(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】ポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 63/08 20060101AFI20240808BHJP
C08G 63/78 20060101ALI20240808BHJP
C08L 101/16 20060101ALN20240808BHJP
【FI】
C08G63/08 ZBP
C08G63/78
C08L101/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509100
(86)(22)【出願日】2022-08-24
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 KR2022012678
(87)【国際公開番号】W WO2023027512
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】10-2021-0111934
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ハリム・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ユン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ドンチョル・チェ
(72)【発明者】
【氏名】チョル・ウン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ユリアナ・キム
(72)【発明者】
【氏名】スヒョン・チョ
(72)【発明者】
【氏名】ヨンボク・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ホクン・イ
【テーマコード(参考)】
4J029
4J200
【Fターム(参考)】
4J029AA02
4J029AB01
4J029AB04
4J029AC03
4J029AD01
4J029AD10
4J029AE01
4J029EA02
4J029EA05
4J029EH03
4J029JB171
4J029JF371
4J029KA02
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4J029KB16
4J029KE05
4J029KE17
4J200AA02
4J200AA09
4J200BA02
4J200BA05
4J200BA06
4J200BA10
4J200BA12
4J200BA14
4J200BA17
4J200CA01
4J200DA17
4J200EA01
4J200EA06
4J200EA07
(57)【要約】
本発明によるポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体は、ラクチド光学異性体由来繰り返し単位とポリ(3-ヒドロキシプロピオン酸)繰り返し単位を同時に導入することによって、ブロック共重合体の機械的物性に優れて応用分野を拡大することができるという特徴がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ(乳酸)繰り返し単位;および
ポリ(3-ヒドロキシプロピオン酸)繰り返し単位を含み、
前記ポリ(乳酸)繰り返し単位は、
i)下記化学式1で表される化合物由来繰り返し単位または下記化学式2で表される化合物由来繰り返し単位;および
ii)下記化学式3で表される化合物由来繰り返し単位を含む、
ポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体:
【化1】
【請求項2】
前記ポリ(乳酸)繰り返し単位100重量部に対して、
前記化学式1で表される化合物由来繰り返し単位または前記化学式2で表される化合物由来繰り返し単位を0.5重量部~99重量部で含む、
請求項1に記載のポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体。
【請求項3】
前記ポリ(乳酸)繰り返し単位100重量部に対して、
前記化学式1で表される化合物由来繰り返し単位または前記化学式2で表される化合物由来繰り返し単位を1重量部~60重量部で含む、
請求項1に記載のポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体。
【請求項4】
ポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体の重量平均分子量は、10,000g/mol~200,000g/molである、
請求項1に記載のポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体。
【請求項5】
ポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体のASTM D638による引張強度が1~70MPaである、
請求項1に記載のポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体。
【請求項6】
ポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体のASTM D638による引張伸び率が5~1000%である、
請求項1に記載のポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体。
【請求項7】
ポリ(3-ヒドロキシプロピオン酸)を製造する段階(段階1);
ポリ(3-ヒドロキシプロピオン酸)開始剤の存在下で、ラクチド混合物を開環重合してブロック共重合体を製造する段階(段階2);を含み、
前記ラクチド混合物はi)化学式1で表される化合物または化学式2で表される化合物;およびii)化学式3で表される化合物
【化2】
を含む、
ポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体の製造方法。
【請求項8】
前記段階1のポリ(3-ヒドロキシプロピオン酸)は、数平均分子量が1,000g/mol~40,000g/molである、
請求項7に記載のポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体の製造方法。
【請求項9】
前記化学式1で表される化合物または前記化学式2で表される化合物はラクチド混合物100重量部に対して0.5重量部~99重量部で含む、
請求項7に記載のポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体の製造方法。
【請求項10】
前記段階2のポリ(3-ヒドロキシプロピオン酸)およびラクチド混合物の重量比は1:0.5~1:20である、
請求項7に記載のポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体の製造方法。
【請求項11】
前記段階2の重合反応はラクチド開環触媒の存在下で行う、
請求項7に記載のポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は2021年8月24日付韓国特許出願第10-2021-0111934号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、ポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
ポリ乳酸(PLA;polylactic acid)はトウモロコシなどの植物から得られる植物由来の樹脂であって、生分解性特性を有し、優れた環境に優しい素材として注目を集めている。従来使用されているポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレンなどの石油系樹脂とは異なり、ポリ乳酸は石油資源枯渇防止、炭酸ガス排出抑制などの効果があるため、石油系プラスチック製品の短所である環境汚染を減らすことができる。したがって、廃プラスチックなどによる環境汚染問題が社会問題として台頭するにつれて、食品包装材および容器、電子製品ケースなど一般プラスチック(石油系樹脂)が使用された製品分野までポリ乳酸の適用範囲を拡大しようと努力している。
【0004】
しかし、ポリ乳酸は既存の石油系樹脂と比較して、耐衝撃性および耐熱性が劣っており、適用範囲に制限がある。また、引張強度が弱く、伸び率特性が悪くて壊れやすい特性(Brittleness)を示して汎用樹脂として限界がある状況である。このような短所を改善するために、ポリ乳酸に他の繰り返し単位を含む共重合体に関する研究が行われており、特に伸び率の改善のために3-ヒドロキシプロピオン酸(3-hydroxypropionic acid)が共単量体として注目されている。
【0005】
一方、ポリ乳酸ブロックの物理的性質はD-乳酸繰り返し単位(D-lactic unitR)とL-乳酸繰り返し単位(L-lactic unit(S)の含量と分布に影響を受け、特に各繰り返し単位の配列がPLAの結晶性に影響を与えることがある。自然界に存在するラクチドはL-ラクチドが優勢で、PLLA(L-乳酸100%)にD-乳酸繰り返し単位)を導入して熱的特性および機械的物性を制御することができると知られている。PLAブロックのD-乳酸繰り返し単位の含量と分布を制御する方法は、ラクチド原料フィード組成を調節するか、重合(polymerization)方法を制御することがあり得る。一例として、ラクチド原料の投入順序を制御するか、立体選択的な触媒(specific catalyst)を使用するか、重合反応速度論的にエステル交換反応(transesterification)やラセミ化(racemization)を起こす方法がある。しかし、エステル交換反応(transesterification)やラセミ化(racemization)反応は主に開環反応の副反応として行われて反応制御が難しいという問題点がある。
【0006】
