(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】データ処理デバイス及び方法、荷電粒子評価システム及び方法
(51)【国際特許分類】
H01J 37/22 20060101AFI20240730BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H01J37/22 502B
H01L21/66 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500308
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 EP2022069579
(87)【国際公開番号】W WO2023001655
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】カイパー,ヴィンセント,シルヴェスター
(72)【発明者】
【氏名】トラヤノスカ,マリヤ
(72)【発明者】
【氏名】ウィーラント,マルコ,ジャン-ジャコ
【テーマコード(参考)】
4M106
5C101
【Fターム(参考)】
4M106BA02
4M106CA39
4M106DB05
5C101AA03
5C101BB03
5C101BB04
5C101BB09
5C101EE03
5C101EE08
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5C101FF25
5C101GG04
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5C101HH11
5C101HH24
5C101HH25
5C101HH35
5C101HH54
5C101JJ04
5C101JJ08
(57)【要約】
荷電粒子評価システムによって生成されたサンプル画像データ内の欠陥を検出するためのデータ処理デバイスであって、第1の処理モジュールであって、サンプル画像データストリームを荷電粒子評価システムから受信することであって、サンプル画像データストリームは、サンプルの画像を表す順序付けられた一連のデータ点を含む、受信することと、第1の選択されたデータとして、サンプル画像データストリームのサブセットを選択するために、第1の欠陥検出試験を適用することとを行うように構成され、第1の欠陥検出試験は、サンプル画像データストリームの受信と並行して行われる局所的試験である、第1の処理モジュールと、第2の処理モジュールであって、第1の選択されたデータを受信することと、第2の選択されたデータとして、第1の選択されたデータのサブセットを選択するために、第2の欠陥検出試験を適用することとを行うように構成された第2の処理モジュールとを含むデータ処理デバイス。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビームシステムを使用する、複数のパターン繰り返し領域を有するサンプル内の欠陥を検出する方法であって、順に、
第1の走査画像データを生成するための、前記パターン繰り返し領域の第1の領域の第1の部分の第1の走査と、
第2の走査画像データを生成するための、前記パターン繰り返し領域の第2の領域の第1の部分の第2の走査であって、前記第2の領域は、前記第1の領域から離間している、第2の走査と、
第3の走査画像データを生成するための、前記パターン繰り返し領域の第3の領域の第1の部分の第3の走査であって、第前記3の領域は、前記第1の領域及び前記第2の領域から離間している、第3の走査と、
第4の走査画像データを生成するための、前記第1の領域の第2の部分の後続の走査と
を含む方法。
【請求項2】
前記サンプルのパターン繰り返し領域は、前記サンプル上の他の何れかの箇所で繰り返されるパターンを含む領域である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1、第2又は第3のパターン繰り返し領域の1つにおける欠陥を検出するために、前記第1、第2及び第3の走査データを処理することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1、第2及び第3の走査データを処理することは、前記第1、第2及び第3の領域の対応するエリアを表す、前記第1、第2及び第3の走査データの各々のサブセットを処理することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
処理することは、
第1の選択されたデータとして、前記第1、第2及び第3の走査画像データの1つのサブセットを選択するために、第1の欠陥検出試験を適用する第1のサブプロセスと、
第2の選択されたデータとして、前記第1の選択されたデータのサブセットを選択するために、第2の欠陥検出試験を適用する第2のサブプロセスと
を含む、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のサブプロセスにかかる時間は、前記第1の走査の開始と前記第4の走査の開始との間の時間間隔以下である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記荷電粒子ビームシステムは、複数のビームを有し、及び前記第1、第2及び第3の走査は、それぞれのパターン繰り返し領域の対応する部分を走査するために同じビームが使用されるように行われる、請求項1~6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1、第2及び第3の走査画像データの各々は、前記サンプル上の複数のマルチビーム視野の走査からのデータを含む、請求項1~7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のマルチビーム視野の隣接する走査は、前記サンプル上で少なくとも連続する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記複数のマルチビーム視野の各マルチビーム視野は、複数の処理エリアを含み、各処理エリアは、前記複数のビームのうちのビームの視野に対応する、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記マルチビーム視野の少なくとも1つの走査から導出される前記第1、第2及び第3の画像データは、オーバースキャンによって実現される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記オーバースキャンにおいて、前記マルチビーム視野の1つに関連する、前記複数のビームのうちの前記ビームの少なくとも1つは、ピッチオーバースキャンによってオーバースキャンされる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複数のビームのうちの前記ビームの少なくとも1つの前記オーバースキャンを使用することは、欠陥を検出する処理のために前記第1、第2及び第3の画像データのそれぞれのデータを生成するために、前記複数のビームのうちの同様のビームが使用されることを保証する、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記後続の走査は、前記第1、第2及び第3の領域の少なくとも1つと少なくとも連続する前記サンプルのエリアを走査する、請求項1~13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも前記第2の走査データ画像データの生成が開始されるまで、前記第1の走査画像データをバッファすることを更に含む、請求項1~14の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2021年7月20日に出願され、参照によりその全体が本明細書に援用される欧州特許出願公開第21186705.6号の優先権を主張する。
【0002】
[0002] 本明細書で提供される実施形態は、概して、特に荷電粒子評価システムと共に又はそれで使用するためのデータ処理デバイス及び方法並びに荷電粒子評価システムを動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 半導体集積回路(IC)チップを製造する際、例えば光学効果及び偶発的粒子の結果として、望ましくないパターン欠陥が製作プロセス中に基板(即ちウェーハ)又はマスク上で不可避的に生じ、それにより歩留まりが低下する。従って、望ましくないパターン欠陥の程度をモニタリングすることは、ICチップの製造において重要なプロセスである。より一般的には、基板又は他の物体/材料の表面の検査及び/又は測定は、その製造中及び/又は製造後において重要なプロセスである。
【0004】
[0004] 荷電粒子ビームによるパターン検査装置は、サンプルと呼ばれ得る物体を検査するために、例えばパターン欠陥を検出するために使用されている。これらの装置は、一般的に、走査電子顕微鏡(SEM)などの電子顕微鏡法技術を使用する。SEMでは、比較的高いエネルギーの電子の一次電子ビームが、比較的低い着地エネルギーでサンプル上に着地するために、最終減速ステップでターゲットにされる。電子ビームは、サンプル上にプロービングスポットとして集束される。プロービングスポットにおける材料構造と、電子ビームからの着地電子との相互作用により、二次電子、後方散乱電子又はオージェ電子などの信号電子が表面から放出される。信号電子は、サンプルの材料構造から放出され得る。サンプル表面にわたり、プロービングスポットとして一次電子ビームを走査することにより、サンプルの表面にわたって信号電子を放出させることができる。サンプル表面からのこれらの放出された信号電子を収集することにより、パターン検査装置は、サンプルの表面の材料構造の特徴を表す画像を取得し得る。
【0005】
[0005] パターン検査装置がサンプル上の欠陥を高スループットで検出するために使用される場合、非常に大量の画像データが生成され、欠陥を検出するために処理されなければならない。特に、画像データからの雑音を低減することが望ましい。米国特許第8,712,184B1号及び米国特許第9,436,985B1号は、走査電子顕微鏡から取得された画像内の雑音を低減するか又は信号対雑音比を改善する方法を説明している。いくつかの場合、データ生成の速度は、膨大な量の処理能力なしにリアルタイム処理を可能にするには高過ぎる場合があり、従来技術の方法は、例えば、リアルタイムでこのような多大な量のデータを高速処理するために容易に最適化されない。従って、データ処理は、パターン検査装置のスループットに対する望ましくない制限であり得る。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本開示の目的は、欠陥を検出するために、荷電粒子評価装置によって生成される画像を処理する計算コストを低減する実施形態を提供することである。
【0007】
[0007] 本発明の第1の態様によると、荷電粒子評価システムによって生成されたサンプル画像データ内の欠陥を検出するためのデータ処理デバイスが提供され、このデバイスは、第1の処理モジュールであって、サンプル画像データストリームを荷電粒子評価システムから受信することであって、サンプル画像データストリームは、サンプルの画像を表す順序付けられた一連のデータ点を含む、受信することと、第1の選択されたデータとして、サンプル画像データストリームのサブセットを選択するために、第1の欠陥検出試験を適用することとを行うように構成され、第1の欠陥検出試験は、サンプル画像データストリームの受信と並行して行われる局所的試験である、第1の処理モジュールと、第2の処理モジュールであって、第1の選択されたデータを受信することと、第2の選択されたデータとして、第1の選択されたデータのサブセットを選択するために、第2の欠陥検出試験を適用することとを行うように構成された第2の処理モジュールとを含む。
【0008】
[0008] 本発明の第2の態様によると、荷電粒子ビームシステムと、上述のようなデータ処理デバイスとを含む荷電粒子評価システムが提供される。
【0009】
[0009] 本発明の第3の態様によると、荷電粒子ビームシステムを使用する、複数のパターン繰り返し領域を有するサンプル内の欠陥を検出する方法が提供され、この方法は、順に、第1の走査画像データを生成するための、パターン繰り返し領域の第1の領域の第1の部分の第1の走査と、第2の走査画像データを生成するための、パターン繰り返し領域の第2の領域の第1の部分の第2の走査であって、第2の領域は、第1の領域から離間している、第2の走査と、第3の走査画像データを生成するための、パターン繰り返し領域の第3の領域の第1の部分の第3の走査であって、第3の領域は、第1の領域及び第2の領域から離間している、第3の走査と、第4の走査画像データを生成するための、第1の領域の第2の部分の後続の走査とを含む。
【0010】
[0010] 本発明の第4の態様によると、複数のサブビームを含む荷電粒子マルチビームを使用して、名目上同一の領域である複数のパターン繰り返し領域を有するサンプル内の欠陥を検出する、荷電粒子ビームシステムを使用する方法が提供され、この方法は、順に、第1の走査画像データを生成するための、荷電粒子マルチビームを使用するサンプルの第1のパターン繰り返し領域の第1の走査と、第2の走査画像データを生成するための、荷電粒子マルチビームを使用するサンプルの第2のパターン繰り返し領域の第2の走査であって、第2のパターン繰り返し領域は、第1のパターン繰り返し領域から離間している、第2の走査と、第3の走査画像データを生成するための、荷電粒子マルチビームを使用するサンプルの第3のパターン繰り返し領域の第3の走査であって、第3のパターン繰り返し領域は、第1のパターン繰り返し領域及び第2のパターン繰り返し領域から離間している、第3の走査と、欠陥を識別するために、第1の走査画像データ、第2の走査画像データ及び第3の走査画像データを比較することにより、第1の走査画像データ、第2の走査画像データ及び第3の走査画像データを処理することとを含み、各サブビームは、第1、第2及び第3のパターン繰り返し領域の一部を割り当てられ、それにより、各走査は、それぞれのパターン繰り返し領域の対応する部分を走査するために同じサブビームを使用することを含み、処理することは、それぞれのパターン繰り返し領域の対応する部分から同じサブビームによって取得された走査画像データを比較することを含む。
【0011】
[0011] 本発明の第5の態様によると、複数のサブビームを含む荷電粒子マルチビームを使用して、名目上同一の複数のパターン繰り返し領域を有するサンプル内の欠陥を検出する、荷電粒子ビームシステムを使用する方法が提供され、この方法は、異なる第1のサンプル画像データセットを生成するために、荷電粒子マルチビームを使用してサンプルの少なくとも3つの異なるパターン繰り返し領域を逐次走査すること、欠陥を識別するために、その領域の画像データを比較することにより、異なる第1のサンプル画像データセットを処理することを含み、各サブビームは、パターン繰り返し領域の各々の対応する部分を割り当てられ、それにより、各走査は、それぞれのパターン繰り返し領域の対応する部分を走査するために同じサブビームを使用することを含む。
【0012】
[0012] 本発明の第6の態様によると、荷電粒子評価システムによって生成されたサンプル画像データ内の欠陥を検出するためのデータ処理の方法が提供され、この方法は、サンプル画像データストリームを荷電粒子評価システムから受信することであって、サンプル画像データストリームは、サンプルの画像を表す順序付けられた一連のデータ点を含む、受信することと、局所的試験である第1の欠陥検出試験を適用することであって、第1の選択されたデータとして、サンプル画像データストリームのサブセットを選択することを含み、サンプル画像データストリームの受信と並行したものである、適用することと、第1の選択されたデータを受信することと、第2の欠陥検出試験を適用することであって、第2の選択されたデータとして、第1の選択されたデータのサブセットを選択することを含む、適用することとを含む。
【0013】
[0013] 本開示の上記及び他の態様は、添付の図面と併せた例示的な実施形態の説明からより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】[0014]例示的な荷電粒子ビーム検査システムを示す概略図である。
【
図2】[0015]
図1の例示的な荷電粒子ビーム検査システムの一部である例示的なマルチビーム荷電粒子評価装置を示す概略図である。
【
図3】[0016]集光レンズアレイを含む例示的な電子光学コラムの概略図である。
【
図4】[0017]マクロコリメータ及びマクロ走査偏向器を含む例示的な電子光学コラムの概略図である。
【
図5】[0018]ビームセパレータを含む例示的な電子光学コラムの概略図である。
【
図6】[0019]一実施形態による荷電粒子評価システムの対物レンズアレイの概略断面図である。
【
図7】[0020]
図7の対物レンズアレイの修正形態の下面図である。
【
図8】[0021]例示的なシングルビーム電子光学コラムの概略図である。
【
図9】[0022]一実施形態によるデータ経路の概略図である。
【
図10】[0023]一実施形態による方法の流れ図である。
【
図11】[0024]一実施形態によるデータ処理デバイスの概略図である。
【
図12】[0025]一実施形態による均一カーネルの図である。
【
図13】[0026]本発明の方法が行われ得るSEM像の一例である。
【
図14A】[0027]荷電粒子評価システムにおけるサブビームの視野の概略図である。
【
図14B】[0027]荷電粒子評価システムにおけるサブビーム処理済みエリアの概略図である。
【
図14C】[0027]荷電粒子評価システムにおけるマルチビーム視野の概略図である。
【
図15】[0028]サンプル上の走査エリア及びパターン繰り返し領域の概略図である。
【
図16】[0029]更なる詳細を示す、第2の実施形態の方法のスイムレーン図である。
【
図17】[0030]1つのストライプ当たりのオーバースキャンを示す図である。
【
図18】[0031]1つのパターン繰り返しエリア当たりのオーバースキャンを示す図である。
【
図19】[0032]マルチビーム電子光学コラムの1つの視野当たりのオーバースキャンを示す図である。
【
図20】[0033]ステップアンドスキャンシーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0034] これらの概略図は、以下で説明されるコンポーネントを示す。しかし、図に描写されるコンポーネントは、原寸に比例していない。
