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特表2024-529824シリコン貫通ビアのオーバーレイを最適化するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-14
(54)【発明の名称】シリコン貫通ビアのオーバーレイを最適化するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240806BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H01L21/66 J
H01L21/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575964
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2023-12-08
(86)【国際出願番号】 US2022038412
(87)【国際公開番号】W WO2023009563
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/226,647
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/589,630
(32)【優先日】2022-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ザッハ フランツ
(72)【発明者】
【氏名】スミス マーク ディー
(72)【発明者】
【氏名】グロンヘイド ロエル
【テーマコード(参考)】
4M106
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106AA14
4M106CA33
4M106CA47
4M106DH05
(57)【要約】
ウェハ形状測定システムは、能動ウェハ、担体ウェハ、及び接合されたデバイスウェハの無負荷形状測定を実行すべく構成されたウェハ形状測定サブシステムを含んでいる。能動ウェハは機能するロジック回路を含み、担体ウェハは電気的に受動的である。ウェハ形状測定システムは、ウェハ形状測定サブシステムに通信可能に結合されたコントローラを含んでいる。コントローラは、無負荷形状測定値を受信し、能動ウェハと担体ウェハの特徴同士のオーバーレイ歪みを判定し、オーバーレイ歪みを1個以上のリソグラフィスキャナ用のフィードフォワード補正値に変換すべく構成されている。コントローラはまた、接合器又はリソグラフィスキャナの制御範囲を決定し、オーバーレイ歪みパターンを予測し、実現可能な最小オーバーレイに基づいて最適な制御シグネチャを計算し、計算された最適な制御シグネチャに基づいて接合器又はリソグラフィスキャナにフィードフォワード補正値を提供すべく構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のウェハ、第2のウェハ、及び接合されたデバイスウェハに対して1個以上の無負荷形状測定を実行すべく構成されたウェハ形状計測サブシステムにおいて、前記接合されたデバイスウェハが、前記第1のウェハと前記第2のウェハとの接合された対を含むウェハ形状計測サブシステムと、
前記ウェハ形状計測サブシステムに通信可能に結合されたコントローラとを含むウェハ形状計測システムであって、前記コントローラが、メモリに格納されたプログラム命令の組を実行すべく構成された1個以上のプロセッサを含み、前記プログラム命令の組が前記1個以上のプロセッサに、
前記プロセッサはウェハ形状サブシステムから1個以上の無負荷形状測定値を受信させ、
前記第1のウェハ、前記第2のウェハ、及び前記接合されたデバイスウェハの1個以上の無負荷形状測定値に基づいて、前記第1のウェハの1個以上の特徴と前記第2のウェハの1個以上の特徴とのオーバーレイ歪みを判定させ、
前記オーバーレイ歪みを1個以上のリソグラフィスキャナ用のフィードフォワード補正値に変換させるシステム。
【請求項2】
前記第1のウェハが機能論理回路を含む能動ウェハであり、前記第2のウェハが電気的に受動的な担体ウェハである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記デバイスウェハに薄化プロセスが施される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記デバイスウェハの裏面に一組のシリコン貫通ビア(TSV)がパターニング及びエッチングされる、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記TSVの組が、前記デバイスウェハの裏面から前記デバイスウェハの表面への電気接続を提供すべく構成された1個以上の接点を含んでいる、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記オーバーレイシグネチャを1個以上のリソグラフィスキャナ用のフィードフォワード補正値に変換するステップが、
TSVプロセスにおける1個以上のリソグラフィ露光のオーバーレイを低減すべく前記オーバーレイシグネチャを1個以上のリソグラフィスキャナ用のフィードフォワード補正値に変換するステップを含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記オーバーレイシグネチャを1個以上のリソグラフィスキャナ用のフィードフォワード補正値に変換するステップが1個以上のスケーリングされた接合調整を含んでいる、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記ウェハ形状測定サブシステムが、研削プロセスに続いて、且つ前記TSVプロセスの前に、前記デバイスウェハに対して1個以上の追加的な形状測定を実行すべく構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
ウェハ形状測定サブシステムから1個以上の無負荷形状測定値を受信すべく構成されたコントローラを含むシステムにおいて、前記コントローラが、メモリに格納されたプログラム命令の組を実行すべく構成された1個以上のプロセッサを含み、前記プログラム命令の組が前記1個以上のプロセッサに、
前記ウェハ形状サブシステムから1個以上の無負荷形状測定値を受信させ、
前記第1のウェハ、前記第2のウェハ、及び前記接合されたデバイスウェハの1個以上の無負荷形状測定値に基づいて、前記第1のウェハの1個以上の特徴と前記第2のウェハの1個以上の特徴のオーバーレイ歪みを判定させ、
前記オーバーレイ歪みを1個以上のリソグラフィスキャナ用のフィードフォワード補正値に変換させるべく構成されているシステム。
【請求項10】
前記第1のウェハが機能論理回路を含む能動ウェハであり、前記第2のウェハが電気的に受動的な担体ウェハである、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記デバイスウェハに薄化プロセスが施される、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記デバイスウェハの裏面に一組のシリコン貫通ビア(TSV)がパターニング及びエッチングされる、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記TSVの組が、前記デバイスウェハの裏面から前記デバイスウェハの表面への電気接続を提供すべく構成された1個以上の接点を含んでいる、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記オーバーレイシグネチャを1個以上のリソグラフィスキャナ用のフィードフォワード補正値に変換するステップが、
TSVプロセスにおける1個以上のリソグラフィ露光のオーバーレイを低減すべく前記オーバーレイシグネチャを1個以上のリソグラフィスキャナ用のフィードフォワード補正値に変換するステップを含んでいる、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
