(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】銅バリアスラリーのためのパッドインボトル(PIB)技術
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240725BHJP
C09K 3/14 20060101ALI20240725BHJP
C09G 1/02 20060101ALI20240725BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20240725BHJP
B24B 37/24 20120101ALI20240725BHJP
B24B 37/26 20120101ALI20240725BHJP
B24B 53/017 20120101ALI20240725BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
C09G1/02
B24B37/00 H
B24B37/24 C
B24B37/26
B24B53/017 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504197
(86)(22)【出願日】2022-07-15
(85)【翻訳文提出日】2024-03-22
(86)【国際出願番号】 US2022073794
(87)【国際公開番号】W WO2023004269
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】シアオポー シー
(72)【発明者】
【氏名】マーク レオナルド オニール
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ジー.ランガン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート バカッシー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ アレン シュルーター
(72)【発明者】
【氏名】ヤサ サンプルノ
(72)【発明者】
【氏名】アラ フィリポッシャン
【テーマコード(参考)】
3C047
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C047AA34
3C047BB02
3C158AA07
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5F057AA25
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5F057EA28
5F057EA29
5F057EA33
5F057EB08
5F057EB27
(57)【要約】
複数の凹凸を有するポリウレタン系研磨パッドで使用するための、高度な化学機械的平坦化(CMP)銅バリアCMP組成物、システム、及びプロセスのための新規なパッドインボトル(PIB)技術が開示されている。CMP組成物は、研磨材、ポリウレタンビーズ、及び界面活性剤を含む。研磨パッド寿命の延長は、PIBタイプのCuバリアCMP研磨組成物を使用して達成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学機械的研磨(CMP)組成物であって、
研磨材と、
2~100μm、10~80μm、20~70μm、又は30~50μmの範囲のポリウレタン(PU)ビーズと、
シリコーン含有分散剤と、
腐食防止剤と、
水などの液体キャリアと、
任意選択で、
膜表面の濡れ性を高めるための界面活性剤と、
誘電体膜除去速度を高めるための添加剤と、
キレート剤と、
殺生物剤と、
pH調整剤と、
使用時に添加される酸化剤とを含み、
前記組成物のpHが、8.0~12.0、8.5~11.0、又は9.0~10.0であり、
研磨材のポリウレタンビーズに対する重量パーセント比が、約1対1~約100対1、より好ましくは約10対1~約50対1、最も好ましくは約15対1~約40対1である、CMP組成物。
【請求項2】
前記研磨材が、コロイド状シリカ;コロイド状シリカの格子内に他の金属酸化物がドープされたコロイド状シリカ粒子;α-型、β-型、及びγ-型の酸化アルミニウムからなる群から選択されるコロイド状酸化アルミニウム;コロイド状で光活性の二酸化チタン;酸化セリウム;コロイド状酸化セリウム;アルミナ、チタニア、ジルコニア、セリアからなる群から選択される無機金属酸化物粒子;及びダイヤモンド粒子;窒化ケイ素粒子;モノモーダル、バイモーダル、又はマルチモーダルのコロイド状研磨材粒子;有機ポリマー系軟質研磨材粒子;表面被覆又は改質研磨材粒子;並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される研磨剤粒子であり、前記研磨材が、0.10重量%~25重量%、1.0重量%~15重量%、又は2.0重量%~10.0重量%の範囲である、請求項1に記載のCMP組成物。
【請求項3】
前記ポリウレタン(PU)ビーズが、2~100μm、10~80μm、20~70μm、又は30~50μmのサイズを有し、0.01重量%~2.0重量%、0.025重量%~1.0重量%、又は0.05重量%~0.5重量%の範囲である、請求項1に記載のCMP組成物。
【請求項4】
前記シリコーン含有分散剤が、水不溶性シリコーン骨格と水溶性ポリエーテルペンダント基との両方を含有するシリコーンポリエーテルを含み、前記シリコーン含有分散剤が、0.01重量%~2.0重量%、0.025重量%~1.0重量%、又は0.05重量%~0.5重量%の範囲である、請求項1に記載のCMP組成物。
【請求項5】
前記シリコーン含有分散剤が、水不溶性シリコーン骨格と、エチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)官能基のn個の繰り返し単位(EO-PO)(nは2~25である)を含むペンダント基との両方を含有するシリコーンポリエーテルを含む、請求項1に記載のCMP組成物。
【請求項6】
前記CMP組成物が、1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール及びベンゾトリアゾール誘導体、テトラゾール及びテトラゾール誘導体、イミダゾール及びイミダゾール誘導体、ベンゾイミダゾール及びベンゾイミダゾール誘導体、ピラゾール及びピラゾール誘導体、テトラゾール及びテトラゾール誘導体、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される前記腐食防止剤を含み、前記腐食防止剤が、0.005重量%~1.0重量%、0.01重量%~0.5重量%、又は0.025重量%~0.25重量%の範囲である、請求項1に記載のCMP組成物。
【請求項7】
前記CMP組成物が、アニオン性界面活性剤、エチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)官能基を含有する非イオン性界面活性剤、並びにカチオン性界面活性剤からなる群から選択される前記界面活性剤を含み、前記界面活性剤が、0.005重量%~0.25重量%、0.001重量%~0.05重量%、又は0.002重量%~0.1重量%の範囲である、請求項1に記載のCMP組成物。
