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特表2024-529622基板にブランケットポリマーコーティングを施す方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-08
(54)【発明の名称】基板にブランケットポリマーコーティングを施す方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240801BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20240801BHJP
   B05D 3/06 20060101ALI20240801BHJP
   B05D 3/02 20060101ALI20240801BHJP
   C04B 41/83 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
H01L21/68 R
B05D7/24 301T
B05D3/06 Z
B05D3/02 Z
C04B41/83 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502619
(86)(22)【出願日】2022-07-18
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 US2022037499
(87)【国際公開番号】W WO2023003821
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】63/223,818
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リウ, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】リウ, ユイシュアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンカトラマン, チャンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ウォルドフリード, カルロ
【テーマコード(参考)】
4D075
5F131
【Fターム(参考)】
4D075AA01
4D075AA82
4D075AA86
4D075AC21
4D075AC54
4D075AC92
4D075AC96
4D075BB24Z
4D075BB42Y
4D075BB42Z
4D075BB92Y
4D075BB93Y
4D075BB93Z
4D075CA22
4D075DA06
4D075DA07
4D075DB13
4D075DB14
4D075DC19
4D075DC22
4D075EA07
4D075EA21
4D075EB33
4D075EB60
5F131AA02
5F131BA11
5F131CA12
5F131CA68
5F131EB12
5F131EB13
5F131EB18
5F131EB22
5F131EB25
5F131EB54
5F131EB56
5F131EB72
5F131EB78
5F131EB79
5F131EB82
5F131EB84
(57)【要約】
硬化ポリマーブランケットコーティングを表面に施す技法が説明されており、具体的には、半導体ウエハを処理するための静電チャックとして有用な、ブランケットコーティングされた硬化ポリマーコーティングを基板の表面に施す技法が説明されている。この硬化ポリマーブランケットコーティングは、静電チャックの表面区域全体に液状散布液のコーティングを施し、次いでブランケットコーティングの表面区域全体にわたってブランケットコーティングのポリマーを硬化させることによって調製される。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブランケットコーティングされたポリマーコーティングを静電チャックの表面に施す方法であって、
前記静電チャックの前記表面に溶液を塗布して、前記表面全体にわたって溶液コーティングを形成することであって、前記溶液が放射線硬化性ポリマーを含む、溶液コーティングを形成することと、
前記溶液コーティングの前記表面全体を放射線に曝露して、放射線硬化ポリマーコーティングを形成することと、
前記放射線硬化ポリマーコーティングを高温に加熱して、前記放射線硬化ポリマーコーティングから溶媒を除去することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記放射線硬化性ポリマーが、放射線硬化性エポキシポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
散布液が、少なくとも75重量パーセントの有機溶媒を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記溶液が、セラミック表面に塗布されるときに、3~9センチポアズの範囲の粘度を有する、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記溶液を前記表面に塗布するときに、前記表面が、摂氏30度未満の温度にある、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
複数の経路によって、前記溶液を前記表面に塗布することを含み、各経路が、端から端までの方向に前記表面にわたって通過し、すべての経路が端から端までの同じ方向に移動する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記溶液を前記表面全体に塗布することと、
前記溶液コーティングの前記表面全体を放射線に曝露して、放射線硬化ポリマーコーティングを形成することと