前記オーバーレイシグネチャを1個以上のリソグラフィスキャナ用のフィードフォワード補正値に変換するステップが1個以上のスケーリング接合調整を含んでいる、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記ウェハ形状測定サブシステムが、研削プロセスに続いて、且つ前記TSVプロセスの前に、前記デバイスウェハに対して1個以上の追加的な形状測定を実行すべく構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
複数の接合ツールと、
複数のリソグラフィスキャナと、
前記複数の接合ツール又は前記複数のリソグラフィスキャナに通信可能に結合されたコントローラとを含むシステムにおいて、前記コントローラが、メモリに格納されたプログラム命令の組を実行すべく構成された1個以上のプロセッサを含み、前記プログラム命令の組が、前記1個以上のプロセッサに、
前記複数の接合ツール又は前記複数のリソグラフィスキャナの少なくとも1個の制御範囲を、前記複数の接合ツール又は前記複数のリソグラフィスキャナの少なくとも1個の制御範囲が1個以上の制御シグネチャを含むように、決定させ、
前記複数の接合ツール又は前記複数のリソグラフィスキャナの少なくとも1個の制御範囲内で実現可能な制御シグネチャの範囲を識別させ、
前記実現可能な制御シグネチャの範囲に基づいてオーバーレイ歪みパターンを予測させ、
前記複数の接合ツール又は前記複数のリソグラフィスキャナの少なくとも1個に最適な制御シグネチャを、前記最適な制御シグネチャが前記複数の接合ツール又は前記複数のリソグラフィスキャナの少なくとも1個に対して実現可能な最小オーバーレイに基づいて識別されるように、計算させ、
前記計算された最適な制御シグネチャに基づいて前記複数の接合ツール又は前記複数のリソグラフィスキャナの少なくとも1個にフィードバック補正値を提供させるべく構成されているシステム。
【請求項18】
接合制御ループに基づいて、前記複数の接合ツール又は前記複数のリソグラフィスキャナの少なくとも1個に対して複数の同様のシグネチャが選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
複数の接合ツール又は複数のリソグラフィスキャナの少なくとも1個に最適なシグネチャを判定する方法であって、
前記複数の接合ツール又は前記複数のリソグラフィスキャナの少なくとも1個の制御範囲を、前記複数の接合ツール又は前記複数のリソグラフィスキャナの少なくとも1個の制御範囲が1個以上の制御シグネチャを含むように、決定するステップと、
前記複数の接合ツール又は前記複数のリソグラフィスキャナの少なくとも1個の制御範囲内で実現可能な制御シグネチャの範囲を識別するステップと、
前記実現可能な制御シグネチャの範囲に基づいてオーバーレイ歪みパターンを予測するステップと、
前記複数の接合ツール又は前記複数のリソグラフィスキャナの少なくとも1個に最適な制御シグネチャを、前記最適な制御シグネチャが前記複数の接合ツール又は前記複数のリソグラフィスキャナの少なくとも1個に対して実現可能な最小オーバーレイに基づいて識別されるように、計算するステップと、
前記計算された最適な制御シグネチャに基づいて、前記複数の接合ツール又は前記複数のリソグラフィスキャナの少なくとも1個にフィードバック補正値を提供するステップとを含む方法。
【請求項20】
接合制御ループに基づいて、前記複数のプロセスツールに対して同様のシグネチャが選択される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本開示は、一般に半導体ウェハの計測に関し、より具体的にはシリコン貫通ビアのオーバーレイを最適化するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は米国特許法第119条(e)に基づき、2021年7月28日出願の米国仮出願第63/226,647号の優先権を主張するものであり、その全文を引用により本明細書に組み込んでいる。
【0003】
家庭用電子機器市場の拡大が半導体の技術革新の推進力となっている。集積化への圧力、消費電力の低減、フォームファクタの小型化に対するニーズは、異種の技術と独創的なパッケージング方法を組み合わせる新たなアーキテクチャにつながり、最小限のスペースに最大限の機能がパッケージングされる。埋め込みパワーレールの使用が、ロジックグラウンドルールを縮小させるための重要な成功要因と考えられる。埋め込みパワーレールは、フロントエンドデバイスと、電源電圧と、グラウンドとの間の直接的な接続を、多数の金属層を有する従来の配線プロセスのバックエンドで可能であった程度よりも更に可能にする。接合プロセスが典型的に用いられてきたが、接合に起因する歪みが生じるためオーバーレイを大幅に拡大する必要がある。3D集積及びウェハレベルのパッケージングの主要技術の一つとしてシリコン貫通ビア(TSV)が発展してきた。一般に、TSVリソグラフィのオーバーレイ制御の実行には、リソグラフィプロセス制御では極めて一般的な複数の素子が含まれる。典型的には、デバイス層上の基準対象を用いて対象の位置を測定するスキャナ整列システムが利用される。対象の位置は典型的に、高次の項を含んでいてよい整列モデルにより内挿される(例えば、ウェハ座標で3次の項を用いるHOWA3)。また、スキャナに対するオーバーレイ補正も行われ、これには典型的にグリッドモデルと共に露光毎の補正(CPE)が含まれる。また、従来のオーバーレイ対象を用いてデバイスウェハ上のTSVリソグラフィパターンと基準層のオーバーレイを測定してもよい。更に、フィードバック制御システムは、先行ロットからのモデルパラメータに関する情報を用いて次ロットの露光用に新たな補正値の組を生成することができる。理想的には接合器の調整とスキャナの調整の組み合わせを用いて最適な歪みを実現する。具体的には、接合に起因する歪みの課題は、従来のオーバーレイ計測ではオーバーレイ対象を必要とすることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国仮出願第63/226,647号明細書
【特許文献2】米国特許第6,847,458号明細書
【特許文献3】米国特許第8,949,057号明細書
【特許文献4】米国特許第9,121,684号明細書
【特許文献5】米国特許出願第17/161,369号明細書
【特許文献6】米国特許出願第17/589,516号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の方法論は、複数の理由から不利になる場合がある。第1に、適切な補正精度を実現するには、接合に起因する歪みを全て把握するために計測対象の密度が高くなければならない。プロセスに起因する歪み(接合及び接合後プロセスの両方による)のいくつかはウェハ上で比較的滑らかに変化するのに対し、歪みが比較的短いスケールで生じるシグネチャが存在する。このようなシグネチャの例として、ウェハ中央で接合プロセスの開始中に生じる歪みが挙げられる。これらのシグネチャは、かなり短い距離(すなわち20~30mmの距離)にわたり生じる場合がある。これらのシグネチャの特性評価を行うには、測定対象の密度が極めて高くなければならない。このように高い密度で対象を配置することは、これらの対象がデバイスパターンと干渉する恐れあるため不可能な場合がある。従来の方法は、広範囲にわたる、従って時間のかかるオーバーレイ計測を必要とする。従って、オーバーレイ対象を必要とせずに高密度の歪み測定値を生成可能なオーバーレイ計測が望まれる。リソグラフィ補正に不利となり得る接合器に起因する歪みのずれがあれば検出する目的で、接合が生じた直後に接合器性能を監視することが望ましい。従来方式では、赤外光を用いてデバイスと担体ウェハの特徴同士のオーバーレイを測定するには、本来ならば必要が無い筈の基準マークを形成する担体ウェハの追加的なプロセスを必要とする。最後に、標準的な方式は典型的にリソグラフィスキャナ用のフィードバック制御を用いるが、これはウェハ間のばらつき(接合器間の差異に起因する)に対処できない場合がある。従って、上で認識された短所を解消するシステム及び方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1個以上の例示的な実施形態によるウェハ形状計測システムを開示する。1個の例示的な実施形態において、本システムは、第1のウェハ、第2のウェハ、及び接合されたデバイスウェハに対して1個以上の無負荷形状測定を実行すべく構成されたウェハ形状計測サブシステムを含み、接合されたデバイスウェハは、第1のウェハと第2のウェハが接合された対を含んでいる。別の例示的実施形態において、本システムは、ウェハ形状計測サブシステムに通信可能に結合されたコントローラを含んでいてよく、コントローラは1個以上のプロセッサを含み、当該プロセッサはウェハ形状サブシステムから1個以上の無負荷形状測定値を受信し、第1のウェハ、第2のウェハ、及び接合されたデバイスウェハの1個以上の無負荷形状測定値に基づいて、第1のウェハの1個以上の特徴と第2のウェハの1個以上の特徴とのオーバーレイ歪みを判定し、当該オーバーレイ歪みを1個以上のリソグラフィスキャナ用のフィードフォワード補正値に変換する。