【0016】
[0035] ここで、例示的な実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。以下の説明は、添付の図面を参照し、別段の表示がない限り、異なる図面における同一の番号は、同一又は類似の要素を表す。例示的な実施形態の以下の説明に記載される実装形態は、本発明と一致するすべての実装形態を表すわけではない。代替的に、それらの実装形態は、添付の請求項において記述されるように、本発明に関連する態様と一致する装置及び方法の単なる例である。
【0017】
[0036] デバイスの物理的サイズを減少させる、電子デバイスの計算能力の向上は、ICチップ上のトランジスタ、キャパシタ、ダイオードなどの回路コンポーネントの実装密度を大幅に増加させることによって達成することができる。これは、更に小さい構造の作製を可能にする分解能の向上によって可能にされてきた。例えば、親指の爪の大きさであり、2019年以前に利用可能なスマートフォンのICチップは、20億を超えるトランジスタを含むことができ、各トランジスタのサイズは、人間の毛髪の1/1000未満である。従って、半導体IC製造が、数百の個々のステップを有する、複雑で時間のかかるプロセスであることは、驚くべきことではない。1つのステップのエラーであっても、最終製品の機能に劇的に影響を与え得る。1つのみの「致命的欠陥」がデバイスの故障を生じさせ得る。製造プロセスの目標は、プロセスの全体的な歩留まりを向上させることである。例えば、50のステップを有するプロセス(ここで、ステップは、ウェーハ上に形成される層の数を示し得る)に関して75%の歩留まりを得るために、個々のステップは、99.4%を超える歩留まりを有しなければならない。個々のそれぞれのステップが95%の歩留まりを有した場合、全体的なプロセス歩留まりは、7%と低い。
【0018】
[0037] ICチップ製造設備において、高いプロセス歩留まりが望ましい一方、1時間当たりに処理される基板の数と定義される高い基板(即ちウェーハ)スループットを維持することも必須である。高いプロセス歩留まり及び高い基板スループットは、欠陥の存在による影響を受け得る。これは、欠陥を調査するためにオペレータの介入が必要な場合に特に当てはまる。従って、検査デバイス(走査電子顕微鏡(「SEM」)など)によるマイクロスケール及びナノスケール欠陥の高スループット検出及び識別は、高い歩留まり及び低いコストを維持するために必須である。
【0019】
[0038] SEMは、走査デバイス及び検出器装置を含む。走査デバイスは、一次電子を発生させるための電子源を含む照明装置と、一次電子の1つ又は複数の集束ビームで基板などのサンプルを走査するための投影装置とを含む。共に、少なくとも照明装置又は照明システム及び投影装置又は投影システムは、合わせて電子光学システム又は装置と呼ばれ得る。一次電子は、サンプルと相互作用し、二次電子を発生させる。検出装置は、SEMがサンプルの走査エリアの画像を生成できるように、サンプルが走査されるとき、サンプルからの二次電子を捕捉する。高スループットの検査のために、検査装置の一部は、一次電子の複数の集束ビーム、即ちマルチビームを使用する。マルチビームの成分ビームは、サブビーム又はビームレットと呼ばれ得る。マルチビームは、サンプルの異なる部分を同時に走査することができる。従って、マルチビーム検査装置は、単一ビーム検査装置よりもはるかに高速でサンプルを検査することができる。
【0020】
[0039] 既知のマルチビーム検査装置の実装形態を以下に説明する。
【0021】
[0040] 説明及び図面は、電子光学システムを対象とするが、実施形態は、本開示を特定の荷電粒子に限定するために使用されないことが理解される。従って、本明細書全体を通して、電子への言及は、より一般的に荷電粒子への言及であると見なすことができ、荷電粒子は、必ずしも電子ではない。
【0022】
[0041] ここで、荷電粒子ビーム評価システム又は単に評価システムとも呼ばれ得る例示的な荷電粒子ビーム検査システム100を示す概略図である
図1を参照する。
図1の荷電粒子ビーム検査システム100は、メインチャンバ10、装填ロックチャンバ20、電子ビームシステム40、機器フロントエンドモジュール(EFEM)30及びコントローラ50を含む。電子ビームシステム40は、メインチャンバ10内に位置する。
【0023】
[0042] EFEM30は、第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bを含む。EFEM30は、追加的な1つ又は複数の装填ポートを含み得る。第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bは、例えば、基板(例えば、半導体基板若しくは他の材料でできている基板)又は検査対象のサンプル(以降では、基板、ウェーハ及びサンプルは、まとめて「サンプル」と呼ばれる)を収容する基板前面開口式一体型ポッド(FOUP)を受け取り得る。EFEM30内の1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)は、サンプルを装填ロックチャンバ20に運ぶ。
【0024】
[0043] 装填ロックチャンバ20は、サンプルの周囲の気体を取り除くために使用される。これは、周囲環境の圧力より低い局所気体圧力である真空を生じさせる。装填ロックチャンバ20は、装填ロック真空ポンプシステム(図示せず)に接続され得、装填ロック真空ポンプシステムは、装填ロックチャンバ20内の気体粒子を取り除く。装填ロック真空ポンプシステムの動作により、装填ロックチャンバが、大気圧を下回る第1の圧力に達することが可能になる。第1の圧力に達した後、1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)が装填ロックチャンバ20からメインチャンバ10にサンプルを運ぶ。メインチャンバ10は、メインチャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続される。メインチャンバ真空ポンプシステムは、サンプルの周囲の圧力が、第1の圧力を下回る第2の圧力に達するように、メインチャンバ10内の気体粒子を取り除く。第2の圧力に達した後、サンプルは、電子ビームシステム40に運ばれ、サンプルは、電子ビームシステム40によって検査され得る。電子ビームシステム40は、マルチビーム電子光学装置を含み得る。
【0025】
[0044] コントローラ50は、電子ビームシステム40に電子的に接続される。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査装置100を制御するように構成されたプロセッサ(コンピュータなど)であり得る。コントローラ50は、様々な信号及び画像処理機能を実行するように構成された処理回路も含み得る。
図1では、コントローラ50は、メインチャンバ10、装填ロックチャンバ20及びEFEM30を含む構造の外部のものとして示されているが、コントローラ50は、構造の一部であり得ることが理解される。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査装置のコンポーネント要素の1つの内部に位置し得るか、又はコントローラ50は、コンポーネント要素の少なくとも2つに分散され得る。本開示は、電子ビームシステムを収納するメインチャンバ10の例を提供するが、本開示の態様は、広い意味において、電子ビームシステムを収納するチャンバに限定されないことに留意されたい。むしろ、前述の原理は、第2の圧力下で動作する装置の他のデバイス及び他の配置にも適用できることが理解される。
【0026】
[0045] ここで、
図1の例示的な荷電粒子ビーム検査システム100の一部である、マルチビーム電子光学システム41を含む例示的な電子ビームシステム40を示す概略図である
図2を参照する。電子ビームシステム40は、電子源201及び投影装置230を含む。電子ビームシステム40は、電動ステージ209及びサンプルホルダ207を更に含む。電子源201及び投影装置230は、併せて電子光学システム41又は電子光学コラムと呼ばれる。サンプルホルダ207は、検査のためのサンプル208(例えば、基板又はマスク)を保持するように電動ステージ209によって支持される。マルチビーム電子光学システム41は、検出器240(例えば、電子検出デバイス)を更に含む。
【0027】
[0046] 電子源201は、カソード(図示せず)及び抽出器又はアノード(図示せず)を含み得る。動作中、電子源201は、一次電子として電子をカソードから放出するように構成される。一次電子は、抽出器及び/又はアノードによって抽出又は加速されて、一次電子ビーム202を形成する。
【0028】
[0047] 投影装置230は、一次電子ビーム202を複数のサブビーム211、212、213に変換し、各サブビームをサンプル208上に導くように構成される。簡潔にするために3つのサブビームが示されているが、何十、何百、何千又は何十万ものサブビームが存在し得る。サブビームは、ビームレットと呼ばれ得る。
【0029】
[0048] コントローラ50は、電子放射源201、検出器240、投影装置230及び電動ステージ209など、
図1の荷電粒子ビーム検査装置100の様々な部分に接続され得る。コントローラ50は、様々な画像及び信号処理機能を行い得る。コントローラ50は、荷電粒子マルチビーム装置を含む荷電粒子ビーム検査装置の動作を制御するための様々な制御信号を生成することもできる。
【0030】
[0049] 投影装置230は、検査のためにサブビーム211、212及び213をサンプル208上に集束するように構成され得、サンプル208の表面上に3つのプローブスポット221、222及び223を形成し得る。投影装置230は、サンプル208の表面のセクション内の個々の走査エリアにわたってプローブスポット221、222及び223を走査するために、一次サブビーム211、212及び213を偏向させるように構成され得る。サンプル208上のプローブスポット221、222及び223上への一次サブビーム211、212及び213の入射に応答して、信号粒子と呼ばれ得る二次電子及び後方散乱電子を含む電子がサンプル208から生成される。二次電子は、通常、50eV以下の電子エネルギーを有する。実際の二次電子は、5eV未満のエネルギーを有し得るが、50eV未満の任意のエネルギーは、通常、二次電子において取り扱われる。後方散乱電子は、通常、0eVと一次サブビーム211、212、213の着地エネルギーとの間の電子エネルギーを有する。50eV未満のエネルギーを有する検出された電子は、通常、二次電子として取り扱われるため、実際の後方散乱電子のある割合が二次電子として計数される。
【0031】
[0050] 検出器240は、二次電子及び/又は後方散乱電子などの信号粒子を検出し、対応する信号を生成するように構成され、これらの信号は、例えば、サンプル208の対応する走査エリアの画像を構築するために、信号処理システム280に送られる。検出器240は、投影装置230に組み込まれ得る。
【0032】
[0051] 信号処理システム280は、画像を形成するために検出器240からの信号を処理するように構成された回路(図示せず)を含み得る。信号処理システム280は、他に画像処理システムと呼ばれ得る。信号処理システムは、電子ビームシステム40のコンポーネント、例えば検出器240内に組み込まれ得る(
図2に示すように)。しかし、信号処理システム280は、検査装置100又は電子ビームシステム40の任意の数のコンポーネント内に例えば投影装置230又はコントローラ50の一部として組み込まれ得る。信号処理システム280は、画像取得器(図示せず)及びストレージデバイス(図示せず)を含み得る。例えば、信号処理システムは、プロセッサ、コンピュータ、サーバ、メインフレームホスト、端末、パーソナルコンピュータ、任意の種類のモバイルコンピューティングデバイスなど、又はそれらの組み合わせを含み得る。画像取得器は、コントローラの処理機能の少なくとも一部を含み得る。従って、画像取得器は、少なくとも1つ又は複数のプロセッサを含み得る。画像取得器は、数ある中でも特に、導電体、光ファイバケーブル、ポータブル記憶媒体、IR、Bluetooth、インターネット、ワイヤレスネットワーク、ワイヤレス無線機又はこれらの組み合わせなど、信号通信を可能にする検出器240に通信可能に結合され得る。画像取得器は、検出器240から信号を受信し、信号に含まれるデータを処理し、そこから画像を構築することができる。従って、画像取得器は、サンプル208の画像を取得することができる。画像取得器は、輪郭の生成及び取得画像へのインジケータの重畳などの様々な後処理機能を行うこともできる。画像取得器は、取得画像の明度及びコントラストなどの調整を行うように構成され得る。ストレージは、ハードディスク、フラッシュドライブ、クラウドストレージ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、他のタイプのコンピュータ可読メモリなどの記憶媒体であり得る。ストレージは、画像取得器と結合され得、走査された生の画像データをオリジナルの画像として保存するか、又は後処理された画像を保存するために使用され得る。
【0033】
[0052] 信号処理システム280は、検出された二次電子の分布を得るために、測定回路(例えば、アナログ-デジタル変換器)を含み得る。検出時間窓の間に収集された電子分布データは、サンプル表面に入射した一次サブビーム211、212及び213の各々の対応する走査パスデータと組み合わせて、検査中のサンプル構造の画像を再構築するために使用することができる。再構築された画像は、サンプル208の内部又は外部の構造の様々なフィーチャを明らかにするために使用することができる。従って、再構築された画像は、サンプルに存在し得るいかなる欠陥も明らかにするために使用することができる。信号処理システム280の上記の機能は、コントローラ50内で実行されるか、又は都合に応じて信号処理システム280とコントローラ50との間で共有され得る。
【0034】
[0053] コントローラ50は、サンプル208の検査中にサンプル208を移動させるように電動ステージ209を制御することができる。コントローラ50は、電動ステージ209が、少なくともサンプルの検査中、好ましくは継続的に例えば一定の速度である方向にサンプル208を移動させることを可能にし得、これは、ある種の走査と呼ばれ得る。コントローラ50は、電動ステージ209が、様々なパラメータに依存するサンプル208の移動の速度を変えるように、電動ステージ209の移動を制御することができる。例えば、コントローラ50は、少なくともステージの組み合わされたステップ/スキャン戦略に関する限り、例えば本明細書に援用される2021年5月3日に出願された欧州特許出願公開第A21171877.0号で開示されるように、走査プロセスの検査ステップ及び/又は走査プロセスの走査の特徴に応じてステージ速度(その方向を含む)を制御し得る。
【0035】
[0054] 上記で説明された電子ビームシステム40及び荷電粒子ビーム検査装置100などの既知のマルチビームシステムは、参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2020118784号、米国特許出願公開第20200203116号、米国特許出願公開第2019/0259570号及び米国特許出願公開第2019/0259564号に開示されている。
【0036】
[0055] 電子ビームシステム40は、サンプル208を照射することにより、サンプル上の蓄積電荷を規制するための投影アセンブリを含み得る。
【0037】
[0056]
図3は、評価システムで使用される例示的な電子光学コラム41の概略図である。図解を簡易にするために、レンズアレイは、本明細書では楕円形のアレイによって概略的に描写される。各楕円形状は、レンズアレイ内のレンズの1つを表す。楕円形状は、光学レンズで多くの場合に採用される両凸形状の類推により、レンズを表すために慣例的に使用される。しかし、本明細書で論述されるような荷電粒子配置に関連して、レンズアレイは、通常、静電的に動作するため、両凸形状を採用するいかなる物理的素子も必要としなくてよいことを理解されたい。以下に述べるように、レンズアレイは、代わりに、アパーチャを有する複数のプレートを含み得る。アパーチャを有する各プレートは、電極と呼ばれ得る。電極は、マルチビームのサブビームのサブビーム経路に沿って直列に設けられ得る。
【0038】
[0057] 電子源201は、電子を、集光レンズ231のアレイ(他に集光レンズアレイと呼ばれる)に向かって誘導する。電子源201は、望ましくは、輝度と全放出電流との間の良好な妥協点を有する高輝度の熱電界放出器である。何十、何百又は何千もの集光レンズ231が存在し得る。集光レンズ231は、多電極レンズを含み得、欧州特許出願公開第1602121A1号に基づく構造を有し得、この文献は、特に電子ビームを複数のサブビームに分割するためのレンズアレイ(このアレイは、サブビーム毎に1つのレンズを提供する)の開示に関して参照により本明細書に組み込まれる。集光レンズ231のアレイは、電極として機能する少なくとも2つ、好ましくは3つのプレートの形態を取り得、各プレートのアパーチャは、互いに位置合わせされ、サブビームの位置に対応する。プレートの少なくとも2つは、所望のレンズ効果を実現するために、動作中に異なる電位に維持される。集光レンズアレイのプレート間には、例えばセラミック又はガラスなどの絶縁材で製作される電気的絶縁プレートがあり、サブビーム毎に1つ又は複数のアパーチャを有する。プレートの1つ又は複数の代替配置は、それぞれが自らの電極を有するアパーチャであって、それぞれその周囲の周りに電極のアレイを有するか又は共通の電極を有するアパーチャの群として配置されるアパーチャを特徴とし得る。
【0039】
[0058] ある構成では、集光レンズ231のアレイは、3つのプレートアレイから形成され、これらのプレートアレイでは、荷電粒子は、各レンズに入るときと、各レンズを出るときとで同じエネルギーを有し、この構成は、アインツェルレンズと呼ばれ得る。従って、分散は、アインツェルレンズ自体の内部(レンズの入口電極と出口電極との間)でのみ生じ、それによりオフアクシス色収差が制限される。集光レンズの厚さが薄い場合、例えば数mmである場合、そのような収差の影響は、小さいか又は無視できる。
【0040】
