(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】調整可能な仕事関数を備えた一体型コンタクトシリサイド
(51)【国際特許分類】
H01L 21/28 20060101AFI20240719BHJP
H01L 21/285 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H01L21/28 301S
H01L21/285 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505353
(86)(22)【出願日】2022-07-26
(85)【翻訳文提出日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 US2022074146
(87)【国際公開番号】W WO2023010005
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハン, レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】ナイク, メユール
(72)【発明者】
【氏名】ハバティー, マイケル
【テーマコード(参考)】
4M104
【Fターム(参考)】
4M104AA03
4M104BB19
4M104BB26
4M104CC01
4M104DD43
4M104DD79
4M104DD84
4M104HH15
4M104HH17
(57)【要約】
半導体デバイスの界面抵抗を低減する方法は、二重仕事関数金属シリサイドを活用する。幾つかの実施形態では、方法は、Epi面に金属シリサイド層を選択的に堆積させることと、Epi面がP型Epi面であるかN型Epi面であるかに基づいて金属シリサイド層の仕事関数を変化させて、0.5eV未満のショットキーバリア高さを達成するために、堆積中に金属シリサイド層の金属対シリコン比を調整することとを含み得る。P型Epi面の仕事関数は約5.0eVの値に調整され得、N型Epi面の仕事関数は約3.8eVの値に調整され得る。Epi面への金属シリサイド層の堆積は、コンタクトエッチング停止層の堆積及び活性化アニールの前に実行され得る。
【選択図】
図8F
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Epi面と金属材料との間の界面抵抗を低減する方法であって、
前記Epi面に金属シリサイド層を選択的に堆積させることと、
前記Epi面がP型Epi面であるかN型Epi面であるかに基づいて前記金属シリサイド層の仕事関数を変化させて、前記P型Epi面又は前記N型Epi面で約0.5eV未満のショットキーバリア高さを達成するために、堆積中に前記金属シリサイド層の金属対シリコン比を調整することと
を含む方法。
【請求項2】
前記金属シリサイド層は、モリブデンシリサイド系材料又はルテニウムシリサイド系材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記P型Epi面の仕事関数は、約5.0eVの値に調整される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記N型Epi面の仕事関数は、約3.8eVの値に調整される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
原子層堆積を用いて前記金属シリサイド層を堆積させること
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
原子層堆積、イオン注入、又はプラズマ気相堆積を用いて前記金属シリサイド層に金属又はシリコンを堆積させることにより、前記金属対シリコン比を更に調整すること
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記P型Epi面は、シリコンキャップ層を有する又は有さないシリコンゲルマニウム材料であり、前記N型Epi面は、モリブデンキャップ層を有する又は有さないリン化ケイ素材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
コンタクトエッチング停止層を堆積させる前に、前記Epi面に前記金属シリサイド層を選択的に堆積させることと、
前記コンタクトエッチング停止層を堆積させる前に、堆積中の前記金属シリサイド層の前記金属対シリコン比を調整することと
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記金属対シリコン比を調整した後に、活性化アニールを実行すること
を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記金属シリサイド層を選択的に堆積させる前に、活性化アニールを実行すること
を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
基板に共形窒化物系エッチング停止層を堆積させることと、
前記基板に誘電体層を堆積させることと、
前記基板にコンタクトを開口することと、
前記コンタクト上にバルク充填材を堆積させることと
を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
Epi面と金属材料との間の界面抵抗を低減する方法であって、
原子層堆積を用いて前記Epi面にモリブデンシリサイド層を選択的に堆積させることと、
前記Epi面がP型Epi面であるかN型Epi面であるかに基づいて前記モリブデンシリサイド層の仕事関数を変化させて、前記P型Epi面又は前記N型Epi面で約0.5eV未満のショットキーバリア高さを達成するために、堆積中に前記モリブデンシリサイド層の金属対シリコン比を調整することと
を含む方法。
【請求項13】
前記P型Epi面の仕事関数は約5.0eVの値に調整され、前記N型Epi面の仕事関数は約3.8eVの値に調整される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
