(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】前駆体供給システム用の濃度センサ
(51)【国際特許分類】
C23C 16/448 20060101AFI20240730BHJP
G05D 7/06 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
C23C16/448
G05D7/06 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579823
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 US2022035352
(87)【国際公開番号】W WO2023278474
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シャー, ヴィヴェック ビー.
(72)【発明者】
【氏名】チャカリアン, ヴァロウジャン
(72)【発明者】
【氏名】ウメサラ, ウペンドラ
【テーマコード(参考)】
4K030
5H307
【Fターム(参考)】
4K030AA11
4K030BA02
4K030BA10
4K030BA17
4K030BA18
4K030BA38
4K030EA01
4K030KA41
5H307BB01
5H307DD01
5H307ES04
5H307FF08
5H307FF12
5H307FF15
5H307FF18
(57)【要約】
濃度センサアセンブリは、化合物を有する気化チャンバを含み得る。濃度センサアセンブリは、気化チャンバに結合された第1の流路を含み得る。第1の流路は、第1のガスを気化チャンバに導くことができる。第2の流路は、第2のガスを気化チャンバの外に導くことができる。第2のガスは、化合物と第1のガスとを含み得る。第1のセンサは、第1の流路に沿って配置される。第1のセンサは、第1のガスの第1の質量流量を示す第1のデータを測定する。第2のセンサは、第2の流路に沿って配置される。第2のセンサは、第2のガスの第2の質量流量を示す第2のデータを測定する。コンピューティングデバイスは、第1のデータおよび第2のデータに基づいて、第2のガス内の気化物質の濃度を判定し得る。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物を含み、前記化合物を気体状態に遷移させるための気化チャンバと、
前記気化チャンバに結合され、第1のガスを前記気化チャンバに導くための第1の流路と、
前記気化チャンバに結合され、前記化合物と前記第1のガスとを含む第2のガスを前記気化チャンバの外に導くための第2の流路と、
前記第1の流路に沿って配置され、前記第1の流路内の前記第1のガスの第1の質量流量を示す第1のデータを測定するための第1のセンサと、
前記第2の流路に沿って配置され、前記第2の流路内の前記第2のガスの第2の質量流量を示す第2のデータを測定するための第2のセンサと、
前記第1のセンサおよび前記第2のセンサに結合され、前記第1のデータおよび前記第2のデータに基づいて前記第2のガス内の前記化合物の濃度を判定するためのコントローラと、
を備える、濃度センサアセンブリ。
【請求項2】
前記第1のセンサまたは前記第2のセンサの少なくとも1つが質量流量コントローラを含む、請求項1に記載の濃度センサアセンブリ。
【請求項3】
前記第1の流路に沿って配置された第1のバルブと、
前記第2の流路に沿って配置された第2のバルブと、
をさらに備え、
前記第1のバルブが、前記第1のガスの第1の流量を変更するために選択的に開閉し、前記第2のバルブが、前記第2のガスの第2の流量を変更するために選択的に開閉する、
請求項1に記載の濃度センサアセンブリ。
【請求項4】
前記化合物が、基板を処理するための前駆体を含む、請求項1に記載の濃度センサアセンブリ。
【請求項5】
前記気化チャンバに結合された第3の流路をさらに備え、前記第3の流路が、前記化合物を前記気化チャンバに導く、請求項1に記載の濃度センサアセンブリ。
【請求項6】
前記第3の流路に沿って配置された第3のセンサをさらに備え、前記第3のセンサが、前記第3の流路内の前記化合物の第3の質量流量を示す第3のデータを測定し、前記コントローラが、前記第3のデータにさらに基づいて前記化合物の前記濃度を計算する、請求項5に記載の濃度センサアセンブリ。
【請求項7】
前記コントローラがさらに、前記濃度に基づいて前記気化チャンバ内の前記化合物の減少速度を判定する、請求項6に記載の濃度センサアセンブリ。
【請求項8】
前記気化チャンバの温度を示す第3のデータを測定するための第3のセンサをさらに備え、前記コントローラが前記第3のデータにさらに基づいて前記化合物の前記濃度を計算する、請求項1に記載の濃度センサアセンブリ。
【請求項9】
前駆体を含む気化容器と、
前記気化容器に結合され、前記気化容器内にキャリアガスを導くための第1の流路と、
前記気化容器に結合され、前記キャリアガスと前記前駆体とを含む処理ガスを前記気化容器の外に導くための第2の流路と、
前記第2の流路に結合された処理チャンバであって、前記第2の流路が前記処理ガスを前記処理チャンバに導くものである、処理チャンバと、
前記第1の流路に沿って配置され、前記第1の流路内の前記キャリアガスの第1の流量を示す第1のデータを測定するための第1の流量計と、
前記第2の流路に沿って配置され、前記第2の流路内の前記処理ガスの第2の流量を示す第2のデータを測定するための第2の流量計と、
前記第1の流量計および前記第2の流量計に結合され、前記第1のデータおよび前記第2のデータに基づいて前記処理ガス内の前記前駆体の濃度を判定するためのコントローラと、
を備える、前駆体供給システム。
【請求項10】
前記前駆体が、前記処理チャンバ内で基板を処理するための前駆体を含む、請求項9に記載の前駆体供給システム。
【請求項11】
前記第1の流路に沿って配置された第1のバルブと、前記第2の流路に沿って配置された第2のバルブとをさらに備え、前記第1のバルブが、前記キャリアガスの前記第1の流量を変更するために選択的に開閉し、前記第2のバルブが、前記処理ガスの前記第2の流量を変更するために選択的に開閉する、請求項9に記載の前駆体供給システム。
【請求項12】
第3の流路に沿って配置された第3の流量計をさらに備え、前記第3の流路が前記前駆体を前記気化容器に導き、前記第3の流量計が、前記第3の流路内の前記前駆体の第3の流量を示す第3のデータを測定し、前記コントローラが、さらに前記第3のデータを使用して前記前駆体の前記濃度を計算する、請求項9に記載の前駆体供給システム。
【請求項13】
第3の流路に沿って配置された第3の流量計をさらに備え、前記第3の流路が、第2のキャリアガスを前記気化容器内に導き、前記第3の流量計が、前記第3の流路内の前記第2のキャリアガスの第3の流量を示す第3のデータを測定し、前記コントローラが、さらに前記第3のデータを使用して前記前駆体の前記濃度を計算する、請求項9に記載の前駆体供給システム。
【請求項14】
前記コントローラがさらに、前記濃度に基づいて前記気化容器内の前記前駆体の減少速度を判定する、請求項9に記載の前駆体供給システム。
【請求項15】
前記気化容器の温度を示す第3のデータを測定するための温度センサをさらに備え、前記コントローラが、前記第3のデータをさらに使用して前記前駆体の前記濃度を計算する、請求項9に記載の前駆体供給システム。
【請求項16】
処理デバイスによって、第1のセンサから、キャリアガスの第1の質量流量を示す第1のデータを受信することと、
前記処理デバイスによって、第2のセンサから、前記キャリアガスと気化物質とを含む化合物ガスの第2の質量流量を示す第2のデータを受信することと、
前記処理デバイスによって、第3のセンサから、前記気化物質の気化に関連する気化容器の温度を示す第3のデータを受信することと、
前記処理デバイスにより、前記第1のデータ、前記第2のデータ、および前記第3のデータに基づいて、前記化合物ガス内の前記気化物質の濃度を判定することと、
a)前記キャリアガスの流量を変更すること、またはb)グラフィカルユーザインターフェース(GUI)による表示のための前記濃度を提供すること、のうちの少なくとも1つを実行することと、
を含む方法。
【請求項17】
前記気化物質が、基板を処理するための前駆体を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記処理デバイスによって、第4のセンサから、第2のキャリアガスの第3の質量流量を示す第4のデータを受信することであって、前記化合物ガスが前記第2のキャリアガスをさらに含む、第4のデータを受信すること、
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のデータ、前記第2のデータ、および前記第3のデータを機械学習モデルへの入力として使用することと、
前記機械学習モデルの1つまたは複数の出力を取得することであって、前記1つまたは複数の出力が、前記化合物ガス内の前記気化物質の前記濃度を示す、前記機械学習モデルの1つまたは複数の出力を取得することと、
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記濃度に基づいて前記気化容器内に配置された前記気化物質の量を判定することと、
前記GUIにより、表示する前記量を提供することと、
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、概して、処理チャンバへのガス供給に関する。より詳細には、本明細書は、処理ガス内の前駆体の濃度を測定するためのセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、単一チップ上に数百万個のトランジスタ、コンデンサ、抵抗器を含む複雑なデバイスに進化した。チップ設計の進化により、回路の高速化と回路密度の向上とが継続的に求められており、精密な製造処理がますます要求されている。基板の精密な処理には、処理中に使用される流体の供給における温度、流量、および圧力の正確な制御が必要である。
【0003】
化学気相堆積(CVD)および原子層堆積(ALD)は、基板上にさまざまな材料を形成または堆積するために使用される気相堆積処理である。一般に、CVDおよびALD処理は、反応の熱力学に有利な温度および圧力条件下で化学反応が起こる基板表面へのガス状反応物の供給を伴う。CVD処理またはALD処理を使用して形成され得る層の種類と組成は、化学反応物または前駆体を基板表面に供給する能力によって制限される。さまざまな固体および/または液体前駆体が、キャリアガス内で前駆体を供給することにより、CVDおよびALD適用中に使用されることに成功している。
【0004】
キャリアガスは、場合によっては、前駆体を気化させる条件下で揮発性液体前駆体を含む、アンプルまたはバブラーなどの加熱された容器またはキャニスタを通過する。他の場合には、固体前駆体を昇華させる条件下で、固体前駆体を含む加熱された容器をキャリアガスが通過する。昇華処理は通常、固体前駆体が装填または充填された容器内で実行され、容器壁が加熱されて固体前駆体材料が昇華すると同時に、ガス状前駆体が生成される。いずれの場合も、キャリアガスは気化した前駆体と結合して処理ガスを形成し、この処理ガスは専用の導管またはガスラインを介して容器から反応チャンバに引き込まれる。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの実施形態では、濃度センサアセンブリは、化合物を有する気化チャンバを含む。気化チャンバは、化合物を(昇華または気化などを介して)気体に遷移させる。濃度センサアセンブリは、気化チャンバに接続された第1の流路をさらに含み得る。第1の流路は、第1のガスを気化チャンバに導くことができる。第2の流路は気化チャンバに結合されている。第2の流路は、第2のガスを気化チャンバの外に導く。第2のガスは、化合物ガスと第1のガスとを含む。第1のセンサは、第1の流路に沿って配置されている。第1のセンサは、第1の流路内の第1のガスの第1の質量流量を示す第1のデータを測定する。第2のセンサは第2の流路に沿って配置されている。第2のセンサは、第2の流路内の第2のガスの第2の質量流量を示す第2のデータを測定する。濃度センサは、第1のセンサおよび第2のセンサに結合されたコンピューティングデバイスをさらに含み得る。コンピューティングデバイスは、第1のデータおよび第2のデータに基づいて、第2のガス内の化合物の濃度を判定する。
【0006】
いくつかの実施形態では、前駆体濃度供給システムは気化容器を含む。気化容器は前駆体を含む。第1の流路は気化容器に接続されている。第1の流路はキャリアガスを気化容器に導く。第2の流路は気化容器に接続されている。第2の流路は処理ガスを気化容器の外に導く。処理ガスはキャリアガスと前駆体とを含む。処理チャンバは第2の流路に接続されている。第2の流路は処理ガスを処理チャンバに導く。第1の流量計は、第1の流路に沿って配置されている。第1の流量計は、第1の流路内のキャリアガスの第1の流量を示す第1のデータを測定する。第2の流量計は、第2の流路に沿って配置されている。第2の流量計は、第2の流路内の処理ガスの第2の流量を示す第2のデータを測定する。コンピューティングデバイスは第1の流量計と第2の流量計とに結合されている。コンピューティングデバイスは、第1のデータと第2のデータとに基づいて処理ガス内の前駆体の濃度を判定する。
【0007】
