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特表2024-529815基板移送システムおよびその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-14
(54)【発明の名称】基板移送システムおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240806BHJP
   B65G 54/02 20060101ALI20240806BHJP
   F16C 32/04 20060101ALI20240806BHJP
   H02K 41/02 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B65G54/02
F16C32/04 Z
H02K41/02 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571266
(86)(22)【出願日】2022-09-21
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 US2022044278
(87)【国際公開番号】W WO2023049200
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/247,073
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/949,090
(32)【優先日】2022-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハジェンズ, ジェフリー シー.
(72)【発明者】
【氏名】オルデンドルフ, ウルリヒ
【テーマコード(参考)】
3F021
3J102
5F131
5H641
【Fターム(参考)】
3F021AA07
3F021BA01
3F021CA06
3J102AA01
3J102BA03
3J102BA05
3J102DA03
3J102DA07
3J102DB01
3J102DB08
3J102FA16
3J102GA12
5F131AA02
5F131BA01
5F131BA39
5F131BA43
5F131BB03
5F131CA37
5F131CA38
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA36
5F131DA42
5F131DB02
5F131DB72
5F131DB76
5F131DC18
5F131DC19
5H641BB15
5H641BB16
5H641BB19
5H641GG02
5H641HH03
5H641JA07
(57)【要約】
本明細書では、電子デバイス処理システム用の移送チャンバに関するシステムおよび方法が開示される。移送チャンバは、移送チャンバの長さに沿って配設された磁気浮上トラックであって、磁気浮上トラックの上に磁界を生成するように構成されている磁気浮上トラックを有する磁気浮上プラットフォームを含む。移送チャンバは、移送チャンバの幅に沿って配設された磁気浮上トラックも含み、この横トラックの面は、接合部において縦トラックの面と交差する。横トラックは、トラックの上または下に磁界を生成するように構成されている。プラットフォームは、縦トラックおよび横トラックに沿って移動するように構成された少なくとも1つの基板キャリアをさらに含む。基板キャリアは、接合部において回転するようにも構成されている。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気浮上プラットフォームを備える、電子デバイス処理システム用の移送チャンバであって、前記磁気浮上プラットフォームが、
前記移送チャンバの長さに沿って配設された第1の磁気浮上トラックであって、前記第1の磁気浮上トラックの上に第1の磁界を生成するように構成されている第1の磁気浮上トラックと、
前記移送チャンバの幅に沿って配設された第2の磁気浮上トラックであって、前記第2の磁気浮上トラックの面が、第1の接合部において、前記第1の磁気浮上トラックの面と交差し、前記第2の磁気浮上トラックが、前記第2の磁気浮上トラックの上または下に第2の磁界を生成するように構成されている、第2の磁気浮上トラックと、
前記第1の磁気浮上トラックおよび前記第2の磁気浮上トラックに沿って移動するように構成された少なくとも1つの基板キャリアであって、前記第1の接合部において回転するように構成されている、少なくとも1つの基板キャリアと
を備える、移送チャンバ。
【請求項2】
(i)前記第1の磁気浮上トラックから間隔を置いて、前記移送チャンバの前記長さに沿って配設された第3の磁気浮上トラックであって、前記第2の磁気浮上トラックが、第2の接合部において前記第3の磁気浮上トラックを横切って配設されている、第3の磁気浮上トラック、または
(ii)前記第2の磁気浮上トラックから間隔を置いて、前記移送チャンバの前記幅に沿って配設された第4の磁気浮上トラックであって、第3の接合部において前記第1の磁気浮上トラックを横切って配設されている、第4の磁気浮上トラック、
のうち少なくとも1つをさらに備える、請求項1に記載の移送チャンバ。
【請求項3】
(iii)前記第1の磁気浮上トラックおよび前記第3の磁気浮上トラックから間隔を置いて、前記移送チャンバの前記長さに沿って配設された第5の磁気浮上トラックであって、前記第2の磁気浮上トラックおよび前記第4の磁気浮上トラックが前記第5の磁気浮上トラックを横切って配設されている、第5の磁気浮上トラック、または
(iv)前記第2の磁気浮上トラックおよび前記第4の磁気浮上トラックから間隔を置いて、前記移送チャンバの幅に沿って配設された第6の磁気浮上トラックであって、前記第1の磁気浮上トラック、前記第3の磁気浮上トラックおよび前記第5の磁気浮上トラックを横切って配設されている第6の磁気浮上トラック
のうち少なくとも1つをさらに備える、請求項2に記載の移送チャンバ。
【請求項4】
前記第1の磁気浮上トラックと前記第3の磁気浮上トラックとの間隔、および前記第3の磁気浮上トラックと前記第5の磁気浮上トラックとの間隔が、約350mm~約450mmである、請求項3に記載の移送チャンバ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの基板キャリアが、前記第1の磁気浮上トラックおよび前記第2の磁気浮上トラックに沿って移動するように構成されおり、前記少なくとも1つの基板キャリアが、
前記基板キャリアを回転するように構成された受動回転磁気軸受、
前記基板キャリアを回転するように構成されたミラードライバ部分、
前記基板キャリアの上面における回転テーブルを回転するように構成された、移動しない能動軸受およびドライバアセンブリ、または
受動磁気軸受を回転するように構成された回転ドライバ
のうち少なくとも1つを備える、請求項1に記載の移送チャンバ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの基板キャリアが、基板を保持するためのエンドエフェクタを備え、
前記第1の磁気浮上トラックまたは前記第2の磁気浮上トラックのうち少なくとも1つが、前記基板キャリアを回転させて、前記基板を、前記移送チャンバに接続された処理チャンバに入れるように構成されている、請求項1に記載の移送チャンバ。
【請求項7】
前記移送チャンバの側壁に複数のポートをさらに備え、前記複数のポートは、前記少なくとも1つの基板キャリアにアクセス可能な複数のスリットバルブであり、前記第2のトラックは、前記移送チャンバの第1の側面における前記複数のポートのサブセットの直近にあって、前記基板を、前記複数のポートのうち1つを通して処理チャンバの中に移送するように使用可能である、請求項1に記載の移送チャンバ。
【請求項8】
前記第1の移送チャンバの前記面が前記第2の移送チャンバの前記面とは異なる高さにある、請求項1に記載の移送チャンバ。
【請求項9】
前記移送チャンバが、前記少なくとも1つの基板キャリアを前記第1の磁気浮上トラックから前記第2の磁気浮上トラックに移送するためのアセンブリであって、
磁気軸受を備えるアセンブリをさらに備え、前記磁気軸受が、
シャフトおよび内部シャフト内に配置された捩りバネと、
前記内部シャフトと同心の複数の永久磁石と、
前記シャフトの回転の速度、距離または方向のうち少なくとも1つを監視するように構成されたエンコーダと、
前記シャフトを回転するように構成されたドライバと
を備える、請求項8に記載の移送チャンバ。
【請求項10】
磁気浮上プラットフォームを備える、電子デバイス処理システム用の移送チャンバであって、前記磁気浮上プラットフォームが、
前記移送チャンバ内の第1の高さにおいて前記移送チャンバの長さに沿って配設された第1の磁気浮上トラックであって、前記第1の磁気浮上トラックの上に第1の磁界を生成するように構成されている第1の磁気浮上トラックと、
前記処理チャンバ内の第2の高さにおいて前記移送チャンバの幅に沿って配設された第2の磁気浮上トラックであって、前記第2の磁気浮上トラックの下に第2の磁界を生成するように構成されている第2の磁気浮上トラックと、
前記第1の磁気浮上トラックおよび前記第2の磁気浮上トラックに沿って移動するように構成された少なくとも1つの基板キャリアであって、前記第1の磁気浮上トラックの面と前記第2の磁気浮上トラックの面との間の交差点において、前記第1の浮上トラックから前記第2の磁気浮上トラックへと移動するように構成されている、少なくとも1つの基板キャリアと
を備える、移送チャンバ。
【請求項11】
(i)前記第1の磁気浮上トラックから間隔を置いた前記第1の高さにおいて、前記移送チャンバの前記長さに沿って配設された第3の磁気浮上トラックであって、前記第3の磁気浮上トラックの上に第3の磁界を生成するように構成されており、前記第2の磁気浮上トラックの前記面が前記第3の磁気浮上トラックの面と交差する、第3の磁気浮上トラック、または
