(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-06
(54)【発明の名称】固相前駆体の最適化された昇華用の多重領域加熱エンクロージャー
(51)【国際特許分類】
F27B 17/00 20060101AFI20240730BHJP
F27D 99/00 20100101ALI20240730BHJP
F27D 11/02 20060101ALI20240730BHJP
F27D 11/06 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
F27B17/00 B
F27D99/00 Z
F27D11/02 Z
F27D11/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505584
(86)(22)【出願日】2022-07-26
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 US2022074140
(87)【国際公開番号】W WO2023010001
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ダブリュ.ピルツ
(72)【発明者】
【氏名】メイスン シーデル
(72)【発明者】
【氏名】ロバート エシュバッチ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイド ハンプトン ベイリー
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ビー.イブリング
(72)【発明者】
【氏名】サイダー ユスラ ファティマ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド エム.ライダー
(72)【発明者】
【氏名】ショーン エス.ケイブル
【テーマコード(参考)】
4K056
4K063
【Fターム(参考)】
4K056AA09
4K056AA12
4K056BB06
4K056BB07
4K056CA18
4K063FA01
4K063FA31
(57)【要約】
固相半導体プロセス材料の最適化された昇華、及び得られる蒸気のその後の送達用の加熱エンクロージャーを提供する。エンクロージャーは、エンクロージャー内に熱を保持するために断熱された中空筐体を有する。エンクロージャーは、上部加熱領域及び下部加熱領域を画定し、筐体内に配置される、独立した温度制御と専用の過熱保護とを有する少なくとも2つの独立した加熱領域を更に有する。下部加熱領域は、固相半導体プロセス材料を貯蔵する容器を受容するように構成される。エンクロージャーは、断熱材で作られ、上部加熱領域と下部加熱領域とを分離し、上部加熱領域と下部加熱領域との間の熱伝達を最小限に抑える、取り外し可能かつ高さ調整可能な仕切り板を更に有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固相半導体プロセス材料の最適化された昇華、及び得られる蒸気のその後の送達用の加熱エンクロージャーであって、
中空筐体内に熱を保持するために断熱され、頂部及び底部を有する中空筐体と、
上部加熱領域及び下部加熱領域を画定し、前記筐体内に配置される、独立した温度制御と専用の過熱保護とを有する少なくとも2つの独立した加熱領域であって、前記下部加熱領域が、前記固相半導体プロセス材料を貯蔵する容器を受容するように構成される、加熱領域と、
断熱材で作られ、前記上部加熱領域と前記下部加熱領域とを分離し、前記上部加熱領域と前記下部加熱領域との間の熱伝達を最小限に抑える、取り外し可能かつ高さ調整可能な仕切り板と、
加熱源と前記容器との間に取り付けられた熱シールドと、
を備える、加熱エンクロージャー。
【請求項2】
前記筐体内に配置されるガイドレールを更に備え、前記ガイドレールに沿って前記仕切り板が前記筐体内に挿入され、前記筐体から取り外される、請求項1に記載の加熱エンクロージャー。
【請求項3】
前記上部加熱領域に熱を供給する第1のヒーターと、前記下部加熱領域に熱を供給する第2のヒーターと、を含む前記加熱源を更に備える、請求項1又は2に記載の加熱エンクロージャー。
【請求項4】
前記第1のヒーターが、前記上部加熱領域において前記筐体に固定され、前記第2のヒーターが、前記下部加熱領域において前記筐体に固定される、請求項3に記載の加熱エンクロージャー。
【請求項5】
前記容器を前記筐体内に保持するように構成された取り付け機構を更に備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の加熱エンクロージャー。
【請求項6】
前記筐体の底部に近接して配置されたスケールチャンバーと、前記スケールチャンバー内に配置された計量スケールとを更に備え、前記計量スケールが、前記容器の重量を支持及び測定し、したがって、前記容器内に残っている前記プロセス材料の量の測定を可能にする、請求項1~5のいずれか一項に記載の加熱エンクロージャー。
【請求項7】
前記オーブンがフットプリントを有し、前記計量スケールが、前記容器が直接置かれる断熱スケールプラットフォームを有し、前記スケールプラットフォームが、前記スケールチャンバーを前記スケールチャンバーの上方に位置する前記上部加熱領域及び前記下部加熱領域から実質的に絶縁するように、前記オーブンのほぼ全体のフットプリントを収容するようにサイズ設定される、請求項6に記載の加熱エンクロージャー。