原子層堆積、イオン注入、又はプラズマ気相堆積を用いてモリブデン又はシリコンをモリブデンシリサイド層に堆積させることによって、前記金属対シリコン比を更に調整すること
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記P型Epi面は、シリコンキャップ層を有する又は有さないシリコンゲルマニウム材料であり、前記N型Epi面は、モリブデンキャップ層を有する又は有さないリン化ケイ素材料である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
コンタクトエッチング停止層を堆積させる前に、前記Epi面にモリブデンシリサイド層を選択的に堆積させることと、
前記コンタクトエッチング停止層を堆積させる前に、前記モリブデンシリサイド層の前記金属対シリコン比を調整することと
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記金属対シリコン比を調整した後に、又は前記モリブデンシリサイド層を選択的に堆積させる前に、活性化アニールを実行すること
を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
実行されると、基板上のEpi面と金属材料との間の界面抵抗を低減する方法を実行させる命令が記憶された非一過性コンピュータ可読媒体であって、前記方法は、
前記Epi面に金属シリサイド層を選択的に堆積させることと、
前記Epi面がP型Epi面であるかN型Epi面であるかに基づいて前記金属シリサイド層の仕事関数を変化させて、前記P型Epi面又は前記N型Epi面で約0.5eV未満のショットキーバリア高さを達成するために、堆積中に前記金属シリサイド層の金属対シリコン比を調整することと
を含む、非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記方法は更に、
原子層堆積を用いて前記金属シリサイド層を堆積させることと、
原子層堆積、イオン注入、又はプラズマ気相堆積を用いて前記金属シリサイド層に金属又はシリコンを堆積させることによって、前記金属対シリコン比を調整することと
を含み、
前記P型Epi面の仕事関数は約5.0eVの値に調整され、前記N型Epi面の仕事関数は約3.8eVの値に調整される、
請求項18に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記方法は更に、
コンタクトエッチング停止層を堆積させる前に、前記Epi面に前記金属シリサイド層を選択的に堆積させることと、
前記金属対シリコン比を調整した後に、活性化アニールを実行することと
を含む、請求項18に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本原理の実施形態は、概して半導体製造に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]メタルオン半導体トランジスタ等の半導体デバイスの速度は、ソース/ドレインコンタクトの抵抗値に依存する。抵抗が低いほど、トランジスタの速度は速くなる。従来、接触抵抗を下げるために、金属コンタクト界面のソース/ドレインEpi面にチタンシリサイド系材料を適用していた。トランジスタがN型トランジスタである場合には、P型トランジスタとは対照的に材料の組成が異なる。しかし、本発明者らは、チタンシリサイド系材料は、いずれの種類のトランジスタにも最適ではなく、トランジスタの種類に基づいて調整することができないという点で限界があることを確認している。更に、本発明者らは、チタンシリサイド系材料に関連する高抵抗は、大規模なデバイスでは許容可能であったが、小規模なデバイスには有害であることを観察した。
【0003】
[0003]従って、本発明者らは、Epi面と金属コンタクトとの間の強化された界面を製造する方法を提供することにより、導電性を改善して、優れた性能、より低い動作電圧、及びより速い速度をもたらす。
【発明の概要】
【0004】
[0004]Epi面と金属コンタクトとの間に高導電性界面を形成する方法及び装置が、本明細書において提供される。
【0005】
[0005]幾つかの実施形態では、Epi面と金属材料との間の界面抵抗を低減する方法は、Epi面に金属シリサイド層を選択的に堆積させることと、Epi面がP型Epi面であるかN型Epi面であるかに基づいて金属シリサイド層の仕事関数を変化させて、P型Epi面又はN型Epi面で約0.5eV未満のショットキーバリア高さを達成するために、堆積中に金属シリサイド層の金属対シリコン比を調整することとを含み得る。
【0006】
[0006]幾つかの実施形態では、本方法は更に、金属シリサイド層がモリブデンシリサイド系材料又はルテニウムシリサイド系材料であること、P型Epi面の仕事関数は、約5.0eVの値に調整されること、N型Epi面の仕事関数は約3.8eVの値に調整されること、原子層堆積を用いて金属シリサイド層を堆積させること、原子層堆積、イオン注入、又はプラズマ気相堆積を用いて金属シリサイド層に金属又はシリコンを堆積させることによって、金属対シリコン比を更に調整すること、P型Epi面は、シリコンキャップ層を有する又は有さないシリコンゲルマニウム材料であり、N型Epi面は、モリブデンキャップ層を有する又は有さないリン化ケイ素材料であること、コンタクトエッチング停止層を堆積させる前に、Epi面に金属シリサイド層を選択的に堆積させること、コンタクトエッチング停止層を堆積させる前に、堆積中の金属シリサイド層の金属対シリコン比を調整すること、金属対シリコン比を調整した後に、活性化アニールを実行すること、金属シリサイド層を選択的に堆積させる前に、活性化アニールを実行すること、及び/又は、基板に共形窒化物系エッチング停止層を堆積させること、基板に誘電体層を堆積させること、基板にコンタクトを開口すること、及びコンタクト上にバルク充填材を堆積させることを含み得る。
【0007】