【請求項8】
前記CMP組成物が、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アンモニウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、前記誘電体膜除去速度を高めるための添加剤を含み、前記誘電体膜除去速度を高めるための添加剤が、0.01重量%~5.0重量%、0.1重量%~3.0重量%、又は0.25重量%~2.0重量%の範囲である、請求項1に記載のCMP組成物。
【請求項9】
前記CMP組成物が、グリシン、D-アラニン、L-アラニン、DL-アラニン、ベータ-アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアミン、プロリン、セリン、トレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラギン、グルタミン酸、アスパラギン酸、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、メチオニン、システイン、イミノ二酢酸、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン及び2,2-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、エチレンジアミン、1,3-ジアミンプロパン、1,4-ジアミンブタン、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される前記キレート剤を含み、前記キレート剤が、0.1重量%~18重量%、0.5重量%~15重量%、1.0重量%~10.0重量%、又は2.0重量%~10.0重量%の範囲である、請求項1に記載のCMP組成物。
【請求項10】
前記CMP組成物において、前記キレート剤が、グリシン、D-アラニン、L-アラニン、DL-アラニン、ベータ-アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアミン、プロリン、セリン、トレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラギン、グルタミン酸、アスパラギン酸、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、メチオニン、システイン、イミノ二酢酸、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン及び2,2-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、エチレンジアミン、1,3-ジアミンプロパン、1,4-ジアミンブタン、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択され、
前記腐食防止剤が、1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール及びベンゾトリアゾール誘導体、テトラゾール及びテトラゾール誘導体、イミダゾール及びイミダゾール誘導体、ベンゾイミダゾール及びベンゾイミダゾール誘導体、ピラゾール及びピラゾール誘導体、テトラゾール及びテトラゾール誘導体、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のCMP組成物。
【請求項11】
前記CMP組成物が、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される活性成分を有する前記殺生物剤を含み、前記殺生物剤が、0.0001重量%~0.05重量%、0.0001重量%~0.025重量%、又は0.0001重量%~0.01重量%の範囲である、請求項1に記載のCMP組成物。
【請求項12】
前記CMP組成物が、過ヨウ素酸、過酸化水素、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム、硝酸第二鉄、硝酸、硝酸カリウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される前記酸化剤を含み、前記酸化剤が、0.1重量%~10重量%、0.25重量%~3重量%、又は0.5重量%~2.0重量%の範囲である、請求項1に記載のCMP組成物。
【請求項13】
前記キレート剤が、グリシン、D-アラニン、L-アラニン、DL-アラニン、ベータ-アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアミン、プロリン、セリン、トレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラギン、グルタミン酸、アスパラギン酸、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、メチオニン、システイン、イミノ二酢酸、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン及び2,2-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、エチレンジアミン、1,3-ジアミンプロパン、1,4-ジアミンブタン、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択され、
前記酸化剤が、過ヨウ素酸、過酸化水素、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム、硝酸第二鉄、硝酸、硝酸カリウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
前記腐食防止剤が、1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール及びベンゾトリアゾール誘導体、テトラゾール及びテトラゾール誘導体、イミダゾール及びイミダゾール誘導体、ベンゾイミダゾール及びベンゾイミダゾール誘導体、ピラゾール及びピラゾール誘導体、テトラゾール及びテトラゾール誘導体、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のCMP組成物。
【請求項14】
前記pH調整剤が、pHを酸性方向に調整する、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、他の無機酸若しくは有機酸、及びこれらの混合物からなる群から選択されるか、又は、pHをアルカリ性の方向に調整する、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のCMP組成物。
【請求項15】
