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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】LED製造プロセス用光吸収バリア
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20240730BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20240730BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240730BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240730BHJP
   H01L 33/48 20100101ALI20240730BHJP
【FI】
H01L21/02 B
G09F9/33
G09F9/30 349D
G09F9/30 349Z
G09F9/00 338
H01L33/48
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577759
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 US2022031858
(87)【国際公開番号】W WO2022265857
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】17/350,523
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ピエラリージ, ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】チュー, ミンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ツーハオ
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ, リャン
(72)【発明者】
【氏名】フランクリン, ジェフリー エル.
(72)【発明者】
【氏名】ウン, ホウ ティ-.
(72)【発明者】
【氏名】パティバンドラ, ナグ
【テーマコード(参考)】
5C094
5F142
5G435
【Fターム(参考)】
5C094AA42
5C094AA43
5C094BA23
5C094EB01
5C094ED11
5C094ED20
5C094FB01
5C094FB02
5C094FB16
5C094GB10
5C094JA03
5C094JA11
5F142FA31
5F142FA41
5F142GA02
5G435AA17
5G435BB04
5G435EE12
5G435FF03
5G435FF14
5G435HH16
5G435KK05
(57)【要約】
例示的な処理方法は、パターニングされたLED基板を形成するために基板層上にLED構造の群を形成することを含む。パターニングされたLED基板上に光吸収バリアを堆積させることができる。本方法は更に、パターニングされたLED基板を光に曝露することを含み得る。光は、基板層及び光吸収バリアと接触するLED構造の表面によって吸収され得る。本方法はまた更に、LED構造を基板層から分離させることを含み得る。LED構造と基板層との間の結合は、基板層と接触するLED構造の表面による光の吸収によって弱められ得る。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理方法であって、
パターニングされたLED基板を形成するために基板層上にLED構造の群を形成することと、
前記パターニングされたLED基板上に光吸収バリアを堆積させることと、
前記パターニングされたLED基板を光に曝露することであって、前記光は、前記基板層及び光吸収層と接触するLED構造の表面によって吸収される、前記パターニングされたLED基板を光に曝露することと、
前記LED構造を前記基板層から分離させることであって、前記LED構造と前記基板層との間の結合は、前記基板層と接触する前記LED構造の表面による前記光の吸収によって弱められている、前記LED構造を前記基板層から分離させることと
を含む、半導体処理方法。
【請求項2】
前記LED構造の群はガリウム-窒素含有材料を含み、前記ガリウム-窒素含有材料は、前記基板層と接触する前記LED構造の表面において前記光に曝露されると窒素ガスを発生させる、請求項1に記載の半導体処理方法。
【請求項3】
前記基板層はサファイアを含む、請求項1に記載の半導体処理方法。
【請求項4】
前記光は、約300nm以下のピーク強度波長によって特徴付けられる、請求項1に記載の半導体処理方法。
【請求項5】
前記光吸収バリアは、誘電体材料の1又は複数の層を含み、前記誘電体材料は、約4.3eV以上の室温バンドギャップによって特徴付けられる、請求項1に記載の半導体処理方法。
【請求項6】
前記光吸収バリアは、前記LED構造から放射された光を透過するように動作可能である、請求項1に記載の半導体処理方法。
【請求項7】
半導体は更に、前記基板層の反対側で前記LED構造の群に結合されたバックプレーン基板を含む、請求項1に記載の半導体処理方法。
【請求項8】
前記光吸収バリアは、前記パターニングされたLED基板が曝露される前記光が前記バックプレーン基板に到達するのを防止する、請求項7に記載の半導体処理方法。
【請求項9】
半導体処理方法であって、
基板層上にLED構造を形成することと、
前記LED構造及び前記基板層上に光吸収バリアの第1の部分を形成することと、
前記光吸収バリアの第1の部分上に前記光吸収バリアの少なくとも1つの追加部分を形成することと、
前記基板層を紫外線に曝露することであって、前記紫外線は前記光吸収バリアの露出部分によって吸収される、前記基板層を紫外線に曝露することと、
前記LED構造を前記基板層から分離させることと
を含む、半導体処理方法。
【請求項10】
前記光吸収バリアの第1の部分が、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化チタン、窒化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化タンタル、窒化タンタル、酸化マンガン、酸化ニオブ、酸化アンチモン、酸化インジウムスズ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、及びフッ化マグネシウムで構成される群から選択される第1の誘電体材料を含む、請求項9に記載の半導体処理方法。