[0007]幾つかの実施形態では、Epi面と金属材料との間の界面抵抗を低減する方法は、原子層堆積を用いてEpi面にモリブデンシリサイド層を選択的に堆積させることと、Epi面がP型Epi面であるかN型Epi面であるかに基づいてモリブデンシリサイド層の仕事関数を変化させて、P型Epi面又はN型Epi面で約0.5eV未満のショットキーバリア高さを達成するために、堆積中にモリブデンシリサイド層の金属対シリコン比を調整することとを含み得る。
【0008】
[0008]幾つかの実施形態では、本方法は更に、P型Epi面の仕事関数が約5.0eVの値に調整され、N型Epi面の仕事関数が約3.8eVの値に調整されること、原子層堆積、イオン注入、又はプラズマ気相堆積を用いてモリブデン又はシリコンをモリブデンシリサイド層に堆積させることによって、金属対シリコン比を更に調整すること、P型Epi面は、シリコンキャップ層を有する又は有さないシリコンゲルマニウム材料であり、N型Epi面は、モリブデンキャップ層を有する又は有さないリン化ケイ素材料であること、コンタクトエッチング停止層を堆積させる前に、Epi面にモリブデンシリサイド層を選択的に堆積させること、コンタクトエッチング停止層を堆積させる前に、モリブデンシリサイド層の金属対シリコン比を調整すること、及び/又は金属対シリコン比を調整した後に、又はモリブデンシリサイド層を選択的に堆積させる前に、活性化アニールを実行することを含み得る。
【0009】
[0009]幾つかの実施形態では、実行されると、基板上のEpi面と金属材料との間の界面抵抗を低減する方法を実行させる命令が記憶された非一過性コンピュータ可読媒体が提供され、本方法は、Epi面に金属シリサイド層を選択的に堆積させることと、Epi面がP型Epi面であるかN型Epi面であるかに基づいて金属シリサイド層の仕事関数を変化させて、P型Epi面又はN型Epi面で約0.5eV未満のショットキーバリア高さを達成するために、堆積中に金属シリサイド層の金属対シリコン比を調整することとを含み得る。
【0010】
[0010]幾つかの実施形態では、本方法は更に、原子層堆積を用いて金属シリサイド層を堆積させること、原子層堆積、イオン注入、又はプラズマ気相堆積を用いて金属シリサイド層に金属又はシリコンを堆積させることによって、金属対シリコン比を調整すること、P型Epi面の仕事関数は約5.0eVの値に調整され、N型Epi面の仕事関数は約3.8eVの値に調整されること、及び/又は、コンタクトエッチング停止層を堆積させる前に、Epi面に金属シリサイド層を選択的に堆積させること、及び金属対シリコン比を調整した後に、活性化アニールを実行することを含み得る。
【0011】
[0011]その他の更なる実施形態を以下に開示する。
【0012】
[0012]添付の図面に示す本原理の例示の実施形態を参照することで、上記に要約し、以下により詳細に説明する本原理の実施形態を理解することができる。ただし、添付の図面は本原理の典型的な実施形態を単に示すものであり、したがって、範囲を限定するものと見なすべきではなく、本原理は他の等しく有効な実施形態も許容しうる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本原理の幾つかの実施形態に係る、Epi面の界面抵抗を低減する方法である。
【
図2】本原理の幾つかの実施形態に係る、Epi面を示す断面図である。
【
図3】本原理の幾つかの実施形態に係る、金属シリサイド層を有するEpi面を示す断面図である。
【
図4】本原理の幾つかの実施形態に係る、金属シリサイドがシリコンキャップ層に拡散されたEpi面を示す断面図である。
【
図5】本原理の幾つかの実施形態に係る、金属シリサイド層の仕事関数が調整されたEpi面を示す断面図である。
【
図6】本原理の幾つかの実施形態に係る、調整可能な金属シリサイド層の仕事関数のグラフである。
【
図7】本原理の幾つかの実施形態に係る金属シリサイド層の調整可能な仕事関数及び金属シリサイド層のコンタクト面積の増加を使用して、Epi面と金属コンタクトとの間の界面抵抗を低減する方法である。
【
図8A-C】Aは、本原理の幾つかの実施形態に係る基板に形成されたソース/ドレインEpi面を示す断面図であり、Bは、本原理の幾つかの実施形態に係る、ラップアラウンド金属シリサイド層を有するソース/ドレインEpi面を示す断面図であり、Cは、本原理の幾つかの実施形態に係る、エッチング停止層を有するソース/ドレインEpi面を示す断面図である。
【
図8D-F】Dは、本原理の幾つかの実施形態に係る、誘電体層を有するソース/ドレインEpi面を示す断面図であり、Eは、本原理の幾つかの実施形態に係る、誘電体層のエッチング後のソース/ドレインEpi面を示す断面図であり、Fは、本原理の幾つかの実施形態に係るバルク充填層が堆積された後のソース/ドレインEpi面を示す断面図である。
【
図9】本原理の幾つかの実施形態に係る、異なる金属シリサイド界面領域を示す断面図である。
【
図10】本原理の幾つかの実施形態に係る、一体型ツールを示す上から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0028]理解を容易にするために、可能な限り、図面共通の同一要素を示すのに同一の参照番号を使用している。図面は縮尺どおりには描かれておらず、わかりやすくするために簡略化されている場合がある。一実施形態の要素及び特徴は、更に詳述することなく、他の実施形態に有益に組み込まれ得る。
【0015】
[0029]本原理の方法は、メタルオン半導体(MOS)トランジスタ等の半導体デバイスの高速化及び動作電圧の低下を容易にする高導電性コンタクトの形成を可能にするが、これらに限定されるものではない。本方法は、金属シリサイド中の金属対シリコン組成を変化させるために、MOSの堆積プロセスの前、間、又は後に金属又はシリコンソースを添加することにより、N型又はP型MOSコンタクトに特有のシリサイドの最適な仕事関数を作り出す。N型又はP型コンタクトは、低いショットキーバリア高さ(SBH)を達成するために異なる仕事関数金属を必要とする。仕事関数が固定された単一の金属シリサイドでは、N型コンタクトとP型コンタクトの両方で低いSBHを達成することはできない。本方法に見られるような調整可能な仕事関数を持つ金属シリサイドは、仕事関数を調整して、N型とP型の最低接触抵抗を別々に得ることができる。