【0007】
本開示の1個以上の例示的な実施形態によるシステムを開示する。1個の例示的な実施形態において、本システムは、ウェハ形状計測サブシステムから1個以上の形状測定値を受信すべく構成されたコントローラを含んでいる。別の例示的実施形態において、コントローラは、メモリに格納されたプログラム命令の組を実行すべく構成された1個以上のプロセッサを含んでいる。別の例示的な実施形態において、プログラム命令の組は、1個以上のプロセッサに、ウェハ形状サブシステムから1個以上の無負荷形状測定値を受信させ、第1のウェハ、第2のウェハ、及び接合されたデバイスウェハの1個以上の無負荷形状測定値に基づいて、第1のウェハの1個以上の特徴と第2のウェハの1個以上の特徴のオーバーレイ歪みを判定させ、オーバーレイ歪みを1個以上のリソグラフィスキャナ用のフィードフォワード補正値に変換させるべく構成されている。
【0008】
本開示の1個以上の例示的な実施形態による複数のプロセスツールに最適なシグネチャを判定する方法を開示する。1個の例示的な実施形態において、本方法は、複数のプロセスツールの各プロセスツールの制御範囲を決定するステップを含んでいてよいが、これに限定されず、複数のプロセスツールの各プロセスツールの制御範囲は1個以上のシグネチャを含んでいてよい。別の例示的な実施形態において、本方法は、複数のプロセスツールの各プロセスツールの制御範囲内で実現可能なシグネチャの範囲を識別するステップを含んでいてよいが、これに限定されない。別の例示的な実施形態において、本方法は、複数のプロセスツールの各プロセスツールについて最適なシグネチャを計算するステップを含んでいてよいが、これに限定されず、最適なシグネチャは、1個以上の追加的な最適化基準に基づいて識別される。別の例示的な実施形態において、本方法は、計算された最適シグネチャに基づいてオーバーレイ歪みパターンを予測するステップを含んでいてよいが、これに限定されない。別の例示的な実施形態において、本方法は、予測オーバーレイに基づいて複数のプロセスツールにフィードバック調整を提供するステップを含んでいてよいが、これに限定されない。
【0009】
上述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は共に例示且つ説明目的に過ぎず、必ずしも請求項に記載の本発明を限定するものではないことを理解されたい。本明細書に組み込まれてその一部を構成する添付図面、本発明の複数の例示的な実施形態は、一般的説明と共に本発明の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0010】
当業者においては添付の図面を参照することにより本開示の多くの利点に対する理解が深まろう。
図1A】本開示の1個以上の実施形態によるウェハ形状計測システムの簡略ブロック図である。
図1B】本開示の1個以上の実施形態による、第1のウェハ、第2のウェハ、及び接合されたウェハ対のウェハ形状測定を実行するウェハ形状計測システムの概念図である。
図2】本開示の1個以上の実施形態による、測定データをリソグラフィツールのフィードフォワード補正値に変換する方法を示すフロー図である。
図3】本開示の1個以上の実施形態による、オーバーレイ歪みをリソグラフィツールのフィードフォワード補正値に変換する方法を示すフロー図である。
図4】本開示の1個以上の実施形態による、潜在的ゴールデンシグネチャの範囲を示す概念図である。
図5】本開示の1個以上の実施形態による、ゴールデンシグネチャの範囲の最適化を示す概念図である。
図6】本開示の1個以上の実施形態による、接合ツール又はリソグラフィツールに最適な制御シグネチャを判定する方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面に示す開示された主題について詳細に記述する。本開示は特に、特定の実施形態及びそれらの具体的な特徴に関して図示及び記述されてきた。本明細書に開示する実施形態は限定的ではなく例示的に過ぎないことを理解されたい。本開示の主旨及び範囲から逸脱することなく、形式及び詳細内容に様々な変更及び修正がなされ得ることが当業者には容易に明らかになろう。
【0012】
一般に図1A~6を参照するに、本開示の1個以上の実施形態による、シリコン貫通ビア(TSV)のオーバーレイを最適化するシステム及び方法を示している。
【0013】
本開示の複数の実施形態は、埋め込みパワーレールプロセスにおけるシリコン貫通ビア(TSV)のオーバーレイを最適化するシステム及び方法を目的とする。本開示の複数の実施形態は、埋め込みパワーレールプロセスにおける厳格なオーバーレイ要件を実現すべく実装されていてよい。本開示のシステム及び方法は以下の要素、すなわち、3個のウェハ(デバイスと担体ウェハ個別に、及びデバイスと担体ウェハが互いに接合された状態で)の形状計測を含むウェハ形状に基づくオーバーレイ計測ソリューション、形状測定値を歪み測定値に変換するアルゴリズム、及び歪みパターンをCPE補正値に変換する手段であって、TSVスキャナの整列調整を除去する手段を含んでいてよく、更に異なる整列モデル(例:HOWA1、HOWA3)の組を含んでいてよい手段を含んでいてよい。また、本システム及び方法は、研削後の追加的な形状計測及びTSV前リソグラフィ、形状変化をオーバーレイ歪みに変換するアルゴリズム、及びスケーリングされた接合補正値と形状寄与度を組み合わせて1個のCPE補正値とするステップを含んでいてよい。
【0014】
複数の実施形態において、埋め込みパワーレールプロセスは、論理回路が機能する能動ウェハと、担体(電子的に受動的な)ウェハとを含み、これらが互いに接合されて接合デバイスウェハを形成することができる。接合プロセスに続いて、デバイスウェハのシリコンは(例えば約5ミクロンまで)薄化される。次いで、デバイスウェハの裏面にTSVをパターニング及びエッチングしてよい。これらのビアは、薄化シリコンの裏面と、現在「埋め込まれた」FEOL回路が配置されている表面との間の電気接続を確立することができる。TSVによりウェハの裏面から表面への接続が可能になり、これは古典的リソグラフィプロセスで行われる。接合プロセス及び後続のウェハ処理(薄化後)は、TSVのデバイスへのオーバーレイに影響する歪みパターンに寄与する。従って、ウェハの歪みを把握して、TSVリソグラフィ露光用のオーバーレイを最小化するスキャナ補正をフィードフォワード方式で生成すべく使用可能にするシステム及び方法を提供することが望まれる。更に、高分解能、高スループットのオーバーレイ計測、TSVリソグラフィでウェハを露光する前に必要な高次補正を生成する機能、担体ウェハ上に測定対象を必要としないこと、及び接合器とリソグラフィスキャナの両方で利用可能な最適化された制御を有する制御方法を含めることが望ましい。
【0015】
図1Aに、本開示の1個以上の実施形態によるウェハ形状計測システム100の簡略ブロック図を示す。
【0016】
複数の実施形態において、システム100は埋め込みパワーレールプロセスで用いられる。システム100はウェハ形状計測サブシステム102を含んでいる。システム100はまた、ウェハ形状計測サブシステム102の検出器の出力端に通信可能に結合されたコントローラ104を含んでいてよい。コントローラ104は1個以上のプロセッサ106及びメモリ108を含んでいてよい。コントローラ104の1個以上のプロセッサ106は、メモリ108に格納されたプログラム命令の組を実行すべく構成されていてよい。プログラム命令の組は、1個以上のプロセッサ106に本開示の様々なステップ及びプロセスを実行させるべく構成されていてよい。
