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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-08
(54)【発明の名称】ペリクル膜
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/62 20120101AFI20240801BHJP
【FI】
G03F1/62
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507904
(86)(22)【出願日】2022-07-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-29
(86)【国際出願番号】 EP2022071251
(87)【国際公開番号】W WO2023025511
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】21193346.0
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アグリコラ,フランシスカス,テオドルス
(72)【発明者】
【氏名】フェレ リン,ルルド
(72)【発明者】
【氏名】デ グラーフ,デニス
(72)【発明者】
【氏名】アンデ,チャイタニヤ クリシュナ
(72)【発明者】
【氏名】ドンメズ ノヤン,インシ
(72)【発明者】
【氏名】シ,ファイ トン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デル ワード,ティース,ウーター
(72)【発明者】
【氏名】ローリエ,アン-ソフィー
(72)【発明者】
【氏名】バイロン,マキシム
(72)【発明者】
【氏名】ギースバーズ,アドリアヌス,ヨハネス,マリア
【テーマコード(参考)】
2H195
【Fターム(参考)】
2H195BC33
2H195BC38
2H195BC39
(57)【要約】
リソグラフィ装置のためのペリクル膜であって、ペリクル膜は金属シリサイド及び補強網を含む。補強網は、金属シリサイド層間に位置し得る。補強網は不規則であり得る。補強網は20ミクロンまでの最大寸法を伴うウィンドウを含む。補強網は少なくとも5ミクロンの平均サイズを有するウィンドウを含む。
【選択図】 図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置のためのペリクル膜であって、前記ペリクル膜は金属シリサイド及び補強網を含む、ペリクル膜。
【請求項2】
前記補強網は金属シリサイド層間に位置する、請求項1に記載のペリクル膜。
【請求項3】
前記補強網は不規則である、請求項1又は2に記載のペリクル膜。
【請求項4】
前記補強網は20ミクロンまでの最大寸法を伴うウィンドウを含む、請求項1から3のいずれかに記載のペリクル膜。
【請求項5】
前記補強網は少なくとも5ミクロンの平均サイズを有するウィンドウを含む、請求項1から4のいずれかに記載のペリクル膜。
【請求項6】
前記補強網は、ウィンドウを除き、前記ペリクルの10%までのエリアを有する、請求項1から5のいずれかに記載のペリクル膜。
【請求項7】
前記補強網はナノチューブから形成される、請求項1から6のいずれかに記載のペリクル膜。
【請求項8】
前記ナノチューブはカーボンナノチューブである、請求項7に記載のペリクル膜。
【請求項9】
前記ナノチューブはコーティングされる、請求項7又は8に記載のペリクル膜。
【請求項10】
追加層が、前記補強網と少なくとも1つの前記金属シリサイド層との間に提供される、請求項1から9のいずれかに記載のペリクル膜。
【請求項11】
前記少なくとも1つの追加層は金属層である、請求項10に記載のペリクル膜。
【請求項12】
前記金属シリサイドは窒化金属シリサイドである、請求項1から11のいずれかに記載のペリクル膜。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の前記ペリクル膜及びフレームを備えるペリクルアセンブリであって、前記ペリクル膜は前記フレームによって支持されている、ペリクルアセンブリ。
【請求項14】
フレームによって支持されるペリクル膜を備えるペリクルアセンブリであって、前記ペリクル膜は前記フレームの外縁まで完全に延在しない、ペリクルアセンブリ。
【請求項15】
複数の層を備える境界スタックが、前記フレームと前記ペリクル膜との間に提供され、前記境界スタックの少なくとも一部は、前記フレームの外縁まで完全に延在しない、請求項14に記載のペリクルアセンブリ。
【請求項16】
前記ペリクル膜、及び任意選択で、前記境界スタックの少なくとも一部の外縁に、アライメントマークとして使用するための形状が提供される、請求項14又は15に記載のペリクルアセンブリ。
【請求項17】
前記ペリクル膜及び境界スタックは一般に長方形であり、前記形状は、前記ペリクル膜の少なくとも1つのコーナーに、及び、任意選択として前記境界スタックの少なくとも一部に提供される、請求項16に記載のペリクルアセンブリ。
【請求項18】
前記形状は、前記ペリクル膜の各コーナーに、及び、任意選択として前記境界スタックの少なくとも一部に提供される、請求項17に記載のペリクルアセンブリ。
【請求項19】
前記形状は、前記コーナーから延在する2つの突起部を備える、請求項17又は18に記載のペリクルアセンブリ。
【請求項20】
前記2つの突起部は互いに垂直に延在する、請求項19に記載のペリクルアセンブリ。
【請求項21】
前記境界スタックの少なくとも1つの層は、前記フレームの前記外縁まで完全に延在する、請求項14から20のいずれかに記載のペリクルアセンブリ。
【請求項22】
前記境界スタックは、前記ペリクル膜の下方及び前記境界スタックのシリコンベース層の上方に位置する、酸化物層を備える、請求項14から21のいずれかに記載のペリクルアセンブリ。
【請求項23】
前記酸化物層は、前記ペリクル膜及びペリクルフレームの組み合わせと、前記ペリクル膜及びパターニングデバイスの組み合わせとの間の、望ましいコントラスト比に寄与するように選択された厚みを有する、請求項22に記載のペリクルアセンブリ。
【請求項24】
前記酸化物層は、前記ペリクル膜及び前記境界スタックフレームの組み合わせと、前記境界スタックの少なくとも一部が存在しない前記フレームの外側部分との間の、望ましいコントラスト比に寄与するように選択された厚みを有する、請求項15及び22に記載のペリクルアセンブリ。
【請求項25】
請求項1から12のいずれかに記載の前記ペリクル膜を備え、前記ペリクル膜を支持するフレームを更に備える、ペリクルアセンブリであって、前記フレームはベース及び境界スタックを備え、前記境界スタックは、前記ペリクル膜の下方及び前記境界スタックのシリコンベース層の上方に位置する、酸化物層を備える、ペリクルアセンブリ。
【請求項26】
前記酸化物層は、前記ペリクル膜及びペリクルフレームの組み合わせと、前記ペリクル膜及びパターニングデバイスの組み合わせとの間の、望ましいコントラスト比に寄与するように選択された厚みを有する、請求項25に記載のペリクルアセンブリ。
【請求項27】
前記望ましいコントラスト比は0.1以上である、請求項23から26のいずれかに記載のペリクルアセンブリ。
【請求項28】
請求項13から27のいずれかに記載の前記ペリクルを備え、リソグラフィマスクを更に備える、マスクアセンブリであって、前記境界スタック及びペリクル膜は、前記ペリクル膜及び前記リソグラフィマスクの組み合わされた反射率とは異なる、組み合わされた反射率を有する、マスクアセンブリ。
【請求項29】
前記境界スタック及びペリクル膜の前記組み合わされた反射率に対する前記ペリクル膜及びリソグラフィマスクの前記組み合わされた反射率は、0.1以上のコントラスト比を提供する、請求項28に記載のマスクアセンブリ。
【請求項30】
ペリクルアセンブリを作製する方法であって、
a.ベースを提供すること、
b.複数の犠牲層を前記ベース上に提供すること、
c.第1の金属シリサイドを最上の犠牲層上に提供すること、
d.補強網を前記第1の金属シリサイド層上に提供すること、及び、
e.第2の金属シリサイド層を前記補強網上に提供すること、
を含む、方法。
【請求項31】
前記第2の金属シリサイド層が提供される前に、金属層が前記補強網の頂部上に提供される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記補強網は、カーボンナノチューブから形成される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記特許請求されたペリクルアセンブリ、又は特許請求されたペリクル膜、又は請求項1から32のいずれかに従って製造されたペリクルアセンブリのうちの、いずれかを備えるリソグラフィ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2021年8月26日出願の、欧州出願第21193346.0号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明はペリクル膜に関する。本発明は特に、EUVリソグラフィ装置及びEUVリソグラフィツールに関連して使用するが、限定されない。本発明は、ペリクルアセンブリ及びこうしたアセンブリを備えるリソグラフィ装置にも関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に適用するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造に使用可能である。リソグラフィ装置は、例えばパターニングデバイス(例えばマスク)でのパターンを、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)の層に投影することができる。
【0004】
