(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-14
(54)【発明の名称】プラズマ診断のためのマイクロ波共振器アレイ
(51)【国際特許分類】
H05H 1/00 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
H05H1/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506680
(86)(22)【出願日】2022-07-19
(85)【翻訳文提出日】2024-03-22
(86)【国際出願番号】 US2022037626
(87)【国際公開番号】W WO2023014500
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ピータスン, デーヴィッド ジョン
(72)【発明者】
【氏名】リン, チュアンチア
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084HH02
2G084HH16
2G084HH19
2G084HH20
2G084HH44
(57)【要約】
本明細書で開示する実施形態は、センサデバイスと、センサデバイスを使用する方法とを含む。一実施形態では、センサデバイスは、基板と、基板から上に延びる支持体と、支持体に機械的に結合された共振器とを備える。一実施形態では、センサデバイスは、共振器と電磁的に結合するように構成されたアンテナをさらに備え、アンテナは基板中の伝送線路に接続される。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板から上に延びる支持体と、
前記支持体に機械的に結合された共振器と、
前記共振器と電磁的に結合するように構成されたアンテナであって、前記アンテナが前記基板中の伝送線路に接続された、アンテナと
を備える、センサデバイス。
【請求項2】
前記共振器が、一対のタインを備えたヘアピン共振器である、請求項1に記載のセンサデバイス。
【請求項3】
前記共振器の共振周波数が約1GHzまたはそれよりも高い、請求項2に記載のセンサデバイス。
【請求項4】
前記共振器と前記基板との間の距離がプラズマのデバイ長よりも長い、請求項1に記載のセンサデバイス。
【請求項5】
前記アンテナが前記基板中に埋め込まれた、請求項1に記載のセンサデバイス。
【請求項6】
前記アンテナが前記基板の上方にあり、前記支持体に結合された、請求項1に記載のセンサデバイス。
【請求項7】
前記アンテナがらせんアンテナである、請求項1に記載のセンサデバイス。
【請求項8】
前記共振器がRF共振器である、請求項1に記載のセンサデバイス。
【請求項9】
前記支持体が前記基板に取外し可能に取り付けられた、請求項1に記載のセンサデバイス。
【請求項10】
前記センサデバイスが、外部デバイスと無線で通信するように構成された、請求項1に記載のセンサデバイス。
【請求項11】
プラズマを測定する方法であって、
複数の共振器をもつセンサ基板をチャンバ中に挿入することと、
前記チャンバ中の圧力を低減することと、
前記複数の共振器の第1の共振プロファイルを測定することと、
プラズマプロセスを開始することと、
前記複数の共振器の第2の共振プロファイルを測定することと、
前記第1の共振プロファイルを前記第2の共振プロファイルと比較することによってプラズマ特性を決定することと
を含む、方法。
【請求項12】
前記プラズマ特性が電子密度である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記プラズマ特性が電子温度である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記プラズマプロセスが、所望のパルス周波数と、圧力と、ガス組成と、電力と、RF周波数とを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記プラズマ特性が複数のチャンバ間のチャンバマッチングのために使用される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記プラズマ特性が、機械学習アルゴリズムまたは人工知能アルゴリズムにおいて使用するためのデータポイントとして記憶される、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
基板と、
前記基板から上に延びる複数の支持体と、
複数の共振器であって、前記複数の共振器の個々が前記複数の支持体の個々に結合された、複数の共振器と、
複数のアンテナであって、前記複数のアンテナの個々が、前記複数の共振器の個々と結合するように構成され、前記複数のアンテナが単一の伝送線路に接続された、複数のアンテナと
を備える、センサデバイス。
【請求項18】
前記複数の支持体が一様でない高さを有する、請求項17に記載のセンサデバイス。
【請求項19】
