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特表2024-528131硫酸ニッケル生成物を調製するための方法及びシステム
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  • 特表-硫酸ニッケル生成物を調製するための方法及びシステム 図1
  • 特表-硫酸ニッケル生成物を調製するための方法及びシステム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】硫酸ニッケル生成物を調製するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C01G 53/10 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
C01G53/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505575
(86)(22)【出願日】2022-07-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-27
(86)【国際出願番号】 EP2022071290
(87)【国際公開番号】W WO2023006929
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】21188970.4
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ピヒマイアー,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ベーリンク,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】フリシュート,ザビーネ
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ヴィンセント
【テーマコード(参考)】
4G048
【Fターム(参考)】
4G048AA07
4G048AB02
4G048AC06
(57)【要約】
本開示は、元素状ニッケルを硫酸溶液に溶解して硫酸ニッケル生成物、及び例えば電池材料の製造に適した硫酸ニッケル生成物を製造する方法及びシステムに向けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫酸ニッケル生成物を調製するための方法であって、以下の工程:
元素状ニッケル、硫酸及び水を一次容器に導入し、一次硫酸ニッケル溶液を形成する工程;
一次硫酸ニッケル溶液を一次容器から二次容器に移し、更に元素状ニッケルを添加する工程であって、二次容器が未反応のニッケルを回収し、一次硫酸ニッケル溶液を未反応のニッケルと更に反応させて二次硫酸ニッケル溶液を形成させる工程;
一次容器及び/又は二次容器から高純度水素オフガス流を回収する工程;及び
二次硫酸ニッケル溶液をろ過して硫酸ニッケル生成物を回収する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
高純度水素オフガス流が、一次容器及び/又は二次容器における工程の温度を制御するための蒸気を生成するために水を加熱するために使用されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
酸素、空気及び過酸化水素を使用しないことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
約40℃~約200℃の範囲の温度で実施されることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
元素状ニッケルが、ペレット、ラウンド、カソード、ブリケット、粉末、及びそれらの組合せから選択される形態であることを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
一次硫酸ニッケル溶液及び二次硫酸ニッケル溶液が各容器内で連続的に循環されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
一次容器及び/又は二次容器が、泡の形成を最小限にするための分散装置を備えることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記分散装置が、スプリンクラー、スチーマー、遠心分離機、及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、環境気圧を超える圧力で、及び不活性雰囲気下で実施されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記不活性雰囲気が、水素、水蒸気、窒素、アルゴン、及びそれらの組合せから選択されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記一次硫酸ニッケル溶液が、約70g/l~約200g/lの範囲のNi2+濃度及び約0~約2の範囲のpHを有することを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記硫酸ニッケル生成物が約2~約4の範囲のpHを有することを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記硫酸ニッケル生成物のpHは、NaOH、KOH、Ni(OH)、及びそれらの組合せから選択される1種以上の金属水酸化物を添加することによって更に調整することができることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記硫酸ニッケル生成物が、更に精製することなく使用するのに適していることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
硫酸ニッケル生成物を調製するためのシステムであって、以下のもの:
一次硫酸ニッケル溶液を形成するために、元素状ニッケル、硫酸、及び水を混合するためのセトラーを備えた一次容器;
未反応のニッケル粒子と一次硫酸ニッケル溶液を回収し、更に追加的な元素状ニッケルと混合して二次硫酸ニッケル溶液を形成するためのセトラーを備えた二次容器;
一次容器及び/又は二次容器から高純度水素オフガスを回収するためのオフガス流ライン;及び
二次硫酸ニッケル溶液をろ過して硫酸ニッケル生成物を回収するためのフィルター、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項16】
オフガスラインは更に、前記一次容器のヘッド及び/又は前記二次容器のヘッドからバーナーに接続し、蒸気を生成するために水を加熱することを特徴とする、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記一次容器及び/又は前記二次容器内の温度を制御するために、生成された蒸気を前記一次容器の底部及び/又は前記二次容器の底部に運ぶための管を更に含むことを特徴とする、請求項15又は16に記載のシステム。
【請求項18】
前記一次容器及び/又は前記二次容器が、前記一次硫酸ニッケル溶液及び/又は前記二次硫酸ニッケル溶液を循環させるための1つ又は複数の循環装置を更に備えることを特徴とする、請求項15~17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記1つ又は複数の循環装置が、分離器、1つ又は複数のポンプ、及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記一次容器及び/又は前記二次容器が、前記一次容器及び/又は前記二次容器での泡形成を最小限にするための分散装置を更に備えることを特徴とする、請求項15~19の何れか1項に記載のシステム。
【請求項21】