前記CMP組成物が、コロイド状シリカ粒子と;水不溶性シリコーン骨格と、エチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)官能基のn個の繰り返し単位(EO-PO)(nは2~25である)を含むペンダント基との両方を含有するシリコーンポリエーテルを含むシリコーン含有分散剤と;1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール及びベンゾトリアゾール誘導体、テトラゾール及びテトラゾール誘導体、イミダゾール及びイミダゾール誘導体、ベンゾイミダゾール及びベンゾイミダゾール誘導体、ピラゾール及びピラゾール誘導体、テトラゾール及びテトラゾール誘導体、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される腐食防止剤と;ポリウレタン(PU)ビーズとを含む、請求項1に記載のCMP組成物。
【請求項16】
前記CMP組成物が、コロイド状シリカ粒子と;水不溶性シリコーン骨格と、エチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)官能基のn個の繰り返し単位(EO-PO)(nは2~25である)を含むペンダント基との両方を含有するシリコーンポリエーテルを含むシリコーン含有分散剤と;1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール及びベンゾトリアゾール誘導体、テトラゾール及びテトラゾール誘導体、イミダゾール及びイミダゾール誘導体、ベンゾイミダゾール及びベンゾイミダゾール誘導体、ピラゾール及びピラゾール誘導体、テトラゾール及びテトラゾール誘導体、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される腐食防止剤と;アニオン性界面活性剤、エチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)官能基を含有する非イオン性界面活性剤、並びにカチオン性界面活性剤からなる群から選択される界面活性剤と;カリウムシリカ、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アンモニウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される誘電体膜除去速度を高めるための添加剤と;過ヨウ素酸、過酸化水素、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム、硝酸第二鉄、硝酸、硝酸カリウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される酸化剤と;ポリウレタン(PU)ビーズとを含む、請求項1に記載のCMP組成物。
【請求項17】
半導体基板を化学機械的研磨する方法であって、
Cu、TEOS、low-k(LK)又はultra low-k(Ultra-LK)、TiN、Ti、Ta、及びTaNからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含有する表面を有する前記半導体基板を提供するステップと、
研磨パッドを提供するステップであって、前記研磨パッドが、ポリウレタンを含み、複数の凹凸を有する、研磨パッドを提供するステップと、
請求項1~16のいずれか一項に記載の化学機械的研磨(CMP)配合物を提供するステップと、
Cu、TEOS、low-k(LK)又はultra low-k(Ultra-LK)、TiN、Ti、Ta、及びTaNからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含有する前記表面を、前記研磨パッド及び前記化学機械的研磨配合物と接触させるステップと、
Cu、TEOS、low-k(LK)又はultra low-k(Ultra-LK)、TiN、Ti、Ta、及びTaNからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含有する前記表面を研磨するステップと、を含み、
Cu、TEOS、low-k(LK)又はultra low-k(Ultra-LK)、TiN、Ti、Ta、及びTaNからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含有する前記表面の少なくとも一部分が、前記研磨パッド及び前記化学機械的研磨配合物の両方と接触する、方法。
【請求項18】
ダイヤモンド切削ディスクを用いて前記研磨パッドをコンディショニングすることを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
化学機械的研磨のシステムであって、
Cu、TEOS、low-k(LK)又はultra low-k(Ultra-LK)、TiN、Ti、Ta、及びTaNからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含有する表面を有する半導体基板と、
研磨パッドであって、前記研磨パッドが、ポリウレタンを含み、複数の凹凸を有する、研磨パッドと、
請求項1~16のいずれか一項に記載の化学機械的研磨(CMP)配合物と、を含み、
Cu、TEOS、low-k(LK)又はultra low-k(Ultra-LK)、TiN、Ti、Ta、及びTaNからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含有する前記表面の少なくとも一部分が、前記研磨パッド及び前記化学機械的研磨配合物の両方と接触している、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月23日に出願された米国仮出願第63/224,956号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、全般的には、高度な化学機械的平坦化(CMP)組成物、システム、及びプロセスのための新規なパッドインボトル(PIB)技術に関する。具体的には、本開示は、高度な銅バリアCMP組成物、システム、及びプロセスのためのPIB技術に関する。
【背景技術】
【0003】
CMPにおいて、ポリウレタン(PU)パッド上の凹凸は、ウェハ接触により不可逆的に変形され、組成物粒子によっても磨耗する。したがって、プロセス安定性を確保するために、パッド表面をダイヤモンドディスクで継続的に更新する必要がある。ダイヤモンドディスクはパッド表面を切削して古い凹凸を除去し、新しいものを作り出す必要があるため、パッドの更新によってパッドも徐々に薄くなり、その交換を余儀なくさせる。
【0004】
したがって、従来のCMPは、(a)(パッド及びコンディショナーの頻繁な交換により)大量の廃棄物が生成されること、及び(b)非常に変化しやすい接触面積分布を引き起こすパッドの凸凹の形状の制御が不十分であることなど、いくつかの弱点を有する。これらは、除去速度(RR)の変動をもたらし、とりわけ、ウェハレベルのトポグラフィに悪影響を及ぼす。
【0005】
したがって、CMPの技術分野では、研磨パッドの寿命及びコンディショニングディスクの寿命の改善など、従来技術の弱点を克服する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