を含み、
塗布中および硬化中、または前記塗布と前記硬化との間に前記表面を加熱しない、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記放射線硬化ポリマーコーティングを、摂氏150から400度の範囲の温度に、少なくとも45分の時間だけ加熱することを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記溶液コーティングを3から5ミクロンの範囲の厚さで塗布することを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記静電チャックの前記表面が本質的にセラミックからなる、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記静電チャックの前記表面がセラミックからなる、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記表面が、
セラミックの主領域と、
前記主領域から垂直に延在するセラミックの突起と、
前記主領域の外部領域における連続的なセラミックの円周シールと
を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記表面の粗さが、0.01から10ミクロンの範囲(Ra)にある、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記放射線硬化性ポリマーが導電性である、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の方法によって施されるコーティングを含む、静電チャック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の説明は、硬化ポリマーブランケットコーティングを表面に施す技法に関し、詳細には、半導体ウエハを処理するための静電チャックとして有用な、ブランケットコーティングされた硬化ポリマーコーティングを基板の表面に施す技法に関する。
【背景技術】
【0002】
静電チャックは、製造プロセス中に、基板を、通常は半導体ウエハを保持して支持する装置である。このチャックはまた、基板を機械的にクランプすることなく、基板から熱を除去する。
【0003】
静電チャックを使用している間、基板の裏側は、静電気力によって静電チャックの上面に保持される。基板は、静電チャックの一部分である1つまたは複数の電極から、この電極を覆う材料の表面層によって分離されている。クーロンチャックでは、表面層は電気的に絶縁性であり、ジョンソンラーベック静電チャックでは、表面層は弱い導電性である。
【0004】
静電チャックの上面は完全に平坦でもよく、または覆われた電極から基板の裏側をさらに分離する1つまたは複数の突起、突出部、または他の表面特徴を有してもよい。処理中に基板に含まれる熱は、突起との接触熱伝導、またはチャックの上面と基板の底面との間を流れる冷却ガスとのガス熱伝導によって、基板から静電チャックへと伝達されることがある。接触熱伝導は一般に、基板から熱を除去する際にガス熱伝導よりも効率的である。しかし、基板と突起との間での接触量を制御するのは難しい場合がある。
【0005】
超小型電子技術の製造においては、半導体およびメモリデバイスの幾何学的形状が徐々に小さくなり、ウエハ、フラットスクリーンディスプレイ、レチクル、および他の処理済み基板のサイズが徐々に大きくなるにつれて、ウエハ表面の微粒子汚染についての許容度がますます厳しくなり続ける。半導体ウエハは、静電チャックのクランプ面に物理的に接触することになるので、この静電チャックから生じる粒子破片の影響が特に問題となる。静電チャックの上面によって、この静電チャックの上面と基板の下面との間に何らかの微粒子が入り込むことになる場合、入り込んだ微粒子によって基板が変形することがある。たとえば、ウエハの裏側が、平坦な基準面に対して静電気的にクランプされる場合、入り込んだ粒子によってウエハの表側の変形が引き起こされることがあり、したがって、ウエハは平坦な面にならないことになる。平坦な静電チャック上のミクロン規模の粒子(たとえば、10ミクロンの粒子)によって、ウエハの処理中には、チャックによって支持されたウエハの表面がかなりの量だけ変位することがある。
【発明の概要】
【0006】
半導体および超小型電子技術の処理技術、ならびに静電チャック技術の当技術分野では、静電チャック表面を調製するための改良技法が引き続き必要となる。改良された静電チャック表面、たとえば、使用中に生じる微粒子破片の量が相対的に少ない静電チャック表面も継続的に必要となる。
【0007】
この説明で述べているように、硬化ポリマーの層(別名「膜」)を静電チャックの表面に施すための新規で発明性のある方法が明らかになってきた。この表面は完全に平坦であってもよく、またはチャックによって支持されているウエハの下面に接触する主領域や突起など(1つまたは複数の)3次元構造体、もしくはガス封止リングを備えてもよい。硬化ポリマー層は、塗布された散布液のいかなる部分をも選択的に硬化させることなく、また塗布された散布液のいかなる部分をも選択的に除去することなく、表面全体を覆うコーティングとして施され、かつ硬化される、硬化ポリマーブランケットコーティングの形態とすることができる。
【0008】
この硬化ポリマーブランケットコーティングは、静電チャックの表面区域全体に液状散布液のコーティングを施し、次いでブランケットコーティングの表面区域全体にわたってブランケットコーティングのポリマーを硬化させることによって調製される。コーティングは非選択的に硬化され、すなわち、具体的にはコーティングの一部分をマスクすることなく、パターン形成しないように硬化される。液状ポリマー溶液を表面に塗布した後に、かつ最終硬化ステップ(たとえば「ハードベーク」ステップ)の前に、塗布された散布液コーティングの一部分が除去されることはない。塗布された散布液コーティングが最終的に硬化すると、硬化ポリマーコーティング全体が、硬化ポリマーブランケットコーティングとして基板の表面全体にわたって残る。