よって、本発明では既存の光学不純物と見なされていたmeso-ラクチドまたはD-ラクチド由来繰り返し単位を3-ヒドロキシプロピオン酸由来繰り返し単位と共に導入して、D-乳酸繰り返し単位を制御してPLAブロックの結晶性を制御しながら、ラクチド原料を同時または順次的に投入してジブロックあるいはトリブロック構造を有する機械的物性に優れたブロック共重合体を提供しようとする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ラクチド光学異性体由来繰り返し単位を含んでポリ乳酸の生分解性を維持しながらも機械的物性に優れたブロック共重合体およびその製造方法を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は、ポリ(乳酸)繰り返し単位;およびポリ(3-ヒドロキシプロピオン酸)繰り返し単位を含み、前記ポリ(乳酸)繰り返し単位は、i)下記化学式1で表される化合物由来繰り返し単位または下記化学式2で表される化合物由来繰り返し単位;およびii)下記化学式3で表される化合物由来繰り返し単位を含む、ポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体を提供する:
【化1】
【0009】
また、本発明は、ポリ(3-ヒドロキシプロピオン酸)を製造する段階(段階1);
ポリ(3-ヒドロキシプロピオン酸)開始剤の存在下で、ラクチド混合物を開環重合してブロック共重合体を製造する段階(段階2);を含み、前記ラクチド混合物はi)化学式1で表される化合物または化学式2で表される化合物;およびii)化学式3で表される化合物を含む、ポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体の製造方法を提供する。
【0010】
本明細書で、「ラクチド」は、L-ラクチド、D-ラクチド、およびmeso-ラクチドの全ての形態のラクチドを含む。また、「ラクチド混合物」は、前記L-ラクチド、D-ラクチド、およびmeso-ラクチドから構成される群より選択される2種以上を含む光学異性体混合物を意味する。
【0011】
また、本明細書で、“D-乳酸繰り返し単位”は全体ポリ(乳酸)繰り返し単位の基準ラクチド単量体のD-形態に由来した乳酸繰り返し単位の含量を意味する。
【0012】
本発明で使用する用語「ポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体」は、ラクチド由来の単量体と3-ヒドロキシプロピオン酸由来の単量体が重合されたブロック共重合体である。
【0013】
本発明のブロック共重合体は、ポリ(乳酸)繰り返し単位とポリ(3-ヒドロキシプロピオン酸)繰り返し単位を含む。そのうち、前記ポリ(乳酸)繰り返し単位は、ラクチドの光学異性体のうちの前記化学式1で表される化合物であるmeso-ラクチド由来繰り返し単位または前記化学式2で表される化合物であるD-ラクチド由来繰り返し単位と前記化学式3で表される化合物であるL-ラクチド由来繰り返し単位を同時に含む。また、前記化学式1で表されるmeso-ラクチドまたはD-ラクチド由来の単量体を含みつつ、3-ヒドロキシプロピオン酸由来繰り返し単位との相互作用を通じて機械的物性に優れた、特に伸び率に優れたブロック共重合体である。
【0014】
前述のように、meso-ラクチドは、D-形態とL-形態をそれぞれ一つずつ含むラクチドである。ラクチドは開環重合反応を通じてポリ(乳酸)を形成し、L-ラクチド、D-ラクチド、およびmeso-ラクチドそれぞれの光学異性体種類によって重合過程で立体規則性(tacticity)が変わると知られている。一般にmeso-ラクチド由来繰り返し単位またはD-ラクチド由来繰り返し単位は開環重合されながら、それぞれD-形態に由来した乳酸繰り返し単位を形成し、meso-ラクチド1分子は一つのL-乳酸と一つのD-乳酸を形成し、D-ラクチド1分子は二つのD-乳酸を形成する。
【0015】
本発明者らは、光学不純物と見なされるmeso-ラクチドまたはD-ラクチドの活用方法を研究した結果、meso-ラクチドまたはD-ラクチド由来繰り返し単位と共にポリ(3-ヒドロキシプロピオン酸)繰り返し単位を含み、ポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体においてポリ(乳酸)ブロックの結晶性が低下するものの、ポリ(3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロックの結晶性が増加するという点を発見して、前記各ブロックの相互補完的物性を実現するのを確認することによって、本発明を完成した。
【0016】
一方、本発明で前記化学式1で表されるmeso-ラクチド由来繰り返し単位、または前記化学式2で表されるD-ラクチド由来繰り返し単位は、それぞれmeso-ラクチド純物質、またはD-ラクチド純物質に由来するものであってもよく、L-ラクチドに光学異性体として一部含まれているmeso-ラクチドおよび/またはD-ラクチドに由来するものであってもよく、rac-ラクチドに含まれているD-ラクチドおよび光学異性体として一部含まれているmeso-ラクチドに由来するものであってもよい。
【0017】
好ましくは、前記ポリ(乳酸)繰り返し単位100重量部に対して、前記化学式1で表される化合物由来の繰り返し単位または前記化学式2で表される化合物由来の繰り返し単位を0.5重量部~99重量部で含む。より好ましくは、前記ポリ(乳酸)繰り返し単位100重量部に対して、前記化学式1で表される化合物由来繰り返し単位を0.6重量部以上、0.7重量部以上、0.8重量部以上、0.9重量部以上、または1重量部以上含み、95重量部以下、90重量部以下、80重量部以下、70重量部以下、または60重量部以下で含む。前記範囲で前記化学式1で表されるmeso-ラクチド由来繰り返し単位または化学式2で表されるD-ラクチド由来繰り返し単位を含む場合、ポリ(乳酸)内、D-lactic unit含量を適切な水準に制御することによって、ポリ乳酸固有の特性を維持しながら、meso-ラクチドまたはD-ラクチド由来繰り返し単位を含んでも機械的物性を維持することができる。一方、前記D-lactic unit含量の算出/測定方法は後述の実施例で具体化する。