いくつかの実施形態では、方法は、処理デバイスによって、第1のセンサから、キャリアガスの第1の質量流量を示す第1のデータを受信することを含む。処理デバイスは、第2のセンサから、キャリアガスと気化物質とを含む化合物ガスの第2の質量流量を示す第2のデータを受信する。処理デバイスは、第3のセンサから、気化物質の気化に関連する気化容器の温度を示す第3のデータを受信する。処理デバイスは、第1のデータ、第2のデータおよび第3のデータに基づいて、化合物ガス内の気化物質の濃度を判定する。本方法は、キャリアガスの流量を変更することを含んでもよい。本方法は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)による表示のための濃度を提供することを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A-1B】いくつかの実施形態による、濃度センサアセンブリの例示的な実施形態を示す図である。
【
図2】いくつかの実施形態による、ガス供給システムを示す図である。
【
図3】いくつかの実施形態による、ガス供給システムを示す図である。
【
図4】いくつかの実施形態による、前駆体供給システムを示す図である。
【
図5】いくつかの実施形態による、前駆体の濃度を判定するための方法のフローチャートである。
【
図6】本開示の一実施形態による、濃度センサのモデル訓練ワークフローおよびモデル適用ワークフローを示す図である。
【
図7】本開示の一実施形態による、処理ガス内に配置された揮発性物質の濃度を判定するために機械学習モデルを訓練する方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【
図8】本開示のいくつかの実装形態による、訓練された機械学習モデルを使用して揮発性物質の濃度を判定するための方法の一例のフロー図を示す。
【
図9】本開示の1つまたは複数の態様に従って動作する、ガスの濃度を計算することができる例示的なコンピューティングデバイスのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
前述したように、化学気相堆積(CVD)および原子層堆積(ALD)は、基板上にさまざまな材料を形成または堆積するために使用される気相堆積処理である。一般に、CVDおよびALD処理は、反応の熱力学に有利な温度および圧力条件下で化学反応が起こる基板表面へのガス状反応物の供給を伴う。CVD処理またはALD処理を使用して形成され得る層の種類と組成は、化学反応物または前駆体を基板表面に供給する能力によって制限される。さまざまな固体および/または液体前駆体が、キャリアガス内で前駆体を供給することにより、CVDおよびALD用途で上手く使用されてきた。
【0010】
キャリアガスは、場合によっては、前駆体を気化させる条件下で揮発性液体前駆体を含む、アンプルまたはバブラーなどの加熱された容器またはキャニスタを通過する。他の場合には、固体前駆体を昇華させる条件下で、固体前駆体を含む加熱された容器をキャリアガスが通過する。昇華処理は通常、固体前駆体が装填または充填された容器内で実行され、容器壁が加熱されて固体前駆体材料が昇華すると同時に、ガス状前駆体が生成される。いずれの場合も、キャリアガスは気化した前駆体と結合して処理ガスを形成し、この処理ガスは専用の導管またはガスラインを介して容器から反応チャンバに引き込まれる。
【0011】
従来、固体前駆体を利用した気相堆積処理では、いくつかの問題が発生する可能性がある。固体前駆体は昇華して気体状態になるのに十分な熱を与える必要があるが、過度の熱にさらされると固体前駆体が分解する可能性がある。有機金属固体前駆体は通常非常に高価であるが、特に熱分解を受けやすいため、一般に昇華処理中は狭い温度および圧力範囲内に維持する必要がある。固体前駆体は分解されると、容器内に残っている前駆体、導管およびバルブの供給システム、および/または処理チャンバ、さらには基板を汚染する可能性がある。さらに、固体前駆体を過熱すると、処理ガス内の前駆体濃度が高くなりすぎる可能性があり、使用されない前駆体が無駄になったり、供給ライン内や基板上で前駆体が凝縮したりする可能性がある。
【0012】
代替的に、または追加的に、固体前駆体は、さらされる熱が少なすぎると昇華しない可能性がある。キャリアガスが容器を通って流れ、固体前駆体に衝撃を与えると、固体前駆体からの微粒子がキャリアガスに取り込まれ、処理チャンバに移送され得る。これらの固体または液体の微粒子は、供給システム、処理チャンバ、および/または基板の汚染源となる可能性がある。微粒子汚染の問題は、固体前駆体と混合された液体キャリア材料を含めることによって当該技術分野で対処されてきた。しかし、液体キャリア材料と固体前駆体との混合物は、限られた温度および圧力範囲外では、液体キャリア材料は蒸発し、供給システム、処理チャンバ内、および/または基板上で汚染物質となる可能性があるため、伝達力がない可能性がある。
【0013】
従来、前駆体(および他の液体)は、半導体製造中にさまざまな種類の反応性ガスを処理(または反応性)チャンバに導入することによって化学反応を誘発する。CVD処理では、ガスの代わりに液体前駆体を使用する傾向が高まっている。液体前駆体の人気は、ガス状のものよりも有害、可燃性、腐食性、毒性が低いという物理的特性に部分的に基づいている。例えば、半導体デバイスの製造に使用されるより一般的な液体の1つはテトラエチルオルトシリケート(TEOS)であり、シランの代わりに使用されることがよくある。TEOSを使用すると、検出可能な欠陥のないコンフォーマルな二酸化ケイ素(SiO2)膜を、シランを使用する場合よりも優れたステップカバレッジで、危険性を大幅に低減して堆積できる。有機金属CVD(MOCVD)処理では、気体前駆体が入手できないため、銅などの金属の液体前駆体がよく使用される。
【0014】
液体前駆体(および他の処理液体)は最初は液体であるため、前駆体を気体として供給ラインを通して供給するために気体状態に変換される。製造作業または供給ライン環境における障害、特に温度と圧力に影響を与える障害は、供給ライン内でガスの一部が凝縮する可能性がある。このような凝縮は、粒子を吸収して処理チャンバ内に運び、基板上に粒子を堆積させ、基板やその結果として製造されるデバイスに粒子欠陥を引き起こす可能性がある。
【0015】
処理ガス内で使用される前駆体の量または前駆体の濃度を判定することによって、前駆体供給システムにおける潜在的な問題を検出および認識する方法が開示される。上で参照した問題の多くは、前駆体供給システム内の流量を高分解能で制御することで改善またはそうでなくても軽減され得る。堅牢な測定条件下で機能する、効率的でコスト効率の高い濃度センサが必要である。例えば、一部の従来の濃度センサまたは濃度モニタは、さまざまなキャリアガスとともに流れるさまざまな前駆体の濃度を測定できない、高価な専用機器を含み得る。従来の濃度センサには、事前に較正され、さまざまなキャリアガスおよび/または前駆体に合わせた特定の機器の仕様および/または構成に依存する光学センサなどの高価な機器が必要となることがよくある。
【0016】
本開示の態様および実装形態は、化合物ガス(例えば、処理ガス)内の化合物(例えば、前駆体)の濃度を判定するためのアセンブリ、システム、および/または方法を提供することによって、既存の技術のこれらおよび他の欠点に対処する。いくつかの実施形態では、圧力、質量流量、および気化速度の間の関係を利用して、化合物が気化によって統合される前後のガスの質量流量を判定する。例えば、質量流量計は、化合物(例えば、前駆体)の気化前後の流量を測定して、ガス供給システムのポイントを通って流れる化合物の量(例えば、濃度)を判定するように較正および構成され得る。別の例では、キャリアの分子量が変化しない可能性が高いことを認識しながら、密度の変化(つまり、蒸気圧と分子量との積)を蒸気圧と分子量との逆関係と組み合わせて利用し、気化した化合物の濃度を判定する。
【0017】
例示的な実施形態では、濃度センサアセンブリは、化合物を含む気化チャンバを含む。気化チャンバは化合物を気化させる。濃度センサアセンブリは、気化チャンバに接続された第1の流路をさらに含んでいてもよい。第1の流路は、第1のガス(例えば、キャリアガス)を気化チャンバに導くことができる。第2の流路は気化チャンバに結合されている。第2の流路は、第2のガス(例えば、キャリアガスと前駆体ガス)を気化チャンバの外に導く。第2のガスは、化合物ガスと第1のガスとを含む。第1のセンサは、第1の流路に沿って配置されている。第1のセンサは、第1の流路内の第1のガスの第1の質量流量を示す第1のデータを測定する。第2のセンサは第2の流路に沿って配置されている。第2のセンサは、第2の流路内の第2のガスの第2の質量流量を示す第2のデータを測定する。濃度センサは、第1のセンサおよび第2のセンサに結合されたコンピューティングデバイスをさらに含み得る。コンピューティングデバイスは、第1のデータおよび第2のデータに基づいて、第2のガス内の化合物の濃度を判定する。コンピューティングデバイスは、例えば、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、システムオンチップ(SoC)、コンピュータ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または他のタイプのコンピューティングデバイスであってもよい。
【0018】
例示的な実施形態では、前駆体濃度供給システムは気化容器を含む。気化容器は前駆体を含む。第1の流路は気化容器に接続されている。第1の流路はキャリアガスを気化容器に導く。第2の流路は気化容器に接続されている。第2の流路は気化容器から処理ガスを導く。処理ガスはキャリアガスと前駆体とを含む。処理チャンバは第2の流路に接続されている。第2の流路は処理ガスを処理チャンバに導く。第1の流量計は第1の流れに沿って配置されている。第1の流量計は、第1の流路内のキャリアガスの第1の流量を示す第1のデータを測定する。第2の流量計は、第2の流路に沿って配置されている。第2の流量計は、第2の流路内の処理ガスの第2の流量を示す第2のデータを測定する。コンピューティングデバイスは第1の流量計および第2の流量計に結合されている。コンピューティングデバイスは、第1のデータと第2のデータに基づいて処理ガス内の前駆体の濃度を判定する。
【0019】
例示的な実施形態では、方法は、処理デバイスまたはコンピューティングデバイスによって、第1のセンサから、キャリアガスの第1の質量流量を示す第1のデータを受信することを含む。処理デバイスは、キャリアガスと気化物質とを含む化合物ガスの第2の質量流量を示す第2のデータを第2のセンサから受信する。処理デバイスは、第3のセンサから、気化物質の気化に関連する気化容器の温度を示す第3のデータを受信する。処理デバイスは、第1のデータ、第2のデータおよび第3のデータに基づいて、化合物ガス内の気化物質の濃度を判定する。本方法は、キャリアガスの流量を変更することを含んでもよい。本方法は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)による表示用の濃度を提供することを含んでもよい。例えば、コンピューティングデバイスは、判定された濃度を出力できるディスプレイを含んでいてもよい。
【0020】
本開示の態様は、従来のシステムに比べてさまざまな技術的利点および改善を提供する。前に概説したように、濃度を測定する方法は難しく、信頼性に欠け、および/または、一般的に非効率的である可能性がある。いくつかの実施形態では、濃度センサアセンブリは、化合物およびガスが修飾される可能性があるガス(例えば、キャリアガス)内の化合物(例えば、前駆体)の濃度を測定することができる。例えば、キャリアガスは、物理的な機器の再構成を必要とせずに、特定の目的(例えば、質量流量の低減、その表面の表面上の化学的相互作用の改善、前駆体との能力の向上など)に選択的に使用することができる。センサは、使用されるキャリアガスと前駆体の最新データで較正され、濃度測定が実行される。
【0021】
図1A~
図1Bは、いくつかの実施形態による、濃度センサアセンブリ100A~100Bの例示的な実施形態を示す。
図1Aは、バイパスモードまたは較正モードで動作する濃度センサアセンブリ100Aを示す。
図1Bは、ガス供給モードで動作する濃度センサアセンブリ100Bを示す。
図1A~
図1Bに示すように、濃度センサアセンブリ100A~100Bは、第1の流路102を含む。第1の流路102は、チャンバ脚部114Aを介して第1の流路に結合され得る気化チャンバ108(例えば、アンプル、容器など)に第1のガスを導く、または気化チャンバ108を通過するように導く。気化チャンバ108は、(例えば、気化、昇華などにより)気体状態(例えば、蒸気)に遷移され得る化合物(例えば、固体および/または液体前駆体)を収容することができる。第2の流路112は、チャンバ脚部114Bを介して気化チャンバに結合され得る。第2の流路112は、第2のガスを気化チャンバの外に導くことができる。第2のガスは、第1のガスと気体状態の化合物とを含んでもよい。
【0022】
図1A~
図1Bに示すように、第1のセンサ104は、第1の流路102に沿って配置され得る。第1のセンサ104は、第1の流路内の第1のガスの第1の質量流量を示す第1のデータを測定することができる。例えば、センサ104は、第1の流路102内の第1のガスの状態を測定するための、質量流量計、質量流量コントローラ(MFC)、体積流量計、圧力センサ、温度センサ、質量センサ、および/または他のセンサを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、センサ104は質量流量を直接測定する。他の実施形態では、センサ104は、第1の流路102内の第1のガスの体積流量、分子量、および/または圧力のうちの1つまたは複数を測定する。センサ104によって測定されたデータは、データ処理のためにコンピューティングデバイス(図示せず)に通信され得る。
【0023】
