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特表2024-529140静電ホルダ、物体テーブル、およびリソグラフィ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-01
(54)【発明の名称】静電ホルダ、物体テーブル、およびリソグラフィ装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20240725BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
G03F7/20 501
H01L21/68 R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508566
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 EP2022069567
(87)【国際公開番号】W WO2023016738
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】21191135.9
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21202475.6
(32)【優先日】2021-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】グアン、ティエンナン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ジュアンシオン
(72)【発明者】
【氏名】エンゲレン、ヨハネス、ベルナルデュス、チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ナキボグル、ギュネス
(72)【発明者】
【氏名】クリュイツィンガ、マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ファン ギルス、ペートルス、ヤコーブス、マリア
(72)【発明者】
【氏名】トラリ、アルド
(72)【発明者】
【氏名】デ ブリース、シュールト、フランス
(72)【発明者】
【氏名】テーニセン、マルセル、マリア、コルネリウス、フランシスクス
(72)【発明者】
【氏名】ブルス、リカルト、ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル ムーラン、フリッツ
【テーマコード(参考)】
2H197
5F131
【Fターム(参考)】
2H197AA05
2H197CA01
2H197CA06
2H197CA08
2H197CA10
2H197CB16
2H197CC16
2H197CD02
2H197CD05
2H197CD12
2H197CD13
2H197DC05
2H197DC14
2H197HA03
2H197HA05
2H197HA10
5F131AA02
5F131AA03
5F131AA22
5F131BA13
5F131CA02
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA02
5F131EB11
5F131EB17
5F131EB18
5F131EB54
5F131EB78
5F131EC54
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、静電ホルダであって、本体と、本体に取り付けられたクランプ要素であって、該クランプ要素と第1のクランプされるべき物体との間に吸引力を印加するための電極を備えるクランプ要素と、を備え、本体の外縁は、本体の外縁と第1のクランプされるべき物体との間に隙間を提供するように構成され、隙間は、第1のクランプされるべき物体またはホルダの反対側の第2のクランプされるべき物体に到達する塵埃粒子を低減するための流体を出力するように構成されている、静電ホルダに関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電ホルダであって、
-本体と、
-前記本体に取り付けられたクランプ要素であって、該クランプ要素と第1のクランプされるべき物体との間に吸引力を印加するための電極を備えるクランプ要素と、を備え、
前記本体は、前記本体の外縁と前記第1のクランプされるべき物体との間に隙間を提供するように構成され、前記隙間は、前記第1のクランプされるべき物体または前記ホルダの反対側の第2のクランプされるべき物体に到達する汚染物質を低減するための流体を出力するように構成されている、静電ホルダ。
【請求項2】
前記本体は、凹部を含み、前記クランプ要素は、前記クランプ要素と前記本体との間に第1の空間が存在するように前記凹部内に設けられ前記本体に取り付けられ、前記第1の空間は、前記本体の前記外縁と前記第1のクランプされるべき物体との間の前記隙間と流体連通しており、前記第1の空間が、前記隙間を介して出力される流体を提供するガス供給システムに接続可能である、請求項1に記載の静電ホルダ。
【請求項3】
前記本体の前記凹部の底部と前記クランプ要素との間に設けられ、前記第1の空間の外周にガスバリアを提供するシールをさらに備え、前記隙間は、前記シールにおける1つまたは複数の穴を介して前記第1の空間と流体連通している、請求項2に記載の静電ホルダ。
【請求項4】
前記隙間は、ガス供給システムに接続可能であり、前記静電ホルダは、前記隙間と前記ガス供給システムとの間に設けられた均圧室をさらに備え、前記隙間は、前記均圧室の流量制限器として働くように構成されている、請求項1から3のいずれかに記載の静電ホルダ。
【請求項5】
前記均圧室は、前記シールにおける前記1つまたは複数の穴と前記隙間との間に設けられている、請求項3または4に記載の静電ホルダ。
【請求項6】
前記隙間における前記本体の前記外縁と前記第1のクランプされるべき物体との間の隙間距離は、前記隙間にわたって変化している、請求項1から5のいずれかに記載の静電ホルダ。
【請求項7】
前記隙間にわたる前記隙間距離は、最小隙間距離を定める1つまたは複数の部分が最大隙間距離を定める1つまたは複数の部分と交互に配置される例えば正弦波または矩形波などの波パターンを有している、請求項6に記載の静電ホルダ。
【請求項8】
最小隙間距離を定める1つの部分が、前記シールにおける1つの穴に対向して設けられている、請求項3を引用する請求項7に記載の静電ホルダ。
【請求項9】
内側バルブがガス供給システム側で前記シールにおける前記1つまたは複数の穴のそれぞれと前記第1の空間との間に設けられ、外側バルブが前記シールにおける前記1つまたは複数の穴のそれぞれと前記隙間との間に設けられ、前記内側バルブおよび前記外側バルブは、圧力上昇により、前記内側バルブが閉位置に向かって付勢され、前記外側バルブが開位置に向かって付勢されるように構成されている、請求項3に記載の静電ホルダ。
【請求項10】
前記第1の空間は、高圧部分空間および高流量部分空間を含み、前記静電ホルダは、前記本体の前記凹部の底部と前記クランプ要素との間に設けられ、前記高圧部分空間と前記高流量部分空間との間にガスバリアを提供するシールをさらに備え、前記高圧部分空間および前記高流量部分空間は共に前記ガス供給システムに接続可能であり、前記隙間は、前記高流量部分空間と流体連通している、請求項2に記載の静電ホルダ。
【請求項11】
前記ガス供給システムを前記高圧部分空間に接続する1つまたは複数の圧力接続部と、前記ガス供給システムを前記高流量部分空間に接続する1つまたは複数の流量接続部と、をさらに備え、前記1つまたは複数の圧力接続部には、前記1つまたは複数の圧力接続部の流れ抵抗を前記1つまたは複数の流量接続部の流れ抵抗よりも大きな値に設定する取り外し可能な流量制限装置が設けられている、請求項10に記載の静電ホルダ。
【請求項12】
前記隙間を定める前記第1のクランプされるべき物体は、前記本体の前記外縁に対向する平坦面を有する、請求項1から11のいずれかに記載の静電ホルダ。
【請求項13】
