルコールの塩、及び遊離塩の化合物の合計」を表す。本明細書における「遊離」は、塩がいかなる種類の化学結合によっても脂肪アルコール/上記で示されている式のアニオン性界面活性剤に結合していないことを意味する。
【0038】
アニオン性界面活性剤(式中、p=0、q=1~20、Rは、直鎖又は分枝鎖の非置換C~C22アルキルである)は、脂肪アルコールのエトキシル化により製造され、そのため、一般には、アルキル鎖長及びエトキシル化の程度が様々な混合物の形態で得られる。高頻度で、そのような混合物は、ある程度の非エトキシル化アルキル硫酸塩も必然的に含む。
【0039】
好ましい実施形態では、pは、2~10の範囲の整数であり、より好ましくは3~8の範囲の整数であり、qは、0.01~10の範囲の整数であり、より好ましくは0.05~8の範囲の整数であり、Rは、直鎖又は分枝鎖の非置換C14~C18アルキルであり、M=ナトリウム又はHである。
【0040】
pは、2~10の範囲の整数であり、qは、0.01~10の範囲の整数であり、Rは、直鎖又は分枝鎖の非置換C14~C18アルキルであり、Mは、Hである好ましい実施形態のアニオン性界面活性剤は、脂肪アルコールのプロポキシル化及びエトキシル化、それに続くアルコールの硫酸化により製造され、そのため、一般に、アルキル鎖長、並びにプロポキシル化及びエトキシル化の程度が異なる混合物の形態で得られる。高頻度で、そのような混合物はまた、ある程度の非エトキシル化/非プロポキシル化化合物も含み得る。これらのプロポキシル化及びエトキシル化硫酸塩化合物を水酸化ナトリウム等の水酸化アルカリで中和すると、M=ナトリウムの化合物になる。
【0041】
好ましい実施形態では、nは、0であり、pは、0であり、qは、0であり、Rは、直鎖又は分枝鎖の非置換又は置換のC10~C13アルキルアリールであり、M=ナトリウムである。
【0042】
α-オレフィンスルホネートは、一般に、α-オレフィンのスルホン化により製造される。スルホン化されて、特許請求されている本発明の組成物で使用される界面活性剤を形成するα-オレフィンは、約10~22個の炭素原子を含み得、好ましくは12~18個の炭素原子を含み得る。このα-オレフィンは、例えば、ワックス分解、エチレン蓄積(ethylene built up)、又は対応する第一級アルコールの脱水等の様々なプロセスから生じ得る。例示的なα-オレフィンは、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン等、及びこれらの混合物である。これらの長鎖オレフィンのスルホン化は、典型的には、希釈剤と混合された三酸化硫黄を利用して実行される。スルホン化が完了した後、酸混合物の中和及び加水分解が実行され、形成された副産物のスルホンが、対応するヒドロキシアルカンスルホネートに変換される。そのため、当該技術分野で公知であるように、本明細書で使用されるα-オレフィンスルホネートという用語は、アルケンスルホネート自体だけでなく、通常のスルホン化中和及び相当量の対応する水溶性ヒドロキシアルカンスルホネートによる加水分解手順の結果として形成されるものの混合物も含む。
【0043】
直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LABS)は、直鎖アルキルベンゼン(LAB)のスルホン化と、それに続く対応するスルホン酸(HLAS)の中和とにより製造される。直鎖アルキルベンゼンは、直鎖オレフィンによるベンゼンのアルキル化により合成される。従来の芳香族化合物のアルキル化プロセスでは、例えばフッ化水素酸、三塩化アルミニウム等のフリーデル・クラフツ型触媒が使用される。
【0044】
アニオン性界面活性はまた、式
R’’CONHR’’’OSO
(式中、
R’’は、C~C22アルキルを表し;
R’’’は、C~Cアルキルラジカルであり、
Mは、水素原子、若しくはアルカリ金属カチオン、又はこれらのエトキシル化(EO)及び/若しくはプロポキシル化(PO)誘導体であり、平均0.5~60個のEO及び/又はPO単位を含む)
のアルキルアミドサルフェートも含み得る。
【0045】
さらなるアニオン性界面活性剤は、C~C24の飽和又は不飽和の脂肪酸の塩、アルキルグリセリルスルホネート、パラフィンスルホネート、N-アシルN-アルキルタウレート、アルキルホスフェート、イセチオネート、アルキルスクシナメート(alkylsuccinamate)、アルキルスルホサクシネート、スルホサクシネートモノエステル又はジエステル、N-アシルサルコシネート、アルキルグリコシドサルフェート、ポリエトキシカルボキシレートであり、カチオンは、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、若しくはリチウム)、置換又は非置換のアンモニウム残基(メチル-、ジメチル-、トリメチル-、若しくはテトラメチルアンモニウム、ジメチルピペリジニウム等)、又はアルカノールアミン誘導体(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)、及びアルキル又はアルキルアリールホスフェートエステルである。
【0046】
スルホコハク酸エステルは、下記の構造
【化1】
(式中、
は、直鎖又は分枝鎖の置換又は非置換のC~C22アルキルであり、
は、H、又は直鎖若しくは分枝鎖の置換若しくは非置換のC~C22アルキルから選択され、
は、H、又はアルカリ金属カチオンである)
を有する。
【0047】
好ましい実施形態では、R及びRは、独立して、直鎖の非置換C~C20アルキルである。
【0048】
より好ましい実施形態では、R及びRは、独立して、直鎖の非置換C~C16アルキルである。
【0049】
最も好ましい実施形態では、R及びRは同一であり、且つ直鎖の非置換C~C12アルキルである。
【0050】