[0004] 基板上にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を使用することができる。この放射の波長は、基板上に形成可能なフィーチャの最小サイズを決定する。4~20nmの範囲内、例えば6.7nm又は13.5nmの波長を有する極端紫外線(EUV)放射を使用するリソグラフィ装置は、例えば193nmの波長を有する放射を使用するリソグラフィ装置よりも小さいフィーチャを基板上に形成するのに使用することができる。
【0005】
[0005] パターンが、パターニングデバイス(例えば、マスク又はレチクル)を使用してリソグラフィ装置内の放射ビームに付与され得る。放射は、基板上に像を形成するために、パターニングデバイスを介して、又はパターニングデバイスに反射して、提供される。パターニングデバイスの表面上の汚染は、基板上での欠陥の製造を生じさせる可能性がある。膜アセンブリはペリクルとも呼ばれ、パターニングデバイスを浮遊粒子及び他の形の汚染から保護するために提供され得る。
【0006】
[0006] ペリクルは、パターニングデバイス以外の光学構成要素を保護するためにも提供され得る。ペリクルは、互いに密封されるリソグラフィ装置の領域間に、リソグラフィ放射のための通路を提供するためにも使用され得る。ペリクルは、スペクトル純度フィルタなどのフィルタとして、又はリソグラフィ装置の動的ガスロックの一部としても、使用され得る。
【0007】
[0007] リソグラフィにおけるペリクルの使用は周知であり確立されている。リソグラフィ装置内のペリクルは、パターニングデバイスから離れて位置し、使用中、リソグラフィ装置の焦点面の外にある、膜(ペリクル膜とも呼ばれる)である。ペリクルがリソグラフィ装置の焦点面の外にある際、ペリクル上に着地する汚染粒子は、リソグラフィ装置内で焦点外れである。したがって、汚染粒子の像は基板上に投影されない。ペリクルが存在しない場合、パターニングデバイス上に着地する汚染粒子が基板上に投影され、投影パターン内に欠陥をもたらす。
【0008】
[0008] マスクアセンブリは、粒子汚染からパターニングデバイス(例えば、マスク)を保護するペリクルを含み得る。ペリクルは、ペリクルアセンブリ又は膜アセンブリを形成する、ペリクルによって支持され得る。ペリクルは、例えば、ペリクル境界領域をフレームに接着又は他の方法で取り付けることによって、フレームに取り付けられ得る。フレームは、永続的に又は取外し可能にパターニングデバイスに取り付けられ得る。フレームは、境界としても既知であり得る。
【0009】
[0009] 従来技術に関連付けられた問題に対処する、ペリクル膜及び/又はペリクルアセンブリを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0010】
[00010] 本発明の第1の態様によれば、リソグラフィ装置のためのペリクル膜が提供され、ペリクル膜は金属シリサイド及び補強網を含む。
【0011】
[00011] 有利なことに、補強網はペリクルを強化すると同時に、ペリクルの透過のごくわずかな減少を生じさせる。有利なことに、ペリクルの外側表面が金属シリサイドであるため、EUV放射などの条件にさらされたとき、ペリクルの表面の挙動は補強膜によって影響を受けない。
【0012】
[00012] 補強網は、金属シリサイド層間に位置し得る。
【0013】
[00013] 有利なことに、ペリクルの外側表面が金属シリサイドであるため、EUV放射などの条件にさらされたとき、ペリクルの表面の挙動は補強網によって影響を受けない。
【0014】
[00014] 補強網は不規則であり得る。
【0015】
[00015] 補強網は20ミクロンまでの最大寸法を伴うウィンドウを含み得る。
【0016】
[00016] 補強網は少なくとも5ミクロンの平均サイズを有するウィンドウを含み得る。
【0017】
[00017] 補強網は、ウィンドウを除き、ペリクルの10%までのエリアを有し得る。
【0018】
[00018] 補強網はナノチューブから形成され得る。
【0019】
[00019] ナノチューブはカーボンナノチューブであり得る。
【0020】
[00020] ナノチューブはコーティングされ得る。
【0021】
[00021] 追加層が、補強網と少なくとも1つの金属シリサイド層との間に提供され得る。
【0022】
[00022] 少なくとも1つの追加層は金属層であり得る。
【0023】
[00023] 金属シリサイドは窒化金属シリサイドであり得る。
【0024】
[00024] 本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様のペリクル膜を備えるペリクルアセンブリ、及びフレームが提供され、ペリクル膜はフレームによって支持されている。
【0025】
[00025] 本発明の第3の態様によれば、フレームによって支持されるペリクル膜を備えるペリクルアセンブリが提供され、ペリクル膜はフレームの外縁まで完全に延在しない。
【0026】
[00026] 有利なことに、本配置は、結像システムが(フレームが提供される側部とは反対のペリクルの側部から)ペリクルアセンブリに注目するとき、向上したコントラストを提供し得る。
【0027】
[00027] 複数のXXXを備える境界スタックが、フレームとペリクル膜との間に提供される。境界スタックの少なくとも一部は、フレームの外縁まで完全に延在しない。
【0028】
[00028] 有利なことに、本配列は、結像システムが(フレームが提供される側部とは反対のペリクルの側部から)ペリクルアセンブリに注目するとき、更に向上したコントラストを提供し得る。
【0029】
[00029] ペリクル膜の外縁は、アライメントマークとして使用するための形状が提供され得る。境界スタックの少なくとも一部の外縁は、アライメントマークとして使用するための形状が提供され得る。
【0030】
[00030] ペリクル膜及び境界スタックは、一般に長方形であり得る。形状は、ペリクル膜の少なくとも1つのコーナーに、及び、任意選択として境界スタックの少なくとも一部に、提供され得る。
【0031】
[00031] 形状は、ペリクル膜の各コーナーに、及び、任意選択として境界スタックの少なくとも一部に、提供され得る。
【0032】
[00032] 形状は、コーナーから延在する2つの突起部を備え得る。
【0033】
[00033] 2つの突起部は互いに垂直に延在し得る。
【0034】
[00034] 境界スタックの少なくとも1つの層は、フレームの外縁まで完全に延在し得る。
【0035】
[00035] 境界スタックは、ペリクル膜の下方及び境界スタックのシリコンベース層の上方に位置する、酸化物層を備え得る。
【0036】
[00036] 酸化物層は、ペリクル膜及びペリクルフレームの組み合わせと、ペリクル膜及びパターニングデバイスの組み合わせとの間の、望ましいコントラスト比に寄与するように選択された厚みを有し得る。
【0037】
[00037] 酸化物層は、ペリクル膜及び境界スタックフレームの組み合わせと、境界スタックの少なくとも一部が存在しないフレームの外側部分との間の、望ましいコントラスト比に寄与するように選択された厚みを有し得る。
【0038】
[00038] 本発明の第4の態様によれば、第1の態様のペリクル膜を備え、ペリクル膜を支持するフレームを更に備える、ペリクルアセンブリが提供され、フレームはベース及び境界スタックを備え、境界スタックは、ペリクル膜の下方及び境界スタックのシリコンベース層の上方に位置する、酸化物層を備える。
【0039】
[00039] 酸化物層は、ペリクル膜及びペリクルフレームの組み合わせと、ペリクル膜及びパターニングデバイスの組み合わせとの間の、望ましいコントラスト比に寄与するように選択された厚みを有し得る。
【0040】
[00040] 望ましいコントラスト比は0.1以上であり得る。
【0041】
[00041] 本発明の第5の態様によれば、先行態様のペリクルを備え、リソグラフィマスクを更に備える、マスクアセンブリが提供され、境界スタック及びペリクル膜は、ペリクル膜及びリソグラフィマスクの組み合わされた反射率とは異なる、組み合わされた反射率を有する。
【0042】
[00042] 境界スタック及びペリクル膜の組み合わされた反射率に対するペリクル膜及びリソグラフィマスクの組み合わされた反射率は、0.1以上のコントラスト比を提供し得る。
【0043】
[00043] 本発明の第6の態様によれば、ペリクルアセンブリを作製する方法が提供され、方法は、ベースを提供すること、複数の犠牲層をベース上に提供すること、第1の金属シリサイドを最上の犠牲層上に提供すること、補強網を第1の金属シリサイド層上に提供すること、及び、第2の金属シリサイド層を補強網上に提供することを含む。
【0044】
[00044] 第2の金属シリサイド層が提供される前に、金属層が補強網の頂部上に提供され得る。
【0045】
[00045] 補強網は、カーボンナノチューブから形成され得る。
【0046】
[00046] 本発明の第7の態様によれば、ペリクル膜、ペリクルアセンブリ、又は先行態様のマスクアセンブリを備える、リソグラフィ装置が提供される。
【0047】
[00047] 態様のいずれかについて説明したフィーチャは、本発明の他の態様のいずれかについて説明したフィーチャと組み合わせられ得る。
【0048】
[00048] 次に、EUVリソグラフィ装置を参照しながら本発明を説明する。しかしながら、本発明はEUVリソグラフィに限定されず、他のタイプのリソグラフィに適切であり得ることを理解されよう。
【0049】
[00049] 本発明の実施形態を、添付の概略図を参照して、単なる例示として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】リソグラフィ装置及び放射源を備える、リソグラフィシステムを示す概略図である。
図2】ペリクルアセンブリを示す概略図である。
図3A】本発明の一実施形態に従った、ペリクルアセンブリを示す概略図である。
図3B】本発明の一実施形態に従った、ペリクルアセンブリを示す概略図である。
図4A】本発明の更なる実施形態に従った、ペリクルアセンブリを示す概略図である。
図4B】本発明の更なる実施形態に従った、ペリクルアセンブリを示す概略図である。
図5A】本発明の更なる実施形態に従った、ペリクルアセンブリを示す概略図である。
図5B】本発明の更なる実施形態に従った、ペリクルアセンブリを示す概略図である。