この必要性は、本明細書に開示された新規なパッドインボトル(PIB)技術によって満たされる。高度なノード銅バリアCMP組成物、システム及びプロセスのためのパッドインボトル(PIB)技術が、通常のCuバリアスラリー組成物に加えて選択されたポリウレタンビーズ及び分散剤を含有するPIBタイプのCuバリアCMPスラリーの採用及び使用を通して、また部分的コンディショニング条件を使用して、研磨パッド寿命及びコンディショニングディスク寿命を改善するための困難な要件を満たすように開発された。本出願は、CuバリアCMPプロセスにおけるパッド寿命を改善することができる新しい新規なパッドインボトル(PIB)技術を開示する。
【0007】
結果は、完全コンディショニング条件で分散剤を含むがポリウレタンビーズを含有しない非PIB Cuバリアスラリーを使用して得られるパッド寿命と比較して、部分的コンディショニングプロセスを使用するPIBタイプのCuバリアスラリーで約4倍長いソフトパッド寿命が達成されることを示す。
【0008】
結果は、同じ部分的コンディショニング条件で分散剤を含むがポリウレタンビーズを含有しない非PIB Cuバリアスラリーを使用して得られるパッド寿命よりも、部分的コンディショニングプロセスを使用するPIBタイプのCuバリアスラリーで約2倍長いソフトパッド寿命が達成されることを示す。
【0009】
一態様では、PIBタイプのCMP研磨組成物が提供される。PIBタイプのCMP研磨組成物は、
研磨材と、
2~100μm、10~80μm、20~70μm、又は30~50μmの範囲のミクロンサイズのポリウレタン(PU)ビーズと、
シリコーン含有分散剤と、
腐食防止剤と、
水などの液体キャリアと、
任意選択で、
膜表面の濡れ性を高めるための界面活性剤と、
誘電体膜除去速度を高めるための添加剤と、
キレート剤と、
殺生物剤と、
pH調整剤と、
使用時に添加される酸化剤とを含み、
組成物のpHは、8.0~12.0、8.5~11.0、又は9.0~10.0である。
【0010】
別の態様では、CMP研磨方法が提供される。CMP研磨方法は、
Cu、TEOS、low-k(LK)又はultra low-k(Ultra-LK)、TiN、Ti、Ta、及びTaNからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含有する表面を有する半導体基板を提供することと、
研磨パッドを提供することと、
上述の化学機械的研磨(CMP)Cuバリア組成物を提供することと、
Cu、TEOS、low-k(LK)又はultra low-k(Ultra-LK)、TiN、Ti、Ta、及びTaNからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含有する表面を、研磨パッド及び化学機械的研磨配合物と接触させることと、
Cu、TEOS、low-k(LK)又はultra low-k(Ultra-LK)、TiN、Ti、Ta、及びTaNからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含有する表面を研磨することと、を含み、
Cu、TEOS、low-k(LK)又はultra low-k(Ultra-LK)、TiN、Ti、Ta、及びTaNからなる群から選択される材料のうちの少なくとも1つを含有する表面の少なくとも一部分は、研磨パッド及び化学機械的研磨配合物の両方と接触している。
【0011】
更に別の態様では、CMP研磨システムが提供される。CMP研磨システムは、
Cu、TEOS、low-k(LK)又はultra low-k(Ultra-LK)、TiN、Ti、Ta、及びTaNからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含有する表面を有する半導体基板を含み、
研磨パッドを提供し、
上述の請求項の化学機械的研磨(CMP)組成物を提供するものであり、
Cu、TEOS、low-k(LK)又はultra low-k(Ultra-LK)、TiN、Ti、Ta、及びTaNからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含有する表面の少なくとも一部分は、研磨パッド及び化学機械的研磨配合物の両方と接触している。
【0012】
研磨材粒子としては、コロイド状シリカ又は高純度コロイド状シリカ、アルミナドープシリカ粒子などの、コロイド状シリカの格子内に他の無機酸化物がドープされたコロイド状シリカ粒子、α-型、β-型、及びγ-型の酸化アルミニウムを含むコロイド状酸化アルミニウム、コロイド状で光活性の二酸化チタン、酸化セリウム、コロイド状酸化セリウム、ナノサイズの無機酸化物粒子、例えばアルミナ、チタニア、ジルコニア、セリアなど、ナノサイズのダイヤモンド粒子、ナノサイズの窒化ケイ素粒子、モノモーダル、バイモーダル、マルチモーダルのコロイド状研磨材粒子、有機ポリマー系軟質研磨材、表面被覆若しくは改質研磨材、又は他の複合粒子、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
シリコーン含有分散剤としては、水不溶性シリコーン骨格と、表面湿潤特性を提供するいくつかの水溶性ポリエーテルペンダント基との両方を含有するシリコーンポリエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。例は、水不溶性シリコーン骨格と、エチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)官能基のn個の繰り返し単位(EO-PO)(nは2~25である)を含むペンダント基との両方を含有するシリコーンポリエーテルである。
【0014】
腐食防止剤としては、1,2,4-トリアゾール、アミトロール(3-アミノ-1,2,4-トリアゾール)、ベンゾトリアゾール及びベンゾトリアゾール誘導体、テトラゾール及びテトラゾール誘導体、イミダゾール及びイミダゾール誘導体、ベンゾイミダゾール及びベンゾイミダゾール誘導体、ピラゾール及びピラゾール誘導体、並びにテトラゾール及びテトラゾール誘導体などの芳香環中に窒素原子を含有するヘテロ芳香族化合物のファミリーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
キレート剤(又はキレート化剤)としては、アミノ酸、アミノ酸誘導体、及び有機アミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
アミノ酸及びアミノ酸誘導体としては、グリシン、D-アラニン、L-アラニン、DL-アラニン、ベータ-アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアミン、プロリン、セリン、トレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラギン、グルタミン酸、アスパラギン酸、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、メチオニン、システイン、イミノ二酢酸、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