[0059] アレイ内の各集光レンズは、電子を、それぞれの中間焦点233において集束されるそれぞれのサブビーム211、212、213内に導く。コリメータ又はコリメータのアレイは、それぞれの中間焦点233上で動作するように位置決めされ得る。コリメータは、中間焦点233に設けられる偏向器235の形態を取り得る。偏向器235は、主光線(ビーム軸とも呼ばれ得る)がサンプル208にほぼ垂直に(即ちサンプルの公称表面に対してほぼ90°で)入射することを確実にするために、効果的な量だけそれぞれのビームレット211、212、213を曲げるように構成される。
【0041】
[0060] 偏向器235の下(即ち電子源201のダウンビーム側又は電子源201からより遠く)には、各サブビーム211、212、213の制御レンズ251を含む制御レンズアレイ250が存在する。制御レンズアレイ250は、例えば、好ましくは電極と接触する絶縁プレートを有する、電極間のそれぞれの電位源に接触する2つ以上、好ましくは少なくとも3つのプレート電極アレイを含み得る。プレート電極アレイの各々は、制御電極と呼ばれ得る。制御レンズアレイ250の機能は、ビームの縮小率に関してビーム開角度を最適化すること及び/又は対物レンズ234に送達されるビームエネルギーを制御することであり、対物レンズ234の各々は、それぞれのサブビーム211、212、213をサンプル208上に導く。
【0042】
[0061] 任意選択的に、走査偏向器260のアレイは、制御レンズアレイ250と、対物レンズ234のアレイ(対物レンズアレイ)との間に設けられる。走査偏向器260のアレイは、サブビーム211、212、213毎に1つの走査偏向器261を含む。各走査偏向器は、それぞれのサブビーム211、212、213をサンプル208全体にわたって一方向又は二方向に走査するように、サブビームを一方向又は二方向に偏向させるように構成される。
【0043】
[0062] 検出器の検出器モジュール240は、サンプル208から放射された信号電子/粒子を検出するために対物レンズ234とサンプル208との間に設けられる。このような検出器モジュール240の例示的な構成が以下に説明される。検出器は、対物レンズアレイ又は更に制御レンズアレイの一次ビーム経路に沿ったアップビーム側に検出器素子を追加的又は代替的に有し得ることに留意されたい。
【0044】
[0063]
図4は、代替の電子光学コラム41’を有する例示的な電子ビームシステムの概略図である。電子光学コラム41’は、対物レンズアレイ241を含む。対物レンズアレイ241は、複数の対物レンズを含む。対物レンズアレイ241は、交換可能モジュールであり得る。簡潔さのために、上記で既に説明された電子ビームシステムの特徴は、ここでは繰り返されない場合がある。
【0045】
[0064]
図4に示すように、電子光学コラム41’は、電子源201を含む。電子源201は、荷電粒子(例えば、電子)のビームを提供する。サンプル208上に集束するマルチビームは、電子源201によって提供されるビームから導出される。サブビームは、例えば、ビーム制限アパーチャのアレイを画定するビーム制限器を使用することにより、ビームから導出され得る。ビームは、制御レンズアレイ250に当たると、サブビームに分離し得る。サブビームは、制御レンズアレイ250上の入射時にほぼ平行である。マルチビームのサブビームは、マルチビーム配置と呼ばれ得るパターンで配置され得る。パターンは、グリッドを形成し得る。グリッドは、六角形、直線、菱形又は正方形であり得る。示された例では、コリメータは、対物レンズアレイアセンブリのアップビーム側に設けられる。
【0046】
[0065] コリメータは、マクロコリメータ270を含み得る。マクロコリメータ270は、ビームがマルチビームに分割される前に電子源201からのビームに作用する。マクロコリメータ270は、ビームから導出されたサブビームの各サブビームのビーム軸がサンプル208にほぼ垂直に(即ちサンプル208の公称表面に対してほぼ90°で)入射することを確実にするために、効果的な量だけビームのそれぞれの部分を曲げる。マクロコリメータ270は、磁気レンズ及び/又は静電レンズを含む。別の構成(図示せず)では、マクロコリメータは、上側ビーム制限器のダウンビーム側に設けられるコリメータ素子アレイによって部分的又は全体的に置換され得る。
【0047】
[0066]
図4の電子光学コラム41’では、マクロ走査偏向器265は、サブビームにサンプル208全体にわたって走査させるために設けられる。マクロ走査偏向器265は、ビームのそれぞれの部分を偏向させて、サブビームにサンプル208全体にわたって走査させる。一実施形態では、マクロ走査偏向器265は、例えば、8極以上を有するマクロマルチ極偏向器を含む。偏向は、ビームから導出されたサブビームに一方向(例えば、X軸などの単一軸と平行な)又は二方向(例えば、X軸及びY軸などの2つの非平行軸に対して)でサンプル208全体にわたって走査させるような偏向である。マクロ走査偏向器265は、ビームの異なる個々の部分に作用するようにそれぞれ構成された偏向器素子のアレイを含むのではなく、ビームのすべてに対してマクロ的に作用する。示された実施形態では、マクロ走査偏向器265は、マクロコリメータ270と制御レンズアレイ250との間に設けられる。別の構成(図示せず)では、マクロ走査偏向器265は、例えば、各サブビームの走査偏向器として走査偏向器アレイによって部分的又は完全に置換され得る。他の実施形態では、マクロ走査偏向器265と走査偏向器アレイとの両方が設けられ得、同期して動作し得る。
【0048】
[0067] いくつかの実施形態では、電子光学システム41は、上側ビーム制限器252を更に含む。上側ビーム制限器252は、ビーム制限アパーチャのアレイを画定する。上側ビーム制限器252は、上側ビーム制限アパーチャアレイ又はアップビーム側ビーム制限アパーチャアレイと呼ばれ得る。上側ビーム制限器252は、複数のアパーチャを有するプレート(板状体であり得る)を含み得る。上側ビーム制限器252は、電子源201によって発射された荷電粒子のビームからサブビームを形成する。サブビームの形成に寄与するもの以外のビームの部分は、ダウンビーム側のサブビームと干渉しないように、上側ビーム制限器252によって阻止(例えば、吸収)され得る。上側ビーム制限器252は、サブビーム画定アパーチャアレイと呼ばれ得る。
【0049】
[0068] いくつかの実施形態では、
図4に例示するように、対物レンズアレイアセンブリ(対物レンズアレイ241を含むユニットである)は、ビーム整形制限器262を更に含む。ビーム整形制限器262は、ビーム制限アパーチャのアレイを画定する。ビーム整形制限器262は、下側ビーム制限器、下側ビーム制限アパーチャアレイ又は最終ビーム制限アパーチャアレイと呼ばれ得る。ビーム整形制限器262は、複数のアパーチャを有するプレート(板状体であり得る)を含み得る。ビーム整形制限器262は、制御レンズアレイ250の少なくとも1つの電極(任意選択的にすべて電極)からダウンビーム側にあり得る。いくつかの実施形態では、ビーム整形制限器262は、対物レンズアレイ241の少なくとも1つの電極(任意選択的にすべて電極)からダウンビーム側にある。一配置では、ビーム整形制限器262は、対物レンズアレイ241の電極と構造的に一体化され得る。望ましくは、ビーム整形制限器262は、低静電界強度の領域内に位置決めされる。ビーム制限アパーチャと対物レンズアレイとのアライメントは、対応する対物レンズからのサブビームの一部がビーム制限アパーチャを通過し、サンプル208に衝突し得るように行われ、その結果、ビーム整形制限器262に入射するサブビームの選択された部分のみがビーム制限アパーチャを通過する。
【0050】
[0069] 本明細書で説明される対物レンズアレイアセンブリの何れも検出器240を更に含み得る。検出器は、サンプル208から放射された電子を検出する。検出された電子は、サンプル208から放出される二次電子及び/又は後方散乱電子などの信号粒子を含む、SEMによって検出される電子の任意のものを含み得る。検出器240の例示的な構造は、
図6及び
図7を参照して以下でより詳細に説明される。
【0051】
[0070]
図5は、一実施形態による電子光学コラム41’’を含む電子ビームシステム40を概略的に描写する。上記で説明した特徴と同じ特徴は、同じ参照符号を付される。簡潔さのために、このような特徴は、
図5を参照して詳細に説明されない。例えば、電子源201、集光レンズ231、マクロコリメータ270、対物レンズアレイ241及びサンプル208は、上記で説明したようなものであり得る。
【0052】
[0071] 上記で説明したように、一実施形態では、検出器240は、対物レンズアレイ241とサンプル208との間にある。検出器240は、サンプル208に面し得る。代替的に、
図5に示すように、一実施形態では、複数の対物レンズを含む対物レンズアレイ241は、検出器240とサンプル208との間にある。
【0053】
[0072] 一実施形態では、偏向器アレイ95は、検出器240と対物レンズアレイ241との間にある。一実施形態では、偏向器アレイ95は、ウィーンフィルタアレイを含むため、ビーム分離器と呼ばれ得る。偏向器アレイ95は、サンプル208に投射された荷電粒子と、サンプル208から検出器240に向かう二次電子とを分離するための磁場を提供するように構成される。
【0054】
[0073] 一実施形態では、検出器240は、荷電粒子のエネルギーを参照することにより、即ちバンドギャップに依存して信号粒子を検出するように構成される。このような検出器240は、間接電流検出器と呼ばれ得る。サンプル208から放出された二次電子は、電極間の電場からエネルギーを得る。二次電極は、検出器240に到達すると、十分なエネルギーを有する。異なる配置では、検出器240は、ウィーンフィルタに対して一次ビーム経路に沿ってアップビーム側に位置決めされるビーム間の例えば蛍光ストリップのシンチレータアレイであり得る。ウィーンフィルタアレイ(一次ビーム経路に対して直角な磁気ストリップ及び静電気ストリップの)を通過する一次ビームは、ウィーンフィルタアレイのほぼ平行なアップビーム側及びダウンビーム側に経路を有する一方、サンプルからの信号電子は、シンチレータアレイ方向に向かってウィーンフィルタアレイに導かれる。生成された光子は、光子輸送ユニット(例えば、光ファイバのアレイ)を介して、光子の検出に応じて検出信号を生成するリモート光検出器に導かれる。
【0055】
[0074] 任意の実施形態の対物レンズアレイ241は、アパーチャアレイが画定される少なくとも2つの電極を含み得る。換言すれば、対物レンズアレイは、複数の穴又はアパーチャを有する少なくとも2つの電極を含む。
図5は、それぞれのアパーチャアレイ245、246を有する例示的な対物レンズアレイ241の一部である電極242、243を示す。電極内の各アパーチャの位置は、別の電極内の対応するアパーチャの位置に対応する。対応するアパーチャは、使用時、マルチビーム内の同じビーム、サブビーム又は一群のビーム対して作用する。換言すれば、少なくとも2つの電極内の対応するアパーチャは、サブビーム経路、即ちサブビーム経路220の1つと位置合わせされ、及びそれに沿って配置される。従って、電極は、それぞれのサブビーム211、212、213がその中を伝播するアパーチャをそれぞれ備える。
【0056】
[0075] 対物レンズアレイ241は、
図6に示すように2つの電極若しくは3つの電極を含み得るか又はより多くの電極(図示せず)を有し得る。2つの電極のみを有する対物レンズアレイ241では、より多くの電極を有する対物レンズアレイ241よりも収差が小さくてよい。3電極対物レンズでは、電極間の電位差をより大きくすることができるため、より強力なレンズが可能になる。追加的な電極(即ち3つ以上の電極)により、例えば入射ビームに加えて二次電子も集束させるために、電子の軌道を制御する際の更なる自由度がもたらされる。アインツェルレンズにわたる2電極レンズの利点は、入ってくるビームのエネルギーが、出ていくビームと必ずしも同じではないことである。そのような2電極レンズアレイに関する電位差は、それが加速又は減速レンズアレイの何れかとして機能することを有利に可能にする。
【0057】
[0076] 対物レンズアレイ241の隣接する電極は、サブビーム経路に沿って互いに離間される。絶縁構造が以下に述べるように配置され得る、隣接する電極間の距離は、対物レンズアレイの対物レンズより大きい。
【0058】
[0077] 好ましくは、対物レンズアレイ241内に設けられる電極のそれぞれは、プレートである。電極は、他に平坦シートとして記述され得る。好ましくは、電極のそれぞれは、平坦である。換言すれば、電極のそれぞれは、好ましくは、プレートの形態の薄い平坦プレートとして提供される。当然のことながら、電極は、平坦である必要はない。例えば、電極は、高静電界に起因する力に起因して撓み得る。既知の製作方法が使用され得るため、平坦電極は、電極の製造をより容易にすることから、平坦電極を提供することが好ましい。平坦電極はまた、様々な電極間のアパーチャのより正確なアライメントを提供し得るため、好ましい場合がある。
【0059】
[0078] 対物レンズアレイ241は、10を超える倍率、望ましくは50~100以上の範囲の倍率だけ荷電粒子ビームを縮小するように構成され得る。
【0060】
[0079] 検出器240は、サンプル208から放出された信号粒子、即ち二次荷電粒子及び/又は後方散乱荷電粒子を検出するために設けられる。検出器240は、対物レンズ234とサンプル208との間に位置決めされる。信号粒子の方向に応じて、検出器は、検出信号を生成する。検出器240は、他に検出器アレイ又はセンサアレイと呼ばれ得、用語「検出器」及び「センサ」は、本出願全体にわたって交換可能に使用される。
【0061】
[0080] 電子光学システム41の電子光学デバイスが提供され得る。電子光学デバイスは、電子ビームをサンプル208に向かって投射するように構成される。電子光学デバイスは、対物レンズアレイ241を含み得る。電子光学デバイスは、検出器240を含み得る。対物レンズのアレイ(即ち対物レンズアレイ241)は、検出器(即ち検出器240)のアレイに対応し得、及び/又はビーム(即ちサブビーム)の任意のビームに対応し得る。
【0062】
[0081] 例示的な検出器240が以下に説明される。しかし、検出器240の任意の参照は、必要に応じて単一の検出器(即ち少なくとも1つの検出器)又は複数の検出器であり得る。検出器240は、検出器素子405(例えば、捕捉電極などのセンサ素子)を含み得る。検出器240は、任意の適切なタイプの検出器を含み得る。例えば、電子電荷を例えば直接検出するための捕捉用電極、シンチレータ又はPIN素子が使用され得る。検出器240は、直接電流検出器又は間接電流検出器であり得る。検出器240は、
図7に関して以下に説明されるような検出器であり得る。
【0063】
[0082] 検出器240は、対物レンズアレイ241とサンプル208との間に位置決めされ得る。検出器240は、サンプル208に近接するように構成される。検出器240は、サンプル208に非常に近接し得る。代替的に、検出器240からサンプル208まで大きい間隙が存在し得る。検出器240は、サンプル208に面するようにデバイス内に位置決めされ得る。代替的に、検出器240は、検出器ではない電子光学デバイスの一部がサンプル208に面するように電子光学システム41内の他の箇所に位置決めされ得る。
【0064】
[0083]
図7は、それぞれビームアパーチャ406を取り囲む複数の検出器素子405が設けられる基板404を含む検出器240の底面図である。ビームアパーチャ406は、基板404をエッチングすることによって形成され得る。
図7に示される配置では、ビームアパーチャ406は、六角形最密アレイで配置される。ビームアパーチャ406は、例えば、矩形又は菱形アレイで異なって配置することもできる。
図7の六角形配置のビーム装置は、正方形ビーム配置より密に詰め込まれ得る。検出器素子405は、矩形アレイ又は六角形アレイで配置され得る。ビームアパーチャは、基板404に向かうサブビームのマルチビーム配置に対応し得る。
【0065】
[0084] 捕捉電極405は、検出器モジュール240の一番下、即ちサンプルの最も近くに表面を形成する。シリコン基板404の捕捉電極405と本体との間に論理層が設けられる。論理層は、増幅器、例えばトランスインピーダンス増幅器、アナログ/デジタル変換器及び読み出し論理を含み得る。一実施形態では、捕捉電極405毎に1つの増幅器及び1つのアナログ/デジタル変換器が存在する。これらの素子を特徴とする回路は、アパーチャに関連付けられたセルと呼ばれる単位エリア内に含まれ得る。検出器モデル240は、それぞれアパーチャに関連付けられたいくつかのセルを有し得る。基板内又は基板上には、論理層に接続される配線層であって、各セルの論理層を例えば電力線、制御線及びデータ線を介して外部に接続する配線層がある。上記で説明された集積化検出器モジュール240は、二次電子捕捉が一連の着地エネルギーに関して最適化され得るため、調整可能着地エネルギーを有するシステムと共に使用されると特に有利である。アレイの形態の検出器モジュールは、最下電極アレイだけでなく、他の電極アレイにも一体化され得る。このような検出器モジュールは、例えば、対物レンズの最ダウンビーム側表面の上方における、シンチレータ又は半導体検出器、例えばPIN検出器である検出器を特徴とし得る。このような検出器モジュールは、電流検出器を含む検出器モジュールと同様の回路アーキテクチャを特徴とし得る。対物レンズに一体化される検出器モジュールの更なる詳細及び代替配置は、少なくとも検出器モジュールの詳細に関する限り、参照により本明細書に援用される欧州特許出願公開第20184160.8号及び欧州特許出願公開第20217152.6号に見出され得る。
【0066】
[0085] 検出器は、複数の部分、具体的には複数の検出部分を備え得る。複数の部分を含む検出器は、サブビーム211、212、213の1つに関連付けられ得る。従って、1つの検出器240の複数の部分は、一次ビーム(他にサブビーム211、212、213と呼ばれ得る)の1つに関連してサンプル208から放射された信号粒子を検出するように構成され得る。換言すれば、複数の部分を含む検出器は、対物レンズアセンブリの電極の少なくとも1つの電極内のアパーチャの1つに関連付けられ得る。より具体的には、複数の部分を含む検出器405は、単一のアパーチャ406の周囲に配置され得、これは、このような検出器の一例を提供する。述べられたように、検出器モジュールからの検出信号は、画像を生成するために使用される。複数の検出部分により、検出信号は、データセットとして又は検出画像内で処理され得る様々な検出信号からの成分を含む。
【0067】