【0009】
一態様では、本開示は、静電チャックの表面にブランケットコーティングされたポリマーコーティングを施す方法に関する。この方法は、静電チャックの表面に散布液を塗布して、表面全体にわたって散布液コーティングを形成することであって、この散布液が放射線硬化性ポリマーを含む、散布液コーティングを形成することと、散布液コーティングの表面全体を放射線に曝して、放射線硬化ポリマーコーティングを形成することと、放射線硬化ポリマーコーティングを高温に加熱して、この放射線硬化ポリマーコーティングから溶媒を除去することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】説明されている例示的な方法のステップを示す図である。
図1B】説明されている例示的な方法のステップを示す図である。
図2A】基板表面をコーティングするための、例示的な散布経路を示す図である。
図2B】基板表面をコーティングするための、例示的な散布経路を示す図である。
図3】説明されている静電チャックの上面の外観の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
すべての図は、概略的なものであり、原寸に比例してはいない。
【0012】
硬化ポリマーの層(別名「膜」)を、静電チャックの表面に塗布する方法であって、この層が硬化ポリマーブランケットコーティングの形態である方法を以下の通りに説明する。ブランケットコーティングは、静電チャックの表面区域全体に液状ポリマー溶液のコーティングを施し、次いでブランケットコーティングの表面区域全体にわたってブランケットコーティングのポリマーを硬化させることによって調製される。コーティングの区域全体は、非選択的に完全に硬化される、すなわちパターン形成しないように完全に硬化され、具体的には、意図的に、計画的に、コーティングの別の(マスクされていない)区域の硬化を可能にしながら、コーティングのマスクされた区域の硬化を防止するようにして、コーティングのいかなる部分をもマスクすることなく完全に硬化される。液状ポリマー溶液を表面に塗布した後、コーティングのどの部分も除去されず、硬化すると、元のコーティング全体が硬化ポリマーブランケットコーティングとして表面全体にわたって残る。
【0013】
本明細書では、硬化コーティング、硬化ブランケットコーティング、または硬化ポリマーにあるように「硬化」という用語は、コーティングの所期の使用において完全に硬化されたコーティングまたはコーティングのポリマーを指す。ポリマーおよび硬化システムのタイプに応じて、任意の有用な技法によってポリマーを硬化させてもよい。例示的な硬化技法により、ポリマーを放射線に曝露して、放射線誘発メカニズムによってポリマーを硬化させること、ポリマーを高温に曝露して、熱誘発メカニズムによってポリマーを硬化させること、放射線と加熱の組合せのうちの1つまたは複数によってポリマーを硬化させてもよい。ポリマーにとって実現可能な最大限まで硬化されたか、もしくはほぼそうした状態の硬化ポリマー、または静電チャックの層の役割を果たすような、意図した用途向けに完全に硬化されている硬化ポリマーはまた、「完全硬化」と呼ばれることがある。
【0014】
部分的にしか硬化されていないポリマーは、「部分硬化」と呼ばれることがある。放射線に曝露されることによって部分的または完全に硬化されたポリマーは、「放射線硬化」と呼ぶことができる。
【0015】
(たとえば、コーティングが塗布されるときのコーティングの溶媒の量に対して10%または5%未満の溶媒レベルまで)コーティングから溶媒を除去するように加熱ステップに曝されたポリマーコーティングは、「乾燥」と呼ばれることがある。
【0016】
突起やシーリングリングなどの3次元構造体を構築するために、静電チャックの表面にはポリマー材料が使用されてきた。ポリマー構造体は、フォトパターニングポリマーを塗布し、これを選択的に硬化および除去する方法によって調製されて、表面の主領域全体にわたる各位置に所望の3次元構造体を生成する。たとえば、米国特許第9,721,821号を参照されたい。3次元構造体を形成するプロセスは、ポリマー層を表面に塗布し、このポリマー層の一部分を選択的に硬化させ、ポリマー層の一部分を選択的に除去することを含んでもよい。
【0017】
この説明によれば、静電チャックの表面に形成される硬化ポリマーコーティングは、半導体ウエハの処理中に、このウエハを支持するためのポリマー層として有用である。コーティングの硬化した(すなわち完全に硬化した)ポリマーは、静電チャックの上面でウエハを支持するのに有用な機械的特性を有し、ならびにウエハの底面とチャックの上面との間での有用な熱伝導を実現する。硬化ポリマーはまた、チャックの上面でのブランケットコーティングされたポリマー膜として有効であり、このポリマー膜は、チャック表面から破片の粒子が除去されるのを防止し、または、どちらの表面からも破片を発生させる場合があるチャック表面とウエハの下端側との間の接触を防止する。
【0018】
静電チャックの「上面」(あるいは「支持面」)という用語は、静電チャックの使用中に、ウエハを処理するために半導体ウエハを支持する、静電チャックの上面(頂面)を指す。
【0019】
説明されているように、ポリマーによってコーティングされている静電チャックの表面は実質的に平坦な面であり、たとえば、表面の区域全体にわたって完全に平坦であってもよい平面であり、または表面の大部分にわたって延在する主要な連続する平坦な面(「主領域」と呼ばれることがある)を含んでもよい平面であり、この平面から数多くの構造体が垂直に延在する。