アニオン性界面活性剤としては、直鎖若しくは分岐アルキル鎖を有する有機アルキルスルホン酸又はそれらのアンモニウム塩、ナトリウム塩、若しくはカリウム塩の有機アルキルスルホネート表面湿潤剤が挙げられるが、これらに限定されない。例は、ドデシルスルホン酸、ドデシルスルホネートのアンモニウム塩、ドデシルスルホネートのカリウム塩、ナトリウム塩、ドデシルスルホネート、7-エチル-2-メチル-4-ウンデシル硫酸ナトリウム塩(Niaproof(登録商標)4など)、又は2-エチルヘキシル硫酸ナトリウム(Niaproof(登録商標)08など)である。
【0019】
カチオン性界面活性剤としては、ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、及びセチルトリメチルアンモニウムヒドロキシドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
非イオン性界面活性剤は、Dynol604、Dynol607、Surfynol 104、Tergitol Min-Form 1X、Tergitol L-62、及びTergitol L-64が挙げられるが、これらに限定されない、エチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)官能基を含有する界面活性剤である。
【0021】
誘電体膜除去速度向上剤としては、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、又はケイ酸アンモニウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
殺生物剤としては、Dow Chemical製のKathon(商標)、Kathon(商標)CG/ICP IIが挙げられるが、これらに限定されない。それらは、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及び/又は2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンの活性成分を有する。
【0023】
酸化剤としては、過ヨウ素酸、過酸化水素、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム、硝酸第二鉄、硝酸、硝酸カリウム、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
pH調整剤としては、pHを酸性方向に調整する、以下の硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、他の無機又は有機酸、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。pH調整剤としては、pHをよりアルカリ性の方向に調整するために使用することができる、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、有機アミン、及び他の化学試薬などの塩基性pH調整剤も挙げられる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
詳細な説明
本出願は、パッド凹凸の役割が、2~100μm、10~80μm、20~70μm、又は30~50μmの範囲の高品質のミクロンサイズのポリウレタン(PU)ビーズによって果たされる新しい技術を開示し、これは、ポリウレタンから作製された市販の研磨パッドにおける細孔及び凹凸のサイズに匹敵する。
【0026】
ビーズは、水性組成物中にポリウレタンビーズを分散させるための分散剤としての湿潤剤(又は界面活性剤)の助けを借りて、コロイド状シリカ、高純度コロイド状シリカ、又は複合粒子若しくは他のタイプの無機酸化物粒子などの研磨材粒子を有するCuバリアCMP研磨組成物中に懸濁される。
【0027】
ビーズは、以下に記載する手段によってウェハ表面と接触し、従来の凹凸とほぼ同じ方法で研磨負荷を促進する。
【0028】
ビーズのサイズ、及び組成物中のそれらの濃度の両方を選択することによって、ウェハと接触する「頂点」の高さ、曲率、及び面積密度のはるかに良好な制御が達成される。ウェハと接触する頂点の制御によって、従来の凹凸接触に関連するプロセス変動性が、大幅に低減される。
【0029】
ビーズの使用は、研磨を行う第2の表面、又はカウンター面を依然として必要とし、これは、本発明者らの場合、従来のポリウレタン系パッドであり続けるが、研磨が行われる主要な表面ではないため、最小限又は部分的コンディショニングを必要とするものである。あるいは、安価で、中実の、又は部分的にコンディショニングされたパッドをカウンター面として使用することができる。
【0030】
研磨機は、2~3個のパッド及びコンディショナーを同時に使用することができる。パッド及びコンディショニングディスクの寿命の終点に、典型的には、わずか2日間の連続使用後に到達する。したがって、CMPツール内の各プラテンは、年間数百のパッド及びコンディショナーを使用し、ウェハ製造設備は、数十のツール(各ツールに対して2つ又は3つのプラテンを含む)を有する場合があるため、パッド及びパッドコンディショナーだけの総コストは相当なものになる。使用済み研磨パッド及びコンディショニングディスクから発生する廃棄物も相当な量である。
【0031】
使用済みパッドを除去し、新しいパッドを設置し適格とするのに数時間かかることがあるため、ツール中断時間及び新しいパッドを適格とするために使用される消耗品による工学的損失及び製品損失も重大である。使用済みPUパッド及び廃棄されたダイヤモンドディスクコンディショナーは、CMPプロセスからの廃棄物を代表するものであり、それはいくらかの環境衛生及び安全性(EHS)の問題を引き起こす。
【0032】
研磨パッドに関しては、パッドを剥がして廃棄することが必要になる前に、パッド厚さの約3分の2しか使用されない。コンディショナーについては、数万個のダイヤモンドのうちの数百個のみが製品寿命を制御し、その後コンディショナーは廃棄することが必要になる。更に、パッド及びコンディショナーは、再生又は再利用の選択肢が利用可能ではない。本開示は、上記のEHS問題に対処し、部分的コンディショニング下で好適なミクロンサイズのポリウレタンビーズ及び分散剤を含有するPIBタイプのCuバリアスラリーを使用することの組み合わせを通して研磨パッド及びダイヤモンドコンディショニングディスクの寿命を延ばすことにより、多数のパッド及びダイヤモンドディスクコンディショナーの使用を低減することによって、現在の標準的なCMPプロセスに対する新規な解決策を提供する。
【0033】
本発明のいくつかの具体的な態様を以下に概説する。
【0034】
態様1.PIBタイプのCuバリアCMP研磨組成物は、
研磨材と、
2~100μm、10~80μm、20~70μm、又は30~50μmの範囲のミクロンサイズのポリウレタン(PU)ビーズと、
シリコーン含有分散剤と、
腐食防止剤と、
水などの液体キャリアと、
任意選択で、
膜表面の濡れ性を高めるための界面活性剤と、
誘電体膜除去速度を高めるための添加剤と
