(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-14
(54)【発明の名称】粒子ビームを用いてサンプルを分析および/または処理するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
H01J 37/30 20060101AFI20240806BHJP
H01J 37/09 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H01J37/30
H01J37/09 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508037
(86)(22)【出願日】2022-08-11
(85)【翻訳文提出日】2024-04-08
(86)【国際出願番号】 EP2022072537
(87)【国際公開番号】W WO2023017117
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】102021120913.7
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】リノウ ダニエル
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA03
5C101AA31
5C101AA36
5C101BB03
5C101BB06
5C101BB08
5C101CC17
5C101EE22
5C101EE72
5C101EE75
5C101FF19
5C101FF22
5C101FF25
5C101FF26
5C101FF50
5C101GG04
5C101GG05
5C101GG18
5C101LL04
5C101LL05
(57)【要約】
提案されるものは、粒子ビーム(114)を用いてサンプル(10)を分析および/または処理するための装置(100、400)であって、粒子ビーム(114)を提供するための提供ユニット(110)と、提供ユニット(110)に取り付けられた試験構造(200)とを備え、装置(100、400)は、粒子ビーム(114)を使用して、試験構造(200)上にエッチングプロセスおよび/または堆積プロセスを実施するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子ビーム(114)を用いてサンプル(10)を分析および/または処理するための装置(100、400)であって、
前記粒子ビーム(114)を提供するための提供ユニット(110)と、
前記提供ユニット(110)に取り付けられた試験構造(200)とを備え、
前記装置(100、400)は、前記粒子ビーム(114)を使用して、前記試験構造(200)上にエッチングプロセスおよび/または堆積プロセスを実施するように構成される、
装置(100、400)。
【請求項2】
前記粒子ビーム(114)の、前記エッチングプロセスおよび/または堆積プロセスが実施される前記試験構造(200)との相互作用に応じて、前記装置(100)の少なくとも1つの現在の動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータを決定するための決定ユニット(150)をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記試験構造(200)は、前記提供ユニット(110)によって画定される内部容積(111)の内部に配置される、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
電子顕微鏡をさらに備え、前記試験構造(200)は、前記電子顕微鏡の被写界深度内に配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記エッチングプロセスおよび/または前記堆積プロセスが実施された前記試験構造(200)を備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記粒子ビーム(114)を使用して前記試験構造(200)上に前記エッチングプロセスおよび/または前記堆積プロセスを実施するために、プロセスガスを前記試験構造(200)に供給するためのプロセスガス供給ユニット(170)をさらに備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記提供ユニット(110)は、前記粒子ビーム(114)が前記サンプル(10)まで通過するための開口部(116)を有し、前記試験構造(200)は、前記開口部(116)の内部に、または前記開口部(116)に隣接して配置される、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
電気的および/または磁気的シールドのためのシールド要素(130)をさらに備え、前記シールド要素(130)は、前記粒子ビーム(114)が前記サンプル(10)まで通過するための貫通開口部(132)を有し、前記シールド要素(132)、および/または、前記シールド要素(132)を保持するための保持要素(120)は、前記試験構造(200)を備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記粒子ビーム(114)が前記試験構造(200)に入射するように、前記粒子ビーム(114)および前記試験構造(200)を相互に整列させるための整列ユニット(140)をさらに備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの決定された動作パラメータは、前記提供ユニット(110)のテレセントリック性を備える、請求項1~9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記試験構造(200)が機械的に振動(W)するように誘起させるための励振器ユニット(160)と、
少なくとも前記試験構造(200)の振動特性(A(f)、φ(f))を検出するための検出ユニット(162)と、
検出された前記振動特性(A(f)、φ(f))に応じて、前記装置(100)の少なくとも1つの現在の動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータを決定するための決定ユニット(150)とを備える、請求項1~10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記試験構造(200)は、カンチレバー(208)上に形成される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記検出ユニット(162)は、レーザ(163)を用いて前記振動特性(A(f)、φ(f))を検出するように設定される、請求項11または12に記載の装置。
【請求項14】
前記サンプル(10)にプロセスガス(PG)を供給するためのプロセスガス供給ユニット(170)をさらに備え、前記決定ユニット(150)は、検出された前記振動特性(A(f)、φ(f))に応じて、前記プロセスガス(PG)に存在する種の少なくとも1つの分圧および/または少なくとも1つのガス濃度を決定するように設定される、請求項11~13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の装置(100、400)と、サンプル(10)とを備える、システム(1)。
【請求項16】
前記装置(100)は、前記粒子ビーム(114)を使用して前記サンプル(10)上にエッチングプロセスおよび/または堆積プロセスを実施するように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記試験構造(200)の少なくとも一部と、前記サンプル(10)の少なくとも一部とは、同一の材料組成を有する、請求項15または16に記載のシステム。
【請求項18】
粒子ビーム(114)を用いてサンプル(10)を分析および/または処理するための試験構造(200)を装置(100、400)内に提供するための方法であって、前記装置(100、400)は、
前記粒子ビーム(114)を提供するように構成された提供ユニット(110)と、
前記提供ユニット(110)に取り付けられた前記試験構造(200)とを備え、前記方法は、
前記粒子ビーム(114)を使用して、前記試験構造(200)上にエッチングプロセスおよび/または堆積プロセスを実施することを含む、
方法。
【請求項19】
前記装置(100、400)を使用して粒子ビーム(114)を用いてサンプル(10)を分析および/または処理するための方法であって、
請求項18に記載の方法を実行することと、
前記粒子ビーム(114)の、前記試験構造(200)との相互作用を検出すること(S13)と、
検出された前記相互作用に応じて、前記装置(100、400)の少なくとも1つの現在の動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータを決定すること(S14)と、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子ビームを用いてサンプルを分析および/または処理するための装置および対応する方法に関する。
【0002】
2021年8月11日に出願された優先権出願DE102021120913の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
マイクロリソグラフィは、たとえば集積回路である微細構造コンポーネントを生成するために使用される。マイクロリソグラフィプロセス(microlithography process)は、照明システムおよび投影システムを有するリソグラフィ装置を使用して実行される。照明システムによって照明されたマスク(レチクル)の像は、この場合、マスク構造を基板の感光性コーティングに転写するために、感光層(フォトレジスト)でコーティングされ、投影システムの像面に配置された、たとえばシリコンウェハである基板に、投影システムによって投影される。
【0004】
この場合、マスクまたはリソグラフィマスクは、多くの露光のために使用されるため、前記マスクに欠陥がないことが非常に重要である。したがって、リソグラフィマスクの欠陥を検査し、特定された欠陥を修復するために、相応の多大な努力が払われる。リソグラフィマスクの欠陥は、数ナノメートルの範囲で桁違いに大きくなることがある。そのような欠陥を修復するには、修復プロセスのために、非常に高い空間解像度を提供する装置が必要となる。
【0005】
この目的のために適した装置は、粒子ビーム誘起プロセス(particle beam-induced processes)に基づいて、局所的なエッチングまたは堆積プロセスを活性化する。
【0006】
EP1587128は、化学プロセスを開始するために、荷電粒子ビーム、特に電子顕微鏡の電子ビームを使用するそのような1つの装置を開示する。荷電粒子を使用すると、サンプルの導電性がないか、導電性が低い場合にサンプルの帯電が発生する可能性がある。これにより、ビーム偏向が制御されなくなる可能性があり、達成可能なプロセス解像度を制限する。したがって、処理位置の非常に近くにシールド要素を配置し、それによってサンプルの帯電を最小限に抑え、プロセスの解像度および制御を改善することが提案されている。
【0007】
DE10208043は、ガスからの材料堆積、たとえば化学蒸着(CVD)、または供給される反応ガスによる材料除去による材料処理方法において使用可能な材料処理システムを開示している。この場合、特に、材料の堆積または材料の除去をもたらすガス反応は、処理されるワークピースの領域に向けられたエネルギビームによって開始される。
【0008】
DE102019200696は、フォトマスク上の要素の位置を決定するためのデバイスを開示する。マーカ550、850および950が使用される。
【0009】
この種のプロセスを正確に実施できるようにするためには、装置の多種多様な異なる動作パラメータ(operating parameters)を高度に制御する必要がある。これまで、ビーム分析や材料コントラストの分析の方法、あるいは、たとえばプロセスの開始時におけるエッチングプロセスまたは堆積プロセス(deposition processes)などの粒子ビーム誘起プロセスの分析の方法では、様々なサンプルを装置に装荷する必要があった。この場合、毎回装置の動作を中断する必要があり、たとえば、プロセス雰囲気が破壊されるため、名目上は装置の動作パラメータが同じであっても、後続のプロセスにおいて動作に差異が生じ得る。これは、たとえば粒子ビーム(particle beam)のコリメート、検出器の動作パラメータ、プロセスガスのバルブ設定などに関連する。それに加えて、これまでプロセス雰囲気の実際の組成を確認することは、複雑な方式で時間遅延を伴ってのみ可能であり、これは、プロセスの監視を困難にする。
【0010】
したがって、この目的のために、装置の動作を中断することなく、特に、プロセス雰囲気を維持して、分析および/またはプロセス動作を実行するための重要な動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータを、その場で決定および/または制御することが望ましい。