【0018】
好ましくは、ポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体の重量平均分子量は10,000g/mol~200,000g/molである。より好ましくは、ポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体の重量平均分子量が15,000g/mol以上、20,000g/mol以上、25,000g/mol以上、または30,000g/mol以上であり;150,000g/mol以下、100,000g/mol以下、90,000g/mol以下、または80,000g/mol以下である。ポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体の重量平均分子量が前記範囲である場合、共重合体重合時P3HPブロックの引張特性が発現できる。
【0019】
好ましくは、ポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体のASTM D638引張強度が1~70MPaである。より好ましくは、ポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体の引張強度が1MPa以上、2MPa以上、3MPa以上、4MPa以上、5MPa以上、6MPa以上、7MPa以上、8MPa以上、9MPa以上、または10MPa以上であり;65MPa以下、60MPa以下、55MPa以下、または50MPa以下である。
【0020】
好ましくは、ポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体のASTM D638による引張伸び率が5~1000%である。より好ましくは、ポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体の引張伸び率が5%以上、10%以上、30%以上、50%以上、70%以上、100%以上、または120%以上であり;900%以下、800%以下、700%以下、または650%以下である。
【0021】
一方、本発明は下記の段階を含むポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体の製造方法であって、ポリ(3-ヒドロキシプロピオン酸)を製造する段階(段階1);ポリ(3-ヒドロキシプロピオン酸)開始剤の存在下で、ラクチド混合物を開環重合してブロック共重合体を製造する段階(段階2);を含み、前記ラクチド混合物はi)化学式1で表される化合物または化学式2で表される化合物;およびii)化学式3で表される化合物を含む、ポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体の製造方法を提供する。
【0022】
好ましくは、前記段階1のポリ(3-ヒドロキシプロピオン酸)は数平均分子量が1,000g/mol~40,000g/molである。また、ポリ(3-ヒドロキシプロピオン酸)は数平均分子量は2,000g/mol以上、3,000g/mol以上、3,500g/mol以上、または4,000g/mol以上であり、40,000g/mol以下、35,000g/mol以下、30,000g/mol以下、25,000g/mol以下、または20,000g/mol以下であってもよい。前記3-ヒドロキシプロピオン酸重合体は、3-ヒドロキシプロピオン酸のホモ重合体を意味し、重合程度を調節して製造したものを使用する。前記範囲のポリ(3-ヒドロキシプロピオン酸)を使用する場合、重合活性に優れてポリ(乳酸)繰り返し単位とのブロック共重合体形成に有利である。
【0023】
好ましくは、前記化学式1で表される化合物または前記化学式2で表される化合物はラクチド混合物100重量部に対して0.5重量部~99重量部で含む。より好ましくは、前記化学式1で表される化合物または前記化学式2で表される化合物はラクチド混合物100重量部に対して0.6重量部以上、0.7重量部以上、0.8重量部以上、0.9重量部以上、または11重量部以上含み、95重量部以下、90重量部以下、80重量部以下、70重量部以下、または60以下で含む。化学式1で表される化合物または化学式2で表される化合物を、ラクチド混合物100重量部に対して前記範囲で含む場合、ポリ乳酸の生分解性を維持あるいは改善しながらポリ(3-ヒドロキシプロピオン酸)とのブロック共重合体形成に適する。
【0024】
好ましくは、前記段階2のポリ(3-ヒドロキシプロピオン酸)およびラクチド混合物の重量比は1:0.5~1:20である。また、ポリ(3-ヒドロキシプロピオン酸)およびラクチド混合物の重量比は1:1以上、1:2以上、1:3以上、1:4以上、または1:5以上であり、1:15以下、または1:10以下であってもよい。ポリ(3-ヒドロキシプロピオン酸)およびラクチド混合物の重量比が前記範囲である場合、D-繰り返し単位の含量が増加してもブロック共重合体の機械的物性を向上させることができる。
【0025】