(ii)前記第2の磁気浮上トラックから間隔を置いた前記第2の高さにおいて、前記移送チャンバの前記幅に沿って配設された第4の磁気浮上トラックであって、前記第4の磁気浮上トラックの下に第4の磁界を生成するように構成されており、前記第1の磁気浮上トラックの前記面および前記第3の磁気浮上トラックの前記面が、前記第4の磁気浮上トラックの面と交差する、第4の磁気浮上トラック
のうち少なくとも1つをさらに備える、請求項10に記載の移送システム。
【請求項12】
前記第1の磁気浮上トラックと前記第3の磁気浮上トラックとの間隔が約40mm~約300mmであり、前記第2の磁気浮上トラックと前記第4の磁気浮上トラックとの間隔が約40mm~約300mmである、請求項11に記載の移送システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの基板キャリアが、前記第1の磁気浮上トラック、前記第2の磁気浮上トラック、前記第3の磁気浮上トラックおよび前記第4の磁気浮上トラックに沿って移動するように構成されており、前記少なくとも1つの基板キャリアが、
前記基板キャリアの底面における第1の磁石および前記基板キャリアの上面における第2の磁石を備え、前記第1の磁石が前記第1の磁気浮上トラックおよび前記第3の磁気浮上トラックと相互作用するように構成されており、前記第2の磁石が前記第2の磁気浮上トラックおよび前記第4の磁気浮上トラックと相互作用するように構成されている、
請求項11に記載の移送チャンバ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの基板キャリアを、前記第1の磁気浮上トラックと前記第2の磁気浮上トラックとの間で垂直方向に移動するように構成された少なくとも1つのリフトピンアセンブリをさらに備える、請求項10に記載の移送チャンバ。
【請求項15】
複数のそれぞれのスリットバルブを介して前記移送チャンバに接続された複数の処理チャンバをさらに備える、請求項10に記載の移送チャンバ。
【請求項16】
前記移送チャンバが第1のロードロックに接続されており、前記第1のロードロックが、前記第1の磁気浮上トラックと係合したときには前記少なくとも1つの基板キャリアにアクセス可能であり、移送チャンバが、
前記第1のロードロックの上に積み重ねられた第2のロードロックであって、前記第2の磁気浮上トラックと係合したときには前記少なくとも1つの基板キャリアにアクセス可能である、第2のロードロック
をさらに備える、請求項10に記載の移送チャンバ。
【請求項17】
前記第1の磁気浮上トラックが、前記複数の基板キャリアのうち1つまたは複数を、前記移送チャンバの前記長さに沿って第1の方向に移動するように構成されており、前記第2の磁気浮上トラックが、前記複数の基板キャリアのうち1つまたは複数を、前記移送チャンバの前記長さに沿って、前記第1の方向とは反対の第2の方向に移動するように構成されている、請求項14に記載の移送チャンバ。
【請求項18】
移送チャンバにおいて1つまたは複数の基板を移動する方法であって、
前記移送チャンバの長さに沿って配設された第1の磁気浮上トラックと係合した第1の基板キャリアによって、第1の処理チャンバから第1の基板を取り出すことであって、前記第1の磁気浮上トラックが、前記第1の磁気浮上トラックの上に第1の磁界を生成するように構成されている、第1の基板を取り出すことと、
前記第1の磁気浮上トラックによって前記第1の磁界を生成して、前記第1の基板キャリアを、前記第1の基板とともに、前記第1の磁気浮上トラックに沿って第1の方向に移動することと、
第2の磁気浮上トラックの面が前記第1の磁気浮上トラックの面と交差するところに形成された第1の接合部において、前記第1の基板キャリアを前記第1の基板とともに回転することであって、前記第2の磁気浮上トラックが、前記移送チャンバの幅に沿って配設され、前記第2の磁気浮上トラックの上または下に第2の磁界を生成するように構成されている、前記第1の基板キャリアを前記第1の基板とともに回転することと、
前記第2の磁気浮上トラックによって前記第2の磁界を生成して、前記第1の基板キャリアを、前記第1の基板とともに、前記第2の磁気浮上トラックに沿って第2の方向に移動することと、
第3の磁気浮上トラックの面が前記第2の磁気浮上トラックの前記面と交差するところに形成された第2の接合部において、前記第1の基板キャリアを前記第1の基板とともに回転することであって、前記第3の磁気浮上トラックは、前記第1の磁気浮上トラックから間隔を置いて、前記移送チャンバの前記長さに沿って配設され、前記第2の磁気浮上トラックの上に第3の磁界を生成するように構成されている、前記第1の基板キャリアを前記第1の基板とともに回転することと、
前記第3の磁気浮上トラックによって前記第3の磁界を生成して、前記第1の基板キャリアを、前記第1の基板とともに、前記第1の処理チャンバから、前記移送チャンバの反対側に配置された第2の処理チャンバまで、前記第3の磁気浮上トラックに沿って第3の方向に移動することと、
前記第1の基板キャリアを前記第1の基板とともに回転させて、前記第1の基板を前記第2の処理チャンバの中に配置することと
を含む方法。
【請求項19】
第3の磁気浮上トラックと前記移送チャンバの前記底面に近接した前記第2の磁気浮上トラックとが交差するところに形成された第2の接合部において、前記第1の基板キャリアを回転することであって、前記第3の磁気浮上トラックが、前記第3の磁気浮上トラックの上に第3の磁界を生成するように構成された上向きの配向を有する、前記第1の基板キャリアを回転することと、
前記第3の磁気浮上トラックによって前記第3の磁界を生成して、前記第1の基板キャリアを、前記第1の基板とともに、前記第3の磁気浮上トラックに沿って第3の方向に移動することと
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
第1のリフトピンアセンブリを用いて、前記移送チャンバの上面の直近に配置された第3の磁気浮上トラックまで前記第1の基板キャリアを持ち上げることであって、前記第3の磁気浮上トラックが、下向きの配向を有し、前記第3の磁気浮上トラックの下に第3の磁界を生成するように構成されている、前記第1の基板キャリアを持ち上げることと、
前記第1の基板キャリアが前記第3の磁気浮上トラックの直近にあるのを検知することと、
前記第3の磁界を生成して、前記第1の基板キャリアを、前記第3の磁気浮上トラックの下で浮遊させ、前記第1の基板とともに、前記第3の磁気浮上トラックに沿って第3の方向に移動することと
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの基板キャリアが、前記第1の磁気浮上トラックおよび前記第2の磁気浮上トラックに沿って移動するように構成されており、前記少なくとも1つの基板キャリアが、
前記基板キャリアを回転するように構成された受動回転磁気軸受、
前記基板キャリアを回転するように構成されたミラードライバ部分、
前記基板キャリアの上面における回転テーブルを回転するように構成された、移動しない能動軸受およびドライバアセンブリ、
受動磁気軸受を回転するように構成された回転ドライバ、または
前記基板キャリアの底面における第1の磁石および前記基板キャリアの上面における第2の磁石を備え、前記第1の磁石が、前記第1の磁気浮上トラックおよび前記第2の磁気浮上トラックと相互作用するように構成されており、前記第2の磁石が、前記移送チャンバの上面に配置された第3の磁気浮上トラックおよび第4の磁気浮上トラックと相互作用するように構成されている、
請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にロボッティクスの分野に関する。詳細には、本開示は、隔離環境内の処理チャンバの間で基板を移送する基板移送システムに関する。基板は、移送筐体内の磁気浮上プラットフォームを使用して移送され得る。移送チャンバ内でそのような磁気浮上プラットフォームを使用する方法も開示される。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスは、半導体製造システムの1つまたは複数の処理チャンバ内の多くの処理ステップによって基板上に形成される。それぞれの処理チャンバが、様々なステップ(たとえば、エッチング、研摩、堆積など)のうち1つまたは複数を完結して、半導体デバイスを形成する。処理チャンバは真空状態に保たれる。基板移送システムは、これも真空状態に保たれ、処理チャンバを相互に連結し得、真空を解除せずに、処理チャンバの間で基板を移動することができる。いくつかの基板移送システムは、処理チャンバが移送チャンバの両側に沿って配置されるように、直線的かつ長方形の機構を有する。
【0003】
直線的な機構を使用する基板移送システムは、通常は、長方形の上面を有するコンベヤを含み、コンベヤの片側または両側に処理チャンバを有する。コンベヤは、移送システムの内部の真空環境を維持するために、1つまたは複数のロードロックに接続され得る。基板は、ロードロックの中に配置されて、これから取り出され、ロードロックは、真空下では、移送チャンバに対して1回だけ開くことになる。コンベヤと処理チャンバまたはロードロックとの間で基板を移送するために、処理チャンバおよびロードロックの近くに1つまたは複数のロボットが配置され得る。
【0004】
従来の基板キャリアは、一般的には、基板の移動は一方向だけに制限されている。処理チャンバとロードロックとの間の基板のやり取りのための選択肢は限られている。加えて、従来の基板キャリアは、コンベヤを収容するために、設置面積や内容積が大きくなりがちである。
【発明の概要】
【0005】