【発明の概要】
【0011】
この背景に対して、本発明の目的は、粒子ビームを用いてサンプルを分析および/または処理するための改良された装置、および対応する方法を提供することである。
【0012】
第1の態様によれば、粒子ビームを用いてサンプルを分析および/または処理するための装置が提案される。この装置は、
粒子ビームを提供するための提供ユニット(providing unit)と、
電気的および/または磁気的シールドのためのシールド要素(shielding element)とを備え、
シールド要素は、粒子ビームがサンプルまで通過するための貫通開口部(through opening)を有し、シールド要素、および/または、シールド要素を保持するための保持要素(holding element)は、少なくとも1つの試験構造(test structure)を有し、
この装置はさらに、
粒子ビームが試験構造に入射できるように、粒子ビーム、シールド要素、および/または保持要素を整列させるための整列ユニット(aligning unit)と、
粒子ビームが試験構造に入射するときに、粒子ビームの、試験構造との相互作用に依存する装置の少なくとも1つの現在の動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータを決定するための決定ユニットとを備える。
【0013】
この装置は、少なくとも1つの現在の動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータを、その場で決定できるという利点を有する。これは、装置にすでに導入されているサンプルに対する計画された分析および/またはプロセス動作の現在の動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータが、まず、試験構造を使用して確認でき、その後、分析および/またはプロセス動作が、決定された現在の動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータに基づいて実施できることを意味する。これは、特にサンプルがすでに導入されており、したがって、決定中およびその後の分析または処理中に、プロセス雰囲気が継続的に維持されるという点で、既存の装置とは異なる。したがって、その場でのプロセス制御の可能性が生まれる。特に、このようにして、分析および/または処理を開始する前に、まずそれぞれの動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータを最適に設定または調整することが可能である。
【0014】
サンプルは、たとえば、10nm~10μmの範囲の特徴サイズを有するリソグラフィマスクである。これは、たとえば、DUVリソグラフィ(DUV:「深紫外線」、30~250nmの範囲の動作光波長)用の透過型リソグラフィマスク(transmissive lithography mask)、または、EUVリソグラフィ(EUV:「極紫外線」、1~30nmの範囲の動作光波長)用の反射型リソグラフィマスク(reflective lithography mask)であり得る。この場合に実行される処理プロセスは、たとえば、材料がサンプルの表面から局所的に除去されるエッチングプロセス、材料がサンプルの表面に局所的に加えられる堆積プロセス、および/または、パッシベーション層の形成や層の圧縮など、局所的に活性化される同様のプロセスを備える。
【0015】
粒子ビームは、特に、たとえばイオン、電子、または陽電子などの荷電粒子である。したがって、提供ユニットは、たとえば、イオン源または電子源を備えるビーム発生ユニットを有する。荷電粒子からなる粒子ビームは、電場および磁場によって影響を受けることができ、すなわち、たとえば、加速され、方向付けられ、成形され、および/または集束されることができる。この目的のために、提供ユニットは、対応する電場および/または磁場を発生させるように構成された多数の要素を有することができる。前記要素は、特にビーム発生ユニットとシールド要素との間に配置される。粒子ビームは、現在の動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータを決定するために、試験構造上に集束されることが好ましい。これは、たとえば、粒子ビームが試験構造に当たるときに所定の直径、特に最小直径を有することを意味すると理解される。提供ユニットは、前述された要素が内部に配置された専用の筐体を備えていることが好ましく、筐体は、たとえば10-6~10-8ミリバールの残留ガス圧力(residual gas pressure)に保たれる真空筐体として具現化されることが好ましい。
【0016】
シールド要素は、保持要素によって保持され得る。シールド要素は、たとえば保持要素によって、粒子ビームが処理位置のサンプル上に導かれる提供ユニットの開口部またはその上に配置され、特に、ビーム方向における装置のサンプルステージに、提供ユニットの最も近い構成要素を形成する。保持要素とシールド要素との間の接続は、たとえば、溶接、クランプ、および/または接着によって達成できる。保持要素およびシールド要素は、ワンパーツまたはワンピース設計であり得る。「ワンパーツ(one-part)」とは、保持要素とシールド要素とが組み合わされて、1つのユニットを形成することを意味する。これは、フォースロック(force-locking)、フォームフィット(form-fitting)、および/または凝集方式で達成できる。フォースロック接続は、互いに接続される表面に、垂直力がかかることを前提とする。フォースフィット接続は、摩擦係合により得られる。静止摩擦によってもたらされる反力を超えない限り、面の相互の変位は阻止される。フォースロック接続は、磁気フォースロック係合として存在することもできる。インタロック接続は、少なくとも2つの接続パートナが、一方が他方の内側に、または一方が他方の背後に係合することによって得られる。凝集接続では、接続パートナは、原子または分子の力によって、ともに保持される。凝集接続は、接続手段の破壊によってのみ分離できる解放不可能な接続である。凝集性により、接着、はんだ付け、または溶接などによる接続が可能になる。本文脈における「ワンピース(one-piece)」が意味するものは、保持要素およびシールド要素が、たとえば鋳造または押出などの一次成形プロセスにおいて同一の材料から生成されていることである。
【0017】
保持要素は、提供ユニット上またはその真空筐体上にシールド要素を固定する固定手段の形態をとり得る。
【0018】
保持要素は、たとえば、部分的または全体的にニッケル銀から生成されている。シールド要素は、たとえば、部分的または全体的にニッケルから生成されている。
【0019】
実施形態では、保持要素およびシールド要素は、1つの構成要素の形態、特にモノリシック形態をとる。これは、特殊な生成方法、特にLIGA加工方法(LIGA:独語のLithographie,Galvanik und Abformung[リソグラフィ、電気めっき、および成形]の略語)によって可能である。
【0020】
この装置は、たとえば走査型電子顕微鏡である。高解像度を達成するために、電子ビームは、特に電子エネルギ、サンプルに衝突するときのビーム直径(以下、焦点と呼ぶ)、および、衝突点(impingement point)の時間的安定性に関して非常に正確に制御される必要がある。特に、非導電性またはわずかに導電性の材料で構成された断面を有するサンプルの場合、荷電粒子の入射(incidence)によりサンプル上に電荷が蓄積され、これが、電場を形成する。粒子ビームの粒子だけでなく、たとえば像を発生させるために検出される二次電子や後方散乱電子(backscattered electrons)も電場の影響を受け、これは、たとえば、解像度の低下を引き起こす可能性がある。
【0021】
電気シールド要素は、サンプル上に蓄積された電荷によって発生される電場をシールドするためのシールド要素であり得る。たとえば、シールド要素は、前記電荷の電場をシールドする、すなわち、特にシールド要素とサンプルとの間の可能な最小のギャップまで前記電場を空間的に区切る役割を果たす。この目的のために、シールド要素は、導電性材料を備える。例として、シールド要素に衝突する電荷が散逸されるように、シールド要素は接地される。他の実施形態では、シールド要素は、磁場をシールドする。それに加えて、電場および/または磁場が、サンプルによって(特に、サンプル上に蓄積された電荷によって)生成されない(または、排他的に生成されない)場合もあり得る。電場および/または磁場は、装置内、特に提供ユニット内(たとえば電子ビームカラム内)で発生することもあり、あるいは他の場所に位置することもある。
【0022】
シールド要素自体は、2次元形状であることが好ましい。表面は、サンプルステージの方向に凸状断面を有する3次元形状を形成し得る。凸状断面は、サンプルステージに最も近い断面を形成することが好ましく、すなわち、サンプルステージまたはサンプルとシールド要素との間の距離は、凸状断面の領域において最小である。凸状断面では、シールド要素は貫通開口部を有し、粒子ビームは、貫通開口部を通過してサンプルに入射する。粒子ビームが到来するシールド要素上の空間領域では、サンプル上にある電荷の電場が、シールド要素によって効果的にシールドされる。シールド要素はさらに、貫通開口部を有することができ、1つまたは複数の貫通開口部を、シールド要素の凸状断面の外側に配置できることにも留意されたい。ここで「凸状」という用語は、ビーム源の観点から理解されるべきであることに留意されたい。サンプルまたはサンプルステージの観点からは、凸状断面は、凹状断面であるとも考えられ得る。シールド要素は、凸状断面とは別に、凹状断面をも備え得る。凸状断面は、サンプルステージに向かう方向におけるシールド要素の膨張(swelling)または隆起(bulge)とも称され得る。
【0023】
例として、シールド要素の凸状断面は、粒子ビームを用いたサンプルの分析または処理中、サンプルからの距離が最大100μm、好ましくは最大50μm、好ましくは最大25μm、より好ましくは最大10μmである。この距離が小さいほど、電気干渉場が、粒子ビームに与える影響は少なくなる。
【0024】
その結果、粒子ビームは、サンプルの分析および/または処理中に非常に正確に制御でき、ランダムおよび/または制御不能な干渉の影響を受ける可能性はより低い。したがって、走査型電子顕微鏡などにおける像取得中と、粒子ビーム誘起エッチングまたは堆積プロセス、イオン注入、および/または、さらなる構造変化プロセスなど、粒子ビームを用いて実行される処理方法中との両方で、非常に高い解像度が可能である。
【0025】
提供ユニットは、たとえば、10eV~10keVの範囲のエネルギと、1μA~1pAの範囲の電流とを有する電子ビームを供給できる電子カラムである。提供ユニットは、あるいは、イオンビームを提供するイオン源であり得る。サンプルの分析および/または処理中、粒子ビームは、たとえば、1nm~100nmの範囲の直径を有する照射領域を達成して、サンプルの表面上に集束されることが好ましい。
【0026】
シールド要素を保持するための保持要素は、好ましくは、導電性であり、シールド要素と同じ電位を有する。したがって、保持要素も、電場をシールドするように設定される。保持要素は、シールド要素の機械的固定の形態をとり得る。好ましい実施形態では、保持要素は、シールド要素とともに、たとえば、保持要素を、提供ユニットの筐体に、適切なベアリングによって固定することによって、サンプルに対して、および/または、提供ユニットに対して(特に、整列ユニットによって)移動可能であるように設計される。この場合、保持要素の位置を確立するために、アクチュエータが設けられ得る。代替的または追加的に、シールド要素は、保持要素によって移動可能な方式で保持され得る。したがって、粒子ビームが試験構造に入射できるように、粒子ビーム、シールド要素、および/または保持要素を整列させるように整列ユニットが設定されるという点で、最初にいくつかの例が説明される。
【0027】
保持要素および/またはシールド要素は、動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータを決定できる試験構造を有する。試験構造は、特に、決定される動作パラメータまたはプロセスパラメータに応じて形成される。これは、試験構造が、決定されるそれぞれの動作パラメータまたはプロセスパラメータに対して、適切に適合および形成されていることを意味する。特に、試験構造は、決定されるべき異なる動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータに対して、異なるように形成された領域を有し得る。代替的または追加的に、シールド要素および保持要素の両方に配置された、複数の異なる試験構造を提供することが可能である。たとえば、試験構造は、電子顕微鏡の解像度を確認するための特定の空間解像度を有する構造を備え得る。
【0028】
この場合、試験構造は、特に、提供ユニットに面する保持要素および/またはシールド要素の一方の側に配置される。
【0029】