【請求項8】
前記スケールチャンバーが換気される、請求項6又は7に記載の加熱エンクロージャー。
【請求項9】
複数の昇降レールが前記スケールプラットフォームに取り付けられている、請求項6又は7に記載の加熱エンクロージャー。
【請求項10】
前記下部加熱領域に配置され、換気及び空気循環を容易にする循環ファンを更に備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の加熱エンクロージャー。
【請求項11】
前記上部加熱領域に換気及び新鮮空気を組み合わせて供給する排気入口及び新鮮空気入口を更に備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の加熱エンクロージャー。
【請求項12】
過圧保護を提供する圧力開放フラップバルブを更に備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の加熱エンクロージャー。
【請求項13】
プロセス配管、熱電対、及び他の外部構造を収容するように構成された少なくとも1つのアクセスポートを更に備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の加熱エンクロージャー。
【請求項14】
前記筐体内の開口部に形成された相互接続パススルー内に配置されたプロセス配管を更に備え、前記プロセス配管が、前記ハウジング内に配置された場合の前記容器と外部送達システムとの間で流体連通し、前記容器から前記外部送達システムにプロセス材料を送達する、請求項1~13のいずれか一項に記載の加熱エンクロージャー。
【請求項15】
請求項1に記載の加熱エンクロージャーを含む、化学物質送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年7月30日に出願されたシリアル番号63/227,842を有する米国仮特許出願の利益を主張する。
【0002】
本開示は一般に、化学物質送達システムに関し、より詳細には、固相半導体プロセス材料の昇華、及び得られる蒸気のその後の送達用に最適化された、加熱エンクロージャーを使用する化学物質送達システムに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体の製造に一般的に使用されるような化学物質送達システムは、下流側に位置する装置の圧力及び流動要件を満たすために、加熱プロセス材料を必要とすることが多い。場合によっては、加熱は液体から蒸気への相変化(気化)又は固体から蒸気への相変化(昇華)を支持及び維持するために必要である。プロセス材料がその前の段階に戻る場合、プロセス送達ラインは、必要な送達条件を維持せず、プロセス変動、収量低下、又はプロセス自体への中断さえももたらす。これは、昇華を受けるプロセス材料で作業する場合に特に重要である。水蒸気から固体への相変化は、堆積された材料がプロセスラインを詰まらせる結果となり得る。詰まったラインは、取り除くのが非常に困難であり、時間がかかる場合がある。
【0004】
好ましい気相を維持するために、プロセス材料送達ライン全体に沿った温度及び圧力条件は、注意深く監視され、制御されなければならない。殆どの化学物質送達システムでは、これは抵抗性電気ヒーター又は誘導ヒーターなどの機構を使用することによって、ソース容器の温度を上昇させることを意味することが多い。次いで、供給源容器と下流プロセスツールとを相互接続するプロセスラインは、プロセスライン内の配管及び配管部品に直接取り付けられたヒートトレースを使用して加熱される。
【0005】
ヒートトレース、すなわち電気抵抗電熱線は、典型的には熱を供給する目的のために、各配管及び配管部品の周りに巻き付けられる。電線の上には、熱が周囲環境に放散することを防ぐために、断熱テープの1つ以上の層が典型的には巻き付けられている。配管及び配管部品を修理する必要がある場合は、ヒートトレースを巻き戻して取り外す必要がある。ヒートトレースは、妨害されなければ効果的かつ信頼性があるが、除去すると、電線はしばしば破損し、交換しなければならない。ヒートトレース及びヒートトレース上に設置される断熱層は、最初の製造中に設置すること、修理のために撤去すること、及び修理を行った後に再設置することに多くの労力及び時間を必要とする。製造に必要な気体及び化学物質をツールに供給するシステムを含む、半導体製造に使用される全てのツールの稼働時間を最大化する必要があり、したがって、気体及び化学物質をツールに供給する全てのシステムの稼働時間を増加させる必要がある。加えて、所与の空間内の配管、配管部品、及び化学物質送達キャビネットの数及び大きさの増加によって引き起こされる、送達システムのフットプリントを減らす必要がある。
【0006】