第2のセンサ110は、第2の流路112に沿って配置され得る。第2のセンサ110は、気化チャンバ108から出る第2のガス(例えば、処理ガスまたは化合物ガス)の第2の質量流量を示す第2のデータを測定することができる。例えば、センサ110は、第2の流路112内の第2のガスの状態を測定するための、質量流量計、MFC、体積流量計、圧力センサ、温度センサ、質量センサ、および/または他のセンサを含んでもよい。いくつかの実施形態では、センサ110は質量流量を直接測定する。他の実施形態では、センサ110は、第2の流路112内の第1のガスの体積流量、分子量、および/または圧力のうちの1つまたは複数を測定する。第2のセンサ110によって測定されたデータは、データ処理のためにコンピューティングデバイス(図示せず)に通信され得る。
【0024】
図1Aに示すように、濃度センサアセンブリ100Aはバイパス流路106を含む。バイパス流路106は、気化チャンバ108をバイパスし、気化した化合物の凝集を避けるためにキャリアガスによって使用され得る。バイパス流路106は、第2のセンサ110を較正するために利用され得る。例えば、第2のセンサ110は、質量流量測定および/または全体の濃度判定の精度を向上させるなどのために、線形性および/またはゼロオフセットに関して較正されてもよい。
【0025】
説明したように、第1のセンサ104および第2のセンサ110によって測定されたデータは、コンピューティングデバイスによって受信および処理され得る。次のガス特性を利用して質量流量を測定し、濃度を計算することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイスは、第1のセンサ104の測定値と第2のセンサ110の測定値との間の密度の変化(例えば、蒸気圧と分子量の積)を判定する。例えば、分子量が28グラム/モル(g/mol)のガスが第1の流路を通過する場合がある。これは、第1のガスが100torrの圧力で毎分250標準立方センチメートル(sccm)で流れていることをセンサ104で判定することによって測定され得る。気化チャンバ108を通過して化合物を取り出した後、第1のガス(例えば、キャリアガス)と化合物(例えば、前駆体)とを含む混合ガスが第2の流路を流れる。第2のセンサは平均分子量30.89g/molを測定し得る。これはキャリアガス単独よりも約10%大きい。平均分子量は、約275sccmの流量と100torrの圧力を測定することによって判定され得る。気化した化合物によるキャリアガスの増加率は、化合物ガス内の化合物の濃度を示す。
【0027】
濃度の計算方法は種に依存しないことに注意されたい。光学センサのような従来の濃度センサは、密度、分子量、流量などに制限がある所定の種仕様ウインドウを測定するために再較正および製造されている。対照的に、実施形態は、さまざまなガス(例えば、キャリアガスおよび処理ガス)およびさまざまな化合物(例えば、前駆体)に対して機能することができる種に依存しない計算を可能にする。
【0028】
いくつかの実施形態では、第1のセンサ114は、第1の流路102内の第1のガスの流れを制御するための質量流量コントローラをさらに含む。コンピューティングデバイスは、化合物濃度の判定に基づいて、第1の流路203内の第1のガスおよび/または第2の流路112内の第2のガスの流量を変更するように、1つまたは複数の流量コントローラに命令を送信することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、濃度センサアセンブリ100A~100Bは、第1の流路に沿って配置された第1のバルブを含み得る。第1のバルブは、第1のセンサ104と一体化されてもよいし、または他の方法で第1のセンサ104に結合されてもよい。第1のバルブは、第1のガスの第1の流量を変更するために選択的に開閉され得る。例えば、第1のバルブは、(例えば、化合物濃度の判定に基づいて)コンピューティングデバイスによって制御されてもよい。いくつかの実施形態では、濃度センサアセンブリ100A~100Bは、第2の流路112に沿って配置された第2のバルブを含み得る。第2のバルブは、第2のセンサ110と一体化されてもよく、または他の方法で第2のセンサ110に結合されてもよい。第2のバルブは、第2のガスの第2の流量を変更するために選択的に開閉され得る。例えば、第2のバルブは、(例えば、化合物濃度の判定に基づいて)コンピューティングデバイスによって制御され得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、他の図に関連して広範に説明されるように、化合物は基板を処理するための前駆体を含んでもよい。追加的に、または代替的に、他の実施形態でさらに説明するように、濃度センサアセンブリ100A~100Bは、気化チャンバ108に結合された第3の流路を含んでもよい。第3の流路は、化合物を気化チャンバ108内に導くことができる。第3の流路に沿って第3のセンサが配置されていてもよい。第3のセンサは、第3の質量流量を示す第3のデータを測定することができる(例えば、センサ104および/または110と同様)。コンピューティングデバイスは、さらに第3のデータに基づいて、第2のガス内の化合物の濃度を計算してもよい。コンピューティングデバイスはさらに、第2のガス内の判定された濃度に基づいて、気化チャンバ108内の化合物の減少速度を判定することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、他の実施形態でさらに説明するように、濃度センサアセンブリ100A~100Bは、気化チャンバの状態を示すデータを測定するためのセンサを含み得る。例えば、センサはチャンバ内の温度、圧力などを測定し得る。コンピューティングデバイスは、さらに気化チャンバの状態に基づいて化合物の濃度を計算し得る。
【0032】
図2は、いくつかの実施形態によるガス供給システム200を示す。
図2に示すように、ガス供給システム200は処理チャンバ202を含む。処理チャンバ202は、化学気相堆積(CVD)チャンバ、原子層堆積(ALD)チャンバ、またはエッチングチャンバなどの任意の適切な半導体処理チャンバであってもよい。いくつかの実施形態では、エッチングチャンバは窒化タンタル(TaN)ALDを実行するのに適している場合がある。
【0033】
ガス供給システム200は、処理ガス208を介して前駆体206を容器204から処理チャンバ202に輸送する。通常、前駆体206は、昇華または気化処理によって容器204内で固体または液体から気体(または蒸気)に状態を変化させる。昇華または気化処理は、任意の適切な周知の技術によって開始され得る。例えば、前駆体206は、所定の温度に加熱され得るか、または容器204内の発泡液体と混合され得る。いくつかの実施形態では、昇華および/または気化処理を調節するために容器124の温度を制御することができる。
【0034】
第1の流路は、容器204(例えば、気化容器)に結合され得る。第1の流路は、キャリアガスを容器204内に導くことができる。キャリアガス210は、バルブ212、流量計216、および/または第2のバルブ214のうちの1つまたは複数を通って容器204に流れ、気化した前駆体206と混合する。第2の流路は容器204に結合され得る。第2の流路は、処理ガス208を容器204の外に導くことができる。第2の流路は、処理ガス208を処理チャンバ202に導くものである。例えば、処理ガス208は容器204から流出し、気化した前駆体206をバルブ217、流量計220、および/またはバルブ218のうちの1つまたは複数を介して処理チャンバ202に輸送する。いくつかの実施形態では、ガス供給システム200は、例えばバルブ214からバルブ217へのバイパスライン、または容器をバイパスする同等の流路を含んでもよい。バイパスラインは、例えば、流量計220を較正するため、または処理チャンバ202をパージするために、キャリアガス210が処理チャンバに直接流れることを可能にし得る。
【0035】
前駆体206の材料は、処理チャンバ202内で実行される特定の処理に基づいて選択されてもよい。例えば、前駆体206は、ウエハ上に金属膜(W)を堆積するためのタングステンカルボニル(W(CO)6)などの有機金属材料であってもよい。別の例として、タンタルを含む膜を形成するために、前駆体206はペンタジメチルアミノタンタル(PDMAT)であってもよい。別の例として、前駆体206は、例えばフッ化物をエッチングチャンバに供給するための、ウエハ上に誘電体材料の層を堆積するための前駆体、または二フッ化キセノン(XeF2)であってもよい。キャリアガス210は通常、前駆体206に基づいて選択される。例えば、前駆体206がタングステンカルボニルである場合、キャリアガス210としてアルゴンを選択することができる。キャリアガス210は、アルゴンまたはヘリウムなどの不活性ガスであってもよく、前駆体206と反応性であっても非反応性であってもよい。
【0036】
理解を容易にするために、ガス供給システム200は、処理チャンバ202への1つのガスのみの供給として示されている。しかし、ガス供給システム200は、追加のガスを処理チャンバ202に供給する(すなわち、追加の前駆体を運ぶ)ことができ、複数のガス供給システムも企図される。また、ガス供給システム200が、バイパスバルブ、パージバルブ、流量コントローラ、および/または温度コントローラなど、図示されていない追加の構成要素を備えていてもよいことも当業者には理解されよう。
【0037】
容器204は、例えば、前駆体206を昇華および/または気化させるために使用される圧力および温度に耐えることができる任意の適切な容器であってよい。いくつかの実施形態では、容器はバブラーを含んでもよい。前述したように、従来の処理システムでは、処理ガス208内に配置され、処理チャンバ202に供給される前駆体206の量(例えば、濃度)を判定することが困難な場合がある。追加的に、または代替的に、従来のシステムでは、容器204内に残っている前駆体206の量を判定することが難しい場合がある。
【0038】
いくつかの実施形態では、
図2に示すように、ガス供給システム200は、第1の流路に沿って配置された流量計216を含む。流量計216は、キャリアガス210(例えば、第1の流路内)の第1の流量(例えば、質量流量または体積流量)を示す第1のデータを測定する。ガス供給システム200は、第2の流路に沿って配置された流量計220を含む。流量計220は、処理ガス208(例えば、第2の流路内)の流量を測定する。流量計216および/または流量計220のうちの1つは、キャリアガス210および処理ガス208の質量流量および/または体積流量をそれぞれ計算することができる。例えば、密度、圧力、体積測定を実行して、質量流量および/または体積流量を判定することができる。本明細書で使用される場合、質量流量とは、所定の体積(例えば、流量計の領域を通過する)内のガスの質量を指し、体積流量とは、決められた領域内を流れるガス(キャリアガスや処理ガスなど)の体積を指し、材料または物質の密度は、ガス供給システム200の所与の体積内の材料または物質の質量を指す。流量計216、220から取得されたデータは、コンピューティングデバイス222に送信され得る。いくつかの実施形態では、流量計216、220は、質量流量コントローラ(MFC)を含むか、または同様の方法で動作し得る。例えば、流量計216、220は、それぞれの流路内のキャリアガスおよび/または処理ガスの流れを制御することができる。
【0039】
図2に示すように、容器204はセンサ223を含んでもよい。センサ223は、圧力、温度、密度などの容器204の測定を実行するセンサであってもよい。測定値は昇華および/または気化処理に関連し得る。例えば、センサは容器204の現在の温度を測定することができる。センサ223によって取得されたデータは、コンピューティングデバイス222に送信され得る。
【0040】
図2に示すように、ガス供給システム200はコンピューティングデバイス222を含んでいてもよい。コンピューティングデバイスは、流量計216、220および/またはセンサ223のうちの1つまたは複数からデータを受信してもよい。コンピューティングデバイス222は、流量計216、220、センサ223、および/または処理チャンバ202に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス222は、ガス供給システムの1つまたは複数のバルブ212、214、217、218に結合され得る。コンピューティングデバイス222は、ラックマウントサーバ、ルータコンピュータ、パーソナルコンピュータ、メインフレームコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータ、FPGA、SoC、PLCなどを含み得る。コンピューティングデバイス222は、コンピューティングハードウェア、ファームウェア、および/またはソフトウェア(例えば、
図6に関連して説明される1つまたは複数の特徴)を含み得る。
【0041】
コンピューティングデバイス222は、濃度ツール224、システム制御モジュール226、および/または前駆体モニタ228を含み得る。濃度ツール224は、キャリアガス210の第1の流量を示す第1のデータと、処理ガス208の第2の流量を示す第2のデータとを受信する。濃度ツールは、これらの測定に基づいて処理ガス208内の前駆体206の濃度を計算することができる。前述したように、流量、密度、および気化の間の関係を利用して、処理ガス208内の前駆体の相対濃度を判定することができる。他の実施形態でさらに説明するように、コンピューティングデバイスは、追加の流路の流量を示すデータを必要に応じて受信することができ、このデータを第1および第2のデータと集計して、更新された濃度計算を実行し、さらなる判定を行ってもよい。いくつかの実施形態では、さらに議論されるように、容器204の状態を示すセンサデータも受信され、前駆体206の濃度判定に組み込まれてもよい。