一方、前記製造方法はラクチド開環重合反応が伴われるので、ラクチド開環触媒の存在下で行う。一例として、前記触媒は化学式2で表される触媒であってもよい。
[化学式2]
MA1
pA2
2-p
上記化学式2中、
MはAl、Mg、Zn、Ca、Sn、Fe、Y、Sm、Lu、TiまたはZrであり、
pは0~2の整数であり、
A1とA2はそれぞれ独立してアルコキシまたはカルボキシレートである。
【0026】
より具体的には、前記化学式2で表される触媒はスズ(II)2-エチルヘキサノエート(Sn(Oct)2)であってもよい。
【0027】
好ましくは、前記触媒の使用量は、ラクチドの総モル数を100モル%と仮定した時、0.001~10モル%、0.01~5モル%、0.03~1モル%であってもよい。
【0028】
前記開環重合は、150~200℃で5分~10時間行うことができる。
【0029】
また、前記開環重合反応は、実質的に溶媒を使用しないバルク重合で行うことができる。この時、実質的に溶媒を使用しないということは、触媒を溶解させるための少量の溶媒、例えば、使用ラクチド単量体1Kg当り最大1ml未満の溶媒を使用する場合まで包含することができる。前記開環重合をバルク重合で行うことによって、重合後に溶媒除去などのための工程の省略が可能になり、このような溶媒除去工程での樹脂の分解または損失なども抑制することができる。また、前記バルク重合によって前記ポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体を高い転換率および収率で得ることができる。
【0030】
また、前記重合反応は溶融重合または固相重合によって行うことができる。前記溶融重合は、100~200℃、150~200℃、または170~200℃の温度で行うことができる。溶融重合時の温度が100℃未満である場合、触媒活性度が低下して重合体の形成率が低下し、200℃を超過して過度に高い場合、重合体が熱変形するおそれがあるので、前述の範囲を満足することが好ましい。前記溶融重合は常圧下で、即ち、700~800Torrの圧力範囲内で行うことができる。
【0031】
一方、前記固相重合は減圧下で、溶融重合に比べて比較的低い温度で行うことができる。一例として、固相重合は10Torr以下、5Torr以下、1Torr以下、または0.5Torr以下の圧力および110~170℃、120~160℃、または130~150℃の温度範囲で行うことができる。
【発明の効果】
【0032】
前述のように、本発明によるポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体は、ラクチド光学異性体由来繰り返し単位とポリ(3-ヒドロキシプロピオン酸)繰り返し単位を同時に導入することによって、ブロック共重合体の機械的物性に優れ、応用分野を拡大することができるという特徴がある。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を下記の実施例でより詳細に説明する。但し、下記の実施例は本発明の実施形態を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施例によって限定されるのではない。
【実施例】
【0034】
製造例1:ポリ(3-ヒドロキシプロピオン酸)の製造
本発明による高分子量のポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)の生合成のために先ず発酵基質として3-ヒドロキシプロピオネートを含む発酵液を製造するために、次の条件によって発酵を行った。具体的には、発酵のための菌株としてGDHおよびALDH酵素遺伝子を有するE.coli W3110を使用した。培地としてはM9を使用し、グリセロール70g/Lを基質として使用して発酵させて3-ヒドロキシプロピオネートを生産した。
【0035】
本発明に使用される高分子量のポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)の製造は3HP(3-hydroxypropionic acid)の縮重合を通じて得る。水溶液上に存在する3HP(3-hydroxypropionic acid;60g)を反応器に入れ、反応器を50℃で加熱されたオイルバスに入れ、真空ポンプを用いて22torrで水分を乾燥させる。水分乾燥が完了すると、触媒p-TSA(3HPに対して0.4質量%)とSnCl2(3HPに対して0.15質量%)を入れ、90℃および10torrで2時間、110℃および0.2torrで18時間縮重合させてポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)を製造した。製造されたP3HPの相対分子量を測定した結果、Mn=4,384、Mw=20,434であった。
【0036】
実施例1:ポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ジブロック共重合体の製造
反応器に、L-ラクチド(10g、L-ラクチド:99.0%、meso-ラクチド:0.7%、D-ラクチド:0.3%)、先に製造例で製造したポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)オリゴマー(1g)、触媒としてTin(II) Ethylhexanoate(9μl、総ラクチド100mol%に対して0.02mol%)を添加し、30分~1時間程度乾燥させた。その次に、前記反応器を180℃で予熱されたオイルバスに入れて1.5時間重合を行った。反応が終結した以後、反応物をクロロホルムに溶解させた後、メタノールで抽出してブロック共重合体を得た。