好ましい実施形態では、カチオンMは、H、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、又はアンモニウムカチオンから選択される。
【0051】
より好ましい実施形態では、カチオンMは、ナトリウムカチオン又はカリウムカチオンから選択される。
【0052】
最も好ましい実施形態では、Mは、ナトリウムである。
【0053】
好ましい実施形態では、スルホコハク酸エステルは、水に溶解する。
【0054】
別の好ましい実施形態では、スルホコハク酸エステルは、水と水混和性溶媒との混合物に溶解する。
【0055】
ある実施形態では、水混和性溶媒は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びこれらの混合物から選択される。
【0056】
好ましい実施形態では、スルホコハク酸エステルは、水とネオペンチルグリコールとの混合物に溶解する。
【0057】
カチオン性界面活性剤は、少なくとも1つの活性カチオン(陽イオン)成分を有する界面活性化合物の公知の群である。カチオン性界面活性剤として、水酸化第四級アンモニウムが例示され得、例えば、オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ドデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、デシルジメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、ジドデシルジメチルアンモニウムヒドロキシド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムヒドロキシド、牛脂トリメチルアンモニウムヒドロキシド、及びヤシ油トリメチルアンモニウムヒドロキシド、並びにこれらの塩が例示され得る。
【0058】
両性界面活性剤の例は、ベタイン、スルホベタイン、並びに脂肪酸及びイミダゾールのカルボン酸塩及びスルホン酸塩(例えば、アルキルジメチルベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルベタイン、アルキルジメチルスルホベタイン、又はアルキルアミドプロピルジメチルスルホベタイン)を含む。
【0059】
言及され得る非イオン性界面活性剤の内のいくつかは、アルキレンオキシド(特にエチレンオキシド)と、アルコール、ポリオール、アルキルフェノール、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、及び脂肪アミンとの縮合物;オキシドアミン、糖誘導体、例えば、糖のポリアルキルグリコシド又は脂肪酸エステル、特に、ショ糖モノパルミテート;長鎖第三級ホスフィンオキシド;ジアルキルスルホキシド;ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのブロックコポリマー;ポリアルコキシル化ソルビタンエステル;ソルビタンの脂肪エステル、ポリ(エチレンオキシド)、及び疎水性を付与するように改変された脂肪酸アミド(例えば、10~18個の炭素原子を含む脂肪酸モノ-及びジエタノールアミド)である。具体的には、アルキル置換基がC~C12であり、且つ5~25個のオキシアルキレン単位を含むポリオキシアルキル化(ポリエトキシエチル化、ポリオキシプロピル化、又はポリオキシブチル化)アルキルフェノール、グルコサミド、グルカミド、及びグリセロールアミド;1~25個のオキシアルキレン(オキシエチレン、オキシプロピレン)単位を含むポリオキシアルキレン化C~C22脂肪族アルコール。
【0060】
上述された界面活性剤を、エマルション中でHLD値を0~-1の範囲で適切に調整した限り、単独又は組み合わせのいずれかで使用し得る。
【0061】
ある実施形態では、少なくとも1種の界面活性剤の量は、単量体の総重量を基準として1~10重量%の範囲である。
【0062】
ある実施形態では、少なくとも1種の界面活性剤の特性曲率値(characteristic curvature value)(Cc)は、各個々の界面活性剤のモルベースの平均として算出される-10~10の範囲である。
【0063】
界面活性剤の混合物の特性曲率値Ccは、界面活性剤のCcのモル加重平均である。
【0064】
特性曲率とは、同一ファミリの他の界面活性剤と比較して相対的な疎水性又は親水性を判断するために界面活性剤に割り当てられる値のことである。この値を持つことで、HLD方程式を使用することにより界面活性剤の性能を予測し得る。
【0065】
特性曲率は、一般的に、HLDチューブスキャン(HLD tube scan)により測定される。測定する界面活性剤の既知量を、いくつかのチューブに入れる。一定の温度で、既知の等価アルカン炭素数(EACN)を有する油を添加し、等量の生理食塩水も添加する。塩の量をチューブ全体で増加させて、各チューブでのHLD値を変化させる。Windsor III型マイクロエマルションの発見は、その塩濃度でのHLD 0の証拠である。HLDは0に設定され、塩温度及び油が既知となり、Cc値を解き得る。
【0066】

本発明に係る方法は、塩を含む。
【0067】
ある実施形態では、この塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム水和物、ピロリン酸四ナトリウムから選択される。
【0068】
ある実施形態では、エマルション系中の塩の量は、単量体の総重量を基準として0.1~15重量%の範囲である。
【0069】
ある実施形態では、エマルション系中の塩の量は、単量体の総重量を基準として0.1~15重量%の範囲である。
【0070】
別の実施形態では、エマルション系中の塩の量は、単量体の総重量を基準として0.1~10重量%の範囲である。
【0071】
さらに別の実施形態では、エマルション系中の塩の量は、単量体の総重量を基準として0.1~5重量%の範囲である。