化学気相成長(CVD)は堆積表面(すなわち、シリコンウエハーなどの基板)が、一般に高温で、揮発性化学化合物の蒸気と接触するプロセスである。化合物、又はCVD前駆体は、堆積表面で還元又は解離され、堆積チャンバー内で、予め選択された組成物の接着被膜をもたらす。CVDプロセスで使用するための前駆体は、気体、液体、又は固体の形態で、供給源容器に貯蔵することができる。固体前駆体の使用は、昇華、及びその後の前駆体蒸気の基板への輸送の点で特に困難である。CVDシステムを設計する際の他のより一般的な懸念事項には、システムのダウンタイム及び前駆体を適用するプロセスツール付近で利用可能な限られた空間を最小限に抑えたいという要望が挙げられる。したがって、これらの課題に対処する化学物質送達システムを提供することが望ましい。具体的には、CVDプロセスにおいて固体前駆体を効率的に、効果的に、かつ一貫して送達する一方で、CVDシステムのダウンタイム及びプロセスツール付近で占められる空間の量を最小限に抑える化学送達システムを提供することが望ましい。
【0007】
固相CVD前駆体の使用がますます一般的になるにつれて、高温(150℃を超える)を必要とするプロセスの数も増加している。これらの温度では、適切な温度定格、不十分な加熱電力、又は物理的空間制約がないために、供給源容器及びプロセスラインの両方に対する従来の加熱方法は実行不可能な場合がある。当業者は様々な解決策を提供してきた。
【0008】
米国特許第7,437,060号は、CVD及びイオン注入プロセスで使用するための、気化された液体及び固体源材料の、制御されかつ安定した蒸気流を供給するためのシステムに関する。このシステムは、半導体製造用途に特に有用である。米国特許出願公開第2019/0177840号は、化学物質送達システム、特にCVDプロセス中に前駆体を送達するための化学物質送達システムを対象とする。米国特許第7,204,885号はCVDに関し、特に、CVD前駆体の予熱を含むCVDのための方法、この方法を実施するためのシステム、及びこのような方法によって製造される装置に関する。米国特許出願公開第2019/0368039号は、堆積プロセスを介して基板上に堆積するのに有用な第VI族遷移金属含有膜形成組成物を教示している。米国特許出願公開第2019/0284684号は、後工程(例えば、成膜工程)に固体材料の昇華ガスを供給する昇華ガス供給システム及び昇華ガス供給方法を開示している。
【0009】
米国特許第6,953,047号は、低蒸気圧プロセス化学物質を貯蔵し、半導体製造のためのプロセスツールに送達するための装置を教示している。装置は、(a)プロセス化学物質を貯蔵するためのバルク容器と、(b)プロセス化学物質をプロセスツールに送達するためのプロセス容器と、(c)プロセス化学物質をバルク容器からプロセス容器に送達するための第1のマニホールドと、(d)ある量の溶媒を貯蔵するための溶媒容器と、(e)プロセス化学物質をプロセス容器からプロセスツールに送達するための第2のマニホールドと、を含む。装置を使用するためのプロセスも考えられる。
【0010】
上記で特定された必要性及び課題に対処するための1つの手法は、容器ヒーター及びヒートトレースの代わりに加熱エンクロージャーを使用することである。加熱エンクロージャーは、従来の加熱方法の能力を超えることができる制御された温度で内容物全体を覆うという利点を有する。本開示の場合、固相前駆体からの昇華蒸気の送達のための最適化された性能をもたらす供給源又はプロセス容器オーブンの設計には、幾つかの追加の設計要素が組み込まれている。
【発明の概要】
【0011】
これら及び他の必要性並びに課題を満たすために、並びにその目的を考慮して、本開示は、固相半導体プロセス材料の最適化された昇華、及び得られる蒸気のその後の送達用の加熱エンクロージャーを提供する。エンクロージャーは、エンクロージャー内に熱を保持するために断熱された中空筐体を有する。エンクロージャーは、上部加熱領域及び下部加熱領域を画定し、筐体内に配置される、独立した温度制御と専用の過熱保護とを備える、少なくとも2つの独立した加熱領域を更に有する。下部加熱領域は、固相半導体プロセス材料を貯蔵する容器を受容するように構成される。エンクロージャーはさらに、断熱材で作られ、上部加熱領域と下部加熱領域とを分離し、上部加熱領域と下部加熱領域との間の熱伝達を最小限に抑える、取り外し可能かつ高さ調整可能な仕切り板を有する。
【0012】
本発明の実施形態は、単独で又は互いに組み合わせて使用することができる。前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明の両方は例示的なものであり、本開示を限定するものではないことを理解されたい。
【0013】
本開示は添付の図面に関連して読まれるとき、以下の詳細な説明から最もよく理解される。共通の実施に従って、図面の様々な特徴は、スケールによらないことが強調される。逆に、様々な特徴部の寸法は、明瞭にするために任意に拡大又は縮小されている。図面に含まれるのは、以下の図である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態におけるオーブンの正面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の詳細な説明は、好ましい例示的な実施形態のみを提供し、本発明の範囲、適用性、又は構成を限定することを意図するものではない。むしろ、好ましい例示的な実施形態の以下の詳細な説明は、本発明の好ましい例示的な実施形態を実施するための可能な説明を当業者に提供するであろう。添付の特許請求の範囲に記載されるように、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、要素の機能及び配置に様々な変更を加えることができる。
【0016】