1つまたは複数の実施形態によれば、本明細書で開示される、電子デバイス処理システム用の移送チャンバは、磁気浮上プラットフォームを備え、磁気浮上プラットフォームは、移送チャンバの長さに沿って配設された第1の磁気浮上トラックであって、第1の磁気浮上トラックの上に第1の磁界を生成するように構成されている、第1の磁気浮上トラックと、移送チャンバの幅に沿って配設された第2の磁気浮上トラックであって、2の磁気浮上トラックの面が、第1の接合部において、前記第1の磁気浮上トラックの面と交差し、第2の磁気浮上トラックが、第2の磁気浮上トラックの上または下に第2の磁界を生成するように構成されている、第2の磁気浮上トラックと、第1の磁気浮上トラックおよび第2の磁気浮上トラックに沿って移動するように構成された少なくとも1つの基板キャリアであって、第1の接合部において回転するように構成されている、少なくとも1つの基板キャリアとを備える。
【0006】
本明細書の1つまたは複数の実施形態においてさらに開示される、電子デバイス処理システム用の移送チャンバは、磁気浮上プラットフォームを備え、磁気浮上プラットフォームは、移送チャンバの第1の高さにおいて移送チャンバの長さに沿って配設された第1の磁気浮上トラックであって、第1の磁気浮上トラックの上に第1の磁界を生成するように構成されている第1の磁気浮上トラックと、処理チャンバ内の第2の高さにおいて移送チャンバの幅に沿って配設された第2の磁気浮上トラックであって、第2の磁気浮上トラックの下に第2の磁界を生成するように構成されている第2の磁気浮上トラックと、第1の磁気浮上トラックおよび第2の磁気浮上トラックに沿って移動するように構成された少なくとも1つの基板キャリアであって、第1の磁気浮上トラックの面と第2の磁気浮上トラックの面との間の交差点において、第1の浮上トラックから第2の磁気浮上トラックへと移動するように構成されている、少なくとも1つの基板キャリアとを備える。
【0007】
本明細書のさらなる実施形態では、移送チャンバにおいて1つまたは複数の基板を移動する方法が開示され、この方法は、移送チャンバの長さに沿って配設された第1の磁気浮上トラックと係合した第1の基板キャリアによって、第1の処理チャンバから第1の基板を回収することであって、第1の磁気浮上トラックが、第1の磁気浮上トラックの上に第1の磁界を生成するように構成されている、第1の基板を回収することと、第1の磁気浮上トラックによって第1の磁界を生成して、第1の基板キャリアを、第1の基板とともに、第1の磁気浮上トラックに沿って第1の方向に移動することと、第2の磁気浮上トラックの面が第1の磁気浮上トラックの面と交差するところに形成された第1の接合部において、第1の基板キャリアを第1の基板とともに回転することであって、第2の磁気浮上トラックが、移送チャンバの幅に沿って配設され、第2の磁気浮上トラックの上または下に第2の磁界を生成するように構成されている、基板キャリアを第1の基板とともに回転することと、第2の磁気浮上トラックによって第2の磁界を生成して、第1の基板キャリアを、第1の基板とともに、第2の磁気浮上トラックに沿って第2の方向に移動することと、第3の磁気浮上トラックの面が第2の磁気浮上トラックの面と交差するところに形成された第2の接合部において、第1の基板キャリアを第1の基板とともに回転することであって、第3の磁気浮上トラックは、第1の磁気浮上トラックから間隔を置いて、移送チャンバの長さに沿って配設され、第2の磁気浮上トラックの上に第3の磁界を生成するように構成されている、第1の基板キャリアを第1の基板とともに回転することと、第3の磁気浮上トラックによって第3の磁界を生成して、第1の基板キャリアを、第1の基板とともに、第1の処理チャンバから、移送チャンバの反対側に配置された第2の処理チャンバまで、第3の磁気浮上トラックに沿って第3の方向に移動することと、第1の基板キャリアを第1の基板とともに回転させて、第1の基板を第2の処理チャンバの中に配置することとを含む。
【0008】
本開示は、添付図面において、限定ではなく例として示されており、添付図面では、類似の参照は類似の要素を指示する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】様々な実施形態による基板移送システムの上面図である。
図1B】様々な実施形態による基板移送システムの縦方向の側面図である。
図1C】様々な実施形態による基板移送システムの横方向の側面図である。
図1D】様々な実施形態による基板キャリアの図である。
図2A】様々な実施形態による磁気浮上プラットフォームの上面図である。
図2B】様々な実施形態による、磁気浮上プラットフォームとともに使用する基板キャリアの一実施形態の図である。
図3A】様々な実施形態による、磁気浮上プラットフォームとともに使用する基板キャリアの一実施形態の図である。
図3B】様々な実施形態による、磁気浮上プラットフォームとともに使用する基板キャリアの一実施形態の図である。
図3C】様々な実施形態による、磁気浮上トラック用の基板キャリアとともに使用するのに適する磁気軸受の一実施形態の図である。
図4】様々な実施形態による、磁気浮上プラットフォームとともに使用する基板キャリアの一実施形態の図である。
図5A】様々な実施形態による、磁気浮上プラットフォームとともに使用する基板キャリアの一実施形態の図である。
図5B】様々な実施形態による、磁気浮上プラットフォームとともに使用する基板キャリアの一実施形態の図である。
図6】様々な実施形態による、上部磁気浮上トラックおよび下部磁気浮上トラックを有する磁気浮上プラットフォームの図である。
図7】様々な実施形態による、磁気浮上プラットフォームとともに使用する基板キャリアの一実施形態の図である。
図8】様々な実施形態による、磁気浮上プラットフォームとともに使用する基板キャリアの一実施形態の図である。
図9A】様々な実施形態による、磁気浮上プラットフォームとともに使用する基板キャリアの一実施形態の斜視図である。
図9B】様々な実施形態による、基板キャリアのセンタリング磁石の横位置の関数としてのセンタリング力を表す図である。
図10】様々な実施形態による、磁気浮上プラットフォームの斜視図である。
図11】様々な実施形態による、磁気浮上プラットフォームおよび基板キャリアの斜視図である。
図12】様々な実施形態による、移送チャンバによってウエハを移動する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態によれば、本明細書では、半導体製造システムで使用する磁気浮上プラットフォーム(本明細書では磁気浮上システムとも称される)を有する移送チャンバが開示される。本明細書の実施形態による、磁気浮上プラットフォームを有する移送チャンバは、従来のコンベヤシステムよりも小さい設置面積を有し得、フレキシブル基板の流れをもたらし、従来の移送システムよりも小さい真空ボリュームを有し得、保守点検が比較的容易である。
【0011】
実施形態において、磁気浮上プラットフォームが含む磁気浮上トラック(本明細書では「レーン」とも称される)のネットワークは、真空破壊することなく、チャンバ内のある位置から別の位置へ基板を移動することができる。磁気浮上プラットフォームは、処理チャンバと、たとえば磁気浮上プラットフォームが配置されている移送チャンバに接続されたロードロックとに対するラングムアクセスを提供することができる。いくつかの実施形態では、磁気浮上プラットフォームは、チャンバの長さに沿って動く1つまたは複数の縦方向の磁気浮上トラック、およびチャンバの幅に沿って動く1つまたは複数の横方向の磁気浮上トラックを含み得る。1つまたは複数の実施形態において、磁気浮上プラットフォームは、間隔を置いた構成の2つから5つまでの縦トラックと、これも間隔を置いた構成の2つから5つまでの横トラックとを含み得る。1つまたは複数の接合部において、それぞれの横トラックの面がそれぞれの縦トラックの面と交差するように、横トラックは、縦トラックに対して、ある角度(たとえば約90°)で動き得る。少なくとも1つの基板キャリアが、縦トラックまたは横トラックに沿って直線的に移動するように構成され得る。少なくとも1つの基板キャリアが、接合部において、縦トラックから横トラックに、またはその逆に、切り換わって、方向が変化するように構成され得る。少なくとも1つの基板キャリアが、接合部において回転するように構成され得る。たとえば、少なくとも1つの基板キャリアが、1つまたは複数の接合部において、約±90°~約±180°回転するように構成され得る。基板およびキャリアは、1つの縦トラックから、たとえば±90°回転して、または回転なしで、横トラックを通って、平行した縦トラックに移動し得る。いくつかの実施形態では、基板およびキャリアは、接合部において±180°回転され得る。基板キャリアは、そのような回転の後に、同じ縦トラックに沿って反対方向に移動し得る。
【0012】
1つまたは複数の実施形態では、1つまたは複数の縦トラックが、1つまたは複数の横トラックとは異なる高さにあり得る。少なくとも1つの実施形態において、1つまたは複数の横トラックは、処理チャンバ入口と整列するように構成され得、縦トラックは、移送チャンバの長手方向にわたるように、たとえば縦トラックのうち1つまたは複数が、移送チャンバの端部に配置された1つまたは複数のロードロックと整列するように、構成され得る。基板キャリアは、縦トラックの面が横トラックの面と交差する接合部において、縦トラックから横トラックに、またはその逆に、垂直方向に移動するように構成され得る。垂直移動は、回転に加えて、または回転の代わりに実行されてよい。少なくとも1つの実施形態において、1つまたは複数の縦トラックが、チャンバの底面に対して上向きに配向され、1つまたは複数の横トラックが、チャンバの上面に対して下向きに配向される。少なくとも1つの実施形態において、1つまたは複数の縦トラックが、チャンバの上面において下向きであり、1つまたは複数の横トラックが、チャンバの底面において上向きである。少なくとも1つの基板キャリアが、上面に、1つまたは複数の上部トラックと係合する磁石(たとえば移動体)を含み得、底面に、1つまたは複数の底部トラックと係合する別の磁石(たとえば移動体)を含み得る。
