(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】農芸化学的組成物
(51)【国際特許分類】
A01N 25/30 20060101AFI20240725BHJP
A01N 43/54 20060101ALI20240725BHJP
A01N 43/56 20060101ALI20240725BHJP
A01N 43/70 20060101ALI20240725BHJP
A01N 43/40 20060101ALI20240725BHJP
A01N 37/34 20060101ALI20240725BHJP
A01N 43/653 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
A01N25/30
A01N43/54 A
A01N43/56 C
A01N43/70
A01N43/40 101F
A01N37/34 104
A01N43/653 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508344
(86)(22)【出願日】2022-08-10
(85)【翻訳文提出日】2024-04-02
(86)【国際出願番号】 EP2022072416
(87)【国際公開番号】W WO2023017068
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー,ヤン オーレ
(72)【発明者】
【氏名】クレムゾウ-グラウ,ドリス
(72)【発明者】
【氏名】リュード,ジャニーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ベンテレ,ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】バッハマン,シュテファン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】シャーデ,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ブラナツ,アダム
(72)【発明者】
【氏名】ゾーワ,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】アンナヴァルト,マルクス
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011BA05
4H011BB06
4H011BB09
4H011BC19
4H011DA14
4H011DA15
4H011DA16
4H011DG16
4H011DH02
4H011DH03
(57)【要約】
(i)農芸化学的活性成分;及び(ii)グラフトポリマーを含む農芸化学的組成物であって、グラフトポリマーは、グラフト基体としてのポリマー主鎖(A)であって、C2~C10-アルキレンオキシド、好ましくはC2~C5-アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、1,2-ペンテンオキシド又は2,3-ペンテンオキシドから選択される少なくとも1種のアルキレンオキシドと;任意選択的に、C2~C14-ポリオールの群から選択される少なくとも1種のポリオール又はC2~C14-ポリアミンの群から選択される少なくとも1種のポリアミンと、を重合させることにより得ることができる、ポリマー主鎖と;ポリマー主鎖(A)上にグラフトされたポリマー側鎖(B)であって、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)を含むモノマーを、ポリマー主鎖(A)の存在下に重合させることにより得ることができる、ポリマー側鎖(B)と、を含む、農芸化学的組成物。本発明の組成物のグラフトポリマーは、農芸化学的組成物中の有害生物防除剤の分散剤として適していることが見出された。更にこのグラフトポリマーは、通常、好適な高い生分解度を示す。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)農芸化学的活性成分と、
(ii)グラフトポリマーと
を含む農芸化学的組成物であって、
前記グラフトポリマーが、
(A)グラフト基体としてのポリマー主鎖であって、
C
2~C
10-アルキレンオキシド、好ましくはC
2~C
5-アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、1,2-ペンテンオキシド又は2,3-ペンテンオキシドの群から選択される少なくとも1種のアルキレンオキシドと;任意選択的に、C
2~C
14-ポリオールの群から選択される少なくとも1種のポリオール又はC
2~C
14-ポリアミンの群から選択される少なくとも1種のポリアミンと;を重合させることにより得ることができる、ポリマー主鎖(A)と、
(B)前記ポリマー主鎖(A)にグラフトされたポリマー側鎖であって、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)を含むモノマーを前記ポリマー主鎖(A)の存在下に重合させることにより得ることができる、ポリマー側鎖(B)と
を含む、農芸化学的組成物。
【請求項2】
前記グラフトポリマーが、1,000~100,000g/molの数平均分子量M
nを有する、請求項1に記載の農芸化学的組成物。
【請求項3】
前記グラフトポリマーの多分散度M
w/M
nが7未満であり、M
wは重量平均分子量であり、M
nは数平均分子量である、請求項1又は2に記載の農芸化学的組成物。
【請求項4】
前記グラフトポリマーのOECD 301Fに従う28日以内の生分解は、少なくとも30固形分重量%、好ましくは少なくとも40固形分重量%、最も好ましくは少なくとも50固形分重量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載のグラフトポリマー。
【請求項5】
前記グラフトポリマーが、前記グラフトポリマーの総重量に対し、前記ポリマー主鎖(A)を25~90重量%、特に45~70重量%、及び前記ポリマー側鎖(B)を10~75重量%、特に30~55重量%含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の農芸化学的組成物。
【請求項6】
前記ポリマー主鎖(A)が、500~3,800g/molの数平均分子量M
nを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の農芸化学的組成物。
【請求項7】
前記ポリマー主鎖(A)が、エチレンオキシドを重合させることにより得ることができる、請求項1~6のいずれか一項に記載の農芸化学的組成物。
【請求項8】
前記ポリマー主鎖(A)が、エチレンオキシドと、1,2-プロピレンオキシド及び/又は1,2-ブチレンオキシドから選択される少なくとも1種のアルキレンオキシド、好ましくは1,2-プロピレンオキシドのみと、を重合させることにより得ることができる、請求項1~6のいずれか一項に記載の農芸化学的組成物。
【請求項9】
前記ポリマー主鎖(A)が、末端基の一方又は両方が封止されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の農芸化学的組成物。
【請求項10】
前記最小1種のビニルエステルモノマー(B1)が、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及びラウリン酸ビニルから、より好ましくは酢酸ビニルから選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の農芸化学的組成物。
【請求項11】
前記ポリマー側鎖(B)が、
少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)を、前記ポリマー側鎖(B)を構成するモノマーの総量に対し、65~100重量%、好ましくは70~100重量%、より好ましくは75~100重量%、最も好ましくは80~100重量%と、任意選択的に
少なくとも1種の補助的なモノマー(B2)を、前記ポリマー側鎖(B)を構成するモノマーの総量に対し、0~35重量%、好ましくは0~30重量%、より好ましくは0~25重量%、最も好ましくは0~20重量%と
を、ポリマー主鎖(A)の存在下にラジカル重合させることにより得られる、請求項1~10のいずれか一項に記載の農芸化学的組成物。
【請求項12】
前記ポリマー主鎖(A)の数平均分子量M
nが、500~3,800g/molであり、前記ポリマー側鎖(B)が、
少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)を、前記ポリマー側鎖(B)を構成するモノマーの総量に対し、65~100重量%、好ましくは70~100重量%、より好ましくは75~100重量%、最も好ましくは80~100重量%と、任意選択的に、
少なくとも1種の補助的なモノマー(B2)を、前記ポリマー側鎖(B)を構成するモノマーの総量に対し、0~35重量%、好ましくは0~30重量%、より好ましくは0~25重量%、最も好ましくは0~20重量%と
を、ポリマー主鎖(A)の存在下にラジカル重合させることにより得ることができる、請求項1~11のいずれか一項に記載の農芸化学的組成物。
【請求項13】
前記グラフトポリマーが、前記グラフトポリマーの総重量に対し、前記ポリマー主鎖(A)を25~90重量%、特に45~70重量%と、前記ポリマー側鎖(B)を10~75重量%、特に30~55重量%と、を含む、請求項12に記載の農芸化学的組成物。
【請求項14】
前記農芸化学的活性成分が、有害生物防除剤、特に除草剤、殺真菌剤及び殺虫剤から選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載の農芸化学的組成物。
【請求項15】
前記農芸化学的活性成分が、アゾキシストロビン、フルキサピロキサド、フルジオキソニル、プロチオコナゾール、クロロタロニル、ジフルフェニカン、メチルテトラプロール、メフェントリフルコナゾール、テブコナゾール、アトラジン、インダジフラム、サフルフェナシル、ピロキサスルホン、グルホシネート、シンメチリン、テルブチラジン及びメトリブジンから、好ましくは、アゾキシストロビン、フルキサピロキサド、フルジオキソニル、プロチオコナゾール、クロロタロニル、ジフルフェニカン、テルブチラジン及びアトラジン、特にアゾキシストロビンから選択される、請求項14に記載の農芸化学的組成物。
【請求項16】
前記農芸化学的組成物中の前記農芸化学的活性成分対前記グラフトポリマーの重量比は、1:1~30:1の範囲にある、請求項1~15のいずれか一項に記載の農芸化学的組成物。
【請求項17】
前記農芸化学的組成物が、サスペンション剤、乳化性濃縮物、水和剤、水和性微粉剤又は粒剤、特に、懸濁濃縮物、サスポエマルジョン剤、分散性濃縮物などのサスペンション剤、最も好ましくは懸濁濃縮物である、請求項1~16のいずれか一項に記載の農芸化学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農芸化学的組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
有害生物防除剤(有害生物防除活性成分)などの農芸化学物質(agrochemical、agriculture chemical)は、昆虫、病原体、齧歯動物及び雑草などの農業有害生物を防除する物質である。有害生物防除活性成分は、通常、活性成分を含む液体組成物を散布することによって植物又はその種子に施用される。
【0003】
有害生物防除剤の多くは、固体粒子、結晶様粒子又は油性液体であり、これらは、均一に施用できるようにするために、液体組成物中に分散させなければならない。通常、微細に分散された有害生物防除活性成分を含む組成物は、分散剤を含有させることによって得られる。従来の分散剤の例として挙げられるのが、ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物の塩、リグノスルホン酸の塩、無水マレイン酸共重合体の塩及びフェノールスルホン酸縮合物の塩である。
【0004】
残念なことに、農芸化学的組成物に使用されている分散剤の多くは大幅に分解することなく、植物又は種子上にも周囲の地面にも残ったままとなり、植物又は種子上にも植物又は種子が植栽された土壌中にも、望ましくない形で蓄積する。炭素のみの主鎖(酸素などのヘテロ原子を含まない主鎖)は微生物に分解させることが特に難しいため、分散剤が、炭素のみの主鎖をベースとする、ラジカル重合により製造されたものである場合は、この問題が特に顕著になる。ポリエチレングリコール主鎖を有する、ラジカルを用いて製造された工業的に重要なグラフトポリマーでさえも、廃水中ではごく限られた生分解性しか示さない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
農芸化学的組成物に有用な分散剤、特に生分解性分散剤を提供することが望ましい。
【0006】
米国特許第5,318,719A号明細書は、ビルダー(building)特性、皮膜形成防止性、分散性及び結晶成長のスレッショルド抑制(threshold crystal inhibiting)性を有する生分解性水溶性グラフトコポリマーであって、ポリアルキレンオキシド及び/又はポリアルコキシ化された材料を含む生分解性基材にグラフトされた、酸官能性モノマーと、この酸官能性モノマーと共重合可能な任意選択的な他の水溶性モノエチレン性不飽和モノマーと、を含む、グラフトコポリマーに関する。このグラフトポリマーは洗剤用添加剤に適していると考えられている。
【0007】
中国特許第102030871A号明細書は、ポリエチレングリコール-block-生分解性ポリエステル櫛型グラフトコポリマーに関する。この櫛型グラフトコポリマーはホモ又はコポリマーであり、分解可能なポリエチレングリコールブロックのポリエステルが疎水性主鎖として利用されている。このポリマーは、水中で自己集合することにより、疎水性の薬物ナノ粒子の調製に有用なナノ粒子を形成すると記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
(i)農芸化学的活性成分と、
(ii)グラフトポリマーと
を含む農芸化学的組成物であって、
このグラフトポリマーは、
(A)グラフト基体としてのポリマー主鎖であって、
C2~C10-アルキレンオキシド、好ましくはC2~C5-アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、1,2-ペンテンオキシド又は2,3-ペンテンオキシドの群から選択される少なくとも1種のアルキレンオキシドと、
任意選択的に、C2~C14-ポリオールの群から選択される少なくとも1種のポリオール又はC2~C14-ポリアミンの群から選択される少なくとも1種のポリアミンと
を重合させることによって得ることができる、前記ポリマー主鎖(A)と、
(B)ポリマー主鎖(A)にグラフトされたポリマー側鎖であって、ポリマー主鎖(A)の存在下に、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)を含むモノマーを重合させることにより得ることができる、前記ポリマー側鎖(B)と
を含む、農芸化学的組成物を提供する。
【0009】
本発明の組成物のグラフトポリマーは、農芸化学的組成物中の有害生物防除剤の分散剤として適していることが見出された。更にこのグラフトポリマーは、通常、好適な高い生分解度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
このグラフトポリマーは、グラフト基体としてのポリマー主鎖(A)と、ポリマー主鎖(A)上にグラフトされたポリマー側鎖(B)とを含む。
【0011】
グラフトポリマーのポリマー主鎖(A)は、C2~C10-アルキレンオキシド、好ましくはC2~C5-アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、1,2-ペンテンオキシド又は2,3-ペンテンオキシドの群から選択される少なくとも1種のアルキレンオキシドと;任意選択的な、C2~C14-ポリオールの群から選択される少なくとも1種のポリオール又はC2~C14-ポリアミンの群から選択される少なくとも1種のポリアミンと;を重合させることにより得ることができる。
【0012】
ポリマー主鎖(A)が、1種のアルキレンオキシドのみを重合させることにより得られるものである場合、ポリマー主鎖(A)はホモポリマーである。この場合、好ましくは、アルキレンオキシドは、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド及び1,2-ブチレンから選択される。エチレンオキシドを重合させることにより得られるコポリマー主鎖、すなわち、ポリエチレングリコール主鎖が、ポリマー主鎖(A)として特に好ましい。
【0013】
ポリマー主鎖(A)が、1種を超えるアルキレンオキシド及び任意選択的な少なくとも1種のポリオール又は少なくとも1種のポリアミンを重合させることにより得られるものである場合、ポリマー主鎖(A)は、コポリマーである。この場合、ポリマー主鎖は、ブロックコポリマー、交互コポリマー又は統計コポリマーなどの任意の種類の公知のコポリマーとすることができる。統計コポリマーはランダムコポリマーとしても知られている。
【0014】
本明細書において使用される「ブロックコポリマー(主鎖)」という用語は、それぞれのポリマーが、共有結合で連結された少なくとも2つ、すなわち、2つ以上のホモポリマー副単位(ブロック)を含むことを意味する。ジブロックコポリマー(two block copolymer)は2つの異なるブロック(ホモポリマー副単位)を有し、これに従い、トリブロックコポリマーは、3つの異なるブロック(ホモポリマー副単位)を有し、他も同様である。この種のブロックコポリマー内の個々のブロックの数は限定されず、したがって、「n-ブロックコポリマー」は、n個の異なるブロック(ホモポリマー副単位)を含む。個々のブロック(ホモポリマー副単位)内のこのようなブロックのサイズ/長さは変化し得る。ブロックの最小の長さ/サイズは、最小値である2つの個々のモノマーに基づく。様々な種類のブロックコポリマー主鎖が市販されており、例えば、「Pluronic」商標のシリーズ(BASF SE、Ludwigshafen、Germany)がある。その具体例が、Pluronic PE 6100、Pluronic PE 6800又はPluronic PE 3100である。
【0015】
ポリマー主鎖(A)を得るために1種を超えるアルキレンオキシドを重合させる場合、アルキレンオキシドは、好ましくは、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド及び/又は1,2-ブチレンオキシドから選択される。好ましい実施形態において、エチレンオキシドは、1,2-プロピレンオキシド及び/又は1,2-ブチレンオキシドから選択される少なくとも1種のアルキレンオキシド、好ましくは1,2-プロピレンオキシドのみと重合される。
【0016】
任意選択的に、ポリマー主鎖を得るために、少なくとも1種のアルキレンオキシドを、少なくとも1種のポリオール又は少なくとも1種のポリアミンと重合させることもできる。
【0017】
ポリマー主鎖(A)を得るために少なくとも1種のポリオールを重合させる場合、ポリオールは、C2~C14-ポリオール、好ましくはC2~C12-ポリオール、より好ましくは、好ましくはC2~C8-ポリオールである。このポリオールは、ポリマー鎖をそこから伸長させる「コア」分子の役割を果たし得る。これは、ポリマー主鎖を得るための重合反応の開始時点でこのポリオールが存在することが好ましいことを意味する。
【0018】
ポリオールは、複数のヒドロキシル基を含む有機化合物である。ポリオールは、好ましくは、脂肪族又は脂環式ポリオール、特に脂肪族ポリオールである。ポリオールは、好ましくは、2個のヒドロキシル基を含むジオール及び3~10個のヒドロキシル基を含むポリオールから選択される。
【0019】
好適な脂肪族ジオールとしては、脂肪族ジオール、すなわち、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリエチレングリコール及びネオペンチルグリコールなどのグリコールが挙げられる。好適な脂環式ジオールはシクロヘキサンジメタノールである。
【0020】
3~10個のヒドロキシル基を含む好適なポリオールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、グルコース、フルクトース、スクロース及びラクトースなどの脂肪族ポリオール及び脂環式ポリオール、特にグリセリンが挙げられる。
【0021】
一実施形態において、ポリマー主鎖は、エチレンオキシドと、1,2-プロピレンオキシド及び/又は1,2-ブチレンオキシドから選択される少なくとも1種のアルキレンオキシド、好ましくは1,2-プロピレンオキシドのみと、少なくとも1種のポリオール、特にジエチレングリコール及び/又はグリセリンと、を重合させることにより得られる。
【0022】
ポリマー主鎖(A)を得るために少なくとも1種のポリアミンを重合させる場合、ポリアミンは、C2~C14-ポリアミン、好ましくはC2~C12-ポリアミン、より好ましくは、好ましくはC2~C8-ポリアミンである。このポリアミンは、ポリマー鎖をそこから伸長させる「コア」分子の役割を果たし得る。これは、ポリマー主鎖を得るための重合反応の開始時点でこのポリアミンが存在することが好ましいことを意味する。
【0023】
ポリアミンは、複数のアミノ基を含む有機化合物である。ポリアミンは、好ましくは、脂肪族又は脂環式ポリアミン、特に脂肪族ポリアミンである。ポリアミンは、好ましくは、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン及びジプロピレントリアミンなどのアルキレンポリアミンから選択される。
【0024】
好ましい実施形態において、ポリマー主鎖は、C2~C10-アルキレンオキシドの群から選択される少なくとも1種のアルキレンオキシドを、ポリアミンの非存在下に重合させることにより得られる。より好ましい実施形態において、ポリマー主鎖は、C2~C10-アルキレンオキシドの群から選択される少なくとも1種のアルキレンオキシドを、ポリオールの非存在下且つポリアミンの非存在下に重合させることにより得られる。
【0025】
当業者は、様々な種類のコポリマーを得る方法に精通している。例えば、欧州特許第0362688A2号明細書において好適な考察が行われている。
【0026】
好ましくは、ポリマー主鎖(A)の数平均分子量Mnは、500~12,000g/mol、好ましくは9,000g/mol以下、より好ましくは6,000g/mol以下、更に好ましくは3,800g/mol以下又は3,500g/mol以下、特に3,000g/mol以下、例えば、2,750g/mol以下、2,700g/mol以下又は2,650g/mol以下、且つ少なくとも1,000g/mol、より好ましくは少なくとも1,500g/molである。ポリマー主鎖(A)の数平均分子量Mnが小さいと生分解度は高くなる。分子量は、実験部において後述するように求めることができる。
【0027】
ポリマー主鎖(A)は、エチレンオキシドから誘導された様々な量の親水性エチレングリコール単位(-C2H4-O)をベースとすることができ、これが、グラフトポリマー全体の特性に影響を与える。ポリマー主鎖(A)中のエチレングリコール単位の総量を表す総EO含有量(%EO)は、次のように定義され:
%EO=m(EO)/(m(主鎖全体))
ここで、m(EO)は、エチレングリコール単位の総質量であり、m(主鎖全体)は、ポリマー主鎖(A)の総質量である。ポリマー主鎖は、低い、中程度又は高い総EO含有量、すなわち%EOを有することができ、これが、農芸化学的組成物の生分解性及び性能に影響を与える。その範囲を以下のように定義する:
低い:5~20%EO
中程度:21~50%EO
高い:51~90%EO。
【0028】
好ましい実施形態において、総EO含有量(%EO)は、10~80%の範囲にあり、好ましくは少なくとも20%、且つ好ましくは最大70%である。
【0029】
総EO含有量が中程度、すなわち21~50%EOであるコポリマー主鎖(A)を含むグラフトポリマーが、特に高い生分解性を示すことが見出された。エチレンオキシドを重合させることにより得られるポリマー主鎖(A)を含むグラフトポリマーも同様に、特に高い生分解性を示す。
【0030】
グラフトポリマーは、ポリマー主鎖(A)上にグラフトされたポリマー側鎖(B)を含み、前記ポリマー側鎖(B)は、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)と、任意選択的な少なくとも1種の補助的な(secondary)モノマー(B2)と、を含むモノマーをポリマー主鎖(A)の存在下に重合させることにより得られる。
【0031】
好ましくは、ポリマー側鎖(B)は、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)と、任意選択的な少なくとも1種の補助的なモノマー(B2)と、を含むモノマーをポリマー主鎖(A)の存在下にラジカル重合させることにより得られる。
【0032】
ビニルエステルモノマー(B1)として、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、吉草酸ビニル、ピバル酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、デカン酸ビニル又は安息香酸ビニルなどの当業者に知られている任意のビニルエステルを使用することができる。好ましくは、ビニルエステルモノマー(B1)は、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及びラウリン酸ビニル、特に酢酸ビニル及びラウリン酸ビニルから選択される。特に好ましい実施形態において、ポリマー側鎖(B)は、酢酸ビニルをラジカル重合させることにより得られる。
【0033】
補助的なモノマー(B2)は、好ましくは、ビニルラクタム及びビニルイミダゾールなどの窒素含有オレフィン性不飽和モノマー、特にビニルラクタム;並びにビニルエーテルから選択される。
【0034】