【0017】
ウェハ形状計測サブシステム102は、1個以上のウェハから1個以上の形状パラメータを取得できる当分野で公知の任意のウェハ表面形状ツール又はシステムを含んでいてよい。複数の実施形態において、ウェハ形状計測サブシステム102は、1個以上のウェハに対し1個以上の測定及び/又は特性評価プロセスを実行すべく構成された干渉計サブシステムを含んでいる。例えば、ウェハ形状計測サブシステム102は、ウェハの両面に対して測定を実行すべく構成されたデュアル干渉計システム(例えば、デュアルフィゾー干渉計)を含んでいてよい。例えば、ウェハ形状計測サブシステム102は、ウェハの第1の面に対して1個以上の測定を実行するために第1の照明ビーム101aを生成すべく構成された第1の干渉計サブシステム105aと、第1の面とは反対側のウェハの第2の面に対して1個以上の測定を実行するために第2の照明ビーム101bを生成すべく構成された第2の干渉計サブシステム105bとを含んでいてよい。ウェハ計測サブシステム102は、KLA社製のPWGツール等のパターン付きウェハ表面形状(PWG)ツールを含んでいてよい。ウェハ特性評価用の干渉計の使用は、2003年3月20日出願の米国特許第6,847,458号、2011年10月27日出願の米国特許第8,949,057号、及び2013年1月15日出願の米国特許第9,121,684号に一般的に記載されており、その全文が引用により本明細書に組み込まれている。
【0018】
PWGツール等の両面干渉計は、本開示のプロセスの実施に関して特に有用であり得ることに注意されたい。例えば、厚さ及び/又は厚さの変化の情報が本開示の機械学習アルゴリズム及び/又は機械的モデルに入力されてよい。また、両面測定は、一方の面が測定を信頼できなくする属性を有するような場合に柔軟性を示す。また、両面測定により2回の測定からの形状情報を平均化できるため信頼性が向上する。
【0019】
本開示の範囲がPWG実装のデュアル干渉計システムに限定されず、片面干渉計システムを含むがこれに限定されない、当分野で公知の任意のウェハ測定システム又はツールを包含すべく拡張できることを本明細書において注意されたい。
【0020】
複数の実施形態において、ウェハ形状計測サブシステム102は、無負荷又は無負荷に近い状態のウェハのウェハ形状測定を実行すべく構成されている。本開示の目的のため、用語「無負荷」は外部発生源からウェハに加えられる力が殆ど無い構成を意味するものと解釈されたい。用語「無負荷」は代替的に「自立的」と解釈してもよい。外部応力が除去された状態では、平坦なウェハ形状からの残留偏差は典型的にウェハの表面に存在する負荷が掛かった層を介して誘導されるか、又は接合プロセスにより掛かる負荷に起因する。ウェハ上に存在する層により生じるこれらの応力は、内部応力として解釈されることに注意されたい。この意味で、ウェハの「形状」は、「自然な形状」(すなわち裸のウェハ形状)と、薄膜等、ウェハのいずれかの表面に掛かる内部応力により生じた形状の組み合わせである。
【0021】
複数の実施形態において、図1Aに示すように、ウェハ計測サブシステム102は、能動ウェハの形状計測、第2のウェハの形状計測、及び接合されたウェハ対の形状測定を実行することができる。接合前の第1と第2のウェハの測定値を用いて、第1と第2のウェハの形状の不一致、及び接合された対に対する接合器と接合プロセスの影響に基づいて、接合された対のウェハの形状を予測できることに注意されたい。複数の実施形態において、第1のウェハは、機能する回路素子を有する能動ウェハを含んでいてよく、第2のウェハは担体ウェハを含んでいてよく、接合されたウェハ対は接合されたデバイスウェハを含んでいてよい。
【0022】
複数の実施形態において、ウェハ測定サブシステム102は、能動ウェハ110aに対して第1の形状計測を実行し、次いでデータ信号103aを介してコントローラ104に形状測定データを送信することができる。ウェハ測定サブシステム102は、担体ウェハ110bに対して第2の形状計測を実行し、データ信号103bを介してコントローラ104に形状測定データを送信することができる。次いで、接合装置111を介して能動ウェハ110a及び担体ウェハ110bに接合プロセスを施して接合されたデバイスウェハ110cを形成することができる。ウェハ測定サブシステム102は、接合されたデバイスウェハ110cに対して第3の形状計測を実行し、次いでデータ信号103cを介してコントローラ104に形状測定データを送信することができる。
【0023】
複数の実施形態において、接合プロセスに続いて、コントローラ104は、能動ウェハ110a、担体ウェハ110b、及び接合されたウェハ対110cに対して測定された形状情報を、局所的形状の特性を評価する局所的な形状パラメータに変換することができる。例えば、これらのパラメータは、形状の一次及び二次部分導関数、又は異なる機械的モデルを用いた面内変位の予測を含んでいてよい。例えば、局所形状パラメータは、局所形状曲率(LSC)及び/又は面内歪み(IPD)を含んでいてよいが、これらに限定されない。ウェハの歪みの予測にスキャナで従来用いられてきた追加的なメトリクスを用いてもよい。このようなメトリクスには、プレート理論、有限要素法、又はKLA社によるGen3、Gen4、及び/又はGen5モデルからのパラメータ等、権利保護されたモデリング方式に基づいてウェハ形状とオーバーレイとの関係を記述する機械的モデルが含まれるが、これらに限定されない。
【0024】
複数の実施形態において、コントローラ104の1個以上のプロセッサ106は、当分野で公知の任意のプロセッサ又は処理要素を含んでいてよい。本開示の目的のため、用語「プロセッサ」又は「処理要素」は、1個以上の処理又は論理素子(例えば、1個以上のマイクロプロセッサデバイス、1個以上の特定用途向け集積回路(ASIC)デバイス、1個以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は1個以上のデジタル信号プロセッサ(DSP))を有する任意のデバイスを包含すべく広義に定義されていてよい。この意味で、1個以上のプロセッサ106は、アルゴリズム及び/又は命令(例えば、メモリに格納されたプログラム命令)を実行すべく構成された任意のデバイスを含んでいてよい。
【0025】
追加的及び/又は代替的な複数の実施形態において、1個以上のプロセッサ106は、デスクトップコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、画像コンピュータ、並列プロセッサ、ネットワークコンピュータ、又は本開示全体を通じて記述するように動作すべく、又は計測システム100と連動して動作すべく構成されたプログラムを実行すべく構成された他の任意のコンピュータシステムとして実装されていてよい。更に、システム100の異なるサブシステムは、本開示に記述するステップの少なくとも一部を実行するのに適したプロセッサ又は論理素子を含んでいてよい。従って、上の記述は本開示の複数の実施形態を限定するものではなく、例示的に過ぎないと解釈すべきである。更に、本開示全体を通じて記述するステップは単一のコントローラにより、又は代替的に複数のコントローラにより実行されてよい。また、コントローラ104は、共通の筐体又は複数の筐体内に収納された1個以上のコントローラを含んでいてよい。このように、任意のコントローラ又は複数のコントローラの組み合わせが、計測システム100との一体化に適したモジュールとして別々にパッケージ化されていてよい。更に、コントローラ104は、ウェハ測定サブシステム102から受信したデータを解析して、計測システム100内の追加的な要素又は計測システム100の外部にデータを提供することができる。
【0026】