整列ユニットは、機械的にアクティブなユニットと、電気的および/または磁気的にアクティブなユニットとの両方を備え得る。機械的にアクティブなユニットは、たとえば、粒子ビームが、シールド要素の開口部を通過するのではなく、試験構造と衝突して相互作用するように、保持要素および/またはシールド要素を移動させるように設定される。電気的および/または磁気的に有効なユニットは、たとえば、粒子ビームが、シールド要素の開口部を通過するのではなく、試験構造と衝突するように、提供ユニットの偏向ユニットの動作パラメータが適切に調整されるという点で、粒子ビームを偏向するように設定される。
【0030】
本文脈における動作パラメータは、特定の接合点において有効な装置の設定を意味するものと特に理解され、プロセスパラメータは、特に、プロセスの実施によって決定できるパラメータを意味すると理解される。
【0031】
提案された装置で決定できる動作パラメータは、提供ユニットの設定、特に、電流や、加速電圧、および/または、電子カラムの場合のビームガイドおよびビーム形成要素のそれぞれの電圧や、二次電子検出器および/または後方散乱電子検出器のような検出器の設定や、特に、供給される1つまたは複数のプロセスガスの分圧などのプロセス雰囲気の組成を含む。
【0032】
提案された装置で決定できるプロセスパラメータは、エッチングプロセスの現在のエッチング速度(etch rate)、および/または、堆積プロセスの現在の堆積速度、エッチングプロセスおよび/または堆積プロセスの空間解像度などを含む。
【0033】
実施形態において、装置は、内部に真空を提供するための真空筐体を備え、少なくとも保持要素およびシールド要素が真空筐体内に配置される。
【0034】
装置の1つの実施形態では、試験構造は、空間周波数1/μm~1000/μmの空間解像度を有する構造を有する。
【0035】
この構造は、たとえば、交互する配置における2つの異なる材料によって提供され得る。粒子ビームが、電子ビームの形態をとる場合、この目的のために適した材料は、特に原子番号の差が最大である材料である。
【0036】
この構造はまた、たとえば、非常に狭い遷移領域を有する線および高さに配置されたトレンチ(trenches)を備える地形構造(topographic structure)を備え得る。
【0037】
この構造はまた、相互に離散的な縁を有する材料の配置を備え得、これにより、二次電子像のコントラストの急峻な変化がもたらされ、これに基づいて、ビームパラメータを決定することができる。
【0038】
この構造は、おのおのが異なる空間解像度を有する複数の領域を有することが好ましい。
【0039】
この試験構造を使用すると、たとえば、特定の最小解像度を達成するように、提供ユニットおよび/または粒子ビームの較正を行うことが可能であり、これにより、最小解像度に対応する最小サイズを有するサンプルにおける特徴が、分析および/またはプロセス動作で確実に決定できることを保証できる。
【0040】
試験構造は、特に、たとえば、粒子ビーム誘起堆積および/またはエッチングプロセスによって、その場で生成され得る。
【0041】
装置のさらなる実施形態では、試験構造は、特定の材料コントラストを提供するために、少なくとも1つの特定の第1の材料と、第1の材料以外の特定の第2の材料とを含む。
【0042】
そのようにして提供される特定の材料コントラストに基づいて、二次電子検出器および/または後方散乱電子検出器の較正を実施することが特に可能である。これにより、分析および/またはプロセス動作において、最適に設定されたコントラストでサンプル上の特徴(features)を確実に判定できるようになる。
【0043】
特定の材料コントラストは、より具体的には、第1の材料と第2の材料との原子番号の特定の違いに関する。この場合、特定の第1の元素は、特定の第1の原子番号を有し、特定の第2の元素は、対応して選択され、互いに異なる、特定の第2の原子番号を有する。
【0044】
装置のさらなる実施形態では、装置は、後方散乱電子および/または二次電子を検出するための検出器を含み、特定の第1の材料および特定の第2の材料は、特定の材料コントラストによって、後方散乱電子および/または二次電子を検出するように検出器を較正できるように選択される。
【0045】
試験構造は、サンプル上に存在するものと同じ材料を備えることが好ましい。これは、サンプル自体を構成する材料と、サンプル上に不純物の形態で存在する可能性があることが知られている材料との両方を包含する。したがって、サンプルの分析および/または処理中に同様に存在する同じ材料コントラストを提供することが可能であり、これは、サンプル構造および/またはサンプル上の欠陥部位の検出、および/または、サンプル上で実施されるプロセスのプロセス制御を改善する。
【0046】
装置のさらなる実施形態では、試験構造は、エッチングプロセスおよび/または堆積プロセスの実施のための所定の領域を有する。
【0047】
所定の領域は、特に、エッチングプロセスおよび/または堆積プロセスのプロセスパラメータの試験および/または調整に適した特定の材料からなる。
【0048】
たとえば、透過型フォトマスクの場合には、クロム、モリブデンシリコン、および/または窒化シリコンが、吸収層(absorbing layer)の構造化のために使用され、反射型フォトマスクの場合には、タンタル、および/または窒化タンタルが使用される。そのようなフォトマスクにおける欠陥を、制御された方式で修復するために、たとえば、粒子ビーム誘起エッチングプロセスで達成できる余分な材料が除去される。したがって、所定の領域に適した材料は、クロム、および/またはモリブデンシリコン、および/または窒化シリコン、および/またはタンタル、および/または窒化タンタルである。所定の領域は、おのおのが異なる材料を備える複数の断面から構成され得ることに留意されたい。
【0049】
所定の領域を有する試験構造はまた、たとえば、粒子ビームが試験構造上の複数の部位で試験構造上に照射されるという点で、粒子ビームの局所的な強度に応じて、試験構造に局所的な変化が生じるように、粒子ビームのビームプロファイル、および/またはビーム品質を決定するように設定され得る。変化した領域のサイズ測定または分析により、粒子ビームのビームプロファイルに関する情報を決定することが可能である。このようにして、たとえば、粒子ビームが、好ましいビームプロファイル、および/または好ましい焦点を有するか否かを確認することが可能である。変化した領域は、好ましくは、試験構造または変化した領域の顕微鏡結像によって、特に電子顕微鏡写真によって分析される。たとえば、クレータ(crater)(エッチングプロセスの場合)、または盛り上がり(堆積プロセスの場合)の直径および外観を使用して、粒子ビーム内のビーム直径、および/または、ビーム形状、および/または、強度分布を決定することが可能である。たとえば、これは、異なる位置のおのおのに、粒子ビームの異なる焦点位置を設定することによって、試験構造内の複数の位置で達成できる。したがって、複数の断面平面のビームプロファイルを決定することが可能であり、これにより、特にビームプロファイルが、意図された外観を有していない場合に考えられる原因に関して、追加の結論が得られる。
【0050】
装置のさらなる実施形態では、エッチングプロセス、および/または堆積プロセスの実施のための所定の領域は、サンプルと同一の材料組成を有する。
【0051】
この実施形態では、サンプルが分析、および/または処理される所定のプロセスパラメータにつながる動作パラメータは、事前に、すなわちサンプルの分析、および/または処理の開始前に、試験構造から有利に決定することができる。その後、サンプルの分析、および/または処理を、全く同じ条件下で、特に同じプロセス雰囲気で行うことができるので、分析および/または処理を、特に正確かつ信頼性の高い方式で行うことができる。これにより、処理期間の短縮と、不合格品サンプルのレベルの低減との両方が可能となる。それに加えて、所定のプロセスパラメータが達成されるように、複数のプロセスおよび/またはサンプルにわたって、動作パラメータを、それぞれの場合に正確に調整することが可能である。これは、同じ動作パラメータが常に同じプロセスパラメータにつながると仮定するのではなく、複数のプロセスおよび/またはサンプルにわたってプロセスパラメータを一定に保つことができるように、動作パラメータを事前に決定することがすでに可能であることを意味する。
【0052】
装置のさらなる実施形態では、試験構造は、保持要素および/またはシールド要素の、提供ユニットに面する側に配置される。
【0053】
装置のさらなる実施形態では、整列ユニットは、保持要素、および/またはシールド要素、および/または粒子ビーム偏向ユニットを、その場で移動させるための移動ユニット(movement unit)を備え、粒子ビーム偏向ユニットは、粒子ビームを、貫通開口部または試験構造のいずれかに向けるように設定される。
【0054】
第2の態様では、粒子ビームを用いてサンプルを分析および/または処理するための装置が提案される。この装置は、
粒子ビームを提供するための提供ユニットと、
電気的および/または磁気的シールドのためのシールド要素とを備え、
シールド要素は、粒子ビームがサンプルまで通過するための貫通開口部を有し、
この装置はさらに、
シールド要素を保持するための保持要素を誘起する(inducing)ための励振器ユニット(exciter unit)を備え、シールド要素および/または振動要素は、機械的に振動するために、保持要素またはシールド要素上に配置され、
この装置はさらに、
保持要素、シールド要素、および/または、振動するように誘起された振動要素の振動特性を検出するための検出ユニットと、
検出された振動特性に応じて、装置の少なくとも1つの現在の動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータを決定するための決定ユニットとを備える。
【0055】
この装置は、第1の態様の装置について説明されたものと同じ利点を有する。第1の態様の装置について説明された実施形態および特徴、ならびに説明および定義は、第2の態様の装置にも同様に適用可能であり、その逆も同様である。特に、1つの態様における装置は、それぞれ他の態様における装置の追加の特徴を同様に有し得る。
【0056】
この装置によって、保持要素、シールド要素、および/または、振動要素の振動に影響を与える動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータを決定することが特に可能である。これらは、特に、振動質量(vibrating mass)、および/またはリセット力(reset force)、および/またはそれぞれの振動要素の振動の減衰に影響を与えるパラメータである。
【0057】
理解を容易にするために、保持要素、シールド要素、または振動要素は、バネ質量系(spring-mass system)として想像することができる。そのような系は、簡単に言えば、振動特性を決定する3つのパラメータを有する。これらのパラメータは、バネ定数(単位:N/m)、質量(単位:g)、および減衰(単位、たとえば:N・s/m)である。これら3つのパラメータに基づいて、励振に応じて振動特性を予測することが可能であるか、または、逆に、励振後の振動特性を検出(測定)することによって、少なくとも1つのパラメータを確認することが可能である。
【0058】
この場合、保持要素、シールド要素、および/または振動要素は、これらの設計およびこれらが固定される箇所に応じて、励振器ユニットによって誘起され得る、異なる振動モードを有し得る。この場合、誘起振動モードは、特に、2次元モードまたは3次元モードを含み得る。保持要素および/またはシールド要素はおのおの、この用途のために特に最適化され得、これは、保持要素および/またはシールド要素が、特定の振動モードが誘起されるような機械的構造を有することを意味する。振動要素は、特にこの用途のために想定される要素であり、たとえば、一端で固定されたカンチレバー、あるいは両端で固定された振動バーである。
【0059】
保持要素、シールド要素、および/または振動要素は、特に、第1の態様について説明したような試験構造、特に、粒子ビーム誘起堆積および/またはエッチングプロセスの実施に適し、意図された所定の領域を有し得る。
【0060】
励振器ユニットは、たとえば、電歪素子(electrostrictive element)、たとえばピエゾアクチュエータなどを備える。励振器ユニットは特に、特定の要素が特定の周波数帯域からの特定の周波数で機械的に振動するように設定される。励振器ユニットは、可変励磁周波数を提供するとも言える。
【0061】
検出ユニットも同様に、電歪素子を備え得る。特に、励振器ユニットは、最初に励振器として機能し、次に検出ユニットとして機能し得る。
【0062】
代替的または追加的に、検出ユニットは、光学的な方式で振動特性を検出するように設定され得る。
【0063】
振動特性は、物体の機械的振動の任意の特性パラメータを含み得る。例は、振幅、減衰、周波数、特に共振周波数および/または共振周波数の倍数である。この場合、振幅および減衰は、励振器周波数の関数として検出されることが好ましい。それぞれの振動特性は、特に時間に依存する。実施形態では、時間に対する振動特性の推移を検出することも可能であり、時間に対する振動特性の推移を使用して、動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータの時間に対する推移を確認することができる。