好適なビニルラクタムとしては、N-ビニルピロリドン、N-ビニルピペリドン及びN-ビニルカプロラクタムなどのN-ビニルラクタムが挙げられ、好ましくは、N-ビニルピロリドン及びN-ビニルカプロラクタム、特に好ましくはN-ビニルピロリドン(NVP)である。
【0035】
好適なビニルイミダゾールとしては、1-ビニルイミダゾール及び2-メチル-1-ビニルイミダゾールなどの1-ビニルイミダゾールのC1~C8-アルキル置換誘導体が挙げられ、好ましくは1-ビニルイミダゾールである。
【0036】
好適なビニルエーテルとしては、エチルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル及びオクタデシルビニルエーテル、特に、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル及び2-エチルヘキシルビニルエーテルが挙げられる。
【0037】
ポリマー側鎖(B)を得るために補助的なモノマー(B2)が使用される場合、ビニルエステルモノマー(B1)対前記補助的なモノマー(B2)の重量比は特に限定されない。しかしながら、ビニルエステルモノマー(B1)の量は、通常、ポリマー側鎖(B)を構成するモノマーの総量に対し1重量%以上である。その場合、ポリマー側鎖(B)は、モノマー(B1)、最も好ましくは酢酸ビニルを1~100重量%と、少なくとも1種の補助的なモノマー(B2)を0~99重量%とを重合、特にラジカル重合させることにより得ることができる。
【0038】
一実施形態において、ポリマー側鎖(B)は、
- 少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)を、ポリマー側鎖(B)を構成するモノマーの総量に対し、10~100重量%、好ましくは25~100重量%、より好ましくは50~100重量%、最も好ましくは75~100重量%と、任意選択的に、
- 少なくとも1種の補助的なモノマー(B2)を、ポリマー側鎖(B)を構成するモノマーの総量に対し、0~90重量%、好ましくは0~75重量%、より好ましくは0~50重量%、最も好ましくは0~25重量%と、を、
ポリマー主鎖(A)の存在下に重合、特に(フリー)ラジカル重合させることにより得られる。
【0039】
好ましい実施形態において、ポリマー側鎖(B)は、
- 少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)を、ポリマー側鎖(B)を構成するモノマーの総量に対し、65~100重量%、好ましくは70~100重量%、より好ましくは75~100重量%、最も好ましくは80~100重量%と、任意選択的に、
- 少なくとも1種の補助的なモノマー(B2)を、ポリマー側鎖(B)を構成するモノマーの総量に対し、0~35重量%、好ましくは0~30重量%、より好ましくは0~25重量%、最も好ましくは0~20重量%と、を、
ポリマー主鎖(A)の存在下に重合、特に(フリー)ラジカル重合させることにより得られる。
【0040】
好ましい実施形態において、ポリマー側鎖(B)は、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)、特に酢酸ビニルを、ポリマー主鎖(A)の存在下で、更なるモノマーの非存在下に重合させることにより得られる。
【0041】
本発明のグラフトポリマーは、ビニルエステルから、例えば、酢酸ビニルのみが使用された場合はポリ酢酸ビニルから、並びに/又は1種若しくは複数種の補助的なモノマー(B2)が使用された場合は、ビニルエステルと補助的なモノマーとのホモ-及びコポリマーから形成されている、一定量のグラフトされなかったポリマー(「グラフトされなかった側鎖」)を含み得る。このようなグラフトされなかったビニルエステルホモ-及びコポリマーの量は、反応条件に応じて高くも低くもなり得るが、低いことが好ましい。つまり、グラフトされる側鎖の量が増加することが好ましい。グラフトされなかったビニルエステルホモ-及びコポリマーの量を少なくすることは、好適な反応条件、例えば、ビニルエステル及びラジカル開始剤の投入並びにこれらの相対的な量に加えて、存在する主鎖に対する量により達成することができる。これは本分野の当業者に一般に知られている。
【0042】
本発明のグラフトポリマーは、そのグラフト化度(ポリマー主鎖(A)上のポリマー側鎖(B)がグラフト化した部位の数)により特徴付けることができる。グラフト化度は低いことが好ましい。
【0043】
この、グラフト化度及びグラフトされなかったポリマーの量は、対象とする具体的な分野、例えば、特定の農芸化学的組成物における性能、適用範囲又は所望の農芸化学的性能を最適化するために調整することができる。
【0044】
本発明の一実施形態において、本発明によるグラフトポリマーのポリマー側鎖(B)は、グラフトポリマー自体を得た後に、その全部又は少なくとも一部が加水分解される。これは、グラフトポリマーのポリマー側鎖(B)の全部又は少なくとも一部の加水分解は、ポリマー側鎖(B)の重合プロセスが完了した後に実施されることを意味している。
【0045】
本発明によるグラフトポリマーのポリマー側鎖(B)をこうして完全に又は少なくとも部分的に加水分解することによって、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)に由来するそれぞれの側鎖単位は、ポリマー側鎖(B)内でそれぞれエステル官能基からアルコール官能基に変化する。対応するビニルアルコールは、安定性の面で、ポリマー側鎖(B)の重合プロセスに使用するモノマーに適していないことに注目されたい。したがって、通常、本発明によるグラフトポリマーのポリマー側鎖(B)内にアルコール官能基(ヒドロキシ置換基)を得るためには、側鎖のエステル官能基を加水分解することによってアルコール官能基が導入される。
【0046】
理論的には、ポリマー側鎖(B)のエステル官能基をそれぞれアルコール官能基(ヒドロキシ基)に置き換えることができる。その場合、ポリマー側鎖は、完全に加水分解(鹸化)される。N-ビニルピロリドンなどの補助的なモノマー(B2)を使用した場合は、通常、ポリマー側鎖(B)の補助的なモノマー(B2)として使用されたN-ビニルピロリドンに由来する単位は加水分解されないことに留意されたい。
【0047】
加水分解は、当業者に知られている任意の方法により実施することができる。例えば、加水分解は、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの好適な塩基を添加することにより誘導することができる。
【0048】
この実施形態においては、ポリマー側鎖(B)の一部のみ、例えば、ビニルエステルモノマー(B1)に由来する単位を、ビニルエステルモノマー(B1)の総重量に対し、20重量%、40重量%又は60重量%までの範囲で加水分解することが好ましい。
【0049】
一実施形態において、
- ポリマー側鎖(B)は、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)及び少なくとも1種の補助的なモノマー(B2)を含むモノマーをラジカル重合させることにより得られ、且つ
- ポリマー側鎖(B)は、重合後、完全に又は部分的に、好ましくは、重合に使用した少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)に対し50%までの範囲で加水分解される。
【0050】
好ましい実施形態において、ポリマー側鎖(B)は、重合後に加水分解されない。
【0051】
好ましくは、ポリマー側鎖(B)を得るためのそれぞれの重合プロセスにおいて、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)及び任意選択的な補助的なモノマー(B2)に関連して上に定義したもの以外の他のモノマーは使用されない。しかしながら、(B1)及び(B2)に従うモノマー以外の更なるモノマーが重合中に存在する場合は、このような更なるモノマー(B1及びB2以外)は、ポリマー側鎖(B)を得るために使用されるモノマーの総量に対し1重量%未満の量で存在することが好ましい。好ましくは、前記追加のモノマーの量は、ポリマー側鎖(B)を得るために使用されるモノマーの総量に対し0.5重量%未満、更に好ましくは0.01重量%未満である。
【0052】
好ましい実施形態においては、酸官能性を含むモノマーは使用されない。特に、本発明によるグラフトポリマーのポリマー側鎖(B)を得るために使用されるモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、ビニル酢酸及び/又はアクリロイルプロピオン酸などの酸官能性モノマーを含まないことが好ましい。
【0053】
本発明によるグラフトポリマー内のポリマー主鎖(A)対ポリマー側鎖(B)の重量比は特に限定されない。しかしながら、典型的には、グラフトポリマーは、ポリマー側鎖(B)を、グラフトポリマーの総重量に対し、少なくとも0.2重量%含む。好ましくは、グラフトポリマーは、ポリマー側鎖(B)を、グラフトポリマーの総重量に対し、少なくとも1重量%含む。
【0054】
好ましい実施形態において、グラフトポリマーは、ポリマー主鎖(A)を、グラフトポリマーの総重量に対し、25~90重量%、好ましくは30~85重量%、より好ましくは35~80重量%、例えば40~75重量%、特に45~70重量%含む。
【0055】
好ましい実施形態において、グラフトポリマーは、ポリマー側鎖(B)を、グラフトポリマーの総重量に対し、10~75重量%、好ましくは15~70重量%、より好ましくは20~65重量%、更に好ましくは25~60重量%、最も好ましくは30~55重量%含む。ポリマー側鎖(B)をこの範囲内の比率とすることにより、生分解度を向上させることが可能になる。
【0056】
したがって、好ましくは、グラフトポリマーは、グラフトポリマーの総重量に対し、ポリマー主鎖(A)を25~90重量%及びポリマー側鎖(B)を10~75重量%;好ましくは、ポリマー主鎖(A)を30~85重量%及びポリマー側鎖(B)を15~70重量%;より好ましくは、ポリマー主鎖(A)を35~80重量%及びポリマー側鎖(B)を20~65重量%;例えば、ポリマー主鎖(A)を40~75重量%及びポリマー側鎖(B)を25~60重量%;特に、ポリマー主鎖(A)を45~70重量%及びポリマー側鎖(B)を30~55重量%含む。
【0057】
好ましい実施形態において、本発明は、
(i)農芸化学的活性成分と、
(ii)グラフトポリマーと
を含む農芸化学的組成物であって、
このグラフトポリマーは、
(A)数平均分子量Mnが500~3,800g/molであるグラフト基体としてのポリマー主鎖であって、
C2~C10-アルキレンオキシド、好ましくはC2~C5-アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、1,2-ペンテンオキシド又は2,3-ペンテンオキシドの群から選択される少なくとも1種のアルキレンオキシドと;任意選択的な、C2~C14-ポリオールから選択される少なくとも1種のポリオール又はC2~C14-ポリアミンから選択される少なくとも1種のポリアミンと;を重合させることにより得ることができる、前記ポリマー主鎖(A)と、
(B)ポリマー主鎖(A)上にグラフトされたポリマー側鎖であって、
- 少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)を、ポリマー側鎖(B)を構成するモノマーの総量に対し、65~100重量%と、任意選択的に、
- 少なくとも1種の補助的なモノマー(B2)を、ポリマー側鎖(B)を構成するモノマーの総量に対し、0~35重量%、好ましくは0~30重量%と
を含むモノマーを、
ポリマー主鎖(A)の存在下に重合させることにより得ることができる、前記ポリマー側鎖(B)と
を含む、農芸化学的組成物を提供する。
【0058】
更なる好ましい実施形態において、本発明は、
(i)農芸化学的活性成分と、
(ii)グラフトポリマーと
を含む農芸化学的組成物であって、
このグラフトポリマーは、
(A)数平均分子量Mnが500~3,800g/molであるグラフト基体としてのポリマー主鎖であって、
C2~C10-アルキレンオキシド、好ましくはC2~C5-アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、1,2-ペンテンオキシド又は2,3-ペンテンオキシドの群から選択される少なくとも1種のアルキレンオキシドと;任意選択的な、C2~C14-ポリオールから選択される少なくとも1種のポリオール又はC2~C14-ポリアミンから選択される少なくとも1種のポリアミンと;を重合させることにより得ることができる、前記ポリマー主鎖(A)と、
(B)ポリマー主鎖(A)上にグラフトされたポリマー側鎖であって、
- 少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)を、ポリマー側鎖(B)を構成するモノマーの総量に対し、65~100重量%と、任意選択的に、
- 少なくとも1種の補助的なモノマー(B2)を、ポリマー側鎖(B)を構成するモノマーの総量に対し、0~35重量%、好ましくは0~30重量%と
を含むモノマーを、
ポリマー主鎖(A)の存在下に重合させることにより得ることができる、前記ポリマー側鎖(B)と
を含み、
グラフトポリマーは、グラフトポリマーの総重量に対し、ポリマー主鎖(A)を25~90重量%、特に45~70重量%及びポリマー側鎖(B)を10~75重量%、特に30~55重量%含む、
農芸化学的組成物を提供する。
【0059】
以下に示す特定の実施形態は、グラフトポリマーの特定の態様を強調したものである。上に示した説明及び実施形態は、適用可能であれば、以下に示す特定の実施形態にも適用されることが理解される。
【0060】
第1の特定の実施形態において、グラフトポリマーは:
(A)グラフト基体としてのポリマー主鎖であって、
C2~C10-アルキレンオキシド、好ましくはC2~C5-アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、1,2-ペンテンオキシド又は2,3-ペンテンオキシドの群から選択される少なくとも1種のアルキレンオキシドを重合させることにより得ることができる、前記ポリマー主鎖(A)と、
(B)ポリマー主鎖(A)上にグラフトされたポリマー側鎖であって、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)及び少なくとも1種の補助的なモノマー(B2)を含むモノマーを、ポリマー主鎖(A)の存在下に共重合させることにより得ることができ、補助的なモノマー(B2)は、
(B2a)1-ビニルイミダゾール又は2-メチル-1-ビニルイミダゾールなどの1-ビニルイミダゾールのC1~C8-アルキル置換された誘導体から、好ましくは1-ビニルイミダゾールから選択される少なくとも1種の窒素含有オレフィン性不飽和モノマーと、任意選択的に
(B2b)好ましくは、N-ビニルピロリドン、N-ビニルピペリドン及びN-ビニルカプロラクタムなどのN-ビニルラクタムから、より好ましくは、N-ビニルピロリドン及びN-ビニルカプロラクタムから、最も好ましくはN-ビニルピロリドンから選択されるビニルラクタムから選択される、少なくとも1種の更なる窒素含有オレフィン性不飽和モノマーと
を含む、前記ポリマー側鎖(B)と
を含む。
【0061】
この実施形態において、グラフトポリマーは、好ましくは、グラフトポリマーの総重量に対し:
- ビニルエステルモノマー(B1)を、1~30重量%、好ましくは3~25重量%、より好ましくは5~20重量%、最も好ましくは10~20重量%と、
- 補助的なモノマー(B2)を、10~60重量%、好ましくは20~50重量%、より好ましくは20~40重量%、最も好ましくは25~35重量%と、
を含む。
【0062】
更にこの実施形態において、補助的なモノマー(B2)は、窒素含有オレフィン性不飽和モノマー(B2a)を、補助的なモノマー(B2)の総重量に対し、好ましくは10~100重量%、好ましくは20~90重量%、より好ましくは30~80重量%、最も好ましくは40~70重量%含む。
【0063】
更にこの実施形態において、特に好ましくは、ビニルエステルモノマー(B1)は酢酸ビニルであり、窒素含有オレフィン性不飽和モノマー(B2a)は1-ビニルイミダゾールであり、窒素含有オレフィン性不飽和モノマー(B2b)は、N-ビニルピロリドンである。
【0064】
第2の特定の実施形態において、グラフトポリマーは:
(A)グラフト基体としての統計コポリマー主鎖であって、
C2~C10-アルキレンオキシド、好ましくはC2~C5-アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、1,2-ペンテンオキシド又は2,3-ペンテンオキシドの群から選択される少なくとも2種のアルキレンオキシドを重合させることにより得ることができる、前記統計コポリマー主鎖と、
(B)統計コポリマー主鎖(A)上にグラフトされたポリマー側鎖であって、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)を含むモノマーを、統計コポリマー主鎖(A)の存在下に重合させることにより得ることができる、前記ポリマー側鎖(B)と
を含む。
【0065】
この実施形態において、統計コポリマー主鎖(A)の数平均分子量Mnは、好ましくは500~6,000g/mol、好ましくは5,500g/mol以下、より好ましくは5,000g/mol以下、更に好ましくは4,500g/mol以下、特に4,000g/mol以下、例えば、3,800g/mol以下又は3,500g/mol以下、特に3,000g/mol以下、更に好ましくは2,750g/mol以下、最も好ましくは2,700g/mol以下又は2,650g/mol以下、且つ好ましくは少なくとも800g/mol又は少なくとも1,000g/mol、より好ましくは少なくとも1,200g/molである。
【0066】
第3の特定の実施形態において、グラフトポリマーは:
(A)グラフト基体としてのポリマー主鎖であって、
エチレンオキシドを重合させることにより得ることができる、前記ポリマー主鎖(A)と、
(B)統計コポリマー主鎖(A)上にグラフトされたポリマー側鎖であって、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)を含むモノマーを、ポリマー主鎖(A)の存在下に重合させることにより得ることができる、前記ポリマー側鎖(B)と
を含む。
【0067】
この実施形態において、ポリマー主鎖(A)の数平均分子量Mnは、好ましくは500~5,000g/mol、好ましくは4,000g/mol以下、より好ましくは3,800g/mol以下又は3,500g/mol以下、更に好ましくは3,000g/mol以下、例えば2,750g/mol以下、最も好ましくは2,700g/mol以下又は2,650g/mol以下である。
【0068】
更にこの実施形態において、好ましくは、式P:
P=[ポリマー主鎖の分子量Mn(g/mol単位)]×[ポリマーの総重量を基準とする、酢酸ビニルのグラフト率(ポリマーの重量を「1」とした場合の、その割合としてのグラフト率)]
の積は、1500以下、好ましくは1200以下、より好ましくは1000以下、更に好ましくは800以下、最も好ましくは600以下、例えば400以下、更には300以下、且つ少なくとも100、好ましくは少なくとも150、より好ましくは少なくとも200である。
【0069】
第4の特定の実施形態において、グラフトポリマーは:
(A)グラフト基体としてのブロックコポリマー主鎖であって、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、1,2-ペンテンオキシド又は2,3-ペンテンオキシドから選択される少なくとも2種のアルキレンオキシドをブロック共重合させることにより得ることができる、前記ブロックコポリマー主鎖(A)と、
(B)ブロックコポリマー主鎖上にグラフトされたポリマー側鎖であって、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)及び任意選択的にN-ビニルピロリドン(B2)を含むモノマーを重合させることにより得ることができる、前記ポリマー側鎖(B)と
を含む。
【0070】
この実施形態において、アルキレンオキシドは、好ましくは、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド及び1,2-ブチレンオキシドから選択される。好ましくは、使用される少なくとも2種のアルキレンオキシドのうちの1種はエチレンオキシドであり、好ましくは、使用される第2のアルキレンオキシドは1,2-プロピレンオキシドである。最も好ましくは、ブロックコポリマー主鎖(A)は、エチレンオキシド及び1,2-プロピレンオキシドをブロック共重合させることにより得ることができる。好ましくは、ブロックコポリマー主鎖(A)内の個々のブロックの数(x)は整数であり、xは、3~10、好ましくは3~5であり、より好ましくは、xは3である。
【0071】
好適なブロックコポリマー主鎖(A)は、例えば、欧州特許第0362688A2号明細書に記載されている。好ましくは、ブロックコポリマー主鎖(A)の個々のブロックの調製に使用されるそれぞれのアルキレンオキシドは、順次添加される。しかしながら、1種のアルキレンオキシドの供給から他のアルキレンオキシドの供給に移行する際に、考えられている個々のブロック内のそれぞれのブロックの末端/境界に、隣接するそれぞれのブロックのアルキレンオキシドが少数含まれ得る、いわゆる「不純(dirty)構造」が生じる可能性ある。しかしながら、本発明によるブロックコポリマー主鎖(A)は、ブロックのそれぞれの境界にいわゆる「不純構造」又は「不純遷移(dirty passage)」を含まないことが好ましい。
【0072】
更にこの実施形態において、ブロックコポリマー主鎖(A)は、好ましくは式(A1)又は式(A2)に従う構造を有する、ポリエチレンオキシド(PEG)及びポリプロピレンオキシド(PPG)のトリブロックコポリマーであることが好ましく、式(A1)は、以下のように定義され:
【化1】
(式中、
nは、2~100、好ましくは3~80の範囲の整数であり、
mは、2~100、好ましくは10~70、より好ましくは14~54の範囲の整数である)、
式(A2)は、以下のように定義され:
【化2】
(式中、
oは、2~100、好ましくは5~50、より好ましくは8~27の範囲の整数であり、
pは、2~100、好ましくは5~50、より好ましくは7~24の範囲の整数である)、
構造(A2)が特に好ましい。構造(A2)を有するブロックコポリマー主鎖(A)を用いることにより、生分解度を特に高くすることが可能になる。
【0073】
更にこの実施形態において、好ましくは、グラフトポリマーは、コポリマー(A)がポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドのトリブロックコポリマーであり、トリブロックコポリマー主鎖(A)の数平均分子量Mnが、6,000g/mol未満、好ましくは5,000g/mol未満、より好ましくは3,800g/mol未満又は3,650g/mol未満、更に好ましくは3,000g/mol未満、例えば2,750g/mol未満又は2,700g/mol未満である、ポリマーである。
【0074】
上に示した4つの特定の実施形態の中でも、第3及び第4の実施形態が特に好ましい。
【0075】
本発明の組成物のグラフトポリマーは、好ましくは、重量平均分子量Mwが1,000~100,000g/mol、好ましくは2,000~45,000g/mol、より好ましくは3,000~30,000g/molである。グラフトポリマーの生分解性は、グラフトポリマーの重量平均分子量が小さいほど高くなることが見出された。
【0076】
本発明の組成物のグラフトポリマーは、好ましくは、多分散度が低い。好ましくは、グラフトポリマーの多分散度Mw/Mnは、7未満、好ましくは5未満、より好ましくは3未満、特に2.5未満、例えば2.3未満であり、最も好ましくは、1.0~2.2の範囲にある(Mwは重量平均分子量であり、Mnは数平均分子量であり、多分散度は無単位である[g/mol/g/mol])。Mw及び/又はMnのそれぞれの値は、実験部において後述するように決定することができる。
【0077】
農芸化学的組成物としてうまく利用されるためには、本発明の組成物のグラフトポリマーは、好ましくは、以下に示す特性のうちの少なくとも1つ、特に2つ以上を有する:
- 一定水準の生分解性。好ましくは、OECD 301Fに従う28日以内の生分解度が、少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、最も好ましくは少なくとも50%、例えば、35、45、55、60、65、75、80、85又はそれを超える値から100%までである(百分率は全て固形分全体を基準とする重量%である)。
- ポリマーは、農芸化学的用途に通常存在する水性環境中でポリマーが利用できるように、ある程度の水溶性を有するべきである。好ましくは、本発明のポリマーは、中程度~良好な水溶性、より好ましくは非常に良好な水溶性を示すべきである。
- ポリマー溶液の粘度は、妥当な高いポリマー固形分濃度で、製造中及び製造後に取扱いができ、且つ、使用者に提供できるものであることが必要であり、これは例えば、「純粋な」(その場合、通常は液体である)製品として、溶媒、典型的には、水及び有機溶媒を含む水溶液、水のみ、又は有機溶媒のみに溶解されていてもよく、そのようなポリマー又はポリマー溶液の粘度は、通常の技術的プロセスステップ、例えば、流し込み、ポンプ送液、計量供給(dosing)などを可能にする範囲にある。
【0078】
したがって、粘度は、ポリマー濃度(ポリマー溶液の総重量に含まれる乾燥ポリマーの重量パーセントとして定義される、溶液中のポリマーの総固形分含有量を基準とする)が、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、更に好ましくは少なくとも40重量%、最も好ましくは少なくとも50重量%、例えば、少なくとも60、70、80重量%又は90重量%であってさえも、好ましくは約4000mPa・s未満まで、より好ましくは最大3500mPa・s、更に好ましくは最大3000mPa・s、例えば、最大4500、3750、3250、2750であるか、又は2600以下でさえあり、例えば、2500、2000、1750、1500、1250、1000、750、500、250、200、150又は100mPa・sの範囲にある。粘度は、実験部で後述するように決定することができる。
