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特表2024-529468新規の[(1R)-2-(1-ベンゾフラン-3-イル)-1-{[(1S,2R,4R)-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル]ホルムアミド}エチル]ボロン酸の結晶性形態、その付加物、および得るためのプロセス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】新規の[(1R)-2-(1-ベンゾフラン-3-イル)-1-{[(1S,2R,4R)-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル]ホルムアミド}エチル]ボロン酸の結晶性形態、その付加物、および得るためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C07F 5/02 20060101AFI20240730BHJP
   A61K 31/69 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
C07F5/02 C CSP
A61K31/69
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505129
(86)(22)【出願日】2022-07-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 EP2022071167
(87)【国際公開番号】W WO2023006863
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/226,986
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/236,731
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.SPAN
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グルイア,デリア-マリア
(72)【発明者】
【氏名】クライン,マーカス
(72)【発明者】
【氏名】ランゲ,ミヒャエル
【テーマコード(参考)】
4C086
4H048
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA03
4C086DA43
4C086GA15
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC20
4C086ZC41
4H048AA01
4H048AB28
4H048VA20
4H048VA22
4H048VA30
4H048VB10
(57)【要約】
本発明は、LMP7インヒビターとして有用な[(1R)-2-(1-ベンゾフラン-3-イル)-1-{[(1S,2R,4R)-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル]ホルムアミド}エチル]ボロン酸の固体形態、その水和物、溶媒和物、および/または付加物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物1
【化1】
の固体形態、またはその薬学的に許容し得る塩、水和物、溶媒和物、エステルもしくは付加物。
【請求項2】
固体形態が、三量体の結晶性無水形態A1である、請求項1に記載の固体形態。
【請求項3】
三量体の結晶性形態A1のものであって、形態A1が、6.5±0.2°、11.2±0.2°、17.1±0.2°、19.6±0.2°、および21.9±0.2°度における2つ以上の2θXRPDピークにより特徴づけられる、請求項2に記載の固体形態。
【請求項4】
三量体の結晶性形態A1が、6.5±0.2°、8.6±0.2°、11.2±0.2°、13.8±0.2°、14.1±0.2°、15.2±0.2°、16.3±0.2°、17.1±0.2°、18.2±0.2°、18.9±0.2°、19.6±0.2°、20.3±0.2°、20.7±0.2°、21.4±0.2°、21.9±0.2°、22.5±0.2°、および25.7±0.2°度における4つ以上の2θXRPDピークにより特徴づけられる、請求項2に記載の固体形態。
【請求項5】
三量体の結晶性形態A1のものであって、格子パラメーターa=10.99±0.1Å、b=15.80±0.1Å、c=27.27±0.1Å、およびα=β=γ=90.0±0.1°による斜方晶空間群P-2を有する、請求項2に記載の固体形態。
【請求項6】
結晶性ボロン酸エステル形態NF6のものであって、形態NF6が、12.5±0.2°、15.0±0.2°、18.0±0.2°、20.6±0.2°、および21.3±0.2°度における2つ以上の2θXRPDピークにより特徴づけられる、請求項1に記載の固体形態。
【請求項7】
結晶性ボロン酸エステル形態NF6が、10.3±0.2°、12.5±0.2°、15.0±0.2°、15.9±0.2°、18.0±0.2°、19.3±0.2°、20.1±0.2°、20.6±0.2°、21.3±0.2°、22.0±0.2°、24.0±0.2°、24.6±0.2°、25.2±0.2°、25.8±0.2°、27.9±0.2°、および29.5±0.2°度における4つ以上の2θXRPDピークにより特徴づけられる、請求項6に記載の固体形態。
【請求項8】
結晶性ボロン酸エステル形態NF6のものであって、格子パラメーターa=6.11±0.1Å、b=14.01±0.1Å、c=10.82±0.1Å、ならびにα=γ=90.0±0.1°、およびβ=99.14±0.1°による単斜空間群P-2を有する、請求項6に記載の固体形態。
【請求項9】
化合物1の溶媒和物形態NF2、化合物1の無水形態NF9、化合物1のボロン酸エステル形態NF3、化合物1のボロン酸エステル形態NF4、化合物1のボロン酸エステル形態NF5、化合物1の水和物形態NF2、化合物1の三量体付加物形態の水和物NF7、および化合物1のボロン酸付加物形態NF8から選択される、請求項1に記載の固体形態。
【請求項10】
6.5±0.2°、18.0±0.2°、19.5±0.2°、および20.7±0.2°度における2つ以上の2θXRPDピークにより特徴づけられる、請求項9に記載の無水形態NF9。
【請求項11】
7.8±0.2°、12.5±0.2°、17.1±0.2°、20.6±0.2°、21.2±0.2°、および22.0±0.2°度における2つ以上の2θXRPDピークにより特徴づけられる、請求項9に記載のボロン酸エステル形態NF3。
【請求項12】
7.4±0.2°、8.0±0.2°、18.0±0.2°、18.7±0.2°、および22.2±0.2°度における2つ以上の2θXRPDピークにより特徴づけられる、請求項9に記載のボロン酸エステル形態NF4。
【請求項13】
5.8±0.2°、18.4±0.2°、18.7±0.2°、19.0±0.2°、および21.7±0.2°度における2つ以上の2θXRPDピークにより特徴づけられる、請求項9に記載のボロン酸エステル形態NF5。
【請求項14】
7.0±0.2°、16.0±0.2°、18.1±0.2°、19.5±0.2°、および19.9±0.2°度における2つ以上の2θXRPDピークにより特徴づけられる、請求項9に記載の水和物形態NF2。
【請求項15】
10.5±0.2°、17.2±0.2°、18.1±0.2°、および21.7±0.2°度における2つ以上の2θXRPDピークにより特徴づけられる、請求項9に記載の三量体付加物形態の水和物NF7。
【請求項16】
三量体付加物形態の結晶性水和物NF7が、8.3±0.2°、8.6±0.2°、10.5±0.2°、12.8±0.2°、16.0±0.2°、17.2±0.2°、18.1±0.2°、19.2±0.2°、19.8±0.2°、21.0±0.2°、21.7±0.2°、22.6±0.2°、および25.5±0.2°度における4つ以上の2θXRPDピークにより特徴づけられる、請求項15に記載の固体形態。
【請求項17】
三量体の付加物形態の結晶性水和物NF7のものであって、格子パラメーターa=14.02±0.1Å、b=9.18±0.1Å、c=20.84±0.1Å、ならびにα=γ=90.0±0.1°、およびβ=99.58±0.1°による単斜空間群P-2を有する、請求項15に記載の固体形態。
【請求項18】
9.41±0.2°、10.3±0.2°、15.8±0.2°、および17.5±0.2°度における2つ以上の2θXRPDピークにより特徴づけられる、請求項9に記載のボロン酸付加物形態NF8。
【請求項19】
請求項1に記載の化合物1の固体形態、および薬学的に許容し得るアジュバント、担体、またはビヒクルを含む、医薬組成物。
【請求項20】
LMP7により媒介される障害を、それを必要とする患者において処置するための方法であって、前記患者に、請求項1に記載の化合物1の固体形態を投与するステップを含む、前記方法。
【請求項21】
LMP7により媒介される障害が、血液がんである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
血液がんが、多発性骨髄腫である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
LMP7により媒介される障害の予防的または治療的処置のための医薬の製造のための、請求項1に記載の化合物1の固体形態またはその薬学的に許容し得る塩の使用。
【請求項24】
LMP7により媒介される障害が、血液がんである、請求項23の使用。
【請求項25】
血液がんが、多発性骨髄腫である、請求項24の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、実質的に結晶性の形態またはアモルファスな形態における[(1R)-2-(1-ベンゾフラン-3-イル)-1-{[(1S,2R,4R)-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル]ホルムアミド}エチル]ボロン酸(化合物1)の固体形態、その医薬組成物、およびそれによる処置の方法に関する。本発明は、(化合物1)の水和物、溶媒和物、エステルおよび三量体の付加物、ならびに実質的に結晶性の形態における、前記水和物、溶媒和物、エステルおよび環状三量体の無水物の固体形態、その医薬組成物、およびそれによる処置の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
プロテアソームは、古細菌からヒトまでの全ての試験された種において同定されている、高分子量の多サブユニットのプロテアーゼである。当該酵素は、約650,000Daのネイティブの分子量と、電子顕微鏡法により明らかにされたとおり、弁別的な円柱形の形態学を有する(Rivett, (1989) Arch. Biochem. Biophys. 268:1-8; and Orlowski, (1990) Biochemistry 29:10289-10297)。プロテアソームのサブユニットは、20,000~35,000の範囲の分子量であり、1つの別のものに対して相同であるが、いかなる他の既知のプロテアーゼに対しても相同ではない。
【0003】
20Sプロテアソームは、4つの積み重なった七量体の環に配置される、αおよびβ型として分類される28のサブユニットを含んでなる、700kDaの円柱形の多触媒性プロテアーゼ複合体である。酵母および他の真核生物において、7つの異なるαサブユニットが外側の環を形成し、7つの異なるβサブユニットは、内側の環を含む。αサブユニットは、19S(PA700)および1IS(PR68)調節複合体のための結合部位、ならびに2つのβサブユニット環により形成される内側のタンパク質分解チャンバーのための物理的障壁として役立つ。したがって、in vivoでは、プロテアソームは、26S粒子(「26Sプロテアソーム」)として存在すると考えられる。in vivoでの実験は、プロテアソームの20S形態の阻害を、26Sプロテアソームの阻害に容易に相関させることができることを示す。
【0004】
粒子形成の間のβサブユニットのアミノ末端プロ配列の切断は、アミノ末端のスレオニン残基を露出させ、これは、触媒的な求核剤として役立つ。プロテアソームにおける触媒活性を担うサブユニットは、したがって、アミノ末端の求核性残基を有し、これらのサブユニットは、N末端求核剤(Ntn)ATTY REF:26500-0023WO1ヒドロラーゼのファミリーに属する(ここでは、求核性N末端残基が、例えば、Cys、Ser、Thrおよび他の求核性部分である)。このファミリーは、例えば、ペニシリンGアシラーゼ(PGA)、ペニシリンVアシラーゼ(PVA)、グルタミンPRPPアミドトランスフェラーゼ(GAT)、および細菌のグリコシルアスパラギナーゼを含む。ユビキタスに発現されるβサブユニットに加えて、高等脊椎動物もまた、3つのインターフェロン-γ誘導性βサブユニット(LMP7、LMP2およびMECLl)を有し、これらは、それらの通常のそれぞれのカウンターパートであるβ5、β1およびβ2を置き換える。3つ全てのIFN-γ誘導性サブユニットが存在する場合、プロテアソームは、「免疫プロテアソーム」として言及される。したがって、真核細胞は、プロテアソームの2つの形態を、様々な比において有することができる。
【0005】
様々なペプチド基質の使用を通して、真核生物の20Sプロテアソームについての3つの主要なタンパク質分解活性:大きな疎水性残基の後で切断するキモトリプシン様活性(CT-L);塩基性残基の後で切断するトリプシン様活性(T-L);および酸性残基の後で切断するペプチジルグルタミルペプチド加水分解活性(PGPH)が定義されてきた。2つのさらなるあまり特徴づけられていない活性:分枝鎖アミノ酸の後で切断するBrAAP活性;および小さな中性アミノ酸の後で切断するSNAAP活性もまた、プロテアソームに起因すると考えられてきた。両方の形態のプロテアソームが、5つ全ての酵素活性を有するが、形態の間の活性の程度の差異は、特定の基質に基づいて記載されてきた。プロテアソームの両方の形態について、主要なプロテアソームのタンパク質分解活性は、20Sコア中の異なる触媒部位により寄与されると考えられる。
【0006】
真核生物において、タンパク質分解は、主に、破壊のためにターゲティングされたタンパク質が76アミノ酸のポリペプチドであるユビキチンにライゲーションされる、ユビキチン経路を通して媒介される。一旦ターゲティングされると、ユビキチン化されたタンパク質は、次いで、26Sプロテアソームのための基質として働き、これが、その3つの主なタンパク質分解活性の作用を通して、タンパク質を短いペプチドに切断する。細胞内タンパク質ターンオーバーにおける一般的な機能を有する一方で、プロテアソームにより媒介される分解もまた、主要組織適合複合体(MHC)クラスI提示、アポトーシスおよび細胞の生存能、抗原のプロセッシング、NF-κβ活性化、ならびに炎症促進性シグナルの伝達などの多くのプロセスにおいて重要な役割を果たす。
【0007】
プロテアソーム活性は、筋ジストロフィー、がんおよびAIDSなどのタンパク質の分解を伴う筋消耗性疾患において高い。エビデンスはまた、クラスI MHC分子についての抗原のプロセッシングにおけるプロテアソームのための可能な役割を示唆する(Goldberg, et al. (1992) Nature 357:375-379)
【0008】
プロテアソームは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)(J Biol Chem 2003, Allen S et al., Exp Neurol 2005, Puttaparthi k et al.)、シェーグレン症候群(Arthritis & Rheumatism, 2006, Egerer T et al.)、全身性エリテマトーデスおよびループス腎炎(SLE/LN)(Arthritis & rheuma 2011, Ichikawa et al., J Immunol, 2010, Lang VR et al., Nat Med, 2008, Neubert K et al)、糸球体腎炎(J Am Soc nephrol 2011, Bontscho et al.)、関節リウマチ(Clin Exp Rheumatol, 2009, Van der Heiden JW et al.)、炎症性腸疾患(IBD)、潰瘍性大腸炎、クローン病(Gut 2010, Schmidt N et al., J Immunol 2010, Basler M et al., Clin Exp Immunol, 2009, Inoue S et al.)、多発性硬化症(Eur J Immunol 2008, Fissolo N et al., J Mol Med 2003, Elliott PJ et al., J Neuroimmunol 2001, Hosseini et al., J Autoimmun 2000, Vanderlugt CL et al.)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)(Exp Neurol 2005, Puttaparthi k et al., J Biol Chem 2003, Allen S et al.)、変形性関節症(Pain 2011, Ahmed s et al., Biomed Mater Eng 2008, Etienne S et al.)、アテローム性動脈硬化症(J Cardiovasc Pharmacol 2010, Feng B et al.)、乾癬(Genes & Immunity, 2007, Kramer U et al.)、重症筋無力症(J Immunol, 2011, Gomez AM et al.)、皮膚の線維症(Thorax 2011, Mutlu GM et al., Inflammation 2011, Koca SS et al., Faseb J 2006, Fineschi S et al.)、腎臓の線維症(Nephrology 2011 Sakairi T et al.)、心臓の線維症(Biochem Pharmacol 2011, Ma y et al.)、肝臓の線維症(Am J Physiol gastrointest Liver Physiol 2006, Anan A et al.)、肺線維症(Faseb J 2006, Fineschi S et al et al.)、免疫グロブリンA腎症(IGa腎症)(Kidney Int, 2009, Coppo R et al.)、血管炎(J Am Soc nephrol 2011, Bontscho et al.)、移植拒絶(Nephrol Dial transplant 2011, Waiser J et al.)、血液学的悪性腫瘍(Br J Haematol 2011, singh AV et al., Curr Cancer Drug Target 2011, Chen D et al.)および喘息などの神経変性疾患および障害に関与する。
【0009】
しかし、市販のプロテアソームインヒビターは、プロテアソームの構成的形態および免疫的形態(immuno-form)の両方を阻害することに、注意すべきである。再発性の多発性骨髄腫の患者の処置のためにFDAにより承認されたプロテアソームインヒビターであるボルテゾミブすら、2つの形態の間を区別しない(Altun et al, Cancer Res 65:7896, 2005)。さらに、ボルテゾミブの使用は、処置創発性(treatment-emergent)の有痛性の末梢神経障害(PN)を付随し、このボルテゾミブにより誘導される神経変性は、in vitroではプロテアソーム依存性の機序を介して起こり、そのボルテゾミブは、in vitroおよびin vivoでいくつかの非プロテアソーム標的を阻害する(Clin. Cancer Res, 17(9), May 1, 2011)。
【0010】
従来のプロテアソームインヒビターに加えて、新規のアプローチは、血液学特異的免疫プロテアソームを特異的に標的とし、それにより全体的な有効性を増大し、負のオフターゲット効果を軽減するものとなり得る。免疫プロテアソーム特異的インヒビターが、血液学的起源からの細胞に対して増大した効率を示し得ることが示されている(Curr Cancer Drug Targets, 11(3), Mar, 2011)。