[0086] 一実施形態では、対物レンズアレイ241は、それ自体が交換可能モジュールであるか、又は制御レンズアレイ及び/又は検出器アレイなどの他の素子と組み合わせた交換可能モジュールであるかの何れかである。交換可能モジュールは、現場で交換可能であり得、即ちフィールドエンジニアによって新しいモジュールと交換され得る。一実施形態では、複数の交換可能モジュールは、システム内に含まれ、従って電子ビームシステムを開けることなく動作可能位置と動作不能位置との間で交換され得る。
【0068】
[0087] いくつかの実施形態では、サブビーム内の1つ又は複数の収差を低減する1つ又は複数の収差補正器が提供される。中間焦点(又は中間像面)において又はそれに直接隣接して位置決めされる収差補正器は、電子源201を補正して、電子源201が異なるビームに関して異なる位置にあるように見えるようにする偏向器を含み得る。補正器は、各サブビームと、対応する対物レンズとの間の良好なアライメントを妨げる、放射源に起因するマクロ収差を補正するために使用され得る。収差補正器は、適切なコラムアライメントを妨げる収差を補正し得る。収差補正器は、欧州特許出願公開第2702595A1号に開示されたCMOSベースの個別のプログラム可能な偏向器又は欧州特許出願公開第2715768A2号に開示された複数の偏向器のアレイであり得、両方の特許文献内のビームレットマニュピレータの説明は、参照により本明細書に援用される。収差補正器は、像面湾曲、焦点誤差及び非点収差の1つ又は複数を低減し得る。
【0069】
[0088] 本発明は、様々な異なるシステムに適用され得る。例えば、電子ビームツールシステムは、シングルビームシステムであり得るか、又は複数のシングルビームコラムを含み得るか、又はマルチビームの複数のコラムを含み得る。コラムは、上記の実施形態又は態様の任意のものにおいて説明された電子光学システム41を含み得る。複数のコラム(又はマルチコラムシステム)として、本デバイスは、合計で2~100個以上のコラムに達し得るアレイで配置され得る。電子ビームシステムは、静電走査偏向器アレイ及び静電コリメータアレイを有することが好ましいが、
図3に関して説明され、
図3で描写されるか又は
図4に関して説明され、
図4で描写される実施形態の形式を取り得る。
【0070】
[0089]
図8は、一実施形態による例示的なシングルビーム電子ビームシステム41’’’の概略図である。
図8に示すように、一実施形態では、電子ビームシステムは、検査されるサンプル208を保持するために電動ステージ209によって支持されたサンプルホルダ207を含む。電子ビームシステムは、電子源201を含む。電子ビームシステムは、ガンアパーチャ122、ビーム制限アパーチャ125、集光レンズ126、コラムアパーチャ135、対物レンズアセンブリ132及び電子検出器144を更に含む。いくつかの実施形態における対物レンズアセンブリ132は、磁極片132a、制御電極132b、偏向器132c及び励磁コイル132dを含む修正型スインギング対物減速浸漬レンズ(SORIL)であり得る。制御電極132bは、電子ビームの通過のためにその中に形成されたアパーチャを有する。制御電極132bは、以下で詳細に説明される対向面72を形成する。
【0071】
[0090] 撮像プロセスでは、電子源201から出る電子ビームは、ガンアパーチャ122、ビーム制限アパーチャ125、集光レンズ126を通過し、修正型SORILレンズによってプローブスポット内に集束され、次にサンプル208の表面に衝突し得る。プローブスポットは、偏向器132c又はSORILレンズ内の他の偏向器によってサンプル208の表面全体にわたって走査され得る。サンプル表面から出た二次電子は、サンプル208上の関心エリアの画像を形成するために電子検出器144によって収集され得る。
【0072】
[0091] 電子光学システム41の集光及び照射光学システムは、電磁四重極電子レンズを含み得るか又はそれで補完され得る。例えば、
図8に示すように、電子光学システム41は、第1の四重極レンズ148及び第2の四重極レンズ158を含み得る。一実施形態では、四重極レンズは、電子ビームを制御するために使用される。例えば、第1の四重極レンズ148は、ビーム電流を調節するように制御され得、第2の四重極レンズ158は、ビームスポットサイズ及びビーム形状を調節するように制御され得る。
【0073】
[0092] 荷電粒子評価デバイス、例えば電子ビームシステム40から出力された画像は、評価されているサンプル内の欠陥を検出するために自動的に処理される必要がある。生成された画像内の欠陥を荷電粒子評価デバイスによって検出するためのデータ処理デバイス500が
図9に描写される。データ処理デバイス500は、コントローラ50の一部であり得るか、工場内の別のコンピュータの一部であり得るか、又は荷電粒子評価デバイス内の他の箇所で一体化され得る。
図9を参照して示され、説明されるデータ処理デバイス500の部品の配置は、例示的であり、荷電粒子評価デバイスによって生成された画像に作用するデータプロセッサの機能の説明を促進するために提供されることに留意されたい。本明細書で説明されるデータ処理デバイス500の機能を実現することができるデータプロセッサの、当業者によって考えられ得るいかなる実現可能な配置も使用され得る。
【0074】
[0093] 荷電粒子評価デバイスは、データが高速で出力され得ることを意味する高スループット及び高解像度を有し得る。例えば、荷電粒子評価デバイスは、何千、更に何万以上ものビームを有し得、各ビームは、キロヘルツ又はメガヘルツの速度でデータ点を出力する1つ又は複数の検出器部分を有する。データは、荷電粒子評価システム40からの出力の速度と同じ又は少なくとも同様の速度で処理されることが望ましい。マルチビーム又はマルチコラム荷電粒子評価デバイスに適用される場合に欠陥を検出するための既知の画像処理手法は、画像生成の速度に対応するために膨大な量の処理能力を必要とする。
【0075】
[0094]
図10に描写するように、本発明は、ツーステッププロセス又は少なくとも2つのステップの少なくともプロセスを提供することにより、データを高速で処理する問題に対処する(本プロセスは、3つ以上のステップを特徴とするが、「ツーステップ」プロセスと呼ばれ得る)。荷電粒子評価デバイスは、データ点のサンプル画像データストリームDS1を生成するS1。各データ点は、信号粒子、即ち後方散乱電子及び/又は二次電子の生成に影響を与えるようなサンプル上の場所の性質を表す。第1の欠陥検出試験がサンプル画像データストリームDS1に適用されるS2。第1の検出試験は、欠陥を含み得るサンプルの領域を表すデータ点及び/又はデータ点の集団を選択するためにサンプル画像に適用されるS2。選択されたデータ点は、低減されたデータストリームDS2として出力される。低減されたデータストリームDS2は、第1の欠陥検出試験の選択性のため、サンプルデータストリームDS1より低いデータ速度を有する。第2の欠陥検出試験は、低減されたデータストリームDS2の選択されたデータに適用されるS3。即ち、第2の検出試験は、選択された欠陥が実際に欠陥を有するか否かをより高い精度で判断するS3。即ち、第2の欠陥検出試験は、欠陥を潜在的に含むとして第1の欠陥検出試験によって識別された領域の任意のものが実際に欠陥を有するか否かを判断するために使用される。欠陥として第2の欠陥検出試験によって判断されたデータ点は、出力データストリームDS3で出力される。
【0076】
[0095] 望ましくは、ツーステッププロセスは、関心のあるデータ、即ち場合により欠陥を含むとして識別されたデータ又は領域が初期段階で識別されるようにサンプル画像データストリームの生成と同時に又は並行して行われる。従って、関心のないデータは、保管又は更に処理される必要がない。しかし、他の状況では、格納されたデータに対してツーステッププロセスを行うことが望ましい場合がある。例えば、ツーステッププロセスは、その1つが格納されたデータである少なくとも2つのソースからのデータに対して行われ得る。このようなツーステッププロセスのための別のデータ源は、データストリームであり得る。
【0077】
[0096] この方法を実行するための、一実施形態によるハードウェア配置は、
図11に描写されている。サンプル画像データ内の欠陥を検出するためのデータ処理デバイス540が荷電粒子評価システム40に接続される。データ処理デバイス540は、第1の処理モジュール550及び第2の処理モジュール560を含む。第1の処理モジュール550は、サンプル画像データストリームDS1を荷電粒子評価システム40から受信するように構成され、サンプル画像データストリームは、サンプルの画像を表す順序付けられた一連のデータ点を含む。第1の処理モジュール550は、例えば、低減されたデータストリームDS2の形式における、第1の選択されたデータとしてのサンプル画像データストリームのサブセットを選択するために、第1の欠陥検出試験を適用する。第1の欠陥検出試験は、サンプル画像データストリームの受信と並行して行われる局所的試験である。いくつかの実施形態におけるサンプル画像データストリームの受信は、サンプルの他の部分から取得されるバッファされたデータと比較される。このようなバッファされたデータは、第1の欠陥検出試験でこのように処理するためにストリームされる格納されたデータであると考えられ得る。「局所的」は、全体画像が考慮されるように求めるのではなく、むしろ標的画素及び少数(例えば、50未満)の隣接する画素に対して試験が行われることを意味する。ハードウェア配置は、例示的画像のデータ内の欠陥を検出するためのデータ処理の方法を適用する。即ち、データは、サンプル、例えばサンプルの一部の画像を表す。データは、サンプルを評価するための評価システムによって生成される。従って、この方法は、評価システムによって生成されたサンプル画像データ内の欠陥を検出するためのデータ処理の方法である。この方法では、評価システムによって生成されたデータが受信される。データは、データストリームで受信される。これは、評価システムから受信されるサンプル画像データストリームであり得る。サンプル画像データストリームは、サンプルの画像を表す順序付けられた一連のデータ点を含み得る。第1の試験は、データのサブセットを選択するために適用される。第1の試験は、データストリーム内のデータに適用される。第1の試験は、簡易アルゴリズムを含む。第1の試験では、簡易アルゴリズムがデータに適用される。このような簡易アルゴリズムは、局所的試験である。第1の試験(又は第1の欠陥検出試験、例えば局所的試験)は、データの(例えば、サンプル画像データストリームとしての)受信と並行したものであり得る。第1の検出試験の適用は、第1の選択されたデータとしてサンプル画像データストリームのサブセットを選択することを含み得る。
【0078】
[0097] 第2の処理モジュール560は、第1の選択されたデータを受信するように構成される。第2の処理モジュール560は、第2の選択されたデータとして、第1の選択されたデータのサブセットを選択するために、第2の欠陥検出試験を適用する。第2の処理モジュール560は、第2の選択されたデータを例えば出力データストリームDS3として出力バッファ570に出力する。第2の処理モジュール560は、欠陥を検出するために、任意の好適な欠陥検出試験を適用し得る。好適な欠陥検出試験は、高解像度画像比較、パターン認識又は機械学習技術などの非常にコンピュータ集約的な試験を伴い得る。第2の処理モジュールは、フィルタリング又は雑音低減などの他の画像処理ステップも行い得る。従って、ハードウェア配置によって適用された方法は、第2の試験を適用し得る。第2の試験は、データのサブセットの少なくとも一部が少なくとも1つの欠陥を表すかどうかを検証するためにサブセットに適用され得る。第2の試験は、データへの適用のための複雑又は高価なアルゴリズムである。このアルゴリズムは、データ、望ましくはデータのサブセットに適用される場合に比較的コンピュータ集約的な演算を生じ得る。第2のテキストの適用のために、第1の選択されたデータが受信され得る。第2の欠陥検出試験は、第1の選択されたデータに適用され得る。第2の欠陥検出試験の適用は、第2の選択されたデータとして、第1の選択されたデータのサブセットを選択することを含み得る。第2の選択されたデータは、欠陥を表し得る。
【0079】
[0098] ツーステッププロセスは、第1の処理モジュールが第2の処理モジュール(又はその後の処理モジュール)による更なる解析のためにサンプル画像のデータの一部を実質的に選択するため、過度なハードウェア要件なしに高データ速度に対処することができる。従って、サンプル画像データストリームの小さい部分が選択され、第2の処理モジュールによる更なる解析に付される。小さい部分は、わずかに10%程度、望ましくは5%未満、より望ましくは2%未満であり得る。
【0080】
[0099] 望ましくは、第1の処理モジュール550は、1画素当たり第1の数の演算を使用して第1の欠陥検出試験を適用する。第2の処理モジュールは、1画素当たり第2の数の演算を使用して第2の欠陥検出試験を適用する。第1の数の演算は、第2の数の演算未満の数の演算である。処理要件は、第1の欠陥検出試験が第2の欠陥検出試験より単純である場合に低減される。
【0081】
[0100] 望ましくは、第1の処理モジュール550は、1画素当たり200未満、望ましくは100未満の演算を使用して第1の欠陥検出試験を適用する。第1の欠陥検出試験が少数の演算で実施される場合、例えば、専用ハードウェアを使用して高速で行うことが容易である。特に、第1の処理モジュールは、AND、OR、NOT、NAND、XOR、加算、減算、ビットシフトなどの単純演算のみを使用することが望ましい。
【0082】
[0101] 第1の欠陥検出試験は、第2の欠陥検出試験より低い選択性を有し得る。即ち、第1の検出試験は、より高率の偽陽性(場合により欠陥を有するが、実際には有しないとしてフラグが立てられた領域)を生成する。第1の欠陥検出試験が真陰性(欠陥なしの領域)の大部分を除去する場合、全体的なデータ処理要件が低減され得る。このような低減は、偽陽性のかなりの部分が第1の欠陥検出試験によって生成されたとしても実現され得る。
【0083】
[0102] 望ましくは、第1の処理モジュール540は、サンプル画像データストリームのデータ点と、所定のサイズのカーネルとの畳み込みを行うフィルタモジュール551を含む。このようなフィルタの適用は、少数の演算で実現され得、画像データ内の雑音を低減するのに効果的である。
【0084】
[0103] 望ましくは、第1の処理モジュールは、サンプル画像データストリームのデータ点と、第1の基準画像データ553とを比較する比較器552を含む。第1の基準画像データは、以下に説明されるように、多様な方法で取得され得る。サンプル画像データストリーム内のデータ点と、基準画像内の対応する画素との比較は、少数の演算で行われ得る。
【0085】
[0104] 望ましくは、第1の処理モジュールは、サンプル画像データストリームをバッファするように構成された入力バッファ554を含む。入力バッファ554は、サンプルの繰り返し領域全体の画像を格納するために必要とされる量未満の容量を有し得る。サンプルのパターン繰り返し領域は、サンプル上の他の何れかの箇所で繰り返されるパターンを含む領域である。パターン繰り返し領域は、名目上同一である。多くの場合、パターン繰り返し領域は、サンプル(その上に形成されたデバイスを有する半導体基板)のダイ又は標的部分に対応するが、パターン繰り返し領域は、幾つかの場合、ダイより小さくてもよいか、又は複数の組み合わされたダイに対応し得る。入力バッファ554がフィルタモジュール551の後に配置されるように描写されているが、その前にあるか又はそれと並列であり得る。
【0086】
[0105] 望ましくは、第1の処理モジュール550は、第1の基準画像データ553をバッファするように構成された基準バッファ555を含む。基準バッファは、サンプルの繰り返し領域全体の第1の基準画像データを格納するために必要とされる量未満の容量を有し得る。必要とされるバッファ格納の量は、サンプルのより小さい領域を一度に走査し、処理することによって最小化され得る。
【0087】
[0106] 望ましくは、第1の基準画像データは、サンプルの画像より低い解像度を有する。好ましくは、第2の処理モジュールは、第1の選択されたデータと、第2の基準画像データとを比較する。好ましくは、第1の基準画像データは、第2の基準画像データのより低い解像度のバージョンである。より低い解像度基準画像を使用することで、この比較を可能にするために第1の処理モジュールに供給される必要があるデータの量を低減する。
【0088】
[0107] 望ましくは、第1の処理モジュールは、フィールドプログラマブルゲートアレイ又は特定用途向集積回路を含む。例えば、FPGA又はASICなどの単純なプロセッサなどの専用ハードウェアは、単純及び直接的な計算を高速で効率的に行い得る。単純なプロセッサは、荷電粒子評価デバイス内のデータ源の近くに配置されるのがより容易であるように、低電力消費でサイズが小さくてよい。
【0089】
[0108] 望ましくは、第1の欠陥検出試験は、第1の欠陥スコアを生成する。第1の欠陥スコアは、サンプル画像の画素が欠陥を表す尤度を示す。画素が、欠陥であるかなりの可能性を有することを示す欠陥スコアを有する画素は、欠陥候補と呼ばれる。第1の処理モジュールは、欠陥候補を含む画像の領域のデータを蓄積するように構成された出力バッファを含む。欠陥候補を含む領域の累積データは、第1の選択されたデータであり得る。欠陥候補を含む領域の累積データは、第1の欠陥スコアの最高値を有し得る。
【0090】
[0109] 望ましくは、荷電粒子ビームシステム及びデータ処理デバイスは、荷電粒子評価システム内に組み込まれる。望ましくは、荷電粒子ビームシステムは、真空チャンバ内に配置される。第1の処理モジュールは、真空チャンバ内に少なくとも部分的に配置される。第2の処理モジュールは、真空チャンバの外側に完全にではないにしても少なくとも部分的に配置される。第1の処理モジュールの一部は、真空チャンバの外側に配置され得るか、又は第2の処理モジュールの一部は、真空チャンバの内側に配置され得る。即ち、このような第1の処理モジュール及び第2の処理モジュールは、真空チャンバの内側及び外側に部分的にあり得る分散処理モジュールであり得る。
【0091】