【0079】
粘度の測定は、25℃又は高温のいずれか、例えば、50℃の温度又は60℃の温度でさえ行うことができる。それにより、ポリマー溶液を商業規模で適切に取り扱うことが可能になる。言うまでもなく、添加される溶媒の量に応じて、溶媒の量が増加すると粘度は低下し、その逆も同様であることは明らかであり、したがって、所望であれば調整することが可能である。測定される粘度が測定温度に依存することも明らかであり、例えば、所与の固体含有量を有する、例えば、80重量%の所与のポリマーの粘度は、より低い温度で測定するとより高くなり、より高い温度で測定するとより低くなるであろう。好ましい実施形態において、溶媒を追加していない調製したままのポリマーのみの固体含有量は、70~99重量%の間、より好ましくは75~85重量%の間にある。より好ましい実施形態において、溶媒を追加していない調製したままのポリマーのみの固形分含有量は、70~99重量%の間、より好ましくは75~95重量%の間にあり、60℃で測定された粘度は、3000mPa・s未満、より好ましくは3250未満であり、更には2750未満、2600未満、2500未満、2000未満、1750未満、1500未満、1250未満、1000未満、750未満、500未満又は250mPa・s未満でさえある。
【0080】
生分解性は、以下の各条件で増加する:
- ポリマー主鎖(A)の分子量が、より高い分子量と比較して、より低い;及び/又は
- 主鎖にグラフトされるポリマー側鎖(B)の重量百分率が、より高い重量百分率と比較して、より低い。
【0081】
好ましいグラフトポリマーは、以下の条件の少なくとも1つを用いて得られる:
I)ポリマー主鎖(A)の数平均分子量Mnが、3,800g/mol以下、好ましくは3,500g/mol以下、より好ましくは3,000g/mol以下、より好ましくは2,750g/mol以下、最も好ましくは2,700g/mol以下又は2,650g/mol以下である;
II)グラフトポリマーのポリマー側鎖の重量百分率が、グラフトポリマーの総重量に対し、10重量%超、好ましくは少なくとも15重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、更に好ましくは少なくとも30重量%から、最大75重量%、より好ましくは最大70重量%、更に好ましくは最大65重量%、最も好ましくは最大60重量%又は最大55%までである;
III)グラフトポリマーの主鎖の、主鎖(A)中に存在するアルキレンオキシド部分全体に対するエチレンオキシド(EO)部分の重量百分率が、少なくとも10%である。
【0082】
本発明の組成物のグラフトポリマーは、少なくとも1種のモノマー(B1)及び任意選択的な少なくとも1種の補助的なモノマー(B2)を、ポリマー主鎖(A)の存在下に重合させることにより調製することができる。ポリマー主鎖にポリマー側鎖をグラフトするグラフト化プロセス自体はよく知られている。当業者に知られている任意のグラフト化プロセスを本発明に採用することができる。
【0083】
好ましくは、ポリマー側鎖(B)は、ラジカル重合により得られる。ラジカル重合自体は当業者に知られている。グラフト化プロセスは、ラジカル形成性開始剤(C)及び/又は少なくとも1種の溶媒(D)の存在下に実施することができ、それに適した代表的なものはよく知られている。
【0084】
本明細書において使用される「ラジカル重合」という用語は、フリーラジカル重合以外に、精密ラジカル重合などのその変形も含む。好適な制御機構は、RAFT、NMP又はATRPであり、これらはそれぞれ、好適な制御剤と共に当業者に知られている。
【0085】
更に好ましくは、グラフトポリマーを得るためのプロセスは、ポリマー側鎖(B)を得るために、酢酸ビニル又はプロピオン酸ビニルから選択される少なくとも1種のモノマー(B1)と、任意選択的な補助的なモノマー(B2)としてのN-ビニルピロリドンとを、ポリマー主鎖(A)と、フリーラジカル形成性開始剤(C)と、所望により、構成成分(A)、(B1)、任意選択的な(B2)及び(C)の総和を基準として最大50重量%の少なくとも1種の有機溶媒(D)と、の存在下において、開始剤(C)の分解半減期が40~500分となる平均重合温度で、反応混合物中の未変換のモノマー(B1)及び任意選択的な(B2)及び開始剤(C)の割合が、ポリマー主鎖(A)に対し常に定量的に不足した状態に維持されるような形で重合させることを含む方法により実施される。
【0086】
開始剤(C)の量は、好ましくは、各場合におけるポリマー側鎖(B)を基準として、0.1~5重量%、特に0.3~3.5重量%である。
【0087】
好ましくは、平均重合温度で存在するラジカルの定常状態濃度は実質的に一定であり、モノマー(B1)及び任意選択的な(B2)は、反応混合物中に、常時低濃度(例えば、合計5重量%以下)でしか存在しない。それにより、反応を制御することが可能になり、グラフトポリマーを、所望の低い多分散度で制御下に調製することができる。
【0088】
「平均重合温度」という用語は、プロセスが実質的に等温であるが、反応の発熱性により温度変動があり得、好ましくは+/-10℃の範囲内、より好ましくは+/-5℃の範囲内に維持されることを意味すると理解される。
【0089】
平均重合温度における開始剤(C)の分解半減期は、40~500分、好ましくは50~400分、より好ましくは60~300分とすることが必要である。
【0090】
開始剤(C)並びにモノマー(B1)及び任意選択的な(B2)は、有利には、未分解の開始剤並びにモノマー(B1)及び(B2)が反応混合物中に実質的に一定の低い濃度で存在するように添加される。反応混合物全体における未分解の開始剤の割合は、モノマー添加時に添加される開始剤の総量を基準として、好ましくは、15重量%未満、特に10重量%未満である。
【0091】
平均重合温度は、好適には50~140℃の範囲、好ましくは60~120℃の範囲、より好ましくは65~110℃の範囲にある。
【0092】
50~140℃の温度範囲における分解半減期が20~500分である好適な開始剤(C)の例を以下に示す:
- tert-C4~C12-アルキルヒドロペルオキシド及びtert-(C9~C12-アラルキル)ヒドロペルオキシドのO-C2~C12-アシル化誘導体、例えば、過酢酸tert-ブチル、モノペルオキシマレイン酸tert-ブチル、ペルオキシイソ酪酸tert-ブチル、ペルオキシピバル酸tert-ブチル、ペルオキシネオヘプタン酸tert-ブチル、ペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル、ペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサン酸tert-ブチル、ペルオキシネオデカン酸tert-ブチル、ペルオキシピバル酸tert-アミル、ペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-アミル、ペルオキシネオデカン酸tert-アミル、ペルオキシネオデカン酸1,1,3,3-テトラメチルブチル、ペルオキシネオデカン酸クミル、ペルオキシ安息香酸tert-ブチル、ペルオキシ安息香酸tert-アミル及びジペルオキシフタル酸ジ-tert-ブチル;
- tert-C8~C14-アルキレンビスペルオキシドのジ-O-C4~C12-アシル化誘導体、例えば、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン及び1,3-ジ(2-ネオデカノイルペルオキシイソプロピル)ベンゼン;
- 過酸化ジ(C2~C12-アルカノイル)及び過酸化ジベンゾイル、例えば、過酸化ジアセチル、過酸化ジプロピオニル、ジコハク酸ペルオキシド、過酸化ジカプリロイル、過酸化ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)、過酸化ジデカノイル、過酸化ジラウロイル過酸化、過酸化ジベンゾイル、過酸化ジ(4-メチルベンゾイル)、過酸化ジ(4-クロロベンゾイル)及び過酸化ジ(2,4-ジクロロベンゾイル);
- ペルオキシ炭酸tert-C4~C5-アルキル(C4~C12-アルキル)、例えば、ペルオキシ炭酸tert-アミル(2-エチルヘキシル);
- ペルオキシ二炭酸ジ(C2~C12-アルキル)、例えば、ペルオキシ二炭酸ジ(n-ブチル)及びペルオキシ二炭酸ジ(2-エチルヘキシル)。
【0093】
平均重合温度に応じた、特に好適な開始剤(C)の例を以下に示す:
- 平均重合温度50~60℃:
ペルオキシネオヘプタン酸tert-ブチル、ペルオキシネオデカン酸tert-ブチル、ペルオキシピバル酸tert-アミル、ペルオキシネオデカン酸tert-アミル、ペルオキシネオデカン酸1,1,3,3-テトラメチルブチル、ペルオキシネオデカン酸クミル、1,3-ジ(2-ネオデカノイルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ペルオキシ二炭酸ジ(n-ブチル)及びペルオキシ二炭酸ジ(2-エチルヘキシル);
- 平均重合温度60~70℃:
ペルオキシピバル酸tert-ブチル、ペルオキシネオヘプタン酸tert-ブチル、ペルオキシネオデカン酸tert-ブチル、ペルオキシピバル酸tert-アミル及び過酸化ジ(2,4-ジクロロベンゾイル);
- 平均重合温度70~80℃:
ペルオキシピバル酸tert-ブチル、ペルオキシネオヘプタン酸tert-ブチル、ペルオキシピバル酸tert-アミル、過酸化ジプロピオニル、過酸化ジカプリロイル、過酸化ジデカノイル、過酸化ジラウロイル、過酸化ジ(2,4-ジクロロベンゾイル)及び2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン;
- 平均重合温度80~90℃:
ペルオキシイソ酪酸tert-ブチル、ペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル、ペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-アミル、過酸化ジプロピオニル、過酸化ジカプリロイル、過酸化ジデカノイル、過酸化ジラウロイル、過酸化ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)、過酸化ジベンゾイル及び過酸化ジ(4-メチルベンゾイル);
- 平均重合温度90~100℃:
ペルオキシイソ酪酸tert-ブチル、ペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル、モノペルオキシマレイン酸tert-ブチル、ペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-アミル、過酸化ジベンゾイル及び過酸化ジ(4-メチルベンゾイル);
- 平均重合温度100~110℃:
モノペルオキシマレイン酸tert-ブチル、ペルオキシイソ酪酸tert-ブチル及びペルオキシ炭酸tert-アミル(2-エチルヘキシル);
- 平均重合温度110~120℃:
モノペルオキシマレイン酸tert-ブチル、ペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサン酸tert-ブチル及びペルオキシ炭酸tert-アミル(2-エチルヘキシル)。
【0094】
好ましい開始剤(C)は、tert-C4~C5-アルキルヒドロペルオキシドのO-C4~C12-アシル化誘導体、特に好ましくはペルオキシピバル酸tert-ブチル及びペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチルである。
【0095】
特に有利な重合条件は、開始剤(C)及び重合温度を正確に調整することによって設定することができる。例えば、ペルオキシピバル酸tert-ブチルを使用した場合の好ましい平均重合温度は60~80℃であり、ペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチルの場合は80~100℃である。
【0096】
重合反応は、好ましくは少量である、有機溶媒(D)の存在下に実施することができる。当然のことながら、異なる溶媒(D)の混合物を使用することも可能である。水溶性又は水混和性溶媒を使用することが好ましい。
【0097】
溶媒(D)が希釈剤として使用される場合は、概して、各場合における構成成分(A)、(B1)、任意選択的な(B2)及び(C)の総和を基準として、1~40重量%、好ましくは1~35重量%、より好ましくは1.5~30重量%、最も好ましくは2~25重量%で使用される。
【0098】
好適な溶媒(D)の例としては、以下に示すものが挙げられる:
- 一価アルコール、好ましくは脂肪族C1~C16-アルコール、より好ましくは脂肪族C2~C12-アルコール、最も好ましくはC2~C4-アルコール、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、sec-ブタノール及びtert-ブタノール;
- 多価アルコール、好ましくはC2~C10-ジオール、より好ましくはC2~C6-ジオール、最も好ましくはC2~C4-アルキレングリコール、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール及び1,3-プロピレングリコール;
- アルキレングリコールエーテル、好ましくは、アルキレングリコールモノ(C1~C12-アルキル)エーテル及びアルキレングリコールジ(C1~C6-アルキル)エーテル、より好ましくは、アルキレングリコールモノ-及びジ(C1~C2-アルキル)エーテル、最も好ましくは、アルキレングリコールモノ(C1~C2-アルキル)エーテル、例えば、エチレングリコールモノメチル及び-エチルエーテル並びにプロピレングリコールモノメチル及び-エチルエーテル;
- ポリアルキレングリコール、好ましくは2~20個のC2~C4-アルキレングリコール単位を有するポリ(C2~C4-アルキレン)グリコール、より好ましくは2~20個のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコール及び2~10個のプロピレングリコール単位を有するポリプロピレングリコール、最も好ましくは2~15個のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコール及び2~4個のプロピレングリコール単位を有するポリプロピレングリコール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコール;
- ポリアルキレングリコールモノエーテル、好ましくは2~20個のアルキレングリコール単位を有するポリ(C2~C4-アルキレン)グリコールモノ(C1~C25-アルキル)エーテル、より好ましくは2~20個のアルキレングリコール単位を有するポリ(C2~C4-アルキレン)グリコールモノ(C1~C20-アルキル)エーテル、最も好ましくは3~20個のアルキレングリコール単位を有するポリ(C2~C3-アルキレン)グリコールモノ(C1~C16-アルキル)エーテル;
- カルボン酸エステル、好ましくはC1~C6-カルボン酸のC1~C8-アルキルエステル、より好ましくはC1~C3-カルボン酸のC1~C4-アルキルエステル、最も好ましくはC2~C3-カルボン酸のC2~C4-アルキルエステル、例えば、酢酸エチル及びプロピオン酸エチル;
- 好ましくは3~10個の炭素原子を有する脂肪族ケトン、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン及びシクロヘキサノン;
- 環状エーテル、特にテトラヒドロフラン及びジオキサン。
【0099】
溶媒(D)は、有利には、農芸化学的組成物の配合にも使用することができ、したがって、重合生成物中に残留してもよい溶媒であり、2~15個のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコール、2~6個のプロピレングリコール単位を有するポリプロピレングリコール及び特にC6~C8-アルコールのアルコキシル化生成物(アルキレングリコールモノアルキルエーテル及びポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル)から選択される溶媒が挙げられる。
【0100】
分岐度の高いC8~C16-アルコールのアルコキシ化生成物が特に好ましく、これを用いることにより、40~70℃で自由流動性を有し、比較的低い粘度でポリマー含有量が非常に低いポリマー混合物の組成物を得ることが可能になる。アルコールのアルキル鎖内及び/又はポリアルコキシレート部分(少なくとも1種のプロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はイソブチレンオキシド単位を共重合させたもの)内に分岐が存在してもよい。このようなアルコキシ化生成物の特に好適な例は、1~15molのエチレンオキシドでアルコキシ化された2-エチルヘキサノール又は2-プロピルヘプタノール、1~15molのエチレンオキシド及び1~3molのプロピレンオキシドでアルコキシ化されたC13/C15オキソアルコール又はC12/C14若しくはC16/C18脂肪アルコールであり、1~15molのエチレンオキシド及び1~3molのプロピレンオキシドでアルコキシ化された2-プロピルヘプタノールが好ましい。
【0101】
ポリマー主鎖(A)、モノマー(B1)及び任意選択的な(B2)、開始剤(C)並びに適切であれば溶媒(D)は、通常、反応器内で選択された平均重合温度に加熱される。
【0102】
重合は、好ましくは、反応器内に常時過剰のポリマー(ポリマー主鎖(A)及び形成されたグラフトポリマー(B))が存在するように実施される。ポリマー対グラフトされていないモノマー及び開始剤の定量的な比は、概して少なくとも10:1、好ましくは少なくとも15:1、より好ましくは少なくとも20:1である。
【0103】
重合プロセスは、様々な種類の反応器で実施することができる。
【0104】
使用される反応器は、好ましくは撹拌槽であり、ここにまず最初にポリマー主鎖(A)の全部又は一部が、適切であればモノマー(B1)及び任意選択的な(B2)、開始剤(C)並びに溶媒(D)の一部、概して、具体的な総量の15重量%までと一緒に投入され、重合温度に加熱され、(B1)、(B2)、(C)及び適切であれば(D)の残量が、好ましくは別々に計量添加される。(B1)、(B2)、(C)及び適切であれば(D)の残量は、好ましくは少なくとも2時間、より好ましくは少なくとも4時間、最も好ましくは少なくとも5時間の期間をかけて計量添加される。
【0105】
その変形形態である、特に好ましい、実質的に無溶媒のプロセスの場合は、ポリマー主鎖(A)の全量が最初に溶融物として投入され、モノマー(B1)及び任意選択的な(B2)と、これに加えて、好ましくは溶媒(D)のうちの1種の10~50重量%溶液の形態で存在する開始剤(C)と、が計量添加され、温度は、重合中、選択された平均重合温度に、とりわけ+/-10℃の範囲、特に+/-5℃の範囲内に維持されるように制御される。
【0106】
更なる特に好ましい変形形態である低溶媒プロセスにおける手順は、反応混合物の粘度を制限するために重合時に溶媒(D)が計量添加されることを除いて、上に述べた通りである。重合が進行した後段の時点で初めて溶媒の計量添加を開始することも、又は少量ずつ添加することも可能である。
【0107】
重合は、標準圧力又は減圧若しくは高圧下に影響を受けることができる。選択された圧力において、使用されるモノマー(B1)若しくは(B2)又は任意の希釈剤(D)の沸点を超えている場合、重合は還流冷却しながら実施される。
【0108】
重合完了後、揮発性物質を真空下に除去することができる。
【0109】
本発明の農芸化学的組成物は、グラフトポリマー以外に、農芸化学的活性成分を含む。本発明の組成物のグラフトポリマーは、幅広い種類の農芸化学的活性成分用の分散剤として適していることが見出された。「農芸化学的活性成分」という用語は、農芸化学的組成物に所望の生物活性を付与する物質を指す。
【0110】
農芸化学的活性成分としては、有害生物防除剤、薬害軽減剤、硝化抑制剤、ウレアーゼ阻害剤、微量栄養素及び/又は植物生長調整剤が挙げられる。典型的には、農芸化学的活性成分は、有害生物防除剤である。有害生物防除剤としては、殺虫剤、除草剤、殺真菌剤、殺藻剤、殺齧歯動物剤、殺軟体動物剤及び殺線虫剤が挙げられる。当業者は有害生物防除剤に精通しており、これらは例えば、Pesticide Manual,16th Ed.(2013),The British Crop Protection Council,Londonに記載されている。
【0111】
好ましくは、農芸化学的活性成分は、殺虫剤、殺真菌剤及び除草剤から選択される。
【0112】
好適な殺虫剤は、カーバメート類、有機リン酸エステル類、有機塩素系殺虫剤、フェニルピラゾール類、ピレスロイド類、ネオニコチノイド類、スピノシン類、アベルメクチン類、ミルベマイシン類、幼若ホルモン類縁体、ハロゲン化アルキル類、有機スズ化合物、ネライストキシン類縁体、ベンゾイルウレア類、ジアシルヒドラジン類、METI殺ダニ剤に分類される殺虫剤、及びクロルピクリン、ピメトロジン、フロニカミド、クロフェンテジン、ヘキシチアゾックス、エトキサゾール、ジアフェンチウロン、プロパルギット、テトラジホン、クロルフェナピル、DNOC、ブプロフェジン、シロマジン、アミトラス、ヒドラメチルノン、アセキノシル、フルアクリピリム、ロテノン、アフィドピロペン(afidopyropene)、アミドラゾン、ジンプロピリダズ、フィプロニル又はこれらの誘導体などの殺虫剤である。
【0113】
好適な殺真菌剤は、ジニトロアニリン類、アリルアミン類、アニリノピリミジン類、抗生物質、芳香族炭化水素、ベンゼンスルホンアミド類、ベンズイミダゾール類、ベンゾイソチアゾール類、ベンゾフェノン類、ベンゾチアジアゾール類、ベンゾトリアジン類、ベンジルカーバメート類、カーバメート類、フルキサピロキサド及びジフルフェニカンなどのカルボキサミド類、カルボン酸ジアミド類、クロロタロニルなどのクロロニトリル類、シアノアセトアミドオキシム類、シアノイミダゾール類、シクロプロパンカルボキサミド類、ジカルボキシイミド類、ジヒドロジオキサジン類、クロトン酸ジニトロフェニル類、ジチオカーバメート類、ジチオラン類、エチルホスホナート類、エチルアミノチアゾールカルボキサミド類、グアニジン類、ヒドロキシ-(2-アミノ)ピリミジン類、ヒドロキシアニリド類、イミダゾール類、イミダゾリノン類、無機物質、イソベンゾフラノン、アゾキシストロビンなどのメトキシアクリレート類、メトキシカーバメート類、モルホリン類、N-フェニルカーバメート類、オキサゾリジンジオン類、オキシイミノ酢酸類、オキシイミノアセトアミド類、ペプチジルピリミジンヌクレオシド類、フェニルアセトアミド類、フェニルアミド類、フルジオキソニルなどのフェニルピロール類、フェニルウレア類、ホスホナート類、ホスホロチオレート類、フタラミン酸類、フタルイミド類、ピペラジン類、ピペリジン類、プロピオンアミド類、ピリダジノン類、ピリジン類、ピリジニルメチルベンズアミド類、ピリミジンアミン類、ピリミジン類、ピリミジノンヒドラゾン類、ピロロキノリノン類、キナゾリノン類、キノリン類、キノン類、スルファミド類、スルファモイルトリアゾール類、メチルテトラプロールなどのテトラゾリノン類、チアゾールカルボキサミド類、チオカーバメート類、チオファネート類、チオフェンカルボキサミド類、トルアミド類、トリフェニルスズ化合物、トリアジン類及びトリアゾール類殺真菌剤、特に、メフェントリフルコナゾール、トリチコナゾール、プロチオコナゾール及びテブコナゾールなどのトリアゾール類に分類される殺真菌剤である。特に好ましい殺真菌剤は、アゾキシストロビン、フルキサピロキサド、フルジオキソニル、プロチオコナゾール、クロロタロニル、ジフルフェニカン、メチルテトラプロール、メフェントリフルコナゾール及びテブコナゾール、特に、アゾキシストロビン、フルキサピロキサド及びクロロタロニル及びジフルフェニカン、とりわけアゾキシストロビンである。
【0114】
好適な除草剤は、アセトアミド類、アミド類、アリールオキシフェノキシプロピオン酸エステル類、ベンズアミド類、ベンゾフラン類、安息香酸類、ベンゾチアジアジノン類、ビピリジリウム類、カーバメート類、シンメチリン類、クロロアセトアミド類、クロロカルボン酸類、シクロヘキサンジオン類、ジニトロアニリン類、ジニトロフェノール類、ジフェニルエーテル類、グリシン類、イミダゾリノン類、イソキサゾール類、イソオキサゾリジノン類、ニトリル類、N-フェニルフタルイミド類、オキサジアゾール類、オキサゾリジンジオン類、オキシアセトアミド類、フェノキシカルボン酸類、フェニルカーバメート類、フェニルピラゾール類、フェニルピラゾリン類、フェニルピリダジン類、グルホシネートなどのホスフィン酸類、ホスホロアミデート類、ホスホロジチオエート類、フタルアマート類、ピロキサスルホンなどのピラゾール類、ピリダジノン類、ピリジン類、ピリジンカルボン酸類、ピリジンカルボキサミド類、ピリミジンジオン類、ピリミジニル(チオ)ベンゾエート類、キノリンカルボン酸類、セミカルバゾン類、スルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン類、スルホニルウレア類、テトラゾリノン類、チアジアゾール、チオカーバメート類、アトラジン、インダジフラム及びテルブチラジンなどのトリアジン類、メトリブジンなどのトリアジノン類、トリアゾール類、トリアゾリノン類、トリアゾロカルボキサミド類、トリアゾロピリミジン類、トリケトン類、サフルフェナシルなどのアリールウラシル類を含むウラシル類並びにウレア類に分類される除草剤である。特に好ましい除草剤は、アトラジン、インダジフラム、サフルフェナシル、ピロキサスルホン、グルホシネート、シンメチリン、テルブチラジン及びメトリブジン、特にアトラジンである。
【0115】
特に好ましい実施形態において、農芸化学的活性成分は、アゾキシストロビン、フルキサピロキサド、フルジオキソニル、クロロタロニル、アトラジン、メチルテトラプロール、メフェントリフルコナゾール、プロチオコナゾール、テブコナゾールe、テルブチラジン、ジフルフェニカン、及びメトリブジンから、好ましくは、アゾキシストロビン、フルキサピロキサド、フルジオキソニル、プロチオコナゾール、クロロタロニル、ジフルフェニカン、テルブチラジン及びアトラジンから、最も好ましくは、アゾキシストロビンから選択される。