【請求項11】
前記光吸収バリアの少なくとも1つの追加部分は、前記第1の誘電体材料とは異なる第2の誘電体材料を含む第2の部分を含む、請求項10に記載の半導体処理方法。
【請求項12】
前記紫外線は約300nm以下である、請求項9に記載の半導体処理方法。
【請求項13】
前記光吸収バリア上に反射層を形成することを更に含む、請求項9に記載の半導体処理方法。
【請求項14】
前記光吸収バリアは、前記LED構造によって放射されるLED光に対する前記反射層の反射率を増加させる、請求項13に記載の半導体処理方法。
【請求項15】
半導体構造であって、
複数のLED構造と、
バックプレーン層と、
前記LED構造と前記バックプレーン層との間に位置決めされた光バリア領域であって、前記光バリア領域は、約300nm以下の波長の光を吸収し、約350nm以上の波長の光を透過するように動作可能である、光バリア領域と
を備える、半導体構造。
【請求項16】
前記複数のLED構造は各々、n型ドープされたガリウム-窒素含有領域と、前記n型ドープされたガリウム-窒素含有領域と接触する多重量子井戸層と、前記多重量子井戸層と接触するp型ドープされたガリウム-窒素含有領域とを含む、請求項15に記載の半導体構造。
【請求項17】
前記バックプレーン層は紫外線吸収ポリマーを含む、請求項15に記載の半導体構造。
【請求項18】
前記光バリア領域は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化チタン、窒化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化タンタル、窒化タンタル、酸化マンガン、及び酸化ニオブで構成される群から選択される誘電体材料の2つ以上の層を含み、誘電体材料の第1の層は、前記誘電体材料の第1の層と接触する誘電体材料の第2の層とは異なる、請求項15に記載の半導体構造。
【請求項19】
前記半導体構造は更に、前記光バリア領域と接触する反射層を備える、請求項15に記載の半導体構造。
【請求項20】
前記半導体構造は更に、前記LED構造のうちの少なくとも1つと接触する光変換領域を備え、前記光変換領域は、前記LED構造によって生成された光を吸収し、より長いピーク強度波長によって特徴付けられる変換された光を放射するように動作可能である、請求項15に記載の半導体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2021年6月17日出願の「LIGHT ABSORBING BARRIER FOR LED FABRICATION PROCESSES」と題する米国非仮出願第17/350,523号の利益及び優先権を主張するものであり、その内容を全て、参照により本明細書に援用する。
【0002】
[0002]本技術は、半導体プロセス及び半導体製品に関する。より具体的には、本技術は、半導体構造及び形成されたデバイスの製造に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]数百万ミクロンサイズのピクセルでできた発光ダイオード(LED)ディスプレイ装置は、基板表面に複雑にパターニングされた材料層を形成する製造プロセスによって可能になる。基板上にパターニングされた材料を製造するには、材料の堆積及び除去のための制御された方法が必要である。しかし、新しいデバイス設計では、非常に正確な寸法の高品質な材料層を製造することは困難な場合がある。
【0004】
[0004]従って、LEDディスプレイ装置用の高品質の材料及び構造を製造するために使用できる改良されたシステム及び方法が必要とされている。これら及び他のニーズは、本技術によって対処される。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本技術は、パターニングされたLED基板を形成するために基板層上にLED構造の群を形成することを含む、例示的な半導体処理方法を含む。パターニングされたLED基板上に光吸収バリアを堆積させることができる。本方法は更に、パターニングされたLED基板を光に曝露することを含み得る。光は、基板層及び光吸収バリアと接触するLED構造の表面によって吸収され得る。本方法はまた更に、LED構造を基板層から分離させることを含み得る。LED構造と基板層との間の結合は、基板層と接触するLED構造の表面による光の吸収によって弱められ得る。
【0006】
[0006]追加の実施形態では、LED構造の群は、基板層と接触するLED構造の表面において光に曝露されると窒素ガス(N)を発生させるガリウム-窒素含有材料を含み得る。更なる実施形態では、基板はサファイア(すなわち、Al)を含み得る。また更なる実施形態では、LED基板が曝露される光は、約300nm以下のピーク強度波長によって特徴付けられ得る。更に追加の実施形態では、光吸収バリアは、誘電体材料の1又は複数の層を含み得る。更に追加の実施形態では、誘電体材料は、約4.3eV以上の室温バンドギャップによって特徴付けられ得る。また更なる実施形態では、光吸収バリアは、LED構造から放射された光を透過するように動作可能である。更なる実施形態では、半導体は更に、基板層の反対側でLED構造の群に結合されたバックプレーン基板を含む。また更なる実施形態では、光吸収バリアは、パターニングされたLED基板が曝露される光がバックプレーン基板に到達するのを防止する。
【0007】
[0007]本技術はまた、基板層上にLED構造を形成することを含み得る追加の半導体処理方法を含む。本方法は更に、LED構造及び基板層上に光吸収バリアの第1の部分を形成することと、光吸収バリアの第1の部分上に光吸収バリアの少なくとも1つの追加部分を形成することとを含み得る。本方法はまた更に、基板層を紫外線に曝露することを含んでいてよく、紫外線は、光吸収バリアの露出部分によって吸収される。曝露後、LED構造を基板層から分離させることができる。
【0008】
[0008]追加の実施形態では、光吸収バリアの第1の部分は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化チタン、窒化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化タンタル、窒化タンタル、酸化マンガン、酸化ニオブ、酸化アンチモン、酸化インジウムスズ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、及びフッ化マグネシウムを含む群から選択される第1の誘電体材料を含み得る。更なる実施形態では、光吸収バリアの少なくとも1つの追加部分は、第1の誘電体材料とは異なる第2の誘電体材料を含む第2の部分を含む。また更なる実施形態では、紫外線は約300nm以下の波長によって特徴付けられる。更に追加の実施形態では、本方法は更に、光吸収バリア上に反射層を形成することを含む。更なる実施形態では、光吸収バリアは、LED構造によって放射されるLED光に対する反射層の反射率を増加させる。