【0011】
したがって、プロテアソームの1つの特定の形態に選択的である、新たなプロテアソームインヒビターを提供する必要性が存在する。特に、例えばSLEまたは関節リウマチの文脈における他の免疫障害もしくは自己免疫障害の処置のための治療剤として用いることができる、選択的免疫プロテアソームインヒビターを提供する必要が存在する。選択的免疫プロテアソームインヒビターは、構成的プロテアソームまたは他の非プロテアソーム標的の阻害により媒介される望まれない副作用を最少化するために有益である。
【0012】
WO2013/092979A1は、LMP7活性の阻害に向かう選択性を示す、ボロン酸誘導体を記載する。しかし、記載された化合物の型により達成可能である選択性の程度は、構成的プロテアソームの阻害活性を分けることに関しては特に、限定される。
【0013】
ボルテゾミブおよびカルフィルゾミブのようなプロテアソームおよび免疫プロテアソームの非特異的インヒビターは、多発性骨髄腫の適応症におけるそれらの臨床的価値を示してきた。免疫プロテアソームならびに構成的プロテアソームにおける主要な構成成分を攻撃する、この非特異的なプロフィールは、標的の阻害および臨床的有効性に関して有益であるとみなされているが、この非特異的なプロフィールは、血小板減少症、好中球減少症ならびに末梢神経障害のような顕著な副作用を誘導することにより、これらの剤の臨床的な適用可能性を限定する。ある程度までは、この副作用のプロフィールは、触媒活性の広範な阻害、特に構成的プロテアソームおよび免疫プロテアソームのβ5サブユニットの組み合わせ阻害に寄与し得る。主要な副作用を軽減するための免疫プロテアソーム(および特に免疫プロテアソームのβ5iサブユニット)のより選択的なインヒビターを見出すためのアプローチは、2011年のSinghら(Br. J. Hematology 152(2): 155-163)において、免疫プロテアソームのLMP7サブユニットの100倍選択的なインヒビターであるPR-924について、記載されている。著者らは、多発性骨髄腫における免疫プロテアソームの高い発現レベルの存在を示した。著者らはまた、健康な志願者の対照PBMCの生存能を低下させることのない、MM細胞株ならびにCD138+MMの原発患者の細胞における細胞死の誘導に対するLMP7サブユニットの選択的インヒビターの効果を記載しており、これは、概念証明とみなすことができる。選択的β5iインヒビターについての、軽減された副作用プロフィールの概念とは別に、他のグループは、ボルテゾミブ耐性細胞株の生存能に対する、血液学的悪性腫瘍のための選択的LMP7インヒビターの適用についての価値および潜在的な見込みを強調する、選択的なβ5i阻害の効力を示した(D. Niewerth et al. / Biochemical Pharmacology 89 (2014) 43-51)。
【0014】
WO2016/050356、WO2016/050355、WO2016/050359およびWO2016/050358は、免疫プロテアソーム(LMP7)の活性を阻害し、構成的プロテアソームの阻害活性に対する顕著な分離を提供する化合物を記載する。
【発明の概要】
【0015】
発明の要旨
今や、[(1R)-2-(1-ベンゾフラン-3-イル)-1-{[(1S,2R,4R)-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル]ホルムアミド}エチル]ボロン酸(化合物1)の固体形態、およびその薬学的に許容し得る組成物が、LMP7のインヒビターとして有効であることが見出された。
【0016】
一側面において、化合物1は、本明細書において記載され、特徴づけられるとおりの、形態A1として言及される、実質的に無水の結晶性かつ無塩の三量体の付加物形態におけるものである。第2の側面において、化合物1は、実質的に無水の結晶性かつ無塩の形態におけるものであり、これは、本明細書において記載され、特徴づけられるとおりの、形態NF6として言及される、メタノールにより形成されるボロン酸エステルである。第3の側面において、化合物1は、本明細書において記載され、特徴づけられるとおりの、形態NF2として言及される、実質的に結晶性の無塩の一水和物の形態におけるものである。第4の側面において、化合物1は、本明細書において記載され、特徴づけられるとおりの、形態NF9として言及される、実質的に結晶性の、無塩かつ無水の形態におけるものである。第5の側面において、化合物1は、本明細書において記載され、特徴づけられるとおりの、形態NF3として言及される、実質的に結晶性で無塩の、イソブタノールにより形成されるボロン酸エステルにおけるものである。第6の側面において、化合物1は、本明細書において記載され、特徴づけられるとおりの、形態NF4として言及される、実質的に結晶性で無塩の、n-ブタノール形態により形成されるボロン酸エステルにおけるものである。第7の側面において、化合物1は、本明細書において記載され、特徴づけられるとおりの、形態NF5として言及される、実質的に結晶性で無塩の、2-プロパノール形態により形成されるボロン酸エステルにおけるものである。第8の側面において、化合物1は、本明細書において記載され、特徴づけられるとおりの、形態NF7として言及される、実質的に結晶性で無塩の、ピリジンによる水和三量体のボロン酸付加物におけるものである。第9の側面において、化合物1は、本明細書において記載され、特徴づけられるとおりの、形態NF8として言及される実質的に結晶性で無塩の、1-プロパノールにより形成されるボロン酸エステルの形態におけるものである。
【0017】
固体の、薬物としてその有効性に関係がある特性は、固体の形態に依存し得る。例えば、原薬(a drug substance)において、固体形態のバリエーションは、融点、溶解速度(dissolution rate)、経口吸収、バイオアベイラビリティ、毒性検査の結果(toxicology results)、および臨床試験結果などの特性における相違に繋がり得る。
【0018】
以下の固体形態のある利点は、以下を包含する:
・三量体の付加物形態A1:非常に良好な結晶化度を有する結晶構造の(crystalline morphic)形態;高い熱安定性(mp>220℃);欧州薬局方(Ph. Eur.)(セクション5.11)に従ってわずかに吸湿性であること;生体関連(biorelevant)溶媒中での高い溶解度;およびラージスケールにおける相純度での(phase-pure)製造可能性。
・環状三量体の無水物の溶解の間に、水の添加は、単量体形態における3分子のcpd1の再形成をもたらす。
・環状三量体の無水物は、様々な量の環状および非環状のオリゴマーを含み得るアモルファスな粉末と比較して、より均一である。
・水和物形態NF2:良好な結晶化度を有する結晶構造の形態;高い熱安定性(脱水および形態A1への相転移>100℃;mp>220℃);欧州薬局方(セクション5.11)に従ってわずかに吸湿性であること;生体関連溶媒中での高い溶解度;相純度での製造可能性。
・無水形態NF9:良好な結晶化度を有する結晶構造の形態;高い熱安定性(形態A1への相転移>150℃;mp>220℃);欧州薬局方(セクション5.11)に従ってわずかに吸湿性である。
・ボロン酸エステル形態NF3:良好な結晶化度を有する結晶構造の形態;高い熱安定性(mp/dec>150℃)。
・ボロン酸エステル形態NF4:良好な結晶化度を有する結晶構造の形態;高い熱安定性(mp/dec>130℃)。
・ボロン酸エステル形態NF5:良好な結晶化度を有する結晶構造の形態;高い熱安定性(dec>140℃)。
・ボロン酸エステル形態NF6:良好な結晶化度を有する結晶構造の形態;高い熱安定性(mp/dec>140℃)。
・ボロン酸三量体の付加物形態の水和物NF7:良好な結晶化度を有する結晶構造の形態;高い熱安定性(形態A1への相転移>100o℃;mp>220℃);欧州薬局方(セクション5.11)に従ってわずかに吸湿性である。
・ボロン酸エステル形態NF8:良好な結晶化度を有する結晶構造の形態;高い熱安定性(形態A1への相転移>100℃;mp>220℃)。
【0019】
化合物1の固体形態、およびその薬学的に許容し得る組成物は、LMP7に関連する様々な疾患、障害または状態を処置するのに有用である。かかる疾患、障害、または状態は、本明細書に記載のものを包含する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】形態A1の粉末X線ディフラクトグラム。
【0021】
図2】遊離塩基形態A1のDSCスキャン(5K/分)。
【0022】
図3】遊離塩基形態A1のTGAスキャン(5K/分)。
【0023】
図4】遊離塩基形態A1の水蒸気吸着等温線(25℃)。
【0024】
図5】遊離塩基形態NF2の粉末X線ディフラクトグラム。
【0025】
図6】形態NF2のDSCスキャン(5K/分)。
【0026】
図7】形態NF2のTGAスキャン(5K/分)。
【0027】
図8】形態NF2の水蒸気吸着等温線(25℃)。
【0028】
図9】無水形態NF9の粉末X線ディフラクトグラム。
【0029】
図10】無水形態NF9のDSCスキャン(5K/分)。
【0030】
図11】無水形態NF9のTGAスキャン(5K/分)。
【0031】
図12】無水形態NF9の水蒸気吸着等温線(25℃)。
【0032】
図13】ボロン酸エステル形態NF3の粉末X線ディフラクトグラム。
【0033】
図14】ボロン酸エステル形態NF3のDSCスキャン(5K/分)。
【0034】
図15】ボロン酸エステル形態NF3のTGAスキャン(5K/分)。
【0035】
図16】ボロン酸エステル形態NF4の粉末X線ディフラクトグのラム。
【0036】
図17】ボロン酸エステル形態NF4のDSCスキャン(5K/分)。
【0037】
図18】ボロン酸エステル形態NF4のTGAスキャン(5K/分)。
【0038】
図19】ボロン酸エステル形態NF5の粉末X線ディフラクトグラム。
【0039】
図20】ボロン酸エステル形態NF5のDSCスキャン(5K/分)。
【0040】
図21】ボロン酸エステル形態NF5のTGAスキャン(5K/分)。
【0041】
図22】ボロン酸エステル形態NF6の粉末X線ディフラクトグラム。
【0042】
図23】ボロン酸エステル形態NF6のDSCスキャン(5K/分)。
【0043】
図24】ボロン酸エステル形態NF6のTGAスキャン(5K/分)。
【0044】
図25】ボロン酸エステル形態NF7の粉末X線ディフラクトグラム。
【0045】
図26】ボロン酸エステル形態NF7のDSCスキャン(5K/分)。
【0046】
図27】ボロン酸エステル形態NF7のTGAスキャン(5K/分)。
【0047】
図28】ボロン酸エステル形態NF7の水蒸気吸着等温線(25℃)。
【0048】
図29】ボロン酸エステル形態NF8の粉末X線ディフラクトグラム。
【0049】
図30】ボロン酸エステル形態NF8のDSCスキャン(5K/分)。
【0050】
図31】ボロン酸エステル形態NF8のTGAスキャン(5K/分)。
【0051】
図32図32は、免疫プロテアソームサブユニットLMP7(b5i)の選択的阻害を示す、化合物1の環状三量体形態を示し、ここで、前記化合物は、本発明の一態様を含む。
【発明を実施するための形態】
【0052】
ある態様の詳細な説明
1. 本発明の化合物の一般記載
ある側面において、本発明は、LMP7のインヒビターを提供する。いくつかの態様において、かかる化合物は、本明細書に記載の式で表されるもの、またはその薬学的許容し得る塩、水和物、溶媒和物または付加物を包含し、ここで各々の変化形は、本明細書に定義され記載されるとおりである。
【0053】
2. 化合物および定義
本明細書に使用されるとき、用語「アモルファス(の)」は、分子の無秩序配置からなり、識別可能な結晶格子を保有しない固体形態を指す。
【0054】
本明細書に使用されるとき「結晶(の)」は、結晶固体が厳格な長距離秩序を有することができるように、構造単位が、固定された幾何パターンまたは格子で配置されている、化合物または組成物を指す。結晶構造を構成する構造単位は、原子、分子、またはイオンであり得る。結晶固体は明確な融点を示す。
【0055】
用語「化学的に安定した」は、本明細書に使用されるとき、化合物1の固体形態が、特定された条件、例として、40℃/75%相対湿度で、特定の期間、例として1日、2日、3日、1週、2週、またはこれより長い期間供されたとき、1以上の異なる化学化合物へ分解されないことを意味する。いくつかの態様において、25%未満の化合物1の固体形態が分解され、いくつかの態様において、特定された条件下、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満、約1%未満、約0.5%未満の化合物1の形態が分解される。いくつかの態様において、非検出可能な量の化合物1の固体形態が分解される。
【0056】
用語「物理的に安定した」は、本明細書に使用されるとき、化合物1の固体形態が、特定の条件、例として、40℃/75%相対湿度で、特定の期間、例として1日、2日、3日、1週、2週、またはこれより長い期間供されたとき、1以上の異なる物理的な化合物1の形態(例として、XRPD、DSC等々によって測定されるとおりに異なる固体形態)へ変化しないことを意味する。いくつかの態様において、25%未満の化合物1の固体形態が、特定された条件に供されたとき、1以上の異なる物理的な形態へ変化する。いくつかの態様において、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満、約1%未満、約0.5未満%の化合物1の固体形態が、特定された条件に供されたとき、1以上の異なる物理的な化合物1の形態へ変化する。いくつかの態様において、非検出可能な量の化合物1の固体形態が、1以上の物理的に異なる化合物1の固体形態へ変化する。
【0057】
本明細書に使用されるとき、句「実質的にアモルファスの化合物1」は、句「アモルファスの化合物1」、「結晶の化合物1が実質的にないアモルファスの化合物1」、および「実質的にアモルファスの[(1R)-2-(1-ベンゾフラン-3-イル)-1-{[(1S,2R,4R)-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル]ホルムアミド}エチル]ボロン酸」と交換可能に使用される。いくつかの態様において、実質的にアモルファスの化合物1は、約30%未満の結晶の化合物1、例えば、約30%未満の結晶の化合物1、例として、約25%未満の結晶の化合物1、約20%未満の結晶の化合物1、約15%未満の結晶の化合物1、約10%未満の結晶の化合物1、約5%未満の結晶の化合物1、約2%未満の結晶の化合物1を有する。
【0058】
本明細書に使用されるとき、句「実質的に結晶の化合物1」は、句「化合物1」、および「アモルファスの化合物1が実質的にない結晶の化合物1」と交換可能に使用される。いくつかの態様において、実質的に結晶の化合物1は、約30%未満のアモルファスの化合物1または他の固体形態、例えば、約30%未満のアモルファスの化合物1または他の固体形態、例として、約25%未満のアモルファスの化合物1または他の固体形態、約20%未満のアモルファスの化合物1または他の固体形態、約15%未満のアモルファスの化合物1または他の固体形態、約10%未満のアモルファスの化合物1または他の固体形態、約5%未満のアモルファスの化合物1または他の固体形態、約2%未満のアモルファスの化合物1または他の固体形態を有する。いくつかの態様において、実質的に結晶の化合物1は、約1%未満のアモルファスの化合物1または他の固体形態を有する。
【0059】
用語「実質的にない」(句「形態Xが実質的にない」などで)は、化合物1の指定された固体形態(例として、本明細書に記載のアモルファス形態または結晶形態)を指すとき、20%未満(重量で)の指定された形態(単数または複数)または混合形態(co-form)(単数または複数)(例として、化合物1の結晶形態またはアモルファス形態)が存在し、より好ましくは、10%未満(重量で)の指定された形態(単数または複数)が存在し、より好ましくは、5%未満(重量で)の指定された形態(単数または複数)が存在し、最も好ましくは、1%未満(重量で)の指定された形態(単数または複数)が存在することを意味する。
【0060】
用語「実質的に純粋な」は、化合物1の指定された固体形態(例として、本明細書に記載のアモルファスの固体形態または結晶の固体形態)を指すとき、指定された固体形態が、化合物1の代替の(alternate)多形もしくは同形の結晶形態(単数または複数)または混合形態(単数または複数)などの、20%未満(重量で)の残余構成要素を含有することを意味する。実質的に純粋な化合物1の固体形態は、10%未満(重量で)の代替の多形または同形の結晶化合物1の形態、より好ましくは5%未満(重量で)の代替の多形または同形の結晶化合物1の形態、最も好ましくは1%未満(重量で)の代替の多形または同形の結晶化合物1の形態を含有することが好ましい。
【0061】
本明細書に使用されるとき、「分散体」は、第1物質(分散相)が不連続単位で、第2物質(連続相またはビヒクル)全体にわたり分布している分散系を指す。分散相のサイズは大幅に変動し得る(例として、サイズの面で、ナノメートルの大きさ~数ミクロン(multiple microns)のコロイド粒子)。一般に、分散相は、固体、液体、または気体であり得る。固体分散体のケースにおいて、分散相および連続相はともに、固体である。医薬用途において、固体分散体は、アモルファスのポリマー(連続相)中の結晶の薬物(分散相)、または代わりに、アモルファスのポリマー(連続相)中のアモルファスの薬物(分散相)を包含し得る。いくつかの態様において、アモルファスの固体分散体が、分散相を構成するポリマーを包含し、および薬物が連続相を構成する。いくつかの態様において、分散体は、アモルファスの化合物1または実質的にアモルファスの化合物1を包含する。
【0062】
用語「固体のアモルファスの分散体」は一般に、2以上の構成要素の固体分散体を指し、大抵、薬物およびポリマーであるが、界面活性剤または他の医薬賦形剤などの他の構成要素も含有し得、ここで化合物1は、アモルファスまたは実質的にアモルファス(例として、結晶の化合物1が実質的にない)であり、およびアモルファスの薬物の物理的な安定性および/または溶解性および/または溶解性が、他の構成要素によって増強される。
【0063】
本明細書に使用されるとき、用語「約」および「およそ」は、組成物または剤形の成分の用量、量、または重量パーセントに関連して使用されるとき、特定された用量、量、または重量パーセントから得られる薬理作用と同等の薬理作用を提供するものと当業者によって認識される用量、量、または重量パーセントを意味する。具体的に言うと、用語「約」または「およそ」は、当業者によって決定されたとおりの具体的な値に対する許容し得る誤差を意味するが、これはその値がどのように測定または決定されたかに一部依存する。ある態様において、用語「約」および「およそ」は、1、2、3、または4の標準偏差内を意味する。ある態様において、用語「約」または「およそ」は、所与の値または範囲の30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、または0.05%内を意味する。
【0064】
略語「XRPD」は、X線粉末回折を表す。XRPDという用語は、PXRDと交換可能的に用いられる。
【0065】
略語「DSC」は、示差走査熱量測定を表す。
【0066】
略語「TGA」は、熱重量分析を表す。
【0067】
本発明の化合物は、上に一般に記載されるものを包含し、さらに本明細書に開示のクラス、サブクラス、および種(the classes, subclasses, and species)によって説明される。本明細書に使用されるとき、そのように示されない限り、以下の定義が適用されるものとする。本発明の目的上、化学元素は、元素周期表(CAS版、Handbook of Chemistry and Physics、第75版)に従って同定される。加えて、有機化学の一般原則は、「有機化学」(Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito: 1999)、および「マーチ有機化学(March’s Advanced Organic Chemistry)」(第5版:Smith, M.B. and March, J., John Wiley & Sons, New York: 2001)に記載されており、これらの全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0068】