【0072】

ある実施形態では、水の体積%は、20体積%~80体積%である。
【0073】
本方法中での水の総量は、界面活性剤中に存在する水と、塩溶液中に存在する水とを含む。
【0074】
追加の成分
ある実施形態では、本方法は、追加の成分を含む。
【0075】
ある実施形態では、追加の成分は、油、油溶性化合物、又はアルコールから選択される。
【0076】
好ましくは、追加の成分は、油、又は油溶性化合物である。
【0077】
油又は油溶性化合物の例は下記であるが、これらに限定されない:16個超の炭素原子を有する炭化水素、例えば、ヘキサデカン、セチルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ビニルヘキサノエート、p-メチルスチレン、ビニル2-エチルヘキサノエート、ビニルデカノエート、ビニルステアレート、及びこれらの混合物。
【0078】
方法
ある実施形態では、本発明は、ナノエマルションを調製する方法であって、
(i)0℃~100℃の温度で0~-1の範囲の親水性-親油性偏差(HLD)値を有するエマルション系を形成する工程であって、前記エマルション系は、少なくとも1種の単量体、少なくとも1種の界面活性剤、塩、及び水を含む、形成する工程、
(ii)工程(i)で使用される少なくとも1種の単量体、又は工程(i)で使用されるものとは異なる少なくとも1種の単量体の追加の量を、前記エマルション系に添加することにより、前記エマルション系の内相を最大80体積%まで増加させる工程、並びに
(iii)0℃~100℃の温度で工程(ii)の内容物を混合して、動的光散乱技術に従って決定された50nm~1000nmの範囲の体積平均粒径を有するナノエマルションを得る工程
を含む方法を開示する。
【0079】
ある実施形態では、0℃~100℃の温度で、0~-0.8の範囲の親水性-親油性偏差(HLD)値を有するエマルション系が形成される。
【0080】
別の実施形態では、0℃~100℃の温度で、0~-0.6の範囲の親水性-親油性偏差(HLD)値を有するエマルション系が形成される。
【0081】
別の実施形態では、0~-0.4の範囲の親水性-親油性偏差(HLD)値を有するエマルション系は、0℃~100℃の温度で形成される。
【0082】
親水性-親油性偏差(HLD)は、系内の塩分濃度、温度、油、及び界面活性剤に基づいて界面活性剤の性能を予測する経験的モデルである。本発明の方法に起因して、エマルション系は、界面活性剤の全てが引き寄せられ、従って界面に位置する場所で均衡が取れている。このポイントでは、界面張力がかなり低い。
【0083】
HLDのパラメータを調整することによりこのポイントから急速に離れることは、「クエンチング」と呼ばれる。このことを、塩分濃度、温度、油、及び界面活性剤を変化させることにより行なう。結果として、界面活性剤は界面に留まり、系の界面活性剤濃度に応じて、ある特定のサイズのナノエマルションが得られる。単量体のナノエマルション(50~1000nm)、及び任意の組み込まれる添加剤は、この方法で効率的に製造され得、典型的には、単量体に対して1~10wt%の界面活性剤のみが必要となる。
【0084】
より実施形態では、(iii)混合する工程を、30℃~80℃の温度で実行する。
【0085】
最も好ましい実施形態では、(iii)混合する工程を、40℃~80℃の温度で実行する。
【0086】
好ましい実施形態では、ナノエマルションは、動的光散乱技術に従って決定された50nm~800nmの範囲の平均粒径を有する。
【0087】
より好ましい実施形態では、ナノエマルションは、動的光散乱技術に従って決定された50nm~700nmの範囲の平均粒径を有する。
【0088】
最も好ましい実施形態では、ナノエマルションは、動的光散乱技術に従って決定された50nm~650nmの範囲の平均粒径を有する。
【0089】
動的光散乱(DLS)は、分散したナノ粒子の粒度分布を決定するために使用される一般的な技術である。DLSは、ナノ粒子により散乱した光の時間的ゆらぎを利用して、並進拡散係数の分布を算出し、次いで、これを、見かけの流体力学的直径の分布に変換する。ナノエマルション又はポリマー(ラテックス)を、DI水で希釈し、次いでゼータサイザー装置に入れる。この装置はレーザーを放射し、このレーザーは粒子により散乱する。次いで、ソフトウェアにより、散乱した光の量から、ナノエマルション又はポリマー(ラテックス)の平均粒径を推測し得る。
【0090】
平均粒径は、体積中央値と比べて大きいか又は小さい粒子の各体積が総粒子体積の50%を占めることを物理的に表す体積平均粒径分布として表される。
【0091】
多くの界面活性剤を使用することにより、低エネルギーであり且つ最適化されていない系でナノエマルションを得ることができる。このことは、油に対して界面活性剤1gであり得るが、油に対して界面活性剤10gでもあり得る。HLDと内相と比を系に適用することにより、界面活性剤の効率的(性能及びコスト)な使用が可能となる。典型的には、HLDと内相との比を使用するナノエマルションは、本発明に係る単量体に対して界面活性剤0.01~0.1gを有する。
【0092】
HLDをナノエマルション方法に加えることにより、重合に必要なナノエマルションを製造するための堅牢でスケーラブルな方法が得られる。必要なエネルギーが低いことに起因して、この方法は、スケーラブルであり、HLDを使用することにより、系条件が変化する場合での調整を予測することが可能となる。
【0093】
ある実施形態では、(iii)混合する工程は、電力密度が0.1W/kg~100W/kgである。
【0094】
より好ましい実施形態では、(iii)混合する工程は、電力密度が0.1W/kg~10W/kgである。
【0095】
最も好ましい実施形態では、(iii)混合する工程は、電力密度が0.1W/kg~1W/kgである。