【0009】
[0009]本技術は更に、複数のLED構造と、バックプレーン層と、LED構造とバックプレーン層との間に位置決めされた光バリア領域とを含み得る半導体構造を含む。光バリア領域は、約300nm以下の波長の光を吸収し、約350nm以上の波長の光を透過するように動作可能であり得る。
【0010】
[0010]追加の実施形態では、複数のLED構造は各々、n型ドープされたガリウム-窒素含有領域と、n型ドープされたガリウム-窒素含有領域と接触する多重量子井戸層と、多重量子井戸層と接触するp型ドープされたガリウム-窒素含有領域とを含み得る。更なる実施形態では、バックプレーン層は紫外線吸収ポリマーを含み得る。また更なる実施形態では、光バリア領域は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化チタン、窒化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化タンタル、窒化タンタル、酸化マンガン、及び酸化ニオブを含む群から選択される誘電体材料の2つ以上の層を含んでいてよく、誘電体材料の第1の層は、誘電体材料の第1の層と接触する誘電体材料の第2の層とは異なる。更に追加の実施形態では、半導体構造は更に、光バリア領域と接触する反射層を含み得る。更なる実施形態では、半導体構造は更に、LED構造の少なくとも1つと接触する光変換領域を含み、光変換領域は、LED構造によって生成された光を吸収し、より長いピーク波長強度によって特徴付けられる変換された光を放射するように動作可能である。
【0011】
[0011]上記技術は、従来の半導体処理方法及び構造に勝る多数の利点を提供し得る。例えば、処理方法の実施形態は、バックプレーン基板の反対側に結合された基板層を分離させるためにパターニングされたLED基板を照射する間にバックプレーン基板によって吸収される短波長光の量を低減し得る。これにより、基板層を分離させるために使用される短波長の電離光によるバックプレーン基板の制御回路への損傷が低減される。更なる実施形態では、処理方法は、有害な短波長放射がバックプレーン基板に到達するのを阻止し、LED構造によって生成された光の有用な方向への抽出を増加させる光吸収バリアを形成する。これらの実施形態及び他の実施形態を、それらの多くの利点及び特徴とともに、以下の説明及び添付の図と併せてより詳細に説明する。
【0012】
[0012]開示された技術の性質及び利点の更なる理解は、明細書の残りの部分及び図面を参照することによって実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本技術の幾つかの実施形態に係る例示的な処理システムの一実施形態を示す上平面図である。
図2A】本技術の幾つかの実施形態に係るLED半導体デバイスの形成方法における例示的な工程を示す図である。
図2B】本技術の幾つかの実施形態に係る、LED半導体デバイスの別の形成方法における例示的な工程を示す図である。
図3A】本技術の実施形態に係る半導体LED構造を示す断面図である。
図3B】本技術の実施形態に係る半導体LED構造を示す断面図である。
図4】本技術の実施形態に係る、基板分離が行われた半導体LED構造を示す追加の断面図である。
図5】本技術の実施形態に係る、基板分離が行われた別の半導体LED構造を示す断面図である。
図6】本技術の追加の実施形態に係る半導体LED構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0020]図の幾つかは概略図として含まれている。図は例示のためのものであり、縮尺が明記されていない限り縮尺通りとみなすべきではないことを理解されたい。更に、概略図は理解を助けるために提供されており、現実的な表現と比較して、全ての態様又は情報を含まない場合がある。図は例示のために誇張された材料を含む場合がある。
【0015】
[0021]添付の図では、同様の構成要素及び/又は特徴には、同じ参照ラベルが付いている場合がある。更に、同じ種類の様々な構成要素は、参照ラベルの後に類似の構成要素を区別する文字を付けることで区別され得る。本明細書で第1の参照ラベルのみを使用した場合、その説明は、文字に関係なく、同じ第1の参照ラベルを有する類似の構成要素のいずれか1つにも適用可能である。
【0016】
[0022]LEDディスプレイは通常、ディスプレイのピクセルを照らすLED構造と、ピクセルをアドレス指定及び起動する制御回路を含むバックプレーン基板とを含む。多くの製造プロセスでは、LED構造はLED基板上に形成され、制御回路は別のバックプレーン基板上に形成される。その後、2つの基板を互いに接合させてLEDディスプレイ構造を形成する。多くの場合、LED基板はディスプレイ構造から除去され、下層のLED構造から放射される光の色を変換し発光パターンを変更する追加構造に置き換えられる。
【0017】
[0023]ディスプレイ構造からLED基板を除去する1つの技法は、LED基板と、LED材料の層を含む下層のLED構造との間の結合を光解離させるために高エネルギー光を使用するレーザリフトオフである。例えば、エキシマレーザ又は固体レーザからの紫外線を使用して、サファイアLED基板と、サファイア基板上に形成されたLED構造の接合している窒化ガリウム含有ベース領域との間の結合を光解離させることができる。紫外線はサファイアを通過し、窒化ガリウムを光解離させて液体のガリウム金属と窒素(N)ガスにする。より多くの窒化ガリウムが光解離すると、サファイア基板とLED構造との間の結合が弱まり、窒素ガスの圧力が高まるにつれて、層が完全に分離するまで押し広げられる。
【0018】
[0024]レーザリフトオフは、LED基板をLED構造から分離させるためのクリーンで効率的な技法であるが、重大な欠点があり、高エネルギー紫外線が、隣接するLED構造間の間隙を通して漏れ、下層のバックプレーン基板に損傷を与える可能性がある。多くの場合、紫外線による損傷は、バックプレーン基板の制御回路に不具合を引き起こし、その結果、LEDディスプレイの1又は複数の画素が死ぬ、又はタイミングがずれて起動する可能性がある。更に、最終的にバックプレーン基板に置き換えられる一時的なキャリア基板への構造の結合を補助するLED構造間に形成されたポリマーが、紫外線によって損傷する場合がある。光によって損傷したポリマーは、LED構造間に恒久的な汚染エリアを形成する場合があり、デバイスによって表示される画像が変色する又は歪む可能性がある。