メモリ媒体108は、1個以上の関連付けられたプロセッサ106により実行可能なプログラム命令の格納に適した当分野で公知の任意の記憶媒体を含んでいてよい。例えば、メモリ媒体108は、非一時的メモリ媒体を含んでいてよい。別の例として、メモリ媒体108は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気又は光メモリデバイス(例:ディスク)、磁気テープ、固体ドライブ等を含んでいてよいが、これらに限定されない。更に、メモリ媒体108は、1個以上のプロセッサ106と共通のコントローラ筐体に収納されてよいことに注意されたい。一実施形態において、メモリ媒体108は、1個以上のプロセッサ106及びコントローラ104の物理的位置から離して配置されてもよい。例えば、コントローラ104の1個以上のプロセッサ106は、ネットワーク(例:インターネット、イントラネット等)を介してアクセス可能なリモートメモリ(例:サーバ)にアクセスすることができる。
【0027】
本明細書において、開示するシステム100の1個以上の要素が当分野で公知の任意の仕方で、本システムの様々な他の要素に通信可能に結合されていてよいことに注意されたい。例えば、ウェハ計測サブシステム102、コントローラ104、及びユーザーインターフェースは、有線(例:銅線、光ファイバケーブル等)又は無線接続(例:RF結合、IR結合、データネットワーク通信(例:WiFi、WiMax、3G、4G、4G LTE、5G、Bluetooth等))を介して互いに、及び他の要素と、通信可能に結合されていてよい。
【0028】
オーバーレイ歪みパターンを判定する追加的又は代替的な複数の実施形態が2021年1月28日出願の米国特許出願第17/161,369号に詳細に記述されていることに注意されたい。
【0029】
図2に、本開示の1個以上の実施形態による、計測データをリソグラフィツール用のフィードフォワード補正値に変換する方法を説明するフロー図を示す。本明細書において、方法200の複数のステップの全部又は一部がウェハ計測システム100により実装され得ることに注意されたい。しかし、追加的又は代替的なシステムレベルの実施形態が方法200の複数のステップの全部又は一部を実行し得る点で方法200がウェハ計測システム100に限定されないことを更に認識されたい。
【0030】
ステップ202において、能動ウェハ110a及び担体ウェハ110bのウェハ形状測定を実行することができる。例えば、図1Aに示すように、ウェハ形状サブシステム102が、ウェハ接合プロセスの前に能動ウェハ110a又は担体ウェハ110bのウェハ形状測定を実行することができる。
【0031】
ステップ204において、能動ウェハ110aと担体ウェハ110bを接合して接合されたデバイスウェハ110cを形成することができる。例えば、ウェハ同士の接合プロセスにおいて接合ツール111が能動ウェハ110aと担体ウェハ110bを接合することができる。接合ツールはハイブリッドウェハ接合又は融合ウェハ接合を行うべく構成されていてよい。
【0032】
複数の実施形態において、システム100は埋め込みパワーレールプロセスを含んでいてよい。埋め込みパワーレールプロセスは2個の別々のウェハを含んでいてよい。例えば、ウェハの一方がデバイスパターンを有していない(例えば電子的に受動的な)担体ウェハを含み、他方のウェハが標準的な論理パターニングを施されるべく構成されたデバイスウェハ(例:回路論理を有するウェハ)を含んでいてよい。別の例として、担体ウェハとデバイスウェハは面同士が接合されるべく構成されていてよい。
【0033】
ステップ206において、接合されたデバイスウェハ110cのウェハ形状測定が実行される。例えば、図1Aに示すように、ウェハ形状サブシステム102は、接合プロセスに続いて接合されたデバイスウェハ110cのウェハ形状測定を実行することができる。
【0034】
ステップ208において、接合されたデバイスウェハ110cのウェハ研削及び/又は薄化プロセスが実行される。複数の実施形態において、接合プロセスに続いて、1個以上のプロセスステップを実行して担体ウェハの裏面のシリコンを除去することができる。例えば、デバイスウェハをパターニングすると共にデバイスウェハをエッチング及び充填してデバイスウェハの裏面から表面への電気接続を設けるステップを含むTSVパターニングステップを実行することができる。
【0035】
ステップ210において、研削及び/又は薄化プロセスに続いてウェハ形状測定がパターン付きウェハに対して実行される。例えば、図1Aに示すように、ウェハ形状サブシステム102は、研削及び/又は薄化プロセスに続いてウェハ形状測定をウェハに対して実行することができる。
【0036】
ステップ212において、1個以上の追加的なプロセスステップをウェハに対して実行することができる。例えば、1個以上の追加的なプロセスステップは、接合されたデバイスウェハ110cの追加的な歪みに潜在的に寄与する1個以上の堆積ステップを含んでいてよい。
【0037】
ステップ214において、1個以上の追加プロセスステップに続いてウェハ形状測定がウェハに対して実行される。例えば、ウェハ形状測定はTSVリソグラフィプロセスの前に実行することがある。
【0038】
ステップ216において、1個以上のフィードフォワード補正値がプロセスツールに提供される。例えば、図1Aに示すように、1個以上のフィードフォワード制御信号115を1個以上のプロセスツール112に送信して、能動ウェハ110a及び担体ウェハ110bのオーバーレイを最小化/低減すべく1個以上のプロセスツール112の1個以上の状態を調整することができる。例えば、コントローラ104は、1個以上の下流プロセスツールを調整すべく構成された1個以上のフィードフォワード制御信号を生成することができる。調整可能なプロセスツールは、リソグラフィツール、堆積ツール、研削ツール、エッチングツール、接合器等を含んでいてよいが、これらに限定されない。例えば、このような調整には、形状変化を補償する裏面膜の堆積が含まれていてよい。この点に関して、予測オーバーレイ情報を用いて、接合されたデバイスウェハ110cで観察されるオーバーレイを最小化(又は少なくとも低減)することができる。
【0039】
複数の実施形態において、コントローラ104は、スキャナ整列システムから見える歪みパターンを生成し、整列モデル及び整列サンプリングサイト情報等の既知パラメータに基づいて整列システムの性能のシミュレーションを行い、シミュレーションの残差に基づいて、フィードフォワード補正を構成するCPE補正値を生成すべく構成されていてよい1個以上のフィードフォワード制御信号を生成すべく構成されていてよい。追加的及び/又は代替的な複数の実施形態において、1個以上のフィードフォワード補正値が、ウェハに適用された他のプロセス補正、例えば裏面膜堆積を含んでいてよい他のフィードフォワード補正値と組み合わされて顕著な形状変形を調整することができる。
【0040】
複数の実施形態において、図2の方法は、4回のPWG形状測定及びTSV後リソグラフィオーバーレイ測定の実行を通じて制御される。例えば、実行された最初の3回の測定(すなわち、能動ウェハ110aと担体ウェハ110bの接合前測定、及びデバイスウェハ110cの接合後測定)は、予測オーバーレイ歪みデータを接合プロセスに基づいて生成すべく用いられる。別の例として、接合プロセスが寄与する予測オーバーレイ歪みデータがTSVオーバーレイに影響を与えると予想される。追加的及び/又は代替的な複数の実施形態において、研削/薄化プロセスに続いて、且つTSVリソグラフィ露光プロセスの前に、2回の追加的な形状測定が実行される。
【0041】
複数の実施形態において、研削後PWG測定とTSV前リソグラフィ測定の間の形状変化は、予測オーバーレイ歪み及びTSVオーバーレイに寄与し得る。本明細書において、形状に起因するオーバーレイの変動は、形状からオーバーレイへの変換アルゴリズム(例:KLAが用いている形状からオーバーレイへの変換アルゴリズムであるGen4又はGen6)を用いて対処できることに注意されたい。
【0042】
複数の実施形態において、スキャナ位置合わせシステムが遭遇する予測オーバーレイ歪みパターンは、接合寄与(例えば、接合前及び接合後のPWG測定値)及び形状寄与の両方の組み合わせとして生成される。
【0043】
4回のPWG測定は、スキャナ位置合わせシステムから見える歪みパターンを生成すべく構成されていてよい。例えば、整列ずれマップを生成すべく接合前及び接合後の形状測定値を組み合わせる方法が、全文が引用により本明細書に組み込まれている2021年1月28日出願の米国特許出願第17/161,369号に既に記述されている。
【0044】