前記複数の共振器の個々の共振器が一対のタインを備え、前記一対のタインが一様でない長さまたは一様でない幅を有する、請求項17に記載のセンサデバイス。
【請求項20】
無線接続または有線接続を用いて前記単一の伝送線路を外部デバイスに通信可能に結合するための回路
をさらに備え、前記回路が、
パッシブRF回路要素および/またはアクティブRF回路要素
を備える、請求項17に記載のセンサデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年8月5日に出願された米国特許出願第17/395,351号の優先権を主張し、それの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施形態は、半導体処理の分野に関し、特に、処理チャンバ中でプラズマ特性を決定するための基板ベース共振器アレイに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体製造プロセスはしばしばプラズマ環境において実施される。たとえば、(たとえばプラズマ増強化学気相堆積(PE-CVD)、プラズマ増強原子層堆積(PE-ALD)、物理気相堆積(PVD)など)基板上に材料を堆積するために、プラズマ処理チャンバが使用される。さらに、プラズマ処理チャンバは、エッチングプロセスにおいて基板から材料を除去するために使用され得る。一般に、所与のプロセスを定量化するために使用される計測学はプロセスの最終結果に限定される。すなわち、計測学は、基板が(たとえば、エッチングプロセスまたは堆積プロセスにより)処理された後に、どのくらいの材料が(たとえば、堆積プロセスにおいて)追加されたか、または(たとえば、エッチングプロセスにおいて)除去されたかを決定するために使用される。
【0004】
現在、プラズマ自体は、発光分光法(optical emission spectroscopy)(OES)などのシステムを用いて監視することができる。OESは、たとえばプラズマ組成など、プラズマのいくつかの態様を決定するために使用することができる。しかしながら、OESは、電子密度、プラズマ(電子)温度、またはそのような特性における空間的差異など、プラズマの特性を考慮することができない点において限定される。
【0005】
プラズマ特性を決定するために、いくつかのプローブアーキテクチャが使用され得る。マイクロ波プローブプラズマ診断は、プローブが摂動させている放電に対して比較的大きいプローブ体積を提示する同軸伝送線路設計を採用する。したがって、プローブ自体が測定された特性を変化させることがあり、したがって、処理状態の正確な測定値は得られない。
【発明の概要】
【0006】
本明細書で開示する実施形態は、センサデバイスと、センサデバイスを使用する方法とを含む。一実施形態では、センサデバイスが、基板と、基板から上に延びる支持体と、支持体に機械的に結合された共振器とを備える。一実施形態では、センサデバイスは、共振器と電磁的に結合するように構成されたアンテナをさらに備え、アンテナは基板中の伝送線路に接続される。
【0007】
一実施形態では、センサデバイスを用いてプラズマを測定する方法が、複数の共振器をもつセンサ基板をチャンバ中に挿入することと、チャンバ中の圧力を低減することとを含む。一実施形態では、本方法は、複数の共振器の第1の共振プロファイルを測定することと、プラズマプロセスを開始することと、複数の共振器の第2の共振プロファイルを測定することとをさらに含む。一実施形態では、本方法は、第1の共振プロファイルを第2の共振プロファイルと比較することによって、プラズマ特性を決定することをさらに含む。
【0008】
追加の実施形態では、センサデバイスが、基板と、基板から上に延びる複数の支持体と、複数の共振器とを備え、複数の共振器の個々は複数の支持体個々に結合される。一実施形態では、センサデバイスは複数のアンテナをさらに備え得、複数のアンテナの個々は、複数の共振器の個々と結合するように構成され、複数のアンテナは単一の伝送線路に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態による、真空中およびプラズマ中の共振器の反射電圧対周波数のグラフである。
【
図2A】一実施形態による、支持体に取り付けられた共振器と、共振器の共振を駆動するためのアンテナとをもつ、センサデバイスの断面図である。
【
図2B】一実施形態による、らせんアンテナの上のヘアピン形状を示すセンサデバイスの平面図である。
【
図2C】一実施形態による、共振器を保持するための支持体の斜視図である。
【
図2D】一実施形態による、共振器中で共振を駆動するために使用され得るらせんアンテナの平面図である。
【
図2E】一実施形態による、基板の表面上に放射状に分配された複数のセンサデバイスをもつ基板の平面図である。
【
図3A】一実施形態による、基板の表面にわたってグリッド状に分配された複数のセンサデバイスをもつ基板の平面図である。
【