【0016】
[0030]本方法は、デュアルシリサイドを達成するために別々の金属プロセスなしで単一の金属を使用し、シリコン(Si)前駆体、エピタキシャル(Epi)Si層、Si注入、又はプラズマ気相堆積(PVD)Si層のサイクルを更に追加することによってシリコン含有量を容易に調整できるという利点を有する。本発明の方法は、代替プロセスにおいて、N型コンタクトとP型コンタクトで異なる金属対シリコン比の同じ金属シリサイドを使用しながら、金属前駆体、PVD金属層、金属注入、又はCVD金属堆積の原子層堆積(ALD)サイクルを追加することによって金属含有量を調整できるという利点を有する。また、本方法で使用する金属は、低い堆積温度(例えば、約150℃未満)、高い熱安定性、選択的な堆積という利点を有する。低い堆積温度により、本発明の方法を実行する前に基板にすでに形成されている構造の熱収支を維持できるという利点がある。
【0017】
[0031]従来のアプローチは、N型コンタクトとP型コンタクトの両方において単一の仕事関数のシリサイドに依存する、又はN型又はP型Epi面のいずれかに異なる金属を堆積させることによって、N型コンタクトとP型コンタクトにおいて異なるシリサイドを達成する。本方法では、金属シリサイド中のシリコン含有量を変化させて異なる仕事関数を達成することにより、単一の金属を使用してN型又はP型コンタクトの抵抗を下げることができる。簡単に言うと、コンタクトトレンチ内のシリコン、リン化ケイ素(SiP)、又はシリコンゲルマニウム(SiGe)のソース/ドレインEpi面から酸化物を除去するために前洗浄プロセスが使用され、これに続いてコンタクトトレンチ内のEpi面に金属前駆体から金属が堆積される。次に、同じ表面にシリコン前駆体からシリコンを堆積させ、金属シリサイドを形成する。この堆積プロセスは、所望のシリサイドの厚さが得られるまで繰り返される。金属対シリコン比は、シリサイドの所望の仕事関数が達成されるまで、堆積のデューティサイクルを変更することによって調節され得る。シリサイド形成の開始時又は終了時に、追加の金属又はシリコンサイクル、注入、又はPVD金属又はシリコンを追加して、金属対シリコン比を調整することができる。シリサイドの抵抗率を更に低下させるために、オプションのアニールプロセスを使用することができる。
【0018】
[0032]本方法で使用する金属シリサイドの熱安定性が高いため、コンタクトエッチング停止層(CESL)の形成前に、熱的に安定で、共形、また選択的なシリサイド材料を堆積させることができる。シリサイド材料は、高温の急速溶融成長(RMG)アニール及びその他の熱処理に耐えることができる。シリサイドは、ソース/ドレインEpi面を取り囲むように形成されるため、ソース/ドレインEpi面の上部ファセットにあるコンタクトトレンチ内のシリサイドよりも、実質的に大きい表面積が得られる。また、適切なキャッピングを有するシリサイドは、ドーパントの外部拡散を低減し、界面において高いドーパント濃度を保持して、接触抵抗を下げる。本方法のシリサイドは、高い熱安定性と優れた選択性を有するため、窒化物エッチング停止層と金属ゲートアニールの前にシリサイドを堆積させることが可能になる。既存のチタン系シリサイドはRMGアニールに耐えることができず、初期のシリサイド堆積プロセスには使用できない。
【0019】
[0033]従来のアプローチでは、コンタクトが開口した後にシリサイドを堆積させるため、コンタクト面積がコンタクト開口部の領域に制限される。本発明の方法では、シリサイドがソース/ドレインコンタクトのEpi面全体を覆い、Epiファセットの下方にまで達するコンタクトのための導電経路を提供し、コンタクト面積を実質的に増加させて、接触抵抗率を低下させることができる。簡単に言うと、本方法では、例えば非限定的にALD堆積等を用いて、ソース/ドレインEpi面に選択的金属シリサイドを堆積させる。選択的金属シリサイドの堆積後に、活性化アニールを実行する。Epi面と金属シリサイドの堆積は、真空を破壊せずに、同じプラットフォーム又は一体型ツールで実行することができる。金属シリサイドは摂氏1100度以上まで安定したままである。あるいは、活性化アニールは、金属シリサイドの選択的堆積の前に、ソース/ドレインEpi面に対して実行することもできる。
【0020】
[0034]簡潔にするために、本明細書に記載のエピタキシャル成長構造又は「Epi面」又は更に「Epi」と略記される面は、MOSトランジスタ及び/又は他の半導体構造等のソース/ドレインEpi構造の表面を含み得る。しかしながら、本原理の方法は、Epi面と他の構造等の金属層との間の界面抵抗を低減するために使用され得る。
図1は、幾つかの実施形態に係る、基板上のEpi面の界面抵抗を低減する方法100である。例示の目的で、方法100の説明中に
図2~
図5を参照する。
図2の
図200Aでは、P型Epi面206Aは、例えば、厚さ約30nmから約40nmのSiGe層202A等のエピタキシャル成長ソース/ドレイン材料を含み、厚さ約1nmから約10nmのシリコンキャップ層204Aも含み得る。
図2の
図200Bでは、N型Epi面206Bは、例えば、厚さ約30nmから約40nmのSiP層202B等のエピタキシャル成長ソース/ドレイン材料を含み、厚さ約1nmから約10nmのモリブデン(Mo)キャップ層204Bを含み得る。方法100のブロック102では、Epi面に金属シリサイド層が堆積される。堆積プロセスは約150℃未満の低温である。幾つかの実施形態では、堆積プロセスは約120℃の堆積温度を有する。金属シリサイド層は、モリブデンシリサイド又はルテニウムシリサイド等であってよい。堆積プロセスは、ALDプロセスであってよく、金属シリサイド層の堆積は、約5nmから約10nmの厚さであってよい。幾つかの実施形態では、金属シリサイド層の厚さは約6nmから約8nmである。堆積プロセスは、Epi面に金属前駆体から金属を堆積させ、Epi面にシリコン前駆体からシリコンを堆積させて金属シリサイド層を形成することを含む。堆積プロセスは、所望の金属シリサイドの厚さが達成されるまで繰り返すことができる。