【0064】
検出された振動特性に基づいて、たとえば、弾性率、質量、質量分布、交差断面形状などのようなそれぞれの振動要素の機械的パラメータを確認するために、対応する物理モデルおよび/または数学モデルを使用することが可能である。
【0065】
決定ユニットは、ハードウェアおよび/またはソフトウェアの形態で実施され得る。ハードウェア実施の場合、決定ユニットは、たとえば、コンピュータまたはマイクロプロセッサの形態をとり得る。ソフトウェア実施の場合、決定ユニットは、コンピュータプログラム製品、関数、ルーチン、アルゴリズム、プログラムコードの一部、または実行可能オブジェクトの形態をとり得る。
【0066】
装置の1つの実施形態では、励振器ユニットおよび/または検出ユニットは、保持要素上に配置され、保持要素によって保持される。
【0067】
装置のさらなる実施形態では、振動要素は、少なくとも1つのカンチレバーを備える。
【0068】
振動要素またはカンチレバーは、特に、粒子ビームが、提供ユニットに面する振動要素の側に放射できるように、保持要素および/またはシールド要素上に配置される。これは、粒子ビームの観点から、振動要素が隠されていないことを意味する。たとえば、振動要素は、シールド要素の別の開口部に配置される。
【0069】
複数のカンチレバーが互いに平行に配置される場合もあり、その場合、振動特性は、カンチレバーごとに個別に決定できる。
【0070】
装置のさらなる実施形態では、検出ユニットは、レーザによって振動特性を検出するように設定される。
【0071】
これは、検出ユニットが、レーザビームが、たとえば、保持要素、シールド要素、および/または振動要素に照射されるレーザと、レーザビームの反射を検出するフォトダイオードなどとを含むことを意味し、反射されたレーザビームの入射点のシフトに基づいて、振動要素の偏向を決定することが可能である。
【0072】
装置のさらなる実施形態では、装置は、サンプル中にプロセスガスを供給するためのプロセスガス供給ユニット(process gas provision unit)を備え、決定ユニットは、検出された振動特性に応じて、プロセスガスに存在する種の少なくとも1つの分圧および/または少なくとも1つのガス濃度を決定するように設定される。
【0073】
本文脈において、サンプル中にプロセスガスを供給することは、より具体的には、プロセスガスがサンプルに導かれ、サンプルのすぐ近くで放出されることを意味する。たとえば、この装置は、プロセスガスを、シールド要素の通過開口部を通じて、サンプルまで導くように設定されたガス供給部を備える。この場合、プロセスガスは、貫通開口部を通って粒子ビームの方向に流れる。したがって、プロセスガスは、特に保持要素、シールド要素、および/または、振動要素の領域にも存在し、その周囲を取り囲むかまたは流れ、プロセスガスの組成は、サンプルの組成と本質的に同一である。
【0074】
分圧および/またはガス濃度は、表面へのガス分子の吸着を説明する物理的モデルおよび/または数学的モデルに基づいて、および/または基準測定値、および/または較正曲線に基づいて、振動特性に応じて確認できる。この技術の概要は、たとえば、De Gruyter Verlagによるジャーナル"Reviews in Analytical Chemistry" (DOI:https://doi.org/10.1515/revac-2012-0034)の第32巻/第2版において、2013年に公開された、著者Z.Long, L. Kou, M. SepaniakおよびX. Houによる論文"Recent advances in gas phase microcantilever-based sensing"によって与えられる。
【0075】
第3の態様では、装置内での分析および/またはプロセス動作によって粒子ビームを用いてサンプルを分析および/または処理する方法が提案される。この方法は、
装置の真空筐体内に試験構造を提供するステップと、
分析および/またはプロセス動作の実施のためのプロセス雰囲気を提供するために、真空筐体を排気するステップと、
試験構造上に粒子ビームを照射するステップと、
粒子ビームの、試験構造との相互作用を検出するステップと、
検出された相互作用に応じて、分析および/またはプロセス動作のための少なくとも1つの現在の動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータを決定するステップとを含む。
【0076】
この方法は、好ましくは、第1の態様による装置を用いて実施される。第1の態様による装置について言及された利点は、提案された方法にも同様に適用可能である。第1の態様による装置のために指定された実施形態および特徴は、対応して、提案された方法に適用可能である。
【0077】
この方法の実施形態では、この方法は、現在の動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータを確認するために、プロセス雰囲気中で試験構造の試験分析および/または試験処理を実施することを備える。これは、サンプルが分析および/または処理される分析および/またはプロセス動作が、試験構造上で、または試験構造を用いて、試験によって実施されることを意味する。
【0078】
好ましくは、真空筐体の排気に先立って、真空筐体内へのサンプルの導入がすでに行われる。たとえば、サンプルは、すでに後の処理位置に置かれている。動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータが決定された後、プロセス雰囲気(真空筐体内の雰囲気)を遮断または中断することなく、分析および/またはプロセス動作を直接実施することが可能である。
【0079】
この方法の実施形態では、これはさらに、現在の動作パラメータおよび/または決定されたプロセスパラメータに応じて、装置の少なくとも1つの動作パラメータを調整することと、調整された動作パラメータを使用して、プロセス雰囲気中で分析および/またはプロセス動作を実施することとを備える。
【0080】
この実施形態では、分析および/またはプロセス動作が最適化され、したがって、より高い信頼性および正確性で実施可能である。これにより、サンプルの分析および/または処理の品質が向上する。
【0081】
第4の態様では、装置内での分析および/またはプロセス動作によって、粒子ビームを用いて、サンプルを分析および/または処理する方法が提案される。この装置は、電気的および/または磁気的シールドのためのシールド要素を有し、シールド要素は、粒子ビームがサンプルまで通過するための貫通開口部を有する。この方法は、
分析および/またはプロセス動作の実施のためのプロセス雰囲気を提供するために、装置の真空筐体を排気するステップと、
シールド要素を保持するための保持要素、シールド要素、および/または、保持要素またはシールド要素上に配置された振動要素を、機械的に振動するように誘起するステップと、
振動するように誘起された保持要素、シールド要素、および/または振動要素の振動特性を検出するステップと、
検出された振動特性に応じて、装置の少なくとも1つの現在の動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータを決定するステップとを含む。
【0082】
この方法は、好ましくは、第2の態様による装置を用いて実施される。第2の態様による装置について言及された利点は、提案された方法にも同様に適用可能である。第2の態様による装置のために指定された実施形態および特徴は、対応して、提案された方法に適用可能である。
【0083】
この方法の1つの実施形態では、保持要素、シールド要素、および/または、振動要素は、特定の材料からなる所定の領域を有し、この方法はさらに、
少なくとも2つの異なる接合点において振動特性を検出するステップと、
振動特性の変化に応じて、特定の材料の現在のエッチング速度を決定するステップとを含む。
【0084】
特定の材料を形成する材料と、プロセス雰囲気の組成、特に、現在供給されているプロセスガスおよび/または前のプロセスで供給されていたプロセスガスに応じて、材料は、プロセス雰囲気において存在する残留プロセスガスによって自発的にエッチングされ得る。「自発的エッチング」という表現は、この場合、材料の除去が意図せずに、および/または、現在の接合点におけるエネルギの供給などによって制御された方式で引き起こされることなく起こることを意味すると理解される。エッチング作用により、振動要素の振動質量および/または厚みが減少し、したがって、たとえば、振動要素の共振周波数が変化する。これを使用して、観察期間中の材料の平均除去を確認し、現在のエッチング速度も決定できる。エッチング速度は、たとえば、プロセス雰囲気中のエッチングガスの分圧および/またはエッチングガスの残留ガス濃度を決定するために使用することができる。したがって、この方法は、望ましくないガスが、特に前のプロセスからのプロセスガスである場合に、望ましくないガスによる、真空筐体の汚染を判定するのに特に適する。
【0085】
この方法の実施形態では、粒子ビーム誘起エッチングプロセスを実施するための粒子ビームは、試験構造(特に、その所定の領域)上に照射され、特に集中的に照射される。これにより、エッチングガスの活性化可能な前駆体ガスがプロセス雰囲気中に存在するか否か、およびその濃度を決定することが特に可能となる。代替的または追加的に、サンプルに対する計画されたエッチングプロセスについて現在のエッチング速度を決定することができ、この場合、たとえば、制御された方式でエッチング速度に影響を与えるために、装置の動作パラメータを調整することができる。
【0086】
この方法のさらなる実施形態では、この方法はさらに、
プロセスガスを、保持要素、シールド要素、および/または振動要素に供給するステップと、
保持要素、シールド要素、および/または振動要素の所定の領域上における粒子ビーム誘起堆積プロセスおよび/またはエッチングプロセスの実施のために、所定の領域に、粒子ビームを照射するステップと、
粒子ビームが照射された、少なくとも2つの異なる接合点における振動特性を検出するステップと、
振動特性の変化に応じて、粒子ビーム誘起エッチングプロセスの堆積速度、または粒子ビーム誘起堆積プロセスのエッチング速度を決定するステップとを含む。
【0087】
堆積速度の代わりに、および/または、堆積速度に加えて、密度などの堆積のさらなる特性を決定することが可能である。この目的のために、たとえば、振動特性に基づいて堆積物の質量が確認され、また、堆積物の顕微鏡像、特に電子顕微鏡写真に基づいて堆積物の体積が確認される。
【0088】
材料の堆積または隆起構造の成長に適した適切なプロセスガスは、特に、主族元素、金属、または遷移元素のアルキル化合物である。その例は、(シクロペンタジエニル)トリメチル白金CpPtMe3(Me=CH4)や、(メチルシクロペンタジエニル)トリメチル白金MeCpPtMe3や、テトラメチルスズSnMe4や、トリメチルガリウムGaMe3や、フェロセンCp2Feや、ビスアリールクロムAr2Crや、および/または、たとえば、クロムヘキサカルボニルCr(CO)6、モリブデンヘキサカルボニルMo(CO)6、タングステンヘキサカルボニルW(CO)6、ジコバルトオクタカルボニルCo2(CO)8、トリルテニウムドデカカルボニルRu3(CO)12、鉄ペンタカルボニルFe(CO)5のような主族元素、金属、または遷移元素のカルボニル化合物や、および/または、たとえば、オルトケイ酸テトラエチルSi(OC2H5)4、テトライソプロポキシチタンTi(OC3H7)4のような主族元素、金属、または遷移元素のアルコキシド化合物や、および/または、たとえば、六フッ化タングステンWF6、六塩化タングステンWCl6、四塩化チタンTiCl4、三フッ化ホウ素BF3、四塩化ケイ素SiCl4のような主族元素、金属、または遷移元素のハロゲン化合物や、および/または、たとえば、銅ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナート)Cu(C5F6HO2)2、ジメチルゴールドトリフルオロアセチルアセトナートMe2Au(C5F3H4O2)のような主族元素、金属、または遷移元素を備える錯体や、および/または、一酸化炭素CO、二酸化炭素CO2、脂肪族および/または芳香族炭化水素などのような有機化合物である。
【0089】
材料のエッチングに適した適切なプロセスガスは、たとえば、二フッ化キセノンXeF2や、二塩化キセノンXeCl2や、四塩化キセノンXeCl4や、水蒸気H2Oや、重水D2Oや、酸素O2や、オゾンO3や、アンモニアNH3や、塩化ニトロシルNOClや、および/または、XNO、XONO2、X2O、XO2、X2O2、X2O4、X2O6のハロゲン化合物のいずれかであり、ここで、Xはハロゲン化物である。材料をエッチングするためのさらなるプロセスガスは、本出願人の米国特許出願第13/0103281号において指定されている。
【0090】