前記分散装置が、スプリンクラー、スチーマー、遠心分離機、及びそれらの組合せから選択されることを特徴とする、請求項20に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年7月30日に出願された欧州特許出願第21188970.4号の利益を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
硫酸ニッケルは、例えばニッケル水素電池やリチウムイオン電池用の電極材料として等、多くの用途に有用である。これらのタイプの電池は、ハイブリッド電気自動車、携帯電話、パソコン等に使用されている。そのため、これらについては特に過去10年間はますます需要が高まっており、このニーズは高い割合で伸び続けている。
【0003】
硫酸ニッケルを製造する方法の一つは、硫酸に元素状ニッケルを溶解させる方法である。この方法では、工程の間に揮発性の水素ガスが発生して有害な環境を作るために、安全な環境が必要である。更に、酸の水溶液に元素状ニッケルを溶解する工程は、ほとんどの非酸化性酸や、特定の条件下では一部の酸化性酸でさえ、実用的でないほど時間がかかることが多い。
【0004】
例えば、特許文献1(米国特許第6,554,915号)には、金属ニッケルを非酸化性の酸性水溶液に溶解する方法が記載されているが、ここでは、使用するニッケルが微粉末の形態でない場合には、追加的な酸化剤を使用する必要がる。しかし、最終的なニッケル塩溶液にオゾンや過酸化水素のような酸化剤が含まれていると、用途によっては使用できず、製品を精製するための追加の後処理が必要になる。このような追加手順は、コスト増となり、及び工程の効率を低下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,554,915号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
硫酸ニッケルを製造する際に考慮すべきもう一つの点は、電池製造の原料として使用する硫酸ニッケルは、比較的高いpH、例えば約4を有するべきであるということである。しかし元素状ニッケルと硫酸との反応速度は、酸化剤の排除下で反応させる場合、十分に低いpH(約0.5~約2)を必要とする。
【0007】
従って、バッテリー(電池)製造の原料として使用するのに適した硫酸ニッケル生成物(製品)など、硫酸ニッケル生成物をコスト効率が良く安全な方法で製造するための代替方法とシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、硫酸ニッケル生成物、例えば電池材料製造に適した硫酸ニッケル生成物を製造するために、硫酸溶液中に元素状ニッケルを溶解するための方法及びシステムに向けられている。本開示では、2つの容器を使用2段階セットアップが、例えば約2と約4の間の比較的高いpHを有する硫酸ニッケル生成物を生成するためにpH勾配を生じさせることができるという利点を有することが驚くべきことに見出された。 本開示において、クリーンな水素ガスがオフガスとして生成され、この水素ガスは例えば、熱を生成するために工程及びシステムにおいて更に使用され得るか、又は他のプロセスに使用され得ることも驚くべきことに見出された。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、硫酸ニッケル生成物を調製するための方法を提供する。この方法は、元素状ニッケル、硫酸及び水を一次容器に導入し、一次硫酸ニッケル溶液を形成することを含むことが可能である。一次硫酸ニッケル溶液を一次容器から二次容器に移し、及び追加的な元素状ニッケルを加えても良い。二次容器は、一次容器から未反応のニッケルを回収し、一次硫酸ニッケル溶液を未反応のニッケルと更に反応させて二次硫酸ニッケル溶液を形成させることが可能である。
【0010】
本方法は、一次容器及び/又は二次容器からの高純度水素オフガス流の収集を含むことが可能である。高純度水素オフガス流は、一次容器及び/又は二次容器内の工程の温度を制御するために、水を加熱して蒸気を生成することが可能である。この工程は、酸素、空気、過酸化水素を含まなくても良い。本方法は、約40℃から約200℃の範囲の温度で実施しても良い。本方法では、ペレット、丸棒(round)、カソード、ブリケット、粉末、及びそれらの組み合わせから選択される形態であっても良い元素状ニッケルを使用しても良い。
本方法は、各容器内で一次硫酸ニッケル溶液及び二次硫酸ニッケル溶液を連続的に循環させることを更に含んでも良い。本方法は、一次容器及び/又は二次容器における泡の形成を最小限に抑えるために、分散装置を用いて実施しても良い。分散装置は、スプリンクラー、スチーマー、遠心分離機、及びそれらの組み合わせから選択されても良い。
本開示の方法は、環境気圧を超える圧力で、及び不活性雰囲気下で実施しても良い。不活性雰囲気は、水素、水蒸気、窒素、アルゴン、及びそれらの組み合わせから選択されても良い。本方法はまた、環境圧力で実施されても良い。
【0011】
一次硫酸ニッケル溶液は、約70g/lから約200g/lの範囲のNi2+ 濃度及び約0.5から約2の範囲のpHを有しても良い。二次硫酸ニッケル溶液をろ過して硫酸ニッケル生成物を生成しても良く、この硫酸ニッケル生成物は、さらに精製することなく使用するのに適していても良い。
【0012】
本開示は、硫酸ニッケル生成物を調製するためのシステムも提供する。このシステムは、一次容器、二次容器、オフガス流ライン及びフィルターを含んでも良い。
【0013】
一次容器は、一次硫酸ニッケル溶液を形成するために、元素状ニッケル、硫酸、及び水を混合するためのセトラーを含んでも良い。
【0014】
二次容器には、未反応のニッケル粒子及び一次硫酸ニッケル溶液を回収し、追加の元素状ニッケルと更に混合して二次硫酸ニッケル溶液を形成するためのセトラーを含めても良い。
【0015】
一次容器及び/又は二次容器は、一次及び/又は二次硫酸ニッケル溶液を循環させるための1つ又は複数の循環装置を更に含んでも良い。循環装置は、分離器、1つ又は複数のポンプ、及びそれらの組み合わせから選択しても良い。一次容器及び/又は二次容器は、その中での泡の形成を最小限に抑えるための分散装置を更に含んでも良い。分散装置は、スプリンクラー、スチーマー、遠心分離機、及びそれらの組み合わせから選択されても良い。
【0016】
オフガス流ラインは、一次容器及び/又は二次容器から高純度水素オフガスを回収するために使用されても良い。オフガス流ラインは、一次容器のヘッド及び/又は二次容器のヘッドからバーナーに接続されても良く、これにより蒸気を生成するために水を加熱する。生成された蒸気を一次容器の底部及び/又は二次容器の底部に運び、一次容器及び/又は二次容器内の温度を制御するためのチューブが含まれていても良い。
【0017】
フィルターは、硫酸ニッケル生成物を回収するために二次硫酸ニッケル溶液をろ過するために使用されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、硫酸ニッケル生成物を製造するための一塔(ワンカラム)構成の比較例を示す図表示である。
図2図2は、本開示の一実施形態に従う硫酸ニッケル生成物の製造のための二塔(2カラム)構成の予言的(prophetic)な例を示す図表示である。
【0019】
本明細書で使用される場合、「a」又は「an」存在物は、その存在物の1つ以上を表し、例えば、「a容器」は、特に断りのない限り、1つ以上の容器又は少なくとも1つの容器を表す。このように、「a」(又は「an」)、「1つ以上」、及び「少なくとも1つ」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0020】
本明細書において、「約」という用語は、およそ、その領域内、おおよそ、又はその前後を意味する。「約」という用語が数値範囲と共に使用される場合、それは、規定された数値の上下に境界を拡張することによってその範囲を修正する。一般に、本明細書では、「約」という用語は、記載された数値の上下に10%の変化で数値を修正するために使用される。用語「約」によって修正された値には、特定的な値も含まれる。例えば、「約5.0」は5.0を含む。