複数の実施形態において、整列ずれマップはデバイスウェハ及び担体ウェハの両方に導入された歪みを含んでいてよい。例えば、デバイスウェハの歪みパターンはTSVリソグラフィに整合し、これは歪みパターンを調整可能なパラメータによりスケーリング可能にするデルタに対応する。別の例として、調整可能なパラメータは、経験的に、又は機械的問題のシミュレーションを通じて(例えば有限要素法等を通じて)決定されてもよい。更に、歪みは、ウェハの見当合わせ測定(例えば、光学的見当合わせ測定ツールであるIPRO7Wシステムの能力)を用いて評価できる。
【0045】
追加的及び/又は代替的な複数の実施形態において、予測オーバーレイ歪みパターンはスキャナの整列性能をシミュレートすることにより解析することができる。このシミュレーションの目的は、スキャナの整列システムの寄与を把握して露光後に見られる実効歪みを低減することである。例えば、整列性能のシミュレーションは、スキャナ整列対象の位置で期待される整列結果を予測すること、リソグラフィスキャナで用いられるモデル(例:高次整列モデル、3次(HOWA3))の整列モデルパラメータを抽出すること、全ウェハオーバーレイデータからモデル化された成分を除去して残留歪みを確定することを含むが、これらに限定されない。次いでこれらの歪みを用いて理想的なスキャナ補正値を生成する。例えば、この補正値は、高次ウェハモデルと露光による補正(CPE)モデルの両方を組み合わせたものであってよい。これらの補正値はロット平均に基づいて計算されても、及びウェハ毎に計算されてもよい。これらの補正は次いで、最適化された(すなわち、最も小さい残留歪みをもたらす)露光補正を適用する目的でスキャナに転送されてよい。
【0046】
代替的な複数の実施形態において、フィードフォワード制御方式は、ウェハ110a,bの接合前形状測定値を収集して接合器設定を調整するステップを含んでいてよい。この場合、接合ツールと接合モジュールの所与の組み合わせに対する接合プロセスに起因する歪みが、接合後の結果に対する投入ウェハ形状のシミュレーションされた影響と組み合わされる。最も簡単なケースでは、この組み合わせは単に投入形状の影響と静的な接合器シグネチャとの線形加算に過ぎない場合がある。より複雑なケースでは、投入形状と接合器設定との相互作用を考慮する必要がある。例えば、投入ウェハの反りは高次歪みの規模に影響を及ぼすことが分かっている。(モデルの複雑さにより区別される)いずれの場合も、引用により全文が本明細書に組み込まれている2022年1月31日出願の米国特許出願第17/589,516号に記述されている接合器モデリング制御方式を用いて接合器設定を調整することにより予測される投入ウェハ形状の影響を補正することができる。
【0047】
フィードフォワード調整の別の応用として、予測アルゴリズムを用いて最適な接合後歪みを実現する目的でウェハ対を選択できることに注意されたい。例えば、両方のウェハが同様のシグネチャを示す場合、接合後の結果に対する投入ウェハの形状寄与は最小限であることに注意されたい。本明細書において、最上位ウェハを接合させるべく測定方向に対して反転させるという事実を考慮して一方のウェハのシグネチャを反転させる必要があることに注意されたい。
【0048】
図3に、本開示の1個以上の実施形態による、オーバーレイ歪みをリソグラフィツール用のフィードフォワード補正値に変換する方法を説明するフロー図を示す。本明細書において、方法300の複数のステップの全部又は一部がウェハ計測システム100により実行されてよいことに注意されたい。しかし、追加的又は代替的なシステムレベルの実施形態が方法300の複数のステップの全部又は一部を実行し得るという点で方法300がウェハ計測システム100に限定されないことが更に認識される。
【0049】
ステップ302において、第1のウェハのウェハ形状測定を実行する。例えば、図1Aに示すように、ウェハ形状サブシステム102は、ウェハ接合プロセスの前に、能動ウェハ110aのウェハ形状測定を実行することができる。
【0050】
ステップ304において、第2のウェハのウェハ形状測定を実行する。例えば、図1Aに示すように、ウェハ形状サブシステム102は、ウェハ接合プロセスの前に、担体ウェハ110bのウェハ形状測定を実行することができる。
【0051】
ステップ306において、第1のウェハと第2のウェハを接合して接合されたデバイスウェハを形成する。例えば、接合器111は、ウェハ同士の接合プロセスにおいて能動ウェハ110aと担体ウェハ110bを接合することができる。接合器111は、ハイブリッドウェハ接合又は融合ウェハ接合を行うべく構成されていてよい。別の例として、接合されたデバイスウェハ110cはデバイスウェハとして機能すべく構成されていてよい。別の例として、デバイスウェハには、研削及び/又は薄化プロセスと、TSVパターニング及びエッチングプロセスとが施されてよい。
【0052】
ステップ308において、デバイスウェハのウェハ形状測定を実行する。例えば、図1Aに示すように、ウェハ形状サブシステム102は、接合プロセスに続いてウェハ形状測定をデバイスウェハに対して実行することができる。
【0053】
ステップ310において、第1のウェハの特徴と第2のウェハの特徴のオーバーレイを、第1のウェハ、第2のウェハ、及び接合されたウェハ対からの形状測定値に基づいて予測する。複数の実施形態において、コントローラ104は、能動ウェハ110a、担体ウェハ110b、及びデバイスウェハからの形状測定値に基づいて、能動ウェハ110aの特徴と担体ウェハ110bの特徴のオーバーレイを判定又は予測することができる。例えば、コントローラ104は、能動ウェハ110a、担体ウェハ110b、及びデバイスウェハからの形状情報と、能動ウェハ110aと担体ウェハ110bの特徴同士のオーバーレイとの相関を求めるアルゴリズムを実行することができる。第1のステップにおいて、ステップ304、306、及び308の測定形状情報は、コントローラ104により、局所的な形状特性を評価する局所形状パラメータに変換することができる。このようなパラメータの例として、局所形状曲率、IPD、及び当分野でウェハの歪みの予測に用いられる他の形状メトリクスがある。
【0054】
ステップ310において、第1のウェハの特徴と第2のウェハの特徴のオーバーレイを、第1のウェハ、第2のウェハ、及び接合されたウェハ対からの形状測定値に基づいて予測する。複数の実施形態において、コントローラ104は、能動ウェハ110a、担体ウェハ110b、及びデバイスウェハからの形状測定値に基づいて、能動ウェハ110aの特徴の理想的な位置と実際の位置の偏差を判定又は予測することができる。例えば、コントローラ104は、能動ウェハ110a、担体ウェハ110b、及びデバイスウェハからの形状情報と、能動ウェハ110aの特徴同士の歪んでいない位置におけるオーバーレイとの相関を求めるアルゴリズムを実行することができる。第1のステップにおいて、ステップ304、306、及び308で測定された形状情報は、コントローラ104により、局所形状特性を評価する局所形状パラメータに変換することができる。このようなパラメータの例としては、局所形状曲率、IPD、及びウェハの歪みの予測に当分野で用いられる他の形状メトリクスがある。
【0055】
ステップ312において、1個以上のフィードバック及び又はフィードフォワード調整をプロセスツールに施す。例えば、図1Cに示すように、1個以上の制御信号113、115が1個以上のプロセスツール(例えば、接合ツール111又はリソグラフィツール112)に送信されて能動ウェハ110aと担体ウェハ110bのオーバーレイ、又はデバイスウェハ110a内の特徴の相対位置を最小化/低減することができる。例えば、コントローラ104は、1個以上の上流プロセスツールを調整すべく構成された1個以上のフィードバック制御信号を生成することができる。この点に関して、予測オーバーレイ情報を用いて、将来のデバイスウェハで観察されるオーバーレイを最小化(又は少なくとも低減)することができる。
【0056】
本開示は、リソグラフィツール用のフィードフォワード補正値を提供すべくウェハ接合前後のウェハ形状情報を利用することに注目しているのに対し、本開示の追加的な実施形態は接合ツール及びリソグラフィツールの制御の同時最適化を目的としている。この手順は「ゴールデンシグネチャ」を利用することにより実行できる。
【0057】