追加のガスは、たとえば、処理プロセスをよりよく制御するために、プロセスガスに比例して添加することができ、たとえば、過酸化水素H2O2、亜酸化窒素N2O、酸化窒素NO、二酸化窒素NO2、硝酸HNO3、および他の酸素含有ガスなどの酸化性ガス、および/または塩素Cl2、塩化水素HCl、フッ化水素HF、ヨウ素I2、ヨウ化水素HI、臭素Br2、臭化水素HBr、三塩化リンPCl3、五塩化リンPCl5、三フッ化リンPF3、および他のハロゲン含有ガスなどのハロゲン化合物、および/または水素H2、アンモニアNH3、メタンCH4、および他の水素含有ガスなどの還元性ガスを備える。これらの追加のガスは、たとえば、エッチングプロセスのためのバッファガスとして、不動態化媒体などとして使用することができる。
【0091】
別の態様によれば、粒子ビームを用いてサンプルを分析および/または処理するための装置が提供され、この装置は、
粒子ビームを提供するための提供ユニットと、
提供ユニットに取り付けられた試験構造とを備え、
この装置は、粒子ビームを使用して、試験構造上にエッチングプロセスおよび/または堆積プロセスを実施するように構成される。
【0092】
実施形態によれば、装置はさらに、粒子ビームの、エッチングプロセスおよび/または堆積プロセスが実施される試験構造との相互作用に応じて、装置の少なくとも1つの現在の動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータを決定するための決定ユニットを備える。
【0093】
実施形態によれば、試験構造は、提供ユニットによって画定される内部容積の内部に配置される。
【0094】
実施形態によれば、装置はさらに電子顕微鏡を備え、試験構造は、電子顕微鏡の被写界深度(depth of field)内に配置される。
【0095】
実施形態によれば、装置は、エッチングプロセスおよび/または堆積プロセスが実施された試験構造を備える。
【0096】
実施形態によれば、装置は、粒子ビームを使用して試験構造上にエッチングプロセスおよび/または堆積プロセスを実施するために、プロセスガスを試験構造に供給するためのプロセスガス供給ユニット(process gas providing unit)を備える。
【0097】
実施形態によれば、提供ユニットは、粒子ビームがサンプルまで通過するための開口部を有し、試験構造は、開口部の内部に、または開口部に隣接して配置される。
【0098】
実施形態によれば、装置はさらに、電気的および/または磁気的シールドのためのシールド要素を備え、シールド要素は、粒子ビームがサンプルまで通過するための貫通開口部を有し、シールド要素、および/または、シールド要素を保持するための保持要素は、試験構造を備える。
【0099】
実施形態によれば、装置は、粒子ビームが試験構造に入射するように、粒子ビームおよび試験構造を相互に整列させるための整列ユニットを備える。
【0100】
実施形態によれば、少なくとも1つの決定された動作パラメータは、提供ユニットのテレセントリック性(telecentricity)を備える。
【0101】
実施形態によれば、装置は、
試験構造が機械的に振動するように誘起させるための励振器ユニットと、
少なくとも試験構造の振動特性を検出するための検出ユニットと、
検出された振動特性に応じて、装置の少なくとも1つの現在の動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータを決定するための決定ユニットとを備える。
【0102】
実施形態によれば、試験構造は、カンチレバー上に形成される。
【0103】
実施形態によれば、検出ユニットは、レーザによって振動特性を検出するように設定される。
【0104】
実施形態によれば、装置はさらに、サンプルにプロセスガスを供給するためのプロセスガス供給ユニットを備え、決定ユニットは、検出された振動特性に応じて、プロセスガスに存在する種の少なくとも1つの分圧および/または少なくとも1つのガス濃度を決定するように設定される。
【0105】
さらなる態様によれば、上記で説明された装置およびサンプルを備えるシステムが提供される。
【0106】
実施形態によれば、装置は、粒子ビームを使用して、サンプル上にエッチングプロセスおよび/または堆積プロセスを実施するように構成される。
【0107】
実施形態によれば、試験構造の少なくとも一部と、サンプルの少なくとも一部とは、同一の材料組成を有する。
【0108】
さらなる態様によれば、粒子ビームを用いてサンプルを分析および/または処理するための試験構造を装置内に提供するための方法が提供され、この装置は、
粒子ビームを提供するように構成された提供ユニットと、
提供ユニットに取り付けられた試験構造とを備え、
この方法は、
粒子ビームを使用して、試験構造上にエッチングプロセスおよび/または堆積プロセスを実施することを含む。
【0109】
さらなる態様によれば、装置を使用して粒子ビームを用いてサンプルを分析および/または処理するための方法が提供され、この方法は、
上記で説明されたような方法を実行することと、
粒子ビームの、試験構造との相互作用を検出することと、
検出された相互作用に応じて、装置の少なくとも1つの現在の動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータを決定することとを含む。
【0110】
これに続いて、装置の決定された少なくとも1つの現在の動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータに応じて、サンプルの分析および/または処理がなされ得る。
【0111】
上記で説明されたようなすべての態様および実施形態は、当業者によって適切であると思われるように組み合わされ得る。
【0112】
この場合の「a(n)」は、必ずしも1つの要素に正確に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、複数の要素、たとえば2つ、3つ、またはそれ以上を設けることもできる。本明細書で使用される他の数も、記載された要素の数に厳密に制限があるという趣旨で理解されるべきではない。むしろ、特に指示がない限り、数が上下に変動する可能性がある。
【0113】
本発明のさらなる可能な実施は、例示的な実施形態に関して上述または後述される任意の特徴または実施形態の明示的に言及されていない組合せも含む。この場合、当業者は、本発明のそれぞれの基本形態に対する改良または補足として個々の態様を追加することもできる。
【0114】
本発明のさらに有利な構成および態様は、従属請求項の主題であり、また、以下に説明される本発明の動作例の主題でもある。本発明は、添付の図面を参照して、好ましい実施形態によって以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【
図1】粒子ビームを用いてサンプルを分析および/または処理するための装置の第1の実施形態の概略図である。
【
図2】粒子ビームを用いてサンプルを分析および/または処理するための装置の第2の実施形態の概略図である。
【
図3】複数の試験構造を有するシールド要素の概略図である。
【
図4】粒子ビームを用いてサンプルを分析および/または処理するためのさらなる装置の実施形態の概略図である。
【
図5】堆積速度またはエッチング速度を決定するための振動要素の概略図である。
【
図6】検出された振動特性の例として2つの測定曲線を有する説明図である。
【
図7】シールド要素および励振器ユニットを有する保持要素の動作例の概略図である。
【
図8】粒子ビームを用いてサンプルを分析および/または処理するためのさらなる装置の第2の実施形態の概略図である。
【
図9】表面におけるプロセスガスの滞留時間を決定することを示す2つの概略図である。
【
図10】サンプルを分析および/または処理する第1の方法の動作例の概略ブロック図である。
【
図11】サンプルを分析および/または処理する第2の方法の動作例の概略ブロック図である。
【
図12】電子顕微鏡の解像度を検証するための試験構造の例を示す図である。
【
図13】粒子ビームを用いてサンプルを分析および/または処理するための装置のさらなる実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0116】
特に断りのない限り、同じまたは機能的に同じ要素には、図中で同じ参照符号が与えられる。また、図中の図は、必ずしも縮尺通りではないことにも留意されたい。
【0117】
図1は、粒子ビーム114を用いてサンプル10を分析および/または処理するための装置100の第1の動作例の概略図を図示する。装置100は、真空筐体(図示せず)内に配置されることが好ましい。装置100は、粒子ビーム114を提供するための提供ユニット110と、サンプル10を保持するためのサンプルステージ102とを備え、前記サンプルステージは、提供ユニット110の下に配置される。サンプル10は装置100の一部ではないことに留意されたい。装置100およびサンプル10は、ともにシステム1を形成する。
【0118】
サンプル10は、たとえば、10nm~10μmの範囲の特徴サイズを有するリソグラフィマスクである。これは、たとえば、DUVリソグラフィ(DUV:「深紫外線」、30~250nmの範囲の動作光波長)用の透過型リソグラフィマスク、またはEUVリソグラフィ(EUV:「極紫外線」、1~30nmの動作光波長)用の反射型リソグラフィマスクとすることができる。装置100を用いてサンプル10に対して実施されるプロセス動作は、たとえば、サンプル10の表面から材料が局所的に除去されるエッチングプロセス、サンプル10の表面に材料が局所的に塗布される堆積プロセス、および/またはパッシベーション層の形成または層の圧縮などの同様の局所的な活性化プロセスを含む。
【0119】
提供ユニット110は、特に、粒子ビーム114を発生させる粒子ビーム発生ユニット112を備える。粒子ビーム114は、たとえばイオンまたは電子などの荷電粒子からなる。
図1の例は、電子ビームを含む。したがって、提供ユニット110は、電子カラム(または電子ビームカラム)とも呼ばれ、装置100は、たとえば、走査型電子顕微鏡を形成する。電子ビーム114は、ビーム案内要素(
図1に図示せず)によって案内される。これは、電子光学ユニットとも称される。さらに、電子カラム110は、たとえば、後方散乱電子および/または二次電子から生じる電子信号を検出するための検出器(
図1に図示せず)を備え得る。
【0120】
電子カラム110は、専用の真空筐体113を有し、たとえば、10-6ミリバール~10-8ミリバールの残留ガス圧力まで排気される。電子ビーム114用の開口部116が下側に配置される。開口部116は、筐体113に取り付けることができる保持要素120によって開口部116上に固定されたシールド要素130によって覆われる。保持要素120は、たとえば、シールド要素を、電子カラム110にねじ込むために、複数のねじを備える。シールド要素130および/または保持要素120は、提供ユニット110の一部を形成して、その内部容積111を画定し得る(これは、たとえば、10-6ミリバール~10-8ミリバールの残留ガス圧力まで排気され得、および/または、真空筐体113の内部に部分的または完全に配置され得る)。
【0121】
シールド要素130は、2次元形状であり、導電性材料を備える。シールド要素は、プロセスガス雰囲気に対して不活性であり、想定されるプロセスに与える影響があったとしてもごくわずかである材料から形成されることが好ましい。例として、シールド要素130は、金またはニッケルから形成される。シールド要素130は、サンプルステージ102およびサンプル10に対して凸状断面117を有する。凸状断面117は、サンプルステージ102の方向に湾曲する。凸状断面117は、粒子ビーム114が通過するための貫通開口部132を有する。貫通開口部132は、特に、サンプルステージ102に最も近い凸状断面117の点を備える。したがって、シールド要素130とサンプルステージ102またはサンプル10との間の距離は、貫通開口部132の領域で最小になる。装置100の動作中、貫通開口部132とサンプル10との間の距離は、5μm~30μmであることが好ましく、10μmであることが好ましい。好ましくは、サンプルステージ102は、位置決めユニット(図示せず)を有し、それによってサンプルステージ102と電子カラム110との間の距離は設定可能である。
【0122】
シールドユニット116は、凸状断面117が突出する平面領域を有し得る。平面領域は、凸状断面117の上端から径方向に延在していることが好ましい。平面領域が凸状断面117に合流する遷移部は、凹状の曲率を有し得る。シールド要素116は、電子カラム110の開口部114に、たとえば平面領域の外縁に固定される。
【0123】
この例では、シールド要素130に接地電位が印加される。これは、シールド要素130が電場E(他の実施形態では磁場)をシールドするように設定されていることを意味する。これを説明するために、
図1は、例として、サンプル10上に存在し、電場Eを発生させる電荷Qを図示する。特に、非導電性であるか、または(少なくとも断面において)わずかに導電性であるサンプル10の場合、電子ビーム114がサンプル10に入射すると、
図1に例示されるように、サンプル10が帯電し、したがって、電場Eが形成される。
