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特表2024-528029メソテリンを特異的に標的とする操作された免疫細胞及びその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】メソテリンを特異的に標的とする操作された免疫細胞及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20240719BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240719BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240719BHJP
   C12N 15/24 20060101ALI20240719BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240719BHJP
   C12N 15/86 20060101ALI20240719BHJP
   C12N 15/867 20060101ALI20240719BHJP
   C12N 15/861 20060101ALI20240719BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20240719BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240719BHJP
   C12N 5/078 20100101ALI20240719BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20240719BHJP
   C12N 5/0781 20100101ALI20240719BHJP
   C12N 5/0787 20100101ALI20240719BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240719BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20240719BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240719BHJP
   C07K 16/18 20060101ALN20240719BHJP
   C07K 14/54 20060101ALN20240719BHJP
   C07K 14/52 20060101ALN20240719BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C12N15/12 ZNA
C12N15/13
C12N15/24
C12N15/63 Z
C12N15/86 Z
C12N15/867 Z
C12N15/861 Z
C12N15/864 100Z
C12N5/10
C12N5/078
C12N5/0783
C12N5/0781
C12N5/0787
C07K19/00
C07K14/705
A61K35/17
A61P35/00
A61P35/04
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K39/395 N
C07K16/18
C07K14/54
C07K14/52
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505205
(86)(22)【出願日】2022-07-28
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 IB2022057006
(87)【国際公開番号】W WO2023007431
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/227,116
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】武 千央
(72)【発明者】
【氏名】山口 晶子
(72)【発明者】
【氏名】シャピロ、ゲイリー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC751
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE01
4C085EE03
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB65
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZC75
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA01
4H045DA02
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
ヒトメソテリンを特異的に認識する抗体、CD8ヒンジ領域、CD8膜貫通領域、4-1BB細胞内領域、及びCD3ζ細胞内領域を含むキメラ抗原受容体(CAR)をコードするポリヌクレオチド;IL-7をコードするポリヌクレオチド;ならびに、CCL19をコードするポリヌクレオチドを含む単離核酸分子が本明細書で開示される。ベクター、改変免疫細胞、及び核酸分子を含む医薬組成物、及び使用方法もまた、本明細書で開示される。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離核酸分子であって、
ヒトメソテリンを特異的に認識する抗体、CD8ヒンジ領域、CD8膜貫通領域、4-1BB細胞内領域、及びCD3ζ細胞内領域を含むキメラ抗原受容体(CAR)をコードするポリヌクレオチド、
IL-7をコードするポリヌクレオチド、ならびに
CCL19をコードするポリヌクレオチド
を含む、前記単離核酸分子。
【請求項2】
前記IL-7が、ヒトIL-7である、請求項1に記載の単離核酸分子。
【請求項3】
前記CCL19が、ヒトCCL19である、請求項1または請求項2に記載の単離核酸分子。
【請求項4】
前記抗体が、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、前記VHが、配列番号1~3を含む3つの相補性決定領域(CDR)を含み、前記VLが、配列番号4~6を含む3つのCDRを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の単離核酸分子。
【請求項5】
前記VHが、配列番号7を含み、前記VLが、配列番号8を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の単離核酸分子。
【請求項6】
前記抗体が、単鎖可変フラグメント(scFv)フォーマットを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の単離核酸分子。
【請求項7】
前記抗体が、配列番号9を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の単離核酸分子。
【請求項8】
前記4-1BB細胞内領域が、配列番号13を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の単離核酸分子。
【請求項9】
前記CD3ζ細胞内領域が、配列番号14を含む、請求項1~8に記載の単離核酸分子。
【請求項10】
前記4-1BB細胞内領域が、前記単離核酸分子中の前記CD3ζ細胞内領域の上流にある、請求項1~9のいずれか1項に記載の単離核酸分子。
【請求項11】
前記CD8ヒンジ領域が、配列番号11を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の単離核酸分子。
【請求項12】
前記CD8膜貫通領域が、配列番号12を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の単離核酸分子。
【請求項13】
前記核酸が、さらに、前記抗体及び前記CD8ヒンジ領域を連結する3~10アミノ酸残基長のペプチドリンカーを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の単離核酸分子。
【請求項14】
前記ペプチドリンカーが、AAAを含む、請求項13に記載の単離核酸分子。
【請求項15】
前記単離核酸分子が、さらに、シグナル伝達ペプチドを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の単離核酸分子。
【請求項16】
前記シグナル伝達ペプチドが、前記単離核酸分子中のヒトメソテリンを特異的に認識する前記抗体の上流に位置している、請求項1~15のいずれか1項に記載の単離核酸分子。
【請求項17】
前記シグナル伝達ペプチドが、配列番号15を含む、請求項15または16に記載の単離核酸分子。
【請求項18】
IL-7をコードする前記ポリヌクレオチド及びCCL19をコードする前記ポリヌクレオチドが、自己切断性2Aペプチド(2Aペプチド)をコードするポリヌクレオチドを含むプロモーター下でそれぞれ独立して転写されている、請求項1~17のいずれか1項に記載の単離核酸分子。
【請求項19】
前記2Aペプチドが、P2Aであり、任意に、ATNFSLLKQAGDVEENPGPを含む、請求項18に記載の単離核酸分子。
【請求項20】
ペプチドリンカーが、さらに、前記2Aペプチドの前記N末端に付加されており、前記ペプチドリンカーが、GSGを含む、請求項18~19のいずれか1項に記載の単離核酸分子。
【請求項21】
前記IL-7が、配列番号18を含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の単離核酸分子。
【請求項22】
前記CCL19が、配列番号19を含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の単離核酸分子。
【請求項23】
前記CARをコードする前記ポリヌクレオチド、IL-7をコードする前記ポリヌクレオチド、及びCCL19をコードする前記ポリヌクレオチドが、前記核酸分子内で5’末端から3’末端に向かって、前記CARをコードする前記ポリヌクレオチド-IL-7をコードする前記ポリヌクレオチド-CCL19をコードする前記ポリヌクレオチドのように配置されている、請求項1~22のいずれか1項に記載の単離核酸分子。
【請求項24】
前記単離核酸分子が、配列番号16を含むポリペプチドをコードする、請求項1~23のいずれか1項に記載の単離核酸分子。
【請求項25】
前記単離核酸分子が、配列番号17を含む、請求項1~24のいずれか1項に記載の単離核酸分子。
【請求項26】
請求項1~25のいずれか1項に記載の核酸分子を含む、ベクター。
【請求項27】
前記ベクターが、ウイルスベクター、任意に、発現ベクターである、請求項26に記載のベクター。
【請求項28】
前記ウイルスベクターが、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、及びアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターから選択される、請求項27に記載のベクター。
【請求項29】
前記ウイルスベクターが、pSFGベクター、pMSGVベクター、またはpMSCVベクターである、請求項27または28に記載のベクター。
【請求項30】
前記ベクターが、プラスミドである、請求項26に記載のベクター。
【請求項31】
哺乳動物に由来するか、または哺乳動物から分離され、請求項1~25のいずれか1項に記載の核酸分子または請求項26~30のいずれか1項に記載のベクターを含む、免疫細胞。
【請求項32】
哺乳動物に由来するか、または哺乳動物から分離され、a)ヒトメソテリンを特異的に認識する抗体、CD8ヒンジ領域、CD8膜貫通領域、4-1BB細胞内領域、及びCD3ζ細胞内領域を含むキメラ抗原受容体(CAR)、b)IL-7、及びc)CCL19、を発現する、免疫細胞。
【請求項33】
前記免疫細胞が、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、抗原提示細胞、または顆粒球、任意に、T細胞またはNK細胞である、請求項31または32に記載の免疫細胞。
【請求項34】
請求項31~33のいずれか1項に記載の免疫細胞及び薬学的に許容される添加剤を含む、医薬組成物。
【請求項35】
メソテリン発現がんを処置する方法であって、それを必要とする対象に、請求項31~33のいずれか1項に記載の免疫細胞または請求項34に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項36】
前記メソテリン発現がんが、固形腫瘍であり、任意に、中皮腫、結腸直腸癌、膵癌、胸腺癌、胆管癌、肺癌、皮膚癌、乳癌、前立腺癌、膀胱癌、膣癌、頸部癌、子宮癌、肝臓癌、腎臓癌、脾臓癌、気管癌、気管支癌、胃癌、食道癌、胆嚢癌、精巣癌、卵巣癌、及び骨癌から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記メソテリン発現がんが、造血癌である、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記メソテリン発現がんが、肉腫であり、任意に、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性血管内皮腫、悪性神経鞘腫、骨肉腫、及び軟部組織肉腫から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記メソテリン発現がんが、転移性癌である、請求項35~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記メソテリン発現がんが、再発性癌または難治性癌である、請求項35~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記方法が、さらに、追加の治療薬または追加の治療レジメンを前記対象に投与することを含む、請求項35~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記追加の治療薬が、化学療法剤、免疫療法剤、標的療法、放射線療法、またはそれらの組み合わせを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記追加の治療レジメンが、第1選択療法を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記追加の治療レジメンが、手術を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
請求項31~33のいずれか1項に記載の免疫細胞または請求項34に記載の医薬組成物及び前記追加の治療薬が、同時投与される、請求項41~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
請求項31~33のいずれか1項に記載の免疫細胞または請求項34に記載の医薬組成物及び前記追加の治療薬が、逐次投与される、請求項41~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
請求項31~33のいずれか1項に記載の免疫細胞または請求項34に記載の医薬組成物が、前記追加の治療薬の投与前に、前記対象に投与される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
請求項31~33のいずれか1項に記載の免疫細胞または請求項34に記載の医薬組成物が、前記追加の治療薬の投与後に、前記対象に投与される、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記対象が、ヒトである、請求項35~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
腫瘍細胞の増殖を減少させる方法であって、前記腫瘍細胞を、請求項31~33のいずれか1項に記載の免疫細胞と接触させ、それにより、前記腫瘍細胞の増殖を減少させることを含む、前記方法。
【請求項51】
前記方法が、in vitro法である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記方法が、in vivo法である、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
ヒトメソテリンを特異的に認識する細胞表面分子、IL-7、及びCCL19を発現する免疫細胞を作製する方法であって、前記方法が、
請求項1~25のいずれか1項に記載の核酸分子または請求項26~30のいずれか1項に記載のベクターを、免疫細胞に導入して、前記免疫細胞によるヒトメソテリンを特異的に認識する細胞表面分子、IL-7、及びCCL19の発現を誘導すること
を含む、前記方法。
【請求項54】
前記免疫細胞が、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、抗原提示細胞、または顆粒球、任意に、T細胞またはNK細胞である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
請求項1~25のいずれか1項に記載の核酸分子;請求項26~30のいずれか1項に記載のベクター;請求項31~33のいずれか1項に記載の免疫細胞;または請求項34に記載の医薬組成物、及び使用説明書を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2021年7月29日に出願された米国仮出願第63/227,116号に対する米国特許法第119条に基づく優先権を主張し、これは、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ヒトメソテリンを特異的に認識する細胞表面分子、インターロイキン7(IL-7)、及びケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド19(CCL19)を発現する免疫細胞、免疫細胞を含む医薬組成物、メソテリンを特異的に認識する細胞表面分子をコードするポリヌクレオチド、IL-7をコードするポリヌクレオチド、及びCCL19をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター、使用方法、ならびにヒトメソテリンを特異的に認識する細胞表面分子、IL-7、及びCCL19を発現する免疫細胞を作製する方法(ヒトメソテリンを特異的に認識する細胞表面分子をコードするポリヌクレオチド、IL-7をコードするポリヌクレオチド、及びCCL19をコードするポリヌクレオチドを免疫細胞に導入することを含む)に関する。
【背景技術】
【0003】
悪性腫瘍は、世界中の多くの人々に影響を与える疾患であり、一般に、化学療法、放射線療法、または外科療法で広く処置されている。しかし、様々な問題、例えば、有害反応の発生、いくつかの機能の喪失、及び処置することができない再発または転移、があった。そのようなものであるから、近年、患者のより高い生活の質(QOL)を維持するために、免疫細胞療法の開発が進められている。免疫細胞療法は、患者から免疫細胞を収集すること、採取された免疫細胞の免疫機能を強化する手順を実施すること、細胞を増幅すること、及び細胞を患者に再投与すること、を含む。例えば、免疫細胞療法は、患者からT細胞を採取すること、キメラ抗原受容体(構成的アンドロスタン受容体:以下、「CAR」とも呼ばれる)をコードする核酸をT細胞に導入すること、及びT細胞を患者に再投与すること、を含み得る。CAR-T療法で、血液がんの早期成功が観察されているが、生命を脅かす毒性及び固形腫瘍の処置における実質的な有効性の欠如も観察されている。そのようなものであるから、改良されたCAR-T療法が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2016/056228
【特許文献2】WO2019/124468
【特許文献3】WO2013/063419
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Adachi,et al.,“IL-7 and CCL19 expression in CAR-T cells improves immune cell infiltration and CAR-T cell survival in the tumor,”Nature Biotech,36(4):346-353,2018。
【発明の概要】
【0006】
本発明で解決されるべき客観的な技術課題
T細胞を用いる免疫療法と共に存在する多くの課題、例えば、固形腫瘍への不十分な輸送、正常組織への高い毒性、免疫抑制性の腫瘍微小環境を克服できないこと、及び内因性免疫応答の不十分な活性化がある。さらに、メソテリンを特異的に認識するCARを発現するように改変された免疫細胞は、最小限の治療有効性しか示さないことが示されている。従って、解決されるべき客観的な技術的課題は、メソテリン発現がんを標的とするために最適化された改変免疫細胞を提供することである。
【0007】
客観的な技術的課題を解決する手段
本発明者らは、メソテリンを特異的に認識するCAR、IL-7、及びCCL19を発現するように改変された免疫細胞が、免疫療法の治療有効性を向上させて、生存率を向上させ得ることを発見している。
【0008】
特定の実施形態では、本発明は、ヒトメソテリンを特異的に認識する抗体、CD8ヒンジ領域、CD8膜貫通領域、4-1BB細胞内領域、及びCD3ζ細胞内領域を含むキメラ抗原受容体(CAR)をコードするポリヌクレオチド;IL-7をコードするポリヌクレオチド;ならびに、CCL19をコードするポリヌクレオチドを含む単離核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、IL-7は、ヒトIL-7である。いくつかの実施形態では、CCL19は、ヒトCCL19である。いくつかの実施形態では、抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、VHは、配列番号1~3を含む3つの相補性決定領域(CDR)を含み、VLは、配列番号4~6を含む3つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、VHは、配列番号7を含み、VLは、配列番号8を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、単鎖可変フラグメント(scFv)フォーマットを含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号9を含む。いくつかの実施形態では、4-1BB細胞内領域は、配列番号13を含む。いくつかの実施形態では、CD3ζ細胞内領域は、配列番号14を含む。いくつかの実施形態では、4-1BB細胞内領域は、単離核酸分子におけるCD3ζ細胞内領域の上流にある。いくつかの実施形態では、CD8ヒンジ領域は、配列番号11を含む。いくつかの実施形態では、CD8膜貫通領域は、配列番号12を含む。いくつかの実施形態では、核酸は、さらに、抗体及びCD8ヒンジ領域を連結する長さ3~10アミノ酸残基のペプチドリンカーを含む。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、AAAを含む。いくつかの実施形態では、単離核酸分子は、さらに、シグナル伝達ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、シグナル伝達ペプチドは、単離核酸分子中のヒトメソテリンを特異的に認識する抗体の上流に位置する。いくつかの実施形態では、シグナル伝達ペプチドは、配列番号15を含む。いくつかの実施形態では、IL-7をコードするポリヌクレオチド及びCCL19をコードするポリヌクレオチドは、自己切断性2Aペプチド(2Aペプチド)をコードするポリヌクレオチドを含むプロモーター下でそれぞれ独立して転写されている。いくつかの実施形態では、2Aペプチドは、P2Aであり、任意に、ATNFSLLKQAGDVEENPGPを含む。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、さらに、2AペプチドのN末端に付加されており、ペプチドリンカーは、GSGを含む。いくつかの実施形態では、IL-7は、配列番号18を含む。いくつかの実施形態では、CCL19は、配列番号19を含む。いくつかの実施形態では、CARをコードするポリヌクレオチド、IL-7をコードするポリヌクレオチド、及びCCL19をコードするポリヌクレオチドは、核酸分子内で5’末端から3’末端に向かって、CARをコードするポリヌクレオチド-IL-7をコードするポリヌクレオチド-CCL19をコードするポリヌクレオチドのように配置されている。いくつかの実施形態では、単離核酸分子は、配列番号16を含むポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、単離核酸分子は、配列番号17を含む。いくつかの実施形態では、単離核酸分子は、配列番号25を含む。
【0009】
特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の核酸分子を含むベクターを含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、ウイルスベクター、任意に、発現ベクターである。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、及びアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターから選択される。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、ガンマレトロウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、pSFGベクター、pMSGVベクター、またはpMSCVベクターである。いくつかの実施形態では、ベクターは、プラスミドである。
【0010】
特定の実施形態では、本発明は、哺乳動物に由来するか、または哺乳動物から分離される免疫細胞を含み、これは、本明細書に記載の核酸分子または本明細書に記載のベクターを含む。いくつかの実施形態では、本発明は、哺乳動物に由来するか、または哺乳動物から分離され、a)ヒトメソテリンを特異的に認識する抗体、CD8ヒンジ領域、CD8膜貫通領域、4-1BB細胞内領域、及びCD3ζ細胞内領域を含むキメラ抗原受容体(CAR)、b)IL-7、及びc)CCL19、を発現する、免疫細胞を含む。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、抗原提示細胞、または顆粒球、任意に、T細胞またはNK細胞、である。
【0011】
特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の免疫細胞及び薬学的に許容される添加剤を含む医薬組成物を含む。
【0012】
特定の実施形態では、本発明は、メソテリン発現がんの処置方法を含み、方法は、本明細書に記載の免疫細胞または本明細書に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、メソテリン発現がんは、固形腫瘍であり、任意に、中皮腫、結腸直腸癌、膵癌、胸腺癌、胆管癌、肺癌、皮膚癌、乳癌、前立腺癌、膀胱癌、膣癌、頸部癌、子宮癌、肝臓癌、腎臓癌、脾臓癌、気管癌、気管支癌、胃癌、食道癌、胆嚢癌、精巣癌、卵巣癌、及び骨癌である。いくつかの実施形態では、メソテリン発現がんは、造血癌である。いくつかの実施形態では、メソテリン発現がんは、肉腫であり、任意に、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性血管内皮腫、悪性神経鞘腫、骨肉腫、及び軟部組織肉腫から選択される。いくつかの実施形態では、メソテリン発現がんは、転移性癌である。いくつかの実施形態では、メソテリン発現がんは、再発性癌または難治性癌である。いくつかの実施形態では、方法は、さらに、追加の治療薬または追加の治療レジメンを対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、化学療法剤、免疫療法剤、標的療法、放射線療法、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、追加の治療レジメンは、第1選択療法を含む。いくつかの実施形態では、追加の治療レジメンは、手術を含む。いくつかの実施形態では、上記の免疫細胞または上記の医薬組成物及び追加の治療薬は、同時投与される。いくつかの実施形態では、上記の免疫細胞または上記の医薬組成物及び追加の治療薬は、逐次投与される。いくつかの実施形態では、上記の免疫細胞または上記の医薬組成物は、追加の治療薬の投与前に、対象に投与される。いくつかの実施形態では、上記の免疫細胞または上記の医薬組成物は、追加の治療薬の投与後に、対象に投与される。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。