本明細書に使用されるとき、用語「薬学的に許容し得る塩」は、正しい医学的判断の範囲内で過度な毒性、刺激(irritation)、アレルギー反応等のないヒトおよび下等動物の組織との接触における使用に好適であり、かつ合理的なリスク対効果比(benefit/risk ratio)に見合う、それらの塩を指す。薬学的に許容し得る塩は当該技術分野において周知である。例えば、S.M. Bergeらは、薬学的に許容し得る塩をJ. Pharmaceutical Sciences, 1977, 66, 1-19(これは参照により本明細書に組み込まれる)に詳細に記載している。本発明の化合物の薬学的に許容し得る塩は、好適な無機酸および無機塩基ならびに有機酸および有機塩基に由来するものを包含する。薬学的に許容し得る非毒性の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、および過塩素酸などの無機酸とともに、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、もしくはマロン酸などの有機酸とともに形成されるか、あるいはイオン交換などの当該技術分野において使用される他の方法を使用することによって形成される、アミノ基の塩である。他の薬学的に許容し得る塩は、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、重硫酸、ホウ酸、酪酸、カンファー酸(camphorate)、カンファースルホン酸(camphorsulfonate)、クエン酸、シクロペンタンプロピオン酸、ジグルコン酸(diグルコン酸)、ドデシル硫酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グリセロリン酸、グルコン酸、ヘミ硫酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ヨウ化水素酸、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、ラクトビオン酸、乳酸、ラウリン酸、ラウリル硫酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、メタンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、ペクチン酸(pectinate)、過硫酸、3-フェニルプロピオン酸、リン酸、ピバル酸、プロピオン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、ウンデカン酸、吉草酸の塩等を包含する。
【0069】
適切な塩基に由来する塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムおよびN(C1~4アルキル)の塩を包含する。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属の塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等を包含する。さらに、薬学的に許容し得る塩は、適切な場合であるが、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸、硫酸、リン酸、硝酸、低級アルキルスルホン酸およびアリールスルホン酸などの対イオンを使用して形成される、非毒性のアンモニウム、四級アンモニウム、およびアミンのカチオンを包含する。
【0070】
そのように述べられない限り、本明細書に描かれる構造体はまた、その構造体の全異性体(例として、鏡像異性体、ジアステレオマー、および幾何異性体(または配座異性体));例えば、各不斉中心に対するRおよびSの立体配置(configurations)、ZおよびEの二重結合の異性体、ならびにZおよびEの配座異性体も包含することが意図される。したがって、本化合物の、単一の立体化学の異性体、ならびに鏡像異性体、ジアステレオマー、および幾何異性体(または配座異性体)の混合物は、本発明の範囲内にある。そのように述べられない限り、本発明の化合物の全互変異性体は、本発明の範囲内にある。
【0071】
本明細書に使用されるとき、用語「モジュレーター」は、測定可能な親和性をもって標的へ結合する化合物および/または標的を阻害する化合物として定義される。ある態様において、モジュレーターは、約50μM未満、約1μM未満、約500nM未満、約100nM未満、または約10nM未満のIC50および/または結合定数を有する。
【0072】
用語「測定可能な親和性」および「測定できるほどに阻害する」は、本明細書に使用されるとき、本発明の化合物またはその組成物およびLMP7を含む試料と、LMP7を含む同等の試料(該化合物またはその組成物の不在化)との間のLMP7活性における測定可能な変化を意味する。
【0073】
3. 例示の化合物の記載
一側面によれば、本発明は、固体形態の化合物1
【化1】
またはその薬学的に許容し得る塩を提供する。
【0074】
ある側面において、本発明は、化合物1の三量体の付加物形態A1、化合物1の水和物形態NF2、化合物1の無水形態NF9、化合物1のボロン酸エステル形態NF3、化合物1のボロン酸エステル形態NF4、化合物1のボロン酸エステル形態NF5、化合物1のボロン酸エステル形態NF6、化合物1のボロン酸三量体の付加物形態の水和物NF7、または化合物1のボロン酸エステル形態NF8を提供する。
【0075】
一態様において、本発明は、結晶性形態A1として特徴づけられる化合物1を提供する。
【0076】
ある態様において、形態A1は、6.5および19.6度における1つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、形態A1は、6.5、11.2、17.1、19.6、および21.9度における1つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、形態A1は、6.5、11.2、17.1、19.6、および21.9度における2つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、形態A1は、6.5、11.2、17.1、19.6、および21.9度における3つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、形態A1は、6.5、8.6、11.2、13.8、14.1、15.2、16.3、17.1、18.2、18.9、19.6、20.3、20.7、21.4、21.9、22.5および25.7度における4つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、形態A1は、6.5、11.2、17.1、19.6および20.7度における2θピークにより特徴づけられる。
【0077】
ある態様において、形態A1は、
【表1】
における2θピークにより特徴づけられる。
【0078】
別の態様において、形態A1は、図1と実質的に同様の回折パターンによって特徴づけられる。
【0079】
遊離塩基形態A1の粉末X線回折パターンは、European Pharmacopeia 6th Edition chapter 2.9.33に記載のとおりの標準的な技法によって得られ、以下のX線粉末ディフラクトグラム(単色Cu-Kα1放射線、λ=1.5406Å、Stoe StadiP 611 KL透過回折計)によって特徴づけられた。
【0080】
ある態様において、形態A1は、格子パラメーターa=10.9863Å、b=15.7954Å、c=27.265Å、およびα=β=γ=90°による斜方晶空間群P-2を有する結晶形態により特徴づけられる。合理的にまとめると、パラメーターは、a=10.99±0.1Å、b=15.80±0.1Å、c=27.27±0.1Å、およびα=β=γ=90°である。単一結晶構造から、形態A1は、三量体の無水形態を表すことが明らかである。単一結晶X線構造データは、遊離塩基形態A1に対してもまた得られた(298KにおいてCuKα放射線を用いるCCD検出器を備えたAgilent製SuperNova回折計)。
【0081】
ある態様において、形態A1は、無水形態である。
【0082】
三量体の形態A1の他の物理的特性として、以下が挙げられる:形態A1の熱挙動は、220℃より高い融解ピーク開始温度(melting peak onset)を示した。熱重量分析は、この温度までに2%m/m未満の低い重量減少を明らかにした。DSCおよびTGAプロフィールは、それぞれ図2および3において提供される。三量体の形態A1のDSCスキャンは、Mettler-Toledo DSC 1において、5K/分の加熱速度により、50mL/分の窒素パージガスを用いて得られた。三量体の形態A1のTGAスキャンは、Mettler-Toledo TGA 851において、5K/分の加熱速度により、50mL/分の窒素パージガスを用いて得られた。三量体の形態A1の水蒸気吸着挙動は、相対湿度(rh)範囲0~80%rhにおける≦1%m/mの小さい水の取り込みレベル、および相対湿度(rh)範囲90~98%rhにおける≦2%m/mの非常に僅かに上昇した水の取り込みレベルを明らかにした。三量体の形態A1は、欧州薬局方基準(セクション5.11.)に従って、わずかに吸湿性であるものと分類することができる。三量体の形態A1の水蒸気吸着等温線(25℃)は、図4において提供される。水蒸気吸着等温線は、SMS製のDVS-Intrinsicシステムにおいて得られた。37℃における三量体の形態A1の熱力学的溶解度(24h)は、疑似胃液(simulated gastric fluid)[SGF、pH1.2]中で約2.3mg/mL、およびUSPリン酸バッファー[pH7.4]中で約2.0mg/mLであるものと、それぞれ決定された(例11を参照)。疑似胃液[SGF、pH1.2]中での37℃における三量体の形態A1の溶解レベルは、2時間後に約2.4mg/mLであるものと決定された(例12を参照)。全体的に、三量体の形態A1は、良好な固体状態の特性(良好な結晶化度、わずかに吸湿性であること、高い熱安定性、生体関連溶媒中での良好な溶解度)を、ラージスケールにおける良好な製造可能性と共に、明らかにした。
【0083】
一態様において、本発明は、水和物結晶性形態NF2として特徴づけられる化合物1を提供する。
【0084】
ある態様において、水和物形態NF2は、7.0、16.0、および19.9度における、1つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、水和物形態NF2は、7.0、16.0、および19.9度における、2つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、水和物形態NF2は、7.0、16.0、および19.9度における2θピークにより特徴づけられる。
【0085】
ある態様において、水和物形態NF2は、7.0、16.0、17.0、18.1、19.5、19.9、22.0、および22.5度における、1つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、水和物形態NF2は、7.0、16.0、17.0、18.1、19.5、19.9、22.0、および22.5度における、2つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、水和物形態NF2は、7.0、16.0、17.0、18.1、19.5、19.9、22.0、および22.5度における、3つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、水和物形態NF2は、7.0、16.0、17.0、18.1、19.5、19.9、22.0、および22.5度における、4つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、水和物形態NF2は、7.0、16.0、17.0、18.1、19.5、19.9、22.0、および22.5度における、5つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、水和物形態NF2は、7.0、16.0、17.0、18.1、19.5、19.9、22.0、および22.5度における、6つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、水和物形態NF2は、7.0、16.0、17.0、18.1、19.5、19.9、22.0、および22.5度における、7つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、水和物形態NF2は、7.0、16.0、17.0、18.1、19.5、19.9、22.0、および22.5度における2θピークにより特徴づけられる。
【0086】
ある態様において、水和物形態NF2は、
【表2】
における2θピークにより特徴づけられる。
【0087】
別の態様において、水和物形態NF2は、図5のものと実質的に類似の回折パターンにより特徴づけられる。
【0088】
水和物形態NF2の粉末X線回折パターンは、欧州薬局方、第6版、2.9.33章において記載されるとおりの標準的な技術により得られ、以下のX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられた(単色光Cu-Kα1放射線、λ=1.5406Å、Stoe StadiP 611 KL透過型回折計(transmission diffractometer))。
【0089】
ある態様において、水和物形態NF2は、一水和物形態である。ある態様において、遊離塩基水和物形態NF2は、結晶性の一水和物形態である。
【0090】
水和物形態NF2の他の物理的特性として、以下が挙げられる:水和物形態NF2の熱挙動は、100℃より高い吸熱ピークと、その後の三量体の形態A1への発熱相転移、および最終的に220℃より高い融解開始点による三量体の形態A1の融解をを示した。熱重量分析は、100℃より高くで開始する約5~6%m/mの重量減少のステップを明らかにした。DSCおよびTGAプロフィールは、それぞれ図6および7において示される。水和物形態NF2のDSCスキャンは、Mettler-Toledo DSC 1において、5K/分の加熱速度により、50mL/分における窒素パージガスを用いて得られた。水和物形態NF2のTGAスキャンは、Mettler-Toledo TGA 851において、5K/分の加熱速度により、50mL/分における窒素パージガスを用いて得られた。水和物形態NF2の水蒸気吸着挙動は、相対湿度(rh)範囲0~80%rhにおいて小さい水の取り込みレベル≦1%m/m、および相対湿度(rh)範囲90~98%rhにおいて非常に僅かに上昇した水の取り込みレベル≦5%m/mを明らかにした。水和物形態NF2は、欧州薬局方基準(セクション5.11.)に従ってわずかに吸湿性であるものと分類することができる。水和物形態NF2の等温線(25℃)は図8において示される。水蒸気吸着等温線は、SMS製のDVS-Intrinsicシステムにおいて得られた。37℃における水和物形態NF2の熱力学的溶解度(24h)は、疑似胃液[SGF、pH1.2]中で約0.7mg/mL、および絶食状態疑似腸液[FaSSIF、pH6.5]中で約0.7mg/mLであるものとそれぞれ決定された(例11を参照)。全体的に、水和物形態NF2は、良好な固体状態の特性(良好な結晶化度、わずかに吸湿性であること、高い熱安定性、生体関連溶媒中での良好な溶解度)を明らかにした。
【0091】
一態様において、本発明は、無水形態NF9として特徴づけられる化合物1を提供する。
【0092】
ある態様において、無水形態NF9は、6.5、18.0、19.5、および20.7度における、1つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、無水形態NF9は、6.5、18.0、19.5、および20.7度における、2つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、無水形態NF9は、6.5、18.0、19.5、および20.7度における2θピークにより特徴づけられる。
【0093】
ある態様において、無水形態NF9は、6.5、7.9、16.2、18.0、19.5、および20.7度における、1つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、無水形態NF9は、6.5、7.9、16.2、18.0、19.5、および20.7度における、2つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、無水形態NF9は、6.5、7.9、16.2、18.0、19.5、および20.7度における、3つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、無水形態NF9は、6.5、7.9、16.2、18.0、19.5、および20.7度における、4つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、無水形態NF9は、6.5、7.9、16.2、18.0、19.5、および20.7度における、5つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、無水形態NF9は、6.5、7.9、16.2、18.0、19.5、および20.7度における2θピークにより特徴づけられる。
【0094】
ある態様において、無水形態NF9は、
【表3】
における2θピークにより特徴づけられる。
【0095】
別の態様において、無水形態NF9は、図9のものと実質的に類似の回折パターンにより特徴づけられる。
【0096】
無水形態NF9の粉末X線回折パターンは、欧州薬局方、第6版、2.9.33章において記載されるとおりの標準的な技術により得られ、以下のX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられた(単色光Cu-Kα1放射線、λ=1.5406Å、Stoe StadiP 611 KL透過型回折計)。
【0097】
別の態様において、形態NF9は、無水形態である。
【0098】
無水形態NF9の他の物理的特性として、以下が挙げられる:無水形態NF9の熱挙動は、DSCにおいて100℃までの広範な吸熱ピークと、それに付随するそれに付随するTGAにおける重量減少ステップを示した。DSCにおいて、三量体の形態A1への相転移は、150℃より高くで起こり、三量体のA1形態は、220℃より高い融解ピーク開始点を有した。DSCおよびTGAプロフィールは、それぞれ図10および11において示される。無水形態NF9のDSCスキャンは、Mettler-Toledo DSC 1において、5K/分の加熱速度により、50mL/分における窒素パージガスを用いて得られた。無水形態NF9のTGAスキャンは、Mettler-Toledo TGA 851において、5K/分の加熱速度により、50mL/分における窒素パージガスを用いて得られた。無水形態NF9の水蒸気吸着挙動は、相対湿度(rh)範囲0~80%rhにおける小さい水の取り込みレベル≦1%m/m、および相対湿度(rh)範囲90~98%rhにおける僅かに上昇した水の取り込みレベル≦5%m/mを明らかにした。無水形態NF9は、欧州薬局方基準(セクション5.11.)に従ってわずかに吸湿性であるものと分類することができる。無水形態NF9の等温線(25℃)は、図12において示される。水蒸気吸着等温線は、SMS製のDVS-Intrinsicシステムにおいて得られた。全体的に、無水形態NF9は、良好な固体状態の特性を明らかにした(良好な結晶化度、わずかに吸湿性であること、高い熱安定性)。