図1は、例として、電子ビーム114の入射の結果として生じる負電荷Qを図示する。他の実施形態では、電場および/または磁場は、電子カラム110自体から生じ得るか、または電子カラム110内に形成されるか、発生され得る。
【0124】
試験構造200は、たとえばシールド要素130上に配置される。試験構造200は、提供ユニット110の内部容積111の内部に配置されるように、シールド要素130の内面上に配置され得る。試験構造200は、シールド要素130に取り付けられ得る。1つの実施形態では、前記取り付けは、凝集結合として形成される。別の実施形態では、前記取り付けは、シールド要素130とワンピースとして形成される試験構造200によって提供される。たとえば、試験構造200は、シールド要素130の内面によって画定され得る。
【0125】
試験構造200は、
図3を参照して以下に詳細に説明するように形成され得、1つまたは複数の機能を提供し得る。そのような機能の例は、溶解試験パターンによる溶解試験、コントラストパターンによるコントラスト試験(特に、少なくとも1つの縁での材料コントラストおよび/または二次電子コントラスト)、または、それぞれのプロセスが試験される特定の材料の領域によるプロセス試験である。「試験」に対する代替用語は、「調整」、「較正」、または「慣らし運転」を含む。
【0126】
追加的に、ビーム発生ユニット112とシールド要素130との間に配置されているものは、この例では、ジェット偏向ユニット(jet deflection unit)として設計された整列ユニット140であり得る。整列ユニット140は、電子ビーム114を貫通開口部132上または試験構造200上に偏向するように設定される。この目的のために、整列ユニット140は、粒子ビーム114の偏向に適した電場を発生させるための電圧を提供する電圧源に接続される。
図1において、Aは、整列ユニット140が電子ビーム114を通過開口部132上に向けるときのビーム経路を示し、Bは、整列ユニット140が電子ビーム114を試験構造200上に向けるときのビーム経路を示す。
【0127】
ビーム経路Aからビーム経路Bへの切り替え、またはその逆の切り替えは、たとえば1μ秒から1秒までの短い時間内で達成できる。これは、サンプル10に対する分析またはプロセス動作の途中であっても、たとえば、特定のビーム特性またはプロセス特性を監視するために、電子ビーム114を定期的に試験構造200に向けることができることを意味する。
【0128】
電子ビーム114が、試験構造200に向けられる場合、電子ビーム114と試験構造200との間で相互作用が生じる。冒頭ですでに述べたように、この相互作用は検出器で検出できる。整列ユニット140は、たとえば、後方散乱電子または二次電子を検出する検出器としての二重機能においても同様に利用され得る。好ましくは、たとえば試験構造200に対してさらなる空間角度で配置され、および/または、異なるエネルギの電子に感応するさらなる検出器が提供される。
図1は、明確化のために、追加の検出器を図示していない。
【0129】
装置100は、追加的に、検出された相互作用に応じて、装置100の動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータを決定するように設定された決定ユニット150を備える。決定ユニット150は、相互作用に関する対応する測定データを受信するように設定される(明確化のために、
図1は、データワイヤなどを図示していない)。測定データは、たとえば、試験構造の走査型電子顕微鏡像を含み得、これは、装置100の現在の動作パラメータの例である電子顕微鏡の現在の解像度を確認するために使用できる。
【0130】
試験構造200は、サンプル10を分析および/または処理するための装置100の動作中に破壊されないので、サンプル10の分析または処理が行われている間、装置100の真空筐体内に留まることができる。したがって、現在の動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータをその場で、すなわち、その後の分析および/または処理が実施されるのと本質的に同じ条件下で決定することが可能である。したがって、動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータが所望の値を有すること、または、サンプル10の成功裡の分析および/または処理が可能となるように調整されることを保証することが可能である。
【0131】
図2は、粒子ビーム114を用いてサンプル10を分析および/または処理するための装置100の第2の実施形態の概略図を図示する。
図2の装置100は、以下に説明される相違点を除いて、
図1の装置と同一である。
図2において、保持要素120は2次元形状であり、移動ユニットの形態の整列ユニット140によって、提供ユニット110上に配置される。移動ユニット140は、保持要素120と、それとともに保持要素120に固定されたシールド要素130とを、特に、サンプル10のサンプル表面に平行な方向に、かつ粒子ビーム114に対して本質的に直角な方向に移動させるように設定される。
【0132】
シールド要素130は、保持要素120上に(たとえば、ワンパーツまたはワンピース方式で)固定されており、この例では、凸状ではなく平坦な形状であるが、
図1の凸状形状のシールド要素130を使用することも可能である。明確化のために、シールド要素130の接地は、
図2には図示されていない。この動作例では、保持要素は、たとえばニッケル銀から製造される。
【0133】
この例では、2つの試験構造200が、おのおの保持要素120およびシールド要素130上に配置されており、これらは、たとえば
図3を参照して以下に詳細に説明するように、おのおの異なる機能を提供する、すなわち異なる構造からなることが好ましい。
【0134】
整列ユニット140は、粒子ビーム114が、通過開口部132を通って出ないように、しかしながら、任意選択的に、試験構造200のいずれかに放射するように、保持要素120が、シールド要素130および試験構造200とともに、粒子ビーム114に対して移動することを可能にする。言い換えれば、それぞれの試験構造200が、粒子ビーム114の下に押し込まれる。したがって、
図2の装置100を使用して、試験構造200を使用して現在の動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータを確認することも可能である。
【0135】
図1および
図2の装置100は、互いに組み合わされ得ることも留意されたい。それに加えて、これらはおのおの、たとえば
図8を参照して説明されるように、プロセスガス供給ユニット170を有し得る。
【0136】
図3は、複数の試験構造202、204、206、208、M1、M2を有するシールド要素130の概略上面図を図示する。この場合、シールド要素130は、複数の通過開口部132を備えたメッシュ構造を有しており、その中央の通過開口部のみに参照番号が与えられている。シールド要素130は、たとえば、
図1に図示されるように凸状形状を有し、中央の通過開口部132が最も低い(サンプル10に最も近い)。さらなる通過開口部132が、粒子ビーム114の通過のために利用され得る(
図1または
図2参照)。しかしながら、この例では、特に、
図8を参照して説明したように、プロセスガスPGが上部から供給される場合(
図8参照)、プロセスガスPGの貫通開口部として機能する(
図8または
図9参照)。
【0137】
試験構造202、204、206、208、M1、M2は、現在の動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータを決定するための異なる機能を提供するために、縁に近い貫通開口部132の中または一部に配置される。
【0138】
構造202は、たとえば、1/μm~1000/μmの周波数における空間解像度を有する。構造202は、たとえば、地形構造を備え得るか、および/または、異なる材料の構造化された配置を備え得る。1つの例では、構造は、表面、たとえば炭素基板上に金のクラスタまたは金のナノ粒子を備え(
図12も参照)、金のクラスタは、たとえば2.5nm~500nmのサイズを有する。
【0139】
試験構造203は、少なくとも2つの異なる材料M1、M2からなり、したがって材料コントラストを提供する。材料は特に、特定の材料コントラストが提供されるように選択される特定の材料M1、M2であり、これを利用して、デバイス100の1つまたは複数の検出器が較正可能となり得る。好ましくは、試験構造203は、対応して異なる材料コントラストを提供するために、3つ以上の材料からなる。可能な材料M1、M2の例は、C、Cr、Mo、Si、Ta、Ru、W、Rh、Pt、ReおよびAuであり、これら材料M1、M2の、2つまたは3つ以上の異なる組合せの可能性がある。前述された材料は、導電性材料である。石英、サファイアなどの非導電性材料を使用することも可能である。好ましい実施形態では、原子番号の差が最大である2つ以上の材料M1、M2が組み合わされる。
【0140】
それに加えて、粒子ビーム誘起堆積プロセスおよび/または粒子ビーム誘起エッチングプロセスの実施のために意図され、適切である、2つの所定の領域204、206がある。所定の領域204、206は、好ましくは、エッチングされるサンプル10の材料(
図1または
図2参照)、または堆積プロセスが行われる部位のサンプル10の材料と同じ材料から構成される。これらの例は、Cr、MoSi、SiN、SiON、Ta、TaN、TaBN、Ruまたは石英である。
【0141】
試験構造203および/または所定の領域204、206が形成される材料M1、M2が、電気絶縁性である場合、試験構造203および所定の領域204、206(図示せず)にシールドユニットを提供することがさらに可能である。このシールドユニットは、ビーム方向とは逆の入射粒子ビームによる試験構造203および/または所定領域204、206の帯電から生じる電場をシールドし、帯電によって引き起こされる静電効果を、回避または低減することができる。これは、試験構造203および/または所定の領域204、206を使用して決定された結果の信頼性を高める。
【0142】
それに加えて、シールド要素130は、貫通開口部132の1つにおいて、励振器ユニット160および振動要素208を備える配置を有する。この場合、振動要素208は、独立して振動を実行できる2つの個別のカンチレバーを備える。カンチレバーは、異なる材料で構成され得、および/または、異なる形状を有し得る。励振器ユニット160は、振動要素208を機械的に振動させるように設定される。励振器ユニット160は、たとえば圧電アクチュエータを備える。励振器ユニット160は同時に、振動要素208によって実行される振動の振動特性を検出するために設定された検出ユニットとして機能し得る。検出された振動特性に基づいて、さらなる動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータを決定することができる。このようにして提供される機能は、
図4~
図9を参照して詳細に説明される。
【0143】
上述されたシールド要素130が、
図1または
図2のデバイス100のうちの1つで使用される場合、粒子ビーム114は、粒子ビーム114の、特定の構造202、203、204、206、208との検出された相互作用に応じて、装置100の対応する動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータを決定するために、整列ユニット140を使用して、構造202、203、204、206、208のいずれかに選択的に向けられ得る。
【0144】
実施形態において、シールド要素130は、説明された個々の構造202、203、204、206、208、M1、M2のみを有し得、および/または、この種のさらなる構造を有し得ることに留意されたい。シールド要素130が、振動要素208および励振器ユニット160を含み、装置100、400が、振動する振動要素208の振動特性を検出するための検出ユニット162(
図4または
図8参照)をさらに有する場合、装置100、400は、
図1または
図2の装置100の特徴および機能と、
図4または
図8の装置400の特徴および機能とを組み合わせる。
【0145】
図4は、粒子ビーム114を用いてサンプル10を分析および/または処理するための装置400の実施形態の概略図を図示する。装置400の基本構成は、
図1および
図2の装置の基本構成に対応する。
図1または
図2を参照して説明されたように、試験構造200は、この例では装置400によって所有されておらず、装置400は、励振器ユニット160上に配置された振動要素208を機械的に振動させるように設定された励振器ユニット160を追加的に有する。それに加えて、振動要素208の上方には、光学測定に基づいて、振動素子208の振動特性A(f)、φ(f)(
図6参照)を検出し、それを、たとえば、決定ユニット150へ出力する、光学検出ユニット162が配置されている。振動要素208の励振器ユニット160の、および検出ユニット162の、より正確な機能のモードは、
図5および
図6を参照して以下で詳細に説明される。