本明細書及び添付の特許請求の範囲の目的のために、用語「所定の」は、所定の特性がある事象に先立って決定され、すなわち、選択され、又は少なくとも知られなければならないように、事前に決定されることを意味する。本明細書及び添付の特許請求の範囲の目的のために、用語「配管」は、流体がシステムの2つ以上の部品間で輸送することができる1つ以上の構造を指す。例えば、配管は、システム全体にわたって様々な圧力で液体及び/又は気体を搬送する導管、ダクト、マニホールド、及びそれらの組み合わせを含むことができる。
【0017】
本明細書及び添付の特許請求の範囲の目的のために、用語「流体流連通」は、液体及び/又は気体が、制御された様式で部品間を輸送することを可能にする、2つ以上の構成要素間の接続性の性質を指す。2つ以上の部品を、それらが互いに流体流連通するように結合することは、フランジ付き導管、ガスケット、及び/又はボルトの使用など、当該技術分野で公知の適当な方法を含むことができる。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「約(about)」、「約(approximately)」、及び「実質的に(substantially)」は、記載された数値又はパラメータの±5%に対応することを意図する(例えば、ゼロ度平面又は平坦に延びる)。「取り付けられた(attached)」及び「取り付けられた(affixed)」という用語は、直接的又は間接的に(介在する部品を介して)、2つの成分が互いに接合され、締結され、又は接続されていることを意味する。
【0019】
用語「a」及び「an」及び「the」並びに本発明を説明する文脈において(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において)使用される同様の参照語は、本明細書において別段の指示がない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈されるべきである。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、及び「含有する(containing)」は特に断りのない限り、制限のない用語(すなわち、「含むが、これに限定されない(including,but not limited to)」を意味する)として解釈される。数値の範囲の引用は、本明細書に別段の指示がない限り、範囲内に入る各別個の値を個々に参照する簡潔な方法として機能することを単に意図し、各別個の値はあたかも本明細書に個々に列挙されているかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は特に指示がない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施することができる。任意の及び全ての例、又は例示的な言葉(例えば、「などの(such as)」)の使用は、本発明をより良く説明することを意図しているに過ぎず、特に請求されない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中の言語は、主張されていないいかなる要素も本発明の実施に不可欠であることを指示していると解釈されてはならない。本明細書及び特許請求の範囲における「含む(comprising)」という用語の使用は、「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」という、より狭い言葉を含む。
【0020】
本発明を実施するための本発明者らに知られている最良の形態を含む実施形態を説明する。これらの実施形態の変形は、以下の説明を読めば当業者には明らかであろう。本発明者らは熟練者が適宜このような変形を適用することを期待しており、本明細書中で具体的に記載される以外の方法で発明を実施することを意図している。したがって、本発明は、適用法によって許容される添付の特許請求の範囲に列挙される主題の全ての変更及び均等物を含む。さらに、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、その全ての可能な変形における記載された構成要素の任意の組み合わせが本発明に包含される。
【0021】
多くの場合、化学物質を、工業施設内に位置する一連の使用場所に分配することが必要である。例えば、半導体製造設備では、フォトレジスト、スラリー、フッ化水素酸、過酸化水素、水酸化アンモニウムなどの液体化学物質は、半導体の製造に使用される様々なツールに分配される。同様に、フッ化水素、三フッ化窒素、及び無水アンモニアなどの気相化学物質もまた、このように分配を必要とし得る。典型的には1つ以上のポンプ、化学容器、又は圧力容器とすることができる供給源ユニットは、ツール群を送達システムに接続するために使用される一連のバルブマニホールドを有する処理送達システムを通る流体の流れを誘導する。場合によっては、特に流体がより低い温度で粘性である場合、及び/又は室温が、流体が所望の送達物質相に(又はそこから)変化する温度又はその付近である場合、システム内で伝導される流体の流れを改善するために、システム内で使用されるパイプ、バルブ、及び容器を加熱することは、必要又は有益である。本開示は、そのような熱を提供する必要性に対処する。
【0022】
ここで図面を参照すると、図面を構成する様々な図を通して同様の参照番号が同様の要素を指しており、