【0020】
この表面は、実質的に連続的であって途切れることがなくてもよく、または表面を通って垂直に延在する開口部を備えてもよい。開口部の一例は、チャックの上面の下方の位置から、チャックを通って、支持されたウエハの底面までのアクセスを可能にすることであってもよく、たとえば、リフトピンなどの機械装置がウエハの下面に接触できるようにすることであってもよい。開口部の別の例は、冷却ガスを供給するために、または静電チャックの上面と、この静電チャックによって支持されているウエハの下面との間の空間における圧力に影響を及ぼすために、基板の下方にガスを流すためのものであってもよい。
【0021】
主領域上に配置され、垂直に延在する構造体のタイプの一例は、ウエハの底面に接触していて、このウエハを表面の主領域の上方に支持し、またウエハの底面と静電チャックの主領域との間に空間を作るために、静電チャックの表面上での間隔を空けた位置に分散されることが多いタイプの、複数の小さい寸法の円形(円柱形)の「突起」であってもよい。このタイプの突起は、2次元において水平に間隔を空け、静電チャックの上面にわたって任意の有用なパターンで分散させることができ、任意の有用な数で存在していてもよい。静電チャックの上方から見ると、この突起は円形であることが多いが、必ずしもそうではない。この突起は、静電チャックの表面の主領域の上方でウエハを支持するのに有効な寸法(面積および高さ)を有することができる。例示的な突起は、その高さが、約3ミクロン~約12ミクロンの範囲など、最大で50ミクロンまたは100ミクロンであってもよく、約500ミクロン~1100ミクロンの範囲の直径を有する円形であってもよい。
【0022】
表面構造体の異なる例は、主領域の上方で垂直に、また主領域の表面上方で直線または曲線の長さに沿って、たとえば円環のように延在する構造体であってもよい。静電チャックの表面のリング構造体の一例は、基板の周囲に配置されたリングであってもよい。リング構造体の別の例は、基板または基板の上層を垂直に通過する開口部を囲繞するリングシールである。シールリングの構造は、その高さが主領域から約3ミクロン~約12ミクロンの範囲にあることなど、任意の有用な寸法を有してもよい。シールリングの長さは、基板外周部の周囲の長さに等しくてもよく、または基板での垂直開口部の周囲よりわずかに長くてもよい。シールリングの幅は、100ミクロン~1000ミクロンの範囲の幅など、任意の有用な幅であってもよい。
【0023】
説明されたこれらのタイプの構造体に加えて、説明されているような硬化ポリマーによってコーティングされた表面はまた、たとえば導電層または電荷消散層といった他の機能層を備えてもよく、これらは、主領域の各部分または突起の上面に配置されてもよい。
【0024】
コーティングされ、任意の突起、導電層、電荷消散層などを含む静電チャックの表面は、静電チャックの多層上部の材料として使用されることで知られている様々な異なるタイプの材料のいずれかから作製することができる。主領域および任意の突起はすべて、単一のタイプの材料から作製されてもよく、すなわち、これらの構造体はすべて、セラミックなど単一の材料から作製されてもよい。あるいは、主領域は、1つまたは複数のタイプの材料から作製されてもよく、突起は、この主領域と比較して同じまたは異なる材料から作製されてもよい。例示的な材料には一般に、とりわけ、セラミック、金属(たとえば、導電性金属)、ポリマー、炭化ケイ素、ダイヤモンドライクカーボンが含まれる。
【0025】
説明されているようにポリマーが塗布される前での表面は、視覚的には平坦で、垂直に延在する任意選択の構造を有するが、マイクロメートルまたはナノメートルのスケールでの測定可能な粗さを依然として有することになる。主領域の各区域においてだけでなく、表面の2次元区域は、突起など垂直に延在する構造体の上面を含む、測定可能な粗さを有することになる。表面の各区域のいずれの粗さも、プロフィルメータを使用することなど、知られている技法および機器によって測定することができる。静電チャックの表面の例示的な粗さ測定値は、説明されているようにポリマーによってコーティングされる前では、0.01~10ミクロンの範囲(Ra)となることがある。
【0026】
表面に塗布されるポリマーは、(たとえば、散布またはローラを用いた塗布によって)静電チャックの構造化表面上または非構造化表面上に膜として塗布され、次いで硬化させることのできる液状散布液を形成するように調製することができる、任意の硬化性ポリマーであってもよい。非限定的な例には、半導体、および静電チャックを含む超小型電子技術装置を製造する分野で知られている、光硬化性のまたは光パターン形成可能なポリマー材料と呼ばれることもあるポリマー組成物が含まれる。これらには一般に、エポキシベース、ポリイミドベース、およびヘンゾシクロブテンベースの光パターン形成可能なポリマー組成物が含まれる。たとえば、米国特許第9,721,821号を参照されたい。
【0027】
ポリマーは硬化性であり、液膜として表面に塗布され、次いで化学的な硬化メカニズムによって硬化される(また、これによって固化される)。化学的な硬化メカニズムは、放射線、熱、または放射線と熱の組合せによって、たとえば、(i)熱エネルギー、(ii)紫外/可視(UV-VIS)放射エネルギー、(iii)IR放射エネルギー、(iv)UV、DUV、EUV、またはX線の放射エネルギー、(v)マイクロ波放射エネルギー、(vi)電子フラッド露光、(vi)ガンマ線露光、またはこれらの組合せのうちの1つまたは複数によって活性化されるメカニズムであってもよい。
【0028】
重合状態でのポリマーは、硬化および乾燥して、散布コーティングのステップで使用された溶媒を除去した後、所望の熱伝導性、所望の柔軟性(たとえば、弾性率)、硬度、引張り強度などを含む有用な機械的特徴を有してもよい。