【0013】
1つまたは複数の実施形態によれば、基板キャリアの幅は約300~320mmでよく、長さは約300~320mmでよい。縦トラックにも横トラックにも少なくとも適切な距離だけ間隔があり得、そのため、上に基板を載せた2つの基板キャリアが、隣接した縦トラックまたは隣接した横トラック上を衝突せずに移動する。いくつかの実施形態では、縦トラックは、約350mm~約450mmまたはこの範囲内の任意の個別の値もしくは部分範囲だけ間隔を置いてよい。いくつかの実施形態では、横トラックは、約900mm~約1000mm、または、この範囲内の、約914mmを含む任意の個別の値もしくは部分範囲だけ間隔を置いてよい。
【0014】
少なくとも1つの実施形態において、移送チャンバの底面が推進力を供給する。推進力は、少なくとも1つのリニアモータの少なくとも1つの固定子によって生成され得る。移送チャンバ内で基板を移送するために使用される基板キャリアは、磁石(たとえば移動体)を含み得、このため、少なくとも1つのリニアモータによって、1つまたは複数の縦トラックおよび/または横トラックに沿って移動され得る。
【0015】
図1A図1Cは、基板移送システムの一実施形態を示す。図1Aは、様々な実施形態による基板移送システムの上面図を表す。図1Bは、様々な実施形態による基板移送システムの縦方向の側面図を表す。図1Cは、様々な実施形態による基板移送システムの横方向の側面図を表す。
【0016】
図1A図1Cを参照して、電子デバイス処理システム100用の移送チャンバ102は、少なくとも1つの処理チャンバ104A~104Lへのアクセスを可能にするように構成された少なくとも1つのポート103を有し得る。実施形態では、移送チャンバ102は複数のポート103を有し得、ポート103の各々が、複数の処理チャンバ104A~104Lのうち1つへのアクセスを可能にするように構成されている。各ポートが、基板(たとえばウエハ)を保持するエンドエフェクタを収容するようにサイズ設定されたスリットバルブを含み得る。一実施形態では、ポート103および/またはスリットバルブは、すべて共面であって、すべてが共通の高さを共有する。あるいは、別々のポートおよび/またはスリットバルブが、別々の高さおよび/または面に配置されてもよい。加えて、一実施形態では、すべてのポート103および/またはスリットバルブが、共通の開口ピッチ(開口の垂直方向の寸法)を有する。共通の開口ピッチは、特定の高さに配置されたエンドエフェクタおよび基板を受け入れることができる単一の高さのピッチ、または複数の別々の高さに配置されたエンドエフェクタおよび基板(たとえば、底部トラックに取り付けられた基板キャリアのエンドエフェクタおよび基板、ならびに上部トラックに取り付けられた基板キャリアのエンドエフェクタおよび基板)を受け入れることができる複数の高さのピッチであり得る。あるいは、別々のポート103が別々の開口ピッチを有し得る。
【0017】
実施形態によれば、移送チャンバの長さおよび幅は、長さの第1の寸法(縦方向と称される)が、幅の第2の寸法(横方向と称される)よりも数桁大きくなり得る。複数のポート103が、移送チャンバ102の長さに沿って配設され得る。実施形態では、ポート103は、移送チャンバ102の長手方向に対してほぼ垂直に配向されてよい。実施形態では、長さは、約5フィート~約20フィート、約6フィート、約8フィート、約10フィート、約12フィート、約14フィート、約16フィート、約18フィート、または約20フィートなどである。実施形態では、移送チャンバ102は、ロードロック107に対するアクセスを可能にするように構成された追加のポート106(あるいは、それぞれが1つまたは複数のロードロックに対するアクセスを可能にするように構成された複数の追加のポート)をさらに含むことができる。追加のポート106は、移送チャンバ102の幅に沿って、移送チャンバ102の第1の終端に配設され得る。ロードロック107は、1つまたは複数の前方開口型統一ポッド(FOUP)111を含有しているファクトリインターフェース109に接続され得る。加えて、1つまたは複数のロードロックおよび/または処理チャンバに対するアクセスを可能にするように構成され得る1つまたは複数のさらなるポート(図示せず)が、移送チャンバの、ポート106の反対側の終端に配置されてよい。ファクトリインターフェースに含有されているロボット(図示せず)が、FOUP 111からウエハを採取してロードロック107に配置し、基板キャリア110、110A~110Cがロードロック107からウエハを回収する。
【0018】
いくつかの実施形態では、ポート106は、ポート103に対してほぼ垂直でよい。実施形態では、移送チャンバ100の幅は、ロードロック107の幅または基板108、108A~108Cの幅のほぼ2倍である。実施形態では、移送チャンバ100の幅は、ロードロック107の幅または基板108、108A~108Cの幅のほぼ3倍である。
【0019】
移送チャンバシステム100は、少なくとも1つの処理チャンバ104A~104Lと移送チャンバ102との間で基板108を移送するように構成された少なくとも1つの基板キャリア110A~110Dを含む。実施形態によれば、移送チャンバ102は、たとえば、2、3、4、5、6、7、8、9または10すなわち約2台~約10台の基板キャリアといった、いくつかの基板キャリア110A~110Dを含有することができる。
【0020】
各基板キャリア110A~110Dは、磁気浮上コンベアシステム(たとえば1つまたは複数のリニアモータ)を使用して移動するように構成されている。たとえば、各基板キャリア110A~110Cは、少なくとも1つの磁気浮上トラック150A~150B、152A~152Fに沿って移動することができる。実施形態によれば、移送チャンバ102は、2つの(またはより多くの)縦方向の磁気浮上トラック150A、150Bおよび複数の横方向の磁気浮上トラック152A、152B、152C、152D、152E、152Fを含み得る。各磁気浮上トラックが、それぞれの、リニアモータの固定子を含み得る。一実施形態では、縦方向の磁気浮上トラックは、移送チャンバ102の底部内表面116に配置され、横方向の磁気浮上トラック152A~152Fは、移送チャンバ102の、反対側の上部内表面118に配置される。縦方向の磁気浮上トラック150A~150Bは、基板キャリア110A~110Cを、前進方向や後退方向(ロードロックから離れる方向やロードロックに近づく方向)に移動するように構成され得、横方向の磁気浮上トラック152A~152Fは、基板キャリアを、移送チャンバ102の長手方向に対して(たとえば移送チャンバの縦軸に対して垂直に)接続された処理チャンバから離れる方向や処理チャンバに近づく方向に移動するように構成され得る。
【0021】
実施形態では、縦方向の磁気浮上トラック150A~150Bは移送チャンバの上部に配置され、横方向の磁気浮上トラック152A~152Fは移送チャンバの底部に配置される。実施形態では、縦方向の磁気浮上トラック150A~150Bは、移送チャンバの上部および/または底部に配置されてよく、横方向の磁気浮上トラックも、移送チャンバの上部および/または底部に配置されてよい。磁気浮上トラックは、図1Bに示されるように、対向配置され得る(たとえば移送チャンバの底部のあらゆる磁気浮上トラック(複数可)が上向きになり、移送チャンバの上部のあらゆる磁気浮上トラックが下向きになる)。実施形態では、上部トラックと下部トラックとの間隔は、約40mm~約300mm、約100mm~約250mm、または約150mm~約200mmでよい。
【0022】
実施形態によれば、縦方向の磁気浮上トラック150A~150Bは、複数の基板キャリア110A~110Dのうち1つまたは複数を、移送チャンバ102の長さに沿って(たとえば縦軸に沿って)移動するように構成され得る。横方向の磁気浮上トラック152A~152Fは、複数の基板キャリア110A~110dのうち1つまたは複数を、移送チャンバ102の縦軸に対して垂直な横軸に沿って移動するように構成され得る。一実施形態では、縦方向の磁気浮上トラック150Aは、基板キャリア110A~110Dを第1の方向(たとえばロードロックから離れる方向)に移動し、縦方向の磁気浮上トラック150Bは、基板キャリア110A~110Dを、反対の第2の方向(たとえばロードロックに近づく方向)に移動する。基板キャリアは、横方向の磁気浮上トラック152A~152Fを介して、縦方向の磁気浮上トラック150Aと150Bとの間で移送され得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、示されるように、移送チャンバ102の幅が狭すぎて、処理チャンバの直近に配置された基板キャリアは、保持している基板を処理チャンバの方へ向けるように回転することができない。そのような実施形態では、基板キャリア(たとえば基板キャリア110B)は、基板を処理チャンバ(たとえば処理チャンバ104D)に入れるために、基板を入れる処理チャンバの、移送チャンバの反対側における横トラックと縦トラックとの交差点に配置される。次いで、基板キャリアは、処理チャンバの方へ、横トラックとほぼ一列に並ぶまで(縦トラックに対して垂直になるまで)回転し得る。次いで、基板キャリアは、処理チャンバに基板を入れるために、処理チャンバの方へ、横トラックに沿って移動し得る。基板キャリアは、処理チャンバに基板を入れた後に、処理チャンバの反対側の、横トラックと縦トラックとの交差点まで、反対方向に再度移動してよく、次いで、縦方向に向くように回転し得る。
【0024】