【0013】
特定の実施形態では、本発明は、腫瘍細胞を本明細書に記載の免疫細胞と接触させ、それにより、腫瘍細胞の増殖を減少させることを含む、腫瘍細胞の増殖を減少させる方法を含む。いくつかの実施形態では、方法は、in vitro法である。いくつかの実施形態では、方法は、in vivo法である。
【0014】
特定の実施形態では、本発明は、免疫細胞による、ヒトメソテリンを特異的に認識する細胞表面分子、IL-7、及びCCL19の発現を誘導するために、ヒトメソテリンを特異的に認識する細胞表面分子、IL-7、及びCCL19を発現する免疫細胞を生成するための方法を含み、方法が、本明細書に記載の核酸分子または本明細書に記載のベクターを、免疫細胞に導入することを含む。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、抗原提示細胞、または顆粒球、任意に、T細胞またはNK細胞、である。
【0015】
特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の核酸分子;本明細書に記載のベクター、本明細書に記載の免疫細胞、または本明細書に記載の医薬組成物、及び使用説明書を含むキットを含む。
【0016】
発明の効果
本発明の免疫細胞は、メソテリン(例えば、ヒトメソテリン)を発現するがん細胞に対して細胞傷害活性を有し、メソテリン(例えば、ヒトメソテリン)を発現する腫瘍の形成を抑制することが可能である。また、本発明の免疫細胞は、がん細胞の再発を抑制する効果を有する。また、本発明の免疫細胞は、優れた安全性プロフィールを有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】メソテリンを特異的に認識するキメラ抗原受容体(CAR)をコードするポリヌクレオチド、IL-7をコードするポリヌクレオチド、及びCCL19をコードするポリヌクレオチドを含む例示的なベクターの図表現を示す。
図1B】メソテリンを特異的に認識するCAR、IL-7、及びCCL19を発現する改変免疫細胞の図表現を示す。
図2】本明細書に記載の改変免疫細胞によるMSLN陽性腫瘍細胞のin vitro死滅を示す。
図3】例示的な第2及び第3世代CAR-Tシステムを発現する改変免疫細胞を使用したCapan-2異種移植マウスモデルにおけるin vivo有効性を示す。
図4A】非形質導入(UTD)T細胞と比較した例示的な第2世代CAR-Tシステムで処置されたマウス由来のCapan-2異種移植腫瘍組織の組織病理学的検査を示す。
図4B】Capan-2異種移植マウスモデルを使用した例示的な第2世代CAR-Tシステムのin vivo有効性を示す。
図5A】本明細書に記載の改変免疫細胞の存在下でのSKOV3-luc異種移植マウスモデルにおける腫瘍細胞の位置の生物発光イメージング(BLI)を示す。
図5B】SKOV3-luc BLIモデルを使用した例示的な第2世代CAR-Tシステムのin vivo有効性を示す。
図6A】非形質導入(UTD)T細胞と比較した例示的な第2世代CAR-Tシステムを投与されたCapan-2異種移植マウスモデルの体重変化を示す。
図6B】非形質導入(UTD)T細胞と比較した例示的な第2世代CAR-Tシステムを投与された非担腫瘍マウスの体重変化を示す。
図7A】非形質導入(UTD)T細胞を投与されたマウスモデル由来の肺組織の組織病理学的画像を示す。UTD細胞は、肺及び脾臓における最小の推定CAR-T浸潤/炎症を有していた。
図7B】CAR#364(第2の28-28z_7x19)を投与されたマウスモデル由来の肺組織の組織病理学的画像を示す。UTD細胞を投与された動物と比較して、肺、脾臓、及び肝臓における推定CAR-T浸潤/炎症のより高い発生率が動物で観察された。
図7C】CAR#365(第2の8-BBz_7x19)を投与されたマウスモデル由来の肺組織の組織病理学的画像を示す。動物では、肺単核浸潤または混合細胞炎症の発生率が低く、脾臓及び骨髄に移植される推定CAR-T細胞の発生率が高いことが観察された。
図8A】例示的な第2世代CAR-Tシステムを投与されたCapan-2異種移植マウスの血液中の投与されたT細胞のフローサイトメトリー分析を示す。
図8B】例示的な第2世代CAR-Tシステムを投与されたCapan-2異種移植マウスの腫瘍中の投与されたT細胞のフローサイトメトリー分析を示す。
図8C】例示的な第2世代CAR-Tシステムを投与されたCapan-2異種移植マウスの脾臓中の投与されたT細胞のフローサイトメトリー分析を示す。
図9】Capan-2腫瘍細胞と、可溶性hMSLNとプレインキュベートされた例示的な第2世代CAR-Tシステムとの共培養上清由来のヒトIFN-γレベルを示す。
図10A】第3の8-28BBz_7x19 CAR-T(CAR#348)及び第2の8-BBz_7x19 CAR-T(CAR#365)の成分を示す。
図10B】HepG2-RedFluc異種移植モデルを使用した、第3の8-28BBz_7x19 CAR-T(CAR#348)及び第2の8-BBz_7x19 CAR-T(CAR#365)のin vivo有効性を示す。
図10C】8-28BBz_7x19 CAR-T(CAR#348)及び第2の8-BBz_7x19 CAR-T(CAR#365)を有するHepG2-RedFluc異種移植マウスモデルの体重変化を示す。
図11】第3の8-28BBz_7x19 CAR-T(CAR#348)及び第2の8-BBz_7x19 CAR-T(CAR#365)の存在下でのHepG2-RedFluc異種移植マウスモデルにおける腫瘍細胞の位置の生物発光イメージング(BLI)を示す。
図12A】HepG2-RedFluc異種移植マウス群1(G1)におけるPBS対照のin vivo有効性を示す。
図12B】HepG2-RedFluc異種移植マウス群2(G2)における3Mの用量での対照非形質導入(UTD)の等価総T細胞数のin vivo有効性を示す。
図12C】HepG2-RedFluc異種移植マウス群3(G3)における、0.3Mの用量での第2の8-BBz_7x19 CAR-T(CAR#365)のin vivo有効性を示す。
図12D】HepG2-RedFluc異種移植マウス群3(G4)における1Mの用量での第2の8-BBz_7x19 CAR-T(CAR#365)のin vivo有効性を示す。
図12E】HepG2-RedFluc異種移植マウス群3(G5)における3Mの用量での第2の8-BBz_7x19 CAR-T(CAR#365)のin vivo有効性を示す。
図12F】HepG2-RedFluc異種移植マウス群3(G6)における0.3Mの用量での第3の8-28BBz_7x19 CAR-T(CAR#348)のin vivo有効性を示す。
図12G】HepG2-RedFluc異種移植マウス群3(G7)における1Mの用量での第3の8-28BBz_7x19 CAR-T(CAR#348)のin vivo有効性を示す。
図12H】HepG2-RedFluc異種移植マウス群3(G8)における3Mの用量での第3の8-28BBz_7x19 CAR-T(CAR#348)のin vivo有効性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
改変免疫細胞
特定の実施形態では、メソテリンに特異的に結合する操作された細胞表面分子、インターロイキン7(IL-7)、及びケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド19(CCL19)を発現する操作された免疫細胞が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、操作された細胞表面分子は、メソテリンを特異的に認識するキメラ抗原受容体(CAR)、またはメソテリンに特異的に結合するT細胞受容体(TCR)を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、操作された免疫細胞は、操作された細胞表面分子をコードする外因性核酸、IL-7をコードする外因性核酸、及びCCL19をコードする外因性核酸を含む。いくつかの実施形態では、操作された免疫細胞は、メソテリンを特異的に認識する表面分子、IL-7、及びCCL19を発現する。
【0020】
メソテリン(MSLN)は、細胞表面に結合したグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカータンパク質であり、通常の発現は、例えば、胸膜、心膜、腹膜、膣膜、卵巣、または卵管由来の中皮細胞に限定されている。しかし、MSLNは、また、大量の癌、例えば、悪性中皮腫、卵巣癌、乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌、TNBC)、膵臓癌、肺癌、胃癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、胆道癌、子宮漿液癌、胆管癌、及び小児急性骨髄性白血病で過剰発現されることが示されている。さらに、MSLN発現の増加は、TNBC、卵巣癌、肺腺癌、胆管癌、及び膵腺癌の患者の予後不良に関連している。
【0021】
MSLNの生理学的及び生物学的機能は、完全には解明されていない。しかし、MSLNは、がんの発症のいくつかの機序に関与していることが示されている。例えば、上皮性卵巣癌では、手術で切除した卵巣癌組織においてより高いレベルのMSLN mRNA発現を示した患者は、より低いMSLNレベルを発現した化学感受性患者と比較して、白金及びシクロホスファミドによる化学療法に対する耐性を示した(Tang,et al.,“The role of mesothelin in tumor progression and targeted therapy,”Anticancer Agents Med Chem.13(2):276-280(2013))。MSLNは、表面ムチンMUC16(またはCA125)に高い親和性で結合することも判明しており、この結合は、卵巣癌細胞の中皮細胞への接着を媒介し、転移を促進することが示唆されている(Rump,et al.,“Binding of ovarian cancer antigen CA125/MUC16 to mesothelin mediates cell adhesion,”J Biol Chem 279(10):9190-9198,2004;Gubbels,et al.,“Mesothelin-MUC16 binding is a high affinity,N-glycan dependent interaction that facilitates peritoneal metastasis of ovarian tumors,”Mol Cancer 5(1):50,2006)。さらに、MSLNは、in vitro及びin vivoの両方で膵癌における腫瘍の進行、細胞の生存、及び増殖に関与していることが示されている(Li,et al.,“Mesothelin is a malignant factor and therapeutic vaccine target for pancreatic cancer,”Mol Cancer Ther.7(2):286-296,2008)。
【0022】
キメラ抗原受容体(CAR)
A.抗メソテリン抗体
いくつかの実施形態では、操作された細胞表面分子は、メソテリンを特異的に認識する抗体を含むキメラ抗原受容体(CAR)を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、哺乳動物メソテリン、例えば、齧歯動物メソテリン、非ヒト霊長類メソテリン、またはヒトメソテリンを特異的に認識する。
【0023】
40kDaのタンパク質であるヒトメソテリンは、MSLN遺伝子にコードされる。ヒトメソテリンの配列情報は、公知の文献またはデータベース、例えば、NCBI(www.ncbi.nlm.nih.gov/guide/)の検索により適宜取得することができる。ヒトメソテリンのアミノ酸配列情報の例としては、GenBankアクセッションNo.NP_037536.2、AAV87530.1、及びそれらのアイソフォームを挙げられ得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、抗メソテリン抗体は、配列番号1に記載のCDRH1、配列番号2に記載のCDRH2、及び配列番号3に記載のCDRH3を含むか、またはそれらからなる重鎖可変領域(VH)と;配列番号4に記載のCDRL1、配列番号5に記載のCDRL2、及び配列番号6に記載のCDRL3を含むか、またはそれらからなる軽鎖可変領域(VL)を含む。表1を参照のこと。
【0025】
【表1】
【0026】
いくつかの実施形態では、抗メソテリン抗体は、配列番号7と約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH);及び、配列番号8と約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの実施形態では、抗メソテリン抗体は、配列番号7と約80%の配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH);及び、配列番号8と約80%の配列同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの実施形態では、抗メソテリン抗体は、配列番号7と約85%の配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH);及び、配列番号8と約85%の配列同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの実施形態では、抗メソテリン抗体は、配列番号7と約90%の配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH);及び、配列番号8と約90%の配列同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの実施形態では、抗メソテリン抗体は、配列番号7と約95%の配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH);及び、配列番号8と約95%の配列同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの実施形態では、抗メソテリン抗体は、配列番号7と約96%の配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH);及び、配列番号8と約96%の配列同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの実施形態では、抗メソテリン抗体は、配列番号7と約97%の配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH);及び、配列番号8と約97%の配列同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの実施形態では、抗メソテリン抗体は、配列番号7と約98%の配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH);及び、配列番号8と約98%の配列同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの実施形態では、抗メソテリン抗体は、配列番号7と約99%の配列同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH);及び、配列番号8と約99%の配列同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。抗メソテリン抗体は、配列番号7を含む重鎖可変領域(VH)及び配列番号8を含む軽鎖可変領域(VL)を含み得る。抗メソテリン抗体は、配列番号7からなる重鎖可変領域(VH)及び配列番号8からなる軽鎖可変領域(VL)を含み得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、フレームワーク領域内の1つ以上の残基が、抗メソテリン抗体において改変され、VH領域またはVL領域のいずれかと、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性が生成される。「フレームワーク領域」という用語は、相補性決定領域(CDR)を除外する抗体の領域を指す。いくつかの実施形態では、抗メソテリン抗体は、フレームワーク領域内に1つ以上の改変を含み、配列番号7と、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む配列を有する。いくつかの実施形態では、抗メソテリン抗体は、フレームワーク領域内に1つ以上の改変を含み、配列番号7と85%の配列同一性を含む配列を有する。いくつかの実施形態では、抗メソテリン抗体は、フレームワーク領域内に1つ以上の改変を含み、配列番号7と90%の配列同一性を含む配列を有する。いくつかの実施形態では、抗メソテリン抗体は、フレームワーク領域内に1つ以上の改変を含み、配列番号7と95%の配列同一性を含む配列を有する。いくつかの実施形態では、抗メソテリン抗体は、フレームワーク領域内に1つ以上の改変を含み、配列番号7と96%の配列同一性を含む配列を有する。いくつかの実施形態では、抗メソテリン抗体は、フレームワーク領域内に1つ以上の改変を含み、配列番号7と97%の配列同一性を含む配列を有する。いくつかの実施形態では、抗メソテリン抗体は、フレームワーク領域内に1つ以上の改変を含み、配列番号7と98%の配列同一性を含む配列を有する。いくつかの実施形態では、抗メソテリン抗体は、フレームワーク領域内に1つ以上の改変を含み、配列番号7と99%の配列同一性を含む配列を有する。いくつかの実施形態では、抗メソテリン抗体は、フレームワーク領域内に1つ以上の改変を含み、配列番号8と、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む配列を有する。いくつかの実施形態では、抗メソテリン抗体は、フレームワーク領域内に1つ以上の改変を含み、配列番号8と85%の配列同一性を含む配列を有する。いくつかの実施形態では、抗メソテリン抗体は、フレームワーク領域内に1つ以上の改変を含み、配列番号8と90%の配列同一性を含む配列を有する。いくつかの実施形態では、抗メソテリン抗体は、フレームワーク領域内に1つ以上の改変を含み、配列番号8と95%の配列同一性を含む配列を有する。いくつかの実施形態では、抗メソテリン抗体は、フレームワーク領域内に1つ以上の改変を含み、配列番号8と96%の配列同一性を含む配列を有する。いくつかの実施形態では、抗メソテリン抗体は、フレームワーク領域内に1つ以上の改変を含み、配列番号8と97%の配列同一性を含む配列を有する。いくつかの実施形態では、抗メソテリン抗体は、フレームワーク領域内に1つ以上の改変を含み、配列番号8と98%の配列同一性を含む配列を有する。いくつかの実施形態では、抗メソテリン抗体は、フレームワーク領域内に1つ以上の改変を含み、配列番号8と99%の配列同一性を含む配列を有する。
【0028】
いくつかの実施形態では、抗メソテリン抗体は、単鎖可変フラグメント(scFv)フォーマットを含む。いくつかの実施形態では、抗メソテリンscFv抗体は、配列番号1に記載のCDRH1;配列番号2に記載のCDRH2;及び配列番号3に記載のCDRH3を含むか、またはそれらからなるVH;ならびに、配列番号4に記載のCDRL1、配列番号5に記載のCDRL2、及び配列番号6に記載のCDRL3を含むか、またはそれらからなるVL、を含む。いくつかの実施形態では、抗メソテリンscFv抗体は、配列番号7と、約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含むVH;及び、配列番号8と、約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含むVLを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、抗メソテリンscFv抗体のVH及びVLは、ペプチドリンカーを介して連結されている。ペプチドリンカーは、3つ以上、例えば、約3~約30、約3~約20、3~約10、約5~約30、約5~約20、または約5~約10のアミノ酸残基を含み得る。ペプチドリンカーは、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、または30つのアミノ酸残基を含み得る。
【0030】
ペプチドリンカーは、複数のポリアラニン、ポリグリシン、またはアラニン残基とグリシン残基の混合物を含み得る。ペプチドリンカーは、(GlySer)nリンカーを含み得、nは、1~10、好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10、さらに好ましくは、2、3、4、または5の整数である。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号10)を含む。いくつかの例では、ペプチドリンカーは、SGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGSLQ(配列番号20)を含む。いくつかの場合では、ペプチドリンカーは、SGGSGGGGSGGGSGGGGSLQ(配列番号21)を含む。いくつかの例では、ペプチドリンカーは、GSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号22)を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、抗メソテリンscFv抗体は、QVQLQQSGPGLVTPSQTLSLTCAISGDSVSSNSATWNWIRQSPSRGLEWLGRTYYRSKWYNDYAVSVKSRMSINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVYYCARGMMTYYYGMDVWGQGTTVTVSSGILGSGGGGSGGGGSGGGGSQPVLTQSSSLSASPGASASLTCTLRSGINVGPYRIYWYQQKPGSPPQYLLNYKSDSDKQQGSGVPSRFSGSKDASANAGVLLISGLRSEDEADYYCMIWHSSAAVFGGGTQLTVLS(配列番号9)と、約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、抗メソテリンscFv抗体は、配列番号9と約85%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、抗メソテリンscFv抗体は、配列番号9と約90%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、抗メソテリンscFv抗体は、配列番号9と約95%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、抗メソテリンscFv抗体は、配列番号9と約96%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、抗メソテリンscFv抗体は、配列番号9と約97%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、抗メソテリンscFv抗体は、配列番号9と約98%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、抗メソテリンscFv抗体は、配列番号9と約99%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、抗メソテリンscFv抗体は、配列番号9を含む。いくつかの実施形態では、抗メソテリンscFv抗体は、配列番号9からなる。
【0032】
B.シグナル伝達ペプチド
いくつかの実施形態では、本明細書に開示のキメラ抗原受容体(CAR)は、シグナル伝達ペプチドを(例えば、リーダー配列として)含む。シグナル伝達ペプチドは、CARを細胞の表面に局在化させ得る。シグナル伝達ペプチドは、免疫グロブリン重鎖、免疫グロブリン軽鎖、CD8、T細胞受容体α鎖及びβ鎖、CD3ζ、CD28、CD3E、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、ICOS、CD154、またはGITR由来シグナルペプチド(リーダー配列)のポリペプチドを含み得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達ペプチドは、MDWTWRILFLVAAATGAHS(配列番号15)と、約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナル伝達ペプチドは、配列番号15と約85%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナル伝達ペプチドは、配列番号15と約90%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナル伝達ペプチドは、配列番号15と約95%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナル伝達ペプチドは、配列番号15と約96%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナル伝達ペプチドは、配列番号15と約97%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナル伝達ペプチドは、配列番号15と約98%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナル伝達ペプチドは、配列番号15と約99%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナル伝達ペプチドは、配列番号15を含む。いくつかの実施形態では、シグナル伝達ペプチドは、配列番号15からなる。
【0034】
C.膜貫通領域
いくつかの実施形態では、抗メソテリン抗体は、1つ以上の膜貫通ドメイン及び細胞内シグナル伝達ドメインに連結されている。膜貫通領域は、天然源または合成源のいずれかに由来し得る。例示的な膜貫通領域としては、CD8、T細胞受容体α鎖及びβ鎖、CD3ζ、CD28、CD3E(CD3イプシロン)、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、ICOS、CD154、及びGITRに由来する膜貫通領域のポリペプチドが挙げられ得る。いくつかの実施形態では、膜貫通領域は、CD8膜貫通領域(例えば、ヒトCD8膜貫通領域)を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、膜貫通領域は、IYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYC(配列番号12)と、約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通領域は、配列番号12と約85%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通領域は、配列番号12と約90%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通領域は、配列番号12と約95%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通領域は、配列番号12と約96%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通領域は、配列番号12と約97%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通領域は、配列番号12と約98%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通領域は、配列番号12と約99%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通領域は、配列番号12を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通領域は、配列番号12からなる。
【0036】