図3B】一実施形態による、異なる長さのタイン(tine)を有する共振器をもつ複数のセンサデバイスをもつ基板の平面図である。
【
図3C】一実施形態による、基板の上方に異なる高さにおいて共振器を支持するホルダーをもつ複数のセンサデバイスをもつ基板の断面図である。
【
図4】一実施形態による、コネクタを用いて基板に取外し可能に取り付けられたセンサデバイスの断面図である。
【
図5A】一実施形態による、無線構成を使用して基板上のセンサデバイスを駆動し、感知するための回路のブロック図である。
【
図5B】一実施形態による、有線構成を使用して基板上のセンサデバイスを駆動し、感知するための回路のブロック図である。
【
図5C】追加の実施形態による、有線構成を使用して基板上のセンサデバイスを駆動し、感知するための回路のブロック図である。
【
図5D】追加の実施形態による、有線構成を使用して基板上のセンサデバイスを駆動し、感知するための回路のブロック図である。
【
図6】一実施形態による、プラズマチャンバ中でプラズマパラメータを測定するための方法のプロセスフロー図である。
【
図7】本開示の一実施形態による、例示的なコンピュータシステムのブロック図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
処理チャンバ中でプラズマ特性を決定するための基板ベース共振器アレイについて本明細書で説明する。以下の説明では、本開示の実施形態の完全な理解を与えるために、多数の具体的な詳細が記載されている。本開示の実施形態はこれらの具体的な詳細なしに実施され得ることは当業者にとって明らかであろう。他の事例では、本開示の実施形態を不必要に不明瞭にしないために、よく知られている態様については詳細に説明しない。さらに、図に示された様々な実施形態は、例示的な表現であり、必ずしも一定の縮尺で描かれているとは限らないことを理解されたい。
【0011】
本明細書で開示する実施形態は、プラズマプロセス中に、リアルタイムで、プラズマパラメータを測定する能力を可能にする診断基板を含む。たとえば、プラズマパラメータは、限定はしないが、電子密度と電子温度とを含み得る。特に、プラズマパラメータは、プラズマ内に物理的に位置する(たとえば、基板の表面の上方に少なくともプラズマのデバイ長(Debye length)だけ上げられた)共振器の共振挙動の変化を検出することによって測定される。
【0012】
既存のプローブ技術とは対照的に、本明細書で開示する実施形態は、センサデバイスによってもたらされるより小さい摂動ボリュームを含む。さらに、測定のために必要とされる伝送線路長が短縮される。伝送線路長を短縮することにより、より広い範囲の状態の測定が可能になる。空間分解量の同時測定により、空間測定を行うためにプローブをプラズマ放電の異なる部分に移動しなければならない旧来のプローブ手法では存在しないシングルショット測定機能が得られる。
【0013】
次に
図1を参照すると、一実施形態による、センサデバイスの共振挙動のグラフが示されている。真空(すなわち、プラズマが生成されていない)において、共振挙動は狭いピークを有する。プラズマが開始された後に、ピークはシフトし、ピークは拡大する。真空挙動と比較されるピークシフトおよびピーク拡大は、プラズマ特性を計算するために使用することができる。たとえば、ピークがシフトすること(すなわち、共振周波数の変化)は電子密度と相関し得、ピークが拡大することは電子温度と相関し得る。電子密度とのピークシフト相関は、共振器によって検出される局所的な実誘電率の変更により起こる。プラズマは、電気エネルギーを蓄積する共振器の能力を低減する損失性の誘電性媒体として特徴づけることができるので、ピークの拡大は電子密度と電子温度の両方と相関する。
【0014】
プラズマ特性を検出するために、感知デバイスを下にある基板の表面の上方に上げる必要がある。一般に、共振器の高さを、少なくともプラズマのデバイ長だけ上げる必要がある。基板上に一体化され得るセンサデバイスの例示的なアーキテクチャが
図2Aに示されている。
【0015】
次に
図2Aを参照すると、一実施形態によるセンサデバイス200の断面図が示されている。一実施形態では、センサデバイス200は基板201上に設けられ得る。基板201は、半導体製造環境において一般的な任意の基板材料であり得る。特定の実施形態では、基板201は、プリント回路基板(PCB)または他の基板材料と同様に、有機パッケージ基板材料であり得る。一実施形態では、基板201のフォームファクタはウエハフォームファクタであり得る。しかし、他のフォームファクタも使用され得ることを諒解されたい。一実施形態では、グランドプレーン202が基板201中に設けられ得る。
【0016】