図1Dは、実施形態による、移送チャンバシステム100において使用するのに適する基板キャリア110の一実施形態を示す。基板キャリア110は、ウエハなどの基板108を、受け取って、持ち上げ、かつ保持するためのエンドエフェクタ120を含み得、かつ/または基板がエンドエフェクタ120上に配置され得る。半導体処理システムにおいて使用する任意の適切なエンドエフェクタ120は、当業者によって理解されるように使用され得る。実施形態によれば、1つまたは複数の基板キャリア110は、当業者に既知のロボットアームであり得る。基板キャリア110は上部磁性部分124および下部磁性部分126を含み得る。下部磁性部分126は、たとえば第1のリニアモータの第1の移動体であり得る。上部磁性部分124は、たとえば第2のリニアモータの第2の移動体であり得る。あるいは、上部磁性部分および下部磁性部分は、基板キャリア110の下の第1の固定子および基板キャリア110の上の第2の固定子と係合するように構成された1つの移動体の上半分および下半分でもよい。上部磁性部分124は1つまたは複数の磁石(たとえば永久磁石)を含み得、下部磁性部分126は1つまたは複数の追加の磁石を含み得る。上部磁性部分と下部磁性部分とは、互いの磁界が干渉しないように構成され得る。磁気浮上コンベアシステムは、基板キャリアの動きを制御するための1つまたは複数の電磁石(図示せず)と、基板キャリア110、110A~110Dを移動するためのリニアモータ(図示せず)とを含む。
【0025】
図1A図1Cに戻って、実施形態によれば、複数のポート103は、複数のスリットバルブであり得、またはこれらを含むことができる。複数のスリットバルブの少なくとも第1のサブセットの第1の移送面は、移送チャンバの底面に配設された磁気浮上トラックと係合している基板キャリアにアクセス可能である。複数のスリットバルブの第2のサブセットの第2の移送面は、移送チャンバの上面に配設された磁気浮上トラックと係合している基板キャリアにアクセス可能である。スループットをさらに改善するとともに、処理チャンバ104A~104Lまたはロードロック107における基板のほぼ同時の交換を可能にするために、複数のスリットバルブのうち少なくともいくつかは、第1のウエハ移送面と、第1のウエハ移送面の上にある第2のウエハ移送面とを有する。第1のウエハ移送面は、底面上の磁気浮上トラックと係合している基板キャリアにアクセス可能である。第2のウエハ移送面は、上面にある磁気浮上トラックと係合している基板キャリアにアクセス可能である。さらなる実施形態では、複数のスリットバルブが、底面にある磁気浮上トラックならびに上面にある磁気浮上トラックと係合している基板キャリアにアクセス可能な共通の移送面を有し得る。スリットバルブ開口は、移送面の構成に応じて寸法設定され得る。スリットバルブ開口は、単一の移送面については約1インチ~約20インチでよく、2つの移送面があるときには、約2インチ~約20インチでよい。たとえば、スリットバルブ開口は、ウエハ移送面が2つある場合には、ウエハ移送面が1つしかない場合よりも大きくてよい。
【0026】
実施形態によれば、システムは、第1のロードロックおよび第2のロードロック(図示せず)を含み得る。第1のロードロックは、底面上の磁気浮上トラックと係合している基板キャリアにアクセス可能である。第2のロードロックは、移送チャンバ102の終端において第1のロードロックの上に積み重ねられ得る。第2のロードロックは、上面にある磁気浮上トラック(複数可)と係合している基板キャリアにアクセス可能である。実施形態では、第1のロードロックの近くの終端における移送チャンバ102の第1の高さは、移送チャンバ102の残りの第2の高さよりも高くなり得る。さらなる実施形態では、第1のロードロックおよび第2のロードロックは、移送チャンバの長手方向に対して(たとえば30度または45度の)角度の構成で、並んで配置され得る。
【0027】
実施形態によれば、システムが含む少なくとも1つの垂直運動アセンブリ128、128A~128Cは、基板108を受け取って、移送面の間および/または磁気浮上トラックの間で、基板を昇降するように構成されている。垂直運動アセンブリ128、128A~128Cは、たとえばリフトピン130、130A~130Cの一対または三つ組といった、1つまたは複数のリフトピンを含み得る。あるいは、垂直運動アセンブリは、電磁気、リフトプレート(たとえば回転可能なリフト)、および/または他のリフト機構を使用して基板キャリアを移動し得、これらのうちのいくつかは、以下でより詳細に説明される。リフトピンアセンブリの例では、リフトピン130、130A~130Cは、移送チャンバ102の底面116を貫通するように構成され得、大気側の面と真空側の面とを有し得る。大気側の面は、移送チャンバ102の底面の外部にあり得る。リフトピン130、130A~130Cは、移送チャンバの真空環境を維持するためにベローズで密封され得る。リフトピン130、130A~130Cは、真空側の面において移送チャンバ102の中へ延在するように構成され得る。実施形態において、少なくとも1つの垂直運動アセンブリ128、128A~128Cは、第1のロードロックの前に配置された基板キャリア110を垂直方向に移動して、(上記で論じられた)移送チャンバ102の残りの第2の高さよりも高い移送面に到達させるように構成され得る。動作中に、リフトピン130、130A~130Cまたは他のリフト機構が、基板キャリア110、110A~110Cを、上部トラック118に対するある特定の近傍まで持ち上げるとき、基板キャリアの近傍で磁界が活性化され得る。リフトピン130、130A~130Cまたは他のリフト機構が上部トラック118における基板キャリア110、110A~110Cと係合したとき、リフトピン130、130A~130Cによって基板を下部トラック112に移動するために、基板キャリア110、110A~110Cの近傍の磁界は非活性化され得る。
【0028】
図2Aは、本明細書で説明された1つまたは複数の実施形態による磁気浮上プラットフォーム200を表す。示されるように、第1の縦方向の磁気浮上トラック202は、移送チャンバ214の底面に沿って動く。第2の縦方向の磁気浮上トラック204および第3の縦方向の磁気浮上トラック206も、それぞれ、移送チャンバ214の底面に沿って、第1の縦トラック202と平行に動く。移送チャンバ214の底面の下にリニアモータ(図示せず)が配置され得る。リニアモータは、固定子によって推進力を生成し得る。横トラック208、210、212は、縦トラック202、204、206に対して垂直に配置されている。図2Aに表された実施形態では、縦トラック202、204、206は、第1の高さにおいて上向きである。横トラック208、210、212は、第1の高さにおいて上向きでよく、または第1の高さよりも高い第2の高さにおいて下向きでもよい。縦トラック202、204、206は、チャンバ214の底面によって支持され得るが、横トラック208、210、212は、チャンバ214の上面および/または側面(図示せず)によって支持され得る。
【0029】
1つまたは複数の基板キャリア216、218、220は、縦トラック202、204、206および横トラック208、210、212を、前後に移動するように構成されている。基板キャリア216、220は、上の横トラック208、210上を移動するように構成されてよく、基板キャリア218は、下のトラック204上を移動する。1つまたは複数の実施形態では、基板キャリア216、218、220は、1つまたは複数の接合部222、224、226、228、230、232、234、236、238において、垂直方向の昇降および/または回転をもたらすように構成され得る。図2Aに示されるように、縦トラック202、204、206が横トラック208、210、212と交差するところに、接合部222、224、226、228、230、232、234、236、238が形成される。基板キャリア216、218、220は、接合部222、224、226、228、230、232、234、236、238においてたとえば90°回転して、縦トラック202、204、206から横トラック208、210、212に移動し、対応して方向を変える。少なくとも1つの実施形態において、磁気浮上プラットフォーム200は、接合部において基板キャリア216、218、220を上昇および/または回転させるように構成される。
【0030】
少なくとも1つの実施形態では、基板キャリア216、218、220は一対のアクチュエータを含み得、一方は、基板キャリアの垂直方向の昇降機能をもたらし、他方は、基板キャリアまたはその上の回転テーブルの回転機能をもたらす。磁気軸受は、回転テーブルの外部に配置され、磁気浮上トラックと係合するように構成され得る。たとえば、基板キャリアは、外部の昇降用ドライバと、内部の(たとえば中心シャフト内部の)回転用ドライバとを有し得る。
【0031】
本明細書で説明された1つまたは複数の実施形態では、底部トラックから上部トラックに、またはその逆に基板キャリアを上昇および下降させるために、1つまたは複数のリフトピンアセンブリが使用され得る。リフトピンアセンブリは、ベローズを使用して大気から隔離され得る。各リフトピンアセンブリは、底部トラックから上部トラックへの基板キャリアの上昇、および/または上部トラックから底部トラックへの基板キャリアの下降を行うためのリフトピンのセットを有し得る。基板を取り付けられた基板キャリアが、上部磁気浮上トラックに対するある特定の(たとえばトラック感知システムによって感知される)近傍に達したとき、上部トラックは、基板キャリアの近傍の磁界を活性化して、基板キャリアを上部トラックに固定し得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、基板キャリアは、リフトピンアセンブリなしで下部トラックから上部トラックに移動するように構成される。たとえば、上面と底面とに磁石を有する基板キャリアは、磁石とそれぞれの磁気浮上トラックとの間の磁力を利用して、トラックを切り換える。一実施形態では、下部縦トラック上で動作する基板キャリアは、基板キャリアの底面の磁石が縦トラックと係合するように、接合部において上部横トラックに切り換えてよい。基板キャリアの上面にある磁石は、横トラックと係合し、同時に下部縦トラックとの係合を解消して、基板キャリアを、上方へ穏やかに移動して上部横トラックに近づける。基板キャリアを上部横トラックから下部縦トラックまで下げるために、同一の処理が後続し得る。