【0029】
ポリマーをコーティングし、硬化させ、乾燥させて、硬化したポリマーコーティングの相対的に均一な厚さが6ミクロンを下回る範囲、たとえば3~5ミクロンの範囲になるようにしてもよい。
【0030】
ポリマーを表面に塗布するために、ポリマーを、溶媒内に溶解したポリマーを含む液状散布液に形成することができる。この散布液は、標準的な散布装置またはローラアプリケータによって表面に散布することができ、表面の材料に塗布されると膜形成特徴を有し、このことは、表面に塗布されると散布液が表面を濡らし、表面全体にわたって実質的に均一で連続的な途切れることがない膜(別名「コーティング」または「層」)を形成することを意味する。散布液は、ブランケットコーティングとして塗布され、続いて、ブランケットコーティングの区域全体にわたって硬化および乾燥され、硬化したブランケットポリマーコーティングとして静電チャックの表面全体にわたって適位置に残る。
【0031】
現在説明しているコーティングに関連して、「ブランケットコーティングされた」コーティング、すなわち「ブランケットコーティング」は、連続的で途切れることのないコーティングまたは膜として、表面全体にわたって延在するコーティングである。静電チャックの表面全体にわたってブランケットコーティングとして塗布される散布コーティングは、ブランケットコーティング全体を硬化させる硬化ステップによって、硬化および固化して、「硬化ブランケットポリマーコーティング」(または、略して「硬化ブランケットコーティング」)を形成することができる。塗布済みの散布コーティングされたブランケットコーティングは、その表面全体にわたって非選択的に硬化(完全硬化)され、硬化していないかまたは部分的に硬化したままの部分はなく、塗布された後に除去される部分もない。その結果得られる、硬化されたブランケットコーティングは、静電チャックの表面全体を覆う、連続的で途切れることのない硬化ブランケットコーティング(膜)である。
【0032】
表面の全域にわたって「連続的」である、塗布および硬化されたブランケットコーティングは、散布液コーティングの一部分をその表面上で意図的に硬化されていない状態にし、他の部分が硬化され、硬化されていない部分が除去される方法のステップに起因して、意図的に開かれたいかなる開放区域をも含まない。好ましいことではないが、ブランケットコーティングは、ピンホールまたは他のコーティングの不完全性などコーティングの欠陥に起因して、または、たとえば、突起、リングシールなどの垂直の「側壁」部分など、3次元構造体の一部分である垂直表面の被覆度不足に起因して、非常に少量の開放表面区域を含むことがある。この点において、あらゆる垂直面を含む、静電チャックの表面全体にわたって、散布液の連続的で途切れることがなく均一な層を配置するように設計され、意図された散布コーティング方法によって、ブランケットコーティングが施され、マスクなどを使用することによって、散布液コーティングのいかなる重要な部分も硬化するのを意図的に防止されることなく、散布液コーティング全体が硬化されるように意図されている。散布液が表面に塗布された後、ブランケットコーティングのいかなる部分も表面から意図的に除去されることはない。静電チャックの最初の(以前に露出していた)上面の任意の部分が散布液、または散布液から得られる硬化ポリマーの層でコーティングされていない限りにおいては、コーティングされていないこの部分は、表面に配置された突起など垂直に延在する構造体の垂直面に散布液が接触しなかったことなど、コーティングの欠陥の結果として生じることがある。
【0033】
比較すると、フォトパターニングステップを含むステップによって調製される硬化ポリマーコーティングは、ブランケットコーティングではない。フォトパターニングステップは、「フォトリソグラフィ」と呼ばれることもあり、基板表面に配置された光硬化性ポリマー層の一部分を選択的に硬化させ、この選択的な硬化ステップに続いて、選択的に硬化された層の硬化されていない部分を除去するための既知の技法である。この選択的な硬化ステップは、放射線に曝されることを意図されていない層の一部をマスクし、このマスクでの開口部を通して、マスクされていない部分に放射線を印加することにより、層の一部分のみに選択的に放射線を印加することによって実行される。マスクされている部分またはマスクされていない部分を硬化させてもよく、続いて、硬化されていない部分を(「現像」ステップにおいて)除去して、最初の層の所望の部分を残すことができる。
【0034】
図1Aおよび図1Bを参照すると、図1Aには、方法の各ステップが概略的に示してあり、図1Bには、図示された基板38に適用される各ステップが示してある。方法10によれば、第1のステップ22において、散布ノズル36から液状散布液12を散布することによって、この散布液が基板38の表面に塗布されて、散布液コーティング42を形成し、このコーティングが、好ましくはあらゆる垂直側壁を含む基板の表面全体にわたって均一に施される。図に示すように、基板38は、下層40および上層44を備え、これらは、セラミックなど任意の材料であってもよい。上層44は、任意選択の突起46を備え、この突起も、セラミックなど任意の材料から作製されてもよい。各突起46の間には、オープンフィールド50の区域が存在する。任意選択ではあるが、図に示されていないように、基板38は、導電層、電荷制御層、1つまたは複数のシールリングなど、他の特徴を備えてもよい。
【0035】
具体的な実施形態では、突起を備える上層44は、マスキングを伴うビードブラスト方法によって調製されて、オープンフィールド50、突起46、および1つまたは複数の任意選択のシールリング(図示せず)を生成するセラミック層であり、これらすべてが、ビードブラストされたセラミック層から作製される。セラミック表面の粗さは、0.010~10ミクロンの範囲(Ra)であってもよい。