【0042】
システム制御モジュール226は、ガス(例えば、キャリアガスまたは処理ガス)の流量の制御、容器の状態の調整(例えば、温度、圧力などの変更)、および/または処理チャンバ手順(CVD処理またはALD処理など)の実行などのシステム方法を監視および制御する。前駆体206の濃度判定(例えば、濃度ツール224による)は、システム制御モジュール226によって行われる決定に組み込まれてもよい。例えば、前駆体濃度が閾値レベルより高い場合、システム制御モジュール226は、キャリアガスの流量を増加させる(例えば、バルブ212または214を開いて流量を増加させる)か、または容器内への前駆体の流量を減少させる(例えば、バルブ230、232を部分的に閉じる)ことができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、システム制御モジュール226は、前駆体濃度が閾値基準を満たすかどうかを判定し、処理チャンバに関連する処理動作を変更させることができる。例えば、チャンバ内の処理動作は、前駆体濃度が閾値条件を満たさなくなるまで停止してもよい。別の例では、処理ステップは、判定された前駆体濃度に基づいて異なるパラメータ(例えば、より高い温度、より長いエッチング継続時間、堆積継続時間など)の下で実行され得る。
【0044】
前駆体モニタ228は、前駆体濃度計算を(例えば、濃度ツール224から)受信し、前駆体に関連する判定を行ってもよい。いくつかの実施形態では、前駆体モニタ228は、処理ガス208内の前駆体206の濃度に基づいて、容器204内の前駆体206の減少速度を判定することができる。例えば、流量および濃度を使用して、前駆体206の減少速度を判定することができる。別の例では、前駆体貯蔵庫から容器204への前駆体206の流れなどの前駆体投入速度を示す流量が考慮され、前駆体206の計算された減少速度に寄与することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、前述したように、前駆体206は、処理チャンバ202内で基板を処理するための前駆体を含む。例えば、前駆体206は、CVD処理またはALD処理の一部として使用され得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、第1のバルブ212、214が第1の流路に沿って配置され、第2のバルブ217、218が第2の流路に沿って配置される。第1のバルブ212、214は、キャリアガス210の第1の流量を変更するために選択的に開くおよび/または閉めることができる。第2のバルブ217、218は、処理ガス208の第2の流量を変更するために選択的に開くおよび/または閉めることができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、ガス供給システム200は、第3の流路(破線の特徴によって示される)を含み得る。第3の流路は、バルブ230、232、流量計234、およびプッシュガス236を含む経路を含み得る。第3の流路は、プッシュガス236を介して前駆体206を容器204内に導くことができる。流量計234は、第3の流路内の前駆体の第3の流量を示す第3のデータを測定する。コンピューティングデバイス222は、第3のデータをさらに使用して、前駆体206の濃度を計算することができる。例えば、前駆体およびプッシュガスの速度は、流量計220によって測定される質量流量の一部を占め得る。
【0048】
別の実施形態では、第3の流路は、第2のキャリアガスを容器204内に導くことができる。流量計234は、第3の流路内の第2のキャリアガスの第3の流量を示す第3のデータを測定することができる。コンピューティングデバイス222は、第3のデータ(例えば、第2のキャリアガスの流量)をさらに使用して、前駆体の濃度を計算することができる。例えば、第2のキャリアガスの流量は、流量計220によって測定される質量流量の一部を占め得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、前述のように、容器204は、容器204の状態を測定するためのセンサ223を含み得る。例えば、センサ223は、容器204の温度を示すデータを測定できる温度センサであってもよい。コンピューティングデバイス222は、第3のデータを使用して、(例えば、濃度ツール224を使用して)前駆体の濃度を計算することができる。
【0050】
図3は、いくつかの実施形態によるガス供給システム300を示す。ガス供給システム300は、
図2に関連して説明および図示されたガス供給システム200のさらなる実施形態であってもよい。ガス供給システム300は、ガス供給システム300内の1つまたは複数の前駆体のサブ濃度および全体の濃度を判定するために協働する複数の濃度センサアセンブリを含み得る。
【0051】
図3に示すように、第1の分流は、第1のキャリアガス源310A、流量計316A、容器304A、前駆体306A、および流量計320Aを含み得る。これらの各要素の機能および/または配置には、他の図に関連して説明される特徴および説明が含まれる場合がある(
図3を参照)。流量計316Aは、第1のキャリアガスの質量流量を示すデータを測定する。流量計320Aは、第1の分流に沿って配置される処理ガスの質量流量を示すデータを測定する。コンピューティングデバイス322は、接合部308Aにおける第1の処理ガス内の前駆体306Aの濃度を判定することができる。
【0052】
図3に示すように、第2の分流は、第2のキャリアガス源310B、流量計316B、容器304B、前駆体306B、および流量計320Bを含み得る。これらの各要素の機能および/または配置には、他の図に関連して説明される特徴および説明が含まれる場合がある(
図3を参照)。流量計316Bは、第2のキャリアガスの質量流量を示すデータを測定する。流量計320Bは、第1の分流に沿って配置される処理ガスの質量流量を示すデータを測定する。コンピューティングデバイス322は、接合部308Aにおける第2の処理ガス内の前駆体306Bの濃度を判定することができる。
【0053】
第1の処理ガスは第2の処理と相互作用し、接合部340で混合される。ガス供給システム300は、第1の処理ガスと第2の処理ガスとを含む化合物ガスの質量流量を測定する質量流量計330を含む。化合物ガスの質量流量は、本明細書に記載されているように実行され得る。
【0054】
図3に示すように、コンピューティングデバイス322は、流量計316A、320A、316B、320B、および330に結合され得る。コンピューティングデバイスは、化合物ガス内の第1の前駆体306Aおよび/または第2の前駆体306Bのうちの1つまたは複数の相対濃度を判定することができる。コンピューティングデバイスは、本明細書に記載の方法論(例えば、
図5の方法500)を使用して濃度を判定することができる。各前駆体の濃度は、化合物ガス全体と比較して判定され得る。
図3は、同一の要素を持つ2つの分流を有するシステムを示していることに注意されたい。しかし、各ブランチは、採用される実施形態に応じて、バルブ312A~B、314A~B、317A~B、318A~B、および温度センサ323A~Bなどの要素を多かれ少なかれ含み得る。さらに、3つ以上のキャリアガスおよび/または前駆体の組み合わせを有するなど、3つ以上のキャリアガスおよび前駆体の組み合わせを使用して、化合物ガス内の前駆体の濃度を判定することができる。
【0055】
他の実施形態で説明したように、コンピューティングデバイス322は、濃度ツール324、システム制御モジュール326、および/または前駆体モニタ328を含み得る。濃度ツール324は、第1のキャリアガスおよび/または第2のキャリアガスの第1の流量の1つまたは複数を示す第1のデータと、第1の処理ガスおよび/または第2の処理ガスの第2の流量を示す第2のデータを受信する。濃度ツールは、第1の処理ガス内の第1の前駆体206Aの濃度、第2の処理ガス内の第2の前駆体206Bの濃度を計算することができ、化合物ガス内の第1の前駆体206Aおよび第2の前駆体206Bのそれぞれは、第1の処理ガスおよび第2の処理ガスを含む。前述したように、流量、密度、気化の関係を利用して、各前駆体の相対濃度を判定することができる。他の実施形態でさらに説明するように、コンピューティングデバイスは、必要に応じて追加の流路の流量を示すデータを受信し、このデータを集約して、更新された濃度計算を実行し、さらなる判定を行ってもよい。いくつかの実施形態では、さらに議論されるように、容器304の状態を示すセンサデータも受信され、判定された前駆体濃度に組み込まれてもよい。
【0056】
システム制御モジュール326は、ガス(例えば、キャリアガスまたは処理ガス)の流量の制御、容器304A~Bの状態の調整(例えば、温度、圧力などの変更)、および/または処理チャンバ手順(CVD処理やALD処理など)の実行などのシステム方法を監視および制御する。前駆体306A~Bの濃度判定(例えば、濃度ツール324による)は、システム制御モジュール326によって行われる決定に組み込むことができる。例えば、前駆体306A~Bの濃度が閾値レベルより高い場合、システム制御モジュール326は、キャリアガスの流量を増加させ得る(例えば、バルブ312A~Bまたは314A~Bを開いて流量を増加させる)か、または、容器304A~Bへの前駆体306A~Bの流量を減少させ得る(例えば、バルブ312A~B、314A~Bを部分的に閉じる)。
【0057】
いくつかの実施形態では、システム制御モジュール326は、前駆体濃度が閾値基準を満たしていると判定し、処理チャンバ302に関連する処理動作を変更させることができる。例えば、チャンバ内の処理動作は、前駆体濃度が閾値条件を満たさなくなるまで停止してもよい。別の例では、処理ステップは、判定された前駆体濃度に基づいて異なるパラメータ(例えば、より高い温度、より長いエッチング継続時間、堆積継続時間など)の下で実行され得る。
【0058】
前駆体モニタ328は、前駆体306A~Bの濃度計算を(例えば、濃度ツール324から)受信し、前駆体に関連する判定を行ってもよい。いくつかの実施形態では、前駆体モニタ328は、各処理ガス内の前駆体306A~Bの濃度に基づいて、容器204A~B内の前駆体306A~Bの減少速度を判定してもよい。例えば、流量および濃度を使用して、前駆体306A~Bの減少速度を判定してもよい。別の例では、前駆体貯蔵庫から容器304A~Bへの前駆体306A~Bの流れなどの前駆体投入速度を示す流量を考慮して、前駆体306A~Bの計算された減少速度に寄与することができる。
【0059】
図4は、いくつかの実施形態による、前駆体供給システム400を示す。前駆体供給システム400は、化学前駆体を含む処理ガスを生成するのに適しており、一般に、処理チャンバ406と、ガスパネル404に結合されたキャリアガス源405とを含み、後者の構成要素はコントローラ450またはコンピューティングデバイスによって制御される。ガスパネル404は、一般に、さまざまな処理ガスおよびキャリアガスが処理チャンバ406に供給される速度および圧力を制御する。処理チャンバ406は、液体、気体、またはプラズマ状態の気化した化学前駆体を含む気相堆積処理または熱処理を行うためのチャンバであってよい。処理チャンバ406は、一般に、化学気相堆積(CVD)チャンバ、原子層堆積(CVD)チャンバ、原子層堆積(ALD)チャンバ、またはそれらの派生チャンバである。
【0060】
図1に示される構成では、コントローラ450は、中央処理装置(CPU)452、メモリ454、およびサポート回路456を含む。中央処理装置452は、さまざまなチャンバおよびサブプロセッサを制御するために産業環境で使用できる任意の形式のコンピュータプロセッサの1つであり得る。メモリ454はCPU452に結合されており、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、コンパクトディスク、フロッピーディスク、ハードディスク、またはその他の形式のローカルもしくはリモートのデジタルストレージなど、容易に利用可能なメモリのうちの1つまたは複数であってもよい。サポート回路456は、従来の方法でCPU152をサポートするためにCPU152に結合される。これらの回路は、キャッシュ、電源、クロック回路、入出力回路、サブシステムなどを含む。コントローラ450は、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、マイクロコントローラなどのコンピューティングデバイスであってもよく、および/またはそれを含んでもよい。コントローラ450は、1つまたは複数の処理デバイスを含んでもよく、これらの処理デバイスは、マイクロプロセッサ、中央処理装置などの汎用処理デバイスであってもよい。より詳細には、処理デバイスは、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令ワード(VLIW)マイクロプロセッサ、または他の命令セットを実装するプロセッサまたは命令セットの組み合わせを実装するプロセッサであってもよい。処理デバイスは、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなどの1つまたは複数の専用処理デバイスであってもよい。コントローラ450は、データ記憶装置(例えば、1つまたは複数のディスクドライブおよび/またはソリッドステートドライブ)、メインメモリ、スタティックメモリ、ネットワークインターフェース、および/または他の構成要素を含み得る。コントローラ450は、本明細書に記載される方法論および/または実施形態のうちの任意の1つまたは複数を実行するための命令を実行することができる。命令は、メインメモリ、スタティックメモリ、二次記憶装置、および/または処理デバイス(命令の実行中)を含み得る、コンピュータ可読記憶媒体に格納され得る。