図6】コントラスト比が、ペリクルアセンブリのフレームの境界スタックの材料厚みの関数としてどのように変化するかを示すグラフである。
図7】本発明の一実施形態に従った、ペリクル膜及びペリクルアセンブリの製造段階を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
[00050] 図1は、放射源SO及びリソグラフィ装置LAを備えたリソグラフィシステムを示している。放射源SOは、EUV放射ビームBを生成し、EUV放射ビームBをリソグラフィ装置LAに供給するように構成される。リソグラフィ装置LAは、照明システムILと、パターニングデバイスMA(例えばマスク)を支持するように構成された支持構造MTと、投影システムPSと、基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTとを備える。
【0052】
[00051] 照明システムILは、EUV放射ビームBがパターニングデバイスMAに入射する前にEUV放射ビームBを調節するように構成される。そのため、照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11を備えることができる。ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11は共に、EUV放射ビームBに所望の断面形状と所望の強度分布とを与える。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11に加えて又はこれらの代わりに、他のミラー又はデバイスを備えることができる。
【0053】
[00052] このように調節された後、EUV放射ビームBはパターニングデバイスMAと相互作用する。この相互作用の結果、パターン付きEUV放射ビームB’が生成される。
【0054】
[00053] ペリクルアセンブリ15は、パターニングデバイスMAを保護するために放射の経路内に示される。ペリクルアセンブリ15は、ペリクル膜19及びペリクル膜19を支持するフレーム17を備える。フレーム17は境界と呼ばれ得る。ペリクル膜19は、実質的に(少量のEUV放射を吸収するが)EUV放射に対して透過的な薄膜を備える。ペリクル膜19は、粒子汚染からパターニングデバイスMAを保護するように作用する。ペリクル膜19は、単にペリクルと呼ばれ得る。ペリクルアセンブリ15は、任意の必須の位置に置かれ得、リソグラフィ装置の任意の要素、例えば、リソグラフィ装置内のミラーの1つ以上を保護するために使用され得ることを理解されよう。
【0055】
[00054] リソグラフィ装置LA内部のクリーンな環境を維持するための努力が行われる間、粒子は依然としてリソグラフィ装置LA内部に存在し得る。ペリクル19がない場合、粒子はパターニングデバイスMA上に堆積し得る。パターニングデバイスMA上の粒子は、放射ビームBに付与されるパターン、したがって、基板Wに転写されるパターンに、悪影響を与え得る。ペリクル19は、粒子がパターニングデバイスMA上に堆積するのを防ぐために、パターニングデバイスMAとリソグラフィ装置LA内の環境との間にバリアを提供する。
【0056】
[00055] 使用中、ペリクル19は、ペリクル19の表面上に入射するいずれの粒子も放射ビームBの焦点面内に無いように十分な、パターニングデバイスMAからの距離に位置決めされる。ペリクル19とパターニングデバイスMAとの間のこの分離は、ペリクル19の表面上の任意の粒子が放射ビームBにパターンを付与する範囲を減少させるように作用する。放射のビームB内であるが、放射のビームBの焦点面内ではない(すなわち、パターニングデバイスMAの表面ではない)位置に、粒子が存在する場合、粒子のいずれの像も基板Wの表面における焦点内に無いことになることを理解されよう。いくつかの実施形態において、ペリクル19とパターニングデバイスMAとの間の分離は、例えば、2mmから3mmの間(例えば、およそ2.5mm)であり得る。いくつかの実施形態において、ペリクル19とパターニングデバイスとの間の分離は調整可能であり得る。
【0057】
[00056] パターン付与されたEUV放射ビームB’の生成後、投影システムPSは、パターン付与されたEUV放射ビームB’を基板W上に投影するように構成される。そのため、投影システムPSは、パターン付与されたEUV放射ビームB’を、基板テーブルWTによって保持される基板W上に投影するように構成された、複数のミラー13、14を備え得る。投影システムPSは、パターン付与されたEUV放射ビームB’に縮小係数を適用し得、したがって、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャよりも小さなフィーチャを伴う像を形成する。例えば、4又は8の縮小係数が適用され得る。投影システムPSは図1内で2つのミラー13、14のみを有するように示されているが、投影システムPSは異なる数のミラー(例えば、6又は8個のミラー)を含み得る。
【0058】
[00057] 基板Wは、以前に形成されたパターンを含み得る。この場合、リソグラフィ装置LAは、パターン付与されたEUV放射ビームB’によって形成された像と、基板W上に以前に形成されたパターンとを位置合わせする。
【0059】
[00058] 相対真空、すなわち大気圧をはるかに下回る圧力の少量のガス(例えば水素)が、放射源SO内、照明システムIL内、及び/又は投影システムPS内に提供され得る。
【0060】
[00059] 図1に示される放射源SOは、例えば、レーザ生成プラズマ(LPP)源と呼ばれ得るタイプである。レーザシステム1は、例えばCOレーザを含み得、例えば燃料放出器3から提供されるスズ(Sn)などの燃料内に、レーザビーム2を介してエネルギーを蓄積するように配置される。下記の説明ではスズに言及しているが、任意の適切な燃料が使用され得る。燃料は、例えば液体の形であり得、例えば金属又は合金であり得る。燃料放出器3は、例えば液滴の形のスズを、プラズマ形成領域4に向かう軌道に沿って誘導するように構成されたノズルを備え得る。レーザビーム2は、プラズマ形成領域4においてスズ上に入射する。レーザエネルギーのスズ内への蓄積は、プラズマ形成領域4においてスズプラズマ7を作成する。EUV放射を含む放射は、プラズマのイオンを伴う電子の脱励起及び再結合の間、プラズマ7から放出される。
【0061】
[00060] プラズマからのEUV放射は、コレクタ5によって収集及び合焦される。コレクタ5は、例えば近法線入射放射コレクタ5(時には、より一般には、法線入射放射コレクタと呼ばれる)を含む。コレクタ5は、EUV放射(例えば、13.5nmなどの望ましい波長を有するEUV放射)を反射するように配置された、多層ミラー構造を有し得る。コレクタ5は、2つの焦点を有する楕円構成を有し得る。焦点のうちの第1の1つはプラズマ形成領域4に有り得、焦点のうちの第2の1つは、下記で考察するように、中間焦点6に有り得る。
【0062】
[00061] レーザシステム1は、放射源SOから空間的に分離し得る。この場合、レーザビーム2は、例えば、適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダ、並びに/あるいは他の光学系を備える、ビームデリバリシステム(図示せず)の支援により、レーザシステム1から放射源SOへと渡され得る。レーザシステム1、放射源SO、及びビームデリバリシステムは、まとめて、放射システムであると見なされ得る。
【0063】
[00062] コレクタ5によって反射される放射は、EUV放射ビームBを形成する。EUV放射ビームBは、プラズマ形成領域4に存在するプラズマの中間焦点6において像を形成するために、中間焦点6において合焦する。中間焦点6における像は、照明システムILのための仮想放射源として作用する。放射源SOは、中間焦点6が放射源SOの閉鎖構造9内の開口8に、又は開口8近くに位置するように配置される。
【0064】
[00063] 図1は放射源SOをレーザ生成プラズマ(LPP)源として示しているが、放電生成プラズマ(DPP)源又は自由電子レーザ(FEL)などの任意の適切な源が、EUV放射を発生させるために使用され得る。
【0065】
[00064] 図2は、ペリクルアセンブリ15及びパターニングデバイスMAの断面及びより詳細な概略図である。パターニングデバイスMAはパターン付与された表面24を有する。ペリクルフレーム17(又は「境界」)は、ペリクル19の外周部分周辺でペリクル19を支持する。ペリクルフレーム17は、ペリクルフレーム17がパターニングデバイスMAに取り外し可能に取り付けできるように(すなわち、ペリクルフレーム17がパターニングデバイスMAに取り付けできるように、及びパターニングデバイスMAから取り外しできるように)構成された、取り付け機構22を含み得る。取り付け機構22は、パターニングデバイスMA上に提供される取り付けフィーチャ(図示せず)と係合するように構成される。取り付けフィーチャは、例えば、パターニングデバイスMAから延在する突出部であり得る。取り付け機構22は、例えば、突出部と係合し、ペリクルフレーム17をパターニングデバイスMAに固定する、ロッキング部材を備え得る。ペリクルフレーム17は、更なるペリクルフレームを介してマスクに取り付けられ得る。複数の取り付け機構及び関連付けられた取り付けフィーチャが提供され得る。取り付け機構は、ペリクルフレーム17周辺に分散され得る(例えば、フレームの一方の側に2つ、及びフレームの反対側に2つ)。関連付けられた取り付けフィーチャは、パターニングデバイスMAの外周周辺に分散され得る。ペリクル膜19を望ましい位置に位置決めするために、任意の他の取り付け機構又は位置決め方法が使用され得ることを理解されたい。
【0066】
[00065] 汚染粒子26が図2内に概略的に示されている。汚染粒子26は、ペリクル19上に入射し、ペリクル19によって保持されている。ペリクル19は、リソグラフィ装置LAによって基板上に結像されないように、汚染粒子をマスクMAのパターン付与された表面24から十分遠くに保持する。本発明の一実施形態に従ったペリクルアセンブリは、(パターニングデバイス上の)マスクパターンを、使用中、実質的に欠陥の無いままで提供できる(マスクパターンがペリクルによる汚染から保護される)ようにし得る。