【0146】
検出された振動特性A(f)、φ(f)に基づいて、装置400の動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータ、たとえば、プロセスガスの分圧、プロセス雰囲気の組成、エッチング速度、および/または堆積速度を決定することが可能である。これも、以下で詳細に説明される。
【0147】
装置400を参照して上記で説明された特徴は、
図1および/または
図2の装置100の特徴とともに統合され得ることに留意されたい。たとえば、整列ユニット140は、
図1を参照して説明されたように設計され得るか、または、追加の整列ユニット140が提供される。それに加えて、実施形態では、整列ユニット140が完全に省略され得る。
【0148】
図5は、堆積速度またはエッチング速度を決定するために利用可能な振動要素208の概略図を図示する。これは、たとえば、
図4の装置400内に存在する、および/または、
図3のシールド要素130上に配置された振動要素208である。励振器ユニット160は、振動要素208に対して、機械的振動Wを実行させるように設定される。振動要素208は、例として、カンチレバーの形態をとる。カンチレバー208は、たとえばクロムからなる所定の領域204を前端に有しており、粒子ビーム誘起エッチングプロセスを実行するように意図される。
【0149】
振動特性A(f)、φ(f)(
図6参照)を検出するための検出ユニット162は、レーザ163および光検出器164を備える。この測定原理は、走査型電子顕微鏡から知られている。
【0150】
粒子ビーム114を所定の領域204に照射すること(たとえば、試験構造200の別の実施形態)によって、特に、プロセス雰囲気中のカンチレバー208の周囲に前駆体ガスが存在する場合に、エッチングプロセスを引き起こすことが可能であり、これは、粒子ビーム114の入射によって、直接的または間接的に活性種(active species)に変換され、その後、所定の領域204の原子と化学反応して、揮発性反応物(volatile reactant)を形成する。そのようなエッチングプロセスは特に、カンチレバー208の質量を減少させ、これは、検出された振動特性A(f)、φ(f)の変化によって検出できる。言い換えれば、検出された振動特性A(f)、φ(f)の変化を使用して、カンチレバー208の質量の減少、したがって、エッチングプロセスにおける現在のエッチング速度の減少を結論付けることができる。材料がカンチレバー208上に堆積される堆積プロセスの場合、これは、現在の堆積速度を決定するために相応して利用され得る。
【0151】
図6は、検出された振動特性A(f)、φ(f)の例として2つの測定曲線を有する説明図を図示する。この例は、励振周波数fの関数として励振要素120、130、208(
図1~
図5参照)によって実行される振動の振幅A(f)と、励振器の振動と、励振された振動との間の位相シフトφ(f)とに関する。横軸は、励振周波数fを図示し、縦軸は、曲線A(f)に基づく偏向と、曲線φ(f)に基づく位相シフトとを図示する。共振周波数f
Rの場合、振動するように誘起された要素は、最大振幅を有する。例示された例は、自由端を備えたカンチレバーの状況の概略図を図示する。他の振動システムは、動作が異なる場合がある。特に、2次元または3次元の振動を実行する、より自由度の高い振動システムは、この場合、異なる挙動、特に、より複雑な挙動を図示し得る。
【0152】
図5を参照して上記で説明したように、カンチレバー208の質量に変化がある場合、これは、たとえば、共振周波数f
Rのシフトの効果を有する。質量の変化は、共振周波数f
Rの変化から結論付けることができる。
【0153】
図7は、シールド要素130および励振器ユニット160を有する保持要素120の動作例の概略図を図示する。この例では、励振器ユニット160は、シールド要素130の機械的振動を誘起するように設定され、シールド要素130はこの機能のために特に適合されている。これは、シールド要素130が、シールド効果とは別に、振動要素208の機能をさらに有することを意味する。たとえば、貫通開口部132が存在するシールド要素130の中央バーは、2つの固定端を有する振動要素208として機能する。励振器ユニット160は、保持要素120上に固定される。この例における保持要素120は、上部から供給されるプロセスガスPGを通過させるためのさらなる開口部を有する(
図8および
図9参照)。これら開口部は、任意選択的である。振動要素208の振動特性A(f)、φ(f)(
図6参照)は、たとえば
図5を参照して説明されたように、光学的に検出され得る。
【0154】
図8は、粒子ビーム114を用いてサンプル10を分析および/または処理するためのさらなる装置400の第2の実施形態の概略図を図示する。装置400は、
図4を参照して説明された装置400と同じ特徴を有する。それに加えて、装置400は、プロセスガス供給ユニット170を有する。これは、たとえば、低温で固体もしくは液体状態にある、あるいは高圧下で高度に圧縮された気体状態にある、プロセスガスPGを含むプロセスガスリザーバ171を備える。プロセスガスPGを、リザーバ171から導管173を介して粒子ビーム提供ユニット110へ、特に、たとえば、
図3に図示されるように、プロセスガスPGが、サンプル10に向かって流れることができるように、好ましくは多数の開口部を有する、シールド要素130の真上の領域へ、供給できる。このプロセスガスPGの供給を、「上からの」供給と称することができる。あるいは、プロセスガスPGを、側面(図示せず)からサンプル10へ供給することも可能である。バルブ172は、プロセスガス流量の規制のために利用することができる。
【0155】
プロセスガスPGは、異なるガス種の混合物を備えていてもよく、ガス種は、H2、He、O2、N2などの純粋元素と、CH4、NH3、H2O、SiH4などの複合ガスとの両方を意味すると理解される。それぞれのガス種のそれぞれの分圧は、特にバルブ172および真空ポンプ(図示せず)を介して、それぞれのガス種の供給および/または除去によって調整可能であることが好ましい。
【0156】
図8に図示されるプロセスガス供給ユニット170は、
図1または
図2の装置100でも使用可能であることに留意されたい。
【0157】
図9は、カンチレバーの形態をとり、励振器ユニット160(図示せず)(
図3、
図4、
図5、
図7、
図8参照)によって機械的に振動するように誘起可能な振動要素208の表面におけるプロセスガスPGの滞留時間を決定することを、2つの概略図で図示する。検出ユニット162(図示せず)(
図3、
図4、
図5、
図7参照)は、振動特性A(f)、φ(f)(
図6参照)を検出するように設定される。第1の状態Iでは、プロセス雰囲気PAは、プロセスガスPGが比較的密に存在する。したがって、プロセスガスPGの個々の分子は、高密度層(単層)で吸着される。したがって、カンチレバー208の質量は、この単層の質量によって増加し、特定の共振周波数f
R(
図6参照)が確立される。第2の状態IIでは、たとえば、プロセスガスPGのガス供給が停止され、プロセス雰囲気PAが薄くなる。したがって、カンチレバー208に吸着された分子も同様に揮発され、吸着される質量が減少し、その結果、状態Iと比較して共振周波数f
Rが変化する。共振周波数f
Rの経時変化を観察することにより、たとえば、カンチレバー208におけるプロセスガスPGの滞留時間を確認することが可能である。共振周波数f
Rではなく、このプロセスパラメータおよび/または他の動作パラメータもしくはプロセスパラメータを決定するために、他の振動特性を検出および評価することも可能であることに留意されたい。
【0158】
図10は、装置100、400における分析および/またはプロセス動作によってサンプル10(
図1、
図2、
図4、または
図8参照)を分析および/または処理する第1の方法の動作例の概略ブロック図を図示する。ステップS10では、試験構造200(
図1~
図3参照)が、装置100、400の真空筐体内に提供される。第2のステップS11では、真空筐体は、分析および/またはプロセス動作の実行のためのプロセス雰囲気PA(
図9参照)を提供するために排気される。任意選択的に、このステップは、1つまたは複数のプロセスガスPGの供給を備える(
図8または
図9参照)。第3のステップS12では、粒子ビーム114(
図1、
図2、
図4、
図5、
図8参照)が、試験構造200に照射される。このステップは特に、たとえば整列ユニット140によって、粒子ビーム114を、試験構造200上に整列させることを備える。第4のステップS13では、粒子ビーム114の、試験構造200との相互作用が検出される。相互作用は、特に、後方散乱電子検出器および/または二次電子検出器などの検出器によって検出される。あるいは、他の検出器、たとえば光学検出器を使用することも可能である。装置100、400が、保持要素120(
図1、
図2、
図4、
図8参照)の機械的振動W(
図5参照)を誘起するように設定された励振器ユニット160(
図3、
図4、
図5、
図7参照)を有する場合、シールド要素130(
図1、
図2、
図4、
図8参照)および/または振動要素208(
図3、
図4、
図5、
図7、
図8参照)、および検出ユニット162(
図4、
図5、
図8参照)は、振動特性A(f)、φ(f)(
図6参照)を検出するように設定され、この配置は、試験構造と検出器との組合せを形成する。第5のステップS14では、装置100、400の少なくとも1つの現在の動作パラメータ、および/または、分析および/またはプロセス動作のためのプロセスパラメータが、検出された相互作用に応じて決定される。この場合、特に、それぞれの検出器によって検出され、粒子ビーム114と試験構造200との相互作用を説明する測定データは、1つまたは複数の物理的および/または数学的モデルによって評価される。
【0159】
この方法は、
図1、
図2、
図4、または
図8の装置100、400のいずれかを用いて実施され得る。サンプル10は、特に、リソグラフィマスクである。試験構造200は、特に、リソグラフィマスクと同一または類似の材料および/または構造を有する。
【0160】
図11は、装置100、400における分析および/またはプロセス動作によって、粒子ビーム114(
図1、
図2、
図4、
図8参照)を用いてサンプル10(
図1、
図2、
図4、
図8参照)を分析および/または処理する第2の方法の動作例の概略ブロック図を図示する。装置100、400は、サンプル10(
図1参照)上に蓄積された電荷Qによって発生される磁場E(
図1参照)をシールドするために、保持要素120(
図1、
図2、
図4、
図7、
図8参照)によって保持されたシールド要素130(
図1、
図2、
図4、
図7、
図8参照)を有する。さらに、シールド要素130は、粒子ビーム114をサンプル10上に通過させるための通過開口部132(
図1~
図4、
図7、
図8参照)を有する。この方法の第1のステップS20では、装置100、400の真空筐体は、分析および/またはプロセス動作の実行のために、プロセス雰囲気PA(
図9参照)を提供するために排気される。任意選択的に、このステップは、1つまたは複数のプロセスガスPGの供給を備える(
図8または
図9参照)。第2のステップ21では、保持要素120、シールド要素130、および/または、保持要素120またはシールド要素130上に配置された振動要素208(
図4、
図5、
図7、
図8、
図9参照)が、機械的振動Wを実行するように誘起される(
図5参照)。第3のステップS22では、振動するように誘起された保持要素120、シールド要素130、および/または振動要素208の振動特性A(f)、φ(f)(
図6参照)が検出される。振動特性A(f)、φ(f)は、特に、光学検出器によって、および/または、圧電結晶などの電歪センサ素子によって検出される。第4のステップS23では、装置100、400の少なくとも1つの現在の動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータが、検出された振動特性A(f)、φ(f)に応じて決定される。この場合、特に、それぞれの検出器によって検出され、粒子ビーム114と試験構造200との相互作用を説明する測定データは、1つまたは複数の物理的モデルおよび/または数学的モデルによって評価される。
【0161】
この方法は、
図1、
図2、
図4、または
図8の装置100、400のいずれかを用いて実施され得る。サンプル10は特にリソグラフィマスクである。保持要素120、シールド要素130、および/または振動要素208は、試験構造200を有することが好ましい(
図1~
図3参照)。
【0162】
図10および
図11を参照して説明された方法は、特に組合せ可能である。両方法は、動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータのそれぞれ最適な調整が行われるという点で、装置100、400によるサンプル10の分析および/またはプロセス動作を監視および/または最適化するのに適する。
【0163】
図12は、電子顕微鏡の解像度を検証するための、または電子顕微鏡を較正するための試験構造200(
図1~