【0021】
本明細書で使用される場合、「環境圧力(ambient pressure)」という用語は、本開示のシステム及び/又は方法が実施される周囲の空気及ぶ外部環境の圧力を意味する。環境圧力は、典型的には大気圧である。
【0022】
本明細書で使用される場合、「不活性雰囲気」という用語は、本開示のシステム及び方法において非反応性である気体環境を意味する。例えば、不活性雰囲気は、主に非反応性ガスからなる実質的に酸素を含まない環境である。例示的な非反応性ガスとしては、例えば窒素及びアルゴンが含まれる。
【0023】
本明細書で使用される場合、「容器」という用語は、気体、液体、固体、及びそれらの混合物を含む、1つ以上の工程成分を含むのに適した容積を規定する構造体を意味する。本開示の容器は、任意の適切な材料、例えばガラス、元素金属、金属合金、プラスチック、ラミネート、セラミック又はこれらの任意の組み合わせを非限定的に含むような材料で構成して良い。容器は、環境に対して開放されていても良いし、圧力下で作動するように閉鎖されていても良い。本明細書に記載の容器は、本開示の工程の成分を受容及び/又は放出するための1つ又は複数の入口及び出口を含むように更に構成される。
【0024】
本開示では、添付図面(図1及び図2)に描かれているように、硫酸ニッケル生成物を製造するためのニッケル浸出は、バブルカラム又はトリクルベッド反応器等の一次容器内で行われる。バブルカラムのセットアップでは、ニッケル金属はハンドリング装置を介して一次容器に連続的に供給され、及び硫酸と水は、形成される可能性のある泡を破壊するために分散装置を用いて、別々に又は溶液として一次容器に投与される。トリクルベッド反応容器のセットアップでは、ニッケル金属が容器に充填され、及び硫酸と水が一次容器に導入され、ニッケル金属粒子のベッドを通って流れ、粒子が浸出して一次硫酸ニッケル溶液が形成される。一部の実施形態では、ニッケル金属粒子は一次容器内の1つの大きなベッド(床)として構成される。幾つかの実施形態では、ニッケル金属粒子は、一次容器内のそれぞれのシェル内の複数のベッドとして構成される。幾つかの実施形態では、ニッケル金属粒子は複数の水平ベッドとして構成される。幾つかの実施形態では、ニッケル金属粒子は、複数の平行充填管として構成される。
【0025】
この工程は、酸素の不存在下及び不活性雰囲気下、常圧下、約50℃から約120℃の温度で行われる。
【0026】
主に水素と水蒸気を含むオフガス流が一次容器の上部(頂部)で生成される。水蒸気はコンデンサーで凝縮されて一次容器に戻され、及び水素ガスはコンデンサーを通って流れることが可能であり、これは回収されても良い。一次容器で生成された一次硫酸ニッケル溶液は、次に二次容器に供給され、一次容器から回収された未反応のニッケル金属や二次容器に添加された新鮮なニッケル金属と更に反応する。二次容器は、バブルカラム又はトリクルベッド反応器とすることが可能である。
【0027】
一次容器と二次容器の両方において、硫酸ニッケル溶液は、1つ以上のポンプを使用して、容器の底部からヘッド部まで連続的に循環される。この操作は、硫酸ニッケル溶液中のニッケル粒子の分散を維持し、粒子の沈降を妨げるのに役立つ。
【0028】
本方法の第二段階では、一次硫酸ニッケル溶液に比べてpHが高く、ニッケル濃度も高い二次硫酸ニッケル溶液が得られ、これをろ過して目的とする濃度とpHの所望の硫酸ニッケル生成物が得られる。
【0029】
二次硫酸ニッケル溶液は、二次容器内でニッケル粒子を滞留させるセトラーに通される。最後に、二次硫酸ニッケル溶液は、例えば熱交換器(空気冷却器等)を用いて約50℃まで冷却され、そして次にクロスフローフィルター等のフィルターに通され、セトラーで分離されなかった微粒子が除去される。ろ過された溶液は、貯蔵タンクに通され、所望のニッケル濃度とpH仕様を有する硫酸ニッケル生成物として貯蔵される。粒子が濃縮されたろ過からのスラリーは廃棄される。約18wt%から約96wt%の硫酸、例えば約18wt%から約50wt%の硫酸を用いて粒子を溶解し、得られた溶液を一次容器に戻すことも可能である。この替わりに、粒子をスラリーから回収し、固体粒子として一次容器に戻すことも可能である。
【0030】
この工程はわずかに発熱性であるため、工程に熱を導入する必要がある。副産物として発生し、及び回収されたオフガス流からの水素は、工程で使用される水が充填された蒸気ドラムを加熱するために、バーナーで熱的に使用することが可能である。こうして生成された蒸気は、温度を制御するための熱源として、一次及び/又は二次容器に供給することが可能である。
【0031】
以下の説明では、硫酸ニッケル生成物(製品)、例えば電池材料の製造に適した硫酸ニッケル生成物を提供するために、硫酸溶液に元素状ニッケルを溶解するための開示された方法及びシステムの異なる態様の様々な実施形態を提供する。
【0032】
工程(process)
本開示は、硫酸ニッケル生成物を調製するための方法であって、以下の工程:
(a)元素状ニッケル、硫酸及び水を一次容器に導入し、一次硫酸ニッケル溶液を形成する工程;
(b)一次硫酸ニッケル溶液を一次容器から二次容器に移し、及び追加的な元素状ニッケルを添加する工程であって、二次容器が未反応のニッケルを回収し、及び一次硫酸ニッケル溶液を未反応のニッケルと更に反応させて二次硫酸ニッケル溶液を形成させる工程;
(c)一次容器及び/又は二次容器から高純度水素オフガス流を回収する工程;及び
(d)二次硫酸ニッケル溶液をろ過して硫酸ニッケル生成物を回収する工程、
を含む方法を提供する。
【0033】
いくつかの実施形態では、本方法は酸素を含まない。いくつかの実施形態において、本方法は空気を含まない。いくつかの実施形態において、本方法は過酸化水素を含まない。
【0034】
いくつかの実施形態において、本開示の方法は、高純度水素オフガスを生成する。いくつかの実施形態において、高純度水素オフガスは、約50%~約100%の範囲の純水素である。いくつかの実施形態において、水素オフガスは、約50%の純度である。いくつかの実施形態では、水素オフガスは約60%の純度である。いくつかの実施形態では、水素オフガスは純度約70%である。いくつかの実施形態では、水素オフガスは約80%の純度である。いくつかの実施形態では、水素オフガスは約90%の純度である。いくつかの実施形態では、水素オフガスは約95%の純度である。いくつかの実施形態において、水素オフガスは純度が約100%である。いくつかの実施形態において、水素オフガスの純度は、方法において使用される不活性雰囲気に依存する。いくつかの実施形態では、高純度水素オフガス流はバーナーに運ばれ、水を加熱して蒸気を生成するために使用される。いくつかの実施形態では、バーナーは多孔質バーナーである。いくつかの実施形態において、蒸気は本方法で熱源として使用される。いくつかの実施形態では、生成された蒸気は、一次容器の底部に戻され、及び供給され、及び一次硫酸ニッケル溶液を加熱するための熱源として使用される。いくつかの実施形態では、生成された蒸気は、二次容器の底部に戻され及び供給され、二次硫酸ニッケル溶液を加熱するための熱源として使用される。いくつかの実施形態では、生成された蒸気は、一次容器及び二次容器の底部に戻され、及び供給され、及び一次及び二次硫酸ニッケル溶液を加熱するための熱源として使用される。
【0035】
いくつかの実施形態では、本方法は、約40℃~約200℃の範囲の温度で実施される。いくつかの実施形態では、本本方法は、 約50℃~約180℃の範囲の温度で実施される。いくつかの実施形態では、本方法は、約60℃~約160℃の範囲の温度で実施される。いくつかの実施形態では、本方法は、約70℃~約140℃の範囲の温度で実施される。いくつかの実施形態では、本方法は、約80℃~約120℃の範囲の温度で実施される。いくつかの実施形態では、本方法は約80℃の温度で実施される。いくつかの実施形態では、本方法は約90℃の温度で実施される。いくつかの実施形態では、本方法は約100℃の温度で実施される。いくつかの実施形態では、本方法は約110℃の温度で実施される。いくつかの実施形態では、本方法は約120℃の温度で実施される。いくつかの実施形態では、一次容器及び二次容器は、約40℃~約200℃の範囲内で同じ温度又は異なる温度である。