【0067】
[00066] ペリクルアセンブリ15は、フレーム17を提供するための基板の頂部上にペリクル19を直接堆積させることによって、構築され得る。基板は、例えば、シリコンウェーハ又はSOIウェーハであり得る。ペリクル19を画定するフィルムの堆積後、基板の中央部分を除去し、ペリクル19を支持するためのフレーム17を形成するように外側外周のみを残すために、基板は選択的にバックエッチングされ得る。作製プロセスの一例を、下記で更に考察する。
【0068】
[00067] ペリクル19は、例えば、金属シリサイド又はドープされた金属シリサイドから形成され得る。ドープされた金属シリサイドは、公式M(Si)によって記述され得、この式でMは金属を示し、Siはシリコンを示し、Dはドーパントを示す。下付き文字x、y、及びzは、それぞれ、M、Si、及びDの相対比率を示す。
【0069】
[00068] 金属Mは、金属の範囲のうちの1つであり得る。例えば、金属は、Ce、Pr、Sc、Eu、Nd、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、La、Y、及びBeを含むグループから選択され得る。このグループのうちの好ましい金属は、ジルコニウム、モリブデン、又はベリリウムである。モリブデンが最も好ましい。
【0070】
[00069] ドーパントDは、ドーパントの範囲のうちの1つであり得る。例えばドーパントは、酸素、炭素、ホウ素、又は窒素であり得る。これらの中で、好ましいドーパントは窒素である。
【0071】
[00070] 特に興味深いのは、窒化モリブデンシリサイド(MoSiN)及びモリブデンシリサイド(MoSi)である。モリブデン、シリコン、及び任意選択として窒素の、相対比率は、変化し得る。本発明の実施形態は、任意の金属シリサイド又はドープされた金属シリサイドを含み得る。
【0072】
[00071] 図3A及び図3Bは、本発明の一実施形態に従ったペリクルアセンブリ115を概略的に示す。ペリクルアセンブリ115は、図3Aでは斜視図で、図3Bでは断面図で示されている。ペリクルアセンブリ115は、ペリクル膜119と、ペリクル膜を支持するフレーム117とを備える。フレーム117は境界とも呼ばれ得る。
【0073】
[00072] ペリクル膜119は、2つの金属シリサイド層132、133の間に位置するカーボンナノチューブ130を備える。金属シリサイド層は、例えばMoSiNとすることができる。図3Bを参照すると、金属シリサイドの下方層132は実質的に平坦であるが、金属シリサイドの上方層133は、カーボンナノチューブ130の上を通る場所では隆起を含む。これは、下記で更に考察するように、ペリクル膜119が作製される様式の結果である。
【0074】
[00073] カーボンナノチューブ130は、秩序配置では提供されない。代わりに、無秩序配置(例えば、ランダム配置)で提供される。概略的に示されるように、カーボンナノチューブ130は互いに交差する。これらの交差は、各々がカーボンナノチューブ130によって完全に囲まれたペリクル膜119のエリアを確立する。ペリクル膜119の完全に囲まれたエリア134は、図3Aではラベリングされている。実際には、概略的に示されるものより多くのカーボンナノチューブ130が存在し、したがって、概略的に示されるものより多くの完全に囲まれたエリアが存在する。カーボンナノチューブ130は、ペリクル膜119を強化するように作用する補強網を形成する。カーボンナノチューブ130によって形成される補強網は、ペリクル膜119の完全に囲まれたエリア、すなわち、カーボンナノチューブ130によって完全に囲まれたペリクル膜のエリアの、パッチワークを確立する。
【0075】
[00074] 「交差する」という用語は、1つのカーボンナノチューブが別のカーボンナノチューブを貫通し、通過することを意味するものではない。代わりに、1つのカーボンナノチューブは別のカーボンナノチューブの上を横断し、例えば、それらが交わる地点において、第1のカーボンナノチューブが第2のカーボンナノチューブの頂部上に横たわっている。
【0076】
[00075] ペリクル膜119は、カーボンナノチューブによって完全に囲まれたエリア(例えば、ラベリングエリア134など)からなるため、実質的なペリクルの長さ又は幅に沿ったペリクルの断裂が防止又は抑止される。ペリクル内の欠陥又は何らかの汚染は、ペリクル内に穴を形成させ得る。従来技術のペリクルでは、この穴は、ペリクルのかなりの割合を横切って延在する断裂として伝搬する。断裂の伝搬は、リソグラフィ装置LAの動作中に発生するペリクルの迅速な加速及び減速によって生じ得る。有利なことに、カーボンナノチューブ130は、ペリクル内の穴がカーボンナノチューブを横切って伝搬しないほど十分に強い。これが、ペリクル膜119のかなりの部分を横切って延在する断裂が確立されるのを防止する。完全に囲まれたエリア134を例とすると、穴がそのエリア内に形成された場合、穴は、そのエリアを囲むカーボンナノチューブ130の範囲まで外側に伝搬し得る。しかしながら、穴はそれ以上伝搬しない。それによって穴のサイズは、完全に囲まれたエリア134のサイズに限定される。完全に囲まれたエリアは、完全に閉鎖されたエリア又はウィンドウと呼ばれ得る。
【0077】
[00076] ペリクル膜119の完全に囲まれたエリアのサイズは、ペリクル膜119上に提供されるカーボンナノチューブの密度によって決定される(カーボンナノチューブの密度が高いほど、より小さな完全に囲まれたエリアが提供される)。したがって、小さな閉鎖されたペリクルエリアを提供するためには、ペリクル膜119上に高密度のカーボンナノチューブを提供することが望ましいと考えられ得る。しかしながら、カーボンナノチューブはEUV放射を吸収し、可能な限り多くのEUV放射を透過させることがペリクル膜119にとって望ましいため、ペリクル膜119上に提供されるカーボンナノチューブの量を最小化することも望ましい。
【0078】
[00077] これらの競合する要件を考慮すると、ペリクル膜上に提供されるカーボンナノチューブの量は、カーボンナノチューブがペリクル膜エリアの1%まで(又は10%まで)のエリアを占有するものであり得る。言い換えれば、補強網(開口又はカーボンナノチューブ間のエリアを除く)にとって、ペリクルのエリアの1%まで(又は、10%まで)のエリアを有することが望ましい可能性がある。全エリアの割合としてのカーボンナノチューブの量は、カーボンナノチューブの密度と呼ばれ得る。10%を超える密度でのカーボンナノチューブを有することによって生じる、ペリクルの透過の損失は、リソグラフィ装置のスループットにかなりの影響を与え得る。カーボンナノチューブの密度が10%に近い(例えば、5%から10%の間)とき、カーボンナノチューブがペリクル膜を横切って均一に分散する場合、ペリクル膜は低下したEUV透過のエリアを有し得る。したがって、5%までのカーボンナノチューブの密度が好ましく、1%までのカーボンナノチューブの密度がより好ましい。カーボンナノチューブは1%より大きな密度で提供され得るが、ペリクルの著しい断裂の防止に関して提供される恩恵は相対的に低い。これは、1%密度のカーボンナノチューブと共にペリクル内に形成される穴のサイズが、(下記で説明するように)リソグラフィ装置によって投影されるパターンに対して著しい効果を有さない範囲に限定され得るからである。
【0079】
[00078] カーボンナノチューブ130には、完全に閉鎖されたエリアが20ミクロンまでの最大寸法を有するような補強網を形成する密度が提供され得る。カーボンナノチューブには、閉鎖エリアの最大寸法が20ミクロンより大きい、例えば50ミクロンまで又は100ミクロンまでのような、より低い密度が提供され得る。しかしながら、これによって、穴を50ミクロンまで又は100ミクロンまでの最大寸法で形成できることになる。こうしたより大きな穴のサイズの欠点は、リソグラフィ装置によって露光される基板上に入射するEUV放射の強度において、著しい差を生じさせ得る(ペリクルよりも多くのEUV放射が穴を通過する)ことである。これは、リソグラフィ装置によって基板上に投影されるパターンの精度に影響を与え得る。閉鎖エリアの最大寸法が20ミクロンまで(又は、場合によっては10ミクロンまで)に限定される場合、基板上に入射するEUVの強度の差は、基板上で露光されるパターンに著しく影響を与えるほど十分でない場合がある。有利なことに、これは、ペリクルアセンブリ115が、ペリクル内の穴の存在にかかわらず、通常通りに使用を続行できることを意味する。穴は、補強網によって含められ、リソグラフィ装置の性能に著しい影響を与えないことになる。完全に閉鎖されたエリアは、5ミクロン以下の平均エリアを有し得る。
【0080】
[00079] 補強されたペリクル膜の一実施形態の作製は、下記の通りであり得る。ペリクル作製の初期のステップは、図7に関して下記で更に説明し得る。次いで、金属シリサイドの層が(例えば、スパッタリングを使用して)堆積される。層は薄く、例えば5ナノメートル未満であり得る。層は例えば、およそ2ナノメートル(例えば、2~4ナノメートル)の厚みを有し得る。
【0081】
[00080] 次いで、カーボンナノチューブは、揮発性溶剤内の溶液(例えば、有機溶剤キンキチオフェン末端ポリ(エチレングリコール))として提供される。この溶液は、例えばスピニングによって、金属シリサイド層上に印加される。次いで、溶液を蒸発させてカーボンナノチューブが後に残るように、焼成ステップが実行される。これにより、図3A及び図3Bに概略的に示されるように、カーボンナノチューブの無秩序配置を提供する。
【0082】
[00081] カーボンナノチューブは、単一壁ナノチューブであり得る。カーボンナノチューブは、0.2mから2nmの間の半径を有し得る(これは、単一壁カーボンナノチューブの典型的な厚みである)。カーボンナノチューブは、バンドルするか又はバンドルしないことができる。カーボンナノチューブがバンドルされていない場合、ペリクル膜上におよそ4ナノメートルまでの厚み(互いに交差する2nmの2つのナノチューブ)を有し得る。しかしながら、それらは、これよりも薄い、例えば2ナノメートル以下、更には1nm以下の厚みを有し得る。カーボンナノチューブがバンドルされている場合、5nmまで、更には10nmまでのバンドル厚みを有し得る。これは、ペリクル膜上におよそ20nmまでの厚み(互いに交差する10nmの2つのナノチューブ)を有し得る。