【0096】
ある実施形態では、ナノエマルションを調整する方法の全ての工程(工程(i)~工程(iii))を、自動化してコンピュータにより実施し得る。
【0097】
ある実施形態では、本発明は、ナノエマルションを調製する方法であって、
(i)0℃~100℃の温度で0~-1の範囲の親水性-親油性偏差(HLD)値を有するエマルション系を形成する工程であって、前記エマルション系は、少なくとも1種の単量体、少なくとも1種の界面活性剤、塩、及び水を含む、形成する工程、
(ii)工程(i)で使用される少なくとも1種の単量体、又は工程(i)で使用されるものとは異なる少なくとも1種の単量体の追加の量を、前記エマルション系に添加することにより、前記エマルション系の内相を最大80体積%まで増加させる工程、並びに
(iii)0℃~100℃の温度で工程(ii)の内容物を混合して、動的光散乱技術に従って決定された50nm~1000nmの範囲の体積平均粒径を有するナノエマルションを得る工程
を含み、
(iii)混合する工程は、電力密度が0.1W/kg~100W/kgである、
方法を開示する。
【0098】
別の実施形態では、本発明は、ナノエマルションを調製する方法であって、
(i)0℃~100℃の温度で0~-1の範囲の親水性-親油性偏差(HLD)値を有するエマルション系を形成する工程であって、前記エマルション系は、少なくとも1種の単量体、少なくとも1種の界面活性剤、塩、及び水を含む、形成する工程、
(ii)工程(i)で使用される少なくとも1種の単量体、又は工程(i)で使用されるものとは異なる少なくとも1種の単量体の追加の量を、前記エマルション系に添加することにより、前記エマルション系の内相を最大80体積%まで増加させる工程、並びに
(iii)0℃~100℃の温度で工程(ii)の内容物を混合して、動的光散乱技術に従って決定された50nm~1000nmの範囲の体積平均粒径を有するナノエマルションを得る工程
を含み、
(iii)混合する工程は、電力密度が0.1W/kg~100W/kgであり、
少なくとも1種の界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はこれらの組み合わせから選択される
方法を開示する。
【0099】
別の実施形態では、本発明は、ナノエマルションを調製する方法であって、
(i)0℃~100℃の温度で0~-1の範囲の親水性-親油性偏差(HLD)値を有するエマルション系を形成する工程であって、前記エマルション系は、少なくとも1種の単量体、少なくとも1種の界面活性剤、塩、及び水を含む、形成する工程、
(ii)工程(i)で使用される少なくとも1種の単量体、又は工程(i)で使用されるものとは異なる少なくとも1種の単量体の追加の量を、前記エマルション系に添加することにより、前記エマルション系の内相を最大80体積%まで増加させる工程、並びに
(iii)0℃~100℃の温度で工程(ii)の内容物を混合して、動的光散乱技術に従って決定された50nm~1000nmの範囲の体積平均粒径を有するナノエマルションを得る工程
を含み、
(iii)混合する工程は、電力密度が0.1W/kg~100W/kgであり、
エマルション系中の塩の量は、単量体の総重量を基準として0.1~15重量%の範囲である、
方法を開示する。
【0100】
特に好ましい実施形態では、工程(i)は、コンピュータにより実施される。
【0101】
ある実施形態では、工程(i)は、
a.コンピューティングデバイスで、パラメータ塩分濃度、等価アルカン炭素数(EACN)、温度、及び界面活性剤の特性曲率(Cc)から少なくとも選択される入力データを受信する工程、
b.方程式(I)又は(II)を使用して工程(a)のパラメータを調整して、0~-1のHLD値を得る工程、
HLD=F(S)-k.EACN-α(T-25)+Cc (I)
HLD=F(S)-k.EACN-α(T-25)+F(A)+Cc (II)
(式中、
EACN 単量体又は油成分の有効アルカン炭素数
T 温度(℃)
Sは、塩分濃度の関数である(g/100ml)
Cc 界面活性剤の特性曲率
α 温度係数;及び
F(A)は、系に添加されるアルコール又は他の追加の成分の%の関数である)
を含み、コンピュータにより実施される。
【0102】
方程式(I)及び/又は方程式(II)を適用して解くことにより、パラメータが最適化され、低エネルギーで且つより少ない量の界面活性剤で機能するプロセスが得られる。
【0103】
「コンピュータにより実施される」又は「コンピューティングデバイス」は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理的(例えば、電子的)量として表現されたデータを、コンピュータシステムのメモリ若しくはレジスタ、又は他のそのような情報の保存、伝送、若しくは表示デバイス内の物理的量として同様に表現された他のデータへと操作して変換する、コンピュータシステム又は同様の電子コンピューティングデバイスの動作及びプロセスを指す。
【0104】
コンピュータにより実施される工程(i)は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体(例えば、非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体)に保存され得る。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、フロッピーディスク、ハードディスク、CD(コンパクトディスク)、DVD(デジタル多用途ディスク)、USB(ユニバーサルシリアルバス)記憶装置、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリーメモリ)、及びEPROM(消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ)であり得る。本発明を、デジタル電子回路で実施し得るか、又はコンピュータのハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、若しくはこれらの組み合わせで実施し得、例えば、従来のモバイル機器の利用可能なハードウェアで実施し得る。