【0099】
一態様において、本発明は、ボロン酸エステル形態NF3として特徴づけられる、化合物1を提供する。
【0100】
ある態様において、ボロン酸エステル形態NF3は、7.8、17.1、20.6、21.2、および22.0度における、1つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF3は、7.8、17.1、20.6、21.2、および22.0度における、2つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF3は、7.8、17.1、20.6、21.2、および22.0度における2θピークにより特徴づけられる。
【0101】
ある態様において、ボロン酸エステル形態NF3は、7.8、12.5、17.1、20.6、21.2、および22.0度における、1つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF3は、7.8、12.5、17.1、20.6、21.2、および22.0度における、2つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF3は、7.8、12.5、17.1、20.6、21.2、および22.0度における、3つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF3は、7.8、12.5、17.1、20.6、21.2、および22.0度における、4つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF3は、7.8、12.5、17.1、20.6、21.2、および22.0度における2θピークにより特徴づけられる。
【0102】
ある態様において、ボロン酸エステル形態NF3は、
【表4】
における2θピークにより特徴づけられる。
【0103】
別の態様において、ボロン酸エステル形態NF3は、図13のものと実質的に類似の回折パターンにより特徴づけられる。
【0104】
ボロン酸エステル形態NF3の粉末X線回折パターンは、欧州薬局方、第6版、2.9.33章において記載されるとおりの標準的な技術により得られ、以下のX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられた(単色光Cu-Kα1放射線、λ=1.5406Å、Stoe StadiP 611 KL透過型回折計)。
【0105】
別の態様において、ボロン酸エステル形態NF3は、結晶性無水形態として特徴づけられる。
【0106】
ボロン酸エステル形態NF3の他の物理的特性として、以下が挙げられる:ボロン酸エステル形態NF3の熱挙動は、DSCにおける150℃より高い温度における吸熱性の融解/分解ピークと、それに付随するTGAにおける重量減少ステップを示した。DSCおよびTGAプロフィールは、それぞれ図14および15において示される。ボロン酸エステル形態NF3のDSCスキャンは、Mettler-Toledo DSC 1において、5K/分の加熱速度により、50mL/分における窒素パージガスを用いて得られた。ボロン酸エステル形態NF3のTGAスキャンは、Mettler-Toledo TGA 851において、5K/分の加熱速度により、50mL/分における窒素パージガスを用いて得られた。全体的に、ボロン酸エステル形態NF3は、良好な固体状態の特性(良好な結晶化度、高い熱安定性)を明らかにした。
【0107】
一態様において、本発明は、ボロン酸エステル形態NF4として特徴づけられる化合物1を提供する。
【0108】
ある態様において、ボロン酸エステル形態NF4は、7.4、8.0、18.0、18.7、および22.2度における、1つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF4は、7.4、8.0、18.0、18.7、および22.2度における、2つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF4は、7.4、8.0、18.0、18.7、および22.2度における2θピークにより特徴づけられる。
【0109】
ある態様において、ボロン酸エステル形態NF4は、7.4、8.0、15.4、16.6、18.0、18.5、18.7、20.2および22.2度における、1つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF4は、7.4、8.0、15.4、16.6、18.0、18.5、18.7、20.2および22.2度における、2つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF4は、7.4、8.0、15.4、16.6、18.0、18.5、18.7、20.2および22.2度における、3つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF4は、7.4、8.0、15.4、16.6、18.0、18.5、18.7、20.2および22.2度における、4つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF4は、7.4、8.0、15.4、16.6、18.0、18.5、18.7、20.2および22.2度における、5つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF4は、7.4、8.0、15.4、16.6、18.0、18.5、18.7、20.2および22.2度における、6つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF4は、7.4、8.0、15.4、16.6、18.0、18.5、18.7、20.2および22.2度における2θピークにより特徴づけられる。
【0110】
ある態様において、ボロン酸エステル形態NF4は、
【表5】
における2θピークにより特徴づけられる。
【0111】
別の態様において、ボロン酸エステル形態NF4は、図16のものと実質的に類似の回折パターンにより特徴づけられる。
【0112】
ボロン酸エステル形態NF4の粉末X線回折パターンは、欧州薬局方、第6版、2.9.33章において記載されるとおりの標準的な技術により得られ、以下のX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられた(単色光Cu-Kα1放射線、λ=1.5406Å、Stoe StadiP 611 KL透過型回折計)。
【0113】
別の態様において、ボロン酸エステル形態NF4は、結晶性形態として特徴づけられる。
【0114】
ボロン酸エステル形態NF4の他の物理的特性として、以下が挙げられる:ボロン酸エステル形態NF4の熱挙動は、DSCにおける130℃より高い温度における吸熱性の融解/分解ピークと、それに付随するTGAにおける重量減少ステップを示した。DSCおよびTGAプロフィールは、それぞれ図17および18において示される。ボロン酸エステル形態NF4のDSCスキャンは、Mettler-Toledo DSC 1において、5K/分の加熱速度により、50mL/分における窒素パージガスを用いて得られた。ボロン酸エステル形態NF4のTGAスキャンは、Mettler-Toledo TGA 851において、5K/分の加熱速度により、50mL/分における窒素パージガスを用いて得られた。全体的に、ボロン酸エステル形態NF4は、良好な固体状態の特性(良好な結晶化度、高い熱安定性)を明らかにした。
【0115】
一態様において、本発明は、ボロン酸エステル形態NF5として特徴づけられる化合物1を提供する。
【0116】
ある態様において、ボロン酸エステル形態NF5は、5.8、18.4、18.7、19.0および21.7度における、1つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF5は、5.8、18.4、18.7、19.0および21.7度における、2つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF5は、5.8、18.4、18.7、19.0および21.7度における2θピークにより特徴づけられる。
【0117】
ある態様において、ボロン酸エステル形態NF5は、5.8、12.8、17.6、18.4、18.7、19.0、20.1および21.7度における、1つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF5は、5.8、12.8、17.6、18.4、18.7、19.0、20.1および21.7度における、2つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF5は、5.8、12.8、17.6、18.4、18.7、19.0、20.1および21.7度における、3つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF5は、5.8、12.8、17.6、18.4、18.7、19.0、20.1および21.7度における、4つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF5は、5.8、12.8、17.6、18.4、18.7、19.0、20.1および21.7度における、5つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF5は、5.8、12.8、17.6、18.4、18.7、19.0、20.1および21.7度における、6つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF5は、5.8、12.8、17.6、18.4、18.7、19.0、20.1および21.7度における、7つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF5は、5.8、12.8、17.6、18.4、18.7、19.0、20.1および21.7度における2θピークにより特徴づけられる。
【0118】
ある態様において、ボロン酸エステル形態NF5は、
【表6】
における2θピークにより特徴づけられる。
【0119】
別の態様において、ボロン酸エステル形態NF5は、図19のものと実質的に類似の回折パターンにより特徴づけられる。
【0120】
遊離塩基ボロン酸エステル形態NF5の粉末X線回折パターンは、欧州薬局方、第6版、2.9.33章において記載されるとおりの標準的な技術により得られ、以下のX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられた(単色光Cu-Kα1放射線、λ=1.5406Å、Stoe StadiP 611 KL 透過型回折計)。
【0121】
別の態様において、ボロン酸エステル形態NF5は、結晶性無水形態として特徴づけられる。
【0122】
ボロン酸エステル形態NF5の他の物理的特性として、以下が挙げられる:ボロン酸エステル形態NF5の熱挙動は、DSCにおける140℃より高い温度における発熱分解ピークと、それに付随するTGAにおける重量減少ステップを示した。DSCおよびTGAプロフィールは、それぞれ図20および21において示される。ボロン酸エステル形態NF5のDSCスキャンは、Mettler-Toledo DSC 1において、5K/分の加熱速度により、50mL/分における窒素パージガスを用いて得られた。ボロン酸エステル形態NF5のTGAスキャンは、Mettler-Toledo TGA 851において、5K/分の加熱速度により、50mL/分における窒素パージガスを用いて得られた。全体的に、ボロン酸エステル形態NF5は、良好な固体状態の特性(良好な結晶化度、高い熱安定性)を明らかにした。
【0123】
一態様において、本発明は、ボロン酸エステル形態NF6として特徴づけられる化合物1を提供する。
【0124】
ある態様において、ボロン酸エステル形態NF6は、12.5、15.0、18.0、20.6、および21.3度における、1つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF6は、12.5、15.0、18.0、20.6、および21.3度における、2つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF6は、12.5、15.0、18.0、20.6、および21.3度における2θピークにより特徴づけられる。
【0125】
ある態様において、ボロン酸エステル形態NF6は、12.5、15.0、18.0、19.3、20.1、20.6、21.3および24.0度における、1つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF6は、12.5、15.0、18.0、19.3、20.1、20.6、21.3および24.0度における、2つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF6は、12.5、15.0、18.0、19.3、20.1、20.6、21.3および24.0度における、3つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF6は、12.5、15.0、18.0、19.3、20.1、20.6、21.3および24.0度における、4つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF6は、12.5、15.0、18.0、19.3、20.1、20.6、21.3および24.0度における、5つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF6は、12.5、15.0、18.0、19.3、20.1、20.6、21.3および24.0度における、6つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF6は、12.5、15.0、18.0、19.3、20.1、20.6、21.3および24.0度における2θピークにより特徴づけられる。
【0126】
ある態様において、ボロン酸エステル形態NF6は、
【表7】
における2θピークにより特徴づけられる。
【0127】
別の態様において、ボロン酸エステル形態NF6は、図22のものと実質的に類似の回折パターンにより特徴づけられる。
【0128】
遊離塩基ボロン酸エステル形態NF6の粉末X線回折パターンは、欧州薬局方、第6版、2.9.33章において記載されるとおりの標準的な技術により得られ、以下のX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられた(単色光Cu-Kα1放射線、λ=1.5406Å、Stoe StadiP 611 KL透過型回折計)。
【0129】
ある態様において、ボロン酸エステル形態NF6は、格子パラメーターa=6.10505Å、b=14.0122Å、c=10.8234Å、およびα=γ=90°、β=99.137±0.1°による単斜空間群P2を有する結晶形態により特徴づけられる。合理的にまとめると、パラメーターは、a=6.11±0.1Å、b=14.01±0.1Å、c=10.82±0.1Å、およびα=γ=90°±0.1°、β=99.14±0.1°である。単結晶構造から、ボロン酸エステル形態NF6は、ボロン酸エステルとメタノールとの無水形態を表すことが明らかである。興味深いことに、分子は、ボロン酸原子とカルボニル酸素との間で閉環(おそらくは電子の配位による)を示す。単結晶X線構造データは、ボロン酸エステル形態NF6に対してもまた得られた(298KにおけるCuKα放射線を用いる、CCD検出器を備えたAgilent製のSuperNova回折計)。
【0130】
別の態様において、ボロン酸エステル形態NF6は、結晶性無水形態として特徴づけられる。
【0131】
ボロン酸エステル形態NF6の他の物理的特性として、以下が挙げられる:ボロン酸エステル形態NF6の熱挙動は、DSCにおける140℃より高い温度における吸熱性の融解/分解ピークと、それに付随するTGAにおける重量減少イベントを示した。DSCおよびTGAプロフィールは、それぞれ図23および24において示される。ボロン酸エステル形態NF6のDSCスキャンは、Mettler-Toledo DSC 1において、5K/分の加熱速度により、50mL/分における窒素パージガスを用いて得られた。ボロン酸エステル形態NF6のTGAスキャンは、Mettler-Toledo TGA 851において、5K/分の加熱速度により、50mL/分における窒素パージガスを用いて得られた。全体的に、ボロン酸エステル形態NF6は、良好な固体状態の特性(良好な結晶化度、高い熱安定性)を明らかにした。
【0132】
一態様において、本発明は、三量体ボロン酸付加物形態の水和物NF7として特徴づけられる化合物1を提供する。
【0133】
ある態様において、三量体ボロン酸付加物形態の水和物NF7は、10.5、12.8、17.2、18.1、および21.7度における、1つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、三量体ボロン酸付加物形態の水和物NF7は、10.5、12.8、17.2、18.1、および21.7度における、2つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、三量体ボロン酸付加物形態の水和物NF7は、10.5、12.8、17.2、18.1、および21.7度における2θピークにより特徴づけられる。
【0134】
ある態様において、三量体ボロン酸付加物形態の水和物NF7は、10.5、12.8、17.2、18.1、19.2、19.8および21.7度における、1つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、三量体ボロン酸付加物形態の水和物NF7は、10.5、12.8、17.2、18.1、19.2、19.8および21.7度における、2つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、三量体ボロン酸付加物形態の水和物NF7は、10.5、12.8、17.2、18.1、19.2、19.8および21.7度における、3つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、三量体ボロン酸付加物形態の水和物NF7は、10.5、12.8、17.2、18.1、19.2、19.8および21.7度における、4つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、三量体ボロン酸付加物形態の水和物NF7は、10.5、12.8、17.2、18.1、19.2、19.8および21.7度における、5つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、三量体ボロン酸付加物形態の水和物NF7は、10.5、12.8、17.2、18.1、19.2、19.8および21.7度における、6つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、三量体ボロン酸付加物形態の水和物NF7は、10.5、12.8、17.2、18.1、19.2、19.8および21.7度における2θピークにより特徴づけられる。
【0135】
ある態様において、三量体ボロン酸付加物形態の水和物NF7は、
【表8】
における2θピークにより特徴づけられる。
【0136】
別の態様において、三量体ボロン酸付加物形態の水和物NF7は、図25のものと実質的に類似の回折パターンにより特徴づけられる。
【0137】
三量体ボロン酸付加物形態の水和物NF7の粉末X線回折パターンは、欧州薬局方、第6版、2.9.33章において記載されるとおりの標準的な技術により得られ、以下のX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられた(単色光Cu-Kα1放射線、λ=1.5406Å、Stoe StadiP 611 KL 透過型回折計)。
【0138】