【0036】
散布液の塗布ステップ中、基板38は、任意選択で加熱されてもよいが、加熱されなくてもよく、たとえば、摂氏20~23℃の範囲など周囲温度に保持されてもよい。多量(たとえば、少なくとも75、80、または90重量パーセント)の有機溶媒を含んでもよい、ある特定の散布液については、表面と接触するときに散布液からの有機溶媒の望まれない蒸発を避けるために、周囲温度が好ましいことがある。
【0037】
散布液12は、溶媒中に溶解している硬化性ポリマーを含み、流動特性(たとえば、粘性)および表面張力特性を含む、(周囲温度、たとえば華氏20~23度での)物理的特性を有し、これらの特性により、散布液が基板表面を濡らし、好ましくは、垂直に延在する表面構造体(たとえば、突起)の任意の垂直側壁を含む、あらゆる表面を完全に覆って、基板表面上に薄膜ブランケットコーティングとして均一にコーティングされることを可能にする。実施形態によっては、硬化性ポリマーは導電性であってもよく、したがって電気を通す。実施形態によっては、硬化性導電性ポリマーは、ポリアセチレン(PAC)、ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリピレン、ポリアズレン、ポリナフタレン、ポリピロール(PPY)、ポリカルバゾール、ポリインドール、ポリアゼピン、ポリアニリン(PANI)、ポリアセン、ポリチオフェン(PT)、ポリチオフェンビニレン、ポリ(p-フェニレンスルフィド)(PPS)、ポリ(p-フェニレンビニレン)(PPV)、ポリピリジン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリスチレンスルホン酸塩(PSS)、ポリ(トリアリールアミン)(PTAA)、ポリ(ヒドロキシメチル3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT-OH)のうちの少なくとも1つであってもよく、前述のいずれかの誘導体であってもよく、またはこれらの任意の組合せであってもよい。
【0038】
散布液は、突起などの3次元構造体を備える基板上においても、基板のあらゆる表面にわたって薄膜ブランケットコーティングを効果的に散布液塗布する量の溶媒およびポリマーを含むことができる。散布液が薄くて均一なコーティングになることを可能にするために、この散布液は、比較的高い割合の有機溶媒、たとえば、少なくとも75、80、または90重量パーセントの有機溶媒を、散布液の総重量に基づいた25、20、または10重量パーセントを下回るポリマーの量と組み合わせて含むことができる。
【0039】
使用される溶媒のタイプは任意の溶媒とすることができ、典型的には、説明されているように、ポリマーを溶解し、表面に散布コーティングできる溶液を形成することのできる、揮発性有機(非水)溶媒とすることができる。有用な溶媒の非限定的な例には、ガンマブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、アセトン、ドデカン、シクロペンタノン、および同様の有機溶媒が含まれる。
【0040】
比較的低いパーセントの固体ポリマーおよび比較的高いパーセントの有機溶媒を含む散布液は、好ましくは突起などの3次元構造体の側壁を備える、基板の区域全体にわたって薄くて均一なコーティングを生成することになる粘度を有することができる。有用な粘度は、20センチポアズ未満、10センチポアズ未満、または9センチポアズ未満、たとえば3~9センチポアズの範囲であってもよい。
【0041】
散布液の粘度は、様々な方法で計算することができる。説明されているようなコーティング方法で使用するための散布液を調製するためには、有用な方法は、民生用の硬化性ポリマーフォトレジスト溶液から始め、溶媒を加えてフォトレジスト溶液の粘度を下げることである。希釈溶液の粘度は、民生用溶液の粘度と比較して低下することになる。民生用溶液の粘度は、製品仕様の一部分として知られている。希釈溶液の粘度を計算することができる。この説明および特許請求の範囲では、散布液の粘度は、アレニウス式の導関数を使用して計算することができる。
ここで、
η12は、混合液の固有粘度である。
η1は、たとえば、民生用フォトレジストの製品仕様からの溶液1の粘度である。
η2は、溶液2の粘度である。
Xは、液体1と液体2のモル分率である。
【0042】
この計算を使用して、民生用フォトレジスト製品である第1の溶液(溶液1)と有機溶媒である第2の溶液(溶液)とを組み合わせることによって作製される溶液の室温(たとえば、摂氏20℃)での粘度を推定することができる。
【0043】
任意の有用な条件を使用して、任意の有用な散布コーティング機器によって、散布液を基板表面に塗布することができる。散布コーティングステップの実施形態によっては、散布液を基板表面に散布するパターンは単一方向であってもよい。
【0044】
散布液は、表面全体にわたって相対的に均一な厚さに、たとえば6ミクロン未満の範囲の厚さに、たとえば3~5ミクロンの厚さにコーティングされてもよい。
【0045】
図2Aおよび図2Bには、説明されているような散布液を塗布するための散布パターンの例が示してある。図2Aには、従来のまたは標準的なパターン(「標準ラスタ」)が示してあり、これにより、散布コーティングノズルは、基板の表面全体を覆うように横方向に(図に示すように左から右に)移動しながら、一方向に、次いで反対の方向に(180度反対の方向に)、交互に散布液を塗布する。散布液は、基板上を通過するたびに、第1の方向および第2の(反対の)方向に塗布される。
【0046】