キレート剤と、
殺生物剤と、
pH調整剤と、
使用時に添加される酸化剤とを含み、
組成物のpHは、8.0~12.0、8.5~11.0、又は9.0~10.0である。
【0035】
態様2:CMP研磨方法であって、
Cu、TEOS、low-k(LK)又はultra low-k(Ultra-LK)、TiN、Ti、Ta、TaN膜のうちの少なくとも1つを含有する表面を有する半導体基板を提供することと、
研磨パッドを提供することと、
上述の化学機械的研磨(CMP)PIB(PUビーズを含む)配合物又は非PIB(PUビーズを含まない)Cuバリア配合物を提供することと、
Cu、TEOS、low-k(LK)又はultra low-k(Ultra-LK)、TiN、Ti、Ta、及びTaNからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含有する表面を、
研磨パッド及び化学機械的研磨配合物と接触させることと、
Cu、TEOS、low-k(LK)又はultra low-k(Ultra-LK)、TiN、Ti、Ta、及びTaNからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含有する表面を研磨することと、を含み、
Cu、TEOS、low-k(LK)又はultra low-k(Ultra-LK)、TiN、Ti、Ta、及びTaNからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含有する表面の少なくとも一部分は、研磨パッド及び化学機械的研磨配合物の両方と接触している、CMP研磨方法。
【0036】
態様3:CMP研磨システムは、
Cu、TEOS、low-k(LK)又はultra low-k(Ultra-LK)、TiN、Ti、Ta、及びTaNからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含有する表面を有する半導体基板を含み、
研磨パッドを提供し、
上述の請求項の化学機械的研磨(CMP)配合物を提供するものであり、
Cu、TEOS、low-k(LK)又はultra low-k(Ultra-LK)、TiN、Ti、Ta、及びTaNからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含有する表面の少なくとも一部分は、研磨パッド及び化学機械的研磨配合物の両方と接触している。
【0037】
研磨材粒子は、ナノサイズの粒子であり、コロイド状シリカ又は高純度コロイド状シリカ;アルミナドープシリカ粒子などの、コロイド状シリカの格子内に他の無機酸化物がドープされたコロイド状シリカ粒子;α-型、β-型、及びγ-型の酸化アルミニウムを含むコロイド状酸化アルミニウム;コロイド状で光活性の二酸化チタン、酸化セリウム、コロイド状酸化セリウム、ナノサイズの無機金属酸化物粒子、例えばアルミナ、チタニア、ジルコニア、セリアなど;ナノサイズのダイヤモンド粒子、ナノサイズの窒化ケイ素粒子;モノモーダル、バイモーダル、マルチモーダルのコロイド状研磨材粒子;有機ポリマー系軟質研磨材、表面被覆若しくは改質研磨材、又は他の複合粒子、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
コロイド状シリカは、ケイ酸塩から製造することができ、高純度コロイド状シリカは、TEOS又はTMOSから製造することができる。コロイド状シリカ又は高純度コロイド状シリカは、モノモデル又はマルチモデルの、様々なサイズ、並びに球形、まゆ形、凝集体形、及び他の形状などの様々な形状を有する狭い又は広い粒径分布を有することができる。
【0039】
ナノサイズの粒子はまた、球形、まゆ形、凝集体形などの異なる形状を有することができる。
【0040】
CuバリアCMPスラリーに使用される研磨材の粒径は、5nm~500nm、10nm~250nm、又は25nm~100nmの範囲である。
【0041】
CuバリアCMP研磨組成物は、0.10重量%~25重量%、1.0重量%~15.0重量%、又は2.0重量%~10.0重量%の研磨材を含む。
【0042】
CMP研磨組成物は、ポリウレタンビーズを水溶液中に分散させるためのシリコーン含有分散剤を含む。シリコーン含有分散剤は、表面湿潤剤分散剤としても機能する。
【0043】
シリコーン含有分散剤としては、水不溶性シリコーン骨格と、表面湿潤特性を提供するいくつかの水溶性ポリエーテルペンダント基との両方を含有するシリコーンポリエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。例は、水不溶性シリコーン骨格と、エチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)官能基のn個の繰り返し単位(EO-PO)(nは2~25である)を含むペンダント基との両方を含有するシリコーンポリエーテルである。
【0044】
シリコーン含有分散剤の例としては、silsurf(登録商標)E608、silsurf(登録商標)J208-6、silsurf(登録商標)A208、silsurf(登録商標)CR1115、silsurf(登録商標)A204、silsurf(登録商標)A004-UP、silsurf(登録商標)A008-UP、silsurf(登録商標)B608、silsurf(登録商標)C208、silsurf(登録商標)C410、silsurf(登録商標)D208、silsurf(登録商標)D208、silsurf(登録商標)D208-30、silsurf(登録商標)Di-1010、silsurf(登録商標)Di-1510、silsurf(登録商標)Di-15-I、silsurf(登録商標)Di-2012、silsurf(登録商標)Di-5018-F、silsurf(登録商標)G8-I、silsurf(登録商標)J1015-O、silsurf(登録商標)J1015-O-AC、silsurf(登録商標)J208、silsurf(登録商標)J208-6,siltech(登録商標)OP-8,siltech(登録商標)OP-11,siltech(登録商標)OP-12,siltech(登録商標)OP-15,siltech(登録商標)OP-20;Siltech製の製品;225 Wicksteed Avenue,Toronto Ontario,Canada M4H 1G5が挙げられる。
【0045】
シリコーン含有分散剤の濃度範囲は、0.01重量%~2.0重量%、0.025重量%~1.0重量%、又は0.05重量%~0.5重量%である。
【0046】
PIBタイプのCMP Cuバリアスラリーは、様々なサイズのポリウレタンビーズを含有する。
【0047】
ポリウレタンビーズの濃度範囲は、0.01重量%~2.0重量%、0.025重量%~1.0重量%、又は0.05重量%~0.5重量%である。
【0048】
特定の実施形態では、研磨材のポリウレタンビーズに対する重量パーセント比は、約1対1~約100対1、より好ましくは約10対1~約50対1、最も好ましくは約15対1~約40対1である。
【0049】