いくつかの実施形態では、膜貫通領域は、IYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCN(配列番号28)と、約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通領域は、配列番号28と約85%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通領域は、配列番号28と約90%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通領域は、配列番号28と約95%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通領域は、配列番号28と約96%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通領域は、配列番号28と約97%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通領域は、配列番号28と約98%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通領域は、配列番号28と約99%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通領域は、配列番号28を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通領域は、配列番号28からなる。
【0037】
D.細胞外ヒンジ領域
メソテリンを認識する細胞表面分子及び膜貫通領域間に、任意のオリゴペプチドまたはポリペプチドを含むか、またはそれらからなる細胞外ヒンジ領域が位置し得る。細胞外ヒンジ領域の長さの例としては、1~100アミノ酸残基、好ましくは、10~70、10~50、または10~30アミノ酸残基が挙げられ得る。例示的な細胞外ヒンジ領域は、CD8、CD28、及びCD4に由来するヒンジ領域、ならびに免疫グロブリンヒンジ領域が含まれ得る。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、ヒトCD8のヒンジ領域を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、細胞外ヒンジ領域は、TTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACD(配列番号11)と、約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含むCD8ヒンジ領域である。いくつかの実施形態では、CD8ヒンジ領域は、配列番号11と約85%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、CD8ヒンジ領域は、配列番号11と約90%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、CD8ヒンジ領域は、配列番号11と約95%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、CD8ヒンジ領域は、配列番号11と約96%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、CD8ヒンジ領域は、配列番号11と約97%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、CD8ヒンジ領域は、配列番号11と約98%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、CD8ヒンジ領域は、配列番号11と約99%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、CD8ヒンジ領域は、配列番号11を含む。いくつかの実施形態では、CD8ヒンジ領域は、配列番号11からなる。いくつかの実施形態では、CD8ヒンジ領域は、PTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACD(配列番号29)を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、CD8ヒンジ領域は、配列番号29と約85%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、CD8ヒンジ領域は、配列番号29と約90%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、CD8ヒンジ領域は、配列番号29と約95%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、CD8ヒンジ領域は、配列番号29と約96%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、CD8ヒンジ領域は、配列番号29と約97%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、CD8ヒンジ領域は、配列番号29と約98%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、CD8ヒンジ領域は、配列番号29と約99%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、CD8ヒンジ領域は、配列番号29を含む。いくつかの実施形態では、CD8ヒンジ領域は、配列番号29からなる。
【0039】
いくつかの実施形態では、抗メソテリンscFv抗体は、ペプチドリンカーを介してヒンジ領域に結合している。ペプチドリンカーは、3つ以上、例えば、約3~約30、約3~約20、3~約10、約5~約30、約5~約20、または約5~約10のアミノ酸残基を含み得る。ペプチドリンカーは、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、または30つのアミノ酸残基を含み得る。
【0040】
ペプチドリンカーは、複数のポリアラニン、ポリグリシン、またはアラニン残基とグリシン残基の混合物、またはアラニンもしくはグリシンのいずれかと1つ以上の追加アミノ酸の混合物を含み得る。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、AlaAlaAla(「AAA」)を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、三重アラニンリンカーまたはAlaAlaAla(「AAA」)である。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、ArgAlaAlaAla(「RAAA」)(配列番号30)を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、ArgAlaAlaAla(「RAAA」)(配列番号30)である。
【0041】
いくつかの実施形態では、抗メソテリンscFv抗体は、リンカーなしでヒンジ領域に結合している。
【0042】
E.免疫細胞活性化シグナル伝達領域
いくつかの実施形態では、CARは、1つ以上の細胞内シグナル伝達領域を含む。細胞内シグナル伝達領域は、細胞表面分子がメソテリンを認識する場合に、細胞内にシグナルを伝達することが可能な領域を含み得る。細胞内シグナル伝達領域は、CD28、4-1BB(CD137)、GITR、CD27、OX40、HVEM、CD3ζ、またはFc受容体関連γ鎖のポリペプチドの細胞内領域から選択される少なくとも1つ以上のメンバーを含み得る。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達領域は、CD28細胞内領域のポリペプチド、4-1BB細胞内領域のポリペプチド、CD3細胞内領域のポリペプチド、またはそれらの組み合わせを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、CARは、4-1BB細胞内領域を含む。いくつかの実施形態では、4-1BB細胞内領域は、KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL(配列番号13)と、約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、4-1BB細胞内領域は、配列番号13と約85%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、4-1BB細胞内領域は、配列番号13と約90%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、4-1BB細胞内領域は、配列番号13と約95%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、4-1BB細胞内領域は、配列番号13と約96%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、4-1BB細胞内領域は、配列番号13と約97%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、4-1BB細胞内領域は、配列番号13と約98%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、4-1BB細胞内領域は、配列番号13と約99%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、4-1BB細胞内領域は、配列番号13を含む。いくつかの実施形態では、4-1BB細胞内領域は、配列番号13からなる。
【0044】
いくつかの実施形態では、CARは、さらに、CD3ζ細胞内領域を含む。いくつかの実施形態では、CD3ζ細胞内領域は、RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号14)と、約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、CD3ζ細胞内領域は、配列番号14と約85%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、CD3ζ細胞内領域は、配列番号14と約90%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、CD3ζ細胞内領域は、配列番号14と約95%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、CD3ζ細胞内領域は、配列番号14と約96%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、CD3ζ細胞内領域は、配列番号14と約97%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、CD3ζ細胞内領域は、配列番号14と約98%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、CD3ζ細胞内領域は、配列番号14と約99%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、CD3ζ細胞内領域は、配列番号14を含む。いくつかの実施形態では、CD3ζ細胞内領域は、配列番号14からなる。
【0045】
IL-7及びCCL19
インターロイキン7(IL-7)は、多分化能(多能性)造血幹細胞のリンパ系前駆細胞への分化、及びリンパ系細胞(B細胞、T細胞、及びNK細胞など)の増殖に関与する。IL-7は、骨髄、胸腺、またはリンパ器官もしくは組織の間質細胞などの非造血細胞で産生される。がんの環境では、IL-7の投与は、CD8及びCD4T細胞の両方の恒常性が一時的に破壊され、CD4CD25Foxp3T調節細胞の割合が減少することを示している。
【0046】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の免疫細胞は、IL-7を発現する。いくつかの実施形態では、IL-7は、MFHVSFRYIFGLPPLILVLLPVASSDCDIEGKDGKQYESVLMVSIDQLLDSMKEIGSNCLNNEFNFFKRHICDANKEGMFLFRAARKLRQFLKMNSTGDFDLHLLKVSEGTTILLNCTGQVKGRKPAALGEAQPTKSLEENKSLKEQKKLNDLCFLKRLLQEIKTCWNKILMGTKEH(配列番号18)と、約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、IL-7は、配列番号18と約85%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、IL-7は、配列番号18と約90%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、IL-7は、配列番号18と約95%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、IL-7は、配列番号18と約96%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、IL-7は、配列番号18と約97%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、IL-7は、配列番号18と約98%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、IL-7は、配列番号18と約99%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、IL-7は、配列番号18を含む。いくつかの実施形態では、IL-7は、配列番号18からなる。
【0047】
EB11リガンドケモカイン(ELC)及びマクロファージ炎症性タンパク質3β(MIP-3β)としても既知のケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド19(CCL19)は、リンパ球の再循環及びホーミングに役割を果たす。CCL19は、リンパ節の樹状細胞またはマクロファージにより発現され、その受容体CCR7を介してT細胞、B細胞、または成熟樹状細胞の遊走を開始する機能を有する。
【0048】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の免疫細胞は、さらに、CCL19を発現する。いくつかの実施形態では、CCL19は、MALLLALSLLVLWTSPAPTLSGTNDAEDCCLSVTQKPIPGYIVRNFHYLLIKDGCRVPAVVFTTLRGRQLCAPPDQPWVERIIQRLQRTSAKMKRRSS(配列番号19)と、約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、CCL19は、配列番号19と約85%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、CCL19は、配列番号19と約90%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、CCL19は、配列番号19と約95%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、CCL19は、配列番号19と約96%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、CCL19は、配列番号19と約97%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、CCL19は、配列番号19と約98%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、CCL19は、配列番号19と約99%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、CCL19は、配列番号19を含む。いくつかの実施形態では、CCL19は、配列番号19からなる。
【0049】
追加の免疫機能制御因子
本発明の免疫細胞は、さらに、追加の免疫機能制御因子、例えば、IL-15、CCL21、IL-2、IL-4、IL-12、IL-13、IL-17、IL-18、IP-10、インターフェロン-γ、MIP-1α、GM-CSF、M-CSF、TGF-β、またはTNF-αを発現し得る。いくつかの実施形態では、追加の免疫機能制御因子は、IL-15を含む。いくつかの実施形態では、追加の免疫機能制御因子は、IL-2を含む。いくつかの実施形態では、追加の免疫機能制御因子は、インターフェロン-γを含む。いくつかの実施形態では、追加の免疫機能制御因子は、GM-CSFを含む。いくつかの実施形態では、追加の免疫機能制御因子は、TGF-βを含む。いくつかの実施形態では、追加の免疫機能制御因子は、TNF-αを含む。いくつかの実施形態では、追加の免疫機能制御因子は、好ましくは、IL-12以外の免疫機能制御因子である。
【0050】
各領域の配置
特定の実施形態では、メソテリンに特異的に結合する操作された細胞表面分子(例えば、メソテリンに特異的に結合するCAR)、IL-7、及びCCL19をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含む単離核酸分子が本明細書に開示されている。いくつかの実施形態では、単離核酸分子は、ヒトメソテリンを特異的に認識する抗体、CD8ヒンジ領域、CD8膜貫通領域、4-1BB細胞内領域、及びCD3ζ細胞内領域を含むCARをコードするポリヌクレオチド;IL-7をコードするポリヌクレオチド;ならびにCCL19をコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、CAR、IL-7、及びCCL19をコードするポリヌクレオチドは、核酸分子中の2つ以上の異なるポリヌクレオチドに位置する。他の実施形態では、単離核酸分子は、CAR及びIL-7をコードするポリヌクレオチド、CAR及びCCL19をコードするポリヌクレオチド、またはCAR、IL-7もしくはCCL19をコードするポリヌクレオチドを含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、CARをコードするポリヌクレオチドは、ヒトメソテリンを特異的に認識する抗体の上流にシグナル伝達ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、抗体は、ペプチドリンカー(例えば、AlaAlaAla)でCD8ヒンジ領域に連結されている。いくつかの実施形態では、4-1BB細胞内領域は、ポリヌクレオチド中のCD3ζ細胞内領域の上流に位置する。
【0052】
ポリヌクレオチドは、MDWTWRILFLVAAATGAHSQVQLQQSGPGLVTPSQTLSLTCAISGDSVSSNSATWNWIRQSPSRGLEWLGRTYYRSKWYNDYAVSVKSRMSINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVYYCARGMMTYYYGMDVWGQGTTVTVSSGILGSGGGGSGGGGSGGGGSQPVLTQSSSLSASPGASASLTCTLRSGINVGPYRIYWYQQKPGSPPQYLLNYKSDSDKQQGSGVPSRFSGSKDASANAGVLLISGLRSEDEADYYCMIWHSSAAVFGGGTQLTVLSAAATTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号16)と、約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含むCARをコードし得る。CARは、配列番号16と約85%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号16と約90%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号16と約95%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号16と約96%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号16と約97%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号16と約98%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号16と約99%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号16を含み得る。CARは、配列番号16からなり得る。
【0053】
ポリヌクレオチドは、MDWTWRILFLVAAATGAHSQVQLQQSGPGLVTPSQTLSLTCAISGDSVSSNSATWNWIRQSPSRGLEWLGRTYYRSKWYNDYAVSVKSRMSINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVYYCARGMMTYYYGMDVWGQGTTVTVSSGILGSGGGGSGGGGSGGGGSQPVLTQSSSLSASPGASASLTCTLRSGINVGPYRIYWYQQKPGSPPQYLLNYKSDSDKQQGSGVPSRFSGSKDASANAGVLLISGLRSEDEADYYCMIWHSSAAVFGGGTQLTVLSRAAATTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号31)と、約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含むCARをコードし得る。CARは、配列番号31と約85%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号31と約90%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号31と約95%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号31と約96%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号31と約97%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号31と約98%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号31と約99%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号31を含み得る。CARは、配列番号31からなり得る。
【0054】
ポリヌクレオチドは、MDWTWRILFLVAAATGAHSQVQLQQSGPGLVTPSQTLSLTCAISGDSVSSNSATWNWIRQSPSRGLEWLGRTYYRSKWYNDYAVSVKSRMSINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVYYCARGMMTYYYGMDVWGQGTTVTVSSGILGSGGGGSGGGGSGGGGSQPVLTQSSSLSASPGASASLTCTLRSGINVGPYRIYWYQQKPGSPPQYLLNYKSDSDKQQGSGVPSRFSGSKDASANAGVLLISGLRSEDEADYYCMIWHSSAAVFGGGTQLTVLSTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号32)と、約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含むCARをコードし得る。CARは、配列番号32と約85%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号32と約90%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号32と約95%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号32と約96%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号32と約97%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号32と約98%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号32と約99%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号32を含み得る。CARは、配列番号32からなり得る。
【0055】
ポリヌクレオチドは、MDWTWRILFLVAAATGAHSQVQLQQSGPGLVTPSQTLSLTCAISGDSVSSNSATWNWIRQSPSRGLEWLGRTYYRSKWYNDYAVSVKSRMSINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVYYCARGMMTYYYGMDVWGQGTTVTVSSGILGSGGGGSGGGGSGGGGSQPVLTQSSSLSASPGASASLTCTLRSGINVGPYRIYWYQQKPGSPPQYLLNYKSDSDKQQGSGVPSRFSGSKDASANAGVLLISGLRSEDEADYYCMIWHSSAAVFGGGTQLTVLSPTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号33)と、約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含むCARをコードし得る。CARは、配列番号33と約85%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号33と約90%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号33と約95%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号33と約96%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号33と約97%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号33と約98%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号33と約99%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号33を含み得る。CARは、配列番号33からなり得る。
【0056】
ポリヌクレオチドは、MDWTWRILFLVAAATGAHSQVQLQQSGPGLVTPSQTLSLTCAISGDSVSSNSATWNWIRQSPSRGLEWLGRTYYRSKWYNDYAVSVKSRMSINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVYYCARGMMTYYYGMDVWGQGTTVTVSSGILGSGGGGSGGGGSGGGGSQPVLTQSSSLSASPGASASLTCTLRSGINVGPYRIYWYQQKPGSPPQYLLNYKSDSDKQQGSGVPSRFSGSKDASANAGVLLISGLRSEDEADYYCMIWHSSAAVFGGGTQLTVLSTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCNKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号34)と、約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含むCARをコードし得る。CARは、配列番号34と約85%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号34と約90%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号34と約95%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号34と約96%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号34と約97%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号34と約98%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号34と約99%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号34を含み得る。CARは、配列番号34からなり得る。
【0057】