【0019】
[0025]本技術の実施形態は、基板上に形成されたLED構造からLED基板を除去するためのレーザリフトオフ工程中に、LEDディスプレイ上のバックプレーン基板及び他の領域に損傷を与える漏れた紫外線によって引き起こされる問題に対処する。実施形態では、本技術は、パターニングされたLED基板のLED構造及び基板層上に光吸収バリアを形成するプロセスを含む。光吸収バリアは、レーザリフトオフ工程からの高エネルギー光を吸収して、隣接するLED構造間のバックプレーン基板の露出領域に到達するのを防止するように動作可能である。
【0020】
[0026]本技術の追加の実施形態は、LED構造と、LED構造によって放射された光をLEDディスプレイに有用な方向に反射する反射層との間に光吸収バリアを形成するプロセスを含む。実施形態では、光吸収バリアは、LED構造によって生成されたエネルギーが低い紫外線及び可視光を透過しながら、レーザリフトオフ工程中に生成されたエネルギーが高い紫外線を吸収することができる。更なる実施形態では、光吸収バリアは、LED構造によって生成された光に対する反射層の反射率を増加させることができる。
【0021】
[0027]図1は、本技術の幾つかの実施形態に係る、堆積、エッチング、焼成、及び硬化チャンバの処理システム100の一実施形態を示す上平面図である。図において、一対の前方開口型統一ポッド102が、ロボットアーム104によって受け入れられてタンデムセクション109a~cに配置された基板処理チャンバ108a~fのうちの1つに配置される前に低圧保持エリア106内に配置される様々なサイズの基板を供給する。第2のロボットアーム110は、基板ウエハを保持エリア106から基板処理チャンバ108a~fに往復輸送するために使用され得る。各基板処理チャンバ108a~fは、ドライエッチングプロセス、周期的層堆積プロセス、原子層堆積プロセス、有機金属化学気相堆積プロセスを含む化学気相堆積プロセス、エッチングプロセス、前洗浄プロセス、化学機械研磨プロセスを含む平坦化プロセス、アニールプロセス、プラズマ処理プロセス、ガス抜きプロセス、配向プロセス、及び他の半導体製造プロセスに加えて、本明細書に記載の物理的気相堆積プロセスを含む多数の基板処理工程を実行するために装備することができる。
【0022】
[0028]基板処理チャンバ108a~fは、基板又はウエハ上に材料膜を堆積、アニール、硬化及び/又はエッチングするための1又は複数のシステム構成要素を含み得る。1つの構成では、2対の処理チャンバ、例えば108c~d及び108e~fは、基板上に材料を堆積させるために使用可能であり、第3の対の処理チャンバ、例えば108a~bは、堆積された膜を平坦化、アニール、硬化、又は処理するために使用され得る。別の構成では、例えば108a~fのような3対のチャンバがすべて、基板上に膜を堆積させ、硬化させる両方に構成されることができる。記載のプロセスのうちの1又は複数を、異なる実施形態で示す製造システムから分離された追加のチャンバで実施することができる。材料膜のための堆積、エッチング、アニール、及び硬化チャンバの追加の構成が、システム100によって企図されることが理解されよう。更に、任意の数の他の処理システムを、特定の工程のいずれかを実行するためのチャンバを組み込むことができる本技術と共に用いることができる。幾つかの実施形態では、記載の保持及び移送エリア等の様々なセクションにおいて真空環境を維持しながら複数の処理チャンバへのアクセスを提供し得るチャンバシステムは、別々のプロセス間で特定の真空環境を維持しながら複数のチャンバにおいて工程を実行することを可能にし得る。
【0023】
[0029]システム100、又はより具体的にはシステム100又は他の処理システムに組み込まれたチャンバは、本技術の幾つかの実施形態に従って半導体LED構造を製造するために使用され得る。図2A及び図2Bは、本技術の幾つかの実施形態に係るLED半導体構造の形成方法200及び250における例示的な工程を示す図である。方法200及び250は、例えば、システム100に組み込まれたチャンバ等の1又は複数の処理チャンバで実行され得る。方法200及び250は、フロントエンド処理、堆積、エッチング、研磨、洗浄、又は記載の工程の前に実行され得る任意の他の工程を含む、本方法の開始前の1又は複数の工程を含む、又は含まない場合がある。本方法は、本技術に係る方法の幾つかの実施形態に特に関連していてよい、又は関連していなくてよい、多数のオプションの工程を含み得る。
【0024】
[0030]図2Aは、本技術の実施形態に係るLED半導体構造の形成方法200における例示的な工程を示す図である。方法200は、工程205においてLED基板を提供することを含む。後述するように、実施形態では、LED基板は、サファイア又は別のLED基板材料でできていてよい。工程210において、LED基板材料上に透明導電層を堆積させることができる。実施形態では、透明導電層は、酸化インジウムスズ又は別の透明導電性材料を含み得る。工程215において、LED構造を形成するためにLED構造を形成する材料の層が堆積及びエッチングされ得る。後述するように、実施形態では、これらの材料の層は、他の層の中でも、n型ドープされたGaN層、多重量子井戸(MQW)構造用の層、及びp型ドープされたGaN層を含み得る。更なる実施形態では、LED構造における材料の層が、透明導電層上にブランケット堆積され、次いでパターンエッチングされてLED構造が形成され得る。
【0025】
[0031]方法200に記載の実施形態では、方法は、工程220において、LED構造上に光バリア領域を形成することを含む。後述するように、光バリア領域の実施形態は、LED構造によって生成された光の通過を許容しつつも、高エネルギーの短波長光の通過を阻止する1又は複数の誘電体材料の層を含む。また、方法200に記載の実施形態では、工程225において光バリア領域にコンタクト開口部が形成され得る。工程230において、LED構造のn型ドープされた部分及びp型ドープされた部分のための導電性コンタクトパッドが、コンタクト開口部を貫通して形成され得る。次いで工程235においてLED基板が研磨され、工程240においてLED基板チップに切断される。
【0026】