【0061】
流体供給回路436は、一般に、キャリアガス源405、アンプル470、および処理チャンバ406を流体的に結合することを目的としている。キャリアガス源405は、施設全体にキャリアガスを供給するローカル容器、遠隔容器、または集中施設供給源(例えば、社内ガス供給)であってもよい。キャリアガス源405は通常、窒素、水素、アルゴン、ヘリウム、またはそれらの組み合わせなどのキャリアガスを供給する。流体供給回路436は、通常、キャリアガス源405と接合部430との間に配置された流量コントローラ420を含み、流体供給回路436を通るキャリアガスまたは他の流体の流量を調節するように適合されている。流量コントローラ420は、比例バルブ、調整バルブ、ニードルバルブ、レギュレータ、質量流量コントローラ(MFC)などであってもよい。接合部430は、流体供給回路436をガス発生ライン438とバイパスライン440に分離する。接合部432は、処理チャンバ406に接続する前に、ガス発生ライン438およびバイパスライン440に再び合流する。
【0062】
ガス発生ライン438は、アンプル入口脚438A、アンプル出口脚438B、バルブ408、410、412、センサ426、428、切断フィッティング462、463、およびヒータ422を含む。アンプル入口脚438Aは、アンプル470の入口をキャリアガス源405およびバイパスライン440に流体的に連結した。アンプル出口脚438Bは、アンプル470の出口を処理チャンバ406およびバイパスライン440に流体的に接続した。バルブ408、410、412は、典型的には、流体供給回路436内の流体の流れをそらすように機能する遠隔制御可能な遮断バルブであり、ならびに/または流体供給回路436内のさまざまな構成要素を選択的に隔離して、センサ426、428、ヒータ422、およびアンプル470を含む隔離された構成要素の取り外し、交換および/または保守を容易にするために使用される。バルブ408、410、412、ならびにバルブ414、416、418(バイパスライン440と併せて以下に説明する)は、一般に空気圧でまたは電子的に制御され、その内部の濡れ面は、流体供給回路436によって扱われる処理流体および他の流体と適合する材料から製造される。通常、バルブ408、410、412、414、416、および418は、コントローラ450またはコンピューティングデバイスからの信号に応答して作動し、流体供給回路436を通るガスの供給を調整する。センサ426、428は、一般に、ガス発生ライン438の導管に対して配置された熱電対など、ガス発生ライン438を通って流れる処理流体および/またはキャリア流体の温度を検出するように適合されている。
【0063】
バイパスライン440は一般に、バルブ414、416およびヒータ424を含み、ガス発生ライン438またはアンプル470を使用せずに処理チャンバ406とキャリアガス源405を流体的に結合するように機能する。バルブ418は、通常、接合部432と処理チャンバ406との間に結合され、処理チャンバ406を流体供給回路436から隔離するために使用され得る。ヒータ422、424は、それぞれガス発生ライン438およびバイパスライン440を流れるキャリアガスなどの流体の流れを加熱するように適合された抵抗加熱要素または他の熱源である。
【0064】
流量計460は、接合部471とアンプル470との間に配置される。流量計461は接合部472とアンプルとの間に配置される。流量計460および470は、質量流量を示すデータを測定できるセンサを含み得る。例えば、圧力、体積流量、密度などをすべて測定できる。流量計460は、アンプル470を通過する前のキャリアガスの流量を測定する。流量計461は、アンプル470を通過した後の処理ガス(例えば、キャリアガスおよび前駆体)の流量を測定する。流量測定値は、CPU452によって受信され得る。CPUは、測定されたキャリアガスの質量流量および処理ガスの質量流量に基づいて、処理ガス内の前駆体の濃度を計算することができる。さらに、いくつかの実施形態では、アンプル470は、温度、圧力などのアンプルの状態を測定するためのセンサを含み得る。アンプル470の測定された状態を受信し、処理ガス内の前駆体の濃度を計算するためにさらに使用することができる。
【0065】
アンプル470は、バブル、キャニスタ、および化学前駆体を保管、輸送および分配するために設計および使用される容器を説明するために当技術分野で知られている他の用語を含み得る。アンプル470にはさまざまなサイズと形状がある。アンプル470は、0.5L~約10L、より典型的には約1.2L~約4Lの範囲内の化学前駆体の体積容量を有してもよい。一例では、アンプル470は、約2.5Lの化学前駆体の体積容量を有する。アンプル470内の化学前駆体には、液体、固体、および気体前駆体が含まれ、好ましくは所定の温度および/または圧力で液体または流体状の状態である。例えば、化学前駆体は室温では固体状態で存在する可能性があるが、アンプル470内で所定の温度に加熱されると溶けて液体状態になる。別の例では、化学前駆体の大部分はアンプル470内に固体状態で残り得るが、処理中に高温に加熱されるため、少量の固体前駆体が直接蒸気に昇華する。別の例では、化学前駆体は周囲圧力では気体状態で存在する可能性があるが、アンプル470内で所定の圧力に加圧されると凝縮して液体状態になる。
【0066】
固体化学前駆体は、ペンタキス(ジメチルアミド)タンタル(PDMAT;Ta(NMe2)5)、ペンタキス(ジエチルアミド)ターシャリアミリミド-トリス(ジメチルアミド)タンタル(TAIMATA、(tAmylN)Ta(NMe2)3)などのタンタル前駆体を含む処理ガスを形成するために使用されてもよく、tアミルは第三級アミル基(C5H11-またはCH3CH2C(CH3)2-)、またはその誘導体である。一実施形態では、PDMATは、ハロゲン化物含有量(例えば、Cl、F、I、またはBr)が低い。PDMATのハロゲン化物濃度は約100ppm未満であり得る。例えば、PDMATは、約100ppm未満、好ましくは約20ppm未満、より好ましくは約5ppm未満、より好ましくは約1ppm未満、例えば約100ppb以下の塩素濃度を有し得る。
【0067】
昇華処理を通じて処理ガスを形成するために使用できる他の固体化学前駆体は、二フッ化キセノン、ニッケルカルボニル、タングステンヘキサカルボニル、またはそれらの誘導体を含む。他の実施形態では、液体化学前駆体を蒸発させて、本明細書に記載のアンプル内で処理ガスを形成することができる。処理ガスの形成に使用できる液体化学前駆体の一部には、六フッ化タングステン(WF6)などのタングステン前駆体、タンタル(PDEAT;Ta(NEt2)5)などのタンタル前駆体、ペンタキス(メチルエチルアミド)タンタル(PMEAT;Ta(NMeEt)5)、tertブチルイミノ-トリス(ジメチルアミノ)タンタル(TBTDMT、tBuNTa(NMe2)3)、tertブチルイミノ-トリス(ジエチルアミノ)タンタル(TBTDET、tBuNTa(NEt2)3)、tertブチルイミノ-トリス(メチルエチルアミノ)タンタル(TBTMET、tBuNTa(NMeEt)3)、またはその誘導体、四塩化チタン(TiCl4)、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン(TDMAT、(Me2N)4Ti))、テトラキス(ジエチルアミノ)チタン(TEMAT、(Et2N)4Ti))、またはそれらの誘導体などのチタン前駆体、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム((EtCp)2Ru)などのルテニウム前駆体、テトラキス(ジメチルアミノ)ハフニウム(TDMAH、(Me2N)4Hf))、テトラキス(ジエチルアミノ)ハフニウム(TDEAH、(Et2N)4Hf))、テトラキス(メチルエチルアミノ)ハフニウム(TMEAH、(MeEtN)4Hf))、またはその誘導体などのハフニウム前駆体、1-メチルピロリドラジン:アラン(MPA、MeC4H3N:AlH3)、ピリジン:アラン(C4H4N:AlH3)、アルキルアミンアラン錯体(例えば、トリメチルアミン:アラン(Me3N:AlH3)、トリエチルアミン:アラン(Et3N:AlH3)、ジメチルエチルアミン:アラン(Me2EtN:AlH3))などのアルミニウム前駆体、トリメチルアルミニウム(TMA、Me3Al)、トリエチルアルミニウム(TEA、Et3Al)、トリブチルアルミニウム(BU3Al)、ジメチルアルミニウムクロリド(Me2AlCl)、ジエチルアルミニウムクロリド(Et2AlCl)、水素化ジブチルアルミニウム(Bu2AlH)、塩化ジブチルアルミニウム(Bu2AlCl)、またはそれらの誘導体を含む。
【0068】
処理中、キャリアガスは、キャリアガス源405から流体供給回路436を通ってアンプル470に流れる。キャリアガスはヒータ422によって加熱されてもよく、アンプル470は目標温度まで加熱されてもよく、またはいくつかの用途では、キャリアガスとアンプル470の両方が加熱されてもよい。処理中、バルブ414および416は閉じられ、すべてのキャリアガスの流れがガス発生ライン438およびアンプル470を介して処理チャンバ406に向けられる。
【0069】
図5は、いくつかの実施形態による、前駆体の濃度を判定するための方法500のフローチャートである。方法500は、ハードウェア(例えば、回路、専用ロジック、プログラマブルロジック、マイクロコード、処理デバイスなど)、ソフトウェア(処理デバイス、汎用コンピュータシステム、または専用マシン上で実行される命令など)、ファームウェア、マイクロコード、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る処理ロジックによって実行され得る。いくつかの実施形態では、方法500は、
図2のコンピューティングデバイス222によって実行され得る。
【0070】
図5を参照すると、方法500は、ガス供給システム(例えば、前駆体供給システム)内の化合物(例えば、前駆体)の濃度を判定することに関連する。
【0071】
ブロック501で、処理ロジックは、キャリアガスの第1の質量流量を示す第1のデータを受信する。第1のデータは、キャリアガスの流量、キャリアガスの分子量、および/またはキャリアガスの流路の計測位置におけるキャリアガスの圧力などの生のセンサデータであってもよい。第1のデータは、本明細書で説明される1つまたは複数のデバイス(例えば、センサ)によって測定され得る。第1のデータは圧力制御された環境で測定され得る。例えば、システムは、測定領域全体にわたってキャリアガスの圧力を一定に維持するように設計され得る。
【0072】
ブロック502で、処理ロジックは、化合物ガスの第2の質量流量を示す第2のデータを受信する。化合物ガスは、キャリアガスと気化物質(前駆体など)を含む。第2のデータは、化合物ガスの流量、化合物ガスの分子量、および/または化合物ガスの圧力などの生のセンサデータであってもよい。第2のデータは、本明細書で説明するように、1つまたは複数のデバイス(例えば、センサ)によって測定され得る。第2のデータは圧力制御された環境で測定され得る。例えば、システムは、測定領域全体にわたってキャリアガスと化合物ガスの圧力を一定に維持するように設計され得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、第1のセンサおよび/または第2のセンサのうちの1つまたは複数は、質量流量コントローラを含む。コンピューティングデバイスは、キャリアガスおよび/または化合物ガスの流量を変更するために、第1のセンサおよび/または第2のセンサに命令を送信してもよい。本明細書で説明するように、流量制御は、処理デバイスによって行われる濃度測定および/または判定に基づいてもよい。
【0074】
ブロック503で、処理ロジックは、気化物質の気化に関連する気化容器の温度を示す第3のデータを受信する。温度は、気化容器内の化合物の気化速度を示し得る。気化容器は、本明細書に開示される構造のうちの1つまたは複数であり得る(例えば、
図1の気化チャンバ108、
図2の容器204など)。
【0075】
ブロック504で、処理ロジックは、第1のデータ、第2のデータ、および第3のデータに基づいて、化合物ガス内の気化物質の濃度を判定する。次のガス特性は、質量流量測定を行って濃度を計算する処理で利用され得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、処理デバイスは密度の変化(例えば、蒸気圧と分子量の積)を調べる。例えば、分子量が28グラム/モル(g/mol)のガスが第1の流路を通過し得る。これは、第1のガスが100torrの圧力で毎分250標準立方センチメートル(sccm)で流れていることをセンサ104で判定することによって測定することができる。気化チャンバ108を通過して気化物質を取り出した後、第1のガス(例えばキャリアガス)と気化物質(例えば前駆体)とを含む気化物質ガスが第2の流路を流れる。第2のセンサは平均分子量30.89g/molを測定することができ、これはキャリアガス単独よりも約10%大きい。平均分子量は、約275sccmの流量と100torrの圧力を測定することによって判定できる。気化物質によるキャリアガスの増加率は、化合物ガス内の気化物質の濃度を示す。
【0077】
いくつかの実施形態では、処理ロジックは、第1の質量流量を示す第1のデータ、第2の質量流量を示す第2のデータ、および/または気化容器の温度を示す第3のデータを、気化物質の濃度を出力する訓練された機械学習モデルに入力する。