図4に、本開示の1個以上の実施形態による、潜在的なゴールデンシグネチャ範囲を説明する概念図を示す。当該概念図は、接合器及びスキャナの両方の制御能力を同時に用いることを詳述すべく構成されていてよい。2個のプロセスツールによる同時制御の課題は、接合ツールの組とスキャナの組の製造に用いる典型的な製造環境において両方のツールの制御能力を最適化することである。一実施形態において、接合器の制御能力を用いてゴールデンシグネチャを実現し、続いてスキャナ用の補正を調整してゴールデンシグネチャを補正することができる。典型的に、特定の接合モジュールにより生じた歪みは別の接合モジュールにより生じた歪みと完全に一致する訳ではない。概念図400において、個々の接合モジュールをX軸に沿った円として表している。図示する特定の例において、4個の異なる接合モジュールが用いられている。複数の実施形態において、各ツールは、y軸に沿った異なる位置により表される僅かに異なる歪みシグネチャを有する。接合ツールの差異が1次元パラメータではなく、歪みマップ内での差異であることを理解されたい。各チャンバーは、デフォルトの歪みマップから始めて、利用可能なアクチュエータ及び利用可能なアクチュエータ範囲を用いることにより異なるベクトルマップを実現してシグネチャを変更することができる。図400において、可能な状態の範囲としてこれを簡略化して1次元的に表している。
【0058】
複数の実施形態において、ゴールデンシグネチャは最初に、全ての接合モジュールにより同時に実現可能なy軸上の範囲を識別することにより判定することができる。これは、全ての接合マップの「オーバーレイ」領域(例:水平バー)を介して示されている。これらはゴールデンシグネチャの潜在的な候補である。代替的な複数の実施形態において、オーバーレイが存在しない可能性があり、この場合は接合器チャンバー間のばらつきが最小(すなわちゼロよりも大きい)のものが「ゴールデンシグネチャ」とみなされる。例えば、歪みのデルタの3シグマ変動が用いられてよい。複数の実施形態において、埋め込みレールプロセスは、オーバーレイ歪みパターンに寄与し得るものを調整すべく構成された2個以上のプロセスツール(例:接合ツール、TSVリソグラフィスキャナ等)を含んでいてよい。これら2個以上のプロセスツールを順次用いて組み合わせプロセス制御を実行することができる。本明細書において組み合わせプロセス制御を「ゴールデンシグネチャ」と称することに注意されたい。例えば、ゴールデンシグネチャは、接合プロセスに従い予測された対象オーバーレイ歪みパターンを含み、複数の接合ツールが複数のTSVリソグラフィスキャナにマッチングされるシナリオにおいて特に有用な場合がある。
【0059】
複数の実施形態において、複数のプロセスツールの各プロセスツールは、指定された制御範囲内で調整すべく構成されたシグネチャを含んでいてよい。例えば、複数のプロセスツールの各プロセスツール毎に実現可能なシグネチャをゴールデンシグネチャと称する場合がある。別の例として、複数のプロセスツールの各プロセスツール毎に1個以上のシグネチャが実現可能である場合に潜在的なゴールデンシグネチャ範囲が決定してもよい。
【0060】
複数の実施形態において、指定された制御範囲は、複数のプロセスツール用の複数の実現可能なシグネチャ値を含んでいてよい。例えば、コントローラ104は、追加的な最適化基準を用いて、指定された制御範囲内で実現可能なシグネチャ値からゴールデンシグネチャ値を決定すべく構成されていてよい。別の例として、ゴールデンシグネチャ値を用いて1個以上のオーバーレイ歪みパターンを予測することができる。別の例として、コントローラ104は、予測された1個以上のオーバーレイ歪みパターンを1個以上のリソグラフィスキャナ用の補正値に変換することができる。1個以上のリソグラフィスキャナ用の補正値を用いて複数のプロセスツール及びこれらの対応シグネチャを調整することができる。
【0061】
次いで正確なゴールデンシグネチャが他の関連付けられたメトリクスを考慮することにより決定される。例えば、最良の歪みシグネチャは、スキャナの補正能力を考慮しながら実現可能なTSV後のリソグラフィオーバーレイ性能を評価することにより決定されてもよい。図5に、本開示の1個以上の実施形態による、潜在的な候補の範囲内で好適なゴールデンシグネチャの最適化を説明する図を示す。例えば、ゴールデンシグネチャ候補の範囲がある場合、他の最適化基準が用いて好適なゴールデンシグネチャを識別することができる。図5の例は、x軸上の点の範囲で表される複数のゴールデンシグネチャが利用可能である場合を示している。この特定のケースにおいて、複数のゴールデンシグネチャの各1個は更に、y軸に示すようにTSVリソグラフィ後に見られる全ばらつきを後続のスキャナ補正で低減可能な程度により評価される。図5に見られるように、最良の条件は、ばらつきが最も少ない(すなわち、y値が最小の)点として識別される。他の複数の実施形態において、保守のため接合器を停止する必要がある頻度に関連付けられた最適化を用いてもよい。例えば、コントローラ104は、複数の潜在的なシグネチャ値を用いて、1個以上のオーバーレイ歪みパターンを生成すべく構成されていてよい。別の例として、コントローラ104は、1個以上のオーバーレイ歪みパターンを生成し、実現可能なオーバーレイ性能の最小値に対応するゴールデンシグネチャ値を選択することに基づいて、最適なゴールデンシグネチャを判定すべく構成されていてよい。
【0062】
図6に、本開示の1個以上の実施形態による、接合ツール又はリソグラフィツールに最適な制御シグネチャを判定する方法を説明するフロー図を示す。本明細書において、方法600の複数のステップの全部又は一部がウェハ計測システム100により実行できることに注意されたい。しかし、追加的又は代替的なシステムレベルの実施形態が方法600の複数のステップの全部又は一部を実行できる点で方法600がウェハ計測システム100に限定されないことが更に認識されよう。
【0063】
ステップ602において、複数の接合ツール及び/又は複数のリソグラフィスキャナの少なくとも1個について制御範囲を決定する。複数の接合ツール及び/又は複数のスキャナの少なくとも1個の制御範囲が1個以上の制御シグネチャを含んでいてよい。
【0064】
ステップ604において、複数の接合ツール及び/又は複数のリソグラフィスキャナの少なくとも1個の制御範囲内で実現可能な制御シグネチャの範囲を識別する。
【0065】
ステップ606において、複数の接合ツール及び/又は複数のリソグラフィスキャナの少なくとも1個の実現可能な制御シグネチャの範囲に基づいてオーバーレイ歪みパターンを予測することができる。
【0066】
ステップ608において、複数の接合ツール及び/又は複数のリソグラフィスキャナの少なくとも1個について最適な制御シグネチャを計算する。複数の実施形態において、最適な制御シグネチャは、複数の接合ツール又は複数のリソグラフィスキャナの少なくとも1個の実現可能な最小限のオーバーレイに基づいて識別することができる。
【0067】
ステップ610において、計算された最適な制御シグネチャに基づいて、複数の接合ツール又は複数のリソグラフィスキャナの少なくとも1個にフィードバック補正を行うことができる。
【0068】
以上、異なる接合器/接合器ツール間で歪みパターンのマッチングが実現可能なケースについて述べてきた。そのような条件が得られないシナリオでは他の方式を導入する必要がある。例えば、接合器の調整機能を用いて、(上で概説したような)ツールドリフト又はウェハのばらつきに関して接合後歪みを安定させることができる。この場合、リソグラフィの調整は、ペアの処理に用いた接合器ツールの情報に応じて制御される。これは次いで、スキャナ補正値の決定に接合器ツールに依存するスレッドを用いるコンテキスト情報になる。
【0069】
当業者には、本明細書に記述する要素、動作、デバイス、物体、及びこれらに伴う議論は概念を明確にする例として用いられており、様々な構成の変更が考えられることが認識されよう。その結果、本明細書で用いるように、開示する具体的な典型例及び付随する議論は、これらのより一般的なクラスの代表であることを意図している。一般に、いずれの具体的な典型例の使用も当該クラスの代表であることを意図しており、特定の要素、動作、デバイス、及び物体が含まれていなくても本発明がこれに限定されると解釈すべきではない。