ある態様において、三量体ボロン酸付加物形態の水和物NF7は、格子パラメーターa=14.015Å、b=9.1829Å、c=20.842Å、およびα=γ=90°、β=99.575oによる単斜空間群P2を有する結晶形態により特徴づけられる。合理的にまとめると、パラメーターは、a=14.02±0.1Å、b=9.18±0.1Å、c=20.84±0.1Å、およびα=γ=90°±0.1°、β=99.58±0.1°である。単結晶構造から、形態NF7は、三量体のボロン酸付加物の水和物形態を表すことは明らかである。興味深いことに、3分子単位のうちの1つは、ピリジン分子への結合を示す。単結晶X線構造データは、三量体ボロン酸付加物形態の水和物NF7についてもまた得られた(298KにおけるCuKα放射線を用いる、CCD検出器を備えたAgilent製のSuperNova回折計)。
【0139】
別の態様において、三量体ボロン酸付加物形態の水和物NF7は、結晶性一水和物形態として特徴づけられる。
【0140】
三量体ボロン酸付加物形態の水和物NF7の他の物理的特性として、以下が挙げられる:三量体ボロン酸付加物形態の水和物NF7の熱挙動は、DSCにおける100℃より高い温度における吸熱性ピークと、それに付随するTGAにおける重量減少ステップを示した。その後、DSCにおいて、三量体の形態A1への相転移に割り当てられる発熱イベントが起こる。最終的に、220℃より高い温度において融解ピーク開始点による三量体の形態A1の融解が起こる。DSCおよびTGAプロフィールは、それぞれ図26および27において示される。三量体ボロン酸付加物形態の水和物NF7のDSCスキャンは、Mettler-Toledo DSC 1において、5K/分の加熱速度により、50mL/分における窒素パージガスを用いて得られた。三量体ボロン酸付加物形態の水和物NF7のTGAスキャンは、Mettler-Toledo TGA 851において、5K/分の加熱速度により、50mL/分における窒素パージガスを用いて得られた。三量体ボロン酸付加物形態の水和物NF7の水蒸気吸着挙動は、相対湿度(rh)範囲0~80%rhにおいては小さい水の取り込みレベル≦1%m/m、および相対湿度(rh)範囲90~98%rhにおいては僅かに上昇した水の取り込みレベル≦5%m/mを明らかにした。三量体ボロン酸付加物形態の水和物NF7は、欧州薬局方基準(セクション5.11.)に従ってわずかに吸湿性であるものとして分類することができる。三量体ボロン酸付加物形態の水和物NF7の等温線(25℃)は、図28において示される。水蒸気吸着等温線は、SMS製のDVS-Intrinsicシステムにおいて得られた。全体的に、三量体ボロン酸付加物形態の水和物NF7は、良好な固体状態の特性(良好な結晶化度、わずかに吸湿性であること、高い熱安定性)を明らかにした。
【0141】
一態様において、本発明は、ボロン酸エステル形態NF8特徴づけられる化合物1を提供する。
【0142】
ある態様において、ボロン酸エステル形態NF8は、9.4、10.3、15.8および17.5度における、1つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF8は、9.4、10.3、15.8および17.5度における、2つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF8は、9.4、10.3、15.8および17.5度における、2θピークにより特徴づけられる。
【0143】
ある態様において、ボロン酸エステル形態NF8は、9.4、10.3、12.8、14.8、15.8、17.5、21.6および22.1度における、1つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF8は、9.4、10.3、12.8、14.8、15.8、17.5、21.6および22.1度における、2つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF8は、9.4、10.3、12.8、14.8、15.8、17.5、21.6および22.1度における、3つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF8は、9.4、10.3、12.8、14.8、15.8、17.5、21.6および22.1度における、4つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF8は、9.4、10.3、12.8、14.8、15.8、17.5、21.6および22.1度における、5つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF8は、9.4、10.3、12.8、14.8、15.8、17.5、21.6および22.1度における、6つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF8は、9.4、10.3、12.8、14.8、15.8、17.5、21.6および22.1度における、7つ以上の2θピークにより特徴づけられる。ある態様において、ボロン酸エステル形態NF8は、9.4、10.3、12.8、14.8、15.8、17.5、21.6および22.1度における2θピークにより特徴づけられる。
【0144】
ある態様において、ボロン酸エステル形態NF8は、
【表9】
における2θピークにより特徴づけられる。
【0145】
別の態様において、ボロン酸エステル形態NF8は、図29のものと実質的に類似の回折パターンにより特徴づけられる。
【0146】
遊離塩基ボロン酸エステル形態NF8の粉末X線回折パターンは、欧州薬局方、第6版、2.9.33章において記載されるとおりの標準的な技術により得られ、以下のX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられた(単色光Cu-Kα1放射線、λ=1.5406Å、Stoe StadiP 611 KL 透過型回折計)。
【0147】
別の態様において、ボロン酸エステル形態NF8は、結晶性無水形態として特徴づけられる。
【0148】
ボロン酸エステル形態NF8の他の物理的特性として、以下が挙げられる:ボロン酸エステル形態NF8の熱挙動は、DSCにおける100℃より高い温度における吸熱性ピークと、それに付随するTGAにおける重量減少ステップを示した。その後、DSCにおいて、無水の三量体の付加物形態A1への相転移に割り当てられる発熱イベントが起こる。最終的に、220℃より高い温度において三量体の形態A1の融解が起こる。DSCおよびTGAプロフィールは、それぞれ図30および31において示される。ボロン酸エステル形態NF8のDSCスキャンは、Mettler-Toledo DSC 1において、5K/分の加熱速度により、50mL/分における窒素パージガスを用いて得られた。ボロン酸エステル形態NF8のTGAスキャンは、Mettler-Toledo TGA 851において、5K/分の加熱速度により、50mL/分における窒素パージガスを用いて得られた。全体的に、ボロン酸エステル形態NF8は、良好な固体状態の特性(良好な結晶化度、高い熱安定性)を明らかにした。
【0149】
一態様において、本発明は、結晶形態A1およびA2の混合物として特徴づけられる化合物1を提供する。
【0150】
固体状態調製ルートの開発は、大きな規模へ拡張できるようにする溶媒結晶化アプローチならびに良好な製造可能性という特性の粉末材料への提供に主に基づくものであった。
【0151】
混合物の相組成は、バッチ間で制御することが困難であるので、構造形態の混合物は、規制と品質の観点から好ましくない。相組成の変動性は、重大な品質属性(例えば、経口吸収挙動、安定性挙動)に対する影響を査定するために、広範な特徴づけを必要とし、また、粒子習性(particle habit)などのパラメータが、種々の形態およびそれらの混合物について異なる場合、確固たるDP製造可能性(robust DP manufacturability)をも危うくさせ得る。
【0152】
驚くべきことに、本発明は、大スケールにおいて良好な製造可能性という特性を有する粉末材料を提供する、化合物1の熱力学的に安定した相純度での結晶形態A1のための調製ルートを提供する。
【0153】
別の側面において、本発明は、上に記載の形態のいずれかと、および薬学的に許容し得る担体とを含む医薬組成物を特色とする。別の態様において、医薬組成物はさらに、追加の治療剤を含む。
【0154】
別の側面において、本発明は、形態A1を調製するプロセスを特徴とし、該プロセスは、化合物1を有機溶媒または水において溶解することを含む。この態様の一側面において、本発明は、形態A1を調製するプロセスを特徴とし、該プロセスは、化合物1を有機溶媒または有機溶媒の混合物において溶解することを含む。ある態様において、有機溶媒は、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、2-ブタノール、ジクロロメタン、酢酸エチル、アセトン、DMSO、DMA、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、ピリジン、またはトルエンまたは有機溶媒の混合物である。ある態様において、溶媒は、メタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ピリジン、1-ブタノール、イソ-ブタノール、アセトン、酢酸エチル、またはジクロロメタン、またはこれらの混合物である。
【0155】
ある態様において、溶媒は、ジクロロメタンまたは酢酸エチル、またはこれらの混合物である。
【0156】
ある態様において、化合物1は、約20~75℃の間の有機溶媒に溶解される。ある態様において、化合物1は、約25℃で有機溶媒に溶解される。ある態様において、化合物1は、約50℃で有機溶媒に溶解される。
【0157】
ある態様において、形態A1を調製するプロセスを特色とし、該プロセスは、化合物1を、ジクロロメタン、アセトン、酢酸エチルまたはこれらの混合物において溶解することを含む。
【0158】
ある態様において、プロセスは、化合物1を、水中で、自発的な結晶化が起こるまで懸濁することを含む。
【0159】
ある態様において、プロセスは、化合物1を、有機溶媒と水との混合物中で溶解することを含む。この態様の一側面において、有機溶媒は、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、またはジメチルアセタミド(DMA)から選択される。この態様のいくつかの側面において、有機溶媒の水に対する比は、約1:1である。
【0160】
ある態様において、プロセスは、アルコールからの化合物1の結晶化を含む。ある態様において、アルコールは、メタノール、n-ブタノール、イソ-ブタノール、または2-プロパノールである。
【0161】
ある態様において、プロセスは、化合物1を、ピリジンとの二成分の混合物中で溶解することを含む。この態様の一側面において、ピリジンは、水と混合される。この態様の別の側面において、ピリジンは、酢酸メチルと混合される。第3の側面において、ピリジンは、酢酸エチルと混合される。第4の側面において、ピリジンは、メチルイソブチルケトンと混合される。
【0162】
ある態様において、本発明の化合物および固体形態は、下の例において提供されるスキームに従って合成された。
【0163】
4. 使用、製剤化および投与
薬学的に許容し得る組成物
別の態様によると、本発明は、本発明の化合物1の固体形態またはその薬学的に許容し得る誘導体、および薬学的に許容し得る担体、アジュバント、またはビヒクルを含む組成物を提供する。本発明の組成物中の化合物1の固体形態の量は、生体試料においてまたは患者において、LMP7またはその突然変異体を測定可能な程度に阻害するのに有効であるような量である。ある態様において、本発明の組成物は、かかる組成物を必要とする患者への投与のために製剤化されている。
【0164】
用語「患者」または「対象」は、本明細書に使用されるとき、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。
【0165】
用語「薬学的に許容し得る担体、アジュバント、またはビヒクル」は、これとともに製剤化される化合物の固体形態の薬理活性を損なわない非毒性の担体、アジュバント、またはビヒクルを指す。本発明の組成物において使用される薬学的に許容し得る担体、アジュバントまたはビヒクルは、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、緩衝物質、たとえば、ホスファート、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和した植物性の脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、たとえば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質(cellulose-based substances)、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリラート、蝋、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂を包含するがこれらに限定されない。
【0166】
「薬学的に許容し得る誘導体」は、レシピエントへの投与の際に本発明の化合物またはその阻害性の活性代謝産物もしくは残基を直接的または間接的のいずれかで提供することが可能な本発明の化合物の、いずれの非毒性の塩、エステル、エステルの塩または他の誘導体をも意味する。
【0167】
本発明の組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーによって、局所的に、経直腸的に(rectally)、経鼻的に(nasally)、口腔に(buccally)、経膣的に、または埋込型リザーバ(an implanted reservoir)を介して、投与される。用語「非経口の」は、本明細書に使用されるとき、皮下の、静脈内の、筋肉内の、関節内の、滑膜内の(intra-synovial)、大槽内の、髄腔内の、肝内の、病巣内の、および頭蓋内の、注射または注入技術を包含する。好ましくは、組成物は、経口的に、腹腔内に、または静脈内に投与される。本発明の組成物の滅菌した注射可能な形態(Sterile injectable forms)は、水性のまたは油脂性の懸濁液を包含する。これらの懸濁液は、好適な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して、当該技術分野において知られている技術に従い製剤化される。滅菌した注射可能な調製物はまた、非毒性の非経口的に許容し得る希釈剤または溶媒における滅菌した注射可能な溶液または懸濁液、1,3-ブタンジオールにおける溶液として、であってもよい。採用される許容し得るビヒクルおよび溶媒のうち、水、リンガー液および等張の塩化ナトリウム溶液である。加えて、滅菌した固定油は、溶媒または懸濁媒体として従来採用されている。
【0168】
この目的において、採用されるいずれの当たり障りのない(bland)固定油は、合成のモノ-またはジ-グリセリドを包含する。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、注射剤(injectables)の調製において有用であるが、前記注射剤としては、オリーブ油またはヒマシ油などの天然の薬学的に許容し得る油(とくにそれらのポリオキシエチル化型)がある。これら油の溶液または懸濁液はまた、長鎖アルコールの希釈剤または分散剤、たとえばカルボキシメチルセルロースまたは同様の分散剤(エマルションおよび懸濁液を包含する薬学的に許容し得る剤形の製剤化において一般的に使用される)をも含有する。Tween、Spanおよび他の乳化剤またはバイオアベイラビリティ増強剤(bioavailability enhancers)などの一般的に使用される他の界面活性剤もまた、薬学的に許容し得る固体、液体、または他の剤形の製造において一般的に使用されているが、製剤化の目的において使用される。
【0169】
本発明の薬学的に許容し得る組成物は、いずれの経口的に許容し得る剤形において経口的に投与される。例示の経口剤形は、カプセル、錠剤、水性の懸濁液または溶液である。経口使用のための錠剤のケースにおいて、一般的に使用される担体は、ラクトースおよびトウモロコシデンプンを包含する。ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤もまた、典型的に加えられる。カプセル形態における経口投与のための有用な希釈剤は、ラクトースおよび乾燥トウモロコシデンプンを包含する。水性の懸濁液が経口使用に必要とされるとき、活性成分は、乳化剤および懸濁剤と組み合わせられる。所望するなら、ある甘味剤、香味剤または着色剤もまた、任意に加えられる。
【0170】
代わりに、本発明の薬学的に許容し得る組成物は、経直腸投与のための座薬の形態で投与される。これらは、前記剤を非刺激性の(non-irritating)好適な賦形剤と混合することによって調製され得、前記賦形剤は、室温では固体であるが直腸温度では液体であるところ、直腸において融解して薬物を放出であろう。かかる材料は、ココアバター、蜜蝋およびポリエチレングリコールを包含する。
【0171】
本発明の薬学的に許容し得る組成物はまた、とくに、目、皮膚、または下部腸管の疾患を包含する処置の標的が、局所適用によって容易にアクセス可能なエリアまたは器官を包含するとき、局所的にも投与される。好適な局所製剤は、これら各エリアまたは器官のために容易に調製される。
【0172】
下部腸管のための局所適用は、経直腸座薬製剤(上を参照)でまたは好適な浣腸製剤で遂げられ得る。局所的に経皮性のパッチもまた、使用される。
【0173】
局所用途のために提供される薬学的に許容し得る組成物は、1種以上の担体に懸濁または溶解された活性構成要素を含有する好適な軟膏に製剤化される。これの化合物の局所投与のための例示の担体は、鉱油、液体ペトロラタム、白色ペトロラタム、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化蝋および水である。代わりに提供される薬学的に許容し得る組成物は、1種以上の薬学的に許容し得る担体に懸濁または溶解された活性構成要素を含有する好適なローションまたはクリームに製剤化され得る。好適な担体は、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステル蝋、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水を包含するが、これらに限定されない。
【0174】
本発明の薬学的に許容し得る組成物は、鼻エアロゾルまたは吸入によって任意に投与される。かかる組成物は、医薬製剤の技術分野において周知の技術に従って調製され、生理食塩水における溶液、採用するベンジルアルコールまたは他の好適な防腐剤、バイオアベイラビリティを増強する吸収促進剤(promoters)、フッ素化炭素、および/または他の従来の可溶化剤または分散剤として調製される。
【0175】
最も好ましくは、本発明の薬学的に許容し得る組成物は、経口投与のために製剤化される。かかる製剤は、食品とともに、または食品を伴わずに投与されてもよい。いくつかの態様において、本発明の薬学的に許容し得る組成物は、食品を伴わずに投与される。他の態様において、本発明の薬学的に許容し得る組成物は、食品とともに投与される。
【0176】
単一剤形の組成物を生成するために担体材料と任意に組み合わせられる本発明の化合物の量は、処置される宿主(host)、投与の具体的なモードに依存して変動するであろう。好ましくは、提供される組成物は、化合物の0.01~100mg/kg体重/日の間の投薬量が、これらの組成物を受ける患者へ投与され得るように、製剤化されるべきである。
【0177】
いずれの具体的な患者のための特定の投薬量および処置レジメンが、採用される特定の化合物の活性、年齢、体重、総体的な健康、性別、食生活(diet)、投与の時間、排出速度、薬物の組み合わせ、および処置している医師の判断、および処置される具体的な疾患の重症度を包含する様々な因子に依存するであろうこともまた、理解されるべきである。組成物中の本発明の化合物の量もまた、組成物中の具体的な化合物に依存するであろう。