【0078】
濃度の計算方法は種に依存しないことに注意されたい。光学センサのような従来の濃度センサは、密度、分子量、流量などの制限など、所定の種仕様ウインドウを測定するために事前に較正および製造する必要がある。本明細書において可能とされている主題により、さまざまなガス(例えば、キャリアガスや処理ガス)やさまざまな化合物(例えば、前駆体)に対して機能することができる、種に依存しない計算が可能になり得る。
【0079】
ブロック505で、処理ロジックは、任意選択で、キャリアガスの流量を変更する。いくつかの実施形態では、処理は、ガス流量の制御(キャリアガスや処理ガスなど)、気化容器の状態の調整(温度、圧力の変更など)、および/または処理チャンバ手順(CVD処理やALD処理など)の実行など、ガス供給パラメータを監視および制御する。濃度の判定は、処理デバイスによって行われる決定に組み込まれ得る。例えば、前駆体濃度が閾値レベルより高い場合、処理デバイスは、キャリアガスの流量を増加させたり(例えば、バルブを開く)、または容器への揮発性物質の流量を減少させたり(例えば、バルブを部分的に閉じる)することがある。いくつかの実施形態では、処理デバイスは、気化物質の濃度が閾値基準を満たしていると判定し、処理チャンバ(例えば、基板処理チャンバ)に関連する処理動作を変更させることができる。例えば、チャンバ内の処理動作は、気化物質の濃度が閾値条件を満たさなくなるまで停止し得る。別の例では、処理ステップは、判定された揮発性物質の濃度に基づいて異なるパラメータ(例えば、より高い温度、より長いエッチング継続時間、堆積継続時間など)の下で実行され得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、処理ロジックは、第1の質量流量を示す第1のデータ、第2の質量流量を示す第2のデータ、および/または気化容器の温度を示す第3のデータを、キャリアガスおよび/もしくは処理ガスの流量の変更、気化容器の状態、ならびに/または他の処理パラメータの更新など、1つまたは複数の処理パラメータの更新を出力する訓練された機械学習モデルに入力する。
【0081】
ブロック506で、処理ロジックは、任意選択で、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)による表示のための濃度を提供する。濃度は保存され、事後分析の一部として後で表示されてもよい。いくつかの実施形態では、ガス供給処理が行われている間に濃度を計算および/または表示することができる。例えば、基板処理手順の一部を通じて前駆体の濃度を追跡することができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、処理ロジックは、第2のキャリアガスの第3の質量流量を示す第4のデータを第4のセンサから受信する。化合物ガスは、第2のキャリアガスをさらに含んでもよい。
【0083】
いくつかの実施形態では、処理ロジックは、判定された濃度に基づいて、気化容器内に配置される気化物質の量を判定する。判定された気化物質の量は、GUIで表示するために提供され得る。
【0084】
図6は、本開示の一実施形態による、濃度センサおよび処理ガスの検出された濃度に基づいて処理制御を実行するためのモデル訓練ワークフロー605およびモデル適用ワークフロー617を示す。実施形態では、モデル訓練ワークフロー605は、濃度センサアプリケーションを含む場合も含まない場合もあるサーバで実行することができ、訓練されたモデルは、モデル適用ワークフロー617を実行することができる濃度センサアプリケーション(例えば、
図2のコンピューティングデバイス222上)に提供される。モデル訓練ワークフロー605およびモデル適用ワークフロー617は、コンピューティングデバイスのプロセッサによって実行される処理ロジックによって実行され得る。これらのワークフロー605、617のうちの1つまたは複数は、例えば、濃度ツール224、システム制御モジュール226、前駆体モニタ228、ならびに/または
図2に示されるコンピューティングデバイス222の処理デバイス上で実行される他のソフトウェアおよび/もしくはファームウェアに実装される1つまたは複数の機械学習モジュールによって実装され得る。
【0085】
モデル訓練ワークフロー605は、濃度センサに関連する1つまたは複数の分類、セグメント化、検出、認識、決定などのタスクを実行するために、1つまたは複数の機械学習モデル(例えば、深層学習モデル)を訓練する(例えば、質量流量の測定、濃度の計算、前駆体データの判定、システム制御データおよび/または診断の判定、処理の変更の判定など)ことである。モデル適用ワークフロー617は、1つまたは複数の訓練された機械学習モデルを適用して、気化データ(例えば、キャリアガスの質量流量データ、処理ガスの質量流量データ、前駆体の量と減少速度、気化チャンバのデータなど)の分類、セグメント化、検出、認識、決定などのタスクを実行することである。機械学習モデルの1つまたは複数は、ガス供給データ(例えば、1つまたは複数の関連ガスの分子量、キャリアガスの質量流量、気化した前駆体を含む処理ガスの質量流量)を受信して処理し得る。機械学習モデルの1つまたは複数は、気化チャンバのデータ(例えば、チャンバ内の温度、圧力、質量流量など)および前駆体データ(分子量、化学組成、気化チャンバ内の量、減少速度など)を受信して処理してもよい。
【0086】
ここではさまざまな機械学習の出力について説明する。機械学習モデルの特定の数と配置が説明および示されている。しかし、使用される機械学習モデルの数と種類、およびそのような機械学習モデルの配置は、同じまたは類似の最終結果を達成するために変更できることを理解する必要がある。したがって、説明され、示されている機械学習モデルの配置は単なる例であり、限定するものとして解釈されるべきではない。
【0087】
実施形態では、1つまたは複数の機械学習モデルは、以下のタスクのうちの1つまたは複数を実行するように訓練される。各タスクは、別個の機械学習モデルによって実行され得る。代替的に、単一の機械学習モデルが各タスクまたはタスクのサブセットを実行してもよい。追加的に、または代替的に、タスクのさまざまな組み合わせを実行するために、さまざまな機械学習モデルを訓練してもよい。一例では、1つまたはいくつかの機械学習モデルが訓練される場合があり、訓練されたMLモデルは、複数の共有層と複数の高レベルの個別の出力層を持つ単一の共有ニューラルネットワークであり、各出力層は異なる予測、分類、識別などを出力する。1つまたは複数の訓練された機械学習モデルが実行するように訓練できるタスクは次のとおりである。
a.前駆体濃度の判定-前述のように、流量、密度、および気化の間の関係を使用して、処理ガス内の前駆体の相対濃度を判定できる。コンピューティングデバイスは、追加の流路の流量を示すデータを必要に応じて受信してもよく、このデータを第1および第2のデータと集計して、更新された濃度計算を実行し、本明細書に記載されるように、前駆体濃度分類などのさらなる判定を行ってもよい。前駆体濃度の判定は、空気流ハードウェア構成(例えば、流路の数、流路の分割および分岐、前駆体の数、キャリアガスの数など)に関連付けることができる。いくつかの実施形態では、前駆体濃度の判定により、較正された濃度が提供される。
b.前駆体濃度分類-前述したように、コンピューティングデバイスは、気化容器内の前駆体の減少速度を判定する前駆体モニタを含み得る。流量および前駆体濃度は、前駆体濃度を分類するために使用され得る(例えば、閾値限界内、閾値限界を超える、閾値限界内であるが枯渇閾値以上で枯渇する、など)。
c.システム制御分類-前述したように、コンピューティングデバイスは、ガス(キャリアガスまたは処理ガスなど)の流量を制御する、容器の状態を調整する(例えば、温度、圧力などを変更する)、および/または処理チャンバ手順(CVD処理またはALD処理など)を実行するなど、ガスフローシステムを制御してもよい。機械学習モデルは、気化システムが実施する是正または規定のアクションなど、ガス供給システムに表示および/または適用できる命令を出力してもよい。例えば、機械学習モジュールは、前駆体濃度が閾値レベルより高いことを検出してもよく、気化システムにキャリアガスの流量を増加させてもよい(例えば、処理ガス内で前駆体濃度を希釈または低下させるなど)。
【0088】
上記のタスクの一部またはすべてを実行するために使用できる機械学習モデルの1つのタイプは、ディープニューラルネットワークなどの人工ニューラルネットワークである。人工ニューラルネットワークには通常、特徴を所望の出力空間にマッピングする分類器または回帰層を備えた特徴表現構成要素が含まれている。例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は、複数の層の畳み込みフィルタをホストする。プーリングが実行され、下位層で非線形性に対処することができ、通常、その上に多層パーセプトロンが追加され、畳み込み層によって抽出された最上層の特徴を決定(分類出力など)にマッピングする。深層学習は、特徴の抽出と変換に非線形処理ユニットの複数層のカスケードを使用する機械学習アルゴリズムのクラスである。後続の各層は、前の層からの出力を入力として使用する。ディープニューラルネットワークは、教師あり(分類など)および/または教師なし(パターン分析など)の方法で学習できる。ディープニューラルネットワークには層の階層が含まれており、さまざまな層がさまざまな抽象化レベルに対応するさまざまなレベルの表現を学習する。深層学習では、各レベルが入力データをもう少し抽象的で複合的な表現に変換することを学習する。例えば、前駆体の分類では、生の入力はキャリアガスおよび/または処理ガスの質量流量測定値であってもよく、第2の層は、気化チャンバの状態に関連する特徴データを構成してもよく、第3の層には、キャリアおよび/または処理ガスの識別特徴(例えば、分子量、密度、化学組成)が含まれていてもよい。特に、深層学習処理は、どの機能をどのレベルに最適に配置するかを独自に学習できる。「深層学習」の「深層」とは、それを通してデータが変換される層の数を指す。より正確に言えば、深層学習システムには相当なクレジットアサインメントパス(CAP)の深さがある。CAPは入力から出力までの変換のチェーンである。CAPは入力と出力間の潜在的な因果関係を記述する。フィードフォワードニューラルネットワークの場合、CAPの深さはネットワークの深さになり得、隠れ層の数に1を加えたものになる場合がある。信号が層を2回以上伝播する可能性があるリカレントニューラルネットワークの場合、CAPの深さは無制限になり得る。
【0089】
一実施形態では、1つまたは複数の機械学習モデルはリカレントニューラルネットワーク(RNN)である。RNNは、ニューラルネットワークの一種であり、ニューラルネットワークが時間的な依存関係をキャプチャできるようにするメモリを備えている。RNNは、現在の入力と過去の入力の両方に依存する入出力マッピングを学習できる。RNNは過去および将来の流量測定に対処し、この継続的な計測情報に基づいて予測を行う。RNNは、訓練データセットを使用して訓練されて、固定数の出力を生成できる(例えば、ガス供給システムの流路に沿ったさまざまな点での揮発性物質の濃度を判定するため)。使用できるRNNのタイプの1つは、長期短期記憶(LSTM)ニューラルネットワークである。
【0090】
ニューラルネットワークの訓練は、ネットワークを介してラベル付き入力で構成される訓練データセットを供給し、その出力を観察し、(出力とラベル値の間の差を測定することによって)誤差を定義すること、および、深勾配降下法や逆伝播などの手法を使用して、誤差が最小限に抑えられるように、すべての層とノードにわたるネットワークの重みを調整することが含まれる教師あり学習方式で達成できる。多くのアプリケーションでは、訓練データセット内の多くのラベル付き入力に対してこの処理を繰り返すことで、訓練データセットに存在するものとは異なる入力が与えられた場合に正しい出力を生成できるネットワークが生成される。
【0091】
モデル訓練ワークフロー605では、数百、数千、数万、数十万、またはそれ以上のキャリアおよび処理ガス流量測定値を含む訓練データセット(例えば、ガス供給データ610)を使用して訓練データセットを形成する必要がある。実施形態では、訓練データセットは、訓練データセットを形成するための関連する前駆体分類612も含むことができ、各データポイントおよび/または関連する前駆体分類は、1つまたは複数の種類の有用な情報のさまざまなラベルまたは分類を含むことができる。各場合には、例えば、キャリアガスの第1の流量および処理ガスの第2の流量を示すデータ、ならびに判定された前駆体分類(例えば、前駆体濃度、減少速度、気化チャンバ内に貯蔵される量など)を含めることができる。このデータは、1つまたは複数の機械学習モデルの訓練のために1つまたは複数の訓練データセット636を生成するために処理され得る。機械学習モデルは、例えば、前駆体供給システムの1つまたは複数の処理(例えば、キャリアガスおよび/または処理ガスの流量の増減、気化チャンバ内の前駆体の量の増加、ならびに前駆体の供給に関連するその他の処理)を自動化するために訓練され得る。
【0092】
いくつかの実施形態では、数百、数千、数万、数十万、またはそれ以上のキャリアおよび処理流量測定値(例えば、ガス供給データ610)を含む訓練データセットを使用して、訓練データセットが形成される。訓練データセットには、訓練データセットを形成するための関連する前駆体分類612も含まれ得る。前駆体分類612は、1つまたは複数の濃度測定(例えば、残留ガス分析器RGAまたは他の濃度センサを使用して実行される)を含み得る。
【0093】