【0116】
好適な薬害軽減剤としては、(キノリン-8-オキシ)酢酸、1-フェニル-5-ハロアルキル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボン酸、1-フェニル-4,5-ジヒドロ-5-アルキル-1H-ピラゾール-3,5-ジカルボン酸、4,5-ジヒドロ-5,5-ジアリール-3-イソキサゾールカルボン酸、ジクロロアセトアミド、α-オキシミノフェニルアセトニトリル、アセトフェンオキシム、4,6-ジハロ-2-フェニルピリミジン、N-[[4-(アミノカルボニル)フェニル]スルホニル]-2-安息香酸アミド、1,8-ナフタル酸無水物、2-ハロ-4-(ハロアルキル)-5-チアゾールカルボン酸、ホスホロチオレート類及びN-アルキル-O-フェニルカルバメート並びにこれらの農学的に許容される塩及びこれらのアミド、エステル及びチオエステルなどの農学的に許容される誘導体が挙げられるが、但し、これらが酸基を有することを条件とする。
【0117】
好適な硝化抑制剤は、リノール酸、アルファ-リノール酸、p-クマル酸メチル、フェルラ酸メチル、3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル(MHPP)、カランジン、ブラキアラクトン、p-ベンゾキノンソルゴレオン、2-クロロ-6-(トリクロロメチル)-ピリジン(ニトラピリン又はN-serve)、ジシアンジアミド(DCD、DIDIN)、3,4-ジメチルピラゾールリン酸塩(DMPP、ENTEC)、4-アミノ-1,2,4-トリアゾール塩酸塩(ATC)、1-アミド-2-チオ尿素(ASU)、2-アミノ-4-クロロ-6-メチルピリミジン(AM)、2-メルカプト-ベンゾチアゾール(MBT)、5-エトキシ-3-トリクロロメチル-1,2,4-チオジアゾール(テラゾール、エトリジアゾール)、2-スルファニルアミドチアゾール(ST)、チオ硫酸アンモニウム(ATU)、3-メチルピラゾール(3-MP)、3,5-ジメチルピラゾール(DMP)、1,2,4-トリアゾールチオ尿素(TU)、N-(1H-ピラゾリル-メチル)アセトアミド、例えば、N-((3(5)-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)メチル)アセトアミド及びN-(1H-ピラゾリル-メチル)ホルムアミド、例えば、N-((3(5)-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)メチルホルムアミド、N-(4-クロロ-3(5)-メチル-ピラゾール-1-イルメチル)-ホルムアミド、N-(3(5),4-ジメチル-ピラゾール-1-イルメチル)-ホルムアミド、ニーム、ニームの成分を原料とする製造物、シアンアミド、メラミン、ゼオライト粉末、カテコール、ベンゾキノン、ナトリウムテルタボード(tertaboard)、硫酸亜鉛、2-(3,4-ジメチル-1H-ピラゾール-1-イル)コハク酸(以下、「DMPSA1」と称する)及び/又は2-(4,5-ジメチル-1H-ピラゾール-1-イル)コハク酸(以下、「DMPSA2」と称する)並びに/又はこれらの誘導体及び/又はこれらの塩;3,4-ジメチルピラゾールのグリコール酸付加塩(グリコール酸3,4-ジメチルピラゾリウム、以下、「DMPG」と称する)及び/又はその異性体及び/又はその誘導体;3,4-ジメチルピラゾールのクエン酸付加塩(クエン酸3,4-ジメチルピラゾリウム、以下、「DMPC」と称する)及び/又はその異性体及び/又はその誘導体;3,4-ジメチルピラゾールの乳酸付加塩(乳酸3,4-ジメチルピラゾリウム、以下、「DMPL」と称する)及び/又はその異性体及び/又はその誘導体;3,4-ジメチルピラゾールのマンデル酸付加塩(マンデル酸3,4-ジメチルピラゾリウム、以下、「DMPM」と称する)及び/又はその異性体及び/又はその誘導体;1,2,4-トリアゾール(以下、「TZ」と称する)及び/又はその誘導体及び/又はその塩;4-クロロ-3-メチルピラゾール(以下、「ClMP」と称する)及び/又はその異性体及び/又はその誘導体及び/又はその塩;ジシアンジアミド、尿素及びホルムアルデヒドの付加反応物又はトリアゾニル(triazonyl)-ホルムアルデヒド-ジシアンジアミド付加物;2-シアノ-1-((4-オキソ-1,3,5-トリアジナン-1-イル)メチル)グアニジン、1-((2-シアノグアニジノ)メチル)尿素;2-シアノ-1-((2-シアノグアニジノ)メチル)グアニジン;3,4-ジメチルピラゾールリン酸塩;アリルチオ尿素及び塩素酸塩である。
【0118】
ウレアーゼ阻害剤の例としては、N-(n-ブチル)チオリン酸トリアミド(NBPT、Agrotain)、N-(n-プロピル)チオリン酸トリアミド(NPPT)、2-ニトロフェニルリン酸トリアミド(2-NPT)、当業者に知られている他のNXPT、ホスホロジアミド酸フェニル(PPD/PPDA)、ヒドロキノン、チオ硫酸アンモニウム並びにNBPT及びNPPTの混合物(例えば、米国特許第8,075,659号明細書参照)が挙げられる。このようなNBPT及びNPPTの混合物は、NBPTを、活性物質の総量を基準として40~95重量%、好ましくは60~80%重量%の量で含むことができる。このような混合物はLIMUSとして市販されており、これは、NBPTを約16.9重量%と、NPPTを約5.6重量%と、溶媒及びアジュバントを含む他の成分を約77.5重量%とを含む組成物である。
【0119】
好適な植物生長調整剤は、アンチオーキシン類、オーキシン類、サイトカイニン類、落葉剤、エチレン調節剤(ethylene modulator)、エチレン放出剤、ジベレリン、生長阻害剤、モルファクチン、矮化剤、生長促進剤及び更なる未分類の植物生長調整剤である。
【0120】
好適な微量栄養素は、ホウ素、亜鉛、鉄、銅、マンガン、塩素及びモリブデンを含む化合物である。
【0121】
農芸化学的組成物は、典型的には、生物学的有効量、例えば、有害生物防除的有効量の農芸化学的活性成分を含む。「有効量」という用語は、例えば、栽培植物上の有害な真菌の防除又は材料の保護に十分であり、且つ処理された植物に実質的な損傷を与えない、組成物又は農芸化学的活性成分の量を指す。そのような量は広い範囲で変化し得、例えば、防除すべき真菌種、処理される栽培植物又は材料、気候条件及び使用する具体的な農芸化学的活性成分などの様々な要素に依存する。
【0122】
農芸化学的組成物は、典型的には、農芸化学的活性成分を、農芸化学的組成物の総重量を基準として、1~70固形分重量%(%w.s.)、好ましくは1~60%w.s.、より好ましくは、10~50%w.s.、最も好ましくは、20~45%w.s.の濃度で含む。農芸化学的組成物は、典型的には、農芸化学的活性成分を、農芸化学的組成物の総重量を基準として、少なくとも5%w.s.、好ましくは、農芸化学的活性成分を、少なくとも15%w.s.、より好ましくは少なくとも25%w.s.、最も好ましくは少なくとも35%w.s.含む。農芸化学的組成物は、典型的には、農芸化学的活性成分を、農芸化学的組成物の総重量を基準として、最大95%w.s.、好ましくは、農芸化学的活性成分を、最大65重量%w.s.、より好ましくは最小で最大45重量%w.s.含む。使用される活性物質の核磁気共鳴(NMR)分光法により求められた純度は、90%~100%、好ましくは95%~100%である。
【0123】
農芸化学的組成物は、典型的には、グラフトポリマーを、農芸化学的組成物の総重量を基準として、0.5~20%w.s.、好ましくは0.5~10%w.s.、より好ましくは1~8%w.s.の濃度で含む。グラフトポリマーの濃度は、典型的には、農芸化学的組成物の総重量を基準として、最大15%w.s.、より好ましくは最大9%w.s.、最も好ましくは最大7%w.s.である。グラフトポリマーの濃度は、通常、農芸化学的組成物の総重量を基準として、少なくとも2%w.s.、好ましくは少なくとも2.5%w.s.である。
【0124】
本発明によるグラフトポリマーは、特に農芸化学的組成物が水性農芸化学的組成物である場合は、通常、農芸化学的組成物中に溶解された形態で存在する。典型的な溶媒としては、以下に補助剤として述べるものが挙げられる。
【0125】
グラフトポリマーは、特に、農芸化学的組成物が固形組成物などの非水性組成物であるか又は連続有機相を有する農芸化学的組成物である場合、分散粒子などの固形粒子として存在することができる。
【0126】
農芸化学的組成物中の農芸化学的活性成分対グラフトポリマーの重量比は、典型的には、1:1~30:1、好ましくは5:1~30:1、より好ましくは7:1~20:1の範囲にある。
【0127】
農芸化学的組成物は、例えば、溶液、エマルジョン、懸濁液、微粉(dust)、粉末、ペースト、顆粒、加圧成形物(pressing)、カプセル及びこれらの混合物などの慣用されている任意の種類の農芸化学的組成物とすることができる。組成物の種類には、例えば、サスペンション剤(suspension)(例えば、SC、OD、FS、SE、DC)、乳化性濃縮物(例えば、EC)、エマルジョン(例えば、EW、EO、ES、ME)、カプセル剤(例えば、CS、ZC)、ペースト剤、固形燻蒸剤(pastille)、水和剤又は水和性微粉剤(wettable dust)(例えば、WP、SP、WS、DP、DS)、加圧成形物(例えば、BR、TB、DT)、粒剤(例えば、WG、SG、GR、FG、GG、MG)、殺虫用品(insecticidal article)(例えば、LN)及び種子などの植物繁殖材料を処理するためのゲル状組成物(例えば、GF)がある。これらの組成物及び更なる組成物の種類は、「Catalogue of pesticide formulation types and international coding system」,Technical Monograph No.2,6th Ed.May 2008,CropLife Internationalに定義されている。
【0128】
好ましい組成物の種類は、サスペンション剤、乳化性濃縮物(EC)、水和剤又は水和性微粉剤及び粒剤、特にサスペンション剤である。好ましいサスペンション剤として、懸濁濃縮物(suspension concentrate)(SC)、サスポエマルジョン剤(SE)及び分散性濃縮物(dispersible concentrate)(DC)が挙げられる。最も好ましいサスペンション剤は、懸濁濃縮物(SC)である。
【0129】
本組成物は、例えば、Mollet and Grubemann,Formulation technology,Wiley VCH,Weinheim,2001;又はKnowles,New developments in crop protection product formulation,Agrow Reports DS243,T&F Informa,London,2005に記載されているような公知の方法によって調製される。本農芸化学的組成物は、典型的には、グラフトポリマーを農芸化学的活性成分と接触させることにより調製される。農芸化学的組成物がサスペンション剤である場合、この方法は、典型的には、農芸化学的活性成分を水と接触させることによってミルベースを形成することを含む。次いでこのプレミックスを、典型的には、磨砕(grinding)又は粉砕(milling)に付すことによって最終サスペンション剤を形成する。グラフトポリマーは、ミルベース又は最終サスペンション剤のどちらに添加してもよく、特にミルベースに添加される。
【0130】
農芸化学的組成物が粒剤である場合、これは、典型的には、農芸化学的活性成分、グラフトポリマー、増量剤及び典型的には5重量%以下の水を含むプレミックスを調製し、次いでこのプレミックスを押し出すことにより得られる。次いで押出物は、乾燥され、顆粒に変換される。
【0131】
農芸化学的組成物に添加することができる好適な助剤は、溶媒、液体担体、固体担体又は増量剤、界面活性剤、分散剤、乳化剤、湿潤剤、アジュバント、可溶化剤、浸透促進剤、保護コロイド、接着剤、増粘剤、保湿剤、撥水剤、誘引剤、摂餌刺激物質、相溶化剤、殺細菌剤、凍結防止剤、消泡剤、着色剤、結晶成長抑制剤、粘着性付与剤及び結合剤である。
【0132】
好適な溶媒及び液体担体は、水及び有機溶媒、例えば、鉱油の中~高沸点留分、例えば、ケロシン、軽油;植物又は動物由来の油;脂肪族、環状及び芳香族炭化水素、例えば、トルエン、パラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレン;アルコール類、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール;グリコール類;DMSO;ケトン類、例えば、シクロヘキサノン;エステル類、例えば、乳酸エステル、炭酸エステル、脂肪酸エステル、ガンマ-ブチロラクトン;脂肪酸;ホスホン酸エステル;アミン類;アミド類、例えば、N-メチルピロリドン、脂肪酸ジメチルアミド;並びにこれらの混合物である。
【0133】
好適な固体担体又は増量剤は、鉱物質土類(mineral earth)、例えば、ケイ酸塩、シリカゲル、タルク、カオリン、石灰石、石灰、胡粉、粘土、ドロマイト、珪藻土、ベントナイト、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム;多糖類、例えば、セルロース、デンプン;肥料、例えば、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素;植物由来の製造物、例えば、穀粉、樹皮粉、木粉、堅果殻粉及びこれらの混合物である。
【0134】
好適な界面活性剤は、表面活性化合物、例えば、アニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性界面活性剤、ブロックポリマー、高分子電解質並びにこれらの混合物である。このような界面活性剤は、エマシファイヤー(emusifier)、分散剤、可溶化剤、湿潤剤、浸透促進剤、保護コロイド又はアジュバントとして使用することができる。界面活性剤の例は、McCutcheon’s,Vol.1:Emulsifiers & Detergents,McCutcheon’s Directories,Glen Rock,USA,2008(International Ed.又はNorth American Ed.)に記載されている。
【0135】
好適なアニオン性界面活性剤は、スルホネート、スルフェート、ホスフェート、カルボキシレートのアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウム塩及びこれらの混合物である。スルホネートの例は、アルキルアリールスルホネート、ジフェニルスルホネート、アルファ-オレフィンスルホネート、リグニンスルホネート、脂肪酸及び油のスルホネート、エトキシル化アルキルフェノールのスルホネート、アルコキシル化アリールフェノールのスルホネート、縮合ナフタレンのスルホネート、ドデシル及びトリデシルベンゼンのスルホネート、ナフタレン及びアルキルナフタレンのスルホネート、スルホスクシネート又はスルホスクシンアマートである。スルフェートの例は、脂肪酸及び油のスルフェート、エトキシル化アルキルフェノールのスルフェート、アルコールのスルフェート、エトキシル化アルコールのスルフェート又は脂肪酸エステルのスルフェートである。ホスフェートの例は、リン酸エステルである。カルボキシレートの例は、アルキルカルボキシレート及びカルボキシル化アルコール又はアルキルフェノールエトキシレートである。
【0136】
好適な非イオン性界面活性剤は、アルコキシレート、N-置換脂肪酸アミド、アミンオキシド、エステル、糖系界面活性剤、高分子界面活性剤及びこれらの混合物である。アルコキシレートの例は、1~50当量でアルコキシル化された、アルコール、アルキルフェノール、アミン、アミド、アリールフェノール、脂肪酸又は脂肪酸エステルなどの化合物である。アルコキシ化には、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド、好ましくはエチレンオキシドを用いることができる。N-置換脂肪酸アミドの例は、脂肪酸グルカミド又は脂肪酸アルカノールアミドである。エステルの例は、脂肪酸エステル、グリセロールエステル又はモノグリセリドである。糖系界面活性剤の例は、ソルビタン、エトキシ化ソルビタン、スクロース及びグルコースエステル又はアルキルポリグルコシドである。高分子界面活性剤の例は、ビニルピロリドン、ビニルアルコール又は酢酸ビニルの単独又は共重合体である。
【0137】
好適なカチオン性界面活性剤は、第4級界面活性剤、例えば、1つ若しくは2つの疎水性基を有する第4級アンモニウム化合物又は長鎖第1級アミンの塩である。好適な両性界面活性剤は、アルキルベタイン及びイミダゾリンである。好適なブロックポリマーは、ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドのブロックを含むA-B若しくはA-B-A型のブロックポリマー又はアルカノール、ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドを含むA-B-C型のブロックポリマーである。好適な高分子電解質は、多価酸又は多価塩基である。多価酸の例は、ポリアクリル酸のアルカリ金属塩又は多価酸櫛型ポリマーである。多価塩基の例は、ポリビニルアミン又はポリエチレンアミンである。
【0138】
好適なアジュバントは、それ自体の有害生物防除活性は無視できるほどであるか又はそれどころか全く持たない場合さえあるが、標的上で化合物Iの生物学的性能を高める化合物である。その例が、界面活性剤、鉱油又は植物油及び他の補助剤である。更なる例が、Knowles,Adjuvants and additives,Agrow Reports DS256,T&F Informa UK,2006,chapter 5に記載されている。
【0139】
好適な増粘剤は、多糖類(例えば、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース)、アノーガニック(anorganic)粘土(有機変性又は未変性)、ポリカルボキシレート及びケイ酸塩である。好適な殺細菌剤は、ブロノポール及びイソチアゾリノン誘導体、例えば、アルキルイソチアゾリノン及びベンズイソチアゾリノンである。好適な凍結防止剤は、エチレングリコール、プロピレングリコール、尿素及びグリセリンである。好適な消泡剤は、シリコーン、長鎖アルコール及び脂肪酸の塩である。好適な着色剤(例えば、赤色、青色又は緑色)は、低水溶性顔料及び水溶性染料である。その例が、無機着色剤(例えば、酸化鉄、酸化チタン、ヘキサシアノ鉄酸塩)並びに有機着色剤(例えば、アリザリン、アゾ及びフタロシアニン着色剤)である。好適な粘着付与剤又は結合剤は、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、生物由来又は合成ワックス及びセルロースエーテルである。
【0140】
組成物の種類及びその調製方法の例を以下に示す:
【0141】
i)水溶性液剤(water-soluble concentrate)(SL、LS)
農芸化学的活性物質10~60重量%、湿潤剤(例えば、アルコールアルコキシレート)5~15重量%、グラフトポリマー1~15重量%を、水及び/又は水溶性溶媒(例えば、アルコール)に、全体が100重量%となるように溶解する。活性物質は水で希釈すると溶解する。
【0142】
ii)分散性濃縮物(DC)
農芸化学的活性成分5~25重量%、グラフトポリマー1~10重量%、任意選択的な更なる分散剤(例えば、ポリビニルピロリドン)を、有機溶媒(例えば、シクロヘキサノン)に、全体が100重量%となるように溶解する。水で希釈すると分散液となる。
【0143】
iii)乳化性濃縮物(EC)
農芸化学的活性成分15~70重量%、グラフトポリマー1~15重量%、乳化剤(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム及びヒマシ油エトキシレート)5~10重量%を、水不溶性有機溶媒(例えば、芳香族炭化水素)に、全体が100重量%となるように溶解する。水で希釈すると乳濁液となる。
【0144】
iv)エマルジョン(EW、EO、ES)
農芸化学的活性成分5~40重量%、グラフトポリマー1~15重量%及び乳化剤(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム及びヒマシ油エトキシレート)1~10重量%を、水不溶性有機溶媒(例えば、芳香族炭化水素)20~40重量%に溶解する。この混合物を、乳化装置を用いて、全体が100重量%となるように水に導入することにより、均質な乳濁液とすることができる。
【0145】
v)サスペンション剤(SC、OD、FS)
撹拌型ボールミル内で、農芸化学的活性成分20~60重量%に、グラフトポリマー1~10重量%、任意選択的な更なる分散剤及び湿潤剤(例えば、リグノスルホン酸ナトリウム及びアルコールエトキシレート)、増粘剤(例えば、キサンタンガム)0.1~2重量%並びに全体が100重量%となる水を添加して細かく粉砕することにより、微細な活性物質の懸濁物にする。水で希釈すると、活性物質の安定な懸濁液となる。FS型の組成物の場合は、40重量%以下の結合剤(例えば、ポリビニルアルコール)を添加する。サスポエマルジョン剤(SE)は、サスペンション剤を乳剤又は水中油型エマルジョン(EW)などのエマルジョンと混合することにより得ることができる。
【0146】
vi)顆粒水和剤及び水溶性粒剤(WG、SG)
農芸化学的活性成分50~80重量%に、全体が100重量%となるように、グラフトポリマー、任意選択的な更なる分散剤及び湿潤剤(例えば、リグノスルホン酸ナトリウム及びアルコールエトキシレート)を添加して微粉砕し、技術的装置(例えば、押出、噴霧塔、流動床)を用いることにより、顆粒水和剤又は水溶性粒剤を調製する。水で希釈すると、活性物質の安定な分散液又は溶液となる。
【0147】
vii)水和剤(粉末)及び水溶性粉剤(WP、SP、WS)
農芸化学的活性成分50~80重量%に、グラフトポリマー及び任意選択的な更なる分散剤(例えば、リグノスルホン酸ナトリウム)1~5重量%、湿潤剤(例えば、アルコールエトキシレート)1~3重量%並びに全体が100重量%となる固体担体(例えば、シリカゲル)を加えて、ロータ・ステータ型ミルで粉砕する。水で希釈すると、活性物質の安定な分散液又は溶液となる。
【0148】
viii)ゲル状製剤(GW、GF)
撹拌型ボールミル内で、農芸化学的活性成分5~25重量%に、グラフトポリマー及び任意選択的な更なる分散剤(例えば、リグノスルホン酸ナトリウム)3~10重量%、増粘剤(例えば、カルボキシメチルセルロース)1~5重量%並びに全体が100重量%となる水を加えて、細かく粉砕することにより、微細な活性物質の懸濁物を得る。水で希釈すると、活性物質の安定なゲルとなる。
【0149】
iv)マイクロエマルジョン(ME)
農芸化学的活性成分5~20重量%を、有機溶媒のブレンド(例えば、脂肪酸ジメチルアミド及びシクロヘキサノン)5~30重量%、界面活性剤のブレンド(例えば、アルコールエトキシレート及びアリールフェノールエトキシレート)10~25重量%、グラフトポリマー1~25重量%及び全体が100%となる水に添加する。この混合物を1時間撹拌すると、熱力学的に安定なマイクロエマルジョンが自発的に生成する。
【0150】
iv)マイクロカプセル剤(CS)
農芸化学的活性成分5~50重量%、水不溶性有機溶媒(例えば、芳香族炭化水素)0~40重量%、アクリル系モノマー(例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸及びジ又はトリアクリレート)2~15重量%を含む油相を、保護コロイド(例えば、ポリビニルアルコール)の水溶液中に分散させる。ラジカル開始剤によりラジカル重合を開始させることによって、ポリ(メタ)アクリレートのマイクロカプセルが形成される。別法として、農芸化学的活性成分5~50重量%、水不溶性有機溶媒(例えば、芳香族炭化水素)0~40重量%及びイソシアネートモノマー(例えば、ジフェニルメテン-4,4’-ジイソシアネート)含む油相を、保護コロイド(例えば、ポリビニルアルコール)の水溶液中に分散させる。
【0151】
ポリアミン(例えば、ヘキサメチレンジアミン)を添加することにより、ポリ尿素マイクロカプセルが形成される。モノマーの総量は1~10重量%である。この重量%は、CS組成物全体に関する。次いでこのマイクロカプセルを水性組成物中に分散させることができる。この目的のために、マイクロカプセル1~40重量%を、グラフトポリマー並びに任意選択的な更なる分散剤及び湿潤剤(例えば、リグノスルホン酸ナトリウム及びアルコールエトキシレート)2~10重量%、増粘剤(例えば、キサンタンガム)0.1~2重量%並びに全体が100%となる水と混合することにより、CS組成物が得られる。
【0152】
ix)粉剤(DP、DS)
農芸化学的活性成分1~10重量%を微粉砕し、グラフトポリマー1~20重量%及び全体が100重量%となる固体担体(例えば、微粉カオリン)と緊密に混合する。
【0153】
x)粒剤(GR、FG)
農芸化学的活性成分0.5~30重量%を微粉砕し、グラフトポリマー1~20重量%及び全体が100重量%となる固体担体(例えば、ケイ酸塩)と合わせる。押出、噴霧乾燥又は流動床により造粒を行う。
【0154】
xi)微量散布用液体製剤(ultra-low volume liquid)(UL)
農芸化学的活性成分1~50重量%及びグラフトポリマー1~30重量%を、全体が100重量%となる有機溶媒(例えば、芳香族炭化水素)に溶解する。
【0155】
i)~xi)型の組成物は、任意選択的に、上に述べたものなどの更なる補助剤、例えば、殺細菌剤0.1~1重量%、凍結防止剤5~15重量%、消泡剤0.1~1重量%及び着色剤0.1~1重量%を含むことができる。
【0156】
一実施形態において、農芸化学的組成物は、サスペンション剤、好ましくは懸濁濃縮物である。農芸化学的サスペンション剤は、通常、農芸化学的活性成分を、農芸化学的サスペンション剤の総重量を基準として、1~65重量%、好ましくは10~60重量%、より好ましくは20~50重量%、最も好ましくは30~50重量%の濃度で含む。