出力される前記流体は、2mbar/sから100mbar/sの範囲、好ましくは5mbar/sから50mbar/sの範囲にある流量を有し、または/および、前記隙間は、20μmから500μmの範囲、好ましくは50μmから200μmの範囲にある最大高さを有する、請求項1から12のいずれかに記載の静電ホルダ。
【請求項14】
前記本体に対する前記クランプ要素の位置変化を測定するように構成されている第1のセンサをさらに備え、または/および、前記本体に対する第2のクランプ要素の位置変化を測定するように構成されている第2のセンサをさらに備え、前記第2のクランプ要素が前記第2のクランプされるべき物体をクランプするためのものである、請求項1から13のいずれかに記載の静電ホルダ。
【請求項15】
放射ビームを調整するように構成されている照明システムと、
パターニングデバイスを支持するように構成されている支持構造であって、前記パターニングデバイスは、パターニングされた放射ビームを形成するために、前記放射ビームの断面にパターンを付与することが可能である、支持構造と、
基板を保持するように構成されている基板テーブルと、
前記パターニングされた放射ビームを前記基板上に投影するように構成されている投影システムと、を備え、
前記基板テーブルは、請求項1から14のいずれかに記載の静電ホルダを備え、または/および、前記支持構造は、請求項1から14のいずれかに記載の静電ホルダを備える、リソグラフィ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年8月12日に出願された欧州出願第21191135.9号および2021年10月13日に出願された欧州出願第21202475.6号の優先権を主張し、それらの全体が本明細書に参照により援用される。
【0002】
本発明は、静電ホルダ、そうした静電ホルダを備える物体テーブル、およびそうした物体テーブルを備えるリソグラフィ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、基板上に所望のパターンを適用するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用することができる。リソグラフィ装置は、例えば、パターニングデバイス(例えば、マスク)のパターンを、基板上に提供される放射感応性材料(レジスト)の層に投影することができる。
【0004】
基板上にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を使用することができる。この放射の波長は、基板上に形成可能なフィーチャの最小サイズを決定する。4nmないし20nmの範囲内、例えば6.7nmまたは13.5nmの波長を有する極紫外(EUV)放射を使用するリソグラフィ装置は、例えば193nmの波長の放射を使用するリソグラフィ装置よりも、基板上に小さいフィーチャを形成するのに使用できる。
【0005】
EUV放射はガスに吸収されやすいため、EUV放射による基板またはレチクルの照明は通常、大気圧よりもはるかに低いガス圧の環境下で行われる。この環境は、真空または真空条件とも呼ばれる。
【0006】
このような条件の欠点は、完全な真空に達することが不可能であるため、リソグラフィ装置内の何処かから来る塵埃粒子が、EUV放射によって照明される基板またはレチクルに到達し、転写されるパターンに欠陥を生じさせうることにある。その結果、基板上の集積回路が機能しなくなることさえありうる。
【発明の概要】
【0007】
以上を考慮して、本発明の一つの目的は、EUV放射による基板またはレチクルの照明中に、リソグラフィ装置内の何処かから来る塵埃粒子が引き起こす問題を少なくするリソグラフィ装置を提供することにある。
【0008】
本発明のある態様によると、静電ホルダであって、本体と、前記本体に取り付けられたクランプ要素であって、該クランプ要素と第1のクランプされるべき物体との間に吸引力を印加するための電極を備えるクランプ要素と、を備え、前記本体の外縁は、前記本体の前記外縁と前記第1のクランプされるべき物体との間に隙間を提供するように構成され、前記隙間は、前記第1のクランプされるべき物体または前記ホルダの反対側の第2のクランプされるべき物体に到達する塵埃粒子を低減するための流体を出力するように構成されている、静電ホルダが提供される。
【0009】
本発明の他の態様によると、物体を保持し及び/または位置決めするための物体テーブルであって、前記物体テーブルを少なくとも1つの方向に移動させるための位置決め装置と、前記物体を保持するための静電ホルダであって、吸引力を用いて前記位置決め装置に取り付け可能である静電ホルダと、を備え、前記静電ホルダは、本体と、前記本体に取り付けられたクランプ要素であって、該クランプ要素と前記位置決め装置との間に前記吸引力を印加するための電極を備えるクランプ要素と、を備え、前記本体の外縁は、前記本体の前記外縁と前記位置決め装置との間に隙間を提供するように構成され、前記隙間は、前記ホルダ上の前記物体に到達する塵埃粒子を低減するための流体を出力するように構成されている、物体テーブルが提供される。
【0010】
本発明の更なる態様によると、放射ビームを調整するように構成されている照明システムと、パターニングデバイスを支持するように構成されている支持構造であって、前記パターニングデバイスは、パターニングされた放射ビームを形成するために、前記放射ビームにその断面にパターンを付与することが可能である、支持構造と、基板を保持するように構成されている基板テーブルと、前記パターニングされた放射ビームを前記基板上に投影するように構成されている投影システムと、を備え、前記基板テーブルは、本発明に係る物体テーブルである、リソグラフィ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】リソグラフィ装置および放射源を備えるリソグラフィシステムを示す図である。
図2】本発明のある実施形態に係る物体テーブルの第1の断面を概略的に示す図である。
図3図2の物体テーブルの第2の断面を概略的に示す図である。
図4図2の物体テーブルの第3の断面を概略的に示す図である。
図5図2の物体テーブルの静電ホルダの外縁と位置決め装置との間の隙間を概略的に示す側面図である。
図6】本発明の他の実施形態に係る物体テーブルの断面を概略的に示す図である。
図7図6の物体テーブルの断面を概略的に示す図である。
図8】更なる実施形態に係る物体テーブルの断面を概略的に示す図である。
図9】更なる実施形態に係る物体テーブルの断面を概略的に示す図である。
図10】更なる実施形態に係る物体テーブルの断面を概略的に示す図である。
図11】更なる実施形態に係る物体テーブルの断面を概略的に示す図である。
図12】更なる実施形態に係る物体テーブルの断面を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、放射源SOとリソグラフィ装置LAとを含むリソグラフィシステムを示している。放射源SOは、EUV放射ビームBを生成し、そのEUV放射ビームBをリソグラフィ装置LAに供給するように構成されている。リソグラフィ装置LAは、照明システムILと、パターニングデバイスMA(例えば、マスク)を支持するように構成された支持構造MTと、投影システムPSと、基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTとを備える。
【0013】
照明システムILは、EUV放射ビームBがパターニングデバイスMAに入射する前にEUV放射ビームBを調整するように構成されている。そこで、照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10とファセット瞳ミラーデバイス11を含んでもよい。ファセットフィールドミラーデバイス10とファセット瞳ミラーデバイス11は、EUV放射ビームBに所望の断面形状と所望の強度分布を提供する。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10およびファセット瞳ミラーデバイス11に加えて、またはこれに代えて、その他のミラーまたはデバイスを含んでもよい。