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びカチオン性界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
アニオン性界面活性剤としては、直鎖若しくは分岐アルキル鎖を有する有機アルキルスルホン酸又はそれらのアンモニウム塩、ナトリウム塩、若しくはカリウム塩の有機アルキルスルホネート表面湿潤剤が挙げられるが、これらに限定されない。例は、ドデシルスルホン酸、ドデシルスルホネートのアンモニウム塩、ドデシルスルホネートのカリウム塩、ナトリウム塩、ドデシルスルホネート、7-エチル-2-メチル-4-ウンデシル硫酸ナトリウム塩(Niaproof(登録商標)4など)、又は2-エチルヘキシル硫酸ナトリウム(Niaproof(登録商標)08など)である。
【0051】
カチオン性界面活性剤としては、ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、及びセチルトリメチルアンモニウムヒドロキシドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
非イオン性界面活性剤は、Dynol604、Dynol607、Surfynol 104、Tergitol Min-Form 1X、Tergitol L-62、及びTergitol L-64が挙げられるが、これらに限定されない、エチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)官能基を含有する界面活性剤である。
【0053】
CMPスラリーは、0.005重量%~0.25重量%、0.001重量%~0.05重量%、又は0.002重量%~0.1重量%の界面活性剤を含有する。
【0054】
キレート剤(又はキレート化剤)としては、アミノ酸、アミノ酸誘導体、及び有機アミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
アミノ酸及びアミノ酸誘導体としては、グリシン、D-アラニン、L-アラニン、DL-アラニン、ベータ-アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアミン、プロリン、セリン、トレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラギン、グルタミン酸、アスパラギン酸、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、メチオニン、システイン、イミノ二酢酸、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
有機アミンとしては、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン及び2,2-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、エチレンジアミン、1,3-ジアミンプロパン、1,4-ジアミンブタンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
2つの第一級アミン部分を有する有機ジアミン化合物は、二元キレート剤として記載することができる。
【0058】
CMPスラリーは、研磨組成物中に使用される場合、0.1重量%~18重量%、0.5重量%~15重量%、又は2.0重量%~10.0重量%のキレート化剤を含有する。
【0059】
誘電体膜除去速度向上剤としては、カリウムシリカ(potassium silica)、ケイ酸ナトリウム、又はケイ酸アンモニウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
CMPスラリーは、研磨組成物中に使用される場合、0.01重量%~5.0重量%、0.1重量%~3.0重量%、又は0.25重量%~2.0重量%の誘電体膜除去速度向上剤を含有する。
【0061】
腐食防止剤は、任意の既知の報告された腐食防止剤であってよい。
【0062】
腐食防止剤としては、例えば、1,2,4-トリアゾール、アミトロール(3-アミノ-1,2,4-トリアゾール)、ベンゾトリアゾール及びベンゾトリアゾール誘導体、テトラゾール及びテトラゾール誘導体、イミダゾール及びイミダゾール誘導体、ベンゾイミダゾール及びベンゾイミダゾール誘導体、ピラゾール及びピラゾール誘導体、並びにテトラゾール及びテトラゾール誘導体などの芳香環中に窒素原子を含有するヘテロ芳香族化合物のファミリーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
CMPスラリーは、0.005重量%~1.0重量%、0.01重量%~0.5重量%、又は0.025重量%~0.25重量%の腐食防止剤を含有する。
【0064】
Cuバリア化学機械的研磨組成物のより安定した保管寿命を提供するための活性成分を有する殺生物剤を使用することができる。
【0065】
殺生物剤としては、Dow Chemical製のKathon(商標)、Kathon(商標)CG/ICP IIが挙げられるが、これらに限定されない。それらは、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及び/又は2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンの活性成分を有する。
【0066】
CMPスラリーは、殺生物剤が研磨組成物中に任意選択で使用される場合、0.0001重量%~0.05重量%、0.0001重量%~0.025重量%、又は0.0001重量%~0.01重量%の殺生物剤を含有する。
【0067】
酸性若しくは塩基性化合物又はpH調整剤を使用して、CMP研磨組成物のpHを、最適化されたpH値に調整することを可能にすることができる。
【0068】
pH調整剤としては、pHを酸性方向に調整する、以下の硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、他の無機又は有機酸、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。pH調整剤としては、pHをよりアルカリ性の方向に調整するために使用することができる、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、有機アミン、及び他の化学試薬などの塩基性pH調整剤も挙げられる。
【0069】
CMPスラリーは、0重量%~1重量%、0.01重量%~0.5重量%、又は0.1重量%~0.25重量%のpH調整剤を含有する。
【0070】
Cuバリア研磨組成物のpHは、3.0~12.0、5.5~11.0、又は9.0~10.0である。
【0071】
様々なパーオキシ無機若しくは有機酸化剤又は他のタイプの酸化剤を使用して、金属銅膜を酸化銅の混合物に酸化して、キレート剤及び腐食防止剤との迅速な反応を可能にすることができる。
【0072】
酸化剤としては、過ヨウ素酸、過酸化水素、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム、硝酸第二鉄、硝酸、硝酸カリウム、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい酸化剤は、過酸化水素である。