【0021】
[0035]ブロック104において、Epi面がP型であるかN型であるかに基づいて仕事関数を変化させるために、金属シリサイド層の金属対シリコン比が金属シリサイド層の堆積中に調整される。金属対シリコン比に基づいて所望の仕事関数を達成するように、シリコンの堆積量及び金属の堆積量が変更され得る。幾つかの実施形態では、金属対シリコン比は、堆積プロセスにおいて異なる量の六フッ化モリブデン(MoF6)及びジシラン(H6Si2)又はトリシラン(H2Si(SiH3)2)前駆体を用いたALDプロセスによって調節することができる。金属対シリコン比は、金属シリサイド層の所望の仕事関数が達成されるまで、シリコンと金属の堆積のデューティサイクルを変更することによって調節することもできる。金属対シリコン比を調整するために、追加の金属又はシリコンサイクル、注入、又はPVD金属又はシリコンをシリサイド形成の開始時又は終了時に追加することができる(以下のオプションのブロック106を参照)。金属シリサイドの抵抗率を更に低下させるために、任意のアニールステップを使用することができる。
【0022】
[0036]
図3の
図300Aにおいて、金属シリサイド層は、例えば、P型Epi面206Aに堆積されたP型Mo
xSi
y層308Aであってよい。
図3の
図300Bでは、金属シリサイド層は、例えば、N型Epi面206Bに堆積されたN型Mo
xSi
y層308Bであってよい。P型Mo
xSi
y層308A及びN型Mo
xSi
y層308Bは、Epi面がP型であるかN型であるか(N型ではx>y、P型ではy>x)に応じて堆積した金属シリサイドの仕事関数を変化させるために、同じ金属及びシリコン組成を有利に利用するが、異なる金属対シリコン比を用いる。
図4の
図400Aでは、堆積中にP型Mo
xSi
y層308Aがシリコンキャップ層204A内に拡散し、Mo
aSi
bのシリサイド層を形成する。
図4の
図400Bでは、N型Mo
xSi
y層308Bは、堆積中にモリブデンキャップ層204B内に拡散し、Mo
aSi
bのシリサイド層を形成する。「a」と「b」の比は、N型Epi面206BとP型Epi面206Aで異なり、N型ではa>b、P型ではb>aである。
【0023】
[0037]シリコン濃度よりも高い金属濃度がN型Epi面に使用され、金属濃度よりも高いシリコン濃度がP型Epi面に使用される。仕事関数は、P型Epi面(仕事関数が約4.6eVより大きい)又はN型Epi面(仕事関数が約4.2eVより小さい)に対して0.5eV未満のショットキーバリア高さをもたらすように調整することができる。幾つかの実施形態では、仕事関数は、P型Epi面(仕事関数が約5.0eV)又はN型Epi面(仕事関数が約3.8eV)に対して約0.3eV以下のショットキーバリア高さをもたらすように調整することができる。ショットキーバリア高さが低いということは、より多くの電流が流れることができ、接触抵抗が低いことを意味する。MoxSiy層の堆積後、金属対コンタクト比が所望の比に到達していてよく、仕事関数(金属対シリコン比)MoaSibの調整が完了し得る。MoxSiy層の堆積を通して所望の金属対コンタクト比が達成されない場合、プロセスはオプションのブロック106に継続し得る。
【0024】
[0038]オプションのブロック106において、
図5に示すように、Epi面上に堆積した金属シリサイド層に金属又はシリコンを堆積させることによって、堆積した金属シリサイド層の金属対シリコン比が、更に調整され得る。金属又はシリコンは、ALD、イオン注入、又はPVDベースのプロセス等を使用して堆積させることができる。
図500Aでは、必要に応じて仕事関数を更に調整するために、シリコン又は金属を金属シリサイド(P型Mo
xSi
y層308A)に堆積させ(510A)、ショットキーバリア高さを低下させて、それに続いて界面抵抗を低下させる。
図500Bでは、より低いショットキーバリア高さ、及びそれに続くより低い界面抵抗を達成する必要に応じて、シリコン又は金属が金属シリサイド(N型Mo
xSi
y層308B)に堆積され(510B)、仕事関数が更に調整される。幾つかの実施形態では、更なる調整プロセスは、Epi面への金属シリサイドの選択的堆積(ブロック102)の前に実行され得る。
【0025】
[0039]
図6のグラフ600は、金属シリサイド(例えば、モリブデンシリサイド、ルテニウムシリサイド等)の金属対シリコン比を変化させることによって可能な様々な仕事関数点を有する、Y軸上のショットキーバリア値対X軸上の金属仕事関数値を図示している。接触抵抗R
cは、以下の式1に基づいてショットキーバリアφ
Bと関連している。
ショットキーバリア高さが低下すると、接触抵抗(Epi面と金属材料との間の界面抵抗)が低下する。幾つかの実施形態では、界面抵抗の低下は、チタンシリサイド等の従来技術と比較して30%以上となる場合がある。
【0026】
[0040]第1の仕事関数線602は、P型Epi面に堆積された本発明の方法の金属シリサイド組成物について可能な仕事関数値を示すものである。第2の仕事関数線604は、N型Epi面に堆積された本発明の方法の金属シリサイド組成物について可能な仕事関数値を示すものである。破線枠606内の点は、P型Epi面又はN型Epi面上でチタンシリサイド等の従来使用されている固定仕事関数金属シリサイドの仕事関数値を示している(仕事関数は両方のコンタクトタイプで同じである)。チタンシリサイドの場合、仕事関数を変化させることができないため、最適なショットキーバリア高さが得られず、界面抵抗が高くなる。本方法の金属シリサイドは調整可能な仕事関数を有するため、同じ金属シリサイドをP型Epi面とN型Epi面の両方に使用し、それに応じて調整することができる。N型Epi面の場合、第1の指示点608は、約0.3eV以下のショットキーバリア高さで約3.8eVの可能な仕事関数値を示している。P型Epi面の場合、第2の指示点610は、約0.3eV以下のショットキーバリア高さで約5.0eVの可能な仕事関数値を示している。