一実施形態では、センサデバイス200は支持体222を備え得る。支持体222は基板201の表面から垂直方向に上に延びる。支持体222はまた、共振器220を保持する。共振器220は支持体222によって基板201から電気的に絶縁される。すなわち、支持体222は有機材料など電気絶縁材料であり得る。いくつかの実施形態では、支持体222は基板201と同じ材料から製造され得る。他の実施形態では、支持体222は高耐熱性プラスチック(たとえば、テフロン)またはセラミック材料であり得る。支持体222は、共振器220を基板201の表面の上方に距離Dだけ上げ得る。距離Dは、少なくとも、調査されているプラズマのデバイ長であり得る。特定の実施形態では、距離Dは約25mmまたはそれより短くあり得る。いくつかの実施形態では、距離Dは約1mmと約25mmの間であり得る。
【0017】
一実施形態では、共振器220の長さ(すなわち、支持体222と共振器220の反対端部との間の距離)は、所望の共振周波数を与えるように選定され得る。たとえば、共振器220の長さがより短いセンサは、共振器220が比較的より長いセンサよりも高い共振周波数を有するように調整される。一実施形態では、共振器220の長さは約1mmと約40mmの間であり得る。一実施形態では、共振器220は導電性材料であり得る。たとえば、共振器220は銅線を含み得る。共振器220の線は、約1mmまたはそれより小さい直径を有し得る。特定の実施形態では、共振器220の線径は約0.5mmまたはそれより小さくあり得る。
【0018】
一実施形態では、センサデバイス200はアンテナ223をさらに備え得る。アンテナ223は、共振器220中で共振を駆動するために共振器220と無線で結合するように構成され得る。たとえば、アンテナ223は、共振器220と誘導結合されるように構成され得る。一実施形態では、アンテナ223は基板201内に埋め込まれ得る。アンテナ223を埋めることはアンテナを処理環境から保護する。無線結合を可能にするために、共振器220とアンテナ223との間に、上部グランドプレーン202を通る開口が設けられ得る。一実施形態では、信号トレース225がアンテナ223に結合され得る。さらに、アンテナ223はグランドプレーンに結合され得る。たとえば、トレース226がアンテナ223をグランドプレーン202に接続し得る。一実施形態では、アンテナ223は任意のアンテナアーキテクチャであり得る。特定の実施形態では、アンテナ223はらせんアンテナである。
【0019】
次に
図2Bを参照すると、一実施形態によるセンサデバイス200の平面図が示されている。一実施形態では、共振器220はヘアピン共振器220として示されている。すなわち、共振器220は、一対のタインをもつU字形共振器を備える。一実施形態では、タインは互いから幅Wだけ分離され得る。幅Wは約5mmまたはそれより小さくあり得る。特定の実施形態では、幅Wは約2mmと約4mmの間であり得る。
図2Bでは、共振器220は浮いているとして示されている。しかしながら、支持体がアンテナ223に近接して共振器220の端部を固定し得ることを諒解されたい。
【0020】
図示のように、アンテナ223はらせんアンテナである。アンテナ223は共振器220の下方に設けられる。図示の実施形態では、アンテナ223は基板201の上方にあるとして示されている。しかしながら、アンテナ223はまた、
図2Aにおいて上記で説明した実施形態と同様に、基板201内に埋め込まれ得ることを諒解されたい。
【0021】
次に
図2Cを参照すると、一実施形態による、共振器220を保持するための支持体222の斜視図が示されている。図示のように、支持体222は凹部233のペアを備え得る。凹部233は、共振器220のタインを保持するように構成される。図示のように、凹部233は、共振器のためのU字形ホルダーを形成するために互いに結合される。すなわち、凹部233は、共振器220の形状に一致するようにサイズ決定され、成形され得る。たとえば、凹部233は互いから約5mm以下だけ離間し得る。特定の実施形態では、凹部233は互いから約2mmと約4mmの間だけ離間し得る。一実施形態では、支持体222は、約1mmと約25mmの間である高さを有し得る。
【0022】
一実施形態では、支持体222は絶縁材料であり得る。いくつかの実施形態では、支持体222は基板201と同じ材料であり得る。他の実施形態では、支持体222はテフロンなど高耐熱性プラスチックである。また別の実施形態では、支持体222はセラミック材料である。一実施形態では、共振器220は凹部233中に配置され、共振器220は接着材料によって凹部233中に固定される。たとえば、エポキシなどが共振器を凹部233中に固定し得る。
【0023】
次に
図2Dを参照すると、一実施形態によるアンテナ223の平面図が示されている。図示のように、アンテナ223はらせんアンテナであり得る。らせんアンテナ223中に4つのリングが示されているが、らせんアンテナ223は任意の数のリングを備え得ることを諒解されたい。一実施形態では、らせんアンテナ223の第1の端部は信号トレース225に結合され、アンテナ223の第2の端部は、グランドプレーンのうちの1つに結合されたトレース226に結合される。アンテナ223は銅など導電性材料であり得る。平面アンテナ223が示されているが、実施形態はそのような構成に限定されないことを諒解されたい。たとえば、いくつかの実施形態では非平面アンテナ(たとえば、コイル)も使用され得る。