[0032]実施形態では、LED基板チップは、バックプレーン基板に直接接合させることができ、LED基板層は、レーザリフトオフ技法によって接合構造から除去される。追加の実施形態では、LED基板チップは、最初にポリマー層に結合され得る。次に、組み合わさったLED基板チップとポリマー層を、バックプレーン基板層等の別の基板層に接合させることができる。更に追加の実施形態では、組み合わさったLED基板チップとポリマー層とを別の基板層に接合する前又は後に、レーザリフトオフ技法によってLED基板チップからLED基板を除去することができる。LED基板チップの光バリア領域は、レーザリフトオフ技法で使用される高エネルギーの短波長光がポリマー層のポリマー材料に損傷を与えるのを防止する。組み合わさったLED基板チップとポリマー層がレーザリフトオフ技法の前に別の基板層に接合される実施形態では、光バリア領域は、レーザリフトオフ光がポリマー層及び追加の基板層の両方に損傷を与えるのを防止する。
【0027】
[0033]図2Bは、本技術の幾つかの実施形態に係るLED半導体構造を形成する別の方法250における例示的な工程を示す図である。方法250は、図3A図3B図4図5、及び図6に簡略化された概略形態で示す半導体構造の実施形態を形成する工程を説明するものであり、その図示を、方法250の工程と併せて説明する。図3A図3B図4図5、及び図6は、限定された詳細を有する部分的な概略図のみを示すものであり、幾つかの実施形態では、基板は、図に例示するような態様を有する任意の数の半導体セクション、ならびに本技術のいずれかの態様から依然として利益を得ることができる代替的な構造態様を含み得ることを理解されたい。
【0028】
[0034]実施形態では、方法250は、工程255において基板上にLED構造を形成することを含む。工程の実施形態は、図3A図3B図4、及び図5に示す基板312、412、及び512等の基板を提供することを含む。実施形態では、基板312、412、及び512は、レーザリフトオフ工程で使用される紫外線の透過を可能にする価電子帯と伝導帯との間の室温(~23℃)バンドギャップによって特徴付けられる材料から形成され得る。追加の実施形態では、基板材料は、約5電子ボルト(eV)以上、約6eV以上、約7eV以上、約8eV以上、約9eV以上、約10eV以上又はそれ以上の室温バンドギャップによって特徴付けられ得る。更なる実施形態では、基板材料はサファイア(バンドギャップ=9.9eV)又は石英(バンドギャップ~10eV)であってよい。また更なる実施形態では、基板材料は、平面の又はパターニングされたサファイアでできていてよい。実施形態では、平面サファイア基板は、基板と基板上に形成されたLED構造との間の滑らかな接合面によって特徴付けられ得る。追加の実施形態では、パターニングされたサファイア基板は、他のパターニングされた構造の中でも、ドーム構造、ピラミッド構造、又はカラム構造等の1又は複数のパターニングされた構造を含み得る。更に追加の実施形態では、パターニングされた構造の個々のユニットは、約3000nm以下、約2000nm以下、約1000nm以下、約500nm以下、約250nm以下、又はそれ未満の最長寸法によって特徴付けられ得る。更に別の実施形態では、基板312、412、512は、約200μm以上、約500μm以上、約750μm以上、約1000μm以上、約1250μm以上、約1500μm以上、又はそれ以上の厚さによって特徴付けられ得る。
【0029】
[0035]工程255の実施形態は、基板312、412、及び512上にLED構造を形成することも含み得る。これらのLED形成工程は、基板上にn型ドープされたガリウム-窒素含有層を形成することを含み得る。例えば、図3A及び図3Bは、基板312上に形成されたn型ドープされた窒化ガリウム(GaN)層308を示す図である。追加の実施形態では、n型ドープされた層308は、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウムインジウムガリウム(AlInGaN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)、及び窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)のうちの1又は複数を含み得る。更なる実施形態では、n型ドープされた層308は、他のガリウムを含まない窒化物材料の中でも、窒化インジウム(InN)及び窒化アルミニウムインジウム(AlInN)等のガリウムを含まないインジウム-窒化物材料を含み得る。
【0030】
[0036]工程255においてLED構造を形成する実施形態は更に、LED構造のn型ドープされた層上に多重量子井戸(MQW)構造の層を形成することを含み得る。例えば、図3A及び図3Bは、n型ドープされた層308上に形成されたMQW構造310を示す図である。実施形態では、MQW構造310は、n型ドープされた層308上に形成された1又は複数の量子井戸層を含み得る。追加の実施形態では、MQW構造310は、InGaN/GaN超格子(SL)と総称され得る、ガリウム-窒素含有n型ドープされた領域308上に堆積されたInGaN含有材料の1又は複数の層を含み得る。実施形態では、MQW構造310中の量子井戸層の数は、約2量子井戸層以上、約3量子井戸層以上、約4量子井戸層以上、約5量子井戸層以上、約6量子井戸層以上、約7量子井戸層以上、約8量子井戸層以上、約9量子井戸層以上、約10量子井戸層以上又はそれ以上であってよい。別の更なる実施形態では、量子井戸層は、インジウム、ガリウム、及び窒素(例えば、InGaN)を含み得る。また更なる実施形態では、量子井戸層は、約1nm以上、約2nm以上、約3nm以上、約4nm以上、約5nm以上、又はそれ以上の厚さによって特徴付けられ得る。
【0031】
[0037]工程255においてLED構造を形成する実施形態はまた更に、多重量子井戸(MQW)構造上にp型ドープされた層を形成することを含み得る。例えば、図3A及び図3Bは、MQW構造310上に形成されたp型ドープされた層306を示す図である。実施形態では、p型ドープされた層306は、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウムインジウムガリウム(AlInGaN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)、及び窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)のうちの1又は複数でできていてよい。更なる実施形態では、p型ドープされた層306は、他のガリウムを含まない窒化物材料の中でも、窒化インジウム(InN)及び窒化アルミニウムインジウム(AlInN)等のガリウムを含まないインジウム-窒化物材料を含み得る。