【0178】
化合物および薬学的に許容し得る組成物の使用
ある態様において、本発明は、LMP7を阻害することを必要とする患者においてLMP7を阻害するための方法を提供し、該方法は、前記患者に、本発明による化合物1の固体形態を投与するステップを含む。
【0179】
ある態様において、本発明は、LMP7酵素をモジュレートまたは阻害するための、固体形態の化合物1の使用に向けられている。用語「モジュレーション」は、LMP7により媒介されるシグナル伝達におけるいずれの変化をも示すものであるが、これは、認識、結合、および活性化を可能にさせるやり方でLMP7標的と相互作用することが可能な本発明の特定の化合物(the specific inventive compounds)の作用に基づく。本化合物は、LMP7の確実な結合を保証するLMP7へのかかる高親和性によって特徴付けられる。ある態様において、本物質は、単一のLMP7標的との独占的かつ有向的な認識を確保するため、他のほとんどのキナーゼよりもLMP7に対して高度に選択的である。本発明の文脈において、用語「認識」は、-これらに限定されずに-、特定の本化合物および標的との間のいずれのタイプの相互作用、具体的に、共有結合によるもしくは非共有結合による結合もしくは結びつき(association)、例えば、共有結合、疎水性/親水性の相互作用、ファン・デル・ワールス力、イオン対、水素結合、リガンド-受容体(酵素-インヒビター)相互作用等に関する。かかる結びつきはまた、ペプチド、タンパク質、またはヌクレオチド配列などの他の分子の存在をも網羅し得る。本タンパク質/リガンド(酵素-インヒビター)-相互作用は、処置された対象に対して健康に悪くかつ害を及ぼす影響(impacts)を排除するために、高い親和性、高い選択性、および他の標的分子に対する最小限の交差反応またはその交差反応さえ欠いていることによって特徴付けられる。
【0180】
ある態様において、本発明は、LMP7酵素が阻害され得る条件下で、少なくとも固体形態の化合物1を用いて、該LMP7酵素を阻害するための方法に関する。ある態様において、前記系は、細胞系である。他の態様において、前記系は、生細胞のないタンパク質合成に基づくin-vitro翻訳である。細胞系は、いずれの対象に対しても定義されるが、ただし対象は細胞を含む。ゆえに、細胞系は、単細胞、細胞培養、組織、器官、および動物の群から選択され得る。ある態様において、 LMP7酵素をモジュレートするための方法は、in-vitroで実施される。固体形態の化合物1(これらのいずれの態様をも包含する)に関する本明細書の先の教示は、LMP7を阻害するための方法において本化合物が使用されるときに本化合物への制限なく、妥当かつ適用可能である。固体形態の化合物1に関する本明細書の先の教示は、LMP7を阻害するための方法において本化合物が使用されるときに本化合物への制限なく、妥当かつ適用可能である。
【0181】
提供される化合物1の固体形態は、LMP7のインヒビターであり、したがって、LMP7の活性に関連する1以上の障害を処置するのに有用である。よって、いくつかの態様において、本発明は、LMP7媒介障害を処置するための方法を提供するが、前記方法は、固形固体形態の化合物1を、それを必要とする患者へ投与するステップを含む。
【0182】
本明細書に使用されるとき、用語「LMP7媒介」障害または疾病は、本明細書に使用されるとき、LMP7またはその突然変異体が役割を果たすことが知られているいずれの疾患または他の有害な疾病(deleterious condition)をも意味する。結果的に、本発明の別の態様は、LMP7またはその突然変異体が役割を果たすことが知られている1以上の疾患の重症度を処置または軽減することに関する。具体的に言うと、本発明は、増殖性障害または自己免疫障害から選択される疾患または疾病の重症度を処置または軽減する方法に関し、ここで該方法は、本発明に従う化合物または組成物を、それを必要とする患者へ投与することを含む。
【0183】
いくつかの態様において、本発明は、LMP7に関連する1以上の疾患および疾病の重症度を処置または軽減するための方法を提供し、ここで疾患または疾病は、がんから選択される。一態様において、がんは、B細胞増殖性障害、例として、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、急性リンパ球性白血病、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫/ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、脾臓周辺帯リンパ腫、多発性骨髄腫(また形質細胞骨髄腫としても知られている)、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、形質細胞腫、筋外周辺帯B細胞リンパ腫、筋性辺縁帯B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、またはリンパ腫様肉芽腫症である。いくつかの態様において、がんは、乳がん、前立腺がん、または肥満細胞のがん(例として、肥満細胞腫、肥満細胞白血病、肥満細胞肉腫、全身性肥満細胞症)である。一態様において、がんは、骨がんである。別の態様において、がんは、他の原発から、骨へ転移したものである。ある態様において、がんは、結腸直腸がん、または膵臓のがんである。ある態様において、がんは、メラノーマ、神経膠腫、神経膠芽腫、または胸部、肺、膀胱、食道、胃、結腸、頭部、頸部、卵巣、前立腺、膵臓、直腸、子宮内膜もしくは肝臓のがんである。他の態様において、がんは、三種陰性乳癌、非小細胞肺癌、および頭部頸部癌である。
【0184】
ある態様において、がんは、多発性ミエローマである。この態様の一側面において、多発性骨髄腫を有する対象は、t(4;14)および/またはt(14;16)転座を有する。
【0185】
ある態様において、がんは、マントル細胞リンパ腫(MCL)、T細胞白血病/リンパ腫、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、濾胞性リンパ腫(FL)または辺縁帯B細胞リンパ腫(MZL)から選択される、血液学的悪性腫瘍である。
【0186】
ある態様において、LMP7により媒介される障害は、良性単クローン性γグロブリン血症(MGUS);くすぶり型多発性骨髄腫(SMM);および/または孤発性形質細胞腫である。
【0187】
他の態様において、LMP7により媒介される障害は、形質細胞腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(lymphoplasmacytic lymphoma)、アミロイド軽鎖(AL)アミロイドーシス、および/またはワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症(WM)である。
【0188】
いくつかの態様において、本発明は、LMP7と関連する1つ以上の疾患及び状態を処置するかまたはその重篤度を和らげるための方法を提供する。いくつかの態様において、疾患または状態は、自己免疫性疾患、例えば、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アテローム動脈硬化症、強皮症、自己免疫性肝炎、シェーグレン症候群、ループス腎炎、糸球体腎炎、関節リウマチ、乾癬、重症筋無力症、免疫グロブリンA腎症、血管炎、移植片拒絶、筋炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病および喘息であり;およびここで、血液学的悪性腫瘍は、多発性骨髄腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、形質細胞腫、濾胞性リンパ腫、免疫細胞腫、急性リンパ芽細胞性白血病, 慢性リンパ球性白血病および骨髄性白血病からなる群より選択される疾患であり;およびここで、固形腫瘍は、炎症性の乳癌および結腸癌、肺癌、頭部頸部癌、前立腺癌、膵臓癌、膀胱癌、腎癌、肝細胞癌および胃癌からなる群より選択される。ある態様において、疾患または状態は、全身性エリテマトーデス(SLEもしくはループス)またはループス腎炎である。
【0189】
いくつかの態様において、本発明は、LMP7と関連する1つ以上の疾患及び状態を処置するかまたはその重篤度を和らげるための方法を提供し、ここで、疾患または状態は、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アテローム動脈硬化症、強皮症、自己免疫性肝炎、シェーグレン症候群、ループス腎炎、糸球体腎炎、関節リウマチ、乾癬、重症筋無力症、免疫グロブリンA腎症、血管炎、移植片拒絶、筋炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病および喘息からなる群より選択される、自己免疫性または慢性炎症性疾患から選択される;がんは、好ましくは、血液学的悪性腫瘍または固形腫瘍であり、ここで、血液学的悪性腫瘍は、好ましくは、悪性のB-およびT/NK-細胞非ホジキンリンパ腫の群より選択される疾患、例えば:多発性骨髄腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、形質細胞腫、濾胞性リンパ腫、免疫細胞腫、急性リンパ芽細胞性白血病, 慢性リンパ球性白血病および骨髄性白血病であり;およびここで、固形腫瘍は、好ましくは、炎症性の乳癌、肝癌および結腸癌、肺癌、頭部頸部癌、前立腺癌、膵臓癌、膀胱癌、腎癌、肝細胞癌および胃癌からなる群より選択される疾患である。
【0190】
いくつかの態様において、本発明は、LMP7と関連する1つ以上の疾患及び状態を処置するかまたはその重篤度を和らげるための方法を提供する,ここで疾患または疾病は、移植片対宿主病、移植、輸血、アナフィラキシー、アレルギー(例として、植物花粉、ラテックス、薬物、食物、昆虫毒、獣毛、動物の鱗屑、イエダニ、またはゴキブリの貯卵嚢(cockroach calyx)に対するアレルギー)、I型過敏症、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、およびアトピー性皮膚炎を包含するがこれらに限定されない異種免疫の疾病または疾患から選択される。
【0191】
LMP7活性によって引き起こされるか、媒介されるか、および/または伝播される疾患を処置するための方法を提供することが、本発明の別の目的であり、ここで固体形態の化合物1は、かかる処置を必要とする哺乳動物へ投与される。ある態様において、本発明は、ループスを処置するための方法を提供するが、ここで固体形態の化合物1は、かかる処置を必要とする哺乳動物へ投与される。ある態様において、化合物は、上に定義されるとおりの有効量で投与される。ある態様において、処置は、経口投与である。
【0192】
本発明の方法は、in-vitroまたはin-vivoでのいずれかで実施され得る。具体的な細胞の、本発明による化合物での処置に対する感受性は、研究過程であるかまたは臨床適用であるかに関わらず、in-vitro試験によって具体的に決定され得る。典型的には、細胞の培養物(a culture of the cell)は、活性剤がLMP7活性を阻害することができるのに充分な期間、通常約1時間と1週間との間、様々な濃度での本発明による化合物と組み合わせられる。In-vitroでの処置は、生検試料または細胞株からの培養した細胞(cultivated cells)を使用して実行され得る。
【0193】
宿主または患者は、いずれの哺乳動物種、例えば霊長類種、具体的にはヒト;マウス、ラットおよびハムスターを包含する、齧歯動物;ウサギ;ウマ、ウシ、イヌ、ネコ等にも属し得る。動物モデルは、実験的調査の対象となるものであって、ヒト疾患の処置のためのモデルを提供する。
【0194】
シグナル伝達経路の同定のため、および様々なシグナル伝達経路間の相互作用の検出のため、様々な科学者が、好適なモデルまたはモデル系、例えば細胞培養モデルおよびトランスジェニック動物のモデルを開発してきた。シグナル伝達カスケードのあるステージの決定のため、相互作用する化合物は、シグナルをモジュレートするために利用され得る。本発明による化合物はまた、動物および/または細胞培養モデルにおいて、あるいは本出願に言及される臨床疾患において、LMP7依存性のシグナル伝達経路を試験するための試薬としても使用され得る。
【0195】
その上、予防的または治療的処置および/またはモニタリングのための医薬の産生のための固体形態の化合物1の使用に関する本明細書の次の教示は、LMP7活性の阻害のための化合物の使用に対して制限なく、有効(valid)かつ適用可能であると考えられる。
【0196】
本発明はまた、LMP7活性によって引き起こされるか、媒介されるか、および/または伝播される疾患の治療的処置および/またはモニタリングのための、固体形態の化合物1またはこれらの薬学的に許容し得る塩の使用にも関する。さらにまた、本発明は、LMP7活性によって引き起こされるか、媒介されるか、および/または伝播される疾患の治療的処置および/またはモニタリングのための医薬の産生のための、固体形態の化合物1の使用に関する。ある態様において、本発明は、LMP7媒介障害の治療的処置のための医薬の産生のための、固体形態の化合物1の使用を提供する。
【0197】
化合物1の固体形態は、疾患の発病前またはその後に、1回または数回投与されることで、治療として作用し得る。本発明に関する使用の先述の化合物および医薬品は、治療的処置のために具体的に使用される。治療的に関係する効果は、障害の1以上の症状をある程度緩和するか、あるいは疾患または病理学的状態に関連するかまたはその原因となる1以上の生理学的または生化学的パラメータを、部分的にまたは完全に、正常に戻す。モニタリングは、例として、応答をブーストして疾患の病原体および/または症状を完全になくすために、化合物が区別できる間隔で投与されるという条件で、ある種の処置と考えられる。同一の化合物または異なる化合物のいずれかが、適用され得る。本発明の方法はまた、障害を発症する可能性を低減するためにも、またはLMP7活性に関連する障害の発生を前もって予防するためさえも、または発症中または継続中の症状を処置するために、使用され得る。
【0198】
本発明はさらにまた、少なくとも1種の化合物1の固体形態またはこれらの薬学的に許容し得る塩を含む医薬に関する。
【0199】
本発明の意味における「医薬」は、化合物1またはその調製物(例として医薬組成物または医薬製剤)を含み、LMP7活性に関連する疾患を患う患者の予防法、治療、経過観察またはアフターケアにおいて(彼らの全体的な状態のまたは生体の特定の領域の状態の発病的な変更が少なくとも一時的に定着し得るように)使用することができる、医学分野における任意の剤である。
【0200】
様々な態様において、活性成分は、単独で、または他の処置と組み合わせて投与されてもよい。相乗効果は、医薬組成物中1種より多くの化合物を使用することによって達成されてもよい、すなわち式(I)で表される化合物は、活性成分として少なくとももう1種の他の剤(式(I)で表される別の化合物または異なる構造的骨格の化合物のいずれかである)と組み合わせられる。活性成分は、同時にまたは連続的に使用され得る。
【0201】
本明細書において包含されるのは、処置の方法であって、ここで、本明細書において提供される少なくとも1つの化学的実体が、1つ以上の治療剤と組み合わせて投与される。この態様の一側面において、1つ以上のさらなる治療剤は、EGFR経路のインヒビター、MAPK経路のインヒビター、XPO1インヒビター、DNA修復経路のインヒビター、FGFR経路のインヒビター、PI3K/AKT/mTOR経路のインヒビター、および/またはMCL1インヒビターである。
【0202】
EGFR経路のインヒビターの例は、エルロチニブ、アファチニブ、ゲフィチニブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ラパチニブ、オシメルチニブ、トラスツズマブ、および/またはペルツズマブから選択される。
【0203】
いくつかの態様において、抗炎症剤は、サリチラートである。サリチラートは、これらに限定されないが、アセチルサリチル酸またはアスピリン、サリチル酸ナトリウム、およびサリチル酸コリンおよびサリチル酸マグネシウムを包含する。
【0204】
MAPK経路のインヒビターの例は、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、レファメチニブ、ピマセルチブ、AMG 510、MRTX849、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、エンコラフェニブ、LXH254、HM95573、XL281、RAF265、RAF709、LY3009120、ウリキセルチニブ(Ulixertinib)、SCH772984、TNO155、RMC-4630、JAB-3068、JAB-3312、AMG-510、MRTX849、LY3499446および/またはBI 1701963から選択される。
【0205】
XPO1インヒビターの例は、セリネクサーおよび/またはKPT-8602から選択される。
【0206】
DNA修復経路のインヒビターの例は、M3541、M4076、BAY1895344、NOV1401、E7016、BGB-290、CEP-9722、オラパリブ、ルカパリブ、ニラパリブ、および/またはタラゾパリブから選択される。
【0207】
FGFR経路のインヒビターの例は、エルダフィチニブ(Erdafitinib)、AZD4547、LY2874455、Debio 1347、NVP-BGJ398、ペミガチニブ、ロガラチニブ(Rogaratinib)、PRN1371、TAS-120、および/またはニンテダニブから選択される。
【0208】
PI3K/AKT/mTOR経路のインヒビターの例は、ラパマイシン、テムシロリムス、エベロリムス、リダフォロリムス、アルペリシブ、イデラリシブ、コパンリシブ、デュベリシブ、MK-2206、および/またはAZD5363から選択される。
【0209】
MCL1インヒビターの例は、A-1210477、VU661013、AZD5991、AMG-176、AMG-397、S63845、S64315、ベネトクラクス、HDM201、NVP-CGM097、RG-7112、MK-8242、RG-7388、SAR405838、AMG-232、DS-3032、RG7775、および/またはAPG-115から選択される。
【0210】
式Iの開示される化合物は、抗がん剤を包含する他の公知の治療剤と組み合わせて投与され得る。ここで使用されるとき、用語「抗がん剤」は、がんを処置する目的においてがんをもつ患者へ投与されるいずれの剤にも関する。
【0211】
上に定義される抗がん処置は、単剤治療として適用されてもよく、または本明細書に開示の式Iで表される化合物に加えて、従来の手術または放射線治療または薬物治療(medicinal therapy)を伴ってもよい。かかる薬物治療(例として、化学治療または標的治療)は、以下の抗腫瘍剤のうち1種以上を包含するが、好ましくはそのうち1種を包含する:
アルキル化剤:アルトレタミン、ベンダムスチン、ブスルファン、カルムスチン、クロラムブシル、クロルメチン、シクロホスファミド、ダカルバジン、イホスファミド、インプロスルファン、トシル酸塩(tosilate)、ロムスチン、メルファラン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ニムスチン、ラニムスチン、テモゾロミド、チオテパ、トレオスルファン、メクロレタミン、カルボコン;アパジコン、ホテムスチン、グルホスファミド、パリホスファミド、ピポブロマン、トロホスファミド、ウラムスチン、TH-302、VAL-083など;
白金化合物:カルボプラチン、シスプラチン、エプタプラチン(eptaplatin)、ミリプラチン水和物、オキサリプラチン、ロバプラチン、ネダプラチン、ピコプラチン、サトラプラチン;ロバプラチン、ネダプラチン、ピコプラチン、サトラプラチンなど;
DNA改変剤:アムルビシン、ビサントレン、デシタビン、ミトキサントロン、プロカルバジン、トラベクテジン、クロファラビン;アムサクリン、ブロスタリシン、ピクサントロン、ラロムスチン1,3など;