【0024】
次に
図2Eを参照すると、一実施形態によるセンサデバイス200の平面図が示されている。図示のように、複数のセンサが基板201の外周の周りに放射状に配置されている。たとえば、基板201は、
図2Eに示されているように、ウエハフォームファクタを有し得る。一実施形態では、共振器220の各々は、基板201の外周に近接した閉端部と、基板201の中心に向かって延びるタインとを有し得る。図示の実施形態では、簡単にするために、共振器220を保持するための支持体は省略されている。しかしながら、各共振器220は(たとえば、
図2Cに示されている支持体と同様に)支持体によって固定されることを諒解されたい。共振器220の各々にアンテナ223が誘導結合され得る。たとえば、アンテナ223は、共振器220の閉端部に向かってタイン内に位置し得る。図示の実施形態では、アンテナ223は基板201の上方にあるとして示されている。しかしながら、いくつかの実施形態では、アンテナ223は基板201内に埋め込まれ得ることを諒解されたい。アンテナ223を基板201内に埋め込むことはアンテナ223を処理環境から保護し得る。図示の実施形態では電気接続なしで示されているが、アンテナ223は信号線とグランドプレーンとに結合され得ることを諒解されたい。
【0025】
一実施形態では、共振器220は、プラズマ特性を検出するための任意の好適なフォームファクタを有し得る。たとえば、共振器220は長さLを有し得る。長さLは約1mmと約40mmの間であり得る。しかし、いくつかの実施形態では、長さLは、1mmよりも短いか、または40mmよりも長くあり得ることを諒解されたい。一実施形態では、共振器220のタインは幅Wだけ分離され得る。一実施形態では、幅Wは約5mm未満であり得る。たとえば、幅Wは約2mmと約4mmの間であり得る。しかし、いくつかの実施形態では、幅Wはまた、5mmよりも広いか、または2mmよりも狭くあり得ることを諒解されたい。共振器220の幾何形状は、共振器220において所望の共振周波数を設定するために使用され得る。共振周波数は、測定されているプラズマの周波数よりも高くあり得る。たとえば、共振周波数は、約1GHzまたはそれより高くあるように設定され得る。
【0026】
図示の実施形態では、共振器220はヘアピン共振器であるとして示されている。すなわち、共振器は、U字形共振器220を形成するように、1つの端部において互いに結合された一対のタインを有する。しかしながら、共振器220はヘアピン形の共振器220に限定されないことを諒解されたい。すなわち、共振器220は任意の好適なRF共振器であり得る。共振器220を保持するための支持体は、共振器220の構造に適応するように改変され得る。
【0027】
次に
図3Aを参照すると、一実施形態によるセンサデバイス300の平面図が示されている。図示のように、複数の共振器320が基板301の表面の上に設けられる。図示の実施形態では、図を不明瞭にしないためにアンテナおよび支持体が省略されている。しかしながら、各共振器320は、個々のアンテナに結合され、支持体によって支持され得ることを諒解されたい。図示のように、共振器320は基板301の表面にわたってグリッド状のパターンで設けられ得る。複数の共振器320の使用によりチャンバ内のプラズマ特性の空間マッピングが可能になる。特に、センサデバイス300が既知の向きでチャンバ中に挿入されると、センサデバイス300によりチャンバ内のプラズマ特性の正確なマッピングが可能になる。プラズママッピングの解像度は、より多くの共振器320を設けることによって高くなり得る。たとえば、共振器320の数は10個またはそれよりも多い共振器320であり得る。いくつかの実施形態では、センサデバイス300中に100個またはそれよりも多い共振器320があり得る。
【0028】
図3Aでは、共振器320の各々は実質的に均一なサイズおよび形状を有する。しかしながら、実施形態はそのような構成に限定されないことを諒解されたい。たとえば、
図3Bは、不均一な形状およびサイズをもつ共振器320を有するセンサデバイス300の図を与える。
【0029】
次に
図3Bを参照すると、複数の共振器320
A~320
nが基板301の上に設けられている。図示のように、共振器320
Aは、第1の長さをもつタインを有し、共振器320
nは、第1の長さよりも短い第2の長さをもつタインを有する。共振器320
Aと共振器320
nとの間の共振器320はまた、不均一な長さをもつタインを有し得る。共振器320のすべてを、異なる長さのタインを有するとして示すが、共振器320のうちのいくつかは同じ長さのタインを有し得ることを諒解されたい。たとえば、共振器320の第1のセットは、第1の長さをもつタインを有し得、共振器320の第2のセットは、第2の長さをもつタインを有し得る。
【0030】