【0105】
方程式(I)及び(II)は、当業者に既知であり、且つ学術論文J Surfact Deterg(2013)16:449-472等の先行技術で開示されている。
【0106】
別の態様では、本発明は、ナノエマルションからポリマーを調製する方法であって、
(I)本明細書で上述された方法により得られたナノエマルションを反応器に充填する工程、
(II)工程(I)に少なくとも1種の開始剤を添加する工程、及び
(III)工程(II)の内容物を混合して、動的光散乱技術に従って決定された50nm~1000nmの範囲の体積平均粒径を有するポリマーを得る工程
を含む方法を開示する。
【0107】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」という用語は、一般に、少なくとも4つの単量体単位を有する分子を示す。ポリマーとして、ホモポリマー、コポリマー、例えば、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、ランダムコポリマー、及び交互コポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、別途明確に限定されない限り、「ポリマー」という用語は、単量体の全ての可能な異性体立体配置(例えば、限定されないが、アイソタクティックな、シンジオタクチックな、及びランダム対称性の立体配置、並びにこれらの組み合わせ)を含むものとする。さらに、別途特に限定されない限り、「ポリマー」という用語は、分子の全ての可能な幾何学的立体配置を含むものとする。
【0108】
この方法では、ナノエマルションは、例えばフリーラジカル重合により重合して、水性ポリマー分散液が生成される。各単量体ナノ液滴は、ポリマーナノ粒子へと変換され、界面活性剤は、この粒子と連続相との界面に留まり、凝固に対して安定化する。従って、単量体ナノ液滴に組み込まれている任意の添加剤は、ポリマーナノ粒子中に留まり、例えばコーティング又は接着剤として乾燥させた場合には、最終ポリマー全体に均一に組み込まれる。
【0109】
従来のエマルション重合は、単量体がエマルション液滴から水相を通って成長中のラテックス粒子に輸送されるメカニズムに依存する。低溶解度の単量体、又は添加剤(ワックス、ナノ粒子)を使用する場合には、これらは、このプロセスに関与しないだろう。この反応が停滞するか(疎水性単量体)、又は添加剤が水を通ってラテックス/ポリマー(添加剤)へと運ばれないだろう。
【0110】
ミニエマルション重合は、エマルション液滴を直接重合することにより機能する。このことは、従来、エマルションのサイズを縮小することにより達成されている。
【0111】
ある実施形態では、特許請求されている本発明のポリマーを調製する方法は、少なくとも1種の重合開始剤を含む。この方法を実行するのに適した少なくとも1種の重合開始剤は、一次反応でラジカルへと熱分解し得る。
【0112】
ある実施形態では、開始剤は、過酸化物、過硫酸塩、アゾ化合物、又はこれらの混合物から選択される油溶性又は水溶性の開始剤である。
【0113】
ある実施形態では、少なくとも1種の油溶性開始剤は、2,2’-アゾジ-(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、第三級ブチルパーベンゾエート、tert-アミルペルオキシ2-エチルヘキシルカーボネート、1,1-ビス(tert-アミルペルオキシ)シクロヘキサン、ラウリルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、ジ-tertアミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、又はこれらの混合物からなる群から選択される。
【0114】
ある実施形態では、少なくとも1種の水溶性開始剤は、コハク酸ペルオキシド、tertブチルヒドロペルオキシド(TBHP)、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、又はこれらの混合物から選択される。
【0115】
ある実施形態では、開始剤を、ナノエマルションを調製するプロセス中に添加してもよいし、前記ナノエマルションからポリマーを調製するプロセス中に添加してもよい。好ましくは、油溶性開始剤をナノエマルションに添加し、水溶性開始剤を、ポリマーを調製するプロセス中に添加する。
【0116】
好ましい実施形態では、開始剤は、tertブチルヒドロペルオキシド(TBHP)、過硫酸アンモニウム、又はこれらの混合物から選択される油溶性開始剤である。
【0117】
好ましい実施形態では、工程(III)を、30~100℃の温度で実行する。
【0118】
好ましい実施形態では、ポリマーは、動的光散乱技術に従って決定された50nm~800nmの範囲の平均粒径を有する。
【0119】
より好ましい実施形態では、ポリマーは、動的光散乱技術に従って決定された50nm~700nmの範囲の平均粒径を有する。
【0120】
最も好ましい実施形態では、ポリマーは、動的光散乱技術に従って決定された50nm~650nmの範囲の平均粒径を有する。
【0121】
利点
本発明の方法は、下記の利点の内の1つ又は複数を提供する。
【0122】
1.ナノ乳化プロセスは、低い界面活性剤負荷レベルを維持しつつスケーラブルである。
【0123】
2.このプロセスは、費用効率が高く、且つ下流での望ましくないラテックス特性を回避する。
【0124】