【0037】
実施例2:ポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ジブロック共重合体の製造
反応器に、L-ラクチド(9g)、meso-ラクチド(1g)、先に製造例で製造したポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)オリゴマー(1g)、触媒としてTin(II) Ethylhexanoate(9μl、総ラクチド100mol%に対して0.02mol%)を添加し、30分~1時間程度乾燥させた。その次に、前記反応器を180℃で予熱されたオイルバスに入れて1.5時間重合を行った。反応が終結した以後、反応物をクロロホルムに溶解させた後、メタノールで抽出してブロック共重合体を得た。
【0038】
実施例3:ポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ジブロック共重合体の製造
反応器に、L-ラクチド(8g)、meso-ラクチド(2g)、先に製造例で製造したポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)オリゴマー(1g)、触媒としてTin(II) Ethylhexanoate(9μl、総ラクチド100mol%に対して0.02mol%)を添加し、30分~1時間程度乾燥させた。その次に、前記反応器を180℃で予熱されたオイルバスに入れて1.5時間重合を行った。反応が終結した以後、反応物をクロロホルムに溶解させた後、メタノールで抽出してブロック共重合体を得た。
【0039】
実施例4:ポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ジブロック共重合体の製造
反応器に、L-ラクチド(5g)、meso-ラクチド(5g)、先に製造例で製造したポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)オリゴマー(1g)、触媒としてTin(II) Ethylhexanoate(9μl、総ラクチド100mol%に対して0.02mol%)を添加し、30分~1時間程度乾燥させた。その次に、前記反応器を180℃で予熱されたオイルバスに入れて1.5時間重合を行った。反応が終結した以後、反応物をクロロホルムに溶解させた後、メタノールで抽出してブロック共重合体を得た。
【0040】
実施例5:ポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ジブロック共重合体の製造
反応器に、meso-ラクチド(10g、Meso-ラクチド:90.7%、L-ラクチド:9.0%、D-ラクチド:0.3%)、先に製造例で製造したポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)オリゴマー(1g)、触媒としてTin(II) Ethylhexanoate(9μl、総ラクチド100mol%に対して0.02mol%)を添加し、30分~1時間程度乾燥させた。その次に、前記反応器を180℃で予熱されたオイルバスに入れて1.5時間重合を行った。反応が終結した以後、反応物をクロロホルムに溶解させた後、メタノールで抽出してブロック共重合体を得た。
【0041】
実施例6:ポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ジブロック共重合体の製造
反応器に、L-ラクチド(10g、L-ラクチド:99.0%、meso-ラクチド:0.7%、D-ラクチド:0.3%)、先に製造例で製造したポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)オリゴマー(2g)、触媒としてTin(II) Ethylhexanoate(9μl、総ラクチド100mol%に対して0.02mol%)を添加し、30分~1時間程度乾燥させた。その次に、前記反応器を180℃で予熱されたオイルバスに入れて1.5時間重合を行った。反応が終結した以後、反応物をクロロホルムに溶解させた後、メタノールで抽出してブロック共重合体を得た。
【0042】
実施例7:ポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ジブロック共重合体の製造
反応器に、L-ラクチド(8g)、rac-ラクチド(2g)、先に製造例で製造したポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)オリゴマー(2g)、触媒としてTin(II) Ethylhexanoate(9μl、総ラクチド100mol%に対して0.02mol%)を添加し、30分~1時間程度乾燥させた。その次に、前記反応器を180℃で予熱されたオイルバスに入れて1.5時間重合を行った。反応が終結した以後、反応物をクロロホルムに溶解させた後、メタノールで抽出してブロック共重合体を得た。
【0043】
実施例8:ポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ジブロック共重合体の製造