複数の異なるサイズの共振器320の使用により、異なる周波数範囲に調整することが可能になる。すなわち、単一のセンサデバイス300が、複数の異なる共振周波数を検出することが可能であり得る。これにより、プラズマパラメータの測定可能な範囲を拡大することが可能になる。たとえば、比較的長いタインは、比較的短いタインよりも低い周波数に調整される。短いタインと長いタインの両方を含むことによって、プラズマ特性を決定するために複数の周波数を使用することができる。
【0031】
次に
図3Cを参照すると、追加の実施形態によるセンサデバイス300の断面図が示されている。図示のように、複数の支持体322
A~322
nが示されている。支持体322の各々は異なる高さHを有し得る。高さHの変化は共振器320に異なるスタンドオフ高さ(standoff height)を与えることができる。異なる高さHを与えることにより、放電内の異なるZ高さにおいてプラズマ特性を検出することが可能になる。したがって、プラズマについてのX-Y空間情報に加えて、異なるZ軸空間情報も検出され得る。
【0032】
図示のように、支持体322Aは第1の高さを有し、支持体322nは、第1の高さよりも低い第2の高さを有する。支持体322Aと支持体322nとの間の支持体322はまた、不均一な高さを有し得る。支持体322のすべてを異なる高さを有するとして示しているが、支持体322のいくつかは同じ高さを有し得ることを諒解されたい。たとえば、支持体322の第1のセットは第1の高さを有し得、支持体322の第2のセットは第2の高さを有し得る。一実施形態では、高さHは約1mmと約25mmの間であり得る。しかし、他の実施形態では、より低いまたはより高い高さHも使用され得ることを諒解されたい。
【0033】
次に
図4を参照すると、一実施形態によるセンサデバイス400の断面図が示されている。一実施形態では、センサデバイス400は基板401を備える。基板401中にグランドプレーン402が埋め込まれ得る。一実施形態では、基板401に支持体422がコネクタ441によって取り付けられ得る。コネクタ441は取外し可能なコネクタであり得る。すなわち、支持体422は、容易に取り付けられ、および/または基板401から容易に取り外され得る。機械的結合に加えて、コネクタ441はまた、支持体422と基板401中の伝送線路425との間の電気的結合を与え得る。たとえば、コネクタ441はMMCXコネクタなどを備え得る。
【0034】
一実施形態では、支持体422上にアンテナ423が設けられ得る。上記で説明した実施形態とは対照的に、アンテナ423は基板401の上方にある。支持体422上にアンテナ423を設けることにより、共振器420とアンテナ423との間の距離を支持体422の高さとは無関係に制御することが可能になる。したがって、アンテナ423と共振器420との間の高度の結合(たとえば、誘導結合)を達成することができる。一実施形態では、アンテナ423は、支持体422中の導電性トレースを通して、およびコネクタ441を通して伝送線路425に電気的に結合される。伝送線路425の接続が示されているが、支持体422とコネクタ441とを通してアンテナからグランドプレーンへの接続も与えられることを諒解されたい。
【0035】
取外し可能なコネクタの使用によりいくつかの利益が得られる。1つの利益は、センサデバイス400全体を解体する必要なしに、損傷した共振器420を取り外し、交換することができることである。さらに、共振器420を交換できることから、異なる共振周波数を検出するために、異なるフォームファクタ共振器を入れ替えることが可能になる。さらに、異なる高さの支持体422を使用して、プラズマ内の異なるZ高さにおいてプラズマ特性を測定することができる。一実施形態では、センサデバイスは、共振器中で共振を駆動し、感知するための回路を含み得る。無線および有線実施形態のための回路のブロック図の例が
図5A~
図5Dに開示されている。
【0036】
次に
図5Aを参照すると、一実施形態による、無線センサデバイス500のための回路が示されている。図示のように、複数の共振器(図示せず)にスイッチブロック561が結合され得る。スイッチブロック561はハイパスフィルタ562に結合され得、ハイパスフィルタ562はサーキュレータ563に結合される。サーキュレータにシンセサイザ564が結合され、シンセサイザ564にコントローラ565が結合される。コントローラ565はスイッチ561にも結合され得る。コントローラ565に電源566(たとえば、バッテリー)が結合され得る。一実施形態では、サーキュレータ563にダイオード567が結合され、ダイオード567にアナログデジタル変換器(ADC)568が結合される。ADC568に送信機569(たとえば、無線トランシーバ)が結合される。
【0037】
次に
図5Bを参照すると、一実施形態による、有線センサデバイス500のための回路が示されている。
図5Aの無線センサデバイス500と同様に、有線センサデバイス500は、スイッチ561と、ハイパスフィルタ562と、サーキュレータ563と、シンセサイザ564と、コントローラ565とを備え得る。コントローラ565に有線接続で電力信号および通信信号が与えられ得る。有線センサデバイス500はまた、ダイオード567とADC568とを備え得る。