【0014】
こうして調整された後、EUV放射ビームBは、パターニングデバイスMAと相互作用する。この相互作用の結果、パターニングされたEUV放射ビームB’が生成される。投影システムPSは、パターニングされたEUV放射ビームB’を基板W上に投影するように構成されている。そのために、投影システムPSは、基板テーブルWTによって保持される基板WにパターニングされたEUV放射ビームB’を投影するように構成された複数のミラー13、14を備えてもよい。投影システムPSは、パターニングされたEUV放射ビームB’に縮小率を適用してもよく、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャよりも小さいフィーチャをもつ像が形成される。例えば、4倍または8倍の縮小率が適用されうる。図1では投影システムPSが2つのミラー13、14のみを有するように示されているが、投影システムPSは、異なる数のミラー(例えば6つ又は8つのミラー)を含みうる。
【0015】
基板Wは、以前に形成されたパターンを含んでいてもよい。このような場合、リソグラフィ装置LAは、パターニングされたEUV放射ビームB’によって形成された像を、基板W上に以前に形成されたパターンに位置合わせする。
【0016】
相対的な真空、すなわち大気圧よりも十分に低い圧力の少量のガス(例えば水素)が、放射源SO、照明システムIL、及び/又は投影システムPSに提供されてもよい。
【0017】
放射源SOは、レーザー生成プラズマ(LPP)源、放電生成プラズマ(DPP)源、自由電子レーザー(FEL)、またはEUV放射を生成することができる他の放射源であってもよい。
【0018】
基板テーブルWTおよび支持構造MTは、物体を保持および位置決めするように構成された物体テーブルの一例でありうる。基板テーブルWTの場合は物体が基板Wであり、支持構造MTの場合は物体がパターニングデバイスMAである。基板テーブルWTおよび/または支持構造MTは、本発明に係る物体テーブルであってもよく、その一例について図2から図4を参照して以下に説明される。
【0019】
図2から図4は、物体(図示しないが、例えば基板WまたはパターニングデバイスMA、図1参照)を保持し、位置決めするための物体テーブルOTの異なる断面図を概略的に示している。
【0020】
物体テーブルOTは、物体テーブルOTを少なくとも1つの方向に移動させるための位置決め装置PDを含む。この例では、位置決め装置PDは、物体テーブルOTを図4のX-Y平面内の少なくとも1つの方向、好ましくは直交する2つの方向に移動させるように構成されている。物体テーブルOTは、物体を保持するための静電ホルダEHをさらに備える。図4には、静電ホルダEHの中心CからY方向に延びる破線YZと、中心CからX方向に延びる破線XZとが描かれている。YZ線は、図2に示すY-Z平面における物体テーブルOTの断面図を代表する。XZ線は、図3に示すX-Z平面における物体テーブルOTの断面図を代表する。図2および図3ともに、図4に示すX-Y平面における物体テーブルOTの断面図に対応するXY線を描いている。
【0021】
静電ホルダEHは、本体BOを備え、図2から図4にはその下側部分LPのみが描かれている。下側部分LPは、本体BOを位置決め装置PDに取り付けるように構成されている。図2及び図3には、下側部分LPを画定する破線DLが示されている。本体BOは、下側部分LPに取り付けられた上側部分(図9に示す)をさらに含んでもよく、この上側部分は、好ましくは、吸引力、例えば静電気力を用いて物体を保持するように構成されてもよい。
【0022】
静電ホルダEHは、本体BOに取り付けられたクランプ要素CEをさらに備える。クランプ要素CEは、クランプ要素CEと位置決め装置PDとの間に吸引力、この場合は静電気力(またはクランプ力)を印加するための電極ELを備える。
【0023】
この実施形態では、本体BOは、クランプ要素CEを収容するための凹部REを含む。クランプ要素CEは、クランプ要素CEと本体BOとの間に第1の空間S1が存在するように、凹部RE内に設けられ、本体BOに取り付けられてもよい。言い換えれば、クランプ要素CEは、凹部REの底部BTからある距離だけ離れて配置される。
【0024】
本体BOおよびクランプ要素CEは、クランプ要素CEと位置決め装置PDとの間に第2の空間S2が存在するように構成されていてもよい。このため、スペーサ(図示せず、バールであってもよい)が、凹部REの底部BTからクランプ要素CEを貫通して位置決め装置まで延び、クランプ要素をクランプ要素CEに接触することなくクランプ要素CEからクランプ距離CDに保ってもよい。第1の空間S1と第2の空間S2は、クランプ要素CE内の流路CHを介して互いに流体連通している。一実施形態では、スペーサは流路CHを通って延びている。
【0025】
物体テーブルOTは、図2に概略的に示されるガス供給システムGSSを含むか、またはガス供給システムGSSに接続可能であってもよい。このガス供給システムGSSは、本体BOの下側部分LPに設けられた主流路MCにガスを供給する。主流路MCは、流路CHAを介して第1の空間S1と流体連通している。第1および第2の空間に供給されるガスは、位置決め装置PDとクランプ要素CEとの間、および/またはクランプ要素CEと本体BOとの間の熱伝達を改善するために有利に使用され得る。
【0026】
静電ホルダEHは、本体BOの凹部REの底部BTとクランプ要素CEとの間に設けられ、第1の空間S1の外周にガスバリアを提供するシールSEをさらに備える。図4では、シールSEがリング形状を有していることが明確に分かる。シールSEには複数の穴HOが設けられている。一実施形態では、シールSEにおける複数の穴HOは、合計で、第1の空間S1の外周の1%ないし99%、より好ましくは10%ないし30%を占める。
【0027】
本体BOの凹部REは、その外周が本体BOの外縁OEによって画定されている。外縁は位置決め装置に係合してもよいが、本実施形態では、外縁OEは隙間距離GPを有して設けられ、それにより外縁OEと位置決め装置PDとの間に隙間GAが設けられる。隙間GAは、複数の穴HOおよび均圧室PECを介して第1の空間S1と流体連通しており、矢印ARで示されるように、位置決め装置PDおよび/または位置決め装置PDとは反対側で静電ホルダEHによって保持される物体に到達する塵埃粒子を低減するための流体を出力するために、ガス供給システムGSSから主流路MC、流路CHA、複数の穴HO、均圧室PECを介して隙間GAに流体が流れることを可能にする。位置決め装置PDは、本体BOの外縁OEに対向する平坦面を有する。出力される流体は、2mbar/sから100mbar/sの範囲、好ましくは5mbar/sから50mbar/sの範囲の流量を有する。塵埃粒子は汚染物質であり、10nmないし500μmの範囲、好ましくは20nmないし100nmの範囲の平均サイズを有しうる。汚染物質は、炭素、ケイ素、金属のうちの少なくとも1つを備えうる。流体は、静電ホルダから半径方向外側に出力されてもよい。
【0028】
隙間距離GPは、好ましくはクランプ距離CDよりも大きいが、これは本発明にとって必要ではない。隙間距離GPは、外縁OEに沿って一定であってもよいし、変化していてもよい。このような隙間距離の変化は、外縁OEに沿って実質的に均一な流れを提供するために適用されてもよい。ある位置での隙間距離はゼロであってもよい。換言すれば、凹部REはその外周で、非ゼロの隙間距離を有する1つまたは複数の隙間GAを提供してもよい。一実施形態では、隙間GAは、外縁OEの50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上に沿って延びる。一実施形態では、最大隙間距離GPは、20μmから500μmの範囲、好ましくは50μmから200μmの範囲にある。最大隙間距離GPが20μmより小さいと、位置決め装置PDおよび/または位置決め装置PDとは反対側で静電ホルダEHによって保持される物体に到達する塵埃粒子を低減するには不十分に流体を出力するおそれがある。
【0029】