図1は、改良された多重領域加熱エンクロージャー又はオーブン1を示している。オーブン1は、半導体製造において典型的に使用される固相半導体プロセス材料の最適化された昇華、及び得られた固相半導体プロセス材料の蒸気のその後の送達を提供する。特徴の組み合わせは、加熱、冷却、及びプロセス材料送達容量、安全性、及び保守性の領域におけるオーブン1の性能を最大化する。
【0023】
オーブン1は頂部8と、底部9と、それぞれが側壁外壁16及び対応する側壁内壁17によって画定される一対の側壁と、後部内壁18とを有し、これらの全てが組み合わさって中空筐体を画定する。オーブン1は
図1に示すように、ほぼ長方形の形状であるが、一般に立方体、球形、又は卵形、又は不規則な形状を含む他の筐体形状も可能である。可逆式オーブンドア(図示されていない)は外壁16に取り付けられ、(筐体の内部の部品へのアクセスを可能にするために)開くか、又は(それらの部品を保護し、オーブン1内に熱を保持するために)閉じることができる。好ましくは、ドアは自己閉鎖ヒンジと、三重に取り付けられた圧縮ラッチとを有する。
【0024】
頂部8、底部9、側壁、後部内壁18、及びドアの1つ以上は、オーブン1内の熱をより良好に保持するために断熱材であるか、又は断熱材を備える。好ましくは、筐体の本体を形成するこれらの部品は、全て断熱されている。頂部8、底部9、側壁、後部内壁18、及びドアに供給される断熱材は、例えば、厚さ約2インチ(5cm)の市販の家庭用オーブン断熱材であってもよい。オーブン1内の熱をより良好に保持するために、ドア内の断熱材の厚さは、他の場所の断熱材の厚さよりも厚く(例えば、約2.75インチ又は7cm)てもよい。適切な断熱材のより詳細な説明を以下に提供する。
【0025】
オーブン1は、独立した温度制御と専用の過熱保護とを備える、二重の独立した加熱領域を有する。したがって、
図1に示すように、オーブン1は、上部加熱領域10及び下部加熱領域11を有する。「独立」とは、上部加熱領域10が下部加熱領域11内の制御された温度とは別の温度を有するように制御され得ることを意味する(逆もまた同様である)。温度制御は、空間(及びその空間内の集合的に物体)の温度の変化が測定又は検出され、空間への又は空間からの熱エネルギーの通過が所望の温度を達成するように調整されるプロセスである。温度制御器は、温度センサーから入力を受け取り、ヒーター又はファンなどの制御部品に接続された出力を有する。温度制御器は、実際の温度を所望の制御温度又は設定値と比較し、制御部品に出力を提供する。
【0026】
電源電圧における過熱保護とは、上部加熱領域10又は下部加熱領域11の内部温度が所定値を超えた場合に、電源電圧を遮断する保護システムである。回路を使用して、望ましくない高温でシャットダウンプロセスを開始するトリガ信号を監視及び生成する。部品の故障、過負荷、供給の過電圧、冷却システムの故障、換気の遮断、又は部品に負荷をかける他の要因などの様々な要因により、高温が発生することがある。
【0027】
上部加熱領域10及び下部加熱領域11は、取り外し可能かつ調整可能な仕切り板20によって分離又は分割される。仕切り板20は、上部加熱領域10及び下部加熱領域11の両方の内部の高温に耐えることができる耐久性のある材料で作られた、実質的に平坦で滑らかで比較的薄い部品である。仕切り板20はオーブン1内にぴったりと嵌合し、側壁内壁17、後部内壁18、及びドアの間に接触し、延在するように寸法決めされる。したがって、長方形状のオーブン1の場合、仕切り板20は長方形である。
【0028】
仕切り板20は、ガイドレール21に沿ってオーブン1に挿入され、そこから取り外されることができる。典型的には、一対のガイドレール21は、側壁内壁17のそれぞれに1つずつ供給される。しかしながら、別の対のガイドレール21を後部内壁18に供給することもできる。異なる組のガイドレール21をオーブン1内の異なる高さに供給することができ、その結果、利用者は仕切り板20を挿入するときに選択肢を有し、仕切り板20の高さを調整することができる。典型的には、ガイドレール21は壁に取り付けられる。あるいは、ガイドレール21の単一のセットは、トラックに沿ってオーブン1内で上下にスライドすることができ、ロック機構によって所望の高さで固定することができる。
【0029】
オーブン1内の仕切り板20の高さを調整する能力は、機能的利点を達成する。このような調整能力は、例えば、上部加熱領域10及び下部加熱領域11内の空間を画定することに役立つ。また、オーブン1内に配置されたシリンダーの高さの差を考慮することも有用である。したがって、仕切り板20は、容器がオーブン1内に設置されるか、又はオーブン1から取り外されるときに、容器(典型的には、前駆体材料を貯蔵する円筒形タンク)の完全な移動を可能にするように調整することができる。オーブン1内の所定の位置に調整されると、仕切り板20はまた、容器がオーブン1内の所定の位置にある間、容器に追加の補強を提供するように機能する。
【0030】
もちろん、ただ1つの仕切り板20ではなく、複数の仕切り板20を備えることも可能である。複数の仕切り板20は、オーブン1を2つ以上の加熱領域に分割することができる。特定の用途の必要性を最良に満たすために必要な仕切り板20の数を予め決定することは、当業者の知識の範囲内であろう。オーブン1内の複数(2つ以上)の独立した加熱領域の使用は、オーブン1のウォームアップ性能を最大にし、プロセス容器に設置されたバルブの損傷を防止し、通常動作中に温度差を維持し、プロセスラインが再堆積されたプロセス材料で詰まる危険性を低減するように機能する。