[0110] 望ましくは、荷電粒子ビームシステムは、マルチコラムビームシステムである。マルチコラムシステムは、データを高速で生成する。従って、マルチコラムシステムは、本発明から大いに恩恵を受ける。望ましくは、それぞれマルチコラムビームシステムのコラムの1つに関連する複数の第1の処理モジュールが存在する。第2の処理モジュールは、第1の処理モジュールより少なくてもよい。ハードウェアを処理するための全体的な要件は、複数の第1の処理モジュールに、選択されたデータを1つの第2の処理モジュールに供給させることによって低減され得る。これは、第2の処理モジュールによって処理されるデータの量が、第1の処理モジュールによって処理されるデータより実質的に少ないために実現可能であり得る。
【0092】
[0111] 荷電粒子評価デバイスによって生成された画像内の欠陥を検出するために、様々な手法が採用され得る。第1の処理モジュールによって行われる第1の欠陥検出試験として使用可能である特に好適な試験は、本明細書でサンプル画像と呼ばれるサンプルの一部の画像と基準画像とを比較することである。実際、サンプル画像を表すデータストリームのデータ点は、メモリから回収されるか又は並列データストリームで配送される基準画像のデータ点と比較される。簡潔さのために、このプロセスは、以下では、画像と、画素としてのデータ点とを比較するプロセスと呼ばれ得る。基準画像の対応する画素と異なるいかなる画素も欠陥と考えられ得る。基準画像と異なるこのような画素は、基準画像とも異なる隣接する画素と共に単一の欠陥と考えられる(一実施形態では、これは、基準画像と異なる画素を意味し得、基準画像と同じである(即ち基準画像と異ならない)隣接する画素を有する画素を意味し得、欠陥を表さないと考えられ得る)。基準画像は、以下に論述されるように、多様な方法で取得され得る。
【0093】
[0112] 偽陽性、即ち実際にいかなる重大欠陥も存在しないときに欠陥を有するとしてラベル付けされたサンプルの割合が制御され得る。偽陽性率は、欠陥にフラグが立てられる前に、欠陥の存在を判断するための閾値を設定することによって制御され得る。閾値は、基準画像と比較した、例えば基準画像の均等な画素と比較した画素の差であり得る。偽陽性率は、雑音低減を基準画像とサンプル画像との何れか又はその両方に適用することによって更に制御される。しかし、雑音低減は、欠陥を検出するために必要とされる処理の量を増加させる。
【0094】
[0113] サンプル画像内の雑音を低減する効率的及び効果的な手法は、畳み込みによって単純なフィルタ、例えば均一フィルタを適用することによる(均一カーネルによる畳み込み)。基準画像内の雑音を低減するために、複数のソース画像が平均化され得る。例えば、基準画像が設計データ(多くの場合にGDSIIフォーマットにおける)からシミュレーションによって取得されるいくつかの事例では、基準画像上の雑音低減が省略され得る。
【0095】
[0114] サンプル画像内の雑音低減の効率及び有効性は、(均一)フィルタのサイズの好適な選択によって最適化され得る。フィルタの最適サイズは、サンプル画像の解像度及び検査されているサンプル上のフィーチャのサイズなどの要因に依存し得る。フィルタを実施するために使用される均一カーネルのサイズは、非整数の画素に等しくてもよい。均一カーネルの1.1~5画素の範囲、望ましくは1.4~3.8画素の範囲の幅が多様な使用事例で好適である。均一カーネルの形式が以下に更に論述される。均一フィルタの使用による雑音低減は、高効率及び高速処理を可能にする、FPGA又はASICのような専用ハードウェア上の実装に好適である。
【0096】
[0115] 基準画像を取得するためにソース画像に対して行われる平均化は、ソース画像の性質に依存して変動し得る。ソース画像が過去の走査のライブラリに由来する場合、平均化がオフラインで行われ得るため、大量の(例えば、20超、30超又は約35の)画像が基準画像を取得するために平均化され得る。ソース画像は、平均化前にアライメントされ得る。
【0097】
[0116] 代替的に、サンプル画像は、同じサンプルの異なる部分から取得された「ライブ」ソース画像から導出される基準画像と比較され得る。この場合、より少ない、例えば2つのソース画像は、基準画像を取得するために平均化され得る。2つのソース画像は、サンプルの様々なダイの対応する領域から取得され得る。代替的に、検査されているパターンが反復要素を有する場合、ソース画像は、同じダイから取得され得る。いくつかの場合、ソース画像は、サンプル画像のシフトされた部分であり得る。サンプル画像が、ライブソース画像から導出された基準画像と比較される場合、様々な画像の役割が循環し得る。例えば、3つの画像A、B及びCが荷電粒子評価デバイスによって出力される場合、A及びBは、Cと比較するための基準画像を提供するために平均化され得、A及びCは、Bと比較するための基準画像を提供するために平均化され得、B及びCは、Aと比較するための基準画像を提供するために平均化され得る。
【0098】
[0117] 別の可能性は、基準画像が1つ又は複数の「既知の良好な」パターンから取得されることである。別の可能性は、基準画像がシミュレーションにより、例えばパターンデータ(例えば、GDSIIフォーマットにおける)に基づいて取得されることである。例えば、ツーステッププロセスの第1のステップにおける少なくとも第1の処理モジュールによるこのような基準画像は、1つ又は複数の「既知の良好な」パターン又はシミュレーションの簡素なバージョンであり得る。
【0099】
[0118] サンプル画像と基準画像との比較の結果は、サンプル画像と基準画像との間の差異又は一致(即ち整合)を表す単純な2進値であり得る。より望ましくは、比較の結果は、サンプル画像と基準画像との間の差異の大きさを表す差異値である。望ましくは、比較の結果は、ソース画像内の欠陥の場所がより高い精度で判断され得るように画素(又は「画素の領域」と呼ばれ得る隣接する画素の群)毎の差異値である。
【0100】
[0119] ソース画像と基準画像との間の画素又は画素の領域の差異が、検査されているパターン内の欠陥を表すかどうかを判断するために、画素又は画素の領域に対応する差異値に閾値が適用され得る。例えば、特定荷電粒子ビームシステム又は検査される特定のパターンの閾値は、事前に固定され得る。閾値は、ユーザ設定パラメータであり得るか又は他の条件によるものであり得、例えば、閾値は、用途に依存して又は評価結果から随時更新される。閾値は、動的に判断されるか、処理中に更新されるか又はその両方であり得る。代替的に、最高差異値を有する所定の数の場所は、更なる検査のための欠陥候補として選択され得る。閾値より高い差異値を有する隣接する画素は、単一の欠陥又は単一の欠陥候補と見なされ得る。単一の欠陥のすべての画素は、同じ差異値に帰着され得る。単一の欠陥のこのような隣接する画素及びすべての画素は、画素の領域と呼ばれ得る。
【0101】
[0120] 最高差異値を有する所定の数の場所を識別するための効率的な手法は、画素を順に処理し、画素情報及び差異値をバッファに書き込むことである。画素情報は、潜在的な欠陥として識別された画素又は画素の群を取り囲む画素データの領域を含み得る。画素データのこのような領域は、クリップと呼ばれ得る。バッファが一杯であり、新しく処理された画素が、最低差異値を有するバッファ内の画素より大きい差異値を有する場合、最低差異値を有する画素に関係する画素情報が上書きされる。1つの可能な実装形態では、バッファが一杯になるまで、画素の選択のための閾値は、所定のレベルに設定される。バッファが一杯である場合、閾値は、バッファ内に蓄積された画素の最低差異値に対して更新され、バッファ内の画素が上書きされるたびに更新される。このようにして、一回の比較のみが行われる必要がある。代替的に、閾値は、一定に維持され得、最初に選択された画素は、バッファ内の画素より大きい差異を既に有するかどうかを見るために別途試験され得る。このような方法は、所定の割合の画素及び所定の量のデータを選択し得る。代替的に、閾値は、試験される選択された画素が設定閾値に対応する大きさ又はそれを超える大きさを有するように、閾値を超える画素を選択するように設定され得る。このような方法では、画素の割合は、予め判断されないため、選択されるデータの量は、予め判断されない。選択される画素の割合は、処理されているデータの組に依存し得る。このような方法で選択される画素の数は、画素の合計数よりはるかに少ないため、選択された画素の更なる処理は、スループットを低減することなく初期処理から非同期的に(例えば、様々なプロセッサによって)行われ得る。
【0102】
[0121] 第1の処理モジュール550として使用され得る処理モジュール500は、
図9に描写されている。処理モジュール500は、荷電粒子評価システム40からサンプル画像を受信し、フィルタリングするフィルタモジュール501、ソース画像に基づいて基準画像を生成する基準画像生成器503、フィルタリングされたサンプル画像と基準画像とを比較する比較器502及び比較の結果を処理し、出力する出力モジュール504を含む。
【0103】
[0122] フィルタモジュール501は、所定のサイズのフィルタ、例えば均一フィルタをサンプル画像に適用する。均一フィルタを適用することは、サンプル画像を均一カーネルによって畳み込むことを含む。均一カーネルのサイズは、例えば、サンプル上のフィーチャのサイズ、検出される欠陥のサイズ、荷電粒子評価デバイスの解像度、画像内の雑音の量及び感度と選択性との間の望ましい妥協点に基づく所与のサンプルの検査のために、例えばユーザによって判断される。均一カーネルのサイズは、整数の画素である必要がない。例えば、5~14nmの範囲の画素サイズ及び20nmの程度の欠陥に関して、1.1~5画素の範囲、望ましくは1.4~3.8画素の範囲の幅を有する均一カーネルが高選択度及び高感度を提供することによって有利である。
【0104】
[0123] 非整数のサイズ(幅)を有する正方形均一カーネル505が
図12に描写される。このような均一カーネルは、そのすべてが1である、n×n値の中央領域505a並びに最上行、最下行、左列及び右列で構成される周囲領域505bを含む。周囲領域の値のすべては、f
2である角値以外にはfであり、ここで、f<1である。均一カーネルの有効サイズは、n+2f画素に等しい。任意選択的に、均一カーネルは、正規化され得る(即ち定数によって割られたすべての値の合計が1となるように)。代わりに又は加えて、フィルタリングされたサンプル画像は、正規化又は再スケーリングされ得る。
【0105】
[0124] いくつかの場合、例えば上記で説明された均一カーネルでは、2次元カーネルは、順次適用される直角方向の2つの1次元畳み込みに分解され得る。これは、n×nの2次元畳み込みを行うための演算の数がnの2乗と共に増加する一方、2つのnの1次元畳み込みを行うための演算の数がnと共に線型に増加するために有利であり得る。
【0106】
[0125] カーネルは、正方形である必要がなく、従って例えば矩形又は任意の他の好都合な形状であり得る。カーネルによって実装されるフィルタ関数は、カーネルと同じ形状及びサイズである必要がない。即ち、フィルタ関数より大きいカーネルは、0の値を含む。望ましくは、フィルタは、対称的であるが、これは、必須ではない。本発明者らによって行われたシミュレーションは、均一カーネルを実装するカーネルが良好な結果を提供するが、数学的均一フィルタからのいくらかの偏差が許容可能であることを示唆する。例えば、コーナフィルタは、値fを有し得るが、これは、それらの画素を若干過剰に重み付けするであろう。非均一フィルタ、例えばガウシアンフィルタは、好適なカーネルとの畳み込みによって好都合に実装され得る。
【0107】
[0126] フィルタモジュール501は、特に所定のサイズの均一フィルタを適用するように構成された場合、専用ハードウェア、例えばFPGA、ASICによって好都合に実装される。このような専用ハードウェアは、標準的又は一般的なタイプのCPUアーキテクチャなどのプログラム型汎用コンピューティングデバイスよりも効率的及び経済的であり得る。プロセッサは、CPUほど強力ではない場合があるが、検出信号データ、即ち画像を処理するための処理ソフトウェアに適したアーキテクチャを有し得るため、画像をCPUと同じ時間又はそれよりも短い時間で処理することができる。このような検出処理アーキテクチャは、ほとんどの同時代CPUより低い処理能力を有するにもかかわらず、専用処理アーキテクチャのより効率的なデータアーキテクチャに起因して、データを処理するのが速い場合がある。
【0108】
[0127]
図13は、一例として、荷電粒子評価デバイスによって生成されたサンプルの画像又は画像の一部及び従ってクリップである。検査されるサンプルは、寸法ShiftX及びShiftYによって示されるサイズの単位セルを有するフィーチャの繰り返しパターンを有することが分かるであろう。
【0109】
[0128] 基準画像生成器503は、それぞれ基準画像の生成に対する異なる手法を表す1つ又は複数のモードで動作可能であり得る。
【0110】
[0129] ライブラリモードでは、基準画像生成器503は、現在評価されているパターンと名目上同じパターンの、以前の走査から取得された多数のソース画像を平均化する。このような画像は、サンプルの同じバッチ内で以前に生成されるか又は前のバッチ内のサンプルから生成され得る。ライブラリ画像は、試験サンプル又は生産サンプルから導出され得る。平均化前に、画像は、望ましくは、互いにアライメントされる。基準画像を生成するためにソース画像を平均化することは、雑音を低減する効果がある。ソース画像をこのように平均化することは、ソース画像内で可視であり得るいかなる欠陥も平均化して除去する。
【0111】
[0130] 例えば、
図13に示されるように、検査されているパターンが繰り返しパターンである場合、ソース画像の複数のシフトバージョンを平均化することによって基準画像を生成することが可能である。ソース画像の各バージョンは、ShiftX及び/又はShiftYの整数倍だけシフトされる。単位セルの何れかの寸法又は両方の寸法が画素の整数に等しくない場合、シフト量は、最も近い画素に丸められ得るか、又は分数画素シフトは、補間、例えば線形若しくは双3次補間などの3次元補間又は任意の他の既知の補間技術によって実施され得る。別の可能性は、その倍数が整数の画素となるように繰り返しパターンのピッチの倍数だけシフトすることである。事実上、単位セルの複数のインスタンスがソース画像から抽出され、平均化される。この手法は、アレイモード、より具体的にはアレイモードのための基準画像の提供の一例として参照され得る。
【0112】
[0131] ダイツーダイモードでは、マルチコラム荷電粒子評価デバイスの3つのコラムがサンプル画像及び2つの基準画像を生成するために使用される。画像アライナは、必要に応じて画像が基準画像生成器503及びフィルタモジュール501に供給される前に画像をアライメントするために設けられる。この配置は、コラムが、次に、対応するパターンフィーチャを同時に自動的に走査するため、コラム間の間隔が検査中のサンプルのダイサイズに等しい場合に特に効率的である。コラム間隔とダイサイズとの間に差がある場合、データ処理デバイスへの画像入力のタイミングを補正するためにバッファが採用され得る。
【0113】
[0132] ダイツーダイモードの代替的な変形形態では、同じビーム(マルチコラムシステムの場合には同じコラムの)がサンプル画像及び2つの基準画像を生成するために使用される。これは、コラムツーコラム補正及びビーム間補正が必要とされず、データのルーティングが単純化され得るという利点を有する。例えば、このような較正は、そのビームの理想ビーム位置又は更に各ビームの理想ビーム位置に対するビームの相対位置である。同じビームを使用することで、比較される様々な走査のビーム間の較正、例えばオフセットの評価を回避する。同じビームを使用することは、ビームが理想ビーム位置に対してオフセットを有するが、比較データが走査から回収された場合の補正のためのいかなる位置オフセットも存在しないことを意味する。しかし、データバッファリングの必要性は、例えば、異なるダイからのデータの比較の開始前にバッファされるデータの量でなくても頻度の点で増大され得る。
【0114】
[0133] 例えば、シングルコラムシステムの単一のコラム507を使用するアレイモードの代替的なバージョンは、ソース画像としてそれ自体の2つのシフトバージョンから導出された基準画像に対して比較されるサンプル画像を提供する。バッファは、シフトされた画像を提供するために使用され得る。
【0115】
[0134] 特に、ソース画像と同時に取得される少数のソース画像から基準画像が導出される場合、ソース画像及び/又は基準画像に均一フィルタを適用することも可能であることに留意されたい。
【0116】
[0135]
図9を再び参照すると、比較器502は、2つの値を比較することができる任意の論理回路、例えばXORゲート、減算器であり得る。比較器502は、専用ハードウェア、例えばFPGA、ASICによる実装にも好適である。このような専用ハードウェアは、プログラム型汎用コンピューティングデバイス、例えばCPUよりも効率的及び経済的であり得る。望ましくは、比較器502は、フィルタモジュール501と同じ専用ハードウェア上に実装される。
【0117】
[0136] いくつかの場合、基準画像生成器503は、特に基準画像が少数、例えば2つのソース画像から生成されるモードでのみ基準画像生成器が動作する場合、専用ハードウェア内にも実装され得る。この場合、基準画像生成器は、比較器及び/又はフィルタモジュールと同じ専用ハードウェア内に実装されることが望ましい。ソース画像の画素を平均化し、サンプル画像の画素と比較する数学的演算は、好適な事例では、単一の論理回路に合成され得る。
【0118】
[0137] 出力モジュール504は、比較器502によって出力された結果を受信し、ユーザ又は他の工場システムへの出力を作製する。出力は、いくつかの様々な形態の何れかであり得る。最も簡単な選択肢では、出力は、単純にサンプルが欠陥を有するか又は有しないという指標であり得る。しかし、ほぼすべてのサンプルは、少なくとも1つの潜在的な欠陥を有するため、より詳細な情報が望ましい。従って、出力は、例えば、欠陥場所のマップ、差画像及び/又はサンプル画像と基準画像との差異の大きさによって表される潜在的な欠陥の重大度に関する情報を含み得る。出力モジュール504は、例えば、サンプル画像と基準画像との差異の大きさが閾値より大きいか、又は差異を示す画素の密度が閾値より高い欠陥場所のみを出力することにより、潜在的な欠陥もフィルタリングし得る。別の可能性は、差異の大きさによって示される所定の数の最も深刻な欠陥部位のみを出力することである。これは、欠陥部位をバッファ510内に格納することにより、バッファが一杯であるとき、より大きい大きさの欠陥が検出される場合に最も小さい大きさの欠陥を上書きすることによって行われ得る。
【0119】