【0033】
1つまたは複数の実施形態では、横トラック208、210、212が、対応するスリットバルブ(図示せず)および対応する処理チャンバ(図示せず)と整列し得、そのため、トラック208、210、212は、処理チャンバ内の基板の着脱のために使用され得、縦トラック202、204、206は、基板キャリア216、218、220によって、移送チャンバ214の長さに沿って基板を移動するために利用される。たとえば、処理チャンバ内の基板の着脱が、下部の縦レーンとは無関係に、上部の横トラックで生じることがある。一実施形態では、たとえばトラック202上で移動する基板キャリア216、218、220は、たとえば接合部228においてトラック210切り換わり得、トラック210に沿って、スリットバルブおよび処理チャンバの直近の接合部232まで移動する。同様に、処理チャンバおよび/またはロードロックが、縦トラック202、204、206のいずれかの終端に配置され得、基板キャリア216、218、220は、移送チャンバ214の一方の端からもう一方の端に移動して、処理チャンバの反対側の端に基板を配置することができる。少なくとも1つの実施形態では、基板キャリア216、218、220の上に回転テーブル(図示せず)が含まれ得、これらの回転テーブルは、移送チャンバまたは移送トンネルのフレーム本体(たとえば移動しない回転テーブル)に統合される。
【0034】
磁気浮上プラットフォームを少なくとも3つの縦トラック202、204、206および/または少なくとも3つの横トラック208、210、212とともに利用することの利益の1つには、基板キャリアが90°回転するとき縦方向のレーンが阻止されるのを防止することがある。図2Aに示されるように、基板キャリア216は、接合部228において縦トラック202と縦トラック204との両方の上に重なり、ここで回転する。しかしながら、縦トラック206は、基板キャリア216が縦方向または横方向に移動している間にも、妨げられることなく、動作を継続することができる。
【0035】
図2Bには、モジュール式線形磁気浮上トラック252とともに使用するのに適する基板キャリア250の一実施形態が示されている。モジュール式線形磁気浮上トラック252は、線形移送トンネル(図示せず)の内部に配置されてよい。たとえば、移送トンネルの両端には、1つまたは複数の処理チャンバ、処理チャンバクラスタ、ロードロックなどにアクセス可能な1つまたは複数のスリットバルブが含まれ得る。1つまたは複数の基板キャリア200は、線形移送トンネルの両端の間を移動して、処理チャンバ、クラスタ、ロードロックなどとの間で、基板を取り上げたり配置したりするように構成され得る。
【0036】
基板キャリア250は移動体251を含み得、これの上に回転ディスク254が配置され得る。移動体251の少なくとも2つの側面に沿って、一対の固定コイル256A、256Bがある。固定コイル258は、磁気浮上トラック252の間で、移動体251の中央に沿って移動体251の下に配置され得る。基板キャリア250は、磁気浮上トラック252に沿って直線的に移動したり、基板アーム260をたとえば約±90°~約±180°回転したりするように構成されており、方向を変更したり、および/または、基板を処理チャンバ(図示せず)内に配置したりすることができる。固定コイル258は、基板キャリア250および基板アーム260の直線運動をもたらすのに有効である。
【0037】
回転ディスク254は、移動しない能動軸受(図示せず)および対応するドライバ部(図示せず)を含み得る。基板キャリア250は、純粋な受動キャリアと考えられてよい。回転ディスク254は、上面に受動回転磁気軸受256をさらに含み得、これは、約±180°までの回転角をもたらすように構成され得る。
【0038】
図3Aおよび図3Bには、基板キャリア300の別の実施形態が示されている。基板キャリア300は、たとえば図1A図2Aに示されるような、本明細書で説明された様々な実施形態による磁気浮上プラットフォームで使用するのに適する。基板キャリア300は、可動部品における受動構成要素のみを含み得る。基板キャリア300は、電流またはバッテリーは含まない。基板キャリア300は、移動体301上に配置された回転テーブル304を含む。回転テーブル304は、永久磁石307のリングと捩りバネ(図示せず)とから形成された無摩擦磁気軸受305を含み得る。基板キャリア300は、基板キャリア300が基板311をある位置から別の位置に移動するとき基板311を支持するように構成された複数の基板ピン309をさらに含み得る。基板ピン309は、図3Aおよび図3Bに示されるように、軸受305上に配置されてよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、基板311はノッチ313を含み得、これは、ノッチファインダ317とともに、基板311を、基板キャリア300で移送した後に、処理チャンバに入れるのに先立って、スリットバルブ、処理チャンバおよび/またはロボットアームと整列させるように使用され得る。ノッチファインダ317は、高精度整列をもたらすために、光学式絶対エンコーダ(図示せず)を採用し得る。ノッチファインダ317は、光学式絶対エンコーダに加えて、またはその代わりに、整列させるためのホールセンサを含み得る。
【0040】
1つまたは複数の実施形態では、移送チャンバまたは移送トンネル(図示せず)は、1つまたは複数のコイルから成る能動ドライバ部分315をさらに含み得る。能動ドライバ部分315は、図3Bに示されるように、チャンバまたはトンネルに取り付けられ得る。チャンバまたはトンネルの各端が、能動ドライバ部分315を含み得る。能動ドライバ部分315は、図3Bに示されるようにチャンバまたはトンネルの終端においてコーナーに取り付けられ、約90°のスパンを有し得る。ドライバ部分315は、能動ドライバ部分315の外端とチャンバまたはトンネルの内表面との間に形成されたいかなる空気間隙もカバーするように、材料(たとえば金属薄板)で完全に封入され得る。
【0041】
図3Cには、本明細書の実施形態による1つまたは複数の基板キャリアとともに使用するのに適する受動回転軸受アセンブリ303が示されている。軸受アセンブリ303の内部シャフト320に沿って捩りバネ306が延在する。軸方向の偏向をもたらすために、シャフト320のまわりに永久磁石322が配置され得る。シャフト320の回転の速度、距離および/または方向を監視するために、エンコーダ324が使用され得る。ドライバ326は、シャフト320を回転させるように構成されている。永久磁石を有する軸受は不安定である(すなわちアーンショウの法則に従う)。そのような軸受を能動的に安定させるために、少なくとも1つの自由度(または慣性)が使用される。軸受のセットアップにより、シャフトを右へ押す力が生じる。軸受は、押す力を伝えるとともに相対的な動き/滑りなく回転のDOFを維持するために、捩りバネを使用する。捩りバネは、能動コイルに接していないときには磁気軸受305をデフォルト位置に戻すように構成されている。永久磁石307のリングは、回転ドライバまたは磁気抵抗/ステッパ型ドライバとして使用するように構成され得る。基板キャリア300は、約±180°まで回転するように構成されている。捩りバネは、受動軸受の中心シャフトに沿って配置され得、シャフトのまわりに永久磁石が配置されている。軸受構成によってシャフトを右へ押す力が生じ、軸受が、捩りバネを使用してこの押す力を伝え、相対的な動き/滑りなく回転のDOFを維持する。軸受は、能動コイルに接触せずにデフォルト位置に戻る。
【0042】
図4には、基板キャリア400の別の実施形態が示されている。基板キャリア400は、たとえば図1A図2Aに示されるような、本明細書で説明された様々な実施形態による磁気浮上プラットフォームで使用するのに適する。少なくとも1つの実施形態において、基板キャリア400は、積み重ねられた(または2つのレベルの)磁気浮上トラックを有する磁気浮上プラットフォームで使用するのに適する。基板キャリア400は、可動部品に受動構成要素のみを含む純粋な受動キャリアと考えられてよい。基板キャリア400は、移動体401上に配置された回転テーブル404を含む。回転テーブル404は、永久磁石407のリングと捩りバネ(図示せず)とから形成された無摩擦磁気軸受405を含み得る。基板キャリア400は、図4に示されるように、移動体401/軸受405の両側に配置された1つまたは複数のコイル417をさらに含む。移動体401/軸受405の両側のコイルの配置により、半径方向力が解消され得、かつ/またはトルク力が2倍され得る。捩りバネは、能動コイル417に接していないときには磁気軸受405をデフォルト位置に戻すように構成されている。
【0043】
基板キャリア400は、約±180°まで回転するように構成されている。基板キャリア400は、基板キャリア400が基板411をある位置から別の位置に移動するとき基板411を支持するように構成された複数の基板ピン409をさらに含み得る。基板ピン409は、図4に示されるように、軸受405上に配置され得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、基板411はノッチ413を含み得、これは、ノッチファインダ(図示せず)とともに、基板411を、基板キャリア400で移送した後に、処理チャンバに入れるのに先立って、スリットバルブ、処理チャンバおよび/またはロボットアームと整列させるように使用され得る。ノッチファインダは、高精度整列をもたらすために、光学式絶対エンコーダ(図示せず)を採用し得る。ノッチファインダは、光学式絶対エンコーダに加えて、またはその代わりに、整列させるためのホールセンサを含み得る。
【0045】