【0070】
当業者には、本明細書に記述するプロセス及び/又はシステム及び/又は他の技術を実現できる様々な方式(例:ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェア)が存在し、好適な方式が、プロセス及び/又はシステム及び/又は他の技術が展開される条件に応じて変化することを理解するであろう。例えば、ある実施者が速度と正確さが最重要であると判断した場合、当該実施者は方式として主にハードウェア及び/又はファームウェアを選択してよく、又は柔軟性が最重要である場合、実施者は主にソフトウェアでの実装を選択してよく、或いは更に代替的に、実施者はハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアの何らかの組み合わせを選択してもよい。従って、本明細書に記述するプロセス及び/又はデバイス及び/又は他の技術を実現するのにいくつかの可能な方式が存在するが、利用されるいずれの方式も当該方式が展開される環境及び実装者の具体的な関心事項(例:速度、柔軟性、又は予測可能性)に依存する選択であるという点で、本質的に互いに優劣はない。
【0071】
以上の説明は、特定の用途及びその要件の環境下で提供される本発明を当業者が製造及び使用可能にすべく提示されている。本明細書で用いられる、「最上部」、「底部」、「上側」、「下側」、「より上」、「上向き」、「より下」、「下」及び「下向き」等の方向用語は説明目的で相対位置を示すことを意図しており、絶対的な基準枠を指すことを意図していない。記述する複数の実施形態に対する様々な変更は当業者には明らかであり、本明細書に定義する一般原理は他の複数の実施形態に適用されてよい。従って、本発明は図示及び記述する特定の実施形態に限定されるものではなく、本明細書に開示する原理及び新規な特徴に整合する最も広い範囲を含むものとする。
【0072】
本明細書における実質的に任意の複数形及び/又は単数形の用語の使用に関して、当業者には、文脈及び/又は用途に応じて、複数形から単数形及び/又は単数形から複数形への変換が可能である。本明細書では明快さを旨として様々な単数形/複数形の入れ替えを明示的に示していない。
【0073】
本明細書に記載の方法は全て、本方法の複数の実施形態の1個以上のステップの結果をメモリに格納するステップを含んでいてよい。これらの結果は、本明細書に記述する結果のいずれかを含んでいてもよく、当分野で公知の任意の仕方で格納されていてもよい。メモリは、本明細書に記述する任意のメモリ又は当分野で公知の他の任意の適当な記憶媒体を含んでいてよい。結果が記憶された後で、これらの結果は本明細書に記述する方法又はシステムの任意の実施形態によりメモリ内でアクセスされて用いられ、ユーザーへの表示のためフォーマットされ、別のソフトウェアモジュール、方法、又はシステム等により用いられてよい。更に、結果は「永久に」、「半永久的に」、「一時的に」、又はある期間にわたり保存されてよい。例えばメモリはランダムアクセスメモリ(RAM)であってよく、結果は必ずしもメモリ内で無期限に維持されるとは限らない。
【0074】
上述の方法の各実施形態が本明細書に記述する他の任意の方法(群)の他の任意のステップ(群)を含んでいてよいと更に考えられる。また、上述の方法の各実施形態は本明細書に記述する任意のシステムにより実行されてよい。
【0075】
本明細書に記述する主題は、他の要素内に含まれるか又は他の要素と接続された異なる要素に言及する場合がある。そのように言及されたアーキテクチャは例示的に過ぎず、実際には同一機能を実現する他の多くのアーキテクチャを実装できることを理解されたい。概念的な意味において、同一機能を実現する要素の任意の配置が所望の機能を実現すべく実質的に「関連付けられている」。従って、本明細書において特定の機能を実現すべく組み合わされた任意の2個の要素は、アーキテクチャ又は介在要素に依らず所望の機能が実現されるように互いに「関連付けられている」とみなすことができる。同様に、そのように関連付けられた任意の2個の要素はまた、所望の機能を実現すべく互いに「接続」又は「結合」されていると見なすこともでき、そのような関連付けが可能な任意の2個の要素は所望の機能を実現すべく互いに「結合可能」であると見なすこともできる。結合可能な例として、物理的に嵌合可能な、及び/又は物理的に相互作用可能な要素及び/又は無線で相互作用可能な要素及び/又は無線で相互作用する要素及び/又は論理的に相互作用する要素及び/又は論理的に相互作用可能な要素が含まれるが、これらに限定されない。
【0076】
更に、本発明は添付の請求項により規定されることを理解されたい。当業者には、一般に本明細書、特に添付の請求項(例:添付の請求項の本文)で用いられる用語が一般に「開放的」用語として意図されていること(例:用語「含んでいる」は「含んでいるが、限定されない」と解釈すべきであり、用語「有している」は「少なくとも有している」と解釈すべきであり、用語「含む」は「含むが、限定されない」解釈すべきである等)が理解されよう。当業者には更に、請求項に要素の具体的な個数の記載が意図されている場合、そのような意図は当該請求項に明示的に記載されるものとし、そのような記載が無ければそのような意図は存在しないことが理解されよう。例えば、理解の一助として、以下の添付の請求項には、請求項の要素を記載するために「少なくとも1個」及び「1個以上」という導入句の使用が含まれる場合がある。しかし、このような語句の使用は、請求項の要素に不定冠詞「a」又は「an」が付与されている場合、そのような請求項の要素を含むいかなる請求項も、たとえ同じ請求項が導入句「1個以上」又は「少なくとも1個」と、「a」又は「an」のような不定冠詞を含んでいたとしても、そのような要素を1個しか含まない発明に限定することを意味すると解釈すべきではない(例えば、「a」及び/又は「an」は典型的に「少なくとも1個」又は「1個以上」を意味するものと解釈すべきであり、請求項の要素の記載に定冠詞を用いる場合も同様である。また、たとえ具体的な個数の請求項の要素が明示的に記載されていたとしても、当業者にはそのような記載を少なくとも記載された個数を意味するものと解釈すべきであることが理解されよう(例:他の修飾語を伴わない単なる「2個の要素」との記載は典型的に少なくとも2個の要素、又は2個以上の要素を意味する)。更に、「A、B、及びCの少なくとも1個、等」の類の慣用句が用いられた場合、一般に、そのような構文は当業者が当該慣用句を理解するであろう意味を意図している(例:「A、B、及びCの少なくとも1個を有するシステム」は、A単独、B単独、C単独、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、及び/又はA、B、及びCの全て、等を有するシステムを含むが、これらに限定されない)。A、B、又はCの少なくとも1個、等」の類の慣用句が用いられた場合、一般に、そのような構文は、当業者が当該慣用句を理解するであろう意味を意図している(例:「A、B、又はCの少なくとも1個を有するシステム」は、A単独、B単独、C単独、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、及び/又はA、B、及びCの全部、等を有するシステムを含むが、これらに限定されない)。当業者には更に、記述、請求項、又は図面のいずれかに依らず、2個以上の代替的な用語を提示する実質的に任意の接続詞的な単語及び/又は語句が、当該用語の一方、当該用語のいずれか、又は両方の用語を含む可能性を考えているものと理解すべきであることが理解されよう。例えば、「A又はB」という語句は、「A」又は「B」或いは「A及びB」の可能性を含むことが理解されよう。
【0077】
本開示及びこれに付随する利点の多くが上述の説明により理解されるものと考えられ、開示する主題から逸脱することなく、又はその重要な利点の全部を犠牲にすることなく、要素の形式、構造及び配置に様々な変更を加え得ることは明らかであろう。上述の形式は説明目的で示すに過ぎず、以下の請求項はそのような変更を包含することを意図している。更に、本発明は添付の請求項により規定されることを理解されたい。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】