複数の穴HOと隙間GAとの間の均圧室PECは、隙間GAにわたる圧力を分配するように構成され、それによって隙間GAによって出力される流れの均一性を向上させる。隙間距離GAは、好ましくは、隙間が十分に均圧室PECの流量制限器として働くように定められており、それにより均圧室PECの機能が向上される。
【0030】
変化する隙間距離GPは、例えば正弦波または矩形波などの波パターンを用いて実装することができる。矩形波の例は、外縁OEと位置決め装置PDとの間の隙間GAを含む静電ホルダEHの外縁OEの側面図を示す図5に描かれている。隙間GAは、最小隙間距離GP1と最大隙間距離GP2を定める部分を交互に有する矩形波パターンを有する。この例では、穴HOを有するシールSEと隙間GAの矩形波パターンとの関係を示すために、穴HOを有するシールSEが破線で示されている。この例では、最小隙間距離GP1を有する部分が、シールにおける穴HOに対向して設けられている。従って、穴HOに対向する部分は、それに比べて穴HOから大きな距離にある部分よりも大きな流れ抵抗を有し、それにより、両方の部分において実質的に等しい流体の流れを提供するのに役立つ。隙間距離GPはまた、正弦波パターンに従って変化し、波パターンの谷がシールSEの穴HOに対向して設けられてもよい。
【0031】
図6および図7は、本発明の他の実施形態に係る物体テーブルOTの断面を概略的に示している。物体テーブルOTは、図2から図4の物体テーブルと類似しており、図6及び図7の断面は、図2の断面に対応している。以下、2つの実施形態の相違点を中心に説明する。
【0032】
図6および図7は、凹部RE、主流路MC、流路CHA、および外縁OEを含む本体BOの下側部分LP、ガス供給システムGSS、位置決め装置PD、および流路CHを有するクランプ要素CEを有する静電ホルダEHを示す。クランプ要素CEと本体BOとの間に第1の空間S1が存在し、クランプ要素CEが位置決め装置PDからクランプ距離CDにあるように、クランプ要素と位置決め装置PDとの間に第2の空間S2が存在する。外縁OEと位置決め装置PDとの間には、外縁が位置決め装置から隙間距離GPにあるように、隙間GAが存在する。隙間GAは、位置決め装置及び/又はその反対側で本体BOによって保持される物体に到達する塵埃粒子を低減するための流体を出力するように構成されている。第1の空間S1と第2の空間S2は、クランプ要素CE内の流路CHを介して流体連通している。凹部REにおいて第1の空間S1と隙間GAとの間には、均圧室PECが設けられている。ガス供給システムGSSは、主流路MCにガスを供給し、流路CHAを介して隙間GAおよび/または第1の空間S1にガスを供給するように構成されている。
【0033】
図6および図7の実施形態は、流路CHAに沿って2つのバルブ要素VE1、VE2が設けられている点で、図2ないし図4の実施形態と異なる。バルブ要素VE1は、代替的に内側バルブVE1と呼ばれることもあるが、流路CHAと空間S1との間に配置され、第1の空間S1への流体の流れを制御する。また、第2の空間S2は流路CHを介して第1の空間S1と流体連通しているので、バルブ要素VE1は、第2の空間S2への流体の流れも制御する。バルブ要素VE1は、常開状態の弾性要素であり、すなわち、ガス供給システムGSSを介して圧力が印加されていない場合、バルブ要素VE1は開状態であり、第1の空間S1への流体の流れを許容する。
【0034】
バルブ要素VE2は、代替的に外側バルブVE2と呼ばれることもあるが、流路CHAと均圧室PECとの間、したがって流路CHAと隙間GAとの間に配置され、隙間GAへの流体の流れを制御する。バルブ要素VE2は、常閉状態の弾性要素であり、すなわち、ガス供給システムGSSを介して圧力が印加されていない場合、バルブ要素VE2は閉じている。
【0035】
バルブ要素VE1およびVE2は、ガス供給システムGSSによって印加される第1の圧力に対しては、図6に示すように、両方のバルブ要素が部分的に開き、第1の空間S1および隙間GAにそれぞれ流体の流れを許容し、第1の圧力よりも高い第2の圧力に対しては、図7に示すように、第1のバルブ要素VE1が閉じ、第2のバルブ要素VE2が開くように構成されている。
【0036】
第1の圧力を印加して両バルブ要素VE1,VE2が部分的に開いているとき、第1および第2の空間S1,S2内の圧力は実質的に第1の圧力に設定され、同時に隙間GAを介して流体の流れが可能になる。この状況は、高圧低流量構成と呼ぶことにする。
【0037】
第2の圧力を印加してバルブ要素VE1が閉じかつバルブ要素VE2があるとき、第1および第2の空間S1,S2は、もはや流路CHAと流体連通していないので、これらの空間S1,S2内の圧力は第1の圧力よりも低下し、同時に隙間GAを介して比較的大きな流体の流れが可能となる。この状況は、低圧高流量構成と呼ぶことにする。
【0038】
したがって、上記の第1および第2のバルブ要素を適用することにより、クランプ要素CE周囲の圧力および塵埃粒子遮蔽のための流量に関して異なる要件を有する異なる状況で、静電ホルダを使用することが可能になる。
【0039】
図8は、本発明の更なる実施形態に係る物体テーブルOTの断面を概略的に示している。物体テーブルOTは、図2から図4および図6から図7に描かれた物体テーブルと類似しており、図8の断面は図4の断面に対応する。
【0040】
図2から図4の実施形態では、シールSEは、第1の空間S1を画定し、第1の空間S1と、外縁OEと位置決め装置PDとの間の隙間GAとの間の流体連通を可能にする穴を提供する。図8の実施形態では、第1の空間S1は、高圧部分空間S1pと複数の高流量部分空間S1fとに分割されてもよい。
【0041】
各高流量部分空間S1fは、均圧室PECと流体連通しており、したがって外縁OEと位置決め装置PDとの間の隙間GAと流体連通している。各高流量部分空間S1fはまた、高流量部分空間S1fをガス供給システムに接続する流量接続部FCHと流体連通している。
【0042】
高圧部分空間S1pは、圧力接続部PCHを介して、ガス供給システム、場合によっては流量接続部FCHが接続されているのと同じガス供給システムと流体連通している。
【0043】
高圧部分空間S1pと高流量部分空間S1fとが別々のガス供給システムに接続されている場合には、高圧部分空間の圧力と隙間GAを通る流量とを互いに独立に設定することができ、図6および図7の上述の高圧低流量構成と低圧高流量構成とを異なる態様で得ることができる。
【0044】
高圧部分空間S1pと高流量部分空間S1fとが同一のガス供給システムに接続されている場合には、図6および図7の上述の高圧低流量構成および低圧高流量構成を得ることもできる。高圧低流量構成は、圧力接続部PCHと流量接続部FCHの両方に第1の圧力を印加することで得られる。低圧高流量構成は、その後、圧力接続部を閉じることによって、例えばバルブを使用するか、または圧力接続部PCHに取り外し可能な流量制限装置を導入することによって、流れ抵抗を流量接続部FCHの流れ抵抗よりも大きな値、好ましくははるかに大きな値に設定し、第1の圧力よりも高い第2の圧力を流量接続部FCHに印加することによって得ることができる。
【0045】
図9は、本発明のある実施形態に係る物体を保持し位置決めするための物体テーブルOTの断面図を概略的に示している。図2と類似しているが、今度は本体BOの上側部分UPを示している。上側部分UPは、吸引力、例えば静電気力を用いて、物体(例えば基板WまたはパターニングデバイスMAであり得る)を保持するように構成されている。その特徴は図2と同様であるが、X-Y平面において鏡映されている。図2の位置決め装置PDの代わりに、今度は物体Wが外縁OEと物体Wの間にある隙間GAを定めている。物体Wは、本体BOの外縁OEに対向する平坦面を有する。隙間GAによって出力される流体は、物体Wおよび/または位置決め装置PDに到達する塵埃粒子を低減するためのものである。図3ないし図8で説明した特徴は、X-Y平面で鏡映されて、この例にも適用することができる。
【0046】