一実施形態では、1つまたは複数の訓練データセット636を生成することは、キャリアガスおよび処理ガスの1つまたは複数のガス流量測定値を収集することを含む。使用されるラベルは、特定の機械学習モデルが何を行うように訓練されるかによって決められてもよい。例えば、前駆体分類を実行するように機械学習モデルを訓練するために、訓練データセット636は、ガスの種類(例えば、分子量、密度など)を示すデータ、ガス流量測定値(キャリアガスおよび/または処理ガスの質量流量など)および半導体処理仕様を示すデータを含み得る。例えば、半導体処理は、閾値基準を満たす半導体処理結果に関連する前駆体濃度のウインドウに関連付けられ得る。
【0094】
訓練を有効にするために、処理ロジックは訓練データセット636を1つまたは複数の未訓練の機械学習モデルに入力する。機械学習モデルに第1の入力を入力する前に、機械学習モデルを初期化することができる。処理ロジックは、訓練データセットに基づいて未訓練の機械学習モデルを訓練し、上記のさまざまな動作を実行する1つまたは複数の訓練された機械学習モデルを生成する。
【0095】
訓練は、ガス供給データ610および前駆体分類612のうちの1つまたは複数を機械学習モデルに一度に1つずつ入力することによって実行され得る。いくつかの実施形態では、機械学習モデルの訓練は、ガス供給データ610(例えば、キャリアガスおよび処理ガスの質量流量)を受け取るようにモデルを調整すること、および測定された前駆体濃度の閾値差以内の前駆体濃度予測(例えば、前駆体分類612)を出力すること(例えば、残留ガス分析器RGAまたは他の濃度センサを使用して実行される)を含む。
【0096】
機械学習モデルは入力を処理して出力を生成する。人工ニューラルネットワークは、データポイントの値で構成される入力層を含む。次の層は隠れ層と呼ばれ、隠れ層のノードはそれぞれ1つまたは複数の入力値を受け取る。各ノードは、入力値に適用するパラメータ(重みなど)を含む。したがって、各ノードは基本的に入力値を多変量関数(非線形数学変換など)に入力して出力値を生成する。次の層は別の隠れ層または出力層であってもよい。いずれの場合も、次の層のノードは前の層のノードから出力値を受け取り、各ノードはそれらの値に重みを適用して、独自の出力値を生成する。これは各層で実行され得る。最後の層は出力層で、機械学習モデルが生成できるクラス、予測、および/または出力ごとに1つのノードがある。
【0097】
したがって、出力には1つまたは複数の予測または推論が含まれ得る。例えば、出力の予測または推論には、前駆体供給システム内の前駆体の判定された濃度が含まれ得る。次に、処理ロジックは、予測または推論された出力を、訓練データ項目に含まれていた測定されたまたは既知の前駆体分類(測定濃度など)と比較し得る。処理ロジックは、機械学習モデルの出力と既知の分類(前駆体分類など)との差に基づいて誤差(つまり、分類誤差)を判定する。処理ロジックは、誤差に基づいて機械学習モデル内の1つまたは複数のノードの重みを調整する。誤差項またはデルタは、人工ニューラルネットワーク内の各ノードに対して判定され得る。この誤差に基づいて、人工ニューラルネットワークは1つまたは複数のノードの1つまたは複数のパラメータ(ノードの1つまたは複数の入力の重み)を調整する。パラメータは、最上位層のノードが最初に更新され、続いて次の層のノードが更新されるなど、逆伝播方式で更新され得る。人工ニューラルネットワークには複数の「ニューロン」の層が含まれており、各層は前の層のニューロンから入力値を受信する。各ニューロンのパラメータは、前の層で各ニューロンから受信した値に関連付けられた重みを含む。したがって、パラメータの調整には、人工ニューラルネットワークの1つまたは複数の層における1つまたは複数のニューロンの入力のそれぞれに割り当てられた重みを調整することが含まれ得る。
【0098】
モデルパラメータが最適化されたら、モデル検証を実行して、モデルが改善されたかどうかを判定し、深層学習モデルの現在の精度を判定できる。1回または複数回の訓練ラウンドの後、処理ロジックは停止基準が満たされているかどうかを判定してもよい。停止基準は、精度の目標レベル、訓練データセットからの処理された画像の目標数、1つまたは複数の以前のデータポイントに対するパラメータの目標変化量、それらの組み合わせ、および/または他の基準であってもよい。一実施形態では、少なくとも最小数のデータポイントが処理され、少なくとも閾値精度が達成された場合に、停止基準が満たされる。閾値精度は、例えば70%、80%、または90%の精度であり得る。一実施形態では、機械学習モデルの精度の向上が停止した場合、停止基準が満たされる。停止基準が満たされていない場合は、さらに訓練が実行される。停止基準が満たされている場合、訓練は完了し得る。機械学習モデルが訓練されると、訓練データセットの予約部分をモデルのテストに使用できる。
【0099】
一例として、一実施形態では、機械学習モデル(例えば、前駆体分類器668)は、気化チャンバ内の前駆体濃度および/または前駆体の状態を判定するように訓練される。同様の処理を実行して、上記のような他のタスクを実行する機械学習モデルを訓練することができる。多数(例えば、数千から数百万)のガス供給測定値(例えば、キャリアガスおよび/または処理ガスの質量流量測定値)のセットを収集でき、入力データ662に関連付けられた予測または推測された濃度に関連付けられた濃度データ666が判定され得る。
【0100】
1つまたは複数の訓練された機械学習モデル638が生成されると、それらはモデルストレージ645に格納され、濃度センサアプリケーション(例えば、濃度ツール224、システム制御モジュール226、および/または前駆体モニタ228)に追加され得る。次いで、濃度センサアプリケーションは、1つまたは複数の訓練されたMLモデル638および追加の処理ロジックを使用して、自動モードを実装することができ、このモードでは、ユーザによる情報の手動入力が最小限に抑えられ、場合によっては排除されることさえある。
【0101】
一実施形態では、モデル適用ワークフロー617は、システム制御分類器667、前駆体濃度判定器664、および/または前駆体分類器668として機能する1つまたは複数の訓練された機械学習モデルを含む。これらのロジックは、実施形態では、別個の機械学習モデルとして、または単一の結合された機械学習モデルとして実装されてもよい。例えば、システム制御分類器667、前駆体濃度判定器664、および前駆体分類器668は、ディープニューラルネットワークの1つまたは複数の層を共有することができる。しかし、これらのロジックにはそれぞれ、さまざまな種類の出力を生成するように訓練されたディープニューラルネットワークの個別のより高いレベルの層が含まれる場合がある。図示の例では、便宜上、上記のタスクのリストに記載されている機能の一部のみを示している。しかし、任意の他のタスクもモデル適用ワークフロー617に追加できることを理解されたい。
【0102】
モデル適用ワークフロー617の場合、一実施形態によれば、入力データ662は、訓練されたニューラルネットワークを含み得るシステム制御分類器667に入力され得る。システム制御分類器667は、入力データ662に基づいて、前駆体供給システムの状態を示す情報(例えば、供給データ669)を出力する。これには、規定のアクション672に対する一連の分類確率の出力が含まれ得る。規定のアクション672は、ガス供給システムに適用されると前駆体供給システムの状態を変更する、コントローラ(例えば、ユーザおよび/または自動システム)に通知されるアクション(例えば、処理ガス内の前駆体の濃度の低下、気化チャンバの温度の低下、動作の停止など)を含んでもよい。
【0103】
一実施形態によれば、入力データ662は、訓練されたニューラルネットワークを含み得る前駆体濃度判定器664に入力され得る。入力データ662に基づいて、前駆体濃度判定器664は、入力データ662に関連付けられた前駆体供給システム内の前駆体の濃度の判定(例えば、濃度データ666)を出力する。例えば、機械学習モデルは、ガス供給データ610(例えば、キャリアガスおよび処理ガスの質量流量)を受信するように調整されてもよく、その質量流量が測定され、前駆体濃度判定器664への入力として使用される同じキャリアガスおよび処理ガスの測定された前駆体濃度(例えば、残留ガス分析器RGAまたは他の濃度センサを使用して実行される)の閾値差以内の前駆体濃度予測(例えば、前駆体分類612)を出力する。
【0104】
一実施形態によれば、入力データ662は、訓練されたニューラルネットワークを含み得る前駆体分類器668に入力され得る。入力データ662に基づいて、前駆体分類器668は、前駆体供給システムの前駆体を分類することができる。例えば、出力は気化チャンバ内の前駆体の減少速度を示してもよい。出力は、気化チャンバ内の前駆体の量を示してもよい。出力は、前駆体の化学組成(例えば、複数の前駆体の濃度パーセンテージ)を示してもよい。
【0105】
図7は、本開示の一実施形態による、処理ガス内の揮発性物質の濃度を判定するために機械学習モデルを訓練する方法700の一実施形態を示すフローチャートである。方法700のブロック702で、処理ロジックは、ガス供給システム内のキャリアガスおよび処理ガスの流量(例えば、質量流量)を含むことができる訓練データセットを収集する。訓練データセットの各データ項目(例えば、キャリアガスの質量流量および/または処理ガスの質量流量)には、処理ガス内に配置される揮発性物質の1つまたは複数の既知の濃度レベルが含まれ得る。
【0106】
ブロック704で、訓練データセットからのデータ項目が未訓練の機械学習モデルに入力される。ブロック706で、機械学習モデルは訓練データセットに基づいて訓練され、処理ガス内の揮発性物質(例えば、前駆体)の濃度を判定する訓練された機械学習モデルを生成する。また機械学習モデルは、1つまたは複数の他のタイプの予測、分類、決定などを出力するように訓練されてもよい。例えば、機械学習モデルは、前駆体を分類するように訓練され、ガス供給システム(例えば、
図2のガス供給システム200)の動作を変更するための決定(例えば、手動または自動で実行)を行うこともできる。
【0107】
一実施形態では、ブロック710で、訓練データ項目の入力が機械学習モデルに入力される。入力には、ガス供給システムのガス流量データが含まれ得る。ブロック712で、機械学習モデルは入力を処理して出力を生成する。出力には、ガス供給システムの処理ガス内の揮発性物質(例えば、前駆体)の濃度の予測および/もしくは推論、ならびに/またはガス供給システムを使用する製造処理の1つもしくは複数の処理更新が含まれてもよい(例えば、原子層堆積処理、化学気相堆積処理、またはその他の処理を実行するため)。
【0108】
ブロック714で、処理ロジックは出力を、関連する処理ガス内に配置された揮発性物質の既知の濃度測定値と比較する。ブロック716で、処理ロジックは、出力と濃度測定値との差に基づいて誤差を判定する。ブロック718で、処理ロジックは、誤差に基づいて機械学習モデル内の1つまたは複数のノードの重みを調整する。
【0109】
さらに、ブロック714で、処理ロジックは、他の予測、分類などの出力確率を、入力に関連付けられた1つまたは複数の他のラベルと比較することができる。例えば、1つまたは複数の処理パラメータの更新が機械学習モデルによって出力され得、使用される適切な処理パラメータのラベルと比較され得る。ブロック716で、処理ロジックは、比較のそれぞれについて誤差を判定することができる。ブロック718で、処理ロジックは、これらの誤差に基づいて機械学習モデル内の1つまたは複数のノードの重みを調整することができる。したがって、機械学習モデルは、濃度判定、前駆体分類、および/または1つもしくは複数の他の分類、判定、または予測動作を実行するように訓練することができる。
【0110】
ブロック720で、処理ロジックは停止基準が満たされているかどうかを判定する。停止基準が満たされていない場合、方法はブロック710に戻り、別の訓練データ項目が機械学習モデルに入力される。停止基準が満たされる場合、方法はブロック725に進み、機械学習モデルの訓練が完了する。
【0111】
一実施形態では、複数の異なるMLモデルが、濃度判定、前駆体分類、および/またはシステム制御分類のために訓練される。各MLモデルは、異なるタイプの入力データの判定および/または分類のために訓練され得る。例えば、第1のMLモデルは、キャリアガスと処理ガスの質量流量測定値を使用して濃度判定を実行するように訓練されてもよく、第2のMLモデルは、気化室の状態(例えば、温度、圧力など)を示すデータを使用して濃度判定を実行するように訓練されてもよく、第3のMLモデルは、チャンバデータとガス流量データの組み合わせを使用して濃度判定を実行するように訓練されてもよい。一実施形態では、単一のMLモデルが、上述の第1、第2、および第3のMLモデルの演算を実行するように訓練される。
【0112】
図8は、本開示のいくつかの実装形態による、訓練された機械学習モデルを使用して揮発性物質(例えば、前駆体)の濃度を判定するための方法の一例のフロー図を示す。方法800は、ハードウェア(回路、専用ロジックなど)、ソフトウェア(汎用コンピュータシステムまたは専用マシン上で実行されるものなど)、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る処理ロジックによって実行される。一実装形態では、この方法は、コンピューティングデバイス222および訓練された機械学習モデル638を使用して実行されるが、他のいくつかの実装形態では、
図8の1つまたは複数のブロックは、図示されていない1つまたは複数の他のマシンによって実行され得る。
【0113】
方法800は、ガス供給データ(例えば、
図2~