【0157】
農芸化学的サスペンション剤は、農芸化学的活性物質の少なくとも一部を、好ましくは水性連続相である連続相中に懸濁された固体粒子として含む。したがって、農芸化学的サスペンション剤は、好ましくは、水を、それぞれサスペンション剤の総重量を基準として、少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも15重量%、最も好ましくは少なくとも20重量%、特に好ましくは少なくとも25重量%、例えば、少なくとも30重量%、特に少なくとも40重量%含む、水性農芸化学的サスペンション剤である。農芸化学的組成物は、水を、それぞれサスペンション剤の総重量を基準として、最大95重量%、好ましくは最大80重量%、より好ましくは最大70重量%、最も好ましくは水を最大60重量%、例えば、最大50重量%含むことができる。
【0158】
農芸化学的活性成分は、典型的には、水溶性が低い。農芸化学的活性物質の水溶性は、20℃及びpH7において、10g/L以下、好ましくは5g/L以下、より好ましくは1g/L以下、最も好ましくは0.5g/L以下、特に0.1g/L以下とすることができる。
【0159】
農芸化学的活性成分は、農芸化学的サスペンション剤中に懸濁された粒子の形態で存在する。粒子は、動的光散乱法によって決定される粒子径分布で特徴付けることができる。好適な動的光散乱測定装置は、とりわけ、Malvern Mastersizer 3000の商品名で製造されているものである。
【0160】
農芸化学的活性成分の粒子は、通常、D50値と略記されるその中位径で特徴付けることができる。D50値は、粒子集団の体積の半分がこの直径よりも小さい、特定の粒子径を表す。D50値は、典型的には、ISO 13320:2009に準拠して求められる。粒子のD50値は、0.05μm~25μmの範囲、好ましくは0.1μm~20μmの範囲、より好ましくは0.5~20μm未満の範囲、最も好ましくは0.5μm~15μmの範囲、特に好ましくは0.5μm~10μmの範囲とすることができる。粒子のD50値は、典型的には、少なくとも0.75μm、好ましくは少なくとも1μmであり、上限値は、好ましくは3μm以下又は2μm以下である。
【0161】
農芸化学的活性成分の粒子は、更にそのD90値で特徴付けることができる。D90値は、粒子集団の体積の90%がこの直径よりも小さい、特定の粒子径を表す。D90値は、典型的には、ISO 13320:2009に従い決定される。粒子のD90値は、30μm未満~3μm、特に20μm未満又は15μm未満、特に10μm未満又は8μm未満又は6μm未満又は5μm未満とすることができる。
【0162】
農芸化学的活性成分の粒子は、そのD10値でも特徴付けることができる。D10値は、粒子集団の体積の10%がこの直径よりも小さい、特定の粒子径を表す。D10値は、典型的には、ISO 13320:2009に準拠して決定される。粒子のD10値は、概して、2μm未満、例えば、0.05~<2μmの範囲、特に0.1~1.5μmの範囲又は0.1~1μmの範囲とすることができる。
【0163】
好ましくは、粒子のD50値は、0.5~10μmの範囲、特に0.5~3μmの範囲又は0.75~2μmの範囲にあり、D90値は3~10μm未満の範囲にある。
【0164】
懸濁している粒子は、20℃で固体である結晶性粒子又は非晶質粒子の形態で存在することができる。
【0165】
典型的には、農芸化学的活性成分の総重量を基準として、農芸化学的活性成分の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも90重量%は、農芸化学的サスペンション剤中に固体粒子として存在することができる。
【0166】
農芸化学的サスペンション剤は、殺真菌剤、殺虫剤、殺線虫剤、除草剤、薬害軽減剤、微量栄養素、生物農薬、硝化抑制剤、ウレアーゼ阻害剤及び/又は生長調整剤から選択することができる更なる活性成分を含むことができる。この更なる活性成分は、農芸化学的サスペンション剤中に溶解した形態で又は懸濁粒子として存在することができる。この更なる活性成分の濃度は、典型的には、農芸化学的サスペンション剤の総重量を基準として、1~50重量%、好ましくは10~25重量%である。
【0167】
農芸化学的サスペンション剤は、任意のpH値で調製することができる。好ましくは、本発明による農芸化学的サスペンション剤のpHは、9未満、より好ましくは4~8である。
【0168】
農芸化学的サスペンション剤は、典型的には、増粘剤を含む。「増粘剤」という用語は、通常、無機粘土(有機変性又は未変性)、例えば、ベントナイト、アタパルジャイト、ヘクトライト及びスメクタイト粘土並びにケイ酸塩(例えば、コロイド状含水マグネシウムケイ酸塩、コロイド状含水アルミニウムケイ酸塩、コロイド状含水アルミニウムマグネシウムケイ酸塩、含水非晶質二酸化ケイ素);並びに有機粘土、例えば、ポリカルボキシレート(例えば、ポリ(メタ)アクリレート及び変性ポリ(メタ)アクリレート)、多糖類(例えば、キサンタンガム、アガロース、ラムザンガム、プルラン、トラガントガム、カロブビーンガム、グァーガム、タラガム、ホエランカム(Whelan cum)、カゼイン、デキストリン、ジウタンガム、セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース)、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリプロピレンオキシド-ポリエチレンオシド(polyethylene ocide)縮合物、ポリ酢酸ビニル、無水マレイン酸,ポリプロピレングリコール、ポリアクリロニトリルブロックコポリマー、タンパク質並びに炭水化物を指す。
【0169】
本発明はまた、サスペンション剤などの農芸化学的組成物中における本発明によるグラフトポリマーの、農芸化学的活性成分の分散剤としての使用にも関する。本明細書における農芸化学的組成物に関する実施形態は全て、本発明の農芸化学的組成物と、グラフトポリマーの、農芸化学的組成物中における農芸化学的活性成分の分散剤としての本発明の使用と、の両方に関することが理解される。
【0170】
植物繁殖材料、特に種子を処理する目的には、通常、種子処理用溶液(LS)、サスポエマルジョン剤(SE)、種子処理用フロアブル剤(FS)、乾燥種子処理用粉末(DS)、種子処理用スラリー状水和剤(WS)、種子処理用水溶性粉剤(SS)、種子処理用エマルジョン(ES)、乳化性濃縮物(EC)及びゲル状製剤(GF)が使用される。これらの組成物を2~10倍に希釈することにより、活性物質の濃度が0.01~60重量%、好ましくは0.1~40重量%である使用準備済の調製物が得られる。施用は、播種前又は播種中に実施することができる。植物繁殖材料、とりわけ種子に、農芸化学的組成物を施用するための方法としては、繁殖材料への粉衣、被覆、ペレット化、散布、浸漬及び植溝施用(in-furrow application)法が挙げられる。好ましくは、農芸化学的組成物は、植物繁殖材料に、発芽を誘導しない方法で、例えば、種子粉衣、ペレット化、被覆及び散布により施用される。
【0171】
本発明はまた、植物病原性真菌及び/若しくは望ましくない植物の生育及び/若しくは昆虫若しくはダニによる望ましくない攻撃を防除するため、並びに/又は植物の生長を調整するための方法であって、農芸化学的組成物を、植物病原性真菌に、望ましくない植物の生育に若しくは望ましくない昆虫若しくはダニに;並びに/又は植物病原性真菌の生息地に、望ましくない植物が生育する生息地に若しくは望ましくない昆虫若しくはダニの生息地に;並びに/又は保護すべき植物に及び/若しくは保護すべき植物の土壌に;並びに/又は有用な植物に及び/若しくはその生息地に作用させる、方法にも関する。
【0172】
一実施形態において、この方法は、植物病原性真菌を防除するためのものである。他の実施形態において、この方法は、望ましくない植物の生育を防除するためのものである。他の実施形態において、この方法は、昆虫又はダニによる望ましくない付着を抑制するためのものである。これらの方法は、典型的には、農芸化学的組成物を用いて、保護すべき植物、それが生育する場所、植物病原性真菌及び/又は望ましくない植物の生育及び/又は昆虫若しくはダニによる望ましくない攻撃を処理することを含む。
【0173】
好適な処理方法としては、とりわけ、土壌処理、種子処理、植溝施用、葉面施用が挙げられる。土壌処理法としては、土壌潅注、点滴灌漑(土壌への点滴施用)、根、塊茎若しくは球根の浸漬又は土壌注入が挙げられる。種子処理法としては、種子粉衣、種子被覆、種子への散布、種子浸漬及び種子ペレット化が挙げられる。植溝施用には、典型的には、耕作地に植溝を作るステップ、植溝に種子を播種するステップ、植溝に殺有害生物活性化合物を施用するステップ及び植溝を埋め戻すステップが含まれる。
【0174】
植物保護に用いる場合の農芸化学的活性物質の施用量は、所望の効果の種類に応じて、1ヘクタール当たり0.001~2kg、好ましくは1ヘクタール当たり0.005~2kg、より好ましくは1ヘクタール当たり0.05~0.9kg、特に1ヘクタール当たり0.1~0.75kgである。
【0175】
材料又は貯蔵生産物の保護に使用する場合、活性物質の施用量は、施用範囲及び所望の効果の種類に応じて異なる。材料の保護に慣用されている施用量は、被処理材料1立方メートル当たり活性物質0.001g~2kg、好ましくは0.005g~1kgである。
【0176】
種子などの植物繁殖材料の処理、例えば、種子に散布、被覆又は灌注する処理においては、概して、植物繁殖材料(好ましくは種子)100キログラム当たりの活性物質の量を、0.1~1000g、好ましくは1~1000g、より好ましくは1~100g、最も好ましくは5~100gとすることが必要である。
【0177】
本発明はまた、本発明の農芸化学的組成物を、種子100kg当たり0.1g~10kgの量で含む種子にも関する。
【0178】
様々な種類の油、湿潤剤、アジュバント、肥料又は微量栄養素及び更なる有害生物防除剤(例えば、除草剤、殺虫剤、殺真菌剤、生長調整剤、薬害軽減剤)を、農芸化学的組成物に添加してプレミックスとしてもよいし、又は適切であれば、使用直前まで添加しない(タンクミックス)。これらの薬剤は、本発明による組成物と、1:100~100:1、好ましくは1:10~10:1の重量比で混合することができる。
【0179】
使用者は、通常、本発明による農芸化学的組成物を、予備計量装置(predosage device)、背負い式散布器、散布用タンク、散布航空機若しくは散布ドローン又は灌漑システムから施用する。通常、農芸化学的組成物は、水、緩衝剤及び/又は更なる補助剤を用いて所望の施用濃度になるように調合され、こうすることにより、本発明による使用準備済の散布液又は農芸化学的組成物が得られる。通常、使用準備済の散布液は、農学的に有用な面積1ヘクタール当たり20~2000リットル、好ましくは50~400リットル施用される。
【0180】
本発明はまた、無脊椎有害生物を駆除又は防除するための方法であって、有害生物又はその食糧供給源、生息地若しくは繁殖地に、殺有害生物有効量の農芸化学的組成物を接触させることを含む、方法にも関する。更に本発明は、生育している植物を無脊椎有害生物による攻撃又は寄生から保護するための方法であって、植物又は植物を生育させる土壌若しくは水を、殺有害生物有効量の農芸化学的組成物と接触させることを含む、方法にも関する。さらに本発明は、動物を無脊椎有害生物による寄生又は感染から治療又は保護するための方法であって、動物に、殺有害生物有効量の農芸化学的組成物を接触させることを含む、方法にも関する。
【0181】
本発明による無脊椎有害生物は、典型的には、クモ形類、軟体動物又は昆虫、特に昆虫である。
【0182】
一実施形態によれば、本発明による組成物の個々の構成成分、例えば、キットの構成要素又は2成分若しくは3成分混合物の構成要素を、使用者自身が散布用タンク内で混合することができ、適切であれば更なる補助剤を添加することができる。
【0183】
更なる実施形態においては、本発明による組成物の個々の構成成分又は一部がプレミックスされた構成成分のいずれかを、使用者が散布用タンク内で混合することができ、適切であれば更なる補助剤を添加することができる。
【0184】
更なる実施形態においては、本発明による組成物の個々の構成成分又は一部がプレミックスされた構成成分のいずれかを、一緒に(例えば、タンク内で混合した後)又は連続して施用することができる。
【0185】
本発明を以下の実施例により更に例示する。
【実施例】
【0186】
ポリマーの測定
K値は、希釈されたポリマー溶液の相対粘度を測定したものであり、平均分子量の相対的な尺度である。特定のポリマーの平均分子量が増加すると、K値も上昇する傾向にある。K値は、“Cellulosechemie”,1932,13,58のH.Fikentscherの方法に従い、3重量%のNaCl溶液中、ポリマー濃度をポリマー1%として、23℃で求められる。
【0187】
本発明のグラフトポリマーの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び多分散度Mw/Mnを、ゲル浸透クロマトグラフィーにより、テトラヒドロフラン中で測定した。移動相(溶出液)として、ジエタノールアミン0.035mol/Lを含むテトラヒドロフランを使用した。グラフトポリマーのテトラヒドロフラン中の濃度を2.0mg/mLとした。これを濾過(孔径0.2μm)した後、この溶液100μLをGPCシステムに注入した。分離には4本の異なるカラム(60℃に加熱)を使用した(SDV プレカラム、SDV 1000A、SDV 100000A、SDV 1000000A)。GPCシステムは流量を1mL/分として運転した。検出システムとしてDRI Agilent 1100を使用した。校正には分子量Mnが106~1378000g/molのポリ(エチレングリコール)(PEG)標準物質(PL)を使用した。
【0188】
ポリマー主鎖
実施例13、14及び39は、主鎖の材料として市販の統計EO/POポリエーテル製品を使用した。これらの製品は、例えば、BASFから、Breox(登録商標)の商品名で入手可能である。
【0189】
実施例26のポリマー主鎖
実施例26のために、EO/POブロックコポリマー主鎖を、次に示すように合成した。
【0190】
ステップ26a:プロピレングリコール+2.6mol PO
2Lのオートクレーブ中でプロピレングリコール228.3g及びカリウムtert-ブチラート1.36gを混合した。オートクレーブを窒素で3回置換し、140℃に加熱した。8時間以内にプロピレンオキシド453.0gを添加した。混合物を更に140℃で5時間撹拌することにより反応を完了させた。反応混合物を窒素でストリッピングし、揮発性化合物を80℃の真空下で除去した。これを濾過して、淡褐色油状物680.0gを得た。1H-NMRをCDCl3中で測定し、予想された構造を確認した。
【0191】
ステップ26b:EO/POブロックコポリマー(プロピレングリコール+2.6mol PO+17.7mol EO、80重量%EO、分子量1000g/mol)
2Lのオートクレーブ中でステップ26aの生成物209.6g及びカリウムtert-ブチラート1.39gを混合した。オートクレーブを窒素で3回置換し、140℃に加熱した。12時間以内にエチレンオキシド693.8gを添加した。混合物を更に140℃で5時間撹拌することにより反応を完了させた。80℃に冷却した後、反応混合物を酢酸0.96gで中和した。反応混合物を窒素でストリッピングし、揮発性化合物を80℃の真空下で除去した。これを濾過して、淡褐色油状物901.0gを得た。1H-NMRをCDCl3中で測定し、予想された構造を確認した。
【0192】
実施例27のポリマー主鎖
実施例27用のEO/POブロックコポリマー主鎖(ポリエチレングリコール+4.2mol EO+7.2mol PO、80重量%EO、Mn2100g/mol)を次に示すように合成した:
2Lのオートクレーブ中で、ポリエチレングリコール(Mn1500g/mol、Pluriol E1500)499.9g及びカリウムtert-ブチラート1.42gを混合した。オートクレーブを窒素で3回置換し、140℃に加熱した。エチレンオキシド61.7gを1時間以内に加え、更に2時間撹拌した。プロピレンオキシド139.4gを3時間以内に加えた。混合物を140℃で更に6時間撹拌することにより反応を完了させた。80℃に冷却した後、反応混合物を酢酸0.75gで中和した。反応混合物を窒素でストリッピングし、揮発性化合物を80℃の真空下で除去した。これを濾過して、淡褐色固体700.0gを得た。1H-NMRをCDCl3中で測定し、予想された構造を確認した。
【0193】
実施例32のポリマー主鎖
実施例32のために、統計EO/POポリエーテル主鎖を、次に示すように合成した。
【0194】
ステップ32a:ジエチレングリコール+5.3mol EO+8.3mol PO
2Lのオートクレーブ中でジエチレングリコール106.1g及びカリウムtert-ブチラート1.65gを混合した。オートクレーブを窒素で3回置換し、140℃に加熱した。エチレンオキシド233.9g及びプロピレンオキシド482.6gの混合物を13時間以内に加えた。混合物を140℃で更に5時間撹拌することにより反応を完了させた。反応混合物を窒素でストリッピングし、揮発性化合物を80℃の真空下で除去した。これを濾過して、淡褐色油状物820.0gを得た。1H-NMRをCDCl3中で測定し、予想された構造を確認した。
【0195】
ステップ32b:統計EO/POコポリマー(ジエチレングリコール+17.7mol EO+27.7mol PO、35重量%EO、分子量2500g/mol)
2Lのオートクレーブ中で、ステップ32aの生成物370.2g及びカリウムtert-ブチラート1.51gを混合した。オートクレーブを窒素で3回置換し、140℃に加熱した。エチレンオキシド245.6g及びプロピレンオキシド506.7gの混合物を15時間以内に加えた。混合物を140℃で更に5時間撹拌することにより反応を完了させた。反応混合物を窒素でストリッピングし、揮発性化合物を80℃の真空下で除去した。これを濾過して、淡褐色油状物1119.0gを得た。1H-NMRをCDCl3中で測定し、予想された構造を確認した。
【0196】
実施例33のポリマー主鎖
実施例33用の統計EO/POポリエーテル主鎖を、次に示すように合成した。
【0197】
ステップ33a:ジエチレングリコール+12.1mol EO+3.2mol PO
2Lのオートクレーブ中でジエチレングリコール106.1g及びカリウムtert-ブチラート1.65gを混合した。オートクレーブを窒素で3回置換し、140℃に加熱した。エチレンオキシド532.6g及びプロピレンオキシド186.4gの混合物を13時間以内に加えた。混合物を140℃で更に5時間撹拌することにより反応を完了させた。反応混合物を窒素でストリッピングし、揮発性化合物を80℃の真空下で除去した。これを濾過して、淡褐色油状物825.0gを得た。1H-NMRをCDCl3中で測定し、予想された構造を確認した。
【0198】
ステップ33b:統計EO/POコポリマー(ジエチレングリコール+40.3mol EO+10.7mol PO、75重量%EO、分子量2500g/mol)
2Lのオートクレーブ中で、ステップ33aの生成物370.1g及びカリウムtert-ブチラート1.50gを混合した。オートクレーブを窒素で3回置換し、140℃に加熱した。エチレンオキシド559.2g及びプロピレンオキシド195.8gの混合物を15時間以内に加えた。混合物を140℃で更に5時間撹拌することにより反応を完了させた。反応混合物を窒素でストリッピングし、揮発性化合物を80℃の真空下で除去した。これを濾過して、淡褐色油状物1130.0gを得た。1H-NMRをCDCl3中で測定し、予想された構造を確認した。
【0199】
実施例34のポリマー主鎖
実施例34のために、統計EO/POポリエーテル主鎖を、次に示すように合成した。
【0200】
ステップ34a:ジエチレングリコール+8.7mol EO+5.8mol PO
2Lのオートクレーブ中でジエチレングリコール106.1g及びカリウムtert-ブチラート1.65gを混合した。オートクレーブを窒素で3回置換し、140℃に加熱した。エチレンオキシド381.9g及びプロピレンオキシド334.5gの混合物を13時間以内に加えた。混合物を140℃で更に5時間撹拌することにより反応を完了させた。反応混合物を窒素でストリッピングし、揮発性化合物を80℃の真空下で除去した。これを濾過して、淡褐色油状物822.0gを得た。1H-NMRをCDCl3中で測定し、予想された構造を確認した。
【0201】
ステップ34b:統計EO/POコポリマー(ジエチレングリコール+28.9mol EO+19.2mol PO、55重量%EO、分子量2500g/mol)
2Lのオートクレーブ中で、ステップ34aの生成物370.1g及びカリウムtert-ブチラート1.50gを混合した。オートクレーブを窒素で3回置換し、140℃に加熱した。エチレンオキシド370.2g及びプロピレンオキシド351.6gの混合物を15時間以内に加えた。混合物を140℃で更に5時間撹拌することにより反応を完了させた。反応混合物を窒素でストリッピングし、揮発性化合物を80℃の真空下で除去した。これを濾過して、淡褐色油状物1128.0gを得た。1H-NMRをCDCl3中で測定し、予想された構造を確認した。
【0202】
実施例35のポリマー主鎖
実施例35のために、統計EO/POポリエーテル主鎖を、次に示すように合成した。
【0203】
ステップ35a:ジエチレングリコール+14.4mol EO+1.26mol PO
2Lのオートクレーブ中でジエチレングリコール106.1g及びカリウムtert-ブチラート1.63gを混合した。オートクレーブを窒素で3回置換し、140℃に加熱した。エチレンオキシド634.4g及びプロピレンオキシド73.2gの混合物を13時間以内に加えた。混合物を140℃で更に5時間撹拌することにより反応を完了させた。反応混合物を窒素でストリッピングし、揮発性化合物を80℃の真空下で除去した。これを濾過して、淡褐色ロウ状物815.0gを得た。1H-NMRをCDCl3中で測定し、予想された構造を確認した。
【0204】
ステップ35b:統計EO/POコポリマー(ジエチレングリコール+48.0mol EO+4.2mol PO、90重量%EO、分子量2500g/mol)
2Lのオートクレーブ中で、ステップ35aの生成物366.1g及びカリウムtert-ブチラート1.49gを混合した。オートクレーブを窒素で3回置換し、140℃に加熱した。エチレンオキシド661.1g及びプロピレンオキシド76.8gの混合物を15時間以内に加えた。混合物を140℃で更に5時間撹拌することにより反応を完了させた。反応混合物を窒素でストリッピングし、揮発性化合物を80℃の真空下で除去した。これを濾過して、淡褐色ロウ状物1105.0gを得た。1H-NMRをCDCl3中で測定し、予想された構造を確認した。
【0205】
実施例51及び52用に、BASFからLupranol(登録商標)の商品名で市販されているEO/POポリエーテル製品を使用した。具体的には、実施例51にLupranol(登録商標)2048を使用し、実施例52にLupranol(登録商標)6000/1を使用した。Lupranol(登録商標)2048は、グリセリン、PO及びEOから得られる、グリセリン[2.25]-PO[5.54]-PO[19.72]/EO[67.49]-EO[5.0]の構造を有するポリマーである(Mn3550g/mol)。Lupranol(登録商標)6000/1は、ジエチレングリコール、PO及びEOから誘導される、DEG[4.9]-EO[12.4]-PO[20.9]/EO[47.5]-EO[14.3]の構造を有するポリマーである(Mn2220g/mol)。
【0206】
他の全ての実施例では、主鎖材料として市販のポリエーテル製品を使用した。これらの製品は、例えば、BASFからPluriol(登録商標)及びPluronic(登録商標)の商品名で入手可能である。
【0207】
グラフトポリマー
以下に示すグラフト重合を、以下及び表1に示す材料及び比及び量を用いて実施した。
【0208】
実施例1:酢酸ビニル(40重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(60重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol)600gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール23.6gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.8gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル400g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で投入した。供給原料1及び2が完了したら、温度を95℃に昇温し、トリプロピレングリコール15.70gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.16gからなる供給原料3を、95℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を95℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0209】
実施例2:酢酸ビニル(30重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(70重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPO-EO-POブロックコポリマー(Mn6500g/mol)770gを装入し、90℃で溶融させた。1,2-プロパンジオール35.09gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル7.97gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル330g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、1,2-プロパンジオール23.21gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル5.28gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0210】