[0138] 欠陥情報の出力のための任意の好適なフォーマット、例えばリスト又はマップが使用され得る。望ましくは、出力モジュール504は、クリップを出力し、これは、潜在的な欠陥が検出されたサンプルの領域の画像である。これは、潜在的な欠陥が現実のものであり、及びサンプル上に形成されるか又はその中に存在するデバイスの動作に影響するのに十分に深刻であるかどうかを判断するために更に調べられる得ことを可能にする。ソース画像の残り、即ちクリップとして保存されなかった部分は、データ保存要件及び転送要求を軽減するために廃棄され得る。
【0120】
[0139] 荷電粒子検査システムでは、電子光学システム41又は各電子光学システム41は、主(真空)チャンバ10内に配置され、上述の電子光学システム41,41’,41’’又は41’’’の任意の1つであり得る。従って、データを真空チャンバの外側の電子光学システムから電子光学システムデバイスに送信する必要がある。電子光学システムによって生成された生データは、電子光学システム41の検出器モジュール240の近くに配置される光送受信器を使用して真空チャンバから送信され得る。光送受信器は、検出器モジュール240によって出力される電気信号を、光ファイバに沿った送信のための光信号に変換するように構成される。光ファイバは、複数のチャネルを同時に送信する(例えば、異なる波長を使用して)ことができ得る。従って、検出器モジュールのそれぞれの個々の電極からの検出信号は、適切な数のデータストリームに変換される。複数の光ファイバは、単一チャネル又はマルチチャネル光ファイバとしての何れかで使用され得る。光ファイバ又は各光ファイバは、真空フィードスルーによって主チャンバ10(その内側は、使用時に真空状態である)の壁を貫通する。好適な真空フィードスルーは、少なくともフィードスルーデバイスに関係する限り、参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2018/0182514A1号に記載されている。光ファイバは、第1の処理デバイス550に接続され、従って、第1の処理デバイス550は、アクセスの容易さのために及びデータ処理デバイスを収容するために真空チャンバのサイズを増加させる必要性を回避するために、真空の外側に配置され得る。
【0121】
[0140] 代替又は追加的な配置は、第1の処理モジュールを検出器モジュール近くに配置することである。これは、このような第1の処理モジュールがFGPAなどの単純化専用プロセッサを含み、光送受信器及び光ファイバに少なくとも信号的に接続される場合に特に便利である。光送受信器及び光ファイバは、第1の選択されたデータを、主チャンバの外側に配置された第2の処理モジュールに送信する。この配置は、第1の選択されたデータのデータ速度が検出器モジュールの出力よりはるかに低いため、真空チャンバの壁を貫通させる必要がある光ファイバの数を減らす。
【0122】
[0141] シングルコラムシステム及びマルチコラムシステムの両方では、好都合な場合、1コラム当たり複数の光送受信器及び複数の光ファイバが使用され得る。
【0123】
[0142] サンプル画像が同じサンプルの他の領域から導出された基準画像と比較される欠陥検出方法では、基準画像を導出するために繰り返し領域全体(場合により重要でない領域を除く)を走査することは、以前に提案されている。従って、基準画像は、サンプル画像を取得するためにサンプル領域を走査する前に導出される。このようなサンプル画像は、以前に導出された基準画像と比較される。本発明者らは、これが最も効率的手法ではないと判断した。本発明者らは、代わりに、走査が、基準領域としての複数(例えば、2つ)のパターン繰り返し領域の各領域の一部の走査及び検査されるパターン繰り返し領域の対応する部分の走査のみから構成されることを提案する。検査されるパターン繰り返し領域は、サンプル領域と呼ばれ得る。サンプル領域及び基準領域は、欠陥を検出するためのデータ処理前に走査され、その後、基準領域及びサンプル領域の他の部分が走査される。
【0124】
[0143] 従って、一実施形態では、荷電粒子ビームシステムを使用する、複数のパターン繰り返し領域を有するサンプル内の欠陥を検出する方法は、第1の走査、第2の走査、第3の走査及び後続の走査を順に含む。第1の走査では、パターン繰り返し領域の第1の領域の第1の部分が、第1の走査画像データを生成するために走査される。第2の走査では、パターン繰り返し領域の第2の領域の第1の部分が、第2の走査画像データを生成するために走査される。第2の領域は、第1の領域から離間している。第3の走査では、パターン繰り返し領域の第3の領域の第1の部分が、第3の走査画像データを生成するために走査される。第3の領域は、第1の領域及び第2の領域から離間している。第1の領域の第2の部分の後続の走査は、第4の走査画像データを生成するために行われる。
【0125】
[0144] 第1、第2及び第3の走査画像データは、多様なプロセスを使用して欠陥を検出するために使用され得る。例えば、走査画像データの2つは、走査画像データの他の1つが比較される基準画像を導出するためにソース画像として使用され得る。代替的に、多数決の形式が3つの走査画像データ間に適用され得る。機械学習技術(例えば、ラベル付けされた欠陥及び非欠陥画像に関してトレーニングされる)に基づく検出方法も好適である。
【0126】
[0145] 多様な利点が上記の配置から生じ得る。例えば、走査される各部分領域のサイズを選択することにより、必要とされるバッファメモリ容量が決定され得、従って装置の費用とスループットとの間の所望のトレードオフが実現され得る。
【0127】
[0146] 望ましくは、第1、第2、第3及び第4の走査中、サンプルは、電子光学システムに対して単一方向に少なくとも機械的に走査される。この場合、サンプルの画像を生成するために複数の走査を縫合することは必要ではなく、これにより縫合プロセスのためにオーバースキャンする必要性を回避し、コンピュータ作業負荷を低減する。様々な走査領域の画像が比較前に互いにアライメントされることを可能にする少量のオーバースキャンが望ましい。この量のオーバースキャンは、(例えば、サンプルの熱膨張を考慮するために)位置決めの精度及び走査間の時間に依存するが、縫合に必要とされるよりも小さい可能性がある。オーバースキャンの詳細実装形態が以下に説明される。
【0128】
[0147] 荷電粒子ビームシステムが複数のビームを有する場合、第1、第2及び第3の走査は、それぞれのパターン繰り返し領域の対応する部分を走査するために同じビームが使用されるように行われることが望ましい。このようにして、ビーム間の差は、画像の比較に対するエラーに寄与しない。ビーム又はコラム間隔がサンプルのパターン繰り返し領域(例えば、ダイ)のピッチに整合する必要もない。このような配置は、複数のデータストリーム内のデータのリアルタイム比較を許容し得るが、このような比較は、各データストリームの様々なビームの使用を補償するためにデータストリーム間の較正を必要とするであろう。
【0129】
[0148] 上記の方法は、第1のサブプロセス及び第2のサブプロセスを含むツーステップ処理方法と共に使用されると特に有用である。第1の欠陥検出試験を適用する第1のサブプロセスは、第1の選択されたデータとして、第1、第2及び第3の走査画像データの1つのデータのサブセットを選択することである。第2の欠陥検出試験を適用する第2のサブプロセスは、第2の選択されたデータとして、第1の選択されたデータのサブセットを選択することである。
【0130】
[0149] このツーステップ処理方法は、
図9~13を参照して上記で説明され得る。
【0131】
[0150] 望ましくは、ツーステッププロセスが欠陥を検出するために使用される(即ちツーステッププロセスがツーステップ欠陥検出試験である)場合、第1のサブプロセスにかかる時間は、第1の走査の開始と第4の走査の開始との間の時間間隔以下である。
【0132】
[0151] 少なくとも第2の走査画像データの生成が開始されるまで、第1の走査画像データをバッファすることが望ましい。次に、第1の走査画像データ及び第2の走査画像データの処理は、第2の走査画像データが生成されている間でも開始し得る。例えば、フィルタリングプロセス又は雑音除去プロセスが行われ得る。これは、正味処理時間を低減し得る。しかし、このような処理は、第3の画像データセットが全処理のために必要とされるために不完全である。
【0133】
[0152] 少なくとも第3の走査画像データの生成が開始されるまで、第1及び第2の走査画像データをバッファすることも望ましい。すべての3つの組の走査画像データの処理は、第3の画像データ走査が例えば第3の画像データ走査のデータストリームと共に生成されている間に開始し得る。処理時間が低減され得る。
【0134】
[0153] 第1、第2及び第3の走査画像データをバッファすることも望ましい。
【0135】
[0154] この部分領域走査手法のより詳細な例は、
図14A、14B、14C、15、16を参照して以下に説明される。
【0136】
[0155]
図14A、14B及び14Cは、サブビーム視野720のグリッドとして、マルチビーム電子光学システムのマルチビーム配置の幾何学的形状と、サブビーム処理エリア740の幾何学的形状との例示的な関係を描写する。マルチビーム配置の幾何学的形状と、サブビーム処理エリア740の幾何学的形状との関係は、サンプルの連続的なカバレッジを可能にする。サブビームのグリッドの対称性は、サブビーム処理エリア740の対称性と同じである必要はない。示された例では、サブビームは、六角形グリッド(即ち六角形対称性を有するグリッド)上に提供され、各サブビームは、六角形ビーム視野720を有する。サブビーム処理エリア740(その各々は、単一のサブビームによって走査される)は、矩形状である。走査のための幾何学的形状は、サブビーム処理エリアの六角形グリッドに必要とされ得るものより複雑ではないため、矩形サブビーム処理エリアを有することが望ましい場合がある。第1の方向(描写される配向では水平方向)と平行なサンプル表面の連続的なカバレッジは、走査時のサンプル208の移動の距離が第1の方向のサブビームのグリッドのピッチw(即ち敷き詰められた六角形720の幅)に等しくなるように配置することによって実現される。従って、細長い領域の及び/又は各サブビームに関連するサブビーム処理エリアの長さは、ピッチwに等しくてもよい。第2の方向(描写された配向では垂直方向)と平行なサンプル表面の連続的なカバレッジは、例えば、幅wのサブビーム処理エリア内に走査間のステップの累積距離Nxを配置することによって実現される。第2の方向のサブビーム処理エリア740の寸法hは、第2の方向のサブビームのグリッドのピッチと等しくなるように設定される。マルチビーム電子光学システムのサブビームの視野720は、形状が六角形でもあるマルチビーム視野750を併せて形成し得る。サンプルの連続エリアを走査するために、サンプルは、第1の方向に対して例えば40~70度の範囲の角度であるマクロステップ801でステップされる。様々なステップにおける走査は、少なくとも連続し得るため、サンプルの連続エリアを一緒に覆う(より一般的には、サブビームの視野720は、グリッド内に敷き詰められる同様のサイズ及び形状のものであり得る。マルチビーム視野750は、サンプルの表面の上に同様の視野で敷き詰められ、表面をほぼ覆う形状のものであり得る。即ち、マルチビーム視野750内で逐次的なサンプルの部分は、ほぼ連続する表面のために一緒に敷き詰められ得る)。
【0137】
[0156] サブビームが六角形アレイで提供される特別な例示的事例では、六角形アレイのピッチは、50~100ミクロンピッチの範囲であり得る。矩形サブビーム処理エリア740は、六角形アレイのピッチの0.5×√3倍の幅を有するであろう。例示的な事例では、対物レンズアレイ内の対物レンズの視野は、細長い領域724(又はストライプ)の50~100回の機械的走査によって1つのサブビーム処理エリアを覆うために約1ミクロンである。注記:異なる配置では、サブビームは、異なる形状、例えば平行四辺形、菱形、矩形又は正方形のグリッドを有するアレイで提供され得る。ビーム配置の各形状に関して、サブビーム処理エリア740は、矩形であり得る。
【0138】
[0157] 走査を実施するために、マルチビーム配置の各ビームは、処理エリア740が割り当てられる。電子光学設計に依存して、様々な処理戦略が、その処理エリアを処理するために、割り当てられたサブビームによって使用され得る。一実施形態では、サブビームは、サブビーム及びサンプルが処理エリア740全体にわたって横方向に走査するように横方向ステージ移動によって機械的に走査される。サブビームは、横方向ステージ移動の方向に対して直角に又は少なくとも角度を付けられて例えば走査偏向器によって静電気的に走査される。このような静電気的走査は、細長い領域の幅、例えば0.5~5ミクロンを決定し得る。ステージは、処理領域の細長い領域間でステップされる。すべてのサブビームは、それぞれの割り当てられた処理エリアのサンプル表面全体にわたって走査される。サブビームのグリッドに割り当てられたサンプル表面は、このようにして処理される。配列されたステージ及びマルチビームは、サンプル表面の未処理エリアが処理、即ち走査のためにサブビームのグリッドに割り当てられるように互いに対して移動され、例えばステージがステップされる。別の配置では、走査は、例えば、ステージ移動による機械的なものである。代替的な配置では、走査は、電気的なものであり、例えば、細長い領域は、細長い領域の幅を定義するように細長い領域の方向に対して任意選択的に直角に、少なくとも角度を付けられて走査する走査偏向器を使用して走査される。一実施形態では、機械的走査アクチュエータ及び電気的走査アクチュエータの異なる組み合わせが使用される(走査アクチュエータは、ステージ移動走査偏向器又は静電気的走査偏向器であり得ることに留意されたい)。
【0139】
[0158]
図14A~14Cに示すような配置で採用され得る様々なタイプのオーバースキャンが
図17~19に描写されている。一般的に、オーバースキャンという用語は、処理される公称エリアより大きいエリアを走査することを指す。オーバースキャンは、以下の多様な理由のために行われ得る:例えば、隣接する走査のデータがより大きいエリアの画像を形成するために縫合されることを可能にするか若しくはアライメントエラー(正確に知られていない関心領域の場所)を考慮するか、又はこれらの理由の組み合わせ理由のため。オーバースキャンが画像比較の方法においてステージアライメントステップを回避するために使用される場合、サンプル上で走査されるエリアは、比較される画像のエリアより大きい。換言すれば、画像比較は、走査の重なりのエリアを表す走査画像データのサブセットに関して行われる。走査される余分なエリアのサイズは、比較される画像のエリアと比較して比較的小さくてもよい。
【0140】
[0159]
図17は、ストライプオーバースキャンと呼ばれ得るオーバースキャンの形式を描写する。ストライプオーバースキャンでは、追加的な余白741は、サンプル表面上の走査方向に垂直な方向にストライプ724(又は細長い領域)の幅を増加させることによって走査される。これは、好適な事例では、サブビームを電子光学的に走査することを通して、例えば電磁気的走査偏向器及び/又は電子的走査を使用して実現され得る。走査の幅は、必要に応じて、サンプルの機械的走査の調節を介しても増加され得る。ストライプオーバースキャンは、以下に対処し得る:走査中のビーム又はサンプルドリフト(例えば、ビームとウェーハとの相対位置のドリフト)、ダイツーダイモードにおける走査間のビームドリフト若しくはサンプルドリフト及び/又はステージ移動をダイ間隔に整合すること。一例として、ストライプオーバースキャンの量は、ストライプ幅の最大で約10%であり得る。
【0141】
[0160]
図18は、ピッチエリアオーバースキャン(又は処理エリア742のオーバースキャン)と呼ばれ得るオーバースキャンの形式を描写する。ピッチエリアオーバースキャンでは、サブビーム処理エリア742周囲の追加的な余白743が走査される。これは、走査されるストライプ724の長さを増加させること及び/又はストライプ724の1つ若しくは複数又はすべての幅を増加させることを介して実現され得る。処理エリアのストライプ724の幅を増加させることは、ストライプオーバースキャンを適用することによって実現され得る。ピッチエリアオーバースキャンは、ストライプオーバースキャンを含み得る。追加的に又は代替的に、ピッチオーバースキャンは、1つ又は複数の余分なストライプ724によって実現され得る。余分なストライプがピッチエリアオーバースキャンを実現するために使用される場合、余分なストライプは、比較のためのデータを導出するために使用されるピッチエリア、例えば同じビームによる様々なダイの各ダイの同様のピッチエリアを走査する際に含まれるべきである。ピッチエリアオーバースキャンは、サブビーム処理エリア全体の走査中のビーム若しくはサンプルドリフト及び/又はサブビームグリッドの不完全性に対処し得る。一例として、ストライプオーバースキャンの量は、サブビーム処理エリアのより大きい次元の最大で約2%であり得る。
【0142】
[0161] これは、同じビームによって撮影される画像の比較を考慮する。同じビームの使用は、オーバースキャンに影響を与え得る。比較される画像を作成するために同じビームを使用することにより、多くのエラーが「ピッチエリアオーバースキャン」に含まれる。このようなエラーは、ビームグリッドの不完全性及び最大処理エリアまでの時間スケールでのビーム又はウェハードリフトであり得る。様々なビームが、比較される3つの画像を作成するために使用される場合、不完全性は、「ストライプオーバースキャン」における大きい特徴であり得る。これは、「ピッチオーバースキャン」が「ストライプオーバースキャン」よりはるかに大きくされ得るために有利である。不完全性は、より多くの不完全性が、例えば画像データの比較に対する低い影響でなされることを可能にするより大きいエリア内に収容され得る。
【0143】
[0162]
図19は、マルチビーム視野オーバースキャンと呼ばれ得るオーバースキャンの形式を描写する。マルチビーム視野オーバースキャンでは、マルチビームコラムの視野を増加させる(これは、余分なビームを追加することを必要とするであろう)のではなく、視野は、選択的に使用されるのみである。マルチビーム視野の幅w又はW
fov及び高さh又はH