図10は、本発明のある実施形態に係る物体テーブルOTの概略断面図である。物体テーブルOTは、静電ホルダEHと位置決め装置PDとを備える。位置決め装置PDは、静電ホルダEHが保持される凹部を備える。静電ホルダEHは、物体テーブルOTの位置決め装置PDに対して物体Wを保持するように構成されている。図10に示すように、一実施形態では、静電ホルダEHは、本体21を備える。本体21は板状の円板である。本体21は、複数のバール22を備える。バール22は、本体21の表面に突出する突起である。バール22は遠位端23を有する。本体21は、物体Wを支持するための支持面24に遠位端23が位置するように構成されている。物体Wの下面がバール22の遠位端23に接触する。物体Wの下面の位置が支持面24に相当する。バール22は、物体Wが静電ホルダEH上で概ね平坦となるように設けられている。
【0047】
バール22は図10では縮尺どおりには示していない。実用的な一実施形態では、例えば200mm、300mm、または450mmの直径をもつ静電ホルダEHにわたって分散された多数の数百、数千、または数万のバールが存在し得る。バール22の先端は例えば1mm未満の小さな面積を有しており、それにより、静電ホルダEHの片側のすべてのバール22の総面積が静電ホルダEHの総表面積の約10%未満となる。バールの配置は、あるパターンを形成してもよく、規則的であってもよいし、または、物体Wに適切な力の分布を与えるために所望に応じて変化していてもよい。バール22の平面形状は問わないが、一般的には円形である。バール22は、その高さ全体にわたって同じ形状および寸法を有することができるが、一般的にはテーパー形状である。バール22は、静電ホルダEHの物体に面する表面の残りの部分(すなわち静電シート25の上面)の上方に、約1μmないし約5mm、望ましくは約5μmないし約250μm、望ましくは約10μmの距離だけ突出してもよい。故に、鉛直方向におけるバール22の遠位端23と静電シート25の上面との間の距離は、約1μmないし約5mm、望ましくは約5μmないし約250μm、望ましくは約10μmである。静電ホルダEHの本体21の厚さは、約1mmないし約50mmの範囲、望ましくは約5mmないし約20mmの範囲、典型的には約10mmとすることができる。
【0048】
本体21は剛性材料で形成されてもよい。望ましくは、この材料は高熱伝導率を有し、保持される物体の熱膨張係数に近い熱膨張係数を有する。望ましくは、材料は導電性をもつ。望ましくは、材料は高い硬度を有する。好適な材料としては、SiC(炭化ケイ素)、SiSiC(ケイ素化炭化ケイ素)、Si(窒化ケイ素)、石英、および/または、様々な他のセラミック、およびZerodur(商標)ガラスセラミックのようなガラスセラミックが挙げられる。本体21は、関連する材料の固体ディスクから選択的に材料を除去し、突起状のバール22を残すことによって製造することができる。材料を除去するのに適した技術には、放電加工(EDM)、エッチング、機械加工、および/またはレーザーアブレーションが含まれる。本体21は、マスクを通してバール22を成長させることによっても製造できる。バール22は、基材と同じ材料であってもよく、物理蒸着プロセスまたはスパッタリングによって成長させることができる。一実施形態では、本体21は、1つまたは複数の内部流路(図示せず)を備える。一実施形態では、本体21は、互いに接着された複数の層を備える。一実施形態では、これら層は異なる材料で形成される。単なる一例として、一実施形態では、コア本体21は、SiSiCの層、ガラスの層、およびSiSiCの別の層をこの順に備える。他の層の組み合わせも可能である。位置決め装置PDに面する静電ホルダEHの下側部分は、図2ないし図8と同様に、電極ELを備えるクランプ要素CEを備える。
【0049】
図10に示すように、一実施形態では、静電ホルダEHは、静電クランプ用の1つまたは複数の電極26、ELを備える。物体Wと静電ホルダEHとの間、および/または静電ホルダEHと位置決め装置PDとの間に静電クランプ力を与えるために、電位差を発生させることができる。一実施形態では、電極26、ELは、誘電体層(電気絶縁層とも呼ばれる)27、28の間に封入されている。発生する電位差は10ボルトないし5000ボルト程度であってもよい。基板の温度を局所的に制御するために1つまたは複数のヒータおよび温度センサを使用する構成は、米国特許出願公開第2011-0222033号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、その技術は本明細書の技術に適用され得る。
【0050】
図10に示すように、一実施形態では、静電ホルダEHは、静電シート25を備える。静電シート25は、1つまたは複数の電極26を備える。電極26については、一実施形態では、連続金属フィルムの2つの半部(ただし、バール22の遠位端23から隔離されている)を互いに離間距離だけ離間させて堆積させ、静電クランプの正及び負要素を形成してもよい。離間距離は特に限定されない。一実施形態では、離間距離は、少なくとも約20μm、任意選択で少なくとも約50μm、任意選択で少なくとも約100μm、任意選択で少なくとも約200μm、任意選択で少なくとも約500μmである。一実施形態では、離間距離は、多くとも約2mm、任意選択で多くとも約1mm、任意選択で多くとも約500μmである。一実施形態では、離間距離は、約500μmである。したがって、電極26は2つであってもよい。しかしながら、静電シート25における電極26の数は特に限定されず、1つまたは3つ以上であってもよい。電極26の金属配線は、約20nmより大きい層厚、望ましくは約40nmより大きい層厚を有してもよい。金属配線は、望ましくは約1μm以下、望ましくは約500nm以下、望ましくは約200nm以下の層厚を有する。
【0051】
静電シート25の電極26は、物体Wを静電ホルダEHに静電的にクランプするように構成されていてもよい。クランプ要素CEの電極ELは、静電ホルダEHを位置決め装置PDに静電的にクランプするように構成されていてもよい。
【0052】
一実施形態では、本体21およびバール22の材料は導電性をもつ。例えば、一実施形態では、バール22の材料はSiSiCである。しかしながら、本体21およびバール22の材料が導電性であることは必須ではない。一実施形態では、2つ以上のバール22(任意選択で、すべてのバール22)の遠位端23を接地電位または共通の電位に電気的に接続する接地層を設けてもよい。接地層は、導電性材料の比較的厚い層を堆積させることによって形成することができる。導電性材料は特に限定されない。一実施形態では、導電性材料はCrである。代替的な実施形態では、導電性材料はCrNである。一実施形態では、堆積された層は、その後、接地層を形成するためにパターニングされる。パターンは、バール22の遠位端23同士を接続する一連の金属線を備えてもよい。このようなパターンは「マンハッタン」パターンと呼ばれることもある。代替的な実施形態では、堆積層はパターニングされない。一実施形態では、接地層または他の層は、本体21および/またはバール22の表面を覆うように設けられる。接地層または他の層は、表面を平滑にして表面の洗浄を容易にするのに役立つ。
【0053】
図10に示すように、一実施形態では、静電シート25は、誘電体層27,28に挟まれた電極26を備える。図10に示すように、一実施形態では、バール22および静電シート25は、静電ホルダEHの両主面に設けられている。代替的な実施形態では、バール22および静電シート25は、基板ホルダ20の2つの主表面のうちの一方のみに設けられる。図10に示すように、一実施形態では、静電シート25は、バール22どうしの間にある。例えば、図10に示すように、静電シート25には、穴34が設けられている。穴34は、その位置がコア本体21のバール22に対応するように配置されている。バール22は、誘電体層27,28に挟まれた電極26がバール22間の領域に設けられるように、静電シート25のそれぞれの穴34を貫通して突出している。
【0054】
図10に示すように、一実施形態では、静電ホルダEHは、接合材29、30を備える。一実施形態では、接合材は少なくとも100nm、例えば約50μmの厚さを有する。接合材29は、本体21に対する静電シート25の位置を固定する。接合材30は、本体21に対するクランプ要素CEの位置を固定する。接合材29は、静電シート25の穴34をバール22と位置合わせした状態に保つ。一実施形態では、バール22は、静電シート25のそれぞれの穴34の中心に配置される。