実施例3:酢酸ビニル(20重量%)のPEG(80重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPEG(Mn1500g/mol)800gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール29.86gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.57gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル200g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール40.12gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.90gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0211】
実施例4:酢酸ビニル(30重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(70重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPO-EO-POブロックコポリマー(Mn1950g/mol)700gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール29.86gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.57gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル300g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール40.12gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.90gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0212】
実施例5:酢酸ビニル(50重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(50重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol)500gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール50.30gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル12.24gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル500g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール19.70gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.90gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0213】
実施例6:酢酸ビニル(20重量%)及びラウリン酸ビニル(20重量%)のPEG(60重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPEG(Mn4000g/mol)640gを装入し、90℃で溶融させた。1,2-プロパンジオール36.16gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.11gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル213.33g)及び供給原料3(ラウリン酸ビニル213.33g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、1,2-プロパンジオール23.89gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.72gからなる供給原料4を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0214】
実施例7:酢酸ビニル(40重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(60重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPO-EO-POブロックコポリマー(Mn1950g/mol)600gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール50.30gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル12.24gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル400g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール19.70gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.90gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0215】
実施例8:酢酸ビニル(40重量%)のPEG(60重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPEG(Mn4000g/mol)600gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール29.90gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.57gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル400g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール41.00gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.90gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0216】
実施例9:酢酸ビニル(40重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(60重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPO-EO-POブロックコポリマー(Mn5900g/mol)600gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール23.6gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.8gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル400g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で投入した。供給原料1及び2が完了したら、温度を95℃に昇温し、トリプロピレングリコール15.70gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.16gからなる供給原料3を、95℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を95℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。得られたグラフトポリマー(実施例9)の平均分子量Mwは5190g/molであり、多分散度は1.5であった。
【0217】
実施例10:酢酸ビニル(30重量%)のPEG(70重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPEG(Mn1500g/mol)595gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール42.76gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル10.41gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル255g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール16.75gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.16gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0218】
実施例11:酢酸ビニル(25重量%)のPEG(75重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPEG(Mn1500g/mol)750gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール29.86gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.57gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル250g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール40.12gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.90gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0219】
実施例12:酢酸ビニル(25重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(75重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol)750gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール29.90gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.57gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル250g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール41.00gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.90gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0220】
実施例13:酢酸ビニル(50重量%)のEO/PO主鎖(50重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でEO/PO統計コポリマー(Mn2500g/mol;60%EO)500gを装入し、90℃で溶融させた。1,2-プロパンジオール41.91gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.98gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル500g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、1,2-プロパンジオール26.85gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.55gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0221】
実施例14:酢酸ビニル(70重量%)のEO/PO主鎖(30重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でEO/PO統計コポリマー(Mn2500g/mol;60%EO)300gを装入し、90℃で溶融させた。1,2-プロパンジオール41.91gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.98gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル700g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、1,2-プロパンジオール26.85gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.55gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0222】
実施例15:酢酸ビニル(20重量%)及びラウリン酸ビニル(5重量%)のPEG(75重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPEG(Mn1500g/mol)750gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール29.50gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.57gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル200g)及び供給原料3(ラウリン酸ビニル50g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール40.48gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.90gからなる供給原料4を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0223】
実施例16:酢酸ビニル(30重量%)のPEG(70重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPEG(Mn600g/mol)700gを装入し、90℃に加熱した。トリプロピレングリコール47.61gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル10.20gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル300g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール22.39gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.90gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0224】
実施例17:酢酸ビニル(35重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol;65重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol)650gを装入し、90℃で溶融させた。1,2-プロパンジオール41.91gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.98gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル350g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、1,2-プロパンジオール26.85gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.55gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0225】
実施例18:酢酸ビニル(20重量%)のEO-PO-EOブロックコポリマー(80重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でEO-PO-EO(Mn2900g/mol)880gを装入し、90℃で溶融させた。1,2-プロパンジオール37.33gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.42gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル220g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、1,2-プロパンジオール24.70gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.81gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0226】
実施例19:酢酸ビニル(60重量%)のPEG(40重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPEG(Mn6000g/mol)400gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール23.6gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.8gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル600g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で投入した。供給原料1及び2が完了したら、温度を95℃に昇温し、トリプロピレングリコール15.70gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.16gからなる供給原料3を、95℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を95℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0227】
実施例20:酢酸ビニル(30重量%)及びビニルピロリドン(20重量%)のPEG(Mn6000g/mol;50重量%)上でのグラフト重合
米国特許出願公開第2019/0390142A1号明細書の実施例1Kによる実験手順を実施した。
【0228】
実施例21:酢酸ビニル(30重量%)のPPG(70重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPPG(Mn2000g/mol)700gを装入し、90℃に加熱した。トリプロピレングリコール47.61gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル10.20gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル300g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール22.39gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.90gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0229】
実施例22:酢酸ビニル(40重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(60重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPO-EO-POブロックコポリマー(Mn3100g/mol)600gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール23.6gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.8gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル400g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で投入した。供給原料1及び2が完了したら、温度を95℃に昇温し、トリプロピレングリコール15.70gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.16gからなる供給原料3を、95℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を95℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。得られたグラフトポリマー(実施例7)の平均分子量Mwは5190g/molであり、多分散度は1.5であった。
【0230】
実施例23:酢酸ビニル(15重量%)のPEG(85重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPEG(Mn1500g/mol)850gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール29.86gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.57gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル150g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール41.00gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.90gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0231】
実施例24:酢酸ビニル(30重量%)及びラウリン酸ビニル(10重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol;60重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol)600gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール35.03gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.98gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル300g)及び供給原料3(ラウリン酸ビニル100g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール22.46gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.55gからなる供給原料4を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0232】
実施例25:酢酸ビニル(15重量%)及びラウリン酸ビニル(15重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol;70重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol)700gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール35.03gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.98gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル150g)及び供給原料3(ラウリン酸ビニル150g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール22.46gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.55gからなる供給原料4を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0233】
実施例26:酢酸ビニル(45重量%)のEO-PO-EOブロックコポリマー(Mn1043g/mol;55重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でEO/PO統計コポリマー(Mn1043g/mol;80%EO)350gを装入し、90℃で溶融させた。1,2-プロパンジオール21.00gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.56gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル286.36g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、1,2-プロパンジオール13.33gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル1.62gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0234】