図2Bには代替散布パターンが示してあり、これは、図2Aのパターンと比較して、現在では好ましい場合がある。図2Bには、一方向散布パターン(「一方向ラスタ」)が示してあり、これにより、散布コーティングノズルは、このノズルが基板表面を横切るときに、端から端まで一方向にのみ散布液を塗布する。このノズルは、基板の第1の端部での位置で開始する。ノズルは、基板の第1の端部から基板の第2の反対側端部に向かって、第1の方向に移動しながら、散布液の第1の経路を塗布する(散布中に第1の基板端部から第2の基板端部に向かって移動する様子を示す、実線および矢印を参照されたい)。次いで、ノズルは第1の端部に戻され、すなわち反対の(180度反対の)方向に移動するが(破線を参照)、このノズルはオフにされ、散布液の噴霧は放出されない。ノズルはまた、横方向に(図に示すように、左から右に)徐々に移動し、次いで、基板の第1の端部から基板の第2の端部へと向かう方向に再び移動しながら、第1の経路に隣接する、散布液の後続の経路を塗布する。
【0047】
静電チャックの表面に散布液を散布するステップ中に、ある特定の開口部(たとえば、リフトピン用のサイズの開口部、アースピン用のサイズの開口部)などの特徴物を塞ぐことができる。
【0048】
散布液コーティングステップの後、後続のステップ24においては、散布液のブランケットコーティングを、ある形式の電磁放射14に曝露して、散布液コーティングのポリマーを化学的に硬化(少なくとも部分的に硬化)させ、強化または固化させる、すなわち、放射硬化させる。放射線曝露ステップ24によって、散布液コーティングの表面区域全体が、放射線14に均一に曝露され、表面のどの部分も放射線に選択的に曝露されることはなく、またはフォトパターニング技法において使用されるようにして表面をマスクすることなどによって、放射線に曝露されることが選択的に防止されることもない。
【0049】
任意選択では、散布コーティング22の後で、放射線曝露24の前に、コーティングされた基板を(「ソフトベーク」ステップで)加熱してもよい。しかし、散布コーティングステップ22と放射線曝露24との間の加熱ステップは必要ではなく、ある例示的な方法では除外することができる。
【0050】
放射線曝露24の後、少なくとも部分的に硬化されたポリマーコーティング(「放射線硬化」ポリマーコーティング)は、たとえば、図1Cの破線で示すように、オーブン内で高温に曝される。放射線硬化ポリマーコーティングは、散布液の溶媒(たとえば、最高で50、60、70、75、または80重量パーセント、またはこれを超える溶媒)を含む。「ハードベーク」ステップにおいて、放射線硬化ポリマーコーティングを高温で加熱することによって、溶媒を除去することができる。ハードベークステップ26は、放射線硬化ポリマーコーティングから溶媒を除去するのに、放射線硬化ポリマーのポリマーをさらに硬化させるのに、またはその両方に有効となる場合がある。ハードベーク26は、放射線硬化コーティングから溶媒を除去するのに、放射線硬化コーティングのポリマーをさらに硬化させるのに、またはその両方を実行するのに有効な期間において、放射線硬化ポリマーコーティングを有する基板を高温に曝露することを含むことができる。高温への曝露の時間および温度は、コーティングの厚さ、コーティングの放射線硬化性ポリマーのタイプ、硬化した(完全に硬化した)ポリマーブランケットコーティングの所望の最終特性などの要因に基づいて、選択することができる。有用な温度の例は、摂氏150度~400度の範囲とすることができる。ハードベークのステップの有用な時間の例は、少なくとも45分または60分、たとえば45分~120分とすることができる。
【0051】
ハードベークのステップ後の硬化ポリマーコーティングは、好ましくは、たとえば6ミクロン未満の範囲での厚さ、たとえば3~5ミクロンの厚さで、表面全体にわたって相対的に均一な厚さを有することができる。
【0052】
以下の表には、説明されているように例示的な方法のプロセスの特徴の具体例がいくつか列挙してある。
【0053】
フォトパターニング方法と比較して、図1Aおよび図1Bの方法10は、いかなる「現像」ステップ、または塗布された散布液コーティング(膜)の一部分が硬化しないことを目的とする、もしくは基板表面に配置された後に、この基板表面から除去される他のステップをも含まない。図1Aおよび図1Bの方法10は、塗布された散布液コーティングの一部分のみに放射線を選択的に曝露するステップを含まず、この塗布された散布液コーティングの別の部分が、(たとえば、マスクを使用して)放射線から選択的に遮蔽される。
【0054】
図3には、説明されている例示的な静電チャックの上面の平面図が示してある。一例では、この静電チャックは、たとえば300mm、200mm、または450mmであってもよい直径を有することがある。静電チャックの表面は、ガス注入口417、アースピン開口部(「通路」)418、チャック表面の周囲にあるガスシールリング419、リフトピン開口部(「通路」)420を備え、これらのそれぞれが、その独自のガスシールリング(図3では、リフトピン通路420の周りの外部の円形構造体)、およびチャックの中央の421にある小さいガス注入口(図3では目に見えない注入口)を備える。アースピン開口部418のそれぞれは、任意選択のガスシールリング(図3では、アースピン開口部418の周りの円形リングとして示してある)を備える。詳細図(図3での差込み図422)には、円形の突起414が示してある。ガスシールリング419、ならびにリフトピン開口部420およびアースピン開口部418のガスシールリングは、幅が約0.1インチであってよく、高さは、約3ミクロン~約12ミクロンなど、突起414の高さと等しくてもよく、たとえば、約6ミクロンであってもよいが、他の幅および高さも実現可能である。
【0055】