図3参照)の電子顕微鏡写真IMGの例を図示する。
【0164】
使用される試験構造200は、炭素上の金のナノ粒子である。像IMGにおける金のナノ粒子は、炭素基板に対して、明るい色で目立つ。
【0165】
像IMGに基づいて、たとえば、電子顕微鏡で達成される解像度を決定することが可能である。有利なことに、この目的のために、たとえば、試験構造の生成のための生成プロセスから、および/または、走査型電子顕微鏡などで試験構造をサンプリングすることによって、金のナノ粒子のサイズ分布が分かる。それに加えて、像IMGに基づいて、たとえば金のナノ粒子から生じる縁に沿った強度の推移を分析することによって、電子ビームのビームプロファイルを確認することができる。
【0166】
図13の装置100では、提供ユニット110の筐体113に取り付けられるアーム1300が提供され得る。アーム1300は、水平プラットフォーム1302を保持し得る。アーム1300および/またはプラットフォーム1302は、筐体113と一体的に形成され得る。他の実施形態では、プラットフォーム1302は、筐体113、または、提供ユニット110の任意の他の部分に直接取り付けられる(および/または一体的に形成される)。アーム1300は、
図13に図示されるように、垂直方向に(少なくとも部分的に)延在し得る。
【0167】
(たとえば、上記の実施形態のいずれかで説明されたような)試験構造200は、ビーム発生ユニット112に面するようにプラットフォーム1302上に配置され得る。試験構造200は、プラットフォーム1302に取り付けられ得、これは、試験構造200がプラットフォーム1302と一体的に形成される(たとえば、試験構造200がプラットフォーム1302の表面である)場合を含む。したがって、一般的に言えば、試験構造200は、提供ユニット110に直接的または間接的に(すなわち、他の構成要素を介して)取り付けられ得、これは、試験構造が、提供ユニット110またはその構成要素と一体的に形成される場合を含み得る。取り付けは、(上記で定義されたように)フォースロック、フォームフィット、および/または凝集方式で達成され得る。
【0168】
装置100は、粒子ビーム114を使用して、試験構造200上にエッチングプロセスおよび/または堆積プロセスを実施するように構成される。
図8に図示されるようなプロセスガス供給ユニット170は、試験構造200のエッチングおよびその上への材料の堆積のために、プロセスガスPG(
図8参照)を試験構造200に供給するために提供され得る。この目的のために、粒子ビーム114は、プロセスガスPGと相互作用し得る。ガス供給ユニット170はまた、粒子ビーム114の作用下でサンプル10をエッチングする、および/または、サンプル10上に材料を堆積するために、プロセスガスをサンプル10に供給し得る。
【0169】
上記で説明されたすべての実施形態は、
図13の実施形態に適用され、またその逆も同様である。たとえば、プラットフォーム1302は、試験構造200とともに振動要素208を形成し得る。
【0170】
プラットフォーム1302(
図13の右側)上に配置された試験構造200は、筐体113によって囲まれた内部容積111の内部に配置される。たとえば、アーム1300は、筐体113の内部に接続される。プラットフォーム1302’は、開口部116の上方に水平に延在し得る。
【0171】
一方、
図13の左側に図示されるさらなる実施形態では、試験構造200’は、内部容積111の外側に配置される。たとえば、アーム1300’は、筐体113の外側部分に取り付けられる。プラットフォーム1302’は、開口部116の下で水平に延在し得る。
【0172】
より一般的には、
図13に図示されるように、試験構造200は、粒子ビームが提供ユニット110から出るための開口部16の内部に(ビームAに沿って見たとき)、または開口部16に隣接して配置され得る。
【0173】
参照符号DOFは、提供ユニット110の被写界深度(DOF)(特に、前記提供ユニット110によって備えられる電子顕微鏡のDOF)を示す。DOFは、許容可能に鮮明に焦点が合っている、最も近い物体と最も遠い物体との間の距離である。見て分かるように、DOFは、試験構造200を含むように設計され得る。DOFは、サンプル10も含むように設計され得る。したがって、(サンプル10と試験構造200との)両方が、鮮明な焦点で結像され(imaged)得る。DOFは、たとえば、100マイクロメートルまで、10マイクロメートルまで、または1マイクロメートルまで、および/または少なくとも、1マイクロメートル、10マイクロメートル、または100マイクロメートルであり得る。
【0174】
試験構造200がエッチングされるか、またはその上に材料が堆積されると、粒子ビーム114を使用して、エッチングまたは堆積された構造(
図13に図示せず)の像(または他の任意の相互作用)が取得され得る。前記像または他の相互作用に基づいて、決定ユニット150は、現在の動作パラメータまたはプロセスパラメータを決定する。たとえば、決定ユニット150は、たとえば提供ユニット110、特に電子顕微鏡のテレセントリック性を決定する。
【0175】
以上、動作例を参照して本発明が説明されたが、本発明は、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0176】
1 システム
10 サンプル
100 装置
102 サンプルステージ
110 提供ユニット
111 内部容積
112 ビーム発生ユニット
113 筐体
114 粒子ビーム
116 開口部
117 凸状断面
120 保持要素
130 シールド要素
132 貫通開口部
140 整列ユニット
150 決定ユニット
160 励振器ユニット
162 取得ユニット
163 レーザ
164 光検出器
170 プロセスガス供給ユニット
171 プロセスガスリザーバ
172 バルブ
173 ライン
200 試験構造
202 構造
203 構造
204 所定の領域
206 所定の領域
208 振動要素
400 装置
1300 アーム
1302 プラットフォーム
φ(f) 位相(振動特性)
A ビーム経路
A(f) 振幅(振動特性)
B ビーム経路
DOF 被写界深度
E 磁力線
f 周波数
fR 共振周波数
IMG 電子顕微鏡写真
M1 材料
M2 材料
PA プロセス雰囲気
PG プロセスガス
Q 電荷
S10 方法ステップ
S11 方法ステップ
S12 方法ステップ
S13 方法ステップ
S14 方法ステップ
S20 方法ステップ
S21 方法ステップ
S22 方法ステップ
S23 方法ステップ
W 振動
【手続補正書】
【提出日】2024-04-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子ビーム(114)を用いてサンプル(10)を分析および/または処理するための装置(100、400)であって、
前記粒子ビーム(114)を提供するための提供ユニット(110)
であって、前記提供ユニット(110)は、前記粒子ビーム(114)が前記サンプル(10)まで通過するための開口部(116)を有する、提供ユニット(110)と、
前記提供ユニット(110)に取り付けられた試験構造(200)
であって、前記試験構造(200)は、前記開口部(116)の内部に、または前記開口部(116)に隣接して配置される、試験構造(200)とを備え、
前記装置(100、400)は、前記粒子ビーム(114)を使用して、前記試験構造(200)上にエッチングプロセスおよび/または堆積プロセスを実施するように構成される、
装置(100、400)。
【請求項2】
前記粒子ビーム(114)の、前記エッチングプロセスおよび/または堆積プロセスが実施される前記試験構造(200)との相互作用に応じて、前記装置(100)の少なくとも1つの現在の動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータを決定するための決定ユニット(150)をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記試験構造(200)は、前記提供ユニット(110)によって画定される内部容積(111)の内部に配置される、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
電子顕微鏡をさらに備え、前記試験構造(200)は、前記電子顕微鏡の被写界深度内に配置される、
請求項1または2に記載の装置。
【請求項5】
前記エッチングプロセスおよび/または前記堆積プロセスが実施された前記試験構造(200)を備える、
請求項1または2に記載の装置。
【請求項6】
前記粒子ビーム(114)を使用して前記試験構造(200)上に前記エッチングプロセスおよび/または前記堆積プロセスを実施するために、プロセスガスを前記試験構造(200)に供給するためのプロセスガス供給ユニット(170)をさらに備える、
請求項1または2に記載の装置。
【請求項7】
電気的および/または磁気的シールドのためのシールド要素(130)をさらに備え、前記シールド要素(130)は、前記粒子ビーム(114)が前記サンプル(10)まで通過するための貫通開口部(132)を有し、前記シールド要素(132)、および/または、前記シールド要素(132)を保持するための保持要素(120)は、前記試験構造(200)を備える、
請求項1または2に記載の装置。
【請求項8】
前記粒子ビーム(114)が前記試験構造(200)に入射するように、前記粒子ビーム(114)および前記試験構造(200)を相互に整列させるための整列ユニット(140)をさらに備える、
請求項1または2に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの決定された動作パラメータは、前記提供ユニット(110)のテレセントリック性を備える、
請求項1または2に記載の装置。
【請求項10】
前記試験構造(200)が機械的に振動(W)するように誘起させるための励振器ユニット(160)と、
少なくとも前記試験構造(200)の振動特性(A(f)、φ(f))を検出するための検出ユニット(162)と、
検出された前記振動特性(A(f)、φ(f))に応じて、前記装置(100)の少なくとも1つの現在の動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータを決定するための決定ユニット(150)とを備える、
請求項1または2に記載の装置。
【請求項11】
前記試験構造(200)は、カンチレバー(208)上に形成される、請求項
10に記載の装置。
【請求項12】
前記検出ユニット(162)は、レーザ(163)を用いて前記振動特性(A(f)、φ(f))を検出するように設定される、
請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記サンプル(10)にプロセスガス(PG)を供給するためのプロセスガス供給ユニット(170)をさらに備え、前記決定ユニット(150)は、検出された前記振動特性(A(f)、φ(f))に応じて、前記プロセスガス(PG)に存在する種の少なくとも1つの分圧および/または少なくとも1つのガス濃度を決定するように設定される、
請求項10に記載の装置。
【請求項14】
請求項1または2に記載の装置(100、400)と、サンプル(10)とを備える、システム(1)。
【請求項15】
前記装置(100)は、前記粒子ビーム(114)を使用して前記サンプル(10)上にエッチングプロセスおよび/または堆積プロセスを実施するように構成される、請求項
14に記載のシステム。
【請求項16】
前記試験構造(200)の少なくとも一部と、前記サンプル(10)の少なくとも一部とは、同一の材料組成を有する、
請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
粒子ビーム(114)を用いてサンプル(10)を分析および/または処理するための試験構造(200)を装置(100、400)内に提供するための方法であって、前記装置(100、400)は、
前記粒子ビーム(114)を提供するように構成された提供ユニット(110)
であって、前記提供ユニット(110)は、前記粒子ビーム(114)が前記サンプル(10)まで通過するための開口部(116)を有する、提供ユニット(110)と、
前記提供ユニット(110)に取り付けられた前記試験構造(200)
であって、前記試験構造(200)は、前記開口部(116)の内部に、または前記開口部(116)に隣接して配置される、前記試験構造(200)とを備え、前記方法は、
前記粒子ビーム(114)を使用して、前記試験構造(200)上にエッチングプロセスおよび/または堆積プロセスを実施することを含む、
方法。
【請求項18】
前記装置(100、400)を使用して粒子ビーム(114)を用いてサンプル(10)を分析および/または処理するための方法であって、
請求項
17に記載の方法を実行することと、
前記粒子ビーム(114)の、前記試験構造(200)との相互作用を検出すること(S13)と、
検出された前記相互作用に応じて、前記装置(100、400)の少なくとも1つの現在の動作パラメータおよび/またはプロセスパラメータを決定すること(S14)と、
を含む、方法。
【国際調査報告】