実施例27:酢酸ビニル(60重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2103g/mol;40重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でEO/PO統計コポリマー(Mn2103g/mol;80%EO)350gを装入し、90℃で溶融させた。1,2-プロパンジオール28.88gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.52gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル525g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、1,2-プロパンジオール18.33gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.23gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0235】
実施例28:酢酸ビニル(5重量%)及びラウリン酸ビニル(15重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol;80重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol)800gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール35.01gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.98gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル50g)及び供給原料3(ラウリン酸ビニル150g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール22.46gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.55gからなる供給原料4を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0236】
実施例29:酢酸ビニル(45重量%)及びプロピオン酸ビニル(5重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol;50重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol)500gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール35.01gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.98gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル450g)及び供給原料3(プロピオン酸ビニル50g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール22.46gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.55gからなる供給原料4を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0237】
実施例30:酢酸ビニル(15重量%)及びプロピオン酸ビニル(15重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol;70重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol)700gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール35.01gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.98gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル150g)及び供給原料3(プロピオン酸ビニル150g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール22.46gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.55gからなる供給原料4を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0238】
実施例31:酢酸ビニル(5重量%)及びプロピオン酸ビニル(15重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol;80重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol)800gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール35.01gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.98gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル50g)及び供給原料3(プロピオン酸ビニル150g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール22.46gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.55gからなる供給原料4を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0239】
実施例32:酢酸ビニル(40重量%)のEO/PO主鎖(Mn2500g/mol;60重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でEO/PO統計コポリマー(Mn2500g/mol;35%EO)480gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール34.30gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.48gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル320g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール21.69gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.83gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0240】
実施例33:酢酸ビニル(40重量%)のEO/PO主鎖(Mn2500g/mol;60重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でEO/PO統計コポリマー(Mn2500g/mol;75%EO)420gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール30.02gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.49gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル280g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール18.98gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.20gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0241】
実施例34:酢酸ビニル(40重量%)のEO/PO主鎖(Mn2500g/mol;60重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でEO/PO統計コポリマー(Mn2500g/mol;55%EO)420gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール30.02gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.70gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル280g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール18.98gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.34gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0242】
実施例35:酢酸ビニル(40重量%)のEO/PO主鎖(Mn2500g/mol;60重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でEO/PO統計コポリマー(Mn2500g/mol;90%EO)420gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール30.02gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.05gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル280g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール18.98gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル1.93gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0243】
実施例36:酢酸ビニル(40重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol;60重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol)600gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール33.00gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.02gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル400g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール20.95gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.55gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0244】
実施例37:酢酸ビニル(40重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol;60重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol)600gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール53.18gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル11.20gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル400g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール16.81gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.54gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0245】
実施例38:酢酸ビニル(40重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol;60重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol)600gを装入し、100℃で溶融させた。トリプロピレングリコール53.18gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル11.20gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら100℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル400g)の投入を開始し、100℃で6時間にわたり一定の供給速度で投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール16.81gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.54gからなる供給原料3を、100℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を100℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0246】
実施例39:酢酸ビニル(30重量%)のEO/PO主鎖(Mn2500g/mol;70重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でEO/PO統計コポリマー(Mn2500g/mol;40%EO)420gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール25.73gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.99gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル180g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール16.27gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル1.89gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0247】
実施例40:酢酸ビニル(5重量%)及びラウリン酸ビニル(25重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol;70重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol)700gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール29.50gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.57gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル250g+ラウリン酸ビニル50g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール40.48gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.90gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0248】
実施例41:酢酸ビニル(25重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2900g/mol;75重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でEO-PO-EO(Mn2900g/mol)750gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール29.90gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.57gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル250g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール41.00gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.90gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0249】
実施例42:酢酸ビニル(25重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(Mn1950g/mol;75重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でEO-PO-EO(Mn1950g/mol)937.50gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール37.38gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.46gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル312.50g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール51.25gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル6.12gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0250】
実施例43:酢酸ビニル(20重量%)及びラウリン酸ビニル(5重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(Mn1950g/mol;75重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPO-EO-POブロックコポリマー(Mn1950g/mol)750gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール29.50gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.57gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル200g+ラウリン酸ビニル50g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール40.48gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.90gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0251】
実施例44:酢酸ビニル(40重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2900g/mol;60重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でEO-PO-EO(Mn2900g/mol)600.00gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール40.21gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル11.22gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル400.00g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール12.79gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.57gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0252】
実施例45:酢酸ビニル(15重量%)及びラウリン酸ビニル(5重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol;80重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol)800gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール53.18gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル11.20gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル150g+ラウリン酸ビニル50g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール16.81gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.54gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0253】
実施例46:酢酸ビニル(20重量%)及びラウリン酸ビニル(5重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol;75重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol)750gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール53.18gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル11.20gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル200g+ラウリン酸ビニル50g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール16.81gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.54gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0254】
実施例47:ラウリン酸ビニル(10重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol;90重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol)900gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール59.60gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル20.41gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(ラウリン酸ビニル100g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール10.43gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.57gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0255】
実施例48:酢酸ビニル(20重量%)のPEG(Mn600g/mol;80重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPEG(Mn600g/mol)800gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール31.82gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.08gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル200g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール38.18gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.90gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0256】
実施例49:酢酸ビニル(20重量%)及びラウリン酸ビニル(5重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol;75重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol)750gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール37.33gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.08gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル200g+ラウリン酸ビニル50g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール32.67gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.57gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0257】