ポリヌクレオチドは、MDWTWRILFLVAAATGAHSQVQLQQSGPGLVTPSQTLSLTCAISGDSVSSNSATWNWIRQSPSRGLEWLGRTYYRSKWYNDYAVSVKSRMSINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVYYCARGMMTYYYGMDVWGQGTTVTVSSGILGSGGGGSGGGGSGGGGSQPVLTQSSSLSASPGASASLTCTLRSGINVGPYRIYWYQQKPGSPPQYLLNYKSDSDKQQGSGVPSRFSGSKDASANAGVLLISGLRSEDEADYYCMIWHSSAAVFGGGTQLTVLSPTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCNKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号35)と、約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含むCARをコードし得る。CARは、配列番号35と約85%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号35と約90%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号35と約95%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号35と約96%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号35と約97%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号35と約98%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号35と約99%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号35を含み得る。CARは、配列番号35からなり得る。
【0058】
ポリヌクレオチドは、MDWTWRILFLVAAATGAHSQVQLQQSGPGLVTPSQTLSLTCAISGDSVSSNSATWNWIRQSPSRGLEWLGRTYYRSKWYNDYAVSVKSRMSINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVYYCARGMMTYYYGMDVWGQGTTVTVSSGILGSGGGGSGGGGSGGGGSQPVLTQSSSLSASPGASASLTCTLRSGINVGPYRIYWYQQKPGSPPQYLLNYKSDSDKQQGSGVPSRFSGSKDASANAGVLLISGLRSEDEADYYCMIWHSSAAVFGGGTQLTVLSAAAPTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCNKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号36)と、約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含むCARをコードし得る。CARは、配列番号36と約85%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号36と約90%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号36と約95%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号36と約96%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号36と約97%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号36と約98%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号36と約99%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号36を含み得る。CARは、配列番号36からなり得る。
【0059】
ポリヌクレオチドは、MDWTWRILFLVAAATGAHSQVQLQQSGPGLVTPSQTLSLTCAISGDSVSSNSATWNWIRQSPSRGLEWLGRTYYRSKWYNDYAVSVKSRMSINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVYYCARGMMTYYYGMDVWGQGTTVTVSSGILGSGGGGSGGGGSGGGGSQPVLTQSSSLSASPGASASLTCTLRSGINVGPYRIYWYQQKPGSPPQYLLNYKSDSDKQQGSGVPSRFSGSKDASANAGVLLISGLRSEDEADYYCMIWHSSAAVFGGGTQLTVLSAAATTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCNKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号37)と、約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含むCARをコードし得る。CARは、配列番号37と約85%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号37と約90%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号37と約95%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号37と約96%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号37と約97%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号37と約98%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号37と約99%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号37を含み得る。CARは、配列番号37からなり得る。
【0060】
ポリヌクレオチドは、MDWTWRILFLVAAATGAHSQVQLQQSGPGLVTPSQTLSLTCAISGDSVSSNSATWNWIRQSPSRGLEWLGRTYYRSKWYNDYAVSVKSRMSINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVYYCARGMMTYYYGMDVWGQGTTVTVSSGILGSGGGGSGGGGSGGGGSQPVLTQSSSLSASPGASASLTCTLRSGINVGPYRIYWYQQKPGSPPQYLLNYKSDSDKQQGSGVPSRFSGSKDASANAGVLLISGLRSEDEADYYCMIWHSSAAVFGGGTQLTVLSAAAPTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号38)と、約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含むCARをコードし得る。CARは、配列番号38と約85%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号38と約90%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号38と約95%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号38と約96%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号38と約97%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号38と約98%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号38と約99%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号38を含み得る。CARは、配列番号38からなり得る。
【0061】
ポリヌクレオチドは、MDWTWRILFLVAAATGAHSQVQLQQSGPGLVTPSQTLSLTCAISGDSVSSNSATWNWIRQSPSRGLEWLGRTYYRSKWYNDYAVSVKSRMSINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVYYCARGMMTYYYGMDVWGQGTTVTVSSGILGSGGGGSGGGGSGGGGSQPVLTQSSSLSASPGASASLTCTLRSGINVGPYRIYWYQQKPGSPPQYLLNYKSDSDKQQGSGVPSRFSGSKDASANAGVLLISGLRSEDEADYYCMIWHSSAAVFGGGTQLTVLSRAAAPTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号39)と、約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含むCARをコードし得る。CARは、配列番号39と約85%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号39と約90%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号39と約95%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号39と約96%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号39と約97%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号39と約98%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号39と約99%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号39を含み得る。CARは、配列番号39からなり得る。
【0062】
ポリヌクレオチドは、MDWTWRILFLVAAATGAHSQVQLQQSGPGLVTPSQTLSLTCAISGDSVSSNSATWNWIRQSPSRGLEWLGRTYYRSKWYNDYAVSVKSRMSINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVYYCARGMMTYYYGMDVWGQGTTVTVSSGILGSGGGGSGGGGSGGGGSQPVLTQSSSLSASPGASASLTCTLRSGINVGPYRIYWYQQKPGSPPQYLLNYKSDSDKQQGSGVPSRFSGSKDASANAGVLLISGLRSEDEADYYCMIWHSSAAVFGGGTQLTVLSRAAATTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCNKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号40)と、約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含むCARをコードし得る。CARは、配列番号40と約85%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号40と約90%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号40と約95%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号40と約96%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号40と約97%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号40と約98%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号40と約99%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号40を含み得る。CARは、配列番号40からなり得る。
【0063】
ポリヌクレオチドは、MDWTWRILFLVAAATGAHSQVQLQQSGPGLVTPSQTLSLTCAISGDSVSSNSATWNWIRQSPSRGLEWLGRTYYRSKWYNDYAVSVKSRMSINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVYYCARGMMTYYYGMDVWGQGTTVTVSSGILGSGGGGSGGGGSGGGGSQPVLTQSSSLSASPGASASLTCTLRSGINVGPYRIYWYQQKPGSPPQYLLNYKSDSDKQQGSGVPSRFSGSKDASANAGVLLISGLRSEDEADYYCMIWHSSAAVFGGGTQLTVLSRAAAPTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCNKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号41)と、約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含むCARをコードし得る。CARは、配列番号41と約85%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号41と約90%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号41と約95%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号41と約96%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号41と約97%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号41と約98%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号41と約99%の配列同一性を有する配列を含み得る。CARは、配列番号41を含み得る。CARは、配列番号41からなり得る。
【0064】
本明細書に記載のCARをコードするポリヌクレオチドは、ATGGACTGGACCTGGAGGATCCTGTTTCTGGTGGCCGCCGCCACAGGAGCCCACAGCCAGGTGCAGCTGCAGCAGAGCGGACCTGGCCTGGTGACACCCAGCCAGACCCTGAGCCTGACCTGTGCCATCTCCGGCGATAGCGTGAGCAGCAACAGCGCCACCTGGAACTGGATCAGGCAGAGCCCCAGCAGAGGACTGGAGTGGCTGGGCAGGACCTACTACAGGAGCAAGTGGTACAACGACTACGCCGTGAGCGTGAAGAGCAGGATGAGCATCAACCCCGACACCAGCAAGAACCAGTTCTCCCTGCAGCTGAACTCCGTGACCCCCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGCGCCAGGGGCATGATGACCTACTACTACGGCATGGACGTGTGGGGCCAGGGAACCACCGTGACCGTGAGCAGCGGCATCCTGGGCAGCGGCGGCGGCGGCAGCGGCGGCGGCGGCAGCGGAGGAGGCGGAAGCCAGCCTGTGCTGACCCAGAGCAGCAGCCTGAGCGCTAGCCCTGGAGCTAGCGCCAGCCTGACCTGCACCCTGAGAAGCGGCATCAACGTGGGCCCCTACAGGATCTACTGGTACCAGCAGAAGCCTGGCAGCCCCCCCCAGTACCTGCTGAACTACAAGAGCGACAGCGACAAGCAGCAGGGCAGCGGCGTGCCTAGCAGATTCAGCGGCAGCAAGGATGCCAGCGCCAACGCCGGAGTGCTGCTGATCAGCGGCCTGAGGAGCGAGGATGAGGCCGACTACTACTGCATGATCTGGCACAGCAGCGCCGCCGTGTTTGGAGGCGGAACCCAGCTGACCGTGCTGAGCGCGGCCGCAACCACCACCCCCGCCCCTAGACCTCCTACACCCGCTCCCACAATCGCCAGCCAGCCTCTGTCTTTAAGACCCGAGGCTTGTAGACCCGCTGCTGGCGGCGCCGTGCATACCAGAGGACTGGACTTCGCTTGTGACATCTACATCTGGGCTCCTTTAGCCGGCACATGTGGAGTGCTGCTGCTGTCTTTAGTGATCACTTTATACTGCAAGAGGGGTCGTAAGAAGCTGCTGTACATCTTCAAGCAGCCCTTCATGAGGCCCGTGCAGACCACCCAAGAAGAGGACGGCTGCAGCTGTCGTTTTCCCGAAGAGGAGGAGGGCGGCTGCGAGCTGAGGGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGATGCCCCCGCTTACCAGCAAGGTCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAATTTAGGTCGTAGGGAGGAGTACGACGTGCTGGACAAGAGGAGGGGCAGAGACCCCGAAATGGGCGGCAAGCCTCGTAGGAAGAACCCCCAAGAAGGTTTATACAACGAGCTGCAGAAGGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGAGGAGGAGAGGCAAGGGCCACGACGGTTTATACCAAGGTCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTACGATGCTTTACACATGCAAGCTTTACCTCCTCGT(配列番号17)と、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する核酸配列を含み得る。ポリヌクレオチドは、配列番号17と約85%の配列同一性を有する核酸配列を含み得る。ポリヌクレオチドは、配列番号17と約90%の配列同一性を有する核酸配列を含み得る。ポリヌクレオチドは、配列番号17と約95%の配列同一性を有する核酸配列を含み得る。ポリヌクレオチドは、配列番号17と約96%の配列同一性を有する核酸配列を含み得る。ポリヌクレオチドは、配列番号17と約97%の配列同一性を有する核酸配列を含み得る。ポリヌクレオチドは、配列番号17と約98%の配列同一性を有する核酸配列を含み得る。ポリヌクレオチドは、配列番号17と約99%の配列同一性を有する核酸配列を含み得る。ポリヌクレオチドは、配列番号17を含み得る。ポリヌクレオチドは、配列番号17からなり得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、CARをコードするポリヌクレオチド、IL-7をコードするポリヌクレオチド、及びCCL19をコードするポリヌクレオチドは、それぞれ独立して、自己切断性2Aペプチド(2Aペプチド)または内部リボソーム侵入部位(IRES)をコードするポリヌクレオチドを含むプロモーター下で転写されている。いくつかの実施形態では、IL-7をコードするポリヌクレオチド及びCCL19をコードするポリヌクレオチドは、2AペプチドまたはIRESをコードするポリヌクレオチドを含むプロモーター下でそれぞれ独立して転写されている。
【0066】
いくつかの実施形態では、CARをコードするポリヌクレオチド、IL-7をコードするポリヌクレオチド、及びCCL19をコードするポリヌクレオチドは、それぞれ独立して、2Aペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むプロモーターの下で転写されている。2Aペプチドファミリーに、P2A、E2A、F2A、及びT2Aの4つのメンバーがある。P2Aは、ブタテスコウイルス-1 2Aに由来する。E2Aは、ウマA型鼻炎ウイルスに由来する。F2Aは、口蹄疫ウイルス18に由来する。T2Aは、それらのアシグナウイルス2Aに由来する。2Aペプチドメンバーの例示的な配列としては、以下が挙げられる:
P2A-ATNFSLLKQAGDVEENPGP;
E2A-QCTNYALLKLAGDVESNPGP;
F2A-VKQTLNFDLLKLAGDVESNPGP;及び
T2A-EGRGSLLTCGDVEENPGP。
【0067】
いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、さらに、2Aペプチドの末端、例えば、N末端、に付加されている。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、GSGを含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、CARをコードするポリヌクレオチド、IL-7をコードするポリヌクレオチド、及びCCL19をコードするポリヌクレオチドは、それぞれ独立して、P2Aペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むプロモーターの下で転写されている。P2Aペプチドは、ATNFSLLKQAGDVEENPGPを含み得る。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカー(例えば、GSG)は、さらに、P2AペプチドのN末端に付加されている。いくつかの場合では、P2Aは、GSGATNFSLLKQAGDVEENPGP(配列番号23)を含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、CARをコードするポリヌクレオチド、IL-7をコードするポリヌクレオチド、及びCCL19をコードするポリヌクレオチドは、核酸分子内で5’末端から3’末端に向けて、以下のように配置されている:
【0070】
CARをコードするポリヌクレオチド-IL-7をコードするポリヌクレオチド-CCL19をコードするポリヌクレオチド;
【0071】
CARをコードするポリヌクレオチド-CCL19をコードするポリヌクレオチド-IL-7をコードするポリヌクレオチド;
【0072】
IL-7をコードするポリヌクレオチド-CARをコードするポリヌクレオチド-CCL19をコードするポリヌクレオチド;
【0073】
CCL19をコードするポリヌクレオチド-CARをコードするポリヌクレオチド-IL-7をコードするポリヌクレオチド;
【0074】
IL-7をコードするポリヌクレオチド-CCL19をコードするポリヌクレオチド-CARをコードするポリヌクレオチド;または
【0075】
CCL19をコードするポリヌクレオチド-IL-7をコードするポリヌクレオチド-CARをコードするポリヌクレオチド。
【0076】
いくつかの実施形態では、第1の2Aペプチドをコードするポリヌクレオチド(第1のポリヌクレオチド及び第2のポリヌクレオチド間に位置している)と、第2の2Aペプチドをコードするポリヌクレオチド(第2のポリヌクレオチド及び第3のポリヌクレオチド間に位置している)は、予期せぬ組み換えを防ぐために、同一ではない(コドン最適化された)ポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、第1のP2Aペプチドをコードするポリヌクレオチドは、GGAAGCGGAGCTACTAACTTCAGCCTGCTGAAGCAGGCTGGAGACGTGGAGGAGAACCCTGGACCC(配列番号26)を含み、第2のP2Aペプチドをコードするポリペプチドは、GGCAGCGGCGCCACCAACTTCTCTCTGCTGAAGCAAGCCGGCGATGTGGAGGAGAATCCCGGCCCC(配列番号27)を含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCARをコードするポリヌクレオチド、IL-7をコードするポリヌクレオチド、及びCCL19をコードするポリヌクレオチドは、ATGGACTGGACCTGGAGGATCCTGTTTCTGGTGGCCGCCGCCACAGGAGCCCACAGCCAGGTGCAGCTGCAGCAGAGCGGACCTGGCCTGGTGACACCCAGCCAGACCCTGAGCCTGACCTGTGCCATCTCCGGCGATAGCGTGAGCAGCAACAGCGCCACCTGGAACTGGATCAGGCAGAGCCCCAGCAGAGGACTGGAGTGGCTGGGCAGGACCTACTACAGGAGCAAGTGGTACAACGACTACGCCGTGAGCGTGAAGAGCAGGATGAGCATCAACCCCGACACCAGCAAGAACCAGTTCTCCCTGCAGCTGAACTCCGTGACCCCCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGCGCCAGGGGCATGATGACCTACTACTACGGCATGGACGTGTGGGGCCAGGGAACCACCGTGACCGTGAGCAGCGGCATCCTGGGCAGCGGCGGCGGCGGCAGCGGCGGCGGCGGCAGCGGAGGAGGCGGAAGCCAGCCTGTGCTGACCCAGAGCAGCAGCCTGAGCGCTAGCCCTGGAGCTAGCGCCAGCCTGACCTGCACCCTGAGAAGCGGCATCAACGTGGGCCCCTACAGGATCTACTGGTACCAGCAGAAGCCTGGCAGCCCCCCCCAGTACCTGCTGAACTACAAGAGCGACAGCGACAAGCAGCAGGGCAGCGGCGTGCCTAGCAGATTCAGCGGCAGCAAGGATGCCAGCGCCAACGCCGGAGTGCTGCTGATCAGCGGCCTGAGGAGCGAGGATGAGGCCGACTACTACTGCATGATCTGGCACAGCAGCGCCGCCGTGTTTGGAGGCGGAACCCAGCTGACCGTGCTGAGCGCGGCCGCAACCACCACCCCCGCCCCTAGACCTCCTACACCCGCTCCCACAATCGCCAGCCAGCCTCTGTCTTTAAGACCCGAGGCTTGTAGACCCGCTGCTGGCGGCGCCGTGCATACCAGAGGACTGGACTTCGCTTGTGACATCTACATCTGGGCTCCTTTAGCCGGCACATGTGGAGTGCTGCTGCTGTCTTTAGTGATCACTTTATACTGCAAGAGGGGTCGTAAGAAGCTGCTGTACATCTTCAAGCAGCCCTTCATGAGGCCCGTGCAGACCACCCAAGAAGAGGACGGCTGCAGCTGTCGTTTTCCCGAAGAGGAGGAGGGCGGCTGCGAGCTGAGGGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGATGCCCCCGCTTACCAGCAAGGTCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAATTTAGGTCGTAGGGAGGAGTACGACGTGCTGGACAAGAGGAGGGGCAGAGACCCCGAAATGGGCGGCAAGCCTCGTAGGAAGAACCCCCAAGAAGGTTTATACAACGAGCTGCAGAAGGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGAGGAGGAGAGGCAAGGGCCACGACGGTTTATACCAAGGTCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTACGATGCTTTACACATGCAAGCTTTACCTCCTCGTGGAAGCGGAGCTACTAACTTCAGCCTGCTGAAGCAGGCTGGAGACGTGGAGGAGAACCCTGGACCCTGCATGTTCCATGTGAGCTTCAGGTACATCTTCGGACTGCCTCCTCTCATCCTGGTCCTCCTCCCCGTGGCCAGCTCCGACTGTGACATCGAAGGAAAGGATGGCAAGCAGTACGAAAGCGTGCTGATGGTGAGCATCGATCAGCTCCTGGATTCCATGAAGGAAATCGGCTCCAACTGCCTCAACAATGAGTTCAACTTTTTTAAGAGGCATATCTGCGACGCCAACAAGGAGGGCATGTTTCTGTTCAGGGCCGCCAGGAAGCTGAGACAGTTCCTCAAGATGAATAGCACCGGCGACTTCGACCTCCATCTGCTGAAGGTGTCCGAGGGAACCACCATCCTGCTGAACTGCACCGGCCAAGTGAAGGGAAGAAAACCTGCTGCCCTGGGCGAGGCTCAGCCTACCAAGAGCCTGGAGGAGAACAAAAGCCTGAAGGAGCAGAAGAAGCTGAACGACCTGTGCTTCCTCAAGAGGCTCCTGCAGGAGATTAAGACCTGTTGGAACAAGATCCTGATGGGCACAAAGGAGCACGGCAGCGGCGCCACCAACTTCTCTCTGCTGAAGCAAGCCGGCGATGTGGAGGAGAATCCCGGCCCCATGGCTCTGCTGCTCGCCCTGAGCCTGCTCGTCCTCTGGACCTCCCCTGCTCCTACCCTGAGCGGCACCAATGACGCTGAAGACTGCTGCCTGTCCGTGACCCAGAAGCCTATCCCCGGATATATCGTGAGGAATTTTCATTACCTCCTGATCAAGGACGGCTGTAGAGTGCCCGCCGTCGTGTTCACAACACTCAGAGGCAGGCAGCTGTGTGCTCCCCCCGACCAGCCTTGGGTGGAGAGAATCATTCAGAGACTGCAAAGGACCTCCGCTAAGATGAAGAGGAGGTCCAGC(配列番号25)と、約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する核酸配列を含み得る。