【0055】
図10に示すように、一実施形態では、接合材29、30は、互いに接続しない別々の部分として形成されている。接合材29、30の異なる部分どうしの厚さには多少のばらつきがあってもよい。一実施形態では、接合材29、30の別々の部分は、実質的に互いに同じ厚さを有する。接合材29、30は、接着剤接合(例えば、接着剤)または、はんだであってもよい。
【0056】
静電シート25と物体Wとの間、または/および、クランプ要素CEと位置決め装置PDとの間の静電気力の時間的なドリフトまたは変動は、物体テーブルOTの変形(その結果、フォーカスおよびオーバーレイ性能に悪影響を及ぼす)、または/および、位置決め装置PDおよび物体Wに到達する塵埃粒子を低減するための流体の出力を変動させる可能性がある。以下の説明では、静電シート25、電極26、物体Wおよび接合材29の文脈で本発明を説明する。しかしながら、本発明は、クランプ要素CE、電極EL、位置決め装置PDおよび接合材30にも適用することができる。
【0057】
時間的なドリフトまたは変動は、次の2つの要因による。一つの要因は、電極26の電気的極性を切り替えた後、物体テーブルOTに使用されている材料(例えば誘電体材料)の緩和効果である。もう1つの要因は、接合材29の体積ドリフトである。接合材29は、機械的負荷のクリープ(クランプ力による)、湿度変化(真空環境と大気環境との間の切り替え)、および物体テーブルOTに対するサービス洗浄作用(IPA、アセトン)の下で体積ドリフトを被る可能性がある。接合材29の体積変化は、本体21、BOに対する静電シート25の位置を移動させ、静電シート25と物体Wとの間の真空隙間を変化させうる。
【0058】
静電気力のドリフトまたは変動は、補償されてもよい。補償は、静電シート25の電極26に出力される電圧を適合させることによって達成されてもよい。電極26に一定の電圧を印加する動作モードの代わりに、一定の静電気力の動作モードが、使用中の静電気力のドリフトまたは変動に対抗するように電極26に印加する電圧を変調することによって適用されてもよい。例えば、元の電圧が2kVの場合、2kVの上に±100Vの変調を電極26に印加してもよい。変調電圧は元の電圧の1%ないし10%の範囲にあってもよい。
【0059】
物体テーブルOTに使用される材料の緩和効果は、以下のようにして低減することができる。(1)フィードフォワード:供給される電圧の持続時間に基づく予測のために、緩和モデルが使用されてもよい。(2)フィードバック:静電シート25の表面電圧を測定するために、静電電圧センサが使用されてもよい。
【0060】
接合材29の体積ドリフトは、静電シート25の位置を測定するセンサによって低減されてもよい。この測定はリアルタイムであってもよい。次に、一定の静電気力を得るために電極26に必要な電圧を計算する。センサは、光ファイバー、容量性距離センサ、金属薄膜ひずみゲージのうちの少なくとも1つであってもよい。センサは、静電シート25の一部として形成され、読み出し回路として高電圧パワーアンプを使用する容量性センサであってもよい。
【0061】
静電容量式距離センサは、50mmのセンサ面積で、数マイクロメートルから100マイクロメートルまでの測定範囲において0.5nmの検出分解能を有しうる。センサの動作領域は約10mmであってもよい。
【0062】
センサは、図11の概略断面図に示されるように、静電シート25に一体化されていてもよい。静電シート25は物体Wと本体21の間にある。差動測定は、コモンモードノイズおよび長期ドリフトの除去のためである。静電シート25は、物体Wに面する静電シート25の上部外面に設けられた電子導電性の接地層32と、コア21に面する静電シート25の下部外面に設けられた電子導電性の接地層34とを備える。接地層32,34は電界を遮蔽してもよい。静電シート25は、第1の検知電極36と第2の検知電極38とを備える。第1の検知電極36は、電子導電性接地層34の上方に位置し、物体Wに向かう静電容量C1(物体Wと静電シート25の上部外面との間)の変化を測定するように構成されている。第2の検知電極38は、電子導電性接地層32の下方に位置し、コア21に向かう静電容量C2(基材コア21と静電シート25の下部外面との間)の変化を測定するように構成されている。第2の検知電極38は、静電容量C2を増加させるために、明確な表面を有し、第2の検知電極38とコア21との間の隙間がより小さいコア21の接合材プラトーの上方に配置されてもよい。静電シート25が接合材の膨張や収縮によって上下すると、C1とC2の値は逆の符号で変化する。C1、C2およびC1-C2の値を取ることにより、誤検出シナリオを回避することができ、また、共通ノイズを除去することにより検出感度を向上させることができる。第1および第2の検知電極36、38は、製造工程を簡略化するために同じ層に設けられてもよい。上述したセンサは、同様の方法で図10のクランプ要素CEに組み込むこともできる。
【0063】
図12は、ある実施形態に係る第1および第2の検知電極46、48の位置を静電ホルダEHの上面図で概略的に示している。静電ホルダEHは、物体Wに面する図10のバール22を備えるバール領域42を備える。静電ホルダEHはさらに、物体Wに面するシール44を備える。シール44は、円形を有してもよい。第1の検知電極46は、シール44の外側に配置された(破断した)リング形状を有してもよい。リングの幅は0.01mmから1mmの間、例えば0.2mm程度であってもよい。第2の検知電極48は、第1の検知電極46の外側に配置されてもよい。あるいは、第1および第2の検知電極46、48の一方または両方が、バール領域42の内側に配置されてもよい。上述の実施形態に関して、流体/ガスは、一般に、抑制したい汚染環境よりも清浄である。任意選択として、流体/ガス供給システムは、流体/ガスを出力する隙間の上流に粒子フィルタリング要素を備える。好ましくは、この粒子フィルタリングユニットは、クランプ要素のすぐ上流に配置される。
【0064】
本書では、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的に言及しているが、本明細書に記載のリソグラフィ装置は他の用途を有し得ることを理解すべきである。ありうる他の用途には、統合光学システム、磁区メモリの案内および検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造が含まれる。
【0065】
本書では、リソグラフィ装置の文脈で本発明の実施形態を具体的に説明しているが、本発明の実施形態は、他の装置で使用することができる。本発明の実施形態は、マスク検査装置、計測装置、または、ウェーハ(または他の基板)又はマスク(または他のパターニングデバイス)などの物体を測定または処理する任意の装置の一部を形成してもよい。これらの装置は、一般にリソグラフィツールと呼ばれ得る。そのようなリソグラフィツールは、真空条件または周囲(非真空)条件を使用することができる。
【0066】
上記では、光リソグラフィの文脈における本発明の実施形態の使用について具体的に言及がなされたかもしれないが、文脈が許す限り、本発明は光リソグラフィに限定されず、例えばインプリントリソグラフィのような他の用途において使用され得ることが理解されるであろう。
【0067】