3.本発明に係る方法は、従来のエマルション重合に使用される既存の工業設備に適合する。
【0125】
4.本発明に係る方法に起因して、ポリマー/ラテックスの最終粒径を制御し得、最終サイズは初期のエマルションサイズと同一であるべきであるが、従来のエマルション重合ではそうではない。
【0126】
5.この方法は、疎水性単量体の使用を可能にし、ガラス転移温度のような新規のポリマー/ラテックス特性を可能にする。
【0127】
6.本発明に係る方法は、ナノエマルションへの機能的添加剤の添加を容易にし、次いで、この添加剤は、ポリマー/ラテックスに組み込まれ、そのため、ポリマーの機能特性が改善される。例えば、ナノエマルション、ひいてはポリマーへのワックスの添加により、製品の耐水性が得られるだろう。この方法により、多くの機能的添加剤を組み込み得る。
【0128】
7.この方法を自動化して、コンピュータデバイスを使用することにより最適化し得る。
【0129】
8.自動化及びコンピュータによる実施に起因して、全てのプロセスが容易となる。
【0130】
実施形態
本発明は、下記の実施形態、並びに対応する従属関係の言及及び関連付けによって得られる実施形態の組み合わせにより、より詳細に説明される。
【0131】
1.ナノエマルションを調製する方法であって、
(i)0℃~100℃の温度で0~-1の範囲の親水性-親油性偏差(HLD)値を有するエマルション系を形成する工程であって、前記エマルション系は、少なくとも1種の単量体、少なくとも1種の界面活性剤、塩、及び水を含む、形成する工程、
(ii)工程(i)で使用される少なくとも1種の単量体、又は工程(i)で使用されるものとは異なる少なくとも1種の単量体の追加の量を、前記エマルション系に添加することにより、前記エマルション系の内相を最大80体積%まで増加させる工程、並びに
(iii)0℃~100℃の温度で工程(ii)の内容物を混合して、動的光散乱技術に従って決定された50nm~1000nmの範囲の体積平均粒径を有するナノエマルションを得る工程
を含む方法。
【0132】
2.(iii)混合する工程は、電力密度が0.1W/kg~100W/kgである、実施形態1に記載の方法。
【0133】
3.(iii)混合する工程は、電力密度が0.1W/kg~10W/kgである、実施形態1又は2に記載の方法。
【0134】
4.少なくとも1種の単量体は、疎水性単量体である、実施形態1に記載の方法。
【0135】
5.疎水性単量体は、α,β-エチレン性不飽和単量体である、実施形態4に記載の方法。
【0136】
6.少なくとも1種の単量体は、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、2-メチルヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アルキルクロトネート、ジ-n-ブチルマレエート、ジ-オクチルマレエート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシ(メタ)アクリレート、2(2エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メチルポリグリコール(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、スチレン、ブタジエン、ビニルエステル、2-エチルヘキシルチオグリコレート、3,5,5-トリメチル-1-ヘキシルアクリレート、3-ブチルメルカプトプロピオネート、アセトアセトキシエチルメタクリレート、アルファメチルスチレン、C17-アクリレート、ジアセトンアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソプレノールアクリレート、プレノールアクリレート、tert-ブチルアクリレート、tert-ブチルメタクリレート、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ジメタクリル酸、エチルアクリル酸、アリル酢酸、ビニル酢酸、ビニル乳酸、メサコン酸、メチレンマロン酸、シトラコン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート、(メタ)アクリルリン酸エステル、酢酸ビニル、又はこれらの組み合わせから選択される、実施形態4又は5に記載の方法。
【0137】
7.単量体の体積%は、20体積%~80体積%である、実施形態1~6の1つ又は複数に記載の方法。
【0138】
8.工程(i)~(iii)を、20℃~80℃の温度で実行する、実施形態1に記載の方法。
【0139】
9.少なくとも1種の界面活性剤の量は、単量体の総重量を基準として1~10重量%の範囲である、実施形態1~8の1つ又は複数に記載の方法。
【0140】
10.少なくとも1種の界面活性剤の特性曲率値(Cc)は、各個々の界面活性剤のモルベースの平均として算出される-10~10の範囲である、実施形態1~9の1つ又は複数に記載の方法。
【0141】
11.少なくとも1種の界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせから選択される、実施形態1~10の1つ又は複数に記載の方法。
【0142】
12.少なくとも1種の界面活性剤は、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルオキシドジスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、スルホコハク酸エステル、アルキルスルホコハク酸塩(alkyl sulfosuccinamate)、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルフェノールポリエトキシエーテル硫酸塩、アルキルフェノールアルキルエーテルリン酸塩、第四級アミン、エチレンオキシドを含むブロックコポリマー、アルキルポリエトキシ及び/又はポリプロポキシエーテルから選択される、実施形態11に記載の方法。