【0036】
いくつかの実施形態では、元素状ニッケル粒子は不規則な形状及びサイズである。いくつかの実施形態では、元素状ニッケル粒子は均一な形状及びサイズを有する。いくつかの実施形態では、元素状ニッケル粒子は塊状である。いくつかの実施形態では、元素状ニッケル粒子は削りくず(turnings)の形態である。いくつかの実施形態では、元素状ニッケル粒子はペレットの形態である。いくつかの実施形態では、元素状ニッケル粒子は丸状の形である。いくつかの実施形態では、元素状ニッケル粒子はカソードの形態である。いくつかの実施形態では、元素状ニッケル粒子は電極片の形態である。いくつかの実施形態では、元素状ニッケル粒子はブリケットの形態である。いくつかの実施形態では、元素状ニッケル粒子は粉末の形態である。いくつかの実施形態では、元素状ニッケル粒子は、ペレット、ラウンド(丸状体)、カソード、ブリケット、及び粉末のうちの1つ又は複数の組み合わせの形態である。いくつかの実施形態では、ブリケットは、粉末及び/又は断片をバインダーと組み合わせてブリケットを形成したものである。いくつかの実施形態では、ニッケル粒子は液体状で導入される。いくつかの実施形態では、ニッケル粒子は、ニッケル粒子を含む液体として導入される。いくつかの実施形態では、ニッケル粒子は、ニッケル/酸化ニッケル(Ni/NiO)粒子を含む液体として導入される。
【0037】
いくつかの実施形態では、元素状ニッケル粉末は、約0.01mm~約1mmの範囲の平均粒径を有する。いくつかの実施形態では、元素状ニッケル粉末は、約0.01mm~約0.15mmの範囲の平均粒径を有する。いくつかの実施形態において、ニッケル塊は、約5mm~約10cmの範囲の長さ、幅及び高さを有する。いくつかの実施形態において、ニッケルターニング(削りくず)は、約0.1mm~約1mmの範囲の厚さ、約1mm~約5mmの範囲の幅及び約1cm~約20cmの範囲の長さを有する。いくつかの実施形態では、ニッケルブリケットは、約2cm~約4cmの範囲の長さ、及び約12mm~約14mmの範囲の直径を有する。いくつかの実施形態において、ニッケル電極片は、約0.5mm~約7mmの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態において、ニッケル電極片は、約1mm~約10mmの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態において、切断されていないニッケル電極片は、約1mm~約3mmの範囲の厚さ及び不規則な断面を有し、最も広い場所での直径は約40mmを超えず、平均直径は約10mm~約30mmの範囲である。いくつかの実施形態において、切断ニッケル電極は、約0.5mm~約7mmの範囲の厚さを有することが可能である。いくつかの実施形態では、ニッケル電極のサイズは約10cm 約10cm 約10cmである。
【0038】
いくつかの実施形態では、元素状ニッケルは一次容器に連続的に供給される。いくつかの実施形態では、元素状ニッケルは二次容器に 連続的に供給される。いくつかの実施形態では、元素状ニッケルは一次容器と二次容器に連続的に供給される。
【0039】
いくつかの実施形態では、元素状ニッケルは粉末の形態で一次及び/又は二次反応容器に添加される。例えば、粗ニッケル材料は、例えば、溶射(すなわち、ガスアトマイズ法)、水アトマイズ法(高圧)、カルボニル精製法、湿式冶金法(すなわち、水素還元法)によってNi粉末に変換することが可能である。(P. Samal, J. Newkirk, ASM Handbook, Volume 7, Powder Metallurgy, 2015)。従って、いくつかの実施形態では、粉末ニッケル材料は、直接噴霧によって一次容器及び/又は二次容器に与えることができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、本方法を実施するために使用される硫酸は、プロトン化又は非プロトン化され得る水を含む硫酸である。いくつかの実施形態では、硫酸の含水率は、HSOに基づいて、約5質量%~約95質量%の範囲とすることが可能である。いくつかの実施形態では、硫酸の含水率は、HSO に基づいて、約15質量%~約30質量%の範囲とすることが可能である。いくつかの実施形態では、選択される硫酸の濃度は、対象となる硫酸ニッケル生成物の濃度に依存する。
【0041】
いくつかの実施形態では、ニッケルを一次容器に入れ、そして水と硫酸を加えて酸性の一次硫酸ニッケル溶液を形成する。いくつかの実施形態では、形成された酸性の一次硫酸ニッケル溶液を連続的に除去し、新鮮なニッケル、水及び/又は硫酸を添加する。いくつかの実施形態では、硫酸を水と予め混合し、そして次に希硫酸として添加する。いくつかの実施形態では、一次容器からの硫酸をリサイクルすることが可能である。いくつかの実施形態では、リサイクルされた硫酸はニッケル粒子からのニッケルイオンを含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、本方法は連続的に実施され、硫酸ニッケル溶液及び/又は生成物が除去され、及び必要に応じて元素状ニッケル、水及び硫酸が補充される。いくつかの実施形態では、本開示の方法はバッチ式で実施される。
【0043】
いくつかの実施形態では、一次容器は、一次硫酸ニッケル溶液を循環させるための1つ以上の循環装置を備える。いくつかの実施形態では、二次容器は、二次硫酸ニッケル溶液を循環させるための1つ以上の循環装置を備える。いくつかの実施形態では、一次及び二次容器は、一次及び二次硫酸ニッケル溶液を循環させるための1つ又は複数の循環装置を備える。
【0044】
いくつかの実施形態では、循環装置は、分離器及び/又は1つ以上のポンプを備える。いくつかの実施形態では、分離器はループ分離器である。いくつかの実施形態では、分離器はサイクロン分離器である。いくつかの実施形態では、循環装置はポンプである。いくつかの実施形態では、循環装置は、2つ以上のポンプである。いくつかの実施形態では、循環装置は、サイクロン分離器と1つ以上のポンプとの組み合わせである。いくつかの実施形態では、循環装置は、ループ分離器と1つ以上のポンプとの組み合わせである。この技術分野の当業者であれば、本明細書に記載される循環装置と等価であるの多くの物を認識するか、又は日常的な実験以上のことを行わずに使用することができるであろう。このような等価物は、本明細書に包含されることが意図される。
【0045】
いくつかの実施形態では、一次容器内の泡形成は、分散装置を用いて最小化される。いくつかの実施形態では、二次容器内の泡形成は、分散装置を用いて最小化される。いくつかの実施形態では、分散装置はスプリンクラーである。いくつかの実施形態では、水及び硫酸が、スプリンクラーを用いて一次容器に導入される。いくつかの実施形態では、一次硫酸ニッケル溶液は、スプリンクラーを用いて二次容器に導入される。いくつかの実施形態では、分散装置はスチーマー(蒸し器)である。いくつかの実施形態では、分散装置は遠心分離機である。いくつかの実施形態では、分散装置は、スプリンクラー、スチーマー、及び遠心分離機のうちの1つ以上から選択される。この技術分野の当業者であれば、本明細書に記載される分散装置と等価である多くの物を、日常的な実験以上のことを行わずに認識するか、又は使用することができるであろう。このような等価物は、本明細書に包含されることが意図される。
【0046】