文脈が許す場合、本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組み合わせで実装されてもよい。本発明の実施形態は、1つ以上のプロセッサによって読み取られ実行され得る、機械可読媒体に格納された命令として実装されることもできる。機械可読媒体は、機械(例えば、コンピューティングデバイス)によって読み取り可能な形態で情報を格納または送信するための任意の機構を含んでもよい。例えば、機械可読媒体は、読み取り専用メモリ(ROM);ランダムアクセスメモリ(RAM);磁気記憶媒体;光学記憶媒体;フラッシュメモリ装置;電気、光学、音響または他の形態の伝播信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)、その他を含んでもよい。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令は、特定の動作を実行するものとして本明細書に記載される場合がある。しかしながら、そのような記述は単に便宜上のものであり、そのような動作は、実際には、コンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、または他のデバイスがファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行することから生じ、それを行うことによってアクチュエータまたは他のデバイスに現実世界との相互作用を引き起こさせうるものであることを理解されたい。
【0068】
本発明の特定の実施形態を上で説明したが、本発明は、説明された以外の方法で実施されてもよいことを理解すべきである。上記の説明は、限定ではなく、例示を目的としている。したがって、記載された本発明には、以下に記載される特許請求の範囲から逸脱することなく、変更が加えられてもよいことは当業者には明らかであろう。
【0069】

1.静電ホルダであって、
-本体と、
-前記本体に取り付けられたクランプ要素であって、該クランプ要素と第1のクランプされるべき物体との間に吸引力を印加するための電極を備えるクランプ要素と、を備え、
前記本体の外縁は、前記本体の前記外縁と前記第1のクランプされるべき物体との間に隙間を提供するように構成され、前記隙間は、前記第1のクランプされるべき物体または前記ホルダの反対側の第2のクランプされるべき物体に到達する塵埃粒子を低減するための流体を出力するように構成されている、静電ホルダ。
【0070】
2.前記本体は、凹部を含み、前記クランプ要素は、前記クランプ要素と前記本体との間に第1の空間が存在するように前記凹部内に設けられ前記本体に取り付けられ、前記第1の空間は、前記本体の前記外縁と前記第1のクランプされるべき物体との間の前記隙間と流体連通しており、前記第1の空間が、前記隙間を介して出力される流体を提供するガス供給システムに接続可能である、項1に記載の静電ホルダ。
【0071】
3.前記本体の前記凹部の底部と前記クランプ要素との間に設けられ、前記第1の空間の外周にガスバリアを提供するシールをさらに備え、前記隙間は、前記シールにおける1つまたは複数の穴を介して前記第1の空間と流体連通している、項2に記載の静電ホルダ。
【0072】
4.前記シールにおける前記1つまたは複数の穴は、合計で前記第1の空間の前記外周の1%ないし99%、より好ましくは10%ないし30%を占める、項3に記載の静電ホルダ。
【0073】
5.前記隙間は、ガス供給システムに接続可能であり、前記静電ホルダは、前記隙間と前記ガス供給システムとの間に設けられた均圧室をさらに備え、前記隙間は、前記均圧室の流量制限器として働くように構成されている、先行する項のいずれかに記載の静電ホルダ。
【0074】
6.前記均圧室は、前記シールにおける前記1つまたは複数の穴と前記隙間との間に設けられている、項3を引用する項5に記載の静電ホルダ。
【0075】
7.前記隙間は、前記外縁の50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上に沿って延びている、先行する項のいずれかに記載の静電ホルダ。
【0076】
8.前記本体および前記クランプ要素は、前記クランプ要素が前記第1のクランプされるべき物体からあるクランプ距離にある状態で、前記クランプ要素と前記第1のクランプされるべき物体との間に第2の空間が存在するように構成され、前記隙間における前記本体の前記外縁と前記第1のクランプされるべき物体との間の隙間距離が、前記あるクランプ距離よりも大きい、先行する項のいずれかに記載の静電ホルダ。
【0077】
9.前記隙間における前記本体の前記外縁と前記第1のクランプされるべき物体との間の隙間距離は、前記隙間にわたって実質的に一定である、先行する項のいずれかに記載の静電ホルダ。
【0078】
10.前記隙間における前記本体の前記外縁と前記第1のクランプされるべき物体との間の隙間距離は、前記隙間にわたって変化している、項1から8のいずれかに記載の静電ホルダ。
【0079】
11.前記隙間にわたる前記隙間距離は、最小隙間距離を定める1つまたは複数の部分が最大隙間距離を定める1つまたは複数の部分と交互に配置される例えば正弦波または矩形波などの波パターンを有している、項10に記載の静電ホルダ。
【0080】
12.最小隙間距離を定める1つの部分が、前記シールにおける1つの穴に対向して設けられている、項3を引用する項11に記載の静電ホルダ。
【0081】
13.内側バルブがガス供給システム側で前記シールにおける前記1つまたは複数の穴のそれぞれと前記第1の空間との間に設けられ、外側バルブが前記シールにおける前記1つまたは複数の穴のそれぞれと前記隙間との間に設けられている、項3に記載の静電ホルダ。
【0082】
14.前記内側バルブおよび前記外側バルブは、圧力上昇により、前記内側バルブが閉位置に向かって付勢され、前記外側バルブが開位置に向かって付勢されるように構成されている、項13に記載の静電ホルダ。
【0083】
15.前記第1の空間は、高圧部分空間および高流量部分空間を含み、前記静電ホルダは、前記本体の前記凹部の底部と前記クランプ要素との間に設けられ、前記高圧部分空間と前記高流量部分空間との間にガスバリアを提供するシールをさらに備え、前記高圧部分空間および前記高流量部分空間は共に前記ガス供給システムに接続可能であり、前記隙間は、前記高流量部分空間と流体連通している、項2に記載の静電ホルダ。
【0084】
16.前記ガス供給システムを前記高圧部分空間に接続する1つまたは複数の圧力接続部と、前記ガス供給システムを前記高流量部分空間に接続する1つまたは複数の流量接続部と、をさらに備え、前記1つまたは複数の圧力接続部には、前記1つまたは複数の圧力接続部の流れ抵抗を前記1つまたは複数の流量接続部の流れ抵抗よりも大きな値に設定する取り外し可能な流量制限装置が設けられている、項15に記載の静電ホルダ。
【0085】
17.前記クランプ要素は、前記本体と前記クランプされるべき物体との間に設けられている、先行する項のいずれかに記載の静電ホルダ。
【0086】
18.前記隙間を定める前記第1のクランプされるべき物体は、前記本体の前記外縁に対向する平坦面を有する、先行する項のいずれかに記載の静電ホルダ。
【0087】
19.出力される前記流体は、2mbar/sから100mbar/sの範囲にある流量を有する、先行する項のいずれかに記載の静電ホルダ。
【0088】
20.前記隙間は、20μmから500μmの範囲にある最大高さを有する、先行する項のいずれかに記載の静電ホルダ。
【0089】
21.前記本体に対する前記クランプ要素の位置変化を測定するように構成されている第1のセンサをさらに備え、または/および、前記本体に対する第2のクランプ要素の位置変化を測定するように構成されている第2のセンサをさらに備え、前記第2のクランプ要素が前記第2のクランプされるべき物体をクランプするためのものである、先行する項のいずれかに記載の静電ホルダ。
【0090】
22.前記電極に印加される電圧は、前記吸引力が使用中に同じに保たれるように、前記第1のセンサによって測定された位置変化を補償するように変調され、または/および、前記第2のクランプ要素の電極に印加される第2の電圧は、前記第2のクランプされるべき物体をクランプするための吸引力が使用中に同じに保たれるように、前記第2のセンサによって測定された位置変化を補償するように変調される、項21に記載の静電ホルダ。
【0091】
23.物体を保持し、位置決めするための物体テーブルであって、
-前記物体テーブルを少なくとも1つの方向に移動させるための位置決め装置と、
-前記物体を保持するための静電ホルダであって、吸引力を用いて前記位置決め装置に取り付け可能である静電ホルダと、を備え、
前記静電ホルダは、
・本体と、