【0032】
[0038]実施形態では、n型ドープされた層、MQW構造、及びp型ドープされた層を含むLED構造は、まず、基板312、412、及び512上に材料のブランケット層を堆積させ、次に、基板上の個々の構造をパターニング及びエッチングすることによって形成することができる。追加の実施形態では、個々の構造を基板312、412、及び512上に直接成長させることができる。更なる実施形態では、基板312、412、及び512のパターニング層(図示せず)によって露出した部分上に、ガリウム-窒素含有材料の有機金属化学気相堆積(MOCVD)を用いてガリウム-窒素含有材料を堆積させることができる。更に多くの実施形態では、MOCVDは、基板312、412、及び512の露出した部分に堆積前駆体を供給することを含み得る。実施形態では、堆積前駆体は、他のガリウム化合物の中でも、トリメチルガリウム及びトリエチルガリウム等の1又は複数のアルキルガリウム化合物を含み得る。追加の実施形態では、堆積前駆体は、ガリウム-窒素含有材料の窒素成分を提供するためにアンモニア(NH)も含み得る。更に追加の実施形態では、分子線エピタキシ(MBE)を用いてLED構造の構成要素を形成することができる。
【0033】
[0039]工程255においてLED構造を形成する実施形態は更に、LED構造のn型ドープされた層及びp型ドープされた層上にコンタクトパッドを形成することを含み得る。例えば、図3A及び図3Bは、n型ドープされた層308と接触するnパッド302及びp型ドープされた層306と接触するpパッド304を示す図である。コンタクトパッドは、他の導電性材料の中でも、銅、アルミニウム、タングステン、クロム、ニッケル、銀、金、白金、パラジウム、チタン、スズ、及び/又はインジウム等の導電性材料でできていてよい。
【0034】
[0040]方法250は更に、工程260において、LED構造及びLED基板上に光吸収バリアを形成することを含み得る。実施形態では、光吸収バリアの一部は、基板312、412、及び512上のLED構造間に直接形成することができる。例えば、図4及び図5は、LED構造405aとLED構造405bとの間及びLED構造505aとLED構造505bとの間に形成された光吸収バリア414及び514をそれぞれ示す図である。光吸収バリアは、高エネルギー紫外線がLED構造間の光吸収バリアを貫いて、バックプレーン基板及びポリマー層等の下層材料に損傷を与えるのを防止する。例えば、図4に示す実施形態では、光吸収バリア414は、基板412を透過した高エネルギー紫外線がLED構造405aとLED構造405bとの間の領域を貫いて下層のバックプレーン層418及び420に到達するのを防止する。図5に示す実施形態では、光吸収バリア514は、基板512を透過した高エネルギー紫外線がLED構造505aとLED構造505bとの間の領域を貫いてポリマー材料522に到達するのを防止する。
【0035】
[0041]実施形態では、図3B図4図5、及び図6に示す光吸収バリア314、414、514、及び614は、レーザリフトオフ工程で使用される高エネルギー紫外線を吸収し、LED構造によって放射される光の波長を含む、より長い波長の光を透過することができる材料の1又は複数の層を含み得る。追加の実施形態では、光吸収バリアは、高エネルギー紫外線及び波長約350nm以下、約340nm以下、約330nm以下、約320nm以下、約310nm以下、約300nm以下、約290nm以下、約280nm以下、約270nm以下、約260nm以下、約250nm以下、又はそれ未満の波長を吸収し得る。更なる実施形態では、光吸収バリアは、バリアに到達する高エネルギー紫外線を、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約92.5%以上、約95%以上、約99%以上、又はそれ以上吸収し得る。別の更なる実施形態では、光吸収バリアは、約350nm以上、約360nm以上、約370nm以上、約380nm以上、約390nm以上、約400nm以上又はそれ以上の低エネルギー紫外線及び可視光を透過し得る。更なる実施形態では、光吸収バリアは、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約92.5%以上、約95%以上、約99%以上、又はそれ以上の透過率レベルで、バリアに到達するより長い波長光を透過し得る。
【0036】
[0042]追加の実施形態では、光吸収バリアは、誘電体材料の1又は複数の層でできていてよい。更なる実施形態では、誘電体材料は、他の誘電体材料の中でも、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化チタン、窒化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化タンタル、窒化タンタル、酸化マンガン、酸化ニオブ、酸化アンチモン、酸化インジウムスズ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、及びフッ化マグネシウムから選択され得る。別の更なる実施形態では、光吸収バリアは、2層以上、3層以上、4層以上、5層以上、6層以上、7層以上、8層以上、9層以上、10層以上、又はそれ以上を含む多層バリアであってよい。更に追加の実施形態では、光吸収バリアは、約25nm以上、約50nm以上、約75nm以上、約100nm以上、約125nm以上、約150nm以上、約175nm以上、約225nm以上、約250nm以上、約275nm以上、約300nm以上、約325nm以上、約350nm以上、約375nm以上、約400nm以上の厚さを有していてよい。
【0037】
[0043]方法250は、工程265において、光吸収バリア上に反射層を形成することをオプションとして含み得る。実施形態では、反射層は、LED構造から放射され、光吸収バリアを透過した光を、LEDディスプレイ上の画像の表示に有用な方向に反射するように動作可能であってよい。図6は、LED構造605のMQW構造によって放射された光を、LED構造によって放射された光がLEDディスプレイ用の可視光に変換される光変換構造625に向かう方向に反射するように動作可能な、光吸収バリア614上に形成された反射層615の実施形態を示す図である。追加の実施形態では、反射層615は、アルミニウム、銀、又は銅等の1又は複数の反射金属でできていてよい。更に追加の実施形態では、反射層は、約50nm以上、約100nm以上、約150nm以上、約200nm以上、約250nm以上、約300nm以上、又はそれ以上の厚さを有し得る。別の更なる実施形態では、反射層615は、他の形成技法の中でも、スパッタリング、物理気相堆積、化学気相堆積、及び電気めっきによって光吸収バリア614上に形成され得る。