反応器に、L-ラクチド(5g)、rac-ラクチド(5g)、先に製造例で製造したポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)オリゴマー(2g)、触媒としてTin(II) Ethylhexanoate(9μl、総ラクチド100mol%に対して0.02mol%)を添加し、30分~1時間程度乾燥させた。その次に、前記反応器を180℃で予熱されたオイルバスに入れて1.5時間重合を行った。反応が終結した以後、反応物をクロロホルムに溶解させた後、メタノールで抽出してブロック共重合体を得た。
【0044】
実施例9:ポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)トリブロック共重合体の製造
反応器に、meso-ラクチド(1g)、先に製造例で製造したポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)オリゴマー(1g)、触媒としてTin(II) Ethylhexanoate(9μl、総ラクチド100mol%に対して0.02mol%)を添加し、30分~1時間程度乾燥させた。その次に、前記反応器を180℃で予熱されたオイルバスに入れて30分間反応を行った後、L-ラクチド(9g)を投入して追加で80分間重合を行った。反応器から生成物を取り出した後、生成物を140℃で1~5torr減圧条件で約3時間脱揮してモノマーを除去して、最終的にブロック共重合体を得た。
【0045】
実施例10:ポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)トリブロック共重合体の製造
反応器に、meso-ラクチド(5g)、先に製造例で製造したポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)オリゴマー(1g)、触媒としてTin(II) Ethylhexanoate(9μl、総ラクチド100mol%に対して0.02mol%)を添加し、30分~1時間程度乾燥させた。その次に、前記反応器を180℃で予熱されたオイルバスに入れて30分間反応を行った後、L-ラクチド(5g)を投入して追加で80分間重合を行った。反応器から生成物を取り出した後、生成物を140℃で1~5torr減圧条件で約3時間脱揮してモノマーを除去して、最終的にブロック共重合体を得た。
【0046】
比較例1:ポリ乳酸の製造
反応器に、L-ラクチド(20g)、meso-ラクチド(0g)、1-オクタノール(0.036g、0.2mol% to lactide)、触媒としてTin(II) Ethylhexanoate(0.0056g、総ラクチド100mol%に対して0.01mol%)およびトルエン(45uL)を添加し、30分~1時間程度乾燥させた。その次に、前記反応器を180℃で予熱されたオイルバスに入れて1.5時間重合を行った。反応器から生成物を取り出した後、生成物を140℃で1~5torr減圧条件で約3時間脱揮してモノマーを除去して、最終的にポリ乳酸ホモ重合体を製造した。
【0047】
比較例2:ポリ乳酸の製造
L-ラクチド(18g)およびmeso-ラクチド(2g)を使用したことを除いては、比較例1と同様の方法でポリ乳酸ホモ重合体を製造した。反応が終結した以後、反応物をクロロホルムに溶解させた後、メタノールで抽出してブロック共重合体を得た。
【0048】
比較例3:ポリ乳酸の製造
L-ラクチド(16g)およびmeso-ラクチド(4g)を使用したことを除いては、比較例1と同様の方法でポリ乳酸ホモ重合体を製造した。反応が終結した以後、反応物をクロロホルムに溶解させた後、メタノールで抽出してブロック共重合体を得た。
【0049】
比較例4:ポリ乳酸の製造
meso-ラクチド(20g)を使用したことを除いては、比較例1と同様の方法でポリ乳酸ホモ重合体を製造した。反応が終結した以後、反応物をクロロホルムに溶解させた後、メタノールで抽出してブロック共重合体を得た。
【0050】
比較例5
NatureworksのPLA 2003D製品を使用した。Spec sheet上D乳酸含量が4.5%である。
【0051】
比較例6
NatureworksのPLA 4032D製品を使用した。Spec sheet上D乳酸含量が1.6%である。
前記実施例および比較例で使用されたラクチドは以下の通りである。
L-ラクチド:中国Jindan社製造、L-ラクチド:99.0%、meso-ラクチド:0.7%、D-ラクチド:0.3%、酸価:1.1mEq/kg
meso-ラクチド:Natureworks社 M700 grade、meso-ラクチド:90.7%、L-ラクチド:9.0%、D-ラクチド:0.3%、酸価:12~19mEq/kg
rac-ラクチド:TCI(Tokyo Industry Chemical co Ltd)、racemic lactide(L-ラクチド:50%、D-ラクチド:50%)
【0052】
実験例
前記実施例および比較例で製造した共重合体に対して下記のようにその特性を評価した。
【0053】
(1)重量平均分子量、数平均分子量、および分子量分布(PDI)
数平均分子量、重量平均分子量および分子量分布はWaters社GPCを使用し、移動相はクロロホルムを使用し、PS(standard)を用いてCalibration curveを描いて相対的分子量を測定した。