【0078】
ベクター
いくつかの実施形態では、1つ以上のベクターは、CARをコードするポリヌクレオチド、IL-7をコードするポリヌクレオチド、及びCCL19をコードするポリヌクレオチドを包含する。いくつかの実施形態では、ベクター(例えば、発現ベクター)は、ヒトメソテリンを特異的に認識する抗体、CD8ヒンジ領域、CD8膜貫通領域、4-1BB細胞内領域、及びCD3ζ細胞内領域を含むキメラ抗原受容体(CAR)をコードするポリヌクレオチド;IL-7をコードするポリヌクレオチド;ならびに、CCL19をコードするポリヌクレオチドを含む核酸分子を含む。図1Aを参照のこと。いくつかの実施形態では、IL-7をコードするポリヌクレオチド、及びCCL19をコードするポリヌクレオチドは、ベクター(例えば、発現ベクター)内で、5’末端から3’末端まで、以下のように配置されている:
【0079】
CARをコードするポリヌクレオチド-IL-7をコードするポリヌクレオチド-CCL19をコードするポリヌクレオチド;
【0080】
CARをコードするポリヌクレオチド-CCL19をコードするポリヌクレオチド-IL-7をコードするポリヌクレオチド;
【0081】
IL-7をコードするポリヌクレオチド-CARをコードするポリヌクレオチド-CCL19をコードするポリヌクレオチド;
【0082】
CCL19をコードするポリヌクレオチド-CARをコードするポリヌクレオチド-IL-7をコードするポリヌクレオチド;
【0083】
IL-7をコードするポリヌクレオチド-CCL19をコードするポリヌクレオチド-CARをコードするポリヌクレオチド;または
【0084】
CCL19をコードするポリヌクレオチド-IL-7をコードするポリヌクレオチド-CARをコードするポリヌクレオチド。
【0085】
いくつかの実施形態では、第1のベクター(例えば、第1の発現ベクター)は、CARをコードするポリヌクレオチドを含み、第2のベクター(例えば、第2の発現ベクター)は、IL-7をコードするポリヌクレオチド及びCCL19をコードするポリヌクレオチドを含み、IL-7をコードするポリヌクレオチド及びCCL19をコードするポリヌクレオチドは、任意に、第2のベクター(例えば、第2の発現ベクター)内に、5’末端から3’末端に向けて、IL-7をコードするポリヌクレオチド-CCL19をコードするポリヌクレオチドまたはCCL19をコードするポリヌクレオチド-IL-7をコードするポリヌクレオチドのように配置されている。
【0086】
さらなる実施形態では、第1のベクター(例えば、第1の発現ベクター)は、CARをコードするポリヌクレオチドと、IL-7をコードするポリヌクレオチドまたはCCL19をコードするポリヌクレオチドのいずれかを含み、第2のベクター(例えば、第2の発現ベクター)は、IL-7をコードするポリヌクレオチド、または第1のベクターには含まれないCCL19をコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第1のベクター(例えば、第1の発現ベクター)は、CARをコードするポリヌクレオチド及びIL-7をコードするポリヌクレオチドを含み、第2のベクター(例えば、第2の発現ベクター)は、CCL19をコードするポリヌクレオチドを含む。他の実施形態では、第1のベクター(例えば、第1の発現ベクター)は、CARをコードするポリヌクレオチド及びCCL19をコードするポリヌクレオチドを含み、第2のベクター(例えば、第2の発現ベクター)は、IL-7をコードするポリヌクレオチドを含む。
【0087】
さらなる実施形態では、第1のベクター(例えば、第1の発現ベクター)は、CARをコードするポリヌクレオチドを含み、第2のベクター(例えば、第2の発現ベクター)は、IL-7をコードするポリヌクレオチドを含み、第3のベクター(例えば、第3の発現ベクター)は、CCL19をコードするポリヌクレオチドを含む。
【0088】
本発明のベクター(例えば、発現ベクター)は、1つ以上の天然由来の核酸または人工的に合成された核酸を含んでもよく、本発明のベクター(例えば、発現ベクター)が導入されるべき細胞の種類に従って適宜選択することができる。これらの配列情報は、公知の文献またはNCBI(www.ncbi.nlm.nih.gov/guide/)等のデータベースを検索することにより適宜取得することができる。
【0089】
本発明のベクターは、本発明の改変免疫細胞を生成するために、コードされる所定のタンパク質(ポリペプチド)を免疫細胞で発現させることができるように、ベクターを細胞と接触させることにより、免疫細胞またはその前駆細胞に導入される発現ベクターであり得る。本発明の発現ベクターは、任意の実施形態により特に限定されない。当業者らは、免疫細胞における所望のタンパク質(ポリペプチド)の発現を可能にする発現ベクターを設計及び生産することが可能である。ヒトメソテリンを特異的に認識する細胞表面分子をコードするポリヌクレオチド、IL-7をコードするポリヌクレオチド、及びCCL19をコードするポリヌクレオチドを含む本発明の発現ベクターの例としては、本発明の免疫細胞を生成するための発現ベクターのいずれもが挙げられ得る。
【0090】
本発明の発現ベクターの種類は、直鎖形態でも環形態でもよく、プラスミドなどの非ウイルスベクターであってよく、ウイルスベクターであってよく、またはトランスポゾンに基づくベクターであってよい。そのようなベクターは、プロモーターもしくはターミネーターなどの制御配列、または、薬剤耐性遺伝子もしくはレポーター遺伝子などの選択マーカー配列を含有してもよい。CARをコードするポリヌクレオチド、IL-7をコードするポリヌクレオチド、及びCCL19をコードするポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドのそれぞれが効率的に転写され得るように、プロモーター配列の下流に作動可能に配置され得る。
【0091】
プロモーターの例としては、ウイルス由来プロモーター、例えば、レトロウイルスLTRプロモーター、SV40初期プロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、及び単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼプロモーター;ならびに哺乳動物由来のプロモーター、例えば、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーター、Xistプロモーター、β-アクチンプロモーター、及びRNAポリメラーゼIIプロモーターが挙げられ得る。いくつかの実施形態では、プロモーターは、好ましくは、レトロウイルスLTRプロモーターを含み得る。レトロウイルスLTRプロモーターは、CTGAATATGGGCCAAACAGGATATCTGTGGTAAGCAGTTCCTGCCCCGGCTCAGGGCCAAGAACAGATGGAACAGCTGAATATGGGCCAAACAGGATATCTGTGGTAAGCAGTTCCTGCCCCGGCTCAGGGCCAAGAACAGATGGTCCCCAGATGCGGTCCAGCCCTCAGCAGTTTCTAGAGAACCATCAGATGTTTCCAGGGTGCCCCAAGGACCTGAAATGACCCTGTGCCTTATTTGAACTAACCAATCAGTTCGCTTCTCGCTTCTGTTCGCGCGCTTCTGCTCCCCGAGCTCAATAAAAGAGCCCACAACCCCTCACTCGGCGCGCCAGTCCTCCGATTGACTGAGTCGCCCGGGTACCCGTGTATCCAATAAACCCTCTTGCAGTTGCATCCGACTTGTGGTCTCGCTGTTCCTTGGGAGGGTCTCCTCTGAGTGATTGACTACCCGTCAGCGGGGGTCTTTCA(配列番号24)を含み得る。あるいは、テトラサイクリンにより誘導されるテトラサイクリン応答性プロモーター、インターフェロンにより誘導されるMx1プロモーター等が使用され得る。本発明の発現ベクターにおいて、特定の物質により誘導されるプロモーターの使用は、がんの処置経過に応じて、IL-7及びCCL19発現の誘導を制御し、例えば、本発明のベクターを含有する免疫細胞が、がんの処置に使用される医薬組成物として使用される。
【0092】
ウイルスベクターの例としては、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、及びアデノ随伴ウイルスベクターが挙げられ得、好ましくは、レトロウイルスベクター、例えば、ガンマレトロウイルスベクター、より好ましくは、pMSGVベクター(Tamada k et al.,Clin Cancer Res 18:6436-6445(2002))、pMSCVベクター(Takara Bio Inc.が製造)、またはpSFGベクターが挙げられ得る。レトロウイルスベクターの使用は、導入遺伝子が宿主細胞のゲノムに組み込まれるので、導入遺伝子の長期安定した発現が可能になる。
【0093】
1つ以上のアッセイは、免疫細胞内に本発明の発現ベクターが包含されることを確認するために使用することができる。例示的なアッセイとしては、操作された免疫細胞によるCARの発現をスクリーニングするためのフローサイトメトリー、ノーザンブロッティング、サザンブロッティング、RT-PCRなどのPCR、ELISA、またはウェスタンブロッティングが挙げられ得る。いくつかの実施形態では、発現ベクターは、免疫細胞によるCAR、IL-7、及び/またはCCL19の発現を検出するために、さらに、マーカー遺伝子(例えば、蛍光タンパク質、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、または黄色蛍光タンパク質(YFP)をコードする)を含む。
【0094】
免疫細胞及び生成方法
特定の実施形態では、本明細書に記載の免疫細胞は、メソテリン(例えば、ヒトメソテリン)を特異的に認識する細胞表面分子、IL-7、及びCCL19を発現するように改変される(図1B)。例示的な免疫細胞としては、リンパ系細胞、例えば、T細胞、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、及びB細胞;抗原提示細胞、例えば、単球、マクロファージ、樹状細胞、または顆粒球、例えば、好中球、好酸球、好塩基球、もしくは肥満細胞が挙げられ得る。免疫細胞としては、哺乳動物、例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ブタ、またはマウス由来のT細胞、好ましくは、ヒト由来の、またはそれから分離されたT細胞が挙げられ得る。免疫細胞(例えば、T細胞)は、培養、例えば、ex vivo培養を通して得るか、または哺乳動物から直接採取することができる。免疫細胞は、細胞が免疫応答に関与し、メソテリン(例えば、ヒトメソテリン)を特異的に認識する細胞表面分子を発現し、IL-7を発現し、CCL19を発現し得る限り、限定されない。免疫細胞は、その後の処置のために、それを必要とする対象から採取された自己細胞であり得る。免疫細胞は、それを必要とする対象にとっても、同種異系細胞または同系細胞であり得る。免疫細胞は、幹細胞(例えば、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、胚性幹細胞(ES細胞))または前駆細胞を、免疫細胞に誘導及び分化させるための適切な条件下で培養することにより得ることもできる。
【0095】
特定の実施形態では、メソテリンを特異的に認識するCAR、IL-7、及びCCL19を発現するように改変された免疫細胞の集団が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、免疫細胞の集団は、メソテリンを特異的に認識するCAR、IL-7、及びCCL19を発現する改変T細胞(例えば、ex vivoで増殖させた、または哺乳動物から採取した)を含む。免疫細胞の集団は、約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれ以上の割合の改変T細胞を含み得る。免疫細胞の集団は、約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%の改変T細胞を含み得る。免疫細胞の集団は、改変T細胞の実質的に純粋な集団を含み得る。例示的なT細胞としては、α-βT細胞、γ-δT細胞、CD8T細胞、CD4T細胞、腫瘍浸潤性T細胞、メモリーT細胞、ナイーブT細胞、及び天然キラーT(NKT)細胞が挙げられ得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、メソテリンを特異的に認識するCAR、IL-7、及びCCL19を発現するように改変された免疫細胞の集団は、約30%、25%、20%、15%、10%、5%、またはそれ未満の夾雑細胞を含む。本明細書で使用される場合、「夾雑細胞」という用語は、メソテリンを特異的に認識するCAR、IL-7、及びCCL19を発現しない細胞を指す。夾雑細胞は、メソテリンを特異的に認識するCAR、IL-7、及びCCL19を発現しないT細胞と、メソテリンを特異的に認識するCAR、IL-7、及びCCL19を発現しない他の種類の免疫細胞を含み得る。夾雑細胞は、体液(例えば、血液もしくは骨髄液)由来の非免疫細胞、組織(例えば、脾臓組織、胸腺、もしくはリンパ節)に由来する非免疫細胞、またはがん組織(例えば、原発性腫瘍組織、転移性腫瘍組織、もしくは癌性腹水)に由来する非免疫細胞も指し得る。
【0097】
本発明の免疫細胞の製造方法としては、細胞表面分子をコードするポリヌクレオチド、IL-7をコードするポリヌクレオチド、及びCCL19をコードするポリヌクレオチドを、免疫細胞に導入する製造方法が挙げられ得る。製造方法としては、例えば、WO2016/056228、WO2017/159736、WO2013/176915、WO2015/120096、WO2016/019300、またはVormittag P et al,Curr Opin Biotechnol 2018;53:164-81に記載の製造方法を挙げられ得る。別の例としては、メソテリン(例えば、ヒトメソテリン)を特異的に認識する細胞表面分子、IL-7、及び/またはCCL19の発現用ベクターを受精卵に移植することにより作製されたトランスジェニック哺乳動物由来の免疫細胞を精製して取得する方法、ならびに、さらに、必要に応じて、メソテリン(例えば、ヒトメソテリン)を特異的に認識する細胞表面分子、IL-7、及び/またはCCL19の発現用ベクターを、トランスジェニック哺乳動物から精製して得られた免疫細胞に導入する製造方法が挙げられ得る。
【0098】
細胞表面分子をコードするポリヌクレオチド、IL-7をコードするポリヌクレオチド、及びCCL19をコードするポリヌクレオチド、または上掲のベクターを導入する場合、方法は、ポリヌクレオチドまたはベクターを免疫細胞に導入するための任意の方法であり得る。例としては、エレクトロポレーション法(Cytotechnology,3,133(1990))、リン酸カルシウム法(日本公開特許出願第2-227075号)、リポフェクション法(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A,84,7413(1987))、及びウイルス感染法が挙げられ得る。例示的ウイルス感染法としては、パッケージング細胞(例えば、GP2-293細胞(タカラバイオ株式会社製)、Plat-GP細胞(Cosmo Bio Co.,Ltd.)、PG13細胞(ATCC CRL-10686)、またはPA317細胞(ATCC CRL-9078))に、導入されるべきベクター及び組み換えウイルスを産生するパッケージングプラスミドをトランスフェクトし、免疫細胞に組み換えウイルスを感染させる方法が挙げられ得る(例えば、以下を参照:WO2017/159736)。
【0099】
いくつかの実施形態では、方法は、CARをコードするポリヌクレオチド、IL-7をコードするポリヌクレオチド、及びCCL19をコードするポリヌクレオチドを含む1つ以上のベクターを免疫細胞に導入することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、ヒトメソテリンを特異的に認識する抗体、CD8ヒンジ領域、CD8膜貫通領域、4-1BB細胞内領域、及びCD3ζ細胞内領域を含むキメラ抗原受容体(CAR);IL-7をコードするポリヌクレオチド;ならびにCCL19をコードするポリヌクレオチドをコードするポリヌクレオチドを含む核酸分子を含むベクター(例えば、発現ベクター)を、免疫細胞に導入することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、CARをコードするポリヌクレオチドを含む第1のベクター(例えば、第1の発現ベクター)と、IL-7をコードするポリヌクレオチド及びCCL19をコードするポリヌクレオチドを含む第2のベクター(例えば、第2の発現ベクター)を、一緒に、または段階的に、免疫細胞に導入することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、CARをコードするポリヌクレオチドと、IL-7をコードするポリヌクレオチドまたはCCL19をコードするポリヌクレオチドのいずれかを含む第1のベクター(例えば、第1の発現ベクター)と、第1のベクターに含まれないIL-7をコードするポリヌクレオチドまたはCCL19をコードするポリヌクレオチドを含む第2のベクター(例えば、第2の発現ベクター)を、免疫細胞に一緒に、または段階的に導入することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、CARをコードするポリヌクレオチド及びIL-7をコードするポリヌクレオチドを含む第1のベクター(例えば、第1の発現ベクター)と、CCL19をコードするポリヌクレオチドを含む第2のベクター(例えば、第2の発現ベクター)を、免疫細胞に一緒に、または段階的に導入することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、CARをコードするポリヌクレオチド及びCCL19をコードするポリヌクレオチドを含む第1のベクター(例えば、第1の発現ベクター)と、IL-7をコードするポリヌクレオチドを含む第2のベクター(例えば、第2の発現ベクター)を、免疫細胞に一緒に、または段階的に導入することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、CARをコードするポリヌクレオチドを含む第1のベクター(例えば、第1の発現ベクター)、IL-7をコードするポリヌクレオチドを含む第2のベクター(例えば、第2の発現ベクター)、及びCCL19をコードするポリヌクレオチドを含む第3のベクター(例えば、第3の発現ベクター)を、一緒に、または段階的に、免疫細胞に導入することを含む。
【0100】
CARをコードするポリヌクレオチド、IL-7をコードするポリヌクレオチド、及びCCL19をコードするポリヌクレオチドのうちの1つ以上を、免疫細胞のゲノムに組み込むことができる。いくつかの実施形態では、CARをコードするポリヌクレオチド、IL-7をコードするポリヌクレオチド、及びCCL19をコードするポリヌクレオチドは、ゲノムに(例えば、エピソーム的に)組み込まれない。
【0101】
使用方法
特定の実施形態では、メソテリン発現がんを処置する方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、方法は、メソテリンに特異的に結合する操作された細胞表面分子、インターロイキン7(IL-7)、及びケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド19(CCL19)を発現するように改変された本明細書に記載の免疫細胞を、それを必要とする対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、メソテリンを特異的に認識するキメラ抗原受容体(CAR)、またはメソテリンに特異的に結合するT細胞受容体(TCR)を含む操作された細胞表面分子を発現するように改変される。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、ヒトメソテリンを特異的に認識する抗体、CD8ヒンジ領域、CD8膜貫通領域、4-1BB細胞内領域、及びCD3ζ細胞内領域を含むCAR;IL-7;ならびにCCL19を発現するように改変される。
【0102】
いくつかの実施形態では、メソテリン発現がんは、固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、中皮腫、結腸直腸癌、膵癌、胸腺癌、胆管癌、肺癌、皮膚癌、乳癌、前立腺癌、膀胱癌、膣癌、頸部癌、子宮癌、肝臓癌、腎臓癌、胃癌、脾臓癌、気管癌、気管支癌、胃癌、食道癌、胆嚢癌、精巣癌、卵巣癌、または骨癌を含む。いくつかの実施形態では、メソテリン発現がんは、卵巣癌である。いくつかの実施形態では、メソテリン発現がんは、中皮腫である。いくつかの実施形態では、メソテリン発現がんは、胃癌である。いくつかの実施形態では、メソテリン発現がんは、肺癌(例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌(SCLC)、肺カルチノイド腫瘍、肺腺扁平上皮癌、大細胞神経内分泌癌、または唾液腺型肺癌)である。いくつかの実施形態では、メソテリン発現がんは、NSCLC(例えば、肺の腺癌、扁平上皮細胞癌、大細胞未分化癌、肉腫様癌、または腺扁平上皮癌)である。
【0103】
メソテリン発現がんは、造血癌であり得る。造血癌は、B細胞造血癌、T細胞造血癌、ホジキンリンパ腫、または非ホジキンリンパ腫であり得る。造血器癌は、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁リンパ腫、バーキットリンパ腫、またはヴァルデンストロームマクログロブリン血症であり得る。
【0104】
造血癌は、肉腫であり得る。肉腫は、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性血管内皮腫、悪性神経鞘腫、骨肉腫、または軟部組織肉腫を含み得る。
【0105】
メソテリン発現がんは、転移性癌、例えば、転移性固形腫瘍または転移性造血癌であり得る。転移性メソテリン発現がんは、転移性卵巣癌、転移性中皮腫、転移性胃癌、または転移性肺癌(例えば、転移性NSCLC)であり得る。
【0106】
メソテリン発現がんは、再発性または難治性癌、例えば、再発性もしくは難治性の固形腫瘍、または再発性もしくは難治性の造血癌であり得る。再発性または難治性のメソテリン発現がんは、再発性もしくは難治性の卵巣癌、再発性もしくは難治性の中皮腫、再発性もしくは難治性の胃癌、または再発性もしくは難治性の肺癌(例えば、再発性もしくは難治性のNSCLC)であり得る。
【0107】
いくつかの実施形態では、方法は、さらに、追加の治療薬または追加の治療レジメンを対象に投与することを含む。追加の治療薬は、化学療法剤、免疫療法剤、標的療法、放射線療法、またはそれらの組み合わせを含み得る。追加の治療薬の例としては、アルキル化剤、例えば、アルトレタミン、ブスルファン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、ダカルバジン、ロムスチン、メルファラン、オキサラプラチン、テモゾロミド、もしくはチオテパ;代謝拮抗剤、例えば、5-フルオロウラシル(5-FU)、6-メルカプトプリン(6-MP)、カペシタビン、シタラビン、フロクスウリジン、フルダラビン、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、メトトレキサート、もしくはペメトレキセド;アントラサイクリン、例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、もしくはイダルビシン;トポイソメラーゼI阻害薬、例えば、トポテカンもしくはイリノテカン(CPT-11);トポイソメラーゼII阻害薬、例えば、エトポシド(VP-16)、テニポシド、もしくはミトキサントロン;有糸分裂阻害薬、例えば、ドセタキセル、エストラムスチン、イクサベピロン、パクリタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、もしくはビノレルビン;または、コルチコステロイド、例えば、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、もしくはデキサメタゾンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0108】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、第1選択療法を含む。本明細書で使用される場合、「第1選択治療」は、がんを有する対象に対する1次処置を含む。いくつかの実施形態では、がんは、原発癌である。他の実施形態では、がんは、転移性または再発性癌である。いくつかの実施形態では、第1選択治療は、化学療法を含む。他の実施形態では、第1選択治療は、放射線療法を含む。当業者であれば、異なる第1選択治療が、異なる種類のがんに適用可能であり得ることを容易に理解するであろう。
【0109】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、酵素ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)の阻害薬を含む。例示的なPARP阻害薬としては、オラパリブ(AZD-2281、Lynparza(登録商標)、Astra Zeneca製)、ルカパリブ(PF-01367338、Rubraca(登録商標)、Clovis Oncology製)、ニラパリブ(MK-4827、Zejula(登録商標)、Tesaro製)、タラゾパリブ(BMN-673、BioMarin Pharmaceutical Inc.製)、ベリパリブ(ABT-888、AbbVie製)、CK-102(旧CEP 9722、Teva Pharmaceutical Industries Ltd.製)、E7016(エーザイ製)、イニパリブ(BSI 201、Sanofi製)、及びパミパリブ(BGB-290、BeiGene製)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、免疫チェックポイント阻害薬を含む。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害薬は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、トレメリムマブ、またはイピリムマブを含む。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害薬は、PD-L1、PD-L2、PD-1、CTLA-4、LAG3、B7-H3、KIR、CD137、PS、TFM3、CD52、CD30、CD20、CD33、CD27、OX40、GITR、ICOS、BTLA(CD272)、CD160、2B4、LAIR1、TIGHT、LIGHT、DR3、CD226、CD2、またはSLAMの阻害薬を含む。阻害薬は、抗体またはそのフラグメント(例えば、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)、RNAi分子、または小分子であり得る。