【0027】
[0041]本発明者らは、本方法の金属シリサイドが約1100℃(スパイクアニールの場合)以上の温度まで熱的に安定であることを見出した。この熱的安定性により、活性化アニール等の高温アニールプロセスをいつ行うかを気にすることなく、MOSプロセス内の数カ所で金属シリサイドを堆積させることができる。金属シリサイドの熱特性は、金属シリサイド層との接触表面積の増加を通じて界面抵抗を更に低下させるために、金属シリサイドの使用における柔軟性を有利に可能にする。
図7は、仕事関数の調整を通じて、また金属シリサイド層との接触表面積の増加を通じて、Epi面と金属コンタクトとの間の界面抵抗を低減する方法700である。
図8Aから
図8Fへの参照は、方法700のプロセスを説明するために使用される。幾つかの実施形態では、基板は、P型ソース/ドレインEpi面及びN型ソース/ドレインEpi面を有していてよい。方法700の上部フロー部分は、P型ソース/ドレインEpi面に固有のプロセス(702A~712A)及びN型ソース/ドレインEpi面に固有のプロセス(702B~712B)を示している。上部フロー部分は、P型プロセスとN型プロセスとが同時に行われることを示すものではない。P型ソース/ドレインEpi面プロセスは、N型ソース/ドレインEpi面プロセスの前又は後に実行され得る。P型及びN型固有のプロセスの完了後、残りのプロセス(714~722)は、P型ソース/ドレインEpi面及びN型ソース/ドレインEpi面の両方に対して同時に実行され得る。P型ソース/ドレインEpi面のみを有する基板の場合、N型ソース/ドレインEpi面プロセス(702B~712B)は実行されない。N型ソース/ドレインEpi面のみの基板では、P型ソース/ドレインEpi面プロセス(702A~712A)は実行されない。
【0028】
[0042]以下のプロセスは、P型構造を有する基板に適用される。ブロック702Aでは、1又は複数のP型ソース/ドレインEpi面が形成される。
図8Aの
図800Aにおいて、トレンチ830は、P型Epi面に対して、例えば、限定を意味するものではないが、SiGe等から形成されたソース/ドレインEpi面806を有する。ソース/ドレインEpi面806は、基板上の層802から成長し、シャロートレンチアイソレーション(STI)804内で絶縁される。この例では、ソース/ドレインEpi面806は、上部ファセット808と(アンダーカット面である)下部ファセット810とを有する。オプションのブロック704Aにおいて、活性化アニールが、オプションのブロック714によって示すように、金属シリサイド層形成の前又は金属シリサイド形成の後に実行され得る。幾つかの実施形態では、活性化アニールは、約1100℃の温度で実行され得るスパイクアニールを含み得る。ブロック706Aでは、トレンチ830内のシリコン又はSiGeソース/ドレインEpi面からあらゆる汚染及び酸化物を除去するために、前洗浄プロセスが実行される。ブロック708A(
図1の方法100のブロック102も参照)では、
図8Bの
図800Bに示すように、金属シリサイド層812が、ソース/ドレインEpi面806の上部ファセット808及び下部ファセット810に選択的に堆積される。選択的堆積は、金属前駆体から金属をトレンチ830内のソース/ドレインEpi面に選択的に堆積させることと、シリコン前駆体からシリコンを同じ表面上に選択的に堆積させて、ソース/ドレインEpi面806を覆う又は包み込む金属シリサイド層812を形成することとを含む。選択的堆積プロセスは、所望の金属シリサイドの厚さが達成されるまで繰り返される。
【0029】
[0043]ブロック710A(
図1の方法100のブロック104も参照)では、ソース/ドレインEpi面806がP型Epi面であることに基づいて仕事関数を変化させるために、金属シリサイド層の金属対シリコン比が堆積中に調整される。シリコンの堆積量及び金属の堆積量は、金属対シリコン比に基づいて所望の仕事関数を達成するように変更され得る。金属対シリコン比は、金属シリサイド層の所望の仕事関数に達するまで、シリコンと金属の堆積のデューティサイクルを変更することによって調節することもできる。追加の金属又はシリコンサイクル、注入、又はPVD金属又はシリコンを、金属対シリコン比を調整するために、シリサイド形成の開始時又は終了時に追加することができる(オプションのブロック712Aを参照)。金属シリサイドの抵抗率を更に低下させるために、オプションのアニールプロセスを使用することができる。オプションのブロック712Aでは、ソース/ドレインEpi面806上に堆積した金属シリサイド層に金属又はシリコンを堆積させることによって、堆積した金属シリサイド層の金属対シリコン比を更に調整することができる。金属又はシリコンは、ALD、イオン注入、又はPVDベースのプロセス等を使用して堆積させることができる。幾つかの実施形態では、更なる調整プロセスは、ソース/ドレインEpi面への金属シリサイドの選択的堆積(ブロック708A)の前に実行され得る。
【0030】
[0044]以下のプロセスは、N型構造を有する基板に適用される。ブロック702Bでは、1又は複数のN型ソース/ドレインEpi面が形成される。
図8Aの
図800Aにおいて、トレンチ830は、例えば、限定することを意図しないが、N型Epi面用のSiP等から形成されたソース/ドレインEpi面806を有する。ソース/ドレインEpi面806は、基板上の層802から成長し、シャロートレンチアイソレーション(STI)804内で絶縁される。この例では、ソース/ドレインEpi面806は、上部ファセット808と(アンダーカット面である)下部ファセット810とを有する。オプションのブロック704Bにおいて、活性化アニールが、オプションのブロック714によって示すように、金属シリサイド層形成の前又は金属シリサイド形成の後に実行され得る。幾つかの実施形態では、活性化アニールは、約1100℃の温度で実施され得るスパイクアニールを含み得る。ブロック706Bでは、トレンチ830内のシリコン又はSiPソース/ドレインEpi面からあらゆる汚染及び酸化物を除去するために、前洗浄プロセスが実行される。ブロック708B(