実施例50:酢酸ビニル(10重量%)及びビニルピロリドン(30重量%)のPEG(Mn4000g/mol;60重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPEG(Mn4000g/mol)420gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール20.66gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.50gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル70.0g)及び供給原料3(ビニルピロリドン210.0g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール28.34gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.43gからなる供給原料4を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0258】
実施例51:酢酸ビニル(40重量%)のLupranol(登録商標)2048(Mn3550g/mol;60重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でLupranol(登録商標)2048(Mn3550g/mol)600gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール42.88gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル5.60gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル400g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール27.11gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.54gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0259】
実施例52:酢酸ビニル(40重量%)のLupranol(登録商標)6000/1(Mn2200g/mol;60重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でLupranol(登録商標)6000/1(Mn2200g/mol)360gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール25.73gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.36gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル240g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール16.27gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.12gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0260】
実施例53:酢酸ビニル(20重量%)及びイソブチルビニルエーテル(5重量%)のPEG(Mn1500g/mol;75重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPEG(Mn1500g/mol)675gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール56.45gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル18.37gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル180g)及び供給原料3(イソブチルビニルエーテル45.92g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール13.55gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.41gからなる供給原料4を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0261】
実施例54:酢酸ビニル(20重量%)及びイソブチルビニルエーテル(5重量%)のPEG(Mn1500g/mol;75重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPEG(Mn1500g/mol)675gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール60.34gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル27.55gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル180g)及び供給原料3(イソブチルビニルエーテル45.92g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール9.66gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.41gからなる供給原料4を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0262】
実施例55:酢酸ビニル(15重量%)及びイソブチルビニルエーテル(10重量%)のPEG(Mn1500g/mol;75重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPEG(Mn1500g/mol)675gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール40.53gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル10.10gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル135g)及び供給原料3(イソブチルビニルエーテル91.84g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール29.47gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル7.35gからなる供給原料4を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0263】
実施例56:酢酸ビニル(40重量%)のPEG(Mn1500g/mol;60重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPEG(Mn1500g/mol)560.40gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール40.05gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル5.23gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル373.60g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール25.32gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.31gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0264】
実施例57:酢酸ビニル(10重量%)及びビニルピロリドン(30重量%)のPEG(Mn1500g/mol;60重量%)上でのグラフト重合
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でPEG(Mn1500g/mol)420gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール20.66gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.50gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル70.0g)及び供給原料3(ビニルピロリドン210.0g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール28.34gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.43gからなる供給原料4を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0265】
実施例58:酢酸ビニル(40重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol;60重量%)上でのグラフト重合及び(und)それに続く10%の酢酸ビニルの加水分解
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でEO-PO-EO(Mn2650g/mol)125.19gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール6.89gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル0.84gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル83.46g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール4.37gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル0.53gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。混合物を80℃で撹拌し、水78.71gに溶解した水酸化ナトリウム7.76gからなる供給原料4を、温度を85℃未満に維持しながらゆっくりと加えた。供給原料の添加が完了したら混合物を80℃で1時間撹拌し、室温まで冷却した。
【0266】
実施例59:酢酸ビニル(40重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol;60重量%)上でのグラフト重合及び(und)それに続く25%の酢酸ビニルの加水分解
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でEO-PO-EO(Mn2650g/mol)125.19gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール6.89gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル0.84gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル83.46g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール4.37gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル0.53gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。混合物を80℃で撹拌し、水78.71gに溶解した水酸化ナトリウム19.39gからなる供給原料4を、温度を85℃未満に維持しながらゆっくりと加えた。供給原料の添加が完了したら混合物を80℃で1時間撹拌し、室温まで冷却した。
【0267】
実施例60:酢酸ビニル(40重量%)のPO-EO-POブロックコポリマー(Mn2650g/mol;60重量%)上でのグラフト重合及び(und)それに続く40%の酢酸ビニルの加水分解
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合反応器に、まず窒素雰囲気中でEO-PO-EO(Mn2650g/mol)125.19gを装入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール6.89gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル0.84gを含む供給原料1を、反応器を撹拌しながら90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の投入を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル83.46g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応器に投入した。この供給が完了したら、トリプロピレングリコール4.37gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル0.53gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で投入した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。混合物を80℃で撹拌し、水94.37gに溶解した水酸化ナトリウム37.19gからなる供給原料4を、温度を85℃未満に維持しながらゆっくりと加えた。供給原料の添加が完了したら混合物を80℃で1時間撹拌し、室温まで冷却した。
【0268】
生分解
廃水中における生分解をOECD 301Fマノメーター呼吸計測法を用いて3回試験した。30mg/mLの被験物質を、Mannheim Wastewater Treatment Plantから採取した廃水に接種し、密閉フラスコ内で25℃で28日間インキュベートした。この期間内に消費された酸素を、OxiTop C(WTW)を使用してフラスコ内の圧力変化として測定した。発生したCO2を、NaOH溶液を用いて吸収させた。被験物質の生分解性により微生物集団によって消費された酸素の量を、ブランクを用いて補正した後、ThOD(理論的酸素要求量)に対する百分率で表す。
【0269】
結果を次の表に示す。以下の略語を使用する:
- Ex.=本発明実施例
- Ref.Ex.=参考例
- %EO=主鎖の総EO含有量
- A1、A2:それぞれ、式(A1)又は(A2)による構造
- VAc=酢酸ビニル
- VPr=プロピオン酸ビニル
- VLau=ラウリン酸ビニル
- VP=ビニルピロリドン
- IBVE=イソブチルビニルエーテル
- VOH=加水分解された酢酸ビニル
【0270】
【0271】
【0272】
【0273】
【0274】
【0275】
粘度測定
ブルックフィールド粘度計を用いてサンプルの粘度を測定した。測定を行うために、試料を表2に示す固体含有量となるようにトリプロピレングリコールで希釈した。試料を60℃に加熱し、スピンドル31を使用して30rpmで測定した。
【0276】
【0277】
組成例 - 懸濁濃縮物
完全脱塩水という表現は全て、完全に脱塩し、更にイオン交換により精製した、pH値が約5.5である水を指す。
【0278】
調製:
活性成分を40固形分重量%(w.s.)、分散剤を2.5%w.s.又は5%w.s.、Agnique DFM 111 S(ケイ素エマルジョン型消泡剤)を0.3%w.s.を、完全脱塩水と一緒に、Lau GmbHの分散機「DAS200」内でガラス球(直径:2又は3mm)を用いて、分散した有害生物防除剤粒子が、D90≦10μm、D50≦3μm、D10≦1μmで特徴付けられる粒子径分布に達するように粉砕することによって懸濁濃縮物を調製した。粒子の分析を方法(I)に従い実施した。経時安定性を方法(II)に記載されている通りに評価した。ブルーミング(blooming)及び懸垂率を方法(III)及び(IV)に従い測定した。具体的な構成要素及び実験結果を下の表に示す。
【0279】
方法(I):CIPAC MT 187による粒子径解析
試料(懸濁液)約1.0mLを9mLの完全脱塩水中で軽く振盪した。この希釈した試料を、Malvern Master Sizer Dispersing Unit(Hydro MV)に、レーザーの遮蔽光量(laser shadowing)が6%(+/-1.5%)に達するまで滴下した。この分散装置内で、試料を完全脱塩水120mLで希釈し、分析に632.8nmのレーザー(4mW He-Ne)を使用するMalvern Mastersizer 3000(Malvern Pananalytical GmbH,Germany)の測定セルにポンプで送液した。試料及び希釈用の完全脱塩水は室温で使用した。D10、D50及びD90値を含む粒子径分布を当該技術分野において知られているフラウンホーファーモデルを用いて計算した。例えば、ISO 13320-1:1999(E)を参照されたい。
【0280】
方法(II):CIPAC MT 46.3による加速保存試験
試料(懸濁液)約10mLを、スクリューキャップ及びポリエチレンインサートを取り付けた40mLのガラス製ペニシリン瓶に装入し、指定された温度(+/-2℃)に温度制御されたキャビネットに規定の期間保管した。スイング試験に関し、以下に「-10/+40℃」と示されているものは、温度を12時間毎に-10℃と40℃との間で切り替えた。規定の時間が経過した後、瓶をオーブンから取り出し、更なる分析を行う前に室温まで自然に戻した。
【0281】
方法(III):ブルーミング
100mLのメスシリンダーにCIPAC標準水Dを95mL入れた。次いで懸濁濃縮物を4滴加え、分散を評価した:1:均質、3:シリンダー全体に行き渡ったが、完全に均質ではない(<20%)、5:SC剤は分散せず、上部又は底部のいずれかに残っている。したがって、2及び4はこれらの中間である。
【0282】
方法(IV):CIPAC MT 161による懸垂率
方法IIIの試料を入れた(filled)シリンダーを使用し、シリンダーに懸濁濃縮物が5g含まれるようになるまで更に懸濁濃縮物を加えた。次いで、シリンダーを10回、180°転倒させることにより内容物を均質化した後、30分間静置した。次いで、内容物を上から10分の9だけ取り除き、残りの10分の1を乾燥させ(約50℃/500mbar)、重量測定によって評価し、以下の方法により懸垂率を求めた:
計算式1:
1-(固体の重量/試料組成物中の水の重量)=固形分重量%
計算式2:
[(開始時の試料の重量)×(計算式1の数値を小数で表した値)]=分散可能な固体のグラム数
計算式3:
【数1】
【0283】
【0284】
【0285】
【0286】
【0287】
【0288】
【0289】
【0290】
【0291】
【0292】
【0293】
【0294】
【0295】
【0296】
【0297】
【0298】
【0299】
【0300】
【0301】
【0302】
【0303】
【0304】
【0305】
【0306】
【0307】
【0308】
【0309】
【0310】
【0311】
【0312】
【0313】
【0314】
【0315】
【0316】
【0317】
【0318】
【0319】
【0320】
【0321】
【0322】
【0323】
【0324】
【0325】
【0326】
【0327】
【0328】
【0329】
【0330】
【0331】
【0332】
【0333】
【0334】
【0335】
組成例 - 分散助剤(Co-Dispersant)を含む懸濁濃縮物
調製:
活性成分を40%w.s.、分散剤を2.5w.s.%又は5%w.s.、分散助剤であるPluronic PE 6400(PO-EOブロックポリマー)を2.5%w.s.、Agnique DFM 111 S(ケイ素エマルジョン型消泡剤)を0.3%を、完全脱塩水と一緒に、Lau GmbHの 分散機「DAS200」内でガラス球(直径:2又は3mm)を用いて、分散した有害生物防除剤粒子が、D90≦10μm、D50≦3μmで特徴付けられる粒子径分布に達するように粉砕することによって懸濁濃縮物を調製した。粒子の分析を方法(I)に従い実施した。経時安定性を方法(II)に記載されている通りに評価した。ブルーミング及び懸垂率を方法(III)及び(IV)に従い測定した。方法(I)~(IV)については上に詳述した通りである。具体的な構成要素及び実験結果を下の表に示す。
【0336】
【0337】
【0338】
組成例 - 分散性濃縮物(DC)
以下の物質を室温(約23℃)で撹拌しながらビーカーに順番に加えた:以下に示す極性水混和性溶媒500g、メフェントリフルコナゾール40g、メチルテトラプロール32g、アルコールアルコキシレート湿潤剤(アジュバントA)100g、実施例1のポリマー197g及びエトキシル化ヒマシ油(界面活性剤A)50g。全ての活性成分が溶解し、結晶を含まない均質な溶液が得られるまで混合物を撹拌した。これをメスシリンダーに移し替え、極性水混和性溶媒を加えて1Lにした。最終溶液を150μmの篩を通して保存瓶に注ぎ、分散性濃縮物(DC)を得た。具体的な構成要素及び実験結果を下の表に示す。
【0339】
希釈試験
上で得たDCを0.625gをピペットでCIPAC標準水D99gに加えた。添加し終えたら、円錐型(tapered)シリンダーに栓をし、30回転倒させて均質化した。直後及び24時間静置した後に光学的外観を評価した。
【0340】
適用試験
組成物の取扱い及び適用の容易性を判断するために、得られた組成物をCIPAC標準水Dで希釈することにより、水中に組成物0.625重量%を含む10℃の温度の乳濁液を得た。こうして得られた希釈乳濁液2リットルを、連続した1個の300μmの篩及び1個の150μmの篩に、初期流速を100リットル/時に設定してポンプで連続的に送液した。
【0341】
循環させる噴霧液は、初日の1、2、2.5及び4時間後並びに2日目の開始時及び2日目の1時間後に、計5回新鮮な組成物に交換した。組成物の適用性に関する特性を、希釈された乳濁液が最終濾過サイクルにおいて篩を通過する流動性及び篩の残留物の目視評価に基づき、「++」から「--」までの等級を付けた。等級「--」は、篩に多量の残留物が含まれており、希釈された乳濁液の篩を通過する流れが遅いことを意味し、等級「++」は、希釈された乳濁液の篩を通過する流れが基本的に変化せず、篩に残留物がほとんど回収されなかったことを意味する。取扱いに関する等級が「+」となるためには、試験終了時の流れが初期の流速の90%以上(すなわち、少なくとも90L/h)でなければならない。
【0342】
ポリマーA:実施例1
アジュバントA:Wettol LF 312(アルコールアルコキシレート)
界面活性剤A:Wettol EM 31(ポリエトキシル化ヒマシ油、31EO単位)
溶媒A:Solvesso 200 ND
溶媒B:シクロヘキサノン
溶媒C:N-ブチルピロリドン
【0343】
【0344】
本グラフトポリマーを使用することにより、農芸化学的組成物中の結晶形成が抑制され、したがって、適用性が高くなることが明らかである。
【0345】
組成例 - サスポエマルジョン剤(SE)
調製:
アゾキシストロビンを50%w.s.、分散剤(実施例3)を2.5%w.s.及びAgnique DFM 111 S(ケイ素エマルジョン型消泡剤)を0.3%w.s.を、Lau GmbHの分散機「DAS200」内でガラス球(直径:2又は3mm)を用いて、分散した有害生物防除剤粒子が、D90≦10μm、D50≦3μmで特徴付けられる粒子径分布に達するように粉砕することによってSC剤を調製した。粒子の分析を方法(I)に従い実施した。経時安定性を方法(II)に記載されている通りに評価した。方法(I)及び(II)については上に詳述した通りである。
【0346】
EC剤を調製するために、Agnique AE3-2EH(乳酸2-エチルヘキシル)37%w.s.及びAgnique AMD 12(脂肪酸ジメチルアミド)25%w.s.を100mLの瓶内で混合した。次いで、1750g/molのPOブロックを有し、EOを40重量%含むPO-EOブロックコポリマーを8%w.s.、2750g/molのPOブロックを有し、EOを20重量%含むPO-EOブロックポリマーを4%w.s.及びLutensol AO8(エトキシル化C13~C15オキソアルコール)6%w.s.を撹拌しながら加えた。全て溶解したら、テブコナゾール20%w.s.を加えた後、全て溶解するまで50℃に加熱した。
【0347】
次いで、こうして調製したSC及びECを合わせ(重量比1:1)、トルク計測器付き撹拌機(HightechのViscoPakt Rheo X7)を用いて800rpmで15分間均質化することにより、アゾキシストロビン25%w.s.及びテブコナゾール10%w.s.を含むサスポエマルジョン剤を得た。乳濁液の安定性を方法(V)に記載する通りに評価した。
【0348】
具体的な構成要素及び実験結果を下の表に示す。
【0349】
方法(V):CIPAC 36.3に従う乳濁液の品質
a)乳濁液の初期品質:
100mLのメスシリンダー内でCIPAC標準水D95mLに懸濁濃縮物5gを加えた。次いで、メスシリンダーをガラス又はプラスチック製の栓で封止し、10回、180°転倒させることによって均質化した。次いで、乳濁液の初期品質を評価した:1:非常に良い(均質)、3:中程度、5:非常に悪い(乳化できない)。したがって、2及び4はその中間である。
【0350】
b)24時間後の乳濁液の安定性:
次いで、乳濁液を入れた(filled)メスシリンダーを室温で24時間保管した。この間、乳濁液の表面又は底部に分離が見られた場合は記録した(1時間、2時間、4時間及び24時間後に記録)。
【0351】
c)24時間後の再乳化:
24時間保管した後、乳濁液を入れたメスシリンダーを10回、180°転倒させることによって均質化した。30分後、クリーミング及び沈殿を評価した。
【0352】
【0353】
【国際調査報告】