【0111】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、抗体、例えば、アレムツズマブ、トラスツズマブ、イブリツモマブチウキセタン、ブレンツキシマブベドチン、アド-トラスツズマブエムタンシン、またはブリナツモマブを含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、サイトカインを含む。例示的なサイトカインとしては、IL-1β、IL-6、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-21、またはTNFαが挙げられるが、これらに限定されない。
【0113】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、受容体アゴニストを含む。いくつかの実施形態では、受容体アゴニストは、トール様受容体(TLR)リガンドを含む。いくつかの実施形態では、TLRリガンドは、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、またはTLR9を含む。いくつかの実施形態では、TLRリガンドは、合成リガンド、例えば、Pam3Cys、CFA、MALP2、Pam2Cys、FSL-1、Hib-OMPC、ポリI:C、ポリA:U、AGP、MPL A、RC-529、MDF2p、CFA、またはフラジェリンを含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、フルダラビン及びシクロホスファミドを含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、チサゲンレクリューセル(KYMRIAH(登録商標))、アキシカブタゲン・シロロイセル(YESCARTA(登録商標))、またはブレクスカブタゲン・オートロイセル(TECARTUS(登録商標))を含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、追加の治療レジメンは、手術を含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の免疫細胞または本明細書に記載の医薬組成物及び追加の治療薬は、同時投与される。
【0118】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の免疫細胞または本明細書に記載の医薬組成物及び追加の治療薬は、逐次投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の免疫細胞または本明細書に記載の医薬組成物は、追加の治療薬の投与前に、対象に投与される。他の実施形態では、本明細書に記載の免疫細胞または本明細書に記載の医薬組成物は、追加の治療薬の投与後に、対象に投与される。
【0119】
いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。
【0120】
いくつかの実施形態では、メソテリン(例えば、ヒトメソテリン)を特異的に認識する細胞表面分子、IL-7、及びCCL19を発現する免疫細胞を生成する方法も本明細書に記載されている。方法は、本明細書に記載の核酸分子または核酸分子を含むベクターを、免疫細胞に導入して、免疫細胞によるヒトメソテリンを特異的に認識する細胞表面分子、IL-7、及びCCL19の発現を誘導することを含む。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、抗原提示細胞、または顆粒球、任意に、T細胞またはNK細胞、である。
【0121】
医薬組成物
特定の実施形態では、上記の免疫細胞は、医薬組成物として製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、限定されないが、非経口、経口、舌下、または経皮投与経路を含む複数の投与経路で対象に投与される。いくつかの実施形態では、非経口投与は、静脈内、皮下、筋肉内、鼻腔内、動脈内、関節内、皮内、骨内注入、腹腔内、くも膜下、頭蓋内、滑液嚢内、腫瘍内、皮内、髄内、心臓内、または髄腔内投与を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、局所投与用に製剤化される。他の実施形態では、医薬組成物は、全身投与用に製剤化される。
【0122】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される添加剤を含む。添加剤の例としては、生理食塩水、緩衝生理食塩水、細胞培地、ブドウ糖、注射用水、グリセロール、エタノール、安定化剤、可溶化剤、界面活性剤、緩衝剤、防腐剤、等張化剤、充填剤、滑沢剤、またはそれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0123】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、さらに、pH調整剤または緩衝剤(酸、例えば、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸、及び塩酸;塩基、例えば、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、及びトリスヒドロキシメチルアミノメタン;ならびに、緩衝剤、例えば、クエン酸塩/ブドウ糖、重炭酸ナトリウム、及び塩化アンモニウムを含む)を含む。そのような酸、塩基及び緩衝剤は、組成物のpHを許容範囲に維持するのに必要な量で含まれる。
【0124】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、組成物の浸透圧を許容範囲にするのに必要な量の1つ以上の塩を含む。そのような塩としては、ナトリウム、カリウム、またはアンモニウムカチオンと、塩化物、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、チオ硫酸塩、または重亜硫酸塩アニオンを有するものが挙げられ、好適な塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、及び硫酸アンモニウムが挙げられる。
【0125】
例示的な方法では、本発明の医薬組成物は、独立して、一度に、または、1日4回、1日3回、1日2回、もしくは1日1回、1日間隔、2日間隔、3日間隔、4日間隔、もしくは5日間隔、週1回、7日間隔、8日間隔、もしくは9日間隔、週2回、月1回、月2回、月3回以上、いくつかに分けて投与することができる。
【0126】
患者の状態が改善した場合では、医師の判断時に、組成物の投与が、連続的に与えられ、あるいは、投与される組成物の用量が一時的に低減するか、または特定の期間一時的に停止する(すなわち、「休薬期間」)。いくつかの実施形態では、休薬期間の長さは、ほんの一例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日、または365日を含む、2日~1年で変動する。休薬期間中の用量減量は、ほんの一例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む、10%~100%である。
【0127】
いくつかの実施形態では、そのような量に対応する所与の改変T細胞の量は、疾患の重症度、処置を必要とする対象または宿主の個性(例えば、体重)などの要因に応じて変動するが、それでもなお、日常的に、症例を取り巻く特定の状況に従って、当該技術分野で既知の方法で決定され、これは、例えば、投与される特定の薬剤、投与経路、及び処置される対象または宿主を含む。いくつかの実施形態では、所望の用量は、都合よく、単回用量で、または同時に(もしくは短期間にわたって)投与される分割用量として、または適切な間隔で、例えば、1日当たり2、3、4つ以上の分割用量として提示される。
【0128】
個々の処置レジメンに関する変数の数は、多く、これらの推奨値からの大幅な逸脱は珍しいことではないので、上述の範囲は、単なる示唆にすぎない。そのような投薬量は、多くの変数(限定されないが、使用される化合物の活性、処置されるべき疾患または状態、投与方法、個々の対象の要件、処置される疾患または状態の重症度、及び実践者の判断)に応じて変更される。
【0129】
いくつかの実施形態では、限定されないが、LD50(集団の50%を死に至らしめる用量)及びED50(集団の50%において治療上有効な用量)の決定を含む、そのような治療レジメンの毒性及び治療有効性は、細胞培養物または実験動物における標準的な薬学的手順で決定される。毒性効果及び治療効果間の用量比が治療指数であり、LD50及びED50の比として表される。高い治療指数を示す化合物が好ましい。細胞培養アッセイ及び動物研究から得られたデータは、ヒトに使用される投薬量の範囲の決定に使用される。そのような化合物の投薬量は、好ましくは、最小の毒性でED50を含む循環濃度の範囲内にある。投薬量は、用いられる剤形及び利用される投与経路に応じて、この範囲内で変動する。
【0130】
キット/製造物品
特定の実施形態では、上記の核酸分子、上記の核酸分子を含むベクター、メソテリン(例えば、ヒトメソテリン)を特異的に認識するCAR、IL-7、及びCCL19を発現する免疫細胞、または医薬組成物を含むキットが本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、キットは、がんの処置に使用される使用方法などを記載する添付文書、ラベル、パッケージなどの1つ以上の包装材料を含有してもよい。本発明の医薬組成物中の免疫細胞が腫瘍再発に抑制作用を有するので、本発明の医薬組成物は、腫瘍再発の抑制に使用される医薬組成物として機能し得る。そのような腫瘍再発の抑制に使用される医薬組成物は、腫瘍再発の抑制に使用される使用方法について記載する1つ以上の包装材料、例えば、添付文書、ラベル、パッケージ等を含有し得る。
【0131】
「包装材料」という用語は、キットの構成要素を収容する物理的構造体を指す。材料は、構成要素を無菌的に維持し得、そのような目的に一般に使用される材料(例えば、紙、波形繊維、ガラス、プラスチック、ホイル、アンプル、バイアル、チューブなど)で作製することができる。
【0132】
本発明のキットは、ラベルまたは挿入物を含み得る。ラベルまたは挿入物は、「印刷物」、例えば、紙もしくは厚紙、または、構成要素、キット、もしくは包装材料(例えば、箱)とは別個のもの、もしくは添付されたもの、またはキットの構成要素を含有するアンプル、チューブ、もしくはバイアルに貼付けされたものを含む。ラベルまたは挿入物は、さらに、コンピュータ可読媒体、例えば、ディスク(例えば、フロッピーディスケット、ZIPディスク)、光ディスク、例えば、CD-ROM/RAMもしくはDVD-ROM/RAM、DVD、MP3、磁気テープ、または電気記憶媒体、例えば、RAM及びROM、あるいはこれらのハイブリッド、例えば、磁気/光記憶媒体、FLASHメディア、もしくはメモリタイプカードを含み得る。
【0133】
ラベルまたは挿入物は、その中の1つ以上の構成要素(例えば、結合剤または医薬組成物)、用量、作用機序を含む活性薬(複数可)の臨床薬理学、薬物動態及び薬力学の識別情報を含み得る。ラベルまたは挿入物は、製造元情報、ロット番号、ならびに製造の場所及び製造日を識別する情報を含み得る。
【0134】
ラベルまたは挿入物は、キットの構成要素が使用され得る疾患に関する情報を含み得る。ラベルまたは挿入物は、方法または治療プロトコールまたは治療レジメンにおいてキットの構成要素のうちの1つ以上を使用するための臨床医または対象に対する使用説明書を含み得る。使用説明書は、本明細書に記載の投薬量、頻度または期間、及び方法、処置プロトコール、または治療レジメンのいずれかを実施する使用説明書を含み得る。
【0135】
ラベルまたは挿入物は、構成要素が提供し得る、あらゆる利点、例えば、治療上の利点、に関する情報を含み得る。ラベルまたは挿入物は、潜在的な有害な副作用に関する情報、例えば、特定の組成物(例えば、本明細書に記載の改変免疫細胞)を使用することが適切ではない状況に関する対象または臨床医への警告を含み得る。例えば、有害な副作用は、一般に、活性薬の高用量、頻度、または期間で生じる可能性がより高く、従って、使用説明書は、高用量、頻度、または期間に対する推奨事項を含み得る。対象が、組成物と適合しない可能性のある1つ以上の他の薬剤を服用しているか、服用する予定があるか、もしくは現在服用しているか、または、対象が、組成物と適合しない別の処置プロトコールもしくは治療レジメンを服用しているか、服用する予定があるか、もしくは現在服用している場合、有害な副作用も生じ得、それ故、使用説明書が、そのような非互換性に関する情報を含み得る。
【0136】
定義
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈に別途明示のない限り、複数の指示対象を含む。例えば、「細胞」という用語は、それらの混合物を含む、複数の細胞を含む。
【0137】
本明細書で使用される場合、「含む」という用語は、組成物及び方法が列挙された要素を含むが、他の要素を排除しないことを意味することが意図がされる。「から本質的になる」は、組成物及び方法を定義するために使用される場合、意図される用途のための組み合わせにとって任意の本質的な重要性のある他の要素を除外することを意味するものとする。例えば、本明細書で定義される要素から本質的になる組成物は、単離及び精製方法からの微量汚染物質と、薬学的に許容される担体、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、保存料などのを除外しないであろう。「からなる」は、微量の要素を超える他の成分及び本明細書に開示の組成物を投与するための実質的な方法ステップを除外することを意味するものとする。これらの移行用語のそれぞれで定義される態様は、本開示の範囲内にある。
【0138】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、値が、値を決定するために用いられるデバイスまたは方法の誤差の標準偏差を含むことを示すために使用される。「約」という用語は、範囲を含む数値(例えば、温度、時間、量、及び濃度)指定前に使用される場合、(+)または(-)15%、10%、5%、3%、2%、または1%変動し得る近似値を示す。
【0139】
本明細書でも使用される場合、「及び/または」は、関連リスト項目の1つ以上のうちのありとあらゆる可能な組み合わせ、及び、代替案(「または」)で解釈される場合の組み合わせの欠如を指し、包含する。
【0140】
本明細書で使用される場合、「任意の」または「任意に」は、その後に説明された事象または状況が生じ得るか、または生じる可能性がないことを意味し、説明が、事象または状況が生じる実施形態及び生じない実施形態を含むことを意味する。
【0141】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメイン、それぞれ、V及びVを介して他の分子(抗原、例えば、メソテリン)に結合するタンパク質を指す。「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗体の抗原への結合に関与する抗体のドメインを指す。天然抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれ、VH及びVL)は、一般に、同様の構造を融資、各ドメインは、4つの保存されたフレームワーク領域(FR)及び3つのCDRを含む(例えば、以下を参照:Kindt et al.Kuby Immunology,6th ed.,W.H.Freeman and Co.,page 91(2007))。単一のVHまたはVLドメインは、抗原結合特異性を付与するのに十分であり得る。さらに、特定の抗原に結合する抗体は、抗原に結合する抗体からVHまたはVLドメインを使用して単離され、それぞれ、相補的なVLまたはVHドメインのライブラリーをスクリーニングし得る。例えば、以下を参照:Portolano et al.,J.Immunol.150:880-887(1993);Clarkson et al.,Nature 352:624-628(1991)。
【0142】
本開示の抗体は、モノクローナル抗体を含む。「モノクローナル」という用語は、抗体に関して使用される場合、任意の真核生物、原核生物、またはファージクローンを含む単一のクローンに基づくか、単一のクローンから得られるか、またはそれに由来する抗体を指す。従って、「モノクローナル」抗体は、本明細書では構造的に定義され、それが産生される方法ではない。
【0143】
モノクローナル抗体は、当該技術分野で公知の方法により作製される(Kohler et al.,Nature,256:495(1975);及びHarlow and Lane,Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1999)。要約すると、モノクローナル抗体は、マウスに抗原を注射することにより得ることができる。動物を免疫するために使用されるポリペプチドまたはペプチドは、翻訳されたDNAに由来するものであっても、化学的に合成されてキャリアタンパク質にコンジュゲートされてもよい。免疫ペプチドに化学的に結合している一般に使用される担体は、例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、サイログロブリン、ウシ血清アルブミン(BSA)、及び破傷風トキソイドを含む。抗体産生は、血清試料を分析すること、脾臓を摘出してBリンパ球を取得すること、Bリンパ球を骨髄腫細胞と融合してハイブリドーマを産生すること、ハイブリドーマをクローニングすること、抗原に対する抗体を産生する陽性クローンを選択すること、及びハイブリドーマ培養物から抗体を単離することにより検証される。モノクローナル抗体は、様々な確立された手法によりハイブリドーマ培養物から単離及び精製することができ、これは、例えば、プロテインAセファロースを用いるアフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、及びイオン交換クロマトグラフィーを含む(例えば、以下を参照:Coligan et al.,Current Protocols in Immunology sections 2.7.1-2.7.12 and sections 2.9.1-2.9.3;及びBarnes et al.,“Methods in Molecular Biology,”10:79-104,Humana Press (1992))。
【0144】
本開示の抗体は、任意の抗体クラス、IgM、IgG、IgE、IgA、IgD、またはサブクラスに属し得る。IgGの例示的なサブクラスは、IgG、IgG、IgG、及びIgGである。
【0145】
本開示の抗体は、ヒト化抗体であり得る。「ヒト化」という用語は、アクセプターヒト免疫グロブリン分子に、抗原に特異的に結合する1つ以上の相補性決定領域(CDR)の非ヒトアミノ酸残基と、CDRに隣接するフレームワーク領域(FR)に1つ以上のヒトアミノ酸残基を有する抗体配列を指す。任意のマウス、ラット、モルモット、ヤギ、非ヒト霊長類(例えば、類人猿、チンパンジー、マカク、オランウータンなど)または他の動物抗体は、ヒト化抗体を産生するためのCDRドナーとして使用され得る。ヒトフレームワーク領域残基は、対応する非ヒト残基(例えば、ドナー可変領域由来)と置換することができる。従って、ヒトフレームワーク領域残基は、非ヒトCDRドナー抗体の対応する残基と置換することができる。ヒト化抗体は、ヒト抗体にもドナーCDRまたはフレームワーク配列にも見出されない残基が含まれ得る。ヒト化モノクローナル抗体に由来する抗体成分を使用すると、非ヒト領域の免疫原性に関連する問題が低減される。ヒト化抗体を産生する方法は、当該技術分野で既知である(例えば、米国特許第5,225,539号、第5,530,101号、第5,565,332号、及び第5,585,089号;Riechmann et al.,(1988)Nature 332:323;EP239,400;W091/09967;EP592,106;EP519,596;Padlan Molecular Immunol.(1991)28:489;Studnicka et al.,Protein Engineering(1994)7:805;Singer et al.,J.Immunol.(1993)150:2844;及びRoguska et al.,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA(1994)91:969)。
【0146】
本開示の抗体は、キメラ抗体であり得る。「キメラ抗体」という用語は、異なる部分が異なる動物種に由来する抗体、例えば、マウスモノクローナル抗体由来の可変領域及びヒト免疫グロブリン定常領域を有する抗体、例えば、ヒト化抗体を指す。いくつかの実施形態では、適切な抗原特異性のマウス抗体分子由来の遺伝子、及び、適切な生物学的活性のヒト抗体分子由来の遺伝子をスプライシングすることによる「キメラ抗体」の産生のために開発された手法(Morrison et al.,1984,Proc.Natl.Acad.Sci.81:851-855;Neuberger et al.,1984,Nature 312:604-608;Takeda et al.,1985,Nature 314:452-454)が使用される。
【0147】
本開示の抗体は、その結合フラグメントを含む。例示的な抗体フラグメントとしては、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、Fd、単鎖Fv(scFv)、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、軽鎖可変領域V、重鎖可変領域V、三重特異性(Fab)、二重特異性(Fab)、ダイアボディ((V-Vまたは(V-V)、トリアボディ(3価)、テトラボディ(4価)、ミニボディ((scF-C)))、二重特異性単鎖Fv(Bis-scFv)、IgGδCH2、scFv-Fc、(scFv)-Fc、及びIgG4PEが挙げられる。そのようなフラグメントは、全長抗体としての結合親和性、全長抗体としての結合特異性、または全長抗体としての1つ以上の活性もしくは機能、例えば、メソテリン結合抗体の機能もしくは活性を有し得る。
【0148】
抗体フラグメントを組み合わせることができる。例えば、VまたはV部分配列は、リンカー配列で結合され、それにより、V-Vキメラを形成し得る。単鎖Fv(scFv)配列の組み合わせは、リンカー配列で結合され、それにより、scFv-scFvキメラを形成し得る。抗体フラグメントは、一本鎖抗体または可変領域(複数可)を単独で、または他の配列の全てもしくは一部と組み合わせて含む。
【0149】
抗体フラグメントは、限定されないが、インタクト抗体のタンパク質分解消化及び組み換え宿主細胞による産生を含む様々な手法で作製することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、組み換えにより産生されたフラグメント、例えば、(合成リンカー、例えば、ペプチドリンカーにより結合された2つ以上の抗体領域または鎖を有するような)天然には存在しない、及び/または天然に存在するインタクト抗体の酵素消化により生成されない可能性がある配置を含むフラグメントである。いくつかの態様では、抗体フラグメントは、scFvである。
【0150】
抗体フラグメントは、抗体のタンパク質加水分解で、例えば、全抗体のペプシンまたはパパイン消化で、調製することもできる。ペプシンを用いる酵素的切断で生成された抗体フラグメントは、F(ab’)で示される5Sフラグメントを提供する。さらに、このフラグメントは、3.5S Fab’一価フラグメントを生成するために、チオール還元剤を使用して切断することができる。あるいは、ペプシンを使用する酵素切断は、2つの一価のFab’フラグメント及びFcフラグメントが直接生成する(例えば、以下を参照:米国特許第4,036,945号及び同第4,331,647号;ならびにEdelman et al.,Methods Enymol.1:422(1967))。抗体を切断する他の方法、例えば、重鎖の分離して一価の軽鎖-重鎖フラグメントを形成すること、フラグメントをさらに切断すること、または他の酵素的もしくは化学的方法も使用され得る。
【0151】
いくつかの実施形態では、一本鎖抗体の産生について記載されている手法(米国特許第4,694,778号;Bird,1988,Science 242:423-42;Huston et al.,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883;及びWard et al.,1989,Nature 334:544-54)は、一本鎖抗体を産生するように適合されている。一本鎖抗体は、アミノ酸架橋を介してFv領域の重鎖フラグメント及び軽鎖フラグメントを連結することにより形成され、一本鎖ポリペプチドが得られる。E.coliにおける機能的Fvフラグメントのアセンブリのための手法も任意に使用される(Skerra et al.,1988,Science 242:1038-1041)。
【0152】
本明細書で使用される場合、「同一」、「配列同一性」、またはパーセント「同一性」は、2つ以上の核酸またはポリペプチド配列との関連で使用される場合、同じか、または、指定された領域にわたって、特定のパーセンテージ(同じ、例えば、少なくとも60%の同一性、好ましくは、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の同一性)のヌクレオチドまたはアミノ酸残基を有する2つ以上の配列を指す。アラインメント及び配列同一性は、当該技術分野で既知のソフトウェアプログラム、例えば、以下に記載のものを使用して決定することができる:Current Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al.,eds.1987)Supplement 30,section 7.7.18,Table 7.7.1。好ましくは、デフォルトのパラメーターをアラインメントに使用される。好ましい位置合わせプログラムは、デフォルトのパラメーターを使用するBLASTである。特に、好ましいプログラムは、以下のデフォルトパラメーターを使用するBLASTN及びBLASTPである:遺伝コード=標準;フィルター=なし;ストランド=両方;カットオフ=60;期待=10;マトリックス=BLOSUM62;記述=50配列;ソート=ハイスコア;データベース=非冗長、GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDS翻訳+SwissProtein+SPupdate+PIR。これらのプログラムの詳細は、以下のインターネットアドレスncbi.nlm.nih.gov/cgi-bin/BLASTに見出すことができる。「同一」、「配列同一性」、またはパーセント「同一性」という用語は、試験配列の相補体も指すか、またはそれに適用することができる。用語は、欠失及び/または付加を有する配列、ならびに置換を有する配列も含む。本明細書に記載されるように、好ましいアルゴリズムは、ギャップなどを考慮し得る。好ましくは、同一性は、長さが少なくとも約25アミノ酸もしくはヌクレオチドである領域にわたって存在し、または、より好ましくは、長さが少なくとも50~100アミノ酸またはヌクレオチドである領域にわたって存在する。「無関係」または「非相同」配列は、本明細書に開示の配列の1つと40%未満の同一性、または25%未満の同一性を共有する。
【0153】
「タンパク質」、「ペプチド」、及び「ポリペプチド」という用語は、互換的に使用され、最も広い意味で、2つ以上のサブユニットアミノ酸、アミノ酸アナログ、またはペプチド模倣物の化合物を指す。サブユニットは、ペプチド結合で連結され得る。別の態様では、サブユニットは、他の結合、例えば、エステル、エーテルなどで連結され得る。タンパク質またはペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸を含有しなければならないが、タンパク質またはペプチドの配列を含み得るアミノ酸の最大数には制限はない。ポリペプチドは、全長の天然ポリペプチドと、「改変」形態、例えば、部分配列、バリアント配列、融合/キメラ配列、及びドミナントネガティブ配列を含む。本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、グリシン、ならびに、D及びL両方の光学異性体、アミノ酸アナログ、及びペプチド模倣物を含む、天然及び/または非天然または合成アミノ酸のいずれかを指す。
【0154】
ペプチドは、L異性体及びD異性体、ならびにそれらの組み合わせを含む。ペプチドは、通常、タンパク質の翻訳後プロセシング、例えば、環化(例えば、ジスルフィド結合またはアミド結合)、リン酸化、グリコシル化、カルボキシル化、ユビキチン化、ミリスチル化、または脂質化に関連する修飾が含まれ得る。修飾ペプチドは、別の残基で置換された、配列に追加された、または配列から欠失した1つ以上のアミノ酸残基を有し得る。特定の例は、1つ以上のアミノ酸の置換、付加、または欠失(例えば、1~3、3~5、5~10、10~20、またはそれ以上)を含む。