トポイソメラーゼインヒビター:エトポシド、イリノテカン、ラゾキサン、ソブゾキサン、テニポシド、トポテカン;アモナファイド、ベロテカン、エリプチニウムアセタート、ボレロキシンなど;
微小管修飾因子:カバジタキセル、ドセタキセル、エリブリン、イクサベピロン、パクリタキセル、ビンプラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ビンデシン、ビンフルニン;フォスブレタブリン、テセタキセル(tesetaxel)など;
抗代謝産物:アスパラギナーゼ、アザシチジン、レボホリナートカルシウム、カペシタビン、クラドリビン、シタラビン、エノシタビン、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、メルカプトプリン、メトトレキサート、ネララビン、ペメトレキセド、プララトレキサート、アザチオプリン、チオグアニン、カルモフール;ドキシフルリジン、エラシタビン、ラルチトレキセド、セパシタビン、テガフール2,3、トリメトトレキサートなど;
抗がん抗生物質:ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、レバミソール、ミルテホシン、マイトマイシンC、ロミデプシン、ステレプトゾシン、バルルビシン、ジノスタチン、ゾルビシン、ダウノルビシン、プリカマイシン;アクラルビシン、ペプロマイシン、ピラルビシンなど;
ホルモン/アンタゴニスト:アバレリックス、アビラテロン、ビカルタミド、ブセレリン、カルステロン、クロロトニアニセン、デガレリクス、デキサメタゾン、エストラジオール、フルトコルトロン、フルオキシメステロン、フルタミド、フルベストラント、ゴセレリン、ヒストレリン、リュープロレリン、メゲステロール、ミトタン、ナファレリン、ナンドロロン、ニルタミド、オクトレオチド、プレドニゾロン、ラロキシフェン、タモキシフェン、サイロトロピンアルファ、トレミフェン、トリロスタン、トリプトレリン、ジエチルスチルベストロール;アコルビフェン、ダナゾール、デスロレリン、エピチオスタノール、オルテロネル、エンザルタミド1,3など;
アロマターゼインヒビター:アミノグルテチミド、アナストロゾール、エキセメスタン、ファドロゾール、レトロゾール、テストラクトン;ホルメスタンなど;
小分子キナーゼインヒビター:クリゾチニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、パゾパニブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、バンデタニブ、ベムラフェニブ、ボスチニブ、ゲフィチニブ、アキシチニブ;アファチニブ、アリセルチブ、ダブラフェニブ、ダコミチニブ、ディナシクリブ、ドビチニブ、エンザスタウリン、ニンテダニブ、レンバチニブ、リニファニブ、リンシチニブ、マシチニブ、ミドスタウリン、モテサニブ、ネラチニブ、オランチニブ、ペリフォシン、ポナチニブ、ラドチニブ、リゴサチブ、ティピファニブ、チバンチニブ、チボザニブ、トラメチニブ、ピマセルチブ、ブリバニブアラニナート、セジラニブ、アパチニブ、カボザンチニブS-マラート1,3、イブルチニブ1,3、イコチニブ、ブパルリシブ、シパチニブ(cipatinib)、コビメチニブ1,3、イデラリシブ1,3、フェドラチニブ、XL-647など;
光増感剤:メトキサレン;ポリフィマーナトリウム、タラポルフィン、テモポルフィンなど;
抗体:アレムツズマブ、ベシレソマブ、ブレンツキシマブ ベドチン、セツキシマブ、デノスマブ、イピリムマブ、オファツムマブ、パニツムマブ、リツキシマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、ベバシズマブ、ペルツズマブ2,3;カツマキソマブ、エロツズマブ、エプラツズマブ、ファーレツズマブ、モガムリズマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、オビヌツズマブ、オカラツズマブ、オレゴボマブ、ラムシルマブ、リロツムマブ、シルツキシマブ、トシリズマブ、ザルツムマブ、ザノリムマブ、マツズマブ、ダロツズマブ1,2,3、オナルツズマブ1,3、ラコツモマブ(racotumomab)、タバルマブ1,3、EMD-525797、ニボルマブ1,3など;
サイトカイン:アルデスロイキン、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ2a、インターフェロンアルファ2b2,3;セルモロイキン、タソネルミン、テセロイキン、オペレルベキン1,3、組み換えインターフェロンベータ-1aなど;
薬物コンジュゲート:デニロイキンジフチトクス、イブリツモマブチウキセタン、ヨーベングアン(iobenguane)I123、プレドニムスチン、トラスツズマブエムタンシン、エストラムスチン、ゲムツズマブ、オゾガマイシン、アフリベルセプト;シントレデキンベスドトクス、エドトレオチド、イノツズマブオゾガマイシン、ナプツモマブエスタフェナトクス、オポルツズマブモナトクス、テクニチウム(99mTc)アルシツモマブ1,3、ビンタフォリド1,3など;
ワクチン:シプリューセル;ビテスペン、エメペピムト-S、オンコバックス(oncoVAX)、リンドペピムト、トロバックス(troVax)、MGN-1601、MGN-1703など;ならびに
その他:アリトレチノイン、ベキサロテン、ボルテゾミブ、エベロリムス、イバンドロン酸、イミキモド、レナリドミド、レンチナン、メチロシン、ミファムルチド、パミドロン酸、ペグアスパルガーゼ、ペントスタチン、シプリューセル、シゾフィラン、タミバロテン、テムシロリムス、サリドマイド、トレチノイン、ビスモデギブ、ゾレドロン酸、ボリノスタット;セレコキシブ、シレンジタイド、エンチノスタット、エタニダゾール、ガネテスピブ、イドロノキシル、イニパリブ、イキサゾミブ、ロニダミン、ニモラゾール、パラビノスタット、ペレチノイン、プリチデプシン、ポマリドミド、プロコダゾール(procodazol)、リダフォロリムス、タスキニモド、テロトリスタット、サイマルファシン、チラパザミン、トセドスタット、トラベデルセン、ウベニメクス、バルスポダール、ゲンディシン、ピシバニール、レオライシン、レタスピマイシン塩酸塩1,3、トレバナニブ2,3、ビリルジン、カーフィルゾミブ1,3、エンドスタチン、イムノコテル(immucothel)、ベリノスタット、MGN-1703
Prop.INN(提案された国際一般名);Rec.INN(推奨された国際一般名);USAN(米国一般名);INNなし)。
【0212】
別の側面において、本発明は、有効量の本発明による化合物および有効量のさらなる活性成分の別個のパックからなるキットを提供する。キットは、箱、個々の瓶、袋またはアンプルなどの好適な容器を含む。キットは、例えば、別個のアンプルを含んでいてもよいが、各々は、有効量の本発明による化合物および/またはそれらの薬学的に許容し得る塩、誘導体、溶媒和物および立体異性体(あらゆる比率でのそれらの混合物を包含する)、および任意に、有効量のさらなる活性成分を、溶解または凍結乾燥形態で含有する。
【0213】
本明細書に使用されるとき、用語「処置」、「処置する」、および「処置すること」は、本明細書に記載のとおりの疾患または障害、または1以上のその症状の発病を食い止めること(reversing)、緩和すること、遅延させること、またはそれらの進行を阻害することを指す。いくつかの態様において、処置は、1以上の症状が発症した後に施される。他の態様において、処置は、症状がないときに施される。例えば、処置は、症状の発病に先立ち(例として、病状の経歴に照らして、および/または遺伝的因子または他の感受性因子に照らして)、感受性のある個体へ施される。処置はまた、症状が消散した後も、例えば、それらの再発を予防するかまたは遅延させるために継続する。
【0214】
化合物および組成物は、本発明の方法に従うと、上に提供される障害を処置するのにまたはその重症度を低めるのに有効な、いずれの量およびいずれの投与のルートをも使用して投与される。要求される厳密な量は、対象の種、年齢、および総体的な状態、感染症の重症度、具体的な剤、その投与のモード等に依存して対象次第で変動するであろう。本発明の化合物は、好ましくは、投与の容易さおよび投薬量の一様性から、投薬量単位形態で製剤化される。本明細書に使用されるとき表現「投薬量単位形態」は、処置されることになっている患者に適切な剤の物理的に個別の単位を指す。しかしながら、本発明の化合物および組成物の毎日の総使用量が、正しい医学的判断の範囲内で担当医によって決められるであろうことは理解されるであろう。いずれの具体的な患者または生命体にとって有効な特定の用量レベルは、処置される障害および障害の重症度;採用される特定の化合物の活性;採用される特定の化合物;患者の年齢、体重、総体的な健康、性別および食生活;採用される特定の化合物の投与の時間、投与のルート、および排出速度;処置の期間;採用される特定の化合物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物、および医術において周知の同様の因子を包含する様々な因子に依存するであろう。
【0215】
本発明の化合物は、高い特異性および安定性、低い製造コスト、および取扱の利便性によって特徴付けられる。これらの特色は、再現性のある作用(交差反応がないことを含む)のための、および標的構造物との確実かつ安全な相互作用のための、基礎を形成するものである。
【0216】
用語「生体試料」は、本明細書に使用されるとき、限定せずに、細胞培養物またはそれらの抽出物;哺乳動物から得られた生検材料またはそれらの抽出物;および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙液、または他の体液、あるいはそれらの抽出物を包含する。
【0217】
例示
下の例において描かれているとおり、ある例示態様において、化合物を、以下の一般手順に従い調製する。一般の方法が、本発明のある化合物の合成を描くが、以下の一般の方法および当業者に知られている他の方法も、本明細書に記載のとおりのすべての化合物、およびこれら化合物の各々のサブクラスおよび種に対して適用され得ることは解されるであろう。
【0218】
以下の記載のプロセス、スキーム、および例において使用される記号および約束事(conventions)は、現代科学文献、例えば、Journal of the American Chemical SocietyまたはJournal of Biological Chemistryにおいて使用されるものと整合する。
【0219】
全形態を、例として、Rolf Hilfiker, ‘Polymorphism in the Pharmaceutical Industry’, Wiley-VCH. Weinheim 2006(Chapter 6:X-Ray Diffraction、Chapter 6:Vibrational Spectroscopy、Chapter 3:Thermal Analysis、Chapter 9:Water Vapour Sorption、およびその中の参考文献);およびH.G. Brittain, ‘Polymorphism in Pharmaceutical Solids, Vol. 95, Marcel Dekker Inc., New York 1999(Chapter 6およびその中の参考文献)から見出される標準的な方法に従って特徴付けた。
【0220】
別段に示さない限り、全温度を℃で(セ氏度)で表現する。そのように指摘しない限り、全反応を室温にて行った。本発明の全化合物を、本発明者らによって開発されたプロセスによって合成した。
【0221】
1H-NMRスペクトルをBruker Avance III 400 MHz上に記録した。化学シフトを百万分の一(ppm、δ単位)で表現する。結合定数はHertzの単位(Hz)である。分裂パターンは見掛けの多重度を記載し、s(一重項)、d(二重項)、t(三重項)、q(四重項)、m(多重項)、またはbr(ブロード)として指定される。
【0222】
質量スペクトルを、大気圧化学イオン化(APCI)またはエレクトロスプレイイオン化(ESI)のいずれかを使用し、Agilent technologiesからのAgilent 1200 Series質量分析計上で得た。カラム:XBridge C8、3.5μm、4.6×50mm;溶媒A:水+0.1% TFA;溶媒B:CAN;フロー:2ml/min;勾配:0min:5% B、8min:100% B、8.1min:100% B、8.5min:5% B、10min:5% B。
【0223】
HPLCデータを、XBridgeカラム(C8、3.5μm、4.6×50mm)を使用する、Agilent technologiesからのAgilent 1100 series HPLCを指標して得た。溶媒A:水+0.1% TFA;溶媒B:ACN;フロー:2ml/min;勾配:0min:5% B、8min:100% B、8.1min:100% B、8.5min:5% B、10min:5%B。
【0224】
マイクロ波反応を、当該技術分野において知られている標準的なプロトコルを使用し、Biotage Initiator Microwave Synthesizerを使用して行った。
【0225】
本出願中に現れ得るいくつかの略語は、以下のとおりである:
【表10】
【0226】
下の例において利用される化合物の番号は、上記の化合物の番号に対応する。
【0227】
例1:無水三量体の付加物形態A1の形成
a)スモールスケール:酢酸エチルからの沈殿
【0228】
抽出の後でジクロロメタン相から得られた約2.2gの油状の物質を、100mLの酢酸エチルで希釈した。溶液を、約1分間にわたり超音波により処置し、得られた沈殿物をろ過し、60℃で真空下において乾燥させた。
【0229】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6//D20) 7.60 (s, 1H), 7.60 - 7.56 (m, 1H), 7.47 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.27 (td, J = 8.3, 7.8, 1.3 Hz, 1H), 7.21 (td, J = 7 . 5, 0.9 Hz, 1H), 4.47 (t, J = 4.7 Hz, 1H), 4.41 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 3.08 (dd, J = 8 .2, 6.0 Hz, 1H), 2.84 (dd, J = 14.8, 5.8 Hz, 1H), 2.72 (dd, J = 15.0, 8.3 Hz, 1H), 2.46 (dd, J = 9.0, 4.9 Hz, 1H), 1.76 - 1.69 (m, 1H), 1.61 (dd, J = 11.9, 9.1 Hz, 1H), 1.53 - 1.34 (m, 4H)b)
【0230】
スモールスケール:蒸発結晶化
【0231】
約14~15mgの物質を、3mLのアセトンまたは酢酸エチル中で50℃で溶解した。0.2μmのPTFEシリンジフィルターを用いて溶液をろ過した。その後、得られた透明な溶液から、50℃で乾燥するまで溶媒を蒸発させた。
【0232】
c)グラムスケール:逆溶剤と蒸発結晶化との組み合わせ
【0233】
約5.0gの物質を、Mettler Toledo製の合成ワークステーションEasyMax 402(商標)の100mLのリアクター中に計り入れた。物質を、60mLのジクロロメタン中で、25℃のリアクター温度において、200rpmでの撹拌(プロペラ)により溶解した。投与単位により、30mLの酢酸エチルを透明な溶液に1mU/分において添加した。41mgのシード(形態A1、1mLの酢酸エチル中で懸濁される)の添加の後で、溶液は混濁した。さらなる20mLの酢酸エチルを、1mU/分においてリアクターに対してポンピングした。次いで、45mLのジクロロメタンを、乾燥窒素流を用いて0.75mU/分で蒸発させた。蒸発が完了した後、得られた懸濁液に、25mLの酢酸エチルを1mU分で添加した。懸濁液を、さらに30分間にわたり攪拌した。ブフナー漏斗およびセルロースフィルターペーパー(Whatmanグレード2)を用いて、真空濾過により、固体液体分離を行った。ろ過ケークを、10mLの酢酸エチルで洗浄し、最終結晶物(final crystallisate)を、乾燥窒素流を用いて24時間にわたり50℃で乾燥させた。
【0234】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6 /D20) d 7.62 (s, 1H), 7.63 - 7.58 (m, 2H), 7.48 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.27 (dd, J = 7 . 3, 1.3 Hz, 1H), 7.22 (td, J = 7 . 5, 0.9 Hz, 1H), 4.46 (t, J = 4.7 Hz, 1H), 4.42 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 3.15 (dd, J = 8.1, 6.0 Hz, 1H), 2.86 (dd, J = 14.8, 5.9 Hz, 1H), 2.75 (dd, J = 14.9, 8.2 Hz, 1H), 2.44 (dd, J = 9.0, 4.9 Hz, 1H), 1.80 - 1.73 (m, 1H), 1.58 (dd, J = 11.9, 9.1 Hz, 1H), 1.53 - 1.34 (m, 4H)
【0235】
1HNMRにおけるDMSO中の水の存在に起因して、モノマーが再形成されることに注意すべきである。したがって、これは、本質的にcpd1のモノマーの1HNMRである。
【0236】
ラージスケール:GMPバッチ
【0237】
最後の合成ステップからジクロロメタン溶液(12.5容積)として直接得られた、それぞれの量の薬物物質を、リアクター中にチャージした。有機溶媒を、真空下において、外部温度35±5℃で蒸留して、オイルを得た。インプロセス制御(NMR)は、蒸発ステップの間に、ジクロロメタンの含有量が≦20%となるまで行われた。2.5容積のジクロロメタンを得られたオイルに添加し、外部温度25±5℃で、透明な溶液が達成されるまで撹拌した。3.5容積の酢酸エチルを溶液に添加し、外部温度25±5℃で撹拌した。次いで、外部温度を55±5℃に設定することにより溶液を加熱した。自然沈殿の後で、懸濁液を、少なくとも1時間にわたり同じ温度で撹拌した。残りのジクロロメタンを真空下において蒸発させ、次いで、さらなる酢酸エチルを添加した(1.0容積)。懸濁液は、線形の温度傾斜(temperature ramp)において、55±5℃(外部)から0±5℃(外部)まで、8時間以内に冷却した。外部温度0±5℃において、懸濁液を0.5時間にわたり攪拌した。ろ過により固体/液体分離を行い、ろ過ケークを酢酸エチル(1.0容積)で洗浄した。得られた固体材料を、オーブン中で真空下において、外部温度60±5℃で、12時間にわたり乾燥させた。3.5キログラムの形態A1を得た。
【0238】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6/D2O) 7.62 (s, 1H), 7.61 - 7.59 (m, 1H), 7.48 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.27 (td, J = 8.3, 7.8, 1.3 Hz, 1H), 7.22 (td, J = 7.5, 0.9 Hz, 1H), 4.46 (t, J = 4.6 Hz, 1H), 4.42 (d, J = 4.1 Hz, 1H), 3.16 (dd, J = 8.0, 6.0 Hz, 1H), 2.86 (dd, J = 14. 8, 5.9 Hz, 1H), 2.75 (dd, J = 14.9, 8.2 Hz, 1H), 2.44 (dd, J = 9.0, 4.9 Hz, 1H), 1.80 - 1.73 (m, 1H), 1.58 (dd, J = 11.8, 9.1 Hz, 1H), 1.54-1.34 (m, 4H).