【0031】
上部加熱領域10及び下部加熱領域11のそれぞれには、別々のヒーターを使用することによって熱が独立して供給される。したがって、上部加熱領域10を加熱するためにヒーター12が設けられ、下部加熱領域11を加熱するために別個のヒーター14が設けられる。ヒーター12及びヒーター14は、用途に応じて、同一又は異なる加熱装置であってもよい。一般に、ヒーター12及びヒーター14は、空間(すなわち、上部加熱領域10及び下部加熱領域11)の温度を上昇させるように機能する、熱を生成及び放射する任意の装置であり得る。独立したゾーンを有する単一のヒーターを含む、幾つかの加熱方法のいずれか1つを利用することができる。
【0032】
図1に示されるように、ヒーター12は単一の単体構成部分を備えてもよく、ヒーター14は2つ以上の構成部分(2つの構成部分が示されている)を備えてもよい。ヒーター12及びヒーター14を構成する構成部分の数は、異なる用途のための上部加熱領域10及び下部加熱領域11の加熱ニーズに対応するように選択することができる。
【0033】
その構成部分の数にかかわらず、ヒーター12は、上部加熱領域10内でオーブン1に取り付けられる。従来の取り付け機構が適している。例示的な取り付け機構は、側壁内壁17及び後部内壁18の1つ以上に恒久的に取り付けられる取り付けブラケット13である。同様に、ヒーター14は、1つ以上の取り付けブラケット15を使用して、下部加熱領域11内でオーブン1に取り付けられる。
【0034】
ヒーター14の一部は、ステンレス鋼などの200℃を超える温度に耐えることができる、耐久性のある熱伝導性材料から構成される熱シールド27によって覆われてもよい。熱シールド27の位置決めは、供給源又はプロセス容器(図示されていない)へのヒーター14の熱衝撃を非局在化するのに役立つ。ヒーター14の一部を熱シールド27によって覆われないようにすることによって、覆われていないヒーター14の前の供給源又はプロセス容器の表面の温度を、20℃以上選択的に上昇させることができる。
【0035】
供給源又はプロセス容器(図示されていない)はオーブン1内に、典型的には容器の重量、及び配管などの他の部品の位置を考慮して、下部加熱領域11内に配置される。容器が損傷しているか、又は空であり、交換又は再充填する必要がある場合、又は異なる材料を保管する容器が望まれる場合、ドアを開けて容器にアクセスし、容器をオーブン1から取り出す。同じ又は異なる容器を、場合によっては、オーブン1に再挿入又は挿入し、その後、ドアを閉じることができる。
【0036】
容器は、当業者に知られている幾つかの取り付け機構のいずれかを使用して、オーブン1内に保持される。適切な取り付け機構は、容器取り付けブラケット25とタイダウンチェーン26との組み合わせである。タイダウンチェーン26は、オーブン1内に容器を留める又は固定し、使用中の容器の移動又は他の移動を防止することができるロープ、ケーブル、又はストラップとすることができる。任意選択的に、バインダーを設けて、タイダウンチェーンから緩みを抜くことによってダイダウンチェーン26を締め付けることができる。
【0037】
容器は、オーブン1の底部9に近接するか、又はその近くのスケールチャンバー40内に配置された計量スケール30上に置かれる。スケール30は、容器の重量又は質量を支持及び測定し、したがって、容器内に残っている製品の量の測定を可能にする。スケール30は、その上に容器が直接置かれる断熱スケールプラットフォーム31を有する。スケールプラットフォーム31は、好ましくはスケール30の一体部分である。(「一体」とは、それ自体が追加の部品なしに完成する、すなわち、部品が別の部品とのユニットとして形成された1つのモノリシック部品で単一部品又は単一の一体部品を意味する。)スケールプラットフォーム31は、オーブン1のフットプリントのほぼ全体を収容するように断熱され、サイズ設定されるので、スケールプラットフォーム31はスケールチャンバー40を、スケールチャンバー40の上方に位置する加熱領域10、11から実質的に断熱する。これにより、スケール30が熱保護される。
【0038】
スケールチャンバー40は、オーブン1の底部にアンテチャンバー又はサンプを形成する。スケールチャンバー40は、人員の保護及びスケール30を冷却するために換気される。換気は、任意の適切な機構によって達成することができる。
図1に示されるように、スケールチャンバー40は、スケールチャンバー40の前方(ドアの下方)に配置された複数の換気入口41(ルーバーであってもよい)と、オーブン1の側壁に配置された1つ以上の換気ポート42とを有する。
図1には、スケールチャンバー40を部分的に形成する後部内壁18の一部に配置された換気ダクトが示されていない。(「部分」とは、全体から切り離された、又は全体と一体化した、あらゆる部分のことである。)スケール30を冷却することに加えて、換気入口41、換気ポート42、及び換気ダクトの1つ以上は漏れ検出を可能にする。(容器及び容器への接続部などの、オーブン1内に配置された部品からの漏れは、オーブン1の底部に堆積され、それによって、漏れを収容するように機能する。)
【0039】