fovは、維持される。即ち、マルチビーム視野750の相対位置は、オーバースキャンを実現するためにシフトされ得る。マルチビーム視野オーバースキャンは、以下に対処し得る:検査のために、選択されたエリアを十分に覆うこと、例えば六角形(即ち検査のための選択エリアと異なる形状)視野を使用してサンプル上の矩形エリアを走査すること、サンプルアライメントにおける不正確性及び/又は失敗ビーム。従って、複数のマルチビーム視野の隣接する走査は、隣接する走査がサンプル表面の連続エリアを走査するように少なくとも連続し得る。検査のために選択されたエリアを十分に覆う際、マルチビーム視野750の隣接する走査の重なりがある。マルチビーム視野の様々な隣接する走査間の重なりも同様である。
【0144】
[0163] 部分領域走査手法を実施するために、走査の順番は、
図15に描写されるように修正される。走査領域と呼ばれる、第1のパターン繰り返し領域pr1の第1の部分sr1-1は、電子光学システムのサブビームを使用して走査される。サンプル208は、サブビームが第2のパターン繰り返し領域pr2の第2の走査領域sr2-1の開始時に位置決めされるように電子光学システム下で移動(ステップ)され、次に走査される。サンプル208は、第3のパターン繰り返し領域pr3の第3の走査領域sr3-1の開始点までステップされ、走査される。第1の領域~第3の領域sr1-1、sr2-1及びsr3-1は、すべてパターン繰り返しの対応する部分に関係する。第1の領域~第3の領域sr1-1、sr2-1及びsr3-1の走査から生じるデータストリームは、欠陥を検出するために上述のように処理される。このプロセスは、第4の走査領域~第6の走査領域sr1-2、sr2-2及びsr3-2に関して繰り返される。パターン領域pr1、pr2、pr3は、
図15に示されるような線で位置決めされる必要はないが、サンプル上の何れの箇所にも配置され得、及び隣接し得るか又は離間され得ることが認識される。3つのパターン繰り返し領域pr1、pr2、pr3の走査領域sr1-n、sr2-n、sr3-nの逐次走査は、それぞれのパターン繰り返し領域pr1、pr2、pr3の選択された部分(すべて又は一部であり得る)が走査されるまで行われ得る。走査領域の走査は、同じ方向である必要はない。この手法では、各走査の長さは、
図14A、14B及び14Cを参照して上に論述された長さと異なり得、電子光学システム40の特性よりむしろパターン繰り返し領域のサイズ(視野ピッチ)によって決まる。従って、パターン繰り返し領域の選択された部分は、必要に応じて、サブビームのグリッドの幾つかの少なくとも隣接する走査によって走査され得る。サンプル表面のいかなる部分も逃さないことを保証するために、マルチビーム配置の隣接する走査は、好ましくは、スループットの低減の影響を低減するためにほぼ最小量だけ重なり得る。
図20は、矩形グリッドのパターン繰り返し領域760を有するサンプルを有する六角形マルチビーム視野を使用する、上記の部分的領域走査手法のステップアンドスキャンシーケンスを描写する。ステップ802は、3つの領域の第1の部分間で行われ、ステップ803は、第1の領域の新しい部分を開始するための戻りステップである。
【0145】
[0164] いくつかの荷電粒子評価システムは、ステージ間のドリフト及び従ってその上に保持されたサンプルのドリフト並びにマルチビームの経路のアライメントのドリフトに対処するために、各ステージ移動後にアライメントを必要とすることが知られている。他のシステムでは、ドリフトは、必要とされるアライメントに十分であるように制限され得るが、依然として存在する。従って、走査のために様々なサンプル部分間でステップする際のステージの正確な移動は、各ビームが各パターン繰り返し領域(例えば、ダイ)の対応する部分を走査することを保証するのをより難しくし得る。上述のように、各パターン繰り返し領域の対応する部分を走査するために同じビームを使用することは、理想ビーム経路からの各ビーム経路の変位を較正する必要性を回避するために好ましい。
【0146】
[0165] 時間がかかるアライメントステップをオーバースキャン、特に上記で説明されたようなストライプオーバースキャンを使用して回避又は低減することが提案される。ストライプオーバースキャンは、走査されるストライプの長さ及び/又は幅を増加させるために行われ得る。必要とされるオーバースキャンの量は、走査間に経験されるドリフトの量に依存する。オーバースキャンが荷電粒子評価ツールにおけるアライメントステップを回避するために使用される場合、追加的な画像アライメントステップが例えば走査画像データの解析のためなどの処理中に必要とされる可能性がある。
【0147】
[0166] 欠陥検出目的のために、複数(例えば、3つ)の異なるパターン繰り返し領域の対応する部分に関係する走査領域の組が走査される。パターン繰り返し領域のほとんどを覆うために、複数組の走査領域が走査される。各組内では、走査の順番が同じである必要はない。パターン繰り返し領域全体が走査される必要もない。走査及び欠陥検出は、欠陥が発生する可能性が最も高いパターン繰り返し領域の部分に制限され得る。欠陥を有する可能性が高い場所は、欠陥ホットスポットの場所を予測する、その開示に関して本明細書に援用される米国特許出願公開第2019/0006147A1号に開示されるようなシミュレーションから予測され得る。
【0148】
[0167] パターン繰り返し領域pr1~pr3の各領域内の1つの走査領域を走査した後、同じ組内の別の走査領域の走査が直接続くことも必要ではない。異なる組のパターン繰り返し領域が最初に走査され得る。しかし、データバッファリングを低減するために、所与の欠陥検出試験で使用されるすべての走査領域が逐次走査されることが望ましい。
【0149】
[0168] 一連の走査行為及びデータ処理行為は、電子ビームシステム40、入力バッファ554、比較器552、第2の処理モジュール560及び出力バッファ570によって行われる行為を描写するスイムレーン図である
図16に描写されている。走査領域sr1-1、sr2-1、sr3-1の走査が順に進むにつれて、情報が入力バッファ554内に蓄積される。第1の欠陥検出試験の性質に依存して、処理は、走査領域の第2のものに関係するデータが利用可能になると直ちに開始し得る。例えば、2つの走査画像が、第3の走査領域との比較のための基準を形成するために平均化される場合又は第3の走査領域のデータが利用可能になると直ちに開始する。
【0150】
[0169] 欠陥が第1の処理モジュールによって検出されると、データは、第2の処理モジュール560に送信される。次に、第2の処理モジュール560は、第2の欠陥検出試験を適用することを開始し得る。第2の欠陥検出試験で検出された欠陥を表す情報が出力バッファ570に送信される。望ましくは、第1の組の走査領域の第1の処理モジュールによる処理は、それらの領域の走査よりも時間がかからない。サンプルを次の組の走査領域の走査の開始までステップするのにかかる時間は、データ処理がスループットを制限しないように設定される(上記で論述されたように、次の組の走査領域が第1の組の走査領域と同じパターン繰り返し領域に関係する必要がないことに留意されたい)。
【0151】
[0170] 上側及び下側、アップ及びダウン、上及び下の参照は、サンプル208に衝突する電子ビーム又はマルチビームの(常にではないが、典型的には垂直な)アップビーム及びダウンビーム方向に対して平行な方向を指すとして理解されるべきである。従って、アップビーム及びダウンビームの参照は、いかなる現在の重力場とも無関係に、ビーム経路に対する方向を参照するように意図される。
【0152】
[0171] 本明細書で説明される実施形態は、ビーム経路又はマルチビーム経路に沿ってアレイ内に配置された一連のアパーチャアレイ又は電子光学素子の形態を取り得る。このような電子光学素子は、静電的であり得る。一実施形態では、例えば、ビーム制限アパーチャアレイからサンプルの前のサブビーム経路内の最終電子光学素子までのすべての電子光学素子は、静電的であり得、及び/又はアパーチャアレイ若しくはプレートアレイの形態であり得る。いくつかの構成では、電子光学素子の1つ又は複数は、微小電子機械システム(MEMS)として(即ちMEMS製造技術を使用することによって)製造される。電子光学素子は、磁性素子及び静電気素子を有し得る。例えば、複合アレイレンズは、磁気レンズ内に上側及び下側極プレートによってマルチビーム経路を包含し、マルチビーム経路に沿って配置されたマクロ磁気レンズを特徴とし得る。極プレート内には、マルチビームのビーム経路のアパーチャのアレイが存在し得る。電極は、複合レンズアレイの電磁場を制御及び最適化するために極プレートの上、下又はその間に存在し得る。
【0153】
[0172] 本開示による評価ツール又は評価システムは、サンプルの定性的評価(例えば、合格/不合格)を行う装置、サンプルの定量的(例えば、フィーチャのサイズ)測定を行う装置又はサンプルのマップの画像を生成する装置を含み得る。評価ツール又はシステムの例は、検査ツール(例えば、欠陥を識別するための)、精査ツール(例えば、欠陥を分類するための)及び計測学ツール又は検査ツール、精査ツール若しくは計測学ツール(例えば、メトロ検査ツール)に関連付けられた評価機能の任意の合成を行うことができるツールである。
【0154】
[0173] 荷電粒子ビームをある方法で操作するために制御可能である部品又は部品若しくは素子のシステムの参照は、荷電粒子ビームを上述の方法で操作するために部品を制御するようにコントローラ、又は制御システム、又は制御ユニットを構成することと、荷電粒子ビームをこの方法で操作するように部品を制御するために他のコントローラ又はデバイス(例えば、電圧源)を任意選択的に使用することとを含む。例えば、電圧源は、コントローラ、又は制御システム、又は制御ユニットの制御下で電位を部品に印加するために、1つ又は複数の部品、例えば制御レンズアレイ250及び対物レンズアレイ241の電極に電気的に接続され得る。ステージなどの活性化可能部品は、部品の活性化を制御するために、1つ又は複数のコントローラ、制御システム又は制御ユニットを使用することによって活性化し、従ってビーム経路などの別の部品に対して移動するように制御可能であり得る。
【0155】
[0174] コントローラ、又は制御システム、又は制御ユニットによって提供される機能は、コンピュータ実装され得る。素子の任意の好適な組み合わせは、例えば、CPU、RAM、SSD、マザーボード、ネットワーク接続、ファームウェア、ソフトウェア及び/又は必要とされるコンピューティング操作が行われることを可能にする当技術分野で知られている他の素子を含む必要な機能を提供するために使用され得る。必要なコンピューティング操作は、1つ又は複数のコンピュータプログラムによって定義され得る。1つ又は複数のコンピュータプログラムは、コンピュータ可読命令を格納する媒体、任意選択的に非一時的媒体の形態で提供され得る。コンピュータ可読命令がコンピュータによって読み込まれると、コンピュータは、必要とされる方法ステップを行う。コンピュータは、内蔵ユニットで又はネットワークを介して互いに接続される複数の異なるコンピュータを有する分散コンピューティングシステムで構成される。
【0156】
[0175] 用語「サブビーム」及び「ビームレット」は、本明細書では互換的に使用され、両方とも親放射ビームを分割又は分離することによって親放射ビームから導出された任意の放射ビームを包含するものと理解される。用語「マニピュレータ」は、レンズ又は偏向器など、サブビーム又はビームレットの経路に影響を与える任意の素子を包含するように使用される。ビーム経路又はサブビーム経路に沿ってアライメントされる素子の参照は、それぞれの素子がビーム経路又はサブビーム経路に沿って位置決めされることを意味するものと理解される。光学システムの参照は、電子光学システムを意味するものと理解される。
【0157】
[0176] 本発明の方法は、1つ又は複数のコンピュータを含むコンピュータシステムによって行われ得る。本発明を実施するために使用されるコンピュータは、汎用CPU、グラフィック処理ユニット(GPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)又は他の専用プロセッサを含む1つ又は複数のプロセッサを含み得る。上記で論述されたように、いくつかの場合、特定のタイプのプロセッサは、低減された費用及び/又は増加した処理速度の観点で利点を提供し得、本発明の方法は、特定のプロセッサタイプの使用に適合され得る。本発明の方法のいくつかのステップは、並列処理能力のあるプロセッサ、例えばGPU上に実装されやすい並行処理に関与する。
【0158】
[0177] 本明細書で使用される用語「画像」は、値の任意のアレイを指すように意図され、各値は、ある場所のサンプルに関係し、アレイ内の値の配置は、サンプリングされた場所の空間的配置に対応する。画像は、単一の層又は複数の層を含み得る。複数の層の画像の場合、チャネルとも呼ばれ得る各層は、いくつかの場所の異なるサンプルを表す。用語「画素」は、アレイの単一の値又は複数の層の画像の場合、単一の場所に対応する値の群を指すように意図される。
【0159】
[0178] 本発明を実施するために使用されるコンピュータは、物理的又は仮想的であり得る。本発明を実施するために使用されるコンピュータは、サーバ、クライアント又はワークステーションであり得る。本発明を実施するために使用される複数のコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又は広域ネットワーク(WAN)を介して分散され、相互接続され得る。本発明の方法の結果は、ユーザに表示され得るか、又は任意の好適なストレージ媒体内に蓄積され得る。本発明は、本発明の方法を実行するための命令を格納する非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体内に具体化され得る。本発明は、1つ又は複数のプロセッサと、本発明の方法を実行するための命令を格納するメモリ又はストレージとを含むコンピュータシステム内に具体化され得る。
【0160】
[0179] 本発明の態様は、以下の番号付き条項に記載される。
【0161】
[0180] 条項1:荷電粒子評価システムによって生成されたサンプル画像データ内の欠陥を検出するためのデータ処理デバイスであって、第1の処理モジュールであって、サンプル画像データストリームを荷電粒子評価システムから受信することであって、サンプル画像データストリームは、サンプルの画像を表す順序付けられた一連のデータ点を含む、受信することと、第1の選択されたデータとして、サンプル画像データストリームのサブセットを選択するために、第1の欠陥検出試験を適用することとを行うように構成され、第1の欠陥検出試験は、サンプル画像データストリームの受信と並行して行われる局所的試験である、第1の処理モジュールと、第2の処理モジュールであって、第1の選択されたデータを受信することと、第2の選択されたデータとして、第1の選択されたデータのサブセットを選択するために、第2の欠陥検出試験を適用することとを行うように構成された第2の処理モジュールとを含むデータ処理デバイス。
【0162】
[0181] 条項2:第1の処理モジュールは、1画素当たり第1の数の演算を使用して第1の欠陥検出試験を適用し、第2の処理モジュールは、1画素当たり第2の数の演算を使用して第2の欠陥検出試験を適用し、第1の数の演算は、第2の数の演算より少ない演算である、条項1に記載のデバイス。
【0163】
[0182] 条項3:第1の処理モジュールは、1画素当たり200未満、望ましくは100未満の演算を使用して第1の欠陥検出試験を適用する、条項1又は2に記載のデバイス。
【0164】
[0183] 条項4:第1の処理モジュールによって行われる演算は、AND、OR、NOT、NAND、XOR、加算、減法、ビットシフトからなる群から選択される、条項1、2又は3に記載のデバイス。
【0165】
[0184] 条項5:第1の欠陥検出試験は、第2の欠陥検出試験より低い選択性を有する、条項1、2、3又は4に記載のデバイス。
【0166】
[0185] 条項6:第1の処理モジュールは、サンプル画像データストリームのデータ点と、所定のサイズのカーネルとの畳み込みを行う、条項1~5の何れか一項に記載のデバイス。
【0167】
[0186] 条項7:第1の処理モジュールは、サンプル画像データストリームをバッファするように構成された入力バッファを含み、好ましくは、入力バッファは、サンプルの繰り返し領域全体の画像を格納するために必要とされる量未満の容量を有する、条項1~6の何れか一項に記載のデバイス。
【0168】
[0187] 条項8:第1の処理モジュールは、サンプル画像データストリームのデータ点と、第1の基準画像データとを比較する、条項1~7の何れか一項に記載のデバイス。
【0169】
[0188] 条項9:第1の処理モジュールは、第1の基準画像データをバッファするように構成された基準バッファを含み、好ましくは、基準バッファは、サンプルの繰り返し領域全体の第1の基準画像データを格納するために必要とされる量未満の容量を有する、条項8に記載のデバイス。
【0170】
[0189] 条項10:第1の基準画像データは、サンプルの画像より低い解像度を有し、好ましくは、第2の処理モジュールは、第1の選択されたデータと、第2の基準画像データとを比較し、好ましくは、第1の基準画像データは、第2の基準画像データのより低い解像度のバージョンである、条項8又は9に記載のデバイス。
【0171】
[0190] 条項11:第1の処理モジュールは、フィールドプログラマブルゲートアレイ又は特定用途向集積回路を含む、条項1~10の何れか一項に記載のデバイス。
【0172】
[0191] 条項12:第1の選択されたデータは、第1の欠陥検出試験を満たす画像データの画素を囲む画素の領域を含む、条項1~11の何れか一項に記載のデバイス。
【0173】
[0192] 条項13:第1の欠陥検出試験は、サンプル画像の画素が欠陥を表す尤度を示す第1の欠陥スコアを生成し、及び第1の処理モジュールは、第1の欠陥スコアの最高値を有する領域のデータを第1の選択されたデータとして蓄積するように構成された出力バッファを更に含む、条項1~12の何れか一項に記載のデバイス。
【0174】
[0193] 条項14:荷電粒子ビームシステムと、条項1~13の何れか一項に記載のデータ処理デバイスとを含む荷電粒子評価システム。
【0175】
[0194] 条項15:荷電粒子ビームシステム及び第1の処理モジュールは、真空チャンバ内に配置され、第2の処理モジュールは、真空チャンバの外側に配置される、条項14に記載の荷電粒子評価システム。
【0176】
[0195] 条項16:荷電粒子ビームシステムは、マルチコラムビームシステムである、条項14又は15に記載の荷電粒子評価システム。
【0177】
[0196] 条項17:それぞれマルチコラムビームシステムのコラムの1つに関連する複数の第1の処理モジュールが存在し、第1の処理モジュールより少ない第2の処理モジュールが存在する、条項16に記載の荷電粒子評価システム。