【0239】
例2:水和物形態NF2
a)スモールスケール:水性溶媒中のスラリー
【0240】
約15mgの薬物物質を、300μLのそれぞれの水性溶媒中で懸濁した。懸濁液を、5日間にわたり室温で攪拌した。固体/液体分離を2mLのPEバイアルおよび遠心分離液のデカンテーションを用いて、遠心分離により行った。試料を、室温および乾燥窒素流で乾燥させた。水性溶媒として、水、疑似胃液(SGF、pH1.2)、疑似腸液(SIF、pH6.8)、および生理学的塩化ナトリウム溶液(0.9%m/mのNaCl)を用いた。
【0241】
b)スモールスケール:水中のスラリー
【0242】
約191mgの薬物物質を、2.7mLの水中で懸濁し、5日間にわたり50℃で攪拌した。固体/液体分離は、5mLのPEバイアルを用いる遠心分離、および遠心分離液のデカンテーションにより行った。試料を、室温および乾燥窒素流で乾燥させた。
【0243】
1 H NMR (700 MHz, クロロホルム-d) d 7.59 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.48 (s, 1H), 7.41 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.24 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 7.19 (t, J = 7 . 4 H z, 1H), 6.89 (s, 1H), 4.60 (d, J = 4 . 9 Hz, 1H), 4.56 (t, J = 4.9 Hz, 1H), 3.15 - 3.09 (m, 1H), 2.99 (dd, J = 1 5.1, 5.1 Hz, 1H), 2.81 (dd, J = 1 5.1, 8.8 Hz, 1H), 2.66 (dd, J = 9 . 0, 4.1 Hz, 1H), 1.82 (dd, J = 12 .4, 9.2 Hz, 1H), 1.76 - 1.66 (m, 3H), 1.52 - 1.43 (m, 2H).
【0244】
c)スモールスケール:水との二成分混合物からの冷却結晶化
【0245】
約15mgの薬物物質を、それぞれの有機溶媒中で溶解した:50℃で水と混合し、0.2μmのPTFEシリンジフィルターを用いてろ過した。溶液を、5℃(DMSOの場合には20℃)で攪拌することにより、0.1K/分で冷却した。得られた固体材料の固体/液体分離は、2mLのPEバイアルおよび遠心分離液のデカンテーションを用いて、遠心分離により行った。試料を、室温で、乾燥窒素流を用いて乾燥させた。冷却結晶化のために、以下の組成を用いた。
【表11】
【0246】
d)スモールスケール:水との二成分混合物からの蒸発結晶化
【0247】
約15mgの薬物物質を、1mlの水と1mlのアセトニトリルとの混合物中で室温において溶解した。溶液を、0.2μmのPTFEシリンジフィルターを用いて、新たな4mlのガラス容器中でろ過した。透明な溶液を含むこのガラス容器を、溶媒混合物が完全に蒸発するまで、大気条件下において蓋をせずに(open)置いた。
【0248】
例3:無水形態NF9
スモールスケール:ジクロロメタン(DCM)からの蒸発結晶化
【0249】
約50mgの薬物物質を、500μLのジクロロメタン中に溶解した。溶液を、0.2μmのPTFEシリンジフィルターを用いて、新たな4mlのガラス容器中でろ過した。透明な溶液を含むこのガラス容器を、溶媒が完全に蒸発するまで、大気条件または50℃で蓋をせずに置いた。
【0250】
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) d 8.64 (q, J = 3.6 Hz, 1H), 7.69 (s, 1H), 7.55 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.52 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.30 (td, J = 8.3, 7.9, 1.2 Hz, 1H), 7.24 (td, J = 7.6, 0.8 Hz, 1H), 4.58 (t, J = 4.8 Hz, 2H), 2.92 - 2.85 (m, 1H), 2.81 (dd, J = 1 5.2, 6.1 Hz, 1H), 2.71 - 2.60 (m, 2H), 1.87 (dt, J = 10.3, 4.6 Hz, 1H), 1.71 (dd, J = 11 . 9, 9.1 Hz, 1H), 1.65 - 1.40 (m, 4H)
【0251】
b)スモールスケール:DCMとの二成分混合物からの蒸発結晶化
【0252】
約16mgの薬物物質を、それぞれの有機溶媒のジクロロメタンとの混合物中で溶解した。溶液をろ過し、0.2μmのPTFEシリンジフィルターを用いて、新たな4mLのガラス容器中でろ過した。透明な溶液を含むこのガラス容器を、溶媒が完全に蒸発するまで大気条件下において蓋をせずに置いた。
二成分溶媒混合物として、以下の組み合わせを用いた。
【表12】
【0253】
c)スモールスケール:テトラヒドロフラン中のスラリー(BHTにより安定化されている)
【0254】
約16~20mgの薬物物質を、0.5mlのテトラヒドロフラン中で懸濁し、大気条件または50℃において一晩撹拌した。固体/液体分離は、2mLのPEバイアルおよび遠心分離液のデカンテーションを用いて、遠心分離により行った。試料を、室温および乾燥窒素流で乾燥させた。
【0255】
例4:ボロン酸エステル形態NF3
スモールスケール:イソブタノール中のスラリー
【0256】
15mgの量の薬物物質を、イソブタノール中で懸濁した。懸濁液を、室温で一晩撹拌した。0.7mLのイソブタノール中の25mgの薬物物質を用いて、第2の懸濁液を作製し、50℃で一晩撹拌した。固体/液体分離は、2mLのPEバイアルおよび遠心分離液のデカンテーションを用いて、遠心分離により行った。試料を、室温および乾燥窒素流で乾燥させた。
【0257】
1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) d 7.54 - 7.48 (m, 1H), 7.40 - 7.36 (m, 2H), 7.21 (ddd, J = 8.3, 7.2, 1.3 Hz, 1H), 7.16 (td, J = 7.5, 1.0 Hz, 1H), 6.53 - 6.43 (m, 1H), 4.52 (t, J = 5.5 Hz, 2H), 3.40 - 3.34 (m, 4H), 3.26 - 3.18 (m, 1H), 2.98 - 2.87 (m, 1H), 2.76 (dd, J = 14.8, 8.7 Hz, 1H), 2.52 (dd, J = 9.1 , 4.3 Hz, 1H), 1.79 (dd, J = 12.4, 9.1 Hz, 1H), 1.75 -1.60 (m, SH) , 1.43 - 1.34 (m, 2H), 0.78 (dd, J = 6.7, 1.3 Hz, 12H)
【0258】
例5:ボロン酸エステル形態NF4
スモールスケール:n-ブタノール中のスラリー
【0259】
約25mgの薬物物質を、500μlのn-ブタノール中で懸濁した。懸濁液を、50℃で一晩撹拌した。固体/液体分離は、2mLのPEバイアルおよび遠心分離液のデカンテーションを用いて、遠心分離により行った。試料を、室温および乾燥窒素流で乾燥させた。
【0260】
例6:ボロン酸エステルNF5
スモールスケール:2-プロパノール中のスラリー
【0261】
約62mgの薬物物質を、2mLの2-プロパノール中で懸濁した。懸濁液を、50℃で5日間にわたり攪拌した。固体/液体分離は、2mLのPEバイアルおよび遠心分離液のデカンテーションを用いて、遠心分離により行った。試料を、50℃で、乾燥窒素流において、2日間にわたり乾燥させた。
【0262】
1H NMR (700 MHz, クロロホルム-ct) d 7.66 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.57 (s, 1H), 7.50 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.33 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.27 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 7.13 (s, 1H), 4.66 - 4.60 (m, 2H), 3.18 (dd, J = 1 5.1, 4.2 Hz, 1H), 3.09 (dd, J = 11 . 0, 4.2 Hz, 1H), 2.93 - 2.83 (m, 2H), 1.93 (dd, J = 12.6, 9.2 Hz, 1H), 1.86 - 1.70 (m, 3H), 1.57 - 1.48 (m, 2H)
【0263】
例7:ボロン酸エステル形態NF6
スモールスケール:メタノール中のスラリー
【0264】
約570mgの薬物物質を、4mLのメタノール中で懸濁した。懸濁液を、5日間にわたり室温で攪拌した。固体/液体分離は、5mLのPEバイアルを用いる遠心分離、および遠心分離液のデカンテーションにより行った。試料を、50℃で、乾燥窒素流において、2日間にわたり乾燥させた。
【0265】
例8:ボロン酸付加物形態NF7
a)スモールスケール:ピリジンとの二成分混合物からの冷却結晶化
【0266】
約14~15mgの薬物物質を、それぞれの溶媒中で溶解した:50℃でピリジンと混合し、0.2μmのPTFEシリンジフィルターを用いてろ過した。溶液を、5℃で攪拌することにより、0.1K/分で冷却した。得られた固体材料の固体/液体分離は、2mLのPEバイアルおよび遠心分離液のデカンテーションを用いて、遠心分離により行った。試料を、室温で、乾燥窒素流を用いて乾燥させた。冷却結晶化のために、以下の組成を用いた:
【表13】
【0267】
1H NMR (500 MHz, クロロホルム-ct) d 8.62 (dd, J = 5.8, 1.6 Hz, 0.67H), 7.67 (tt, J = 7.6, 1.8 Hz, 0.33H), 7.59 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 7.48 (s, 1H), 7.41 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.30 - 7.27 (m, 0.67H), 7.23 (dd, J = 8.1, 1.1 Hz, 1H), 7.21 - 7.14 (m, 1H), 6.90 - 6.83 (m, 1H), 4.60 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 4.55 (t, J = 5.0 Hz, 1H), 3.12 (ddd, J = 8.3, 5.3, 2.9 Hz, 1H), 2.99 (dd, J = 15.2, 4.9 Hz, 1H), 2.81 (dd, J = 15.1, 8.7 Hz, 1H), 2.66 (dd, J = 9.0, 4.2 Hz, 1H), 1.82 (dd, J = 1 2.5, 9.1 Hz, 1H), 1.78 - 1.60 (m, 3H), 1.51 - 1.42 (m, 2H)
【0268】
b)スモールスケール:ピリジンからの蒸発結晶化
【0269】
約14mgの薬物物質を、3mLのピリジン中で溶解した。溶液を、0.2μmのPTFEシリンジフィルターを用いて、新たな4mLのガラス容器中でろ過した。透明な溶液を含むこのガラス容器を、溶媒が完全に蒸発するまで大気条件において蓋をせずに置いた。
【0270】
c)スモールスケール:ピリジンからの逆溶剤沈殿
【0271】
1mLの逆溶剤を、ピリジンストック溶液(301mgを1mL中に溶解させたもの)からの100μlのアリコートを撹拌することにより添加した。混合物を、室温で、沈殿が生じるまで撹拌した。得られた固体材料の固体/液体分離は、2mLのPEバイアルおよび遠心分離液のデカンテーションを用いて、遠心分離により行った。試料を、室温で、乾燥窒素流を用いて乾燥させた。以下の逆溶剤を沈殿実験のために用いた:水、アセトン、メチルエチルケトン、およびn-ヘプタン。
【0272】
例9:ボロン酸エステルNF8
スモールスケール:1-プロパノールにおけるスラリー
【0273】
75mgより多くの薬物物質を、1mLの1-プロパノール中で懸濁した。懸濁液を、室温で一晩撹拌した。固体/液体分離は、5mLのPEバイアルを用いる遠心分離、および遠心分離液のデカンテーションにより行った。試料を、室温および乾燥窒素流で乾燥させた。
【0274】
例10:形態A1およびNF2の溶解度データ
37℃における熱力学的溶解度データ
【0275】
約10~20mgの1-(4-{[6-アミノ-5-(4-フェノキシ-フェニル)-ピリミジン-4-イルアミノ]-メチル}-4-フルオロ-ピペリジン-1-イル)-プロぺノンを、4mLのガラス容器中に計り入れた。1mLのSGF培養液(疑似胃液、pH1.2)、FaSSIF培養液(絶食状態腸培養液、pH6.5)、またはUSPリン酸バッファー(pH7.4)を添加し、懸濁液を、24時間にわたり450rpmで37℃で振盪した。1時間後、6時間後および24時間後に、バイアルを、未溶解の化合物の存在についてチェックし、pHを測定した。必要である場合、1時間後および6時間後に、pHを調整した。固体液体分離は、1mLのシリンジおよび0.2μmのシリンジフィルターを用いて行った。透明なろ過物を、溶解したAPIの量を測定するために好適な希釈の後で、HPLCにより分析した。
【0276】
熱力学的溶解度決定からの結果を、下にまとめる。
【表14】
【0277】
11:三量体の付加物形態A1の小規模溶解(Mini-Dissolution)データ
約4mgの薬物物質を、12mLのガラス容器中に計り入れた。8mLのSGF培養液(疑似胃液、pH1.2、37℃まで予温されたもの)を添加し、懸濁液を、450rpmで37℃で振盪した。30分後、60分後、および120分後に、1mLの懸濁液を取り除き、0.2μmのシリンジフィルターを通してろ過した。透明なろ過物を、溶解したAPIの量を測定するために好適な希釈の後で、HPLCにより分析した。
【0278】
小規模溶解研究からの結果を、下にまとめる:
【表15】
【0279】
本発明の数多の態様が本明細書に記載されているが、ベーシックな例が変更されることで本発明の化合物および方法を利用する他の態様を提供してもよいことは明らかである。したがって、本発明の範囲が、例として表される特定の態様によるよりはむしろ、添付のクレームによって定義されるべきであることは、解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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図12
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図31
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【国際調査報告】