換気及び空気循環は、スケールチャンバー40だけでなく、加熱領域10、11においても重要である。適切な換気及び空気循環は、有害な気相プロセス材料を除去し、有害な気相プロセス材料から人員を保護するのに役立つ。したがって、オーブン1は、オーブン1の底部に位置するスケールチャンバー40内、オーブン1の上部に位置する加熱領域12内、及びスケールチャンバー40と加熱領域12との間に位置する加熱領域11内の換気及び空気循環を容易にする部品を含む。スケールチャンバー40内の換気及び空気循環を容易にする部品は、上述されている。
【0040】
スケールプラットフォーム31は、溶接又はネジなどの取り外し可能なハードウェアを介して、その上面に取り付けられたステンレス鋼などの耐久性材料で構成された複数の昇降レール28を有することができる。昇降レール28は、プロセス又は供給源容器(図示されていない)とスケールプラットフォーム31との間の接触面積を最小限に抑える働きをする。この用途は、プロセス又は供給源容器からスケールプラットフォーム31への熱損失を低減するというプラスの効果を有する。それはまた、循環された空気が下側又はプロセス又は供給源容器に接触することを可能にする。これは、加熱操作中の容器への熱伝達速度を増加させ、冷却操作中の容器からの熱伝達速度を増加させる。
【0041】
換気及び空気循環を容易にする加熱領域11に位置する部品に目を向けると、循環ファン50が備えられる。循環ファン50は入口から空気を引き込み、空気を1つ以上の排出口51に向ける。したがって、循環ファン50は、対流熱伝達を最大にするためにオーブン1の周囲の空気流を循環させる。循環ファン50は、ヒーター取り付けブラケット15を通ってダクトで通され、オーブン1が置かれる床に向かって空気を下方に向けることができる。オーブン1の内部から循環ファン50へのアクセスは、アクセスパネル52によって容易にされる。そのようなアクセスは、循環ファン50のメンテナンスを可能にし、ドアが開いているときに、循環ファン50をオーブン1からオーブン1の前部を通って取り外すことを可能にする。
【0042】
図2において強調されるように、換気及び新鮮な空気は、オーブン1の頂部8を通って上部加熱領域12に供給される。隆起排気入口60は、新鮮空気入口61に近接する(図示のように隣接する)頂部8から上方に延びる。排気入口60はオーブン1の内部(すなわち、上部加熱領域10)へのアクセスを提供する開口部64、及び圧力開放フラップバルブ70の両方を取り囲む。圧力開放フラップバルブ70は、加熱が作動している間の漏れの場合にオーブン1内の圧力の上昇を防止することによって、過圧保護を提供する。
【0043】
単一の排気送風ゲート62が、新鮮空気入口61及び開口部64の両方を選択的かつ同時に覆うように備えられる。したがって、排気送風ゲート62は、(
図1及び
図2に示されるように)排気送風ゲート62が閉じているときに新鮮空気入口61及び開口部64を覆い、排気送風ゲート62がその開く位置にあるときに新鮮空気入口61及び開口部64を覆わないままにする。排気送風ゲート62の窪み部65は、排気送風ゲート62が閉じられているときでさえ、圧力開放フラップバルブ70へのアクセスを可能にする。
【0044】
排気送風ゲートアクチュエータ63は、排気送風ゲート62の選択的な開閉を可能にする。好ましくは、排気送風ゲートアクチュエータ63は、デュアルフィードを有する空気圧式リニアアクチュエータである。併せて、オーブン1の頂部8を通して上部加熱領域12に換気及び新鮮空気を提供する部品により、オーブン1内の排気及び新鮮空気の制御が可能となる。そのような制御により、加熱が効いている間の熱損失の最小化が可能となり、及びアクセス又は保守のためにオーブン1を周囲温度まで冷却するために必要な時間を低減することが可能となる。
【0045】
スケールチャンバー40を部分的に形成する後部内壁18の部分、下部加熱領域11を部分的に形成する後部内壁18の部分、又は上部加熱領域12を部分的に形成する後部内壁18の部分は、全体的に又は部分的に偽壁(false wall)として形成されてもよい。代替の実施形態では、2つ又は3つ全ての部分が偽壁を有することができる。もちろん、側壁の一方又は両方に偽壁を配置することも可能である。
【0046】
偽壁は、新鮮な空気の流れ及び換気を容易にする。例えば、循環ファン50を後部内壁18の偽壁部分の近くに配置することによって、偽壁新鮮空気入口は、冷却時間の助けとなる。偽壁は、視界から領域を遮蔽する効果的な方法である。偽壁の主な目的は、視界から領域を不明瞭にすることであるので、偽壁は耐荷重性である必要はなく、通常の隔壁よりも構成が簡単である。
【0047】
アクセスポートは、オーブン1内の様々な場所に供給することができる。例えば、アクセスポート75は、後部内壁18及び上部加熱領域10に配置することができる。そのようなアクセスポートは、プロセス配管、熱電対、及び他の外部構造を収容し、並びにオーブン内部の異なる領域間の循環を増加させる。アクセスポート、及び可逆式オーブンドアなどの他の部品により、オーブン1がより大きな送達システム内に複数の構成で設置されることが可能となる。アクセスポートの中には相互接続パススルー80がある。
図1に示すように、相互接続パススルー80は、一方の側壁にある第1の開口部と、第1の側壁に対向する第2の側壁にある第2の開口部(好ましくは第1の開口部と同じ高さにある)とによって形成される。典型的には、相互接続パススルー80は、構造的支持のために各側壁の幅のほぼ中心に配置される。