図4に関連して説明したガス流量データ)を受信することと、訓練された機械学習モデル638などの訓練されたモデルを使用してガス供給データを処理することとを含むことができる。いくつかの実施形態では、訓練されたモデルは、ガス供給に基づいて、(i)関連する処理ガス内に配置された揮発性物質の予測濃度、および(ii)予測濃度の精度に関連する信頼レベル、を示す1つまたは複数の出力を生成するように構成され得る。いくつかの実施形態では、訓練された機械学習モデルは、ガス供給に基づいて、(i)処理制御パラメータの更新、および(ii)更新によりガス供給システムの1つまたは複数の動作条件が改善される可能性があるという信頼レベルを示す1つまたは複数の出力を生成するように構成され得る。
【0114】
ブロック802で、ガス供給システム(例えば、
図2のガス供給システム200)に関連付けられたガス供給データが識別される。ガス供給データは、キャリアガスの第1の質量流量、キャリアガスと気化物質とを含む化合物ガスの第2の質量流量、および/または気化物質の気化に関連する気化容器の温度を示すデータを含んでいてもよい。
【0115】
いくつかの実施形態では、ガス供給データは、合成データ、または生のセンサデータから加工されたデータをさらに含む。例えば、前の実施形態で説明したように、さまざまなエンジニアリングツールは、特徴抽出を実行し、ならびに/または人工および/もしくは仮想パラメータの組み合わせを作成することができる。特徴抽出器は、生のセンサデータに対して処理制御分析、単変量限界違反分析、および/または多変量限界違反分析などの変数分析を実行することで、さまざまな特徴を作成できる。
【0116】
ブロック804で、ガス供給データが訓練された機械学習モデルへの入力として提供され、ブロック806で、訓練された機械学習モデルから1つまたは複数の出力が取得される。1つまたは複数の出力には、前駆体濃度、前駆体分類、および/または処理制御の更新が含まれ得る。ブロック808で、ブロック806で取得された出力から信頼データが抽出される。一実装形態では、信頼データは、予測濃度の精度に関連する信頼レベルを含む。一例では、信頼レベルは0から1までの実数である。信頼レベルは確率ではない場合があることに注意されたい(例えば、規定のアクションの信頼レベルの合計は1に等しくない場合がある)。ブロック810で、処理ロジックは、信頼レベルが閾値条件を満たすかを判定する。
【0117】
ブロック812で、処理ロジックは、任意選択で、キャリアガスの流量を変更する。いくつかの実施形態では、処理は、ガス(キャリアガスまたは処理ガスなど)の流量制御、気化容器の状態の調整(例えば、温度、圧力などを変更する)、および/または処理チャンバ手順(CVD処理やALD処理など)の実行など、ガス供給パラメータを監視および制御する。濃度の判定は、処理デバイスによって行われる決定に組み込まれる場合がある。例えば、閾値レベルよりも高い前駆体濃度の表示の場合、処理デバイスは、キャリアガスの流量を増加させたり(例えば、バルブを開く)、または容器への揮発性物質の流量を減少させたり(例えば、バルブを部分的に閉じる)し得る。いくつかの実施形態では、処理ロジックは、気化物質の濃度が閾値基準を満たしていると判定し、処理チャンバ(例えば、基板処理チャンバ)に関連する処理動作を変更させることができる。例えば、チャンバ内の処理動作は、気化物質の濃度が閾値条件を満たさなくなるまで停止する場合がある。別の例では、処理ステップは、判定された揮発性物質の濃度に基づいて異なるパラメータ(例えば、より高い温度、より長いエッチング継続時間、堆積継続時間など)の下で実行され得る。いくつかの実施形態では、機械学習は、ガス供給システムに対する修正および/または調整を出力する。例えば、機械学習モデルは、ガス(キャリアガスおよび/または処理ガスなど)の流量の変化を示し得る。
【0118】
ブロック814で、処理ロジックは、任意選択で、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)による表示のための濃度を提供する。濃度は保存され、事後分析の一部として後で表示され得る。いくつかの実施形態では、ガス供給処理が行われている間に濃度を計算および/または表示することができる。例えば、基板処理手順の一部を通じて前駆体の濃度を追跡することができる。
【0119】
図9は、本開示の1つまたは複数の態様に従って動作する、ガスの濃度を計算することができる例示的なコンピューティングデバイスのブロック図を示す。さまざまな例示的な例において、コンピューティングデバイス900のさまざまな構成要素は、コンピューティングデバイス222および/またはコントローラ450のさまざまな構成要素を表し得る。
【0120】
例示的なコンピューティングデバイス900は、LAN、イントラネット、エクストラネット、および/またはインターネット内の他のコンピュータデバイスに接続され得る。コンピューティングデバイス900は、クライアントサーバネットワーク環境におけるサーバの能力で動作し得る。コンピューティングデバイス900は、パーソナルコンピュータ(PC)、セットトップボックス(STB)、サーバ、ネットワークルータ、スイッチもしくはブリッジ、または、そのデバイスが実行するアクションを指定する一連の命令(順次またはその他)を実行できる任意のデバイスであってもよい。さらに、コンピューティングデバイスの一例のみが示されているが、「コンピュータ」という用語は、本明細書で説明する方法のいずれか1つまたは複数を実行するために一連(または複数のセット)の命令を個別にまたは共同で実行するコンピュータの任意の集合を含むものとも解釈されるものとする。
【0121】
例示的なコンピューティングデバイス900は、処理デバイス902(プロセッサまたはCPUとも呼ばれる)、メインメモリ904(例えば、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、シンクロナスDRAM(SDRAM)などのダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM))、スタティックメモリ906(例えば、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)など)、バス930を介して相互に通信することができる二次メモリ(例えば、データ記憶装置918)を含み得る。
【0122】
処理デバイス902は、マイクロプロセッサ、中央処理装置などの1つまたは複数の汎用処理デバイスを表す。より具体的には、処理デバイス902は、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令ワード(VLIW)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実装するプロセッサ、または命令セットの組み合わせを実装するプロセッサであってもよい。処理デバイス902はまた、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなどの1つまたは複数の専用処理デバイスであってもよい。本開示の1つまたは複数の態様によれば、処理デバイス902は、
図5に示される方法500を実装する命令を実行するように構成され得る。
【0123】
例示的なコンピューティングデバイス900は、ネットワーク920に通信可能に結合され得るネットワークインターフェースデバイス908をさらに含み得る。例示的なコンピューティングデバイス900は、ビデオディスプレイ910(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、タッチスクリーン、または陰極線管(CRT))、英数字入力デバイス912(例えば、キーボード)、カーソル制御装置914(例えばマウス)、音響信号発生装置916(例えばスピーカ)をさらに含み得る。
【0124】
データ記憶装置918は、1つまたは複数の実行可能命令922セットが格納される機械可読記憶媒体(または、より具体的には、非一時的な機械可読記憶媒体)928を含んでもよい。本開示の1つまたは複数の態様によれば、実行可能命令922は、
図5~
図8に示される方法500~800の実行に関連付けられた実行可能命令を含み得る。
【0125】
実行可能命令922はまた、コンピュータ可読記憶媒体を構成する例示的なコンピューティングデバイス900、メインメモリ904および処理デバイス902による実行中に、メインメモリ904内および/または処理デバイス902内に完全にまたは少なくとも部分的に常駐することもできる。実行可能命令922はさらに、ネットワークインターフェースデバイス908を介してネットワーク上で送信または受信され得る。
【0126】
コンピュータ可読記憶媒体928は
図9では単一の媒体として示されているが、「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」という用語は、1つまたは複数の動作命令セットを記憶する単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中型もしくは分散型データベース、および/または関連するキャッシュとサーバ)を含むものと解釈されるべきである。「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、本明細書に記載されている方法のいずれか1つまたは複数を機械に実行させる、機械による実行のための命令セットを記憶または符号化できる任意の媒体を含むものとも解釈されるものとする。したがって、「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」という用語には、ソリッドステートメモリ、光媒体および磁気媒体が含まれると解釈されるが、これらに限定されないものとする。
【0127】
上記の詳細な説明の一部は、コンピュータメモリ内のデータビットに対する演算のアルゴリズムと記号表現の観点から提示されている。これらのアルゴリズムの記述と表現は、データ処理分野の当業者が自分の仕事の内容を他の当業者に最も効果的に伝えるために使用する手段である。ここでのアルゴリズムは、目標とする結果に至るまでの首尾一貫した一連のステップであると一般に考えられている。このステップは、物理量の物理的な操作を必要とするステップである。必ずではないが、通常、これらの量は、保存、転送、結合、比較、その他の操作が可能な電気信号または磁気信号の形をとる。主に一般的な使用上の理由から、これらの信号をビット、値、要素、記号、文字、用語、数字などと呼ぶと便利な場合がある。
【0128】
しかし、これらの用語および同様の用語はすべて、適切な物理量に関連付けられており、これらの量に適用される便宜的なラベルにすぎないことに留意する必要がある。特に別段の記載がない限り、以下の議論から明らかなように、説明全体を通じて、「識別する」、「判定する」、「格納する」、「調整する」、「引き起こす」、「戻す」、「比較する」、「作成する」、「停止する」、「ロードする」、「コピーする」、「投げる」、「置き換える」、「実行する」などの用語を使用した議論は、コンピュータシステムのレジスタやメモリ内で物理的(電子)量として表されるデータを操作し、コンピュータシステムのメモリまたはレジスタ、またはその他の同様の情報記憶装置、送信装置、または表示装置内の物理量として同様に表される他のデータに変換するコンピュータシステムまたは同様の電子コンピューティングデバイスの動作および処理を指す。
【0129】
本開示の例は、本明細書に記載の方法を実行するための装置にも関する。この装置は、意図された目的のために特別に構築される場合もあれば、コンピュータシステムに格納されたコンピュータプログラムによって選択的にプログラムされる汎用コンピュータシステムであってもよい。このようなコンピュータプログラムは、光ディスク、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、光磁気ディスクなど、あらゆる種類のディスク、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、その他の種類のマシンがアクセス可能な記憶媒体、またはそれぞれがコンピュータシステムバスに結合された、電子命令を保存するのに適した任意のタイプの媒体であるが、これらに限定されないコンピュータ可読記憶媒体に記憶され得る。
【0130】
ここで提示される方法および表示は、本質的に任意の特定のコンピュータまたは他の装置に関連するものではない。さまざまな汎用システムが、本明細書の教示に従ったプログラムとともに使用されてもよいし、あるいは、列挙された方法ステップを実行するためのより専門化された装置を構築することが便利であることが証明され得る。これらのさまざまなシステムの構造は、以下の説明で説明されているようになる。さらに、本開示の範囲はいずれの特定のプログラミング言語にも限定されない。本開示の教示を実装するためにさまざまなプログラミング言語を使用できることが理解されるであろう。
【0131】
上記の説明は例示を目的としたものであり、限定的なものではないことを理解されたい。上記の説明を読んで理解すれば、他の多くの実装例が当業者には明らかとなるであろう。本開示は特定の例を説明するが、本開示のシステムおよび方法は本明細書に説明される例に限定されず、添付の特許請求の範囲内で変更を加えて実施できることが認識されるであろう。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で見なされるべきである。したがって、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲と、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲を参照して決定されるべきである。
【国際調査報告】