【0083】
[00082] カーボンナノチューブは、例えば100ミクロン以上の長さを有し得る。カーボンナノチューブは、ミリメートル程度の長さを有し得る。
【0084】
[00083] 任意選択として、金属などの材料の層が、カーボンナノチューブの頂部上に堆積され得る。この層は、例えば原子層堆積を使用して形成され得る。
【0085】
[00084] 金属シリサイドの第2の層が、カーボンナノチューブの頂部上(存在する場合は、任意選択の金属層の頂部上)に、例えばスパッタリングを使用して堆積される。金属シリサイドの第2の層は薄くてよく、例えば5ナノメートル以下の厚みを有する。金属シリサイドの第2の層は、例えばおよそ2ナノメートル(例えば、2~4ナノメートル)の厚みを有し得る。
【0086】
[00085] 次いで、ペリクル膜は、任意の余分なカーボンナノチューブが存在すればこれを、及び任意の他の汚染が存在すればこれを除去するために、クリーニングされる。
【0087】
[00086] 次いで、図7に関連して下記で説明する、エッチングプロセスが実行される。
【0088】
[00087] 作製プロセスの間に、各金属シリサイド層の酸化が、およそ1ナノメートル厚みの金属シリサイドを除去することになる。本実施形態では、およそ2ナノメートル(例えば、2~4ナノメートル)の厚みの金属シリサイドが各層に使用されるのは、このためである。酸化は、およそ1nm厚みの酸化エリアを各層に追加することになる。ペリクル膜が形成されたとき、金属シリサイドの2つの層と酸化エリアは、およそ4ナノメートルの組み合わせ厚みを有し得る。カーボンナノチューブは、存在する場合、追加の厚み(例えば、バンドルされていないカーボンナノチューブについて、およそ0.5nmからおよそ4nmまで)を追加することになる。結果として生じるペリクル膜119は、およそわずか5ナノメートル以下の厚み(カーボンナノチューブを含む)を有することになる。ペリクル膜119は、10ナノメートルまでの厚み(カーボンナノチューブを含む)を有し得る。ペリクル膜119は、15ナノメートルまでの厚み(カーボンナノチューブを含む)を有し得る。
【0089】
[00088] カーボンナノチューブの厚みは、全体として、必ずしもペリクル膜の厚みではない。カーボンナノチューブを有さないペリクル膜のエリアが、金属シリサイド層の厚み(金属シリサイドの酸化エリアを含む)によって決定される厚みを有することになる。
【0090】
[00089] 一実施形態において、ペリクル膜119の平均厚みは、5ナノメートル未満であり得る。この状況において、「平均厚み」という用語は、カーボンナノチューブから生じる厚みへの寄与を含む。しかしながら、カーボンナノチューブのエリアが少ない(例えば、ペリクル膜の合計エリアの1%以下)一実施形態では、平均厚みへのカーボンナノチューブの寄与は最小である。これは、95%を超えるEUV透過を提供し得る。有利なことに、ペリクル膜の薄さは、従来のペリクル膜よりも高いEUV透過を提供し、それによって、基板上へのEUV放射の強度をより高くし、その結果として、リソグラフィ装置LAのスループットをより高くすることができる。カーボンナノチューブの密度は、ペリクル膜の透過がカーボンナノチューブによって著しく影響されない程度に低くてよい(例えば、1%以下)。
【0091】
[00090] カーボンナノチューブ130によって形成される補強網は、ペリクル膜119に強度を提供する。ペリクル膜119は、例えば、対応する厚みの従来の金属シリサイドフィルムよりも強い場合がある。カーボンナノチューブによって形成される補強網は、金属シリサイド層の厚みを、カーボンナノチューブが存在しなければ不可能なレベルまで減少させることが可能な、強度を提供する。
【0092】
[00091] カーボンナノチューブは、深紫外線(DUV)放射に対して反射性である。ペリクルによるDUVの反射は、リソグラフィ装置LA内の基板W上に提供されるレジストの望まない露光を生じさせ得るため、望ましくない。カーボンナノチューブの量を、例えばペリクル膜のエリアの1%未満に制限することによって、ペリクルによって反射されるDUVの量も制限される。したがって、ペリクル膜から反射されるDUVによるウェーハの著しい露光が回避され得る。
【0093】
[00092] 本発明の説明した実施形態は、補強網を形成するためにカーボンナノチューブを使用するが、補強網を形成するために他の構造(例えば、ホウ素ナノチューブ)が使用され得る。
【0094】
[00093] 説明した実施形態は、スピンコーティングを使用してカーボンナノチューブを提供するが、カーボンナノチューブを提供するために他の方法が使用され得る。他の方法の例は、ウェット(インクジェット)プリンティング、ドライプリンティング、スプレーコーティング、及びプレスである。
【0095】
[00094] 説明した実施形態において、金属シリサイド層を提供するためにスパッタリングが使用されるが、他の方法(例えば、原子層堆積(ALD))が使用され得る。スパッタリングと比較して、ALDを使用する利点は、プラズマが存在しないことである。プラズマは、カーボンナノチューブを潜在的に損傷させる可能性があり、ALDが使用される場合、この潜在的損傷は回避される。
【0096】
[00095] カーボンナノチューブは、両側が金属シリサイドによってコーティングされるため、ガス放出に関してペリクル膜の挙動は、全体が金属シリサイドで形成されるペリクル膜の場合と同じになる。これは、カーボンナノチューブに向けて行われる特殊な汚染制御方法が不要であることを意味するため、有利である。
【0097】
[00096] 有利なことに、カーボンナノチューブは熱膨張の小さい係数(一般に金属シリサイドより小さい)を有し、したがって、加熱されたときに生じ得るペリクル膜のたるみを減少させ得る。
【0098】
[00097] カーボンナノチューブは、例えばチタン、ジルコニウム、又はタングステン、あるいはそれらの酸化物(他の金属又は合金が使用され得る)でコーティングされ得る。カーボンナノチューブのコーティングは、例えば原子層堆積(ALD)を使用して実行され得る。カーボンナノチューブをコーティングすることで、カーボンナノチューブの放射率を増加させ得、それによって有利なことに、ペリクル膜のより効果的な冷却を可能にする。
【0099】
[00098] 上記で更に述べたように、ペリクルアセンブリがリソグラフィ装置で使用するためにパターニングデバイスMAに取り付けられる。取り付けは、例えば取り付け機構22を介し得る(図2を参照のこと)。ペリクルアセンブリ15をパターニングデバイスMAに取り付けるとき、1つ以上の結像センサ(例えば、カメラ)を使用して、パターニングデバイスに関するペリクルアセンブリの位置を監視し得る。生じ得る問題は、ペリクルフレーム17及びペリクル膜19の組み合わされた反射率が、パターニングデバイスMA及びペリクル膜の組み合わされた反射率に非常に類似し得ることである。結像センサは、結果として、ペリクル膜19に注目したときと同じであるか又はほとんど同じ、ペリクルフレーム17に注目したときの光の強度を見ることができる。言い換えれば、ペリクルフレームとペリクル膜との間の(パターニングデバイスがその下方にある)コントラストは、非常に低い場合がある。これによって、ペリクルフレームを区別することが困難になり得、次いで、ペリクルフレームをパターニングデバイスに正確に取り付けることを可能にするように、ペリクルフレームをパターニングデバイスに関して位置合わせすることが困難になり得る。本発明の実施形態は、この問題に対処する。
【0100】
[00099] この問題に対処する第1の実施形態は、図4に概略的に示されている。図4は、本発明の一実施形態に従った、ペリクルアセンブリ215の概略的断面図である。ペリクルアセンブリ215は、ペリクル膜219及びフレーム217を備える。フレーム217は、ベース240及び層のスタック242を備える。層のスタック242は、境界スタックと呼ばれ得る。フレーム217のベース240は、例えばシリコンから形成され得る。境界スタック242は、例えば、シリコン酸化物層及びシリコンベース層の組み合わせから形成され得る(一例を更に下記で説明する)。上記で更に述べたように、ペリクル膜219、境界スタック242、及びベース240は、ペリクル膜219及びパターニングデバイス(図示せず)の組み合わされた反射率と同様の、組み合わされた反射率を提供し得る。これにより、ペリクルアセンブリをパターニングデバイスと位置合わせする際に困難が生じ得る。図4の実施形態では、境界スタック部分の外側部が(例えば、エッチングを介して)部分的に除去されている。結果として、境界スタック242及びペリクル膜219は、フレーム217の外縁まで完全に延在しない。代わりに、フレーム217の外縁の前に、境界スタック(及びペリクル膜219)の下方にステップが存在する。ペリクルアセンブリ215に注目する結像システムは、境界スタック242の一部がないことに起因して、ペリクルアセンブリ215の外側周辺において異なる反射率を見ることになる。これは、光が、境界スタックの残りの部分(この場合、何らかのシリコン酸化物)及びベース240のみによって反射され、境界スタック242の残りの部分又はペリクル膜219によって反射されないからである。それによって、ペリクルフレーム217の外側部分244及びペリクルフレーム217の内側部分246との間で、著しいコントラストが達成される。このペリクルフレーム217の内側部分246と外側部分244との間のコントラストが、ペリクルアセンブリ215をパターニングデバイスと位置合わせするために使用される結像システムによって、ペリクルフレームをより容易に識別できるようにする。加えて、コントラストにおける差は、ペリクルアセンブリ215をパターニングデバイスから容易に区別できるようにする。これにより、ペリクルアセンブリ215のパターニングデバイスに対する位置合わせをより容易に達成できるようにする。
【0101】