【0155】
本明細書で使用される場合、「修飾」及び「修飾された」という用語は、参照抗体、タンパク質、またはポリペプチドと比較した、抗体、タンパク質、またはポリペプチドの1つ以上のアミノ酸残基の変異、置換、付加、または欠失を指し、これは、修飾なしの抗体、タンパク質、またはポリペプチドと同等である。いくつかの実施形態では、修飾は、保存的置換を含む。
【0156】
「保存的置換」とは、生物学的、化学的、または構造的に類似した残基による1つのアミノ酸の置換である。生物学的に類似は、置換が非置換配列の活性または機能と適合することを意味する。構造的に類似は、アミノ酸が、アラニン、グリシン、及びセリンなどの同様の長さの側鎖、または同様のサイズの側鎖を有することを意味する。化学的類似性は、残基が同じ電荷を有するか、または親水性もしくは疎水性の両方であることを意味する。特定の例としては、イソロイシン、バリン、ロイシン、もしくはメチオニンなどの疎水性残基を別のものへの置換、または、ある極性残基を別のものへの置換(例えば、アルギニンのリジンへの置換、グルタミン酸のアスパラギン酸への置換、もしくはグルタミンのアスパラギンへの置換、セリンのスレオニンへの置換など)が挙げられる。
【0157】
本明細書で使用される場合、「核酸」という用語は、天然、合成、または人工のヌクレオチドアナログまたは塩基を含むDNAまたはRNAを指す。いくつかの実施形態では、ヌクレオチドアナログまたは人工ヌクレオチド塩基は、リボース部分の2’ヒドロキシル基に修飾を有する核酸を含む。いくつかの実施形態では、修飾は、H、OR、R、ハロ、SH、SR、NH、NHR、NR、またはCNを含み、Rは、アルキル部分である。例示的なアルキル部分として、ハロゲン、硫黄、チオール、チオエーテル、チオエステル、アミン(1級、2級、または3級)、アミド、エーテル、エステル、アルコール、及び酸素が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アルキル部分は、さらに、修飾を含む。いくつかの実施形態では、修飾は、アゾ基、ケト基、アルデヒド基、カルボキシル基、ニトロ基、ニトロソ基、ニトリル基、複素環(例えば、イミダゾール、ヒドラジノ、もしくはヒドロキシルアミノ)基、イソシアナート基もしくはシアナート基、または硫黄含有基(例えば、スルホキシド、スルホン、スルフィド、もしくはジスルフィド)を含む。いくつかの実施形態では、アルキル部分は、さらに、ヘテロ置換を含む。いくつかの実施形態では、複素環基の炭素は、窒素、酸素、または硫黄で置換されている。いくつかの実施形態では、複素環置換は、モルホリノ、イミダゾール、及びピロリジノを含むが、これらに限定されない。
【0158】
いくつかの実施形態では、ヌクレオチドアナログは、修飾塩基、例えば、限定されないが、5-プロピニルウリジン、5-プロピニルシチジン、6-メチルアデニン、6-メチルグアニン、N,N,-ジメチルアデニン、2-プロピルアデニン、2プロピルグアニン、2-アミノアデニン、1-メチルイノシン、3-メチルウリジン、5-メチルシチジン、5-メチルウリジン及び5位に修飾を有する他のヌクレオチド、5-(2-アミノ)プロピルウリジン、5-ハロシチジン、5-ハロウリジン、4-アセチルシチジン、1-メチルアデノシン、2-メチルアデノシン、3-メチルシチジン、6-メチルウリジン、2-メチルグアノシン、7-メチルグアノシン、2,2-ジメチルグアノシン、5-メチルアミノエチルウリジン、5-メチルオキシウリジン、デアザヌクレオチド(例えば、7-デアザ-アデノシン、6-アゾウリジン、6-アゾシチジン、または6-アゾチミジン)、5-メチル-2-チオウリジン、他のチオ塩基(例えば、2-チオウリジン、4-チオウリジン、及び2-チオシチジン)、ジヒドロウリジン、プソイドウリジン、クエオシン、アルケオシン、ナフチル及び置換ナフチル基、任意のO-アルキル化及びN-アルキル化プリン及びピリミジン(例えば、N6-メチルアデノシン、5-メチルカルボニルメチルウリジン、ウリジン5-オキシ酢酸、ピリジン-4-オン、またはピリジン-2-オン)、フェニル及び修飾フェニル基、例えば、アミノフェノールまたは2,4,6-トリメトキシベンゼン、Gクランプヌクレオチドとして機能する修飾シトシン、8-置換アデニン及びグアニン、5-置換ウラシル及びチミン、アザピリミジン、カルボキシヒドロキシアルキルヌクレオチド、カルボキシアルキルアミノアルキルヌクレオチド、ならびにアルキルカルボニルアルキル化ヌクレオチドを含む。修飾ヌクレオチドは、糖部分に関して修飾されているヌクレオチド、及びリボシルではない糖またはそのアナログを有するヌクレオチドも含む。例えば、いくつかの実施形態では、糖部分は、マンノース、アラビノース、グルコピラノース、ガラクトピラノース、4’-チオリボース、及び他の糖、複素環、または炭素環であるか、またはそれらに基づいている。ヌクレオチドという用語は、当該技術分野でユニバーサル塩基として知られているものも含む。例として、ユニバーサル塩基は、3-ニトロピロール、5-ニトロインドール、またはネブラリンを含むが、これらに限定されない。
【0159】
本発明の核酸分子は、各核酸の塩基配列情報に基づいて、公知の手法、例えば、化学合成法またはPCR増幅法で製造することができる。アミノ酸をコードするために選択されたコドンは、目的の宿主細胞における核酸発現を最適化するために操作され得る。
【0160】
本明細書で使用される場合、T細胞の集団を説明する時の「実質的に」という用語は、約30%、25%、20%、15%、10%、5%、またはそれ未満の夾雑細胞を含む集団を指す。いくつかの実施形態では、夾雑細胞は、T細胞集団中の約20%未満である。いくつかの実施形態では、夾雑細胞は、T細胞集団中の約15%未満である。いくつかの実施形態では、夾雑細胞は、T細胞集団中の約10%未満である。
【0161】
本明細書で使用される場合、「処置する」、「処置」などの用語は、所望の薬理学的及び/または生理学的効果を得ることを意味する。効果は、疾患の症状の改善、または疾患及び/または疾患に起因する有害反応の部分的または完全な治癒という点で治療的であり得る。一態様では、「処置」という用語は、予防を含まない。
【0162】
本明細書で使用される場合、「処置する」ことは、さらに、病理に関連する症状の全身的な改善及び/または症状の発症の遅延を含む。「処置」の臨床的及び潜在的証拠は、病状、個体、及び処置と共に変化する。一態様では、処置は、予防を含まない。
【0163】
「改善する」という用語は、対象の状態の検出可能な改善を意味する。検出可能な改善は、疾患により引き起こされるか、もしくはそれに関連する症状(例えば、1つ以上の有害な症状)、障害、病気、病状、疾患、または疾患により引き起こされるか、もしくはそれに関連する合併症の発生、頻度、重症度、進行、または期間における主観的または客観的な減少、低減、阻害、抑制、制限、または制御、あるいは根本的な原因または疾患の影響または疾患の反転の改善を含む。
【0164】
従って、処置は、疾患、または関連症状もしくは結果、または根本的な原因の減少、低減、阻害、抑制、制限、制御、または予防;疾患、状態、症状もしくは影響、または根本的な原因の進行もしくは悪化の減少、低減、阻害、抑制、制限、制御、または悪化;あるいは、病状の1つ以上の追加の症状、または症状のさらなる悪化または発生をもたらし得る。従って、処置結果の成功は、対象の1つ以上の症状あるいは状態、疾患、または症状の根本的な原因または影響、例えば、1つ以上の有害症状、障害、病気、病状、疾患、または疾患もしくは状態により引き起こされたか、もしくはそれと関連する合併症の発生、頻度、重症度、進行、または期間を減少、低減、阻害、抑制、制限、制御、または予防する「治療効果」または「利益」をもたらす。従って、状態、疾患、または症状の1つ以上の根本的な原因に影響を与える処置法は、有益であると考えられる。障害または状態を安定させることも良好な処置結果である。
【0165】
従って、治療上の利益または改善は、状態または疾患に関連する症状、合併症、影響、または根本的な原因のいずれか1つ、ほとんど、または全てを完全に除去する必要はない。従って、満足のいくエンドポイントは、対象の状態における漸進的な改善;あるいは、1つ以上の関連する有害な症状または合併症または影響または根本的な原因の発生、頻度、重症度、進行、もしくは期間、または阻害もしくは反転における部分的減少、低減、阻害、抑制、制限、制御、または防止;短期間または長期間(数時間、数日、数週、数月など)にわたる、障害または疾患(例えば、1つ以上の有害症状、障害、病気、病変、疾患、または疾患もしくは状態により引き起こされるか、またはそれと関連する合併症)の生理学的、生化学的、または細胞性徴候もしくは特性のうちの1つ以上の悪化または進行(例えば、状態、障害、または疾患の1つ以上の症状または合併症の安定化)がある場合、達成される。
【0166】
「許容可能な」、「有効な」、または「十分な」という用語は、本明細書に開示の任意の構成成分、範囲、用量形態などの選択を説明するために使用される場合、該構成成分、範囲、投与形態などが開示の目的に適していることを意図する。
【0167】
「対象」、「宿主」、「個体」、及び「患者」という用語は、動物、通常は、哺乳動物を指すために、本明細書で互換的に使用される。任意の好適な哺乳動物は、本明細書に記載の方法、細胞、または組成物で処置することができる。哺乳動物の非限定例としては、ヒト、非ヒト霊長類(例えば、類人猿、テナガザル、チンパンジー、オランウータン、サル、マカクなど)、飼育動物(例えば、イヌ及びネコ)、家畜(例えば、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ)、ならびに実験動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、モルモット)が挙げられる。いくつかの実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。哺乳動物は、任意の年齢または任意の発達段階(例えば、成人、十代、子供、乳児、または子宮内の哺乳動物)であり得る。哺乳動物は、雄でも雌であり得る。哺乳動物は、妊娠中の雌であり得る。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。
【実施例
【0168】
これらの例は、例示のみを目的として提供され、本明細書で提供される特許請求の範囲を限定するものではない。
【0169】
実施例1
CAR-T細胞の調製
MSGV γ-レトロウイルスベクターの形質導入のために、pAmphoベクターと共にリポフェクタミン3000(Thermo Fisher Scientific、MA、USA)を使用して、プラスミドをGP2-293パッケージング細胞株にトランスフェクトし、ウイルス上清を生成した。トランスフェクションの48時間後に、上清を収集し、レトロネクチン(Takarabio、Shiga、Japan)でコーティングされたプレート上で遠心分離することにより、ウイルス結合プレートを調製した。末梢血単核細胞(PBMC)を固化抗ヒトCD3 Ab(OKT3、5μg/mL)で活性化し、組み換えヒトIL-2(400IU/mL)を含有する培地で3日間培養した。PBMCをウイルス結合プレートに添加し、1回目の感染のために24時間培養した。次に、培養PBMCを、2回目の感染のために別のウイルス結合プレートに移し、4時間のインキュベーション後、感染細胞を、400IU/mLの組み換えヒトIL-2を含有する新鮮な培地で3日間増殖させた。SFGγ-レトロウイルスベクターの形質導入では、gag/pol遺伝子(Cell Biolabs Inc.、CA、US)及びVSV-Gベクター(Takarabio、Shiga、Japan)と共に、FuGENE(登録商標)HDトランスフェクション試薬(Promega Corp.、WI、USA)を使用して、プラスミドをPhoenixAmphoパッケージング細胞株にトランスフェクトした。EasySep(商標)ヒトT細胞分離キット(Stem Cell Technologies、BC、Canada)を使用して、T細胞をPBMCから分離し、T細胞TransAct(Miltenyi Biotech、Bergisch Gladbach、Germany)及び10ng/mLの組み換えヒトIL-2(Miltenyi、Bergisch Gladbach、Germany)と共に2日間培養した。T細胞を、10ng/mLの組み換えヒトIL-2含有培地で培養し、単離から3日後、20ug/mLのレトロネクチンでコーティングされたプレート上で、T細胞にウイルス上清を5時間形質導入した。G-Rex(WilsonWolf、MN、USA)を使用して、形質導入されたT細胞を4日間増殖させた。形質導入効率をフローサイトメトリーで測定した。X-VIVO(商標)15 Medium(Lonza、Basel、Switzerland)またはCTS(商標)OpTmizer(商標)T細胞増殖SFM(Thermo Fisher Scientific、MA、USA)のいずれかを培地として使用した。
【0170】
CAR-T細胞のin vitro腫瘍細胞傷害活性の評価
CAR-T細胞のin vitro標的腫瘍細胞の殺傷活性を、ヒトMSLN発現細胞に対して評価した。非形質導入(UTD)T細胞を、対照物質として並行して評価した。この研究で使用された標的細胞は、ヒトMSLNを内因的に発現するCapan-2細胞及びMSTO-211H-Luc細胞であった。標的細胞を播種し、その後、希釈したCAR-T細胞またはUTD T細胞を添加して、6点の一連のエフェクター(CAR陽性):標的細胞(E:T)比:3:1、1:1、0.3:1、0.1:1、0.03:1、及び、0.01:1を得た。共培養の48時間後に、T細胞を洗い流した後、CellTiter-Glo(登録商標)発光細胞生存率アッセイ(Promega Corp.、WI、USA)を用いて、標的細胞株の生存率を測定した。T細胞共培養条件における標的細胞の細胞生存率を非T細胞共培養条件における細胞生存率を比較することにより、相対的殺傷活性を計算した。
【0171】
Capan-2及びMSTO-211H-Luc細胞に対するCAR-T細胞及びUTD T細胞のin vitro標的細胞殺傷活性を図2に示す。試験された全てのCAR-T細胞は、Capan-2及びMSTO-211H-Luc細胞に対する標的細胞殺傷活性の用量依存的な増加を示した。対照的に、UTD T細胞は、E:T比が最も高くても、Capan-2及びMSTO-211H-Luc細胞を殺傷する能力が限られていることを示す。第2の8-28z_7x19 CAR-T(CAR#305)、第2の8-BBz_7x19 CAR-T(CAR#309)、及び第2の28-28z_7x19 CAR-T(CAR#311)細胞は、第3の8-28BBz_7x19 CAR-T細胞(CAR#301)と比較して、より高い標的細胞殺傷活性と同様の活性を示した。
【0172】
実験で使用された抗MSLN CAR-IL-7-CCL19コンストラクトの説明を以下に示す。
【0173】
CAR#301(F2Aを含む第3の8-28BBz_7x19、pMSGV)
抗MSLN scFv、ヒトCD8のヒンジ及び膜貫通領域、ヒトCD8、CD28、4-1BB、及びCD3zの細胞内シグナルドメインをコードする抗MSLN CAR DNAフラグメント
【0174】
CAR#305(F2Aを含む第2の8-28z_7x19、pMSGV)
抗MSLN scFv、ヒトCD8のヒンジ及び膜貫通領域、ヒトCD28及びCD3zの細胞内シグナルドメインをコードする抗MSLN CAR DNAフラグメント
【0175】
CAR#309(F2Aを含む第2の8-BBz_7x19、pMSGV)
抗MSLN scFv、ヒトCD8のヒンジ及び膜貫通領域、ヒト4-1BB及びCD3zの細胞内シグナルドメインをコードする抗MSLN CAR DNAフラグメント
【0176】
CAR#311(F2Aを含む第2の28-28z_7x19、pMSGV)
抗MSLN scFv、ヒトCD28のヒンジ及び膜貫通領域、ヒトCD28及びCD3zの細胞内シグナルドメインをコードする抗MSLN CAR DNAフラグメント
【0177】
CAR#334(F2Aを含む第3の8-28BBz_7x19、pSFG)
抗MSLN scFv、ヒトCD8のヒンジ及び膜貫通領域、ヒトCD8、CD28、4-1BB、及びCD3zの細胞内シグナルドメインをコードする抗MSLN CAR DNAフラグメント
【0178】
CAR#314(F2Aを含む第2の8-28z_7x19、pSFG)
抗MSLN scFv、ヒトCD8のヒンジ及び膜貫通領域、ヒトCD28及びCD3zの細胞内シグナルドメインをコードする抗MSLN CAR DNAフラグメント
【0179】
CAR#318(F2Aを含む第2の8-BBz_7x19、pSFG)
抗MSLN scFv、ヒトCD8のヒンジ及び膜貫通領域、ヒト4-1BB及びCD3zの細胞内シグナルドメインをコードする抗MSLN CAR DNAフラグメント
【0180】
CAR#323(F2Aを含む第2の28-28z_7x19、pSFG)
抗MSLN scFv、ヒトCD28のヒンジ及び膜貫通領域、ヒトCD28及びCD3zの細胞内シグナルドメインをコードする抗MSLN CAR DNAフラグメント
【0181】
CAR#345(P2Aを含む第2の28-28z_7x19、pSFG)
抗MSLN scFv、ヒトCD28のヒンジ及び膜貫通領域、ヒトCD28及びCD3zの細胞内シグナルドメインをコードする抗MSLN CAR DNAフラグメント
【0182】
CAR#347(P2Aを含む第2の8-28z_7x19、pSFG)
抗MSLN scFv、ヒトCD8のヒンジ及び膜貫通領域、ヒトCD28及びCD3zの細胞内シグナルドメインをコードする抗MSLN CAR DNAフラグメント
【0183】
CAR#348(P2Aを含む第3の8-28BBz_7x19、pSFG)
抗MSLN scFv、ヒトCD8のヒンジ及び膜貫通領域、ヒトCD8、CD28、4-1BB、及びCD3zの細胞内シグナルドメインをコードする抗MSLN CAR DNAフラグメント
【0184】
CAR#349(P2Aを含む第2の8-BBz_7x19、pSFG)
抗MSLN scFv、ヒトCD8のヒンジ及び膜貫通領域、ヒト4-1BB及びCD3zの細胞内シグナルドメインをコードする抗MSLN CAR DNAフラグメント
【0185】
CAR#357(F2Aを含む第2の8-BBz_7x19、pSFG)
抗MSLN scFv、ヒトCD8のヒンジ及び膜貫通領域、ヒト4-1BB及びCD3zの細胞内シグナルドメインをコードする抗MSLN CAR DNAフラグメント
【0186】
CAR#358(T2Aを含む第2の8-BBz_7x19、pSFG)
抗MSLN scFv、ヒトCD8のヒンジ及び膜貫通領域、ヒト4-1BB及びCD3zの細胞内シグナルドメインをコードする抗MSLN CAR DNAフラグメント
【0187】
CAR#364(非同一ヌクレオチドP2A配列を含む第2の28-28z_7x19、pSFG)
抗MSLN scFv、ヒトCD28のヒンジ及び膜貫通領域、ヒトCD28及びCD3zの細胞内シグナルドメインをコードする抗MSLN CAR DNAフラグメント
【0188】
CAR#365(非同一ヌクレオチドP2A配列を有する第2の8-BBz_7x19、pSFG)
抗MSLN scFv、ヒトCD8のヒンジ及び膜貫通領域、ヒト4-1BB及びCD3zの細胞内シグナルドメインをコードする抗MSLN CAR DNAフラグメント
【0189】
上記実験で使用されたコンストラクトでは、GSG(ペプチドリンカー)を、P2A配列、F2A配列、T2A配列のそれぞれのN末端に付加した。
【0190】
CAR-T細胞のin vivo抗腫瘍活性の評価
雌NSGマウスに、200万(M)個のMSLN陽性Capan-2腫瘍細胞を皮下接種させた。接種後7日目に、CAR-T細胞を、いくつかの用量(CAR陽性細胞数として、第3の8-28BBz_7x19 CAR-T(CAR#334)は0.8M、2M、及び5M、第2の8-28z_7x19(CAR#314)及び第2の8-BBz_7x19 CAR-T(CAR#318)は3.2M、第2の8-28z_7x19 CAR-T細胞(CAR#323)は5M)で単回静脈内投与した。対照群として、ビヒクル対照リン酸緩衝生理食塩水(PBS)または対照UTD T細胞を投与した。各マウスの腫瘍体積(TV)を週2回測定した。
【0191】
各処置群(1群当たり5匹のマウス)のマウスの腫瘍体積(TV)が図3で提示される。5Mの第3の8-28BBz_7x19 CAR-T(CAR#334)群及び3.2Mの第2の8-28z_7x19 CAR-T群(CAR#314)では、TVは、投与後最初の3週間で徐々に増加する傾向があり、TVの軽度の減少の傾向が観察された。一方、5Mの第2の28-28z_7x19 CAR-T群(CAR#323)及び3.2Mの第2の8-BBz_7x19 CAR-T(CAR#318)群では、CAR-T処置後2週間以内に腫瘍縮小が観察され、各群のマウス5匹中3匹で腫瘍組織の消滅が実証され、完全応答(CR)が示唆された。これらの結果は、IL-7及びCCL19で強化された第2世代CAR-Tが、第3世代8-28BBz_7x19 CAR-Tコンストラクトと比較して、より高い抗腫瘍有効性を有することを示した。
【0192】
異種移植された腫瘍組織の組織病理学的評価を使用したCAR-T細胞の抗腫瘍活性の評価
雌NSGマウスに、200万(M)個のメソテリン陽性Capan-2腫瘍細胞を皮下接種させた。接種後7日目に、5MのCAR陽性細胞のCAR-T細胞を単回静脈内投与した。試験されたコンストラクトは、第2の8-BBz_7x19 CAR-T(CAR#349)及び第2の28-28z_7x19 CAR-T細胞(CAR#345)であった。対照群として、ビヒクル対照リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、または同等の総T細胞数の対照UTD T細胞を投与した。各マウスの腫瘍体積(TV)を週2回測定した。各群のエンドポイント(第2の28-28z_7x19 CAR-T(CAR#345)群は18日目、及び、UTDまたは第2の8-BBz_7x19 CAR-T(CAR#349)群は32日目)で、腫瘍異種移植片を収集し、組織スライドの顕微鏡検査を実施した。図4Aを参照のこと。
【0193】
図4Bで、各群の平均腫瘍体積(TV)をプロットした。第2の28-28z_7x19 CAR-T(CAR#345)処置群は、CAR-T投与後8日目から平均TVの急激な増加を示し、全てのマウスを、人道的エンドポイントとして評価されたGvHD様症状により18日目に死亡させた。一方、第2の8-BBz_7x19 CAR-T(CAR#349)処置群では、平均TVの増加が15日目~22日目に観察され、これらの大きくなった腫瘍異種移植片は、32日目までに急速に減少した。32日目に、マウス5匹中3匹が腫瘍の消滅を示し、第2の8-BBz_7x19 CAR-T細胞(CAR#349)の完全な応答を示唆した。UTD T細胞で処置された腫瘍異種移植片は、腫瘍細胞の腺パターンを残し、ヒトCD3陽性T細胞の軽度の浸潤が観察された。ヒトCD3陽性T細胞の顕著な浸潤は、第2の28-28z_7x19 CAR-T(CAR#345)処置群の腫瘍異種移植片で観察された。第2の8-BBz_7x19 CAR-T(CAR#349)処置マウスから採取された腫瘍異種移植片は、腫瘍がエンドポイントで縮小していることが示されたが、残りの異種移植片では、ヒトCD3陽性T細胞の中程度の浸潤が確認された。CAR-T処置マウスのこれらの異種移植組織では、腫瘍細胞の腺成長パターンが失われ、組織は、浸潤ヒトT細胞で満たされ、これは、UTD T細胞処置マウスのものとは全く異なった。これらの結果は、CAR-T処置マウスで観察された腫瘍量の増加が、異種移植された腫瘍微小環境における投与されたヒトT細胞の蓄積の結果であり、これは、腫瘍の偽進行と考えることができることを示した。これは、T細胞のIL-7依存性T細胞増殖及びCCL19依存性蓄積からもたらされた有効性のMOAにより引き起こされる徴候を示唆する。
【0194】
腫瘍細胞の生物発光イメージング(BLI)を使用したCAR-T細胞の抗腫瘍活性の評価
平均腫瘍体積は、CAR-Tまたは他の類似の被験物質の使用で予想されるように、腫瘍量を評価する一般的な手段であるが、腫瘍体積(TV)で測定された効果は、被験物質が免疫細胞の蓄積を刺激する場合、複雑であり得る。炎症による腫瘍体積の観察された変化または増加がないにもかかわらず、腫瘍細胞の減少を特異的に測定することができるので、ルシフェラーゼ発現腫瘍細胞株を使用した腫瘍体積のin vivo評価は、これらのモデルにおける抗腫瘍有効性のより具体的な尺度であり得る。雌NSGマウスに、500万(M)個のMSLN陽性SKOV3-luc腫瘍細胞を腹腔内接種させた。接種後4日目に、CAR-T細胞をいくつかの用量(CAR陽性細胞数として、第2の8-BBz_7x19 CAR-T(CAR#365)及び第2の28-28z_7x19 CAR-T細胞(CAR#364)が0.1M、0.3M、及び1M)で単回静脈内投与した。対照群として、ビヒクル対照リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、または同等の総T細胞数の対照UTD T細胞を、0.3M及び1MのUTD群に対して投与した。マウスは、28日間監視された。SKOV3-luc細胞の発光の尺度である全光束(TF)は、動物に存在するSKOV3-luc腫瘍細胞の数に比例し、抗腫瘍有効性の評価に使用することができ、週1回測定された。図5Aを参照のこと。
【0195】
この研究の期間は、28日間であったが、0.1M、0.3M、及び1Mの用量で、第2の28-28z_7x19 CAR-T(CAR#364)処置群は全て、人道的なエンドポイントのためにCAR-T注射後14日目に死亡させた。1MのCAR-T細胞の用量での両方のCAR-T処置群(CAR#364及びCAR#365)は、14日目に平均全光束の低減を示し、これは、CAR-T注射後7日目の最初の測定で最初に観察された。平均TFの低減は、0.3M及び1Mの用量で第2の8-BBz_7x19 CAR-T(CAR#365)処置群において研究期間中持続した。第2の8-BBz_7x19(CAR#365)CAR-Tの0.1Mの用量群では、腫瘍細胞は、研究期間を通じて存在したままであった。ビヒクル対照群及びUTD T細胞の両方の用量群のTFは、7日目からエンドポイントまで継続的に増加した。これらの結果は、SKOV3-luc異種移植片を担持するNSGマウスにおける第2の8-BBz_7x19 CAR-T(CAR#365)細胞及び第2の28-28z_7x19 CAR-T(CAR#364)細胞の両方の用量依存的な抗腫瘍活性(発光の尺度である平均TFの大幅な低減で測定)の証拠を示す。図5Bを参照のこと。
【0196】
CAR-T細胞の抗原非依存性in vivo細胞増殖能を評価するために、抗原発現腫瘍の有無にかかわらず、CAR-T投与後のマウスの体重(BW)変化を調査した。BWの減少は、通常、マウスへのヒトT細胞注射後の移植片対宿主病(GvHD)症状として観察された。
【0197】
雌NSGマウスに、200万(M)個のMSLN陽性Capan-2腫瘍細胞を皮下接種させた。接種後7日目に、3MのCAR陽性細胞のCAR-T細胞を単回静脈内投与した。試験されたCAR-Tコンストラクトは、第2の8-28z_7x19(CAR#347)、第2の8-BBz_7x19 CAR-T(CAR#349)、及び第2の28-28z_7x19 CAR-T細胞(CAR#345)であった。対照群として、同等の総細胞数のUTD T細胞(4.4Mの細胞)を投与した。これらのT細胞を、同日に非担腫瘍マウスに投与した。各マウスの体重(BW)を週2回測定した。
【0198】
5匹の動物からなる各マウス群の平均体重変化(%)を図6A及び図6Bにプロットした。
【0199】
Capan-2腫瘍異種移植モデルでは、第2の8-28z_7x19 CAR-T細胞(CAR#347)の投与の11日後に急性のBW減少が観察された。第2の28-28z_7x19 CAR-T細胞(CAR#345)投与の14日後にも、BW減少が観察されたが、UTD T細胞処置群においても、第2の8-BBz_7x19 CAR-T(CAR#349)処置群においても有意なBW減少は観察されなかった。非担腫瘍状態では、11日目に、平均BWの有意な減少が第2の8-28z_7x19 CAR-T(CAR#347)処置群でのみ観察され、他のCAR-T処置群及びUTD群では観察されなかった。これは、オフターゲット毒性のリスクと考えられ得る抗原刺激のない第2の8-28z_7x19 CAR-T(CAR#347)の高いin vivo増殖能力を示唆する。
【0200】
CAR-T細胞のin vivo安全性評価
担腫瘍雌NSGマウスにおいて、7.5×10個の総細胞(3MのCAR+細胞に相当)の単回投与後に、コンストラクトCAR#365(第2の8-BBz_7x19)、CAR#364(第2の28-28z_7x19)、及び非形質導入(UTD)細胞の安全性を評価した。この研究では、CAR-T投与の17日後に、動物を人道的に安楽死させ、血清化学、臓器重量、ならびに肉眼的及び顕微鏡的病理の変化について評価した。