【0038】
次に
図5Cを参照すると、追加の実施形態による、有線センサデバイス500のための回路が示されている。有線センサデバイス500は、基板からオフロードされるいくつかの回路を有し得る。たとえば、コントローラ565、シンセサイザ564、およびADC568は有線センサデバイス500からオフロードされ得る。したがって、有線センサデバイス500は、スイッチ561と、ハイパスフィルタ562と、サーキュレータ563と、ダイオード567とを備え得る。
【0039】
次に
図5Dを参照すると、また別の追加の実施形態による、有線センサデバイス500のための回路が示されている。
図5Dの有線センサデバイス500では、スイッチもデバイス500から省略されている。そのような実施形態は、異なる共振周波数を有する共振器の各々に依拠し得る。したがって、すべての共振器は周波数が異なるので、それらは同時に測定され得る。したがって、センサデバイス500上の残りの回路は、ハイパスフィルタ562と、サーキュレータ563と、ダイオード567とを含み得る。
【0040】
次に
図6を参照すると、一実施形態による、プラズマのプラズマパラメータを測定するためのプロセス680のプロセスフロー図が示されている。一実施形態では、プロセス680は、チャンバ中に、複数の共振器をもつセンサ基板を挿入することを含む工程681から開始し得る。センサ基板は、上記でより詳細に説明したセンサデバイスのいずれかと実質的に同様であり得る。たとえば、共振器は、支持体によって基板の上方に上げられたヘアピン共振器であり得る。ヘアピン共振器はアンテナによって共振に駆動され得る。共振器は、いくつかの実施形態では構造が実質的に均一であり得る。他の実施形態では、共振器は、異なる幾何形状を有し、および/またはセンサ基板の上方の異なるZ高さに配置され得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、チャンバ中のセンサ基板の向きも既知であり得る。したがって、チャンバ内のプラズマパラメータの正確な空間解像度を得ることができる。これにより、単一のチャンバの監視の改善が可能になり、および/または異なるチャンバ間のチャンバマッチングも可能になる。
【0042】
一実施形態では、プロセス680は、チャンバ中の圧力を低減することを含む工程682を継続し得る。一実施形態では、圧力は、約10トルを下回る圧力、約1トルを下回る圧力、または約100mトルを下回る圧力に低減され得る。圧力は、プラズマが当てられる際の圧力に実質的に一致するように選定され得る。
【0043】
一実施形態では、プロセス680は、複数の共振器の第1の共振プロファイルを測定することを含む工程683を継続し得る。一実施形態では、第1の共振プロファイルは、後続の共振プロファイルがそれと比較される基準点として使用され得る。工程682ではプラズマが存在しないので、第1の共振プロファイルは真空プロファイルと考えられ得る。
【0044】
一実施形態では、プロセス680は、チャンバ中でプラズマプロセスを開始することを含む工程684を継続し得る。プラズマプロセスは、1つまたは複数のソースガスの流れと、1つまたは複数のソースガスからのプラズマを当てることとを含み得る。一実施形態では、センサ基板の表面の上方の共振器の高さは、工程684中に形成されたプラズマのデバイ長よりも高くあり得る。
【0045】
一実施形態では、プロセス680は、複数の共振器の第2の共振プロファイルを測定すること685を含む工程685を継続し得る。第2の共振プロファイルは一般に第1の共振プロファイルとは異なる。たとえば、個々の共振器について、共振の周波数はシフトし、ピークの幅は大きくなる。
【0046】
一実施形態では、プロセス680は、第1の共振プロファイルを第2の共振プロファイルと比較することによってプラズマ特性を決定することを含む工程686を継続し得る。たとえば、電子密度を決定するためには、第1の共振プロファイルと第2の共振プロファイルとの間の所与の共振器の周波数のシフトが使用され得る。電子温度を決定するためには、共振ピークの拡大が使用され得る。
【0047】
センサ基板の絶対位置が既知であるとき、共振プロファイルは、チャンバ内のプラズマプロセスの正確なマッピングを与えるために使用され得る。さらに、異なるチャンバ間のチャンバマッチングも実施することができる。いくつかの実施形態では、プラズマパラメータ情報は、チャンバ中でプロセスを制御するために使用される人工知能(AI)アルゴリズムおよび/または機械学習(MI)アルゴリズムへの入力として使用され得る。
【0048】