いくつかの実施形態では、本方法は環境気圧(常圧)で実施される。いくつかの実施形態では、本方法は、環境圧力を超える圧力で実施される。いくつかの実施形態では、本方法は、不活性雰囲気下で実施される。いくつかの実施形態では、不活性雰囲気は水素である。いくつかの実施形態では、不活性雰囲気は水蒸気である。いくつかの実施形態では、不活性雰囲気は窒素である。いくつかの実施形態にでは、不活性雰囲気はアルゴンである。いくつかの実施形態では、不活性雰囲気は、水素、水蒸気、窒素及びアルゴンから選択される2つ以上の気体の組合せである。
【0047】
いくつかの実施形態では、一次硫酸ニッケル溶液は、約70g/l~約200g/lの範囲のNi2+ 濃度を有する。いくつかの実施形態では、一次硫酸ニッケル溶液は、約90g/l~約150g/lの範囲のNi2+ 濃度を有する。いくつかの実施形態では、一次硫酸ニッケル溶液は、約100g/l~約140g/lの範囲のNi2+ 濃度を有する。いくつかの実施形態では、一次硫酸ニッケル溶液は、約110g/lのNi2+ 濃度を有する。いくつかの実施形態では、一次硫酸ニッケル溶液は、約118g/lのNi2+ 濃度を有する。いくつかの実施形態では、一次硫酸ニッケル溶液は、約120g/lのNi2+ 濃度を有する。いくつかの実施形態では、一次硫酸ニッケル溶液は、約130g/lのNi2+ 濃度を有する。いくつかの実施形態では、一次硫酸ニッケル溶液は、約140g/lのNi2+ 濃度を有する。いくつかの実施形態では、一次硫酸ニッケル溶液は、約120g/lのNi2+ 濃度を有する。
【0048】
いくつかの実施形態では、一次容器内の一次硫酸ニッケル溶液は、約0~約2の範囲のpHを有する。 いくつかの実施形態では、一次硫酸ニッケルは、約0未満のpHを有する。 いくつかの実施形態では、一次硫酸ニッケル溶液は、約0~約1.5の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態において、一次硫酸ニッケル溶液は、約1.2のpHを有する。いくつかの実施形態では、一次硫酸ニッケル溶液は、約1.4のpHを有する。いくつかの実施形態では、一次硫酸ニッケル溶液は、約1.6のpHを有する。いくつかの実施形態では、一次硫酸ニッケル溶液は約1.8のpHを有する。いくつかの実施形態では、pHは、投与された硫酸の濃度に依存する。いくつかの実施形態において、pHはガラス電極を用いて測定される。いくつかの実施形態では、pHは組合せ電極を用いて測定される。
【0049】
いくつかの実施形態では、二次硫酸ニッケル溶液は、約70g/l~約200g/lの範囲のNi2+濃度を有する。いくつかの実施形態では、二次硫酸ニッケル溶液は、約90g/l~約150g/lの範囲のNi2+濃度を有する。いくつかの実施形態では、二次硫酸ニッケル溶液は、約100g/l~約140g/lの範囲のNi2+濃度を有する。いくつかの実施形態では、二次硫酸ニッケル溶液は、約110g/lのNi2+濃度を有する。いくつかの実施形態において、二次硫酸ニッケル溶液は、約118g/lのNi2+濃度を有する。いくつかの実施形態において、二次硫酸ニッケル溶液は、約120g/lのNi2+濃度を有する。いくつかの実施形態において、二次硫酸ニッケル溶液は、約130g/lのNi2+濃度を有する。いくつかの実施形態において、二次硫酸ニッケル溶液は、約140g/lのNi2+濃度を有する。いくつかの実施形態において、二次硫酸ニッケル溶液は、約150g/lのNi2+濃度を有する。いくつかの実施形態では、二次硫酸ニッケル溶液のNi2+濃度は、一次硫酸ニッケル溶液のNi2+濃度よりも高い。
【0050】
いくつかの実施形態では、硫酸ニッケル生成物は、約70g/l~約200g/lの範囲のNi2+ 濃度を有する。いくつかの実施形態では、硫酸ニッケル生成物は、約90g/lと約150g/lとの間の範囲のNi2+ 濃度を有する。いくつかの実施形態において、硫酸ニッケル生成物は、約100g/l~約140g/lの範囲のNi2+濃度を有する。いくつかの実施形態において、硫酸ニッケル生成物は、約110g/lのNi2+濃度を有する。いくつかの実施形態において、硫酸ニッケル生成物は、約118g/lのNi2+濃度を有する。いくつかの実施形態において、硫酸ニッケル生成物は、約120g/lのNi2+濃度を有する。いくつかの実施形態において、硫酸ニッケル生成物は、約130g/lのNi2+濃度を有する。いくつかの実施形態において、硫酸ニッケル生成物は、約140g/lのNi2+濃度を有する。いくつかの実施形態において、硫酸ニッケル生成物は、約150g/lのNi2+濃度を有する。
【0051】
いくつかの実施形態では、硫酸ニッケル生成物は、約2~約4の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、硫酸ニッケル生成物は、約2.2~約3.8の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態において、硫酸ニッケル生成物は、約2.4~約3.6の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態において、硫酸ニッケル生成物は、約2.5~約3.5の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態において、硫酸ニッケル生成物は、約2.5のpHを有する。いくつかの実施形態において、硫酸ニッケル生成物は約2.6のpHを有する。いくつかの実施形態において、硫酸ニッケル生成物は約2.7のpHを有する。いくつかの実施形態において、硫酸ニッケル生成物は約2.8のpHを有する。いくつかの実施形態において、硫酸ニッケル生成物は約2.9のpHを有する。いくつかの実施形態において、硫酸ニッケル生成物は約3.0のpHを有する。
【0052】
いくつかの実施形態では、本開示の硫酸ニッケル生成物は、更に精製することなく使用するのに適している。例えば本プロセスは、(a)元素状ニッケル、硫酸、及び水を一次容器に導入して一次硫酸ニッケル溶液を形成する工程;(b)一次硫酸ニッケル溶液を一次容器から二次容器に移し、追加的な元素状ニッケルを更に添加する工程であって、二次容器が未反応のニッケルを回収し、一次硫酸ニッケル溶液が任意の未反応のニッケルとさらに反応して二次硫酸ニッケル溶液を形成するようにする工程;を含む;(d)一次容器及び/又は二次容器から高純度水素オフガス流を回収する工程;及び(d)二次硫酸ニッケル溶液をろ過して硫酸ニッケル生成物を回収する工程、を含む。いくつかの実施形態では、硫酸ニッケル生成物は、有機化合物を除去するために活性炭上でろ過される。いくつかの実施形態では、有機化合物はニッケルブリケットからの結合剤である。二次硫酸ニッケル溶液をろ過して硫酸ニッケル生成物を回収した後、更なる精製は必要とされない。硫酸ニッケル生成物の精製又は精製の程度は、いくつかの要因に依存する。例えば、出発原料、すなわち元素状ニッケル、硫酸、水の純度、及びこれらの原料の1つ又は複数が工程に流入し続けることである。硫酸ニッケル生成物の純度は、約50%~約100%の範囲である。いくつかの実施形態では、硫酸ニッケル生成物の純度は約95%~約100%の範囲である。いくつかの実施形態では、硫酸ニッケル生成物の純度は約98%~約100%の範囲である。
【0053】
システム
本開示は、硫酸ニッケル生成物を調製するためのシステムも提供し、このシステムは、以下を備える:(i)元素状ニッケル、硫酸、及び水を混合して一次硫酸ニッケル溶液を形成するためのセトラーを備えた一次容器;(ii)未反応ニッケル粒子及び一次硫酸ニッケル溶液を回収し、追加の元素状ニッケルと更に混合して二次硫酸ニッケル溶液を形成するためのセトラーを備えた二次容器;(iii)一次容器及び/又は二次容器から高純度水素オフガスを回収するためのオフガス流ライン;及び(iv)硫酸ニッケル生成物を回収するために二次硫酸ニッケル溶液をろ過するためのフィルター。
【0054】