本明細書に開示される第1の態様は、ブランケットコーティングされたポリマーコーティングを静電チャックの表面に施す方法であって、静電チャックの表面に散布液を塗布して、表面全体にわたって散布液コーティングを形成することであって、この散布液が放射線硬化性ポリマーを含む、散布液コーティングを形成することと、散布液コーティングの表面全体を放射線に曝して、放射線硬化ポリマーコーティングを形成することと、放射線硬化ポリマーコーティングを高温に加熱して、この放射線硬化ポリマーコーティングから溶媒を除去することとを含む、方法を含む。
【0056】
放射線硬化性ポリマーが放射線硬化性エポキシポリマーを含む、第1の態様に記載の第2の態様。
【0057】
散布液が少なくとも75重量パーセントの有機溶媒を含む、第2の態様に記載の第3の態様。
【0058】
散布液が、セラミック表面に塗布されるときに、3~9センチポアズの範囲の粘度を有する、第2の態様または第3の態様に記載の第4の態様。
【0059】
散布液を表面に塗布するときに、表面が摂氏30度未満の温度にある、先行するいずれかの態様に記載の第5の態様。
【0060】
複数の散布経路によって散布液を表面に塗布することを含み、各散布経路が、端から端までの方向に表面にわたって通過し、すべての散布経路が、端から端までの同じ方向に移動する、先行するいずれかの態様に記載の第6の態様。
【0061】
散布液を表面全体に塗布することと、散布液コーティングの表面全体を放射線に曝露して、放射線硬化ポリマーコーティングを形成することとを含み、塗布中および硬化中、または塗布と硬化との間に表面を加熱しない、先行するいずれかの態様に記載の第7の態様。
【0062】
放射線硬化ポリマーコーティングを、摂氏150~400度の範囲の温度に、少なくとも45分の時間だけ加熱することを含む、先行するいずれかの態様に記載の第8の態様。
【0063】
3~5ミクロンの範囲の厚さで散布液コーティングを塗布することを含む、先行するいずれかの態様に記載の第9の態様。
【0064】
静電チャックの表面が本質的にセラミックからなる、先行するいずれかの態様に記載の第10の態様。
【0065】
静電チャックの表面がセラミックからなる、先行するいずれかの態様に記載の第11の態様。
【0066】
表面が、セラミックの主領域と、この主領域から垂直に延在するセラミックの突起と、この主領域の外部領域における連続的なセラミックの円周シールとを備える、先行するいずれかの態様に記載の第12の態様。
【0067】
表面の粗さが、0.01~10ミクロンの範囲(Ra)にある、先行するいずれかの態様に記載の第13の態様。
【0068】
放射線硬化性ポリマーが導電性である、先行するいずれかの態様に記載の第14の態様。
【0069】
第15の態様では、静電チャックが、先行するいずれかの態様の方法によって塗布されるコーティングを含む。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-05-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブランケットコーティングされたポリマーコーティングを静電チャックの表面に施す方法であって、
前記静電チャックの前記表面に溶液を塗布して、前記表面全体にわたって溶液コーティングを形成することであって、前記溶液が放射線硬化性ポリマーを含む、溶液コーティングを形成することと、
前記溶液コーティングの前記表面全体を放射線に曝露して、放射線硬化ポリマーコーティングを形成することと、
前記放射線硬化ポリマーコーティングを高温に加熱して、前記放射線硬化ポリマーコーティングから溶媒を除去することと
を含み、
前記放射線硬化ポリマーコーティングを加熱することが、前記放射線硬化ポリマーコーティングを、摂氏150度から400度の範囲の温度に、少なくとも45分間加熱することを含む、方法。
【請求項2】
複数の経路によって、前記溶液を前記表面に塗布することをさらに含み、各経路が、前記表面の端から端まで通過し、すべての経路が端から端まで同じ方向に移動する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶液を前記表面全体に塗布することと、
前記溶液コーティングの前記表面全体を放射線に曝露して、放射線硬化ポリマーコーティングを形成することと
さらに含み、
塗布中および曝露中、または前記塗布と前記曝露との間に前記表面を加熱しない、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ブランケットコーティングされたポリマーコーティングを静電チャックの表面に施す方法であって、
前記静電チャックの前記表面に溶液を塗布して、前記表面全体にわたって溶液コーティングを形成することであって、前記溶液が放射線硬化性ポリマーを含み、前記溶液を前記表面に塗布することが複数の経路を使用し、各経路が、前記表面の端から端まで通過し、すべての経路が端から端まで同じ方向に移動する、溶液コーティングを形成することと、
前記溶液コーティングの前記表面全体を放射線に曝露して、放射線硬化ポリマーコーティングを形成することと、
前記放射線硬化ポリマーコーティングを温に加熱して、前記放射線硬化ポリマーコーティングから溶媒を除去することと
を含む、方法。
【請求項5】
ブランケットコーティングされたポリマーコーティングを静電チャックの表面に施す方法であって、
前記静電チャックの前記表面に溶液を塗布して、前記表面全体にわたって溶液コーティングを形成することであって、前記溶液が放射線硬化性ポリマーを含む、溶液コーティングを形成することと、
前記溶液コーティングの前記表面全体を放射線に曝露して、放射線硬化ポリマーコーティングを形成することと、
前記放射線硬化ポリマーコーティングを高温に加熱して、前記放射線硬化ポリマーコーティングから溶媒を除去することと
を含み、
前記表面が、
セラミックの主領域、
前記主領域から垂直に延在するセラミックの突起、および
前記主領域の外部領域における連続的なセラミックの円周シールを備える、方法。
【国際調査報告】