【0038】
[0044]追加の実施形態では、反射層615と接触する光吸収バリア614は、LED構造605によって放射される光の波長における反射層の反射率を増加させ得る。例えば、反射層615は、約92%以下、約91%以下、約90%以下、約89%以下、約88%以下、約87%以下、約86%以下、約85%以下又はそれ未満の光吸収バリア614なしの反射率によって特徴付けられ得る。一方、反射層615は、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上又はそれ以上の光吸収バリア614有りの反射率によって特徴付けられ得る。また更なる例では、光吸収バリアの存在下での反射層の反射率の増加は、約2.5%以上、約5%以上、約7.5%以上、約10%以上、又はそれ以上であってよい。
【0039】
[0045]方法250はまた更に、工程270においてLED基板をLED構造から分離させることを含み得る。実施形態では、この分離工程は、高エネルギー紫外線を使用して、LED基板と、基板と接触するLED構造の表面との間の結合を光解離させるレーザリフトオフ工程を含み得る。図4及び図5に示す実施形態では、高エネルギー紫外線は、LED基板412及び512と接触するLED構造405a~b及び505a~bのn型ドープされたベース層中の窒化ガリウム(GaN)を光解離させる。GaN材料の光解離により、液体ガリウム(Ga)及び窒素ガス403、503が生成される。固体のGaN材料が失われ、窒素ガスの圧力の蓄積が上昇することにより、LED構造405a~b及び505a~bと基板層412及び512との間に分離が生じる。幾つかの実施形態では、LED構造を基板層から分離させるためにほとんど、又は全く力を加える必要がない。
【0040】
[0046]上述したように、実施形態では、光吸収バリア414、514の一部は、基板412、512上のLED構造405aとb、505aとbの間に形成される。実施形態では、光吸収バリアはLED構造の上に形成され、LED構造のベース領域とLED構造が形成された基板との間の接合面には光吸収バリアの部分は形成されない。これにより、基板層を透過した高エネルギー紫外線は、LED構造のベース領域の材料及びLED構造間の基板上に直接形成された光吸収バリアによって吸収される。光吸収バリア414、514、及び614によって高エネルギー紫外線が吸収されることにより、その光が、図4図5、及び図6に示すLED半導体構造400、500、及び600の下層の材料及び構成要素に損傷を与えることが防止される。実施形態では、これらには、図4及び図6に示すはんだバンプ416、616、バックプレーンコンタクト418、618、及びバックプレーン基板420、620が含まれる。また、これらには、図5に示すポリマー材料522及び仮基板524も含まれる。
【0041】
[0047]実施形態では、分離工程270において使用される高エネルギー紫外線は、約4eV以上、約4.1eV以上、約4.2eV以上、約4.3eV以上、約4.4eV以上、約4.5eV以上、約4.6eV以上、約4.7eV以上、約4.8eV以上、約4.9eV以上、約5eV以上、約5.1eV以上、約5.2eV以上、約5.3eV以上、約5.4eV以上、約5.5eV以上、又はそれ以上のピーク強度光子エネルギーによって特徴付けられ得る。追加の実施形態では、高エネルギー紫外線は、約350nm以下、約340nm以下、約330nm以下、約320nm以下、約310nm以下、約300nm以下、約290nm以下、約280nm以下、約270nm以下、約260nm以下、約250nm以下、約240nm以下、約230nm以下、約220nm以下、約210nm以下、約200nm以下、又はそれ未満のピーク強度波長によって特徴付けられ得る。また更なる実施形態では、高エネルギー紫外線は、他のピーク発光波長の中でも、157nm(F)、193nm(ArF)、248nm(KrF)、282nm(CeBr)、308nm(XeCl)、又は351nm(XeF)のピーク発光波長によって特徴付けられるエキシマレーザによって生成され得る。追加の実施形態では、高エネルギー紫外線は、300nm以下(例えば、266nm)のピーク発光波長によって特徴付けられる固体レーザ(例えば、周波数倍増を伴うNd3+-YAGレーザ)によって生成され得る。
【0042】
[0048]方法250は、工程275において光変換領域を形成することもオプションとして含み得る。実施形態では、光変換領域を、LED構造上に形成することができ、LED構造によって放射された光を、LEDディスプレイのピクセル又はサブピクセルを透過するより長い波長の光に変換する。例えば、図6に、LED構造605上に形成された光変換領域625を示す。光変換領域625は、LED構造605によって放射された光を吸収し、LEDディスプレイからより長い波長の光を放射する。実施形態では、LED構造605によって放射される光は、約425nm以下、約415nm以下、約405nm以下、約395nm以下、約385nm以下、約375nm以下、約365nm以下、約355nm以下、又はそれ未満のピーク強度波長によって特徴付けられ得る。この光は、光変換領域625によって吸収され得、これにより、この領域は、約400nm以上、約425nm以上、約500nm以上、約525nm以上、約550nm以上、約575nm以上、約600nm以上、約625nm以上、約650nm以上、約675nm以上、約700nm以上、又はそれ以上のピーク強度波長によって特徴付けられる、より長い波長光を放射する。
【0043】
[0049]実施形態では、光変換層625は、量子ドット層であってよい。追加の実施形態では、量子ドット層は、LED構造605からの光のより短い波長を、赤色光、緑色光、又は青色光のうちの1つに変換するように動作可能であってよい。追加の量子ドット層を他のLED構造(図示せず)上に形成して、LED構造によって放射されたより短い波長の光を、別の赤色光、緑色光、及び青色光に変換することができる。更なる実施形態では、3つのLED構造上の3つの量子ドット層の組み合わせは、赤色光、緑色光、及び青色光を放射するように動作可能なサブピクセルを含むLEDピクセルを形成し得る。多くの実施形態では、順次の工程により、各LEDピクセルのサブピクセルの1つに赤色量子ドット層を形成し、次に、サブピクセルの別の1つに緑色量子ドット層を形成し、次に、サブピクセルの更に別の1つに青色量子ドット層を形成することができる。青色量子ドットの形成後、LEDピクセルのアレイの各LEDピクセルは、赤、緑、青のサブピクセルを含む。