いくつかの実施形態では、システムは、(i)元素状ニッケル、硫酸、及び水を混合して一次硫酸ニッケル溶液を形成するための、セトラーを備えた一次容器;及び(ii)未反応のニッケル粒子及び一次硫酸ニッケル溶液を回収して、追加の元素状ニッケルと更に混合して二次硫酸ニッケル溶液を形成するための、セトラーを備えた二次容器を含む。いくつかの実施形態では、容器はエポキシ樹脂製で、未充填であるか又はガラス繊維で充填されている。いくつかの実施形態では、容器は、積層エポキシ-ガラス繊維材料である。いくつかの実施形態では、容器は、ポリプロピレン、PVC又はPVDF等のプラスチックである。いくつかの実施形態では、容器は、鋼製アウターに導入されたプラスチックチューブを含む。いくつかの実施形態では、容器は鉛又は鉛合金製でできている。いくつかの実施形態では、容器は鋼等の金属容器である。いくつかの実施形態では、鋼製容器は上記の材料でライニングされている。
【0055】
いくつかの実施形態では、システムは、(iii)一次容器及び/又は二次容器から高純度水素オフガスを収集するためのオフガス流ラインを備える。いくつかの実施形態では、オフガス流ラインは更に、一次容器のヘッドからバーナーに接続し、蒸気を生成するために水を加熱する。幾つかの実施形態では、オフガス流ラインは更に、二次容器のヘッドからバーナーに接続し、蒸気生成のために水を加熱する。幾つかの実施形態では、オフガス流ラインは更に、一次及び二次容器のヘッドからバーナーに接続し、蒸気生成のための水を加熱する。いくつかの実施形態では、バーナーは多孔質バーナーである。
【0056】
いくつかの実施形態では、システムは更に以下を含む:(iv)硫酸ニッケル生成物を回収するために二次硫酸ニッケル溶液をろ過するためのフィルター。いくつかの実施形態では、フィルターはメンブレンフィルターである。
【0057】
いくつかの実施形態では、システムは、生成された蒸気を一次容器の底部に運び、その温度を制御する管を更に備える。いくつかの実施形態では、システムは、生成された蒸気を二次容器の底部に運び、その温度を制御する管を更に備える。いくつかの実施形態では、システムは、その中の温度を制御するために、生成された蒸気を一次容器及び二次容器の底部に運ぶ管を更に備える。
【0058】
グループの少なくとも2つのメンバーの間に「又は」又は「及び/又は」を含む特許請求の範囲又は記載は、反対であることが示されない限り、又は文脈から他の方法で明らかでない限り、グループのメンバーの1つ、2つ以上、又はすべてが、所定の製品、プロセス、又はシステムに存在する、採用される、又は他の方法で関連する場合、満足されるとみなされる。本開示は、グループの性格に1つのメンバーが、所与の製品、プロセス、又はシステムに存在する、採用される、又は他の方法で関連する実施形態を含む。本開示は、複数の、又は全てのグループメンバーが、所定の製品、プロセス、又はシステムに存在する、採用される、又は他の方法で関連する実施形態を含む。
【0059】
更に、本開示は、記載された請求項の少なくとも1つからの少なくとも1つの限定、要素、条項、及び記述用語が別の請求項に導入される全ての変形、組み合わせ、及び順列を包含する。例えば、他の請求項に従属する請求項は、同じ基本請求項に従属する他の請求項に見出される少なくとも1つの限定を含むように修正することができる。要素が、例えば、Markushグループ形式などのリストとして提示される場合、要素の各サブグループも開示され、任意の要素をグループから削除することができる。一般に、本開示又は本開示の態様が特定の要素及び/又は特徴から構成されると言及される/される場合、本開示又は本開示の態様の実施形態は、そのような要素及び/又は特徴から構成されるか、又は本質的にそのような要素及び/又は特徴から構成されることを理解されたい。簡略化のため、それらの実施形態は、本明細書において、この通りの言葉(in haec verba)で具体的に記載されていない。範囲が与えられる場合、終点が含まれる。さらに、他に示されない限り、又は文脈及び当業者の理解から明らかでない限り、範囲として表される値は、文脈が明確に指示しない限り、本開示の異なる実施形態において、記載された範囲内の任意の特定の値又はサブ範囲を想定することができる。
【0060】
この技術分野の当業者であれば、本明細書に記載された本開示の具体的な実施形態に相当する多くの均等物を、日常的な実験以上のことを行わずに認識するか、又は確認することができるであろう。このような等価物は、特許請求の範囲に包含されることが意図される。
【0061】
本開示の例示的な実施形態を説明する前に、本開示は、以下の実施例に記載される構造の詳細又はプロセスステップに限定されず、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実施されることが可能であることを理解されたい。
【実施例
【0062】
以下の実施例は例示を意図したものであり、本開示の範囲を限定するものでは決してない。
【0063】
1カラム工程の実験的ステップアップ:
図1に示すように、気泡塔容器(1)は、窒素ガス供給装置から窒素ガスを供給するためのガス導入管(2)及びニッケル金属粒子を供給するためのハンドリング装置(3)を備えている。窒素ガスは、容器(1)内に不活性雰囲気を形成し、及び窒素ガスバブルを使用してその中で反応混合物を混合するために使用される。容器(1)は、容器(1)の上部に、硫酸と水をそれぞれ導入するための2つの入口管(4と5)を含んでいる。硫酸及び水は分散装置(6)を介して容器(1)に導入され、泡の形成を最小限に抑える。
【0064】
Ni/NiO粒子を含む液体は、ポンプ(11)で容器(1)の下部から上部へ、容器(1)の下部にある出口(7)を経由し、分離器(8)及び熱交換器(9)を経て、入口(10)から容器(1)に戻るように連続的に送られる。液体が容器(1)の上部に戻される際、分散装置(6)を経由して導入されても良い。容器出口(7)と分離器(8)の間にサンプリングポイント(図示せず)が設けられており、製造中の反応混合物のサンプリングを可能にする。水素と水蒸気を含むオフガスが本方法(工程)で生成され、容器(1)の上の凝縮器(12)を通過する。水蒸気は凝縮し、及び使用中に容器(1)に戻され、水素ガス(13)は凝縮器(12)を通過し、及び更に使用するために回収することが可能である。反応混合物のpH、投入された硫酸及び水の量、回収された硫酸ニッケル生成物のニッケル質量及び濃度は、工程中に連続的にモニターすることが可能である。硫酸ニッケル生成物は、容器(1)から排出口(14)を経て及びフィルター(15)を通して移送され、硫酸ニッケル生成物(17)が固体廃棄物(16)から分離される。
【0065】
1カラムセットアップの手順:
ブリケット状の元素状ニッケル6kgを容器に投入し、及び18wt%硫酸水溶液3.2Lを容器に加えた。反応混合物に20nL/hの窒素ガスをバブリングした。このようにして、硫酸ニッケル溶液を連続的に循環させた。硫酸ニッケル溶液は80℃(内温)に加熱され、使用済みニッケル量はニッケルブリケットの連続添加によって補われた。硫酸ニッケル溶液が目標とするニッケル濃度126 g/Lに達するとすぐに、18 wt%の硫酸水溶液を500 nL/hの速度で5.3時間かけて添加した。平衡の後、1.4のpHが達成され、及び126g/Lの硫酸ニッケル溶液の3419gが得られた。ニッケル溶解の反応速度は60g/hと決定された。5.3時間の運転時間内では、ニッケルのブリケットは連続的に容器に供給されなかった。
【0066】
2カラム工程用の予言的実験的ステップアップ:
図2に示すように、一次容器(20)バブルカラム(気泡塔)は、一次容器(20)の底部に窒素ガスを供給するためのガス入口管(21)を備えている。同様に、二次容器(22)バブルカラムは、その底部に窒素ガスを供給するためのガス導入管(23)を備えている。窒素ガスの供給は、容器内を不活性雰囲気にし、窒素ガスバブルを用いて硫酸ニッケル溶液を混合するために使用される。
【0067】
一次容器(20)は、硫酸と水をそれぞれ一次容器(20)内の液面より上方に導入するための、2つの入口管(24及び25)を上部に含んでおり、及びニッケル金属粒子を供給するためのハンドリング装置(27)を含んでいる。硫酸と水は、入口管24及び25を介して一次容器(20)に導入される。また、泡の発生を最小限に抑えるため、分散装置(26)を介して導入することも可能である。一次容器(20)は、その中の液面を一定に保つための一次オーバーフロードレイン(28)を備えている。オーバーフローは二次容器(22)に集められる。