[000100] 図4Bは、本発明の一実施形態に従った、ペリクルアセンブリ215の上方からの図を概略的に示す。図4Aに示された実施形態と同様に、ペリクルアセンブリ215はペリクル膜219及びフレーム217を備える。ペリクルアセンブリ215の1つのコーナーの拡大図も、図4Bに示されている。この拡大図は、ペリクル膜219、ペリクルフレームの内側部分246、及びペリクルフレームの外側部分244を示す。内側部分246は(図4Aに示されるような)全境界スタック242層を含むが、外側部分244には、少なくとも一部の境界スタック層が存在しない。少なくとも一部の境界スタック層は、例えば、ペリクルフレーム217の外側部分244からエッチングによって取り除かれている場合がある。
【0102】
[000101] 全境界スタック242は、単純なコーナーを形成しない。代わりに、全境界スタック242の一部は全境界スタックが交わる地点を越えて延在し、それによってコーナーから延在する2つの突起部248、249を形成する。突起部248、249は互いに直交して延在する。これらの突起部248、249は、有利なことに、ペリクルアセンブリ215をパターニングデバイス(図示せず)と位置合わせするように構成されたアライメントシステムによって、アライメントマークとして使用され得る。アライメントシステムは、結像システム(例えば、カメラ)を含み得、ペリクルアセンブリ215の位置を決定するときに、突起部248、249を探すように構成され得る。ペリクルフレーム217の内側部分246と外側部分244との間の反射率の差は既知であり得、したがって、アライメントシステムによって見られるコントラストも、アライメントシステムによって既知であり得る。これにより、アライメントシステムは、突起部248、249によって形成されるアライメントマークをより容易に識別できるようになる。
【0103】
[000102] 境界スタック242の内側部分246の2つの直交する突起部248、249が、図4Bに示されているが、他の形状も形成され得る。1つ又は複数の形状は、ペリクルフレームの1つ以上のコーナーに形成され得、及び/又は、ペリクルフレーム上のその他の場所に形成され得る。
【0104】
[000103] 境界スタックの内側部分246の突起部又は他の形状は、有利なことに、アライメントシステムがペリクルアセンブリとパターニングデバイスとを位置合わせすることをより容易にする。
【0105】
[000104] 図5は、本発明の更なる実施形態に従ったペリクルアセンブリ315を示す。本実施形態では、境界スタック342はペリクルフレーム317の外縁まで完全に延在する。しかしながら、ペリクル膜319は、ペリクルフレーム317の外縁まで完全に延在しない(ペリクル膜の一部が、例えばエッチングによって除去され得る)。結果として、ペリクル膜319と境界スタック342との間に遷移が存在する。この遷移は、ペリクルアセンブリ315の位置を決定するためにアライメントシステムによって使用され得る反射率の差を提供する。
【0106】
[000105] 図5Bは、上方から見たペリクルアセンブリ315を示す。本実施形態では、境界スタック342はペリクルフレーム317の外縁まで完全に延在するが、ペリクル膜319は完全に延在しない。ペリクル膜のコーナーは、2つの突起部348、349を含む。これらの突起部は、前の実施形態に関して上記で説明した様式と同じ様式で、アライメントマークとして使用され得る。
【0107】
[000106] 図5Bでは、ペリクル膜319の2つの直交する突起部348、349が示されているが、他の形状も形成され得る。1つ又は複数の形状は、ペリクルフレームの1つ以上のコーナーに形成され得、及び/又は、ペリクルフレーム上の他の場所に形成され得る。ペリクル膜319の突起部又は他の形状は、有利なことに、アライメントシステムがペリクルアセンブリとパターニングデバイスとを位置合わせすることをより容易にする。
【0108】
[000107] 一実施形態では、ペリクルアセンブリの境界スタックの厚みは、ペリクル膜、境界スタック、及びベースの組み合わされた反射率が、ペリクル膜とパターニングデバイスとの組み合わされた反射率と著しく異なることを保証するために、選択され得る。図6は、コントラスト比が境界スタックの厚みの関数としてどのように変化するかの一例を示すグラフである。コントラスト比は縦軸上に示され、境界スタック厚みは水平軸上に示される。グラフは、シリコン及びシリコン酸化物を含む境界スタックのための光学モデリングソフトウェアを使用して生成された。暗線は、境界スタックの正確なターゲット厚みにおけるモデリングされた光学反射率を示す。暗線の両側の帯域は、境界スタックの作製中に層厚みの変動が存在する場合に生じることになる、反射率の変動を表す。図6から見られるように、境界スタックの何らかの厚みについて、コントラスト比は低くてよく、ゼロでさえあり得る。他の厚みについて、コントラスト比は高くてよい(例えば、0.2以上)。モデリングソフトウェアは、0.01より上(例えば、0.02より上)のコントラスト比が提供されることを保証するように、境界スタックの厚みを選択するために使用され得る。0.2以上のコントラスト比が取得され得る。0.01以上のコントラスト比は、ペリクルアセンブリをパターニングデバイスから差別できるようにし得る。しかしながら、0.02以上のコントラスト比の誤差の範囲を提供することが好ましい。場合によっては、層厚みの変動が存在し得、これがコントラスト比に影響を与えることになる。そのため、層厚みの変動が存在する場合であっても、コントラストは良好のままであることを保証するために、0.1以上又は0.2以上のコントラスト比が使用され得る。
【0109】
[000108] コントラスト比は、異なる屈折率を伴う材料の選択を介して調整され得る。例えば、境界スタックの犠牲層が、スタックの反射率の観点からの望ましい屈折率を有する材料から形成され得る。別の例では、シリコン及びシリコン酸化物は異なる屈折率を有するため、境界スタックにおけるシリコンとシリコン酸化物との間の比を変更することで、スタックの屈折率が変化することになる。
【0110】
[000109] 本発明の一実施形態に従ったペリクルアセンブリが、物理蒸着(PVD)を使用して形成され得る。
【0111】
[000110] 出願者は、金属シリサイド又はドープされた金属シリサイドペリクル層が所望の品質及び歩留まりで製造され得る、製造プロセスを開発した。製造プロセスを下記で説明する。
【0112】
[000111] 本文書における他の図面と同様に、図面は例示的であることが意図され、したがって一定の縮尺で描画されていないことに留意されたい。これは特に、例えば平面基板に関して、例えばペリクル層の厚みを考慮するときに重要である。これは特に、製造段階を考慮するときにも重要である。主な製造段階が示されているが、これらは、本来は例示的であり、追加のステップ及びプロセスが、図示されたステップの前、間、及び/又は、後に実施され得ることを理解されたい。追加として、いくつかの段階は単一ステップ(例えば、エッチングプロセス)として示され得るが、実際には単一ステップによって示される全体効果を伴ういくつかの順次的な小プロセスとして実行され得る。
【0113】
[000112] 下記及び上記のプロセスは、エッチングを指す。エッチングは、材料の一部を除去するために使用される一般的な製造プロセスである。多層材料において、選択的エッチングは、下にある層が露光されるように外側層の一部を除去することができる。エッチングは、レジスト、例えばフォトレジストを提供すること、及び、レジストをパターニングすることを含み得る。実施形態は、レジストの性質によって特に限定されず、任意の適切なレジストが使用され得る。レジストは、下にある層がエッチングされるのを保護する働きをする。したがって、レジストのパターニングは、後続のエッチングプロセスによって除去されるスタックのエリアを画定する働きをする。エッチャントは、例えば、リン酸及び/又はフッ酸などの、化学エッチャントとすることができる。
【0114】
[000113] 図7は、本発明の一実施形態に従った、ペリクルアセンブリ415の製造段階を概略的に示す。単に基板400と呼ばれ得る、平面基板400が提供される。基板400は、例えばシリコンウェーハであり得る。基板400は、例えば正方形、円形、又は長方形などの形状を有する。基板400の形状は特に限定されないが、最も一般的に使用可能な形状であるため、円形である可能性が最も高い。基板400のサイズは特に限定されない。
【0115】
[000114] 第1の犠牲層401aが、例えば基板400上に堆積させることによって提供される。第1の犠牲層401aは、好ましくは基板400を実質的に囲むが、いくつかの実施形態では、基板400を部分的にのみ囲み得る。第1の犠牲層401aは、酸化物、例えばシリコン酸化物又は熱酸化物を含む。
【0116】
[000115] 次いで、第2の犠牲層401bが、例えば第1の犠牲層401a上に堆積させることによって提供される。第2の犠牲層401bは、好ましくは第1の犠牲層401aを実質的に囲むが、いくつかの実施形態では、第1の犠牲層401aを部分的にのみ囲み得る。第2の犠牲層401bは、あるタイプのシリコン、例えばポリシリコン又はドープされたシリコン、好ましくはインシチュドープポリシリコン(ISDP)を含み得る。有利なことに、ISDPを含む第2の犠牲層401bは、相対的に低いラフネス及びわずかな突起部と共に形成可能である。
【0117】
[000116] 異なる材料(この場合、酸化物及びシリコン)から形成される隣接犠牲層(例えば、第1及び第2の犠牲層401a、401b)は、所与のエッチング動作について異なる速度でエッチングすることになる。すなわち、特定のエッチング動作について、第1の犠牲層401aは即時にエッチングし得るが、第2の犠牲層401bは比較的低速でエッチングし得るか、又はまったくエッチングしなくてよい。このようにして、異なる材料から形成される隣接犠牲層は、有利なことに、1つの層に所与のエッチング動作のためのエッチストップを形成させることができる。
【0118】