【0143】
13.エマルション系中の塩の量は、単量体の総重量を基準として0.1~15重量%の範囲である、実施形態1~12の1つ又は複数に記載の方法。
【0144】
14.エマルション系中の塩の量は、単量体の総重量を基準として0.1~10重量%の範囲である、実施形態1~12の1つ又は複数に記載の方法。
【0145】
15.エマルション系中の塩の量は、単量体の総重量を基準として0.1~5重量%の範囲である、実施形態1~12の1つ又は複数に記載の方法。
【0146】
16.塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム水和物、ピロリン酸四ナトリウムから選択される、実施形態1~15の1つ又は複数に記載の方法。
【0147】
17.エマルション系は、油、油溶性化合物、又はアルコールから選択される少なくとも追加の成分をさらに含む、実施形態1~16の1つ又は複数に記載の方法。
【0148】
18.工程(i)は、
a.コンピューティングデバイスで、パラメータ塩分濃度、等価アルカン炭素数(EACN)、温度、及び界面活性剤の特性曲率(Cc)から少なくとも選択される入力データを受信する工程、
b.方程式(I)又は(II)を使用して工程(a)のパラメータを調整して、0~-1のHLD値を得る工程、
HLD=F(S)-k.EACN-α(T-25)+Cc (I)
HLD=F(S)-k.EACN-α(T-25)+F(A)+Cc (II)
(式中、
EACN 単量体又は油成分の有効アルカン炭素数
T 温度(℃)
Sは、塩分濃度の関数である(g/100ml)
Cc 界面活性剤の特性曲率
α 温度係数;及び
F(A)は、系に添加されるアルコール又は他の追加の成分の%の関数である)
を含み、コンピュータにより実施される、実施形態1に記載の方法。
【0149】
19.実施形態1~18の1つ又は複数に記載の方法により調製され水性ナノエマルション。
【0150】
20.ナノエマルションからポリマーを調製する方法であって、
(I)実施形態1~16の1つ又は複数に記載の方法により得られたナノエマルションを反応器に充填する工程、
(II)工程(I)に少なくとも1種の開始剤を添加する工程、及び
(III)工程(II)の内容物を混合して、動的光散乱技術に従って決定された50nm~1000nmの範囲の体積平均粒径を有するポリマーを得る工程
を含む方法。
【0151】
21.開始剤は、過酸化物、過硫酸塩、アゾ化合物、又はこれらの混合物から選択される、実施形態20に記載の方法。
【0152】
22.開始剤は、tertブチルヒドロペルオキシド(TBHP)、過硫酸アンモニウム、又はこれらの混合物から選択される、実施形態21に記載の方法。
【0153】
23.工程(III)を、30~100℃の温度で実行する、実施形態20に記載の方法。
【実施例
【0154】
化合物
界面活性剤:
界面活性剤は、下記の通りである:
界面活性剤1:ジオクチルスルホコハク酸Na、水及びネオペンチルグリコールの混合物中に溶解している
界面活性剤2:下記式のアニオン性界面活性剤:
R-(O)-(D)-(E)-SO -M
nは1であり、pは、0~8の範囲であり、qは、00~8の範囲の整数であり、Rは、直鎖又は分枝鎖の非置換又は置換のC10~C18アルキル又はC10~C18アルキルアリールであり、M=ナトリウム又はHである。
【0155】
界面活性剤2a:R-(O)-(D)-(E)-SO -M
nは、1であり、pは、3~8の範囲であり、qは、0.05~8の範囲の整数であり、Rは、直鎖又は分枝鎖の非置換C14~C18アルキルであり、M=ナトリウム又はHである。
【0156】
界面活性剤2b:R-(O)-(D)-(E)-SO -M
nは、0であり、pは、0であり、qは、0であり、Rは、直鎖又は分枝鎖の非置換又は置換のC10~C13アルキルアリールであり、M=ナトリウムである。
【0157】
単量体:
ステアリルアクリレート
ラウリルアクリレート
2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)
メチルメタクリレート(MMA)
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)
【0158】
塩:塩化ナトリウム(NaCl)
【0159】

ヘキサデカン
Glissopal 1300
【0160】
方法
熱分析
試料を、10℃/分での加熱/冷却/加熱サイクルを使用して、N下において、DSC(TA Instruments DSC2500)により分析した。試料を、最初に、室温から300 Cまで加熱し、次いで-80℃まで冷却し、300℃まで再加熱した。この分析を、ピンホールの蓋で繰り返し、最初の加熱サイクル前に冷却した。
【0161】
粒径決定のための動的光散乱
動的光散乱(DLS)は、分散したナノ粒子の粒度分布を決定するために使用される一般的な技術である。DLSは、ナノ粒子により散乱した光の時間的ゆらぎを利用して、並進拡散係数の分布を算出し、次いでこれを、見かけの流体力学的直径の分布に変換する。ナノエマルション又はポリマー(ラテックス)を、DI水で希釈し、次いでゼータサイザー装置に入れる。この装置はレーザーを放射し、このレーザーは粒子により散乱する。次いで、ソフトウェアにより、散乱した光の量から、ナノエマルション又はポリマー(ラテックス)の平均粒径を推測し得る。
【0162】
基本手順
単量体混合物は、13%のヘキサデカン(油成分)と、下記の単量体とを含む。
【0163】
【表1】
【0164】
バイアル1及び2中の成分は、下記の通りである。
【0165】
【表2】
【0166】
各バイアルに関する乳化のプロセスは、下記の通りである:
塩溶液1mLと、界面活性剤1及び2とを、バイアルに入れ、このバイアルに単量体混合物3mLを入れて乳化させた。塩溶液2mLをさらに入れ、もう一度混合した。得られたプレエマルションの粒径を、重合前に分析した。これらのバイアルを、80℃で16時間にわたり、オーブン中で保持した。これらのバイアルを室温まで冷却し、最終ラテックス(ポリマー)粒径に関して、動的光散乱法によりゼータサイザー(Zetasizer Nano ZS90)で分析した。
【0167】
プレエマルション及びポリマーの平均粒径は、下記の通りである。
【0168】
【表3】
【0169】
粒径分析により、ポリマーの平均粒径が出発プレエマルションのサイズと相関することが示される。
【0170】
ポリマーのDSC結果
【0171】
【表4】
【0172】
DSCデータは、単一ピークを示しており、これにより、1種の生成物(ポリマー)のみが形成されており且つ未反応の単量体が存在していなかったことが示される。このことはまた、本発明の方法は、疎水性単量体に対して良好に機能することも示しており、なぜならば、所望のポリマーが形成されるからである。
【0173】
基本手順2
単量体混合物は、10%のヘキサデカン(油成分)と、下記の単量体とを含む
【0174】
【表5】
【0175】
容器中の成分は、下記の通りであった。
【0176】
【表6】
【0177】
各容器に関する乳化のプロセスは、下記の通りであった:
塩溶液と、界面活性剤1及び2とを、500mL丸底フラスコに入れた。300rpmで撹拌しつつ容器に単量体混合物を滴下して、乳化させた。得られたプレエマルションの粒径を、重合前に分析した。脱イオン水200gを、1L丸底フラスコに入れ、300rpmで撹拌しつつ窒素下で85℃まで加熱した。次いで、単量体エマルションを、80分かけてエマルション容器から反応容器へとポンプで注入した。さらに2時間にわたり、この反応を継続させた。反応生成物を室温まで冷却し、光学顕微鏡で分析した。
【0178】
プレエマルション及びポリマーの平均粒径は、下記の通りである:
【0179】
【表7】
【0180】
顕微鏡観察により、ポリマーの粒径は、水での希釈時の反転(w/o/w)により証明されているように、形成された初期エマルションが油中水系であった実施例6を除いて、出発プレエマルションのサイズと相関することが示された。次いで、材料が、反応時に相分離した。
【0181】
基本手順3
単量体混合物は、10%のGlissopal 1300(油成分)と、下記の単量体とを含む。
【0182】
【表8】
【0183】
容器中の成分は、下記の通りであった。
【0184】
【表9】
【0185】
各容器に関する乳化のプロセスは、下記の通りであった:
塩溶液と、界面活性剤1及び2とを、500mL丸底フラスコに入れた。300rpmで撹拌しつつ容器に単量体混合物を滴下して、乳化させた。得られたプレエマルションの粒径を、重合前に分析した。脱イオン水100gを、1L丸底フラスコに入れ、300rpmで撹拌しつつ窒素下で85℃まで加熱した。次いで、単量体エマルションを、80分かけてエマルション容器から反応容器へとポンプで注入した。さらに2時間にわたり、この反応を継続させた。反応生成物を室温まで冷却し、最終ラテックス(ポリマー)粒径に関して、動的光散乱法によりゼータサイザー(Zetasizer Nano ZS90)で分析した。
【0186】
プレエマルション及びポリマーの平均粒径は、下記の通りである。
【0187】
【表10】
【0188】
基本手順4
単量体混合物は、10%のヘキサデカン(油成分)と、下記の単量体とを含む。
【0189】
【表11】
【0190】
容器中の成分は、下記の通りであった。
【0191】
【表12】
【0192】
各容器に関する乳化のプロセスは、下記の通りである:
塩溶液と、界面活性剤1及び2とを、500mL丸底フラスコに入れた。300rpmで撹拌しつつ容器に単量体混合物を滴下して、乳化させた。得られたプレエマルションの粒径を、重合前に分析した。脱イオン水85gを、1L丸底フラスコに入れ、300rpmで撹拌しつつ窒素下で85℃まで加熱した。次いで、単量体エマルションを、脱イオン水15ml中の過硫酸カリウム0.2gを共供給しつつ、80分かけてエマルション容器から反応容器へとポンプで注入した。さらに2時間にわたり、この反応を継続させた。反応生成物を室温まで冷却し、最終ラテックス(ポリマー)粒径に関して、動的光散乱法によりゼータサイザー(Zetasizer Nano ZS90)で分析した。
【0193】
プレエマルション及びポリマーの平均粒径は、下記の通りである。
【0194】
【表13】
【0195】
基本手順5
単量体混合物は、10%のヘキサデカン(油成分)と、下記の単量体とを含む。
【0196】
【表14】
【0197】
容器中の成分は、下記の通りである。
【0198】
【表15】
【0199】
各容器に関する乳化のプロセスは、下記の通りであった:
塩溶液と、界面活性剤1及び2とを、500mL丸底フラスコに入れた。300rpmで撹拌しつつ容器に単量体混合物を滴下して、乳化させた。得られたプレエマルションの粒径を、重合前に分析した。脱イオン水200gを、1L丸底フラスコに入れ、300rpmで撹拌しつつ窒素下で85℃まで加熱した。次いで、単量体エマルションを、80分かけてエマルション容器から反応容器へとポンプで注入した。さらに2時間にわたり、この反応を継続させた。反応生成物を室温まで冷却し、光学顕微鏡で分析した。
【0200】
プレエマルション及びポリマーの平均粒径は、下記の通りである。
【0201】
【表16】
【0202】
顕微鏡観察により、ポリマーの粒径は、それぞれ0%及び0.25%のNaClでの実施例9及び10において、出発プレエマルションの粒径と相関することが示された。0.5%のNaCl(実施例11)では、マルチエマルションが形成され始める。
【国際調査報告】