・前記本体に取り付けられたクランプ要素であって、該クランプ要素と前記位置決め装置との間に前記吸引力を印加するための電極を備えるクランプ要素と、を備え、
前記本体の外縁は、前記本体の前記外縁と前記位置決め装置との間に隙間を提供するように構成され、前記隙間は、前記ホルダ上の前記物体に到達する塵埃粒子を低減するための流体を出力するように構成されている、物体テーブル。
【0092】
24.前記静電ホルダは、前記第1のクランプされるべき物体を前記位置決め装置としたときの項1から17のいずれかに記載の静電基板クランプである、項18に記載の物体テーブル。
【0093】
25.前記隙間を介して出力される前記流体を提供するガス供給システムをさらに備える、項18または19に記載の物体テーブル。
【0094】
26.-本体と、
-前記本体に取り付けられたクランプ要素であって、該クランプ要素と第1のクランプされるべき物体との間に吸引力を印加するための電極を備えるクランプ要素と、
-前記本体に対する前記クランプ要素の位置変化を測定するように構成されているセンサと、を備える静電ホルダ。
【0095】
27.放射ビームを調整するように構成されている照明システムと、
パターニングデバイスを支持するように構成されている支持構造であって、前記パターニングデバイスは、パターニングされた放射ビームを形成するために、前記放射ビームの断面にパターンを付与することが可能である、支持構造と、
基板を保持するように構成されている基板テーブルと、
前記パターニングされた放射ビームを前記基板上に投影するように構成されている投影システムと、を備え、
前記基板テーブルは、項18から20のいずれかに記載の物体テーブルである、リソグラフィ装置。
【0096】
28.放射ビームを調整するように構成されている照明システムと、
パターニングデバイスを支持するように構成されている支持構造であって、前記パターニングデバイスは、パターニングされた放射ビームを形成するために、前記放射ビームの断面にパターンを付与することが可能である、支持構造と、
基板を保持するように構成されている基板テーブルと、
前記パターニングされた放射ビームを前記基板上に投影するように構成されている投影システムと、を備え、
前記支持構造は、項18から20のいずれかに記載の物体テーブルである、リソグラフィ装置。
【0097】
29.前記放射ビームは、EUV放射を含み、前記物体テーブルは、真空中で動作するように構成されている、項21または22に記載のリソグラフィ装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-04-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電ホルダであって、
-本体と、
-前記本体に取り付けられたクランプ要素であって、該クランプ要素と第1のクランプされるべき物体との間に吸引力を印加するための電極を備えるクランプ要素と、を備え、
前記本体は、前記本体の外縁と前記第1のクランプされるべき物体との間に隙間を提供するように構成され、前記隙間は、前記第1のクランプされるべき物体または前記ホルダの反対側の第2のクランプされるべき物体に到達する汚染物質を低減するための流体を出力するように構成されている、静電ホルダ。
【請求項2】
前記本体は、凹部を含み、前記クランプ要素は、前記クランプ要素と前記本体との間に第1の空間が存在するように前記凹部内に設けられ前記本体に取り付けられ、前記第1の空間は、前記本体の前記外縁と前記第1のクランプされるべき物体との間の前記隙間と流体連通しており、前記第1の空間が、前記隙間を介して出力される流体を提供するガス供給システムに接続可能である、請求項1に記載の静電ホルダ。
【請求項3】
前記本体の前記凹部の底部と前記クランプ要素との間に設けられ、前記第1の空間の外周にガスバリアを提供するシールをさらに備え、前記隙間は、前記シールにおける1つまたは複数の穴を介して前記第1の空間と流体連通している、請求項2に記載の静電ホルダ。
【請求項4】
前記隙間は、ガス供給システムに接続可能であり、前記静電ホルダは、前記隙間と前記ガス供給システムとの間に設けられた均圧室をさらに備え、前記隙間は、前記均圧室の流量制限器として働くように構成されている、請求項1から3のいずれかに記載の静電ホルダ。
【請求項5】
前記均圧室は、前記シールにおける前記1つまたは複数の穴と前記隙間との間に設けられている、請求項3を引用する請求項4に記載の静電ホルダ。
【請求項6】
前記隙間における前記本体の前記外縁と前記第1のクランプされるべき物体との間の隙間距離は、前記隙間にわたって変化している、請求項1からのいずれかに記載の静電ホルダ。
【請求項7】
前記隙間にわたる前記隙間距離は、最小隙間距離を定める1つまたは複数の部分が最大隙間距離を定める1つまたは複数の部分と交互に配置される例えば正弦波または矩形波などの波パターンを有している、請求項6に記載の静電ホルダ。
【請求項8】
最小隙間距離を定める1つの部分が、前記シールにおける1つの穴に対向して設けられている、請求項3を引用する請求項7に記載の静電ホルダ。
【請求項9】
内側バルブがガス供給システム側で前記シールにおける前記1つまたは複数の穴のそれぞれと前記第1の空間との間に設けられ、外側バルブが前記シールにおける前記1つまたは複数の穴のそれぞれと前記隙間との間に設けられ、前記内側バルブおよび前記外側バルブは、圧力上昇により、前記内側バルブが閉位置に向かって付勢され、前記外側バルブが開位置に向かって付勢されるように構成されている、請求項3に記載の静電ホルダ。
【請求項10】
前記第1の空間は、高圧部分空間および高流量部分空間を含み、前記静電ホルダは、前記本体の前記凹部の底部と前記クランプ要素との間に設けられ、前記高圧部分空間と前記高流量部分空間との間にガスバリアを提供するシールをさらに備え、前記高圧部分空間および前記高流量部分空間は共に前記ガス供給システムに接続可能であり、前記隙間は、前記高流量部分空間と流体連通している、請求項2に記載の静電ホルダ。
【請求項11】
前記ガス供給システムを前記高圧部分空間に接続する1つまたは複数の圧力接続部と、前記ガス供給システムを前記高流量部分空間に接続する1つまたは複数の流量接続部と、をさらに備え、前記1つまたは複数の圧力接続部には、前記1つまたは複数の圧力接続部の流れ抵抗を前記1つまたは複数の流量接続部の流れ抵抗よりも大きな値に設定する取り外し可能な流量制限装置が設けられている、請求項10に記載の静電ホルダ。
【請求項12】
前記隙間を定める前記第1のクランプされるべき物体は、前記本体の前記外縁に対向する平坦面を有する、請求項1からのいずれかに記載の静電ホルダ。
【請求項13】
出力される前記流体は、2mbar/sから100mbar/sの範囲、好ましくは5mbar/sから50mbar/sの範囲にある流量を有し、または/および、前記隙間は、20μmから500μmの範囲、好ましくは50μmから200μmの範囲にある最大高さを有する、請求項1からのいずれかに記載の静電ホルダ。
【請求項14】
前記本体に対する前記クランプ要素の位置変化を測定するように構成されている第1のセンサをさらに備え、または/および、前記本体に対する第2のクランプ要素の位置変化を測定するように構成されている第2のセンサをさらに備え、前記第2のクランプ要素が前記第2のクランプされるべき物体をクランプするためのものである、請求項1からのいずれかに記載の静電ホルダ。
【請求項15】
放射ビームを調整するように構成されている照明システムと、
パターニングデバイスを支持するように構成されている支持構造であって、前記パターニングデバイスは、パターニングされた放射ビームを形成するために、前記放射ビームの断面にパターンを付与することが可能である、支持構造と、
基板を保持するように構成されている基板テーブルと、
前記パターニングされた放射ビームを前記基板上に投影するように構成されている投影システムと、を備え、
前記基板テーブルは、請求項1からのいずれかに記載の静電ホルダを備え、または/および、前記支持構造は、請求項1からのいずれかに記載の静電ホルダを備える、リソグラフィ装置。
【国際調査報告】