【0044】
[0050]追加の実施形態では、LEDサブピクセルにおいて特定の色の可視光(例えば、赤色光、緑色光、又は青色光)を放射するように動作可能な量子ドット層の形成は、高ピクセル密度LED構造の上に光硬化性流体を分注すること、LEDピクセルのアレイ内の各LEDピクセルのサブピクセルのうちの1つを起動して、そのサブピクセルの上の光硬化性流体を照射して硬化させること、及び起動されなかった他のサブピクセルから未硬化の光硬化性流体を除去することを含み得る。これらの形成工程は、LEDピクセルのアレイ内の各色の光を放射するサブピクセルに対して繰り返すことができる。実施形態では、形成工程は、LEDピクセルのアレイ全体にわたって、量子ドット層をLEDピクセルの起動されたサブピクセルに自己アライメントさせる。量子ドット層を適切な群のサブピクセルに形成するための精密なアライメント工程は必要ない。量子ドット層のセルフアライメントは、サブピクセルのサイズが縮小し、ピクセル密度が高まるにつれて、ますます有益になる。
【0045】
[0051]実施形態では、光硬化性流体は、1又は複数の架橋性化合物、光開始剤、及び色変換剤を含み得る。追加の実施形態では、架橋性化合物は、硬化したときにポリマーを形成するモノマーを含み得る。更なる実施形態では、モノマーは、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、及びアクリルアミドモノマーを含み得る。更に多くの実施形態では、架橋性化合物は、SU-8フォトレジスト等のネガ型フォトレジスト材料を含み得る。更なる実施形態では、光開始剤は、紫外線によって励起されたときに不飽和化合物の硬化を開始するラジカルを生成する他の種類の光開始剤化合物の中でも、ホスフィンオキシド化合物及びケト化合物を含み得る。市販の光開始剤化合物としては、他の光開始剤の中でも、Irgacure184、Irgacure819、Darocur1173、Darocur4265、DarocurTPO、Omnicat250、及びOmnicat550が挙げられる。また更なる実施形態では、色変換剤は、LED構造からのより短い波長の(すなわち、高エネルギーの)光を吸収し、サブピクセルによって放射される光の色に対応するより長い波長の光を放射することができる量子ドット材料を含み得る。実施形態では、これらの量子ドット材料は、他の半導体材料の中でも、リン化インジウム、銀-インジウム-ガリウム-硫黄(AIGS)、セレン化カドミウム、テルル化カドミウム、セレン化亜鉛、硫化亜鉛、シリコン、ケイ酸塩、グラフェン、ドープされた無機酸化物等の1又は複数の種類の無機半導体材料でできたナノ粒子を含み得る。
【0046】
[0052]方法250のような本技術の実施形態は、レーザリフトオフ工程によって引き起こされる構造のバックプレーン構成要素への損傷が少ないLED半導体構造を製造するための工程を含む。これらの工程には、除去可能なLED基板の領域の基板上に形成されたLED構造間に光吸収バリアを形成することが含まれる。光吸収バリアは、そうでなければデバイス間領域を貫き、バックプレーン基板の材料を光イオン化するであろう高エネルギー紫外線を吸収する。追加の実施形態では、高エネルギー紫外線を吸収する光吸収バリアは、低エネルギー紫外線及び可視光の透過率及び反射率を改善することができる。光吸収バリア及び反射層の両方を含むLED半導体構造を含む本技術の実施形態では、光吸収バリアは、LED構造によって放射される光の反射層での反射割合を数パーセント増加させることができる。従って、本技術の実施形態は、光吸収バリアと反射層とを組み合わせた反射率の向上により、レーザリフトオフ工程による損傷を低減し、有用な光の放射を増加させたLEDディスプレイの製造方法を提供する。
【0047】
[0053]これまでの明細では、本技術の様々な実施形態の理解が得られるように、説明の目的で、多数の詳細を記載してきた。しかし、当業者であれば、これらの詳細の一部を省略して、又は追加の詳細を加えて、特定の実施形態を実施することができることは明らかであろう。
【0048】
[0054]幾つかの実施形態を開示したが、実施形態の主旨から逸脱することなく、様々な修正、代替構造、及び同等物を使用できることが当業者によって認識されるであろう。更に、本技術を不必要に曖昧にすることを避けるために、幾つかの周知のプロセス及び要素は説明していない。従って、上記の明細を、本技術の範囲を限定するものと解釈すべきではない。更に、方法又はプロセスは、順次又は段階的に説明され得るが、工程は、同時に、又は列挙されたものとは異なる順序で実行され得ることが理解されるべきである。
【0049】
[0055]値の範囲が提供される場合、文脈が明確に別段の指示をしていない限り、その範囲の上限と下限との間の、下限の単位の最小部分までの各介在値もまた、具体的に開示されることを理解されたい。いずれかの記載された値又は記載された範囲の記載されていない介在値と、その記載された範囲の他のいずれかの記載された値又は介在値との間のいかなるより狭い範囲も含まれる。これらのより小さい範囲の上限と下限は、独立して範囲に含まれる又は除外される場合があり、より小さい範囲に範囲のうちの一方の限界値、又は両方の限界値が含まれる、又は範囲のうちのどちらの限界値も含まれない各範囲も、記載された範囲におけるいずれかの具体的に除外された限界値に従って、本技術内に含まれる。記載された範囲に限界値の一方又は両方が含まれる場合、それら含まれる限界値の一方又は両方を除外する範囲も含まれる。
【0050】
[0056]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数形の参照を含む。従って、例えば、「トレンチ(a trench)」への言及は、そのような複数のトレンチを含み、「層(the layer)」への言及は、当業者に公知の1又は複数の層及びその等価物等への言及を含む。
【0051】
[0057]また、本明細書及び以下の特許請求の範囲で使用する場合、「含む、備える(comprise)」、「含む、備える(comprising)」、「含む(contain)」、「含む(containing)」、「含む(include)」、及び「含む(including)」という用語は、記載された特徴、整数、構成要素、又は工程の存在を指定するものであるが、それらは、1又は複数の他の特徴、整数、構成要素、工程、動作、又は群の存在又は追加を排除するものではない。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
【国際調査報告】