【0073】
CMP組成物は、0.1重量%~10重量%、0.25重量%~3重量%、又は0.5重量%~2.0重量%の酸化剤を含有する。
【0074】
CMP配合物は、濃縮形態で輸送され、使用時に水を添加して希釈されてもよい。濃縮物中の成分濃度は、使用時の希釈係数に従って増加する。示された実施形態では、希釈係数は、約2倍、好ましくは約1.5倍~約10倍、最も好ましくは約2.75倍~約8倍である。
実験セクション
パラメータ
Å:オングストローム-長さの単位
BP:背圧、psi単位
CMP:化学機械的平坦化=化学機械的研磨
CS:キャリア速度
DF:ダウンフォース:CMP中に加えられる圧力、単位:psi
min:分
ml:ミリリットル
mV:ミリボルト
psi:ポンド/平方インチ
PS:研磨ツールのプラテン回転速度、単位:rpm(毎分回転数)
SF:研磨組成物の流量、ml/分
除去速度(RR):
TEOS RR 1.5psi CMPツールの1.5psiのダウン圧力で測定されたTEOS除去速度
TEOS RR 2.5psi CMPツールの2.5psiのダウン圧力で測定されたTEOS除去速度
Cu RR 1.5psi CMPツールの1.5psiのダウン圧力で測定されたCu除去速度
Cu RR 2.5psi CMPツールの2.5psiのダウン圧力で測定されたCu除去速度
TiN RR 1.5psi CMPツールの1.5psiのダウン圧力で測定されたTiN除去速度
TiN RR 2.5psi CMPツールの2.5psiのダウン圧力で測定されたTiN除去速度
BD1(low-k)RR 1.5psi CMPツールの1.5psiのダウン圧力で測定されたBD1除去速度
BD1(Low-k)RR 2.5psi CMPツールの2.5psiのダウン圧力で測定されたBD1除去速度
【0075】
全般的な実験手順
別段の指示がない限り、組成物中の全ての百分率は、重量百分率である。
【0076】
以下に示す実施例では、以下に示す手順及び実験条件を用いて、CMP実験を行った。実施例で使用したCMPツールは、Applied Materials,3050 Boweres Avenue,Santa Clara,California,95054によって製造された200mm Mirra(登録商標)研磨機である。Fujibo HOLDINGS Inc.によって供給されているFujiboソフトパッド又は他のタイプのソフト研磨パッドを、ブランケットウェハ研磨試験用のプラテンで使用した。パッドのブレイクインは、25個のダミー酸化物(TEOS前駆体、PETEOSからプラズマ強化CVDによって堆積された)ウェハを研磨することによって行った。ツール設定及びパッドブレイクインを適格とするために、2つのPETEOSモニタを、EMD Electronicsの平坦化プラットホームによって供給されたSyton(登録商標)OX-Kコロイド状シリカで、ベースライン条件で研磨した。研磨実験は、ブランケットTEOSウェハを使用して行った。これらのTEOSブランケットウェハは、Silicon Valley Microelectronics,1150 Campbell Ave,CA,95126から購入した。
【0077】
研磨パッド、Fujibo H800ソフトパッド(Fujibo HOLDINGS,Inc.によって供給されている)、又は複数の凹凸を有する他のポリウレタン系研磨パッドを、CuバリアCMP中に使用した。
【実施例】
【0078】
実施例1
参照CMP組成物(非PIB Cuバリア試料)は、0.0196重量%のベンゾトリアゾールと、0.01018重量%のDynol607と、1.0553重量%のケイ酸カリウムと、0.1916重量%の硝酸と、0.050重量%のSilsurf E608と、5.1730重量%の高純度コロイド状シリカ粒子研磨材とで構成された。
【0079】
試験用PIB CMP Cuバリア組成物(PIB Cuバリアw PUビーズ)は、0.25重量%の35μmサイズのポリウレタンビーズ(PUビーズ)を参照CuバリアCMP組成物に添加することによって調製した。
【0080】
PUビーズを有するPIB Cuバリアスラリーの示された実施形態では、研磨材(5.1730重量%)のポリウレタンビーズ(0.25重量%)に対する重量パーセント比は、20.69対1(約20対1)である。
【0081】
1.0重量%のH2O2を使用時にCMP組成物に添加した。
【0082】
両組成物は、約9.72のpHを有していた。
【0083】
これら2つの組成物を用いて、3時間のマラソン研磨試験によりTEOS除去速度を試験し、1.5psi DF及び2.5psi DFでの平均TEOS除去速度結果を表1及び表2に列挙した。
【表1】
【表2】
【0084】
表1及び表2に示す結果のように、両方の組成物は、同じ部分的コンディショニング条件下で3時間のマラソン研磨試験にわたって安定で非常に類似したTEOS除去速度を示した。
【0085】
研磨パッド切削速度は、研磨パッド寿命を判断するための重要なパラメータである。研磨パッドの寿命を延ばすことは、CuバリアP3 CMPプロセスにおいて非常に重要である。
【表3】
【0086】
本明細書の開示では、完全ディスクコンディショニング条件下(100%)又は部分的コンディショニング条件下(完全ディスクコンディショニング時間の16%)で非PIB Cuバリア試料を使用した場合のFujiboソフトパッドの切削速度と、部分的コンディショニング条件下(完全ディスクコンディショニング時間の16%)でPIB Cuバリア試料を使用した場合のパッドの切削速度とを、polis TEOSウェハに対する3時間のマラソン研磨試験によって測定し、比較した。パッド切削比較結果を表3に列挙した。
【0087】
表3の結果は、PIBタイプのCuバリアCMP組成物中にミクロンサイズのPUビーズを使用することの重要な利点の1つを示している。安定で望ましい酸化物除去速度を依然として維持しながら、PIBタイプのCuバリア組成物は、16%の部分的コンディショニング下で、100%コンディショニング条件下の非PIBタイプのCuバリア組成物よりも約4倍延びたソフトパッド寿命を提供した。
【0088】
表3の結果は、安定で望ましい酸化物除去速度を依然として維持しながら、PIBタイプのCuバリア組成物は、16%の部分的コンディショニング下で、同じ16%コンディショニング条件下の非PIBタイプのCuバリア組成物よりも約2倍延びたソフトパッド寿命を提供したことも示している。
【0089】
上に列挙されたパッド寿命の延長という結果は、研磨パッド及びコンディショニングディスクの消耗並びに製造コストを低減するだけでなく、環境保護の改善も提供するという点で、半導体電子デバイス製造プロセスに良好な利益を提供する。
【0090】
実施例を含む上に列挙された本開示の実施形態は、本開示から作製することのできる例示的な多数の実施形態である。プロセスの多数の他の構成が使用されてもよく、プロセスにおいて使用される材料は、具体的に開示されたもの以外の多数の材料から選択されてもよいことが企図される。
【国際調査報告】