[000117] 第3の犠牲層401cが、例えば第2の犠牲層401b上に堆積させることによって提供される。第3の犠牲層401cは、好ましくは第2の犠牲層401bを実質的に囲むが、いくつかの実施形態では、第2の犠牲層401bを部分的にのみ囲み得る。第3の犠牲層401cは、酸化物、例えばシリコン又は熱酸化物の薄層を含む。薄いとは、第3の犠牲層401cの厚みが、ペリクル膜419の厚みと同じ程度(又はより薄い)であることを意味する。第3の犠牲層401cは、薄酸化物層401cとして知られ得る。酸化物の薄層は、当分野で既知のように、周知の層厚みで容易に成長する。したがって、薄酸化物層401cは、低い表面ラフネスで形成され得る。したがってこれは、ペリクル膜419を堆積させる平滑表面を提供する。
【0119】
[000118] 基板400並びに第1、第2、及び第3の犠牲層401a、401b、401cは、この段階でスタックと呼ばれ得る。
【0120】
[000119] ペリクル膜の堆積に先立ち、後に境界となるエリアを画定するために、犠牲層401a、401b、401cがパターン付与され、それによって最終ペリクルアセンブリの形状を画定する。すなわち、最終ペリクルアセンブリの形状を画定するために、スタックの表面がパターン付与される。この面はスタックの「背面」と呼ばれ得、ペリクル膜419を受け取る面の反対側の面として定義される。このプロセスは、パターニングプロセスとして知られ得る。このパターニングプロセスは、任意の適切なレジスト及びエッチングプロセスを使用して実行され得る。このプロセス中、基板は機器によって取り扱われ得、例えば、適所にクランプ及び/又は反転され得る。こうした取り扱いは、基板又は関連付けられた犠牲層の1つ以上の表面を損傷又は汚染するリスクを冒し得る。ペリクル膜419の堆積に先立ち、このパターニングプロセスを実行することによって、ペリクル膜419を損傷させるリスクが低減され得る。図7には特定のパターンが示されているが、ペリクルアセンブリの望ましい最終形状に依存して、任意の代替パターンが生成され得ることを理解されたい。
【0121】
[000120] パターニングプロセスに続き、第3の犠牲層401cの表面上にペリクル膜419が提供される。ペリクル膜19は、1つ以上のペリクル層を備え得る。図7に示されるペリクル膜419は、単一ペリクル層を備える。ペリクル層は、いくつかの恩恵を上記で考察した、ドープされた金属シリサイドを含む。本実施形態又は他の実施形態におけるペリクル層は、代替として、金属シリサイドを含み得る。ペリクル膜419は複数層を備え得る。ペリクル膜419は、補強網(例えば、カーボンナノチューブから形成される)を備え得る。補強網は、ペリクル膜の金属シリサイドに埋め込み得る。補強網は、金属シリサイドの層間に位置し得る。ペリクル膜419は、他の実施形態に関して上記で更に説明され得る。
【0122】
[000121] 1つ以上のキャッピング層にペリクル層が提供され得る。これらのキャッピング層は、将来のエッチングプロセスのためのエッチストップとして提供され得る。代替又は追加として、これらのキャッピング層は、ペリクル層又はペリクル膜上の応力量を制御するように提供され得る。キャッピング層は、例えば酸化物を含み得る。キャッピング層は、第3の犠牲層401cの応力に匹敵する応力で有益に堆積され得る。キャッピング層は、第3の犠牲層401cと同様のエッチング時間を有するように、有益に構成され得る。
【0123】
[000122] ペリクル膜419の堆積後、基板400、第1の犠牲層401a、第2の犠牲層401b、及び第3の犠牲層401cの更なる部分が、基板400の一部(及び、犠牲層401a、401b、401cの一部)を除去し、ペリクル膜419を支持するためのフレーム417を形成するために外側外周のみを残すように、選択的にバックエッチングされ得る。
【0124】
[000123] 第1のエッチングステップは、およそ700umの厚みを有するウェーハであり得る、基板402の深Siエッチングを実行することからなる。このエッチングは、ウェット化学エッチングにおいて実行され得、完了するために(より薄い層についての他のエッチングと比べて)長い時間期間を必要とし得る。エッチャントが(酸化物である)第1の犠牲層401aに到達すると、エッチング速度は著しく減速する。ウェーハからのSiがキャビティエリア内部で完全に除去されることを確実にするために、著しいオーバーエッチングが使用され得る。このオーバーエッチングは、第1の犠牲層401aが酸化物層であり、したがってエッチングバリアとして作用し、頂部上にある層の残余を保護するため、可能である。
【0125】
[000124] 次のステップにおいて、異なるウェット化学エッチングを使用して、第1の犠牲層401aが除去される。エッチングは、第1の犠牲層401aに対して高度に選択的であり、第2の犠牲層401bを著しくエッチングしない(シリコンである第2の犠牲層はエッチストップ層として作用する)。
【0126】
[000125] これに続き、シリコンである第2の犠牲層401bが、第2の犠牲層に対して高度に選択的であるウェットエッチングによって除去される。このエッチングは、第3の犠牲層401cを著しくエッチングしない(酸化物である第3の犠牲層はエッチストップ層として作用する)。
【0127】
[000126] 最終的に、第3の犠牲層401cが、ペリクル膜419に達するまでウェットエッチングによって除去される。第3の犠牲層401cは例えば第2の犠牲層401bよりも薄いため、エッチングはより短い時間期間にわたって実施される。これは、エッチング時間がより緊密に制御可能であり、それによってペリクル膜419内へのエッチングのリスクを最小限にすることを意味する。
【0128】
[000127] 第3の犠牲層401cは、第2の犠牲層401bとペリクル膜419との間の拡散バリアとして作用する。第3の犠牲層は、第2の犠牲層を酸化させることによって形成され得る。代替として、第3の犠牲層401cは、PVD、PECVD、又はALDなどの堆積法を使用して形成され得る。
【0129】
[000128] フレーム417は、基板400の一部、並びに、第1の犠牲層401aの一部、第2の犠牲層401bの一部、及び第3の犠牲層401cの一部を備える、境界スタックを備える。
【0130】
[000129] 本実施形態を参照しながら上記で考察した材料のいくつかが与えられる一例において、フレーム417は、ドープされた金属シリサイドペリクル膜と共にアバットメントに入ってくる前に、シリコンの秩序スタック、酸化物、ISDP、及び薄酸化物を備え得る。代替として、フレーム417は、ドープされた金属シリサイドペリクル膜と共にアバットメントに入ってくる前に、シリコンの秩序スタック、酸化物、シリコン、及び薄酸化物を備え得る。犠牲層の数及びそれらの組成に依存して、フレーム417は対応する層の秩序スタックを備え得ることを理解されたい。
【0131】
[000130] 犠牲層の組成の選択肢は、追加として、ペリクルアセンブリの処理時間の低減に役立ち得る。例えばいくつかのプロセスは、製造プロセス内の「ボトルネック」、例えば窒化シリコン又はISDPの形成を構築する。有益なことに、これらの材料は本発明のいくつかの実施形態から省略され得、それによって処理時間を低減させる。
【0132】
[000131] 犠牲層の組成及び/又は犠牲層の厚みの選択肢は、上記で更に説明したように、結果として生じる境界スタック及びフレームの反射率に基づいて選択され得る。反射率は、(例えば、0.1以上のコントラスト比、又は上記で更に考察したような他のコントラスト比を提供する)ペリクル膜及びパターニングデバイスの組み合わされた反射率と著しく異なるように選択され得る。一例において、酸化物、例えばシリコン酸化物又は熱酸化物の層であり得る、第3の犠牲層401cは、境界スタック及びフレームの望ましい反射率を提供するように選択された厚みを有し得る。別の例では、第1の犠牲層401a(又は第2の犠牲層401b)は、境界スタック及びフレームの望ましい反射率を提供するように選択された厚みを有し得る。第1の犠牲層は最も厚く、結果として第1の犠牲層の改変を介して、反射率の望ましい変更を達成することが最も容易であり得る。
【0133】
[000132] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。考えられる他の用途は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。
【0134】
[000133] 本明細書ではリソグラフィ装置に関連して本発明の実施形態について具体的な言及がなされているが、本発明の実施形態は他の装置に使用することもできる。本発明の実施形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置、又はウェーハ(あるいはその他の基板)もしくはマスク(あるいはその他のパターニングデバイス)などのオブジェクトを測定又は処理する任意の装置の一部を形成してよい。これらの装置は一般にリソグラフィツールと呼ばれることがある。このようなリソグラフィツールは、真空条件又は周囲(非真空)条件を使用することができる。
【0135】
[000134] 文脈上許される場合、本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組み合わせにおいて実装することができる。本発明の実施形態は、1つ以上のプロセッサにより読み取られて実行され得る、機械可読媒体に記憶された命令として実装することも可能である。機械可読媒体は、機械(例えばコンピューティングデバイス)により読み取り可能な形態で情報を記憶又は伝送するための任意の機構を含むことができる。例えば機械可読媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音響又は他の形態の伝搬信号(例えば搬送波、赤外信号、デジタル信号など)、及び他のものを含むことができる。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令は、特定のアクションを実行するものとして本明細書で説明されることがある。しかしながら、そのような説明は単に便宜上のものであり、そのようなアクションは実際には、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行するコンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、又は他のデバイスから生じ、実行する際、アクチュエータ又は他のデバイスが物質世界と相互作用し得ることを理解すべきである。