図7は、本明細書で説明する方法論のうちのいずれか1つまたは複数を機械に実行させるための命令のセットがその中で実行され得る、コンピュータシステム700の例示的な形態の機械の図式表現を示す。代替実施形態では、機械は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、またはインターネットにおける他の機械に接続(たとえば、ネットワーク化)され得る。機械は、クライアントサーバネットワーク環境ではサーバまたはクライアントマシンとして、あるいはピアツーピア(または分散型)ネットワーク環境ではピアマシンとして動作し得る。機械は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、セルラー電話、ウェブアプライアンス、サーバ、ネットワークルータ、スイッチまたはブリッジ、あるいはその機械によって取られるべき行為を指定する命令のセット(連続したまたはそれ以外)を実行することが可能な任意のマシンであり得る。さらに、単一のマシンのみが示されているが、「マシン」という用語はまた、本明細書で説明する方法論のうちのいずれか1つまたは複数を実行するための命令のセット(または複数のセット)を個々にまたは一緒に実行するマシンの任意の集合(たとえば、コンピュータ)を含むように取られるものとする。
【0049】
例示的なコンピュータシステム700は、バス730を介して互いに通信する、プロセッサ702と、メインメモリ704(たとえば、読取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、同期DRAM(SDRAM)またはRambus DRAM(RDRAM)などのダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)など)と、スタティックメモリ706(たとえば、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、MRAMなど)と、2次メモリ718(たとえば、データ記憶デバイス)とを含む。
【0050】
プロセッサ702は、マイクロプロセッサ、中央処理ユニットなどのような、1つまたは複数の汎用処理デバイスを表す。より詳細には、プロセッサ702は、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実施するプロセッサ、または命令セットの組合せを実施するプロセッサであり得る。プロセッサ702はまた、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなどのような、1つまたは複数の専用処理デバイスであり得る。プロセッサ702は、本明細書で説明する工程を実行するための処理ロジック726を実行するように構成される。
【0051】
コンピュータシステム700はネットワークインターフェースデバイス708をさらに含み得る。コンピュータシステム700はまた、ビデオディスプレイユニット710(たとえば、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオードディスプレイ(LED)、または陰極線管(CRT))、英数字入力デバイス712(たとえば、キーボード)、カーソル制御デバイス714(たとえば、マウス)、信号生成デバイス716(たとえば、スピーカー)を含み得る。
【0052】
2次メモリ718は、本明細書で説明する方法論または機能のうちのいずれか1つまたは複数を実施する命令の1つまたは複数のセット(たとえば、ソフトウェア722)がそこに記憶される、機械アクセス可能な記憶媒体(またはより詳細にはコンピュータ可読記憶媒体)732を含み得る。ソフトウェア722はまた、コンピュータシステム700によるそれの実行中に、メインメモリ704内および/またはプロセッサ702内に完全にまたは少なくとも部分的に常駐し得、メインメモリ704およびプロセッサ702も機械可読記憶媒体を構成する。ソフトウェア722はさらに、ネットワークインターフェースデバイス708を介してネットワーク720で送信または受信され得る。
【0053】
例示的な実施形態において、機械アクセス可能な記憶媒体732は単一の媒体であるように示されているが、「機械可読記憶媒体」という用語は、命令の1つまたは複数のセットを記憶する単一の媒体または複数の媒体(たとえば、集中または分散データベース、ならびに/あるいは関連付けられたキャッシュおよびサーバ)を含むように取られるべきである。「機械可読記憶媒体」という用語は、機械による実行のために命令のセットを記憶またはエンコードすることが可能であり、本開示の方法論のうちのいずれか1つまたは複数を機械に実行させる、任意の媒体を含むように取られるものとする。「機械可読記憶媒体」という用語は、したがって、限定はしないが、固体メモリ、ならびに光媒体および磁気媒体を含むように取られるものとする。
【0054】
本開示の一実施形態によれば、機械アクセス可能な記憶媒体には、共振器をもつ診断基板を使用してプラズマチャンバ中でプラズマパラメータを測定する方法をデータ処理システムに実行させる命令が記憶されている。
【0055】
このようにして、プラズマパラメータを測定するための方法を開示した。
【国際調査報告】