【0048】
多くの場合、複数の製品容器と自動化されたクロスオーバー機能とを備えた供給システムにおいて、複数のオーブン1を組み合わせて使用することが望ましい。一実施形態では、そのようなシステムは、共通のバルブマニホールド加熱エンクロージャー(図示されていない)によって接続された複数のオーブン1を用いて構成される。この構成は、個々の容器加熱エンクロージャーを独立してオンライン及びオフラインにすることを可能にする。枯渇した供給源容器の交換は周囲温度で完了し、一方、他の容器の加熱エンクロージャーは、動作温度に維持され、したがって、プロセス材料の連続供給を提供する。共通のバルブマニホールド加熱エンクロージャーは、温度のいかなる低下も、プロセス材料の望ましくない相変化をもたらす可能性があるため、全体を通して動作温度に留まる。下流側の加熱領域を、前の加熱領域よりもわずかに高く保つことが一般的に行われている。これにより、プロセス材料における望ましくない相変化の可能性が最小限に抑えられる。
【0049】
加熱エンクロージャー間のチャンバー間配管パススルー内に残存するいかなる空隙も、シリコーンゴムなどの圧縮性断熱材で充填される。断熱材は、熱を任意の相互接続配管に向けるだけでなく、上流の加熱エンクロージャーが例えば、供給源容器の切替え中に周囲温度にあるときに、熱障壁としても機能する。
【0050】
上述のように、断熱材の1つ以上の層は、オーブン1で使用される部品の表面積の大部分を覆う。断熱材の1つ以上の層は、機械的締結具で取り付けることができる。いずれの方法においても、1つ以上の断熱層を取り付ける工程は、接着剤を含まなくてもよい。本明細書で使用される場合、断熱材は熱絶縁を意味し、断熱材は所望であれば、熱反射材料を含むこともできる。
【0051】
断熱材の1つ以上の層は、(a)プラスチックカバー及び/又は可撓性断熱材料で作られた断熱ジャケットに取り付けられた断熱板及び/又は断熱材を含むことができ、及び/又は(b)部品上に形成嵌合するように特注生産され、及び/又は断熱材が取り付けられる部品の中心に向かって加熱された空気量を供給するように成形される。任意の実施形態における断熱材の1つ以上の層は、ボルト、スクリュー、クランプ、ケーブルタイ、磁石、接着剤、ジッパー、スナップ、留め金、バンジーコード、鉤ホック、面ファスナー(Velcro(登録商標)など)ストリップなどから選択される締結具を使用して、部品に取り外し可能に取り付けられてもよい。
【0052】
Velcro(登録商標)は、Velcro USA,Inc.of Manchester,New Hampshireによって販売されている、商業的に市販されている最初の布面ファスナーのブランド名である。ファスナーは、George de Mestralによって発明された。米国特許第3,009,235号を参照されたい。面ファスナーは2つの部品、典型的には、固定されるべき対向する表面に取り付けられる(例えば、縫い付けられる、接着される、など)2つの線状布ストリップ又はテープ(交互に丸い点又は正方形)からなる。第1の部品は小さいフック(例えば、フックテープ)を特徴とし、第2の部品は更に小さく「毛の多い」ループ(例えば、ループテープ)を特徴とする。2つの表面を押し合わせると、フックがループに引っ掛かり、2つの部品が一時的に固定又は結合される。2つの面を引っ張ったり剥がしたりすることによって分離されると、Velcro(登録商標)ストリップは特有の「破れる」音を作り出す。
【0053】
断熱材は、断熱板又は発泡体の1つ以上の片を含んでもよい。断熱材は、熱伝導性成分の少なくとも大部分を覆うように切断された、硬質発泡体又は硬質板などの硬質シートであってもよい。また、断熱材は当業者に知られているように、部品の通過を可能にするように切断又は形成される。代替的に、又は追加的に、断熱板又は発泡体は、部品の少なくとも一部を形成嵌めするように形成又は切断されてもよい。断熱材の追加の層は、断熱材の1つ以上の層の上に追加されてもよく、断熱材の最下層の少なくとも一部は、熱伝導性成分の少なくとも一部を覆い、及び/又は接触させる。断熱布、板、又は発泡体は、ポリスチレン発泡体、ウレタン発泡体、ガラス繊維、セラミックウール、セルロース、コルク、シリコーンゴム、パーライト、バーミキュライト、又は当該技術分野で知られている他のものから作製され得る。
【0054】
本発明は、オーブン1及びオーブン1を使用するシステムのより迅速な製造及び修理を提供する。幾つかの締結具、典型的にはナット、ボルト、スクリュー、及び/又は他のものなどの機械的締結具、及び断熱材の1つ以上の層を取り外すことにより、例えば、故障したファン、又は他の故障した部品に容易にアクセスし、修理し、次いで、断熱材の1つ以上の層を1つ以上の締結具を使用して再設置し、もしあるなら必要なパージ工程の後、オーブン1を再使用する準備が整う。
【0055】
オーブン1はまた、システムの一部としてオーブン1を有するシステムから製造するために必要な気体及び化学物質を供給される製造施設内の全てのツールの稼働時間の最大化、及びオーブン1を有するシステムの稼働時間の増加を可能にする。オーブン1はまた、前駆体材料を供給するために必要な空間を最小限に抑え、それによって、同じフットプリント内の他の部品(パイプ、バルブ、マニホールド、供給容器など)の数を増加させることを可能にする。これら及び他の利点は、オーブン1によって提供される。
【国際調査報告】