【0178】
[0197] 条項18:第1の処理モジュールは、マルチコラムビームシステムの複数のコラム内の対応するビームに関連する検出器から走査画像データを受信するように構成される、条項16に記載の荷電粒子評価システム。
【0179】
[0198] 条項19:マルチコラムビームシステムのコラムは、複数のパターン繰り返し領域の対応する部分を走査するために同じビームが使用されるように配置され、好ましくは、コラムは、複数のパターン繰り返し領域間の距離に対応する距離だけ離間され、好ましくは、パターン繰り返し領域は、サンプル上の様々なダイである、条項16、17又は18に記載の荷電粒子評価システム。
【0180】
[0199] 条項20:荷電粒子ビームシステムを使用する、複数のパターン繰り返し領域を有するサンプル内の欠陥を検出する方法であって、順に、第1の走査画像データを生成するための、パターン繰り返し領域の第1の領域の第1の部分の第1の走査と、第2の走査画像データを生成するための、パターン繰り返し領域の第2の領域の第1の部分の第2の走査であって、第2の領域は、第1の領域から離間している、第2の走査と、第3の走査画像データを生成するための、パターン繰り返し領域の第3の領域の第1の部分の第3の走査であって、第3の領域は、第1の領域及び第2の領域から離間している、第3の走査と、第4の走査画像データを生成するための、第1の領域の第2の部分の後続の走査とを含む方法。望ましくは、サンプルのパターン繰り返し領域は、例えば、第1の領域、第2の領域及び第3の領域の1つ又は複数、望ましくは第1、第2及び第3の領域のすべてとして、サンプル上の他の何れかの箇所で繰り返されるパターンを含む領域である。望ましくは、パターン繰り返し領域は、名目上同一である。望ましくは、パターン繰り返し領域は、サンプルのダイ又は標的部分に対応する。一実施形態では、パターン繰り返し領域は、ダイより小さくてもよい。一実施形態では、パターン繰り返し領域は、複数の組み合わされたダイに対応し得る。
【0181】
[0200] 条項21:第1、第2、第3及び第4の走査の各走査中、サンプルは、荷電粒子ビームシステムに対して単一方向に走査される、条項20に記載の方法。
【0182】
[0201] 条項22:荷電粒子ビームシステムは、複数のビームを有し、第1、第2及び第3の走査は、それぞれのパターン繰り返し領域の対応する部分を走査するために同じビームが使用されるように行われる、条項20又は21に記載の方法。
【0183】
[0202] 条項23:第1、第2又は第3のパターン繰り返し領域の1つにおける欠陥を検出するために、第1、第2及び第3の走査データを処理することを更に含む、条項20、21又は22に記載の方法。
【0184】
[0203] 条項24:第1、第2及び第3の走査データを処理することは、第1、第2及び第3の領域の対応するエリアを表す、第1、第2及び第3の走査データの各々のサブセットを処理することを含む、条項23に記載の方法。
【0185】
[0204] 条項25:処理することは、第1の選択されたデータとして、第1、第2及び第3の走査画像データの1つのサブセットを選択するために、第1の欠陥検出試験を適用する第1のサブプロセスと、第2の選択されたデータとして、第1の選択されたデータのサブセットを選択するために、第2の欠陥検出試験を適用する第2のサブプロセスとを含む、条項23又は24に記載の方法。
【0186】
[0205] 条項26:第1のサブプロセスにかかる時間は、第1の走査の開始と第4の走査の開始との間の時間間隔以下である、条項25に記載の方法。
【0187】
[0206] 条項27:第1、第2及び第3の走査画像データの各々は、サンプル上の複数のマルチビーム視野の走査からのデータを含む、条項20~26の何れか一項に記載の方法。
【0188】
[0207] 条項28:複数のマルチビーム視野の隣接する走査は、サンプル上で少なくとも連続する、条項27に記載の方法。
【0189】
[0208] 条項29:複数のマルチビーム視野は、第1、第2及び第3の画像データに対応するそれぞれのサンプルエリアを覆う、条項27又は28に記載の方法。
【0190】
[0209] 条項30:複数のマルチビーム視野の各マルチビーム視野は、複数の処理エリアを含み、各処理エリアは、複数のビームのうちのビームの視野に対応する、条項27~29の何れか一項に記載の方法。
【0191】
[0210] 条項31:マルチビーム視野の少なくとも1つの走査から導出される第1、第2及び第3の画像データは、オーバースキャンによって実現される、条項30に記載の方法。
【0192】
[0211] 条項32:オーバースキャンにおいて、マルチビーム視野の1つに関連する、複数のビームのうちのビームの少なくとも1つは、ピッチオーバースキャンによってオーバースキャンされる、条項31に記載の方法。
【0193】
[0212] 条項33:ピッチオーバースキャンにおいて、関連するビームは、関連するビームの処理エリアより大きいサンプルのエリアを走査する、条項32記載の方法。
【0194】
[0213] 条項34:ピッチオーバースキャンにおいて、関連するビームは、複数のビーム内の関連するビームに隣接するビームによって走査されたサンプル(例えば、処理エリア)のエリアと少なくとも連続するサンプルのエリアを走査する、条項32又は33に記載の方法。
【0195】
[0214] 条項35:ピッチオーバースキャンは、好ましくは、対応する走査された細長い領域が処理エリアの幅より長くなるように、複数の走査をサンプル全体にわたって拡張すること、好ましくは対応する細長い走査が細長い領域及び追加的な余白を含むように、1つ又は複数の走査の幅をサンプル全体にわたって広げること(又はストライプオーバースキャンすること)であって、好ましくは、追加的な余白は、隣接する細長い走査で走査されたサンプルのエリアと少なくとも連続する、広げること、及び/又は好ましくはサンプルの走査されたエリアが、サンプル全体にわたる走査によって走査されたエリアの合計だけ処理エリアより大きくなるように、1つ又は複数の追加的な走査をサンプル全体にわたって走査することを含む、条項32~34の何れか一項に記載の方法。
【0196】
[0215] 条項36:複数のビームのうちのビームの少なくとも1つのオーバースキャンを使用することは、欠陥を検出する処理のために第1、第2及び第3の画像データのそれぞれのデータを生成するために、複数のビームのうちの同様のビームが使用されることを保証する、条項32~35の何れか一項に記載の方法。
【0197】
[0216] 条項37:後続の走査は、第1、第2及び第3の領域の少なくとも1つと少なくとも連続するサンプルのエリアを走査する、条項20~36の何れか一項に記載の方法。
【0198】
[0217] 条項38:オーバースキャンは、後続の走査のために走査されるエリアが第1、第2及び第3の領域の少なくとも1つに連続することを保証するために使用され、好ましくは、オーバースキャンは、マルチビーム視野オーバースキャン、ピッチオーバースキャン及びストライプ走査の少なくとも1つを含む、条項37に記載の方法。
【0199】
[0218] 条項39:少なくとも第2の走査データ画像データの生成が開始されるまで、第1の走査画像データをバッファすることを更に含む、条項20~38の何れか一項に記載の方法。
【0200】
[0219] 条項40:少なくとも第3の走査画像データの生成が開始されるまで、第1及び第2の走査画像データをバッファすることを更に含む、条項20~39の何れか一項に記載の方法。
【0201】
[0220] 条項41:第1、第2及び第3の走査画像データを処理することを更に含む、条項20~40の何れか一項に記載の方法。
【0202】
[0221] 条項42:複数のサブビームを含む荷電粒子マルチビームを使用して、名目上同一の領域である複数のパターン繰り返し領域を有するサンプル内の欠陥を検出する、荷電粒子ビームシステムを使用する方法であって、順に、第1の走査画像データを生成するための、荷電粒子マルチビームを使用するサンプルの第1のパターン繰り返し領域の第1の走査と、第2の走査画像データを生成するための、荷電粒子マルチビームを使用するサンプルの第2のパターン繰り返し領域の第2の走査であって、第2のパターン繰り返し領域は、第1のパターン繰り返し領域から離間している、第2の走査と、第3の走査画像データを生成するための、荷電粒子マルチビームを使用するサンプルの第3のパターン繰り返し領域の第3の走査であって、第3のパターン繰り返し領域は、第1のパターン繰り返し領域及び第2のパターン繰り返し領域から離間している、第3の走査と、欠陥を識別するために、第1の走査画像データ、第2の走査画像データ及び第3の走査画像データを比較することにより、第1の走査画像データ、第2の走査画像データ及び第3の走査画像データを処理することとを含み、各サブビームは、第1、第2及び第3のパターン繰り返し領域の一部を割り当てられ、それにより、各走査は、それぞれのパターン繰り返し領域の対応する部分を走査するために同じサブビームを使用することを含み、処理することは、それぞれのパターン繰り返し領域の対応する部分から同じサブビームによって取得された走査画像データを比較することを含む、方法。
【0203】
[0222] 条項43:複数のサブビームを含む荷電粒子マルチビームを使用して、名目上同一の複数のパターン繰り返し領域を有するサンプル内の欠陥を検出する、荷電粒子ビームシステムを使用する方法であって、異なる第1のサンプル画像データセットを生成するために、荷電粒子マルチビームを使用してサンプルの少なくとも3つの異なるパターン繰り返し領域を逐次走査すること、欠陥を識別するために、その領域の画像データを比較することにより、異なる第1のサンプル画像データセットを処理することを含み、各サブビームは、パターン繰り返し領域の各々の対応する部分を割り当てられ、それにより、各走査は、それぞれのパターン繰り返し領域の対応する部分を走査するために同じサブビームを使用することを含む、方法。
【0204】
[0223] 条項44:荷電粒子評価システムによって生成されたサンプル画像データ内の欠陥を検出するためのデータ処理の方法であって、サンプル画像データストリームを荷電粒子評価システムから受信することであって、サンプル画像データストリームは、サンプルの画像を表す順序付けられた一連のデータ点を含む、受信することと、局所的試験である第1の欠陥検出試験を適用することであって、第1の選択されたデータとして、サンプル画像データストリームのサブセットを選択することを含み、サンプル画像データストリームを受信することと並行したものである、適用することと、第1の選択されたデータを受信することと、第2の欠陥検出試験を適用することであって、第2の選択されたデータとして、第1の選択されたデータのサブセットを選択することを含む、適用することとを含む方法。
【0205】
[0224] 条項45:サンプルを評価する評価システムによって生成されたデータ(例えば、画像)内の欠陥を検出するためのデータ処理の方法であって、評価システムによって生成されたデータであって、サンプルの画像を表すデータを受信することと、データのサブセットを選択するために、第1の試験を適用することと、データのサブセットの少なくとも一部が少なくとも1つの欠陥を代表するかどうかを検証するために、第2の試験をサブセットに適用することとを含む方法。
【0206】
[0225] 条項46:データは、データストリームで受信される、条項45に記載のデータ処理の方法。
【0207】
[0226] 条項47:第1の試験は、データストリームのデータに適用される、条項46に記載のデータ処理の方法。
【0208】
[0227] 条項48:第1の試験は、データへの適用のための単純なアルゴリズム、例えば局所的試験を含む、条項45~47の何れか一項に記載のデータ処理の方法。
【0209】
[0228] 条項49:第2の試験は、データ、望ましくはデータのサブセットへの適用のための複雑なアルゴリズムである、条項45~48の何れか一項に記載のデータ処理の方法。
【0210】
[0229] 条項50:第1の試験の適用は、データの受信と並行したものである、条項45~49の何れか一項に記載のデータ処理の方法。
【0211】
[0230] 条項51:評価システムによって生成されたサンプル画像データ内の欠陥を検出するためのデータ処理の方法であって、サンプル画像データストリームを荷電粒子評価システムから受信することであって、サンプル画像データストリームは、サンプルの画像を表す順序付けられた一連のデータ点を含む、受信することと、サンプル画像データストリームの受信と並行したものである局所的試験である第1の欠陥検出試験を適用することであって、第1の選択されたデータとして、サンプル画像データストリームのサブセットを選択することを含む、適用することと、第1の選択されたデータを受信することと、第2の欠陥検出試験を第1の選択されたデータに適用することであって、欠陥を表す第2の選択されたデータとして、第1の選択されたデータのサブセットを選択することを含む適用することとを含む方法。
【0212】
[0231] 条項52:評価システムは、荷電粒子評価システムである、条項45~51の何れか一項に記載のデータ処理の方法。
【0213】
[0232] 条項53:条項20~52の何れか一項に記載の方法を行うようにプロセッサを制御するように構成された命令を含むコンピュータプログラム。
【0214】
[0233] 様々な実施形態に関連付けて本発明が説明されてきたが、本明細書において開示される本発明の仕様及び実施を考慮することから、本発明の他の実施形態が当業者に明らかになるであろう。本明細書及び例は、例示的に過ぎないと考えられ、本発明の真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示されるように意図される。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビームシステムを使用する、複数のパターン繰り返し領域を有するサンプル内の欠陥を検出する方法であって、順に、
第1の走査画像データを生成するための、前記パターン繰り返し領域の第1の領域の第1の部分の第1の走査と、
第2の走査画像データを生成するための、前記パターン繰り返し領域の第2の領域の第1の部分の第2の走査であって、前記第2の領域は、前記第1の領域から離間している、第2の走査と、
第3の走査画像データを生成するための、前記パターン繰り返し領域の第3の領域の第1の部分の第3の走査であって、第前記3の領域は、前記第1の領域及び前記第2の領域から離間している、第3の走査と、
第4の走査画像データを生成するための、前記第1の領域の第2の部分の後続の走査と
を含む方法。
【請求項2】
前記サンプルのパターン繰り返し領域は、前記サンプル上の他の何れかの箇所で繰り返されるパターンを含む領域である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1、第2又は第3のパターン繰り返し領域の1つにおける欠陥を検出するために、前記第1、第2及び第3の走査データを処理することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1、第2及び第3の走査データを処理することは、前記第1、第2及び第3の領域の対応するエリアを表す、前記第1、第2及び第3の走査データの各々のサブセットを処理することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
処理することは、
第1の選択されたデータとして、前記第1、第2及び第3の走査画像データの1つのサブセットを選択するために、第1の欠陥検出試験を適用する第1のサブプロセスと、
第2の選択されたデータとして、前記第1の選択されたデータのサブセットを選択するために、第2の欠陥検出試験を適用する第2のサブプロセスと
を含む、請求項
3に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のサブプロセスにかかる時間は、前記第1の走査の開始と前記第4の走査の開始との間の時間間隔以下である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記荷電粒子ビームシステムは、複数のビームを有し、及び前記第1、第2及び第3の走査は、それぞれのパターン繰り返し領域の対応する部分を走査するために同じビームが使用されるように行われる、請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項8】
前記第1、第2及び第3の走査画像データの各々は、前記サンプル上の複数のマルチビーム視野の走査からのデータを含む、請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のマルチビーム視野の隣接する走査は、前記サンプル上で少なくとも連続する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記複数のマルチビーム視野の各マルチビーム視野は、複数の処理エリアを含み、各処理エリアは、前記複数のビームのうちのビームの視野に対応する、請求項
8に記載の方法。
【請求項11】
前記マルチビーム視野の少なくとも1つの走査から導出される前記第1、第2及び第3の画像データは、オーバースキャンによって実現される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記オーバースキャンにおいて、前記マルチビーム視野の1つに関連する、前記複数のビームのうちの前記ビームの少なくとも1つは、ピッチオーバースキャンによってオーバースキャンされる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複数のビームのうちの前記ビームの少なくとも1つの前記オーバースキャンを使用することは、欠陥を検出する処理のために前記第1、第2及び第3の画像データのそれぞれのデータを生成するために、前記複数のビームのうちの同様のビームが使用されることを保証する、請求項1
1に記載の方法。
【請求項14】
前記後続の走査は、前記第1、第2及び第3の領域の少なくとも1つと少なくとも連続する前記サンプルのエリアを走査する、請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも前記第2の走査データ画像データの生成が開始されるまで、前記第1の走査画像データをバッファすることを更に含む、請求項1
又は2に記載の方法。
【国際調査報告】