図1の方法100のブロック102も参照)では、
図8Bの
図800Bに示すように、金属シリサイド層812が、ソース/ドレインEpi面806の上部ファセット808及び下部ファセット810に選択的に堆積される。選択的堆積は、金属前駆体から金属をトレンチ830内のソース/ドレインEpi面に選択的に堆積させることと、シリコン前駆体からシリコンを同じ表面上に選択的に堆積させて、ソース/ドレインEpi面806を覆う又は包み込む金属シリサイド層812を形成することとを含む。選択的堆積プロセスは、所望の金属シリサイドの厚さが達成されるまで繰り返される。
【0031】
[0045]ブロック710B(
図1の方法100のブロック104も参照)では、ソース/ドレインEpi面806がN型Epi面であることに基づいて仕事関数を変化させるために、金属シリサイド層の金属対シリコン比が堆積中に調整される。シリコンの堆積量及び金属の堆積量は、金属対シリコン比に基づいて所望の仕事関数を達成するように変更され得る。金属対シリコン比は、金属シリサイド層の所望の仕事関数が達成されるまで、シリコン及び金属の堆積のデューティサイクルを変更することによって調節することもできる。追加の金属又はシリコンサイクル、注入、又はPVD金属又はシリコンを、金属対シリコン比を調整するために、シリサイド形成の開始時又は終了時に追加することができる(オプションのブロック712Bを参照)。オプションのアニールプロセスを使用して、金属シリサイドの抵抗率を更に低下させることができる。オプションのブロック712Bでは、ソース/ドレインEpi面806上に堆積した金属シリサイド層に金属又はシリコンを堆積させることによって、堆積した金属シリサイド層の金属対シリコン比を更に調整することができる。金属又はシリコンは、ALD、イオン注入、又はPVDベースのプロセス等を使用して堆積させることができる。幾つかの実施形態では、更なる調整プロセスは、ソース/ドレインEpi面への金属シリサイドの選択的堆積(ブロック708B)の前に実行され得る。
【0032】
[0046]以下のプロセスは、N型構造、P型構造、又はその両方を有する基板に適用される。オプションのブロック714において、上述したように、活性化アニールを、金属シリサイド層812の堆積後、又は金属シリサイド層812の堆積前に実行することができる(オプションのブロック704を参照)。活性化アニールが金属シリサイドの形成及び調整の後に実行される場合、ソース/ドレインEpi面及び金属シリサイドの堆積及び仕事関数の調整は、同じプラットフォーム又は一体型ツールで実行することができ、更に、真空を破壊せずに実行することができ(例えば、以下の
図10の一体型ツール1000を参照)、その結果、低コスト及び高歩留まりが得られる。金属シリサイドがソース/ドレインEpi面を包み込むことにより、従来の方法で見られるようなソース/ドレインEpi面の上のコンタクトトレンチ内のシリサイドよりも実質的に大きい表面積が得られる。また、適切なキャッピングを施した金属シリサイドは、ドーパントの拡散を抑え、界面でのドーパント濃度を高く保つことができるため、接触抵抗が低くなる。本方法のシリサイドは、高い熱安定性と良好な選択性を有するため、窒化物エッチング停止層及び金属ゲートアニールの前に金属シリサイドを堆積させることができる。ブロック716では、
図8Cの
図800Cに示すように、ソース/ドレインEpi面806用のエッチング停止層814が基板に堆積される。エッチング停止層814は、例えば、トレンチ830のソース/ドレインEpi面に共形堆積される窒化シリコン層等の窒化物層であってよい。ブロック718では、
図8Dの
図800Dに示すように、基板にトレンチ830を充填する誘電体層816が堆積される。幾つかの実施形態では、誘電体層816は二酸化ケイ素層等であってよい。ブロック720では、
図8Eの
図800Eに示すように、ソース/ドレインEpi面806の上部ファセット808を開口する。この開口は、誘電体層816及びエッチング停止層814の一部をエッチングして、ソース/ドレインEpi面806の上部ファセット808上の金属シリサイド層812を露出させることによって達成される。ブロック722では、
図8Fの
図800Fに示すように、バルク充填材が基板上のトレンチ830に堆積される。幾つかの実施形態では、バルク充填材は、コバルト系材料等であってよい。
【0033】
[0047]
図9の
図900には、ソース/ドレインEpi構造の比較が図示されている。従来から構築されているソース/ドレインEpi構造902は、シリサイド層906と接触する上面部分のみを有し、このシリサイド層はバルク充填材818と接触する。本発明の方法を用いて構築されたソース/ドレインEpi構造904は、ソース/ドレインEpi面を金属シリサイド層が包み込むソース/ドレインEpi構造904をもたらす。本方法の構造においてシリサイドと接触する追加の表面積の大きさは、従来の構造で見られるものよりも約70%以上大きい。本発明者らは、シリサイドと接触するバルク充填材818の接触面積が従来の構造のソース/ドレインEpi構造902と本方法の構造のソース/ドレインEpi構造904の両方で同じであったとしても、本方法の構造のソース/ドレインEpi構造904では、電流の流れが約40%以上と大幅に大きくなる(それに続いて界面抵抗も大幅に低くなる)ことを発見した。
【0034】
[0048]本明細書に記載の方法は、スタンドアロン構成で提供され得る、又はクラスタツールの一部として提供され得る個々のプロセスチャンバ、例えば、
図10に関して後述する一体型ツール1000(すなわち、クラスタツール)で実行され得る。一体型ツール1000を使用する利点は、真空破壊がなく、したがって、処理前に基板をガス抜き及び前洗浄する必要がないことである。幾つかの実施形態では、上述した本方法は、プロセス間で真空破壊が制限される、又は真空破壊が起こらないように、一体型ツールにおいて有利に実行することができ、真空破壊を低減することで、プロセスのスループットを向上させるだけでなく、基板の汚染を制限又は防止し得る。一体型ツール1000は、真空気密処理プラットフォーム1001、ファクトリインターフェース1004、及びシステムコントローラ1002を含む。処理プラットフォーム1001は、真空基板移送チャンバ(移送チャンバ1003A、1003B)に動作可能に結合された1014A、1014B、1014C、1014D、1014E、1014F等の複数の処理チャンバを備える。ファクトリインターフェース1004は、1又は複数のロードロックチャンバ(