【0201】
3つの群間で血清化学または臓器重量に大きな変化はなく、全ての動物が、最終解剖まで生存した。巨視的な所見は、CAR#364を投与された動物に存在し、肺の変色及び脾臓の肥大からなり、これらの両方は、臓器重量の最小限の増加に関連し、これらの組織のCAR-T細胞、すなわち、混合細胞炎症(肺)の存在と、白髄(脾臓)の細胞密度の増加に微視的に関連していた。
【0202】
UTD細胞は、肺及び脾臓における最小の推定CAR-T浸潤/炎症を有していた。肺のパターンが典型的であったので、この所見は、移植片対宿主病(GvHD)に関連している可能性があると考えられている。CAR#365を投与された動物は、UTD細胞を投与された動物と同様であり、肺単核浸潤または混合細胞炎症の発生率が低く、脾臓及びさらに骨髄に生着する推定CAR-T細胞の発生率が高かった。追加の所見は、1匹の動物の肝臓にそれぞれ存在した(おそらく、GvHDと一致する最小限の推定CAR-T浸潤)。
【0203】
CAR#364を投与された動物は、UTD細胞を投与された動物よりも重篤な所見があり、さらに肝臓に所見が見られた。これらの所見は、GvHDの効果及び/またはサイトカイン防御に関連するCAR-T活性化の他の機序の悪化をもたらす持続性シグナル伝達を示唆している。
【0204】
全体として、非担腫瘍雌NSGマウスにおいて、コンストラクトCAR#365は、良好な忍容性を示し、UTD細胞と同様の所見は、最小限であり、これは、所見がGvHDに関連し得ることを示す。正常組織において、コンストラクトCAR#365は、制御されない細胞増殖の徴候があったコンストラクトCAR#364と比較して、優れた安全性プロフィールも示した。図7A~7Cを参照のこと。
【0205】
Capan-2異種移植NSGマウスに投与されたT細胞のフローサイトメトリー分析
雌NOG MHCクラスI/II KOマウスに、200万(M)個のメソテリン陽性Capan-2腫瘍細胞を皮下接種させた。腫瘍接種後7日目に、5MのCAR陽性細胞のCAR-T細胞を単回静脈内投与した。試験されたCAR-Tコンストラクトは、第2の8-BBz_7x19 CAR-T(CAR#364)及び第2の28-28z_7x19 CAR-T細胞(CAR#365)であった。対照群として、同等の総細胞数のUTD T細胞(12.5Mの細胞)を投与した。血液、脾臓、及び異種移植腫瘍組織を、第2の8-BBz_7x19 CAR-T(CAR#365)投与群についてCAR-T注射後13、27、及び41日目に収集した。同様に、CAR-T注射後13日目に、第2の28-28z_7x19 CAR-T(CAR#364)細胞用量群で血液及び組織を収集した。この群の全ての動物が、人道的なエンドポイントのためにCAR-T注射後13日目に死亡させた。腫瘍試料の場合、腫瘍組織解離試薬キット(TTDR、BD Biosciences)を使用して細胞を収集した。脾臓試料を分離し、濾過して、細胞懸濁液を得た。細胞を、FACS緩衝液(500mLのDPBS-/5mLのNaN3/10mLのFBS)中、hisタグ付きメソテリンと共に、暗所、室温で30分間インキュベートした。細胞を洗浄し、遠心分離し、続いて、PBS中のゾンビNIRと共に、暗所、室温で15分間インキュベートした。細胞を抗体混合物(CD3/FITC、CD8/BV510、CTLA4/PE-Cy7、LAG-3/Alexa Fluor 647、PD-1/BV421、TIM-3/PerCP-Cy5.5、抗hisAb/PE)と共にインキュベートした。洗浄された細胞を、DW中、BD FACS溶解緩衝液(BD Biosciences)と共にインキュベートした。洗浄ステップ後、細胞を、FACS緩衝液(500mLのDPBS-/5ml NaN3/10mL FBS)に再懸濁し、BD FACSLyric(商標)フローサイトメーターで分析した。データ分析には、FlowJoソフトウェア(BD Biosciences)を使用した。
【0206】
血液、腫瘍、及び脾臓のCD3+細胞における消耗マーカー(CTLA4、PD-1、LAG-3、及びTIM3)の発現が図8A~8Cに示される。末梢(血液及び脾臓)では、CAR#365は、CAR#364よりも少ない疲弊マーカーの発現を示した。腫瘍では、#364及び#365の両方でLAG-3及びTIM-3の発現が低かった。CTLA-4及びPD-1では、CAR#365は、CAR#364よりも遅い発現を示した。
【0207】
可溶性ヒトメソテリンのCAR-T活性化に対する評価
CAR-T機能に対する可溶型MSLNの遮断活性を評価するために、第2の8-BBz_7x19 CAR-T(CAR#349)及び第2の28-28z_7x19 CAR-T細胞(CAR#345)を、いくつかの用量(0.01、0.03、0.1、0.3、及び1μg/mL)で、可溶型MSLN(sMSLN)と共にそれぞれ24時間プレインキュベートし、洗浄されたCAR-T細胞を、MSLN陽性Capan-2腫瘍細胞と共にインキュベートした。腫瘍及びCAR-T細胞の共培養の48時間後、共培養上清を収集し、ヒトIFNγ分泌レベルをELISAで測定した。
【0208】
図9に示されるように、約10,000pg/mLのヒトIFNγが、ビヒクルPBSでプレインキュベートされたCapan-2細胞及び第2の28-28z_7x19 CAR-T(CAR#345)細胞の共培養上清から分泌された。第2の8-BBz_7x19 CAR-T細胞(CAR#349)からのIFNγ分泌は、同じ条件で約7,000pg/mLであった。抗原刺激された第2の28-28z_7x19 CAR-T細胞(CAR#345)からのIFNγ分泌は、sMSLNとのプレインキュベーションにより用量依存的に減少したが、抗原刺激された第2の8-BBz_7x19 CAR-T細胞(CAR#349)からのIFNγ分泌における用量依存的阻害は、sMSLNにより誘導されなかった。
【0209】
CAR-T細胞からのIL-7及びCCL19の分泌レベルの比較
培養された第2の8-BBz_7x19 CAR-T(P2Aを含む、CAR#349)細胞、第2の8-BBz_7x19 CAR-T(F2Aを含む、CAR#357)細胞、及び第2の8-BBz_7x19 CAR-T(T2Aを含む、CAR#358)細胞から収集された培養上清を使用して、IL-7及びCCL19の分泌レベルをELISAで評価した。MSDシステムを使用して、各CAR-T細胞から分泌されたIL-7-CCL19融合タンパク質の定量を実施した。
【0210】
MSD GOLD 96ウェルのストレプトアビジンSECTORプレート(MSDカタログ番号:L15SA-5)を、3%のBSAを含有する250μL/ウェルの1×PBSTと共に30分間超インキュベートした。プレートを1×PBSTで3回洗浄し、ブロットして過剰な緩衝液を除去した(以下、洗浄ステップと呼ばれる)。U-PLEXヒトMIP-3β抗体セット(MSD、カタログ番号:B21VA-3)のビオチン抗ヒトMIP-3β抗体を捕捉試薬として使用した。25μL/ウェルの1×捕捉抗体を添加し、室温で1時間インキュベートした。洗浄ステップの後、試料を等量のアッセイ緩衝液(3%のBSAを含有する1×PBST)で希釈した。50μL/ウェルの2×希釈試料をプレートに添加し、シェーカー上で穏やかに振盪しながら室温で1.5時間インキュベートした。洗浄ステップに続いて、U-PLEXヒトIL-7抗体セット(MSDカタログ番号:B21UP-3)の検出抗体を、アッセイ緩衝液(3%のBSAを含有する1×PBST)で100倍に希釈することにより、1×検出抗体溶液を調製した。50μL/ウェルの1×検出抗体溶液を添加し、シェーカー上で穏やかに振盪しながら室温で1.5時間インキュベートした。洗浄ステップ後、150μLの2×MSDリーディング緩衝液を添加し、プレートをすぐにMSDプレートリーダーで読み取った。
【0211】
各CAR-T細胞の培養上清からのIL-7、CCL19、及びIL-7/CCL19融合タンパク質の分泌レベルは表2に示された。第2の8-BBz_7x19CAR-T(P2Aを含む、CAR#349)細胞は、同量の培養上清からのIL-7及びCCL19の最も高い発現レベルを示した。第2の8-BBz_7x19 CAR-T(P2A、#349)は、最も高い切断されたIL-7及びCCL19濃度を示した。IL-7/CCL19融合タンパク質の場合、P2Aコンストラクトの切断/非切断融合タンパク質の比は、第2の8-BBz_7x19 CAR-T(T2Aを含む、#358)のものと同等、及び第2の8-BBz_7x19 CAR-T(F2Aを含む、#357)のものよりも小さい。
【0212】
【表2】
【0213】
腫瘍細胞の生物発光イメージングを使用した第2世代及び第3世代CAR-T細胞のin vivo抗腫瘍活性の評価
第3世代7x19 CAR-T及び第2世代7x19 CAR-Tの有効性を公平に比較するために、図10Aに示すように、P2Aペプチド配列を含む同じレトロウイルスベクター成分を使用して、第3の8-28BBz_7x19 CAR-T(CAR#348)及び第2の8-BBz_7x19 CAR-T(CAR#365)細胞を生成した。雌NSGマウスに、500万(M)個のメソテリン陽性HepG2-RedFluc細胞を皮下接種させた。接種後7日目に、第3の8-28BBz_7x19 CAR-T(CAR#348)細胞及び第2の8-BBz_7x19 CAR-T(CAR#365)細胞をいくつかの用量(CAR陽性細胞数として0.3M、1M、及び3M)で単回静脈内投与した。対照群として、ビヒクル対照リン酸緩衝食塩水(PBS)、または3MのCAR陽性細胞に対して同等の総T細胞数の対照非形質導入(UTD)T細胞を、UTD 3M群に投与した。CAR-T細胞の抗腫瘍有効性を評価するために、動物に存在する腫瘍細胞の数に比例するHepG2-RedFluc細胞の発光の尺度である全光束(TF)を週1回測定した。
【0214】
第2の8-BBz_7x19 CAR-T(CAR#365)及び第3の8-28-BBz_7x19 CAR-T(CAR#348)は、双方ともに、用量依存的に平均全光束の低減を示した。3MのCAR-T群では、両群が同等の有効性を示したが、第3の8-28-BBz_7x19 CAR-T(CAR#348)群のマウス5匹中3匹を、人道的なエンドポイントのために研究終了までに死亡させた。エンドポイントまでに両方の1MのCAR-T群でも、TFの有意な減少が観察されたが、第3の8-28-BBz_7x19 CAR-T(CAR#348)のマウス5匹中1匹では、14日目後に腫瘍が再増殖した。0.3MのCAR-T群では、エンドポイントで両方のCAR-T群で同等レベルのTF減少が観察されたが、第2の8-BBz_7x19 CAR-T(CAR#365)は、試験された全てのマウスで良好な腫瘍制御を示したが、第3の8-28-BBz_7x19 CAR-T(CAR#348)群の試験マウス5匹中1匹は、研究期間を通じて腫瘍の退縮を示さなかった。これらの結果は、第2の8-BBz_7x19 CART(CAR#365)が、第3の8-28BBz_7x19 CART(CAR#348)と比較して、より高く、長期にわたる抗腫瘍活性を有することを示す。図10A~B、図11、及び図12A~Hを参照のこと。
【0215】
実施例2
メソテリン発現進行性または転移性固形腫瘍を有する成人患者における、本明細書に記載のCAR、IL-7、及びCCL19を発現する改変免疫細胞の非盲検、用量漸増、第1相、ファースト・イン・ヒト研究
研究設計:
これは、臨床上の利点が確立された標準的な代替治療法がないメソテリン発現進行性または転移性の固形腫瘍を有する患者に静脈内(IV)投与された本明細書に記載のCAR、IL-7、及びCCL19を発現する改変免疫細胞の安全性及び忍容性を評価する非盲検、非無作為化、第1相、ファースト・イン・ヒト研究である。卵巣癌、中皮腫、胃癌、及び非小肺細胞癌(NSCLC)は、本明細書に記載のCAR、IL-7、及びCCL19を発現する改変免疫細胞の優先度の高い標的集団である。他のがんの種類を有する患者は、研究者(複数可)及びスポンサー間の検討に基づいて登録されるであろう。最大21人のDLT評価可能な患者が、提案された5つの用量コホートのうちの1つにおいて、本明細書に記載のCAR、IL-7、及びCCL19を発現する改変免疫細胞で処置されるであろう。用量漸増は、各用量レベルで観察されたDLT率に基づくベイズ最適間隔(BOIN)設計で導かれるであろう。用量漸増/漸減の決定は、DLT以外の安全性、有効性、及び細胞動態(CK)を考慮して、BOINが推奨する用量の範囲内で決定され、コホートの終了の会議を含む会議で、スポンサー及び研究者が共同で行われるであろう。実行可能な場合、所定の用量レベルで追加の患者に投与する意思決定を支援するために、追加の新たな翻訳データ(例えば、可溶性メソテリン、がん抗原125[CA125])も使用され得る。推奨される第2相の用量(RP2D)は、各用量レベルでの安全性、有効性、CK、及びバイオマーカー評価の統合された観察に基づいて決定されるであろう。いずれの用量コホートでは、本明細書に記載のCAR、IL-7、及びCCL19を発現する改変免疫細胞の第1及び第2の患者への注入は、14日(またはそれ以上)の間隔を置くことになる。2人目以降の患者は、同時投与され得る。用量コホートは、少なくとも28日までに分離されるであろう(前のコホートの最後の注入から、後続のコホートの最初の注入まで)。毒性は、国立がん研究所の有害事象に関する共通用語基準(NCI CTCAE)バージョン5.0に従って評価されるであろう。サイトカイン放出症候群(CRS)及び免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)は、米国移植細胞治療学会(ASTCT)のコンセンサスに従って評価されるであろう。免疫エフェクター細胞療法に関連する毒性の監視、等級付け、及び管理には、CARTOX(CAR-T細胞療法関連毒性)の推奨事項が使用されるであろう。
【0216】
この研究は、事前スクリーニング、スクリーニング、前処置、処置及び1次追跡、及び2次追跡の段階で構成される。プレスクリーニング段階は、腫瘍細胞におけるメソテリン発現の評価について、施設内審査委員会/独立倫理委員会(IRB/IEC)が承認したインフォームドコンセントフォーム(ICF)に患者が署名した日に開始し得る。スクリーニング段階は、スクリーニング段階のいずれかの手順のうちの1つが実行された日付で始まる。患者は、事前スクリーニングICFの日付または主要なICFの日付のいずれか早い方に、研究固有の患者数が提供される。スクリーニング段階は、適格性の確認及び研究への登録を含み、白血球除去輸血手順の開始で終了する。処置前段階は、白血球除去輸血手順の開始から、コンディショニング化学療法を通して、注入の開始までの期間として定義される。前処置段階中に、白血球除去輸血、ブリッジング療法、及びコンディショニング化学療法が実施されるであろう。処置及び1次追跡段階は、本明細書に記載のCAR、IL-7、及びCCL19を発現する改変免疫細胞の投与で始まり、13ヶ月目まで継続する。2次追跡段階は、処置及び1次追跡期間の終了時に始まり、37ヶ月目まで続く。処置前、処置、ならびに1次追跡及び2次追跡段階では、患者は、死亡、同意の撤回、または他の事前に定められた状況により研究への参加を完了することがある。
【0217】
患者は、適切なデータが研究の主要目的及び副次目的を適切に評価について収集されることを保証するために、来院スケジュールに従って追跡されるであろう。患者は、研究者の判断でいつでも、処置及び1次追跡段階から自発的に撤退しても、それから除外されてもよい。以下を含む理由により、患者が1次追跡を離れて2次追跡に移行し得ることが予想される:
-疾患進行
-患者の1次追跡からの自発的撤退
【0218】
13ヶ月前に処置及び1次追跡段階を中止した患者は、本明細書に記載のCAR、IL-7、及びCCL19を発現する改変免疫細胞の注入後3年までに、保健当局から要求されたデータ(例えば、プロトコールで定義されたAE)を収集するために、2次追跡段階での追跡されることが継続されるであろう。
【0219】
2次追跡段階での最初の来院は、患者が処置及び1次追跡段階で中止された時間に応じて決定される。例えば、患者が7ヶ月目に処置及び1次追跡段階を中止する場合、2次追跡段階の最初の来院は、10ヶ月目になるであろう。
【0220】
主要目的:
-本明細書に記載のCAR、IL-7、及びCCL19を発現する改変免疫細胞の安全性及び忍容性を評価すること。
-本明細書に記載のCAR、IL-7、及びCCL19を発現する改変免疫細胞のRP2Dを決定すること。
【0221】
副次目的:
-本明細書に記載のCAR、IL-7、及びCCL19を発現する改変免疫細胞の抗腫瘍活性を評価すること。
-本明細書に記載のCAR、IL-7、及びCCL19を発現する改変免疫細胞のCKを特性決定すること。
-複製コンピテントレトロウイルス(RCR)陽性検査結果を伴う実施形態の数及びパーセントを決定すること。
【0222】
対象集団:
メソテリンを発現する進行性または転移性固形腫瘍を有する患者。研究は、最大21人のDLT評価可能患者を含む。
【0223】
用量レベル:
用量レベルが上昇する以下のコホートが試験されるべきである:
コホート(-1):0.3×10個のキメラ抗原受容体(CAR)(+)細胞/個体。(コホート1が忍容性がない場合)
コホート1:1×10個のCAR(+)細胞/個体[開始用量]。
コホート2:1×10個のCAR(+)細胞/個体。
コホート3:5×10個のCAR(+)細胞/個体。
コホート4:1×10個のCAR(+)細胞/個体。
【0224】
投与経路:静脈内
【0225】
処置期間:
単回IV注入。コンディショニング化学療法が処置に先行する。(コンディショニング化学療法が投与されていないコホートが試験され得る。)
【0226】
受け入れの主な基準:
1.インフォームドコンセント署名時の年齢が20歳以上の男性または女性患者。
2.臨床的利点が証明されている標準治療の選択肢がない、または耐えられない組織学的または細胞学的に確認された進行性または転移性固形腫瘍。
3.メソテリン発現(強度2+及び/または3+の生存可能な腫瘍細胞で50%以上陽性)は、スポンサーが確認した検証済みのアッセイ、スコアリング、及び染色を使用した免疫組織化学により腫瘍で局所的に決定されなければならない。白血球除去輸血手順前6ヶ月以内に取得された保存済みの生検試料が入手可能でない限り、適格性評価には新鮮な生検試料が使用されなければならない。
4.平均余命が12週間以上。
5.米国東海岸がん臨床試験グループのパフォーマンスステータスが0または1。
6.以下に明記される臨床検査値により確認された適切な臓器機能:
a)総ビリルビン≦1.5×正常範囲(ULN)の上限(ギルバート症候群患者を除く)。ギルバート症候群患者は、直接型ビリルビン≦3×直接型ビリルビンのULNで登録され得る。輸血後の溶血による間接ビリルビンの上昇は許容される。
b)アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)は、3×ULN未満でなければならない。AST及びALTは、上昇が肝臓の転移性疾患の存在によるものと合理的に帰すことができる場合、5×ULNまで上昇し得る。
c)計算されたクレアチニンクリアランス>50mL/分(Cockcroft-Gault式)。
d)ヘモグロビンは、9g/dL以上でなければならない。
e)好中球数は、1000/mm超でなければならない。
f)絶対リンパ球数は、500/mm超でなければならない。
g)血小板数は、75,000/mm超でなければならない。
7.患者は、固形腫瘍における反応評価基準、バージョン1.1(RECIST1.1)で定義されたX線撮影で測定可能な疾患を有さなければならない。
8.以下のような女性患者:
a)スクリーニング来院前に閉経後少なくとも1年間(自然無月経)であるか、または
b)外科的に無菌であるか、または
c)妊娠の可能性がある場合は、インフォームドコンセントへの署名時から、本明細書に記載のCAR、IL-7、及びCCL19を発現する改変免疫細胞の注入後少なくとも12ヶ月を通して、1つの非常に効果的な非ホルモン避妊法及び1つの追加の効果的な(バリア)避妊法を同時に実施することに同意するか、または
d)対象の好み及び通常のライフスタイルと一致する場合、真の禁欲を実践することに同意する。注記:定期的な禁欲(例えば、カレンダー、排卵、対症療法、排卵後の方法)、離脱、殺精子剤のみ、及び授乳期の無月経は、許容できる避妊方法ではない。
9.以下の男性患者(たとえ外科的に不妊手術(すなわち精管切除術後)されたとしても):
a)インフォームドコンセントに署名した時から、本明細書に記載のCAR、IL-7、及びCCL19を発現する改変免疫細胞の注入後少なくとも12ヶ月を通して、効果的なバリア避妊を実施することに同意するか、または
b)対象の好み及び通常のライフスタイルと一致する場合、真の禁欲を実践することに同意する。注記:定期的な禁欲(例えば、カレンダー、排卵、対症療法、排卵後の方法)、離脱、殺精子剤のみ、及び授乳期の無月経は、許容できる避妊方法ではない。
10.自発的な書面による同意は、標準医療の一部ではない任意の研究関連手順を実施する前に与えられなければならない。但し、同意は、将来の医療に影響を与えることなく、いつでも患者が撤回し得る。
11.予定された来院及び研究手順に応じる意欲及び能力。
【0227】
除外の主な基準:
1.活動性全身感染症。
2.既知のB型肝炎表面抗原(HBsAg)陽性、または既知もしくは疑わしい活動性C型肝炎ウイルス(HCV)感染症。B型肝炎コア抗体(HBcAb)またはB型肝炎表面抗体(HBsAb)が陽性の患者も登録することができるが、B型肝炎ウイルス(HBV)ウイルス量が検出不能でなければならない。C型肝炎ウイルス抗体(HCVAb)が陽性の患者は、検出不可能なHCVウイルス量でなければならない。
3.凝固障害、または他の主要な内科的疾患、例えば、呼吸器系もしくは免疫系、及び閉塞性/拘束性肺疾患。
4.不安定狭心症、臨床的に重大な不整脈、心筋梗塞、うっ血性心不全、左心室駆出率(LVEF)<45%、室内気の開始時酸素飽和度<93%として定義される既知の心血管疾患及び心肺疾患患者。十分に制御された心房細動は、除外されないが、制御されていない心房細動は除外されることになる。
5.研究者の意見では、このプロトコールに従った処置の完了を妨げ得る任意の重篤な医学的または精神医学的疾患。
6.3年以上無病でない限り、非メラノーマ皮膚癌または上皮内癌(例えば、子宮頸部、膀胱、乳房)以外の悪性腫瘍の病歴。
7.全身ステロイド処置を必要とする疾患。
8.細胞療法及び遺伝子療法の任意の事前使用。
9.白血球除去輸血手順前14日以内、またはコンディショニング化学療法もしくは本明細書に記載のCAR、IL-7、及びCCL19を発現する改変免疫細胞を用いる処置の28日前の、任意の治験製品を用いる処置(細胞療法または遺伝子治療を除く)。
10.白血球除去輸血手順またはコンディショニング化学療法もしくは本明細書に記載のCAR、IL-7、及びCCL19を発現する改変免疫細胞を用いる処置前14日以内の全身性抗がん療法(免疫腫瘍学療法を含む)及び放射線療法を用いる処置。
11.白血球除去輸血手順またはコンディショニング化学療法もしくは本明細書に記載のCAR、IL-7、及びCCL19を発現する改変免疫細胞を用いる処置前28日以内の大手術を用いる処置(カテーテル留置などの軽度の外科手術は、除外基準ではない)。
12.任意のメソテリン標的療法を用いる事前処置。
13.事前の抗がん療法によるグレード3以上の任意の非分解の毒性。
14.研究者が判断した出血のリスクがある患者。
15.中枢神経系転移または他の重大な神経学的状態の存在(必要に応じて、効果的に処置され、安定している中枢神経系転移を有する患者を登録することができる)。
16.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)血清陽性及び/またはヒトT細胞リンパ向性ウイルス(HTLV)血清陽性の患者。
17.臓器移植の既往歴があるか、または臓器移植を待っている患者。
18.シクロホスファミド、フルダラビン、またはストレプトマイシンを含む薬剤のいずれかに対して重度の即時型過敏症を有する患者。
19.違法薬物使用、薬物乱用、またはアルコール乱用の承認または証拠。
20.コンディショニングレジメンの開始前6週間以内の生ワクチン。
21.授乳中及び授乳中または血清妊娠検査が陽性である女性患者(コンディショニング化学療法ならびに本明細書に記載のCAR、IL-7、及びCCL19を発現する改変免疫細胞を用いる処置前に尿妊娠検査が許可される)。
【0228】
注記:授乳中の女性患者は、本明細書に記載のCAR、IL-7、及びCCL19を発現する改変免疫細胞を用いる処置前に授乳を中止した場合に適格となるであろう。
【0229】
評価及び分析の主な基準:
主要エンドポイント:
用量制限毒性(DLT)の発生率。
処置中に発生した有害事象(TEAE)の発生率。
重度のICANS、CRS、血球貪食性リンパ組織球症、マクロファージ活性化症候群、及び腫瘍溶解症候群を含む臨床的に重要な有害事象(AE)の発生率。
【0230】
副次エンドポイント:
RECIST1.1及びiRECISTに従って研究者が評価した、全奏効率(ORR)、疾患制御率(DCR)、奏効期間(DOR)、無増悪期間(TTP)、及び無増悪生存期間(PFS)。
【0231】
全生存期間(OS)。
【0232】
CARベクターのコピー数により評価されるCK関連パラメーター(Cmax[単回投与後に末梢血薬物濃度で観察された最大(ピーク)]、tmax[観察された最大末梢血濃度が最初に発生した時間]、Clast[末梢血中の最後に観察された定量可能な濃度]、tlast[持続性:末梢血中の最後に観察された定量可能な濃度の時間(日)]、AUC[血中濃度-時間曲線の下面積])。
【0233】
RCR陽性の検査結果を有する実施形態の数及び割合。
【0234】
統計的考慮事項:
DLT及びTEAEの発生率及び割合は、医薬品規制調和国際会議(ICH)国際医薬用語集(MedDRA)の器官別大分類及び基本語により、及びグレード毎にまとめられるであろう。加えて、以下のイベントは、同じ方法でまとめられるであろう。
-処置関連TEAE。
-グレード3以上のTEAE。
-グレード3以上の処置関連TEAE。
-重篤な有害事象(関連するもの及び関係にかかわらず)。
【0235】
臨床目的のAE及びRCRは、数及び割合より要約されるであろう。
【0236】
第2の有効性エンドポイントでは、点推定値及び両側95%の正確な二項信頼区間がバイナリエンドポイントに対して計算され、イベント発生までの時間のエンドポイントは、カプランマイヤー法を使用して記述的に分析されるであろう。
【0237】
CKパラメーターは、記述統計を使用して要約される。個々の濃度-時間データ及び個々のCKパラメーターは、リストに提示され、用量コホート毎の要約統計を使用して表にまとめられるであろう。個々の平均濃度-時間プロファイルが、用量コホート毎にプロットされるであろう。
【0238】
別途定義のない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、この技術が属する当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。
【0239】
本明細書に例示的に記載される本技術は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素(複数可)、制限(複数可)の不存在下で適切に実施され得る。従って、例えば、「含むこと」、「含むこと」、「含有すること」などの用語は、拡大的に制限なく解釈されるものとする。さらに、本明細書で用いられる用語及び表現は、限定ではなく説明の用語として使用されており、そのような用語及び表現の使用において、図示及び説明された特徴またはその一部と同等の任意のものを除外する意図はないが、特許請求される本技術の範囲内で様々な変更が可能であることが認識される。
【0240】
従って、本明細書で提供される材料、方法、及び実施例は、好ましい態様の態様であり、例示であり、本技術の範囲を限定するものではないと理解すべきである。
【0241】
本技術は、本明細書で広範且つ一般に説明されている。一般的な開示の範囲内にあるより狭い種及び亜属群のそれぞれは、本技術の一部も形成する。これは、切除された材料が本明細書に具体的に記載されているかどうかに関係なく、条件付きで本技術の一般的説明、または属から任意の主題を除去する負の制限を含む。
【0242】
加えて、本技術の特徴または態様が、マーカッシュ群に関して説明される場合、当業者は、本技術がマーカッシュ群の任意の個々のメンバーまたはメンバーのサブグループに関しても説明されることを認識するであろう。
【0243】
本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、あたかもそれぞれが個別に参照により組み込まれるのと同じ程度に、全体が参照により明示的に組み込まれる。矛盾が生じた場合では、定義を含む本明細書が優先されるであろう。
【0244】
他の態様は、以下の特許請求の範囲内に記載される。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F
図12G
図12H
【国際調査報告】