【0068】
一次容器(20)の上部には、Ni/NiO粒子を含む液体を一次容器(20)に導入するための入口(29)が設けられている。この液体はポンプ(33)によって一次容器(20)の底部から出口(30)を経て分離器(31)及び熱交換器(32)を経て一次容器(20)の上部に連続的にポンプで輸送される。一次容器(20)とセパレーター(31)の間には、工程実施中に一次硫酸ニッケル溶液をサンプリングできるように、サンプリングポイント(図示せず)が設置されている。
【0069】
一次容器(20)は、その一次オーバーフロードレイン(28)によって二次容器(22)に接続され、二次容器(22)は、そこで生成された二次硫酸ニッケル溶液を除去するための排出口(34)を有する。二次容器(22)内のこの二次硫酸ニッケル溶液は、ポンプ(35)を通過することにより、二次容器(22)の底部から、分離器(37)及び熱交換器(38)を経由して二次容器(22)の頂部まで、排出口(36)を介して連続的に循環される。二次容器(22)の底部、排出口(36)と分離器(37)の間には、製造中の二次硫酸ニッケル溶液をサンプリングするためのサンプリングポイント(図示せず)が設置されている。二次硫酸ニッケル溶液は、二次分散装置(40)を介して入口(39)から二次容器(22)に移送され、泡の形成を最小限に抑える。二次容器(22)には、ハンドリング装置(27)から追加のニッケル金属を導入することが可能である。
【0070】
工程実施中に発生する水素と水蒸気を含むオフガスは、二次容器(22)から凝縮器(41)を通過する。凝縮した水蒸気は二次容器(22)に戻され、水素ガス(42)が放出され、及び更に使用するために回収することができる。例えば、水素ガス(42)はバーナーに運ばれ、及び水を加熱して水蒸気を生成するのに使用されることが可能である。生成された蒸気は、使用中に一次及び二次容器内の温度を制御するための熱源として、一次及び二次容器の底部に供給することが可能である。
【0071】
最後に、二次容器(22)の排出口(34)は、硫酸ニッケル最終製品(45)から固体成分(44)を分離するために使用されるフィルター(43)に接続される。
【0072】
2列セットアップの予言的手順:
元素状ニッケル粒子を一次容器に供給し、及び硫酸と水を一次容器に加える。一次容器内で生成した一次硫酸ニッケル溶液に窒素ガスをバブリングし、及び一次硫酸ニッケル溶液を約40℃~約200℃(内部温度)に加熱しながら連続循環させる。一次容器内の使用済み元素状ニッケルは、ニッケル粒子の連続添加によって補われる。一次ニッケル溶液のニッケル濃度は、一次容器とセパレーターの間で採取されたサンプルの測定によって決定され、及び必要に応じて硫酸が所定の期間、必要な割合で添加される。平衡化後、及び一次硫酸ニッケル溶液が約0.5から約2.0の間の所望のpHに達し、約90g/lから約200g/lの間の所望の濃度に達すると、一次硫酸ニッケル溶液は一次容器のオーバーフロードレインを通して二次容器に通され、二次硫酸ニッケル溶液が形成される。
二次容器内の二次硫酸ニッケル溶液に窒素ガスをバブリングし、及び二次硫酸ニッケル溶液を、この方法で連続的に循環させる。二次硫酸ニッケル溶液はまた、約40℃から約200℃の間の所望の温度(内部温度)に加熱される。二次容器内の使用済みニッケル金属量は、ニッケル金属の連続添加によって補われる。工程中、二次硫酸ニッケル溶液は常に測定され、pH、反応速度、濃度が決定される。
【0073】
この工程の間、水蒸気と水素を含むオフガスが発生する。水蒸気は容器上部の凝縮器内で凝縮し、及び凝縮物は容器に戻される。水素オフガスはバーナーに運ばれ、そこで水を加熱して蒸気を発生させるのに使われることが可能である。そして生成された蒸気は容器に戻され、及び一次及び二次容器の底部に供給され、ここで使用中に一次及び二次容器内の温度を制御するための熱源として使用することが可能である。一次及び二次容器は、熱交換器を使用して加熱することも可能である。
【0074】
二次硫酸ニッケル溶液が平衡化、約2.0から約4.0の間の所望のpH、及び所望の濃度に達したら、二次硫酸ニッケル溶液を分離システムに移し、固体成分を分離し、及び追加のワークアップ又は精製工程を必要とすることなく、直ぐに使用可能な最終硫酸ニッケル生成物を得る。
【0075】
実施形態
『実施形態1』
硫酸ニッケル生成物を調製するための方法であって、以下の工程:
元素状ニッケル、硫酸及び水を一次容器に導入し、一次硫酸ニッケル溶液を形成する工程;
一次硫酸ニッケル溶液を一次容器から二次容器に移し、及び追加的な元素状ニッケルを添加する工程であって、二次容器が未反応のニッケルを回収し、一次硫酸ニッケル溶液を未反応のニッケルと更に反応させて二次硫酸ニッケル溶液を形成させる工程;
一次容器及び/又は二次容器から高純度水素オフガス流を回収する工程;及び
二次硫酸ニッケル溶液をろ過して硫酸ニッケル生成物を回収する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【0076】
『実施形態2』
酸素を使用しない、実施形態1に記載の方法。
【0077】
『実施形態3』
空気を使用しない、実施形態1又は2に記載の方法。
【0078】
『実施形態4』
過酸化水素を使用しない、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0079】
『実施形態5』
高純度水素オフガス流が水を加熱して蒸気を生成する、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0080】
『実施形態6』
蒸気が、一次容器内の工程の温度を制御するために使用される、実施形態5に記載の方法。
【0081】
『実施形態7』
蒸気が、二次容器内の工程の温度を制御するために使用される、実施形態5又は6に記載の方法。
【0082】
『実施形態8』
工程が、約40℃~約二百℃の範囲の温度で実施される、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0083】
『実施形態9』
工程が、約60℃~約150℃の範囲の温度で実施される、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0084】
『実施形態10』
工程が、約80℃~約100℃の範囲の温度で実施される、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0085】
『実施形態11』
工程が約80℃の温度で実施される、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0086】
『実施形態12』
元素状ニッケル粒子が、不規則な形状とサイズを有する、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0087】
『実施形態13』
元素状ニッケルが、ペレット、ラウンド(丸状体)、カソード、ブリケット、粉末、及びそれらの組合せから選択される形態である、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0088】
『実施形態14』
元素状ニッケルが一次容器に連続的に供給される、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
【0089】
『実施形態15』
元素状ニッケルが二次容器に連続的に供給される、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
【0090】
『実施形態16』
一次容器が、一次硫酸ニッケル溶液を循環させるための1つ以上の循環装置を備える、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0091】