図10に示す1006A及び1006B等の2つのロードロックチャンバ)によって移送チャンバ1003Aに動作可能に結合されている。
【0035】
[0049]幾つかの実施形態では、ファクトリインターフェース1004は、少なくとも1つのドッキングステーション1007と、半導体基板の移送を容易にするための少なくとも1つのファクトリインターフェースロボット1038とを備える。ドッキングステーション1007は、1又は複数の前方開口型統一ポッド(FOUP)を受け入れるように構成される。
図10の実施形態では、1005A、1005B、1005C、及び1005D等の4つのFOUPが図示されている。ファクトリインターフェースロボット1038は、1006A及び1006B等のロードロックチャンバを通して、ファクトリインターフェース1004から処理プラットフォーム1001へ基板を移送するように構成される。ロードロックチャンバ1006A及び1006Bの各々は、ファクトリインターフェース1004に結合された第1のポートと、移送チャンバ1003Aに結合された第2のポートとを有する。ロードロックチャンバ1006A及び1006Bは、移送チャンバ1003Aの真空環境とファクトリインターフェース1004の実質的な周囲(例えば、大気)環境との間で基板を通過させやすくするために、ロードロックチャンバ1006A及び1006Bをポンプで排気する圧力制御システム(図示せず)に結合されている。移送チャンバ1003A、1003Bは、それぞれの移送チャンバ1003A、1003Bに配置された真空ロボット1042A、1042Bを有する。真空ロボット1042Aは、ロードロックチャンバ1006A、1006B、処理チャンバ1014A及び1014Fと、クールダウンステーション1040又は前洗浄ステーション1042との間で基板1021を移送することができる。真空ロボット1042Bは、クールダウンステーション1040又は前洗浄ステーション1042と処理チャンバ1014B、1014C、1014D、及び1014Eとの間で基板1021を移送することができる。
【0036】
[0050]幾つかの実施形態では、処理チャンバ1014A、1014B、1014C、1014D、1014E、及び1014Fは、移送チャンバ1003A、1003Bに結合される。処理チャンバ1014A、1014B、1014C、1014D、1014E、及び1014Fは、少なくとも原子層堆積(ALD)プロセスチャンバ、化学気相堆積(CVD)プロセスチャンバ、イオン注入チャンバ、及び物理気相堆積(PVD)プロセスチャンバを備える。また、アニールチャンバ、追加のCVDチャンバ、追加のALDチャンバ、追加のPVDチャンバ等の追加のチャンバを設けることができる。ALDチャンバ、CVDチャンバ、イオン注入チャンバ、及びPVDチャンバは、上述したように、本明細書に記載の方法の全部又は一部を実行するのに適した任意のチャンバを含み得る。幾つかの実施形態では、1又は複数のオプションのサービスチャンバ(1016A及び1016Bとして示す)が、移送チャンバ1003Aに結合され得る。サービスチャンバ1016A及び1016Bは、ガス抜き、配向、基板計測、クールダウン等の他の基板プロセスを実行するように構成され得る。
【0037】
[0051]システムコントローラ1002は、プロセスチャンバ1014A、1014B、1014C、1014D、1014E、及び1014Fの直接制御を使用して、又は代替的に、プロセスチャンバ1014A、1014B、1014C、1014D、1014E、及び1014Fならびに一体型ツール1000に関連するコンピュータ(又はコントローラ)を制御することによって、一体型ツール1000の動作を制御する。工程において、システムコントローラ1002は、一体型ツール1000の性能を最適化するために、それぞれのチャンバ及びシステムからのデータ収集及びフィードバックを可能にする。システムコントローラ1002は、概して、中央処理装置(CPU)1030、メモリ1034、及び支援回路1032を含む。CPU1030は、産業環境で使用可能な任意の形態の汎用コンピュータプロセッサであってよい。支援回路1032は、従来、CPU1030に結合され、キャッシュ、クロック回路、入出力サブシステム、電源等を備え得る。上述したような方法等のソフトウェアルーチンがメモリ1034に記憶されていてよく、CPU1030によって実行されたときに、CPU1030を特定目的のコンピュータ(システムコントローラ1002)に変換する。ソフトウェアルーチンはまた、一体型ツール1000から遠隔に位置する第2のコントローラ(図示せず)によって記憶及び/又は実行され得る。
【0038】
[0052]本原理に係る実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組み合わせで実装され得る。また、実施形態は、1又は複数のコンピュータ可読媒体を用いて記憶され、1又は複数のプロセッサによって読み取られ、実行され得る命令として実装され得る。コンピュータ可読媒体は、機械(例えば、コンピューティングプラットフォーム又は1又は複数のコンピューティングプラットフォーム上で動作する「仮想マシン」)によって読み取り可能な形態で情報を記憶又は送信するための任意の機構を含み得る。例えば、コンピュータ可読媒体は、任意の好適な形態の揮発性又は不揮発性メモリを含み得る。幾つかの実施形態では、コンピュータ可読媒体は、非一過性コンピュータ可読媒体を含み得る。
【0039】
[0053]前述の内容は本原理の実施形態を対象としているが、その基本的な範囲から逸脱することなく、本原理の他のさらなる実施形態を考案することが可能である。
【国際調査報告】