図示の実施形態では、移動体401上に、永久磁石407とともに同期ドライバが示されている。しかしながら、他の実施形態では、移動体401は磁気抵抗ドライバを含み得る。
【0046】
図5A図5Bには、基板キャリア500の別の実施形態が示されている。基板キャリア500は、2つの垂直方向のレベルが1つまたは2つの基板511を支持するように動作可能な積層構成でよい。フレーム524は、底面と側部および上部との構造を含み、基板511は、移送中は基板ピン509の上に支持され得る。基板キャリア500は、上部520および底部522に磁石を有する受動移動体であり得る。磁石520、522は、1つまたは複数の縦方向の磁気浮上トラックならびに/あるいは1つまたは複数の横方向の磁気浮上トラックと係合するように構成され得る。
【0047】
図6には、磁気浮上プラットフォーム600の一実施形態が示されている。移送チャンバ614のまわりに、複数の処理チャンバおよび/またはロードロック626が配置されている。縦方向の磁気浮上トラック602は、移送チャンバ614内の第1の高さにおいて、移送チャンバ614の長さに沿って動く。縦方向の磁気浮上トラック602の両端に処理チャンバ626が配置されている。基板キャリア616は、それぞれの終端における処理チャンバ626の間で、縦トラック602に沿って直線的に移動するように構成されている。基板キャリア616は、本明細書で説明された任意の適切なキャリアでよい。横方向の磁気浮上トラック608、610は、縦トラック602に対して垂直に延びている。横トラック608、610の各々の両端に、処理チャンバ626が配置されている。基板キャリア616は、横トラック608、610に沿って直線的に移動するようにも構成されている。横トラック608、610は、移送チャンバ614の内部で第1の高さより下の第2の高さにあってよい。
【0048】
それぞれの横トラック608、610の面は、接合部622、624において縦トラック602の面と交差する。基板キャリア616は、接合部622、624において、縦トラック602と横トラック608、610との間を移動することができる。回転テーブル604は、基板キャリア616を約±180°まで回転するように構成されている。基板キャリア616が含み得る移動体601には、基板630を支持するように構成されたエンドエフェクタ628が取り付けられている。この実施形態では、回転テーブル604は、下部軸受642および上部軸受644を結合されたダイレクトドライバ640によって駆動され得る。そのため、回転テーブル604には、ダイレクトドライバ640を作動させるための電力が供給されることになる。
【0049】
実施形態では、回転テーブル604は、垂直上昇(たとえば垂直方向の移動)が可能である。実施形態では、回転テーブル604を垂直方向に移動するためのアクチュエータ660が用意される。回転テーブルは、回転軸を有し得、磁気的に浮上され得て、アクチュエータ660によって垂直方向に移動され得る。したがって、移動体は、上部トラックと下部トラックとの間で切り換えられ得る。一例では、移動体は、図5に示された移動体に類似でよいが、上面と底面との間でトラックが90°回転することはない。
【0050】
図7には、基板キャリア700の別の実施形態が示されている。基板キャリア700は、受動磁気軸受710を有する回転ドライバを含み得る。能動回転部品704(たとえば磁石および軸受)は、移送チャンバ本体(図示せず)の内部に組み込まれてよく、かつ/または移送チャンバ本体に取り付けられてよい。水平ストローク軸受748も、回転用の能動構成要素とともに、移送チャンバの内部に組み込まれてよく、または移送チャンバに取り付けられてもよい。水平ストローク軸受748は、たとえば約200mmまで、または約50mm~約200mmまで回転テーブル604の回転の量を制御するように構成されている。基板キャリア700は、水平方向750において底部および上部に配置され得るように、磁気浮上ドライバと係合するように構成され得る。
【0051】
図8には、基板キャリア800の別の実施形態が示されている。基板キャリア800は、受動磁気軸受810を有する回転ドライバを含み得る。能動回転部品804(たとえば磁石および軸受)は、移送チャンバ本体(図示せず)の内部に組み込まれてよく、かつ/または移送チャンバ本体に取り付けられてよい。基板キャリア800は、水平方向850において底部および上部に配置され得るように、磁気浮上ドライバと係合するように構成され得る。基板キャリア800は、動作中に回転テーブル806をセンタリングするための、横方向のセルフセンタリング磁石854をさらに含む。
【0052】
図9Aには、基板キャリア900の別の実施形態が示されている。基板キャリア900は、完全受動の回転軸受904を含む。いくつかの実施形態では、基板キャリア900は磁気抵抗ドライバによって動作可能になり得る。リラクタンスモータは、強磁性ロータ上に非永久磁極を誘起するタイプの電動機である。ロータには巻線がなく、磁気抵抗によってトルクを生成する。リラクタンスモータは、同期型、可変型、切り換え型、または可変ステップ型のいずれかであり得る。
【0053】
実施形態では、基板キャリア900は、効果的には磁気抵抗ドライバである。他の実施形態では、磁気抵抗ドライバ以外の他のタイプのドライバも使用され得る。たとえば、一実施形態では、永久磁石とともに同期ドライバが使用され得る。示されるように、基板キャリア900は、複数の歯を有する歯車を含む。基板キャリア900は、X、Yドライバをさらに含み得る。したがって、基板キャリア900は、磁気抵抗ドライバを含むが、2自由度を有して同時に浮上するようにセットアップされている。
【0054】
回転軸受904には、1つまたは複数のセルフセンタリング磁石954が取り付けられている。少なくとも1つの実施形態では、回転軸受904のトルク要件は、図9Bに示されるように軸受906の内部の捩りバネ(図示せず)のトルクよりも大きい半径を有するセルフセンタリング磁石の854のセンタリング力を含む。トルク要件は、最大のセンタリング力を加えた捩りバネのトルクよりも大きなドライバ部分のトルクをさらに含み得る。たとえば、磁石954の横位置が0mmであるとき、センタリング力も0である。磁石954の横位置が、0mmよりも大きく増加したときや、0mm未満に減少したとき、センタリング力が増大する。別の1つまたは複数のセルフセンタリング磁石(図示せず)が、上部支持体915に取り付けられた軸受906上のものより上に配置されてよい。磁石の2つのセットの間の垂直方向の間隙が増加すると、引力は減少する。
【0055】
図10には、磁気浮上プラットフォーム1000の別の実施形態が示されている。プラットフォーム1000は、3つの縦方向の磁気浮上トラック1002、1004、1006と1つの横方向の磁気浮上トラック1008とを含む。縦トラック1002、1004、1006は第1の高さにあり、横トラック1008は第1の高さよりも高い第2の高さにある。複数の基板キャリア1016、1017、1018、1019は、示されるように、縦トラックおよび横トラック1002、1004、1006、1008に沿って移動するように構成されている。縦トラック1002、1004、1006は上向きであり(たとえば移送チャンバまたは移送トンネルの底面に配置されており)、横トラック1008は、下向きに配置されており、移送チャンバまたは移送トンネルに取り付けられてよく、または組み込まれてもよい。それぞれの基板キャリア1016、1017、1018は、対応する基板支持体1020、1021、1022を有し、基板キャリア1019の支持体は示されていない。それぞれの基板キャリア1016、1017、1018、1019は、上面の少なくとも1つの磁石および底面の少なくとも1つの磁石を含み、基板キャリア1016、1017、1018、1019は、縦トラック1002、1004、1006、および横トラック1008のうちいずれかと係合して、これに沿って移動するように構成されている。基板キャリア1002、1004、1006、1008は、本明細書の様々な実施形態による、基板キャリアを約±180°まで回転するように構成された軸受およびドライバアセンブリをさらに含み得る。
【0056】
図11には、磁気浮上プラットフォーム1100の別の実施形態および対応する基板キャリア1116、1118が示されている。システム1100は、複数の磁気浮上トラック1102、1104、1106を含み、基板キャリア1116、1118は、これらに沿って直線方向に移動することができる。基板キャリア1116は、移動体1103と、エンドエフェクタ1107を取り付けられた回転軸受1105とを含み、基板キャリア1118は、移動体1104と、エンドエフェクタ1108を取り付けられた回転軸受1106とを含む。移動体1103、1104は、標準的なエネルギー結合(たとえば電線)および移動磁石(図示せず)によって動作可能になる。この実施形態では、プラットフォーム1100を有する移送チャンバまたは移送トンネルは、チャンバまたはトンネルの上面における回転運動および直線運動のための受動プラットフォーム1109、1110を含み得る。プラットフォーム1100は、キャリア1116、1118の内部からの、ベローズによって密封された受動プラットフォーム1109、1110を持ち上げるためのリフトアセンブリ(たとえばリフトピンアセンブリ)をさらに含み得る。図には示されていないが、基板キャリア1116、1118の上に、磁気浮上トラックの追加セットが配置されてよく、これらは縦方向または横方向の磁気浮上トラックでよい。基板キャリア1116、1118は、上部磁気浮上トラックと下部磁気浮上トラックとの間で移動され得る。
【0057】
本明細書では、図12に示されるように、移送チャンバ1202において1つまたは複数の基板を移動する方法1200がさらに説明される。方法1200は、ブロック1204において、移送チャンバの長さに沿って配設された第1の磁気浮上トラックと係合した第1の基板キャリアによって、第1の処理チャンバ(または第1のロードロック)から第1の基板を取り出すステップを含む。第1の磁気浮上トラックは、第1の磁気浮上トラックの上に第1の磁界を生成するように構成され得る。