【0054】
(2)引張強度、引張弾性率および引張伸び率
dog-bone加工はHot-press機器(QMESYS社、Heating plate tester、model:QM900M)を使用し、加工温度はDSC Tmより20℃高い温度で行った。dog boneのneck寸法は、長さ25.4mm、厚さ1mm、幅3mmであった。引張特性測定はASTM D638によって行い、Instron社の装備(xx)万能試験器(Universal Testing Systems、UTM)を使用して常温で引張速度(Pulling speed)は5mm/分で測定した。
【0055】
(3)D-lactic unit(%)
偏光計の比旋光度(specific optical rotation)を測定して高分子内のD-lactic unit(%)含量を下記式1を通じて計算した。偏光計はJASCO社のP-2000 polarimeter(D光源使用、測定温度:25℃)を使用した。
【0056】
[式1]
D-lactic unit(%)=[[α]D
25
PLLA*{1-(y/100)}-[α]D
25
sample]/[2*[α]D
25
PLLA*{1-(y/100)}]*100
上記式1中、
[α]D
25
PLLAは-156であり、
[α]D
25
sampleは(α×100)/(l×C)(α:旋光度(degree)、l:セル長さ(decimeter、使用したガラスセル長さ:1dm)、C:1g/dL、1w/v%、Chloroform)で計算され、yはブロック共重合体内ポリ(3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロックの重量%である。
【0057】
一方、前記yはd-クロロホルムで高分子レジンを溶かし1H-NMRを使用して測定し式2を通じて計算した。
【0058】
[式2]
y(%)=A(P(3HP)、2H、4.15ppm)/{2*A(PLA、1H、5.15ppm)+A(P(3HP)、2H、4.15ppm)}*100
上記式2中、
A(P(3HP)、2H、4.15ppm)はP3HPの2Hに起因したもので、NMR上で4.15ppmでの面積であり、
A(PLA、1H、5.15ppm)はPLAの1Hに起因したもので、NMR上で5.15ppmでの面積である。
【0059】
(4)示差走査熱量分析
示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter、DSC、製造社:Mettler Toledo)を用いて下記の方法でポリ乳酸のTg、Tc、Tm、△Hc、および△Hmを測定し、ポリ(3-ヒドロキシプロピオン酸)のTg、Tc、Tm、および△Hmを測定した。
【0060】
重合体を220℃まで加熱した後5分間維持し、-70℃まで温度を下げて熱履歴を除去させた後、再び220℃まで加熱して2次Heatingでのピークから融解温度(Tm)および融解エンタルピー(△H)を測定した。この時、温度の上昇速度と下降速度はそれぞれ10℃/minに調節した。
【0061】
前記測定された結果を下記表1および表2に示した。
【表1】
【表2】
【0062】
上記表1および表2に記載された通り、本発明によるポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体はポリ(乳酸)繰り返し単位内前記化学式1で表されるmeso-ラクチド由来繰り返し単位または前記化学式2で表されるD-ラクチド由来繰り返し単位と前記化学式3で表示されるL-ラクチド由来繰り返し単位を含み、同時にポリ(3-ヒドロキシプロピオン酸)繰り返し単位を含んで、ポリ(乳酸)繰り返し単位内光学純度調節、即ち、D-乳酸繰り返し単位導入を通じて、ブロック共重合体の引張物性を制御することができた。
【0063】
前記表2の熱的特性に関しては、ポリ乳酸繰り返し単位内に光学異性体導入でD-乳酸繰り返し単位の含量が増加するにつれて、ポリ(乳酸)ブロックの融解エンタルピーは次第に減少し、ポリ(3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロックの融解エンタルピーが観察されなかったが出現することから見て、ポリ(乳酸)ブロックの結晶化度減少とポリ(3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック結晶化度増加をもたらしたことが確認された。したがって、引張強度に寄与したポリ(乳酸)ブロックの結晶性が低下してポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体の引張強度が減少するが、引張伸び率に寄与したポリ(3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロックの結晶性が増加して同一の光学純度を含有したポリ乳酸ホモ重合体よりポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体の引張伸び率が大きく向上したのを確認することができた。したがって、本発明の光学純度が制御されたポリ(乳酸-b-3-ヒドロキシプロピオン酸)ブロック共重合体は引張伸び率の良いPoly(ethylene)物性と類似していて、新規の用途の応用分野に拡大可能である。
【国際調査報告】