【0136】
[000135] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることは理解されよう。上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-04-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置のためのペリクル膜であって、前記ペリクル膜は金属シリサイド及び補強網を含む、ペリクル膜。
【請求項2】
前記補強網は金属シリサイド層間に位置する、請求項1に記載のペリクル膜。
【請求項3】
前記補強網は不規則である、請求項1又は2に記載のペリクル膜。
【請求項4】
前記補強網はナノチューブから形成される、請求項1又は2に記載のペリクル膜。
【請求項5】
前記ナノチューブはカーボンナノチューブである、請求項に記載のペリクル膜。
【請求項6】
追加層が、前記補強網と少なくとも1つの前記金属シリサイド層との間に提供される、請求項1又は2に記載のペリクル膜。
【請求項7】
前記少なくとも1つの追加層は金属層である、請求項に記載のペリクル膜。
【請求項8】
前記金属シリサイドは窒化金属シリサイドである、請求項1又は2に記載のペリクル膜。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の前記ペリクル膜及びフレームを備えるペリクルアセンブリであって、前記ペリクル膜は前記フレームによって支持されている、ペリクルアセンブリ。
ペリクルアセンブリ。
【請求項10】
前記フレームはベース及び境界スタックを備え、前記境界スタックは、前記ペリクル膜の下方及び前記境界スタックのシリコンベース層の上方に位置する、酸化物層を備える、請求項9に記載のペリクルアセンブリ。
【請求項11】
前記酸化物層は、前記ペリクル膜及びペリクルフレームの組み合わせと、前記ペリクル膜及びパターニングデバイスの組み合わせとの間の、望ましいコントラスト比に寄与するように選択された厚みを有する、請求項10に記載のペリクルアセンブリ。
【請求項12】
前記望ましいコントラスト比は0.1以上である、請求項11に記載のペリクルアセンブリ。
【請求項13】
請求項に記載の前記ペリクルアセンブリを備え、リソグラフィマスクを更に備える、マスクアセンブリであって、前記境界スタック及びペリクル膜は、前記ペリクル膜及び前記リソグラフィマスクの組み合わされた反射率とは異なる、組み合わされた反射率を有する、マスクアセンブリ。
【請求項14】
前記境界スタック及びペリクル膜の前記組み合わされた反射率に対する前記ペリクル膜及びリソグラフィマスクの前記組み合わされた反射率は、0.1以上のコントラスト比を提供する、請求項13に記載のマスクアセンブリ。
【請求項15】
ペリクルアセンブリを作製する方法であって、
a.ベースを提供すること、
b.複数の犠牲層を前記ベース上に提供すること、
c.第1の金属シリサイドを最上の犠牲層上に提供すること、
d.補強網を前記第1の金属シリサイド層上に提供すること、及び、
e.第2の金属シリサイド層を前記補強網上に提供すること、
を含む、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0136
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0136】
[000135] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることは理解されよう。上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲及び条項から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。
[条項1]
リソグラフィ装置のためのペリクル膜であって、前記ペリクル膜は金属シリサイド及び補強網を含む、ペリクル膜。
[条項2]
前記補強網は金属シリサイド層間に位置する、条項1に記載のペリクル膜。
[条項3]
前記補強網は不規則である、条項1又は2に記載のペリクル膜。
[条項4]
前記補強網は20ミクロンまでの最大寸法を伴うウィンドウを含む、条項1から3のいずれかに記載のペリクル膜。
[条項5]
前記補強網は少なくとも5ミクロンの平均サイズを有するウィンドウを含む、条項1から4のいずれかに記載のペリクル膜。
[条項6]
前記補強網は、ウィンドウを除き、前記ペリクルの10%までのエリアを有する、条項1から5のいずれかに記載のペリクル膜。
[条項7]
前記補強網はナノチューブから形成される、条項1から6のいずれかに記載のペリクル膜。
[条項8]
前記ナノチューブはカーボンナノチューブである、条項7に記載のペリクル膜。
[条項9]
前記ナノチューブはコーティングされる、条項7又は8に記載のペリクル膜。
[条項10]
追加層が、前記補強網と少なくとも1つの前記金属シリサイド層との間に提供される、条項1から9のいずれかに記載のペリクル膜。
[条項11]
前記少なくとも1つの追加層は金属層である、条項10に記載のペリクル膜。
[条項12]
前記金属シリサイドは窒化金属シリサイドである、条項1から11のいずれかに記載のペリクル膜。
[条項13]
条項1から12のいずれかに記載の前記ペリクル膜及びフレームを備えるペリクルアセンブリであって、前記ペリクル膜は前記フレームによって支持されている、ペリクルアセンブリ。
[条項14]
フレームによって支持されるペリクル膜を備えるペリクルアセンブリであって、前記ペリクル膜は前記フレームの外縁まで完全に延在しない、ペリクルアセンブリ。
[条項15]
複数の層を備える境界スタックが、前記フレームと前記ペリクル膜との間に提供され、前記境界スタックの少なくとも一部は、前記フレームの外縁まで完全に延在しない、条項14に記載のペリクルアセンブリ。
[条項16]
前記ペリクル膜、及び任意選択で、前記境界スタックの少なくとも一部の外縁に、アライメントマークとして使用するための形状が提供される、条項14又は15に記載のペリクルアセンブリ。
[条項17]
前記ペリクル膜及び境界スタックは一般に長方形であり、前記形状は、前記ペリクル膜の少なくとも1つのコーナーに、及び、任意選択として前記境界スタックの少なくとも一部に提供される、条項16に記載のペリクルアセンブリ。
[条項18]
前記形状は、前記ペリクル膜の各コーナーに、及び、任意選択として前記境界スタックの少なくとも一部に提供される、条項17に記載のペリクルアセンブリ。
[条項19]
前記形状は、前記コーナーから延在する2つの突起部を備える、条項17又は18に記載のペリクルアセンブリ。
[条項20]
前記2つの突起部は互いに垂直に延在する、条項19に記載のペリクルアセンブリ。
[条項21]
前記境界スタックの少なくとも1つの層は、前記フレームの前記外縁まで完全に延在する、条項14から20のいずれかに記載のペリクルアセンブリ。
[条項22]
前記境界スタックは、前記ペリクル膜の下方及び前記境界スタックのシリコンベース層の上方に位置する、酸化物層を備える、条項14から21のいずれかに記載のペリクルアセンブリ。
[条項23]
前記酸化物層は、前記ペリクル膜及びペリクルフレームの組み合わせと、前記ペリクル膜及びパターニングデバイスの組み合わせとの間の、望ましいコントラスト比に寄与するように選択された厚みを有する、条項22に記載のペリクルアセンブリ。
[条項24]
前記酸化物層は、前記ペリクル膜及び前記境界スタックフレームの組み合わせと、前記境界スタックの少なくとも一部が存在しない前記フレームの外側部分との間の、望ましいコントラスト比に寄与するように選択された厚みを有する、条項15及び22に記載のペリクルアセンブリ。
[条項25]
条項1から12のいずれかに記載の前記ペリクル膜を備え、前記ペリクル膜を支持するフレームを更に備える、ペリクルアセンブリであって、前記フレームはベース及び境界スタックを備え、前記境界スタックは、前記ペリクル膜の下方及び前記境界スタックのシリコンベース層の上方に位置する、酸化物層を備える、ペリクルアセンブリ。
[条項26]
前記酸化物層は、前記ペリクル膜及びペリクルフレームの組み合わせと、前記ペリクル膜及びパターニングデバイスの組み合わせとの間の、望ましいコントラスト比に寄与するように選択された厚みを有する、条項25に記載のペリクルアセンブリ。
[条項27]
前記望ましいコントラスト比は0.1以上である、条項23から26のいずれかに記載のペリクルアセンブリ。
[条項28]
条項13から27のいずれかに記載の前記ペリクルを備え、リソグラフィマスクを更に備える、マスクアセンブリであって、前記境界スタック及びペリクル膜は、前記ペリクル膜及び前記リソグラフィマスクの組み合わされた反射率とは異なる、組み合わされた反射率を有する、マスクアセンブリ。
[条項29]
前記境界スタック及びペリクル膜の前記組み合わされた反射率に対する前記ペリクル膜及びリソグラフィマスクの前記組み合わされた反射率は、0.1以上のコントラスト比を提供する、条項28に記載のマスクアセンブリ。
[条項30]
ペリクルアセンブリを作製する方法であって、
a.ベースを提供すること、
b.複数の犠牲層を前記ベース上に提供すること、
c.第1の金属シリサイドを最上の犠牲層上に提供すること、
d.補強網を前記第1の金属シリサイド層上に提供すること、及び、
e.第2の金属シリサイド層を前記補強網上に提供すること、
を含む、方法。
[条項31]
前記第2の金属シリサイド層が提供される前に、金属層が前記補強網の頂部上に提供される、条項30に記載の方法。
[条項32]
前記補強網は、カーボンナノチューブから形成される、条項31に記載の方法。
[条項33]
前記特許請求されたペリクルアセンブリ、又は特許請求されたペリクル膜、又は条項1から32のいずれかに従って製造されたペリクルアセンブリのうちの、いずれかを備えるリソグラフィ装置。
【国際調査報告】