『実施形態17』
二次容器が、二次硫酸ニッケル溶液を循環させるための1つ以上の循環装置を備える、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法。
【0092】
『実施形態18』
循環装置が、粒子分離器、1つ以上のポンプ、及びそれらの組み合わせから選択される、実施形態16又は17に従う方法。
【0093】
『実施形態19』
一次容器が、泡形成を最小化するための分散装置を備える、実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法。
【0094】
『実施形態20』
二次容器が、泡形成を最小化するための分散装置を備える、実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法。
【0095】
『実施形態21』
分散装置が、スプリンクラー、スチーマー、遠心分離機、及びそれらの組合せから選択される、実施形態19又は20に記載の方法。
【0096】
『実施形態22』
工程が環境圧力(常圧)で実施される、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
【0097】
『実施形態23』
工程が、環境圧力を超える圧力で実施される、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
【0098】
『実施形態24』
工程が、不活性雰囲気下で実施される、実施形態1~23のいずれか1つに記載の工程。
【0099】
『実施形態25』
不活性雰囲気が、水素、水蒸気、窒素、アルゴン、及びそれらの組み合わせから選択される、実施形態24に記載の方法。
【0100】
『実施形態26』
一次硫酸ニッケル溶液が、約70g/l~約200g/lの範囲のNi2+ 濃度を有する、実施形態1~25のいずれか1つに記載の方法。
【0101】
『実施形態27』
一次硫酸ニッケル溶液が、約90g/l~約150g/lの範囲の濃度を有する、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0102】
『実施形態28』
一次硫酸ニッケル溶液が、約110g/l~約140g/lの範囲のNi2+ 濃度を有する、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法。
【0103】
『実施形態29』
一次硫酸ニッケル溶液が、約120g/lのNi2+濃度を有する、実施形態1~28のいずれか1つに記載の方法。
【0104】
『実施形態30』
一次容器内の一次硫酸ニッケル溶液が、約0~約2の範囲のpHを有する、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法。
【0105】
『実施形態31』
一次容器内の一次硫酸ニッケル溶液が、約1.0~約2の範囲のpHを有する、実施形態1~30のいずれか1つに記載の方法。
【0106】
『実施形態32』
一次容器内の一次硫酸ニッケル溶液が約1.4のpHを有する、実施形態1~31のいずれか1つに記載の方法。
【0107】
『実施形態33』
一次容器内の一次硫酸ニッケル溶液が約0未満のpHを有する、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法。
【0108】
『実施形態34』
一次容器内の一次硫酸ニッケル溶液のpHが、一次硫酸ニッケル溶液に添加される硫酸の濃度によって制御される、実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法。
【0109】
『実施形態35』
硫酸ニッケル生成物が約2~約4の範囲のpHを有する、実施形態1~34のいずれか1つに記載の方法。
【0110】
『実施形態36』
硫酸ニッケル生成物が約2.2~約3.8の範囲のpHを有する、実施形態1~35のいずれか1つに記載の方法。
【0111】
『実施形態37』
硫酸ニッケル生成物が約2.4~約3.6の範囲のpHを有する、実施形態1~36のいずれか1つに記載の方法。
【0112】
『実施形態38』
硫酸ニッケル生成物が約2.5~約3.5の範囲のpHを有する、実施形態1~37のいずれか1つに記載の方法。
【0113】
『実施形態39』
硫酸ニッケル生成物が約3.0のpHを有する、実施形態1~38のいずれか1つに記載の方法。
【0114】
『実施形態40』
硫酸ニッケル生成物のpHが、1種以上の金属水酸化物を添加することによって更に調整されることが可能である、実施形態1~39のいずれか1つに記載の方法。
【0115】
『実施形態41』
金属水酸化物が、NaOH、KOH、Ni(OH) 、及びそれらの組み合わせから選択される、実施形態40に記載の方法。
【0116】
『実施形態42』
硫酸ニッケル生成物が、更に精製することなく使用するのに適している、実施形態1~41のいずれか1つに記載の方法。
【0117】
『実施形態43』
硫酸ニッケル生成物を活性炭上でろ過する、実施形態1~42のいずれか1つに記載の方法。
【0118】
『実施形態44』
硫酸ニッケル生成物を調製するためのシステムであって、以下のもの:
一次硫酸ニッケル溶液を形成するために、元素状ニッケル、硫酸、及び水を混合するためのセトラーを備えた一次容器;
未反応のニッケル粒子と一次硫酸ニッケル溶液を回収し、更に追加的な元素状ニッケルと混合して二次硫酸ニッケル溶液を形成するためのセトラーを備えた二次容器;
一次容器及び/又は二次容器から高純度水素オフガスを回収するためのオフガス流路;及び
二次硫酸ニッケル溶液をろ過して硫酸ニッケル生成物を製造するためのフィルター、
を含むシステム。
【0119】
『実施形態45』
オフガスラインが更に、一次容器のヘッドから多孔質バーナーに接続し、蒸気を生成するために水を加熱する、実施形態44に記載のシステム。
【0120】
『実施形態46』
オフガスラインは、更に、二次容器のヘッドから多孔質バーナーに接続し、蒸気を生成するために水を加熱する、実施形態44に記載のシステム。
【0121】
『実施形態47』
その中の温度を制御するために、生成された蒸気を一次容器の底部に運ぶための管を更に含む、実施形態45に記載のシステム。
【0122】
『実施形態48』
その中の温度を制御するために、生成された蒸気を二次容器の底部に運ぶための管を更に含む、実施形態46に記載のシステム。
【0123】
『実施形態49』
一次容器が、一次硫酸ニッケル溶液を循環させるための1つ以上の循環装置を更に備える、実施形態44~48のいずれか1つに記載のシステム。
【0124】
『実施形態50』
二次容器が、二次硫酸ニッケル溶液を循環させるための1つ以上の循環装置を更に備える、実施形態44~49のいずれか1つに記載のシステム。
【0125】
『実施形態51』
1つ以上の循環装置が、粒子分離器、1つ以上のポンプ、及びそれらの組み合わせから選択される、実施形態49又は50に記載のシステム。
【0126】
『実施形態52』
一次容器が、その中での泡形成を最小化するための分散装置を更に備える、実施形態44~51のいずれか1つに記載のシステム。
【0127】
『実施形態53』
二次容器が、その中での泡形成を最小化するための分散装置をさらに備える、実施形態44~52のいずれか1つに記載のシステム。
【0128】
『実施形態54』
分散装置が、スプリンクラー、スチーマー、遠心分離機、及びそれらの組み合わせから選択される、実施形態52又は53に記載のシステム。
【0129】
『実施形態55』
元素状ニッケルが、ニッケル粉末の形態で一次反応容器及び/又は二次反応容器に添加され、及びニッケル粉末が、溶射、水アトマイズ、カルボニル精錬、及び湿式精錬から選択される工程によって製造される、実施形態1~42の何れか1つに記載の方法。
【0130】
『実施形態56』
元素状ニッケルを導入する工程が、一次容器及び/又は二次容器への直接噴霧によって行われる、実施形態55に記載の方法。
図1
図2
【国際調査報告】