【0058】
方法1200は、ブロック1206において、第1の磁気浮上トラックによって第1の磁界を生成して、第1の基板キャリアを、第1の基板とともに、第1の磁気浮上トラックに沿って第1の方向に移動することを含む。
【0059】
方法1200は、ブロック1208において、第2の磁気浮上トラックの面が第1の磁気浮上トラックの面と交差するところに形成された第1の接合部において、第1の基板キャリアを第1の基板とともに回転することを含み得る。第2の磁気浮上トラックは、移送チャンバの幅に沿って配設され、第2の磁気浮上トラックの上または下に第2の磁界を生成するように構成されている。
【0060】
方法1200は、ブロック1210において、第2の磁気浮上トラックによって第2の磁界を生成して、第1の基板キャリアを、第1の基板とともに、第2の磁気浮上トラックに沿って第2の方向に移動することを含む。
【0061】
方法1200は、ブロック1212において、第3の磁気浮上トラックの面が第2の磁気浮上トラックの面と交差するところに形成された第2の接合部において、第1の基板キャリアを第1の基板とともに回転することをさらに含む。第3の磁気浮上トラックは、第1の磁気浮上トラックから間隔を置いて、移送チャンバの長さに沿って配設され得る。第3の磁気浮上トラックは、第2の磁気浮上トラックの上に第3の磁界を生成するように構成されている。
【0062】
方法1200は、ブロック1214において、第3の磁気浮上トラックによって第3の磁界を生成して、第1の基板キャリアを、第1の基板とともに、第1の処理チャンバから、移送チャンバの反対側に配置された第2の処理チャンバまで、第3の磁気浮上トラックに沿って第3の方向に移動することを含む。たとえば、第1の基板は、移送チャンバの一方の側から他方の側に移動される。
【0063】
方法1200は、ブロック1216において、第1の基板キャリアを第1の基板とともに回転させて、第1の基板を第2の処理チャンバの中に配置することをさらに含み得る。処理チャンバ内の基板のランダムな動きを可能にすることにより、処理システムによる基板スループットが増加し、最終的に収率が向上し得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、方法1200は、第3の磁気浮上トラックと移送チャンバの底面に近接した第2の磁気浮上トラックとが交差するところに形成された第2の接合部において、第1の基板キャリアを回転することであって、第3の磁気浮上トラックが、第3の磁気浮上トラックの上に第3の磁界を生成するように構成された上向きの配向を有する、第1の基板キャリアを回転することと、第3の磁気浮上トラックによって第3の磁界を生成して、第1の基板キャリアを、第1の基板とともに、第3の磁気浮上トラックに沿って第3の方向に移動することとを含み得る。たとえば、基板は、縦トラックに沿って移動し、次いで接合部において横トラックに移り、次いで再び別の縦トラックに移り、それぞれの接合部において、たとえば90°だけ方向変換する。そのため、基板は、開放型の磁気浮上レーンを利用して、ある処理チャンバから別の処理チャンバへと迅速に移動することができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、方法1200は、第1のリフトピンアセンブリを用いて、第1の基板キャリアを、移送チャンバの上面の直近に配置された第3の磁気浮上トラックまで持ち上げることを含む。第3の磁気浮上トラックは、下向きの配向を有し得、第3の磁気浮上トラックの下に第3の磁界を生成するように構成され得る。磁気浮上プラットフォームシステムは、第1の基板キャリアが第3の磁気浮上トラックの直近にあることを検知するように構成され得る。第1の基板キャリアを、第3の磁気浮上トラックの下で浮遊させて、第1の基板とともに、第3の磁気浮上トラックに沿って第3の方向に移動するために、第3の磁界が生成され得る。
【0066】
方法1200の少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1つの基板キャリアが、第1の磁気浮上トラックおよび第2の磁気浮上トラックに沿って移動するように構成される。基板キャリアは、本明細書で説明された実施形態による任意の適切なキャリアでよい。一実施形態では、少なくとも1つの基板キャリアは、基板キャリアを回転するように構成された受動回転磁気軸受を含み得る。加えて、またはその代わりに、基板キャリアは、基板キャリアを回転するように構成されたミラードライバ部分を含み得る。いくつかの実施形態では、基板キャリアは、基板キャリアの上面にある回転テーブルを回転するように構成された、移動しない能動軸受およびドライバアセンブリを含み得る。さらなる実施形態では、基板キャリアは、受動磁気軸受を回転するように構成された回転ドライバを含み得る。少なくとも1つの実施形態では、基板キャリアは、基板キャリアの底面における第1の磁石および基板キャリアの上面における第2の磁石を含み得、第1の磁石は、第1の磁気浮上トラックおよび第2の磁気浮上トラックと相互作用するように構成されており、第2の磁石は、移送チャンバの上面に配置された第3の磁気浮上トラックおよび第4の磁気浮上トラックと相互作用するように構成されている。
【0067】
本明細書の全体にわたる、たとえば、「1つの実施形態(one embodiment)」、「ある特定の実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」、または「一実施形態(an embodiment)」に対する参照は、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造物、材料、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の全体にわたって、様々な位置における、「1つまたは複数の実施形態では」、「ある特定の実施形態では」、「1つの実施形態では(in one embodiment)」または「一実施形態では(in an embodiment)」など慣用句の出現は、必ずしも本発明の同一の実施形態を参照するわけではない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つまたは複数の実施形態において、任意の適切なやり方で組み合わされ得る。
【0068】
本明細書で使用される、「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」といった単数形は、文脈によって明瞭に違った風に指示されなければ、複数形の参照を含む。したがって、たとえば、「1つの(a)トラック」に対する参照は、単一のトラックならびに複数のトラックを含む。
【0069】
本明細書で測定量に関連して使用される「約」という用語は、測定を行い、測定の目的および測定機器の精度に見合ったレベルの注意を払う際に当業者が予想する、その測定量の正常変動を指す。ある特定の実施形態では、「約」という用語は、記述された数の±10%を含み、「約10」は9~11を含む。
【0070】
測定量に関連してされる「少なくとも約」という用語は、測定を行い、測定の目的および測定機器の精度に見合ったレベルの注意を払う際に当業者が予想する、その測定量の正常変動、およびそれを上回る数量を指す。ある特定の実施形態では、「少なくとも約」という用語は、記述された数から10%を引いた数以上の任意の数量を含み、したがって、「少なくとも約10」は、9以上の任意のものを含むことになる。この用語は、「約10以上」と表現することもできる。同様に、「約~未満」という用語は、通常は、記述された数に10%を加えた数以下の数量を含み、したがって、「約10未満」は、11以下の任意のものを含むことになる。この用語は、「約10以下」と表現することもできる。
【0071】
別段の指示がない限り、すべての部分および百分率は重量による。重量パーセント(重量%)は、別段の指示がない限り、揮発性物質を含まない全組成、すなわち乾燥固形分に基づくものである。
【0072】
以前の説明は、本発明のいくつかの実施形態の十分な理解を提供するために、特定のシステム、構成要素、方法などの例など、多くの特定の詳細を説明するものである。しかしながら、当業者には、本発明の少なくともいくつかの実施形態は、これらの特定の詳細なしで実施され得ることが明らかであろう。他の事例では、周知の構成要素または方法は、本発明をいたずらに不明瞭にすることのないように、詳細には説明されず、または簡単なブロック図形式で提示される。したがって、説明されている特定の詳細は、単なる例示である。特定の実装形態は、これらの例示的な詳細から変化する可能性があり、引き続き本発明の範囲内に入るように企図され得る。
【0073】
本明細書の方法の動作は、特定の順序で示されて説明されているが、それぞれの方法の動作の順序は変更され得、そのため、ある特定の動作は逆順に実行され得、または、ある特定の動作は、少なくとも部分的に、他の動作と同時に実行され得る。別の実施形態では、別個の動作の命令またはサブ動作が、断続的かつ/または交互に実行され得る。
【0074】
上記の説明は例証となることを意図しており、限定ではないことを理解されたい。上記の説明を読み取って理解すれば、当業者には、他の多くの実施形態が明らかになるはずである。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して決定されるべきであり、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲を含む。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
【国際調査報告】